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島村政府委員 お尋ねの要点は、
原子力の将来が非常に
期待され、特に
船舶への
利用というようなことについて非常に大きな意義があると考えますけれ
ども、
世界的に必ずしもスムーズに進展しなかった、その
理由はどういうことにあるのかということであろうと思いますので、私からお答え申し上げます。
原子力の
利用、特に
発電の面で代表せられる
世界の趨勢というものが今日までの大きな
世界の関心でございましたし、
原子力委員会で当初
長期計画等をつくりましたときあたりは、いわゆる
原子力に対する
世界の
期待というものが非常に大きく、割に早く
原子力の
時代が到来するものという予想が立てられておったわけでございますけれ
ども、その後、御
指摘のように、必ずしもそのような
進展ぶりを示さなかったことも事実であろうと思います。その
原因についていろいろ考えてみますと、まず第一に、やはり
内海委員から御
指摘になりました
通り、思いもかけなかった程度に
石油が非常に安く、大量に手に入るようになったというような、
原子力以外の
原因が一つ考えられるわけであります。同時に、
原子力の側におきましても
理由がないわけではございません。と申しますのは、おそらくは近く解決されるであろうと考えられておりました
技術上の
問題点というものが、必ずしもそのようにすみやかに解決されなかった、やはり非常にむずかしい問題があったということでございます。従いまして、たとえば
イギリスにおきましても、
原子力の
発電計画を繰り延べるというような
傾向もございましたし、また、ずっと以前におきまして大きく騒がれておりましたユーラトムにおきます
計画というものも、一時は消えるというような形にもなったわけでございます。これはいわゆる
原子力の
スローダウンという言葉で批評されておりました。
実は、そういうことがあったことも事実でありますと同時に、しかし、それにもめげずと申しますか、
内海委員御
指摘のように、
原子力に対する
期待というものは依然として存在したわけでございますし、
各国も、そのような
傾向にもかかわりませず、相変らず
研究開発というような面については特段の力を入れて参りました。それが私
どもの見ますところでは、やはり早くもその結果が出つつあるように思うわけでございます。と申しますのは、最近に至りまして、
原子力発電のコストにいたしましても、一時考えられておりましたものよりは案外早く火力より安くなる時期がくるというふうな
考え方が出始めてきております。また、
アメリカ等におきましても、非常に大
規模の
発電所が次々に建設される
計画が発表されておるわけでございます。
原子力のサイドにおきましても、
世界的に見まして再び大きな
期待が持たれ、その時期が思ったより早くくるというような観測が行なわれるようになってきたわけでございます。
わが国におきましても、その点は同じであると申しますか、
エネルギー事情からいたしましても、
日本におきましてはことさらにそういう面が強く影響されるわけでございまして、
原子力に対する
期待も、
世界の平均よりももっと
日本の方が強いわけでございます。最近に至りまして、この
委員会でもたびたび論議が行なわれておりますように、
原子力委員会の考えました
長期計画の線に沿って、一時危ぶまれておりました、
民間各
電力会社がはたしてあのような
計画通りに
日本で
原子力の
開発をやるかどうかというような点につきましても、最近ようやく各
電力会社もそれぞれの
計画を発表していくという機運になってきたわけでございます。
船の方について申し上げますと、御
承知の
通り、また先ほ
ども御
指摘になりましたけれ
ども、現在完成いたしておりますのはソビエトと
アメリカと二国にそれぞれ一隻ずつにすぎないわけでございますけれ
ども、昨年になりましてドイツからの
情報も入って参りましたし、また今年に入りましてからは、
イギリスもまた
原子力船の
建造計画を発表するというようなことになって参りました。従来やや
足踏みの
状態にありましたものが、ようやくまた再び
原子力に対する
期待も強くなると同時に、またその実行的な面におきましても着々
計画がされつつあるというのが
現状であると考えておるわけでございます。
いろいろ御
指摘になりましたので、すべてにお答えできたかどうかと思うわけでございますが、とりあえずその点を申し上げておきます。