運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-02-21 第43回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十一日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 安倍晋太郎君 理事 中曽根康弘君    理事 山口 好一君 理事 岡  良一君    理事 西村 関一君 理事 山口 鶴男君       赤澤 正道君    天野 公義君       小沢 辰男君    齋藤 憲三君       坂田 英一君    細田 吉藏君       石川 次夫君    田中織之進君       原   茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣 近藤 鶴代君         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         科学技術政務次         官       内田 常雄君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   森崎 久壽君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君         外務政務次官  飯塚 定輔君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         運 輸 技 官         (船舶局長)  藤野  淳君  委員外出席者         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         原子力委員会委         員       西村 熊雄君         科学技術事務次         官       鈴江 康平君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  村田  浩君         外務事務官         (アメリカ局安         全保障課長)  高橋正太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術行政一  般及び原子力行政一般に関する問題)      ————◇—————
  2. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  今回政府より提案されております科学技術庁設置法の一部改正に関し、その概要について説明を聴取いたしたいと思います。近藤国務大臣
  3. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、科学技術庁の権限に、宇宙利用を推進すること(他の行政機関所掌に属することを除く。)を加えるとともに、これを研究調整局所掌せしめることであります。  現在、無線通信気象観測等の面における宇宙利用につきましては、関係各省において、それぞれの行政目的に応じてこれの促進をはかるべく努力がなされておりますが、科学技術庁におきまして、これらの総合的な推進をはかるとともに、宇宙飛翔体の試作、打ち上げ業務等に関する事務をつかさどる等宇宙利用に関する先導的役割ないしは研究環境整備のための役割を果たそうとするものであります。  第二に、航空技術研究所航空宇宙技術研究所と改称するとともに、これに宇宙科学技術に関する所要試験研究等を行なわしめることであります。現在、航空技術研究所は、航空技術の向上をはかるため、風胴等のごとく関係行政機関に重複して設置することが多額経費を要するため適当でないと認められる施設設備を設置し、これを必要とする研究及び試験等を行ない、あわせてその施設及び設備関係行政機関共用に供する機関でありますが、宇宙科学技術に関する試験研究またはそれに必要な施設設備は、航空技術のそれと密接な関連を有するものである点にかんがみ、航空技術と同一の態様において、航空宇宙技術研究所においてこれをあわせて行なわしめようとするものであります。  第三に、科学技術庁付属機関として、防災科学技術に関する総合的中枢的機関の性格を有する国立防災科学技術センターを新設するとともに、これの管理、監督等事務研究調整局所掌せしむることであります。国立防災科学技術センターは、防災科学技術に関する試験研究のため必要な施設設備であって、関係行政機関に重複して設置することが多額経費を要するため適当でないと認められるものを設置して、これを関係行政機関共用に供し、また、関係行政機関の要請に応じ、当センター研究員を派遣して、その行政機関研究及び試験協力する等の総合的、かつ、中枢的な業務を行なうほか、特定の研究及び試験を実施する機関であります。  第四に、科学技術庁地方支分部局として、茨城県を管轄区域とする水戸原子力事務所昭和三十八年十月一日から置くことであります。本事務所は、茨城水戸市に置かれ、原子炉に関する規制に関する事務その他の原子力局所掌事務の一部を分掌するものであります。  なお、科学技術庁事務増加に伴いまして、職員の定員を増加する必要がありますので、所要改正を行なうことといたします。以上、本法案の概要について御説明申し上げる次第でございます。     —————————————
  4. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 この際、石川次夫君より発言を求められております。石川次夫君。
  5. 石川次夫

    石川委員 実は長官に御質問しようと思いましたことは、きのうの予算委員会の第一分科会質問を申し上げる予定にしておりましたところが、大へん時間がおそくなりましたためにできなかった。そのかわり、きょうここで行なうことにしたわけであります。従って、関係大臣がここに来ておられませんし、さらにきょうの主要な議題は、原子力潜水艦寄港問題を中心とする原子力委員会統一見解ということがおもな議題になる予定でございますから、私の申し上げることは、ごく簡単に要点だけ質問をしたいというふうに考えております。  それは、三十八年度の科学技術庁予算案でございますけれども、これは歳出予算額が二十億二千九百万円ぐらい昨年に比べて増額になっている、国庫債務負担行為額も十七億円ばかりふえておる、増加比率で申しますと、去年の六・六%に対しまして、三十八年度は一五・九%となっておる、予算額規模伸長を見たことになります、こういう説明を受けたわけであります。  なるほどその限りにおきましては、科学技術庁予算伸びたという点で関係当局努力を多とするわけではございますけれども、しかし、この程度で、はたして日本のおくれた科学技術行政というものが外国並みに追いついていけるものかどうかという点について、非常な不安を感じておることを率直に申し上げたいと思います。  言うまでもなく、日本は資源も少ないし、人間も多い。ただ人間の非常な優秀な才能をもととして、端的に申しますと、非常に勤勉であるということ、それから低賃金であるということに依存をして日本国際収支を伸ばしていくというような形になっておりますけれども、いつまでも低賃金依存するということは、国際情勢からいってもこれは許されないということは火を見るよりも明らかであります。さらにまた、外国に追いついて追い越すということのためは、どう考えても科学技術というものを豊かに伸ばす以外に道はないということも常識だろうと思います。しかしながら、政府予算からだけ見ますと、とても外国に追いついて追い越すというのにはほど遠いのではなかろうか、こういうことを率直に感ぜざるを得ないわけであります。  たとえて申しますと、古い資料でございまするが、国民所得の中に占めるところの研究費総額というのは、日本は一・六%。これはちょっと見ますとフランス、西ドイツと大体似たような比率になっている。もちろんアメリカ、イギリス、ソビエトなんかとは比較になりません。たとえばアメリカあたりは、六二年の予算ですと大体百二十三億ドル、四兆五千億円という予算科学技術関係政府支出予算として計上されておるわけであります。四兆五千億と比較をしてどうこうということは、とても日本現状からして不可能であることはよくわかっておりますけれども、しかし、ともかく国民所得の中に占めるこの比率から見て一・六%という中で、民間がほとんどこれを出している。このうちの六七%を出しているという現状になっているということは言うまでもないと思います。アメリカあたりですと、民間が出している割合は三〇%。それから、西ドイツがわずかに多くても四割程度であります。そうしますと、日本だけが、一・六%を占めておるという中で民間企業が六七%を占めておる。こういう形になっておりますから、政府科学技術振興のために与えておる予算額というものは、諸外国に比べて非常に少ないといわなければならぬと思います。  たとえばアメリカの別な資料を見ますと、科学技術の中の基礎研究のうちで、政府が出しておる予算額というものは全体の六割を占めております。基礎科学というものはどうしても、民間依存をするということでは十分な成果というものは期待することはできないのではないか。大ざっぱに申し上げますと、資本主義勃興時代は、町の発明家発明依存してどうやら産業を伸ばすということもできるでありましょうし、資本主義がだんだん興って参りますと、企業内における研究機関というものでもって大いに産業伸長科学の発展を実現させることが可能であったわけであります。私は日立の方に関係しておりましたからよくわかっておりますが、中央研究所というものがありまして、これはおそらく政府機関のどの研究機関よりもりっぱだろうと思う。しかし、そういうようなりっぱな研究機関だといいましても、ほんとう基礎研究に十分に力を入れて行なうことができるかどうかということになりますと、これは前にも申し上げたことがあると思いますが、何といってもそれを応用して商品化し、そして企業にプラスさせるということの方に相当の意欲を注がざるを得ないという関係がありまして、基礎研究民間企業依存するということは、どうしても十分なる成果をおさめることができないということは言うまでもないわけです。  そうしますと、日本政府で出しておるわずかな予算日本人の機能を十二分に活用することを通じて外国に追いつき追い越し、そして日本の繁栄をもたらすということのためには、予算説明書によりますと大へん予算伸びたということで、これは別に自慢をして書いたわけではないでしょうが、何か誇りを持って報告しておるような印象を私は受けるわけです。しかし、これではとても日本外国に追いつくことは不可能だ。いつまでも低賃金依存する宿命を負わされておるような感じがしてならない。私は、今度の予算の中で人当研究費制度というものが細々ながら確立されたという点で一歩前進であるという点は認めますが、この程度では、ほんとう日本基礎研究ということに十分なる成果をおさめるだけの予算にはなっておらないということを、残念ながら指摘せざるを得ないと思います。  実はこまかい点について一つ一つ質問したいという気持もあったわけでありますけれども、基本的なこの問題について一体長官はどういうふうにお考えになっておられるか、その点の御所見を伺いたいと思います。
  6. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ただいまの石川委員の御発言は、まことにごもっともしごくだと考えております。私どもも、科学技術庁予算がわずかばかり前年度よりもふえたからといって、毛頭自慢どころの騒ぎではなく、この程度で、はたしていいのかどうかということについては非常に責任感じておるようなわけでございます。国際社会の中に太刀打ちをしていくあらゆる条件の中に、科学技術庁が果たしていかなければならない役割が重大であればあるほど、私は決してこのような形の予算で満足すべきでないということは十二分に承知いたしておりますけれども、微力でございましたので、私の思う通りにも参っておりません。  しかし、将来は、時代の力もかり、かつまた、理解を深めて下さる皆さん方の御支援というようなものから、おそらくは科学技術庁予算というものは、石川委員も仰せになりましたように、確かに科学技術を尊重しておるのだというような方向に向いていくであろうということを考えており、また、私自身もそのように努力をいたして参りたいと思うわけでございます。  重ねて申し上げますが、報告といたしまして前年度との比較を出したわけでございまして、この比較に対しまして決して自慢をいたしておるわけでもございませんし、むしろこのような状態であるということに対して深いざんきの念を禁じ得ないわけでございます。
  7. 石川次夫

    石川委員 実は私きのうの予算委員会質問したかったというのは、科学技術庁長官としては当然そういう考えを持たれるでごいざましょうが、大蔵大臣総理大臣等にこの点の認識を深めてもらう場所を得たかったという意味で、きょうやるのは必ずしも妥当でないと思います。従いまして、いずれあらためてこの点について大蔵大臣なり、総理大臣認識を深めてもらう機会を得たいと考えておりますので、後刻相談を申し上げますから、委員長において取り計らう機会を与えてもらいたい。  それから、ついでに申し上げますけれども、一五・九%というのは、予算全部の伸びが一七・四%でございますから、国家予算全体の伸び率にまでも達しておらなかったという点は、一つ科学技術庁自体としても十分に反省をしていただかなければならぬ、こう考えておるわけであります。それから、国際収支の面で申し上げますと、これもちょっと古い資料ではございますけれども、昭和二十五年度に一億八千万円程度技術導入経費であります。それが昭和三十五年度には三百五十億円をこしております。三百五十億円ということだけですと、日本技術がおくれているからそれだけは必要でやむを得なかったということで済ませるかもしれませんけれども、これに伴う設備、これに伴う機械というものを含めますと、正確な数字は出て参りませんが、おそらく千億円を下回るという数字ではないだろうと思う。従って、国際収支の面からいきましても、こういう漸騰を続けていかなければならぬということはまことに憂うべき現象であろう、こう思わざるを得ないわけであります。それやこれや考えて、口を開けば、総理大臣施政方針演説では、科学技術と教育を重視すると言っておられますけれども、実体は全然伴っておらないということで、私たちは非常に残念でならないわけであります。今度の予算委員会公聴会におきましても、科学技術予算が少ないではないかということを強調されておったような意見も二、三散見されるようでございますが、まことに当然な意見だといわなければならぬと思います。そういう点で、私として、またわが党といたしましては、科学技術というものが非常に軽視をされておるということに対して、深い遺憾の意を表したいと考えるわけであります。  それと関連をいたしまして、ついでにお伺いをしたいのでありますけれども、科学技術基本法というものを、超党派と言うと語弊がありますけれども、この中に小委員会を設けまして、自民、社会、民社、三者が相寄りまして第一次試案——これはもちろんまだ試案の域を脱していません。党としての正式の機関にもかけておりませんで、ほんとう試案の域を脱しておりませんけれども、とにかく科学技術振興のために画期的な方針を基本的に打ち出そうじゃないかという考えでこの作業に努力しましたことは、今さら申し上げるまでもないと思うのでございます。そのあとで、科学技術基本法政府の方から出すという意味で、科学技術会議、これはほんとに梶井さんの私案ということで出されたものを先日説明を受けたことがあるわけであります。しかし、これはまことに消極的で、あってもなくてもいいというような、訓辞規定のような感じを受けるわけであります。それにしても、ともかく科学技術基本法を出そうというようなかまえになってきたことを一応喜ばなければならないと、わずかに慰めておったわけでありますが、この科学技術基本法が、現在どういう経過で、提案になるような運びになっておるものか、あるいはこれは提案になりそうもないのか、この辺のいきさつにつきまして、一つ現状をお知らせ願いたいと思います。
  8. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ただいま御指摘になりました科学技術基本法につきましては、あらゆる角度から鋭意検討いたしておる最中でございまして、今ここで、このような結論になるであろうというようなことについて、ちょっと申し上げる段階でございませんことを御了承いただきたいと思います。
  9. 石川次夫

    石川委員 あとに重要な案件が残っておりますから、私の質問は打ち切りますけれども、科学技術基本法梶井私案程度のものでありますと、かえって後退になるのじゃないかという心配を私は持っておるわけであります。わが党といたしましても、科学技術振興のためにつくられる基本法というものが十分な成果を上げるためには協力を惜しまないというつもりでおるわけでございますが、後退になるような案だったら出さない方がむしろベターではないかという気持すら持っておるわけであります。その点につきましては、いずれこの経過を聞きながら、われわれとしても十分協力をしたい、こう考えておりますので、科学技術基本法を、粗雑な案でもとにかく出さなければ形がつかない、責任がとれないというような意味でお出しにならないように、われわれとしてもこれに重大な関心を持っておるということだけをお伝えいたしまして、これの中身についての詳細な質問あと機会に譲りたいと思います。  とにもかくにも、科学技術基本法の提出並びに今年度の科学技術関係予算については、非常に多くの意見がある。この予算については、特にわれわれとしてはきわめて不満足であるという意思表示をいたしまして、後刻に質問を譲りたいと思います。      ————◇—————
  10. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 この際、近藤原子力委員会委員長より発言を求められておりますので、これを許します。近藤原子力委員会委員長
  11. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 去る二月の十四日の当委員会におきまして御要求のございました合衆国原子力潜水艦寄港問題に関しまして、原子力委員会といたしまして考えをまとめました点について、ただいまお手元に資料を差し上げておりますので、朗読させていただきます。   今回の合衆国原子力潜水艦寄港問題については、当委員会としても重大な関心をもって検討してきたところでございます。原子力基本法第二条の「原子力研究開発及び利用は、平和の目的に限り、……………これを行うものとし、」という規定は、わが国原子力研究開発及び利用を行なうにあたっての基本原則を定めたものであり、従って、外国政府原子力潜水艦の動力として利用する問題と関係のないことはもちろん、外国原子力潜水艦寄港の問題にまで適用があるとは解しておりません。  しかしながら、当委員会は、外国原子力潜水艦寄港については、安全性の面を重視すべきであると考えております。すなわち、外国原子力潜水艦寄港を認めようとする場合においては、軍艦としての国際法上の地位を勘案しつつ、その安全性について保証を取りつけ、かつ、わが方において安全上の諸対策、たとえば、原子力潜水艦による放射性物質の廃棄、核燃料交換等の制限、入港前及び停泊中における周辺放射能測定等の措置を講ずるとともに、万一の場合における十分な補償を確保する方途を講ずる必要があると考えております。     —————————————
  12. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 質疑の通告があります。これを許します。岡良一君。
  13. 岡良一

    岡委員 ただいま原子力委員会統一見解をいただきました。これは私ども全面的に納得するわけには参りません。  そこで、その内容にわたって逐次原子力委員会等の御所見をただしたいと思いますが、その前に、外務当局から、合衆国原子力潜水艦寄港について、今日までの経過を御報告願いたい。
  14. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 お答えいたします。実は大臣が出席してお答えするはずでございましたけれども、ただいま参議院の外務委員会に出席しておりますので、あるいは十分ではないと思いますけれども、私から一応お答え申し上げたいと思います。  これは御承知のように、一月九日にアメリカライシャワー大使から外務大臣に対して、口頭でもって、原子力潜水艦寄港の問題について日本の意向をただして参ったのでございます。  日本といたしましても、普通の軍艦でありますならば、安全保障条約等によっての寄港を認めておりますので、これは差しつかえないことと思いまするが、事原子力潜水艦でございますために、慎重な態度をもってこれを検討して、二月の二日に二つの問題について、アメリカに対して質問書を出しておるのでございます。  それは、原子力潜水艦安全性の問題について、これは燃料の詰めかえ等によることと思いますが、その問題についてと、もう一つは、事故のあった場合の補償等についての質問書を出しておるのでありますが、それに対しては、アメリカから二月十四日に、第一の問題の、安全性の問題について返事があったはずでございます。第二の、事故のあった場合の補償等に対しては、まだ正式な答えが出ていないと私は心得ております。  以上の通りであります。
  15. 岡良一

    岡委員 安全性についての相手国返事内容並びに補償についてまだ返事がないということであるが、これに対する政府の当面の御方針を承りたい。
  16. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 その問題については、目下検討中でございますけれども、事務当局も出席しておりまするから、もしお答えができるとすれば、事務当局からお答えさせていただきます。
  17. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいまの安全性の点でございますが、わが方から照会いたしました点、数点ございますけれども、それにつきましては、たとえば燃料の詰めかえとかいう一部の点は、すでに新聞で報道されている通りと思いますけれども、その他まだいろいろ技術的にも検討をしていただくという点がございますので、時期が参りましたら、アメリカ側回答書内容は明らかにしたいと思っております。現在、現在、関係当局におきまして検討中でございます。(「新聞に出たじゃないか」と呼ぶ者あり)  新聞に四点出ております。出ております範囲では、核燃料交換ということと、それから安全保障の点、その他二点と存じますけれども、(「その他というのは何だ」「答弁にならぬよ」と呼ぶ者あり)詳細な点につきましては、先ほど申し上げました通りに、時期が参りましたら、明らかにするということにさしていただきたいと思います。現在検討中でございますし、また、アメリカ側に対してさらに疑問点については照会をするという必要があるかと存じます。  しかしながら、先ほど申し上げましたような、安全評価書の点、それから燃料交換——燃料交換はしないというような点でございます。そういうような点につきましては、新聞でも報道をされておりますような通りでございます。
  18. 岡良一

    岡委員 私はその新聞は読んでおりますが、やはり国会においては、公に関係当局からその詳細を具体的に記録にとどめるという形で承りたかったわけであります。これはさっそく御調査の上、きょう、もう一度私のお尋ね申し上げた点を明らかにしていただきたいと思います。  それから、この原子力潜水艦は、極東水域配備される性質のものでございますか。
  19. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 前段の御希望に対しましては、できるだけすみやかにお答えのできるようにいたしたいと思います。  それから、後段の方は、現在極東水域配備というか、来ておることでございますが、この点、担当官からお答えさせたいと思います。
  20. 高橋正太郎

    高橋説明員 お答えいたします。太平洋に配備をされておるアメリカ原子力潜水艦ということでございまして、ポラリス潜水艦ではないわけであります。通常装備原子力潜水艦寄港ということになります。
  21. 岡良一

    岡委員 ホノルルに司令部のあるアメリカの太平洋艦隊には、すでに原子力潜水艦配備されておることは、もうすでに周知の事実だと思います。そうではなくて、特にわが国の基地に寄港を求めたというのは、たとえば具体的には第七艦隊にこの潜水艦配備されることになったのか、この点をお聞かせ願いたい。
  22. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいまの点は、第七艦隊には——これは正確なところは存じませんけれども、いろいろ情報を総合いたしますと、ただいま先生御指摘のように、太平洋には数隻の原子力潜水艦配備されておる、それはときどき交代をしておるというふうに承知をしております。そのうちにハワイにおりますいわゆる第七艦隊にはやはり原子力潜水艦配備されておると聞いておりますけれども、ただいまのところは一、二隻というふうに承知をしております。
  23. 岡良一

    岡委員 私のお尋ねしておるのは、第七艦隊に配備されておる原子力潜水艦日本の基地に寄港を求めておるのか、あるいは太平洋艦隊に従前から配置されておるところの原子力潜水艦、これならば行動半径は大きいからホノルルへ帰れるわけです。特に日本の基地に寄港を求めておるのは、第七艦隊に配備されておるものであるが、特殊な必要性を認めたものとして寄港を求めておるのかどうか、この点については、アメリカ側に対して確かめられましたか。
  24. 高橋正太郎

    高橋説明員 その点につきましては、アメリカ側は、従来太平洋に配備をされておりますアメリカ原子力潜水艦は、沖繩その他の地域に寄港をしておるけれども、日本には乗組員の休養のために寄港をしたい、こういうことでございます。
  25. 岡良一

    岡委員 それでは、この原子力潜水艦は、——潜水艦といってもいろいろ型式がありますが、最近の原子力潜水艦は、哨戒を目的とする潜水艦、攻撃を目的とする潜水艦がある。攻撃を目的とするものの中にはポラリスを搭載した潜水艦がある。これは攻撃を目的とした潜水艦ですか、哨戒を目的とした潜水艦ですか、その双方を含むものですか。
  26. 高橋正太郎

    高橋説明員 正確な意味におきましては、攻撃を目的とした潜水艦、いわゆる攻撃用潜水艦と申しますか、SSN、サブマリン・アタック、サブマリン・ヌクリアーといっておりますが、攻撃用潜水艦というふうに了解をしております。従いまして、先ほど先生御指摘になりましたポラリスを積んでおるというのは、それに入らないわけであります。
  27. 岡良一

    岡委員 そこで、ただいまお示しになりました原子力委員会統一見解についてお尋ねをいたしたいと思います。特に、近藤委員長は御就任以来日も浅いことでございますが、兼重、西村の御両所は、長く原子力委員会にお勤めでございますので、どうかぜひ一つ、あなた方も共同責任の上に立って御答弁を願いたいと思います。  まず第一にお伺いをいたしたいのであるが、原子力潜水艦の動力として利用する。これは明らかに原子力の軍事的利用である、こう私は考えますが、いかがでしょう。
  28. 西村熊雄

    西村説明員 お答え申し上げます。御質問の趣旨は、原子力を推進力に使うことそれ自体、軍艦の推進力に使うことそれ自体は、明らかに軍事的利用であると考えるがどうであるか、こういう御質問ではないかと思います。  その問題は、私の了解する範囲内では、原子力基本法が制定された当時におきましても、ちょっと触れられた点であるように思います。その当時の政府当局の御検討の中には、立法当時の社会観念においては当然それは軍事利用考える、ただし、将来原子力利用というものが非常に発達して、あらゆるものの推進力に原子力が使われるということが、われわれの日常の常識になるような時代になれば、それを直ちに軍事利用考えることは問題だと思う、という表現を使ってございます。委員会といたしましても、今回の問題が起こりましてから、この統一見解を打ち出すにあたりましては、当然その問題、先生が御提起になりました問題につきましても、十分意見交換をいたしてきたわけでございます。でございますから、これからお答え申し上げますことは、今委員会はそう考えると申し上げますことは、やや、何といいましょうか、政府の統一的見解を表明すべき立場になるようで、他の当局のお考えを予断する結果になることは、委員会としては決して希望することではございませんが、委員会としては現在の時点におきましては、原子力推進力を軍艦に使用することは軍事的利用になると考えるのが妥当である。原子力を推進力に利用するということそれ自体はモートル的なものであって、ただそれをいかなるものを動かすのに使うか、その使い方によって平和利用ともなり軍事利用ともなる、そういう考えに立っておるわけでございます。
  29. 岡良一

    岡委員 どうもはっきり御答弁がわからないので、私はイエスかノーか端的にお答えを願いたい。  そこで、原子力推進機関を持っておる潜水艦、いわゆる原子力潜水艦は、原子力が軍事的に利用されたものである。こう思われるのか。原子力委員会はイエスかノーか、この点だけ……。
  30. 西村熊雄

    西村説明員 現段階においてはしかりであると考えます。
  31. 岡良一

    岡委員 そこで、この統一見解を読み上げるのは省略をいたしますが、外国政府原子力潜水艦の動力として利用する問題と、わが国内における原子力基本法第二条とは無関係であるということが書いてあります。そこでお尋ねをするが、この原子力基本法は議員立法です。三党、むしろその当時は二党共同提案で、満場一致国会で成立をした議員立法です。その第二条に、原子力研究開発利用は平和目的に限るというのは、これは申し上げるまでもなく、原水爆に反対をする国民の悲願を込めた道義的条章なんです。われわれはこの二条については、非常な苦心を払って原子力基本法の中にこれを入れておる。これは国民の悲願に裏づけられた道義的立法である。  そこで、これは、今いわば外国の軍事的目的利用している潜水艦が、日本の港に堂々と現われてくる。原子力委員会は、原子力基本法を堅持することがあなた方の義務である。にもかかわらず、原子力を軍事的目的利用した外国潜水艦日本の基地に堂々と寄港をする。国民の前に立ち現われる。これをあなた方は拱手傍観しておることが、この第二条という国民の悲願に裏づけられた道義的な立法の精神にかんがみて、あなた方の道義的な責任というものが果たせますか。原子力委員としての道義的責任というものが果たせますか。
  32. 西村熊雄

    西村説明員 御承知の通り、また先生のおっしゃる通り原子力基本法は議員立法でございます。委員会としては、基本法の法規によりまして、この忠実な実行者でなければならないと考えております。基本法の法文を精神解釈いたしまして、日本における原子力利用開発を平和利用に限定するだけではなくて、外国における利用研究をも平和に限定するようにし、かつまた、外国における軍事的利用一つの現われである潜水艦または原子力軍艦寄港も拒否するように委員会としては動かなければならないというような、非常に広い範囲の立法精神論をもって委員会の態度を決定しようというお立場を岡先生はおとりになりまするが、もしその精神拡充論が議会全体の御意思であるならば、委員会としては、あるいはそういうふうに動かなくてはならないかと思いますが、委員会としては、お手元に出しましたような統一見解が、現在の委員会としては、法文から照らしまして、とるべき態度であるという結論に達したわけであります。もしこの態度に、委員会は十分法の精神に沿って動いていないという御意見を国会の方でお持ちになりましたならば、現在のわれわれのような態度が出ないように法文を明らかに書き直していただきたいということをお願いしたい気持で一ぱいでございます。
  33. 岡良一

    岡委員 西村委員の御答弁は、あるいは法理の末にとらわれ、あるいは責任を国会に転嫁し、まことに私どもとしてはいただけない。原子力委員会法は、私が今さら申し上げるまでもなく、相当高い権限を持っておる。内閣総理大臣もその勧告は尊重しなければならぬ。各省の長官もその意見を尊重しなければならぬ。いわば原子力委員会は、その国会において任命された諸君というものは、やはり独自な立場において行動し得る広い権限と高い権能を持っておる。  そこで、先ほど申しましたように、原子力基本法を守ることが原子力委員会の何といっても最高の義務であることは、この委員会でしばしば私以外の者からも繰り返されておる。また、原子力委員会の諸君もそれを承知しておられる。そうして今申しましたように、原子力基本法第二条というものは、立法の当時にわれわれが非常に苦心をして、しかも、何としてもこれは平和の目的に限るということは、はっきり打ち出そうということで、これをはっきりうたった。国民の悲願に裏づけられた道義的な表現であり、道義的な規定なのだ。こういう法律というものは、他の国にはない。私は、平和を守るという勇気は、これは人間のすべての道義的勇気の中で一番高い強い勇気だと思う。この勇気をあなた方は失っておる。そしてこの統一見解のように、安全性がどうであるとか、あるいは事故の場合の補償がどうであるとかいうふうなところに向けておる。道義的な責任感が一体いずこにありやということを、私はあなた方にお聞きしておる。これに対してあなた方は、この機会においてでもいい、反省の実を示されるならばいさぎよく反省の実を示していただきたい。言を左右にして、答弁をあいまいにせられるということは、私どもとしてはとらない。原子力委員会としてもまことに不見識な話であるから、重ねて明確な御所信をお尋ねしたい。
  34. 西村熊雄

    西村説明員 アメリカ原子力船の日本寄港を認めるかいなかの問題について、政府として態度を御決定なさる場合に、原子力基本法というものが存在するということも考慮に入れらるべき一つの分子であると私は考えるわけです。委員会としては、原子力基本法と米国原子力潜水艦寄港問題との関連を考慮いたしまして、お手元に差し上げましたような統一見解に到達した次第でございます。政府の立場から申しますと——というのは、私はそういう立場から申し上げる資格、立場にないものでございますけれども、日本は安保条約第六条でございましたか、によりまして、日本の防衛のため、または極東における平和及び安全の維持のため、合衆国の陸軍、海軍、空軍が日本施設、区域または港湾を使用することに同意する、というような規定があったと思います。問題の潜水艦は、その規定の、日本防衛のためではなくして、極東の平和と安全の維持のために日本の港湾を使用するという範囲に入るものでございますから、一般問題としていえば、同意なくしても入れる性質のものである、こう私は考えるわけです。にもかかわらず、合衆国の方で特に日本の意向をただしてこられたことについては、原子力潜水艦であるというその特性を考えて、日本国民の感情その他を考慮されてのことだと思います。そういう面も委員会としては当然考慮に入れて基本法との関係考えざるを得ない立場にあるということは、岡先生も御了解いただける、こう思うわけです。基本法だけがこの問題のイエス、ノーを決定する因子ではないということは、御異論はないだろうと思います。  ですから、委員会としては、この基本法の明文に照らして考えまして、政府に御注意していただきたい点は、安全性の問題と、万々一の場合における補償措置の点、この二点について安心できるような保障ができればしてよろしい、基本法に反することはございますまいと考えた次第でございます。
  35. 岡良一

    岡委員 何も僕は、政府の御答弁を求めているわけではない。原子力委員会は独自に判断を下すべきだ。特に高い道義的な第二条の精神を体して、この原子力潜水艦寄港については独自な判断を下すべき権限がある、義務があると私は思う。その立場から、第二条によって禁止されている軍事目的原子力潜水艦が白昼堂々と日本の基地に来、日本の国民の前に姿を現わすということ、そのことをあなた方が拱手傍観をし、あるいは言を左右にして、結局安全性とか事故補償というさまつな技術的な、行政的な問題に責任をやってしまって、それを認めるということで、あなた方の道義的な責任が果たせるかどうか。原子力委員会の道義的な責任、政治的な責任というものは果たせるかどうか、ということを私はさっきから繰り返し聞いている。果たせると言われるのですか、果たせないと言われるのですか。何もくどくどした説明は要らない。その点の御所見を率直にお伺いしたい。
  36. 西村熊雄

    西村説明員 原子力基本法によって設置された原子力委員会は、法によって明定された責任と権限を持つ国家機関であって、岡先生の御主張になるような、道義的責任を負う道義的機関というべき性質のものではないと考えて私どもは仕事をしております。
  37. 岡良一

    岡委員 最高の法の護持というものは各人の道義にあるということは、これは今さら申し上げるまでもないことであります。そういう言を左右にして、結局法律のさまつな字句にとらわれて、そして技術的、行政的な問題に責任を転嫁して移していかれる態度は、原子力委員会としてはまことは国民のためにも無責任な態度であるということを、私ははっきり申し上げます。  それでは、この内容についてお聞きする。「外国政府原子力潜水艦の動力として利用する」と書いてある。一体、原子力潜水艦というものはいかなる特徴があるのですか。原子力を動力として用いておるというところに特徴があるのですか。あるいはまた、軍事的に利用するためにはなぜ原子炉が必要であるのか。原子力委員会の御見解を承ります。
  38. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 ただいまの御質問意味が私に十分了解できていないかも存じませんけれども……。
  39. 岡良一

    岡委員 もう一ぺん申し上げます。  これまでの潜水艦というものは、推進機関の主体はおおむねディーゼル・エンジンである。潜航等、必要なときには第二次電池で電力を使う。ところが、原子力潜水艦というものは、推進機関は、もちろんここに書いてあるように原子力の核爆発によるエネルギーである。原子力潜水艦というのは原子力の核爆発によるエネルギーを推進機関としておるものである、こういうふうにあなた方は原子力潜水艦というものを概念づけておられるか、この点をお聞きしたい。
  40. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 原子力を平和に利用するというときに考えておられますことの中で、動力に利用する場合に、あれの一番の特徴の一つは酸素が要らないということですから、これを船の推進に使う場合に、潜水する船に使うことがその特徴を最も生かすことである。従って、商船の場合にも、将来は潜水商船になるかもしれないといわれておるほどでありますから、それが軍事用の潜水艦利用されておるわけであります。従って、あの原子力潜水艦というのはその特徴を生かしたものだと思っております。
  41. 岡良一

    岡委員 私も若干の専門書、専門家の意見を聞くと、原子力推進機関というものは、単にその力の強大さよりも、酸素を必要としないというところに大きな特徴がある。原子力潜水艦というものの兵器としての大きな特徴がここに出てきておる。しかし、この問題は、今から七、八年前にノーテラス号が初めて就航して、アメリカのニューロンドンからプエルトリコのサンファンに、たしか八十四時間全部潜航で行った。これの生みの親であるリッコーバー少将が、この距離は潜水艦の最高記録だ、潜水艦としてまた最大の速力を立証したということを当時言われておる。最近「文芸春秋」を見ると、トライトンとかいう六千トン級の潜水艦は三カ月で三万七、八千海里という世界一周の距離を潜航した。これは単に原子力推進機関というものが強大なエネルギーを持っておるというだけでなく、化石燃料と違って酸素が要らない。しかし、これが原子力潜水艦という巨大なる兵器のいわば大きな特徴になっていることは、今兼重さんも申された通りです。  そこで、この原子力潜水艦というものをどういうふうに原子力委員会が見られるか、あるいは外務省が見られるかということを私はお尋ねする。今申しましたように、かつての潜水艦は、もぐって走っても、最高の速力を出してせいぜい三十分か一時間、じっと海の下にもぐるだけで五十時間も持てばよかった。ところが、原子力潜水艦は、三カ月で三万七、八千海里というものを潜航することができる。しかも、六千トンという巨大な排水量を持っておる。これは在来の潜水艦じゃない。この潜水艦が持つ軍事的な意義というものは、一体どういう意義があるのか。この点について外務省として御検討になったことがあるか。原子力委員会として御検討になったことがあるか。一つその結果をお知らせを願いたい。
  42. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 岡委員の御心配、ごもっともだと思いますが、外務省においても検討しておると私は考えております。
  43. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 原子力潜水艦がそのような能力を持っておることは承知しておりますが、それが軍事的にどういう意味かということは、原子力委員会として検討することはしなかったように思います。
  44. 岡良一

    岡委員 やはり原子動力を推進機関に持っているということが軍事利用であるというならば、さらに具体的に原子力潜水艦が持っており、課せられておる軍事的役割というようなものについても、原子力委員会は十分検討さるべきなんです。その上で寄港の是非というものが判断されるべきであると思う。結局こういうふうに強力なエンジンを持ち、しかもそのエンジンは酸素の供給が要らない。従来の潜水艦と違って大気との縁を切ってしまって、先ほど申しましたように、長距離潜航ができるということになりますると、これは潜水艦が持っておった従来のいわゆる通商破壊戦という任務以上の任務ができることになってきた。これは私の意見ではない。軍事専門家の一様の意見なんです。今や原子力潜水艦というものは、単なる在来の潜水艦じゃない。あるいはまた通商破壊戦を事とする在来の潜水艦の軍事的な任務というものから解放されて、さらに一歩進んだ軍事的役割を持っているものが原子力潜水艦である。こういう評価というものは、世界の軍事評論家の一致した結論なんです。こういう点を原子力委員会なりあるいは外務省当局としては、まだ検討中である、また考えたこともないとおっしゃるのは、私は非常に無責任だと思う。やはりこの機会には言われないというならば仕方がございませんが、こと原子力潜水艦寄港問題を取り扱う場合に、非常に無責任ではありませんか。  いずれにしましても、よく政府は、原子力というものについて、子供っぽい表現でもって国民をごまかそうとせられる危険が非常に多い。実体というものを全然国民の前から隠してしまう。だから、小型の核兵器ならばよろしかろうなどというようなことを言う。現在の戦術兵器の小型の核兵器なんというものは、広島の原爆よりもずっと大きい破壊力を持っていることは御存じの通りなんです。そうかと思えば、原子力潜水艦は、ここに書いてあるように、単に従来のディーゼル・エンジンにかえて、動力を原子力にかえただけなんだ。しかし、原子力潜水艦が持っておる軍事的意義というものについては、これだけでは国民は知ることができない。先ほど申しましたように、トライトンは六千トンもあるという。日本が戦争中つくった二千トン足らずの伊何号というような潜水艦でも、カタパルトで飛行機を打ち出した。そうすれば、もちろんこの原子力潜水艦というものは、戦爆両用機くらいを何機か持つことができるかもしれない。あるいはこれが核爆雷を持って飛び立つかもしれぬ。また、最近の新聞を見ると、アメリカの方でも、核弾頭の魚雷というものが開発が進んで、これをポラリス以外の原子力潜水艦には装備するというようなことが伝えられておる。こういうような原子力潜水艦における核兵器の利用ということが、どういう傾向になっておるのか、外務省として御存じがあったらお知らせを願いたい。
  45. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 外務省において検討しておるかどうかという先ほどの御質問に対しては、私は検討しておると考えておりますが、この機会にさらに鞭撻して、御期待に沿うように検討させることをいたしますが、核兵器の問題については担当者よりお答えいたしたいと思います。
  46. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいま岡先生の御指摘になりましたように、たとえば原子力潜水艦の核装備につきましては、これはアメリカの軍事機密の点もございましょうから、確たるところは存じませんけれども、従来出ております資料、年鑑その他によりますれば、御案内のように、ポラリス潜水艦は現在十隻就役しておりますけれども、主として大西洋の方面におります。また、寄港地も大西洋に従来は限られておりました。大西洋の英国だけでございますけれども、そのポラリス潜水艦はいわゆるA1型、A2型のポラリスというものを持っておる。ただ、A3が最近発射実験に成功したというふうに聞いておりますが、まだA3を装備したという報道はないように存じております。で、おのおのの潜水艦が、ポラリス潜水艦は御案内のように十六発のポラリスを持っておるわけでございますけれども、この中距離弾道弾を持っているのがポラリス潜水艦でございまして、ただいまアメリカとの間に話をしておりますいわゆる原子力潜水艦と申しますのは、ポラリスを持っている潜水艦ではないわけでございまして、通常の水雷発射管を持っているというふうに承知しております。  ただ、先ほども先生が御指摘になりましたように、サブロックと申しますか、これは報道されておりますけれども、サブマリン・ロケットと申しまして、水中から発射をして、それが一回空中に出て二十マイルぐらい飛びまして、また水中に入りまして、それで相手の船にぶつかる、攻撃する。こういうのが開発をされて、成功したというふうに承知をしております。なお、そういうものが新しい型の潜水艦には装備をされるだろうということも報道されており、また記録にも載っております。  ただ、先ほど岡先生の御指摘になりましたような核爆雷というのは、潜水艦が持っておるということは存じておりません。
  47. 岡良一

    岡委員 私はさっき申し上げましたように、原子力潜水艦の出現というものは、結局在来の潜水艦ではない。新兵器の出現である。それはどういう意味かといえば、海底を隠密裏に潜航して、自己の好むところにおいて、好むところに核攻撃を加えられるものだ。そういう攻撃的性格を持った潜水艦日本寄港することを要請してきておるということなんです。  そこで、二、三日来の新聞を見ると、こういうことが出ておる。たとえば、一九五七年以降、合衆国が急ピッチをもって原子力潜水艦の建造に力こぶを入れておる。しかも最近に至っては、いよいよポラリス潜水艦に重点を向けておる。これは外務省当局は御存じだと思う。またさらに、アメリカ国防省は十六カ月以内に海外の戦略基地から核装備のB47ジェット爆撃機の一部を引き上げ、ポラリス潜水艦をもってこれに代替する。これがアメリカ国防総省の発表として新聞に伝えられておる。  さらに、今おっしゃったサブロックの問題であるが、一般の原子力潜水艦に対しては、潜水艦より発射できるサブロック魚雷の開発が相当進んだので、これをいよいよ装備しようということが、これも国防省の発表として出ておる。  こういうように、アメリカの、原子力潜水艦に期待しておるところの任務というものは、先ほど申しましたように、もうすでに原子力潜水艦ができたときに軍事専門家が指摘しておるように、隠密裏に海底を潜航して、自分の好むときに、好むところにおいて、好むところを核攻撃ができる。そういう新たなる任務というもの、新たなる軍事的意義というものが原子力潜水艦に期待されてきておる。おそらくこれはソビエトにおいても同様な生産が行なわれておると思う。いってみれば、原子力潜水艦の出現というものは、東西両陣営の世界戦略に対して革命的な変動を及ぼしているわけです。この事実を原子力委員会認識されるかどうか、どうなんです。私の申し上げたことに、もし御異論があるならおっしゃっていただきたい。
  48. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 今のような御説明通り原子力潜水艦利用されることによりまして、いろいろ軍事的には大きな変革があったと思います。しかし、今日問題になっております原子力潜水艦日本寄港問題とそれとは、私どもは直接結びつけて考えておりません。と申しますのは、ここの原子力基本法第二条の適用の解釈をこういうふうにとりますと、それからあとはやはり道義の問題とか、精神の問題とかになると思うからであります。
  49. 岡良一

    岡委員 私が申し上げたことは、このように原子力潜水艦というものも核弾頭を持って、サブロックという魚雷の装備をしようということをアメリカの国防省も発表しておる。そういうようなことになれば、わが方に寄港を要請されておる原子力潜水艦についても、おそらくかような事態が起こるのではないかということが予想される。その場合、一体われわれとすれば、核兵器の持ち込みは禁止する、いろいろお約束をしておられる。この場合、それでは核兵器の持ち込みというようなことについては、具体的に原子力潜水艦が、アメリカ国防省の発表によれば、当然核弾頭の魚雷を持つとか、あるいはもし飛行機を搭載するならば、その飛行機はすでに核爆雷というものはアメリカでは開発済みなんですから、これを持つでしょう。そういうようなものを持っておるかどうかということについて、日本側としてはいかなる手段方法でそれを確かめることができるか。これは、国民に核兵器を持ち込まないという約束を何度もしておられる政府の当然の責任なんです。どうなんです。
  50. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいま岡先生御指摘の原子力潜水艦の軍事的意義、ことにポラリス潜水艦の軍事的意義ということは、これは世界的に認められておるところでございます。しかしながら、先ほど来申し上げました通りわが国におきましてわれわれが問題としております原子力潜水艦は、ポラリス潜水艦ではないのでありまして、この点ははっきりいたしたいと思います。もちろん将来アメリカは、先ほど岡先生御指摘の通り、世界戦略の一端として太平洋方面にもポラリス潜水艦を持ってくるということは、これは常識的に考え得ることでございますし、アメリカ政府の人もそういう発言をしておることはあるわけでございます。  しかしながら、それとポラリス潜水艦寄港につきましては、政府がたびたび申しておりますように、ポラリス潜水艦寄港とこれとは別問題であって、ポラリス潜水艦寄港の場合には、当然それは核兵器の持ち込みということになり、事前協議の対象になる。従って、当然アメリカからそのときには話があるというので、政府としてはそれは認めないというふうに従来答弁をされておる通りでございます。  なお、隠密裏に核攻撃云々ということで、サブロックその他の核兵器と申しますか、核弾頭をつけた水雷をつけ得るという発表は新聞で承知をしております。しかしながら、核兵器の持ち込みは、先ほど申し上げました通り、安保条約の交換公文によりまして事前協議の対象とされております。従いまして、それが日本に入ります場合は、これも当然事前協議の対象になる、こういうふうに思っております。
  51. 岡良一

    岡委員 そこで、事前協議というものの事前の手続等を、私どもは外務大臣が来られたらよくお尋ねをしたいと思います。ただしかし、入ってきたものが常識上核魚雷を持ち得るものであり、アメリカ政府方針も核魚雷を持たそうということが公表されておるときに、たまたま日本寄港した原子力潜水艦がそれを持っていないかどうかは、核兵器の持ち込みは認めないのだと繰り返しお約束をしておられる以上、日本側としては立ち入ってこれを調べ、その有無を確かめるというくらいの合意は取りつけていいのじゃないかと私は思う。いやしくも潜水艦がやってくるのだから、こういう努力を外務省はやるべきだと私は思うが、どうなんでしょうか。
  52. 高橋正太郎

    高橋説明員 先ほど来の岡先生の御指摘の通りに、アメリカアメリカの世界戦略の一環としてポラリス潜水艦開発努力し、現在まできておると思います。それが東西間の平和をささえておる一つのファクターであるということも御案内の通りと思います。しかしながら、日本といたしましては、御承知のように、アメリカとは安保条約というのを結んでおりまして、そこでアメリカ日本の防衛義務というものが規定されております。しかしながら、安保条約の六条には、日本は基地を提供するということが規定をされております。日本は憲法上その他の制約によりましてアメリカを守るわけにはいかないけれども、基地を提供するという規定があるわけでございます。アメリカはその軍事的な必要によりまして、日本を守り、さらに極東の安全と平和の維持に貢献するために軍隊を各所に配備しておるわけでございますが、その中の一つ原子力潜水艦日本に乗組員の休養のために寄港をするという問題でございます。しかも、その原子力潜水艦が、最近国防省あたりで言っておりますように、核装備をし得る、水雷がつくということが出ておりますけれども、そういう場合でも、政府は、従来から申し上げておりますように、核兵器の日本への持ち込みは事前協議の対象になる。これは日米間の信頼の問題でございまして、アメリカを信用しているわけでございます。  なお、これは安保条約の改定の前に、昭和三十五年の一月十九日だったと記憶いたしますけれども、当時の岸総理大臣とアイゼンハウアー大統領との間の共同コミュニケがございまして、事前協議の対象に関する事項につきましては、アメリカ政府日本政府の意思に反して行動しないことを保証するというふうに、アメリカ政府は保証しているわけでございます。
  53. 岡良一

    岡委員 そう長々と沿革をお聞きしなくても、端的にお答え願えばいいのです。  そこで問題は、核兵器を持ち込む、あるいはサブロックを持ち込む、あるいは核爆雷を持ち込む、こういうことは、やはり極東軍司令官なり、太平洋軍司令官なり、ものによってはケネディ大統領の統帥事項なんだ。しかも、これは非常に高度な軍事的機密であろうと思う。こういうものが事前協議の議題になり得るとあなた方は思っておられますか。
  54. 高橋正太郎

    高橋説明員 当然なるべきものであると思っております。
  55. 岡良一

    岡委員 それ以外のお答えはあなた方はできないはずだ。安全基準書というか、安全評価書を出さないというのは、どういう理由で出さないのですか。
  56. 高橋正太郎

    高橋説明員 先ほども申し上げましたように、アメリカ側回答書内容というのは、われわれ寄り寄り検討をいたしておりますので、まだ明らかと申しますか、御披露するわけには参らないわけでございますけれども、ただいま従来の非公式にいろいろ話をしております段階で申し上げますと、ただいま先生の御指摘の安全評価書は、これは軍艦安全評価書があるかないかということも一つの問題でございます。たとえばサバンナのような商船の場合には安全評価書というものがある。それがまだ発効しておりませんが、条約の精神で、訪問する国にその安全評価書を前もって渡してその安全性を証明するというふうに聞いております。しかしながら、軍艦につきましては、アメリカは従来そういうようなことをしたことはないというふうに聞いております。御案内のように、いわゆるポラリスでない型の原子力潜水艦は、従来十数カ国に寄港しておるわけでございますけれども、それらの国におきましても、安全評価書と申しますか、そういうものの提示をしたことはない。その理由はといえば、それは軍事的な理由で、構造その他に関しては軍機に関係する、従って出せないのだということを申しております。  また、何らかの資料というものも出せないかということも、われわれは要求と申しますか、打診をしておったわけでございますけれども、その何らかの資料というものにつきましても、これは岡先生も先ほど来御指摘のように、現在は原子力潜水艦が就役してからもう数年たっております。従いまして、アメリカとしてはその安全性につきましては何ら懸念を持っていない。従来も事故がなかったし、安全だと思っている。従いまして、たとえばの話でございますが、原子炉のメーカーがアメリカの海軍に炉を引き渡します場合に、この原子炉は安全であるというような証明書、そういうものでも何かデーターがないかということまでわれわれは申しておるのでございますけれども、アメリカ側といたしましては、前はいざ知らず、最近の場合にはもう全部そういう原子炉は安全である。ですから、潜水艦と一体になって海軍に渡される場合には、海軍のインスペクターが参りまして、これはアメリカ原子力委員会その他できめた基準がございまして、その基準によって全部チェックしていく。潜水艦の中には炉も含まれている。それも全部含めてチェックをして審査するということになっておるので、政府がこれは安全であるという以外には、その証明書というか、データというものは出し得ないのだというふうにわれわれは聞いております。
  57. 岡良一

    岡委員 今の外務省の説明は、原子力委員会は納得されますか。
  58. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 原子力委員会は、現在のところでまだ納得したともしないともきめておりません。それで、ここでも軍艦国際法上の地位というのが、これは私どもが申すまでもないことで、御存じと思いますけれども、その問題との兼ね合いがあることがわかっておりますので、どういうところまでやれるかということはまだ問題が残っております。それに、公表された資料という言葉で表わすのは適当かどうか知りませんが、ある程度わかっておることもございまして、それがアメリカ側でいう安全だということと日本の規制法などとの関係もございますから、まだその点については検討を続けておるわけでございます。
  59. 岡良一

    岡委員 これはまだ、何年か経験があるといったって、おそらく三十隻足らずのものが七つの海にいるだけのことなんです。安全であるということが、原子力の発展の段階において、それだけの経験で言えるものではない。  問題は、原子力潜水艦に使う原子炉の問題設計や燃料製造の問題は、アメリカ原子力法によって非常に高度な機密条項になっておる。これをはっきり報告することが安全上の大前提になると思う。従って、そういう軍の最高の機密に関することであるために、アメリカ側はこれを提出することを拒否しているのじゃないかと私は思うのだが、いかがですか。
  60. 高橋正太郎

    高橋説明員 同感でございます。
  61. 岡良一

    岡委員 私はそこに一つ問題があると思うのです。だから、アメリカの機密保護法が日本の領海内において幅をきかしておる。われわれがちっぽけな研究用の原子炉を導入しても、非常にストリクトな立ち入り査察を受ける。ところが、原子力潜水艦は、単に炉の設計上のあやまちとか、いわばそういう船自体の内部の原因でなくて、いろいろ海難等の現象によって不時の事故が起こり得るわけです。だからして、なお慎重に扱わなければならないにもかかわらず、この機密保護法的な向こうの立場から、われわれには安全評価の基準書も出さないというようなことになっておる。こういうようなことでは、日本の主権国家としての立場から見ても、私は非常に遺憾だと思うのです。国際法軍艦は治外法権だというようなことも私ども聞いております。しかし、在来の一般的な軍艦は別といたしまして、国民も重大な関心を持っておる原子力潜水艦について、軍艦が治外法権だというのは慣習法なんです。いってみれば。有史以来の新しいケースについては、新しい事例を開いていく。日本本やはり主権国家として、対等な立場で核兵器の有無本査察し得る、また、日本のその領海内においてアメリカの機密保護法が堂々とまかり通るというような、そういう不平等性というものは、日本政府がはっきりこれを克服するというだけの勇気があることが、原子力潜水艦寄港についての大前提だと思う。これについて、外務省としての御意見はございませんか。
  62. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいま岡先生のお話の中にもありましたように、原子力潜水艦と申しましても、米国の軍艦でございまして、軍艦の特殊的な地位ということは国際法上も認められているところでございます。  それから、その中に何があるということの査察云々ということにつきましては、これはいまの軍艦の特殊的な法律的な性格ということのほかに、特に核兵器のあるかないかということにつきましては、それがある場合にはアメリカは必ず事前に相談をしてくるということで、これは国と国との間の信頼の問題にほかならないと思います。
  63. 岡良一

    岡委員 あなたの責任を追及したってしようがないから、またいずれあらためて外務大臣に御出席を願って、私はこういう点をもっとはっきり責任ある政府の御方針を確めたいので、委員長においてまたしかるべくお取り計らい願いたいと思います。  ただしかし、あなたの御発言についても、私どもが申し上げたいことは、結局向こうが核兵器を持ち込むと言うてくれるというが、さて、具体的に原子力潜水艦日本の港にやってくる。この原子力潜水艦に与えられた現在の戦術的任務というものは、隠密裏に海底を潜航しながら移動し得る核兵器の運搬装置なんです。そういう任務が今戦術的、戦略的に与えられてきておる。こういうことから、東西の戦略というものが大きく変えられようとしている。ポラリスだけじゃない。そういう点から見ても、そういうものに核弾頭を持った魚雷を装備するとかいろいろなことが、向こうから言うてくるというのは、これは先に申しましたように、アメリカの統帥事項であるからして、潜水艦の安全基準書も秘密にかかわるから出せないというのに、このような軍事機密を事前協議の議題として提供するかどうかということも私どもは信用できない。そうならば、なしくずしに核兵器の持ち込みが、原子力潜水艦寄港から始まってくるということです。そういう懸念を私どもは解消するわけにいかない。  従って、これも委員長にお願いしたいが、総理大臣に御出席を願って、事前協議というものについての内容を、アメリカの統帥権との関係その他について、もっと責任ある御答弁をいただかなくては、私ども納得できるようなこの問題のほんとうの解決にならないと思う。  最後に申し上げたいことは、原子力委員会のこの統一見解は、正直のところ、私が予期しておった通りなんです。これではあなた方の道義的な責任が果たせるものではない。むしろ責任の回避にきゅうきゅうとしておられる。外務省も、先ほど申しましたように、原子力の問題については、日本アメリカとの間における非常な不平等性というものを、あなた方はそのままただうのみにしておられる。これでは国民は納得し得ない。われわれは原子力の平和利用開発研究ということを進めようとする立場においても、このような原子力外交の方針のもとにおいては、日本というものはなかなかほんとうの実力を発揮できないということを申し上げて、私の質問は一応これで打ち切りたいと思います。いずれ外務大臣と総理等に、委員長においてもお計らいを願って、あと質問をやりたいと思います。
  64. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 山口鶴男君。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいま答弁を聞いておりますと、外務省の安全保障課長は、全くものの見方が楽天的でありまして、すべてアメリカに対して信頼をする、こういう立場で答弁をなさっておられます。  そこで、私は、岡先生が質問された点に重複をしては恐縮でありますから、違った角度からお尋ねをしたいと思うのであります。ただいまの御答弁を聞いておりますと、核兵器の問題は別として、少なくとも原子力潜水艦寄港に関する限りは、これは絶対に安全である、こういう立場を言い切っておられるわけであります。ところが、課長さんも御存じだろうと思いますけれども、あなた方の同じ外務省の、しかも駐英大使という責任ある方が、原子力潜水艦寄港の問題については非常に危険があるという文書を外務省あてに送ってきている事実は御存じでしょう。
  66. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいま先生の御指摘のものはどれでありますか、御指摘いただきたいと思います。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昭和三十五年十一月二十九日付の大野大使の報告です。私の方で読んでみましょうか。「現在、米国、英国においては最大可能規模の事故が生じたとき最大被曝許容量以下におさえるため、特定港の特定の泊地について集団避難その他の方法の検討が行われている様である。」こう述べているじゃないですか。日本の港はどうですか。横須賀はどうですか。あれほど人口が稠密している地帯ではないですか。一々アメリカ原子力潜水艦の来ることによって集団避難をしなければいかぬということを、あなた方の大使が報告しているじゃないですか。そういう危険を冒してまで原子力潜水艦寄港をあなた方は認めようとするのですか。それで、なおかつ、先ほどあなたの言うように、原子力潜水艦寄港は絶対に安全であると言い切れるのですか。
  68. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、神ならぬ身でございますので、絶対に安全であるということはもちろん申し上げられないと思います。ただ、先生の御指摘されました駐英大使からの報告というのは、確かに来ておりまして、これは外務省で出しております「各国原子力情報」の六十九号という中に、確かに収録されております。それは英国に当時おりました科学アタッシェがシシリー島で開かれました会議に出席をいたしまして、それで、各国の代表はこう言っている、こう言っているという報告をいたしまして、中に、今御指摘のような、現在アメリカ、イギリスで、「最大可能規模の事故が生じたとき最大被曝許容量以下におさえるため、特定港の特定の泊地について集団避難その他の方法の検討が行われている様である。」というふうに書いてある部分は確かにございます。ただ、これは、いるようであるということで、現実にどうなっているかということは、まだ私ともも実態を承知しておりません。しかしながら、そう書いてある、ようであると書いてあることは事実でございます。
  69. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく、あなた方の権威ある機関がこういう報告をなされているわけですね。先ほど課長は、アメリカが一切安全であると言っているから、保証書はこれはいいのだと言っているじゃないですか。求めたけれどもだめだ、しかし、アメリカの方が一切安全だと言っているからいいのだ、こういうことをはっきり言っているのですよ。しかるに、一方ではこういう報告書が出ているわけでしょう。その報告書以後の事態について検討されているのですか。そして、ただいまの発言との関連において、先ほどの発言はお取り消しになるつもりがありますか。
  70. 高橋正太郎

    高橋説明員 先ほどの発言は、後刻議事録をいただきましてから確かめたいと思いますけれども、私が申し上げました趣旨は、これはもちろん、原子力潜水艦寄港の問題についてのアメリカ側回答書は、まだ御披露するような段階には至っておりませんが、ただ、私どもがアメリカと非公式に話をしております段階で得ました感じでは、そういうことでございますというふうに——そういうことと申しますのは、アメリカ側は軍事上の機密、国内法その他の関係で、安全評価書に相当するもの、そういう資料は出せないということを申しておりますという中間的な御報告を申し上げた次第でございます。
  71. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、よく先ほどの答弁な検討してみて下さい。  それから、さらに、アメリカ原子力委員会では、原子力船の安全性考えてつくられましたサバンナ号についても、その停泊地は海軍基地の特定埠頭しか許さない、こういう決定をやっているじゃないですか。ということは、原子力潜水艦以上に安全性というものを検討してつくられた商船であるサバンナ号においてすら、アメリカ原子力委員会は、特定の港しかいかぬ、海軍基地以外はいかぬ、その他の港はいかぬということを決定している。このことを承知しているのですか。
  72. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいまの山口先生御指摘の「社会新報」の記事でございますけれども、その中に引用されておりますのが、やはり先ほど先生が御指摘になりました、外務省で出しております「各国原子力情報」の六十九号の中の六十六ページに載っておるわけでございまして、これは「サヴァンナ号の泊地仮指定」という題がございまして、昭和三十五年十月二十六日のAEC発表でございます。関係部分だけちょっと読み上げますと、「十月二十六日、米国原子力委員会と商務省海運局は、原子力船サヴァンナ号の初期運転中の泊地として、ヴァージニア州ヨークタウン付近の水上警察基地と海軍埠頭を使用する旨の共同発表を行った。」云々、こういうふうになっております。ただいま先生御指摘の点は、これは重々先生御存じのように、当時はまだサバンナが別にトライアルにも出ていないというような段階でございまして、それでアメリカ原子力委員会といたしましてはとういうふうな決定を行ない、仮泊地の指定を行なったというふうに承知をしております。  私どもが、これも非公式ではございますけれども、アメリカ側から聞いておりますところでは、アメリカ海軍の基地であるとか、軍の用地が港に存在する場合には、これはロジスティックな意味で便宜であるから、アメリカ原子力潜水艦は軍港ないしは軍の基地、米軍の用地に横づけをする。しかしながら、それは全く便宜上の問題であって、安全であるとか、安全でないからそういうことをしているのではない。従って、軍港とか軍の施設がないときには、それは普通の商港に入るのだというふうに聞いております。
  73. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 質問をしていくと、だんだん、こういうこともある、ああいうこともあると言っておるのですが、それだったら初めから正直に言ったらどうなんですか。初めは、一切危険はないのだというふうなことをアメリカが言っておるからそれに信頼する、こう言ったでしょう。そういう不正直な態度は私はいかぬと思うのです。
  74. 高橋正太郎

    高橋説明員 私は必要以上に正直であるというふうに自分では思っております。ここまで申し上げることはないと私は思うのでございますけれども、先生が御質問になりますので申し上げたわけで、先ほど来アメリカを信用している、信用していると先生御指摘になりましたけれども、以上のような点も全部含めまして、あとは大きなところは国と国との信用の問題であろう、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  75. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一時過ぎましたら外務大臣が見えるそうでありますから、あらためて外務大臣に伺いますので、外務当局責任者に対する質問は留保いたしまして、原子力委員会の方にお尋ねいたしたいと思います。  まずお尋ねいたしたいと思うのですが、いただきました統一見解、これにつきましては、先ほど岡委員の方からいろいろ御指摘がございましたが、とにかく核魚雷をノーテラス型ないしはノーテラス型の改良型であるスレッシャー号等の原子力潜水艦、ポラリス型ではない方でも十分装備し得ることは周知の事実だと思うのです。予算委員会の池田内閣総理大臣の答弁では、ポラリスでなければいいのだ、ポラリスでなければ核兵器を積んでいないからいいのだという、きわめて簡単な認識の上に立って答弁をしているのです。ところが、事実はポラリス型潜水艦以外のものにも核兵器は装備し得る。これは既定の事実であります。そういう上に立ってこの統一見解をお出しになったのか。単にポラリスでなければいい、こういう簡単な認識の上でこの統一見解というものは出されておるのか。この点をまず基本的にお聞きをしたいと思う。
  76. 西村熊雄

    西村説明員 この統一見解は、ポラリス潜水艦でない他の原子力潜水艦は核兵器を載せていないから容認していいという単純な理由からなっておるものじゃございませんと申し上げます。
  77. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、この文章だけすらっと見ますと、要するに原子力基本法第二条は日本政府だけを制約しているのだ、だから、外国政府原子力潜水艦の動力として利用する問題と関係ないことはもちろん、外国原子力潜水艦寄港の問題にまで適用があるとは解しない、というようなことが書いてあります。こうしますと、核兵器を積むか積まぬかという問題は安全保障条約ないしは事前協議の問題であるから、これは一切はずして、積もうと積むまいと、原子力基本法第二条の観点から言う限り外国については拘束しないから一切いいのだ、こういうふうに受け取れますが、そうですか。
  78. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 今の御質問西村さん聞かれなかったようでございますから、私からかわってお答えいたします。このことだけを見ますと、第二条というのは外国政府原子力利用するということについては及ばない、そういうことでございますから、それを裏返せば今のような解釈になるかと思いますけれども、それだから認めていいとか悪いとかいうことは、そこまでは言っておりませんわけでございます。
  79. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 かつてインドの原子力発電が問題になりました際に、原子力委員会統一見解をお出しになったことがございますね。あのときの統一見解は、私の記憶しておる限りにおきましては、たしかその原子力発電が平和利用か軍事的利用か、やはりこの点のけじめをつけることがまず重要であるということですね。それから二番目には、とにかく日本原子力発電の工事に参加をした場合においても、主要なる本体の輸出についてはいかぬ。私どもとしてはきわめて不満ではありましたけれども、ある程度きちっとした制約を持った統一見解をお出しになったと記憶をいたしているわけであります。  それから見ると、今回のこの統一見解はぐっと後退しているではないですか。
  80. 西村熊雄

    西村説明員 単純に二つの統一見解をお比べになれば、今回の統一見解はその点において後退しているような御印象を得るかと思いますが、そうではございません。インドとの関係について統一見解を出した際に、委員会が第一段階におきまして、基本法の解釈としてこれは適用がないと言いつつも、第二段階で基本法の精神を持ち出しまして、ある種の制約を加えた方がいいと思うという意見を出しましたのは、そのとき対象になりました行為が、日本国内によって、日本人によってなされるものである。要するに日本でつくられたものがインドに輸出されて、そこで炉となる。こういう対象となる行為に日本の法権のもとにある日本人の行動が参加するものでありまするから、ある種の制約を必要とするという条件が含まれていた次第でございます。  今回の場合は、日本の法権のもとにおいて日本人の関与した開発の結果であるのではなくて、純粋に外国政府による、外国政府原子力の軍事的利用開発の結果が日本の港に入ってくるという問題でございますから、そこまで制約を加えるのは必要がない、こう考えた次第でございます。御了解を願いたいと思います。
  81. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 日本人が参加をするかしないか、こういう点が一つのけじめだ、こういう御答弁でありますが、しかし、先ほど安全保障課長が、アメリカ側の回答の問題について四点あるが、二点だけは新聞に出ているからと述べて、そうしてあとの二点は発表しないということで言いませんでした。新聞に発表されております二項目を見ますと、「日本寄港中は、原子炉の冷却用水など放射能を帯びた危険な廃棄物は、一切艦外に捨てないなどの危険防止措置をとることを示している」、こういつています。しかし、ここでいわれておりますのは、冷却用水など放射能を帯びた廃棄物は一切捨てない、こういっているのであって、寄港した場合のその船に対して、補給なり何なり、具体的な形で日本人の労働者が関与する危険というのは当然あるのではないですか。  私どもがいただきました「原子力商船の安全に関する報告書」というものがございます。これを拝見しますと、一番最後に、結局原子力船——潜水艦も含むわけでありますが、結局原子力艦というものが日本でできる、あるいは日本寄港するということが起きた場合には、「原子炉系の補修、燃料交換、放射性廃棄物の処理なども新しく問題になる」「これらの作業は、普通の運航時よりも、放射性災害をおこす可能性が多いと考えられるので、とくに入念に安全対策を考慮される。そのためこれらの作業をする港は、とくに限定され、それ以外の港湾ではこの種の作業は一切行なわないことになるだろう。」それからさらに、これらの関係者もある程度の知識があることが望ましく、不特定の労務者がこれにタッチする場合は問題である、こういうふうにいっておるわけであります。  とすれば、原子力潜水艦寄港ということになれば、このアメリカの方で回答しておるのはいわゆる廃棄物を捨てないということだけであって、あとのことはいっていないのですから、当然その他の作業、放射能災害が予想せられるような作業に、あるいはこれに関連した仕事に日本人が参加をするという機会はあるのではないですか。同じですよ、これは。
  82. 西村熊雄

    西村説明員 全く違っていると私は思うわけでございます。われわれとしますならば、潜水艦軍艦という国際法上の特性がないならば、一般原子力商船の場合のように安全性の確保のためには大いに関与いたしたいところでございます。艦上及び艦内においては関与できませんから、せめてその周辺地域においての関与を要請しておるという次第でございまして、その点は先刻外務省説明員の方から御説明のあった通りでございます。ですから、関与という場合に、今問題になっているのは、日本としては、主として入港を許す場合の安全性を確保するためにこちらから関与したいという積極的の関与でございます。  インドの場合に申し上げました関与は、そうではないのでして、日本でつくった鋼板、原子炉用の主要部分を日本から第三国に輸出する場合には、基本法からいえば完全に問題外のことであるけれども、日本の法権のもとにある産業によってつくられたものを第三国に供給するという関係日本の行為が関与しておりまするから、基本法の精神に照らしてある種の制限を設くべきだ、こういう立場に立ったわけでございまして、今回の場合とは全然違うと私は思うわけでございます。
  83. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ともあれ、前回のインドの原子炉設置の場合につきましては、不満ではありましたけれども、いろいろなことを考慮をされた。しかし、今回の統一見解は、外国原子力潜水艦寄港の問題にまで原子力基本法第二条が適用があるとは解しない、こういう立場をとっておることは非常に遺憾であると思います。  この内容についてさらにお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず第一に「外国原子力潜水艦寄港を認めようとする場合においては、軍艦としての国際法上の地位を勘案しつつ、」というような妙なまくら言葉がついておりますが、「その安全性について保証を取りつけ」とこう明確に書いてあります。この「保証を取りつけ」ということは、いわゆる保証書の提出ないしは提示を求めていると解してよろしいのですか。
  84. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 ただいまの保証書というのが、たとえば今国際的に批准になっております海上人命安全条約で、普通の商船の場合に原子力推進のものが他国に入港しようとするときに提出することを要求しておりますような種類のものであるとするならば、それは先ほどの軍艦ということから、その通りにはいかぬ模様であります。従って、その通りでなければ外国軍艦の入港が認められないということになりますと、これは問題にならないのであります。従って、あの海上人命安全条約でも軍艦への適用を除外しておりますので、そういう原子力の特殊な関係のものをどういうふうにそこの間で調和をとるかということは、まだ残された問題であると思います。従って、それを日本がどういうふうにするかということは、他国で扱った例もいろいろ参考にいたしまして、そこで結論に達したいと思っておるわけでございます。ですから、この保証を取りつける方法がどういうものであるかということは、まだ最後的には決定しておりません。
  85. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ところが、先ほどの外務省の御答弁では、従来はいざ知らず、最近では原子力潜水艦についての危険はないんだ、従って、この安全を保証する、あるいは証明するというような資料一切は出すことはできないんだ、こういう意向だというお話がございましたね。「その安全性について保証を取りつけ」と明確にうたった原子力委員会としては、先ほど答弁せられました外務省当局のような状態でいいとお考えになっておられるのですか。この点はどうですか。
  86. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 先ほどの外務省の説明員の答弁がどういうところまで意味しておるのか、私の聞いた範囲で的確に了解しているかどうかわかりませんけれども、私は、こういうふうな問題についてまだやりとりの途中でありますので、たとえばアメリカから来た回答と申しましょうか、先ほどから聞きますと非公式に話し合っていくとかいうことでありますが、その段階の途中にあるもの、こう思っておりますから、外務省はこれでいいじゃないかと言っているとも了解してはおりません。
  87. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、原子力委員会としては、今のような状態では、決してこれは満足をしていないということは事実だと思うのです。といたしますと、結局これから外務省とアメリカとの間でいろいろやりとりがあるでしょう。そうした場合に、原子力委員会は内閣総理大臣に勧告できる権限もあるわけですね。とした場合に、「その安全性について保証を取りつけ」ということを明確にうたった以上、何らかの保証がない限りにおいてはいかぬという明確か勧告をお出しになる用意はございますか。
  88. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 お答えいたします。明確な保証というそのことにつきまして、きょう現在すでに外務省と意見が一致して結論に達したということではないということを申し上げておるわけでありまして、それは、今は不満足であるということにもすぐにはつながらないのでございますが、いろいろな資料もあることでございますから、いろいろ検討いたしました結果こういう、ここにあります安全性についての保証が得られればいいということになると思います。それが得られるか得られないかということは、まだこれからの問題でございます。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 将来得られないということになれば、当然原子力委員会としての態度をお出しになる用意はあるわけですね。満足になるかどうかわからぬというようなことを言っておりましたが、少なくとも外務省の当局者があれだけの言明をしておるわけでしょう。それに対して原子力委員会の、しかも専門的な兼重委員がお聞きになっておられて、何らかの感想というものは私はあるべきだと思うのです。この問題については、ここで十分お聞きをいたしてもいいのでありますが、検討をしていただく必要があろうかということだけはここで指摘をいたしておきたいと思います。  それから、サバンナ号の運航の問題でありますけれども、サバンナ号が運航する場合は、これは軍艦ではございませんけれども、たとえばギリシャ政府アメリカ合衆国政府との間の協定を見ましても、補償についての限度五億ドルであるとか、あるいは事故を起こした場合は無過失賠償の建前をとって補償をするとか、いろいろこまかな規定があるわけであります。先ほど問題にいたしました保証書の問題ももちろんそうであります。従いまして、この文章の中に「十分な補償を確保する方途を講ずる必要がある」と述べておるわけでありますが、この場合の「補償」とは具体的にどのようなことをお考えになっておられるのか。この点も一つお示しをいただきたいと思うのです。
  90. 西村熊雄

    西村説明員 御質問の点は、目下外務省と合衆国政府側との間にお話し中の問題でございます。ことに、第一回の照会に対していまだアメリカ側意思表示もない段階でございますから、回答を差し控えさせていただきたいと思います。  委員会としては、害を受けた者の立場に立ちまして、十分な補償は万一の場合に確保されるように配慮していただきたい、こういう意見を申しておる次第でございます。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 現在の安保条約に基づく地位協定によれば、かりにアメリカ原子力潜水艦が入って参りまして、そのために事故が起きる、相当の災害を受ける。先ほど指摘しましたように、横須賀に入るとすれば、あそこには多数の人命が現に存在しているわけですから、大きな被害を起こすことは明らかだと思うのです。ところが、現在の地位協定によれば、それはアメリカ責任において起こした災害であっても、二五%日本政府が持たなければならぬでしょう、そうなりますね。この点については一体どうなっておるのですか。そのままでいいと思っているのですか。
  92. 高橋正太郎

    高橋説明員 特定の損害につきましては、御案内の通りに、現在地位協定においては、十八条の五項の(e)という規定がございまして、一般的に申し上げますと、アメリカ責任がある事故が起こった場合には、アメリカ側が七五%、日本が二五%、そうでない半々の場合もございますけれども、そういう規定になっております。しかしながら、その規定の適用は、十八条の五項の(g)という項目がございまして、そこで船舶の運航によって生ずる被害については適用が除外されております。それがかつてのいわゆる安保国会におきまして、少額海事損害、その他については、またこちら側の裁判管轄権のもとに引き戻せという議論がございましたので、いわゆる少額の沿海漁業、それから二十トン未満の漁船に対する損害とか、四項目ございますけれども、そういうような被害については地位協定によって処理するというふうになっております。  従いまして、先生御指摘の、万々一何かの事故があった場合にどうなるかということにつきましては、この地位協定との関連がどうなるか、アメリカはどういうふうな考えでおるかということは、アメリカ側に二月二日に照会をいたしまして、現在までにまだその回答がきていない段階でございます。従いまして、はっきりしたことはその回答を見た上で検討いたしたい、こう思っております。
  93. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今のところ回答はまだきていないわけですね。なかなか回答をしぶっているということは、地位協定でやりたいというアメリカの意思があるのじゃないか。とすれば、先ほど言ったような格好になりますね。これは何回督促しても、なおかつまだこないのですか。そうでなくて、一回出したけれども、まだ回答がこない、こういう状態で放置しておる、こういう状態なんですか。
  94. 高橋正太郎

    高橋説明員 アメリカ側は回答をしぶっているというふうには了解をしておりません。先ほど申し上げましたように、二月二日にアメリカ側に照会をいたしまして、これを本国政府に取り次いで、やはりアメリカの国内でも、原子力委員会、国防省、その他のいろいろな関係部局があろうと存じます。従いまして、そこで回答を取りまとめて——私どもの方といたしましては、報道関係、その他から回答書はいつきたかということをほとんど連日のように催促されております関係もございまして、また問題が重大でございますから、アメリカ側には機会あるごとに督促いたしております。  先ほど申し上げましたように、大きく分けますと、安全性の問題と事故補償の問題の二つを取り上げたわけでございますけれども、少しでもよろしいから回答できるものから回答してくれというふうにアメリカ側に申しております。その結果、安全性の問題についての回答が十四日にきたということでございます。
  95. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 原子力潜水艦ポラリスを含めまして、イギリスあるいはNATO加盟諸国に寄港いたしておりますけれども、この場合の補償の条件というものはどうなっていますか。
  96. 高橋正太郎

    高橋説明員 この点もあわせて検討中でございます。私どもが聞いております範囲では、これは軍艦でございますので、アメリカはNATO諸国とはNATO協定並びにそれに基づく、わが国の場合の地位協定、それに相当するものがございますから、それによりましてやり、それでカバーされない場合には、アメリカの国内法、公船法と申しますか、パブリック・ベッセルス・アクトというものがあって、それによってやっておるというふうに聞いております。これら諸外国の例もあわせ、アメリカ側の回答の接到を待ちまして検討を進めたい、こういうふうに存じております。
  97. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、外国の例は検討中で、まだ明らかになってないということですか。イギリスの場合にはこのための特定の協定があるのでしょう。
  98. 高橋正太郎

    高橋説明員 このためと申しますとよくわかりませんけれども、アメリカとイギリスとの間には、ポラリス潜水艦寄港に関して、御案内の通りに、英国はスコットランドにホリーロッホというポラリス潜水艦の基地を提供しております。その基地提供に伴う取りきめはございまして、その取りきめがあるために、アメリカポラリス潜水艦は、大西洋におきまして英国のホリーロッホだけにしか寄港しておりません。あとアメリカ本国の特定の港に寄港をしておるというふうに聞いております。  従いまして、今山口先生御指摘の、通常の原子力潜水艦寄港のために特に規定があるというふうには聞いておりませんし、従来から、これはアメリカ側説明でございますけれども、それでも特にあらためて正式な取りきめを結んだということはないというふうに聞いております。
  99. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 話を聞きますと、補償についても検討中であり、回答もきていない。外国の例についても検討中である。安全性についても、昭和三十五年のイギリス大使からの報告等、いろいろ疑点はあるけれども、検討しているという状態の中で、あなたは予算委員会における政府の答弁をお読みになったと思うのでありますが、大平外務大臣の答弁あるいは池田内閣総理大臣の答弁を見ましても、安全上問題があったということは聞いていない、従って、安全上特に注意すべきことがあるかないか、そういった点を今検討しているわけでございまして、そういうことに支障がない限り寄港に差しつかえない、こう申しておるわけであります。  一体、外務省としましては、いつごろまでに検討して、そうしてこの問題に対する態度を出そうとしておられるのですか。今のところの見通しはどうですか。
  100. 高橋正太郎

    高橋説明員 ただいまの、アメリカに出しておりますいろいろな照会点、特に安全保障事故補償の問題につきましての回答は、これはやはり相手があることでございますから、極力督促はいたしておりますけれども、いついつまでに回答がきて、それによって政府としていついつまでに検討を終わるということは申し上げられないわけでございまして、材料が整い次第早急に検討を進めるというふうに御了解をいただきたいと思います。
  101. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、大臣がおられますから、大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  実は、予算委員会におきましても若干原子力船の問題につきましてお尋ねをいたしたのでありますが、今新聞等を拝見いたしますと、日本でもすでに原子力船の建造に踏み切ったのだということになれば、何も原子力船の寄港その他の問題について、その安全性の問題について特に神経質になる必要はないではないか、こういうような議論が政府の当局者等から話されているということであります。こういうような単純な意見について、特に原子力関係の最高の責任者としての長官のお考え一つお聞かせをいただきたいと思うのです。
  102. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 せんだっても予算委員会お答えいたしましたように、たまたまこういう時期に原子力船の建造に踏み切ったということが、原子力潜水艦寄港の問題と一緒に取りざたされるようになっておりまして、非常に困ったと思うわけでございます。原子力船の建造ということは、もうすでに数年にわたって研究をいたしまして、少しおそいのではないかというような気持で踏み切ったわけでございます。これは平和利用の範囲を拡大するという意味で、このことがやがて日本産業の推進になり、かつまた、それを通して国民生活の安定向上というようなことに寄与するであろうということを前提としていたしたわけでございます。  今回のノーテラスが寄港いたしますことについて、日本原子力船を建造するような時代になったのだから危険でないと、単純に割り切ることもどうかと思いますけれども、また反面から考えてみますと、私どもは原子力船まで建造しようと思っており、あらゆる部面に原子力を活用しなければならないということを考えていくことになりますと、あんまりおそれてばかりおってもいけないのではないかという気持も出てくるのもやむを得ないことではないかと思いますので、そのように私は考えておるわけでございます。
  103. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 外務大臣がお見えでございますので、大臣にお尋ねをしたいと思います。  予算委員会におきますところの堂森委員の、今回の原子力潜水艦寄港問題に対する御答弁を拝見をいたしますと、池田内閣総理大臣は、「ポラリスが来るというのなら別でございますが、船舶、艦船の推進力が原子力であるからといって、これを一がいに拒否するということは妥当でない」、ポラリスならいかぬが、ノーテラスならいいのだ、こういうきわめて単純な区別をいたしておるようでございます。先ほどいろいろ議論をいたしたのでありますけれども、単にポラリスだけが現在核兵器を装備しているというのではないわけであります。大臣も御存じだと思いますが、最近におきましては、アメリカがソ連の潜水艦に対抗するための兵器として、核を装備いたしました魚雷の開発に成功し、しかも、これが装備されているという状況は御存じだろうと思います。といたしますと、ノーテラスだからいいのだ、こう言いましても、やはりポラリス以外のノーテラス型の潜水艦ないしはノーテラス型潜水艦の改良型、こういうものについては、いわゆる核兵器を装備したところの魚雷、こういうものがりっぱに搭載し得るという状態になっているわけであります。といたしますと、ポラリス以外ならば寄港はいいのだ、こういう言明をそのまま押し通しますか。それとも、ポラリス以外であっても核兵器を装備する、こういう問題については一体どうお考えですか。この点を一つお聞かせ願いたいと思うのであります。
  104. 大平正芳

    ○大平国務大臣 核兵器の持ち込み、あるいは日本自身の核武装ということは、日本政府考えていないということは、たびたび国会を通じて鮮明にいたしておるところでございます。従いまして、いかなる種類の核兵器であろうと、日本国内に持ち込みは許さないということで進んでおるわけでございますので、それは政府を御信頼いただきたいと思います。
  105. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、サブロックの搭載についても、これは絶対に許さない、こういうわけですね。そうなりますと、ノーテラス型あるいはポラリス型といえば、これは区別もつくかと思うのでありますが、ノーテラス型ないしはノーテラスの改良型が、核を持っているところの魚雷、いわゆるサブロックを保有しているかいないか、こういう点については明確な判別は私はできにくいと思うのです。事前協議云々ということがありますけれども、サブロックを持ったノーテラス型の潜水艦ないしは改良型の潜水艦日本寄港する、そういうことは絶対にさせないという保証は、大臣としては一体どういう手だてがあるとお考えですか。
  106. 大平正芳

    ○大平国務大臣 アメリカを信頼しておるという一言に尽きます。
  107. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 アメリカを信頼する——大臣は韓国もだいぶ信頼されたようですが、これはだいぶ見込み違いがあったように私どもは見ております。単に信頼するということだけで国民の不安を一掃するということは、私はできにくいと思うのです。とにかく、現在の戦争はボタン戦争だといわれています。核兵器を装備するかせぬかということは、先ほども岡委員が言われたのでありますが、これは大統領のいわば強大な権限の一つになっているわけであります。そういう中で、さてサブロックが保有されているかいないか、しかも戦争の形態というものは、大臣御存じのように、ボタン戦争が予想される。こういう中で、事前協議というものが非常時にどういう役割を果たすことができるのか。こういう点、一体どうお考えでございますか。
  108. 大平正芳

    ○大平国務大臣 安保条約は、日米双方真剣に討議された結果できた条約でございまして、双方ともこの条約に忠実でなければならぬわけであります。従って、あの条約に書かれておる文言については、アメリカ政府責任を持つし、日本政府も当然責任を持って、忠実でなければならぬと思うわけでございます。そこでおごそかにきめられた事前協議でございまするから、重大な装備の変更ということになりますると、当然これは条約上事前協議になるわけでございます。事前協議になった場合に、それを受けた日本がどうするかということは、日本政府がたびたび申し上げておりますように、核兵器の持ち込みは認めないということを言っているわけでございますから、そしてアメリカも、日本政府の不動の方針がそうである以上、そういうことはいたさない、またそういう意思をアメリカも毛頭持っていないのであります。
  109. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 手続的にはそういうことは私は言えると思うんです。しかし、現在予想される戦争の形態というものは、そういったなまぬるいテンポの事前協議というものを飛び越して、瞬間的に行なわれる可能性が強いという事態、これは大臣も否定し得ないと思うんです。そうでしょう。それは、もちろん信頼されることはけっこうだと思います。しかし、物理的な時間のテンポというものが、片方は信頼し得ると思っており、またアメリカの方もかりに信頼したいと思ったところで、現実の戦争のテンポからいって、十分大臣の期待するような方向に行きがたいという事実、この点は一体どうなんですか。
  110. 大平正芳

    ○大平国務大臣 もしそういうことでございますれば、いま日米間の安全保障上の協力は安保条約によってやるのだということを言っているわけでございまして、そういう事態が起こって、この体制では不便が起こるというのならば、これに対しまして改定の申し入れがあるはずでございますけれども、そういうことはございませんし、また、そういう意図も先方ではないわけでございます。
  111. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 押し問答でありますから、それはやめておきましょう。とにかく、あらゆる軍事評論家その他が想定いたします近代戦争の様相というものと、大臣が言われますいわゆる安保条約に基づく事前協議のテンポというものとが、どうしてもこれは追っつかない事態だということだけは無視することはできない、私どもはこういう考えを持っておりますことをここで申し上げておきたいと思います。  それでは次に、外務省の方からアメリカに対しまして、安全保障の問題それから災害の問題について、質問書を出しておりますね。参っております回答をここで明らかにしていただきたいと思います。
  112. 大平正芳

    ○大平国務大臣 安全の問題と補償の問題と二つに分けて、二つを含んで、詳細な質問書を先方に出しまして、その一部が参りまして、それは関係各省で今研究していただいておる段階でございます。残りの部分はまだ先方から参っておりません。ただいま検討中の段階でございますので、本委員会を通じて明らかにせよというおぼしめしでございますが、今まだその段階でないので、差し控えさせていただきたいと思います。
  113. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、国民がこれほど不安を持っている問題を政府が提示しないということは、国民に対して不親切ではないですか。どのような段階になれば、国民の代表たる国会に提示できるのですか。
  114. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いずれにいたしましても、国民が不安を持ってはいけない問題でございますので、政府として責任を持ちまして、そういうことがないようにいたしたいと思います。  なお、この材料の国会提出の時期でございますが、ただいま一部が参りまして検討を始めたばかりでございますので、いつごろこの材料を御提示申し上げるかどうか、また、申し上げるとして、いつごろにするかというようなことにつきましては、もう少し考えさせてもらいたいと思います。
  115. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも、寄港に対して政府が正式決定する以前には提示をいただけるんでしょうね。
  116. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いずれにいたしましても、政府は、そういう措置をとるまでの間に国民の不安がないように、最善の措置をしなければならぬと思います。
  117. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、日本側からアメリカ質問をいたしました回答の内容につきましては、できるだけ早い機会に国会に対して御提示いただくことをお願いいたしておきたいと思います。  それから、原子力委員会が本日、「合衆国原子力潜水艦寄港問題について」という統一見解を発表せられました。昨日決定をされたわけでありますから、大臣の方もこれは受け取っておられるだろうと思うのです。すでに統一見解については受け取って、お読みになりましたか。
  118. 大平正芳

    ○大平国務大臣 けさ拝見いたしました。
  119. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、この統一見解には「軍艦としての国際法上の地位を勘案しつつ」と、こう書いてありますが、「その安全性についての保証を取りつけ」というふうに、保証を明確に取りつけるべきだという原子力委員会の主張を織り込んでございます。それからまた、「万一の場合における十分な補償を確保する方途を講ずる必要がある」、こういうことも明確にうたっておるわけであります。  ただいま外務当局からいろいろお話を聞いたのでありますが、保証については、これは軍艦の問題であり、今まで不測の事態も起きなかったから、一切の資料を提出することは困難だ、こういうような意向をアメリカの方でとっておるやに伺っております。大臣としては、そのように保証に関する資料一切を提示しないというような状態で容認をいたすおつもりですか。また、補償の問題については、安保条約に基づく地位協定だけでこれを済ます、こういうようなおつもりでありますか。この点を一つお聞かせをいただきたいと思います。
  120. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いずれにいたしましても、まだその方は今研究中であるわけでございます。専門家の検討を待って判断をしなければならぬと思っております。しかし、いずれにいたしましても、原子力委員会の方で御決定になった見解は尊重していくべきものと思います。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりたいと思いますが、原子力委員会として出した統一見解には、私どもきわめて不満であります。原子力基本法第二条は、このような形で解釈をすることは誤りである、私どもはこのように考えております。しかし、そのきわめて不満である原子力委員会統一見解におきましても、保証の問題、あるいは災害が起きた場合の補償の問題、こういうことについては明確な一つ意思表示をしておるわけであります。  それから、予算委員会では、単にノーテラスならいいというような御答弁でございましたが、最近の情勢におきましては、ポラリス型以外の原子力潜水艦におきましても核装備し得る条件がりっぱにできておる。こういった新たな事態を十分想定されまして、この問題については慎重に対処していただきたいと思います。われわれは、少なくとも日本国憲法、原子力基本法の精神にのっとりまして、原子力潜水艦日本に対する寄港は反対である、こういう意見だけを大臣に十分申し上げておきたいと思います。終わります。
  122. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 齋藤憲三君。
  123. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 きょうは時間がありませんから、資料を要求いたしまして、私の質問はこの次にいたしたいと思います。  本日御説明になりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案、それの航空宇宙技術研究所と改称するというその内容を、文書をもって御提示願いたい。  もう一つは、第三の、国立防災科学技術センター、これに対する内容も、文書をもって参考までに御提示をいただきたい。  それから、水戸原子力事務所、これも同様に御提示いただきたい。  もう一つ、昨日ですか、原子力局長にお願いをいたしました日本原子力開発事業団法案の参考としまして、第二十条の「その業務の運営に関する重要事項に参画させるため、顧問を置くことができる。」これはどういう意味の顧問であるか。第二十二条の「法令により公務に従事する職員とみなす。」という顧問のようでありますが、これは一体何名くらい置くのか。  それから、第三章の業務のところで、二十三条第一項の原子力船の設計、建造、これは一体どういう範囲をさしておるのか。  それから、第二十四条の業務運営の基準。これはきのうもお尋ねしたのでありますが、「主務大臣が定める原子力船の開発に関する基本計画」という点と、この開発に関する基本計画は「原子力委員会の決定を尊重しなければならない。」という、この関連性ですね。それを簡単明瞭に、文書をもって参考資料として御提示を願いたい。
  124. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ただいま齋藤委員から御要求になりました資料につきましては、次の委員会に提出いたしたいと思います。
  125. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕