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1963-06-13 第43回国会 衆議院 運輸委員会踏切道整備に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十八年二月八日(金曜日)委 員会において設置することに決した。 二月八日  本小委員委員会において次の通り選任された。       尾関 義一君    佐々木義武君       關谷 勝利君    中馬 辰猪君       細田 吉藏君    増田甲子七君       久保 三郎君    田中織之進君       肥田 次郎君    内海  清君 同日  佐々木義武君が委員会において小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和三十八年六月十三日(木曜日)    午後一時三十一分開議  出席小委員    小委員長 佐々木義武君       尾関 義一君    關谷 勝利君       細田 吉藏君    勝澤 芳雄君       久保 三郎君    内海  清君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      広瀬 真一君  小委員外出席者         議     員 久保 三郎君         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 宮崎 清文君         建設事務官         (道路局調査         官)      宮内 潤一君         日本国有鉄道参         与         (新幹線総局踏         切保安部長)  渡辺 寅雄君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月十三日  小委員田中織之進君二月二十一日委員辞任につ  き、その補欠として勝澤芳雄君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員尾関義一君三月二十日委員辞任につき、  その補欠として尾関義一君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員内海清君五月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として内海清君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関  する法律案久保三郎君外九名提出、衆法第一  五号)      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木小委員長 これより運輸委員会踏切道整備に関する小委員会を開会いたします。  踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。細田吉藏君。
  3. 細田吉藏

    細田委員 私は、ただいま議題になっております踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案に関連いたしまして、踏切の諸問題につきまして、必ずしも法律内容そのものではないような点にも触れると思いますが、むしろ踏切道の全般的な問題につきまして、少しく質疑を申し上げたいと思います。  初めに、最近における踏切事故趨勢でございます。これは国有鉄道だけでございますが、私の手元にあります昭和三十七年度の踏切事故状況を見ますと、例年自動車増加あるいは鉄道スピードアップ、本数の増加、こういったような悪条件がございますために、一割ないし一割五分程度ふえておりましたものが、非常にわずかではあるが、昭和三十七年度に踏切障害事故というものが減少した。こういう非常にけっこうなことでありますが、事故趨勢から見ますと、異常なるカーブがここに出たわけでございます。これにつきまして、最近の踏切事故趨勢、それからさらにこうした減少が何によってもたらされたものであるか。まだ三十七年度全般については、あるいは詳細な調査ができておらないかもしれませんが、こういう点につきまして、これは政府当局からお答えいただいたほうがけっこうかと思いますので、国有鉄道について国有鉄道踏切保安部長から、さらに私鉄も含めまして、運輸省当局から御説明をいただきたいと思います。
  4. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 国鉄踏切事故趨勢でございますが、先ほどお話にありましたように、三十五年度まで大体毎年一割内外の増加を示しておりましたものが、三十六年度は微増、三十七年度は約六%でございますが、対前年初めて減りまして、確かに異常な形になっております。まことに喜ばしい傾向でございますが、この原因につきましては、まだ的確にどういう理由によってそれがこういうふうになったかということは、実は必ずしも数量的につかめておらないのでございますが、大体この踏切道改良促進法効果あるいは新しい道交法成果、その他関係官庁をはじめといたしまする関係者努力施策というものがようやく最近実ってまいりまして、周囲の自動車増加とかあるいは列車回数増加あるいはスピードアップ、そういった悪化条件の中にありまして、こういった改善方向を持ち得たということは、いろいろな要素の結合であろうと私は考えておるわけでございます。今後この傾向が続くかどうかにつきましては、条件悪化施策のスピード、これのバランスの問題になるのではないかと思います。したがいまして必ずしも現在あらわれましたいい影響が将来とも続いてそのまま反映していくかどうかということについては、若干の疑問があるかと思います。
  5. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 ただいま国鉄側説明がございましたが、これにつけ加えまして、私鉄の分も含めて御説明いたしますと、大体同じような傾向でございます。私鉄におきましても三十七年度を三十六年度に比較いたしますと、件数において百七十六件、死者の数において十五人減、負傷者は逆に十六人ふえておりますが、こういった数字でございまして、大体国鉄と軌を一にしておるということが言えると思います。  この原因につきましては、ここずっと数年間踏切事故は、道路交通量増加あるいは輸送側列車回数増加スピードアップというような条件によりまして増加の一途をたどっておったわけでございますが、ここで初めて頭打ちになって、若干ではあるが減ってまいったということが言えるのでございます。この原因につきましては、まだもうしばらく検討を加えないとはっきりしたことは言えないと思いますが、大体国鉄側と同じように踏切道改良促進法の実施に伴うもの、それから警察側指導取り締まり強化徹底、あるいは歩行者運転者側注意というようなことが原因ではないかと思います。もうしばらく様子を見ませんとはっきりしたことは言えないと存じますが、初めての喜ばしい現象でございますので、われわれとしては注目をしておるわけでございます。
  6. 細田吉藏

    細田委員 ただいま御説明がございましたが、この現象は、確かにいろいろな踏切に対する対策がまだまだ不十分ではありますけれども効果をあらわした、やはりこう見なければならぬと考えておりまして、この点については非常にけっこうだと思うのであります。しかしながら、依然として何しろ年々一〇%、一五%もふえてまいった踏切事故でございますから、大問題であることは変わりがないのでございます。国有鉄道の発表によりますと、いわゆる過去五年間に踏切事故によって列車重大事故を起こした中で一番いい例は、昨年八月、南武線で起こりました小型トラック電車衝突したために、死者三名、負傷者百九十数名という上下線電車衝突というものが起こった、こういった種類の重大事故踏切事故によって誘発されておる。国鉄重大事故のうちの六〇%は踏切障害原因だといわれておるのでございまして、これは依然として大問題であろうと思うのでございます。そこでこれが改善につきましてこれまでいろいろ言われておりましたようなことのほかに、私少しこの際特に伺っておきたいと思うような点を順序不同でございますが申し上げてみたいと思うのでございます。  踏切改善について技術的な面で最近何らか特別な、新しくこうしたらいいといったようなものがありますかどうですか。私かつても御質問申し上げたこともあるのですが、研究所等でもいろいろそういう研究もおやりになり、また相当むずかしい技術的な研究というようなことでなくても、現場のいろいろなくふうや知恵というようなことで非常な効果があがるようなものも含めまして、何かこういう点について特別なものがございますればこの際お聞きしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  7. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 国鉄におきましては、最近の踏切の情勢の変化にかんがみまして、従来のままの設備あるいは装置というものにつきまして開発の必要に迫られておることは事実でございます。たとえば踏切警報機を例に引きますと、今後急速に数万カ所といいますか、従来二千ないし三千程度の数のものが近く一万をこえ、あるいは一万五千になるというふうな時代を早晩迎えなければならないわけでございます。したがいまして、いままでのように各点におきましてこれを制御するのでなくて、もう少し線として、ラインとしてこれを集中制御するような方式にしていきたい。これによりまして保安の確保を一段と高めると同時に、総合的設備によって同時に経費改善もはかれる可能性があるのではないかというようなことで、そういった各個制御から集中的なものに変えていくために現在開発を進めております。これも一例でございます。  それから従来は停車場のすぐそばにあるような踏切警報機をつけます場合に、その駅でとまる列車と通過する列車によりまして、非常に警報機鳴動時分の長短がはなはだしいのでございます。こういうものも新しい手法を用いまして、従来の中間の警報時間の一定化のほかに、こういった停車場構内付近警報時分一定化ということにつきましても、大体理論的な開発の目途をある程度立てまして、今年度からこれらのものに対する施策を始めたい、かように思っているわけでございます。  そのほか各部品につきましても将来の維持管理の手間をなるべく省くようなものに変えていくということは、従来とも進めております。  なお人のついていない踏切につきまして、たまたま踏切上で自動車がエンストを起こしてとまっているというような場合に、現在人による地上からの防護というものが全く普通の場合にはなかったわけでございますが、これにつきましても赤外線その他を使いまして、障害物の検知をやりまして、一定時分以上そこに障害物が固定したままになった状態におきましては、たとえば信号機を赤にさせるというような装置も今年度から実際に試験をしてみたいと思っております。  まだほかにいろいろございますが、そういった新しい装置、新しい技術の採用につきましてはできるだけの努力をやっておる次第でございます。
  8. 細田吉藏

    細田委員 いまの集中制御につきましてはどの程度まで進んでおりますか、あるいはもう実例等できておりますかどうですか、お聞かせいただきたいと思います。  それからさらにつけ加えまして、これは国鉄踏切保安部あたりでおやりになっておるかどうかわかりませんが、私は当然やられるべきことだと思うのですけれども列車電車制動距離の問題とか、あるいはスピードアップされておりますから、いろいろな点で踏切自体を直すと同時に、列車自体も考えなければならぬと思う。たとえば前々から言われている前照灯などの問題につきましても、私はまだまだ研究の余地があるのじゃなかろうかというふうに実は考えるのでございます。こういう点については国鉄の中でも他の部門のほうで主としておやりになっておるのじゃないかとも思いますけれども、やはり踏切事故をなくすという見地からも十分お考えいただいてしかるべき問題じゃないかと思うのですが、こういう点についてはどうですか。
  9. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 ただいまの一番最初の集中制御の点でございますが、これはまだ現地でやっておる実例はございません。近くこれを実施してみようかというふうに考えておる状態でございます。  それから車両制動距離の問題でございますが、実はこれは私専門が違いまして詳細はわかりませんが、最近の新しくできる車両は、昔に比べましてかなり制動機能も発達してまいっておりまして、踏切におきましても、従来よりも、実際に列車道路通行側とが衝撃する場合としない場合、この割合を見てみますと、衝撃しないように未然に停止手配がとられているケースが非常に多くなっております。これらは最近の新しい車両制動機能が発達してまいった理由も非常に大きいのじゃないかと思っております。  それから前照灯につきましては、これは私ども踏切保護の立場からも非常に重大な問題でございますので、車両のほうの関係者には十分その旨を申し入れまして、ここ一両年中にはワット数も大きくし、従来よりも相当程度の明るさを増してくるのではないかと思っております。
  10. 細田吉藏

    細田委員 昨年の南武線踏切事故が起こりました直後におきまして、私も御注意を喚起いたしましたし、また当時運輸大臣の御声明にもあったと思うのですが、踏切整備をするのについて、列車正面衝突に似た南武線のような事故を防止するために、少なくとも複線区間踏切、特に電車運転をしておる踏切、これについては全部何らかの意味の防護装置を施すべきである、少なくとも四種踏切をなくすということを、たしか運輸大臣が御声明になったと思うのでございます。これはそういうような方向で進まれておるのでございましょうか。その後の進行はどういうふうになっておるのでございましょうか。これはむしろ運輸省からお伺いしたほうがいいと思いますが、国鉄と両方からお答えいただきたいと思います。
  11. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 南武線事故の直後に、運輸省におきましては特にああいった事故を起こす一番危険のある複線電車区間の四種踏切というものを、従来の指定基準を改めまして早急に整備させるということを考えまして、その個所は大体国鉄におきまして三千二百カ所、私鉄におきましては大体三千カ所、合計六千二百カ所程度考えられますので、これらのものを国鉄におきましては昭和四十年度まで、私鉄は四十二年度までに整備をするということを考えております。それからその次に危険なもので四種のうちで幅員が二メートルをこえるものにつきまして、これは踏切道改良促進法改正の要がございますが、こういったものにつきましてもすべて保安設備整備させたいというふうに考えております。この個所国鉄が一万三千六百カ所、私鉄が七千六百カ所、合計二万一千二百カ所にのぼるものと考えられます。これらは国鉄におきまして四十五年度まで、私鉄は四十九年度までに整備をさせたいというふうに考えております。
  12. 細田吉藏

    細田委員 いまお話しなった四十九年までなんていうのは非常になまぬるい話で、十年以上かかるということなんですね。これはおそらく現行の踏切道促進法が悪いんで、このいま出ているようなものでもっと促進すれば、もっと短くなるかもしれぬと思うのですが、とにかくどちらにしましても四十五年までに完成するとか、四十九年までに完成するということについては、私どもは非常な不満を持っておるのでございます。どうしたらこれは促進できるかという点について、さらに政府でどうしたらいいか、いまちょっと法律改正の話もちらっとありましたが、十年以上先の話をいまからやるのでは話にならぬと思うのでありまして、こういう点についてはどうしたらできるのだという具体策をお出しいただく必要があると思うのです。一ぺん事故が起こりますと、踏切を直す金ぐらいはもう吹っ飛んでしまうというようなのが実情で、申すまでもないわけですが、こういう計画計画にならぬというふうに存ずるのでございまして、至急にこれは御検討をいただきたい。こうすればもっと早くなる、どんなおそくても四十四、五年ぐらいまでにはこの程度のことはできなければ因るのじゃないか、かように私は思うわけでございます。これはあとであわせて御答弁をいただくことにいたしたいと思います。  それからやはりこれも前々からいわれておることでございますが、日本の場合は、もちろん人口が稠密であるとか、いろいろな道路状況が錯雑しておるとかいったような事情はございますが、踏切の数が非常に多い。これはもう諸外国から見まして、統計から見ましても、踏切が一キロメートル当たり日本ほど多いところはないわけでございます。統計で見ましても、ドイツの約倍、イタリヤの二倍以上、フランスの大かた三倍近くというような踏切があるわけなんです。この踏切統合という問題を前々からいわれておるのですが、どうしてもこれは立体交差とあわせて踏切のある種の統合というものはやらなくてはいかぬ。それから場合によっては、いま数をおあげになりましたような踏切について自動車通行を禁止するような、まん中に柱を立てて通さない。これは一種の中間的な統合でございますが、こういう点についても精力的にやっていただくようになっておるわけなんですが、どのように進められておるのか。実績があがっておるのかどうか。たいへんむずかしい点もあろうかと思いますが、こういう点をひとつなるべくなら数字をあげて成果を御報告いただきたい、こう思うのです。
  13. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 国鉄に関する統合整備交通規制状況でございますが、確かにここ一、二年ばかりようやく努力が実ってまいりまして、その結果が数の上であらわれておる面もございます。いままでの結果を見てみますと、整備統合、つまり踏切を集約することによりまして廃止した踏切の数が、三十七年度で、国鉄におきまして五百十カ所でございます。それからただいまの車両制限、車が通らないようにしていただいたところが四百九十四カ所、合計約千カ所につきまして措置をいたすことができたわけでございます。目下その中心東京付近、それから高崎を中心とした付近でございますが、これを本年度から全国的にやり方を拡充いたしまして、関係当局の御指導のもとにこれから懸命に努力してまいりたいと思います。
  14. 細田吉藏

    細田委員 いまの廃止や車両制限についてはかなりの数字でございますが、これはまだまだやらなくてはいかぬと思います。これは御努力を多とすると同時に、今後精力的にやっていただきたいのですが、立体交差化は大体どれくらいできておるのでございましょうか、三十六年度の数字でも三十七年度の数字でもけっこうですが……。
  15. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 これは若干まだ概数的なところもございますが、国鉄におきまして三十七年度竣工いたしました件数が七十七件でございまして、大体本年度はこれが百件以上になるのではないかという見通しを立てております。従来の個所から比べますと二倍半くらいの程度に相なってまいっております。立体交差につきましても先ほどの整理統合その他と同様、懸命の努力を続けてまいりたいと思います。
  16. 細田吉藏

    細田委員 先ほどの鉄道監督局長の十何カ年計画の話がございましたが、この点について提案者はどういうふうにしてこれを短くしようというふうにお考えになっておるのか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  17. 久保三郎

    久保議員 踏切道改良促進するということでありますが、いまある踏切道改良促進法は、御案内のとおり三十六年度を初年度にして五カ年という時限的な立法でございますが、要はこの踏切道改良費用の問題に尽きると思う。その他いろいろありましょうが、そういうことを考えれば、この改良促進法はむしろ緊急整備法というか、そういう性格でこれがつくられたならもっと促進ができたんだろう、こういうふうに思うわけです。私どもはこれは別途にまた考えるにしても、少なくとも先ほど申し上げたように、費用の問題について少しく国なり地方公共団体、そういうものがめんどうを見ぬ限りは、残念ながら今日の鉄道事業者は、もちろん国鉄も含みますが、実態ではなかなかむずかしい、こういうことを考えているわけです。要は予算一つということにかかると思う。要すればわれわれがいま提案しておりますこの法案以外に、必要とあらばこれはやはり緊急整備法的なものを出して、年次計画によって責任を持って政府にやらせる、こういうのが妥当かと考えている次第です。
  18. 細田吉藏

    細田委員 ただいまの話に、先ほどの政府側国鉄側答弁に関連する話でございますが、これは鉄道監督局長にお尋ねしたいのですがけれども私鉄の特に都市近郊列車頻度も非常に高い踏切というものが案外に多いのでございます。これは数はきょう持ってきておりませんけれども、これは申し上げるまでもない、東京付近をごらんになってもすぐわかることでございます。これにつきましては、これはもう簡単な方法では解決できないので、抜本的な措置を講じなければならぬ、かように考えておるわけでございまして、抜本的な対策といえば、地下にするとかあるいは高架にするとかいったような点になるかと思うのです。こういう点につきまして今日の状況のままに放置いたしますと遅々として進まない。警報機をつけるということは、いわば都市近郊踏切の問題について考えますと、ほんとうの応急的な問題でございまして、どうしてもこれは抜本的措置を講じなければならぬ、こう思うわけでございます。こういう点について真剣に取り組んでいただく必要があろうかと思うわけでございます。この点について政府側からひとつお考え方をお聞かせいただきたい、こう思います。
  19. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 大都市鉄道踏切の除去という問題は非常に大きな問題でございまして、これは列車回数も非常に多いわけでございますし、また道路交通量も非常に多いということで、事故を起こすと非常に大きな結果を起こしやすいわけでございます。特に踏切の数の多い鉄道につきましては、たとえば国有鉄道線路では中央線と、私鉄では京浜急行というものが非常に数多い踏切があるわけでございまして、踏切警報機では十分でないという場合に、立体交差にしようと思っても、線路を上げたり下げたりしなくちゃいかぬということになりますので、根本的な解決策としてはやはり鉄道を全部上げてしまうか、あるいはもぐらすかということになるわけでございますが、これは非常にばく大な経費を要する。これは単に鉄道事故踏切事故ということだけでなくて、都市構造改良という点も含まれると思いますが、実は運輸省におきましてもかねがね大都市付近高速鉄道高架化を真剣に考えておるわけでございます。本年度予算編成にあたりましてそういった点を特に考慮いたしまして、特別な公団方式による高速鉄道高架化ということを考えておったわけでございましたが、いろいろ政府部内の都合もございまして実現するに至りませんでした。今後こういった問題、特に単に警報機をつけるとか遮断機をつけるということでなくて、鉄道自体を上げることを中心に考えてまいりたいと存じております。
  20. 細田吉藏

    細田委員 ただいまの点は、先ほど申し上げましたように、ぜひともひとつ真剣に取り上げていただいて、抜本的な対策について政府施策を強力に打ち出していただきたい、かように思うわけでございます。この点につきまして提案者の御意見はいかがでございましょうか、ひとつ伺いたい。
  21. 久保三郎

    久保議員 先ほど申し上げたように、特に私鉄経営の中で、私鉄都市近郊での踏切が非常に多くて、しかも列車運行回数頻度が多いということがありますと、結局は予算というか費用の問題になりますので、私どもが提案いたしております法案内容としては、御案内のとおり立体交差についてはおおむね三分の一を限度として助成するというか、補助するということ。それから本筋については、やはりこれは改良促進法よりは一歩進めて、補助対象を赤字の鉄道事業と限定いたさないで、五分の一から五分の二までの限度で国または地方自治体から助成しよう、こういうことによって改良促進していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  22. 細田吉藏

    細田委員 この法案の二十三条に若干関連を持っておることでございますが、これは政府当局または国有鉄道からでもけっこうですけれども、戦争直後に駐留軍がまじりまして、踏切が五十メートル先、百メートル先にあるという標示を非常にやかましく言って立てたことがあるわけでございます。これはその後どういうふうになっておるのか。私どもの経験でも、このごろは町に非常に看板だのネオンだのいろいろなものがありまして、行きますと、はっと思って踏切があるというような場合がかなりあるわけなんですが、要するに踏切の所在を予知させる設備については、基本的にはどういう考え方でいまおやりになっておるのでございましょうか。それもよほどはっきりしたものでないと、町にいろいろな看板だのいろいろなものがありまして、ことに自動車の場合には踏切事故を多くしている原因になっていやしないかと思うのですが、こういう点はその後どうなっておりましょうか。
  23. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 国鉄におきましては、駐留軍の場合は、命令によりまして国鉄踏切の標識といいますか、道路標識に類したものでございますが、これを立てたのでございます。その後鉄道といたしましては、こういった道路の標識類について、鉄道の用地外のものまでやる義務はない、またこれの維持管理もなかなか手が回りませんということで、現在では、国鉄としてはそういった標識類についていま施策をしておらないのが現状でございます。
  24. 細田吉藏

    細田委員 本日は警察庁並びに建設省からもおいでになっておりますが、これはどちらからお答えいただくことが妥当かどうかわかりませんので、適当にお答えいただきたいのですが、いまの点が一点と、それからいわゆる三種踏切、——ちゃんちゃんと鳴るやつです。こういうものの近くに、これまた非常に見誤りやすいような電灯がついたり、広告灯がついたりしているというような事例を、東京付近、大阪付近のところでは普通に見かける。これは法律上そういうものを制限することができるかどうか。私はしなければならないと思うのですけれども、これは、たとえば鉄道線路についてはある程度そういうことが言えると思いますが、大都市付近を走っておる電車鉄道についても、ネオンサインその他が信号と並んであるというふうなこともたくさんあるのでありまして、そちらの側でも問題があるのです。道路の側についてお聞きしたいのですが、いまの予告標みたいな問題と、そういったまぎらわしいものを取り除いていただく必要があるんじゃなかろうかと思うのですが、こういう点についてはいかがでございましょうか。あまりお考えになっておりませんか。
  25. 宮内潤一

    ○宮内説明員 道路のほうの関係でございますが、道路敷に関してそういうものを立てたり展示したりすることは、全部占用許可が要るわけでございまして、私どもの一般の取り扱いとしては、そういうものは許可するなというぐあいに指導いたしております。
  26. 細田吉藏

    細田委員 ところが実際には非常にたくさんあるのですがね。
  27. 宮内潤一

    ○宮内説明員 それは道路の区域でないところ、つまりそのすぐそばに立てられておるのが多いのじゃないかと思います。
  28. 細田吉藏

    細田委員 道路そのものではなくて、民家にやっておるもの、これはどうしたらいいのか。私どもよく町を自動車で回っておって非常に感ずるのです。警察のほうはどなたがおいでになっておりますか、交通企画課長では、これも範囲が少し違うかしれませんが、盲点みたようなかっこうになっておるので、これは政府の中に交通対策協議会もおありになりますので、そういうところででもぜひ問題にしていただきたい、かように思うのでございますが、いかがでございましょうか。これは警察の方からお答えいただきましょう。
  29. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 ただいま御指摘の点はごもっともと存じますが、私たちの主管しております道路交通法の関係で申し上げますと、道路標識につきましては、これを損壊したり何かすることに対しては、相当重い罰則が担保されておりますので、そのほうでやれると思いますが、道路標識でございませんから、ちょっとその点はいまのところ具体的に非常に効果のある取り締まりができかねるのではないか、かように思います。
  30. 細田吉藏

    細田委員 ですから、これはおっしゃるとおりなんです。いまの状況では、どこでだれがやるのかわけがわからなくなっておるが、非常に混乱しておるということは間違いない事実だと思うのです。こういう点については、政府部内として、さらに道路とか鉄道とかいうことを離れて研究しなければならぬ問題かと思います。この点は指摘するにとどめて、今後政府全体としてお考えをいただくということをお願いすることにいたします。  次に、これは提案者に伺いたいのですが、二十三条のところに「踏切遮断機又は踏切警報機が設置されている場合において、その効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。」とあります。御趣旨としてはどうしてもこれはやらなくちゃいかぬと思うようなことがあるわけですけれども、これではどうも至ってどの程度までのことを言っておるのか、具体的にもう少しこまかくきめるお考えでこういうふうなお書きになっておるものでございましょうか、どうでございましょうか。しかもその次の二十四条に物件の除去、移転、改修命令が出せるということになっておるわけですが、この基準なんかをいいかげんにやりますと私権を侵害する非常に大きな問題なんで、非常に簡単に片づけてありますけれども、どういうふうにお考えになっておるのでありましょうか。これは私けっこうだと思うんですけれども……。
  31. 久保三郎

    久保議員 なるほどこれは御指摘のとおりでたいへんむずかしい条項だと思うのでございますが、われわれとしては少なくとも先ほど来お話があったような盲点になっておる地点は手を加えなければならぬ、こういうことでありまして、どの程度にやるのか、こういうお尋ねでございますが、これはもちろん第一段階としては、撤去を要請するなり変更を要請するということであります。第二段階としては、やはり二十四条でひとつ強制的にやらせる、こういうわけであります。それからものの考え方として、やはり公共の福止というものと関連して判断をしてもらう以外に方法はないだろう、こういうふうに思います。具体的にどうやるか、これはもちろんさらにこれに見合った規則なりなんなりをつくらなければいかぬ場合が出てくるかと思うのでありますが、御指摘のような私権をことさらに、むやみに侵すことがあってはならぬと思うのです。いずれにしても御指摘になったように、盲点になっておるものをそのままにしておくことは、今日の交通の実態からいってもいかがか、こういうことで実は二十三条、二十四条を設定しよう、こういうふうに考えているわけであります。
  32. 細田吉藏

    細田委員 この趣旨については、私はもう長年主張しておるところでございますが、実際上の運用は、この程度の簡単なことではなかなかできないのではないかと思っております。ただ趣旨としては非常にいいことだ、どうしてもこれはやらなくちゃいかぬ、こう思っておるのです。  この問題は一応これくらいにしますが、実は私の親友が踏切事故で去る四月に、非常に慎重な自動車の運転をしておりながら死んだという事例がありました。そこで私は現地へまいりまして非常に強く感じたことがございますので、ぜひ全国的にお取り上げをいただきたいと思っておることがあります。それは法案の二十三条に関連しておりますが、国有鉄道踏切——私鉄でもそうかもしれませんが、国有鉄道踏切踏切番舎というものがあります。踏切番の方の番舎と同時に宿舎を兼ねているというような性格のものなんです。ところがこれが要員の合理化その他の結果、第一種から第三種に格下げになって、その番舎には人が住んでおりますけれども、その踏切には踏切警手はついておらぬ。当該の私の友人がひかれたところは、いろいろな事情がございましょうが、四種に格下げになったところでございましたが、実は踏切番舎はちょうど見通しの悪いところに立っている。ちょうど警手がおりましたときには遮断機を下げますから、踏切見通しが若干いい悪いは非常に大きな問題でないわけでございます。ところが踏切のあれはほとんどすぐそばへ立っておりまして、このために国有鉄道自体が見通しの悪いところに踏切をつくっておるという事例がたくさんある。私は実は郷里の米子鉄道管理局のほうを全部当たってみましたが、小さい米子鉄道管理局の中にも何個所もあります。これはそういうふうに立てたものでありますから、そうなっておるのが当然だと思います。したがって、国有鉄道自体が、「何人も、踏切遮断機又は踏切警報機が設置されている場合において、その効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。」というのに、結果的には御自分で違反しておるといったような非常に危険な状況がある。これは事は小さいようですけれども国鉄自体がすぐそばへ家を建てておって見通しを悪くしておるということは、これはもう直ちに撤去されるべき性格のものじゃなかろうかと私は思うのであります。これはいろいろ場所によって事情は違いましょうけれども、お調べいただけばそういう事例は全国にかなりあるのじゃないか。つまり踏切警手がいたときの態勢でできておった番舎であり宿舎ですから、あると思う。  それからさらに申し上げると、踏切番舎は、極端な例ですけれども、それ以外にも国有鉄道自体が見通しを悪くしておるということ、私鉄についてもあるかもしれませんが、そういう例がないとは私は言えないと思う。こういう点についてはまず自分のところから始めなければ、一般の公衆が家を建てる、何するというのをとめようがない。こういうことになっておるわけですが、当然これは交通とか自衛上も検討されて、改善を加えるべき性格のものだと思うのです。こういう点について至急に御調査いただいて、さようなものは撤去していただく。これは一種から三種、四種に落ちたのがざらにありますから特にお願いを申し上げたいと思うのですが、こういう点はいかがでございましょうか。  それから、これもいろいろな場合がございますけれども、もう少し違った形のものとして、国有鉄道の用地になっている、ないしは国有鉄道の用地でなくてもけっこうです、町村有のものでも私有のものでもいいのですが、丘があって、そのために切り通しみたいなところで見通しが悪いというところがたくさんあるわけです。低い小さい丘みたいなものとか、ちょっと手をかければ簡単に切り取っていけるというところもかなりあるのじゃないか。こういうものも小さいようだけれども、ぜひやっていただく。そういうこまかいところまで御配慮をいただく要があると思うわけです。御異議はないと思うのですが、至急御調査をいただいて実行に移していただきたいということを申し上げたいのですが、いかがでございましょうか。
  33. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 ただいまお話の点でありますが、見通しの改良につきましては、私どももかなり力を入れておるつもりでございますが、なお一そう指導を強めまして、現在残っておる場所、それに要する経費その他のものにつきまして、できるだけ早い機会に整理をしたいと思います。  宿舎の件は、御承知かと思いますが、従来の宿舎事情の逼迫といいますか、そういう点で人が住んでおらなければこわすことは簡単でございますけれども、これをどこかに移転するというようなことで、ついおくれておるケースが多いのではないかと思います。これも強く指導をして、なるべく早い機会にそういった見通しを阻害するものを国鉄自身持っているというふうな事態をなくしたい、こういうふうに考えております。
  34. 細田吉藏

    細田委員 いま渡辺さんがお話しになりました宿舎の事情云々はわかりますけれども、宿舎の事情よりだいぶ前の問題でありまして、これはぜひ代替の宿舎を建てるとか、そういう人を優先的に入れるということはやっていただかないと困る。宿舎がないからこれでいいという意味じゃないと思うのです。宿舎不足の問題は職員の問題ですから、これも大事なことには違いありませんけれども、そうだからといって見通しを悪くしておくんだということには決してなりません。その点ひとつ早急に御調査いただいて、何が何でもそういうものはまず隗より始めよで、撤去していただかなければ困ると思います。そういうふうに御了解になっておると思いますが、宿舎の事情は悪いことはわかっております。わかっておりますが、宿舎が悪いからといっていつまでもこれをやられたのでは困りますから、そういう点はひとつ十分注意をしていただきたいと思います。  私は実は法案内容につきましては、まだいろいろ御質問を申し上げたいことが残っておりますが、一応この法案内容に触れながら全般の問題につきまして御質疑を申し上げ、あと同僚委員の御質疑のあと、また機会を与えていただきまして質問いたしたいと思います。  これで終わります。
  35. 佐々木義武

    ○佐々木小委員長 関連いたしまして、關谷勝利君。
  36. 關谷勝利

    關谷委員 私あとからおくれて参りましたので、もうそういうふうな御質問は細田委員から終わっておるかもわかりません。私この法案をいま読んだだけでございまして、深くは読んでおりませんが、読んでみますと、この法案踏切道改良促進になるのであろうかというふうな気持ちにまず打たれるのであります。どこまでの熱意を持って提案者はこれをつくられたのか、それを伺いたいのであります。たとえばこれで何カ所の踏切をどの程度予算で何年間くらいにやり上げようとするのか、まずこれが第一点でございます。それからそういうふうな計画に対して、この提案者計画——もちろん計画なしでこれだけのものを提案せられるとは思いませんが、その計画について大蔵省その他の関係各省とどの程度交渉せられて、どのような話し合いになっておるのかという点も同時に伺っておきたいと思います。まず第一にそこらあたりを伺いますと、この法案にどの程度期待して出されておるかということがわかりますので、ひとつその点を伺っておきたいと思います。
  37. 久保三郎

    久保議員 第一の、どの程度やろうとしておるのか熱意を疑われるということでございますが、先ほども申し上げたように、要は予算の問題というか、助成の問題の前進がなければなかなかむずかしい、こういう観点から法案でも助成については現在ある促進法より前進させていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  そこで、立体交差については、大体年平均約二百カ所程度をやったらどうか、こういうふうに考えております。もちろんこれは多いにこしたことはございませんが、予算という問題もございますから、その程度をひとつやっていきたい、こういう考えでございます。  それからもう一つは、構造改良関係でございますが、これは大体千二、三百カ所やらなければいかぬ、そういうことでありますから、大体現在の指定状況が六十カ所前後、こういうふうにとっておりますので、これもさらに進度を上げて百カ所以上にしたらどうか、こういうふうに考えているわけでございます。  それから保安設備の問題でありますが、国鉄は五カ年計画で約百五十億、五千五百カ所、こういうふうに考えておるし、それから私鉄のほうでは大体千五百カ所程度を三カ年計画で考えている、こういうことでありますから、これに合わせてやったらどうか。それでこれは切りが悪いのでありますが、今後八カ年を目標として、大体国鉄で二万二千百カ所、私鉄で一万二千六百カ所、こういう保安設備を充実していったらどうか、こういうふうに考えておるわけです。  それから踏切道維持管理であります。これは御質問にはなかったのでありますが、これについても大体年平均五十四億程度使っておるようでありますから、これの三分の一、そういうものをひっくるめて助成をしていったらどうか、こういうのが計画であります。  それから後段お尋ねがありましたところの大蔵省関係筋とはどういう交渉をしておるかということでありますが、これは現在までの段階では、大蔵省というか、政府当局とは全然まだ交渉はいたしておらない次第であります。  以上です。
  38. 關谷勝利

    關谷委員 予算を伴いますこういう法案でありますので、計画に基づいて、そしてそれに対しての年度別の要求をしなければ、こんな訓示規定のようなものをこしらえても何の意味もない、こういうことになります。ことに計画その他が何にもできていないで、ただ、できれば年間二百カ所くらいの立体交差をやりたい、改良は千二、三百カ所をやっていきたい、国の助成は大きければいいんだというようなことで、全体的な計画もなければ、全体的な年度割りもないというようなことでは、いつこの法律をどのように施行しようかという実現性がほとんどないことになってまいりますので、大蔵省当局あたりへ計画案というものをはっきりと提示して、そのために年間これだけのものを出せ、こういうようなことを言わなければ、お経のようなものをこしらえても、お経を読むだけでは何にもごりやくがないわけであります。その仕事をしなければならぬわけでありますから、全体でどういうことになるか、そしてそれをやるのには経費がどれだけ要るか、これを何ヵ年でやり上げていこうとすると年度割りでどれだけになる、それについて大蔵省と折衝したがこういうことだ、このくらいのことはせめてこれだけのものを出すとすれば示していただかぬことには、あまり熱意のない法案だ、こういうことになります。この点は次の小委員会のときまででけっこうでございますので、そういう全体計画、それから年次計画、そういうようなものを示していただいて、これをやることになれば三十九年度から実施をする、ことしの予算にはないのでありまして、ことしの予算にはこの中の一部分しか、政府の考えておるところだけしかやれないということでありますので、それは三十九年度以後ということになります。三十九年度以後でどういう計画でやるのかということだけはせめてここへ出してもらいませんことには、平素非常に辛らつな質問をせられる提案者といたしましてはまことに無計画ではないか、こういうような気がいたします。次の機会までに、そう綿密なものでなくとも、ラフなものでもけっこうでございますので、御提出を願いたいと思います。  それからこの法案を見てみますと、いろいろ指定をすることはできるけれども、その指定に従わないからといって別に罰せられるわけでも何でもないのでありまして、私鉄にいたしましても国鉄にいたしましても、向こうがやらないと言えば、これは何にもやれない、こういうように私読みとれるのであります。それが指定をした場合には義務づけるということがどこかにあるのでありましょうか。これの罰則あたりを見ますと、四条、五条、六条に従わないからといっても罰則はないようであります。ただこの中で指定をした場合に、七条によってその保安員を配置しない場合は十万円以下の罰則がある、こういうふうなことであります。その他の場合には、いろいろ命令に従わなかったらというか、二十四条の場合とかあるいは第十一条、その他第三十一条に掲げてありますようなものは大したものではない。何というか、枝葉末節のところのちょっとしたところに罰則というようなものがつけ加えてあるだけでありまして、大筋の四条、五条、六条というような大事なところについては何にも罰則がない、こういうことであります。これはそういうようなことで従わないでもいいが、これはないよりはましだということでこの法案はおつくりになったのかどうか、提案者の御意向を伺っておきたいと思います。
  39. 久保三郎

    久保議員 御指摘のその四条、五条、六条、これは現行の踏切道改良促進法の趣旨を大体踏襲しておりまして、別に罰則を付するような性格のものではないだろう、罰則を付するとするならば、これは国が全部費用を持ってこれを律するというたてまえにもなろうかと思うのでありますが、実態といたしましては現行の踏切道促進法に従って妥当ではなかろうか、こういうことであります。別にこの面ではこの法案としては現行の促進法より前進はいたしておらないのは事実であります。以上であります。
  40. 關谷勝利

    關谷委員 国が費用を負担しないのだから、これはもうそういうようなことは言わないということでありますと、一応こういう法律をつくっているが、従わなければしかたないじゃないか、もし万一できるならばしてもらいたいというような、何といいますか、希望というようなまことにゆるやかな法案になっておるようであります。こういうことでは、いまの踏切道改良というものはなかなかできるものじゃないのでありまして、私はこれを提出するのならば、先ほど申し上げましたように全体計画、それから年次計画、それに対する大蔵省その他との折衝というようなことで大体の見通しぐらいはつけて、そして提出をしてもらわなければならぬと思いますので、先ほど申し上げました資料を次の機会までにひとつ御提出を願いたいと思います。きょうは関連質問でありますので、簡単にこのくらいにしておきます。
  41. 久保三郎

    久保議員 御要求の資料は次会まで、年次計画を出しておきます。ただ一言お断わりしておきますが、われわれは議員の立場でありまして、立法府の立場でありますから、行政府に前もってもちろん非公式な交渉は必要だろうと思うのですが、大蔵省の見解を聞いて云々というのは、これは場合によってはあるかもしれませんが、それによって左右されたのではどうも話が違うと思うのでありまして、むしろわがほうの考えとしては、少し強いかもしれませんが、立法をして、それに従って行政府によってやらしていく、こういうたてまえであります。もちろんこの法案が通るというか、採決の段階に至りますれば政府側の見解が出ますから、これによって調整すべきだと考えております。しかしこの計画は出しておきます。  それからもう一つは、なお御指摘があったこの四条、五条、六条の点でありますが、罰則を付することもなるほど御指摘のとおり必要かと思いますが、これは強制的なものをやるよりは、やはり助成の道を講じて、行政指導を強力にやっていくことが適当であろう、こういうふうに考えているのでありまして、もしそういう罰則をつけることが促進になるということであれば、この法案の修正、これについてはひとつお知恵を拝借したい、かように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  42. 關谷勝利

    關谷委員 これにつきまして政府に対してのというようなことがありますが、こういうような法案を出しますときには、財源をどうするかということは国会として当然考えなければならぬので、法律さえつくったらあとはやりっぱなしで、財源のことも考える必要は何もない、大蔵省と折衝する必要もないというのは、とんでもない話であります。それならこんな法律は出さないほうがよろしい。いまの御答弁に対しては、私は何といいますか、非常に不愉快な感じがいたします。財源措置を講じ、年次計画でやればこうしてできる、こういうことでなければ法案を提出する資格がないのであります。この点よく御銘記願いたいと思います。
  43. 久保三郎

    久保議員 關谷さんからの御見解は御見解として承っておきますが、われわれはいわゆる立法府と行政府との意見調整は審議の過程においてなさるべきだ、こういうように思っております。しかしおことばでありますから、それは折衝することも一つの方便でありましょう。しかし方便であって、それはルールではないだろう、こういうふうに考えます。しかしおことばは承っておきます。
  44. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま法案審議と並行してということでありますが、予算決定して後並行して、それが折衝ができますか。これはそれ以前に折衝をやってこそ初めて並行してということが言い得られるので、予算がきまって後この法案を出す。それで、これで拘束したところが、予算にないものは何も意味がないということになります。この点はよく折衝しなければ並行ということになりませんので、よくそういうふうなことは現実に合わして御答弁願いたい。
  45. 久保三郎

    久保議員 おことばを返すようでありますが、法案予算審議中に出しておりますので、決して——審議がきょうあらためて始まったものですから、今年度はもちろん予算が決定しておりますが、幸いにして御協力をいただいて、修正部分があれば修正してこれが通ったということになりますれば、補正の問題も出てきましょうし、もしも補正ができないというなら、三十九年度からあらためてこの法案の趣旨にのっとって予算獲得に邁進するというのが当然かと思います。何分よろしく。
  46. 關谷勝利

    關谷委員 私は関連ですからその程度で……。
  47. 佐々木義武

    ○佐々木小委員長 勝澤芳雄君。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 交通事故の激増に伴いまして、特にその中の踏み切り事故というのが重要視されまして、ここに踏切道改良促進法が出されたわけでありますが、しかしこの踏切道改良促進法が出されてやっている中で、特に第四種踏切中心とした重大事故が発生して、当初の計画より以上に運輸省としても緊急整備計画を立てて実施されているようであります。そういう中で今回時限立法的な踏切道改良促進法を恒久的なものにしようということで、ここに踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案が提案をされたというのは、まことに時宜を得たものと思う次第であります。  そこで提案者にお尋ねをいたしたいのですが、踏切道改良促進法がいまあるわけでありますが、これに加えてこの踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案を提案している理由と、その促進法との相違点についてまず御説明賜りたいと存じます。
  49. 久保三郎

    久保議員 ただいま申されました現在ある踏切道改良促進法は、三十六年を初年度としての五カ年計画中心になっております。しかし踏切道並びにそれに対する交通の実態、改良の進度、こういうことを実際問題として考えた場合に、これは五カ年限りのものであってはならない。むしろこれは恒久立法として当分の間この法律の法体系を整えてこの改良促進をはかることが必要である、こういうのが一つであります。  もう一つは立体交差が全体として完成すれば問題がないのでありますが、これはなかなか言うべくして行ないがたいものでありますから、当然そこには従来どおりの踏切道が存在するわけであります。そこでやはり踏切道の交通を安全かつ円滑にするためには、踏切道におるところの保安員の配置についてもやはり法律的に規定をしていく、この万全を期したい、こういうのが第二点であります。  第三点としては、先ほど来から申し上げておりますとおり、現在の踏切道改良促進法というのは、これは残念ながらいわゆる鉄道事業者に対しての一方的な改良促進という面が非常に強い。ところが御案内のとおり鉄道事業者の経営の実態を見ますると、なかなか収益を増すという面ではないために、ともすればこれはおくれがちである。さらに鉄道の専業自体も他の輸送機関との競争というか、そういうことがありまして、経営自体も思わしくないというか、あまり前進がない。こういうことを考えますれば、しかも何万とある現在の踏切道を大幅に改良するのには、どうしても国あるいは地方公共団体というものの共同責任において解決する必要がある、こういうふうに考えてこの費用の補助をする。  それからもう一つは、踏切道というのは鉄道事業者の専有のものではなくて、これは言うならば道路通行者の権限と鉄道事業者車両運行の権限、そういうものが競合している場所と、こう解釈すべきであって、必ずしも従来のようにともすれば踏切道鉄道事業者の専用物という観点からこれは解放すべきである、こう思うのです。と同時に、こういう面から言いますれば、御案内のとおり、特に大きい停車場の構内等にある平面交差の踏切道においては、長時間あかずの踏切というのが出てきます。これは言うならば鉄道事業者が一方的にこの踏切道は自分の権限であるというところからその使用を専断しておる、こういうものもこの機会にこの法案で是正しよう、こういうふうに考えているわけです。いわゆる改良促進法を前進させるためにもこれを恒久立法にしていきたい、こういうことでありまして、おもな改正点を申し上げますれば、現在の促進法には、私道についてはこれは入っておりません。たとえば先般の南武線踏切事故がございましたが、これも私道でありますので、こういうものについても規制をしてやっていこう、こういうことであります。  それから踏切保安員に関しても先ほど申し上げたように規定していく。この一定の資格要件を与える。そしてこのレベルアップもして、いわゆる踏切番というように、社会的にもあるいは内部的にも低い地位というふうに規定するために、現在のような交通事情下においての寸秒を争うところのいわゆる踏切監視というか、これにも適しない者が今日多数存在するわけでありますが、そういうものをいわゆる質的にも上げていきたい、こういう考えから資格要件をきめる。  さらにもう一つは、踏切道におけるところの交通を円滑にし、あるいは危険を防止するという立場から、現在踏切保安員には御案内のとおり通行指示権というか、そういうものが一切ございませんで、あるものは単に門扉の上げ下げというか、そういうものだけに限られておりまして、これはもちろん言うならば交通警察官の分野でございますが、そのうちの一部の権限というか、いわゆる通行指示権、こういうものを与えないでは、特に都会地におけるところの踏切道におけるところの交通整理というか、踏切保安が期し得られないというのが現状でありますので、この権限を与えていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それからもう一つは、踏切道新設の場合等の費用負担の区分が、現在は法律的にははっきりしておりまんが、こういうものもきちんときめて、いわゆる道路管理者、さらには鉄道事業者の負担区分をきっちりして、その促進をはかりたい、こういうことであります。それには先ほど申し上げたように立体交差及び踏切道の改築というか修繕及び維持、そういう管理、こういうものに対する費用の負担区分をまず設けていこう。それから立体交差、さらに構造改良、こういうものについても助成をしていって、この促進をはかろう、こういうことであります。  さらにもう一つは、踏切道警報機あるいは遮断機、こういうものができましても、当然維持管理費用相当多額になるわけでありますから、こういう費用についても、やはりある程度の助成をしていこう、こういうことであります。  さらにもう一つは、先ほど細田委員からも御指摘がございましたように、踏切道整理統合についても、これは訓示規定になると思うのですが、監督権を運輸、建設両大臣に与えて、これを強力に改良と並行してやっていくべきだ、こういう点がございます。大体そういう点が今度提案された中のおもだった改正点でございます。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは鉄監局長にお伺いをいたしたいのですが、この法案について提案者からいろいろと説明をされました。また關屋委員からもこの法案についての質問と意見が出されております。提案者の全部はこれは野党の議員でありますので、野党の立場から言うならば法案を出す予算的な措置も大体この程度だ、そうしてこの予算についてはこうすべきだと、予算についての野党の組みかえ意見も出してきたと思います。こういう立場から言うならば、この法案についての万全の措置がとられたと思うのですが、しかしまた事務当局のほうから見ますと、やはりこの法案について不十分な点あるいはどうもこれはどうかというような点もあろうかと思うのでありますが、運輸省としていま出されておる法案についてのお考えはいかがでしょうか。たとえばどうもここはわれわれとしてはこういうふうに思う、これはどうもなかなか実現が困難だとか、あるいはこれは法律の上からいって好ましいけれども、いまの段階ではどうだとかいうような点について、ひとつ御見解を賜わりたいと思います。
  51. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 政府といたしましては、この法案に対する御見解を申し述べるのはやや時期が早いのではないかというふうに考えております。これは内容に立ち入る前に一般的に私どもの考え方を……
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 局長としてもなられて日も浅く、十分でないかと存じますが、せっかく立法府としてりっぱな法案が出されておるわけでありますから、十分ひとつ立場上検討されて、意見を別の機会に私はお聞きいたしたいと思います。  そこでこの内容の中で、一つは新しい問題として踏切保安員の選任という問題が出されておるわけでありますが、これについての鉄監局としての、監督官庁としての御見解を賜わりたいと存じます。
  53. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 ただいま申し上げましたように、もちろん就任日浅いのでありますが、それとは関係なしに、本法全体としてまだ私どもは意見を申し述べるのは早いというふうに考えます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは法案とは別個に、踏切保安員というものを選任をさせるために、鉄道事業者は、年齢、経歴その他について一定の要件をきめるように運輸省はしたほうがいいではないか、こういう意見が出されております。これについてどういうふうにお考えになりますか。
  55. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 法案を離れてというお話でありますから、一般的な問題としていわる踏切警手、保安員というものの責務はきわめて重大でございます。したがいましてこういった重大な任務を遂行する踏切警手の資格あるいは地位の向上ということは一般的に望ましいことだと考えております。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国鉄にお尋ねしたいのですが、とかく踏切警手といいますと、仕事の上でも軽視しがちな傾向がいままであったと思いますが、あるいは給与の面におきましても、諸待遇の面におきましても、新しく鉄道に入った人が踏切に行けばいいじゃないか、あるいはほかで使えないから踏切に行けばいじゃないか、そういうことがとかく今日まで行なわれてきたと思うのですが、そういう点からいきますと、今日のような踏切というものが重要視され、踏切事故そのものの重要性、そうしてそのものの責任の度からいいまして、相当この問題は重要視しなければならぬ、こういうように思うわけでありまして、この踏切道改良促進法も制定をされましたこういう時期に、この踏切保安員の待遇の改善といいますか、あるいはまた地位の向上といいますか、こういうことについて国鉄としては具体的にお考えがありますかどうか、それとも実際にそういうことが行なわれておるならば、その点についての御説明を願いたいと思います。
  57. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 私のほうで踏切保安掛というふうに言っておるわけでございますが、これにつきましては、逐次待遇の向上、また部内におきまする相対的地位、こういったものを次第に現在よりも向上さしていきたいという気持ちを持っておるわけでございまして、近くたとえば初任給の問題、あるいはその他一級定数と申しますか、そういった特に待遇の改善につきましては、徐々にではありますが、やっております。全般的に申しますと、これは職務評価と申しますか、他の職員との職務の内容の評価のバランスというふうなものもございます。そういう点でも検討をしておる段階でございます。いずれにいたしましても、従来でいいということではなく、何とかして範囲あるいはその絶対額、こういうものにつきまして、できるだけの改善を進めてまいりたいという立場で、目下検討をしておる状態でございます。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 踏切保安掛の職務の重要性ということについてはいまさら申し上げるまでもないと思います。ただ私は職務の評価という場合に改札をやっている人、あるいは出札をやっている人、これも大事です。しかし踏切保安掛と比べた場合に、一つの事故をやった場合における責任というものは実に大へんなことだと思う。こういう点の評価というものはあまりなおざりになっておるんじゃないか。こういうことを私も国鉄におった経験の上から見まして、思うわけであります。こういう点の考え方を変えなければいけないと思います。私は前提としてこの法律を考えるときに、とにかく踏切道改良促進しなければいかぬという点で、これは与野党が一致してそれを対外的に大きな声として、そして大蔵省においても認識さして、金もたくさん出して、踏切の安全、踏切事故をなくす、こういうことがいま一番大事なことだと思うのです。そういう意味で、關谷先生が声を大きくして言うことももっともだと思う。踏切道改良促進ということ自体が、われわれがここで言うことによって、ますます促進され、ますます踏切道統合あるいは廃止なりしていく、あるいは踏切事故というものを全体的になくしていく大きな力になると思うのです。そういう中で渡辺さんは保安部長ですから、いままでと変わった立場で踏切保安掛というものの見方を国鉄の中でも変えていかなければならない。あなたは変えていく一番先兵になっておるわけでありますから、ひとつ責任の度合いというような点を考え、この際踏切保安掛の基準といいますか、一定の資格といいますか、こういうものを従来と変わった立場で検討すべきじゃないだろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  59. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 先ほど申し上げましたように、あらゆる角度から検討いたしまして、地位の向上並びに待遇の改善をはかる立場において検討を進めている次第であります。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 抽象的で具体的でないのは残念ですけれども、また次の機会にお聞きすることといたしまして、次に警察庁の方にお尋ねしたいのは、この法律の中に踏切保安員に対する交通指示権という問題が考えられているわけです。この点について警察庁はどういうふうにお考えになりますか。
  61. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 実はまことに申しわけないのですが、私も着任いたしまして間もないのでございますが、それはさておきまして、正直なところ本法案を拝見させていただいたのはきょうが初めてでございまして、このことについては公私ともに打ち合わせをいたしておりませんので、後日に譲りたいと思います。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 たいへんけっこうなことだと思います。きょう来ていただいて、こういう法案が出ているのだなという認識を持っていただいただけでも成功だと思います。与党の皆さんもこういう法案が出て、大官が二人も見えて質問してくれただけでもたいへんけっこうだと思います。  そこで次に、昭和三十七年十二月に踏切白書というようなものが出されておりますが、この中で二、三お尋ねいたしたいと存じます。  踏切事故原因が第一種よりも第四種のほうが多い。ましてや国鉄における重大な事故は第四種が圧倒的に多いということが出されておるわけであります。こういう点から一種は一種なりに、四種は四種なりにいろいろ交通法規があります。取り締まりもやられておると思うのですが、一体この原因はどこにあるのかという点について、運輸省でも警察庁でもけっこうですが、お考えがありましたら、お知らせ願いたいと思います。
  63. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 四種の事故が数において圧倒的に多いということは事実でございます。これは何と申しましても数が非常に多いということが一つだと思います。もう一つは、これは全然無防備の踏切でございますので、運転者あるいは通行者側において十分に注意していただく必要があるということ。なおこういった踏切列車回数の少ないところにございますので、やはり注意を怠るというようなこと、要するに鉄道側から申せば、通行者、歩行者側におきまして、一たん停止、それから左右の確認ということを十分やっていただいていれば、大部分の事故はなくなるのではないかというふうに考えられます。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この原因別の事故件数を見てみますと、直前横断が圧倒的に多いわけでありまして、なおかつ遮断機をくぐり抜けている事故ども出ているわけでありまして、こういう点からいうならば、やはり運転者の倫理といいますか、こういう点に欠ける点があろうと思うのです。これは、警察におきましても、運転免許の交付にあたりまして、あるいはそのときどきに講習会などなされておると思うのですが、こういう点から、やはり自分で自分の命を大事にするというような点などについて、相当啓蒙宣伝がされておるわけであります。このごろでは子供たちについても、いろいろ交通の点などについての研修もされているようでありますが、やはり小さいときから当然なことだということをやはりやらなければならぬと思います。そういう点についても、ひとつできるだけいま以上にお考えをいただきたいと思うわけでございます。  そこで次に、この第一種踏切事故もだいぶあるわけでありますが、第一種踏切の中で、もしおわかりになったら、——おわかりにならなかったらあとでまた御答弁願いたいと思うのですが、第一種踏切は一応踏切警手が遮断機を操作しているものと、自動遮断機のものと、二つが第一種踏切として統合されているわけです。ひとつ、踏切警手のおる遮断機の場所と、自動遮断機のある場所と二つに分けて、事故統計がありましたら、お調べ願いたいと思います。それによって、自動遮断機の場合と踏切警手のおる場合の事故件数の比較というものを検討させていただきたいと思います。また、もしおわかりになりましたら、国鉄私鉄あわせてお示し願いたいと思います。
  65. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 いま手元に警手づきと遮断機づきの別がございませんので、後ほど調べまして御参考に供します。
  66. 細田吉藏

    細田委員 いまの勝澤先生の質問に関連して、私はちょっとこれは警察庁とそれから運輸省国鉄に御要望申し上げておきたい。私、実はあまり申し上げる機会がないものだから、いまちょうど話が出ましたので申し上げますが、私は、自動車の運転手に、鉄道の知識をもうちょっと持たせてもらいたいと思うのです。これは、踏切安全運動などの機会には、いろいろ再教育の場合になさっておると思うのですよ。なさっておると思うのですが、鉄道の知識については、自動車の運転免許をとるときの試験にもなければ、それから自動車会社でも運転手を訓練するのに、鉄道のことを、常識的なことでいいのですが、訓練がされていないと思うのです。これはぜひ方法を考えていただきたい。ということは、鉄道に対する知識をもう少し自動車運転手が持っておれば、これはオーナードライバーを含めてですが、オーナードライバーの訓練はなかなかむずかしいけれども、たとえば列車のスピードとか制動距離の問題とか信号機の問題とか、これは信号が下がっているなとか、あるいは遠方に下がっているということは、われわれ通るときに当然見えるわけです。これは絶対に注意をしなければならぬということは、信号機を見たときに絶対にわかる。これは信号機を見ておれば、危険信号だとかなんとかいうことはわかっておる。それからよくあるやつは、複線の上下の列車で、下りが行ったからといってすぐ出て上りに引っかかるというようなことは最近少なくなっておりますけれども、私の持っている自家用車は別としまして、私もときどき乗用車などに乗って聞いてみますと、全然知らない。あの信号はどういう信号かわかるかと言ったら、信号でおりているやつでも全然わからないと言っている。ですから自動車の運転手に、何か踏切事故防止のためになるような教科書をつくって宣伝していただきたいと思うのです。私ら運転手に話しますと、それはいいことを聞きましたというのです。それからばかばかしいこともあるのです。たとえば貨物列車が通り過ぎる、通り過ぎたあと単線じゃ来やしませんよ。反対側は絶対こない。通ったあとでは単線は一番安全なわけなんだが、そういうこともはっきりわかっておらぬとか、そういうきわめて初歩的な鉄道の知識を何かの機会に運転手に吹き込みをぜひお願いしたいと思います。これはいま勝澤先生のお話がありましたので、ちょうどいい機会ですから、これはぜひやってください。
  67. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 ただいまの御意見まことにごもっともな御意見でありまして、鉄道側におきましても、従来春秋の交通安全運動、踏切安全運動の場合には、つとめて運転者の方に鉄道の基本的な知識を認識していただくというようなことをやっております。なお動力車等に乗っていただいて、かなり実際問題として鉄道の非常に見通しの悪い、制動距離が長いというようなことを認識してもらっておりますが、非常にお考えでございますので、今後なるべく広く鉄道の一般知識というものをPRするように、警察当局に十分御連絡申し上げまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  68. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 警察当局におきましても、年に二回やっております全国交通安全運動におきましては、踏切事故の防止を一つの大きな眼目にしておりますので、今後先生の御趣旨になるべく沿うように努力していきたいと思います。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次にきょうどうしても質問しなければならぬ問題だけ少しやらしていただきたいと思うのです。この自動踏切遮断機の場合、警報開始後から遮断開始後の予告時間、あるいは遮断完了後引車の踏切道に達するまでの時間などについて、国鉄私鉄等もそれぞれ統一した基準が定められておる、こういわれておりますが、これは自動踏切遮断機の場合ですが、手動の踏切遮断機の場合における基準というものは設けられておるのですか、その点どういうふうになっておりますか。国鉄のほうからひとつ……。
  70. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 列車が来る前何秒前におろすということにつきましては、都市付辺の非常に繁忙な踏切と、地方の比較的閑散なところでだいぶ事情が異なっておりますので、その辺は実際の各現場におきまして、内部的に定めてやらしておるのが普通でございます。そういたしますことが実際的であり、また情勢に合った効果的な道だと私は思っております。したがいまして、今後全国的に何分前に遮断機をおろすかというふうな指導は現在のところは考えておらぬわけであります。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、実は具体的な問題として、あるところで踏切遮断機の降下遅延という事故があった。そこへ行ってみました。踏切警手の場所へ行きますと、わざわざ上り下りとも接近ベルがあるわけです。上りのときには接近ベルが鳴ったと同時に降下をせよ、下りのときには接近ベルが鳴って、そうして汽車を見ながら降下をしているわけです。これでは接近ベルの効果がないじゃないか、接近ベルをもう少し直して、接近ベルが鳴ったら必ずおろすというような構造にしない点に問題があると思う。ましてや見通しのいいところならともかくも、見通しの悪いところ、あるいは見通しの悪い天候のときには相当困難であります。せっかく接近ベルというものをつくりながら、接近ベルというものが汽車が来るぞという合い図だけだ、しかし片ほうは接近ベルと同時におろせということで、その構造上の問題で踏切警手の責任にするというのは検討すべきじゃないかと言って私は意見を申し上げたことがあるのですが、聞いてみますと、これは全国に各所にあるようです。ですから、この点は踏切警報機の問題につきましても、急行あるいは特急、普通、貨物列車ごとに警報時分の長短の差をつけるようなものができたといわれておりますから、やはりブザーが鳴ったすぐおろすというくせをつけさせるべきだと思うのです。それを一現場の踏切警手という人に判断をまかしておるという点はやはり科学的ではないと思うのです。この点は検討して、国鉄私鉄もあると思いますけれども、これはやはり十分検討して改めるべきだと私は思うのですが、この点いかがですか。
  72. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 先ほどの、遮断機をおろして現実に列車が来る時間というものは先ほど申し上げましたような事情になっておりますが、列車の接近を予報させる装置と現実に遮断機をおろす時間の問題につきましてただいまお尋ねがあったと思いますが、接近予報装置といいますものはかなり昔から普及しておりまして、まだ全国一斉にそろっているわけではございませんが、もう残り少ないわけでございます。新しくつくるものにつきましては、ただいま先生の御指摘にありましたように、予報装置が働き始めれば必然的に遮断機を締めるというやり方に極力持っていっているわけでございます。ただ、状況によりまして非常に大げさな装置が必要なところが間々あるわけでございます。そういうところは、目下のところは、私ども普及を早くさせる意味におきまして、たとえば鳴り始めてから三十秒たっておろすというふうなところも残っておりますが、ただ、将来の目標といたしましては、一番最初に申し上げましたように、逐次整備をはかってまいりまして、予報装置と同時に、この予報装置が働き始めれば直ちに遮断機をおろすというふうに持っていきたいと思っております。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 自動踏切遮断機の場合は接近と同時におりるわけですね。しかし、今度は踏切警手のおる場合においては踏切警手の判断というものになるわけですね。ですから、その判断というものが、接近ベルが鳴って十秒あるいは二十秒、三十秒たってということでなくて、その接近ベルの鳴る位置を変えさえすれば、簡単な変更によってできるのじゃないかと思うのです。私もいろいろ現地にまいって感ずるのですけれども、それがただ国鉄の駅の駅長と踏切警手の内規だけでやる。そうしてそれが降下遅延になって事故になっているという点を考えてみると、やはりその点は、何もそう金のかかることではない、十秒か二十秒あるいは三十秒の違いなんだ。ですから、もう待っているほうからいえば、十秒や二十秒でも長い時間に感ずるわけですが、そういう点はやはり踏切警手の詰め所でブザーが鳴ったらとにかくおりるものだ、こういうことが周知徹底されれば、音が大きいわけですから、そういうふうな統一を私はすべきだと思う。統一をしていなくて踏切警手のただ単なる判断でブザーが鳴ったあと三十秒、特急のときには何秒、こういうことで降下をやって降下遅延をさせるということについては、私はその責任の所在というものを踏切警手に負わしているいまの国鉄のやり方というものは、これは私は構造上の問題で、特に東海道線のような場合ですね、いなかの線は別として、東海道線のような場合においては私は当然直すべきだと思うのですよ。なぜ接近ベルがあるかという点から考えてみても、技術的に言いましても位置を変えられないことはないわけですね。ですからそういう点はいまの御答弁でなくて、やはりこれは早急な対策としてやっていただきたいと思うのです。もしそれがなされないとするならば、降下遅延という現象というもの、ベルが鳴ってあと十秒、二十秒、三十秒後におろすというのは踏切警手の判断だというならば、それはあまりにも非科学的なものだと思うのですよ。ましてやこのごろのような天候では見通しが悪い、むろん現実には見通しの悪いところはありませんけれども、しかし貨車が入っているとかいう点であるわけですから、そういう点はやはりもう少し検討されて、早急な結論として実施をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  74. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 目下急速にそういった方面を整備しつつある状態でございます。新しいものは初めからそういうふうになっておりますし、昔からあるものにつきましては改良を進めておるわけでございます。それから降下遅延の原因につきましては、必ずしもその装置の不備のために全部起こっておるというわけではない場合がございます。その点も御承知を願いたいと思います。
  75. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはあなたの御指摘のとおりずいぶんいろいろ原因があります。けれどもわざわざ科学的な接近ベルというものをつけていながら、それが鳴ってから何秒たっておろすとか、特急の場合はこうだとか、貨物列車はこうとかいうことではなくて、やはりそれは構造上として、ベルが鳴ったらすぐ通行者の整理をしておろすんだというふうに改めるほうがより科学的だと思うのです。  そこで次の問題は、踏切道整理統合というのがいま国鉄においても私鉄においても盛んにやられております。しかしすでに御承知のとおり踏切から踏切までの間隔が百メートル以下のところが一万五千三百九十三カ所もあるという統計が出されておる。これはやはりもう少し踏切の問題として国民に明確にアッピールすべきだと思う。百メートルの間隔しかないところで一万五千カ所もあるというのですから、これはやはり踏切をもっと減らさにやいかぬということだと思う。踏切を一つ減らすことについてどれだけ苦労しておるということは私もよく知っております。この間飯田線へ参りましたら、そこは町と国鉄と一緒になって踏切を減らそうじゃないかという相談をしておりました。この間御殿場線へ参りましても同じようなことがやられております。国鉄自体も積極的にやられておるようですが、これは国鉄だけでやろうとしてもたいへんだろうと思う。そういう点では建設省も力をかしてやっていただいて、建設省が言うと、建設省は補助金を地方公共団体にやっているわけですから、言うことを聞かざるを得ないわけです。ですから百メートル間隔の中に三つも四つも踏切がある、踏切といっても農道とか私道なんですね、市町村道じゃないわけです。そういう点国鉄が話をするよりも、建設省が言うほうが地方公共団体については実によくきくわけです。地方から見てみますと、建設省というのはたいへんこわい役所——と言うとおこられますけれども国鉄から言えばの話ですから、こういう点は国鉄もただ単に国鉄でものを考えずに、全体的に建設省の応援を得てやってもらいたい。いま百メートルの中に三つもあるところがあって、その一つをとろうとすると住民が反対をする、極端には、むしろ旗は持ちませんけれども、いろいろ困っているのですから、そういう点はある程度強制力を持ちながらも整理統合しなければいかぬと思うのですが、その点建設省のほうはどうでしょか。
  76. 宮内潤一

    ○宮内説明員 全く同意見でございまして、いま国鉄と私どもの間で話が出ました区間については、極力そういう整理統合をするということで進めております。
  77. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで国鉄のほうでも、いまの建設省のほうの意見を十分了解をしていただきたい。これは現地で具体的にやっている保線区長などみんな苦労されておるわけです。そしてその踏切がなくなればなくなるほど速度の問題についても影響するわけです。また利便にもなるわけです。運転手の場合から言えば、踏切を通っているわけですから、そういう点についてはぜひひとつ積極的に進めていただきたい。  それから次に踏切道における交通制限、あるいは一方交通とか車両制限などの問題です。この点についても、もう少し国鉄は警察庁のほうにも話を進めて、必要な個所については勇断をふるってやるべきだと思うのです。特に都市交通の中における、このごろの一方交通とか道路標識を見てみますと、思い切った措置が行なわれているわけでありますが、踏切を見てみますと、事故がなければそういうことがやられないわけです。それは現地の踏切警手あるいは保線区長なり、そういう人はよくわかっているはずです。いま私の手元にあるのでも、場所も出ておりますけれども、従業員の意見としては踏切横断者の制限とか一方交通とかいうようなものをやってくれ、こういうことが出されておる。しかし現実にやっている職員の意見というものは国鉄の中には通ずるでしょうけれども国鉄から対警察というと、国鉄自体が消極的なんです。いまの建設省に対する統廃合の問題も私は同じことだと思うのです。自分だけの力でやろうとするから、こっちをやろうとするとこっちだということで、国鉄だけではなかなか話が解決しない。だからやはり一方交通の場合においても、国鉄と警察と十分話をしながら、警察の協力を得て、ここは交通制限しよう、ここはトラックはもうだめだ、ここはもう三輪だけだということを、いま東京都の中で交通制限をやっておるのと同じように、国鉄ももっと積極的にやっていく。そのことは事故をなくすということですから、そういう点で積極的に取り上げて、もっと意見調整というものをスムーズにやるべきだと思うのですが、その点について警察庁のほうの御用意があるのですか、いかがです。
  78. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 現実の交通の規制は、御承知のように警視庁なり都道府県の警察なりがやっておりますので、警察庁としては、特に具体的な問題でどうこうということはございませんが、鉄道側からしかるべき御相談があれば、現在においてもいろいろと御相談になってやっておるところと思います。なお将来そのように努力するようには考えております。
  79. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで次に私は踏切道とそれから道路との幅員の差があって、それによる事故というものが起きているということがこの白書にも載っているわけでありますけれども、こういうような問題も、やはり国鉄道路管理者といいますか、こういうものがスムーズにいっていない証拠だと思うのです。ですから国鉄の対道路管理者、あるいは地方公共団体の協力を求めなければやれないわけです。この統計を見て私は驚いたのですけれども、これは早急にどちらかにやはり統一をすべきだと思う。負担割合がきまっておるわけですから、そういう点についても少し進めていただきたい。その問題はおわかりになると思いますから答弁は要りません。  最後に、逆踏切といいますか、これは鉄監局長もよく御存じだと思うのですが、たとえば沼津の市内に蛇松線という貨物線があります。一時間か二時間に一回しか貨物列車が通らない。そのために東海道国道一号線がみんなそこで一たん停車をしておる。そういうときは線路のほうを締めておいて、汽車が通るときに踏切を上げて汽車を通す、交通遮断をする、こういうことも必要じゃないか。信号をつければそれで解決するわけですけれども、そういう点などについても、これは積極的に一つ一つ検討してもらいたいと思う。特に国道一号線のようなところでそういう点があるわけです。私の知っております沼津の中にも、あるいは金谷というところでも、大井川鉄道が横切っておるのです。また都市の中にもだいぶあるわけです。ですからこういう点はどちらが信号機を負担するかよく知りませんが、やはり線路だから一たん停車しなければならぬでしょうが、信号機をつけることによって、一たん停車せずにやるということがまた交通の緩和をさせることになるわけです。これは踏切事故というものから考えたら、信号があれば問題はないわけです。そういう点でもこのごろ見てみますと、二、三カ所進められてきたように思いますけれども、その点もぜひ検討していただきたい、こういうようにお願いをする次第でございます。あとまだ質問がありますけれども、きょうはこの程度にいたしまして、次の機会に質問を続けさしていただきたいと思います。
  80. 佐々木義武

    ○佐々木小委員長 内海清君。
  81. 内海清

    内海(清)小委員 もう時間もないようですから、簡単に一、二質問いたしたいと思います。  現行法の踏切道改良促進法は、三十六年度に制定されたわけです。これが制定されますときに、この委員会でもずいぶん論議いたしました。われわれとしてもこの法案には多くの問題を持っておったのでありますが、ちょうど予算編成期前でもあり、いままでよりも大きな前進ではないかということでこれに賛成いたしたのであります。そしてこの促進法によりまして昨年度からいろいろと踏切改良が行なわれ、これは大きな成果をあげたと思うのであります。原因ははっきりわかりませんが、いずれにしても昨年度において多少踏切事故が減ったということは、きわめて喜ばしいことだと思うのであります。しかしこの促進法を制定される前に、おそらく政府、与党にしても、もっと完全なものをつくりたいとお考えになったと思います。今日議題になっております踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案、こういうようなものは内容的に私はおそらくこれは与党としても同様にお考えになったと思うのであります。こういう踏切事故防止等の問題につきましては、もちろん与野党ございません。少しでもそういう事故を少なくしようということはお互い国民の念願なのであります。でありますから、今日提案されておりますこの法案について、おそらく内容的には反対の方は一人もないと思うのであります。しかし、それは予算の問題でありますと、その他いろいろな制約が出てきて、促進法というものが成立するような運びになったのだと思うのであります。今回のこの法案につきましても、たとえば踏切保安要員の訓練あるいはその他配置の問題につきましても、運輸省なりあるいは国鉄のほうにおきましてもそうあるのが好ましいという御発言もあったようであります。これはひとつ十分話し合いの上で、できるだけこの問題については進めていかなければならぬ問題だ、こういうふうに考えるのであります。特にこれは提案者からもお話がありましたが、いまの促進法では、これは改良個所運輸大臣が指定をしまして、そうして鉄道事業者道路管理者にこれを改良実施さすということである。この経費の問題などが大きくかかりまして、特に地方の公共団体等においてはなかなか思うにまかせないという実情が多くあるわけであります。昨年度は多少交通事故が減っておりますけれども、この交通量はもう年々増加して、道路も狭隘になっておる。こういうことで、交通の混乱を起こす状態は今後ますますはなはだしくなると思いまするし、また鉄道等におきましても、これはもう列車が増発される、あるいはスピードがアップされるということで、今後これはよほどお互いが考えなければ、この事故はますます増加するものだから、これは考えなければならぬと思うのであります。したがって、現在の促進法で満足してはいけない、できるだけこれをりっぱなものにするということによりまして事故をなくすということに持っていかなければならぬと思うのであります。そういう意味合いから申しまして、現在のは時限立法でありますが、この間におきまして、既成の踏切というものが全部何かの措置がとられるというならけっこうだけれども、いまの情勢ではなかなかそういかぬであろう。これは当然恒久立法として進めていかなければならぬ。国としても、政治の上からいっても大きなことではないか、かように考えておるのであります。  そこで、この法案につきましては、私ども内容的には非常に賛成する面が多いのでありますので、これを実施するとしてどうかという行政庁のほうの意見を聞きたいのでありまするが、きょう御出席になりました方では、法案内容をほとんど御検討になっていないということが多いようでありますので、この点はたいへん遺憾に存じまするが、いずれまたの機会に御意見をお伺いいたしたいと思います。したがって、きょうは時間もありませんから、とりあえず国鉄当局に御要望のようなことでありますが、私の気づいた点でちょっとお尋ね申し上げたいと思うのであります。  第一番は、私特にお願い申し上げたいと思うのは、いなかに参りまして、そうして踏切を渡って学校に登校、下校する、踏切の近くに学校のあるようなところがだんだんあるのであります。ところが、これは登校と下校の際に生徒が通る程度で、しかもいなかの小さい学校でありますので、そうたいした交通量でもない、したがって踏切としては重要に見られないわけなんです。ところが、こういうところでとかく小さい生徒などの事故が起きる。そういたしますと、これは父兄からいうと、国鉄に対して非常なあれを持つわけです。こういうことは非常に考えなければならぬ。もちろん保安設備などいたしますにつきましてはそれぞれ順序があると思うのであります。しかしこういうふうな特別なものは特に留意して考える、この点があってしかるべきじゃないかと思うのであります。こういう点につきましての今日までのお考えについて、ちょっとお伺いいたしてみたいと思います。
  82. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 その場所場所によりまして特殊事情のあるところはなるべく考えてまいりたいということでいままでもやってまいりましたが、なお具体的なことがございましたならば、その点について検討いたしたいと思います。  また法律によります省令の基準にいたしましても、ただ単に交通量の問題だけでなくて、やはり付近に学校があって通学の事情云々という条文もございますので、そういう方面の御支持も得ながらやってまいりたいと思います。
  83. 内海清

    内海(清)小委員 これはひとつ今後こういう点につきまして特に十分お考えいただきたいと思うのであります。これは国鉄に対しまする住民の感情といいますか、他の事故があってそれでどうということでは決してありませんが、学童などが事故にかかった場合には、父兄の気持らは十分わかるわけでありますけれども、まことに複雑なものがあると思うのであります。そういうことが将来いろいろな国鉄の問題に対しても影響するところもあると思います。お考えいただきたいと思います。  それから、これに関連したようなことでありますけれども、ローカル線になりますと、これは汽車の回数もきわめて少ない、あるいはそういう踏切通行いたします人の数も少ない、そういうふうなことでありますが、ところが非常に見通しが悪いとかその他というふうなときに事故が今日まで起きてきておる。ところが、こういうところは警報機をつけてというふうな安全装置をやるにしましても、国鉄のほうでは、二年間に何件の事故があった、あるいは三年間にどうというふうな一応の基準があるようでありますが、これらにつきましても住民としては非常な関心を持つわけでありますが、そういう個所はなるほど交通量か少ないのでありますから、警報機でなくても、見通しか悪いところは、そういうところもだんだん見受けるわけでありますけれども、もっと実情を調査して反射鏡でもつける、そういう措置をやるだけでもよほど注意を喚起して交通事故を防ぎ得ると思うのであります。この反射鏡というふうなものは、これをつけられるのはやはり一定の基準があるわけでございますか。
  84. 渡辺寅雄

    渡辺説明員 反射鏡の設置につきましては、特に基準を定めておりませんで、現実面といたしましては鉄道管理局長にまかせてやっております。しかも単価が安いものでございますから、これは現地限りで十分裁量がつくものだと思います。何かございましたならば本社としても指導をいたしたいと思います。
  85. 内海清

    内海(清)小委員 いまのお話でその点わかりましたが、こういうふうなことは現地に参りますといろいろ話がございますので、これは鉄道管理局長の裁量でいくということなら、そちらに連絡して措置することにいたしたいと思うのであります。  それからもう一つ、今度の法案の、さっきちょっと御質問もありましたが、二十三条、二十四条に関係いたしました「禁止行為」あるいは「違法工作物等に対する措置」というのでございますが、これにつきまして私最近相談を受けたこともあるのであります。さっきは踏切番の小屋の問題なんかが出てまいりましたが、それでなしに民間の建築物であります。カーブなどしているときに鉄道に沿ってそういうものができたために非常に見通しが悪くなってくる。こういうのが現実にあると思うのです。自分の土地に自分の家を建てるのは、なかなか制限しようがないかもしれませんけれども鉄道保安上からいえば、これはまたきわめて重要なことと思うのであります。これは今度の法案の二十三条、二十四条でそういうものまでお考えになったかどうか、この点は存じませんけれども、そういうものも何かに置いてこれが規制できるものであるならば、今後やはり国鉄事故をなくすというたてまえからいえば、これは考えるべきじゃないか。地方住民にはその点は批判しておる向きもあるわけでありますが、ところが現実の問題として、いまそれをどうこうすることができないというふうな問題があるわけであります。これらの点につきましても、今後においてさらにひとつお考えの中に入れていただきたい、こういうふうに思います。  それからいま一つ、先ほど踏切統合の問題で勝澤委員からもお尋ねがあり、建設省関係に御要望もありましたが、私はこの点は建設省関係にもお願いしたい。ひとつ統合をやったらどうかという問題で、現地の者が判断しましても、これは実際なかなかむずかしい。そこで現地の人が言ってきたのは、こういうようなことはひとつ警察から話をしていただけば案外やりやすい、こういうわけなんであります。これはそういうことに使って、あるいは実際お役目からいったら多少あれがあるかもしれませんけれども、しかしお互いそういうふうな事故を少なくする、あるいは踏切整理統合をしていこうという場合に、こういうふうなことははなはだ迷惑な話だと思いますけれども、お役目を買っていただけば、また事がスムーズにいく場合があると思う。ことにいなかにまいりますほど、今日民主警察でありますけれども、なおいろいろ警察に対する住民の感情もありまして、そういう場合にはひとつ警察のほうも一役買うという御指導、これは国全体の政治の上からもお考えいただかなければならぬと思います。これは現実にあった問題で、小さい問題でありますけれども、そういうふうなこともありますので、ひとつお考えおきいただきたいと思います。  時間がありませんから、私はこの程度でとどめたいと思います。
  86. 久保三郎

    久保議員 ただいま内海委員からも、提案いたしておりますこの法案については、おおむね御賛成のような御意見をいただきまして、ありがとうございました。われわれとしては何とかして一歩でも二歩でも前進させたい、こういう念願から出しておる法案でありまして、決して党利党略というか、そういうものではなくて、むしろ真剣な意味でやっているわけでありますから、提案しております法案に不備あるいは欠陥もあろうかと思うのでありますが、これは十分それぞれお話をいただきまして、できますならば三党共同提案ということにも考えてもよろしいかと思うのであります。まあ先ほど自民党の關谷委員から御批判がありましたが、どうも御批判も当たっていないんじゃないかという気持ちがしているわけなので、幸いに自民党の代表として出ておられますから、十分お考えをいただいて、この際は考えてほしい。  それからなお政府当局で本日おいでになっているそれぞれの方々に、提案者として一つ申し上げたいのだが、先般議員立法でこの席で観光基本法案が審議されました。半日でこれは通過したのであります。その際にも私で特に質問したのでありますが、この質問にあたっては、政府当局である観光局長は、進んで詳細な答弁をしておる。本日の關谷委員その他から何か発言の制限もあったという——勘違いをしておるかもわかりませんが、われわれが提案した法案に対して見解を述べることは、一向差しつかえない。また着任早々でわからないというならば、これはおかしい。いままでそれぞれの部局においてこれは研究されておるはずです。だから当然ここである程度答弁はできると私は思います。どうも私は提案者として本日は不愉快きわまる、こういうことではたしてそれぞれの制度ができているかどうか、われわれは真剣に考えて、この立法の過程においては、なるほど実際を扱うのが行政府である政府当局なんだから、あるいは国鉄当局なんだから、率直にこの法案に対しての批判も必要だし、あるいは意見も必要だと私は思う。そうでなければ国会の場所で論議は空転するだけです。そういうことであっては国会の審議というのは進展しないし、民主政治というのは確立できない。だからこの際はっきり申し上げておくが、次会は質問者に対して、私どもが提案している法案に対する見解をきっちり述べられるように、ひとつ御用意をいただきたい。  それからもう一つは、なるほどわれわれは提案者でありますから、この法案関係した一切の資料はもちろん用意せねばならぬ筋もあります。しかし今日におけるこの法案関係する踏切道の実態なり交通事故の実態についての資料は、これは政府当局並びに国鉄当局が出すのが当然です。これはちっともためらう必要はないし、また要求があれば出すのが当然です。だからこの法案が審議されるときには、当然そういう資料を持ってきて、議員の質問に答えられる用意があるのが当然だと思います。これだけははっきり申し上げておきます。
  87. 佐々木義武

    ○佐々木小委員長 本日の会議はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会