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關谷委員(關谷勝利)
○關谷
委員
私は、この
日本鉄道建設公団法案
に対しまして賛成の意思を表明いたします。 この
法案
が
提出
せられまして以来、全国各地から来ておる数百通にのぼりますところのこの
法案
通過要望の電報等を見まして、私はその要望の熾烈なのに驚いたような次第でありまして、この
法案
通過は、全
国民
の要望であると考えております。
国鉄
当局は、
国鉄
新線
の
建設
は
赤字
になる、そうして
国鉄
の独立採算が危殆に瀕するというようなことで、
国鉄
に
新線建設
の意欲がないのと、一方におきましては、後進
地域
の
開発
あるいは
地域格差
の是正等を達成いたしまするためには、どうしても
新線建設
は別途に切り離してやる以外に
方法
がないということは、
国鉄
に関心を持つ人のだれにもよくわかっておる事実であります。その点が私どもの賛成の第一点であります。 またこの
公団
は
赤字
は必至でありますることはだれが考えてもよくわかっておりまするが、設立の目的からいたしまして、究極的には
政府
が
一般
会計から
補助
をするということが言外に含まれておりますることも、これまたたれしも了解し得るところであります。 なお、
国鉄
の
予算
が膨大であるということで、従来も
国鉄
新線
を促進しようと言いました場合に、大蔵大臣が楯君の先ほどの質問にはっきり答えておりまするように、
国鉄
にはなお合理化の余地があるではないかということばかり議論せられて、十何年か
新線建設
を促進しようとしてもでき得なかったのも事実であります。そのような事態を解消するためには、
国鉄
全般の経理から
新線建設
だけを切り離すことによって、そのような議論を省略することができて、もっぱら
新線建設
を促進することができると大蔵大臣ははっきり政治情勢をぶちまけて言っておりますることも、私たちは十分了解するところであります。以前、池田総理も自由民主党の政調会長でありました当時に、
国鉄
に対しまする
新線建設
は別に考えなければならぬ、また
国鉄
へは
補助
もしなければならないと言いながらも、もう一年だけ合理化というところで考えてみようじゃないか、その後に別に考えようというようなことを言ったこともあるほどです。これは内部事情でありますけれども、そんなこともあるのでありまして、これを切り離すことによって、私は
新線建設
を促進することができるというふうに考えておるものであります。 なお、この
公団
の
建設
線につきまして、無償貸与とか有償とかいうようなことを言っておりますけれども、設立の目的からいたしまして、第二十三条はそのただし書きのほうに重点を置くべきだと考えております。「運輸大臣が後進
地域
その他特定の
地域
の
開発
等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した
鉄道
施設は、無償で貸し付けることができる。」というのは、後進
地域
等の全
鉄道
に適用することができることはだれが考えてもわかっておる理屈でありまして、これをとやかく言う根拠はないと思うのであります。 なお、また、
新線建設
によります
赤字
をはっきり区分することによって、
一般
会計から補てんする金額の算定を容易にすることができることは、だれしもよく理解するところでありまして、繰り返して申し上げる必要もないのであります。 なお、先ほど所得倍増
計画
というものは
企業性
の向上であって、公共性には反するのだからこれはやるべきではないと楯君は言いましたが、所得倍増の
基本
となりますものは経済基盤の強化でありまして、
道路
、
港湾
、
鉄道
、住宅、工業用水を完備することが
前提
であることは、所得倍増
政策
に述べられておるとおりでありまして、その線に沿っておることは、所得倍増
政策
を論ずる人にはだれしも了解せられておる事実であります。 私は、あらゆる面から考えまして、
国鉄
の
負担
を減少し、
新線建設
の促進をいたしますためには、この
公団
がぜひ必要であると考えまして、賛成をいたすものであります。(拍手)
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1963-06-24 第43回国会 衆議院 運輸委員会 第35号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年六月二十四日(月曜日) 午前十時三十二分
開議
出席委員
委員長
木村
俊夫君
理事
佐々木義武
君
理事
鈴木 仙八君
理事
高橋清一郎
君
理事
細田 吉藏君
理事
山田 彌一君
理事
井手 以誠君
理事
久保
三郎
君
理事
肥田
次郎
君
安藤
覺君 有田 喜一君 有馬 英治君
伊藤
郷一
君
伊藤宗一郎
君 尾関 義一君
加藤常太郎
君 簡牛 凡夫君
壽原
正一
君 關谷 勝利君
田澤
吉郎
君 中馬 辰猪君 福家 俊一君
増田甲子
七君
大原
亨君
加藤
勘十君
勝澤
芳雄君 楯 兼
次郎
君
松原喜之次
君
矢尾喜三郎
君 内海 清君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 田中
角榮
君 運 輸 大 臣
綾部健太郎
君
出席政府委員
内閣法制局参事
官 (第四
部長
) 關 道雄君
運輸政務次官
大石
武一君
運輸事務官
(
大臣官房長
) 今井
榮文
君
運輸事務官
(
鉄道監督局
長) 広瀬
真一
君
委員外
の
出席者
議 員
久保
三郎
君
運輸事務官
(
鉄道監督局国
有
鉄道部長
) 向井 重郷君
日本国有鉄道
副 総裁 磯崎 叡君
日本国有鉄道常
務理事
河村 勝君 専 門 員 小西
真一
君
—————————————
六月二十四日
委員川野芳滿
君、
砂原格
君、
下平正一
君及び松
井政吉
君
辞任
につき、その
補欠
として
田澤吉郎
君、
安藤覺
君、
大原亨
君及び楯兼
次郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員安藤覺
君、
田澤吉郎
君、
大原亨
君及び楯兼
次郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
伊藤宗一郎
君、
川野芳滿
君、
下平正一
君及び
松井政吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員伊藤宗一郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
砂原格
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
鉄道新線建設緊急措置法案
(
久保三郎
君外九名
提出
、
衆法
第四六号)
日本鉄道建設公団法案
(
内閣提出
第一〇〇号) ————◇—————
木村委員長(木村俊夫)
1
○
木村
委員長
これより
会議
を開きます。 去る二十
日本委員会
に付託されました
鉄道新線建設緊急措置法案
を
議題
といたします。
—————————————
木村委員長(木村俊夫)
2
○
木村
委員長
まず
提出者
より
提案理由
の説明を聴取いたします。
久保三郎
君。
久保議員(久保三郎)
3
○
久保議員
ただいま
議題
となりました
鉄道新線建設緊急措置法案
の
提案理由
及びその
要旨
を御説明申し上げます。 この
法律案
は、
日本国有鉄道
が行なう
鉄道新線建設
の、緊急かつ
計画
的な
実施
を促進するため、
鉄道新線建設
十ヵ年
計画
の
策定
とその
実施
に要する
国庫負担等
について必要な
規定
を設けようとするものであります。 御
承知
のとおり
鉄道新線
の
建設
は国の
産業開発
、
経済発展
、あるいは
地域格差
の是正のためには大きな役割を果たすものであります。したがって、
鉄道敷設法
第一条
別表
により定められています
予定鉄道線路
は総数において二百三十一線に達する多きを数えております。 ところが、そのうち現在
建設工事
を進めておりますいわゆる
着工線
はわずかに四十八線であり、また次に
着工
を
予定
されています
調査線
は十五線という
実情
であります。しかもこれらの
着工線
及び
調査線
につきましても、現在
国鉄
が行なっております毎年六十億ないし八十億
程度
の
建設資金
の
投資規模
では、今後十年先はおろか、二十年先になっても
完成
を見ないのであります。今日までの
建設
のテンポをもって今後を予測しますならば、
着工線
及び
調査線
の
合計
六十三線をすべて
完成
させるためには四十年ないし五十年の歳月を見込まなければなりません。加えて
鉄道敷設法
第一条
別表
の
予定鉄道線路
二百三十一線の全部を
完成
させるとすれば、これは何百年もかかり、その必要とする
建設資金
もこれまた
天文学的数字
となるのであります。
鉄道新線
の
建設
が必要とされながら、なぜこのようにそれが進まないのか、その
理由
は大きく分けて次の三点にあると考えられます。 その第一は、現在の
国鉄
の
経営方針
であります。
国鉄
はその
経営
が苦しいあまり、いわゆる
企業性
の追求に急となり、
独立採算制
というたてまえからも、金のもうかる面にのみその力を注ぐといった
経営
の
方針
にならざるを得ない
状態
にあります。そのためその本来の
使命
である
公共的任務
についてややともすれば欠けるうらみを持つのであります。しかも最近における
輸送
の逼迫は、
鉄道新線
の
建設
よりも、現在
線区
の
輸送力
を
増強
し、激増する
輸送
の要請にいかにこたえるかが重要な問題となってきております。すなわち
輸送力増強
と
輸送
の
近代化
が緊急の
仕事
となっているのであります。これらは三十二
年度
から始めた
国鉄
第一次五ヵ年
計画
及び三十六
年度
からの第二次五ヵ年
計画
を通じて示された今日の
国鉄
の偽らざる姿であります。 このままの
状態
を続けておるならば、
新線建設
の面において毛きわめて大きな問題が横たわっていると考えるのであります。現在、
建設
が進められている
着工線
と、近く
着工
する
予定
の
調査線
の全部について
建設
を完了されるまでに必要とされている総工費は
合計
して五千億といわれております。これらの
資金
についてどのように
確保
するかが大きな問題であります。すでに
国鉄
は第一次及び第二次五ヵ年
計画
を通じ、今日までの
長期負債
の
総額
は六千億に達しています。先日発表されました
国鉄諮問委員会
の答申によりますと、今後とも現在の
投資規模
を維持して
国鉄
が
輸送力
の
増強
、
輸送
の
近代化
を進めますならば、
昭和
四十五年には
負債
の
総額
は二兆四千億をこえ、
支払い利子
のみでも
年間
約千六億円、つまり
予定
される
収入
の二割が
利子
の
支払い
に充てられるという
国鉄経営
の
破局
を予測しているのであります。さらにこの推計には
鉄道新線
の
建設
を含めておりませんから、これに今日以上に
鉄道新線
の
建設
を行なうこととし、そのための
借り入れ金
を増加することとすれば、
破局
が一そう早く訪れるであろうことは論をまちません。
鉄道新線
の
建設
のために巨額の
資金
を必要とし、その
資金措置
の困難さが、
鉄道新線
の
建設
が進まない第二の大きな
理由
なのであります。 加えて
鉄道新線
の
建設
は、その
資金
が巨額であるのみならず、
完成
までの
懐妊期間
が長く、未
稼動資産
となって
経営
上にもまた多くの
圧迫
を加えるのであります。これらの点よりしますならば、その
建設資金
の手当てをどうするかを考えない限り問題は
解決
しないのであります。 また第三の
理由
として指摘しなければなりませんのは、
建設
された
鉄道新線
の
経営
の問題であります。戦後
鉄道新線
の
建設
が再開されましたのは、名目的にもせよ
日本
が独立したといわれました
昭和
二十七年からでありますが、その後今日までに約六百億円にのぼる
資金
をもちまして、
合計
五十四線、二千九十六キロの
新線
を
建設
しているのでありますが、そのうち開業致しております
線区
は
全線
二十一、
部分
八の二十九線、六百五十一キロにすぎません。しかもこれらの
新線
は今日に至るもすべて
赤字経営
であります。今後
建設
されるであろうところの
新線
につきましても、資料によりますと、
海峡連絡鉄道
を除きまして、そのいずれもが、すべて
赤字経営
を予想されておるのであります。かりに先ほど申し上げました現在の
着工線
及び
調査線
につきまして、すべて
完成
したときの
経営
について予測してみますと、
営業
上生ずる
赤字
は
利子負担
を含めずして
年間
六十四億円をこえると予想されるのであります。このようなことでありましては、
新線
の
建設
が進めば進むほど
国鉄
の
経営
はますます苦しくなり、ごく最近の
機会
に決定的な
破局
を迎えるであろうことを予想しないわけには参りません。 また
一般
に、
鉄道経営
は巨大な
固定資本
を必要とするにもかかわらず、一方では安い
運賃
で
大量輸送
を行なうという
公共的使命
を持つものでありまして、
投下資本
に対して利潤の少ないのが特徴とされておる
企業
であります。したがいまして、従来から
営業
しております
線区
と、新しく
建設
された
線区
では、その
減価償却費
に大きな違いが生ずるのでありますが、それを
理由
として、
線区ごと
に違う
賃率
を適用し、事実上
鉄道新線
のみ高い
運賃
とするようなことは許さるべきではないと考えます。したがいまして、今日のままの
状態
で
鉄道新線
の
建設
を促進いたしますならば、結果において全体の
運賃値上げ
を早い
機会
に導き出すこととなり、これまた私どもとして容認すべからざることとなるのであります。
鉄道新線
の
建設
について考えます場合には以上のような現実に立って、これを
一つ
一つ
解明し、その解答を与えてやる
立場
に立たねばならぬのであります。 そこで、
政府提案
の
鉄道建設公団法案
は率直に申し上げて、これらの根本的な問題には何らの
解決
が与えられておらないように考えるのであります。
公団
をつくれば、
新線
の
建設
が促進されるというがごとき、ごく単純な理解しかなされていないのではないかといわざるを得ません。同
法案
によれば、本
年度
の
政府出資
はわずかに五億であります。他は
国鉄出資
七十五億を
予定
しているのでありまして、この限りにおいては何等従来の
建設規模
と変わりがありません。このようなものであるなら別に
公団
を設ける意義がないと思うのでありまして、どうも納得ができない点が多いのであります。その上
公団
でつくりました
新線
は原則として有償で
国鉄
に貸すか譲渡するというのであります。自分で金を出してつくったものにさらに金を出して借りるといった不合理な
規定
が書いてあるのであります。しかもそれは前にも申しましたようにすべて
赤字
が予想される
線区
でありますから、かりに無料で借りましたといたしましても、
赤字
の重圧に悩まされるのは当然のことであります。しかも同
法案
は、
赤字経営
によって生ずる
国鉄
の
負担
について何らの
規定
もいたしておりません。それはつまり、
赤字
は
国鉄
で始末せよとのことでありましょうが、これはたいへん不合理な話であります。その上、
公団
ができますと、せっかく長い間の経験を持つ
国鉄工事要員
を二分することとなり、第二次、第三次という五ヵ年
計画
の過程ですでに不足が伝えられています
工事要員
をさらに縮小し、その
弾力的運用
を失わしめるといった
損失
、あるいは
公団役職員
、特に
管理者ポスト
のみが増加する結果になるといった大きなむださえ生むのであります。 要するに
公団
の設置は百害あって一利なしという結果になるのであります。 もちろん
政府提案
の
鉄道建設公団法案
が出されるに至った経緯は簡単なものではございません。その
基本
は、
鉄道建設審議会
の昨年五月に出されました
建議
に基づくものであることは
十分承知
をいたしております。ところが、この
建議
の根幹をなすものは実は
建設資金
の
確保
に関するものであって、すなわち
鉄道新線
の
建設
は
一般国民
に与える
有形無形
の便益の増大と
国家経済
に与える
効果
の多大なることにかんがみ、国家的な
政策
上の
見地
から論ずべきであり、
日本国有鉄道
の
企業的立場
からのみこれを論ずべきではないことは明らかである、したがってこの
矛盾解決
の
方法
としては、
鉄道新線
の
建設
を
道路
、
港湾整備等
と同様に
政府
の
公共投資
とする以外にないものと思量せられる、よって今後の
新線建設
については、
政府
が
公共事業
として、その主たる財源を
負担
することが適当であると述べております。この
前提
に立ってのみ、
国鉄
と別個の
組織
を必要とする旨示唆したものにすぎないのであります。ところがいつの間にかこの本末を転倒し、枝葉の
部分
のみが持ち出され、幹の
部分
は置き忘れられている感が強いのであります。 このような
政府案
の
基本的欠陥
をただし、今日の
国鉄
の
実情
及び
新線建設
のあり方などの諸点を正しく理解する中から、ここに
鉄道新線建設緊急措置法案
を
提案
する次第であります。 申し上げるまでもなく、この
法案
は、
鉄道新線
の
建設
は、従来
どおり日本国有鉄道
をして行なわしめることを
前提
とし、
建設公団
といったような別な
組織
によることを考えておりません。それは、すでに申しましたところで明らかなように、
国鉄
か
公団
かが現在
新線建設
の
問題点
ではないからであります。
国鉄
の
技術陣
をもってすれば、今日
予定
されております
鉄道新線
の
建設
は決して不可能ではございません。いな、むしろ
国鉄
の
技術陣
の手にまたなければ、かえって多くの障害さえ予想されるのであります。さらにつけ加えて申し上げますならば、
政府
は現在ある
公団
その他の
政府機関
につき、なるべく合理化し、その縮小をはかろうとの
方針
と
承知
しておりますときに、
公団
を新たにつくるというのでは筋が通らないかと考えます。いたずらに
組織
をつくり、機構を複雑にするようなことは厳に慎しむべきでありましょう。
鉄道新線
の
建設
が遅々として進まない
理由
として、
冒頭三つ
の点を指摘いたしました。この三点について、どのように解明するかによって、
新線建設
の正しい回答が与えられるのであります。この
提案
は、この三点について次のように
措置
することが
骨子
となっているのであります。 その第一は、
鉄道新線
の
建設
は、単に
国鉄
といった
企業
的な
立場
だけから見ることを排除し、
政府
において、
日本国有鉄道
及び
鉄道建設審議会
の
意見
を十分に聞き、高い
見地
、広い視野より、国の
政策
として、本
年度
以降十ヵ年
計画
を定めることとした点であります。 もちろんこの十ヵ年
計画
の
策定
にあたりましては、
法案
に
規定
いたしました必要な手続を経ることは当然でございますが、特に、その
計画
を具体的に樹立するにあたって、いやしくも世間から
政治路線
の指弾を受けますような、
政治的圧力
によってそれが左右されることのないように、厳正に取り扱われることは絶対の要件であります。しかも
路線
の選定にあたっては、
個々
の
路線
について、他の
輸送機関
、たとえばバスとかトラックとかの
自動車輸送
との競合がどうなるかといった問題、あるいは
鉄道新線
の
建設
よりも
道路建設
のほうがより
住民福祉
の向上に役立つのではないかといったような問題など、総合的な
立場
に立って、科学的な検討が加えられ、今後の
経済発展
、
地域
の
開発
とも関連した十分な配慮がなされねばなりません。
計画
がいわゆる
総花式
となりますと、いたずらに
予算
の乱費となり、十分な
経済効果
を発揮し得ないのみか、国としても
過大投資
、あるいは二重
投資
、
三重投資
の弊害となり、大きな
損失
を招く結果となるのでありますから、この点は、ぜひとも慎重の上にも慎重を期さねばなりません。 なお十ヵ
年間
の
新線
に対する
投資規模
はおおむね三千億円
程度
が適切妥当ではないかと考えるものであります。 第二点は、十ヵ年
計画
に基づく
鉄道新線
の
建設
に要する経費の
半額
を国において
負担
し、
国鉄経営
に加えられる
圧迫
を幾らかでも緩和するとともに、
新線建設
の隘路となっています
建設資金
の
確保
をはかろうとしている点であります。この点については、すでにるる申し述べたとおりでありまして、多くを申し上げる必要はございません。しかしながら、特に次のことについてのみ触れておくことが必要であろうかと考えます。 それは、国の
負担
をなぜ
半額
としたかということであります。本来ならば、
日本国有鉄道
は
全額政府出資
の
公共企業体
でありますし、きわめて苦しい
経営
をいたしておるのでありますから、
全額政府負担
であっても当然ではないかと考えるのであります。 またそういう
意見
もしばしば聞かれるのでありますが、現在におきましては、他の
政府機関
、あるいは他の
道路
、
港湾
といった
公共事業
に対します
国庫
の
負担
割り合いを勘案し二分の一と定めた次第でありまして、この点は十分な御論議を承りたいと考えるところです。 第三の点は、
国鉄
が
新線
を
完成
後、その
営業
にあたって免じた欠損について、国から
補助
を行なうことを明らかにした点であります。これは現在予想される
鉄道新線
のほとんどが
赤字経営
であろうと推測されることにかんがみ、
新線
の
建設
によって免ずる
国鉄
の
経営
上の
圧迫
を幾らかでも排除し、それによって、健全な
経営
を維持するための
措置
でありまして、
補助
をする具体的な額は、毎
年度
の
予算
によるのでありますが、その
基準
となります計算の
方法
は
運輸省令
で定めることにいたしております。 以上がこの
法律案
の
提出理由
及びその
要旨
でありますが、何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
木村委員長(木村俊夫)
4
○
木村
委員長
次に、
日本鉄道建設公団法
、案を
議題
として審査を行ないます。
質疑
の通告がありますので、これを許します。
加藤勘
十君。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
5
○
加藤
(勘)
委員
まず第一に、
鉄道建設公団法案
につきましてはすでに同僚の諸君から若干の
質疑
がなされておりまするので、あるいは重複する点があるかもしれませんけれども、それはそれとして、私は本来的な
意味
においてのこの
公団建設
がなぜ必要であるか、その点をお伺いしたいと思います。
大石(武)政府委員(大石武一)
6
○
大石
(武)
政府委員
加藤委員
にお答え申し上げます。 なぜ
鉄道建設公団法
が必要であるかということにつきましては、前にも御説明申し上げたと思いますが、ただいま
久保委員
から読み上げられました
鉄道新線建設緊急措置法案
と全く同じような
理由
でございます。現在の
日本
の
鉄道新線建設
は
国鉄
に一任されておるわけでございますが、これだけではこの三千億あるいは五千億円にのぼる
国民
の要望する
新線
を
建設
することはとうてい不可能でございます。いまのやっと七十五億円もほとんど出し得ないような
国鉄
の現在の
経営状態
では、今後五十年、六十年たちましても、この
国民
の希望を達成することはとうてい不可能でございます。したがいまして、何とかして十年なり十五年以内にこのような
国民
の要望する
新線
を
建設
いたしまして、
国民
の
福祉
を向上させることが最も大切であると考えるのでありまして、そのためには
国鉄
だけに
責任
を持たせるのではなくて、国でも十分に
責任
を持ち得るように、そしてまた
公団自身
におきましても、
公債
その他の
発行
によりまして、
資金
の調達ができまして
工事
の促進ができますようなことを考えまして、
鉄道建設公団法案
を
提案
いたしたのでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
7
○
加藤
(勘)
委員
建設公団
ができるとどうやってすぐに金ができるのですか。いまおっしゃるとおり、
政府
もその
責任
を負わなければならない、
公債
を
発行
して
一般
からの
資金
の徴募もできる、こういうようなお話ですが、それならば
国鉄
が現在やっておる新五ヵ年
計画
に基づいてやるということとどういう違いがあるのですか。
国鉄
においてでも、もし
基準
の上において
公債募集
ができぬとするならば、それをできるようにすればいいじゃないですか。
建設公団
ができるというが、
建設公団そのもの
はある
意味
からいけば
建設
について
管理機関
なんです。
一つ
も
技術
があるわけではない。結局
鉄道
の
技術
を二分するということ以外にない。二分もしくは
鉄道
の
技術
を移譲する、転出せしめるということ以外にはないわけであります。それはどこから新しい
技術要素
が生まれてくるのですか。現在の
国鉄
の
技術陣
にまさる
技術陣
が
日本
のどこにあるか。そしてまたそういうものが
公団
の必要とするようなところに来るかどうか、そういうことだって将来の問題でわからぬと思うのです。私は結局
公団
は
国鉄
の
技術陣
を転出せしめる、移譲せしめるということ以外にはなかろうと思うのですね。
資金
も、この
法案
によれば、
政府
はわずかに五億円、
国鉄
が七十五億円出して、将来
全線完成
のためにはおよそ五千億円が必要とされておるという
資金事情
に基づいて考えるときに、一体これによって
年額
八十億円どこからどうして
公債
を募集するのか。またそのような
国鉄建設
だけの
公債募集
が、
年額
どれくらいになるかわかりませんが、他の
一般
の
金融事情
と関連して許されることであるかどうか。それからまた
受益者負担
というような形において地元にどういう
負担
をせしめるのか。
鉄道
を敷いて一年一回か二回乗るという人がどういう
負担
をしなければならないのか。
一体受益者負担
というものが、
鉄道建設
の場合に、公然と他の
区画整理等
に基づく
受益者負担
と同様に
法律
上の
義務
を負うのかどうなのか。もし
法律
上の
義務
を負わないとすれば、地価の
値上がり等
によって利益を受けるから、その分で
公債
を引き受けるという形において
負担
をするのか。それともこれは地方の
自治体
が
自治体
として
負担
をするのか。あるいは
個々
の個人が
負担
をするのか。この点がこの
法案
では明確になっていないのですが、どちらでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
8
○
大石
(武)
政府委員
御質問の数が非常に多いのでございますので、順次それぞれわれわれ御答弁申し上げますが、もし答弁し残しました点は御指摘いただきまして、また御答弁申し上げたいと思います。 いろいろな
資金
の問題の御心配でございますが、
資金
は御
承知
のように
国鉄
で新五ヵ年
計画
をつくってはおりますけれども、とうていこの五千億あるいは何千億というような
新線建設
には手が及んでいないのは御
承知
のとおりでございます。これは御存じのように、
国鉄
がいかに
収入
が多くなりましても、現在の東海道新幹線の問題につきましても、三十八年、三十九年にわたりまして約九百億の補正を要するような現状でございます。しかも
改良工事
あるいは
保安設備
、そういうことを考えますと、とうてい、いまの
国鉄
の
収入がかり
に倍になりましても、あるいは国が五百億、六再億の十分な
補助
をいたしましても、このほとんど大
部分
の金は、いま申しましたような
改良工事
なりあるいは
保安対策
なりに使わなければなりませんから、ある
程度
の
赤字
は見込まれますので、とうてい
新線
には使い得ないことは十分に御了解がつくことと思います。そういう
意味
で、何とかして手を打たなければ、多数
国民
の要望する
新線
をつくることができないというのがわれわれの考え方の
骨子
でございます。どうしてその
資金
的な問題を
解決
するかと申しますと、やはり
国鉄
がいままでほとんど
義務
的なように出しておりました七十五億円
程度
の金は
国鉄
から出してもらいますけれども、なおこれに上回る国からの
出資
を多く得たいと思うのでございます。ことしはわずか五億円の
出資
であり、さらに五億円これは貸し付けの金がございますけれども、これは本
年度
は
公団発足
の当初でございまして、
公団
をつくるということ、人員を集めるということ、そういうことにおもに時間を食われますので一応その
程度
に落ちつきましたが、来
年度
からはもっともっと多くの国の
出資
を得るように努力する所存でございます。 なお
公債
の
発行
でございますが、現在でも
国鉄
は
債券
を
発行
いたしております。しかし
債券
はほとんど
改良工事
、
保安対策
、そういう方面に使われているものでございます。したがって今後とも
国鉄
はもちろん
債券
の
発行
をいたしてまいりましょうけれども、やはりこれは現在の
改良工事
あるいは
保安対策
に使われるのが当然でございまして、
新線建設
のほうにこれはとうてい向ける余裕は現在のところありません。したがいまして、この
公団
においてやはり
債券
を
発行
してこれを
新線建設
の
一つ
の
資金
にいたしたい、こういうのが
一つ
のねらいでございます。
技術
的な問題でございますが、とにかく
新線
をどんどんつくります以上は、現在
国鉄
にこの
仕事
をやらせるといたしましても
技術陣
の
増強
が必要でございます。現在の
技術員
は現在
最高度
の能力を発揮しているわけでございますから、それ以上の
新線建設
の
仕事
がふえればやはりそれ以上に
技術陣
を強化、
増強
する必要がございます。そういう
意味
で、
公団
ができましても、できませんでも、
技術陣
の
増強
は必要でございますから、その
増強分
を
新線公団
のほうで受け持つわけでございます。もっともいま現在
国鉄
として
新線建設
を七十五億円でやっておりますから、その分に相当する
技術陣
は
国鉄
から
公団
のほうに来ていただきたいと思いますが、それは大体七百人
程度
でございまして、そう大きな影響を
国鉄
に与えるものではなかろうと思います。それで
技術員
を動員するということは、これはどんな場合でも必要でございますから、もちろんいままで
国鉄
で働きまして、なお能力がありながら年齢的な問題で退職しているとかいろいろな人がございます。そういう人にさらにまた十分に働いてもらいますが、また新しい
技術員
を動員しなければならないと思うわけであります。 一年に一回乗るか乗らないような場所にまで早急に
鉄道
をつくる気持ちはございません。やはりその
地域
住民の非常な要望がありまして、どうしても
鉄道
を利用しなければならぬという希望が大いにあるところから
鉄道建設
を始めてまいるわけでございますから、一年に一ぺんか二へん乗るか乗らぬというところにまではなかなか
公団
としても手が及ばぬだろうというふうに考えております。そういう
意味
で、これから詳しいことはまた鉄監局長からお答え申し上げさせるわけでございますけれども、
負担
につきましては、先ほど社会党から御
提案
になりました緊急
措置
法案
にありますように、その
地域
だけ高い
運賃
をとるわけにはまいりませんでしょうし、やはり公平な
負担
にしなければならない。したがって、そういう
意味
から申しましても、その
地域
住民に対して特別な
負担
をかけるわけにはまいらないと思います。そういう
意味
で
公団
は強要はいたしておりません。たとえば
公団
債を
発行
する場合に、自分らがどうしてもほしければ自発的に協力してくれるでありましょうし、このような
法律
的な強制はないのでございます。 なお、詳しいことにつきましては鉄監局長からお答えさせたいと思っております。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
9
○広瀬(眞)
政府委員
ただいまの政務次官のお答えで大要は尽きておりますが、こまかい点を若干補足させていただきますと、本
年度
は確かに
公団発足
の時期でございまして、
政府出資
は五億円、それからほかに運用部
資金
の借り入れが五億ございますが、第四条の第四項で、
政府
及び
日本国有鉄道
は、必要があると認めるときは
予算
で定める金額の範囲内で
公団
に追加
出資
ができるというふうになっておりまして、将来は追加
出資
というものを大いに期待しております。この
公団
をつくりました趣旨も、先ほど政務次官が申し上げましたように、
公共事業
的な考え方で
新線建設
を進めてまいろうということでございますので、
政府
も大いに力を入れていただかなければいかぬというふうに考えます。 なお、
公団
債券
の問題でございますが、先ほど先生からもちょっとお尋ねがあったと思いますが、
国鉄
でやっておりますような利用債というようなものは考えておりませんで、
一般
の
鉄道
債券
的なものを考えております。 それから
技術陣
営の問題でございますが、これも政務次官のお答えで尽きておりますが、現在
建設
局系統で
新線建設
に従事している職員というものはかなり明確になっておりますので、主としてこういった職員を中心に
技術
的な陣営を立ててまいろうというふうに考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
10
○
加藤
(勘)
委員
もし
建設公団
ができて新しい
技術陣
を動員しなければならないというときに、現在の
国鉄
の
建設
事業を推進するという
意味
において
国鉄
自身に補充したらどうか。しいて
公団
をつくって、
公団
という別個の公法人格といいますか、そういう人格をつくっても、結局それは将来は
経営
するのでも何でもない、
建設
そのものだけを担当するということであって、ある
意味
からいえばぼくは
公団
自体は
管理機関
にすぎないと思うのです。そうすると管理のためにさらに現在の
国鉄
の
建設
事業をあちらに移すということになるわけですけれども、形は
国鉄
であろうと
公団
であろうと、早くできればいいという考え方であるかもしれないけれども、ある
意味
からいくと、また
公団
という屋上屋を架するような
管理機関
ができて、そこに官僚が再び——
国鉄
かどこか知らぬが、そういう官僚の巣くつをつくらせるということになる危険性は多分にあると思います。他の、現在見る
政府
関係の公社、
公団
、公庫等の
実情
を見ましても、行政管理庁の考え方によれば、順次こういうものは整理していくという方向に向いておるわけです。これは国論の一致するところです。
公団
、公社、公庫等を順次簡素化していく。ところが今度新しくまたこういうものを再び
鉄道建設
の急務であるということに名をかりてつくるということは、現在の
国鉄
に屋上屋を架する感があると思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
11
○
大石
(武)
政府委員
加藤委員
の御心配の点はごもっともと思います。できるならば
公団
とかそういったいわゆる官僚的な
組織
は少ないほうが私も望ましいと思うわけでございます。しかしどうしてもそういうものは必要な場合にやはりつくらなければならぬ、こう考えまして、この
鉄道
建設公団
は必要やむを得ざるものと考えまして、われわれはここにこのような案を考えたわけでございます。なるほど仰せのように、この
建設公団
が
管理機関
であるということは、いずれはそうなってまいります。だんだん
鉄道建設
が
完成
いたしまして、汽車を走らせるような時期になってまいりますと、これを管理することになってまいりますが、御
承知
のように現在でも六十三線の
鉄道建設
がございます。これだけでも、われわれは現在十年とは申しておりますけれども、十年どころではなく、十五年やそこらはかかると思います。そのようなわけで、これは
管理機関
だけになるにはまだまだ時間がかかります。さらに社会党御
提案
の
法案
にありますように、二百三十一線の
予定
線があるとしますと、これは少なくとも二十年、三十年の期間は必要でございます。その間は
建設
事業が主でございまして、管理というものは主ではございませんから、別にこれは屋上屋を重ねるような
管理機関
になるようなことは考えられないのでございます。しかもこの
建設公団
がつくります
新線
は、でき上がりますと
経営
は全部
国鉄
に委託いたしますし、運転は全部
国鉄
に委託するわけでございますから、あとは要するに経済的な
建設
費用の清算とかあるいは
建設
費の獲得というだけの
仕事
でございますから、別に
国鉄
に対して屋上屋を重ねるような官僚的なむずかしい
組織
にはならないだろうと思うのでございます。こういう考え方でございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
12
○
加藤
(勘)
委員
これはまたあとから触れることにしますが、現在
国鉄
のほう——これは運輸省のほうから出された資料ですか、その資料によりますと、
着工線
もしくは
調査線
の
工事
費、
営業
収入
またそれに伴う
経営
費の数字が出されておりますが、それによりますと、
着工線
四十七線、二千二百二十五キロ、
工事
費千九百四十三億二千九百万円、
営業
収入
が九十億三千幾ら、これに対して
経営
費が、経常の費用が八十七億円で、償却費が三十八億円、合わせて百二十六億三千万円、そうしますと、この
着工線
の損益計算は三十五億九千万円ばかりが
赤字
になるわけです。それから
調査線
が十五線、八百六十五キロ、これの
工事
費が一千十二億七千万円ばかり、
営業
収入
が四十億六千万円以上、
経営
費が四十七億円、償却費が二十一億円、両方で六十八億六千万円ばかり、これの差し引き二十七億九千万円、約二十八億円の
赤字
になっております。前者のほうは比率にすると四〇%の
赤字
であり、後者のほうは実に六九%の
赤字
になっておる。両方合わせましてもこれが
完成
された暁においての
営業
状態
ですけれども、
工事
費二千九百五十六億円、
営業
収入
はわずかに百三十一億円、
経営
費が百三十四億六千万、償却費が六十億、合わせて百九十四億九千五百万円、双方合わせたものの差し引き
赤字
は六十三億九千万円、こういうことになっておるのですね。この数字は三十八
年度
の賃金、物価等の想定によって積算されたものであると思うのです。将来この物価なりあるいは賃金なりというものが上がっていくことは必至の条件ですね。ただ三十八
年度
の仮算においてこういう数字が出ておるし、将来もっと
建設
費が賃金、物価の上昇によってふえていくということになれば、
営業
収益は、
運賃
が三十八
年度
の計算と変わらないとするならば、非常な大きな
赤字
になるということは明々白々ですね。この
赤字
を一体どうやって補っていくか、問題はこういう点にあると思うのです。
経営
は全部
国鉄
に移譲される。しかも原則としては有償である。有償というても、おそらくどの線を取り上げても多分に
一つ
残らず
赤字
であろうと思うのですが、そうすると
赤字
のものは有償ではとても引き受けられぬ。当然無償の貸与もしくは譲渡、まあ貸与になると思うのですが、その場合に一体
建設
費の償却は使用者である
国鉄
が
負担
をするのか、あるいはただ単に
鉄道
をつくって
国鉄
に無償で貸すという
公団
が
負担
をするのか、
公団
が
負担
をするとするならば一体どこから
収入
を得るか、こういう点がきわめて不明確だと思うのですが、どういうようにお考えですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
13
○
大石
(武)
政府委員
ただいまの御質問はまことにごもっともな御質問でございまして、われわれもその点についていろいろ苦慮しておるわけであります。
建設
費はとかく非常に金がかかりますので、なるほど
建設
の費用の割りに比しまして
収入
の少ないのは御指摘のとおりであります。これは公共的な性格を持ったものでございますから、その点はやむを得ないと思います。そしてその大きな
負担
はやはり国にかかってまいると私は思うのでございます。ただしいろいろ
新線
が
営業
を開始いたしますと、全部が
赤字
とは申されません。ことに
日本
全体の経済が非常に明るい方向に進んでまいっておりますし、また
国民
のふところ、あるいはものの見方、考え方がだんだん変わってきておりますから、この
新線建設
もいままでの観念で考えたような
赤字
ということは、そういうことではあるまい。おそらくいろいろな方面で変わっていくのではなかろうかとわれわれは考えるのであります。しかも、たとえば青函トンネルとか根岸線は十分採算がとれてもうかる線だということは予想されるわけでありますから、こういうようなことを考えますと、必ずしもみんなが
赤字
であると悲観することはないと、われわれは希望を持っておるわけであります。ただいまお説のように、これは三十八
年度
の計算でも将来六十三億の
赤字
が出るのではないか、今後賃金が上がっていくならばなお
赤字
が増加するのではないかという御指摘、そのとおりであります。しかし賃金なり物価がある率をもって上がってまいりますれば、私は
鉄道
運賃
もそれに比例しまして改定されるのは当然だろうと思います。そういうことも考えられますし、また国全体の景気がよくなってまいれば、現在三十八
年度
で予想したものよりもはるかに多くの人々が利用する、あるいは物の
輸送
に利用されるということになりまして、やはりそれだけの
収入
も上がってまいると思うのでございます。そうしてまたこの
赤字
は、この
個々
の
一つ
一つ
の
新線
につきましてはなるほど
赤字
が出るかもしれませんけれども、その
新線
ができることによりまして、その総合的な
鉄道
の
収入
と申しますが、
鉄道
の経済はもっと上がってまいると思うのでございます。その線は少なくとも一時
赤字
であっても、その線を利用することによって他の幹線なり他の総合的な
鉄道
の
収入
は上がってまいると思います。こういう総合的な点から考えますと、必ずしもそう
赤字
ばかりではあるまい。推算は十五年、十八年先の問題でありますから、いまから詳しい予想はとてもできませんけれども、そのような希望を持って努力してまいりたいと思っておる次第であります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
14
○
加藤
(勘)
委員
いま私のお尋ねした
赤字
は借入金の
利子
というものを全然見込んでない、ただ当局の出した数字をそのまま言うたに過ぎないのですが、将来これだけのものを
建設
するのに
政府
の
出資
がどういう関係になるのか、それから
国鉄
の
出資
が、
負担
がどれだけになるのか、そのほかに借入金をどの
程度
必要とするか、こういう見通しについてはどうですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
15
○
大石
(武)
政府委員
ただいまの御質問はまことに私どものほうとしても痛い質問でございます。実際そのような正確な計算を持つべきでございますが、はたして来
年度
政府
から百億円の
出資
があるか、百五十億円の
出資
があるか、三年後には二百億あるか、そのような確かな数字をあげるわけには参りません。残念ながらこのような
方針
を立てますことに急でございまして、われわれはまだこまかい正確な数字を約束する段階にはまいっておりませんので、実はただいまの御質問につきましても明確なお答えを申し上げられないのでございますが、とにかくこれは公共
企業
的なものでございますから、その点において十分に
政府
の金を中心としていろいろな
工事
を進めるということに勉励努力してまいりたいと思っておる次第であります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
16
○
加藤
(勘)
委員
それはこの
法案
が早急の間にできたという関係で、
日本
の金融財政の
実情
の将来への展望が明確に持たれなければ、そのうちからどれだけこの
鉄道
出資
に回すかということが明確ではないと思いますけれども、しかしながら少なくともこれだけの案を出して、将来主として国が
負担
をしなければならないということ、ことに
公債
にしましてもその他の形による借入金にしたって、
利子
が伴うことは言うまでもないわけであります。したがって
日本
の、少なくとも見通し得られる限り財政経済の見通しの上に、どれだけ
国鉄
に新しい
出資
が可能であるか、おおよその、少なくとも
年度
割りにしてどのくらいのものは出し得られるかという、そういう計算は、これは運輸省だけでなくて、
政府
として当然大蔵省を中心として、そういう見通しと同時に案が立てられなければならないと思います。それでないと、こういう問題に対する
国民
一般
の納得をいかしめることがむずかしいじゃないか。このことが
一つ
。 それからもう
一つ
は、将来の
経営
のことでありますから、
赤字
が出ると予想しておっても存外黒字になるかもしれぬ、黒字になると思っておっても
赤字
になるかもしれぬけれども、現在の
国鉄
の
経営
の上からいきまして、二百何線という線があるかもしれぬが、その中でほんとうの
意味
においての黒字線というのは非常に少ないじゃないですか。十九か二十か。かつかつ一ぱいにいっておるのが若干あって、ほんとうの黒字というものはわずかな線であって、あとの大
部分
は既設線においてすでに
赤字
が明白になっておる。既設線はこれから
着工
する線に比べれば、人口密集の度合いが高いであろうし、物資の
輸送
の関係においても多いであろうが、その人口の密集の度合いが高く物資の
輸送
の量が多いと思われる現在線においてすでに
赤字
が明確になっておる。これは何年毛何年もの間の
経営
の実績です。今後さらに新しく、現在必要としている以上には必要でない——必要でないと言うと語弊があるけれども、必要の度合いが低い
新線
の
建設
された後において、はたして
営業
成績が黒字を見込み得るという予想が立つでしょうか。その点はいかがですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
17
○
大石
(武)
政府委員
加藤委員
のただいまの御
意見
はまことにごもっともでございます。最初の問題につきましては、私たちも当然年次的な
資金
の
計画
を立てまして、
政府
はどのくらい
出資
すべきである、
債券
はどのくらい
発行
すべきであるという
計画
を立てるのが当然で、おっしゃるとおりでありますが、われわれもこれにつきましては非常に努力いたしましたが、その精細な見通しが立ち得ませんので、まことにこの点申しわけない次第であります。ただ
国鉄
へはできるだけいままでのような
負担
はかけまいという
意味
におきまして、毎年七十五億の
出資
ということを考えております。それからさらに公共
企業
と同等のものでございますから、その
意味
において国が
道路
や
港湾
をつくると同じような
意味
にまで国の
投資
を進めてまいりたいと思って、それに努力する決意でございます。 それからただいまの第二の御質問、これもごもっともであります。おっしゃるとおり、必ずしも必要性が低いとは申されませんが、経済的に低い、これが予想される
新線
でございます。そういう
意味
でこの点はなるほど
赤字
が大
部分
でなかろうか、私もそのとおりに思うのであります。しかしできるだけ合理化をいたしまして、いままでの
鉄道
と違って、これらの
新線
にはもっと合理的な
経営
ができるような
方法
をとれば、たとえば人の数を少なくしてやれるとか、そういういろいろな合理的な
方法
をもちまして、できるだけ経費を少なくして
赤字
を薄めてまいりたいと思います。おっしゃるとおり、現在の時点におきましては黒字となり得る線は少ないのでありますが、しかしその点につきましてはできるだけ合理化をいたしまして、
赤字
を少なくしていきたいというのがわれわれの願いであります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
18
○
加藤
(勘)
委員
もちろん将来の展望において、常に動いておる経済現象を見通すということは困難なことであります。したがって、精密な数字上の資料がなければいかぬなどというやぼなことは私も言うつもりはない。けれども、少なくも大綱だけは示してもらいたい。ただ三十八
年度
政府
が五億円
出資
ということだけでは相済まないんじゃないが、少なくともこの
鉄道
が引かれるについては、
政府
に、ことしは五億円であるけれども、明年以後おおよその見当でもいいから、どれだけのものが
負担
し得られるという大綱だけは示してもらわぬと、この点に対する不安が消えないだろうと思います。 それからもう
一つ
、いまの
赤字
問題についての
経営
上の合理化の問題でありまするが、言うまでもなく、
鉄道経営
については、他の精密機械工場のように、すべてを自動式にやるということは不可能でありまして、どうしても人力を中心として、ただ、こまかい設備なんかの点において自動化し得るものはあり得ても、私は、機械化によって労働力を少なくするということは、非常にむずかしいと思うのです。最低限の要るものだけは要るのであって、それを減らすということになれば、今度は、労働者に対する作業量の非常な増大による
圧迫
になる、こういう点が考えられまするから、ただ単に合理化ということばだけで経費の
負担
が軽減されるというようなことは、あまりにもぼくはその場限りのことばじゃないかと思う。それだけではとても納得できないんじゃないかと思う。
大石(武)政府委員(大石武一)
19
○
大石
(武)
政府委員
ただいまの後段のほうの御
意見
に対しましては、全く同感でございます。私たちとしても、確かにいわゆる人員の合理化だけで必ずしも
赤字
が克服できないということはお説のとおり、そのように考えます。これはしかし、いま
赤字
を少なくしなければならぬのがわれわれの
立場
でございます。せっかく
国鉄
に
経営
を委託する以上は、
国鉄
にできるだけの
負担
をかけないということがわれわれの考えでなければなりません。そういう
意味
におきまして、できるだけの合理化をいたすつもりでございます。なるほど労働の強化をいたすようなことは、労働力にあまり
負担
をかけるようなことは、もちろんこれはできません。ですが、そういうことも
一つ
一つ
のちりも積もり積もって山となるのたとえのとおり、
一つ
一つ
の小さな合理化を積み重ねながら、たとえばいろいろな全体の
輸送力
の問題にしましても、いろいろな問題にしても、
一つ
一つ
の合理化の積み重ねをいたしまして、できる限り
赤字
をなくしてまいりたいのがわれわれの希望でございます。 それから先ほどの、ことしはなるほど五億円だけの
出資
で、来年のことははっきりわからぬじゃないかという御
意見
でございますが、実際は来年はどうしなければならぬという
一つ
の目安は持っております。来年の
日本
の経済
状態
によっては、いまわれわれ一運輸省だけで来年これだけを出せということは必ずしも言いかねますので、御質問のありましたように、十分納得のいく答弁ができないことはまことに申しわけないと思いますが、一応できる限りの努力をして、必ず来
年度
以降は五億円や十億円でない多くの
政府
の
出資
を取る決意を持って、いま働いておるわけであります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
20
○
加藤
(勘)
委員
いまの政務次官のお答えについて、今度は大臣にお伺いしたいのですが、この
法案
を決定されるときに、いまお聞きのとおり、将来の
政府
の財政
負担
についての問題について、運輸大臣と大蔵大臣でもよし、運輸省と大蔵省でもよし、もしくは閣議において決定されておるかどうか、そういうことについて話し合いがなされたことがあるでしょうか、どうでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
21
○綾部国務大臣 具体的な何千何ぼという数字につきましては相談いたしませんけれども、
予算
折衝のときに、大蔵大臣と折衝いたしましたときには、今後
赤字
線を十
年間
になくする
方針
だ、それに幾ら要るか、五千億要る、平均すると年五百億、最初は少なくとも、だんだん最後の年に至ってたくさん出るかもわからぬが、そのことについて話し合いました。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
22
○
加藤
(勘)
委員
そうすると、大体十年
計画
として、
赤字
を解消するために、
建設
費として、あるいはその間の、順次
鉄道
が敷かれ、
営業
も一部開始されていくわけですから、そういう
赤字
補てん等を含めて概算五千億円、
年額
五百億円というものについて
政府
はほぼ
責任
を持つお考えでしょうか。ただ閣議で話し合われたというだけでなく、将来
責任
を持つお考えでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
23
○綾部国務大臣 ただいま申し上げましたのは、閣議の話し合いではないんです。
予算
折衝をするときに、その当時の大蔵大臣、すなわち現大蔵大臣とそういう話し合いをしたのでございまして、私は、この
鉄道
建設公団
を発足いたしました経緯にかんがみまして、
政府
はその趣旨に従い
予算
措置
をとるものと期待いたしております。現大蔵大臣もそう考えておると思います。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
24
○
加藤
(勘)
委員
その
年額
五百億円前後の
負担
は、どういう形において
負担
をされるのですか。これはどこでどういうように分担して
負担
するかということは別にして、たぶん私は長期もしくは短期の
借り入れ金
というものをも計算の中に入っているだろう。東海道
新線
のような場合には国際金融機関からの借り入れもすでに行なわれているが、今後のローカル線の
建設
にこういう国際金融機関の借り入れを受けるということは事実上不可能だと思います。そうすると、これは国内において
借り入れ金
なり
公債
の
発行
なり、何らかの形によらなければならぬと思うのですが、この問題だけで
年額
五百億円の費用をどこからどうして支出するかは別問題として、相当困難ではないかと思うのです。時の
金融事情
にもよりますけれども、そうすると、おおよその目当てがついておらぬと、途中であるいは払えぬということもなかろうが、高利の金を使わなければならぬような羽目におちいることはないですかどうですか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
25
○綾部国務大臣 財政のことは私どもとしては大蔵大臣を信用する以外にちょっと考えられません。大蔵大臣はそれについて必ず十
年間
に五千億円、それは
鉄道建設
公債
を
発行
するかもわかりませんし、あるいは
政府
保証の
借り入れ金
をするかもわからぬし、また低金利の各種の積み立て金と申しますか、預金部の金、郵政省の保険の金その他を流用するようなことはあるかもわかりませんが、十
年間
にどうしても
鉄道
を
建設
してやらなければいけない、この
鉄道
それ自体はかりに
赤字
でありましても、地方の
開発
になるし、ひいて
国民
北港の向上になるし、
地域格差
の是正にもなりますので、それをやるには
政府
は何らかの
措置
を講じて、ただいまここで、それじゃ預金部の金を何ぼ借りるんだ、
鉄道
公債
を幾ら
発行
するんだ、
政府出資
は幾らするというその見通しにつきましては、大蔵大臣といえどもここで的確なお答えはできぬと思いますが、総括して十
年間
にこれだけの
鉄道
を
建設
するんだ、その熱意と
方法
については大蔵大臣は私以上に考えてくれているのじゃないかと思います。
予算
折衝のときに、この
法案
を本年は大蔵大臣は認めぬだろうと言っておったのを、とにかく認めさして発足したゆえんは、大蔵大臣はじめ
政府
、大蔵当局によほどの決意が要ることを断行したのでありますから、それを信頼するほか、運輸当局といたしまして、ここでどうこうという数字をあげまして御説明申し上げることは、私は遺憾ながら、
加藤
先生の御質問はごもっともではございますが、また私どもの答えられないという真意も御了承願いたいと思うのです。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
26
○
加藤
(勘)
委員
それは運輸大臣が言われるとおり、ここで具体的なものでもってどうこうなんということは、それは答えられないということもよくわかっておりますが、ただ先ほどから申しておりまするとおり、将来の展望の大綱については、少なくともおおよその点だけでも示されておれば、なるほどそれだけの費用を将来
政府
が
負担
したり、あるいはくふうをして
鉄道
をつくってくれるんだ、こういうことが
国民
一般
に納得されるという
程度
のものは必要ではないかと思うのですよ。具体的なものがなくちゃいかぬというようなことではないと思うのです。しかし、それすらもここには示されていないわけなんです。その点が、われわれはこの問題を取り扱う上においてむしろ非常に
一つ
の不満とする。これはおそらく
鉄道
当局でもそうだろうと私は思うのです。だから、そういう点についてどうしても大蔵大臣の意向をはっきりと確かめたい、こう思うのです。近くそういう
機会
があったら、私はぜひそういう手続をとってもらいたいと思う。ことに、いま大臣がおっしゃったように、この
法律
の主眼とするところは、経済基盤の強化をはかるということと、それから
地域格差
の是正をやる、この二つの点にあるわけですね。これはもっともな話でありまして、われわれも僻遠の
地域
におけるひとり文化施設だけではなく、教育社会諸般の施設が僻遠の地はおくれているから、そういうところを十分補って
地域格差
を全般的になくする、これはもうわれわれの念願とするところなんです。したがって、そういう
意味
においての
鉄道建設
ということについてわれわれは異議を言うものではないわけです。ただしかし、先ほど政務次官も言われましたように、この
法案
の今日ここに問題として提起されるに至った経過等からかんがみまして、
建設
審議
会において、ことにいまの田中大蔵大臣が小
委員長
で
鉄道建設
の急を叫ばれたことが
一つ
の機縁になっておる。とすれば、
鉄道
審議
会は運輸大臣の諮問に応じて、
鉄道建設
について諮問されたことに対しての
審議
答申をする、こういうたてまえになっておりまして、交通全般の問題について
審議
するという権限がないのかどうか、全く諮問された範囲の
鉄道
だけしかないのかどうか、交通全般については何もそういう権限がないのかどうかということを、まず
一つ
お伺いしたいと思います。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
27
○綾部国務大臣 もちろん名の示すごとく
鉄道建設審議会
でございますから、
鉄道
のみでございます。ほかの交通機関、たとえば船舶、たとえば飛行機、たとえば自動車等については諮問もありませんし、諮問しても権限はありません。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
28
○
加藤
(勘)
委員
そこで、現在の
日本
の社会経済全般の情勢から勘案しまして、交通機関というものが
鉄道
に限定される、ことに
地域
開発
という
一つ
の
使命
を持った、あるいは
地域格差
をなくするという点において、
鉄道
だけが唯一の交通機関として取り上げられるものであるか、あるいはときによれば、まあ第一に
道路
の
建設
が必要ですが、
道路
、バス、トラック、あるいは
地域
によっては沿岸の内海航路の船舶、あるいは航空機等、全般の交通機関について総合的に審査して、この
地域
は
鉄道
によらなければならぬとか、この
地域
は必ずしも
鉄道
路線
を敷かなくても、もっと
建設
費の安いバスならバス、トラックならトラックがより適切ではないかという、要するに、
日本
の経済の基盤を強化するということと
地域
の格差をなくするということがこの
法律
の主眼である以上は、総合的に交通全般について考えられることが妥当でないかと思いますが、必ずしも運輸当局は
鉄道建設審議会
の答申だけにとらわれることなく、
鉄道
についてはなるほどこういう答申が出たけれども、今日の社会情勢に適応するような交通機関として何が妥当であるかということをさらに再検討されて、
審議
会の答申を採用されるものは採用されるし、採用することのないものは採用する必要もない、こういうことになると思うのですが、答申は何でもかでもこれを一〇〇%受け入れなければならない
義務
が運輸大臣にはあるでしょうか、ないでしょうか、どうでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
29
○綾部国務大臣 交通全般についての考え方は
加藤
さんのおっしゃるとおりでございます。しかしこの間の豪雪の対策その他を勘案し、この
建議
が出てきまして以来、運輸省、
国鉄
等でいろいろ考えましたが、
日本
のような地理的状況その他を勘案いたしまして、今後の物資の
輸送
は何と申しましても
鉄道
というものに比重がかかるということは、もう過去の統計の示すとおりでございます。将来も私どもはさように考えますので、
建設
審議
会の答申に基づきまして、運輸省ではしばしば考えましたが、結局この
鉄道
建設公団
をやるということに踏み切った次第でございます。ただこれのみにというのではございません。これがいままでの物資
輸送
の関係あるいは地方
開発
の関係から考えまして非常に主要なものであるという考えのもとに、この
法案
を
提出
した次第でございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
30
○
加藤
(勘)
委員
そこで別な角度からもう
一つ
お尋ねするのですが、
新線
——少なくとも
着工線
のうちで、今度の新産業都市との直接の関連を持った
地域
と、それから新産業都市指定の
地域
と直接の結びつきを持っていない線はどういう割合になっておりますか。
大石(武)政府委員(大石武一)
31
○
大石
(武)
政府委員
御
承知
のように新産業都市指定を希望する
地域
は四十四ヵ所ございます。しかもそのうちから仄聞するところによりますと、大体十内外が指定されるのではなかろうかということでございまして、はたしてどの
地域
が新産業都市に指定になるのか、私どももこれはいまつまびらかにするわけにはまいりません。そういうわけでいま詳しいことは申し上げかねるのでありますが、ただ運輸省といたしましても、新産業都市を指定する場合、運輸省の考えというものを常に企画庁に出しております。したがいまして、その場合には当然
鉄道
なり
港湾
なり船舶なり、その他のいろいろな交通事情を十分に検討いたしまして、しかるべきものを答申したいのでありますが、その点についてはいろいろ考えておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
32
○
加藤
(勘)
委員
もちろんまだ新産業都市の指定が行なわれておりませんから、私がいきなり新産業都市指定との関連ということをお尋ねしたのは無理かもしれませんが、しかしながら新聞紙の伝えるところによれば、いま政務次官は十ヵ所ぐらいと言われたが、あるいは七ヵ所といわれ、あるいは十一ヵ所ともいわれておりまして、まだその点は明確でありませんけれども、少なくとも
地域格差
をなくする上、それから物資
輸送
の機関としては
鉄道
が主眼であるというお考えであるならば、私は新産業都市との結びつきということは非常に重要性を持ってくると思うのです。それから新産業都市の指定範囲外にある
地域
、いわゆるおくれた
地域
の
開発
ということについて、この地図で見ますと、地図だから海岸全体がそのままでないかもしれませんけれども、沿岸航路の小型鋼板船であるとかあるいは小型機帆船であるとか、そういうものをむしろ
補助
してつくらしめて、その任務に当たらしめるということのほうが、
鉄道建設
よりもはるかに
建設
費においてもそれかの
経営
上の経済再建の上からいっても有利ではないか、しかも
地域
の
開発
には十分
鉄道
の
建設
と匹敵し得る、あるいはそれ以上の
効果
をおさめるところもあるんじゃないか、そういう点についてできるならば私はこういう
法案
が成立する以前に、
地域
の
実情
を示して、こういう
地域
であるから、これはもう
鉄道
でなければいけないとか、こういう
地域
は
鉄道
によらなくても、
道路
を少し補修すれば、バス、トラックでいいとか、そういうものを何か示されるところがないと、ただ何でもかでも
鉄道建設審議会
の答申があったから、まあこじつけて、
鉄道
が第一であるというような持っていき方は、少なくとも
公共事業
であるとはいわれるが、
一つ
の採算も無視できない事業なんですから、そういう点を考慮されてなければならないが、そういう点についてのおもんばかりが足らないんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
33
○
大石
(武)
政府委員
先ほど大臣が、
輸送
の大動脈は
鉄道
であるということを申されましたが、それは
日本
全体としての長距離の動脈的な存在としては
鉄道
が最も大事であるというお考えを申されたのでございまして、運輸省としてはそう思っておるわけでございます。ただ
鉄道建設審議会
は、御
承知
のように、いわゆるほんとうの学識経験の最もすぐれた方々を選んで
委員
になっていただいております。したがいまして、各政党からも代表的な人物に出ていただいておりますし、それから
日本
でもしかるべきそのほうの権威なりあるいはりっぱな見識を持っている方が代表になって、
委員
になっていただいているわけでございます。そしてその下に専門部会がございまして、おのおの交通部門、これは
建設
審議
会の名前は
鉄道
でございますが、
鉄道
でございましても、総合的な
日本
の交通の面から、この
鉄道
は必要かどうかということを中心に考えていると思うのでございます。そういうわけで、決して
鉄道
だけを重視して、
鉄道
でなければならぬという考えを持ってこのような
建議
が行なわれておるわけではございませんし、運輸省としても
鉄道
だけを優先的に考えてほかのものを無視しているわけではございません。仰せのように、
鉄道
よりも船なり自動車なりほかのほうが適当な場所には、そのようなしかるべき
方針
をわれわれはとっておるわけでございまして、
鉄道
だけを優先ということではございませんけれども、
鉄道建設審議会
というのは、ただいま申しましたような総合的な
日本
の交通問題を判断できる方々の御
意見
でございますから、これをできるだけ尊重いたしまして、その方向に従ってまいりたいというのがわれわれの考えでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
34
○
加藤
(勘)
委員
私も
鉄道建設審議会
の記録について少しく見ましたけれども、あまりほかの交通機関の問題には融れていないんですね。これは権限が
国鉄
のこと以外にないという
一つ
の制約を受けている点からであるかもしれませんけれども、交通機関のなるほど権威者ばかりの集まりであろうと思います。そういう点は個人を尊重していいと思いますが、しかしながらその
鉄道
ということにあまりにとらわれ過ぎておる。とらわれ過ぎておるというか、それ以外に権限がないからという遠慮からかもしれませんが、現下の事情に基づく交通機関ということについての配慮が乏しい。全然ないとは言いませんけれども、非常に乏しい。しかし今日の社会的
実情
は、他の交通機関にも相当の比重が置かれなければならないと思うのです。現に行なわれているトラックの
輸送
にしましても、バスの問題にしても、相当今日交通機関もしくは
輸送機関
としては、非常な重要性を持っているわけです。ややもすれば、
国鉄
の領分を侵食していくというような
実情
にすらあるときに、新しく
新線
を
建設
しようという場合には、私はこういう点についての配慮が相当になされなければならないのではないかと思いますが、その点についての配慮の欠けた
国鉄
ということに限られた範囲内においての交通問題の権威者の答申というものは、それをさらに今度運輸出局が取り上げて具体化する場合においては、
鉄道建設審議会
においての配慮の足らなかった点を運輸当局としてはさらに配慮して、他の交通機関との関連を考えなければならぬと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
35
○綾部国務大臣 そのとおりでございます。私どもはそのとおりやっております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
36
○
加藤
(勘)
委員
そういうとおりにおやりになった結果が、こういうように
鉄道
設設
審議
会の答申をそのまま受け入れられた、こういうわけですね。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
37
○綾部国務大臣 そのとおりでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
38
○
加藤
(勘)
委員
そうすると、私はこうやってわれわれに示された地図を見まして、
予定
線と
建設
線もしくは
調査線
等をずっと
地域
においてながめますと、われわれしろうとが、たまたまその地方に一度行ったことがあるとか、あるいはその他の関係から現地の地理的な事情を少し見た者には、どうもこの点は、こんなところは
鉄道
よりもバスなんか引いたほうがいいのじゃないかと思われる点が実際問題として相当あるのですね。そうすると、
鉄道
当局は、大臣や政務次官は一々
技術
的な点をごらんになっていないし、また御存じないと思いますけれども、監督局長、その点はどうですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
39
○広瀬(眞)
政府委員
先ほど大臣と政務次官からお答えしたと同様でございますが、従来から、
鉄道建設審議会
におきましては、他の交通機関との関連も十分に調整しながら、御
審議
を願っておるのが
実情
でございます。特にこの一、二
年間
は、他の交通機関の中でも
道路
輸送
、
自動車輸送
との関連を十分に御
審議
願っておりまして、
自動車輸送
と
鉄道
輸送
の限界点というものを一応頭に置きながら、なおこのほか地理的条件もございます、そういった点を十分考慮を払いまして、結果的に見まして、
鉄道
でやるべきか、あるいは自動車でやるべきかというようなことも特に十分に御
審議
を願って、最近は御答申を願っておるような次第でございます。 なお運輸省におきましては、そういった御答申を十分勘案いたしまして、今後は
公団
の
建設
すべき
鉄道新線
では
基本
計画
を定めることになっておりますが、この
基本
計画
を
策定
するにあたりましては、また運輸大臣が
建設
審議
会に諮問をいたすことになっております。この
審議
会には、運輸省のほかに、
建設
事務次官であるとか、あるいは経済企画庁の事務次官も
委員
になっておりまして、そういう点も十分に反映してまいりたい。なお運輸省におきましては従来から陸海空の総合的な交通調整と申しますか、交通
政策
というものを検討してまいっておりますが、ことしになりましてから官房の機構も強化されましたので、これから総合的な交通
政策
というものは今後従来以上に強く打ち出されていくものと考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
40
○
加藤
(勘)
委員
ちょっと私の質問と食い違っておるところがあるのですが、さらに一歩進めてお尋ねをいたしますが、先ほどお尋ねしたように、この
法律
の目的が経済圏を整備したり、基盤を強化したり、あるいは
地域格差
をなくするということにありまするが、その目的そのものはきわめてけっこうだと思います。そこで経済基盤の強化をするためには、現在の
日本
の
経済発展
の状況と均衡のとれる
方法
を講じなければならないじゃないかということ、
地域
経済圏の、
鉄道
が敷かれる地方の経済的状況と、それをどういうぐあいに整備すれば
鉄道
の
建設
がそれに役立つかということ、それからいわゆる
開発
のおくれた
地域
の
開発
をするのに、この
鉄道
がどういう役割を果たすのか、さらにまたいわゆる臨海工業地帯との関係、こういう関係をどういうぐあいに結びつけるか。たとえば臨海
鉄道
には臨海
鉄道
として
国鉄
が
出資
者となって
一つ
の線が引かれておる、もしくは引かれようとしておる。そういうことと今度の
新線建設
とはどういう関係になるのか。またいま新産業部市の問題をお伺いしたが、まだ決定しておらぬからこれは何とも言われませんけれども、こういうような関係で、今度のこの
公団
による
鉄道建設
が総合的に果たす役割はどういうものであろうか、その必要の限度というもの、それからそれが現在の
国鉄
の手によってはたしてできないことかどうか。もしこの
公団
に
政府
が力を入れるだけの力を現在の
国鉄
にかすならば優にできるんではないか、こう思われるのです。そこになぜこういう
公団
という新しい形態を持ってこなければならぬ必要があるか、こういう点なんですが、これらの点についてはどうでしょう。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
41
○綾部国務大臣
国鉄
をさらに強化してやったらやれるんじゃないかというお説でございますが、新総裁はどういうお考えかは知りませんが、十河総裁は、しばしば申されましたように、この際
責任
を明確にして、現在の
国鉄
は保守、保全の
仕事
あるいは安全運転の
仕事
、あるいは各種の電化その他
改良工事
等の関係で、現在ではどうも
鉄道
の
建設
は分けたほうがいいというお考えをこの
委員
会でも申されましたし、本
会議
でも申されました。私もさように考えまして、この
鉄道
建設公団
を思い立ったような次第でございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
42
○
加藤
(勘)
委員
臨海
鉄道
はどうですか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
43
○綾部国務大臣 臨海
鉄道
につきましては、
鉄道
建設公団
以外に、あるいは
鉄道敷設法
に入っていないもの、あるいは工業港との関係で非常に早く運転することも可能で、必ず営利的に採算が成り立つという見通しの立ったところには臨海工業の
鉄道
をやっておるところもございます。これは実際工場地帯ができてみるか、あるいは工場
建設
ができ、運転開始目睫の間とも申しませんが、見通しのついたときにあらためて考慮をして、臨海工業地帯におきましても、この
鉄道
建設公団
が発足して聖業をやりまして、そういう場合が起こりました場合には、考えて決定すべきものであると考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
44
○
加藤
(勘)
委員
そうしますと、臨海
鉄道
は
公団
方式によるいわゆる
新線建設
とは別個の範疇に属する、こういうことでございますね。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
45
○綾部国務大臣 必ずしもさようは考えませんが、工場
建設
その他の促進ぐあいによりまして、この
鉄道
建設公団
でやるのがいいという結論になれば、発足しての経過によりましてそういうようになるかもわかりませんが、大体の考え方としては、あなたのいまおっしゃるように、臨海
鉄道
はもちろん短距離でございまして、
建設
についてもそう多額の資本を要さないし、あるいはめんどうなことがないから、それはそれでやっていけるという考え方をいたしておるのでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
46
○
加藤
(勘)
委員
そうしますと、時によれば
公団
方式による
建設
の場合もあるが、大体はいまのような独自の
立場
で臨海
鉄道
は
建設
なり運営なりせしめる。そうしますと、臨海
鉄道
も、私は純然たる私の会社とも思われないと思うのです。
国鉄
が時によれば
半額
の
出資
をやっておる、そうすると
政府
関係の機関において、
新線建設
は一方は主としていわゆる臨海
鉄道
ではあるけれども、この限りにおいては二本立てになるということは考えられるわけですね。
大石(武)政府委員(大石武一)
47
○
大石
(武)
政府委員
新しく
鉄道
をつくります場合でも、何でもかんでもこの
公団
でなければならぬということもございませんで、お互いに話し合いでございますから、これは
国鉄
が中心となって、あるいは
改良工事
の延長のような形でやるか、あるいは別のものの形になるか、あるいは
公団
でやるかということは、そのつど、そのつどの問題だと思います。たとえば臨港
鉄道
にいたしましても、幹線となるべきものは原則としてやはり
公団
でやるべきであって、その先のほうの末端のいろいろな
鉄道
につきましては
国鉄
がやるとか、いろいろな話し合いで私は臨機応変でやるべきものではないかと考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
48
○
加藤
(勘)
委員
それはそうであるけれども、現実には二本立てになることもあるし、また純然たる地方
鉄道
法によって新しい
鉄道
が私の会社によって敷設されることもあるということですが、ただ
政府
の関係する範囲が——
国鉄
は直接
政府
ではないが、少なくとも
国鉄
という国の機関が関与するものとしては、この
公団
と臨海
鉄道
の
開発
と二本立てがあり得るということは考えられますね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
49
○広瀬(眞)
政府委員
鉄道敷設法
の
別表
にありまして、
建設
線なり
予定
線なり、それで取り上げられておる臨海
鉄道
というものは、たてまえとしてはこの
公団
が
建設
してまいるということになると思いますが、実際の問題といたしましては、ただいま大臣、政務次官からお答えがございましたように、あるいは工期の関係であるとかあるいは採算の関係、
資金
の調達というようなことから、その一部あるいはその先というようなものは、今度新しくできた
国鉄
の
出資
による臨海
鉄道
の会社をつくるということもあり得ましょうし、また敷設法の
別表
にあがっておりましても、地方
鉄道
法で私鉄が
経営
するということも考えられると思います。そのとき、そのとき、あるいは場所に応じまして最も適切な
方法
でやっていくのがしかるべきかと存じます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
50
○
加藤
(勘)
委員
私のお尋ねしておるのは、こういういままで
国鉄
で
計画
して
着工
しておる未完線は全部新たに
公団
に移そう、こういう場合に
国鉄
が別な方面で
出資
して臨海
鉄道
を
建設
せしめる、それは私の会社であろうが、とにかく
国鉄
というものは
出資
者の一人になる、しかも重要な
出資
者になるということでいくと二本立てになる。いまあなたが言われるとおり、たくさん理屈はつくかもわからぬけれども、結論的にははっきり二本立てになるということだけは言えるわけですね、そうでしょう。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
51
○広瀬(眞)
政府委員
臨海
鉄道
につきましては二本立てになるということも考えられます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
52
○
加藤
(勘)
委員
さっき私は資本関係についてお尋ねしたのですが、さらにその資本の調達の
方法
について、この
公団
法の
提案
の御説明をなさったときに、こういうことが説明書の中に書かれておるわけです。運輸大臣の許可を得て長期または短期の
借り入れ金
をすることができる、こういうことがありましたね。そうすると運輸大臣は、
資金
調達の長期もしくは短期の
借り入れ金
を、そのときの状況によるであろうけれども、一体どこが中心となって
資金
供給源になってくれるだろうか。
借り入れ金
をしてくれるか。あるいは銀行と民間の金融機関がやるのか、あるいは
政府
のあっせんによって他の国家的性格を持った金融機関がやってくれるのか。そういう点は預金部の
資金
を利用することが一番簡便であろうけれども、これはほかとのつり合いもあって
鉄道
にばかり許されぬと思いますが、そういう点について運輸大臣は大体どういう見込みを持っておいでになるでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
53
○綾部国務大臣
日本
の財政経済全般の問題でございますから、今日の時点におきましてどれをあてにするかと申しますれば、率直に申し上げまして預金部の
資金
に一番目をつけて、それを運用部の
責任
者である大蔵大臣に要請して、そして必要やむを得ざるものについてはそれを実現してくれるということを私はかたく期待いたしております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
54
○
加藤
(勘)
委員
運輸大臣としては、財政
計画
なり時の
金融事情
等によって、大蔵大臣の協力を得て
資金
をまとめるという
方法
をお考えになることはもっともだと思います。そういう点について、
鉄道
債券
という形になるのか、
一般
募集による、さっきもちょっとお尋ねしましたが、地元
負担
について地方
自治体
が
自治体
として
公債
を引き受けるか、
鉄道
債か
公債
か知らぬが、それを引き受けるか、実際はどういうことになるのでしょうか。その点もっと詳しく説明してもらいたいと思います。
大石(武)政府委員(大石武一)
55
○
大石
(武)
政府委員
これは
一般
の公募債で行ないたいと思っております。したがいまして、もちろん
鉄道
を敷いてもらいたいと思う
自治体
なり個人の方々はそのような
債券
を喜んで買って下さると思いますが、これを
義務
的にはいたしておりません。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
56
○
加藤
(勘)
委員
これは制約されたものでなく公募の形で募集されるということでありまするが、明確にこれは
赤字
だ。この
鉄道
は敷いた後においても
赤字経営
だという見通しがあまりにも明白過ぎる、そういう
赤字経営
ということが明白過ぎる
鉄道建設
に対して、はたしてどれだけの金利がつけられるか知らぬけれども、
政府
保証だから安心しておればいいというようなものの、おそらく
投資
家というものは
投資
しないだろうと思うのです。結局地元の関係、市町村の
自治体
として公募に応ずるか、あるいはその地方の特定の
仕事
をやっている人が応募するかということに限定されるのじゃないかと思う。公募という形式ではあるけれども、事実上は地元
負担
になるのじゃないかということが考えられるが、その点はどういうふうにごらんになっているのでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
57
○綾部国務大臣 もちろん一応はそう考えられますが、
鉄道
を
建設
さるべき
予定
地の地方
自治体
にしろ、その他における、たとえばその付近に山を非常にたくさん持っておる、またその付近に土地を非常にたくさん持っていたとします。そうすると、その
鉄道
が開通することによりまして、その財産というものは相当ふえるから、たとえ利息は四分か五分でありましても、その余恵によってその財産がふえるという将来を見越しまして、
投資
してくれる人が必ずあると私は確信しております。と申しますのは、私のつたない経験によりますと、私はしばしばこういう
赤字
線ときまっているようなところにつきまして
鉄道
を
建設
した経験がありますが、大体その土地がもう
鉄道
が通ったというので地価が数倍になる、あるいは持っておる山林が搬出その他の関係で非常な利益を包む、そういう人が早く
鉄道
を通してもらいたいというところから、眼前は
投資
物としては非常に悪いけれども、将来少なくとも開通の数
年間
におきましては
投資
した全額がかりにゼロになっても、余分の財産がふえることによって利益を得る人が相当できると思っております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
58
○
加藤
(勘)
委員
それはいま大臣が言われたように、
地域
的にはそういう特定の山林の保有者が、そこに
鉄道
が敷かれれば、すぐ、いままではただ単に計算上の財産であったものが動く財産になるから、それはそういう利用価値が十分あるから、そういう人が
鉄道
そのものの
投資
は無になっても
投資
しようという考え方もあろうし、また土地が大きいというても、いまいわゆる山林、原野等の土地でしょうけれども、そういう土地の値上がりが見られるから、それで
鉄道
への
投資
はゼロになってもその方で利益が上がるからというお考えですが、これは私は当然だと思います、それらの人々にとっては。だけれども、それは特定の人のことであって、全般的にはやはりそれだけでは資力不足を来たすのではないか、こういうことが考えられるわけです。その場合にどうなるかということです。
大石(武)政府委員(大石武一)
59
○
大石
(武)
政府委員
これは
一般
の公募債でございますから、銀行なり証券会社で引き受けてもらいます。これはさばけると思います。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
60
○
加藤
(勘)
委員
そうすると、これは完全に
政府
保証ですね。
大石(武)政府委員(大石武一)
61
○
大石
(武)
政府委員
これは
政府
の保証にいたす
方針
でおります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
62
○
加藤
(勘)
委員
方針
ですか。まだ決定していないのですか。それは私は非常に重大です。
政府
が保証すれば応募者もあるし、それから銀行も引き受けますけれども、
政府
保証がなければこれは私はなかなか銀行も引き受けぬだろうし、
投資
者も安心して
投資
するということができぬと思うのですが、それはどうでしょうか。
方針
だけでは困るのです。
大石(武)政府委員(大石武一)
63
○
大石
(武)
政府委員
法律
には書いてございませんが、
政府
保証債にいたします。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
64
○
加藤
(勘)
委員
ただいまの点は、
公債
は公募であるし、それから
政府
保証による、これはもう完全ですね。 それからさらに進んでお尋ねいたしたいことは、かりにこの
公団
方式による
建設
が行なわれて、今度
経営
段階に入ったとき、
鉄道
の
輸送
問題は
国鉄
に原則としては有償で貸すか譲るか、こういうことになるわけですが、目に見えて
赤字
であるということが明白であるのに、これを有償で引き受ける
義務
が
国鉄
側にあるでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
65
○
大石
(武)
政府委員
それは、
公団
と申しましても運輸省が監督いたします。したがって運輸省は全般的の状況を勘案いたしまして、
国鉄
の
経営
が困るような無理なような条件においてこれを許可することはいたしません。したがいまして、あまり
赤字
が明白である、しかも公共性の高いものに対しては当然これは無償でやるべきものだと考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
66
○
加藤
(勘)
委員
無償の場合に、この
建設
費の償却であるとか、あるいは
利子
の
支払い
であるとか、そういうのはだれが
負担
するんでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
67
○
大石
(武)
政府委員
局部的には無償のものもございます。そういうものもございますが、全般的に申しまして有償——あるいはもうかる面もごさいますから、そういうものででき得る限りいまから合理的な積み重ねをいたしまして、全体的に
公団
が持っていけるようにいたしたいと願っております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
68
○
加藤
(勘)
委員
それは政務次官、ちょっと違うんじゃないですか。全般的にもうかる線もあるからというお話ですけれども、いま少なくとも私は、
鉄道建設
をされて地方の
開発
がなされて、そうしてそこに工場でも
建設
されるというようなことになった後において、何年か後において
赤字
が埋められるということは、あるいは考えられるかわからぬが、
鉄道
が敷かれたときに、はたしてこれは黒字であるというような、かりに想定だけでもできるような
新線
がありますか。
大石(武)政府委員(大石武一)
69
○
大石
(武)
政府委員
それはまあ初めからどの
鉄道
も、商売をいたしまして初めからすぐ黒字ということは申されませんけれども、将来黒字を予想される
鉄道
はございます。たとえば青函トンネルにいたしましても、これは必ずもうかっていくわけでございます。ですからある年限が必要でございますが……。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
70
○
加藤
(勘)
委員
そういったところ、もう少し率直に言ってもらえませんか。青函トンネルなんかというものはまだいつできるかわからぬでしょう。これは
調査線
からもはずされておるわけなんだ。いま
調査線
十五線の中には青函の問題なんか入っていないんですね。
大石(武)政府委員(大石武一)
71
○
大石
(武)
政府委員
入っております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
72
○
加藤
(勘)
委員
十五の中には入っていないでしょう。十七線というときには入っているけれども、十五線というときには
調査線
の中に入っていないんだ。そういうことでなくて、これは磯崎さん、
国鉄
のほうの
立場
からひとつお伺いしたいですが、
国鉄
が今日までの多年の経験からいま
新線
着工
中の線路が
完成
して
営業
を開始されるときに、一体どのくらいの線が——まあこれは同時に全部でき上がるわけじゃないでしょうが、順次でき上がっていく中で、どのくらいの線が、もし
経営
よろしきを得れば黒字になるだろうという見通しが、一体何
年間
くらい後に立てられるか、ちょっとお伺いします。
磯崎説明員(磯崎叡)
73
○磯崎説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、いままでの
昭和
二十七年から現在までやりました実績によりますと、まあ大体は先ほどからの御質問の中にございましたとおり、人口もあまり多くなく、また搬出する物資もそれほど多くないところの線が大
部分
でございます。ただ例外的に紀勢線の尾鷲−木本の間のごときものは、このおかげで非常に紀州の
開発
ができまして、東京から直通列車も入るというようなことによりまして、非常に紀勢線の東西線の
経営状態
がよくなりました。今後、現在先ほどから運輸省から御
提出
になっております資料、先生が先ほどごらんになっておる資料の中で、この数字は若干問題もございますが、たとえば現在横浜の市内でやっております根岸線、ああいうものは今後相当あの沿線に通勤地帯あるいは工場地帯ができるようなことも聞いておりますので、ああいったものはわれわれの推定以上にあるいは
経営状態
がよくなるということも考えられます。その他現在ございますものにつきまして、いま手元にあります
経営状態
より非常によくなるということは、一線一線検討いたしませんと具体的なお答えを申し上げられませんが、
一つ
一つ
検討いたしますと多少の例外——鉱山関係の
開発
が非常に進む、たとえば神岡のごときもの、あるいはかつてございました岩日線のごときもの等につきましては非常にばく大な鉱山の
投資
が行なわれるというような特殊な例がございますれば、急激に
営業
状態
がよくなるところもございますが、現在では大体お手元に
提出
されておりますような数字でもって、各線とも将来が非常に大きな希望ができるというようなものはごくそのうちの若干の線ではないかというふうに推定されます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
74
○
加藤
(勘)
委員
結局はっきり言って、いま
着工線
の中で近く
完成
するだろうと見られている相模線であるとか都市と関連する線は黒字が予想される、黒字か
経営
一ばいか知らぬが、とにかく
赤字
が出ても一年か二年であとは
経営
が普通の
状態
になるだろうという見通しはわれわれでもつかぬことはない。つきますけれども、その他のものはほとんどといっていいくらい、先ほどあげた資料のとおり、
赤字
だと思うのですよ、事実上。そこで、その黒字線、たとえば根岸線なら根岸線を有償で
国鉄
が譲り受けるという場合の評価というものは、一体根岸線だけの
建設
評価を
基準
として計算されるのか、あるいは他の
赤字
線のものも加味されて一体計算されるのか、そういうことはどうなるのでしょう。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
75
○広瀬(眞)
政府委員
全般の
建設
線を考慮してきめるのではなくて、根岸線に要しました
建設
費その他を
基準
といたしましてかりに譲渡すれば、譲渡価格というものはきめてまいるわけであります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
76
○
加藤
(勘)
委員
そうしますと、大体譲渡もしくは貸し付けの場合は、その線単独の計算において貸与料なりあるいは譲渡金額というものが計算される、こういうことになりますね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
77
○広瀬(眞)
政府委員
そのとおりでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
78
○
加藤
(勘)
委員
今後そうしますると、この
法律
によると、いま未
完成
線は全部あげて
公団
に移譲されて、
国鉄
は将来
新線
の
建設
はやらない、こういうことになるわけですね。そうですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
79
○広瀬(眞)
政府委員
鉄道
法上あるいは
国鉄
法上、
国鉄
は
新線
を
建設
し得る能力は残っておりますが、実際の問題につきましては今後
建設
すべきものはあげて
公団
が
建設
するというかっこうになります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
80
○
加藤
(勘)
委員
そうしますと、現在の国有
鉄道
法第三条との関係はどうなりますか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
81
○広瀬(眞)
政府委員
国鉄
法の三条はそのままでございまして、ただいま申し上げましたように
新線建設
をやり得る能力は残っておりますが、何といいますか、今後はあげて
公団
が
建設
することになりますので、まあ休止
状態
、休眠
状態
というかっこうになるかと存じております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
82
○
加藤
(勘)
委員
この
法律
の附則の第七条において、
新線建設
に関する
仕事
を一切国有
鉄道
が権利及び
義務
を
公団
が第十九条第一項第一号の業務として行なうことになったときに
公団
が継承する、こういうことが
規定
されていますね。こう
規定
されまするが、肝心の
鉄道
の
経営
後における事業の点について、依然として
鉄道
法の五十三条第一項第一号によりますと、「
鉄道新線
の
建設
」の文字はそのまま国有
鉄道
法の中で残っておるのですね。そうすると国有
鉄道
は、一方においては
新線建設
はやらぬ、
公団
に全部を渡すということになっておりながら、この
法律
のたてまえからいくと、
新線建設
を依然としてやることになっておって、前の
法律
がそのまま存置されておる。こういうことになりますと、これはこまかい
法律
上の問題ですけれども、国有
鉄道
もやろうとすればこの
法律
の条項に基づいて
新線建設
ができるではないか、こういうことになってしまうのです。新しい
法律
で
国鉄
はもう
鉄道新線
を
建設
しないといっておきながら、現在の
法律
では
新線建設
をやることができるという条項が残っておるわけなんです。これは非常な矛盾をしておると思うのですが、当然こういう
法律
が出されるときには、私はむしろ
新線建設
という条項は削らなければ趣旨一貫しないんじゃないか、こう思いますが、どうですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
83
○広瀬(眞)
政府委員
まず大ざっぱに申しますと、五十三条で国有
鉄道
のほうには
新線建設
の能力が残っておりますが、この
公団
法のたてまえから申しまして、今後はあげて
新線建設
というものは
公団
にやらせるという趣旨から申しまして、先ほど申し上げましたように、
国鉄
の
新線建設
というものは一応停止されるというかっこうになるわけでございます。このことは
法律
の第二十二条にございまして、「第二十条第一項の
基本
計画
において
公団
が
鉄道
施設を
建設
することとされた
鉄道新線
については、
日本国有鉄道
は、
鉄道敷設法
第一条の
規定
にかかわらず、その敷設を行なわないものとする。」ということになっておりまして、その辺の調整はとってあるつもりでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
84
○
加藤
(勘)
委員
これはそのとおりですね。条文には、この後段に「
鉄道敷設法
第一条の
規定
にかかわらず、その敷設を行なわない」こういう
規定
があるけれども、これはこの
法律
としてたてまえ上いいですね。それならば、片一方の現国有
鉄道
法に
新線建設
ができるということがあることは、一方の
法律
で一方の
法律
を殺すことは
法律
のたてまえ上できないのでしょう。だから当然この項はなくするとか、もしくはここにはっきりと、国有
鉄道
法の
規定
はこういうように修正されなければならぬ、こういうようにならなければ、
法律
が一方において一方の
法律
を否定しておるけれども、依然として
法律
上は現存しておるわけなんですね。実際問題としては、運輸大臣の監督下にあって、国有
鉄道
も
公団
も同じ大臣の監督のもとにあるから、そういう混乱は起こらないと思います。思いまするけれども、少なくとも
法律
のたてまえからいって、この条文は一方の
法律
で一方を否定するというならば、他の否定されるほうの条項は削るなり、あるいは修正されるなりされなければならぬと思うのですが、その点についての手続が欠けておるわけなんです。一方だけやればそれでいいのかどうか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
85
○広瀬(眞)
政府委員
私がいままで申し上げましたことのやや繰り返しになりますが、観念上は
日本国有鉄道
も
新線建設
をやり得るというたてまえになっております。ただ実際の問題として、今後は
公団
が
新線建設
をするであろうということでございます。
公団
は
鉄道敷設法
の
予定
線路のうちで
基本
計画
に定められた
鉄道新線
についてはすべてその
建設
を行なうことになっておるので、実際問題として
国鉄
は
建設
は行なわないということになっております。そこで
基本
計画
に定められたもの以外の
鉄道新線
については、
法律
上と申しますか、観念上は
国鉄
が敷設するたてまえとなっておりまして、
鉄道敷設法
、
日本国有鉄道
法におきまして、これに関する制度を残しておるわけでございます。しかし実際には
公団
設立の趣旨から考えまして、早急に今後
建設
すべき
鉄道新線
というものはすべて
基本
計画
で定める
方針
でございますので、今後当分の間は
国鉄
による
新線建設
は行なわれないというふうにお考えを願いたいと思います。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
86
○
加藤
(勘)
委員
考えじゃないのです。私も言っておるとおり、実際にはそういう混乱は起こらぬと思う、同じ運輸大臣の監督下にあるのだから。
予定
線の
計画
の
別表
というか
規定
がありますね。そういうものについて混乱は起こらぬと思うのです。混乱は起こらぬけれども、
法律
の条文のたてまえからいって、新法において旧法を否定するような立法がなされる場合には、旧法の矛盾を来たすところのものは、これは削除しなければいけない。そうしなければ
法律
としては生きておるわけなんです。これはまだ生きておる。そういうことはないからいいというだけではいけないのです。やはりそういう点が明確になるということが必要なことで、これは手続上何でもないわけです。ただ国有
鉄道
は
新線建設
という条項はあるけれども、これはもう事実上
公団
法の成立によって廃棄されるなら廃棄される、削除するなら削除するというふうに、そういうことがはっきりしておれば、法理論上何の文句もないわけなんです。いまのままでいくとやはり法理上理屈はつくわけなんです。決してこの矛盾は解消されない。事実ないからいいというだけでは、私は立法のたてまえは成り立たないと思う。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
87
○広瀬(眞)
政府委員
これは先生のおっしゃることはごもっともでございますが、私どもが
法律
をつくるときの考え方が
鉄道新線
というものの固有の権利は
国鉄
に残しておこうという観念から立法いたしましたもので、そういうことになっております。と申しますのは、実際上はいま先生のおっしゃいましたように混乱は起きないのでありますが、ただ遠い将来におきまして、あるいはまた
国鉄
に、と申しますのは、大
部分
の大きな
仕事
が片づいた場合に、将来
国鉄
に直接また
建設
をやらせるということもあり得るかと考えてこのような法体系をとっておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
88
○
加藤
(勘)
委員
だから問題はそこなんですよ。やはり立法上の要件としてはそういう二つの
法律
において矛盾することのないようにするということが立法の精神でなければならないと思うのです。したがって、いま混乱が起こらない、だから必要がないということと、将来また国有
鉄道
のほうに
新線建設
をやらせねばならぬからその条項を存置しておくのだということでなくて、本来ならば、一応この
法律
ができたのだから、これはもう必要がないからとる。それでまたそのときになって今度は
公団
というものを廃止されるかもわからぬし、あるいは
公団
というものが別の事業をやるようになるかもわからぬし、
鉄道建設
が終わってしまったら、さらにまた
予定
線というものに手をつけていくかもわからぬ。将来のことは将来のことであるが、少なくともこの新しい
法律
をつくろうという場合には、旧法でこれと扞格するようなものがあればその条項は削除する、これは何でもない手数なんですよ。ただ、いま混乱が起こらないからよかろうという便宜主義的な立法は成立しないのじゃないか、私はそう思うのです。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
89
○広瀬(眞)
政府委員
立法論といたしまして先生のおっしゃるような法の立て方もできますし、それから私がいま申しましたような考え方もできるわけでございまして……。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
90
○
加藤
(勘)
委員
それは現実論で、立法論とは違うと思うのですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
91
○広瀬(眞)
政府委員
繰り返して申すようでございますが、
新線建設
というものは
国鉄
の固有の業務であるということを肯定しましてこの
法律
をつくりましたから、このようなたてまえになっておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
92
○
加藤
(勘)
委員
それならばそのようにちゃんと、
鉄道
の
建設
は
日本国有鉄道
法によって
日本国有鉄道
の固有の権利である、しかしいま諸般の情勢を考慮して、現実の問題として必要であるからこの
公団
法を成立せしめるのだ、ついては国有
鉄道
法の第何条にあるどういう条項はもう廃棄されるべきものである、こういうことになるか、さもなければ、これを存置せしめようというならばその例外
規定
を設けておかなければ、
法律
上筋が通らないのですよ。ただ便宜主義だけではいかぬと思うのです。その点もう少し明確にしてください。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
93
○広瀬(眞)
政府委員
同じような答弁を繰り返すことになりますが、
基本
計画
で定めたものにつきましてはすべて
公団
が今後
建設
をいたしますが、観念的にはそれ以外のものもあり得るということで、能力的には
国鉄
が
新線建設
をやり得るというかっこうを残しておるというのが今回
提出
いたしました
法律
のたてまえでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
94
○
加藤
(勘)
委員
その点ははっきり、国有
鉄道
法第三条によりますと、「
日本国有鉄道
は、第一条の目的を達成するため、左の業務を行う。」、「一
鉄道
事業及びその附帯事業の
経営
」、「二
鉄道
事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業の
経営
」、「三
鉄道
事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業の
経営
」、「四 前三号に掲げる業務を行うのに必要な採炭、発送電及び電気通信」、「五 前各号に掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務」、それから二項として、「
日本国有鉄道
は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、
一般
の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕、検査若しくは調達、
工事
の施行、業務の管理又は
技術
上の試験研究を行うことができる。」こういうことになっていますね。 そこで今度の
建設
法の第十九条の
規定
によりますと、「
公団
は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。」、「一
鉄道新線
(
鉄道敷設法
(大正十一年
法律
第三十七号)
別表
に掲げる
予定鉄道線路
及び同法附則第二項の
鉄道
線路であって、
公団
の成立の時において
日本国有鉄道
が
営業
を行なっている区間に係るもの以外のものをいう。)に係る
鉄道
施設の
建設
を行なうこと。」、「二 前号の
規定
により
建設
した
鉄道
施設を
日本国有鉄道
に貸し付け、又は譲渡すること。」、「三 前号の
規定
により貸し付けた
鉄道
施設に係る災害復旧
工事
を行なうこと。」、「四 前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。」これといまの国有
鉄道
法の第三条の
規定
とを見比べてみる。それから第二項としては、ここが問題なんです。「
公団
は、前項の業務の遂行に支障のない範囲内において、あらかじめ、運輸大臣の認可を受けて、次の業務を行なうことができる。ただし、第二号の業務については、委託者が
日本国有鉄道
である場合にあっては、前項第一号の業務に直接関係のある場合に限る。」、「一 前項第一号の
鉄道
施設で高架のものの
建設
と一体として
建設
することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を、当該
鉄道
施設の
建設
に伴って
公団
が取得した土地に
建設
し、及び管理すること。」「二 委託に基づき、
鉄道
に関する
工事
並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうこと。」第三項は「
公団
は、前項第一号の業務を行なう場合においては、政令で定める
基準
に従ってしなければならない。」、この第三項はいいとして、ここでこの十九条と、国有
鉄道
法第三条との関係をひとつ見ていただきたいのです。この間にあなたのほうでは矛盾するものがないとごらんになっていらっしゃるか、あるいはいま言うような法文上の矛盾はあるけれども、実際問題としては何ら矛盾混乱を起こさないからかまわないのだという解釈をとっておいでになりますか、どちらでしょう。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
95
○広瀬(眞)
政府委員
第十九条とそれから
国鉄
法第三条の関係、それから二十二条の関係でございますが、先ほど私が御答弁申しましたことをもう一回繰り返すようなことになりますが、第十九条の第一項第一号で、敷設法の
別表
及び同法附則第二項の
鉄道
線路は今後すべて
公団
に行なわせるということを明記しております。それで先ほど申し上げました二十二条と
国鉄
法第三条との関係になりますが、法のたてまえといたしまして、観念的に
新線建設
の権利
義務
という固有の観念を
国鉄
に残しておこうというたてまえをとりますから、こういうかっこうになっておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
96
○
加藤
(勘)
委員
たびたび同じことが繰り返されるわけですが、
鉄道建設
ということは、国有
鉄道
の
基本
的な固有の権利ですね。それを存置せしめられるならば、立法上
公団
法の中にそういう
規定
が設けられなければいかぬと思うのです。国有
鉄道
は
新線建設
の固有の権利を持っておるのだが、現実の問題としていま早急に別個の
公団
をもって
新線
を
建設
せしめるのだ、したがって
新線建設
を
公団
がやっておる期間中はこの固有の権利は行使しないのだ、あるいはその条項を削るか、どちらかがはっきりしなければ私は
法律
上の矛盾は消えないと思います。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
97
○広瀬(眞)
政府委員
第十九条で、いま申しましたように敷設法の
新線建設
というものは今後
公団
の業務として行なうということを書きまして、第二十二条で、
国鉄
はこの敷設を行なわないというふうに書いてあるわけでございまして、固有の権利は権利として、
国鉄
はこの間は
新線建設
というものを実際上行なわないというふうに観念をしてこの
法律
を整理をしておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
98
○
加藤
(勘)
委員
とにかくこうはっきり文字の上にあらわれておりますと、この矛盾をそのままにしてしまうのはおかしいじゃないですか。とにかくあなたの言うとおり、
基本
権利として
日本国有鉄道
に
新線建設
の申請権がちゃんとそのまま保存されているわけですね。それをそのままにしておいて、他の一方においては行なわしめないという
規定
が設けられるわけなのです。そういう
規定
を設けるならば、この権利について何かこれを全然なくしてしまうか、さもなければ、ここにこんなにたくさん附則がついておるのですから、附則の条項の中にその一項をつければ、それで私は
法律
上の矛盾はなくなると思うのですけれども、
新線
の
建設
を
公団
によってやることの、それがいいか悪いかは別問題として、立法上の矛盾はなくなると思うのです。その立法上の矛盾がそのまま残されてしまうわけなのですね。現にそうやって
法律
上の固有の権利として、
国鉄
にそれは存置せしめるが、実際にはそれは行使しないから混乱は起こらないという、これは便宜論ですね。便宜論で立法を論ずることはむずかしいと思うのです。これは何でもないことだったのではないですか。この
法律
によると、附則のほうが本文より多いくらいにたくさん附則がついておるのですね。これだけたくさんの附則が書かれるならば、私は
一つ
そういう条項がつけられたらいいんじゃないかと思うのです。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
99
○広瀬(眞)
政府委員
これははなはだ見解の相違みたいなことで申しわけないのでございますが、私どもとしては、立法いたします際に、
国鉄
の
建設
線に対する固有の権利
義務
を残しておこうというたてまえをとりましたので、このようなかっこうになったわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
100
○
加藤
(勘)
委員
だからそれが問題なのです。これは決して私は水かけ論じゃないと思うのです。
法律
の条文の正当な解釈からいって、二つの矛盾したものが、ここにはっきりあらわれておる。これは決して水かけ論ではないと思うのです。一方が一方を否定しておるのだから、否定をするならば否定をするように旧法の権利保有という点を何らかの条件つきにすればいい。この
公団
は、
新線建設
中はこの
法律
は適用しない、こういう条文をやって、それに従って国有
鉄道
法第十三条のどうこうという点はこういうように修正する、そういうことになれば、ちっとも立法上矛盾はないわけです。それがなされていない。ただ便宜上、実際問題としては、何も混乱が起こらないからいいじゃないかという、それは便宜論なのですね。これは私はある
意味
からいけば、あなた方の
一つ
の手落ちだったと思うのです。そういう国有
鉄道
に権利を保有せしめる、固有の権利だから保有せしめるという、
日本国有鉄道
を愛するというその言葉はよくわかります。その
意味
もわかる。わかるけれども、立法の
技術
の上からいって、はっきりとそういう矛盾した形があらわれてくるわけです。だから
日本国有鉄道
法による権限を一時停止するなら停止すると、こういうことになっておれば、もう文句はないのです。どうですか。これは水かけ論ですか。私は水かけ論ではないと思う。はっきりした二つの矛盾したものがあらわれている。これは読み比べればすぐわかるのです。おそらくあまり安易過ぎて考えられた結果じゃないかと思うのです。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
101
○広瀬(眞)
政府委員
見解の相違とか水かけ論と言うとしかられると思いますけれども、私どもは先ほどから申し上げておりますように、固有の権利を残すということ、それから、実際問題としましては、すべてその間
国鉄
は
建設
線を行ないませんので混乱は起きないと思いますけれども、最近の立法例から申しまして、大体法が新しくでき、あとからできた
法律
が前の
法律
に優先するという
一般
的な原則がございますので、
国鉄
法の一二条の関係は、
公団
法の十九条あるいは二十条、二十二条に関する限り、その間能力が停止されるというふうに
法律
上は解釈されるのではないかというふうに考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
102
○
加藤
(勘)
委員
あなたがいまおっしゃるように、私は決して水かけ論とあなたから言われたからというておこるかというと、おこりやしません、しかりやしません。そんなことでしかったり、おこったりするのではなくて、お互いにその矛盾を明らかにして、そうしてすべてのものが解明されて、すべてのものが納得がいくということが必要なことなんであって、決して議論をし合って、自分の
意見
に合わなかったらおこるとかなんとかという、そんなけちな考え方は持っていないのです。だから、いまおっしゃるように、新法が旧法を制約する、こういう立法通念によってあなた方はそういうぐあいにお考えになったというけれども、しかし道理に二つはないのですね。これは便宜上の問題なんですよ。死んだ馬がはね返すということもあるように、古い
法律
条文にこういう条文があるからこれをどうする、こう言って責めたときには、それは停止しようがないでしょう、
法律
に基づいて主張する場合に。ただそれをやらぬから、実際問題としては起こらぬからいいけれども、起こらぬからよいというて、立法上の矛盾をそのまま、だからいいというて承認するということはできないのじゃないか。しかもこれはあなた方が少しく注意深くこの草案を作成されるならば、私はこういうことは議論にならないで済んだと思うのですよ。それをちょっとした心やすさから、安易な考え方から、それはもう新法によってこういう
規定
をすれば旧法なんか問題でない、こういうことで立案されたからそういうことになると思うのですがね。その点やはりはっきりしておいたほうがいいと思うのですよ。
井手委員(井手以誠)
103
○井手
委員
議事進行について。——私は、この
公団
の性格、特に国有
鉄道
の
鉄道建設
との権限の問題、立法の問題については、当局の説明ではこれは納得することができないのです。納得されるものではないのです。それは
法律
の三条ですか、二十条、二十二条、三十八条などにかなり出ております。そういうものをひとつ参考にして、答弁を統一して、みんなに理解できるような答弁にして午後やってもらいたいと思います。だいぶ時間がたっておりますから、
委員長
においては、午前中はこの
程度
にして、午後再開劈頭に統一された、理解できる答弁をやってもらうことにして、休憩をお願いいたします。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
木村委員長(木村俊夫)
104
○
木村
委員長
午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十八分休憩 ————◇————— 午後一時四十九分
開議
木村委員長(木村俊夫)
105
○
木村
委員長
休憩前に引き続き、
会議
を開きます。
日本鉄道建設公団法案
を
議題
として、
質疑
を続行いたします。
加藤勘
十君。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
106
○
加藤
(勘)
委員
大蔵大臣が何か時間に制約があるそうですから、大蔵大臣に対することをまずお尋ねします。先ほどの私の質問は、大蔵大臣に質問した後、また、ほかの同僚からも大蔵大臣に質問がありますから、大蔵大臣に対する質問がみな終わってから、前の質問に入りたいと思います。 大蔵大臣にお尋ねしたいことは、第に、この
鉄道建設公団法
というものが生まれる動機をつくったのはあなたなんですね。あなたが
鉄道建設審議会
の小
委員長
として、
鉄道
を急速に敷かなければならぬ、こういうお考えから、
審議
会の答申となってあらわれてきたと思います。その後、あなたが大蔵大臣におなりになったから、国家財政の首脳者として、最初自分が発案して答申された案に基づくこの
公団
法ですから、これに要する
資金
関係のことも、当然
鉄道建設審議会
の
審議
の過程においてあなたの考慮の中には入っておったと思うのです。入っておらなければならぬはずです。それが今度大蔵大臣になられたのですから、当然この
法案
が
一つ
の立法として成立しようという第一の条件としては、
資金
関係をどうするか、こういうことであると思います。これに対して、公式に閣議においてどうこうということはなかったそうですけれども、
予算
折衝の過程においては、あなたのお考えも十分専務当局からはお尋ねになったはずであります。結論としてあらわれてきたものは、三十八
年度
にわずか五億円の
政府出資
しか、形式の上ではあらわれていない。国有
鉄道
のほうとしては、従来
新線建設
に回しておった七十五億円が
出資
される、このほかに
借り入れ金
五億円として、八十五億円の
資金
で第一
年度
を出発しなければならぬ、こういうことになっておりますが、第一
年度
、かりに
公団
法が成立して
仕事
を始めるとしましても、一体八十億もしくは八十五億の金でどういうことが手につくか。一番早く
完成
すると思われる、たとえば最近に開通を見られたといわれておる相模線のごとき
一つ
を取り上げても、なお相当の
資金
を要するし、いわんや四十七の
着工線
をできるだけあなたの
計画
どおり十ヵ
年間
にこれを実現しようとすれば、少なくとも五、六千億円の金を要するといわれておる。そういう割合からいきますと、第一
年度
においても、相当の
資金
が
計画
の中に入っておらなければならぬ。ところが、それが少しも示されておらぬし、またいままで
委員
会でお尋ねしても、そういう点については明確な見通しは立たぬ、こういうことになっております。ただ、
鉄道
債券
か
公債
か知りませんが、そういうものが
発行
される、あるいは
政府
保証による
借り入れ金
がなされる、そういうことについての見通しも、ここでははっきりしたことが言われないという段階にあるわけです。どうしてもひとつ、大蔵大臣のこの
公団
法生みの原因をつくった
責任
からいっても、また国の大蔵大臣という
立場
からいっても、私は、
資金
関係については最も強力な発言をなされ、それが実行されるように仕向けていかれなければならぬと思いますが、その点についての大蔵大臣のお考えを聞きたいと思います。
田中国務大臣(田中角榮)
107
○田中国務大臣 御
承知
のとおり、本案は、一昨年の七月だったと思いますが、
鉄道建設審議会
の小
委員
会の答申に基づきまして、総会でも満場一致決定をし、
法律
に基づいて
政府
に
建議
をされたわけであります。運輸省は、この
建議
にこたえて、三十八
年度
の
予算
折衝の問題として大蔵省に
予算
要求をしてまいったわけであります。この問題につきましては、御
承知
のとおり、小
委員
会でもたくさんの議論をいたしました。まず、
国鉄
につきましては、現在の
国鉄
を御
承知
のとおり再編成をして、ペイするものとしないものと二つに分けて、第一
国鉄
、第二
国鉄
案がございました。もう
一つ
は、新幹線のようなものを現在の
国鉄
から離して、別な
企業
体としてやるべきだというような案もあったわけであります。そういう案を比較検討しました結果、過去においては、一
年間
に現在のものの十年分くらいの
新線
が
建設
せられたというような例もございます。それが戦前から戦中、戦後にかけまして、急速に
新線
の伸びが落ちてまいりまして、現在では百キロにも足らないというような
状態
でありますので、何とかしなければならぬという結論が出たわけであります。もう
一つ
は、
道路
と
鉄道
との比較の問題が議論をせられたわけでございますが、
日本
のように、地形、地勢上、また気候の制約がある特殊事情を考えますと、現在から何年かたつうちには、
道路
よりも
鉄道
のほうがより安くつくというような比較も行なわれたわけであります。御
承知
のとおり、いま高速度
道路
はキロ当たり十一億くらいの
予算
で計上いたしておるわけでありますが、
鉄道
の
新線
は、単線でも、御
承知
のとおり一億二千万円から二億弱でできるわけでありますし、日ノ影線のような山岳地帯を横断するような場合でも、一億かからないということでありますし、
道路
のように無料公開の原則に立っておるわけではないのでありまして、
赤字
が出るという——いわゆるその
企業
単位で考えてみますと、
赤字
が計上せられるということでありますが、国家的なより広い
立場
で
鉄道
の功罪というものを考えますときには、やはり
鉄道
によらざるを得ないという面も多々あるという結論に達して、
建議
が行なわれたわけであります。
建議
を受けて
予算
を認めたのであるから、七十五億
国鉄
が例年出しておったものにプラス五億円——当時の状況をそのまま申し上げますと、
国鉄
に対して連年
利子
補給を行なっていた額が四億何千万円でございますから、それをまるくして五億ということであるから、どうもこれじゃ
公団
法をつくった諸目的が達成できないじゃないかというお話でございますが、これらの問題も十分検討したわけでございます。しかし、
国鉄
がいままでやっておりました
新線
を受け継ぐのでありますので、
国鉄
との関係をどうしなければならぬか、それから
道路
と
鉄道
とのより高い
立場
における比較という、いわゆる国家財政の上から見まして、
投資
効率というものをどういうふうに活用をしなければならぬかという問題もございます。もう
一つ
は、今年三月三十一日までに上げていただくつもりでございましたが、四月一日から発足をしたにいたしましても、初
年度
というのは、
国鉄
との関係の整理とか、いろいろな問題がございます。将来より確実な財政的な方向も見出さなければならぬし、これが経済的
効果
に対しての検討も必要でありますので、三十八
年度
につきましては、新しく
公団
を発足せしめて、そして将来の
計画
に対してはより合理的な
計画
を立てて、三十九、四十年とこの
公団
をして真の目的を達成せしめるような
状態
までもってまいりたい、こういうことで、三十八
年度
の
予算
につきましては、御説のとおり、三十七
年度
にやっておったと同じようなものが置きかえられたにすぎないというふうにはお考えでありましょうが、
公団
債の
発行
や
政府
保証債の道とか、いろいろ法制上もその道を開いておりますので、将来は
鉄道建設審議会
で議論をせられたような問題を国会でも議論をせられ、より検討の結果、万全を期してまいりたいという考えのもとで現在のような
予算
要求になったわけであります。でありますから、三十八
年度
は少ないから三十九年もそのとおりであるというようにお考えではなく、お互いに、これを
機会
に
日本
の
鉄道新線
というものはどうあるべきかという問題に対して、本質的に掘り下げて、将来の長期見通しを立てる絶好の
機会
でありますので、国会の
審議
を通じてそのような道が開けてまいるということを
前提
として、御
審議
をわずらわしておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
108
○
加藤
(勘)
委員
そうしますると、この
公団
法が生まれるまでには、
審議
会等においてもいろいろ議論をされて、結論的に言うならば、現在の
国鉄
にそのまま継続して
新線
を
着工
せしめるか、あるいは東海道新幹線のように特別会計の方式をとるか、あるいは第二
国鉄
というような
国鉄
の別のものをつくるか、あるいはいま出ておる
公団
方式によるか、こういうようなさまざまな議論が出た結果、この
公団
法が選ばれた、こういうことなんですね。 そこで、いまもおっしゃるように、われわれももちろん、三十八
年度
に八十億もしくは八十五億の
資金
で着手したから、
年度
割りもそれに応じてというような考えはございません。これはもうだれだって、そんなこと当然のことで、十
年間
に五千億かかれば、少なくとも
年度
五百億、さらに物資あるいは労賃等のことを考慮すれば、さらに経費がより多くなるということは当然のことでありまするから、そういうことに対する財政
計画
なり
金融事情
なりというものの将来に向かっての正確な見通しは、もとよりだれでも困難であるけれども、おおよそのところをつかんで、この
公団
法による
鉄道建設
が始められて、
予定
のように十
年間
で
建設
を完了せしめるということができることについての財政、金融上の大綱の見通しを聞かしてもらいたい、こう言っておるわけでありますが、その点は非常に困難だということであれば、これはどうしてもひとつこの発案者であるし、
責任
者である大蔵大臣の意向を聞かなければならぬ、こういうことになることは当然でありまして、そういう
意味
で私も御質問しておるのですが、こういう点についての、いまもおっしゃるとおり、国会の
審議
を通じてそういう点を明らかにする、こういうことでありましたから、その見通しについてのお考えを聞かしてもらいたいと思います。
田中国務大臣(田中角榮)
109
○田中国務大臣 御
承知
のとおり、先ほども申し上げたとおり、
建議
を受けて
政府
は立てたわけでございます。
加藤
さんも十分御
承知
と思いますが、
国鉄
そのものが、もう
一つ
の転機にきておる、山場にきておるということは、もう常識であります。でありますが、その
国鉄
の状況にあわせて考えてみますと、この
国鉄
の中で、さなきだにむずかしい
国鉄
自体が新しい道を選ばなければならないというような議論のあるときに、
国鉄
にどの
程度
われわれが
政府
のほうで財政
負担
をすべきか。それから
国鉄
はさなきだに交通難、交通の隘路を打開するといういま目前の大事業がありますので、結局議論の上ではいろんなことが言われても、
国鉄
に他の
政策
目的を持った地方
開発
とか、その他北海道の
鉄道
というような、こういうものを
国鉄
に求めることが、いままでのものとごっちゃになって——そうじゃなくても、現在でも困っておるというときに、新しいそういう大きな
政策
目的を負わせるよりも、その
責任
というものを明らかにして、新しい
公団
で、
政府
も
国民
も理解をして、
新線建設
は行なったほうがよろしいという結論になったわけであります。いま北海道と本州との連絡の問題、それから四国と本土との連絡の問題、こういう大きな海上横断
鉄道
、
道路
も併用されると思いますが、こういう問題ももう調査をし、パイロット隧道の
着工
に至っておるわけでありますが、大体これらの問題と新幹線にあわせて
国鉄
がやっていくほうが合理的なのかどうかというような問題まで考えた結果、これは明らかに分離をして、
新線建設
は新
公団
に行なわせるというのが
建議
の内容でございます。でありますから、私は先ほど申し上げたとおり、三十八
年度
の
予算
のようなものではなく、三十九年、四十年——これは
新線
というものは、
国鉄
が現在やっておったものに毛のはえたようなものでいいので、
道路
に移行すべきだとか、もっと海上や航空によって結ぶべきであって、
鉄道
というものは必要はないんだというような結論が出れば別でありますが、少なくとも特殊な地形、地勢、気候等の制約を受けておる
日本
の特殊な
状態
から考えて、
鉄道
が要らぬというふうにはならないと思うのであります。でありますから、将来は、この
鉄道
建設公団
が、
日本
がかつて
年間
千キロの延べ延長
新線
をつくったというところまで時代がこれを要求するかどうかは別としまして、いまよりも画期的な
立場
において
新線建設
というものがこの
公団
法によって行なわれるんだ。それに対して、
政府
は公共
負担
というものを
一般
会計でどれだけ一体負うのか。それから
公団
債を出す場合に、一体どういうような
状態
で出し、国との関係はどうなるのかというような問題は、これから当然また近く開かれる
新線建設
審議
会でこれらの問題に対して議論がせられるわけでありますので、そういうものを受けて立ちながら、
政府
も十分これは
国民
各位の理解がなければできない問題でありますし、特にこういう経済的に、この会計だけで見ますと、
赤字
が出るということが
前提
になっているというようなものに対しては、世論も十分見ながら、
政府
はこれに対応して、財政的な
措置
、いわゆる
資金
確保
の道を開いてまいりたいといういま考えに立っておるわけであります。でありますから、現在の
状態
でいやしくも国会に
法律
を出しておるのだから、
国民
各位の批判や趨勢をまってからやるということは不見識であって、現在の段階でいいという、こういうような御質問がもしありとするならば、先ほどからるる申し述べておりますように、
国鉄
がやっておりましたものは七十九億でありますが、しかし実際は五千万円、一億とつけても、何とかかんとか言って実際
仕事
をやっておらぬ。集中的にやむを得ざるものにだけ集約されて
投資
をされておっても、何
年間
も毎年々々
予算
がついたと言って地方はちょうちん行列をするけれども、何もしない、棒ぐいさえ立てない、測量さえしない、こういうふうなものが今日まで続いてきたわけでありますが、少なくともこの
法律案
が通過をして新
公団
ができる場合には、優先順位をつけたり、
投資
効果
を十分にはかりながら、年次
計画
というものが
策定
せられるべきだと思います。この年次
計画
の
策定
にあわせて財政的な
措置
を合理的に樹立をしてまいるというのが、現在の
政府
の考え方でございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
110
○
加藤
(勘)
委員
るる御説明をお伺いしましたが、問題はそういうところになくして、今後の見通しにおいて、いまの計算、三十八
年度
の賃金なり、物価なりを
基準
として計算されておおよそ五千億円、これを新幹線のような例に見ると、最初の計算から見ると、今度の求められる追加
予算
を計算すると、二倍半、三倍近くになってしまう。そういうことから考えますと、五千億というものが一体幾らになるか、これこそ見通しがつかぬと思うのです。そういう場合に、少なくともこの
公団
法というものについての案ができたときには、これによると、どういう
年度
においてどのくらいの
資金
関係が必要か、そうしてその
資金
はどうして求められるか、求めることが問題だと思うのです。
国鉄
の
出資
には限度がある、
政府
の
出資
にも限度がある。
公共事業
として扱うとしても、
公共事業
の割当も限度がある。そうしてそれでは、
予定
のとおり、たとえ
計画
が
策定
されても、とてもこれを十
年間
にやることはむずかしい。どうしてもその
資金
を豊富に求めなければならぬという点において、先ほども私は質問したのですが、
一般
公募による
公債
といいますか、
鉄道
債といいますか、そういうものを
発行
される
予定
であるということですけれども、それは私は国の財政とそのときの
金融事情
によると思いますから、いまから、一々具体的に当てはめることは困難であるけれども、少なくと十
年間
にこれだけのことをやってのけようという大綱について、ほぼ見通しがつくわけなんです。その大綱の見通しも立てられないで手をつけるということは、ちょっとむちゃじゃないかと思うのです。その大綱をひとつ大蔵大臣の
責任
において聞かしていただきたい、こう思うわけなんです。
田中国務大臣(田中角榮)
111
○田中国務大臣
加藤
さん御
承知
のとおり、先ほどもあなたの御質問にお答えしておるのです。この
法律
は、
法律
に基づく
鉄道新線建設
審議
会の
建議
に基づいて認めたのでございます。
建議
の内容ももちろんそのとおりでございます。
建議
の内容はあなたが言われたとおりで、いま
着工線
になっておる四十何線そのほか、これを十ヵ年でやっていくのには五千億かかるのだ、当時の、いまからまる二年前に計算してみても、そのとおりであります。その当時日ノ影線なども、一番の難
工事
の個所をキロ一億五千五百万くらいしか見ておらなかったのでありますが、これが二億になるということになれば、なお六千億、七千億になるのじゃないか、こういうことでございます。その中には、過去において採択せられたものも、そのままみな計算をしております。でありますから、その後、新産業都市
建設
促進法も施行せられ、
政府
は近いうちにこれを指定しなければならぬ、こういうことになっております。また、その後産炭地振興というような問題で臨時国会も開かなければならぬというような新しい事態も起こっておるわけであります。でありますから、これから
政府
も、民間も、国会も、十分検討せられて、少なくともこれだけの
新線建設
というものは何ヵ年でやっていかなければならないという問題が、当然起こってくるわけであります。でありますから、十ヵ
年間
五千億、しかも海峡
鉄道
等を除きまして、五千億というものをそのまま
政府
が受け入れて——とにかく
建議
を受けて立つ以上、その内容を全部受け取ったのだろう、こういう御質問もあるかもしれませんが、少なくともいまよりも前進的でなければならぬという政治的な
責任
の上に立って、この
公団
法の
提出
をいたしたわけであります。でありますから、先ほど申し上げたとおり、きょう御質問をいただいておることと同じことがきっと
新線建設
審議
会でも議論せられ、私たちに対してもまた出席を求められ御質問があると思いますが、これは
政府
が受けて立ったものでありますので、これから
新線建設
審議
会の議論も十分拝承しながら、またその後に生じた新しい事態もございますので、
道路
との比較、
港湾
との比較、海上との比較とか、いろんな問題もあると思いますので、このような
状態
を十分勘案をしながら、財源
確保
をはかってまいりたい、このように考えておるわけであります。いま国会に
提案
をいたしました英貨債の借りかえに関する
法律
をお願いしておるわけですが、これを見てみますと、明治三十二年に
発行
したわけでありますが、このときには
鉄道
の幹線整備のために外債が
発行
せられておる、こういうことであります。私は、その結果、
日本
の経済復興に非常に寄与したであろうということを考えておるわけでありますが、まあ外債によって財源を得るという道もございましょうし、それから先ほどから申し上げておりますように、
鉄道
公団
債の
発行
ということも考えております。また、新しい
公団
でありますから、明治初年から
日本
の
鉄道
が初めて敷かれたときの歴史も十分考えながら、そういう事態には
一般
会計からの補てんという道も、最重点的な施策としてとられたわけでありますから、こういうものを財政の中で優先順位をつけながら、国会でも御理解を賜われるような
状態
で
資金
確保
をはかってまいりたいという非常に積極的なものを出しておるわけでございますので……(「前進的な内容を示せ」と呼ぶ者あり)内容は先ほど申し上げましたとおり、十ヵ年五千億という内容を持つ答申を受けて立ったのでございますので、いまよりも積極的であらねばならぬということを
政府
は考えておるのですが、五千億そのままのんだのか、のめば、その後物価の変動等で七千億になっておるぞ、七千億はどういう
計画
でもって、いついかなる
方法
で出すのか、こういう事態ではないと思います。先ほどからるる申し上げておりますように、財政の内容の範囲内において、しかも重点的に、前向きに、積極的にやってまいりたい、これが現段階における
政府
の考え方でございます。 〔「満点だ」と呼ぶ者あり〕
加藤(勘)委員(加藤勘十)
112
○
加藤
(勘)
委員
確かにいまどこからか声が出たように、あなたの答弁は満点なんです。しかし、それはどういうことかというと、何もわけがわからないという
意味
においての満点で、そうではないんですよ。私の質問の要点は、これから
策定
されるといわれるその
策定
に基づいて年次
計画
ができて、その年次
計画
によって三十八
年度
はどれだけのことをやる、三十九
年度
にはどの線の
完成
につとめるというように、全部一ぺんにやるのではなくて、順序があるということは、だれでもわかることです。ただ問題は、そういうときに、
基本
的に国が
資金
の供給をどういうところに求めるかということです。いまあなたは外債ということをおっしゃったけれども、東海道新幹線のようなところならば外債も入るかもしれませんが、山の中で、それこそクマが出るかシシが出るかわからないようなところに
鉄道
を敷くのに、外債なんかとても応じられないですよ。そんなところに外債なんか見込んでおったとしたら、大きな見込み違いです。そうではなくて、やはり着実に、どこに
資金
を求めるかということについては、結局国が何らかの形において、直接の
負担
か間接の
負担
かわかりませんが、とにかく
負担
をしなければならないことになる。それでなければ、
日本
の市中銀行だって金を貸しはしません。
政府
が保証して初めて金を貸すのであって、
政府
の保証のないところに銀行が金を貸すものですか。そういう点から言って、おおよそこれから
鉄道建設審議会
の議を経てどういう
策定
をやるかということでは、この
法律
を出すにはあまりに手おくれです。
法律
を出すについて、そういうことが議論されて、そういう議論に基づいて、ただ四十七の
着工線
と十五の
調査線
だけを
着工
せよという、この
審議
会の
意見
だけをそのまままるのみにされたのでは、少しもそういう将来に向かっての
計画
性というものがないわけです。あなたはいま、ことばをずいぶんたくさん使われたが、要点は何もありはしないのだ。普通の
一般
常識で議論し得る範囲からは一歩も出ていないのです。それではいけないのじゃないか。この
鉄道建設審議会
というものは、運輸大臣が諮問をされて、
策定
案をどういうぐあいにつくられるか。それをつくるのも
審議
会の権限に属するのか。先ほどお伺いすれば、
鉄道
に関する以外の権限は何もない。だから、今日の社会情勢下において、交通全般についての
政策
を議論する余地がない
審議
会である。そうすると、今度はどういう点を
審議
、諮問されるか知りませんけれども、おそらく
鉄道建設審議会
においては、一ぺん決定した
新線建設
については、これをそのまま持っていけ、あるいはこれについての費用等は
政府
の
責任
においてやるべきであって、
審議
会がかれこれそういうことについてまで
意見
を出す権限はないのだ、こういうことになってしまって、結局
政府
が
責任
を持たなければならないことになると思います。そういう場合に、いまの
程度
のあなたの説明では、だれも納得できないと思います。何だか知らぬがうまいことを言っておるなというようなことになって、わけがわからない。それではほんとうの
審議
にならないと思うんですよ。
日本
の文化の向上のために、
地域
差の解消のために、あるいは産業の興隆をはかるために、
鉄道
が大きな役割りを持っておるということは、われわれもよくわかります。ただ問題は、それにもかかわらず、今日の社会情勢下において、
鉄道
を唯一のものに見るか。いまおっしゃるように、他の交通機関の航空機もある、あるいは沿岸の内航の問題もあるので、そういう問題等を勘案しつつ、
鉄道
がどれだけの比重を持っておるかということも考慮しなければならない。地方の人々が
鉄道
を欲するということは、
鉄道
を一番身近に感ずるからであって、バスでも、トラックでも、物を
輸送
したり人を運ぶ上においては非常に便利で、むしろバスなんかのほうが便利だと思います。気候、
道路
の関係でこれが年じゅう利用できない僻遠の地もありますけれども、
鉄道
でも同じことなんです。やはり
鉄道
でも、冬になって雪が降れば、北陸の幹線すらもだめになってしまう時期もあるのだから、そういう点からいけば、
鉄道
必ずしも有利であると言われないと思うのです。
道路
がほんとうに
完成
されておるならば、むしろ
道路
を利用したほうがより有利な交通機関となり得る。そういう点はいまさらここで議論すべきでありませんけれども、とにかく一応
鉄道
の優位性をとって、
鉄道
を
建設
するについては時間を急がなければならぬということからこの
法案
が出された以上は、この
法案
の
審議
に沿うような将来に向かってのおおよその——私はおおよそと言っているんですよ。決して正確なというわけではない。おおよその
資金
関係の見通しを述べてもらわないと、なかなか得心がいかない、こういうことなんですから、もう少しあなたざっくばらんに——それだけすべてざっくばらんにものを言っているんだから、もう少しざっくばらんに根幹を説明してもらいたい。
田中国務大臣(田中角榮)
113
○田中国務大臣 私は、
政府
がこの
法律
を出したということは、
新線建設
ということに対して非常に前向きであり、積極的である、こういう姿勢はひとつお認め願えると思うのであります。まあ
鉄道
は、先ほどあなたが言われましたとおりに、私もまた同じことを申し述べたわけでありますが、確かに
道路
との比較の問題があります。それから航空との問題とか、
港湾
を使用する海上
輸送
との問題等の比較はございますが、いずれにしても
建議
がなされました当時は、一級国道、二級国道、俗に三級国道と言われる重要指定府県道の総延長五万キロぐらいまでは、大体
鉄道
より
道路
のほうが優先するだろう。ただし降雪地が二分の一に近い四九・何%あるんですが、そういうような
日本
の
状態
であり、特殊な山岳がございます。結局二点間を結ばなければ交通は
確保
されないのでありますから、山岳
道路
になりますと、五万キロ以上、
日本
ではいま大体十五万キロぐらいの整備を目標としてやっておるわけでありますが、五万キロをこしますと、
鉄道
と
道路
というものが
年間
を通じてどのように比較されるかというと、
鉄道
が優位という議論も成り立つそうであります。遺蹟は無料公開でありますから、維持、修繕等全部国で行なわなければならぬ。これは地方公共団体がやっても同じことであります。ところが、
鉄道
は、
鉄道
の会計から見ますと、人があまり乗らないので半分は
赤字
だ、こういうことでございますが、しかし、半分は
収入
はあるのであります。でありますから、会計別の
赤字
とか、ペイしないとかいうことは別にしまして、いずれにしろ国自体の
経済発展
にいかに寄与するかということを考えますと、
鉄道
の優位性ということも論じられるわけであります。 もう
一つ
は、冬季の
道路
交通
確保
に関する
法律
、これが出まして百二十五億、五ヵ
年間
で相当な金額を出そうというふうになって、国会でもってそういう
法律
ができておりますが、これが冬季間幹線
道路
の除雪を国が
負担
するとか地方公共団体が
負担
するということになりますと、
鉄道
のほうが少しいいのではないかという問題もあります。これは北海道の
道路
と
鉄道
の比較をしてみますと、北海道は、御
承知
のとおり、
鉄道
は約七、八十
年間
赤字
でございます。
赤字
でございますが、五十万人の北海道が六百が人、七百万人に人口がふえ、北海道自体の
経済発展
がいかになされたかということを考えますと、
鉄道
に負うこと多いというようなことよりも、
鉄道
によって
開発
されているわけであります。でありますから、そんなようなものを十分検討をして
建議
になり、その
建議
を受けて、
国鉄
ではどうにもならないものを
公団
として
補助
をさせようというふうに
政府
も踏み切ったのでありますから、先ほども申し上げたとおり、確かに前向きであるということは、御理解願えると思うのです。 ただし、財源
確保
と年次
計画
の問題は、あなたが言われましたとおり、他の交通機関との経済比較もしなければなりませんし、また現在、
鉄道新線建設
審議
会でもって答申を受けて、によって
着工線
となり、それから
予定
線になっておりますものも、その後にできました
法律
でもって、新産業都市とか、産炭地の振興とか、いろいろ
政策
的な要求もありますので、そういう問題をひとつ整理しまして、これから五ヵ
年間
くらいはどうしてもやらなければならぬというような問題に重点的に順位が付されるわけでありますので、そこでおのずから年次
計画
を
策定
せられるわけであります。 そういうものを待たないで、
政府
が一方的にやればいいじゃないか。またやることがより合理的であり、少なくとも国会にこれだけの
法律
を出す以上は、
政府案
だけは持たなければならぬというお気持ちも十分わかりますが、先ほどから申し上げたとおり、
鉄道
に対しては、
道路
にかわったほうがいいのだというような議論もほうはいとしてありますし、より
国民
的な結論を得ながら、
政府
がそれに対応していくほうが合理的であると考えておるのであります。 でありますから、しいてあなたの御質問に対してお答えをするということになれば、少なくとも八十五億や百億
程度
の金をつけて、来年これで済むというような考えではありません。だから、めどだけでもいい。少なくとも二
年度
にはこの倍額くらいにならなければお話にはならないだろう。五百億ずつといっても、
新線
そのものに対しても、来年は東海道新幹線というものがありますし、私は、やはり常識的に考えますと、この
公団
がほんとうに動いてくるのは、新幹線が終わって、このワクがすぽっとあくわけであります。こういう場合に、この
新線建設
公団
にどのようにこのワクがそのまま移っていくか、それにプラス・アルファをどうしていくのか、一体
政府
は公共
負担
をどの
程度
やるのか、これらの問題は、
一つ
一つ
みんな議論のある問題でありますから、まず、本
年度
発足させておいて、受け入れ態勢をつくっておきながら、そういうものをつくっていくべきである、私はそういうふうに考えておるのであります。少なくともいままで
国鉄
に出しておったよりも、公共
負担
、
一般
会計からの
負担
がふえるであろうということだけは、
前提
としては申し上げられますが、ではどれほど出すのか、
公団
債の売れ行きというものもございますし、これが
発行
限度や、
政府
責任
や償還年数をどうするかというような問題で、またそういう
方法
で、
政府
が
国民
の税金で直接まかなわなければならないという面をある
程度
しぼって、きめる
前提
となるいろいろな問題がまだ片づいておりませんので、そういうものを見ながら、
資金
確保
の道は講じていかなければならぬ。原則的には、いまよりも
政府
の
負担
が確かに
鉄道
に関してはふえるということは、この
法律
はその事実を
意味
しておる、これはお答えできると思います。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
114
○
加藤
(勘)
委員
いま大蔵大臣のお答えの中から、
一つ
重要な新事実を私ども聞かしていただいたわけであります。
資金
計画
に基づく一番当面の
責任
者である大蔵大臣のおことばとして、私どもが非常に重要だと考えますことは、実際に
公団
が具体的に動き出すのは、東海道新幹線完了後である、こういま言われたのです。なるほど
鉄道
の
技術
を転用、動員しようとすれば、私はどうしても事実上そうならざるを得ないと思うのですけれども、もしそうであるとするならば、新幹線の一応の任務の終了は、来年の九月なんです。
営業
は十月一日から開始されることになっておるのですから、まだ一年ゆっくりあるわけなんです。その間に、いまおっしゃるような
審議
会の
審議
も求めるであろうし、
政府
としての年次
計画
の
策定
もなされるであろうし、そういうぐあいにして、もう少し落ちついてこの
法案
の立法に当たられたならばいいのではないかと思うのです。いまあなたが、三十八
年度
予算
でこの
法案
が通ったらすぐ右から左へ着手するのだ、準備行為に移るのだ、こういうことであるならば急がれるということもあるけれども、事実上
鉄道
技術
等を動員するということは、新幹線の終了後であるということを言われるならば、この一
年間
というものをそういう準備期間として用いられるほうが、より着実なものができ、
計画
も具体的なものが生まれてくるのではないかと思うのです。おっしゃるとおり、遺跡との比較も起こってくるし、他の交通機関との関係も起こってくるし——話がちょっと途中になりますけれども、
鉄道
というものに対する地方の人々の考え方なんです。これは非常に変遷しておると思う。去年でしたか一昨年でしたか、私どもは宮城県の白石という町に行った。そのときに白石の市長さんや市会
議長
さんが、野党のわれわれにまで停車場移転の問題を請願、陳情されておるのです。前に東北本線が通ったときに、白石の町を通すはずのものが、こんなところに
鉄道
を敷かれては困るという土地の人の反対で、いまのあの遠いところに敷いて、名前は白石であっても、実際の白石の町とははるかに違った村に駅が設けられている。それで最近になって初めて、これは
鉄道
というものは便利なものだというところから、市長、市の機関あげて停車場の白石移転を請願しておるという事実も、われわれは知っております。私自身も行って陳情を受けた一人です。そういうように、地元民の
鉄道
に対する感じ方というものは違うと思うのです。いまほんとうに不便で何の交通機関もないようなところの人々が、
鉄道
を恋人のごとくに恋い慕うということは、私はもっともだと思うのです。けれども、たとえば飛騨の奥のほうに行く場合に、あすこに
鉄道
を敷いたほうがいいか、現在のバス、トラックの
輸送
でいいのかということになれば、それは
鉄道
が敷かれれば、バス、トラックでやるよりはあるいは便利かもわからぬけれども、事実上バス、トラックの運営によって、白川のあの飛騨の奥のほうの人々も、そういう恩恵を受けておるわけです。戦時中のごときは、あすこから二かかえもあるような大きな木材をやはりトラックで運び出しておった。これは
鉄道
で運べば有利にきまっています。けれども、あすこに
鉄道
を敷いて、それでほんとうに採算上合うか合わぬか。やはり
一つ
は文化の河上ということもありますけれども、
一つ
はやはり経済
開発
、
経済発展
ということが主眼になっている。
鉄道
としても、やはり
経営
が自主的に成り立つような限度でなければならぬと思うのです、国がやろうと、どこがやろうと。だから、そういう点で必ずしもいろいろなものを加えて——
部分
的に見れば、
鉄道
の優位性ということはわれわれも認めます。認めますけれども、そういうように
鉄道
というものに対する感じ方が変わってきておるという人心の動き、それから経済上の利害得失と、社会情勢と、全般を勘案総合して検討されることが必要である。ただ
鉄道
だけを何でもかんでも敷かなければならぬと、
審議
会の答申を受けたからというて、その答申どおりやらなければ困るということではなるまいと思うのです。だから、この一
年間
、これを取りやめるということはできぬでしょうけれども、
審議
未了、継続
審議
にして、その間に十分な検討をされるということのほうが、むしろいまのあなたのおことばから見ると、妥当のように思うのです。その点はどうでしょう。
田中国務大臣(田中角榮)
115
○田中国務大臣 これは
加藤
先生ほどの方でございますから、あげ足をとられてお話になったとは思いませんが、しかし、先ほど私が申し上げましたのは、実際に
鉄道
というものに思い切って
投資
をされるということは、片方に新幹線をやっておりますので、この上に何百億、何千億というようなことは、なかなか言い得て行なうことはむずかしいだろう、これは常識だということを申し上げたおけです。でありますが、来年新幹線が終わりますから、終わりますと、大蔵省の事務当局としましては、そのあいたものをさっとよそに、五、六百の要求がありますから、持っていくように考えておりますが、しかし、
建議
にもございますように、
鉄道
というものは、
日本
の
経済発展
にこれは絶対的である。与野党満場一致である。学者も何もみんなそうです。そういうことで、
日本
の先輩は
年間
千キロずつもやったから、
日本
の経済がこう復興したんだ。これはしまいには
鉄道
に
独立採算制
だけを押しつけて、
年間
七十五キロくらいしかやらないから、
日本
の経済は跛行的になり、
地域格差
はこうなったんだ。だから、
鉄道
なくしてはどうにもならぬ、こういう結論で皆さんが
政府
に
建議
された。私もその中の一人でございましたが。その結果、
公団
法を
政府
はのんで、そうして国会の御
審議
を願っておるのですから、実際の問題として何百億というようなものは、これは
鉄道
の新幹線に引き継いで行なうということは常識だ。まあ私要らぬことを答弁したと、まさにほぞをかんでおったわけでありますが、そんな
意味
で、実際上はそうである。しかもいまから考えまして、少なくとも年々歳々、三十七
年度
までやった
日本国有鉄道
の手になる
新線建設
の
状態
では、これは困る、これよりも前進的にしろということで、この
公団
法の設置をお願いしておるわけです。でありますから、ここにある
政府
が五億出すとかあるいは
国鉄
が出すとかいうのではなくて、いまここでこの
法律案
の
審議
の附帯条件として、これはとにかく
公団
債を百億も
発行
して、少なくとも二百億でやる、こういうことになれば、ことし消化ができれば、できると思っております。でありますから、これはまた他のほうを埋める
状態
がこの
法律
に書いてあるのでありますから、少なくとも皆さんのお知恵で、院議をもって
政府
はこうあるべきだということになれば、
政府
は国会にこの
法律案
を出したとき以上に尊重しなければいけませんし、次の臨時国会があったら、臨時国会にこれだけのものを出さなければいかぬ、こういう院議があれば、私たちも出すように努力しなければならない。来年まで待てばいいんだ、そうなると、これは慎重さは確かに必要でございますが、これだけの議論をせられた問題を一
年間
延ばすことは、退歩であっても進歩じゃない、このように私は理解をしておるので、あります。でありますから、皆さんが、この
公団
法を一日も早く発足せしめて、
政府
はこのように財源
措置
をすべしというような御激励があるなら、われわれもまた、それにこたえて、この
法律案
を
提案
をしたのに錦上花を添えたい、こういうのが、いま私の考え方であります。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
116
○
加藤
(勘)
委員
まだいろいろ大臣にもお尋ねしたいことがありますが、同僚の諸君から質問が出されるそうですから、私は、大蔵大臣に対する質問は、これで一応打ち切っておきます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
117
○
勝澤
委員
大蔵大臣に、関連してお尋ねいたします。 大蔵大臣ということと
鉄道建設審議会
の代表と、二面の
意味
があっておいで願っておるわけであります。そこで私の質問は簡単にいたしますから、ひとつ答弁も簡単にしていただきたいと思います。 問題は三つだと思います。
一つ
は、
公団
の
出資
の問題、
資金
構成についてです。二つの問題は、いま行なっている
新線建設
の
利子
補給の問題、三つ目の問題は、無償か有償かという問題。
一つ
の
公団
出資
の問題ですが、
資金
構成です。いまお話を聞きましたけれども、話の内容はよくおかりません。
資金
構成は、
政府
の
負担
部分
と、
国鉄
の
負担
部分
と、地方公共団体と、
借り入れ金
と、こう四つに分かれております。そして四つの割合を見てみますと、五千億の
計画
の中で、
政府
の
負担
が三千二百三十四億、
国鉄
の
負担
が八百億、結局
国鉄
の割合に対して四倍
政府
が
負担
をする、こういう形になっておるのでありますが、残念ながら二十八
年度
の
計画
は、
国鉄
が七十五億、
政府
が五億、七十五対五で、これでは、あなたが幾らことばで積極的だ、前進だ、前進だと言っても、ことばは前に進んでいるようですけれども、中身はちっとも進んでないようであります。そこでことしのことは別として、来年もあるでしょうし、再来年もあるでありましょうが、この
公団
を前進させるための一番中心は、
政府出資
が大幅になるのだ、
国鉄
よりも、この五千億の
計画
では四倍になっているんだから、四倍以上になるのだ、これが前進ざせる一番のもとだ、こういうふうに思うのでありますが、
政府出資
が中心になってこの
建設公団
が進められているのであって、
国鉄
の
出資
なんというのは勘定にないんだ、こういうことだと思うのですが、いかがでしょうか。
田中国務大臣(田中角榮)
118
○田中国務大臣 非常にむずかしい御質問でありますが、これから
新線建設
を行なうというものが、東京の第二山手線をつくるとか、第二中央線をつくるとか、それから御
承知
の答申にありますように、大宮から桜木町までの複線をつくるとか、こういうものに重点を置けば、これはもうペイするものであります。東京湾横断
鉄道
もそのとおりでありますが、そういうものに
投資
をするということにかれば、これは
政府
が一時
公団
債等で財源さえ
確保
をしてやれば、事業は進むということになります。しかし、四国と本州との連絡
鉄道
をやるとか、また北海道と本州とのものを先にやる、しかも、新産業都市とか産炭地振興とかいうことで、これはペイしないけれども、
鉄道
を敷くことによってその
地域
を発展せしむるんだという他の
政策
目的を重点に償いた
新線建設
を優先せしむる場合には、これはもうペイしない期間が非常に長くなりますから、
政府
が
利子
補給をするとか、また
政府
自体が
一般
会計で補てんをしなければならぬとかいう問題は、おのずからそこで分かれてくるわけであります。まあそういう事情でございますので、少なくとも今日の段階で、答申にありますように、
国鉄
の何倍ということをそのとおり私のほうでいま考えておるわけではございません。新幹線等が非常に調子がよくて、
国鉄
もそれ以上出します、出しますから桜木町線を早くやってくださいというような要請もあると思いますから、どういうものに重点を置くかによって
資金
の内容が違ってくるわけであります。ただし、
国鉄
が現在までやっておりますと、結局交通難緩和のためにどうにもやらなければならない、しかも非常に単価のよけいかかるところでもやむを得ずやらなければならぬというようなものに重点を置いて、他の
政策
目的の、いわゆる低
開発
地域
の
開発
促進というような面は事実やりたくともやれないような財政の中で、それをカバーするために前進的につくられるこの
公団
でありますから、先ほど来申し上げておりますように、財政
負担
というものが常識的に多くなるであろうということは、これはもう常識的な議論でありますということを先ほどから申し上げておるわけであります。でありますから、本年は、ただ先ほども申し上げたとおり、発足当初でありますし、
国鉄
が年々支出をしておりました七十五億をそのまま置きかえる。それから、それに対して
利子
補給を行なっておりました四億七千万円
程度
の金をまるく五億にして、いずれにしても出
資金
に振りかえたにすぎないのでありまして、将来は、この
新線建設
が
政策
的に非常に重要なものであるという認識で進められていくわけでありますから、
政府出資
もそれに並行してふえていく趨勢になろうということは申し上げられるかと思います。
勝澤委員(勝澤芳雄)
119
○
勝澤
委員
この
法案
の
骨子
となったものは、あなたが先ほど申されましたように、
鉄道建設審議会
です。こういうふうに言われているわけです。
鉄道建設審議会
の中から
公団
方式というものが生まれてきたものだと思う。こういうことにして、それが前進なんだという、こういうことになるならば、この中における
資金
構成というものは、
政府出資
が中心になるべきであって、それは
国鉄
の
部分
というものは、
国鉄
の公共
負担
が多過ぎるじゃないかという今日の議論、あなたも了解している議論からいうならば、それをむしろ少なくして、
政府出資
を多くすることによって
新線建設
を促進していくということにならなければならぬと思うのです。そういうことになるならば、具体的数字についてはそれは困難でしょうけれども、結局この今後の追加
出資
については、やはりこの
法律
のたてまえからいうならば、当然
政府出資
が主体となるべきだ、こういうことが言えると思うのですが、その点いかがでしょうか。
田中国務大臣(田中角榮)
120
○田中国務大臣
鉄道建設審議会
の答申には、そのように書いてございます。
政府
も、その答申は十分読んで、趣旨の上ではそれを受けて
公団
の新設
法案
をいま御
審議
願っておるわけであります。でありますから、
基本
的姿勢としては、あなたがいま言われたような考え方を是認いたしております。おりますが、しかし先ほど申し上げましたように、これから内容はお互いに検討して取捨選択するのでありますし、財政多端のおりからでありますので、財政との調和をとりながら、この
法律
の目的達成のために
政府
は遺憾なきを期す、こういう考えでありますことを御了解願いたいと思います。 それからもう
一つ
、簡単にやりますので——簡単にということでありますが、これはポイントでありますから、ちょっとつけ加えて
発行
をお願いしたいのですが、これはちょっと考えると、あなたが先ほど言われたとおり、公共
負担
を必要以上に要求されておる
国鉄
に、
政府
は公共
負担
分はカバーすればいいのだ、こんなものはつくらなくてもいいんだ、これは
一つ
の議論として私も検討いたしました。十分運輸大臣にもそういうことを申し上げたことがあるのでありますが、しかし、これは非常に事実上むずかしいのであります。
国鉄
としての公共
負担
の限度を一体どうするのか、明治から長いことこれだけの大きな、国が
投資
したものを運用し、運営しておる、そういういろいろな過去の問題に対して、やはり国が
負担
するというようなところまでいかないうちに、
国鉄
が一体どの
程度
合理化ができるのか、
国鉄
は一体いまのままでいいのか、そんなことばかり何年も何年もやってきまして、結局つつくものばかりつついておって、出すものは出さなかったから、今日の
新線建設
の
状態
になった。でありますから、
新線建設
というものは、新しい
公団
をつくって、全く新しい姿で再発足する、再スタートする、そうすれば、そこで
新線
とは一体
政策
的にどうあるのか、産炭地振興はやらなくていいのか、低
開発
地域
の
開発
はやらなくていいのか、北海道の
鉄道建設
は、
赤字
が出るけれども、こういう
政策
目的に合致するのだということが、非常に限界が明らかになるわけであります。でありますから、
国鉄
のほうに
一般
会計からでも何でも金を入れて
利子
補給をしてやるほうがいいじゃないかという議論は、実際の運営問題になると、壁にぶつかるのであります。ですから、毎年議論をされておりながら、ついに実現できなかったわけであります。でありますから、今度はそういう
意味
で
国鉄
とは区切りをつけて、
国鉄
と
新線建設
の
公団
との間は、あなたの三番目において言われようとしておる無償か有償かのその問題を
一つ
ずつケース・バイ・ケースで決定するときに、
国鉄
と
政府
との限界を明らかにするのが好ましいということで筋を引いたのでありますから、この間の事情はひとつ御理解賜わりたい、こう思うわけであります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
121
○
勝澤
委員
大臣、
新線建設
の
国鉄
の公共
負担
はどこが限度かというのは、結論が出ているのです。それは私がいまこれから質問いたします
国鉄
に対する
新線建設
の
政府
補助
、これで結論が出ているわけです。出ていると私は思うのです。もし出ていないとするならば、これは一体この
新線建設
に対する
利子
補給とは何ぞやということになります。これは
新線建設
を促進するために、
国鉄
の
負担
分を少なくするために、
新線建設
の
利子
補給というものがつくられたわけです。三十六年から四十年までつくられたわけです。それがまた
新線建設
の促進をしたと思うのです。そうすると、いまこの
新線建設
に対する七十五億の
建設
部分
については、三十六年から四十年まで
利子
補給が行なわれているわけです。この
利子
補給というものは、当然
国鉄
の
負担
を軽くするという
立場
で行なわれてきたのでありますから、今後もこれは続けられていく、
利子
補給されるもの、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
田中国務大臣(田中角榮)
122
○田中国務大臣 七十五億に対して四億数千万円の
利子
補給が行なわれてきたわけですが、その四億何千万円をまるくして五億にしたところで、
新線
というものは
建設
せられないのだということで、非常に
建設
審議
会がお怒りになって
政府
に
建議
をしたわけであります。でありますから、今度
政府
の
出資
が五億である、四億何千万円をまるくしただけじゃないか、こういうことではなく、これは当座のものであって、将来はこれが多くなっていくのだということは、この
公団
の性格から見れば、あなたももう十分御理解ができると思うのです。でありますから、
利子
補給をするという問題は、いままで
国鉄
に対して七十五億に対して
利子
補給をしておるというような問題ではなく、
公団
の将来の運営に対して、少なくとも
年間
二百億だったら二百億、百億だったら百億という
公団
債を
発行
しなければならぬ。しかもそれはペイしないというものが多い。少なくとも根津線とか東京湾横断とかを除いて、とにかく十年たたなければペィしない。本州と四国との問題を先にやろうということになれば、全然償還されないわけでありますから、そのときに、結局
政府
保証というものはどうするか、
政府
がその償還に対してどういう
責任
を持つかということでありまして、四億何千万円というようなものではなく、これを結局進めていって、しかも
政策
目的を——会計としての、単独会計としての
赤字
とかそういうものではなくて、他に国が求める
政策
目的に重点を置いた
新線建設
が多くなれば、国の
負担
が多くなる。何十億、何百億になるかもしれない、仮定の問題でありますが。そういう方向に
政府
が踏み切った。でありますから、私は、少なくとも七十、五億か百億のものに対して四億何千万円の
利子
補給をしておったような
状態
よりも、相当積極的に国が財政的
負担
を行なうというたてまえに立ってこの
公団
法を出しておるという真意だけは、御町解いただけると思います。
勝澤委員(勝澤芳雄)
123
○
勝澤
委員
大臣、向こうで待っておるそうですし、時間もないそうでありますから、私も簡単にいたしますから、簡単にひとつ。 それで、いまの
利子
補給は続けるのですか、続けないのですか。
田中国務大臣(田中角榮)
124
○田中国務大臣
利子
補給ということは、いまは
国鉄
に対してだけの
利子
補給でございますが、今度
新線建設
の
公団
というものは、それよりもより事業量が大きくなっていくわけでありますので、少なくとも
出資
という形でもって大幅な
出資
が行なわれるか、それから
利子
補給ということでいままでのようなものを併用していくか、それからなお
政府
が保証した
債券
を出しますから、それに対して元利償還を
政府
が
責任
を負うかという問題は、これからの問題として十分検討していくわけでございますが、少なくともいままで
国鉄
に対して四億数千万円の
利子
補給をしてきた以上の国の
負担
を行なうという
基本
的な考えであります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
125
○
勝澤
委員
いままで七十五億について四億七千万円、
国鉄
に
利子
補給をしてきたわけですね。この
国鉄
に対する
利子
補給はするのですか、しないのですか。
田中国務大臣(田中角榮)
126
○田中国務大臣
国鉄
は
新線建設
をしないのでありますから、
国鉄
に対してはやりません。
勝澤委員(勝澤芳雄)
127
○
勝澤
委員
そうすると、
国鉄
はいままでよりも四億何千万円という
負担
が重くなる、こういうことですね。
田中国務大臣(田中角榮)
128
○田中国務大臣 そうはならないのです。
国鉄
は
新線建設
を行なうのに対して、国から得るものは四億七千万円しかなかったのです。でありますから、今度のこの
公団
法によって
国鉄
が出すものは七十五億しかありませんが、それよりもうんと大きなものをやるわけであります。そしてそれを
国鉄
に貸し付けるときには、有償が原則でございますが、こういう
赤字
になるようなものに対しては、これは無償ということになるのであります。でありますから、現在は七十五億出しますが、一
年間
七十五億に対して四億七千万円の
利子
補給しかしていないのです。今度は、そうではなく、
公団
でもってやった場合には、
国鉄
との貸与の間で計算をしました場合に、この
鉄道
が黒字になるまではずっと無償で貸与いたすということになれば、現在国が
国鉄
に対して行なっているものの何十倍の国の保証になるわけでありますので、七十五億に対して、四億七千万円もらっておったから、今度も
鉄道
が七十五億出すんだから、四億七千万円国が
国鉄
に対して出すのがいいんだという理論にはなりません。
勝澤委員(勝澤芳雄)
129
○
勝澤
委員
大臣、
新線建設
をするために、
国鉄
は七十五億出しておった。それが
国鉄
に対する公共
負担
が重くなったから、ですから、その分については
利子
補給をしようではないか、そうして
国鉄
の
経営
をよくしようじゃないか、こうきたわけです。それを取り上げるということは、七十五億が八十億、百億、二百億になってもけっこうですよ。われわれは
国鉄
が
新線
を自分で二百億でつくる、三百億でつくる、けっこうですよ。それを
政府
が
利子
補給するならば、同じことなんです。それを
公団
にぶっかけたところに問題があるわけです。ですから、
国鉄
の
経営
は、この
公団
をつくることによって、七十五億についての
利子
補給をもらっておったのが、
利子
補給が打ち切られるということになるじゃありませんか。
国鉄
の公共
負担
がますます重くなるということです。どうですか。
田中国務大臣(田中角榮)
130
○田中国務大臣 そこは楯さんなどは専門家でありますが、しかし、もう一歩進めて考えていただけば、これはもう非常に簡単におわかりになると思うのです。現在、
新線
は
国鉄
がやることになっているのです。
国鉄
がやらなければならぬのです。われわれの先輩がつくったものだけ運営しておってもうけていればいいのではなくて、
新線
というものを
新線建設
審議
会がきめれば、いやおうなしにやらなければならない、幾ら
赤字
があっても。法制はそういうたてまえになっているのです。
国鉄
はやらなければならないのです。ですから、
国鉄
は、
新線
というものが、自分で考えておるような、東京都のまん中を通るような、絶対に必要であり、黒字になるというものだけが答申になってくれば、これは
資金
さえ財政投融資からでも見てもらえば、じきにこれは返しますよということになるが、そうではないのです。北海道の
鉄道
でも何でもやらなければならないのが法制になっているのです。それで困るから、御
承知
のとおり、四億何千万円の
利子
補給をしているわけでありますが、四億何千万円というものは、永久に出すものではないのですよ。一
年間
七十五億
新線
にかけたときに、一年こっきりやるのです。来年のものに対しては、また来年やらなければならない。あとはずっと
投資
したものに対しては、
赤字
を
国鉄
自身が現在の法制においてはひっかぶっておる。そうですよ。簡単なことじゃありませんか。七十五億を出しますときに、四億七千万円だけやる。しかし、今度は来年は七十五億出しますから、百五十億分やる、さらに再来年は七十五億で、二百二十五億に対してやるわけではないのですよ。
年間
支出をするものだけに対して、一年こっきり四億何千万円しかやってないのですから、だから、
赤字
線をつくらせられると、
国鉄
はもう未来永劫にその
赤字
をしょっていかなければならないのです。ですから、
国鉄
のほんとうの合理化はできないのであります。でありますから、今度
公団
に分けてしまって、そうして
国鉄
から出す分は七十五億しかない。そうして
公団
がつくるということで、
国鉄
がいましょわなければならない
新線建設
の負荷の大任は、この
公団
にやらせる。そしてそれを
国鉄
に貸与するときには、
赤字
のものは無料でやる、こういうことになるのでありますから、いまよりも非常に
国鉄
の
負担
が軽減されるということは、もう数字をはじいてみればすぐわかることであります。そういう議論になりませんか。
勝澤委員(勝澤芳雄)
131
○
勝澤
委員
これは私は、
新線建設
の
利子
補給の
法律
から今度の
法律
をながめたときに、どうしても矛盾を感ずるのです。そこで大蔵大臣、あなたは、われわれ社会党が
鉄道新線建設緊急措置法案
というものを出したのをまだお読みになっていないと思うのです。これはきょう読んだだけですからね。これを見ると、社会党といま
政府
が出している案とどちらがいいかということは、これはもう社会党の案がいいという結論になるのです。これはどこに原因があるかといえば、金をどれだけ入れるかということが大きな問題なんです。入れ方が問題なんです。 そこで、時間があまりせっつかれておりますから、今度は有償か無償かということです。これはあなたは当然
営業
収支が
赤字
の場合は無償だ、こういう御答弁を
予算
委員
会で答弁しておる、そのとおりですか。
田中国務大臣(田中角榮)
132
○田中国務大臣
公団
でありますと有償が原則でございますが、先ほどからるる申し述べておりますとおり、これは
政策
目的でつくられる
新線
も多々あるわけでありますから、
国鉄
の相当の
負担
になるような
赤字
線は、無償という考え方が正しいと思っております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
133
○
勝澤
委員
有償の場合はどういうことになりますか。
田中国務大臣(田中角榮)
134
○田中国務大臣 これは北海道と本州との連絡
鉄道
ができまして、洞爺丸のような事故も起きないし、
国鉄
がいまよりもうんともうかる。これは当然
国鉄
のやりたいことでございますが、しかし、総体的な
資金
のワクでできないというものが、
新線建設
公団
でできて、これを
国鉄
が運営をするわけでありますので、その場合には当然有償になる。いわゆる中央線がもう一本できるいうような場合、これはもう当然ペイするものでありますので、こういうものは有償が原則であることは、もう当然のことだと思います。
勝澤委員(勝澤芳雄)
135
○
勝澤
委員
それで、その有償の場合でも、それは
国鉄
の利益の限度によってきめられる、こういうことなんで十ね。
田中国務大臣(田中角榮)
136
○田中国務大臣 これは
国鉄
と
公団
の間できめるわけでありますが、
国鉄
の財政事情等を千分見ながらきめていくということであります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
137
○
勝澤
委員
それはあなたの話を聞いていると、総ぐるみの計算のように聞こえるのですけれども、これは一線一線の計算になるのですか、どうなんですか。
田中国務大臣(田中角榮)
138
○田中国務大臣 これはケース・バイ・ケースで、一線一線きめていくのが正しいのです。だから、それを全部プール計算をして、こっちは
赤字
だけれども、こんなにもうかっているものがあるじゃないかということには、原則的にはならないと思います。
勝澤委員(勝澤芳雄)
139
○
勝澤
委員
そうすると、原則としては有償であるけれども、
営業
収支が
赤字
の場合においては無償である。そうして有償の場合においても、
国鉄
の利益の限度において、それは
公団
と
国鉄
できめられるものだ。そういうことですね。
田中国務大臣(田中角榮)
140
○田中国務大臣
国鉄
の利益の限度というのはどういうことかわかりませんが……。
勝澤委員(勝澤芳雄)
141
○
勝澤
委員
黒字線の一線の……。
田中国務大臣(田中角榮)
142
○田中国務大臣 黒字の一線というものは、これは
営業
費を除いてこういうふうになるから、この
程度
の貸し付けでもっていこうというか、
基準
をきめておってそれでやるかは別にしまして、
国鉄
がもうからないものまでそれを取るというようなことはありません。
勝澤委員(勝澤芳雄)
143
○
勝澤
委員
たとえばもうかるというのは青函、これはもうかりますね。あるいは根岸線、こういう場合にはどうなりますか。
田中国務大臣(田中角榮)
144
○田中国務大臣 その線の収支をお互いが話し合いをして、この収支に対してはこういう見通しである、両方が話しがつけば、それで契約を行なう。連帯勘定の契約と同じと考えていいと思います。
楯委員(楯兼次郎)
145
○楯
委員
一、二分、ちょっと疑問があるので簡単に伺いたい。 さっきの大蔵大臣の答弁を集約するとこうなる。
国鉄
には
政府
は金をやらぬ、同じ条件であるけれども、
公団
をつくれば
政府
が将来金を出そう、あなたの説明ではこういうことになるのですよ。
公団
の会計のところを見てごらんなさい。
公団
の
建設資金
は
政府出資
、
国鉄
の
出資
、それから
政府
保証債ということになるでしょう。
借り入れ金
でしょう。現在
国鉄
のやっていることと違うところはないのですよ。将来、
建設公団
のお得意さん、金の入るところは
政府
か
国鉄
なんです。有償か無償かと言っていますが、それ以外には金が入らぬのですよ。それ以外のことは、いま
国鉄
でやっていることと同じことなんです。ところが、同じことではあるが、
国鉄
には金を出さぬ、
公団
をつくれば金を出してやろう、ここがわれわれにはどうしても理解できないのですよ。
公団
に出せるものなら、将来、二百億でも三百億でも
国鉄
のいまの
新線建設
に出せばいいじゃないですか。なぜ
公団
なら出してやろう、
公団
をつくらなければいやだということになる。あなたは
法案
の説明が足らないか何か知りませんが、公平にあなたの答弁を聞いていますとそういうことになるのです。そこがわからないのです。保証債は
発行
できる、短期借入金、長期借入金もできる。条件は同じですよ。それから将来
公団
のお得意さま、金の入るところは
政府
か
国鉄
以外にはないのです。そうでしょう。それを
公団
なら金を将来百億、二百億出してやろう、
国鉄
なら同じ条件だけれども金を出せぬのだ、こんな理論はわからぬですよ。私もしろうとじゃないのですから、その一番中心だけ時間がないから言ったわけです。
田中国務大臣(田中角榮)
146
○田中国務大臣 楯さんは専門家ですから私の言うことはわかると思って、ほめられると思っていたのですが、これは事実問題なんです。議論じゃないのですよ。あなたの言われておる議論は、もう長いことやられてきたのです。戦後十何
年間
、
国鉄
に公共
負担
の限界というものをきめて、
政府
は出すべしだといって盛んにやったけれども、ついに
新線
のほうは
赤字
であろうが何であろうが、とにかく
法律
に基づいて
建議
をしたんだからやれ、こういって
着工線
にやられて、
国鉄
は無制限の
負担
を受けながら、これは独占
企業
ですから拒否することはできないのです。だから、
国鉄
はとにかくやらざるを得ない。同時に
国鉄
は、その
新線建設
審議
会からの
建議
に基づいて、いやおうなしにやらされているものに対して、
政府
は一体何を認めたか、四億何千万円の
利子
補給しか認めない、そうでしょう。これはなぜか、それは理屈じゃないのです。そこにはまだ
国鉄
は合理化できるだろう、われわれ民間人に
国鉄
をまかしてみろ、
赤字
なんか一ぺんになくして一割配当してやるというような荒っぽい議論が世の中に横行している。私はそんな論者ではございません。ありませんが、そういう議論が先行して、
国鉄
に対して
一般
会計から補てんするとか、そういう議論は生まれてこないのであります。事実、十八
年間
たっても生まれてこなかったでしょう。国が出しておるのはやはり四億何千万円しかないのです。そして、毎年々々四億何千万円もらって、何十億か
赤字
が出るような
新線
をやらなければいかぬから、やむを得ず何とか出ないようにしよう、常識的に見て私はこういうことだと思うのです。それはとにかく全部のワクも足らなかったからやむを得なかったが、事実問題としてそういう常々めぐりをやっておった。今度は
公団
ということにして、全然別会計にして、長期間にわたって
赤字
が出るとわかるような線に対しては、とにかく
国鉄
に経済的な
負担
をかけちゃいかぬということで無償で貸し付けます、こういうことを言うのです。それで
国鉄
がやりたいけれども、
資金
のワクでやれない、いま
一般
会計の中で千億も、財政投融資で
国鉄
が一番大きく食っておる。これを側側もふやすわけにいかない。とにかくいま
国鉄
債を出すといっても、外債が一体受け入れらますか。民間に出すといっても、これはしようがないから、縁故債でなく利用債という評判の悪い制度でもって契約をやっておるのです。ですから、こういう
国鉄
に押しつけてはいけない。他の
政策
目的を持ったものには限界をちゃんと引いて、
国鉄
の
負担
にならないようにしようというのがこの
公団
法の趣旨ですから、よくおわかりになっていただけると思うのです。
楯委員(楯兼次郎)
147
○楯
委員
その大蔵大臣の政治的配慮はわからないことはない。
公団
をつくって、新しい出発だからというその政治的配慮はわかる。しかし、
公団
が
政府出資
か
国鉄
の有償貸し付けか知りませんが、二つしか
収入
の道はないですよ。だから五年、十年たって
公団
に
赤字
ができた場合には、あなたがどうおっしゃっても、そのしりぬぐいをやるのは
政府
か
国鉄
以外にないですよ。だから、
政府
が
出資
をすれば当然
国鉄
がしりぬぐいをしていかざるを得ぬじゃないですか。そこが私にはわからない。だから、
建設
を始める場合にはいまの五倍、十倍できるであろうという政治的配慮はわかる。しかし、これが
建設
を行なって五年、十年たって、これじゃやっていけぬといったときに、そのしりぬぐいをやるのは、
収入
の財源がないから、
政府
か
国鉄
しかない。そのとき
政府
が金を出さぬといえば、これは
国鉄
がしりぬぐいをする以外に
収入
の道がない。この
法律
ではそうなっておる。そういうことですよ。どこから金を持ってきますか。
田中国務大臣(田中角榮)
148
○田中国務大臣 特別楯さんの質問でございますから、もう
一つ
真意を理解していただきたいのは、私はそこまで言いたくないと思っておったのですが、いま
法律
上
国鉄
以外は
新線
をやっちゃいかぬということになると、これは幾ら拒否しても幾らかずつ入る。
国鉄
は永久に
赤字
なんです。今度はこの
法律
でちゃんときめますから、しかも他の
政策
目的で、
政府
のより高い
立場
で
新線
が
建設
せられる場合もあるわけです。そういうもの対しては
国鉄
は
責任
はないのです。
国鉄
は無償にするか有償にするか契約に基づいてやればいいから、最後のしりはどうなるか、これは
政策
目的の
責任
を負わなければならぬのは
政府
です。初めからそういうことばかり言っておってはだれも
公団
債なんか買う人はありませんよ。ないから、何かもうかるというようなことも言わなければならぬ。そういうことは
法律
にちゃんと明確だと、こういうように考える。
久保委員(久保三郎)
149
○
久保委員
大臣は忙しいようですから、
一つ
だけ念を押してお尋ねしたいのですが、今回の
提案
で
政府出資
五億円、こうなっておりますが、この五億は、
新線建設
というものは
政府
のいわゆる
公共事業
である、こういうふうな理論から五億の
出資
、こういうふうにさしあたりなったのかどうか、いかがですか。
田中国務大臣(田中角榮)
150
○田中国務大臣 全くさしあたり五億でありまして、このような額で済むとは考えておりません。
久保委員(久保三郎)
151
○
久保委員
いや、私がお尋ねしておるのは、
新線建設
というのは
公共事業
である、こういうたてまえから出す、そう取ってよろしいですか。
田中国務大臣(田中角榮)
152
○田中国務大臣 そう考えていただいてけっこうです。
木村委員長(木村俊夫)
153
○
木村
委員長
それでは
加藤勘
十君。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
154
○
加藤
(勘)
委員
先ほどの問題について、
政府
のほうからわれわれが得心のいくような答弁をいただくということになっておりましたが、それをお伺いする前に、こういう点についてはどうでしょうか。この第十九条の
規定
——
法律
の問題になったから条文に入るのですが、国有
鉄道
法の第三条の
規定
と二つ並べて見るのです。そうすると非常に類似したところが多いのです。ここでさっき
鉄道
局長が言われたように、
鉄道建設
という
基本
的な固有な権利を保有する、こういうことの意義がこの二つの条文を比べてみると一そうなおはっきりすると思います。そうしまする、この
建設公団
法というものは一体どういう性格を持った
法律
か。一方においては
鉄道
の
建設
の固有の権利である
新線建設
は国有
鉄道
のものである。これはもう侵さない。それは
法律
で保障されておる。それにもかかわらず今度の十九条によると、
鉄道
の固有の権利を
規定
したところの第三条の
規定
とがきわめて類似線を持っておる。何のことはない、
鉄道
の
新線
の
建設
という点は一時的に
公団
のほうに引き取るが、その他の
建設
事業でなく、その他のもろもろの事業については
国鉄
のやっておることをそのまま行なわしめつつ、また
公団
もそれを行なう、こういうことになる。そうすると一体この
公団
法というものはどういう性格を持っておるか。
鉄道
の
新線
を
建設
する。いまの大蔵大臣の説明を聞いておっても、前向きに早く
建設
するために
公団
が必要であるということを言われたが、それはそれで、一応そういうことであるとしても、
公団
法とそれから国有
鉄道
法との内容を見ると、ほぼ同じようなことが
規定
されておるはずです。そうすると
公団
はひとり
新線建設
をやるばかりでなく、これは付帯事業もやる。現在も国有
鉄道
がやっておる事業をそのままやっていこう、同町にやっていくような条文の
規定
になっておりますね。一方においては
新線建設
だけは引き受けるのだと言い、他の一方においては
鉄道
事業に伴うもろもろの事業をやっていく。具体的に提示しますると、この第十九条の条文にあるとおり、第二項の第一号によるとこんなことが書いてある。「前項第一号の
鉄道
施設で高架のものの
建設
と一体として
建設
することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を、当該
鉄道
施設の
建設
に伴って
公団
が取得した土地に
建設
し、及び管理すること。」だからこういうものは土地さえ
公団
がとれば、その上にかってにつくれる。倉庫聖業もやる。店舗もやる。そうすると、現在
国鉄
がやっておる
仕事
と何も変わらないわけです。こういう事業もこの
公団
がやるということになると、一体
公団
は
新線建設
ばかりでなく、国有
鉄道
の領域を完全に侵食していっているということになるわけですね。この点についての矛盾はどうなりますか。 それから第二項の第二号によりますると、こういうことも書いてある。「委託に基づき、
鉄道
に関する
工事
並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうこと。」それから国有
鉄道
法の第三条にも、第二項によりますと、「
日本国有鉄道
は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、
一般
の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕、検査若しくは調達、
工事
の施行、業務の管理又は
技術
上の試験研究を行うことができる。」とあります。この二つの条文を合わせてみますと、ほとんど同じようなことが
規定
されておるわけです。だから単純にこれが
鉄道
の
新線建設
だけの任務を持った
建設公団
法とは考えられない点が出てくる。倉庫業までやらなければならないというのはどういうことか。店舗をやらなければならないというのはどういうことか、この点についてのお答えをひとつ願いたいと思います。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
155
○広瀬(眞)
政府委員
まず午前中の
法律
見解についてもう一回申し上げますと、
国鉄
法の第三条は、
国鉄
の業務の範囲を示しております。一方、
公団
法の第十九条は、
公団
の業務の範囲を
規定
しておるのでございまして、両者それぞれ別で、
鉄道建設
業務が含まれておりましても、
法律
的には問題がないと考えております。
鉄道建設
業務の
実施
にあたりましては、
公団
法の第二十二条におきまして
基本
計画
に定めたものについては
公団
が行ない、
国鉄
はこれを行なわない旨を明定しておりまして、この間の調整をはかっておりまして、
法律
的な
措置
といたしましては、これで十分であるというふうに考えております。
国鉄
法等につきまして改正の必要はございませんで、条文が存置されておりましても、これらの分野におきます
新線建設
の権能は停止をされておるというふうに考えるものでございます。
基本
計画
に定められたもの以外の
鉄道新線
の
建設
につきましては、
法律
的な制度としては残されておりますが、実際には早急に
建設
すべき
新線
をすべて
基本
計画
に定める
方針
でございますので、これらのものにつきましても
国鉄
が
建設
するということは考えられないというふうに存じます。 なお第十九条のいまお尋ねがありました付帯業務でございますが、第二項第一号の「
鉄道
施設で高架のものの
建設
と一体として
建設
することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を、当該
鉄道
施設の
建設
に伴って
公団
が取得した土地に
建設
し、及び管理すること。」これは別に事務所、倉庫、店舗等をこの
公団
が
営業
しようというようなことを考えておるわけではございませんで、高架施設と一体にあらかじめ
建設
しておいたほうが有利であるというようなものは、一体的に考えられるものにつきましては、こういったものを付帯業務として
建設
をし、これを管理する。
営業
を考えておるわけではございません。 それから第二号の「委託に基づきて、
鉄道
に関する
工事
並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究」、これは
鉄道
の
建設
、貸し付け、譲渡、災害復旧等にかかる調査研究、そういったものを考えておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
156
○
加藤
(勘)
委員
いまの二号の点だけ
一つ
つかまえてみても、ここに「委託に基づき」とあるが、この委託というのはだれから委託されるのですか。「委託に基づき、
鉄道
に関する
工事
並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究」これはだれか第三者が、委託者があって委託を受けた場合にこういうことをやるというんでしょう。だれがこの
公団
に委託するのですか。その点がちょっともはっきりしない。
向井説明員(向井重郷)
157
○向井説明員 事務的な問題でございますので、私が御答弁申し上げます。「委託に基づき、」と書いてございますのは、これは響いてございますところの性質上、当然これは
鉄道
事業者でございますが、その中には
国鉄
の場合もございましょうし、それから
一般
の民営の
鉄道
の場合もございます。この
公団
は、そういうような
鉄道
工事
に関連する調査関係の機能をみずから持つ
予定
であります。 それから調査、試験、研究というような機関も自分で持つ
予定
でございますので、自分の行なう調査、試験、研究というようなものの並行的な場合に、そういうことは十分できるわけでございます。したがいまして、余裕がある場合には、民営
鉄道
等の委託に基づいて
鉄道
の
工事
方法
でありますとか、いろいろな試験、研究というようなものもしてあげるというような趣旨から、この
規定
を置いたわけであります。ただ二項の本文にありますように、「第二号の業務については、委託者が
日本国有鉄道
である場合にあっては、前項第一号の業務に直接関係のある場合に限る。」というようなぐあいに限定をいたしまして、これは無制限にやるというようなことになりますと、専心
鉄道
の
建設
に当たるというたてまえでつくった本
公団
の設立の趣旨に反することになりますので、直接の関係のある場合、たとえば
公団
の
鉄道
と
国鉄
の現在線とがそのジャンクションの駅で結びついて、そこの場合の
工事
方法
なりそういうものをどうするかということを研究するような場合というぐあいに、きわめて限定的に
個々
にやっていくという趣旨でやったわけなんでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
158
○
加藤
(勘)
委員
その国有
鉄道
の場合は、いまおっしゃるとおり、 ここにちゃんと
規定
があるわけです。だからこれは問題でないと思うのです。ところが「委託に基づき、」という中には、いまおっしゃるとおり、民有
鉄道
の場合もある。民有
鉄道
の場合に、
鉄道
工事
に関する調査や測量や設計や試験や、こういうことを行なうということは、これは一個の
営業
項目になる、そうでしょう。そうすると、国有
鉄道
でやり得ない国家的な
新線建設
という
仕事
に打ち込むのがこの
公団
の
使命
なんです。これは
一つ
の
営業
項目ですよ。これは民間の
鉄道
会社から委託されたときに無料でやるわけじゃないでしょう。またそれだけの余裕はないでしょう。そういう
技術
上の余裕があるならば、
新線建設
に全力を投入すべきである。それでこそ初めて国家目的に合するし、この
法律
をつくった趣旨にかなうわけであります。それをこういう
営業
項目がある以上は、これもやはり行なうことになっている。委託者がなければ行なわないだろうけれども、委託者があった場合にはやらなければならぬことになる。行なうこととちゃんとはっきりしておる。これはどうなるのですか。
向井説明員(向井重郷)
159
○向井説明員 その趣旨は全く先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、こういうことを無制限に、積極的にやるという
意味
ではない。余力のある場合に、たとえば橋梁なんかの場合、全く同種のものがあるというようなときには、現在の場合でも
鉄道
技術
研究所とかいろいろなところの調査研究機関もございますが、そんなところでやったほうが便利な場合が多いだろうと思います。しかしながら全く同一の地理的条件、気候的条件というようなところでやるような場合には、同種の設計をそのまま使うほうが便利な場合がございます。そういう場合に、その調査研究の結果を利用し、あるいは多少の修正を加えればできるというような場合に、ここでやるほうが便利である場合に限ってやってさしあげるということになる。まず第二項の初めでございますが、こういう場合には「前項の業務の遂行に支障のない範囲内において、あらかじめ、運輸大臣の認可を受けて、」ということで運輸大臣の認可にかからしめておるわけでございます。したがいまして、運輸省といたしましても、かような問題が起こりましたおりには、これは十分に審査をいたしまして、
公団
本来の業務に支障のない場合に限って認可を与えるという
方針
にしていきたいと存じます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
160
○
加藤
(勘)
委員
そこでこれは問題なんですよ。現在の国有
鉄道
でははっきりそういうことをやっているんですよ。この場合でも、ここにちゃんと
規定
があるとおり、さっき読みましたから、もう重複して読みませんけれども、内容は同じことなんですね。そうすると、国有
鉄道
が現にやっている事柄をまたこの
建設公団
にもやらせようということなんです。
建設公団
はそれができる。運輸大臣の許可というものは、私は、こういう場合には、だれが運輸大臣になられようとも、申請があった場合には、おそらくそれはいかぬということは言われるものじゃないと思う。そうすると、事実上こういう
規定
があると、それをやらせる。この
国鉄
のやっていることは、ある
意味
からいえば
営業
項目ですよ。どういう名前がつけられようとも、実際は報酬をとって
仕事
をやるんだから
営業
項目ですよ。今度はこの
公団
法の中にも
規定
されているということになると、
公団
はその
仕事
をやる。この
新線建設
に全力を投入するという趣旨とは反する。これだけの余裕があれば、四十七線の
着工線
を同時にみなできぬけれども、距離の短い
鉄道
もありますし、地理的に同じ方向なら二ヵ所、三ヵ所も同時にできるところもあろうし、決して
技術
、能力に余裕のできるということは考えられない。もしそういうことがあれば、現在の
国鉄
でやらしていいじゃないか。なぜ国有
鉄道
がやっているところまでこの
公団
がやらなければならぬのか。だから私は、国有
鉄道
で利益のあったものは、大蔵大臣がおったならば、時間があったら聞こうと思っておりましたが、利益の余裕があるときには
国庫
に納めるとかいろいろありますが、そういう能力のない、利益のあがらない
赤字
線に、かりに相模線が黒字になっても、相模線
一つ
の黒字では計算できない
赤字
、これはさっき私が読み上げたからもう言いませんけれども、そういう
赤字
が現実に目に見えておって、しかも
新線建設
に全力を入れなければならないというときに、
技術
的な余裕を持ち、それからまた倉庫を貸すとか、あるいは店舗を貸すということは、貸す
方針
ではないと言う、ただ高架線の
建設
に伴ってそういうものをつくっておいたほうが利益だからつくる、いまもそういう説明がありましたが、一体何の利益か。倉庫を貸して、店舗を貸して初めて利益があがってくる。だから初めて有利ということになるわけです。そういう貸す意思もないのに、立ちぐされさせるために何も費用をかけてつくる必要はないでしょう。だからそういう点がはっきりしないのです。
大石(武)政府委員(大石武一)
161
○
大石
(武)
政府委員
ただいま
国鉄
部長
からいろいろ御説明申し上げたのでございますが、これは別にこれを
営業
するために倉庫をつくるとか、それから設計をするとか調査をするというのではございません。ただ
新線建設
公団
が高架線をつくる場合に、一緒に
工事
をやったほうが、
国鉄
にせよ、あるいは他の民鉄にせよ、経費が非常に安くできるという場合には、
建設公団
が委託を受けて一緒につくってやったほうがお互いに得ではなかろうか。またこちらでつくったあとで、ほかの民鉄、ほかの業者が入ってごちゃごちゃやられては困るわけでありますから、そういうわけで、便宜的にそういう場合があったときにはそういうことをやるという
意味
の趣旨だと思います。 それから同時に、先ほど
部長
から申し上げましたように、たとえば鉄橋をつくるときには、その設計なり、ものの考え方をそのままそっくり民鉄に貸してやることが便利な場合には、貸してやったらいいじゃないかという好意的なことでございまして、それ以上積極的にそういうことを専門にやるということは決してあり得ないことでございますので、そのようなことが便利な場合には、そのようなことをやれる権限を認める、これだけのことだろうとわれわれは考えるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
162
○
加藤
(勘)
委員
それはつくるときに一緒につくれば便宜ですよ。しかしつくる以上は立ちぐされにするためにつくるのではないでしょう。何かやはりどういう形においてか利用させなければならぬ。だからそういうものも
鉄道
に無償か有償か知らぬが、譲渡なり貸し付ける場合、そういうものも全部つけて全部そっちの
鉄道
のほうへ委託というか貸与せしめるのかどうかということなんですね。
赤字
が出て、どうにもこの
鉄道
だけではしかたがないから、国有
鉄道
がそれを無償で借り受けて、そして倉庫なり店舗なりを有償でまた、国有
鉄道
そのものが
営業
として他に倉庫の保管を扱わせるとか店舗を貸し付けるとかいう、こういう若干の利益をもたらすような
仕事
を国有
鉄道
にやらしめるというのであるか、
公団
直接そういう一切の
営業
はしない、全部、線路ばかりでなく、
鉄道
関係の一切の付属物もつけて無償で貸与する、こういう
意味
になるのか、その点、はっきりしておれば私はいいと思うけれども、そうでなく、
公団
が有利だからこういうものを
建設
せしめて、遊ばしておいてはもったいないから、また貸そうじゃないかということになると、国有
鉄道
がやっておることと同じことをやることになる、その点はどうですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
163
○広瀬(眞)
政府委員
先ほど申し上げましたように、最初から高架線を
建設
する場合に、これと一体的に
建設
したほうが有利だ、いうものをこれは書いておるわけでございまして、でき上がった場合に、これはいろいろその事例々々によって異なると思いますが、
国鉄
が最初から高架と一体にあるいは事務所をつくり、あるいは倉庫をつくって自分から使う、あるいは付帯業務として
営業
するという場合もありましょうし、あるいはそうでない場合もあると思いますが、これは、いま先生のおっしゃったようなことも一応頭に入れて、この
規定
はできておるというふうに考えられます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
164
○
加藤
(勘)
委員
そういう具体的な問題について、きわめてあいまいなんですね。ことにこういう大きな抵抗のあるものは、私は、国有
鉄道
の
立場
からいっても、無関心ではあり得ないと思うのですよ。そうすると、もしこういう場合、あなたのいまの説明ですと、ケース・バイ・ケースですから、その事態に臨んだときでなければはっきりしたことを言えぬということであるとすれば、もしこういうことが起こったらどうなるのですか。高架にしてそこへ
鉄道
を敷く。これは
赤字
線であるから無償で
国鉄
に貸し付ける。そのときに、
鉄道
そのものは
赤字
だから無償で貸し付けるけれども、これに付随する倉庫とか店舗とかいうものは、これは当然ある一定の
収入
があるから、これについては
鉄道
のほうとは別だ、だからこれだけは有償にしようというようなことが具体的な問題としては起こり得ると思うのですよ。そういうときに、一体そのどっちがどうなんですか。そういうこともやはり
一つ
の
営業
としてこの
公団
がやるのかどうかということは、やはり相当最初からはっきりしておかなければいけないのじゃないかと思うのですよ。
大石(武)政府委員(大石武一)
165
○
大石
(武)
政府委員
ただいまの
加藤委員
の仰せられるようなことは起こり得ません。だからこちらは倉庫や何かはつくりません。ただ、その
鉄道
をつくる場合に、この高架線をつくるときには、これは
国鉄
に運用を委託するわけでありますから、
国鉄
と相談をして、
国鉄
で運営しやすいような形でつくることが一番合理的でございます。その場合に、
国鉄
では、そのまま
鉄道
にすれば、このあき地にはこのような倉庫をつくってほしいとかなんとかいう注文があれば、それは当然委託を受けましてつくるわけでございますが、その上は、当然
営業
を担当する
国鉄
がやるわけでございまして、一切
公団
ではそういうことはいたしません。要するに、つくる場合には、どのようにつくったら運営しやすいか、運営しやすいようなその方向に向けてやるわけでありまして、われわれが運営する——われわれといっても
公団
が運営するわけではございませんから、その点、はっきり申し上げておきます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
166
○
加藤
(勘)
委員
そうするとさらに念を押しておきますが、高架等を
建設
する場合に、倉庫なり店舗なりを同時につくっておいたほうが有利である。有利であるという
意味
は、それを利用する価値があるから有利だということになるのですが、有利であるからこれをつくる。しかし
公団
としてそれを貸したりどうかするというような、そういう営利行為をするのではない。その場合にははっきり国有
鉄道
の委嘱によってつくるので、国有
鉄道
の委嘱がなければつくらない、その運営はあげて国有
鉄道
にまかせる、
公団
は手をつけない、こういうことなんですね。
大石(武)政府委員(大石武一)
167
○
大石
(武)
政府委員
それは明らかに
国鉄
との相談において、
国鉄
がそれをつくってほしいという
国鉄
の運営上の希望によってつくるものでありますから、当然
国鉄
が運営するわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
168
○
加藤
(勘)
委員
私のおそれるのは、これが将来利権化したり何かする危険が多分にあると思うのです。だからそういうことをはっきりここで
規定
しておけば、そういうことなくして済むと思うのです。そういう点で、いま政務次官のお答えになったことはきわめて明確ですから、その点については私たちは安心しております。この
公団
法そのものがいいか悪いかということについては、なお私は多くの議論を持っていますが、まだ次の質問者もあるようですから、他に移りたいと思います。
一つ
お尋ねしたいことは、いま具体的に問題になっておるいわゆる山陽線の新
建設
はどういうことになりますか。いまの東海道の新幹線の継続として、国有
鉄道
のほうで
建設
に当たるのか。それともこれもまたこの
公団
が引き受けてやるのか、その点はどうなりますか。
大石(武)政府委員(大石武一)
169
○
大石
(武)
政府委員
いま東海道新幹線を、
日本
全体の
輸送力増強
の一環としてつくっているわけでございます。これができ上がりますと、いずれ近い将来には山陽線でやはり
輸送力増強
の問題が出てまいると思います。しかしこれにつきましてはいま
国鉄
でやるとか、
建設公団
でやるとかきまっておりません。その場合には、必要性に応じましてこれは
解決
されるものと考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
170
○
加藤
(勘)
委員
その点もはっきりしましたが、もう
一つ
お伺いしたいのは、先ほど来の問題である、
鉄道
に
新線建設
の固有の権利を保有するということで、各条文を見ますると、条文ごとにわれわれはそういう矛盾を感ずるのですけれども、一方において
新線建設
の固有の権利が国有
鉄道
に保有されているとして、そして当面緊急な
新線建設
を
公団
でやるということになりますると、この
建設
が大体十年の
計画
ということになる。したがって、十年たてば一応
使命
を果たすわけだ。いまの
予定
線の二百幾つとか百幾つというようなことは時間的にもちょっと問題にならぬと思うから、四十七線と十五線、これが十年の間に
建設
を完了するとすると、この
公団
はそのときに解散される
予定
であるのか、任務が終わると解散するのか、あるいは他の方向へ転換して継続していくのか、そういうことについてはどうでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
171
○
大石
(武)
政府委員
新線
と申しますのは、これは
鉄道建設審議会
できめるのでございますが、現在で一応
着工
すべしと——調査は入っておりますが、なっておるのは六十三線でございます。これは当局の問題として全部
解決
しなければならぬわけでございますが、それができ上がりまして、しかしそれで
日本
の
鉄道新線建設
が終わるのかと申しますと、そうは申せないと思います。今後さらに
予定
されておりまして、必要上あるいは今後の
日本
の経済の変動によりまして、さらにわれわれの思いがけない、あるいは必要な
新線
が出てまいるかもしれません。それらの面を考えますと、それで任務が終わりとして解散はできませんで、やはりそのあとの
新線
をどうするかという問題が残っておると思います。したがいまして、そのときにそのような場合に取り組んで、今後の
公団
のあり方がきまってくるのではなかろうかと考える次第でございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
172
○
加藤
(勘)
委員
愛知用水
公団
の例を見ますと、一応愛知用水というものは完了したわけなんです。そうするとやはりあとに何だかんだという名目でそれが継続して残されている。それは
一つ
は、ここに従事する従業員諸君の身分転換の保障がないからそういうことになってしまうと思うのです。愛知用水
公団
の例をこの
公団
に持ってくるつもりはありませんけれども、
一つ
の例をとればそういうこともあり得ると思う。
仕事
は一応終わるけれども、人の始末がつかぬから継続しなければならぬというような事態が起こってくると、合理化という名からいくならば、非常に合理化に反することです。そこに従事する従業員の全員の身分保障ということ、それがはっきりされておればいいわけですけれども、それがはっきりされておらぬ。ことに今度の場合は、重要なことは、
国鉄
の
技術陣
が転用されることになるわけです。身分が変わってくるわけです。その場合の
国鉄
からの転用者の身分保障は一体どうなるのか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
173
○広瀬(眞)
政府委員
御指摘のように、大
部分
の職員と申しますか、
技術
者は、現存
国鉄
の
新線建設
に従事しておる者が、これはもちろん本人の意向を確かめまして移行するわけでございますが、その辺の
規定
は整備されておりまして、退職金の関係であるとか、あるいは共済組合の長期給付、そういった点を考慮しまして、復帰が十分できるようなかっこうになっております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
174
○
加藤
(勘)
委員
実際問題としてここに先ほど数字もおあげになりましたが、現在
新線建設
なり、あるいは
調査線
なりに従事しておる
技術陣
営の人員というのは、技師といいますか、そういう職種はありましょうが、そういう職種別に大よそどういう割合になっていましょうか。
向井説明員(向井重郷)
175
○向井説明員 お答え申し上げます。現在
国鉄
におきまして
新線建設
のほうで俸給を支給しておるものの定数七百九十三名、その職種別については資料をちょっといま調べますから、後刻お知らせ申し上げます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
176
○
加藤
(勘)
委員
その職種別が大事だ思うのですね。身分転換をして一応の保障はなされているようです。しかし私どもは詳しい給与内容であるとか、あるいは共済組合の
規定
であるとかいうこまかいことは知りませんから、その点についてわれわれのほうからかれこれ
意見
を出すことはできませんけれども、少なくとも職種別による人員が全員転換されるのか、そのうちの一部であるのか、ただ七百九十三名だけではわからないと思います。これに全部行くのか、それとも現在新幹線の
建設
には四つの地方
建設
局といいますかがあって、それがそれぞれの区域を担任しておられるが、東海道新幹線が
工事
を終了した後においての、これらの地方
工事
局の従業員の関係の諸君はそちらへ行くのか、そういう点はどうなっておりますか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
177
○広瀬(眞)
政府委員
ただいま
国鉄
部長
が申しました数字は、新幹線を除きまして、現在国有
鉄道
の純然たる
新線建設
の
仕事
に従事しておる職員の数を申し上げたわけでございます。したがいまして、この
公団
が発足いたしました場合には、これらの厳密な
意味
の
鉄道新線建設
の
工事
に従事しておる職員の大
部分
は、本人の意向を確かめまして、この新
公団
に引き継がれるものというふうに考えております。先ほどちょっとことばが足りませんでしたが、その場合に
公団
にまいりまして、また本人の希望等によりまして、
国鉄
に復帰する場合に、組合の長期給付の関係であるとか、あるいは退職金等は
公団
に参りましたことによって不利な扱いを受けないような
措置
を講じておるわけでございます。 なお、新幹線の
工事
が来年終了いたしました場合に、この職員がどうなるかというお尋ねがございましたが、これは来
年度
以降この新
公団
の業務がどのように充実されるか、路展するかということに関連いたしまして考慮をいたしたいというふうに考えます。なおこの場合本人の意思等を十分確かめて行ないます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
178
○
加藤
(勘)
委員
そうすると、
国鉄
のいまの東海道新幹線を除いた他の
新線建設
の
工事
関係の従業者の数は七百九十三名、これはあげて
公団
のほうに、もちろん本人の意向を聞いてだけれども、転出というか転任というか、とにかく転出される要員である、こういうことですね。それから東海道新幹線の四つの
工事
局の従業員は、新幹線が完了して、この
公団
のほうの
仕事
の発展の関係によって、これまた本人の意思に基づいて転換するかしないかがきめられる、こういうわけですわ。 それからいよいよ最後後に、法制局の第四
部長
が出席しておいでになるそうですが、先ほどの私の疑問に対してひとつお答えを願いたいと思います。
關政府委員(關道雄)
179
○關
政府委員
国鉄
法の三条において、
日本国有鉄道
に
新線建設
の能力を与えておるわけであります。それからまたこの
公団
法においても
鉄道新線
にかかる
鉄道
施設の
建設
を行なうことという
規定
を置きまして、
鉄道新線
の
建設
を行なえるということになっております。それでそれが全く単一のものを競合してやるというようなことであれば矛盾を来たしますけれども、
鉄道新線
の
建設
は複数のものでございまして、両方でこれをやるということ、そのことは
法律
的には矛盾ではない。ただこちらの
公団
でやりますのは、あとの
規定
に出てまいりますように、
基本
計画
に乗ったものをやるということになっておりますので、
基本
計画
に乗った、つまり
公団
がやりますものについては二十二条によって調整
規定
を設けて、その
新線
は
国鉄
ではやらないという矛盾を生じないための
規定
を置いておりますので、二つの
法律
の間に矛盾はないというふうに考えます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
180
○
加藤
(勘)
委員
国有
鉄道
法第、二条によって
新線建設
の——もちろんこれは運輸大臣云々ということが入りますが、それは抜きにして、とにかくそういう権利を持っておる。今度の
公団
法によってもその権限を持つし、それから附則第七条によって、
仕事
を開始するときには国有
鉄道
が
新線建設
をもうやらないで、打ち切って、全部のものを
公団
のほうに委譲する、こういう
規定
になっておるのですね。それは
法律
上の条文を目で見ればわかるわけですし、それをかれこれ言のではなくして、先ほどからお尋ねしておるように、
新線建設
というのは国有
鉄道
の固有の権利である。だからこの権利を保有して、そして一方に、ただ
新線
を
建設
しないという
規定
が設けられるだけであって、それと同じ権限が今度
公団
に与えられるということになれば、少なくとも法文の整理の上からいっても——なるほど事実問題としてはいま言うとおり、一方は譲り受ける、一方はやらないということになっておるから矛盾はないのです。それでいいのです。ところが
法律
の条文のていさいからいきますと、一方に固有の権利として国有
鉄道
の権利を認めて、同じものが認められて、しかも一方は
仕事
をやらない、一方は
仕事
を引き受ける、こういうことになっておる。法文の上からいくと、当然それならばいま持っておる固有の権利である国有
鉄道
の
新線建設
については
公団
法第何条の第何項の
規定
によってこれは効力を失うとか、あるいは国有
鉄道
という文字が削除されるとかすれば矛盾はないと思いますけれども、厳として
法律
の条文のとにこういう条項が生きておる。生きておって、ただ自分は
仕事
をしない、それで片一方は自分は
仕事
を引き受けるというだけでは、法文上の形式にとらわれるようですけれども、形式上は明らかに矛盾しておるじゃないか。立法
技術
として新法が制定されれば旧法は自然に効力を失うという、同性質のたとえば刑法なら刑法というものが一応そういう新法によって旧
規定
がなくなる、それでも旧刑事法は旧刑事法であるし、刑法は刑法であるし、新旧の
法律
は自由に働くわけです、条文がある以上は。幸いにこういう場合は国有
鉄道
が
新線建設
ということを主張しないし、また運輸大臣もそれを承認しない。だから実際問題としては矛盾が起こらないが、
法律
の条文上からいくならば、私は明らかな矛盾があると思う。その点ほどか。
關政府委員(關道雄)
181
○關
政府委員
国鉄
法の
鉄道新線
の
建設
が
国鉄
だけしか行なえないという趣旨の明文の
規定
がかりにあったといたしますならば、先生のいま仰せになりましたように、その他にまた何かやることができるということを響きますと、前法に対する後法のあれで解釈上はそういうことができるようになったというふうに解釈できますけれども、先生のおっしゃるとおり、その場合には手当てをいたしまして、もっぱら
国鉄
だけがやれるという前の
規定
に手当をして、
公団
が同じ
仕事
をする余地をつくるというのが定石であろうと思いますが、この場合におきましては
国鉄
がただやれるという能力を与えているだけの
国鉄
法の
規定
になっております。したがって
鉄道
の
新線建設
がたった
一つ
の行為であって、それを法文にはっきり
規定
を書きませんでも、それをやると書けばほかの者はやれないという仕組みになっておりますれば、あるいは先生のおっしゃるとおりになると思いますが、
鉄道
の
新線建設
というものはこういうふうに複数の事実行為でありまして、非常に極端なことを言いますと、
一つ
でも三つでも競争してやるという形になっても、そのこと自体はおかしくないわけです。
法律
の
規定
の上で
国鉄
が独占というような形に書いてございませんので、そこの間にただ事実上の調整
規定
を設ければいいわけでございます。そこで二十二条の
規定
によって調整をはかるということでございまして、能力の
規定
といたしましては、必ずしも
一つ
でなければならない、
国鉄
だけがそういう能力を持って、他にそういう能力を持つ者ができた場合には
国鉄
法の
規定
からそれを排除するような、除外例を認めるような
規定
を必ずしも設ける必要はない、こういうふうに考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
182
○
加藤
(勘)
委員
それならば附則の十二条に、「次のように改正する。」として、第三条中の「敷設」という字の下に、「「及
日本
鉄道
建設公団
ノ
鉄道
施設ノ
建設
」を加える。」こういうぐあいになっておりますね。そうすると、国有
鉄道
及び
日本
鉄道
建設公団
、こう二つになるわけですね。明らかに二本立てを
意味
するのじゃないですか。
關政府委員(關道雄)
183
○關
政府委員
鉄道敷設法
の
規定
を改正いたしますことによって、敷設を行なう者が
日本国有鉄道
のほかに
日本
鉄道
建設公団
が
鉄道
施設の
建設
を行なうということが明らかになります。その限りにおいては先生のおっしゃるとおり二本立てになっております。そこで将来そうなった場合に、実際問題として同じ線を両方がやるというような不統一なことになっては困りますので、二十二条によって、まず
基本
計画
に乗ってこの
公団
が
鉄道建設
をすることになれば、具体的な、ある地点からある地点に至る
鉄道新線
の
建設
については
国鉄
はやらないということにしておけばよろしいわけである、こういうふうに考えます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
184
○
加藤
(勘)
委員
だから私もしばしば言っておるとおり、現実の問題としては矛盾を感じないでできるわけなんです。ところが、こういうぐあいに
法律
の条、項の上にはっきりと、「
日本国有鉄道
及」ということになると、明らかに二本立てなんですね。これは、もしそうならば、
一つ
は国有
鉄道
を保存していきたいという念願からこういうことになったんじゃないかと思いますが、それならば、この
公団
というものは、国有
鉄道
の足らないところを補う、すなわち
新線建設
という
鉄道
の足らないところを補うための暫定的な機関である、こういうことに勢いとらざるを得ないわけですが、それはどうなりますか。
關政府委員(關道雄)
185
○關
政府委員
ただいま先生の仰せられますとおりに、
鉄道新線
の
建設
をやるという能力そのものにつきましては、
国鉄
と
公団
と二つのものがあるという点において二本立てであることは確かでございます。そこで実際上の不便はないかというふうに仰せになりましたが、実は
法律
上そういう不便が起こらない、矛盾抵触が起こらないように手当てがしてあるのが二十二条でありまして、法制上矛盾が起こらないようになっておるわけでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
186
○
加藤
(勘)
委員
二十二条は、法に示されておるおり、「
日本国有鉄道
は、
鉄道
数段法第一条の
規定
にかかわらず、その敷設を行なわないものとする。」この点ですね。そういうことで、だから実際問題としては、私は、ちっともこの条文によって、
新線建設
は行なわないのだから、矛盾はない。しかしこれがあるから、それじゃ他の一方の
法律
の条項が全部抹消されてしまったかどうか、固有の権利というものが抹消されたかといえば、それは抹消されないで現存しておるわけですね。だから万一国有
鉄道
がおれも
新線
を
建設
するのだと言い出したときに、そのとき運輸大臣が許可しない、それで問題は済むわけなんです。けれども、
法律
の権限としてはそれを主張し得る権限を持つわけなんです。そうじゃないですか。だからそういうことの起こらないようにするためには、もう少しく条文の整理上に、
一つ
の条項を削除するとかあるいはつけ加えるとかすれば、そういう法理上の矛盾も起こらないで済むのではないか、こういうわけなんです。
關政府委員(關道雄)
187
○關
政府委員
いま
鉄道新線
の
建設
が、
公団
も国有
鉄道
も許可になったにしましても、それぞれ自分の
計画
に従って任意にやるのであれば、先生の仰せられるように、早い者勝ちという印象が起こってくるということも起こり縛るのでありますが、
公団
については、
基本
計画
というものに乗らなければ、しかも
基本
計画
は
鉄道建設審議会
の諮問を経て定められる問題であります。
国鉄
みずからが
新線
をやる場合につきましても、鉄連
建設
審議
会が関与するわけでありますので、そこには十分調整の道が法制上
確保
されておる。そこで先生の御懸念になりますようなことは起こらないような法制上の仕組みになっておるというふうに私どもは考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
188
○
加藤
(勘)
委員
それはしばしば言うように、私は法制上じゃなくて、事実問題としては矛盾はないと言うのです。それはよくわかっているのですけれども、法制上の条文の上からいくと、明らかに矛盾ではないか、一方に
新線建設
という
一つ
のものを片一方は固有の権利だ、これを保有せしめる、片一方はこれに固有の権利であるけれども、
仕事
やらせないで、しかも
仕事
はこっちでやるんだ、その場合に固有権利である
日本国有鉄道
及び何々ということになれば、もしあなたがおっしゃるように、事実上の矛盾はないということだけの事情で調整ができるということで打ち消されるならば、国有
鉄道
の固有の権利、国有
鉄道
そのものの
基本
権というものは何も
意味
をなさないのです。そうなりゃしませんか。
關政府委員(關道雄)
189
○關
政府委員
この
国鉄
とそれから
公団
とがともに
新線建設
にかかる
仕事
をやる能力を持っているということは、これは矛盾ではなくて、二つのものが並んであるというだけのことであろうと思います。たとえば矛盾ということが正確にいわれます場合には、ある
営業
なら
営業
の許可をするその許可権者が、あるいは通産大臣でもいいし、それから大蔵大臣でもいいというような法制をかりにとったといたしますと、それは単一なるべき国家思想が、二つの機関から別々に出るということになりまして、そういう場合には、まさに私は矛盾であろうと思います。この場合には
新線建設
を行ない得るものが複数に存在するというだけのことであって、それは矛盾とか、抵触するという問題ではないのではないかと思います。ただ残ります問題は、現実にそういう
一つ
の同じ二つの地点をつなげる
鉄道
を同時に二つの機関が
建設工事
を始めるというような事態が起こらないような法制上の手当てをする必要が残されているだけで、それは二十二条によって
確保
されている、こういうふうに考えておるわけでございます。
井手委員(井手以誠)
190
○井手
委員
せっかく法制局からお見えになっておりますから、一言だけお伺いしたいと思います。
建設公団
法の性格は、いま御説明を承りました二十二条によるものである。そうしますと、二十二条の
建設
をいまの
別表
にある
予定
線を
建設
するのが
公団
法の
使命
になっておりますから、その
建設
を大体十年ぐらいをもってやるということでございますが、それが終われば
公団
の
使命
は終わる。したがってこの
法律案
は、
法律
による
公団
は解散になる。そういう
意味
においてこの
公団
法案
は時限立法であると解釈されるのでありますが、
国鉄
は
鉄道
の
建設
は
国鉄
の固有の
使命
である、しかしいろいろな事情から、必要な
新線建設
ができないから、
公団
をつくるということです。その
予定
された
新線建設
が終われば、
公団
は
使命
を終わるわけですから、解散になると考えるのであります。そういう
意味
において、この
法律案
は時限立法であると解釈いたしますが、法制局の見解を承りたい。
關政府委員(關道雄)
191
○關
政府委員
ただいま先生の仰せられますとおり、この
公団
の目的は十九条の一項一号に掲げてありますとおり、「
鉄道敷設法
別表
に掲げる
予定鉄道線路
及び同法附則第二項の
鉄道
線路」、それを
建設
することでございますから、それを全部
建設
し終わったという時がきますれば、その限りにおいてこの
公団
は目的を果たしたことになります。その場合に、この
法律
は当然にはなくなりませんから、新たに立法を要しますけれども、その場合には
法律
によって解放をするように
措置
するのがこの
公団
法の立法の趣旨からいって当然であると思います。
井手委員(井手以誠)
192
○井手
委員
建設
を終われば
公団
は解散しなくてはならぬ。そのいつ解散するかはそのときの
法律
によってきめる。そうなりますと、当局では大体十年くらいでやりたいという意欲ですけれども、もうしばらくは延びるでしょう。延びるけれども、いわゆる時限立法には間違いないはずですね。時限立法であるならば、
加藤
先生がおっしゃる
意味
は私は理解できると思うのです。法制上の解釈がすっきりしてくると私は思うのです。それをおっしゃっていただいたほうが
加藤
先生に私は非常に親切だと思うのです。この
公団
法は時限立法で、
公団
法によらなくては
新線建設
がうまくいかないから、
法律
によって
公団
をつくります。これが
使命
が終われば解散になる。そうすればまた
国鉄
が固有の権利として
新線建設
をやりますというふうに説明なさると私は十分わかると思うのですが、どうですか。
關政府委員(關道雄)
193
○關
政府委員
私先ほどお答え申し上げましたように、この
公団
の目的というのは、一定の
仕事
量を片づけるということが業務になっておりますので、その業務を片づければ解散になるということでございます。ただ時限立法というふうに申されましたが、時限立法というのは非常に特殊な用語として、確定な日付をもって終わって、それに伴って罰則の関係がどうのこうのという学問上のいろいろな議論がございますので、その
意味
に使いますので、時限立法ということは適当とは思いませんが、先ほど来申し述べておりますように、
仕事
量がきまっておって、それが
完成
されればまあ目的を達成してしまったわけですから、それ以上存続させる
意味
がないという
意味
においてはいつかは消滅するものであるということでございます。
井手委員(井手以誠)
194
○井手
委員
だから、ことばにこだわるわけじゃないですけれども、
一つ
の時限立法じゃございませんか。
法律
というのは、時期というよりも、大体
一つ
の
仕事
を終わればなくなるという性格のものは、これは
一つ
の時限立法なんです。
一般
的
法律
は、それは何年も将来にわたってその効力が続くと思われるものでなくては、
一般
的な
法律
とはいえません。
使命
がはっきりわかっておる。しかもそれは十年ないし十何年で終わろうというものであるならば、それは時限立法ですよ。
一つ
の時限立法であるという答弁ができないはずはないのです。はっきりしておいてもらいたい。
關政府委員(關道雄)
195
○關
政府委員
ただいま先生の仰せられましたような
意味
の時限立法といいますか、いつか
法律
自体においてその終期がやがては来るということが
法律
の
規定
においてうかがわれるもの、そういうものを時限立法と言うという定義に従いますれば時限立法でございます。ただ普通学問上言っている時限立法というのは、罰則の関係とか、いろいろ論じますときの時限立法というのとは多少ことばの内容が違うと思いますが、いま先化がおっしゃったような
意味
と、いま私が申し上げた
意味
で定義してみますれば、そういう
意味
なら時限立法でございます。
久保委員(久保三郎)
196
○
久保委員
せっかく法制局が来て論議したのでありますから、私も
一つ
だけこの点だけさしあたり聞きたいと思うのです。私しろうとでよく
法律
も解釈できないのでありますが、全体としていま問題になっている
新線建設
が
日本国有鉄道
の固有の権利であるという御答弁がありました。固有の権利であるということを表現ずるのにこういうことを書いたとおっしゃられるが、それじゃこの
法律
の二十二条その他からいけば、いわゆる敷設法の附則
別表
、
別表
の中の
基本
計画
、
基本
計画
には附則
別表
とその他、あるいは
別表
の中でもしぼられる、こう予想されます。それ以外は
国鉄
でやってよろしい、こういう
意味
に二十二条は法文の形からはとれるのでありますが、そうとってよろしいか。私がお尋ねしているのはおわかりでしょうか。
關政府委員(關道雄)
197
○關
政府委員
固有の権利ということでございましたけれども、これは私はその
意味
のとりようだと思いますが、本来
新線
の
建設
は昔から
国鉄
がずっとやるたてまえであるという
意味
では、そのままこの
公団
法によっても、そのたてまえは一応変わっていないということを言ったものだと思います。先生がいま仰せになりましたように、
基本
計画
に乗る限りはこの
公団
がやる。しかし理論上は
基本
計画
に乗らないその他の
新線建設
というものは法文上は可能なわけでありまして、それは依然として
国鉄
のほうがやることになるというふうに理解しております。
久保委員(久保三郎)
198
○
久保委員
そうしますと、実際の問題と若干離れるような論議でありますが、この
新線建設
に対して、これからも変化がありますから事実はどうかわかりません。 そこで関連してお尋ねしたいが、いまの附属
別表
予定
線の中の一部と、プラスいまこの
公団
が
計画
しようというその他の線がありますね。というのは、臨港線というようなものは
予定
線にのぼっておりませんね。こういうのがおおむね
基本
計画
に入りますと、その後の変化に応じて、その場合に
国鉄
自体が、たとえば運輸大臣に申請した場合には運輸大臣は認可しますか。それは
公団
にやらせるから、おまえのところはやめておけ、こういうことになるのですか。その点の関係を……。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
199
○綾部国務大臣 そのときに何が経済的にいいか、また何が国家のためにいいかということを考えて判断いたします。
久保委員(久保三郎)
200
○
久保委員
あとでい、すれまたお話ししますが、どうもこの
法律
は、まあ五日めしということばがありますが、いろいろなものが入って、何が何やらさっぱりわからぬという点が非常に多い。その
一つ
がこれじゃないかと私は思うのです。 そういう点で最後に法制局に聞くが、こういう形をとらなければいけなかったのですか。いけなかった
理由
は何ですか。
日本国有鉄道
に
新線建設
の権利というか、そういうものもできるという条項をなぜ残さねばならなかったのか、なぜ残す必要があったのか。それはどうですか。
關政府委員(關道雄)
201
○關
政府委員
法律
的に
国鉄
のほうに何らかのものを残さなければならないという必要はございません。全部こちらにやっても、その場合には、
鉄道新線建設
を全部
公団
にやらせて、
公団
がやっている間は
国鉄
はやらないという体制をとることは
法律
的に不可能かと言われれば、不可能ではないと思います。
久保委員(久保三郎)
202
○
久保委員
そこで、いまあなたがおいでになる前に、
政府
当局からの御説明は、
新線建設
は
国鉄
の固有の権利であるから残したのだ、こう言うのです。そして先ほどの井出さんの御質問のときのように、ある時点にくれば、これは
公団
の
使命
は終わりである、そのときの用意に残しておくという
意味
であった。そういう必要があるだろうか。さっき鉄監局長は立法
技術
としてそういうふうにせざるを得なかった、こういう御説明であった。あなたのおっしゃることとだいぶ違うのです。私は理論の問題としては、いわゆるものの考え方、
方針
として、
政策
としてこういうふうになったというなら一応了解する。しかし先ほどの御答弁では、そうじゃない。立法
技術
上の問題としてこうなった、それは
国鉄
の固有の権利であるということで、あなたの解釈とちょっと違うけれども、鉄監局長がさっきから手をあげているから、鉄監局長に聞きます。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
203
○広瀬(眞)
政府委員
先ほど私が申しましたのは、立法
技術
と申したのではございませんで、立法
技術
になりますと、法制局の関係になりますが、立法論としては、先ほどから
加藤
先生のおっしゃるような議論もございますし、私どもが御説明しておるような考え方もある。立法論として
国鉄
の
鉄道建設
能力というものを残しておいたということを申し上げたわけでございます。
久保委員(久保三郎)
204
○
久保委員
立法論というのと
政策
論というのとどういう違いか、私も勉強が足りないのでわかりません。立法論というのは、
法律
のたてまえ、
技術
の問題でなくて、職人的な
技術
でなくて、立法論というならばもう少し高度なものだと思うのです。私が言っているのは、
政策
の問題か、いわゆる
法律
に直す場合の、書く場合の問題か、こう言っておるのです。こういう書き方でいけば、ぼくが言うように、
国鉄
もやれる、それならなぜこれが必要なのか。
公団
一本でやるというなら残す必要はない。そうなると、
政策
論からくれば、二十二条と関連さして一切をはっきりしてしまえばいい。一切
公団
がやる、
国鉄
は一切手をつけない、こういうふうにすればいいのであって、それが
政策
であると思うのです。立法論とかなんとか言っているからわからぬのですが、それをどういうふうに説明されて、こういう
法律
をおつくりになったかを聞きたいのです。
關政府委員(關道雄)
205
○關
政府委員
先ほど私がお答え申し上げましたのは、片一方の
公団
のほうに全部権限を移すということは
法律
上可能かというような趣旨に受け取りましてお答え申し上げたのでありますが、その
法律
をつくりましたときの説明その他立法の
審議
過程における議論を振り返ってみますと、
国鉄
が
新線
を
建設
するということは明治以来ずっとやってきたことで、
国鉄
としては重要な機能であるということで、そのたてまえをくずしたくないという気持らがあったということと、それから
鉄道新線
の
建設
を行ないますのは、これを全部この
公団
がやってしまわなければならないかどうかということは、この
公団
法ではそういう
義務
をこの
公団
に負わせておるわけではありませんので、いつまた
国鉄
がみずからやることになるかわからない。それでたてまえとしては、
国鉄
に根を残しておくという
方針
でこの
法案
ができておりまして、法制局としてはそれでも
法律
的にはおかしいところはないという判断でこの案に賛成したわけであります。
久保委員(久保三郎)
206
○
久保委員
そういうものの考え方で立法したというならば、それは便宜的な用語もあると思います。当分の間、
公団
がある間は、
国鉄
は一切の
新線建設
はやりません、こう
法律
に書いたら一番明確です。
公団
のいわゆる前途に対して不安があるからこういうものが出てきたのじゃないかと思います。これはあなたに言ってもしようがないと思いますので、あとにしますが、私はそう思います。
矢尾委員(矢尾喜三郎)
207
○矢尾
委員
ちょっといまの問題について、答弁が的がはずれておるような気がするのですが、大体
鉄道
を敷設するということは、
国鉄
が固有の権利でやるとか、今度は
公団
に権利が移るとかいうようなことを言うておられますけれども、
鉄道
を敷く根本というものは
鉄道敷設法
というものによって決定されるのであって、これを
国鉄
にやらせるということも
公団
にやらせるということも、これをどちらにやらすかということについての内容ではなくて、どこに
鉄道
を敷くかということがこの
鉄道敷設法
という
法律
によって決定されるのです。それが
審議
会にかかって、
審議
会においては、運輸省からこういう
鉄道
を敷くという諮問があって、それに対して答申をして、そうして
鉄道
を敷く。いままではこれは国有
鉄道
がやっておったでしょう。これは権利でも何でもないんですよ。この
法律
に基づいて
国鉄
にやらせておったでしょう。そうすると固有の権利でも何でもない。また、たとえば大林組にやらせる、大成
建設
にやらせる、清水組にやらせる、これはやらすほうの権利であって、
鉄道
を敷くということは敷設法によるところの権利であって、
国鉄
にやらそうと
公団
にやらそうと実際は固有の権利も何もないのじゃないですか。
鉄道敷設法
が厳然としてそのままある限りにおいては、私はそう見るのですが、どういうお考えですか。
關政府委員(關道雄)
208
○關
政府委員
法制局はいまだかつて
鉄道
の
新線
の敷設は国有
鉄道
の固有の権利であるという答弁を申し上げたことはございません。先生のおっしゃるとおり、国が
新線
を
建設
することになりまして、それをだれにやらせるかという問題は、いままではたてまえとして
国鉄
だけでございましたので
国鉄
にしておったが、今度は二つ道ができたのでその間に矛盾がないように調整
規定
を設けるということでこの
法律
ができたというふうに考えております。
矢尾委員(矢尾喜三郎)
209
○矢尾
委員
そうすると
法律
は一本ですから、
国鉄
が単独で
鉄道
が敷けるか敷けないかということが問題なんです。この間に
鉄道
を敷くということを
国鉄
が言い出して、かってにしていいのならそういう固有の権利というものは認められますけれども、それはこの
鉄道敷設法
によらなければならぬ。申請をして、運輸省を経て、運輸省からこの
法律
に基づいた
審議
会の議を経てやるということにはなりますけれども、これは一本なんです。そういうようなむずかしい解釈をしてやってしまうと、わかるものもわからぬようにしてしまっているということになると思うのですが、それでいいのですか。
關政府委員(關道雄)
210
○關
政府委員
仰せのとおりだと思います。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
211
○
加藤
(勘)
委員
それでは、そういう
法律
上、立法上の問題は形式論になるし、実体にたいした関係もありませんから、その点はそれぞれの解釈がなされるということで次の質問に移りたいと思います。 さっきも申しましたように、問題は、この
公団
法というものが
鉄道敷設法
に
規定
するいわゆる
予定
線として
別表
に掲げられたる線路の
建設
に当たる、こういうことなんですね。そうすると
別表
に
規定
された、この立法の当時に
予定
された
別表
にあげられた線以外のものはこの
公団
の
使命
の外にある。この
法律
によれば、
鉄道建設審議会
に
計画
を
策定
してそれを諮問するということになっておりまして、範囲を拡大するというようなことについては、この
法律
によれば諮問は出されないことになっておるので、勢い好むと好まざるとにかかわらず、この
法律
というものは、定められた
別表
の
路線
の
建設
に当たるということで一応その任を終わると思うのです。勢い
法律
上の問題としての時限立法であるとか暫定法であるとかいうことは抜きにして、事実上その
別表
に掲げられたる
路線
の
建設
が終われば任務は終わる、そういう範囲内において暫定的な性格を持った
法律
である。それなればこそ、
国鉄
の
新線建設
の
基本
権利というものは、この
法律
によっても
確保
されておるということになると思いますが、そういうように暫定的なものであると解釈して——これは解釈するもしないも事実だと思うのですが、それについてのあなた方のお考えはいかがでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
212
○
大石
(武)
政府委員
これは仰せのとおり暫定的でございます。しかし暫定的と申しましても、いつ終わるかいまのところ予測がつかないのでございます。と申しますのは、ただいまの
別表
には六十三線載っておりますが、これは運輸省の
方針
あるいは
鉄道建設審議会
の意向によりまして、新しく今後必要と認められる
新線
がまだ
別表
に入る可能性もございます。そうなりますと幾らでもございますから、必ずしも十
年間
、十二
年間
で終わるものとはわれわれ考えておらない次第でございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
213
○
加藤
(勘)
委員
着工線
それから
調査線
というものが四十七、十五、それに青函等の海底線を考えると十七の
調査線
ということになる。そのほかにいわゆる
予定
線と言われるものが二百三十七線ある。けれども
日本
のこの狭い国土にもしこの出されただけの
鉄道
が敷かれるなら、それこそ
鉄道
がクモの巣を張ったようになって、
鉄道
を敷いたために今度は人が身動きができなくなる。だから事実上大体いま
着工
されておる四十七線なりあるいは
調査線
の十七線が終われば、まああるいはここまで行かないでもっと早く、さっき大蔵大臣が言ったように、もっと早く切り上げられてしまうことも考えられると思うのです。一ぺん決定した
路線
だからどうしてもこれをやらなければならぬということで、必要もなくなった、情勢も変わったというのに、いつまでもこれにへばりついておるということはないと思いますから、事実上の問題としては、なるほどいまおっしゃるとおり、いつとか期限を切るわけではないけれども、性格的には暫定的な性格を持った
法律
である、そういう性格を持ったものであるということについては、あなた方の
意見
もわれわれの
意見
も一致するわけであります。そこでそういう暫定的な性格を持った
法律
に、年限はいつだかわからぬが、そこに今度
国鉄
から転出されていく
技術陣
の人々の身分の問題が起こってくると思うのであります。その身分保障の問題で、そういう暫定的な性格を持った
法律
による
公団
に、給与がよりょくならなければなかなかここに
国鉄
から動く人がないとしたらどうなるか。そういうときにはまさか
国鉄
総裁の命令で行けと言うわけにもいかないし、運輸大臣の命令で行けと言うわけにもいくまいと思います。そういう事実上の必要を満たすための人員の転出等についての考え方は、容易にできるものとお考えになっていらっしゃるか、それともなかなか困難だと考えていらっしゃるか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
214
○広瀬(眞)
政府委員
大
部分
の職員は
国鉄
から転出をしてまいるというふうに考えております。したがいまして、この移行を円滑ならしめるために、給与その他等につきましても十分考慮をいたしております。具体的に申しますと、他の
公団
等の例もございまして、こういったものを参考にしながら給与その他の
基準
を定めてまいります。これは
政府
部内でまだこれから検討いたしますが、大体
国鉄
職員よりも若干高い給与が支給されるというようなことを考えておるわけであります。
細田委員(細田吉藏)
215
○細田
委員
関連で一言。ただいまの
加藤
先生の質問に対する御答弁に関連して、私ちょっと一言だけ念を押しておきたいと思うのです。 私は、この
公団
法というものは、
法律
論としては時限立法でもなければ、限定があるものでもない。いつの日かわからぬけれども、いつの日か終わるだろう、
法律
論としてはそういうものではないだろうと思う。ただ事実問題として、ある時期がきたら
鉄道
の
建設
というものは大体なくなるのではないか。もうこれくらいでいいじゃないかという時期がくるであろう、こういった
意味
における実際上の終期というものはあるかもわからぬ。またあるべきではないかと思う。
鉄道
をいま
加藤
先生の御質問のように、めちゃくちゃに何でもかんでもいつまでも敷くものではないという点についてはそうなんだが、
法律
上のたてまえとしては、敷設法
別表
に書いてあるものに新たに追加するという政務次官のいまのお話もあり得るわけであります。そこで時がきたら
公団
ならなくなるが、国有
鉄道
にいったらどうなるかといえば、国有
鉄道
でもそのときには
新線建設
の
仕事
はなくなる。特に私がここで申し上げておきたいことは、この
法律
が時限立法であるとか、時限立法的であるとかいうことでなくて、
鉄道建設
そのものが、国有
鉄道
にあろうが
公団
にあろうが、ある時期には終わりがくるかもしれぬ、あるいは終わりがくるべきだと私は思う。いまのこの
別表
なんというのもは、全部やらなければならぬというふうには私は絶対に考えるべきではないと思うのです。しかしこの
別表
にあがっておるものよりも大事なものが出てくるかもしれません。先ほどの新産都市の話出ておりますし、
港湾
地帯の話もございますし、したがいまして
法律
的には時限がきまっておるものではない。この辺は観念として明確にしておかないといけないと思うのです。ですから、これがある時期にきたらおしまいになることは初めからわかっておるといったって、
法律
的にはそういうものではない。この点はぼくの言うとおりだと思うのですが、何か間違いがあれば御指摘いただきたい。 それから、いまの敷設法
別表
というものはたくさん出でおりますが、沿革的なものでありますから一ぺん洗い直してしまって、全部直してしまったらどうかということをかつて
提案
したこともございますけれども、これはなかなかむずかしい事業だが、これに限ったことじゃない。新しく出てくる
公団
でやれるものが出てきますから、その点間違いないと思います。そのとおりであるならばけっこうです。
大石(武)政府委員(大石武一)
216
○
大石
(武)
政府委員
ただいまの細田
委員
の御発言のとおりわれわれも解釈いたしております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
217
○
加藤
(勘)
委員
次の質問者が控えておりますから、私はそろそろこの辺で打ち切りたいと思いますが、もう
一つ
だけ最後の問題としてお伺いしておきますのは、
公団
と
国鉄
との
仕事
の競合する点ですね。たとえば第十九条の第三号にありますように、前号の
規定
により
公団
から国有
鉄道
に貸し付けた
鉄道
の災害等による復旧
工事
をやるのですね。そうすると現在やっている
鉄道
の保守、補強の復旧
工事
というか、とにかく同類の
仕事
なんですね。それからまた災害等によっていたんだ個所を復旧するというのですから、時によれば非常に大きな災害がくるかもしれない。
鉄道
の委託されているほうの、借り受けたほうの
鉄道
当局としてはそれだけの期間
営業
ができぬことになる。そうするとその
営業
停止なりあるいは料金払い戻し等の国有
鉄道
がこうむる
損失
、それは一体どちらで
負担
することになるのですか。
公団
のほうで
負担
するのか、
国鉄
のほうで
負担
するのか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
218
○広瀬(眞)
政府委員
この
鉄道
施設は
公団
の所有でございますので、災害復旧は
公団
にやらせる。それから日常の保守とかあるいは改良というものは使用者側である
国鉄
にやらせるというたてまえにしております。そういった趣旨から申しまして、かりに災害等がございますと、
運賃
収入
が得られぬということで、
国鉄
が
営業
しの
損失
をこうむりますが、こういった平常の
営業
しの
負担
というものは
国鉄
に
負担
をさせるというたてまえになっております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
219
○
加藤
(勘)
委員
そういう点が明確になっていないじゃないですか。
国鉄
に
負担
せしめるというて、
国鉄
がどういう条、項に基づいて
負担
をするのか。事実
国鉄
自体が復旧に当たるならば、それは自分の
営業
にも関することであるから、速急に他のものを犠牲にしてでもやるだろう、
公団
が復旧
工事
に当たるというのですからして、なるほど意識的にサボタージュするわけにはいかぬけれども、ただで貸しておるところに自分のほうで復旧する、その費用なりあるいは
工事
の都合なりによって
国鉄
が思うように早くやれぬ、こういうことも考えられないではないと思うのです。
工事
の復旧は
公団
でやると言うが、その場合の
国鉄
とり二重性において非常に不便を生ずるのではないか。こんなときには借り受けて
営業
しておる
国鉄
がその復旧に当たって、その経費は
公団
で
負担
をするということならば話はわかると思うのですが、
工事
まで
公団
に
負担
せしめるということになると、意識的であるなしにかかわらず、
国鉄
当局が考えるほど敏活には決していかないのじゃないか。ここに二重
組織
の弊害も起こってくると私は思うのです。そういう点についてはどうですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
220
○広瀬(眞)
政府委員
先ほど私が申し上げましたのは、経費の
負担
のたてまえを申し上げておるわけであります。災害によって
公団
の所有しております
鉄道
施設が破壊された場合に、これを復旧することが通常の
鉄道
施設の維持あるいは通常の修繕等の管理行為のらち外に出ます場合には、
公団
が施設の所有者としてこの復旧の任に当たるということを言っておるわけでございまして、たえまえを言っておるわけでございます。実際問題としては、
国鉄
が実際に復旧をしてその経費を
公団
からもらうというようなことは考えられると思いますが、経費の
負担
区分としては災害復旧は
公団
に負わせようという考えでございます。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
221
○
加藤
(勘)
委員
その点はこの条文によって明確なんですね。復旧
工事
は
公団
が行なう。これはこの法文によって一点疑いの余地はないわけです。いま問題になる点は、あなたがいまおっしゃった
工事
を実際にどちらがやるか、復旧の
工事
を分担するという以上は、その経費は当然
公団
が持たなければならぬ。ところが
公団
にして、みると、復旧してそこから利益が入ってくれば復旧の費用を投じてもいいけれども、無償で貸し付けておるんだから、費用は入らぬ、その上にばく大な復旧費を出さなければならぬということになると、勢い
工事
の復旧
計画
についても、
国鉄
側と
公団
側との間にいろいろ折衝がなされなければならぬ。急を要するからとむちゃくちゃな経費の計算は別問題にして、あとから計算しようというようなことはならぬと思うのです。現在の、
公団
と
公団
との
政府機関
の中においてすら、
一つ
の行政上の権限ですら、省と省によっては非常な争いを生じておるような
状態
、いわんやそれに
公団
というものと
国鉄
との利害が伴ってくる問題になると、そう思うように簡単には、文章に書いてあるようなわけにはいかぬと思う。そのときの
規定
は、やはりそういうところはあるいは政令、省令というか、そういうものによって
規定
されるかもしれないけれども、しかし省令に
規定
しても、
公団
は必ずしも省令に従わなければならぬということはない。政令で出ればまた別ですけれども、そういうことを十分に、できるならば
法律
の条文の上においてこの復旧
工事
は
公団
が担任するということが書かれておるように、明確にされれば問題はないと思いますけれども、具体的な問題が不幸にして起こった場合には、そういうおそれが多分にあるということが心配されるわけなんです。そういう場合についての
国鉄
当局なり運輸当局なりの考え方はどうでしょう。
大石(武)政府委員(大石武一)
222
○
大石
(武)
政府委員
ただいまの御心配の点は起こり得る可能性があると思います。しかしこの
国鉄
にしましても
公団
にしましても、これは運輸大臣が全部監督するものでございます。しかも
公団
と
国鉄
とは別に利害相反しておりません。でありますから、
公団
が災害の復旧をする場合にも、別に故意に
工事
をおくらせるとかなまけるということはあり得ないはずであります。またそうすることによって費用がよけいかかることになりますから、そのようなことはありませんし、問題はばく大な費用を要するこの復旧費用をどこで
負担
するかということが問題でありますから、その点を明確にさえしておけば、あとは
工事
はどこでするかということはお互いの話し合いでもけっこうであるし、あるいは内規にしておいてもけっこうであります。別に
法律
の条文に載ることはなかろうと私は思うのであります。しかもそのように
国鉄
がやり得る
工事
を、工費の二倍も一倍もかからなければできない
工事
をする
公団
で参るとすれば、そのような
責任
者は当然首にすべきで断る、
責任
者はやめさせるべきである、私はこう考えております。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
223
○
加藤
(勘)
委員
私も同じ国家機関で同一の大臣の監督下にある二つの公法人が——法的の公社と言えぬから公法人として、小さな利害で争うというようなことはあるまいと思いますが、意外に災害が大きくて、実際に、いまおっしゃるとおり、経費の
負担
がどちらにかかるか、そのときの
工事
ははっきり
公団
が行なうというように
規定
されておるけれども、実際は
公団
が行なうよりは
鉄道
の
技術
を利用したほうがはるかに迅速にいくと思うのです。そのときの経費の
負担
をどちらが持つか、これが私は、あなたが心配されておるとおり重要だと思うのです。だからそういうことはやはりすっきりしておいたほうがあとからのいざこざを起こさないことになるんじゃないか、そう思いますね。だからそういう点について、それならばそういう場合の経費は、具体的に言うならば、何千万円以上はどちらが持つとか、何千万円以下はどちらが持つとか、あるいは全額どちらが持つというようなことは
規定
されるわけです。家を一軒借りておったって、借家人が
負担
する場合もあるし、家主が修繕費を
負担
する場合もあるし、だから一がいに言えませんけれども、中には折半という場合もあるし、
国鉄
と
公団
との関係においても、なるほどそういう利害関係は同じく国家的な性格を持っておるものでありますから、ありませんけれども、しかし当面、やはり
国鉄
なら
国鉄
の
営業
成績にも非常に関係することなんです。だからしてそういう点で、やはりそういう点の
規定
は設けられるほうがいいんじゃないか、こう思うわけですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
224
○広瀬(眞)
政府委員
災害復旧の経費の
負担
につきましては
負担
区分をはっきりしておりますが、実際の運用にあたりましては、
国鉄
と
公団
の間にいろいろこまかい点につきまして十分協定もさせますし、また
政府
は公社・
公団
を十分監督しまして、実際に即したかっこうで行なえるようにいたしたいと思います。
加藤(勘)委員(加藤勘十)
225
○
加藤
(勘)
委員
私はもうこれで私の質問は終わるつもりですが、要するに、この条文をしさいに点検していきますと、幾つかの納得しがたいものを見つけるわけなんです。こういうことはほんとうを言うならば、もっと時間をかけまして、
政府
のほうでももっとほんとうは手入れをして、もう少し問題が平明に、だれにでもすぐ読んだらわかるようにというようになっておれば一番いいと思います。そういう点において、どうもいささか
政府
も急ぎ過ぎた感があると思いまするが、なおこの問題について、運営上の今度
国鉄
の
立場
からの
国鉄
の
責任
者のことばも聞かなければならぬと思いますが、そういうことも、私の質問はきょうはこれでやめますが、とにかくこの
法律
はそういう点で不備なものであるということは否定できないと思いますから、こういう点についての
政府
の反省を求めて私の質問を終わりたいと思います。
木村委員長(木村俊夫)
226
○
木村
委員長
勝澤
芳雄君。
勝澤委員(勝澤芳雄)
227
○
勝澤
委員
先輩の矢尾さんやそれから
加藤
さんがもう十分やられましたので、ダブらない点だけ申し上げますから、もし私の質問がダブっておったら答弁を終わったと言ってくれれば、次の質問に移ります。まだ肥田さん、
久保
さんそれから井出さんと質問者が残っておるようですから、できるだけやっていただきたいと思います。私も時間を節約する
意味
で具体的な問題を申し上げますので、ぜひそのように取り扱っていただきたいと思います。 そこで、まず最初に、
新線建設
審議
会で
新線建設
の方式として三つの方式が一応出されておるわけですね。
一つ
の方式は
政府
の直轄でやる
方法
、そしてもう
一つ
の方式は
国鉄
工事
でやる
方法
、もう
一つ
は
公団
工事
でやる
方法
、この三つの
方法
が出されておるわけです。この三つの
方法
が出されておるにかかわらず、なぜ
公団
を取り上げたか。
公団
でなくても、たとえば
国鉄
のやり方で、
国鉄
に
新線建設
特別勘定を設けてやる、これでもけっこうできるじゃないか。あるいは
政府
の直轄で運輸省へ
新線建設
特別会計を設けてやる、これでもできるじゃないですか。この三つの方式の中でなぜ
公団
方式をとったのかという点をまず最初にお尋ねしたいと思います。
大石(武)政府委員(大石武一)
228
○
大石
(武)
政府委員
私どもはこの三つの
建設
審議
会の
意見
のうち、
公団
をあえてとったわけであります。なぜ
国鉄
でやらせないかということにつきましては、いままで今日のいろいろな議論においてすでに申し上げておると思いますが、現実の面として、やはりいままで
国鉄
では
新線建設
の促進をなし得なかったという点を省みまして、やはり
国鉄
ではむずかしいということをわれわれは感じたのでございます。
国鉄
でむずかしい以上は、運輸省の中にそのような特別な
新線建設
の部門だけをつくりまして、それでやるということは、私は現実にはなお困難だと思います。そういうわけで、一番やりやすい、
建設
を専門とする
公団
をつくるのがよろしいじゃないかということから、これをとったわけであります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
229
○
勝澤
委員
鉄道
で
新線
が促進されていない
理由
を
政府
としてはどういうふうにお考えになるのですか。
公団
ならばそれが促進されて、
国鉄
ならば促進されないという
理由
は、いかなるものでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
230
○
大石
(武)
政府委員
先ほど大蔵大臣がその
理由
については申し上げたと思いますけれども、これは御
承知
のように、
国鉄
というものは終戦以来
仕事
の面が非常にふえてまいりましたことと、同時にその
工事
量あるいは
仕事
量の増加に対する
資金
面の足りないことで非常な苦慮をいたしております。こういう面で、御
承知
のように、
改良工事
に追われ、
保安対策
に追われ、そしてまた新幹
線建設
に追われまして、いま四苦八苦しているのがいまの
日本国有鉄道
の偽らざる姿でございます。したがいまして、そこに
新線建設
の
責任
を負わせましても、とうていこれはやり得る
状態
ではございません。と申しますのは、たとえば、これは
国鉄
の悪口でもございませんが、現作
国鉄
で
新線建設
の
予算
を毎年
年度
初めに計上いたしましても、これをほとんど全部使い得ないで、そして流用している場合がございます。これは悪意でやっているとは思いませんけれども、やはり背に腹はかえられないという、既存の
輸送力
の
増強
とか、あるいは
保安対策
に追われて使ったと思います。こういうわけで、ありますから、なかなか
国鉄
としましても、相当国のひもつきでかりに
国鉄
に金が入った、あるいは
債券
の
発行
ができたといたしましても、必ずしもそれを
新線建設
に振い向け得ないのが私はいまの
国鉄
の現状ではないかと思います。そういう
意味
で、専門の
公団
をつくったほうがむしろやりやすい、
国鉄
としても
仕事
がやりやすい、または現在の
輸送力増強
あるいは安全
輸送
その他の現在の
国鉄
の
仕事
を十分伸ばしていって改良していく、こういう方面にお互いの
仕事
を分担したら非常に能率的ではないか、こういうふうに考えて、あえてわれわれは
公団
を採用したわけであります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
231
○
勝澤
委員
東海道新幹線四千億のものを
国鉄
はやったわけでありますから、こればかりのものをやれないはずはないと思います。ですから理屈を幾ら説明しても政務次官、これはわからないのです。結論的にどうなるかというと、
公団
なら金が出しいいけれども、
国鉄
には金が出しにくい、こういうことだと思うのです。ですから、そういうことを率直に言ってくれればいいと思うのです。そういうように率直に言っていないんですよ。それではなぜ
国鉄
に出しにくいかというと、
国鉄
は本来の
国鉄
の
仕事
をやらなければならぬから、
新線
の七十五億のワクでもなるべく減らしたい。しかし七十五億のワクはとにかく守っているのですから、むしろ
政府
がもっとやる気があれば、七十五億のワクをたんとふくらましてやって、その
資金
援助を見てくれればできるわけです。できないところに問題がある。できないところに問題があって、その問題をごまかそうとしてつくったのが
公団
だ、こういうことにならざるを得ないのです。これについての反論がありますか、私はないと思うのですが、あったらひとつ。
大石(武)政府委員(大石武一)
232
○
大石
(武)
政府委員
どうもせっかくの
勝澤
委員
のことばですが、ごまかしてつくったということについては、これは絶対に承服できないのでございます。これは率直に申し上げますと、
勝澤
委員
の仰せられたようなこともございますが、現在の
国鉄
に
新線建設
をやらせるということは、一種のマンネリズムになっております。マンネリズムと申しますか、やはり何かひとつ
政府
の気分を変えて——これは
政府
は決して感情や何かで動いてはいけませんけれども、やはり新しい気分を入れたほうが
鉄道新線建設
に金を出しやすいような感じがいたします。われわれはそう感じております。そうしてまた
国鉄
にいたしましても、
技術
はなるほど
日本
の
新線
をつくるには十分過ぎるほどの
技術
を持っております。むしろ
公団
をつくるよりも
技術
的にははるかに進んでおるかと思います。しかし、御
承知
のように、新幹
線建設
のような世紀的な大事業には非常な情熱を傾けますけれども、必ずしも
新線建設
のような、いわゆる
赤字
を予想されるものには積極的な意欲がございません。そのことは、全部
新線
が
赤字
である、これは困ったものだといううわさが流れておりますのは、やはり
国鉄
が
新線
に対してはそう熱意を持っておらないという
一つ
の姿だと思います。そういう率直な面から、いま言った二つの
理由
から、
政府
が
新線
に対してもっと情熱を出して新しい金を出し得るという
組織
をつくるということと、
国鉄
があまり
新線
に対しては情熱を持っておらないという二つの大きな
理由
から
公団
をつくるべきだと考えたわけであります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
233
○
勝澤
委員
それは政務次官、
国鉄
が
新線建設
に消極的だという
意見
は間違いですよ。
政府
が
新線建設
についての金を出さない、ここが問題なんですよ。
政府
が
新線建設
に金を出せばいいのですよ。金を出さないから、
国鉄
はきめられた
予算
以上に出す必要はないわけですから、きめられた
予算
以上に出さないのですよ。もしそれが違うというならば、それでは
国鉄
が
新線建設
に
投資
した過去十ヵ年の実績をひとつ御説明願いたい。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
234
○広瀬(眞)
政府委員
ごく大ざっぱな数字を申し上げますと、
昭和
二十七
年度
以降
新線建設
に投入しました
資金
は約六百四億でございます。これは国家
予算
の累計では七百十億でございまして、これに対して実際に決算されましたものが六百四億円、なお
年度
別がございますが、これはいかがいたしますか。
勝澤委員(勝澤芳雄)
235
○
勝澤
委員
それはいいです。 そこで、いまの差というものは一体どこから出てきたのか、それは
国鉄
が独自の権限でやったのか、あるいは運輸省なり大蔵省なりの了解を得てやっているのかどうか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
236
○広瀬(眞)
政府委員
これは
国鉄
はいろいろ
資金
の問題がございまして、
国鉄
でできます流用で、ほかの
一般
改良その他に流用いたしたものでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
237
○
勝澤
委員
それは
国鉄
が独自でやったわけではないでしょう。運輸大臣なり大蔵大臣の承認を得てやっているわけでしょう。
鉄道建設審議会
の筋によってやっているのでしょう。もう一回答弁してください。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
238
○広瀬(眞)
政府委員
国鉄
の自己の判断によってみずから流用したものでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
239
○
勝澤
委員
そうするといまの七十五億だって、これは
出資
をするということになっているけれども、実際には
国鉄
は出さなくてもいいようなやり方をしようとすればできる、こういうことですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
240
○広瀬(眞)
政府委員
法第四条第三項で、法文で明確にきまっております。「
日本国有鉄道
は、
公団
の設立に際し、
昭和
三十八
年度
の
日本国有鉄道
の
予算
の
工事
勘定に計上した
建設
費の項の額から
公団
設立の時までにおけるその項の支出済額を控除した額に相当する金額を
出資
する」、わかりやすく申しますれば、七十五億のうちから
公団
設立のときまでに
建設
費に使った金を差し引いた金を
公団
に
出資
するというふうに明確になっております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
241
○
勝澤
委員
いえ、局長、私の言うのはこういうことなんです。七百十億と六百四億の差がある。このことは、いままで七十五億というのが
予算
で
新線建設
すべきだときめられておったけれども、
国鉄
の都合で自由に七十五億減らすことができたのだ、今度はそれができない、こういうことですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
242
○広瀬(眞)
政府委員
ただいま読み上げました条文で……。
勝澤委員(勝澤芳雄)
243
○
勝澤
委員
これからのことは
法律
できまっていますからいいです。いままでのことですよ。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
244
○広瀬(眞)
政府委員
いままでは、先ほど申し上げましたように、
国鉄
の独自の判断で他の改良費などに流用することができて、また一部の金については流用してまいったわけでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
245
○
勝澤
委員
そこで、いまかりにそういうことが行なわれてきたと言われても、今度七十五億という
建設資金
を固定さして——それは内部的なことでできるわけですから固定さして、それ以上に金を入れれば
国鉄
でもできるということは、これは必ずしも
公団
をつくらなければならぬという根拠にはならぬと私は思うのです。これはもう政務次官、現実の問題として、
公団
をつくれば大蔵省から役人が一人
理事
が入る。だから少しぐらい
予算
も出してやろう、こういう形になっているんです。これは
公団
、公社を見てみますと全部そうです。そのために
公団
というものがつくられる。これはあなたが答弁してもしなくても同じです。今度の
公団
の役員の場合も、大蔵省出身者が入っているか入っていないかできまるのですからね。入っていなかったら、
政府
はあなたが答弁したようだった、入っていたら大蔵省の役人を入れるために
公団
をつくったのだ、大蔵省の役人が入らなければ金はくれないものだ、こういう結論になるということだけひとつ御
承知
おきを願いたいと思う。 そこで、
公団
でやる方式と現在
国鉄
がやってきた方式との相違点、どこが違っているのかという点を簡単でいいですから明確にしていただきたい。
大石(武)政府委員(大石武一)
246
○
大石
(武)
政府委員
公団
はこれからやるわけでございますが、
公団
は
建設
専門で一本やりでいくわけであります。
国鉄
はいままでは
建設
並びに改良、保安、新幹線、いろいろな問題を一切八百屋的にやっておったわけであります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
247
○
勝澤
委員
そこでいままで
新線
を
建設
してきた
国鉄
の
建設
機構、
国鉄
はどういう機構で
新線
を
建設
してきたかという点について、
国鉄
のほうから御説明願いたいと思います。
磯崎説明員(磯崎叡)
248
○磯崎説明員
新線建設
の
国鉄
の部内機構でございますが、御
承知
のように本社に
建設
局がございまして、その局の中に課がございますが、主として
建設
線をやっておりますのは
建設
線課という課であります。地方機構といたしましては各地に七つの
工事
局がございまして、この
工事
局が各地区の既設線の
改良工事
と同時に、現在
着工線
になっておるものの
工事
並びに
調査線
になっておるものの調査をやっているわけでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
249
○
勝澤
委員
そこで運輸省から
提出
されました三十八
年度
の事業
計画
によりますと、大体
新線
を
建設
しておる
国鉄
関係の人員は約八百名、こういうふうに説明されておりますが、大体そうですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
250
○広瀬(眞)
政府委員
さようでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
251
○
勝澤
委員
そうすると従来七十五億円ベースで、約八百名でもって
新線建設
がやられてきた、
公団
は人員は八百九十五人とこう言われておるのですが、結局いままで
国鉄
でやられてきたよりも、
公団
になるために、何といいますか総計的な人員といいますか、そこがふえてきて、これだけふえる、こういうことでしょうか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
252
○広瀬(眞)
政府委員
さようでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
253
○
勝澤
委員
そこでいままでは
建設
局
建設
線課、そうして七つの
工事
局、たったこれだけの機構で行なわれてきたわけですね。それが今度は
公団
になるためにふえたのは、何がふえたかというと役員がふえたわけです。総裁が一名、副総裁が一名、
理事
が六名、監事が二名、十人ふえたわけです。ですから十人の役員をつくるために
公団
をつくったと極論を言われても、これはどうも何とも言えぬと思うのです。総裁、副総裁というのは
仕事
がきまっているでしょうけれども、
理事
の六人というものの業務の分担はどういうふうにお考えになっておりますか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
254
○広瀬(眞)
政府委員
理事
六名の分担は総務、経理、それから用地、
計画
、あと
工事
関係が二名、こういう担当でございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
255
○
勝澤
委員
そこで役員の人事はどういうふうになっているのですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
256
○
大石
(武)
政府委員
これはまだ
法律案
が国会を通過いたしませんし、まだ発足いたしておりませんから具体的に申し上げられませんが、幸いにこの
法律案
が通過をいただきましたならば、できるだけ早い
機会
にきめたいと思っております。(「構想は持っているだろう」と呼ぶ者あり)その構想は、その方面に十分な能力を発掘し得るりっぱな人物を考えております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
257
○
勝澤
委員
国鉄
は
理事
は何名なのですか。大体でいいですから……。
磯崎説明員(磯崎叡)
258
○磯崎説明員
国鉄
法によりますと、総裁、副総裁そのほかに
理事
が十七人以内でございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
259
○
勝澤
委員
国鉄
は約四十五万人、こう言われているわけですね。四十五万人で十七名の
理事
、
公団
は八百九十五人といいますから約九百人、九百人で
理事
が六名、ですから総裁、副総裁、監事を含めて四十五万人で約二十人、ここでは九百人で十人、一体この定数をきめた根拠はいかなるものでしょうか。
大石(武)政府委員(大石武一)
260
○
大石
(武)
政府委員
国鉄
のほうの四十五万人で二十人という根拠はわかりませんけれども、われわれが
公団
をつくります場合に、この定員は必要な最小限度の定員でございます。
鉄道建設
にこれだけの人数が必要である、これだけの頭脳が必要であると考えましてきめたわけでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
261
○
勝澤
委員
それではいまの政務次官の話は了とするとして、そこでこの
公団
の総裁、副総裁、
理事
、監事の給与と、
国鉄
の総裁、副総裁、
理事
、監事の給与はどういうふうにお考えになっておりますか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
262
○広瀬(眞)
政府委員
まだ
政府
部内で打ち合わせ中でございまして、他の
公団
等を十分しんしゃくいたしまして、適正な給与額をきめてまいりたいと考えております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
263
○
勝澤
委員
他の
公団
、公社と比べるといいますと、
仕事
は四十五万人で二十人のやる
理事
の給与と、九百人で十人のやる給与と、そう役員の給与は変わりがないのです。これは
国鉄
の
理事
が比較をすれば安過ぎるということになるでしょうね。
大石(武)政府委員(大石武一)
264
○
大石
(武)
政府委員
そのとおりです。
勝澤委員(勝澤芳雄)
265
○
勝澤
委員
そこでやはり私は考えねばならぬことは、幾ら
政府
が強弁をしても、この
公団
そのものは、
理事
をつくるためのものだということになると思うのです。そうしないと、これは理屈が合わないのです。もし私の言っていることが間違いだとするならば、この
理事
、監事という人たちは、全然別個のものをもってくればいいわけですけれども、結局いままでどこからかおやめになった人たちがいろいろの関係で集まらなければ、
予算
もこないし、
仕事
のやりくりも因るということになると思うのです。ですからその点は私は
公団
というものについてどうも理解できないところがある。ここで
一つ
の例を申し上げておきますと、
国鉄
の局長をやられたり
理事
をやられたりした人たち、こういう人たちが総裁なり副総裁なりあるいは
理事
に入られる。その下におった人たちが、今度は監事になる。その下におった人が今度は監理官になる。こういう形で監督機構がなっているでしょう。これの一番いい例が、東北
開発
株式会社というのは、総裁、副総裁、
理事
、これは
理事
は各派で出したようなものです。出まして、そしてそれをやっている
理事
は、
理事
よりも給与が低い監事が——後輩ですから給与は低いわけです。そうして、給与も低くて
理事
を監督しなければならぬ監事という
立場
にある人がやっておる。その監事の下で今度は監理官がやっておるわけですから、後輩が先輩を順に見ているわけですから、十分な監督ができないわけです。ですから今日、公社、
公団
、公庫の中でいろいろな問題が起きるわけです。ですからそういう点をやるなと言っても無理でしょうけれども、何とかそういう点だけはなくするようなものの考え方を、ぜひ大臣にしてもらいたいと思うのです。そうしないと、公社、
公団
、公庫、これは専門的ですから
国鉄
からやめた人でもいかなければできないでしょう、できないでしょうけれども、いわゆる
理事
、監事のあり方、監事のほうがいま低い
立場
におるわけです。しかし
理事
会に出て一緒にやっておるわけです。そして監事は全体についての
意見
を出しながら、実は
意見
が満足なのが出ないわけです。それを監督すべき監督官庁の監理官というのは、なお一歩低いところでやっておるわけですから、監督できるわけがないのです。ですからひとつそういう点は、この
公団
の場合には十分注意をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか、大臣。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
266
○綾部国務大臣 了承いたしました。
勝澤委員(勝澤芳雄)
267
○
勝澤
委員
もう
一つ
で終わりますから……。 そこで、
公団
ができることによって、
国鉄
に与える影響というものについて私はひとつ考えてみたいと思う。それは先ほど大蔵大臣も説明をされました
利子
補給の問題です。大蔵大臣の説明は舌足らずであったので、間違っておったという言い方はしませんけれども、あの
利子
補給の四億何千万というのは舌足らずであったというように思うのです。その点、
利子
補給による保証というものは、あの
法律
がそのまま存続するとするならば、五ヵ
年間
の一応時限立法としてという条件の中で、四十年までに
国鉄
の受ける
利子
補給は幾らになりますか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
268
○広瀬(眞)
政府委員
先ほどの大蔵大臣の御答弁を若干補足いたしますと、時限立法でございますので、四十年までは毎年累積されてまいります。それから、これは
国鉄
がみずから行なった
建設
線に対する
利子
相当額を補給するわけでございますから、今後、今
年度
あるいは来
年度
に
公団
が行なう
新線
に対しましては、
利子
は補給されないたてまえになっております。 なお、従来の補給額を申し上げますと、途中の算式は別といたしまして数字だけ申し上げますと、これも大ざっぱな数字で申し上げますが、三十六
年度
は三億八百万円でございます。それから三十七
年度
は四億二千四百万円でございます。三十八
年度
は三年分累積されますので六億一千七百万円というふうになっております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
269
○
勝澤
委員
三十六
年度
が三億、三十七
年度
が四億、三十八
年度
が六億、三十九年が八億八千万、四十年が十一億で
合計
三十二億になるのですね。なるのですよ。それがさつきの大蔵大臣の答弁によると、打ち切られるということになると、
国鉄
はどれだけこの
公団
によって
損失
になるのですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
270
○広瀬(眞)
政府委員
四十
年度
まで
国鉄
はみずから
建設
を行なっていくという
前提
に立ちますとそのような数字になりますが、三十八
年度
の一部、それから三十九
年度
以降は
国鉄
が
建設
を行ないませんので、その分に対しては
利子
補給は行なわれないというかっこうになります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
271
○
勝澤
委員
そこで、この
公団
法ができることによって、
国鉄
は三十二億の
利子
補給について、あなたは数字を申し述べていませんけれども、十五億になるか二十億になるか、その
程度
の
国鉄
はこの
法律
ができることによって損害をこうむるといいますか、あるいは
負担
増になるといいますか、ということになるわけですね。そういうことですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
272
○広瀬(眞)
政府委員
現在の
法律
のたてまえから申しますと、三十八
年度
の後半期以降のものにつきましては、
利子
補給は行なわれないことになりますが、既往の分につきましては、累年累積されまして
利子
補給は行なわれるわけでございます。 なお、この
法律
の扱い方につきましては、今後私ども
政府
部内でいろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
273
○
勝澤
委員
そうすると、既往の分については四十年まで続けられる、これはさまっているのですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
274
○広瀬(眞)
政府委員
さようでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
275
○
勝澤
委員
そうすると、
公団
になって
出資
する分については
利子
補給がされない、その金額はおおむね幾らになりますか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
276
○広瀬(眞)
政府委員
ただいま概数で三十二億と先生がおっしゃいましたが、そのうちから七億
程度
は減ることになります。
勝澤委員(勝澤芳雄)
277
○
勝澤
委員
ちょっと違うじゃないですか。 そこで、とにかくこの
公団
法ができることによって、いままで
国鉄
は
新線
を
建設
するために、少しでも
国鉄
の
立場
を軽くしてやろうということで
利子
補給という制度ができたのです。これもまた
鉄道建設審議会
の答申によって、それを根拠として出てきたのです。七十五億について、とにかく
出資
について
利子
補給を認めよう、こうやっておったのです。それが今度
公団
になることによって、
新線建設
について七十五億は出しっぱなしで何らの補給がないということは、
国鉄経営
がそれだけとにかくしわが寄せられたということになるわけですね。いま
国鉄
の
経営
の実態がどうなっておるかというならば、この間
国鉄
の諮問
委員
会から出されて、それは私が申し上げるまでもなく、よくおわかりになっておると思うのです。その中で、とにかく
公団
ができることによって
国鉄
の
負担
が多くなったという分について、運輸省としては大蔵省とどのようなお話をされたのですか、あるいはまたこの
法律
そのものがこれからの分については死文になってしまうということになるわけです。ただ、私の言うのは、先ほどの大蔵大臣の答弁によると、大蔵大臣はあの
程度
にしかものを考えていないのです。大蔵大臣のものの考え方というのはたいしたことはないけれども、いまの大蔵大臣の答弁が、洗ってみたらまだ相当
部分
があるということで、大蔵大臣があの認識の上でこの
法律
をお考えになって出てきたとするならば、これは重大な問題だと思うのです。
国鉄
あるいは運輸省はもっと
実情
を大蔵大臣に説明をして、こうなるのですよという十分な説明をされて、それでこの
法律
ができたのならともかくも、大蔵大臣が持っている認識と運輸省が持っている認識とは違っているわけです。違っている上にこの
法律
が出てきたということに重大な問題があると思うのです。その点についての見解を聞きたいと思います。
大石(武)政府委員(大石武一)
278
○
大石
(武)
政府委員
大蔵大臣の言われたことは、なるほどお話のように三十九
年度
から
利子
補給がなくなりますと、大体三十九
年度
、四十
年度
の約八十億に対する
利子
補給でございますが、約七億円くらいが補給されないことになります。その他の現在までの
利子
の六億なんぼの金はずっと引き続いてされることになるわけでありますから、結局七億だけの
利子
補給が削られることになります。でありますから、実際の目先の七億の
利子
補給はなるほどなくなりますけれども、しかし、
鉄道建設
が早く行なわれて——このままほっておけば、結局五千億の金は
国鉄
が背負わなければならない金でありますから、
鉄道
を敷くのをできるだけ早く
公団
が引き受ければ、それだけ
国鉄
の
負担
も軽くなる、しかも
鉄道
が早く
建設
されれば、それだけ黒字に転化される時期も早まってくる、そういう将来の全体のことを考えれば、わずか七億の分と比べれば比較にならないのではないかというお考えの上であのような発言をされておると考えております。決して根本的には違っておりません。
勝澤委員(勝澤芳雄)
279
○
勝澤
委員
いまのお話は理論ではないと思うのです。私は現実の数字だと思うのです。ですから、もしあなたが言うように、あるいは大蔵大臣が言うようになるならば、私は数字で示していただきたいと思うのです。私たちはやはりいまの
国鉄
方式でやったほうが、
国鉄
の
経営
の上からいって、
赤字
の累積の上からいって、いまのままのほうがいいと考える。しかし、あなたの説明なり大蔵大臣の説明なら、これは
利子
補給をしなくても、長い将来のことを考えて、
新線
がたくさんできるならば
国鉄
の
経営
についてプラスになるだろう、こう言っておるのです。私はマイナスになる、あなたはプラスになる、これはやはり理論ではないのです。ですから、事実の数字をもって私は説明すべきだと思うのです。数字の説明がない上において、いやプラスになる、マイナスになるという議論を幾らやっても、これは結論が出ないと思うのです。もし大蔵大臣の言うように、またあなたの言うように、
国鉄経営
にプラスになるというならば、私はこの
法案
がせめて
委員
会を通るくらいまでの間にやはり何か数字を出さなければいかぬ。もしその数字がないとするなら、まさにこれは水かけ論です。水かけ論ということは、現実の時点において
国鉄
の
経営
について七億のしわ寄せをこの
法律
によってしたんだ、かりに七億という数字になるなら、しわ寄せをしたんだということにならざるを得ない。それが長い将来に向かって
新線
が
建設
される、
新線
が
建設
されるにしても、
新線建設
の速度の問題ですよ。開業すればするほど
赤字
になることはわかっておる。これはいつか私が質問いたしました。当時の
国鉄
の関常務だと思うのですが、
新線
を
建設
したほうが
国鉄
は有利ですか、
新線
をそのままにして
利子
だけ
負担
してもらったほうが有利か、どっちが有利ですかと言ったら、線路によっては
新線
はそのままにしておいて、とにかく
利子
だけ
負担
をしてもらったほうが
国鉄
は有利な線がたくさんあるという答弁がありました。開業の費用に金を使うよりも、未
完成
にしておいて
利子
だけ
負担
してもらったほうがいいのがあります、こういう
状態
です。ですから、いまあなたの言われた理論というものはどうも納得できないわけです。あなたは現実に正しくものを取り上げております。しかし、大蔵大臣はそういうことをお考えになっていないのですから、それとの食い違いの中でこの
法律
が大蔵省と話がつけられたということを考えれば、これは
利子
補給の問題については、きょうは無理だとしても、
利子
補給については別途の
措置
によって
国鉄
にしわ寄せをさせないようにしなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。
大石(武)政府委員(大石武一)
280
○
大石
(武)
政府委員
それはそのとおりでございます。われわれはできるだけ
国鉄
の
負担
を少なくしてあげたい、こういう考えでそれに努力いたす所存でございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
281
○
勝澤
委員
この
公団
法ができることによって
国鉄
の
負担
を少なくするように努力したい、これは私は当然なことだと思うのですよ。大臣のお考えをひとつ聞きたい。
利子
補給の
法律
は、時限立法とはいっても、将来延期することを考慮しながら行なわれておったわけです。それも
鉄道建設審議会
から答申されて
実施
されたのに、今度の
鉄道建設審議会
の答申によって打ち切られるということは矛盾があるので、やはり何らかの形で考えるべきことだと思うのです。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
282
○綾部国務大臣 お説のとおりであるならば、大蔵大臣ととくと相談して善処いたします。
勝澤委員(勝澤芳雄)
283
○
勝澤
委員
そこで
公団
法の十九条の一項の三号に「貸し付けだ
鉄道
施設に係る災害復旧工率を行なうこと。」こういっておりますが、この場合の災害復旧
工事
というものの定義、それとこの
負担
は当然
公団
が費用の分担をするというように私は理解するのですが、その二点について伺いたい。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
284
○広瀬(眞)
政府委員
災害復旧とは通常の
鉄道
施設の維持あるいは修繕等の通常の管理行為を出たかなり大きな被害に対しまして、これを
公団
が費用を
負担
して、
公団
の
責任
で復旧をしていくという趣旨でございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
285
○
勝澤
委員
この災害復旧という定義については、
公団
と
国鉄
との間では
意見
は明白になっておるのですね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
286
○広瀬(眞)
政府委員
お説のとおりでございます。今後
国鉄
と
公団
側におきまして、明確に実際の扱い方あるいは定義というものをきめて、これに疑義を残さないようにしたいと考えております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
287
○
勝澤
委員
それから十九条二項の一号で、
鉄道
施設の
建設
で、事務所、倉庫、店舗を取得した土地に
建設
、管理する、こういうふうにありますけれども、これは当然
公団
が
経営
管理をする、こういうふうに考えるのですが、そうでしょうね。
大石(武)政府委員(大石武一)
288
○
大石
(武)
政府委員
これは先ほどの
加藤委員
に対する答弁でお話し申し上げてあります。これは
公団
で
経営
いたしません。
勝澤委員(勝澤芳雄)
289
○
勝澤
委員
国鉄
ですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
290
○
大石
(武)
政府委員
さようでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
291
○
勝澤
委員
それから二号の「委託に基づき」という、これは具体的にはどういうことをお考えになっていますか。
大石(武)政府委員(大石武一)
292
○
大石
(武)
政府委員
これも先ほど申し上げましたが、たとえば一例をあげますと、鉄橋の橋梁の設計をする、それを
工事
する、それがとりもなおさず私鉄、民鉄の場合に適用する場合には、そのような設計なりその他のものを貸してやる、そのようなことを考えておるのでございます。
勝澤委員(勝澤芳雄)
293
○
勝澤
委員
そこで、かつて
国鉄
では
国民
経済上の
見地
から、閑散
線区
については、
鉄道
線路を敷くよりは自動車のほうがいいんじゃないか、こういうことをお考えになっていろいろと検討されたのがあるわけですが、その面と今度の対象とされている
路線
との関係はどういうことになるのですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
294
○広瀬(眞)
政府委員
建設
審議
会におきましても、従来からも特にこの一、二
年間
は、他の交通機関との関係、特に自動車事業との関連を考慮いたしまして、一応
鉄道
輸送
と
自動車輸送
との限界点というものを
国民
経済的に考えまして、国家全体として
鉄道
輸送
によるほうが有利であるというものを中心に、
調査線
なり
建設
線に指定をしてまいっております。今後も他の交通機関との関連を十分考慮して御
審議
願えるものと考えております。
勝澤委員(勝澤芳雄)
295
○
勝澤
委員
最後に大臣に、きょう社会党が
鉄道新線建設緊急措置法案
というものを出したわけです。そしていま
政府
からこの
公団
法が出ておる。そこでこの社会党の
提案
についての
政府
の御見解と、それから
政府案
に対してこの社会党の緊急
措置
法案
が問題があるのかないのか、こういう点について最後にお尋ねしたいと思います。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
296
○綾部国務大臣 私、はなはだ公務のためにその場におりませんで、まだ読んでおりません。政務次官が読んでおりますから、政務次官の答弁はすなわら私の答弁と御了承願いたいと思います。
大石(武)政府委員(大石武一)
297
○
大石
(武)
政府委員
私、大臣にかわりましてお答え申し上げます。 先ほど社会党
提案
の臨時
措置
法案
を拝聴いたしましたが、まことに高邁な御
意見
で、非常に私は敬服いたしました。われわれの考えておりますことよりもはるかに高度のものでございますが、われわれの考えておることと同じような感じがして非常に喜んだわけであります。われわれはその御趣旨を十分体しまして進めてまいりたいと思います。ただし、一ヵ所だけ、
公団
をつくるか、
国鉄
にまかせるかというところに違いがございます。私どもはいままでのいろいろな現実の姿から考えまして、
公団
をつくってやったほうがより早くお互いの描いておる理想に近づくものと考えまして、われわれは
公団
法案
を
提案
したわけでございますが、それ以外の点につきましては、全く同じように感じております。
木村委員長(木村俊夫)
298
○
木村
委員長
午後七時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後五時三十四分休憩 ————◇————— 午後七時四十三分
開議
木村委員長(木村俊夫)
299
○
木村
委員長
休憩前に引き続き、
会議
を開きます。
日本鉄道建設公団法案
を
議題
とし、
質疑
を続行いたします。肥田
次郎
君。
肥田委員(肥田次郎)
300
○肥田
委員
きょうは二人の質問がありましたが、だいぶこの
法案
を中心にして質問がありまして、息詰まるような感じがしましたから、少し気分を転換する
意味
で、この
法案
が
提出
されるに至るまでの、いうところの原因、動機、目的、こういう関係で少しお伺いしたいと思います。 それについてまず大臣にお伺いしたいのは、大臣が昨年就任をされたときに、大臣の所信の中に、交通難対策として重要ないわゆる所信が明らかにされておりました。私たちは、この大臣の考え方というものを非常に好意を持って、これが実現されるということを非常に期待をしておったわけです。その結果止まれてきたものは、実はいうところの
建設公団
法だけであった、こういうふうにも考えられます。したがって、当時の大臣のお考えといまの大臣の考え方というものは、本質的にそういう相違ができてきているのかどうか、この点をひとつお伺いをしたいと思います。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
301
○綾部国務大臣 私の就任当時の考え方とただいまの考え方は、変わっておりません。ただ微力にして、私の最初の考えどおり事が進まないことにつきましては、私非常にざんきにたえません。この上ともひとつ皆さま方の御協力を得まして、私の所信が実現せられますように、御援助をこの
機会
を利用いたしましてぜひお願いいたしたいと思います。
肥田委員(肥田次郎)
302
○肥田
委員
私は、大臣の交通
政策
の考え方の中にあった
建設公団
という関係については、
国鉄
の
新線建設
について
鉄道建設審議会
のほうから
意見
書も出たりというような関係で促進をされたと思います。けれども、これは、先般来質問の中で重要な部面であったように、いま直ちに
鉄道
建設公団
のほうへわざわざ手数をかけて肩がわりをしなくても実現ができるという、こういう考え方が一方に厳然としてあるわけです。そういう考え方が一方において厳然としてあるにかかわらず、そのほうに先に手がついて、そして大臣が言われておったところの民間のいわゆる都心に乗り入れるところの高架あるいは地下、こういうものに対して、
建設
事業団のようなものをつくって、そうしてこれは長期年賦で払い下げる、こういう
政策
が全然大臣の考え方の中から影をひそめてしまったということについて、なおひとつ大臣の考え方というものを聞かしてもらいたいと思うのです。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
303
○綾部国務大臣 私は、いまなおそういう考えは持っておりますが、何と申しましても
建設
審議
会の多年の要望であり、また
国鉄
といたしましてもどうしても
新線
は早くやらなければいかぬ、わが池田内閣の所得倍増
計画
、
地域格差
の是正等においても、どうしてもこの
建設公団
をこしらえまして——今日御答弁申し上げましたように、必要性を感じまして、第二の
国鉄
をこしらえるのがいいとか、その他いろいろな
方法
がありますが、この
建設公団
をこしらえることが、ベストまではいかないけれども、ベターである、こういう考え方でこれに踏み切った次第であります。
肥田委員(肥田次郎)
304
○肥田
委員
ベターとえらい力を入れられましたけれども、言われるように
国鉄
がいま
新線建設
に着手しているもの、それから調査、それから
予定
、こういう関係では、もうすでに多くの人がその実体について触れられております。問題になるのは、いま
新線建設
として
着工線
の中で、いうところの
政府
の所得倍増
計画
に、これをつくらなければ所得倍増
計画
が
実施
できない、乗りおくれてしまうというような関係の
予定
建設
線、
着工線
というものは、おそらくこの関係の中では、それは解釈の相違はあるかもしれませんが、はなはだ微弱なものだと思うのです。議論の中からではなしに、
質疑
の中から明らかになったことは、いわゆる臨海工業という直接生産に関係のある
地域
における
予定
線といえものは、まだ表に出ておらない。こういう関係では、
鉄道
建設公団
ができたとしても、これは不可能である。いわゆる千葉方式をとって、そして発足して、そういう関係でやられるだろうというような答弁もありました。こうなってくると、
鉄道
建設公団
というものは、ただおざなりにいままでどおりの
国鉄
がやっておった
建設工事
を受け継いでいくということにすぎない。ですから、所得倍増
計画
に対応するところのいわゆるその処置として
鉄道
建設公団
ができたというこの
理由
が、はなはだ私たちには理解がいかない。これは、目的がはっきりしておればそれでいいじゃないか、あるいはまた、先ほども見解の相違だというふうな答弁もありましたが、この見解の相違というのは、ものごとがもう窮極にいってどうにもならなくなったときに見解の相違だということになるのであって、はなはだ形があいまいもことしている。その
質疑
の中で、見解の相違だというようなことが出てくるはずはないと思うのです。ですから、所得倍増
計画
と
新線建設
との関係が、
公団
をつくればできるのかどうかというこの疑問が
解決
できない限り、まずこの
建設公団
に賛成という
立場
で議論ができない、
質疑
ができないのです。その点はどういうふうに解明していただけるでしょうか。もう一度考え方を聞かしてもらいたいと思います。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
305
○綾部国務大臣 肥田先生のおっしゃるような議論も立ちますが、私どもの考えておるような議論も、私は立つと思うのであります。と申しますのは、所得倍増
計画
に必要ないろいろな施策をわれわれはやらんとしておるのでありますが、少なくとも一助、もしくはそれを推進する原動力になることは、どういたしましても、この御
審議
を願っておるこの
法案
が成立いたしまして、そうして
新線建設
を強力に推進していくということが、所得倍増
計画
の一助になるということだけは、私は認めまして、やらぬよりはやるほうがいいんだ、こういう考えのもとに、私はこの
公団
をやることに決意をいたした次第であります。
肥田委員(肥田次郎)
306
○肥田
委員
若干議論になるような気がしますが、しかし、いま大臣のことばのあげ足をとるというような
意味
じゃないのですが、やらぬよりはやるほうだ、そういう微々たる問題ではなしに、どうしてもやらなければならないということでなくちゃいかぬと思うのです。薬の議論でよくこういうことがあります。売っている薬がきくかきかないかというときに、きくきかないということが問題じゃなしに、権にならなかったらいいじゃないか、こういう薬の宣伝販売
方法
もあるようですが、毒にならなきゃ、別に薬という名前をつけて売ったっていいじゃないか、こういう議論が、売薬業者の中では出てくるのです。この
建設公団
をつくればつくらないよりましだという、こういう考え方というものは、私はどうも受け取れないと思います。
建設公団
をつくれば、いままでと格段の相違が出てくる、こういう目的がはっきりしておらなければ、結果というものがはっきりしておらなければ、先ほどから申し上げておるように、いま何も
建設公団
をつくらなくても十分事は足りるじゃないか——つくらないよりはましじゃないかということでなしに、事が足りるじゃないかという議論の方が、私は現実的だと思うのです。
政府
としては、とにかく
建設公団
という新しい
公団
をひとつつくりたいのだ、こういう目的だけなら、これは目的がはっきりしております。そういうことでなら、見解の相違というところまでこれはぶち当たっていきます。けれども、その関係がはっきりされないでは、どうも困るのです。いかがでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
307
○綾部国務大臣 私のことばが足らなくて誤解を招かれたようですが、私は、現在の時限におきましては、所得倍増
計画
を推進していく上において、どうしてもこの
鉄道
建設公団
をやらなければならないという確信のもとに、本
法案
を
提案
をいたしたのであります。
肥田委員(肥田次郎)
308
○肥田
委員
それでは具体的なことでお伺いをしたいのですけれども、そういう非常な決意をされて
鉄道
建設公団
が生まれるということになりまして、そして
出資
の関係については、先ほどから五億対七十五億という関係から、もうこれは何回か議論をされておりますが、そうすると、所得倍増
計画
に対応するための
建設公団
ということになりますと、いうところの、来
年度
からは、いままで
国鉄
でとうてい手がつけられなかったような大規模の
建設工事
というものが始まるのですか。そしてもしそうだとするならば、いま
着工線
であるものはどうなるのか。これはだれか前に質問されたのですが、私がうっかりしておりましたから、これはけっこうです。それから現在調査その他の中にある、あるいは
予定
線がそのままになっておるところも、その中のどれとどれをつかんで、いわゆる倍増
政策
に対応する急速な
建設
を
完成
しよう、こういうところまで
計画
をお持ちなのかどうか、お伺いをしたいのです。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
309
○綾部国務大臣 それは本
公団
ができまして、そしていまの着手線あるいは
調査線
のうち、どうしても所得倍増
計画
に必要で、速急にやらねばならぬということをさらに
建設
審議
会にかけまして、私がそれを認定しましてやることでございまして、私はそういうことを決意をし、同時にそれを進めていきたいと考えております。
肥田委員(肥田次郎)
310
○肥田
委員
そうすると、こういうふうに理解したらよろしいですか。簡単な表現を用いますと、とにかく
建設公団
をつくって、これから、とにかくこれから、いままでのテンポより早く大きいものをやろうという気持ちだ。要するに気持ち
公団
だというふうに考えてもよろしいですか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
311
○綾部国務大臣 そうおっしゃられれば、気持ち
公団
というような考えは持っておりますが、速急にやるという考えでやりたいと思っております。
肥田委員(肥田次郎)
312
○肥田
委員
そうしたら、その次にもう
一つ
お伺いしたいのですが、これは具体的なことになりますが、これも私がちょっと聞き漏らしておった点ですが、これは大臣でなくてもけっこうでございますが、
公団
のいわゆる職員は、大体八百名ほどということを鉄監局長言いましたね。それで八百人の人数のなにはともかくとしまして、大体八百人
程度
だということになりますと、
鉄道
建設公団
が採用するところの職員、この身分については、一体どうなるでしょう。というのは、大ざっぱにいって、大体
年間
一人百万円くらいな給与というものはこれは要るんじゃないかと思います。このどういう層からどういう層までということにはなにですけれども、そうすると、八百人で百万円ということにすると、大体
年間
の人件費が八億。それからかりにこれをうんと少なく使うつもりで五十万円にしても、四億近くの人件費が要るということになるのです。そういたしますると、
政府
が
出資
するところのこの五億では、どっちに転んでも、人件費がチョボチョボか、人件費がまかなえないという
状態
が出てまいりますね。これもできてみなければわかりませんか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
313
○広瀬(眞)
政府委員
先ほども御答弁いたしましたが、大体現在
国鉄
の
新線建設
に主として従事しておる職員をこの新しい
公団
に移行してもらうということを考えておりますが、それに若干の管理要員、本社の要員というような者もございますので、全体の数は一応現在八百九十五人というようなことを考えておりますが、これによりまして、どの
程度
の管理費、そのうち、特に給与を考えておるかという御質問だと存じますが、現在一応ある条件のもとに私ども収支の
予算
を考えていますが、これによりますと、七月一日に
公団
が発足するものといたしまして、ただいま申し上げました役職員に対する給与というものは、約五億八千万円
程度
を考えております。なお、先ほども申し上げましたが、給与ベースというようなものは、他の
公団
等の例がございますので、大体これにならって今後きめてまいりたいというふうに考えております。
肥田委員(肥田次郎)
314
○肥田
委員
この関係は、実はあまり深くなにしようとは思わないのですが、いま言われた
国鉄
の関係から、ほとんどが
公団
のほうへ横すべりするわけですね。そうすると、今度
国鉄
のほうなんですが、これによって
国鉄
の作業に障害を来たすということはないと思うのです、大
国鉄
の陣容からすれば。しかし、この支障を来たすことはないということが常識的には考えられても、実際に今度いろんな面でオーバーロードになるのか、いうところの
国鉄
がかねがねひそかに考えておるところの人員合理化とか、こういう問題とこれは期せずしてマッチいたしますか、
国鉄
のほうではいかがでしょうか。
河村説明員(河村勝)
315
○河村説明員 この問題は、合理化とか、
新線
とかいうことに全く関係はございませんで、現在
新線建設
に従事しておる人間が大体
公団
のほうへまいるということになりますので、
仕事
ごと人間本移動するというかっこうになりますので、業務に支障ございませんし、同時に合理化ということとは関係はございません。そういうことでございます。
肥田委員(肥田次郎)
316
○肥田
委員
こういうことを幾ら聞いても、そうほんとうのことはあまり聞かせてもらえないと思いますから、いいかげんにしておきますが、そこで先ほどから問題になっておりました点で、もう少し私も聞いておきたいと思うのですが、十九条の三号の災害の復旧
工事
は、この
建設公団
のほうでおやりになるのですね。それで貸与と災害復旧
工事
という関係と、それから貸与ということと保守の関係と、これは実は私らの常識からすると同義語だと思っておるのです。災害という表現を取り上げられますと、いかにもいざというときに、こういうふうな印象を受けますけれども、実際には災害復旧というのは、災害が起こったときの間脳であって、これは格別
技術
的に
建設公団
のほうでお力を借りるということは——これはあるでしょうね。ほっておくわけにはいきませんからね。ところが、災害復旧という、臨時に災害復旧で、不通になったところを早急に、応急に復旧するという、このことだけでは、これはほっておいても周囲から直してくれますから、そういう関係はともかくとして、災害復旧
工事
の場合には、
建設公団
のほうでやってやろう。しかし、保守は今度は
国鉄
のほうで、被貸与先でやるのだ、こういうことになりますね。われわれのほうでは、常識的にこれは一本のものではないかという印象、そういう理解をしておるのです。一本のものではないか。貸与という限りは、何らかの結末がつくまでは、これは
建設公団
のほうでいわゆる保守もしたっていいじゃないか、こういう理解を持っておるのですが、いかがでしょうか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
317
○広瀬(眞)
政府委員
これも先ほど私ちょっと触れましたが、常識的に申しまして、災害復旧ということになりますと、場合によりましてはかなり多額の金額がかかる。それから日常の保守というようなものと比べまして、多額の経費がかかるということが一応頭にあるわけですが、要するに、考え方はきわめて常識的なのでございまして、所有権を持っておる
公団
が、かなり大がかりな金のかかるものは
負担
をしていこう、そうして日常の運営に伴う保守とか材料といったものは、借りております
国鉄
が経費の
負担
をしてやっていこう、きわめて常識的なところはこのようなことを考えたわけでございますが、もちろんこの辺の限界等はいろいろございますので、
実施
にあたりましては、両者よく話し合いをしまして、この辺にそごのないようにいたしたいというふうに考えております。
肥田委員(肥田次郎)
318
○肥田
委員
これはまたあとでこういうことについても考えようということならいいのですが、これがちゃんとこうして明文化されておりますからね。そこで聞いておきたいのですけれども、要するに貸与期間というものは、これはどういうふうに理解したらいいのですか。それから、たとえば貸与しておるから、災害については貸与期間はめんどうを見てやろう、こういうことですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
319
○広瀬(眞)
政府委員
貸しておる間は、所有権というものは、
公団
がやるわけでございますから、わかりやすくいえば家主とたな子みたような関係で、大きな台風がきて屋根が飛んだというような場合には、通常家主がめんどうを見る。多少の骨の表がえとか障子を張るというようなことは、たな子がやっておる。そういうようなきわめて常識的な考え方から、このような一応の区分をしておるわけでございます。
肥田委員(肥田次郎)
320
○肥田
委員
なかなか鉄監局長おもしろいことを言われましたけれども、家主だから、屋根のかわらが飛んだり何かしたら、それは直してやる、こういうことですけれども、貸借契約というものが特にある場合は別ですけれども、これはこういう貸借契約になるということならなおさらなんですけれども、貸与という期間中は、いわゆる家主の例をとると、骨の表がえから裏がえから、壁が落ちたのだから、戸障子のあけ締めが悪くなったそのレールの取りかえから、ガラスのようなものは別にして、これは大体家主がやってくれますね。これが大体いままでの通念ですね。いまたまたまあなたが家主の例を出されたから、家主がいままで
責任
を持っておったのは、それは家賃にもよりますけれども、多くの場合、もう骨の表がえまでやったものです。あなた借家なんかに住んだことがないかもしれませんが、われわれは借家ばかり入っておるから、大体何年に一回か畳の表がえをする、戸障子が悪ければレールを直してやろう、こういうことになる……。(「もっと大きいことを質問してくれ」と呼ぶ者あり)いや、これは大きいのですから……。ですから、こういう屋根の飛ぶようなことは、そうめったにないだろう。だから、いわゆる貸与ということになっても、めったにないことだからというので、災害復旧のほうはこれは見よう、こういうことですか。けれども、
一般
保守という関係については、これが一番肝心なことなんです。保守が一番大切なんです。一番大切な保守は、お前らのほうでめんどうを見なさい。何十年に一回か、何年に一回かたまに起きる
程度
の災害なら、家主のほうで見てやろう、こういう考え方ですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
321
○広瀬(眞)
政府委員
先ほど私が引きました例が誤解を生じましたので、その例は別といたしまして、要するに考え方は、大きな災害復旧というものは、所有者たる
公団
が
負担
をする。
一般
の運営に伴う保守というものは、かりに相手方である
国鉄
が
負担
をしていこう、こういうたてまえを立てたわけでございます。
肥田委員(肥田次郎)
322
○肥田
委員
大体これは正直に言うと、そろばんづくだろうと私も思うのです。災害復旧という、この概念からするところのそれに該当する経費というようなものは、はじき出しておられるのでしょうね。それといわゆる保守ということになると、これは資料は、
国鉄
のほうにキロ当たり大体保守はどのくらいかというのがあると思うのです。災害については、突発的なものですから、一災害どのくらいという見当はつかぬでしょうけれども、そういうものから比較すると、およそ災害復旧という関係と通常の保守というものと、非常に大きな差があると私は思うのですが、要するにこれは経費から出た問題でしょうか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
323
○広瀬(眞)
政府委員
災害復旧は年によって違うわけでございますが、長い間を見ますと、
国鉄
の従来の例から見ますと、大体ある一定の予備をとっておくと、特別大きな災害等の場合は別としまして、大体まかなえることになっておりますので、
公団
におきましても、そういった従来の例等から考えまして、一応ある
程度
の予備費等をとって運営をしてまいりたいというふうに考えております。
肥田委員(肥田次郎)
324
○肥田
委員
こだわるようですけれども、災害復旧というのは、特殊な災害多発
地域
におけるところは別ですけれども、それでない限り、そう災害というものはあるものじゃないのです。ですから、災害復旧という、その
程度
のものは見なければいかぬだろうという思いやりから、家主の思いやりから、言われている
程度
ならわかるのですけれども、災害復旧というものと
一般
の保守というものと、これが貸与関係の中で別なものだというふうに認識をしておられるなら、われわれの考え方とは違うということを申し上げたいのです。保守というものを貸与の期間内は
建設公団
のほうで見るという、こういう打ち出しのほうが、私たちのほうではごく自然だと思うのです。それでなかったら、もう結局、ただ敷くだけ敷いた、この
鉄道
を、
国鉄
のほうに、実際にはもう全部おまえのほうでやれよという形と同じになるのです。残るのは災害のときだけなんです。多発
地域
でなかったら、そうごやっかいになることはないのですから、その関係はそうえらい、ここに特に明文化されなければならぬほどの問題じゃなかろう。言われるように、災害というものはどれだけ経費がかかるかわからぬ、こう言われたところで、そうなってくると、災害保険のようなものですからね。保険金みたいなものです。保険をかけるのをかけぬでも、
建設公団
のほうで持ってやろう——災害保険です、こういうことになるのですが、これはわれわれのほうが常識が誤っていますか。貸与である限りは保守まで持つのだ。そうでなかったら、貸与というのはいわゆる字句の上だけで、つくった
鉄道
も全部
国鉄
でめんどうを見させるのだ、こういうことになるのでしょう。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
325
○広瀬(眞)
政府委員
これはいろいろ考え方はあるわけでございますが、要するに
公団
の所有の施設の管理とかあるいは保存、こういった日常の経費というものは、
鉄道
の運営と天体一体に従来考えられておりますので、そういった日常的なものは
国鉄
の
負担
にしていこう。それから先ほど申し上げておりますように、災害等の大きな経費、これは日常と違いまして、ときどき起こるかもしれません。そういうものは、
国鉄
のそろばんにもあまりふだん考えておりません。ですから、そういったものは
公団
で持っていこう、こういう考え方でございます。
肥田委員(肥田次郎)
326
○肥田
委員
これはいつまでやっていても、いわゆる制度と理解の問題ですから、これはこのくらいにしておきます。 それから、先ほど時限立法かどうかという議論で、いわゆる幅が問題になっていましたね。常識的にわれわれのほうで考えられることは、これは鉄監のほうでも書いてあるように、五千億
程度
の金がいく、そしてこれも鉄監のほうで言われておったことですが、少なくともこれを
建設
するのには四十年くらいかかるだろう、こういう話も今日までされてきましたね。そこで、今度
建設公団
の手にかかれば、四十
年間
が十
年間
に縮められるのだというのではなかろうと思う。
出資
額でもおのずから限界がありますし、先ほどからの
質疑
を聞いておりますと、
建設公団
というものは、およそもうかるはずがない、そういう性質のものですから、これが無限大に必要に応じて
鉄道
を
建設
できるということには、なかなかならないと思うのです。そのときそのときの
予算
の割り振りで、
国鉄
の現在と同じように、ブレーキがかかるのではないかと思うのです。そういうことを想像すると、これはほんとうに百年の
法律
じゃないか。これはわが党の
久保委員
の
鉄道建設
の
法案
の中に、前文に申し上げておるように、ほんとうに百年かかるのではないかと思うのです。百年かかるのではないかという想像はともかくとして、そういう時代になおかつこつこつと
鉄道
を
建設
していかなければならぬような
状態
が残されているだろうかということも、これは当然問題になりますけれども、しかし、それはさておいて、いわゆる時限立法に類する、時限立法的なものだという、このことが公然と言われており、そしてしかも大蔵大臣の
意見
を聞いておっても、あれはただ考え方を言っただけで、決して
政策
の上に具体的に出てくるものでないと思うのですが、要するに金でも出なければ、
建設公団
というものは動かないのですから、そういう関係で、どう話を聞いておってもつじつまが合わない、あの
質疑
のやりとりを聞いておって。私が聞きたいことは、これは言うところの十
年間
の間に、大体
政府
が考えておる
予定
線というものは、もうこの辺で一段落だ、
予定
線で二百三十ほどあるけれども、この中で大体必要なものはこれでつくれる、こういうことを
予定
の中に入れて、そして大体十年くらい、こういう考え方に理解をしてよろしいのですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
327
○
大石
(武)
政府委員
私からお答え申し上げます。 これは十
年間
に
仕事
がおしまいであるという考え方ではございません。ただいまの五千億という金の目安は、現在の
建設
線なり
調査線
を入れまして、六十三本くらい、その費用が二千五百億円、それから北海道と本州間の青函トンネル、四国−本州間のいわゆる鉄橋であるとか、そのようなものに対する
予算
約二千億近く、そういうものをひっくるめまして、現在において五千億かかる。それをできるならば十年内外でやりたいというのが、現在の希望でございます。しかし、それは
予定
されて、
鉄道建設審議会
において、
別表
の中に入っております。
別表
と、これからつくるべき
予定
のものが二百数十本あるわけであります。ですから、そういうものを入れますと、とても十年や二十年でできるはずがないのであります。しかし、お話のとおり、全部で二百数十本の
鉄道
をつくらなければならないかというと、これは今後のいろいろな経済問題とか社会情勢の進歩に伴いまして、いろいろ考え方が変わってまいります。あるいは
道路
、あるいは船のほう、あるいは航空路のほうの発達も進んでまいりますから、こういうものを勘案しますと、必ずしも
別表
にあります二百数十本の
予定
線を全部
鉄道
にしなければならぬとは考えておりませんし、とにかくいろいろな
国民
の
地域
差を是正し、
国民
の
福祉
のためには、どうしてもいまの
別表
にありますうちの相当の
部分
については実現しなければならぬのではなかろうか。そうしますと、できるだけ多くの
予算
をとりますけれども、十年では一応五千億の事業はできますけれども、それ以上の金額の
仕事
をするには、相当の年月を要するのではなかろうかと考えられるわけであります。
肥田委員(肥田次郎)
328
○肥田
委員
質問者もまだあとにたくさんおられますから、私はごく一
部分
のことを質問いたします。そこで少し方向を変えまして、話はあと帰りしてまいりますけれども、大臣にお伺いいたしたいのであります。大臣が就任のときに言われましたところの、いわゆる高架あるいは地下の改良その他の乗り入れ、こういうものに対しての民間
鉄道
の助成策、これは今後の考え方として、大臣はどのように対処していただきますか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
329
○綾部国務大臣 もちろん交通緩和のために、必要の限度に応じまして、しこうして財政の許す範囲におきまして、それを育成していきたいと考えております。
肥田委員(肥田次郎)
330
○肥田
委員
ことばはまことに簡単直截で、そのとおりだと思うのです。ところが、これは考え方の比重の問題がおのずから生じてまいると思うのです。いま一方に
鉄道
建設公団
というものが——これは先ほど私も触れましたように、片一方で、
国鉄
の力でもってやれるという条件の中にある
新線建設
が、
建設公団
の手に移されて、よりスピードを上げようという
政府
の考え方、そうすると、今日最も大きな問題として残されておるのが、都市における交通難緩和の対策だと思います。この都市におけるところの交通難緩和の対策は、いま都心に乗り入れているところの民営
鉄道
を高架にするか、地下にするかという非常に大きな問題が残されております。それからさらに都心部におけるところの公営の軌道が、地下にもぐらなければならぬということが
一つ
と、それから路面にあるところの軌道をめくってしまって、そしてこれは幅の広い
道路
に改良されるのか、あるいはまたバスにとってかわるか、いずれにしてもこういう問題は、経済成長
政策
と決して無縁の問題じゃないと思っておるんです。したがって、こういう肝心のそれぞれの
地域
におけるところの都心が麻痺するような
状態
の中で、いうところの所得倍増
政策
というものが健全に
計画
どおりに進むかどうかと いうことになると、これは不可能だと思います。そこでそういう都心の交通難緩和という根本的な問題としては、 いま言ったように、これは前任者の鉄監局長もその点は触れておりましたが、要するに地下に乗り入れるか、高架にするか、さらに地下鉄をふやすか、この問題を処理する以外に、とうてい困難だろうと考えておるんです。それが現在の情勢では、これはみんな地方
自治体
の資本と民間資本にゆだねたきりになっています。こういう関係を
政府
のほうで、先ほど大臣は非常に謙譲な表現で、私の力が至らなかったということを言われましたけれども、これは何らかの形でこれが
解決
する方策というものがここで明らかにされなければ、非常に片手落ちだと私は思うのです。片一方では、繰り返しますけれども、それにとってかわる条件があるにもかかわらず、新しいものをつくる。ところが、片一方には全然どうにもならぬ、もう行き詰まり
状態
にあるのに、これがそのままに放置をされる。いかにも片手落ちだと思うのです。これに対して、大臣は、とにかく何とかしなければならぬというお気持ちはわかりますから、具体的にどうなるのかということについて、大臣のお考えをしかと承っておきたいと思います。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
331
○綾部国務大臣 この問題につきましては、私どもは非常に考えまして、この
新線建設
公団
をやると同時に、あるいはバス・ターミナルの問題、あるいは高架線の
建設公団
の問題等を考えたのでございますが、暁町点におきましては、財政その他の関係で、私どもの、すなわち肥田先生のおっしゃるような根本策を樹立し得なかったことは、はなはだ遺憾ですが、結局財政との調和においてしばらく待っておるというのが、偽らざる
状態
でございます。私どもは、財政が許す限り、
昭和
四十
年度
にでもおきましてあるいはやってみたいと思っておることは、ただいま申し上げました、あなたがおっしゃる都市における交通麻痺
状態
を
解決
するための施策を考えておるのでございます。それは私鉄がやるならば、それに対して
建設
費を
補助
するとか、いろいろな
方法
があるでありましょう。しかし、現在のなににおきましては、それができぬからして、とりあえず
建設公団
をやりまして、経済の成長、格差の是正に寄与するためにこの
公団
をつくったのでございまして、私が就任当時に申しましたことについては、私は微力でありますが、さらに一そう努力いたしたい所存でございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
肥田委員(肥田次郎)
332
○肥田
委員
せっかく大臣のお気持ちがわかりましたので、もう少し具体的にお聞きしておきたいのですが、要するに、大臣の就任のときおっしゃったのは、二本立ての考え方を持っておられましたね。民間のものについては、
建設
事業団のようなものをという
意見
を述べておられました。そこで融資その他の面については、それぞれの角度から現在の道も開けておると思いますが、大臣のお考えの中に、現在都市に乗り入れているいわゆる都心部における地方
鉄道
、これは採算がとれているかどうかということは別にして、よくもうかっておるとか、おらないとかという表現がされておりますが、その点は、大臣、どうお考えになっておるでしょうか。と申しますのは、私の議論のときによく出てくるように、大
企業
の地方
鉄道
がもうかっておるということなら、私は、
建設
事業団のようなものをつくるについては、そう手間はかからないと思うのです。それぞれから
出資
をさすという手もありますし、それからいわゆる半官半民というような形のものも考えられますし、いずれにしても手がつけられる可能性は非常にあると思うのです。ただもうかっていないというなら、これはもうからぬところに金が出せるかということになりまするから、その関係はおのずからはっきりしてまいりまするが、そういう
意味
で私は、大臣のお考え方を聞いておきたいと思うのです。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
333
○綾部国務大臣 私は、大都市に乗り入れている私営の
鉄道
が、もうかっておるとは考えておりません。がしかし、
鉄道
そのものではあるいはもうかっておらぬかもわかりませんが、付帯事業その他によって、御
承知
のように、大都市付近の私営
鉄道
は相当の配当をいたしております。これは配当ができる
程度
に私営
鉄道
を
経営
している人の
経営
力によるものと私は考えております。しこうして、それがいけないようになるような
状態
になれば、いろいろな処置をまたさらに考えてみたいと思うのでございますが、私は、現時点におきましては、ただいま申しましたように、今日、
日本
の金利水準より少し上回っておる点を、あらゆる努力をして——
鉄道
のみではとうていできません。それは私も、そういう会社の
経営
者に会っておりまして、よく了承しております。しかし、ただいま申しましたような現時点におきましては、現在の資本主義時代におきます資本に対する相当の配当をいたしておりますから、やっていけておるのである、かように考えておりまして、そうしてそれがさらに交通難緩和に役立つような、さらに金のかかる、たとえば高架線とか、たとえば地下鉄をふやすとかいうような場合には、それに対処するような施策を考えて、そうして何とかして一日も早く大都市交通難の緩和に寄与いたしたい、かように考えている次第でございます。
肥田委員(肥田次郎)
334
○肥田
委員
もうかっている、もうからないという議論は、私もこれが目的でやっておるわけではないのです。ただ、先般も私、ちょっと資料を取り寄せましたら、大体いまの価格で高架あるいは地下乗り入れの
計画
を立てておる幾つかの民営の会社が、それが
資金
が大体六百七、八十億くらい要る、こういっております。そして、そういう
建設工事
をやりますと、いわゆる利息を含めて八百億くらいの計算にしておかなければいけないのだ、こういっております。これは、いまそういう
建設
意欲を持っておるときに、やはりやらせなきゃいかぬと思うのです。それで、もうかっておる、もうからないということの
意見
の中に、大臣もやはり言われておったように、
鉄道
ではもうからないかしらぬけれども、その他の
企業
で、傍系事業の中でもうけているところもある、これは私もそのとおりだと思う。この
一つ
の例を申し上げますと、これは私は結局インフレを助長する原動力になっておると思いますよ。いま地方
鉄道
が何とか金繰りがっくというのは、大体住宅
建設
をやっています。そして、その住宅
建設
をやっておる条件を調べてみると、これは極端な例をいいますと、坪が一円か二円のときに買っておった沿線の周囲にある山林があるのです。いまから考えると、戦前の話ですから、坪一円か二円、そういう土地を膨大に買い占めておったものがあるのです。そういうものをいま売り渡したり、あるいはまたそこに住宅をつくったり、こういう関係で、今日何とかかんとか民営
鉄道
の
企業
を動かしていますけれども、そこでこの坪一円か二円で買い取ったいわゆる山林田地というものが、今日一体どれくらいな価格で売買されておるかというと、これはもう数千倍、極端な例でいくと数万倍の価格になっておるのです。これはいまどんなに力を入れてみて地価を押えようとしても、どうにもならない現象が起こってきておる。ですから、いまのいうところの民間私鉄がもうかっておるとするなら、そういうまことに、現在の条件の中で、ほんとうにわれわれが常識的にこういうことを見のがしていいかというような姿の中からその金は動いておるのですね。決してこれは健全な姿じゃないと思うのです。ですから、こういう
状態
の中で動いている金が、もう動くところがなくなってくると、これはいうところの
鉄道
事業というものはもうにっちもさっちもいかなくなる、百貨店だとかなんとか娯楽施設を
経営
してやっておるところにも、おのずから限度があると思います。ですから、そういうかつての安い値段で仕入れたところの不動産がせっかくいま値段が出ておるときに、積極的に
政府
がこれから動く余地のある
資金
をこの都市交通難の緩和のために使わすという、このことを考えられなかったら、この
資金
が枯渇したときには、もういかに
政府
が援助の手を差し延べてもこれはどうにもならないだろうと私は思います。そこで私は大臣にお伺いしておるわけなんですけれども、いまこうして
鉄道
建設公団
というものが
政府
の手でこういうふうに出てきて、どうしても通そうという気がまえも見えておりますから、この問題はさておいたとしても、もしそれほど
政府
に意欲があるとするならば、こういう民営の高架、地下の改良、あるいは
新線建設
をほうっておく手はないじゃないか。何らかの具体的な、今
年度
はだめだけれども、来
年度
からはこれに対してもっと積極的ないわゆる促進の手段がある、こういうことでなかったら、これは交通
政策
の
一般
の常識の考え方として、私は大臣に特に言質をとろうというのではなくて、とかなんとか形式的なものではなくて、都市におけるところの交通難緩和の重大な
政策
として、これが見のがしにされるということは、実はけしからぬと考えておるのです。いかがでしょうか。これは具体的に、これがこうだという
意見
を聞かしていただくわけにはまいりませんか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
335
○綾部国務大臣 私は大体肥田先生のお考え方と同じようでございまして、実は本年の
予算
折衝にあたりましても、さっき申し上げましたように、バスターミナル、高架高速
公団
というようなものを考えたのでございますが、現在の財政
状態
においてはいかない。そこでもし私鉄にいまあなたのおっしゃるような評価益と申しますか、あるうちに、都市に通ずる私鉄がこれに寄与するならば、私どもはあらゆる手段を通じまして
資金
の融通面その他において努力いたし、そうして一回も早く交通難緩和のために努力いたしたい、かように考えております。
肥田委員(肥田次郎)
336
○肥田
委員
大臣、私はこれは聞かぬでもいいことを聞く愚かさになると思いますが、何ですか、そういう高架、地下の
建設
事業団というようなものは、そういう
意味
では大臣がこのまま留任をしていただいて、これらの実現のために努力をしていただけるという、こういう大きな期待をわれわれはかけているのですけれども、いわゆる高架、地下の
建設
事業団というようなものは、このまま日の目を見ずにやみに葬り去られてしまいますか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
337
○綾部国務大臣 私どもは、私が留任するとかせぬとかいうことは別問題にいたしまして、運輸省の省議といたしましてかようなことをきめておるのでございますから、私がやめようがやめまいが、その省議をくつがえすのにはくつがえすだけの大きな
理由
がなければなりません。そういう
理由
は、私は大都市交通難緩和が実現しない限り、それをくつがえすような大きな事柄は起こらないと思って、いまの時点におきましては、いまやっているのが最善でございまして、あるいは四十
年度
の
予算
にあるいは四十一
年度
の
予算
に、バスターミナルと高架
公団
の
建設公団
の発足等を念願いたしますし、またそういう交通難緩和をしないでやるならばやるだけの財政的
措置
を戦い取りまして、私鉄でやっていただけるならば私鉄を援助する、どうしてもやれぬというならば、いま言ったような
公団
その他の形式においてぜひやって、交通難緩和をいたしたいということに、私をはじめ運輸省の駅務当局もさように考えまして、省議を開きました結果で、バスターミナルも高架
公団
もこの国会に出そうとしたのでございますが、大蔵省その他と折衝の結果、まずとりあえず
建設公団
からやろう、こういうことになった次第でございまして、あなたが御心配になるようなことは、私が大臣でおるとかおらぬとかいうことは別問題といたしまして、運輸省がつぶれない限りその
方針
は変わらないものと私は確信いたしております。
肥田委員(肥田次郎)
338
○肥田
委員
非常に力強い大臣のことばを聞きまして、これがまず日の目を見るということに自信を持つことができました。 そこで、具体的なことを、これはおのずから
政策
の中にあらわれてくることですから、いま聞くわけにはまいりませんけれども、しかしその大臣のお考え方を聞くと、運輸省の
政策
としてとにかくもうすでに
計画
の中にあることだから、早ければ来年もう具体的にこれが
計画
の中にあらわれてくる、こういうこともあり得るというふうに理解をしておいてよろしいのですか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
339
○綾部国務大臣 もし私営の
鉄道
が、
政府
のやる以外にそういうことが私鉄で
計画
され、そうしてその申請が運輸省に出るならば、それが実現に努力するということをここで申し上げてお答えにいたしたいと思います。
肥田委員(肥田次郎)
340
○肥田
委員
先ほど申し上げましたが、やはり大きな
理由
は、いま
前提
条件があると思っているのです。いまならいわゆる地方
鉄道
が何とかかんとかちょっと
政府
が手を差し伸べてくれればそれにたよっていけるという条件があるのです。それがためにわれわれはあまり健全なやり方ではないけれども、傍系
企業
というものを何とかかんとかやっておるということをもって、正直なところ見逃しておるわけなんです。それでなかったら、あの不健全なやり方というものを
鉄道
企業
体がやっておるということは許すわけにはいかないのですけれども、一面にそれによってしのぎをつけているという条件がありますから、これを認めておる。そこで、いまその時期がはずれるということになると、結局本来の
鉄道
というものがもう
鉄道
に身を入れなくなって、不健全ないわゆるサービス業だとか、こういうものに力を入れるようになってしまう、これでは地方
鉄道
に公共性を持たせようと思ってもできなくなる、非常に大きないわゆる利害関係が
一般
大衆に及ぼされてくると思います。当然そうなればもう
企業
の性格が変わってまいりますから、営利本位になるでしょうし、それからまた、そうなれば
経営
が成り立たないということを条件にして
運賃値上げ
という問題も再燃をしてくるでしょうし、ですから地方
鉄道
の
運賃値上げ
を抑えるという曲がりなりにも地方
鉄道
に公共性を意識させて、そうして公共料金ということでこれを
政府
が統制しようということになれば、私はこの時期をはずしてはないと思っています。ですから、いま大臣の言われたことばが、少なくとも来
年度
の
予算
の中に具体的に
計画
にあらわれてくる、そういう期待を私は持ってもいいという考え方で、それができるなら私はもうここで質問を終わりたいと思います。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
341
○綾部国務大臣 たびたび申しますように、現時点におきましては、あなたのおっしゃるように、いまのときにやらないと私営の
鉄道
は参ってしまう、こういうことには私も同感でございますし、あなたも私営
鉄道
の
経営
に参加されたお方でございますから、最もいい案を最も早い
機会
にひとつぜひ申請なり何なりしていただきますれば、それに対して私は熱意を持って
計画
が実現するように努力いたしたいということをここではっきり申し上げます。しこうしてそれは運輸省の交通
政策
の上の重要なる施策の
一つ
であると私は考えておりまして、それは動かぬと存じます。
肥田委員(肥田次郎)
342
○肥田
委員
運輸省の重要
政策
ということで、必ずこれは日の目を見るということでございますから、この問題については私はこれで質問を終わります。 それからいま本題であるところの
建設公団
につきましては、これはわが党から対案を出しておることでもありますし、これについてのこちらからの対案を本日
提案
をしました。この関係と、それから
政府提案
との関係を質問しようと思いましたけれども、次にずっと質問者が控えておりますから、私の質問は次の同僚に譲ることにいたします。
木村委員長(木村俊夫)
343
○
木村
委員長
久保三郎
君。
久保委員(久保三郎)
344
○
久保委員
私の質問に入る前に、ただいま肥田
委員
の質問に対して運輸大臣からいい案があったらひとつ示せ、こういうおことばでありましたが、
一つ
はささやかな案ではありますが、すでに運輸大臣御案内のとおり、わが党としては参議院先議で、御
承知
かと思うのでございますが、都市高速
鉄道建設
助成特別
措置
法案
なるものを
提案
しておりますので、おことばを聞いて、
政府
側でも御理解というか、御同意をいただいたように考えるわけなんです。ついては会期も幾日もございませんから、ひとつ与党のほうの御工作も、
政府
のほうの御工作もいただいて、本
法案
の成立に御尽力をいただきたく切にお願いいたしておきます。 そこでこの
法案
については、それぞれ各
委員
からお尋ねがあり、お答えがありましたので、もう落ちこぼれ
程度
かと思うのでありますが、いささか二、三点について私からもお尋ねするわけであります。 そこで
前提
として申し上げたいのは、これからお尋ねすることは私どもの本意ではない、ないが、いわゆる
政府
のお立てになりました所得倍増
計画
とこの
法案
との関係についていかように考えられておるのかということであります。御
承知
かと思うのでありますが、所得倍増
計画
には交通体系小
委員
会報告というのがございます。その中で国内交通の問題で
政策
が掲げてあります。そのうちで、いわゆる部門別
政策
の
鉄道
の部門でありますが、
鉄道
の中にはこう書いてあります。全文をお読み申し上げる必要はないので、この
法案
に関係する部面だけ申し上げておきますが、「ローカル線については特殊な
線区
を除いて今後の
建設
はすべて中止し、現在の線路も
国民
経済的に非合理的なものは撤去して自動車に委ねるべきである。また
一般
に新規
投資
については、充分に採算性を検討し累を将来に残さないように注意すべきである。」こう書いてございます。さらにこの所得倍増
計画
の土台になりました総合的交通体系にはこう響いてあります。総合的交通体系の中の国内交通の
政策
の方向、この中の
国鉄
のところでありますが、(ホ)としてローカル線の整理ということがあります。ローカル線の整理の一部だけをちょっと読んでみますが、「
国鉄
の新規
投資
のうちに、
経営
収支上採算のとれないローカル
線建設
がある。これは
国民
経済上他交通機関と比較して
鉄道
を有利とするものを選定する考慮が払われているにも拘らず、実際には
国鉄経営
を
圧迫
する原因の
一つ
になっていると考えられる。したがって、特殊な
線区
を除いて今後の
建設
はすべて中止すべきである。」こう書いてございます。ところが、
提案
の説明を繰り返すまでもありませんが、
国民
経済的な
立場
から、やはり
鉄道
の
新線
は
建設
しなければならぬ、中身はだいぶ違うのでありますが、うたい文句は、そういう観点からいままで遅々として進まないところの
国鉄
の手によるところの
新線建設
を
公団
によってやるべしというのが本
法案
の内容でございます。これは一見して——私は皮相的な見方をしておるか知りませんので、あえて一見と言います。一見して、この所得倍増
計画
と本
法案
とには大きな矛盾があると思うのでありますが、矛盾はございませんか、いかがでしょう。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
345
○綾部国務大臣 私どもは矛盾がないと考えております。
久保委員(久保三郎)
346
○
久保委員
ただ矛盾がないというのはどういうことか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。と申し上げますのは、この
新線建設
には、なるほどローカル線以外のものがございます。しかしおもにはいわゆるローカル線といわれるものであります。これがだいぶ入っておるわけですね。これは
予定
線なり
調査線
なり
着工線
なりを例に引くまでもございません。時間の関係がありますから一々申し上げませんが、大臣の御案内のとおり、ローカル線が大半であります。そうなりますと、矛盾はいたしておりませんという御答弁はいささか納得しがたい、こう思うのです。いかがでしょう。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
347
○綾部国務大臣 ローカル線が所得格差の是正に矛盾をしないと申しましたのは、御案内のように、ローカル線としての残された
使命
がまだ私はあると思います。そういう点を考えまして、それをよりよくするためにこの
建設公団
を持っていくのでございますからして、私は矛盾しないと申したのであります。
久保委員(久保三郎)
348
○
久保委員
大臣、何べんもことばを返すようでありますが、これは大なる矛盾があると思う。いい悪いは別です。私の
意見
は別ですよ。これは総合的な交通
政策
の方向として響いてある。これは特殊なもの以外は一切やめるべしというのですよ。そこへもってきて
新線建設
と矛盾しないというのは、この国会の場所における公式の答弁としては通りますが、対世間的な
国民
的な
立場
からは通らぬですよ。別に私は
新線建設
が悪いと言っているのじゃない。しかし
政策
に矛盾がありはしないか。この矛盾はどういう考えで持ってこられたのかということであります。いかがですか。鉄監局長、あなた学者らしいから……。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
349
○広瀬(眞)
政府委員
確かに
久保
先生のおっしゃるように、各論のところにはローカル線の
建設
をやめるべきだということが書いてございますが、三十五年に発表されました所得倍増
計画
というものは、すみやかに
国民
の総生産を倍増いたしまして
国民
生活の水準を大幅に引き上げようというのがねらいでございます。この
計画
の構想におきましても、
計画
実施
上特に留意すべき点といたしまして、後進性の強い
地域
の
開発
促進並びに所得格差の是正のためにすみやかに国土総合
開発
計画
を
策定
し、その資源の
開発
につとめ、所要の立法
措置
等を検討する、そして
地域
住民の
福祉
の向上とその
地域
の後進性の克服を達成すること、
地域
刑
公共投資
については、
地域
の特殊性に従って投融資の比重を弾力的に調整して
地域
間格差の是正に資することを指摘しておりまして、これを受けまして
昭和
三十七年に全国総合
開発
計画
が
策定
されまして、その
計画
におきまして、主要幹線の複線化、電化等の
輸送力
の
増強
整備のほか、工業
開発
地域
育成のための
鉄道
の
建設
、青函、本州四国連絡
鉄道建設
促進等の必要性が特に述べられておりまして、こういった所得倍増
計画
、これを受けました総合
開発
計画
ということから、
新線建設
の必要性というものが認識されるわけでございます。そういったことを
前提
といたしまして、新しい構想による
公団
を設立いたしまして、臨海工業
地域
の
開発
でありますとか、新産都市の
開発
、あるいは後進
地域
の
開発
を促進してまいろうという考え方でございます。
久保委員(久保三郎)
350
○
久保委員
私は所得倍増
計画
との矛盾についてお尋ねをしたわけでありまして、あなたがおっしゃることを伺っていると、所得倍増
計画
は、その中でも総合的な交通
政策
は修正したとおっしゃる。修正したのである、こういうふうにとってよろしいか、いかがですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
351
○広瀬(眞)
政府委員
各論にはただいま先生のおっしゃいましたようなことはもちろん出ておるわけでございますが、これを受けまして、その後に
策定
されました全国総合
開発
計画
というものではこの間の調整をはかりまして、主要幹線の電化、複線化のほかに、端的なことばで言えば、
新線建設
というものが必要であるというふうに述べておりまして、これを受けておるわけでございます。
久保委員(久保三郎)
352
○
久保委員
それを受けてきたというのが
提案
の趣旨説明であります。所得倍増
計画
の
計画
とこれには矛盾がある。あなたがおっしゃるとおりだとするならば、倍増
計画
なるものの、少なくとも交通
政策
の修正である、こうおっしゃればいいのである。そうでしょう。そうかどうか聞いている。念を押している。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
353
○広瀬(眞)
政府委員
所得倍増
計画
の、いま先生がお述べになりました点は、後の総合
開発
計画
において、
地域格差
の是正という点から若干修正されておるものと私どもは考えております。
久保委員(久保三郎)
354
○
久保委員
そうしますと、倍増
計画
の中の
国鉄
の
経営
全体についてもこれは修正さるべきだと思うのですが、いかがですか。そうでしょうな。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
355
○広瀬(眞)
政府委員
国鉄
は最初第一次五ヵ年
計画
をつくりましたが、この所得倍増
計画
の
策定
されましたものについてさらに若干の修正を加えまして第二次五ヵ年
計画
に移ったということでございまして、その点では
国鉄
の当初の
計画
も所得倍増
計画
に歩調を合わせまして修正が加えられたというふうに考えております。 〔「そのとおり」と呼ぶ者あり〕
久保委員(久保三郎)
356
○
久保委員
そのとおりという声もあるようでありますが、そのとおりじゃない。私がお尋ねしているのは、
国鉄経営
全体について修正さるべき時期だろう、修正されるであろうということです。そうですよ。これはそうだから
公団
を出している。
公団
を出してきたということは、いまの
国鉄経営
が、あなたが前段あげられた、いわゆる都市周辺におけるところの線増の問題、電化の問題、
近代化
の問題、
保安対策
の問題、これが重点で四苦八苦だ。だから、せめてこの
新線建設
は、だれがやろうが、
国鉄
が自分でやろうが、このいまあげたところのいわゆる修正さるべき重点をさらに遂行するのには、いわゆる
地域格差
に関係があるところの
新線建設
というのは
国鉄経営
の
負担
からとにかく除こうというのがこの趣旨でしょう、そうでしょう。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
357
○広瀬(眞)
政府委員
おっしゃるとおりでございます。
久保委員(久保三郎)
358
○
久保委員
そこで、そうだとするならば、私がけさ冒頭私どもの
提案
の説明を申し上げました。だから私は繰り返し申し上げる必要はないと思う。おわかりになっていると思う。それじゃ
新線建設
が
国鉄
の重圧になっているのは何だというのです。これはいままでも質問がありました。
建設資金
をまかない得ないということですね。
経営
の
赤字
の問題があるということです。背に腹はかえられぬということで七十五億の
予算
をとりながら、先ほど答弁があったように、やはり
一般
改良費に流用せざるを得ない、こういう実態でしょう。それじゃその
前提
となる
資金
確保
について、この
公団
法ではたしてまかなえるのかどうか、これも御答弁がちっとも明確でありません。しかも
鉄道
審議
会の
建議
を尊重してここに
提案
されたというが、
提案
の過程においてはいかなる作業をしたか。
公団
ではなくて、
公団
の
前提
があるでしょう。
前提
がなくしてほんの手段、
方法
だけで、
方法
の上において
公団
が出てきたのですね。
国鉄
ではだめだから
公団
にしよう。本質的なものは何らここでは
解決
されていない。これはけさの説明でも申し上げたように、
建設
審議
会からの答申は、先ほど大蔵大臣がわずかに五割と、——ぼくの質問で、これは
公共事業
としての考えで出したのかと言ったら、そうだと言うから、ものの考え方としては、一歩前進あるいは半歩前進でしょう。ところが
建設
がいままで遅々として進まなかったのは二つある。
一つ
は
資金
の問題と
一つ
はいわゆる
計画
がちっともないということ。そのときどきの
予算
のつけ方あるいはそのときの条件によってまあまあやっていこうというように
総花式
に
予算
をばらまく。そのために緊急に必要な
新線建設
も意のごとくならないというのが現状です。だから、問題の本質は
資金
確保
をはかることと、
港湾
あるいは
道路
と同じように緊急整備的なものをつくって、これを
政府
の大本営としてコンクリートして、目標を固めてやっていくということがなければだめだ。ところが
公団
では何があるか、
基本
計画
という話があるが、何ら
政府
の
方針
はない。いかがですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
359
○広瀬(眞)
政府委員
従来の
国鉄
が行なっておりました
建設
線がうまくまいらないのは、ただいま
久保
先生のおっしゃるように二つの原因があると思います。
一つ
は確かに
資金
の面でございます。もう
一つ
は、ただいま御指摘がございましたように、
国鉄
のほうは複線化あるいは電化、
国鉄
線の
輸送力
の
増強
という差し迫った大きな業務があるものですから、実際のところなかなか
新線建設
までには手が回りかねるということでございまして、それで
建設
審議
会の御
意見
等もございまして、
責任
体制を明確にしてまいろうということで、
公団
という
方法
をとろうとするわけでございます。 なお、
公団
の考え方は、
道路
、
港湾
等と同じように
公共事業
的な考え方を取り入れまして、
政府
資金
をなるべく多くこれにつぎ込みまして、
責任
体制の明確化とともに業務を能率的に遂行してまいろうということでございまして、今
年度
の
予算
では、確かに
国鉄
の
出資
七十五億円に対しまして
政府
の
出資
は五億という格好ではございますが、
公共事業
的な性格というものがここにあらわれてまいりましたので、先ほどの大蔵大臣の御答弁にもございましたように、
政府
といたしましては、これを
機会
に、この
公団
をつくります精神というものを大いに前向きに推進いたしまして、所期の目的をなるべく早い
機会
に達成してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
久保委員(久保三郎)
360
○
久保委員
それじゃその
基本
計画
の内容は、どういうふうに
策定
をする考えであるか、これをお答え願いたい。前に答えていれば簡単でいいですよ。その構想はお持ちでしょう。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
361
○広瀬(眞)
政府委員
基本
計画
というものは、今後
公団
が
建設
すべき
基本
事項に関しまして定めることになっておりますが
着工
・
調査線
の別、線路の名称、起点、終点、線路の規格、こういったようなものを含んでおりますが、要するに
公団
の
資金
の内容に応じまして、今後逐次整備をしてまいりたいというふうに考えております。
久保委員(久保三郎)
362
○
久保委員
鉄監局長、その辺の答弁ならお尋ねしなくてもよろしい。条文を読んだだけでわかる。先ほど私があげた大きな
理由
は、
基本
計画
にある。むしろ
基本
計画
なんですよ。
基本
計画
の立てようによって
予算
の問題も出てくる。そうでしょう。私はきょうはかんが高ぶっていて、あまりむずかしいことは言いたくありませんが、もう少し
基本
計画
の立て方をどうするか、いうならば、これは閣議決定に持ち込んでやるというのが少なくとも本筋ですよ。ここまでおりてきた原因は何かというと、これまた見せかけの
新線建設
はあまりやれないという結果ですよ。大蔵省の抵抗があって、そうなんですよ。これは大蔵大臣はたいへん長い答弁をされておりましたが、どう言おうとも、結果としては、第二十条の
基本
計画
というものが私の言うとおりになれば、ちゃんと別な
法律
、親
法律
ができて——
公団
は子法ですよ。お答えしますか、いかがですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
363
○
大石
(武)
政府委員
私からお答えいたします。これは少し違うかもしれませんが、この
鉄道
建設公団
の
法案
をここに出しましたゆえんのものは、結局は
新線建設
を促進したいということにほかならないのでございます。しからば
公団
をつくらなくても、いまの
国鉄
においてもできるのではなかろうかという御
意見
もございますが、私はここで考えなければならぬのは、
国鉄
の現在の性格だと思います。
国鉄
というのは、いま
独立採算制
になっております。しかしながら一面においては、公共性をひどくしいられまして、いろいろと
営業
状態
、
営業
の上において矛盾をはらんでおります。このような
状態
において、この
新線
を
建設
するためには、どうしても
公共事業
的な性格を強くして、国の援助を多く与えるということが一番大事な問題ではなかろうかと思います。そうしますと、現在の
国鉄
の性格の中にこのような
公共事業
的な性格を持ち込むということは、その行政と申しますか、
営業
方針
において矛盾とまではいきませんけれども、必ずしも足並みがそろわないものが出てくると思います。そういう
意味
におきまして、
久保委員
のお考えになっているのと目的は同じでございますが、早くここに
公共事業
的な事業を遂行する
公団
をつくったほうがより
仕事
がやりやすい、一筋に
仕事
を促進できるという考えから
公団
をあえて出したわけでございます。その点は御理解を願いたいと思う次第でございます。
久保委員(久保三郎)
364
○
久保委員
政務次官の御答弁は
提案
説明の前段でありまして、私がお尋ねしているのは、
基本
計画
がここまでおりてきたのは、大蔵省の圧力があってここにきた。中身はわからぬということですよ。ここまでおりてきたのでは、一番大事な
新線建設
をやろうという
基本
計画
の中のいわゆるコンクリートするものが何も取れなかった、だからいままでとあまり変わりばえがないという結論にならざるを得ないと思う。もしもそうではないというお考えがあるならば、この
予算
をもう少しつけたらどうかと思う。これは何と抗弁しようとも、国会答弁としては通りますが、これは大蔵省との折衝段階においてここまで実際におりてきた。それが証拠には、
建設
審議
会の答申によって作業を進めてきたのは親の
法律
である。緊急整備的な
法律
が先行すべきである。ところが、親が死んで子供が生きたかっこうなんです。こういうことでありますから各所に矛盾が出てくると思うのです。私は多くは申し上げませんが、そういう点に問題がある。十分ひとつ考えてほしいと思うのです。 所得倍増
計画
についでももう少しお尋ねしたいのだが、そんな理屈ばったことをやるとみんな頭に来るからやめます。しかしもう少し考えてください。これは私がしかたがないから結論をつけてあげたんですよ。中身はちっとも修正していないのです。こういう考えでいるからこそ、
国鉄
の問題
一つ
とれば、公共性と
企業性
の矛盾がこの中にも出てきているのです。
企業性
を追求するのが所得倍増
計画
、公共性を追求しようとするのが
新線建設
、これはあなたがおっしゃったことを、しかたがないから、私がそうだろうということで申し上げたのであって、いずれにしてもそういうことです。 それからもう
一つ
、先ほど大蔵大臣に時間がなくて私は御質問申し上げることができなかったのでありますが、大蔵大臣の構想はこういうことであります。ことしの
予算
を見ては困る。この前も運輸大臣が言ったが、三十九年からひとつ見てくれ、こういうことを言っています。今後を見てくれ。なるほどうまいことを言った。大蔵大臣はちゃんとはっきり正直にここで述べられた。東海道新幹線は来
年度
ほぼ
完成
するから、そうすれば軽くなるのだ、こう言った。それでは、
国鉄
だけの問題で新幹線
完成
後について今日までいかなる約束をしてきたかということです。新幹線
完成
までは
一般
の
改良工事
その他はやむを得ずダウンしておく。現実にダウンしておる。通勤
輸送
、幹線
輸送
について全部ダウン。これも新幹線を、膨大な
投下資本
を置いて——未稼働資産を置いてはまずいし、東海道の
輸送力
の緩和にも役立たないからやるのだ。だから大の虫を生かして小の虫を殺すというのが今日の
国鉄経営
の全体ですよ。しかし三十九年になって新幹線が
完成
すれば、
技術
要員も
資金
もいままでの取り戻しをやろうという。そうでなくても、すでに御案内のとおり、第二次五カ年
計画
は修正の時期に来ている。これは新幹線
一つ
とってもおわかりのとおりであります。そうでしょう。各所にもう
輸送
のネックは出てきている。線増は思うにまかせない。
近代化
も思うにまかせない。
技術陣
営は、御案内のとおり新幹線で暴露した。いわゆる
技術
要員が不足で、一件について六十三回もの設計変更をしなければならないという実態である。要員の面についても、鉄監局長かだれかさっき答弁しましたね。新幹線ができればそれを異動すると言われた。とんでもないことだと思います。そういう考えで
公団
をつくることになれば、
公団
も伸びないし、ましてや
国鉄
自体も改善にはならぬという矛盾が出てきます。そこでこれは、運輸大臣はいま来られたばかりでわかりませんから、政務次官にお尋ねします。
公団
というものは
国鉄
の東海道新幹線の
完成
を待って
資金
手当をすると大蔵大臣は言ったが、そのとおりに考えておられるかどうか。いかがですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
365
○
大石
(武)
政府委員
これはそう考えておりません。大蔵大臣はそれらしき口吻を漏らされましたが、その前に、少なくともわれわれは八十五億円で満足するとは考えておらぬ、来年はその倍もしなければならぬということをちらっと申されました。したがって大蔵大臣でさえも、そのような新幹線
完成
を待ってこれを
増強
するという腹でないと私は思います。もちろん来
年度
あらゆる努力をもって、その御期待に沿えるかどうかわかりませんが、一生懸命になって
予算
獲得に努力する決心であります。
久保委員(久保三郎)
366
○
久保委員
要員の問題について先ほど河村常務が答弁されたと思うのですが、違っておればだれかそういう答弁をされた人がいるわけだ。いわゆる今回の新幹線の
完成
後、この職員をどうするのかと言ったら、そのような答弁をしていた者がある。これはどなたですか。いないというならばお尋ねします。
公団
に引き継ぐところの要員と、いうのは、
国鉄
から全部ですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
367
○広瀬(眞)
政府委員
先ほども申し上げましたように、
建設
系統の中で
新線建設
に従事している職員がございますので、そういった者を大
部分
、これは本人の意思を十分尊重いたしまして
公団
に引き継いで
工事
をやっていこう、これを根幹として
工事
を進めてまいりたいというふうに考えております。
久保委員(久保三郎)
368
○
久保委員
新線建設
に従事している者の大
部分
とおっしゃいましたが、そのとおりだとすれば、大
部分
というのは
建設
局所管に属する人員をさすのですか。いかがですか、八百何名というのは……。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
369
○広瀬(眞)
政府委員
八百何名と申しますのは、
建設
局あるいは地方の
工事
局の
新線建設
に従事している職員の数でございます。
久保委員(久保三郎)
370
○
久保委員
それじゃ
国鉄
当局にお尋ねしますが、いま鉄監局長が言うところの現有勢力は何人おられますか。
河村説明員(河村勝)
371
○河村説明員 約八百名
程度
です。
久保委員(久保三郎)
372
○
久保委員
八百名
程度
だというと、大半ですね。 それではまた再び
国鉄
にお尋ねしますが、いわゆる
建設
局関係の
仕事
というのは、なるほど
新線建設
もある。しかしこの
建設
局のいわゆる部局の顔を見ても、
計画
課、
建設
課、それから線増課、停車場課とあるが、よくわかりませんけれども、少なくとも
建設
課はいま鉄監局長が言うところの系統ですね。線増課は
改良工事
に類するものですね。停車場課は一部は
新線建設
に回るかもしれない。しかしあと大半は停車場そのもののほうに回されるのですね。そうだとするならば、人員は、八百何名を見込んでいるとすれば、大きな間違いではないだろうかと思うのですが、いかがでしょう。
河村説明員(河村勝)
373
○河村説明員 鉄監局長が
建設
関係で八百名と言われましたが、これは本社の
建設
局だけのことを申しているのではございませんで、地方の
工事
局その他全部、いわゆる
建設
支弁の人間がそれだけおるということでございますので、当然線増課とか停車場課とか、そういう方面の人間は含んでおらないわけであります。
久保委員(久保三郎)
374
○
久保委員
それではこれは
国鉄
の河村常務に聞きましょう。いままでの見込みでは、新幹線が三十九年の十月一日開業、多少の
改良工事
その他が残るということでありますが、この
技術
人員の撤収、これにこれを引き当てるという考えを持っておられるのですか。
河村説明員(河村勝)
375
○河村説明員 東海道新幹線のための
技術
要員は、この問題と全然別個のものであります。
久保委員(久保三郎)
376
○
久保委員
先ほどどなたかは、この撤収というか、そういうことで考えているという御答弁があったが、それは間違いですね。 それからもう
一つ
は、鉄監局長の構想だと、いまの
建設
関係の、いわゆる
建設
局から下の末端までの職員を八百名
程度
吸収する。その場合、現在におけるところの、さらに先ほど私が申し上げた、しわ寄せを受けたところの
一般
の
改良工事
、これを三十九年以降において
国鉄
はやろうとするのですね。いままでの取り返しをやろうとするのですね。その場合、要員不足ということは考えておられないで、十分まかない得られると思っておられるか、いかがですか。
河村説明員(河村勝)
377
○河村説明員 その問題になりますと、今度は東海道新幹線の
工事
が来年の七月にはおおむね完了いたしますので、
改良工事
のおくれを取り戻すための要員は、当然そこから出てまいるものと考えております。
久保委員(久保三郎)
378
○
久保委員
改良工事
のほうはそこから出てくる、こういうお話ですが、そうすると残らないのではないですか。しかもこれから大きな
改良工事
というか、いままでの五ヵ年
計画
のおくれを取り戻そう、そうして第二次五ヵ年
計画
も修正しようかという論もある。当然修正しなければならぬと思う、線増にしても、電化にしても、通勤
輸送
にしてもです。そうなった場合、
国鉄
に吸収される人間は限られたものだということになると思うのですが、そういう見方はしておられませんか。
河村説明員(河村勝)
379
○河村説明員 その問題は、今後の
建設公団
の
予算
規模
予算
規模がどのようになるか、また
国鉄
の
工事
経費の
予算
規模がどういうふうになるかというようないろいろな仮定の要素をたくさん含んでおるわけでございます。したがいまして、そのときの情勢に応じまして、
建設公団
の必要な要員は、
国鉄
の現役あるいは退職者で一部を補充し、一部は
国鉄
で新たに新採用して養成するとか、いろいろな
方法
を講じまして、双方困らぬような
方法
を講じていくつもりでございます。
久保委員(久保三郎)
380
○
久保委員
そこでその要員の問題に関係してまいりましたから、もう
一つ
要員の関係でお尋ねするのですが、
国鉄
から引き継がれるというが、こういうものは希望で引き継がれるのか、それとも強制的に引き継ぐのか、どうなんですか。
河村説明員(河村勝)
381
○河村説明員 これは希望によって
公団
に移る、こういうことであります。
久保委員(久保三郎)
382
○
久保委員
さらに引き継ぎの関係での待遇というか条件、こういうものが共済組合等の問題で
法案
に出ています。これだけではわかりにくいのですが、かいつまんで言って、この引き継がれた、あるいは戻ってきた、こういう人に対して、これは不利益になるような
措置
には絶対にならぬという保証がありますか、いかがですか。
河村説明員(河村勝)
383
○河村説明員 こまかい点について、多少の出入りはあると思います。しかしながら一番大きなものは年金と退職金でございますが、年金については、
法案
にありますように、全部通算をいたします。退職金については前後を通算をいたします。それで
公団
在職期間の給与というものは、退職金が若干不利になる点を考えまして、現在の
国鉄
の給与ベースよりも若干高く見てございますので、そういった
意味
で、総体的に見ますと、まず不利な点はない、そういうように考えております。
久保委員(久保三郎)
384
○
久保委員
運輸省はそのとおりに考えておられる。こまかい点は全然出てませんから、いろいろな問題が出ますれば、万全の
措置
をとるということでありますが、そのとおりでよろしいですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
385
○広瀬(眞)
政府委員
現在
国鉄
の河村
理事
から御答弁申し上げたとおりに考えております。
久保委員(久保三郎)
386
○
久保委員
次に
法案
の中で二、三点まだ残っているのでありますが、第十九条の第一項第一号の
公団
のやる
仕事
ですね。これには
新線建設
じゃなくて、いわゆる
鉄道
施設の
建設
と書いてある。この
鉄道
施設の範囲はどこまでですか。線路はわかっておる。
新線
の
建設
というのはわかっている。それ以外に施設というのであるから、施設の範囲はどこに限定をされておるか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
387
○広瀬(眞)
政府委員
国鉄
が
新線
を
建設
しております場合には、
建設
した後に
国鉄
みずから
経営
するという
経営
意思が入っておりますので、その辺を若干書き分けまして、
公団
が
経営
するということはないわけでございます。したがいまして、この
鉄道新線
あるいは
鉄道
施設というふうに書き分けてございますから、
公団
が
建設
する
鉄道
施設というものは、線路の設備、電線路、停車場設備等を一体として
鉄道
事業を
経営
するに不可欠な設備を申しておるわけでございます。
久保委員(久保三郎)
388
○
久保委員
この場合、
国鉄
は当然のごとく
改良工事
に改良費に属するところの車両は用意せねばなりませんな、そうですね。こういうたとえば
鉄道
施設ができたが、車両費がないという場合には、これはそんなことはないと思うのですが、そういうのもあると思う。こういう場合はどういうふうな関係で処理されるのすか、将来の
計画
として、車両費……。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
389
○広瀬(眞)
政府委員
車両費はこの
鉄道
施設の中には入っておりません。これは
国鉄
が全体の
経営
を考えまして、
国鉄
のほうで
負担
をしてまいるわけであります。
久保委員(久保三郎)
390
○
久保委員
次に貸し渡しまたは譲渡ということがございますが、これにはいわゆるその用金等はもちろんでありますが、こういうものについて
公団
と
国鉄
の間に条件を付して協議してきめるわけですね、運輸大臣が認可して、それ以外にこの譲渡あるいは貸与の場合の取りきめの条件というのは何か考えておりますか、いわゆる使用料、譲渡料、こういうものだけかどうか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
391
○広瀬(眞)
政府委員
譲渡する場合の譲渡価格、それから貸し付けする場合の貸し付け料の算定、これは今後きめてまいるわけでございますが、いずれにいたしましても
国鉄
の
経営
内容というものを十分考慮しながら今後きめてまいりたいというふうに現在のところは考えております。
久保委員(久保三郎)
392
○
久保委員
だから譲渡されあるいは貸与されるところの条件というのはいま鉄監局長がおっしゃることだけかと聞いているのです。いわゆる貸借料あるいは譲渡の金額、これだけか。それ以外には全然
公団
と
国鉄
では関係がない。関係がないというか、あとの運営その他は全部
国鉄
にまかせる、これに条件を付することがないかどうか、こう聞いているのです。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
393
○広瀬(眞)
政府委員
譲渡価格あるいは貸し付け料というものは私がいま申し上げましたように算定してまいりますが、
国鉄
が
新線
を
経営
する場合のことを先生はおっしゃったのでございますか。
久保委員(久保三郎)
394
○
久保委員
そうです。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
395
○広瀬(眞)
政府委員
新線
を
経営
する場合につきまして、いろいろ率直に申し上げまして、ある
程度
の
経営
上の
赤字
が出てまいると思いますが、それは
国鉄
に
負担
をしてもらうつもりでおります。
久保委員(久保三郎)
396
○
久保委員
いや、私が聞いているのは、その
公団
が貸し渡しに対して、譲渡の場合はそうあまりないと思いますが、この譲渡なりあるいは貸し渡しの場合、特に有料の場合ですよ。有料の場合もう少しどうやれとか、こうやれとか、そうしてもらう銭は的確にもらおうというようなことがありはしないか、こう想像されるので、聞いているのです。そういう点は一切ない、こう了解してよろしいのですか、運営についての、あるいは使用についての条件です。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
397
○広瀬(眞)
政府委員
要はなるべく
国鉄
に迷惑をかけないという
方針
でやってまいりたいというふうに考えております。
久保委員(久保三郎)
398
○
久保委員
単純に考えてよろしいかどうか、いわゆる
鉄道新線建設
が重点であって、あとは付属の建物等をつくってこれは引き渡す。これでよろしいかどうか。
鉄道
施設となると、いろいろありますよ。施設となったら、おあげになった以外にもたくさんあると思うのです。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
399
○広瀬(眞)
政府委員
これは先ほども申しましたように、
鉄道
施設と申しますのは、線路、電線路、停車場、要するに
国鉄
が
経営
をいたしますについて必要な施設というものは、必要な限度において
公団
が全部
建設
をするという趣旨でございます。
久保委員(久保三郎)
400
○
久保委員
それから貸し付けた施設に対する災害復旧は
公団
がやる、こういうことですね。ところがここでも問題が出ると思うのです。多少の災害というか、だれが見ても災害、不可抗力というものはございます。しかしたとえば新幹線で最近のりがくずれたというのがありますね。土手がくずれた。これなどもとりようによっては施工が十分でないからこうなった。ところがこの一面これはそれとは別な問題ですが、おまえのほうのやり方が悪いからここはこわれた、災害じゃない、そういうのもありますぞ。想像すれば非常にむずかしい点ですね。こういう限界について私は
公団
と
国鉄
の間でおそらく争いができると思うんですね。簡単にはいかぬと思うんです。これについてはどういうふうなお考えでありますか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
401
○広瀬(眞)
政府委員
確かに現実の問題としていろいろなボーダーラインのケースというものは出てまいると思いますが、いま先生が御指摘になりましたように、かりに
公団
の
工事
の施行が悪くてくずれたということが明確であれば、これは
公団
の
責任
であると存じます。ただ実際の場合にはなかなかむずかしい場合が出てまいると思いますが、
基本
方針
は災害復旧は
公団
でやらせるということでございまして、この辺
実情
に即しまして両者の間で円満にまいるように指導してまいりたいというふうに考えております。
久保委員(久保三郎)
402
○
久保委員
そこでもう
一つ
関連してお尋ねしておきますが、
公団
が
鉄道
施設を
建設
する場合、やる以前において
国鉄
と設計協議はするのかどうか、これはどうですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
403
○広瀬(眞)
政府委員
国鉄
と
公団
はすべての関係において密接な連携を保つ必要がございますので、十分事前に設計協議等はいたします。
国鉄
の
意見
を十分反映するようにいたします。
久保委員(久保三郎)
404
○
久保委員
その設計協議がととのわなかったときはだれが裁定するのですか。そういうことは考えておりませんか。それは政令か規則できめるのでしょう。そういうことの配慮がなければ、むやみに紛争を起こすもとだと思うのです。実際おれのほうの
資金
の関係、
工事
の関係、
技術
の関係からいえば、
国鉄
が何と言おうと、これで十分だと言って、それで切られますよ。あと災害やなんか出たときにどうするのですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
405
○広瀬(眞)
政府委員
両者はもともと緊密な関係にあるわけでございますから、十分に事前に協議をいたさせますが、万一
意見
の調整ができないという場合には、両方とも運輸大臣の監督下にございますので、運輸省が十分調整をはかってまいります。
久保委員(久保三郎)
406
○
久保委員
そこでやはり十九条になりますが、ここで委託に基づいて
鉄道
に関する
工事
並びにこれに関する調査、設計、測量、こういうものも業務の範囲にあるわけですね。先ほどの御答弁、
質疑
の中にもあったように、ある時期には大体
鉄道
線路もこれでいいということになると、将来はこの方向へ
公団
がいく可能性があると思いますが、そういうふうに了解してよろしいか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
407
○広瀬(眞)
政府委員
これは前段に書いてございますように、この
公団
の主たる業務というものは、あくまで
新線
の
建設
をやるということでございますので、この業務に支障のない範囲内においてやらせる、しかもその場合に、あらかじめ運輸大臣の認可を受けてやるということになっておりまして、きわめて厳密な制限を付しておりますので、そのような御心配はないかと存じます。
久保委員(久保三郎)
408
○
久保委員
心配がないというならいい。 そこで続いてお尋ねしたいのは、この
公団
がやる付帯業務みたいなもの、倉庫をつくるとか、事務所をつくるとか、こういうものは第三項において政令で定める
基準
に従いということになっておるが、これはどういう
基準
であるのですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
409
○広瀬(眞)
政府委員
政令で定める
基準
とは、
公団
が高架の
鉄道
施設と一体として
建設
することが適当であると認められる事務所等の施設を
建設
し、管理する場合のものでありますので、政令には事務所等の施設の
建設
主体の決定
基準
、それから
建設
施設の構造
基準
、
建設
されました事務所等の
経営
主体の決定の
基準
、それから施設の貸し付け料等、貸し付け契約の
基準
を定めることを考えております。こういうようなことを政令の内容として
予定
しております。
久保委員(久保三郎)
410
○
久保委員
そこで次にお尋ねしますが、いまの御答弁を信用しますけれども、世間では、これは一部かもしれませんが、
公団
はガード下でひとつ商売をやろうということじゃないだろうか、こうとっております。以上だけを御忠告申し上げます。 次に、先ほど来大蔵大臣が来て、いまの
法律
を間違って考えられて、先ほど来のやりとりで解明されたのでありますが、あのままお帰りになった。それはいまの
新線建設
の
利子
補給の
法律
であります。これを大蔵大臣は間違って御理解をいただいて御答弁を願ったのでありますが、刑に間違っておることをとやかく申し上げませんが、間違っておることは事実でありますから、あの点に関連して私の申し上げたいのは、これは運輸大臣からお聞きしたいと思いますが、いまある
利子
補給の
法律
は、いわゆる
鉄道
みずからの手によって
建設
する
新線
に要した費用に対してこれを補給するとは明文にはございません。ただ現実には
新線建設
は国有
鉄道
以外にやっておりませんから、理屈を言えば、国有
鉄道
が
建設
に要した
資金
については
利子
補給をするとなっておりますよ。しかし現実には、たとえば今年は七十五億手をつけなければ、七十五億はそっくり向こうにいくのです。これはやはり
新線建設
の費用です。しかもこれはみな
借り入れ金
です。そうですよ。大臣、首をかしげておられますが、
運賃
収入
の黒字から出すのが当然だと思っていらっしゃるのですか。そうだとするならば、先ほどの大蔵大臣の答弁と食い違います。
新線建設
は
公共事業
である、その趣旨から五億出すのだ、だからこれは
借り入れ金
だ、だから
利子
補給をしておる、だから
建設資金
に使った金であるから、当然この
法律
の文言が、いまのこの
公団
ができたあとでは合わないというならば、文言の修正があってしかるべきだ。先ほどどなたから質問されておりますが、当然この
公団
法と一緒にこの条項は改めるべきものがあれば改めて
提案
してくるのがほんとうですよ。いかがですか。私は結論として言う。
建設資金
には変わりはないのだ。
国鉄
の重圧というものはそれなんです。黒字から出すのではない。
公共事業
として
政府
は半歩ぐらい前進したと私は見ておりますが、そうだとすれば、今日あるところの
利子
補給の
規定
は、年限が切れればまた延ばすという考慮があってしかるべきだ、これの文言に支障があるというならば文言を改正する必要があると思いますが、いかがですか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
411
○綾部国務大臣 私よく質問の御趣旨を了解し得ませんから、鉄監局長に……。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
412
○広瀬(眞)
政府委員
新線建設
の
補助
の特別
措置
法は、ただいま
久保
先先がおっしゃいましたように、
国鉄
が三十五
年度
以降
新線
の
建設
に費やしました
資金
につきまして、
利子
に相半する金額を
予算
の範囲内で
補助
するという趣旨のものでありまして、本法によりますと、
政府
は先ほども申し上げましたように三十七
年度
に約七億三千万円、要するに
国鉄
が
建設
いたしました分につきましては累積して
補助
してまいりますが、今後
公団
が
建設
をいたします分については、この
法律
からは当然
補助
は出てまいらないわけであります。 そこで先生のお尋ねは、自後
国鉄
の
公団
に対する出
資金
について、同じような趣旨で何らかの
補助
をしてはどうかというお尋ねかと存じますが、これは
政府
部内においてよく検討いたしまして、なるべくそういう精神が生かされるように今後善処してまいりたいと考えております。
久保委員(久保三郎)
413
○
久保委員
検討してまいりたいということですが、私は検討が非常におそいと思います。しかもあいまいなことを実際言っておる時期ではないですよ。これは運輸大臣いかがでしょうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
414
○綾部国務大臣 先ほど申しましたように、最終的には国の
負担
で出すようにならざるを得ぬという大蔵大臣の言明に従いまして、私は結論的にはそういう累積のなには結局
国庫
すなわち国が
負担
せざるを得ぬようになると考えております。その点に向かって大蔵大臣とさらに確かめて善処いたしたい。要は
国鉄
にこれ以上
新線建設
のために、
赤字
線のために迷惑のかからないということを根本原則に置きまして折衝いたしたいと思っております。
久保委員(久保三郎)
415
○
久保委員
国鉄
に迷惑とか何かじゃなくて、たてまえから申し上げておるのです。まして
国鉄
が迷惑、そんなばかなことはありませんよ。必要なものは当然
国鉄
が背負うべしでありますから、
新線建設
にしても、
赤字
だからなんという思想はありません。これはわれわれ自身もそう思っている。だからけさ
提案
の
理由
で申し述べたとおりであります。
国家経済
に必要なものはどんどんやるべし、それに対する対策、裏づけが一番必要なんです。だからたてまえから言うと、
国鉄
全体の
経営
、いまの既設
線区
の
改良工事
がおくれるとか、重圧がくるということでは因るという趣旨から言っても、ささやかな
利子
補給が願えれば、当然これを伸ばしていく、このように御考慮願いたいと思います。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
416
○綾部国務大臣 御趣旨のように努力いたします。
久保委員(久保三郎)
417
○
久保委員
会期もまだ相当ありますから、会期中に大蔵大臣にもっと——大蔵大臣のこの点についての理解は非常に間違っている、こう思うのであります。間違っています。実際議事録をちょっと読んでいただけばわかる。間違っていますから。これは運輸省なり
国鉄
が大蔵大臣というか大蔵省筋に説明をちっともやっておらぬ。こういうところにへっぴり腰なんです。運輸省や
国鉄
はもう少し元気をつけてやったほうがいいと私は思います。 それから次にお伺いしたいのは、先ほども大蔵大臣から答弁があったから、貸与金の問題で無償、有償の問題は一応
解決
したのであります。しかし主管大臣は運輸大臣でありますから、明確にお答えいただきたい。
赤字経営
の
線区
は当然のごとく無償、黒字は
国鉄
の
経営
の利益の限度において料金はきまる、こういうふうに了解してよろしいかどうか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
418
○綾部国務大臣 お説のとおりでございます。
久保委員(久保三郎)
419
○
久保委員
次にもう一点だけお伺いしておきたいのでありますが、二十八条の
公団
の欠損金の処理であります。この
公団
は欠損金が出ると私は見込んでおるのであります。この欠損金の処理についてどういう始末をなさるつもりであるのか、いかがですか。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
420
○広瀬(眞)
政府委員
公団
の経理内容でありますが、性質からいって、かなりの今後
政府
が全般的にいろいろなかっこうでめんどうを見てまいることになろうかと考えております。
久保委員(久保三郎)
421
○
久保委員
政府
にまかせろ、大きく出たね。いずれにしてもそういう趣旨なんです。まかせろと言うから、まかせるほかはないかもしれませんが、大体構想自体が中途はんぱなものでありまして、どうも前途憂慮にたえないということばが適するかと思いますが、いずれにしても私は時間がありませんので以上で大体終了しますが、少なくともこれは大きな問題です。言うならば私のほうの
提案
もしましたが、十分検討されて、そう先を急ぐ必要はないでしょう。そういう
意味
で再検討されたほうが、ほんとうに
新線建設
を促進するという大きな旗を立てるならそのほうがいいだろう。
政府
が今度は
公団
をつくって、お前のところの
新線
もどんどんつくってやる。中身を見たらこれまでと同じだ。ここですよ。そういう欺瞞的なことはおやりにならぬほうがいいと私はかねがね思っておるのであります。見解の相違でありましょうから、以上にとどめておきます。まあ私の心配が心配でないと言うならば、来
年度
の
予算
を見てみましょう。私の
計画
どおりとれるならば私の
提案
は引っ込める、そういうことです。
木村委員長(木村俊夫)
422
○
木村
委員長
楯兼
次郎
君。
楯委員(楯兼次郎)
423
○楯
委員
二点ばかり疑義を質問いたしたいと思いますが、この
公団
法は住宅
公団
あるいは
道路
公団
と出発の意義が違うと思うのです。といいますのは、先ほど次官も答弁をされましたが、すでに調査組、
建設
線、それから
工事
継続線約六十線あるわけです。そういたしますると、住宅
公団
あるいは
道路
公団
のようにこれから土地を購入して住宅を建てる、あるいはこれから有料
道路
をつくるという
公団
とは性格が違うと思うのであります。もうすべて調査懸案事項は
解決
をしておる。あとは
建設資金
をどこでまかなうか、これだけの
公団
だと思います。したがってそういう点から私どもは大きな疑義を持つわけでありますが、そんなことを言っておりますると長くなりますから、簡単に私の疑問と思っておる点をお聞きしたいと思います。この
公団
は
赤字
続きの
国鉄
の財政を減少するだけが主体なものか、あるいは毎年約七十五億の
新線建設
費が盛られたけれども、実際は他に多少とも流用をしておる。
予定
どおり、
計画
どおり
仕事
が進まないことが累積をしたので、これではいかぬというので
新線建設
をそういうことのないようにより以上やるための目的が主たるものか、こういう点はどちらですか。
綾部国務大臣(綾部健太郎)
424
○綾部国務大臣 両方とも目的になっております。
楯委員(楯兼次郎)
425
○楯
委員
そうすると先ほど大蔵大臣に時間がなかったので少ししか町間ができなかったわけでありますが、私はよく勉強をしておらないのでそう思うのかもしれませんが、
公団
をつくってまず
国鉄
の財政を、
負担
を減少するという面から見ましても、
公団
をつくって、
国鉄
の
負担
が減少をするということは考えられません。それは多少はあるでしょう。多少は有償、無償という点はあるでしょうけれども、相変わらず七十五億なりあるいは八十億の出
資金
というものが伴っていくであろう。それから無償、有償はあるけれども、やはり有償という線もある。そうなりますと、無償という
負担
のみが減少をするだけであって、やはり出
資金
を今後数年
計画
的に
出資
をしていくということになれば、火のついたような
国鉄
財政の
負担
を減少するという直接的な
効果
はないように私は考える。それからいま
一つ
の目的であります
新線
の
建設
を大幅に行なうその
資金
が必要である。ところが
公団
の
資金
調達の項目を見ましても、午前中大蔵大臣に少し質問をしたのでありますが、何も新しみがないわけです。新しみがありません。
政府
保証債あるいは短期借入金、長期借入金、——
政府出資
という点だけがこれは新しい項目でありますが、しかしほんとうに
政府
が
出資
をして
新線
を大幅に広げるということならば、何も
公団
をつくってやらなくても懸案事項はすでに六十線からあるのでありますから、私は必要ないと思う。だから
公団
をつくるから
政府
が金をやる、
国鉄
が
建設
をやるから金をやらない、こういう結論しか私どもは理解ができない。したがって
公団
をつくればなぜ
国鉄
に与えない
資金
を出すことができるのか、出すのか、ひとつそういう根拠を説明してもらいたいと思います。
大石(武)政府委員(大石武一)
426
○
大石
(武)
政府委員
それはおっしゃるとおりでございますが、その
理由
は、今度
新線
を
建設
しなければならぬ、ところが、その
新線
は大体において採算はなかなかとれにくい線である、こういうことを考えます場合には、この
新線
をあえて早い期間につくり上げる以上は、これは公共性を主としたものでなければなりません。そういう
意味
におきましては、現在の
国鉄
は
独立採算制
をとっておる。しかもこれには料金の問題とかいろいろな問題で公共性を押しつけておりますけれども、大体においては
独立採算制
が主体でございます。そういうところに公共性を中心としたものを押しつけることはやはりそこには矛盾があるのじゃなかろうか。そういう
意味
におきまして、純粋の公共性だけを中心とした
公団
をつくるほうがよりやりやすいという
方針
から、これらのことをきめた次第でございます。
楯委員(楯兼次郎)
427
○楯
委員
まあ公共性だとか独算制だとかいろいろ答弁をされますが、一体
国鉄
の公共性と独算制ということについて、次官はそう説明されますが、はっきり判定をした公共性と
企業性
の定義がつきますか。 〔発言する者あり〕
木村委員長(木村俊夫)
428
○
木村
委員長
静粛に願います。
楯委員(楯兼次郎)
429
○楯
委員
公共性と独算制をあなた区別をされますが、その区別がつきますか。つかないでしょう。われわれは十何年国会におって、
公共企業体
、
公共企業体
と言うんだが、一体公共性とは何か、独算制とは何か、こういう点で終戦以来論争をしてきたのです。ところが、その結論はまだ出ておらないのです。だから、そういうむずかしいことを言わなくて、私が聞きたいのは、
資金
調達の条件は、
国鉄
の場合も
公団
の場合も何にも変わらないのです。五億の
政府出資
という点だけですよ。来
年度
は多少ふやすということを言っておったのだが、その点が変わっただけだが、なぜ
公団
ならばそうしよう、
国鉄
ならば出せないという根拠が私はわからないのだ、こういうのですよ。だから、
国鉄
と
公団
と看板は変わったのだけれども、内容は同じじゃないか。なぜこういうふうに区別をするのか。その点がわからないわけです。どうです。
大石(武)政府委員(大石武一)
430
○
大石
(武)
政府委員
先ほどお答え申し上げたとおりでありまして……。
楯委員(楯兼次郎)
431
○楯
委員
答弁ではっきりわかれば一分で済みますよ。その答弁ではわからぬじゃないですか。
大石(武)政府委員(大石武一)
432
○
大石
(武)
政府委員
先ほどのお答えで尽きておると思いますが、その点御了承願います。
楯委員(楯兼次郎)
433
○楯
委員
その答弁は、どう違うのですか。答弁して下さい。
国鉄
の場合は金を出さないのだが、
公団
の場合は金を出す。しからば、
資金
調達の面において
国鉄
と
公団
とでどう違うのかというのです。そこが私はどうしてもわからない。あなた方の説明をけさから一日じゅう聞いておったのだが、どうしたって理解できぬのです。だから、理解できるように答弁をしていただければ、三十秒にして私は質問をやめます。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
434
○広瀬(眞)
政府委員
先ほど大蔵大臣から御答弁もございましたが、要するに
国鉄
は諸改良、
輸送力増強
といった当面の問題に忙殺をされておりますので、
建設
審議
会の趣旨にもありますように、これと切り離して別個の
責任
体制を確立してやろう、こういうことでございますから……。 〔発言する者あり〕
木村委員長(木村俊夫)
435
○
木村
委員長
静粛に願います。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
436
○広瀬(眞)
政府委員
責任
体制を明確にいたしまして
建設
線を今後促進してまいろうということでございまして、たしかに先生のおっしゃいますように、
方法
としては
国鉄
自体に
政府
の
出資
をするということもございますが、要は、
責任
体制を明確にして、
国鉄
は在来の改良に重点を置いてやってまいらせよう、
公団
は国全体のことを考えまして
建設
線を推進してまいろうということでございまして、たしかに先生のおっしゃるような
方法
も考えられないわけではございませんが、私どもは後者をとったわけでございます。
楯委員(楯兼次郎)
437
○楯
委員
もう一言で終わりますが、そういうむずかしい理論じゃないのです。簡単に言うと、
公団
ならば
政府
が金を出してやろう、
国鉄
ならだめだ、それはどういうことか、こういうことを聞いておるのです。内容は同じですからね。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
438
○広瀬(眞)
政府委員
公団
は
新線建設
に邁進してまいろうというわけでございまして、これに
政府出資
をやってまいろうということでございます。
楯委員(楯兼次郎)
439
○楯
委員
わからぬですな。わからぬけれども、まあ十分間ということだから私はやめますが、その答弁はだれが聞いたって、公正に聞いたらわからぬと思うのですよ。
公団
なら
新線建設
をやるから金を出すが、
国鉄
は出さぬというのは、あなたら、そんな答弁をされておったら笑われますよ。私はどうもわからぬ。同じ内容で、同じやることをやって、同じ
政府機関
で、なぜ
公団
なら金を出し、
国鉄
なら金を出さぬか、その根拠を聞きたいということを言っておる。もうやめます。
広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)
440
○広瀬(眞)
政府委員
責任
体制を明確にしてまいろうということでございます。
細田委員(細田吉藏)
441
○細田
委員
本
法案
に対する
質疑
はこの
程度
にて打ち切られんことを望みます。
木村委員長(木村俊夫)
442
○
木村
委員長
ただいまの細田君の動議に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
木村委員長(木村俊夫)
443
○
木村
委員長
起立多数。よって、本案に対する
質疑
はこれにて終局いたしました。
—————————————
木村委員長(木村俊夫)
444
○
木村
委員長
これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。關谷勝利君。
關谷委員(關谷勝利)
445
○關谷
委員
私は、この
日本鉄道建設公団法案
に対しまして賛成の意思を表明いたします。 この
法案
が
提出
せられまして以来、全国各地から来ておる数百通にのぼりますところのこの
法案
通過要望の電報等を見まして、私はその要望の熾烈なのに驚いたような次第でありまして、この
法案
通過は、全
国民
の要望であると考えております。
国鉄
当局は、
国鉄
新線
の
建設
は
赤字
になる、そうして
国鉄
の独立採算が危殆に瀕するというようなことで、
国鉄
に
新線建設
の意欲がないのと、一方におきましては、後進
地域
の
開発
あるいは
地域格差
の是正等を達成いたしまするためには、どうしても
新線建設
は別途に切り離してやる以外に
方法
がないということは、
国鉄
に関心を持つ人のだれにもよくわかっておる事実であります。その点が私どもの賛成の第一点であります。 またこの
公団
は
赤字
は必至でありますることはだれが考えてもよくわかっておりまするが、設立の目的からいたしまして、究極的には
政府
が
一般
会計から
補助
をするということが言外に含まれておりますることも、これまたたれしも了解し得るところであります。 なお、
国鉄
の
予算
が膨大であるということで、従来も
国鉄
新線
を促進しようと言いました場合に、大蔵大臣が楯君の先ほどの質問にはっきり答えておりまするように、
国鉄
にはなお合理化の余地があるではないかということばかり議論せられて、十何年か
新線建設
を促進しようとしてもでき得なかったのも事実であります。そのような事態を解消するためには、
国鉄
全般の経理から
新線建設
だけを切り離すことによって、そのような議論を省略することができて、もっぱら
新線建設
を促進することができると大蔵大臣ははっきり政治情勢をぶちまけて言っておりますることも、私たちは十分了解するところであります。以前、池田総理も自由民主党の政調会長でありました当時に、
国鉄
に対しまする
新線建設
は別に考えなければならぬ、また
国鉄
へは
補助
もしなければならないと言いながらも、もう一年だけ合理化というところで考えてみようじゃないか、その後に別に考えようというようなことを言ったこともあるほどです。これは内部事情でありますけれども、そんなこともあるのでありまして、これを切り離すことによって、私は
新線建設
を促進することができるというふうに考えておるものであります。 なお、この
公団
の
建設
線につきまして、無償貸与とか有償とかいうようなことを言っておりますけれども、設立の目的からいたしまして、第二十三条はそのただし書きのほうに重点を置くべきだと考えております。「運輸大臣が後進
地域
その他特定の
地域
の
開発
等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した
鉄道
施設は、無償で貸し付けることができる。」というのは、後進
地域
等の全
鉄道
に適用することができることはだれが考えてもわかっておる理屈でありまして、これをとやかく言う根拠はないと思うのであります。 なお、また、
新線建設
によります
赤字
をはっきり区分することによって、
一般
会計から補てんする金額の算定を容易にすることができることは、だれしもよく理解するところでありまして、繰り返して申し上げる必要もないのであります。 なお、先ほど所得倍増
計画
というものは
企業性
の向上であって、公共性には反するのだからこれはやるべきではないと楯君は言いましたが、所得倍増の
基本
となりますものは経済基盤の強化でありまして、
道路
、
港湾
、
鉄道
、住宅、工業用水を完備することが
前提
であることは、所得倍増
政策
に述べられておるとおりでありまして、その線に沿っておることは、所得倍増
政策
を論ずる人にはだれしも了解せられておる事実であります。 私は、あらゆる面から考えまして、
国鉄
の
負担
を減少し、
新線建設
の促進をいたしますためには、この
公団
がぜひ必要であると考えまして、賛成をいたすものであります。(拍手)
木村委員長(木村俊夫)
446
○
木村
委員長
肥田
次郎
君。
肥田委員(肥田次郎)
447
○肥田
委員
私は
鉄道建設公団法案
に対してどうしても反対せざるを得ないいろいろな問題を残しておると思うのであります。時間的にはこの
法案
が
提出
されてからきわめて不十分な
審議
であったと思っておりますし、それから、今日まで
政府
に対して
質疑
を続けてきましたが、その結果次の点が明らかになりました。 すなわち、現在
鉄道敷設法
別表
によるところの
予定
路線
は二百三十一
路線
を数え、そのうち
着工線
が四十七線、
調査線
に至ってはわずかに十八線で、その多くは
政府
がいうところの所得倍増
政策
とは実ははなはだ無縁の
政治路線
の性格が強いのであります。これらに対する対策は、
国鉄
、
政府
当局、いずれもがお手上げであるという
実情
がわかりました。こうした現況を打開する便法として
政府
が考えついたのがこの
鉄道建設公団法
である、こういうふうに考えられるのであります。現在
国鉄
が
実施
し得る能力を十分に持っておるにもかかわらず、
鉄道
建設公団
にこれを移譲をして、そこでさらに政治的な意図がいよいよ強くなってくる、こういう印象を受けるのであります。ですから、今後の
公団
の運営に多くの
問題点
があることはもう自明の理でありまして、これは当局の見解の不一致をもっても証明されると思うのであります。将来の
公団
の運営がこうした不安な
状態
のもとではとうていこれに賛成するわけにはまいりません。したがって、現在の
国鉄
が施工しつつあるところの
新線建設
をいま直ちに
公団
に移行させるというような必要はさらさらないということを考えるのでありまして、
国鉄
で十分その任務を果たし得る、こういうことを私たちはいよいよこの
質疑
の間で自信を持つに至ったのであります。 また、
国鉄
の
経営
は、すでに皆さんが御
承知
のように、決して現在安定した
経営状態
には置かれておりません。多くの
赤字
路線
をかかえておりますし、その上に
輸送
の問題とそれから施設の保守という点では、事故が多発している今日の条件の中では、われわれとしてもうとうていこのままに放置できない、こういうことさえも考えておるのであります。そういう
状態
の中で、いままで
国鉄
に対してとっておったところの
政府
の利息
補助
の打ち切りや、それから新たにつくるところの
新線
の貸与や譲渡についても現況に即さない多くの
問題点
が残っておるように思います。その点では、これも
質疑
の中でわれわれが憶測して自信が持てることは、
政府
とそれから
国鉄
当局の間でも必ずしも
意見
の一致を見ておるとは思えない、こういうことが感ぜられたのであります。 こういうふうに多くの問題を残しておる
実情
の中で、社会党は、現況に即したところの、いわゆる時宜に即した
新線建設
緊急
措置
法案
というものを
提出
しました。ところが、これを
政府案
と対比して
審議
することなしに、御
承知
のように一方的にこれの
審議
が打ち切られたということは、
法案
審議
のたてまえからしてもきわめて不満であるという態度をわれわれは明らかにせざるを得ません。したがって、この
法案
に多くの
問題点
を残しておりますので、われわれはわれわれの
提案
しておるところの
法案
が対比して
審議
されるべきであるということを強調いたしまして、反対をいたしたいと思います。(拍手)
木村委員長(木村俊夫)
448
○
木村
委員長
内海清君。
内海(清)委員(内海清)
449
○内海(清)
委員
わが国におきます今日の経済的、社会的あるいは地理的ないろいろな情勢から考えまして、わが国におきましてはいまだ
鉄道建設
は必要であり、なおこれを整備しなければならないということが考えられるのであります。しかしながら、
鉄道新線
につきましては、
企業
採算的には、特別のものを除きまして、ほとんどペイしないものであります。したがって、
独立採算制
の
国鉄
ではなかなかこの
新線建設
が進まないことは過去の実績から見ましてもいなめない事実であると思うのであります。これらの矛盾と内蔵した
新線建設
問題を
解決
しようというのがこの
公団
法であると私は考えるのであります。 しかしながら、今日並びに今後におきます
国鉄経営
の現状からいろいろ勘案いたしまして、この
法案
を検討し、さらにまた今日まで行なわれましたなお不十分であります
質疑
応答の中から考えてみましても、いわゆる十
年間
に五千億の
建設資金
が必要とされておるのでありますが、この
建設
財源が
政府出資
と
国鉄出資
がどういうふうにあんばいされるか、このことはさらに明らかにされていないのであります。私どもは、この面につきまして、今後
政府出資
についてはどの
程度
まで増大され、
国鉄出資
については、その健全
経営
を
確保
する
意味
からいたしまして、これをどの
程度
最小限にとどめられるのか、この点が明らかにされなければならないと考えるのであります。 同時に、また、
公団
収支は、どう見ましてもこれは恒常的に
赤字
であると考えるのでありまして、健全な
公団
財政は可能とは容易に考え得ないのであります。このことはすなわち法第二十三条の
鉄道
施設の
国鉄
に対します譲渡または貸し付けにあたって、とかく弱い
国鉄
にそのしわ寄せが負荷される危険を包蔵しておると思うのであります。しかるに、この点に関しまして
国鉄
に対し不当な
負担
を与えないということが、これまた何ら明らかにされていないのであります。 この二つの点が、私はこの
法案
におきましては最も重要な点であると考えるのでありますが、この二点に対します明快なる検討が行なわれ、これが明らかにされておりません本案に対しては、反対いたさざるを得ないのであります。 以上、簡単でありますが、反対の討論にかえる次第であります。
木村委員長(木村俊夫)
450
○
木村
委員長
これにて討論は終局いたしました。 これより採決いたします。
日本鉄道建設公団法案
に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
木村委員長(木村俊夫)
451
○
木村
委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
—————————————
久保委員(久保三郎)
452
○
久保委員
この
法案
はただいま原案のとおり可決されたのでありますが、私は、さきのわれわれの討論の中で申し述べたとおり、
日本鉄道建設公団法
は
鉄道新線建設
を積極的に推進しようとするために、従来
国鉄
が行なってきた
新線建設
を
日本
鉄道
建設公団
を設けて行なわせようとするものが本
法案
の趣旨とされておるのであります。しかしながら、次の
理由
によって、本
法案
は目的を達成できないばかりか、
新線建設
に混乱を先ずるおそれさえあるので、否決をいたし、次の諸点の
解決
をはかるべきものと思います。 一、従来
新線
が意のごとくならない根本的原因は、その必要
資金
が
国鉄
の現状からして
確保
できないものであるから、
政府
が
新線建設
を
公共事業
として主としてその費用を
負担
することであるが、その問題を本
法案
は
解決
していないのであります。 二、わが国の
経済発展
、
地域格差
の解消について必要緊急な
新線建設
の緊急整備の立法
措置
を講ずることが先にとられねばならぬものであるにもかかわらず、本
法案
では何ら触れておらないのであります。 三、
新線建設
の隘路は、国有
鉄道
の手によって行なっているからではなく、根本的な隘路はただいま私が二に述べたとおりであって、
公団
を新設することによってではないのにもかかわらず、
国鉄
から
新線建設
を切り離すことは、
組織
の繁雑を来たし、
効果
的でないばかりでなく、法文の趣旨に合致しないものと考えます。 四、先ほど賛成討論の中では、本
法案
の成立を要望する多くの声があるということでありますが、その要望は
新線建設
を促進しろという要望であって、いま可決されたところの原案どおりの
建設公団
法によっては断じてこれは達成できない。この
公団
法によってすべてが
解決
するように世間を幻惑されるようなことは、政治的な
責任
からいってもとうていわれわれは容認できない、かように考えます。したがってわれわれはこの際少数
意見
を留保するものであります。
—————————————
木村委員長(木村俊夫)
453
○
木村
委員長
この際おはかりいたします。すなわち、ただいま可決いたしました本案に関する
委員
会報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
木村委員長(木村俊夫)
454
○
木村
委員長
御異議なしと認め、さよう決しました。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後十時十三分散会 ————◇—————