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1963-06-24 第43回国会 衆議院 運輸委員会 第35号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十四日(月曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 山田 彌一君 理事 井手 以誠君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       安藤  覺君    有田 喜一君       有馬 英治君    伊藤 郷一君       伊藤宗一郎君    尾関 義一君       加藤常太郎君    簡牛 凡夫君       壽原 正一君    關谷 勝利君       田澤 吉郎君    中馬 辰猪君       福家 俊一君    増田甲子七君       大原  亨君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    楯 兼次郎君       松原喜之次君    矢尾喜三郎君       内海  清君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第四部長)  關  道雄君         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (大臣官房長) 今井 榮文君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      広瀬 真一君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  向井 重郷君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     河村  勝君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月二十四日  委員川野芳滿君、砂原格君、下平正一君及び松  井政吉辞任につき、その補欠として田澤吉郎  君、安藤覺君、大原亨君及び楯兼次郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺君、田澤吉郎君、大原亨君及び楯兼  次郎辞任につき、その補欠として伊藤宗一郎  君、川野芳滿君、下平正一君及び松井政吉君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員伊藤宗一郎辞任につき、その補欠として  砂原格君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉄道新線建設緊急措置法案久保三郎君外九名  提出衆法第四六号)  日本鉄道建設公団法案内閣提出第一〇〇号)      ————◇—————
  2. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 これより会議を開きます。  去る二十日本委員会に付託されました鉄道新線建設緊急措置法案議題といたします。     —————————————
  3. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。久保三郎君。
  4. 久保議員(久保三郎)

    久保議員 ただいま議題となりました鉄道新線建設緊急措置法案提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、日本国有鉄道が行なう鉄道新線建設の、緊急かつ計画的な実施を促進するため、鉄道新線建設十ヵ年計画策定とその実施に要する国庫負担等について必要な規定を設けようとするものであります。  御承知のとおり鉄道新線建設は国の産業開発経済発展、あるいは地域格差の是正のためには大きな役割を果たすものであります。したがって、鉄道敷設法第一条別表により定められています予定鉄道線路は総数において二百三十一線に達する多きを数えております。  ところが、そのうち現在建設工事を進めておりますいわゆる着工線はわずかに四十八線であり、また次に着工予定されています調査線は十五線という実情であります。しかもこれらの着工線及び調査線につきましても、現在国鉄が行なっております毎年六十億ないし八十億程度建設資金投資規模では、今後十年先はおろか、二十年先になっても完成を見ないのであります。今日までの建設のテンポをもって今後を予測しますならば、着工線及び調査線合計六十三線をすべて完成させるためには四十年ないし五十年の歳月を見込まなければなりません。加えて鉄道敷設法第一条別表予定鉄道線路二百三十一線の全部を完成させるとすれば、これは何百年もかかり、その必要とする建設資金もこれまた天文学的数字となるのであります。  鉄道新線建設が必要とされながら、なぜこのようにそれが進まないのか、その理由は大きく分けて次の三点にあると考えられます。  その第一は、現在の国鉄経営方針であります。国鉄はその経営が苦しいあまり、いわゆる企業性の追求に急となり、独立採算制というたてまえからも、金のもうかる面にのみその力を注ぐといった経営方針にならざるを得ない状態にあります。そのためその本来の使命である公共的任務についてややともすれば欠けるうらみを持つのであります。しかも最近における輸送の逼迫は、鉄道新線建設よりも、現在線区輸送力増強し、激増する輸送の要請にいかにこたえるかが重要な問題となってきております。すなわち輸送力増強輸送近代化が緊急の仕事となっているのであります。これらは三十二年度から始めた国鉄第一次五ヵ年計画及び三十六年度からの第二次五ヵ年計画を通じて示された今日の国鉄の偽らざる姿であります。  このままの状態を続けておるならば、新線建設の面において毛きわめて大きな問題が横たわっていると考えるのであります。現在、建設が進められている着工線と、近く着工する予定調査線の全部について建設を完了されるまでに必要とされている総工費は合計して五千億といわれております。これらの資金についてどのように確保するかが大きな問題であります。すでに国鉄は第一次及び第二次五ヵ年計画を通じ、今日までの長期負債総額は六千億に達しています。先日発表されました国鉄諮問委員会の答申によりますと、今後とも現在の投資規模を維持して国鉄輸送力増強輸送近代化を進めますならば、昭和四十五年には負債総額は二兆四千億をこえ、支払い利子のみでも年間約千六億円、つまり予定される収入の二割が利子支払いに充てられるという国鉄経営破局を予測しているのであります。さらにこの推計には鉄道新線建設を含めておりませんから、これに今日以上に鉄道新線建設を行なうこととし、そのための借り入れ金を増加することとすれば、破局が一そう早く訪れるであろうことは論をまちません。  鉄道新線建設のために巨額の資金を必要とし、その資金措置の困難さが、鉄道新線建設が進まない第二の大きな理由なのであります。  加えて鉄道新線建設は、その資金が巨額であるのみならず、完成までの懐妊期間が長く、未稼動資産となって経営上にもまた多くの圧迫を加えるのであります。これらの点よりしますならば、その建設資金の手当てをどうするかを考えない限り問題は解決しないのであります。  また第三の理由として指摘しなければなりませんのは、建設された鉄道新線経営の問題であります。戦後鉄道新線建設が再開されましたのは、名目的にもせよ日本が独立したといわれました昭和二十七年からでありますが、その後今日までに約六百億円にのぼる資金をもちまして、合計五十四線、二千九十六キロの新線建設しているのでありますが、そのうち開業致しております線区全線二十一、部分八の二十九線、六百五十一キロにすぎません。しかもこれらの新線は今日に至るもすべて赤字経営であります。今後建設されるであろうところの新線につきましても、資料によりますと、海峡連絡鉄道を除きまして、そのいずれもが、すべて赤字経営を予想されておるのであります。かりに先ほど申し上げました現在の着工線及び調査線につきまして、すべて完成したときの経営について予測してみますと、営業上生ずる赤字利子負担を含めずして年間六十四億円をこえると予想されるのであります。このようなことでありましては、新線建設が進めば進むほど国鉄経営はますます苦しくなり、ごく最近の機会に決定的な破局を迎えるであろうことを予想しないわけには参りません。  また一般に、鉄道経営は巨大な固定資本を必要とするにもかかわらず、一方では安い運賃大量輸送を行なうという公共的使命を持つものでありまして、投下資本に対して利潤の少ないのが特徴とされておる企業であります。したがいまして、従来から営業しております線区と、新しく建設された線区では、その減価償却費に大きな違いが生ずるのでありますが、それを理由として、線区ごとに違う賃率を適用し、事実上鉄道新線のみ高い運賃とするようなことは許さるべきではないと考えます。したがいまして、今日のままの状態鉄道新線建設を促進いたしますならば、結果において全体の運賃値上げを早い機会に導き出すこととなり、これまた私どもとして容認すべからざることとなるのであります。  鉄道新線建設について考えます場合には以上のような現実に立って、これを一つ一つ解明し、その解答を与えてやる立場に立たねばならぬのであります。  そこで、政府提案鉄道建設公団法案は率直に申し上げて、これらの根本的な問題には何らの解決が与えられておらないように考えるのであります。公団をつくれば、新線建設が促進されるというがごとき、ごく単純な理解しかなされていないのではないかといわざるを得ません。同法案によれば、本年度政府出資はわずかに五億であります。他は国鉄出資七十五億を予定しているのでありまして、この限りにおいては何等従来の建設規模と変わりがありません。このようなものであるなら別に公団を設ける意義がないと思うのでありまして、どうも納得ができない点が多いのであります。その上公団でつくりました新線は原則として有償で国鉄に貸すか譲渡するというのであります。自分で金を出してつくったものにさらに金を出して借りるといった不合理な規定が書いてあるのであります。しかもそれは前にも申しましたようにすべて赤字が予想される線区でありますから、かりに無料で借りましたといたしましても、赤字の重圧に悩まされるのは当然のことであります。しかも同法案は、赤字経営によって生ずる国鉄負担について何らの規定もいたしておりません。それはつまり、赤字国鉄で始末せよとのことでありましょうが、これはたいへん不合理な話であります。その上、公団ができますと、せっかく長い間の経験を持つ国鉄工事要員を二分することとなり、第二次、第三次という五ヵ年計画の過程ですでに不足が伝えられています工事要員をさらに縮小し、その弾力的運用を失わしめるといった損失、あるいは公団役職員、特に管理者ポストのみが増加する結果になるといった大きなむださえ生むのであります。  要するに公団の設置は百害あって一利なしという結果になるのであります。  もちろん政府提案鉄道建設公団法案が出されるに至った経緯は簡単なものではございません。その基本は、鉄道建設審議会の昨年五月に出されました建議に基づくものであることは十分承知をいたしております。ところが、この建議の根幹をなすものは実は建設資金確保に関するものであって、すなわち鉄道新線建設一般国民に与える有形無形の便益の増大と国家経済に与える効果の多大なることにかんがみ、国家的な政策上の見地から論ずべきであり、日本国有鉄道企業的立場からのみこれを論ずべきではないことは明らかである、したがってこの矛盾解決方法としては、鉄道新線建設道路港湾整備等と同様に政府公共投資とする以外にないものと思量せられる、よって今後の新線建設については、政府公共事業として、その主たる財源を負担することが適当であると述べております。この前提に立ってのみ、国鉄と別個の組織を必要とする旨示唆したものにすぎないのであります。ところがいつの間にかこの本末を転倒し、枝葉の部分のみが持ち出され、幹の部分は置き忘れられている感が強いのであります。  このような政府案基本的欠陥をただし、今日の国鉄実情及び新線建設のあり方などの諸点を正しく理解する中から、ここに鉄道新線建設緊急措置法案提案する次第であります。  申し上げるまでもなく、この法案は、鉄道新線建設は、従来どおり日本国有鉄道をして行なわしめることを前提とし、建設公団といったような別な組織によることを考えておりません。それは、すでに申しましたところで明らかなように、国鉄公団かが現在新線建設問題点ではないからであります。国鉄技術陣をもってすれば、今日予定されております鉄道新線建設は決して不可能ではございません。いな、むしろ国鉄技術陣の手にまたなければ、かえって多くの障害さえ予想されるのであります。さらにつけ加えて申し上げますならば、政府は現在ある公団その他の政府機関につき、なるべく合理化し、その縮小をはかろうとの方針承知しておりますときに、公団を新たにつくるというのでは筋が通らないかと考えます。いたずらに組織をつくり、機構を複雑にするようなことは厳に慎しむべきでありましょう。  鉄道新線建設が遅々として進まない理由として、冒頭三つの点を指摘いたしました。この三点について、どのように解明するかによって、新線建設の正しい回答が与えられるのであります。この提案は、この三点について次のように措置することが骨子となっているのであります。  その第一は、鉄道新線建設は、単に国鉄といった企業的な立場だけから見ることを排除し、政府において、日本国有鉄道及び鉄道建設審議会意見を十分に聞き、高い見地、広い視野より、国の政策として、本年度以降十ヵ年計画を定めることとした点であります。  もちろんこの十ヵ年計画策定にあたりましては、法案規定いたしました必要な手続を経ることは当然でございますが、特に、その計画を具体的に樹立するにあたって、いやしくも世間から政治路線の指弾を受けますような、政治的圧力によってそれが左右されることのないように、厳正に取り扱われることは絶対の要件であります。しかも路線の選定にあたっては、個々路線について、他の輸送機関、たとえばバスとかトラックとかの自動車輸送との競合がどうなるかといった問題、あるいは鉄道新線建設よりも道路建設のほうがより住民福祉の向上に役立つのではないかといったような問題など、総合的な立場に立って、科学的な検討が加えられ、今後の経済発展地域開発とも関連した十分な配慮がなされねばなりません。  計画がいわゆる総花式となりますと、いたずらに予算の乱費となり、十分な経済効果を発揮し得ないのみか、国としても過大投資、あるいは二重投資三重投資の弊害となり、大きな損失を招く結果となるのでありますから、この点は、ぜひとも慎重の上にも慎重を期さねばなりません。  なお十ヵ年間新線に対する投資規模はおおむね三千億円程度が適切妥当ではないかと考えるものであります。  第二点は、十ヵ年計画に基づく鉄道新線建設に要する経費の半額を国において負担し、国鉄経営に加えられる圧迫を幾らかでも緩和するとともに、新線建設の隘路となっています建設資金確保をはかろうとしている点であります。この点については、すでにるる申し述べたとおりでありまして、多くを申し上げる必要はございません。しかしながら、特に次のことについてのみ触れておくことが必要であろうかと考えます。  それは、国の負担をなぜ半額としたかということであります。本来ならば、日本国有鉄道全額政府出資公共企業体でありますし、きわめて苦しい経営をいたしておるのでありますから、全額政府負担であっても当然ではないかと考えるのであります。  またそういう意見もしばしば聞かれるのでありますが、現在におきましては、他の政府機関、あるいは他の道路港湾といった公共事業に対します国庫負担割り合いを勘案し二分の一と定めた次第でありまして、この点は十分な御論議を承りたいと考えるところです。  第三の点は、国鉄新線完成後、その営業にあたって免じた欠損について、国から補助を行なうことを明らかにした点であります。これは現在予想される鉄道新線のほとんどが赤字経営であろうと推測されることにかんがみ、新線建設によって免ずる国鉄経営上の圧迫を幾らかでも排除し、それによって、健全な経営を維持するための措置でありまして、補助をする具体的な額は、毎年度予算によるのでありますが、その基準となります計算の方法運輸省令で定めることにいたしております。  以上がこの法律案提出理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  5. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 次に、日本鉄道建設公団法、案を議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。加藤勘十君。
  6. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 まず第一に、鉄道建設公団法案につきましてはすでに同僚の諸君から若干の質疑がなされておりまするので、あるいは重複する点があるかもしれませんけれども、それはそれとして、私は本来的な意味においてのこの公団建設がなぜ必要であるか、その点をお伺いしたいと思います。
  7. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 加藤委員にお答え申し上げます。  なぜ鉄道建設公団法が必要であるかということにつきましては、前にも御説明申し上げたと思いますが、ただいま久保委員から読み上げられました鉄道新線建設緊急措置法案と全く同じような理由でございます。現在の日本鉄道新線建設国鉄に一任されておるわけでございますが、これだけではこの三千億あるいは五千億円にのぼる国民の要望する新線建設することはとうてい不可能でございます。いまのやっと七十五億円もほとんど出し得ないような国鉄の現在の経営状態では、今後五十年、六十年たちましても、この国民の希望を達成することはとうてい不可能でございます。したがいまして、何とかして十年なり十五年以内にこのような国民の要望する新線建設いたしまして、国民福祉を向上させることが最も大切であると考えるのでありまして、そのためには国鉄だけに責任を持たせるのではなくて、国でも十分に責任を持ち得るように、そしてまた公団自身におきましても、公債その他の発行によりまして、資金の調達ができまして工事の促進ができますようなことを考えまして、鉄道建設公団法案提案いたしたのでございます。
  8. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 建設公団ができるとどうやってすぐに金ができるのですか。いまおっしゃるとおり、政府もその責任を負わなければならない、公債発行して一般からの資金の徴募もできる、こういうようなお話ですが、それならば国鉄が現在やっておる新五ヵ年計画に基づいてやるということとどういう違いがあるのですか。国鉄においてでも、もし基準の上において公債募集ができぬとするならば、それをできるようにすればいいじゃないですか。建設公団ができるというが、建設公団そのものはある意味からいけば建設について管理機関なんです。一つ技術があるわけではない。結局鉄道技術を二分するということ以外にない。二分もしくは鉄道技術を移譲する、転出せしめるということ以外にはないわけであります。それはどこから新しい技術要素が生まれてくるのですか。現在の国鉄技術陣にまさる技術陣日本のどこにあるか。そしてまたそういうものが公団の必要とするようなところに来るかどうか、そういうことだって将来の問題でわからぬと思うのです。私は結局公団国鉄技術陣を転出せしめる、移譲せしめるということ以外にはなかろうと思うのですね。資金も、この法案によれば、政府はわずかに五億円、国鉄が七十五億円出して、将来全線完成のためにはおよそ五千億円が必要とされておるという資金事情に基づいて考えるときに、一体これによって年額八十億円どこからどうして公債を募集するのか。またそのような国鉄建設だけの公債募集が、年額どれくらいになるかわかりませんが、他の一般金融事情と関連して許されることであるかどうか。それからまた受益者負担というような形において地元にどういう負担をせしめるのか。鉄道を敷いて一年一回か二回乗るという人がどういう負担をしなければならないのか。一体受益者負担というものが、鉄道建設の場合に、公然と他の区画整理等に基づく受益者負担と同様に法律上の義務を負うのかどうなのか。もし法律上の義務を負わないとすれば、地価の値上がり等によって利益を受けるから、その分で公債を引き受けるという形において負担をするのか。それともこれは地方の自治体自治体として負担をするのか。あるいは個々の個人が負担をするのか。この点がこの法案では明確になっていないのですが、どちらでしょうか。
  9. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 御質問の数が非常に多いのでございますので、順次それぞれわれわれ御答弁申し上げますが、もし答弁し残しました点は御指摘いただきまして、また御答弁申し上げたいと思います。  いろいろな資金の問題の御心配でございますが、資金は御承知のように国鉄で新五ヵ年計画をつくってはおりますけれども、とうていこの五千億あるいは何千億というような新線建設には手が及んでいないのは御承知のとおりでございます。これは御存じのように、国鉄がいかに収入が多くなりましても、現在の東海道新幹線の問題につきましても、三十八年、三十九年にわたりまして約九百億の補正を要するような現状でございます。しかも改良工事あるいは保安設備、そういうことを考えますと、とうてい、いまの国鉄収入がかりに倍になりましても、あるいは国が五百億、六再億の十分な補助をいたしましても、このほとんど大部分の金は、いま申しましたような改良工事なりあるいは保安対策なりに使わなければなりませんから、ある程度赤字は見込まれますので、とうてい新線には使い得ないことは十分に御了解がつくことと思います。そういう意味で、何とかして手を打たなければ、多数国民の要望する新線をつくることができないというのがわれわれの考え方の骨子でございます。どうしてその資金的な問題を解決するかと申しますと、やはり国鉄がいままでほとんど義務的なように出しておりました七十五億円程度の金は国鉄から出してもらいますけれども、なおこれに上回る国からの出資を多く得たいと思うのでございます。ことしはわずか五億円の出資であり、さらに五億円これは貸し付けの金がございますけれども、これは本年度公団発足の当初でございまして、公団をつくるということ、人員を集めるということ、そういうことにおもに時間を食われますので一応その程度に落ちつきましたが、来年度からはもっともっと多くの国の出資を得るように努力する所存でございます。  なお公債発行でございますが、現在でも国鉄債券発行いたしております。しかし債券はほとんど改良工事保安対策、そういう方面に使われているものでございます。したがって今後とも国鉄はもちろん債券発行をいたしてまいりましょうけれども、やはりこれは現在の改良工事あるいは保安対策に使われるのが当然でございまして、新線建設のほうにこれはとうてい向ける余裕は現在のところありません。したがいまして、この公団においてやはり債券発行してこれを新線建設一つ資金にいたしたい、こういうのが一つのねらいでございます。  技術的な問題でございますが、とにかく新線をどんどんつくります以上は、現在国鉄にこの仕事をやらせるといたしましても技術陣増強が必要でございます。現在の技術員は現在最高度の能力を発揮しているわけでございますから、それ以上の新線建設仕事がふえればやはりそれ以上に技術陣を強化、増強する必要がございます。そういう意味で、公団ができましても、できませんでも、技術陣増強は必要でございますから、その増強分新線公団のほうで受け持つわけでございます。もっともいま現在国鉄として新線建設を七十五億円でやっておりますから、その分に相当する技術陣国鉄から公団のほうに来ていただきたいと思いますが、それは大体七百人程度でございまして、そう大きな影響を国鉄に与えるものではなかろうと思います。それで技術員を動員するということは、これはどんな場合でも必要でございますから、もちろんいままで国鉄で働きまして、なお能力がありながら年齢的な問題で退職しているとかいろいろな人がございます。そういう人にさらにまた十分に働いてもらいますが、また新しい技術員を動員しなければならないと思うわけであります。  一年に一回乗るか乗らないような場所にまで早急に鉄道をつくる気持ちはございません。やはりその地域住民の非常な要望がありまして、どうしても鉄道を利用しなければならぬという希望が大いにあるところから鉄道建設を始めてまいるわけでございますから、一年に一ぺんか二へん乗るか乗らぬというところにまではなかなか公団としても手が及ばぬだろうというふうに考えております。そういう意味で、これから詳しいことはまた鉄監局長からお答え申し上げさせるわけでございますけれども、負担につきましては、先ほど社会党から御提案になりました緊急措置法案にありますように、その地域だけ高い運賃をとるわけにはまいりませんでしょうし、やはり公平な負担にしなければならない。したがって、そういう意味から申しましても、その地域住民に対して特別な負担をかけるわけにはまいらないと思います。そういう意味公団は強要はいたしておりません。たとえば公団債を発行する場合に、自分らがどうしてもほしければ自発的に協力してくれるでありましょうし、このような法律的な強制はないのでございます。  なお、詳しいことにつきましては鉄監局長からお答えさせたいと思っております。
  10. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 ただいまの政務次官のお答えで大要は尽きておりますが、こまかい点を若干補足させていただきますと、本年度は確かに公団発足の時期でございまして、政府出資は五億円、それからほかに運用部資金の借り入れが五億ございますが、第四条の第四項で、政府及び日本国有鉄道は、必要があると認めるときは予算で定める金額の範囲内で公団に追加出資ができるというふうになっておりまして、将来は追加出資というものを大いに期待しております。この公団をつくりました趣旨も、先ほど政務次官が申し上げましたように、公共事業的な考え方で新線建設を進めてまいろうということでございますので、政府も大いに力を入れていただかなければいかぬというふうに考えます。  なお、公団債券の問題でございますが、先ほど先生からもちょっとお尋ねがあったと思いますが、国鉄でやっておりますような利用債というようなものは考えておりませんで、一般鉄道債券的なものを考えております。  それから技術陣営の問題でございますが、これも政務次官のお答えで尽きておりますが、現在建設局系統で新線建設に従事している職員というものはかなり明確になっておりますので、主としてこういった職員を中心に技術的な陣営を立ててまいろうというふうに考えております。
  11. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 もし建設公団ができて新しい技術陣を動員しなければならないというときに、現在の国鉄建設事業を推進するという意味において国鉄自身に補充したらどうか。しいて公団をつくって、公団という別個の公法人格といいますか、そういう人格をつくっても、結局それは将来は経営するのでも何でもない、建設そのものだけを担当するということであって、ある意味からいえばぼくは公団自体は管理機関にすぎないと思うのです。そうすると管理のためにさらに現在の国鉄建設事業をあちらに移すということになるわけですけれども、形は国鉄であろうと公団であろうと、早くできればいいという考え方であるかもしれないけれども、ある意味からいくと、また公団という屋上屋を架するような管理機関ができて、そこに官僚が再び——国鉄かどこか知らぬが、そういう官僚の巣くつをつくらせるということになる危険性は多分にあると思います。他の、現在見る政府関係の公社、公団、公庫等の実情を見ましても、行政管理庁の考え方によれば、順次こういうものは整理していくという方向に向いておるわけです。これは国論の一致するところです。公団、公社、公庫等を順次簡素化していく。ところが今度新しくまたこういうものを再び鉄道建設の急務であるということに名をかりてつくるということは、現在の国鉄に屋上屋を架する感があると思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  12. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 加藤委員の御心配の点はごもっともと思います。できるならば公団とかそういったいわゆる官僚的な組織は少ないほうが私も望ましいと思うわけでございます。しかしどうしてもそういうものは必要な場合にやはりつくらなければならぬ、こう考えまして、この鉄道建設公団は必要やむを得ざるものと考えまして、われわれはここにこのような案を考えたわけでございます。なるほど仰せのように、この建設公団管理機関であるということは、いずれはそうなってまいります。だんだん鉄道建設完成いたしまして、汽車を走らせるような時期になってまいりますと、これを管理することになってまいりますが、御承知のように現在でも六十三線の鉄道建設がございます。これだけでも、われわれは現在十年とは申しておりますけれども、十年どころではなく、十五年やそこらはかかると思います。そのようなわけで、これは管理機関だけになるにはまだまだ時間がかかります。さらに社会党御提案法案にありますように、二百三十一線の予定線があるとしますと、これは少なくとも二十年、三十年の期間は必要でございます。その間は建設事業が主でございまして、管理というものは主ではございませんから、別にこれは屋上屋を重ねるような管理機関になるようなことは考えられないのでございます。しかもこの建設公団がつくります新線は、でき上がりますと経営は全部国鉄に委託いたしますし、運転は全部国鉄に委託するわけでございますから、あとは要するに経済的な建設費用の清算とかあるいは建設費の獲得というだけの仕事でございますから、別に国鉄に対して屋上屋を重ねるような官僚的なむずかしい組織にはならないだろうと思うのでございます。こういう考え方でございます。
  13. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 これはまたあとから触れることにしますが、現在国鉄のほう——これは運輸省のほうから出された資料ですか、その資料によりますと、着工線もしくは調査線工事費、営業収入またそれに伴う経営費の数字が出されておりますが、それによりますと、着工線四十七線、二千二百二十五キロ、工事費千九百四十三億二千九百万円、営業収入が九十億三千幾ら、これに対して経営費が、経常の費用が八十七億円で、償却費が三十八億円、合わせて百二十六億三千万円、そうしますと、この着工線の損益計算は三十五億九千万円ばかりが赤字になるわけです。それから調査線が十五線、八百六十五キロ、これの工事費が一千十二億七千万円ばかり、営業収入が四十億六千万円以上、経営費が四十七億円、償却費が二十一億円、両方で六十八億六千万円ばかり、これの差し引き二十七億九千万円、約二十八億円の赤字になっております。前者のほうは比率にすると四〇%の赤字であり、後者のほうは実に六九%の赤字になっておる。両方合わせましてもこれが完成された暁においての営業状態ですけれども、工事費二千九百五十六億円、営業収入はわずかに百三十一億円、経営費が百三十四億六千万、償却費が六十億、合わせて百九十四億九千五百万円、双方合わせたものの差し引き赤字は六十三億九千万円、こういうことになっておるのですね。この数字は三十八年度の賃金、物価等の想定によって積算されたものであると思うのです。将来この物価なりあるいは賃金なりというものが上がっていくことは必至の条件ですね。ただ三十八年度の仮算においてこういう数字が出ておるし、将来もっと建設費が賃金、物価の上昇によってふえていくということになれば、営業収益は、運賃が三十八年度の計算と変わらないとするならば、非常な大きな赤字になるということは明々白々ですね。この赤字を一体どうやって補っていくか、問題はこういう点にあると思うのです。経営は全部国鉄に移譲される。しかも原則としては有償である。有償というても、おそらくどの線を取り上げても多分に一つ残らず赤字であろうと思うのですが、そうすると赤字のものは有償ではとても引き受けられぬ。当然無償の貸与もしくは譲渡、まあ貸与になると思うのですが、その場合に一体建設費の償却は使用者である国鉄負担をするのか、あるいはただ単に鉄道をつくって国鉄に無償で貸すという公団負担をするのか、公団負担をするとするならば一体どこから収入を得るか、こういう点がきわめて不明確だと思うのですが、どういうようにお考えですか。
  14. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 ただいまの御質問はまことにごもっともな御質問でございまして、われわれもその点についていろいろ苦慮しておるわけであります。建設費はとかく非常に金がかかりますので、なるほど建設の費用の割りに比しまして収入の少ないのは御指摘のとおりであります。これは公共的な性格を持ったものでございますから、その点はやむを得ないと思います。そしてその大きな負担はやはり国にかかってまいると私は思うのでございます。ただしいろいろ新線営業を開始いたしますと、全部が赤字とは申されません。ことに日本全体の経済が非常に明るい方向に進んでまいっておりますし、また国民のふところ、あるいはものの見方、考え方がだんだん変わってきておりますから、この新線建設もいままでの観念で考えたような赤字ということは、そういうことではあるまい。おそらくいろいろな方面で変わっていくのではなかろうかとわれわれは考えるのであります。しかも、たとえば青函トンネルとか根岸線は十分採算がとれてもうかる線だということは予想されるわけでありますから、こういうようなことを考えますと、必ずしもみんなが赤字であると悲観することはないと、われわれは希望を持っておるわけであります。ただいまお説のように、これは三十八年度の計算でも将来六十三億の赤字が出るのではないか、今後賃金が上がっていくならばなお赤字が増加するのではないかという御指摘、そのとおりであります。しかし賃金なり物価がある率をもって上がってまいりますれば、私は鉄道運賃もそれに比例しまして改定されるのは当然だろうと思います。そういうことも考えられますし、また国全体の景気がよくなってまいれば、現在三十八年度で予想したものよりもはるかに多くの人々が利用する、あるいは物の輸送に利用されるということになりまして、やはりそれだけの収入も上がってまいると思うのでございます。そうしてまたこの赤字は、この個々一つ一つ新線につきましてはなるほど赤字が出るかもしれませんけれども、その新線ができることによりまして、その総合的な鉄道収入と申しますが、鉄道の経済はもっと上がってまいると思うのでございます。その線は少なくとも一時赤字であっても、その線を利用することによって他の幹線なり他の総合的な鉄道収入は上がってまいると思います。こういう総合的な点から考えますと、必ずしもそう赤字ばかりではあるまい。推算は十五年、十八年先の問題でありますから、いまから詳しい予想はとてもできませんけれども、そのような希望を持って努力してまいりたいと思っておる次第であります。
  15. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 いま私のお尋ねした赤字は借入金の利子というものを全然見込んでない、ただ当局の出した数字をそのまま言うたに過ぎないのですが、将来これだけのものを建設するのに政府出資がどういう関係になるのか、それから国鉄出資が、負担がどれだけになるのか、そのほかに借入金をどの程度必要とするか、こういう見通しについてはどうですか。
  16. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 ただいまの御質問はまことに私どものほうとしても痛い質問でございます。実際そのような正確な計算を持つべきでございますが、はたして来年度政府から百億円の出資があるか、百五十億円の出資があるか、三年後には二百億あるか、そのような確かな数字をあげるわけには参りません。残念ながらこのような方針を立てますことに急でございまして、われわれはまだこまかい正確な数字を約束する段階にはまいっておりませんので、実はただいまの御質問につきましても明確なお答えを申し上げられないのでございますが、とにかくこれは公共企業的なものでございますから、その点において十分に政府の金を中心としていろいろな工事を進めるということに勉励努力してまいりたいと思っておる次第であります。
  17. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それはこの法案が早急の間にできたという関係で、日本の金融財政の実情の将来への展望が明確に持たれなければ、そのうちからどれだけこの鉄道出資に回すかということが明確ではないと思いますけれども、しかしながら少なくともこれだけの案を出して、将来主として国が負担をしなければならないということ、ことに公債にしましてもその他の形による借入金にしたって、利子が伴うことは言うまでもないわけであります。したがって日本の、少なくとも見通し得られる限り財政経済の見通しの上に、どれだけ国鉄に新しい出資が可能であるか、おおよその、少なくとも年度割りにしてどのくらいのものは出し得られるかという、そういう計算は、これは運輸省だけでなくて、政府として当然大蔵省を中心として、そういう見通しと同時に案が立てられなければならないと思います。それでないと、こういう問題に対する国民一般の納得をいかしめることがむずかしいじゃないか。このことが一つ。  それからもう一つは、将来の経営のことでありますから、赤字が出ると予想しておっても存外黒字になるかもしれぬ、黒字になると思っておっても赤字になるかもしれぬけれども、現在の国鉄経営の上からいきまして、二百何線という線があるかもしれぬが、その中でほんとうの意味においての黒字線というのは非常に少ないじゃないですか。十九か二十か。かつかつ一ぱいにいっておるのが若干あって、ほんとうの黒字というものはわずかな線であって、あとの大部分は既設線においてすでに赤字が明白になっておる。既設線はこれから着工する線に比べれば、人口密集の度合いが高いであろうし、物資の輸送の関係においても多いであろうが、その人口の密集の度合いが高く物資の輸送の量が多いと思われる現在線においてすでに赤字が明確になっておる。これは何年毛何年もの間の経営の実績です。今後さらに新しく、現在必要としている以上には必要でない——必要でないと言うと語弊があるけれども、必要の度合いが低い新線建設された後において、はたして営業成績が黒字を見込み得るという予想が立つでしょうか。その点はいかがですか。
  18. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 加藤委員のただいまの御意見はまことにごもっともでございます。最初の問題につきましては、私たちも当然年次的な資金計画を立てまして、政府はどのくらい出資すべきである、債券はどのくらい発行すべきであるという計画を立てるのが当然で、おっしゃるとおりでありますが、われわれもこれにつきましては非常に努力いたしましたが、その精細な見通しが立ち得ませんので、まことにこの点申しわけない次第であります。ただ国鉄へはできるだけいままでのような負担はかけまいという意味におきまして、毎年七十五億の出資ということを考えております。それからさらに公共企業と同等のものでございますから、その意味において国が道路港湾をつくると同じような意味にまで国の投資を進めてまいりたいと思って、それに努力する決意でございます。  それからただいまの第二の御質問、これもごもっともであります。おっしゃるとおり、必ずしも必要性が低いとは申されませんが、経済的に低い、これが予想される新線でございます。そういう意味でこの点はなるほど赤字が大部分でなかろうか、私もそのとおりに思うのであります。しかしできるだけ合理化をいたしまして、いままでの鉄道と違って、これらの新線にはもっと合理的な経営ができるような方法をとれば、たとえば人の数を少なくしてやれるとか、そういういろいろな合理的な方法をもちまして、できるだけ経費を少なくして赤字を薄めてまいりたいと思います。おっしゃるとおり、現在の時点におきましては黒字となり得る線は少ないのでありますが、しかしその点につきましてはできるだけ合理化をいたしまして、赤字を少なくしていきたいというのがわれわれの願いであります。
  19. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 もちろん将来の展望において、常に動いておる経済現象を見通すということは困難なことであります。したがって、精密な数字上の資料がなければいかぬなどというやぼなことは私も言うつもりはない。けれども、少なくも大綱だけは示してもらいたい。ただ三十八年度政府が五億円出資ということだけでは相済まないんじゃないが、少なくともこの鉄道が引かれるについては、政府に、ことしは五億円であるけれども、明年以後おおよその見当でもいいから、どれだけのものが負担し得られるという大綱だけは示してもらわぬと、この点に対する不安が消えないだろうと思います。  それからもう一つ、いまの赤字問題についての経営上の合理化の問題でありまするが、言うまでもなく、鉄道経営については、他の精密機械工場のように、すべてを自動式にやるということは不可能でありまして、どうしても人力を中心として、ただ、こまかい設備なんかの点において自動化し得るものはあり得ても、私は、機械化によって労働力を少なくするということは、非常にむずかしいと思うのです。最低限の要るものだけは要るのであって、それを減らすということになれば、今度は、労働者に対する作業量の非常な増大による圧迫になる、こういう点が考えられまするから、ただ単に合理化ということばだけで経費の負担が軽減されるというようなことは、あまりにもぼくはその場限りのことばじゃないかと思う。それだけではとても納得できないんじゃないかと思う。
  20. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 ただいまの後段のほうの御意見に対しましては、全く同感でございます。私たちとしても、確かにいわゆる人員の合理化だけで必ずしも赤字が克服できないということはお説のとおり、そのように考えます。これはしかし、いま赤字を少なくしなければならぬのがわれわれの立場でございます。せっかく国鉄経営を委託する以上は、国鉄にできるだけの負担をかけないということがわれわれの考えでなければなりません。そういう意味におきまして、できるだけの合理化をいたすつもりでございます。なるほど労働の強化をいたすようなことは、労働力にあまり負担をかけるようなことは、もちろんこれはできません。ですが、そういうことも一つ一つのちりも積もり積もって山となるのたとえのとおり、一つ一つの小さな合理化を積み重ねながら、たとえばいろいろな全体の輸送力の問題にしましても、いろいろな問題にしても、一つ一つの合理化の積み重ねをいたしまして、できる限り赤字をなくしてまいりたいのがわれわれの希望でございます。  それから先ほどの、ことしはなるほど五億円だけの出資で、来年のことははっきりわからぬじゃないかという御意見でございますが、実際は来年はどうしなければならぬという一つの目安は持っております。来年の日本の経済状態によっては、いまわれわれ一運輸省だけで来年これだけを出せということは必ずしも言いかねますので、御質問のありましたように、十分納得のいく答弁ができないことはまことに申しわけないと思いますが、一応できる限りの努力をして、必ず来年度以降は五億円や十億円でない多くの政府出資を取る決意を持って、いま働いておるわけであります。
  21. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 いまの政務次官のお答えについて、今度は大臣にお伺いしたいのですが、この法案を決定されるときに、いまお聞きのとおり、将来の政府の財政負担についての問題について、運輸大臣と大蔵大臣でもよし、運輸省と大蔵省でもよし、もしくは閣議において決定されておるかどうか、そういうことについて話し合いがなされたことがあるでしょうか、どうでしょうか。
  22. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 具体的な何千何ぼという数字につきましては相談いたしませんけれども、予算折衝のときに、大蔵大臣と折衝いたしましたときには、今後赤字線を十年間になくする方針だ、それに幾ら要るか、五千億要る、平均すると年五百億、最初は少なくとも、だんだん最後の年に至ってたくさん出るかもわからぬが、そのことについて話し合いました。
  23. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうすると、大体十年計画として、赤字を解消するために、建設費として、あるいはその間の、順次鉄道が敷かれ、営業も一部開始されていくわけですから、そういう赤字補てん等を含めて概算五千億円、年額五百億円というものについて政府はほぼ責任を持つお考えでしょうか。ただ閣議で話し合われたというだけでなく、将来責任を持つお考えでしょうか。
  24. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 ただいま申し上げましたのは、閣議の話し合いではないんです。予算折衝をするときに、その当時の大蔵大臣、すなわち現大蔵大臣とそういう話し合いをしたのでございまして、私は、この鉄道建設公団を発足いたしました経緯にかんがみまして、政府はその趣旨に従い予算措置をとるものと期待いたしております。現大蔵大臣もそう考えておると思います。
  25. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 その年額五百億円前後の負担は、どういう形において負担をされるのですか。これはどこでどういうように分担して負担するかということは別にして、たぶん私は長期もしくは短期の借り入れ金というものをも計算の中に入っているだろう。東海道新線のような場合には国際金融機関からの借り入れもすでに行なわれているが、今後のローカル線の建設にこういう国際金融機関の借り入れを受けるということは事実上不可能だと思います。そうすると、これは国内において借り入れ金なり公債発行なり、何らかの形によらなければならぬと思うのですが、この問題だけで年額五百億円の費用をどこからどうして支出するかは別問題として、相当困難ではないかと思うのです。時の金融事情にもよりますけれども、そうすると、おおよその目当てがついておらぬと、途中であるいは払えぬということもなかろうが、高利の金を使わなければならぬような羽目におちいることはないですかどうですか。
  26. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 財政のことは私どもとしては大蔵大臣を信用する以外にちょっと考えられません。大蔵大臣はそれについて必ず十年間に五千億円、それは鉄道建設公債発行するかもわかりませんし、あるいは政府保証の借り入れ金をするかもわからぬし、また低金利の各種の積み立て金と申しますか、預金部の金、郵政省の保険の金その他を流用するようなことはあるかもわかりませんが、十年間にどうしても鉄道建設してやらなければいけない、この鉄道それ自体はかりに赤字でありましても、地方の開発になるし、ひいて国民北港の向上になるし、地域格差の是正にもなりますので、それをやるには政府は何らかの措置を講じて、ただいまここで、それじゃ預金部の金を何ぼ借りるんだ、鉄道公債を幾ら発行するんだ、政府出資は幾らするというその見通しにつきましては、大蔵大臣といえどもここで的確なお答えはできぬと思いますが、総括して十年間にこれだけの鉄道建設するんだ、その熱意と方法については大蔵大臣は私以上に考えてくれているのじゃないかと思います。予算折衝のときに、この法案を本年は大蔵大臣は認めぬだろうと言っておったのを、とにかく認めさして発足したゆえんは、大蔵大臣はじめ政府、大蔵当局によほどの決意が要ることを断行したのでありますから、それを信頼するほか、運輸当局といたしまして、ここでどうこうという数字をあげまして御説明申し上げることは、私は遺憾ながら、加藤先生の御質問はごもっともではございますが、また私どもの答えられないという真意も御了承願いたいと思うのです。
  27. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それは運輸大臣が言われるとおり、ここで具体的なものでもってどうこうなんということは、それは答えられないということもよくわかっておりますが、ただ先ほどから申しておりまするとおり、将来の展望の大綱については、少なくともおおよその点だけでも示されておれば、なるほどそれだけの費用を将来政府負担したり、あるいはくふうをして鉄道をつくってくれるんだ、こういうことが国民一般に納得されるという程度のものは必要ではないかと思うのですよ。具体的なものがなくちゃいかぬというようなことではないと思うのです。しかし、それすらもここには示されていないわけなんです。その点が、われわれはこの問題を取り扱う上においてむしろ非常に一つの不満とする。これはおそらく鉄道当局でもそうだろうと私は思うのです。だから、そういう点についてどうしても大蔵大臣の意向をはっきりと確かめたい、こう思うのです。近くそういう機会があったら、私はぜひそういう手続をとってもらいたいと思う。ことに、いま大臣がおっしゃったように、この法律の主眼とするところは、経済基盤の強化をはかるということと、それから地域格差の是正をやる、この二つの点にあるわけですね。これはもっともな話でありまして、われわれも僻遠の地域におけるひとり文化施設だけではなく、教育社会諸般の施設が僻遠の地はおくれているから、そういうところを十分補って地域格差を全般的になくする、これはもうわれわれの念願とするところなんです。したがって、そういう意味においての鉄道建設ということについてわれわれは異議を言うものではないわけです。ただしかし、先ほど政務次官も言われましたように、この法案の今日ここに問題として提起されるに至った経過等からかんがみまして、建設審議会において、ことにいまの田中大蔵大臣が小委員長鉄道建設の急を叫ばれたことが一つの機縁になっておる。とすれば、鉄道審議会は運輸大臣の諮問に応じて、鉄道建設について諮問されたことに対しての審議答申をする、こういうたてまえになっておりまして、交通全般の問題について審議するという権限がないのかどうか、全く諮問された範囲の鉄道だけしかないのかどうか、交通全般については何もそういう権限がないのかどうかということを、まず一つお伺いしたいと思います。
  28. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 もちろん名の示すごとく鉄道建設審議会でございますから、鉄道のみでございます。ほかの交通機関、たとえば船舶、たとえば飛行機、たとえば自動車等については諮問もありませんし、諮問しても権限はありません。
  29. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そこで、現在の日本の社会経済全般の情勢から勘案しまして、交通機関というものが鉄道に限定される、ことに地域開発という一つ使命を持った、あるいは地域格差をなくするという点において、鉄道だけが唯一の交通機関として取り上げられるものであるか、あるいはときによれば、まあ第一に道路建設が必要ですが、道路、バス、トラック、あるいは地域によっては沿岸の内海航路の船舶、あるいは航空機等、全般の交通機関について総合的に審査して、この地域鉄道によらなければならぬとか、この地域は必ずしも鉄道路線を敷かなくても、もっと建設費の安いバスならバス、トラックならトラックがより適切ではないかという、要するに、日本の経済の基盤を強化するということと地域の格差をなくするということがこの法律の主眼である以上は、総合的に交通全般について考えられることが妥当でないかと思いますが、必ずしも運輸当局は鉄道建設審議会の答申だけにとらわれることなく、鉄道についてはなるほどこういう答申が出たけれども、今日の社会情勢に適応するような交通機関として何が妥当であるかということをさらに再検討されて、審議会の答申を採用されるものは採用されるし、採用することのないものは採用する必要もない、こういうことになると思うのですが、答申は何でもかでもこれを一〇〇%受け入れなければならない義務が運輸大臣にはあるでしょうか、ないでしょうか、どうでしょうか。
  30. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 交通全般についての考え方は加藤さんのおっしゃるとおりでございます。しかしこの間の豪雪の対策その他を勘案し、この建議が出てきまして以来、運輸省、国鉄等でいろいろ考えましたが、日本のような地理的状況その他を勘案いたしまして、今後の物資の輸送は何と申しましても鉄道というものに比重がかかるということは、もう過去の統計の示すとおりでございます。将来も私どもはさように考えますので、建設審議会の答申に基づきまして、運輸省ではしばしば考えましたが、結局この鉄道建設公団をやるということに踏み切った次第でございます。ただこれのみにというのではございません。これがいままでの物資輸送の関係あるいは地方開発の関係から考えまして非常に主要なものであるという考えのもとに、この法案提出した次第でございます。
  31. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そこで別な角度からもう一つお尋ねするのですが、新線——少なくとも着工線のうちで、今度の新産業都市との直接の関連を持った地域と、それから新産業都市指定の地域と直接の結びつきを持っていない線はどういう割合になっておりますか。
  32. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 御承知のように新産業都市指定を希望する地域は四十四ヵ所ございます。しかもそのうちから仄聞するところによりますと、大体十内外が指定されるのではなかろうかということでございまして、はたしてどの地域が新産業都市に指定になるのか、私どももこれはいまつまびらかにするわけにはまいりません。そういうわけでいま詳しいことは申し上げかねるのでありますが、ただ運輸省といたしましても、新産業都市を指定する場合、運輸省の考えというものを常に企画庁に出しております。したがいまして、その場合には当然鉄道なり港湾なり船舶なり、その他のいろいろな交通事情を十分に検討いたしまして、しかるべきものを答申したいのでありますが、その点についてはいろいろ考えておるわけでございます。
  33. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 もちろんまだ新産業都市の指定が行なわれておりませんから、私がいきなり新産業都市指定との関連ということをお尋ねしたのは無理かもしれませんが、しかしながら新聞紙の伝えるところによれば、いま政務次官は十ヵ所ぐらいと言われたが、あるいは七ヵ所といわれ、あるいは十一ヵ所ともいわれておりまして、まだその点は明確でありませんけれども、少なくとも地域格差をなくする上、それから物資輸送の機関としては鉄道が主眼であるというお考えであるならば、私は新産業都市との結びつきということは非常に重要性を持ってくると思うのです。それから新産業都市の指定範囲外にある地域、いわゆるおくれた地域開発ということについて、この地図で見ますと、地図だから海岸全体がそのままでないかもしれませんけれども、沿岸航路の小型鋼板船であるとかあるいは小型機帆船であるとか、そういうものをむしろ補助してつくらしめて、その任務に当たらしめるということのほうが、鉄道建設よりもはるかに建設費においてもそれかの経営上の経済再建の上からいっても有利ではないか、しかも地域開発には十分鉄道建設と匹敵し得る、あるいはそれ以上の効果をおさめるところもあるんじゃないか、そういう点についてできるならば私はこういう法案が成立する以前に、地域実情を示して、こういう地域であるから、これはもう鉄道でなければいけないとか、こういう地域鉄道によらなくても、道路を少し補修すれば、バス、トラックでいいとか、そういうものを何か示されるところがないと、ただ何でもかでも鉄道建設審議会の答申があったから、まあこじつけて、鉄道が第一であるというような持っていき方は、少なくとも公共事業であるとはいわれるが、一つの採算も無視できない事業なんですから、そういう点を考慮されてなければならないが、そういう点についてのおもんばかりが足らないんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  34. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 先ほど大臣が、輸送の大動脈は鉄道であるということを申されましたが、それは日本全体としての長距離の動脈的な存在としては鉄道が最も大事であるというお考えを申されたのでございまして、運輸省としてはそう思っておるわけでございます。ただ鉄道建設審議会は、御承知のように、いわゆるほんとうの学識経験の最もすぐれた方々を選んで委員になっていただいております。したがいまして、各政党からも代表的な人物に出ていただいておりますし、それから日本でもしかるべきそのほうの権威なりあるいはりっぱな見識を持っている方が代表になって、委員になっていただいているわけでございます。そしてその下に専門部会がございまして、おのおの交通部門、これは建設審議会の名前は鉄道でございますが、鉄道でございましても、総合的な日本の交通の面から、この鉄道は必要かどうかということを中心に考えていると思うのでございます。そういうわけで、決して鉄道だけを重視して、鉄道でなければならぬという考えを持ってこのような建議が行なわれておるわけではございませんし、運輸省としても鉄道だけを優先的に考えてほかのものを無視しているわけではございません。仰せのように、鉄道よりも船なり自動車なりほかのほうが適当な場所には、そのようなしかるべき方針をわれわれはとっておるわけでございまして、鉄道だけを優先ということではございませんけれども、鉄道建設審議会というのは、ただいま申しましたような総合的な日本の交通問題を判断できる方々の御意見でございますから、これをできるだけ尊重いたしまして、その方向に従ってまいりたいというのがわれわれの考えでございます。
  35. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 私も鉄道建設審議会の記録について少しく見ましたけれども、あまりほかの交通機関の問題には融れていないんですね。これは権限が国鉄のこと以外にないという一つの制約を受けている点からであるかもしれませんけれども、交通機関のなるほど権威者ばかりの集まりであろうと思います。そういう点は個人を尊重していいと思いますが、しかしながらその鉄道ということにあまりにとらわれ過ぎておる。とらわれ過ぎておるというか、それ以外に権限がないからという遠慮からかもしれませんが、現下の事情に基づく交通機関ということについての配慮が乏しい。全然ないとは言いませんけれども、非常に乏しい。しかし今日の社会的実情は、他の交通機関にも相当の比重が置かれなければならないと思うのです。現に行なわれているトラックの輸送にしましても、バスの問題にしても、相当今日交通機関もしくは輸送機関としては、非常な重要性を持っているわけです。ややもすれば、国鉄の領分を侵食していくというような実情にすらあるときに、新しく新線建設しようという場合には、私はこういう点についての配慮が相当になされなければならないのではないかと思いますが、その点についての配慮の欠けた国鉄ということに限られた範囲内においての交通問題の権威者の答申というものは、それをさらに今度運輸出局が取り上げて具体化する場合においては、鉄道建設審議会においての配慮の足らなかった点を運輸当局としてはさらに配慮して、他の交通機関との関連を考えなければならぬと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  36. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 そのとおりでございます。私どもはそのとおりやっております。
  37. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そういうとおりにおやりになった結果が、こういうように鉄道設設審議会の答申をそのまま受け入れられた、こういうわけですね。
  38. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 そのとおりでございます。
  39. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうすると、私はこうやってわれわれに示された地図を見まして、予定線と建設線もしくは調査線等をずっと地域においてながめますと、われわれしろうとが、たまたまその地方に一度行ったことがあるとか、あるいはその他の関係から現地の地理的な事情を少し見た者には、どうもこの点は、こんなところは鉄道よりもバスなんか引いたほうがいいのじゃないかと思われる点が実際問題として相当あるのですね。そうすると、鉄道当局は、大臣や政務次官は一々技術的な点をごらんになっていないし、また御存じないと思いますけれども、監督局長、その点はどうですか。
  40. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほど大臣と政務次官からお答えしたと同様でございますが、従来から、鉄道建設審議会におきましては、他の交通機関との関連も十分に調整しながら、御審議を願っておるのが実情でございます。特にこの一、二年間は、他の交通機関の中でも道路輸送自動車輸送との関連を十分に御審議願っておりまして、自動車輸送鉄道輸送の限界点というものを一応頭に置きながら、なおこのほか地理的条件もございます、そういった点を十分考慮を払いまして、結果的に見まして、鉄道でやるべきか、あるいは自動車でやるべきかというようなことも特に十分に御審議を願って、最近は御答申を願っておるような次第でございます。  なお運輸省におきましては、そういった御答申を十分勘案いたしまして、今後は公団建設すべき鉄道新線では基本計画を定めることになっておりますが、この基本計画策定するにあたりましては、また運輸大臣が建設審議会に諮問をいたすことになっております。この審議会には、運輸省のほかに、建設事務次官であるとか、あるいは経済企画庁の事務次官も委員になっておりまして、そういう点も十分に反映してまいりたい。なお運輸省におきましては従来から陸海空の総合的な交通調整と申しますか、交通政策というものを検討してまいっておりますが、ことしになりましてから官房の機構も強化されましたので、これから総合的な交通政策というものは今後従来以上に強く打ち出されていくものと考えております。
  41. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 ちょっと私の質問と食い違っておるところがあるのですが、さらに一歩進めてお尋ねをいたしますが、先ほどお尋ねしたように、この法律の目的が経済圏を整備したり、基盤を強化したり、あるいは地域格差をなくするということにありまするが、その目的そのものはきわめてけっこうだと思います。そこで経済基盤の強化をするためには、現在の日本経済発展の状況と均衡のとれる方法を講じなければならないじゃないかということ、地域経済圏の、鉄道が敷かれる地方の経済的状況と、それをどういうぐあいに整備すれば鉄道建設がそれに役立つかということ、それからいわゆる開発のおくれた地域開発をするのに、この鉄道がどういう役割を果たすのか、さらにまたいわゆる臨海工業地帯との関係、こういう関係をどういうぐあいに結びつけるか。たとえば臨海鉄道には臨海鉄道として国鉄出資者となって一つの線が引かれておる、もしくは引かれようとしておる。そういうことと今度の新線建設とはどういう関係になるのか。またいま新産業部市の問題をお伺いしたが、まだ決定しておらぬからこれは何とも言われませんけれども、こういうような関係で、今度のこの公団による鉄道建設が総合的に果たす役割はどういうものであろうか、その必要の限度というもの、それからそれが現在の国鉄の手によってはたしてできないことかどうか。もしこの公団政府が力を入れるだけの力を現在の国鉄にかすならば優にできるんではないか、こう思われるのです。そこになぜこういう公団という新しい形態を持ってこなければならぬ必要があるか、こういう点なんですが、これらの点についてはどうでしょう。
  42. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 国鉄をさらに強化してやったらやれるんじゃないかというお説でございますが、新総裁はどういうお考えかは知りませんが、十河総裁は、しばしば申されましたように、この際責任を明確にして、現在の国鉄は保守、保全の仕事あるいは安全運転の仕事、あるいは各種の電化その他改良工事等の関係で、現在ではどうも鉄道建設は分けたほうがいいというお考えをこの委員会でも申されましたし、本会議でも申されました。私もさように考えまして、この鉄道建設公団を思い立ったような次第でございます。
  43. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 臨海鉄道はどうですか。
  44. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 臨海鉄道につきましては、鉄道建設公団以外に、あるいは鉄道敷設法に入っていないもの、あるいは工業港との関係で非常に早く運転することも可能で、必ず営利的に採算が成り立つという見通しの立ったところには臨海工業の鉄道をやっておるところもございます。これは実際工場地帯ができてみるか、あるいは工場建設ができ、運転開始目睫の間とも申しませんが、見通しのついたときにあらためて考慮をして、臨海工業地帯におきましても、この鉄道建設公団が発足して聖業をやりまして、そういう場合が起こりました場合には、考えて決定すべきものであると考えております。
  45. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうしますと、臨海鉄道公団方式によるいわゆる新線建設とは別個の範疇に属する、こういうことでございますね。
  46. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 必ずしもさようは考えませんが、工場建設その他の促進ぐあいによりまして、この鉄道建設公団でやるのがいいという結論になれば、発足しての経過によりましてそういうようになるかもわかりませんが、大体の考え方としては、あなたのいまおっしゃるように、臨海鉄道はもちろん短距離でございまして、建設についてもそう多額の資本を要さないし、あるいはめんどうなことがないから、それはそれでやっていけるという考え方をいたしておるのでございます。
  47. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうしますと、時によれば公団方式による建設の場合もあるが、大体はいまのような独自の立場で臨海鉄道建設なり運営なりせしめる。そうしますと、臨海鉄道も、私は純然たる私の会社とも思われないと思うのです。国鉄が時によれば半額出資をやっておる、そうすると政府関係の機関において、新線建設は一方は主としていわゆる臨海鉄道ではあるけれども、この限りにおいては二本立てになるということは考えられるわけですね。
  48. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 新しく鉄道をつくります場合でも、何でもかんでもこの公団でなければならぬということもございませんで、お互いに話し合いでございますから、これは国鉄が中心となって、あるいは改良工事の延長のような形でやるか、あるいは別のものの形になるか、あるいは公団でやるかということは、そのつど、そのつどの問題だと思います。たとえば臨港鉄道にいたしましても、幹線となるべきものは原則としてやはり公団でやるべきであって、その先のほうの末端のいろいろな鉄道につきましては国鉄がやるとか、いろいろな話し合いで私は臨機応変でやるべきものではないかと考えております。
  49. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それはそうであるけれども、現実には二本立てになることもあるし、また純然たる地方鉄道法によって新しい鉄道が私の会社によって敷設されることもあるということですが、ただ政府の関係する範囲が——国鉄は直接政府ではないが、少なくとも国鉄という国の機関が関与するものとしては、この公団と臨海鉄道開発と二本立てがあり得るということは考えられますね。
  50. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 鉄道敷設法別表にありまして、建設線なり予定線なり、それで取り上げられておる臨海鉄道というものは、たてまえとしてはこの公団建設してまいるということになると思いますが、実際の問題といたしましては、ただいま大臣、政務次官からお答えがございましたように、あるいは工期の関係であるとかあるいは採算の関係、資金の調達というようなことから、その一部あるいはその先というようなものは、今度新しくできた国鉄出資による臨海鉄道の会社をつくるということもあり得ましょうし、また敷設法の別表にあがっておりましても、地方鉄道法で私鉄が経営するということも考えられると思います。そのとき、そのとき、あるいは場所に応じまして最も適切な方法でやっていくのがしかるべきかと存じます。
  51. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 私のお尋ねしておるのは、こういういままで国鉄計画して着工しておる未完線は全部新たに公団に移そう、こういう場合に国鉄が別な方面で出資して臨海鉄道建設せしめる、それは私の会社であろうが、とにかく国鉄というものは出資者の一人になる、しかも重要な出資者になるということでいくと二本立てになる。いまあなたが言われるとおり、たくさん理屈はつくかもわからぬけれども、結論的にははっきり二本立てになるということだけは言えるわけですね、そうでしょう。
  52. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 臨海鉄道につきましては二本立てになるということも考えられます。
  53. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 さっき私は資本関係についてお尋ねしたのですが、さらにその資本の調達の方法について、この公団法の提案の御説明をなさったときに、こういうことが説明書の中に書かれておるわけです。運輸大臣の許可を得て長期または短期の借り入れ金をすることができる、こういうことがありましたね。そうすると運輸大臣は、資金調達の長期もしくは短期の借り入れ金を、そのときの状況によるであろうけれども、一体どこが中心となって資金供給源になってくれるだろうか。借り入れ金をしてくれるか。あるいは銀行と民間の金融機関がやるのか、あるいは政府のあっせんによって他の国家的性格を持った金融機関がやってくれるのか。そういう点は預金部の資金を利用することが一番簡便であろうけれども、これはほかとのつり合いもあって鉄道にばかり許されぬと思いますが、そういう点について運輸大臣は大体どういう見込みを持っておいでになるでしょうか。
  54. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 日本の財政経済全般の問題でございますから、今日の時点におきましてどれをあてにするかと申しますれば、率直に申し上げまして預金部の資金に一番目をつけて、それを運用部の責任者である大蔵大臣に要請して、そして必要やむを得ざるものについてはそれを実現してくれるということを私はかたく期待いたしております。
  55. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 運輸大臣としては、財政計画なり時の金融事情等によって、大蔵大臣の協力を得て資金をまとめるという方法をお考えになることはもっともだと思います。そういう点について、鉄道債券という形になるのか、一般募集による、さっきもちょっとお尋ねしましたが、地元負担について地方自治体自治体として公債を引き受けるか、鉄道債か公債か知らぬが、それを引き受けるか、実際はどういうことになるのでしょうか。その点もっと詳しく説明してもらいたいと思います。
  56. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これは一般の公募債で行ないたいと思っております。したがいまして、もちろん鉄道を敷いてもらいたいと思う自治体なり個人の方々はそのような債券を喜んで買って下さると思いますが、これを義務的にはいたしておりません。
  57. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 これは制約されたものでなく公募の形で募集されるということでありまするが、明確にこれは赤字だ。この鉄道は敷いた後においても赤字経営だという見通しがあまりにも明白過ぎる、そういう赤字経営ということが明白過ぎる鉄道建設に対して、はたしてどれだけの金利がつけられるか知らぬけれども、政府保証だから安心しておればいいというようなものの、おそらく投資家というものは投資しないだろうと思うのです。結局地元の関係、市町村の自治体として公募に応ずるか、あるいはその地方の特定の仕事をやっている人が応募するかということに限定されるのじゃないかと思う。公募という形式ではあるけれども、事実上は地元負担になるのじゃないかということが考えられるが、その点はどういうふうにごらんになっているのでしょうか。
  58. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 もちろん一応はそう考えられますが、鉄道建設さるべき予定地の地方自治体にしろ、その他における、たとえばその付近に山を非常にたくさん持っておる、またその付近に土地を非常にたくさん持っていたとします。そうすると、その鉄道が開通することによりまして、その財産というものは相当ふえるから、たとえ利息は四分か五分でありましても、その余恵によってその財産がふえるという将来を見越しまして、投資してくれる人が必ずあると私は確信しております。と申しますのは、私のつたない経験によりますと、私はしばしばこういう赤字線ときまっているようなところにつきまして鉄道建設した経験がありますが、大体その土地がもう鉄道が通ったというので地価が数倍になる、あるいは持っておる山林が搬出その他の関係で非常な利益を包む、そういう人が早く鉄道を通してもらいたいというところから、眼前は投資物としては非常に悪いけれども、将来少なくとも開通の数年間におきましては投資した全額がかりにゼロになっても、余分の財産がふえることによって利益を得る人が相当できると思っております。
  59. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それはいま大臣が言われたように、地域的にはそういう特定の山林の保有者が、そこに鉄道が敷かれれば、すぐ、いままではただ単に計算上の財産であったものが動く財産になるから、それはそういう利用価値が十分あるから、そういう人が鉄道そのものの投資は無になっても投資しようという考え方もあろうし、また土地が大きいというても、いまいわゆる山林、原野等の土地でしょうけれども、そういう土地の値上がりが見られるから、それで鉄道への投資はゼロになってもその方で利益が上がるからというお考えですが、これは私は当然だと思います、それらの人々にとっては。だけれども、それは特定の人のことであって、全般的にはやはりそれだけでは資力不足を来たすのではないか、こういうことが考えられるわけです。その場合にどうなるかということです。
  60. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これは一般の公募債でございますから、銀行なり証券会社で引き受けてもらいます。これはさばけると思います。
  61. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうすると、これは完全に政府保証ですね。
  62. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これは政府の保証にいたす方針でおります。
  63. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 方針ですか。まだ決定していないのですか。それは私は非常に重大です。政府が保証すれば応募者もあるし、それから銀行も引き受けますけれども、政府保証がなければこれは私はなかなか銀行も引き受けぬだろうし、投資者も安心して投資するということができぬと思うのですが、それはどうでしょうか。方針だけでは困るのです。
  64. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 法律には書いてございませんが、政府保証債にいたします。
  65. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 ただいまの点は、公債は公募であるし、それから政府保証による、これはもう完全ですね。  それからさらに進んでお尋ねいたしたいことは、かりにこの公団方式による建設が行なわれて、今度経営段階に入ったとき、鉄道輸送問題は国鉄に原則としては有償で貸すか譲るか、こういうことになるわけですが、目に見えて赤字であるということが明白であるのに、これを有償で引き受ける義務国鉄側にあるでしょうか。
  66. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 それは、公団と申しましても運輸省が監督いたします。したがって運輸省は全般的の状況を勘案いたしまして、国鉄経営が困るような無理なような条件においてこれを許可することはいたしません。したがいまして、あまり赤字が明白である、しかも公共性の高いものに対しては当然これは無償でやるべきものだと考えております。
  67. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 無償の場合に、この建設費の償却であるとか、あるいは利子支払いであるとか、そういうのはだれが負担するんでしょうか。
  68. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 局部的には無償のものもございます。そういうものもございますが、全般的に申しまして有償——あるいはもうかる面もごさいますから、そういうものででき得る限りいまから合理的な積み重ねをいたしまして、全体的に公団が持っていけるようにいたしたいと願っております。
  69. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それは政務次官、ちょっと違うんじゃないですか。全般的にもうかる線もあるからというお話ですけれども、いま少なくとも私は、鉄道建設をされて地方の開発がなされて、そうしてそこに工場でも建設されるというようなことになった後において、何年か後において赤字が埋められるということは、あるいは考えられるかわからぬが、鉄道が敷かれたときに、はたしてこれは黒字であるというような、かりに想定だけでもできるような新線がありますか。
  70. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 それはまあ初めからどの鉄道も、商売をいたしまして初めからすぐ黒字ということは申されませんけれども、将来黒字を予想される鉄道はございます。たとえば青函トンネルにいたしましても、これは必ずもうかっていくわけでございます。ですからある年限が必要でございますが……。
  71. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そういったところ、もう少し率直に言ってもらえませんか。青函トンネルなんかというものはまだいつできるかわからぬでしょう。これは調査線からもはずされておるわけなんだ。いま調査線十五線の中には青函の問題なんか入っていないんですね。
  72. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 入っております。
  73. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 十五の中には入っていないでしょう。十七線というときには入っているけれども、十五線というときには調査線の中に入っていないんだ。そういうことでなくて、これは磯崎さん、国鉄のほうの立場からひとつお伺いしたいですが、国鉄が今日までの多年の経験からいま新線着工中の線路が完成して営業を開始されるときに、一体どのくらいの線が——まあこれは同時に全部でき上がるわけじゃないでしょうが、順次でき上がっていく中で、どのくらいの線が、もし経営よろしきを得れば黒字になるだろうという見通しが、一体何年間くらい後に立てられるか、ちょっとお伺いします。
  74. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、いままでの昭和二十七年から現在までやりました実績によりますと、まあ大体は先ほどからの御質問の中にございましたとおり、人口もあまり多くなく、また搬出する物資もそれほど多くないところの線が大部分でございます。ただ例外的に紀勢線の尾鷲−木本の間のごときものは、このおかげで非常に紀州の開発ができまして、東京から直通列車も入るというようなことによりまして、非常に紀勢線の東西線の経営状態がよくなりました。今後、現在先ほどから運輸省から御提出になっております資料、先生が先ほどごらんになっておる資料の中で、この数字は若干問題もございますが、たとえば現在横浜の市内でやっております根岸線、ああいうものは今後相当あの沿線に通勤地帯あるいは工場地帯ができるようなことも聞いておりますので、ああいったものはわれわれの推定以上にあるいは経営状態がよくなるということも考えられます。その他現在ございますものにつきまして、いま手元にあります経営状態より非常によくなるということは、一線一線検討いたしませんと具体的なお答えを申し上げられませんが、一つ一つ検討いたしますと多少の例外——鉱山関係の開発が非常に進む、たとえば神岡のごときもの、あるいはかつてございました岩日線のごときもの等につきましては非常にばく大な鉱山の投資が行なわれるというような特殊な例がございますれば、急激に営業状態がよくなるところもございますが、現在では大体お手元に提出されておりますような数字でもって、各線とも将来が非常に大きな希望ができるというようなものはごくそのうちの若干の線ではないかというふうに推定されます。
  75. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 結局はっきり言って、いま着工線の中で近く完成するだろうと見られている相模線であるとか都市と関連する線は黒字が予想される、黒字か経営一ばいか知らぬが、とにかく赤字が出ても一年か二年であとは経営が普通の状態になるだろうという見通しはわれわれでもつかぬことはない。つきますけれども、その他のものはほとんどといっていいくらい、先ほどあげた資料のとおり、赤字だと思うのですよ、事実上。そこで、その黒字線、たとえば根岸線なら根岸線を有償で国鉄が譲り受けるという場合の評価というものは、一体根岸線だけの建設評価を基準として計算されるのか、あるいは他の赤字線のものも加味されて一体計算されるのか、そういうことはどうなるのでしょう。
  76. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 全般の建設線を考慮してきめるのではなくて、根岸線に要しました建設費その他を基準といたしましてかりに譲渡すれば、譲渡価格というものはきめてまいるわけであります。
  77. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうしますと、大体譲渡もしくは貸し付けの場合は、その線単独の計算において貸与料なりあるいは譲渡金額というものが計算される、こういうことになりますね。
  78. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 そのとおりでございます。
  79. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 今後そうしますると、この法律によると、いま未完成線は全部あげて公団に移譲されて、国鉄は将来新線建設はやらない、こういうことになるわけですね。そうですね。
  80. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 鉄道法上あるいは国鉄法上、国鉄新線建設し得る能力は残っておりますが、実際の問題につきましては今後建設すべきものはあげて公団建設するというかっこうになります。
  81. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうしますと、現在の国有鉄道法第三条との関係はどうなりますか。
  82. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 国鉄法の三条はそのままでございまして、ただいま申し上げましたように新線建設をやり得る能力は残っておりますが、何といいますか、今後はあげて公団建設することになりますので、まあ休止状態、休眠状態というかっこうになるかと存じております。
  83. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 この法律の附則の第七条において、新線建設に関する仕事を一切国有鉄道が権利及び義務公団が第十九条第一項第一号の業務として行なうことになったときに公団が継承する、こういうことが規定されていますね。こう規定されまするが、肝心の鉄道経営後における事業の点について、依然として鉄道法の五十三条第一項第一号によりますと、「鉄道新線建設」の文字はそのまま国有鉄道法の中で残っておるのですね。そうすると国有鉄道は、一方においては新線建設はやらぬ、公団に全部を渡すということになっておりながら、この法律のたてまえからいくと、新線建設を依然としてやることになっておって、前の法律がそのまま存置されておる。こういうことになりますと、これはこまかい法律上の問題ですけれども、国有鉄道もやろうとすればこの法律の条項に基づいて新線建設ができるではないか、こういうことになってしまうのです。新しい法律国鉄はもう鉄道新線建設しないといっておきながら、現在の法律では新線建設をやることができるという条項が残っておるわけなんです。これは非常な矛盾をしておると思うのですが、当然こういう法律が出されるときには、私はむしろ新線建設という条項は削らなければ趣旨一貫しないんじゃないか、こう思いますが、どうですか。
  84. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 まず大ざっぱに申しますと、五十三条で国有鉄道のほうには新線建設の能力が残っておりますが、この公団法のたてまえから申しまして、今後はあげて新線建設というものは公団にやらせるという趣旨から申しまして、先ほど申し上げましたように、国鉄新線建設というものは一応停止されるというかっこうになるわけでございます。このことは法律の第二十二条にございまして、「第二十条第一項の基本計画において公団鉄道施設を建設することとされた鉄道新線については、日本国有鉄道は、鉄道敷設法第一条の規定にかかわらず、その敷設を行なわないものとする。」ということになっておりまして、その辺の調整はとってあるつもりでございます。
  85. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 これはそのとおりですね。条文には、この後段に「鉄道敷設法第一条の規定にかかわらず、その敷設を行なわない」こういう規定があるけれども、これはこの法律としてたてまえ上いいですね。それならば、片一方の現国有鉄道法に新線建設ができるということがあることは、一方の法律で一方の法律を殺すことは法律のたてまえ上できないのでしょう。だから当然この項はなくするとか、もしくはここにはっきりと、国有鉄道法の規定はこういうように修正されなければならぬ、こういうようにならなければ、法律が一方において一方の法律を否定しておるけれども、依然として法律上は現存しておるわけなんですね。実際問題としては、運輸大臣の監督下にあって、国有鉄道公団も同じ大臣の監督のもとにあるから、そういう混乱は起こらないと思います。思いまするけれども、少なくとも法律のたてまえからいって、この条文は一方の法律で一方を否定するというならば、他の否定されるほうの条項は削るなり、あるいは修正されるなりされなければならぬと思うのですが、その点についての手続が欠けておるわけなんです。一方だけやればそれでいいのかどうか。
  86. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 私がいままで申し上げましたことのやや繰り返しになりますが、観念上は日本国有鉄道新線建設をやり得るというたてまえになっております。ただ実際の問題として、今後は公団新線建設をするであろうということでございます。公団鉄道敷設法予定線路のうちで基本計画に定められた鉄道新線についてはすべてその建設を行なうことになっておるので、実際問題として国鉄建設は行なわないということになっております。そこで基本計画に定められたもの以外の鉄道新線については、法律上と申しますか、観念上は国鉄が敷設するたてまえとなっておりまして、鉄道敷設法日本国有鉄道法におきまして、これに関する制度を残しておるわけでございます。しかし実際には公団設立の趣旨から考えまして、早急に今後建設すべき鉄道新線というものはすべて基本計画で定める方針でございますので、今後当分の間は国鉄による新線建設は行なわれないというふうにお考えを願いたいと思います。
  87. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 考えじゃないのです。私も言っておるとおり、実際にはそういう混乱は起こらぬと思う、同じ運輸大臣の監督下にあるのだから。予定線の計画別表というか規定がありますね。そういうものについて混乱は起こらぬと思うのです。混乱は起こらぬけれども、法律の条文のたてまえからいって、新法において旧法を否定するような立法がなされる場合には、旧法の矛盾を来たすところのものは、これは削除しなければいけない。そうしなければ法律としては生きておるわけなんです。これはまだ生きておる。そういうことはないからいいというだけではいけないのです。やはりそういう点が明確になるということが必要なことで、これは手続上何でもないわけです。ただ国有鉄道新線建設という条項はあるけれども、これはもう事実上公団法の成立によって廃棄されるなら廃棄される、削除するなら削除するというふうに、そういうことがはっきりしておれば、法理論上何の文句もないわけなんです。いまのままでいくとやはり法理上理屈はつくわけなんです。決してこの矛盾は解消されない。事実ないからいいというだけでは、私は立法のたてまえは成り立たないと思う。
  88. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 これは先生のおっしゃることはごもっともでございますが、私どもが法律をつくるときの考え方が鉄道新線というものの固有の権利は国鉄に残しておこうという観念から立法いたしましたもので、そういうことになっております。と申しますのは、実際上はいま先生のおっしゃいましたように混乱は起きないのでありますが、ただ遠い将来におきまして、あるいはまた国鉄に、と申しますのは、大部分の大きな仕事が片づいた場合に、将来国鉄に直接また建設をやらせるということもあり得るかと考えてこのような法体系をとっておるわけでございます。
  89. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 だから問題はそこなんですよ。やはり立法上の要件としてはそういう二つの法律において矛盾することのないようにするということが立法の精神でなければならないと思うのです。したがって、いま混乱が起こらない、だから必要がないということと、将来また国有鉄道のほうに新線建設をやらせねばならぬからその条項を存置しておくのだということでなくて、本来ならば、一応この法律ができたのだから、これはもう必要がないからとる。それでまたそのときになって今度は公団というものを廃止されるかもわからぬし、あるいは公団というものが別の事業をやるようになるかもわからぬし、鉄道建設が終わってしまったら、さらにまた予定線というものに手をつけていくかもわからぬ。将来のことは将来のことであるが、少なくともこの新しい法律をつくろうという場合には、旧法でこれと扞格するようなものがあればその条項は削除する、これは何でもない手数なんですよ。ただ、いま混乱が起こらないからよかろうという便宜主義的な立法は成立しないのじゃないか、私はそう思うのです。
  90. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 立法論といたしまして先生のおっしゃるような法の立て方もできますし、それから私がいま申しましたような考え方もできるわけでございまして……。
  91. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それは現実論で、立法論とは違うと思うのですね。
  92. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 繰り返して申すようでございますが、新線建設というものは国鉄の固有の業務であるということを肯定しましてこの法律をつくりましたから、このようなたてまえになっておるわけでございます。
  93. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それならばそのようにちゃんと、鉄道建設日本国有鉄道法によって日本国有鉄道の固有の権利である、しかしいま諸般の情勢を考慮して、現実の問題として必要であるからこの公団法を成立せしめるのだ、ついては国有鉄道法の第何条にあるどういう条項はもう廃棄されるべきものである、こういうことになるか、さもなければ、これを存置せしめようというならばその例外規定を設けておかなければ、法律上筋が通らないのですよ。ただ便宜主義だけではいかぬと思うのです。その点もう少し明確にしてください。
  94. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 同じような答弁を繰り返すことになりますが、基本計画で定めたものにつきましてはすべて公団が今後建設をいたしますが、観念的にはそれ以外のものもあり得るということで、能力的には国鉄新線建設をやり得るというかっこうを残しておるというのが今回提出いたしました法律のたてまえでございます。
  95. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 その点ははっきり、国有鉄道法第三条によりますと、「日本国有鉄道は、第一条の目的を達成するため、左の業務を行う。」、「一 鉄道事業及びその附帯事業の経営」、「二 鉄道事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業の経営」、「三 鉄道事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業の経営」、「四 前三号に掲げる業務を行うのに必要な採炭、発送電及び電気通信」、「五 前各号に掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務」、それから二項として、「日本国有鉄道は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕、検査若しくは調達、工事の施行、業務の管理又は技術上の試験研究を行うことができる。」こういうことになっていますね。  そこで今度の建設法の第十九条の規定によりますと、「公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。」、「一 鉄道新線鉄道敷設法(大正十一年法律第三十七号)別表に掲げる予定鉄道線路及び同法附則第二項の鉄道線路であって、公団の成立の時において日本国有鉄道営業を行なっている区間に係るもの以外のものをいう。)に係る鉄道施設の建設を行なうこと。」、「二 前号の規定により建設した鉄道施設を日本国有鉄道に貸し付け、又は譲渡すること。」、「三 前号の規定により貸し付けた鉄道施設に係る災害復旧工事を行なうこと。」、「四 前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。」これといまの国有鉄道法の第三条の規定とを見比べてみる。それから第二項としては、ここが問題なんです。「公団は、前項の業務の遂行に支障のない範囲内において、あらかじめ、運輸大臣の認可を受けて、次の業務を行なうことができる。ただし、第二号の業務については、委託者が日本国有鉄道である場合にあっては、前項第一号の業務に直接関係のある場合に限る。」、「一 前項第一号の鉄道施設で高架のものの建設と一体として建設することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を、当該鉄道施設の建設に伴って公団が取得した土地に建設し、及び管理すること。」「二 委託に基づき、鉄道に関する工事並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうこと。」第三項は「公団は、前項第一号の業務を行なう場合においては、政令で定める基準に従ってしなければならない。」、この第三項はいいとして、ここでこの十九条と、国有鉄道法第三条との関係をひとつ見ていただきたいのです。この間にあなたのほうでは矛盾するものがないとごらんになっていらっしゃるか、あるいはいま言うような法文上の矛盾はあるけれども、実際問題としては何ら矛盾混乱を起こさないからかまわないのだという解釈をとっておいでになりますか、どちらでしょう。
  96. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 第十九条とそれから国鉄法第三条の関係、それから二十二条の関係でございますが、先ほど私が御答弁申しましたことをもう一回繰り返すようなことになりますが、第十九条の第一項第一号で、敷設法の別表及び同法附則第二項の鉄道線路は今後すべて公団に行なわせるということを明記しております。それで先ほど申し上げました二十二条と国鉄法第三条との関係になりますが、法のたてまえといたしまして、観念的に新線建設の権利義務という固有の観念を国鉄に残しておこうというたてまえをとりますから、こういうかっこうになっておるわけでございます。
  97. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 たびたび同じことが繰り返されるわけですが、鉄道建設ということは、国有鉄道基本的な固有の権利ですね。それを存置せしめられるならば、立法上公団法の中にそういう規定が設けられなければいかぬと思うのです。国有鉄道新線建設の固有の権利を持っておるのだが、現実の問題としていま早急に別個の公団をもって新線建設せしめるのだ、したがって新線建設公団がやっておる期間中はこの固有の権利は行使しないのだ、あるいはその条項を削るか、どちらかがはっきりしなければ私は法律上の矛盾は消えないと思います。
  98. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 第十九条で、いま申しましたように敷設法の新線建設というものは今後公団の業務として行なうということを書きまして、第二十二条で、国鉄はこの敷設を行なわないというふうに書いてあるわけでございまして、固有の権利は権利として、国鉄はこの間は新線建設というものを実際上行なわないというふうに観念をしてこの法律を整理をしておるわけでございます。
  99. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 とにかくこうはっきり文字の上にあらわれておりますと、この矛盾をそのままにしてしまうのはおかしいじゃないですか。とにかくあなたの言うとおり、基本権利として日本国有鉄道新線建設の申請権がちゃんとそのまま保存されているわけですね。それをそのままにしておいて、他の一方においては行なわしめないという規定が設けられるわけなのです。そういう規定を設けるならば、この権利について何かこれを全然なくしてしまうか、さもなければ、ここにこんなにたくさん附則がついておるのですから、附則の条項の中にその一項をつければ、それで私は法律上の矛盾はなくなると思うのですけれども、新線建設公団によってやることの、それがいいか悪いかは別問題として、立法上の矛盾はなくなると思うのです。その立法上の矛盾がそのまま残されてしまうわけなのですね。現にそうやって法律上の固有の権利として、国鉄にそれは存置せしめるが、実際にはそれは行使しないから混乱は起こらないという、これは便宜論ですね。便宜論で立法を論ずることはむずかしいと思うのです。これは何でもないことだったのではないですか。この法律によると、附則のほうが本文より多いくらいにたくさん附則がついておるのですね。これだけたくさんの附則が書かれるならば、私は一つそういう条項がつけられたらいいんじゃないかと思うのです。
  100. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 これははなはだ見解の相違みたいなことで申しわけないのでございますが、私どもとしては、立法いたします際に、国鉄建設線に対する固有の権利義務を残しておこうというたてまえをとりましたので、このようなかっこうになったわけでございます。
  101. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 だからそれが問題なのです。これは決して私は水かけ論じゃないと思うのです。法律の条文の正当な解釈からいって、二つの矛盾したものが、ここにはっきりあらわれておる。これは決して水かけ論ではないと思うのです。一方が一方を否定しておるのだから、否定をするならば否定をするように旧法の権利保有という点を何らかの条件つきにすればいい。この公団は、新線建設中はこの法律は適用しない、こういう条文をやって、それに従って国有鉄道法第十三条のどうこうという点はこういうように修正する、そういうことになれば、ちっとも立法上矛盾はないわけです。それがなされていない。ただ便宜上、実際問題としては、何も混乱が起こらないからいいじゃないかという、それは便宜論なのですね。これは私はある意味からいけば、あなた方の一つの手落ちだったと思うのです。そういう国有鉄道に権利を保有せしめる、固有の権利だから保有せしめるという、日本国有鉄道を愛するというその言葉はよくわかります。その意味もわかる。わかるけれども、立法の技術の上からいって、はっきりとそういう矛盾した形があらわれてくるわけです。だから日本国有鉄道法による権限を一時停止するなら停止すると、こういうことになっておれば、もう文句はないのです。どうですか。これは水かけ論ですか。私は水かけ論ではないと思う。はっきりした二つの矛盾したものがあらわれている。これは読み比べればすぐわかるのです。おそらくあまり安易過ぎて考えられた結果じゃないかと思うのです。
  102. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 見解の相違とか水かけ論と言うとしかられると思いますけれども、私どもは先ほどから申し上げておりますように、固有の権利を残すということ、それから、実際問題としましては、すべてその間国鉄建設線を行ないませんので混乱は起きないと思いますけれども、最近の立法例から申しまして、大体法が新しくでき、あとからできた法律が前の法律に優先するという一般的な原則がございますので、国鉄法の一二条の関係は、公団法の十九条あるいは二十条、二十二条に関する限り、その間能力が停止されるというふうに法律上は解釈されるのではないかというふうに考えております。
  103. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 あなたがいまおっしゃるように、私は決して水かけ論とあなたから言われたからというておこるかというと、おこりやしません、しかりやしません。そんなことでしかったり、おこったりするのではなくて、お互いにその矛盾を明らかにして、そうしてすべてのものが解明されて、すべてのものが納得がいくということが必要なことなんであって、決して議論をし合って、自分の意見に合わなかったらおこるとかなんとかという、そんなけちな考え方は持っていないのです。だから、いまおっしゃるように、新法が旧法を制約する、こういう立法通念によってあなた方はそういうぐあいにお考えになったというけれども、しかし道理に二つはないのですね。これは便宜上の問題なんですよ。死んだ馬がはね返すということもあるように、古い法律条文にこういう条文があるからこれをどうする、こう言って責めたときには、それは停止しようがないでしょう、法律に基づいて主張する場合に。ただそれをやらぬから、実際問題としては起こらぬからいいけれども、起こらぬからよいというて、立法上の矛盾をそのまま、だからいいというて承認するということはできないのじゃないか。しかもこれはあなた方が少しく注意深くこの草案を作成されるならば、私はこういうことは議論にならないで済んだと思うのですよ。それをちょっとした心やすさから、安易な考え方から、それはもう新法によってこういう規定をすれば旧法なんか問題でない、こういうことで立案されたからそういうことになると思うのですがね。その点やはりはっきりしておいたほうがいいと思うのですよ。
  104. 井手委員(井手以誠)

    ○井手委員 議事進行について。——私は、この公団の性格、特に国有鉄道鉄道建設との権限の問題、立法の問題については、当局の説明ではこれは納得することができないのです。納得されるものではないのです。それは法律の三条ですか、二十条、二十二条、三十八条などにかなり出ております。そういうものをひとつ参考にして、答弁を統一して、みんなに理解できるような答弁にして午後やってもらいたいと思います。だいぶ時間がたっておりますから、委員長においては、午前中はこの程度にして、午後再開劈頭に統一された、理解できる答弁をやってもらうことにして、休憩をお願いいたします。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  105. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後一時四十九分開議
  106. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日本鉄道建設公団法案議題として、質疑を続行いたします。加藤勘十君。
  107. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 大蔵大臣が何か時間に制約があるそうですから、大蔵大臣に対することをまずお尋ねします。先ほどの私の質問は、大蔵大臣に質問した後、また、ほかの同僚からも大蔵大臣に質問がありますから、大蔵大臣に対する質問がみな終わってから、前の質問に入りたいと思います。  大蔵大臣にお尋ねしたいことは、第に、この鉄道建設公団法というものが生まれる動機をつくったのはあなたなんですね。あなたが鉄道建設審議会の小委員長として、鉄道を急速に敷かなければならぬ、こういうお考えから、審議会の答申となってあらわれてきたと思います。その後、あなたが大蔵大臣におなりになったから、国家財政の首脳者として、最初自分が発案して答申された案に基づくこの公団法ですから、これに要する資金関係のことも、当然鉄道建設審議会審議の過程においてあなたの考慮の中には入っておったと思うのです。入っておらなければならぬはずです。それが今度大蔵大臣になられたのですから、当然この法案一つの立法として成立しようという第一の条件としては、資金関係をどうするか、こういうことであると思います。これに対して、公式に閣議においてどうこうということはなかったそうですけれども、予算折衝の過程においては、あなたのお考えも十分専務当局からはお尋ねになったはずであります。結論としてあらわれてきたものは、三十八年度にわずか五億円の政府出資しか、形式の上ではあらわれていない。国有鉄道のほうとしては、従来新線建設に回しておった七十五億円が出資される、このほかに借り入れ金五億円として、八十五億円の資金で第一年度を出発しなければならぬ、こういうことになっておりますが、第一年度、かりに公団法が成立して仕事を始めるとしましても、一体八十億もしくは八十五億の金でどういうことが手につくか。一番早く完成すると思われる、たとえば最近に開通を見られたといわれておる相模線のごとき一つを取り上げても、なお相当の資金を要するし、いわんや四十七の着工線をできるだけあなたの計画どおり十ヵ年間にこれを実現しようとすれば、少なくとも五、六千億円の金を要するといわれておる。そういう割合からいきますと、第一年度においても、相当の資金計画の中に入っておらなければならぬ。ところが、それが少しも示されておらぬし、またいままで委員会でお尋ねしても、そういう点については明確な見通しは立たぬ、こういうことになっております。ただ、鉄道債券公債か知りませんが、そういうものが発行される、あるいは政府保証による借り入れ金がなされる、そういうことについての見通しも、ここでははっきりしたことが言われないという段階にあるわけです。どうしてもひとつ、大蔵大臣のこの公団法生みの原因をつくった責任からいっても、また国の大蔵大臣という立場からいっても、私は、資金関係については最も強力な発言をなされ、それが実行されるように仕向けていかれなければならぬと思いますが、その点についての大蔵大臣のお考えを聞きたいと思います。
  108. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 御承知のとおり、本案は、一昨年の七月だったと思いますが、鉄道建設審議会の小委員会の答申に基づきまして、総会でも満場一致決定をし、法律に基づいて政府建議をされたわけであります。運輸省は、この建議にこたえて、三十八年度予算折衝の問題として大蔵省に予算要求をしてまいったわけであります。この問題につきましては、御承知のとおり、小委員会でもたくさんの議論をいたしました。まず、国鉄につきましては、現在の国鉄を御承知のとおり再編成をして、ペイするものとしないものと二つに分けて、第一国鉄、第二国鉄案がございました。もう一つは、新幹線のようなものを現在の国鉄から離して、別な企業体としてやるべきだというような案もあったわけであります。そういう案を比較検討しました結果、過去においては、一年間に現在のものの十年分くらいの新線建設せられたというような例もございます。それが戦前から戦中、戦後にかけまして、急速に新線の伸びが落ちてまいりまして、現在では百キロにも足らないというような状態でありますので、何とかしなければならぬという結論が出たわけであります。もう一つは、道路鉄道との比較の問題が議論をせられたわけでございますが、日本のように、地形、地勢上、また気候の制約がある特殊事情を考えますと、現在から何年かたつうちには、道路よりも鉄道のほうがより安くつくというような比較も行なわれたわけであります。御承知のとおり、いま高速度道路はキロ当たり十一億くらいの予算で計上いたしておるわけでありますが、鉄道新線は、単線でも、御承知のとおり一億二千万円から二億弱でできるわけでありますし、日ノ影線のような山岳地帯を横断するような場合でも、一億かからないということでありますし、道路のように無料公開の原則に立っておるわけではないのでありまして、赤字が出るという——いわゆるその企業単位で考えてみますと、赤字が計上せられるということでありますが、国家的なより広い立場鉄道の功罪というものを考えますときには、やはり鉄道によらざるを得ないという面も多々あるという結論に達して、建議が行なわれたわけであります。建議を受けて予算を認めたのであるから、七十五億国鉄が例年出しておったものにプラス五億円——当時の状況をそのまま申し上げますと、国鉄に対して連年利子補給を行なっていた額が四億何千万円でございますから、それをまるくして五億ということであるから、どうもこれじゃ公団法をつくった諸目的が達成できないじゃないかというお話でございますが、これらの問題も十分検討したわけでございます。しかし、国鉄がいままでやっておりました新線を受け継ぐのでありますので、国鉄との関係をどうしなければならぬか、それから道路鉄道とのより高い立場における比較という、いわゆる国家財政の上から見まして、投資効率というものをどういうふうに活用をしなければならぬかという問題もございます。もう一つは、今年三月三十一日までに上げていただくつもりでございましたが、四月一日から発足をしたにいたしましても、初年度というのは、国鉄との関係の整理とか、いろいろな問題がございます。将来より確実な財政的な方向も見出さなければならぬし、これが経済的効果に対しての検討も必要でありますので、三十八年度につきましては、新しく公団を発足せしめて、そして将来の計画に対してはより合理的な計画を立てて、三十九、四十年とこの公団をして真の目的を達成せしめるような状態までもってまいりたい、こういうことで、三十八年度予算につきましては、御説のとおり、三十七年度にやっておったと同じようなものが置きかえられたにすぎないというふうにはお考えでありましょうが、公団債の発行政府保証債の道とか、いろいろ法制上もその道を開いておりますので、将来は鉄道建設審議会で議論をせられたような問題を国会でも議論をせられ、より検討の結果、万全を期してまいりたいという考えのもとで現在のような予算要求になったわけであります。でありますから、三十八年度は少ないから三十九年もそのとおりであるというようにお考えではなく、お互いに、これを機会日本鉄道新線というものはどうあるべきかという問題に対して、本質的に掘り下げて、将来の長期見通しを立てる絶好の機会でありますので、国会の審議を通じてそのような道が開けてまいるということを前提として、御審議をわずらわしておるわけでございます。
  109. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうしますると、この公団法が生まれるまでには、審議会等においてもいろいろ議論をされて、結論的に言うならば、現在の国鉄にそのまま継続して新線着工せしめるか、あるいは東海道新幹線のように特別会計の方式をとるか、あるいは第二国鉄というような国鉄の別のものをつくるか、あるいはいま出ておる公団方式によるか、こういうようなさまざまな議論が出た結果、この公団法が選ばれた、こういうことなんですね。  そこで、いまもおっしゃるように、われわれももちろん、三十八年度に八十億もしくは八十五億の資金で着手したから、年度割りもそれに応じてというような考えはございません。これはもうだれだって、そんなこと当然のことで、十年間に五千億かかれば、少なくとも年度五百億、さらに物資あるいは労賃等のことを考慮すれば、さらに経費がより多くなるということは当然のことでありまするから、そういうことに対する財政計画なり金融事情なりというものの将来に向かっての正確な見通しは、もとよりだれでも困難であるけれども、おおよそのところをつかんで、この公団法による鉄道建設が始められて、予定のように十年間建設を完了せしめるということができることについての財政、金融上の大綱の見通しを聞かしてもらいたい、こう言っておるわけでありますが、その点は非常に困難だということであれば、これはどうしてもひとつこの発案者であるし、責任者である大蔵大臣の意向を聞かなければならぬ、こういうことになることは当然でありまして、そういう意味で私も御質問しておるのですが、こういう点についての、いまもおっしゃるとおり、国会の審議を通じてそういう点を明らかにする、こういうことでありましたから、その見通しについてのお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  110. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 御承知のとおり、先ほども申し上げたとおり、建議を受けて政府は立てたわけでございます。加藤さんも十分御承知と思いますが、国鉄そのものが、もう一つの転機にきておる、山場にきておるということは、もう常識であります。でありますが、その国鉄の状況にあわせて考えてみますと、この国鉄の中で、さなきだにむずかしい国鉄自体が新しい道を選ばなければならないというような議論のあるときに、国鉄にどの程度われわれが政府のほうで財政負担をすべきか。それから国鉄はさなきだに交通難、交通の隘路を打開するといういま目前の大事業がありますので、結局議論の上ではいろんなことが言われても、国鉄に他の政策目的を持った地方開発とか、その他北海道の鉄道というような、こういうものを国鉄に求めることが、いままでのものとごっちゃになって——そうじゃなくても、現在でも困っておるというときに、新しいそういう大きな政策目的を負わせるよりも、その責任というものを明らかにして、新しい公団で、政府国民も理解をして、新線建設は行なったほうがよろしいという結論になったわけであります。いま北海道と本州との連絡の問題、それから四国と本土との連絡の問題、こういう大きな海上横断鉄道道路も併用されると思いますが、こういう問題ももう調査をし、パイロット隧道の着工に至っておるわけでありますが、大体これらの問題と新幹線にあわせて国鉄がやっていくほうが合理的なのかどうかというような問題まで考えた結果、これは明らかに分離をして、新線建設は新公団に行なわせるというのが建議の内容でございます。でありますから、私は先ほど申し上げたとおり、三十八年度予算のようなものではなく、三十九年、四十年——これは新線というものは、国鉄が現在やっておったものに毛のはえたようなものでいいので、道路に移行すべきだとか、もっと海上や航空によって結ぶべきであって、鉄道というものは必要はないんだというような結論が出れば別でありますが、少なくとも特殊な地形、地勢、気候等の制約を受けておる日本の特殊な状態から考えて、鉄道が要らぬというふうにはならないと思うのであります。でありますから、将来は、この鉄道建設公団が、日本がかつて年間千キロの延べ延長新線をつくったというところまで時代がこれを要求するかどうかは別としまして、いまよりも画期的な立場において新線建設というものがこの公団法によって行なわれるんだ。それに対して、政府は公共負担というものを一般会計でどれだけ一体負うのか。それから公団債を出す場合に、一体どういうような状態で出し、国との関係はどうなるのかというような問題は、これから当然また近く開かれる新線建設審議会でこれらの問題に対して議論がせられるわけでありますので、そういうものを受けて立ちながら、政府も十分これは国民各位の理解がなければできない問題でありますし、特にこういう経済的に、この会計だけで見ますと、赤字が出るということが前提になっているというようなものに対しては、世論も十分見ながら、政府はこれに対応して、財政的な措置、いわゆる資金確保の道を開いてまいりたいといういま考えに立っておるわけであります。でありますから、現在の状態でいやしくも国会に法律を出しておるのだから、国民各位の批判や趨勢をまってからやるということは不見識であって、現在の段階でいいという、こういうような御質問がもしありとするならば、先ほどからるる申し述べておりますように、国鉄がやっておりましたものは七十九億でありますが、しかし実際は五千万円、一億とつけても、何とかかんとか言って実際仕事をやっておらぬ。集中的にやむを得ざるものにだけ集約されて投資をされておっても、何年間も毎年々々予算がついたと言って地方はちょうちん行列をするけれども、何もしない、棒ぐいさえ立てない、測量さえしない、こういうふうなものが今日まで続いてきたわけでありますが、少なくともこの法律案が通過をして新公団ができる場合には、優先順位をつけたり、投資効果を十分にはかりながら、年次計画というものが策定せられるべきだと思います。この年次計画策定にあわせて財政的な措置を合理的に樹立をしてまいるというのが、現在の政府の考え方でございます。
  111. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 るる御説明をお伺いしましたが、問題はそういうところになくして、今後の見通しにおいて、いまの計算、三十八年度の賃金なり、物価なりを基準として計算されておおよそ五千億円、これを新幹線のような例に見ると、最初の計算から見ると、今度の求められる追加予算を計算すると、二倍半、三倍近くになってしまう。そういうことから考えますと、五千億というものが一体幾らになるか、これこそ見通しがつかぬと思うのです。そういう場合に、少なくともこの公団法というものについての案ができたときには、これによると、どういう年度においてどのくらいの資金関係が必要か、そうしてその資金はどうして求められるか、求めることが問題だと思うのです。国鉄出資には限度がある、政府出資にも限度がある。公共事業として扱うとしても、公共事業の割当も限度がある。そうしてそれでは、予定のとおり、たとえ計画策定されても、とてもこれを十年間にやることはむずかしい。どうしてもその資金を豊富に求めなければならぬという点において、先ほども私は質問したのですが、一般公募による公債といいますか、鉄道債といいますか、そういうものを発行される予定であるということですけれども、それは私は国の財政とそのときの金融事情によると思いますから、いまから、一々具体的に当てはめることは困難であるけれども、少なくと十年間にこれだけのことをやってのけようという大綱について、ほぼ見通しがつくわけなんです。その大綱の見通しも立てられないで手をつけるということは、ちょっとむちゃじゃないかと思うのです。その大綱をひとつ大蔵大臣の責任において聞かしていただきたい、こう思うわけなんです。
  112. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 加藤さん御承知のとおり、先ほどもあなたの御質問にお答えしておるのです。この法律は、法律に基づく鉄道新線建設審議会の建議に基づいて認めたのでございます。建議の内容ももちろんそのとおりでございます。建議の内容はあなたが言われたとおりで、いま着工線になっておる四十何線そのほか、これを十ヵ年でやっていくのには五千億かかるのだ、当時の、いまからまる二年前に計算してみても、そのとおりであります。その当時日ノ影線なども、一番の難工事の個所をキロ一億五千五百万くらいしか見ておらなかったのでありますが、これが二億になるということになれば、なお六千億、七千億になるのじゃないか、こういうことでございます。その中には、過去において採択せられたものも、そのままみな計算をしております。でありますから、その後、新産業都市建設促進法も施行せられ、政府は近いうちにこれを指定しなければならぬ、こういうことになっております。また、その後産炭地振興というような問題で臨時国会も開かなければならぬというような新しい事態も起こっておるわけであります。でありますから、これから政府も、民間も、国会も、十分検討せられて、少なくともこれだけの新線建設というものは何ヵ年でやっていかなければならないという問題が、当然起こってくるわけであります。でありますから、十ヵ年間五千億、しかも海峡鉄道等を除きまして、五千億というものをそのまま政府が受け入れて——とにかく建議を受けて立つ以上、その内容を全部受け取ったのだろう、こういう御質問もあるかもしれませんが、少なくともいまよりも前進的でなければならぬという政治的な責任の上に立って、この公団法の提出をいたしたわけであります。でありますから、先ほど申し上げたとおり、きょう御質問をいただいておることと同じことがきっと新線建設審議会でも議論せられ、私たちに対してもまた出席を求められ御質問があると思いますが、これは政府が受けて立ったものでありますので、これから新線建設審議会の議論も十分拝承しながら、またその後に生じた新しい事態もございますので、道路との比較、港湾との比較、海上との比較とか、いろんな問題もあると思いますので、このような状態を十分勘案をしながら、財源確保をはかってまいりたい、このように考えておるわけであります。いま国会に提案をいたしました英貨債の借りかえに関する法律をお願いしておるわけですが、これを見てみますと、明治三十二年に発行したわけでありますが、このときには鉄道の幹線整備のために外債が発行せられておる、こういうことであります。私は、その結果、日本の経済復興に非常に寄与したであろうということを考えておるわけでありますが、まあ外債によって財源を得るという道もございましょうし、それから先ほどから申し上げておりますように、鉄道公団債の発行ということも考えております。また、新しい公団でありますから、明治初年から日本鉄道が初めて敷かれたときの歴史も十分考えながら、そういう事態には一般会計からの補てんという道も、最重点的な施策としてとられたわけでありますから、こういうものを財政の中で優先順位をつけながら、国会でも御理解を賜われるような状態資金確保をはかってまいりたいという非常に積極的なものを出しておるわけでございますので……(「前進的な内容を示せ」と呼ぶ者あり)内容は先ほど申し上げましたとおり、十ヵ年五千億という内容を持つ答申を受けて立ったのでございますので、いまよりも積極的であらねばならぬということを政府は考えておるのですが、五千億そのままのんだのか、のめば、その後物価の変動等で七千億になっておるぞ、七千億はどういう計画でもって、いついかなる方法で出すのか、こういう事態ではないと思います。先ほどからるる申し上げておりますように、財政の内容の範囲内において、しかも重点的に、前向きに、積極的にやってまいりたい、これが現段階における政府の考え方でございます。   〔「満点だ」と呼ぶ者あり〕
  113. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 確かにいまどこからか声が出たように、あなたの答弁は満点なんです。しかし、それはどういうことかというと、何もわけがわからないという意味においての満点で、そうではないんですよ。私の質問の要点は、これから策定されるといわれるその策定に基づいて年次計画ができて、その年次計画によって三十八年度はどれだけのことをやる、三十九年度にはどの線の完成につとめるというように、全部一ぺんにやるのではなくて、順序があるということは、だれでもわかることです。ただ問題は、そういうときに、基本的に国が資金の供給をどういうところに求めるかということです。いまあなたは外債ということをおっしゃったけれども、東海道新幹線のようなところならば外債も入るかもしれませんが、山の中で、それこそクマが出るかシシが出るかわからないようなところに鉄道を敷くのに、外債なんかとても応じられないですよ。そんなところに外債なんか見込んでおったとしたら、大きな見込み違いです。そうではなくて、やはり着実に、どこに資金を求めるかということについては、結局国が何らかの形において、直接の負担か間接の負担かわかりませんが、とにかく負担をしなければならないことになる。それでなければ、日本の市中銀行だって金を貸しはしません。政府が保証して初めて金を貸すのであって、政府の保証のないところに銀行が金を貸すものですか。そういう点から言って、おおよそこれから鉄道建設審議会の議を経てどういう策定をやるかということでは、この法律を出すにはあまりに手おくれです。法律を出すについて、そういうことが議論されて、そういう議論に基づいて、ただ四十七の着工線と十五の調査線だけを着工せよという、この審議会の意見だけをそのまままるのみにされたのでは、少しもそういう将来に向かっての計画性というものがないわけです。あなたはいま、ことばをずいぶんたくさん使われたが、要点は何もありはしないのだ。普通の一般常識で議論し得る範囲からは一歩も出ていないのです。それではいけないのじゃないか。この鉄道建設審議会というものは、運輸大臣が諮問をされて、策定案をどういうぐあいにつくられるか。それをつくるのも審議会の権限に属するのか。先ほどお伺いすれば、鉄道に関する以外の権限は何もない。だから、今日の社会情勢下において、交通全般についての政策を議論する余地がない審議会である。そうすると、今度はどういう点を審議、諮問されるか知りませんけれども、おそらく鉄道建設審議会においては、一ぺん決定した新線建設については、これをそのまま持っていけ、あるいはこれについての費用等は政府責任においてやるべきであって、審議会がかれこれそういうことについてまで意見を出す権限はないのだ、こういうことになってしまって、結局政府責任を持たなければならないことになると思います。そういう場合に、いまの程度のあなたの説明では、だれも納得できないと思います。何だか知らぬがうまいことを言っておるなというようなことになって、わけがわからない。それではほんとうの審議にならないと思うんですよ。日本の文化の向上のために、地域差の解消のために、あるいは産業の興隆をはかるために、鉄道が大きな役割りを持っておるということは、われわれもよくわかります。ただ問題は、それにもかかわらず、今日の社会情勢下において、鉄道を唯一のものに見るか。いまおっしゃるように、他の交通機関の航空機もある、あるいは沿岸の内航の問題もあるので、そういう問題等を勘案しつつ、鉄道がどれだけの比重を持っておるかということも考慮しなければならない。地方の人々が鉄道を欲するということは、鉄道を一番身近に感ずるからであって、バスでも、トラックでも、物を輸送したり人を運ぶ上においては非常に便利で、むしろバスなんかのほうが便利だと思います。気候、道路の関係でこれが年じゅう利用できない僻遠の地もありますけれども、鉄道でも同じことなんです。やはり鉄道でも、冬になって雪が降れば、北陸の幹線すらもだめになってしまう時期もあるのだから、そういう点からいけば、鉄道必ずしも有利であると言われないと思うのです。道路がほんとうに完成されておるならば、むしろ道路を利用したほうがより有利な交通機関となり得る。そういう点はいまさらここで議論すべきでありませんけれども、とにかく一応鉄道の優位性をとって、鉄道建設するについては時間を急がなければならぬということからこの法案が出された以上は、この法案審議に沿うような将来に向かってのおおよその——私はおおよそと言っているんですよ。決して正確なというわけではない。おおよその資金関係の見通しを述べてもらわないと、なかなか得心がいかない、こういうことなんですから、もう少しあなたざっくばらんに——それだけすべてざっくばらんにものを言っているんだから、もう少しざっくばらんに根幹を説明してもらいたい。
  114. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 私は、政府がこの法律を出したということは、新線建設ということに対して非常に前向きであり、積極的である、こういう姿勢はひとつお認め願えると思うのであります。まあ鉄道は、先ほどあなたが言われましたとおりに、私もまた同じことを申し述べたわけでありますが、確かに道路との比較の問題があります。それから航空との問題とか、港湾を使用する海上輸送との問題等の比較はございますが、いずれにしても建議がなされました当時は、一級国道、二級国道、俗に三級国道と言われる重要指定府県道の総延長五万キロぐらいまでは、大体鉄道より道路のほうが優先するだろう。ただし降雪地が二分の一に近い四九・何%あるんですが、そういうような日本状態であり、特殊な山岳がございます。結局二点間を結ばなければ交通は確保されないのでありますから、山岳道路になりますと、五万キロ以上、日本ではいま大体十五万キロぐらいの整備を目標としてやっておるわけでありますが、五万キロをこしますと、鉄道道路というものが年間を通じてどのように比較されるかというと、鉄道が優位という議論も成り立つそうであります。遺蹟は無料公開でありますから、維持、修繕等全部国で行なわなければならぬ。これは地方公共団体がやっても同じことであります。ところが、鉄道は、鉄道の会計から見ますと、人があまり乗らないので半分は赤字だ、こういうことでございますが、しかし、半分は収入はあるのであります。でありますから、会計別の赤字とか、ペイしないとかいうことは別にしまして、いずれにしろ国自体の経済発展にいかに寄与するかということを考えますと、鉄道の優位性ということも論じられるわけであります。  もう一つは、冬季の道路交通確保に関する法律、これが出まして百二十五億、五ヵ年間で相当な金額を出そうというふうになって、国会でもってそういう法律ができておりますが、これが冬季間幹線道路の除雪を国が負担するとか地方公共団体が負担するということになりますと、鉄道のほうが少しいいのではないかという問題もあります。これは北海道の道路鉄道の比較をしてみますと、北海道は、御承知のとおり、鉄道は約七、八十年間赤字でございます。赤字でございますが、五十万人の北海道が六百が人、七百万人に人口がふえ、北海道自体の経済発展がいかになされたかということを考えますと、鉄道に負うこと多いというようなことよりも、鉄道によって開発されているわけであります。でありますから、そんなようなものを十分検討をして建議になり、その建議を受けて、国鉄ではどうにもならないものを公団として補助をさせようというふうに政府も踏み切ったのでありますから、先ほども申し上げたとおり、確かに前向きであるということは、御理解願えると思うのです。  ただし、財源確保と年次計画の問題は、あなたが言われましたとおり、他の交通機関との経済比較もしなければなりませんし、また現在、鉄道新線建設審議会でもって答申を受けて、によって着工線となり、それから予定線になっておりますものも、その後にできました法律でもって、新産業都市とか、産炭地の振興とか、いろいろ政策的な要求もありますので、そういう問題をひとつ整理しまして、これから五ヵ年間くらいはどうしてもやらなければならぬというような問題に重点的に順位が付されるわけでありますので、そこでおのずから年次計画策定せられるわけであります。  そういうものを待たないで、政府が一方的にやればいいじゃないか。またやることがより合理的であり、少なくとも国会にこれだけの法律を出す以上は、政府案だけは持たなければならぬというお気持ちも十分わかりますが、先ほどから申し上げたとおり、鉄道に対しては、道路にかわったほうがいいのだというような議論もほうはいとしてありますし、より国民的な結論を得ながら、政府がそれに対応していくほうが合理的であると考えておるのであります。  でありますから、しいてあなたの御質問に対してお答えをするということになれば、少なくとも八十五億や百億程度の金をつけて、来年これで済むというような考えではありません。だから、めどだけでもいい。少なくとも二年度にはこの倍額くらいにならなければお話にはならないだろう。五百億ずつといっても、新線そのものに対しても、来年は東海道新幹線というものがありますし、私は、やはり常識的に考えますと、この公団がほんとうに動いてくるのは、新幹線が終わって、このワクがすぽっとあくわけであります。こういう場合に、この新線建設公団にどのようにこのワクがそのまま移っていくか、それにプラス・アルファをどうしていくのか、一体政府は公共負担をどの程度やるのか、これらの問題は、一つ一つみんな議論のある問題でありますから、まず、本年度発足させておいて、受け入れ態勢をつくっておきながら、そういうものをつくっていくべきである、私はそういうふうに考えておるのであります。少なくともいままで国鉄に出しておったよりも、公共負担一般会計からの負担がふえるであろうということだけは、前提としては申し上げられますが、ではどれほど出すのか、公団債の売れ行きというものもございますし、これが発行限度や、政府責任や償還年数をどうするかというような問題で、またそういう方法で、政府国民の税金で直接まかなわなければならないという面をある程度しぼって、きめる前提となるいろいろな問題がまだ片づいておりませんので、そういうものを見ながら、資金確保の道は講じていかなければならぬ。原則的には、いまよりも政府負担が確かに鉄道に関してはふえるということは、この法律はその事実を意味しておる、これはお答えできると思います。
  115. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 いま大蔵大臣のお答えの中から、一つ重要な新事実を私ども聞かしていただいたわけであります。資金計画に基づく一番当面の責任者である大蔵大臣のおことばとして、私どもが非常に重要だと考えますことは、実際に公団が具体的に動き出すのは、東海道新幹線完了後である、こういま言われたのです。なるほど鉄道技術を転用、動員しようとすれば、私はどうしても事実上そうならざるを得ないと思うのですけれども、もしそうであるとするならば、新幹線の一応の任務の終了は、来年の九月なんです。営業は十月一日から開始されることになっておるのですから、まだ一年ゆっくりあるわけなんです。その間に、いまおっしゃるような審議会の審議も求めるであろうし、政府としての年次計画策定もなされるであろうし、そういうぐあいにして、もう少し落ちついてこの法案の立法に当たられたならばいいのではないかと思うのです。いまあなたが、三十八年度予算でこの法案が通ったらすぐ右から左へ着手するのだ、準備行為に移るのだ、こういうことであるならば急がれるということもあるけれども、事実上鉄道技術等を動員するということは、新幹線の終了後であるということを言われるならば、この一年間というものをそういう準備期間として用いられるほうが、より着実なものができ、計画も具体的なものが生まれてくるのではないかと思うのです。おっしゃるとおり、遺跡との比較も起こってくるし、他の交通機関との関係も起こってくるし——話がちょっと途中になりますけれども、鉄道というものに対する地方の人々の考え方なんです。これは非常に変遷しておると思う。去年でしたか一昨年でしたか、私どもは宮城県の白石という町に行った。そのときに白石の市長さんや市会議長さんが、野党のわれわれにまで停車場移転の問題を請願、陳情されておるのです。前に東北本線が通ったときに、白石の町を通すはずのものが、こんなところに鉄道を敷かれては困るという土地の人の反対で、いまのあの遠いところに敷いて、名前は白石であっても、実際の白石の町とははるかに違った村に駅が設けられている。それで最近になって初めて、これは鉄道というものは便利なものだというところから、市長、市の機関あげて停車場の白石移転を請願しておるという事実も、われわれは知っております。私自身も行って陳情を受けた一人です。そういうように、地元民の鉄道に対する感じ方というものは違うと思うのです。いまほんとうに不便で何の交通機関もないようなところの人々が、鉄道を恋人のごとくに恋い慕うということは、私はもっともだと思うのです。けれども、たとえば飛騨の奥のほうに行く場合に、あすこに鉄道を敷いたほうがいいか、現在のバス、トラックの輸送でいいのかということになれば、それは鉄道が敷かれれば、バス、トラックでやるよりはあるいは便利かもわからぬけれども、事実上バス、トラックの運営によって、白川のあの飛騨の奥のほうの人々も、そういう恩恵を受けておるわけです。戦時中のごときは、あすこから二かかえもあるような大きな木材をやはりトラックで運び出しておった。これは鉄道で運べば有利にきまっています。けれども、あすこに鉄道を敷いて、それでほんとうに採算上合うか合わぬか。やはり一つは文化の河上ということもありますけれども、一つはやはり経済開発経済発展ということが主眼になっている。鉄道としても、やはり経営が自主的に成り立つような限度でなければならぬと思うのです、国がやろうと、どこがやろうと。だから、そういう点で必ずしもいろいろなものを加えて——部分的に見れば、鉄道の優位性ということはわれわれも認めます。認めますけれども、そういうように鉄道というものに対する感じ方が変わってきておるという人心の動き、それから経済上の利害得失と、社会情勢と、全般を勘案総合して検討されることが必要である。ただ鉄道だけを何でもかんでも敷かなければならぬと、審議会の答申を受けたからというて、その答申どおりやらなければ困るということではなるまいと思うのです。だから、この一年間、これを取りやめるということはできぬでしょうけれども、審議未了、継続審議にして、その間に十分な検討をされるということのほうが、むしろいまのあなたのおことばから見ると、妥当のように思うのです。その点はどうでしょう。
  116. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 これは加藤先生ほどの方でございますから、あげ足をとられてお話になったとは思いませんが、しかし、先ほど私が申し上げましたのは、実際に鉄道というものに思い切って投資をされるということは、片方に新幹線をやっておりますので、この上に何百億、何千億というようなことは、なかなか言い得て行なうことはむずかしいだろう、これは常識だということを申し上げたおけです。でありますが、来年新幹線が終わりますから、終わりますと、大蔵省の事務当局としましては、そのあいたものをさっとよそに、五、六百の要求がありますから、持っていくように考えておりますが、しかし、建議にもございますように、鉄道というものは、日本経済発展にこれは絶対的である。与野党満場一致である。学者も何もみんなそうです。そういうことで、日本の先輩は年間千キロずつもやったから、日本の経済がこう復興したんだ。これはしまいには鉄道独立採算制だけを押しつけて、年間七十五キロくらいしかやらないから、日本の経済は跛行的になり、地域格差はこうなったんだ。だから、鉄道なくしてはどうにもならぬ、こういう結論で皆さんが政府建議された。私もその中の一人でございましたが。その結果、公団法を政府はのんで、そうして国会の御審議を願っておるのですから、実際の問題として何百億というようなものは、これは鉄道の新幹線に引き継いで行なうということは常識だ。まあ私要らぬことを答弁したと、まさにほぞをかんでおったわけでありますが、そんな意味で、実際上はそうである。しかもいまから考えまして、少なくとも年々歳々、三十七年度までやった日本国有鉄道の手になる新線建設状態では、これは困る、これよりも前進的にしろということで、この公団法の設置をお願いしておるわけです。でありますから、ここにある政府が五億出すとかあるいは国鉄が出すとかいうのではなくて、いまここでこの法律案審議の附帯条件として、これはとにかく公団債を百億も発行して、少なくとも二百億でやる、こういうことになれば、ことし消化ができれば、できると思っております。でありますから、これはまた他のほうを埋める状態がこの法律に書いてあるのでありますから、少なくとも皆さんのお知恵で、院議をもって政府はこうあるべきだということになれば、政府は国会にこの法律案を出したとき以上に尊重しなければいけませんし、次の臨時国会があったら、臨時国会にこれだけのものを出さなければいかぬ、こういう院議があれば、私たちも出すように努力しなければならない。来年まで待てばいいんだ、そうなると、これは慎重さは確かに必要でございますが、これだけの議論をせられた問題を一年間延ばすことは、退歩であっても進歩じゃない、このように私は理解をしておるので、あります。でありますから、皆さんが、この公団法を一日も早く発足せしめて、政府はこのように財源措置をすべしというような御激励があるなら、われわれもまた、それにこたえて、この法律案提案をしたのに錦上花を添えたい、こういうのが、いま私の考え方であります。
  117. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 まだいろいろ大臣にもお尋ねしたいことがありますが、同僚の諸君から質問が出されるそうですから、私は、大蔵大臣に対する質問は、これで一応打ち切っておきます。
  118. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 大蔵大臣に、関連してお尋ねいたします。  大蔵大臣ということと鉄道建設審議会の代表と、二面の意味があっておいで願っておるわけであります。そこで私の質問は簡単にいたしますから、ひとつ答弁も簡単にしていただきたいと思います。  問題は三つだと思います。一つは、公団出資の問題、資金構成についてです。二つの問題は、いま行なっている新線建設利子補給の問題、三つ目の問題は、無償か有償かという問題。  一つ公団出資の問題ですが、資金構成です。いまお話を聞きましたけれども、話の内容はよくおかりません。資金構成は、政府負担部分と、国鉄負担部分と、地方公共団体と、借り入れ金と、こう四つに分かれております。そして四つの割合を見てみますと、五千億の計画の中で、政府負担が三千二百三十四億、国鉄負担が八百億、結局国鉄の割合に対して四倍政府負担をする、こういう形になっておるのでありますが、残念ながら二十八年度計画は、国鉄が七十五億、政府が五億、七十五対五で、これでは、あなたが幾らことばで積極的だ、前進だ、前進だと言っても、ことばは前に進んでいるようですけれども、中身はちっとも進んでないようであります。そこでことしのことは別として、来年もあるでしょうし、再来年もあるでありましょうが、この公団を前進させるための一番中心は、政府出資が大幅になるのだ、国鉄よりも、この五千億の計画では四倍になっているんだから、四倍以上になるのだ、これが前進ざせる一番のもとだ、こういうふうに思うのでありますが、政府出資が中心になってこの建設公団が進められているのであって、国鉄出資なんというのは勘定にないんだ、こういうことだと思うのですが、いかがでしょうか。
  119. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 非常にむずかしい御質問でありますが、これから新線建設を行なうというものが、東京の第二山手線をつくるとか、第二中央線をつくるとか、それから御承知の答申にありますように、大宮から桜木町までの複線をつくるとか、こういうものに重点を置けば、これはもうペイするものであります。東京湾横断鉄道もそのとおりでありますが、そういうものに投資をするということにかれば、これは政府が一時公団債等で財源さえ確保をしてやれば、事業は進むということになります。しかし、四国と本州との連絡鉄道をやるとか、また北海道と本州とのものを先にやる、しかも、新産業都市とか産炭地振興とかいうことで、これはペイしないけれども、鉄道を敷くことによってその地域を発展せしむるんだという他の政策目的を重点に償いた新線建設を優先せしむる場合には、これはもうペイしない期間が非常に長くなりますから、政府利子補給をするとか、また政府自体が一般会計で補てんをしなければならぬとかいう問題は、おのずからそこで分かれてくるわけであります。まあそういう事情でございますので、少なくとも今日の段階で、答申にありますように、国鉄の何倍ということをそのとおり私のほうでいま考えておるわけではございません。新幹線等が非常に調子がよくて、国鉄もそれ以上出します、出しますから桜木町線を早くやってくださいというような要請もあると思いますから、どういうものに重点を置くかによって資金の内容が違ってくるわけであります。ただし、国鉄が現在までやっておりますと、結局交通難緩和のためにどうにもやらなければならない、しかも非常に単価のよけいかかるところでもやむを得ずやらなければならぬというようなものに重点を置いて、他の政策目的の、いわゆる低開発地域開発促進というような面は事実やりたくともやれないような財政の中で、それをカバーするために前進的につくられるこの公団でありますから、先ほど来申し上げておりますように、財政負担というものが常識的に多くなるであろうということは、これはもう常識的な議論でありますということを先ほどから申し上げておるわけであります。でありますから、本年は、ただ先ほども申し上げたとおり、発足当初でありますし、国鉄が年々支出をしておりました七十五億をそのまま置きかえる。それから、それに対して利子補給を行なっておりました四億七千万円程度の金をまるく五億にして、いずれにしても出資金に振りかえたにすぎないのでありまして、将来は、この新線建設政策的に非常に重要なものであるという認識で進められていくわけでありますから、政府出資もそれに並行してふえていく趨勢になろうということは申し上げられるかと思います。
  120. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 この法案骨子となったものは、あなたが先ほど申されましたように、鉄道建設審議会です。こういうふうに言われているわけです。鉄道建設審議会の中から公団方式というものが生まれてきたものだと思う。こういうことにして、それが前進なんだという、こういうことになるならば、この中における資金構成というものは、政府出資が中心になるべきであって、それは国鉄部分というものは、国鉄の公共負担が多過ぎるじゃないかという今日の議論、あなたも了解している議論からいうならば、それをむしろ少なくして、政府出資を多くすることによって新線建設を促進していくということにならなければならぬと思うのです。そういうことになるならば、具体的数字についてはそれは困難でしょうけれども、結局この今後の追加出資については、やはりこの法律のたてまえからいうならば、当然政府出資が主体となるべきだ、こういうことが言えると思うのですが、その点いかがでしょうか。
  121. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 鉄道建設審議会の答申には、そのように書いてございます。政府も、その答申は十分読んで、趣旨の上ではそれを受けて公団の新設法案をいま御審議願っておるわけであります。でありますから、基本的姿勢としては、あなたがいま言われたような考え方を是認いたしております。おりますが、しかし先ほど申し上げましたように、これから内容はお互いに検討して取捨選択するのでありますし、財政多端のおりからでありますので、財政との調和をとりながら、この法律の目的達成のために政府は遺憾なきを期す、こういう考えでありますことを御了解願いたいと思います。  それからもう一つ、簡単にやりますので——簡単にということでありますが、これはポイントでありますから、ちょっとつけ加えて発行をお願いしたいのですが、これはちょっと考えると、あなたが先ほど言われたとおり、公共負担を必要以上に要求されておる国鉄に、政府は公共負担分はカバーすればいいのだ、こんなものはつくらなくてもいいんだ、これは一つの議論として私も検討いたしました。十分運輸大臣にもそういうことを申し上げたことがあるのでありますが、しかし、これは非常に事実上むずかしいのであります。国鉄としての公共負担の限度を一体どうするのか、明治から長いことこれだけの大きな、国が投資したものを運用し、運営しておる、そういういろいろな過去の問題に対して、やはり国が負担するというようなところまでいかないうちに、国鉄が一体どの程度合理化ができるのか、国鉄は一体いまのままでいいのか、そんなことばかり何年も何年もやってきまして、結局つつくものばかりつついておって、出すものは出さなかったから、今日の新線建設状態になった。でありますから、新線建設というものは、新しい公団をつくって、全く新しい姿で再発足する、再スタートする、そうすれば、そこで新線とは一体政策的にどうあるのか、産炭地振興はやらなくていいのか、低開発地域開発はやらなくていいのか、北海道の鉄道建設は、赤字が出るけれども、こういう政策目的に合致するのだということが、非常に限界が明らかになるわけであります。でありますから、国鉄のほうに一般会計からでも何でも金を入れて利子補給をしてやるほうがいいじゃないかという議論は、実際の運営問題になると、壁にぶつかるのであります。ですから、毎年議論をされておりながら、ついに実現できなかったわけであります。でありますから、今度はそういう意味国鉄とは区切りをつけて、国鉄新線建設公団との間は、あなたの三番目において言われようとしておる無償か有償かのその問題を一つずつケース・バイ・ケースで決定するときに、国鉄政府との限界を明らかにするのが好ましいということで筋を引いたのでありますから、この間の事情はひとつ御理解賜わりたい、こう思うわけであります。
  122. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 大臣、新線建設国鉄の公共負担はどこが限度かというのは、結論が出ているのです。それは私がいまこれから質問いたします国鉄に対する新線建設政府補助、これで結論が出ているわけです。出ていると私は思うのです。もし出ていないとするならば、これは一体この新線建設に対する利子補給とは何ぞやということになります。これは新線建設を促進するために、国鉄負担分を少なくするために、新線建設利子補給というものがつくられたわけです。三十六年から四十年までつくられたわけです。それがまた新線建設の促進をしたと思うのです。そうすると、いまこの新線建設に対する七十五億の建設部分については、三十六年から四十年まで利子補給が行なわれているわけです。この利子補給というものは、当然国鉄負担を軽くするという立場で行なわれてきたのでありますから、今後もこれは続けられていく、利子補給されるもの、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  123. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 七十五億に対して四億数千万円の利子補給が行なわれてきたわけですが、その四億何千万円をまるくして五億にしたところで、新線というものは建設せられないのだということで、非常に建設審議会がお怒りになって政府建議をしたわけであります。でありますから、今度政府出資が五億である、四億何千万円をまるくしただけじゃないか、こういうことではなく、これは当座のものであって、将来はこれが多くなっていくのだということは、この公団の性格から見れば、あなたももう十分御理解ができると思うのです。でありますから、利子補給をするという問題は、いままで国鉄に対して七十五億に対して利子補給をしておるというような問題ではなく、公団の将来の運営に対して、少なくとも年間二百億だったら二百億、百億だったら百億という公団債を発行しなければならぬ。しかもそれはペイしないというものが多い。少なくとも根津線とか東京湾横断とかを除いて、とにかく十年たたなければペィしない。本州と四国との問題を先にやろうということになれば、全然償還されないわけでありますから、そのときに、結局政府保証というものはどうするか、政府がその償還に対してどういう責任を持つかということでありまして、四億何千万円というようなものではなく、これを結局進めていって、しかも政策目的を——会計としての、単独会計としての赤字とかそういうものではなくて、他に国が求める政策目的に重点を置いた新線建設が多くなれば、国の負担が多くなる。何十億、何百億になるかもしれない、仮定の問題でありますが。そういう方向に政府が踏み切った。でありますから、私は、少なくとも七十、五億か百億のものに対して四億何千万円の利子補給をしておったような状態よりも、相当積極的に国が財政的負担を行なうというたてまえに立ってこの公団法を出しておるという真意だけは、御町解いただけると思います。
  124. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 大臣、向こうで待っておるそうですし、時間もないそうでありますから、私も簡単にいたしますから、簡単にひとつ。  それで、いまの利子補給は続けるのですか、続けないのですか。
  125. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 利子補給ということは、いまは国鉄に対してだけの利子補給でございますが、今度新線建設公団というものは、それよりもより事業量が大きくなっていくわけでありますので、少なくとも出資という形でもって大幅な出資が行なわれるか、それから利子補給ということでいままでのようなものを併用していくか、それからなお政府が保証した債券を出しますから、それに対して元利償還を政府責任を負うかという問題は、これからの問題として十分検討していくわけでございますが、少なくともいままで国鉄に対して四億数千万円の利子補給をしてきた以上の国の負担を行なうという基本的な考えであります。
  126. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 いままで七十五億について四億七千万円、国鉄利子補給をしてきたわけですね。この国鉄に対する利子補給はするのですか、しないのですか。
  127. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 国鉄新線建設をしないのでありますから、国鉄に対してはやりません。
  128. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうすると、国鉄はいままでよりも四億何千万円という負担が重くなる、こういうことですね。
  129. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 そうはならないのです。国鉄新線建設を行なうのに対して、国から得るものは四億七千万円しかなかったのです。でありますから、今度のこの公団法によって国鉄が出すものは七十五億しかありませんが、それよりもうんと大きなものをやるわけであります。そしてそれを国鉄に貸し付けるときには、有償が原則でございますが、こういう赤字になるようなものに対しては、これは無償ということになるのであります。でありますから、現在は七十五億出しますが、一年間七十五億に対して四億七千万円の利子補給しかしていないのです。今度は、そうではなく、公団でもってやった場合には、国鉄との貸与の間で計算をしました場合に、この鉄道が黒字になるまではずっと無償で貸与いたすということになれば、現在国が国鉄に対して行なっているものの何十倍の国の保証になるわけでありますので、七十五億に対して、四億七千万円もらっておったから、今度も鉄道が七十五億出すんだから、四億七千万円国が国鉄に対して出すのがいいんだという理論にはなりません。
  130. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 大臣、新線建設をするために、国鉄は七十五億出しておった。それが国鉄に対する公共負担が重くなったから、ですから、その分については利子補給をしようではないか、そうして国鉄経営をよくしようじゃないか、こうきたわけです。それを取り上げるということは、七十五億が八十億、百億、二百億になってもけっこうですよ。われわれは国鉄新線を自分で二百億でつくる、三百億でつくる、けっこうですよ。それを政府利子補給するならば、同じことなんです。それを公団にぶっかけたところに問題があるわけです。ですから、国鉄経営は、この公団をつくることによって、七十五億についての利子補給をもらっておったのが、利子補給が打ち切られるということになるじゃありませんか。国鉄の公共負担がますます重くなるということです。どうですか。
  131. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 そこは楯さんなどは専門家でありますが、しかし、もう一歩進めて考えていただけば、これはもう非常に簡単におわかりになると思うのです。現在、新線国鉄がやることになっているのです。国鉄がやらなければならぬのです。われわれの先輩がつくったものだけ運営しておってもうけていればいいのではなくて、新線というものを新線建設審議会がきめれば、いやおうなしにやらなければならない、幾ら赤字があっても。法制はそういうたてまえになっているのです。国鉄はやらなければならないのです。ですから、国鉄は、新線というものが、自分で考えておるような、東京都のまん中を通るような、絶対に必要であり、黒字になるというものだけが答申になってくれば、これは資金さえ財政投融資からでも見てもらえば、じきにこれは返しますよということになるが、そうではないのです。北海道の鉄道でも何でもやらなければならないのが法制になっているのです。それで困るから、御承知のとおり、四億何千万円の利子補給をしているわけでありますが、四億何千万円というものは、永久に出すものではないのですよ。一年間七十五億新線にかけたときに、一年こっきりやるのです。来年のものに対しては、また来年やらなければならない。あとはずっと投資したものに対しては、赤字国鉄自身が現在の法制においてはひっかぶっておる。そうですよ。簡単なことじゃありませんか。七十五億を出しますときに、四億七千万円だけやる。しかし、今度は来年は七十五億出しますから、百五十億分やる、さらに再来年は七十五億で、二百二十五億に対してやるわけではないのですよ。年間支出をするものだけに対して、一年こっきり四億何千万円しかやってないのですから、だから、赤字線をつくらせられると、国鉄はもう未来永劫にその赤字をしょっていかなければならないのです。ですから、国鉄のほんとうの合理化はできないのであります。でありますから、今度公団に分けてしまって、そうして国鉄から出す分は七十五億しかない。そうして公団がつくるということで、国鉄がいましょわなければならない新線建設の負荷の大任は、この公団にやらせる。そしてそれを国鉄に貸与するときには、赤字のものは無料でやる、こういうことになるのでありますから、いまよりも非常に国鉄負担が軽減されるということは、もう数字をはじいてみればすぐわかることであります。そういう議論になりませんか。
  132. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 これは私は、新線建設利子補給の法律から今度の法律をながめたときに、どうしても矛盾を感ずるのです。そこで大蔵大臣、あなたは、われわれ社会党が鉄道新線建設緊急措置法案というものを出したのをまだお読みになっていないと思うのです。これはきょう読んだだけですからね。これを見ると、社会党といま政府が出している案とどちらがいいかということは、これはもう社会党の案がいいという結論になるのです。これはどこに原因があるかといえば、金をどれだけ入れるかということが大きな問題なんです。入れ方が問題なんです。  そこで、時間があまりせっつかれておりますから、今度は有償か無償かということです。これはあなたは当然営業収支が赤字の場合は無償だ、こういう御答弁を予算委員会で答弁しておる、そのとおりですか。
  133. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 公団でありますと有償が原則でございますが、先ほどからるる申し述べておりますとおり、これは政策目的でつくられる新線も多々あるわけでありますから、国鉄の相当の負担になるような赤字線は、無償という考え方が正しいと思っております。
  134. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 有償の場合はどういうことになりますか。
  135. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 これは北海道と本州との連絡鉄道ができまして、洞爺丸のような事故も起きないし、国鉄がいまよりもうんともうかる。これは当然国鉄のやりたいことでございますが、しかし、総体的な資金のワクでできないというものが、新線建設公団でできて、これを国鉄が運営をするわけでありますので、その場合には当然有償になる。いわゆる中央線がもう一本できるいうような場合、これはもう当然ペイするものでありますので、こういうものは有償が原則であることは、もう当然のことだと思います。
  136. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それで、その有償の場合でも、それは国鉄の利益の限度によってきめられる、こういうことなんで十ね。
  137. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 これは国鉄公団の間できめるわけでありますが、国鉄の財政事情等を千分見ながらきめていくということであります。
  138. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それはあなたの話を聞いていると、総ぐるみの計算のように聞こえるのですけれども、これは一線一線の計算になるのですか、どうなんですか。
  139. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 これはケース・バイ・ケースで、一線一線きめていくのが正しいのです。だから、それを全部プール計算をして、こっちは赤字だけれども、こんなにもうかっているものがあるじゃないかということには、原則的にはならないと思います。
  140. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうすると、原則としては有償であるけれども、営業収支が赤字の場合においては無償である。そうして有償の場合においても、国鉄の利益の限度において、それは公団国鉄できめられるものだ。そういうことですね。
  141. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 国鉄の利益の限度というのはどういうことかわかりませんが……。
  142. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 黒字線の一線の……。
  143. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 黒字の一線というものは、これは営業費を除いてこういうふうになるから、この程度の貸し付けでもっていこうというか、基準をきめておってそれでやるかは別にしまして、国鉄がもうからないものまでそれを取るというようなことはありません。
  144. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 たとえばもうかるというのは青函、これはもうかりますね。あるいは根岸線、こういう場合にはどうなりますか。
  145. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 その線の収支をお互いが話し合いをして、この収支に対してはこういう見通しである、両方が話しがつけば、それで契約を行なう。連帯勘定の契約と同じと考えていいと思います。
  146. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 一、二分、ちょっと疑問があるので簡単に伺いたい。  さっきの大蔵大臣の答弁を集約するとこうなる。国鉄には政府は金をやらぬ、同じ条件であるけれども、公団をつくれば政府が将来金を出そう、あなたの説明ではこういうことになるのですよ。公団の会計のところを見てごらんなさい。公団建設資金政府出資国鉄出資、それから政府保証債ということになるでしょう。借り入れ金でしょう。現在国鉄のやっていることと違うところはないのですよ。将来、建設公団のお得意さん、金の入るところは政府国鉄なんです。有償か無償かと言っていますが、それ以外には金が入らぬのですよ。それ以外のことは、いま国鉄でやっていることと同じことなんです。ところが、同じことではあるが、国鉄には金を出さぬ、公団をつくれば金を出してやろう、ここがわれわれにはどうしても理解できないのですよ。公団に出せるものなら、将来、二百億でも三百億でも国鉄のいまの新線建設に出せばいいじゃないですか。なぜ公団なら出してやろう、公団をつくらなければいやだということになる。あなたは法案の説明が足らないか何か知りませんが、公平にあなたの答弁を聞いていますとそういうことになるのです。そこがわからないのです。保証債は発行できる、短期借入金、長期借入金もできる。条件は同じですよ。それから将来公団のお得意さま、金の入るところは政府国鉄以外にはないのです。そうでしょう。それを公団なら金を将来百億、二百億出してやろう、国鉄なら同じ条件だけれども金を出せぬのだ、こんな理論はわからぬですよ。私もしろうとじゃないのですから、その一番中心だけ時間がないから言ったわけです。
  147. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 楯さんは専門家ですから私の言うことはわかると思って、ほめられると思っていたのですが、これは事実問題なんです。議論じゃないのですよ。あなたの言われておる議論は、もう長いことやられてきたのです。戦後十何年間国鉄に公共負担の限界というものをきめて、政府は出すべしだといって盛んにやったけれども、ついに新線のほうは赤字であろうが何であろうが、とにかく法律に基づいて建議をしたんだからやれ、こういって着工線にやられて、国鉄は無制限の負担を受けながら、これは独占企業ですから拒否することはできないのです。だから、国鉄はとにかくやらざるを得ない。同時に国鉄は、その新線建設審議会からの建議に基づいて、いやおうなしにやらされているものに対して、政府は一体何を認めたか、四億何千万円の利子補給しか認めない、そうでしょう。これはなぜか、それは理屈じゃないのです。そこにはまだ国鉄は合理化できるだろう、われわれ民間人に国鉄をまかしてみろ、赤字なんか一ぺんになくして一割配当してやるというような荒っぽい議論が世の中に横行している。私はそんな論者ではございません。ありませんが、そういう議論が先行して、国鉄に対して一般会計から補てんするとか、そういう議論は生まれてこないのであります。事実、十八年間たっても生まれてこなかったでしょう。国が出しておるのはやはり四億何千万円しかないのです。そして、毎年々々四億何千万円もらって、何十億か赤字が出るような新線をやらなければいかぬから、やむを得ず何とか出ないようにしよう、常識的に見て私はこういうことだと思うのです。それはとにかく全部のワクも足らなかったからやむを得なかったが、事実問題としてそういう常々めぐりをやっておった。今度は公団ということにして、全然別会計にして、長期間にわたって赤字が出るとわかるような線に対しては、とにかく国鉄に経済的な負担をかけちゃいかぬということで無償で貸し付けます、こういうことを言うのです。それで国鉄がやりたいけれども、資金のワクでやれない、いま一般会計の中で千億も、財政投融資で国鉄が一番大きく食っておる。これを側側もふやすわけにいかない。とにかくいま国鉄債を出すといっても、外債が一体受け入れらますか。民間に出すといっても、これはしようがないから、縁故債でなく利用債という評判の悪い制度でもって契約をやっておるのです。ですから、こういう国鉄に押しつけてはいけない。他の政策目的を持ったものには限界をちゃんと引いて、国鉄負担にならないようにしようというのがこの公団法の趣旨ですから、よくおわかりになっていただけると思うのです。
  148. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 その大蔵大臣の政治的配慮はわからないことはない。公団をつくって、新しい出発だからというその政治的配慮はわかる。しかし、公団政府出資国鉄の有償貸し付けか知りませんが、二つしか収入の道はないですよ。だから五年、十年たって公団赤字ができた場合には、あなたがどうおっしゃっても、そのしりぬぐいをやるのは政府国鉄以外にないですよ。だから、政府出資をすれば当然国鉄がしりぬぐいをしていかざるを得ぬじゃないですか。そこが私にはわからない。だから、建設を始める場合にはいまの五倍、十倍できるであろうという政治的配慮はわかる。しかし、これが建設を行なって五年、十年たって、これじゃやっていけぬといったときに、そのしりぬぐいをやるのは、収入の財源がないから、政府国鉄しかない。そのとき政府が金を出さぬといえば、これは国鉄がしりぬぐいをする以外に収入の道がない。この法律ではそうなっておる。そういうことですよ。どこから金を持ってきますか。
  149. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 特別楯さんの質問でございますから、もう一つ真意を理解していただきたいのは、私はそこまで言いたくないと思っておったのですが、いま法律国鉄以外は新線をやっちゃいかぬということになると、これは幾ら拒否しても幾らかずつ入る。国鉄は永久に赤字なんです。今度はこの法律でちゃんときめますから、しかも他の政策目的で、政府のより高い立場新線建設せられる場合もあるわけです。そういうもの対しては国鉄責任はないのです。国鉄は無償にするか有償にするか契約に基づいてやればいいから、最後のしりはどうなるか、これは政策目的の責任を負わなければならぬのは政府です。初めからそういうことばかり言っておってはだれも公団債なんか買う人はありませんよ。ないから、何かもうかるというようなことも言わなければならぬ。そういうことは法律にちゃんと明確だと、こういうように考える。
  150. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 大臣は忙しいようですから、一つだけ念を押してお尋ねしたいのですが、今回の提案政府出資五億円、こうなっておりますが、この五億は、新線建設というものは政府のいわゆる公共事業である、こういうふうな理論から五億の出資、こういうふうにさしあたりなったのかどうか、いかがですか。
  151. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 全くさしあたり五億でありまして、このような額で済むとは考えておりません。
  152. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 いや、私がお尋ねしておるのは、新線建設というのは公共事業である、こういうたてまえから出す、そう取ってよろしいですか。
  153. 田中国務大臣(田中角榮)

    ○田中国務大臣 そう考えていただいてけっこうです。
  154. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 それでは加藤勘十君。
  155. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 先ほどの問題について、政府のほうからわれわれが得心のいくような答弁をいただくということになっておりましたが、それをお伺いする前に、こういう点についてはどうでしょうか。この第十九条の規定——法律の問題になったから条文に入るのですが、国有鉄道法の第三条の規定と二つ並べて見るのです。そうすると非常に類似したところが多いのです。ここでさっき鉄道局長が言われたように、鉄道建設という基本的な固有な権利を保有する、こういうことの意義がこの二つの条文を比べてみると一そうなおはっきりすると思います。そうしまする、この建設公団法というものは一体どういう性格を持った法律か。一方においては鉄道建設の固有の権利である新線建設は国有鉄道のものである。これはもう侵さない。それは法律で保障されておる。それにもかかわらず今度の十九条によると、鉄道の固有の権利を規定したところの第三条の規定とがきわめて類似線を持っておる。何のことはない、鉄道新線建設という点は一時的に公団のほうに引き取るが、その他の建設事業でなく、その他のもろもろの事業については国鉄のやっておることをそのまま行なわしめつつ、また公団もそれを行なう、こういうことになる。そうすると一体この公団法というものはどういう性格を持っておるか。鉄道新線建設する。いまの大蔵大臣の説明を聞いておっても、前向きに早く建設するために公団が必要であるということを言われたが、それはそれで、一応そういうことであるとしても、公団法とそれから国有鉄道法との内容を見ると、ほぼ同じようなことが規定されておるはずです。そうすると公団はひとり新線建設をやるばかりでなく、これは付帯事業もやる。現在も国有鉄道がやっておる事業をそのままやっていこう、同町にやっていくような条文の規定になっておりますね。一方においては新線建設だけは引き受けるのだと言い、他の一方においては鉄道事業に伴うもろもろの事業をやっていく。具体的に提示しますると、この第十九条の条文にあるとおり、第二項の第一号によるとこんなことが書いてある。「前項第一号の鉄道施設で高架のものの建設と一体として建設することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を、当該鉄道施設の建設に伴って公団が取得した土地に建設し、及び管理すること。」だからこういうものは土地さえ公団がとれば、その上にかってにつくれる。倉庫聖業もやる。店舗もやる。そうすると、現在国鉄がやっておる仕事と何も変わらないわけです。こういう事業もこの公団がやるということになると、一体公団新線建設ばかりでなく、国有鉄道の領域を完全に侵食していっているということになるわけですね。この点についての矛盾はどうなりますか。  それから第二項の第二号によりますると、こういうことも書いてある。「委託に基づき、鉄道に関する工事並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうこと。」それから国有鉄道法の第三条にも、第二項によりますと、「日本国有鉄道は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕、検査若しくは調達、工事の施行、業務の管理又は技術上の試験研究を行うことができる。」とあります。この二つの条文を合わせてみますと、ほとんど同じようなことが規定されておるわけです。だから単純にこれが鉄道新線建設だけの任務を持った建設公団法とは考えられない点が出てくる。倉庫業までやらなければならないというのはどういうことか。店舗をやらなければならないというのはどういうことか、この点についてのお答えをひとつ願いたいと思います。
  156. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 まず午前中の法律見解についてもう一回申し上げますと、国鉄法の第三条は、国鉄の業務の範囲を示しております。一方、公団法の第十九条は、公団の業務の範囲を規定しておるのでございまして、両者それぞれ別で、鉄道建設業務が含まれておりましても、法律的には問題がないと考えております。鉄道建設業務の実施にあたりましては、公団法の第二十二条におきまして基本計画に定めたものについては公団が行ない、国鉄はこれを行なわない旨を明定しておりまして、この間の調整をはかっておりまして、法律的な措置といたしましては、これで十分であるというふうに考えております。国鉄法等につきまして改正の必要はございませんで、条文が存置されておりましても、これらの分野におきます新線建設の権能は停止をされておるというふうに考えるものでございます。基本計画に定められたもの以外の鉄道新線建設につきましては、法律的な制度としては残されておりますが、実際には早急に建設すべき新線をすべて基本計画に定める方針でございますので、これらのものにつきましても国鉄建設するということは考えられないというふうに存じます。  なお第十九条のいまお尋ねがありました付帯業務でございますが、第二項第一号の「鉄道施設で高架のものの建設と一体として建設することが適当であると認められる事務所、倉庫、店舗その他政令で定める施設を、当該鉄道施設の建設に伴って公団が取得した土地に建設し、及び管理すること。」これは別に事務所、倉庫、店舗等をこの公団営業しようというようなことを考えておるわけではございませんで、高架施設と一体にあらかじめ建設しておいたほうが有利であるというようなものは、一体的に考えられるものにつきましては、こういったものを付帯業務として建設をし、これを管理する。営業を考えておるわけではございません。  それから第二号の「委託に基づきて、鉄道に関する工事並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究」、これは鉄道建設、貸し付け、譲渡、災害復旧等にかかる調査研究、そういったものを考えておるわけでございます。
  157. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 いまの二号の点だけ一つつかまえてみても、ここに「委託に基づき」とあるが、この委託というのはだれから委託されるのですか。「委託に基づき、鉄道に関する工事並びにこれに関する調査、測量、設計、試験及び研究」これはだれか第三者が、委託者があって委託を受けた場合にこういうことをやるというんでしょう。だれがこの公団に委託するのですか。その点がちょっともはっきりしない。
  158. 向井説明員(向井重郷)

    ○向井説明員 事務的な問題でございますので、私が御答弁申し上げます。「委託に基づき、」と書いてございますのは、これは響いてございますところの性質上、当然これは鉄道事業者でございますが、その中には国鉄の場合もございましょうし、それから一般の民営の鉄道の場合もございます。この公団は、そういうような鉄道工事に関連する調査関係の機能をみずから持つ予定であります。  それから調査、試験、研究というような機関も自分で持つ予定でございますので、自分の行なう調査、試験、研究というようなものの並行的な場合に、そういうことは十分できるわけでございます。したがいまして、余裕がある場合には、民営鉄道等の委託に基づいて鉄道工事方法でありますとか、いろいろな試験、研究というようなものもしてあげるというような趣旨から、この規定を置いたわけであります。ただ二項の本文にありますように、「第二号の業務については、委託者が日本国有鉄道である場合にあっては、前項第一号の業務に直接関係のある場合に限る。」というようなぐあいに限定をいたしまして、これは無制限にやるというようなことになりますと、専心鉄道建設に当たるというたてまえでつくった本公団の設立の趣旨に反することになりますので、直接の関係のある場合、たとえば公団鉄道国鉄の現在線とがそのジャンクションの駅で結びついて、そこの場合の工事方法なりそういうものをどうするかということを研究するような場合というぐあいに、きわめて限定的に個々にやっていくという趣旨でやったわけなんでございます。
  159. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 その国有鉄道の場合は、いまおっしゃるとおり、 ここにちゃんと規定があるわけです。だからこれは問題でないと思うのです。ところが「委託に基づき、」という中には、いまおっしゃるとおり、民有鉄道の場合もある。民有鉄道の場合に、鉄道工事に関する調査や測量や設計や試験や、こういうことを行なうということは、これは一個の営業項目になる、そうでしょう。そうすると、国有鉄道でやり得ない国家的な新線建設という仕事に打ち込むのがこの公団使命なんです。これは一つ営業項目ですよ。これは民間の鉄道会社から委託されたときに無料でやるわけじゃないでしょう。またそれだけの余裕はないでしょう。そういう技術上の余裕があるならば、新線建設に全力を投入すべきである。それでこそ初めて国家目的に合するし、この法律をつくった趣旨にかなうわけであります。それをこういう営業項目がある以上は、これもやはり行なうことになっている。委託者がなければ行なわないだろうけれども、委託者があった場合にはやらなければならぬことになる。行なうこととちゃんとはっきりしておる。これはどうなるのですか。
  160. 向井説明員(向井重郷)

    ○向井説明員 その趣旨は全く先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、こういうことを無制限に、積極的にやるという意味ではない。余力のある場合に、たとえば橋梁なんかの場合、全く同種のものがあるというようなときには、現在の場合でも鉄道技術研究所とかいろいろなところの調査研究機関もございますが、そんなところでやったほうが便利な場合が多いだろうと思います。しかしながら全く同一の地理的条件、気候的条件というようなところでやるような場合には、同種の設計をそのまま使うほうが便利な場合がございます。そういう場合に、その調査研究の結果を利用し、あるいは多少の修正を加えればできるというような場合に、ここでやるほうが便利である場合に限ってやってさしあげるということになる。まず第二項の初めでございますが、こういう場合には「前項の業務の遂行に支障のない範囲内において、あらかじめ、運輸大臣の認可を受けて、」ということで運輸大臣の認可にかからしめておるわけでございます。したがいまして、運輸省といたしましても、かような問題が起こりましたおりには、これは十分に審査をいたしまして、公団本来の業務に支障のない場合に限って認可を与えるという方針にしていきたいと存じます。
  161. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そこでこれは問題なんですよ。現在の国有鉄道でははっきりそういうことをやっているんですよ。この場合でも、ここにちゃんと規定があるとおり、さっき読みましたから、もう重複して読みませんけれども、内容は同じことなんですね。そうすると、国有鉄道が現にやっている事柄をまたこの建設公団にもやらせようということなんです。建設公団はそれができる。運輸大臣の許可というものは、私は、こういう場合には、だれが運輸大臣になられようとも、申請があった場合には、おそらくそれはいかぬということは言われるものじゃないと思う。そうすると、事実上こういう規定があると、それをやらせる。この国鉄のやっていることは、ある意味からいえば営業項目ですよ。どういう名前がつけられようとも、実際は報酬をとって仕事をやるんだから営業項目ですよ。今度はこの公団法の中にも規定されているということになると、公団はその仕事をやる。この新線建設に全力を投入するという趣旨とは反する。これだけの余裕があれば、四十七線の着工線を同時にみなできぬけれども、距離の短い鉄道もありますし、地理的に同じ方向なら二ヵ所、三ヵ所も同時にできるところもあろうし、決して技術、能力に余裕のできるということは考えられない。もしそういうことがあれば、現在の国鉄でやらしていいじゃないか。なぜ国有鉄道がやっているところまでこの公団がやらなければならぬのか。だから私は、国有鉄道で利益のあったものは、大蔵大臣がおったならば、時間があったら聞こうと思っておりましたが、利益の余裕があるときには国庫に納めるとかいろいろありますが、そういう能力のない、利益のあがらない赤字線に、かりに相模線が黒字になっても、相模線一つの黒字では計算できない赤字、これはさっき私が読み上げたからもう言いませんけれども、そういう赤字が現実に目に見えておって、しかも新線建設に全力を入れなければならないというときに、技術的な余裕を持ち、それからまた倉庫を貸すとか、あるいは店舗を貸すということは、貸す方針ではないと言う、ただ高架線の建設に伴ってそういうものをつくっておいたほうが利益だからつくる、いまもそういう説明がありましたが、一体何の利益か。倉庫を貸して、店舗を貸して初めて利益があがってくる。だから初めて有利ということになるわけです。そういう貸す意思もないのに、立ちぐされさせるために何も費用をかけてつくる必要はないでしょう。だからそういう点がはっきりしないのです。
  162. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 ただいま国鉄部長からいろいろ御説明申し上げたのでございますが、これは別にこれを営業するために倉庫をつくるとか、それから設計をするとか調査をするというのではございません。ただ新線建設公団が高架線をつくる場合に、一緒に工事をやったほうが、国鉄にせよ、あるいは他の民鉄にせよ、経費が非常に安くできるという場合には、建設公団が委託を受けて一緒につくってやったほうがお互いに得ではなかろうか。またこちらでつくったあとで、ほかの民鉄、ほかの業者が入ってごちゃごちゃやられては困るわけでありますから、そういうわけで、便宜的にそういう場合があったときにはそういうことをやるという意味の趣旨だと思います。  それから同時に、先ほど部長から申し上げましたように、たとえば鉄橋をつくるときには、その設計なり、ものの考え方をそのままそっくり民鉄に貸してやることが便利な場合には、貸してやったらいいじゃないかという好意的なことでございまして、それ以上積極的にそういうことを専門にやるということは決してあり得ないことでございますので、そのようなことが便利な場合には、そのようなことをやれる権限を認める、これだけのことだろうとわれわれは考えるわけでございます。
  163. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それはつくるときに一緒につくれば便宜ですよ。しかしつくる以上は立ちぐされにするためにつくるのではないでしょう。何かやはりどういう形においてか利用させなければならぬ。だからそういうものも鉄道に無償か有償か知らぬが、譲渡なり貸し付ける場合、そういうものも全部つけて全部そっちの鉄道のほうへ委託というか貸与せしめるのかどうかということなんですね。赤字が出て、どうにもこの鉄道だけではしかたがないから、国有鉄道がそれを無償で借り受けて、そして倉庫なり店舗なりを有償でまた、国有鉄道そのものが営業として他に倉庫の保管を扱わせるとか店舗を貸し付けるとかいう、こういう若干の利益をもたらすような仕事を国有鉄道にやらしめるというのであるか、公団直接そういう一切の営業はしない、全部、線路ばかりでなく、鉄道関係の一切の付属物もつけて無償で貸与する、こういう意味になるのか、その点、はっきりしておれば私はいいと思うけれども、そうでなく、公団が有利だからこういうものを建設せしめて、遊ばしておいてはもったいないから、また貸そうじゃないかということになると、国有鉄道がやっておることと同じことをやることになる、その点はどうですか。
  164. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほど申し上げましたように、最初から高架線を建設する場合に、これと一体的に建設したほうが有利だ、いうものをこれは書いておるわけでございまして、でき上がった場合に、これはいろいろその事例々々によって異なると思いますが、国鉄が最初から高架と一体にあるいは事務所をつくり、あるいは倉庫をつくって自分から使う、あるいは付帯業務として営業するという場合もありましょうし、あるいはそうでない場合もあると思いますが、これは、いま先生のおっしゃったようなことも一応頭に入れて、この規定はできておるというふうに考えられます。
  165. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そういう具体的な問題について、きわめてあいまいなんですね。ことにこういう大きな抵抗のあるものは、私は、国有鉄道立場からいっても、無関心ではあり得ないと思うのですよ。そうすると、もしこういう場合、あなたのいまの説明ですと、ケース・バイ・ケースですから、その事態に臨んだときでなければはっきりしたことを言えぬということであるとすれば、もしこういうことが起こったらどうなるのですか。高架にしてそこへ鉄道を敷く。これは赤字線であるから無償で国鉄に貸し付ける。そのときに、鉄道そのものは赤字だから無償で貸し付けるけれども、これに付随する倉庫とか店舗とかいうものは、これは当然ある一定の収入があるから、これについては鉄道のほうとは別だ、だからこれだけは有償にしようというようなことが具体的な問題としては起こり得ると思うのですよ。そういうときに、一体そのどっちがどうなんですか。そういうこともやはり一つ営業としてこの公団がやるのかどうかということは、やはり相当最初からはっきりしておかなければいけないのじゃないかと思うのですよ。
  166. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 ただいまの加藤委員の仰せられるようなことは起こり得ません。だからこちらは倉庫や何かはつくりません。ただ、その鉄道をつくる場合に、この高架線をつくるときには、これは国鉄に運用を委託するわけでありますから、国鉄と相談をして、国鉄で運営しやすいような形でつくることが一番合理的でございます。その場合に、国鉄では、そのまま鉄道にすれば、このあき地にはこのような倉庫をつくってほしいとかなんとかいう注文があれば、それは当然委託を受けましてつくるわけでございますが、その上は、当然営業を担当する国鉄がやるわけでございまして、一切公団ではそういうことはいたしません。要するに、つくる場合には、どのようにつくったら運営しやすいか、運営しやすいようなその方向に向けてやるわけでありまして、われわれが運営する——われわれといっても公団が運営するわけではございませんから、その点、はっきり申し上げておきます。
  167. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうするとさらに念を押しておきますが、高架等を建設する場合に、倉庫なり店舗なりを同時につくっておいたほうが有利である。有利であるという意味は、それを利用する価値があるから有利だということになるのですが、有利であるからこれをつくる。しかし公団としてそれを貸したりどうかするというような、そういう営利行為をするのではない。その場合にははっきり国有鉄道の委嘱によってつくるので、国有鉄道の委嘱がなければつくらない、その運営はあげて国有鉄道にまかせる、公団は手をつけない、こういうことなんですね。
  168. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 それは明らかに国鉄との相談において、国鉄がそれをつくってほしいという国鉄の運営上の希望によってつくるものでありますから、当然国鉄が運営するわけでございます。
  169. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 私のおそれるのは、これが将来利権化したり何かする危険が多分にあると思うのです。だからそういうことをはっきりここで規定しておけば、そういうことなくして済むと思うのです。そういう点で、いま政務次官のお答えになったことはきわめて明確ですから、その点については私たちは安心しております。この公団法そのものがいいか悪いかということについては、なお私は多くの議論を持っていますが、まだ次の質問者もあるようですから、他に移りたいと思います。  一つお尋ねしたいことは、いま具体的に問題になっておるいわゆる山陽線の新建設はどういうことになりますか。いまの東海道の新幹線の継続として、国有鉄道のほうで建設に当たるのか。それともこれもまたこの公団が引き受けてやるのか、その点はどうなりますか。
  170. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 いま東海道新幹線を、日本全体の輸送力増強の一環としてつくっているわけでございます。これができ上がりますと、いずれ近い将来には山陽線でやはり輸送力増強の問題が出てまいると思います。しかしこれにつきましてはいま国鉄でやるとか、建設公団でやるとかきまっておりません。その場合には、必要性に応じましてこれは解決されるものと考えております。
  171. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 その点もはっきりしましたが、もう一つお伺いしたいのは、先ほど来の問題である、鉄道新線建設の固有の権利を保有するということで、各条文を見ますると、条文ごとにわれわれはそういう矛盾を感ずるのですけれども、一方において新線建設の固有の権利が国有鉄道に保有されているとして、そして当面緊急な新線建設公団でやるということになりますると、この建設が大体十年の計画ということになる。したがって、十年たてば一応使命を果たすわけだ。いまの予定線の二百幾つとか百幾つというようなことは時間的にもちょっと問題にならぬと思うから、四十七線と十五線、これが十年の間に建設を完了するとすると、この公団はそのときに解散される予定であるのか、任務が終わると解散するのか、あるいは他の方向へ転換して継続していくのか、そういうことについてはどうでしょうか。
  172. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 新線と申しますのは、これは鉄道建設審議会できめるのでございますが、現在で一応着工すべしと——調査は入っておりますが、なっておるのは六十三線でございます。これは当局の問題として全部解決しなければならぬわけでございますが、それができ上がりまして、しかしそれで日本鉄道新線建設が終わるのかと申しますと、そうは申せないと思います。今後さらに予定されておりまして、必要上あるいは今後の日本の経済の変動によりまして、さらにわれわれの思いがけない、あるいは必要な新線が出てまいるかもしれません。それらの面を考えますと、それで任務が終わりとして解散はできませんで、やはりそのあとの新線をどうするかという問題が残っておると思います。したがいまして、そのときにそのような場合に取り組んで、今後の公団のあり方がきまってくるのではなかろうかと考える次第でございます。
  173. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 愛知用水公団の例を見ますと、一応愛知用水というものは完了したわけなんです。そうするとやはりあとに何だかんだという名目でそれが継続して残されている。それは一つは、ここに従事する従業員諸君の身分転換の保障がないからそういうことになってしまうと思うのです。愛知用水公団の例をこの公団に持ってくるつもりはありませんけれども、一つの例をとればそういうこともあり得ると思う。仕事は一応終わるけれども、人の始末がつかぬから継続しなければならぬというような事態が起こってくると、合理化という名からいくならば、非常に合理化に反することです。そこに従事する従業員の全員の身分保障ということ、それがはっきりされておればいいわけですけれども、それがはっきりされておらぬ。ことに今度の場合は、重要なことは、国鉄技術陣が転用されることになるわけです。身分が変わってくるわけです。その場合の国鉄からの転用者の身分保障は一体どうなるのか。
  174. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 御指摘のように、大部分の職員と申しますか、技術者は、現存国鉄新線建設に従事しておる者が、これはもちろん本人の意向を確かめまして移行するわけでございますが、その辺の規定は整備されておりまして、退職金の関係であるとか、あるいは共済組合の長期給付、そういった点を考慮しまして、復帰が十分できるようなかっこうになっております。
  175. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 実際問題としてここに先ほど数字もおあげになりましたが、現在新線建設なり、あるいは調査線なりに従事しておる技術陣営の人員というのは、技師といいますか、そういう職種はありましょうが、そういう職種別に大よそどういう割合になっていましょうか。
  176. 向井説明員(向井重郷)

    ○向井説明員 お答え申し上げます。現在国鉄におきまして新線建設のほうで俸給を支給しておるものの定数七百九十三名、その職種別については資料をちょっといま調べますから、後刻お知らせ申し上げます。
  177. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 その職種別が大事だ思うのですね。身分転換をして一応の保障はなされているようです。しかし私どもは詳しい給与内容であるとか、あるいは共済組合の規定であるとかいうこまかいことは知りませんから、その点についてわれわれのほうからかれこれ意見を出すことはできませんけれども、少なくとも職種別による人員が全員転換されるのか、そのうちの一部であるのか、ただ七百九十三名だけではわからないと思います。これに全部行くのか、それとも現在新幹線の建設には四つの地方建設局といいますかがあって、それがそれぞれの区域を担任しておられるが、東海道新幹線が工事を終了した後においての、これらの地方工事局の従業員の関係の諸君はそちらへ行くのか、そういう点はどうなっておりますか。
  178. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 ただいま国鉄部長が申しました数字は、新幹線を除きまして、現在国有鉄道の純然たる新線建設仕事に従事しておる職員の数を申し上げたわけでございます。したがいまして、この公団が発足いたしました場合には、これらの厳密な意味鉄道新線建設工事に従事しておる職員の大部分は、本人の意向を確かめまして、この新公団に引き継がれるものというふうに考えております。先ほどちょっとことばが足りませんでしたが、その場合に公団にまいりまして、また本人の希望等によりまして、国鉄に復帰する場合に、組合の長期給付の関係であるとか、あるいは退職金等は公団に参りましたことによって不利な扱いを受けないような措置を講じておるわけでございます。  なお、新幹線の工事が来年終了いたしました場合に、この職員がどうなるかというお尋ねがございましたが、これは来年度以降この新公団の業務がどのように充実されるか、路展するかということに関連いたしまして考慮をいたしたいというふうに考えます。なおこの場合本人の意思等を十分確かめて行ないます。
  179. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そうすると、国鉄のいまの東海道新幹線を除いた他の新線建設工事関係の従業者の数は七百九十三名、これはあげて公団のほうに、もちろん本人の意向を聞いてだけれども、転出というか転任というか、とにかく転出される要員である、こういうことですね。それから東海道新幹線の四つの工事局の従業員は、新幹線が完了して、この公団のほうの仕事の発展の関係によって、これまた本人の意思に基づいて転換するかしないかがきめられる、こういうわけですわ。  それからいよいよ最後後に、法制局の第四部長が出席しておいでになるそうですが、先ほどの私の疑問に対してひとつお答えを願いたいと思います。
  180. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 国鉄法の三条において、日本国有鉄道新線建設の能力を与えておるわけであります。それからまたこの公団法においても鉄道新線にかかる鉄道施設の建設を行なうことという規定を置きまして、鉄道新線建設を行なえるということになっております。それでそれが全く単一のものを競合してやるというようなことであれば矛盾を来たしますけれども、鉄道新線建設は複数のものでございまして、両方でこれをやるということ、そのことは法律的には矛盾ではない。ただこちらの公団でやりますのは、あとの規定に出てまいりますように、基本計画に乗ったものをやるということになっておりますので、基本計画に乗った、つまり公団がやりますものについては二十二条によって調整規定を設けて、その新線国鉄ではやらないという矛盾を生じないための規定を置いておりますので、二つの法律の間に矛盾はないというふうに考えます。
  181. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 国有鉄道法第、二条によって新線建設の——もちろんこれは運輸大臣云々ということが入りますが、それは抜きにして、とにかくそういう権利を持っておる。今度の公団法によってもその権限を持つし、それから附則第七条によって、仕事を開始するときには国有鉄道新線建設をもうやらないで、打ち切って、全部のものを公団のほうに委譲する、こういう規定になっておるのですね。それは法律上の条文を目で見ればわかるわけですし、それをかれこれ言のではなくして、先ほどからお尋ねしておるように、新線建設というのは国有鉄道の固有の権利である。だからこの権利を保有して、そして一方に、ただ新線建設しないという規定が設けられるだけであって、それと同じ権限が今度公団に与えられるということになれば、少なくとも法文の整理の上からいっても——なるほど事実問題としてはいま言うとおり、一方は譲り受ける、一方はやらないということになっておるから矛盾はないのです。それでいいのです。ところが法律の条文のていさいからいきますと、一方に固有の権利として国有鉄道の権利を認めて、同じものが認められて、しかも一方は仕事をやらない、一方は仕事を引き受ける、こういうことになっておる。法文の上からいくと、当然それならばいま持っておる固有の権利である国有鉄道新線建設については公団法第何条の第何項の規定によってこれは効力を失うとか、あるいは国有鉄道という文字が削除されるとかすれば矛盾はないと思いますけれども、厳として法律の条文のとにこういう条項が生きておる。生きておって、ただ自分は仕事をしない、それで片一方は自分は仕事を引き受けるというだけでは、法文上の形式にとらわれるようですけれども、形式上は明らかに矛盾しておるじゃないか。立法技術として新法が制定されれば旧法は自然に効力を失うという、同性質のたとえば刑法なら刑法というものが一応そういう新法によって旧規定がなくなる、それでも旧刑事法は旧刑事法であるし、刑法は刑法であるし、新旧の法律は自由に働くわけです、条文がある以上は。幸いにこういう場合は国有鉄道新線建設ということを主張しないし、また運輸大臣もそれを承認しない。だから実際問題としては矛盾が起こらないが、法律の条文上からいくならば、私は明らかな矛盾があると思う。その点ほどか。
  182. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 国鉄法の鉄道新線建設国鉄だけしか行なえないという趣旨の明文の規定がかりにあったといたしますならば、先生のいま仰せになりましたように、その他にまた何かやることができるということを響きますと、前法に対する後法のあれで解釈上はそういうことができるようになったというふうに解釈できますけれども、先生のおっしゃるとおり、その場合には手当てをいたしまして、もっぱら国鉄だけがやれるという前の規定に手当をして、公団が同じ仕事をする余地をつくるというのが定石であろうと思いますが、この場合におきましては国鉄がただやれるという能力を与えているだけの国鉄法の規定になっております。したがって鉄道新線建設がたった一つの行為であって、それを法文にはっきり規定を書きませんでも、それをやると書けばほかの者はやれないという仕組みになっておりますれば、あるいは先生のおっしゃるとおりになると思いますが、鉄道新線建設というものはこういうふうに複数の事実行為でありまして、非常に極端なことを言いますと、一つでも三つでも競争してやるという形になっても、そのこと自体はおかしくないわけです。法律規定の上で国鉄が独占というような形に書いてございませんので、そこの間にただ事実上の調整規定を設ければいいわけでございます。そこで二十二条の規定によって調整をはかるということでございまして、能力の規定といたしましては、必ずしも一つでなければならない、国鉄だけがそういう能力を持って、他にそういう能力を持つ者ができた場合には国鉄法の規定からそれを排除するような、除外例を認めるような規定を必ずしも設ける必要はない、こういうふうに考えております。
  183. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それならば附則の十二条に、「次のように改正する。」として、第三条中の「敷設」という字の下に、「「及日本鉄道建設公団鉄道施設ノ建設」を加える。」こういうぐあいになっておりますね。そうすると、国有鉄道及び日本鉄道建設公団、こう二つになるわけですね。明らかに二本立てを意味するのじゃないですか。
  184. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 鉄道敷設法規定を改正いたしますことによって、敷設を行なう者が日本国有鉄道のほかに日本鉄道建設公団鉄道施設の建設を行なうということが明らかになります。その限りにおいては先生のおっしゃるとおり二本立てになっております。そこで将来そうなった場合に、実際問題として同じ線を両方がやるというような不統一なことになっては困りますので、二十二条によって、まず基本計画に乗ってこの公団鉄道建設をすることになれば、具体的な、ある地点からある地点に至る鉄道新線建設については国鉄はやらないということにしておけばよろしいわけである、こういうふうに考えます。
  185. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 だから私もしばしば言っておるとおり、現実の問題としては矛盾を感じないでできるわけなんです。ところが、こういうぐあいに法律の条、項の上にはっきりと、「日本国有鉄道及」ということになると、明らかに二本立てなんですね。これは、もしそうならば、一つは国有鉄道を保存していきたいという念願からこういうことになったんじゃないかと思いますが、それならば、この公団というものは、国有鉄道の足らないところを補う、すなわち新線建設という鉄道の足らないところを補うための暫定的な機関である、こういうことに勢いとらざるを得ないわけですが、それはどうなりますか。
  186. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 ただいま先生の仰せられますとおりに、鉄道新線建設をやるという能力そのものにつきましては、国鉄公団と二つのものがあるという点において二本立てであることは確かでございます。そこで実際上の不便はないかというふうに仰せになりましたが、実は法律上そういう不便が起こらない、矛盾抵触が起こらないように手当てがしてあるのが二十二条でありまして、法制上矛盾が起こらないようになっておるわけでございます。
  187. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 二十二条は、法に示されておるおり、「日本国有鉄道は、鉄道数段法第一条の規定にかかわらず、その敷設を行なわないものとする。」この点ですね。そういうことで、だから実際問題としては、私は、ちっともこの条文によって、新線建設は行なわないのだから、矛盾はない。しかしこれがあるから、それじゃ他の一方の法律の条項が全部抹消されてしまったかどうか、固有の権利というものが抹消されたかといえば、それは抹消されないで現存しておるわけですね。だから万一国有鉄道がおれも新線建設するのだと言い出したときに、そのとき運輸大臣が許可しない、それで問題は済むわけなんです。けれども、法律の権限としてはそれを主張し得る権限を持つわけなんです。そうじゃないですか。だからそういうことの起こらないようにするためには、もう少しく条文の整理上に、一つの条項を削除するとかあるいはつけ加えるとかすれば、そういう法理上の矛盾も起こらないで済むのではないか、こういうわけなんです。
  188. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 いま鉄道新線建設が、公団も国有鉄道も許可になったにしましても、それぞれ自分の計画に従って任意にやるのであれば、先生の仰せられるように、早い者勝ちという印象が起こってくるということも起こり縛るのでありますが、公団については、基本計画というものに乗らなければ、しかも基本計画鉄道建設審議会の諮問を経て定められる問題であります。国鉄みずからが新線をやる場合につきましても、鉄連建設審議会が関与するわけでありますので、そこには十分調整の道が法制上確保されておる。そこで先生の御懸念になりますようなことは起こらないような法制上の仕組みになっておるというふうに私どもは考えております。
  189. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それはしばしば言うように、私は法制上じゃなくて、事実問題としては矛盾はないと言うのです。それはよくわかっているのですけれども、法制上の条文の上からいくと、明らかに矛盾ではないか、一方に新線建設という一つのものを片一方は固有の権利だ、これを保有せしめる、片一方はこれに固有の権利であるけれども、仕事やらせないで、しかも仕事はこっちでやるんだ、その場合に固有権利である日本国有鉄道及び何々ということになれば、もしあなたがおっしゃるように、事実上の矛盾はないということだけの事情で調整ができるということで打ち消されるならば、国有鉄道の固有の権利、国有鉄道そのものの基本権というものは何も意味をなさないのです。そうなりゃしませんか。
  190. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 この国鉄とそれから公団とがともに新線建設にかかる仕事をやる能力を持っているということは、これは矛盾ではなくて、二つのものが並んであるというだけのことであろうと思います。たとえば矛盾ということが正確にいわれます場合には、ある営業なら営業の許可をするその許可権者が、あるいは通産大臣でもいいし、それから大蔵大臣でもいいというような法制をかりにとったといたしますと、それは単一なるべき国家思想が、二つの機関から別々に出るということになりまして、そういう場合には、まさに私は矛盾であろうと思います。この場合には新線建設を行ない得るものが複数に存在するというだけのことであって、それは矛盾とか、抵触するという問題ではないのではないかと思います。ただ残ります問題は、現実にそういう一つの同じ二つの地点をつなげる鉄道を同時に二つの機関が建設工事を始めるというような事態が起こらないような法制上の手当てをする必要が残されているだけで、それは二十二条によって確保されている、こういうふうに考えておるわけでございます。
  191. 井手委員(井手以誠)

    ○井手委員 せっかく法制局からお見えになっておりますから、一言だけお伺いしたいと思います。  建設公団法の性格は、いま御説明を承りました二十二条によるものである。そうしますと、二十二条の建設をいまの別表にある予定線を建設するのが公団法の使命になっておりますから、その建設を大体十年ぐらいをもってやるということでございますが、それが終われば公団使命は終わる。したがってこの法律案は、法律による公団は解散になる。そういう意味においてこの公団法案は時限立法であると解釈されるのでありますが、国鉄鉄道建設国鉄の固有の使命である、しかしいろいろな事情から、必要な新線建設ができないから、公団をつくるということです。その予定された新線建設が終われば、公団使命を終わるわけですから、解散になると考えるのであります。そういう意味において、この法律案は時限立法であると解釈いたしますが、法制局の見解を承りたい。
  192. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 ただいま先生の仰せられますとおり、この公団の目的は十九条の一項一号に掲げてありますとおり、「鉄道敷設法別表に掲げる予定鉄道線路及び同法附則第二項の鉄道線路」、それを建設することでございますから、それを全部建設し終わったという時がきますれば、その限りにおいてこの公団は目的を果たしたことになります。その場合に、この法律は当然にはなくなりませんから、新たに立法を要しますけれども、その場合には法律によって解放をするように措置するのがこの公団法の立法の趣旨からいって当然であると思います。
  193. 井手委員(井手以誠)

    ○井手委員 建設を終われば公団は解散しなくてはならぬ。そのいつ解散するかはそのときの法律によってきめる。そうなりますと、当局では大体十年くらいでやりたいという意欲ですけれども、もうしばらくは延びるでしょう。延びるけれども、いわゆる時限立法には間違いないはずですね。時限立法であるならば、加藤先生がおっしゃる意味は私は理解できると思うのです。法制上の解釈がすっきりしてくると私は思うのです。それをおっしゃっていただいたほうが加藤先生に私は非常に親切だと思うのです。この公団法は時限立法で、公団法によらなくては新線建設がうまくいかないから、法律によって公団をつくります。これが使命が終われば解散になる。そうすればまた国鉄が固有の権利として新線建設をやりますというふうに説明なさると私は十分わかると思うのですが、どうですか。
  194. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 私先ほどお答え申し上げましたように、この公団の目的というのは、一定の仕事量を片づけるということが業務になっておりますので、その業務を片づければ解散になるということでございます。ただ時限立法というふうに申されましたが、時限立法というのは非常に特殊な用語として、確定な日付をもって終わって、それに伴って罰則の関係がどうのこうのという学問上のいろいろな議論がございますので、その意味に使いますので、時限立法ということは適当とは思いませんが、先ほど来申し述べておりますように、仕事量がきまっておって、それが完成されればまあ目的を達成してしまったわけですから、それ以上存続させる意味がないという意味においてはいつかは消滅するものであるということでございます。
  195. 井手委員(井手以誠)

    ○井手委員 だから、ことばにこだわるわけじゃないですけれども、一つの時限立法じゃございませんか。法律というのは、時期というよりも、大体一つ仕事を終わればなくなるという性格のものは、これは一つの時限立法なんです。一般法律は、それは何年も将来にわたってその効力が続くと思われるものでなくては、一般的な法律とはいえません。使命がはっきりわかっておる。しかもそれは十年ないし十何年で終わろうというものであるならば、それは時限立法ですよ。一つの時限立法であるという答弁ができないはずはないのです。はっきりしておいてもらいたい。
  196. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 ただいま先生の仰せられましたような意味の時限立法といいますか、いつか法律自体においてその終期がやがては来るということが法律規定においてうかがわれるもの、そういうものを時限立法と言うという定義に従いますれば時限立法でございます。ただ普通学問上言っている時限立法というのは、罰則の関係とか、いろいろ論じますときの時限立法というのとは多少ことばの内容が違うと思いますが、いま先化がおっしゃったような意味と、いま私が申し上げた意味で定義してみますれば、そういう意味なら時限立法でございます。
  197. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 せっかく法制局が来て論議したのでありますから、私も一つだけこの点だけさしあたり聞きたいと思うのです。私しろうとでよく法律も解釈できないのでありますが、全体としていま問題になっている新線建設日本国有鉄道の固有の権利であるという御答弁がありました。固有の権利であるということを表現ずるのにこういうことを書いたとおっしゃられるが、それじゃこの法律の二十二条その他からいけば、いわゆる敷設法の附則別表別表の中の基本計画基本計画には附則別表とその他、あるいは別表の中でもしぼられる、こう予想されます。それ以外は国鉄でやってよろしい、こういう意味に二十二条は法文の形からはとれるのでありますが、そうとってよろしいか。私がお尋ねしているのはおわかりでしょうか。
  198. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 固有の権利ということでございましたけれども、これは私はその意味のとりようだと思いますが、本来新線建設は昔から国鉄がずっとやるたてまえであるという意味では、そのままこの公団法によっても、そのたてまえは一応変わっていないということを言ったものだと思います。先生がいま仰せになりましたように、基本計画に乗る限りはこの公団がやる。しかし理論上は基本計画に乗らないその他の新線建設というものは法文上は可能なわけでありまして、それは依然として国鉄のほうがやることになるというふうに理解しております。
  199. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そうしますと、実際の問題と若干離れるような論議でありますが、この新線建設に対して、これからも変化がありますから事実はどうかわかりません。  そこで関連してお尋ねしたいが、いまの附属別表予定線の中の一部と、プラスいまこの公団計画しようというその他の線がありますね。というのは、臨港線というようなものは予定線にのぼっておりませんね。こういうのがおおむね基本計画に入りますと、その後の変化に応じて、その場合に国鉄自体が、たとえば運輸大臣に申請した場合には運輸大臣は認可しますか。それは公団にやらせるから、おまえのところはやめておけ、こういうことになるのですか。その点の関係を……。
  200. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 そのときに何が経済的にいいか、また何が国家のためにいいかということを考えて判断いたします。
  201. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 あとでい、すれまたお話ししますが、どうもこの法律は、まあ五日めしということばがありますが、いろいろなものが入って、何が何やらさっぱりわからぬという点が非常に多い。その一つがこれじゃないかと私は思うのです。  そういう点で最後に法制局に聞くが、こういう形をとらなければいけなかったのですか。いけなかった理由は何ですか。日本国有鉄道新線建設の権利というか、そういうものもできるという条項をなぜ残さねばならなかったのか、なぜ残す必要があったのか。それはどうですか。
  202. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 法律的に国鉄のほうに何らかのものを残さなければならないという必要はございません。全部こちらにやっても、その場合には、鉄道新線建設を全部公団にやらせて、公団がやっている間は国鉄はやらないという体制をとることは法律的に不可能かと言われれば、不可能ではないと思います。
  203. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そこで、いまあなたがおいでになる前に、政府当局からの御説明は、新線建設国鉄の固有の権利であるから残したのだ、こう言うのです。そして先ほどの井出さんの御質問のときのように、ある時点にくれば、これは公団使命は終わりである、そのときの用意に残しておくという意味であった。そういう必要があるだろうか。さっき鉄監局長は立法技術としてそういうふうにせざるを得なかった、こういう御説明であった。あなたのおっしゃることとだいぶ違うのです。私は理論の問題としては、いわゆるものの考え方、方針として、政策としてこういうふうになったというなら一応了解する。しかし先ほどの御答弁では、そうじゃない。立法技術上の問題としてこうなった、それは国鉄の固有の権利であるということで、あなたの解釈とちょっと違うけれども、鉄監局長がさっきから手をあげているから、鉄監局長に聞きます。
  204. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほど私が申しましたのは、立法技術と申したのではございませんで、立法技術になりますと、法制局の関係になりますが、立法論としては、先ほどから加藤先生のおっしゃるような議論もございますし、私どもが御説明しておるような考え方もある。立法論として国鉄鉄道建設能力というものを残しておいたということを申し上げたわけでございます。
  205. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 立法論というのと政策論というのとどういう違いか、私も勉強が足りないのでわかりません。立法論というのは、法律のたてまえ、技術の問題でなくて、職人的な技術でなくて、立法論というならばもう少し高度なものだと思うのです。私が言っているのは、政策の問題か、いわゆる法律に直す場合の、書く場合の問題か、こう言っておるのです。こういう書き方でいけば、ぼくが言うように、国鉄もやれる、それならなぜこれが必要なのか。公団一本でやるというなら残す必要はない。そうなると、政策論からくれば、二十二条と関連さして一切をはっきりしてしまえばいい。一切公団がやる、国鉄は一切手をつけない、こういうふうにすればいいのであって、それが政策であると思うのです。立法論とかなんとか言っているからわからぬのですが、それをどういうふうに説明されて、こういう法律をおつくりになったかを聞きたいのです。
  206. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、片一方の公団のほうに全部権限を移すということは法律上可能かというような趣旨に受け取りましてお答え申し上げたのでありますが、その法律をつくりましたときの説明その他立法の審議過程における議論を振り返ってみますと、国鉄新線建設するということは明治以来ずっとやってきたことで、国鉄としては重要な機能であるということで、そのたてまえをくずしたくないという気持らがあったということと、それから鉄道新線建設を行ないますのは、これを全部この公団がやってしまわなければならないかどうかということは、この公団法ではそういう義務をこの公団に負わせておるわけではありませんので、いつまた国鉄がみずからやることになるかわからない。それでたてまえとしては、国鉄に根を残しておくという方針でこの法案ができておりまして、法制局としてはそれでも法律的にはおかしいところはないという判断でこの案に賛成したわけであります。
  207. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そういうものの考え方で立法したというならば、それは便宜的な用語もあると思います。当分の間、公団がある間は、国鉄は一切の新線建設はやりません、こう法律に書いたら一番明確です。公団のいわゆる前途に対して不安があるからこういうものが出てきたのじゃないかと思います。これはあなたに言ってもしようがないと思いますので、あとにしますが、私はそう思います。
  208. 矢尾委員(矢尾喜三郎)

    ○矢尾委員 ちょっといまの問題について、答弁が的がはずれておるような気がするのですが、大体鉄道を敷設するということは、国鉄が固有の権利でやるとか、今度は公団に権利が移るとかいうようなことを言うておられますけれども、鉄道を敷く根本というものは鉄道敷設法というものによって決定されるのであって、これを国鉄にやらせるということも公団にやらせるということも、これをどちらにやらすかということについての内容ではなくて、どこに鉄道を敷くかということがこの鉄道敷設法という法律によって決定されるのです。それが審議会にかかって、審議会においては、運輸省からこういう鉄道を敷くという諮問があって、それに対して答申をして、そうして鉄道を敷く。いままではこれは国有鉄道がやっておったでしょう。これは権利でも何でもないんですよ。この法律に基づいて国鉄にやらせておったでしょう。そうすると固有の権利でも何でもない。また、たとえば大林組にやらせる、大成建設にやらせる、清水組にやらせる、これはやらすほうの権利であって、鉄道を敷くということは敷設法によるところの権利であって、国鉄にやらそうと公団にやらそうと実際は固有の権利も何もないのじゃないですか。鉄道敷設法が厳然としてそのままある限りにおいては、私はそう見るのですが、どういうお考えですか。
  209. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 法制局はいまだかつて鉄道新線の敷設は国有鉄道の固有の権利であるという答弁を申し上げたことはございません。先生のおっしゃるとおり、国が新線建設することになりまして、それをだれにやらせるかという問題は、いままではたてまえとして国鉄だけでございましたので国鉄にしておったが、今度は二つ道ができたのでその間に矛盾がないように調整規定を設けるということでこの法律ができたというふうに考えております。
  210. 矢尾委員(矢尾喜三郎)

    ○矢尾委員 そうすると法律は一本ですから、国鉄が単独で鉄道が敷けるか敷けないかということが問題なんです。この間に鉄道を敷くということを国鉄が言い出して、かってにしていいのならそういう固有の権利というものは認められますけれども、それはこの鉄道敷設法によらなければならぬ。申請をして、運輸省を経て、運輸省からこの法律に基づいた審議会の議を経てやるということにはなりますけれども、これは一本なんです。そういうようなむずかしい解釈をしてやってしまうと、わかるものもわからぬようにしてしまっているということになると思うのですが、それでいいのですか。
  211. 關政府委員(關道雄)

    ○關政府委員 仰せのとおりだと思います。
  212. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 それでは、そういう法律上、立法上の問題は形式論になるし、実体にたいした関係もありませんから、その点はそれぞれの解釈がなされるということで次の質問に移りたいと思います。  さっきも申しましたように、問題は、この公団法というものが鉄道敷設法規定するいわゆる予定線として別表に掲げられたる線路の建設に当たる、こういうことなんですね。そうすると別表規定された、この立法の当時に予定された別表にあげられた線以外のものはこの公団使命の外にある。この法律によれば、鉄道建設審議会計画策定してそれを諮問するということになっておりまして、範囲を拡大するというようなことについては、この法律によれば諮問は出されないことになっておるので、勢い好むと好まざるとにかかわらず、この法律というものは、定められた別表路線建設に当たるということで一応その任を終わると思うのです。勢い法律上の問題としての時限立法であるとか暫定法であるとかいうことは抜きにして、事実上その別表に掲げられたる路線建設が終われば任務は終わる、そういう範囲内において暫定的な性格を持った法律である。それなればこそ、国鉄新線建設基本権利というものは、この法律によっても確保されておるということになると思いますが、そういうように暫定的なものであると解釈して——これは解釈するもしないも事実だと思うのですが、それについてのあなた方のお考えはいかがでしょうか。
  213. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これは仰せのとおり暫定的でございます。しかし暫定的と申しましても、いつ終わるかいまのところ予測がつかないのでございます。と申しますのは、ただいまの別表には六十三線載っておりますが、これは運輸省の方針あるいは鉄道建設審議会の意向によりまして、新しく今後必要と認められる新線がまだ別表に入る可能性もございます。そうなりますと幾らでもございますから、必ずしも十年間、十二年間で終わるものとはわれわれ考えておらない次第でございます。
  214. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 着工線それから調査線というものが四十七、十五、それに青函等の海底線を考えると十七の調査線ということになる。そのほかにいわゆる予定線と言われるものが二百三十七線ある。けれども日本のこの狭い国土にもしこの出されただけの鉄道が敷かれるなら、それこそ鉄道がクモの巣を張ったようになって、鉄道を敷いたために今度は人が身動きができなくなる。だから事実上大体いま着工されておる四十七線なりあるいは調査線の十七線が終われば、まああるいはここまで行かないでもっと早く、さっき大蔵大臣が言ったように、もっと早く切り上げられてしまうことも考えられると思うのです。一ぺん決定した路線だからどうしてもこれをやらなければならぬということで、必要もなくなった、情勢も変わったというのに、いつまでもこれにへばりついておるということはないと思いますから、事実上の問題としては、なるほどいまおっしゃるとおり、いつとか期限を切るわけではないけれども、性格的には暫定的な性格を持った法律である、そういう性格を持ったものであるということについては、あなた方の意見もわれわれの意見も一致するわけであります。そこでそういう暫定的な性格を持った法律に、年限はいつだかわからぬが、そこに今度国鉄から転出されていく技術陣の人々の身分の問題が起こってくると思うのであります。その身分保障の問題で、そういう暫定的な性格を持った法律による公団に、給与がよりょくならなければなかなかここに国鉄から動く人がないとしたらどうなるか。そういうときにはまさか国鉄総裁の命令で行けと言うわけにもいかないし、運輸大臣の命令で行けと言うわけにもいくまいと思います。そういう事実上の必要を満たすための人員の転出等についての考え方は、容易にできるものとお考えになっていらっしゃるか、それともなかなか困難だと考えていらっしゃるか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  215. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 大部分の職員は国鉄から転出をしてまいるというふうに考えております。したがいまして、この移行を円滑ならしめるために、給与その他等につきましても十分考慮をいたしております。具体的に申しますと、他の公団等の例もございまして、こういったものを参考にしながら給与その他の基準を定めてまいります。これは政府部内でまだこれから検討いたしますが、大体国鉄職員よりも若干高い給与が支給されるというようなことを考えておるわけであります。
  216. 細田委員(細田吉藏)

    ○細田委員 関連で一言。ただいまの加藤先生の質問に対する御答弁に関連して、私ちょっと一言だけ念を押しておきたいと思うのです。  私は、この公団法というものは、法律論としては時限立法でもなければ、限定があるものでもない。いつの日かわからぬけれども、いつの日か終わるだろう、法律論としてはそういうものではないだろうと思う。ただ事実問題として、ある時期がきたら鉄道建設というものは大体なくなるのではないか。もうこれくらいでいいじゃないかという時期がくるであろう、こういった意味における実際上の終期というものはあるかもわからぬ。またあるべきではないかと思う。鉄道をいま加藤先生の御質問のように、めちゃくちゃに何でもかんでもいつまでも敷くものではないという点についてはそうなんだが、法律上のたてまえとしては、敷設法別表に書いてあるものに新たに追加するという政務次官のいまのお話もあり得るわけであります。そこで時がきたら公団ならなくなるが、国有鉄道にいったらどうなるかといえば、国有鉄道でもそのときには新線建設仕事はなくなる。特に私がここで申し上げておきたいことは、この法律が時限立法であるとか、時限立法的であるとかいうことでなくて、鉄道建設そのものが、国有鉄道にあろうが公団にあろうが、ある時期には終わりがくるかもしれぬ、あるいは終わりがくるべきだと私は思う。いまのこの別表なんというのもは、全部やらなければならぬというふうには私は絶対に考えるべきではないと思うのです。しかしこの別表にあがっておるものよりも大事なものが出てくるかもしれません。先ほどの新産都市の話出ておりますし、港湾地帯の話もございますし、したがいまして法律的には時限がきまっておるものではない。この辺は観念として明確にしておかないといけないと思うのです。ですから、これがある時期にきたらおしまいになることは初めからわかっておるといったって、法律的にはそういうものではない。この点はぼくの言うとおりだと思うのですが、何か間違いがあれば御指摘いただきたい。  それから、いまの敷設法別表というものはたくさん出でおりますが、沿革的なものでありますから一ぺん洗い直してしまって、全部直してしまったらどうかということをかつて提案したこともございますけれども、これはなかなかむずかしい事業だが、これに限ったことじゃない。新しく出てくる公団でやれるものが出てきますから、その点間違いないと思います。そのとおりであるならばけっこうです。
  217. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 ただいまの細田委員の御発言のとおりわれわれも解釈いたしております。
  218. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 次の質問者が控えておりますから、私はそろそろこの辺で打ち切りたいと思いますが、もう一つだけ最後の問題としてお伺いしておきますのは、公団国鉄との仕事の競合する点ですね。たとえば第十九条の第三号にありますように、前号の規定により公団から国有鉄道に貸し付けた鉄道の災害等による復旧工事をやるのですね。そうすると現在やっている鉄道の保守、補強の復旧工事というか、とにかく同類の仕事なんですね。それからまた災害等によっていたんだ個所を復旧するというのですから、時によれば非常に大きな災害がくるかもしれない。鉄道の委託されているほうの、借り受けたほうの鉄道当局としてはそれだけの期間営業ができぬことになる。そうするとその営業停止なりあるいは料金払い戻し等の国有鉄道がこうむる損失、それは一体どちらで負担することになるのですか。公団のほうで負担するのか、国鉄のほうで負担するのか。
  219. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 この鉄道施設は公団の所有でございますので、災害復旧は公団にやらせる。それから日常の保守とかあるいは改良というものは使用者側である国鉄にやらせるというたてまえにしております。そういった趣旨から申しまして、かりに災害等がございますと、運賃収入が得られぬということで、国鉄営業しの損失をこうむりますが、こういった平常の営業しの負担というものは国鉄負担をさせるというたてまえになっております。
  220. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 そういう点が明確になっていないじゃないですか。国鉄負担せしめるというて、国鉄がどういう条、項に基づいて負担をするのか。事実国鉄自体が復旧に当たるならば、それは自分の営業にも関することであるから、速急に他のものを犠牲にしてでもやるだろう、公団が復旧工事に当たるというのですからして、なるほど意識的にサボタージュするわけにはいかぬけれども、ただで貸しておるところに自分のほうで復旧する、その費用なりあるいは工事の都合なりによって国鉄が思うように早くやれぬ、こういうことも考えられないではないと思うのです。工事の復旧は公団でやると言うが、その場合の国鉄とり二重性において非常に不便を生ずるのではないか。こんなときには借り受けて営業しておる国鉄がその復旧に当たって、その経費は公団負担をするということならば話はわかると思うのですが、工事まで公団負担せしめるということになると、意識的であるなしにかかわらず、国鉄当局が考えるほど敏活には決していかないのじゃないか。ここに二重組織の弊害も起こってくると私は思うのです。そういう点についてはどうですか。
  221. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、経費の負担のたてまえを申し上げておるわけであります。災害によって公団の所有しております鉄道施設が破壊された場合に、これを復旧することが通常の鉄道施設の維持あるいは通常の修繕等の管理行為のらち外に出ます場合には、公団が施設の所有者としてこの復旧の任に当たるということを言っておるわけでございまして、たえまえを言っておるわけでございます。実際問題としては、国鉄が実際に復旧をしてその経費を公団からもらうというようなことは考えられると思いますが、経費の負担区分としては災害復旧は公団に負わせようという考えでございます。
  222. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 その点はこの条文によって明確なんですね。復旧工事公団が行なう。これはこの法文によって一点疑いの余地はないわけです。いま問題になる点は、あなたがいまおっしゃった工事を実際にどちらがやるか、復旧の工事を分担するという以上は、その経費は当然公団が持たなければならぬ。ところが公団にして、みると、復旧してそこから利益が入ってくれば復旧の費用を投じてもいいけれども、無償で貸し付けておるんだから、費用は入らぬ、その上にばく大な復旧費を出さなければならぬということになると、勢い工事の復旧計画についても、国鉄側と公団側との間にいろいろ折衝がなされなければならぬ。急を要するからとむちゃくちゃな経費の計算は別問題にして、あとから計算しようというようなことはならぬと思うのです。現在の、公団公団との政府機関の中においてすら、一つの行政上の権限ですら、省と省によっては非常な争いを生じておるような状態、いわんやそれに公団というものと国鉄との利害が伴ってくる問題になると、そう思うように簡単には、文章に書いてあるようなわけにはいかぬと思う。そのときの規定は、やはりそういうところはあるいは政令、省令というか、そういうものによって規定されるかもしれないけれども、しかし省令に規定しても、公団は必ずしも省令に従わなければならぬということはない。政令で出ればまた別ですけれども、そういうことを十分に、できるならば法律の条文の上においてこの復旧工事公団が担任するということが書かれておるように、明確にされれば問題はないと思いますけれども、具体的な問題が不幸にして起こった場合には、そういうおそれが多分にあるということが心配されるわけなんです。そういう場合についての国鉄当局なり運輸当局なりの考え方はどうでしょう。
  223. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 ただいまの御心配の点は起こり得る可能性があると思います。しかしこの国鉄にしましても公団にしましても、これは運輸大臣が全部監督するものでございます。しかも公団国鉄とは別に利害相反しておりません。でありますから、公団が災害の復旧をする場合にも、別に故意に工事をおくらせるとかなまけるということはあり得ないはずであります。またそうすることによって費用がよけいかかることになりますから、そのようなことはありませんし、問題はばく大な費用を要するこの復旧費用をどこで負担するかということが問題でありますから、その点を明確にさえしておけば、あとは工事はどこでするかということはお互いの話し合いでもけっこうであるし、あるいは内規にしておいてもけっこうであります。別に法律の条文に載ることはなかろうと私は思うのであります。しかもそのように国鉄がやり得る工事を、工費の二倍も一倍もかからなければできない工事をする公団で参るとすれば、そのような責任者は当然首にすべきで断る、責任者はやめさせるべきである、私はこう考えております。
  224. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 私も同じ国家機関で同一の大臣の監督下にある二つの公法人が——法的の公社と言えぬから公法人として、小さな利害で争うというようなことはあるまいと思いますが、意外に災害が大きくて、実際に、いまおっしゃるとおり、経費の負担がどちらにかかるか、そのときの工事ははっきり公団が行なうというように規定されておるけれども、実際は公団が行なうよりは鉄道技術を利用したほうがはるかに迅速にいくと思うのです。そのときの経費の負担をどちらが持つか、これが私は、あなたが心配されておるとおり重要だと思うのです。だからそういうことはやはりすっきりしておいたほうがあとからのいざこざを起こさないことになるんじゃないか、そう思いますね。だからそういう点について、それならばそういう場合の経費は、具体的に言うならば、何千万円以上はどちらが持つとか、何千万円以下はどちらが持つとか、あるいは全額どちらが持つというようなことは規定されるわけです。家を一軒借りておったって、借家人が負担する場合もあるし、家主が修繕費を負担する場合もあるし、だから一がいに言えませんけれども、中には折半という場合もあるし、国鉄公団との関係においても、なるほどそういう利害関係は同じく国家的な性格を持っておるものでありますから、ありませんけれども、しかし当面、やはり国鉄なら国鉄営業成績にも非常に関係することなんです。だからしてそういう点で、やはりそういう点の規定は設けられるほうがいいんじゃないか、こう思うわけですね。
  225. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 災害復旧の経費の負担につきましては負担区分をはっきりしておりますが、実際の運用にあたりましては、国鉄公団の間にいろいろこまかい点につきまして十分協定もさせますし、また政府は公社・公団を十分監督しまして、実際に即したかっこうで行なえるようにいたしたいと思います。
  226. 加藤(勘)委員(加藤勘十)

    加藤(勘)委員 私はもうこれで私の質問は終わるつもりですが、要するに、この条文をしさいに点検していきますと、幾つかの納得しがたいものを見つけるわけなんです。こういうことはほんとうを言うならば、もっと時間をかけまして、政府のほうでももっとほんとうは手入れをして、もう少し問題が平明に、だれにでもすぐ読んだらわかるようにというようになっておれば一番いいと思います。そういう点において、どうもいささか政府も急ぎ過ぎた感があると思いまするが、なおこの問題について、運営上の今度国鉄立場からの国鉄責任者のことばも聞かなければならぬと思いますが、そういうことも、私の質問はきょうはこれでやめますが、とにかくこの法律はそういう点で不備なものであるということは否定できないと思いますから、こういう点についての政府の反省を求めて私の質問を終わりたいと思います。
  227. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 勝澤芳雄君。
  228. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 先輩の矢尾さんやそれから加藤さんがもう十分やられましたので、ダブらない点だけ申し上げますから、もし私の質問がダブっておったら答弁を終わったと言ってくれれば、次の質問に移ります。まだ肥田さん、久保さんそれから井出さんと質問者が残っておるようですから、できるだけやっていただきたいと思います。私も時間を節約する意味で具体的な問題を申し上げますので、ぜひそのように取り扱っていただきたいと思います。  そこで、まず最初に、新線建設審議会で新線建設の方式として三つの方式が一応出されておるわけですね。一つの方式は政府の直轄でやる方法、そしてもう一つの方式は国鉄工事でやる方法、もう一つ公団工事でやる方法、この三つの方法が出されておるわけです。この三つの方法が出されておるにかかわらず、なぜ公団を取り上げたか。公団でなくても、たとえば国鉄のやり方で、国鉄新線建設特別勘定を設けてやる、これでもけっこうできるじゃないか。あるいは政府の直轄で運輸省へ新線建設特別会計を設けてやる、これでもできるじゃないですか。この三つの方式の中でなぜ公団方式をとったのかという点をまず最初にお尋ねしたいと思います。
  229. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 私どもはこの三つの建設審議会の意見のうち、公団をあえてとったわけであります。なぜ国鉄でやらせないかということにつきましては、いままで今日のいろいろな議論においてすでに申し上げておると思いますが、現実の面として、やはりいままで国鉄では新線建設の促進をなし得なかったという点を省みまして、やはり国鉄ではむずかしいということをわれわれは感じたのでございます。国鉄でむずかしい以上は、運輸省の中にそのような特別な新線建設の部門だけをつくりまして、それでやるということは、私は現実にはなお困難だと思います。そういうわけで、一番やりやすい、建設を専門とする公団をつくるのがよろしいじゃないかということから、これをとったわけであります。
  230. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 鉄道新線が促進されていない理由政府としてはどういうふうにお考えになるのですか。公団ならばそれが促進されて、国鉄ならば促進されないという理由は、いかなるものでしょうか。
  231. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 先ほど大蔵大臣がその理由については申し上げたと思いますけれども、これは御承知のように、国鉄というものは終戦以来仕事の面が非常にふえてまいりましたことと、同時にその工事量あるいは仕事量の増加に対する資金面の足りないことで非常な苦慮をいたしております。こういう面で、御承知のように、改良工事に追われ、保安対策に追われ、そしてまた新幹線建設に追われまして、いま四苦八苦しているのがいまの日本国有鉄道の偽らざる姿でございます。したがいまして、そこに新線建設責任を負わせましても、とうていこれはやり得る状態ではございません。と申しますのは、たとえば、これは国鉄の悪口でもございませんが、現作国鉄新線建設予算を毎年年度初めに計上いたしましても、これをほとんど全部使い得ないで、そして流用している場合がございます。これは悪意でやっているとは思いませんけれども、やはり背に腹はかえられないという、既存の輸送力増強とか、あるいは保安対策に追われて使ったと思います。こういうわけで、ありますから、なかなか国鉄としましても、相当国のひもつきでかりに国鉄に金が入った、あるいは債券発行ができたといたしましても、必ずしもそれを新線建設に振い向け得ないのが私はいまの国鉄の現状ではないかと思います。そういう意味で、専門の公団をつくったほうがむしろやりやすい、国鉄としても仕事がやりやすい、または現在の輸送力増強あるいは安全輸送その他の現在の国鉄仕事を十分伸ばしていって改良していく、こういう方面にお互いの仕事を分担したら非常に能率的ではないか、こういうふうに考えて、あえてわれわれは公団を採用したわけであります。
  232. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 東海道新幹線四千億のものを国鉄はやったわけでありますから、こればかりのものをやれないはずはないと思います。ですから理屈を幾ら説明しても政務次官、これはわからないのです。結論的にどうなるかというと、公団なら金が出しいいけれども、国鉄には金が出しにくい、こういうことだと思うのです。ですから、そういうことを率直に言ってくれればいいと思うのです。そういうように率直に言っていないんですよ。それではなぜ国鉄に出しにくいかというと、国鉄は本来の国鉄仕事をやらなければならぬから、新線の七十五億のワクでもなるべく減らしたい。しかし七十五億のワクはとにかく守っているのですから、むしろ政府がもっとやる気があれば、七十五億のワクをたんとふくらましてやって、その資金援助を見てくれればできるわけです。できないところに問題がある。できないところに問題があって、その問題をごまかそうとしてつくったのが公団だ、こういうことにならざるを得ないのです。これについての反論がありますか、私はないと思うのですが、あったらひとつ。
  233. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 どうもせっかくの勝澤委員のことばですが、ごまかしてつくったということについては、これは絶対に承服できないのでございます。これは率直に申し上げますと、勝澤委員の仰せられたようなこともございますが、現在の国鉄新線建設をやらせるということは、一種のマンネリズムになっております。マンネリズムと申しますか、やはり何かひとつ政府の気分を変えて——これは政府は決して感情や何かで動いてはいけませんけれども、やはり新しい気分を入れたほうが鉄道新線建設に金を出しやすいような感じがいたします。われわれはそう感じております。そうしてまた国鉄にいたしましても、技術はなるほど日本新線をつくるには十分過ぎるほどの技術を持っております。むしろ公団をつくるよりも技術的にははるかに進んでおるかと思います。しかし、御承知のように、新幹線建設のような世紀的な大事業には非常な情熱を傾けますけれども、必ずしも新線建設のような、いわゆる赤字を予想されるものには積極的な意欲がございません。そのことは、全部新線赤字である、これは困ったものだといううわさが流れておりますのは、やはり国鉄新線に対してはそう熱意を持っておらないという一つの姿だと思います。そういう率直な面から、いま言った二つの理由から、政府新線に対してもっと情熱を出して新しい金を出し得るという組織をつくるということと、国鉄があまり新線に対しては情熱を持っておらないという二つの大きな理由から公団をつくるべきだと考えたわけであります。
  234. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それは政務次官、国鉄新線建設に消極的だという意見は間違いですよ。政府新線建設についての金を出さない、ここが問題なんですよ。政府新線建設に金を出せばいいのですよ。金を出さないから、国鉄はきめられた予算以上に出す必要はないわけですから、きめられた予算以上に出さないのですよ。もしそれが違うというならば、それでは国鉄新線建設投資した過去十ヵ年の実績をひとつ御説明願いたい。
  235. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 ごく大ざっぱな数字を申し上げますと、昭和二十七年度以降新線建設に投入しました資金は約六百四億でございます。これは国家予算の累計では七百十億でございまして、これに対して実際に決算されましたものが六百四億円、なお年度別がございますが、これはいかがいたしますか。
  236. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それはいいです。  そこで、いまの差というものは一体どこから出てきたのか、それは国鉄が独自の権限でやったのか、あるいは運輸省なり大蔵省なりの了解を得てやっているのかどうか。
  237. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 これは国鉄はいろいろ資金の問題がございまして、国鉄でできます流用で、ほかの一般改良その他に流用いたしたものでございます。
  238. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それは国鉄が独自でやったわけではないでしょう。運輸大臣なり大蔵大臣の承認を得てやっているわけでしょう。鉄道建設審議会の筋によってやっているのでしょう。もう一回答弁してください。
  239. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 国鉄の自己の判断によってみずから流用したものでございます。
  240. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうするといまの七十五億だって、これは出資をするということになっているけれども、実際には国鉄は出さなくてもいいようなやり方をしようとすればできる、こういうことですね。
  241. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 法第四条第三項で、法文で明確にきまっております。「日本国有鉄道は、公団の設立に際し、昭和三十八年度日本国有鉄道予算工事勘定に計上した建設費の項の額から公団設立の時までにおけるその項の支出済額を控除した額に相当する金額を出資する」、わかりやすく申しますれば、七十五億のうちから公団設立のときまでに建設費に使った金を差し引いた金を公団出資するというふうに明確になっております。
  242. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 いえ、局長、私の言うのはこういうことなんです。七百十億と六百四億の差がある。このことは、いままで七十五億というのが予算新線建設すべきだときめられておったけれども、国鉄の都合で自由に七十五億減らすことができたのだ、今度はそれができない、こういうことですね。
  243. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 ただいま読み上げました条文で……。
  244. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 これからのことは法律できまっていますからいいです。いままでのことですよ。
  245. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 いままでは、先ほど申し上げましたように、国鉄の独自の判断で他の改良費などに流用することができて、また一部の金については流用してまいったわけでございます。
  246. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで、いまかりにそういうことが行なわれてきたと言われても、今度七十五億という建設資金を固定さして——それは内部的なことでできるわけですから固定さして、それ以上に金を入れれば国鉄でもできるということは、これは必ずしも公団をつくらなければならぬという根拠にはならぬと私は思うのです。これはもう政務次官、現実の問題として、公団をつくれば大蔵省から役人が一人理事が入る。だから少しぐらい予算も出してやろう、こういう形になっているんです。これは公団、公社を見てみますと全部そうです。そのために公団というものがつくられる。これはあなたが答弁してもしなくても同じです。今度の公団の役員の場合も、大蔵省出身者が入っているか入っていないかできまるのですからね。入っていなかったら、政府はあなたが答弁したようだった、入っていたら大蔵省の役人を入れるために公団をつくったのだ、大蔵省の役人が入らなければ金はくれないものだ、こういう結論になるということだけひとつ御承知おきを願いたいと思う。  そこで、公団でやる方式と現在国鉄がやってきた方式との相違点、どこが違っているのかという点を簡単でいいですから明確にしていただきたい。
  247. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 公団はこれからやるわけでございますが、公団建設専門で一本やりでいくわけであります。国鉄はいままでは建設並びに改良、保安、新幹線、いろいろな問題を一切八百屋的にやっておったわけであります。
  248. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこでいままで新線建設してきた国鉄建設機構、国鉄はどういう機構で新線建設してきたかという点について、国鉄のほうから御説明願いたいと思います。
  249. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 新線建設国鉄の部内機構でございますが、御承知のように本社に建設局がございまして、その局の中に課がございますが、主として建設線をやっておりますのは建設線課という課であります。地方機構といたしましては各地に七つの工事局がございまして、この工事局が各地区の既設線の改良工事と同時に、現在着工線になっておるものの工事並びに調査線になっておるものの調査をやっているわけでございます。
  250. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで運輸省から提出されました三十八年度の事業計画によりますと、大体新線建設しておる国鉄関係の人員は約八百名、こういうふうに説明されておりますが、大体そうですか。
  251. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 さようでございます。
  252. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうすると従来七十五億円ベースで、約八百名でもって新線建設がやられてきた、公団は人員は八百九十五人とこう言われておるのですが、結局いままで国鉄でやられてきたよりも、公団になるために、何といいますか総計的な人員といいますか、そこがふえてきて、これだけふえる、こういうことでしょうか。
  253. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 さようでございます。
  254. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこでいままでは建設建設線課、そうして七つの工事局、たったこれだけの機構で行なわれてきたわけですね。それが今度は公団になるためにふえたのは、何がふえたかというと役員がふえたわけです。総裁が一名、副総裁が一名、理事が六名、監事が二名、十人ふえたわけです。ですから十人の役員をつくるために公団をつくったと極論を言われても、これはどうも何とも言えぬと思うのです。総裁、副総裁というのは仕事がきまっているでしょうけれども、理事の六人というものの業務の分担はどういうふうにお考えになっておりますか。
  255. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 理事六名の分担は総務、経理、それから用地、計画、あと工事関係が二名、こういう担当でございます。
  256. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで役員の人事はどういうふうになっているのですか。
  257. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これはまだ法律案が国会を通過いたしませんし、まだ発足いたしておりませんから具体的に申し上げられませんが、幸いにこの法律案が通過をいただきましたならば、できるだけ早い機会にきめたいと思っております。(「構想は持っているだろう」と呼ぶ者あり)その構想は、その方面に十分な能力を発掘し得るりっぱな人物を考えております。
  258. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 国鉄理事は何名なのですか。大体でいいですから……。
  259. 磯崎説明員(磯崎叡)

    ○磯崎説明員 国鉄法によりますと、総裁、副総裁そのほかに理事が十七人以内でございます。
  260. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 国鉄は約四十五万人、こう言われているわけですね。四十五万人で十七名の理事公団は八百九十五人といいますから約九百人、九百人で理事が六名、ですから総裁、副総裁、監事を含めて四十五万人で約二十人、ここでは九百人で十人、一体この定数をきめた根拠はいかなるものでしょうか。
  261. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 国鉄のほうの四十五万人で二十人という根拠はわかりませんけれども、われわれが公団をつくります場合に、この定員は必要な最小限度の定員でございます。鉄道建設にこれだけの人数が必要である、これだけの頭脳が必要であると考えましてきめたわけでございます。
  262. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それではいまの政務次官の話は了とするとして、そこでこの公団の総裁、副総裁、理事、監事の給与と、国鉄の総裁、副総裁、理事、監事の給与はどういうふうにお考えになっておりますか。
  263. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 まだ政府部内で打ち合わせ中でございまして、他の公団等を十分しんしゃくいたしまして、適正な給与額をきめてまいりたいと考えております。
  264. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 他の公団、公社と比べるといいますと、仕事は四十五万人で二十人のやる理事の給与と、九百人で十人のやる給与と、そう役員の給与は変わりがないのです。これは国鉄理事が比較をすれば安過ぎるということになるでしょうね。
  265. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 そのとおりです。
  266. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこでやはり私は考えねばならぬことは、幾ら政府が強弁をしても、この公団そのものは、理事をつくるためのものだということになると思うのです。そうしないと、これは理屈が合わないのです。もし私の言っていることが間違いだとするならば、この理事、監事という人たちは、全然別個のものをもってくればいいわけですけれども、結局いままでどこからかおやめになった人たちがいろいろの関係で集まらなければ、予算もこないし、仕事のやりくりも因るということになると思うのです。ですからその点は私は公団というものについてどうも理解できないところがある。ここで一つの例を申し上げておきますと、国鉄の局長をやられたり理事をやられたりした人たち、こういう人たちが総裁なり副総裁なりあるいは理事に入られる。その下におった人たちが、今度は監事になる。その下におった人が今度は監理官になる。こういう形で監督機構がなっているでしょう。これの一番いい例が、東北開発株式会社というのは、総裁、副総裁、理事、これは理事は各派で出したようなものです。出まして、そしてそれをやっている理事は、理事よりも給与が低い監事が——後輩ですから給与は低いわけです。そうして、給与も低くて理事を監督しなければならぬ監事という立場にある人がやっておる。その監事の下で今度は監理官がやっておるわけですから、後輩が先輩を順に見ているわけですから、十分な監督ができないわけです。ですから今日、公社、公団、公庫の中でいろいろな問題が起きるわけです。ですからそういう点をやるなと言っても無理でしょうけれども、何とかそういう点だけはなくするようなものの考え方を、ぜひ大臣にしてもらいたいと思うのです。そうしないと、公社、公団、公庫、これは専門的ですから国鉄からやめた人でもいかなければできないでしょう、できないでしょうけれども、いわゆる理事、監事のあり方、監事のほうがいま低い立場におるわけです。しかし理事会に出て一緒にやっておるわけです。そして監事は全体についての意見を出しながら、実は意見が満足なのが出ないわけです。それを監督すべき監督官庁の監理官というのは、なお一歩低いところでやっておるわけですから、監督できるわけがないのです。ですからひとつそういう点は、この公団の場合には十分注意をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか、大臣。
  267. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 了承いたしました。
  268. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 もう一つで終わりますから……。  そこで、公団ができることによって、国鉄に与える影響というものについて私はひとつ考えてみたいと思う。それは先ほど大蔵大臣も説明をされました利子補給の問題です。大蔵大臣の説明は舌足らずであったので、間違っておったという言い方はしませんけれども、あの利子補給の四億何千万というのは舌足らずであったというように思うのです。その点、利子補給による保証というものは、あの法律がそのまま存続するとするならば、五ヵ年間の一応時限立法としてという条件の中で、四十年までに国鉄の受ける利子補給は幾らになりますか。
  269. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほどの大蔵大臣の御答弁を若干補足いたしますと、時限立法でございますので、四十年までは毎年累積されてまいります。それから、これは国鉄がみずから行なった建設線に対する利子相当額を補給するわけでございますから、今後、今年度あるいは来年度公団が行なう新線に対しましては、利子は補給されないたてまえになっております。  なお、従来の補給額を申し上げますと、途中の算式は別といたしまして数字だけ申し上げますと、これも大ざっぱな数字で申し上げますが、三十六年度は三億八百万円でございます。それから三十七年度は四億二千四百万円でございます。三十八年度は三年分累積されますので六億一千七百万円というふうになっております。
  270. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 三十六年度が三億、三十七年度が四億、三十八年度が六億、三十九年が八億八千万、四十年が十一億で合計三十二億になるのですね。なるのですよ。それがさつきの大蔵大臣の答弁によると、打ち切られるということになると、国鉄はどれだけこの公団によって損失になるのですか。
  271. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 四十年度まで国鉄はみずから建設を行なっていくという前提に立ちますとそのような数字になりますが、三十八年度の一部、それから三十九年度以降は国鉄建設を行ないませんので、その分に対しては利子補給は行なわれないというかっこうになります。
  272. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで、この公団法ができることによって、国鉄は三十二億の利子補給について、あなたは数字を申し述べていませんけれども、十五億になるか二十億になるか、その程度国鉄はこの法律ができることによって損害をこうむるといいますか、あるいは負担増になるといいますか、ということになるわけですね。そういうことですね。
  273. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 現在の法律のたてまえから申しますと、三十八年度の後半期以降のものにつきましては、利子補給は行なわれないことになりますが、既往の分につきましては、累年累積されまして利子補給は行なわれるわけでございます。  なお、この法律の扱い方につきましては、今後私ども政府部内でいろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
  274. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうすると、既往の分については四十年まで続けられる、これはさまっているのですね。
  275. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 さようでございます。
  276. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そうすると、公団になって出資する分については利子補給がされない、その金額はおおむね幾らになりますか。
  277. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 ただいま概数で三十二億と先生がおっしゃいましたが、そのうちから七億程度は減ることになります。
  278. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 ちょっと違うじゃないですか。  そこで、とにかくこの公団法ができることによって、いままで国鉄新線建設するために、少しでも国鉄立場を軽くしてやろうということで利子補給という制度ができたのです。これもまた鉄道建設審議会の答申によって、それを根拠として出てきたのです。七十五億について、とにかく出資について利子補給を認めよう、こうやっておったのです。それが今度公団になることによって、新線建設について七十五億は出しっぱなしで何らの補給がないということは、国鉄経営がそれだけとにかくしわが寄せられたということになるわけですね。いま国鉄経営の実態がどうなっておるかというならば、この間国鉄の諮問委員会から出されて、それは私が申し上げるまでもなく、よくおわかりになっておると思うのです。その中で、とにかく公団ができることによって国鉄負担が多くなったという分について、運輸省としては大蔵省とどのようなお話をされたのですか、あるいはまたこの法律そのものがこれからの分については死文になってしまうということになるわけです。ただ、私の言うのは、先ほどの大蔵大臣の答弁によると、大蔵大臣はあの程度にしかものを考えていないのです。大蔵大臣のものの考え方というのはたいしたことはないけれども、いまの大蔵大臣の答弁が、洗ってみたらまだ相当部分があるということで、大蔵大臣があの認識の上でこの法律をお考えになって出てきたとするならば、これは重大な問題だと思うのです。国鉄あるいは運輸省はもっと実情を大蔵大臣に説明をして、こうなるのですよという十分な説明をされて、それでこの法律ができたのならともかくも、大蔵大臣が持っている認識と運輸省が持っている認識とは違っているわけです。違っている上にこの法律が出てきたということに重大な問題があると思うのです。その点についての見解を聞きたいと思います。
  279. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 大蔵大臣の言われたことは、なるほどお話のように三十九年度から利子補給がなくなりますと、大体三十九年度、四十年度の約八十億に対する利子補給でございますが、約七億円くらいが補給されないことになります。その他の現在までの利子の六億なんぼの金はずっと引き続いてされることになるわけでありますから、結局七億だけの利子補給が削られることになります。でありますから、実際の目先の七億の利子補給はなるほどなくなりますけれども、しかし、鉄道建設が早く行なわれて——このままほっておけば、結局五千億の金は国鉄が背負わなければならない金でありますから、鉄道を敷くのをできるだけ早く公団が引き受ければ、それだけ国鉄負担も軽くなる、しかも鉄道が早く建設されれば、それだけ黒字に転化される時期も早まってくる、そういう将来の全体のことを考えれば、わずか七億の分と比べれば比較にならないのではないかというお考えの上であのような発言をされておると考えております。決して根本的には違っておりません。
  280. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 いまのお話は理論ではないと思うのです。私は現実の数字だと思うのです。ですから、もしあなたが言うように、あるいは大蔵大臣が言うようになるならば、私は数字で示していただきたいと思うのです。私たちはやはりいまの国鉄方式でやったほうが、国鉄経営の上からいって、赤字の累積の上からいって、いまのままのほうがいいと考える。しかし、あなたの説明なり大蔵大臣の説明なら、これは利子補給をしなくても、長い将来のことを考えて、新線がたくさんできるならば国鉄経営についてプラスになるだろう、こう言っておるのです。私はマイナスになる、あなたはプラスになる、これはやはり理論ではないのです。ですから、事実の数字をもって私は説明すべきだと思うのです。数字の説明がない上において、いやプラスになる、マイナスになるという議論を幾らやっても、これは結論が出ないと思うのです。もし大蔵大臣の言うように、またあなたの言うように、国鉄経営にプラスになるというならば、私はこの法案がせめて委員会を通るくらいまでの間にやはり何か数字を出さなければいかぬ。もしその数字がないとするなら、まさにこれは水かけ論です。水かけ論ということは、現実の時点において国鉄経営について七億のしわ寄せをこの法律によってしたんだ、かりに七億という数字になるなら、しわ寄せをしたんだということにならざるを得ない。それが長い将来に向かって新線建設される、新線建設されるにしても、新線建設の速度の問題ですよ。開業すればするほど赤字になることはわかっておる。これはいつか私が質問いたしました。当時の国鉄の関常務だと思うのですが、新線建設したほうが国鉄は有利ですか、新線をそのままにして利子だけ負担してもらったほうが有利か、どっちが有利ですかと言ったら、線路によっては新線はそのままにしておいて、とにかく利子だけ負担をしてもらったほうが国鉄は有利な線がたくさんあるという答弁がありました。開業の費用に金を使うよりも、未完成にしておいて利子だけ負担してもらったほうがいいのがあります、こういう状態です。ですから、いまあなたの言われた理論というものはどうも納得できないわけです。あなたは現実に正しくものを取り上げております。しかし、大蔵大臣はそういうことをお考えになっていないのですから、それとの食い違いの中でこの法律が大蔵省と話がつけられたということを考えれば、これは利子補給の問題については、きょうは無理だとしても、利子補給については別途の措置によって国鉄にしわ寄せをさせないようにしなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。
  281. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 それはそのとおりでございます。われわれはできるだけ国鉄負担を少なくしてあげたい、こういう考えでそれに努力いたす所存でございます。
  282. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 この公団法ができることによって国鉄負担を少なくするように努力したい、これは私は当然なことだと思うのですよ。大臣のお考えをひとつ聞きたい。利子補給の法律は、時限立法とはいっても、将来延期することを考慮しながら行なわれておったわけです。それも鉄道建設審議会から答申されて実施されたのに、今度の鉄道建設審議会の答申によって打ち切られるということは矛盾があるので、やはり何らかの形で考えるべきことだと思うのです。
  283. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 お説のとおりであるならば、大蔵大臣ととくと相談して善処いたします。
  284. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで公団法の十九条の一項の三号に「貸し付けだ鉄道施設に係る災害復旧工率を行なうこと。」こういっておりますが、この場合の災害復旧工事というものの定義、それとこの負担は当然公団が費用の分担をするというように私は理解するのですが、その二点について伺いたい。
  285. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 災害復旧とは通常の鉄道施設の維持あるいは修繕等の通常の管理行為を出たかなり大きな被害に対しまして、これを公団が費用を負担して、公団責任で復旧をしていくという趣旨でございます。
  286. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 この災害復旧という定義については、公団国鉄との間では意見は明白になっておるのですね。
  287. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 お説のとおりでございます。今後国鉄公団側におきまして、明確に実際の扱い方あるいは定義というものをきめて、これに疑義を残さないようにしたいと考えております。
  288. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それから十九条二項の一号で、鉄道施設の建設で、事務所、倉庫、店舗を取得した土地に建設、管理する、こういうふうにありますけれども、これは当然公団経営管理をする、こういうふうに考えるのですが、そうでしょうね。
  289. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これは先ほどの加藤委員に対する答弁でお話し申し上げてあります。これは公団経営いたしません。
  290. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 国鉄ですか。
  291. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 さようでございます。
  292. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 それから二号の「委託に基づき」という、これは具体的にはどういうことをお考えになっていますか。
  293. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これも先ほど申し上げましたが、たとえば一例をあげますと、鉄橋の橋梁の設計をする、それを工事する、それがとりもなおさず私鉄、民鉄の場合に適用する場合には、そのような設計なりその他のものを貸してやる、そのようなことを考えておるのでございます。
  294. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 そこで、かつて国鉄では国民経済上の見地から、閑散線区については、鉄道線路を敷くよりは自動車のほうがいいんじゃないか、こういうことをお考えになっていろいろと検討されたのがあるわけですが、その面と今度の対象とされている路線との関係はどういうことになるのですか。
  295. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 建設審議会におきましても、従来からも特にこの一、二年間は、他の交通機関との関係、特に自動車事業との関連を考慮いたしまして、一応鉄道輸送自動車輸送との限界点というものを国民経済的に考えまして、国家全体として鉄道輸送によるほうが有利であるというものを中心に、調査線なり建設線に指定をしてまいっております。今後も他の交通機関との関連を十分考慮して御審議願えるものと考えております。
  296. 勝澤委員(勝澤芳雄)

    勝澤委員 最後に大臣に、きょう社会党が鉄道新線建設緊急措置法案というものを出したわけです。そしていま政府からこの公団法が出ておる。そこでこの社会党の提案についての政府の御見解と、それから政府案に対してこの社会党の緊急措置法案が問題があるのかないのか、こういう点について最後にお尋ねしたいと思います。
  297. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私、はなはだ公務のためにその場におりませんで、まだ読んでおりません。政務次官が読んでおりますから、政務次官の答弁はすなわら私の答弁と御了承願いたいと思います。
  298. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 私、大臣にかわりましてお答え申し上げます。  先ほど社会党提案の臨時措置法案を拝聴いたしましたが、まことに高邁な御意見で、非常に私は敬服いたしました。われわれの考えておりますことよりもはるかに高度のものでございますが、われわれの考えておることと同じような感じがして非常に喜んだわけであります。われわれはその御趣旨を十分体しまして進めてまいりたいと思います。ただし、一ヵ所だけ、公団をつくるか、国鉄にまかせるかというところに違いがございます。私どもはいままでのいろいろな現実の姿から考えまして、公団をつくってやったほうがより早くお互いの描いておる理想に近づくものと考えまして、われわれは公団法案提案したわけでございますが、それ以外の点につきましては、全く同じように感じております。
  299. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 午後七時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後五時三十四分休憩      ————◇—————    午後七時四十三分開議
  300. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日本鉄道建設公団法案議題とし、質疑を続行いたします。肥田次郎君。
  301. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 きょうは二人の質問がありましたが、だいぶこの法案を中心にして質問がありまして、息詰まるような感じがしましたから、少し気分を転換する意味で、この法案提出されるに至るまでの、いうところの原因、動機、目的、こういう関係で少しお伺いしたいと思います。  それについてまず大臣にお伺いしたいのは、大臣が昨年就任をされたときに、大臣の所信の中に、交通難対策として重要ないわゆる所信が明らかにされておりました。私たちは、この大臣の考え方というものを非常に好意を持って、これが実現されるということを非常に期待をしておったわけです。その結果止まれてきたものは、実はいうところの建設公団法だけであった、こういうふうにも考えられます。したがって、当時の大臣のお考えといまの大臣の考え方というものは、本質的にそういう相違ができてきているのかどうか、この点をひとつお伺いをしたいと思います。
  302. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私の就任当時の考え方とただいまの考え方は、変わっておりません。ただ微力にして、私の最初の考えどおり事が進まないことにつきましては、私非常にざんきにたえません。この上ともひとつ皆さま方の御協力を得まして、私の所信が実現せられますように、御援助をこの機会を利用いたしましてぜひお願いいたしたいと思います。
  303. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 私は、大臣の交通政策の考え方の中にあった建設公団という関係については、国鉄新線建設について鉄道建設審議会のほうから意見書も出たりというような関係で促進をされたと思います。けれども、これは、先般来質問の中で重要な部面であったように、いま直ちに鉄道建設公団のほうへわざわざ手数をかけて肩がわりをしなくても実現ができるという、こういう考え方が一方に厳然としてあるわけです。そういう考え方が一方において厳然としてあるにかかわらず、そのほうに先に手がついて、そして大臣が言われておったところの民間のいわゆる都心に乗り入れるところの高架あるいは地下、こういうものに対して、建設事業団のようなものをつくって、そうしてこれは長期年賦で払い下げる、こういう政策が全然大臣の考え方の中から影をひそめてしまったということについて、なおひとつ大臣の考え方というものを聞かしてもらいたいと思うのです。
  304. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私は、いまなおそういう考えは持っておりますが、何と申しましても建設審議会の多年の要望であり、また国鉄といたしましてもどうしても新線は早くやらなければいかぬ、わが池田内閣の所得倍増計画地域格差の是正等においても、どうしてもこの建設公団をこしらえまして——今日御答弁申し上げましたように、必要性を感じまして、第二の国鉄をこしらえるのがいいとか、その他いろいろな方法がありますが、この建設公団をこしらえることが、ベストまではいかないけれども、ベターである、こういう考え方でこれに踏み切った次第であります。
  305. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 ベターとえらい力を入れられましたけれども、言われるように国鉄がいま新線建設に着手しているもの、それから調査、それから予定、こういう関係では、もうすでに多くの人がその実体について触れられております。問題になるのは、いま新線建設として着工線の中で、いうところの政府の所得倍増計画に、これをつくらなければ所得倍増計画実施できない、乗りおくれてしまうというような関係の予定建設線、着工線というものは、おそらくこの関係の中では、それは解釈の相違はあるかもしれませんが、はなはだ微弱なものだと思うのです。議論の中からではなしに、質疑の中から明らかになったことは、いわゆる臨海工業という直接生産に関係のある地域における予定線といえものは、まだ表に出ておらない。こういう関係では、鉄道建設公団ができたとしても、これは不可能である。いわゆる千葉方式をとって、そして発足して、そういう関係でやられるだろうというような答弁もありました。こうなってくると、鉄道建設公団というものは、ただおざなりにいままでどおりの国鉄がやっておった建設工事を受け継いでいくということにすぎない。ですから、所得倍増計画に対応するところのいわゆるその処置として鉄道建設公団ができたというこの理由が、はなはだ私たちには理解がいかない。これは、目的がはっきりしておればそれでいいじゃないか、あるいはまた、先ほども見解の相違だというふうな答弁もありましたが、この見解の相違というのは、ものごとがもう窮極にいってどうにもならなくなったときに見解の相違だということになるのであって、はなはだ形があいまいもことしている。その質疑の中で、見解の相違だというようなことが出てくるはずはないと思うのです。ですから、所得倍増計画新線建設との関係が、公団をつくればできるのかどうかというこの疑問が解決できない限り、まずこの建設公団に賛成という立場で議論ができない、質疑ができないのです。その点はどういうふうに解明していただけるでしょうか。もう一度考え方を聞かしてもらいたいと思います。
  306. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 肥田先生のおっしゃるような議論も立ちますが、私どもの考えておるような議論も、私は立つと思うのであります。と申しますのは、所得倍増計画に必要ないろいろな施策をわれわれはやらんとしておるのでありますが、少なくとも一助、もしくはそれを推進する原動力になることは、どういたしましても、この御審議を願っておるこの法案が成立いたしまして、そうして新線建設を強力に推進していくということが、所得倍増計画の一助になるということだけは、私は認めまして、やらぬよりはやるほうがいいんだ、こういう考えのもとに、私はこの公団をやることに決意をいたした次第であります。
  307. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 若干議論になるような気がしますが、しかし、いま大臣のことばのあげ足をとるというような意味じゃないのですが、やらぬよりはやるほうだ、そういう微々たる問題ではなしに、どうしてもやらなければならないということでなくちゃいかぬと思うのです。薬の議論でよくこういうことがあります。売っている薬がきくかきかないかというときに、きくきかないということが問題じゃなしに、権にならなかったらいいじゃないか、こういう薬の宣伝販売方法もあるようですが、毒にならなきゃ、別に薬という名前をつけて売ったっていいじゃないか、こういう議論が、売薬業者の中では出てくるのです。この建設公団をつくればつくらないよりましだという、こういう考え方というものは、私はどうも受け取れないと思います。建設公団をつくれば、いままでと格段の相違が出てくる、こういう目的がはっきりしておらなければ、結果というものがはっきりしておらなければ、先ほどから申し上げておるように、いま何も建設公団をつくらなくても十分事は足りるじゃないか——つくらないよりはましじゃないかということでなしに、事が足りるじゃないかという議論の方が、私は現実的だと思うのです。政府としては、とにかく建設公団という新しい公団をひとつつくりたいのだ、こういう目的だけなら、これは目的がはっきりしております。そういうことでなら、見解の相違というところまでこれはぶち当たっていきます。けれども、その関係がはっきりされないでは、どうも困るのです。いかがでしょうか。
  308. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私のことばが足らなくて誤解を招かれたようですが、私は、現在の時限におきましては、所得倍増計画を推進していく上において、どうしてもこの鉄道建設公団をやらなければならないという確信のもとに、本法案提案をいたしたのであります。
  309. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 それでは具体的なことでお伺いをしたいのですけれども、そういう非常な決意をされて鉄道建設公団が生まれるということになりまして、そして出資の関係については、先ほどから五億対七十五億という関係から、もうこれは何回か議論をされておりますが、そうすると、所得倍増計画に対応するための建設公団ということになりますと、いうところの、来年度からは、いままで国鉄でとうてい手がつけられなかったような大規模の建設工事というものが始まるのですか。そしてもしそうだとするならば、いま着工線であるものはどうなるのか。これはだれか前に質問されたのですが、私がうっかりしておりましたから、これはけっこうです。それから現在調査その他の中にある、あるいは予定線がそのままになっておるところも、その中のどれとどれをつかんで、いわゆる倍増政策に対応する急速な建設完成しよう、こういうところまで計画をお持ちなのかどうか、お伺いをしたいのです。
  310. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 それは本公団ができまして、そしていまの着手線あるいは調査線のうち、どうしても所得倍増計画に必要で、速急にやらねばならぬということをさらに建設審議会にかけまして、私がそれを認定しましてやることでございまして、私はそういうことを決意をし、同時にそれを進めていきたいと考えております。
  311. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 そうすると、こういうふうに理解したらよろしいですか。簡単な表現を用いますと、とにかく建設公団をつくって、これから、とにかくこれから、いままでのテンポより早く大きいものをやろうという気持ちだ。要するに気持ち公団だというふうに考えてもよろしいですか。
  312. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 そうおっしゃられれば、気持ち公団というような考えは持っておりますが、速急にやるという考えでやりたいと思っております。
  313. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 そうしたら、その次にもう一つお伺いしたいのですが、これは具体的なことになりますが、これも私がちょっと聞き漏らしておった点ですが、これは大臣でなくてもけっこうでございますが、公団のいわゆる職員は、大体八百名ほどということを鉄監局長言いましたね。それで八百人の人数のなにはともかくとしまして、大体八百人程度だということになりますと、鉄道建設公団が採用するところの職員、この身分については、一体どうなるでしょう。というのは、大ざっぱにいって、大体年間一人百万円くらいな給与というものはこれは要るんじゃないかと思います。このどういう層からどういう層までということにはなにですけれども、そうすると、八百人で百万円ということにすると、大体年間の人件費が八億。それからかりにこれをうんと少なく使うつもりで五十万円にしても、四億近くの人件費が要るということになるのです。そういたしますると、政府出資するところのこの五億では、どっちに転んでも、人件費がチョボチョボか、人件費がまかなえないという状態が出てまいりますね。これもできてみなければわかりませんか。
  314. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほども御答弁いたしましたが、大体現在国鉄新線建設に主として従事しておる職員をこの新しい公団に移行してもらうということを考えておりますが、それに若干の管理要員、本社の要員というような者もございますので、全体の数は一応現在八百九十五人というようなことを考えておりますが、これによりまして、どの程度の管理費、そのうち、特に給与を考えておるかという御質問だと存じますが、現在一応ある条件のもとに私ども収支の予算を考えていますが、これによりますと、七月一日に公団が発足するものといたしまして、ただいま申し上げました役職員に対する給与というものは、約五億八千万円程度を考えております。なお、先ほども申し上げましたが、給与ベースというようなものは、他の公団等の例がございますので、大体これにならって今後きめてまいりたいというふうに考えております。
  315. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 この関係は、実はあまり深くなにしようとは思わないのですが、いま言われた国鉄の関係から、ほとんどが公団のほうへ横すべりするわけですね。そうすると、今度国鉄のほうなんですが、これによって国鉄の作業に障害を来たすということはないと思うのです、大国鉄の陣容からすれば。しかし、この支障を来たすことはないということが常識的には考えられても、実際に今度いろんな面でオーバーロードになるのか、いうところの国鉄がかねがねひそかに考えておるところの人員合理化とか、こういう問題とこれは期せずしてマッチいたしますか、国鉄のほうではいかがでしょうか。
  316. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 この問題は、合理化とか、新線とかいうことに全く関係はございませんで、現在新線建設に従事しておる人間が大体公団のほうへまいるということになりますので、仕事ごと人間本移動するというかっこうになりますので、業務に支障ございませんし、同時に合理化ということとは関係はございません。そういうことでございます。
  317. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 こういうことを幾ら聞いても、そうほんとうのことはあまり聞かせてもらえないと思いますから、いいかげんにしておきますが、そこで先ほどから問題になっておりました点で、もう少し私も聞いておきたいと思うのですが、十九条の三号の災害の復旧工事は、この建設公団のほうでおやりになるのですね。それで貸与と災害復旧工事という関係と、それから貸与ということと保守の関係と、これは実は私らの常識からすると同義語だと思っておるのです。災害という表現を取り上げられますと、いかにもいざというときに、こういうふうな印象を受けますけれども、実際には災害復旧というのは、災害が起こったときの間脳であって、これは格別技術的に建設公団のほうでお力を借りるということは——これはあるでしょうね。ほっておくわけにはいきませんからね。ところが、災害復旧という、臨時に災害復旧で、不通になったところを早急に、応急に復旧するという、このことだけでは、これはほっておいても周囲から直してくれますから、そういう関係はともかくとして、災害復旧工事の場合には、建設公団のほうでやってやろう。しかし、保守は今度は国鉄のほうで、被貸与先でやるのだ、こういうことになりますね。われわれのほうでは、常識的にこれは一本のものではないかという印象、そういう理解をしておるのです。一本のものではないか。貸与という限りは、何らかの結末がつくまでは、これは建設公団のほうでいわゆる保守もしたっていいじゃないか、こういう理解を持っておるのですが、いかがでしょうか。
  318. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 これも先ほど私ちょっと触れましたが、常識的に申しまして、災害復旧ということになりますと、場合によりましてはかなり多額の金額がかかる。それから日常の保守というようなものと比べまして、多額の経費がかかるということが一応頭にあるわけですが、要するに、考え方はきわめて常識的なのでございまして、所有権を持っておる公団が、かなり大がかりな金のかかるものは負担をしていこう、そうして日常の運営に伴う保守とか材料といったものは、借りております国鉄が経費の負担をしてやっていこう、きわめて常識的なところはこのようなことを考えたわけでございますが、もちろんこの辺の限界等はいろいろございますので、実施にあたりましては、両者よく話し合いをしまして、この辺にそごのないようにいたしたいというふうに考えております。
  319. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 これはまたあとでこういうことについても考えようということならいいのですが、これがちゃんとこうして明文化されておりますからね。そこで聞いておきたいのですけれども、要するに貸与期間というものは、これはどういうふうに理解したらいいのですか。それから、たとえば貸与しておるから、災害については貸与期間はめんどうを見てやろう、こういうことですか。
  320. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 貸しておる間は、所有権というものは、公団がやるわけでございますから、わかりやすくいえば家主とたな子みたような関係で、大きな台風がきて屋根が飛んだというような場合には、通常家主がめんどうを見る。多少の骨の表がえとか障子を張るというようなことは、たな子がやっておる。そういうようなきわめて常識的な考え方から、このような一応の区分をしておるわけでございます。
  321. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 なかなか鉄監局長おもしろいことを言われましたけれども、家主だから、屋根のかわらが飛んだり何かしたら、それは直してやる、こういうことですけれども、貸借契約というものが特にある場合は別ですけれども、これはこういう貸借契約になるということならなおさらなんですけれども、貸与という期間中は、いわゆる家主の例をとると、骨の表がえから裏がえから、壁が落ちたのだから、戸障子のあけ締めが悪くなったそのレールの取りかえから、ガラスのようなものは別にして、これは大体家主がやってくれますね。これが大体いままでの通念ですね。いまたまたまあなたが家主の例を出されたから、家主がいままで責任を持っておったのは、それは家賃にもよりますけれども、多くの場合、もう骨の表がえまでやったものです。あなた借家なんかに住んだことがないかもしれませんが、われわれは借家ばかり入っておるから、大体何年に一回か畳の表がえをする、戸障子が悪ければレールを直してやろう、こういうことになる……。(「もっと大きいことを質問してくれ」と呼ぶ者あり)いや、これは大きいのですから……。ですから、こういう屋根の飛ぶようなことは、そうめったにないだろう。だから、いわゆる貸与ということになっても、めったにないことだからというので、災害復旧のほうはこれは見よう、こういうことですか。けれども、一般保守という関係については、これが一番肝心なことなんです。保守が一番大切なんです。一番大切な保守は、お前らのほうでめんどうを見なさい。何十年に一回か、何年に一回かたまに起きる程度の災害なら、家主のほうで見てやろう、こういう考え方ですか。
  322. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほど私が引きました例が誤解を生じましたので、その例は別といたしまして、要するに考え方は、大きな災害復旧というものは、所有者たる公団負担をする。一般の運営に伴う保守というものは、かりに相手方である国鉄負担をしていこう、こういうたてまえを立てたわけでございます。
  323. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 大体これは正直に言うと、そろばんづくだろうと私も思うのです。災害復旧という、この概念からするところのそれに該当する経費というようなものは、はじき出しておられるのでしょうね。それといわゆる保守ということになると、これは資料は、国鉄のほうにキロ当たり大体保守はどのくらいかというのがあると思うのです。災害については、突発的なものですから、一災害どのくらいという見当はつかぬでしょうけれども、そういうものから比較すると、およそ災害復旧という関係と通常の保守というものと、非常に大きな差があると私は思うのですが、要するにこれは経費から出た問題でしょうか。
  324. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 災害復旧は年によって違うわけでございますが、長い間を見ますと、国鉄の従来の例から見ますと、大体ある一定の予備をとっておくと、特別大きな災害等の場合は別としまして、大体まかなえることになっておりますので、公団におきましても、そういった従来の例等から考えまして、一応ある程度の予備費等をとって運営をしてまいりたいというふうに考えております。
  325. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 こだわるようですけれども、災害復旧というのは、特殊な災害多発地域におけるところは別ですけれども、それでない限り、そう災害というものはあるものじゃないのです。ですから、災害復旧という、その程度のものは見なければいかぬだろうという思いやりから、家主の思いやりから、言われている程度ならわかるのですけれども、災害復旧というものと一般の保守というものと、これが貸与関係の中で別なものだというふうに認識をしておられるなら、われわれの考え方とは違うということを申し上げたいのです。保守というものを貸与の期間内は建設公団のほうで見るという、こういう打ち出しのほうが、私たちのほうではごく自然だと思うのです。それでなかったら、もう結局、ただ敷くだけ敷いた、この鉄道を、国鉄のほうに、実際にはもう全部おまえのほうでやれよという形と同じになるのです。残るのは災害のときだけなんです。多発地域でなかったら、そうごやっかいになることはないのですから、その関係はそうえらい、ここに特に明文化されなければならぬほどの問題じゃなかろう。言われるように、災害というものはどれだけ経費がかかるかわからぬ、こう言われたところで、そうなってくると、災害保険のようなものですからね。保険金みたいなものです。保険をかけるのをかけぬでも、建設公団のほうで持ってやろう——災害保険です、こういうことになるのですが、これはわれわれのほうが常識が誤っていますか。貸与である限りは保守まで持つのだ。そうでなかったら、貸与というのはいわゆる字句の上だけで、つくった鉄道も全部国鉄でめんどうを見させるのだ、こういうことになるのでしょう。
  326. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 これはいろいろ考え方はあるわけでございますが、要するに公団の所有の施設の管理とかあるいは保存、こういった日常の経費というものは、鉄道の運営と天体一体に従来考えられておりますので、そういった日常的なものは国鉄負担にしていこう。それから先ほど申し上げておりますように、災害等の大きな経費、これは日常と違いまして、ときどき起こるかもしれません。そういうものは、国鉄のそろばんにもあまりふだん考えておりません。ですから、そういったものは公団で持っていこう、こういう考え方でございます。
  327. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 これはいつまでやっていても、いわゆる制度と理解の問題ですから、これはこのくらいにしておきます。  それから、先ほど時限立法かどうかという議論で、いわゆる幅が問題になっていましたね。常識的にわれわれのほうで考えられることは、これは鉄監のほうでも書いてあるように、五千億程度の金がいく、そしてこれも鉄監のほうで言われておったことですが、少なくともこれを建設するのには四十年くらいかかるだろう、こういう話も今日までされてきましたね。そこで、今度建設公団の手にかかれば、四十年間が十年間に縮められるのだというのではなかろうと思う。出資額でもおのずから限界がありますし、先ほどからの質疑を聞いておりますと、建設公団というものは、およそもうかるはずがない、そういう性質のものですから、これが無限大に必要に応じて鉄道建設できるということには、なかなかならないと思うのです。そのときそのときの予算の割り振りで、国鉄の現在と同じように、ブレーキがかかるのではないかと思うのです。そういうことを想像すると、これはほんとうに百年の法律じゃないか。これはわが党の久保委員鉄道建設法案の中に、前文に申し上げておるように、ほんとうに百年かかるのではないかと思うのです。百年かかるのではないかという想像はともかくとして、そういう時代になおかつこつこつと鉄道建設していかなければならぬような状態が残されているだろうかということも、これは当然問題になりますけれども、しかし、それはさておいて、いわゆる時限立法に類する、時限立法的なものだという、このことが公然と言われており、そしてしかも大蔵大臣の意見を聞いておっても、あれはただ考え方を言っただけで、決して政策の上に具体的に出てくるものでないと思うのですが、要するに金でも出なければ、建設公団というものは動かないのですから、そういう関係で、どう話を聞いておってもつじつまが合わない、あの質疑のやりとりを聞いておって。私が聞きたいことは、これは言うところの十年間の間に、大体政府が考えておる予定線というものは、もうこの辺で一段落だ、予定線で二百三十ほどあるけれども、この中で大体必要なものはこれでつくれる、こういうことを予定の中に入れて、そして大体十年くらい、こういう考え方に理解をしてよろしいのですか。
  328. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 私からお答え申し上げます。  これは十年間仕事がおしまいであるという考え方ではございません。ただいまの五千億という金の目安は、現在の建設線なり調査線を入れまして、六十三本くらい、その費用が二千五百億円、それから北海道と本州間の青函トンネル、四国−本州間のいわゆる鉄橋であるとか、そのようなものに対する予算約二千億近く、そういうものをひっくるめまして、現在において五千億かかる。それをできるならば十年内外でやりたいというのが、現在の希望でございます。しかし、それは予定されて、鉄道建設審議会において、別表の中に入っております。別表と、これからつくるべき予定のものが二百数十本あるわけであります。ですから、そういうものを入れますと、とても十年や二十年でできるはずがないのであります。しかし、お話のとおり、全部で二百数十本の鉄道をつくらなければならないかというと、これは今後のいろいろな経済問題とか社会情勢の進歩に伴いまして、いろいろ考え方が変わってまいります。あるいは道路、あるいは船のほう、あるいは航空路のほうの発達も進んでまいりますから、こういうものを勘案しますと、必ずしも別表にあります二百数十本の予定線を全部鉄道にしなければならぬとは考えておりませんし、とにかくいろいろな国民地域差を是正し、国民福祉のためには、どうしてもいまの別表にありますうちの相当の部分については実現しなければならぬのではなかろうか。そうしますと、できるだけ多くの予算をとりますけれども、十年では一応五千億の事業はできますけれども、それ以上の金額の仕事をするには、相当の年月を要するのではなかろうかと考えられるわけであります。
  329. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 質問者もまだあとにたくさんおられますから、私はごく一部分のことを質問いたします。そこで少し方向を変えまして、話はあと帰りしてまいりますけれども、大臣にお伺いいたしたいのであります。大臣が就任のときに言われましたところの、いわゆる高架あるいは地下の改良その他の乗り入れ、こういうものに対しての民間鉄道の助成策、これは今後の考え方として、大臣はどのように対処していただきますか。
  330. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 もちろん交通緩和のために、必要の限度に応じまして、しこうして財政の許す範囲におきまして、それを育成していきたいと考えております。
  331. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 ことばはまことに簡単直截で、そのとおりだと思うのです。ところが、これは考え方の比重の問題がおのずから生じてまいると思うのです。いま一方に鉄道建設公団というものが——これは先ほど私も触れましたように、片一方で、国鉄の力でもってやれるという条件の中にある新線建設が、建設公団の手に移されて、よりスピードを上げようという政府の考え方、そうすると、今日最も大きな問題として残されておるのが、都市における交通難緩和の対策だと思います。この都市におけるところの交通難緩和の対策は、いま都心に乗り入れているところの民営鉄道を高架にするか、地下にするかという非常に大きな問題が残されております。それからさらに都心部におけるところの公営の軌道が、地下にもぐらなければならぬということが一つと、それから路面にあるところの軌道をめくってしまって、そしてこれは幅の広い道路に改良されるのか、あるいはまたバスにとってかわるか、いずれにしてもこういう問題は、経済成長政策と決して無縁の問題じゃないと思っておるんです。したがって、こういう肝心のそれぞれの地域におけるところの都心が麻痺するような状態の中で、いうところの所得倍増政策というものが健全に計画どおりに進むかどうかと  いうことになると、これは不可能だと思います。そこでそういう都心の交通難緩和という根本的な問題としては、  いま言ったように、これは前任者の鉄監局長もその点は触れておりましたが、要するに地下に乗り入れるか、高架にするか、さらに地下鉄をふやすか、この問題を処理する以外に、とうてい困難だろうと考えておるんです。それが現在の情勢では、これはみんな地方自治体の資本と民間資本にゆだねたきりになっています。こういう関係を政府のほうで、先ほど大臣は非常に謙譲な表現で、私の力が至らなかったということを言われましたけれども、これは何らかの形でこれが解決する方策というものがここで明らかにされなければ、非常に片手落ちだと私は思うのです。片一方では、繰り返しますけれども、それにとってかわる条件があるにもかかわらず、新しいものをつくる。ところが、片一方には全然どうにもならぬ、もう行き詰まり状態にあるのに、これがそのままに放置をされる。いかにも片手落ちだと思うのです。これに対して、大臣は、とにかく何とかしなければならぬというお気持ちはわかりますから、具体的にどうなるのかということについて、大臣のお考えをしかと承っておきたいと思います。
  332. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 この問題につきましては、私どもは非常に考えまして、この新線建設公団をやると同時に、あるいはバス・ターミナルの問題、あるいは高架線の建設公団の問題等を考えたのでございますが、暁町点におきましては、財政その他の関係で、私どもの、すなわち肥田先生のおっしゃるような根本策を樹立し得なかったことは、はなはだ遺憾ですが、結局財政との調和においてしばらく待っておるというのが、偽らざる状態でございます。私どもは、財政が許す限り、昭和四十年度にでもおきましてあるいはやってみたいと思っておることは、ただいま申し上げました、あなたがおっしゃる都市における交通麻痺状態解決するための施策を考えておるのでございます。それは私鉄がやるならば、それに対して建設費を補助するとか、いろいろな方法があるでありましょう。しかし、現在のなににおきましては、それができぬからして、とりあえず建設公団をやりまして、経済の成長、格差の是正に寄与するためにこの公団をつくったのでございまして、私が就任当時に申しましたことについては、私は微力でありますが、さらに一そう努力いたしたい所存でございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  333. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 せっかく大臣のお気持ちがわかりましたので、もう少し具体的にお聞きしておきたいのですが、要するに、大臣の就任のときおっしゃったのは、二本立ての考え方を持っておられましたね。民間のものについては、建設事業団のようなものをという意見を述べておられました。そこで融資その他の面については、それぞれの角度から現在の道も開けておると思いますが、大臣のお考えの中に、現在都市に乗り入れているいわゆる都心部における地方鉄道、これは採算がとれているかどうかということは別にして、よくもうかっておるとか、おらないとかという表現がされておりますが、その点は、大臣、どうお考えになっておるでしょうか。と申しますのは、私の議論のときによく出てくるように、大企業の地方鉄道がもうかっておるということなら、私は、建設事業団のようなものをつくるについては、そう手間はかからないと思うのです。それぞれから出資をさすという手もありますし、それからいわゆる半官半民というような形のものも考えられますし、いずれにしても手がつけられる可能性は非常にあると思うのです。ただもうかっていないというなら、これはもうからぬところに金が出せるかということになりまするから、その関係はおのずからはっきりしてまいりまするが、そういう意味で私は、大臣のお考え方を聞いておきたいと思うのです。
  334. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私は、大都市に乗り入れている私営の鉄道が、もうかっておるとは考えておりません。がしかし、鉄道そのものではあるいはもうかっておらぬかもわかりませんが、付帯事業その他によって、御承知のように、大都市付近の私営鉄道は相当の配当をいたしております。これは配当ができる程度に私営鉄道経営している人の経営力によるものと私は考えております。しこうして、それがいけないようになるような状態になれば、いろいろな処置をまたさらに考えてみたいと思うのでございますが、私は、現時点におきましては、ただいま申しましたように、今日、日本の金利水準より少し上回っておる点を、あらゆる努力をして——鉄道のみではとうていできません。それは私も、そういう会社の経営者に会っておりまして、よく了承しております。しかし、ただいま申しましたような現時点におきましては、現在の資本主義時代におきます資本に対する相当の配当をいたしておりますから、やっていけておるのである、かように考えておりまして、そうしてそれがさらに交通難緩和に役立つような、さらに金のかかる、たとえば高架線とか、たとえば地下鉄をふやすとかいうような場合には、それに対処するような施策を考えて、そうして何とかして一日も早く大都市交通難の緩和に寄与いたしたい、かように考えている次第でございます。
  335. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 もうかっている、もうからないという議論は、私もこれが目的でやっておるわけではないのです。ただ、先般も私、ちょっと資料を取り寄せましたら、大体いまの価格で高架あるいは地下乗り入れの計画を立てておる幾つかの民営の会社が、それが資金が大体六百七、八十億くらい要る、こういっております。そして、そういう建設工事をやりますと、いわゆる利息を含めて八百億くらいの計算にしておかなければいけないのだ、こういっております。これは、いまそういう建設意欲を持っておるときに、やはりやらせなきゃいかぬと思うのです。それで、もうかっておる、もうからないということの意見の中に、大臣もやはり言われておったように、鉄道ではもうからないかしらぬけれども、その他の企業で、傍系事業の中でもうけているところもある、これは私もそのとおりだと思う。この一つの例を申し上げますと、これは私は結局インフレを助長する原動力になっておると思いますよ。いま地方鉄道が何とか金繰りがっくというのは、大体住宅建設をやっています。そして、その住宅建設をやっておる条件を調べてみると、これは極端な例をいいますと、坪が一円か二円のときに買っておった沿線の周囲にある山林があるのです。いまから考えると、戦前の話ですから、坪一円か二円、そういう土地を膨大に買い占めておったものがあるのです。そういうものをいま売り渡したり、あるいはまたそこに住宅をつくったり、こういう関係で、今日何とかかんとか民営鉄道企業を動かしていますけれども、そこでこの坪一円か二円で買い取ったいわゆる山林田地というものが、今日一体どれくらいな価格で売買されておるかというと、これはもう数千倍、極端な例でいくと数万倍の価格になっておるのです。これはいまどんなに力を入れてみて地価を押えようとしても、どうにもならない現象が起こってきておる。ですから、いまのいうところの民間私鉄がもうかっておるとするなら、そういうまことに、現在の条件の中で、ほんとうにわれわれが常識的にこういうことを見のがしていいかというような姿の中からその金は動いておるのですね。決してこれは健全な姿じゃないと思うのです。ですから、こういう状態の中で動いている金が、もう動くところがなくなってくると、これはいうところの鉄道事業というものはもうにっちもさっちもいかなくなる、百貨店だとかなんとか娯楽施設を経営してやっておるところにも、おのずから限度があると思います。ですから、そういうかつての安い値段で仕入れたところの不動産がせっかくいま値段が出ておるときに、積極的に政府がこれから動く余地のある資金をこの都市交通難の緩和のために使わすという、このことを考えられなかったら、この資金が枯渇したときには、もういかに政府が援助の手を差し延べてもこれはどうにもならないだろうと私は思います。そこで私は大臣にお伺いしておるわけなんですけれども、いまこうして鉄道建設公団というものが政府の手でこういうふうに出てきて、どうしても通そうという気がまえも見えておりますから、この問題はさておいたとしても、もしそれほど政府に意欲があるとするならば、こういう民営の高架、地下の改良、あるいは新線建設をほうっておく手はないじゃないか。何らかの具体的な、今年度はだめだけれども、来年度からはこれに対してもっと積極的ないわゆる促進の手段がある、こういうことでなかったら、これは交通政策一般の常識の考え方として、私は大臣に特に言質をとろうというのではなくて、とかなんとか形式的なものではなくて、都市におけるところの交通難緩和の重大な政策として、これが見のがしにされるということは、実はけしからぬと考えておるのです。いかがでしょうか。これは具体的に、これがこうだという意見を聞かしていただくわけにはまいりませんか。
  336. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私は大体肥田先生のお考え方と同じようでございまして、実は本年の予算折衝にあたりましても、さっき申し上げましたように、バスターミナル、高架高速公団というようなものを考えたのでございますが、現在の財政状態においてはいかない。そこでもし私鉄にいまあなたのおっしゃるような評価益と申しますか、あるうちに、都市に通ずる私鉄がこれに寄与するならば、私どもはあらゆる手段を通じまして資金の融通面その他において努力いたし、そうして一回も早く交通難緩和のために努力いたしたい、かように考えております。
  337. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 大臣、私はこれは聞かぬでもいいことを聞く愚かさになると思いますが、何ですか、そういう高架、地下の建設事業団というようなものは、そういう意味では大臣がこのまま留任をしていただいて、これらの実現のために努力をしていただけるという、こういう大きな期待をわれわれはかけているのですけれども、いわゆる高架、地下の建設事業団というようなものは、このまま日の目を見ずにやみに葬り去られてしまいますか。
  338. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私どもは、私が留任するとかせぬとかいうことは別問題にいたしまして、運輸省の省議といたしましてかようなことをきめておるのでございますから、私がやめようがやめまいが、その省議をくつがえすのにはくつがえすだけの大きな理由がなければなりません。そういう理由は、私は大都市交通難緩和が実現しない限り、それをくつがえすような大きな事柄は起こらないと思って、いまの時点におきましては、いまやっているのが最善でございまして、あるいは四十年度予算にあるいは四十一年度予算に、バスターミナルと高架公団建設公団の発足等を念願いたしますし、またそういう交通難緩和をしないでやるならばやるだけの財政的措置を戦い取りまして、私鉄でやっていただけるならば私鉄を援助する、どうしてもやれぬというならば、いま言ったような公団その他の形式においてぜひやって、交通難緩和をいたしたいということに、私をはじめ運輸省の駅務当局もさように考えまして、省議を開きました結果で、バスターミナルも高架公団もこの国会に出そうとしたのでございますが、大蔵省その他と折衝の結果、まずとりあえず建設公団からやろう、こういうことになった次第でございまして、あなたが御心配になるようなことは、私が大臣でおるとかおらぬとかいうことは別問題といたしまして、運輸省がつぶれない限りその方針は変わらないものと私は確信いたしております。
  339. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 非常に力強い大臣のことばを聞きまして、これがまず日の目を見るということに自信を持つことができました。  そこで、具体的なことを、これはおのずから政策の中にあらわれてくることですから、いま聞くわけにはまいりませんけれども、しかしその大臣のお考え方を聞くと、運輸省の政策としてとにかくもうすでに計画の中にあることだから、早ければ来年もう具体的にこれが計画の中にあらわれてくる、こういうこともあり得るというふうに理解をしておいてよろしいのですか。
  340. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 もし私営の鉄道が、政府のやる以外にそういうことが私鉄で計画され、そうしてその申請が運輸省に出るならば、それが実現に努力するということをここで申し上げてお答えにいたしたいと思います。
  341. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 先ほど申し上げましたが、やはり大きな理由は、いま前提条件があると思っているのです。いまならいわゆる地方鉄道が何とかかんとかちょっと政府が手を差し伸べてくれればそれにたよっていけるという条件があるのです。それがためにわれわれはあまり健全なやり方ではないけれども、傍系企業というものを何とかかんとかやっておるということをもって、正直なところ見逃しておるわけなんです。それでなかったら、あの不健全なやり方というものを鉄道企業体がやっておるということは許すわけにはいかないのですけれども、一面にそれによってしのぎをつけているという条件がありますから、これを認めておる。そこで、いまその時期がはずれるということになると、結局本来の鉄道というものがもう鉄道に身を入れなくなって、不健全ないわゆるサービス業だとか、こういうものに力を入れるようになってしまう、これでは地方鉄道に公共性を持たせようと思ってもできなくなる、非常に大きないわゆる利害関係が一般大衆に及ぼされてくると思います。当然そうなればもう企業の性格が変わってまいりますから、営利本位になるでしょうし、それからまた、そうなれば経営が成り立たないということを条件にして運賃値上げという問題も再燃をしてくるでしょうし、ですから地方鉄道運賃値上げを抑えるという曲がりなりにも地方鉄道に公共性を意識させて、そうして公共料金ということでこれを政府が統制しようということになれば、私はこの時期をはずしてはないと思っています。ですから、いま大臣の言われたことばが、少なくとも来年度予算の中に具体的に計画にあらわれてくる、そういう期待を私は持ってもいいという考え方で、それができるなら私はもうここで質問を終わりたいと思います。
  342. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 たびたび申しますように、現時点におきましては、あなたのおっしゃるように、いまのときにやらないと私営の鉄道は参ってしまう、こういうことには私も同感でございますし、あなたも私営鉄道経営に参加されたお方でございますから、最もいい案を最も早い機会にひとつぜひ申請なり何なりしていただきますれば、それに対して私は熱意を持って計画が実現するように努力いたしたいということをここではっきり申し上げます。しこうしてそれは運輸省の交通政策の上の重要なる施策の一つであると私は考えておりまして、それは動かぬと存じます。
  343. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 運輸省の重要政策ということで、必ずこれは日の目を見るということでございますから、この問題については私はこれで質問を終わります。  それからいま本題であるところの建設公団につきましては、これはわが党から対案を出しておることでもありますし、これについてのこちらからの対案を本日提案をしました。この関係と、それから政府提案との関係を質問しようと思いましたけれども、次にずっと質問者が控えておりますから、私の質問は次の同僚に譲ることにいたします。
  344. 木村委員長(木村俊夫)

  345. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 私の質問に入る前に、ただいま肥田委員の質問に対して運輸大臣からいい案があったらひとつ示せ、こういうおことばでありましたが、一つはささやかな案ではありますが、すでに運輸大臣御案内のとおり、わが党としては参議院先議で、御承知かと思うのでございますが、都市高速鉄道建設助成特別措置法案なるものを提案しておりますので、おことばを聞いて、政府側でも御理解というか、御同意をいただいたように考えるわけなんです。ついては会期も幾日もございませんから、ひとつ与党のほうの御工作も、政府のほうの御工作もいただいて、本法案の成立に御尽力をいただきたく切にお願いいたしておきます。  そこでこの法案については、それぞれ各委員からお尋ねがあり、お答えがありましたので、もう落ちこぼれ程度かと思うのでありますが、いささか二、三点について私からもお尋ねするわけであります。  そこで前提として申し上げたいのは、これからお尋ねすることは私どもの本意ではない、ないが、いわゆる政府のお立てになりました所得倍増計画とこの法案との関係についていかように考えられておるのかということであります。御承知かと思うのでありますが、所得倍増計画には交通体系小委員会報告というのがございます。その中で国内交通の問題で政策が掲げてあります。そのうちで、いわゆる部門別政策鉄道の部門でありますが、鉄道の中にはこう書いてあります。全文をお読み申し上げる必要はないので、この法案に関係する部面だけ申し上げておきますが、「ローカル線については特殊な線区を除いて今後の建設はすべて中止し、現在の線路も国民経済的に非合理的なものは撤去して自動車に委ねるべきである。また一般に新規投資については、充分に採算性を検討し累を将来に残さないように注意すべきである。」こう書いてございます。さらにこの所得倍増計画の土台になりました総合的交通体系にはこう響いてあります。総合的交通体系の中の国内交通の政策の方向、この中の国鉄のところでありますが、(ホ)としてローカル線の整理ということがあります。ローカル線の整理の一部だけをちょっと読んでみますが、「国鉄の新規投資のうちに、経営収支上採算のとれないローカル線建設がある。これは国民経済上他交通機関と比較して鉄道を有利とするものを選定する考慮が払われているにも拘らず、実際には国鉄経営圧迫する原因の一つになっていると考えられる。したがって、特殊な線区を除いて今後の建設はすべて中止すべきである。」こう書いてございます。ところが、提案の説明を繰り返すまでもありませんが、国民経済的な立場から、やはり鉄道新線建設しなければならぬ、中身はだいぶ違うのでありますが、うたい文句は、そういう観点からいままで遅々として進まないところの国鉄の手によるところの新線建設公団によってやるべしというのが本法案の内容でございます。これは一見して——私は皮相的な見方をしておるか知りませんので、あえて一見と言います。一見して、この所得倍増計画と本法案とには大きな矛盾があると思うのでありますが、矛盾はございませんか、いかがでしょう。
  346. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私どもは矛盾がないと考えております。
  347. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 ただ矛盾がないというのはどういうことか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。と申し上げますのは、この新線建設には、なるほどローカル線以外のものがございます。しかしおもにはいわゆるローカル線といわれるものであります。これがだいぶ入っておるわけですね。これは予定線なり調査線なり着工線なりを例に引くまでもございません。時間の関係がありますから一々申し上げませんが、大臣の御案内のとおり、ローカル線が大半であります。そうなりますと、矛盾はいたしておりませんという御答弁はいささか納得しがたい、こう思うのです。いかがでしょう。
  348. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 ローカル線が所得格差の是正に矛盾をしないと申しましたのは、御案内のように、ローカル線としての残された使命がまだ私はあると思います。そういう点を考えまして、それをよりよくするためにこの建設公団を持っていくのでございますからして、私は矛盾しないと申したのであります。
  349. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 大臣、何べんもことばを返すようでありますが、これは大なる矛盾があると思う。いい悪いは別です。私の意見は別ですよ。これは総合的な交通政策の方向として響いてある。これは特殊なもの以外は一切やめるべしというのですよ。そこへもってきて新線建設と矛盾しないというのは、この国会の場所における公式の答弁としては通りますが、対世間的な国民的な立場からは通らぬですよ。別に私は新線建設が悪いと言っているのじゃない。しかし政策に矛盾がありはしないか。この矛盾はどういう考えで持ってこられたのかということであります。いかがですか。鉄監局長、あなた学者らしいから……。
  350. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 確かに久保先生のおっしゃるように、各論のところにはローカル線の建設をやめるべきだということが書いてございますが、三十五年に発表されました所得倍増計画というものは、すみやかに国民の総生産を倍増いたしまして国民生活の水準を大幅に引き上げようというのがねらいでございます。この計画の構想におきましても、計画実施上特に留意すべき点といたしまして、後進性の強い地域開発促進並びに所得格差の是正のためにすみやかに国土総合開発計画策定し、その資源の開発につとめ、所要の立法措置等を検討する、そして地域住民の福祉の向上とその地域の後進性の克服を達成すること、地域公共投資については、地域の特殊性に従って投融資の比重を弾力的に調整して地域間格差の是正に資することを指摘しておりまして、これを受けまして昭和三十七年に全国総合開発計画策定されまして、その計画におきまして、主要幹線の複線化、電化等の輸送力増強整備のほか、工業開発地域育成のための鉄道建設、青函、本州四国連絡鉄道建設促進等の必要性が特に述べられておりまして、こういった所得倍増計画、これを受けました総合開発計画ということから、新線建設の必要性というものが認識されるわけでございます。そういったことを前提といたしまして、新しい構想による公団を設立いたしまして、臨海工業地域開発でありますとか、新産都市の開発、あるいは後進地域開発を促進してまいろうという考え方でございます。
  351. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 私は所得倍増計画との矛盾についてお尋ねをしたわけでありまして、あなたがおっしゃることを伺っていると、所得倍増計画は、その中でも総合的な交通政策は修正したとおっしゃる。修正したのである、こういうふうにとってよろしいか、いかがですか。
  352. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 各論にはただいま先生のおっしゃいましたようなことはもちろん出ておるわけでございますが、これを受けまして、その後に策定されました全国総合開発計画というものではこの間の調整をはかりまして、主要幹線の電化、複線化のほかに、端的なことばで言えば、新線建設というものが必要であるというふうに述べておりまして、これを受けておるわけでございます。
  353. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 それを受けてきたというのが提案の趣旨説明であります。所得倍増計画計画とこれには矛盾がある。あなたがおっしゃるとおりだとするならば、倍増計画なるものの、少なくとも交通政策の修正である、こうおっしゃればいいのである。そうでしょう。そうかどうか聞いている。念を押している。
  354. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 所得倍増計画の、いま先生がお述べになりました点は、後の総合開発計画において、地域格差の是正という点から若干修正されておるものと私どもは考えております。
  355. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そうしますと、倍増計画の中の国鉄経営全体についてもこれは修正さるべきだと思うのですが、いかがですか。そうでしょうな。
  356. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 国鉄は最初第一次五ヵ年計画をつくりましたが、この所得倍増計画策定されましたものについてさらに若干の修正を加えまして第二次五ヵ年計画に移ったということでございまして、その点では国鉄の当初の計画も所得倍増計画に歩調を合わせまして修正が加えられたというふうに考えております。   〔「そのとおり」と呼ぶ者あり〕
  357. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そのとおりという声もあるようでありますが、そのとおりじゃない。私がお尋ねしているのは、国鉄経営全体について修正さるべき時期だろう、修正されるであろうということです。そうですよ。これはそうだから公団を出している。公団を出してきたということは、いまの国鉄経営が、あなたが前段あげられた、いわゆる都市周辺におけるところの線増の問題、電化の問題、近代化の問題、保安対策の問題、これが重点で四苦八苦だ。だから、せめてこの新線建設は、だれがやろうが、国鉄が自分でやろうが、このいまあげたところのいわゆる修正さるべき重点をさらに遂行するのには、いわゆる地域格差に関係があるところの新線建設というのは国鉄経営負担からとにかく除こうというのがこの趣旨でしょう、そうでしょう。
  358. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  359. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そこで、そうだとするならば、私がけさ冒頭私どもの提案の説明を申し上げました。だから私は繰り返し申し上げる必要はないと思う。おわかりになっていると思う。それじゃ新線建設国鉄の重圧になっているのは何だというのです。これはいままでも質問がありました。建設資金をまかない得ないということですね。経営赤字の問題があるということです。背に腹はかえられぬということで七十五億の予算をとりながら、先ほど答弁があったように、やはり一般改良費に流用せざるを得ない、こういう実態でしょう。それじゃその前提となる資金確保について、この公団法ではたしてまかなえるのかどうか、これも御答弁がちっとも明確でありません。しかも鉄道審議会の建議を尊重してここに提案されたというが、提案の過程においてはいかなる作業をしたか。公団ではなくて、公団前提があるでしょう。前提がなくしてほんの手段、方法だけで、方法の上において公団が出てきたのですね。国鉄ではだめだから公団にしよう。本質的なものは何らここでは解決されていない。これはけさの説明でも申し上げたように、建設審議会からの答申は、先ほど大蔵大臣がわずかに五割と、——ぼくの質問で、これは公共事業としての考えで出したのかと言ったら、そうだと言うから、ものの考え方としては、一歩前進あるいは半歩前進でしょう。ところが建設がいままで遅々として進まなかったのは二つある。一つ資金の問題と一つはいわゆる計画がちっともないということ。そのときどきの予算のつけ方あるいはそのときの条件によってまあまあやっていこうというように総花式予算をばらまく。そのために緊急に必要な新線建設も意のごとくならないというのが現状です。だから、問題の本質は資金確保をはかることと、港湾あるいは道路と同じように緊急整備的なものをつくって、これを政府の大本営としてコンクリートして、目標を固めてやっていくということがなければだめだ。ところが公団では何があるか、基本計画という話があるが、何ら政府方針はない。いかがですか。
  360. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 従来の国鉄が行なっておりました建設線がうまくまいらないのは、ただいま久保先生のおっしゃるように二つの原因があると思います。一つは確かに資金の面でございます。もう一つは、ただいま御指摘がございましたように、国鉄のほうは複線化あるいは電化、国鉄線の輸送力増強という差し迫った大きな業務があるものですから、実際のところなかなか新線建設までには手が回りかねるということでございまして、それで建設審議会の御意見等もございまして、責任体制を明確にしてまいろうということで、公団という方法をとろうとするわけでございます。  なお、公団の考え方は、道路港湾等と同じように公共事業的な考え方を取り入れまして、政府資金をなるべく多くこれにつぎ込みまして、責任体制の明確化とともに業務を能率的に遂行してまいろうということでございまして、今年度予算では、確かに国鉄出資七十五億円に対しまして政府出資は五億という格好ではございますが、公共事業的な性格というものがここにあらわれてまいりましたので、先ほどの大蔵大臣の御答弁にもございましたように、政府といたしましては、これを機会に、この公団をつくります精神というものを大いに前向きに推進いたしまして、所期の目的をなるべく早い機会に達成してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  361. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 それじゃその基本計画の内容は、どういうふうに策定をする考えであるか、これをお答え願いたい。前に答えていれば簡単でいいですよ。その構想はお持ちでしょう。
  362. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 基本計画というものは、今後公団建設すべき基本事項に関しまして定めることになっておりますが着工調査線の別、線路の名称、起点、終点、線路の規格、こういったようなものを含んでおりますが、要するに公団資金の内容に応じまして、今後逐次整備をしてまいりたいというふうに考えております。
  363. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 鉄監局長、その辺の答弁ならお尋ねしなくてもよろしい。条文を読んだだけでわかる。先ほど私があげた大きな理由は、基本計画にある。むしろ基本計画なんですよ。基本計画の立てようによって予算の問題も出てくる。そうでしょう。私はきょうはかんが高ぶっていて、あまりむずかしいことは言いたくありませんが、もう少し基本計画の立て方をどうするか、いうならば、これは閣議決定に持ち込んでやるというのが少なくとも本筋ですよ。ここまでおりてきた原因は何かというと、これまた見せかけの新線建設はあまりやれないという結果ですよ。大蔵省の抵抗があって、そうなんですよ。これは大蔵大臣はたいへん長い答弁をされておりましたが、どう言おうとも、結果としては、第二十条の基本計画というものが私の言うとおりになれば、ちゃんと別な法律、親法律ができて——公団は子法ですよ。お答えしますか、いかがですか。
  364. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 私からお答えいたします。これは少し違うかもしれませんが、この鉄道建設公団法案をここに出しましたゆえんのものは、結局は新線建設を促進したいということにほかならないのでございます。しからば公団をつくらなくても、いまの国鉄においてもできるのではなかろうかという御意見もございますが、私はここで考えなければならぬのは、国鉄の現在の性格だと思います。国鉄というのは、いま独立採算制になっております。しかしながら一面においては、公共性をひどくしいられまして、いろいろと営業状態営業の上において矛盾をはらんでおります。このような状態において、この新線建設するためには、どうしても公共事業的な性格を強くして、国の援助を多く与えるということが一番大事な問題ではなかろうかと思います。そうしますと、現在の国鉄の性格の中にこのような公共事業的な性格を持ち込むということは、その行政と申しますか、営業方針において矛盾とまではいきませんけれども、必ずしも足並みがそろわないものが出てくると思います。そういう意味におきまして、久保委員のお考えになっているのと目的は同じでございますが、早くここに公共事業的な事業を遂行する公団をつくったほうがより仕事がやりやすい、一筋に仕事を促進できるという考えから公団をあえて出したわけでございます。その点は御理解を願いたいと思う次第でございます。
  365. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 政務次官の御答弁は提案説明の前段でありまして、私がお尋ねしているのは、基本計画がここまでおりてきたのは、大蔵省の圧力があってここにきた。中身はわからぬということですよ。ここまでおりてきたのでは、一番大事な新線建設をやろうという基本計画の中のいわゆるコンクリートするものが何も取れなかった、だからいままでとあまり変わりばえがないという結論にならざるを得ないと思う。もしもそうではないというお考えがあるならば、この予算をもう少しつけたらどうかと思う。これは何と抗弁しようとも、国会答弁としては通りますが、これは大蔵省との折衝段階においてここまで実際におりてきた。それが証拠には、建設審議会の答申によって作業を進めてきたのは親の法律である。緊急整備的な法律が先行すべきである。ところが、親が死んで子供が生きたかっこうなんです。こういうことでありますから各所に矛盾が出てくると思うのです。私は多くは申し上げませんが、そういう点に問題がある。十分ひとつ考えてほしいと思うのです。  所得倍増計画についでももう少しお尋ねしたいのだが、そんな理屈ばったことをやるとみんな頭に来るからやめます。しかしもう少し考えてください。これは私がしかたがないから結論をつけてあげたんですよ。中身はちっとも修正していないのです。こういう考えでいるからこそ、国鉄の問題一つとれば、公共性と企業性の矛盾がこの中にも出てきているのです。企業性を追求するのが所得倍増計画、公共性を追求しようとするのが新線建設、これはあなたがおっしゃったことを、しかたがないから、私がそうだろうということで申し上げたのであって、いずれにしてもそういうことです。  それからもう一つ、先ほど大蔵大臣に時間がなくて私は御質問申し上げることができなかったのでありますが、大蔵大臣の構想はこういうことであります。ことしの予算を見ては困る。この前も運輸大臣が言ったが、三十九年からひとつ見てくれ、こういうことを言っています。今後を見てくれ。なるほどうまいことを言った。大蔵大臣はちゃんとはっきり正直にここで述べられた。東海道新幹線は来年度ほぼ完成するから、そうすれば軽くなるのだ、こう言った。それでは、国鉄だけの問題で新幹線完成後について今日までいかなる約束をしてきたかということです。新幹線完成までは一般改良工事その他はやむを得ずダウンしておく。現実にダウンしておる。通勤輸送、幹線輸送について全部ダウン。これも新幹線を、膨大な投下資本を置いて——未稼働資産を置いてはまずいし、東海道の輸送力の緩和にも役立たないからやるのだ。だから大の虫を生かして小の虫を殺すというのが今日の国鉄経営の全体ですよ。しかし三十九年になって新幹線が完成すれば、技術要員も資金もいままでの取り戻しをやろうという。そうでなくても、すでに御案内のとおり、第二次五カ年計画は修正の時期に来ている。これは新幹線一つとってもおわかりのとおりであります。そうでしょう。各所にもう輸送のネックは出てきている。線増は思うにまかせない。近代化も思うにまかせない。技術陣営は、御案内のとおり新幹線で暴露した。いわゆる技術要員が不足で、一件について六十三回もの設計変更をしなければならないという実態である。要員の面についても、鉄監局長かだれかさっき答弁しましたね。新幹線ができればそれを異動すると言われた。とんでもないことだと思います。そういう考えで公団をつくることになれば、公団も伸びないし、ましてや国鉄自体も改善にはならぬという矛盾が出てきます。そこでこれは、運輸大臣はいま来られたばかりでわかりませんから、政務次官にお尋ねします。公団というものは国鉄の東海道新幹線の完成を待って資金手当をすると大蔵大臣は言ったが、そのとおりに考えておられるかどうか。いかがですか。
  366. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 これはそう考えておりません。大蔵大臣はそれらしき口吻を漏らされましたが、その前に、少なくともわれわれは八十五億円で満足するとは考えておらぬ、来年はその倍もしなければならぬということをちらっと申されました。したがって大蔵大臣でさえも、そのような新幹線完成を待ってこれを増強するという腹でないと私は思います。もちろん来年度あらゆる努力をもって、その御期待に沿えるかどうかわかりませんが、一生懸命になって予算獲得に努力する決心であります。
  367. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 要員の問題について先ほど河村常務が答弁されたと思うのですが、違っておればだれかそういう答弁をされた人がいるわけだ。いわゆる今回の新幹線の完成後、この職員をどうするのかと言ったら、そのような答弁をしていた者がある。これはどなたですか。いないというならばお尋ねします。公団に引き継ぐところの要員と、いうのは、国鉄から全部ですか。
  368. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほども申し上げましたように、建設系統の中で新線建設に従事している職員がございますので、そういった者を大部分、これは本人の意思を十分尊重いたしまして公団に引き継いで工事をやっていこう、これを根幹として工事を進めてまいりたいというふうに考えております。
  369. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 新線建設に従事している者の大部分とおっしゃいましたが、そのとおりだとすれば、大部分というのは建設局所管に属する人員をさすのですか。いかがですか、八百何名というのは……。
  370. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 八百何名と申しますのは、建設局あるいは地方の工事局の新線建設に従事している職員の数でございます。
  371. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 それじゃ国鉄当局にお尋ねしますが、いま鉄監局長が言うところの現有勢力は何人おられますか。
  372. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 約八百名程度です。
  373. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 八百名程度だというと、大半ですね。  それではまた再び国鉄にお尋ねしますが、いわゆる建設局関係の仕事というのは、なるほど新線建設もある。しかしこの建設局のいわゆる部局の顔を見ても、計画課、建設課、それから線増課、停車場課とあるが、よくわかりませんけれども、少なくとも建設課はいま鉄監局長が言うところの系統ですね。線増課は改良工事に類するものですね。停車場課は一部は新線建設に回るかもしれない。しかしあと大半は停車場そのもののほうに回されるのですね。そうだとするならば、人員は、八百何名を見込んでいるとすれば、大きな間違いではないだろうかと思うのですが、いかがでしょう。
  374. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 鉄監局長が建設関係で八百名と言われましたが、これは本社の建設局だけのことを申しているのではございませんで、地方の工事局その他全部、いわゆる建設支弁の人間がそれだけおるということでございますので、当然線増課とか停車場課とか、そういう方面の人間は含んでおらないわけであります。
  375. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 それではこれは国鉄の河村常務に聞きましょう。いままでの見込みでは、新幹線が三十九年の十月一日開業、多少の改良工事その他が残るということでありますが、この技術人員の撤収、これにこれを引き当てるという考えを持っておられるのですか。
  376. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 東海道新幹線のための技術要員は、この問題と全然別個のものであります。
  377. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 先ほどどなたかは、この撤収というか、そういうことで考えているという御答弁があったが、それは間違いですね。  それからもう一つは、鉄監局長の構想だと、いまの建設関係の、いわゆる建設局から下の末端までの職員を八百名程度吸収する。その場合、現在におけるところの、さらに先ほど私が申し上げた、しわ寄せを受けたところの一般改良工事、これを三十九年以降において国鉄はやろうとするのですね。いままでの取り返しをやろうとするのですね。その場合、要員不足ということは考えておられないで、十分まかない得られると思っておられるか、いかがですか。
  378. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 その問題になりますと、今度は東海道新幹線の工事が来年の七月にはおおむね完了いたしますので、改良工事のおくれを取り戻すための要員は、当然そこから出てまいるものと考えております。
  379. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 改良工事のほうはそこから出てくる、こういうお話ですが、そうすると残らないのではないですか。しかもこれから大きな改良工事というか、いままでの五ヵ年計画のおくれを取り戻そう、そうして第二次五ヵ年計画も修正しようかという論もある。当然修正しなければならぬと思う、線増にしても、電化にしても、通勤輸送にしてもです。そうなった場合、国鉄に吸収される人間は限られたものだということになると思うのですが、そういう見方はしておられませんか。
  380. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 その問題は、今後の建設公団予算規模予算規模がどのようになるか、また国鉄工事経費の予算規模がどういうふうになるかというようないろいろな仮定の要素をたくさん含んでおるわけでございます。したがいまして、そのときの情勢に応じまして、建設公団の必要な要員は、国鉄の現役あるいは退職者で一部を補充し、一部は国鉄で新たに新採用して養成するとか、いろいろな方法を講じまして、双方困らぬような方法を講じていくつもりでございます。
  381. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そこでその要員の問題に関係してまいりましたから、もう一つ要員の関係でお尋ねするのですが、国鉄から引き継がれるというが、こういうものは希望で引き継がれるのか、それとも強制的に引き継ぐのか、どうなんですか。
  382. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 これは希望によって公団に移る、こういうことであります。
  383. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 さらに引き継ぎの関係での待遇というか条件、こういうものが共済組合等の問題で法案に出ています。これだけではわかりにくいのですが、かいつまんで言って、この引き継がれた、あるいは戻ってきた、こういう人に対して、これは不利益になるような措置には絶対にならぬという保証がありますか、いかがですか。
  384. 河村説明員(河村勝)

    ○河村説明員 こまかい点について、多少の出入りはあると思います。しかしながら一番大きなものは年金と退職金でございますが、年金については、法案にありますように、全部通算をいたします。退職金については前後を通算をいたします。それで公団在職期間の給与というものは、退職金が若干不利になる点を考えまして、現在の国鉄の給与ベースよりも若干高く見てございますので、そういった意味で、総体的に見ますと、まず不利な点はない、そういうように考えております。
  385. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 運輸省はそのとおりに考えておられる。こまかい点は全然出てませんから、いろいろな問題が出ますれば、万全の措置をとるということでありますが、そのとおりでよろしいですか。
  386. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 現在国鉄の河村理事から御答弁申し上げたとおりに考えております。
  387. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 次に法案の中で二、三点まだ残っているのでありますが、第十九条の第一項第一号の公団のやる仕事ですね。これには新線建設じゃなくて、いわゆる鉄道施設の建設と書いてある。この鉄道施設の範囲はどこまでですか。線路はわかっておる。新線建設というのはわかっている。それ以外に施設というのであるから、施設の範囲はどこに限定をされておるか。
  388. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 国鉄新線建設しております場合には、建設した後に国鉄みずから経営するという経営意思が入っておりますので、その辺を若干書き分けまして、公団経営するということはないわけでございます。したがいまして、この鉄道新線あるいは鉄道施設というふうに書き分けてございますから、公団建設する鉄道施設というものは、線路の設備、電線路、停車場設備等を一体として鉄道事業を経営するに不可欠な設備を申しておるわけでございます。
  389. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 この場合、国鉄は当然のごとく改良工事に改良費に属するところの車両は用意せねばなりませんな、そうですね。こういうたとえば鉄道施設ができたが、車両費がないという場合には、これはそんなことはないと思うのですが、そういうのもあると思う。こういう場合はどういうふうな関係で処理されるのすか、将来の計画として、車両費……。
  390. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 車両費はこの鉄道施設の中には入っておりません。これは国鉄が全体の経営を考えまして、国鉄のほうで負担をしてまいるわけであります。
  391. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 次に貸し渡しまたは譲渡ということがございますが、これにはいわゆるその用金等はもちろんでありますが、こういうものについて公団国鉄の間に条件を付して協議してきめるわけですね、運輸大臣が認可して、それ以外にこの譲渡あるいは貸与の場合の取りきめの条件というのは何か考えておりますか、いわゆる使用料、譲渡料、こういうものだけかどうか。
  392. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 譲渡する場合の譲渡価格、それから貸し付けする場合の貸し付け料の算定、これは今後きめてまいるわけでございますが、いずれにいたしましても国鉄経営内容というものを十分考慮しながら今後きめてまいりたいというふうに現在のところは考えております。
  393. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 だから譲渡されあるいは貸与されるところの条件というのはいま鉄監局長がおっしゃることだけかと聞いているのです。いわゆる貸借料あるいは譲渡の金額、これだけか。それ以外には全然公団国鉄では関係がない。関係がないというか、あとの運営その他は全部国鉄にまかせる、これに条件を付することがないかどうか、こう聞いているのです。
  394. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 譲渡価格あるいは貸し付け料というものは私がいま申し上げましたように算定してまいりますが、国鉄新線経営する場合のことを先生はおっしゃったのでございますか。
  395. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そうです。
  396. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 新線経営する場合につきまして、いろいろ率直に申し上げまして、ある程度経営上の赤字が出てまいると思いますが、それは国鉄負担をしてもらうつもりでおります。
  397. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 いや、私が聞いているのは、その公団が貸し渡しに対して、譲渡の場合はそうあまりないと思いますが、この譲渡なりあるいは貸し渡しの場合、特に有料の場合ですよ。有料の場合もう少しどうやれとか、こうやれとか、そうしてもらう銭は的確にもらおうというようなことがありはしないか、こう想像されるので、聞いているのです。そういう点は一切ない、こう了解してよろしいのですか、運営についての、あるいは使用についての条件です。
  398. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 要はなるべく国鉄に迷惑をかけないという方針でやってまいりたいというふうに考えております。
  399. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 単純に考えてよろしいかどうか、いわゆる鉄道新線建設が重点であって、あとは付属の建物等をつくってこれは引き渡す。これでよろしいかどうか。鉄道施設となると、いろいろありますよ。施設となったら、おあげになった以外にもたくさんあると思うのです。
  400. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 これは先ほども申しましたように、鉄道施設と申しますのは、線路、電線路、停車場、要するに国鉄経営をいたしますについて必要な施設というものは、必要な限度において公団が全部建設をするという趣旨でございます。
  401. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 それから貸し付けた施設に対する災害復旧は公団がやる、こういうことですね。ところがここでも問題が出ると思うのです。多少の災害というか、だれが見ても災害、不可抗力というものはございます。しかしたとえば新幹線で最近のりがくずれたというのがありますね。土手がくずれた。これなどもとりようによっては施工が十分でないからこうなった。ところがこの一面これはそれとは別な問題ですが、おまえのほうのやり方が悪いからここはこわれた、災害じゃない、そういうのもありますぞ。想像すれば非常にむずかしい点ですね。こういう限界について私は公団国鉄の間でおそらく争いができると思うんですね。簡単にはいかぬと思うんです。これについてはどういうふうなお考えでありますか。
  402. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 確かに現実の問題としていろいろなボーダーラインのケースというものは出てまいると思いますが、いま先生が御指摘になりましたように、かりに公団工事の施行が悪くてくずれたということが明確であれば、これは公団責任であると存じます。ただ実際の場合にはなかなかむずかしい場合が出てまいると思いますが、基本方針は災害復旧は公団でやらせるということでございまして、この辺実情に即しまして両者の間で円満にまいるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  403. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そこでもう一つ関連してお尋ねしておきますが、公団鉄道施設を建設する場合、やる以前において国鉄と設計協議はするのかどうか、これはどうですか。
  404. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 国鉄公団はすべての関係において密接な連携を保つ必要がございますので、十分事前に設計協議等はいたします。国鉄意見を十分反映するようにいたします。
  405. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 その設計協議がととのわなかったときはだれが裁定するのですか。そういうことは考えておりませんか。それは政令か規則できめるのでしょう。そういうことの配慮がなければ、むやみに紛争を起こすもとだと思うのです。実際おれのほうの資金の関係、工事の関係、技術の関係からいえば、国鉄が何と言おうと、これで十分だと言って、それで切られますよ。あと災害やなんか出たときにどうするのですか。
  406. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 両者はもともと緊密な関係にあるわけでございますから、十分に事前に協議をいたさせますが、万一意見の調整ができないという場合には、両方とも運輸大臣の監督下にございますので、運輸省が十分調整をはかってまいります。
  407. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そこでやはり十九条になりますが、ここで委託に基づいて鉄道に関する工事並びにこれに関する調査、設計、測量、こういうものも業務の範囲にあるわけですね。先ほどの御答弁、質疑の中にもあったように、ある時期には大体鉄道線路もこれでいいということになると、将来はこの方向へ公団がいく可能性があると思いますが、そういうふうに了解してよろしいか。
  408. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 これは前段に書いてございますように、この公団の主たる業務というものは、あくまで新線建設をやるということでございますので、この業務に支障のない範囲内においてやらせる、しかもその場合に、あらかじめ運輸大臣の認可を受けてやるということになっておりまして、きわめて厳密な制限を付しておりますので、そのような御心配はないかと存じます。
  409. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 心配がないというならいい。  そこで続いてお尋ねしたいのは、この公団がやる付帯業務みたいなもの、倉庫をつくるとか、事務所をつくるとか、こういうものは第三項において政令で定める基準に従いということになっておるが、これはどういう基準であるのですか。
  410. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 政令で定める基準とは、公団が高架の鉄道施設と一体として建設することが適当であると認められる事務所等の施設を建設し、管理する場合のものでありますので、政令には事務所等の施設の建設主体の決定基準、それから建設施設の構造基準建設されました事務所等の経営主体の決定の基準、それから施設の貸し付け料等、貸し付け契約の基準を定めることを考えております。こういうようなことを政令の内容として予定しております。
  411. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 そこで次にお尋ねしますが、いまの御答弁を信用しますけれども、世間では、これは一部かもしれませんが、公団はガード下でひとつ商売をやろうということじゃないだろうか、こうとっております。以上だけを御忠告申し上げます。  次に、先ほど来大蔵大臣が来て、いまの法律を間違って考えられて、先ほど来のやりとりで解明されたのでありますが、あのままお帰りになった。それはいまの新線建設利子補給の法律であります。これを大蔵大臣は間違って御理解をいただいて御答弁を願ったのでありますが、刑に間違っておることをとやかく申し上げませんが、間違っておることは事実でありますから、あの点に関連して私の申し上げたいのは、これは運輸大臣からお聞きしたいと思いますが、いまある利子補給の法律は、いわゆる鉄道みずからの手によって建設する新線に要した費用に対してこれを補給するとは明文にはございません。ただ現実には新線建設は国有鉄道以外にやっておりませんから、理屈を言えば、国有鉄道建設に要した資金については利子補給をするとなっておりますよ。しかし現実には、たとえば今年は七十五億手をつけなければ、七十五億はそっくり向こうにいくのです。これはやはり新線建設の費用です。しかもこれはみな借り入れ金です。そうですよ。大臣、首をかしげておられますが、運賃収入の黒字から出すのが当然だと思っていらっしゃるのですか。そうだとするならば、先ほどの大蔵大臣の答弁と食い違います。新線建設公共事業である、その趣旨から五億出すのだ、だからこれは借り入れ金だ、だから利子補給をしておる、だから建設資金に使った金であるから、当然この法律の文言が、いまのこの公団ができたあとでは合わないというならば、文言の修正があってしかるべきだ。先ほどどなたから質問されておりますが、当然この公団法と一緒にこの条項は改めるべきものがあれば改めて提案してくるのがほんとうですよ。いかがですか。私は結論として言う。建設資金には変わりはないのだ。国鉄の重圧というものはそれなんです。黒字から出すのではない。公共事業として政府は半歩ぐらい前進したと私は見ておりますが、そうだとすれば、今日あるところの利子補給の規定は、年限が切れればまた延ばすという考慮があってしかるべきだ、これの文言に支障があるというならば文言を改正する必要があると思いますが、いかがですか。
  412. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 私よく質問の御趣旨を了解し得ませんから、鉄監局長に……。
  413. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 新線建設補助の特別措置法は、ただいま久保先先がおっしゃいましたように、国鉄が三十五年度以降新線建設に費やしました資金につきまして、利子に相半する金額を予算の範囲内で補助するという趣旨のものでありまして、本法によりますと、政府は先ほども申し上げましたように三十七年度に約七億三千万円、要するに国鉄建設いたしました分につきましては累積して補助してまいりますが、今後公団建設をいたします分については、この法律からは当然補助は出てまいらないわけであります。  そこで先生のお尋ねは、自後国鉄公団に対する出資金について、同じような趣旨で何らかの補助をしてはどうかというお尋ねかと存じますが、これは政府部内においてよく検討いたしまして、なるべくそういう精神が生かされるように今後善処してまいりたいと考えております。
  414. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 検討してまいりたいということですが、私は検討が非常におそいと思います。しかもあいまいなことを実際言っておる時期ではないですよ。これは運輸大臣いかがでしょうか。
  415. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 先ほど申しましたように、最終的には国の負担で出すようにならざるを得ぬという大蔵大臣の言明に従いまして、私は結論的にはそういう累積のなには結局国庫すなわち国が負担せざるを得ぬようになると考えております。その点に向かって大蔵大臣とさらに確かめて善処いたしたい。要は国鉄にこれ以上新線建設のために、赤字線のために迷惑のかからないということを根本原則に置きまして折衝いたしたいと思っております。
  416. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 国鉄に迷惑とか何かじゃなくて、たてまえから申し上げておるのです。まして国鉄が迷惑、そんなばかなことはありませんよ。必要なものは当然国鉄が背負うべしでありますから、新線建設にしても、赤字だからなんという思想はありません。これはわれわれ自身もそう思っている。だからけさ提案理由で申し述べたとおりであります。国家経済に必要なものはどんどんやるべし、それに対する対策、裏づけが一番必要なんです。だからたてまえから言うと、国鉄全体の経営、いまの既設線区改良工事がおくれるとか、重圧がくるということでは因るという趣旨から言っても、ささやかな利子補給が願えれば、当然これを伸ばしていく、このように御考慮願いたいと思います。
  417. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 御趣旨のように努力いたします。
  418. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 会期もまだ相当ありますから、会期中に大蔵大臣にもっと——大蔵大臣のこの点についての理解は非常に間違っている、こう思うのであります。間違っています。実際議事録をちょっと読んでいただけばわかる。間違っていますから。これは運輸省なり国鉄が大蔵大臣というか大蔵省筋に説明をちっともやっておらぬ。こういうところにへっぴり腰なんです。運輸省や国鉄はもう少し元気をつけてやったほうがいいと私は思います。  それから次にお伺いしたいのは、先ほども大蔵大臣から答弁があったから、貸与金の問題で無償、有償の問題は一応解決したのであります。しかし主管大臣は運輸大臣でありますから、明確にお答えいただきたい。赤字経営線区は当然のごとく無償、黒字は国鉄経営の利益の限度において料金はきまる、こういうふうに了解してよろしいかどうか。
  419. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 お説のとおりでございます。
  420. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 次にもう一点だけお伺いしておきたいのでありますが、二十八条の公団の欠損金の処理であります。この公団は欠損金が出ると私は見込んでおるのであります。この欠損金の処理についてどういう始末をなさるつもりであるのか、いかがですか。
  421. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 公団の経理内容でありますが、性質からいって、かなりの今後政府が全般的にいろいろなかっこうでめんどうを見てまいることになろうかと考えております。
  422. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 政府にまかせろ、大きく出たね。いずれにしてもそういう趣旨なんです。まかせろと言うから、まかせるほかはないかもしれませんが、大体構想自体が中途はんぱなものでありまして、どうも前途憂慮にたえないということばが適するかと思いますが、いずれにしても私は時間がありませんので以上で大体終了しますが、少なくともこれは大きな問題です。言うならば私のほうの提案もしましたが、十分検討されて、そう先を急ぐ必要はないでしょう。そういう意味で再検討されたほうが、ほんとうに新線建設を促進するという大きな旗を立てるならそのほうがいいだろう。政府が今度は公団をつくって、お前のところの新線もどんどんつくってやる。中身を見たらこれまでと同じだ。ここですよ。そういう欺瞞的なことはおやりにならぬほうがいいと私はかねがね思っておるのであります。見解の相違でありましょうから、以上にとどめておきます。まあ私の心配が心配でないと言うならば、来年度予算を見てみましょう。私の計画どおりとれるならば私の提案は引っ込める、そういうことです。
  423. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 楯兼次郎君。
  424. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 二点ばかり疑義を質問いたしたいと思いますが、この公団法は住宅公団あるいは道路公団と出発の意義が違うと思うのです。といいますのは、先ほど次官も答弁をされましたが、すでに調査組、建設線、それから工事継続線約六十線あるわけです。そういたしますると、住宅公団あるいは道路公団のようにこれから土地を購入して住宅を建てる、あるいはこれから有料道路をつくるという公団とは性格が違うと思うのであります。もうすべて調査懸案事項は解決をしておる。あとは建設資金をどこでまかなうか、これだけの公団だと思います。したがってそういう点から私どもは大きな疑義を持つわけでありますが、そんなことを言っておりますると長くなりますから、簡単に私の疑問と思っておる点をお聞きしたいと思います。この公団赤字続きの国鉄の財政を減少するだけが主体なものか、あるいは毎年約七十五億の新線建設費が盛られたけれども、実際は他に多少とも流用をしておる。予定どおり、計画どおり仕事が進まないことが累積をしたので、これではいかぬというので新線建設をそういうことのないようにより以上やるための目的が主たるものか、こういう点はどちらですか。
  425. 綾部国務大臣(綾部健太郎)

    ○綾部国務大臣 両方とも目的になっております。
  426. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 そうすると先ほど大蔵大臣に時間がなかったので少ししか町間ができなかったわけでありますが、私はよく勉強をしておらないのでそう思うのかもしれませんが、公団をつくってまず国鉄の財政を、負担を減少するという面から見ましても、公団をつくって、国鉄負担が減少をするということは考えられません。それは多少はあるでしょう。多少は有償、無償という点はあるでしょうけれども、相変わらず七十五億なりあるいは八十億の出資金というものが伴っていくであろう。それから無償、有償はあるけれども、やはり有償という線もある。そうなりますと、無償という負担のみが減少をするだけであって、やはり出資金を今後数年計画的に出資をしていくということになれば、火のついたような国鉄財政の負担を減少するという直接的な効果はないように私は考える。それからいま一つの目的であります新線建設を大幅に行なうその資金が必要である。ところが公団資金調達の項目を見ましても、午前中大蔵大臣に少し質問をしたのでありますが、何も新しみがないわけです。新しみがありません。政府保証債あるいは短期借入金、長期借入金、——政府出資という点だけがこれは新しい項目でありますが、しかしほんとうに政府出資をして新線を大幅に広げるということならば、何も公団をつくってやらなくても懸案事項はすでに六十線からあるのでありますから、私は必要ないと思う。だから公団をつくるから政府が金をやる、国鉄建設をやるから金をやらない、こういう結論しか私どもは理解ができない。したがって公団をつくればなぜ国鉄に与えない資金を出すことができるのか、出すのか、ひとつそういう根拠を説明してもらいたいと思います。
  427. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 それはおっしゃるとおりでございますが、その理由は、今度新線建設しなければならぬ、ところが、その新線は大体において採算はなかなかとれにくい線である、こういうことを考えます場合には、この新線をあえて早い期間につくり上げる以上は、これは公共性を主としたものでなければなりません。そういう意味におきましては、現在の国鉄独立採算制をとっておる。しかもこれには料金の問題とかいろいろな問題で公共性を押しつけておりますけれども、大体においては独立採算制が主体でございます。そういうところに公共性を中心としたものを押しつけることはやはりそこには矛盾があるのじゃなかろうか。そういう意味におきまして、純粋の公共性だけを中心とした公団をつくるほうがよりやりやすいという方針から、これらのことをきめた次第でございます。
  428. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 まあ公共性だとか独算制だとかいろいろ答弁をされますが、一体国鉄の公共性と独算制ということについて、次官はそう説明されますが、はっきり判定をした公共性と企業性の定義がつきますか。   〔発言する者あり〕
  429. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 静粛に願います。
  430. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 公共性と独算制をあなた区別をされますが、その区別がつきますか。つかないでしょう。われわれは十何年国会におって、公共企業体公共企業体と言うんだが、一体公共性とは何か、独算制とは何か、こういう点で終戦以来論争をしてきたのです。ところが、その結論はまだ出ておらないのです。だから、そういうむずかしいことを言わなくて、私が聞きたいのは、資金調達の条件は、国鉄の場合も公団の場合も何にも変わらないのです。五億の政府出資という点だけですよ。来年度は多少ふやすということを言っておったのだが、その点が変わっただけだが、なぜ公団ならばそうしよう、国鉄ならば出せないという根拠が私はわからないのだ、こういうのですよ。だから、国鉄公団と看板は変わったのだけれども、内容は同じじゃないか。なぜこういうふうに区別をするのか。その点がわからないわけです。どうです。
  431. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 先ほどお答え申し上げたとおりでありまして……。
  432. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 答弁ではっきりわかれば一分で済みますよ。その答弁ではわからぬじゃないですか。
  433. 大石(武)政府委員(大石武一)

    大石(武)政府委員 先ほどのお答えで尽きておると思いますが、その点御了承願います。
  434. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 その答弁は、どう違うのですか。答弁して下さい。国鉄の場合は金を出さないのだが、公団の場合は金を出す。しからば、資金調達の面において国鉄公団とでどう違うのかというのです。そこが私はどうしてもわからない。あなた方の説明をけさから一日じゅう聞いておったのだが、どうしたって理解できぬのです。だから、理解できるように答弁をしていただければ、三十秒にして私は質問をやめます。
  435. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 先ほど大蔵大臣から御答弁もございましたが、要するに国鉄は諸改良、輸送力増強といった当面の問題に忙殺をされておりますので、建設審議会の趣旨にもありますように、これと切り離して別個の責任体制を確立してやろう、こういうことでございますから……。   〔発言する者あり〕
  436. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 静粛に願います。
  437. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 責任体制を明確にいたしまして建設線を今後促進してまいろうということでございまして、たしかに先生のおっしゃいますように、方法としては国鉄自体に政府出資をするということもございますが、要は、責任体制を明確にして、国鉄は在来の改良に重点を置いてやってまいらせよう、公団は国全体のことを考えまして建設線を推進してまいろうということでございまして、たしかに先生のおっしゃるような方法も考えられないわけではございませんが、私どもは後者をとったわけでございます。
  438. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 もう一言で終わりますが、そういうむずかしい理論じゃないのです。簡単に言うと、公団ならば政府が金を出してやろう、国鉄ならだめだ、それはどういうことか、こういうことを聞いておるのです。内容は同じですからね。
  439. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 公団新線建設に邁進してまいろうというわけでございまして、これに政府出資をやってまいろうということでございます。
  440. 楯委員(楯兼次郎)

    ○楯委員 わからぬですな。わからぬけれども、まあ十分間ということだから私はやめますが、その答弁はだれが聞いたって、公正に聞いたらわからぬと思うのですよ。公団なら新線建設をやるから金を出すが、国鉄は出さぬというのは、あなたら、そんな答弁をされておったら笑われますよ。私はどうもわからぬ。同じ内容で、同じやることをやって、同じ政府機関で、なぜ公団なら金を出し、国鉄なら金を出さぬか、その根拠を聞きたいということを言っておる。もうやめます。
  441. 広瀬(眞)政府委員(広瀬真一)

    ○広瀬(眞)政府委員 責任体制を明確にしてまいろうということでございます。
  442. 細田委員(細田吉藏)

    ○細田委員 本法案に対する質疑はこの程度にて打ち切られんことを望みます。
  443. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 ただいまの細田君の動議に賛成の諸君の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  444. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 起立多数。よって、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  445. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。關谷勝利君。
  446. 關谷委員(關谷勝利)

    ○關谷委員 私は、この日本鉄道建設公団法案に対しまして賛成の意思を表明いたします。  この法案提出せられまして以来、全国各地から来ておる数百通にのぼりますところのこの法案通過要望の電報等を見まして、私はその要望の熾烈なのに驚いたような次第でありまして、この法案通過は、全国民の要望であると考えております。  国鉄当局は、国鉄新線建設赤字になる、そうして国鉄の独立採算が危殆に瀕するというようなことで、国鉄新線建設の意欲がないのと、一方におきましては、後進地域開発あるいは地域格差の是正等を達成いたしまするためには、どうしても新線建設は別途に切り離してやる以外に方法がないということは、国鉄に関心を持つ人のだれにもよくわかっておる事実であります。その点が私どもの賛成の第一点であります。  またこの公団赤字は必至でありますることはだれが考えてもよくわかっておりまするが、設立の目的からいたしまして、究極的には政府一般会計から補助をするということが言外に含まれておりますることも、これまたたれしも了解し得るところであります。  なお、国鉄予算が膨大であるということで、従来も国鉄新線を促進しようと言いました場合に、大蔵大臣が楯君の先ほどの質問にはっきり答えておりまするように、国鉄にはなお合理化の余地があるではないかということばかり議論せられて、十何年か新線建設を促進しようとしてもでき得なかったのも事実であります。そのような事態を解消するためには、国鉄全般の経理から新線建設だけを切り離すことによって、そのような議論を省略することができて、もっぱら新線建設を促進することができると大蔵大臣ははっきり政治情勢をぶちまけて言っておりますることも、私たちは十分了解するところであります。以前、池田総理も自由民主党の政調会長でありました当時に、国鉄に対しまする新線建設は別に考えなければならぬ、また国鉄へは補助もしなければならないと言いながらも、もう一年だけ合理化というところで考えてみようじゃないか、その後に別に考えようというようなことを言ったこともあるほどです。これは内部事情でありますけれども、そんなこともあるのでありまして、これを切り離すことによって、私は新線建設を促進することができるというふうに考えておるものであります。  なお、この公団建設線につきまして、無償貸与とか有償とかいうようなことを言っておりますけれども、設立の目的からいたしまして、第二十三条はそのただし書きのほうに重点を置くべきだと考えております。「運輸大臣が後進地域その他特定の地域開発等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した鉄道施設は、無償で貸し付けることができる。」というのは、後進地域等の全鉄道に適用することができることはだれが考えてもわかっておる理屈でありまして、これをとやかく言う根拠はないと思うのであります。  なお、また、新線建設によります赤字をはっきり区分することによって、一般会計から補てんする金額の算定を容易にすることができることは、だれしもよく理解するところでありまして、繰り返して申し上げる必要もないのであります。  なお、先ほど所得倍増計画というものは企業性の向上であって、公共性には反するのだからこれはやるべきではないと楯君は言いましたが、所得倍増の基本となりますものは経済基盤の強化でありまして、道路港湾鉄道、住宅、工業用水を完備することが前提であることは、所得倍増政策に述べられておるとおりでありまして、その線に沿っておることは、所得倍増政策を論ずる人にはだれしも了解せられておる事実であります。  私は、あらゆる面から考えまして、国鉄負担を減少し、新線建設の促進をいたしますためには、この公団がぜひ必要であると考えまして、賛成をいたすものであります。(拍手)
  447. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 肥田次郎君。
  448. 肥田委員(肥田次郎)

    ○肥田委員 私は鉄道建設公団法案に対してどうしても反対せざるを得ないいろいろな問題を残しておると思うのであります。時間的にはこの法案提出されてからきわめて不十分な審議であったと思っておりますし、それから、今日まで政府に対して質疑を続けてきましたが、その結果次の点が明らかになりました。  すなわち、現在鉄道敷設法別表によるところの予定路線は二百三十一路線を数え、そのうち着工線が四十七線、調査線に至ってはわずかに十八線で、その多くは政府がいうところの所得倍増政策とは実ははなはだ無縁の政治路線の性格が強いのであります。これらに対する対策は、国鉄政府当局、いずれもがお手上げであるという実情がわかりました。こうした現況を打開する便法として政府が考えついたのがこの鉄道建設公団法である、こういうふうに考えられるのであります。現在国鉄実施し得る能力を十分に持っておるにもかかわらず、鉄道建設公団にこれを移譲をして、そこでさらに政治的な意図がいよいよ強くなってくる、こういう印象を受けるのであります。ですから、今後の公団の運営に多くの問題点があることはもう自明の理でありまして、これは当局の見解の不一致をもっても証明されると思うのであります。将来の公団の運営がこうした不安な状態のもとではとうていこれに賛成するわけにはまいりません。したがって、現在の国鉄が施工しつつあるところの新線建設をいま直ちに公団に移行させるというような必要はさらさらないということを考えるのでありまして、国鉄で十分その任務を果たし得る、こういうことを私たちはいよいよこの質疑の間で自信を持つに至ったのであります。  また、国鉄経営は、すでに皆さんが御承知のように、決して現在安定した経営状態には置かれておりません。多くの赤字路線をかかえておりますし、その上に輸送の問題とそれから施設の保守という点では、事故が多発している今日の条件の中では、われわれとしてもうとうていこのままに放置できない、こういうことさえも考えておるのであります。そういう状態の中で、いままで国鉄に対してとっておったところの政府の利息補助の打ち切りや、それから新たにつくるところの新線の貸与や譲渡についても現況に即さない多くの問題点が残っておるように思います。その点では、これも質疑の中でわれわれが憶測して自信が持てることは、政府とそれから国鉄当局の間でも必ずしも意見の一致を見ておるとは思えない、こういうことが感ぜられたのであります。  こういうふうに多くの問題を残しておる実情の中で、社会党は、現況に即したところの、いわゆる時宜に即した新線建設緊急措置法案というものを提出しました。ところが、これを政府案と対比して審議することなしに、御承知のように一方的にこれの審議が打ち切られたということは、法案審議のたてまえからしてもきわめて不満であるという態度をわれわれは明らかにせざるを得ません。したがって、この法案に多くの問題点を残しておりますので、われわれはわれわれの提案しておるところの法案が対比して審議されるべきであるということを強調いたしまして、反対をいたしたいと思います。(拍手)
  449. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 内海清君。
  450. 内海(清)委員(内海清)

    ○内海(清)委員 わが国におきます今日の経済的、社会的あるいは地理的ないろいろな情勢から考えまして、わが国におきましてはいまだ鉄道建設は必要であり、なおこれを整備しなければならないということが考えられるのであります。しかしながら、鉄道新線につきましては、企業採算的には、特別のものを除きまして、ほとんどペイしないものであります。したがって、独立採算制国鉄ではなかなかこの新線建設が進まないことは過去の実績から見ましてもいなめない事実であると思うのであります。これらの矛盾と内蔵した新線建設問題を解決しようというのがこの公団法であると私は考えるのであります。  しかしながら、今日並びに今後におきます国鉄経営の現状からいろいろ勘案いたしまして、この法案を検討し、さらにまた今日まで行なわれましたなお不十分であります質疑応答の中から考えてみましても、いわゆる十年間に五千億の建設資金が必要とされておるのでありますが、この建設財源が政府出資国鉄出資がどういうふうにあんばいされるか、このことはさらに明らかにされていないのであります。私どもは、この面につきまして、今後政府出資についてはどの程度まで増大され、国鉄出資については、その健全経営確保する意味からいたしまして、これをどの程度最小限にとどめられるのか、この点が明らかにされなければならないと考えるのであります。  同時に、また、公団収支は、どう見ましてもこれは恒常的に赤字であると考えるのでありまして、健全な公団財政は可能とは容易に考え得ないのであります。このことはすなわち法第二十三条の鉄道施設の国鉄に対します譲渡または貸し付けにあたって、とかく弱い国鉄にそのしわ寄せが負荷される危険を包蔵しておると思うのであります。しかるに、この点に関しまして国鉄に対し不当な負担を与えないということが、これまた何ら明らかにされていないのであります。  この二つの点が、私はこの法案におきましては最も重要な点であると考えるのでありますが、この二点に対します明快なる検討が行なわれ、これが明らかにされておりません本案に対しては、反対いたさざるを得ないのであります。  以上、簡単でありますが、反対の討論にかえる次第であります。
  451. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。日本鉄道建設公団法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  452. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  453. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 この法案はただいま原案のとおり可決されたのでありますが、私は、さきのわれわれの討論の中で申し述べたとおり、日本鉄道建設公団法鉄道新線建設を積極的に推進しようとするために、従来国鉄が行なってきた新線建設日本鉄道建設公団を設けて行なわせようとするものが本法案の趣旨とされておるのであります。しかしながら、次の理由によって、本法案は目的を達成できないばかりか、新線建設に混乱を先ずるおそれさえあるので、否決をいたし、次の諸点の解決をはかるべきものと思います。  一、従来新線が意のごとくならない根本的原因は、その必要資金国鉄の現状からして確保できないものであるから、政府新線建設公共事業として主としてその費用を負担することであるが、その問題を本法案解決していないのであります。  二、わが国の経済発展地域格差の解消について必要緊急な新線建設の緊急整備の立法措置を講ずることが先にとられねばならぬものであるにもかかわらず、本法案では何ら触れておらないのであります。  三、新線建設の隘路は、国有鉄道の手によって行なっているからではなく、根本的な隘路はただいま私が二に述べたとおりであって、公団を新設することによってではないのにもかかわらず、国鉄から新線建設を切り離すことは、組織の繁雑を来たし、効果的でないばかりでなく、法文の趣旨に合致しないものと考えます。  四、先ほど賛成討論の中では、本法案の成立を要望する多くの声があるということでありますが、その要望は新線建設を促進しろという要望であって、いま可決されたところの原案どおりの建設公団法によっては断じてこれは達成できない。この公団法によってすべてが解決するように世間を幻惑されるようなことは、政治的な責任からいってもとうていわれわれは容認できない、かように考えます。したがってわれわれはこの際少数意見を留保するものであります。     —————————————
  454. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 この際おはかりいたします。すなわち、ただいま可決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  455. 木村委員長(木村俊夫)

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後十時十三分散会      ————◇—————