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1963-06-11 第43回国会 衆議院 運輸委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十一日(火曜日)    午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 井手 以誠君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       有馬 英治君    尾関 義一君       加藤常太郎君    川野 芳滿君       壽原 正一君    砂原  格君       關谷 勝利君    福家 俊一君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       松原喜之次君    矢尾喜三郎君       内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  向井 重郷君  委員外出席者         運輸事務官         (大臣官房長) 今井 榮文君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      広瀬 真一君         海上保安庁次長 佐藤 光夫君         日本国有鉄道         総裁      石田 禮助君         日本国有鉄道         副総裁     磯崎  叡君         日本国有鉄道         常務理事    山田 明吉君         日本国有鉄道         常務理事    河村  勝君         日本国有鉄道参         与         (新幹線総局総         務局長)    中畑 三郎君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道経営に関する件(東海道新幹線  の予算に関する問題)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 東海道新幹線工事に関連してまずお尋ねするわけでありますが、先般予算委員会でも若干質問がありましたので、多少重複するところがあるかと思うのでありますが、一応順を追うてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に伊豆箱根鉄道新幹線関係してでありますが、これは伊豆箱根鉄道昭和三十七年の四月に下土狩線免許申請を出しておるわけであります。まず第一に、この下土狩線免許申請に関して運輸省の見解はいかようになっておるか、これをお尋ねしておきたい。
  4. 広瀬真一

    広瀬説明員 免許申請名古屋陸運局に提出されまして、陸運局の手元にしばらくございまして、ごく最近本省に上がってまいりました。ただいま鉄道監督局において審査中でございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 この会社は、すでに予算委員会でもお話がありましたとおり、免許を待たずして路盤構築し始めたということでありまして、その中間において警告を発したというのでありますが、よろしくこれは法に照らして処断すべき性質のものではないだろうかと思うのであります。新幹線の妨害であるかどうかは別にして、免許申請中にもかかわらず、工事施行認可も受けずして——もちろん受けませんから。——それを路盤構築を始めたというのでありますから、当然これは法に基づいて処断をなし、その免許申請却下すべき性質のものではないだろうか、かように思うのですが、いかがですか。
  6. 広瀬真一

    広瀬説明員 名古屋陸運局長から文書工事中止命令を出しまして、これに従いまして会社のほうは工事中止したということでございます。現在は工事中止しておるという段階でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長新任早々でありますから何でありますが、私がお尋ねしていることはそういうことではないのでありまして、地方鉄道法に基づいてまず処罰をしろということであります。  それから、当然そういう不当な行為をしたものについては、免許申請は一応取り下げることが当然ではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  8. 広瀬真一

    広瀬説明員 法に従って処断するかどうかという問題は、十分に慎重に検討いたしたいと思います。  なお、そういうけしからぬ行為をしたからというお話でございますが、本省でいま審査中でございまして、十分慎重に審査をいたしておる段階でございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 この伊豆箱根鉄道は、免許を受けずして、あるいは工事施行認可を受けずして着工したことは事実でございますね。そうですね。
  10. 広瀬真一

    広瀬説明員 これはもう少しよく審査をしてみませんと、——どういう意図でどういうかっこう工事をしたということをよく調べてみたいと思います。
  11. 久保三郎

    久保委員 ここに写真もございますから、この工事をしたことははっきりしているのではありませんか。ごらんになりませんか。ごらんにならなければ、この写真をお貸ししますからどうぞ、これとこれです。
  12. 広瀬真一

    広瀬説明員 ただいま申しましたように、私まだよく——いま写真を見せていただきましたが、私自身まだよく検討しておりませんので、鉄監においていま十分に検討しておりますので、その上で結輪を出すつもりでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 政務次官、あなたも御存じないと思うのですが、これはもう工事を始めたというのです。一部は路盤が完成したのです。ここに道路がございます。道路に渡すところの橋げたはこの上に乗っかっているのです。かけるばかりになっている。この工事をしたいきさつについて調べてはおらないのでありますか。なぜ工事をしたか。ただあなたがおっしゃるとおり、書面警告を発したということでありますが、書面警告を発したからには、いわゆる工事を始めたから警告を発したと私は思うのですね。だというならば、何がゆえに工事をしたのか、これはお調べにならなかったのですか、いかがです。
  14. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいま鉄監局長のお答えしたとおり、いま実態調べておりますので、もう少し実態がわかりましたならば正確な内容方針についてお答え申し上げたいと思います。ただ、警告を発したゆえんのものは、おそらくこうだと思います。鉄道建設申請をしておる、そしてどうも鉄道建設に類似するような行為があったので、許可を得ずしてそのようなことをしてはいけないから、鉄道建設ならばそういうことをしてはいけないのだぞという警告を発したのだろうと私は考えます。処分とかいろいろな問題もございますが、それはやはりそれだけの法的な事実と根拠をつかまなければ、なかなかそういうことはできませんので、十分にこれを検討いたしまして、そのような場合にはしかるべき措置を講ずることになると考える次第であります。
  15. 久保三郎

    久保委員 鉄道建設工事でなければ、陸運局はこれに対して警告を発する権限は何もありませんぞ。そうでしょう。たとえばそれが道路であるとかあるいは何か堤防であるとかいうことなら、陸運局長がこれに警告を発する権限はどこにもないのです。鉄道なるがゆえに——実体鉄道路盤です。はっきり言って路盤です。だからその辺は、いままでお調べにならぬというのはおかしいです。いかがですか。
  16. 大石武一

    大石(武)政府委員 いまその係官が参りまして、詳しいお答えをすると思いますので、ちょっとお待ち願いたいと思いますが、当然考えれば、警告を発したことは、鉄道路盤をつくっておるように感じられるので、私はそのような法律を犯してはいけないという意味で、万が一犯してはいけないという意味警告を発したのだろうと思います。もう少し詳しいことは、いずれ係が参りまして詳しく内容を御報告申し上げます。
  17. 久保三郎

    久保委員 これは幾ら国会の論議でも、あまり持って回ったようなお話はもうやめたほうがいいと思うのですよ。鉄道建設にどうもなりそうだということで警告を発するという程度のものではないのですね。実際いって。申請をしていて、しかも非公式な話では、いわゆる東海道新幹線の横断をこれによって阻止しよう、もちろん話によってはということでありましょうが、そういう話が事実あったでしょう。お聞きになりませんか、いかがですか。これは国鉄から聞いたほうがいいです。いかがですか。下土狩の問題については、国鉄に従来どういう話がありましたか。いわゆる廃線敷路盤、これを横断するについて、伊豆箱根鉄道との間の交渉はどうなっておるか、今日ただいまではなくて、いままでの経過はどうなっておるか、中畑さん、お知りでしょう。
  18. 中畑三郎

    中畑説明員 新幹線工事につきまして、その廃線敷を通る計画になっておりますので、会社申し入れをいたしましたところ、会社側のほうで免許を受けて御殿場線のほうへ鉄道工事をやる計画があるのだということで、会社のほうの申し入れがございました。
  19. 久保三郎

    久保委員 政務次官並びに鉄監局長、いま中畑幹線局長が言うとおり、伊豆箱根鉄道からは国鉄に対して、ここは免許を受けて鉄道を引っぱるから、そういうことになっておるからという話があったという。これは明らかに鉄道です。それでそこへ構築物をこしらえているわけです。廃線敷のままならいざ知らず、新しく廃線敷をあんこにして路盤を高くしておるわけですね。しかもこれは東海道新幹線よりははるか高く構築しているのです。新幹線の通過はわかっておるので、純粋にこの伊豆箱根鉄道をつくるというならば、新幹線の下をくぐらせるとかあるいはそれ以上の上にするかということでありますが、この写真ごらんのとおり、これは全然そういう意図はありません。これはもう単なる通せんぼうです。だからいまの中畑局長の証言のとおり鉄道建設なんです。鉄道建設意図を持っているものを、どういう意図かわからないからということでは、これはどうもおかしいと思うのです。だから一つには、名古屋陸運局長から文書によって警告を発した。それはいわゆる陸運局長権限からいって、片方では事実免許申請を出しておる、免許申請を出しておるから陸運局長もこれを鉄道と認めた、だからこれはちょっと待て、免許を受けてないということになる。いまの中畑局長の話でも、ここは免許を受けて鉄道を敷くのだ、こういう話です。だから免許を受けずしていわゆる鉄道建設にかかっておるのでありますから、これは当然処断しなければいかぬ。何もふしぎはないのです。それを陸運局長から上がってきたからいまは鉄監の中で調査中だ、審議中だとかいうのは話がおかしいのです。審議中はいいとしても、第一段階としては地方鉄道法によって、これは処断しなさい。いかがですか。やはり法は明らかに適用すべきです。もっともたいした処罰じゃありませんよ。罰金にしてもこの会社にとればスズメの涙以下ですよ。しかし処断処断です。しなければいかぬです。いかがですか。やってください。
  20. 大石武一

    大石(武)政府委員 これは久保委員のお説のとおりでございます。おそらく名古屋陸運局でも、これはどうも鉄道建設路盤工事であるというような大体判定をしましたので警告を発したのだろうと思います。そのことにつきましてはその一切の関係の書類が最近こちらへ上がってまいりましたので、先ほど鉄監局長から答弁申し上げましたように、十分に検討いたしまして正しい筋に持ってまいりたい、こう考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 正しい筋というのは、私が言うことがまず先だろうというのです。免許するかしないかはそれからの話です。私はその免許申請を取り下げろ、却下しろというのです。それはまだ第二の問題です。まずもって免許を受けずして構築が始まったのですから、これは押えるのが当然だし、処分するのが当然だ。そんなことをやっていいんですか、それはどうなんです。だからこれは処断することがまず先決ですよ。その次には、私の言うとおりこういういわゆる免許申請却下しろというので、これはいかがですか。
  22. 大石武一

    大石(武)政府委員 この問題につきましては、いま所管がかわりましたが、前の民鉄部長にお答えさせたいと思いますが、しかしその趣旨はおっしゃるとおりだと思います。そういう二つの段階に分けることもお説のとおりでありますが、それもやはりしかるべき手続によりまして——と申しますのは、一応そのような疑いがあるというので陸運局長の手によって警告を発してその工事を押えたのでありますから、工事はとまっておりますから、あとはそのあと始末の問題でございます。その問題につきましても、かりに処分するにしましても、官僚独善でないように、十分に処分し得るような法的な根拠なり結論が出なければできませんから、そのようなことをいま検討しているわけでございます。なお、詳しいことにつきましては前の民鉄部長にお答えさせたいと思います。
  23. 佐藤光夫

    佐藤説明員 伊豆箱根申請につきましては、御説明があったと思いますが、現在地元の陸運局調査をして、調査書を申達するという段階になっておるわけでございます。その前に、実は線路用地路盤工事というようなものが行なわれておるという現地からの報告がありましたので、名古屋陸運局長は、これは地方鉄道法に違反の実態を生ずる危険があるから即刻中止すべきであるという警告を発しまして、その状態中止をされ、会社から工事をやめましたという報告を受けておるわけでございます。したがいまして、現在の免許申請の取り扱いといたしましては、地方鉄道法に、ある欠格要件によって直ちに却下をするというような特別の規定がございませんので、申請書本省に上げて、実態的審査をしてから後に、運審等の所要の手続を経て、免許の許否を決定するというのが現在の手続上は必要なことであろうかと考えて、私の在任中はそういう考え方事務の取り運びをしておった次第でございます。
  24. 久保三郎

    久保委員 そういうめんどうな手続をやっていては、能率的な仕事ではないと思うのです。もっとやることはたくさんあると思うのですよ。そんな児戯に類したことにえらい人が手数をかけて、時間をかけてやる暇があるなら、もっと庶民に直結した幾多の仕事があると私は思うのです。こんな愚弄した仕事にきまじめに取っ組んでいくこと自体に私は問題があると思うのです。そんなものはやめたらいいです。そんなものは審議へちまもありませんよ。なぜならば、東海道新幹線は、ちゃんと路線をきめて、国鉄からあなたのほうは申請を受けて認可しているんじゃないですか。そこへもってきて、こういう路盤工事をしてどうなるかということは、これは大体三歳の子供でもわかるはずです。こんなことで判を幾つも押したり、運輸審議会にかけたりして何になるのです。まず第一に処分しなさい。地方鉄道法三十八条によって百円以上二千円以下の罰金、大したことはございませんけれども、やはり法は正しく運用すべきだ。こんな子供のやるようなことにかかずらわっている手は、実際言ってないですよ。しかもこれは国鉄に聞くが、こういうものをやられながら、今日までべんべんとしているとは何だ。運輸省に注進したのか聞きたい。やり始まったら必ずやる、その交渉過程でもはっきりわかるわけです。それをここまで路盤工事が進むまで黙っていたのかどうか聞きたい。いかがです。
  25. 中畑三郎

    中畑説明員 折衝が難航をきわめるようになりましてから、運輸省にも御連絡申し上げまして御相談いたしました。
  26. 久保三郎

    久保委員 それはいつのことですか。
  27. 中畑三郎

    中畑説明員 昨年の秋ごろだったと思います。
  28. 久保三郎

    久保委員 昨年の秋にはこの路盤はもう完成していた。そのときに初めて文書によって陸運局長警告を発しているが、工事はどんどん進んできた。そうして昨年の秋には完成していた、そうでしょう、いかがですか。
  29. 中畑三郎

    中畑説明員 会社のほうで御自分用地にどんどん工事をやり始めておりましたことは、現地幹線工事局担当の者は知っておりましたけれども、私どもからああだこうだと言う筋合いのものでもございませんので、会社との折衝を続けるということのほかなかったような次第でございます。
  30. 久保三郎

    久保委員 そこに国鉄の卑屈さがある。会社交渉はもっと前から始まっている。それで先ほどのお話のとおりになっているわけです。そこで路盤工事が始まっていることは事実です。いかがかと思うのではなくて、自分の身に振りかかる火の粉でありますから、しかるべき筋のところに注進に及ぶのが当然じゃないですか。それを黙って見ていて、路盤が完成してから初めて運輸省に行って、運輸省から警告を発してもらって何の足しになりますか。全体的な日本経済から見ても、新幹線がだめになるか、伊豆箱根路盤工事がだめになるかどっちかですよ。こういうむだな投資が、国家的見地から許されるかどうか。それを黙って見ていたところに私は国鉄の卑屈さがあると思う。運輸省もそのとおり、ただ単に法規によって、法規も正しく運用はしない、まあ見ていようか、そのうち何とかかっこうがついたら、警告でも発しようかと思っているのではないかと思う。どうなんです。すぐ処分しなさい。まず処分が先行だ。地方鉄道法三十八条によって処分する。その次に免許はもう審査の必要なし、却下。これが免許できますか。新幹線を中断するか、免許するか免許をやめるかどっちかですよ。こんなものを何も審査の必要はない。いまの路盤の形で下土狩線ができて、新幹線ができると思っておりますか。できないじゃないですか。そんなことで陸運局長がじんぜん日を送って、最近本省に上げてきた。断じてこれは許されない。やめさせなさい。政務次官、いかがでしょう。
  31. 大石武一

    大石(武)政府委員 久保委員の御趣旨を十分に尊重いたしまして善処いたします。
  32. 久保三郎

    久保委員 ことばを返すようで失礼ですが、実際これは尊重するじゃなくて、尊重もへちまもないですよ。ここではっきり言明してほしい。国家的な経済からいってもこれはやめさせるべきだ。法を正しく運営するためにまず第一に処分する、これはだれに聞かれたってあたりまえですよ。
  33. 大石武一

    大石(武)政府委員 久保委員お話よくわかります。個人的に私ども政治家としてはいろいろな意見も考えもございます。非常に同感するものはたくさんございます。しかしやはり行政というものは法律に従って、法律に準拠して行なわなければなりませんから、その手続を経てからしかるべき処置を講じたいと思います。
  34. 久保三郎

    久保委員 手続を経ることはけっこうです。尊重してじゃなくて、それは処分をし処罰することを前提にして、いわゆるあなたの手続を踏むことでありましょう。だから御答弁いただきたいのは、そのとおりだと思います、やります、しかし、それには手続が要りますから手続を踏みます、こういう御答弁をいただけばけっこうですよ。
  35. 大石武一

    大石(武)政府委員 どうもこれはことばの上の使い方の違いだけだと思いますが、十分に御趣旨を尊重いたしまして、われわれの法的にできる範囲内の処置をいたしたいと思っております。
  36. 久保三郎

    久保委員 とにかくこういうことを各所にやられていたのでは、新幹線などは所期の目的どおりにはできないのはあたりまえですよ。  そこで総裁に一言申し上げたいのでありますが、世の中には数多い人間がおります。(「そんなのは少ないよ」と呼ぶ者あり)いま關谷委員からちょっと不規則発言がありましたが、なるほど数少ないものでありましょうが、そういうものがえてしてこういうことになるのであります。もう少し国鉄は、もっと自主性積極性を持って勇敢にやるべきだと思うのですが、いかがでございましょうか。
  37. 石田禮助

    石田説明員 御趣旨の点は私も同感であります。法において許される範囲内においてできるだけのことはいたしたいと思います。
  38. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、これは政務次官、あなたにこの問題でいろいろ問い詰めてもどうかと思うのでありますが、私ははっきり申し上げます。まず第一段階として三十八条の処分をすること、第二段階手続を経たならば却下方針手続を踏むこと、これが至当と思いますので、くどいようでありますが、念のために申し上げておきます。これはいずれ近いうちに処分が決定されると思いますから、当委員会に御報告をいただきたい、かように思います。もちろん会期中にでございます。こういうのはあまり日にちはかからぬでよくわかることでありますから、どうぞそういう点でお願いいたします。  そこで最近のこの地点伊豆箱根との交渉はどうなっておるか、これは国鉄からお聞きします。
  39. 中畑三郎

    中畑説明員 最近話が振り出しに返りまして、比較的順調に話し合いが進んでおります。まだ妥結の運びには至っておりませんが、何とかまとめることができるのではないか、そういう見込みに立っております。
  40. 久保三郎

    久保委員 もっと詳しく述べてください。
  41. 中畑三郎

    中畑説明員 ただいまお答えいたしましたように、最近なりまして会社との話し合い振り出しに戻ったと申しますか、国鉄が当初計画いたしておりました工事計画で了承してよろしいといったような考え方会社がなってまいりましたので、その線でもってただいま折衝を続けておるという状態でございます。
  42. 久保三郎

    久保委員 この問題については、向こうから折衝値段は、どのくらいの値段でお譲りしますとか、出ましたか。
  43. 中畑三郎

    中畑説明員 私のほうから交差になります廃線敷用地を使用いたしますことになりますので、その用地地積に対応する値段といたしまして六百万円程度値段用地の買い取りをいたして工事をいたしたいという申し出をいたしてございます。
  44. 久保三郎

    久保委員 それは国鉄から六百万という話ですか。
  45. 中畑三郎

    中畑説明員 そのとおりでございます。
  46. 久保三郎

    久保委員 それは何平米ですか。
  47. 中畑三郎

    中畑説明員 ただいま地積の数字をはっきり記憶しておらないのでありますが、その辺の類地の地価と大体同じ値段にいたしまして計算いたしましたものが六百万円程度の金になるのではないかと思います。
  48. 久保三郎

    久保委員 そのときの条件は、いま構築された路盤についてはどうなっておりますか。
  49. 中畑三郎

    中畑説明員 先生のお話路盤会社がかってにやったものでございますから、私のほうには何らの関係がないものと承知いたしております。
  50. 久保三郎

    久保委員 いや、何らの関係がないじゃないでしょう。金をかけた構築物が前にあるのですよ。これに対しての賠償なり取りこわしの費用とか、そういうものはどうなんです。
  51. 中畑三郎

    中畑説明員 会社からそのほうの補償についての要求が出ておるように聞いておりません。
  52. 久保三郎

    久保委員 当該地点はいわゆる築堤によっておやりになるのか、それとも高架ですか、どちらですか。
  53. 中畑三郎

    中畑説明員 高架でございます。
  54. 久保三郎

    久保委員 高架というとどの程度の高さですか。
  55. 中畑三郎

    中畑説明員 その通過いたします地点に下のほうに道路がございますので、たしか九メートルくらいのかなり高い高架になるものと存じております。
  56. 久保三郎

    久保委員 当該地点道路はあるけれども、私がさしておる当該伊豆箱根路盤のところは道路はありません。その地点はどうなるか、聞いておるのですよ。
  57. 中畑三郎

    中畑説明員 その地点は、先ほども申し上げましたように、会社工事をいたしましたそれとは関係なく、当初国鉄計画いたしました工事計画工事を進めるということで会社申し出をしてございます。会社のほうもその国鉄の原案で考えてみようという話し合いで、ただいま折衝を進めておる状態でございます。
  58. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、その路盤についても、将来折衝過程では、補償なり何なりを要求される見込みはありますか。
  59. 中畑三郎

    中畑説明員 会社からは格別の要求工費担当幹線工事局にただいまのところ出ておりませんので、おそらく話は出ないのではないかというふうに判断しております。
  60. 久保三郎

    久保委員 それはたいへんすなおな話です。すなおな話の裏には来宮鉄道用地の問題がからんでおるそうですが、そうですか。
  61. 中畑三郎

    中畑説明員 来宮用地問題は、その件とは全然別個の問題としまして、会社のほうで使いたいという申し出はあります。
  62. 久保三郎

    久保委員 この来宮のほうはそれじゃ会社申し出どおり認める方針でございますか。
  63. 中畑三郎

    中畑説明員 ただいまのところ検討いたしておりまして、まだ結論を得ておりません。
  64. 久保三郎

    久保委員 大石政務次官にお尋ねするわけでありますが、この下土狩線来宮鉄道用地の問題を相関関係をつけまして、それで下土狩のほうは国鉄の大体要求どおりに折り合おう、しかし来宮のほうは用地は払い下げる、こういう運輸大臣のメモがあるそうでありますが、そのとおりですか。
  65. 大石武一

    大石(武)政府委員 そういう話は聞いておりません。
  66. 久保三郎

    久保委員 メモは別として、そういう話を聞いたことはございませんか。
  67. 大石武一

    大石(武)政府委員 そういううわさは聞いたことがございますが、われわれはそういうことは別に考えておりません。
  68. 久保三郎

    久保委員 これは中畑さんでは答弁ができないかもしれませんが、来宮の土地は、あなたの御答弁では、いま検討中というか、これはそういうことで伊豆箱根のほうへひとつ払い下げよう、こういう話し合いになっているそうです。そのとおりだと思うのですが、いかがですか。
  69. 中畑三郎

    中畑説明員 具体的な先生のただいまお尋ねのございました点についての内容は、私、承知いたしておりません。
  70. 久保三郎

    久保委員 あなたのところでなければ、それじゃどこですか。そういう問題を扱うのはあなたではないですね、これはもっと上のほうですか。
  71. 中畑三郎

    中畑説明員 事務上の手続といたしましては、来宮の土地と申しますのは、静岡の幹線工事局と東京鉄道管理局の両局で分けて管理いたしておりますので、もう一度使いたいという話でございますれば、両管理局に手続があるものと考えております。
  72. 久保三郎

    久保委員 この土地について、われわれは、現地調査した際に、ある鉄道関係者からそういう話を伺っているわけです。これは大体そうだろうと思うのです。何か代償がなければすなおにおりるはずはない、この案件に関係している人の人柄を見れば、こういうふうに思うのが大体世間の通り相場になっているのです。そうですよ。しかもこれは、名前を出しては悪いのでありますが、前の常務理事から非公式に、これは払い下げあるいは貸し渡しの考えでおりますというお話を私は聞いた。非公式な話を公式に出しては悪いのですが、いかがですか。
  73. 中畑三郎

    中畑説明員 ただいまお話の、前常務理事から格別私は話を聞いておりませんので、どんな話がございましたものか、一向に不案内でございます。
  74. 久保三郎

    久保委員 これは大石政務次官、あなたにお尋ねするのもちょっとどうかと思うのでありますが、まあ運輸委員会でありますから、やはり根掘り葉掘り聞かぬと、あとで禍根を残すもとだと思うのであります。やはりどうも取引があったように聞いておるのでありますが、運輸省も一枚加わったのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  75. 大石武一

    大石(武)政府委員 これは、私の知っている範囲では、そのようなことはございません。
  76. 久保三郎

    久保委員 前の民鉄部長は御退席になったが、国鉄の部長がおられるから、どうですか、あなたは聞いておられますか。
  77. 向井重郷

    ○向井政府委員 存じておりません。
  78. 久保三郎

    久保委員 もっとも存じておると言ったらぐあいが悪いでしょうから、しかし実態は、それじゃ国鉄方針として前どおり再び貸すのか、あるいは譲り渡しをするのか、大体おおよその見当はどうなんです。いかなる点で調査をしておりますか、いかなる点で審議をしているのか、どういう観点から審議しているのかお聞きします。
  79. 中畑三郎

    中畑説明員 将来伊東線の線路工事などの場合に、その用地がどういうことになるかといったようなことも検討をいたしまして、結論をつけたいと存じております。現在のところは、国鉄としましては、いま申し上げました伊東線の工事関係でどうなるかということの問題を除きましていたしますと、大体不用地であると考えてよろしいと思います。
  80. 久保三郎

    久保委員 ちょっと聞き漏らしたのですが、結論的には伊東線の問題があるからそれを中心に検討している、こういうふうにとってよろしいかどうか。そうですな。伊東線の将来についてはどういうことになるのですか。つけかえなり線増なりということは考えられないですね。考えているのですか。
  81. 中畑三郎

    中畑説明員 直接私の担当でございませんのでお答えいたしかねますが、関東支社で具体的に検討しておると聞いております。
  82. 久保三郎

    久保委員 たとえば、伊東線の関係がなければ、これを払い下げるということになりますか。
  83. 中畑三郎

    中畑説明員 その点はこの間も申し上げましたように、大体不用地ということになっておりますので、よく検討をいたしまして結論を求めるようにしたい、かように考えております。
  84. 久保三郎

    久保委員 よくわかりませんな。  そこでこれは鉄監にお尋ねするのでありますが、来宮−十国峠の、途中の銀山というところまでは、これは鉄道でありますが、その先は索道という話でありますが、これは免許申請は認可した。工事施行の認可にあたって、何項目か膨大な項目にわたって照会したのだが、いまだに返事がない、こういうことでありますが、こういう鉄道の認可にあたって、長年懸案になっているものがこんなにたくさんあるのですか。この認可は二十一年の九月に申請して、二十五年の二月に免許をしているということになっています。そこで途中いろいろな変更がありまして、三十年の三月に最終的な認可をした、こういうふうに書いてあります。それから三十三年の三月に工事施行認可申請のこれは追加申請が出ております。ところが三十五年の六月に民鉄部長から、二十五項目の照会をしたがいまだに返事がない、こういうふうになっているわけです。これは前の民鉄部長御退席でありますからなんでありますが、これは鉄監局長に、就任早々でたいへんなにでありますが、こういうことがはたして鉄道建設の意欲があるのかどうか、実際言って私は疑わしいのでありますが、当初の計画からいくと、とてもこれじゃ登山鉄道というか、そういうものの基準に合わぬということで突っ返しているのですね。そこで再三持ってきたんだが、最後には二十五項目にわたって質問しているわけですね。ところがいまだに返事がない。これはおそらく何か別な目的があるのではなかろうかと私は思うのであります。しかも今日こういうところから鉄道でやることが必要かどうか。りっぱな道路もできたし、十国峠の観光道路というか、そういうものもできているわけですね。しかも申請してから長年になっているのですね。こういうことを、しかも鉄道用地を借用したのは、その認可申請を出してから、古い昔これは出しているのですね。これははっきり言うと、国鉄もばかだから、これにまんまと貸しているわけですね。それで今度の新線工事になってから返せという。返せと言ったら、立ち入り禁止の仮処分をやってきた。話がついたかどうか知らぬが、二回目の日の前日に取り下げておる。取り下げた裏にはおそらく何かの密約がある。御案内のとおりこの付近は景勝の地であります。熱海の貴重な土地であります。実際鉄道などでやるべき筋合いのものではありません。はっきり言うとホテル街ですよ。こういうものを運輸省国鉄も知らぬはずはないと思うのです。国鉄もずいぶんばかなことをしたと思うのであります。人に貸すときには十分用心して貸すべきだと思うのです。また財産を有効に使えということで幾たびか国会並びに行政管理庁その他からも注意が出ているわけなんです。しかもこれは使いもしない土地を借りていたのです。いままで一つも使っていない。それを今度返せと言ったら仮処分にしておる。何の意図があるのか。どう思いますか。
  85. 広瀬真一

    広瀬説明員 免許あるいは工事施行認可申請の経緯は、ただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、三十七年の五月に民鉄部長から二十数項目につきまして照会をいたしました。これに対しまして三十七年の九月に回答がございました。なお、いろいろ技術的な問題あるいはただいまおっしゃいましたような客観的な情勢の変化ということもございますので、この点についてただいま検討いたしておるわけでございます。  なお、先ほどいろいろ許認可関係事務が遅滞しておるんではないかというお話がございましたが、一般論でございますが、かなり時間のかかっておるものがございますが、鉄監におきましては、事務を促進しまして、従来に比べますとかなりスピードアップしておりますが、こういった問題点は、ぐずぐずしておりますと、いろいろ疑惑という点も生まれてまいりますので、今後さらに一そう事務を促進して、てきぱきと処理をしてまいりたいというふうに考えております。  それからもう一点。先ほど政務次官にもお尋ねがございましたが、何か運輸省が一枚加わっておるのではないかというお話でございますが、これは前局長からもそういった点は何も聞いておりませんし、また運輸省の重要な問題につきましては、私官房長として大体のことは承知しておると思いますが、そういった話は現在まで何も出ておりません。
  86. 久保三郎

    久保委員 そこで免許をする場合に、工事施行の期限というのが条件としてあるはずだと思うのですが、それはいかがですか。
  87. 広瀬真一

    広瀬説明員 もちろん一定の期限というものは付しておりますが、従来の例によりますと、いろいろな事情から期限の延伸を願い出ておりまして、やむを得ないというものはこれを認めております。そういう手続をとっておるものだと考えております。
  88. 久保三郎

    久保委員 本件はいつまでの期日をつけておるのでしょう。
  89. 広瀬真一

    広瀬説明員 話は先ほどに戻りますが、工事施工の認可申請に対しまして、認可は出したわけであります。認可を出すにあたりまして、先ほど申しました二十数項目のいろいろ解明しなければいけない項目がございますので、これを照会をして、これについて先ほど申し上げましたように回答があったわけでありまして、工事施行認可の期限という問題は、したがって本件に関しましては一応ないということが言えると思います。
  90. 久保三郎

    久保委員 工事施行の期限はない、こういうのでありますが、たとえば免許申請をした場合に、大体何年何月から始まって工事の完成は何年何月までに終わる予定である、こういうものはとらないのですか。
  91. 広瀬真一

    広瀬説明員 先ほどの私の答弁が少し間違っておりましたが、二十数項目につきまして、まだ完全に回答はきておりません。したがって回答がきてから、いつ着工していつまでに工事を完成しろということを言うわけであります。まだその段階に至っていない、向こうからの回答がまいっておらないというわけであります。
  92. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、たとえば甲という鉄道事業者がある地点について工事の認可を受けた、しかし、これは実際においてやる能力も何もない、あるいはそういう考えもなくなってきたという場合に、新しい企業家が出てきてこの地点でこれならばできるということがあっても、もう重複いたしますから、免許の認可はしませんね。そうなりますと、単に権利をとるだけでそういう免許申請を出す場合が往々にしてあると思います。たとえば武州鉄道のごときは、これはあとの問題でありますが、これもどうもその後の事情を勘案すれば、土地の値上がりとかそういうものでさや取りをしようというもくろみが多かった。免許だけは受けよう、しかし工事の、いわゆる鉄道を建設するという本命については消極的である、こうなった場合に、この免許申請にあたって考えたところの目的というものは永久に達せられない、こういう矛盾があるわけであります。本件についても、私はどういう項目について照会をしたかわかりませんけれども、できないような目論見書を出し、あるいは工事施行の中身を出して、運輸省からおそらく指摘してくるだろう、これに対しては回答しないでそのままにしておけば、いつまでもこの免許は生きておる、こういうことになるのじゃなかろうか、眼光紙背に徹するような審理が私は必要だと思いますが、いかがですか。
  93. 広瀬真一

    広瀬説明員 まず一般論を申し上げますが、いわゆる俗にいうつばをつける式の免許申請というものが従来もないわけではございません。私が前に民営鉄道部長をやっておりましたときも、そういった種類のもの、あるいはずっと前に免許をとりまして、まあ当時はやる意思があったのでございますが、いろいろ道路事情その他客観情勢が変わりまして、あまり価値のない、またしたがって免許申請者がこれを真にやるという意思が非常に薄いというようなものもかなりございまして、そういったものは免許を取り下げさせるというようなことでかなり大幅に整理した経験もございますので、本件を含めまして、そういった観点から真にやる意思のあるのかどうか、あるいは客観情勢の変化によって価値があるかどうかというようなことを至急検討いたしまして、極力整理といいますか、事務を促進して、実情に沿うようなかっこうにいたしてまいりたいというふうに考えております。
  94. 久保三郎

    久保委員 これは二十五項目ですかの回答を迫ったのでありますが、これは期限を付してありますか。
  95. 広瀬真一

    広瀬説明員 本件に関しては期限を付しておりません。
  96. 久保三郎

    久保委員 これはどうして付さないのでしょうか。これは付さないのが普通だと思いますか。どうして付さないのか、なぜ付さないのか。
  97. 広瀬真一

    広瀬説明員 一般的に照会をいたした場合には、大体すみやかに回答をもらう、従来もらっておりますので、特に期限を付していないということだと思います。
  98. 久保三郎

    久保委員 それじゃこれは条件つき工事施行認可を出したということでございますか。いかがです。条件つきで、二十五項目についての回答あり次第これは認可をした、工専施行認可をした、こういうことになりますか。このことはいかがですか。工事施行の認可はしないのか、したのか、どっちなんです。
  99. 広瀬真一

    広瀬説明員 先ほどちょっと私が途中で言い直しましたので誤解があると思いますが、工事施行認可は出しておらないのでございます。二十数項目について照会を出して、その上で出そうということで、照会中でございます。
  100. 久保三郎

    久保委員 免許にあたっては工事施行の認可は期限を切りますね。そうでしょう。いかがですか。
  101. 広瀬真一

    広瀬説明員 工事施行認可を出す場合には、免許の場合は期限をつけます。
  102. 久保三郎

    久保委員 それじゃその免許をしたときには工事施行の期限は、免許申請の期限はいつまでになっていましたか。
  103. 広瀬真一

    広瀬説明員 いまちょっとこまかい資料を持っておりませんので、後刻いまの手続関係を全部調べまして御報告をいたします。
  104. 久保三郎

    久保委員 いずれにしてもそれは後刻資料をいただきますが、こういう長期にわたって質問を出して回答がないというのは、これは誠意がないということであります。これは地方鉄道法を改正して、そういうものはみんな免許失効という条項に当てはめるべきだと私は思うのです。政務次官、いかがでしょう。
  105. 大石武一

    大石(武)政府委員 あまり法律的な具体的なことはわかりませんが、常識的にはお説のとおりだと思います。
  106. 久保三郎

    久保委員 そこで国鉄にまたお尋ねするわけでありますが、国鉄は先ほど言ったように、この当該地を貸すか貸さぬか、いま検討中だというが、私ははっきり申し上げておくが、この鉄道は大体建設する見込みはなさそうです。鉄道建設ならある程度協力してもいいと思うのでありますが、大体地点からいって違う目的に使用する、万が一施行認可もできて工事がやれるという段階になればあらためて考えていいのであって、いま貸すか貸さぬかなんということを考える必要は私はないと思うのだが、いかがでしょう。
  107. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私からお答え申し上げます。  先ほど先生のお話のように、この土地につきましては多少のいきさつがあったことは事実のようでございます。しかし現在の、今日ただいまの段階で申し上げますと、私のほうから昭和三十三年十二月に使用承認を取り消すという通知、これは三十四年二月一日から使用承認を取り消すという通知を出しまして、それに対して会社のほうから延長願いが出ております。その延長願いに対してさらに三十四年三月に否認の通知を出しております。したがいまして、いまの時点におきましては、あの土地につきましては、全く会社の使用権なり一切の法律的な権限がないというふうに見ていいと思います。現在手元にあります資料によりますとそういうふうになっております。したがいまして、現在全くあの土地につきましては白紙であると申せると思います。今後工事が進みまして、あの土地が、一応新丹那トンネルのズリ捨て場として使った相当な場所、——約一万平米近い相当広い土地でございます。ズリを捨てましたので、いままでのくぼ地が相当平地になっているようで、土地の価値も相当変わっているのじゃないかというふうに考えます。一方、先ほどの御質問にありましたように、新幹線ができますと伊東線の問題はどうしても新しい問題として私ども考え直さなければなりません。現在の単線ことに熱海と来宮の間を現在線と併用して運転していくということは、将来の伊豆地方の開発にとりまして非常に輸送上大きな問題になりますので、この伊東線の複線化と申しますか、伊東線の改良は相当新幹線完成後の大きな問題として考えなければいけないというふうに考えられます。そういった諸般の事情を考えますと、たまたま法律的に現在用地が白紙であるということと、それから将来国鉄自体としてその土地を一部でもあるいは半分でも全部でも使う可能性が皆無ではないという問題等をいろいろ考えますと、一応いままでの多少のいきさつがあったにいたしましても、この際純粋な法律的な立場からこの問題を白紙に返しまして、新しい目でもって再検討する必要があるのじゃないかというふうに考えます。  ただ、非常にこれは法律的にむずかしい問題でございまして、いまの運輸省お話免許があるかないかという問題、それから、これはちょっと私がいま考えた問題だけでございますが、会社側免許を受ける期待権というようなものがはたしてあるのかどうか、すなわち国鉄の土地を借りた上で鉄道を敷設するという認可申請になっておるわけでありますが、その借りるつもりの土地が借りられなかったということは、はたして会社側が持っている免許を受ける期待権を侵害するかどうか、私どもといたしますと、十分そういう点を検討いたしませんと、いますぐにここでどうこう申し上げられませんが、ただいま手元にございます資料から申しますと、あの土地は現在法律的に全く白紙の問題である、全く国鉄が一〇〇%所有権、使用権を持っておる土地であります。それから、先ほど申しましたように、将来の伊豆の開発と関連して、どうしても伊東線の問題をこの際考え直す必要があると思うのであります。それから土地の価値が、先生も御指摘のとおり、非常に変わってきておると思うのであります。こういった問題等をすべて勘案いたしました上で、運輸省御当局の新しい鉄道敷設に対する御方針等も承りまして、十分法律的に間違いのないような処置を講じたい、講ずべきであるというふうに考えております。
  108. 久保三郎

    久保委員 そこで運輸省にもう一ぺんお尋ねするのですが、当該鉄道の建設について、工事施行認可にあたって二十五項目の回答を求めているわけなんですね。その回答の中には、国鉄の所有地が使用できるかどうか、そういう問題についての回答を迫っておりますか。
  109. 広瀬真一

    広瀬説明員 ただいま手元に資料を持っておりませんので、二十数項目の内容を明らかにしておりませんが、工事施行認可に関連して質問を出しておるわけでございますから、当然経過地あるいはどの土地を具体的に使うかというようなことも聞いておるかと存じますが、これはなお調べまして後ほど御報告いたします。
  110. 久保三郎

    久保委員 それは鉄監局長がおっしゃるように、どういう土地を通るかというような、そんなことじゃないと思うのです。工事施行認可にあたっての質問は、いわゆる技術的な問題、特にそういう問題が多いのではないかと思うのです。私が聞きたいのは、国鉄の土地が使用できる見込みがあるのかないのかという質問をその中に出しているかどうかです。これは国鉄部長、わかりませんか。
  111. 向井重郷

    ○向井政府委員 二十五項目の質問書の内容を承知しておりませんので…。
  112. 久保三郎

    久保委員 いや全部でなくて、ぼくが質問する点……。
  113. 向井重郷

    ○向井政府委員 まだ質問書そのものを私は検討しておりませんで、調べればすぐわかりますから、御報告いたしたいと思います。
  114. 久保三郎

    久保委員 ちょっと質問中に電話で聞いてください。——そこで副総裁から、全く国鉄のものであって他人の容喙を一切許さぬ土地であるということだが、そのとおりだと私は思います。そこで中畑局長は先ほど、払い下げるかどうかについても伊東線の問題とからんで検討中だというのですが、その検討の必要はないと私は言うのです。ところが副総裁の答弁とあなたの答弁は若干違います。いまさら何も、鉄道建設に対して国鉄の所有地について従来どおりこの会社に貸すか払い下げるかなんというそういうものを頭に置いて、伊東線のつけかえなり線増というか、そういうものを検討していくというのは、それは全く誤りであります。私はおかしいと思う。いかがでしょう、必要ないじゃないですか。
  115. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほど中畑務局長から御答弁いたしましたのは、中畑務局長はいままでずっとこの問題に関係いたしておりましたので、いろいろ過去のいきさつが頭にあったために、そういう御答弁を申し上げたと思うのですが、その点私がただいま御答弁いたしましたとおりというふうに御了承願いたいと思います。
  116. 久保三郎

    久保委員 そういたしますと、当該土地については一切もう考えておらぬ、こういうふうに了解してよろしいですね。だめを押しますが……。
  117. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま手元にございますいろいろな資料を見ますと、法律的に全く白紙の事態に戻つているというふうに私は了解いたしております。裁判上いろいろのいきさつなどもございまして、私の答弁に間違いないと思いますが、もう一ぺん法律的に検討いたしました上で御返事いたしませんと、またいろいろ問題を起こしますので、私のいまの認識では完全に一〇〇%国鉄の所有権の昔に返っているというふうに了承いたしておるのですが、さらに法律的にもう一ぺん検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  118. 久保三郎

    久保委員 政務次官、私が申し上げるとおりだと思うのです。運輸省としてもそうだと思うのですが、いかがでしょう。国鉄来宮のズリ捨て場をこの会社に貸すかどうかという観点から検討する必要は今日の段階では何もない、毛頭ない、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  119. 大石武一

    大石(武)政府委員 全くそのとおりでございます。
  120. 久保三郎

    久保委員 次に、この長雨で新幹線工事完了の地点が、いわゆる築堤が主のようでありますが、くずれてきたという新聞記事を見てまいりました。これはなるほどまだ地固めも十分やっておらぬ、そういうことでありますから、多少軟弱なものも出てまいって、この長雨で崩壊したものもあるだろうと思う。しかし先般の委員会で私が質問したのはその点なんです。大体七月一ぱいに完成して二カ月間の試運転で、十月一日開業だ、こうおっしゃった。心配ありません、こういうことでありますが、なるほど国鉄としては十月一日に開業したいのは山々でありましょう。ところがせっかく開業はしたものの、線路不通なりあるいは幾多の事故ができたということでは、取り返しがつかぬことになると思うのです。そういう観点からお尋ねするのでありますが、この路盤崩壊はいかなる原因であるのか、さらにはかような施工の仕方ではたして二カ月間の試運転その他でうまくいくと今日でも思っていらっしゃるかどうか、いかがでしょう。
  121. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 詳細な技術的な御説明はいずれ担当の者からいたさせますが、過般の雨によります新幹線の築堤の一部分崩壊につきましては、あれはまだできて間もない場所でございまして、堤の芝張りも満足にできてなかったような、できた直後のところだというふうに聞いておりまして、その他のすでに数ヵ月経過いたしましたところにつきましては、ほとんどこの間の長雨にも支障がなかったというふうに報告を聞いております。しかしながら、もちろんこれは運転上の一番大きな問題でございますし、ただいま先生の御指摘のように、期日に間に合わせるばかりに、非常にたとえば粗漏な工事をしたりあるいは急いで工事をして、そのためにほんとうの鉄道の安全ということを見誤ってはたいへんなことになるというふうに考えまして、過般も新任いたしました藤井技師長——これは御承知のとおり土木の非常にエキスパートでございますが、藤井技師長にも総裁からいろいろお話がありました。十分、純粋に技術的な見地から絶対間違いのない工期、絶対間違いのない施工法をとるように、厳重に総裁からも新技師長に言われた次第であります。新技師長も、その点につきましては、十分いままでの自分の経験その他を生かして仕事を指導していくというふうに思っておりますが、ただいま御指摘の、来年の二カ月で間に合うかどうかというような点につきましては、極力その築堤部分は早くつくり上げる。そしてなるべく長い期間雨にさらし、風に吹かれた上でほんとうの試運転なりができるようにということで、工事の施行につきましても、築堤部分、そういったどろを使う部分につきましてはなるべく早くやりたい。実は一昨日の幹線工事局会議でもその話が出まして、技師長からも強くその点を指示いたしました。その点現地の局長も間違いなしにやってまいると思いますが、さらに私どもといたしましては、いたずらに工期を、しりをたたくということでなしに、やはり何と申しましても安全が第一でございますので、その角度から十分注意して工事を進めていきたい、こういうふうに考えます。
  122. 久保三郎

    久保委員 先般、皇室の方が新幹線を試乗された、その最中でも雨が降っておりました。そこで国鉄では、われわれが乗ったときには天気がよかったからそういうこともなかったのでしょうが、事前にいろいろ点検をされたそうです。事前に点検をしなければならぬほど自信がないんでありますか、いかがでしょう。
  123. 石田禮助

    石田説明員 何にしても新しくつくったところでありまして、非常に大雨が降ったあとなんでございまして、大事には大事をとらなければいかぬということで、私はあの日には技師長を現地に派遣いたしまして、そして十分なテストをした上で宮さんに御試乗を願ったような次第でございます。
  124. 久保三郎

    久保委員 しかもスピードも二百五十キロをお見せするような予定であったそうであります。これも幾ぶんダウンして、用心して運転されたそうでありますが、試運転を開始して、その期間はどの程度になりますか。
  125. 中畑三郎

    中畑説明員 あそこで試運転を始めましたのは去年の秋からでございます。今回崩壊いたしました個所は、当初の試運転区間を延長いたしました場所であります。
  126. 久保三郎

    久保委員 延長したのはいつからですか。
  127. 中畑三郎

    中畑説明員 たしか本年に入ってからであったと記憶いたしております。
  128. 久保三郎

    久保委員 それじゃ二カ月ではないですね。そうでしょう。
  129. 中畑三郎

    中畑説明員 二カ月ではございません。
  130. 久保三郎

    久保委員 二カ月の試運転で開業というのは、意地の悪い言い方でありますが、不可能の一つの証拠になりますね。そこで私は総裁に申し上げておきたいのでありますが、十月一日という、だれがきめたかわからぬ営業開始の目標に無理に合わせるため、国鉄の技術陣営が自信が持てないようなことは一切おやりになるべきではないと思うのですが、いかがでしょう。
  131. 石田禮助

    石田説明員 おっしゃるとおりだと思います。
  132. 久保三郎

    久保委員 さらに、スピードもそのとおりですが、先般お配りいただいて御説明いただいたものには、大体二百キロですか、東京−大阪間三時間というお話でありましたが、そういうことも修正すべきではないだろうかと私は思うのです。いかがでしょう。
  133. 石田禮助

    石田説明員 二百キロのスピードを出して東京−大阪間を三時間で走るということは、これは国鉄の理想でありまするが、何もあそこをスタートしましてから直ちに二百キロ出すというわけではありません。いろいろ試験をして大丈夫どと思った暁において、初めて二百キロ出すわけであります。
  134. 久保三郎

    久保委員 そこで私の意見を申し上げるのでありますが、スピードにしても、工事一切にしても、全線にわたって再点検するおつもりはありませんか、いかがですか。いまは千五十億あるいは八百七十四億の予算不足ということでこれにだけ追われておりますけれども工事の施行そのものについて再点検をして万全を期すべきだと思うんだが、いかがですか。
  135. 石田禮助

    石田説明員 私はあなたと同意見。すでにモデル線区において試験した結果、いろいろのところにつきまして最初の案とはだいぶ違ったことがあります。そこは国鉄が非常に用心をしてやっている。安全第一をモットーとしてやっているということに御承知を願いたいと思う。自信がないのに絶体二百キロ出すということは、私としては許可する気持ちはないのであります。
  136. 久保三郎

    久保委員 私の意見どおりにおやりになるそうでありますから、これは万全を期して、十月一日とかオリンピックとかいうようなことに目がくらんで、万が一のことがあったらたいへんなことになると思うのです。これ以上の国民の不信感を買うことは一切やめたほうがいいと私は思うのであります。なるほど公約には反するでしょう。オリンピックまでには開通させるとか、二百キロのスピードを出して三時間で運ぶとかいうことでありますが、背に腹はかえられぬ事態が今日きていると思うのです。そういうことでひとつ御考慮をいただきたい。  もう一つ新幹線についてお尋ねしたいのは、はたして東海道線の輸送をカバーすることができるかどうか。先般の御説明では、大体三十往復いわゆる三十本の列車を設定してやるというのでありますが、今日東海道線の輸送の行き詰まりは申すまでもありません。しかも線路、路盤の問題については、これを補修するすきもないほどであります。この観点からこの新線が計画されたのが当初の理由であります。決してオリンピックとか世界一とかいうことが命題ではありません。ところがたとえば当初三十本の列車を設定いたしましても、これは御回答がないままになっておりますが、東海道の輸送力の緩和なり輸送基盤の施設を強化するための効果というものは、どういうふうに今日考えておりますか。
  137. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまお話がございました三十本運転は、車両三百六十両を使ってやる場合でございまして、一応いま開業後の現在線のダイヤを一本一本検討中でございます。すなわちこの新幹線に三十本運転した場合に、現在線からどういう種類の列車を何本やめることができるかという詳細の検討を発着の駅についてやっている次第でございます。三十本新幹線で動かしましても、現在線が三十本あくというわけにはまいらないことは御指摘の通りでありますが、大体いまのところ三十本ないし四十本運転ですと、大体二十本前後の列車のお客さんにこちらに移ってもらうことができる。ただ、同時に、新幹線が通ることによりまして相当多くの、私のほうで申しますと、誘発と申しますが、新しいお客様がふえるということも考えなければなりません。そういった誘発のお客様を考えました上で、結局現在線からこちらへ移せる列車は大体二十本前後ではないかというふうに考えております。さらにこれが昭和四十年度になりまして、車両が百二十両ふえまして、四百八十両になりました場合には、現在では大体五十五本の列車の運転ができるというふうに考えております。五十五本の列車が運転できますれば、大体二十五、六本の列車を現在線からこちらに移すことができるということになります。  一方、現在の東海道線の旅客輸送量は一応現在を山といたしまして、主として問題の貨物輸送量の面から見ますと、年間四本ないし五本の貨物列車の増発を必要としている次第であります。すなわち時期その他によって違いますが、一番問題になります十月から十二月までのいわゆる秋冬繁忙期には、毎年四本ないし五本の列車を前年度に比べて増発して、貨物輸送の山を切りくずしているかっこうになりますが、この趨勢でまいりますと、大体二十本前後の輸送力があきますれば、一応昭和四十年ないし四十一年度くらいまではいまの先生の御指摘の現在の東海道線の保守間合いその他を楽にするというわけにはまいりませんが、一応列車の本数としては貨物列車のふえた分だけは現在線に入れることができるというふうに考えております。ただ御承知のように、旅客列車と貨物列車では時間帯が全く違っております。たとえば「こだま」「つばめ」等の昼間の列車を引きましても、その間に貨物列車を入れるというわけにはまいらない時間帯も相当ございますので、そういった詳しい筋を現在引いております。実のところ、三十本の運転では輸送力の増加にマッチできる趨勢にはなっておりませんが、五十本以上になりますれば、大体ここ数年間の輸送の伸びには対処できる、ただし御指摘のとおり、現在の東海道線が現在よりも保守が非常に楽になった、輸送が楽になったという事態には相ならないということを申し上げなければならないと思います。
  138. 久保三郎

    久保委員 質問するのもたいへん気の毒なようなことになっているのですが、いまの答弁を聞きますと、新幹線はできたが、東海道の輸送なり保守というのは全然前進がない、こういうことにもとり得るわけであります。これは、言うならば、たとえば二十本前後とおっしゃるけれども、既設線区へ残るものがおそらく十本程度、種類の違う列車を二十本、三十本つくって、そのうちの二十本は取り消しても、新しく設定される現在線の東海道線には十本程度しか入らぬ、こういうふうになると思いますね。そうなった場合に、特に問題は私は貨物だと思う。貨物の処理については先般の当委員会においての論議でもあと回しということに相なっております。この点もやはりあわせて考えなければいかぬと思うのでありますが、こういう点についてはやはり前回どおりでございますか。
  139. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 貨物輸送につきましてはただいま先生のおっしゃったとおり、ただいまお願いいたしております予算の中にはまだ実は入れておらないのでございまして、昭和四十年の秋から一部の貨物列車をこの新幹線に運転いたしたいというふうに考えております。貨物のために所要する経費は駅設備だけで約二十五億でございます。そのほかに車両ことにコンテナ等を必要といたしますが、一応それを別といたしまして駅設備だけで約二十五億でございますが、それは今度の三千八百億には入っていない数字で、これはできましたあとで、昭和四十年度以降の問題として政府にお願いいたしたい、こういうふうに考えております。
  140. 久保三郎

    久保委員 この問題だけで一応打ち切りますが、とにかく問題だと思うのです。貨物の輸送について処理しなければ、やはり東海道線の本命ではないだろうと思うのです。  それから次にお尋ねしたいのは、近江鉄道の問題は先般肥田委員から御質問をいたしたようでありますが、結論的に言うと、二億五千万の補償というか何というかわかりませんが、その金は一応返してもらうというのが私はたてまえだと思うのです。はっきりしたもの以外は返してもらう。たとえば用地を使ったとか実際に踏切警報機をつけなければいかぬとかいうもの以外はですね。特にその中でも景色補償というか減収補償というかわかりませんが、そういうものは一たん国鉄の手元に返してもらうのが筋だと思うのです。これはいかがでしょう。政務次官、前回御答弁になられたからひとつあわせてお願いいたします。
  141. 大石武一

    大石(武)政府委員 この問題につきましては井手委員からも御質問がございまして、いろいろわれわれも検討いたしております。そして不当な補償であるならば、当然これを返還せしめるのがわれわれの義務であると考えまして、その方向においていまいろいろ検討中でございます。まだはっきり法的な根拠はつかみ得ず、またどのような措置に出るかということは見当がつきませんので、明確なお返事を申し上げられないのが残念でございます。しかしこの補償という問題は、一般的に申しますと、御承知のようになかなかむずかしい問題でありまして、近江鉄道に関しましても、おそらく先日の委員会において国鉄の磯崎副総裁から御答弁申し上げたかと思いますが、補償という問題は、いろいろ法的な問題はございますが、一つは、やはり力ずくと申しては語弊がありますが、一つのやはりかけ引き、取引というものがあるように考えております。その意味において、国鉄は六億あるいは七億と吹っかけられましたそのいわゆる補償の問題を二億五千万まで下げたという努力は私は認めなければならぬと思います。しかしその内容に関しまして、もしこまかい項目について不当な問題があるならば、これは金額とは切り離して別に断固たる処置に出るべきだと思いますので、いまその検討をいたしておりますので、しばらくの御猶予を願いたいと思います。
  142. 久保三郎

    久保委員 二億五千万が妥当であるかどうかの中身というか計数的なものではなくて——計数的なものは前からも論議になっているとおり、これは全然積算基礎にはなっておらぬ。そうでしょう。景色補償あるいは減収補償というようなものは全然積算基礎になっておらぬじゃないですか。万が一、いわゆる力関係で、あなたがおっしゃるように、二億五千万、これでひとつ問題は全部解決というつかみ金によるところの交渉なら交渉でけっこうですよ。しかしいままでの当委員会の御説明は、景色補償なり減収補償を一億円入れて二億五千万ということでありますから、筋が通らぬということであります。ですからこういうものは一たんお返しを願って、あらためて、力ずくで、どの程度お払いになるのかわかりませんが、御交渉なさったほうが妥当だと思います。そうでないと、不明朗のままこれが処理されることは断じてわれわれは認めがたいのであります。二億五千万が妥当であるかどうか。妥当であるという証拠を出したんだが妥当でない。証拠というのは、当委員会国鉄から出した書類、二億五千万の内訳です。こういうもの自体に私は不信感があります。だから二億五千万をとにかくそういう形でお払いになったんだから、これは不当である、不正な支出である、だから返してもらいなさい、それであらためて近江鉄道との間の補償の問題なり何なり御交渉いただいて結着をつけるべきだと思う。ただということはないでしょう。筋としてはそうじゃないでしょうか。われわれは一文も払わぬでもいいとは言っていません。並行して走っているのだから、踏切の見通しが悪くなる、警報機をつける必要があるならそのとおりです。しかし景色が悪くなるとか十三年間とか二割五分とかいうような数字は、断じてこれは認めがたいし、世間に通用しないということです。いかがでしょう、くどいようでありますが……。
  143. 大石武一

    大石(武)政府委員 私の申し上げますことが少し乱暴な、あるいは個人的な見解になった場合にはお許しを願いたいと思います。これを前提として申し上げますが、二億五千万という補償は、いろいろな理屈をつけてはございますけれども、根本はつかみ金じゃないかと思うのであります。つまり六億何ぼに吹っかけられましたものを何とかして削りたいという考えで二億五千万まで減らした、ただしその中のいろいろの理由、つかみ金でありますから理由をつけなければなりませんが、その理由に景色だとか補償とかいろいろな問題が出てきてこういうことになったんじゃなかろうかと思います。  私も個人的に考えますれば、なるほどあなたのおっしゃるとおり一ぺん返してもらって、別にそれに妥当な金を、理由のある金を払うことが一番やりやすいと思うのでありますが、それも法的にでき得るかどうか。会計検査院にも報告済みになっておりますから、それができるかどうかということを検討しないと、ただわれわれだけの気持ちあるいはやりやすい方法だけではなかなかできにくいのが現状だと思います。そういう意味でいまいろいろ法的な根拠を検討いたしておるのであります。お説のとおり何とか筋の通ったものにいたしたい、こう念願しておりますので、もう少し時間をかしていただいて検討させていただきたいと思います。
  144. 久保三郎

    久保委員 政務次官のおっしゃるとおり会計検査院にも報告したというんなら、これは決算になったわけですか。——それでは聞きますが、何年に幾ら払って何年に幾ら払っておりますか。
  145. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 二億五千万円のうち一億五千万円は昭和三十六年の十二月でございます。それから、残りの一億は三十七年の六月でございます。その二回に分けて払っております。
  146. 久保三郎

    久保委員 三十六年の十二月に払ったのはどういう形でお払いになったのですか。これはなぜちびって払ったのですか。
  147. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 三十六年の十二月に払いましたのは一億五千万円でございますが、実はただいま政務次官から御説明のございましたとおり、当初の七億の要求あるいはその後の併設高架要求等に対しましていろいろ折衝しておったようでございます。そうしていろいろの交渉過程におきまして、とにかく全額二億五千万円程度でもって妥結しようというような話になった。ただそれにつきまして私のほうの現地の当局といたしましては、少しでもそれを安くしたいという努力をいたしましたが一方工期が迫っておりますし、何とか早く工事に着手したいということで、とりあえずそれでは一億五千万円だけ払う、一億五千万円払えば工事に着手してよろしい、こういう協定を三十六年の十二月に結んでおります。そして、それは当時の当事者から聞きますと、残りの一億は何とかもう少しまけさしたいという気持ちもあって、とりあえず会社工事に手をつけなさいと言ってくれる最小限——会社から申しますれば最小限、こちらから申しますれば最大限の金を一応出して、それからあと半年ばかりの間に残りの金についていろいろ折衝したい、こういうつもりで一億五千万円を先に出しまして、それでもってとりあえず工事を始めたということになっております。  この一億五千万円の金の出し方は、前回の委員会で肥田先生の御要求がありまして御説明申し上げ、資料も出しておりますが、三十六年の十二月に払いました金は用地費と用地附帯費という名目になっております。こまかく申しますと、一億四千九百五十万円が用地付帯費で、五十万円が用地費、こういう内訳になって私どもの支払いができております。その後種々折衝いたしまして残りの一億は——とうとう一億をそれ以上に切り下げることができず、約半年たちまして三十七年の七月に残りの一億を、これは用地附帯費ということで支払っております。前回の委員会で矢尾先生の御質問に対しまして私からお答えいたしましたとおり、いままでのいきさつを私も書類あるいは関係者等に当たっていろいろ調べてみますと、やはりいま政務次官のおっしゃったとおり、二億五千万円という一種の全般的な金のワクとして話がきまったというふうないままでの経過になっております。当委員会で数回にわたって国鉄側の説明がまちまちであったという点につきましては、前回深くおわびいたしたわけでありますが、きょうまたこの席を拝借いたしまして、もう一ぺんいままでの説明が非常に不備であったという点につきましては、深く陳謝の意を表する次第であります。
  148. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、副総裁、前回資料として出した積算基礎は誤りであった。そうでなくて政務次官が言うとおりいわゆるつかみ金であった。これで妥結をしたのであって、具体的にどのやつに幾ら払ったのではなくて、言うならばその中の五十万くらいがはっきりしたものであって、あとは付帯費というようないわゆる補償費だ、こういうことになるわけですね。そうだとすれば、会計検査院には国会に先般出した資料に基づいて説明をされているわけですね。これも同様ですね。
  149. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点については、実は私のほうの部内の処理の問題でございますが、いわゆるつかみ金という金を出す方法がございませんし、また慣例上たとえ一万円の金にいたしましても一応積算の基礎をつくって出すといういままでのやり方になっております。いままで国会に御説明いたしました景色補償の金その他につきましては、金を出すための一つの積算の基礎というよりも、支払いのための一つの調書であるというふうに了解いたしております。ただ、先生の御指摘のとおり、二億五千万円の金額自体の妥当なり妥当でないかという問題は、やはり問題として残ると思います。しかしこれは折衝過程で一応不満足ながら両方で妥結をした金でありますので、部内の経理処理としてそういう方法をとりまして、その点につきましても非常に説明が不十分であったという点につきましてはまことに申しわけないと考えております。
  150. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても経理の処理としてそういうことをしなければならぬというところに問題があったかと思うのでありますが、会計検査院と国会にあの資料を提示して処理をどうなさるのですか。私が言うとおりに一ぺんお返し願うほかないのではないか。いかがですか。だから私は、当初あの資料ができたときに、つかみ金でしょう、泣く子と地頭には勝てないで、四億の補償要求されたが、二億五千万円に値切ったのでありましょうとお尋ねしたのでありますが、そうではありませんと言われた。この処理はどうなさるのですか。
  151. 山田明吉

    ○山田説明員 会計検査院の検査対象になった当座でございますし、どういう見解を会計検査院が持っておられるかは私どもうかがい得られません。いずれ三十七年度の検査として対象になっていると思いますので、いま私ども検査院のほうとこの点についての直接の連絡はまだとっておらない状態でございます。
  152. 久保三郎

    久保委員 会計検査院の意向はわかりませんが、私も決算委員をしておりますから、いずれそういう報告が出ますれば審議しなければいかぬと思うのです。おそらく決算の面ではそういう決算のあり方はないと思います。やはりこれは私が言うとおりにならざるを得ないと思います。これはこういう一つの例でありまして、こういうものがたくさんあるのじゃないか。たとえばわれわれがどっかで見つけてきて、この資料を出せということになるとこういうものが出るのではないですか、いかがですか、ざっくばらんにお尋ねいたします。
  153. 山田明吉

    ○山田説明員 こういう事例と申します、金額の多寡は別といたしまして、いわゆるこれで話をつけたいというような性質のものは、最近用地買収に伴いまして従来よりも例が多くなっているかと思います。しかしながら、いずれもそれは単なるほんとうのつかみだけということではございませんで、近江鉄道の例が最も例外的なものだと私ども考えておりますが、一応先方の申し出の条件の中からこちらでいかにももっともだと思われるものを選んで、その支出の根拠にはいたしております。したがいまして、全然頭からつかみで幾らというような支出の例は、ほかには絶対にないと考えております。
  154. 久保三郎

    久保委員 道路公団とかそういうものもやはりこういうものでありますか。お聞きになっていますか。たとえば近江鉄道のような積算基礎で会計検査院なり国会に、要求があれば報告するのでしょうか、いかがでしょう。
  155. 山田明吉

    ○山田説明員 ほかのところは残念ながらよく承知いたしておりません。
  156. 久保三郎

    久保委員 そこで資料の要求を一ついたしておきますが、いわゆる補償費に類するものですね。これは用地費、それと用地附帯費というかあるいは工事附帯費というかわかりませんが、用地工事ですね、この二つに分けてどの程度今日までに出しておるのか、そしてできますればその摘要を簡潔に書いていただきたいというように思います。率直に出していただいたほうがいいと思います。  そこでもう一つ、新幹線のことでお尋ねしたいのでありますが、箱根付近の高圧線の電柱建設について、これはどういうふうになっておりますか。多額の補償なり何なりを要求されたり、折衝に長時間かかったりといううわさを聞いておるのでありますが、これはどうなんですか。
  157. 中畑三郎

    中畑説明員 箱根山を通過いたします通過のルートについていろいろな折衝を重ねておるわけでありますが、その折衝をいたしております中に、国土計画興業株式会社が持っております山林の相当大きな部分がございまして、その通過の地点についての交渉が軌道にまだ乗らない状態でおりましたわけでございます。同会社が持っております山林の、国鉄としてなるべく技術的にも工事が楽であり、経費もかからないといったようなところを通りたいということで折衝をいたしましたところ、会社ではその地帯については山林を使用して将来のいろいろな計画があるからそれは困る、こういうことで、主としてルートの点についての話し合いがまとまらないで今日まで折衝を重ねてきておる、そういう状態でございます。
  158. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、まだ解決はついておらぬのでありますか。
  159. 中畑三郎

    中畑説明員 最近になりまして会社側のほうも国鉄申し入れをやむを得ないということで譲歩をしてまいりましたので、話は軌道に乗ってまいりました。そこで工事担当工事局から会社のほうへ具体的に鉄塔に使用する用地と、それから送電線を架設いたしましたときの、送電線の下の用地に対するいわゆる線下補償というものを計算いたしまして申し入れをして、会社で検討をいただいておる状態であります。
  160. 久保三郎

    久保委員 こまかいようでありますが、あとで資料をください。電柱は何本でどの程度用地をとるのか。線下はどの程度の延長で幅か。それであなたのほうでいま計算して要求しているのでしょう。そうでしょう。その額はどの程度か。それからもう一つ、これは何という会社です。もう一ぺんおっしゃってください。
  161. 中畑三郎

    中畑説明員 会社の名前は国土計画興業株式会社と申します。
  162. 久保三郎

    久保委員 責任者はどなたです、社長さんは。
  163. 中畑三郎

    中畑説明員 堤さんとおっしゃる方でございます。
  164. 久保三郎

    久保委員 それで、国鉄に言うのでありますがこの会社自体には国鉄はあまり関係ありませんね。請負工事とか出入りとか、そういうものはありませんね。
  165. 中畑三郎

    中畑説明員 少しも関係はありません。
  166. 久保三郎

    久保委員 しかしこの社長さんの関係する会社には関係ありますね。
  167. 中畑三郎

    中畑説明員 この土地会社の社長をしておる方のおとうさんの堤さんの事業には非常に関係がございます。
  168. 久保三郎

    久保委員 それでこの会社とは国鉄は因縁浅からない仲だ、そう理解してよろしゅうございますか。
  169. 山田明吉

    ○山田説明員 御指摘の点は連絡運輸をやっているかどうかという点かと思いますが、その意味におきましては関係はございます。
  170. 久保三郎

    久保委員 自分の土地を売るか使わせるかということは、これはその人の固有の権利でありますから、これはどうしようもないと思いますね。しかし国鉄にも、連帯運輸しているならば固有の権利があるわけです。そこで私が言いたいのは、連帯運輸についてももう少し商業ベースでやったらどうか、こう思うのです。伊豆箱根鉄道にしても、修善寺まで東京から国鉄の車両を直通運輸しているじゃありませんか。あるいは先般肥田委員がお話ししたようで、この資料が出ておりますが、連帯運輸の清算金にしても、かように長い間とめておいて金利をとっておるという実態なんです。だから連帯運輸はとめたらどうですか、お客は別途の方法が幾らでもありますよ。連帯運輸するからお客に便利だとは今日言い得ないのです。なぜやりませんか。この工事をするにしても、先般来いろいろ御指摘があったようでありますが、幹線総局だけがやっておいて、あと常務理事その他各部局は全部つんぼさじき、ちっともチームワークがとれていないのがこれなんです。これは今後、総裁改めますか、こういうものに対してもっと商業ベースでシビアーにやりますか。いかがです。
  171. 石田禮助

    石田説明員 詳しいことは私は存じませんので、よく調べて善処いたしたいと思います。
  172. 山田明吉

    ○山田説明員 僣越ですが、ちょっと補足させていただきます。連絡運輸をいたします場合の料金その他は、一定の基準がございまして、甲の会社に特に安くするとか、乙の会社に特に高くするというようなことはいたしておりません。
  173. 久保三郎

    久保委員 高い安いの問題ではなくて、理由は幾らでもありますよ。運転は国鉄の車両運行の都合により取りやめたいという申し入がなぜできないか、そうでしょう、一つの例です。あるのじゃないですか、いかがでしょう。
  174. 山田明吉

    ○山田説明員 一般的に申しまして、連絡運輸をやめるということは、旅客輸送、貨物輸送に相当大きな影響がございます。それで従来も滞納が常に行なわれておるというような会社に対しましても、この連絡運輸をとめるというのはいわば死刑の宣告にもなるようなものでございますので、もちろん滞納につきましては延滞利子は徴収いたしておりますが、極力あらゆる方法で取り立てるようにいたしております。たまたま近江鉄道につきましては、三十六年以前には滞納がなかったわけでございます。最近セメント輸送が相当出たというような状況でございまして、連絡運輸をとめるということはやはり大きな目から見て国民経済に与える影響が大きいかと存じますので、当時の担当者としてはそこまで考えなかったと想像されるわけでございます。
  175. 久保三郎

    久保委員 なるほど、あなたがおっしゃるのも一理ですよ。私もあえてそういうことをしろとは言いません。ししか、やはり商業ベースでものを運ぶという場合には、これは取引ですよ。総裁はもう財界で長いことおやりになっておるからおわかりでしょう。ところが一方的な要求だけ聞いてそれでやっているからこそ、こんな問題が出てくるんじゃないでしょうか。全体の国民大衆の立場からいってもそれは当然許さるべきだし、正当な方法だと私は思うのです。対抗手段を持ちながらあえてしない、これがいわゆる官僚主義だと私は思うのです。今日国鉄が諮問委員会から何か答申を受けたようでありますが、なるほどその中身も大事でしょう。しかし、その中身を審議、検討する前に、そういう姿勢を正さなければ、今後国鉄がいろいろなことをやる場合に私企業から妨害が入ってくる。これは事実でしょう、私は一つずつあえて述べませんが、それがなぜできないかというのです。その自主性がないところに諮問委員会の答申を受けてどうのこうのと言ったって、実際いって始まりませんよ。収益性を上げるといっても、収益性を上げようと思えばみんな通せんぼうされてしまう。これに対してシビアーに商業ベースでやれる態勢にありながらこれを傍観しておる、私はそう思うのです。これは総裁、いかがでしょう。
  176. 石田禮助

    石田説明員 あなたの話を聞いておるというとごもっとも千万でありまするが、しかし、連絡運輸については、ちゃんとこれに関する了解、規則というものがあります。片方の近江鉄道の例の問題なんかでも、そのほうで国鉄がぎゅうぎゅういじめられておるがゆえに、連絡運輸のほうでどうするということは、国鉄としてすべきことかすべからざることか、これは慎重に考えなければいかぬ。どうも江戸のかたきを長崎でとるようなことでございますから、これはこれ、それはそれと別個に私は考えるべきものじゃないかと存じております。これは私の常識です。
  177. 久保三郎

    久保委員 総裁の常識は一般的な常識で、私もそう思うのです。江戸のかたきを長崎で討つようなことは断じてやるべきでない。これも商業道徳に反するのです。しかし世の中は広いですから、そういうあなたのおっしゃることで私も同感のことが通用しないというのが今日じゃないでしょうか。それにはそれでやはり考えざるを得ないじゃないでしょうか。連帯運輸は私は一つの例を言ったのでありまして、連帯運輸をとめろとは決して言いません。その他の方法があるじゃないですか、そういうことを言いたいのです。まあまあ世の中は商業ベースで、道徳も守り得ない今日でありますから、よほど気をつけてやらぬと経営者としての責任を問われますぞ。だからそういう点で私は言っておる。まことに総裁のおっしゃるとおり、それがほんとうです。ところがほんとうなところが通らぬのです。通らぬから通せんぼうが来る。これは大体私はキリスト教か神様か知りませんけれども、私は私でやりますといったんでは世の中は渡れないんじゃないですか。数多い問題ではないのでありますが、私はそう思う。  そこで次にお伺いしますが、先般行政管理庁から運輸大臣に対して、国鉄経営に対していわゆる勧告があったそうでありますが、政務次官、受け取りましたか。
  178. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいまのお話は新聞では私どもも見ましたけれども、まだその正式の書類には接しておりません。
  179. 久保三郎

    久保委員 新聞に発表しまして正式に来ないというのはおかしいですね。ほんとうに来ないのですか。
  180. 大石武一

    大石(武)政府委員 何もわれわれ知りません。
  181. 久保三郎

    久保委員 それは新聞には数日前に出ておりますが、そうですか。それじゃ来てからお話ししましょう。  そこで、次に政務次官にお尋ねするのでありますが、監査委員会の答申はまだでありますか。監査委員会新幹線問題についての監査命令の結果はどうなんですか、作業の状況はどうなんですか。
  182. 大石武一

    大石(武)政府委員 これは大臣から監査委員会にそのようなことを命じたと申しますか、そういう話がございまして、できるだけ早い機会に答申するようにということを申しておりますが、まだ回答は出ておりません。
  183. 久保三郎

    久保委員 そのうちに国会がおわってしまうのでありますが、終わればわがものだということでありますか。
  184. 大石武一

    大石(武)政府委員  私どもも国会議員の端くれでおります。決して国会軽視のようなことは考えておりません。できるだけの努力はいたします。
  185. 久保三郎

    久保委員 それじゃこれは期限を切っておらぬようでありますが、とにかく早急に出すように、きょうにでもひとつ催促をしていただきたいと思うのです。作業もなかなか綿密にやっておるようでありまして、なかなか進まぬということもあるかもわかりませんが、少なくともこれだけの問題になっているのでありますから、しかも運輸大臣が監査委員会に命令を出して監査をされているのでありますから、その結果によってどうするかはきまるわけであります。これは早急に出していただきたいと思います。少なくとも今月末には出ますか。
  186. 大石武一

    大石(武)政府委員 今月末かどうか、まだはっきりしたお返事は申し上げられませんが、国会は来月の六日まででありますから、あまり長くなりますと国会に間に合いませんので、きょうにでもまた至急急ぐように申し入れたいと思います。
  187. 久保三郎

    久保委員 新幹線の問題はこれで終わりますが、もう一つ、これは資料の要求でありますが、政府部内には交通基本問題調査会というものがあります。これが今日までいろいろ会合されておるようでありますが、これは官房長が主管でございましょうが、これのいままでの審議の状況並びに何か結論が出ているものがあれば、当初からの全部を資料として出していただきたい、こういうように思います。以上です。
  188. 木村俊夫

    木村委員長 肥田次郎君。
  189. 肥田次郎

    ○肥田委員 先般近江の鉄道連帯清算金について資料の提出を求めました。いまここに一枚の資料をいただいておりますが、これについて若干の説明をしていただきたいと思うのです。それはまず清算の方法ですね。これは先ほども言われておったように、格別それぞれの各社について特別な取り扱いはしておらない、こういうふうにおっしゃっているのです。それはよくわかるのですが、この表を見ると、原則的な清算の方法というものはどうなっておるのですか。たとえば三十四年度、三十五年度はいわゆる完全納入がされておる。三十六年度では五千七百六十六万三千九百十五円というのが滞納になっておる。そしてその次には、三十七年四月から三十七年十二月までは、ここで何か各月清算が行なわれておるようですね。この清算の方法は各月清算をたてまえでやっておるのですか、それとも相手が納入しなければそのままになって、いつかの時期に清算するというようなことになっているのですか、その点はどういう扱いをされておりますか。
  190. 山田明吉

    ○山田説明員 この表のつくり方はちょっと不手ぎわでございまして申しわけございませんが、原則的には毎月の清算になっております。それでこの前も申し上げたかと思いますが、約二百社ばかりの連絡会社がございますけれども、その大部分が国鉄が受け取り勘定になっている会社でございまして、近江鉄道もその受けとり勘定になる会社の一つでございます。三十六年度末に滞納額五千七百余万円あげてございますが、これも三十六年度毎月表示したほうがおわかりやすかったと、実はつくったあとで考えておる次第でございまして、その点、申しわけございませんが、三十六年度末に五千七百万円滞納が出まして、これは滞納が出るたびに督促をもちろんいたしております。そうしまして、三十七年度へ入りまして、四月の受け取るものが当然あるわけでございまして、それを五千七百余万円に加算いたしたのが四月末の督促額になるわけでございますが、それがやはり払われなくて、四月末には八千万円に達したということに相なります。五月に入りますと、五月にやはり受け取る五月分があるわけでございまして、それをまた加算して要求をしたと思いますが、その場合に、ある程度は払われたものと考えられますことは、五月末の滞納額が八千七百万円で、約七百万円程度の滞納額の増加になっておりますので、これは五月にある程度払われたものと思われます。それから六月末の滞納額が五月末と同額でございますから、六月の納入額一カ月分は、こちらの要求どおり支払われたものと考えられまして、七月から以降、月末の滞納額の残額が減っておりますのは、それぞれその月の納入分プラス滞納額をなしくずしに会社としては国鉄に払っておりまして、それで十二月末に一千万円を残し、そして今年の一月末にはそれがゼロになっておる。それからずっといまに至るまで滞納がございません。そういう状況でございます。
  191. 肥田次郎

    ○肥田委員 それから、参考のためにお伺いをしたいのですが、この表によるところの連絡清算ですね、この扱い方というものは、国鉄当局としてはこれは一本ですね。なるほどこの新幹線工事局と、それから一般営業のほうと、これは一本ですからその点はいいのですが、それはここでどういうふうに区別をされるのですか。ということは、先般差しつかえがあったらいけませんから、そこまでは触れないと思うのですが、たとえばこの清算をさせたという、こういう表現は、これはどういうところから出てくるのですか。本来二本の別なルートからやられるべきものなんですね。なるほどこの出る金も違います。これは、新幹線総局で持っておるところの金と、それから国鉄の営業に入ってくる金とは違いますから、それはどういうところからそういう表現が使われたのですか。ただ、言葉のあやでそうなったのですか。私はそう理解をしたいのですが、その点はどうなんでしょう。
  192. 山田明吉

    ○山田説明員 私の説明が不十分でございましたので、ここで見出しにございます連絡運輸清算金と申しますのは、これは一般的に使う用語でございまして、先ほど申しましたような、国鉄が受け取り勘定になるか支払い勘定になるか、その受け取り勘定と支払い勘定とを差し引いた清算の額という意味で、ここに清算金と書いたのでございまして、この前の御質問にございましたような、現地のうわさで、この近江鉄道から取り立てるべきたとえばこの五千七百万円、これを近江鉄道に支払った二億五千万円とをバランスして清算したという意味の清算ではございません。なお、先生からただいま御指摘がございましたように、この連絡運輸清算の事務は、これは本社の経理局でやっておりまして、それから近江鉄道に支払いました二億五千万円の支払い事務は、大阪の幹線工事局でやっております。事務としても全然別途の事務でございまして、したがって関係者も、ほかは近江鉄道に二億五千万円がいつ支払われるか、そのこと自体知らない状態でございますので、たまたま現地で支払った金で延滞金を払っただろうというようなのは、私は憶測にすぎないと思います。
  193. 肥田次郎

    ○肥田委員 それからもう一つ、これは参考のためにお伺いしたいのですが、近江鉄道の営業状態というのですか、これは三十四年度、三十五年度、三十六年度とありますこの連絡清算金の請求額というのは、結局国鉄当局に支払われるべき総額ですね。ですから、この表で見ると三十四年度については四千四百万、その次三十二五年度については九千二百万円何がし、それから三十六年度には急速に二億六千八百万円何がし、こうなっていますけれども、そうするとこの三十七年末におけるところのものと三十六年度というものとは、三十六年度のほうが多いのですね。この数字で見るとそういう状態です。  それからもう一つ、上昇率はいいですけれども、近江鉄道の営業キロ数、これは実は近江鉄道の実情というものはわれわれもよくわかりません。その他のところはほとんど知っておりますけれども、参考のために聞いておきたいのですが、近江鉄道の営業キロ数、それからいわゆる連絡旅客数ですね。それから貨物、先ほどおっしゃっていたようにセメントとその他米、麦その他の農作物がありますが、そういう貨物の輸送キロ量、こういうものについて参考のために、ひとついまわかっておればお聞かせをいただきたいと思います。それからもしいま数字がわかっていなければこれはあとでけっこうですが、私が知りたいと思うのは、近江鉄道というものが、実際に連帯上のどれだけの影響というものがあるのか。それから先ほど久保委員が言われておったように、この清算方法についても、くしくもここで考えられるのは、先ほど副総裁がおっしゃったように、三十六年度の十二月に一億五千万円国鉄のほうから近江鉄道にとにかく金を出しておる。それから三十七年の六月に一億円出した、こういう関係の中からやっと清算の形態がとられておるというのがこの数字の上に出てくる実情ですから、したがって将来の近江鉄道とそれから国有鉄道との連絡清算というもののやり方については、大いに検討の必要があるだろうと思う。そういう点について参考のために旅客数量、それから貨物キロ量、こういうものの資料をひとつお願いしたいと思います。
  194. 山田明吉

    ○山田説明員 詳細な資料ではございませんけれども、近江鉄道の収支状況を、これは会社からとったものでございますが、三十四年度が鉄道営業だけで見ますと千七百万円の損になっております。それから三十五年度は二千五百万円の欠損、三十六年度が三千六百万円の欠損、それから国鉄がもらいます金で三十六年度に大幅にふえたのは、これも詳細な資料は手元にはございませんが、国鉄が三十六年度から運賃の値上げをいたしましたので、したがってその分がこの増加額の大部分になっておると思いますし、それから会社自体としましては、貨物輸送量が非常にふえまして、したがって国鉄の線に入ってくる貨車数が非常にふえた。それが国鉄に対する会社からの清算支払いの増加の大きな原因かと思います。なおこのような滞納が生じましたので、現在はここにございますように、一月末から滞納がゼロになっておりますが、将来また滞納されては困りますので、現在約六千三百万円の銀行保証を提供してもらっておりまして、将来滞納が出まするならば、その銀行保証でもって取り立てるという対策、措置を講じております。
  195. 肥田次郎

    ○肥田委員 もう少しお伺いしておきたいのですが、何ですか、このいまの答えていただいた数字は、いわゆる逐年欠損ですね。そうすると、こういうのはどう理解したらいいのですか。この逐年欠損というのは、いわゆる近江鉄道の欠損ですね。鉄道自体の欠損という数字はどこから出てきますか。  それからもう一つ、欠損という状態の中で、さらにいわゆる近江鉄道に対して、これは話が戻りますが、先ほどの問題の焦点になっておるところのいわゆる減収補償というものですね。これはどう理解をしたらいいのですか。これは先ほど何か磯崎副総裁が、いままでのちぐはぐの点の清算という意味で、とにかくいままでそういう面があったということを言われたんで、ちぐはぐと思う面の清算は、それで私もよかろうと思いますけれども、そういう関係は一体どう理解をしたらいいんですか。逐年欠損を出しておる、たとえば欠損というのは、いろいろ決算報告のやりくり方があるでしょうから、私もその決算報告に出てくるものが欠損だというふうには正直にとらなくてもいいような気がします。けれどもこの公式に出しておる決算報告は、欠損だ、それは三十四年、五年、六年もみな欠損だというときに、さらに、その欠損が上回るからということで、補償ということばが出てくるのか、そういう点、何かほかに私らの理解のできるような内容がありますか。
  196. 山田明吉

    ○山田説明員 会社自体の欠損の内容、どういう原因でそういう欠損になったのか私ども存じませんのですが、国鉄会社関係から申しますと、国鉄に入れてもらう金でございますね。ここにあげてございます、たとえば三十六年度で二億六千八百万円、これは近江鉄道から国鉄に入れてもらう金でございます。これはいわば近江鉄道国鉄にかわってお客なり荷主から国鉄の運賃分を取り立ててもらっておった金でございますから、これはもう会社を素通りして、国鉄にもらう性質のものでございます。したがってこれは会社の損得とは全然関係がない性質の金でございます。そういう国鉄との金を全部支払ったあと会社自体の経営で欠損が出るか、あるいは損になるか利益が出るかは、これは私ども会社自体の内容を監督しているわけでもちろんございませんし、単に決算報告書で拝見するだけのことでございますので、運輸省の民鉄部では、あるいは詳細に御承知かとも思いますが、そこまでは私ども検討はいたしておらない次第でございます。
  197. 肥田次郎

    ○肥田委員 それでは運輸省の民鉄、きょうは見えていませんか。——次官ですね。これは次官にひとつルートということでお願いしておきますが、近江鉄道の決算報告書というものがあるでしょうから、それを一部見せていただくようにお願いしておきます。終わります。
  198. 広瀬真一

    広瀬説明員 先ほど久保先生の御質問に対しまして、資料がございませんで、的確なお答えができませんでしたが、その後取り調べましたところを申し上げますと、来宮−銀山間の鉄道につきましては、免許は三十四年の三月二十七日にいたしております。それで工事施行認可申請の期限は三十五年三月二十六日でございまして、会社はこの期限内に申請を出してまいりまして、三十五年の三月十五日でございます。これにつきまして、工事施行認可申請は、線路の実測図であるとか、工事の方法書、建設費の予算書、こういったきわめて技術的な問題でございまして、これに関連いたしまして運輸省から二十数項目の質問書を出しまして、三十七年の、五月四日でございます。これにつきまして一部三十七年の九月二十四日に回答がございました。未回答の分は、この鉄道が千分の百九という非常に急な勾配をとっておりますので、この点に関しましていろいろ技術的な問題がございまして、これについていろいろ聞いておりますが、これについてはまだ回答は出ておらないというわけでございます。それでなおその二十数項目の回答のほかに、国鉄との関連では三十七年の五月四日に伊東線の交差個所における交差に関する国鉄との協定書の案を出せ、それから二番目は、来宮における国鉄との連絡をするならば、連絡の協定書を出せ、この二項目を追加したのでございますが、これに対しまして三十七年の九月二十四日に回答がございまして、第一番の伊東線との交差の関係でございますが、これは国鉄交渉中であり、近く解決の見込みである、こういう回答が来ております。それからこの来宮における国鉄との連絡でございますが、これは連絡をいたしませんという回答が来ております。したがいまして、先ほど先生の御質問がございました国鉄用地関係については、運輸省も照会をいたしておりません。これは工事施行認可申請性質上どこからどこまでどういう線形をとり、あるいはどういう勾配、カーブという内容でございますので、用地取得ということは、これはあとで私有地であろうと、国鉄の土地であろうと取得をするわけでございますので、直接関連がございませんので質問はやっておりません。以上でございます。  なお、先ほどのちょっと失礼いたしましたが、行政管理庁からの勧告でございますが、三十八年の六月四日に行政管理庁から、公社、公団、公庫、事業団の監督行政監査の結果についてという勧告が出ておりまして、運輸省はこれを六月の六日に受け付けておりますが、現在官房で検討中でございまして、また鉄監には回付されておりません。受け取っております。
  199. 久保三郎

    久保委員 行政管理庁から受け取り、官房で検討しているというのだが、検討はなるほど官房でやっているかもしれぬが、こういう勧告がございましたということを、政務次官なり大臣が知らぬといっては、どうも世間の聞こえが悪いのじゃないかと私は思うのですが、御反省なさいますか。
  200. 大石武一

    大石(武)政府委員 全くそうでございます。深く反省いたします。
  201. 久保三郎

    久保委員 それで検討中だと言いますから、いずれ検討の結果所要の措置を講ずることだと思うのですが、その写しを出していただきたい、こう思います。  それからもう一つは、伊東線との交差については国鉄交渉中で、近く協議ととのう見込みであるという回答が出ているそうでありますが、先ほどの御答弁と、ちょっと副総裁、違うと思うのであります。いかがでありますか。
  202. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点は会社側の申し分だと思います。私どもといたしましては、将来の伊豆の開発の姿をもっと本格的に考えまして、いままでいろいろ伊東線の問題は事務的にあったわけでございますが、まだ例の伊豆急もできておりませんでしたし、伊豆があれほど開発されるという時代の前のいろいろな案でございましたが、しかし今後伊豆半島というのはいろいろな意味で大事なところでありますので、私のほうといたしましては、もう一ぺん全部考え直してやるべきだという考えを持っておりますので、そう簡単に会社側と話がつくということはいまのところ考えられないのじゃないか、こういうふうに思います。
  203. 久保三郎

    久保委員 それからもう一つは、この会社のもう一つの回答は来宮での接続はいたしません、こう言っておる。こういうばかな話に乗る手はないと私は思うのです。どこからつついても十分御検討いただきたい、こう思うし、さっき言ったように何も話に乗る必要は今日の段階ではないと思う。そういうふうに思います。以上であります。
  204. 木村俊夫

    木村委員長 次会は明十二日水曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会