○矢尾
委員 関連して。ただいまの御答弁につきまして、私は地元でございますが、でたらめの答弁は控えていただきたいと思います。地元において新幹線が通るということに対して
反対をした主力というものをお示しを願いたい。
それから湖岸を通るということにつきまして、一つの案としてそういう話があったことは事実なんです。常識的に考えて、そういう土地へ途中で曲がって新幹線が行くということは、これはだれが見ても不可能であります。しかし、そういうことを理由として、近江鉄道に並行して持ってきたという理由に取り上げられるということは、これを理由づけるための理由以外にはない、こう考えます。だから湖岸に沿うてということについて絵や地図を見てみますと、湖岸に沿うたようなレールが敷けますけれども、琵琶湖畔というものはまっすぐでありません。そういうような簡単なことでこれが理由として取り上げられるということについては、私はどうも納得することができない。
それから次に、三番目の近江鉄道に並行したということです。農地ということについてさきに質問をいたしましたときに、私が申し上げました近江鉄道に並行しておるということは、近江鉄道の土地を
国鉄が買収して線路を敷かれたというのなら別なんです。しかし、近江鉄道の土地というのは、駅舎の間だとかごく一部分です。そして近江鉄道は六十二キロありまして、そのうちの七キロが並行してある。農地がつぶれるということは、近江鉄道に並行しても農地はつぶれるのです。こちらに新たに敷かれても、農地がつぶれるという事実においては少しも変わりはないのです。しかし、
国鉄が近江鉄道に並行せられたということは、別にわれわれは異論を申しておるのではないのです。近江鉄道に並行したことにおいて二億五千万円という補償が出ておる。この新幹線に並行し交差しておる鉄道は二十九私鉄があるのです。その二十九のうちのどこにも手をつけてないにもかかわらず、近江鉄道だけに二億五千万円の補償が出ておるということはおかしいじゃないか、ここから問題が出発しておるのです。別にその技術的な面についてはわれわれは文句を言っておるのではないのです。二十九も並行しておるけれども、その二十九には何も出てないで、近江鉄道だけに二億五千万円出ておる。だからこれはどうかという質問を第一陣として久保君か井手君かどちらかがやられましたときに、第一回の答弁は、近江鉄道は新幹線に並行しておるから、それに対するところの減収補償であるということを答弁せられた。減収補償をした、こういうことを答弁せられた。それで減収補償というのはおかしいじゃないか、近江鉄道というものは大体は南から北に走っておる。しかしたまたまこの七キロの間が並行しておるのです。ぐるぐる回っておりますから、この七キロが並行してあるのです。それでその間において補償をすることについては、六十二キロのうち七キロが補償の対象になっておる。そういうことを考えてみますと、この二億五千万円という補償金はどういう補償か、減収補償だ。しかし、七キロの間が並行したからといって、近江鉄道がどういう理由で減収するのですか。
国鉄の新幹線が東京駅を出ると、特急は名古屋でとまって大阪までとまらない。そのほかのやつは九つとまりますけれども、近江鉄道は何ら減収することはない。そうして聞けば次の答弁は変わって、近江鉄道は観光鉄道でございますから、観光客をおもに乗せておる鉄道でございますから、この近江鉄道に並行して築堤ができるというようなことになると観光を阻害される。そこから景色補償ということばが出てきた。観光を阻害される。これが
国鉄のほうの答弁なんですよ。観光が阻害されるからこれに対するところの補償だ。そうして何ぼ観光客が減ったかというと、二割五分というのがあなたのほうから資料として出ておるじゃないか。そこで私は関連質問をして、近江鉄道が観光鉄道であるということは何をもって観光鉄道というか、電車を見てもわかります。実際は一世紀前のような電車が走っておる。観光客が乗っておるか、土地の人が乗っておるかどうか、最近、近江鉄道の堤康
次郎さんが三日ほど前に大津へ荒木文部
大臣と来られて、そうして
新聞記者会見において、鉄道は斜陽産業であるから、これは貨物にして、今度は
バスを通すという計画をしておるということを発表されておるのです。観光客もどんどんとなにしておるというなら、実際は私は並行する必要もないと思うのです。そうしたときにおいて、その景色が阻害される、観光客が減る、これはおかしいじゃないかという質問をしたら、今度は
国鉄のやめられた十河総裁が、二つの答弁というものを無視したような答弁をされた。それは新幹線が滋賀県を通るときに近江鉄道と並行する。そのときに近江鉄道側から、京阪神急行電車ですか、あれは並行しておるから高架にしてくれ、そうしたときにこれは高架にした、それについて近江鉄道でもそういうようにしてくれという要求があった。そうしてこれを積算してみると五億かかるが、それを二億五千万円に、いわゆる国民の血税で建設する鉄道であるから、五億もかかるやつを半分の二億五千万に値切ったのだ、だからほめてくれというような十河総裁の答弁だったのです。そうすると、答弁も壁にぶち当たればころりとひっくり返って、これは観光鉄道だと言ってみたり、減収と言ってみたり、今度は五億もかかるという。それで私
たちは
調査しまして、京阪神急行を見ました。見ましたけれども、五分間に一本くらい急行が通る、特急が通る、普通電車が通るくらいです。ですから現在は京阪神急行には
国鉄の新幹線を使わしております。こちらが盛り上げができるまで使わしておるでしょう。そうしますと、近江鉄道側は大体一時間に一本です。一時間に一本しか通らないときに、これに五億もかけて築堤をしたということになれば天下の笑いものになります。世界の笑いものになりますよ。私
たちはこういうようなことを考えたときにおいて、二億五千万という補償というものは多過ぎるのじゃないか。しかし、納得することができれば、多過ぎる、少な過ぎるということはあなた方のほうで算定されておるのであるから、私
たちはこれは何とも言うわけではありませんけれども、常識的に考えて、答弁でも減収補償と言ってみたり、景色、観光を阻害するからと言ってみたり、そうして五億もかかるやつを半分に値切った、こういうわけのわからぬような答弁をされておる。これは速記録を見ればわかるでしょう。それでわれわれは現地を
調査したのです。そしてその補償の額について、一億というのはいわゆる観光補償というような説明で、八千五百万円というのが踏切補償です。踏切補償というのは、百五十メートルか二百メートルの間に穴をあけています。あの穴のあいたところが全部踏切じゃないのです。道もないようなところで穴があいただけ、これが五十三あるでしょう。そうすると、近江鉄道六十何キロのうち、踏切があるというのは実際は五、六カ所です。それを七キロの間にだけ五十三カ所に踏切をつくって、八千五百万円の補償は高いのじゃないか、これはむちゃじゃないかということを私は言っておるのであります。そしてまた片方に築堤ができて、片方に低い線路がある、まくら木が腐食をされると言っておりますが、片方は、新幹線のほうはコンクリートでやっております。そして水が流れております。そうして高くなって近江鉄道の線路があるのです。まくら木が腐食するということは、みぞがあるということで相当また間隔があるということにおいて、これは腐食するというようなことはない。そうしてまた
乗務員に対しては、たしか運転手は二割、
車掌に一割と、
車掌にまで七キロの間の見通しが悪くなるからというて、それが何百万円という金がその補償として出ておるということになると、私が心配しておったのは、これに
関係ある二十九の私鉄が近江鉄道にこういう補償を出すくらいならうちもこういうことだ、ああいうことだと出てきたら、新幹線が完成までにこういうようなことについても多くの費用を支出しなければならぬというようなことをわれわれは心配しまして、そういうような言いわけ的なことではなくして、これはどうだ、あれはどうだといわれると、私も同じ滋賀県の選挙区でありますので、結局政治的な
立場から何か言うのは遠慮しなければならぬと思って終始沈黙を守っておったのです。しかし関連的な問題についてあまりにも答弁がでたらめ過ぎるので、この間の関連質問でも言うたのです。関連質問の対象でありました総
局長がやめられた、総裁がやめられましたから、私は繰り返すようでございますけれども、今日までの
状態を
——社会党は何も別に
反対せんがために
反対しておるのではなくして、今後こういう大きな膨大な赤字が出ておるのに、さらに膨大な赤字をふやすことになりますので、そういうことにつきましては虚心たんかいに、ただ単に言いわけ的じゃなくして、実際の
責任者はやめておるのですから、新しい
立場に立った人が、新しい
立場、観点に立ってこの新幹線が一日も早く完成されるように努力してもらいたいという
立場から、われわれは長い日を費やしてこういう質問を重ねておるのでありまして、何も目標があってやっておるのではありませんので、そういう意味におきまして、ひとつ
国鉄当局においても十分考慮していただきたい、こう考えるのです。いまの私の質問において間違っておるところがありましたら御答弁を願いまして、なければ参考として聞いていただきます。