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今井(榮)
政府委員 先般五月一日の
日東航空の
事故につきまして御報告申し上げた直後でございますが、五月十日に
仙台空港におきまして、
全日本空輸の
定期便ダグラスDC−3が着陸後に
事故を起こしました件につきまして、御報告を申し上げたいと思います。
たび重なる
事故を惹起いたしまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。本
事故につきましては、概況は、五月十日
機長後藤豊次、副
操縦士渡部重美、
スチュワーデス今泉喜美子、この三名の
乗員のもとに旅客二十四名を乗せまして、札幌、三沢を経由しまして
仙台に到着いたしたのでございますが、
滑走路に着陸した後に、接地後約五百メートルを滑走いたしまして、左側の北側の
芝生地帯に逸走いたしまして、
右主翼を吹き流しの柱に接触した後に、さらにしばらく走りまして擱座いたしましたという
事故でございます。
乗員は三名とも
重傷を負っておるわけでございますが、お客さまにも一週間以上のけがをされた
方々が三名ございまして、さらに二名軽傷ということで、はなはだお気の毒に存じますが、不幸中の幸いと申しますか、死亡された方がなかったのは何よりと存じておる次第でございます。
事故が起こりまして、直ちに
原因調査のために係官を派遣いたしまして、その後
調査をいたしておるのでございますが、何ぶんにもまだ
乗員が
重傷でございますので、しばらく回復した後に十分な
調査はいたしたいと思っておりますが、現在まで私
どもが推定いたしますところでは、機体、
発動機等につきましては何らの
故障は認められなかったというふうに考えております。さらに
乗員の証言でも、特に
事故を発生すると認められるような
故障は、全然なかったというふうに証言いたしております。
原因として考えられますのは、正規に着陸いたしておりますし、それからまた
事故機が着陸いたしました際の
気象は、雲の高さが約四千メートル、それから視程も約三十キロメートル、さらに風速は南南東五メートル程度でございまして、
気象上
事故を起こすというふうなことは認められないのでございます。
この日、実は私
どもは過般の
日東航空等の
事故につきまして、その
事故対策を
十分各社に徹底する趣旨で、
各社の
運航担当者を集めて十分な打ち合わせをしておりました直後でございましただけに、はなはだ残念に思っておる次第でございます。私
どもは
航空の
事故は
絶無を期するというたてまえから、今後ともさらに
各社と十分な
事故防止についての
対策を
協議いたしたいと思っておりますが、さしあたっては、単に
運航規程、
整備規程等の順法ということのみならず、その
運航、
整備の両面の
規程をベースにいたしまして、
各社それぞれ独自の自社に即応する
事故対策を立てるように現在指示をいたしておるわけであります。
全日本空輸は従来も胴着その他の
事故が二、三件ございますので、
全日空自体としても、緊急に今後の
対策を現在立てておるわけでございまして、私
どもに報告いたしてまいりました
対策といたしましては、まず
臨時に二名の
専任の
査察操縦士を
指名いたしまして、早急に全
操縦士について
臨時の
査察を行なわせる。その
査察の結果、
不適任者があると認められる場合には、さらに再
教育を徹底する。それからまた
専任機長制度を各
機種ごとに設けまして、見習いであるとか、あるいはまた正副
操縦士の
指導教育をさらに徹底化する、こういうことも言っております。またさらに今回
事故を起こしました
DC−3につきましては、
機長を固定化して、その
機種で十分老練な
操縦士になり得るようにすることとか、あるいはまた臨機の
措置を十分とり得るように、平素の訓練の
内容等につきましても、さらに実際的なものとして機宜に応じ得る
措置を講じ得るように技量を練摩する。こういうようなことを具体的にいま
検討いたしておる
状況でございまして、私
どもといたしましても、今後とも
事故の
絶無を期して、全力をあげて
安全行政に邁進いたしたいと思っております。
以上でございます。
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