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吾孫子説明員 過般来
東海道新幹線工事の
予算が
相当額不足しておるということにつきまして、
新聞等にいろいろ報道せられております。これはもちろん
国鉄当局として何ら発表したようなことがあるわけでもございませんのですが、
新聞にあるいは六百数十億足りないとかあるいは八百億足りないとかあるいは千億足りないとかいうような
予算不足の問題が起こっておるということが報道せられまして、いろいろ御
心配をおかけいたしておることを当事者としてまことに申しわけなく存じておる次第でございます。
実は
新幹線の
工事そのものはおかげさまで技術的には何らの問題もなく、着々と
予定計画に沿うて進められておるのでございますが、この
工事の
予算につきましては一
新聞等に報道せられましたとおり、
相当額の
不足が予想される
状態になってまいっておるのでございます。ただしその額につきましては、実は率直に申し上げますが、私
どもといたしましてもかなりはっきりしてまいりましたのは、きわめて実は最近のことでございますので、まだいろいろ精査しなければならない点もございますし、どれだけ
不足かということについての額を
確定いたしますにつきましては、何しろ
国鉄にとりましてはもちろんのことでございますが、国家的な大きな問題もございますし、いろいろ
関係の
向きとも御相談申し上げなければならない点が残されておるように存ずるのであります。そういうような次第でございますので、はっきりした額は実はまだ
政府御
当局にも御
報告も申し上げられないような
状況にあるわけでございますが、概括的に申しますと、
新幹線の
工事の
進行に伴いまして、だんだんはっきりいたしてまいりましたことは、その後の
設計の
変更あるいはいろいろな
関係の地元との
協議その他いろいろなことが影響しまして、
工事の
内容そのものが、先般御審議をいただきました
予算編成の際に想定いたしておりましたものより以上に、たとえばトンネルの長さがより長くなりますとか、あるいは鉄橋の長さがやはり長くなりますとか、あるいは
高架構造の部分がこれまた相当延びざるを得なくなってまいりましたり、あるいは当初考えておらなかった
線路の
路盤の横に
側道をつくらなければならないような
事情が起こってきたとか、あるいは
用地の
関係におきましても、当初
線路の
路盤のために必要な
用地だけを確保すればそれで済むだろうと思っておりましたものが、
土地の
所有者側の方で、売却に際して残った
土地が、いわゆる
残地がそのままではもう使いものにならないから
残地も買い取ってもらいたいというような話が出てまいりますとか、いろいろな
事情で、やはり
工事の
進行に伴いまして、新たに当初予想していなかった
工事費が必要だと思われるようなものが相当重なってまいっております。それに加えまして、こまかく申し上げると切りのないことでございますが、ただいま御承知のように
試運転線区でいろいろ
試運転をやっておりますが、
国鉄としましても、従来の千五百キロ
ボルトの
直流電化区間でやっておったのとは事変わりまして、二万五千キロ
ボルトというような大きな高電圧の
交流電気で
高速運転をやるというようなことから、これまた
試運転をやっております間に、やはりいろいろ
試運転の結果
設計上の
変更等も行なわなければならないというような
要素も出てまいりました。それやこれや
検討いたしまして、これに必要な
予算がどれくらいになるかということもただいま鋭意
検討中でございますが、どうしても
相当程度予算の
増額をお願いいたしませんと、
工事の完成が困難であるというような
事情が出てまいりました。
一方、しかしなかなか
内容を
確定しがたい理由といたしましては、それぞれの
工事の
予算の
増額を要するといわれております
項目それぞれについて、やはり相当
検討しなければならぬ点がございますのと同時に、やはり
開業時の規模、
条件等をどういうふうにするか、端的に申しますと、六両
編成の
運転で動かすのか、
十両編成の
運転で動かすのか、十二両で動かすかというようなこと、あるいは
開業時の駅の
設備等をどの
程度のものにするかというようなことでございますとか、なお未
確定の
要素もいろいろございます。それらの点につきまして、
関係の
向きの御意向も十分伺いたいと思っておりますし、
国鉄部内としてもさらに
検討をしなければならない、
要素がございますので、私
どもといたしましては、事柄の
重大性にかんがみまして、万一間違いがあるようなことがあってはたいへんでございますので、目下鋭意これらの
数字の
確定等につきましても、また
計画の細部にわたりましても再
検討をいたしつつあるような
状況でございます。
したがいまして
新聞等に報道せられました
予算不足額というものは、あのとおりであるかどうかということはただいままだ申し上げかねる
状況にある次第でございますけれ
ども、率直に申し上げまして、
相当程度の
予算が
不足であるということは事実でございまして、これを今後
いかように処理していったらよいものか、たいへん苦慮もいたしておりまするし、これらの点につきまして、
政府御
当局はじめ
関係の
向きの御支援、御指導もいただかなければならない、かように存じておるような次第でございます。いずれにいたしましても、当初
予定いたしておりましたより以上に
予算が
不足するというような
事情になってまいりましたことにつきましては、私
どもまことに申しわけなく思っておりまするが、同時に
東海道線の現在線の
輸送力の行き詰まりということも、もう目の前に見えておる事実もございますし、これはやはりどうしても早期に、所定の目標の時期までに完成いたさなければならないものと考えておりますが、またこの
新幹線の
工事を含みますところの五カ年
計画全体につきましても、これまた
国鉄として当然完全に遂行しなければならない責任を負うておるものでございますので、これらの点につきましてできるだけ所期の目的に沿うよう、しかしまたこの大きな
財源の手当てについては、
国鉄の独力をもってしてはとうてい処置し得る
状況でもございませんので、苦慮いたしておるよらな次第でございますが、いろいろ御
心配ばかりおかけするようなことが出てまいりまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。
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