○久保
委員 それではそういうことにいたしまして、まず第一に、今回
提案されている再建に関する
法案のねらいは、先般もお尋ねしましたが、結局詰まるところは、日本の海運界の不況をこれによって打開しようということかと思うのであります。ついてはその不況の原因について明確な認識と対策がなくてはならぬと思うのであります。この不況の原因について、今までのお答えの中ではどうも明確でなさそうに思う。前提が明確でないから、よって出た政策もあまり明確でない、こういうふうにも思うわけであります。
そこで、この不況の原因についてでありますが、言うまでもございません、結局収益性が低いということ、収益性が低いのは何ゆえかということがまず取り上げられなければならぬ、この先般当局に要求しました
資料によりましても、三十七年九月期
決算によるところの収益性を見て参りますと、会社
決算によるところの、いわゆる現実の
決算によるところの償却をした場合、現実の償却をやって、その場合における収益率はどうかということでありますが、これは五十四社で五・〇九%の収益率であります。これがいわゆるノーマルな償却をした場合にはどういうことになるかというと、収益率は残念ながら三・〇六%、その他の産業から見ておりましても、これは言うまでもありませんが、いわゆる借入金の利子その他を払う以前の話でありますから、結局高金利その他の問題は、資本構成の問題については無
関係でございます。単純ないわゆる海運
企業としての利潤というか、収益率でありますから、ほかの産業に比べてもこれは一番低位ではございます。大体この
海運業に見合うようなものは、
一つには電気
事業がございます。この収益率は、当局から
提出されたものは六・九%であります。この減価償却は六・一五であります。もちろんこれは償却率は海運に比べては若干下目になっています。下目になっていますが、おおよそ一番低いのがこの電気業として六・九%。ところが海運の場合は
決算そのままでいって五・〇九%、さらに正常な償却をした場合には三・〇六%というような低率なんです。この原因についてしさいに検討し、その対策を講じなかったならば、日本の海運界というものは残念ながらこれは先行き見通しは暗いというよりは、もう壊滅になるだろう、こういうふうな見方もできるわけであります。
そこでこの収益率の低い原因は何かというと、単純には
二つある。積極的な
意味では、いわゆる
運賃収益が低いということ。収入の最大のものであるところの
運賃収入が低い。さらに反面、これは言うまでもありませんが、海運
企業のいわゆる資本投下、それが過大であるということ。過大であると言うと言い方は悪いですが、結局能率的な運営がなされていないという反面が出てくる。これは
先ほどの
運賃収益が非常に低いということと密接な
関係が、もちろんうらはらでありますから、あります。その原因は何かというと、
一つにあげられるのは、これは過当競争だ。過当競争も、日本におけるところの海運
企業内部における過当競争もあるだろう。さらには国際的な慢性的船腹過剰によるところの過当競争が出てくる。この
二つの面をまず
考えなければいかぬ。
一つの国際的な船腹過剰対策としては、これは残念ながら今日展望はない。なかなかむずかしい。
海運局長はいろいろ申されているのでありますが、努力はするにしても、これは非常にむずかしい。いうならば、まず第一に日本国内におけるところの海運
企業の過当競争をいかにして排除するか、これが
一つ、さらにもう
一つは過当競争の結果から当然これは国際的にも
関係がありますが、日本の
海運業とこれの
関係の荷主との
関係、いわゆる
運賃の問題、この問題をやはり
考えなければならぬ。過当競争の結果、外国用船等もございますから、当然そこには
運賃レートの引き下げが
現象として起きてくる。これを利用するところの国内産業の問題が出てくる。こういう問題についてこれはどう
考えていくか、さらにもう
一つは、船価、いわゆる船舶の建造の資本というか、建造費というものははたして外国船に対して高いのか低いのかという問題、こういう問題を両方兼ね合わせて
考えて、その結論として対策があるべきだと思うのです。この
提案されたところの
二つの
法案の
一つは、五カ年とにかく利子たな上げをしてやろう、その間、元本の返還に充てて、少し身軽にしようということ、もう
一つの
法案は、開銀四分、市中六分まで利子を引き下げて建造利子を軽減しよう、こういうねらいでありまして、なるほどこの利子補給の改善については、一応当面低金利になりますから、この面では外国船との競争にも、計算上は、これはメリットがある。しかし、
先ほど来申し上げたようなそのメリットが今日の
海運業と荷主との間の
関係から、必ずしも
海運業のいわゆる歩どまりにはならぬではないかという観測であります。こういう基本的な問題についてどう
考えるのか。さらには船価そのものが、輸出船との
関係で、これは大体同じくらいになっておる。日本の輸出船といわゆる国内船との
関係ではどうなのか、金利の問題は
先ほど申し上げたような
一つの
法律によってある
程度これは格差がなくなってきた。こう見るべきだと思う。しかしながら、船価そのものがはたして国内船は割高なのかどうか。聞くところによれば、輸出船に対しては、それに必要なところの鉄鋼いわゆる厚板はトン四千円の輸出奨励金が出ておるそうであります。日本船についてはこのトン四千円の格差がまず第一出てくる。こういう問題について対策が
一つも今まで打ち出されておらない。しかも輸出船として建造された船は、日本内部におけるところの産業の長期用船
計画を前提にしておる。この場合、当然日本の国内
海運業の船との格差が出てくる。結局
運賃をその分だけ引き下げられるという
現象が出てくる。こういう問題についてはどういうふうに
考えておるか。だから結論として将来の展望はどうなのか。この
法案を
二つ出した展望としてはどうなのか。
一つは、日本海運の将来の展望としてどういうふうに
考えておられるか。なるほど
法律の第一条の
目的はわかったが、これに合致させるためにはどういう展望に基づいて、たとえば
一つには今申し上げた日本の海運の将来の方向はどういうふうに持っていくべきか、その中身は言うまでもありませんが、主要
定期航路におけるところの
経営の規模はどういう規模に置いていこうという
考えなのか、あるいはオペレーターの間の協調態勢というのはどういう方向へ持っていくようにするか、あるいは定期船については、その量と質、そういうものをどういうふうに置きかえていこうとするのか、あるいはそれに基づくところの将来の建造方式というか、建造の
関係はどういうふうに持っていくか。さらには今後の日本海運
企業のあり方としてどうなのか。全体の日本海運の姿としてどうなのか。もう
一つは、今申し上げた日本の海運
企業の姿というものをどうするのか。個々の
企業というものをどういうふうに指導していくか。この集約によって再編成をするのだが。再編成によるところの個々の
企業というものは、どういう姿を
考えておられるのか。そういう点をくどいようでありますが、まずお尋ねしなければならぬと思う。いかがでしょう。