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1963-03-15 第43回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十五日(金曜日)   午前十時十六分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       尾関 義一君    加藤常太郎君       壽原 正一君    砂原  格君       關谷 勝利君    井岡 大治君       加藤 勘十君    田中織之進君       松原喜之次君    矢尾喜三郎君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸事務官         (船員局長)  若狹 得治君  委員外出席者         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 三月十三日  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇八号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海運業再建整備に関する臨時措置法案内閣  提出第七七号)  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補  給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七八号)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  海運業再建整備に関する臨時措置法案、並びに、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法及び日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。加藤勘十君。
  3. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 運輸大臣にお尋ねしますが、私どもがこの措置法内容を提案の御説明で聞きまして、それからこれをしさいに検討していきますると、ここにはただ単に文字の上に現われたばかりでなく、日本経済界本質に触れるものがあるということを見てとることができるのです。それはちょうど石炭の問題が一方で企業整備で非常にやかましくいわれておる、企業整備をどうしてもやらなければならぬ段階に追い込まれた石炭の問題が、日本経済の一面を語ると同様に、石炭の問題は関連する従業員の数が非常に多いということから、世間でも大きく問題になっておりまするが、この海運企業の問題につきましても、本質においては、私は石炭が今日の段階に追い込まれたと同じような状態を見せておると思うのです。今日のこの措置法を出さなければならなくなった現実は、一体どういう過程を経てこのような段階になったのか。もしこの措置法による措置が講ぜられたならば、ほんとうに日本海運界は立ち直るという明確な見通しを持っておやりになったのか。まあおそらく当局としてはそういう見通しを持っておやりになったであろうと思いまするけれども、われわれは、ただこれだけで海運界が立ち直るということがどうも感じられないのです。  そこでまず第一にお伺いしたいことは、今日の海運界実情がどういう原因によってこのような事態を招来するに至ったかということについての当局の御見解をまず大臣からお伺いしたいと思います。
  4. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 これは遠因は、御承知のように、敗戦の結果、従来ありましたる一兆円になんなんとするその当時の世界の優秀な船がなくなり、同時にそれに乗っておりましたる優秀な船員がまたなくなった。これが遠因であります。その後この致命的と申しますか、海運界にとりましては致命的の打撃があったのでございます。それを海運基幹産業として必要であるという見地から、政府ではいろいろでき得る限りの再建に尽力して参りましたが、ただいま申しましたように致命的な、全部なくなったという、ちょうど岡田委員が本会議指摘されたような状態でありますからして、これが遠因であります。近因と申しますか、その後いろいろな施策を講じまして、トン数においてはなるほど戦前に匹敵もしくは上回っておりますが、しかし、内容加藤さんも御承知のように、まず第一に財政基盤が脆弱であります。すなわち資本構成が脆弱であります。それが一つ。その資本構成を無理しておるところの高金利ということが一つと、それから戦後、ことに朝鮮動乱スエズブーム等によりまして、会社が非常に積極的な拡張計画をやった。それが案外朝鮮動乱も早く済み、スエズ運河の閉鎖も間もなく解決いたしたものですからして、その間非常に積極的だった各船会社過当競争をやった。その二つが私はおもな原因じゃないかと思います。  それじゃそれをどうすればいいかということになりますれば、今言ったように資本基盤を強化することが一つ、それから次には高金利を低金利にすることが一つ過当競争を防止せしむることが一つ、これをやるためには、現在の段階におきましては、まず自立体制を確立して、それに企業努力と相待ちまして世界的に、戦前とまではいかなくとも、先進国英米に対する競争力を強化するようにすることが、これをやることによって一歩前進する。  それではなぜ今までほうっておいたかと申しますと、海運造船合理化審議会におきましていい答申が出ているのでございますが、私の前任者のときには、それを諸種の政治上の理由かどういう理由か、ほうってあったというのが実情だろうと思います。それを私はどうしても今度やっておかないと、また立つあたわずというような状態になることをおそれて、われわれが考え得る最大の案を今度考えたような次第でございます。
  5. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 まあ大臣としてはごもっともな御意見だと思いますけれども、従来戦争によって保有船腹をほとんど大半喪失して、それに対する何らの補償が与えられなかった。こういうことは業界方面は異口同音に言っておるところであります。それだからどうしても国家の力にたよらなければいかぬ、国がめんどうを見てくれなければいかぬという、こういう依存心が基本的に横たわっておったのではないかと思うのです。そういうことから、いよいよ企業努力というものが、われわれは門外漢でしろうとだからわかりませんけれども国家権力に依存して何とかしてくれるんだろう、何とかしてもらわなければならぬという依頼心企業努力相当に相殺して、あまり努力が行なわれなかったのじゃないかということも一つ思われると思うのです。そういう過去のことはともかくとして、政府も今までの間決して放任しておいたわけではない。御承知のようなああいう造船疑獄というような問題を引き起こしてまで政府は力を入れようとしたわけなんです。しかし、その結果は今日に至るまで何らの功を奏していない。スエズ運河朝鮮動乱等影響によって、いわゆる海運ブームを引き起こした当時において、一体海運界は何を自己整備として行なったか。ただむやみに船腹を増加することだけしか考えなかったではないか。その船腹増強は今おっしゃる通り戦前は六百万トンそこそこであったと思うのですが、今日は九百万トンからに達しておる。はるかに船腹は増大しており、荷動きもそれに匹敵して世界的に多くなったから船のトン数もふえた、こういうことを言われますが、私は何かしらそこには同じ日本経済界動きの中に海運界として立ちおくれたものがあるのではないか、経済全般の成長につり合わないものがあるのじゃないかということをどうも考えさせられるのです。すべての産業がいつも政府の経済的な援助、財政的な措置をこうむっておるというわけではないわけです。それにもかかわらず成長するものは成長し、伸びていくものは伸びていきつつあるときに、御承知のように、石炭はもう終戦以来石炭オンリーといわれるまでに手厚い国家の保護を受けた。それにもかかわらず石炭は日に日にいわゆる斜陽産業というようなことに陥ってしまっておる。これは石炭産業そのもの自体時代動きに沿わないものができてきたのじゃないか。たとえば石油がこれにかわるとか、あるいは合理化によってだんだん石炭使用部分が減っていくとかいうようなことが、石炭産業を今日の状態に陥れたと同じように、何かしら海運界においてもそういうものがありはしないだろうか。こういうことについて当局は、ただ今おっしゃるような程度の経過で今日の事態になったのか、産業それ自体時代の進運にどこかしら一つ欠けたものがあるのじゃないかということを感じられるのではないかとわれわれは思うのですが、当局はそういう点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  6. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 石炭産業には、ただいま加藤委員の御指摘のような事情で政府相当力を入れられたのでありますが、今日のようなことになったことはまことに残念でございますけれども、私は海運業につきまして必ずしもさように考えておりません。何と申しましても、日本は御承知のように四面海ですから、海による交通というもの、また戦前の実績、それから国民感情等が、海運ということにつきましては相当な熱意を持ち、同時に発展し得る素地があると私どもは思っております。かるがゆえに、ここで一つ締め直しまして、そうしてただいま申しましたように、まず自立体制の確立、過当競争の防止、企業集約化の三つをやりまして、そうして一見現在においては斜陽産業のごとき感を抱く人もありますが、私は必ずしもそうは思いません。これをやるならば、今後私どもがねらっておる早ければ五年以内、おそくも十年、十五年のうちには、往年の日本海運界世界海運国といわれるまでに発展することが必ずしも不可能でないこのときこの際に適当な措置をやらなければ、悔いを千載に残すようなことになりはしないかということを憂えまして、私はあらゆる障害を排除いたしまして、現状においてはこれが最上の案なりと考えまして提出いたした次第でございます。
  7. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 これは好むと好まざるとにかかわらず、海運企業そのものは、どうしても国の存立上発展せしめなければならない産業の一種だと思います。そういう点において当局が全力を入れられるということは、もとよりわれわれも異議はございませんが、ただこの現在示されておるような案ではたして立ち直ることができるか、それからまた政府の力に依存するという業界態度だけで立ち直ることができるかどうか、こういうことも当然考えられます。ある新聞の報道によりますると、もしこの案で失敗すれば日本海運業はもう国家経営に移さなければならないであろう、こういうことが報道されております。これはもうおそらくごらんになっていらっしゃると思うのですが、それほどに今資本主義社会においての海運業というものはどたんばに追い込まれておると思うのです。われわれも今一挙に海運業だけが国営になり、国鉄二の舞をやるようなことはあまり芳しいことだとは思いません。事業自体は成長せしめなければならない、堅実化させなければならない、しかし、その方法においてもし一歩誤れば、どういう形か知りませんが、その新聞の報じておるように、国有化国営化が行なわれなければならないことになるということは、今の段階においての国有国営化というようなことは、私どもは、本来ならば社会主義のわれわれの思想的な立場から言うならば、動力基幹産業等は全部国有国営にしたいのですけれども、それは今話が別ですからそのことには触れませんが、そういう段階に追い込まれる。今国鉄の問題なんかもいわゆる公社制度でやっておりますけれども、決して私はいい成績を上げておらぬと思う。だから、国鉄のような二の舞海運界がやらなければならぬということはむしろ避けるべきではないか。それについてはもっと掘り下げて、業界自分の力で立ち直るという機運を巻き起こさせるような方向に向かっていくべきではないか、政府がこういう工合に力をかしてやる、それならばそれにたよって甘んじておれというようなことではいけないんじゃないか。とかく人はやすきを求めて、業界も今こういう現実だから、これをほっておかれたのでは海運界は参ってしまうから、政府は何とかしてくれ、こういう態度に出てきているということが、こういう案を生み出すに至ったんではないかと思うのですが、そういう点についての大臣のお考えはどうでしょうか。
  8. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もとより産業基盤を強化することはそれぞれの業務に携わっておるものの責任でございまして、私はさような考えでこの法案を出したのではありません。さきにたびたび申しますように、企業家努力と相待ち、そうして最善を尽くしてもらって自立体制が確立していく、それのための政府の助成が本法案提出せしむるに至ったのでありまして、これは必ずしもあるオーナー、あるオペレーター等にとりましては甘い法律じゃないのです。これが実現される過程におきましては、諸種の困難が伴うだろうと思いますが、その困難を克服してやるのでたければ、私は海運界が、加藤委員のおっしゃられるように自滅の域に行くんじゃないかということを憂える。しかも、基幹産業だからして国家は何とかしなければならぬ。財政が許すならばいろいろな方法はありますが、現状国家財政等を勘案しまして、本法案が私は一番時宜に適して、そうしてこれによって海運界再建が一歩前進することを確信いたしまして、本法案提出いたした次第でございます。
  9. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 その点これは意見の相違になりますから、これ以上は申し上げませんが、ただ、今大臣指摘されたように、現実海運界不況といいますか悲況といいますか、それの原因として遠因等をあげられましたが、現実に今海運界を苦しめておる、海運界不況に陥っておる直接の原因としては、もっといろいろなものがあるのではないかと思うのです。たとえば具体的に言うならば、盟外船運賃競争であるとか、あるいは輸出の大宗を占める対米関係において、その物資輸送力がいわゆるシップ・アメリカン方式で、アメリカの船を利用して日本の船が利用されないということ等、もう一つは、外国の船が、国籍を別にして、いわゆる新興国といいますか、税金の安いところに移動させて、そういう国籍によって安い運賃で物を運ぶ。こういうような点が直接日本海運収益の上に大きな障害を与えておる、こういう工合に思うのですが、こういうような点についてはどうですか。これは局長でけっこうです。
  10. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 お答えいたします。  種々御指摘になったことは、もちろん今日の海運不況原因でございます。しかしそういう原因を除去するために、その前提条件として本法案によって自立体制を確立するように努力するというために出したのでございまして、シップ・アメリカンもありましょう、それから今の盟外船の跳梁もありましょう、こういうことは日本海運界自体が強化されなければ、なかなか解決は困難だろうと思います。  その具体的なことにつきましては事務当局をして答弁いたさせます。
  11. 辻章男

    辻政府委員 ただいま盟外船の問題、あるいはシップ・アメリカン、いわゆる国旗差別の問題、それから便宜置籍船等の御指摘がございましたが、盟外船の問題につきましては、現在対米航路におきまして盟外船による日本海運の被害は相当なものになっております。これに対処します方法といたしましては、先ほど大臣から申し上げましたように、今回の措置によりまして企業力を強化するとともに、集約した企業間の協調を一そう進めまして、でき得れば邦船を一本化して経費の節減をはかるとともに収益増高をはかり、もって盟外船に対抗していくという方法を私どもとしては考慮しておるわけでございます。  それからシップ・アメリカンの問題につきましては、外交折衝を通じまして、機会あるごとにアメリカ側の反省を求めてきております。現在、それによりまして、アメリカの風潮がこれを放擲するというところまで至っていないのは遺憾でございますが、少なくとも現在以上にこれを推し進めようという気配はございません。アメリカの国内の感情としましては、新聞紙上等にも言われます通り、非常に根強いシップ・アメリカン動きがあるのでございます。政府といたしましては、日本初め西欧諸国からの強い抗議もございますので、これを極力抑制しておるというふうに見られるような次第でございます。  それから便宜置籍船の問題も、いわゆる伝統的な海運国といたしましては重大な問題でございます。幸い現在の日本海運状況からいたしますと、日本を中心とした航路におきましては、便宜骨籍船との競争状態はあまり起こっていないわけでございます。しかし、この問題は現在そういう状態にあるといたしましても、将来の問題としては大きな問題をはらんでおりますので、私どもとしましては、これの対策については検討を続けておるというふうな状況でございます。
  12. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 ことしの一月末ごろの新聞を見ますと、運輸省アメリカボナー法施行細則問題等について抗議する、こういうことが報道されておりますが、どういう形で抗議をされているか、その結果は今おっしゃった程度のものでしかないのか、あるいはもっと具体的に何か形に現われておるのか、この点はどうですか。
  13. 辻章男

    辻政府委員 ボナー法の問題につきましては、実はあの法律の制定当時強い抗議をしたわけでございます。これは日本を初め西欧諸国も一致してこれに強い反対をしたのでございますが、遺憾ながらアメリカの国会ではあの法律を成立させたわけでございます。それで今御指摘がございました、本年これについて抗議をしたというふうな新聞記事が載りましたが、これは、もちろん精神としましてはボナー法根本精神反対であるということには変わりないのでございますが、形としましては、ボナー法施行規則段階におきまして、アメリカ政府も非常に強い反対を顧慮いたしまして、施行規則の問題について各関係海運国なりあるいは海運業者意見を聞こうという態度を示しまして、法律の根本的な問題としては反対でございますが、現実問題としては運用においてできる限りこちらの意見をいれるようにという意味で、施行規則等についての細目についての申し入れをしたようなわけでございます。
  14. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 シップ・アメリカン制度なりあるいは社外船といいますか、盟外船の低運賃競争が、今の日本海運界不況の直接の要因となっておるようでございますけれども、同時に企業自体の、先ほど大臣がおっしゃったような基盤が脆弱だという点もあると思います。そういう点から今度の案が生まれてきたのだろうと思います。いわゆる海運白書に発表されたものによりますと、三十六年度の輸入物資だけについて見ても、日本の船はわずかにその四一%しか扱っていないというようなことで、前年に比べれば一五%の増加を見ておるけれども、全体としてはわずかに四一%に過ぎないので、海運関係国際収支は四億五千六百万ドルという非常に大きな支払い超過になっておると新聞も報じております。その大きな原因シップ・アメリカン、これはもうだれでも、われわれのようなしろうとでもよく知っておることでありまして、ことにアメリカから日本輸入しております小麦などの輸送はほとんどアメリカの船によらなければならぬということになっておる。石炭でも無煙炭であるとか粘結炭であるとか、みなそういうように聞いておるのですが、そういうことに対して——なるほど対米関係は貿易の一番大きな関係を持っておりますから、これを軽んじていいというわけではありませんけれども、毎日新聞の一月二十九日付の社説にこういうことが書いてある。おそらく当局ごらんになられたと思いますけれども、「米の干渉排除努力を」という小見出しで、「米国政府がいまのような強い自国船優先政策海運企業の自由に対する干渉をつづけているかぎり、日本海運再建はなかなか期待できそうにない。米海事法は、さき航路同職加入会社の二重運賃制の採用を合法化したが、いまなお航路同盟に対し、運賃の設定、協定の運用について干渉している。この際、政府に望みたいのは、ねばり強い外交交渉によって米国自国船優先政策を緩和させるとともに、ぜひとも過度の干渉を排除してもらいたいということである。さらにEEC欧州共同市場)域内で、共通輸送政策の調整が進められていることを重視する必要がある。EEC国際海運政策はまだ共同市場条約九十二条の規定外におかれ、一昨年六月の運輸政策に関する覚書、昨年五月の同覚書実施案の作成だけで、結論はえていないが、英国の加入が解決すれば、ノルウェーなど北欧三国の加入も予想され、そうなれば、共通運輸政策は案外早く実施されるかもしれない。政府業界もこれらの影響に十分留意して海運政策を進めなければ、真の海運企業再建はできないだろう。」こういうようにアメリカ依存アメリカにだけ頼るということがはなはだ頼りないということばかりでなく、こういう方法を継続しておったのでは、——これはもう当然このいわゆる措置法の素案が発表された後の社説でありますが、——こういうように海運関係の問題につきましては、識者はみな相当に憂えておると思います。こういうことに対して、これは運輸省ばかりでない、政府全体の関係になると思いますけれども、対米依存をやはりこういう具体的な一つ一つ実例によって打破していくという方式をとっていくことが必要じゃないかと思うのです。こういう点に対してはどうお考えでしょうか。
  15. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 お説のように一つ一つ解決すべく努力いたしておりまして、だんだんねばり強く交渉いたしました結果、輸入邦船積み取り比率も少しずつ上がっているんじゃないか、またアメリカの世論ももうこれ以上、何といいますか、海洋自由の原則に制限を加えるようなことをやっては自分の国も困るんじゃないかという機運に向かいつつあるということを外務当局からも報告を受けております。何はともあれ、ただいま申しましたような方針でなるべく日本の船を使うように、一昨々日でしたか岡田委員の質問にあったカナダの麦の輸入の問題についても私はさっそく農林大臣交渉をいたしまして、何とかこれだけでもとにかく年間二百五、六十万トンあるのでございますから、これは日本の船で輸入したらいいんじゃないか、何ゆえに農林省は外船を使うのかということについて検討を要求いたしたような次第でございまして、あらゆる面であらゆる力を尽くしまして、海運業再建努力いたす所存でございます。シップ・アメリカンの情勢も日米経済関係のみならず、ひいて外交関係においても非常にまずくなるからということは、アメリカ識者は了承しつつあるやに私ども考えております。
  16. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それからもう一つ要因であるいわゆる盟外船との関係ですが、これによりますと、日本から出ていくミカンのカン詰実例をとってみると、盟外船競争のために同盟十一社の船賃も大西洋岸向けが一五ドル下げ、太平洋岸向けのものが五%下げ、こうしていわゆる運賃低下のシーソー・ゲームが行なわれておる。こういうことがいわゆる運賃収入の上に大きな影響を与えておると思いますが、この胆外船との関係は、多くの場合、日本の船が多いと思いますけれども、この両者の関係をどういうように将来調整されようとするのですか。
  17. 辻章男

    辻政府委員 同盟盟外船との関係でございますが、これは現在有力な盟外船が二社出て参りまして、これは船質はもう非常に劣るような船ですが、コストの安い運賃競争をいどんできておるわけでございます。これに対しまして、今御指摘ございましたように、同感側としては、商売上の問題としまして、ある程度運賃を値下げしてこれに対抗しておるわけでございます。盟外船も、これは盟外活動をすることが商業上利益があるという観点に立って盟外活動をやっておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、同盟船もこれに対抗して、損失はございますが、対抗上運賃を下げて参りますと、盟外船の方に参っておりました荷物もせきとめられるということになって、だんだんと監外船の収支も悪化してくる。そういう状況で、ある点に立ち至りますれば、むしろ盟外船同盟船と協調してやった方がいいんじゃないかというふうになりまして、また再び安定が取り戻されるというのが盟外船同盟船との過去の歴史でございます。このニューヨーク航路を中心とします盟外活動もそういう方向によって解決をさせていきたい、それがために、少なくとも郵船間におきましては一本化の線を進めまして、経費の節減と収益力の増加をはかって、これにある期間は損失を忍んでも対抗していかざるを得ないんじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  18. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それは運賃関係だけでいけば、盟外船といえどもやはり商売でやっているのですから、そうなると思いますけれども、この両者の調節はそうでなくて、今度の措置法によってもし会社の整備が行なわれて、いわゆる百万トン確保が実現されて、それの会社だけがいわゆる国家の恩恵を受けるということになると、いわゆる盟外船として今まで単独で小さく働いておったそういう業者は一体どうなるのか、これはもうつぶしても、つぶれてしまってもしようがない、つぶしてしまおうという方針なのか、これを生かしていこうというのか、そういうことの関係はどうなんですか。
  19. 辻章男

    辻政府委員 今海外航路におきまして盟外活動をいたしておりますのはすべて外国船でございまして、日本船はわれわれの行政指導を受け入れていただいておりまして、すべて同盟加入して同盟船として協調体制で進出しておりますので、盟外船がどうなるかということにつきまして、日本海運企業がどうなるかという問題はないわけでございます。
  20. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それは私の聞きそこないかどうか知りませんけれども日本の船でもやはりアメリカ回りにもちろん同盟船外で回っておる船があるということを聞いておるのです。今あなたのお話だと、外国国籍のものばかりで、日本の船はないというようなお話ですが、ほんとうにないのですか。
  21. 辻章男

    辻政府委員 定期航路盟外活動をしておりまする海運企業はございません。
  22. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それは定期船じゃないのですよ。不定期です。要するに問題はいつでも不定期の問題の方が問題になると思うのです。定期船というものはもうきまっているのだから、運賃のそんなに引き下げ競争なんかもやらないと思うが、不定期船が問題なんですね。不定期船ではそれがあるということを私は聞いておるのですが、どうなんですか、実際問題として。
  23. 辻章男

    辻政府委員 盟外船と申しますのは、定期船の分野におきまして、海運同盟と対抗して活動しておるものを盟外船といっておるわけでございますが、不定期船につきまして、盟外活動という観念はないわけでございます。不定期船は、一万トンなら一万トンの、その荷物のあるごとに配船をやっていくというやり方をしておるわけでございまして、これにつきましてはいわゆる盟外とか盟外でないとかいう問題はないわけでございます。
  24. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、日本国籍の船では、同盟に参加しておる会社の船でなければ不定期でも動かぬ、こういうわけですか。そんなことはないと思うのですが……。
  25. 辻章男

    辻政府委員 不定期船はもちろん同盟に参加していない会社でも活躍いたしております。大体定期船と申しますのは、戦前は生糸等が多かったのでございますが、最近は鉄鋼製品とか、日用品の雑貨とか、輸入物資では機械でございますとか、そういったいわゆる雑貨類の輸送に当たっておるわけでございまして、不定期船の方は、小麦でありますとか、鉄鉱石でありますとか、いわゆるバラ積み貨物ということで、分野が分かれておるわけでございます。
  26. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 くどいようですけれども、不定期船の今おっしゃったような、雑貨類であるとか機械類であるとか、そういうものの輸入なり輸出なりの運賃が引き下げられることが、やがて定期船の運賃にも影響してくるのじゃないかと思うのですが、それは影響しないのですか。
  27. 辻章男

    辻政府委員 おっしゃる通り、不定期船の運賃というものは、世界マーケット的にきまってくるわけでございまして、このきまります要因は、船腹の供給力と運びます荷物との関係におきましてきまってくるわけでございます。これが船腹の過剰のような現状にありますと、どうしても不定期船の運賃というものが低く定められる。そうしますと、それらの船をもちまして定期船の分野においていわゆる盟外活動をする方が、不定期船を運用するよりもいいのじゃないかというような風潮が出てくるわけでございます。そういう意味におきまして、不定期船の運賃盟外活動にある程度影響するということはお説の通りでございます。
  28. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 だから、やはりそれらの調整もやらないことには、仏つくって魂入れずといううらみを持つことになると思います。そういう調整をどうするか、その場合のいわゆる盟外船の不定期船の問題についても、やはり政府は何らかの考慮を払わなければならないのではないか、こう考えられるのですが、その点はどうですか。
  29. 辻章男

    辻政府委員 世界的に不定期船が現在過剰のような状態でございまして、先ほど申し上げましたように、不定期船の運賃は低く定められておる現状でございます。これにつきまして、これは一国がある措置をしましても、なかなか世界的な小麦とかあるいは石炭とかの運賃率を左右するほどの影響力が持てないものでございますから、実はイギリス等におきましては、世界的に共同してそういう不定期船を一定の期間係船してはどうかというふうな議論も行なわれておりますが、戦前戦後を通じまして、不定期船の世界的な共同係船というものが成功した事例が実はないのでございます。国家的な意識その他種々の経済外的な要因も考慮に入れませんとなかなかスムーズにいかない問題でございます。私どももそういうふうな計画がスムーズにいく見込みがつきますれば、場合によってはこれに参加するということも、日本としても考えていいのじゃないかと思っておりますが、現在のところ、これに対して実現可能性のあるような的確な具体案はないわけでございます。
  30. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 不定期船の外国国籍の船について日本政府で何らか方法を講ずるということは、もとよりこれはできることではございません。これはもう当然国際的な協定に待たなければならぬのですが、日本国籍の船舶については、何か方法を講すれば、そういう政府が一方においては助成をする、それが実際においては打ち消されてしまうというふうな行為がなされるということ自体についての方法が、それらのいわゆる不定期船の盟外船を生かして使うような方法で何らかの考慮が払われなければならぬ。ただ、一方で利子の補給をやり損失補償をするというて、それだけでは、私は一方でどんどん運賃を下げていけば、仏つくって魂入れずということになってしまうと思う、だからそういう盟外船の不定期航路についておる船舶を、もちろん日本国の国籍の船ですが、その船舶を何らか生かす方法はないか。そしていわゆる運賃引き下げ競争というような政府の助成策を阻害するような行為をやらないで済むような手段が考えられないか、こう思うのです。一方で補助し、助成して、堅実な経済法盤をつくらせようとしておる。しかしその大宗は何といっても運賃収入なんですから、その運賃収入が、他の一方ではどんどんネズミがものをかじるように引き下げ、かじりとられていくということでは、政府の方針にも反するし、また業界自体再建方式にも合わないし、だからというて、それじゃいわゆる本邦国籍のそういう船舶を見殺しにしてしまうということはもちろんできません。だからこれは何か政府としては、そういう助成の対象となる船舶と同様に、総合的に勘案して、何か適当な方策があるんじゃないかと思うのですが、そういう点についてはどういうようにお考えになっていらっしゃるのか。
  31. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 その点が非常にむずかしい点でございまして、そういう盟外船といえども自己資金でやっておるのはほとんどないのですから、みな各銀行の系列化によって融資もやっておるのでございますから、本法案を、たびたび御要望があるように弾力的に運用をきめまして、そういう突っ走るような傾向のあるような船も、なるべく集約化の中へ、金融業者その他の協力を得て入れまして、そうしてしかる後に運賃対策その他を考えるよりほかに方法がないというように考えて、そうすべく私どもとしては考えておる次第でございます。
  32. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますると、そういういわゆる盟外船も、できれば今度の企業整備の集約方式の中に包み込んで、五十万トンの所有のほかの、いわゆる三〇%による株式支配とかあるいは長期恒久的なオペレートをするとかいうことで進んでいきたい、こういうお考えなんですね。
  33. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 さようであります。
  34. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 私の聞いておるところによると、完全な自己資本でやっておる小さい船会社もあるようですね。全然ないわけではない。それがあるようです。だからそういう点についてもう一つこれはあとからお伺いしまするが、問題は要するに、この現在の海運企業不況の外的要因ともいうべき盟外船の低運賃方式であるとか、あるいはシップ・アメリカン方式であるとかいうことが、外的要因としては数えられるおもなるものだと思いまして、それについては今お話を聞きまして大体了解ができますが、もう一つ私は外的要因としては、専用船の問題があるのではないかと思うのです。この専用船の問題は現在まだ十六、七隻、七万トン程度のもので大したことはないと思いますけれども、しかしこれは現在のところはもっぱら国内の石炭輸送等に使われておりまして、直接外航航路には関係ないように見られますけれども、この外航航路をやっておる会社が、この前のときもちょっとお尋ねしましたが、やはり内航に従事しておるんです。内航に従事しておるときに専用船ができまして、その専用船を用いる鉄鋼会社であるとか、あるいは石炭会社であるとかいうものは、自分の系列下の子会社に運送を全部委託しておる、そうして自分。社のものだけを輸送させておるということであるようですが、こういうことが、外航航路の上に今まで全部の力を入れておった、内国航路には大して力を入れておらぬというけれども、やはり内国航路相当力を注いでおると私は思う。これは船の動く数から見ればすぐわかりますが、そういう外航航路会社が、国内において、内国航路において今まであげておった収入が漸次専用船の拡大化によってなくなるということになると、それは勢いその企業体の営業成績にも関係してくるのではないかと思うのですが、この専用船の政策に対してはどういうようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  35. 辻章男

    辻政府委員 ちょっとおそれ入りますが、今専用船とおっしゃいましたのは、国内の石炭専用船等のことでございましょうか。
  36. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうです。石炭とか鉄鉱石なんかやっているんじゃないですか。
  37. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。現在国内のいわゆる専用船の問題としましては、石炭専用船が、最近石炭合理化事業団の資金が入りまして、つくられておるような状況でございます。それ以外にも、一般の金融機関によりまして石炭専用船等はつくられておりますし、またこれはもう従来から小さな船で、鋼材あるいは石炭石等については、いわゆる専用船という名で特殊な設計のもとに特殊な船が運航されておるわけでございます。これらのものが多くなりますと、どうしても国内で一般的に、あるときには石炭を積み、またあるときには雑貨を積むというふうな、そういういわゆる不定期船的な動きをしておりまする船の分野が狭くなって参りまして、そういう船を持っておられるところが経営的にも苦しくなるということはお説の通りでございます。これがしかも石炭企業合理化によりまして、石炭の荷動きが少なくともふえない、むしろ相当減少するのではないかという見通しのもとにおきまして、内航の海運におきましては非常に深刻な問題になってきておるわけでございます。これが内航海運の一番の今後の問題かと考えておる次第でございます。過日關谷先生から御意見がございましたように、私どももこの問題に取り組みまして、関係方面の意見を伺って、内航の問題については十分に一つ今後検討して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 これも現在のところでは国の財政との関連等もありますから、運輸当局だけでどう措置を講ずるということも困難だと思います。これはよくわかりますけれども、少なくとも今おっしゃったように、非常に大きな問題点として残るということははっきりしておいていただいて、将来といえども、そう遠くない将来にこれをどういう工合措置を講ずるかということは、やはりお互いに全部の者の責任だと思います。そういう点に対する十分な対策についての考慮を払っていただきたいと思います。  それから、外的要因としてあげられるものは大体そんなことだろうと思いますが、今度は企業自体の内的要素の問題であります。この法案が通ると、三十六年十七次計画造船にさかのぼって、利子の一時たな上げが行なわれるということになるわけでありますが、今日までいろいろ新聞を見ますと、数字はみんな新聞によって違うのです。これでは、一体どれがほんとうか、われわれも判断に苦しむのですが、今日まで第十七次船以前のものでたな上げされるべき利子の金額と、それからいわゆる未償却の分と、具体的に金額においてどういう数字になりますか。これは私は重要だと思うのですが……。
  39. 辻章男

    辻政府委員 いわゆる計画造船の十七次以前の融資残高で、利子猶予の対象になる金額がどれくらいかという御質問と思うのでございますが、これは一応仮定と申しますか、推定をいたしまして、はじいた数字でございますので、現実とは多少異なる点があるように思うのでございます。と申しますのは、現実に発足しますのは将来の問題になるわけでございまして、そういうある程度の推定を入れまして、私ども考えておりますのは、開発銀行の融資残高は約一千八百億、これに利子猶予をいたしまして、利子猶予の金額が初年度約百十四億円、それで利子猶予されました金額は、法律にも書いてございますように、すべて開発銀行分は開発銀行の借入金の返済に充てるということにいたしておりますので、漸次それらの金額が減って参りまして、五年間では四百五十七億程度になるのじゃないかというふうに考えております。これは利子猶予対象となります会社が、全部利子猶予対象を受け得ると仮定しての議論でございますが、一応そういうふうなめどをつけております。
  40. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それから将来の問題ですが、いわゆるその企業基盤を強固にするということと同時に、日本政府の経済政策と対応し得る造船がされなければならぬと思うのですが、その比率はどういう見通しですか。
  41. 辻章男

    辻政府委員 私どもは、いわゆる所得倍増計画のもとにおきまして、日本の固有船腹をどの程度持つかというのを基本的な考えにいたしております。これは昭和四十五年度におきまして千三百三十五万総トン程度をぜひ持たなければならぬということを一応のめどに考えておるわけでございます。ただ、それの目標といたしまして、年々どの程度にやるかということにつきましては、所得倍増計画は、御承知通り、いわゆる年度別の計画はないわけでございまして、船の関係におきましても各そのときの経済情勢、あるいはまた国の財政状態等もにらみ合わせまして、経済の伸長と調和をするようにやっていきたいという考えでございます。一応の考えといたしましては、所得倍増計画の昭和四十年までをいわゆる前半期と考えまして、それから昭和四十一年以降を後半期と考えまして、海運企業現状から見まして、前半では多少建造のスピードをおそめて、後半期におきましてそれを取り返すというくらいの気持で進んでいきたい。数字的に申しますと、大体前半期が四百万トン程度、後半期が六百万トン近いものを考えていきたい、かように考えております。
  42. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうすると、現在保有の船腹量は大体九百万トンといわれておるわけです。その九百万トンはあなたの計画によると四十五年に千三百三十五万総トンを目標としておるとおっしゃるので、今の計算によりますと、前期が四百万、後期が六百万の一千万、そうするとあとの三百何十万トンというものは、現在保有量の中からスクラップかあるいはいわゆる不経済船というか、とにかく廃棄されるものに入るわけですか。
  43. 辻章男

    辻政府委員 昭和四十五年度におきまする千三百三十五万総トンと申しますのは、もちろんこれは現有船の基礎から出発するわけでございますが、老朽船が相当解体されるであろうということを含めまして、昭和三十六年度以降九百万トン余りの船をつくらなければならぬと考えて出発しておるわけでございます。
  44. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、現在の保有船腹量の中から戦標船であるとかその他のいわゆる老朽船が廃棄されて、現実に稼働能力を持った船が四十五年には千三百三十五万トン目標、こういうわけでございますね。
  45. 辻章男

    辻政府委員 さようでございます。
  46. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 今三十八年ですが、実際問題としてこういう計画数量は日本の造船能力からいけば可能だと思いますけれども、しかし経済界動きがそれとうらはらになって、これだけの船腹量を必要とする経済の伸び方をするのかどうか、そういう点はどう考えていらっしゃるでしょうか。
  47. 辻章男

    辻政府委員 これは先ほど申し上げましたように、年次の考え方としましては、そのときの経済界動き、それからまた国の財政事情を勘案しまして、具体的にきめていくわけでございます。全体的には所得倍増計画に考えられておりますような経済の進展がいくものというふうにわれわれは考えております。
  48. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 御承知のように、政府の十年計画による経済成長政策は年間平均して七・二%、こういうことになっておるわけでありまするが、初年度、二年度においてはとてつもない仲び方をして、それが今日ある意味からいけば経済界を沈滞させておる要因になっておるわけです。今年度は四・七%の伸びでとめる、こういうことになって非常に不均衡なんですね。経済の伸び方がまた次の年はどういうことになるかわからぬが、とにかく今のところではことしは四・七%というような工合に、経済成長率はかなり浮動しておる。それに対応するための船舶建造ということになると、やはりこれも四十五年までの全体としてはこうであるということだけでは、実際の経済の伸展速度には歩調が合わないのじゃないか、こう思うのですが、そういう場合にはどうされるお考えですか。
  49. 辻章男

    辻政府委員 これはそのときの情勢によりまして、ケース・バイ・ケースに対処していく以外に道がないのじゃないか、かように考えております。たとえて申しますと、財政資金によりますると、船舶建造は三十六年度におきましては約五十万総トンの船腹建造をしたわけであります。これは当初計画は実は二十五万総トン程度であったのでございますが、当初の見込みよりも非常に経済の伸びがよろしゅうございまして、石油関係とかあるいは鉄鉱石の需要が非常にふえまして、これに伴い専用船の需要もふえましたので、計画を変更して大きくしたわけでございます。ところが、御承知のように本年度はいわゆる経済の調整期に入りまして、実は当初引き続き五十万総トンというふうな計画で進んだわけでございますが、鉄鋼の設備投資の見通しも一時中断せざるを得ないというふうな事情等がございまして、五十万総トンとするのは少し過大ではないかということで、昨年の秋ごろ計画を変更いたしまして、三十六、七万トンにいたしまして、融資比率を引き上げて経済の情勢にマッチするような措置をとった、そういうふうなことにいたしました。ここ一、二年の例をあげましたように、そのときどきの経済情勢、財政情勢によりまして、実情に適するように対処していくということで今後とも進んでいきたい、かように考えております。
  50. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、三十七年度は三十六、七万トンの予定で建造にかかられる。それから経済の動きによって年ごとに年次計画は変わってくるが、しかし造船はどうしても私は経済の動きに少なくとも半年はおくれると思うのです。やはり大きな船をつくるについては、六カ月ぐらいはどうしても見なければならない。そうすると六カ月の差をせっかく追っかけたと思ったら、今度はまた経済の方が停滞してしまった、あるいは停滞するつもりで造船計画を立てたらば逆に伸びていってしまった、こういうアンバランスが絶えず出てくると思うのですが、そういうときにやはりケース・バイ・ケースで、そのときの情勢で処理する以外には計画的なものは立たぬ、こういうわけになるのですか。
  51. 辻章男

    辻政府委員 一応私どもといたしましては、できるだけ平均的な進み方で進んだら一番好都合だと考えておるのであります。先ほど申しましたような経済界の急変がございますので、これに対応しますには、ケース・バイ・ケースに考えていかざるを得ないではないかというふうに考えております。ただ、それでは全然無計画かと申しますとそうではないのでありまして、たとえば鉄鉱石の輸送船の問題について申しますれば、鉄鋼関係とすれば、あるところの高炉がいつの時期に完成される。そうすれば鉱石の輸送が何ほど必要になってくる、こういうことは一年前くらいには確実にわかってくるわけでありますので、そういう計画等を参照しまして、予算的に財政投融資の問題として船舶建造を考えていくわけであります。これが国際収支その他によりまして金融引き締め等の措置が行なわれますれば、それの計画が一時中断されるということになりますれば、われわれの計画の方もある程度それに即応して変えていかざるを得ない、こういうような事情に相なっておるわけであります。
  52. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 この点まだ私は御心がいかないのですが、しかし実際にケース・バイ・ケースで考える以外に方法がないと言われれば、それも一つ意見だと思います。それからさらに一歩進めまして、今度は企業体自身の集中、集約の方式です。まず第一に、これはわれわれ心配したってどうにもならないであろうけれども、案じられることは、企業を合同するか、さもなければ長期オペレートするために継続して用船契約を結ぶか、さもなければ株式三割取得で支配をするか、この三つの方式があるわけですね。  まず第一の合併されるということになると、企業格差がそれぞれあると思うのです。この企業の格差の点については、具体的な措置になると思いますが、どういうふうに取り扱われるのですか。
  53. 辻章男

    辻政府委員 企業格差がございまする企業間を合併する際におきましては、通例企業企業力の劣る会社が減資をいたしますとか、あるいは株を受けます際に、その会社の株を一に対して〇・五を受けるとか、あるいは〇・七を受けるとか、あるいはまたその会社の資産処分等によりまして、企業格差をなくするような道がございますれば、そういう道を講じまして、それらの方法によって企業格差のある会社は合併するというふうに私ども考えております。
  54. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それは単なる理論として、意見として、言葉としては私はその通りできると思います。けれども会社は実際に動いておるここに綾部さんもいらっしゃるけれども会社を経営なさって、そんなに簡単にいくものだとは考えられないのです。一方に政府の援助というえさがあるから、そのえさを目当てにして多少自分の方の歩が悪くても合同した方がいいということになるかもしれぬけれども、実際のこの企業の経営の衝にあたっておる人から見れば、たとえばお前のところの何々丸は何年の建造である。だからもう時代におくれておるから、これだけの能率しかないから、これだけの評価しかできない。かりにそういうことになったら、おれのところのは船足はおそいけれども、その他の点においてどうだとかこうだとか、それぞれ、言うべき主張を持っておって、できるだけ自分企業体を高く評価せしめようとされるということも、企業責任者としては私は当然のことだと思うのです。だから実際問題としては、合併ということは非常にむずかしいのではないか。だから、むしろ集約なら集約させて、厳密な集約体としてこれを扱って、そしてその利益をその率に応じて——率と言うと語弊があるかしらぬが、その扱った実績に応じて処理していくということが現実的ではないでしょうか。これは一つ大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  55. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 さっき御質問にあったように、必ずしも甘くないというのはそこなんでございまして、実際非常にめんどうな問題が起こることを私どもは予想いたしております。しかし病根が那辺にあるかということは、病人御本人がよく知っておるのですから、足一本切ったら助かるというのならば足一本切ってこれにやってくるように、業者自身の努力を待つ以外に私は方法はないと思う。そうするといつまでたちましても、ちょうど肺病がジリ貧で死んでいくように、どうしても海運企業というものは健全化いたさないのです。それは私は、企業者といえども自分個人の財産でやっているのではなくて、多数の株主を擁しているのですから、株主のために——現に船会社の株が、五十円の株がはなはだしいのになれば十円以下になっている、五十円株が三十九円になっているということそれ自体が、その企業者をしてそういう自覚を私は起こさしめていると思うのです。それですから、ただ安易について、そうして政府の補助だけ待つというような、船会社がそういう考えをいたすのは、経営者である以上、——資本主義の経営者である以上、さようなことは考えませんから、ただいま海運局長が申しましたように、あるいは減資なり、あるいは自己資産を処分するなりいたしまして、そうして企業格差をみずからの力で是正しまして、そうして同じようなレベルにまで持っていくべくやるだろうということを私は期待し、そうでなければこの法律の意味がないだろうと私は確信いたしております。
  56. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 もちろんおっしゃる通り、その企業整備の具体的な方式が成り立って、それを運輸大臣が承認されて、初めてこの法律の適用を受けるということになるわけですから、企業自体といえども、この国家の助成を受け入れようとすれば、ある程度の覚悟をしなければならぬと思います。思いますが、実際問題としては、私は、大ぜいの株主の信頼を受けておられる企業者としては、なかなか英断と言いますか、やりにくい点があると思うのですよ。それはなかなか困難だと思いますが、そういう困難だというのでいつまでもほうっておけないというのがあなた方の考えのようですが、もちろん私どもも、できればそういう一刀両断に一番禍根のところを切り取ってしまうということが一番いいと思いますが、実際問題としては非常にむずかしいと思うだけに、そういう点についての進行状態に、まあ新聞なんかを見ますと、やたらに今にもこの企業整備ができてしまうようなことが書かれておりますけれども、私はそんな簡単なものじゃないと思う。そういう点は、やはりこの法律の審議にあたっては気になるわけです。だからそういう点について十分に当局態度をお尋ねしておかなければなりませんし、それからわれわれの疑問とするところをさらけ出して聞いておいていただかなければいけないし、という点で、第一のその合同による百万トン確保できれば一番けっこうですが、もし合同によって五十万トンしか持てない、あとの五十万トンは第二、第三の方法によるということになって、今度第二の方法ですがね、その長期契約の点ですが、この前もちょっとお尋ねしたけれども、オペレーターとオーナーとの関係ですね。これは今までの関係からいきますと、いわゆる裸用船でオペレーターの方は何らの負担をしないという御返事をこの前聞いて私はびっくりしたのですが、そうしますと、すべての負担がオーナーにかかってくる。そのオーナーが、自分の持ち船全部が合併の対象あるいは雇用の対象として集約会社に吸収されればいいのですけれども、もしそうでない、必ずしもそうとばかりは言えぬと思いますが、もしそういう集約整理の過程から除外されて、今までかりに三十万トンなら三十万トンのオーナーとしてある船会社にどれだけ、ある船会社にどれだけというように用船契約をしておった。ところが一つの方は整理の過程に入って吸収されることになったが、他の方はそういう点から漏れたというようなことがないのか。そういうことはあり得るか。もしありとすれば、私はそういうものの負担が当然従業員の上にもかかってきますし、会社企業内容にも、経費の点等にもかかってくると思いますが、その点はいかがですか。
  57. 辻章男

    辻政府委員 お答えする前にちょっと私から申し上げておきたいのでございますが、この前御説明しましたときに、私の言葉が足りなかったのじゃないかと思いますが、大体いわゆるオーナーとオペレーター間の用船契約と申しますのは、裸用船でやっておりますものはほとんどございません。圧倒的に多いものはオーナーが船員を乗せまして、いわゆる定期用船の形でやっておるものが圧倒的に多いわけでございます。今御質問の御趣旨は、あるオーナーが甲と乙と分けて川船に出しておる場合に、今後の集約でそれらを一本にする必要があるのかどうかということであると考えますが、これは集約専属会社としてオーナーが集約に入りますには、オペレーターは外航船につきましては一社でなければならないことにいたしております。これは長期に、固定的な用船をしますと同時に、それを裏づけるために、相手方のオペレーターとの間に会社としての密接な関係を持つことを条件にしておりますので、これが相手方が複数になりますと、甲からも乙からもそういう会社としての関係を持つということが、実際問題としてかえって現実に反するんじゃないかということで、かようにしたわけでございます。この点につきましては、海運界のそういうふうに現在甲、乙に分けておりますものを甲に集中するなり、あるいは乙に集中する、そういうことが困難かどうか、そういう点につきましてはよく検討したのでございます。私ども海運業界の意向も伺い、研究した結論としましては、それはオペレーター間の話し合いによって、そう困難なしに円滑に行なわれ縛るという見通しを持っておる次第でございます。
  58. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 その点がうまくいけばけっこうだと思います。  今度は第三の株式三割支配による点ですね。三割を取得することによってその会社を支配する。これはもう数字の上でいくと三〇%、大したことないじゃないか、こういうことを言われるかもわからぬが、株は一カ所に集中しておるのではなくて、多くの株主に分散しておると思うのです。それをかりに十億円の資本会社であるとすれば、三億円というものを取得しなければならぬ。その株を取得する過税において、あるいは証券なんかの策謀によって実体が曲げられてしまうとか、いわゆる株の買い占めを防止するためにつり上げるとか、あるいは何かいろいろな問題が起こるのじゃないかということを心配されるのですが、そういう点についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  59. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 加藤さんも御承知のように、会社を経営する者は通常の状態におきましては大体半数が理想でありますが、少なくとも三割か四割くらいは経営者の側におきまして大体集め得るのが常識でございます。それゆえに大体三〇%といたしまして、それは株式市場を操作してどうするというようなことなく、根本方針がきまりましたならば、重役の経営者の手によって集め縛るという確信を持っておりまして、御心配のようなことは万ないと私ども考えておる次第でございます。
  60. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そういう工合にうまくすらすらと進めばけっこうだけれども、買収というか被合併というか、される方の会社の経営者は今まで自分がお山の大将で経営の衝に当たっておったのが、今度は自分の手から株が離れてしまって、もう何もなくなってしまうということになると、やはり弱者というか人間的な弱みというか知りませんが、そこでいろいろな困難な障害が巻き起こるような素質がないとはいわれないと私は思うのです。そういう点も何らかの防止策でそういうことが起こらないようにするということが当局としての親切な態度じゃないかと思うのです。
  61. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もちろん私どもは非常に憂えておるのでございますが、そういう持っている株は、実際自分の金庫へ入れている人はほとんどないんです。大きな保険会社とか大きな市中金融機関にみんな担保に入っておりますから、そこで私どもは金融業者の協力を得まして、そういう憂い、また心配をなるべくさせないように配慮いたして、慎重にやるつもりでございますが、現実の問題としては、それを八割も出さなければいかぬとか、九割も出さなければいかぬというと、三割か四割持っているやつにそれを買い増さなければいかぬというので、そこでいろいろな混乱が起こることを予想いたしまして、今日の資本主義経済の機構におきまして会社を経営する人間は、大体三割、四割、たいていの人は五割以上持っていますが、そういうことを考えまして、しかもそれは金庫の中に入っているのじゃなくて、銀行なり保険会社に担保に入って金を借りているのですから、それらの人の協力を求めますならば、その程度ならばスムーズにいく、かように確信いたしております。御注意の点はもちろん非常な重大な問題でございまして、細心の注意を払ってやるつもりでございますが、しかし実情はさようなような実情ですから、大して混乱は起こらないと私は確信いたします。
  62. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それから今度は企業自体の集中の過程ですが、新聞なんかに報道されているところを見ますと、大体六つもしくは七つの企業体に集約されるらしいのです。結局は資本主義発展の一般的な法則の通り、この海運界も金融資本の支配のもとに置かれる。これは具体的に示されたものですが、たとえば三菱系というが、これは実際三菱銀行、三井系は三井銀行——住友銀行、富士銀行、第一、三和、大和、大体日本に十一大銀行がありますが、その代表的な七つの銀行系列による船会社の集約が行なわれるように報道されております。そうしますと、結局この産業基盤を強固にするという当局の方針も、金融資本が、産業——こういう海運企業というものを一体産業と見ていいか、単なる企業体と見ていいかはわかりませんが、とにかく産業資本を順次自分の支配下に置いてしまうことになる。その手助けをするということになってしまうと思うのです。開発銀行以外のこれらの銀行は、全部これらの船会社に融資をしておる銀行なんです。こういう点から見ますると、約九百万トンといわれるうちの大部分、ほとんど全部といってもいいくらいのトン数は、これらの七つかそこらの銀行の支配下に置かれてしまう。この民間市中銀行の支配力と開発銀行の融資との関係、これはやはり私は相当重要に考えなければならぬと思うのですが、結局開発銀行という国家機関が市中銀行の損失補償し、利益を保証するという結論になってしまうおそれが多分にあると思うのです。銀行はもう銀行自体の危険負担なしで、国家の保障でやる。しかし国家は何も金融業者を助けるのではなくて、海運産業というものを国のために何とかしなければならぬというよき意図を持って計画し、やることが、実際においては、結論としては金融資本を利益せしめることに集約されてしまう、こういうことになることが、理論的にも、それから実際にこうやって表をつくってみますると、よくわかると思うのですが、こういう点についてお考えになったことがございますか、ございませんか。
  63. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 とくと考慮いたしております。と申しますのは、銀行はさっきるる申しましたように、今日の資本主義経済におきましては、企業に対して相当の利害関係を持っておるのは御承知通りでございます。そしてまた一番自分の債権擁護のために熱心に海運業について研究もいたしており、また努力もいたしておるのも事実でございます。そういう点もくみ取りまして、参考にはいたしますが、結論は審議会——いわゆる八人の、もちろん金融業者も入れますが、各界の権威者を入れました海運企業整備計画審議会にかけまして、そして運輸大臣が適当と認めたものをやる。しかもそれは自立体制が前提になる。しかも百万トンを目標にする、いろいろな前提条件がございまして、必ずしも金融業者の言う通りにはならないと私は確信いたして、またそうすべきだと思って、いかにすることが日本海運再建のために最もいい方法であるかということを、せっかく斯界の権威者を集めまして、海運企業整備計画審議会をこしらえるのですから、それに世間の納得するような厳正公平な——学者も入るでありましょう、過去の海運行政に携っていた人も入るでありましょう、もちろん金融業者も入るでしょうが、そういう衆知を集めまして、いい案をこしらえて、これが日本海運再建に一番いい案であるという結論を持って、その答申に基づきまして私どもは判断いたしたい、かように考えておりまして、弊害を除くことに努力をいたして参ったことを御了承願いたいと思います。
  64. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 おっしゃる通り、審議会というものが非常に重要性を持っておることは、この法律の第五条の三項に、「運輸大臣は、第一項の規定による承認については、海運企業整備計画審議会に諮問し、その意見を尊重してしなければならない。」こうなっておりまするから、運輸大臣といえども、この審議会の意向を無視あるいは軽んじては事を推進することができない。これはもう法律の条文が明記しておるところであります。それだけにこの審議会は重要だと思います。審議会の構成はどうなるのでしょう。今おっしゃるように、まだきまっていないのですか、もうきまっておるのですか、各界の代表というのは。
  65. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いまだ決定しておりません。ただこの法案に対する大蔵省の予算の人員の査定が八人以内となっておりますから、最高八人、いい人がなければ七人になるかもわかりませんが、目下人選中でございます。
  66. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 この審議会の構成は、まだ委員もきまってないようだから何とも声えませんが、性格はどういう性格を持っておりますか。たとえば大臣の単なる諮問機関であるのか、あるいは決議機関であるのか。ただ尊重しなければならないということだけではよくわからないのですが、どっちですか。
  67. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 決議機関ではありません。諮問機関でございます。しかしその意見法律に明記してあるように尊重せねばならぬ、こういうことでございます。
  68. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうすると、これは運輸大臣の諮問機関にすぎないわけですね。そうですが。
  69. 辻章男

    辻政府委員 その通りでございます。
  70. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 委員の任命といいますか、委嘱といいますか、それはやはり運輸大臣の手によってやるわけですね。
  71. 辻章男

    辻政府委員 さようでございます。
  72. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 それはこの法律ができてから後の話ですけれども、今おっしゃるように、この委員の選任は非常に重要だと思います。これらの委員の諸君の選任については運輸大臣の良識に私は信頼しておりまするが、どうか世間が納得できるような委員を選んで、世間からかれこれ言われないような方法をとってもらいたいと思います。
  73. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 さようの通り心得ております。
  74. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 だんだん時間がたってきましたから、もうそろそろやめようと思いまするが、先ほどおっしゃったように、現在のところは年間三十六、七万トンの新造船と同時に、他の反面においてスクラップ化される老朽船があるわけですね。これらの船に乗っておる船員の取り扱いはどういうようになるのですか。
  75. 辻章男

    辻政府委員 現在戦標船についてスクラップ・ビルド方式で船の代替をやっておるわけでありますが、これらは新しい船に古い船の船員が乗り移るということをやっております。
  76. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうすると戦標船やその他の老朽船で廃船というか、スクラップ化される船の乗組員は、そのまま新造船の方に自動的に移ることになるのですか。
  77. 辻章男

    辻政府委員 これは制度として自動的に移るという制度ではございませんが、各会社では大体戦標船をつぶしまして新船をつくりますれば、それに船員を乗り移らしておるという扱いをしております。
  78. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 船の廃船、廃棄、新造関係においての船員の移動状況はわかりまするが、企業の合同、これによってやはり相当従業員の中から過剰人員が出てくると思いますが、先般この点については運輸大臣からも二、三千人の者が出るだろうということをお話しになっていらしたのですけれども、はたして二、三千人くらいで済むのかどうか。これらは運輸大臣によれば、調査機関を設けて、そこに吸収する方針であると言われたが、私は形は小さいけれども、やはり一番初めに申しましたように、石炭の問題をきわめて類似したものがあると思いますので、そういう点で従業員に不安の念を抱かしめないように企業の合併なり合同なり、また集約なりが行なわれなければならぬと思います。これはいわゆる労働者という関係よりもむしろ陸上勤務の方が多いんじゃないかと思います。そうすると、それらの人々を具体的にどういうように、調査機関とおっしゃったが、調査機関にそれだけの人間を吸収するということの可能性があるかどうかということも問題だと思います。そういう点について当局としてはもっと立ち入った方式考えて、それらの人々が失業することがないように努めてもらわなければならぬと思いますが、こういう点についての御意見を聞きたいと思います。
  79. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 一昨日でしたか、關谷委員にもお答えいたしましたように、最終的にどうしても就職ができないというならば、調査機関でもこしらえてなにするということでありますが、石炭産業とちょっと違いまして、私どもはその後帰りましていろいろと折衝の過程において調査いたしましたところ、大した失業者は出ないという見込みなんです。船会社も関連産業をやっておりますし、しかもそれがみんな優秀な人ばかりおりますものですから、石炭産業は、申さば世上いわれる斜陽産業でありますが、この船舶の再建整備によってなにする新事業会社というものはだんだんだんだんよくなりまして、そういう人をよけいに吸収できるように、先ほど加藤さんも御指摘になったように四十五年には千三百三十五万トンにもなろうというので、現在よりも倍以上もしくは三倍に近い船を新造していこうというのでありますからして、私は加藤さんや關谷さんが御心配になっておるような非常な就職の問題というものは考えられない。同時にもしそういうものができたならば、ただいま申しましたように、優秀な人であるから、航路の拡張であるとか、あるいは労働問題であるとか、あるいは厚生施設とかいうような、全体の総合した調査機関を設けましてそれに収容する、そうしてその費用が出ぬならば、石炭産業に補給したと同じように国家でその機関に対する補助をいたしてまかなっていくという考えを持っております。
  80. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 大した失業者が出ないというお見込みだから、その点は出ないことが一番望ましいことでけっこうでありますが、普通の常識から考えると、ちょっとその過程においてはある程度の失業者が出るのじゃないかということも考えられるわけですが、大臣がそうおっしゃれば、それ以上のことはこの点についてはお答えを求めません。  最後に、先ほどもちょっと触れましたが、内航船の問題ですね。これはやはり外航船と同様に、海上の船の問題については今のところ何も考えておられないということでは物足りないと思います。当然私は内航船の問題についても十分考えて、具体的に何らかの方法が講ぜられて、過当競争を防止する方法によっていわゆる中小海運業者というものを保護していく道が講ぜられなければならぬと思いますが、この点についてはどうですか。
  81. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 もちろん必要でございまして、まずとにかく外航船を片づけて、そしてこれでいけるという見込みが立ちますれば、もしくはそれと並行して内航船についても十分今検討いたしており、そしてまた衆知を集めて研究中でございます。
  82. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 この点はぜひ一つ合同株式支配、長期オペレートの雇用という方法によるその過程から漏れた中小の船もあると思います。これらの問題に対する態度それから内航船の問題、これは先ほどもちょっと申しましたように、外航をやっておる大きい船会社相当内航をしておるわけですから、そういう大きい資本の専用船等からくる内航上の影響は、かりに外航の補助によって免れることができるとしても、そういう保護を受けない、保護の外に置かれた対象となる中小船会社、こういうものにも、やはり存立していくような方法をぜひとも研究をし、具体化するような施策をとっていただきたい、こういうことを申し上げまして、きょうの私の質問はこれで終わることにいたします。
  83. 木村俊夫

    木村委員長 久保三郎君。
  84. 久保三郎

    ○久保委員 海運の全体的な問題を二、三お伺いしたいのでありますが、日本海運不況原因は、先ほど来大臣からも御説明がありましたが、私どもはさようなものに比重があるとは考えておらない。今提案されている中身は、性格からいって二つあるわけです。海運不況の対策としていわゆる集約によって過当競争を防止するというのが一つ、もう一つは、利子のたな上げあるいは利子補給を増強して、財務的なもののてこ入れをしていこう、この二つだと思うのです。その前に考えてみるべきものは何かというと、不況原因というのは何、であるか、不況原因というのはなるほど企業基盤の弱体化、いわゆる高金利、さらにさかのぼれば戦時補償の打ち切りという問題も出てくるかもしれぬ。それはなるほど一つの卑属にはなるけれども、全体的な不況原因ではなさそうに私は思うわけです。今までの政府側の御答弁は、その点だけに終始していて、われわれ自身どうも納得できない。だからそういう点に不況原因を求めてばかりいるから、海運政策転換の支柱は今回提案している二つの法案に尽きるわけです。これでは先ほど来各委員からもお尋ねがありました通り、全般的な政策がないということです。ところが全般的な政策は、いわゆる不況原因についての明確な検討がなされていないから出てこない、そういうふうに私は思うのです。そこで結局今度の法案をそのまますんなり通しても、いろいろその中にもたくさん問題がありますので、通してもはたして五年後に日本海運界は前向きになっていけるかどうかという問題は、これは、極端な言い方をすれば、保証するものは何にもないと思うのです。日本海運不況はまず構造的な面からきている。その構造的な問題に一指だに触れずして、そうして今申し上げたような二つのねらい、メリットを考えていることは本末転倒ではないか。言うならば、今日までの政府海運政策の誤診を利子たな上げ、いわゆる利子の増強という二つのえさで海運界一つ引きずっていこう、こういうことでありまして、何か無責任の上に無責任を重ねるのではなかろうかと私は思うのです。こういうことについて運輸大臣に聞く前に、当面の責任君である海運局長は、この一本海運の構造変化から来ているところの不況原因はどこにあるか、海運局としてはどういうふうに検討されたか、お答えをいただきたい。
  85. 辻章男

    辻政府委員 現在海運界不況の大きな原因といたしまして、ただいま構造的な問題があるのじゃないかというお説でございますが、確かに専用船というふうなものが非常に大型化されまして、今非常に安いコストになっている。従ってまた引き受ける運賃も安くてやっていけるという専用船の大型化に伴いまして、一般の不慮期船というものがシェアが狭くなった。その結果として不定期船がだぶつきまして、これが世界的に不定期船市場を絶えず圧迫している。そういうことが現在の海運不況の大きな要因であると考えております。  それからまた、日本の定期船界としては非常に大きなウエートを占めます対米航路が、絶えず門川外船によって脅かされ、そのために運賃が値くずれするという点も、現下の海運界不況一つ要因をなしておる、かように考えております。
  86. 久保三郎

    ○久保委員 今おあげになったのは、いわゆる構造変化に伴うところの不況原因の一、二である。それも一つですよ。しかしその前に考えていただかなければならぬのは、日本海運というのは、戦前海運という構想から、船腹増強という問題をひっさげて今日まで来たわけです。そこにやはり私は一つ問題があると思う。戦前日本海運のシェア、これは極東周辺が主であります。ところがいわゆる極東におけるところの海運というものは、御案内の通り、その領域は狭められてきた。さらには海運界の立ち直る時期もおそくて、外航に出たのは昭和二十五年からだと思いますが、そういう外航に出た時期までに、それじゃ世界海運はどうかというと、日本の航権は全部取られてしまったという実態です。無理からぬこともあります。だから船をつくって航権回復をするという、そういう至上命令が当初にあったと思う。ところがばかの一つ覚えと言っては語弊があるけれども、つい最近は、というより今日も、船腹増強をすれば航権回復になるという既定概念がある。そういうもので押してきたからこそ、今日内部的な構造的な変化に対するところのしさいな検討を怠ってきた。そこで不況になった。ところが静かに考えてみれば、今のような海運市場におけるところのいわゆる変革というものは大きい。これに対応するところの日本商船隊のあり方について、まずその制度考えるべきじゃないか。さらにもう一つは、航権を回復したというが、たとえばヨーロッパ東向きの航路同盟の内部においてさえ、これは御案内の通りクローズド・コンファレンスである。ところがクローズド・コンファレンスの中にやっと入り込んではみたものの、その中における権益はどうなのか。海洋自由というこれまた古典的な観念に今日政府は押されています。だから、たとえば一つ航路同盟というと、当然われわれの権益は一割入れ、ばいいという問題じゃない。ところが現実には向こうが九であってこっちが一というようなものが相当ある。最近におけるベンガル同盟一つとっても、三・三・三の比率である。日本が三、インドが三、その他が三、ここにいわゆる外交の弱さがあるんだ。実際日本政府は、海運政策の中で外交政策として何をやっているか、ちっともやってはいない。弱い体質の海運会社を先に立てて、これだけがやっていくんですよ。実際外交面で、何をやっているか。通商航海条約の調印式に行って判を押すだけの話である。航権回復をしたというのは形だけなんだ。中身はちっとも回復してない。ましてやこの対米航路についても盟外船対策について何をやっているか。今までいろいろと言いわけ的な説明があったが、なるほど今は出先を使ったり何かして交渉している。交渉の壁が厚いということはもう十分わかっている。であるなら、当然これに対する防衛的な措置だけは最小限度許されているはずなんです。ところが海上運送法の改正も今日出てこぬ。出てこぬというより出す気が一つもないんじゃないですか。しかもその言いわけの一つは、OECDに加盟するから、これの加盟国が海洋の自由を唱えておるから、これに反するような海上運送法の改正は、今後池田総理が言うところのOECDに入るときの支障になるというばかばかしい話だけれども、OECD加盟国は何だ、イギリスその他全部海洋の自由を唱えておる彼らは、自分の航権を確保するための海洋の自由の論理の上に立っておるわけです。そういうものと軌を一にして、はたして日本海運が伸びるかどうかということです。最も大事なところの盟外船、特にアメリカ航路における盟外船、これに対する対策が一つも出ない。  さらにもう一つは、最近における造船技術の進歩、あるいは大量輸送への変革、輸送単位の変革、こういうものを考えれば、今までのいわゆる耐用年数が二十年なら二十年の船というのはもう経済的には陳腐化している。経済的には二年の耐用年数がない。そういうところにも今日の大きな問題がある。これに対する対策が一つも現われぬじゃないかと私は言いたいのです。  それからもう一つ言いたいのは、さっきもお話が出たようでありますが、インダストリアル・キャリアの問題についても、これはどうなんです。海運を育成するというならば、いわゆる陸上産業が自前の輸送をやること自体にも問題があるのじゃないか。  さらにもう一つは、計画造船の中から出てきたところのオペレーターとオーナーの系列関係の強化ということはどうなんです。この法案を見ると、オーナーもその中に全部入れるというわけです。そうだとするならば、オーナというものの機能は、日本海運界においては、はっきり言って、ないのです。オーナーの機能を廃止するなら廃止するように、もう少し徹底したものを考えたらどうか。今でさえオペレーターの系列下において、債務補償というきずなのために、オーナーはいわゆる前向きにできないのです。またある時期にはオペレーターが債務補償という関係で、オーナーが足手まといになる場合が今日ある。いわゆる三すくみの格好というか、二すくみの格好というか知らぬが、こういう格好で日本海運不況がやはりあるわけです。これを切るつもりは一つもないわけです。しかもその膠着化したところの系列化をさらに膠着化するというところに、私は問題があると思う。これをそのまま進めれば、おそらくオペレーター中心のグループができるだろう。集約もできるだろう。オペレーターはその上に金融機関がある、あるいは荷主がある、こういうことでこれが頂点になってくる。結局わずかにオペレーターのところに歩どまりが来るかもしれないが、その下のいわゆる専属会社なりオーナーの系列会社というものは、これは犠牲にならざるを符ない。五年後において犠牲になった場合にどうなるかというと、これはまた再び混乱の時期が来るであろうと私は思う。こういう点についてちっとも対策がなっていない。  だからあらためてお聞きしますが、海上運送法の改正はどうして出さないのか、いかがですか。
  87. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 久保委員の発言全部ごもっともでございますが、これはもう敗戦の結果やむを得ないのじゃないかと私は思っておるのですが、漸次国力の回復するに従いまして、外交交渉も順次実ることを私は期待いたします。がしかし、久保委員通りにしておいて、それじゃ海運状況をこのまま放置しておいていいのじゃないかという結論には私はならぬと思うのです。よりやはり前向きにして、この前流れました法案は、あれじゃ前向きじゃないじゃないかというので、知恵をしぼりまして、今度の法案を出したような次第で、これはぜひ御了承願いたいと思うのです。  今の具体的の御質問の海上運送法をなぜ出さぬかということ、これは私ども会議その他で申しましたように、今はそういうことをやることがかえって盟外船を刺激し、かえってシップ・アメリカンのなにを刺激して、せっかく日本に好転しつつあるわが国海運の発展に悪い影響を与えるだろうというのがわれわれの考え方で、今出さないというのではないのでございまして、将来出さないのかと聞けば、将来は出すかもわからぬ、しかし今は出さない方がベターだ、かように考えております。
  88. 久保三郎

    ○久保委員 日本の国力がまだ回復しないというが、あなたのところの池田総理は、自由陣営の三本の柱の一つだとおっしゃった。第三番目ならまた別ですが、三本の柱の一つだ。三番目というなら三等国でありましょうからいいのでありますが、三本の柱のかなえの一本だ、こう言う。それほどに国力が回復したということなら、今申し上げたようなことがなぜできないのですか、私は全部何もやらぬでいいという結論を言うのではなくて、こういうものをやらなければだめじゃないかということを言うておる。それをなぜおやりにならぬかということです。これは誤解しないで下さい。何もやらぬでこの海運はいいということは私はちっとも言ってない。いわゆる不況要因というのはどこにあるのかということを見て、それに対応する対策を立てるのが海運政策のあり方じゃないか、しかも今日もう海運不況はどん詰まりにきておる、ここで何か手を打たなければいかぬとするならば、全般的に手を打たぬというと、今までの政策の失敗の上塗りになるだろう、こういうふうに私は心配している。こういう法案では、残念ながら、たとえば今の長期用船契約一つとりましても、今陸上産業海運関係を見てみれば、これは御案内の通り海運界には実際いって食道はあるが胃袋がない。みな海運界の食道というのは他人の胃袋に直結している。今日そのきずなを切って、海運界の食道は自分の胃袋につながせるという構造的な改革の対策が必要じゃないかと言うのです。ところがこれはちっともないじゃないですか。たとえば先ほど加藤さんの御質問でもあったように、この経営集約化についても、大臣はなるほど私のところでやりますからとおっしゃるが、たとえば整備審議会に来ましたときに、そこである程度チェックはできましょう。ところがその大勢を変えるだけのいわゆる力がないし、現実には不可能だろうと思う。結局金融中心に物事を判断され、集約がなされなければならぬという現実が厳然としてあるわけです。これに多少の手直しはできるが、本質は変えるわけにいかぬと私は思うのです。結局そうなると、加藤委員のお話の通り海運界のメリットはさらになくて、債務保全とその他産業のメリットだけが出てきて、海運界はさらに悪化するではないか、こう私は思う。  いずれにしても、私は逐次そういう問題について具体的に御質問を申し上げるつもりでありますが、少し時間がかかると思うので、本日はこの程度にいたしますが、この次に私の意見に対して、ただ大ざっぱに、いや違うんだ、まだ国力が回復しないから、なかなかそういう外交政策もうまくいかないんだというような抽象的なお話ではなくて、もっと具体的に、お前の意見は間違っているというなら間違っている、あるいはこう考えるというならこう考えるという点について——会議でも私はお尋ねをしておりますが、十分なお答えをいただいておりませんから、そういう点について御準備をいただくと同時に、資料を要求しておきます。  次の機会までにお願いしたいのでありますが、現在どこの海運会社でもそうでありますけれども、全体の海運会社の利子補給対象、五十四社か七社ですが、これのいわゆる歩積み、両建はどの程度なされておるか、全体として歩積み、両建はどの程度銀行にされているか。一部は資料としていただいておりますが、全体としては、大まかにどの程度歩積み、両建がされているか。  さらにもう一つはいわゆる海上保険の実態についての資料を出してほしい、ようございますか。  大体その二つだけさしあたり要求して、きょうは時間もありませんから終わりにします。
  89. 辻章男

    辻政府委員 久保委員にお尋ねしますが、海上保険の実態と言われる御趣旨はどういうことでございましょうか。
  90. 久保三郎

    ○久保委員 五十四社の利子補給対象でいいです。その対象になるところの海運会社がかけている保険料と保険金の受け取り高を、過去二年にわたってもらいたい。それから去年協定か何かで料率の算定が変わりましたね、その変わった中身、以上です。
  91. 木村俊夫

    木村委員長 次会は来たる十九日、火曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十一分散会