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1963-03-06 第43回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月六日(水曜日)   午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       尾関 義一君    川野 芳滿君       中馬 辰猪君    福家 俊一君       増田甲子七君    田中織之進君       矢尾喜三郎君  出席政府委員         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸技官         (船舶局長)  藤野  淳君         運輸事務官         (船員局長)  若狹 得治君         海上保安庁長官 和田  勇君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局無         線通信部航空海         上課長)    三枝  豊君         日本電信電話公         社理事         (営業局長)  千代  健君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第九号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  船舶安全法の一部を改正する法律案を議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 電波監理局長前回委員会關谷委員からお尋ねをしたいわゆる内航船とこれに対する電波割当、あるいは海岸局整備の問題について私からもお尋ねするわけですが、前回どうも答弁が徹底を欠いておるわけであります。御承知のように、今日海上人命安全条約が批准の手続中というか、承認を求められておるわけであります。それに関連して、船舶安全法の一部改正が御案内通り出ておるわけですが、その条約勧告の中にも、これも御承知だと思うのですが、実行可能な限りというか、この条約趣旨に沿ってやれということ、あるいは特に無線設備については、国内のものについても、中波といいますか、そういうものを使って一つ早急にやるべきであろう、こういう勧告も出ているわけであります。もちろん勧告でありますから、やらぬでもそのままでありまして、決して条約に抵触はいたしません。しかし条約があえて勧告に譲ったのは、各国におけるところの経済あるいは技術水準、そういうものを考慮して、実は勧告に譲ったとわれわれは考えているのであります。この勧告趣旨について、まず第一に電波監理局の方ではいかように考えられておるか、あるいはこの勧告に従ってこれからどうやろうとするのか、そういう点について一つ説明いただきたい、こう思います。
  4. 西崎太郎

    西崎政府委員 船舶の安全を確保する上に無線の占める地位というものが非常に高いということにつきましては、われわれとしましても非常に責任を感じておるわけであります。できるだけその勧告の線に沿って施策を進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  5. 久保三郎

    久保委員 それでは具体的にいかような施策を実行しようとするのか、その点はいかがですか。
  6. 西崎太郎

    西崎政府委員 船舶と申しましても、いろいろなカテゴリーと申しますか、種類がございまして、外航船の問題であるとか、内航船の問題であるとか、あるいは漁船の問題であるとか、いろいろあるわけでございますが、今先生が主として考えておられるのは内航船の問題ではないかと存じます。御承知のように、内航船に対する無線施設整備というのは、今申し上げました船の種類の中で従来一番おくれておったのでございます。その結果、いろいろ遭難その他が多かったということも一面言えるんじゃないかと思いまして、われわれの方としましても、運輸省その他と御相談いたしまして、できるだけ現在無線施設の少ない内航船無線を普及させるということについて研究して参ったわけでございますが、何分周波数というものが極度に払底しております。特に中短波帯というのは、その中でも最も払底の度合いがひどいわけでございます。と申しますのも、従来中短波漁船関係に非常にたくさん使われておるわけであります。現在八十数波の中短波帯漁船に使われておるわけであります。それで現在内航船に、先生が今御指摘のように、中短波としては四波使われておるわけでございます。これが全国約十二カ所の海岸局、主として漁業用海岸局に定設いたして、これを利用いたしておるわけであります。今後非常に需要のふえる内航船に中短波というものを充足していくということが波長事情から非常にむずかしいということもありまして、先ほど申し上げましたように、関係各官庁その他と御相談いたしまして、それならばいっそ新しい分野であるいわゆる超短波帯というものを、ここらは比較的波の余裕もありますので、今後需要の非常にふえて参ります分野といたしましては、この周波帯利用するのがいいのではないかということで、電電公社の方にも頼みまして、来年度と再来年度二年間で日本の周囲三十六カ所に海岸局をつくりまして、どこからでも内航船が陸上に電話をかけられる、あるいは保安通信をやることができるようにしたいということで、その計画がこれからその緒につこうというところでございます。これによって従来おくれておりました内航船無線整備をはかりまして、保安に遺憾なきを期したい、こう考えている次第であります。
  7. 久保三郎

    久保委員 今のお話だと、この前と大体大同小異のお答えでありますが、これは電波の方から、あるいは電電公社事業計画というか、そういう方面からお述べになったと思うのでありますが、超短波利用をこれから慫慂して参りたい、こういうことであります。二年計画で三十六カ所の海岸局をつくるというお話でありますが、遭難の場合も考えまして、超短波ではたして問に合うのかどうか。遭難救助は沿海においては、御案内通り海上保安庁が大半出動して参る。海上保安庁電波はどうなっておるか。超短波で直ちにこれができるのかどうか、いかがですか。
  8. 西崎太郎

    西崎政府委員 海上保安庁状況につきましては、私より保安庁の方がよく御存じですので、そちらからお伺いいただければ幸いだと思いますが、私の聞いておりますところでは、まだ超短波帯に対する救難体制といいますか、そういう関係は必ずしも十分整備されていない、しかし、そういった情勢に即応して、今後超短波帯救難体制というものも急速に整備して参りたい、こういうふうに承知いたしております。
  9. 久保三郎

    久保委員 きょうは保安庁は来ておりませんから、これは電波局長が御承知であればお答えいただきたいのですが、そういう計画になっておるのかどうか。
  10. 藤野淳

    藤野政府委員 私の承知しておりますところによりますと、VHFに対しては海上保安庁においてはまだ体制ができていないというふうに聞いております。
  11. 久保三郎

    久保委員 それでは電電公社にお尋ねしますが、今電波監理局長からお答えがあった超短波海岸局整備計画ですが、二カ年計画で三十六カ所つくるというお話でありますが、その計画というのは、大体今年度から、いわゆる三十八年度からのお話のようでございますが、これと今お話のあった電波の、たとえば超短波割当という問題についてスムーズにいくと思っておられますか、いかがですか。
  12. 千代健

    千代説明員 おくれて参りまして、御質問の内容をただいま横から聞いたわけでございますが、公社のやっております船舶電話関係計画が今後二年間にうまく進むかどうか、こういう御質問のようであったと思いますので、お答え申し上げます。  現在、私どもの方で考えております拡充計画は、ただいまのところやっております東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、関門海峡、洞海湾及び長崎——五島間の海域こういったところで一部やっておるわけでございますが、なるべく早い機会に日本の周辺ほとんど全部を網羅できると思いますが、それをすみやかにやっていきたいということで、大体三十八年度の計画とそれから三十九年度の計画でやっていきたい、こう考えております。ただ、計画年度がこうでございますので、最終的に全域に対してサービスが行き渡りますのは、おそらくはそれよりも一年くらいおくれるのではないか、これは従来の計画年度サービス年次と時期のずれがございますので、私ども考えておりますいろいろな諸条件が整えば、大体二カ年の計画でほぼ大半は埋め尽くし得るであろう、こう考えております。
  13. 久保三郎

    久保委員 私は、電波というか、そういうことについて全然よくわからぬといってもいいと思うのですが、そこでお尋ねしたいのは、中短波はもう満ぱいだということですか、いかがですか。
  14. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、中短波帯というのは非常に今払底しておりまして、これ以上内航船に新しく増波するということは非常に困難な情勢にあります。それから一方超短波帯の方でございますが、これは従来から国際的に海上用としてリザーブしておる、そういう波——チャンネルがございまして、それが現在四十数チャンネルあけてあるわけでございます。公社の今言ったような設備ができますれば、その波を充当する、こういうふうに考えております。
  15. 久保三郎

    久保委員 その払底しておるということは、私が言うところのそういう波長はもうないんだ、少ないんだ、結局それはもうある一定のチャンネルがもう全然なくなりつつあるのだ、だからこれはだめだということなんですか。超短波なら幾らでもあるというが、四十何チャンネルあるそうですが、そうならば、全船舶にやってもいいが、中波ならだめだ、こういうことですか。
  16. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほど申し上げましたように、現在無線整備しております内航船は四波でやっておるわけでございます。従いまして、現在の内航船だけを対象にするならば、別にそう大した支障が中短波でもないわけでございますが、今後内航船需要というものがふえてくるということを考えますと、やはりここで相当波余裕のある超短波帯で一貫してやった方がいいんじゃないか、こういうふうな考え方でございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 またしろうと質問で大へん恐縮なんですが、海岸局整備さえできれば、中短波でもいいんじゃないですか。違うんですか。
  18. 西崎太郎

    西崎政府委員 どうも説明が不十分で申しわけありませんが、要するに中短波というのは、さっき先生がおっしゃいましたように、ほかの方の用途に波がみな使われておりまして、もう余裕はない、端的に申しますとそういうことでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この条約による勧告は、大体船の方は中短波がよろしいだろうというので、そういう意味勧告をしてきただろうと私は思うのです。そう思いますか、いかがですか。それともそれは違うのだということでありますか、いかがです。
  20. 西崎太郎

    西崎政府委員 私のちょっと認識が間違っておるのかもしれませんが、条約はいわゆる国際航海に従事する船舶、こういうものを対象としているように承知いたしておるわけでございますが、その限りにおいては、先生がおっしゃった通りであります。もちろう無線通信条約関係では超短波帯の規定もございますけれども、少なくとも人命安全条約関係では、電信におきましては中波、いわゆる五百KCを中心、それから電話につきましては二メガ帯を中心にする、こういうふうに承知しております。
  21. 久保三郎

    久保委員 局長の解釈の通りかもしれませんが、私は電波のことは先ほど申し上げたようにわかりません。わかりませんが、私の推測によれば、船は大体中短波というか、そういうもので統一した方が海岸の場合によろしいということではなかろうかと思う。しかも勧告国内船にということでありまして、国際船のものはもちろんあなたのおっしゃる通りであります。国内船にもこういうことですね。勧告はそう書いてあると思うのです。お読みになったかどうか知りませんが、おそらくそう書いてある。でありますから、ここで問題になるのは、どちらに基本を置くのか。今郵政省あるいは電電公社が言うように、内航船については、超短波一本にするのだという方針なのか。それとも中短波でやるものも若干は今まで通りにしておいて、あとは超短波に切りかえるという方針なのか、われわれが聞いて、いかなる方針できちっとこれからやるということなのかちっともわからぬ。しかも聞くところによれば、切りかえるについては相当な出費も必要だというのです。  それからもう一つ性能の問題になると思うのですが、これまたしろうと質問ですから当を得ていないかもしれませんが、聞くところによれば、超短波のいわゆる到達距離というか、そういうものは非常に短い。中短波ならばそれ以上に行く。それで、海難状況からいえば、なるほど実際いって大体三海里未満というところが一番多いのです。しかし、それと似かよった数字で五十海里までこれはあるわけですね。しかも大事故の場合を考えると、大きいというか、機帆船その他を別にして、沿岸の旅客船その他もあるわけですから、そういうのを考えると、やはり到達距離の長いものがいいし、それから海上でありますから、それが国際航路に従事する船であろうが何であろうが、同じ電波帯を持っていれば、ある一つの船がいかなる距離においても遭難した場合には直ちに全海域にいるところの船がこれを知る、あるいは海上保安庁も大体そういう電波を使っているとするならば、あらゆるものが一致して海難の場合には救助に行くことができる。内航船は超短波ということで原則を置きかえるということになりますれば、これは電話でありまして、超短波でありますから、海岸局がこれから三十六カ所やるそうでありますが、そのいずれかに参りまして、そこの海岸局からさらにどこかへ参りまして、さらにこの船で今度は中短波か何かでまた電波を送って、初めてその領海というか、その区域にいるところの船に知らせる、こういうふうな手数になると思うのです。そういうことはどうなんですか、あり得るでしょうね、いかがですか。
  22. 西崎太郎

    西崎政府委員 今先生がおっしゃいましたように、安全の面だけを考えれば、やはりそれはいわゆる到達距離の長い中短波の方がいいということは言えると思います。それで、先ほど申し上げました今公社計画しています超短波の場合は、大体その到達距離というものがいわゆる離岸五十キロという見当になるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、いわゆる電波事情からしまして、とても内航船全体をまかなうだけの中短波というものがないということで、しかもその内航船通信は、安全通信ももちろん大事でありますが、それと同時に、当然業務用通信というものも伴って参るわけなんであります。そういうことから考えまして、国際航海に従事する船舶は別としまして、内航用船舶に対しましては、こういう電波事情から、勢い超短波帯が主にならざるを得ないというのが実情でございます。もちろん公社計画におきましても、その海岸局を経由しまして、もよりの海上保安庁の出張所と申しますか、そういうところとすぐ連絡がとれるという、そういう仕組みにはなっておるわけでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 これは船舶局長にお伺いしますが、今までの御説明によりますれば、内航船は超短波で三十六の海岸局をつけて整備すると、こういうことなんですが、これは政府統一見解なんでありますか。
  24. 藤野淳

    藤野政府委員 船舶安全法改正審議いたしました船舶安全部会というのが運輸省造船技術審議会下部機構にございますが、その委員電波監理局の方も出ていただきまして、利害関係者を含む委員間で内航船無線電話の問題につきましてはいろいろ審議がございまして、その結論が得られないままになっておるわけでございます。ただいま電波監理局長の御説明のような電波事情は、私ども承知をいたしておる次第でございます。統一見解というところまでは達していないわけでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、その結論を得ていないということになりますれば、これから先整備するといってもなかなか困難ではなかろうかと思うのですが、これはどうなんです。
  26. 藤野淳

    藤野政府委員 今後内航船無線電話を強制、あるいは普及をはかりますためには、VHFSSBか、どちらか一方でなければならないというふうには私ども考えてないのでございます。波の余裕はないけれどもSSBもなおここ一、二年の間は利用できるというふうに聞いておりますし、なお、今後計画的に施設船舶の範囲も拡大いたしますためには、足りない部分はVHFによらざるを得ないだろうというふうな考えは持っております。
  27. 久保三郎

    久保委員 船舶局長お話によりますれば、中短波にはなるほど余裕がないが、まだ利用はできる、こういうお話です。そうですね。電波監理局長いかがです。利用できるのですか。利用できるものを、いわゆる性能が悪いと言っては語弊があるが、到達距離の短いあるいは海上保安庁波長と合わないものを、何も好んでそういうふうに切りかえる必要はないんじゃないですか、いかがですか。
  28. 西崎太郎

    西崎政府委員 われわれの方としましては、十分その実情等考えまして、切りかえの場合には円滑にやって参りたい、こう思っておりまして、決して急激な変革とかそういうことを考えておるわけではございません。
  29. 久保三郎

    久保委員 さっきのお話からとれば、われわれの聞き方が悪いのか知りませんが、もう中短波には余裕はない、だから超短波あとはやっていくんだということになりますと、これは形の上からも、運用の効率からいっても、どうも完全ではなさそうに思うのであります。全部画一的が一番いいとは言いませんが、性能その他からいって、できるものなら中短波を十分つけさした方がいいんじゃないかと思うのですが、その余裕がないと言いながら、切りかえには円滑を期していきたいというのはどういうことなんですか。
  30. 西崎太郎

    西崎政府委員 説明が不十分で申しわけありませんでしたけれども、切りかえと申しましたのは、先ほど申し上げましたように、長い将来を考えますと、やはり内航船というものはこれから非常に電波需要がふえて参りますので、超短波を主にするという方向に持っていかざるを得ないんじゃないかということになりますと、今中短波をつけておるものも将来超短波に切りかえていき、そういう事態が起こり得る場合に十分実情に即した切りかえの仕方をやっていきたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  31. 久保三郎

    久保委員 聞く方がしろうとでありますから、よくわかりません点が多いのですが、逓信委員会の方で監理局長を呼んでいるそうですから、あさってまた来ていただくことにして、いいです。  続いて電電公社にお伺いしますが、たとえば電波監理局長が言う通り、超短波電話をつけるのと、それから中短波でやるのとでは、どちらが費用が多くかかるのですか、同じぐらいですか。
  32. 千代健

    千代説明員 ちょっと比較の資料を私は今持っておりませんから、ただいま取り寄せます。
  33. 久保三郎

    久保委員 それでは費用の点はあとから御答弁いただくことにして、三十六カ所、超短波というのは、電電公社がいわゆる計画をしようとしたのはいつのことですか。三十八年からおやりになるというが、いつから御計画をなさったのか。さらにはそういうものに対しての政府部内の打ち合わせは——結局、あなたの方は政府部内じゃないけれども電波監理局を通じて運輸省との間の協議というか、そういうものはなされて今日やっておられるのか、いかがですか。
  34. 千代健

    千代説明員 この計画の糸口はたしか一昨年の暮れあたりからではなかったかと記憶しております。各方面からの内航船舶に対する電話についての要望が出まして、それから起こった問題でございまして、私どもの方は現在すでにやっております個所の拡充考えたわけです。もちろんこれにつきましては、郵政省を初め政府御当局の方と十分連絡をいたしております。ただその中で、いろいろ連絡をいたしておりますが、まだこういった方法をとる方がいいとか、あるいはこうしてくれとか、いろいろ御要望が出たままで懸案になっている問題も相当あります。
  35. 久保三郎

    久保委員 今の話によると、一昨年の暮れからであるそうでありますが、これは大体今の電電公社の五カ年計画というか、そういうものに織り込んであるのですか。
  36. 千代健

    千代説明員 織り込んであるとお考えいただく方が至当だと思います。
  37. 久保三郎

    久保委員 織り込んであると考えていただくのが至当だというのはどういう意味ですか。
  38. 千代健

    千代説明員 電信電話拡充五カ年計画というものの主体が電話拡充でございまして、これはもちろん船舶電話でございますが、一般加入電話とは非常に性質を異にしたものでございます。従って、一般加入電話拡充ということが一番大きな問題でございますが、そのほかにこういった船舶電話あるいは電信テレックス等も入れてございますが、そういったものも考えておるわけでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 先ほどのお話で、三十六カ所を二カ年間でやるが、都合ではおくれるかもわからぬ、条件が整えばできるというが、その条件が整えばというのはどういう意味なんですか。
  40. 千代健

    千代説明員 今私どもの方ではやるという考えでいっておりますが、あるいはわれわれの方への財政投融資の問題とか、あるいは外債の問題等予算的裏づけが不可能になる場合には、こういった方の予定のものが若干遅延するというようなことも出るおそれがある、こういう意味で申したのでございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 ただいままでのお話で聞きますと、郵政省、これは電電公社を含めて、内航船に対しての電波割当は超短波を主にしていくというのは、これは省議というかそういうもので決定しているのですか。そういう方針にのっとって、電電公社郵政大臣からの指令に従って整備計画をおやりになっているのかどうか、そういう方針が前提になって三十六カ所を二カ年計画というものでおやりになっているのかどうか、それとも電電公社自体のいわゆる電話その他の整備拡充計画というか、その中で自由にとっては語弊があるが、特段の考えでおやりになっているのか、どうですか。
  42. 千代健

    千代説明員 もちろん私の方で電波は自由に使えるものではございませんから、電波監理局長とも御相談の上でやっております。
  43. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、政府部内では、いずれにしても、そういう方針はまだ調整は完全についてないというふうに理解してよろしいかどうか。
  44. 千代健

    千代説明員 私は何も政府部内のことを存じませんのでお答えいたしかねます。
  45. 久保三郎

    久保委員 それは無理からぬことでありましょう。これは電波監理局長はもういないだろうから、船舶局長から聞きましょう。いかがですか、まだ統一された方針ではないのだ、そういうことで歩か。
  46. 藤野淳

    藤野政府委員 現在までまだ統一された方針はございません。
  47. 久保三郎

    久保委員 統一されないままに電電公社は二カ年計画で三十六カ所の整備をはかるということ自体おかしいじゃないですか。どうするんですか、混乱しているんですね。
  48. 藤野淳

    藤野政府委員 電電公社事業計画につきましては、正式な連絡を受けております。従いまして今後内航船無線施設を強制いたします場合には、その間の事情を勘案しながらやっていかなければならぬと考えております。
  49. 久保三郎

    久保委員 統一されてないのに、しかし電電公社からは連絡を受けているからその間の調整をはかっていきたいというが、そうすると電電公社方針はいわゆる統一されたものであるというふうにもとれるし、どちらですか。はっきりしなければ、今の内航船に対するところの無線施設をやらせるということにはならぬじゃないですか。これはいかがですか。
  50. 藤野淳

    藤野政府委員 この問題は、中短波と超短波との関係をいずれか一本にしなければならない、超短波ということであれば、中短波は、切りかえのことを考えて許可すべきではないというふうに決定しておれば、これは統一見解ということではっきりするわけでございますが、この問題につきましてはSSBにいいところもあり、VHFにもいいところもある。SSB波長余裕があまりないけれども施設することができないわけではない。また電電公社郵政省としては、一、二年まではSSBを受け付けるということを申しておりますので、その施設を禁止すると私どもは言ってないわけであります。
  51. 久保三郎

    久保委員 船舶局長お話によれば、今の中短波設備も受け付けるというのですが、実際問題として受け付けておらぬじゃないですか、どうなんです。
  52. 藤野淳

    藤野政府委員 これは電電、郵政省との話をしばしばやっておりますが、禁止しておるというふうには私どもは聞いていないわけであります。
  53. 久保三郎

    久保委員 それでは電電公社に聞きますが、そういう申請があった場合に今許しておりますか、いかがです。
  54. 千代健

    千代説明員 船舶の超短波電話設備する問題——短波で、ございますか、私の方はそれはやっておりません。
  55. 久保三郎

    久保委員 受け付けていない……。
  56. 千代健

    千代説明員 私の方は営業関係でございますので、それはやっておりません。
  57. 久保三郎

    久保委員 それでは郵政省の三枝課長はどうなんです。今の船舶局長の言う通りになっているのですか。
  58. 三枝豊

    ○三枝説明員 ただいま局長が隣の部屋におりますので、ちょっと来てもらうように今連絡をいたしましたけれども、私が承知しております限りにおきましては、一昨年の六月ごろからこの問題がございまして、運輸省も一枚加わり、船主協会も入り、電電公社も入りまして、数次の相談の上、大体の線が出ておるというふうに私は承知しております。
  59. 久保三郎

    久保委員 大体の線というのは大体どの辺ですか。
  60. 三枝豊

    ○三枝説明員 先ほども局長お答えいたしましたように、中短波というものは海上保安庁救難体制をしいております現在においては、適当な波かと思いますけれども内航船がこれを利用する場合に安全度だけなればけっこうですけれども、安全度だけで満足するものでなくて、必ず事業用の通信を欲するものである。そこで現在は四波で二百数隻がこれを利用しておりますけれども、すでにもう飽和状態で周波数が足りない。自分たちの時間がないというような声も聞こえるくらいでございまして、今後百トン以上くらいの内航船無線が普及することを考えますと、数千隻の船が現在の中短波ではとてもまかない切れないということで、これは勢い周波数事情から百五十メガ帯に行かざるを得ないというのが郵政省考え方でありまして、これに対しまして関係の方も同調をされまして、現在の方向に進んでおるように私は承知いたしております。
  61. 久保三郎

    久保委員 そうしますと三枝課長、船舶局長が言うように、現在は中短波の申請がありましてもこれは許可しない、こういうことで話し合いがついておるという意味ですか。
  62. 三枝豊

    ○三枝説明員 お答えいたします。現在は中短波の申請がありますれば免許いたします。
  63. 久保三郎

    久保委員 どのくらいまで免許しますか。
  64. 三枝豊

    ○三枝説明員 問題は海岸局の方でございますけれども、現在全国に十二カ所、これが専用通信の形で内航船利用組合というものが結成されておりまして、その組合の船の相互間及びその組合が設置する陸上局との間の専用通信として処理しております。これは従来からありますものは十局ございまして、一昨年の十一月に再免許の期間が来まして、そのあと五カ年の有効期間中には適当な措置を講ずることもあるという付款をつけて再免許をいたしました。一方免許人からは、どのような措置にも応じますという誓約書も取っております。それからその後関東内航と尾鷲から申請がありまして、これにも現在電電公社の百五十メガ帯の施設整備できない、その間における通信をどうしてくれるのだ、こういうことになりますので、その間の電電公社施設整備され、業務が開始されるまでの間のつなぎといたしまして、必要ならば免許いたしましょうと言ったところが、そういう免許の有効期間でもけっこうであるから免許してくれということで、関東内航と尾鷲は電電公社海岸局整備されるまで、四十年の三月三十一日という期限を切った免許の有効期間で免許いたしております。
  65. 久保三郎

    久保委員 今のお話で二つほどまたお尋ねしたいのですが、一つは、十二カ所の海岸局、これでもう日本全国手一ぱいですか、それとも海岸局をふやすのは地域的でしょうが、海岸局をふやせばもっと利用ができるということにも考えられるのですが、そういうことはないですか。
  66. 三枝豊

    ○三枝説明員 御承知のように中短波というものは通達距離が長うございまして、たとえば小樽の利用組合の海岸局がございますが、この所属船が夜分になりますと、九州方面を航行中でも小樽と通信ができるようになっております。そういうことで、現在の十二カ所を適当に使用しますれば全国十分に通信ができる。もしこれを電電公社でさようなサービスをするとしますれば、十二カ所も置く必要はないと私ども考えております。それは電波の伝播の関係からそういうことになるわけであります。
  67. 久保三郎

    久保委員 そうすると、これは電電公社がなぜ中短波を最初許したかという問題にもなりますね。時代の推移というのは、ここ二、三年よくおわかりの通りなんでありまして、しかも期限を切って、四十年三月までであとはだめだ、よろしいか、よろしいということでやらせているというのだが、その切りかえの費用も、これは船舶の所有者にすればそうやさしいものではないように思う。はたしてそういうことでやって、第一うまくこの切りかえができますか、どうなんですか。
  68. 三枝豊

    ○三枝説明員 先ほども局長が申し上げましたように、ある時期におきましては、百五十メガ帯の電電公社海岸局整備され、これを相手にする船舶用の無線設備が普及する、そういう経過期間中におきましては、従来からある二メガ帯の通信と百五十メガ帯の通信とが並立するという形になるのだと思います。ただそれがどの程度の見当かと申しますと、先ほども申し上げましたように、現在の海岸局が、一昨年の十二月一日に再免許いたしましたから、昭和四十一年の十一月三十日に免許の有効期間が来る。そのときの事情を見まして、さらに再免許するか、そこで再免許を打ち切ってもう一斉に百五十メガ帯に移行してもらうか、大体その辺のところで検討はいたしたいと思っております。
  69. 久保三郎

    久保委員 今のお話では期限が来た場合には一本にするか、それとも従来通り短波を使わせるかきめるというお話ですね、そうですね。
  70. 三枝豊

    ○三枝説明員 その付近を時限としまして百五十メガ帯に移る、一元的に移るということであります。その移る移り方が、先ほど申し上げましたように、急激な無理はしない、こういうことであります。
  71. 久保三郎

    久保委員 無理をしないというのは、やはり従来通り使わせるということになりはしませんか、いかがですか。
  72. 三枝豊

    ○三枝説明員 これは大体船の方の事情になると思いますけれども無線機にはやはり耐用年数というものがございますので、大体五年くらいたちますと新しい機械にかえるような時代が来ます。そういうときには百五十メガ帯の方に移っていただく。または現在も昨年からいろいろな申請が来ておりますが、それは電電公社が急速に、一、二年のうちに業務を開始するならば、二メガは待って百五十メガの方を利用したいという向きもありまして、免許を取り下げた向きもございます。そういうようなことから、百五十メガの方への移行は昭和四十一年ころになると考えております。
  73. 久保三郎

    久保委員 どうも電波の方は目に見えませんからわかりません。実際いって御説明がよくわからぬのでありますが、しろうとのぜいばかりじゃなくて、どうも方針というのがあいまいのように見受けられるのであります。  そこで海上保安庁長官が来られましたからお尋ねしますが、あなたのところの巡視船、あるいは保安庁全体がお使いになっている波長というか電波というのは中短波だと思うのでありますが、そうでありますか。さらに今お聞きの通り郵政省並びに電電公社内航船については超短波を重点に切りかえていくんだ、こういうお話なんだが、それに見合った御計画というものはあなたの方でお持ちなのかどうか。
  74. 和田勇

    ○和田政府委員 私の方が現在やっておりますのは中短波でございます。三十八年度は予算要求いたしてございませんが、関係の方々からもかねてこの話を伺っておりますので、三十九年度以降VHFというものを採用していきたいというふうに考えております。
  75. 久保三郎

    久保委員 そこでまた電電公社事業計画でありますが、二カ年計画でおよそ整備するというが、これはあとで資料をいただきたいが、どういう手順でやるのか。ここでお聞きしたいのは、こういう計画がコンクリートされていないで、先ほどのような条件が整えばというような条件付きでやっているとするならば、たとえば郵政省方針あるいは電電公社方針通り内航船に超短波を使わせるということにいたしましても、これは全船舶につけさせるという計画が立たぬと思うのであります。だから問題は結局、海岸局整備を待ってからでありますから、四十年なり四十一年にならぬと受付はできない、こういう意味になりますか、どうですか。
  76. 千代健

    千代説明員 三十八年度と三十九年度の二年度の計画でやっていきたい、こういうふうに私ども相当意欲を持ってやっている仕事でございまして、おそらくは所要資金その他の問題、三十九年度以降の予算等もまだ全然わからないわけでございますから、そういった中に盛り込みまして、これを実施したいと考えております。それまでできないかというお話でございますが、現在すでに私ども船舶電話サービスを百五十メガ帯の方でやっておりますところは、先ほど申し上げましたように東京湾、伊勢湾、瀬戸内、関門海峡、洞海湾、それから長崎−五島間の海域であります。今考えております順序として、三十八年度には東京以西及び九州の西部、北部を先に整備していきたい、こういうことで準備を進めておる次第でございます。その次の三十九年度の計画としてそれ以外のところをやっていきたい、かように考えております。
  77. 久保三郎

    久保委員 結局その計画が実施されなければ、今おあげになった地区については、申請があっても実際受け付けるわけにいかぬ、こういうことでしょう。
  78. 千代健

    千代説明員 もしできなければ受け付けられないのは当然でございます。
  79. 久保三郎

    久保委員 できなければじゃなくて、計画通りできるまではその地域については受け付けられない、こういうことじゃないですか。
  80. 千代健

    千代説明員 御説の通りでございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 そういう状況の中で海難、特にこの主題は船舶の安全航行の問題を審議しているのでありますが、最近における海難の問題、それに引き続くところの救難、そういうものの関係からいっても、一刻も早く内航船についてもそれぞれの適切な無線施設をつけなければならぬ、こう思っているわけです。そういう実情にありながら、今お話のような、計画ができるまではうまくいかぬということでは、どうも心もとないのでありまして、三枝課長からのお話では、中短波は現在条件付で受け付けるというふうなお話もございましたから、その通りやってもらえるかと思いますけれども、ただ問題は、政務次官に一つお答えいただきたいのでありますが、お聞きの通り、どうも運輸省の船の関係とこの電波関係とは、必ずしも意見が一致しない面があるようなんです。いずれをとるかは専門家にまかせますが、とにかく早急にこれは処理をしなければならぬと思うのです。この法案が近く通るだろうと思いますが、通る通らぬは別にして、電波と船の関係は一刻も早く政府部内の意見統一をして早急に手を打つべきだと思うのですが、そういうことについて何か所要の行動をされる考えでございますか。
  82. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 お答えいたします。お説の通りの処置をいたしたいと考えております。この前のときわ丸事件につきましても、あのときわ丸には別に無線電話設備がございませんでした。あれがあった場合でも助かったかどうかわかりませんけれども内航船舶で小さなものでありましても、少なくとも多数の船客を運ぶような船には、ぜひともこのような無線電話設備はさせたいと考えております。これについて極力行政指導いたしまして、できるだけ早い機会にこの設備をさせるような方向にいきたいと考えております。
  83. 久保三郎

    久保委員 電電公社は先ほどの施設費用の相違はおわかりですか。
  84. 千代健

    千代説明員 数字までまだ連絡が参っておりませんが、全体的に建設するということになりますと、もちろん数が多うございますから、超短波の方が金額としては大きいことはおわかりいただけると思います。ただ中短波による場合と超短波による場合では周波数の問題が非常に窮屈でございまして、中短波帯は使い得ないという宿命的な問題がございます上に、一般加入電話と話をする、つまり船舶から積荷の問題その他、船舶が走っておる最中に陸との連絡をとっていく、商業上の所要の目的を果たすというためには、一般加入電話国内電話はもちろんのこと、場合によっては外国船がたまたまこれを使います場合には香港とかあるいはシンガポールとか、国際通話にまでかかるような電話でなければいかぬのであります。そういった関係から、通話の品質の点で中短波によることは超短波によるよりも非常に悪いわけでございまして、従って単に建設費だけでこれを比較いたしますことはあまり適当でないのじゃないか、通話の品質をあわせて考えるべきものじゃないか、かように思っております。
  85. 久保三郎

    久保委員 もう一つ、これは船舶局長にお伺いするんですが、第四条第一項の四号には——きのうもお尋ねしましたが、前各号を除くの外、旅客船であって、いわゆる国際航路に従事するものは無線電信施設するということになっているわけであります。それをこの際、国際航路に従事するものというのを旅客船の中からはずすべきではないか。というのは、御承知のように、五百トン以上の旅客船というか、三百トンというか、そういう船には当然多数の乗船客を搭載するわけでありますから、安全性から考えれば、単に国際航路に従事するというワクをはめないで、沿海区域以上の旅客船については、この第一項の無線電信をつけさせるのが本来の趣旨ではないと思うのであります。もちろん国際条約に関しますればこれでもよろしいのでありますが、きのうから申し上げたように国際条約に抵触しないというだけでは船舶と人命の安全は保てないという趣旨からいっても、これは思い切ってそういうふうに面すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  86. 藤野淳

    藤野政府委員 ただいま旅客船で任意に無線施設を装備いたしておりますのは、三百総トン以上のものが八七・五%ございます。百トン以上で七二%が任意にもうすでに無線施設を装備いたしております。残りの一割二分五厘あるいは二割八分というものがさしあたって強制するとすればその対象になるわけでございます。そこで四条の第四号「国際航海」というものを旅客船に関する限りはずしたらどうかという先生の御提案でございますが、それはただいまお話がございましたように、電話についての利用度についてまだ問題がございまして、かりにVHFにいたしますれば、その海岸局整備できますのにはまだ一、二年かかるようでございますので、強制いたしましても、どの電話をつけたらいいかという点がまだ問題が残るわけでございます。なお、われわれといたしましては、装備いたしておりませんのはごくわずかでございますので、極力行政指導によりまして、利用できるものについては電話の装備をさせるように強力な行政指導をしたい、かように存じている次第であります。
  87. 久保三郎

    久保委員 いや、局長、ちょっと答弁が違うのです。私の尋ねていることは、いわゆる無線電信を装置するというのが第四条の第一項でありますから、これを「国際航路」というのを、旅客船に限っては、この四号ははずしたらどうか。ただしこの第二項のただし書きの方は、さらに御質問申し上げようと思うのでありますが、あなたが御答弁になった趣旨通り、全船舶について——これはいうならば、旅客船は少なくとも全船舶について最低限無線電話を取りつけろ、こういうふうにすべきではないかということです。いかがですか。  私はこういうふうにこの条文を読んでいるのですよ。第四号は、旅客船または三百トン以上の船であって国際航路に従事するものは無線電信をつけなければならぬ。そうですね。「旅客船又ハ」というのは、旅客船ははずれるわけではないですね。「国際航路」にかかるわけでしょう。だから国際航路だけはこの旅客船に限ってははずせ、そういうワクをはずせ。旅客船は少なくとも無線電信をつけなさい。これはトン数がありませんから三百トンなら三百トンにする、三百トン以下はいわゆる無線電話を必ずつけろ、こういうふうにすべきじゃないかということです。
  88. 藤野淳

    藤野政府委員 それは先ほどそういう趣旨で御答弁申し上げたつもりでございます。旅客船は国際航海に従事するといなとにかかわらずすべて無線電信施設せよ——なお、その次の項によって、旅客船にあらざるものは無線電話ということがございますけれども先生の御趣旨は、国際航海というのを旅客船に関してははずせということでございますか。
  89. 久保三郎

    久保委員 そうです。
  90. 藤野淳

    藤野政府委員 それにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたような事情がございます。極力行政指導によって未装備のものは装備するようにいたしたいということでございます。
  91. 久保三郎

    久保委員 この四号の解釈は、旅客船について国際航路に従事するものは無線電信をつけなければいかぬ、こういう意味でしょう。だから私が言いたいのは、「国際航路」というのをはずして、三百トン以上の旅客船には無線電信を備えつけなさい、第二項のただし書きは、今申し上げた旅客船には適用なしというならば、三百トン以下は無線電話を備えつけろ、こういうふうにすべきではないか。あなたの先ほど数字をお上げになったものは、無線電話をいっているのではなかろうかと思うのでありますが、いかがですか。
  92. 藤野淳

    藤野政府委員 国際航海の旅客船は、条約によりまして無線電信をつけなければならぬということになっております。それはトン数が何トンでございましてもつけなければならぬ。三百トン以上とかいうようなことでは、条約に抵触するわけであります。旅客船は、国際航海に従事するものはすべて無線電信設備を要するという条項がどうしても必要なわけでございます。
  93. 久保三郎

    久保委員 局長、そうすると、国内航路というか沿海区域を歩くものは無線電信をつけなくてもいいということになるわけですね。これはそういう意味でしょう、四号を逆に言えば。国際航路に従事する旅客船は無線電信をつけろということでしょう。私の言いたいのは、国際航路はもちろんのこと、沿海航路でも、たとえば三百トン以上の旅客船は全部無線電信を備え付けろ、こうすべきではないかということです。
  94. 藤野淳

    藤野政府委員 先生の御意見は、この第二号「遠洋区域又ハ近海区域ヲ航行スル旅客船」これらは国際航路のものもありそうでないものもあるわけであります。結局その点を改正しろという御意見じゃないかと思いますが……。
  95. 久保三郎

    久保委員 この中では、沿海区域を航行する旅客船についてはどうなっておるのですか。
  96. 藤野淳

    藤野政府委員 第二号は、沿海でございますので、沿海は国際航海の場合だけしか強制されないわけであります。
  97. 久保三郎

    久保委員 だから四号でしょうと言っておるのです。むしろ四号から「旅客船」というのをはずして、第二号、沿海区域以上を航行する旅客船、こうなればいいわけです。遠洋、近海、沿海を航行する旅客船全部だけれども、あまり小さい船までそれを強要することはまたいかがと思うから、三百トンなら三百トンで切ったらどうか、こういうことなんです。
  98. 藤野淳

    藤野政府委員 条文の形としてお読みいただきませんと、よくわからないのでございまするが、これは国際航海のものはどんな小さい船でもすべて強制するというのが、それでははずれるわけであります、三百トンとか五百トンにいたしますと。そういうわけで、こういう書き方にしたわけであります。
  99. 久保三郎

    久保委員 ちょっと言い方が悪かったね。それから私の言いたいのは、沿海区域をやっておるものは、三百トン以上のものは無線電信をつけさせろ、こういうことです。それ以下のものは無線電話をつけさせろ、わかりますか。
  100. 藤野淳

    藤野政府委員 よくわかりました。ただ三百トン以上につきましては、現在八七・五%が自発的にもう装備しておりますので、残る一二・五%につきましては、行政指導によりまして極力施設するようにいたしたいというわけでございます。
  101. 久保三郎

    久保委員 それは無線電信ですね。
  102. 藤野淳

    藤野政府委員 電話も含めまして……。
  103. 久保三郎

    久保委員 私が言いたいのは、無線電信を三百トン以上の沿海のものにもつけさせろ、こういう趣旨ですよ。電話のことはさっき申し上げた通り、その他は全部電話をつけさせろ、そのくらいの配慮がなければ無意味なんじゃないですか。無線電話の方は超短波に切りかえるというと、超短波では、海岸局に行ってからそれから保安庁に行く、あるいはその他の船からまた陸に中短波で送る、こういう手数をやっておると、この間の海難事故じゃないが、ああいう形でも二、三十分は空費してしまう。しかもその船が、相手が小さいから何がなんかわからないので、機帆船だと思ったら、お客さんがたくさん乗っていたというような失態も起きるので、社会性からいっても、船を運航する場合には当然責任があると思うのですが、いかがでしょうか。十何パーセントというのは電話が入っておる……。
  104. 藤野淳

    藤野政府委員 その法律は、安全の最低限度を規定いたしておるものでございまして、無線船舶安全における使命は、遭難あるいは緊急通信が確実にできるということが第一の使命でございます。無線電信は、無線電話に比べますと、通信上の価値は非常に大きゅうございまして、業務通信にも非常に役立つわけでありますが、この点につきましては、無線電信の商売上の価値を船主が認めて、自発的に装備するようになることをわれわれは望むわけでございます。
  105. 久保三郎

    久保委員 おっしゃるまでもなく、それはそうですよ。こういう取り締り法規というのはそういう最低限をきめているわけで、必ずこれだけはやれということ、ところが人命と船舶の安全は最低限です。ほかの法律ならいざ知らず、これは法律自体も他の法律とは違った観点から考えねばいかぬと思うのです。これだけやっていれば責任は免れるというのではなくて、安全を高めるというところにこの法律のもう一つの側面がなくては、ほんとうの船舶安全法ではないだろうと思うのです。そういう意味からいっても、あなたのおっしゃることもわからぬわけではありませんが、少なくともそれだけの進歩がなくてはいかぬのではなかろうかと思うのです。行政指導によってやられるという、これはけっこうだ。そこで、たとえば国鉄の青函連絡船は、この第四条からいくと、最低限何を設備すればいいのか、いかがですか。
  106. 藤野淳

    藤野政府委員 国鉄の青函連絡船は、この法律によりましては強制船舶ではございません。
  107. 久保三郎

    久保委員 何もつけなくてもいいわけですか。
  108. 藤野淳

    藤野政府委員 安全法によりましては、つけなくてもよろしいわけでございます。
  109. 久保三郎

    久保委員 しかし常識としていかがなものでしょうか。
  110. 藤野淳

    藤野政府委員 常識としましては、つけないのがおかしいわけでございまして、これはもう自発的に完全なものを装備いたしております。
  111. 久保三郎

    久保委員 法律というのは大体一つの常識じゃないでしょうか。常識をはずれたような法律というのはありますか、いかがでしょう。
  112. 藤野淳

    藤野政府委員 おっしゃる通りでございます。
  113. 久保三郎

    久保委員 その常識を守らない場合があるのです。国鉄は守ると思うのでありますが……。そこでこの安全というのは、常識を守らない場合があるから法律で規制するのでしょう。そうでしょう。この問題は常識だと言うならば、法律は要らぬです。自分の船で自分の積んでいるお客と荷物を安全に輸送するというのは常識です。常識ではまかない切れないから、必ずこれはやりなさいということだと思うんです。そういうことをやはり加味してこの法律の建前をとらなければいかぬのじゃないかと思うのです。そこで、たとえば常識論からいって、法律には規制も何もないが、国鉄の現状の無線設備というものは将来にわたっても確保さるべきだと思いますが、いかがですか。
  114. 藤野淳

    藤野政府委員 私が常識と申し上げましたのは、国鉄の青函連絡船のような場合は、法律で規定されなくとも装備するのが常識であるというふうに申し上げたわけでございまして、ただ常識が行なわれないのは、いろんな事情があるわけでございます。先生の御質問の、将来にわたってこれが確保されるかというお話でございまするが、私は確保されると思います。
  115. 久保三郎

    久保委員 確保される、でなくて、その常識は確保さるべきだと思うが、その点の見解を聞きたい。
  116. 藤野淳

    藤野政府委員 お説の通りでございます。
  117. 久保三郎

    久保委員 それじゃ次にいきましょう。次に第五条の二でありますが、今回改正されて、従来の三十二条では、いわゆる二十トン未満の帆船その他は一応ないわけでありますが、今度は二十トン未満のもので平水区域のみを航行するものについては随時検査ですか、これを行なう。こうなっておりますが、この改正趣旨は何ですか。
  118. 藤野淳

    藤野政府委員 第五条の二の改正趣旨は、現在三十二条の船舶でも、旅客運送の用に供するものは随時検査になっているわけでございます。そうでないものは検査をしないわけでございます。今度の改正の要旨は、二十トン未満の汽船あるいは平水の汽船に対しまして、現在三十二条の船舶で旅客運送の用に供するものの随時検査と同じような趣旨の検査をしたいというわけでございます。
  119. 久保三郎

    久保委員 これは法律の文言がちょっと難解でありまして、「第二条第一項ノ適用アル船舶ニシテ総噸数二十噸未満ノモノ」というと、二十トン未満のものは、三十二条で旅客運送の用に供するもの以外は適用がないわけですな。そうですね。そうすると、改正前の現行の五条の二は、そのことをうたっているわけで、早く言えば、重複した形ですね。それでここへ書き改めた二十トン未満のものというのはいかなるものかというのですが、第二条の第一項の規定による二十トン未満のものというと、いわゆる汽船ということになりますね。それから平水区域のみを航行するものというと、二十トン未満のものも入るのかどうか。「二十噸未満ノモノ及平水区域ノミヲ航行スルモノ」と書いてある。
  120. 藤野淳

    藤野政府委員 非常に書き方がややこしくなっているわけでございますが、二十トン未満の帆船は不適用でございます。それから平水区域を航行する帆船は不適用でございますが、新たに加わりますのは汽船でございます。なお重複いたしますが、三十二条の各号の船舶でも、旅客運送の用に供するものは五条の二の適用船舶になっていることは従来通りでございます。
  121. 久保三郎

    久保委員 そうすると、これで結局「平水区域ノミヲ航行スルモノ」というふうに追加されたということになりますか。
  122. 藤野淳

    藤野政府委員 五条の二で追加されたわけでございます。
  123. 久保三郎

    久保委員 そうすると、汽船は全部二十トン未満のものでもやる、こういうことですね、旅客船にあらざるものも、平水区域を含めて。
  124. 藤野淳

    藤野政府委員 旅客船にあらざるものは、平水区域の汽船は五条二で含まれるわけでございます。
  125. 久保三郎

    久保委員 そこで関連して三十二条の除外でありますが、二十トン未満の帆船、漁船、平水区域のみを航行する帆船、こういうものが除外になっているわけですが、これは何か別な船舶安全の問題で縛ってあるのですか。
  126. 藤野淳

    藤野政府委員 これは現在は縛ってないわけでございます。
  127. 久保三郎

    久保委員 この間から申し上げているように、二十トン未満のものも相当海難事故は多い。そういう点からいって、これはどのように考えられておるのか。
  128. 藤野淳

    藤野政府委員 三十二条の二十トン未満の帆船、漁船につきましては、海難事故がありますことは承知いたしておりますが、危険物を運送いたしますような場合には、危険物船舶運送及び貯蔵規則によりまして検査をいたしております。また旅客運送の用に供します場合には、必ずこれは検査をいたしておるわけでございます。これらの船舶は何分隻数が二万六千隻にも及ぶ膨大な隻数になっておりますので、定時的な検査はいたしておりませんが、特別な用途に使用する場合には必ず検査するということにいたしております。
  129. 久保三郎

    久保委員 この改正案に出ておりませんが、将来にわたってそれで大体やっていこうという考えであるのかどうか、この点はいかがですか。
  130. 藤野淳

    藤野政府委員 これは船舶安全法が制定されまして三十年の歴史を持っておるわけでございますが、海難の推移をよく分析調査いたしまして、何らかの規制が必要とあれば規制をしなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  131. 久保三郎

    久保委員 次に第六条の二の改正でありますが、これは新しくできたわけであります。これは認定工場というか、工場を指定するほかに、検査の能力のある者を個人を指定するのか、あるいは両方とも二重認定をするのか、いかがですか。
  132. 藤野淳

    藤野政府委員 これは一定の認定基準を設けまして、認定基準に適応したもののうちから、申請があった工場事業場に対しまして、工場、事業場の認定をするということでございます。
  133. 久保三郎

    久保委員 工場を認定する場合には、そこにいるところのいわゆる技能者というか、そういうものが、たとえば自動車にすれば認定工場には一級整備士がいなければいかぬとか、そういうことになっておるわけですが、これはないのですね。
  134. 藤野淳

    藤野政府委員 認定の基準で考えなければならぬ要素はいろいろございまして、事業者が厳正な品質管理体制をしいているかどうかということ、それから自主的な検査をやっておればその状況はどうかといったようなこと、その中には、たとえば溶接工であれば一級の溶接工が行なっておる工事に対して、十分配慮がされておるかどうかということも考慮の中に入るわけでありまして、人的、物的、あるいは管理体制、あらゆるものを考慮いたしまして、認定基準を設定いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  135. 久保三郎

    久保委員 そこでそういう方法でやるにしても、やはり総括する者がある程度の能力を備えなければ、これはなかなかむずかしいのじゃないかと思うので、そういう基準をきちんと政令か何かできめるのですか。そういうつもりでありますか。
  136. 藤野淳

    藤野政府委員 これはもちろん自主的な検査機構がございましても、これが生産部門に支配されまして、ほんとうの意味で自主的であるかないかということもよく検討審査しなければなりませんし、名目だけの検査部長がおりましても、これは認定の基準には合致しないというふうな考え方で設けていきたいと思います。
  137. 久保三郎

    久保委員 この条項は、結局船舶検査の能率化というか、合理化という名前で呼ぶのでしょうが、少なくとも権限はある程度運輸省から委任するようになると思うのです。そうですね。
  138. 藤野淳

    藤野政府委員 この認定の問題は、実質的には国家保安検査の委任的な行為というふうにわれわれは理解しておるわけです。従いまして、認定基準も適正なものでなければならぬし、またこの運用は厳正にやらなければならぬ。また認定を受けた工場、事業場が、認定要件に欠けるような場合には、直ちに取り消しを行なう、あるいは認定にあたっては有効期間をつける、いろいろな配慮をいたしておる次第でございます。
  139. 久保三郎

    久保委員 これは今お話通り、権限を委譲する形になりますので、慎重に扱ってほしいと思うし、それからこの法律にはないけれども、命令で定めるだろうと思うが、随時検査官が工場を臨検するということになるわけですか。
  140. 藤野淳

    藤野政府委員 お説のようにいたしたいと思います。そのような条文の改正が織り込まれておるわけでございます。
  141. 久保三郎

    久保委員 次に先般肥田委員から質問があった、たとえばハイドロとかあるいはモーターボート、最近のレジャー・ブームの波に乗りましてかなり大量のものが製造され、使用されておるわけです。これについてはどういう検査を今やっておりますか。
  142. 藤野淳

    藤野政府委員 レジャー・ボートにつきましては、旅客運送の用に供するといったような性格のものに対しましては、小型船舶等安全規則によりまして、安全法の省令でございますが、これによりまして検査をいたす。構造、設備あるいは不燃性あるいは救命施設といったようなことを十分基準に合致するように検査いたしております。しかし自分が乗りまして運転するようなものに対し面しては、検査をいたしていないわけでございます。それは回遊ヨットと同じような考え方にいたしております。
  143. 久保三郎

    久保委員 そこで、そういうモーターボートやハイドロまで一々検査官が検査するというのは、実際に的確に行なわれますか。
  144. 藤野淳

    藤野政府委員 検査のやり方でございますけれども、料金を取って運転手が乗ってお客を運送するような船が旅客運送に適しておるかどうかという見地から、先ほど申しましたようないろいろな事項につきまして検査をいたしております。これらのものは大部分は大量生産の規格品でございますので、それらの型式ごとに旅客定員は何人までよろしいか、救命設備はどのようなものが適当であるといったようなことを勘案して、適当な装備、構造を指示いたしておるわけでありまして、一たび型式ごとに検査が行なわれましたならば、同様なものは右へならえといったような簡易な検査でできるわけであります。
  145. 久保三郎

    久保委員 型式承認ということはやっておらないということですか。
  146. 藤野淳

    藤野政府委員 型式承認ということはいたしておりません。
  147. 久保三郎

    久保委員 型式承認については簡単にやるつもりはないのですね。
  148. 藤野淳

    藤野政府委員 なおこの問題につきましては、レジャー・ボートがどんどん広く用いられるようになると、当然そのようなことは考えなければならぬわけであります。
  149. 久保三郎

    久保委員 ただ問題は、レジャー用のポートその他がたくさん出てくるということ、もう一つは、先ほど御説明によりますれば、旅客運送の用に供するものだけはというお話もあった。自家用はよろしい、こういうことでありますが、全体の船舶の安全というものを考えれば、やはり同じ基準でやるべきではなかろうか。たまたま自家用でありながら他人を乗ぜる場合もありましょう。そういった場合を考えれば、当然これに対して合理的な検査基準というものを設けてやるべきだ、一方モーターボートの検査に追われて、現在の陣容でやるならば人間をふやさなければいかぬ。ところがときわ丸の検査は、救命艇にトタン張りしてあったとか、救命具は船倉の中に入っていたとかというのは、残念ながら人手が足りませんで検査ができませんというのでは、私は話が逆じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  150. 藤野淳

    藤野政府委員 レジャー・ボートに追われて、本来の旅客船の検査がおろそかになるということがありましては非常に遺憾でございます。なおときわ丸の御指摘の点は、私どもは非常に遺憾に存じておる次第でございます。このようなことのないように適正な検査を能率的に運営していきたい、かように考えておるわけでございます。
  151. 久保三郎

    久保委員 能率的にやるのには、新造の場合のレジャー・ボートというのはある程度大量生産になっているとするならば、一定の基準なりを厳格にやることは必要だと思いますが、むしろ重点は今例に出したようなものを重点に置いてやっていくということが必要です。あるいは客船についての検査も十分やるということが一番先ではないか。もちろん先ほど申し上げたように、人員をさらに、増せばいずれも全部適確にできると思うのでありますが、なかなかそれは実際には困難であろうと思うので、私はむしろレジャー・ボートその他は型式承認という形をとりながら、やはり人命の安全からいっても片方の検査を重点的にやるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。これは一応参考に申し上げておきます。  そこで、第八条の船級協会の仕事でありますが、これは第二条の六から九までの検査を除いてやるわけですね。  そこで船級協会の活動状況というものは、今日いかがですか。たとえば陣容はどの程度持っておられるのか。私は船級協会というのは寡聞にして知らないのでありますが、これはみんなそれぞれオーソライズされておるものだと思うが、この関係はどうなっていますか。
  152. 藤野淳

    藤野政府委員 船舶安全法第八条の船級協会に関連しまして、船級協会というものはどういうものかという御質問でございますが、船級協会は国際的な業務活動をいたしておりまして、国際的にその活動の成果が認められておりますのが世界に七つございます。日本には日本海事協会というのがただ一つございます。この船級協会は、一定の基準を設けて船舶を検査し、基準に適合したものに対しましてはこれを登録いたしております。そして登録をした船に対しては一定の船級を与えております。そしてこれを定時的に検査をいたしまして、登録基準に合致しておれば登録を存続する、合致していない場合には船級をはずし、登録を抹消あるいは保留するというようなことによりまして、商業的な船舶が一定の技術基準、安全基準に合致しているということを保証する一つの民間の機関でございます。しかしながら、政府の安全検査と船級協会の検査というものがどのように関連しておるかということを申し上げますと、船級協会の検査は一つの商業目的の検査でございますが、この検査の基準は一般政府の行なっております船舶検査に比べましてやや高いというのが普通でございます。政府は安全の最低限度を規定し、船級協会は商業目的の保安基準と申しますか、安全基準で検査をしておるということでございます。従いましてやや高い基準で検査しておりまして、しかもそれが安全法の第二条の一号から五号まであるいは九号から十二号までのような事項につきましては、六、七、八号の救命とか衛生ということに比べますと、直接の人命の安全の度合いは薄うございますので、船級協会の行なっております検査の価値を認めまして、それに合格したものについては政府の検査に合格したものとみなすという同等性を認めて処理しておるわけでございます。
  153. 久保三郎

    久保委員 この船級協会はいわゆる日本海事協会でありますが、この監督は、社団法人でありますから、それによって監督をしているわけでありますか。
  154. 藤野淳

    藤野政府委員 日本海事協会は財団法人でございまして、運輸大臣の監督に置かれておるわけでございます。詳細な監督の規定がございまして、省令によりまして人事の問題、検査員の問題、それから登録検査に関する規定、手数料、旅費に関する規定というような面で運輸大臣の認可を要することになっておりますし、また業務についていろいろと詳細な規制を受けておりまして、その公益性を確保するような監督をいたしておるわけでございます。
  155. 久保三郎

    久保委員 船級協会が検査をしたことについては、運輸省の検査官は別段に注意はしないでよろしいことになっておりますか。
  156. 藤野淳

    藤野政府委員 運輸大臣は船級協会の検査が適当でないというふうに認めた場合には、それは再検査をいたしますとか、あるいは政府みずからが検査をするといったようなことで、船級協会の検査に全部まかすというふうなことにはいたしていないわけでございます。十分検査の状況を監督いたしまして、不適当な検査は再検査あるいは政府みずからが検査するといったような処置によりまして、安全性の確保に遺憾のないようにいたして駆る次第でございます。
  157. 久保三郎

    久保委員 実際問題としてそういうのをたびたびやりますか。
  158. 藤野淳

    藤野政府委員 日本海事協会の検査員の任命につきましては、運輸大臣の認可を要しておりまして、資格のある検査員が検査をいたしておりまして、いろいろな面で監督を加えておりますので、日本海事協会の検査に対して再検査といったようなことは行なわれておりません。必要がございません。
  159. 久保三郎

    久保委員 信頼し切っているわけですね。もちろんこの船級協会はそれぞれ権威があるものでありますから、それでいいと思うのでありますが、ただ問題は、こういうふうに船が多くなり、船級協会に登録された検査担当の人は何人おるかわからぬが、需要と供給の関係で、しかも運輸省の検査官の人間もそう余っておるほどではないように見受けられる。従ってともすれば形式的検査に終わる場合が非常にあるのではなかろうかという心配をするわけです。たとえばまた出しては悪いが、ときわ丸にしても一つの例だと思うのであります。そういうことを考えると、さらに検査制度についてもっと陣容を固める必要があると思うが、この点については何か考えておりますか。
  160. 藤野淳

    藤野政府委員 ここ数年来検査の対象船舶が急増いたしまして、検査に十分時間をさけないような状況になりました。三十六年に船舶検査官三十名の増員ができまして、われわれとしては非常に喜んでおるわけでございますが、なおこれをもちましても現在毎年増大しております船舶を検査いたしますためには、何らかの能率的な手段を講じませんと、従来のようなやり方では安全性の確保が困難であるということで、今度のような合理化体制を打ち出したわけでございます。なお将来この五条ノ二あるいは六条の三項あるいは六条ノ二によりまして、検査の能率化がどのように効果があるかということをよく見きわめまして、さらにその範囲を拡大するとか、あるいは検査官の増員をするとか、検査官の待遇の改善をするとかいったようなことが考えられるのではなかろうかというふうに存じておる次第でございます。
  161. 久保三郎

    久保委員 次にお尋ねしたいのは、船員設備の基準というのはございますか。
  162. 藤野淳

    藤野政府委員 船員設備基準と申しますものは安全法体系にはございませんが、安全法第二条の第七号に「居住設備」第八号に「衛生設備」というのがございまして、これらはともに実質的には船員の設備の基準を打ち出している省令の一つの根拠でございます。船舶設備規定には、第四章に「船員室等」という規定がございまして、船員室の位置でありますとか、一人当たりの面積、容積でありますとか、いろいろな必要な基本的な事項について規定をいたしております。
  163. 久保三郎

    久保委員 船員設備の問題で今お話がありましたが、これで満足でありますか。船員設備に関する問題については、御案内通りILO七十五号並びに九十二号で、船内船員設備に関する条約というのもあるわけなんですが、これは日本政府はまだ批准をしておらぬと思うのであります。そういうものに関連して、船内船員設備の基準というものを明確にすべきだと思うが、今お述べになりました船舶設備規程というもので非常に明確になり、前進をしておりますか。
  164. 藤野淳

    藤野政府委員 船員設備基準につきましては、ただいま御指摘のILO条約の精神にのっとりまして、船員設備協議会というものが運輸省内に設けられまして、運輸大臣の諮問によりまして船員設備について詳細な基準の御審議をいただきまして、その御答申をいただいておるわけでございます。それは五百トン以上につきまして御答申をいただいておるわけでございます。五百トン未満の船舶、それから漁船につきましては部内でこれを検討いたしておりますが、この検討に相当の時間を要しまして、ようやく昨年の八月に草案ができたような次第でございまして、先生の御指摘のように、われわれといたしましては、現在の船員設備の規定では不十分でございまして、もっと前向きの、近代化した設備基準の規定を設けるべきであると考えまして、適当な機会に、今度の安全法体系の省令の改正にぜひこの基準を織り込みたい、かように考えておる次第でございます。
  165. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、今私がお尋ねしている船員設備の基準については、この改正が通過したあと直ちに所要の改正をする、こういうお話でありますか。
  166. 藤野淳

    藤野政府委員 そのようにいたしたいと考えております。
  167. 久保三郎

    久保委員 それはそれでいいでしょう。しかしそれは、いずれも答申をもらったりあるいは部内で一応草案ができた、そういうものを含めてやるわけですな。
  168. 藤野淳

    藤野政府委員 さようでございます。
  169. 久保三郎

    久保委員 ILOの九十二号の批准というか承認というか、そういう手続はいまだにされていないと思うのですが、そうですが。
  170. 藤野淳

    藤野政府委員 まだ批准されておりません。
  171. 久保三郎

    久保委員 いかなる理由で——これはやる必要がないからですか。
  172. 若狹得治

    ○若狹政府委員 ILO九十二号条約につきましては、先ほど船舶局長から御説明いたしましたように、昭和二十七年以来船員設備協議会をつくりまして検討して参ったわけでございます。具体的な答申も出ておりますけれども、その内容につきましてはILO条約の基準と異なる部分が多少あるわけでございます。具体的な内容につきましては詳細な資料がございますけれども、問題は、日本人の生活様式というものが国際のこういう基準と合致しないものが多少あるということ、それからもう一つ日本の海運企業の現状というような問題もございますので、そういう二つの点から、現在われわれのところで得ております結論は、この国際基準と多少異なったものになるというわけでございます。従いまして批准をやっておらないということでございます。
  173. 久保三郎

    久保委員 船員局長は批准ができない一つの理由は生活様式が違うからというのですが、これはILOに了解を求めれば——どういう程度かわかりませんけれども、生活様式が違うという点は了解されると思います。日本の特殊な事情というのはあとの問題の方が比重が大きいんじゃないですか。その点はどうなんですか。
  174. 若狹得治

    ○若狹政府委員 もちろんそういう点もあるわけでございますけれども、現在船員設備協議会の答申自体につきましても、これは船主団体あるいは労働団体というような団体が完全に了解しているということでございません。各有識者が集まってつくっていただいた結論でございます。従いまして、もしわれわれがそのままこれに従って省令を制定するということになりましても、具体的に申しますれば、船主団体が無条件に賛成するということはとうてい考えられないような状況でございまして、現在われわれの得ておる結論を実施するにも多少の困難があるという状況で、ございます。  なお現在は工百トン以上の船舶についての基準だけができているわけでございますけれども、今後の問題としてはむしろ五百トン以下に一番大きな問題があるとわれわれ考えますので、これも早急に何らかの結論を得たいと考えておるわけでございます。この問題につきましてはもちろん国際条約には関係ございませんけれども、われわれとしては一番重点を置いて今後努力して参りたいと考えておるわけでございます。
  175. 久保三郎

    久保委員 さっきの船舶局長の話では、大体基準はできたし、あと漁船も大体草案ができたというが、今の船員局長お話だと、だいぶ違うわけです。そこで、その答申を受けた基準あるいは草案ができたといいますが、それを資料として提出してほしいと思います。それから船員局長からお話がありました船主団体がいかなる点でがえんじないのか、これを摘出して資料として出していただきたい。あさってそのことを質問いたしますから。  次に参りますが、次は第二十八条の改正でありますが、これは危険物の搭載、運送、貯蔵に関する規定でございまして、これはいわゆる安全条約に基づいて諸規則を命令できめる、こういうことなんですね。
  176. 藤野淳

    藤野政府委員 安全条約に基づくことはもとより、なお日本国内事情も勘案して広い範囲で規定しておるものでございます。
  177. 久保三郎

    久保委員 この中で危険物あるいはその他の特殊な貨物の運送ということでありますが、この運送の場合におよそ該当するものはどういうものですか。
  178. 藤野淳

    藤野政府委員 一般危険物のほかに特殊貨物といたしまして、甲板積みの木材貨物、それから甲板積みの車両、これはカー・フェリーのようなものでございます。それから穀類貨物、小麦、トウモロコシ、米、アズキといったようなものでございます。それから含水微粉鉱石、水を含んでおるこまかい鉱石でありまして、硫化鉄の精鉱であるとか、それから亜鉛精鉱であるとか、あるいは鉄鉱にもそういうものがございます。この四種類のものが一般危険物のほかの特殊貨物ということで規制をするものでございます。
  179. 久保三郎

    久保委員 現状と、この改正されようとする、命令で行なう中身とはどういうふうに違いますか。
  180. 藤野淳

    藤野政府委員 特殊貨物のうち三番目に申し上げました穀類貨物につきましては、今度の六〇年の条約を受けまして、穀類積載図を提出させまして、これによって規制するということでございます。なお甲板積み木材、甲板積み車両、含水微粉鉱石につきましては、一定の積み付け基準を設けて規制するというのが従来と異なる改正点でございます。
  181. 久保三郎

    久保委員 それはここで運送という中に特殊貨物の運送、あるいは危険物というのかもしれませんが、原子力に関係する原子燃料の輸送についてはいかなる規制をしておりますか。
  182. 藤野淳

    藤野政府委員 これは原子炉規制法で、海上輸送につきましては船舶安全法の体系の中の危険物規則にゆだねられておりまして、これによって規制をできることになっております。
  183. 久保三郎

    久保委員 それは今の規定にありますか。
  184. 藤野淳

    藤野政府委員 ございます。
  185. 久保三郎

    久保委員 何というのですか。
  186. 藤野淳

    藤野政府委員 省令の名前は危険物船舶運送及び貯蔵規則でありまして、この中に核燃料等につきましては、第六節に「放射性物質」というものがございまして、「容器、包装及び標札」あるいは「容器、包装及び標札の特例」「積載方法」「立入禁止」「防護」「荷役後の汚染の検査」というようなことを規制いたしております。
  187. 久保三郎

    久保委員 そこで今の規則の中の第九十条は船長の義務になっておるわけだが、かかる運送の場合にはそれに応じたところの何か手配がとれる仕組みになっておるのですか。
  188. 藤野淳

    藤野政府委員 第九十条の防護で、船長はある量以上の放射を受けることのないように注意をしなければならないというのは、一つの測定器具なり何なりが必要なわけでございまして、これによって放射能の危険から船内にある者を船長は守らなければいかぬという規定でございます。
  189. 久保三郎

    久保委員 具体的にどうなんです、これは実際問題として。大へんこまかく聞いて恐縮ですが、これから大へん多くなると思う。これは船長ができもしないことの強要規定を置かれたので心配だと思うのです。しかも実際問題としてこういう防護措置がいかなる具体的な手段によって講じられるのか。第九十条には、「船長は、船内にある者が、九日間に合計三〇〇ミリレムをこえる放射を受けることのないように注意しなければならない。」というが、そういう具体的な措置は、これはどこかにあるのですか。書いてあることは、なるほどこれでいいかもしれませんが、具体的に守られるかどうか。
  190. 藤野淳

    藤野政府委員 この規制ができまして、日本船が放射能物質を運送したことがございませんので、従いましてこの規定を適用した実績はございません。
  191. 久保三郎

    久保委員 それでは万が一これからあったらどうします。これで適用しますか。適用できるような形になっておりますか。
  192. 藤野淳

    藤野政府委員 そのような必要が起こりました場合には、なお実施方法につきましては十分具体的に定めまして、海運局を通じて適当な通達を出すつもりでおります。
  193. 久保三郎

    久保委員 原子力開発とかなんとかいいましても、どうも各所にこういう概念的なことを書いてあるわけです。それで、いまだかつてないから、これからもないから、大体飛行機で来るからということかもしれませんが、実際からいってそうばかりはいかぬと思うのです。こういう点についてもやはり万全の対策というか、手段、方法はきちんときめておかなければいかぬ。これだけの規定だと、これは全部船長の責任ですよ。実際はあり得ないならあり得ないでけっこうでありますが、そういうことも考える。  それからもう一つここでお伺いしたいのは、貯蔵とはいかなるものか。この場合、貯蔵とはいかなるところをさすか。
  194. 藤野淳

    藤野政府委員 これは運送ではないのでござい示して、たとえば海上倉庫といったような格好で船舶に貯蔵して、船を一つの倉庫がわりに用いるという場合には、これは当然貯蔵になる。運送ではないわけであります。
  195. 久保三郎

    久保委員 この場合は、貯蔵という中には、たとえば船内で船自体が使うものを貯蔵するということもあると思うが、それはさしておるかどうか。
  196. 藤野淳

    藤野政府委員 貨物ではございませんで、そのような場合はもちろん含まれるわけでございます。
  197. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、原子力船などができた場合、こういうことはあまりあり得ないかと思うのでありますが、核燃料を貯蔵するという場合があり得るかどうかわからぬが、あり得るとすれば、そういうものもさすのですか。
  198. 藤野淳

    藤野政府委員 そういうものは当然含まれますが、そのような場合に具体的な扱い方につきましては、この省令を補足することを考えておるわけでございます。
  199. 久保三郎

    久保委員 どうもなかなか未来のことはわからないようですから……。法律というのは大体出てきた現象をとらえられておるというのが法律かと思ったが、出てきたとこ勝負というのでは、どうも心もとないと思うのです。いずれにしてもこの条項はそれぞれ危険物の搭載、運送というものについて適切な方途を講ずるということでありますから、それはそれでよろしいかと思います。ただ問題は、昨日お尋ねした中で、船内荷役の問題もこの船舶安全法に入るというお話がございました。その通りかと思います。ついては、これは船員局長にお尋ねした方がいいかと思うのでありますが、ILO条約の三十二号と思うのでありますが、船舶の荷積みまたは荷おろしに使用せられる労働者の災害に対する法に関する条約、こういうものがあるわけでありますが、これと関連して、日本国内法規ではかかる問題をどういうふうに処理されているか、いかがですか。
  200. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船舶の荷役に関係いたしまして、船員の労働の面から危険性のあるものにつきましては、船員法の第八十一条の船員の安全に関する根拠規定によりまして、近く関係の省令を制定いたしまして、その中で必要な規定を制定いたしたいと考えておるわけでございます。
  201. 久保三郎

    久保委員 近くというのはいつのころですか。
  202. 若狹得治

    ○若狹政府委員 本年半ばの予定で現在準備を進めております。
  203. 久保三郎

    久保委員 それで、この条約はまだ批准していないと思うのですけれども、これはどういう扱いになりますか。
  204. 若狹得治

    ○若狹政府委員 この条約につきましては、まだ批准した国も少ないようでございますし、われわれの方でも検討いたしておりますけれども、具体的な船員の労働安全に関する規定ができまして、国内的な態勢が十分整備された上でわれわれとしてはこれを批准するかどうかという問題を検討いたしたいと考えております。
  205. 久保三郎

    久保委員 批准した国は少ないようでありますが、災害の多いのも日本の国でありますから、そういう点からいって、しかも荷役の設備というか荷役方式が外国の港とはだいぶ違うのでありまして、その点もよく考えてこれは前進をはからなければいかぬと私は思うのです。日本の港湾の設備は外国に比べればだいぶ特徴があるようでありますから、そういうことからいっても、しかもここに使用せられる労働者というのは御案内通りでありますから、そういう点を考えてこれはやはり早急に対策を立ててほしいと思います。  そこで、次に第二十九条でありますが、これは都道府県知事に規則を設けさけることができるというものであります。これはどこかやっているところはありますか。
  206. 藤野淳

    藤野政府委員 その規則は、われわれといたしましては、各地方庁におきまして大いに活用してもらいたいというように期待しておるわけでありますが、まだ二十九条によって規則を制定したものはございません。
  207. 久保三郎

    久保委員 この二十九条というのはいつつくった法律ですか。
  208. 藤野淳

    藤野政府委員 これは昭和八年の制定でございます。
  209. 久保三郎

    久保委員 ずいぶんのんびりしたものだと思うのです。盲腸のごとき条文であるならば、これは削除するのが当然です。しかし現実にここに規定される通り、本法の第二条第一項の適用除外の船についてこれはやるということなんです。しかも第二条第一項の除外されている船自体に問題が多いのであります。でありますから、この条文は盲腸的存在ではなくて、使わぬでおったということなんです。運輸省自体がこれは非常に怠慢であったのじゃないか。むしろこういうものはある一定の条例の基準を設けて、都道府県知事にこの制定方を慫慂し、あなた方の勢力の届かぬ範囲をこれによって規制するのが当然じゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  210. 藤野淳

    藤野政府委員 先生の御指摘の通り、第二条第一項の適用のない船でしばしば海難を起こし、人命がそこなわれておる事例があるわけでありまして、われわれといたしましては都道府県に第二十九条による規則を制定することを勧奨したことがしばしばございますが、これはなかなか地方的な事情がございまして、画一的な規則をもってどの都道府県にも通用できるような規則は非常にむずかしい。水路とか航路とか、あるいは湖とかといったような平水のものが大部分でございまして、共通的のものになりますと非常に精神的なものになりまして実効がないのでありまして、ローカルカラーを十分持った、特異性に即した具体的な規則を設けませんと価値がないわけでございます。しばしば勧奨はいたしておりますが、今後もこれを活用いたしますように十分努力いたしたい、かように存じておる次第でございます。
  211. 久保三郎

    久保委員 海運局長おいでですからお尋ねしますが、あなたの方の所管だと思うのですが、たとえば渡船、五トン未満の旅客船、こういうものについては今お話しのあったように検査はないわけですね。これは数は少ないけれども、たまたま大きな事故を起こすわけです。こういう問題について、今お話しのように船舶局も法律は出しっぱなしです。これはどういうふうに考えておりますか。
  212. 辻章男

    ○辻政府委員 従来、今御指摘のような渡船その他につきましては検査をしてないわけでありますが、今後船舶局の方とも連絡いたしまして、検査の方法等について検討していきたいと思います。
  213. 久保三郎

    久保委員 船舶局長、政務次官もこっちへ向いて……。これは事故が起きると当委員会の大きな問題にまたなるわけです。渡船などでは必ず年に一回は新聞に載る。しかもこれは人間が多いときがそうなんです、もっとも多くなければ転覆しませんから。必ずこれは湖なら湖のまん中で転覆する。だから救助の方法がありませんから、人命が全部もくずになってしまうということなんです。ときわ丸で四十名からなくなりましたが、東京では相模湖かどこかで、当時の鉄監局長の御子息を初め子供が死んだ事件もあります。事故が起きたときにはわあわあ騒ぐのです。実際にこういう条文があってもちっとも適用しようとしない。だからこの条文は改正したらどうか。提案されてから修正するというのはおかしいから、できなければこっちでやる。都道府県知事は定めなければいかぬ、こういうふうにでも直しておけばいい。ところがこれは必要なる規則を設けることができるということなんです。これでは実際だれもやりませんよ。だからこの法律を出しておる限りは、この条文についても再検討の要があると私は思うのです。いかがですか。
  214. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 これは地方自治体において少なくともヒューマニズムがあれば当然私は実行すべきだと思います。それを実行しないところにどこか地方自治の行政の欠陥が私はあると思います。そういう意味でもう一ぺんわれわれははっきり大臣名をもってこれを勧告いたしたいと思います。そしてその結果、意志がありやいなやを問いたいと思います。それでそういうやろうという御意志がないならば、あらためて久保委員の御発言のような方向にいきたいと考えております。
  215. 久保三郎

    久保委員 それも一つでしょうね。しかしこれは海運局長にお尋ねしますが、これまた渡船のことはよくわからないのですが、あれはあなたの方の許可を得ることになっているのですか。渡船営業というか、それをやる場合に、あるいは営業でなくても、無料であっても、どうなんですか。
  216. 辻章男

    ○辻政府委員 小さな渡船につきましては、許可にはなっておりません。
  217. 久保三郎

    久保委員 小さなというと、どんな小さいのですか。トン数とか人数に制限があるのですか。
  218. 辻章男

    ○辻政府委員 定員十二名未満のものにつきましては、許可の対象になっておりません。
  219. 久保三郎

    久保委員 十二名未満はそうですね。しかし、十二名未満であっても、これを交通の用に供する、不特定多数のもののあれに供するという場合には、何らかの規制があってしかるべきだと私は思う。これを都道府県知事に、委任事項として委任してもよろしいかと思うのですが、これをやらぬと、また先ほど言ったようなことが出てくると思うのであります。しかも、十二人以上ならば、この安全法の適用になりますね。だから、これ以外のものについては、やはり都道府県知事に委譲するなら委譲するということで、はっきりやるべきだと私は思うのです。そういうことを一つ研究していただきたいと思います。  それから、先ほど申し上げた三十二条でありますが、これは「当分ノ内之ヲ適用セズ」とありますが、三十二条は何年にできましたか。
  220. 藤野淳

    藤野政府委員 これは、昭和八年の法律の制定当時から、この規定がございます。
  221. 久保三郎

    久保委員 そうすると三十二条は、当分の間というても、これからも当分の間でいくわけですから、大体書かぬでもよろしいぐらいなことで、除いてしまった方がいいくらいなんです。しかし現実は、先ほど申し上げたように、二十トン未満の漁船、帆船が海難事故が多い。これは、特に漁船の問題になると思うのでありますが、水産庁との協議事項にこの条項はなっているわけですね。
  222. 藤野淳

    藤野政府委員 二十トン未満の漁船につきまして、三十二条を改正いたします場合には、当然農林省と協議しなければならぬわけでございます。
  223. 久保三郎

    久保委員 これはやはり当分の間、当分続くわけですか。
  224. 藤野淳

    藤野政府委員 当分というても非常に長いので、私どもは非常に責任を感じておるわけでございます。先ほどお答え申し上げましたように、この種の船舶海難の推移などをよく調査、分析をいたしまして、何らかの規制を加える必要があるといたしますならば、適当な基準を設けて、やはり安全性の向上について処置したい、かように考えておる次第でございます。
  225. 久保三郎

    久保委員 昭和八年から御検討いただいているわけですから、もう検討の時期じゃないのじゃないですか。結論を出しても、おそくはないんじゃないですか。昭和八年というと三十年前、——三十年間当分の間検討しておるということになりますれば、ずいぶん気長に御検討いただいて、ずいぶんいい結論が出たんじゃないかと思うのですが、これから御研究、御検討というのではどうも……。もっとも、船舶局長はまだ局長になられてから、三十年にはならぬようでありますから、どうかと思うのですが、政府の怠慢というか、こういう法律は出したら出しっぱなしで、あとはめんどうだからそのままにしておこうということでありまして、冒頭申し上げたように、この船舶安全法審議するのには、どうも値打ちがなさそうだというふうにも思うのであります。これは政務次官、どうなんですか。
  226. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 なるほど、昭和八年からというとずいぶん長い期間でございまして、御説ごもっともと思う次第でございます。ただこういう問題は、そういう船をもってなりわいをしておる者の経済的な問題とも関連がございます。そういうわけで、はたしてその経済を圧迫するほどの規制をしてよろしいかどうか。問題は、船の安全性ということは、本人同士も自分の生命ですから、十分考えると思うのであります。それより危険なことは、むしろそれ以外の環境のいろいろな条件の方が、より以上大事じゃないかというふうにも考えるのであります。たとえば気象の予報とか、あるいは本人の注意力でありますとか、いろいろな問題が関連すると思いますので、あながち船舶の検査だけ、あるいは船体の規制だけをいたしましても、必ずしもその船を用いてなりわいをする者の、生命の保障はでき得ないと思うのでございます。そういうわけでございまして、十分にこれらの点を検討いたしまして、御期待に沿うような改正方面に向かっていきたいと思う次第でございます。
  227. 久保三郎

    久保委員 さような結論はいいですが、前段があまり気に入りませんね。政務次官、これは船舶安全法審議をやっておるわけでありまして、気象その他のことは今審議しておりません。全体的には、船舶の安全はおっしゃる通り、そうなんです。しかし、経済性の問題をちょっとお出しになりましたが、経済性とは何か。人命の問題とかね合いになるかどうかという問題。これは、たとえば個人が櫓かいをあやつっておるということなら、全くその人一人だけの責任であります。これは、自殺する人もありますから。最近は無責任時代と自由時代ですから、両方とればそれでけっこうです。しかし、二十トン未満の船に他人が働いているという場合に、はたしてこれでいいのかどうかという問題が今日出てくるわけであります。この点は十分考えないと、おっしゃる通りだけではどうも承服しかねる。丸かし、結論は検討すると言うから、三十年後の今日検討の時期ではないと思うが、今さら言っても仕方がありませんから、三十年の歴史を振りかえって、早く結論を出してやるべきだろう、こう思います。  次に、安全条約勧告の問題になりますが、膨張型いかだの搭載について、これはある程度金がかかるとするなら、資金あっせん等もして、特に漁船その他にも、半強制的に置きかえさせたらどうか。あるいは、先般事故をやったような旅客船についても、これは当然やるべきだと思うのだが、その決意がありますか。
  228. 藤野淳

    藤野政府委員 漁船に膨張型の救命いかだが使えるように改正をいたします趣旨は、先生のおっしゃいましたように、救命艇あるいは短艇にかえまして、この方がはるかに人命救助に役立つという観点から改正をいたしたようなわけでございますが、経済問題というのがございまして、この点につきましては、漁船を建造いたします場合に、いろいろ公的な機関から融資を受けるわけでございますが、救命設備につきましても、当然融資の対象の項目の中に入れてもらえるように、われわれは水産庁に対して、しばしば折衝しておるわけでございます。金のないものに対しては、適当に融資をするとか、あるいは団体が一括購入して、これを貸与するとか、私はいろいろな方法があるだろうと思います。この点につきましては、膨張型いかだが広範に短艇に置きかえられ、広く用いられるように、水産庁とも協議いたしまして、御趣旨に沿うよう努力いたしたい、かように考えております。
  229. 久保三郎

    久保委員 海運局長にお尋ねしますが、これは水産庁の関係ばかりじゃなくて、あなたの方にも関係があるわけですが、救命設備その他は、やはり近代的な、合理的なものを搭載させるということを、一つ積極的にやるべきだと思う。そのために必要なら、財政資金のあっせんその他も考えるべきだと思います。ただ単に、船舶所有者の経済性ばかり考えていたのじゃ、万全なものではないと思うのです。そういう必要があるかどうか、いかがですか。
  230. 辻章男

    ○辻政府委員 御指摘の通り、膨張型いかだにつきまして、小さな旅客船等につきましては適当かと思います。今お言葉がございましたが、経済性ばかりを考えているわけではないのでございます。やはり現実に料金を一定いたしまして、ある程度利用者に対する負担のことも考えて参りますと、今にわかにこれを強制することはどうかという感じもいたすのでございます。御趣旨の点につきましては全然同感でございますので、できるだけ御趣旨に沿うように指導して参りたい、かように考えております。
  231. 久保三郎

    久保委員 この新しい取りかえという問題について、政務次官、どうですか。もう一つは救命具のカポックというか、ああいうものは耐久力がないというふうに私は聞いておるんです。十二時間なんてそんな長い時間古いものは持っておらぬ。水がしみ込んでしまうという話も聞いているのです。こういうように海難事故が、しかも悲惨な事故が起こるという現状では、ある程度これに対する対策も考えなければいかぬだろう、こういうふうに私は思うのであります。必要なる実態を調査して、全面的な半強制的な取りかえをして、必要な裏づけをしてやるという制度を早急に確立すべきだと思いますが、どうですか。
  232. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 ただいまの政府委員と同感でございます。
  233. 久保三郎

    久保委員 きょうはこれまでにしておきますが、あと残っておるものが二、三ありますから、明後日また続けたいと思います。
  234. 木村俊夫

    木村委員長 次会は、明後八日金曜日、午前十時より委員会を開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会