○加藤(勘)
委員 蒸気
機関車が将来ディーゼル等に転換される過渡期における老朽車のもたらした
事故と言えば言えないこともないと思います。これによりますと、五十キロもしくは六十キロの
速度で側線に飛び込んでしまった、こういうことになっておりますが、
報告書にあります延着時間を見ますと、臨時
停車のために広田駅で八分おくれた。それが十分おくれて出発して長島駅では十二分おくれて出ておる。さらに問題になった
塚山二号の
トンネルの中では二十分おくれておる。こうしてみると、
勾配が千分の十ということで大したことはないかもわかりませんが、ともかく
勾配がつくに従って
速度が落ちておる、こう見なければならないですね。そうすると、
速度が落ちた
トンネルの中においての
事故として、
乗務員の
窒息という問題が起こってきたわけです。先ほど副
総裁が
説明されたように、非常に雪が多くて湿度が高く、そうして
燃料が煉炭が六〇%、こういうことであると、ここにはどういう事態が起こるだろうか、こういうことが普通ならば考えられなければならぬと思うのです。まさか
窒息という
事故が起こるとは予想されなかったという
お話でありますが、起こりはしないだろうか、こういう疑問が
直江津機関区の
責任者においても当然気がつかれなければならぬし、また乗り組んだ従業員の方もちょっと考えられなければならないと思うのですが、そういう点でうかつであった。従来一ぺんもなかったから、こんな千メートルの
トンネルの中で
窒息というような
事故が起こることはなかろう。特に
一酸化炭素量についてお調べになったところによれば〇・〇一幾らと非常に低いものであって、
窒息の極量には達していないから安全だという先入観があって、気がつかれなかったかと思いますけれ
ども、やはり
機関車が老朽化しておるということ、従って
上り勾配においては
速度が落ちるということ、
速度が落ちれば
トンネル通過の時間が延びる、こういうことで、普通の時間で
通過すればあるいは起こらなくて済んだ
窒息という
事故が
トンネルの中の時間が延びたために起こったということも考えられるわけです。そういう点で監督の衝にある人が
——ことに
直江津機関区では
ガス・
マスクを
使用して
作業することは非常に不自由だという点はあるにしても、
ガス・
マスクが備えつけてある上いうことは、いつかそれが必要であるということを感じたがゆえに備えつけられたものであると思うのです。そうすると、雪の量が非常に多くして湿度が高い、そうして
トンネル通過の時間が普通の場合よりも延びる、そういうときにどういう
事故が起こるかということは、まあ推理をしては悪いけれ
ども、推理的に当然そういうことが考えられると思うのです。そういう点において、少なくとも監督者の
注意が欠けたという点は、当局としても感じられなければならぬし、基本的には私は時間が
通常の場合と同じように
通過し得られるような
機関車の新規交代がなされなければならぬと思いますけれ
ども、それは今のこの問題とは直接の
関係はないわけです。とにかくこういう老朽市が
事故を起こした一番大きな
原因だと思うのです。この
機関車さえ正常な
速度で走っておれば、あるいは
事故が起こらないで済んだかもしれない。幸いに
貨物列車だったから、先ほど
肥田君が言うように世間の
注意もそれほどではありませんけれ
ども、もしこれが客車だったらとんでもないことになるかもしれないと思うのです。そういう点から、私
どもとしては、新聞を見ても
ほんとうにおそろしいことだという感じを持ちますので、将来は絶対にこういう
事故がないように少し
注意をよくして、
注意を大きくしてもらいたい。そうして
事故が起こらないということは決して行き過ぎじゃないと思うのです。
注意が足らないために
事故が起こったということは、やはり
一つの
責任であるから、
注意は幾らしても決して
注意し過ぎるということはないと思うのです。そういう点について
十分注意して下さって、将来再び絶対に
——絶対にといっても、神様でないから絶対ということは言われぬかもしれませんけれ
ども、ともかく当局の心がまえとしては、絶対に起こさぬというぐらいの意気込みをもって
設備それから労働
条件等について最善の
注意をしていただきたい。
それからもう
一つちょっと考え得られますことは、ついでだからお伺いしておきますが、
乗務員の勤務の
状況、こういう点から見ますると、この表に関する限りにおいては、それほど過労の
状態ではなかったわけなんですね。だからもし
トンネル内の
条件が普通の
条件ならば、
窒息は起こらないわけです。労働の過労というような点から起こる
事故はなかったはずなんです。それが起こったというところに問題があるわけなんです。だからして労働者が非常に過労で疲労しておって、普通の健康体なら耐えられるところが耐えられなかった
——この数字だけ見ればそういうことはないように見られるのですが、それにもかかわらず、
現実に
窒息という
事故が起こったということは、私はそれらのいろいろな
条件が重なって
窒息という
事故が起こって、その
窒息の
事故が主たる
原因となって、ついにこういう転覆という大きな
事故を起こすに至った、こういうことになっていると思うから、労働
条件、健康管理については言うまでもありませんけれ
ども、これもまた
事故防止の主要なる要素として十分に
注意していただきたい。こういうことを少なくとも運輸
委員会の一人としては考えないわけにいかない。そこで私は特にこういうことを当局に要望しておきます。
十分注意してもらいたいと思います。