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1963-02-27 第43回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十七日(水曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 山田 彌一君 理事 井手 以誠君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    有馬 英治君       伊藤 郷一君    尾関 義一君       川野 芳滿君    壽原 正一君       砂原  格君    關谷 勝利君       福家 俊一君    加藤 勘十君       田中織之進君    松原喜之次君       矢尾喜三郎君    内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸技官         (船舶局長)  藤野  淳君         運輸事務官         (船員局長)  若狹 得治君         運輸事務官         (鉄道監督局長)岡本  悟君         海上保安庁長官 和田  勇君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局次長) 亀山 信郎君         海上保安官         (警備救難監) 松野 清秀君         海上保安官         (警備救難部         長)      樋野 忠樹君         日本国有鉄道常         務理事     河村  勝君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 二月二十二日  日本鉄道建設公団法案内閣提出第一〇〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本鉄道建設公団法案内閣提出第一〇〇号)  海上保安に関する件(ときわ丸衝突事故に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして、昨二十六日、神戸和田岬沖におけるときわ丸とりっちもんど丸の衝突事故によりなくなられました多数の犠牲者方々に対し、ここにつつしんで哀悼の意を表します。  海上保安に関する件について調査を行ないます。  この際、神戸海外におけるときわ丸とりっちもんど丸の衝突事故について、政府当局より説明を求めます。大石政務次官
  3. 大石武一

    大石(武)政府委員 皆様もすでに新聞テレビ等で御存じのことと存じますが、また不幸な海難与件が起こりましたので、その概要を御報告申し上げます。  昭和三十八年二月二十六日の午前一時七分ごろ、ちょうど神戸港外和田岬灯台二百十二度、三千五十メートルの付近におきまして、宝海運ときわ丸、二三八・九八トンの旅客船と、大同海運ニューヨーク航路貨物船りっちもんど丸、九五四七・二二トンとが衝突いたしまして、数分にしてときわ丸は沈没した模様でございます。その結果乗組員乗客に非常に不幸な事件が起こりまして、乗客並びに船員を含めてちょうど六十六名乗っておったわけでございますが、そのうちわずか十九名だけが生存いたしまして、これは付近航行中の漁船によって救われました。なおそのときに八体の死体を収容いたしまして、残り三十九名というものは行方不明の状態でございました。その後いろいろな捜査によりまして現在までに死体は十一体ほど収容されておりますが、なお三十六名は行方不明でございます。おそらくはその船体の中にあると考えられます。できるだけの努力をいたしまして——大体船体も発見されましたので、遺体の収容その他にも全力を尽くしている状態でございます。  まことに申しわけない残念な状態でございますが、一応概要を御報告申し上げます。  なお詳しいことにつきましては、御要望によりまして、係より御報告申し上げます。     —————————————
  4. 木村俊夫

    木村委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 ときわ丸衝突事件によりましてなくなられました方々に心から哀悼の意を表します。なお生存された方々に対しましても、まことに気の毒に存じます。新聞等で見ておりますと、事故のあるときはこんなものかと思われるようなことであります。悪い方へ悪い方へと動いておるような気が私はしてならないのであります。  海上保安庁長官にお尋ねをしてみたいのでありますが、りっちもんど丸の船長小鳥利行氏の話というのが朝日新聞に出ております。これはだいぶん長く出ておりますが、その中で、「このまま進めば衝突する恐れがあるが、相手の灯を右側に認めた方が規則によってよけることになっているので、こちらは進路速力をそのままに進んだ。速力は十六ノット前後だった。ところが向うの船はよけようとせず、そのままこちらに向ってきた。八〇〇メートルぐらいに接近したので、汽笛で注意喚起信号を出したが、応答してくれない。そこで右ゲンいっぱいにカジを切り、全速後進に切替えた。衝突したのはそれから一分後ぐらいだったと思う。」こういうように書いてあります。そういたしますと、この朝日新聞衝突の際の図面が出ておるのでありますが、これは右舷右旋回をりっちもんど丸がいたしております。りっちもんど丸が右旋回をせずしてそのまま突き進んでおりますと、ときわ丸はりっちもんど丸の前を通り越して、衝突なしで済んでおるというような形にこれははっきり受けとれるのであります。ことさら右舷に切りかえたということが私は一番大きな問題点であろうと思いますが、しかしこの際ときわ丸が応答しなかったということや、あるいは船長が寝ておったというようなことでいろいろの点もありましょうが、この事故が起きた一番の原因は、これは海上法規関係からいいますと、どちらが正しくなるのかわかりませんが、右へ旋回したために、ことさらこれをぶち当てたというような格好になってくると思いますけれども、この間の事情がわかっておりますか。
  6. 和田勇

    和田政府委員 ただいま私ども神戸海上保安本部にこの事件対策本部を置きまして、関係船長さんあるいは甲板員機関員当直士官その他につきまして当時の事情を調べておりますけれども、この間につきましてはまだ——新聞に出ておりますのは私今拝見いたしましたが、先生指摘になりましたような点につきまして、先生の御意見に御回意申し上げるというまでの調査は手元に入っておりません。もしお許しいただけるならば、私の方の警備救難監がこの方面の専門でございますので、御説明を追加させていただきたいと思います。
  7. 松野清秀

    松野説明員 ただいま長官から申し上げましたように、目下神戸海上保安本部調査しておりますが、まだはっきりしたものは得ておりません。しかし、かりに今御質問がありましたように、新聞に載っておったような状況でありますれば、確かにりっちもんど丸は権利船ですから、速力を保つという状態にあったと思います。しかし相手船が非常に近寄ってきて危険を感じたので右転した、こういうことでございまして、その右転したことは衝突予防法でいいますればいわゆる臨機措置でございまして、臨機措置をとることは当然必要なのですが、右転したのがいいか悪いかというようなことにつきましては、さらに両船からもう少し事情を聴取いたしませんと、適切であったかどうかというような判断はできないのではないか、かように思います。
  8. 關谷勝利

    關谷委員 これは権利船そのものはそのまままっすぐ進めということが原則になっておりますか。
  9. 松野清秀

    松野説明員 その通りでございます。衝突予防法でいいますいわゆる横切り船の場合は、そういうことでございます。
  10. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、このときわ丸の方は、りっちもんど丸がそのまままっすぐ進んでくれば、突き当たらずに自分の方が行き過ぎることができるというふうなことで、その判断が誤っておらなかったということになりますと、これはりっちもんど丸の方の過失になりますか。
  11. 松野清秀

    松野説明員 やはりそのときの見合い関係がはっきりいたしませんと何とも申し上げられませんが、かりに今申しましたように、横切り状態にあったとしますと、もちろんときわ丸の方が義務船ですから進路を避けるということでございますが、通常海員といたしましては、そういうような状況でありますれば、義務船の方もできるだけ早く避航しまして、そういう危険のおそれのあるような距離に近づく前にやはり避衝するというのが常識であろう、かように存じております。ですから、もう少しそういう点を両船について調べませんと、はっきりしたことは言えないのじゃないか、かように思います。
  12. 關谷勝利

    關谷委員 それは横切りにつきましても、ときわ丸の方が、これでりっちもんど丸が進路そのまま進んでくるのであれば十分にそこを横切り得られると言う場合には、よけなくてもいいのですか。その際にでも、よけなければなりませんか。
  13. 松野清秀

    松野説明員 横切り船の場合におきましては、さらに海上衝突予防法におきまして、義務船の方は避ける場合にも、やはり権利船の前はできるだけ横切らないようにしよう、こういう規定もございますので、やはりそういうような点につきまして、両船関係をしさいに調査いたしませんと、はっきりは言えないのではないかと思います。
  14. 關谷勝利

    關谷委員 この朝日新聞に出ております記事と、毎日新聞に出ております図面からいきますと、これはまっすぐ行っておれば、ときわ丸はゆっくりと横切ることができるというふうな、横切り得られる場合には、ことさらそれをよける必要はなくして、横切っても差しつかえない、こういうことになるのではありませんか。
  15. 松野清秀

    松野説明員 それはやはり、両船見合い関係から、そのまま進んだら、それはあるいはそういう判断をしたかもしれませんが、やはり相手船もあることですから、はたして相手船衝突の危険を感じさせないような状態であったかどうかということも問題になると思います。いずれにしましても、やはり義務船としては、そういうような場合には、権利船のできるだけうしろに避けよという規定もございますから、これは両船につきまして当時の見合い関係を十分調査する必要がある、かように存じております。
  16. 關谷勝利

    關谷委員 まだ衝突して間もないのでございますので、いろいろ調査中であろうと思いますが、調査がわかり次第にまた委員会の方へ御報告をお願いしたいと思います。
  17. 木村俊夫

  18. 久保三郎

    久保委員 お尋ねしたい第一点は、この区域航行については、何らかの航行規制というか、制限がありますか。
  19. 和田勇

    和田政府委員 この事故の起こりましたところは港域外でありまして、いわゆる海上衝突予防法というのがあって、一般の船舶について、航行する際にはこれをもとに動いておるわけでございます。特に狭水道とかあるいは航路でございませんので、規制はございません。
  20. 久保三郎

    久保委員 京浜運河におけるタンカー衝突事件は港内であったのでありまして、狭い区域であったのでありますが、そのときにも当委員会でそれぞれ現在の制度その他について検討を進めるように要請をして参るその席上で、運輸大臣からも、港則法あるいは海上衝突予防法その他の問題についてそれぞれ検討の用意があるということでありますが、今日まで海上保安庁なり——きょうは海運局は来ていませんか。
  21. 木村俊夫

    木村委員長 次長がおります。
  22. 久保三郎

    久保委員 この進行状況はどうなのですか。時間もありませんから、簡単にお答えをいただきたいことが一つであります。  なお、先般の事故の審議の際にも、今の制度にも、監督官庁としての制度の中にもちょっと欠陥がありはしないか、こういうような考えを実は抱いているわけです。規則法律というか、そういうものは海運局が主管であって、現場における運用というか、これを実施するものは海上保安庁である、こういうことも早急に問題が解決されない一つの大きな原因かと私は思うのでありますが、そういうことを含めて御意見を承りたいと思います。
  23. 亀山信郎

    亀山説明員 お答えいたします。  ただいまの港則法並びに海上衝突予防法は、至急検討するということを臨時国会においても申し上げております。  港則法につきましては、全面的な改正には相当の検討を要する点がございますので、現在最も緊急の必要のある点につきましては、今国会に提案すべく関係省とも打ち合わせをしております。近く関係省との打ち合わせが済む予定でございます。なお引き続きまして、海上衝突予防法及び港則法等全面的検討は今後も続けていくつもりでございます。  それから第二点の、役所の方の機構の問題につきましては、今御指摘のような点もございますので、現在もいろいろ両者——運輸本省の方と海上保安庁の方とで検討をいたしております。  現在、港則法海上衝突予防法の実際の取り締まりは海上保安庁がやっております。私ども法律改正案等を起案する場合におきましても、海上保安庁の本庁の意見も常に十分聞いて検討を進めて参っております。
  24. 久保三郎

    久保委員 この問題はあとで政務次官からお答えいただきますが、まず第一に、こういう問題で当委員会で同じようなことを取り上げるのは非常に残念だと私は思っているわけです。今までそれじゃこの区域においてこういう危険が予測されなかったかどうか。聞くところというか、新聞その他で見れば、非常に船の往来も激しい区域である、さらに小さい船もたくさん出入りする区域であるということから考えまして、当然これは陸上におきますれば、都心部においては御案内の通り機械的な信号設備のもとに多数の交通警察官を配置して、この安全化あるいは円滑な交通をはかっているわけなんでありますが、もちろん今の海上保安庁の要員ではなかなかうまくいかぬと思うのでありますけれども、実際にここはこういうふうに規制したいと思っても、今のような制度ではその主管するところの局は海運局である今次長のお話によれば、十分現場担当の保安庁の意見を聞いてそれぞれやっているというが、なかなかそういううまい工合には私はいかぬのではなかろうかと思うのであります。特に海上保安庁は新しい戦後の姿として現われたわけでありましょうが、従来は長い間海運局がすべてそういう問題までタッチして参った。この辺でもう時代は変わったのでありますから、制度そのものも変えて、現場第一線まで指揮担当ができるところの海上保安庁航行の安全の全面的な責任者になるべきではなかろうかとさえ私は思うのであります。こういう点について政務次官、直ちに的確なお答えはできかねる問題かと思うのでありますが、運輸省内部の問題でありますから、これはよろしく適当なうちに裁断を下してやるべきだと思うのです。そうしなければ、まず第一に制度上の欠陥から来るいわゆる不都合が取り除かれないと私は思うのであります。こういう点についてどういうふうにお考えですか。
  25. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいまの久保委員の御意見に私も全く賛成でございます。今から海運に関する制度なりあるいはすべての点を検討して、新しい時代に即応するような制度に変えなければいけないと思いますが、多少どろなわ式のきらいがございますけれども、とりあえず手をつけるべき問題だと思います。それじゃ今までの制度が悪かったかと申しますと、必ずしも悪いとは申しませんが、時代が変わってくれば、制度そのものもそれに伴って変えていかなければなりません。そういう意味において、新しい時代に合うような制度を至急検討いたしたいと考えております。
  26. 久保三郎

    久保委員 政務次官から至急検討するというお答えでありますから、それ以上は申し上げる必要はないと思います。  次の問題に入りますが、この事故発生は大体二十六日の午前一時七分ごろとしてあります。そこでりっちもんど丸からの海上保安庁への通信が到着したのが一時三十分、現場へいわゆる巡視艇が到着したのが二時、こういうふうになっているのですが、七分に発生してから二十分間はどういうふうにしたのか、さらにもう一つは、海上保安庁のいわゆる当直関係はこの当時どうなっていたか、いかがですか。
  27. 松野清秀

    松野説明員 海上保安庁の方は終夜当直いたしております。通信所もその通りでございます。これは一時三十分にりっちもんど丸から海難情報が入ったというのは、りっちもんど丸から無線でそういう通報を受けたということでございます。
  28. 久保三郎

    久保委員 どうもしろうと考えからすれば、なるほどりっちもんど丸はかなり大きな船です。片方は三百トン足らずの船であり、まあまあ夜間でもあるし、衝突して直ちに状況が把握できなかったかとは思う。思うのだが、少なくとも衝突してからわかったのじゃなくて、衝突前に——今の新聞記事等によりますれば、りっちもんど丸にしても八百メートル前にその危険を予知したのです。そうすれば、それは知らずに衝突したのじゃなくて、その寸前、何分か前には衝突の危険を感じて衝突したのです。ですから、衝突したその瞬間に、片方の船がやられたのじゃないかということはわかる。ところが、二十分以上の時間がどうして空費——と言ってはおかしいが、入電がこの間空白だったのか、こういう疑問を持つわけです。こういう大きな事故発生でありますから、それは相当な騒ぎだと思うので、別に責めるわけではございませんが、少なくとも訓練法が必ずしも適切ではないのじゃなかろうか。私は起きた事故に対してとやかく言うことはしたくないが、衝突原因がいずれにありやということは、それぞれの正規の機関において調べてもらうほかないと思うのであります。われわれがどう言っても、これは現場における問題もわかりません。ただ事後の処置について、少なくともあと十分早かったら沈まぬでも済んだ人がありはせぬか、こういうようにも考える。こういう点はどうなんですか。どういうふうにお調べになりましたか。
  29. 松野清秀

    松野説明員 こういうような事件につきましては、お説の通り一刻も早く連絡をしていただくということが必要である、私どももそれを望んでおりますが、今回の事件につきまして、確かに一時三十分と申しますと、若干時間は経過しております。その間の事情につきましては、まだ私聞いておりませんが、その点につきましても十分調査いたしまして、こういう事件につきましては、できるだけ通信を早くしていただくということにつきまして、関係方々に十分御協力を願う必要があるということでありますれば、そういうような措置をとっていきたい、かように考えております。
  30. 久保三郎

    久保委員 いや、これは必要があればじゃないでしょう。二十分という時間は大切な時間だと私は思うのです。救難信号のことも私よく知りませんが、しろうと考えでは、オペレーターがウォッチしておれば、衝突すれば直ちに衝突したという電波は各方面に出すのじゃありませんか。波長なんかを合わせなければあなたの方に届かないのですか、どうなんですか。
  31. 松野清秀

    松野説明員 こういうような通信につきましては、すべて当度しておる通信所が聞き得るように、五百KCであると思いますから、すぐやれば、かりに付近通航船があればこれも聞くのじゃないかと思います。ですから、問題を早く通信をする必要があるということでございますが、その点につきましては当時の事情を十分調査したいと思います。
  32. 久保三郎

    久保委員 大体これは無線日誌があるでしょう。そうすれば、すぐ臨検というか、行ったのですから、そういう時間はわからぬはずがない。それとも海上保安庁のウォッチの方が少しどうかしていたのか、どうでしょう。
  33. 和田勇

    和田政府委員 まだ詳細調査中でございますが、私の方の職員がいわゆるサボっておったというようなことはないと思います。なお、もしお許しを得れば、詳細を知っております警備救難部長からちょっとお答えさせていただきたいと思います。
  34. 樋野忠樹

    樋野説明員 一時三分にりっちもんど丸からスリー・エックスを出したのでございます。そうしてりっちもんど丸は衝突しまして、右旋回をやりながら短艇を投下して人命救助の方を先に急いだのであります。その間通信士判断と申しますか、船長判断がおくれたのではないかと私は思います。
  35. 久保三郎

    久保委員 それは船長の指令がなければ、オペレーターはそういうときには信号を発信してはいけないのですか、どうなんですか。
  36. 樋野忠樹

    樋野説明員 それは直ちにそういう緊急通信は発すべきだろうと思いますが、その間の処置はまだ通信士に聞いておりませんが、さっそく調査いたします。
  37. 久保三郎

    久保委員 大体これは二十六日の朝でしょう。きのうですから、まる一日ですね。遭難された人のいわゆる捜索、これに海上保安庁も重点を注がれることはけっこうだと思うのですが、少なくとも重要な点は今のうちにやはりお調べいただかぬと、どうもわれわれとしては解せない点があります。だから、そういう点はさっそく調べて、当委員会に直接御報告ができるようにしてもらわぬと、どうもこれじゃ七分から三十分までどうしたんだろう、これは新聞にもないからわかりませんのでここへ来てわかったのですが、これじゃどうも手抜かりじゃないかと思うのです。それでいろいろありましょうが、海上衝突予防法は、今のは最近の国際条約に合ったものですか。
  38. 亀山信郎

    亀山説明員 時期は忘れましたが、海上人命安全条約と一緒に国際海上衝突予防規則改正会議がございまして、その会議においては新しい衝突予防規則が採択されております。従いまして、近くこの予防規則が発表されることとなりますが、この予防規則を受諾した国がまだ効力発生するのには数が足りない状況でございます。私どももかねて新しい衝突予防規則検討をいたしておりまして、なるべくすみやかにこれを受諾したいということで準備を今進めておるところでございます。現在はまだ新しく改正された衝突予防規則効力発生いたしておりません。しかし日本は非常にたくさんの船を持っておる海運国でございますので、日本が受諾することがあるいは効力発生を促進させることになるのではないか、こう考えまして、鋭意準備を進めておるところでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 次長条約発効と安全という問題はどういうふうになるのですか。条約発効というのは国際的に安全を確保する、担保するということです。しかしその日本の国内と申しますか、日本におけるところの船舶人命の安全という問題は、これは関連性はあるが、同じものではないということです。海上衝突予防法改正というのは、早く言うならば、少なくとも今の予防法では群足りない面が相当出てくる。これは現実にそうなっている。だから条約発効だけではなくて、船舶の安全ということを考えれは、今検討しているではおそいじゃないですか。しかも新しい条約がもうすでに一九四〇年にできているのです。ここに私は持っておりますが、条約発効の手続がおそいこともこれは残念だと思う。しかしながらそれ以前に、この新しい条約そのものに盛られたものが時代に適合し、最も安全の効率を苛めるのだというならば、そういう観点からも早急にやるべきだ。京浜運河タンカー衝突事故があってから何カ月になりますか。今度の国会に出す予定にはなっておらぬのですか。
  40. 亀山信郎

    亀山説明員 海上衝突予防法は今国会に出す予定には入れておりませんが、準備は相当進んでおりますので、この次の国会には提出できると考えております。
  41. 久保三郎

    久保委員 それが熱意がないというのです。どういう点でひっかかっているのかわかりませんけれども、少なくとも京浜運河タンカー事故についても、その当時も海上衝突予防法改正すべきじゃないかということを言って、運輸大臣はそういうふうにしますというような話をしたことがある。われわれもこの国会には港則法改正海上衝突予防法改正は当然出てくるものと思っていた。ところが今の話では、この国会には出さぬ、来国会というと、いつになるかわからぬ、実際……。
  42. 亀山信郎

    亀山説明員 港則法につきましては、今国会提出予定しております。海上衝突予防法につきましては、現在準備中でございますので、この次の国会に出すように準備を進めております。ただいま御指摘のございました海上衝突予防法は、もちろん国際的な規則にのっとるのが本則でございまして、ただ国内的な事情で国内だけ、つまり日本の領海内だけに関する規則は別に定めることができますので、現在の港則法では、必ずしも海上衝突予防法そのままではございませんで、特別な措置を、港については、航法についても、定めておる次第でございます。  今の御指摘の点につきましては、海上衝突予防法自体を改正することによって、国際海上衝突予防規則の受諾ができる条件がことのりが、これは日本だけがそれ以外の海上衝突予防法を全面的に改正いたしまして、全部新しい規則を適用するということになりますと、現在まだ受諾国、が少なくて、効力発生していないので、やはり外国の船もございますので、そこが非常にちぐはぐになってはいけないというふうに考えて、この国際会議改正が決定して以後、直ちに同法の内容的な改正準備を開始したのでございますけれども、国内法である海上衝突予防法改正はこの次の機会にいたしたい、こう思っております。
  43. 久保三郎

    久保委員 しろうとでわからぬのですが、受諾した国が少ないから効力発生しないのはあたりまえ、それはそうです。三分の二なら三分の二の国が受諾しなければ効力発生しない。これは当然です。それを聞いているのじゃない。聞きたいのは、受諾しないということは、古い海上衝突予防法で、受諾した国もやっているのかということを聞きたい。古いものを基礎にしてやっているのですか。受諾した国もどこの国も効力発生しないで……。
  44. 亀山信郎

    亀山説明員 外国の事情を千分調査しておりませんが、一般的に言えることは、わが国の場合で考えてみますと、わが国が新しい海上衝突予防法を国際規則にのっとって改正をいたしまして、それが直ちに国内で施行し縛るか、あるいは効力発生を条件として、効力発生したときに新しい海上衝突予防法を国内において効力発生せしめるのがいいか、今その点を勉強いたしておるところでございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 それがわからぬから、船舶安全法の関係もありますからここで少し聞いておきたいのですが、受諾しても三分の二なら三分の二の国が受諾しない限りは効力発生しない、発生しないとすれば、従前通り条約に従ってやる以外に方法はないのかを聞きたい。
  46. 亀山信郎

    亀山説明員 新しい予防規則効力発生するまでは、現有効力身持っております海上衝突予防規則に基づく国内法でやるべぎだ、こういうふうに私ども考えております。
  47. 久保三郎

    久保委員 それじゃ日本がこれから条約を批准して発効する、海上衝突予防法もこれに基づいて改正する、こうなった場合、しかし国際的には条約発効に至らぬという場合には、やはりこのまま旧予防法によってやるということですか。
  48. 亀山信郎

    亀山説明員 ただいまの点、もう少し勉強してからお答えしたいと思います。
  49. 久保三郎

    久保委員 そういうことでは海上衝突予防法改正するという熱意がないのもあたりまえではないでしょうか。大へん失礼な言い方だがそうだと思う。
  50. 亀山信郎

    亀山説明員 この国際海上衝突予防規則は非常に多数の国が国際会議において養成しておる新しい規則でございます。多少日時はかかりましても、多数国が当然受諾するものであるという予想を私どもは立てております。これを受諾するためには、国内法上の準備が整っておりませんと受諾できませんが、私どもは国内的な準備を早く進めるという意味で鋭意検討を続けて参りまして、この次の通常国会には新しい海上衝突予防法提出するようにいたしたいと考えておるのでございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 それは前にお答えがあったからわかっているのです。ただ私が聞いているのは、とり急いで日本だけが条約を受諾しても、あるいは海上衝突予防法改正しても、これは全然ものの用には立たないのか、こういうふうにお考えなのかどうかと聞いたら、それはよくわからぬということですね。よくわからぬというが、失礼だが専門家でしょう。私の考えでは古い海上衝突予防法と、新しい条約規則に基づく、たとえば今度改正する海上衝突予防法の条項が抵触する部面は、これは古いやつになる、新しいもので抵触しないものはそのまま適用できる、そうすべきだ、そういうふうに思う。少なくとも新しい規則の方が前進であるということは各国とも認めておる。日本もその通り。それならばほかの方はどうだろうかとながめておる必要はどこにもないのじゃないか。これは四〇年にできた条約規則、それをことしは何年になりますか、もうまる一年以上は検討されておる。しかも海上における衝突事故は多い。あとでも申し上げますが、衝突市政が非常に多い。それにもかかわらず、その大事な一つの防壁というべきところの海上衝突予防法が前進をされてないというのでは、どうも熱意がないと言われても仕方がないのではなかろうか、政務次官、いかがでしょう。
  52. 大石武一

    大石(武)政府委員 私も不敏にしてまだ海上衝突予防法の詳しいいきさつについてちょうだいしておりませんので、明確なお答えはできませんが、ただいままでのいきさつでは、多少運輸省の方において手落ちがあるようでございますが、十分にこれを検討いたしたいと思います。
  53. 久保三郎

    久保委員 もう一ぺん悪いが聞きますけれども、なぜこの次の国会にしなければならぬのか、どういう点が今度の国会には出せないのか。
  54. 亀山信郎

    亀山説明員 ごくわずかな点でございますけれども関係者との間にはっきりと調整のつかない問題がございますので、この国会には出すのを差し控えたわけでございます。ただ、私ども判断といたしましては、現在のところは古い予防規則効力を持っておりますので、新しい規則に基づく国内法による海上衝突予防法改正を行ないましても直ちに効力発生させるわけにはいくまいということで、その点を残して現在も検討をしておる次第でございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 もしあなたの言明がその通りだとするなら、国内法だけでも改正したらどうか、日本船舶だけでもそういうふうに——これは外国船については今の海上衝突予防規則に従うほかないから、これと抵触する部面は改正はできない。しかしそれ以外のもので、今度のこの条約というか、これは非常にこまかく書いてあるようですが、今までの法三章に類するような衝突予防法、これでは判断ももちろん必要だが、判断の基準になるところのものが非常に大ざっぱだ。右舷航法が原則だという、実際にはこれしか書いてない。これはいわれる通りだ。だから国内法で、いわゆる国内船だけについてもある程度この予防法をもって規制するのがほんとうじゃなかろうかと私は思う。これが今効力発生されている衝突予防規則に抵触するなら別です。抵触しないというならそれは前進させなければいかぬと私は思う。  それからもう一つ、ほかの省庁とのいわゆる協議というか相談がまだできにくいというのはどういう点ですか。いまだにされていないが、そういう点はどういう点ですか。
  56. 亀山信郎

    亀山説明員 漁船の関係でございまして、一般に大型船に対しては小型船がよけるのが原則でございます。現在の海上衝突予防法にもそうなっておりますが、ある棒の漁法をとる、たとえば網を入れてとるような漁法の場合には、この漁船が直ちに自分の方で避航することができない。従いまして、そういう場合には漁船以外の船舶がその漁船をよけなければならないというように、ある種類の漁法を行なっている船につきましては、漁船以外の船舶義務船になるようになっております。その部分につきまして、どの範囲の漁法をとる漁船が権利船になり得るかという点で、英文の解釈について種々IMCOの方にも問い合わせをしたり、水産庁とも相談しております。その点の調整がまだつきかねている。つまり具体的に言いますと、一本釣という方法による漁船が権利船になるか義務船になるかという点で、これは漁業に影響するところも非常に大きいわけでございます。その点についてまだ十分に意見が水産庁との間に一致しておりません。
  57. 久保三郎

    久保委員 私もきょうたまたま条約を持ってきた。次長、それはこの何条にあるのか。
  58. 亀山信郎

    亀山説明員 新しい海上衝突予防規則で申し上げますと、前文及び定義、A章第一規則Cの十四でございまして、それを読み上げますと、漁撈に従事しているとは「網またはなわを用いて漁捜していることをいい、引きなわを用いての漁撈を含まない。」これの英文がネッツ・ラインズ・オア・トロールとなっており、ネッツ・ラインズという言葉の解釈が従来は一本釣は含まないということでございましたけれども、この改正を契機に、これが水産庁との間に問題になりまして、現在、従来の解釈でいいのか、あるいはネッツ・ラインズというのを一本釣まで含むのかどうかという点について、まだはっきり議論の結着がついていないということでございます。
  59. 久保三郎

    久保委員 その解釈は、条約でありますから、日本国内における水産庁と運輸省の間の協議だけではととのわないんじゃないですか。そういうことを言っても、この条約はオーソライズするところの会議なり機構なりに解釈を求めてやらなければならない、いかがでしょう。ここで解釈しても外国に行ったら違いますよ。
  60. 亀山信郎

    亀山説明員 そこでこの会議の事務局をしておりますところに尋ねてはおりますけれども、きわめてあいまいな返事でございます。明確に結着のつくような返事はいただいていないのでありまして、国際海上衝突予防規則の字句の解釈は、やはり各国が最終的には決定権を持っておるのでございますので、やはりこういう微妙なところは日本国の解釈でいくべきものであると思っております。
  61. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても一本釣の問題だけで海上衝突予防法が遷延しているとは実際いって私は思えない。こういうのはどうでもいいんだ、早く言えば成り行きにまかせて、ほかの国がやったらそのとき発効するんだから、どうせ早くやってもだめなんだ、効力発生しないからもう少し待っていようというのんびりした考え方があるのじゃないかと私は見ている。いずれ安全法のときに一緒に審議しますが、少なくともそういうことでは海上衝突予防法といってもなかなかむずかしい、規則や何かできてもむずかしいですから、なおさらだと思うのです。もっと積極的にやるべきだと思う。まあ政務次官の先ほどのお答えがありましたが、少しのんびりし過ぎはしないかということです。いずれにしても、こういうことが再び三たびこういうふうに起きるようでは、どうもわれわれとしては安心しておられない。さっき政務次官からお答えがあった交通整理のいわゆる基本方針をきめてかかってほしい。制度上も海運局からとるといったら語弊があるが、やはりそれを実際に行なうところの海上保安庁にやらしてしかるべきだと私は思う。そういう点からいっても、どうも仕事が渋滞しているのではなかろうかと思う。そういう点も含めて、今後の対策を練っていただきたい、こういうふうに思います。
  62. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は久保委員の質問に関連をして、こういう事故事故対策について若干の質問をしておきたいと思います。  まず去年の神戸港を中心に瀬戸内海、このあたりの事枚が非常に多いということが新聞記事にも出ておるのですが、これは昨年の五月の十三日に、天保山横橋でやはり衝突をやっておる。その次には六月の十六日、愛媛県の北条市の沖で、やはり衝突がある。それからさらに七月の十三日、これは兵庫県の津名郡の沖、江崎灯台の沖でやはり衝突をしておる。その次には、今度は淡路島と明石との中間で八月の十四日に自衛艦と舞子丸が衝突をしておる。その次は川崎の例のタンカーのまる焼け事件、それから今度の衝突事件、こういうふうに至るところで内航船舶衝突があります。特に自衛艦と舞子丸との衝突、先ほどの川崎のタンカー衝突、それから今度の衝突、すべて相手方の船が非常に大きい。片一方は小さくて、片一方は大きな船、こういう状態衝突が起きておるわけです。こういう衝突事故に対して、どういうふうな理解を持っておられるのか、このあとの新聞記事その他の報道経過を見てみると、相互に言い分があるような書き方をしてあるのです。それからその結果についても、はっきりわれわれの方にはわからないままにこれが済まされておるように思う。それは海事審判でいろいろの処理がされておると思いますけれども、要するに双方の言い分は、みんな相手が悪いんだ、相手が悪いんだという言い方のままで、これが一般大衆の耳にはそこまでしか入っていないわけです。そこで、それはともかくとして、大きい船と小さい船とで衝突事故が起きる、その原因の究明というものを、一体海運局あたりではどのように把握をしておるのか、理解をしておるのか、これは将来の事故防止という上においても、指導上の重大な問題であろうと思うので、聞いておきたいと思います。
  63. 亀山信郎

    亀山説明員 私どもでは、今まで御指摘のございました衝突事件、大型船と小型船の衝突事故がだいぶ数が多いということでございますので、ことに旅客を預かる旅客船については常に厳重な注意を喚起いたしまして、航法を順守すること、あるいは天候に留意すること、それから旅客の定員を厳守すること等につきまして、そのつど通牒をし、あらゆる機会に指導を行なっております。こういう事故が頻発するそれぞれの具体的原因については、海難審判等でそれぞれ結果が出て参るものだと思います。一般的にやはり船が非常に混雑するということに基本的な原因がありますが、これを避ける方法といたしましては、先ほど御指摘もありましたように、施設を充実することを同時に、航法の指導、取り締まりを海上保安庁がもっと十分やり得るような力を海上保安庁につけていきたい。それと旅客を扱う船舶船員のみならず、船員は当然のことでありますが、会社の幹部も十分航法を順守する。こういう船が混んでくる状態においては、さしあたりこれを避けて安全に航行をするというには、衝突に関しまして、やはりきめられた航法を順守するということが、会社の幹部から乗組員に至るまで十分そういう覚悟を持っていただくようにというように今後も十分指導をしていきたい、こういうように考えております。
  64. 肥田次郎

    ○肥田委員 先ほども久保委員の質問に対して、そういう法的な取り締まりについての考え方というものをこの次の国会に、こういうふうに言われておりましたね。それで私はこのものの考え方というものが非常に大きな隔たりがあるような気がするのです。ここ六、七年来非常にひんぱんに海上事故というものが起きておるのです。そういう事故が起きておるにもかかわらず、それらに対する具体的な指導方法あるいは法的措置が講ぜられないで今日まで来ておる。私は先ほど久保さんが言っておったように、当面する問題は、外国船の日本におけるところの航行を拘束するのではなくして、国内におけるところのいわゆる内船、いわゆる沿岸の旅客輸送をやっておる船舶の運航に対しての取り締まりというか、指導というか、これが必要なんだということです。外航船の問題や規則、国際法だとかなんとかというものを問題にして考えることよりも、もっと手近にたくさんすることがあるじゃないか、こういうことを感じるのです。最近、この十年来において非常に科学の進歩が行なわれ、俗にいうところの経営学というものにおいても大きな急変をしておるのです。ところがお役人の頭というものは、十年一日といいますか、全くマンネリズムで、少しも変化がない。法律をつくってやらなければどうにもできぬだろうという考え方があるというなら、なぜその法律を先につくらないか。今日の実情は、だれが見てもわかるように、昔のようにのんびりした気持で船をあやつっておるような時代ではない。船の速度は非常に早くなってきて、最近できておるところの水中翼船、これなんかもどんどんできておるけれども、こういうものについての事故対策もまだ考慮されておらないでしょう。船をつくらすことはつくらす、旅客輸送をやらすことはやらしておる。けれども、こういうものが衝突して一体どういう事故が起きるだろうか、こういうことについてどういうような規制をしなければならぬか、こういうことがいつでもあとになる。お役人の頭というものは、いつでも二十年も三十年も、もっと極端な言い方をすると、ずっと前からの状態のままお役人は継承してきておる。ところが、お役人の頭とは関係なしに世の中というものはどんどん進んでいくのです、私はこういうことに対する対策とは、急を要するのじゃないかと思うのですが、今のままで、まだことしも具体的な指導対策を立てずにやられるつもりですか。船主を呼んでよく指導するとかなんとかというお話でしたけれども、私はこれはなかなかむずかしいことだと思う。現に陸上における自動車事故に対して、自動車の運転手あるいは自動車運送をやっておる企業主、こういう者に対して指導してみても、なかなかこれは十分じゃない。そういうことで私はこの目的が達せられるとは考えられない。けれども、海上のことですから、陸よりはもっと広いだろう。陸よりは広いのだから、もっと適切な指導があれば防げるだろう、これは私も同感なんです。だから、もっと積極的な指導というものが私は今日すでに立てられておらなければならないと思う。今たまたまこういう衝突事故が起きた。けれども、これはことしだけの問題じゃない。私はあまりのんびりし過ぎておるんじゃないかと思うのです。これも久保さんが言われておったように、後刻いろいろな議案の中でさらにわれわれの考え方を申し述べたいと思います。  それから、今度海上保安庁の方に一つ聞きたいのですが、海上保安庁は、法律をうまくつくってくれなければ、海上保安庁の仕事は権力を振り回すというわけにもいかぬでしょうから、それはよくわかります。ただ救援対策の問題についていつでも言われるのは、救援が手ぬるいじゃないか、こういう非難があります。この救援が手ぬるいじゃないかという非難は、きまったように、いわゆる巡視船だとか救難船が足りない、スピードがのろくて、もうてんで使いものにならないけれども、そういういわゆるぼろぼろのよろいを着てとにかく守っておるんだ、こういうことになるわけなんですが、こういう事故が起こるたびにどうだこうだと言われるんなら、実際に海上保安庁として救難ができません、巡視艇がこれではどうにもなりません、いわゆる海上の航行指導はこれではできませんという態度をもっと明らかにされたらどうですか。私は、海上保安庁がただ非難ばかりを甘んじて受けて聞いておるというだけのことじゃいかぬと思うのですが、どうですか。
  65. 和田勇

    和田政府委員 お答えいたします。実は三十六年以前の五カ年の平均の海難の数を申し上げますと、約三千五百隻でございます。一日に十隻というような状況でございますが、幸い三十七年はいろいろな関係方々の御努力で、これが大幅に約六百隻と減っております。しかし、今回のような大事故を起こしまして申しわけないのでございます。これを種類別に分けてみますると、汽船が約二割、機帆船が約三割強、漁船が四割強、その他の船が五%という程度でございまして、大体こういった傾向は以前もそうでありますが、さらにこれをどういう地域で、どういう海域で起こったかということを申し上げますると、港の中で起こりましたのが約三割五分、港から五十海里以内で発生いたしましたものが六割弱、五十海里以上で発生いたしましたものが七%というふうに、港の中及びその付近で非常に起こっております。船のトン数にいたしますると、要するに小型船が非常に多うございまして、大型船の方は少ないというのが実情でございます。  こういったことにつきましては、先ほど海運局次長からも答弁いたしましたように、溶剤法を改正いたしまして、できるだけ海難事故あるいは衝突が少なくなるようにということで、海上衝突予防法につきましては、先ほど答弁いたしましたような次第でございます。私どもの方では、もちろん現在の巡視船艇あるいは航空機、通信施設では不十分ではございますけれども、国家全体の予算の関係もありますので、一応五カ年計画というようなものを立てまして、それに向かって推進しておるわけでございますが、これも四割あるいは五割程度の進捗率でございまして、十分なことはできませんが、この勢力でできるだけお役に立ちたい、かように考えておる次第でございます。
  66. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は特に海上保安庁の言いわけを聞こうと思っておるのではないのです。海上保安庁の方で立てておる計画が、たとえば四割に削られたというような問題もあるのですが、四割に削られるということは、四割だけでは済まないわけです。私がさっき言ったように、船をつくる方では自己資本にまかせてどんどんつくる場合もある。ですから、およそその進歩のテンポというものは、お役所で考えておるテンポとは全くテンポの開きが違うと思うのです。ですから、あなたの方で、たとえば五カ年計画でいわゆる巡視艇や救難船の整備をする。この数の問に合うと思っておられても、片一方では、池田さんがお得意の高度経済成長ということでハッパをかけておるのですから、どんどん伸びるのです。およそその数というものは、お役所で考えておられる数よりははるかに多いものが片一方ではできていくに違いないのです。ですから、これは間に合わない。いつでもあと追いになる。私はそういうことを言ったわけです。  もう一つは、海運局の方でも、船員局長の方でも、今なんですからあとで調べておいていただきたいと思うことが一つあります。それは、やはりこういう事故が起こってくると、まず船長の責任がどうなのか。乗組員の責任の問題も一つ出てきます。乗組員の問題が出てくるということは、結局はいろいろな事情があるでしょうけれども、その乗組員の労働条件が一体どういう状態になっておるのか。これが原因を追及する上の非常に正慶な部面だろうと思います。よく新聞は響きますが、衝突が起こると、いや船長が居眠りしておったとか、こういうことが必ず出るのです。船長が居眠りしたとか、乗組員が居眠りしたとか、当該勤務者が居眠りしておったとかなんとかいうことは、なぜ居眠りしなければならぬような状態になるのかということも問題になりますから、従って、事故が起きた原因はあとでわかることだけれども、それよりももっと根本的な問題として必要なことは、そういう小船舶の場合の乗組員の勤務状態というものが妥当なのかどうなのか。こういう点について、当該船の問題ではなしに、総括的に小船舶乗組員の勤務状況、労働条件、そういうものについて今わかっておれば聞かせておいてもらいたいと思います。労働時間、あるいは賃金、いわゆる待遇上の諸条件について伺いたい。
  67. 若狹得治

    ○若狹政府委員 小型船の労働条件につきましては、大へん立ちおくれておることは事実でございます。こういう秘類の船につきましては、今御質問の労働時間についてはまだ具体的な法律規定の適用はないわけでございます。現在船員中央労働委員会におきまして、小型船労働時間小委員会というものを設けまして、こういう船の労働時間制度をいかにするかということを検討いたしておる段階でございます。その結論が出次第、これを法的に規制することをわれわれとしては考えたいというように考えておるわけでございます。  また、労働賃金につきましては、現在機帆船等につきまして最低賃金制度の業者間協定締結についての指導を行なっておりまして、昨年度までに約六〇%程度の実績を上げておりますけれども、なおこの制度自体についてもいろいろ問題がございますし、また具体的な賃金額の引き上げというような問題もあるわけでございます。今後さらにこういう小型船の賃金制度についても、法的な指導、規制というような方向に進まざるを得ないと考えておるわけでございますけれども、こういう方面船員行政上非常におくれておりますので、われわれとしてはこういう点に特に力を注いで今後やっていきたいと考えておるわけでございます。
  68. 肥田次郎

    ○肥田委員 その他の問題は、また関連法案の中で質問いたします。これで終わります。
  69. 關谷勝利

    關谷委員 簡単に保険のことをお尋ねいたしておきますが、以前に第五北川丸のときに船長の市大な過失であるから、その保険金は払わないでいいんだというふうなことが問題になりまして、何も罪とがのない遭難者が、それが船長の過失であろうとあるまいと、そういうなくなった方々は当然保険の対象になるべきものが、それが船長の重大な過失であるというがためにならないというふうなことでありました。そんなことでは大へんだというので、あの第五北川丸の当時は、便法といたしまして、見舞金として保険金相当のものを支払ったということになったのでありまするが、それも当委員会で論議せられて初めてそういうふうなことになったのであります。その保険についての改正をその当時強く当委員会としては要望をしたのでありまするが、その後保険の関係はどういうふうに変わっておりますか、その点一つ御答弁を願いたいと思います。
  70. 辻章男

    ○辻政府委員 旅客船の乗客に対する賠償保険の問題でございますが、今、關谷先金から御指摘がございましたように、第五北川丸のとき、いろいろ約款等に問題がございましたので、さっそくあの事件のあと改正いたしまして、たとい過失がありまして市政を起こしましても、乗客に対する賠償保険は支払うというふうに制度を変えております。
  71. 關谷勝利

    關谷委員 そうしますと、今度の場合にも、これは保険に加入しておりますか。加入していない場合には、大臣が勧告することができるということになって、それ以後各方面で勧告をしておるので、おそらく入っておるのではないだろうかとは思いますが、その点、伺っておきたいと思います。
  72. 辻章男

    ○辻政府委員 宝海運乗客に対する損害賠償保険に入っております。
  73. 久保三郎

    久保委員 ついででありますからもう一つお尋ねしておきたい。これは海上保安庁にお尋ねしますが、救命設備は、ときわ丸はどうなっていたか、規定だけ持っていたのかどうか。いかがでしょう。
  74. 和田勇

    和田政府委員 持っておりました。
  75. 久保三郎

    久保委員 持っていたとすれば、救命胴衣等は定員の五%増しになっているが、そういうふうな備付があったかどうか。
  76. 和田勇

    和田政府委員 まだ私、この場で先生のおっしゃった五%増しというのは今確言できるわけではございませんが、持っておったであろうということを申し上げておきます。
  77. 久保三郎

    久保委員 それから救命ボート、救命艇あるいはブイというか浮標というか知りませんが、そういうものが配置してあったと思うのだが、これはあとで調べてほしいのだが、いつそういう救命設備等について検査をしたか、これはむしろ船舶局かもしれませんが、いつこの船は検査をしたかわかりませんか。
  78. 藤野淳

    ○藤野政府委員 ときわ丸の検査は、現在ときわ丸の持っておりました検査証書は三十四年三月十三日から三十八年三月十二日までの有効期間になっておりまして、前回の検査は、三十七年三月二十日に中間検査を受けております。
  79. 久保三郎

    久保委員 それで検査はしたが、新聞紙上伝えるところによれば、救命艇等は乗客が引きおろした、しかも救命ボートが定員過剰のために何人かはそのまま沈んでいったというようなこと、それからさらにもう一つ新聞は、救命胴衣のあり個所を尋ねたんだが、船員が転倒したかどうか、そのあり個所についても何も指示はなかった、こういう記事が出ている。これは生存者の記事です。これは船員局だと思うのだが、非常事態における訓練というのは旅客船については始終やるべきだと思うのだが、どの程度にやらせておるのか、いかがですか。
  80. 若狹得治

    ○若狹政府委員 非常の際の訓練につきましては、現在の法律におきまして、この前の改正の施行規則におきまして、一週一回そういう訓練をやるようにという規定になっておると思っております。今手元に資料がございませんので明確には申し上げられませんけれども、そういう規定になっておるはずでございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 一週一回これを行なえということになっておるが、確かめておらぬということですが、これは書いてあると思うのです。私もまだ読んでおりませんからわかりませんが、少なくとも一週一回やったかやらぬかという確認はなさいますか。
  82. 若狹得治

    ○若狹政府委員 各海運局の労務官がこの指導に当たることになっております。
  83. 久保三郎

    久保委員 労務官の配置は、宝海運の基地はどこですかわかりませんが、その基地には何人かおられてやっているのですか。そういう旅客船を特にやっているところは多く配置しているのですか。
  84. 若狹得治

    ○若狹政府委員 旅客船のために特に多数の労務官を配置するということはやっておりませんけれども、全国に約八十名の労務官がおりまして、これが各海運局に配置されておるわけでございます。従いまして、ときわ丸の根拠地でありますところの神戸海運局におきましても、約十名程度の労務官が配置されておるわけであります。こういうものは、機帆船あるいは漁船、客船あるいは貨物船というふうにすべての船についての労務監査を行ない、またその指導に当っておるわけでございますので、ときわ丸につきましても、従来からそういうような指導は行なっておったであろうというふうに推察されるわけでございます。
  85. 久保三郎

    久保委員 いずれ船舶安全法その他出て参りますから、出てこないのは海上衝突予防法改正だけのようでありますが、あとは出てきますから、その中で審議したいと思うのですが、ここで政務次官がおられますから要望しておきたい。今までそれぞれお尋ねしたのはわれわれの要望事項であります。これはすでに毎回繰り返したことでありまして、もうがまんができぬということであります。早急にこの問題を取り上げてほしいということと、もう一つは、今言ったように、規則には一週間に一ぺん船員の訓練をする、しなければならぬ、こうなっているけれども、実はチェックするいとまもおそらくないのじゃなかろうかと思うのです。労務官の配置もそうたくさんはあるはずはない。さらに、先ほど肥田委員からも言ったように、労働条件その他からいって、そういう訓練の時間等も必ずしも余裕があってやるものとは私は思えない。少なくとも、できた事故に対しては、損害を最小限度にとどめるというのがまず先決問題であります。できる前の問題が一つありますが、それが完全に行なわれないために多数の人命が損ぜられるということは、今日の技術やその他の発展から見ても、どうも前時代的に取り残された感が深いのであります。でありますから、運輸省部内としては、この問題を早急にもっと詰めて、一つ早急に取り上げて対策を考えてもらいたい、こういうふうに要望しておきます。
  86. 木村俊夫

    木村委員長 内海清君。
  87. 内海清

    ○内海(清)委員 私はまず今回の衝突事故によりましてなくなられました方に心から弔意を表しますとともに、遭難されました方々に御見舞を申し上げたいと思うのであります。先ほど来同僚委員の皆さんからいろいろ御質問がございましたが、私どもこれをいろいろ承っておりまして、やはり今日までの運輸当局におけるいろいろ機構の問題もございましょうし、あるいは指導の面においてもなお不十分なところがくみ取られるのであります。特に内海におきましては最本衝突事故が多いわけです。これは小さい船が多いわけでございますが、船の航行の数が非常に多いということと、航路がいわゆる曲がりくねっておるというふうなことで非常に多いのだと思うのであります。先ほど話の出ました第五北川丸にいたしましても、私の郷里の近くでございます。その当時私どもはこれに対しましてもいろいろお話を申し上げたわけでありますが、本年度に入りましても小さな衝突事故がずいぶん起きておるのであります。  そこで、私は今回の事枚を考えましたときに、このときわ丸は貨客船だと思うのですが、いかがでございますか。
  88. 辻章男

    ○辻政府委員 仰せの通りときわ丸は貨客船でございます。
  89. 内海清

    ○内海(清)委員 貨客船ということですが、私どももそういう船にはよく乗りますけれども、貨客船には相当の無理があるということでございます。そういうことが今回の事故においても一そう死亡、行方不明を大きくした一つ原因ではないかというふうにも考えるのであります。この点についてはどう考えておられますか、一つ承りたい。
  90. 藤野淳

    ○藤野政府委員 ときわ丸船舶安全法による旅客船といたしまして十分な設備を持っております。毎回の検査におきましても格別不備なところはないという状況でございます。
  91. 内海清

    ○内海(清)委員 毎回の検査でそれに対する不安はさらにないということでございますが、そういうことであるならば、もう少し私は事故が少なくて済むんじゃないかということも考えるのであります。しかしこれに対しましてもう一つ考えられるのは、ああいう小型船は、多くは機関室というものがどちらかというと船の後部に多い。従ってその部分に衝突した場合には非常に沈没が早いということが考えられるわけですが、今回の場合はそういう関係はございませんか。
  92. 樋野忠樹

    樋野説明員 御説のように後部にエンジンがございます。
  93. 内海清

    ○内海(清)委員 後部に機関室がございますと——今回の衝突は確かに船の後部の方に衝突したようでございますが、従ってこういう場合には沈没が早いということは、これは今までの事故の上から十分考えられておると思うのです。でありますから、こういう面は、今度は船舶安全法も出るわけでございますけれども、将来の事故をなくす上におきましては、そういう場合の事故を少なくする、これはまた非常に大事なことだと思うのであります。これが同時に考えられなければならぬと思うのでありますが、私さっき貨家船で無理があるということを申し上げましたのは、そういう場合に船室が十分に避難できるような状態になっておれば、もう少し事故が少なくて済むんじゃないかという意味でありまして、それらの点は今度の場合どうでありますか。
  94. 藤野淳

    ○藤野政府委員 ときわ丸の船客定員は百三十名でございますが、そのうち二十三名だけが上甲板より下に客室がございまして、その他のものは上甲板の上に客席がございますので、避難に際して脱出は比較的容易な位置に大部分があるというふうに考えられます。
  95. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいま船室の状況を伺いますと、それで非常に事故が大きかったとは考えにくいと思います。むしろ機関部の方に衝突して、沈没が非常に早かったということが事故を大きくした原因であろうし、さらにまた衝突時期が夜中であったということで、乗客がそれぞれやすんでおったということもあると思うのでありますが、いずれにいたしましても、この貨客船の場合は船室などのとり方に相当無理が多いと私どもは承知いたしております。これらの点につきましては今後十分なる指導をやっていただきたい。私ども常に内海でそういう船に乗るのでありますが、事故のあった当分のうちは、乗客の定員にいたしましても非常にやかましいが、時がたつに従ってこれがだんだんゆるんでくる、これが常態でございます。従って当局の指導は絶えず根気よく行なわれなければならぬ状態であると思います。先ほど来海上衝突予防規則などにつきましていろいろ質疑がございましたが、御承知のように年々船はやはりふえていっておる。少なくとも国内船に対する指導だけでもそれに順応して行なわれ、そうしていろいろ安全の面に対する指導というようなものが当局から常に根気よく行なわれるということでなければならぬと思います。これらの点につきまして、一つ次官のお考えを承りたいと思います。
  96. 大石武一

    大石(武)政府委員 内海委員の御意見通り、やはり新しい時代に合うような規則なり法律に変えていかなければならぬと思います。その点につきましては、当方においても不十分な点がございましたし、今後ともこれを十分時代に合うように改善して参りたいと思います。しかしもう一つ私たちの望みたいことは、やはり幾らどのような規則法律をつくりましても、これを守るものが正しく守らなければどうにもならないことだと思います。そういう意味におきまして、一つ早急に運輸大臣から運航業者並びにそれに従事するもの、あるいは海運関係の役所、そういうものにつきまして厳重な警告を発しまして、十分に注意するように、不法行為をやらないようにということを警告いたしたいと考えております。同時にまたこれらの運航従事業者に対しましても、できるだけの再教育をするような方向に行政を進めて参りたいと考えております。
  97. 内海清

    ○内海(清)委員 今の次官の答弁まことにごもっともだと思っておりますが、これは運輸大臣の警告だけでは全く一時でございます。これは私どもが今申しました内海の小さな船に乗りまして常に感ずるのですが、事故があった当分のうちは非常にやかましい、きちょうめんにやるが、しばらくすると必ずルーズになってくるのが常態であります。ですから、これに対しては絶えず十分なる指導が必要であると思います。  いろいろ申し上げたいと思いましたが、同僚委員からそれぞれ質問がございましたし、時間の関係もございますので、私は以上で終わりますが、今後こういう面につきましては、ただ法がきまらないから、あるいは国際的な批准ができないからということではなしに、今お話しのような、国内船の航行状況、これに即応したいわゆる新しい時代に負けぬところの要請というものが当然生まれてこなければ、このような事故はいつまでたっても絶えぬと私は思うのです。この点を一つ注意して終わりたいと思います。      ————◇—————
  98. 木村俊夫

    木村委員長 去る二十二日、本委員会に付託されました内閣提出日本鉄道建設公団法案を議題といたします。
  99. 木村俊夫

    木村委員長 まず、政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。大石政務次官
  100. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法案の提案理由について御説明申し上げます。  わが国の産業経済は最近目ざましい発展ぶりを示し、国民生活も著しく向上して参ったのでありますが、さらに経済の均衡ある発展をはかりますためには、地方経済圏の整備、低開発地域の開発、臨海工業地帯の整備、新産業都市の建設等が必要であり、そのための基盤として鉄道新線の建設が強く要望されていることは御承知の通りであります。  従来鉄道の建設は日本国有鉄道が行なって参りましたが、日本国有鉄道といたしましては、独立採算制の建前と既設線の大幅な整備増強計画に力を注いでいる関係上、鉄道新線の建設につきましてはこれを積極的に推進し得ない実情にあるのであります。  ここにおいて、昨年五月鉄道建設審議会は、今後の新線建設については日本国有鉄道と別個の組織を設け、政府、日本国有鉄道等がその財源を負担して、強力にこれを推進すべきであるという建議をいたしました。  政府といたしましては、この建議の意を体し、具体策について十分検討いたしました結果、今後の新線建設を積極的に推進するため、この新線建設事業を日本国有鉄道から切り離し、独立の機関を設けて専心この事業に当たらせるべきだとの結論に達したのであります。  この法案の内容は、政府及び日本国有鉄道の出資により、新たに日本鉄道建設公団を設立し、鉄道新線の建設に当たらせ、もって鉄道交通網の整備をはかり、経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与させようとするものであります。  次に日本鉄道建設公団法案の要点について御説明申し上げます。  第一に、この公団の資本金は、政府出資五億円と日本国有鉄道からの出資金及び現物出資の額の合計額としております。役員としては、総裁一人、副総裁一人、理事六人以内、監事二人以内を置くことにしております。  次に、公団の業務でありますが、公団は鉄道新線にかかる鉄道施設を建設し、その施設を日本国有鉄道に貸付または譲渡することを主たる業務としております。この場合、後進地域その他特定の地域の開発等のため無償とする特別の必要がある場合は、無償で貸し付けることができることといたしております。なお、公団は設立にあたって、現在日本国有鉄道が行なっている新線建設事業を承継して、事業を行なうことになっております。  その他、公団の財務及び会計に関する事項、監督に関する事項、罰則、公団の設立手続、諸税の減免等について規定しております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されますようお願い申し上げます。
  101. 木村俊夫

    木村委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次会は来たる三月一日金曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会