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1963-02-22 第43回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十二日(金曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 鈴木 仙八君 理事 高橋清一郎君    理事 細田 吉藏君 理事 山田 彌一君    理事 井手 以誠君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       有馬 英治君    尾関 義一君       川野 芳滿君    壽原 正一君       砂原  格君    關谷 勝利君       中馬 辰猪君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    下平 正一君       田中織之進君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  藤野  淳君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         運輸事務官         (海運局内航課         長)      隅  健三君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  向井 重郷君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 二月二十一日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  五島虎雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員五島虎雄辞任につき、その補欠として田  中織之進君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  木船保険法の一部を改正する法律案内閣提  出第八号)(参議院送付)  踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関  する法律案久保三郎君外九名提出衆法第一  五号)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  この際、運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許します。綾部運輸大臣
  3. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 昨日旧東鉄の庁舎が出火いたしましたことにつきまして御報告申し上げます。  発火は十四時二十七分、鎮火は十五時三十分でございます。発火の場所は、御承知のように国鉄管理局のあったところでありまして、もうこの建物は御承知のように消防庁からも危険だということで注意されておった建物でございまして、現在はほとんど人がおらない。守衛がわずかに二、三人おって、当時は暖房の設備とかそういうものを取りこわし中のところでありました。それから焼失した面積は二千三百二十八平方メートル、一階、二階ともでございます。それから倉庫が二一・八平方メートル、それから詰所が六六・二平方メートルであります。被害額は推定ですが大体四百万円でございます。  それから焼失した個所の現況は、第一棟については移転が完了して、現在は、先ほど申し上げましたようにあき家同様でございます。二棟ないし五棟までの使用によりまして、門から通り抜け可能なような状態にあったのであります。  焼失の原因は取り調べ中でございますが、いまだ確定いたしておりません。  さような状態でございまして、国鉄被害額としては些少でございますが、付近の人に一時間半ばかり大へん御迷惑をおかけいたしましたことは私どもまことに遺憾に存じます。  以上御報告申し上げます。      ————◇—————
  4. 木村俊夫

    木村委員長 去る十九日、本委員会に付託されました久保三郎君外九名提出踏切道改良促進及び踏切保安委員配置等に関する法律案議題といたします。
  5. 木村俊夫

    木村委員長 まず、提出者より提案理由説明を聴取いたします。久保三郎
  6. 久保三郎

    久保委員 ただいま議題となりました踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  踏切道改良促進し、交通事故防止交通円滑化をはかる目的をもって、去る第三十九国会において踏切道改良促進法が成立し、同法に基づき改良計画の指定が行なわれ、逐次計画の一部が実行に移されているわけであります。  しかしながら、同法の実費は、昭和三十六年度を起点としての踏切道改良五カ年計画骨子とする時限立法的なものでありまして、踏切道実情と将来の趨勢とを勘案するとき、このような時限法的な同法をもって処理することは踏切道の現状をみてきわめて不十分であり、この際同法の骨子である改良計画のほかに、費用負担区分踏切保安員助成措置等さらに内容を充実し、対策に万全を期するため、これを名実とも恒久法とし、踏切道改良促進法を全面的に改正しようとするものであります。  その内容について概要説明を申し上げます。  まず第一に最近の踏切道事故状況にかんがみて、道路法にいう道路踏切道に限らず、私道における踏切道もこの法律対象とし、すべての踏切道に対して、改良保安設備の充実を行なわんとするものであります。  第二は、踏切保安員についての条文を新たに設けたことであります。踏切保安員については、何ら法的な根拠を有さず、従来、鉄道事業者の行なう認定のまま、その職務が行なわれていたのでありますが、踏切交通重要性にかんがみ、踏切保安員に対して、その資格要件等について一定法的基準を設けると同時に、政令による基準に従って保安員配置を必要とする踏切道を指定して鉄道事業者踏切保安員配置義務を負わせ、同時に、踏切保安員権限についても、踏切道における一定通行指示権を与えることによって踏切交通の危険を防止し、その安全を確保しようとするものであります。  第三は、踏切道改良のための費用負担区分について規定したことであります。立体交差または踏切道の新設の場合及びこの改築の場合は原因者負担とし、現に有する踏切道立体交差施設改良する場合は、実情に即して鉄道事業者道路管理者とが協議してそれぞれの負担区分を決定することとした次第であります。なお、踏切保安設備計画実施費用については、従来通り鉄道側負担とする等それぞれ費用負担区分を明確にして、改良促進を一そう円滑ならしめることとしたのであります。さらに、これら費用算定については、その算定方式政令規定し、負担区分についての紛争を防止しようとしたわけであります。  第四は、これら踏切道改良に対する国その他の補助についての規定であります。  踏切道交通の安全とその円滑化の立場から、国がその改良計画を示し、その実施を要求するわけでありますが、立体交差構造改良保安設備整備には多額費用を要するものであり、鉄道事業者経営実体は容易にこれに応じ切れない実情であり、また、国の責任改良促進するという建前からしても、相当の助成を行なうことが至当であると考えるわけであります。  よって立体交差構造改良についてはおおむね費用の三分の一を限度として補助を行なうこととし、私道についても実情に応じて補助ができる道を講ずることとしたのであります。  保安設備については、その改善鉄道事業者負担であり、かつ、無人踏切全般的改良促進するためにも現行法より一歩進め、その費用の五分の一から五分の二の範囲で、国及び地方自治体から補助を行なうこととしたのであります。  また、踏切道維持管理費用についても、その公共性社会性の観点から国がその費用の一部を補助することが妥当であると思いますので、その費用の二分の一を限度として政令で定め補助をすべきであると考えるわけであります。  第五は、これら踏切道改良促進計画実施に必要な資金確保についてでありますが、多額資金を必要といたしますので、国がその資金融資あっせん等資金確保について必要な措置をとることとしたのであります。  節六は、踏切道における交通円滑化交通事故防止の見地から、その改良計画には当然既存の踏切道整理統合をも考慮する必要がありますので、このような場合、運輸、建設の両大臣鉄道事業者道路管理者に対して勧告を行なって、合理的な改良促進されるようにいたしました。また、駅構内にあろ踏切道における鉄道交通量が著しく多いため、当該踏切道通行者交通をはなはだしく阻害していると認められるときは、鉄道車両の構内入れかえ方法等について都道府県公安委員会から鉄道事業者に対してその改善方を要請することができることとし、踏切道における鉄道車両通行者との調整をはかることができることとした次第であります。  なお、その他権限の委任、罰則等所要規定を設けると同時に、附則において、踏切保安員に関する規定実施については、任用手続等関係上、この法律の公布から六カ月後に実施をすることとしてあります。  さらに、現行法との関係における必要な経過措置規定して、踏切道改良促進に関する諸計画の円滑な実施をはかることとし、また、地方税法の一部を改正して、立体交差等施設に対する固定資産税等特例措置を行なうこととした次第であります。  以上が本法案提案理由及び法案概要であります。何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御賛成をいただきたいと思うものであります。
  7. 木村俊夫

    木村委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  8. 木村俊夫

    木村委員長 木船保険法の一部を改正する法律案議題として、審査を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。久保三郎君。
  9. 久保三郎

    久保委員 木船保険法の一部を改正する法律案について若干のお尋ねをするわけでありますが、その法律案質問に入る前に特に、この木船における経常状態の問題についてお尋ねをいたします。もちろんこれは後刻海運全体の問題として取り上げる事項でありますので、詳細につきましてはその際申し上げたいと思います。  先般關谷委員からも内航の問題についてはそれぞれ御質問があったわけであります。その中で私が緊急にお尋ねしたいのは石炭対策の中における木船の問題であります。この石炭合理化対策に対しては、政府も今日いろいろ施策を出しておるわけでありますが、石炭合理化はもう日程に上り、それが逐次実行されつつあります。そこでこの閉山に伴う石炭運搬を主とするところのいわゆる零細企業である木船関係業者について、いかなる対策を持っておられるか。われわれの考えを先に申し上げますならば、少なくとも石炭対策としてはこの輸送部面まで入れて全般的な対策を立てるべきだと思うのでありますが、今日まで政府施策を見ておりますと、残念ながら、石炭対策石炭の山、それからその周辺における中小企業、あるいは農業、あるいは雇用対策、こういう問題について限定されて進められているようであります。しかし静かに考えてみれば、石炭輸送にその経営の全体をかけてやっている業者が数多くある。しかもこれは零細である。ところがその輸送の原資であるところの石炭山閉山になれば、当然この石炭輸送を主とするところの業者は廃業するかあるいは他に転換するかということであります。ところがこの方策については何ら顧みられておらないのでありまして、政府としていかなる考えを持っておられるか、われわれとしては、少なくとも中小企業であるところのかかる業者は、石炭対策一環としてやはり取り上げなければならぬと思うのであります。今までいろいろな政策がありましたが、かかる大きな問題に対しては、焦点に当たるそのものだけの政策に終わって、関連する問題についてはほおかぶりをするか、他産業犠牲によって合理化が進められる。非常に不満であり、残念だと思うのであります。政策は全体のバランスの上に立って行なわれなければならぬ。ところが、残念ながらこの石炭対策一つをとっても、——山の問題は不満足ながらも一応軌道に乗りつつある。これはこれから結論が得られるとしていますが、少なくともその中に、今申し上げたような輸送を一手に引き受けておるところの業者実態について、いかように考えて、いかなる対策を持っておるか、少しも持っておりません。これは政府は非常に手落ちじゃないか。それとも石炭合理化対策のためには、ほかの産業犠牲になってもやむを得ないのであるか。この辺の御所見をあわせて伺いたいと思うのです。
  10. 辻章男

    辻政府委員 石炭閉山あるいは生産の縮小に伴いまして、特に九州炭を運んでおりまする瀬戸内海の機帆船荷物をなくするために相当困った状況になるであろうということは、今御指摘通りでありまして、私どもといたしましては、石炭以外の内航の海上輸送の方に転移するように指導していきたい。これは御承知のように石炭を運んでおりまする船をいわゆる雑貨船といたしますには、相当補修費等がかかると思いますが、これらの金融につきましては、中小企業金融公庫その他の金融あっせん等を行ないまして、何とか摩擦を少なくして他の雑貨輸送に転移をするように指導していきたい、かように考えておる次第であります。
  11. 久保三郎

    久保委員 海運局長からお答えがありましたが、局長中小企業金融公庫などであっせんするくらいで、これは転業ができますか。雑貨船に改造すると言うが、私は船のことは知りませんが、まあ常識的に想像すれば、石炭を積んでいた船を雑貨船にするのには、もとから新しくするようなことじゃないでしょうか。私はそう思う。もちろんそうでない船もたくさんありましょう。私が対象とするのは一ぱい船主というか小さい船、木船を持ってやっている仕事でありますから、そういうりっぱな船は持っておらぬと思うのであります、それを雑貨船にするということには、全部改造しなければいかぬと思うのです。これは一つの例でありまして、それはどうなるかわかりませんが、少なくとも今まで何も考えておらないのではないかと思います。何も考えておらない。石炭通産省関係であって、運輸省には関係がない。ところが先般新聞を見ますと、運輸大臣は、その閉山で整理されるものは、各省割当雇用対策を立てるというのならば、運輸省としては国鉄にいわゆる車両修理工場を建てさせてやろうというのでしょうが、ところが具体的には、現在の車両検修委員会において、この車両検修の職場を狭めようとかかっておるのです。そういうところへ入ることはいいか悪いか別にして、それだけ考えておられて、自分の直接の問題である海運については、海運局長の御答弁だけではどうも納得いかない。なるほどそれじゃ実態調査はできていくかというに、非公式に聞けば、三百万トンくらい石炭は減るだろう。それではその影響はどういうふうになるかということであります。どういうふうになるかということについての分析検討もしておらない。ところがすでにもう各方面からそういう要請は出ておるのです。出ておるのでありますから、ここでお答えいただきたいのは、いかなる影響機帆船その他に出てくるのか。この石炭のスクラップあるいは整理統合というものについて、地域的にどこの地域がどう出てきて、どのくらいの業者がどういうふうになるかというのはおわかりでしょう。もしわかっておられるなら御説明いただきたい。
  12. 辻章男

    辻政府委員 非常に機帆船の業態が小そうございまして、御指摘通り厳密な細目の分析はできてないのでございますが、大体私どもを見込みとしましては約三百万トンくらい輸送が減ってくるんじゃないか。これが機帆船あるいは機帆船以外に、あるいは港別にどういうふうな影響がくるであろうかということは、なお今後の検討に待たなければならぬと考えておりますが、早急にこれを検討いたしまして、先ほど申し上げたような石炭以外の輸送への転用をはかっていきたいと考えております。それから今御意見がございましたが、いわゆる雑貨を運ぶ船と石炭を運ぶ船とは構造的に違うんじゃないか、補修とかあるいは小改良によって石炭船雑貨船転用することは困難ではないかというお話がございましたが、実際は構造上は、雑貨を運びますものと、石炭につきましてはそう変わりないのでございます。石炭でございますれば、ビルジがあってもいわゆる荷いたみ等の問題が起こらない。ただ雑貨になりますと、ビルジが入れば荷いたみ等によりまして、弁金等の問題が起こるというふうな点が一番違っておるのでございます。ある程度補修いたしますれば、船としては雑貨船に使えるというふうに考えておる次第でございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 どうも海運局長外航の問題でもう能力の限界を越して、それで内航ならず、石炭問題等は幸い通産省が所管だからかまっちゃおれないというふうに聞くわけです。だから今から検討されるというが、石炭の問題はきょうこのごろ起きたのじゃないのでありまして、すでに政府石炭対策として一環政策を出してきている。予算もいわゆる二次補正で組んでいるわけです。あるいは一次補正も入っている。そういう際にこれから木船というか、機帆船その他の石炭輸送船については考えようというがごときはどうもいただけない。担当局長さんの御意見としては、これは大体内航船全体にもいろいろ問題があるから、その中の一環として片をつけようという考えもあるかもしれません。しかし、なるほど関係は非常に深い。深いが、それじゃその深いものとさらに今緊急の問題を区別しなければ、政策は実際にものになっていかない。そういうことからいうと、今から検討するのでは木船保険法一つ取り上げてみても、審議は進められないですよ。今から調べようと言うが、どのくらいの船が石炭が運べなくなるのか、このくらいのことは調べておかなければならぬ。そしてその経営実態はどうなのか、あなたがおっしゃる通り雑貨船転用ができるのかどうか、雑貨船転用しようといったって、今船腹過剰のありさまで、にっちもさっちもいかぬ、今のところ命の綱をかけた石炭が運べなくなれば、これは船が丘へ上がるほかはないじゃないですか。ところがその丘へ上げさせるのがいいのか——あなたのおっしゃるのは丘へ上げるのではなくて、海へそのまま浮かばせようというのです。浮かばせようというのだが、それについても銭はかかる。いかがでしょう。もっと明快な、実はこうこう、こういうわけで調査はしてなかった、関心がなかったならなかった、これを機会に早いところ関心を持って、この国会中に予算が通るまでに一応の基本線政策として出すなら出してもらうようにする——局長は出すと言えないが、大臣から新たに御答弁いただくわけだが、そういうふうにするなら話は別だが、今から検討しますとか、雑貨船にもっていきましょうというふうなことだけでは、どうもうまくないですね。いかがでしょう。
  14. 辻章男

    辻政府委員 石炭閉山計画というものが、なお具体的にどういうふうにきまって参りますかということは今後の問題でございますので、具体的にAならAいう山が閉山になり、それが若松港とかあるいは苅田港とか、あるいは北九州の方面に具体的にどういうふうに港別出炭量の変動があるかということが確定しませんと、なかなか明細な分析が困難でございますので、私どもは大きな問題としまして、石炭が五千五百万トン、あるいはこの程度になるということが機帆船界に大きな影響があるということは、かねがね考えておったわけでございます。今の段階では、先ほど申し上げましたように、石炭に従事しておりましたものをその他の方へ転用するような方向へ進みたいと考えておるわけでございます。その他の鋼材でありますとか、あるいはセメント、木材等につきましては、やはり経済の成長に伴いまして、年々輸送量は漸増して参っておりますので、今後もふえる荷物をそういう船で運ぶというふうに、今考えておる次第であります。
  15. 久保三郎

    久保委員 ちっともよくわからないのでありまして、わかったのは政策はないということだけです。それからもう一つは、どの程度山がつぶれるのか、これからの話でありますから、それによって一つやっていく。それでは今政府が出している石炭政策は、どの程度山がつぶれるか具体的にわかりませんが、どの山がつぶれるか——御案内の通り石炭合理化審議会でチェックするのです。この山は閉山、この山はスクラップ・アンド・ビルド、これは、と一々きめていくのですから、それならあの政策は要らないのです。どれもみなあの石炭合理化審議会の中できめてから、これに対して融資はどうするときめたらいいでしょう。ところがおよそそうではなくて、全体の融資ワクならワクをきめ、いわゆるこの職を離れる者に対しては、どの程度あるからこれだけの金を出そう、こうやっているのじゃないですか、違いますか。私も石炭の方はあまり専門じゃないのですが、どれだけつぶれるか、具体的にどの地域のどの山がつぶれるか、あるいは存続するか、こういうものがきまってから政策というものが立つのですか。これくらい無定見な話はないでしょう。もしもつぶれるとするならば、離職者対策はこういう方向でこういうふうにする、地域の振興はこういうふうな対策を立てる、こういうことですよ。これが政策というものでしょう。ところが、私がさいぜんからくどく申し上げておるのは、その中で輸送担当者であるいわゆる機帆船その他の内航船対策はちっともないじゃないですか。これは山がつぶれれば一緒につぶれます。そのまま見殺しにするというなら政策は要りません。これはどうなんですか。運輸大臣もおられますが、これはあなたの責任ばかりではないと思うのですが、私はこの石炭運輸の問題についてきょう初めて言及しておるわけです。私は今まで言いたいことはたくさんあったのですが、遠慮していた。たとえば、こういうことが多い。石炭運賃コスト引き下げのために、国鉄運賃は従来通り運賃で運べ、こういうことを押しつけられた。これは他産業犠牲です。ところが、従来の運賃でやれば、内航の方はこれに従来太刀打ちできないから、どうしても鉄道と合わせた運賃に持っていく、いわゆる運賃レートを下げざるを得ないでしょう、そればかりじゃありません。石炭専用船建造にしても、内航船実情というものを考えてやったのかどうか。なるほど船舶整備公団というところは通しはしましたが、実際はこの一ぱい船、いわゆる木船機帆船、それと近代的な石炭専用船が太刀打ちできるかどうかということです。これは全体的な政策じゃない。石炭コスト引き下げという至上命令だけで、他産業犠牲でやれというのです。卑怯千万です。それを運輸当局が黙って見ている。私に言わせれば唯々諾々としておる。これでは運輸省がなしにひとしい。あまり多くは申し上げませんが、きょうは石炭政策の中における内航対策はどうなのか、もう少し明確なコースなり見通しなり言って下さい。それは悪かった、今までは目こぼしをしていたが、これはまずいから、一つ政策を立てるというなら、そのようにしたらいかがですか。
  16. 辻章男

    辻政府委員 ただいま石炭専用船お話が出ておりますが、石炭専用船の方は、石炭海上輸送コストを下げることによって、石炭全体の消費者価格を下げていきたいという考え方でございます。これに対しまして、内航につきまして大きな問題であることは御指摘通りでございます。それで、一昨年来通産省いろいろ話をいたしまして、現在御承知のように戦標船代替建造ということをやっておりますので、この石炭専用船につきましても、ぜひともそういう船質改善の内航の対策にのっとって、そのワク内で専用船の問題を考えてもらいたいということで、現在特殊船舶整備公団を通じまして、戦標船代替建造一環として、石炭専用船建造しているという状況でございます。これは、今いろいろ御指摘がございましたように、石炭問題につきまして、内航海運といわず、あるいは陸上、国鉄等におきましては、いろいろと影響するところがあるのでございます。政府としましては、石炭等現況にかんがみまして、多少影響がありましても、全体として石炭政策が円滑にいくようにがまんできるところはがまんして協力していこうというふうに考えておる次第でございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 海運局長、大へん言いにくいことですが、あなたがおっしゃった一番最後のところが問題なんです。石炭合理化円滑化のために、多少の犠牲はしのんで御協力申し上げると言うが、多少の多の方か少の方か、どっちなんですか。あなたは、石炭政策に対しては、いわゆるアウトサイダーです。あなたが専門でめんどうを見なくちゃならぬのは、日本経済の中における海運というもの、その中でいわゆる内航船の問題あるいは石炭輸送の問題だろうと私は申し上げる。これは十分おわかりの通りです。そうだとすれば、あなたは政府の要員の一人として、全体的な政策はどうあるべきかということも考えなければならぬ。海運局は海運局のことだけやっておればいいというものじゃないでしょう。それをひっくり返せば、石炭ばかりではなくて、あなたがおっしゃるように、消費者価格引き下げのためにそういう専用船が必要だということは、はたして消費者価格はそれで下がるだろうか。専用船をつくったらそれだけ消費者価格が下がるというメリットはどういうふうに計算しておりますか、お聞きします。おそらくないでしょう。むしろ今の石炭消費者価格を下げるという方向は、実際はそういう輸送を除いた流通部門の改善以外にないのです。そういうことでただ単に、どこからお聞きになったかわからぬが、消費者価格のためなんて、たとえばあなたがおっしゃる通り下がるにしても、海運がだめだ、陸運がだめだということになったときは、だれが責任を負うのでございますか。そういう問題もあるので、私はくどくは申しませんが、何らの対策もお持ちでないようだから、そこでもう仕方がありません、やむを得ず大臣お尋ねします。  運輸大臣は国務大臣であられるから申し上げますが、特に石炭対策の中には、これによって影響をこうむる内航船についての対策を確立すべきだと思うが、いかがであるか。さらにその中身としては、われわれの方では最近提案いたしますが、いわゆる石炭合理化に伴うところの中小企業の臨時措置の問題であります。これには幾つかの政策がなくてはならぬと思うわけです。まず第一に、転廃業資金の供給の問題であります。もう一つは売掛金、いわゆる運賃の未払いの回収の問題についてもやはり同じようにやらなければならぬ。さらにもう一つは、今度はこれに関係するところの雇用対策の問題、これもあわせてやらなければいかぬ。そういうものを考えれば、転廃業の資金もさりながら、さらに海運局長がおっしゃるように、これから船で転業しようとする場合には、船の改造が必要です。その場合には改造の費用についても考えなければならぬ。こういうものは海運局長が言うような商工中金あたりの資金でまかない切れるものではないのです。であるから、これも炭鉱並みに物事を考えていくべきだと思う。近くこれは別な方面から提案いたしますが、少なくともそういうものを含めて対策を立てるべきだと思うが、いかがでありましょうか。
  18. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は国家の施策の上において最も重要なものから順次やっていくもので、石炭政策については、私も国務大臣として、これが一番の焦眉の急であるから、この対策を早く樹立することに協力して参りました。またこれに伴いまして流通機構の、しかもことに瀬戸内海、九州の小機帆船業者に対しては何らかの対策を講じなければいかぬということも考えております。同時に、ただいま久保さんがおっしゃったように、あらゆる金融機関を通じまして、その育成に必要な金融措置をやるように、石炭対策としても考えておりますが、内航の小機帆船その他についても私は同様な措置をとるベきであると考えて、目下海運局をして調査せしめております。
  19. 久保三郎

    久保委員 海運局長、それじゃ大臣は大体おおむね僕の意見のように、これからおそまきながら調査ができ次第やっていこうということです。調査しなくても、山は今まで通り石炭が掘れないということは事実でありますから、早急に調査を進めると同時に、その政策についても早急に提案できるように努力してほしいということと、一時のがれの答弁であって、調査をするというが、わかりません。さっき、冒頭にお話があったように、できてみてから大体つぶれるものはどの炭鉱で、どの炭鉱に直結している石炭輸送船会社がつぶれるんだ、それになってから初めてやるんだというのではなくて、これはもう先回りをしてやらなきゃいかぬ。だからそういう意味で、調査をいつごろまでにやるのですか。すぐにとりかかるのですか。
  20. 辻章男

    辻政府委員 現在すでに調査にとりかかっておるのでございます。それがいつ完了するかという御質問でございますが、大体四月中くらいには一応の数字が整うのじゃないかと考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 四月中というと、国会が終わる。通常国会は百五十日ときめられておる。会期延長がなければその通り。内航船の問題だけでは、会期延長は、おそらく政治情勢からはあり得ない。四月一ぱいだというと、会期の終わりは五月三日かそこらですよ。そうすると、調査はできたが、対策国会にかけないでもできるように仕組みますか。
  22. 辻章男

    辻政府委員 現在、私ども、四月中ぐらいに今見込みをつけておるのでございますが、できるだけ勉強いたしまして、御趣旨に沿うように一日も早く成案を得たい、かように考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 どうも積極的でないようなんでありますが、大へん失礼かもしれませんが、気持は積極的だが能力がこれに伴わぬというならば、それは大臣の指揮監督が悪いようだから、これは一つ、急いでやってもらわなければいかぬけれども、いずれにしてもこれは、もっと急ぎましょうくらいで答弁されて、議事録に載ればそれでいいという問題じゃないのですよ。私は何もこの選挙区ならず、私はしろうとで船にはあまり関係ないのです。ないのですが、政策のバランスという点からいっても、実際、どうもふんまんやるかたなしに義憤の念にかられて今質問しているわけです。あなた、担当なんだから、くどいが担当の者が今ごろになってまだ調査が終わらぬ、四月一ぱいにできると思うが、せいぜい御趣旨に沿って早めましょう、そういうことでは、実際言って対策はなりませんよ。国会は実質的には三月一ぱいですぞ。予算は三月一ぱいで通すのでしょう。そういうことでは困るのであって、私は強く希望しておきます。三月中旬ごろにそれぞれの調査をして、運輸大臣から、考え方をこの委員会で述べてもらいたい。それは数は少ないかもしれませんぞ。調査の結果あるいは万が一、それが一社であろうが二社であろうが、少なくとも石炭合理化といって、その方面の全体の数の問題でなくて、全部一緒にやろうというのですから、石炭合理化ということなんですから、そうすればそれに漏れる政策であってはならないということなんです。そういう意味からいって、私は念を押しておきます。
  24. 關谷勝利

    關谷委員 関連して一つ——ただいま久保委員からいろいろ御質問があったようでありますが、私も全く同感でございます。調査が四月ごろまでに終わるというようなことでありますが、それを今久保委員は三月の中ごろまでに繰り上げろというお話もあったのでありますけれども、その調査が終わりましてからどういう形で進めていかれるのか。先般私質問をいたしました際に、要望といたしまして、内航海運対策審議会のようなものをつくってもらいたいということを大臣にお願いしたのでありまして、大臣もそのようなことに考えようということでありましたが、その後何か具体的に御相談になりましたか。
  25. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 關谷委員から御要望が出ましたもので、順次それぞれの向きに相談をいたしております。
  26. 關谷勝利

    關谷委員 その調査が終わりましたならば、すぐその審議会で政策的な検討を加えるようにしなければなりませんので、もう審議会はそろそろ人選その他に取りかからなければならないと思います。なお海運局長は非常にゆっくりかまえておられるようでありますが、今の内航の状態は、そんなのんびりした状態ではないのであります。国鉄運賃で押えられ、石炭対策犠牲になり、専用船対策犠牲になり、集約化の犠牲になり、踏んだりけったりというのが今の内航海運状態であります。政治的に働きかける方法を知らないグループであります。政治的な目が当たらないという階層でありますために、黙って自分たちが死んでも、そういうようなことを述べる機会がないのでありますが、こういうようなことこそ政治として見のがしてはならぬのであります。私は以前からしきりにこれを言っておりますけれども、一向進展をいたしません。このままほうっておいたのでは、内航海運はつぶれてしまいます。つぶれてしまってからこの対策というのではおそいのでありまして、海運局ではいろいろ検討をして調査をしておるというのでありますが、調査が終わりましたならば、すぐにそれに対してどのような対策を立てるかという非常に大事な場面であり、内航海運といたしましては大きな転換期であります。石炭と同じように大きな転換期に来ておりますので、強力な内航海運対策審議会をつくって、そうして対処してもらわなければなりません。  それで海運局長が言うのでありますから、おそくても四月に調査はできるのでありましょうが、四月にその調査が終わりましたならば、その資料に基づいて直ちにいろいろ政策の研究が始められるように、審議会を間に合うようにつくってもらいたいと思います。これに間に合うようにつくっていただけますか。この点あいまいでなしに、はっきりとお答えを願いたいと思います。
  27. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 内航の重要であることは關谷委員指摘される通りでございます。これは關谷委員が仰せられるように、黙っておるからほっとくというのは政治の道じゃないと考えますので、すみやかに調査を進めまして、その委員会の設置その他については最善を尽くしたいと思います。
  28. 久保三郎

    久保委員 次にそれじゃ木船保険法のことで二、三お尋ねしたいのであります。木船といわれるものが、いただきました資料では大体三万四千以上の船があるわけです。ところが木船保険への加入隻数は一割に満たない三千三百隻足らず、九・八%と加入率はこうなっておるのです。これは相互保険ということで、その相互保険の形式が悪いわけではもちろんないと思うわけですが、今いろいろ話があった通り、内航経営実態が、せっかくのこの危険分散の方式である保険に加入できない実態にあるからこそだ、こういうふうにも思うし、もう一方木船の性質からいって、危険度が非常に高い。いわゆる損害率が高いというか、そういう二つの面から保険の加入率が低下している。せっかくの制度があまり生きてこない——と言っては語弊があるが、全体の木船の中に占める比重は非常に少ない。これでは制度自体に疑念を抱かざるを得ない。こういう点の改善方法について運輸省は何らか考えておられるかどうか。制度はあるが、まあ九・八%、一割足らずだから、あとは仕方がないということでは、制度を置くこと自体に疑問があるわけなんですしどういうふうに考えておりますか、いかがですか。
  29. 辻章男

    辻政府委員 木船の相互保険の加入率が一割内外という点につきましては、御措摘の通り非常に少のうございまして、私どもも機会あるごとに加入の利点を説きまして呼びかけておるのであります。まあ数は少のうございますが、年々加入率は増加しつつあるわけでございます。  なぜ現在こういうふうに加入率が少ないかという原因でございますが、今御指摘がございましたような経営状態が苦しいということも一つ原因であると考えております。また保険ということに対しまして、ただ単に事故さえなければ、結局保険料を払うだけ損をするのだというふうな保険に対する認識の不足も相当あるわけでございます。それからまたこれらの木船関係者の資金の調達は、親戚縁者から金を借りる、そういう者が相当ございまして、いわゆる金融機関からの融資が割合に少ない。従いまして、船を物的担保にするというふうなケースが少ない。いわゆる対人信用で、親戚縁者から資金を調達するというふうな資金の調達の形式も、こういった保険の加入率を少なからしめておるんではないかというふうに考えておる次第でございます。  今後木船関係の団体その他を通じまして、実質的に保険の料率が下がるような機会をとらえまして、大いにPRをいたしまして、できるだけこの保険の加入を促進さしていきたい、かように考えております。
  30. 久保三郎

    久保委員 海運局長の御答弁は、僕の頭が悪いせいか、よく理解できないのであります。願わくは、こちらはしろうとでございますから、懇切丁寧に知っていることだけは全部御説明をいただきたいと思います。  保険のこともよく知らないし、ましてや船のこともよく知らぬのでありますが、私が申し上げているのは、保険の加入率が低いということは、保険の性格そのものにも欠陥がありはしないか、あるいはその他の問題としては経営の能力の問題もあります。そういう点を改善しなければ、せっかくの保険が生きてこないのじゃないか、こういう御質問を申し上げているのです。今のお話だと、どうも少しは当たっているが、大体当たっていないお答えのようであります。これはもう少し保険の形態を変える必要はありませんか。大体これはどういうようになっているのですか。日本で相互保険の団体は二つでしょう。東京と九州地区ですか、そういうところにあるでしょう。もっともこれは出張所というか、出店というのはたくさんあると思うのですが、大体保険の機能はどうなんですか。
  31. 辻章男

    辻政府委員 これは御指摘通り、本拠は全日本木船保険組合が東京にございまして、日本木船保険組合が若松に本拠を置いております。おのおの支部あるいは出張所というものを各地に置いておるわけでございまして、全日本木船保険の方は約三十カ所にブランチを持っております。日本木船保険組合の方もやはり三十カ所近くブランチを置いておるわけであります。従いまして、私どもとしては、この木船保険の制度自体に欠陥があるというふうには考えてないわけでございます。
  32. 久保三郎

    久保委員 欠陥がなければ加入率は上がるんですよ。そうでしょう。もしもあなたのおっしゃる通り欠陥がないというならば、保険の必要がないということになるのじゃないですか。変な言い回しかもしれませんが、そういうことになりませんか。だからブランチを置いておること自体で、なるほどPRはそれで足りるかもしれません。しかし実際の支払い方法その他が非常に円滑にいっておるかどうかということは、私は知りませんけれども、それが損害があれば直ちにいくかどうかということ、むしろこれを二段階なら二段階に持っていくことがどうなのかということです。私の試みですよ。二段階というのは、たとえば若松なら若松、門司なら門司あるいは横浜なら横浜地区、これは海運局別でもけっこうですが、そういうところに相互保険の組合をつくらせて、そうしてそこで負担させるものは通常の災害——異常の災害になった場合には背負い切れませんから、その上の段階にして、そうしてあとは再保険で全部やる、こういう方式はどうなのか。保険組織としても、保険の機能としても、必ずしもりっぱで欠陥がないとは言えないのじゃないか。私は保険のことはよく知りませんが、そういうふうにでもすれば、多少前向きになりはしないかと思います。今までそういうことは全然御研究にないですか。
  33. 辻章男

    辻政府委員 今御指摘がございましたのは、異常災害は国が負担しろというふうな御趣旨に解するのであります。現在の保険の立て方は、いわゆる異常あるいは通常のものを含めまして、この木船保険組合が元請になってやっていこう、そのうち七割につきまして国が再保していこうという建前をとっておるのでありまして、今御指摘のような制度につきましては、私どもとしてなお今後検討いたしたいと考えております。現在まではそういうふうには考えてないわけでございます。と申しますのは、この木船相互保険組合を設立いたしました趣旨は、これは現在でも民間の保険会社が木船保険というものをやっておるのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、木船業者自体に保険に対する認識が不足な点がございまして、非常に危険な航海をする者だけが民間保険に入っておる。従っていわゆる保険料で言いますと、逆選択というような状況になりまして、料率を高くせざるを得ない。料率が高いがゆえにますます保険に入る者がなくなるということで、相互的によく同じような地域を走っておるとか、よく根拠を同じにしているような、そういうものが集まって相互的に扶助の精神で相互保険というものを進めることが適切ではないかということで、こういう保険を始めた次第でございます。従いまして、特に保険料を安くするような考えではなしに、国としては再保ということによりまして七割について国の信用を与えてやろう、それから再保険の事務費につきましては国からの負担でやっていこうという建前で立てたものでございまして、今のような制度になっておるわけでございます。
  34. 久保三郎

    久保委員 どうもあなたも保険のことをよく知らぬし、質問する私もよく知らぬのでございまして、知らぬ同士で議論しているような話なんでどうも……。海運局長、あなたは専門家なんですから、われわれは八百屋といっては語弊がありますが、いろいろやっておりますのでわからないから、質問するのもそういう意味で質問しているのですよ。私が言っているのは、二段階なら二段階にしろというのは、あなたがおっしゃるような趣旨とも少し違うのでありまして、これはむしろ末端にそれぞれの相互保険組合というかそういうものをつくらせて、まあ言うなれば、今農業災害の補償制度がありますが、そういうスタイルにある程度見習って分割していくことが一つの前進ではなかろうかということを言っているのです。中身について、再保険の仕方をどうするか、これはいろいろあると思う。その中から国家助成もある程度やるべきだと思うのであります。そこで今資料を出してもらってもどうかと思うのでありますが、事務費を補助しているとおっしゃるが、組合に補助しているのですか、事務費はどの程度補助しているのですか。
  35. 辻章男

    辻政府委員 先ほど事務費を補助していると申しますのは、再保険特別会計の事務費は国が支弁しておるという意味でございます。これは年額約四百万円程度でございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、それぞれその保険の関係担当者も各海運局に配置されておるわけであります。もちろんこれだけやっているのではなかろうと思うのでありますが、どうもこれだけやっているのだとすれば、三千そうぐらいの保険を扱うのに対しては、少しどうかと思うのであります。これは木船関係全体を扱う人なんですか。この五十九名の内訳を課長からでもお答えいただきたいのですが……。
  37. 辻章男

    辻政府委員 これは今御指摘がございましたように、木船保険だけをやっておる人間ではございませんで、木船関係の一般の海運行政に従事しておる人数でございます。
  38. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、保険制度について、あなたは上だからよくわからない、課長がおられますから課長に一ぺんお尋ねしましょう。私がさっきからくどく申し上げているのは、船主の負担能力と危険の度合いというもの、この二つから保険の加入率は低いと一般にいわれておるのだが、それはもちろん大きな原因であると思うのだが、そのほかにこの保険制度に、このままでは前進できない面が相当あるとわれわれは見ておるわけです。これについて何らか今まで考えておられたかどうか、いかがですか。
  39. 隅健三

    ○隅説明員 ただいま局長が答弁いたしました木船相互保険組合につきましては、極力各船主に対しまして相互保険組合に加入して組合員となるように指導いたしております。平水機帆船がこの数ではほとんど大半を占めておりますので、そういう船主に対する指導とかまだPRが足らないかと存じております。
  40. 久保三郎

    久保委員 PRが足らないとするならば、PRの方をもう少し積極的にやることも一つですが、私が言うのは、先ほど来何べんも申し上げたように、どうもこの保険自体、この仕組みにも欠陥があるとわれわれは思うのです。いただいた資料だけでは何もわかりません。数字だけですからわかりませんが、少なくともそういう保険制度そのものに対する考え一つ検討してみたらどうか、こういうことでございます。できるならば社会保険的なものに切りかえることも実際いって大幅な前進ではなかろうかと思うのです。そういう面での助成もこれは大幅にしなければならぬ、そういうことについて一つも御意見がないというのは、残念ながらどうもこの制度が地に埋没した形ではなかろうか、こう思うのであります。これが三割とか五割とか加入率があるならまあまあですよ。ところがどこの保険でも、かけねばならぬ者の一割に足りないという保険では、保険の意義さえ失われやしないか、こう思うのです。そういう点について一つ検討をいただきたい、こう思うわけです。今私が申し上げたように、制度そのものを変えるという研究くらいはしておりますか、いかがですか。
  41. 辻章男

    辻政府委員 今社会保険的な考えお話がございましたが、これをつくります際には、そういう考え検討いたしまして、政府部内でいろいろと折衝したのでございますが、こういう木船関係のものを社会保険に考えるというわけにはいかぬということで、政府としましては、現在のような相互保険という形で発足した次第でございます。社会情勢その他の変動によりまして、また社会保険的なことを考えなければならぬということもあり得ますので、私の方としては今後も検討を続けていきたい、かように考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 ところで、その保険事業で、今の保険の体制の中で合理化できるものがあるかどうか、合理化によって料率を引き下げるということも考えるべきだと思うのが、これはどうですか、いかなる点がありますか。料率を引き下げる工夫——料率が高いということも加入率を低下させる一因でありますから、それは前向きの問題じゃなくて、うしろ向きになりますが、いかがですか。
  43. 辻章男

    辻政府委員 保険組合としまして、合理化をするという点には大体二つあると思うのでございます。一つは、非常に常識的なことでございますが、できるだけ経費の節減をはかるということと、それから対象をできるだけ多くして加入指数をふやしまして、それによって一面経費の節減にもなりますし、危険の分散によりまして保険料率を下げていくという、その二つの道があると考えております。
  44. 久保三郎

    久保委員 道はあると思うのですが、そういう検討はされておりますか。
  45. 辻章男

    辻政府委員 加入指数の増加及び組合の経費の節減の方法につきましては、絶えず監督し、また加入につきましては促進するように慫慂いたしておりまして、努力いたしております。
  46. 久保三郎

    久保委員 二つの保険組合ですが、これはいずれも経理状況は良好でございますね。それで、これはこういう相互保険の関係から見て、かなり良好だとすれば、次は組合に対するサービスということで、料率の引き下げ、こういうことが一番先に考えられねばならぬと思うのですが、この点はいかがですか。
  47. 辻章男

    辻政府委員 こういう保険におきまして、もちろんそれによりまして積立金がふえてきますならば、料率を下げることが望ましいのでございますが、一面から申しますと、日本は非常に災害の多い国でございまして、台風時期等においては、相当災害の出ることも予想せられるわけでございます。その際に、保険組合が破産的な状態になっては元も子もなくなるわけでございます。予想されるような災害に耐え得る限度において料率を下げることが望ましいわけでございます。それで、過去におきましても料率を下げてきたこともあるのでございますが、今回は、将来の災害等も考えまして、利益還付という形で組合員に利益の一部を返還いたしまして、実質的に料率の引き下げの効果を上げたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、資料があとになってちょっと工合が悪いのでありますが、最近の二つの相互保険組合の決算報告を出してみて下さい。どうもあなたの方の話ばかり聞いておったのでは、今のが一番いいんだ、いいんだと言う。そういうことではちっとも保険の意味をなさぬし、そういう制度自体に疑問を持つのであります。これは資料を出していただきたい。  それからあなたに申し上げておきますが、くどいようですけれども、こういう制度自体を生かしていくというのがあなたの役目だと思いますので、もっと生かす工夫を新たな観点から考えられるべきだと思います。  そこで、この法案の改正の中では、今御説明のあったように、黒字になったから利益の一部を組合員に還元しようというのだ、こういうことであります。これは再保険の部面でありますが、組合自体に還元するのですか。
  49. 辻章男

    辻政府委員 これは、まず再保険の特別会計から再保険組合に返しまして、両保険組合から各組合員に還付するようにやるわけでございます。
  50. 久保三郎

    久保委員 いや、それは手続を聞いておるのじゃないのです。この法律改正は、再保険の中で黒字になったから一部を組合員に返す、こういうことですね。だからその組合を通して組合員に返すわけでしょうが、二つある組合は、現在黒字のように見えるから、やはり再保険の付保と同様にそれぞれの組合から組合員に還付するのか、これをお尋ねしておるのです。
  51. 辻章男

    辻政府委員 今のお話通り、組合から組合員に返すわけでございます。
  52. 久保三郎

    久保委員 そこで、「政令で定めるところにより、」云々と、こう改正されているが、政令はどういうふうにきめていくのですか。
  53. 辻章男

    辻政府委員 この政令は、当該年度の再保険料の百分の八十に相当する額を超過したときに、その超過したものを返すことを原則にいたしております。ただしその際に、従来積立金が百分の八十に達していない場合でありますとか、あるいは欠損があるという場合には、その欠損を埋めて、今申し上げた百分の八十をこえなければならぬというふうに規定するつもりでございます。
  54. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、一つは、今の計算で、さしあたりこの法律が通れば新しい年度でお返しになると思うんだが、これはどの程度の額をお返しになるか。もう一つは、政令できめるところによって組合に返すのは「全部又は一部」という表現になっておるが、それはどういうことか。
  55. 辻章男

    辻政府委員 大体三十九年度に還付いたします金額は約二千万円程度と予想いたしております。  それから法律の表現上「全部又は一部」というのは、毎会計年度の積立金がその当該年度の再保険料の百分の八十に達しております際には、超過いたしましたものが全部になるわけでございますが、積立金が百分の八十を切っておる場合には、百分の八十までは積み立てに留保いたしまして、その留保した残りを還付いたしますので、その際には一部となるわけであります。そういう趣旨でございます。
  56. 久保三郎

    久保委員 ちょっとわからぬですね。百分の八十を超過した場合には全部だ、それから八十までも全部であ下る。あなたの説明では一部の場合はないですよ。
  57. 辻章男

    辻政府委員 私の説明がまずかったと思いますが、従来積立金があるわけでございます。その積立金が当該年度の保険料収入の百分の八十に達していない、百分の七十しかないという場合には、百分の十だけ積立金の方に繰り入れまして、それの残余を還付するということでございますので、一部になるわけでございます。
  58. 久保三郎

    久保委員 それから、三十九年度に二千万返すわけですか。
  59. 辻章男

    辻政府委員 これは会計年度を翌々年度といたしておりますので、三十七年度の分につきましては三十九年度に相なるわけでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 その場合、相互保険組合には幾らくらい返す予定ですか、全部合わせて二千万ですか。
  61. 辻章男

    辻政府委員 二千万円と申しますのは、再保険特別会計から両組合に還付する金額でございます。
  62. 久保三郎

    久保委員 そこで、さっき申し上げたように、その場合はそれぞれの組合が黒字だ。黒字だからこれに見合って返すんだというお話ですね。それで予想として大まかに、その両組合は二千万のほかに何か返すものがあるのですか。
  63. 辻章男

    辻政府委員 ちょっと今数字を当たっておりますが、両保険組合は合わせて二千万円を再保険特別会計から還付を受けまして、これに組合自体として返戻する金額を合わせて組合員に返していくということでございます。今数字を当たっております。
  64. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても海運局長、この制度ならず全部について定期的に当委員会にその運営状況を報告した方がよさそうだな。法案の改正のときだけ質問に答えるんじゃなくて、政府責任として、そういう不信のものは——不信と言っては語弊があるが、まあもうかってきたからいいけれども、勘定そのものは不信だ、そういうものは定期的に年二回くらいは本委員会に報告した方がいい。法案の改正でもなければこちらも質問しないが、あなたの方も答弁するものじゃないと思っているから、何を聞いてもおわかりにならぬし、さっぱり新しい知恵も浮かんでおらぬようです。いかがですか。
  65. 辻章男

    辻政府委員 そういう御要望があれば、いつでも報告申し上げます。
  66. 久保三郎

    久保委員 御要望がなくとも、政府責任において報告するのが当然である。要望がなければ報告しないというのは不届き千万だ、そうでしょう。
  67. 辻章男

    辻政府委員 毎年報告いたすことにいたします。
  68. 木村俊夫

    木村委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ほかにないようでありますから、本案に関する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  69. 木村俊夫

    木村委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認めます。  これより採決いたします。  木船保険法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  71. 木村俊夫

    木村委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。綾部運輸大臣
  73. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 ただいま採決をいただきました木船保険法の一部を改正する法律案につきましては、まことに感謝にたえません。今後内航海運ことに木船に対し、石炭の問題とも関連いたしまして、慎重に考慮し、実情に即して施策実施いたしたい所存でございますから、御了承願います。
  74. 木村俊夫

    木村委員長 次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会