○梶本
政府委員 国民旅行の
現状と
問題点、これは非常に大きな問題だと
考えております。まず国民旅行がどのような
現況で行なわれておるかということでございますが、いろいろ私
ども各方面でとられました統計等を基礎にして
考えてみますと、一年間に日本の国民が旅行いたします回数は六千万人回と
考えております。このようにして旅行がだんだん盛んになっておるということは、この統計におきましても十分現われております。ここ二年間に一泊以上の旅行を全然しなかったパーセンテージが五二・六%から四〇・五%というふうにぐっと狭まっておるわけでございまして、旅行というものが非常にふえてきたというのが
現況でございます。それで一体その旅行が何によって行なわれておるか、国鉄で多いのか、私鉄で多いのか、バスで多いのか、船が多いのか、
飛行機が多いのかということでありますけれ
ども、まず一番多く目立っておりますのは
飛行機でございます。
飛行機によるところの輸送人員というものは過去五年間に約三・三倍になっております。ものすごい伸び力でございます。それからその次が貸し切りバスによる旅行でございまして、これが大体一・八倍の伸び、このような
状況を示しております。長距離の乗り合いがここ二年間で一・五倍の伸びというふうなことで、ものすごく伸びております。国鉄の方は大体
電車区間を除きますと一・二三倍くらいの伸び、こういうふうなことでございまして、一般的に申し上げられますことは、
飛行がだんだん行なわれるようになった、しかもそれが長距離の旅行が目立ってきた、それから一泊以上の旅行を
考えますと団体旅行が二分の一、家族連れの旅行が三分の一、こういうふうな
状況を示しておるわけでございます。
それで、結局そのような国民旅行の
現況に対しまして、その次の
先生の御質問は、
問題点は那辺にあるのか、こういう御質問でございますが、まず第一はやはり旅行者の障害をどのようにして排除するか、これが第一の
問題点だと思います。これにはもちろん
交通機関を整備するというような問題もございますが、
観光地があまりにも過密利用をされている、つまり
一定のシーズンが限られておる。そうして、
東京近辺で申しますと箱根とか熱海とか、そういったところへわれもわれもと押しかける、こういうふうな問題があるわけです。それをもう少し
東京を中心として熱海、箱根までの時間的距離の
場所の東北方面、千葉方面ないし中央線方面へ
考えられないか、つまり過密利用というものを防止するために新たなる
観光地を切り開いていくというふうなことが、やはり
一つ国民旅行の
問題点になってくるんじゃなかろうか、かように
考えております。
第二の問題は、その
観光地なるものも、まあ手っとり早く申し上げますと、自分のうちに年ごろの子供がおりましたような場合、特に女の子を持っておりますような場合に、年ごろの娘を連れておやじが旅行をいたしました場合に、おやじが顔を赤らめなくても済むような
観光地がほしい、かように
考えております。どこへ行きましても、そこをよけて通らなければ家族連れで旅行ができないようなことのないような
観光地、つまり家族向けの
観光地、団体旅行をするような場合の
観光地、それから山登りしたり、スポーツを楽しむような人のための
観光地、つまり
観光地によっていろいろ質の相違があると思うのでございます。そういったものが全国的な規模でまんべんなく適正配置が行なわれてなければならない。これが私
ども考えます第二の問題でございます。
それから第三の問題は、低廉な宿泊
施設を準備する。これは運輸省の
所管で申しますと、ユース・ホステルというものを全国的に整備していく、これが問題でございます。残念ながら、来年度の予算を入れましてもまだ設置されない府県が全国で十二ございます。こういうことでは困ると思うのでございまして、やはり将来にわたらてユース・ホステル網を整備して、そしてユース・ホステルを泊り歩いて、けっこう日本が楽しく旅行できるというふうな日が一日も早く来ることを私
どもとしては希望いたしておるわけでございます。
結局私
どもとすれば、国民旅行の
問題点と申しますと、国民に健全な旅行の機会を与えるための政策をまず
考えて、それから旅行者の保護、つまり旅行者を消費者行政の立場から保護していくというふうな
考え方の政策を打ち出すこと。それからもう
一つは、最近よく言われることでございますが、
地域格差の是正をはかる。そして後進
地域を開発していく。そこに
産業を興すよりも
観光を盛んにすることが、その地方の開発になるというふうな
地域を開発していく。これが国民旅行の将来のあり方ではないか、かように
考えておるわけでございます。