○
田原委員 それでは、その問題に続いて私もう少しお尋ねしてみたいと思うのですが、ただいま
与謝野事務総長からの御答弁によりますと、
水泳場の仮設
施設が一万五千、従って、そこでやって収容し得るという
ような御想像じゃないかと思うのです。
日本の
柔道人口というものは、中学、高等学校、大学、それから一般市民等で、大体六百万とわれわれは見ておるのです。それから今度の
オリンピックを目ざして、すでに私の知っている
範囲だけでも、アルゼンチンの二世を
中心とした
柔道視察団、これは約七十名、それからブラジルがやはり二世とブラジル人を合わした青少年の
柔道、今申し込みが約四百名、北米ではロスアンゼルスに約三十くらいありますが、各道場から十名ずつ来ましても三百名、これらは
日本の
柔道を海外において学び、そうしてあこがれを持ち、たまたま
オリンピックであるからといって、今旅費をたくわえつつ、来ることを楽しみにしているのです。従って、おそらく国内
柔道人口六百万として、一割で六十万、一%としても六万であります。〇・五%としても三万ですね。これはとても仮設の道場で
技術的には収容しきれないと思う。われわれはそれを心配しております。
なお今、
田中委員の
丹下博士の説などを聞きますと、三十六時間といいますが、いなか回りの曲芸師の仮設道場とは違うのです。御
承知の
ように、プールは下がコンクリートでありますから、その上に畳を並べただけでは
試合はできるものではありません。御
承知の通りに、畳の下はスプリングがなければいけません。各大学の道場を見ましても、あるいは講道館をごらんになってもわかります。従って、三十六時間でもおそらく下を全部スプリングにしてその上に畳を敷くという
ようなことにはらぬと思う。その日になって間に合わぬというのでは、これは天下の恥だと思う。一面、先ほど申しました
ように、せっかく自由民主党、社会党、民社党の共同提案であり、共産党も消極的には賛成をして、積極的に発言はしませんでしたが、衆議院においては
満場一致で
オリンピックに備えた
柔道試合場をつくれというわれわれ
国民の
要望であります。その具体化が
武道会館というので、ただいま宮内庁と
国会の所有の土地等で選定を進めております。セイフティ・キャパシティが二万五千という目標で、これまた
丹下博士の
設計によりますと、三月中にそれらの土地の問題が解決をすれば、来年の六月までには
試合場だけはできる。時期は十月でありますから、かりに二カ月おくれるとみましても、八月に完成するものと見なければならぬ。そういうことにかかわらず、何だか
オリンピック組織委員会は
柔道に関しては虐待をしている
ような感じがしてならない。これは全
日本の六百万の
柔道人口を失望させるのみならず、
日本の
柔道を見たいというので、今わかっているだけでも、先ほど申しました
ように、北米、中南米の二世、三世、四世、五世が楽しみにしている。このほか、ソ連やイラク、あるいはドイツ、オーストラリア、オランダ、イギリス、フランス等からも来るわけでございます。私の尊敬する
与謝野さんが、優秀なる外交官として、また
スポーツマンとして海外に長く行っておられて、今度迎えられて
事務総長になっておりますから、非常な期待をしております。本日はここに
大蔵政務次官も来ておるのでありまして、大蔵省はいたずらに目前のことにとらわれて、間に合わせの、仮設して
日本古来の
柔道を見せるなんというけちな
考えを持たずに、積極的に、せっかく
武道会館というものが
計画され、その
計画は内閣も、特に
文部省はよく知っていることであります。今出席された松永さんは、
国会スポーツ連盟の会長をかねておられますが、私も真剣にこれを心配しているのです。今までの
計画組織を変えて、仮小屋の間に合わせの
場所で
日本古来の
柔道を初めての
東京オリンピックに見せるという
ようなけちな
考えでなくて、必要な経費を出す。仮小屋というものは、済めばまたこわしてしまうのですから、これこそかえって経費がかかる。永久
建築をやって、将来百年、二百年にわたって、
世界の
柔道の総本山である
日本において、少なくとも二万五千と想像されるセフイティ・キャパシティのものを、
技術屋が言う
ように一年でできるならば、これをやらせるだけの思い切った
措置をとらぬことには、当日になってごたごたしたのでは、恥をさらすことになると思うのです。だから、
組織委員会としては
設備に力を入れるということはけっこうであります。大いにやっていただきたいし、また
予算も必要ならば、十九億から減らされた五億ですか七億のものを何らかの形で復活する。
東京に
設備を残す。海外に持っていくわけでも、消えるわけでもない。この点については、原田
大蔵政務次官がわざわざ出席しているのは、単に
たばこをのむだけではなかろうと思う。やはりこれは十分
日本古来の
スポーツを
世界に見せ
よう——私は少なくとも金メダルを四つ取らせ
ようと思うが、
柔道の四
種目に対して、今のところ、僕ら専門家ではありませんが、
柔道愛好家のOBとして見ますと、
軽量級と
中量級と二つ取れればいい方じゃないか。
指名された
選手芳垣君が負けたりしている。しかもあと六百日しかありません。従いまして、金メダルを四つ取るといっても、
柔道の総本山は
東京にあるということ、永久
建築であるということ、
国会が
満場一致で
決議したということ、これらを考慮されて、必要経費は出すというくらいの決意をしなければいかぬ。その点については、途中から
事務総長になられた
与謝野さんもお気の毒でありますが、
一つ専門の外交的手腕を発揮して大蔵省を少しどうかつして、われわれも応援してやります。そしてりっぱなものをつくろうじゃありませんか。まずあなたの決意を表明され、それから
文部省もこれに対して表明され、最後に
大蔵政務次官、尊敬する原田氏がせっかく来られていますから、
一つ大蔵大臣あたりを締め上げて、今からでも間に合いますから——
世界的な
建築家である丹下見も、今からやればできるというんですから、付属のいろいろな自動車の待合所というものはあとにしても、
試合場だけはできるというのですから、これはやらせたらどうかと思いますね。以上三人のそれぞれの立場からの明確な御答弁を承りたいと思います。