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1962-12-20 第42回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月二十日(木曜日)    午前十一時四十五分開会   —————————————   委員異動  十二月二十日   辞任      補欠選任    小林 武治君  安井  謙君    河野 謙三君  江藤  智君    大河原一次君  稲葉 誠一君    山本伊三郎君  占部 秀男君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            大谷藤之助君            川上 為治君            平島 敏夫君            米田 正文君            藤田  進君            松澤 兼人君            小平 芳平君            大竹平八郎君            田畑 金光君    委員            井上 清一君            江藤  智君            太田 正孝君            加藤 武徳君            木村篤太郎君            草葉 隆圓君            小林 英三君            小柳 牧衞君            小山邦太郎君            古池 信三君            後藤 義隆君            郡  祐一君            斎藤  昇君            塩見 俊二君            杉原 荒太君            館  哲二君            松野 孝一君            安井  謙君            湯澤三千男君            吉江 勝保君            阿具根 登君            阿部 竹松君            稲葉 誠一君            占部 秀男君            大矢  正君            亀田 得治君            小柳  勇君            戸叶  武君            豊瀬 禎一君            藤田藤太郎君            石田 次男君            鈴木 一弘君            小林 篤一君            向井 長年君            須藤 五郎君   国務大臣    内閣総理大臣  池田 勇人君    法 務 大 臣 中垣 國男君    外 務 大 臣 大平 正芳君    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    厚 生 大 臣 西村 英一君    農 林 大 臣 重政 誠之君    通商産業大臣  福田  一君    運 輸 大 臣 綾部健太郎君    郵 政 大 臣 手島  栄君    労 働 大 臣 大橋 武夫君    建 設 大 臣 河野 一郎君    自 治 大 臣 篠田 弘作君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 近藤 鶴代君    国 務 大 臣 志賀健次郎君    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   政府委員    内閣官房長官  黒金 泰美君    内閣法制局長官 林  修三君    総理府総務長官 徳安 實藏君    外務省条約局長 中川  融君    大蔵省主計局長 石野 信一君    通商産業省    石炭局長    中野 正一君    通商産業省鉱    山保安局長   八谷 芳裕君    運輸省鉄道    監督局長    岡本  悟君    労働省職業    安定局長    三治 重信君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十七年度一般会計補正予算  (第1号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和三十七年度特別会計補正予算  (特第1号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和三十七年度政府関係機関補正予  算(機第1号)(内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。大河原一次君、山本伊三郎君及び小林武治君がそれぞれ辞任され、その補欠として、稲葉誠一君、占部秀男君及び安井謙君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  3. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 昭和三十七年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十七年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。阿部竹松君。
  4. 阿部竹松

    阿部竹松君 質問に入る前に、私のきょうお尋ねするのは、きのうの戸叶委員質問した問題とエネルギーの問題ですが、原子力の問題についてお尋ねする予定で、きのう科学技術庁長官をお招きしてお願いしておったのですが、どうなったのですか。
  5. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいま本庁からこちらへ向かっておる途中だそうです。他のほうからは始められませんか。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 前から聞いていただかないと、質問しても答弁に困るのではないかと思うのですがね、どうですか。……近藤長官にきのうから——特に総理はもちろんですが、通産大臣あるいは労働大臣に出ていただいて、十分エネルギー石炭の問題についてたださなければならぬということで、それに最も関連ある原子力を担当しておるわけですから、近藤長官もお願いしておった。一番各大臣の中で時間というものに関心を持たなければならない技術庁長官が、一番おくれて来るとは、女ですから、化粧する時間くらいは私は認めるにやぶさかではないのですが、十二時まで出勤なさらぬとは、どうも政治というものをどういうふうにお考えになっているか、私は、近藤長官の心境を伺いたいわけです。そこで、ご婦人の長官ですから、私これ以上責めませんけれども、今後は十分御注意していただきたいと思います。  そこで、きのうの戸叶委員並び同僚委員質問した問題に関連してまずお尋ねするわけですが、けさ新聞を見ますると、池田さんの、きのうの三項目に対する二項目は知りませんと、こういう問題について、あの方針でいこうということでそれぞれ打ち合わせをしたという記事がそれぞれの新聞に載っておるのです。新聞記事が全然信憑性がないとおっしゃるならそれまでですが、しかし、池田さんの答弁ほんとうであれば、それでいこうとか、あれでいこうという打ち合わせをする必要は毫もないわけです。ですから、その点はいかがですか。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、昨夜ここでの話で幹事長を呼びまして一応聞きまして、それでけさ前尾幹事長を呼びまして、再度どういう方針でいこう、どういう方針でいこうということは私は言ったことはございません。そういうことを、打ち合わせする筋合いのことを私一人できめるべき問題ではございません。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、新聞が誤報したということになるわけですが、それはそれでよろしゅうございましょう。  その次にお尋ねするのは、総理お話によりますると、総理が一切御承知おきなかった、こういう話なんですが、私ども代表が、自民党幹事長あるいはそこにおられる官房長官、この方々話し合いをする過程において総理の裁可をいただいて参りましたとか、これからいただきに参りますと、こういう答弁をなされているわけです。そうすると、あなたに全然連絡せんで官房長官なり幹事長がわが党のそれぞれの代表回答し、討議しておったのかどうか。それと同時に、四日間も国会が停止しておる状態なのに、一切総理が何も知らぬであってどうなる。官房長官にまかしておったかどうかということなんですが、総理大臣のお説をそのまま受け取りますると、四日間国会がほとんど停止しておるにもかかわらず、総理大臣は一切知らなかったということになるわけですが、この点はいかがですか。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 四日間停滞しておるうちにいろいろなことがあったようなことは聞いておりますが、私のところへは、昨日申し上げたごとく、ここで読み上げたあの文だけが十七日に参ったのでございます。しこうして、四原則云々について聞きましたところ、幹事長あるいは鈴木幹事長は、四原則というものはございませんと、ただ、私が読み上げました石炭需要拡大について極力努力するということにつきまして、いろいろ内容の点を折衝したことはございます。こういうことでございます。その内容折衝は私には言っておりません。これはきのう答えたとおりでございます。少なくとも四原則というものはない。話題は三つぐらい、一つ話題から、あと二つぐらい出たということはきょう党で聞きました。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、たった一つしか承知おきない、こういうことですね。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨日申し上げましたとおり、私のところへきたのは、六千万トンは現状ではむずかしい。しかし、エネルギーの保障あるいは国際収支その他の問題で、極力需要の増大に努める、努力するということは私のところにきておる。そうして、極力努力するということについてどうやったらいいかということについて折衝したと、二つの問題があったと聞きました。四原則というものはございません。それはゆうべからけさにかけて聞いている、こう申し上げているとおりでございます。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、官房長官にお尋ねいたしますが、あなたは、社会党政調会勝間田代議士に、あるいは書記長成田代議士、こういう方々との折衝過程において、四つの条項を掲げて交渉したはずです。折衝の当人は自民党ですから、前尾幹事長だったかもしれない。これはあなたは御承知おき。しかし、今の総理の話をきのうから伺ってみると、一つの問題だけは御承知だが、二つの問題は、伺っても全然承知おきない、こういうことです。そうすると、あなた方は、幹事長あるいは副幹事長鈴木善幸さん、こういう人たちは四日間、五日にわたってわが党の代表背信行為をもって折衝しておったということになる、どうですか。
  13. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 今お話がございました問題は、これはお話のとおり、自民党社会党との折衝でございまして、私ども、昨日総理が読み上げられました六千万トン云々、この問題につきましては、両党間で話し合いがついたということで、この連絡を受けて総理報告いたしております。ところが、このあとにおきまして、需要拡大について努力するということではあまり抽象的過ぎるということで、この点についてさらに両党間で交渉が進められておるという連絡は受けております。しかし、その後いろいろな経過がございまして、結局意見一致をみなかったということでございます。そのまとまりかかったのかどうか、そのお話になっておる内容については承知いたしておりません。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 意見一致をみて、どこでこわれたかということを聞いている。それをあなたは知っているはずです。ここで知らぬ存ぜぬとは、いかにあなたが鉄面皮であっても、押し通せんでしょう。そういうことができますか。
  15. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 今申し上げたとおり、経過過程あとから聞きましたけれども、どういうことが両党の間の問題でございましたか、存じません。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、きのう関連質問亀田同僚議員委員長要求したとおり、ここに前尾幹事長なり、あるいは副幹事長鈴木さん、こういう人を呼んでいただかなければならないということになるわけです。その点はきのうの委員長に対する要望とあわせて、それともう一つは、今の御答弁ですが、あなたは、これは新聞社会党が無理押しをするから私のほうで断ったと言って新聞に発表している。日本の新聞が、朝日でも毎日でも読売でも、全部うそだというならばいざ知らず、前に岸さんの時代もそういうことがありましたが、あなたがそういう態度をとって、あと新聞記事黒金官房長官談話と出たのは全部うそですと、ここで明言するのですか。
  17. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 両党間の話し合いがまとまらなかったと、かように申しております。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 委員長、さいぜんの要求の件はどうですか。
  19. 木内四郎

    委員長木内四郎君) きのう御要求資料取り扱いにつきましては、理事会におきまして、本日の委員会経過を見た上で協議をする、こういうことになっております。亀田委員要求された資料につきましては、理事会において事務局要求いたしております。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  20. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから、もう一つですね、議事進行の前にはっきりしておきたいことは、きのうからの池田さんの御答弁によりますと、一つだけ除いて、一切御承知おさなかったと、こういう答弁です。私のところにはきまったものしか入ってきませんよ。こういう御答弁をきのうなさっているはずなんです。そうすると、私どもは、衆議院でどういうことがあっても、参議院は、両院という立場で、立場が全然違うからといって、衆議院はああいう立場をとっても、こちらは静かに論議を続けているのですが、あなたは自民党総裁なんですから、衆議院自民党総裁であると同時に、参議院も同じ自民党総裁なんだ。そうしますと、あなたの言によると、こちらの参議院のほうで国会対策委員長同士の話があり、会長同士の話があるのだけれども、そういう点もあなたはきまるまで一切知らないと、こういうことをおっしゃると思うのですが、そうなると、もう政党政治とか何か抜きにして、ここに自民党会長あるいは国会対策委員長がおられるかどうかわからんけれども、こういう人々を相手にして私ども代表なり幹事なり、あるいは国会対策委員長会談も話も持てないということになる、この点はどうですか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 党の執行部におきましていろいろ相談し、必要なことを、また、その時期等につきましては、申し出があれば私は聞きます。高橋君とはけさお会いいたしました。そして、きょう今理事会を開いたということぐらい、報告があれば聞きます。全然知らんというわけではございません。あの問題については、私には報告があったのはこの点一点だけだということを言っておるのであります。全然関知しておらないというわけではございません。
  22. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、あの一点だけ御承知おき…−。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨日来、また、先ほど申し上げたとおりでございます。
  24. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、四日間にわたって自社両党の代表交渉して、自民党社会党了解事項という三項目を決定しておる。この決定は、総理大臣が知らなくても、自民党総裁として池田さんが知っておらなければならないわけです。池田さんが知らんうちに前尾幹事長独断でやったとこういうことになるはずなんですが、その点はいかがですか。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 幹事長独断でやる場合もございましょう。しかし、あの私が申し上げた、極力需要の確保をするということについて、その具体的の話につきましては、私はあの二点は聞いていない、二つのことは聞いていない。そこで、前尾幹事長ではいろいろ話をしてまとまって、最後のところは私のところへくるはずだったのでございましょうが、まとまらなかったからこなかった、くる前に、もう決裂したと聞いております。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 明確にまとまったのだ。しかし、まとまったのをあなたが決裁しなかった、こういうことなんでしょう。ですから、そういう点については、これから例証をあげて総理と話をしなければなりませんが、例証をあげるにしても、押し問答になるから、当然、当時折衝した自社両党の責任者を呼んで来てここで話をすると一目瞭然だ。私と総理といくら押し問答をやっても、あなたは知らぬ存ぜぬ一点張りだ。こちらはこちらで聞いた方針であなたにやはりお尋ねするより仕方がない。全部お並びになれば、そんなものは五分か十分でどちらが正しかったかわかる。政党政治を守らなければならんとか、民主政治を守らなければならんということになれば、衆議院だって、やましいところがなかったら、ここへ堂々と来てわれわれの質問に応じてくれるはずだ。委員長、ひとつきのうの亀田委員要望にさっそく理事会開くなり何なりして答えて下さい。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、ここへは政府の首班として、石炭政策その他一般施策についての御質問に応ずるために来ておるのであります。そうして両党間での話し合いは、私は総裁でございますが、聞いてこい、聞いてきますというので、調べてきてお答えしたとおりでございます。私は、政府として、政府代表として、石炭政策、その他重要な問題についてお答えしております。これが私の責任でございます。党内でいろいろ話をされたことは、党と党とでおやり下さったらよろしいと思います。
  28. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、この国会というものは、政府があって、党なり国会議員というものはないということになるんですか、あなただけやればいいということになるんですか、私は政府としてやるんだと。しかし、あなたは自民党総裁としての責任もあるんでしょう、その点はどうですか。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) まず、私は政府代表としてお答えいたします。そうして党の総裁である関係上、党と党との間のことは総裁として聞きましてお答えしたとおりでございます。それ以上は御質問はないはずでございます。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、自民党幹事長前尾さんがまとめられたことを、あなたが総裁として、それはいかぬと言われたんですか、それとも内閣総理大臣としていかぬと言われたんですか。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はいかぬと言った覚えはございません。決裂したと、こう言うので、それじゃ予算審議軌道に乗せて、委員会審議してもらいたい、こう言っただけでございます。決裂したということを聞いただけで、こういう、案件でいかがでございますかということは私のところへ持ってきていなんです。だから結論の出しようはない、これが事実でございます。
  32. 阿部竹松

    阿部竹松君 しかし、総理大臣、あなたがきのうから終始一貫して知らぬ存ぜぬ一点張りで御答弁なさっておるが、そういうことではしかし問題の解決にならぬでしょう。自民党あってあなたがあるのか、あなたがあって自民党があるのかわかりませんが、あなたのお話を承ると、まるであなたがあって、自民党幹事長も何もないように聞こえる。自民党皆さん方はそれで満足かもしれませんが、少なくとも、あなたの決裁によって破れたかもしれません、交渉が破れてしまった。しかし、その過程においては、あなた方の幹事長、副幹事長十分話をして、そうして、これでよろしゅうございます、これでいきましょうということできまっておるんですから、そこで、もしあなたが知らぬ存ぜぬ一点張り答弁なさるなら、私は、当時の人をお呼びしてお聞きすれば一目瞭然だと言っているんですが、その点はどうですか。私どものほうでも、あなたがそう言うのであれば、もう一度聞いて明確にしなければならぬ。
  33. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 何べん聞いても同じでございます。事実は事実でございます。で、私は、両党の関係が、交渉が決裂したと言う、そこで、決裂したのならやむを得ない、もう三日間しか残っていないから、予算審議軌道に乗せて、予算委員会で十分審議すべきだ、こういうことを言ったわけでございます。だから、こういうことでまとめましょうか、まとめますまいかといったような問題は、十七日の朝の私が読み上げた点で、これならいいだろうということで、十七日の朝、私は委員会に出るつもりでやったわけです。しかも、きのうから申し上げたように、これは大事な文章だから、一字一句間違わないようにやって下さい。これは私の承諾で、その後における折衝につきましては、私は関知しておりません。ただ、決裂した、やむを得ませんと、そう、それならば審議軌道に乗せようということで、予算委員会を開いてもらうように指示したのでございます。これがほんとうの事実でございます。
  34. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 阿部委員質問を続けて下さい。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 関連委員長はきょうはどうかしてるんじゃないですか。きのうはあれだけ、なるほど重要な問題だということで関連質問を許しておりながら、きょうは一度も許さぬというようなばかなことがあるものですか。私はまあ、その文句を言うのはこれくらいにして、池田さんの答弁をお聞きしまして、はなはだ残念な点がある。現在はこれは政党政治なんです。理屈はあまり言いません。自民党総裁だから、あなたが総理大臣になっている。したがって、党間の約束というものは、これはもう非常に重大なものだ。約束もほとんど完了した状態までいっているわけだ。だから私たちがその事実を重大視しているわけなんだ。党間の約束ですよ。あなたは未完成だと言うかもしれぬが、ほとんど完成状態なんだ。そういう事実関係というものが簡単に破棄されるということでは、これはたいへんなことだ。そういう気持で私たちがおるわけです。  そこで、もう一点申し上げたいことは、昨日私たち委員会終了後さらに成田書記長勝間田政審会長等に来ていただきまして、あらためて具体的な経過というものを詳細にただしました。まあ全部は申し上げません。その中で、この十七日夜おそくなりまして、最終的に自民党側幹事長並びに副幹事長がもたらした回答は、総理決裁によりお断わりすると、こう答えておるわけなんです。もし、それでもあなたがお知りにならないということならば、自民党代表者がわが党の代表者をだましたということになる。いずれにしてもこれは重大な問題、あなたが知っとってなおかつ知らぬと言い張るのか、あるいは全然知らなかったのか、あなたのほうの決裁も求めないでおりながら、決裁によりお断わりするという断わり方をわが党の代表者にしたのか、いずれにいたしましてもこれは重大な問題なんです。それからもう一点は、昨日も紛糾した点でありますが、党首会談の問題。これも、総理相談をしてくると言うて鈴木幹事長が立たれまして、そうしてわが党に、党首会談をお断わりすると、こうきておるわけです。ところが昨日のお話では、池田さん自身はそういうことは全然お知りにならないと、こう言う。そうすると、この点でも鈴木幹事長はわが党をだましておることに相なります。いずれにいたしましても、この四項目の問題といい、最終の党首会談の問題といい、最終的に決裂させたわが党に対する回答といい、これはみんなきわめて重要な問題を含んでおる。阿部委員からも先ほどから何べんも繰り返しておるわけですが、私の昨日の要求もまだ保留になっておるように聞くわけですが、こういう状態でありますから、私は委員長に再度お願いするわけでありますが、これはやはり委員長理事会で再度相談をされまして、必ずこれは事実を明らかにするようにお運びを願いたい。事実関係というものは、数でもってふたをすべきものでは断じてない。意見の違いというものは多数決でおやりになってやむを得ない場合があるでしょう。そういう問題になっておる重要な事実関係をもうやむやにするということは、たとえ数が少なくてあっても、私たちとしては納得がいかないわけであります。そういう意味議事進行の発言を質問者と同じように申し上げたわけでありまして、委員長のひとつ公平なお計らいをお願いいたします。(「総理答弁しなさい」と呼ぶ者あり)総理答弁要らんです、もう事実……。
  36. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまの御要求の点は、いずれ理事会に諮りまして取り扱いをいたしたいと思います。  昨日の御要求につきましては、すでに理事会で協議した結果、事務当局にそれを整えるように命じてあります。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 つまり私の申し上げるのは、その点がはっきりしないものですから、せっかくの質問者の持ち時間がそのためにこう空費されていっているわけであります。これは審議の能率という面から見ても、はなはだ遺憾なことです。そういう意味でこの段階でひとつその点をはっきりするように御休憩を願ってひとつ善処を願いたい、こう申し上げているわけです。決して無理なことを申し上げているとは思いません。(「休憩」と呼ぶ者あり)
  38. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 阿部委員質問を続けて下さい。
  39. 阿部竹松

    阿部竹松君 今関連して同僚議員からも議事進行の動議が出ましたが、その動議を取り上げていただく前に、一言私総理に申し上げてお尋ねも合わせてしておきたいのですが、炭労の諸君がことしの四月から池田総理と数回お会いして、総理大臣はみずから、今日の石炭政策のあり方は、私が通産大臣、佐藤君が大蔵大臣、この当時これでよかれと思った石炭政策が失敗して今日になりました。したがって十分責任がありますので、私は石炭政策を大々的に取り上げて、抜本的な政策を取り上げますという約束をされているのです。素朴な炭労の組合員諸君は、池田さんを信用して、今日まで東京で何度も何度も池田さん初めそれぞれ関係閣僚にお願いしたはずです。しかし、衆議院のあの態度を見て、あの自民党のとられた態度、あるいは政府のとられた態度を見て、あきらめてしまって、きのうからきょうどんどんもう筑豊なり、北海道へ帰っている。もう池田さんに話したってだめだ、こういうことで帰っている。あの人たちはやがて筑豊の炭田とか、北海道の空知の炭田からクモの子のようにほうり出されるでしょう。そこで私は池田さんにお伺いしたいことは、きのうからあんたが一切知らぬとおっしゃっている。実際知っておれば党首会談をあなたが引き受けてこの打開策に当たったかどうかということ。ほかの二項目を知っておったらあんたは違った態度をとったかということですね。知らぬから前尾さんなり、あるいは鈴木さんがうそを言ったのかもしれないですから、そういう点も合わせてこれから亀田発言によって休憩をすることになろうと思いますから、そういう点について知らぬからあんたああいう態度をとったのでしょうから、知っておったらどういう態度をとったかということも、再開劈頭の答弁の中にひとつ総理発言としてお聞かせ願いたい、以上です。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭問題は非常に重要でございますので、石炭鉱業調査団を設けて、実際今御審議願っていることは、私がかつて通産大臣時代のときの石炭対策とはまるで変わった画期的のものでございます。これを早く施行したいということが、私の念願であるのでございます。で、折衝中において十七日の昼ごろでございましたか。需要拡大についてはこういう申し合わせで、それはけっこう、自分は賛成だこう言っている。その後いろいろな問題があったが私は知りません。しかし、党の執行部としては話が決裂いたしました、やむを得ません。これではやむを得ん。それなら仕方がないからと、こう言ってやったわけであります。ですからその問題について社会党まで回答したと思います。知っておったか知らなかったか、何の問題でございましょうか。需要拡大の点につきまして、主要な問題を新聞を見ますと、四原則——四原則じゃないです。いろいろな問題が載っております。新聞によって違いますがいろいろな特別融資とか何とかいうこともあったようです。経済的な問題もあったようでございます。しかし、これは需要拡大の具体的な方策なんです。これはもう話の途中でだめになった。こういうことでございますから、これは私は重要な法案でございますから、会期は少ない。早くそれじゃ決裂したならば開会してやはり軌道に乗せて予算委員会審議をしたい、こういうことでございます。
  41. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩    ————・————    午後一時五十五分開会
  42. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 休憩前に引き続き会議を再開いたします。阿部君。
  43. 阿部竹松

    阿部竹松君 休憩前に総理二つ答弁をお願いしておきましたが……。
  44. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 何の質問だったか、いま一度阿部委員、明らかにされたらどうですか、その二点を。
  45. 阿部竹松

    阿部竹松君 さいぜん答弁をお願いしておいた二点は、きのうからいろいろ問題になりました党首会談の点、それから三項目の中の二項目について、総理は全然連絡がございませんと、こうおっしゃっているわけです。ですから私どもはそれをとうてい信用できませんけれども、百歩譲って、それを総理のおっしゃるとおりだとしたならば、こういう重大な段階ですから、総理が、きのうもお話を承ると、好きこのんで単独審議をやったわけではございませんとおっしゃっておるのですから、単独審議をやるような段階において知らなかったから党首会談をやらなかったのかもしれないけれども、もし知っておれば党首会談をやったと思うわけですが、その点はどうだったのですか。  それからもう一つは、三項目のうち二項目を御承知おきないとおっしゃっておるから、もし二項目を御承知であればどういう態度をとられたかという二つの点をゆっくり休憩中に相談して御答弁願いたいと、こういうことです。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は決裂したということを聞きましたので、やはり正規の予算委員会並びに本会議で石炭問題と予算問題を審議すべしと、こういう指令を与えました。そうして党首会談のことについては私は関知しておりません。そういう指令を、予算委員会を開くべしと、成規の手続をとるべしと言ったので、もう執行部はそういう党首会談の必要はないと、こう考えたと思います。  それから第一項と申しますか、私のところへ予算委員会で述べる案を持ってきましたとき、これらは知っておりますが、極力需要を増大するということにつきまして両党間で話をされたということにつきましては、報告を受けておりません。  それからきょう新聞を見ますと、なかなか私にはわからないようなことが書いてある。四項目といっても、新聞にはきょうは載っていないのであります。内容を私は十分承知いたしておりません。   —————————————
  47. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいま委員の変更がありました。河野謙三君が辞任され、その補欠として江藤智君が選任されました。   —————————————
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 まず第一点の党首会談の件ですが、きのうの御答弁から今の答弁関連してお伺いすると、ちょっと奇異にとれるのですが、あれほど重大な問題で総理が単独審議に踏み切るのですから、公約を破って、そういう場合に党首会談もしません、単に前尾さんがあれされてやったか、それとも前尾個人でやったか知りませんが、それが決裂したら単独審議をやる、そういう方針をおとりになる、こういう御答弁ですか。
  49. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 四日間にわたっていろいろ審議し、そうしてあるいは妥結しそうだった、あるいは決裂……。あそこまでやってそうして私は結論を出したのでございますから、もう今になって考えても、党首会談をしてもむだだと私は今考えております。それから党首会談のあれもありますが、あそこまで行った場合におきましては、もうこれは党首会談という形式をとらず、やはり予算委員会で正々堂々と論議すべきだ、こう私は考えたわけでございます。
  50. 阿部竹松

    阿部竹松君 それに関連してお尋ねいたしますが、午前中、官房長官答弁によりますと、知らなかった云々という答弁がありましたが、なお新聞をあらゆる部面にわたって確認すると、あなたは社会党背信行為によって交渉が決裂して単独審議をやったと新聞に発表されておりますが、社会党背信行為ということをあなた知らぬで他党を誹謗することはけしからぬじゃないか。それから福田通産大臣は、きのうはあなたも知らぬとおっしゃっておる。しかし、これまた新聞その他の報道談話によると、社会党の出方によってまた戻ることがあり得ると。全然百歩も二百歩も違う答弁というのはなかろうと思うが、長官大臣の御答弁は……。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) あるいは私の聞き間違いか……。総理が、そういう不信行為をやったという新聞発表をしたというお話。私は新聞発表した覚えはございません。
  52. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 私も、今お話がございましたが、不幸にして両党の意見がまとまらないで決裂しましたので、遺憾だということを申し上げたのであります。
  53. 福田一

    国務大臣(福田一君) お答えをいたします。新聞に何か出ておったというお話でありますが、私は交渉の経緯については少しも存じておりません。ただ本会議が済んだとき、廊下で新聞社の人が来られて、どういうことだったと言ったので、こういうようなことらしいということを聞いた、そうしてこれは一体将来どうなりますかと言いますから、これは両党で話し合いをするか、また、両党で話し合いをすればまたそんなことは起きるかもしらぬと言っただけで、私の意見を申し上げたのではなく、それを新聞がどう書かれたということについて、私は責任をとるわけにいきません。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、背信行為云々内容云々、相当数の新聞に書いてありますが、あれは事実無根であって、あなたの答弁どおりであると。もしあれが信憑性があるということになれば、なあたは責任を負いますか、官房長官
  55. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 先ほど御答弁申し上げたように、両党間の交渉の結果、いろいろあったようでございますが、不幸にして意見が合わなかった、そのためにこういうふうになったということを聞いて、そのように申し上げました。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 ここにある新聞ですね、今御答弁になったあなたの答弁ほんとうか、それともこの朝日以下六社の新聞に、あなたの答弁と表現が若干違っても、本質的に違わない記事が載っておりますが、あなたの今の御答弁、明確に確約できますか。もし新聞のほうがほんとうだったらどうなんですか。テープ・レコーダーにとってありますから。
  57. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) ただいま申し上げたとおりであります。(「聞こえないじゃないか」と呼ぶ者あり)ただいま申し上げたとおりであります。
  58. 阿部竹松

    阿部竹松君 総理は、きのうの答弁によると、相当単独審議をやる場合には慎重に自分が熟慮されて、そしてやったというように承ったが、下の一幹事長の話だけ聞いて、両党の党首会談も何もやらないで、そして単独審議をやるということが、きのうの答弁ときょうのお話とはどうもつじつまが合わぬような気がするのですが、こういう点について総理いかがですか。
  59. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 単独審議をやれと言ったのじゃないのであります。予算委員会、本会議を開いて審議を進めろと言った。したがいまして、社会党方々がおいでになっていないので、予算委員長予算委員会社会党の方、あるいは民社党の方が御出席になるように予算委員長は督促した。これは単独審議ということでない。それを予算委員長に聞きました。速記にもはっきり残っておる。単独審議をやれというのじゃない。正々堂々と予算委員会、本会議へ議論を移すべしと言ったのであります。
  60. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうおっしゃるけれども総理大臣石炭委員会等においては十五分間で打ち切ったじゃないですか。せめて社会党が二日も三日も同じ法案を延ばしているというならいざ知らず、十五分で打ち切ってしまった。何が社会党が放棄したから……。そんなの理由になりませんよ。十五分で審議打ち切りということが横暴か横暴でないかわかりませんか。
  61. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は予算委員会のことを言っておるのであります。石炭委員会におきましては審議が続けられて、そして運営のときにおいて石炭委員長審議打ち切りをやったのじゃ単独審議というあれじゃないと思います。私は石炭委員会のほうに出席しておりません。この点は石炭委員長その他からお聞きになったらいいと思います。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 議事進行について。今、総理は、私は出ておらないからその当人から聞いたらいいでしょうとおっしゃった。そうすると、ここに連れてくる以外にないじゃありませんか。先ほどの関連質問で出ておりました双方の当事者をここへ来てもらう。この二つを直ぐやってもらいたい。
  63. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は石炭委員会に単独審議等指示した覚えはございません。石炭委員会では論議が尽くされたと私は聞いております。速記をごらんになれば単独審議かどうかおわかりと思います。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 今の阿具根委員要望している点をまず解決して下さい。
  65. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 総理大臣から御答弁があります。(「総理大臣答弁を求めたのじゃない」と呼ぶ者あり)いずれ理事会に諮って処理いたします。
  66. 藤田進

    藤田進君 関連。今朝の理事会で、本日の総理ほかの御答弁を聞いた上で、今、阿具根委員から提起した衆議院段階において折衝に当たった責任者を招いて実情を聞いて事態を明らかにしたいということについては、その段階に場内で打ち合わせをした上で、理事会を開いてきめようということが、今朝きまっているわけです。私どもとしては、官房長官も今の御答弁のように、先ほどの答弁のとおりだと、その先ほどがさっぱり、知らぬ存ぜぬというようなことであり、総理自身の御答弁もお聞きのとおりなんで、これでは前に進めるという議事進行のためには、そういった手段をとらなきゃなりません。しかし、与党は与党の御意見もあろうと思うので、理事会を開いて、その席で御相談をしたいと思います。さようにお取り計らいを願います。
  67. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 藤田委員にお答えします。自民党委員諸君はその必要なしと言っておられるし、意見一致しませんので、すぐに理事会を開きましても、まとまらないと思いますから、委員会が済んだあとにまた御協議いたしたいと思います。
  68. 藤田進

    藤田進君 理事会はこういうときに開くのが価値のあるもので、ここで反対だ、賛成だとやっていましても、そのほうが時間をとると思うので、必要があるかないかを理事会相談するということですから、きわめて穏当な提案をしておるわけであります。さようにぜひともお取り計らいをいただきたい。
  69. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 阿部委員質問を続行して下さい。——阿部委員質問を続行して下さい。その間に各会派の理事が懇談をします。質問を続行して下さい。
  70. 阿部竹松

    阿部竹松君 どういうことになったのですか。
  71. 木内四郎

    委員長木内四郎君) そういうことになったのです。続行して下さい。——阿部委員続行して下さい。
  72. 阿部竹松

    阿部竹松君 はっきり自民党さん、わが党の理事と、理事同士で明確にきめて、阿部委員質問しなさいとか休憩と、こう言うて下さい。私単独であなたと二人でやっているんじゃないから、明確にならないと質問できない。そこを明確に……。委員長理事全部集めて、あなた向こうへ行って、そうして明確にきめてきて下さい。
  73. 木内四郎

    委員長木内四郎君) こちらは質問を続行しながら各会派の理事が集まって懇談することになっております。  それでは十分間休憩いたします。    午後二時五十二分休憩    ————・————    午後四時二十七分開会
  74. 木内四郎

    委員長木内四郎君) これより委員会を再開いたします。  休憩中における理事会経過について御報告申し上げます。  休憩前の委員会において問題となりました石炭問題に関する両党交渉経過につきましては、関係資料の提出につき極力努力するということに意見一致を見ました。以上御報告申し上げます。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。阿部委員
  75. 阿部竹松

    阿部竹松君 総理大臣は、調査団の答申を大幅に取り上げて政策に盛り込んだ、このように答弁なさっておるわけですが、どの程度取り入れられておるかということをお尋ねすると同時に、あの答申案には、通産省関係とか労働省関係、科学技術庁の関係もあるようですから、総理初め三大臣に、答申案の中身をどれだけ盛り込んであるかという点についてお尋ねをいたします。
  76. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭問題は非常に重要な問題で、しかも、関係するところが多いのでございます。したがいまして、財界の有力な方々や経験のある方々に実地調査をしていただきまして、そうして、数カ月にわたっての研究の結果でございます。私は、この調査団の答申に基づきまして、大体、あの線に沿っていくことを方針といたしております。したがいまして、需要の確保、そうして合理化、そうして雇用問題についてのいろんな措置、また私は他のエネルギー関係との問題、また、最近になって非常に重要度を加えました産炭地域の振興、これは答申よりも少し色をつけようと思います。また、金融措置につきましても、もうすでに相当手を打っておるのであります。大体あの御報告に基づきまして、予算並びに法律案を作成したわけでございます。こまかい点は所管の大臣よりお答えをいたすことにいたします。
  77. 福田一

    国務大臣(福田一君) ただいま総理からもお答えがございましたが、答申案の趣旨を尊重いたしまして、まず需要の確保ということにつきまして、ただいま電力関係その他に対しまして極力確保するように努力をいたしておるわけであります。  まずその前に、御承知のように今度の臨時国会におきましては、さしあたりこの答申案並び政府の閣議の決定の線に沿いまして、どうしてもこの際やらなければならない関係につきまして、政府といたしましては四法案を提出いたしておるのでありまして、それと同時に、通常国会におきましても、五つ六つの法案を提出いたしまして、あわせて石炭対策を推進して参りたい、こういう方針で処理をいたしておるのでありますが、ただいま申し上げましたとおり、需要の確保につきましては、なかなか鉄鋼関係等におきまして御承知のような事情もございまして、三十八年度において、はたして所要の一応予定いたしております八百十万トンを確保できるかどうかという問題もございますが、極力これを何とか確保していきたいというので話を進めております。あなた御承知のように、セメント業界等もだんだんと重油を使うような事情に相なっておりますが、これらもひとつ何とかして重油を使わないで石炭でやっていけるように、やるようにしてもらいたいというような意見も出ておるわけでございます。こういうように需要の確保について努力をいたしますと同時に、一面におきましては、またこの経営の合理化をやる、合理化をやりまして、そうして今度は閉山あるいはまた閉山に伴う離職者等が出ました場合の処置といたしましては、合理化の計画を審議会にかけて、かけるためにはそれに見合うところの雇用を考える、そうしてその対策をあわせて審議会にかけるというようなやり方で処理をいたして参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。一方これと同時に、山がそういうふうに閉山するような場合になりますというと、産炭地におきましては、いろいろと困難な事情等も出て参りますので、そこで産炭地につきましては振興事業団等を督励いたしまして、それぞれひとつ十分企業を、何といいますか、誘導しますというか、政府としては政府所管の工場等で何か取り入れるものはないか、たとえばタバコ等の問題につきましては、何とかして筑豊地区に入れたい、こういうふうな考えでございます。その他の事業につきましても、今のところ、さしあたり四つ五つ実は計画もいたして研究させております。ただ御承知のように、これは私企業でございまして、政府がやるのじゃございませんから、だれが、だれにどうしてやってもらうか、やはり合理性がございませんというとなかなかやらせられないのでございますから、できるだけひとつこれはやらせるようにしたい、それからそのほかにも各会社等におきまして子会社のようなもので、何かいい仕事がございました場合には、これをできるだけやらせて、そっちに人を吸収するような方法も講じなければいけないというので、その面についてもいろいろ対策を練っており、今そういうことについても申し入れてもだいぶ来ておるような状況でございます。  こういうようにいたしまして、産炭地におきます地区において、できるだけ仕事がふえるような方途を講じますと同時に、今度は一方産炭地におきましては、これは閉山あるいはその他の縮小等に伴いまして、中小商工業者の売掛金の問題等がございます。それから雇用に関係の農村等においても困っておるという事情もありますが、中小企業の売掛金の問題につきましては、衆議院におきましても、しばしば言明いたしておるのでありますが、損金として見合うような税制措置によって、できるだけ負担を軽くする。それから、そういたしましても、なかなか実際問題としてやっていけない、よそへ移らなければいけないという人もあるだろうし、事実また損金、売掛金があるのに、閉山してしまうという場合等を考えまして、先般大蔵大臣ともいろいろ相談をいたしまして、こういうような場合に、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等を通じまして、一定限度の金を、資金を出す、国民金融公庫等を通じて出す。こういうことにいたしました。その分につきましては、金利をうんと下げて、六分五厘くらいにして、そうして据置期間を五年くらい、あるいは七年くらいというようなことで処理をするよう、ただし、これは無制限に出すというわけにいきませんから、当該市町村長の証明があった場合出す、こういうような手続をしようということで話をつけまして、実はすでに、大蔵、通産両省から関係地に連絡をいたしておるような事情もございます。このようにいたしまして、産炭地域におきまするところのそういうところに対して、実際に商工業者等が困っておる場合については、いろいろの措置をとっておりますが、その他農村の場合、その他につきましても、いろいろ政府としては施策をしていかなければならぬという考えで措置をいたしておるわけであります。こういうふうな措置をいたしますと同時に、このわれわれのほう、これは労働大臣からそのあとのことはお答えがあると思うのでございますが、就職その他の面につきましては、いろいろ手を打って考えておるわけでございまして、もし私が申し上げたところで足りない面がございますれば、またあとでお答えを申し上げます。
  78. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 石炭鉱業調査団の答申にありまする雇用の安定に関する決定は、このたびの対策におきましては、全面的に実施することにいたした次第でございます。  すなわち第一には、雇用計画の策定並びにこれが実施体制について勧告されておりますが、雇用計画は、合理化整備計画と表裏してこれを作成し、今後審議会に諮問してこれを実施する、実施するにあたりましては、地方行政体制を整備することにいたしておるのでございます。  第二に、離職者の就職確保措置でございますが、政府及び企業が造出する職場のほかに、職業紹介によって実現可能と見られる雇用量を雇用計画には計上いたすのでございますが、まず経営者は、過剰人員につきまして企業内配置転換、関連産業にも就職あっせんに努めますが、同時に国及び民間金融機関の積極的協力を得まして、産炭地域での事業とか、新規事業等によりまして、転換職場の造成をはかることにいたしております。また政府は、関係機関において安定した炭鉱離職者の転換職場を確保することとし、また産炭地域における雇用の拡大にできるだけその際は努めるようにいたしております。  それから日本開発銀行、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫等、融資の際には離職者を優先的に雇用させるように措置いたす方針に相なっておるのであります。  第三に、職業紹介体制の強化でございますが、離職者に対しましては求職手帳を交付し、安定職場を確保するまでの職業訓練、広域職業紹介等を集中的に実施いたします。さらに産業別求人開拓計画の策定、職業紹介機能の強化等、特に離職者に対する職業相談、再就職後のアフター・ケアと個人的指導のための特別の担当者を設置することにいたしたのであります。  第四には、住宅の確保でございますが、本年度に雇用促進事業団による移転就職者用の住宅が一千百戸でありましたが、三十七年度の追加を含め、三十八年度末までに新たに八千戸を大量建設することにいたしております。  次に、転職訓練の拡充でございます。早期転職訓練のための指導、既設施設の積極的活用、訓練施設の増強拡充、離職前訓練、移動式訓練等を実施することにいたしております。  また、求職期間中の生活安定につきましては、離職者手帳の所持者に対しまして、失業保険の受給期間を含めて三年間離職者の生活を擁護し、そして就職活動を促進することにいたしております。  なお、離職金の増額につきましても、このたび最高十万円まで考慮することにいたしております。  最後に、最低賃金制度のことでございますが、これにつきましては、先般労働省告示をもちまして、石炭鉱業坑内夫の最低賃金の規定をいたしました次第であります。
  79. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) けさは私は小笠原流で参っておりまして、あまつさえ自動車の流れの中にはまり込みまして、おくれましたので、たいへん御迷惑をおかけいたしましたことをおわびいたしておきます。  ただいま阿部委員のお尋ねになりました原子力の問題は、御承知のように、日本の原子力発電の問題は、昭和四十五年に百万キロワット、昭和五十五年に七百万キロワットということを目標といたしたまして、目下のところは研究の段階でございます。したがいまして、当面の石炭問題と一緒になって出てくる性質の段階に参っておりませんので、たしか調査団の御報告の中にもこの問題は取り上げられてなかったと思います。早くそういう時代が参りまして通産省と御一緒に研究をして参りたいと思っている次第でございます。
  80. 阿部竹松

    阿部竹松君 近藤長官、私は原子力のことについてお尋ねはしておりませんよ。親切丁寧なのはありがたいわけですが石炭を化学のほうにお使いになったらどうですかというふうに有沢さんがおっしゃっているから、あなたのほうはどうですか、というふうにお尋ねしたのです。原子力のことはお尋ねしていない。聞かない質問たは答弁せぬでもよろしい。  その次に、今総理大臣初め各閣僚から調査団の答申をどうおとりになったかということでお尋ねいたしましたが、よくわかりましたので、きのうから問題になっております点は省きますが、総理大臣が知らないとおっしゃっている自民党社会党了解事項の第二項——第二の項はこういう条文になっているわけです。「増強維持ならびにボーダー・ラインにある炭鉱を強化、育成するため特別融資制度を設ける。」、ボーダー・ラインにある炭鉱を強化育成するため特別の融資制度を設ける、これが自民党社会党了解事項となった第二項です。総理大臣の今の御答弁を承ると、特別に金融措置を講ずるとおっしゃっているのですから、そうすると、こういう自民党社会党了解事項、第二項は了解しなければならぬ、このように私は判断するわけです。この点は、なぜ反対されたかということについては、総理大臣が御承知ないとおっしゃるわけですから、新しい観点に立って、こういう第二項に、朗読いたしました特別融資制度を設けるという点について、総理大臣は賛成なのか、反対の立場をとられるか、お尋ねいたします。
  81. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど私は金融措置ということを申し上げたのは、もうすでに中小企業のために、中小炭鉱等々に出しておるはずです。そういう点を言ったのでございまして、今の、また有沢調査団におきましてもスクラップ・アンド・ビルドの関係上相当の民間資金、政府資金が出ることに相なっております。そういうことを私は言っておるのでございまして、特定のことについて、すなわちどこの山をどうしようということは私は考えておりませんが、とにかく需要拡大し、そうして生産体制を近代化、合理化するためのお金は出すつもりでおるのであります。ボーダー・ラインとかどうとかいう問題は私は関知しておりません。
  82. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、総理の御答弁は、答申案を大幅に取り上げた、こうおっしゃいますから、この答申案には、今朗読いたしました第二項のような中身が十分入っているのです。総理承知のとおりですね。スクラップ炭鉱に金を出せとは書いてありませんけれども、やはりスクラップする反面に、育成強化して将来見込みのある炭鉱は政府が融資するなり、市中銀行から政府がてこ入れして融資をするか、措置を講じてやはり育成強化しなさいと答申に明確に書いてあるわけです。したがいまして、総理大臣が大綱を取り上げたとおっしゃるから、しからばそういうことになるのではございませんかという質問なんですが、それがいかぬとすれば、取り上げましたと言っても取り上げたことにはならぬ。いかがでしょうか。
  83. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 有沢調査団におきましては、スクラップ・アンド・ビルドの関係あるいは事業団等に相当な金が出ることになっております。そういうことを、私は金融上の措置をとる。そして調査団の答申を取り上げた。今個々の炭鉱とかボーダー・ラインがどうとかこうとかいう問題は私はないと思います。将来これは経済性があって、そして日本の産業からいって開発すべきもの、それには積極的に出すようになる。それから何がなくて、もう可採炭量その他経済的によくないというふうなものにつきましてはスクラップにする。それについての資金的のあれもいたすようにする。
  84. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、この増強維持と、こういうボーダー・ラインにある炭鉱に特別融資なり金融措置を講ずるということについて、今の御答弁からいくと御賛成というふうに理解してもよろしゅうございますね。
  85. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 個々の問題につきましては、私は答弁できません。大体の方針は、これを今後経営していって、経済性があり、雇用関係その他からいっていいという場合には金を出してやります。これはだめだという場合には雇用と見合いながらこれをスクラップ化していく、こういうことと心得てそれを出しているわけでございます。
  86. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、総理大臣の今の御答弁の中に、個々の山というものを対象にしておりません、一般ですという御答弁ですが、福田さん、こういう点について具体的にあなた、当該担当大臣ですから、その点について御説明願いたいと思うわけです。
  87. 福田一

    国務大臣(福田一君) 御承知のように、答申案によりましてもそうでありますが、スクラップ・アンド・ビルドする山につきましては、山自体をあれしないでどれくらいのものをスクラップし、そうしてどれくらいビルドしていくかという計画を鉱業審議会にかけまして、その審議会で大体これくらいにきめたらよかろう、こういうふうにして、そうして今後具体的な問題につきましては、それぞれの山々において組合等との関係もございまして、そういうことをして具体的に山々で問題がきまっていくわけでありまして、さしあたりわれわれのほうとしてというか、通産省が考えておりますことは、その計画を審議会にかけてそうしてきめるということでありますが、その計画の内容は、個々の山々が積み重ならなければいかぬじゃないかという御質問もあるかと思いますけれども、それは計画としてこれくらいは、やはり五千五百万にするというような数字を目途とする場合に、このくらいはビルドして維持していかなければならぬ。しかし、この場合はこのくらいはやはりスクラップしなければいかぬ、こういう計画を作るわけであります。そこで、あなたが御心配になっておられる問題は、私は今きょう初めてここでお伺いするのでありますけれども、ボーダー・ラインというものは、もちろんボーダー・ラインというのは、五千五百万トンを一応生産するという場合における上の分、下の分じゃもちろんない、下の分じゃなくて、ちょうどその線に来ていて、しかも、経営はあまり困難じゃないというような山について、そうしてそれがもし万一つぶれたりするならば、五千五百万トンの数字を維持できないじゃないかということがあり得る、ということをお考えになっておられるんじゃないかと私は思うのであります。そういうことになりますというと、これはそういう個々の山の問題を私たちが今ここでどうするこうするということは、われわれは言うべきではないのでございまして、一応審議会にかけて、そうしてその計画を立てて審議会に、そういうものがどうしたらいいかということを、よく十分審議会の意見も聞かしていただいて、そうして措置をしていく、こういうふうに私たちは考えておるわけでございます。
  88. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣に重ねてお尋ねいたしますが、その審議会はどの審議会ですか。この有沢さんのいう審議会であって、その審議会にかかるということであれば、いつごろ有沢さんのおっしゃる審議会ができるか、その点をお尋ねいたします。
  89. 福田一

    国務大臣(福田一君) 石炭の合理化法に基づきますところの石炭鉱業審議会にかけるわけでございます。現在法律がございまして、できて、そうして審議会は現在もあるわけでありますが、これは答申案にもございますし、われわれといたしましても強化していかなければならぬと思いますが、今の法律でこれはやれると思いますので、その法律に基づきまして、そうして審議会を開く、そうしてその審議会にかけて処理をしていく、かように考えておるわけでございます。
  90. 阿部竹松

    阿部竹松君 確かに今臨時措置法の中に審議会があることは承知しております。しかし、その審議会は通産大臣から御答弁いただいたような中身を審議する審議会ではないはずのものであります。そうすると、今通産大臣がおっしゃったような中身を審議する審議会がいつできるのですかと尋ねておるわけです。
  91. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私たちは、この臨時措置法に基づきまして今申し上げたような審議会を開き得るというような解釈をとっておるのでありまして、これはなるべくすみやかに開きたいと、かように考えておるわけでございます。
  92. 阿部竹松

    阿部竹松君 なるべくすみやかということは、今ある審議会を開くということですか。
  93. 福田一

    国務大臣(福田一君) 今ある審議会を開くという意味ではございません。一部強化をする必要があるかと思いますが、そのわれわれがとろうとしておりまする措置は、今の法律でもって十分できると思っておりますので、その措置をいたしまして直ちに開きたいと、かように考えております。
  94. 阿部竹松

    阿部竹松君 法律のことは聞いておりません。今ある審議会を改組するとおっしゃるのですから、そうすると、その審議会が動き出すまで合理化はないと、こういうことになりますね。
  95. 福田一

    国務大臣(福田一君) すでにきまっておるものは別でございますけれども、今後の問題につきましては、それにかけてやる、こういうことになっておるわけであります。
  96. 阿部竹松

    阿部竹松君 ということは、今日から審議会ができるまで、その問題については一切これからでき上がる審議会にかけてやる、こういうふうに理解してもよろしいわけでありますね。
  97. 福田一

    国務大臣(福田一君) 先ほども申し上げましたが、強化をする面があり、必要があればこれは強化できるのでございますから、もちろんわれわれといたしましては、現在の委員会でも十分審議ができるという立場をとっておるわけでございます。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの通産大臣の発言は、今より三分前に答弁なさったのと全然違うじゃないですか。
  99. 福田一

    国務大臣(福田一君) 先ほども申し上げましたが、われわれは、現在ある法律に基づく審議会におきまして、もし必要があれば強化をしてやる場合もありますけれども、現在の審議会でやれると、こういうことでございまして、必要があれば強化をするということを申し上げたのであります。
  100. 大矢正

    ○大矢正君 関連。今通産大臣から御答弁がありました石炭鉱業審議会の問題について、私もじっとあなたの答弁を先ほどから聞いていたところが、今度政府で、池田さんの言葉を借りると、画期的な石炭対策を樹立するとおっしゃっておられる。当然それに伴ってこれからの石炭産業に対する合理化というものを進めていくからには、従来の審議会では性格が法律的にも異なってくるということは明瞭ですよ。ですから、その点は調査団の答申でも明かになっているじゃありませんか。ですから、あなたは必要性を感じて強化をしなければならないとさっき答えたのでしょう。ところが、今の段階で改ためて、「必要があれば」という言葉に変ってきているのですよ。それじゃ、従来のままの石炭鉱業審議会であなた方が考えておられるような一切の計画を樹立していくことができるのですか。私はできないと思う、法律的にも。そこですよ。
  101. 福田一

    国務大臣(福田一君) 先ほどもお答えをしたのでありますが、現在の法律でありまする石炭鉱業合理化臨時措置法に基づく審議会というもので処置ができると考えております。私がなぜ先ほど強化というようなことを申し上げたかといいますと、現在ある部会に加えて、やはり二つくらいの部会を加えなければいけないのじゃないかという今考え方を持っておるのであります。そこで、そういう二つ部会を加えるということを、強化という意味で申し上げたのでございますが、大体六つくらいの部会にいたしまして、そうして万遺漏なきを期していきたい、かように考えて答弁をいたしたわけでございます。
  102. 阿部竹松

    阿部竹松君 審議会の改組は、第六章だと記憶しておるのですが、六章に、臨時措置法の中にある。ですから、その臨時措置法の全面的改正をやらなくてもこれはできるわけです。しかし、あなたのさいぜんの答弁は、一問一答の形式でやってきて、そうして審議会の問題に触れたときは、これを改組しなければなりませんというふうにおっしゃっている。しからばそれを改組せぬうちに合理化の問題をどうしますかというときに、あなたがあわてて、そこにおる農林大臣の食言ほど違うかどうかわからぬけれども、「必要があれば」と言い直されておる。もう一ぺん明確に言うて下さい。あなたの言うのが正しければ、私は、これは通産大臣失礼しましたと、こう言います。しかし、速記録を見て、あなたの答弁が違っておれば、そのときはあなたどうなさいますか。
  103. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私が申し上げておることが違っておれば、それはまことに、取り消しをせざるを得ない。しかし、私の申し上げておることは、先ほども申し上げましたように、この合理化臨時措置法で、あなたのおっしゃるように、実は審議会を改組することができるということはあなたもよく御承知のとおりでありまして、それで私は今、私自身はそういう案を持っております。しかし、これを実施する場合においては、内閣の、まあ少くとも閣議に大体こういう方針でやりたいというようなことを申し上げて、そうして内閣のいわゆる承認を得てやらなければならないと考えておる。そこで私は、今きまっておらないのに——必要があればという意味を言いましたのは、私としては、個人としてはそれはまあそういうふうにしたいとは思っております、通産大臣としては。しかし、大きな問題を処理するという意味でございますから、やはりこれは閣議に報告してからやるべきじゃないか、こう考えておりましたから、そこで私は、必要があればそういうことをするようにしたい、こういうふうに言ったわけであります。
  104. 阿部竹松

    阿部竹松君 総理大臣を初め、通産大臣労働大臣お話を承ってみますと、有沢団長を中心とする調査団の答申案の中身を大幅に取り入れましたと、こうおっしゃっておる。そうすると、有沢調査団の方針に基づいて政策を行なわんとするならば、この審議会の改組をやらなければ絶対できない。そうでしょう。審議会に手をつけなければ有沢さんの言い分を取り上げたということにはならないわけです、御承知のとおり。ですから、審議会を改組するのですか、どうですかと尋ねましたところが、あなたは改組します——部分の六つや七つにふえるふえないの問題じゃない。私の聞かんとするところは、審議会を改組するとおっしゃるのですから、そうすると、改組して審議会ができ上がるまで合理化によって問題が起きませんか。起きないのが当然でしょうとお尋ねしておるわけです。
  105. 福田一

    国務大臣(福田一君) 先ほども申し上げたとおりでございますので、審議会にかけてから処置をする、こういうことに相なっておるのでございます。
  106. 阿部竹松

    阿部竹松君 先ほどの御答弁のとおりというのは、どちらのほうですか、あなた二つおっしゃっておるのですが。
  107. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私が申し上げておりますのは、ただいままだ法案が通っておりません。この措置が、一応法案がかかっておるわけでありますが、とにかくこういうような重要な問題につきましては、やはり一応関係省、特に石炭関係閣僚会議等にも諮りまして、そうしてやっていかなければならないと思うのであります。そこで、合理化臨時措置法においてこの審議会の強化はできると私自身は考えておりますが、しからばそのうちで幾つを作ったらいいか、あるいはこのほかにもっと作ったらいいという御意見が出るかもしません。そういうこともございますから、私としては強化はしたいと思っておるが、しかし、まだきまっておらないことを申し上げてはいかがかと思いましたので、そこで「必要があれば」という言葉を使ったわけでありますから、御了承願いたいと思うのであります。
  108. 阿部竹松

    阿部竹松君 福田さん、きのういただいた資料の中に、「石炭対策大綱」三十七年十一月二十九日閣議決定、最後の項に——閣議決定ですよ、最後の項にこう書いてある。「3 石炭鉱業審議会 石炭鉱業審議会を改組、強化し、石炭政策の重要事項に関する調査、審議の体制を整備し、各部会による審議体制を強化するとともに、中立委員のみをもって構成する審議会を設ける。」これはだれに相談するのですか。閣議決定してあるのですから。
  109. 福田一

    国務大臣(福田一君) そのとおり書いてございますが、その内容を何と何をするかという——強化するということはそのとおり書いてあります。何と何を、どういう部会を作っていくかということについては、今後やはりきめていくべきであると考えておるのであります。(「改組するとちゃんと書いてある」「必要があれば、なんて書いてない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私が申し上げておるのは、必要がある項目は幾つあるかということが出てくると思うのです。それは、二つの場合も、三つの場合も、四つの場合もございましょう。それでありますから、その強化することには間違いないのでありますけれども、今申し上げたように、それは一応閣議においてきめて、そうして処置をする、特に石炭関係会議に諮った上で、少なくとも石炭関係閣僚会議に諮った上で決定して処置をしていく、こう申し上げたのであります。(「関連関連」と呼ぶ者あり)
  110. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 阿部委員続けて下さい。(「関連だ」「関連させろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)阿部委員、質疑中ですから、阿部委員続けて下さい。
  111. 阿部竹松

    阿部竹松君 総理大臣にお尋ねいたしますが、閣議決定ということは、中身が全然なくて閣議決定するものでは私はないと思うのですが、一つの大綱なり要綱ができ上がったところで閣議決定する、このように考えるのですが、閣議決定というものはどういうものかお尋ねすると同時に、ただいままで通産大臣から御答弁がありました石炭関係閣僚会議にかけると、こういうお話でしたが、全体の、総理大臣が主宰してやる閣僚会議の決定を、あなたの御答弁になった石炭関係の閣僚会議で消化するというなら話がわかるけれども、一番最高の閣僚会議の中で、一番最高の閣僚会議できまった十一月二十九日の問題が、必要あればやりますとか、あるいは関係閣僚会議にかけないとできないとかというようなあいまいなものなんですか。
  112. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 閣議は一応の方針を決定しております。方針でございます。しこうして、その方針に基きまして、行政官庁あるいは石炭問題なら石炭問題閣僚会議で具体的に問題をきめるのでございます。(「関連々々」と呼ぶ者あり)
  113. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 阿部委員質疑を続けて下さい。阿部委員質疑を継続して下さい。(「議事進行」と呼ぶ者あり)阿部委員質疑を継続して下さい。
  114. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣答弁が明確でないから関連質問が出るのですから、静かに聞いている同僚議員の関連質問を認めていただきたいということをお願いしておきます。  そこで、今総理大臣から御答弁がございましたが、そうしますと、この十一月二十九日に決定された「石炭鉱業審議会」というこの決定は動くのですか。主宰されたのが黒金さんですから黒金さんの答弁でもけっこうですが、今の通産大臣お話だと、これは動くような印象を与える答弁ですよ。それも、一回、二回と変わってきている。どちらがほんとうでしょうか。それともこれは、閣議決定というものが信用ならなければならないと、動くのですよということになると、私どもこれは論議してもつまりませんから、論議はやめます。
  115. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 今お尋ねの石炭対策大綱が十一月二十九日に閣議決定をいたしております。関連のあるところは、(「ちょっと読んでみて下さい。」と呼ぶ者あり)読みますか。「石炭鉱業審議会 石炭鉱業審議会を改組、強化し、石炭政策の重要事項に関する調査、審議の体制を整備し、各部会による審議体制を強化するとともに、中立委員のみをもって構成する審議会を設ける。」ただし、今お話し申し上げたとおりに閣議決定になっておりますが、表題をお読みになっておわかりのとおりに、石炭対策の大綱でございまして、この具体的な内容につきましては、今後いろいろと決定をしていきたいと思っております。
  116. 福田一

    国務大臣(福田一君) この閣議決定の内容にもございますとおり、これを強化していくということはありますが、その内容をどういうふうにきめるかということは、今後具体的にきめなければならない。そこで、その具体的な内容については、私が考えておる以外の問題もある、私は、今のところ大体六つぐらい——少なくとも二つぐらいは部会をふやさなきゃいかぬと考えておりますが、それだけではあるいはいけないかもしれない。そういうことも考えまして、それで私は申したわけでありまして、「もし必要があれば」という言葉が誤解を招くようならば取り消させていただきます。
  117. 阿部竹松

    阿部竹松君 閣議決定の大綱ですからね。私は中身のことを聞いておるのではありません。しかしその大綱が、必要あれば云々とか、必要があれば強化云々、こういうことであっては、これは大臣答弁ですからね、大臣も将来責任を持ってもらわなければなりませんし、私ども責任あるわけだ。ですから、その点については私も明確にわかりませんが、大臣の御答弁は違っておるように、こう記憶しておるのですが、これは速記録を見て明確にしていただきたいと思うわけです。  それから、この点について速記録を、委員長、明日確かめて、さいぜん保留になった案件と、それを委員長の手元において私どもに示していただいて、それから論議を始める、そういうことで、本日はこれで打ち切りにしていただきたいという動議を提出いたします。(「進行々々」「反対々々」と呼ぶ者あり)
  118. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 動議ならばお諮りいたします。  ただいま打ち切りの動議が出ましたが、(「議事進行」と呼ぶ者あり)賛成の諸君の起立を願います。(「そんな議事の進め方があるか」と呼ぶ者あり)動議撤回だそうです。動議を……。
  119. 藤田進

    藤田進君 議事進行。先ほどの理事会におきまして、再々従来の理事会で確認しているように、割当時間は五時までを目標にいたしまして、大体先ほども五時ごろに——汽車の時間のようには参りません。もっとも汽車もおくれたり早かったりしますけれども、しかし、いずれにしても本日は五時過ぎていることですし、不幸にして通産大臣答弁が、同じ場において前後しているように私ども理解します。しかし、これはなおあらためて速記を早急に反訳をして、残されている、保留された問題と、これは引き続いて阿部委員から明日やるようにいたしたいと思います。(「反対、々々と」呼ぶ者あり)それで、反対と言われても、理事会でそうきまっているのだから、理事会のきまったことが反対ならば、それはどうにもならないのだ。五時前後にもうなっている。それからほかにも差しつかえがあるのだ。それで、それしかないのだ。理事会できめおいて、それが守れないというのじゃ困るので、委員長も参加された理事会のことですから、理事会の決定は決定、実際やることは別だというなら、われわれもあらためて今後そのようにしなきゃなりません。しかし、理事会の決定はやはりお互いがこれを守っていくという立場をとっていきませんと、円満な委員会の運営はできないのです。そういう意味において、五時前後ということできょうは別れているわけだから、理事会はその点はやはり明確にしてもらわなきゃ困る。たまたま通産大臣の問題もあるわけで、この通産大臣答弁に対する速記録も取り寄せなきゃならぬし、時間もかかるから、そのように運営したほうがよろしい。たまたま質問者のそういう強い要望、注文もあることだから、ぜひそのようにしていただきたい。だから、理事会の決定どおりやったらどうですか。
  120. 米田正文

    ○米田正文君 議事進行。ただいま藤田委員から、この質問の打ち切りをして、あしたに保留して、後日に回す提案がありましたが、私理事として——お話が出ましたから、理事として申し上げますが、五時前後までになるべく毎日の審議を終わらしたいという意見は出ました。それで、皆さんは大体は了承しましたけれども、これは正常にこの委員会が運営されての場合のことであって、本日のようにおもに時間の空費の多い運営をいたした場合は、これは時間が相当長引いて審議をしていかなければ、会期の短いことでもあるし、審議は十分尽くせないと思いますので、この質問は続行をしていただきたいと思います。
  121. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 阿部委員、質疑を続行して下さい。
  122. 阿部竹松

    阿部竹松君 さいぜんの審議会の問題については、理事会で保留ということになったそうでございまするから、次に進行してお尋ねいたしますが、さいぜんの総理にお尋ねした問題は、自民党社会党了解事項の二番目にあった項目ですが、今度三番目には、スクラップする場合に炭鉱の経済性と地域の影響を考慮して十分検討して行なえと、こういう意味の中身なんです。そうしますと、調査団の答申にも、スクラップする場合のその当該炭鉱あるいは産炭地域の振興等を十分考慮しなければならぬというふうに答申がなされておるわけです。ですから、調査団の答申を御採用になるということになりますると、当然自民党社会党了解事項がまとまるのがあたりまえだというように理解するわけですが、残念ながら最終的にはまとまらなかったわけですが、総理は御承知おきないということですから、こういう問題については総理いかに御判断なさいますか。
  123. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 申し合わせ事項等を存じませんので、あなたが調査団の方針と似ていると御解釈になれば、けっこうでございましょう。私は申し合わせを存じませんので、有沢調査団のどこにそれがどういうふうにはまるか、文句を十分知っておりませんので、お答えできません。
  124. 阿部竹松

    阿部竹松君 昨日以来、総理大臣は、申し合わせ事項を御承知ないと、こういうことですから、私どもはそれを信用するわけにいきませんけれども、それを押しておったのではなかなか議事進行しませんので、明日その問題を再度論議するということになっておりまするから、きょうは、新しく私が総理大臣に、三の項はスクラップする場合の山の問題とその地域の影響ということが盛られておるので、新たに総理にその問題を提示して、総理はどうお考えになりますかとお尋ねしているわけです。
  125. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは、廃山、閉山等はなかなか重要な問題でございますから、石炭鉱業審議会にかけまして、今のその炭鉱が経済的とか地域的という問題も考えなければなりませんが、雇用の問題等々万般のことを考慮しながらおやりになることだと思います。
  126. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、審議会がまだ論議の途中でストップになりましたので、再びお尋ねするわけにいきませんので、次に、二十九日の閣議決定事項の中に盛られておるのですが、総理並びに大橋労働大臣にお尋ねしたいわけですが、就職促進手当、つまり雇用促進手当という名目で閣議決定がなされ、四百五十円であるとか、いろいろ、五百円とか、七百円だとかいうように、それぞれ話を承っているわけですが、この内容について明確にお示しを願いたい。
  127. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 雇用促進手当は、離職後三年間に限り、かつ失業保険の受給期間が切れた後に支給することにいたしてあります。この趣旨は、政府といたしましては、各般の雇用安定対策を講ずるのでございまするが、しかし、これらの措置を講じましてもなお再就職のできなかった場合に、再就職させるために就職活動を促進し、かつその間生活を安定させるという趣旨でこの手当を設けたものなのでございます。で、これにつきましては、元来計算方法といたしましては、日額を失業保険の給付金に準じてきめることにいたします。しかしながら、失業保険の給付金の最高額は日額にして七百円と相なっておるのでございますが、この就職促進手当は、第一に財源が異なっておるのでございまして、これは失業保険の会計から出るものではなく、全額国費でまかなうことにいたしております。それからもう一つは、一般の失業者に対する失業対策事業の賃金日額等とのつり合いもございまするので、四百五十円を最高額とすることが適当である、こういうことで法律案を提出いたした次第でございます。
  128. 阿部竹松

    阿部竹松君 失業保険の給付額の七百円をものさしにお使いになったというお話ですが、この失業保険の給付額が上昇することによってこれも上昇する、こういうふうに理解してよろしいですね。
  129. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 御承知のとおり、失業保険の給付金は失業前の賃金日額の六割ということに相なっておるのでございます。したがって、原則として賃金日額の六割の範囲にとどめる、六割をもって促進手当の日額とする、ただし最高額は、失業保険の給付金は七百円でございますが、この就職促進手当は、失業対策の賃金その他との均衡もございまするので、四百五十円を最高額にするということにいたした次第でございます。(「委員長関連」と呼ぶ者あり)
  130. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 時間がありませんから、関連質問はなるべく御遠慮願います。阿部委員、質疑を続行して下さい。(「委員長関連関連だ」と呼ぶ者あり)関連質問は御遠慮願います。阿部委員、質疑を続行して下さい。(「関連質問委員長」と呼ぶ者あり)、関連質問は御遠慮願います。(「関連質問だ」と呼ぶ者あり。)大矢君。
  131. 大矢正

    ○大矢正君 今、阿部委員から就職促進手当についての質問が行なわれて、労働大臣から答弁があったのですが、私は今政府が考えておられる就職手当の四百五十円というものが絶対に動かないものなのかどうかということが問題なんです。そこで、こういう話をすると、また池田さん怒るかもしれませんがね、十七日までの段階の中で私の耳に入ってきた話によりますと、自民党と民社党との間に話し合いが進められて、私のところにきている内容では、就職促進手当の頭打ちを廃止し、同手当については失業保険の給付額に見合う金額を支給することと、こういうように両党の間においては話し合いがまとまっていたと、こう聞いているわけです。そこで、これを裏打ちするための内容が今度は新聞に載ってきているのです。その新聞を今読み上げると、こういうことです。ちょうどあの混乱で与党が単独審議をやられたあと新聞記事ですよ。いいですか。「政府は十八日午前二時五十分から定例閣議の繰り上げ閣議を開いた。この席上、池田首相は特に発言し次のように述べた。」と、こうなっているのです。「衆院で補正予算案はじめ関係法案を自民党だけで強行採決したが、今後参院では各閣僚とも低姿勢で臨んでもらいたい。」と、こう言っているのです。まことにけっこうなことです。「衆院の事態は不本意ではあったが社会党との折衝をダラダラと続けることはできなかったので、こうした措置をとったのである。こうなったうえはどこまでも原案を通す必要がある。」、そのあとが問題なのだ。「民社党には謝らなければならないと思っている。」と、こう言っておる。「会期延長にはなったが、年内予算編成に支障がないよう、各閣僚とも協力願いたい。」、こういうふうに新聞に出ておる。おそらくあなたのことだから、そんなこと私は知りませんと、こう言うかもしりませんよ。がしかし、今私が申し上げた与党と民社党との話、就職手当に関する話い合いの内容と、特に「謝らなければならない」という池田総理の発言の内容を合わせてみると、おそらくそのことについて何らかの話があったのじゃないか、それは五百五十円か六百円かわからぬが、政府もそれを出す腹があったのではないかというように私どもは考えざるを得ないのだが、今の労働大臣の話によると、そういうことはできませんし、ありません、ということになるのだが、その点はどうですか。
  132. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 閣議は、先ほど申し上げましたごとく、夜分予算委員会が済んでから、本会議の始まる間に開いたと思います。したがいまして、予算委員会委員長から、社会党、民社党においでを願いたいということを言ったにもかかわらず、これが両党の参加なしに、結果において私の遺憾とする単独審議になったのであります。社会党もお入りにならない。そのことは遺憾であることは、閣議で申しました。そうして参議院はできるだけ懇切丁寧に説明して、議案の通過をひとつはかるよう努力願いたいというだけで、閣議でほかのことを言った覚えはございません。  就職促進手当は、私は党から何も聞いておりません。政府原案で御審議願い、これが通過をはかりたいと思います。
  133. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 先ほど申し述べましたとおり、政府の案といたしましては、いろいろな関係から見まして、四百五十円が至当である、かように考えて原案を提出した次第であります。
  134. 阿部竹松

    阿部竹松君 大橋さん、さいぜん私のお尋ねしたのは、あなたの御答弁が、四百五十円という数字を決定するにあたって、失業保険の給付額がものさしであったとおっしゃるから、失業保険の給付額が上昇した場合には上昇するのですかと、こういうお尋ねなんです。
  135. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 失業保険の給付額が上昇するというのはどういう意味で仰せられましたか、私ちょっと理解しかねるところですが、御承知のように、失業保険の給付額は、前職の最終賃金の六割ということになっております。したがって、その前職の賃金が上昇すれば、その六割でございますから、自然に上昇していくわけであります。しかし、最高限そのものは七百円ということにきまっております。それ以上になることはできないわけであります。したがって、今度の就職促進手当についての考え方も、四百五十円以上にはいかない、こういう考えでございます。
  136. 阿部竹松

    阿部竹松君 労働大臣、私は、これは一々答弁のあげ足をとろうと思っているのじゃございませんが、四百五十円が至当だとおっしゃる前に、失業保険の給付額云々と言って、七百円で、したがって、四百五十円で至当と思います、と、こういうような答弁をなさっておる。しからば、失業保険が上がった場合にはどうなりますか、という再質問に対しては、どこから出たか私はわかりませんそれではまた速記録を見ないと、あなたと論争できぬということになりはしませんか。
  137. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 御趣旨よくわかりました。そこで、私のほうでお答えを申し上げるわけでありますが、先ほど申し上げましたごとく、失業保険の給付金と同じように、前職の賃金日額の六割を基準にして個々の人の受取金額が決定される、こういうことを申し上げた次第でございます。しかし、最高限は、失業保険の場合は七百円でございますが、今度の就職促進手当は、それと違った観点に立ちまして、四百五十円に制限をいたしたわけであります。したがって、この四百五十円と七百円というものは直接関係があるものではないと御理解をいただきたいと思います。
  138. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、適用される人員と、いつからやられるわけですか。
  139. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) この法律施行後にいたすことにいたしたいと思います。そうしてこの給与を受ける資格がある方は、本年の四月一日以後に合理化による離職をされた方であります。
  140. 阿部竹松

    阿部竹松君 何人おられますかとお尋ねしているのです。
  141. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 予算上の見積もりといたしましては、大体今年度中は月平均四千人程度と見ております。
  142. 阿部竹松

    阿部竹松君 今年中とおっしゃるのは、今年の四月から整理されて失業保険がなくなって適用されるのが四千人、それは全部でそれだけの数字ですか。
  143. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これは就職できずにおられる方になにするわけでございます。四千人というものは、今年度内の月平均でございまして、多少の増減はあると思います。しかし、予算は四千人を平均として見積もりをやっております。
  144. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、たとえば法律がいつ通るかわかりませんけれども、一月から実施いたしましたとしても、一、二、三で一万二千名というトータルですか。
  145. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) これは一万二千人という趣旨ではなくて、四千人が三カ月間継続して受け取るという趣旨でございます。大体何万という——一万幾らというそういう大きな数字にはならない。大体四千人程度の人が、同じ人がずっと続くのが、まず見込みとしてはそういう見込みをつけております。
  146. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産省のお話を承ると、一万七千名首切られている。そのうち六割就職できません、ということを商工委員会で承っているのですが、この私の数字は間違いですか。
  147. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 本年の四月から九月までの離職者一万八千人ほどでございますが、雇用促進手当を受けられる方は、大臣が先ほどお答えいたしましたように、失業保険の対象の方で、しかも最初のほうで適用を受けられた方であります。したがって、この四月以降適用された方でも、失業保険を受給中の方が大部分であるわけであります。四、五月の最初のほうで離職された方で、しかも再就職のできない者は少数にとどまる、こういう見込みでございます。
  148. 阿部竹松

    阿部竹松君 私の尋ねているのは、失業して六カ月間保険をもらえるとか、あるいは就職した人にこの金額が渡るというように、私は考えておりませんよ、それをカットしても、なおかつ、大臣の言う数字と違うじゃございませんかということをお尋ねしておるのです。どうですか、大臣
  149. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 私の申し上げました四千人というのは、この法律が施行になりました際に、今年度内において、この手当を受給いたしまする人員のお尋ねがございましたので、予算の基準になっておりまする人員の見込みをお答え申し上げたわけであります。
  150. 阿部竹松

    阿部竹松君 たとえば大臣の御答弁をそのまま百パーセント信用したとしても、一億五千五百五十万円ですから、一人当たりの金額にすると、きわめて微々たるもので、該当する人員と金額と予算額と、全然あてはまらぬという数字になりませんですか。どこにその数字の食い違いが生じておるのですか。
  151. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 今年度の予算は、今年度分は一億六千万円です。
  152. 阿部竹松

    阿部竹松君 ですから、数字が合わぬ。
  153. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 今回の補正予算要求いたしておりまする分は、延べ日数にいたしまして、四十万二千五百四十日。こういうことに相なっております。
  154. 阿部竹松

    阿部竹松君 四十万……。
  155. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 四十万、日数でございます。一人一日として。
  156. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、四十万にしても、四百円にして、四、四、十六ということで、簡単な算術計算でも一億六千万円。四百五十円ですから、この金額が合わないのじゃないですか。  まあしかし、それはあとでお尋ねするとして、その次に、これはきのうの総理大臣の御答弁の中に、私はこれだけ知っておりますということで、六千万トン確保についての御答弁がございました。あの条項は、総理大臣お認めになるわけすでね。
  157. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨日お答えいたしましたように、六千万トンは、現状においてはきわめて困難である。しかし雇用対策、エネルギーの保障あるいは国際収支等から考えて、需要の増大をはかることに努めるということは、私は一応、経過的にこういうことを言ってくれという申し出が党からありまして、そうして開かれた予算委員会に言うはずだったのですが、もうあの約束はだめになったのだと、こういうので、言う機会がなかったわけでございます。
  158. 阿部竹松

    阿部竹松君 重ねて総理大臣にお尋ねしておきますが、有沢調査団長の報告書の前段に、この石炭問題の深刻な危機を引き起こしたのは、三十二年の経済審議会にあった、これが禍根であると、こういうことを、まずその冒頭に示しておるわけであります。ですからこれが、有沢調査団のおっしゃるとおり、経済審議会なるものが誤りを犯したと指摘しておるのを総理大臣お認めになるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  159. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは、石炭対策は各国とも、いろいろまあ失敗と申しますか、予定のようにいかぬこともございます。三十二年ばかりじゃございません。私は三十年ごろにも問題があったと思います。そうして三十二年もありましたです。それからまた三十四年のときに、私が通産大臣のときも、これはやはり見込み違いのものがあったと思います。私は、有沢さんの三十二年ということは、はっきりした記憶はございませんが、今までやはり液体エネルギーに対する認識の問題、あるいはまた国内の石炭の生産性あるいは経済性の問題等々予定より違っておることは事実でございます。
  160. 阿部竹松

    阿部竹松君 池田さんが率直に、それをお認めになるならば、一体どういうような政策を講じなければならぬかということがおのずと生まれてくると思うのですが、特に二十八、二十九、三十一回国会、こういうそれぞれの国会において七千二百万トンの石炭が絶対必要であると——速記録を調べてみたわけですが、絶対責任を持つと、それぞれの、総理大臣なり時の通産大臣がおっしゃておるのです。社会党の諸君は、そういうように政府が高度の経済政策を掲げても、七千二百万トン要らなかったときは、たいへんなことになりますよと言って反対しておるけれども、七千二百万トンあくまで主張しているのが、今申し上げました二十六国会、二十八国会、二十九国会、三十一国会でやっておる。これは国会でです。これは三十一国会でもやっておりますし、昭和三十二年、三十三年ですね。その時の大臣はいろいろありますが、今、問題になっている前尾幹事長通産大臣のときにもありました。しかし私は、その各大臣のあげ足をとるわけでない、ですから、それは今申し上げましたのは、速記録に載って……官房長官、あなた責任があるのですから、ひとつ抜粋して総理大臣に見せていただきたいのですがね、こういうあやまちを犯して、そうして社会党との協定を破らなければならぬ、こういうことが次から次へと続くのですが、一体こういう責任は、一切炭鉱の労働者が負わなければならぬと、こういうことになるんですか。速記録を見たら全部わかる。皆さん方のほうで押しまくっている。社会党は、もうそんな、大へん——当時は四千八百万トンから五千万トン、そのときに七千二百万トン絶対必要ですといって社会党が責めれば、それはあなた方と考え方が違いますとおっしゃっている。これは全部の国会の速記録、会議録にあるんです。三十一国会。ですから、そういう点について、だれが責任を負わなければならぬか。国民総ざんげでもけっこうです。しかし総理大臣、少し明確にしていただきたいんですが。
  161. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済見通しというものは、これは絶対的なものではございません。いろいろ努力目標もございましょう。しかし、こうして、このエネルギーのいわゆる構造の変化というものは、これは非常に目ざましいものでございます。したがいまして、そういう見込み違いはあったが、これは経済の構造の改革から、変化からくるものでございまして、それが悪かったとかよかったとか、これを過去を言うよりも、今後そういうことの起こらないようにしていくことが私は前向きの政治だと思います。したがいまして、五千五百万トンということはなかなか困難です。これはもう定評があります。しかしわれわれとしては、五千五百万トンをぜひ確保いたしたいと。そして大口需要家にも、閣議決定で三十八年度は二千五十万トン、電力、こういうふうにやって、ふやすように努力しておるのでございます。三十二年あるいは三十三年、だれがどういうように決定したかということは、これは経済の変更で、責任を負うといっても、これはやむを得ないことだと思います。ちょうど経済成長が予定以上に高くったって、これは悪かったということはない。これは、私、石炭政策につきまして誤ったことをやった——その責任を今どうこう言うんじゃございません。その原因がどこにあるかといったならば、エネルギーの構造変化に負うところが多いと、こう申し上げておるのであります。
  162. 阿部竹松

    阿部竹松君 最前の理事会で、六時半になるとストップというお話を承っておりますからこれでやめますが、総理大臣、私、流体エネルギーの優位性は認めますよ。それから、石炭から油にかわりつつあるという情勢も認めますよ。失敗も認めますよ。しかしながら、それは失敗だったと言うだけで、そのまま何ら施策を講じないで、ただ失敗でしたでは、一体どういうことになりますか。そこで、政治というものは、あなたがいみじくもおっしゃった有沢調査団の答申案がまだ出ぬうちに、どうも有沢さんの調査団の答申というものは、必ずしも芳しくないように思うということで、あなたとお話をしたときに、ああそうですか、私はよく知りませんが、そういうものが出たとすれば、有沢さんはしょせん学者であって、私は政治家である、そのために政治というものが必要なんだというわけで、私ども総理大臣が、公式の席上ではなかったけれどもおっしゃったのは、総理大臣御記憶でしょう。炭労の代表に対して総理大臣が言明しておられた。私とか、同僚議員が大勢行って感心して聞いておった。それが全部実らんでしまった、きわめて情けない。全部あの気の毒な炭鉱労働者が、政府の施策の誤りから責任を負わなければならん、こういうことなんですか。はっきりおっしゃっていただきたい。
  163. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭企業全体が責任を負い、そしてそれに対しての施策は、政府責任を持ってやるのであります。しこうして今お話の有沢さんの問題は、思わしくないと言った覚えはございません。新聞その他で見ると、なかなかきついようだ、できるだけのことをやる、こう言っただけです。有沢さんの答申が出るまでに、私はこれはいかないとか何とか、なかなかシヴィアなものが出るかもわからん、しかし、それによってやりますと。先ほど申し上げたような、産炭地その他について不十分の点がございますので、それでわれわれ時宜に適した措置を講じようとしているというのであります。
  164. 阿部竹松

    阿部竹松君 いや、有沢さんの答申案は思わしくないということは、総理が言ったというのじゃない。僕たちが言ったと、こういうのです。
  165. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) だから、私はそういうことを言った覚えはございません。あなた方はおっしゃったでしょう。しかし、われわれとしては石炭鉱業再建のために極力努力する、こう言ったわけでございます。
  166. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 暫時休憩いたしまして、三十分後に理事会を開会いたしたいと思います。    午後六時四十五分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕