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1962-12-13 第42回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月十三日(木曜日)    午前十時三十分開議   —————————————  議事日程 第四号   昭和三十七年十二月十三日    午前十時開議  第一 石炭鉱業合理化臨時措置法   の一部を改正する法律案石炭   鉱山保安臨時措置法の一部を改   正する法律案産炭地域振興事   業団法の一部を改正する法律案   及び炭鉱離職者臨時措置法の一   部を改正する法律案趣旨説明)  第二 一般職職員給与に関す   る法律等の一部を改正する法律   案、特別職職員給与に関す   る法律の一部を改正する法律   案、防衛庁職員給与法の一部を   改正する法律案裁判官報酬   等に関する法律の一部を改正す   る法律案及び検察官俸給等に   関する法律の一部を改正する法   律案趣旨説明)   ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 石炭鉱業合理化臨時   措置法の一部を改正する法律案、   石炭鉱山保安臨時措置法の一部を   改正する法律案産炭地域振興事   業団法の一部を改正する法律案及   び炭鉱離職者臨時措置法の一部を   改正する法律案趣旨説明)  一、日程第二 一般職職員給与   に関する法律等の一部を改正する   法律案特別職職員給与に関す   る法律の一部を改正する法律案、   防衛庁職員給与法の一部を改正す   る法律案裁判官報酬等に関す   る法律の一部を改正する法律案及   び検察官俸給等に関する法律の   一部を改正する法律案趣旨説明)   —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ─────・─────
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案趣旨説明)、  四案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。福田国務大臣。   〔国務大臣福田一登壇拍手
  4. 福田一

    国務大臣福田一君) 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、以上の石炭関係法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  石炭鉱業自立と安定をはかり、炭鉱労働者雇用生活の安定を確立するためには、需要の確保近代化合理化保安確保離職者対策資金経理対策産炭地域振興鉱害処理等の諸施策を強力に推進していくことが必要であります。これらの諸施策についての政府考え方は、去る十一月二十九日に閣議決定した石炭対策大綱において明らかにしたところでありますが、その中で特に早急に措置する必要のある事項につきまして、今回所要法律改正を行なおうとするものであります。  まず、生産体制の確立をはかるためには、近代化合理化を進めていくことが必要であり、また保安確保をはかっていかなければならないのでありますが、このため非能率なあるいは保安確保することが困難な石炭鉱山終閉山はやむを得ないところであります。政府といたしましても、従来から離職者雇用及び生活の安定をはかりつつ、円滑に近代化合理化を促進することに特に配慮を払ってきたところでありますが、今回、その点に関する対策を一そう強化するため、整備資金金利引き下げ離職金増額等をはかるとともに、炭鉱離職者求職手帳制度を創設する等の措置を講ずることとしたいと考えております。  次に、石炭鉱業合理化の進展に伴い、従来、石炭鉱業に大幅に依存してきた産炭地域経済は、疲弊の度を深めており、石炭関連企業の衰微、地元市町村財政の窮迫は著しいものがあります。これら産炭地域疲弊を防止し、地域経済安定的発展をはかるため、産炭地域振興事業推進機関として本年七月に発足した産炭地域振興事業団においては、工業用地造成及び事業資金貸付等業務を行なうこととなっておりますが、今後その業務拡充して、産炭地域における産業振興基礎的条件となる社会環境を整備するという見地から、ボタ山処理を行なわせ、あわせて工業用地造成鉱害復旧等に資することといたしたいのであります。  次に、四法案のおもな点につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の第一点は、整備資金融資ワクを拡大するとともに、整備資金金利引き下げを行なうものとし、これに伴い、近代化資金のための出資金運用利子整備資金貸付業務事務費等に充てることができるよう措置することとしたものであります。  第二点は、退職金がないか、またはその額が少ない中小炭鉱離職者に対する離職金については、現行平均賃金の三十日分に相当する額のほかに、雇用期間に応じて最高十万円程度の額を加算して支給することとしたことであります。なお、この離職金加算については、昭和三十七年四月一日以降解雇された炭鉱離職者について遡及して適用することといたしております。  第二に、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案は、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正と同様、離職金加算支給を行なうためのものであります。  第三に、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案は、産炭地域振興事業団に新たにボタ山処理等事業を行なわせることとし、その業務範囲の拡大に関して所要規定を定めたものであります。  第四に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の要旨は、石炭鉱業合理化に伴い離職を余儀なくされた炭鉱離職者であって、一定の要件に該当する者に対して、炭鉱離職者求職手帳発給し、離職後三年の間においてその者の再就職のために必要な特別の措置を講ずることといたしたことであります。すなわち、まず、公共職業安定所は、各人ごとに、きめのこまかい特別の就職指導を行なうものとし、そのため産炭地公共職業安定所就職促進指導官を配置することといたしました。このような就職指導により、これら手帳発給を受けた者は早期に再就職できると確信をいたしております。次に、このような措置を実施するにもかかわらず、手帳発給を受けた者が、労働市場情勢等により、失業保険の受給を終了してもなお再就職の機会を得られない場合に備えて、これらの者に対しては、その生活の安定をはかり、求職活動を容易にさせるために、就職促進手当を支給することといたしております。また、この措置は、本年四月一日以降の炭鉱離職者に対しても遡及して適用することといたしております。  以上が石炭関係法案趣旨であります。(拍手
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。柳岡秋夫君。   〔柳岡秋夫登壇拍手
  6. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま本院に提案をされました石炭関係法案について、総理並びに関係大臣質問をいたしたいと思うのでございます。  今回召集されておりまする臨時国会は、一般石炭国会といわれ、危機に直面をしている石炭問題の抜本的な解決の方途を国民の前に明らかにする責務を負っていると思うのであります。生活権を奪われんとする炭鉱労働者は、きょうも、この寒空のもとで、命をかけて石炭政策転換を求め、陳情活動を続けております。さらに、疲弊のどん底にあえいでいる産炭地域住民は、国の手厚い施策を求めて、連日熱心な行動を進めているものでございます。世論も、石炭対策解決を急げ、こう迫っていることは、総理も十分に御承知のことであろうと思うのでございます。  しかしながら、政府がここに提案をして参りました石炭関係法案を見まするときに、私は、あまりにもその内容の貧困さに胸を締めつけられているのであります。いや、むしろ激しい怒りの念すらもわき上がってくることを押えることができないのでございます。炭鉱労働者が、昨年九月政策転換闘争を組んで以来、私どもは、総理の口から直接「善処する」という言葉を、何度聞かされたかわからないのであります。その善処の結実が、実にこの四法案だとすれば、一体、政治は何のために行なわれているというべきでありましょうか。石炭対策決定版を作ると言った石炭鉱業調査団は、先日、本院における阿具根議員の指摘するとおり、首切り決定版を作ったのであります。政府石炭対策大綱は、この首切りを実行するための大綱となり、四法案は、その排除された離職者のためのお粗末な施策を講じたにすぎないのであります。有沢調査団答申より前向きの姿勢を強調する総理の実効ある措置とは、いかなるものであるかということを、まず承りたいと思うのでございます。  次に、私がお伺いしたい第二点は、合理化政策推進についてであります。石炭鉱業合理化につきましては、すでにその発端は、昭和三十年に施行されに石炭鉱業合理化法に求めることができます。当時首切り犠牲となったのは、主として中小零細炭鉱労働者でありましたが、昭和三十四年の石炭合理化審議会が、十一万人の首切り、一千二百円のコスト切り下げ決定してからは、首切りは大手にも波及し、石炭危機は全く苛酷な様相を見せました。荒廃と首切りのみが先行をして、政治がついに救いがたい石炭産業を作り上げてしまったのであります。  かかる事態に追い込んだのが政治である以上、これの再建に努力することこそ、政治家責務でなければなりません。そして、今日の首切り合理化根拠法が、実に現行石炭鉱業合理化法にあることを考えますれば、この法律の一部技術的な改正からは、何も解決策は生まれてこないと思うのであります。したがって、私は、有沢調査団長が強調していたとおり、安定した職場を保障する雇用計画がない限り、合理化政策推進することができないという、法的、制度的体制を早急に確立すべきであると考えるものであります。(拍手政府は、石炭鉱業審議会の改組、強化につきましては、その具体策通常国会に譲っているのでございますが、通産大臣からこの問題についての基本的な考え方を承っておきたいのであります。  これまでの合理化計画は、年間の能率生産量だけを計画したために、ほとんど例外なく、炭量の把握、現実的な採炭計画が十分に行なわれておりませんでした。したがって、こうした不十分な体制の上に合理化投資が強行されました結果は、生産体制の各段階でおそるべき不均衡労働者へのしわ寄せをもたらしたことは、私が今さら申し上げるまでもございません。この責任は、一にかかって現行合理化推進している政府当局にあるのであります。臨時国会だから、臨時的な措置でお茶を濁す、こういうことではなくして、抜本的に、石炭をどう位置づけし、炭鉱労働者をどうするという具体的な施策こそ、国民大衆の切実に望んでいるところであろうと思うのであります。このためには、現行合理化計画をそのまま踏襲し、スピード・アップするということではなくして、総合エネルギー政策の中に石炭の地位を明確化し、具体的な施策は強靱かつ柔軟な形で推進すべきであろうと考えるのであります。通産大臣考えをただしておきたいと思います。  質問の第三点は、やむを得ず炭鉱を離れなければならない離職者に対する対策であります。現行合理化計画とその推進にとって決定的な欠陥は、人間としての労働者に対する対策を軽視し、能率の中に労働条件保安を埋没させてしまった非近代性にあるのであります。そして、さらに問題なのは、こうして排除した離職者は、文字どおり切り捨てごめんのままに放置をされている事実であります。私たちは、やむを得ず閉山し、その職を離れる場合というのは、一つは、保安不良炭鉱として、保安臨時措置法の適用を受けるのもやむを得ないとする場合であり、もう一つは、石炭を掘り尽くして、合理化措置法によって政府買い上げがやむを得ないと認められる場合に限るべきだと思うのであります。まずこの点の確認を通産大臣から聞いておきたいと思います。  そして、 これらの離職者に対しては、たとえば電源開発工事道路建設等公共事業による犠牲者に対して、国が十分な補償を行なっているのと同様に、手厚い補償がとらるべきであると思うのでございます。国の政策によって炭鉱離職者は全員登録し、国の責任で再雇用策を講じてこそ、政治のなすべき原則的な施策であろうと思うのであります。このためには、炭鉱離職者公団といったような機関設立して、国が責任をもって安定産業に再雇用確保するほか、公団みずからが公共事業を起こして、その吸収をはかる必要があると思いますが、労働大臣の所見を承りたいと思うのであります。  今回提案をされております炭鉱離職者臨時措置法改正は、炭鉱離職者求職手帳を支給し、手帳を受けた者に対しては必要な職業指導を行ない、就職促進手当を支給するといった内容であります。これが離職音対策であるというには、私はあまりにもわびし過ぎるという点につきまして、労働大臣もおそらく同感であろうと思うのであります。たとえば、離職者手当は、日額四百五十円を最高限度額としているのでありますが、これは月額一万三千五百円でございまして、生活保護費一万三千四百七十円とほとんど変わらないのであります。一体これで離職者対策と言えるでございましょうか。こうした手当は、在職中の賃金の八。%といたしまして、安定職場に再就職できるまで支給してこそ、対策の名に値するものと思うのでございますが、労働大臣考えをただしておきたいと思います。さらに、職業訓練については、今のようなおざなりな訓練所とその設備では、なかなか優秀な技術を身につけることは困難であります。新設、拡充も必要でありますが、今日の新しい技術が十分に修得できるような機械設備を豊富に設置する必要があると思うのでございますが、労働大臣からこのための具体策を伺いたいと思うのであります。  次に、質問の第四点は、産炭地域振興対策であります。ただいま産炭地振興事業推進するとして提案をされている内容は、ボタ山処理でしかありません。もちろん、このボタ山の取りくずしの意義は、産炭地域用地造成地すべり防止にある点を否定するものではありませんが、今日産炭地域住民が深刻に切望している課題は、振興以前の産炭地救済とも言うべきものであります。関係中小企業の売掛金について保障措置を講ずるとか、鉱害復旧補償は国が行なうとか、あるいは鉱業税の著しい減少を来たしている自治体には特別交付金を交付し、また、失対事業費生活保護費、準、要保護児童生徒に対する措置費等支出増で苦しむ自治体には、一定基準をこえるものについては国庫負担措置を講ずる等のことが緊急に要請されていると思うのであります。こうした施策こそ、いわゆる、きめのこまかい対策と言えるのでありますが、通産大臣並びに自治大臣からその考えを伺いたいと思うのであります。  最後に、私は、大蔵大臣質問を申し上げます。調査団答申を尊重した石炭対策大綱は、総理に言わせますと、画期的な対策だそうであります。といたしますならば、この対策は三十七年度補正予算に対しましても、画期的な額として計上されてしかるべきでありましょう。しかるに、補正予算案では、一般会計失業保険特別会計を合わせましても七十七億五千万円にすぎないのであります。要求予算としての百十四億円でさえ、私たちから言わせますならば、きわめて不満足な額でありますが、その七割にも満たない額では、この緊急事態補正として、決して画期的なものではないと思うのであります。なぜこのようにわずかな額より計上できなかったのか、大蔵大臣に具体的な答弁をいただきたいと思うのであります。  今日の日本経済発展に大きく貢献をして参りましたこの石炭産業が今田のような事態に立ち至ったことは、明らかにここ数年における政治の失態でありますから、政府は、国民的視野に立って、誠意をもって解決に当たられますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。今回の石炭対策内容が貧弱だとおっしゃいますが、私はそうは考えません。石炭鉱業自立対策といい、需給確保対策離職者対策、また、産炭地対策、これは有沢調査団では十分に触れておりませんでしたが、われわれは、こういう産炭地に関する対策もやろうと思うので、これがいわゆる答申よりも前向きに実効ある措置をとろうとしておることは、説明並びに答弁で御了承願えると思います。  なお、この調査団報告基準といたしますが、一応これは、一定の目標で、こうあるべし、こういうことを研究しろといっておるのであります。それをわれわれは実行に移しつつあることを、この際、特に申し上げておきます。(拍手)   〔国務大臣福田一登壇拍手
  8. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほど御説明を申し上げました内容でおわかりのとおり、今回出しておりまする四法案は、政府が先般閣議において決定をいたしました基本要綱のうちで、特にこの臨時国会でどうしても措置をしなければならないという法案を提出いたしたのでありまして、引き続き通常国会におきまして、その他の法案、その他の施策審議をしていただくということを、まずもって御了承を願いたいと思うのであります。  そこで、そういうようなどんな法案を、今、通常国会で準備しておるかということを、ちょっと申し上げておきたいと思います。それは、まず、電力用炭一手生産機関設立石炭企業経理規制、それから鉱区調整積極化組夫規制鉱害賠償積立金制度の創設等々でございまして、これを今準備をいたしておるということを、まずもって御了承を願いたいと思うのであります。  そこで、まず、質問の第一点について申し上げてみますと、御承知のように、エネルギー基本法を作れということでございますが、有沢調査団があの報告を作りますまでには、石炭産業の位置づけに関連をいたしまして、電気あるいは油、あるいはまた将来の問題もいろいろ考慮をした上で、そうして石炭産業のあるべき姿を考える、また、同時に、経済性というものをも考慮をいたしまして、十分エネルギー基本関連して研究された上で、あの答申が出ております。もとより、政府としましては、あの答申を尊重いたしますが、あれを一字一句そのまま認めるということにはならないかもわかりませんけれども、エネルギー基本の問題については、今後も十分考慮をいたして参るのでございまして、ただいま私たちが、政府閣議決定でいたしました内容において、十分御趣旨のようなことは取り入れておるということを御了解を願いたいのでございます。  次に、保安の必要が起きたり、また、もう炭がなくなった場合にだけこの山を閉めるということにしたらいいのではないか、こういうようなお話でございますが、これはわれわれといたしましては、石炭というものは、やはり経済性考えていかなければなりませんから、山が非常に悪い炭しかなくなった、いわゆる経済炭量がなくなったという場合に、これを閉山することは、やむを得ないことであると考えております。そこで、このようなことをいたします場合におきまして、閉山合理化等の問題と雇用関係につきましては、あとで労働大臣からも御答弁があると思いますけれども、これは審議会合理化の案と雇用関係とを両方とも出して御審議を願うことにいたしておりますので、あまり御心配のような問題は起きてこないと私たち考えておるのでございます。  次に、また産炭地域振興対策でございますが、これにつきましては、自治大臣から後刻詳しくお話もあると思いますが、われわれといたしましては、産炭地域振興事業団等を活用すると同時に、工場を誘致したり、あるいはその他の諸種の施策を講じまして、産炭地域振興十分努力をいたす所存でございますので、御了解を願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫登壇拍手
  9. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 炭鉱離職者のための新しい公団設立ということは、現在のところ考えておりませんが、産炭地には、広域職業紹介によって移転就職することの困難な中高年令層も多いので、これらの離職者生活の安定のために、既設の産炭地域振興事業団ボタ山処理などの産炭地域振興事業を行なわせることにいたしております。またその他の政府関係事業につきましても、離職者を積極的に吸収いたしまするよう措置を講ずる考えでございます。  次に、就職促進手当金額についてでございまするが、この手当失業保険制度を補完する機能を有するものでございまして、その金額についても、失業保険金日額の例にならいまして、離職前の賃金日額の六割を基準にして定めることにいたしております。なお、手当日額最高限度につきましては、この手当制度全額国庫負担による特別な給付制度でありますこと、また職業訓練手当日額失業対策事業への就労賃金日額などとの均衡考慮いたしまして、四百五十円と定めたわけなのでございます。  第三に、職業訓練につきましての御意見につきましては、私も同感でございまして、今後、職業訓練施設整備拡充職業訓練拡充強化等につきましては、適時適切な措置を講じて参る所存でございます。(拍手)   〔国務大臣篠田弘作登壇拍手
  10. 篠田弘作

    国務大臣篠田弘作君) 産炭地振興に関してどう考えているかというお尋ねでございますが、ただいま通産大臣からお答えをいたしましたように、さきに産炭地振興臨時措置法を作りまして、そうして産炭地振興事業団の活用、あるいは工場の誘致その他、鉄道道路建設等工事離職者を使用するといったような面につきまして、臨時措置法の定むる方針に従って今進めております。  それからもう一つは、産炭地事業、いわゆる自治団体財政上のいわゆる困窮状態をどうするか、こういうお話であります。これは、昭和三十七年度におきましては、年度の途中でございますから、まだはっきりした数字は出ておりませんが、昭和三十五年度におきましては全国百六十の産炭地町村のうち、赤字を出した町村は十四でございまして、その総額は四億七千万円でございます。三十六年度におきましては百六十の地方団体の中で赤字を出した団体は十六でございまして、その総額は四億三千二百万円でございます。したがいまして、三十七年度は、今申しましたように、年度の中途でありますから、はっきりした数字はまだわかっておりませんが、交付税増額、あるいは事業を起こした場合には起債、また特別な財政措置につきましては今おっしゃったような、特別交付税増額等によって十分まかない得ることを確信いたしておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣田中角榮登壇拍手
  11. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。  池田総理大臣が明らかにいたしております画期的な石炭対策に対して、大蔵省はどのように予算を査定したかというお話でございますが、まず前提としてお考え願いたいのは、大蔵省大蔵省流の査定をしないで、今度の石炭の問題に対しては、慎重に、かつ要求に対しては全面的にこれを認めるというような誠意をもって対処したことを、お認めいただきたいと存じます。これは今、各省の要求に対して七〇%程度予算しか計上しなかったではないかというお話でございますが、私のほうの考えでは、おおむね一〇〇%に近い態度をもって計上しておるという考え方に立っておるわけであります。御承知のとおり、一般会計は三十一億余でありますし、特別会計は四十六億余でありまして、約八十億という数字を計上いたしておりますが、要求の百億余に対しては八〇%じゃないかというようにお考えになっておりますが、これは、御承知石炭合理化事業団への出資の二十億というものが財政投融資の百億分に振りかわっておるというのが一つありますし、もう一つは、産炭地振興事業団に対しての御要求を一億五千万円だけ暫定計上いたしたわけでありますが、これは、このままでボタ山整理を行なう、これで終わりだという考えではないのであります。当初計画で五億円の出資を計上いたしてございますし、その上になお、資金運用部からの貸付金五億円がありますが、この十億円がほとんど使われておらないというので、暫定的に一億五千万円をプラスして十一億五千万円ということになっておるわけでありますが、年度中においてボタ山の整理事業が進捗すれば、その度合いによってまた考え得るのでありまして、私の考えでは、前向きであり、誠意をもってほとんど各省要求の全額を計上したという考え方でございます。  なお、財政投融資も百億円の計上を行なっておりますし、それよりも御承知のとおり、この予算の提出をする前に、中小企業融資二十億、それから大手炭鉱に対して百億余の緊急融資も行なっておりますし、その間に至るまでにも、中小公庫及び商工中金を通じて、中小炭鉱向け十五億の緊急融資を行なっておるという、できる限りの措置をとっておることを御理解賜わりたいと存じます。(拍手
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。    ————・————
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案趣旨説明)、  五案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。大橋国務大臣。   〔国務大臣大橋武夫登壇拍手
  14. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、  以上五法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明申し上げます。  政府は今回、人事院の国会及び内閣に対する本年八月十日付勧告及び昨年十二月十四日付勧告に基づきまして、本年十月一日以降、一般職職員給与を改定することといたしましたが、これに伴いまして、従来より一般職職員との均衡考慮して定められております特別職職員等の給与につきましても、所要の改定を行なおうとするものであります。  まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、一般職職員給与に関する法律昭和二十五年法律第九十五号)の一部を改めまして、俸給表を全面的に改善するとともに、期末手当、勤勉手当及び宿日直手当改正し、本年八月の給与改定に関する人事院勧告の実施をはかるとともに、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律昭和三十二年法律第百五十四号)の附則の一部を改めまして、昨年十二月の暫定手当に関する人事院勧告の実施をはかることといたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、それぞれ右に述べました一般職員の職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案の例に準じまして、それぞれ俸給月額等の改定を行なうことといたしました。  以上五法律案は、いずれも公布の日を施行日とし、本年十月一日から適用することといたしました。  以上が一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案等五法律案趣旨でございます。(拍手
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。横川正市君。   〔横川正市君登壇拍手
  16. 横川正市

    ○横川正市君 ただいま提案されました公務員給与改正法案に対しまして、日本社会党を代表し、総理初め大臣並びに人事院総裁に、数点にわたって御質問をいたしたいと思います。  まず、総理にお尋ねをいたしますが、今日、政府政府職員で構成をいたしております団体間に、相互に信頼感が保たれていないと思われるようなできごとが累積をいたしているわけであります。一例を申し上げますと、職員団体は、先般、政府は勧告体制を口実に、公務員代表との交渉に応ぜず、陰で、勧告の準備を進める人事院に対して、日経連とともに牽制と干渉をはかり、勧告まぎわの六日には、官房長官談話まで発表して、異例の勧告延期を押しつけたと抗議をいたしまして、政府に対する不信感を訴えているのであります。ことに、年ごとの給与改定問題をめぐりまして、政府職員団体との紛争が激化するのでありますけれども、職員の納得する賃金がなぜ政府においてきめられないのか。その原因は何であるのか。総理のお考えをこの際率直にお聞きいたしたいと思うのであります。  また、今日までに、公務員団体要求する、主として給与をめぐって起こる紛争から、司法職員、国税庁職員並びに国鉄、郵政、農林、電電公社、専売等に、公務員法または公労法等の違反事案として、行政上の処分が行なわれ、しかも、これらもまた累積されているのであります。このために、最近のそれぞれの官庁では、労務対策に忙殺をされまして、国民に対するサービスの向上とか、事務能率についてどうとかいう問題については、低下する傾向があるといわれ、最近、行政管理庁の指摘事項にもなっているのでありますけれども、総理としてどうこの問題についてお考えになっているのか。また、その対策について、この際所信をお聞きいたしておきたいと思うのであります。  また、人事院の勧告をめぐって、公務員団体から、大きな不満が表明されております。私は、総理が公務員の雇用者の立場に立って、常時とはいわず、ときに代表とひざを交えて会いまして、政府内における総理の立場からの事情を納得するまで語り合うとか、あるいは代表から職員生活の事情を聴取して、それらについて、誠意を尽くして話し合いをいたしながら、その中から、国民の期待にこたえて、責任を果たし得るところの、公務員の一般の行政に対する仕事に熱意を持たせるというふうな、こういう率直な方法がとられてしかるべきと思いますけれども、総理の意見をお伺いいたしたいと思います。  次に、総理は、このたびの欧州訪問旅行で、日本の労働賃金について、いささか理解を深めたという記事を私どもは見たのであります。その中で、総理の言う、「日本の労働賃金は、西欧並みになった」と、こういうふうに言われておりますけれども、これは一体どういう根拠で言われたのか、事情をお尋ねいたしたいと思うのであります。総理が、出発にあたって、労働省その他の関係の向きで製作したものを携行したという日本の賃金事情、この説明書きの内容は、「西欧並みの賃金」という総理報告と合致するものであったのかどうか。また、このパンフレットの中に、それぞれ基礎を置いておりますけれども、名目賃金は比較できないので、食料比較賃金をもって対照したと言われております。その理由と、西欧での賃金実体の、総理の理解した内容を、具体的にこの際お聞きしたいのであります。  ただいまのところ、日本の公務員、また一般産業労働者でありましても、総理の言われたように、日本の労働賃金は、西欧並みになったと考えていないのであります。ことに近年、西欧との交流も盛んとなりまして、労働者間には、西欧諸国の賃金は、日本の二倍ないし三倍と考えているのが、これが常識となっているのでありまして、この間の事情をお聞きいたしたいと思います。  また、去る衆議院本会議において、石山議員に総理から答えられました内容は、私どもの理解するところにはならないのでありまして、この際、具体的にこの問題に触れてお答えをいただきたいと思います。  日本の公務員の現在の賃金水準を一例をもって示しますと、たとえば初級試験に合格をいたしまして採用になった者が、十年勤続をいたしまして一万九千百円であります。高校卒業後十年といえば、それぞれの職場においては二十八才の中堅幹部であります。しかも扶養家族は二人以上を保有することになるのでありまして、総理考えでは西欧とどう比較されたか御説明をいただくとともに、日本の賃金の現状を総理としてはどうとらえているのか、どう考えておるのか、この際御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。  さらに、総理の所得倍増計画は一体今どういうふうになっているのかこの際明らかにいたしていただくとともに、これからはどういうふうに進められるのかお聞きいたしたいと思います。  この際ですから、あわせお答えをいただきたいと思いますが、ちょうど総理の所得倍増計画が出されるに先行いたしまして発表されました、当時中労委会長をしておりました中山伊知郎さんの賃金三倍論について、総理の所見をお聞かせいただければ幸いだと思うのであります。  国民やその奉仕者は、実は政治について時々発表される政策や施政が、これが人気取りやあるいは政治的な含みであるということについては、もう全くこれは期待をいたしておりません。いわば国力というものが前面に出て参りまして、それに見合った、実質的な、しかも不公平でない、平等な生活を願い、賃金が豊かといわなくとも、人並みな生活を保障してほしいと願っているのが、これが、月並みではございますけれども、公務員の願いであります。所得倍増が物価倍増だと世間でいわれているようなことでは、たえられない、絶対に困る問題であります。総理賃金の上がらない先に物価が上がるという世論に対して、どうお考えかをお聞かせいただきたいと思います。現実に物価の騰貴に対してどう対処され、これを解決される方針をお持ちであるならば、この際具体的に説明をいただきたいと思います。  今の公務員の生計は、以前に総理が理解されて演説された内容、すなわち、消費水準の高くなるのは実質的に消費者の収入が増加したからであると言われておりましたけれども、それは実は理屈どおりには行っておらないのでありまして、ますます生活の実態は苦しくなってきているのであります。たとえば、家庭での近代化や電化は、周囲の事情から、まさにこれは普通のことであり、ぜいたくではなくなったということは、総理もお考えであろうと思うのでありますけれども、これらに対するやむを得ない支出というのは一体どうして出されているかといいますと、従来の賃金の一部のほかに、その足りない分は、さらに生活の必需品の切り詰めから行なわれているというのが実態であります。もちろん、総理も御案内のとおり、これらのすべての購入方法は、月賦で購入するというようなことでまかなわれておりまして、実際の生活はぎりぎりであるというのが偽らざる事実であります。しかも、今日生活には欠くことのできない必需物資、これの値上がりが逐次高まってきております。しかも、追い打ちをかけるように、公共料金、米価の値上げ等が出て参っておりまして、これでは、切り詰めた上にも切り詰めようのない生活に追い込まれていると言って過言ではないと思うのであります。実態は、総理の理解する公務員の生活賃金との関係はどうなっているのか、この考え方をお尋ねいたしたいと思います。  ただいま政府職員賃金は、三十七年四月を例といたしまして、平均二万六千七百二十円となっております。しかし、これは全体の平均でありまして、職種別に見ますと、三十一才男子の行政職(一)で平均一万五千六百円、三十九才男子の技能職乙で二万五十三円、五十一才の労務職甲で二万百四十円、五十才の労務職乙では一万五千六百七十三円、中には、これは例外でありますけれども、三十四才の五人家族でわずかに九千八百円という職員もいるわけであります。こういうような日本の公務員の実態から、総理のちょうど旅行中に、PSIの代表が日本に参っておりまして、日本の賃金の実情というのを見て、「非常に劣悪だ」と指摘している事実があります。また、これは労働大臣も知っているようでありますけれども、米国公務員組合長のサンダー氏が、「日本の公務員はアフリカ並みの労働条件だ」と述べているのでありまして、西欧での総理の発言と外国の労働組合の代表が日本へ来ての発言とは、どうも少し違うのでありまして、この点をひとつお伺いしたいと思うのであります。  さて次に、総理労働大臣にお伺いいたしたいと思いますが、人事院の勧告の実施期日というのは、実はもう数年前から、内閣委員会等を通じて、勧告の実施期日というのはこれは明確にすべきである、それをコンスタントにして初めて公務員の生活を防衛する賃金というものはきめられるのだ、こういうことが論議に論議を重ねられて、初めて人事院の勧告には、三年前から、五月一日にこれは上げてもらいたいという勧告になったのでありまして、こういうような国会の審議の経過から考えてみますと、十月一日とするということは、これはきわめて私は遺憾なできごとだと思うのであります。同時に私は、このことがどれだけ公務員に大きな損害を与えているかといいますと、大体夏季手当を入れまして、実質的には一人当たり一万四千六百六十円くらいの減収になっております。大体、五月実施から十月まで五カ月間延びるわけでありますから、こういうことは非常に公務員の生活に大きな影響を与えることになります。同時にまた、もう一つ総理に知っておいていただきたいのは、この勧告は、実は当面変わればすぐ対処できるという勧告ではなしに、一年前の賃金に見合ったものであります。ですから、五ヵ月延びるということは、これは実に一年六、七カ月の間、この間、公務員はきわめて民間との間に大きな格差の賃金をもらっておったということになるのでありまして、私はこれはゆゆしき問題だと思うのであります。加えて、私は、このことが、公僕として日夜精励しております公務員の業務に対する奉仕の気持にいささかでも消極的なことが出てくるとすれば、これは大きな損失だと言わなければなりませんので、政府の所見をお伺いいたしたいと思うのであります。また、これは言いづらいことでありますけれども、最近の新聞で、大蔵省は、旧地主の補償等については、これを予算化する方向に踏み切ったように報道されております。私が先般ここで質問いたしましたときに盤谷副総理からそれぞれお答えがありましたのと比べてみますと、この方向は、非常に国会無視、または最高裁の判決無視、こういうようなことが平気で行なわれようといたしております。その真意は、圧力団体に抑えつけられたということ以外には理由がないようであります。国の政治のあり方としてはきわめて遺憾でありますが、こういうようなことが日本の政治の中で通っているのに、多くの公務員が、労働三権をはぎ取られて、今言ったような実態の中に置かれては、生活の防衛もできないというような、こういうことが日常の議会活動の中で行なわれているということは、私はきわめて遺憾であります。私は、労働大臣に、この際でありますから、労働三権を復活すべきではないか、この意見を申し上げまして、お答えをいただきたいと思います。  また今回も、公共の福祉の問題を理由にいたしまして、現行どおりということならば、公務員の生活を保障するための具体的な方法を明らかにいたしていただきたいと思います。  次に、人事院総裁にお答えをいただきたいと思います。公務員団体は、人事院に対して、きわめて遺憾なことながら、肉親から背任されたような不信感を持っております。このことについて総裁のお考えをお伺いいたしたいと思います。さらに、第一に初任給の問題でありますが、公務員の賃金が低いことは万人が認めているのでありまして、その要因は、初任給がきわめて低いというところにあると思います。ことに官民との差は著しく、人物採用の大きな欠陥となって現われているのでありまして、この初任給の大幅な改善を行なう考えがあるかどうか、お伺いいたしたいと思います。  また、当面重要問題となっております石炭離職者等の国家機関への採用の隘路は、この初任給にあると思いますが、労働大臣、同時に、給与担当大臣の考え方としては、人事院に特別俸給表等による初任給の決定をすみやかに行なわしめるように申し入れる考えがないかどうか、あわせて人事院総裁の御意見をお伺いいたしたいと思います。  時間が参ったようでありますから、最後に、今回の勧告をもってしては追いつかない問題として、交通費の値上がりの問題があります。これを大幅に改定する考えがあるかどうか。それからもう一つは、東北の公務員に対しまして現在薪炭手当の制度がありますけれども、これは石炭を支給して、少なくとも零下線上で生活をする東北の公務員に対して、石炭をたかしめるような方法がとられることが妥当だと思いますけれども、この点についての総裁のお考え質問いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の第一点の、公務員の給与に関する問題でございますが、人事院の勧告の出ます前に政府がこれに干渉を加えた事実はございません。また、政府と公務員との間の信頼感につきましていろいろお話がございましたようでございますが、全体として、私は信頼感があり、うまくいっておると思います。ただ、ときどき不心得者が出ます。これはいたし方ございません。したがいまして、綱紀の粛正は機会あるごとにわれわれは申しておるのであります。  次に、この日本の賃金の問題でございます。数字にわたって恐縮でございますが、今、外国のだれとかがどうおっしゃったというお話でございますが、ロンドンの商工会議所の会頭のロード・キルマノックという人が先般日本に参りました。そうして、日本の賃金事情を調べたところ、日本の賃金制度は年功序列制であり、しこうして消費水準がかなり高い、低賃金とはいえないということを、公式に発表いたしております。そうしてまた、私は直接会ったのでございますが、アメリカのCED、いわゆる経済開発委員会の委員長のハウザーという人が、私がヨ−ロッパへ出発する四、五日前に参りまして、そうして、日本の賃金は低賃金だと思ったが、さにあらず、こう言っておりました。  それで、私はいろいろ考えておるのに、低賃金というものはいかなるものか。たとえばアメリカの労働者賃金とイギリスの労働者賃金とは相当の違いがございます。日本を一〇〇といたしますと、アメリカは六八〇です。イギリスは二三〇。そこで、六八〇、イギリスの三倍の高賃金であるアメリカと三分の一のイギリスとの間に低賃金の問題がございますか。ないですよ。しからば、同じEECの間で、ドイツとイタリアとはほとんど倍半です。ドイツとイタリアとは倍半。そこで、あまりイタリアが低賃金だといって貿易上その他で非常に非難するところはございません。しこうして、イタリアと日本とを比べてみますと、これはILOの報告でございまするが、日本の三十人以上使っている所の労務者の賃金を一〇〇といたしますと、イタリアのほうは一一六でございます。それだけの違いがございます。しかし、イタリアの賃金の上昇の状況と日本の賃金の上昇の状況はどうでしょう。毎年一割ずつ日本は上がっておるじゃございませんか。これを世界の人が認めておるのであります。  また、個々の製造業の実際を見ましても、イタリアが一時間当たり三九・四セントでございます。月二百時間として二万八千円じゃございませんか、製造業、日本の五百人以上のところで、二万八千円、三万円とっている会社は、ざらにありましょう。こういう点から考えますと、為替相場で賃金を比べて直ちに低賃金というわけにはいかない、それじゃ。やはり賃金制度がございます。それから国民の一人当たりの所得水準、消費者物価というものを、実際の賃金の比較に入れなければいかぬ。今回私が参りましたときのこの労働省の調べにつきましては、よほど外国人のPRに役立ったと思います。エアハルト氏は、私に会うとすぐ——四年前に日本に来て、低賃金とか低物価とか言っておられましたが、エアハルト氏は、私に会うとすぐ、日本の物価、賃金に対して、四年前の考え方は間違っておったと言っております。そういうことでございまして、この問題につきましては、よほど実際を考えていかなければならぬ。まことに数字で恐縮でございますが、これにつきましては、いろいろ今後議論の的になると思います。  なお、高度成長はいつまで続くか。私は、十年以内に所得を倍増したいというので進めているのであります。十年以内に倍増するならば、平均七・二でよろしいのでございます。しかし、当初は、雇用関係で私は三年間九%でやろうとしている。しかるところ、これは物価高を除いた実質賃金が、三十四年には一七・九%、三十五年には一三・二%、三十六年には一四%上がっているじゃないですか。平均いたしますと、年に一五%、この状況でいきますと、十年以内じゃない、五年以内に倍増になってしまいますから、実質的に。だから、今度は少しずつ、あまり進み過ぎて息切れしちゃいけないから、少しずつ低下さすように引き締めをやっている。したがって、長い目で見てもらえば、私の申し上げたとおり、三十五年を基準にいたしまして、十年後には倍になるということは、国民が今のように努力して下されば、実現絶対可能と信じているのであります。ときに率の上がり下がりがあることは、経済の動きで当然でございます。これは長い目で見てもらわなければなりません。  なお、公務員の給与につきまして、五月からの勧告を十月からにいたしましたゆえんのものは、財政事情その他の施策から考えまして、十月からの施行を適当と考えたのであります。  なお、交通費の引き上げにつきましては、今、都内その他大都市のバス料金の値上げの問題があると聞いております。まだ実際どうなったかは聞いておりません。  以上でお答えといたしたいと思います。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫登壇拍手
  18. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まず第一に、現在の公務員の給与は、ぎりぎりの生活を許しているに過ぎないのに、物価が逐次上がっている。そこで、生活賃金との関係がどうなっていると考えるかという御質問でございました。政府といたしましては、生活賃金関係につきましては、常に人事院におきまして、絶えずこれが調査をし、必要な場合には適切なる勧告をいたしているわけなのでございますから、この勧告を尊重し、給与の改善に努めることにいたしているわけでございます。  次に、実施期日が一月一日になりました事情につきましては、ただいま総理大臣から申し上げたとおりでございます。  さらに、公務員の労働権の問題でございまするが、公務員の労働権は、公務員が全体の奉仕者として公共の福祉に奉仕するという特殊な地位にかんがみまして、従来から協約締結権、争議権を制限いたしているのでございます。そうして、公務員の給与、勤務条件その他の身分取り扱いにつきましては、特に法令によって保障する建前をとっており、さらに、この保障の万全を期するという意味で、中立的な第三者機関であります人事院に、公務員の給与及び適正な人事行政の確保についての勧告権を与え、政府はこの勧告を尊重するという建前をとっておりますから、公務員の権利擁護につきましては、現行制度において十分確保できるものと考えております。  最後に、炭鉱離職者の公務員に就職する際の初任給の問題でございまするが、これにつきましては、今後具体的な場合に、よく人事院と相談して善処いたしたいと存じます。(拍手)    〔政府委員佐藤達夫君登壇拍手
  19. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) お答えいたします。  まず最初に、公務員団体と人事院との関係について御批判のお言葉がございましたが、少なくとも私自身に関します限りは、人事院は公務員の団体に対する窓口であるという信念のもとに、時間の許す限り、代表者の方々とお会いをいたしまして、そうして意見の交換に努めて参っております。これは実績によって御承知願いたいと思います。  第二番目に、初任給についてのお言葉がございました。これは今回の勧告におきましても、従来の方針、あるいは基準にのっとりまして、民間と見合いながら合理的な数字を出しているつもりでございます。  なお、初任給と申しますれば、ただいまお言葉にありました炭鉱離職者の初任給という問題がございます。この面に焦点を合わせて申し上げますと、これもただいま上程されました一般職公務員の給与法の改正に伴いまして、これが成立いたしましたあかつきにおいては、人事院といたしまして、実は、技能者、労務者関係の初任給について、相当幅を設けるという意味の改正を、人事院規則において実施する予定であるのであります。その意味におきまして、炭鉱離職者の方々の面も、これによってカバーされる部分があろうかと思いまするが、それはそれといたしまして、ただいま炭鉱離職者全面的な問題といたしましては、労働大臣も申しましたように、今後の雇用計画の具体化とにらみ合わせて十分研究いたしたいと存じております。  それから、最後に石炭手当、東北における石炭手当の問題がございました。実は今日まで石炭手当は北海道だけということになっており、他の寒冷地は薪炭手当ということになっております。これにはまた、これにそれ相当の根拠があり理由があってのことと存じますので、ただいまここで直ちに東北にも石炭手当ということを申し上げるだけの資料なり基礎は持ち合わせておりません。なお今後の研究におまかせ願いたいと存じます。(拍手
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四十五分散会    ————・————