運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-12-20 第42回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月二十日(木曜日)    午前十一時二十六分開会   ―――――――――――――   委員異動  十二月十四日   辞任      補欠選任    永末 英一君  田畑 金光君    鬼木 勝利君  北條 雋八君  十二月十七日   辞任      補欠選任    北條 雋八君  鬼木 勝利君  十二月十九日   辞任      補欠選任    塩見 俊二君  谷村 貞治君    小西 英雄君  西田 信一君    松本治一郎君  中村 順造君    田畑 金光君  田上 松衞君  十二月二十日   辞任      補欠選任    西田 信一君  竹中 恒夫君   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     村山 道雄君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            大谷藤之助君            栗原 祐幸君            源田  実君            小柳 牧衞君            野知 浩之君            竹中 恒夫君            谷口 慶吉君            林田 正治君            谷村 貞治君            北村  暢君            中村 順造君            横川 正市君            鬼木 勝利君            田上 松衞君            小林 篤一君   国務大臣    農 林 大 臣 重政 誠之君   政府委員    農林政務次官  津島 文治君    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林大臣官房長 林田悠紀夫君    農林省農林    経済局長    松岡  亮君    農林省農地局長 任田 新治君    農林省振興局長 斎藤  誠君    農林省畜産局長 村田 豊三君    食糧庁長官   大沢  融君    林野庁長官   吉村 清英君    水産庁長官   庄野一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件農林省設置法の一部を改正する法律  案(第四十回国会内閣提出、第四十  一回国会衆議院送付)(継続案件)   ―――――――――――――
  2. 村山道雄

    委員長村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十四日、永末英一君が辞任され、補欠として田畑金光君が委員に選任されました。また、昨十九日、塩見俊二君、小西英雄君、田畑金光君及び松本治一郎君が辞任され、補欠として谷村貞治君、西田信一君、田上松衞君及び中村順造君が委員に選任されました。   ―――――――――――――
  3. 村山道雄

    委員長村山道雄君) それではまず、農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  政府側から重政農林大臣大谷農林政務次官林田政府委員松岡政府委員村田政府委員大沢政府委員富谷農地局参事官久我統計調査部長及び庄野政府委員が出席いたしております。  質疑のある方は、順次発言を願います。
  4. 北村暢

    北村暢君 前回御質問いたしました地域統計と、それから地域農政――この地域というものに関連する農林省統一見解、これを求めておいたわけでございますが、現在食糧関係統計関係それから今度の地方農林局関係、これに対する農林省地域統一見解がどうもはっきりしていないようです。まちまちであるようでありますが、これに対する統一見解を求めておったわけでございますが、これはいかようになったか、この点からお伺いいたしたいと思います。
  5. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、日本の地形は北海道から鹿児島まであるわけでありますから、農政のあり方といたしましては、地域農政をやっていかなければ地方実情に即さないことになりますから、そういう方向で農政をやっていきたい、こう考えておるわけであります。ただ山林でありますとか、あるいは食糧の問題でありますとか、あるいは水産の問題というようなものにつきましては同様のことを考えられるわけでありますが、しかし、漁場は海であり、山林はまた地域と申しましても各平坦地のようなわけにも参りませんので、おのおの同一に論ずるわけには参らぬと思いますが、しかし、やはりこれは治山の問題は河川の一つの系統で、山林、森林の経営をどうするかというような、やはり地域に従ってやっていくということにならざるを得ぬと思うのであります。食糧食糧管理問題等につきますと、これは地域性が私は必ずしも濃厚でない、こういうふうに考えておるわけであります。
  6. 北村暢

    北村暢君 理事さんの約束で、統計の問題については質疑をあの程度で終わってくれと、こういうお話のわけでありますから、統計の問題は、私理事約束に従って省略いたします。ただ、私は今度の地方農林局設置の趣旨に従って、決して今の地方農林局管轄区域というものは合理的でない、このように思うのです。これについて、この前の大臣答弁によりますというと、七地域でこれでいいのだと、こういうようなお話のようですし、官房長説明によれば必ずしもそうではない、実施してみて悪いところは今後直していきたい、こういうことのようで、答弁の若干のニュアンスが違うと思う。したがって、今後四国等は、私はやはり地方農林局が将来どうしてもできる可能性があるのじゃないか、また、その合理性というものがあるのじゃないか、このように思いますし、北海道等についてもこれらの問題について検討余地があるのじゃないか、このように思います。そのほか、関東等については非常にこれは範囲が広過ぎる。関東地方農林局範囲が広過ぎる。ほかと比較して、まあ名古屋等の場合はわずか三県であるが、関東においては十何県、こういうようなことで必ずしも合理性はない、このように思うのです。したがって、地方農林局設置が今度のものをもって最も最良とするのだ、こういう見解のように受け取れるような御答弁がありましたので、これは一体どのように考えておられるのか、あくまでも合理的で、将来これは変更の余地なしと、このように考えておられるのかどうなのか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  7. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) その点は、衆議院内閣委員会におきましても私御答弁を申し上げておりますが、必ずしも七地域というものが完璧のものではない。実施をやりまして、これはさらに合理的にこれは改変をしていくつもりでありますと、こういうことを申し上げたのでありますが、現在でもそういう考えでいるわけであります。
  8. 北村暢

    北村暢君 まあその点はそのくらいにいたしまして、次にお伺いしたいのは、地域行政を行なうという観点に立って今度の地方農林局設置せられるわけでございますけれども、その中にただいまの、先ほどの答弁でも地域というものについての見解について、林野関係水産関係農業関係必ずしも一致しない、こういうようなことでございましたが、私は、今度の地方農林局機構の内容を見まして、食糧関係がこの地方農林局に入っておらないわけですね。全然入っておらない。水産林野関係事務分掌について地方農林局に委譲するというのですが、食糧関係については一切これが入っておらない。このことについて私はどういう理由で、この食糧関係地方農林局地域行政と無関係だということでこれを除外したのか、この理由についてお伺いいたしたい。
  9. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは全然無関係と申すわけには参らぬと思いますけれども、比較的これはその他の行政に比べますと薄いのではないかと思うのであります。  なお、食糧管理につきましては、御承知のとおりに、管理法がありまして、食糧庁においてこれの運営をいたしておりまして、それぞれ各地方食糧事務所があって主としてこれは現業に属するというようなものでありますから、これは一応除いたことであると考えます。
  10. 北村暢

    北村暢君 今後の農林政策重点選択的拡大ということで、畜産、果樹その他の蔬菜等商品作物、こういうものに重点が置かれていることはわかりますけれども、農林政策の場合における米麦というものは、依然として今日、日本農政の中における生産量においても、需給の問題においても、重要性というものは変わらないと思うのです。ところが、地方農林局関係について、この米麦に関する行政というものが、生産面については今度の構造改善その他についてやられるのでしょうけれども、米麦に関する地域行政というものが、これが出ておらぬ。それで、農林省設置法の条項を見ましても、食糧関係の業務というものの中には「主要食糧国家管理並びに飲食料品及び油脂の生産、流通及び消費の調整を行うことを主たる任務とする。」こういうことになっておりまして、主要食糧については、これは食糧管理制度そのものだけでなしに、一般行政としても重要な役割を果たしている、こういうふうに思うのです。また、地域行政をやる上において、地方食糧事務所というものが農業協同組合、あるいは地方自治体との連絡というようなものからいけば、非常に密接な関係を持っておる、そういう関係を持っておるものが、地域行政の中に生かされないということについては、私は何かしら抜けたものができてくるのではないか、したがって、この地方農林局設置というものが、大臣のおっしゃるように、きめのこまかい地域行政をやる、こういうのだったならば、手足のごとく使える食糧事務所関係を、なぜこれを除外しなければならないか、農林省機構の中で一番末端の、農民あるいは農業協同組合地方自治体と密接な関係のある食糧事務所が、地方地域行政に、農政に使えないのであろうか、この疑問があるわけなんです。しかも実際の問題として、今後の産米改良というような問題についても、実際に農民を指導しているのは食糧事務所末端職員である、そういうものがなぜ地域行政に生かされないのであろうか、この疑問を持つわけなんですけれども、この点についてはいかように判断されて、この食糧事務所を除外されたのか、この点は非常に疑問に思いますので、お伺いいたしたいと思います。
  11. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 先ほど申しましたとおりに、食糧管理行政の実務は、現場的なものが非常に多いわけであります。米麦を買い入れるとかあるいはこれを配給するとかいうようなことが主となっておりますので、これは他の構造改革とかあるいは経済改革とかいうものとは同日にこれは考えるわけには参らない。しかもこれは御承知のとおりに、きわめて迅速を要するものでありますので、やはり従来やっておりますこの行政組織というものをそのままやったのがよろしい、こういうふうに考えた次第であります。
  12. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  13. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記を始めて。
  14. 田上松衞

    田上松衞君 水産庁長官が見えておりますね。
  15. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 来ております。
  16. 田上松衞

    田上松衞君 水産庁長官に御答弁願いたいと思うのです。  農林省設置法改正についてというこの説明の中の六ページの(5)の「ロ、次長の廃止と庶務の分離」という点です。これによりますると、次長を廃止する理由を、「今回の農林省機構改正は、簡易化余地のあるものは整理し、高級職員の数を原則として増加しない方針の下に行なわれているので、この際水産庁次長を廃止して園芸局長に振替えることとする。」こういう言葉が使われておるわけなんです。そこで、今までの次長制をなくするということが、ただ簡易化余地あるものを整理してしまうのだというようなこの説明だけでは、どうも納得いけないので、もっとこまかいところの説明を願いたい。次長はどんな仕事をしておって、こんなものはあってもなくてもいいのだからということにこの裏から聞えれば受け取れるわけなんですが、その点について、次長を廃止する理由、納得できるように御説明願いたい。
  17. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 水産庁次長でございますが、次長職務長官を助けまして、庁務を整理する、こういうことに相なっております。それで、水産庁仕事につきましては、御承知のように、国内水産関係と、それから国際関係とございまして、国際関係につきましても、各国との折衝等もございまして、従来の経緯でございますが、そういう関係におきまして、長官を助ける、そうして部内職務を整理する、こういったことで特別に次長権限というものはございませんで、長官補佐機関、こういうことに相なっておるわけでございます。それで、長官留守中の代行をやる、そういったこともあったわけでございます。この内部機構整備いたしまして、地方農林局もあわせて作って、本庁の事務地域行政に適合するように権限の委譲を地方に行なう、こういう段階におきまして、この次長制が問題になったわけでございますが、御承知のように、水産庁には、次長の下に漁政部生産部漁港部調査研究部、こういった部制をしいておりまして、部制の中におきまして所掌事務によりまして課を置きまして、部を構成をいたしまして分担を、行政をいたしておるわけでございますが、そういう関係におきまして部制をもって部内事務をなしまして、部長がこれを総括して行なっておる関係におきまして地方支分部局を運用する、こういった関係におきまして次長制についてはこれをさらに検討いたしましたが、この事務簡素化あるいは機構簡素化という段階におきまして部長制の活用、それから部内事務を、官房というものを置きまして、官房において、今まで漁政部等に置きました各部課共通事務等官房に移すというような関係におきまして次長制簡素化できる、こういうことで次長制を廃止する、こういうことに相なったわけでございます。
  18. 田上松衞

    田上松衞君 私は、わが国における漁業というものは、何よりも大きく国際関係を持ってしまっておるのだ、言葉をかえて言うならば、国際漁業という性格を非常に強く持っておるのだと考えておるわけでございます。現在のたとえば日米加ソの間に行なわれているところのオットセイ条約あるいは日米加漁業条約、さらに日ソ漁業条約国際捕鯨条約、さらにもう必然的にやってきます新たな日韓漁業条約日中漁業条約、こういうものの中に大きく縛られていきまする日本漁業のことを考えてみるときに、さっき申し上げた、まさにこれは日本漁業は国際的なものだ、こういうことを痛感するわけで、このことについてはどなただって御異論があろうはずがないと私は信じております。ところが、こういう条約の中に実際対外的な交渉をするときに、世間では一つの問題について百日交渉といわれるほど三カ月も四カ月も日を費してようやくまあ不完全ながらどうにか仕事につけるような状態が生まれてくると、これが実態だと考えているわけです。そこでこれらの交渉に当たる者が、私の乏しい知識で言いまするならば、やはりこれはいろんな国の代表が行くといたしましても、ほんとう日本漁業を完全にやっていこうとするためには、まあ水産庁長官あるいはさっき御説明になった、次長が特別の担当のあれはないといたしましても、これは大きな補佐機関だというならば、これらの人々がそういう折衝に当たるべきだし、従来そうだっただろうと考えるわけなんです。そうすると、そんな一件について百日交渉といわれておる時代に、あとはだれが一体内部的な統制をはかっていくのかということなんです、統率を。今御説明になったいろいろな部が設けてあるのだ、調査研究部があったり、漁港部があったり、生産部があったりあるいは漁政部、さらにまあ長官官房、こういうものがあってそれぞれの部でやっておるのだと、したがって、あまり次長はたいした存在ではないというニュアンスを感じたわけですけれども、なるほど縦の線においてはそれぞれのことはできるだろうけれども、水産庁全体を大きく動かしていく上においてはこれはやはり頭が必要じゃないかということなんです。的確にそう表現いたしまするが、そういうことを感じる時分に、どうも次長もなくしてしまうのだというようなことでは、何となく大きな柱がはずされてしまうような感じがするのですけれども、もっと私が納得できるような御説明いただけませんか。
  19. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 御指摘のように、水産行政におきまする海外関係仕事ウエートは非常に大きいものがございます。日米加あるいはオットセイあるいは日ソ関係、あるいは日韓関係の、現在におきましてもそういう事務が相当のウエートを占めておるわけでございます。それで、それにつきまして従来の次長制次長におきまする専務の関係でございますが、長官を助けるということにおいて総括的に補佐をいただいておるわけでございまして、長官留守中とか、そういったときには代行することもあったわけでございまして、それで、従来の国際関係におきまするそういった点を十分検討しての上のことでございますが、御指摘のように、百日交渉といわれる日ソ交渉におきましては、水産庁からは、モスコーでこれが行なわれるときは生産部長が出席いたしまして、代表部の一員として、それに当たるわけでございますし、来春予定されまする日ソ関係におきましても、これは東京で行なわれるということで、やはり生産部長がそれに当たる。こういう慣例になっております。また、オットセイあるいは条約等におきましても、これは生産部長が担当してやるということで、長官国内において総括的に対外関係あるいは国内沿岸関係というものを統括しておるわけでございます。なお、現在におきましては、次長日韓交渉等におきまする漁業関係においては代表ということになっておりますが、これも機構改革になりますれば内部機構整備いたしまして、日韓関係におきまする大きな問題は、日本沿岸漁業との調整が非常に大きな問題になろうかと存じますが、日韓関係におきましては、沿岸関係を担当いたしまする漁政部長等におきまして、これの交渉に当たる。そういった点。そうして、長官もそれを十分統轄していくということでさしあたり次長が落ちるということにつきまして、御指摘のような外交交渉等におきまする手不足といったようなことは、ただいまのところではそう考えられない、こういうふうにわれわれは考えて、また一方におきましては、部内機構整備して、そういった点の補充をやるということでやっていける。こういう確信のもとに次長制を廃止して、機構簡素化内部機構整備、それから地方農林局を作る。こういうことで進んでいるわけでございます。
  20. 田上松衞

    田上松衞君 対外交渉の場合、御説明のような工合にうまくこっちの計画どおり生産部長が当たってみたり、あるいは漁政部長が当たってみたりするというような場合があるとして、そういうようなことについては大体は了承はできるわけです。私が心配するのは、むしろ裏の、いわゆる内部的な事務処理完璧というものが依然としてやはり心配になるわけですよ。それぞれでやっておいても、これはちょっと言いづらい話ではあるが、一つの省の中においてもいろんな部局間における意見の統一というものは完全でない面が、これはあるわけです。言いづらいと申し上げたのは、いわんや今のような自民党がたくさんの派閥を作られておる、いわば連立内閣みたいな形がこれは実態でございます。これは露骨に申し上げます。この中には、一つのぴんとした線の中に何もかも一緒にしていくということは非常に困難であります。いい悪いの議論はこれは抜きにいたしまして、これが現実ですから、そういう中にあって日本水産業というものを、漁業というものをほんとうに完全なものにやっていこう。何のかんのといったってこんな小さな島の国の、海の国のことですよ、一番漁業という問題は大きく取り扱わなきゃならぬ問題だ。国民もこのことについては異論がないはずでございまして、そうした国民向けのことを考えていく場合、ほかの何よりもまして、そのことについては一つの省が一体となって、水産庁一つになってずっと進んでいく格好が望ましい。そこで言葉は適切でないかもしれませんが、これらの対内的、対外的ないろいろな問題を事務的に処理をしていくやはり一つ統率者というものは私は必要じゃないだろうか、こう考えるので、こんなくどいことを申し上げているのですが、しかし、この場に臨んで、一つ検討をされた案を打ち出されて幾らも日にちのない今日において、かれこれ言っても始まらぬから、せめて今望ましい姿は、次長にかわるべき、この説明の中の高級職員の数を増加しないという言葉ですけれども、高級かしからざるかは別といたしまして、少なくとも仕事の上に、この次長制を廃止するにかえて、たとえば審議官とかあるいは参事官とかいうような、これはどうでもいいのですが、内部でお考え下さって、こういうものを設置いたしまして、事務処理完璧を期するということが必須条件だと考えまするが、そういう御用意はないか、御配慮はないか、お伺いしておきたいと思います。
  21. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 先ほどから申し上げますように、水産庁には四部ございますが、漁政生産漁港調査研究、こういった四部制でやっておるわけでございまして、これを新しく部内機構簡素化整備ということをやりまして、漁政部生産部事務の移転、そういった移動といったものを考えておるわけでございまして、そういう設置法が成立いたします段階におきましては、生産部というものが主として対外関係水産政策を担当するように相なるわけでございます。また、漁政部漁政全体の企画をやるし、あわせて国内関係水産の政策なり、あるいは実施、こういうようなことになりますし、漁港部生産基盤整備ということになるわけですし、それを通じまして調査研究という科学的な裏づけをしていく、こういうような四部制で運用していくわけでございますが、これを長官の責任におきまして十分統括、活用いたしまして、これによって国内あるいは国際問題に対処していくという体制を簡素な機構において推進する、こういうことに相なるわけでございまして、次長を廃止しても、これにつきまして十分われわれとしてはそれに対処する覚悟と努力をいたしたい、こういう考えでございます。で、次長制を廃止いたしまして、そのあとにかわる審議官あるいは参事官、そういった制度等につきましては、ただいまのところは用意いたしておりません。
  22. 田上松衞

    田上松衞君 どうもまだ十分に了解できがたいのですが、非常に私心配するのは、さっきくどくど申し上げましたけれども、水産庁次長をなくしちゃって、それでこれを園芸局長に振りかえてしまうということにまあなるわけですね。私は国内だけで済むような問題については、園芸局長というのはそんなところまで重視する――それこそどっちかというと、よほど簡易化余地のあるものだと見ていいんじゃないか、理由はさっき申し上げたとおりです。日本漁業が持ついわゆる国際性という性格を重視いたしますから、非常に厄介な立場にあるわけですから、日本政府がどう考えてみたところで、相手のある場というものは一番大きな問題はこれだと考えて、そこへ頭がこびりついてしまっているからかように申し上げるわけですが、話は逆に戻るようですけれども、こういう点をまあ簡易化余地もあるいすだと考えられることは、どうも私どもの感覚とは合わないということなんです。従来の役所のしきたりがこうだったからといったって、世界の情勢は日に日に進んでしまっているわけです。少なくともこの近代的な世界実情に合わせていきまする、そこへ焦点を持っていく行き方でないと、これは内部で四の五の言っとったって、大きくいじりこわされてしまうことを心配するのですが、そういう中にあって、一方は、上のほうは出ていくわ――御説明で繰り返されたように、この場合には、生産部長が出ていくのだ、この場合には漁政部長が出ていくのだろうと言われたって、こっちのスケジュールどおり、そういうような思想を別にするような国柄もまじえての間におけるこの中で、なかなかそんなにそのことがうまくいくかということなんですよ。よけいなことを申し上げるようですけれども、この臨時国会の姿を見てすら、同じ日本国民がやっておるこの中で、道は一つであるにかかわらず、やっぱり思想感覚が違う点において、このような状態があるのじゃないか、国民の非常に心配させている姿が出てきておるのじゃないか、私は露骨に申し上げますよ。いわんや人種を異にして、利害を異にして、思想を別にしておるこういうものを相手にしてやっていきます中に、日本国民が寄りすがっておりますところの、島の海の国民がこの問題をそんなに軽視していいものかどうか。どう御説明されてもこれは感覚の相違といいますか、納得できない。しかし、こういう論議をさっきお断わりしたように、今日の時点に立ってこんなことを繰り返してみたってしようがないのだから、そこは子供じゃないのだから私はよく承知している。だからせめて今のでき得る範囲でもって、外の心配をしながら、内部の心配をしながら、その中にあってそれぞれの職務をお互いに持っていく、その中でひとつまとめていく、今の場合は主として生産部長内部関係には当たっていくというようなふうに聞えたわけですけれども、これはやはりそのときどきにおける個人々々の力関係といいますか、こういうものによって妙にしっかりになってみたり、ぐらつかされたりするという実際問題を考えていく時分に、やはりそこには一つのこれらをまとめて対外的な、対内的な事務処理をする一つ統率というと長官仕事に食い入るわけでしょうけれども、まあとにかくそれを完全に補佐していく、少なくともよくこれを処理していけるようなものがやはり必要じゃないか。そういう意味において、これはかりに申し上げるわけですが、審議官あるいは参事官というものでもいい、そういう面にもひとつ頭を向けていくのだ、こういう機関がほしいのだ、この意味で申し上げておるわけです。気持はおわかり願ったと思うのですが、今のところではその用意がないということでございますけれども、どうぞひとつこの点については、次官もおいでですから、真剣にこの問題は検討されて、そうしてそうかといって、やたらに不必要な窓口をふやすことは許されないと思いますが、その範囲内ででき得ることをお考え願いたい。この希望を申し上げておきます。
  23. 大谷贇雄

    政府委員大谷贇雄君) ただいま、日本漁業の国際的に発展しなければならぬ段階において次長制をとりやめるということは、そこに非常に欠陥があるじゃないかという非常な御心配でございました。仰せの点につきましては、十分に長官が申し述べましたように注意をいたしまして、あやまちなからぬように努めて参りたいと、かように存じます。
  24. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  25. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記つけて。   ―――――――――――――
  26. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 委員異動がありましたので報告いたします。  本日、西田信一君が辞任され、補欠として竹中恒夫君が委員に選任されました。  暫時休憩いたします。    午後零時十三分休憩    ――――・――――    午後六時三十五分開会
  27. 村山道雄

    委員長村山道雄君) これから内閣委員会を再開いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  政府側から重政農林大臣大谷農林政務次官林田政府委員松岡政府委員、斎藤政府委員村田政府委員大沢政府委員、吉村政府委員庄野政府委員久我統計調査部長が出席しております。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  28. 北村暢

    北村暢君 先ほど食糧事務所関係地方農林局に入らない理由を述べられましたが、いただきました資料によりますというと、食糧事務所、営林局及び営林署についてはその所掌事務が特別会計のもとにおける企業的現業であることから、その能率等を考慮して従来どおり存続させることとしている、こういう説明資料があるわけでございますが、この点についてこの資料にあるものどおりと解釈して差しつかえないかどうか、その点。
  29. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) そのとおりでございます。
  30. 北村暢

    北村暢君 これは後ほどまた質問することにいたしまして、次に特選米関係についてお伺いいたしますが、特選米を設けた理由は何でありますか、お伺いいたしたいと思います。
  31. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは御承知のとおりに、消費者の一般の声といたしまして、品質のいいうまい米を食べたい。少々値段は高くてもそういうようないい米をひとつ要求をせられる向きが相当にありますので、現在の食管制度のワクの中でそういうことはできないものであろうかということをいろいろ研究をいたしまして、現在のような特選米の制度を作ったような次第であります。
  32. 北村暢

    北村暢君 米価審議会が十日の三十一日に答申をされております。これは消費者米価の値上げに関しての米審でございますが、その際に特選米についての論議はどのようであったか、お伺いいたします。
  33. 大沢融

    政府委員大沢融君) 特選米についての論議と申しますか、ただいま農林大臣からお話がございましたように、今日のようにいわば食糧がある程度満ち足りてくると、一ころのように米でさえあれば何でもいいのだ、あるいは極端に、米以外の食糧でも口に入るものなら何でもいいのだというようなときと違いまして、需給が緩和して参りますと、量というよりはむしろ質のよいものを求めるというのはこれは当然なことだと思いますが、そういう意味合いから、いわば消費者の立場を代表しておられるような方々からはそういううまい米、まずい米というような区別をすることを管理制度の中でも考えるべきだ。あるいはまた、管理制度のワクの中でできなければもっとワクをはずしても考えたらいいじゃないかというような御議論は熱心に展開されました。
  34. 北村暢

    北村暢君 米審における論議の内容は今ありましたが、特選米という問題については論議はあったけれども、政府として米審にそういう意向というものを積極的に提案をした、そういうことはないのじゃないかと思う。そういう論議を通じて米審の答申がなされた後においてこの特選米というものを設ける、こういうことになったように伺いますけれども、ここら辺の事情は、米審のそういう論議を直ちに特選米ということで政府として決定した、こういうことになるのではないかと思うのですが、そうしますと、米価審議会が開かれる以前には特選米というものは政府は考えていなかったが、突如米審においてそういう論議があったからこういうものを設けた、こういうことなんですか。
  35. 大沢融

    政府委員大沢融君) そういうことではございませんで、消費者米価についていろいろ御議論いただく際には、当然品質の問題についても御議論をいただくということで米審でも御議論願ったわけでございます。私どもも、先ほど申し上げたような事情のもとに需給関係ございますので、質をどういうふうにして現行制度の機能を乱すことなしに取り入れていけるかということについては、絶えず研究をしております。米審でも、そういう特選米の品質を取り入れるという方向で進むべきだというような御議論が非常に多かったわけでございます。そういうことも考え、社会的な要求に従った新しい制度に一歩踏み出したということでございます。
  36. 北村暢

    北村暢君 そういうことを聞いておるのではなしに、検討をされたのはいいのだけれども、米審に積極的に特選米というものを提案されたのかどうかということを聞いておる。
  37. 大沢融

    政府委員大沢融君) 特選米という形では私ども提案をしておりませんけれども、特選米ということについての基本的な事項と申しますか、品質の問題については、十分御議論願うという態度で望んでおったわけでございます。
  38. 北村暢

    北村暢君 品質の問題について論議のあったことは内部の論議だろうと思うのです。そこで、従来の米の生産に関する農林関係の指導というものは一体どういうふうになされて、稲作に対する指導方針というものはどういうものであったか、これをお伺いいたします。
  39. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは北村さん御承知のとおりに、従前から産米の改良ということは行なわれておったのでありますが、これが非常に食糧不足になりまして、質より量へということになりまして、一時、従来とっておりました産米改良の奨励というものが率直に申し上げましてこれが下火になっておったのでありますが、食糧の情勢がこういうふうになって、需給も緩和せられ、また、国民の所得も増大をして参ったという、こういう状態になりまして、量より質へという消費者の考え方になって参り、これに対応いたしまして、最近におきましては、やはり良質米の生産、品質のいいものを生産するという、いわゆる産米改良考え方に沿った奨励の方向が盛んになって参っておるような次第であります。
  40. 北村暢

    北村暢君 そういう方針がいつから変わったのか存じませんけれども、現在とっている稲作の政策は、食糧増産政策ということで早生の多収穫ということが稲作の指導の根本の方針であったわけです、これは今、大臣がおっしゃったとおり。そうであったのが、今日そういう量より質だと、こういう方向に政策が転換をされて、その作付体系なり技術指導というものがそういうふうに転換をされたのかどうか。この点については、私はまだまだそういう段階にはなっていないのではないか、したがって、量より質ということになれば、将来は銘柄というような問題に発展をしていく可能性がある、そういう指導方針にいつごろから変えられてやられておるのか、また、農業の形がそういうような形に、稲作の形がそういうような形になっているのかどうなのか、この点について大臣見解を承りたい。
  41. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 最近は、漸次そういう方向に私は向かいつつあると思うておるのであります。ただいま御指摘になりましたように、将来はこの銘柄というものが非常に尊重をせられる時代に漸次なっていくだろう、こういう考えは私も同様に考えておるのであります。往年の銘柄による取引と申しますか、そういう方向に漸次進んでいくであろう、こういうふうに私は考えておるわけであります。早期栽培の問題は、御承知のとおりに、これは関西及び九州の地方にもありますが、これはやはり質より量へということで、県によりましてそういうような奨励を一部した傾きもあるわけでありますが、しかし、これらはただ現在におきましては、量産をするという意味においてだけでなしに、これはやはり農業経営の時期及び手間というようなものを組み合わしてこういうものがある程度やはり活用をせられていく部面があるのではないか、こういうふうに考えておりますが、漸次これらの早期栽培というものも、私はやはり銘柄生産と申しますか、御指摘のような方向に私は向かっていくのではないか、こういうふうに考えております。
  42. 北村暢

    北村暢君 私はこの問題は、後ほどまあいろいろ論議のあるところですから深くは質問いたしません。まあこの辺で打ち切ります。  次に、この特選米の基準、どういうものが特選米になるのか、まあうまい米が特選米じゃないかと、こういう消費者の要望等もあり、うまい米を特選米として現行の食管制度のワク内において特選米というものを作るのだと、こういうことのようでございますが、この特選米の基準というものは何であるか、お伺いいたします。
  43. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 詳細は食糧庁長官から説明を必要によっていたさせますが、大体はこの特選米というのは、生産検査によります一等米、二等米というものを大体基準に考えておるわけであります。そうして搗精歩合いもつまり白い米、普通米よりも搗精度を高くする、あるいはその中にいろいろな雑物と申しますか、そういうものが入っておる程度が非常に少なく、そろっている、小米を少なくする、いろいろそういうような精選をいたしまして、品質の非常にいい米になっておるわけであります。そこで味の問題でありますが、味の問題はなかなか基準にそれを掲げる程度までまだ私どもとしては十分なる自信を持っておりません。がしかし、この特選米をこさえる場合に、やはりこの運用上銘柄の、銘柄までをあわせて特選米を作るような工合にこの運用をしていく、こういう方針で大体やっておるわけであります。
  44. 北村暢

    北村暢君 特選米の原料になるのは一、二等米以外に、銘柄のものも入るのですか。
  45. 大沢融

    政府委員大沢融君) 先ほどからいろいろと御議論があったわけですが、特選米の原料は一、二等を充てる、こういうことでございます。
  46. 北村暢

    北村暢君 そうすると、大臣の、銘柄を入れるということはどういうことなんですか。
  47. 大沢融

    政府委員大沢融君) 銘柄の問題はこれは――と申します前に、うまい、まずいということはこれは個人的な嗜好でございまして、特選米をこのたび考えます場合に、そういう個人的な嗜好まではなかなか考えられない。そういう個人的な嗜好によるうまい、まずいというのは、おそらく銘柄によってきまってくるかと、こう考えますが、そういう個人的なものまでなかなかこれに入れられない。先ほど大臣が言われたように、よくみがきあげて、雑物もとり、きれいな米にするということで、むしろ外形的な基準を設けて一、二等からそういうものを作っていく、しかし、よくみがきあげてきれいな、雑物のない米ですから一般的な意味で食感がいいといいますか、うまみがあるということにはなろうと思いますけれども、そういう意味で、銘柄の問題は特にこの中には入っておりませんけれども、しかし、お米屋さんの段階ではおそらくおいしい特選米を作ろうということで、一、二等の中で特にいい銘柄とあわせておいしい米を作っていくということで運用はされるということはあろうかと思います。そういう意味で大臣はおっしゃったのだろうと思います。
  48. 北村暢

    北村暢君 まあそれはいいよ。それでは、うまい米必ずしも特選米ではない。これは見かけのいい米である、これはもう答弁によってはっきりしたと思う。したがって、うまい米というのは新潟あたりの軟質米地帯はほとんどが三等である、しかし、この三等米はうまいという点については、地方的な嗜好もあるけれども、三等であって特選米でないものがうまいということは現実に起こり得るわけであります。そういたしますと、先ほどの、この消費者の要求にこたえるということになれば、うまいものを特選米にする、そういう要求をいれるということになれば、これは三等米が特選米になる可能性があるのじゃないか、このように思いますけれども、そういうことは起こり得るのか得ないのか、どうですか。
  49. 大沢融

    ○政府姿員(大沢融君) うまいまずいとおっしゃいますが、新潟の米がうまいと、こうおっしゃいますけれども、むしろ、自分の県の米がうまいとおっしゃる方が多いので、これはやはり個人的な嗜好によるものですから、先ほど申し上げたように、特選米というのはよくみがきあげてきれいなんで、一般的にうまみがあるということは言えると思いますけれども、おっしゃったような個人的な嗜好に合うようなうまみというのは、これはまた別のものでして、今私どもきめました特選米、ああいう規格に合うものは、やはり一、二等からできる。ある場合には三等の非常に上質のものから作れるということがありますけれども、そういうものはむしろ経費もかかる。たとえばくず米を除くというのは、手数もかかるし、米屋さんも経費倒れでむしろ作らぬということもあろうかと思いますし、さらにもし作って特選米ができたというようなことは、これは防いでいきたい。特に申し上げますが、小売と消費者の結びつきというような点についても、今度は制度を直しまして、米屋さん自身の相互の間の監視もするし、あるいはまた、小売のほうも、小売業者を消費者が監視するというような形で、三等米から特選米だと称して売られるというようなことは、そういう消費者の監視のもとで防止をしていきたい、こう思います。
  50. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、この特選米は、小売段階で特選米というものを作る。あくまでも政府の管理制度の中において卸段階までは監督が行き届くけれども、今の説明からも明らかなように、特選米を作るのは小売段階である。この監督はなかなか簡単にはいかない、従来もいっておらない。やみ米というものが小売段階で平気で流通している、こういう段階で、この特選米についても監督は私は非常に困難である。そういうことから、食糧庁長官は、消費者にこの選択の自由というものがあるのだ、こうおっしゃっているのであろうと思う。これはなかなか簡単にいかない問題だ。したがって、今までの大臣食糧庁長官答弁を聞いておりますというと、将来は量より質ということに移行をし、銘柄というものが重んぜられるような形になる。そうしてそれのいいか悪いかということは、政府の管理下にあるのではなくして、消費者の選別による、この考え方というものは、明らかに私は小売の段階以降は米の自由化にいく、こういう方向をとっている思想だと、このように私は判断をいたします。したがって、この問題については、一体、この食管制度の範囲内においてと、こう言われるけれども、この特選米というものはやはり自由米的な、やみ米を自由米に切りかえるといったあの河野農林大臣、当時の河野構想、こういうものに一脈相通ずるものがある、このように考えられるのでありますけれども、これに対して、私はそういう考え方を持っておるんですが、一体農林大臣は今までの答弁からして、この特選米が一体いかなるものになっていくのか、これでもなおかつ食管制度というものはくずれないのかどうかということについての確たる答弁をいただきたいと思います。
  51. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 食管制度に手直しをするかどうかという問題につきましては、御承知のとおりに、松村謙三さんを会長にいたしました食管制度の懇談会が設けられまして、非常に熱心に御検討になりまして、ようやく先般御答申をいただいたわけであります。これは北村さんはもう御承知のことと思いますが、その内容は三本立と申しますか、三様の意見が併記して答申を見まして、また、各委員の御意向も私は聞いたのでありますが、そこで大体共通しておりますことは、現行の食管制度はとにかく手直しをする必要があるということだけは、これは各委員を通じての御意見のように私は拝聴をいたし、また、そういうふうにも答申をいただいて、思ったわけであります。大多数の方々は、食管制度は改善をすべきものである、改善をするについてはいろいろ考え方があり、それが三通りになっておるわけであります。でありますから、この問題は、十分に、この答申をいただきましたので、慎重に私は検討をいたしてその態度をきめたいと考えておるのであります。  で、今回の特選米はそういうような考え方、将来この食管制度を変えるとか、どういうふうにするとかいうような考えは私は持ってやったのではありません。消費者の御要望に沿うことが現行の食管制度の範囲内においてできるかどうか、こういうことを十分に検討をいたして、米審の、また、委員の方々の御意見もありいたしまして、この制度を本年から初めて採用をいたすことにしたような次第であります。食管制度の根本についてこれを改善するというような意図をもってやったものでないことを私はこの機会に申し上げておきます。
  52. 北村暢

    北村暢君 あとの時間を考えましてごく簡単に質問したいと思いますが、次に米の需給関係の問題でございますが、これについては若干食糧庁長官から、具体的にどういう状況になっているのか、政府の買い上げ、売り払い、それから特に今年の十月から十一月にかけての需給の状況、特に六大都市においてどういうような状態であるか、こういう問題について御質問いたしたいと思います。
  53. 大沢融

    政府委員大沢融君) 三十七米穀年度が最近終わったわけですけれども、それを振り返って見ますと、昨年三十六年産米、あるいはそれ前の持ち越しがございますが、そういうようなもの、買い入れたもの、新たに買い入れたもの全部を含めまして、さらに輸入米等についても多少の輸入をし、あるいは持ち越しを持っておりますが、供給といたしましては千二十四万七千トン、それに対しまして主食あるいは業務用、こういうものに出しましたのが五百九十万五千トン、さらにそのほかに酒米でありますとか、あるいは菓子の原料でありますとかいうようなものに出したものを全部合計いたしますと六百四十七万トン、そういうことでございますので、差引といたしまして三十八米穀年度、つまりこの米穀年度への持ち越しは三百七十六万トンということで過ごしてきておるわけでございます。  十一月、十二月の大消費地の状況ですが、これは確かな数字を私ちょっと記憶しておりませんが、大体一月あるいは一月半程度のものを持って十一月、十二月は、最近はおる、こういうふうに思っております。
  54. 北村暢

    北村暢君 私はきょうは時間がございませんから、数字をあげてのそういう論議はまた農林水産委員会等でやりたいと思いますから、これは省略したいと思いますが、傾向として需給関係がどうなっておるのか。しかも私は消費者米価の値上げに関連をして、特に東京等においては倉庫がからっぽになってしまって――この値上がりを配慮して業者の買し占めその他が行なわれた、また、農家の売り惜しみということが出てきた、そして東京等においては倉庫がからになって危機の状態になった、この事実、これは当時新聞等に発表したならば、今までの配給というような形でなしの、やみなり何なりして買い占めて家庭に一カ月分置くというようなことが起こったならばたいへんな状態になる。こういうことでもう政府当局ばかりでなしに、まあ関係者の中ではよく知っておることですが、新聞に報道することを極力避けた。これは消費者米価の値上げとの問題において需給の問題に非常な危機が来ておった、これをひた隠しに隠さざるを得ない。これは混乱を避ける意味において当然のことと思うのですが、そういう実態にあったということを私ども聞いておるところでございます。したがって私は、この需給の問題について、今日六年連続の豊作でありながら、米食率というものは高くなり、政府の買い上げも売り渡しも年々歳々多くなっておる。したがって、これは現在の食管制度に対する、非常になれた中でありますけれども、信頼度というものが高まってきておる、こういうふうに判断するのです。それでもなおかつこの需給面において消費者米価の値上げと関連して、この需給というものがそう楽観を許さない段階にあると、このように判断しておるのですが、一体手放しで楽観していい段階なのかどうか。この点について大臣見解を承りたい。
  55. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 手放しで需給を楽観をするわけには私は参らないと思うのであります。需給は非常に従前よりは緩和をして参っております。からといって手放して楽観して、米が非常に余るのだというわけにも私は参らないのが現状であると思う。ただ傾向といたしますと、これは何年後、あるいは十年後かどうかわかりませんが、これは国民の食生活の変遷にもよることでありますから、そういうような傾向から見ますというと、国民の米食率というものは、私は長い目で見るとそう上がらない、むしろこれはだんだん減っていく傾向にあるのじゃないか、こういうふうに私は判断をいたしております。  それから今回の消費者米価の値上げによりまして、非常な買いだめが行なわれたとかなんとかいうようなことを聞いたというお話でありますが、これは私はそういう話は聞いておらないわけであります。これは政府がみんな配給をいたしておるのでありますから、政府が手持米を出しておるのでありますから、政府においてはよくわかっておるわけであります。なお詳細御必要でありますれば、食糧庁長官から答弁をいたします。
  56. 北村暢

    北村暢君 これは北海道新聞「米屋の倉庫底をつく、人気でた配給米、かつぎ屋農家出し渋る。」ということで、もうやみ米が流通しなくなった、そして米屋の倉庫は底をついてしまった、こういう状態で、その日の配給に非常に困難を来たした、これはちゃんと新聞に出ている。東京の実情を見てごらんなさい。こんなこと知らないで、東京という大都市の米の消費というものを預かっておって、そういうのんびりした答弁、私は知りませんでは――一体東京の倉庫がどういう状態になったか、からっぽになったじゃないですか。こういう答弁というものはないでしょう。そういう大臣の手放しで楽観するような状態になっておらない、これは。今出回り期が来てようやく息ついて東京都民は波乱なしに過ごせた。辛うじて切り抜けた段階ですよ、これは。そういうことを御存じないですか。これは業者から何からみんな知っているのですよ。ただ消費者一般にこれは知らされない。混乱するから知らされなかった、それだけのことですよ。そういうことが、大臣手放しでそういうことは聞いておりませんなんていうことじゃおかしいと思う。
  57. 大沢融

    政府委員大沢融君) 北村先生言われるようなことで、端境期あるいは最近米がなくて非常にあぶない状態になっておるというようなことはこれはございません。私ども消費者に御心配かけるようなやり方はやっておりません。端境期と申しましても、昔のようにある一定時期に集中的に生産が行なわれるというようなことと違いまして、最近は米のとれる時期がならされて非常に幅広くなった、あるいはまた、先ほどお話がございましたように、早く米がとれる早期栽培、そういうことで昔は十月の末というようなことになると、端境期というようなことになって米の手持ちが少なくなるというようなことだったのでございますが、現在は九月中に年間に買う米の二割を集めております。十月のいわゆる端境期といわれた時期には六割は政府の手に入るようなことでございますから、そういう御心配はございません。ただ先般十一月中には、先ほど大臣が言われましたが、これは例年になく米が出ております。しかし、これはおそらく消費者の方が米価の値上がりがあるというようなことで、小売の方が今買っておきなさいというようなことに応じて買われたというような事実もあろうと思いますけれども、そういうことで平常売れるもの、ことに十一月は全国的にはどちらかというと政府の米が出るのが少なくなる時期ですが、そういう年間を通じての輸送計画なり配給計画なりを私どもやっておるわけですから、そういう意味で突如としてと申しますか、十一月には普通は売れない月なのに、それ以上に売れるというような現象が起こったというようなことで、ある地方に倉庫がからになったというようなことはこれはあるかもしれません。消費者の方に御心配かけるような状態は一切ございません。
  58. 北村暢

    北村暢君 それはおっしゃるとおり、総体の統計的な数字的な問題についてはそのとおり、何も需給が極端にことしになって逼迫したわけでもなんでもない、それはそのとおりです。しかしながら、これは消費者米価を上げるというこの問題について、流通が食糧庁長官の言われたような統計数字で説明するような状態になかったことは、これは事実です。米総体についてはあったでしょう。需給も端境期を乗り切るには少なくてどうにもならない、こういうことではない。確かにそのとおりです。しかし、現実の問題として米屋に米がなくなったという事実、これはある、東京の深川の米倉庫が一体どういうような状態になったか、これは私は事実に基づいて申し上げているのです。それくらい米というものは相場によって、今相場というものはないけれども、簡単に消費者米価を上げるという――十二月一日から上がるだろう、そういう事実においてもうすでに米の流通関係がそういう危険な状態に陥るほど投機的に利用されるものである。これがしたがって私の言いたいことは、簡単にこの米の統制を撤廃して今日いいというような状況には需給関係というものはまだまだいっていないじゃないか、このように思うのです。したがって、これは手放しで楽観してもらっては困る。ということは、そういう価格問題を含めて、量だけの問題ではない、そういうことを言いたかったのです。それを大臣は、何も心配はないと、深川の倉庫の実情、これは後ほどやりたいと思います。  それから次に、価格の問題でお伺いいたしますけれども、特選米は今度の基準米価外であるというわけで基準三等が九百五十五円ですか、十キロ九百五十五円、これが特選米千十五円、こういうことになっておりますけれども、この特選米の千十五円というものの政府の卸売価格一、二等が特選米の原料でございますから、これの買い入れ価格とそれからこれの卸価格、それからこの消費者価格が百五十キロ、石当たり一体どのようになるのか、これをひとつ数字でございますから、食糧庁長官から御答弁願います。これは玄米換算で答弁して下さい。
  59. 大沢融

    政府委員大沢融君) 玄米換算にいたしまして一等が売り渡し価格、百五十キロ当たりですが、一万三千二十八円、二等が一万二千八百二十八円でございます。
  60. 北村暢

    北村暢君 今のは何ですか。
  61. 大沢融

    政府委員大沢融君) 特選米として政府が売る一等、二等玄米の売り渡し価格でございます、卸に対しての。それからここでは米の買い入れ価格は時期別格差その他がついておりますから、時期によって違いますが、平均的に申し上げまして、軟質米の二等が一万一千六百五円、それから一等が一万一千八百五円、こういうことになります、裸で。
  62. 北村暢

    北村暢君 消費者価格玄米換算……。
  63. 大沢融

    政府委員大沢融君) これを玄米に換算いたしまして一万三千七百二十一円でございます。
  64. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、政府の一、二等の買い入れ価格の価格差というのは、三等を基準として二等が二百円、一等が四百円になっておるわけです。そうしますと、特選米の十キロ一千十五円というのは消費者価格で、玄米換算で一万三千七百二十一円ですか、卸売価格は一等で一万三千二十八円ということですが、そうしますと、特選米に関する限りは、価格問題ではこれは赤字は出ない、こういうことになるだろうと思う。そうして二等については、買い入れ価格は一万何千円だったのですか、政府の買い入れ価格は。
  65. 大沢融

    政府委員大沢融君) 二等は一万二千八百二十八円、一等は一万三千二十八円。売り渡し価格は。
  66. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、卸売価格から言っても、政府の買い入れ価格から言っても、消費者価格から言っても、特選米に関する限りはこれは赤字にならない、こういうことだけは私は今の数字ではっきりするのじゃないか。特に二等米については相当の値幅がある、こういうふうに思うのです。そうしますと、この特選米の十キロ当たり千十五円というのは当然にこれは買い入れ価格に影響をしていくのではないか、もう少し高く買ってもいいではないか、一、二等はもう少し高く買ってもいいのではないか、こういう心配が出てくるのであります。したがって、消費者価格としての特選米の一、二等の値の開きが二百円、四百円というものが特選米のこの価格でいけば大体百五十キロ九百円くらいの差になる、玄米換算でいけば、九百円がまだちょっと下がるだろうと思うのですが、いずれにしても政府の買い入れ価格の値の差だけははるかに高い価格になるのではないか。このように思うのです。これは普通米との価格の差においてそういう点が買い入れ価格に今後影響していかないのかどうなのか、これについてはどうでしょう。
  67. 大沢融

    政府委員大沢融君) 先ほど政府が買います価格を申し上げましたが、あれは裸と申し上げましたが、あれに時期別格差でありますとか、あるいは申込加算ですとか、あるいは包装というようなものを含めますと、二等で一万二千三百六十四円になるわけです。一等は一万二千五百六十四円になるわけです。そこで先ほど申し上げた政府が売ります値段は一万二千三百六十四円で買ったものを一万二千八百二十八円で売るわけですが、確かにお話のように、五百円くらいの開きがございますが、これは政府がそのほかに運賃でありますとか、保管料でありますとか、われわれ食糧管理に携わっておる職員の人件費でありますとか、あるいは集荷に要する経費でありますとか、あるいは売ったり買ったりする場合の金利でありますとかいうようなものを石当たり千二百四十円負担をしているわけですから、そういうものを入れますと、たとえば二等のもので一万三千六百四円かかっている。それを一万二千八百二十八円で売っている。やはり逆ざや、そういう意味からは売り値に応じて買い値を上げる必要があるというようなことにはならないのじゃないか、こう思います。
  68. 北村暢

    北村暢君 この問題については、逆ざやになっているというその食管制度の根本の問題なんで、今の中間流通経費、これは行政費として負担すべきであるという理屈もある。したがって、これは私どもとしては直ちに米価で逆ざやだ、こういうことになるというふうには私ども直ちにそれを認めるわけにはいかない。この論議は別としまして、政府の買い入れ価格の価格差と、それから特選米としての基準、普通米との価格の差というものが必要であるわけです。しかも一、二等米というものはこれは従来は配給米であったものが今度は配給米から普通米の基準の価格からはみ出た特選米というのですから、そういうものになっているのですから、当然これは配給米の質というものに対して先ほど特選米というものは非常に見かけのいい米について一、二等上げているのだというのですから、当然従来の配給米の質というものが落ちる、質からいえば。うまいうまくないは別として質からいえば落ちる、このように私どもは判断しますし、したがって先ほど申しましたように、この小売段階における監督という点からいっても不合理な面が出て参りますし、需給の面においても、この特選米というものについてやみ米が今後どうなるかという問題について価格の基準価格からはみ出たものが一つ出た、こういう問題、さらに先ほど言った需給の手放しで楽観できないという問題、それから今言った価格の問題、これが必ず特選米だけでなしに消費者米価の値上げというものが買い入れ価格いわゆる生産者価格に影響をしていく、そうすれば消費者価格が上がったのだから生産者価格も押えなかったか、生産者価格が上がれば消費者価格も上がるのは当然なんです、こういう理屈になっている。これは明らかに現在の食管制度、食管法の第三条、四条の米の強制買い上げ、直接統制、こういう考え方、法の精神とは、私はやはり法の精神には沿わない方向にいくのじゃないか。したがって、今大臣からも答弁ありましたように、食管制度の問題については米穀管理制度懇談会の松村懇談会の答申もあり、これが結論三本立になって出てきているのでありますから結論というものはない。一体農林省はこの松村懇談会の答申というものをいかに生かすか、どういうふうに結論出すか、これを農林省の、農林当局の結論を出さなければならないところに追い込まれた。従来は米穀懇談会に逃げておったけれども、これは許されない段階に来ておる。しかも大臣の意見を聞きますというと、この懇談会の大勢の意見はやはり現状ではいかぬ、何とかしなければならない、こういう方向のようでございますけれども、私はこの米穀懇談会の結論の三つの柱の一つの中に、現在の完全統制というものを維持していくべきである、こういう意見もある、その内容的なものは若干違うようでありますけれども、維持していく、こういう意見も明らかにある、そういうことでございまするので、私は、食管制度の、この米の直接統制というものは、今日なお統制を撤廃する方向にはいろいろ多くの問題をかかえておる。簡単に統制ははずすべきではない、こういうふうな見解を持っておるのでありますけれども、ひとつ大臣見解を承っておきたい。これで私の質問を終わりたいと思います。
  69. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 先ほど申し上げましたとおりに、まだわれわれといたしましては、これをどうするということの結論は持っておりません。もちろんこれはきわめて重大な問題でございますから、慎重に私どもは検討をいたさなければならぬ、こういうふうに目下のところ考えております。
  70. 横川正市

    ○横川正市君 これはおもに北海道のテンサイ糖の生産等を中心といたしまして改善事業の重要項目に該当いたしますから、この点について、だいぶおそくなっておりますけれども、いずれ具体的な内容は農林水産委員会でやるとして、この際、柱となる三本立を聞いておきたいと思います。  その一つは、まずこの砂糖の消費量が、今すぐお答えいただければ今すぐお答えをいただきたいと思うのでありますけれども、過去において大体ここ十年くらいの統計ということが必要なんでありますけれども、三年ぐらいでよろしゅうございますから、この消費者の消費量の増高する経緯を、どういうふうに進んできたかをお答えいただきたいと思います。もちろんこれは将来どういうふうに増高していくかということも当然考えられなければならないのでありまして、これは消費をする量が将来どう上がっていくかということによって、日本の砂糖産業というものの見通しがつくわけでありまして、その砂糖産業の将来の見通しがついた上で、私はこの甘味資源対策について一そうひとつ具体的に聞いていきたいと思いますから、その増高の経緯をまずもって御説明いただきたいと思います。
  71. 大沢融

    政府委員大沢融君) 砂糖の消費の動向ですが、これはこまかい数字を申し上げて恐縮なんですが、会計年度で申し上げますと、今から六、七年前の三十年には百十万トン、それが三十三年には百二十六万トン、それから最近の三十六年の実績は百五十六万トン、さらに三十七年にはふえる見込みでありますが、これを一人当たりの年間消費壁に換算してみますと、三十年が一二・三キロ、三十三年が一三・七キロ、三十六年が一六・五キロ、三十七年はさらに一七キロくらいというようなことで、この消費の趨勢は所得弾性値というようなことではじいてみましても大きなプラスになるようでありますし、諸外国での砂糖の消費量ということを考えましても、これからさらにさらに伸びていくというようなことが考えられます。
  72. 横川正市

    ○横川正市君 砂糖の消費量が伸びていくだろうという見込みの上に立って、砂糖産業に対する農林行政というものがどうあるべきかという点で、まず一脈、この十月の初旬に、農林大臣と総理との間で砂糖の自由化についてのほぼ意見の一致が見られたと、こう言われておるのでありますが、砂糖自由化についての総理と農林大臣との意見の一致をした内容。  それからほぼ四月自由化、こういうふうな見込みのようでありますけれども、この期日について間違いないかどうか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  73. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私と総理との意見の一致をした内容というお話でありますが、これは砂糖の自由化をこの国際貿易の情勢の上からいけばやりたいというのが総理の御意見であります。私は、もう国際貿易の状況からいたしますというと、どうもいつまでも現状のままでおるわけには参らない。近い将来に砂糖の自由化ということは、現実の問題としてこれは起こってくるであろうということを私も考えておったわけであります。しかしながら、砂糖の自由化をいたしますには、国内の砂糖産業というものが独立ができるような施策を講じなければ、現状のままで砂糖の自由化をするということについては私は反対である。でありますから、まず先決の問題は、国内の糖業というものが自由化をしてもこれが独立して立っていける、こういう状態にこれを置かなければならぬ、こう考えまして、そのことを総理にも申し上げておいたわけであります。その後、私はいろいろ、国内の砂糖企業というものがどうすればこれが独立していくことができるかということについて検討をいたしまして、一応の案を作成をいたしたようなわけであります。私といたしましては、ただいま申し上げますように、国内砂糖企業、したがってまた、これは原料を提供する農家にも影響するわけでありますが、これらが独立ができる、こういうことがあくまでも前提の条件であります。その政策をすみやかに実行することが先決である、こう考えておるのであります。  四月に自由化できるかどうかということでありまするが、それらの条件が四月までに満たされますればこれは四月にもできるでありましょうが、当然予算も必要であり、法律も必要であり、あるいはその制度も作らなければならないわけでありますから、それが四月にできる、それらのことが完全に四月に行なわれる、こういうふうには現在のところ私は思っておらないのであります。それで御了承賜わりたいと思います。
  74. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、新聞ですが、どうも最近国会審議では、新聞記事というのは信用の度合いがきわめて希薄になってしまいまして、私どもは政府内での検討の経過とか、あるいは結果というのは、議会の審議を通じてのみ知ることが、これは真証ということになるわけでありますけれども、しかし、それではいささか私どもは手おくれになるわけでありますから、いきおい新聞が取材した内容について、ほぼ従前でありますと、九〇%、ある部分については一〇〇%真証としてお聞きをすることになるわけであります。そこで、今農林大臣の返事では、四月実施を目標にして、海外に出かけられる前の総理とお会いして、四月実施について、ほぼ意見の一致を見た、こういう記事はその後変わってきて、このときには農林大臣の砂糖行政のあり方について、四月実施には間に合いそうもないということで、実施の期日というものは、ほぼ四月は目標としては消えた、こういうふうに見ていいわけですか。
  75. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これはただいま申されました新聞の記事というものを私ははっきり存じませんが、今お述べになりましたような記事であるならば、それはちょっと私の真意と異なっておるのであります。いやでも応でも、何らの準備も十分にしないでも、四月にやるということは、当初から考えておらない、先ほど申しましたとおりであります。国内糖業産業、企業というものが成り立つ、こういうふうにすれば成り立つ、これらの条件を満たさなければ、これは砂糖の自由化ということは行なわないということは、私が当初から考えており、また、これは主張もいたした方針でありまして、それは先ほど申したとおりに、法律制度も必要であれば、予算も必要である、こういうことでありますから、これはいずれ通常国会にそれらの点については御審議をわずらわすことになるだろうと思うのでありますが、そこで、またこれらが国会の審議状況にもよりまして、これが二月なり、あるいは三月の初めに、これらが全部国会を通過するというようなことになれば、これはまた格別、四月の終わり、あるいは五月の初めに実施ができるということになるかもしれませんが、おおむねそういうことにも参らないと思うのでありまして、そうすれば、四月を目途としてやる、こういうふうに私は申しましたけれども、これは単なる目標であって、ということは、早りやりたいということなんです。これは準備ができたら早くやりたいということであって、準備ができなくても四月にやるということでは断じてない、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  76. 横川正市

    ○横川正市君 これは実は新聞記事では、あなたの言うように、日本の砂糖生産関係のそれぞれの立場のものの保護育成という問題を考えながら、四月から自由化をするという案を持っているわけですね、農林大臣は。その持っているということの上に立って四月から自由化するというのでありますから、私は少なくとも消費税、関税その他必要な法改正とか制度の改正とかというものが着々と準備されていって、そして大体四月を目途にする自由化に踏み切っていく、こういうことが腹の中にあって、少なくともこれは池田・重政会談ということで内容が一致したのではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、これは違っておるかどうか。
  77. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それは違っておるわけでもなんでもないのでありますが、それらの内容について総理が一々承諾せられたわけでもない。予算は大蔵大臣と今折衝しておるわけです。法難制度も今立案をいたしておりますが、これはまた政党内閣である以上は、政党のまた意見も聞かなければならぬ、こういうことになるわけであります。でありますから、これは総理と私とが意見が一致したとか、話が大体それでやろうということは大まかな話であって、内容的にこれがつまらないと、私も踏み切るわけには参らない。これは当然のことであります。そういうふうに御了承願いたい。
  78. 横川正市

    ○横川正市君 だから私が聞いているのは、いろいろあるでしょう、これは紆余曲折は。しかし、農林省としては問題点が三つぐらいにしぼられているんですけれども、そのしぼられたものを少なくとも通常国会ではこれを解決をして、そして四月実施を踏み切りたい、こういう考え方だというふうに理解していいですか。
  79. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 四月実施ということは、実施できるような格好にならなければこれはできないんですよ。これは大体私が一人でこさえるわけには――国会というものがあるんだから、国会においてそれが法律が成立し、予算も通るというようなこと、その期日が一体問題なんです。でありますから、方針としてはできるだけ早く準備を整えてやりたいというのが方針である。たまたま早くやりたいという意味において四月を目標としてということを言っておるんだ。これがわからないかな、これで。
  80. 横川正市

    ○横川正市君 今のやりとりをやっている内容で、ちょっと私も気に食わないのは、実はあなたのほうで方針を、四月から自由化に踏み切ってと、池田さんと話をして意見が一致したという新聞記事を見たから、その記事は農林省の方針として間違いないかと聞いているわけです。もちろんこれからいろいろ折衝されるところもありましょうし、国会の審議も経なければいけませんから、問題はその結果でなければこうなりましたとは出てこないでしょうけれども、農林省考え方としては、あなたの出した三つの方針というものを通して四月から砂糖は自由化に踏み切りたい、こういう方針を持っておられるんですかと聞いているんであって、あるんならあると答えてもらえばいいわけです。
  81. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) だからその四月ということに非常にこだわったように聞かれるから、私は率直に私の考えを今まで申したわけであって、その四月というのは、四月に必ず行なうという意味でも、そういうこれは方針でもなんでもないんです。これはできるだけ早くやりたい。それを四月を目標として準備を進めていく。準備を進めてもそれができなければ四月はやれない。これはあたりまえのことなんですよ。そのことを申し上げております。
  82. 横川正市

    ○横川正市君 そこで国内ビート糖の保護政策で一応これは、日本の場合には、全体の消費量の八〇%が輸入される砂糖によってまかなわれておるわけでありますけれども、終戦以来、甘味資源については相当重要な産業として、この育成をいたしてきたんだろうと思うのでありますが、その育成にもかかわらず、現状二〇%を出でないという、こういう状態なんでありますけれども、将来、日本のビートによる砂糖の生産をどういうところまでの比率にもっていこうとされているのか。ことに、西ドイツやイタリアあたりでは、終戦以来でありますけれども、大体、砂糖というのは自給ができる、一〇〇%自給ができるということには成功しているのでありますけれども、日本の場合には、一〇〇%の五分の一の段階にしか来ておらない、こういう状態なんです。将来、これはどこまで国内生産を高めていくのか、その目標をどこに置いておられるのか、それをまずお聞きしたい。
  83. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これはもう申し上げるまでもなく、御承知のことと思うのでありますが、砂糖を輸入するために、一億ドルも外貨を払わなければならぬ、これをそのままにしておくということは、この面から考えても、できるだけこの外貨の支払いを少なくしていかなければならぬということは当然のことであります。それからまた、農政上の問題から考えても、北海道のようなところでは、ビートを取り入れていくということが、これは非常に重大なことである、こういうふうに考えまして、できれば、一つも輸入をせぬで済むようになれば、これほどけっこうなことはないと私は思うのでありますが、これはなかなかそうはいかない。一応北海道庁並びに農林省において立てられた計画というものはあるわけであります。ところが、これは率直に申しまして、その計画に沿ってビート工業を発展せしめる、あるいはビートの栽培をどんどんふやしていくということには、私は、現在までは欠けるところがあるのではないかと、こう私は考えたわけであります。  そこで、現在考えられるだけのことを考え、これでいけば、これは土地改良もやっていき、あるいは品種の改良、あるいは労力を省く方法も講じ、さらに、そのビートの買い入れの価格もこれは考えて、他の作物とも比較して、もう少し高く買えるのではないか。あるいは企業の面からいえば、現在のところでは、原料が少ないから赤字の工場が多いと、そういうこともこれは直していけるのではないか、こういう面から、現在のような政策を考えた次第であります。
  84. 横川正市

    ○横川正市君 農林大臣、少しきょうは疲れているようで、必要以上に労力を使って答弁されるんで、かえってあなたのほうが疲れるから、老婆心ながら、簡単でいいですから、たとえばこの生産計画はどのくらい残すつもりかといったら、今は八対二だけれども、これを五分五分にしたいとか、何年計画でどうしたいとかいう方針があるんでしょうから、それだけ答えてもらえばいいのですが、そこで、ちょっと食糧庁長官にお聞きしますが、過去五年くらいの間の原料生産北海道のビート、テンサイの原料生産が、これは当初の目標に従って、逐次増高されていっているのですか、それとも減少の段階にあるのですか。その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  85. 大沢融

    政府委員大沢融君) 三十四年に、御承知のように、甘味資源総合対策ということで考えました当時の見通しに比べまして、三十四年ころまではビートが、北海道の面積も、あるいは反収も伸びておりましたけれども、私の記憶が違わなければ、三十五年から少し減り、三十六年、さらに今年も、その当時見通しておりましたほど、面積も伸びない、あるいは反収も伸びないというような状態で、当時考えておりましたほど伸びておりません。
  86. 横川正市

    ○横川正市君 昨年ですか、一昨年でしたか、一昨々年でしょう、何か相当政治的なやりとりがあって、十勝清水に一カ所、それから同じ十勝本別に一カ所と製糖工場が新しく建てられておる。それから現在さらに四カ所にわたって新しい工場の建設認可の申請があるようでありまして、これについては農林省として、これも新聞記事ですから、お答えいただかないと真相はわかりませんけれども、ここ一、二年の間にさらに四工場追加をする、こういうような話があるわけであります。私は、きわめて砂糖の需要が増大をしていき、それから砂糖工業が必ずしもマイナスの工場ではなしに、前向きの工場である。それなのに、生産者では作付反別が減少し、現在動いております工場をも十分な原料の供給ができないという、一体、生産者に対する指導とか、あるいは振興とかいうものは、これはどういうふうにされようとしておるのか、この点が実は、私どもが砂糖の問題をちょっと見たときに、一番最初にぶつかる疑問なんです。そこへ持ってきて、四月自由化という問題が出てくる。国内の砂糖に対する政策がほとんどないのに、四月自由化ということになったら、たいへんなことになるというのが、これまた私どもの質問とするところであります。そういう点で、農林省としては、この砂糖のあり方については、何かもう少し筋道の立った行政上の姿勢といいますか、そういったものがあっていいのじゃないかと思うんです。これは一体どうするつもりなんですか、今日以降ですね。
  87. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) お説のとおりであります。そこで筋道を私は立てるつもりで、そのビート糖に対して、あるいはカンショ糖に対して、ブドウ糖に対しても、それぞれ筋道を立てるつもりで立案をいたしてこれを実行に移したい、こういうふうに考えておるわけであります。ビートについて申しますれば、これはいろいろ伸びない原因があると思うのでありますが、第一、ビートの値段が他の作物に比べて安い。なぜ安いかといえば、これはビート糖はやはり精製糖の値段に左右せられるということになるわけであります。そこで、この原料も少なくて企業も赤字である、したがって、このビートの値段を上げることもできぬ、そこで、今の消費税をやめたら、二十一円の消費税というものは、これはビート糖についてはそれだけの幅ができるのであるから、それだけの幅があれば、これでビートの値段も、ある程度上げることができる、あるいは原料が、現在少ない原料であっても、その赤字を少なくすることもできる、そのうちにビートの生産をふやしていく、こういうことでいけるのではないか。簡単に言えばそういうようなことも考えて、この消費税の振りかえ、関税の振りかえということを考えたわけであります。その他まあ政府のやりますのはビート糖の買い上げの問題でありますとか、まあいろいろこまかい問題はあるわけでありますが、そういうふうにいたしまして、とにかくビート糖業という糖業企業というものをとにかくこれは独立していくようにする、こういうことを考えなければならぬのであります。  それから先ほど申されました、さらに四工場の設立を農林省が認めるのではないかというふうな新聞記事のお話がありましたが、私は生産の増強に応じて工場の設備はすべきものである、こういうふうに私は考えておるのであります。当初作りましたこの計画に即応して工場を作るというのではどうも足らない。ある計画に即応して生産がふえておるかどうか。ふえておらなければ現実の生産に即応していかなければならぬ、こういうふうな考えで私らおるのであります。したがって、そう簡単にこれ以上工場をまた新設を認めるというわけには簡単には参らぬ、こういうふうに私は考えております。
  88. 横川正市

    ○横川正市君 まあそういう部分について答弁をしていただくのはいいのですが、時間がないからずばりそのものでやっていただきたいと思うのは、砂糖についてはこれはあなたのほうで、たとえばイギリスではどう、アメリカではどう、西ドイツではどうというふうに、大体その国でどういう政策をとられているか知っているわけです。ところが、砂糖に関する限り日本の戦後の状態というのは、三十五年かにこの甘味資源の法律が一本できたきりで、ほとんど政策らしい政策というのは持っておらないわけですよ。だから私は自由化の問題がどうこうということもありますけれども、当面農林省としては、砂糖に対してどうするのかというやつを一本出さにゃいかぬのが当面の時期ではないのか。大臣の言うように、自由化にはこういう問題があります、それから国内のあれにはこういう規制があります、いろいろな問題があるが、そういった一つ一つをとらえて、ああです、こうですと言っていたのでは、これはまた政策論議になって長くかかるから、私の期待するところは、一体あなたの農林大臣としての就任中に、きわめてすみやかなる時期に、砂糖に対するはっきりとした政策を打ち出す考え方があるかどうか。その場合、私は砂糖の値段の問題から考えてみると、ここに生産者価格からいきますと、アメリカ、イギリス、西ドイツ、 フランス、 オランダ、 ベルギー、イタリア、スペイン、オーストラリア、日本とありますけれども、その中で、イギリスの次に一番日本が安いです。税抜きで五十四円という価格で、アメリカが六十七円十銭、イギリスが四十一円六十六銭、西ドイツが七十七円六十一銭、こういうふうに出ております。それがなぜ砂糖の価格が、日本の小売格価が、すなわち私どもが買うときには百四十円にもなるか、この点はいわゆる生産者保護とかなんとかということじゃ私はないと思うのですよ、実際にはですね。たとえば西ドイツには、それならば実際上自分でもって原料を生産するのにどういう政策をとっているかというと、やはり国で相当この砂糖の生産については大きな振興策というものがあって、そうして供給される砂糖の値段というものを安くしているわけですよ。だから、値段の面から見ても私は問題があると思うのです。  それからもう一つ、私どもは非常にわけがわからないのでありますが、これは取るほうがいいのでありますけれども、一体取っていく法律もない。聞いてみましたところが、これは会社の善意に基づく献金方式で、甘味資源管理委員会というところに、これは社団法人でありますけれども、そこへ金を預ける。この砂糖の超過利潤の取っていることも、これはどうも、なぜ超過利潤を取っているのかという法律根拠を示せといったところが、これはないという。そのないというのに、三十四年、三十五年では、第一期分として二億八千万円ですか納入されて、それがさらに一部産業の振興に二億金を出しましたと。こいつは、何というのでしょう、つかみ金で、こんな金があっちへいったりこっちへいったり、それからその資源管理委員会が、これは農林大臣の認可事項でやっておるのでありますけれども、こんなものだっておそらく表面立って出てこないのじゃないですか、国会の審議その他には。こういったものがそのまま放任されているということにも、私はまた理解できない。ただ、これはきょうは具体的な質問はやめて、明日以降の決算委員会で明らかにしたいと思いますから事実上きょうの質問はやめますけれども、実際ね、現在のこの砂糖に対する農林省の方針というのは、実は数代の農林大臣のところでどんな取り扱いをしてきたのか。これはもう全部ひとつ洗いざらしにしないとわからないような状態、ことにこんなことで伏魔殿的な状態が放任されているということですね。こういった点を私は一体砂糖行政の施政として農林大臣はどうしようとされるのか。この際はっきり方針だけ聞いておいて、あとはひとつ決算委員会で質問いたしたいと思います。
  89. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 今いろいろまあお話し出ましたが、一キロについて幾ら幾らといういわゆる精糖業者から取り上げておるのは、これは先年国会で御承知のとおりに、工場利潤といいましたか、そういうことが問題になって、それでいろいろ原価計算もやり、税金のことも考えて、どれだけを出すべきであるということを計算をいたし、そうして精糖業者がそれを納得して、そういうものを今お話しになりましたような社団法人、そこに拠出をして、それでこのビートの値段以上に、まあ補助金といいますか、そういうものをそれに出さしたり、あるいはカンシヨにそういうものを出さすというようなことで、まあ内地の甘味資源の振興のためにその金を使っておるわけであります。もとよりこれは私もそういうような行き方は私はあんまり好きでない。これははっきりひとつ取るものは法律で取る。そうして国庫の収入に入れるものは入れる。使うものは予算でこれは使うと、こういう方向に行きたい。こう私も考えておるのであります。それから大体その輸入糖、今のまあこの国内の甘味資源の開発上三十四年の開発の場合でも、結局この輸入糖の値段が中心になるわけであります。これが中心になりまして、ビート糖の値段もきまり、ブドー糖の値段もきまる、こういうことになりますので、そこで見方を変えますれば、砂糖の値段が高いということは、これは税金が非常にかかっておるということでもありますが、その税金を減らすことができぬということは、結局、国内のあるいはカンショであるとかサトウキビであるとかあるいはビートというようなものを保護するという建前から、これを税金を安くすることができぬというのが現状であるわけであります。そこで、私どもといたしましても、先ほどもお述べになりましたとおり、政府ができるだけのこれに対しては助成もいたし、そうしてまた、生産の指導もやって、そうして内地の糖業そのものが立ち行くようにこれはすることが第一義である、こういうふうに考えて、今その方針をきめて、具体的にその政策を立てて関係方面とも今折衝をいたしておる段階であります。
  90. 田上松衞

    田上松衞君 時間がないようですから、できるだけ簡単にいたします。  まず、今回の改正案について感じた私の率直な意見を一言申し上げますると、この改正の目的をうたっておる前文、これはよく書かれておる、一読して。こういう工合に社会情勢の正確な認識ができるようであるならば、多くの国民がことごとにどうせ役所のやることだということで、まあ期待と関心をそらしておる。この中にあってこれはまんざらでもないなという感じがいたしたのであります。相当いかすじゃないかということすら感じたくらいだったのです。ところが、だんだん次に触れてきますると、実際率直に言ってがっかりしちゃった。こういうような、くどいようですけれども、前文の中に書いてあるのは、「行政運営の適正円滑化を確保する上において最も重要な基礎となるものである。」「国の行政組織は、」それであるから「常に時の要請に応じて改善整備さるべきものである。」こうしておいて、「特に、最近、農林水産漁業と他産業との間における生産性及び所得水準の格差は拡大し、他方、農林水産物の消費構造の変化、農林漁業人口の他産業への移動現象がみられる等農林水産業及びこれを取りまく諸情勢は急激に変化しつつある。」、そのとおりです。的確な認識だと思うのです、さっき申し上げましたように。ところが、一体これにどういう工合にそれならば対処するかという点を探ってみますると、全くがっかりしちゃう。問題はこれに対処する道の中身が一体どうなんだ、われわれが感ずるのはその点だけなんですよ。まあずっとこの中に正直に書いてあるように、前文では農林水産あるいは農林水産漁業と、いかにもつかんであるけれども、あとになってみると、これはほとんど農林行政に関するだけのことでございまして、水産に関しては全く目をつぶっている現状であるということなんです。これは全然こういうような考えではこの情勢を認識されたこれに対処するやり方としてはもう似ても似つかぬものだと私は酷評したいと思うのです。しかし、こういう問題は、ただ私が要請をかねて次に質疑いたすことに関連するのだから、この程度だけに言わしてもらったわけですが、念のために言いますけれども、なぜこう言うかといいますると、証拠をあげなければならぬ。これは改正の要旨の中の「一」の「農林省機構整備」、その「五」の中にイ、ロ、ハ、ニでこう分けて、わずかに「水産庁機構及び所掌事務整備」、これをうたっておるわけなんです。見てみると、何のことはない、これは所掌事務上のことだけであって、こうした激しい変化をしておりまする中に対処する点が全然書かれていないということなんです。その中の一つといたしまして、私は先刻指摘いたしました水産庁次長制の廃止という問題が言えるわけですけれども、この点については、さっき長官もあるいは大谷政務次官も認識を新たにしてこれには善処するという旨の答弁を得たのでありますから、今さらこれを繰り返す必要はない。問題は、この場で言いたいことは、こういう中にあってやる問題は、これら漁業に従事するところの労務者というもの、これにどう対処するかという点であります。私が知る範囲においては、今まで漁業労働関係漁政部に属しているところの協同組合の中に置かれてある労働班といいますが、班というけれども、それは実質は単なる係で、一人かそこらしかいないものが担当していた。非常にこれは心細いことだと思っておったのですが、こういう時局に対処するのには、こうした中身こそひとつ目を向けてもらわなければならぬはずだと思うのです。先刻もそれとなくこれに触れましたように、日本漁業というものが国際的な大きな性格を持っておるということで、いろいろなことに縛られておる関係から不祥な事件が起こるわけです、次から次へ。食うためにやっておることが船が拿捕されてしまうという、ただでさえも板一枚下地獄という中で働いておるのに、ましてよその国で拿捕されて、実に聞くに忍びない残酷な状態の中に置かれておるわけですが、こういう人々の血によって日本の多くの水産関係というものをどうにか成り立たしていかなければならぬ状態です。これら御本人は言うまでもなく、これらの家族のこの問題に向ける期待といいますか、要望というものは相当強いものがある。多くの説明を要せずして血の気のある者だったらわからなければならぬはずのものなんです。私は、近代的な行き方をするならばこのほうをまず第一に考えていかなければならぬと思うのです。多く見られるところの、大きな圧力を加えていくことのできない彼らの立場にもっと真剣に目を向けなければ困ると思うのです。ところが、これを見ますると、一体どうなっておるかというと、今までそうした漁業組合の中に置かれた、そこでやっておったのが、ただ今度は改正案で新設されるところの企画課にこれを移してきた、これだけのことです。中身は何も変わってないのだ。これはただ事務を移しているそれだけのことでしょう。こんなことで、くどいようですが、さっき言った、こうした激しく変化していく、この困難な複雑な労働行政というものが、一体完璧なものであるといえるか。期待ができるか、こう考えているのですが、一体これらに対する大臣の的確な認識を正直にひとつ表明していただきたい。
  91. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御指摘漁業労働関係の重要なことはもう全く同感でございます。ただいまお述べになりましたように、今回の改正におきましては、企画課を設けて企画課長がこれを担当していくことに考えているわけであります。十分ひとつ陣容を充実をいたしまして、遺憾なきを期していきたい、こういうふうに考えております。
  92. 田上松衞

    田上松衞君 御答弁では企画課長がこれを担当するというようでありますけれども、この中に示されている法案の内容を見ますると、それは大臣がその場当たりで言われるだけの話でありまして、そうなっていないのです。これは企画課が扱っていきます中には、ちょっぴりここに今後新設される中に表示してありますが、ただ何分の一かの仕事のすみっこに、漁業労働に関する件、これだけ載っているわけでありまして、このほかに多くの仕事を企画課は持っているはずなんです。私はそう認識しているのです。企画課を設けるということの件についてそれ自体について私は言いません。これはそのことも必要だと考えております。これを完璧なものにしていく、水産業をやっていくためには企画課がなければだめだということは百も承知です。了解いたします。だけれどもその中で何か漁業労務行政だけを担当する的確な責任のある人間が必要だと私は考えます。逆にお聞きしますけれども、企画課長みずからやるんですか。何か手足をどのくらい持たせるというお考えですか。
  93. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 事務的なことでございまするので、私から答弁させていただきます。現在漁業の労働につきましては、先生御承知のように、漁業協同組合課がございましてその中に一つの係があるわけでございます。しかし、その係は漁業労働関係の保険の事務とかいろいろな事務をやっておりまして、二人くらいでやっておる次第です。それで今回は水産庁の調査官室というのがあるんでございますが、それを企画課に昇格いたしまして、うんと拡充をいたしまして、それに漁業労働の一つの班を設けまして、もちろん企画課長がみずからやるわけでございまするが、その下に班を組織いたしまして、その班で十分漁業労働に今後もっと積極的な施策を進めていきたいという考え方を持ってやっておるわけでございます。
  94. 田上松衞

    田上松衞君 言葉としては納得できるのですよ、言葉だけでは。もっと中身について、班を設ける、その一体数的な質的な問題、打ちあけて下さい、もう少し。
  95. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 班の内容でございまするが、これは今まで一つの係の一部でやっておりましたのを、班の中に係を二つないし三つぐらい設けまして、その係は大体三人くらいで構成されるわけでございまして、まあ八名ないし十名ぐらいの班で漁業労働が行なわれるというように考えております。
  96. 田上松衞

    田上松衞君 いろいろ御要望を申し上げておきたいと思っておったのですが、今の中身をほんとうに間違いなくやっていただくならば、はっきりいえば、むくむくしている気持があるのですけれども、全部これは了解できます。これ以上なにする必要はないと考えまするので、私の質疑はこれで終わります。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 全般にわたりましていろいろ伺いたいのですが、結論はあとで申し上げますけれども、まず本省の機構につきまして、これはごく要点だけひとつ質問いたしますが、大臣はこの園芸局を作ってしかるべきだというふうに判断をされたのかどうか。提案としては園芸局としたいというのですから、そういう判断をなさったのだろうと思います。確かに園芸というものは、非常な勢いで発展いたして参っておりますけれども、しかし、行政としての園芸課というものは、決して日の当たる課じゃないのですよ。これは園芸そのものと行政組織の課とをごっちゃにしてもらっちゃ困ると私は思う。局にするというのですが、これはどういうお考えで局にされるのか、まずそれを承りたい。
  98. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、果樹、園芸、畜産といえば、いわゆる成長部門であります。ところが、これは現状と申しますか、従来はこの果樹、園芸というような部門に対しましては、多くの注意を払っておらなかった、行政上。現在並びに今後のことを考えてみますると、これは重要な部門でございまするから、あるいは技術の方面におきましても、あるいは政策の方面におきましても、専門的にこれを考えて、十分その発展を進めていきたい、こういうふうに考えまして、これはぜひ重要な部門として園芸局を創設いたしたい、こう考えておるわけであります。
  99. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣もやはり日の当たる産業と言われる園芸、その非常な発展というものと行政組織としての園芸課、それをごっちゃにしておられるように私は思うのです。大臣は局にしたいという場合に、行政事務に非常にたんのうな、知識と経験を持っておる局長なりそういう方々の意見を十分お聞きになりましたですか。
  100. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これはいろいろ私も各方面の御意見は承っておりますが、園芸局創設につきましては、各方面からやはり要望せられておるところであります。ぜひこれはやりたい、こういうふうに考えております。
  101. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 各方面から要望されるというのはわかるのですけれども、実際長年農林行政にタッチをし、あるいは園芸あるいはこういう行政組織に十分な経験と知識を持っておる人たちの意見を十分お伺いになったというふうには見られないわけなんです。若干伺いますけれども、四、五年前でありますか、園芸局を作ったら、あるいは園芸部を作ったらという話がありましたですね、そのときには農林省の中には園芸課というのはなかったわけですね。で、特産課の中にあったわけです。それが園芸課になりましたのは、つい二年くらい前じゃないでしょうか。その課が突然局になるわけですね、部になるのならまだ話がわかるわけですけれども、突然局になるというものですから、これは行政組織の常識からいいまして異常であるというふうに私は思っておる。一体このできております園芸課というのはどれほどの予算と、どれほどの法律関係、法令関係を所管しているのか、私詳細に見てみますと、これはちょうど課でいい、予算の面におきましても所管する法令の関係におきましてもこれは課でよろしい、こういう印象を受けるわけなんですよ。それが突然局になるものですから、どういうことをなさろうとなさるのかちょっと解せないわけです。ですから、私は二年ぐらい前に園芸課になったのですが、その園芸課になったのが仕事がどんどんふくれ上がっちゃって、予算もふくれ上がっちゃって、あるいは所管の法令もふくれ上がっちゃってはじけそうになっちゃって、そうして園芸課の中を二つに割って、三つに割って独立させる。それでは主謀になるから総務課でもつけて局にしましょうかという話ならわかる、そうじゃないでしょう、いかがでございますか。  さらに、現状はともかく、将来これは局として予算を持ったりあるいは法令を所管するようなものじゃないでしょう。私はそう思うのです。これは大臣答弁が、こまかい点でありますれば大臣でなくてもよろしゅうございますが、しかし、その点はやはりはっきりしてもらわないと、行政組織を取り扱う内閣委員会としてはこれはゆるがせにできない、こういう問題は。そこでひとつ伺いましょう。
  102. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 園芸局の人員でございますが、現在振興局に園芸課と特産課があるわけでございます。それで園芸課の現在員は五十五人でございます。それから特産課の現在員が十六人、それで今回園芸局にいたしました場合にはこれを百三人にふやしたいということを考えております。それから園芸局の予算でございまするが、今度園芸局に編成し直した場合に、その局が三十七年度においてどれくらいの予算を持っておるだろうかということについて考えてみますと、大体十億見当の予算を持っております。それから園芸関係のどういう法律を所管するかと申しますると、果樹農業の振興の特別措置法とかあるいは主要農作物の種子法、あるいは農産物の種苗法とか、こういう種苗関係仕事もこれで担当しております。そのほかにビートをここで所管いたすので、ビートの振興法につきましてもこれで所管するということになります。
  103. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今十億円という話でしたが、この大半はビート会社に対する差額とか……、ビートですよ。園芸に該当するものは微々たるものです。今法律一つですよ。おっしゃった中に。で、今度園芸局というのができまして、そうして園芸課それに特産課を合わせてそれに経済課を入れて総務課と四つで局ができるわけですが、見てみますと園芸局には該当しないですね。特産局ですよ。中はビートとバレイショですよ。お茶ですよ。今百三名とおっしゃいましたが、全国組織から見ましても百三名、地方が三百一名です。これは大部分はバレイショです。だから私はこれは特産局に該当する、園芸局にならないと思う。で、私は、大臣、河野さんにしましても、重政さんにしましても、これは神様じゃないんですからね。神様だとこれは間違いというものはないんだけれども、あるわけですから、神様でないわけだから、大臣がおっしゃったからといって、これは長年の経験と知識を持っている局長あるいは課長という人たちが積極的に意見を述べにゃいかぬと思うんです。どうもその述べ方がはなはだ不十分だと私は思うんです。どうでしょうか。それは官房長御努力下さいますが、意見を述べられておるのかどうかですね。
  104. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 果樹に園芸が成長部門であることは御承知のとおりです。非常にむずかしい問題で、三十八年度も若干の予算を計上いたしたいと考えておりますのは、この価格安定の政策でありますが、果樹、あるいはリンゴであるとかあるいはミカンであるとか、あるいは野菜その他につきましても、この価格安定の施策を十分にやりたいというのが私の念願でありますが、こういうものをやはり専門の局長でひとつ十分に考えてやっていきたい、こう考えておるわけであります。で、これはだんだんに、品目も多いのでありますから、ここで専門に考えて、漸次これは拡充して参りたい。そういう点について考えてみましても、これはりっぱに局に編成をしていくべきものである、こういうふうに私は考えておるわけです。
  105. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 予算は、昭和三十七年度予算、それから農林省が三十八年度予算で、要求しておられる内容は今申されたとおりございますけれども、その内容は決して園芸に該当しない。ビートとかバレイショに該当するやつですよ。ですから、おっしゃるように、何かえらく流通関係を強化なさるようなお話ですけれども、三十八年度予算にはそういうものはないわけですよ。ですから、さしあたって部に該当してもいいように思うんですけれども、局になったわけですね。しかし、これは看板倒れでありまして、これは特産局に該当しはしませんか。あるいは、これは羊頭狗肉の類ですよ、これは。これは組織をあずかっている内閣委員会としましては、容易に承知できないと私は思うのです。ですから私はたびたび申し上げておるように、非常に日の当たる園芸というものと、行政組織としての、あるいは行政の量としての陶芸というものとは違う。これを何か急にふくらまされるような話ですが、どうもそうじゃないようですよ。何かやられますか。
  106. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) どうも予算の額が少ないから、どうも局の資格はない、部でいいと、こう言われますけれども、ただいま申しましたように、予算の額は少なくても、価格安定の施策をどうやるか、さらに野菜の面におきましても、あるいはいろいろ温室栽培、ビニール栽培とか、いろいろの私は今後施策をやっていかなければならぬことがたくさんにあろうと思うのです。で、将来のことを考えますというと、決してただいま鶴園さんのお話のように、これははずかしいものでは断じてないと私は考える。
  107. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃもう少し大臣ね、何か流通のことをやるからとおっしゃいますけれども、それが大臣どうも行政としてずれていると思うのですけれども、行政の量というものを考えなきゃいけない。その場合に一番大きな問題になるのは、やはり予算とか、所管の法令とか、あるいはそういう事業量になるわけですよ。で、一体農林省の幹部ですね、これは園芸局を作るのが妥当だと見ているかどうか。どうも私は農林省の幹部は園芸局を作るのを妥当と見ていないように思うのですね。(石原幹市郎君「全国から陳情しているじゃないか」と述ぶ)石原理事、妨害しちゃいけない。だからそこら辺がずれているのじゃないかと思う。で、農林省では、どうも局は作るのだけれども、これは局にならない非常に苦労しておられるのですね。これからまあ局になるようなものにもならない。まあ局長を置いて、そうして四人の課長を置けば、役人というものはその仕事を探してくる能力は天来持っている。本能的に持っている。したがって、何らかの仕事を見つけてきて局みたいな形になるのじゃないか、こういうような言い方をしているのですけれどもね、そこら辺のことを大臣御判断になったんでありますかね。今、私が大臣お話を承っている限りでは、組織としてはやはり部にする、そうして局にしていくというような段階を踏まれるのが妥当じゃないか。確かにこの振興局には普及部という部が一つあります。しかし、園芸局という局を置かれても差しつかえないと思う。しかし、この振興局というのは、農政局というような形の農業経営を中心とした局になさるというのなら、それじゃ農産や特産や園芸もあわせて農産局なりあるいはそういったものにされたらどうかと私は思うのです。ですが、これはあまりこの問題に深入りいたしましても、石原さんの御発言もありますし、適当に配慮をしてやらないと、お互いに理事同士でありますから、これが私はこの園芸については今申し上げたように、行政のベテランである農林省の幹部の人たちはそういうふうに思っていない、遺憾ながら。非常に苦労しているわけですね。局にしてみたけれども、確かに石原さんの御発言のように、外部では局にせい、局にせいという、そういう声もあるわけですよ。ありますけれども、そこは農林省農林省として、行政をあずかる農林省農林省として、あるいは大臣として適当なる御判断をいただいておやりにならないと、農林省の幹部というものはきわめて封建的な、常識にきわめて反するような園芸局というものができる、非常に遺憾だと思いますけれどもね、いかがでございましょうか。
  108. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私はまだ省内でただいまお話しになりましたようなことは聞いておりませんが、むろんこの省内の幹部の、それを担当しておった役人の意見もむろん尊重はいたさなければならぬと思いますが、われわれは御同様に政治家でありますから、国民の要望の声を聞き、そうしてまた、将来のこの動向も考えて、そうして部局の編成というものはいたさなければならぬ、こういうふうに私は考えて、この園芸局というものを設けることにいたした次第であります。
  109. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣は御承知ないようですけれどもね、よく出てるんですよ、農林省の印刷物には、そういうような、私の申し上げたような話が。ですから大臣は灯台もと暗しで、あまり大政治家になっていらっしゃるのか、知らないですが、おわかりにならないようですけれども、そういうふうに出てるんですよ。遺憾ながら私もそうだと思うのです。これは農林省の幹部の方が申されるとおりだと思うんです。ところが、どうも天の声かどこの声か知りませんけれども、局を作れというお話があったんじゃないですか。どうもそういう経過でこの園芸局ができたように思うんです。私も、園芸を奨励されて、あるいはそういう方面についての政策をどしどし立案されることについては大賛成です。そうあるべきだと思うのですが、遺憾ながらそういう状態にないので、大臣は、私一言で申し上げまして、どうも灯台もと暗しという傾向が非常にある、園芸局につきましては。全体については申し上げませんが、証拠をあげろといえば申し上げますけれども、証拠はあげませんが、私はそう思うという点を一つつけ加えたいと思います。これは決して園芸局に限らず、あと地方農林局の問題につきましても同様であります。私は河野前農林大臣あるいは今の重政農林大臣地方農林局設置にあたってはもっと農林省の幹部の方々の御意見も十分聞いて判断なさってしかるべきじゃないかと思うのですが、なかなかそうなってないので、後ほど注意をひとつ申し上げたいと思うのです。園芸局についてはもうさっきから長い長いというお話がありますからこれでよしますけれども、一言だけ申し上げておきますよ、大臣。あなたは大政治家だという話がありましたから重ねて申し上げておきますが、農林省の幹部の人たちが園芸局というものを作ると、そして局長を置き、課長を置けば仕事を探し出してくる本能を持っている、そういう生来能力を持っておるのだということで局を作られてはかなわぬということをひとつ申し上げておきます。  それから次はだいぶ飛びますけれども、ちょっと継ぎはぎが悪いのですが、農政局について伺いたいのですが、これは農政局はなかなかいい構想のものができたもので何ですが、しかし、ここで私、農業基本法ができまして、そして縦割りの局あるいは縦割りの行政というものを総合調整企画する必要があるということを農林省は強調されまして、二年前の本内閣委員会におきましてその総合調整企画という権限官房に付与したと思うのです、官房に。その同じ権限を今度は農政局に持っていかれる、これはどうも私は朝令暮改のそしりを免れない。われわれせっかく審議をして官房にこういう権限がつけ加わったんだけれども、それをいつの間にかまた二年ぐらいしたら別のところに持っていくということでは、これはどうも解せない。あまり粘土細工みたいな組織はおやめになってもらいたいと思う。そこら辺のことを伺います。
  110. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 農政局は、農業につきましてその総合調整を行なうという局でございまして、官房調整機能といたしましては、農林水産業全般につきまして調整を行なうということを考えております。したがいまして、今回農業の内部におきまして園芸局を新たに作りまして、畜産とか園芸とか蚕糸とかというような農業の部門別の局ができますので、それを総括的にここで農業経営として調整しようというような機能をこの農政局で果たさせたいという考え方でございます。
  111. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは官房長、あなた新しく官房長になられたわけですから御承知ないかもしれないけれども、私先ほど申し上げましたように、官房の農業基本法に基づくところの企画調整総合機能というものを二年前のこの内閣委員会で決定したわけです。ところがそれは誤りであったと、官房に持ってきたのはこの官房の総合調整機能というものはもっと変わったものでなければならないという話のようですが、したがって、今度は官房から引き抜いて農政局に持ってくる、こういう話です。それでは前に出されたのは誤りであったのかということを聞きたくなるわけです。誤りであったら誤りであるとはっきりしてもらいたい。
  112. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) ちょっと文字の上にとらわれまして、恐縮でございますが、農林省設置法大臣官房事務といたしましては、「農林畜水産業に関する基本的な政策及び計画を樹立し」というふうに書いてございます。それで大臣官房におきましては農林畜水産業を全体としてここで調整するということを考えている次第でございます。
  113. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いやそうおっしゃるけれども、どうしてそういうことをおっしゃるのか知らないけれども、ちゃんと出ている、農林省の機関紙に。そういうふうにしたけれども、官房の企画調整というのは、縁の下の力持ちのような総合調整機能でなければならない、これは悪いからして今度はこっちへ持っていくということを書いてある。そういう何か竹に木をついだような話では困るのですが、証拠を申せと言われれば申し上げますが、ちゃんと書いてあります。
  114. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) なお、今回の農林省設置法改正案におきまして、農政局の所掌事務といたしましては、農林行政に関する企画を行なうこととする、それから農業経営の改善をはかるのだというように書いてございまして、農林行政に関する企画を行うのが農政局でございまして、それが林業とか、あるいは水産業にまたがりまして農林省所掌事務全般の調整をやるというのは官房というふうに申し上げておる次第でございます。
  115. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 官房長は勉強足りないですよ、そういうことでは。ちゃんと載っておるじゃありませんか。農林省で出しておられる農林省公報にちゃんと載っておる。自己反省してもらいたいと思う。そんなごまかし言っちゃだめですよ。ちゃんと書いてある。これは前に昌谷官房長農林省の機関誌で一時間四十分しゃべったんですよ。それを農林省公報でわれわれ配付していただいておる。私、大切にして持っておる。この中に載っておる。ここに書いてある。「昨年国会の決定で内閣官房に総合調整、企画というのを持ってきたけれども、これはいかぬ。だから、これは農政局、」とちゃんと書いてある。だから、もう少しその点お勉強をお願いしますよ。間違いです。私はだから、そういうような容易な形で機構考えられちゃかなわないということなんですよ、言いたいことは。書いてあるんですよ、農林省公報に。ちゃんと私のところに来ておるんですよ。そんなばかな話をしてもらっちゃ困る。ですから、その点についてはぜひひとつ、これは誤りだと書いてあるから誤りであったわけです。今度は誤りであったから、こっちへ持っていったほうがいいということかもしれません。しかし、何せ農業基本法に基づいて二年前にきめたことですから、それをこっちへまた持っていくというのは、どうも朝令暮改と私は先ほど申し上げましたが、そういうそしりを免れませんですね。その点についてはどうかということについては、大臣の意見も承りたいのですけれども、大臣は政治家ですから、こまかいことについては申し上げないことにしまして、次に、今度あまり中に入りますとこまかくなりますので、時間の点もありますが、一つだけ中に入りまして伺っておきたいのですが、せっかく農政局を作られて、経営主体といいますか、経営を主体にした機構というものを農林省へ初めてお作りになるわけですが、その場合に、できるなら経営について非常に重要な問題である肥料、こういうものを農政局に移されたらどうだったろうかというふうに思うのです。経営について非常に必要な資材といいますと、これは肥料と農機具と農薬だと思うのです。これは三つの柱になっておると思いますが、その中の機械と農薬は、この中に入っている。しかし、肥料は、これは長年の伝統もありましょうけれども、農林経済局に残ったということははなはだ遺憾に思いますけれども、条件といたしましては、農業機械と全く同じ輸出入の関係、価格の調整、あるいは農業者とメーカーとの価格調整、こういう問題が仕事になるわけですが、その意味では肥料も農機具も全く同じような性格を持っている。にもかかわらず、今回これをここへせっかくの機会に一緒にされなかったのはいかにも遺憾に思うのですが、肥料というのはもう企業本位ではなくて、農業経営に結びつけた肥料として、価格調整の問題なり、メーカーとの価格の問題なり論議する段階に来ているのじゃないかという気もするわけなんですよ。そこら辺について、ちょっと見解を伺っておきたいと思います。
  116. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 先生よく御承知のとおり、従来、農薬それから農機具のようなものは、振興局で所掌をいたしておりました。肥料は経済局で所掌をしておるわけでございます。それで、今回におきましても、肥料の問題と申しまするのは、どうしてもやはり化学肥料が主として大きな問題でございまして、それは特に農業と肥料の製造工業、化学工業との関連の問題、あるいは輸出入の問題というふうに、きわめて経済的な問題として浮かび上がってくるわけでございます。それで、おっしゃいますように、これを農政局において経常としてとらえていくという考え方もございまするが、しかし、当面の非常に大きな問題は、今申しましたような外部経済との関係でございまするので、むしろこれは農林経済局において所掌させたほうがいいというような考え方に基づきまして、農林経済局で所掌させるということにした次第でございます。
  117. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それが解せないと言うのですよ。肥料というのと農機具というのは同じでしょう。今、農機具もやっぱり、メーカーの問題ですよ。あるいは輸入の問題でしょう。農機具だって、肥料も輸出の問題がありますけれども、価格の問題というものについても同じでしょう。しかも、農業経営にとって、今、購買の量としては農機具のほうが肥料よりも多いくらいでしょう。ほとんど同じくらいと言ってもいい。農機具のほうがちょっと多いくらい。せっかく農業経営中心の農政局というのをお作りになるなら、これは理由にならないです。そうして、生産関係については通産省があずかっておるわけですし、農林省からも部長を出しておられるわけでしょう。どうも首尾一貫しない。ただ、肥料をとるというと、農林経済局というのがどうも局としてあぶなくなる、こういう心配があります。これは私は機構がどうこうと言うのじゃなくて、農政推進の立場からいって申し上げているわけで、趣旨としては官房長お話は筋が通らないという点を申し上げておきます。農業災害、農業保険課も、あまりこまかくなりますが、何としてもこれを農林経済局に置かれたのはおかしなものですね。ボール玉みたいに、農政局の所掌が農林経済局に役げやりにされたようですけれども、趣旨としてはこうじゃないでしょう。農林経済局じゃないんじゃないですか。よけいになりますと長くなりますから、次に、農林経済局について伺いたいのですけれども、農林経済局というのは、非常に性格があいまいになったように思いますけれども、長いこと、農林経済局というのは伝統的に農政局の性格を持っておりましたし、また、そういう意味で農政局的な機能を持ったものとして親しまれてきたわけですが、今回、この中から中心部であるところの農政農業協同組合を引き抜いて農政局に持っていかれる。そうなりますと、農林経済局というのは、非常に機構としては、組織としては、危険な状態に追い込められる。そこで、河野農林大臣が盛んに言っておられた海外の農業、東南アジアの農業、どうだ、こうだということに着目されて、海外の問題を取り上げてみたり、あるいは農業と外部の問題を取り上げてできたような経済局のように思うのですが、前の農林経済局のその性格はすっきりしていなかったと思うのですが、できた農林経済局の性格はさらに一そう性格があいまいなものになっておるのじゃないかと思うのですが、そこら辺について官房長に伺いたい。
  118. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 農林経済局の性格でございますが、これは今回の改正案におきまして、農政局、これは農産を主として取り扱いますが、農政局とあるいは園芸局、畜産、蚕糸、それから林野庁または水産庁、こういうふうに農林省機構といたしまして、それぞれ一つの分野を担当する局がございまして、そういうふうな各産業分野を通じまする共通問題を取り扱う、経済的におのおのその分野に通じまする問題を取り扱うというのがこの農林経済局としての性格を持っておるわけでございます。
  119. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 保険課にいたしましても、農林経済局に置いておくのはおかしいし、さらに肥料にいたしましても、相当無理しておられると思う。その二つを取り上げてしまうと、農林経済局というのは全くこれはたいへんな事態に陥る。そこで海外の農業との関係ということで、海外協力課とかあるいは国際経済課というような非常に目新しいものが出てまたのですが、そのほかに企業課というようなものが出ておりますが、こういう問題について、一体行政の量としてあり得るのかどうか。これは従来官房にあったわけですが、どうもおかしなものになったもんだという感じがするのですけれども、これはまあ次に移りますが、これはこの間北村委員が伺ったのですけれども、私念のために、もう一ぺんだけ恐縮ですけれども、伺っておきますが、今度肥料と飼料を、えさと肥料を一緒にするという問題について、過去に同じような経験がある。つまり植物防疫というものと動物検疫というもの、これは植物防疫は農林経済局ですか振興局ですか、そうして動物検疫というのはこれは畜産局と、それはかつて二本になっておったやつを一本にした。港湾行政という立場から一本にして動植物検疫としたのですけれども、それを二年くらいのうちにはまた二つに分けた。その経緯をどういうふうに判断をしてこういう今度は全く同じような肥料とえさを一本にされるのか、ひとつ過去の反省を聞きたいわけです。ちっちゃい組織だからというふうにお考えになるかもしれませんけれども、ここに働いている人は深刻です、これは。仕事の虫みたいな者もいる。一生懸命やっているわけですがね。したがって、やっぱり組織についてはですね、大臣はともかくとして、農林省の幹部は真剣に考えてもらわにゃ困ると思う。肥料と飼料は似たようなものだから一緒にせいと言うかもしれません、それは。というのはですね。今日ああいう苦い経験があるにかかわらず、それは農林省首脳部にとっては苦い経験でないかもしれない。しかし、そこに働いておる者にとっては非常に苦い経験だったわけです。その反省なくして、またこういうものを出してこられるということは、いかにもうかつな話だと私は思うのです。その反省を聞きたいわけです。
  120. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 肥料と飼料を一緒にいたしまして、肥飼料検査所として一つの検査所の中で検査をやっていきたいという考え方でございまするが、これは、先般においてもここで問題になりましたように、肥料の、化学肥料の検査におきまするウエートが次第にまあ減って参りまして、有機質肥料、配合肥料あるいは高度の肥料というようなものが重要な問題として問題になっておるわけでございまするが、そういうものは大体飼料と同じような性格を持っておるものでございまするし、また飼料が飛躍的に多くなって参りまして、飼料の検査が非常に重要になってきておるわけでございます。それで、肥料は六カ所に検査所があるわけですが、飼料は東京一カ所だけになっておりまして、飼料の検査を飛躍的に拡充して参りますためには、そういう性格の相似た肥料の検査と飼料の検査を一緒にいたしまして、全国六カ所でやっていきたいという考え方でございまして、仰せのように、動植物検疫所として一緒にしたものをまた分けたという次第もございまするが、やはり時の推移に応じまして行政の必要が変わって参りまするし、行政事務が多くなったり少なくなったりするというような点もございまするので、その時に応じました必要な行政機構というものを整備して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  121. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はこの動植物検疫の問題についての反省を伺ったわけです。おそらくそういう問題について御反省なく、また今回もおやりになったんだろうと思うんです。そこで、実際ここに働いておる人たちの悩みは、かつて一本にしたときと同じなんですね。一本にしたけれども、上のほうは一方は畜産局につながり、一方は今度は農政局ですか、今度は農林経済局ですね、つながっているところから見て、非常に矛盾があったわけですね。確かにそういう面の配慮なくしてやられるということは、非常に私は遺憾だと思いますが、これは時間がありますればもっとと思いますけれども、次に参りますと、水産庁ですね。その水産庁に今度漁政部にありました漁政課、これを簡単に言いますと二つに分けて、一つは企画課にして、一つは総務課ですか、そして長官官房、総務課というのを作るのですね。妙に聞きなれない長官官房、総務課というのができるわけですが、その理由とするところはわかります。漁政部というのが水産庁の中のほかの部にかぶさるような部でだんだんなくなってきた。したがって、人事、会計、経理、そういうものを長官官房のところで扱うという御趣旨だと思うんです。しかし、そうしますと、これは論理の問題といたしまして、食糧庁はまあいいです、総務部というのがございますから。したがって、この総務部というのがある意味でそのほかの経理部、業務第一部、第二部というのにおおいかぶさった性格を持っていますからいいですか、林野庁の中の林政部の中の林政課、この林政部というのは水産庁と同じようにほかの部におおいかぶさっていない面を持っている。したがって、この林政課というのも同じ意味でいえば二つに分けて、林政課は企画課として、そうして経理、会計その他を長官官房総務課というのですか、そういうものにしていいじゃないかという印象を受けるわけなんです。そこの差異はどうですか。これは林野庁をこういうふうにしなかったのは、林野庁から要望がなかったからだ、水産庁からはそういう要望があったからなのだということになれば、また妙な話になってくると思うのですが、どうでしょうか。
  122. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 水産庁長官官房、総務課を置きまして、林野庁の林政課はそのままにしておるじゃないかという御指摘でございます。この点につきましては、確かに水産庁漁政課も林野庁の林政課も同じように総務的な仕事をやるわけでございまして、その点においては同じでございます。しかし、特に漁政部から今回総務課を分離させましたのは、漁政部事務が非常に多いわけでございまして、また漁政部と各部との関係は、林野庁の場合と比べますると、きわめて並列的でございまして、そういうことで水産庁としましては、やはりこの際ひとつ別にしたほうがいいじゃないかというような見地から、分けたようなわけでございます。それから、特に林野庁におきましては、今回林政部でやっておりまする労務、厚生関係仕事職員部で処理されるということになる案を出しておりまするので、林政部としましては、林政部内で所掌しましても、仕事の分量がだいぶ減るというような関係がございますので、そういう見地から林政部の中において所掌しましても、仕事の分量の上から差しつかえないだろうというような見地から、そのまま残したような次第でございます。
  123. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の官房長の発言で、水産庁というのが漁政部調査研究部漁港部生産部と分かれているが、その関係が若干人的な要素がからんでいるようにとれたのですが、水産庁は従来そういう傾向はありますし、そこら辺を勘案されたわけですかね。これが不満なようですね。それを勘案されたことが不満のようですね、水産庁としては。まあ、あんまり内部に立ち入ってもなんでありますから……。しかし、どうもこれも形式的なような感じがしますですね。  次に次長の問題、さっき民社党の田上委員も言われたようですが、これは何としても理解つかないですね。園芸局を作るために、局長を一人作ると、そのために申しわけないが、済まぬが、水産庁次長一ついただきます、こういうことですね、結論を簡単に言えば。それはやはり水産庁からいうと、これはやっぱり水産行政に対する、何といいましょうかね、おかしな話になりますね。いただきますぞ。それ以外にあるわけですか。局長を作るためにこれをいただいたという以外に理由があるのかどうか。
  124. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 仰せになりまするように、確かに園芸局長の職に振りかえた次第でございますが、これは高級職員の数をふやし得ないというようなことがございまして、やむを得ずそういうふうな措置をとったわけでございます。
  125. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この点については田上委員も主張されたようですけれども、私はこれは水産庁というのは、農林省の各庁、各局と非常に違った性格を持っている。これは御承知のとおりだと思うのですよ。これは水の問題、海の問題でして、非常に違った性格を持っているからして、さらにまた海外の国際会議あるいは海外との漁業交渉、こういうものがほかの局、庁と比べて非常に多いという点等もあって置いておったと思うのです。国際会議なりあるいは海外との漁業交渉がなくなるならいい。あるわけでしょう。それを何で農林省の幹部は弱腰になって、局長を作るために水産庁から次長をいただきますというような入れ方をなさるのか。これは大臣が出て一発勝負をするところじゃないですか。これは日ソ漁業交渉の問題にいたしましても、アメリカ、カナダとの漁業交渉の問題にしても、季ラインの問題にしても、中国との漁業交渉の問題にしても、あるいはその他の各地の漁業交渉にしましても、そういう特殊な事情があって設けられておった。そういうものがなくなるわけですか。そうじゃないでしょう。これはやはり農林大臣が一発やっぱりふんばってですね、やるべきじゃなかったですかね。大臣いかが、どういうふうに考えておられますか。
  126. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 先ほど官房長から申し上げましたとおりに、高級職員を一応現在はふやさないという原則になっております。しかも、園芸局はぜひこれは設置する必要があるというようなところから、水産庁次長をそれに振り当てたというのが実情でございます。水産庁次長を園芸局の局長に振り当てて、それがなくなるから、それじゃ条約とかなんとかいうものがうまくいかないかというと、それは御安心下さい、大丈夫ですから。
  127. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは大臣大臣の心がまえの問題であって、それじゃ次長というのは今まで要らなかったじゃないでしょうか。そんなおかしな話、それは心がまえとして承っておきます、政治家ですから。ですけれども、これはやはりそんなおかしな話をされたのでは……。まあ、一つこれは私は次長は復活すべきだと思うのです。どういう立場からいいましても、園芸局長の犠牲になることはいけない。園芸局は部でも今のところはいい、将来局になさっていいという気持なんです。この点については考慮される余地はありませんですか。大臣、そっけない返事ではだめですよ。考慮される余地はありませんですか。
  128. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 現在のところはどうもやむを得ないのです、御承知のとおりに。将来の問題は、これは当然に考慮をいたします。
  129. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 将来は考慮するということでありますから、できるだけすみやかな機会に考慮してもらいます。これは大臣の発言ですから、大臣の就任中がいいですね。よろしくひとつその点は念を押して要望いたします。  水産庁はこれで終わりまして、あと地方課の問題がありますが、これはおきまして、次に地方農林局について伺いたいのですが、地方農林局というのは、農林省にとっては、ある意味では歴史的な措置だと思うのです。従来あった七つの農地部を廃止して、そうして地方農林局、そして農林省の中にあるすべての外局――食糧庁は別ですが、林野庁、水産庁、さらに中の内局はすべて全部出先を地方農林局に持っていく。言うならば、ブロック農林省というのができるわけです。これは非常に大きな問題を持っているというふうに思います。どういうわけで地方農林局というのを作るのかという点をひとつ伺いたいわけです。農林省から出しました説明書の中には、確かにございます。地域農業の確立であるとか、あるいは河野さんがよくおっしゃいました、きめこまやかな行政とかいうふうにおっしゃいましたが、一体この地方農林局というのを設ける理由ですね、これを聞きたいわけです。これは官応長じゃだめです。農林大臣に。
  130. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これはもうしばしば当委員会においても述べたところでありますが、そしてまた、ただいまお読みになりましたその理由に書いてありますとおりの理由地方農林局を設けたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  131. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、ここに書いてありますようなことでは、これだけのたいへんな機構改革ができるというふうに思わないのです。いろいろお考えになったのだろうと思うのです。そこで、先ほど出しました農林省公報というようなものにその詳細が述べられておるわけです。これを見ますと、確かに農林省が、あるいは農林大臣が、地方農林局を作られますところのお考えというものがある程度出ているように思うのです。その中で、ここで主張いたしておりますのは、いろいろ言っておりますけれども、結局、一つは自治体というものが――都道府県ですね、今度は北海道にできませんから道は抜かして、ほかの都府県、この自治体との関係一つあるというふうに見られますですね。それから、要するに、この自治体というのが農林行政を遂行するにあたって信用に足りないという点、これがあるのじゃないかと思います。それからもう一つは、地域農業の確立というお話でしょう。きめこまやかな農政というような話でもありましょう。あるいは霞関農政からの脱却ということもございましょう。あるいは補助金とか融資とか、従来農林行政を遂行してきた行政手段である補助金融資、こういうものから脱却したいという考え方もあるようですね。そして今までの農林行政というものはどうも権力農政であった。そういう農政ではならないというような考え方も出ていますね。いろんな考え方からこの地方農林局が出たように思うのですが、これらをひっくるめて、私どもに理解のつくように説明していただきたい。単に地域農業だけでは、これはお話にならない。きわめて他人行儀な話であって、本委員会にはふさわしくない。これは大臣がお読みになるにはふさわしいけれども、審議にあたってはふさわしくない理由だと私は思う。したがって、もっと私のとっくり納得のいくように、私のさっき言ったようなことをつなぎ合わせて、すっきりとひとつ御説明をいただきたい。
  132. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 地方農林局を設ける理由につきましては、先生がいろいろな角度から御指摘になった次第でございまして、大体私たちの考えをみな尽くしておるわけでございます。したがいまして、重複をするのもどうかと存じますが、あまり霞関農政で農林本省ですべて画一的に取り扱っておるということにつきまして、これは各方面からいろいろその弊害を指摘されておるようなわけでございまして、そういう等質的な行政をやっておるのでは、農業構造の改善も行なわれないのじゃないかというようなことが常に言われておりまして、これを早く改革しまして、その地域々々に応じました農政を進めていかなければならないということになって、そういうことに考えを持つに至ったわけでございます。また権力的な行政からサービスを中心にした行政に変えていかなければならないということもその大きな理由でございまして、地域実態に応じまして、できるだけ権限地方のほうに移譲いたしまして、中央まで来なくてもいいようなサービス行政を進めていきたい、あるいは流通行政におきましてもそういう方向でやっていきたいというような各般の考え方を総合して設けておるわけでございます。
  133. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで私は、地域農業という問題、あるいはきめこまやかな農政といいますか、あるいは霞関農政からの脱却といいますか、あるいは自治体であるところの都道府県というものが頼むに足らないというような諸点についていろいろ伺いたいわけでです。伺いたいわけすが、今、理事も来まして先を非常に急いでおられるのですが、せっかく地方農林局に入っておりますから伺いますが、私は第一番目に、地方農林局というのは、やはり農林省の幹部が、どうも都道府県の農政あるいは農林部といいますか、そういうものが頼みにならないという感じを持っておられるのじゃないかと思うのです。そういうものがあるならば、これは率直に出してもらってもいいのです。この農林省の公報によりますと、こういう言い方をしているわけです。なかなかうがっていると思うのですが、それは戦前の県というものと戦後の県というのはだんだん変わってきた。戦前の都道府県というものは国の出先機関であった。しかし戦後は、これは憲法によって自治体になり、それが逐次変わって、いろいろ変わってきて、どうにも戦前とは違ったものになってきた。したがって、前と同じような、戦前と同じような考え方では農政の組織としてはだめなんだ。それをもっとここではっきり言っているのは、どうも国というものと自治体というものとの意思が違う。その場合に、言うなれば、国の行政というものがどうも県によって曲げられる。だから、国が直接やりたいのだけれども、そこまでいかぬから、ブロックまで下りて農林行政というものをやりたいという意欲が一本大きく貫いていると思うのです。そういう点はどういうふうに考えておられるのか。そのとおりなのか、伺いたいわけです。
  134. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) そういう御指摘の点も確かにあると存じております。しかしながら、県はやはり国の行政を委託を受けましたり、あるいは自治体としての仕事をやっておるわけで、今回の地方農林局と申しまするのは、国の事務をここにおいて分掌する。県を地域的に集めまして、その地域を広く分掌していこうというような考え方でございまして、県の事務をそれによって減らそうというようなことではないわけでございます。
  135. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この点はあとでもう一ぺん最後のところで申したいわけなんですけれども、目下私は、都道府県にいたしましても、これは近年財政的にも逐次余裕が出て参っておりますし、また農政の面につきましても、りっぱなやはり人材をかかえておるし、農政というようなものを遂行する県として役割を果たしているのではないかと思う。だから、それらとの関係を協力態勢をとって、密接な関係をとって進めていかれるということはいいのではないかと思うのですが、農林省が各局、各庁の出先を全部ブロックに持って農林省の国の行政威力というものを通していくというやり方は、私は協力を得ないようなことになってくるのではないかと思うし、あるいは地方自治体との関係に摩擦を起こし、自治団体の自治というものをやはり軽視をし、あるいはこれをないがしろにする、こういう傾向を持っているのではないかと思う。農林省と内務省は昔からも犬猿ただならぬ間柄でありましたけれども、今日そういう問題として処理してはならないと私は思います、そこら辺がちょっとあいまいですね。大臣、御答弁どうですか。
  136. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それはもうただいまおっしゃるとおりです。単に地方農林局を設けて現在のような考え、本省の考え方を各県に押しつけようなんということは毛頭考えていないのであります。これはやはり先ほど官房長が申しましたように、各地方ブロックと申しますか、似たような府県を集めてその間の農政等の所掌をいたしますが、これは各府県の実情に合ったような農政を執行をいたしたい、こう考えておるわけであります。決して、本省で考えておりますことを各府県に地方農林局を通じて押しつけようなどということは、毛頭考えておりません。
  137. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ、押しつけるとかいう問題もあると思いますけれども、大臣は押しつけるという気持はないとおっしゃるけれども、やはりこれは何といっても自治に対する重大な挑戦だというような感じすらする。それは農地事務局の発生過程から今日の形態を見てみればはっきりすると思うのです。それは国が農地改革というような事業ですね、これは国の自身がやるのです。その場合に、ブロックにつけるあるいは土地改良なり、あるいは農業土木という事業を、国がみずからやると、こういうような場合に特に地方に設けられておったわけです。今回はそうではないわけですよ。すべて出先ができるわけです。農業構造改善事業というような特殊な事業ですね、これを十カ年にやる、三千百億だと、そういう特殊な事業を国の力で推進したいというためにそういう組織をブロックに作られるという点は、ある意味でわかるのであります。ですが、それに藉口してというのか、あるいはそれに便乗してというのか、それはわかりませんが、しかし、いかにもそういうような形で、われもわれもと、すべての出先がブロックにできるということは、これはやはり考えなければならぬことじゃないかと私は思うわけです。そういう点は大臣どういうふうに考えていらっしゃいますか、伺いたい。
  138. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 現在できております地方農地事務局が、国の仕事、端的に申しますれば、国営事業を執行するためだけにできておるのではないことは御承知のとおりでありまして、これは県営の事業、あるいは団体営の事業、そういうものも農林省の本省の農地局で、各地方事務局ができます前には、本質的には本省の農地局でやっておったわけでありますが、それではやはり地方の満足を経ることができない。いわゆるきめこまかな土地改良という事業を執行することができないというので、あれが設けられたわけでありますが、私は、これが設けられまして、土地改良事業というものがその地方々々に合ったように非常にうまく執行せられ、その事業が非常な発展をして参ったと私は思っておるわけであります。同様に、やはり北海道から鹿児島まで、こう細長い日本は国でありますから、その地方によりましてずいぶん気候条件も違い、いろいろの土地の条件も違っておるわけであります。やはりその地方に適した農政を実行しようと思えば、どうしても地方農林局というものが必要である、こう私は考えるわけであります。さらに、これに便乗してというようなお言葉でありましたけれども、必ずしもそうは考えておらないわけでありまして、水産にいたしましても、林業にいたしましても、やはりこれは地域的に相当の差異があるわけであります。したがって、やはりこれらも地方農林局の一翼としてその中に入って、地域に応じた、その地方々々に応じた林業あるいは水産業というものに関する行政が行なわれていくことが望ましいことである、こういうふうに私は考えております。
  139. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ逆に伺いますけれども、北海道に今度設けませんですね。で、北海道地方農林局を設けない理由は、これらの公共事業というものを北海道開発局がやっているという点だろうと思うのです。しかし、今度の地方農林局というのは、そういうものではなくして、それも含まれておりますけれども、構造改善事業を初めといたしまして、北海道も、やはり水産業もありますし、漁業もありますし、畜産もあるし、園芸もあるわけですね。そうして北海道にできない。これは北海道に設けない理由というのは、先ほど申し上げた点が一つひっかかりますが、それ以外はすべて本省でおやりになるわけでしょう。官房長に聞きますが、そうですね。
  140. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) そうなんです。
  141. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 北海道は、出ていかなくてもきめこまやかな農政ができる、ほかのところは、出ていかなければだめだ、そういう論理があるわけですか。
  142. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 北海道は、御承知のように一つの道でございまして、今回の地方農林局は、県を相当数通じましてその地域としてやっていくということを考えておりまして、北海道は単一の道で、道庁が取り扱っておりまするので、特に設けないということにしたということです。
  143. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 道が取り扱ったって、広さは東北六県に新潟を合わせたよりまだ大きいでしょう、北海道は。きめこまやかなというなら、北海道も作らなければいけませんですよ。そんなおかしな話は、私は通用しないと思うのですがね。ただ、地方農林局という考え方が出たのは、道州制という論議が盛んに行なわれたときにできたわけですね。ですから、九州という州ができるならば、ということでしょう。それとの関連でこれが発生したというように私は記憶しております。そういう遠大なる計画もあるわけですか。
  144. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) そういうことは別に考えておらない次第でございまして、やはり中央でやっておるのは画一的になるから、地域を同じくするようなところにおきましては、その地域でもっとサービスのよい行政をしたらよいじゃないかという考え方を持っておるのでございます。
  145. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは、北海道の土地改良事業というような問題は、北海道の今の開発局がやっているものも……これは違いました。いずれにいたしましても、北海道に設けないというのは、私は理解がつかないし、道州制を前提にして考えておられるんじゃないかという気もするし、政治家の話ですから、これは、地方農林局というのはそもそもの発生は。そういたしますと、どうもそういう道州制というものを前提にして考えておられるんじゃないかという気もしているのですけれども、いずれにしても、北海道ではそのきめのこまかな農政を行えて、それ以外には北海道はだいぶ遠いですよそれが関東近県みたいなところはできないというような話は、どうも私は解せないですけれども、北海道に設けられるわけですか、これから検討されるわけですか、大臣いかがですか。
  146. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 北海道につきましては、ただいま官房長が申しましたようなことで、一応見送っているわけであります。さらには、北海道北海道開発庁でいろいろまとめてやっております関係もありますし、そして現在のところは北海道には置かないということで来ているわけでありますが、確かに今鶴園さんの申されたような点は、十分に将来は考えなければならぬ問題だろうと、こう考えております。
  147. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今度は見送ったというお話ですが、北海道は私はちょっとさっきど忘れしたのですが、国の出先機関というものが直接出てきめこまかな国の行政をやっている。しかし、今度はきめこまやかな農政をというにしきのみ旗を振りかざしてやられるのだが、これはどうも北海道には作らないというのじゃおかしな話なんですが、私はこれはきめこまやかなこういうものは設けなくてもできるのじゃないかと思うから聞いているわけです。北海道ができるなら、ほかもできそうだ、できるというふうに思うのですが、これはどうですか、行政的に聞いてもいいですよ。
  148. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 北海道につきましては、よく御承知のように、北海道開発庁が東京にございまして、そうして、その開発庁の出店の開発局が北海道にございまして、主として直轄の仕事をやっているわけでございます。それで、別に北海道庁という北海道地方自治体があるわけでございますから、これがもう一つ同じように国の直轄事業以外のことも国がやる出店を設けますと、その辺は一つ地域で競合することになるわけでございます。だから、そういう点につきましても、十分大いに検討しなければいかぬというような気持もございまして、今回は今大臣がおっしゃいましたように、見送ったという次第でございます。
  149. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題はそうはいかない。今度の地方農林局設置する理由というものがはっきりしているのですから、前の農地事務局ならいいですよ、今度は地方農林局設置理由というものが明らかなんです。その中の一部を、あるいは三割なりというようなものを、これは北海道開発局がやるということがあったとしても、地方農林局を作っておやりになっていいんじゃないかと思うのだが、やらない。そうしてきめこまやかな農政ができる。それは構造改善事業にしろ、あるいは園芸、畜産その他の一切の仕事がきめこまやかにできるというふうにお考えになるなら、ほかの府県だって同じじゃないかということを申し上げたわけです。大臣は将来考えるということですが、すぐ検討されるわけですか、一応おくということですか、すぐ検討されるわけですか。それでない限りどうもその点の理解がつかない。北海道ができるのなら、ほかの都道府県でもできるというふうに思うのが自然じゃないですかというように思うわけです。いかがでございましょう。
  150. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、北海道ができるから置かないというふうに割り切るわけには私はいかないと思うのです。そこでただいま鶴園さんが申されたことも一理あると思って、将来は十分に検討いたしますと、こういうふうに申し上げたわけなんです。
  151. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この点はしかし、やはり非常に大きな問題があると思いますけれども、次にブロックについて伺いたいのですが、この間北村委員のほうからも、地域農業、地域農業とおっしゃるけれども、あるいは今度は七つのブロックに分かれるわけですが、地域農業とは何だという質問をしまして、それについていろいろ出たわけです。統計では九ブロックに分けている。あるいは統計はいろいろな統計をなさる場合に十一の農区に分ける。これは農業の性格その他からいって十一の農区に分かれたわけだと思う。さらに御承知の農業試験場、これも全国の地理条件あるいは経済条件、その他いろいろな自然条件等を勘案いたしましてブロックに分けて試験場ができている。水産庁は海区を八大海区に分けている。各局の行政というのはそれぞれの性質を持っておりまして、蚕糸は蚕糸、水産水産、林野は林野と、それぞれの性格を持っているから、それの立場から全国を何らかの地域に分けて考えていく。あるいはそういう地域に分けた行政は、今までも行なわれてきているというふうに思うわけですが、それらを、今回地方農林局を作るにあたって、これをどういうような検討をなさっておられるのか、そこの点を伺いたいわけなんです、それぞれ違うのか。そもそも行政の性質に従ってブロックを分けてあるのですから、ブロックを分けてあるものを、何か今ある農地部というものの役割、これは農地の行政、農地の土木事業を行なうための行政区画と言って差しつかえない。もっと言うならば、戦争末期の昭和十九年に開拓事務所ができた。五カ所できた。それは国が直接開拓事業と緊急増産をやるという、国営をやるために五つの開拓事務所ができた。これは戦後農地改革を推進するために、それに従来引き続いての農業土木、緊急開拓という事業を推進するために七つの、もっとささいな、ごたごたとありますが、しかも、その所在地は司令部のあるところに作った。それは特に司令部との連絡関係が重要であるから、司令部のあるところにそれができた、そういう沿革を持っている農地事務局の地割りを、そのまま地域農業あるいは農林省全体の各行政統一区画として利用されるのは、これは何といっても粗雑過ぎると私は思います。そこら辺の検討はどういうふうになさっているのか伺いたい。
  152. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 仰せのように、農業地域はいろいろな見方があると存じます。それで、この農業地域につきましては、やはり農業を取り巻きまする自然的あるいは経済的、社会的な諸条件をまず考慮に入れなければいかぬ。そういうふうな結果としまして、土地利用とか、あるいは商品生産、あるいは経済構造とかいうものをいろいろ考慮に入れまして、地域考えておるような次第でございます。それで、今回の農林局の地域が農地事務局の地域と同じでありますることはそのとおりでございまするが、今の地域区分として考えましても、大体現在の農地事務局の地域区分が現在におきましては農林局の地域区分としましても比較的妥当じゃないかというような気持をもちまして、とりあえず七つの地域をきめた次第でございます。
  153. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あなたいろいろの行政区画があるとおっしゃるけれども、いろいろの区画じゃなくて、それぞれの行政に従って区画がある。いろいろあるのじゃないのですよ。それぞれの行政に従って区画はあるのじゃないですか。今回それを地方農林局ということで統一されるわけですね。その場合に、この農地事務局の区画単位でやられるということはきわめて機械的であるし、何かおかしいじゃないかという印象を受けるのです。そういう意味からいって、一体地域農業というのは何かということを聞きたいわけですよ。だから、地域農業についての定義があったら聞きたい。地域というのは一体どういうわけか聞きたい。
  154. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 地域と申しまするのは、非常にむずかしいことでございまするが、先ほど申しましたように、自然的な、あるいは経済的、社会的諸条件を等しくするようなものを一つ地域として考えていくという考え方でございます。やはりおのおの、たとえば水産でございましたならば、その地域は仰せのように異なっております。たとえば、今回の地方農林局におきましても、水産漁業調整地域というものは、瀬戸内海でありましたならば一本として考えるというような別個の考え方をとっておるようなわけであります。
  155. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なかなか私の質問に対して答弁をいただけないわけですけれども、まあ、水産の問題は、これはナンセンスであって、陸の区画に八大海区がある行政なんというのは、これはむちゃなんだな。ですから、水産庁の場合は、私はそれはナンセンス的な区画だと思うのです。しかし、それぞれ行政というのは区画を持って考えておるのじゃないですか。だから、ばく然とした区画というものはないのですよ。私はそう思うのですけれどもね。だから、農業試験場というのは、試験場として試験研究をやる建前から、全国をどういうふうに自然的なり、地理的なり、気温の関係なりというものを考えて作っておるわけでしょう。あるいは統計でいえば、九大ブロックに分けてみたり、あるいは十一農区に分けてみたり、百五十の地域統計に分けてみたり、それぞれの行政の必要上からやっているわけです。そういうそれぞれの行政の立場から区画というものは分かれておるのを、今回農地事務局をそのままとられたということ、私はその点にどの程度の真剣な論議が行なわれてできたのかどうか、ただ、今あるから便宜上ということでできたのか、私はきわめてこの点が経過としてははなはだしく粗雑にできておると、こういうふうに思うのですよ。それはあとからまた詳細に申し上げますけれども、こういうもので、地域農業はどうだということを考えられたのじゃはなはだ粗雑ですね。大臣答弁して下さい。
  156. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 仰せのように、地域区分は非常にむずかしい点がございます。それで最も適した地域区分というものが、どれが最善のものかということにつきましては、いろいろ御議論があることと存じます。それで、とりあえずは農地事務局の地域区分で現在の地方農林局地域区分もまあ妥当ではないかということで発足いたしたいという考えでございまして、なお、地域区分につきましては、十分今後検討をいたしまして、経済の推移に応じまして、今後は流通問題も非常に重要になって参りまするし、あるいは都市の発達とか、産業の発達とかによって地域も次第に変わってくることと存じます。十分その辺は今後検討さしていただきたいと存じます。
  157. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣、それでよろしゅうございますか。これから地域の問題について考え直すわけですか。
  158. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) ただいま官房長が申しましたのは、将来の問題を申したわけであります。現状におきましては、大体この七局に分けてやっていくというのが妥当であろうと、こういうふうに申し上げたわけであります。これは私もそのとおりに考えております。
  159. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 さっき官房長が流通関係のことをおっしゃったんですが、それじゃ流通なんていうのは、東京、大阪の流通もろくすっぽ解決できないで、メーカーにしても、消費地にしても、東京、大阪の流通を解決しないで、ブロックが何でできますか。私らそんなものは地方でやるべきものだと思う。流通の問題なんていうのは、東京、大阪の問題をまず解決する。これはメーカーの問題にしても、あるいはいろんな流通関係の中心地の問題を解決しないで、ブロックでなんて、そんな話はどうもおかしいと思う。  では、次に伺います。(「まだあるのか」「討論採決」と呼ぶ者あり)そういうことを言うと、委員長、協力しませんよ、今後の審議に。
  160. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  161. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記をつけて。
  162. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ。どうも官房長地域考え方は、私は非常にばく然としておるように思うんです。私はさっきから言っているように、行政それぞれに地域というのはあるわけですから、それはまあ一応おきまして、この農業試験場を全然考慮されなかったのかどうか。地域農業、地域農業と言われますが、さらに、権力農政からできるだけサービスなりそういう問題に移ろうとせっかく御努力のようでありますが、その場合にやっぱり重要なのは、地域農業にしてもサービスにしても、これは試験研究機関だと思う。で、ブロックにおいてそれぞれ試験研究というものが行なわれておる。もちろん全国共通なものも行なわれております。その場合に、試験研究というものについては何らの考慮が払われなかった。これは要らないというわけですか。地域農業の技術体系のバック・ボーンはなくてもよろしいという考えなのかどうか。
  163. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 農業試験場の機構につきましては、先般の国会におきまして改正が行なおれたわけでございます。これはもう先生よく御承知のとおりでございますが、したがいまして、大体それで目的を果たしておりまするので、今回の農林省設置法改正におきましては、それに触れることをいたさなかった次第でございます。それで、地域につきましては、地域ごとに農業試験場が御承知のようにございまして、その農業試験場の試験の成果を地域行政をやっていく上におきまして十分これをそしゃくいたしまして、それの基礎において行政をやっていくということを考えておるような次第でございます。
  164. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はこの地方農林局設置の過程における経過からいって、どうもそういうふうに受け取れない。どうもやはり場当たり式で地方農林局ができたように思いますし、これについて考慮が非常に欠けている。私は何もブロック農業というものを全部地方農林局に編入すべきであるという主張をしているのじゃないのです。地方の試験も行なっているわけですから、その面についての考慮が払われなかったように私は思うし、そういう面について非常に欠ける面があるのじゃないか。地域農業、サービス農業と言われますが、サービス農政と言われますが、そういう配慮が欠けているのじゃないかというふうに思うわけですが、次に、水産庁の分は除きます。これは水産庁の分は除きますが、次に、ブロックに分けたのですが、これがきめこまやかな農政ということになり、あるいは地域農業の確立ということになるのですが、しかし、機構的にはやはりこの地域の農事試験場というものがどうも思わしくないように読み取れますし、それから人間の配置を――これはやはり人間が組織を動かすわけですから、人間の配置を見てみますと、これはいささかきわめて形式的で、場当たり式でですね、人間の配置が。たとえば一番大きい地方農林局関東です。十県ある。一番ちっちゃいのは東海、これは三県ある。この十県の関東地方農林局と、東海地方農林局三県の人員配置、まことに妙なものですね。一体、これはやる気があるのかどうか、はなはだしく疑いたくなる。それをもうちょっとこまかく、これは非常に重要な問題だから申し上げますと、これは非常に場当たり的で、協力が不十分だというふうに私は思うから申し上げておるわけですし、今後、きめこまやかなどというのはお題目にすぎないという感じが、非常に人員配置の面からするわけです。そのことを申し上げますけれども、人員配置が、たとえば振興部ができますね、これは、関東が十県なんですが、この振興部が四十六人、そして近畿はちっちゃい県が六県ありますね、その管轄下に。それで逆に人間が多くて四十八人ですね。これなんかまことに粗悪というのですか、そういう印象を私は受けるわけです。逆なんです。こういうのは、やはり地方農林局の運営について、どうも、さらに振興部に畜産課というのが設けられることになっていますが、これは十県という関東の大きな地方農林局も、三県という一番ちっちゃな東海地方農林局も、全部一律に七名配置ですね。こういうのはそのほかまだこまかく申し上げてもいいですよ、内容については。こういうものは、各局の協力態勢といいますか、地域農業の確立といいますか、あるいはきめこまやかな農政というか、そういうものに対する各局の熱情なり考え方というものが、はなはだあいまいであるというように私は思う。そうじゃないでしょうか。
  165. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 地方農林局の所要の定員の配分につきましては、いろいろ仕事の内容を考えましていたしたような次第でございますが、振興部で考えておりますることは、農業とか、あるいは畜産、あるいは林野というようなことのほかに、水産漁港というようなものも考えておりまして、特に水産の中におきましては、漁船の検査をするというようなものも入っているわけでございます。そういうふうなことで、漁船検査なんかにおきましては、関東でございますると、東京から――本省から出かけていけるというような点もありまするし、そういうふうな仕事の内容に応じまして定員の配置を考えた次第でございます。
  166. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 漁船検査というようなことで、官海長は前に水産庁におられたから、そういう知恵を働かせたのかしれませんが、これは少し理屈にならないですよ。関東十県ですよ。東海は、御承知のとおりに、岐阜と愛知と三重ですよ。その三県が東海地方農林局ですよ。それが人間が逆になるようじゃ。ああ、今のは東海じゃない近畿。近畿は六県です。大阪、京都等の六県。それで逆に地方農林局、ちっちゃいほうが多いというのは、こういう非常にこまかく洗って申し上げるといいのですが、時間の関係があるから申し上げませんけれども、すべて非常に形式的で、はなはだしく熱意がない。これは一体やる気があるのかということを考えるくらい、この配置については協力がない。もちろん行きたがらなかったという、本省から人が行きたがらなかったという、行きたくない、あるいは本省が人を放したがらないというような争いの中で、やっとこれだけの人間を何とかかんとか配置をしたというような経緯もこれありというように同情はいたしますけれども、しかし、いずれにしても、これは、今私が申し上げているのは三十八年度の数字です。三十八年度大蔵省に要求している数字です。農林省の計画、この数字からいいましても、来年こういうような配置では、はなはだしく熱意が欠けているし、画一的、形式的であって、そういうことでは、私が先ほど申し上げた、農林省にとってはこれは歴史的な障害ですよ。もっと通常国会等において真剣に詳細に論議し、また準備をなさってしかるべきじゃないかと思いますが、ですが、遺憾ながらこういうような妙な配置、こういうようなものによって一体やれるのかやれぬのかというような点。  次に、もっとこまかく言いますよ。蚕糸係ができますね。蚕糸局の出先、蚕糸係というのが農務課の中にできますね。これは各農林局にできますね。係長一人ですね。そうしてそれに係員は〇・五人である。つまり三つの地方農林局には係員は一人もいなくて係長が一人しかいないそれできめこまやかな養蚕業をやるのだというようなことはやめてもらいたいですね。県庁が泣きますよ、こういうことでは。しかも、この一人に対して蚕糸局は七つの補助金を流します。移譲いたします。農林省のこの権限移譲の中に出ているように、七つの補助金を流し、移譲する。これは蚕糸局の予算の中のおそらく八割くらいの件数じゃないかと思いますが、その蚕糸局の一人の係長が九州の七県を持ち、関東の十県を持って、そうして補助を七本持って、これは補助金の配賦だけでも、事務手続だけでもたいへんです。それをきめこまやかな養蚕業と言うのは、ちょっと話がこれはどうもお粗末だと私は思うのです。これはもっとこまかいものをあげてもいいんですよ。それは大臣、課局の協力もまた……。というのは、本来地方農林局はこういうものかもしれませんが、しかし、これはきめこまやかなというのは予算の配賦だけではありません。一人によって、私は蚕糸試験場の出先であるというので、九州七県を回りまして、七つの補助金を持っておる。そうして、法律の許認可、二つの法律の許認可を持っておる、一人で。一体それをどうするのだろうという気がするわけですね。それで、本来この補助金というものは、御承知のとおりに、農林省においては一つの係が一つの補助金を持っている。したがって、詳細に係として全国の情勢というものを握り、知識も経験も要する。しかし一人の人間が七つの異なった補助金を消化できるかどうか。性質の違った七つの補助金をマスターせよと言うが、これは無理だ。そうしてきめこまやかな農政をというのじゃ、これはどうも納得できませんというのが私の……。大臣どういうふうに考えておられるのか。大臣はこの人間をふやさないということを前の臨時国会では言っておられる。今後もふやすという考えはないと言う。あと、金融の問題についてはみんないいんですよ、こんなものですよ。たとえばこれはひどいのは、漁港課というのは四名で課ができるんですね。四名と五名二種類に分けて、四名の課、五名の課しかない。それできめこまやかな漁港政策という、補助金を十なんぼも持ってどうやるのだと思いますね。それぞれの補助金の性質と、性格、知識とを十分マスターせよというんですね。これはたいへんなことですよ。それこそ浅く広くといいますか、これは補助金の配賦の事務だけでも手に負えないというように思いますがね。
  167. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 仰せになるような点は確かにあるわけでございまするが、この内容につきましては、たとえば農務課でございますると、その中で蚕糸もここでやっていくということを考えておる次第でございまして、したがって、蚕糸の係長が一名というような点はございまするが、農務課全体としてその助成の仕事もやっていくというようなことになりまするので、有無相通じながら農務課でやっていく。  それから、今後この地方農林局の定員の点につきまして、これで不備であるというような点がございましたならば、十分検討をいたしまして、定員のことでございまするから、その事務に応じまして最も適した配置を考えていきたいというふうに存じております。
  168. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、蚕糸局の人は一人出先におる。それで農務課の中でという今お話でしたが、それはとんでもない話ですよ。事実を混同するのもはなはだしいです。そういう農林行政考えておられるのですか。蚕糸局の人は、蚕糸局の同僚、先輩、課長等にもいろいろ意見を聞きながら、あるいは隣の課の意見も聞きながら、勇気と自信を持って仕事をしている。それを一人ほうっておかれて、あとは全然知らない園芸をやった人、そんな話ではそれは行政というものの考え方がおかしいですよ。何にしても課の中で取り囲まれて、同僚、先輩、隣に意見を聞いて自信を持って仕事をしておる。それを一人ぽっちにして六つの補助金を置いて握ってやれという。そしてきめこまやか、そして七県だ、十県だという、そういうような地域農業というものはおやめになったほうがいいと私は思うのです。行政というものをどういうふうに考えておられるのですかね。ワンマンじゃないのですよ。課の中においてこそ仕事ができる。一人きり離してしまったら、これは仕事できないですよ。事務の能力というものは限られておる。技術は特に限られておるのですから、園芸やっておる者が蚕糸の技術わかるはずがないですよ。そういう局の中にあって、それぞれ有無通じ、論議をし、あるいは話し合いをし、聞いたり、勇気づけられたりして、自信を持って行政に従事しておるわけであって、一人突っ放して、一人置いて周囲はほかの局から来たんだ、それは園芸者だというような話では、勇気も何もないですよ。課長はどうだとおっしゃるけれども、その課長は技術官、四等の技術官です。それはまた限られた技術者ですよ。一つの技術者ですよ。畜産なら畜産の技術者です。園芸なら園芸の技術者ですよ。これはやはり本省に盛んに電話かけに行かなければならないでしょう。一生懸命電話をかけなければどうにもならぬ。そういうような行政をやられるつもりですか。
  169. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) こまかく一つ一つ拾うてごらんになられますとお話しのような点もあろうかと思いますが、これはこういう人員の割り当てになりますということの一応の案でありますから、十分にひとつそういうことは考えまして、支障のないようにいたしたいと考えております。  それからなお蚕糸等について言いますと、県の数ではなかなかこれは言えないわけでありまして、大体蚕糸の県といえば、養蚕の県といえば、御承知のとおりに全国各府県にみんなあるわけじゃないのですから、そういうようなことも考えて、ひとつ合理的に、御指摘のような点は支障のないようにやっていきたい、こう考えます。
  170. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは私いろいろ例をあげて言ったのですけれども、簡単にわかりよく言えば、今蚕糸の係の問題を取り上げた。畜産も取り上げてみましょうか。畜産は三県の東海にしても、十県の関東にしても、七県の九州地方農林局にしても、すべて七人で三つの係です。その三つの係に対して十四の補助金を委託する、譲り渡す。そして法律に基づくところの許認可、これが六つ。六つの法律に基づくところの許認可、それでこれでやれというのです。一体人をばかにするにもほどがあると私は思うのです。そして技術というものを、きめこまやかな技術というものをどういうふうに考えておられるのか。これは農林大臣、定員は法律できまるわけですが、あとこれはちょっとやそっとの問題じゃありませんよ、これは。私の心配しますのは、本省からおそらく三千ぐらい出なくちゃいかぬのじゃないか。そうしますと、県の上に乗っかったりして妙なもの――あとでまた補助金の問題等も申し上げますけれども、こういうようなことでは、これは地域農業の確立のきめこまやかにも何もならないですよ。ねらいはどこにあるのですか。別にあるのじゃないかという気がするのですけれどもね。  次に権限移譲について伺いますが、この権限移譲というのは、地方農林局設置について非常に重要な問題になったわけですけれども、全国知事会等の問題についても非常に大きな問題ですし、また地方農林局を作る上においても、権限移譲というのは非常に重要な内容を持つわけです。ここに法律については少しばかり……詳細な資料がないのですが、補助金については非常に詳細な資料があるわけです。その資料に基づいていろいろ伺うわけですが、これは詳細に伺うと時間もかかりますから、詳細には伺いませんですが、農地局についてちょっと伺いたいのですが、農地局は昭和二十一年以来農地事務局というのができておる。ですから、十数年の歴史を持っているわけですが、これについて権限移譲せよということを盛んに言われた。この地方農林局ができるまでの間に農地事務局に譲り渡してある補助金の本数というものは幾つあるか、そして今度地方農林局を作った場合に、農地局が地方農林局に移譲する補助金の本数、これは地方農林局ができてからの補助金の件数は、農地局四十二本、今まで譲り渡したのがなんぼあるかということを伺いたい。今譲り渡しているのがなんぼあるか。
  171. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 今度地方局に移譲いたしたいというふうに考えておりますのは、農地局公共としましては二十七件でございます。今まで農地事務局で地方へ移譲したものにつきましては、今すぐ調べまして御報告を申し上げます。
  172. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは今農林省から私のところへ配付になった資料では、公共、非公共を合わせて四十二本今度地方農林局へ譲り渡すと、今までにどれだけ譲り渡しておったかという点がやはり非常に重要だと思うのですが、非常に激しく――権限を移譲せよ、移譲せよという意見が、県並びに農地事務局から非常に強かった。なんぼ譲り渡したかということを聞いている。だから、これは非常に重要な問題です。どれだけの権限を移譲したかということはいいかげんに考えておるのじゃないか、地方農林局のことを。そういう考えであったら、やめたらいい。これは権限移譲というのは重要な問題じゃないか、比較する場合に。今まで農地局はどうしてやっておったかということです。それを今後どういうふうに運営するのかという比較対照の中でこの今後の地方補助金の権限移譲の問題を論議しなければ比較できない。農地事務局の権限移譲は今なんぼあるかということがわからないようでは、どういう検討をしているか、私ははなはだしく不満です。それはあと答弁してもらいましょう。  それで次に伺いますが、今度補助金を百二十二本譲り渡すわけですね、林野から含めまして。地方農林局の百二十二本、この百二十二本の補助金の譲り渡し方というのは、どういう基準に基づいて譲り渡したのか、それを私のもらった資料では、今度の臨時国会になってからの資料に出ておる百二十二件、この補助金はどういう基準に基いて譲り渡したのか。あるいはそれを譲り渡すには何らかつけられておるのか。譲り渡しのあと勝手に取り上げられるというようなことでは、これは権限移譲にならない。何かはっきりしたものがあるのかどうか。この権限移譲についてはこれは非常に重要な問題です。五千坪の農地については、前は五千坪は農地事務局にまかしておったが、河野さんが農林大臣になってから、この五千坪は農林大臣だというので本省に取り上げられた経験もあって、非常に新聞をにぎわした。そういうこともあるから、非常にあいまいな形で、補助金なりあるいは法律に基いて許認可の移譲というものが明確な基本方針なり基準に基いて渡されていないと、今後続々とみな取られて、何にもならないのです。これはどういう基準でやっておるのか。その基準がはっきりしておるか。まずその基準を伺いましょう。
  173. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) まず法律地方農林局に移譲しないという考え方を持っておるわけでございます。それは、たとえば商品取引所の指導の事務とか……
  174. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、そういうことを僕は聞いておるのではない。僕の言っているのは、百二十二本譲り渡した、その基準いかんということを伺っておる。
  175. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) そういうふうに、今申し上げましたように、地方農林局にはっきり移譲しない事務というものがございまして、それから地方農林局に移譲し得る事務にいたしましても、たとえば全国的な規模の団体の指導監督、助成というようなものとか、あるいは安定価格の決定のように価格安定のための企画事務とか、あるいは生産需給の調整に関する事務とか、あるいは全国的視野において行なうべき地域指定とか、それから国が再保険を行なっている保険事業の補助金とか、そういうふうなものは譲り渡せないということを原則にいたしまして、その他のものはできるだけ譲り渡すということを原則にしております。
  176. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 妙な話ですね。全国規模のものというのですが、みなりっぱに全国的規模じゃないですか。この項目を見てみると、全国規模じゃないですか。あいまいな基準じゃだめですよ。どういう規準なのか。それは何か基準ができているのですか。そしてそれは勝手に変更、勝手に取り上げられたのじゃ何にもならないでしょう。これは都合悪いとか、これは何か起こったとか、そういうことで召し上げられたのじゃ、なくなってしまう。そういう懸念がするから、譲り渡したものは今後ともふえていくけれども、減ることはないのだ。それには省令で何かきめて、何かきちっと作っておかなければ、勝手にここへざかざか百二十何個も並べられてかくのごとく移譲する。あとは都合が悪ければ取り上げられるというような懸念を持たれては何にもならないのじゃないかということです。
  177. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 私が今全国的規模というふうに申し上げましたのは、全国的規模の団体とかそういうふうに、もちろん補助金は全国的にばらまくわけでございます。それを、全国ベースとしてながめなければいかぬ団体というものにつきましては、これは渡せないということを原則にしているわけでございます。それでその事務につきまして何を移譲するかというふうな基準につきましては準則を設けまして、これを告示するというようなことも考えております。
  178. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 準則を作る。まだ作っていらっしゃらないんですが、これからお作りになるということですが、これはともかく不安定なものですね。これをえさにして地方農林局を宣伝されたのじゃ、まことに処置なしですね。ですが、この点はそれじゃ一応、何かこれはこれ以上減らないのだ、これからふえていくのだという確認が大臣としてできますかどうか、これをひとつ大臣
  179. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これはどうも今おっしゃる意味がはっきりわかりませんけれども、それなら全部法律でも作らなければいかぬということになるのじゃないかと思いますが、これはやはり行政の内容もだんだんに世の中の進歩とともに変わっていくであろうし、でありますから、移譲したものをいかなる場合においてもこれは永久にそうでなければならぬとも私は考えないのであります。要するに、これは便宜の問題でありますから、地方に移譲をいたしまして、そうしてまた取り上げるというようなことは、私はほとんどないことだと思うのであります。よほどの事情がある場合には、これは別であります。普通の場合においては、そういうことはないと思います。
  180. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その点は、実際地方農林局として、あるいは県の場合としても、これがはっきりしませんと、これはどうにもしようがない。ですから、この点の確認をしてくれという意見は非常に強い。どういうふうにして確認をすればこれは今後減らないのか、今後ふえていくのか、これもちょっと見当つかないです。ですが、大臣の今の話では、なかなかあいまいですね。大臣の御一存でいくわけです、権限ですから。そうすると、何か理由があると続々とやる。あるいは場合によれば、課長でも係長の意見でも召し上げられていくということでしょうし、非常にこの点は不安定ですね。これがみそなんですからね。地方農林局のきめこまかなという場合のお宅のほうのみそはこれなんですからね。それがあいまいな形では……。だから、これは何か特殊な例がない以上召し上げない、今後ふやしていくのだ、ふえるものが出てくるだろうというふうに言えますか。
  181. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) お説のとおりだと思うのであります。でありますから、こういうものは、どうでしょうか、ある程度やはり行政庁を信用しておまかせ願わないと、何十年も、十年も二十年も、まだそのあとも不動のものにこれをしようというわけにも、これはなかなかむずかしいことだろうと思うし、一応今官房長が申しますように、一つの標準と申しますか、そういうものを作って、それによってやるということになりますと、それを取り上げるということになれば、それはわかることでありますから、これはまた国会でいろいろ監督もせられることでありましょうし、でありますから、これはある程度そういうことはひとつ行政庁を信用しておまかせを願わぬと、行政機構の問題でありますからと私は思うのであります。
  182. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  183. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記を始めて下さい。
  184. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは大臣、この問題は行政上の問題だと言われますが、地方農林局設置については非常に重要な問題であるから、その一言では片づけられない。したがって、この問題はやらなければなりませんけれども、今理事打合会をやりまして、私も理事の一人ですから、そうもいきませんから、簡単にこれからやります。  そこで、この補助金の問題について伺いますけれども、この補助金は百二十何本が移譲されるわけですが、しかし、これは実際問題として、この補助金についての地区の、補助金を出す地区の決定権があるのか。ないでしょう、地区の決定権は。地区なら地区でもいいです。団体なら団体で、その決定権があるのかどうか。こまかいのはありましょうが、まずないと言っていいでしょう。
  185. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) たとえば国営事業でございますと、これは中央からどこどこということでいくわけでございます。県営以下の公共事業でございますと、そのブロックの農林局におきましてそれをきめるということになります。
  186. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それではきわめてあいまいです。それはおかしい。そんなおかしなものはないですよ。地区の決定権は農地事務局にないですよ。これはすべて本省です。それでは構造改善事業というのは、地区の決定権は、実際は県と協議することになっておりますが、本省じゃないですか。それを伺いましょう。それから実施計画、基本計画についてはこれは地方農林局はできないでしょう。本省へ来なければだめでしょう。県営でもいいですよ。団体営でもいいですよ。
  187. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 地区の決定権は、団体営はすべて農地事務局でやっております。
  188. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは大臣、建前ですよ。実際は、この地区決定権というのは、やっぱり本省です。それから補助金も基本計画についても、これは本省ですよ。これは私がこの大きな補助金を全部電話して聞きましたら、十七本出ました。
  189. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 団体営はやはり農地事務局で、地区も決定してやっております。
  190. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでやりますか。地区の決定権というのはここにまかした。補助金というのは、地区の決定権はその地方農林局に与える。いいですか。(「それは、また失言問題だよ」と呼ぶ者あり)団体について私が言っているのはそうじゃないのです。実質上そうじゃないと言っている。私は電話をかけて聞いたのです。そうじゃないです。やっぱりそのときには来てもらわなければいかぬ。それから、この基本計画についても来てもらわなければ困る。ですから、私の言うのは、百二十二本の補助金について地方に移譲するなら、その決定権を与えるのか。与えないと、こっちへ上がってこなければいけませんよ。基本計画についても、全部本省でやっておるではありませんか。本省でやっておるわけです。その点どうですか。それは大臣答弁してくれればいいですよ。
  191. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それは大体、地区においてその決定権を与えるつもりで、私の権限を移譲するわけです。
  192. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ、今の百二十二件の補助金については決定権、それから実施基本計画の決定、これも地方農林局長が持っている。いいですね、官房長
  193. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 実施の基本計画と簡単に言われますけれども、何の実施計画ですか。
  194. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 新規地区の決定でもいい。事業の基本計画でもいいです。構造改善事業でもいい。構造改善事業の補助金は地方へ移すことになっていますね。
  195. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 構造改善事業は、これは地方農林局へやはりやることになっております。
  196. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ、ここに上がっている百二十二の補助金については、すべての基本計画にしろ、あるいは地区の決定権にしろ、事実上、実質上、地方農林局長が持つ。今は二回ずつ本省に上がってきているのですよ。農地局の場合は七月に出てきますよ、ヒアリングで。また予算の配分のときには、十一月に上がってきますよ、基本計画の承認を求めに。それは要らないと言うならいいですよ。百二十二本、これはけっこうな話ですよ。そうすると、本省は何をするのかということになってくるのですよ。
  197. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それは全然本省と連絡なしにやるというわけにはいかないだろうと思うんです。やっぱり具体的に補助金の総計を配賦しておるのですから、どれだけ配賦をどこの局にするかということは本省でやはり考えなければいかぬのだから、一応具体的な話は聞くでしょうよ。聞くけれども、結局、具体的の決定権というのは局長である、こういうことです。
  198. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ、決定権は地方農林局長にある。ここに出ておる補助金については、すべてただ意見を聞くだけ、それだけでよろしい。それは必要があるから、私は農林省がよく調べて答弁願いたいと思う。食言では、大臣、いけませんよ。食言では、食い違ったでは。私は電話をかけて聞いておるのですから、はっきりしてもらいます。
  199. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) この補助金の配分までのいろいろな手続でございますが、これは農林本省におきまして予算を大蔵省と折衝いたしまして、それで予算がきまってくる。それに基づいてワクをブロック別におろしまして、その範囲内でブロックにおきまして決定をしていくということでございます。
  200. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 官房長、それじゃ大臣答弁と同じですよ。地区決定権は地方農林局長である、さらに基本計画の決定権もある、そういうことですね。それでこの問題はそれじゃ片づけましょう。しかし実際は、やはり上がってこなければならない。地区決定のときには、上がってこなければいけない。それから実施計画についても、東京に上がってこなければいけない。これは言っていますよ、実際やっておる人たちは。それは来てもらわなければ困る。それをやらなかったら、おれの仕事はないということになる。ですから、東京へ出てくる。これは同じですよ。一つ地方農林局というのを通るだけですよ。(「答弁にならない」と呼ぶ者あり)それはならないですよ。それじゃ、これから百二十二本の補助金については、農林省の廊下をうろうろする必要はない。地方農林局へ、そこだけ行けばいい。農林省の廊下は閑古鳥が鳴くということになる。
  201. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) けっこう。
  202. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それはけっこうな話なんですよ。そうならないから、僕は言っているのですよ。けっこうな話なんだけれども、そういうおめでたい話にはならない。それは政治家的な感覚でこれをお考えになってもらっては因る。もっとこれは行政的な問題であるし、また、この場合においては、非常にこれが大きな問題になる。やっぱり東京に出てこなければならないのでは、それはたいしたことではない。屋上屋を架するということになる。これは補助金を全国に配分しますね、その場合に、補助金を配分する場合に、それは各県の農家戸数なり、あるいは耕地面積なり、田畑の割合なり、あるいは資本、装備なり、いろいろな資料を使ってそれを各県に割り振る。そうしてそれをブロックにまとめる。ブロックにまとめたものを流す。流したものを地方の係長がもらって、それをまた同じように各県の戸数か何かによって割る。こういう経過になるのじゃないですか。そうすれば、一つよけいなものができるだけです、これは。今の農地局のいろいろな補助金のやり方は、そういう各県に割ったやつをブロックにまとめて出す。だから、裏じゃおれの県には幾ら出る、おれの県は幾ら出るかというふうに聞いて来て、そうして帰ってきで、またそれを計算して出すと、こういう経過ですよ。ですから、実際の補助金の配賦の仕方を見ても、結局一つよけいなものができる。私は地方農林局という、こういう組織については、政治的な判断ではなくて、もっと行政的な判断を持ってすべきだ。それは局長とか、そういうおえら方にはわからない、実際やっていないのだから、それは。来れなくなったら、それは本省の連中はどうなるのだということになるんじゃないですか。まあ、それは時間が過ぎますから……。しかも、これは大臣の決定権も、基本計画権も、全部これは相談しなければしないでもいいのだ、まあ、する必要があればする。大臣、食言にならぬように願、いますよ。  それから、次に簡単に地方農林局の人事ですね。三等以上は本省ですか、四等以下は地方局ですか。それだけ簡単に。どうなんですか。
  203. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 四等以上は中央でいたしまして、五等以下につきましては、地方農林局長に移譲するということだと思います。
  204. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この点が、簡単に申しますと、非常に私は問題じゃないかと思うのですが、まあ四等以上といいましても、実際は三等以上になると思いますが、実際三等以上の人たちについては割合に全国との流動、本省との流動がきく。しかし五等以下の地方局長人事については、他局との異動がきかない。本省との異動がきかない。またきいてはならない。地方農業についてのマスター、専門家でなければならないのですから、五年間は動かしたらいかぬ。だから、庶務とか、会計とか、そういうものは全国的に流動が行なわれましょうが、少なくともこうした補助金とかというものを取り扱う技術者、これは少なくとも五、六年というか、あるいは七、八年にわたって固定するというふうにしなければならぬと思うのですよ。そうして、そういう人たちは最も農林省における中堅的な人たちですよ。これは、言うならば、村の助役的な知識は持ちましょう、非常にこまかい。しかし、そういうものの農政が、あるいは皆さん方が期待されるような地方農業の動きというものは、農林省の本省でつかめるのかどうか。三等以上の者はこれはぐるぐる動きますよ。こんなものはどうにもこうにもならない。この間におけるギャップというものは非常に大きいと思う。これは今本気になって五等級、四等級の連中が心配している。あるいは六等級の連中が心配している。そうなったならば、助役的な知識を持たなければならぬと思う。一つのことについては、ここはこうだという知識はほんとうに持っているけれども、あるいは工業と農業との関係はどうなっているのか、日本の農業の目的はどうなっているのか、地域関係はどうなのか、国際的な日本の農業についてはどういうことなのか、そういうふうな知識については、全くそれは総一億ではないが、総白痴化組織じゃないかということが言われている。これは一、二年で動かしちゃだめですよ。やはり五、六年か七、八年とめなければならない。それで局長とかなんとかというのは、これはきわめておかしな存在だと思う。局長というものは、これはフロートですよ。というのは、予算というものは各県各局が取るわけでしょう。各局が取って各課が取って、それぞれひもがついておりるわけでしょう。局長はどれだけの権限があるのですか。それで本省のひもがついているのです、これは。人事についてもそうですよ。そんな局長というのはフロートですよ。それは大臣というような地位の人じゃないのですから、そういうような総体的に考えてみまして、私は地方農林局というのは、人員の配置の問題、あるいはこのブロックの考え方の問題、さらには補助金の配賦の仕方、その複雑さと繁雑さ、こういうものから考えますと、さらに、この人事上の問題から考えられる中堅幹部を無能に追い込むこの地方農林局の組織というものは、私は全体として見て、屋上屋を架するものであるし、組織行政を非常に分散化し、複雑化するということにしかならないのじゃないかという私は結論を持っている。という心配をしておるわけです。局長さんの心配とわれわれの心配は違うかもしれない。が、しかし、そういうことを私は考えている。それについて、ひとつちょびっとですね、答弁をいただきたいですね、問題によってはかみつきますから。
  205. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 先生の仰せになる点につきましては、十分今後配慮をいたしていきたいと存じます。なお、今度農林局ができますると、今までたとえば農地事務だけの範囲で動いておったというようなものも、農林局として多方面の仕事を総合的に考えるというような点もございまするし、そういう点におきましては、よくなり得るのじゃないかということも考えられます。
  206. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それはなかなか言うはやすくして、農林省では年じゅう言われておる。ちょっと気のきいた局長は、みんな年じゅうそれをおっしゃる。それで今まできているわけです。そんなものはできっこないのです。それはまた、それを言われるには、相当の周到な配慮と教育期間が要りますよ。  私は、はなはだこういう問題については不本意ですが、最後に伺いたいのは、この補助金とかあるいは融資という補助手段を使わないで、行政手段を使わないで、新しい行政手段を発見しなければならぬというお考えのようなんですが、これはどういうことなんでしょう。それを伺いたいと思います。
  207. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) まあ農業につきましては、御承知のように、日本の農業はきわめて零細な農業でございまするし、そういうふうな点から、他の産業に比較いたしまして補助金を相当必要とするわけでございます。それをできるだけ融資のほうへ振りかえていきたいというような行政の動きもございまして、融資の事業が次第にふえてきたわけでございまするが、これは補助金が特に零細補助金であるというような批判もございまするし、また補助金になりますると、とかく補助をもらった者が、これは補助であるというような考え方に基づいて十分努力しないというような点もあると、いろいろそういうふうな角度から補助金行政が融資の行政に切り変わっていく。それからだんだん、農業が大きくなって変わって参りまするにつれて、そういうものから脱却いたしまして、自分の農業を自分で確立していく。そうして国のほうはそれに対してサービスを行なっていくというようなことも、今後の推移の上では考えられるのじゃないかと存じます。
  208. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今のその問題ですが、また補助金がだんだ減ってきて融資に変わってくると、そこでこのたび地方農林局設置にあたって再び新しくといいますか、できてきたのは、それ以外の行政手段というものは、それはサービスであるとか、あるいはそのほかのいろいろな援助であるというお話、私はこれは危険であるというふうに思うわけです。これはよく言われるのですが、肩たたきと顔つなぎによって行政というものは進められるものではないと思うのですよ。そういうにおいが非常に強いのですね。それはものによってですね、ある時期は、それは農民の動きなりあるいは農民の不満というもの、今後の農業が一番、農民が一番動揺するでしょうが、その場合において一番また動揺していますけれども、そういう場合に、補助金は少なくなるわ、融資はこれでどん詰まりだというような感じ、そこでサービスとか、肩たたきとか、顔つなぎというものによってやるようなサービス農業ですね。私はこれは裏返すとそういうものだと思うのですが、そういうものによって何かやるような気がしてしようがない。それはどうでしょう。
  209. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) そういうことはあまり御心配を先々までせられぬでいいんじゃないかと思うのですが、御承知のように、日本の農業の指導といいますか、そういうものが今の普及員ができて初めてサービスをやっておるというようなわけであると私は思うのでありますが、私はこれはやはりさらにその方面は一段と進めて、アメリカのエクステンション・サービスに似たような方向にやはり進んでいくべきであると思うのであります。その場合において、補助金をなくするとか、あるいは融資がだんだんなくなるということは、これは断じて私はないと思います。皆さん方御協力をいただいていろいろ融資の制度をやる。金を貸す方法があっても、農家はそれがわからない。それを、やはりそういうような農家が金を借りる手続なり、簡単な設計なら設計までやれるぐらいになってお世話をするというところまで進むのが私は今後の傾向だろうと思うのです。そういうふうなことが進んでいけば、それに融資とか補助金をすりかえていくというような御心配と私はお聞きしたのですが、そういう御心配なら私は要らないのじゃないかと思うのですがね。
  210. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ひとつ今度この地方農林局設置にあたって、この地方農林局行政の進め方の考え方といいますか、これからの地方農林局というのは、農業土木のあの行政のやり方を見習わなければならない。あれが手本だという言い方ですね。これは農業土木行政については、従来からいろいろ農林省内部にも批判があり、私自身も批判を持っておる。これは私が言った、肩たたき、顔つなぎという面がある。そういうものが地方農林局行政を進める模範であるという考え方、これを私は心配するわけなんです。どうもそうじゃないか。これは私のほうとしては納得できないということです。
  211. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 直接やはり農業土木のことについて御引用になりましたから、私それについて申しますれば、直接やはり農家に接触し、あるいは町村に接触するのは、やはり県の出張所とかなんとかいうようなものが接触するだろうと思うのです。今の農地事務局が各地方と常に接触してやっていくという状態にはまだなっておらないと思うのです。
  212. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは大臣非常な認識違いですね。農地事務局の今のあれを見ますとね、これはもう戦後はたいへんな違いです。私の村なんか農林省の農地事務局のお役人というのが年じゅう来ております。全部顔つなぎですよ。団体営へ何とかの補助金を出すとか言って、年じゅう来ているんですよ。全然その認識は違います。ですから、今の農地事務局というのは、そういう非常に末端まで入っていますよ。全然違いますよ。今後、地方農林局ができて、趣旨としてはこれを模範にするというのですから、そういうようなものを進められると思うんです。これは私はとても問題があると思う、というふうに思うんです。その点で、先ほどの十五分という約束がありまして、それで、これでひとつはなはだ遺憾でありますけれども、時間の関係がありますので、やめます。
  213. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑はありませんか。――別に発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  214. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたしたいと思います。修正案はお手元にお配りしてありますので、朗読を省略させていただき、その要旨を申し上げます。  第一は、林野、水産及び統計調査の事務地方僕林局に所掌せしめることについては、なお慎重に検討を要するものがありまするので、この際、これらの事務地方農林局所掌事務から削除するとともに、その名称を地方農政局と改めることであります。  第二に、前国会におきまして成立した漁業法の一部を改正する法律により、新たに玄海連合海区漁業調整委員会が設置されたのでありますが、この委員会を水産庁の付属機関とするための修正を行なうことであります。  第三に、本法律案の施行期日は本年十月一日、地方農林局設置及びこれに関連する規定は、本年十二月一日となっておりまするが、これらの期日はそれぞれすでに経過しておりまするので、本法律案の施行期日は昭和三十八年一月二十日、地方農政局の設置及びこれに関連する規定は、諸般の準備に要する期間を考慮し、公布の日から五カ月をこえない範囲内で政令で定める日とすることであります。これらの修正に伴いまして、定員につきましては、あわせて所要の修正を行なうことといたしております。  以上の修正部分を除く原案に賛成をいたしまして、私の討論を終わります。
  215. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、今提案になっております農林省設置法の一部を改正する法律案並びに石原理事が提案されましたこの法律案に対する修正点について、先ほど来論議をいたして、また私どもの委員のほうからも種々長時間にわたって論議をいたしましたように、本省の機構改革につきまして、種々遺憾な点があるというふうに思っております。特に園芸局についてはずさんであるというふうにも思いますし、さらに地方農林局設置につきましては、これは人員の配置の状況、あるいは補助金の実際の権限移譲から、その配賦の実情、あるいはその人員とそれにまかされる補助金の数、あるいは法令に基づく許認可の数等から考えまして、この地方農林局については種々重要な問題があり、屋上屋を架する面が見受けられるわけでありますし、また、農林省のブロック農林省のごとき感じを与えるものができますことは、これは従来の農地行政、あるいは構造改善事業という特殊の事業はともかくといたしまして、内局の出先がこういうふうにブロックにできますことは、何といいましても、やはり府県の自治を軽視するようになると、こういうふうに考える点があるわけであります。さらに、補助金の問題あるいは融資の問題を別にして、地方農林局が推進しようとする行政手段についても、先ほど申し上げましたように、深い疑念を抱いておるわけであります。また、そのために農民にとってどうかということからいいましても、私どもは農民あるいは自主的な農業団体についても重大な問題があるようにも考えるわけであります。しかしながら、与党・自民党と社会党との理事同士の間で種々この問題についての論議も行なわれまして、修正が、先ほど石原理事が提案になったように、出たわけでありますが、私ども、これによって若干の是正はできたというふうにも思います。が、しかし、この問題については、なお非常に大きな不満と不本意な点を持っておるわけでありますが、この法案には九百数名の定数の増加、特にその中の約八百五十名の定員化の問題も含まれております。そういう意味から、委員会のルールに従って、私ども、この修正案、修正案を除いた原案に対して賛成の意を表します。  しかし、先ほど来申し上げましたように、この農林省設置法については、論議を通じて示しましたように、深い疑惑を持ち、また非常に不満を持っている、こういう点をつけ加えまして、委員会ルールに従って賛成をするものであります。
  216. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 私は公明会を代表いたしまして、この法案に賛成をするものでございますが、本法案は、農業基本法の精神を具体化して、農業構造改善を目的として立法されたものと思考するものであります。なるほど、従来は全国農家を等質的に見た農政であったと私も思うものであります。本法案は、適地適作、需給の合理化をはかった、いわゆる生産、サービスを考え地域農政だと農林省の責任者各位は説明をされておりまするが、なるほど私もさようになければならない、運営を誤ってはならない、かように存ずるものであります。もし、この立法精神を誤るようなことがあれば、たとえて申しますならば、大幅に中央の権限地方に移譲されて、この改正の法の精神を誤って官僚の地方進出の足がかりとなり、命令と権力を乱用して官僚行政に陥るようなことでもあるとするならば、これはたいへんなことでありまして、時代逆行もはなはだしい。わが国農業推進の農業構造改善に大きな前途を阻むものとなる、これが大きな障害となる、かように私は懸念する点もないでもないのであります。重政大臣はまことにお忙しいところを、御老齢の身にもかかわらずに、まことにかくしゃくたるもので、さすが農政通の第一人者としてうんちくを傾けて終始質問の第一線にみずから立って答弁をされましたその真摯な態度に対しましては、また、その労を私は大いに多とし、敬意を表するものであります。重政農政も大いに将来期待が持たれるんではないかと意を強くするものであります。けだし、本法の実施にあたりましては、さきに本員が申しましたごとく、懸念すべき点が多々あるやに思考されまするが、ただいま修正案も出たことでありますし、いささかその不安も除かれたかとも思います。どうぞ政府関係各位は、十分これらの点に留意せられまして、われわれの要望や声を心して、その運営を誤ることなく、万遺漏なきよう農林行政完璧を期せられんことを特に要望して、私は本法案に賛成をするものであります。終わり。
  217. 田上松衞

    田上松衞君 民社党を代表いたしまして、農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案、及びこの部分を除きまする原案に対しまして、まことに不満足ではあるけれども、やむなく賛成の意を表明いたします。  率直に申し上げますけれども、私どもなお見識の不足のために、本日こんな長い時間、いろいろ質疑応答を通じまして勉強させられた委員が多いと考えております。よけいなことですが、この点に対して鶴園君の非常なうんちくを傾けられた御質疑に対して、むしろお礼を申し上げたいと存じます。これを顧みますると、どうも大臣初め、率直に申し上げまするが、役所のほうでも、ちょっとそれに比較いたしまして、勉強不足であることを遺憾に存ずるわけであります。質疑の中で大臣答弁された、まあとにかく信頼してまかしてくれなんということを、ちょうど池田さんの言われたような言葉を使われたわけでありますけれども、聞いておりますと、あぶなくてはらはらしてしまうような答弁を繰り返されておりますけれども、実にそのたよりなさを痛感したわけであります。こういうことでは、この改正の目的にうたっておられるようなことは、とうていなし遂げられるものではないということを痛感したわけであります。が、しかしながら、前文にあったように、常に時の要請に応じてやはり改善整備するのだ、この言葉だけを信頼いたしまして、今後適当な機会にやはり改善されるであろう、こう信じまして、その点だけは心から信じまして、まことに、前段申し上げましたような内容非常に不満でありまするけれども、やむなくこの場合賛成いたしておきたいと思います。
  218. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御発言はございませんか。――他に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  まず、討論中に述べられました石原君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  219. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 総員挙手と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。修正部分を除く原案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  220. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 総員挙手と認めます。よって、修正部分を除く原案は可決され、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成等につきましては、先例により、委員長に御一任を願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後十一時五分散会    ――――・――――