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1962-12-13 第42回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月十三日(木曜日)    午後一時二十一分開会   —————————————  委員異動  十二月十三日   辞任       補欠選任    宮澤 喜一君  谷口 慶吉君    田畑 金光君  永末 英一君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村山 道雄君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            大谷藤之助君            栗原 祐幸君            小柳 牧衞君            谷口 慶吉君            林田 正治君            北村  暢君            横川 正市君            永末 英一君   国務大臣    農 林 大 臣 重政 誠之君    国 務 大 臣 志賀健次郎君   政府委員    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁経理局長 上田 克郎君    農林大臣官房長 林田悠紀夫君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    農林省振興局長 斎藤  誠君    林野庁長官   吉村 清英君    水産庁長官   庄野五一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    農林省農林経済    局統計調査部長 久我 通武君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査防衛問題に  関する件) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(第四十回国会内閣提出、第四十  一回国会衆議院送付)(継続案件)   —————————————
  2. 村山道雄

    委員長村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がありましたので報告いたします。本日宮澤喜一君及び田畑金光君が辞任され、補欠として谷口慶吉君及び永末英一君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許すことといたします。  なお、政府側から志賀防衛庁長官海原防衛局長上田経理局長出席をしております。
  4. 永末英一

    永末英一君 志賀長官にお尋ねいたしたいのでありますが、志賀長官は御着任になってこの四年間に、ナイキ・アジャックスをどの隊に配属せられるかという問題について懸案になっておりましたが、これは自分が着任すればちゃんときめると、こういうようなことを言っておられたかに漏れ承っておるわけです。ところで、アメリカを訪問されて帰ってこられて以来、特にこの問題についての決定か、私どもの聞き及ぶところでは非常にごたごたしておると承っております。現在アメリカイギリス両国間におきましても、スカイボルトの廃止の問題をめぐっていろいろの議論がございますようでございますけれども、これはその兵器の性能に照らして廃止するかどうかという問題、ところが、ナイキ・アジャックスの問題は、そういう問題ではなくて、すでに第二次防衛整備計画の中でもちゃんとそれはやるんだということは決定されて、それから訓練生アメリカに行ってすでに帰国をしておる。いろいろ問題がございましたが、いわゆるナイキ・アジャックス配置する陣地構築も開始をいたしており、現物まで来ておる、いまだにどこでそれを所管するのかきまらないということは、非常に私どもは遺憾に存じておるわけでございますが、この間の状況についてまずお伺いいたしたいと思います。
  5. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 仰せのとおり、いろいろな経過をたどりまして今日に至って、しかもまだ決定を見ていないのでありますが、実は率直に申し上げまして、私がアメリカから帰るまでの間に、航空自衛隊陸上自衛隊との間の調整が進むように私は期待して渡米いたしたのでございますが、何せ先生お話のとおり、四年間もいろいろないきさつがあったものでございますから、そう簡単に結着がつかずにおるわけでございますが、しかし、新たに編成される部隊隊員アメリカにおきまして一応の訓練を終了して、目下千葉県の下志津の部隊に配慮されておるのであります。きわめて近々のうちに最終的な決定をいたす所存でございます。でき得まするならば今月中には必ず決定いたしたいと思っておるわけでございます。
  6. 永末英一

    永末英一君 私ども国会でこの問題に関して知り得ておりますところでは、陸上自衛隊予算として組み込まれており、それに従って訓練生の派遣なり、あるいはまた、陣地構築等の費用が支出をされておる、しかも訓練生も一応身分陸上自衛隊隊員という身分で派遣をせられておる、ところが、そういうような今までの行政的な措置があなたが帰られてから、これは漏れ承るところでございますけれども、つい最近自民党さんの国防部会で、あなたのところの統幕長が、いやそれはどうも陸より空のほうがよろしいだろうというようなことを言うたというようなことが、ごたごたしている一つの現われではないかと思うのです。なぜそんなにごたごたしているのですか、理由をちょっとお聞かせ願いたい。
  7. 海原治

    政府委員海原治君) 具体的な問題でございますので、私から若干その間の経緯を御説明申し上げます。実はナイキホークは第二次計画でそれぞれ二個大隊ずつ編成することが計画として定められております。これの所属につきましては、先ほど大臣からお述べになりましたように、実は四年くらい前からいろいろ検討を続けている次第でございます。この二次計画を作成しますときにも、私どもといたしましては、事務的に所属決定をお願いする用意をいたしておりましたが、とにもかくにもそれぞれ新しいミサイルというものにつきましての建設でございますので、陸あるいは空、単独でこれを建設あるいは整備する能力がございません。したがいまして、当時の状況におきましては、それぞれのところから所要の要員を出して、まずこの部隊建設する能力を持つということが最初である。もう少し具体的に申し上げますと、防衛庁として検討するということが、第一に考えられました。所属の問題は当時におきましては、まだ具体的にナイキホーク整備補給、今後の維持の問題につきましては、いろいろの問題点が必ずしも明確になっておりません。そういうこともございますので、とりあえず第一大隊編成のために、陸空それぞれからほぼ同数の人間を出しまして、これの教育訓練をすることが先決である、このように私ども事務的に判断いたしまして、そのような考え方から混合編成ということで向こうに参りましても困りますので、一応陸の部隊という形で送り出したのでございます。その間、向こうにおきまして、アメリカポート・ブリスク米陸軍防空学校がございます。ここで訓練を受けるかたわら、これの整備補給等に関しまして、関係の者が十分検討いたしまして、いろいろな問題点につきまして解明が一応できましたので、先ほど大臣からお話がございましたように、ただいま最終的な所属につきまして検討をいたしている次第でございます。ごたごたというような御印象でございますが、実はナイキホークはそれぞれ新しい近代的な部隊でございますので、これの整備補給等につきましては、その要員教育訓練等あるいは補給廠における補給区分等、非常に微細な点におきましての仕分けが大事でございますので、その辺の問題も、かりにそれが陸にとどまった場合あるいは空に移った場合、それぞれにおいてどういうふうな利害得失があるかということを最終的に検討いたしている次第でございます。これが不日検討の結果まとまりましたら、私どもといたしまして長官の御決裁をいただく、このようなただいま状況でございます。
  8. 永末英一

    永末英一君 今のお話を伺いましても、陸か空かに所属せしめる利害得失考えておる、こういうような角度のお考えのようでございます。  ところで私どもは賛成ではございませんが、政府アメリカ安保条約を組んで、そして日本の領域内における防衛をその意味合いでは連絡をしながらやっていると思うのですが、アメリカ国防予算は御承知のとおり、いわゆる陸海空という今までの三軍をまず分けて、そしてそれに幾ら人件費がかかるかとか、どういうものを装備するとかいう方式をやめちゃって、アメリカの国を守るためにどういうような戦闘状況考えられるかという機能に重点を置いた編成がえをやったことは御承知のとおりだと思うのです。今防衛局、長のお話でも、新しい武器が来た、その配属を空にするのか陸にするかということでお考えのようでございますけれども武器が変わればそれを担任して防衛に当たる部隊の性格もまた変わってくるのがこれは理の当然ではないかと私どもには思われる。しかるにかかわらず、なおかつ、やはり陸とか空とかいう従来の一つ戦闘部隊観念の中に新しい武器を帰属させようという考え方を固守されているように思うのでありますけれども、この辺についてはどうお考えになりますか。
  9. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先生の御指摘になりましたように、私が先般渡米いたしまして、アメリカ防衛のために三軍が渾然一体になってすべてを律しておる状況を目のあたりに見て参っておるのであります。したがって、今回ナイキ・アジャックス所属の問題を決定するにあたりましても、日本自衛隊としての立場から、その観点から所属決定いたしたいと思うのであります。ただこれを取り扱うのは陸にするか、または空にするかということでありまして、あくまでも大きな前提先生の御指摘のように、自衛隊全体の問題として最終的に決定する所存でございます。
  10. 永末英一

    永末英一君 自衛隊全体の問題であることは間違いございませんが、自衛隊全体の問題として、その先は陸に帰属せしめるか空に帰属せしめるかという考え方がもう少し整理をされてこられないと、今までわれわれわが国の自衛隊が持っておる在来兵器の中に初めて少し型の変わったようなものが、ナイキが出てくるわけでございますけれども、このナイキ御存じのように、最新精鋭兵器ではなくて、兵器としてはいわばどちらかといえば古びておる。上陸をされたナイキの実態を見ても非常にお年寄りのものが入っておるように聞くのでありますけれども、そういう陸とか海とか空とかいう考え方の中に、今まで防衛庁自衛隊を進めていく方針として、三軍均衡方式をとっておりますということを国会でも何べんか言明されたと思うのですね。均衡なんということは一体何だろうか。つまり予算面で大体みな金額が同じだから均衡と言われるのか、均衡という意味は私どもにはわからない。所属というところを少し説明していただかないと、やはり帰属問題に根本的な考え方が明らかにならぬと思うので、一体防衛庁長官三軍均衡というような言葉によって何を一体考えですか。
  11. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私は、日本自衛隊前提と申しましょうか、大きな心がまえを申したのでありまして、現にアメリカ三軍一体になりましてもナイキはやはり陸に所属したり、また、よその国でも空に所属しておるところもございまして、私の申し上げるのは心がまえでございまして、日本自衛隊全体としてナイキをどこに所属せしめるかということを決定する方針でございます。
  12. 永末英一

    永末英一君 私が申し上げたいのは、日本の国の憲法のさし示すところ、自衛隊法のさし示すところ、または政府がお作りになった第二次防衛整備計画の根本的な方針というのは、やはり局地侵略に対してこれを迎え撃つ体制をとる、こういうことだろうと思うのです。ところで、そういう場合に、今の問題は、約一個大隊分ナイキ・アジャックス日本に入ってくる。ところで、一個大隊分ナイキ・アジャックスというものが日本のそういう意味合いでの私は局地防空になろうと思いますが、局地防空のためにどれだけの寄与をするかという、やはり、輪郭を明らかにしてもらわなければ、一体、それだけのある力が空に行くか、陸へ行くかという問題ではなかろうと思うわけです。いわんやこれに関連して四十年には第二番目のアジャックスが入ってきて二つ大隊、二個大隊作って、一体日本のどこをどのようにしてどっちを向いて防衛をしようとするのか、あるいは聞くところによりますと、ホークも年度を異にしながら、ほとんど同時に装備をされている。ホーク陸上自衛隊に帰属せしめるということを御決定のように聞いております。しかし、これらのナイキ防衛力あるいは防衛範囲、さらにまた、ホーク能力に応じた同じ問題、さらにまた、陸上自衛隊は、従来まで、いわゆる旧式高角砲を持っている。高射砲ですか、そういう高角砲は、昔のプロペラの飛行機なら落ちるかもしれないけれども、マッハ二以上のが来ると、うしろから追いかけても追いつかない、こういうたましか出ない。しかもそういう三十七ミリあるいは九十ミリの高角砲砲数もその配置も、私の知り得るところによりますとまことに貧弱である。一体そういうものを一貫して、ナイキ・アジャックス配属あるいはこれからどの程度日本防空のためにそういうものが必要か考えられておるかわからぬわけです。この辺のところを一ぺん伺いたい。
  13. 海原治

    政府委員海原治君) ただいまの御質問でございますが、先ほどの私の御説明が不備でございまして、ただ、陸がいいか空がいいかというような、いわば所属先のことを考えて問題が検討されているような御印象を持たれたのじゃないかと感ずるわけでございますが、私どもとしては、今先生お話しになりましたように、日本防空ということを考えました場合に、一応、第二次計画としては先ほど申し上げましたナイキが二個大隊ホークが二個大隊でございます。これがどの地域にどのような関係において配置することが最も効果的であるかということにつきまして、それぞれ専門家の間で検討している次第でございます。  御存じのように、日本防空といたしましては、一応F104を主体といたしますところの防空戦闘機隊でございます。そのあとにナイキ大隊がございまして、さらにホークあるいは従来の周射砲隊という、段階的に防空作戦体制をとることを考えております。  ナイキの二個大隊配置でございますが、これは第一大隊京浜地区防空、第二大隊につきましては、かつてこれが関西地方北九州地方とこの二カ所のうちどれがいいかということの検討を続けて参りましたが、ただいまのところでは一応北九州地区に置くのが至当ではないかという事務段階判断でございますが、そういうことで考えています。  ホークの二個大隊につきましても、数が二つでございますが、これを二個大隊とも北海道へ置くかあるいはナイキのほかの大隊とかみ合わせて置くがいいかということにつきましても、検討した結果、三十九年度に一応想定いたします最初大隊京浜地区ナイキの一個大隊とあわせて配置するという考え方が現在のところでは有力でございます。ただし、これはまだ最終的に長官の御決定をいただいたものではございません。私以下の事務の階段のところで申しておるわけでございます。  そのようなことで、先ほど申し上げましたように、それぞれに要員を出しております。各ナイキホークそれぞれに、その整備補給という点は非常に新しい兵器でございますので、それぞれの特技を持った者の要員というものの教育なり、あるいは編成なりということは非常にこまかい計算を必要とするわけでございます。先ほど申しましたように、今度教育を受けました者が帰ってきて初めてわかったような点もございます。そういうものを全部取り入れまして現在、最終的に検討をいたしておる次第でございますので、先ほど大臣からお話のございましたように、この月じゅうにはそういう防空的な判断を入れました所属というものが決定されるものと私ども考えておる次第でございます。
  14. 永末英一

    永末英一君 今局長から大体の事務局段階における素案素案素案みたいなものを伺ったわけでありますけれども、たとえば京浜地区防空ということだけを例にとりましても、横浜で旧式高角砲ばかりみがいている部隊があるということを新聞紙上で伝えられておりますし、京浜地区防空だけで、たとえばF104といいましても、まだできている機数御存じのとおり十機に満たない、そしてこれが全部できましても、実働機数は百八十機である、実働機数が百八十機でも、常時飛べるのはそのうちの幾らかというが実際の現状でございます。いわんや、そこへ持ってきて、こういうナイキを今のところ一大隊、また、ホークが一大隊加わるといいましても、それで一体この京浜地区だけをとっても、どの程度安全感京浜地区の人々に与えるか、私は非常に疑問だと思うわけであります。しかし、政府は今までそういう問題を明らかに国民に知らせて、ここまで努力しておるが、これはこうこうこういう意味合いであるということをはっきりしたことがないのです。そういうことをはっきりさせなければ、たとえば、基地一つ作るにしたって何をしているか、役に立たぬような古くさい十年前の兵器を払い下げてもらってもだめじゃないかという運動が起こるのは、これはあたりまえじゃないかと思うのです。そういう点について防衛庁は、国土防衛というのは、防衛庁隊員だけがやるのではなくて、国民がその気にならなければやれない、そういう点のいわゆる事情を国民に知らせる用意というものが一体長官おありなのかどうか、伺っておきたい。
  15. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) この点は、常にあらゆる機会に国際情勢中心日本防衛力整備の問題については国民に訴えて、その努力を続けておるわけであります。
  16. 永末英一

    永末英一君 努力をしておられると言われますけれども、つまりその日、その日、行き当たりばったりみたいな計画を、たとえばミサイルの問題にいたしましても、陸上自衛隊のほうはナイキ・アジャックスがきまって以来、一連の行動をして参った。空のほうでも同じようにミサイルに対する研究は少しはやっている。それに関連して、この前非常に問題になりましたスイスからエリコンを買うて、そのエリコンをたくさんの、百五十万ドルかなんか知りませんが、金を出して買い込んで、それを分解して何か作っている。その後一体エリコンがどこへ行ったのかわからぬ、こういう状態であります。あるいはそのミサイル発射基地新島に求めるというので、新島の島民の反対を押し切ってごたごた防衛庁指導権を握ってやっておいて、今新島発射基地というのは一体どうなったのか、行き当たりばったり、全く無計画に一番重要な平和の問題を扱っておられるのではないかという疑問を国民は持っておるわけです。それで一生懸命明らかにしておるなんて長官は言われますが、事実はエリコンだって、新島だってどうなったんだ、そういうものと、一体ナイキ・アジャックスは一応きまっているし、ホーク、ボマークの問題もあるでしょう、同じ発射台が置かれれば、アジャックスからハーキュリー、スに行くかもしれない、ミサイルだけの問題でもいろいろ問題はあるけれども一体新島エリコンはどうなっているか報告を願いたい。
  17. 海原治

    政府委員海原治君) ただいまお尋ねのございましたエリコンでございますが、これは御指摘のございましたように、防衛庁の、主としては技術研究本部におきますミサイルの基礎的な勉強のために購入したものでございまして、これは実用のものとしては考えておりません。したがいまして、当該関係部局におきまして将来の日本研究開発のためにこれは利用しておる次第でございます。  新島につきましては、基地は応整備いたしましたが、ここにおきます防衛庁としての使用頻度につきましては、従来当委員会におきましても御説明申し上げましたように、年間数回……二十日前後の使用である、これは建設当初からその程度頻度のものを考えておった次第でございます。
  18. 永末英一

    永末英一君 今ナイキ配置せられるということになりますと、先ほど局長の御説明でも、ただ配置をされたものを見ておって、みがいておったんでは役に立たぬのでございますから、どういう工合にして飛ぶかということは、そこの隊員が習熟しなければならない、いかに名刀でもほっとけばさびるのでございます。相当訓練しなければならぬのです。新島お話を伺いますと、二十日くらい、その程度のことを考えておっても、一体アジャックスを装備されたらどういうような訓練計画をお持ちになるのか伺いたいと思います。
  19. 海原治

    政府委員海原治君) ナーキ部隊訓練につきましては、これはそのナイキのございますところにおきまする実物を前にしての計器による訓練、それから毎年一回くらいは実際にたまを撃ちまして訓練しております実射訓練、この二つに分かれる次第でございます。実射訓練は、現在アメリカポート・ブリスクというところにございます陸軍航空学校で各国のナイキ部隊訓練を受けておる次第でございます。来年度はこのナイキ部隊につきましては、ポート・ブリスクにおいて訓練を受けることで現在のところは考えております。
  20. 永末英一

    永末英一君 ナイキアメリカから日本に来た。実射訓練アメリカで行なう、こういう話でございますが、いかにもどうも日本人としてたよりない話のように感じるわけです。それは別として、そういう訓練を受けて、いよいよそれを自衛隊で扱われる場合に、少し話をもとに戻しますが、航空自衛隊というのはこれからの主力はF104Jになって、局地防空をやろう、要撃戦闘機と言っている、古くなってきたF104は爆弾を積んで、何にするか知りませんが、爆撃戦闘機に使おうとしておられる、それと関連して、それと見合うようなものしか落ちないと思いますけれども、見合うようなものに対する対抗力としてナイキ・アジャックスを入れる、現在まで陸上自衛隊が持っておりますものは、先ほど申しました、いわゆる在来対空兵器である、対空戦闘一元化ということが必要だという意見もございましたが、そういう面については一体どうお考えになるか、お答え願います。
  21. 海原治

    政府委員海原治君) ただいま先生の御指摘のございましたような考え方に基づきまして、現在最終的な検討をいたしておる次第でございます。
  22. 永末英一

    永末英一君 そうしますと、もう一度確かめたいのでありますが、ホークの帰属は陸上にきまっておると承りましたが、そういうことをひっかけて一元化ということになると、普通の三段論法ならお答えはおのずから明らかになろうと思いますが、しかしながら、同時にまた局地防空のためには、104Jは飛ぶ飛行機でございますから、人が乗っておる、人が乗っていると空軍でございますから、空にも両方ひっかかってくるのですね、一元化と申しましても、先は二つに分かれておる、その一元化意味合いは。  そこで私伺いたいのは、いわゆるわれわれの自衛隊全部の任務としては、防空ということがあるとするならば、そういう機能によって一元化させるのか、それとても、今分かれておる完全に防空という目的を一つ取り上げても、部隊二つあるわけです。そのどっちかの部隊一元化しようというお考えで進めておられるか、その辺の考え方をひとつ伺いたいと思います。
  23. 海原治

    政府委員海原治君) まずホークにつきまして、これが陸上自衛隊所属であるように決定したかということでございますが、これは別にそういう決定はいたしておりません。ただそういう方向でものは考えられていることは事実でございます。  一元化という言葉でございますが、これは言葉としてはきわめて簡単でございますけれども、その内容を実際に組み立てていく場合には、非常に今おっしゃいましたようなむずかしい点がございます。もちろん私どもとしましては、防空任務と、それぞれの武器については、それぞれの武器の持つ意味がございますので、その機能中心考えて参りますことはそのとおりでございます。その機能を十分果たすためには、これを維持し練成していく人の関係もございます。その人の現在の状況もございますので、その辺のところをどういうふうな組み合わせにしたら最も合理的かということで、先ほどから同じようなお答えをしていて申しわけございませんけれども、そういうことで今最終的な価値判断をしているところでございます。そのように御了承願いたいと存じます。
  24. 永末英一

    永末英一君 それでは少し角度を変えて伺いますが、今度導入されたナイキ・アジャックスは無償供与だと聞いております。しかし、これから入ってくる第二回目のもの、あるいはまた、ホーク等についての取りきめはまだきまっていないと思いますが、志賀長官が今度行かれて、もしこれに対して支払いをするとするならば、その支払い条件というようなものの話があったのではないかと推測するのでございますけれども、そういう点について話し合いがあったならば、ひとつ御報告を願いたい。
  25. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私は、先般の渡米については、具体的な問題は全然持って参りませんから、ただいまお尋ねのようなことは一切話して参りません。
  26. 永末英一

    永末英一君 同じ目的で、つまり局地防空ならば局地防空をやろうと、その場合にF104を使おうといたしますと、F104の建造に要する費用がかかる。その維持費がかかる。その乗務員に対する訓練には費用がかかるわけであります。まあ私どもが知っておりますところでは、F104を乗りこなす乗務員は約一億円かかる、こういう話です。それに要するガソリンもとてつもなくかかる。しかし、ナイキ・アジャックスであれば、それもまた費用がかかりますが、かかる費用の度合いが違う。そういうことをそれぞれ防衛庁が計算されて、そして同じ一つの目的を達成するためにはどういうような兵器を装備していくのが一番経済効率がよろしいかということで考えておられるのかどうか、ひとつ伺いたい。
  27. 海原治

    政府委員海原治君) ただいま先生のおっしゃいましたようなことで、一応私どもは二次計画の作成にあたりまして検討いたしました結果、先ほど来申し上げましたような部隊建設を実は考えた次第でございます。なお、先ほど費用の点でございましたが、このナイキ二個大隊分のうち、最初の第一大隊分は無償供与でございますが、しかし、これに必要な一部の装備品、それから第二大隊、それからホークの二個大隊、合計いたしまして四個大隊につきましてはアメリカとの間に費用分担、向こうではコスト・シェアリングと申しておりますが、地対空部隊でございますが、それを全体としてお互いにどれだけの金を出そうかということで今話し合いが進められておるわけでございます。したがって、最初の分は全部と申しますが、一部の装備を除きまして、無償でございます。しかし、ホーク二個大隊分は有償。全部総計いたしまして、その割合を今相談中で、それが二次計画の中の予定されております費用の中でまかなわれる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 永末英一

    永末英一君 アメリカの国防方針を見てみますと、大体少し古くなったものは、それぞれ外国にいろいろな軍事援助なりの形で与えていく。そして自分のところはやはり最新の兵器で守っていくということをやりながら、漸次アメリカの軍事援助、対外軍事援助の費用を削減してきているようなことを感じます。したがって、そういう点について、志賀長官アメリカに行って、別段の期待を持っていかなかったのだから、何も相談してきたことはないと言われますが、帰ってこられるやいなや、わが国の防衛のためには防衛兵器の生産を大いにやらなければならないというような一連の談話を発表されたことを新聞で読みました。そこで今のナイキ・アジャックスにいたしましても、最初は無償であっても第二回目にはどうもなんぼかの費用分担をしなければならない。あるいはそれに対する附属品につきましてはわが国のほうでも持たなければならない。あるいはそこまで参りますと、それの生産というものについて日本の経済にお願いしなければならない部面が出てくるのではないか。日本の経済にお願いするということになりますと、F104の場合のように重要な部分は一つ日本で作らないで、着物ばかりを作っている。一体日本防衛生産のためになるのかならないのか。ドイツとは非常に違った形でF104の生産が日本で行なわれておる。さらにまた、一体そんなものを日本の経済にぶっかけた場合に、少しの分量をぶっかけてもこれは私企業としては成り立たないし、大体人を殺すようなものを一生懸命作る産業が大いに発展してもらっては困るわけでありますから、非常にむずかしい問題である。そういうことを考えますと、この前に、志賀長官が今後の防衛生産についてその国産の度合いをふくらめていきたい、こういうことをおっしゃったのでありますけれども、この辺の実情はどういうお考えか、承っておきたい。
  29. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先生のおっしゃるとおり、アメリカの海外援助が年々減少することはわれわれの予想いたしておるところでございます。したがって、第二次防ではでき得るだけ古いものは、アメリカから供与あるいは有償で受けた兵器は、これを国産品に切りかえつつあるわけでございます。国産品に切りかえるということは、日本防衛生産を育成するということにつながるわけでございます。将来第三次防が策定せられますころになりますれば、相当に日本の国産の兵器が生産せられるわけでございますから、それだけ日本防衛生産も拡大するものと私は考えておるわけであります。
  30. 永末英一

    永末英一君 日本の経済で防衛生産を持たそうとする場合には、日本の経済を担当している経営者もおるかもしれませんけれども、特に生産に直接に従事をする労働者が自分たちの手で、つまり国を守ろうという腹がまえと意気込みが出てこなければなかなかこれはうまくいくものではないわけです。それはたとえば自衛隊の内部の問題に引きかえても、空を飛ぶ飛行機と、それから計器だけ見てどこにいるかわからぬような仕事をしている地対空ミサイルの操縦員と申しますか、何というのか知りませんが、それの仕事をする隊員とは非常にまた姿が変わってくるのではないか。軍艦でも、敵を見て撃つ砲術関係の人と、それからかまの中に入って敵なんか見たことがない所で働く人とは、それぞれ昔の海軍でもやっぱり役割も違い士気も変わってきた。そういう意味合いで、たとえばナイキというような新しい兵器が運営をせられるにあたって、やはりそれを扱うのは私は根本は人間ではないかと思う。つまり生産の部面については、特に国民全般の防衛に対する感覚が問題であるし、さらにまた、それを扱う自衛隊においても、いわゆる士気ということが問題である。道徳教育をやって愛国心を涵養せいということを百まんだら防衛庁長官お話しなさっても、それだけで私はでき上がるものではないのではないかという疑いを持つわけです。したがって、この兵器が最新の兵器で、そしてほんとうに国を守るのだという自信を持たすということになれば、それを従来まで扱ってきた人員なりあるいはまた、従来までこれに関心を持ってきた、それぞれ自衛隊にいろいろ武器があると思いますけれども、そういう人間の士気が低落したのでは、これは武器は道具でございますから、命がないのでございますので、これは使えないということになる。その辺のことも十分お考えになっているかどうかをお聞かせ願いたい。
  31. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先生の御指摘のとおり、防衛中心はやはり士気の問題でございます。自衛隊の士気が旺盛でなければ防衛の完璧は期し得ないことは当然でございます。また、士気の根本はどこにあるかと私は常に考えておるのでありますが、やはり部隊を掌握する中核分子、今日の将校クラスが、ほんとうにりっぱな人間がそろって初めて部隊の規律が厳守せられて、その規律の中からまた士気が生まれてくると思うのでございます。同時にまた、今日の自衛隊は民主教育を通じて訓練をいたしておるのでありますから、昔の軍隊とも相当趣きを異にしておるのでありまして、あくまでも教育中心を置いて、また、りっぱな将校を養成してきびしい規律の上に士気を高揚して参ろうというのが私の考えでございます。
  32. 永末英一

    永末英一君 私の言うておることが少しおわかりにならなかったようでございますが、規律と訓練だけでは私は士気は高揚しないと思います。それは士気に関係のある部面もございます。そうでなくて自分のやっておる仕事というものが殺されるかもしれないのでありますから、つまり日本民族の防衛に役立つのであって、これが自分の命を捨ててもいいのだというように思わせ、また、その自分の配属されておるその中で、人間でございますからそれによってそれぞれの自分の能力に応じた職分を果たし得るような道も開けておる、こういうふうに作ってやらなければ、いかに規律と訓練でやるといっても人間でありますから、やれはしませんよ。そういう点の御配慮があるかどうかということを聞いておるのであります。
  33. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これは日本の政治の施策が集中してこれが実を結ぶことでございまして、防衛庁といたしましては、自衛隊の士気を高揚することに全力を尽くしておるような次第でございます。
  34. 永末英一

    永末英一君 なかなかかみ合いませんが、士気の高揚はけっこうなんです。士気を高揚させるためには、たとえばナイキ・アジャックスという、今までの在来兵器の感覚からすればまさにあなたのほうが困られたように、その配属いかんによっては、これからの自衛隊の空軍の任務、それから内容というものも変わってくるかもしれないし、あるいはまた、陸上自衛隊においても、その配属いかんによっては任務が変わってくると思うのですよ。しかもその任務が変わってくるというのは、今陸上自衛隊を構成している隊員航空自衛隊を構成している隊員の士気にやはり影響してくる。その辺を考えなければ、先ほど局長お話では、技術的な兵器能力等の、あるいはまた、作戦の技術面において、一つの統一あるかまえをしたいということを聞きましたけれども、特にこの点はあなたが長官でございますから、人間を扱い、人間の問題をぴしゃっと長官として行なわれ、その面においてこれらの配属決定していかなければ、問題が技術的に解決できないと私は思うので、この点はどうかということを聞いております。重ねてひとつお答え願いたい。
  35. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先生の仰せになることは全く同感でございまして、そうした趣旨に基づいて全力をあげて参りたいと思っております。
  36. 永末英一

    永末英一君 最初長官のお答えになりましたように、今月中には、長官、責任を持って今私が質問いたしました万般のことを考えながら決定すると私は伺っているのですが、それでよろしいですか。
  37. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先ほど申し上げたとおりに、おそくとも月末までには決定いたします。
  38. 永末英一

    永末英一君 質問終わります。
  39. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑はありませんか。他に御発言がなければ、本件の調査はこの程度にとどめます。   —————————————
  40. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。  速記をとめて。   〔午後二時四分速記中止〕   〔午後二時三十四分速記開始〕
  41. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記をつけて下さい。  政府側から、重政農林大臣林田政府委員、松岡政府委員、吉村政府委員、庄野政府委員、久我統計調査部長が出席しております。  質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、政府側から、斎藤政府委員、丹羽畜産局参事官が出席をされました。
  42. 北村暢

    ○北村暢君 この質問に入る前に、きのうの衆議院における問題で、本会議と予算委員会の答弁の食い違いの問題について、大臣考え方をひとつただしておきたいと思うのです。われわれこの委員会における今度の設置法の審議の中においても、一部大臣の発言について不穏当な発言があったということで、鶴園理事からも反省を促した場面があったわけでありますけれども、どうも農林大臣の発言についてわれわれは信頼をおいて審議をする、こういうことに疑いを持たざるを得ないのじゃないか。どちらかといえば、きょうあたりも実はこの委員会が開かれるに当たって、理事同士の話の中でいささか食い違いがあったようでありますけれども国会対策としては、この大臣の食言問題が解決しない限り審議をしない、それが解決してから当然出てくるべきものである、そういう理解で、大臣が出てきたらやるということは、衆議院のほうの問題を解決して出てくる、そういうふうに理解をしておった。ところが、うちのほうの理事の、若干のこちらの理解の仕方の違いで、まあ衆議院の問題はいまだに解決しない中で大臣はこちらへ出てくる。まあ大臣の辞表提出までいくんじゃないかというふうにわれわれは聞いておるわけです。それが参議院へ来て審議をやるということについていささか問題があるわけです。しかし、これはわが党の理事の約束でありますから、私は押して議事に協力する意味で質問をこれからいたしたいと思いますけれども、まずこの問題についての大臣の御心境を、また、今後における国会における態度の問題について御質問をいたしたい。
  43. 重政誠之

    国務大臣(重政誠之君) 十日の本会議で鉱害による農用地の復旧の御質問がありまして、私はそれに対して、閉山になった場合に鉱業主がいなくなる。そういう場合に農家に御迷惑がかかってはいかぬから、従来鉱業主が農地復旧に対して三割五分を負担しておった。その三割五分を負担しておったものを国または県においてこれを負担する。こういうつもりで実は御答弁したのです。そうして、昨日の予算委員会において同様の御質問があったから、今申し上げたような答弁をしたわけなんです。ところが、それは本会議の答弁と違うということであった。そこで、それではよく速記録を調べてみまして、もしその内容が違っておれば、昨日の予算委員会において答弁したほうが、正しいのであるから、速記録を調べた上でひとつ御答弁を申し上げます。こういうことを言ったわけなんです。で、速記録を見ましたところが、今私が考えたようなつもりで答弁をしたつもりになっておったのでありますが、ところが本会議の答弁はそういう場合に鉱業主がいなくなった場合にはその全額を国庫で負担をいたします、というふうに私は答弁しておる。これは弁解になりますけれども、国及び県で負担するつもりで、私はそういうつもりで言ったのでありますが、国津負担する——公費で負担すると言っておけば間違いなかったわけですが、そこがどうも私の舌足らずでそういうことになっておるわけでありまして、そこで私は、それはこちらの本日の予算委員会において答弁をした、これが正しいのでありますから、そういうふうに御了承を願います。そして取り消しなり何なりの処置は、これはいかようにもしていいという私は考えで、昨日の予算委員会で申し述べたことが正しいのです。こういうことを私は申し上げたわけです。
  44. 北村暢

    ○北村暢君 そういう事実上の問題でなくて、本会議で答弁したことと予算委員会で答弁したことが思い違いにせよ、誤っておったことは事実なんです、これは。したがって、大臣の意思でなかったと言われても、これはやはり本会議の権威というものがあるので、本会議で答弁したものを委員会で自由に訂正することができるということになれば、これは議事手続上においてもたいへんな問題になってくる。したがって、そういう面できょう両党の国会対策でもこれを重要視しておる。こういうことだと思うのです。したがって、これについては、やはり議事運営の立場において、こういう問題はやはり責任を明らかにすべきである。したがって、取り消しをすればそれで済む、こういう簡単な問題ではないので、したがって、今本会議で訂正するということについてもなおかつ話し合いがつかないでいる。こういう問題だと思うのです。したがって、私ども大臣の正式な答弁なんですから、それが井手委員が、そとに公費でやるとか何とかというようなことを言う含みであるとか——前後左右の関係から言って、そういうふうに受け取れるようなものではないし、大臣の答弁において、直ちに本会議答弁と委員会の答弁と食い違っておるということが気づくぐらいはっきりしていたのですね。したがって、この問題については、私は大臣の議事運営の国会の規律という問題で、もう少しやはり責任を持ってもらわなければならぬ。まあ相当な御年輩でもあるから、われわれの先輩でもあり、敬意を表したいのでありますけれども、どうも敬意を表せないような状態だということであれば、私どももどうも今後の審議を進める上においていささか問題がある、このように考えまするので、そういう意味において、ひとつ、事実がそうだったのだ、こう思ったのだということでは私済まないと、こう思うのです。その点はどういうふうにお考えですか。
  45. 重政誠之

    国務大臣(重政誠之君) その点はもっぱら今お話にありますとおりに、議院運営委員会においてあるいは本会議において取り消すかどうするかというようなことを今御相談になっているようでありますから、私はその議院運営委員会での取り扱いに従ってやっていくつもりです。
  46. 北村暢

    ○北村暢君 まあ取り扱いの問題はそうだと思う。ただ責任の問題は、やはり答弁したことについての責任というものは、やはり大臣の本会議答弁なんですから責任は持たなければならないと私はそう思うのです。まあ手続上訂正するということにもなるかもしれませんけれども、その責任感というものをやはり持ってもらわなければ議事というものが進まない。軽々しく本会議答弁というものを取り扱われては私どもは審議に支障がくる。こういうふうな観点から、やはり責任を持っていただきたい、こういうふうに思うのです。これは本会議答弁であろうと委員会の答弁であろうと当然のことなんで、わからないことはわからないで、協議をしてしっかりした統一見解というものを出して確実な正確な答弁をしていただく、こういうふうにしていただきたいと思うのですね。これは何ぼやっていてもしようがないことですから御要望しておきたいと思います。  そこで、笠間をいたしたいと思いますけれども、きょうは主として、時間がだいぶ、やりたいのですけれども打ち合わせで一時間程度ということのようですから、主として統計の問題についてお伺いをいたしたいと思います。今度の地方農林局の設置にあたって、統計事務所が、地方農林局設置の当該県の統計事務所だけが地方農林局に入る。そして統計部ということになるようでありますが、他の県が入らない。こういうことのようになっているようであります。そこでお伺いしたいのは、最近の統計業務について、従来の統計の反省の中から相当統計のあり方というものについて変わったようでございます。それでその内容が、いわゆる地域統計に切りかえていく、こういう考え方のようでございますけれども、この概要について、まずどういうふうになさろうとしているのかお伺いいたしたいと思います。
  47. 久我通武

    説明員(久我通武君) こまかい問題でございますから……。
  48. 北村暢

    ○北村暢君 こまかい問題でなくて、統計をどうするかという根本問題ですから、大臣考え方をお伺いして、それからこまかい問題は統計調査部長に答弁をしてもらう、こういうふうにいたしたいと思います。どうですか。
  49. 重政誠之

    国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおりに、統計は正確であり、そうして敏速に統計の収集ができなければならぬことは申すまでもないことでありますが、それと同時に、地域農政を実行いたして参ります必要上、農業基本法の線に沿うてやはり地域的にもその統計が役立つようなものにしたい、こういうのが大体の考え方なんです。
  50. 久我通武

    説明員(久我通武君) ただいま大臣からお話のございました点につきまして、多少事務的な点を補足させていただきたいと存じます。  御承知のように、ただいまお話のございましたように、農業基本法が制定を見まして、われわれの農林統計そのものがやはり新しい農政の線に沿わなければならない。こういうことから考えてみますと、従来の統計にはいろいろな点で欠点がございます。第一に、御承知のように、戦後の農林統計は、主要食糧の供出、それを円滑にしていこうというようなことを中心にして発足いたしましたから、農作物の生産高の統計に重点がございました。昭和二十五年ごろからだんだん、単に米麦のみならず、農林水産物、すべての生産高の統計をとるようにはなって参りましたけれども、しかし、今日のように農家のいわゆる経済の安定あるいは所得の増大というようなことを中心にいたしました基本法の線に沿ってやろうといたしますと、どうしても経済関係の諸統計というものを整備していく必要がある、かように思うわけでございます。そこで、昭和三十四年以来、漸次その方向に変化させて参りまして、逐年経済諸統計の充実をはかって参りました。しかしながら、われわれの従来とっておりました統計の一番の欠点は、そういう統計の内容を変えるということもむろんでございますが、そのほかに、われわれの作っております統計は、中央で農林大臣が農政を全国的に企画なさるその手段、材料であるという点に重点が置かれておりまして、むろん今後もそうでございますが、地域別にきめのこまかい農政が今後農林当局を中心にして行なわれるという、その場合のいわゆる地方の要請に沿う統計というものがほとんど皆無でございました。統計は国ばかりではございません。むろん地方自治体も使われるわけでありますが、その地方自治体が使われようとする場合には、なおさら地域別の統計を必要とするわけでありますが、そういうものも従来は出ていなかったのでございます。統計は、調査いたしてまとめて出すことはもとよりでございますが、調査一つでございましても、その一つ調査から各必要とする段階ごとの統計をとれるはずでありますが、その点が従来非常に不十分でございましたので、そういう地域統計を整備していくということを中心にいたしまして、統計の体系化をはかる。そうして特に地方の必要とする統計を作り、第一線で行政を実施される方々にも役立つ統計を出すようにしたい、こういう考え方で全体を整備しておるわけであります。
  51. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの答弁で、大臣の答弁は私はもう少し基本的な答弁をいただけると思っておったのですが、どうもあの答弁を聞くというと、統計の基本的な変わり方の問題についてもあまりよく存じておらない。しかし、これはこまかいことであるからということであれば、これはそれで了承しますが、しかし、今日この統計が、今統計調査部長が言われましたように、戦後のいわゆる強権をもって供出さした当時の作物報告、こういう意味の作報当時の性格は、どちらかといえば、統計事務所の末端の職員というのは、農民からきらわれる立場にあった。そういう観念というものは今日なお払拭されておらない。統計の調査員が行けば、それが税金その他に関係があるのじゃないかという心理状態があって、今まで実際に統計調査に携わる職員は非常に苦労してきている。そういうものを、農業基本法の線に合ったところの、行政の要求に応じたところの統計に切りかえていく。したがって、統計は決して農民を苦しめるものでなくして、農業を近代化していく上において役立つ、農民のための統計になっていくのが基本的な考え方で、もちろん国の農林政策の根本をきめるための、基本法に言うグリーン・プランの基礎になる統計というものも、これは当然であります。と同時に、今言ったように、今まで農民に協力してもらったのですから、それに対するサービスとして、生産農民に役立つ統計に切りかえていく、こういう根本的な考え方が出てきていると思う。でありますから、そういう考え方に立って今後の統計というものを私ども考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。そのためには、今日の統計の実態がそれに合った形になっているかどうか、こういう問題について後ほど根本的にお伺いいたしたいと思うのでありますが、そういう基本的な考え方の差というものは、今日私は農林統計の上に変わった考え方で出てきている、このように判断している。したがって、この点は農政通として自負されている大臣にお説教のようなことになって、まことに恐縮でございますけれども、そういう点でひとつ農林統計というものを見ていただきたい。これは蛇足でありますけれども、ひとつ要望しておきたいと思う。  そこでお伺いしたいのは、地域統計に切りかえていくというのでありますが、この地域統計というものはどういう形になっておるか。まあ統計の考え方で、これは統計の問題はほとんど国会で論議されたことはない。したがって、農林統計って一体何をやっているかということを多くの国会議員の方々もあまり存じておらないのではないか。しかも、これは法律という形では出て参りませんので、国会の論議にならない。今統計調査部長が御説明になったことも、これは省議で決定せられたのかどうなのか、そこら辺のところもあまりはっきりしておらないようでございます。三十四年当時からそういう方針で来たということのようなんですが、そういう点についてもあまりはっきりしておらない。本年度から大体地域統計というものの構想というものができて、その体系が本年度から実施の段階に来ている、こういうふうにお伺いしておるわけです。したがって、こういう問題がどのように論議せられておったか、そうして地域統計というものの考え方が、県段階の農業地域、県内の農業地域と都道府県の場でこれを集約をして、さらに全国農業地域というものでもって地域を区分して統計を作成する。こういうことになっておるようでございます。したがって、今度の農林省設置法も地域農政をやるということに立って、今度の農林省設置法というものが考えられておる。その地域行政というものを考えている考え方と、統計調査部で考えている全国農業地域、この関連についてお尋ねしたいと思うのです。で、まず全国農業地域というのは一体どういうものを考えているのか、今度の農林省設置法による地域農政というのは一体どういうことを考えているのか、この関連についてひとつ御説明をいただきたいと思う。
  52. 重政誠之

    国務大臣(重政誠之君) 地域農政というのは、今度の設置法において、大体各地区に分けて地方農林局を設置いたしますが、大体その地区内における統計を各農林局において集計その他いろいろの利用の目的に従って統計を作っていくということになるだろうと思います。  それから全国地域における統計といえば、これは従来農林省においてやっておるのでありまして、日本の農業全体についての統計、もちろんその目的に従っていろいろの形でこれが出てくる、こう考えております。
  53. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの大臣の答弁では了承できないのでありまして、地方農林局を設置する個所——七カ所できるわけですが、それが地域農政をやるための組織である。それから従来の統計のとっておる全国農業地域、これは何か全国で一本にする、そういうような御答弁のようですが、これは技術的な問題ですから統計調査部長にお伺いいたしますが、全国農業地域というのは一体幾つに分けて考えておられるのか、その点について。
  54. 久我通武

    説明員(久我通武君) 実は農業地域を、統計を出します場合の地域を幾つにするか、どのように分けるかというのはいろいろの案があるわけでございますが、われわれは二様の案を考えております。これは従来から分けておりますように、これらについては北海道は農林局ができませんので、北海道を一つ。それからその他、御承知のように、九ブロックに分けて統計を従来から出しております。そういう分け方にいたしました地域統計を出す。これは統計は従来との連続からいってそういうものを出さなければならぬと思います。もう一つ、農林局ができますその管内ごとに区分をいたしましたところの統計、ただし北海道だけはこれを区分しておくという形のものと、大きく申しますならばこの二種類の地方の統計を出す、こういうことで考えております。
  55. 北村暢

    ○北村暢君 そういう二種類の統計を出すことの意義ですね、これはどういうふうにお考えですか。業務が重複いたしませんか。
  56. 久我通武

    説明員(久我通武君) ただいま全国のことだけ申し上げましたので、あるいは十分でなかったかと存じますが、実は県内も農業地域を分けておるわけでございますが、これは農業基本法の運営のこまかい企画をいたしますためにどのように区分をしたらよろしいかということで、農林省内で特別に研究をいたしていただきまして、大体百五十に農業地域を分ける。同時に、従来の町村でございますとか、あるいは特別な調査によりましては部落別、これも一つのある意味では農業地域と考えるべきものだと思っておりますが、要するに、統計でものをつかみます場合に、なるべく同質のものをまとめまして、社会的、経済的条件の同じところをまとめて地域区分をしようという考えでございますから、幾通りもできるわけでございます。そこで、われわれといたしましては、いわば県内をいわゆる農業地域に区分するという考え方と、同じような農業地域でございますが、たとえば畜産部門でありますとか養蚕部門、そういう部門地域であるとか、あるいは農業地区と呼んでおりますが、これは県が現在いろいろ県の中で行政を企画していらっしゃる地域、こういうようなもの、それから市町村、部落、こういうようなもの、行政を実施される単位ごとに統計が必要だと、こう思いますので、そこで県内も二つの地域統計を作ることにしておるわけでございますが、これらのものを積み上げまして、先ほど申しましたように、農林局のできました範囲の、その行政を運営するための地域、それからもう一つは、行政を地域的に企画立案をする基礎を研究して参ります——統計で申しますと分析的統計というものを出す範囲といたしましての地域、この二つをずっと県内もそれからブロックごとも、おのおの出すということを考えております。  それから、ただいまそれで非常に手数がたいへんではないかという御質問でございましたが、手数はなるほど多少かかるわけでございます。かかりますけれども、しかしこれは調査を新しくすることでございませんので、できておる一つ調査から両方のものを出すということでございますから、われわれといたしましてはこの百五十の農業地域、それの中を山村だとか平坦村だとか地帯区分をいたして六百ばかり分けておりますが、それごとの各段階に必要な統計を、ただいま統計で働いております全国一万三千の人間で作ること、こういうことでこのような区分をきめております。  なお、この区分につきましては、一応農林省の統計上の地域というものとしておきめ願い、さらに統計審議会におきましても、農業の統計を出すべき区分として認めていただいて、それで今後これによっていきたい、こう考えておるものでございます。
  57. 北村暢

    ○北村暢君 統計調査部長の答弁は、あくまでも農林統計という立場に立って、しかも、それが各行政機関との関連における統計審議会と協議をして、そして今日実施の段階に入った。大体実施の段階に入ったのは今年度から——逐次準備をしてきて今年度から正式に発足してきた、やはりこういう段一階になってきたということはわかるのであります。ところが、これについて、先ほど御質問しましたように、北海道と内地の九ブロックに分けて統計というものを作っている。これは相当農林省内において審議をして、そして先ほど答弁されておるように、農業基本法というものを遂行する上において最も科学的に経済というものを考慮して、全国的な農林統計としていく上において、北海道と九ブロックがいいのだという結論が出て、そして統計審議会に協議をして決定をしておる、こういうものなのです。これはごく科学的である。ところが、今度の地方農林局というのは、北海道は別として、地方農林局は七つしかできないわけです。そういうことで、九ブロックで末端の統計から中央の統計まで経て、そして農林統計というものを作ることになっておるが、これは今のところ統計調査部、統計事務所、出張所の三段階でできておる。ところが、そこに地方農林局というものが一つ入るということになれば、これは四段階になるわけです。こういう問題がある。しかも、その四段階になるものが、中央の統計の集約は九ブロックでやっておるのにかかわらず、地方農林局は七ブロックである、こういうことなんです。しかも統計調査事務所が地方農林局の中に入っておるのであります。入らないのならいざしらず、地方農林局の中に統計調査部が入っておる。そうであれば、その地方農林局の管轄区域内の統計は地方農林局管内のものとして集約をする、こういうことが一つ起こってくるだろうと思う、行政上はですね。そうしますと、これは一つ余分なものが出てくるのじゃないかという感じがいたします。しかし、これは統計調査部長も言っているように、そういう分析的な統計と、それから行政機関に合わせたところの市町村、それから県段階を経てくる、行政に直接役立つ行政機関ごとの統計も一面においてやるわけでありますから、そういうものを地方農林局の段階でひとつ集約をするのだ、これならそれなりに理屈は成り立つかもしれませんけれども、これは統計の意義から言えば、私はちぐはぐなものができてしまう、こういうように思うのです。したがって、地域農政をやるその統計も、地域統計ということで、経済事情を合わせて考えたものが、理論的に言ってもこうだというものが出ている。ところが一方、この地方行政機構改革で地域行政をやるのだ、こういう建前に立っておるものが異質——異質とは言いませんが、二つできておるというところに、農林省の地域農政なりこの地域というものに対する統一的見解というものが出てないのじゃないか、このように思うのです。そこら辺のところはどのように論議せられて、これでもいいのだという理屈になるのか、私にはどうしてもわからない。この点についてひとつ御説明を願いたい。
  58. 久我通武

    説明員(久我通武君) 統計には、実は二種類の大きな違う種類のものがあると思うのでございます。いずれも行政をいたします場合の手段であるということは同じでございますが、行政をいろいろ企画立案をする場合の統計というものと、きめられた一つの政策を実施していかれる場合の統計、この二種類のものが実は行政手段としての統計で必要だと思うのでございます。前者の行政の企画立案をするという場合の統計は、先ほど先生の御指摘のように、ある意味では農業の状態を正確に反映いたしますように、いわゆる理論的にと申しますか、分類をした地域区分というものが必要だと思うわけでございます。しかし、行政は行政区分が実施されるわけなんですから、実施に必要な統計というものは、これは実施をする機関ごとに作らなければならない。従来は、実はこの二つ一つの統計でいいものだ、どちらでも役立つものだという認識で参ったのでございますが、だんだん研究が進みまして、これはつい最近のことでございますが、どうしても両方とも共通——同じ意味という場合も多々ございます。しかしながら、行政を実施するのに役立つ統計ということになりますと、今までは非常にわれわれの研究が不十分でありましたことが近ごろわかって参りましたので、実はこれを二種類の調査で出すということになりますと、非常にたいへんなことです。調査は、これは客観的な事実を個々の調査の単位から引いたものでございますから、これはどうしても二種類に分けて出さねばならないものである、こう考えておるのでございます。そこで、先生指摘がございましたが、われわれといたしましては、地域も、これは行政を実施していく場合、実はいろいろな条件で実施する機関ができるわけでございますから、たとえば県庁というものも行政を実施しておられる。その県も、場合によっては、統計をいろいろ分析して、統計を出す範囲としては、これは必ずしもいい範囲ではございませんけれども、そういうきめのこまかい行政の企画立案の場合には、農業地域、これを県内を分けましたもの、さらにこれはブロックごとの県のワクをはずして統計を出すというようなことで、二つの体系を分けて出そうとしているわけでございます。
  59. 北村暢

    ○北村暢君 この二つの体系に分けて出すということは、これは私は統計調査部長の考え方に賛成なんです。今までの農林統計が、せっかく作りながら、膨大な予算を持って、一万三千もの職員を持って、農林統計だけがこれだけの膨大な機構を持っている。ほかの省において、こういう機構を持っている各省というものはない。それで予算的にも、各省の統計の予算を見れば、ごくわずかの何億か、三億か四億かのものであります。それの十倍以上の金をかけて貴重な統計を作っており、その統計が今日まで、いわゆる中央の政策立案のための分析だけに終わって、それも同じ農林省の中ですら十分に使われておらない。食糧なり、水産なり、林野なり、農地なり、おのおのの勝手な統計で、行政に都合のいい統計を使ってやっておる、こういう事態すらあった。こういうものを克服して、そうして農林省自体はこの統計を使い、しかもその統計が、先ほど言われておる行政に役立つ統計にするためには、県なり市町村がこれを使えなければいけない。生産農民が作付をするにしても何にしても、この統計を見て、そして今後の生産計画というものを立てるような統計でなければならない。そこまで実は頭が切りかえられて行政に役立つ統計が出てきたことは、これは非常に進んだ考え方であって、いい。いいんだが、これが逆の形で、企画立案のための統計と、行政に役立つ統計というのは、これは別のものではない。調査も、先ほど言われているように、一緒にやって、分類の仕方によって違ってくる。そうして行政に役立つ、末端の市町村まで役立つ統計へと、中央の企画立案した統計、これが逆に下のほうに役立つ統計に切りかえられて、そうしておりていく、これがほんとうの農民に対するサービスの統計のあり方なんです。これはわかったんです。しかしながら、それを、先ほど言ったように、地域行政を掲げておる今度の大幅な機構改革というものと、統計調査部の考えている科学的な、分析されたブロックというものを、これは一致させてしかるべきじゃないかと思うのです。それが、行政だから、そういう科学的なものには理論的にはいかないんだ、いろいろなしきたり、行きがかりがあってできないというなら、まあそれでもいい。しかし、そういう理想的な統計調査部の考えているブロックというものに将来持っていくのだが、今できないというなら、それでもわかる。ですが、いや、そうじゃない、この七ブロックでもいいんだ、これは行政の都合によっていいんだと、これでは何のためにこの地域行政をやろうとするのか。科学的に行政をやろうとするのか。これに対しては、私はどうしてもこの理論的な裏づけというものがないんじゃないか。したがって、今度の機構改革の七ブロック案というものは、農地事務局の所在地に機械的に地方農林局を置きかえた、こういう非常に便宜主義的なもので、こういう機構改革をやる際には、かえって私はもっと理論どおりに割り切ったものにすべきじゃなかったか、どうせやるなら。このように思うのです。そこら辺のところは、地域行政とこの統計の全農業地域という統計審議会に諮った科学的なブロック決定というものと食い違っているところに、それでいいんだという理屈を押しつけることについては、私は理解ができないし、農林省の統一見解というものは、地域行政ということについてどうなっているのか、そこまで論議せられて結論が出てやっているのかということについて、ひとつ御答弁をいただきたい。
  60. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 先生の仰せになることはまことにごもっともなことと存じます。実はこの統計の九ブロックと、今回の地方農林局の七地域と申しますのは、統計の九ブロックにおきましては、関東が分かれておる。ところが、農林局におきましては、関東と信越を一緒にしておるわけでございます。統計におきましては、やはり関東と信越、山梨のブロックが分かれておるわけでございます。それからもう一つ違いますのは、中国と四国を地方農林局では一緒にいたしておるわけでございます。統計におきましては、四国を分けておるということでございまして、大体この日本の地域を、自然的に、あるいは気象的に、経済的に考えまして、そのブロックというものはほとんどが一致いたしておりまして、もし欲を言うということになりましたならば、この地方農林局の七つをもう少し多くするということが必要だと存じますけれども、今のところは、七つの地域で地方農林局を発足さしていきたいという考え方を持っておるわけでございます。
  61. 北村暢

    ○北村暢君 これはブロックの数から言えば、今説明のあったとおりで、それを一緒にしたところもあるんだと、こういうことの説明のようですけれども、実際に、今度の七地方農林局の所管の県で、統計のブロックと食い違っておるものはないのですか。
  62. 久我通武

    説明員(久我通武君) ブロックの中で違って、一、二県ずれておるということがございます。ございますが、御承知のように、これは先ほど申しましたのは、農業の統計を出す一つの分け方でございます。農業でも、まだいろいろな地域区分を出したほうがいいという意見もございます。たとえば、地域をはずして地帯区分だけで出す。日本の山間部はどうなっておる、平坦部はどうなっておるということで、地域を問題にしないような区分も考えておりますし、また、林業あるいは水産業になりますと、これはまた違う区分で統計を出すわけでございます。順次そういうものを、どういうものを出したらいいかということでやっておりますが、先ほど来ございますように、行政を実施する機関は、これは統計とは関係なしにむろんできるわけでございますから、そこで行政をやられる場合に、たとえば中国と四国とが一つの農林局であります場合に、その農林局で地域行政をなさるのには、やはり統計としては、四国、中国を分けたものを出すということのほうがほんとうに役に立つであろう、こういうような意味で、必ずしも農林局のできます範囲のものを、これは行政を実施されるのですから、どうしても出さなければなりませんですから、多少、たとえば一番困りますのは、山梨、長野というところが両方に重なるわけでございますが、それは農林局での統計の範囲のものを出す場合は、その範囲のほうに入れる。またさらに別の系統別の統計も出します。利用者の方々にはいつでも利用していただけるという所存で進んでおるのでございます。
  63. 北村暢

    ○北村暢君 それではお伺いしますが、現実に実施しておる北海道を除く九ブロックの統計と、地方農林局で集約する統計と、二つできるわけですね。地域統計としては、やり方は、地方農林局で集約したものを、これを本省の統計調査部に集約をする、こういう形をとるのですか。それとも、従来の企画立案のものは別途に九ブロックで従来どおりやる、それから地方農林局で集約するものは、そこどまり、それが地方農林局を経て中央へ集約する、こういうことではないと、こういうふうに理解するわけですが、従来の統計に、地方農林局ができたために、そこで集約するものが一つふえる、こういうことになるのだろうと思うのですが、それで間違いございませんか。
  64. 久我通武

    説明員(久我通武君) 地域統計を出します場合にも、従来御承知のとおり、第一段階は各県ごとにございます統計事務所、あるいは農林局ができますところはそこの統計調査部でまとめまして、そのまとめたものを本省に送って参りまして、それから本省では分析的な地域統計を作るわけでございます。それから地方で行政を実施するための農林局の範囲の統計を出します場合には、同じ各県別の内容が、これはブロックごとではほとんど項目が違いませんので、同じようなものの写しを一部農林局にできます統計調査部に送りまして、そこでその範囲に属する地方の行政に利用する、そういうことで進めております。ただ、この実施につきましては、ただいますぐ始めるということではございませんので、ただいま申しましたような構想で、来年度の予算その他を考えておる。そういう段階でございます。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、あくまでも本筋の統計は三段階でやっていきたい、こういうことですね。
  66. 久我通武

    説明員(久我通武君) さようでございます。
  67. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、三段階でやっていくということになると、地方農林局が一つ入って四段階になるのではないですか。これは統計の価値から言えば、私は非常に少ないものではないか。地方農林局として大体管轄区域内のものがどうであるかということを知るためには、それはいいでしょう。しかしながら、それぐらいのものは、中央に九ブロックの地区を、これを七ブロックのものに切りかえれば、そこからでも出てこないこともない。先ほど統計調査部長が言っているように、各県から同じものを送ってくるのだから、本省に送るのと地方農林局に送るのと、写しを一部送ればいいのだというのだから、したがって、同じことをやるわけですね。したがって、これは地方農林局でやれるものは、本省でもちょっと手を加えればできる、こういうものであるというふうに思いますし、そういうものであったならば、私はどうも地方農林局所在地の統計調査事務所だけが地方農林局に入って、ほかの三十八かの各県のものは直接統計調査部につながる。こういう中途半端なことをなぜやらなければならないのか、私はそこに非常に疑問がある。その所在地の統計事務所だけを地方農林局の中に入れたというのは、いかなる理由によってそういうことをしなければならないか。それくらいの仕事だったならば、中央でも地方農林局にあとから送ってやればいいじゃないか、集計したものを。それで済むのじゃないか、こういうふうに思うのですが、地方農林局にその所在の統計事務所だけを入れなければならないという理由がわからない。その点ひとつ。
  68. 久我通武

    説明員(久我通武君) 先ほど言葉が足りませんで、誤解を生みましたようでまことに恐縮いたしますが、大部分のものは、先ほど申しましたように、同一の統計で間に合うわけでございます。ただ地域で地方の行政を実施しようといたします場合に、たとえば農家を分類するというようなことがございます。その場合に、中央でものを企画いたします場合には、先生もよく御存じのように、たとえば経営規模別に農家を分類するということでございますと、例のように三反、五反というような区分をいたしまして、全国同一基準で統計を出しましてこれは比較をしていく、こういう必要があるわけでございます。ところが、地方で行政を実施していこう、こういう場合になりますと、どうしても全国画一的な統計では間に合わない、分類が間に合わないというようなことが、時と場合によっては起こってくるわけでございます。たとえて申しますと、一九六〇年のセンサスをいたしましたときに、現金が約十万円以上になるものと以下とを区分をいたしたことがございますが、それが穀作によるものかどうか、畜産によるかというような分類をいたしました。その場合に、一例を申し上げますと、たとえば広島県の知事さんからあとでたいへんしかられたわけでありますが、センサスの結果が県行政に使えないというお話でございます。それは、県で行政を実行されようとする場合に対象にしておられるところのいわゆる穀作農家というものが、国で一本の基準でやっておりますために、みんな穀作農家でなくなってしまう、こういうようなことも出て参りますので、そういったような場合に、県で行なわれる、たとえば行政に合わして統計を別に出すということを現実にいたしました。それと同じように、地方農林局の範囲におきましても、これは中央のものと違う分類をして出すべきものも出てくるわけでございます。そういうものは、もとの表から、先ほど申し上げました分析的統計ではなしに、行政を実施する統計を農林局の範囲ごとに出して参るという必要が出ますので、そういう場合にこの農林局に、本省に参りますものと違うものも多少出てくる場合がある、こういうふうに考えております。ただし、ただいまのところでは、この地域行政がどのようにだんだん進んで参るか、このことに応じましてそれに必要な統計が考えられ、中央で要るものと地方で要るものとどの程度違うかということが検討されませんと、明瞭ではございませんが、ただいまのところでは、その分量はそう多いものではない、こう考えております。したがいまして、四段階制にいたしますと、たいへん統計の出るのもおそくなるという心配もございますし、また、段階を経れば経るほど間違いも多くなりますから、なるべく三段階制で従来のように統計をまとめると同時に、その農林局のできますところでは、その地方に役立つようなものを出すようにしたほうがいい。そこで一般的ではないような形ではございますけれども、別の統計課を作るというようなことをせずに、そこにございます統計事務所が、そっくり農林局のお役に立つものもまた作るようにする、こういうふうにしたほうがはるかに効率的ではないか、こう考えております。  もう一つは、この統計に従事して参ります者が、行政のことを常に理解しておりませんと、この行政に役立つ統計がだんだんできなくなる。これは常識的にそういう点がございますので、そういう意味で地方行政にお役に立つようなものを作るには、これはなるべく農林局と一緒にしてやることのほうがよろしい、こういうことから、御案内のような形の機構を考えたわけでございます。
  69. 北村暢

    ○北村暢君 時間が来たようですから、これでやめたいと思いますが、これは統計の問題はこれで質問を終わったわけではないのですけれども、まだお伺いしたいことがあるのですが、この問題だけ一つ区切りをつけておきたい。それで重ねて御質問いたしますが、今統計調査部長の言われた、行政に密着した統計を作りたい、そうして末端行政に市町村段階あるいは生産農民まで、農業協同組合そのほか地域々々における特殊な農業行政遂行の実施に役立つ統計を作りたい、これは私大いに賛成です。したがって、それも今の考え方の中では、全部中央で集約されることになっておるわけでしょう。で、その点地方農林局独自の統計もあるのだと、こう言うのですが、そういうことをやれるようなことには、今の人員配置からして、できておらぬのです。現在考えているこの地域統計を完全に実施するだけでも、実は不完全である。考え方としては、今統計調査部長がおっしゃったとおり。ところが、今統計調査部長が考えておった理想的な統計が今日実施できるかどうかということについては、今日の人員でも、今日の予算規模でも実際に行政に役立つような統計はできない、そういう状態にあるでしょう。実際問題として、中央に集約されたものが市町村段階まで利用のできる統計を、これを市町村段階まで知らせる方法を持っておらない。それをやるだけの消耗品、紙代がないのです。大体そういう予算になっておる。したがって、着想はまことにけっこうではあるけれども、中央にできたものを生産農民まで利用できるような、わかるような、サービスできるような手段方法がないのです。今の予算では、そういう実態にあるわけです。したがって、今地方農林局に、独特なその地域に応じた統計ができる、そういうところまで伸びるような人員もなければ、予算もない。現在の、今考えたものですら、ある一部は切らなければならない。仕事を、必要だということがわかりながら、切らなければならないというのが、現実の統計調査部の指導なんです。したがって、業務についてAランク、Bランク、Cランクとして、Aランクはこれは必らずやってもらいたい、Bランクは事務所長の選択によってやる、Cランクのものは場合によってはやらなくてもよろしい、こういう指導すら行なわれておる。そういう実態なんです。ですから、私はこの農林統計の問題について、今統計調査部長のおっしゃったことはまことにけっこうだと思うが、実際にはそれが完全に実施できるような体制にないということを、ひとつ大臣は肝に銘じておいていただきたい。実際にいい統計ができて、これが末端まで利用できるのに、知らせる方法を持っていないのですよ、現在の予算では。来年度予算でだいぶん要求しておるようですが、これが通るか通らぬかわからぬ。紙代、通信費代だけ下さいという、それすら通らない。こういう状態です。これをひとつ大臣は十分御理解をして、この統計にあたたかい、ひとつ農民にサービスできる統計をぜひ作っていただきたい、こういうふうに思う。  それから、先ほど言った地域に対する農林行政の地域行政、この統計の全国農業地域というものの思想統一というものは、私はできておらないと、こう判断します。今日の論議から言っても、便宜主義であって、思想統一はできておらないと思っている。したがって、この点についてはすみやかにひとつ論議をして、そうすれば地方農林局の設置についても理論的に正しいものが私は出てくるのじゃないかと思うのです。それが便宜主義に陥っているというところにやはり問題がある。こういうふうに思うのです。  それから統計調査部の地方農林局に、所在の統計調査事務所だけが入って、他府県の統計事務所が入らないということについては、これが四段階制になって、迅速をとうとぶ統計というものが一段階ふえる、不正確になる、迅速々欠くということでもってこれはだめなんだと、こうおっしゃっている、これは確かにそうです。しかし、それであったならば、何も四十幾つある統計事務所のうち、たった七つだけ地方農林局に、それが行政と、密着していなければならない、こうおっしゃるけれども、地方農林局とは確かに密接になるかしらぬけれども、やはり県行政というものとは、ほかの県といえども、これは密接でないとは言えない。県に役立つ、行政統計を作っている地方農林局だけに役立つだけの統計であったならば、私は中央でもできる、こういうふうに思う。したがって、そういう理屈にはならないのじゃないか。これはまことに不徹底であり、入るなら入って、業務のやり方は三段階制なら三段階制ということでいく仕組みにしたらいいんじゃないかと思う。  それからもう一つは、この迅速ということをとうとぶ統計、これが私はやはり三段階制、二段階制ということだけで迅速であるとか、迅速でないとかいうような判定はできない。今日の統計の業務の実態というものが、まことに非近代的な、時代の先端を行く数理、経済統計の先端を行く近代的な仕事をやりながら、業務の実態はどうであるか。全然、農林省内の他の官庁と比べて比較にならない前近代的な事務体制である。なかなか構想その他集計にしても、非常に苦労してきて変えられてきているけれども、今田その近代化、事務の近代化、機械化というようなものについてはまことにおくれている。通信施設にしても、集計業務にしても、ようやく中央においては若干機械化されたけれども、末端においてはもうはなはだ前近代的なものである。こういうところにある。したがって、迅速をとうとぶのであったならば、もっと体制そのものを迅速にする、こういうところまでやはり真剣に取り組むべきじゃないか、こういうふうに思うのです。したがって、この点についてはいろいろほかにもこまかい意見があるのですが、こまかい宿舎その他の問題については次回に譲って、この統計の、地方農林局に片足突っ込んだような形で入っている非常に不徹底な、行政組織上から言ってまことにおかしな、人事管理の上から言っても行政組織の上から言っても、まことにおかしな形で、中途半端な入り方をしているものについては、私はどうしても納得いかない。やはりこれはどっちかに割り切って、すっきりした形にすべきじゃないか、このように思うのです。そういう点について、これはひとつ大臣に意見をお伺いしておきたいと思います。
  70. 重政誠之

    国務大臣(重政誠之君) いろいろ統計の事務のやり方等につきましても、近代化すべき点は御指摘のとおり多々あろうと思うのですが、これは漸を追って近代化もやっていかなければならぬ、こう考えているわけであります。  それから、大体行政を実施する上において必要な統計というものを、中央においてやれないかといえば、私はそれは絶対にやれないものでもなかろうと思うのでありますが、しかし、先ほど統計調査部長から申しましたとおりに、中央でやりますれば、とかく画一的なものになって、地域農政を執行する上におきましては、これは適当でない。それを適当なものを出そうと思いますれば、それはたいへん手数もかかり、経費もかかり、二重、三重の私はロスが多いのであろうと思うのです。それがために、やはり各地域において七つの地方農林局においてこれをやったほうが私は適切である、こういうふうに今考えておるわけであります。
  71. 北村暢

    ○北村暢君 大臣のそういうちょっととぼけたような答弁——だから、私はもっとまじめな答弁をしていただきたいと思うのですけれどもね。地域行政というものに対して統一見解が私はないと思うのですよ。だから、これはひとつ検討をしてみるとかなんとか言うのならばいいけれども、七地方の農林局で、これが正しいというような、そういう言い方をされるというと、私も論議をまだしなけりゃならなくなってくるのですがね。まあ時間が来たから、この次に譲ってゆっくりやりますから、この次までにひとつ統一見解十分検討してきて下さい。そういうことにしましょう。きょうは、これで質問を打ち切ります。
  72. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑はありませんか。他に御発言がなければ、本案の、質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十二分散会    ————・————