運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-12-20 第42回国会 参議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月二十日(木曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   委員異動  十二月二十日   辞任      補欠選任    森部 隆輔君  久保 勘一君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐野  廣君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            永末 英一君    委員            井川 伊平君            川野 三暁君            熊谷太三郎君            塩見 俊二君            津島 壽一君            長谷川 仁君            日高 広為君            藤野 繁雄君            佐野 芳雄君            柴谷  要君            野々山一三君            原島 宏治君   政府委員    内閣総理大臣官    房審議室長   江守堅太郎君    大蔵政務次官  竹内 俊吉君    大蔵省銀行局長 大月  高君    農林省農地局長 任田 新治君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    農林省農地局管    理部長     桧垣徳太郎君   参考人    国民金融公庫総    裁       石田  正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案(第四十回国会内閣提出、第四  十一回国会衆議院送付)(継続案  件)   —————————————
  2. 佐野廣

    委員長佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、森部隆輔君辞任、その補欠として久保勘一君が選任せられました。   —————————————
  3. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(第四十回国会閣法第一三一号)を議題といたします。  前回に続き、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 調査会の方にお願いしたいのでございますが、農地買収者問題調査会答申案内容を拝見いたしますと、非常に微妙な点が考えられますし、そうした内容を検討する前に、この調査会がどんな経緯をもって設立されたか、それについて御説明いただきたいと思います。
  5. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 農地買収者問題につきまして調査会を設けるということは、たしか三十一国会の当時からその話が出まして、その後三十三国会においてもこの法案を出されたのでございますが、いろいろの関係審議未了となったのでございます。その後におきましても、地主団体その他からの非常に強い御要望があったことは御承知のとおりでございまして、いろいろ経緯がございましたが、結局、総理府に農地買収者問題調査会を作るということになったのでございます。  ただ、その際、農地買収者問題について調査すべき事項は、地主に対して、土地を取られたということに対しての何らかの補償的あるいは報償的措置をとるということを目的とする調査会ではなくして、土地を買収せられた地主には生活上あるいは生業上いろいろな問題があるので、そういった問題を調査するという目的でこの調査会を作るということで法律ができたわけであります。  そのできましたあと、本調査会は三十五年の十二月の末に第一回の総会を開きました。その際、総理大臣からの御諮問がございました。諮問は、「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会意見を求める」という御諮問があったのでございます。この諮問に対する答申を作りますために、その後この農地問題調査会は十三回にわたり総会を開きました。その間、専門調査員を任命いたしまして、農地買収者実態調査するための調査専門員に委嘱をしてしたのでございます。この専門調査員調査は、三十七年の二月の第八回の総会にその調査結果の概要が提出されまして、調査会においてこれが御承認になったのでございます。その後答申案の起草を進めまして、本年の五月二十二日に、お手元に差し上げてございますような答申があったというような経緯でございます。
  6. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 一応概略の御説明で、全部納得したというわけに参りませんが、この審議過程——審議経過でございますか、内容を拝見いたしますと、被買収者実態についての調査でありますが、無作為に抽出して一万五千世帯調査対象にした、こうあるわけであります。この一万五千世帯実態と申しましょうか、どのような実情に置かれていたかということについて明確に御回答いただきたい。
  7. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 先ほど申しましたように、この問題を調査いたしますために専門員をお願いしたわけでございます。専門員方々は、こういった統計的な学問の関係の方あるいは農業政策あるいは社会政策というような御専門方々専門員をお願いをいたしました。専門員の間で御相談があったわけでございますが、何分予算が、たしかあれは三百六十万程度調査費しかございません。その三百六十万の範囲ででき得る限り地主実態をつかむ、さらに進んで、地主でないほかのいろいろな世帯との比較をとるということでございまして、数回にわたって全国的な御審議がございました。その結果、全国普通世帯を母集団としたところの層別無作為抽出法という方法によりまして、全国から二百六十五の地点確率比例抽出をいたしました。この地点無作為に抽出いたしました一万五千世帯というものに対して、実地の調査中央調査社に依頼をしてしたのでございます。したがいまして、千五百の世帯個々人たちが実際どうであったかというような実情調査は、そう深くは行なわれておりません。個々世帯につきまして、調査項目にございますようなことを口頭で質問をして、そうしてその結果出ました答えをまとめましたのがこの調査結果概要ということになっておるのでございます。
  8. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 調査項目は私もよくわからないわけですが、今回の答申案内容を拝見いたしますと、生業資金もしくは子弟の育英資金に充てるという名目がうたわれております。したがいまして、考えられるところは、生活上において、また農地を買収されて後において始められた仕事内容が非常に困窮を来たしている、その困窮度合いがどうであるかということによって、当然この対象となるように考えられるわけでありますが、答申案を作成するにあたりましては、当然そうしたような実態というものをよく掌握、把握して、そうして答申案内容に盛られていくのが当然ではないかと思うのですが、たとえば生活上の状態をA、B、Cでもよろしゅうございましょう、段階に分けて考えてみた場合には、つまりCクラス、いわゆるその非常に困窮しているというような人たちがどのくらいあったか、あるいはややよろしい、あるいは全くそういう援護を受けずとも十分にやっていけるというような、いろいろな段階があったんではないかと思うのです。こうした実情についてひとつ明確にお示しいただきたいと思います。
  9. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査結果の中に被買収世帯年間現金収入額というものを調査したのがございます。それを見ますと、年間十万円未満現金収入を持っております者が二・九%、二十万円未満の者が八・一%、三十万円以下の者が一七・一%というふうに、比較的所得の低い層がございます。これらの方々の中には、生活上、生業上相当困難を来たしておられる方があるという御判定調査会でなすって、このような御答申が出たというふうに了解をいたします。
  10. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そうしますと、一万五千世帯なら一万五千世帯というものを基準において、そういうふうな実際に困っていると目される人たちが全体のどのくらいのパーセンテージを占めていたか。
  11. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) どの程度からが生活上、生業上困っておるかという判定をいたしますことは、むしろ私のいわば主観的なあれになるわけでございますが、一応三十万円未満というところでとってみますと、被買収世帯では三十万円未満の者が全体の約二七%、それから逆に農地を買いましたほうの世帯、これでは三四%くらいの者が三十万円未満現金収入を持っておるということになっておるわけです。
  12. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 もっとも一万五千世帯対象としては、はたして全国的に見た場合にこれが基準になるかどうかということは、はなはだ疑問であると思うのです。たとえば北海道の場合だとか、あるいは九州の場合だとか、それぞれの土地の状況、あるいは周囲の環境等によって生活度合いというものもそれぞれ違いがあるであろうと思うのですが、そういうような地域別に見た場合、特にどういった地方においてその困窮者が多く見られたかということについてお知らせいただきたいと思います。
  13. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 地域的に見ましてどの地区にそういった生活困窮者が多いかというような調査結果は、この調査では現われておりません。
  14. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そうしますと、今回の被買収者方々に対する融資というものの対象も、当然いろいろな見方がなされてくるわけでありますから、困窮度合いが一律に言えない、そうしますと、この辺の判定が非常にめんどうになるわけでありますが、出された答申案内容では、被買収世帯収入というものが決して一般世帯に比べて低くない、このように思うのですが、この答申案から考えられることは、はたして調査会としてですね、今回の政府提案に対してどのような考えを持っておられるか、それを断定することは非常にお立場としてむずかしいと思いますけれども、考え方をひとつお示しいただきたいと思うのですが……。
  15. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査会におきましては、先ほど申しましたこの実態調査の結果を全面的に御承認になったわけでございます。で、調査結果は、その概略の気持は、土地を買収された地主は、決して土地を買い受けた世帯に比べてはなはだしくその後の状態が悪くなっておるというような断定のできるような調査結果ではございません。中には昔よりもいいというような数字も現われておるところもございます。ただ、調査会といたしましては、そういった調査結果もさることながら、農地改革が社会的、経済的基盤に大幅な変動を来たし、調査の結果においては、被買収世帯の中には現在生業に困難を来たしている者もあるという事実に基づかれまして、この二つの対策を御答申の中に盛られたのでございます。
  16. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 話はちょっとそれると思うのですが、この経過の中に、昨年、総会が決定した旧地主に対する二十億円の融資措置に関連して、政府側の釈明を求めて紛糾したと、こうあるのですが、この当時のいきさつについて詳しくお願いしたいと思います。
  17. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 三月十三日の総会、第何回でございましたか、第九回、十回、十一回——第十回の総会におきまして、たまたま国民金融公庫に二十億の出資をふやすという法律が三月の中旬に御提案になりました面後であります。政府調査会地主の社会的な問題の存否とそれに対する対策の要否を諮問しておきながら、一方においてこういったある一つ対策を出すということは調査会の意向を政府尊重しないつもりであるのか、という御議論がございました。その結果、当時の調査会会長であられました工藤昭四郎さんから総理に対しまして申し入れがあったのでございます。その申し入れの大要は、このような措置政府がとったことは非常に遺憾である、したがって、調査会諮問事項に対して答申があるまで、その資金の貸し出しを実施するというような実際の措置をしないでほしい、こういうお申し入れがありました。これに対して総理が、これを十分尊重するという御返事がありまして、調査会政府の意のあるところを了解されまして、その後の審議が続行されたというわけであります。
  18. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そうした重大な観点に立ってこの答申案が出されたのは、たしか今年の五月二十二日でありますが、その前にいろいろの審議経過を経るわけです。そうしたときに、会長代理今井さんが辞任なさっていらっしゃるわけですね。今の模様を伺えば、大体のことがわからぬでもないのですが、これについてもあわせてひとつお聞きしたいと思います。
  19. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 副会長をしておられました今井委員がおやめになりましたのは、こういう問題とは関係がございません。たまたま臨時行政制度調査会ができまして、今井委員はそのほうの委員にも御就任になったのでございます。かねがね今井委員は、自分はたくさんの委員を兼務しておるので、なるべくこういったものを辞退したい、ことに臨時行政制度調査会はその仕事が非常に重要であって、自分としてはこれに専心したいというお申し出がございまして、会長もこれを了承されて、今井委員が御辞任になったという経緯でございます。
  20. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 わかりました。  少しく観点を変えまして、先ほど専門員の方に依頼して今回の調査が行なわれたというような御答弁がございましたが、その調査会メンバーの編成にあたっては、どういう経緯を経られ、またそのメンバー人たちはどういう方々がなっておりますか、これは調べればわかると思いますが、ひとつ。
  21. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査員方々は、今全部申し上げますが、千葉大学の理学部の浅井助教授、それから中央調査社浅野次長都立大学小山文学部教授教育大学龍野農学部助教授日本不動産研究所土屋調査役、慶応大学の常盤助教授日本農業研究所西村理事、厚生省の社会局早崎専門官文部省統計数理研究所の林第二研究部長、東京大学の福武教授というような方々でございます。
  22. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 今のお話で、この答申案をめぐりまして、尊重するかしないかということで、いろいろの意見の激突があったように思いますが、これに関しまして政府当局として、大蔵次官にお願いしたいのでございますが、今後ともそういうような答申案内容については絶対尊重立場をとっていかれるのかどうか、お願いしたいと思います。
  23. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 政府としては、この種の調査会答申尊重することは当然だと思います。ただこの場合においては、答申前に法案提案された事情になっておりますので、その場合は答申はどのような答申が出てくるかということもまだあれしておりませんし、政府としては、何らか農地買収者に対する対策をしなきゃならない、その要望が非常に強い、それにこたえる意味政治的配慮から、その答申の出る前に、国会関係等もありますので、タイミングを選んでかようなことになったと思いますが、原則としては尊重することが当然であろうと考えます。
  24. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 たしか昨日も銀行局長お尋ねしたときに御回答があったのですが、この答申案内容については、具体化するかどうかは政府としても将来の課題であると。で、将来といってもいつのことであるか。これは早急に考えなければならない問題ではないかと思うのでありますが、そうした点について、政府は、この答申案尊重の線をどこまでも貫くとするならば、どういった時期にどういうふうな方法でこれを尊重し具体化していくか、それをひとつお示しいただきたいと思います。
  25. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 御承知のとおり、この答申案の中で今お尋ねのような具体問題にわたりますことが、昨日銀行局長からもお答えしたように、育英資金及び生活資金にも貸し出せるようなことを考えるかどうかという問題を中に含むか含まないかということが一つあろうかと思います。しかし、この答申案で言っておりますことは、この国民金融公庫でこれをやるべしということではないのでありますから、政府としては、育英制度によってこの趣旨を生かしていく、あるいは生活上のことも別な制度で生かしていくということもあり得るのでございますから、そういう意味において、今後どう取り計らっていくかということを考慮しつつ、なるべく早くこの趣旨に沿うようにいたしたいと、こう考えているわけであります。
  26. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そうしますと、この答申案というものが目下のところはほとんどほごに近いというふうにとられるのでありますが、やはり今政務次官より御答弁がありましたように、答申案は、政府諮問機関でもありますし、相当権威のあるものと解釈してよろしいのじゃないかと思いますし、そうなれば、当然その線に沿うた行き方がなされてこそ国民というものは納得できる。そういう観点に立ってもう一度この答申案に目を通してみますと、先ほども少しく申し上げましたが、ここで一項目から七項目内容を見た場合に、決して困っていないという、まずそうした強烈な印象を受ける。そうした場合に、どうして融資対象を、また蒸し返すようでありますけれども、被買収者だけに限らなければならないのか。さして困ってもいない人に。もっともっとこれ以上に困っている人があるはずである。たとえば在外資産の補償について何らの措置も講ぜられていない引揚者、私なんかもその一人でありますけれども、まあそういった工合に数をあげれば切りがないほどあるわけです。決して二十億円そのものがどうしたこうしたという問題ではなくして、もっと多角的に考えた場合に、どうしてこれだけに限定せざるを得ないのか。答申案のとおりにいくならば、この結論が最後においても出されておりませんように、おそらく調査会としてはこうした行き方については反対ではあるまいかという、そういう想像がなされたわけであります。こういった観点につきまして、意のあるところをひとつ御説明いただきたいと思います。
  27. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) これは農地買収者だけにこういう政策をとるのは当を得ないじゃないかと、こういうまあ御趣旨お尋ねでありますが、政府としては、この問題で何年来農地買収者のほうから強い要望が出ておりますことは御承知のとおりであります。これにこたえる政治的な配慮と、こう申し上げるよりほかないと思いますが、全くそういう観点に立っての配慮の現われであると、こう考えておるわけでございます。
  28. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 政治的配慮であるならば、当然今私が申し上げたような範囲人たちに対しても軌を同じゅうして、といってもそれは非常に技術的に無理かと思いますが、当然考えてもおられると思いますが、やはりこう一せいに足並みをそろえさしてですね、救済の対象とすべきではないか。どうもその点の、まあ二、三日前からのお答えを聞いておりましても、非常にその点が焦点がぼけておるみたいな感じを受けるわけなんです。実際に要望があるといえば、必ずしも被買収者だけではなくして、まだまだそのほかにも中小企業で非常に困っておるような人もあるでしょうし、そういった人たちのしからば要望に対して、またこれと似たような——似たようなと申しますか、そういう措置を講ぜられる考え方を持っていらっしゃるのかどうかですね。やはり政治は公平に国民に対して利益を与えていかなければならないという立場に立てば、そうしたことも当然考えられると思うのです。そういう考え方を現在政府としてはお持ちになっていらっしゃるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  29. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 農地買収者だけ特別のケースとして扱っておるようだが、それは適当かどうかということだと思いますが、まあお困りになっておる方、お気の毒な方に対して、こういう政策を全般に及ぼすということは願わしいことであることは、これは申し上げるまでもありません。しかしながら、そのよって来たる要因によって一つ方法を持つということも、政策上まああり得ることであります。今回はそういう意味でこれを取り上げているのでありまして、決してお困りになっておる他の方々をこのためにどうこうという趣旨ではもちろんないのであります。
  30. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 どうもその点ははなはだ不明確で、納得いたしかねるのですが、話題を変えまして次に移りたいと思います。  二十億というその金額が、この衆議院議事録等を見ましても、貸付の金額範囲が大体三十一万何千円、まあ大体二十万前後の金が融資されるというようなことになろうかと思いますが、そうしますと、きわめて少ないのですね。まあ一万世帯ですか、まあ机上プランで考えれば、そういうような計算が出てくるわけですが、少なくともこの審議内容を、先ほどの調査会審議内容から見ましても、一万五千世帯人たち対象としている。まあ一応いろいろな人がいるわけですが、全国的に見れば相当の数に上るであろう。何かこう特定人たち対象として融資をするのじゃあるまいか。何か特にこの、力があるといいましょうか、そういう勢力を持った、推し進めていくというような団体に突き上げられて、そういうような人たちに対しての配慮から、まあ二十億円というきわめて少ない金額になっておるわけです。実際は、この全部の人たちを相手にすると、相当、何千億という金が必要だということも聞いておりますが、こういった点からですね、わずかな人を対象とするならば、なぜもっと幅を広げて、全般的にわたった考え方を持っていかないのかという点についても疑問を持つわけなんですが、その点についてお願いしたいと思います。
  31. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 農地買収者の中の特定の人に融資をすることになりはしないか、そういう意図があるのではないかという意味お尋ねが前段にございましたが、さようなことは断じてございません。これはあくまでも国民金融公庫の正常なる業務として、正常なる扱いのもとに進めて参りますことは、昨日来銀行局長からるる御説明しているとおりでございます。
  32. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 今回の措置は、まあ主として生業資金育英資金というふうに分けられているようでありますが、生業資金にもいろいろ問題があると思います。ただ、生業の中で、再び営農する場合、営農の場合はどうだとか、あるいはほかの事業ならばいいと、そういうような区別があるかどうか、それについて答えていただきたいと思います。
  33. 大月高

    政府委員大月高君) 国民金融公庫業務のやり方をくずすわけじゃございませんので、一般原則によりまして、特定業種につきましては限度が倍になっております。一般業種につきましては、個人では五十万、それが特定業種につきましては百万、法人につきましては一般業種で百万、特定業種で二百万というように、限度は違っておりますけれども、業種について特に制限はないわけでございます。そういう意味におきまして、現在国民金融公庫でやっております業務範囲内におきまして、それに該当いたしますればこれを貸していく、こういうことになると思います。
  34. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 農業関係に従事しているような人たちのためにいろいろと援助すると申しますか、その方法として、金融機関の中には農林漁業金融公庫というものもあるわけであります。そういった方面からの融資も当然考えられていいんではないかというようなことも言えますし、そうした場合に、この国民金融公庫、なかんずく今回の措置に対してはどんな関係を持つのであろうかという点についてお願いしたいと思います。
  35. 大月高

    政府委員大月高君) この問題は、この被買収者に対する措置ということを離れまして、農林漁業金融公庫業務国民金融公庫業務とどういうような調整をするかという問題になると思います。で、国民金融公庫につきましては、御存じのように特定目的がございまして、貸し出し得る範囲、あるいは目的金額金利、そういうものがそれぞれ限定されておるわけでございます。で、国民金融公庫自体はそういうような特定制限がございません。また、金利につきましては、農林漁業金融公庫金利のほうが有利であるわけでございますので、農林公庫の対象になるものについてはそちらのほうでそれぞれ農業政策の面で措置されると思います。国民金融公庫におきましても現在、養鶏でございますとか、養豚でございますとか、果樹栽培、その他いろいろな業種について金を貸しておるわけでございますけれども、今申し上げましたような農林漁業金融公庫国民金融公庫業務に対する考え方に基づきまして実行いたしておるわけでございまして、この農地買収者に対する融資につきましても同じような原則で実行する、こういうことであろうと思います。
  36. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 買収されてからの生計を立てる方法としては、再びわずかながらの耕地を耕して、そうして生計を立てている人もあるでしょうし、また、一たんは志を新たにして今後の方向をきめると申しますか、そのために新しい事業を起こした。ところが、やはりうまくいかないために、再びもとの仕事へ帰ったというような実例が相当たくさんあろうと、このように考えるわけです。で、そういう場合に、これだけの資料では今こまかく申し上げるわけにいきませんが、今回のこの被買収者でほかの仕事へ転換していった人がどのくらいあるか。もしほとんどが転換しないで旧来どおりの農業を営んでいるということになれば、今のお話のように、農林公庫から融資を受けて新しい農業の行き方、いろいろな問題があると思いますが、そういう点についても相当積極的に考えもされ、また融資対象とも考えられるわけでありますが、そうした——どうも考えてみると矛盾が起こってくるみたいな……。なぜ国民金融公庫だけをワクを広げて融資対象としなければならないのか。せっかく農林漁業金融公庫というものがありながら、なぜそれができないのかという点に、やはり不審を持つわけでありますが、もっと具体的にひとつその辺の調整なり関係なりをお話しいただきたいと思います。
  37. 大月高

    政府委員大月高君) この被買収者に対する融資につきまして、どういうような機関を用いまして実行するかという点につきましては、今般の決定をいたす前にいろいろ検討いたしたわけでございます。で、一部には農林漁業金融公庫を使ったらどうかという意見もあったわけでございますが、ただいまお話がございましたように、買収の当時におきましては農業を営んでおりましても、その後の事情の変化によりまして、一般の商工業に従事している人もあるわけでございます。で、農業政策の面から農林漁業金融公庫融資対象にしていいという人については、それぞれの制度があるわけでございまして、で、一般に商工業に従事する、あるいはそうでない一般のサービス業をやっている、あるいは職業がなくてこれから仕事をしようというような方々に対しましては、やはり国民金融公庫がいいのじゃないか、こういうような実態を考えまして、ただいま御説明申し上げておりますような制度を考えているわけでございます。
  38. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 まあ非常にはっきりおっしゃっていただけないために、とかく国民からの疑惑が持たれるのではないかという懸念もありますが、次の問題をお伺いしたいと思います。  子弟の教育とその生業ということになれば、当然生業資金を必要とするような家庭においては、子弟の教育等においても非常な不便を感ずると申しますか、困窮を来たしておりまするが、わずかの金でもってはたして育英と生業と両方やっていくだけのことができるかどうか。どんな観点に立って小口——当然小口融資になると思うんですが、そういうような考え方を立てられて二十億という数字を出されたのか、その根拠ですね。
  39. 大月高

    政府委員大月高君) 現在御提案申し上げております法案の関連におきましては、ただいま考えております農地買収者に対する融資は、生業資金に限るということでございまして、育英資金は含まない、こういうことでございます。別に、お尋ねもございましたように、議員提案といたしまして、国民金融公庫融資に関する特例を作ったらどうか、それによって育英資金も貸せるようにしたらどうか、こういう御提案は別途ございますが、われわれの立場といたしましては、国民金融公庫の性格にも直接触れる問題でございます。そういう意味で、もし育英資金までこれを出していくということでございますならば、ほかの制度によって実行するほうがいいのではなかろうかと、こういう立場をとっておるわけでございまして、今般考えております二十億円につきましては、生業資金に限り、生活資金及び育英資金、そういうようなものについては貸し出しを行なわないという考えでございます。
  40. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 この「国民金融公庫の現状」というパンフレットを見ますと、貸付の状態が一応理解できますが、国民金融公庫として、一貫したその公庫法に基づいた精神にのっとって、どうした人を対象として融資をしていくかというような問題も当然考えられると思いますが、その点の方針といいましょうか、経営方針といいましょうか、それについて総裁にひとつお尋ねしたいと思います。
  41. 石田正

    参考人(石田正君) 私ども、この制度がどういう結論を得まして私のほうがやることになりますか、今のところでは私のほうといたしましてははっきり断定できないわけでありますが、今の政府当局がお考えになっておりますところのラインで決定がありまして、そうして私たちがその仕事をするというようになりました場合に、私、国民金融公庫といたしましては、いろいろな仕事をやっておりますが、その中でやはり大宗的な仕事となりますのは普通貸付でございます。普通貸付といいますのは、いわゆる生業資金につきまして、先ほど来いろいろとお話がありましたような限度のもとに行なうということになっております。いわゆる救済的な資金を出すのではなくて、ほんとうの事業資金で見込みのあるものについて出すのだ。困った人ではありますけれども、そういうワクの中でやるという機構は私はくずすべきでない、こう思っておるわけでございます。  ただ、従来やっておりました普通貸付と今度の考えられておりますところの貸付制度との間には、期限において違うということが一番大きな特色になっておるかと思っておるのであります。この期限の点は、政府においておきめになってわれわれに指示がありますことでありますから、それはそれでやりますが、そのほかの点につきましては、大体今までのとおりの審査方針をやりまして、農地買収者の方であるから特別にしんしゃくを加えるということはしないで参りたいと、かように思っておる次第でございます。
  42. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 それから、金利の問題でありますが、将来の方向に立って考えてみた場合に、さらに引き下げる用意があるかどうか。業種別にどういうふうな引き下げ方をするか、案でもなんでもけっこうだと思いますが、そういう方向があるかどうか。
  43. 大月高

    政府委員大月高君) ただいまのところ、国民金融公庫金利につきましては、現状をもってやって参りたい。ただ、一般金利水準の問題もございますので、この公庫の金利につきましても、そのときどきの情勢をにらみ合わせまして改正をして参っております。そういう意味で、金融の情勢いかんによりましては将来また検討する必要がありますが、今のところ現在の金利水準でもって実施いたしたいと考えております。
  44. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 昨日もたしかお話が同僚議員から出たと思いますが、申し込んでから実際にそれが現金化されるまで、相当の期間がかかっているわけです。借りたいと思う人は、もう即刻にでも借りて、それをそれぞれの用途に当てたいという希望が相当強いと思うのです。一カ月以上かかるような趣の回答があったようでありますが、これはやはり国民大衆の利益を考えるために発足した公庫であるならば、やはり国民のそういう困っている人の立場に立ってものを考えていただく。調査やなにか技術的の問題のためにおくれるというようなこともわからないわけではありませんけれども、そうした点についてもっともっと希望を満たしてあげられるような、期間の短縮等については今後お考えになるかどうか。できれば十日、二週間——どんなにおそくとも二週間くらいでやれる方法はないかという点について、ひとつお伺いしたいと思います。
  45. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうは今、審査の段階、それから貸付の段階につきまして、一番理想的には、これは平均的な話でございますが、大体二十日ぐらいで貸付が終わるということを理想として努力いたしておるわけでございます。現実問題といたしましては、それが審査のほうで、大体決定まで二十日で、そして貸付までにつきましてはさらに十日かかる、こういう状況でございます。遺憾に思っております。  ただ、これは率直に申しまして、平均的な問題でございまして、個々の案件ごとに相当違って参ります。私のほうといたしましては、全般的に精査を早くし、それからまた貸付手続を早くする、こういうことには今後とも努力をして参りたいと思いますが、ただ、一律に短縮と申しますばかりでなく、やはり全体の業務の中で短縮し縛るところのものは早く短縮したらどうかというふうなことを、実は最近始めておるわけであります。たとえてみますると、われわれのほうはすでにお貸し付け申し上げて、そうして期限が来るとか、期限が来なくても借りかえをするとかいうふうな問題がございます。そういうふうなことで、従来の実績にかんがみまして、心配のないお客さんであるということになりますれば、われわれのほうでは実調と申しておりますが、実際にその仕事をしておられるところまで参りまして、いろいろお話を承るというようなことを省略する、こういうこともだんだんとするように努めさせております。それからまた、金額の点から申しましても、比較的小さい金額であるというような場合には、実調を省略いたしまして短縮するというふうなことも考えておる次第でございます。  なお、ただ、私、非常に、何と申しますか、他方におきまして日数が長くなりはせぬかという心配をしておる点も実はあるのであります。それは、われわれのほうの貸し出し限度の問題を別といたしまして、実際の貸付額がだんだんと大きくなってくる、これは当然だと思うのでありますが、その平均の金額が多くなってくるということにつきましては、設備資金が大体大きくなってくるという傾向が多いわけであります。この設備資金のほうになりますると、われわれの考えといたしましては、大きな金額になりますので、やはり慎重にやっていかなければならぬという面もふえてこようかと思っております。  お話の点におきまして一律なお話ができませんので、恐縮でございますが、全体として減らすことは努力いたしますが、その中におきましても多少個々のケースにつきましては違ったものが起こってくる、それが結果として平均数字にどう現われてくるかというような問題であろうと考えておる次第でございます。
  46. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 最後に、政府のほうに御要望申し上げておきたいことは、とかくこうした特定団体と申しますか、個人を融資対象とするための法律を提出されるということは非常にまずいと思います。ならば、先ほど来お話し申し上げておりますように、戦災者に対しても、零細企業者に対しても、同様の道は講じられていいはずだ、また被買収者と同じように、そういう人たちにも切実な願いがあるはずだと思うのであります。これだけの金があれば何とかなるはずである。また要望もあるはずだと思うのであります。ならば、そういう観点に立って、もう少し大局観に立ってこうしたような措置を講じていただければ、国民としても非常に希望が持てるでしょうし、また政府がそういうような方向に向かって政策を具体的に実践されれば、非常に国民生活も大きなプラスではあるまいか。その点だけを特に私のほうから申し上げまして、質疑を打ち切りたいと思います。
  47. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 御答弁、ありますか。
  48. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいまお述べになりました御要望の御趣旨は了承いたしました。
  49. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 ただいまいろいろ同僚議員から御質問のあったことに対する御答弁の問題の中で、関連いたします問題だけお尋ねいたしておきたいと思います。  一つは、この官房審議室から出ておりまする調査会答申案を作るための審議経過の中で、御質問になった中で、第八回の審議会の総会でいろいろ問題を討議いたしておる過程の中で、政府がこういう調査会審議を委託いたしておきながら旧地主に対する二十億円の融資措置をとったということで、政府側説明を求めて紛糾したという発表になっておるのですが、それについてのお答えがあったのですが、私はなおそのお答えでは不満足なんです。で、この第十回の審議会で今井委員辞任をいたしておるのです。この今井委員辞任については、臨時行政調査会仕事が新しくふえたから、あるいはこの仕事が大きいから、委員をやめたいというふうに言われておるのですが、表に出ておる経過はそのとおりだと私は思うのです。しかし、そうでない面もあるのではないか。あるいは裏面には違った動きがあったのではないかというふうな点も実は考えるわけです。それについてお答えが願えるなら願いたいと思うのですが、いずれにいたしましても、一昨日ですか、委員長にお願いしたように、やはり調査会の工藤会長なり、あるいは会長代理をしている稲葉さんなりにやはり出て来ていただいて、この間の経緯並びに答申をいたして参りました討議の経過についてお尋ねしたいというので、これはぜひ呼んでいただきたいということをお願いいたしますとともに、重ねてお答え願いたいと思います。
  50. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 今井委員の御辞任の事情につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。私、たまたま今井委員を個人的にもよく存じ上げておるのでございまして、そのときに今井委員から直接いろいろの御相談を受けたのでございます。先ほど私が申し上げたとおりの事情でおやめになりました。こういった調査会の中の問題について何らかのことがあっておやめになったというようなことはないように私どもは承知をいたしております。  なお、工藤会長その他をお呼びになることにつきましては、委員長のほうでおきめいただきたいと思います。
  51. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 理事会において協議して決定いたします。
  52. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 それでは、答申の問題については理事会のほうで、調査会のほうの代表者が来ましたときにお尋ねすることにして、この点に対する質問は避けまするが、しかし、今審議室長が言った、今井委員がそのようにおっしゃったことに対しては私も了承をいたします。そのとおりだと思うのです。しかし、違う意味におけるいろいろな動きがあるという想像だけを私はしておるわけなんで、その点はここで御質問申し上げても仕方がないので、適当なお答えの願える方が来てからお尋ねすることにいたします。  それから、第二は、銀行局長お尋ねいたしておきたいのですが、きのう同僚議員が二十億円の出資について被買収者の貸付との関連をいろいろ尋ねておったのですが、繰り返し繰り返し質疑応答が繰り返されておりましたが、その中で、二十億の出資はあくまで公庫に対する出資のワクをふやしたのであって、被買収者の貸付ということを対象として、それに拘泥をしてやったのではないのだというふうに答えられておったように私は記憶をいたしておるわけです。これは、きょうときのうの速記録を調べまして明らかにいたしたいと思いますが、きょうのところではすでに二十億は被買収者に対する貸付を前提としてお答えをされております。したがって、きのうのお答えときょうのお答えには食い違いがあるように僕は思うので、一応のお答えを願っておいて、なおあらためてきのうときょうの銀行局長答弁の速記録を調べて、もう一度お尋ねいたしたいと思います。
  53. 大月高

    政府委員大月高君) 私が終始一貫して申し上げておりますことは、この法律案提案理由は、国民金融公庫融資計画一千四百四十八億の原資の一部として出資するものであると、こういうことでございます。  それから、この今御議論になっております被買収者に対する貸付は、その一千四百四十八億の貸付の中でどういう貸付をするか、一般貸付、小口貸付、あるいは恩給担保貸付、そういうようないろいろな貸付の態様がございますので、そのうちの一つとして二十億円の被買収者に対する貸付を予定すると、それを必ずしも論理的にそこは結びつかないのだと、こういうように申し上げておるわけでございまして、国民金融公庫のバランスシートで考えますと、貸方のほうに出資二十億載りまして、借方のほうにその他という項目が立つわけでございまして、それは数字は同じでございますけれども、いずれもバランスシートの中の一項目であって、それが直結するものではない、これが終始申し上げておる点でございます。きょう申し上げております点につきましても、被買収者に対する貸付をどうするかというその面の御質問に答えておるわけでございまして、出資と関連があるという点は私は申し上げておらないつもりでございます。  それから、先ほど私御答弁申し上げました現在の国民金融公庫の貸付の限度につきまして、法人が原則として百万以内、特別の業種について二百万と申し上げましたが、一般原則は法人、個人とも五十万円でございまして、特別の業種の場合には個人が百万円、法人が二百万円、こういうことでございましたので、これは訂正さしていただきます。
  54. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 それから、これも関連していることなんですが、一体銀行局長は、政府関係機関である国民金融公庫一般貸付の年利九分というのが現状の金利水準から見て高いと思っておられるか、高くないと思っておられますか、これを伺っておきたい。
  55. 大月高

    政府委員大月高君) 現在の一般金利水準から見まして、均衡はとれておると考えております。
  56. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 九分ということは二銭四厘五毛になると思うのですが、これは国の行なう金融機関としては私はやはり安くないというふうに考えております。  それから、先ほどの同僚議員の質問に対するお答えに、金利水準はそのときのやはり経済、金融上の事情を見て考えたい、こういうことでしたが、この国民金融公庫の普通貸付の年利九分というのは、二十四年の六月にきまっておるように聞いておるのですが、そうすると、昭和二十四年と現在三十七年、これは非常な時代の推移の長い変化があるわけなんですが、これは二十四年六月に間違いございませんか、きまったのは。いつきまったんですか。
  57. 大月高

    政府委員大月高君) 国民金融公庫の普通貸付の金利の推移について申し上げますと、二十四年の六月が一割二分、二十八年の十月から九分九厘六毛、三十年の八月一日から九分六厘、三十四年の四月一日から九分三厘、現在の九分になりましたのは昨年、三十六年の一月一日からでございまして、大体二年前と、こういうことでございます。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
  58. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 わかりました。これは一ぺん御検討願いたいと思うのですが、現在国の資金によって運営しておるところの機関の金利が九分、二銭四厘五毛ということは、決して私は安くないと、こう考えますので、これは御検討願いたいと思うのです。  そこで、今言われておりまする被買収者の問題ですけれども、これを特別にそういうワクを作るのではなしに、一般貸付の対象にこれを加える、含めるということにして、この一般貸付の年利九分を引き下げる考え方は持てないかどうか。
  59. 大月高

    政府委員大月高君) 今般の考え、被買収者に対する貸付が特別のものでございまするので、一般貸付は国民金融公庫基準金利がございます。非常特別なものでございますから、やはり一般の貸付は現在の九分で実行いたしまして、今回の措置に限り六分五厘にするというのが適当ではないかと考えます。
  60. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 それから、もう一つ、被買収者の中で特別に生活困窮いたしておる者があるというふうな御見意なんですが、そういう人に対しては公庫の現行の更生資金貸付の対象にすることにして、そしてこの更生資金貸付の貸付限度を引き上げる考えはないか。
  61. 大月高

    政府委員大月高君) 更生資金貸付は生活困窮者という条件がついておりますから、そちらに該当される方につきましては、更生資金貸付の道は別途開かれておるわけでございます。しかし、この制度限度は五万円でございまして、これについては限度を上げたらどうかという意見も一部にはございます。ただ、この制度自体につきまして、昨日国民金融公庫総裁からお話もございましたように、この制度自体が引揚者あるいは戦災者というような方を対象といたしまして制度が発足したといういきさつもございますし、別途厚生省の世帯更生資金貸付という制度がその後発足いたしまして、これが逐次制度として確立して参っておりますので、いずれかといえばそちらの新しい制度に乗り移っていくほうが適当ではあるまいか、そういう意味で、現在厚生省の御当局といろいろ御相談いたしておるような次第でございます。そういう観点から、現在国民金融公庫でやっております更生資金貸付自体の限度を上げて、さらに制度を拡充していくということは、今のところ適当でないというふうに考えております。
  62. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 先日厚生省のほうの社会局長にお尋ねをしたことがあるのですが、これは公益質屋の問題でお尋ねをいたしたのです。現在全国に八百余の公益質屋があるのですが、公益質屋の現状はジリ貧の状態を示しております。こういうふうに公益機関がうまくいかないということについていろいろお尋ねをしたのですが、そのときに厚生省のほうは、国民金融公庫のような施設があるので、そのほうに公益質屋の対象になっておった方々融資を受けられるようになったから、そういうことが公益質屋の利用者が今減っておる一つの理由である、こういうふうに言っておるわけです。そうすると、今の銀行局長のお考えと、あるいは御答弁と、厚生省の社会局長の考えておることとは、食い違いが出てくるわけです。これは単なる考え方の相違ですから、調整のできる問題でありますけれども、今おっしゃるように、国民金融公庫の持っておる性格あるいは役割から見て、今の考えはもう一度御検討を願う必要があるのではないかと思います。その点についてお伺いいたします。
  63. 大月高

    政府委員大月高君) 国民金融公庫のやっております仕事と公益質屋の仕事とは、面が若干違っておるのではないかとわれわれは金融的には考えます。それは国民金融公庫の事業といたしましては、消費資金を貸付しないという大原則がございます。質屋さんは、御存じのように、そのときの生活資金その他のやりくりにお使いになる分が相当あるわけでございますので、その点においては面が異なっておるのではあるまいか。ただ、質屋さんに対して何らかの運転資金というようなものを要求されるというような面になりますと、それは事業の資金になりますので、国民金融公庫対象となってくる。しかし、国民金融公庫資金が次第に充実したことによって公益質屋の分野がだんだん減ってきておるかどうかという点につきましては、私、直接統計的にその推移を考えたことはございませんけれども、因果関係としては直接ないのではあるまいかというように考えます。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  64. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 おっしゃることは十分承知の上で、委員会でもいろいろな角度から話をしております。申し上げておるのは、そういうふうに社会局は考えておるのにということは、国民金融公庫困窮者に対して貸付をしている、そういう仕事があるということを申し上げておるわけなんです。その仕事を少なくしていくということになりますと、本旨が狂ってくるのではないか、このことを申し上げておるので、これは一応関連質問ですから、今後の課題にしておきたいと思います。  そこで、私は関連質問を打ち切りますが、あらためて委員長のほうに、ひとつ理事会のほうで調査会のほうの代表の方をお呼び願うことをお願いをして、そのときまで質問を保留しておきます。
  65. 柴谷要

    ○柴谷要君 総裁にお伺いいたします。ちょっと事務的な点になって恐縮でありますが、国民金融公庫の内部問題について少しくお尋ねをいたします。三十七年度の公庫の資金調達は、政府資金が二十億、借入金が四百六十五億、回収金九百六十三億で、千四百四十八億、こういうことになっておりますが、ただいま上程されておりますとの法律案が通らないと、二十億は使えない、これは数字どおりですね。このほかに一体調達すべき資金があるのかないのか、実際昭和三十六年度と比較をしてどのくらい金額に相違があるのか、まずこの点についてお尋ねをいたします。
  66. 石田正

    参考人(石田正君) まず第一の問題といたしまして、今ここでいろいろお話がございます農地買収者に対するところの貸付が実行される、またさらにそれに見合いまして出資のほうがいだだけないということになりますれば、それだけの規模が減るということは今御指摘のとおりでございます。  それから、第二点といたしまして、一応まあ年度間を通じまして昭和三十七年度の貸し出し回収計画をやったのでございますが、今の御指摘の数字は、これは「現状」に書いてあるところの数字でございましょうか。私は今はっきり聞き取れませんでしたが、もし年度が始まりました場合の当初の計画の数字だということになりますと、その後、御承知のように、本年の六月とこの十一月とに資金の追加がございまして、これはトータルで申しますと、短期、長期含んでおりますが、長期が年間に影響するわけでございます。長期のほうは六十億追加をいただいております。それだけふえておるということでございます。
  67. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうしますというと、三十六年度から見ると、二百七十億ぐらい資金がふえていると、こういうふうに見て差しつかえありませんね。
  68. 石田正

    参考人(石田正君) これは初めの計画でなく、現実の現在われわれが想定しておりますところから申しますと、百四十六億ぐらいふえるということになると思います。これは何と申しますか、非常にこんがらかって参りますのは、借入金の増だけを考えました場合と、それから借入金の増があります裏側といたしまして、借りた金を返す増加があるわけです。その関係で、借り入れの増だけがネットになるのではない、借り入れの増を減らしたものがネットの増になるのだ、こういう関係でございます。
  69. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は池田さんのように数字はあまり明るくないので、ぜひ間違いのない数字をお答え願いたいと思う。十分検討しておりますので、書いたらそれを信用してしまいますから、どうぞひとつ……。  資金運用の面についてちょっとお尋ねしたいのでありますが、先ほども銀行局長からこまかい御答弁をいただいたので、半分くらいわかりましたが、普通貸付、それから特別貸付、それに更生資金の貸付の利回りは年九分、それから担保物件については六分五厘と考えてよろしいものでしょうか。
  70. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうの仕事といたしましては、まず最後の点でございますが、担保があるなしによりまして金利を変えるということはいたしておりません。担保の有無にかかわらず、金利がそれぞれの貸付の性質に従ってきまっておる、こういうことでございます。  で、普通貸付につきましては、先ほど来話がございましたような工合に、九分で貸しておるわけでございます。それから、恩給担保貸付——今一番、何と申しますか、普通貸付に次ぎまして多くなりつつあるものは恩給担保の貸付でございますが、これは六分でございます。それから、金額的に多いものといたしまして、引揚者国債担保の貸付、これも六分でございます。それから、厚生資金の貸付、これも六分でやっております。ただし、これは当初六分でございましたが、再貸付といいまして、あとが借りかえみたいな形になりまして、新しいものでございまして、そしてそれにつきましては九分を適用しておるものでございます。それから、大体特別小口とか災害とか母子家庭とかいうものは、昔やっておりまして、今整理段階に入っておるものでございます。
  71. 柴谷要

    ○柴谷要君 担保貸付は六分、それから今回政府が出資いたします二十億の被農地買収者に与えるものの利息は六分五厘と銀行局長はお答えになりましたが、間違いありませんか。
  72. 大月高

    政府委員大月高君) 今考えております被買収者に対する貸付は六分五厘です。
  73. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは、次は公庫の収入金についてお尋ねしたいと思います。これは事業益金と予算の中では言われておりますが、これは全部貸付金の利息と、こういうふうに承知してよろしゅうございますか。
  74. 石田正

    参考人(石田正君) 大部分が貸付金の利息でありますけれども、しかしながら、それだけだといいますと、多少語弊が出るかと思っております。といいますのは、われわれといたしましても、いわゆる預金ですね、ゼロで、お金なしでやっているわけじゃない。そのときそのときで手持ちにしている資金がございます。そういうものは銀行預金してありますから、銀行預金利子というふうなものもあるわけでございます。それから、あまりたいしたことじゃございませんけれども、数字だけから申しますと、たとえばわれわれが固定資産を持っておる、それを不要になったから売る、帳簿価額からふえてくるというような特例的なものもありまして、収入全体から申しますとそういうものも多少含んでおると、こういうことでございます。
  75. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうしますと、事業益金の中には、銀行利子あるいは不動産の処分というものがあるけれども、これは俗にいう雑収入ということでございますね。しかし、大半が貸付金の利息である、こういうふうに思いますが、そこでその雑収入の中に運用収入というのがありますが、この運用収入というのは、今言った銀行等に預けておる利息でございますか。
  76. 石田正

    参考人(石田正君) どうも先生がごらんになっておりますところの表とわれわれの表と合っておりますかどうかということを、実は心配しておるわけですが、われわれのほうで正確に大蔵省に出しまして、そして承認を受けます損益計算書と申しますか、それから申しますと、やはり一番大きなものは、何と申しましても貸付金の利息でございます。これが大部分でございます。その次の項目といたしましては、先ほどちょっと触れましたけれども、預け金の利息というのがその次にあるわけでございます。それから有価証券の利息というのは、また別の項目を立てております。有価証券の利息というのは、われわれといたしましても短期の資金を、預金の形で持たないで、短期の有価証券に運用するということも認められているわけでございます。そういうような収入が有価証券利息としてやっております。大体そういう三つのものは別の勘定といたしまして、そのほかのものにつきまして雑収入というのをあげているわけでございます。
  77. 柴谷要

    ○柴谷要君 年度の最終に剰余金が出る。この剰余金の運用にあたっては、証券にかえたり、あるいは貯金にかえたりすることができる。それから、公庫法によると国庫納付金の制度もあるわけですから、残れば国庫に納付しなければならぬ、こういうこともあると思うのです。だから、納付金制と余裕金預かり制と二つ公庫にあると思うのですね。しかしながら、年度の初めに予算を組む場合には、いわゆる益金の中から損金の始末をするでしょう。そうして益金から損金を差し引いた残りの金の処置については、国庫納付なりあるいは余裕金預かりということになってくるのです。ところが、事業益金の中に加えるところの雑収入、これは当然益金として組むのでございましょう。そういうのが正しい予算の組み方だと思う。それを私は今聞いておるので、雑収入が運用収入と純雑収入と二つあると思います。その運用収入というのは一体どのくらいあるのか、これをお尋ねするわけです。
  78. 石田正

    参考人(石田正君) 今のお話でございますが、これは昭和三十六年度の決算で、最近の決算でございます。それに基づいてお話し申し上げたほうが御理解願えやすいかと思うので申し上げるのでございますが、これはわれわれのほうといたしましては、まず貸付金の利息とか、あるいは預け金の利息、有価証券の利息、そのほか雑収入がございます。そういうようなものは全部収入として一本にあげるわけでございます。他面におきまして、われわれといたしましては、相当大きな借入金もあるわけでございますから、その借入金の利息が一番大きな金額になります。そのほか三千人をこす職員を持っているわけでございますから、これは職員給与も要りますし、いろいろ紙等が要りますので、事務費というものが相当大きな金額になりますが、これも支出のほうでございます。それから、われわれのほうは御承知のとおりに代理店を相当使っております。代理店を使えば、その代理店に対しまして取り扱いの手数料を払わなければならぬという問題も起こります。これも支出の部に立つわけでございます。そういうふうなことをいたしまして、そうして今申し上げましたのは大体大きなものでございますが、片っ方で全体の収入が幾らという数字が出ているのでございます。他方、さらに今申し上げましたような支出がどれだけあるかということになりますと、その計算からいたしまして、いわゆる余りが、収入のほうが支出より多いという面が出てくるわけであります。それがいわゆる、そうなりました場合に、それをすぐ国庫へ納付するかせぬかということになるかというお考えでございましょうけれども、それはわれわれのほうといたしましては、その残った金につきまして、今度は実際にわれわれの貸し付けている金額からいいまして、いわゆる滞り貸し準備金といたしましてどのくらいの金額を見ていかなければいけないか、そういう問題がございます。それからまた、固定資産を持っておりまして、これもだんだんと古くなって参りますれば将来償却しなければならぬ、それに見合う金を何ぼ取らなければならないか、こういうことで、これはその金額につきまして大蔵省の御承認をいただくわけであります。それを引きました結果なお余りがあれば国庫に納付するということであります。  しかし、三十七年度におきましては、今申し上げましたような工合に、滞り貸しの場合とか、あるいは固定資産の引き当てとかいうことをいたしますれば、余裕が出て参りませんので、国庫に対しましてはまだ納付をいたしておらなかったと、こういう事情であります。  なお、多少今お話しのあれで、剰余金だけが運用されるのじゃないかというふうな工合にもお聞きしたわけでございますが、われわれのほうは、今申しましたのは決算をする場合にそうなってくるのでございまして、あるいは実際のわれわれの年間からいいますと、最後に確定するのでありまして、現実問題といたしましては、現金があるかないかという問題になって参ります。その実際の仕事に差しつかえないところの現金をそのときどきに運用しているものが運用収入になる、こういう関係でございまして、決算上の余剰金とかなんとかいうものだけが運用される、こういうものではないのでございます。
  79. 柴谷要

    ○柴谷要君 銀行局長にちょっとお尋ねしますが、昭和三十七年度の予算という非常に分厚い本を私はいただいて、国民金融公庫の問題を調べてみた。その数字でございますから、この数字があまりにも違うということになるというと、三十七年度の予算というものの数字が信用できなくなるわけです。こんな厚いでかい木をいただいて、その中に国民金融公庫の三十七年度の問題が克明に書いてある。その数字を実は私承知をしているわけですが、との数字が違うということになるというと、これは政府が作られたものは信用できないということになりますので、それをひとつ、もし数字的に違いが生じておるとするならば、たいへんお手数かもしれませんが、ひとつお教えをいただきたい、こう思います。別に追及じゃございません。銀行局長にお願いしておきます。
  80. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうから便宜、そういう技術的な問題がございますので、申し上げさせていただいたほうがいいかと思うのですが、実は先ほどちょっとお話がございましたが、われわれのほうは、何と申しますか、三十七年度なら三十七年度のわれわれの公庫の予算と申しますか、それを出します場合に、大蔵省とお打ち合わせをするわけでございます。それはお打ち合わせいたしましたとおり行なわれましても、これは予算でございますから、まず第一に、そのとおりの数字に必ずおさまらなければならないということはなかなかむずかしい点がございます。特にこれは政府機関でございまするので、一般の役所と違う点があろうかと思っております。そのほかにつけ加えまして、先ほどもちょっと申し上げましたのでございますが、本年度は初めの予算よりも六十億の御追加をいただいたわけでございます。一応こうきめたけれども、お前のほうも困るだろうから、資金の追加をしようという問題も起こってくるわけでございます。そういうものをいただきますと、そういうものに対しまして、片方におきましては今度は、借入金でありますから、借入金の利息というものがふえてくる。他面において、それを運用いたしますから、貸付金のほうもふえてくる、こういうことでございまして、予算にありました数字と決算の数字とは違うことがあり得るのだと。運用上の問題もございますが、そういうことがあり得るのだということだけつけ加えさせていただいたほうがおわかり願えるかと思います。
  81. 柴谷要

    ○柴谷要君 私も、今総裁のお答えいただいたように、確かに予算と決算は違うということは十分承知しておりますが、あまりにも数字の違いがありますと、予算というものが信用できなくなりますので、ちょっと申し上げたのです。  次に御質問いたしますけれども、収入があって支出がこれに伴う、こういうことになるわけでありますが、事業損金を益金から差し引きますというと、大体四億ないし五億の金が残るわけであります。この金を一体、国庫納付金として扱われるのか、余裕金として扱うのか、それを最初に総裁から御答弁いただきたいと思います。
  82. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうは政府機関でございますが、同時にまた金融機関としての仕事もいたしているわけでございます。われわれといたしましては、差引収支がとんとんで、今のお話のような数字がゼロになることは好ましくないと思っているのです。やはり多少の余剰が出まして、先ほど御説明申しましたように、われわれのほうの貸付の規模はふえていくわけでございますから、その規模に応じまして万一の場合に備えるところの滞り貸し準備金等もふやして参りたい。これがゼロになるようではかなわぬというふうに思っておりまして、実は毎年政府に対して出資をもう少しふやしていただきたい、借入金のほかに出資をふやしていただきたいということは、そういう数字の問題と関連して政府にお願いをいたしておる、こういう次第でございます。
  83. 柴谷要

    ○柴谷要君 これから少しこまかい御質問で恐縮でございますが、現在役員は十名というところを九名のようでございますが、一名追加をなさるおつもりでございますか。
  84. 石田正

    参考人(石田正君) これはなるべく早く追加をいたしたいというふうに思っております。実はこれは今までのやめました理事がずっと勤めていただくということで考えておったのでございますが、急に個人的な事情で民間のほうへかわられたものでございますので、それの補充につきまして考慮いたしておりまして、なるべく早く補充いたしたい、かように思っている次第でございます。
  85. 柴谷要

    ○柴谷要君 職員の数も、予算の面からいいますと三千三百二十二名の予算がとってある、十名の役員を含みますが。ところが、現在人員は三千二百九十九人で、二十三名ほど欠員でありますが、この点はどうお考えでございますか。
  86. 石田正

    参考人(石田正君) これは私のほうは実は実際の定員どおりの人を補充したいと思うのでありますが、われわれのほうの事情といたしまして、大体高校卒業の方を採り、大学を卒業する方を採る、こういうことになりまして、採用をいたします時期がやはりある程度きめられるという点がございます。それからもう一つは、結婚等によりましておやめになる方もございます。もちろん、そういうふうな分がありました場合には、みなそれぞれ補充をすることに努めているわけでございますが、やはり勤務地の関係がございまして、たとえば地方で欠員がありました場合に、すぐその地方で欠員が補充できない場合に、ほかから回すということもできないというような場合、試験等もございます。希望者の中から試験をするというふうな問題で、やはり時間がそこにあくという問題も起こってくるのでありまして、三千三百二十二名というふうな数字になりますと、ある程度の欠員というものは結果においてそのときどき現われてくる。そういうことがないようにしようと思うと、定員以上の人を雇っておかなければいかぬ、こういう問題があるということで、非常に苦心いたしておるところでございます。
  87. 柴谷要

    ○柴谷要君 総裁、役員の一名はすみやかに決定するが、職員のほうにはあまり熱意がないような御答弁でございますが、職員の側からたいへんな増員要求が出ていると思います。これらについてひとつ御一考願わなければならぬ問題をこれから御質問して参りたいと思いますが、二十億の貸付の件数を前回の委員会でお尋ねしましたときに、銀行局長さんのお答えは、最高一万件、最低七、八千件、こういうふうに大蔵省は見ておられるようでありますが、その件数が今日までやって参りました実績よりもプラスされることは間違いないと思います。これに対する公庫としての対策は、要員面における対策、あるいは事務的な面、どういうふうにお考えになっておられますか、これもひとつお聞かせをいただきたい。
  88. 石田正

    参考人(石田正君) これは弁解になりましてはなはだ恐縮でございますが、実際問題といたしましては、職員と役員との問題につきましては、法律問題等もございますけれども、今お話がございましたのと実は私多少違った考え方を持っておるのでありまして、職員の欠員につきましては、できるだけ早く補充をするということでやっておりまして、役員につきましては、これはなかなか国民金融公庫全体の問題に関係する問題でありますので、慎重に、穴があくからすぐ埋めるというふうには考えておらない次第でございます。  それから、今の農地買収者に対するところの貸付件数でございますが、実は私たちといたしましては、いろいろ大蔵省と、これは確定した数字とは申せませんけれども、大体われわれとしては、どのくらいの件数を毎年扱って、そうしてまたどのくらいの平均金額にするか、件数もふえ、それからして金額もふえる、こういうことをまあいろいろ折衝いたしまして、もちもろん査定はされますが、そういうことでやっております。そこで、われわれの数字は、残高から申しますと百三十万件というような大きな数字になるわけでございます。残高から申しまして。それからまた、年間を循環いたしまして相当大きな計数になるわけでございます。実はそっちのほうで大きなあれがございまして、それにつきまして一々、これは普通貸付の分はこれだけだ、恩給貸付はこれだけだ、こう固定いたしますと、これはとても実際面としてうまくいかぬという問題がございます。われわれとしましては、いろいろな面を考えまして、このくらいの件数の方々と取引をしたい、平均金額もだんだんふやすようにいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございますが、これは何も被買収者関係を軽視とするとかなんとかという意味ではございませんけれども、全体の数字から申しますとこれは非常にたいへんで、これだけ特別に手当をしなければならぬということではないが、ただしそれは考えておかなければならぬ、こういう問題だと思っております。
  89. 野々山一三

    野々山一三君 関連。将来の農地買収者に対する貸付の問題についての考え方とでもいいますか、そういうものは、今ちょっと答えられたわけですけれども、しかし、もう少し具体的なものがなければ、一体二十億も出資するというこれだけの問題になる法律を出しておいてですね、責任のないにもほどがある、こういうことを言わざるを得ないのですけれども、それは将来のことだから、どういうふうに流れてくるかわからぬので、固い数字は言えないというふうに言っておられるのかもしれません。  そこで、その話はまたさらにあとで質問をしますけれども、創設以来今日まで年度別に各貸付の種目別に農地買収者といわれる人たちがどのくらい借りておるか、使っておるかということを、ぜひ全体の比率の中で……。この数字は絶対出してもらわなければ議論にならぬので、お答えを願いたい。
  90. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうは、これは農地買収者の貸付がどういうふうに御決定になりますか、またどういう規模になりますか、われわれのほうとしましては、率直に申しまして、見当がつかないのが実情であります。それから、今お話がございました農地買収者方々が今までの貸付につきまして入っているか入っていないかという問題、われわれは区別いたしておりませんから、もちろんこれは被買収者の方も私は従来も出しておると思います。それがどのくらいの数字になるかということでございますが、これは私は率直に申しまして、今までそういう統計をとったことはございません。それから、それをとったために百三十万件みんな調べるということがほんとうに必要であるのかどうか、われわれの立場からしましてその点につきまして私は疑問を持っておる次第でございます。
  91. 野々山一三

    野々山一三君 これは国民法律のもとに平等の権利を享受するわけですよ。ところが、今度のこの処置は農地買収者というものに対して特殊な政治的配慮というふうに提案説明には言われたんですけれども、その特殊な政治的配慮をするというのですから、それにはそれにふさわしいだけの根拠になる数字がなければ、ややもすれば特定の者に対して二重の利益を与える、こういうことになるわけです。それは今まで調査していないという言葉で、これ以上言えないという言い方で逃げようとされておるが、そこが二重の利益を受けるか受けないかという大事なポイントですから、そのデータを出しなさいと、こう言っているわけです。
  92. 大月高

    政府委員大月高君) 今まで御説明申し上げましたように、今回の措置は、被買収者百七、八十万に対しまして事業資金の要求者が幾らあると、それに対して一般金融機関でどの程度の需要が満たし得るかと、そういうような計算は率直にいってできないわけでございます。したがいまして、こういうような貸付の制度を置くという決定はいたしましたが、とりあえず二十億円を出しまして、その積算というよりも、二十億出しました場合にどういうようになるだろうかということを逆に考えてみますと、八千件ないし一万件程度の貸付が行なわれる金額になると、これをもって予算措置をする、また制度も考えると、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、この制度対象になり得る人というものを事前に調査することは、実際問題として不可能だと思います。そういう意味において御了解願いたいと思います。
  93. 野々山一三

    野々山一三君 政務次官に伺いたいのですけれども、先ほど私が質問しておる法のもとにおいて国民は平等の権利を享受する、これは当然のことですね。この前提をお認めになるならば、さらに特別措置を講ずるというには、それにふさわしい理由がなければならない。その理由を見つけるために、今まで平等でなかったのかどうかということを調べたいから、聞いておるわけです。これはぜひとも……。もしかりに農地買収者一般国民と同じように借りておったけれども、なおかつ二十億なら二十億という別ワクをもって貸し付けなければならぬというのですから、借り足りなかったのか、あるいは今まで同じだったけれどもやらなければならぬというのか、そこの基礎になる数字というものがないというはずはないと思います。これはぜひとも、私は関連質問ですからこの問題に限っておきますけれども、答えてもらわなければ、一体政治的配慮という理由の裏づけにならぬので、この資料は出してもらいたい。資料要求をかねて質問をいたします。で、もう一つ、もし二重な特別な利益を受ける理由があるというならば、そういう答えも御答弁を願いたい。
  94. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいまお尋ねになったような数字の基礎を出すということは、これは常識的に考えてもきわめて困難だろうと思います。出すとしても、相当時間がかかると思います。ただ、農地買収者が全然国民金融公庫を利用していなかったかというと、これは私の常識で申し上げるのですが、多少の利用者があったろうと考えられるわけであります。しかし、今度のこの御提案申し上げております件は、銀行局長から今御答弁申し上げたように、そういう積算の上に立って二十億必要だから二十億の別ワクを設けよう、こういう趣旨から出たのではなくて、特別のこういう融資が必要であるという要望が非常に強い、それに対するやはり政治的配慮でありますから、その配慮の中身を非常に論理的に、また数字をもって説明するということは、これは非常に困難であろう、こう考えます。
  95. 野々山一三

    野々山一三君 それじゃ、裏を返した質問ですけれども、農地買収者には国民一般が受ける利益以上のものをやるということが政治的配慮だと、こういうふうにあなたの言葉を受け取っていいかどうか。
  96. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、生業に困難な人たちに何らかの方法でそれを助けていくような融資方法を考えよう、こういう一般的な政策はもちろんあるわけであります。その場合にどういう人を対象にするかという場合に、先ほども申し上げたように、そういう状態に陥っている要因の点から考えた政策もあり得るのであります。これはこの政策だけでなく、他の政策にもあり得るわけであります。そういう点からの政治的配慮である、こう申し上げておるわけであります。
  97. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると、やはりそのものずばりで答えて下さい。今までのあなたの御答弁によれば、農地買収者も他のものも、生業に困難な者に対して国金を通して金を貸しておる、これは同じであろう。新しく政治的配慮という意味は、そのものに対しては二重の利益を受けるかもしらぬけれども、それをやることが政治的配慮であり政治である、こういうふうにあなたはお答えになる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  98. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 二重的な利益を意図し、それを目的とするものでないことは明瞭でございます。先ほども申し上げたように、そういう状態の要因からきた一つ政治的配慮が必要であろう、こういう点から考えたので、政治的には、大きい見地に立てば、一つのそういう政策内容をなすものはやはり公平にやろうという、公平を失うものではない、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  99. 野々山一三

    野々山一三君 この資料はないないとおっしゃるのですけれども、私どもが調べた限りでは、調査会が、一体今までどういうことになっておるかということを農地局で調べられたデータがあるのです。あるのだからお出しなさい、こう言っているのですから、この点はひとつ責任をもって答弁してもらいたい。  で、これは委員長、次の話として、同じ性質の問題で私がこの問資料要求をしておきましたし、戦争被害者の中で農地買収世帯者が特に一般世帯に比べて被害が大きいということが、何らかの措置を講じなければならぬということになった論拠のように、答申によれば書いてある。この資料も実は出ていないので、この二つはどうしても……。私がまだ質問に立たないのは、この資料が出てこないからなんですよ。大事なポイントなんですから、早急にひとつ措置をしてもらいたい。ほかの資料は出ているけれども、これは全然出ていないので、この二つはあらためて……。
  100. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  101. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を起こして。
  102. 野々山一三

    野々山一三君 大事なポイントですかられ。ひとつ、申し上げた資料をすぐ出すなら出すということを、責任者から答弁して下さい。
  103. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいま御要望になりました資料は、この調査会答申の第四項、「世帯員のうちから戦死者、戦傷者、引揚者及び抑留者を出した直接の人的戦争被害や世帯が戦災にあったり強制疎開にあったりした直接の物的戦争被害については、被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比べてその比率が高い。」、この点に関する資料だと理解しておるのですが、これは調査会の資料はあるわけであります。それをお出ししてよろしければ、即刻手配して出したいと思います。
  104. 野々山一三

    野々山一三君 一般世帯に比べて生活的な被害が高いという、その高いということを実証する材料ということですから、それは調査会でその調査をされたということが記録に明らかになっておるのですから、その筋を通してすみやかに出してもらいたい。  それから、私が前に申し上げたもう一つのものですけれども、いわゆる国金一般を通して農地買収者が利用しておった比率というものが、他の関係者との間にどんな違いがあったか。同じだったら同じだったということを実証する資料というものを先ほど求めたわけですが、この点も政治論で——私も実は農地を取られたほうの者ですから、賛成するかしないか、これは別問題です。深刻な問題ですからね。そういう意味で、まじめにひとつ政治論ではなく答えてもらいたい。
  105. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ついでに資料ですがね、この調査会の、あなたのほうから資料としてお配り願いました表紙を入れて三ページの終わりから七行目くらいのところから読むと、「これは、農地改革が社会的経済的基盤に大巾な変動をきたし、調査の結果においては、被買収世帯の中には、現在生業に困難をきたしている者もあるという事実に基づくものである。」、こうなっているのです。そこで、調査をされて、私は全部だとは思いません、したがって何軒調査をしたら現在生業に困難をしている者は何%あるのだという調査はあると思う。だから、その資料を出しなさい、こう言っておるのですから、この資料もあわせてお出しを願いたい。
  106. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 一等最初に御説明をいたしましたときに、現金収入額で十万円以下の者は幾らというようなお話を申し上げました。あのような調査がございまして、それを通じまして、被買収者のうちで生業あるいは生活困難している者が事実相当あるであろうということを、その筋を通して私が読んだのでございます。生業に困難している者が幾らある、こういう直接的な調査は、調査会調査の中にはございません。現金収入が幾らかという統計の中で、十万未満の者は幾ら、二十万未満の者は幾らというものはございます。あるいは生活保護を受けている者はどのくらいあるかというような、世帯がございます。それらを通しまして、これらの調査の結果、生業生活上困難を来たしている者がある、こういう御判断を調査会でなすった、こういうことを先ほど申し上げたつもりでございます。
  107. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その資料でいいですから、それをお出し願いたい。
  108. 柴谷要

    ○柴谷要君 また総裁にこまかいことをお尋ねいたしますが、現在の国民金融公庫の職員の皆さんは、日々の仕事も、客扱いといいますか、サービス機関でありますから、たいへんな御努力を願っておる、こう思います。月によって扱う件数は違うとは思いますが、年を通して見ますというと、どうも年末にしわ寄せがされて、たいへん十一月、十二月あたりは特に多忙をきわめておる、これが公庫の実情じゃないかと思う。一体年間を通じて一日一人平均四件くらいの件数を扱われておるような実情だと思うのですが、将来これがもっとふえていく、五件、六件、あるいは七件も、八件も消化しなければ国民の皆さんの期待にこたえられない、こういうふうに見ておるわけですが、そういう見通しの上に立って、公庫自体としていろいろ対策をお立てになっておると思いますが、それらの面についてお聞かせ願いたい。
  109. 石田正

    参考人(石田正君) 公庫の仕事につきましては、いろいろな仕事をやっております。そこで、今のお話がございましたのは、一番仕事の大宗をなしておるところの普通貸付につきまして、その中で審査に当たりますところの職員がどれくらいの件数を持っておるか、それがもっと件数をふやすのか、そういうふうな御質問かと思うのでございますが、われわれといたしましては、今一日四件というお話もありますが、職員によりましては、また時期によりましては、もちろん違うわけでございますが、平均いきまして四件というふうな数字をよく申しておるわけであります。この四件という数字は、実はだんだんと減る方向にいっておると私は思っております。  これは御承知でもございましょうが、なかなかわれわれのほうといたしましては、要求を大蔵省に出しますが、実際査定をされまして、われわれの要求いたしますような人数にならない。三十七年度におきまして四百五十人の人数を要求したわけでありますが、それが結局二百人くらいに切られるというふうに減らされております。そのときにおきましては二千何百という数字をもとにいたしましてやったわけでありますが、人員の配置につきましては、われわれとしましては十分だとは思っておりませんけれども、大蔵省といたしましてはいろいろと配慮してもらっておる、こういうふうに考えておるわけであります。  われわれのほうは、そういうようなことで大蔵省のほうに要求いたしますと同時に、二つの点を考えておるわけであります。一つは、これは先ほどもちょっとお話がございまして申しましたわけでございますけれども、いわゆる軽微なものにつきまして、あるいは経験上大丈夫と思うものについては、実調を省略するということを考えております。他面におきましては、今仕事がふえて参りますので、どうしても新しい職員がだんだんとふえてくる。新しい職員の人は平均件数をこなすということはむずかしい面があるかと思います。他面におきましては、だんだんと習熟していくという面があると思いますので、そういう習熟するという面についてもまたいろいろと配慮も必要であろう、こういうふうに考えております。
  110. 柴谷要

    ○柴谷要君 総裁のお考えは、たいへん多忙をきわめておって、職員の件数もだんだん減るような方向に努力しておると。この気持はたいへんけっこうだと思います。一そう御努力いただきたいと思うのですが、金融公庫の職員の給与の面が非常に悪いといううわさがあるのですが、この点はどうお考えになっておられますか。
  111. 石田正

    参考人(石田正君) 給与がいいとか悪いとかいう問題につきましては、何を基準にして考えるかということはなかなかむずかしい問題だと思っております。率直に申しまして、公務員の給与から比べますれば、われわれの給与ベースはよろしいと、かように思っておる次第でございます。  そこで、よろしい度合いをどうするかというのが問題でございます。できるだけわれわれといたしましてはよくなることが望ましいのでございますが、やはり政府機関の職員と相なりますれば、そこにやはり、公務員とは違いますけれども、別の意味におきましてあるワクが、常識的のワクが出てくるのじゃないか、かように考えております。その両者の調和をどうするかということがわれわれの苦心いたしておるところでございます。
  112. 柴谷要

    ○柴谷要君 公務員の給与から見ればよろしい、しかし市中銀行、金融機関と比較をすれば悪い、こういうふうに御認識になっておるわけでございますね。  その次に、こまかいことですが、職員手当がございますが、石炭とかあるいは寒冷地とか薪炭とか宿日直の手当がございますが、特に石炭手当が他の公庫なりあるいは公団などと比較して三、四千円低いという数字が出ておりますが、これは一体どういうわけですか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  113. 石田正

    参考人(石田正君) その石炭手当の問題につきましては、従来国家公務員にとっておりますところの算定根拠と同じものをわれわれのほうは認められておるのであります。われわれのほうといたしましては、予算で認められたものはそれだけでございますので、それ以上出すことができないというのが実情でございます。ただ、ほかの公庫、公団全部じゃございませんが、あるところではそれ以上出しておるのだ、こういう話も聞いております。ただし、これはその当事者に聞きましても、片っ方のほうではそういうことはないとおっしゃるものですから、実はわれわれのほうとしても、いかなる数字であるかということは、正確にこうであるということを申し上げることはできませんけれども、そういう点があるのじゃなかろうかと思います。  それから、もう一つ、これは予算の制約がございます。われわれのほうがそういう点について、かりに操作するといいますか、そういう点において非常にむずかしい点があるのであります。といいますのは、われわれのほうは北海道とか石炭手当の出ます所にいる職員が非常に多いのであります。ほかのところはどうも少ないのじゃないか。そういうところがかりに三十人なら三十人の職員しかいないというところは、一人二人の職員でも少なければ操作は可能だと思います。しかし、われわれのほうは百七十五名ぐらいおるのでありまして、そういうところで、何かやっているらしいからそれと同じようにやれと申しましても、これは十何人という欠員を出さなければならない。先ほどお話のありましたように、われわれは欠員をなるたけ少なくしたいという努力をいたしておるのでありまして、その点はむずかしい事情が率直に申しましてあるのであります。ただ、われわれといたしましては、いろいろ現地の事情もわれわれとして調べまして、どうも公務員と同じじゃ無理じゃないかとわれわれも考えておるのでありまして、来年度の予算におきましては、それを今までの公務員ベースと違うベースに基づくところの予算の要求を現にいたしております。これは予算折衝でどういうことになるか、それはわからないのでありまして、今この段階でどうなるかということを申し上げることのできないのが残念ながら実情でございます。
  114. 柴谷要

    ○柴谷要君 今の石炭手当を受けている人の人数は百七十五名と言っておりましたが、私の記録では百六十七名でありますが、これは予算よりも多いのですか。
  115. 石田正

    参考人(石田正君) 実は数字を間違えまして恐縮でございますが、私も、百六十七名でございます。
  116. 柴谷要

    ○柴谷要君 そこで、総裁、率直にお尋ねしたいのでありますが、この石炭手当が本年十万円ぐらいおたくは残りますね。支給をした後、十万円残りますね。その残り金はどう扱うか、お聞かせ願いたい。
  117. 石田正

    参考人(石田正君) これはこういう所で申し上げるべきものではないので、どうするかというようなことをいったら、大蔵監督当局がございますので、とてもお話し申し上げられません。ただ、これは正常なルートでもっと使う分もあるのじゃないか。たとえて申しますと、私の聞きました中では、ほかではそうやっておるが、私の常識からすると少しどうかと思われる点もあるのでありますが、八月を基準にいたしまして、八月におる人にはやる、あとから来た人にはやらぬということをやっております。私はこの点をまず第一に是正すべきことだと思います。それから八月を基準にいたしまして、おりましたものを月割りでやる、八月、九月という分を勘定に入れて月割りでやる、こういうことも少し不合理じゃないか。これは石炭手当が現実に出ます計算上の根拠は、公務員のほうはこれは政府当局がやっておりますけれども、われわれのほうはそこのところをもう少し自由にさせていただきまして、そうして実際の稼動の月数で割ったものを出せるようにわれわれとしてはやってみたい。そのときの金は、何といいますか、ただ余りましたからお返しいたしますということじゃなしにできるのじゃないかと思います。こういう努力をいたしております。他面におきまして、三十八年度の問題としては、私は根本的な石炭問題についてお願いをいたしておる、こういうのが実情でございます。
  118. 柴谷要

    ○柴谷要君 先ほど申し上げた他の公社あるいは公団から比較すると、三、四千円低いということを銀行局長ひとつ御承知おきを願って、十万ほど余るそうですから、これは総裁の自由裁量にまかせる、こういうお気持になっていただくことをこの機会に要望しておきます。(笑声)〇・一ふやせなんていう難題を吹っかけるわけではありません。そのおつもりでお願いいたしておきます。  寒冷地、あるいは薪炭、宿日直のことは、その程度で終わりたいと思います。  次は超過勤務でございますが、非常に忙しいものですから、役所だけにいて処理をすればよろしいのですけれども、これを家庭に持ち帰ってまで処理をする、しかも超過勤務もかなりやっておる、こういうお話でありますが、実際にこの予算があるわけですが、これを全部消化をされると思うのでありますが、一人当たり何時間くらいになられるのか、これをお聞かせを願いたい。
  119. 石田正

    参考人(石田正君) 私は率直に申し上げますけれども、ここでその数字を申し上げることはかえって工合の悪い点もあろうかと思いますので、数字の点につきましては省略をさしていただきたいと思っておるわけです。実情を申しますと、私どものほうは先ほどお話がございましたような工合に、審査にいたしましても、一日四件というのをだんだん減らすと申しますか、仕事の分量を減らすということで努力をしていきたいと思っております。同時に、現状からいいまして、残念ながら超過勤務を日によってやっていただかなければならぬと、こういうふうになっておりますが、これはその超過勤務につきまして今の予算では足りないというようなことはございません。ただ、余ったものがあるだろうから、それをどうしろというお話は私はここでは申し上げにくい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  120. 柴谷要

    ○柴谷要君 実際のことを申し上げますと、超過勤務なんていう金は一銭も要らないので、要員が充足されて、その要員の諸君が受ける給与だけで生活ができる、こういう姿が一番望ましいので、こういう額の多いのはあまり好ましくないと思う。それよりむしろ当面しております要員問題等に金をお使いいただくことが賢明ではないか、こう思いますので、質問申し上げたのです。  次に、非常勤というのがございますね。非常勤者の給与が予算に載っているのですが、九十七人というのはずいぶん多いと思うのですが、これはどういう方々ですか。
  121. 石田正

    参考人(石田正君) まあこれはわれわれのほうから申しますと、実は健康管理ということを非常に心配しているわけです。健康管理の問題につきまして、われわれのほうが各支所ごとにお医者さんを——お医者さんというと少し語弊があるかもしれませんが、そういうもので常勤として予算で何がしか取られればけっこうな話ですが、なかなかそうはいかない。九十二の支所もございます。本所もございます。大体非常勤のあれは、私間違いでないと思うのですが、大体お医者さんですね、それをお頼みいたしまして、週に二回来ていただくとか、あるいは悪いときには近所にありますところのそのお医者さんのところへ行ってもらいますとか、こういうことをやっておる。やはりほかのところと違いまして、九十二も支所を持っておりますし、だんだんふえて参りますし、百カ所にもふえて参りますと、遺憾ながらそういうものがふえてこざるを得ないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  122. 柴谷要

    ○柴谷要君 よくわかりました。大体九十五カ所の事業所がありますから、九十七人というのは、本所が人数が多い、これで九十七人というのはわかりました。  次に、業務諸費についてお尋ねいたしますが、諸謝金というのは一体どういう金でございますか。
  123. 石田正

    参考人(石田正君) われわれのほうの問題といたしまして、お貸しいたしました金が何らの問題なく返って参りますればよろしいのでありますが、中には返ってこない。その返ってこないのがわれわれから見まして生活困窮等によりましてどうも仕方がないだろうと思われるものにつきましては、これは先ほども申しましたが、償却の手続をとるわけでございますが、われわれのほうとしては回収できるけれども、お返し願えないというような異例の場合におきましては、訴訟を起こさなければならぬ、こういう問題がございます。そういう場合につきましては、やはり弁護士の方をお願いいたしませんと、なかなかむずかしい点もございます。弁護士の方をお願いいたしますのは諸謝金で出す、こういうことになっておるわけでございます。
  124. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは弁護士の手数料というふうに解釈してよろしいわけですね。
  125. 石田正

    参考人(石田正君) これは嘱託医と同じでございまして、手数料といいますと、何か件数によって変わるような工合にも考えますが、いつもお願いいたしておりまして、ときどき来て御相談を願う、こういうことがあるわけでございまして、謝金と申し上げたほうがわかりいいかと思っております。
  126. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは大体一千万近いわけですね。たいへん大きな額だと思うのですよ。九百五万六千円計上してありますよ。たいへんな金だと思うのですが、この数字は私の間違いでしょうか。
  127. 石田正

    参考人(石田正君) これは弁護士の方をお願いいたしますといたしまして、これは予算の積算の根拠になるわけでございますが、弁護士の方をお願いいたしますと、大体月三万円くらい弁護士をお願いするのにかかるわけでございます。そうすると、十二カ月といたしますと三十六万円というような数字になるわけでございます。で、支所も九十二カ所ございますしいたしますようなものでございますから、本所と支所と分けておりますけれども、そういう関係でやりますと、これが相当大きな金額になってくるというわけでございます。
  128. 柴谷要

    ○柴谷要君 多い少ないの水かけ論はあまりやりたくないのですが、どうも好ましい金の使い方ではない、こういうふうにだけは思われますね、この金は。  次は、賃金というのがあるのですが、この賃金というのは一体どういうのですか。これがちょっとわからない。
  129. 石田正

    参考人(石田正君) それから、今の諸謝金の弁護士のことだけを申しましたが、弁護士のほかにも調査やなんかを委託する場合の謝金も入っておるということをつけ加えておいたほうがいいかと思います。  それから、今の賃金の問題でございますが、これは年末等におきまして人手が足りないという場合に、一瞬的に補助者を頼むということもあり得るわけでございます。そういうときの人は、これは賃金支弁でございます。常勤でございませんので、賃金でやる。賃金という項目が実体に即応しておるかどうかわかりませんけれども、予算的にはそういう名前で計上することになっておる次第でございます。
  130. 柴谷要

    ○柴谷要君 大体、最近の統計、ここ三、四年の統計で、年末の多忙のときにどのくらい賃金労働者をお使いになったか、それちょっとわかりましたら教えていただきたい。
  131. 石田正

    参考人(石田正君) 実は手元にその資料はございませんから、後刻お届けするということで御了承願いたいと思います。
  132. 柴谷要

    ○柴谷要君 けっこうです、また自後に教えていただくようなことになりますれば。  そこで、相対的に私はこの事務費を検討してみたのですが、非常に国民金融公庫の事務費は少ない。少ないというのは何と比較をしたかというと、中小企業金融公庫と比較をした。中小企業金融公庫は千百三十五人の職員、国民金融公庫は三千三百人と私は見たのですけれども、大体、国民金融公庫の事務費は四億三千万円、中小企業金融公庫のほうは二億二千万、こういうことでありますが、一体、同じ金融機関でありながら事務費の違いは、片や四十数円一人当たり、片や十五、六円、こういう違いがあるわけですが、これは総裁の手腕がいいというのか、あるいは何か足りないものがあるのか、この点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  133. 石田正

    参考人(石田正君) 事務費の問題につきましては、これは給与だけでございませんで、いろいろのほかの経費も入っておると思います。そこで、たとえば各公庫は事情が違いまして、中小企業金融公庫なんかにおきましては、借料なんかは相当私は多くなっておるのじゃないかと思うのです、その事務費の中に入っておりますので。これは向こうのやつを調べてみませんと的確には申し上げられませんけれども、中小企業金融公庫は自分の建物が少なく、割合に、何と申しますか、借りたうちが多いということがありますので、借料が多うございます。われわれのほうは、その点が少ないのじゃないか。その点は調べないとよくわかりませんけれども、そういう問題もございます。  それから、給与だけに限って申しますると、これはトータルの数字だけで多い少ないということは大蔵省にはなかなか通用しないのでございまして、職員の年令別の構成がどうなっておるか、こういうことでやっておるわけでございまして、その数が違って参りますと、非常に違ってくる。まあ何と申しますか、新しい機関がスタートとして、割合年をとった経験者にほかから来ていただいて働いているというところは、これはどうも初めから高くなるという形があります。それから、新しい職員を採るか採らないか、年間新しい職員がどうなるかということによっても違いまして、これはただ人数と、それからして給与額とで割って出しますだけではなかなかいかない、こういう面がございます。
  134. 柴谷要

    ○柴谷要君 総裁、私は二千九百二十円ベースの当時、大蔵省の今井一男さんが給与局長であられたとき、私はベースをそれからずっと今日までやってきておりますから、今のようなお答えは通用しないのです。その点からいって、私はこれだけの違いがあるということについては、いろいろ内容を持っておりますけれども、これはまた他の機会にひとつ総裁と一ぺん個人的にいろいろ話し合いをしてみたい、こう思うわけであります。  次は、ほかはないのでありますが、税金というのがおたくにはあるわけですね。たいへんな税金がある。六千三百万も払っておる。これは当然、固定資産税だと思うのです。土地をお買いになり、そこに支所をお作りになる、あるいは出張所をお作りになる、こういう形をとってこられたから、こういう税金がかかっておるのだと思いますが、ほかの公庫なり公団はこういう税金は払っておらない。これもやはり金融公庫という性格からいうならば、一考を要する問題ではないか、こう思うわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  135. 石田正

    参考人(石田正君) これは私、ほかの公庫にいたしましても、自分土地を持ち、自分の建物を持っておりますれば、固定資産税はかかってくるんだと思います。国民金融公庫だけがかかって、ほかの公庫はかからないということはないと思います。問題は、国民金融公庫が、いわゆる他人から借りた建物でやっていくということを中心としてやっていくか、それとも自分の建物を持っていくかということでございまして、私はやはり国民金融公庫はまだまだ自分の建物をふやしていくということが必要ではないか。したがって、固定資産税はこれからふえていくということになりはせぬかと思っております。
  136. 柴谷要

    ○柴谷要君 それはまあ事業をやるのですから、自分のものでやれるということは一番いいと思うのですが、やはり年間の予算割り振りその他を考慮した場合に、その額は小なりといえども、いろいろそこに創意工夫が必要じゃないか。ところが、中小企業金融公庫のほうは、税金は一銭も出しておりませんね。これでも中小企業の金融の面を果たしておる。こういう実績を考えてくると、まあ税金だから、国に納めるのだからいいのだという考え方じゃなしに、やはり経営上について一考する必要があるのじゃないか、こういう意味からお尋ねをしたのです。  そこで、それほどりっぱなものをお作りになり、土地をお持ちになっているにかかわらず、職員の休憩室なり、女子職員を多数お使いになっていながら、女子職員の更衣室一つ持たないというのが、金融公庫の今日の実情ではありませんか。この点、どうお考えになっておられますか。これについて明快な御答弁をいただきたい。
  137. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうで土地を買い、建物をやります場合におきまして、非常にぜいたくな建物を持って、しかも女子の更衣室は持たせない、そういうふうなことは実はやっておらぬつもりでありまして、われわれのほうは、現在持っておって、更衣室がないというところは、事務所自体が狭隘であるがゆえに女子更衣室を設けられない、そういうことでありまして、われわれはそういうところにつきましては、これは御質問の御趣旨にもとるかもしれませんけれども、もっといい建物にして、女子の更衣室も持つような工合に努力をしたい、かように思っておる次第でございます。  それから、もう一つ、これは出ませんけれども、私は国民金融公庫に参りまして非常に感じますことは、職員の住宅が不足しておるということを痛感いたしておりまして、できるだけ、大蔵省に申しまして、職員の住宅につきましては特に力を用いていただきたいと思うのでございます。職員の住宅にいたしましても、これはやはり固定資産税がかかるということになろうと思います。そういう意味から申しましても、固定資産税がふえる、だからしてそういうことはしてはいけないのだというような工合にはやっていけないと、責任をもって私は考えておる次第でございます。
  138. 柴谷要

    ○柴谷要君 最近、総裁の部屋はりっぱになさったということを聞いておりますが、大体どのくらい経費をおかけになったのですか。
  139. 石田正

    参考人(石田正君) 私の部屋だけで幾らかかったかという数字は、実は私存じておりません。これは私どもで全体といたしましてやりましたのは、五つの公庫が別々に建物を持つよりも、五つの公庫が一つでやったほうが全体として能率が上がるであろう、それからまた、全体の間仕切り等につきましても、これはみな同じ規格でやったほうがいいではないかということで、実はやりましたのでございます。その全体につきましては、自分たちの占拠している坪数によってその全体の経費を分担する、こういう方式をとっておる次第でございます。
  140. 柴谷要

    ○柴谷要君 私はあまりえげつない質問はしたくないので、今の程度で終わりますけれども、どうかひとつ、職員の休憩室なり更衣室などについては、これからお作りになる場合には、十分にひとつ御配慮をいただきたい、こう思うわけです。  次に、職員の年休の問題ですが、二十日間年休——年次有給休暇をおやりになっておりますが、ほとんどとれていないと。そうしてその二十日間を残しますと、十日間だけは翌年に回って、翌年は三十日間の年休がある、しかしその三十日すらとれていないというのが現状だと私は思うのです。それを消化させるにはどうしたらいいかというと、やはり計画付与ということが一番いいのじゃないか。そういうような点について御配慮をなさったことがあるかどうか、またそういう方法も考えてみよう、こういうお考えがあるかどうか、お聞かせをいただきたい。
  141. 石田正

    参考人(石田正君) 大体二十日の休暇がありまして、その休暇をとらない人が多いということですね。これはまあいろいろ支所長その他に気がねをしておるのだ、こういうお話がひとつございまして、私はそういうことはあまりいいことではないと思いますので、各支所長におきまして、できるだけ休暇をとるような工合に、仕事に差しつかえない程度に休暇を確実にちゃんととるように、こういう指導を各支所長にせいということを私は申しております。  それから、第二の問題につきましては、二十日間の休暇というものがありまして、それが何らかの事情で二十日間休暇がとれなかったために、それを翌年に延ばしますが、その場合、その繰り越しを半分に、十日にするということがありますが、これも私は妥当じゃないのじゃないか。これは一年間については、全部繰り越しをするようにしたらどうかということを考えました。ただ、夏休みは幾らというふうなお話がございます。これは私は、ほかにもやっているところがあるらしゅうございますけれども、私はまだそこまでいくのは、もう少し、今言ったような経過を見てからのことにいたしたいというように考えております。
  142. 柴谷要

    ○柴谷要君 もう大体御説明いただいたので、私は公庫の実態が少しわかって参りました。  最後に、今、職員が総裁に対して、賃金の問題をどうしてくれとか、いろいろな要求が出てきたと思うのです。それらのおもなる点をひとつお聞かせ願いたい。それと同時に、それらの問題について、総裁に今後どうお骨折りをいただくか、そのお気持もあわせてお聞かせを願いたい。
  143. 石田正

    参考人(石田正君) いろいろな要求がございます。で、まあ基本的な問題から申しますと、この年末につきましては、いわゆるボーナスの問題でございますが、年末資金の問題につきましていろいろ話がございまして、これは組合のほうの不満もあろうかと思いますけれども、われわれとしましては、できるだけのものを出しまして、これは支払い済みでございます。  それからあと大きな問題といたしまして、公務員のベースアップに伴いまして、新しくわれわれの職員のベースをどのくらい上げるか、こういう問題がひとつ大きな問題としてあると思っております。この点につきましては、私は一番初め申し上げましたとおり、公務員を片方ににらみ、それからできるだけよくするという方向におきましてどうしようかということを、これから大蔵省と折衝するという段階でございます。  それから、石炭手当の問題につきましては、非常に組合のほうからの御要求が強くございますけれども、これにつきましては先ほど申し上げましたような考え方でいきたい、かように思っている次第でございます。  そのほか、また技術手当の問題とかいろいろ問題もございますが、扶養手当の問題もございます。それからして、交通費全額負担というような問題もございます。食事手当を千五百円にしろ、こういうふうにいろいろ問題がございます。食事手当につきまして千五百円という話がございますが、これは私のほうは千円でしていきたいと、こういうことで今やっております。それから、交通費につきましては、全額負担をしろと、こういうお話がございますが、頭打ち千円にいたしまして、それから二キロ以内全然払わぬということにして、さらに検討したらどうか、常識的に考えてどうかということで、われわれは人事部に話をいたしておるというのが実情でございます。  それから、扶養手当につきましては、現在六百円、四百円というふうな二つに分けておりますけれども、これは一率二千円にしてほしい、こういう御要求がございます。この点につきましては、私のほうで予算の関係でこれはできない、ことしは。来年につきましては八百円くらいまで引き上げたいと思いまして、これは大蔵省とやっておりますけれども、これは結論が出ませんので何ともはっきりしたことは申し上げられない、こういうような事情でございます。
  144. 柴谷要

    ○柴谷要君 たいへん長い間いろいろお聞かせいただいて、ありがとうございました。まあ金融公庫は、私ども言うまでもなく、非常に困る人たちが窓口に殺到し、そうして事務的処理を早くしていただいて目的を達したい、こういう願いで一ぱいで来ると思うのです。そういう人たちだけに、ぜひ窓口の人たち初め総裁も真剣に国民の声にこたえてもらうために、労使問題等についてはぜひトラブルを起こさないで円満に解決し、サービスに没頭していただきたい、こう思うわけです。まだまだ私も勉強不足でございますから、これから何かと御質問あるいは御指導いただくことになろうかと思いますが、またその機会を得てひとつ教えていただきたいと思います。  最後に、これは金融公庫自体の問題だけをお聞きしたわけです。これから提案法律案件についての問題に触れたいと思いますが、きょうはこれで打ち切ります。
  145. 石田正

    参考人(石田正君) いろいろ御質問ございまして、私記憶いたしておりますところの範囲で率直に申し上げたつもりでございますが、あるいは数字の点で多少違っているところがあるかもしれませんが、その点は訂正なり何かすることは御了承いただきたいと思っております。
  146. 永末英一

    ○永末英一君 農地被買収音問題調査会設置法ですか、国会で成立したときの衆参両院の状況をちょっと、ひとつ記録にとどめる意味で御説明を願いたいと思います。
  147. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 当時の状況を正確に申し上げますことは、私、当時この仕事をいたしておりませんので、正確には申し上げかねるのでございますが、ともかくこの調査会を作るということにつきましては、三十一国会以来何度か提案されまして、またいろいろの事情からそれが審議未了のまま残るということで、ようやく調査会法ができたということでございます。その間におきまして、問題は、この調査会設置の目的が解放された地主に対しまして何らかの補償的な措置あるいは報償的な措置をとるものであるかどうかということが、論議の中心であったと思います。この点につきましては、岸前総理の時代から、政府としては解放された地主に対して補償的措置はとらないということを繰り返して言明しておられます。また、この調査会を設置いたしましたときの法案提案理由あるいはこの審議の過程におきましても、この調査会はもっぱら解放された地主生業上あるいは生活上の社会上の問題について政府として措置すべきことがあるかどうかということを調査する会であるということで、この調査会法案が通過いたしまして、総理府の付属機関として農地買収者問題調査会が設置されたということでございます。
  148. 永末英一

    ○永末英一君 私の伺いたいのは、この法律が成立をいたしましたときの発議者はだれか、何日に衆議院で成立する、通過する、何日に参議院で通過成立する、その場合に出席しておった会派があるわけですね、そういう点を明らかにしていただきたい。
  149. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 後刻資料にしてお手元に差し上げさせていただきたいと思います。今ちょっとございません。
  150. 永末英一

    ○永末英一君 それでは、後刻お知らせを願います。  そこで、もう一つの問題は、今までの質疑を通じて、調査会が設置され調査をした、しかしながら調査にもかかわらず法案は先に出した、こういう話でございます。今調査会の報告をフル・プリントにしていただいたのでございますが、一体その調査会のやった仕事、成果を政府は、片やその最終的結論を待つことなく法案を出したという事実とにらみ合わせて、どのように評価しておられるか、伺いたい。
  151. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査会答申が出ます前に、国民金融公庫法の出資を二十億ふやすという法案が出ましたことにつきましては、最初と申しますか、月曜日ですか申し上げたと思いますが、ともかく農地買収者に対しまして何らかの措置を講ずべきであるという政治的な御判断に基づきまして、三十六年の十二月三十日の閣議におきまして御決定があったわけでございます。この御決定に基づきまして、この二十億の融資をどのような方法でするかということをいろいろ政府部内で検討いたしまして、国民金融公庫の貸し出し業務の中でこれを措置して参ろうということで、これに関連しまして二十億出資をふやすという法律が出たわけでございます。  で、この法案が出ましたことにつきまして、三月の中旬ごろでございましたか、調査会ではこれを非常に不満とされまして、われわれの一体調査政府は何と心得るのかという御詰問がございました。そうして総理に対しまして、はなはだ遺憾である、われわれの答申が出るまでたとえこの法律が通っても融資はするな、こういうお申し入れがございまして、総理は御了承になりました。この問題は、この法案そのものの審議が今日まで及んでおりますように非常に延びましたために、事実上はこの問題は解決をいたしました。また、その後出ました調査会答申一つの柱に、生活上、生業上困難な者に対して何らかの融資措置を講ずるという御答申がございました。たまたまそれと平仄を合わせる結果になりまして、政府としては、この法案を御審議通過していただくことによりまして、調査会答申一つを実行ができるというふうに考えておる次第でございます。
  152. 永末英一

    ○永末英一君 調査会なるものは、政府が方針を決定するために設けられるのが性格上至当なものとわれわれは考えております。ところで、たまたま結論があったから、調査会のあとで出した答申の心を政府が事前に察知をしてきめておったのだ。だから、合っておるということで、一体調査会が独自の機関として政府から委嘱をされるにしたって、独自の機関なんだから、機関行動をする上について一体、たまたま合ったからといって、政府がこの調査会の活動について十分尊重し、その答申の意を体して政策を進めていくという工合にみなされるか。私はみなされないと思いますが、あなたはどう思いますか。
  153. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 政府といたしましては、調査会から出ました御答申をこの措置によって尊重して実行していきますものの一つと考えております。また、調査会とされましても、このことにつきましては、調査会の御審議の過程におきまして十分御了解をいただいたと私どもは思っております。
  154. 永末英一

    ○永末英一君 この調査会調査方法を見せていただきますと、いわゆる一般標本調査方法によって調査をしているわけです。しかしながら、全国普通世帯を母集団として調査をするということによって、一体農地を買収された者の生活上のいろいろな問題が明確に量的に浮き彫りにされるかということを考えますと、調査方法論から申して、まことにあいまいな結果しか出ないだろうと私は推測をするわけです。しかるにかかわらず、調査会がこういう方法のみを唯一の方法としてとられて、そこに出てきたいろいろな数字をもってそれぞれの結論を出しておられるようでございますけれども、そういうこと以外に調査方法はなかったのかどうかということを私は疑問に思うのであって、あなたの、調査会がなぜこれだけの調査方法しかとらなかったかということについての見解を伺いたい。
  155. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 一つには時間的な関係もございます。一つには予算の関係もございまして、約三百八十万ほどの調査費を三十七年度の予算でお認めをいただいております。一方、この調査会は任務を時間的に限定されておりまして、本年の六月で終了いたすことになっております。本格的な御審議が始められましたのが三十五年の十二月からでございました。それが昨年の四、五月ごろまでいろいろ御討議をいただいて、ようやく三百八十万の範囲内での統計をしていただくということでございまして、もちろんより多くの予算を用いまして、よりたくさんのサンプルをとるということのほうが好ましいと思いますけれども、少なくとも調査会におかれましても専門員方々に御委嘱になり、その専門員方々が十分御検討になって、この約一万五千のサンプルで、統計的に申してほぼ誤りのない結果が出るという作業になったわけでございます。また、その作業の結果につきましても、この結果そのものにつきましては、調査会におきまして全員御異議なく御了承を得たということでございます。
  156. 永末英一

    ○永末英一君 調査会がこういう標本調査方法によって調査をすればはなはだ結果があいまいなものになってしまうということは、あらかじめ調査会は知っておったと私は思うんです。なぜかならば、この調査を実施するに際して一応一万五千の標本をとるということをきめながら、あなたのところの報告の十一ページにございますが、注のところですが、「新市部、郡部および旧市部の農業地域で、標本数を二倍にした」、妙な話ですよね、これは。実際に一万五千でやるのなら、一万五千で、この評価方法もどうかと思いますけれども、ぴたっとそれに合わした数字を実施すればいい。しかるにかかわらず、それではこの農地買収者世帯であがってくる数字がまことに実数が少なくなって、したがって、それにいろいろな設問がございますから、それで分かれてくる。実数はきわめて少ない、誤差を入れますと何らの立論もできない、こういう見通しがあったので、わざわざここだけ二倍にしたと思われる。それは、調査会を設置して何か調査をしろというから、何か調査をしなくちゃならぬ。大体こういう大量観察みたいなものをやれば確からしく思われるから、やってみよう。さあそれはそうにしても、こういう調査をすれば、今調査会が考えられたような主題に対しては、正確さに近づく結果は出ないと思われるので、標本数をその二つの地域で二倍にしたと私は思うのですが、あなたはどう思いますか。
  157. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 私、正確にどうもあれしておりませんが、旧市部におきましては、比較的農地解放に関係のある世帯というものが少ないという御観点があったのではないかと思っております。
  158. 永末英一

    ○永末英一君 比較的少なくても、関係のある者はございます。関係のある者だけ取るならば、少なくとも農地の問題に関係のある世帯だけを抽出してやればよろしい。それにもかかわらず、全国普通世帯でやるということは、それはそれだけの理由があったのだと思うのですね。したがって、今のような措置を加えなければ非常に実数上疑わしい。それで、おそらく農地買収者がおられる地域であるとみなされる地帯の標本を二倍にしてやった、こういう工合に私は思うのですが、もう一度あなたはどう考えるかを伺いたい。
  159. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) サンプルの数が一万五千でありますために、非常に苦心をなさいまして、その一万五千の中でなるべくまあ効率的なサンプルを取る、こういう意味で、比較的農地買収者の方の少ないところの旧市部は除いたということでございます。
  160. 永末英一

    ○永末英一君 そうじゃないのであって、私が申し上げているような調査のねらいがあったから、二倍にした。旧市部を除いたのでなくて、標本数を二倍にしているのですよね。したがって、その標木数を二倍にした限りにおいては、ここの統計結果に現われているいろいろなところに全部実数が変わってきておるわけである。その内部における総体的な比率は変わらないかもしれませんが、たとえばこの選択のしようによっては、いろいろなところへ実数が変わってくると私は思いますので、どうもこの調査結果が信用にならぬと思うのです。  ところで、それにもかかわらず、調査会はこの調査結果をもとにして、(1)から(7)の判断をされているのであって、この(1)から(7)の判断をされている調査会の結論が、あと、こうたくさんございますが、どういう表に基づいてそういう結果を判定を下したかということをひとつ説明いただけますか。
  161. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 印刷にいたしましたこの調査結果をお配りいたしてございますが、その中で、ごく概略説明は、この十九ページの「収入、田畑の経営、所有(総括)」というところから始まるわけでございます。以下、5に「収入、田畑の経営、所有」、6に「被買収世帯収入、田畑の経営、所有」、以下7、8、9、10、というふうに項目が分けてございますが、それぞれにつきまして、あとのほうにいろいろ数字で書いてございます。たとえば現金収入について申しますと、七十九ページにございますように、農地を解放した者と、それから解放農地を買い受けた者、これがおもなものでございますが、それぞれにつきまして、たとえば十万円未満の者は、農地を解放した者については、二反未満の者では四%ある。五反未満の者については四・四%ある。合計いたしまして三・一%ある。解放農地を買い受けた者については、合計して十万円未満の者は四・三%ある、こういう数字が出ておるわけでございます。それで、以下いずれもこういったこまかい数字が出ております。この数字を一つ一つ調査会のほうでお読みになりまして、こういう結論をお出しになったのでございます。
  162. 永末英一

    ○永末英一君 私が申し上げたいのはその点であって、つまり被買収世帯としてこの当初の計画一万五千の標本の中であがってきているのは、あちこちめくって見ましても、七百数十くらいしかない、八百程度しかないと思うのでありますね。八百程度しかない場合に、その項目を十項目もあげてくれば、その中に出てくる何%、一〇%以内というものは、その誤差率はおそらく一五%以上あると思うのです。したがって、それをたよりにして、その他の地域について同じような収入階層あるいはまた同じような状況の者と比較対象して、二%多いから困難であるとか、一%少ないから楽であるという評価は、これは統計学上できない。したがって、できないからこそその心配をしたので、せめて実数上のたよりがほしいというので、先ほど申し上げたように、該当者の多い層の地域では標本数を多くしたのだと私は思うのです。したがって、あなたは一例をあげられましたけれども、(1)から(7)までの項目について、この文面だけはそうだと思う。しかし、それらについてはそれぞれの、ここに掲げてあるどの統計表を読んでそう読んだかということが問題になると思うのであります。御説明をしていただければいただきたいのでありますが、特にまたそういう判断をしながら、この答申案の最後の結論、(1)、(2)というような結論がどこをどう使って出てきたかということは、私は今見せていただいた範囲ではよくわからないのでありますが、わからしていただけるならば、御説明をしていただきたい。
  163. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 仰せのとおり、この統計そのもの、サンプルの取り方が一万五千ということは、こういった大きな調査をします上においては実はもっとたくさん取ったほうが私もいいと思います。しかし、その統計の結果に基づきまして、ここの調査会の御答申の(1)から(7)まで書いてございますような結論、結論そのものは、その統計のやり方がこれよりも非常に精度を増したというような場合におきましても、あるいはこれよりやや精度が低いというような場合におきましても、ここに(1)から(7)まで書いておりますような結論を出します数字としては、私はおそらく間違いがないような数字が得られるのじゃないだろうかと、私自身考えます。  それから、なお(1)から(7)までの専門員をわずらわした統計の結果というものと、その次に二つ書いてございます二つの答申とはどういうような関係にあるかということでございますが、この点は、まあ(1)から(7)までに書いてございますのは、まあいろいろなことがあるけれども、特に被買収者というものに対して何か特別に注目すべき、ほかの人と、グループと非常に違った特別の現象があって、それに対して特別の政策をとるべき必要はないというような気分が、(1)から(7)までの基調には私は確かにあると思います。でございますが、御承知のとおり、昨年の暮れにあのような閣議決定がございまして、また農地問題を通じまして非常に大きな政治上の動きもあることも確かでございます。まあこれらのことをもおそらく調査会のほうでは頭にお置きに当然なられたことと思います。それらのことを頭に置きつつ、現在の農地の被買収者の、旧地主方々の現状を見ると、その(1)、(2)の答申のあとに書いてございますように、「農地改革が社会的経済的基盤に大幅な変動をきたし、調査の結果においては、被買収世帯の中には、現在生業に困難をきたしている者もあるという事実に基づく」と、こういう事実に基づいてこの(1)、(2)の措置をとったらよかろう、こういう御答申が出たと思います。
  164. 永末英一

    ○永末英一君 調査会は、ともかく何らか実態を明らかにしようというので、こういう方法調査をされた。調査の場合にあらかじめ、調査員ならだれでもやることでございますけれども、調査結果はこれは推定をしてやるわけであります。その推定に対して、ある調査方法を用いる場合にはあぶないと思えば、この調査会が実施されたように、ある地域の標本は増して見るということすらやってこられたけれども、とにもかくにも出てきた統計表を読んでみれば、(1)から(7)に書いてあるように、特別にどうも農地買収者が困難であって、生活困難であって、生業困難であって、何とかしなくちゃならぬという結論が出てこないような、そういう結果しかこれは書き上げられない。幾らどっちの角度から読んでもそうだということが、(1)から(7)まで書いてある。  ところで、結論は今おっしゃったように(1)、(2)でございますから、結局この読み方を伺いたいのでありますけれども、この調査会は、要するに農地を買収された者に関する調査を委嘱をされた。したがって、自分たちの対象は、農地改革により農地を買収された者である。それはそれだけの話である。ところで、だれが考えても、生活困難であったり生業上困難な者ついては、やはり生業資金の貸付も考えなければならぬし、育英資金の不足な者に対しては育英資金を貸してやらなければならぬという原則論をここでうたったのではないか、これはあたりまえの話である、そういう工合に感じられる。特にこの農地改革により農地を買収された者について、他の国民よりも先んじて生業資金の貸付をやれとかあるいはまた育英資金を何とかしてやれというような積極的な意図がこの調査会の報告には盛られていないと、私は今のような調査内容から見て読み取れるのでございますが、この点についてどのようにお考えか。
  165. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) この答申は、(1)から(7)まで書いてございます。概略以上のような調査結果に基づきまして審議を重ねた結果、本調査会は次のような結論に達したということでございます。そうしてこの結論を出しました思想的な背景は、その(1)、(2)のあとに書いてございます。先ほど言いましたような、現在生産に困難を来たしておる者があるという事実に基づいてこういう措置をとったらよかろう、こういう御答申でございます。そうして、それはもちろんこういった生業に困難を来たしておりますところのほかのいろいろな方々に対してもこういう措置をとることは当然でございますし、現在政府は社会保護の面におきましても、あるいは国民金融公庫その他の貸し出し面、その他厚生省所管のいろいろな制度の面におきまして、いろいろの措置をしておるわけでございますが、それと並行して、先ほど申しましたようないろいろな問題を背景に置きつつ、やはりこういった農地買収者の中で現在生業に困難をきたしておる者に対してはこういう措置をとったらよかろう、こういうお気持ちがこの御答申に現われておるのであろうと考える次第でございます。
  166. 永末英一

    ○永末英一君 まあ、書いてあることをそのままお読み願ったわけであって、私が質問しておることと少し違うように思うのでありますけれども、ひとつ、農林省の方来ておられますが、この調査会の報告で、旧市部、新市部、郡部と分けて農地の所有反別の分類がしてある、二反、三反、五反とか。それはあなたのほうで持っている実態と数字が合っておりますか。これは調査によって出てきた数字、あなたのほうにはおそらくそれに見合う実態がちゃんと把握されておると思いますが、比率が合っておりますか。
  167. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 調査会調査結果による旧市郎、新市部、郡部の農地の保有反別の比率と農林省の調査による同様の反別の保有部分の数字が合っておるかどうかという御質問ですが、農林省の調査いたしましたものとは、調査目的ないし方法が異なっておりますので、合っておるとかあるいは合っていないという判断はにわかには困難でございます。と申しますのは、農林省が三十年に農業センサスで調査をいたしましたのは、農地を解放した者で農家としてとどまっておる者、かつ、そのうちから農地の解放面積が農地の買い受けをした面積よりも広いものという、これもサンプルによりますから、指定される数字約六十万戸を対象にした調査でございますから、これと対比することは困難でありまして、ただいまの御質問に対して、合っているとかいないとかいうことはお答えしにくいのでございます。
  168. 永末英一

    ○永末英一君 この調査会実態調査、あるいは世論調査でございますけれども、非常に買収された当時に持っておった土地の広さの区分けということを重視しているらしいのです。そこで、何かそういうことに根拠があるかどうかと思ってこの調査結果を見るのでありますけれども、しかし、それぞれに実数がついているのですが、ところが全体の意見としてまとめるとすると、その実数が狂ってあまり信用ができない、そういう結果になる。そこで、農林省はおそらく新地域とか旧地域とか、こういう標本調査上の分数のあれを見ても、この調査の全体的な数字が出ておりますが、昭和二十五年当時の、たとえば三反未満幾ら、五反以上幾らという数字はなかったのですか。それと劣るかどうかということです。ここに書いてありますが。
  169. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) ただいま永末委員の御質問にありました総体の、二十五年当時における解放地主の保有反別の調査に類する調査はわがほうにもございます。農林省の過去の調査にもございますが、これまた私のほうの調査は属人的調査はいたしておりませんで、属地的、農業委員会単位で調査をいたしておりますから、これもじかに対比することは困難でございまして、農林省の調査と合っているかどうかということをここで申し上げるのは、はなはだ根拠がないことに相なるわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  170. 永末英一

    ○永末英一君 今伺いましたように、農林省の、いろいろの角度からの基礎的な実態を明らかにするものがあるかどうか伺ったのでありますが、この調査会の行なわれた調査、これはそれぞれの標識を目安にして層化したり集落化したりしておるわけですが、ところが、それをやる場合にはいつでも実態の、実際の数と合ったものを考えなければ、調査結果を信用するかどうかということはわからぬわけで、そういう意味合いで九ページの「調査方法」には非常に簡単に触れておりますが、三地域の「層化」と書いてありますが、層化という言葉が適当かどうかわかりません。それから、それぞれの二百六十五地点を抽出しておるのです。このようなところに問題が出てきている。それぞれの被買収者生活実態を反映させるもとの数字の変化は根源があるわけですね。こういうところはやっぱりこれは確実なものであって、これに基づいてある政策を立てるということなら、その辺のところをやはりだれが見ても確実である、こういう工合に御説明をいただかないと、読み取れないということになる。これも先ほど申し上げましたように、実数が一万五千の標本の中で、たとえば百分の一、百五十以内に数字を仕分けた結果というものは、その誤差が非常に大きくなって、あまり信用のないということになるのですが、あまり信用できないから、政府はこの調査会の結果にかかわらず政策の立案をされたのかどうか、もう一ぺん重ねて伺いたい。
  171. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 政府はこの調査会答申を十分尊重をいたしまして、融資措置育英制度措置をやっていきたい、こういうことでございます。そのうち融資措置につきましては、さしあたり国民金融公庫法の改正によって、二十億出資をふやすという措置によって、さしあたりの措置を期待する。なお、育英制度につきましては、現在いろいろの制度がございます。これをいかにしてこの答申趣旨に沿った措置ができるかというところを検討中でございます。いずれにいたしましても、この調査会の御答申は十分尊重いたしまして措置をとって参るという建前でございます。
  172. 永末英一

    ○永末英一君 内閣審議室でこういう類似の調査をいろいろ委託をされたりしてやられるわけですね。その場合に、たとえば新聞社等のやっている選挙投票に関する世論調査というのは、これは選挙が行なわれるので、はたして確実かどうかということが一応検証される。しかしながら、選挙予報のための世論調査の場合においても、どういう層化を行なうか、どういう集落化を行なうかということは、学問的には確定した問題ではない。いわんや、政府国民の税金をもって調査を行なう場合には、ここで行なわれる調査方法それぞれの過程は、やはり政府が持っている他の各部の統計機関があるわけでございますから、その辺のがっちりしたものと見合わせるようなことにやはり裏打ちをして実施をしていただかなければ、膨大な調査資料が出され、何か数字が出てきたからといって政策を決定されると、とんでもない国民が被害をこうむるということになるので、内閣審議室で、特にこういう標本調査につきましては、今のような調査技術という面については十分注意してもらいたい。もちろん、今回のこの調査は民間の中央調査社ですか、これが引き受けてやっていると思います。しかし、これは民間の責任ではないので、その層化の方法は確かかどうかという資料はそういう民間の団体にあるのではなくて、それを委託をされるあなたのほうがこういうような層化をする基準、集落化をする基準というものを見せなければできない。したがって、今後いろいろな問題が、もしこれに類似した調査結果をたよりにして政府政策を立案されるということになると、われわれもやはりそういう調査方法というものについてかっちりと目を光らさなければ、出てきた結論だけでうのみにすることはならぬと思いますので、この点は要望して申し上げます。  先ほど資料を出していただいた点は、あとで拝見いたします。
  173. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) お話の点、十分今後気をつけたいと思います。  先ほど御要求のありました点、わかりましたので、ここで御報告をさせていただきます。  農地買収者問題調査会設置法は、三十五年の十二月二十九日に衆議院に提出になりまして、内閣委員会に三十六年の二月の九日に付託になり、四月の一日に審議を終了いたしまして、同日可決をせられました。四月五日の衆議院本会議で議決されたのでございます。参議院には四月の五日に送付付託になりまして、六月の十八日に可決をされております。さらに、本会議におきましては六月の二十日に可決をされております。衆議院の内閣委員長は福田一先生でございます。参議院の内閣委員長は中野先生でございます。なお、当時の委員は、内閣委員がどういう方々であられたかということは、ちょっとここでわかりかねます。以上でございます。
  174. 永末英一

    ○永末英一君 私の伺いたいのは、その決を採ったときにどういう会派が出席しておったかということを聞いておる。
  175. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) この問題、できれば委員部のほうでお調べをいただくとありがたいのでございますが、お願いいたしたいと思います。
  176. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を止めて。   〔速記中止〕
  177. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を始めて。
  178. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、資料で、占領軍の司令によって権利あるいは財産を制約しまたは失われたものというものについて、どれくらいのスキャッピンがあるかということで、これに対して六項目のものをいただきました。あと追加で六十件ぐらいあるのだから、資料を出すということになっておる、きのうの御答弁では。これが全然来ていないのですが、これはどういうことになっておりますか。
  179. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) そういうことを私ども承ってはいないのでございますが。
  180. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いや、外務省関係のほうからですね。外務省の方来てみえませんか。
  181. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 昨日も外務省の方は見えていなかったと思います。
  182. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それじゃ、この話は、今外務省云々ということも入りましたから、まああれですから、これをペンディングにしておきますが、委員長のほう、ひとつ忘れぬようにしていただきたいと思う。
  183. 佐野廣

    委員長佐野廣君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  184. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記起こして。
  185. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 政務次官にちょっとお尋ねしたいと思いますがね、これはまあたまさか新聞情報ですから私たちも間違っておるかもしれませんですけれども、一応党として終戦処理の問題を処理するのだという公約を参議院選挙に掲げられました。しかし、いろんな問題がございますから、その集約として、政府はこういう問題についてどうしていくかということについて、政府で閣議決定をして統一見解を発表しようとする動きがあるのかないのか。新聞にはこういうふうだといって、動きがあると、こういってスクープされているのですが、その辺のところの事情を御説明いただきたいのです。
  186. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) さようなことは全然聞いておりません。
  187. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 聞いていない。
  188. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) はい。
  189. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、政府は一応農地被買収だけのものを対象としておられるわけですが、竹内さん、あなたの御存じのとおり、どのくらいのものがあるかというと、先ほどまあ大ざっぱに何件ということを言いましたけれども、これは件数があるいは違うかもしれませんけれども、たとえば財産税で取られておる、これは御存じですね。あるいは預金の封鎖をやられております。そういうような問題。あるいはこの前もちょっと指摘しましたけれども、引揚者の問題、あるいは戦災者の問題、あるいは学徒動員、そういうような問題については全然政府は無関心でおられるのか、どうでしょう。
  190. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいま御指摘になりましたような問題については、無関心ではありません、関心を持っておるのであります。ただ、それを政策的にどう打ち出していくかという問題は、またそれとは別個のことであろうと思います。
  191. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたは、それじゃ、国内法で、スキャッピンとしてやらないで、国内独自でやったものと、二つあると思う。そういうものについて、区別して何か対処しようとして考えておられるのか、同一に見ようとしておられるのか、その辺の検討はされておりませんか。
  192. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) さような具体的な検討までは入っていないと考えております。
  193. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それでは、私的な見解として政務次官立場から、私的な立場で、政務次官としてお聞きしたいわけです。政府じゃなくて、あなた個人というか、政務次官としては同一に見ておみえになりますか。これは区別していいものとお考えになるか、どうですか。
  194. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) きわめて重要な政治問題でございますから、かような問題に対して私見を申し上げることは適当でないと考えます。(「私見じゃないですよ、政務次官としてだよ」と呼ぶ者あり)
  195. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、竹内個人とか竹内俊吉個人ということじゃなくて、今大蔵省の政務次官で、少なくとも国会答弁政府委員として御出席なんです。ですから、政務次官としてどうお考えになっているか、こうお尋ねするわけです。それは閣議ではそういうことはやっておらぬ、こうおっしゃることはわかります。そこで、政務次官としてどうお考えになるか、こう伺っておるわけです。
  196. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 私としては今申し上げたとおりでございますが、この農地買収者問題は、今成瀬さん御指摘になりました前段のほうは、戦後私が代議士当時に出た問題でありまして、承知しております。その問題とあとの問題とは多少性格が違うということはわかりますけれども、今あなたがおっしゃったような、それをどう扱うかということは、政府もそういう検討はいたしておりませんし、私もそういう私見を申し上げることは適当でない、こういう意味でお答えしたのであります。
  197. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 僕も、この問題についてどうこう言質をとろうとか、どうこうしようとは考えておりません。しかし、少なくとも日本の軍国主義の復活と申しますか、軍国主義を拭い去ろうとしてとられた措置を、もとに戻そうなんという考え方は、少なくともお持ちになっておらぬと思いますが、この点はひとつ確認しておきたいと思いますが、どうですか。
  198. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 農地改革の問題は、何と申しますか、社会の民主化をはかるための政策であったということはそのとおりだと考えますが、今おっしゃったような軍国主義をどうこうという問題となりますというと、必ずしもそこだけにしぼっての問題じゃないと思います。
  199. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 何も僕はこの農地のことを言っておるんではなくて、御案内のとおり、軍国主義を払拭する問題と、一つは日本の民主化の問題と、二つに大体大きな柱が立たれてスキャッピンというものが出され、あるいは当時の国内法というものは作られておるわけです。そこで、うしろ向きにもとへ戻すという問題が一つあるわけです。ですから、軍国主義についてもとへ戻すというお考えはないでしょう、こういうことを言っておるわけです。私は農地のことを言っておるのではない。私はもっと大きく、少なくとも軍国主義を払拭するようないろいろな問題を、戦後処置をずっとやってきたわけです。その問題をどうももとへ戻さなければならぬ、それがために被害者があって、どうも快く思っておらぬ、不満だから、もとへ戻さなければならぬというお考えは持っていないでしょう、こういうことなんですが、どうでしょう。
  200. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) その意味ならばわかります。私はまた、農地改革は軍国主義を破砕するための措置であったというふうなお尋ねに聞きましたので、さようなお答えをしましたが、今のお尋ねであれば、軍国主義に戻すようなことはあっては相ならぬという点では、全く同感であります。
  201. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、この自作農創設法の問題は、政務次官はこれは何のために出された指令に入っておるというふうにお考えになっておるのか、承りたい。
  202. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 成瀬さん、マッカーサー司令部の指令のどこに入っておるかということですか。
  203. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうです。
  204. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) それは私はあまり詳しく存じませんので、あとでまた調べてお答えいたします。
  205. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それでは、農林省関係の方にひとつ……。
  206. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 農地改革は、御承知のとおり、昭和二十年十二月九日に出されました農地改革に関する件、一般に農民解放指令といわれる総司令部の指令に基づく措置でございます。
  207. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 日本の経済の民主化、いわゆる民主化の大きな推進の柱とわれわれは了解しておりますが、違いましょうか。
  208. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 先ほども申し上げましたとおり、日本の社会を民主化するための一つ方法として考えられたということでは、私は同惑いたしておるわけでございます。
  209. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 何にいたしましても、これはひとつ外務省等が見えて、私もその内容等をいろいろと承りつつ、またやっていきたいと思いまして、その場で……。  次に、調査会答申についてお尋ねしますが、今聞いておりますと、室長はばかに答申案尊重してやるやると言っておるんですが、何も尊重しておらぬでしょう。答申案の出る前に法律を作ってしまったんでしょう。尊重する、尊重すると言うのは、一体どこを尊重したんです。こういう今まで調査会を設置しておいて、一体答申案が出る前にもうすでに政府法律を作っちまって、調査会を無視したような前例がありますか。ないでしょう。どっちです。
  210. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査会答申が出ます前に調査会答申そのものと直接関係のあるような法律を出した例は、おそらくないだろうと思います。
  211. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 前代未聞のことを政府はやったわけなんだ。なぜ前代未聞のことをやったんです。
  212. 大月高

    政府委員大月高君) この問題は、最初御説明申し上げましたとおり、政府の見解といたしまして、こういう措置をとることが適当だという判断のもとに、法案を御提出したわけでございます。その段階におきましては、この調査会答申とは全然関係ございません。ただ、時間的にその後におきまして、この調査会答申をされたわけでございまして、その答申の中に今般とろうといたしております措置と同様の趣旨が盛り込まれておる。したがいまして、調査会のお考えになっておることと、われわれがここで御説明いたしております制度とは、趣旨において同様のものである、こういう結果になったわけでございます。  しからば、この調査会答申が出たあと政府はどうするかという問題が、この調査会答申尊重するかどうかという問題にかかると思うわけでございますが、そういう意味で、答申のうちの第一項につきましては、時間的な線はございましても、ほぼそういう御趣旨を満たしておる。そうすれば、第二項につきましてどうするかという問題が今の答申尊重の問題に関係がある、こういうように考えるわけでございまして、その問題につきましては、今後どうするかということを政府において考えると、こういうことであるかと思います。
  213. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あのね、大月さん、あんたの話を聞いておると、調査会を作っておいて、答申案は大体こんなふうだろうからと、政府はそれに対して先回りして勝手に法律案を作っていいんだと、これはあたりまえのことだと、こういうふうに聞こえるんですが、それでいいですか。今後も、調査会を作っても、そして答申案が出る前に今の理屈をこね回してやろうという意思はあるんですか。
  214. 大月高

    政府委員大月高君) 仮定の議論でございますけれども、かりに調査会答申がこの問題を含んでおらないといたしましても、これはこの調査会と別途政府の見解としてやれるということだろうかと思います。
  215. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 少なくとも調査会を設けるということは、政府の権威においてやっておるわけです。調査会人たちもひとつの権威をもって、まじめに研究して答申案を出そうとしておる、それに対して、こういうふうだろうから、それで法律を出すのはあたりまえなんだ、それがいいんだというような御答弁を承るのは、非常に遺憾だと思う。こういう措置は非常に遺憾であった、将来はやらないんだ、こういうことなら、まだ話はわかりますよ。これをやったのはあたりまえだという答弁を承れば、将来こういう調査会を設ける必要が何らないと思うんですよ。こういう点についてどうです。少なくとも局長の問題じゃなくて、少なくともこういう問題は大臣が来て答弁するとかなんとかという問題になると思うんですけれども、予算委員会の関係で出られぬというから、私はここで遠慮しいしい質問しているわけです。
  216. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいま銀行局長から答弁をいたしました点も、答申が出る前に法案を出してそれでいいのだとか、あたりまえとかいう意味での御答弁を申し上げているわけではないのであります。そういう意味ではないのであります。この調査会が発足いたしましてから、熱心に調査を進めておりますことにつきましては、政府承知しておりましたし、大いに敬意を払っておったのでありますが、結論がなかなか、相当時間がかかるということもほぼわかったわけであります。ところが、一方において、この問題に対しては放置しておけない、なるべく早くこれを措置すべきだ、こういう判断に達しましたので、時間的に、国会等を考えますると、開かれておった国会提案することがよろしかろう、こういう政治的配慮から出たのでありまして、常に調査会答申を待たずして、その調査会答申内容をなすようなことをどんどんやってよろしい、こういう意味でももちろんないのであります。この経緯はそういう経緯であるということを申し上げまして、御了承を仰いだわけでございます。
  217. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 調査会の期限は、御案内のとおり、二年という時限立法です。二年という中において答申案が出されるということは、前から、調査会を作ったときからわかっていることなんです。それを、今言ったような、早くなったから、情勢がこうだからということは、調査会を設けた趣旨にもうすでに反しているのではないか。あなたの言うことは、それはどろぼうが言いわけをするような議論なんです。こういうことは二度とやる意思があるのかないのか。
  218. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 政府がある事案について審査会を設けて諮問した場合は、その答申を待って主たる政策をきめていくというのが当然であろうと考えますから、将来そういう点については十分注意しなければならぬと思います。
  219. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたにここで、まことに遺憾であったということを私は言えというわけでない。こういうまずいことをやられるから、おかしいと思う。しかも、今聞いていると、いや、それは結果が合ったからとおっしゃるけれども、そこで私は中身についてお尋ねしようと思うのですが、この答申の要点を見ますと、(1)として「被買収世帯収入は買受世帯及びその他の一般世帯に比べて必ずしも低くない。」ということは、被買収世帯のほうがいいということを言っている。第二点を読んでみましても、「被買収世帯は買受世帯及びその他の一般世帯に比べると」田畑山林の所有面積が多いと言っている。第三番にいきますと、市町村長、地方公共団体の議員、教育委員等の公職についている者、これも被買収世帯のほうがいいと言っている。どこも悪いという世帯の数字が一つも出ていないのです。それなのに、生活の、または生業の困難な状況の者があるから貸さなければならないという、木に竹をつないだような結論が出ている。  そこで、いや、そんなことはないというなら、私、先ほどあなたのほうからいただいた調査会答申書の資料についてひとつ御説明を承りながら、意見を申し上げてみたいと思う。  五十一ページにございます。「暮し向き評価」のところに、被買収世帯と被買収世帯でないものと二つに分けております。そこで、第四点に、「今のままの生活では苦しくてやりきれない」という(4)のそれが、千二百九十一世帯の中で八十あるわけです。そうですね。これは間違いないですね。八十ある。それから、被買収世帯でないものが、これは一万六千二百四十二の中で、「今のままの生活では苦しくてやりきれない」とする者が千二百九十八戸あるわけです。そうしますと、これはパーセンテージに直してみると、千二百九十一戸の中で八十ということは六%強なんですよ。それだのに、被買収世帯でないもののほうは約一二%弱に当たるのです。約倍こちらのほうが苦しいと言っている。こういう者に対してはなぜ特別な処置をせずに、こういう人だけにやらなくちゃならなくなったのか。こういうことは、とりもなおさずどういうことになるかといえば、少なくとも答申案は私は逆な方向を出そうとしておったと思う。ところが、政府が勝手に三月十五日にこういう法律案を作って出してしまったから、政府の圧力によってこういう答申を書かざるを得なくなったというふうに解釈するよりほかにしようがないじゃないですか。違うのですか、これ。
  220. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査会答申の結論はその二点でございますが、こういった答申をお出しになります調査会内部でのいろいろの議論の背景というようなものが答申の最後のほうに書いてございます。このように調査会を構成されました各委員方々の御意見は、必ずしも同じ御意見ばかりではございませんで、農地改革そのものを御否定なさる立場での委員もあったわけでございます。それから、いろいろな戦後の処置その他から考えて、この際こういった措置をとることは一切反対であるという御意見委員もあったわけであります。そういった調査会そのものの中でのいろいろの御議論、その背景にあるところのいろいろの社会的な情勢、そういったところを御判断下すってこのような答申としての具体的な結論をお出しになったということであろうと、私どもは考えておる次第であります。
  221. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 いやいや、あなた、農地解放がよかったか悪かったかという議論はやめたと書いてある。そういうことはやらぬという政府の見解を前提として調査を進めると書いてある。あなたのおっしゃったとおり、農地解放の是非を議論したということは書いてない。そういうことはやらない。そういうことはやらずにやったと書いてある。でたらめなうそを言っちゃいかぬですよ。
  222. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 最初に書いてございますのは、そういった議論も出たが、政府諮問趣旨にかんがみてそういった議論はその後やめたということが、最初書いてあるわけでございます。一番最後のほうに、お配りいたしました一番最後のほうに、その結論を出しました後に、「本調査会の論議において、一方においては」以下のところでございますが、そこで今申しましたようなことが答申の中に書いてあるわけであります。
  223. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それはね、調査、検討というのが——いいかね、調査検討というのがこの答申案を作る調査会の任務なんですよ、調査会の。意見が出たなんということは一つも問題じゃないですよ。調査会の本来の使命は、今申しましたようなことをやっておみえになって、だから農地改革是非の議論もあったんだということじゃないのですよ。そういうことはやらずにやったんだということが調査会の報告でしょう、これは。違いますか。私はそういうふうに受け取っている。
  224. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査会答申の骨子をなすものは今の二点でございますが、調査会のいろいろな議論の内容、空気、背景、そういったものをこの答申の中にまた書いておきたい、こういうお気持が調査会の中に十分あったのでございます。その結果、このように比較的長い答申になったわけであります。
  225. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は、先ほど例として、五十一ページのあなたのこの資料に基づいて、私は、だからこういうふうに資料が出ておる、それだのになおこういう被買収者に特別のことをしなければならぬという結論が出たと、こう言っているのですが、この五十一ページの資料だけからでも逆な結論が出ると私は思うのですけれども、室長はどういうふうにお考えですか。
  226. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査会の任務は、旧地主に対する社会的な問題の存否とその対策ということでございます。そのうち旧地主につきましては、確かに現在生活困窮している者もある、したがってそれに対してこういう措置をとろう、こういう御答申でありまして、それ以外の、旧地主の方以外の方についてどういう措置をとるというようなことは、この調査会で面接関係をお持ちになった問題ではないために、こういう形になったのであろうというふうに私どもは考えるのでございます。
  227. 野々山一三

    野々山一三君 関連。調査会が問題にしたのは被買収者だけに限ったからこういう答えになった、こういうことですか、今の答弁は。そうですね。それじゃお伺いするのだけれども、この答申の私が問題にしている(4)項にこういうことが書いてあるでしょう。「世帯員のうちから戦死者、戦傷者、引揚者及び抑留者を出した直接の人的戦争被害や世帯が戦災にあったり強制疎開にあったりした直接の物的戦争被害については、被買収世帯は買受世帯その他の一般世帯に比べてその比率が高い。」、これが非常な私はこの答申のポイントになっているということを読み取るわけです。そのことを何回も聞いたのです。したがって、あなたの言われるように、被買収者の問題だけを比較した、調べた、こういうことにはなっておらぬじゃないですか。こんな白ばくれた話はありませんよ。もっと責任持ってお答えなさい。
  228. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) この今お読みになりました(4)を含めました七つの問題は、調査会に対しまして調査会の委嘱を受けた専門委員実態調査の結果の概要の報告を取りまとめたものがこの七点になるということでございます。この七点の報告を基礎にされまして、調査会委員方々がいろいろ御判断なすって、こういう結論を出したということでございます。
  229. 野々山一三

    野々山一三君 だから、十分そういう比較をなさったということになるわけなんです。そうした材料を、専門員調査の結果を基礎にして、やっぱり被買収者は生計に非常な苦しみがあると認定をしたから、あの答申が出た、こう理解するのは間違いないでしょう。
  230. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 答申をお出しになりますまでの過程におきまして、今の実態調査を中心にいたしまして、いろいろ被買収世帯、それ以外のいろいろの世帯との問題などを検討されました結果、被買収世帯についてこういう措置をとるという結論を調査会がお出しになったのでございます。
  231. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あのね、野々山君が質問したら、今あなたごまかしたのでしょう。被買収世帯のみを調査したのじゃないでしょう。他の被買収世帯でないものも調査しているのですよ。そうでしょう。
  232. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 仰せのとおり、被買収世帯以外のものとの均衡などをいろいろ調査をされました。
  233. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうだろう。それを聞いている。
  234. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 調査をされたわけです。
  235. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それだけでいいのです。そこで、一つの例として私は五十一ページの資料を出しているわけなんです。そうしたら、被買収世帯の今までの生活では苦しくてやり切れないというものは、千二百九十一戸の中に八十戸なんですよ。六%強なんですよ。いいですか、これは。被買収世帯でないものは一万六千二百四十二戸調べた。そうしたら千二百九十八戸が苦しいと、こう言っている。この比率は一二%弱、約倍になっている。こういうところから見たら、どちらが苦しいですか。どちらが苦しいと言っているのですか。被買収世帯が苦しいと言っているか、被買収世帯でない者が苦しいと言っているか、どっちなんです。
  236. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) その数字に現われました限りにおきましては、被買収世帯よりもそうでない世帯のほうが、現在非常に苦しいと思っておる世帯は多いということだと思います。
  237. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 だから、こういうところから出てきた結論は、被買収世帯のほうが生活がいいという結論が出るのでしょう、これからいえば。これは同感じゃないですか、違いますか。
  238. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) そのとおりだと思います。
  239. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それなのに、こういうふうな結論を出さしてきたというところに、先ほど言いましたように、政府答申案の前に法律を出したからそういうことになったと思うのです。しかし、そのことはあなたに答弁してもらったって役に立たないんです。やはり委員長、工藤さんを呼んでもらわなければ意味ないです。だから、理事会で何べんもやっておるのに、委員長、ちっとは努力したんですか、どうなんですか。先ほど永末委員も指摘しておるし、私も佐野委員も呼んでくれ、こう言っておる。どうなんです。審議せい、審議せいということはわかるんです。だから、審議しなければならない。それには人を与えて、資料を与えて、まじめに議論しようじゃないですか。
  240. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 江守室長、答弁できますか。
  241. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは江守さんに聞いたって、江守さんの答弁はわかっておるですよ。江守さんの答弁なら、こういうことになるのです。こちらのほうが、被買収世帯のほうが生活がいいのだからやらぬでもいいということになるのです。やらなければならないという結論はどこから出ておるのだ。
  242. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 確かに、その数字を見ますと、現状の不満に感ずる程度は、被買収世帯よりも買収世帯のほうが多いということは、この数字どおりだと思います。ただ、そのことと調査会の結論は全然別の面のことを言っておられるのであります。少ないだろうけれども、そういうものがある。ある事態に対して、調査会としてはこういう措置をとるのだということをおっしゃっているのであります。また、その間、政府法律を提出している、法案を出しているから、何かそういうふうにどうこうしたというような点は毛頭ございません。調査会の御権威のために、それは一言言わしていただきます。
  243. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そんなこと言うなら、憲法はどう言っている。法は平等でなければならぬ。特定人たちのために特定のことをやるということは、間違っているじゃないか。  やはりあなたと議論してもしようがない。これはやはり呼ばなければだめだ。確かに、今井さんのやめた理由は先ほど聞いています。他の委員を兼ねられて忙しくなったからおやめになった、こういう理由だった。そんなばかな話はない。人を嘲弄した話はない。不満に思っておやめになった。工藤さんは、池田さんに不満を訴えられた。池田さんはあやまって、今後そういうことはせぬということを言っている。どうしてもこれはやはり工藤さんに来てもらって、その辺の事情を明らかにしてもらわなければいかぬです。(「君の想像だよ」と呼ぶ者あり)いや、想像じゃない。じゃあ工藤さんを呼んで下さい。都民銀行におみえになっているのだから、東京においでになっているのだから。そうしてもらうよりしようがない。
  244. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  245. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を始めて。  暫く休憩します。    午後五時二十五分休憩    ————————    午後五時四十七分開会
  246. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 委員会を再開いたします。  先ほどの成瀬委員その他からの御要求に対しましては、本日のところ都合がつきませんので、明日に持ち越します。明日は午前十時より委員会を再開いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時四十八分散会