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成瀬幡治君 これは恩給法の加算加給の問題もございますし、学徒動員の問題もございます。建物疎開の問題もございます。軍事
補償の問題もありますし、財産の問題もありますし、銀行預金の封鎖もありますし、保険の打ち切りもありますし、数えあげれば切りがないわけであります。そういうものに対しての、この問題はその中の
一つだと思う。そういう問題に対してどういうふうに
政府はやっていこうかというようなことは、これはやはり
関係の大臣に来ていただかなければ、私のほうも政策の論争になりますから、御
意見を承るのはいけないかと思いますので、この問題はひとつ保留させていただきたいと思います。
次に、在外資産の問題が出ましたから、それについて……。これは
資料要求はしておきましたが、私の手元にまだないわけですが、私はここにイタリアの平和条約の写しだけを持っております。七十九条に、イタリアは、在外資産というものを賠償に引き当てるということを――賠償ということは明確には書いておりませんけれ
ども、権利を放棄するということを書いている。ただし、イタリア国民に、イタリア国
政府は、イタリア国民であってこの条に基づいて財産が取り上げられ、しかも返還を受けない者に対し
補償することを約すると、こういうふうに平和条約の中で在外資産というものは賠償に引き当てられると、
日本でいえば平和条約第十四条のたしか二項と
記憶しておりますけれ
ども、放棄している。その点はイタリアと同じものでございますが、ただイタリアはそうした場合に、国民に対して
政府が責任をもって
補償をするということを平和条約の中にうたっておるわけです。ところが、
日本の平和条約にはそういうことは書いてないわけなのです。どうして同じ――まあイタリアと当時同盟国として連合軍に対して日独伊の三国同盟に基づいて題二次戦争を戦ったわけですけれ
ども、違っておるわけです。一体、
日本の当時の講和条約を締結されるときに、どういう
考え方で――イタリアがどういう平和条約を結んだということは当然御承知の上になっておったと思うのです。それがなぜ
日本とは違っておるのか。こういうようなことについて、今在外資産の問題も問題になっておるというお答えでございました。これは外務省に承るのが本筋ですから、また外務省に来てもらって御
答弁を承りたいと思っておりますが、一応
大蔵省としてはどんなふうにお
考えになっておるか、聞いておられるか。もしそういうことまで研究をしてみえるなら、この際お聞きしておきたいと思います。