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1962-12-11 第42回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十七年十二月八日)(土曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    有馬 英治君       伊藤 郷一君    尾関 義一君       加藤常太郎君    川野 芳滿君       簡牛 凡夫君    壽原 正一君       砂原  格君    關谷 勝利君       中馬 辰猪君    福家 俊一君       増田甲子七君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       島上善五郎君    田中織之進君       松原喜之次君    矢尾喜三郎君       内海  清君 ————————————————————— 昭和三十七年十二月十一日(火曜日)    午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    有馬 英治君       伊藤 郷一君    尾関 義一君       加藤常太郎君    川野 芳滿君       壽原 正一君    關谷 勝利君       福家 俊一君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       舘林三喜男君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    山本 重信君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (大臣官房長) 廣瀬 眞一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君  委員外出席者         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      成田 寿治君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     宮地健次郎君         日本国有鉄道常         務理事     河村  勝君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 十二月八日  鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担  等に関する法律案久保三郎君外九名提出、第  四十回国会衆法第二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  陸運に関する件(自動車行政に関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(事故防止対策  に関する問題)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  衆議院規則第九十四条により、委員会は、会期中に限り議長承認を得てその所管に属する事項について、調査ができることになっております。つきましては、今国会におきましても、  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  日本国有鉄道経営に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項  以上の各事項につきまして調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  4. 木村俊夫

    木村委員長 この際お諮りいたします。  前国会の閉会中において本委員会より委員を現地に派遣し、陸運海運等に関する行政実情調査をいたしました。その報告が委員長の手元に提出されておりますので、これを会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 木村俊夫

    木村委員長 陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。壽原正一君。
  7. 壽原正一

    壽原委員 先般の委員会石油価格の問題について質疑をいたしましたが、ちょうど責任者がおりませんので、課長さんがお見えになって御答弁を願ったのですが、まだ私らの納得し得ざるところが多いので、きょうはその継続をさしてもらいます。  この責任者である鉱山局長さんが、今回、石油業法に基づくという趣旨のもとに石油価格の問題を提示しておる。この提示しなければならぬ問題について、われわれは幾多の疑問を持っているわけです。その疑問の最大のものは、この間のお答えは、石油会社が全般的に見て赤字会社になったがためにこの標準価格というものを提示しなければならぬというような答えであったのですが、われわれの調査しておるところによると、石油会社丸善石油を除いた以外の会社はほとんど黒字を出しておる。黒字を出しておるのにもかかわらず、今度標準価格を提示しなければならぬという根拠が私にはわからぬ。それでその説明をしてもらいたい、こういうことできょう出席を願ったわけでございますが、責任者である川出鉱山局長からその説明をしてもらいたい。
  8. 川出千速

    川出説明員 お答え申し上げます。  石油業法の第十五条に標準価格規定がございます。その規定によりますと、石油製品価格が不当に高騰をした場合、あるいは下落する場合、あるいはそのおそれのある場合に、政府標準価格を定めることができるということになっております。その趣旨は、石油製品エネルギーのもとでございますので、低廉であり、かつ安定して供給されることが必要であるというのが趣旨でございまして、一時的に暴騰しあるいは暴落するのを安定させる必要がありますときに標準価格を設けるというのが趣旨でございます。従って、これは公定価格でもございませんし、恒久制度でもございません、暫定措置でございます。十五条の趣旨はそういうことでできております。ところが、翻って石油製品価格状況を見ますと、昨年の何月でございましたか、自由化が発表されまして以来、非常な過当競争が生じまして、御承知のようにあらゆる石油製品について価格が下落して参りました。本年に入りましてからその傾向はますますひどくなってきておるわけでございます。それで、いろいろ調査をいたしてみますと、これはどこの会社がどうということではございませんが、平均をしてみまして、現在の石油製品価格平均原価を割って売られておるのが実情でございます、平均しての話でございますが。それで、この状態を放置しておきますと、エネルギー供給の基礎的な産業である石油精製業の健全なる発展を阻害するばかりでなく、総合エネルギー的な見地から見ましても、国民経済上大きな弊害があるという判断をいたしまして、石油審議会に諮り、そこの慎重な議を経まして標準価格を決定することにした次第でございます。  それたから先ほど御指摘にございました、石油精製会社は全部黒字を計上しておるではないかというお話でございますが、これは私どもも若干調査をいたしましたが、これらの、石油精製会社は、個別の企業でございますから、内容についてはいろいろ差等があるかと存じます。従って、もちろん黒字のところもありますし、赤字のところもあるかと思いますが、おしなべて申しますと、営業面におきましては赤字のところが非常に多いように思います。ただし、決算の段階になりましては、これはどこの企業でもそういう場合が多いかと思いますけれども、いろいろな、たとえば財産の処分でございますとか、積み立ての取りくずしでございますとかそういうようなことをいたしまして配当を継続する、あるいは配当を引き下げるというような措置をとっておるわけでございます。
  9. 壽原正一

    壽原委員 今聞いてみると、あなたの御説明では、大体大企業擁護政策というよりほかないような結論に聞こえる。そこで、石油業者財産を処分して黒字を出したとか、あるいはその他の方法で黒字を出しておるというようなことであるのだが、もうけているときに買った財産を処分して黒字を出しているのはまだいい。ところがこれを使用する一般中小企業、いわゆる日本中小企業の大半はこの石油を使ってあらゆる産業の足しにしておる、いわば自動車なら自動車はこのガソリンを使って運送あるいはその他のものをやっておる。こういう中小企業に及ぼす影響をあなた方はちっとも考慮しないで、ただ石油会社がこれ以上ダンピングしてはどうにもならぬからというような、そういう根拠に基づいて今回の措置をとったということは——どうもきのう池田総理施政方針演説を聞いてみても、中小企業擁護ということを盛んに言われておる。また通産大臣言葉にも中小企業育成という問題が大きく取り上げられておる。そういうものと全く矛盾するようなあなた方の方策というものは、私らの納得し得ざるところであるから、今回のこの石油業法に基づく標準価格の提示という問題に対しては、これを撤回してもらいたい。しかもあなたは業者から、石油値段標準価格以下に売った場合には、いかなる制裁を加えてもかまわないという一札を取っているでしょう。とっておらぬですか。——取っておったならば、それは、あなたがただいま答弁したような、これは公定値段でもなければ何でもないというようなお答えとはちょっと違うと思います。その辺の見解をちょっと聞かせてもらいたい。
  10. 川出千速

    川出説明員 この標準価格制度は、先ほど申し上げました通りに、標準となるべき価格政府が掲げるわけでありますので、公定価格と違うわけでございます。その点では非常に弱いわけでございます。ただ、標準価格を掲げました場合に、これは法律に基づきまして掲上するものでございますから、石油審議会でも非常に議論されたところでございますけれども、これが全くの空文に終わるおそれが多分にあるではないか、過去の石油精製業のあり方から見るとどうもそういうおそれが非常にある、過当競争をして値段棒下げに下げてきたわけでございますので、そういうような実績、それから石油精製業の実態という点から考えますと、これはきわめて守るのがむずかしいのではないか、守ると申しましても、標準価格でございますから、大体その辺に平均された値段が好ましいということでございますけれども、そういうことでございますので、それにつきましては、行政指導をして、せっかく法律に基づいた標準価格を掲げた以上、それが実効があるようなことになるのが望ましいという趣旨に基づきまして、精製業界の方からそれを守るようにという念書をもらっておりますけれども、これは行政指導としてそういうことをしておるわけでございまして、それではそれに基づきまして、どういうような拘束力を加えるかというようなことは、法的なものはないわけでございます。いわば業界の道徳的な、経済的な倫理と申しますか、そういうものに訴える意味におきまして、私はそういう措置をとったわけでございます。
  11. 壽原正一

    壽原委員 あなたの言うことは、ちょっとおかしい。これは拘束力がないとか、あるいは公定価格でないとかいうものに対して、そういう念書業界からもらう必要はないでしょう。あなたは、大口需要者であるタクシーハイヤー業界から陳情を受けたことがありますか。あるでしょう。その場合に、どう答えておりますか、その答えをちょっと言って下さい。
  12. 川出千速

    川出説明員 ただいま、今の問題についてどう答えたか、正確に記憶しておりません。
  13. 壽原正一

    壽原委員 どうもけしからぬ。どう答えたか、陳情したならば、その答えが必ずあるはずでしょう。こういう問題がある。今回の石油業法に基づいた標準価格でもって、大口需要者たるタクシーハイヤー業界がこれを買わぬ場合には、納入辞退をするということを石油業界が言うておる。この納入辞退に対して、あなたは念書を取っており、一方では価格を下げてはいけないということを言うており、あなたはまた自動車業界あるいは石油業界に対してお互い話し合いをしなさいということを言うておる。幾ら話し合いしたって、君のところへ念書を取っておったならば、石油業界値段を下げるはずがない。値段を下げる話し合いの場が持てない。話し合いの持てないものを幾ら話し合いをしろと言うてみたところで、そういう念書を取って、おって、そういう矛盾した答えはないでしょう。  それで、あなたは石油業界に対して、どういう指示を与えましたか。
  14. 川出千速

    川出説明員 納入を拒否するというようなことは絶対に指導しておらないのでございまして、石油精製業の基礎と申しますか、それは供給するということでございます。従って、そういうような指導は全然しておりませんし、今後もし拒否するようなことがあるということになれば、これはそういうことのないように指導をしたいと思います。  それから、両業界話し合いをすることにつきましては、すでに石油精製業界に、タクシーハイヤー業界だけでなくして、全般的に話し合いを進めなさいという行政指導をしておりまして、現にいろいろな業界話し合いが行なわれておると聞いております。まだ話し合いがついておるというところまでいっておりませんが、進行しておるというように聞いております。そういう指導をしております。
  15. 壽原正一

    壽原委員 この間石油課長さんがお見えになったときに、その念書を持ってこいと言っておきましたが、きょう持ってきておりますか。
  16. 成田寿治

    成田説明員 念書は、きょう持ってきておりません。
  17. 壽原正一

    壽原委員 この間言うたのに、なぜ持ってこないのか。
  18. 成田寿治

    成田説明員 この間、持ってこいというふうに聞かなかったので、新聞のあれで大体……。
  19. 壽原正一

    壽原委員 あと資料にして提出しなさい。  きょうは私もあと会議が控えておって、あと質問者も大ぜいおりますので、数多くは尋ねません。次会にまたこの問題に対して言いますから、今言うた資料提出はしておいていただきたい。  それから、山本調整局長さん来ておりますか。——あなたはこの間石油価格問題で、タクシーハイヤー業界から陳情を受けたことがありますね。
  20. 山本重信

    山本(重)政府委員 当時政務次官室にたしかお見えになっておりまして、そのときに一緒に話を伺ったことはございます。
  21. 壽原正一

    壽原委員 そのときのあなたの答えは、この石油標準価格の問題で運輸省からも官房長が出て話し合いをしておった、そのときタクシーハイヤーという問題が出たときに、タクシーハイヤー価格を上げても差しつかえないということを官房長が言うたということを業者にあなたは言明しているね。
  22. 山本重信

    山本(重)政府委員 当時は運輸省から石油審議会官房長が出ているということについては私存じておりませんでしたし、従いまして、官房長がそのように言ったというふうに申した記憶はございません。
  23. 壽原正一

    壽原委員 君は詭弁を使っちゃいかぬよ。これは永山忠則先生一緒業界の連中を引率して君のところに行っているはずなんです。あなたがもしそれを言わぬと言うならば、ここへ証人を呼んで対決させますが、いいですか。
  24. 山本重信

    山本(重)政府委員 その前に経済企画庁本件についての関係を申し上げたいと思います。  石油価格をどうきめるかということは、所管官庁であります通産省の仕事でございます。経済企画庁も一般的な物価政策として関与はいたしておりますが、特に公共料金につきましては昨年ストップ令が出ております関係で、各省から事前協議がございまして、経済企画庁も本腰を入れていろいろ原価計算等計算もいたしまして、その必要があるかどうかということをきめて処理しておるわけでございます。本件石油価格につきましては、そういうような公共料金とは違いますので、私の方としましてはそういうような調査をしたりしてはおりません。  それからただいまお尋ねの点でございますが、石油審議会での審議状況を私はごく間接でございましたが聞いておりまして、そのときの様子から石油審議会結論が出たという話を聞きまして、運輸省からもそれには出ておるはずなので、その辺については一応了解がついておるのだろうという推測を私いたしておりましたので、そうしたことを申し上げた事実はございます。しかし、具体的に運輸省のだれがこういうことを言った、それから差しつかえないということを言ったとかどうとかいうことは、私申した記憶はございません。
  25. 舘林三喜男

    舘林政府委員 ちょっと私に補足させて下さい。  先ほど山本局長から御説明いたしておりました通りでございます。実は山本局長のところに業界の方が御陳情になりに参ったのでありますので、私のところに、政務次官室おいでになったのでございます。それで、私もなるたけ正確にお答えするのがいいのじゃないか、またいろいろ業者の方の御意見もやはり詳しく経済企画庁としても聞いた方がいいのではないかということで、主管局長でありました山本局長を私の部屋に呼んで同時に聞いたわけであります。そのとき標準価格値上げについていろいろ御意見がありましたが、経済企画庁としては、公共料金値上げにつきましては閣議了解事項もありますし、それぞれたとえば電力なら通産省、また自動車につきましてはバスとか私鉄につきましては運輸省意見を聞きながら、値上げを認めるかどうかということについての政府意見を調整することは閣議了解事項として経済企画庁に与えられた権限でございます。しかし、石油の問題につきましては、直接の権限通産省でありまして、われわれ経済企画庁としてはいろいろ意見を聞くという程度でございます。従いまして、石油審議会経済企画庁関係の職員が出ておりましたが、山本調整局長は出ておりませんでした。ただあのとき山本調整局長も、運輸省としてはあのとき石油審議会で何か御発言がなかったらしいということを申し上げた、これは私ははっきり申し上げておきます。そうすると、そのとき業界の方の陳情おいでになっておる方が、いや、そのとき運輸省から出席したのは何か官房長だろうということを、むしろ向こうからお話しになったようなことなので、今、永山さんと対決なさってもけっこうでございますが、決して山本局長官房長がどうこうしたということを申し上げていない。現に山本局長石油審議会に出ておりませんものですから、その点はぜせ御了承をいただきたいと思います。
  26. 壽原正一

    壽原委員 政務次官がきょうわざわざ出て下すって、われわれの同志でもあるし、これ以上は責めないことにしておくが、局長、あまりつまらぬことを言っちゃいかぬ。あなたが言ったということを私はちゃんと知っておるのです。けさ永山先生に会っておるのです。確かに私は言ったから証人に出ましょうと言っておるのです。言っておるのだけれども、せっかく政務次官が出てきておいでになるのだから、きょうは企画庁の問題はこの辺でかんべんはしてやるのだが、どうも通産省でも、石油価格を上げるのに、税金は減税する、するといって、今度税制調査会では四百何十億かの減税の問題をやっておる。一方において石油値段を上げるといって、一体幾ら上げるのか、計算しておりますか。大体ガソリンだけでも三百五十億上がる。これではちっとも減税の対象になっておらぬじゃないか。そうして中小企業を圧迫するような、こういう大衆課税のような値上げをあなたが念書を取ってこれをやったなんてばかなことをやっておっては、これは行政じゃないですよ。この問題については、きょうはもう時間がないので、わずか二十分という約束だから、私はこれで質問は終わるがこの次の委員会でははっきりした答弁のできるような資料を整えて、もう一ぺんここへ出てもらう、よろしゅうございますね。  それと、すでにきょうは十一日、あすは十二日、自動車業界に対してのガソリン納入辞退という問題があすを限りにやるということになっておりますが、それは聞いておるか、この点だけを聞いておきます。
  27. 川出千速

    川出説明員 そういううわさを実は聞いておりますので、そういうことがないように、供給を拒否することはいけないということを、言っております。
  28. 壽原正一

    壽原委員 いけないということは言うておるだろうが、君は、値段を下げたら、罰金を取って、どんな処置をしてもよいということを念書に取っておるだろう。念書を取っておいて、そうして納入拒否はいけないことだ、値段の交渉をしてはいけないのだ、そんなばかな話が世の中にあるかね。そういうことであなた大鉱山局長たるものが勤まるのか、どうなんだ。あすから、もし納入辞退ということが起こったならば、あなたはそこの責任を負いますか。責任を負えるかね。その辺の返事をしてくれ。
  29. 川出千速

    川出説明員 そういうようなことは絶対にいけないわけですから、私としては責任を負わざるを得ないと思います。
  30. 壽原正一

    壽原委員 それでは、はっきり責任を負うね、政務次官答えて下さい。
  31. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 念書の問題に関連いたしましていろいろ御意見があったのでございますけれども、明日に迫った問題でありますので、十分努力いたしまして、大いに善処いたしたいと思います。
  32. 壽原正一

    壽原委員 努力だけじゃ、きょうのあすですから、間に合うかどうかわからぬが、鉱山局長、これは政務次官の言明を私はそのまま受け取るが、これでよろしいね。
  33. 川出千速

    川出説明員 努力をいたします。
  34. 壽原正一

    壽原委員 努力ではだめだ、はっきりせい。
  35. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 納入価格を決定いたしましたのも、そうした念書を取りましたのも、すべて大臣初め私ども趣旨においてやったことでございますから、私どもにおいて十分責任を持って善処いたしたいと思っております。
  36. 壽原正一

    壽原委員 念書の取り消しを要求する問題が一つ、それから納入辞退という問題はさせないという政務次官のお言葉を私は信じまして、きょうは時間がないので、関連質問もあるようですから、これで終わらしてもらいます。ありがとうございました。
  37. 木村俊夫

  38. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ちょっと十分ばかりお借りいたしまして、簡単な問題だけお聞きしておいて、また次の機会にやらしていただきたいと思いますが、石油業法のできた趣旨というものは、標準価格をきめることだけが石油業法の中心になっているように思うのですけれども、ほかのことは何もやらずに標準価格だけやった、この点についてのお考えはどうなんでしょうか。
  39. 川出千速

    川出説明員 石油標準価格、これはごく一部でございまして、石油業法をつくりました趣旨は、わが国の石油精製業が、自由化に対処いたしまして、今までは外貨割当制度によりましていろいろな行政運用をやって参りましたが、本年の十月から自由化されることになっておりましたので、それに備えまして、この前の通常国会において石油業法が通過いたしたわけでございます。その根本思想は、エネルギーの大宗としての石油業を、総合エネルギー的な見地から、自由放任のままにまかしておきますと、長期的に見た低廉かつ安定的な供給に障害があるということの趣旨からできておるわけでございます。石油業法規定のおもなるものは事業許可制でございます。それからその次に設備の許可制がございます。それから供給計画、これは石炭その他のほかのエネルギーとの関連を考えた石油供給計画をつくる。これが柱になっておりまして、この供給計画に基づきまして事業許可なりあるいは設備の許可をすることにしてございます。それから石油精製業の生産の計画と申しますか、事業計画は、これは届出制になっておりまして、従って設備の許す限り、あるいは企業がやろうと思えば、生産はいかようにでもできるわけでございます。しかしながら規定が設けてございまして、経済を非常に混乱に陥れるようなおそれのある場合には、生産計画の変更を勧告することができることになっております。それから、石油製品の輸入業につきまして届出制がとられております。それから、石油の販売業に対しても届出制がとられている。そのほかに標準価格、これは十五条ですか、ございます。石油業法はそういうように、総合エネルギー的な見地から石油精製業をいかに規制、調整するかということを骨子にしてできたものでございます。従って法施行後、事業許可あるいは設備の許可等につきまして、あるいは供給計画の作成につきまして、過去たびたび石油審議会を開きまして行政措置をとってきた次第でございます。
  40. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 石油業法の中身については私もよく存じておりますけれども、出てきている現象を見てみますと、何か標準価格だけが一番クローズ・アップされて、そのほかの問題というものはほったらかしになっているような感じを受けるわけであります。目的はやはり民族資本というものをこの中で考えて、この法律というものが生まれてきたわけですから、その趣旨から言えば、やはりこれはわれわれとしてももう一回この石油業法のできたいきさつから、問題が起きた時点において検討しなければならぬというように思うのです。  そこで、その問題はおきまして、石油審議会のメンバーの中に、今度の値段の問題についてのいきさつからいって、われわれの代表が入っていないのじゃないかという意見が出ているようなんですけれども、これについてのお考えはどうなんでしょう。
  41. 川出千速

    川出説明員 現在石油審議会のメンバーは、中立系の方、どの業界にも属していない評論家等の方、それから石油精製業界の方、それから消費業界と申しますか、需要業界の方が相当入っておられます。それから関連したエネルギーという立場から、たとえば石炭業でありますとかガスでありますとか、そういう方が入っております。石油関係では、精製のほかに輸入と販売の方が入っておられます。なお専門委員といたしまして、運輸省経済企画庁、農林省の方が入っておられるわけでございます。なお運輸代表、農林代表ということで民間の委員の方が入っておられます。ただいま自動車関係が入っていないのではないかという御指摘がございましたが、現在のメンバーには入っておりませんので、その辺は今後よく検討したいと思っております。
  42. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 このメンバーを見てみますと、法律でもきまっているようですけれども、これは売る方ばかり入っておって、買う方の代表は入っていないわけですね。何か学識経験者として土屋さんとか円城寺さんとかいう名前が出ておりますけれども、今あなたも何か検討しましょうと言っておられますが、そうですか。
  43. 川出千速

    川出説明員 買う方の代表もだいぶ入っておるわけでございます。たとえば石油化学でございますとか、電力でございますとか、あるいは鉄鋼でございますとか、入っておるわけであります。
  44. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 石油審議会委員のメンバーについても少し注文があるようですし、今あなたが言われましたように、確かに大口の需要者は入っておるようですが、大口と言っても、実際中小企業のその日に直接に影響する人たち——この需要者は、それと違って次の需要者にかぶせればいいわけですから、直接ではないわけです。そういう点から言えば少し検討しなければならぬ問題だと思うのです。検討される気持もあるようですから、こういう機会に一つお考えをいただきたいと思います。  それから標準価格をきめた。そしてそれについて今念書というのが問題になっている。その念書の写しを私見たいと思ったのですけれども、出ていないようですが、これはこういうことなんですね。十一月十日付で石油精製元請業者から、第一は標準価格を守ること、第二は、標準価格に違反した場合、いかなる制裁にも服すること、この二つが誓約書であなたのところに出されている、こういうことですね。
  45. 川出千速

    川出説明員 さようでございます。
  46. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、石油連盟の営業委員会の西本委員長のところで標準価格実施の方針を三項目きめた。一つは、価格に違反をした場合は、違反数量に見合う数量を次の生産計画から削減する、二番目は、違反した額の四〇%を罰金として徴収する、三番目は、違反した会社の需要者に対し、納入辞退を行なわせる、この三つを、三分の二以上の議決があったときは石油連盟としてやる、こういうことをきめたということになっておるが、この通りなんですか。
  47. 川出千速

    川出説明員 私はそれは存じません。そういうような議論が石油連盟の中で一時行なわれたということは聞いたことがございますけれども、これは私のところの承認をしたものでもございません。従って念書趣旨は、なるべく標準価格を設けたものは尊重をしていきたい。そのためには先ほど申し上げましたように、精製業界の倫理に訴えていきたいというのが趣旨でございまして、現実にいろいろな制裁を通産省が考えるということは、具体的に考えていないわけでございます。
  48. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 しかし前提となるものは、一つは価格を守れ、一つは違反した場合は、いかなる制裁にも服する、これを誓約書として出されておる。業界としてはこれを守るために何らかの措置を講じなければならないということは、あなたも認めざるを得ないと思うのですが、そうですね。
  49. 川出千速

    川出説明員 これは通産省と各企業との間の問題でございまして、業界の間でそういうことを申し合わせても、これは効果がないのではないかと私は思います。
  50. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今この問題をめぐりまして独禁法違反の疑いがあるということで提訴されておるということを私聞いておるのですが、そうなっておるのですか。
  51. 川出千速

    川出説明員 その点は私は新聞で見ただけでございます。
  52. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それで提訴されておるが、それはどこが問題になっておって、それについて通産省としてはどういうふうにお考えになっておるかという点について伺いたい。
  53. 川出千速

    川出説明員 私まだ公正取引委員会の方と打ち合わせをしておりませんし、いかなる内容の提訴が行なわれ、これについてどこが問題になっているのか承知していないわけでございます。もし問題があるということになれば、公正取引委員会の方から私の方に御照会があるものと思います。
  54. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 公正取引委員会で問題になっていることは、結局通産省が誓約書を出させた、その誓約書を出させたことに基づいて、誓約を守るために業界としてはいろいろの協定をした、その協定の中身が問題になっているはずなんです。しかし根本を尋ねれば、それは明らかに通産省行政指導の行き過ぎが独禁法違反をさせておる。言うならば通産省が独禁法を破らしているといいますか、こういうふうになっていると私は思うのです。独禁法の解釈につきましても、かつて新聞の値上げ以来独禁法の解釈がゆがめられまして、今では独禁法はあってなきがごときような運用をやっておりますけれども、しかし今回の問題というのは、明らかに独禁法違反になる。またここで独禁法を拡大解釈するようになるならば、もう独禁法なんという法律は必要がない。むしろ公正取引委員会というのはあってなきものだということにならざるを得ないところまで来ていると思うのです。その問題についてはあなたのところで起きた問題が現象として独禁法違反で出ているのですから、局長関係がないわけでもないわけですから、一つ十分御関心を持って、それについての善処なりあるいは行き過ぎの点は直していただきたいと思うのです。  この問題につきましては次の機会に私も業界なりあるいは公取に来ていただいて、そうして実際に起きた現象あるいはどうするかというような問題についてお伺いしたいと思いますので、きょうはこれで終わっておきます。
  55. 木村俊夫

  56. 川野芳滿

    川野委員 私は先般の委員会石油課長質問したのでありますが、幸いにして政務次官あるいは鉱山局長がお見えになっておりますので、あらためて一点だけお尋ね申し上げておきたいと思います。  物価値上げ抑制という問題は、池田内閣の至上命令であります。従いまして、物価値上げを伴うようなものに対しては、できるだけ値上げを抑制させる、そういうのが当然な為政者の考えなければならない問題であろうかと存じます。ところが、先日石油課長にお尋ねいたしますると、ガソリンをある程度値上げしなければならぬ、こういうところでいろいろ事務的に御検討になりました結果、二万九百円が適当である、こういうことで通産省としては一万九百円の案を持って石油審議会に臨まれた、ところが石油審議会で一万一千三百円という線を答申してきた、そこで一万一千三百円を基準価格として決定した、こういう御報告でございます。しかし普通の審議会でございますならば、物価値上げ抑制という問題等から、大体事務局案を下回る線で価格を決定されておるのが従来の他の審議会のあり方であります。しかるに石油審議会に限って、事務局が提案いたしましたその線よりはるかに高く決定した、こういう点から考えますと、どうも審議会のあり方に非常な疑問を持たざるを得ないと私は思う。審議会の委員の顔ぶれも、あるいは消費者の代表と称すべき人が入っておるかもしれませんが、これはおそらく大企業の消費者であろうと私は察するわけであります。従って石油審議会のメンバーについても非常に私は異論があります。  そこで一つ、実際の消費者でございまするハイタクとかあるいはトラックとか、そういうような中小企業を代表する面の審議委員も加えて、そうしてこういう問題を御検討になるならば、おのずから先ほど申しました事務局案という線で基準価格がきめられることになったのではなかろうか、私はかようにも拝察するわけでございます。従って、この委員の顔ぶれについて一つ将来そういう面を考慮した人選をされる御意思はないか、この点をまず伺ってみたいと思います。
  57. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま川野委員の御指摘でございますが、今回標準価格を決定するにつきましては、前回の委員会で御説明申しましたように、石油審議会で三回も練っていただいたわけでございます。ところが、その審議会には交通関係を見ておられます運輸省の方が専門委員としてお見えになっておられて御発言の場もあったわけでございますが、御指摘のように、ハイタクあるいはトラックというように、直接ガソリンを使用するという側の代表者が正式の委員としてはお入りになっていなかったわけでございますので、これは先刻鉱山局長答弁いたしましたように、将来はその点十分検討いたしまして、正式に委員に入っていただくべく十分研究いたしてみたいと思っております。
  58. 川野芳滿

    川野委員 この審議会の答申は必ずしも答申の通り通産省において決定しなくてもよろしい、こういう御答弁石油課長からなされたのであります。私も当然そういうことであろうと思います。しからば一万一千三百円の答申が出たといたしましても、事務局案の一万九百円程度で基準価格を御決定になることが至当であると私は思います。しかし、すでに基準価格を御発表になった今日でありますから、この点には触れませんが、通産省が考えておりまする線よりもさらに高く決定したその線を守らせるために、誓約書まで業界から取るということは、通産省にどうひいき目に考えましても、これは行き過ぎの措置であると私は考えております。そこで、この念書、誓約書を通産省業界に返す、こういう御意思はございませんか。
  59. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 誓約書を取るということにつきましては、るる申し上げましたように、従来業者の希望数があまりに激しかったので、この際深刻なと申しますか、徹底した御反省を願うべきであろうというようなことで、審議会の委員の方々の御意見等もございましたので、誓約書を私どもいただいたわけでございます。いただきました以上は、今これを引っ込めていただくというようなわけにはにわかに参らないと思いますが、十分一つ研究してみたいと思っております。
  60. 川野芳滿

    川野委員 事務局案よりもはるかに高い線で基準価格を御決定になり、さらにそれを守らせるために誓約書まで取る、こういうことは、どう考えましても、行政の行き過ぎであり、かつ物価値上げに拍車をかけるものであると断ぜられても、私は仕方ないと思います。しかし、今その念書を取り戻せと申しましても、通産省の立場もございますから、私は強くは申しません。しかし、先ほど来質疑応答を聞いておりますと、明日から配給辞退、こういうような線もあるかのように承るのでありますが、しかし、通産省指導いたしました基準価格に来なければ配給辞退をさす、こういうようなとんでもない考え方は、一つ十二分に行政指導をもってたしなめていただきたい。そうして業界話し合いの上に、そうして適当な値段で、時間をかけてでも取引させる、こういうふうに一つ行政指導をしていただきたいと思う。
  61. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 納入基準の問題につきましては、まさに川野委員の御指摘の通りでありまして、非常に公共性を持ったガソリンのことでありますのでさようなことになりませんように、行政指導を相当十分努力して参りたいと思っております。たびたびお話でございました通産省の原案が一万九百円であった、それが一万一千三百円になったのはおかしいじゃないかというお話でございますが、これは実は通産省といたしましては、精製販売の原価に多少の利潤を加えました、ところが日本におきましてはガソリンが比較的に外国に比べて安い、そういうような状態になっておりますものですから、それを七〇%ばかり考慮したい、国際的な比例を三〇%加味したいというようなことで、一万九百円の案を出したのでございますけれども審議会におきましては利潤はとるべきでない、段階的にするべきだというようなことで、さしあたり利潤はオミットされましたけれどもガソリンが比較的高いという国際価格の方に少し重点が置かれましたものですから、結果におきまして一万一千三百円というようなことになったのでありまして、通産省の原案と審議会の委員の方々の考えがその辺に食い違いを生じたわけでございます。御指摘のように、結果におきましては通産省の原案よりも少し高く結論が出たという状態になったわけでございます。      ————◇—————
  62. 木村俊夫

    木村委員長 次に、日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、昭和三十七年度国鉄関係予算補正について、政府当局より説明を聴取いたしたいと存じます。岡本鉄監局長
  63. 岡本悟

    ○岡本政府委員 今回の国会に提案申し上げております国鉄の補正予算の内容を申し上げますと、昭和三十七年度の国鉄の予算におきます債務負担行為の限度額は五百九十一億円でございますが、本年十二月末までの消化見込み額は五百六十八億円でございまして、残額はわずか二十三億円となる見込みでございます。そこで工事の円滑な実施をはかりますためには、工事工程上、本年度内にさらに百四十六億円の契約を結ぶ必要がございますので、差引百二十三億円の債務負担行為の増額が必要となったのでございます。そこで限度額を改めまして七百十四億円にいたしておるわけでございます。
  64. 木村俊夫

    木村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  65. 久保三郎

    久保委員 私は、輸送の安全性確保の問題でお尋ねをするわけでありますが、政務次官はおられますが、来年度予算編成方針というか、それにも密接な関係がございますので、ただいま運輸大臣が参議院本会議だそうでありますから、本会議が終了したら直ちにこちらにおいでいただきたい、こう思いますので、おいでになるまで政務次官あるいは国鉄にそれぞれお尋ねをする次第です。  まず第一に、政務次官にお尋ねしたいのでありますが、戦後経済の発展というのは、これはなるほど廃墟の中から立ち上がって今日の形でありますから、相当な伸展だと思う。しかしこれは決して自民党内閣が云々というのではないのでありますが、いずれにしても経済は伸びております。ところが戦前も戦後も同様でありますが、事経済の中における輸送の位置づけというものが非常に明確でない、明確でないというよりは、位置づけそのものがしてなかったと思うのであります。そういうために、ともすれば輸送というのは、付随して、空気のごときものである、あるいは所々方々に出ている水のごときものであるという考えが一つにはある。そういうこともあって、今日異常な発展に伴う隘路が輸送のところに来ている。たとえば陸上におけるところの都市交通の問題あるいは国鉄輸送の問題、さらには港湾における問題、いずれも輸送にネックがあるわけです。  そこで、最近における傾向というか、輸送力が足りないのだということで、輸送力増強ということで、たとえば国鉄にしても、三十二年からでありますか、いわゆる電化の五カ年計画を立てたわけであります。五カ年計画の中で取り上げられたものは、言うまでもなく輸送力増強がまず第一、さらにもう一つの柱としては戦後荒廃した施設を一応の水準まで上げようということで、さしあたっての対策としては、取りかえその他に一応の形としては重点が置かれた。なるほど第一次五カ年計画の中では、そういう基礎的なものはその時点に見合った水準までは行ったかもしらぬ。ところが、最近におけるところの一般経済の伸展、輸送の需要というものに見合ったそういう施設の取りかえ、これは必ずしも今日第二次五カ年計画の中では進展していないと思うのです。そればかりか、いつでも犠牲になるのは、輸送力増強ということだけが先行して、結局安全確保の問題は残念ながらこの第一次、第二次五カ年計画を通じてあまり考慮されなかったのであります。このことは当委員会においてもたびたびわが方から指摘した通りでありますが、何ら反省を今日までしてなかった。ところが今年正月の三河島事故以来の引き続く大事故のために、国民的な要求は爆発的なものが保安対策にかかってきた。政府並びに国鉄も、若干これに対する応急策というか、これは考えておるようでありますが、残念ながら輸送力増強、これが重点にまだある。なるほど輸送力増強は必要でありましょう。これを否定するものは今日何もありません。しかしながら、安全の上に輸送力増強はなされねばならぬはずです。ところがこの輸送力増強は年次計画その他できっちりきまっている。あるいはただいま補正の説明が簡単にございました来年度予算要求にしても、仄聞するところ、輸送力増強には大幅なものが要求されている。ところが安全確保の点については、実際いって、そういういわゆる今までの観念を大まかに修正したようには見受けられていない。そこに問題がある。  そこで私がお尋ねしたいのは、安全輸送ということ、安全確保について政府はいかなる考えと施策をお持ちなのか、お持ちでないとするならば、早急に、来年度予算要求ともからめてその大綱を示し、予算の中にもその重点施策の一つとして十分取り上げるべきだと思うのですが、そういう考えについてはどうなんです。
  66. 大石武一

    ○大石政府委員 お答えいたします。  今までの国鉄のあり方、あるいは予算に対するものの考え方につきましては、全く久保委員の仰せの通りでございます。戦後の荒廃から今日の経済復興まで持ってくるためには、いろいろの条件が必要でございましたが、当然輸送力ということもその一つの大きな要件でございます。ところが残念ながら、御承知のように、前にも申し上げましたように、また久保委員もしょっちゅう仰せられますように、日本の公共事業というものは、日本産業の伸展に伴っていけないほど貧弱でございます。これは確かに今までの行政の手落ちと申しましょうか、とにかく道路にしても鉄道にしてもあるいは港湾にしても、すべての点において公共事業というのは、非常におくれ、これが日本の経済発展の一つの大きなじゃまになっていることは、申し上げるまでもないところでございます。そういうわけで、何とかしてこのわれわれの担任の方の輸送力の増強をして、できるだけ産業の伸展に追いついていきたい、むしろ産業伸展の原動力になりたいと願っておるわけでございます。そのようなわけで、今までの国鉄の第一次五カ年計画あるいは第二次の五カ年計画につきましては、確かに久保委員の仰せの通り、輸送力増強ということに重点が置かれてあったと思います。ところがこの日本のような単線の多い区間におきまして、日本ほど運転回数の多い、輸送力の能率を上げておるところはおそらくないと思うのでございます。それだけにやはり無理があると思います。そこでその無理の一つがやはり三河島事件とか南武鉄道とかのいろいろなあのような大事件にまで発展して参ったのだと考えるのでございます。この安全確保につきましては、もちろん十分な意を用いまして、いやしくも事人命に関する問題でございますから、当然十分な対策を講ずべきでございましたが、つい、今までの公共事業のおくれを取り戻すという点にのみ追われまして、輸送力増強の面に力を置きましたことはまことに残念でございますが、そのような傾向にありましたことはいなめない事実と私は考えております。従いまして、今さら事故が起こってからでははなはだおそいのでございますが、しかし何としても輸送安全の確保ということは大事な問題でございますから、これも輸送力増強に劣らない重点的な事項として取り入れて参らなければならないと考えておるわけでございます。  しかし、御承知のように、この日本の運輸関係につきまして、ことに鉄道関係につきましては、現在どんなに金がありましても実際足りない状況でございます。そういうわけで、皆様の御期待になるような輸送力の増強にしてもあるいは安全性の確保にしましても、必ずしも御期待に沿い得ない状態であることは残念でございます。しかしわれわれとしましても、自分らの良心に従いまして、できる限りの努力はいたしまして、来年度の予算にも、輸送力の増強ばかりではない、安全の確保に十分の窓を用いておるというつもりをいたしております。その予算のこまかいことにつきましては、いずれ鉄監局長より御説明いたしたいと思いますが、われわれは決して安全の確保ということをないがしろにはいたしておりませんので、そのように御了承を願いたいと思うのであります。  ただ、私どもは一ついつでも残念に思いますことは、われわれが幾ら輸送力の増強をいたしまして、鉄道の踏切に安全装置をするあるいは警手を置きましても、やはり全国民がこの輸送力の安全確保ということに協力をしてくれなければ、どうにもならない問題でございます。従って、われわれとしてはわれわれの事務的なできる限りの努力はいたしますが、さらに国民からも輸送力の安全確保ということに十分な認識と協力をいただきたいもの、こう願いましてこのような面の啓発運動をしなければならぬと願っておる次第でございます。  詳しい予算の問題につきましては、鉄監局長から御説明いたしたいと思います。
  67. 岡本悟

    ○岡本政府委員 ただいま日本国有鉄道は、来年度、昭和三十八年度の予算案を政府提出して参っておりまして、目下運輸省、大蔵省におきましてこれを検討いたしております。いずれ近いうちに通常国会が開かれますと、御提案をいたすことになるわけでございますが、その出して参りました原案におきましては、特にただいま御指摘のように、王河島事故以来保安対策の確立が非常に重要性を増して参りましたので、この点についての従来の五カ年計画の考え方を改めまして、金紙的にも倍にいたしております。つまり、最初の五カ年計画におきましては、総額三百二十七億円でございましたが、緊急補正の計画では六百七十四億円に相なっておりまして、三百四十七億円の増額でございます。その内容は、信号保安関係が二百四億円ふえております。これは車内警報装置の整備でございまして、いわゆるS型というものを採用しようというのでございます。それから信号設備の強化であるとか、あるいは安全側線の整備、こういったものにも意を用いようということでございます。またしばしば問題になっております踏切の整備にいたしましても、当初二百億円でありましたものを百億円加えまして三百億円の計画にいたしております。  こういうわけで、この最初の五カ年計画に根本的な再検討を加えまして、保安対策に遺憾ないようにやろうという原案でございますので、政府側といたしましても、極力この計画が実現できますように、来年度予算移行におきまして資金的のめんどうを見たいという決意でございます。特に来年度におきましては、予算の内容から見ますと、この保安対策関係の経費は本年度の倍額、つまり二百二十七億円に相なっております。保安関係におきましても相当急激な充実を見ることができるというふうに確信いたしております。
  68. 久保三郎

    久保委員 私はこまかい話を聞こうと思わないのでありまして、むしろ政府の気がまえというか、そういうものをまず政務次官から——これは、大臣おいでになりますからそのときでいいのでありますが、少なくとも安全輸送という方針を重点に考えられるとするならば、やはり具体的な安全輸送対策なり事故対策、そういうものも確立すべき時期ではないか。これは国鉄ばかりではありません、陸上においてもそうですし、それから先般の京浜運河におけるタンカー衝突事件等も考え合わせれば、やはり安全輸送、事故対策を重点としてこの際考えるべきである。なるたけやりますだけでは話にならないのでありまして、今国鉄に対する国民的要求というのは、輸送力増強もさることながら、安心して乗れる鉄道をということだと思うのです。ところが輸送力増強というのは、お互い国会議員でございますが、地元の輸送力増強については、各市町村とか県とか、そういうものを通して一つの形になって、政府あるいは国鉄等にも現われると思うのです。ところが、安全輸送の確保の要求というものは、そういう系統がありません。最近民間では鉄道事故をなくす会ということで、先般当委員会にも陳情がありましたが、これが唯一のものでありましょう。これはまだ全国的な広がりにならない。これは切実な問題でありながら、そういう世論を吸い上げるルートというものがばらばらになっている。しかし一番強いのだということであります。そういうことを考えると、この際お互いそういう世論を察知して、少なくともこれに安心して乗せられるような輸送対策がとられるべきだと思うのです。将来に向かって安全輸送あるいは事故対策について抜本的な対策を樹立する考えはありますか、いかがですか。単に国鉄の問題は国鉄にまかせておくというのではなしに、あるいは港湾の問題は港湾局にまかせておくというのではなくて、少なくとも政府自体として、この安全輸送対策についてもっと本腰を入れてやるべきだと思う。航空機の問題は、先般全日空の問題がありました。過ぐる三年か四年前にも大きな事故がありました。これは日航でありましたか知りませんが、そのときに内閣には、いわゆる航空安全対策なんとかいうものができまして、一応の答申が出たのでありますが、その答申も一部実施されたが、あとは日を過ぎるに従って答申そのものも完全に守っておらないという実態だと思う。内閣には交通閣僚懇談会というものもあるそうです。これは輸送力増強が重点ではなかろうかと思う。そうではなくて、輸送の重点をやはり安全輸送ということに焦点を向けた総合的な対策を今日立てる時期ではないかと思うのですが、いかがですか。
  69. 大石武一

    ○大石政府委員 お答えいたします。  端的に申し上げますと、われわれは列車の事故ができるだけ少ないように、できるだけ人命が損じられないように、安全性の確保を必ずはからなければならぬという決意に立っております。ただし、御承知のように、人間の扱っておりますものでありますから、どんな場合にも事故が絶対ないということは、私はあり得ないと思うのでございます。しかし、できるだけ事故の回数を少なくして、できるだけ大きな事故を小さい事故に食いとめて、しかもできるだけ人命を損しないということに重点を置きたいと心から願っております。そういう意味におきまして、われわれは何とかしてこの安全性の確保ということに全力をあげて働きたいということは、久保委員から申されるまでもなく、そういう決意でおります。ただし、この安全性の確保ということは、単なる——そう言っては失礼でございますけれども、交通閣僚懇談会とかあるいは何とかいうところだけで議論しただけではどうにもならないと思うのでございます。これは純粋な技術的な問題が大きいと思います。ことに交通の安全ということは、輸送のすべての方面を総合しまして、その結果、初めて輸送の安全というものが行なわれると思うのでございます。輸送力増強ということも、これは単に産業の伸展に伴うものとか、産業を発展させるだけのものではなくて、輸送力増強の設備が行なわれて初めて列車の運転にも無理が少なくなって、事故の発生も少なくなるという考えに立っておるわけでございまして、そういう意味におきまして、輸送力の増強とかあるいは改良工事ということも安全性確保の一つの大きな土台であると考えておるわけでありまして、そういうわけで、このようなものを全部技術的に総合しまして、それには一つは予算を取ることが大きな問題でございますから、予算も十分取りたい、取ることに努力をいたします。  もう一つは、ここで申していいかどうかわかりませんけれども、やはり国民の協力が必要であると思うのでございます。列車自体の事故につきましては、国鉄なり運輸省責任を負わなければなりません。しかし、列車以外の事故というものが非常に大きな惨事を引き起こしております。これは御承知のように踏切におけるいろいろな無理が起こす交通事故でございます。こういうものは、もちろんすべてそういう事故が起こらないようにあらゆる努力はいたしますけれども、その設備が完成いたしますには、まずある程度の年月が必要でございます。その間はどうしたらいいか。やはり、国民が踏切というものに対して自覚を持って、これを尊重するという立場に立ってもらいたいということをわれわれは熱望して、国民にこれを訴えたいのであります。また、私もかつては、運輸関係に入っておりませんときには、地元の要望を入れまして、あそこのところに踏切をつくってくれとか、ここのところに二メートル幅の車を通させてくれとか、いろいろ陳情したことを自分で記憶いたしております。これはやはり列車の安全性確保のために無理な要求であると思います。あるいは二メートル幅の車を通さないで、狭くても、りっぱな踏切の安全設備のあるところには車を通すようにする、なるたけ無理なことは通さないようにして、国民の生活にある程度の不便は与えますけれども、そういうものはできるだけがまんをしてもらって、やはり単に国民の利便だけではなくて、輸送の安全ということも考えて、その点は少し無理でありますけれども、ある程度国民に協力してもらいたいと願っております。  もう一つは、いくら踏切番がおりましても、踏切番の言うことを聞かないで、自動車が突進すればこれはどうにもなりません。しかもそれらの事故が起こっております。こういうわけで、踏切番のある場合には、踏切番にどのような権限を与えるかどうかということにつきましても、十分に考慮いたしまして、国民のすべての協力において——もちろん国鉄、運輸省自体の決意というものが最も大事でございますが、両々相待って交通の安全性を確保したいという願いでありまして、その決意だけは久保委員の仰せられるよう十分努力いたす決心でございます。
  70. 久保三郎

    久保委員 政務次官からいろいろお話がありましたが、国民の協力を得るということも必要でしょう。しかし、協力を得る前に、自分たちの手でできることは全部やるというのが私ども責任だとわれわれは考えております。決して皮肉ではございませんで、そういうふうに考えるのが筋かと思うのであります。なるほどいろいろな問題がありますが、少なくとも、私が申し上げてお答えをいただきたいのは、抜本的なそういう安全輸送を重点にした交通対策というか、政策というか、そういうものを確立する時期じゃないか。今までの、たとえば所得倍増にからむところの輸送力の交通体系の問題にしても、御研究なさっておる重点は、輸送力増強だけの話でありまして、これはよその会社が大きくなったから、これでは物が運べないからどこに線路をつけようとか、人間が多くなったからどうしようとかいうだけなのであります。それも必要でしょう。私はその点について意見がございますが、本日の問題とは違いますから申し上げませんけれども、しかしあなたのおっしゃる輸送力をつけることが安全性の確保になるのだという話は、それはごく一部でありまして、全部ではないと思います。誤解のないようにお願いしたい。というのは、今日輸送力を増強すれば、たとえば都市交通一つを見ても、このままの体系でおって、たとえば地下鉄をたくさんつくる、あるいはその他の高速鉄道、道路をつくるという場合に、はたしてそれで交通事故がなくなって、交通難が緩和されるかというと、そうではなくて、広げれば、 スムーズに行くようになればなるほど殺到してくる、こういう事態をどう考えるかという問題も含めて、この際抜本的な対策を立てるべきだということなんです。これはどうなんです。御研究になっておるのかどうか。私は別に閣僚懇談会でやれというのではなく、そういうことも必要でありますが、すべては輸送力増強ということでいっておる。港湾の問題にしてもそうであります。先般も御質問申し上げましたが、京浜運河一つの規制もできかねておる。なぜ運輸省自体ができかねるかというと、片方にはいわゆる船の方の御心配をなさる係官、片方は航行の安全を心配する係官があって、利害相反するような形で何かやておるわけです。これでは国民の信託にこたえる道ではないと思う。多少今日の経済のゆがみはそういう輸送のところに来ているから、その輸送のところで背負い切れないものは背負い切れないと、はっきりした態度をとるべきだと思うのです。そうでない限りは、これはほかの産業に追随した形であって、いつまでも主導権は取れない。主導権を取って対等の立場で輸送の維持がなされなければならないのに、それがちっともやってない。そういうところに私は問題があると思う。東海道新幹線も、なるほど膨大な投資をしておる。東海道の今日の輸送の行き詰まりという考えもわかりますから、当然これも早期完成が必要だと思うのです。まるっきり否定しませんが、しかしながら今日の実態はそれだけではないということであります。それでありますから、私は運輸大臣が来てからまた再び御答弁いただきますが、少なくともそういう安全輸送を確保するために、今日の時点においてどうあるべきかということも考えて、まず政策を確立していただきたい、こう思うのであります。  それと関連して今度はまた国鉄の問題でありますが、国鉄の経常実態は、御案内の通り昭和二十四年かに公共企業体に移行し、公共企業体になればもっと国民の要望にこたえ得られるだろうというのが、国民大衆の一つの期待でありました。そこに働く職員もそういう期待を持っておった。ところが残念ながらそういう期待ははっきり裏切られたということです。しかも先ほども申し上げたように、今日、今まで国鉄に強要されたものが、いわゆる荒廃した、戦災を受けたままの姿でこの輸送の需要に応じなければならぬ、そのためには輸送力増強であるということで、今日やっている重点は輸送力増強。そしてそのワクは御承知の通り独立採算制というたががはまっておる。この中でやるのでありますから、当然そこで犠牲になるのは、今日だれが見ても当然のごとく、安全輸送というのはないがしろにしたわけではないでしょうが、少なくとも置き忘れざるを得ないというはめになった。これはいわゆる一つの国鉄の経営の矛盾であります。最近まで相当いろいろな経営合理化の問題をやっておりますが、たとえばある管理所の話を聞きますと、ガラス一枚破れても、この修繕を管理所方式によって締めつけていくために、この寒風が吹くさなかでもこれが取りかえられない。そこで結局何がしかのポケット・マネーを出して、自分でそのガラスをはめかえなければならぬ、大へんみみっちい話でありますが、これが実態であります。それが全部とは言えないが、これが代表するものではなかろうかと私は思うのです。そういう経営方針を改めない限りは、そういう問題は解消されないだろうと思うのです。  そこで私が聞きたいのは、そういう経営政策を改めさせるという指導を今日までやっているのかどうか。運輸省自体は、政府自体は少なくともそういう経営方針を今日まで強要した格好になるが、その反省を今日しているかどうかという問題を私は開きたい。いかがですか。
  71. 大石武一

    ○大石政府委員 お答えいたします。国鉄が公社になりましてから新しい発展を期待したわけでございます。私はこのわれわれの期待に対して一部はこたえておると思います。しかしながらやはり一部は反した面もあると思うのであります。従いまして、どういう点が一体公社になって悪いのか、それではどうしたらばそれを是正できるだろうかということを久保委員のおっしゃる通りに十分に反省をして、これを正しい方面に是正させることが一番大事でございますし、今までそのような努力をしてきたと考えております。これからもわれわれはさらに国民の御期待に沿うように十分に反省をいたしまして、公社としての悪い点をできるだけ直す、これを十分に検討して反省させるということに働いて参りたいと願っております。
  72. 久保三郎

    久保委員 私の言う通り、反省の上に立って要望にこたえるということですから、それ以上の何ものもございませんが、ただ言葉の上だけではこれは立証されませんので、少なくとも来年度の予算要求というか編成を出発点として、姿を変えた国鉄にしてもらわなければ国民は承知しないと思う。実際に言って、運賃値上げの際にもそういう抵抗があったわけです。輸送力増強もさることながら、少なくとも安全性を確保してもらいたい。通勤輸送にしてもそうなんです。そういうことが今日まで、三河島事故以来非常に裏切られている。しかも今日ほうはいとして内部的な矛盾が露呈したのは何かというと、たとえば機関士、運転士、こういう者は、事故を起こせば少なくとも自分が一身に責任を負わなければならぬ。これは今日の仕組みでは当然であります。ところが今までいろいろな安全運転についての、要求も実際しているわけですが、全然満たされない。たとえば車内警報器一つをとっても、参宮線事故の反省に立って車内警報器をつけることになった。ところがまだ一割程度以下しかついていない。しかも今度あわててこれを見直さざるを得ないというような、そういうところに追い込んだのは、一つには政府責任もあると思う。これは御反省いただきたいと思います。そういうこともありますから、今後の国鉄の経営政策というか経営方針というか、そういうものの御指導はやはり安全重点ということでございましょうね、そうですね、いかがですか。
  73. 大石武一

    ○大石政府委員 おっしゃる通りであります。
  74. 久保三郎

    久保委員 そこで今日、来年度の予算要求をしているようでございますが、大体これは大蔵省は総体的にのむ様子がありますか、いかがですか。
  75. 大石武一

    ○大石政府委員 ただいま大蔵省とは事務的に折衝いたしております。いずれわれわれが——というとおかしいですが、本格的に折衝する時期が近づいておりますので、その前に今までの事務的に折衝した経過を鉄監局長から御説明いたします。
  76. 岡本悟

    ○岡本政府委員 もうすでに御承知と思いますが、三十八年度に提案いたしたいと考えております国鉄の原案は、工事計画におきまして二千九百十六億円の計画であります。この計画で参りますと、まず資金計画におきまして、昭和三十七年度に財政投融資の額は八百億円でございますけれども、これを倍以上にいたしませんとこの資金が確保できないのでございます。一千六百三十八億円を必要とするというふうにいたして参るわけであります。この財政投融資の額を倍額にするというのは、大体この財政投融資のワクそのもののふえ方というものが、御承知の通り、毎年度一五%ないし二〇%程度でございますので、その割合から申しますと、とてもこれだけの膨大な額は望めそうにもないというのがまあ正直なところであろうかと思いますけれども、しかしながらこの額が確保されませんと、ただいま御指摘のような保安対策の経費も、あるいはかねて国民に公約申し上げました五カ年計画も達成できないわけでございまして、いわばぎりぎり一ぱいのところに追い詰められておるわけでございます。そこで運輸省といたしましても、どうしてもこの計画は達成させたいということの前提で、ただいま政務次官が申し上げましたように、全力をあげて事務折衝をいたしておるわけでございます。政府全体といたしましても、公共投資のおくれということは非常に自覚しておりまして、特に来年度の予算案におきましては、その公共投資のおくれの是正ということを一つの大きな重点施策として考えておるようでございますので、国鉄の予算につきましても、きわめて理解ある関係方面の協力が得られるものとわれわれは期待しておりますが、目下のところでは、具体的にこれはこう、あれはこうというふうに申し上げる段階に至っておりません。
  77. 久保三郎

    久保委員 具体的にきちんとしたわけではないでしょうから、それはそうだと思いますが、そこで、例年というか、今までの国鉄の——国鉄が悪いか政府が悪いかわかりませんが、国鉄の出す五カ年計画というものは、修正のない五カ年計画というのはない。第一次もその通り、第二次もその通りであります。いつも何かひねた形で五カ年計画を立てる。必要限度のものも犠牲にして、さしあたりのものをやっています。こういうところに追い詰められてくるから、今度はにっちもさっちもいかぬという事態が一年かそこらで来るわけですね。今度の新しい五カ年計画もその通りなんです。三十六年から始まって、ことしまだ二年目です。二年足らずのうちに、東海道新幹線の問題も、先ほど御説明のように、補正を組まざるを得ない。見通しがきかないのだろうか。あるいは見通しはきいても小幅にやっているのだろうか。どうも五カ年計画というのはペーパー・プランであって、途中でどうせ改定するのだというのが常識になっている。これでは国民大衆は納得しないと思う。  そこで、これは国鉄にお尋ねした方がいいと思うのですが、今、政府そのものに提案しているようでありますが、五カ年計画の修正、いわゆる追加、こういうものは、そういう再修正などは考えられないほどのものであるかどうか、大体最大限のものを出したのだろうか、それとも極力切り詰めたものを出したのか、どうなんですか。
  78. 十河信二

    ○十河説明員 私どもとしてはできるだけ多くの資金を得て、皆さんの御満足のいくようにいたしたい、こう考えまして、過去におきましても、私、就任以来、工事費が五百億であったものを、第一次五カ年計画で千億に増してもらいました。それを五カ年たたないうちに、四カ年たったときに改定いたしまして、さらに千億を倍額にして二千億にしてもらったのであります。そういうふうにいたしましたが、経済の実際の成長はわれわれの予想以上に急激に発展いたしました。幾らかゆとりができると思っておったのが、ゆとりができるどころでなく、全く弾力性のないような状態になって、それで今度また、さっき鉄監局長お答えいたしましたような増額をお願いすることに相なったのであります。これは先ほど鉄監局長からお話がありましたように、これができなければ非常に困るというぎりぎりのところをお願いいたしておる次第であります。ぜひともこれを通していただきたい、皆さんの御支援を得て、御承認を得られるようにしていただきたいと願っておる次第であります。
  79. 久保三郎

    久保委員 政務次官にお尋ねしますが、今の国鉄総裁の御答弁は、ぎりぎり決着で、びた一文これではまからぬということですが、そうなりますと、余裕のある予算要求ではないように思うのでありますが、与党の関係も、これは大へんな力になると思うのです。今までの与党との折衝もあなたがなされていると思うが、与党の中でも御注文その点はどういうことになっていますか。今の国鉄総裁の言明をそのまま受け取られて、与党も同意見でありますか、どうなんですか。われわれは野党ですから……。
  80. 大石武一

    ○大石政府委員 お答えいたします。総裁の言うこと、少しぼやぼや聞いておりましたので、申しわけありませんが、五カ年計画の問題でございましょうか。——五カ年計画は、総裁の言葉がどうか知りませんが、三十八年度は、今国鉄で要求している線でこれを確保したい、こういう決意でございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 五カ年計画の修正は……。
  82. 大石武一

    ○大石政府委員 五カ年計画は、私はほかの国は知りませんが、今まで日本で、どの方面におきましても、いわゆる五カ年計画とか三カ年計画が実行されていますが、一つでもその通り満足に、その予算内で行なわれたものはないと思うのであります。私は、これは勝手な言い分でございますが、五カ年計画とか七カ年計画という計画を立てるのはけっこうでございますが、そのために何千何百何十何億何千何百何十何万というような計算をすることは間違いだと思います。すべて世の中の物価その他経済事情が変わって参りますから、その現時点できめました単価なり金額というものが、そのまま五カ年後まで通用するとは考えられません。だから必ず改定問題が起こってくると思うのであります。世の中の情勢も変わって参ります。従って、第一、五カ年計画をその通り遂行するとまともに考えて立てたというのは、おかしいと思うのであります。五カ年の間にこのようなことをやるんだ、この方向に進むんだ、そのためには大体このくらいの金が要るんじゃないかということが、むしろ、五カ年計画の骨子じゃなかろうかと思うのであります。そういう意味で、あまりこまかいことにこだわらないで、五カ年以内にどのような事業を完成するのか、どのような将来の姿をつくるのかということが一番中心であって、このためにはこのくらいの予算が必要じゃなかろうかという目安だと私は考えております。従いまして、その事業を完成することに全力を入れた次第でございまして、そのためにある程度の予算がふえるということにつきましては、あまりやかましく言わないで、確保することに努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  83. 久保三郎

    久保委員 政務次官はやはり大物だから、あまりこまかい数字までとやかくせんさくする必要はないと思う。あなたがおっしゃる通り、要求された事業を約束した期間に完成するということだと思うのです。その通りだと思う。それはそれでいいと思うのですが、ただ問題は、五カ年計画の中には、新しいものといえば、これは何といっても保安対策が重点だと思う。これを確保できるかどうかが一つの問題点。さらにこれが妥当であるかどうかがやはり問題点です。その辺の御検討は、鉄監局を中心にしてやったかどうか、いかがですか、鉄監局長でもいいです。
  84. 岡本悟

    ○岡本政府委員 昭和三十八年度以降の五カ年計画の改定におきましての重点は、やはり経済成長の伸びが非常に著しいために、当初立てました輸送量の伸びの推定ではとても間に合わないということで、その面からの補正ということが第一点でございます。それから第二点は、今御指摘の保安対策の強化を飛躍的にやろうということが第二点になっております。  そこで、今詳細に検討いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、これを緊急補正いたしまして、五カ年計画では緊急安保対策関係の経費は倍額以上にいたしております。また来年度の予算におきましても倍額を要求いたしておりますので、大体この程度で妥当ではないかというふうに目下のところでは見ておるわけでございます。もちろんこの妥当であるかどうかにつきましては、いろいろ論議はあると思います。たとえば要員関係にいたしましても、人をたくさん雇いましてうんと勤務時間を短くすれば、それだけ勤務は楽になって、事故の発生率が低くなるということは、きわめて常識的には考えられますけれども、やはり事業でございまして、しかも資金の非常に苦しい状態におきまして、いかに重点的に考えていくかということはきわめてむずかしい問題でございますので、そこらあたりも勘案いたしまして、目下の計画が妥当であろうと考えておるのでございます。  今、久保先生のおっしゃいますことは、一体その予算が妥当であるかどうかということについて十分検討したかどうかということで、特に最近動力車労働組合がいろいろ立てております計画を頭に置いて御質問相なっておるのではないかと思うのでありますが、各項目別に見ますと、大体私は三河島事件にかんがみまして、国有鉄道の監査委員会大臣が特別の監査命令を下しました結論に従って、その対策を打ち出しておるものと見ておるのでございまして、いろいろ意見はあろうと思いますけれども、踏切関係におきましても、百億円の増額をしておりますし、あるいは特にやかましく指摘されました信号保安対策にいたしましても、車内警報装置を全運用車両について極力早期に取りつけていくという計画でございますし、あるいはしばしば指摘されております信号機の位置が不良であるというふうなものについても、あるいはまた安全側線等についても、これを改良していくということについて意を用いまして、予算を計上しておるようでございますので、大体項目的にはおおむね満足すべきではないかというふうに考えております。ただ問題は、やはり金額が妥当であるかどうかであろうと思いますが、その点につきましては、少なくとも倍額にしておるという点におきまして、まずまず国民の御要求にこたえ得るということが言えるのではないかと目下のところでは考えております。
  85. 久保三郎

    久保委員 そこで国鉄にお伺いするのでありますが、先般政府並びに国鉄にもわれわれの方から安全運転について申し入れの、要請をしたわけです。今、鉄監局長から、これに対する一部の回答があったようでありますが、国鉄当局として、わが方の要求というか申し入れに対してどういう考えでおられるか、特にこの保安対策についてどういう考えでおられるか、総裁から一つ御説明をいただきたい。
  86. 十河信二

    ○十河説明員 たびたびお話がありまして、また私からお答え申し上げましたように、保安対策はわれわれとしても第一に優先して考えております。先ほど鉄監局長からもお答えいたしましたが、ほかの事故はそうふえません場合でも、踏切事故は相当にふえておりまして、私の方の組織の中にも、特に専門に踏切の保安を確実にするようにということで、組織を設けております。踏切警報機を設けるとか、あるいは自動遮断機を敷設するとかいうようなことをいたします。さらに抜本的には、立体交差にして、踏切を全然なくすというようなことも関係方面と相談をいたしまして、でき狩る限り急速に安全の確保のできるように努力いたす覚悟でおります。また車内警報器につきましても、先ほどもお話のありましたように、今までもいろいろやっておりましたが、今までの車内警報器をさらに技術的に改善いたしまして、そうして列車の自動停止装置の設置のできるようなものにいたしまして、それを車両運用の範囲内でできるだけ急速に整備して参りたい、こういうふうに考えております。安全側線も改良し、また信号の設備の強化、あるいは信号の設置場所が不適当なところはこれを取りかえるというようなこともいたしております。また用員対策におきましても、労働時間の短縮につきまては、公労委の調停案の趣旨に沿いまして、逐次作業を進めて参っておるような次第であります。そのほか、従事員の休養が足りないということが事故の原因になる場合も往々にあるような次第でありますから、休養室とか宿泊所等も改善をし、また拡張をするというふうなことを進めていく考えでおります。
  87. 久保三郎

    久保委員 総裁もこれは大物ですから、なかなか言葉の上でだけはみんなやるようです。みんなやるのはいいとして、差し迫った問題として、われわれは来年度予算編成とからんで、もう少し具体的にどういうふうにするのだということをお示しいただかぬと、話にならぬと思うのです。  そこで逐次お尋ねしますが、たとえば踏切の問題一つとりましても、来年度どの程度やるつもりなのか。もちろん今全体の踏切を全部来年度一ぱいで改良するわけには参らぬと思うが、そのうちの大半やるのか。あるいは立体交差は、これは建設省やその他の関係がございますので、そういうものを計画しても、すぐ直ちにできるわけではないです。しかし、少なくともことしに比べてどの程度やるのか。しかも緊急差し迫った踏切道については、いつまでにこれは完了しようとするのか、どうなのかという点。さらには、列車運転関係の従業員が一番気にしております当面の問題として、車内警報器の装置にしても、大半がまだ使っておらぬというのだから、それをどういうふうにやるつもりなのか。来年度全部仕上げることができるのかどうか、仕上げるつもりなのかどうなのか。さらには安全側線の問題も、三河島事故でもう経験した通りなんだから、こういうものも来年度一ぱいでできるのかできないのか。あるいは信号機の問題も、不良個所がたくさんあるが、そういうものも来年度この予算のワク内でできる考えがあるのかどうか。あるいは休養施設についても、今差し迫った休養施設のないところ、あるいはこれを改善すべきところがたくさんあるが、こういうものもどの程度に来年度の予算の中でやるつもりなのか、あるいはやらないつもりなら、あとはどうなるのか、そういう点くらいはまずお示しいただかなければならぬと思う。これはおわかりになりますか。そういう点御説明できますか。国鉄でも政務次官でもいいですよ。
  88. 大石武一

    ○大石政府委員 私からお答えいたします。ただいまいろいろお話がございました踏切対策であるとか、それから運転保安対策であるとか、あるいは信号保安対策あるいは休養施設、そういうものにつきましては、いろいろとわれわれも予算を十分に組みまして、三十七年度は百億でございましたが、これを二百二十七億にいたしまして、お説の通りできるだけ早い期間に完成できますように、来年度は特に倍額以上の予算を組んでいるわけでございますが、その詳しいことにつきましては、私ここに書いてあるものを申し上げるよりは、国鉄から御説明した方がいいと思いますので、そういたします。
  89. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 お許しを得まして私からこまかい数字を申し上げます。ただいま総裁が申し上げました全体の五カ年計画の改定につきましては、既定計画に対しまして三百数十億ふやして、合計六百七十四億で実施することにいたしておりますが、そのうち差し迫りました三十八年度分につきまして簡単に申し上げますと、三十八年度で現在政府にお願いしております予算の中の直接保安関係の費用が百八十三億でございます。そのほかに一般的に停車場改良とか、いろいろ保安対策という項目以外のいろいろな工事計画の中で三百億くらいが、推定でございますが、保安関係に見込まれておる。  一応これは別といたしまして、百八十三億の内容について申し上げますが、その前に五カ年計画に入りました三十六年度と本年度三十八年度におきましては、二カ年間で百三十四億の保安関係の経費を使っております。そういたしますと、ちょうど二カ年間で使った分をさらに五十億くらいふえておりますが、この中には青函連絡船の取りかえが入っておりますので、それを除きますれば、ちょうど二カ年の分を三十八年度一カ年で使うということになっております。そのうち大きく分けまして、保安対策と踏切事故と二つに分けて考えられますが、保安対策はそのうちで百七億、踏切関係が七十七億、合計百八十三億になりますが、その保安関係のうち、先生のお尋ねになりました車内警報器につきましては、全体で三十億でもって、ことしは約二千三百両の車両に取りつけたいということでございまして、一応昭和四十年度までに大きな主要幹線、それから亜幹線全部ということで、——六千七百両くらいの動力車がございますが、この六千七百両の車両を全部一度にやってしまいますと、直接輸送力に影響いたしますので、大体三カ年に分けましてこれをやっていきたいというふうに考えております。そういたしますと、三十八年度末には大体全体の六〇%くらい、それから四十年度末には大体全区間につくような見込みなのでございます。それから安全側線、その他先ほどの車内警報以外の安全側線とかそれから信号保安設備とかいろいろございますが、これは数字が非常に詳しくなりますので省略させていただきますが、全体で七十七億をその他として見込んでおります。それから踏切につきましては、過般来踏切道の改良促進法の御審議の過程にいろいろな貴重な御意見を承りまして、また過般の南武線の事故等の経験にもかんがみまして、徹底的にひとつ四種の無人踏切の整備ということをしなければいけないということに着目いたしまして、今まで三十六、七年度は年間に約五百カ所くらいの整備——整備と申しますのは、第四種踏切に警報機をつけるというようなことでございますが、約五百カ所程度のことしかやりませんでしたが、来年度はそれの約四倍くらい、できれば二千カ所くらいにつきましては警報機をつけるというような方法を講じて参りたいというふうに考えております。これも先ほど先生がおっしゃった通り、全国でまだ約三万六千くらいの無人踏切がございますので、とてもこれを二年、三年のうちに全部整備するということも不可能でございます。従いまして、そのうちで運輸省の御意見も拝聴いたしまして、大体複線区間あるいは電車区間等の非常に交通量の多いところに最重点を置きまして、それから逐次地方に及ぼして参りたい、こういうふうに考えております。ただ全体の三万六千を全部そのまま残すという必要もないと存じます。できれば地元の方とお話し合いいたしまして、先ほど政務次官の申されましたように、車の通らないようにするということなどによりまして、若干三万六千の踏切りも数を減らす。減ったものについては整備していく。こういう方法でもって残った三年間に約三千から四千カ所につきましては、これを三種に改正いたしたい、大体こういうふうに考えております。
  90. 久保三郎

    久保委員 磯崎常務から数字が出たのでありますが、われわれは全体計画もよくわかりません。これではどうも納得のいかない点もありますので、これは後刻またあらためてお聞きしなければいかぬと思います。そこで、大臣はまだ本会議があるようでありますが、いずれにしても具体的な予算要求をしておるのでありますから、しかも緊急の補正措置政府に要求しておるのでありますから、そうだとするならば、大まかな数字だけじゃなくて、もっとこまかい年次計画もあるだろうし、またその中で重点的に三十八年度をやっておるのかどうか、こういう点も後刻あらためてお聞きします。  そこで、政務次官にお尋ねしますが、今、磯崎常務理事あるいは総裁からお話しがありましたが、これは、いわゆる五カ年計画の緊急整備措置というか、そういう中で、五カ年間でおよそ当面の保安対策はできるということで三百四十七億ということになっておるのかどうか。そうだとするならば、それの中には年次計画があるのかないのか、そういうものを立てるようにするのかどうか、その中で三十八年は、先ほど磯崎常務が言ったようなものが出てきておるのかどうか、こまかい数字はいいですが、これはどうなんですか。
  91. 大石武一

    ○大石政府委員 五カ年内におよその保安対策は完成する予定でございます。その年次計画はつくってございます。その予算としては、来年度は約二百億前後でございます。青函連絡船を入れれば二百二十何億になりますが、その一つとして出ておるわけでございまして、総額六百七十四億でできる予定でございますが、先ほど申し上げましたように、その仕事をするための目安でございますから、その仕事をするためにもう少しよけい金がかかるならば、当然それは覚悟しまして、とにかくおよそこの期間内に保安対策を整備する予定でございます。
  92. 久保三郎

    久保委員 そのあとまた国鉄からいろいろ聞きますが、その前に総裁にお伺いしたいのですが、現在事故政策については、労使間というか、国鉄全体の形で、たとえば組合とも事故対策委員会を片方で持っておる。ところが運転に直接従事する職員の組合である動力車労組とは残念ながらそういうふうにはなっていない、こういうふうにわれわれは承知しておるのであります。ついては、なぜ動力車労働組合が事故対策に入り得なかったかということについていかように思っておられますか、われわれが推測するところによれば、どうも労使間の話を今までして参ったけれども、労使間の中で結着がついた話し合いでも、残念ながらその通りの予算をつけて設備改善等をやってくれたためしがない、あるいは事故対策委員会、そういうところへ行くと、いわゆる精神作興面だけの御強調になり、職制の実施、そういうものだけが先行して、ちっとも車内警報器、信号あるいは給与、施設あるいは要員問題、資金の問題、こういうものは、どうも話はあってもさっぱりやってもらえないから、そんなことは無意味だからというので、これは入らぬことにしたというふうに聞いている。そうだとすれば、これはやはり反省しなければならぬ。事故対策委員会というのは、もちろん団体交渉の場ではないでしょう。オープンないろいろな話をやるべきだと思う。そういう意味で、わが党では本委員会でも提唱したことがあるわけです。ところが、一番先頭になって直接運転する諸君がそういう対策委員会から抜けることは、どうしても正常な姿ではないと私は思う。よって、事故対策委員会の問題は別にして、少なくともそういう諸君と話のルールをきめてかかるべきじゃないかと思う。軌道に乗せるべきじゃないかと思う。それには先ほど来私が推測する点の反省が必要ではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  93. 十河信二

    ○十河説明員 安全の対策というものはすべてのものを超越した大切なことだと考えております。安全の問題につきましては、労使のすべての代表者が一党に集まって、ひざ突き合わせてざっくばらんに話し合って、どうすればいいということを言いたいほうだいに言い合って、そうして団体交渉にかけるものは団体交渉できめていくというふうにすべきじゃないか。今お話しのような動力車労組の誤解があるやにも聞いておりますが、それは誤解で、われわれは誠心誠意やるつもりでおりますから、たとい動力車労組が全体の会議から脱退いたしましても、どうか一緒に入ってもらいたいということを私自身も勧めております。また、入らなければ入らなくても、別に動力車の組合と話し合いをする機会を持って、できるだけみなの意見を聞いて、みんなが安全を確保することのできるようにいたしたいと努力いたしておる次第でございます。
  94. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、総裁、あなたの考えとしては、別に事故対策委員会の中でなくても、動力車の組合とはいろいろ保安対策について、事故対策について話し合いをしていこう、こういうことなんですね。
  95. 十河信二

    ○十河説明員 そういうふうに考えて、そういうふうに努力して参っております。
  96. 久保三郎

    久保委員 今はどうなんですか。そういうあなたの御方針通りに、そういう全体的な問題で話し合いは軌道に乗っているのですか。いかがですか。
  97. 十河信二

    ○十河説明員 私はなるべく全体で話し合った方がいいと考えておりますから、全体の話し合いの場に出てもらいたいということを勧めてはおりますが、しかし、出てくれない間も動力車労組の意見を聞きたい、そう考えて、そういうふうにやっております。
  98. 久保三郎

    久保委員 今のお話だとさっきのあれとちょっと違うように受け取れるわけです。大事な点でありますから重ねてお伺いしますが、この際形式にこだわることはないではなかろうかと私たちは思っているわけです。ついては、動力車労組とこの保安対策、事故対策について率直にオープンにお話をなさる方が全体の経営から見てもいいのではなかろうかと私は思うのです。そこで話の進展過程によっては、今おつくりになった事故対策委員会というか、そういうところへ入る機運も出て来はしないか、こう思うのです。てっぺんからお前たちここへ入ってくれ、そう言っても、この組合にはまだ不信感というものがあるようにわれわれには見受けられる。この立証がつき次第そういうところに自動的に入る機運も出てくるでしょう、私の推測ですが。そうだとすれば、この際あまり形にこだわることなく、動力車労組と真剣に話し合いを持ちましょう、こういうことにならなくてはうそだと思うのですが、いかがですか。
  99. 十河信二

    ○十河説明員 私は、そういうふうに全体で話し合うことがよいと思いますが、それができないまでも、動力単労組と話し合いを進めて、そうしてそういうふうな全体の会議に出てくれるように持っていきたい、そういうふうに考えて現在話し合いを進めておるところであります。
  100. 久保三郎

    久保委員 担当は河村常務だと思うから、河村常務にこまかいその先のことをお尋ねするほかないのですが、私の意見は、先ほど総裁に申し上げた通りであります。少なくとも当面する動力車のかまえ、こういう問題もはっきり日程に上っているわけです。そこで私が申し上げたいのは、総裁の考えは、多少ニュアンスは違うかもしれないが、私の考えと大体同じであろうと思うのです。そこで、この話を軌道に乗せて、動力車労組と保安対策の問題について話し合いを進める御用意はありますか。
  101. 河村勝

    ○河村説明員 動力車労組が事故防止委員会から脱退しました後、話し合いの場をどういうふうにして持つかということにつきまして多少話に食い違いがございまして、若干のトラブルがございました。しかし、現在ではそういう問題はございませんで、現に明日も国労その他の組合と事故防止委員会を持つことにしております。それと別の場を設けまして、そこで動力車労組に対して保安設備の問題等について話し合いを行なう、そういう予定になっております。
  102. 久保三郎

    久保委員 それではこれから恒常的にこの問題について話し合いをする、こういうことで了解してよろしゅうございますか。
  103. 河村勝

    ○河村説明員 そういうことであります。
  104. 久保三郎

    久保委員 問題は、そういうふうに軌道に乗るとするならば、少なくとも中身について、先ほど私が言ったことが当たっているか当たっていないかは別にして、そういう不信感があるということは事実だと思うのです。ついては、おそらく来年度予算その他にも関連しましょう。しかし、こまかい点でありますから、そういう細部にわたっての話し合いもあなたの方でしてもらわなくてはいけない。しかもその反省の上に立ってでありますから、具体的に取りきめられたものを確実にあなたの方で責任を持っておやりになるということでなくてはいかぬと思うのですが、その点はいかがですか。
  105. 河村勝

    ○河村説明員 従来も、労使間で取りきめましたことを実行しないでそのままにしたということはございませんで、今後ともそういうようなことは決してやらない考えであります。
  106. 久保三郎

    久保委員 今までは、国鉄の立場からいっても、全体の予算の中で保安対策費というものは微々たるものであって、おざなりと言うと大へん語弊がありますが、三河島の事故以来、これは大へんだということにお気がつきになりまして、今日来年度の要求も幾らか増していく、こういうことであろうと思うのです。今までは、話し合いの中でも、たとえば車内警報器ももっと促進して早くつけてくれという要求があって、もっともだと言いながら、実際はできなかったんじゃないかと思う。今度はそういうことはないと思う。話し合いがついたものはやらぬことはないと言うが、今までは話し合いがつかないことそのものに問題があったわけですね。今度は、先ほど総裁あるいは磯崎常務から御発表になったその緊急整備、そういうものの中でいくならば、今までのほんとうにまじめな要求が受け入れられる態勢にある、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  107. 河村勝

    ○河村説明員 けっこうでございます。
  108. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、この問題はただ単にここで口頭で大ざっぱなお話をしただけで片づく問題ではないと思う。先ほど来国鉄当局が御発表になったのはその片鱗でありまして、全体としてこれが妥当なるものなりやいなや、ほんとうにまじめに保安対策を考えて五カ年計画が修正になったかどうかは、われわれは後刻確かめなければいかぬ。私は一応確かめてからまた問題を出したいと思う。  いずれにしても、運輸大臣まだ来ませんし、井岡さんから関連質問があるそうでありますから、私は一応中断して、これまでにしておきます。
  109. 木村俊夫

  110. 井岡大治

    井岡委員 先ほどの久保委員のお話を聞いておって、私は二つの感じを受けたわけです。一つは、従来総裁は、当面する問題は輸送に重点を置かなければならないのだ、こういうことをしばしば言われ、しかもその立場から第一次五カ年計画あるいは昭和三十六年度に新五カ年計画をお立てになったと思うのです。ところが、そういう意味から申し上げますと、国鉄の使命というものは輸送増強にある、こういうようにわれわれが理解をしておった。間違いかもわかりません。そこでわれわれは常に、その輸送増強に伴うものは保安ということが大事ではないだろうか、こういうように主張してきたわけですが、この点は、そうではあるけれども、やはり輸送増強ということが至上命令だ、こういうように御答弁をされてきたように私は承知をしておるわけです。ところがきょうの御答弁の中では、保安対策は一番重点だ、こういうように言われたわけですが、今まで保安というものがなおざりにされておった——なおざりといえば若干酷な言い方ではあるけれども、第二義的に考えられておったというようにわれわれが理解をしても、決して私は理解の間違いじゃない、こういうように思うのですが、この点は単にここだけの答弁でなくて、国鉄の使命というものは輸送であると同時に保安だ、こういうように理解していいのかどうか、この点をもう一度はっきり伺っておきたい。
  111. 十河信二

    ○十河説明員 申すまでもなく、国鉄の使命は、安全確実に輸送をすることが国鉄の使命であります。先ほど政務次官からお話のありましたように、輸送にあまり無理がありますと、これが安全輸送に障害と相なります。経済の発展を阻害するのみならず、安全輸送にも障害を及ぼします。そのゆえに安全輸送を考えると同時に、輸送力増強ということもこれまた一本のわれわれの当面する重大問題である。そのゆえにこのことにも大いに力を入れてやって参ったつもりでございます。
  112. 井岡大治

    井岡委員 私は、総裁の、安全で確実に、この言葉を私はこれで三べん目に聞くわけです。第一回目は、たしか参宮線の事故があったときに、総裁は声を大にしてそのことを言われたわけです。そして第二回目は三河鳥事件のときに同じことを言われたわけです。きょうの話でもう一度このことを声を大にして言われたわけです。そうすると、参宮線の事故から三河島事件の間における安全対策というものがどのように位置づけられておったかというと、私は必ずしも万全ではなかったのではないかと思うのです。たとえば保安対策にお使いになる費用というものは、来年度はことしの倍額だ、こういうように言われるわけです。このことは、三河島事件が起こらなかったならば、おそらく倍額になったかどうかということについて、私たちは参宮線事件以来、そのあとを振り返ってみると、考えられるのではないだろうか、こう思うわけです。従って三べん目に安全で確実にと、こういうことですから、このように私たちは理解していいのかどうか、もう一度お伺いしておきます。
  113. 十河信二

    ○十河説明員 その通り理解していただいてけっこうだと思います。私は三べんでなく、絶えず安全に確実にということを言っている。輸送力がだんだんふえ、列車回数がふえ、また自動車がふえて踏切の障害がふえていくというと、それらの防護施設を強化していくということが必要になって参るので、そういう点において、先ほど政務次官からお話がありましたように、われわれのやったことは万全でなかったということは言えるかと思いますが、われわれはでき得る限り安全確実に輸送するということに努力しておるつもりであります。
  114. 井岡大治

    井岡委員 常に言ておるというけれども、常に言うのは幾らでも言っていいのです。しかしあなたが声を大にして言うのは、私は今まで聞いたのはこれだけだ、こう言うのです。  そこで形を変えてお伺いしますが、三河島事件の損害は何ぼくらいですか。概算でけっこうです。
  115. 山田明吉

    山田説明員 通常考えられます直接的損害、それに弔慰金額を合わせますと約十五億円くらいになります。
  116. 井岡大治

    井岡委員 約十五億ということですが、昨年のいわゆる保安対策に使われた費用はたしか七十億、こういうことだったですね。あの事故一つ起こっただけで十五億金がかかるわけです。しかも山陽線とかこういう事故が昨年から本年にかけて幾ら起こったか、概算で大体何ぼくらいになりますか、大きな事故だけでけっこうです。
  117. 山田明吉

    山田説明員 今ちょっと手元に資料がございませんので、あとから調べてお答えいたしたいと思います。
  118. 井岡大治

    井岡委員 全体の数字を合わせますと、おそらく保安対策にお使いになった七十億をこえておるだろうと思う。従って私が声を大にしてと言ったのはそこなんです。これらをもし未然に防ぐことができたとしたならば、かなり保安対策のいわゆる冗費というものが節約されたことになるのではないか。同時に、それだけでなしに、国鉄に対する国民感情というものがもっともっといい結果をもたらしておるだろうと思う。こういう点から考えあわせますと、先ほど鉄監局長並びに磯崎常務から概算の御説明がありましたけれども、必ずしもこれで満足すべきものではない。単に昨年よりは倍になったというだけであって、十分なる保安対策に対する重点が指向された、方向づけられたということにならないのではないかと思う。仄聞するところによると、田中大蔵大臣は、僕は新幹線よりはもっともっとやはり人間を大事にしてもらうところに金を使ってもらいたい、こういうことをお漏らしになったやに私たちは聞いておるわけです。そこが今日までの国鉄の経営方針と申しますか、事業方針と申しますか、若干の欠陥を端的にえぐり出している言葉ではなかろうかと私は思うわけです。こういう点から考え合わせますならば、総裁は、私は何べんも言っているんだということでなくて、何べんも言うよりは、一ぺん言われたらそれを実行するということでなければならぬと私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  119. 十河信二

    ○十河説明員 安全の確保には私全力をあげて努力しておるつもりであります。しかし先ほど来局長からもお答えがありましたように、われわれは事故を絶無にしたいということで努力しておりますけれども、なかなかこれを絶無にすることは困難であります。できるだけ事故を少なくし、なるべく大きな被害を起こさないようにということで、大きい被害を起こしそうなところから重点的に施設を増強していくというふうなことに努力をいたしております。東海道新幹線のごときも、東海道は御承知のように非常に込んでおりまして、列車回数が非常にふえております。ダイヤが網の目のようになっておって、修繕も実は十分にできかねるというふうな危険な状態にあります。それゆえに、これを急いで改善していこうということで努力しておる次第でありまして、決して安全をおろそかにして輸送力増強ばかりやっておるという次第ではないのでございますから、さよう御了承願いたいと存じます。
  120. 井岡大治

    井岡委員 一つの例を申し上げますと、私はこの間静岡に行って調べて参りました。あすこの仮泊所というのは駅からおりて二キロか三キロあるのです。こういうことでほんとうに休まれるだろうか。仮泊所だから睡眠をしておったらいいんだ、いわゆる仮眠をしたらいいんだ、うたた寝をしたらいいんだ、こういう考え方は私は間違いだと思う。総裁は御存じないかもわかりませんが、河村常務理事はよく御存じだと思います。いわゆる運転者の適性検査をやる場合、クレプリンの検査をやりますね。あれは乗務しない場合における検査と乗務後における検査、いわゆる休養後における検査と就業後における検査とでは大きな開きを持っておる。それが二キロも三キロも離れたところに行かなければ休養ができない。私はこの間静岡に行って調べてきたのですが、全くこれはうたた寝の施設だなと思った。これは単に静岡だけでなく、あらゆるところにそういうところがあります。これは私よりもよく御存じだろうと思うのです。たまたま私はあそこへ行ったからそれを調べただけなんです。従って、できるだけ休養というものをとらしてやるということが、いかに安全に対する大きななにだということがわかると思うのです。これはクレプリンをおやりになっているんですから、一番よくわかるでしょう。そういう点等を考えれば、総裁は言うだけでほんとうにおやりになろうということが、今までやはり建設のために、少し第二義的に考えられておったのではなかろうか、こう私たちがひがんだ解釈をしても私は当たっておると思うのです。従って先ほど申し上げたように、一つの事故、それから来る損害等々考え合わせて、事故対策費というもの、あるいは保安対策費というものがどのくらいのウエートを占めたらいいのだ、こういう点をもっともっと考えらるべきではないだろうかと考えるわけです。これは一つ総裁、率直にお話をいただきたいと思う。単にここだけのやりとりでなくて——私たちは、言ってしまえばそれまでなんですが、ほんとうに事故にあった人、あるいは事故を惹起し得る条件の人、こういう人たちはこの点について非常に心配するのは無理からぬことだ、こう思うのですが、この点率直に御答弁をいただきたい。
  121. 十河信二

    ○十河説明員 私は静岡の例はよく存じませんが、私の見たところでは、休養施設が構内に近くては騒々しくて十分休養がとれないから、どこかもう少し静かなところへ移してもらいたいというふうな希望も出ておるのであります。静岡の例はどういうふうになっておりますか、私としてはでき得る限り十分に休養をとれるように、今回の補正をお願いしておる中にも、そういうふうな休養の施設、宿泊の施設に対して予算を増額していただきたいということをお願いしておるような次第であります。でき得る限り十分なことをしたいと努力をいたしておるということをどうか御理解願いたいと思う。
  122. 井岡大治

    井岡委員 大臣がお見えになったから私の関連質問はこれで終わりますが、私は静岡の問題を例にとっただけで、決して静岡がどうであるとか、こうであるとか言っているのじゃない。いかに休養というものが事故をなくす大きな要因かということを言っているだけなんです。そういうように理解してもらいたい。そうでないと、一つのところだけが問題の焦点になってしまって、決して全体の解決にはならないと思う。要は今まであなたは、安全で迅速に輸送するのが国鉄の使命だ、こう何かにわたって御答弁をされ、事故が起こったら泣いて遺族の方におわびされておりますけれども、現実にそれをなくすための努力というものがやや欠けておったのではないだろうか、こういうことを申し上げている。そういう点で今後は一段の努力を払っていただきたい、こう思うわけです。同時に先ほど申し上げたように、一つの事故で十五億というようなたくさんのお金を使う、こういう点等を考え合わせますならば、来年度の予算の際にも、十分絶滅をするような計画というものを今から出しておおきにならないと、これはまた問題が起こって、いろいろ世間に迷惑をかけることになるのではないだろうか、こういうことを申し上げている。だから私はあとでこまかくお伺いすることにいたしますが、いずれにしても、今考えになっているだけでは、われわれとしてはやや足らないので、この点は鉄監局長にも一つお願いしておきたいと思う。十分考えていただきたい。そうでないと、今お聞きになった通り、昨年の七十億に対してやはりその他の費用は七十億要っているわけです。だからことしの場合も、事故の費用は去年と同じことなんです。そういう点等を考えあわせますならば、もっともっと考えていただきたい、こういうことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  123. 久保三郎

    久保委員 大臣にお尋ねしたいのでありますが、時間の関係もありますので、簡単にお伺いします。  今まで政務次官その他から大体いろいろお話を伺ったわけですが、第一点としてお伺いしたいのは、今までの国鉄特に国鉄の問題だけにしぼりますが、国鉄の経営政策というか、これは政府責任もあるわけでありますが、いわゆる経済の発展というか、産業の伸展というか、そういうものに追いつくための経営が重点である。言うならば、いわゆる輸送力増強というのが重点であり過ぎたと思うのです。これはあり過ぎた理由としては、一つには公共企業体という性格そのものもあるわけですが、しかしながら、その中でいわゆる矛盾を来たしておる。限られた独立採算のワクの中で少なくとも輸送力増強に狂奔すればするほど、安全輸送の面はないがしろにされてきたと思うのです。それが証拠に、参宮線事故の当時、車内警報器はつけるべきだ、こういうことに方針としてはなったのでありますが、残念ながら、輸送力増強に追われたために、この安全輸送対策の一つである車内警報器も、今日に至っても全体から見ればごく一部である。それは三河島事故においても指摘された通りであります。そこで、今後運輸大臣としては、国鉄の経営政策について、少なくとも安全輸送第一主義という方針にのっとってこれから監督なり指導をされる用意があるかどうか、来年度予算編成等においても重点をそこに置かれるかどうか。さらに、国民的な要求は、言うまでもございませんが、国鉄に求められるものは、何といっても、輸送力増強もさりながら、少なくとも安全輸送という面が非常に強いということを今日われわれは考えておる。だとするならば、少なくとも国鉄経営の中で、残りあと三カ年でありますが、その三カ年の中で、安全対策というものは五カ年計画の中にはっきりと織り込まれるべきだと思う。今までのお話では、織り込むというお話でありますが、少なくともはっきりしたものが織り込まれた上で、三十八年度は最重点としてこれは取り上げるべきだ、こう思うのでありますが、予算編成の折衝においてそういう御方針をとる御用意があるかどうか。いかがでしょう。
  124. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 われわれは極力久保さんの趣旨に従って努力をいたしたいと考えて一おります。
  125. 久保三郎

    久保委員 時間に追われているせいか、大臣答弁は簡単でありますが、私の言うことについて努力するということであります。特に来年度予算あるいはこの五カ年計画の修正というか補正というか、そういうものについて重点的にこれは今後もお取り上げになるし、国鉄に対しても相当きつい立場でこれは御指導なさるお考えですか。くどいようですが、御答弁をいただきたい。
  126. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  127. 久保三郎

    久保委員 それからもう一つは、踏切の問題にしぼりますれば、踏切道改良促進法というものが今ございます。これは法案成立の際にもわれわれはいろいろ御注文申し上げたわけです。そこで、先ほど大石政務次官は、たとえば保安要員の問題等も考えてこれは促進したいというか、さらに改正したい、こういうふうなお考えを漏らされているのでありますが、この改良促進法はさらに大幅な手直しをして、実態に合うようにこの法律を改正する用意がおありになるかどうか、いかがですか。
  128. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 目下事務当局においても検討いたしておりますし、私どももさように考えて、改良、改定する用意がありますということを申し上げておきます。
  129. 久保三郎

    久保委員 もう一つは、やはりこれはわが方でわれわれが提案しているのでありますが、いわゆる鉄道軌道の事業に対する公共負担に関する法律です。これは一般の産業のしわ寄せが、間違った観点からいろいろのしわ寄せが今日来ている。これをはねのけない限りは、国鉄の経営はうまくいかない。もちろん、政府当局においてわれわれの提案そのものはのめそうもないことは百も承知であります。しかし、少なくともその思想、ものの考え方に立って、さらに関連するそういい施策を講ずべきだと思うのですが、これを考えておられますか。いかがですか。
  130. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 労使の関係を円満にいたしまして、そうして今久保委員の申されたようなことに一つ真剣に取り組みたいと思います。何らかの形で労使がいい話し場ができるように一つして、その結果に基づいていろいろ考えてみたいと思います。
  131. 久保三郎

    久保委員 大臣もお急ぎのようでありますから、後刻またお尋ねすることにして、最後にこれは国鉄に申し上げるのですが、この席で申し上げるのはいかがかと思うのでありますが、まあものの関連性がございますから申し上げておきます。わが方では政府並びに総裁にそれぞれ本日御質問申し上げた要点に基づいて申し入れ、要望をいたしております。当然申し入れば返り返事がないということではないと承知いたしておりますが、きょうじゅうに御返答いただけますか。いかがですか、総裁。
  132. 十河信二

    ○十河説明員 御返答申し上げます。
  133. 久保三郎

    久保委員 それは運輸省了解の上で御返答いただくおけですか。いかがでしょうか。
  134. 十河信二

    ○十河説明員 もちろん、運輸省ともよく御相談申し上げまして、運輸省の指示に従ってやるつもりであります。
  135. 久保三郎

    久保委員 その返事を見てわれわれはこれからの問題を検討したいと思います。  本日の質問はこれだけで終わります。
  136. 木村俊夫

    木村委員長 次回は来たる十三日木曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会