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1962-12-07 第41回国会 参議院 文教委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月七日(金曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  十二月一日   辞任      補欠選任    杉浦 武雄君  近藤 鶴代君  十二月四日   辞任      補欠選任    鬼木 勝利君  辻  武壽君  十二月七日   辞任      補欠選任    近藤 鶴代君  杉浦 武雄君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     北畠 教真君    理事            斎藤  昇君            二木 謙吾君            吉江 勝保君            豊瀬 禎一君    委員            杉浦 武雄君            野本 品吉君            岡田 宗司君            小林  武君            千葉千代世君            米田  勲君            辻  武壽君            高山 恒雄君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省管理局長 杉江  清君    文部省管理局振    興課長     平間  修君   —————————————   本日の会議に付した案件教育文化及び学術に関する調査  (名城大学に関する件)   —————————————
  2. 北畠教真

    委員長北畠教真君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。十二月四日、鬼木勝利君が辞任され、その補欠として辻武壽君が選任されました。   —————————————
  3. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 理事会における協議の結果を御報告いたします。本日の委員会は、名城大学に関する問題について質疑を行なうことに意見の一致を見ました。  それではこれより教育文化及び学術に関する調査の一環として名城大学に関する問題を議題とし、調査を進めます。質疑の通告がございます。発言を許します。杉浦武雄君。
  4. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 名城大学の問題について文部省にお伺いしたいわけなんですが、学校法人紛争処理調停等に関する法律ができたのが御承知のように本年の四月四日であります。それが実施せられたのが五月一日、引き続いて学校側日比野学長から調停の申し立てがあったのが、日は忘れましたが間もなくであります。そして調停委員の任命を見たのは七月十日であります。そうしますと、法律ができてから今日に至るまでの間にもうすでに七カ月になんなんとしておるというような状況であります。元来、この法律ができる当時の状況を顧みますれば、そんなつもりじゃなかったと、みんな賛成した人たちは思っておるわけであります。何しろ当時の名城大学紛糾紛糾を重ねまして、地方の名士やらあるいは心ある人々が寄ってたかってこの再建努力したのであります。しかるに、数年にわたってその解決がどうしてもできない、できない間に何がゆえにこの解決ができないかということがはっきりわかってきたんであります。文部省は、いざという場合には学校法人を解散してしまうという手を持っておりまするけれども学校法人を解散してしまえば実もふたもないことになってしまうので、そうせずに、それまでの手を使わずに、何とかもう少し一段やわらかなところで解決する道がないかということで骨を折られたんでありますけれども、ついにその方法は発見せられなかった。現在の法律上は文部省はこれ以上立ち入ることはできないんだというような立場におられたのであります。おそらく議員の諸君もその文部省立場を了とせられて、これを解決するには、その問題に触れたる新しい法律を作る以外に道はないんだと、こういうことになってこの法律ができてきた、かように信ずるものであります。したがって、この法律に対する期待というものは非常なものでありまして、この法律さえできさえすれば学校紛争は直ちにいける、学校紛争と広く銘を打っておりますが、実際は名城大学一つ目ざしておったわけであります。これで名城大学問題は解決するのだというくらいに考えておったのであります。ところが、予想せられたところと違いまして解決の緒についておりません。いろいろやって下さったと思いますけれども、さっぱり進行いたさないのであります。そこで、私は文部省にお伺いいたしたいわけなんです。一体、調停が始まってから、調停委員が任命せられてから、今までどんなような経過をとっておったのだろうか、どういう点がめんどうな点であったろうか、そのめんどうな点は乗り越、すことができるものなのか、それとも乗り越すことができないものなのか、今後の見通しについてお伺いいたしたい。まずこの三点をお伺いいたします。
  5. 杉江清

    説明員杉江清君) 調停委員を任命いたしましてから現在まで四回の会合を持っております。明日、第五回目の会合が行なわれます。しかし、その間じっとしておったわけでなく、この事件内容複雑多岐であり、非常に問題が多いのであります。そこで、その事件内容を正確に把握するような調査事務当局でもいたし、なお、諸般訴訟が継続しております。その一つは、たとえば、この法律は、紛争調停等に関する法律違憲であるという訴えが起こされております。それに対する裁判が続けられており、文部省ももその当事者として裁判所に出ている、そういうふうなこともございます。しかし、そういうこと等に対する応接等もありましたが、しかし、調停諸般事情にかかわらず進められておるということが言えると思います。で、ただいまの困難点を申し上げれば、調停は本来相互の話し合いによって進められていくのが基本の考え方でありますが、当事者の一方である大橋光雄氏は、この法律違憲である、そういう違憲法律に基づく調停に応じない。なお、裁判所管理人を選びまして、その管理人に、争っている一方の日比野氏が持っている金員を引き渡せという判決をいたしております。ところがそれに対して、日比野派はその判決には応ぜられないと、こういう態度をとっております。それに対して大橋氏は、裁判判決にも従えないようなそういうものと話し合いに応ずるわけにいかぬ。まず裁判判決に従い、誠意を示してから話し合いに応じよう、そういうことで大橋派は全然話し合いに応じて参らぬのであります。大橋以外の役員にはいろいろお話して参りました。調停委員はその当事者に会っていろいろ話し合いを進めております。たとえば田中寿一氏の子息である田中卓郎田中健児、その他の役員にはお会いしていろいろ事情も聴取し、意見も聞いております。しかし、肝心の大橋氏は以上のような考え方のもとに話し合いに応じておらないのであります。この点がただいま当面している最も大きな障害であります。しかし、調停はその当事者の一方がどうしても話し合いに応じないというときには、それはそれとして調停案を作成し、もし応じなければ最後段階に進むという道は残されております。しかし、調停の本来の性格から、できるだけ話し合いの場を作って、そこで解決案を作り、また、双方の了承を得て解決をはかるという、この本来の建前を貫きたいと、いろいろ努力している次第であります。私どもといたしましては、この法律性格から、ただいまのお話のように、早急解決を目指すべきものだと考え、そのように努力しており、今、なおその努力を続けているところでございます。大体のところを申し上げました。
  6. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 きわめて平面的なお話を承ったわけなんですが、この法律のできたときの趣旨は、みんなの気持は、この法律を作りさえすれば、もう間もなく問題は解決するのだというふうに考えられておったわけなんです。つまり、こういう点、具体的に言えば解職というような問題ですね。これが文部省立場において許されていなかった。そのために手も足も出なかった、こういう事情にあったんです。ところが、今度は最後の場合には解職当事者の中のじゃまになる者は解職するという手が与えられたわけです。それならば、もう直ちに解決するのだというふうに考えておったわけでして、それにもかかわらず、今までぐずぐずしいるということはどうもふに落ちないですね。そこで関連して考えられることは、私自身考えですが、諸般の幾つかの法律問題ですね、訴訟問題と学校再建ということとは別に考えて、学校再建のほうはどんどん再建してしまって訴訟あとに残す、そういう行き方もあるじゃないかと、こう思うのですが、そういう点については、文部省はどうお考えになっているのですか。
  7. 杉江清

    説明員杉江清君) 裁判所における訴訟進行とは一応別個に、大局的判断に立って調停は進められるべきものである、こういう考え方に立って調停を進めて参っております。
  8. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 この法律が成立して以後に、大橋さんが学校に関連したいろいろな訴訟行為をやっております。その訴訟行為は一々申し上げるまでもなく御存じであろうと思いますが、大橋学長であるとか、あるいは各学部長を相手どりまして、三十八年度の入学生を募集することを全面的に禁止するという仮処分訴えを起こしておる。それから文部大臣を相手に東京地方裁判所調停委員任命無効の確認訴訟及び調停開始停止仮処分の申請をしておる。この事実は御存じですか。
  9. 杉江清

    説明員杉江清君) 存じております。
  10. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 この二つの事実は、これは学校を成立させまいという気持の表われなんです。学校再建していこうという人の気持がこれには少しも読み取ることができません。そこで、これまでの態度をとる人がある以上、これは再建問題はできやしませんよ。そこで、この人をまず何よりも解職してしまうということが一番、手であると思います。解職にはむろん手続があります。いやしくも保障せられておる地位を、すぐだまってすぱっとやるというわけにもいきませんから、法は非常に慎重な手続を求めております。その手続に従ってやるということは差しつかえのないことだと思いますが、文部省は現在はまだそこまで考えておらないのですか。
  11. 杉江清

    説明員杉江清君) 調停は現在、調停委員によって進められておりまして、文部省立場はこの調停委員会に正確な資料を提供し、必要に応じて参考意見提出する。こういうことが任務でございまして、事件解決についての直接的な案を用意し、それによって必要な措置をとるのは調停委員でございます。その点において私ども立場は、あくまでも、先ほど申し上げました調停委員を補助する、補佐する、こういう立場だと考えます。そこで、ただいま御質問大橋解職の問題でございますが、その結論はやはり調停、もし必要があるとするならば調停委員会において下さるべきものであり、文部省意見としてどうこうということは申し上げるべき段階でないと考えます。ただ、そういう立場に立ちながらも、調停委員会を補佐する者としての意見を申し上げれば、大橋解職のことは調停最後段階としては考えられるかもしれない一つの案かとは思いまするけれども、しかし、それはまだ十分その事件真相をきわめ、その話し合うべきところは話し合って、その上のことでございまして、まだ一方が話し合いに応じない。また各種の訴訟も現に進行しておる。それから名城大学における紛争そのものがいろいろな形で新しい形の紛争がまだ生じておる。そういうふうな現状においては、やはりなお一そう事件真相を見詰め、そうして話し合いを進めて関係者意見をよく聞いていく、こういうことをあくまでも努めるべきだと考えます。結論を出すべき段階にはまだ至っていない。しかし鋭意その段階に進めておる。こういう段階は私は諸般事情から見て適当なものと考えております。
  12. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 学校の窮状は文部省がお考えになっておるよりももっとひどい。このまま捨て置いたならば事件解決するかもしれないが、その時分には学校がなくなってしまうということになるおそれさえもないとは言えない。試みに大橋さんがそのうちやったことは、三十五年の二月九日は学校の持っておる土地九千六百十八坪を不当の値段で買却しております。それから三十六年の二月には学校法人土地一万坪を、一坪一万円の値打ちのあるものを千円で売り飛ばしておるというような事実がある。それから、三十六年の六月には学生寮を売り飛ばして、学生をして泊まるところのないようなことにさしてしまっておるというような事実をやっておるのであります。こういうような事実を次々とやっていきますと、そのあとを追っかけて行ったんじゃ、追っかけて行くほうがくたびれてしまって参ってしまうだろうと、こう思うんです。だんだん物事がめんどうになってくるので、むしろ早いうちに手を打ってしまうほうがいいじゃないかというふうに考えるんですが、そういう考え文部省にはないですか。
  13. 杉江清

    説明員杉江清君) できるだけ早くいたさなきゃならぬという事情はよくわかっているつもりでございます。しかし、調停ということの性質上、先ほど申し上げましたように、繰り返しますけれども、やはりいろいろ手を尽くしていかなきゃならないということでございます。それから、なお、そのことに関連して申し上げるならば、このことは大橋氏が悪い、それが正しいというふうに明らかになっている性質のものではないのであります。いろいろ複雑多岐にわたりまして、一方が正しく一方が不正だというふうな事理明白な事件ではございません。たとえば、現在学校でとっております三者審議会の形、これはどう考えても現法制上許されないないことであります。ただ、しかし、現在正当な理事者が構成されない場合の非常措置でどう考えるかという問題はありますけれども、このような形は正常な形ではございません。したがって、それに基づく各般の措置は、これは法的には争えば争える余地が相当たくさんあるのでございます。そういうふうなことでいろんな争いがあり、判決上も、ある場合には大橋派に不利、ある場合には大橋派に有利、いろんな判決が出ておるのでありまして、非常にとにかく複雑であり、簡単に割り切ることのできない性質を持っている。ただし、解決にあたっては、最終的には大局的判断において学校をすみやかに再建する、こういう基本的な考え方のもとでその解決をはかるべきだと私も考えております。で、調停委員の方々もそういう基本的な考え方調停を進められているものと私は承知いたしております。
  14. 米田勲

    米田勲君 関連質問。あなたの先ほどからの説明を聞いておると、前の国会でわれわれが作った法律ですね、ここで審議をして作った法律のときの大臣答弁とだいぶ違いますね。あんたらの答弁を聞いていると、処置ない、今のところどうにもならぬという印象ですよ。あのとき文部大臣は——われわれは文部省に対して、こういう学校紛争法律を作って権限を与えることを好まなかった。しかし、この法律ができれば、他の大学に適用する考えはないが、名城大学に限って早急に問題を解決する自信がありますと、はっきり言った文部大臣は。それなのにあの法律ができて、もうよほどたっているのに、今の話だと、何が何だかわからぬということでしょう。あなた自身答弁を聞いておって、われわれは何が何だかわからぬという印象です。何が正しくて何が不正なのか。どうすればいいのかということが全然ないじゃないですか。もう少しはっきり説明してくれませんか、質問に対して。聞いててわかりませんよ、あんたの言ってることが。法律を作ったときの大臣答辯と違いませんか、あんたらのその後の対処の仕方が。
  15. 杉江清

    説明員杉江清君) 私は最終的には、この事件は、学校法人紛争調停等に関する法律によって解決されるものと考えております。しかし、これは繰り返しますけれども事件はそう簡単でない複雑多岐だ、それを解決するのには、調停という性格からいいまして、両方の言い分をよく聞きまして、できるだけ納得づくで解決する、それがやはり建前だと思います。そういうことから現在調停が進められている。それで、それは今にわかに片方が全然正しくて片方が不正だというふうな結論には、にわかにいき得ない、いろいろな複雑な事情がある、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  16. 米田勲

    米田勲君 私は、調停委員会のその審議がどういうふうに進んでいるかわからぬが、あのときから今まで四回しか調停委員会は開かれていないという先ほどの説明でしょう。学校紛争が相当ひどいものになっておってみんな憂慮している事態で、新しい法律を作って学校紛争を早急に解決したいという文部省態度だったでしょう、提案した態度は。それなのに今まで調停委員会が四回しか開かれていないというのはどういうわけですか。一週間に一ぺん開いてもいいじゃないですか。その調停委員会を開く回数といい速度といい、熱心にこのことに全力をあげて解決をしなければならないという熱意に欠けていませんか。文部省調停委員会も欠けていませんか、どうですか。
  17. 杉江清

    説明員杉江清君) 正式の調停委員会に四回、明日を加えて五回になりますけれども、その間におきまして、いろいろ現地に行って調査したり、各方面の意見を聞いたり、裁判事情を把握し、また裁判に参加したり、それから調停委員会として最も大きな仕事は調停委員が当時者に会うということであります。そういうふうなことを行なって参っておるわけでございまして、調停委員会回数は少ないけれども調停に対する努力は相当私は続けられていると考えております。
  18. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 今お話を承っておりますと、何だか、事件紛糾しておるのに、どっちがいいのかわからないんだというお話なんですが、そういうような考え方を持ってすれば、訴訟が済んで判決が下ってみなければどっちがいいかわからないんだ、こういう結論になってしまうと思うんです。この調停法ができたのは、そんなつもりでできたんじゃない、大局から見て、ここらだというので問題を解決するというつもりの法律だと、こう思うんです。あなたの考え方は、いかにも訴訟が済んで、そうして法律的に物事が解明してしまったあとで、調停委員がおもむろに手を下すんだというふうに聞こえるんですが、そんなつもりなんですか。
  19. 杉江清

    説明員杉江清君) そういうことでは決してございません。調停は、裁判訴訟前とは別に大局的判断に立ってその解決は進めなければならぬ、そういう立場をとっております。ただ、私は先ほど来申し上げて参りましたのは、事件はきわめて複雑だ、そうしてもう引き続いていろいろな事件が起っておる、そういうときにおいてこの調停を進めて参ります場合には、やはり相当慎重に手を尽くしていかなければならぬ、そのために努力している最中だと、こういうことを申し上げておるわけでございます。なお、それに加えまして、先ほど大橋解職の問題が出ましたが、それは最終的な段階においてその問題が出て参りますけれども、今にわかに予想して事を進めるという段階ではございません。それに関連して私が申し上げておりますことは、やはり両方にいろいろな手落ちもあるし、いわば善悪はいずれにもあるというような状況でありまして、その辺が簡単に割り切れる問題でもないということを申し上げておるわけでございますが、いずれにいたしましても、その調停の本来の性格から当事者意見をよく聞き、事情をよくつかんで、適切な調停案の作成に鋭意努力しているのが現在の段階でございます。
  20. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 何か伺っておると、調停委員にばかに遠慮しているようなふうにも聞こえるんですが、そんなに御遠慮なさらぬでも事は公に関するような事柄なんですから、大胆にもう少し調停委員に勧告すべきは勧告しておやりになったらどうでしょうか。私は大橋委員が今までやった幾多の不当なる行為、あるいは訴訟行為を見ますれば、この人のおる限りは、どうしたって学校紛争解決しないんだというふうに思えてならぬのです。たいがいの人がそういうふうな考えになるだろうと思うのです。それならば、その中心へ向かってメスを入れるのでなければ問題は解決しやしませんよ。そうお考えになりませんか。
  21. 杉江清

    説明員杉江清君) その辺の判断は、私は私の立場において意見を表明することを差し控えたいと思います。その辺の判断は、調停委員がさるべきものだと考えております。
  22. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 議事進行に関して。調停委員会に出した文部省資料がありますね。それから特に十一月十日、衆議院文教委員会質問を受けて、文部省当局は至急十分研究して善処すると、こういつていますね。大体一カ月たって、前回、杉浦先生質問が三十日にある予定のところがきょうに持ち越しになったのですが、そういう資料提出用意があると思いますが、今日まで調停委員会に出した事務局としての資料、それから十一月十日以降の文部省処置、それから大橋さんが出しておる訴訟案件二十数件の概括内容、これをすぐ出して下さい。
  23. 杉江清

    説明員杉江清君) 訴訟案件資料については、これは御提出はすぐできます。しかし調停委員に出しました資料については、私は提出は差し控えたいと思います。
  24. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あんた用意しておらぬから、そんな身勝手なこと言うけれどもね。出せないということではなくて、出す内容の検討は必要でしょうね。ここまではこの委員会に出せる、これ以上は出せません、たとえば項目は少なくとも出せるし、そしてどういう趣旨でそれを出したかということは言えるはずです。それをあなたが出せませんといって逃げておるのは、さっきからの印象でわかるように、調停委員会事務局として少なくともこの法律の第三条に対してあなた方の態度が建設的でないというか、積極的でない。今の答弁を聞いてみてもそのことははっきりわかると思う。内容が機微に触れて、調停委員会がこの資料について秘密事項にするときめた以上は、それは出しにくいものがありましょう。それは調停委員会に対して別個な立場委員会として要求することにしましょう。しかし、少なくとも調停委員会秘密に属する事項としなかった事項については、少なくとも詳細にわたることが遠慮すべきことがあれば、委員会秘密会にすることもできるのです。また別個の方法概括を出すこともできるのですから、少なくともその資料用意はあると思うのですね。その資料用意してきていますか。訴訟案件なり、特に衆議院文教委員会であなた方の怠慢を指摘されて、至急善処していきますと答えて以来の措置なり、当然あなた方としてはきょうあることがわかっているのだから、その資料はこちらから求められなくとも出すべきでしょう。そういう点にあなたなり文部省なり、あるいは調停委員会事務局を担当しておる人々のこの問題に対する不熱意を端的に物語っているとしか思えない。そうでないとするならば、資料を出して下さい。
  25. 杉江清

    説明員杉江清君) 調停委員会に出す資料、それからその話し合い等は一切これを秘密にするということは、当初からの申し合わせでございますので、そこの資料については、私といたしましてはちょっと提出はお約束できないわけでございます。ただ客観的に知り得ること、たとえばどういう訴訟が現在行なわれているか、これはただいま資料がおそらくあると思いますけれども後ほどそういう資料は差しあげたいと思います。
  26. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今すぐ委員会に配付して下さい。
  27. 杉浦武雄

    杉浦武雄君 あす調停委員会をやるというのがありましたね、五回か。そこで今、調停委員は一人河野勝斎先生が死んだために滅っておりますね、あれは補充しますか。
  28. 杉江清

    説明員杉江清君) それは三人以上ですから、三人でもかまわないわけです。
  29. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 補充しないのですか。
  30. 杉江清

    説明員杉江清君) 補充しないのでございます。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 当初四人で出発して、どうしてやらない。
  32. 杉江清

    説明員杉江清君) 三人で調停は続けられるし、「三人以上五人以下」となっております。だから途中から新しい方にお加わりいただくよりも、現在のところ三人の方で調停を進めていただくことが適当であると、ただいまのところそう考えております。
  33. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 委員の構成は、私が指摘するまでもなく、あなたも御承知のとおり、地元が二人、それからいわゆる法律に定めるところの学識経験を有するものということでしょう。それを一応構成の際にどういうメンバーを当てたらよろしいかと検討したでしょう。四人を選定した基準を説明し下さい。
  34. 杉江清

    説明員杉江清君) 私学関係者と、それから地元の方、両方にお加わりいただきたい、かように考えたわけであります。で、私学関係者として大浜先生と河野先生、それから地元としましては、県知事、商工会議所の会頭、こういうふうに考えておったのでございます。
  35. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私学関係者から二名を選んで、一人亡くなって、その後、河野さんのあとを補充しないと所轄庁である文部省がきめたのは、いつですか。
  36. 杉江清

    説明員杉江清君) 河野勝斎先生がなくなられてから、しばらくたちまして、現段階においては補充せんでいこう、そういうふうきめたわけでございます。
  37. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いつごろですか。
  38. 杉江清

    説明員杉江清君) 約一月半くらい前だと思います。
  39. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたの補充しない理由は、新しい者が加わると調停に困難を来たすという趣旨ですが、大浜さんの置かれている立場というのも、あなたは少なくとも調停委員会事務局を担当しているからおかわりのはずです。それから地元の県知事並びに商工会議所の何とかいう人、その人の立場というものもそれぞれわかるはずですが、私学関係から二名、地元から二名と一応バランスをとって委員を任命しておったのに、新たに加わると調停に困難を来たすと言うのですが、それならこの法律趣旨から、あるいは調停委員の任命の趣旨から、現在の三人のままで早期に解決できるという根拠があるのですが。
  40. 杉江清

    説明員杉江清君) 新しく委員を加えます場合には、その委員の人選もかなりむずかしいわけでございますし、それからまた新しい委員になっていただけば、また、事件内容をよく理解していただくために相当時間を要する、それよりも、すでに一応の理解を持っておられるその方々、それぞれ私は、りっぱな方であると思いますが、それが、これまでの経過に即してこの三人でやっていくことがむしろ早く事件解決に導くのに適当だと、こういうふうに考えたわけであります。
  41. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 少なくとも法律第四条に定めるところの学識経験者、しかも、これを私学関係から選定するとすれば、名城大学事件については、あなたよりも過去これにタッチし、内容を知っておる人がかなりおるはずです。この法律でいうところの学識経験者であれば、名城大学事件真相、問題点の要所とか、あるいはどこが解決調停の隘路になっているかということの理解については、あなたが心配するように、一応の学識経験を有する人であれば一、二日くらい詳細に聞き、一、二回現地の人と会っておればわかるはずですよ。私学二名、現地関係二名で発足したときの趣旨というものが、やはりいろいろな要素を考えて、私学関係が今日まで名城大学にタッチしてきたいきさつも十分配慮してなされたと思う。その中の、ある意味では実質的な中心人物の一人が死亡した。大浜さんという委員長が私学関係の関係の一人で、非常にこの人は多忙な人です。この人がよしあしということではなくて、やはり調停委員会の活動を活発にし、早急に調停を出そうとすれば、委員の追加任命ということは、現在までの調停委員会が難航している現状から、新たに加わってマイナスになる部分よりも、加わることによって強化していって、解決を早期化していくということのほうが、どう考えても、私ここ数年間この問題を聞いて参って有利であると思うのですが、それでは三人の調停委員のままでに解決できるという見通しをあなたは持っているのですか。
  42. 杉江清

    説明員杉江清君) できるだけ急ぎたい、年度内にはなるべく解決に導きたい、こういう考え方で鋭意努力しているということであります。
  43. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 年度内に早急にという名城大学解決に対する文部省の回答が議事録に載ること十数回です。それが今日までどうしても文部省がそういうけれども実現ができない、そうして具体的な解決への努力も、委員会審議してみると、衆参両院の文教委員会ともに納得し得るよううな努力をしなかった、そのために議員立法という措置をとってきたことはあなた御承知のとおりですよ。そうして今日まで調停委員会がわずか四回しか開かれないというのも、法律を作った立法府の趣旨からしても、法律の成立を期待した当該大学にとっても、今日まで調停の目鼻がつかないというのはこれはきわめて遺憾とするところです。それを年度というのは何事ですか。事態が進むに従って一そう事態はある意味では悪くなっているのじゃないですか。これは調停委員の個々の問題よりもやはり調停の何といいますか、調停そのものが期待に反しておるということは率直に指摘できると思うのですよ。年度内解決の見通しという根拠は何ですか。杉浦先生質問に対するあなたの答弁では、先生の御指摘のように二十幾つかの訴訟が出ておる、そのためにどっちがいいか、裁判にかかっているからわからない、こういう答弁でしょう。何を解決すれば年度内に解決できると思っているか。年度内に解決のめどを、問題を設定してはっきり答弁して下さい。
  44. 杉江清

    説明員杉江清君) 率直に申し上げまして、あまり私この際立ち入ったことを申し上げるということは、かえって調停進行にいろんな影響を及ぼすことを私は心配するのであります。それはいろいろ申し上げたいことも私ありますけれども、それは非常にデリケートな問題をはらんでおりますし、それからまた率直に申し上げまして、表に出ないいろんな努力を続けているわけでございます。そういうふうな努力もあわせていろんな点を申し上げなければ、これに御了解はなかなかむずかしいかと思いますけれども、そういうことを私が私の立場で申し上げることは差し控えたい、なるべくごかんべんいただきたい、そういう気持でございます。
  45. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたが虚言っているというわけには参らぬですから、その誠意は一応答弁どおりに受け取るとしても、少なくとも私が調査しておる範囲内では、いわゆる地元というのは学校側ではありませんよ、地元側にも、それから学生その他いわゆる当事者にも、何といいますか、熱意の欠除に対する不満があることは事実です。それをあなた方は十分御承知のことと思いますから、この際指摘いたしません。ただ、あなた方が答弁として一生懸命やっております。誠意をもってやっております、早急にやりますと百万べん繰り返しても、調停が具体的に進捗し、三十八年度に差し迫っておる用地売却とか、あるいは募集停止といったような当面の問題なり抜本的な解決へのステップが築かれていかない限りは、あなた方の誠意というのは全くだれにも認められない答弁としか受け取れないと思います。  そこで、問題を変えましてお尋ねしたいのは、大橋さんが文部省に辞職届を出したことがありますね、これはいつですか。何月何日付ですか、文部省が受け取ったのは。——そういうのを御存じないような怠慢さでしょうが。およその月でもいいです。日にちは要らぬです。
  46. 杉江清

    説明員杉江清君) 三十五年の五月と記憶いたしております。
  47. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その辞職届は後日撤回しますといって取り戻したのですか。今、文部省の手元にありますか。
  48. 杉江清

    説明員杉江清君) それはありますが、撤回の通知が参っております。
  49. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 辞職届がありますが、撤回の通知がきておりますということは、辞職届を文部省はどういうふうに解釈しておりのですか。
  50. 杉江清

    説明員杉江清君) やはり撤回の通知がありました以上は、その辞職届はそのまま効力を発生しないものと考えます。
  51. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 撤回の通知は辞職届が出てからどのくらいしたときにきましたか。
  52. 平間修

    説明員(平間修君) 日にちは確かには記憶しておりませんが、二、三カ月後と記憶しております。
  53. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 辞職届を提出した当時の名城大学紛争状況はどういう状況にありましたか。そういう調停を開始して後の状況じゃなくして、調停を開始する前からの状況についての資料も、もちろん調停委員会が発足してからは調べてあるだろうと思うし、辞職届を出した当時の学校状況と今日の状況と比較して、その辞職届が出たときに文部省がどう処置したかということがこの紛争を長引かせた一つの、私は文部省の優柔不断さにあったと思っているから、そういう聞き方をしているのです。
  54. 平間修

    説明員(平間修君) 大橋氏から辞職届が、辞表が提出された当時、大橋さんは理事長でございました。その当時は故田中寿一さんと理事長を争っておりまして、いわば学長理事派と、田中理事派と、そして大橋理事派と、この三派に分かれまして、田中理事派のほうはその辞職勧告に応じなかった、こういうようなきわめて複雑な状態にあったわけでございます。なお、その当時辞表を出された方は、いろいろの方法でたとえば大橋さんは、文部省が直接預かったというものではなくて、その当時、事実上文部省で委嘱いたしました調停委のほうに預けた、こういう格好になっております。
  55. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この当時プライベートなこの法律に基づかないような措置の中でいろいろ文部省努力したようですが、その際に両派からいろいろの申請が文部省にきたし、いろいろの話も持ってこられたし、言い分を聞いたと思う、その当時私ども委員会で審査したときも、御承知と思いますが、もっと文部省が積極的に誠意を持って早期解決努力をしておれば、あるいはあの当時解決できるめどもあったんじゃないか、こういう気がしておる。一貫してこの問題に対しては杉江局長答弁のとおり、裁判になっておるから、どちらかの結論が出ないと、いい悪いは簡単に申し上げられません。この文部当局の名城大学紛争の原因に対する明確な把握と方針の欠除がこの問題を、調停委員会が成立しても今日までなお四回の会合ぐらいしか開けないし、開いても少しも事態は進捗していないということにあると思う。そこで、次の問題に移りますが、たとえば大橋さんの主張の中に、……まだ配れませんか、まだ二十数件の訴訟案件の項目は。先ほど委員会に配るように言ったでしょう。
  56. 平間修

    説明員(平間修君) その原本の一部、二部、ここにきておる一部はございますけれども、配るだけの準備はまだいたしておりません。これから作るわけでございます。
  57. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 原本を要することは要らないのです。大橋さんが、たとえば文部省に対してこの法律は憲法違反のものであるというふうに訴え出ております。要旨はこういうものです。あるいは日比野さんを相手にこういうことをやっているのは、こういう趣旨訴訟を起こしていますと、このくらいの資料は三十日から今日まで質問を持ちこしたのですから、審査を便にするために求められなくても出すだけの用意があってしかるべきじゃないですか。何も原本を出しなさいと言っているのではない、というのは、杉江局長の答弁が、二十数件の行政訴訟を起こしておる、あるいはその他の訴訟を起こしておる、そのことが調停の困難さにあると、こういう見方も若干成り立っているような気がする。たとえば今指摘したように、文部大臣を相手取って東京地裁に関して訴訟を起こしていますね、このことに対する文部省考え方はどうなんですか。これに対する被告側としての文部省もいろいろ反証の資料等は出したことと思う。その訴訟をどういうふうに考えているのですか。
  58. 杉江清

    説明員杉江清君) その申し立ては正しくない、根拠のないものだ、こういう立場をとっております。
  59. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その訴訟調停遅延の理由になっていないということですね。
  60. 杉江清

    説明員杉江清君) そのことだけはさようでございます。
  61. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのことだけがそうだというなら、調停遅延の原因となっている訴訟案件といいますか、それを述べて下さい。
  62. 杉江清

    説明員杉江清君) 私が申し上げたのは、調停を進めていく上には、一応現在の事件内容を各方面から正確に把握しなければならない。そのためには、各種の訴訟も行なわれているが、それがどういうふうな観点から訴訟になり、また、どこに問題点があるか、そういう点を広い範囲から見きわめなければならない。それからたとえば今の違憲訴訟についても、それは間もなく結審なるだろうと思われます。それで、あるいは判決も年内にあるかもしれない、そういうな状況もありますときは、そういうふうなことと関連して調停の進め方を考えるというような問題も出て参る。それからなお、駒方の土地訴訟も行なわれております。そういったときには、その辺の事情をよく調査しなければならない。そしてそれを今度は調停内容としてそういうものをどう取り上げていくかということを考えていかなければならぬ、いろいろ考えるべき問題が調停と関連して起こってくるわけであります。裁判そのものの結果が直ちに調停に影響するということではなくて、それらを大局立場からどう判断して、最も適切な調停案を作り上げていくか、そういう観点でいろいろ研究を進めているということでございます。
  63. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから調停の遅延の一つの理由になっている訴訟は何ですかと聞いているのです。たとえば少なくとも委員会という、あるいは国会という立場からすると、また、当委員会だけからすると、きょうになりますが、十一月十日に衆院の文教委員会でこの問題を取り上げて、やはり遅延についての原因をただしているのです。それ以後、ここ数日中に新たに訴訟が起こされておれば、そのことに対して詳細に把握することは、やや事務的に困難を感じましょう。しかし、二十数件の訴訟案件の大多数については、すでに事務当局としてはそれの内容を熟知し、どういうことが訴訟に起こされ、それが調停とどう関連しているかということについての調査を終わっているはずですよ。そうでしょう。終わっていないとすれば、事務局としてはきわめて、先ほどからたびたびいうように怠慢しごくの一語に尽きます。だから、私がいわんとするのは、行政訴訟趣旨は、調停結論に対する妨害工作である、私はこういうふうに把握している。それに対して調停委員ないしは調停事務当局である管理局あるいは所轄庁である文部省が、その行政訴訟に対して調停の精神から、また立法の趣旨からして、そのことは少なくとも差し控えるべき訴訟である。あるいは法律上とめられないとしても、調停の精神からしては遠慮すべきものだ、調停委員会としては好ましくない、こういう判断をすることは可能であるし、また、任務の一つであるともいえる。そのことに対して結論を出して調停にかかるならば、少なくとも次々に訴訟提出することによって、ますますこの請願書にも書いてあるように、どの案件をどう最初に処理していいかわからないほど名古屋地方裁判所は相次ぐ異なった訴訟について混迷をきたしている。しかし、それは裁判としては、法律に基づく訴訟である以上は、法律に基づいて措置せざるを得ぬでしょう。これは裁判所として当然のことであると思います。しかし、少なくとも裁判所でない調停委員会というものは、単に立法上、法律上そのことが合法であるか非合法であるかということではなくして、調停趣旨に立った際に、その行政訴訟というものは何を意図し、あるいは調停の精神に合致するものかどうかということについては結論を出すべきであるし、資料用意すべきでしょう。そのことなくして、単に鋭意努力していますとか、早急に解決するように、ここでは申し上げられませんけれども、良心的にやっていますとか、そんな抽象的な言い方だけでは解決しないと思うんです。で、資料を出すのは間に合わないそうですから、口頭で、どの案件調停に支障を与えておるかを説明して下さい。
  64. 杉江清

    説明員杉江清君) まあ調停に支障を与えているという表現はとにかく、そのすべてのそういった訴訟事件事件の複雑さを示すものであり、それらをやはり全体的な立場から正しく把握するということが必要なんだと、そういう意味において、この事件はやはり相当慎重に扱わなきゃならないし、やはり時間もかかると、こういうことを申し上げているわけでございます。だから、まあ支障になるということの表現はとにかく、やはりそういった多数の訴訟が現に行なわれているということは、やはり全部がある意味では支障になっている、問題の困難さを示すものだということを申し上げているわけでございます。
  65. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 たとえば、憲法違反の訴訟については、それは法的に成立しないものと判断しておるというあなた方は判断を下したでしょう。これは所轄庁の判断だけですか、それとも調停委員会判断と解してもいいですか。
  66. 杉江清

    説明員杉江清君) そのことを調停委員会においてはっきりそういう結論を出したわけでございませんけれども、私はおそらく調停委員の方々も私どもと同様の判断をしておられるものと考えております。
  67. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 たとえば、調停委員の皆さんの中に、東京地裁に出された憲法違反であるという訴訟が、これは合法であるという見解を持っておられるとすれば、この法律そのものに憲法違反の疑いがあるとすれば、調停委員会そのものもこれは問題がありますから、調停が遅延するのは当然のことです。ところが、あなたはそのことは先ほど、自分はないとおっしゃった。で、調停委員もないとすれば、そのことはすでに解決しておるから、調停はこの行政訴訟に関する限りは関連なく進められるはずですね、調停は。そうすると、他の訴訟も、このことが裁判所結論が出ない以上は調停が進められないというものがあれば、これは調停委員会として停頓もせざるを得ないでしょう。それを、どれとどれが直接的に支障になっているか。今あなたが一つ例をあげた。憲法違反の訴訟については支障になっていない。どれとどれが支障にならないで進めるかを説明しなさいということなんです。もちろん、いわゆる実態としては、大学の中の私争というか、私の争いをしては、訴訟だけでなくして、訴訟を起こす底流そのものが調停を困難にさしておるということぐらいはだれでもわかります。そういう争いがあるから訴訟が出てくるんだから。訴訟があるから争いが起こるんじゃないんですよ。だから、訴訟が起こっておるということは、底流としては、調停の困難さを現象づけるものとしては理解できる。そうではなくして、調停の進捗を直接的にはばんでおる訴訟は何かと聞いておるんです。
  68. 杉江清

    説明員杉江清君) 調停をはばんでおるというか、調停を進める上に最も大きな困難は、先ほど来これも繰り返し申し上げております、大橋氏が調停に応じない、そしてその理由を、管理人に経営を引き渡せという裁判所判決学校側が従わない、そういう状態は裁判所判決を無視するものであり、違法である、こういう主張のもとに調停話し合いに応じていないということが直接的な最も大きな困難点でございます。その他、裁判がいろいろ進められておるということは、私が先ほど申し上げました事件全体の複雑性というようなこと等を意味するものであり、それらも支障にはなっておりますけれども、しかし、この裁判所裁判とは直接かかわりなく問題を大局的に判断して解決を進めよう、こういう立場でおりますから、直接的にその裁判が数多く行なわれているということは、直ちにこの調停を進める上の、いわば重大な支障だとは考えておりません。
  69. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その一言を聞きたかったのですよ。私もそのとおりに把握しています。あなたが今説明したその件は、調停に応じないという事態ですから、これが一番大きな問題でしょう。他の訴訟は、解決を妨げておる遠因とはなっても、訴訟そのものは、調停を進めていく上の直接的な法律の解釈に関する調停委員意見そごとか、取り扱いに対する調停委員相互の意見の、見解の対立とかいったことは大体においてないだろうと思うのです。そうすること、二十数件の訴訟が、調停に応じさせる際には非常に大きな問題となって、調停委員会の仕事はいろいろむずかしいでしょうけれども調停を進めていく上には問題にならない。そうすると、結局調停に応じさせるということが当面の問題であると思うのですね。その調停に応じさせるためには、委員会としてはどういう措置をとってこられましたか。
  70. 杉江清

    説明員杉江清君) どうもその辺になりますと、いろいろまあ努力は続けらておりまして、その辺はあまり具体的に申し上げることは、必ずしも事件解決方法に役立たないというふうふうに考えられますので、その辺は御容赦いいただきたいと思います。
  71. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 調停委員会以外に、もっとわかりやすく言いますと、調停委員会回数以上に、調停に応じさせるための措置が、少なくとも調停委員全員そろって繰り返されてきた、このように理解してよろしいですか。
  72. 杉江清

    説明員杉江清君) 調停委員全員そろってということではございません。皆さん御一緒に集まられたのは四回だけでございますから、そのほか、委員長が独自にいろいろな行動をしておられます。それからまた、その他の委員もいろいろな行動をしておられます。それからまた、私どもは私ども立場で、これは補佐するという立場でいろいろやっております。まあそれらのことはただいま具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。
  73. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 具体的に言わなくとも、少なくとも委員会回数以上に、調停委員会の意思統一のもとに、今度は大浜さんに頼もう、このことは地元の愛知県知事に頼もうとか、そういう形で、個々人の動きじゃなくて、調停委員会のひとつの意向を体して、調停委員の人が委員会回数以上に努力した、こういう事態ですね。
  74. 杉江清

    説明員杉江清君) そのとおりでございます。
  75. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 事務当局としては、現段階でも大橋さんの言い分にも一理がある、学校側の言い分にも一理がある、大体こういう把握に立っておられると思うのですが、間違いありませんか。
  76. 杉江清

    説明員杉江清君) その辺のニュアンスはデリケートでございますけれども、ただいま言われましたような把握をしていると、こう申し上げても、その限りにおいては間違いでないと思います。まあまことに妙な言い方でおそれ入りますけれども……。
  77. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのことは一応抜きにして、十一月八日付の陳情書はごらんになりましたね、こういう書類は。
  78. 杉江清

    説明員杉江清君) いろいろな申し入れ、陳情などがありますので、今ちょっとぴんときておりません。
  79. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体、大正式文書で出されている陳情書ですから、その書類そのものでなくても、内容は大同小異だろうと思います。で、その中にも書いてありますように、たとえば大橋光雄氏が学校法人の重要な財産を売却したとか、杉浦先生の御質問にありましたように、学生寮の一部を売却して持ち主が新たに買い受けた鈴木さんですか、この方が学生でなくて一般下宿ととして第三者に開放しつつあるとか、こういった財産処分が大橋光雄氏の名儀というか、手によって処理されておるということも御承知ですか。
  80. 杉江清

    説明員杉江清君) 承知をいたしております。
  81. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのことに対して事務当局としてはどういう判断をし、どういう措置をしてきましたか。
  82. 杉江清

    説明員杉江清君) それらのことは紛争の一端を示すもので、まことに遺憾なことと考え、できるならばそれらの措置の行なわれないような方法がとれれば非常にけっこうなことだと思いますが、これもそれらの個々の問題の解決は直ちに全体の解決と結びつく問題であって、それらのことだけをにわかに措置しようとしても非常にむずかしい、また、有効な方法がない、こういうようなことから、それらに対して直接調停委員会として手は打っておりません。また文部省としても手は打っておりません。
  83. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ここでちょっと聞いておきますが、法律第何条ですかね。調停等に関する法律ですね。この法律による調停委員会ができて以後は、所轄省としては、この法律に基づく第三条その他の処置だけで、いわゆる一般学校法人に対する監督庁としての、文部省としての機能は全然やっておられない、このように理解してよろしいですか。この法律に基づく所轄省の任務とか、あるいはごうごうというのがありますね。それ以外の文部省の持っておる、この法律が成立以前に持っておる指導なり監督なり、あるいはいろいろの何といいますか、行政上の措置なり、こういったことは全部この法律ができて以後はこれに移行してしまって、独自の文部省としての措置はやっていない、こういうふうに考えていいですか。
  84. 杉江清

    説明員杉江清君) やっておらないわけではございません。たとえばいろいろ調査をいたしております。かなり詳細な調査をいたしておりますけれども、これはやはり文部省の機能に即してやっておるということがいえます。ただ事件解決についての助言なり指導というものは、できるだけ調停委員会を通じてやるようにいたしたい、それと離れた働き方はなるべく差し控えると、こういう立場でおります。
  85. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 わかりました。そうすると、大橋光雄氏の手による学校法人の財産処分の問題は好ましくないという判断文部省としてはしておる。しかし、それに対する具体的な措置、これはけしからぬじゃないですか、やめたほうがいいですよとか、口頭による指導なり助言なり、いわゆる文部省の行政上の措置は全然やっていない、調停委員会もそれと同様である、このように理解してよろしいですか。
  86. 杉江清

    説明員杉江清君) さようでございます。ただその点ちょっと御説明申し上げれば、それらのことは先ほど申し上げましたように個々それ自体の問題として解決はむずかしいという判断に私ども立っておるわけでございます。それはこの調停に関する法律にも勧告できる規定がございます。しかし勧告しても向こうが聞かなければそれまででございます。そういうふうな勧告したら向こうが聞くという見通しがあれば勧告いたしますけれども、これはとうてい勧告したって今の段階において聞かれない、また向こうが話し合いに応じないというような態度をとっておるならば、勧告自体もにわかにそう容易にやれる問題でもないというようなこともありまして、それらのことは全体の問題の解決の一環として、それらの問題も解決するということが、かえってよかろうという判断に立っております。
  87. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あと少しで質問を終わりたいと思いますが、勧告をしても勧告が聞かれそうにない、だから勧告が軽々に出せない、このことは名城大学に関する限りは事態の認識としてはよくわかります。しかし、あなたがたびびたおっしゃっているように、だからここで言えないけれども裏面で鋭意努力している、これまた理解できないではないけれども、どうも従前から文部省のとってきた措置なり、名城大学紛争の実態を見ておると簡単に片づきそうにない、だから調停委員会としてはやはり数カ月やってきたけれども、端的にいって調停の見通しが立っていない現状だと思う。それとも今努力しておる、何とも答えられないが、今努力してAなる事項、Bなる事項解決すれば、あとは一偏千里とはなかなかいきにくいでしょうけれども、次第にほぐれていって解決できるのだ、こういう段階ですか。私は今言った後者の段階でなくて前者の段階ではないかというふうに把握しておるが、どちらですか。
  88. 杉江清

    説明員杉江清君) 私は後者の段階にあると考え、この事件の見通し、解決の見通しについては私は必ずしも暗くない見通しを持っております。
  89. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それを聞いて安心しました。しかも、そのことは調停委員会の現在の調停進捗状況を見て、あなた方が衆議院文教委員会答弁したように、早急の間にそれに対する何らかの見通しができ、少なくとも年度内には、三十八年度生徒募集を含めて名城大学紛争の大まかなものは解決でき、少なくとも学生が授業を安心して受けられ、新年度学生が入学できるような状度にはなし得る、こういう調停委員会として判断を持っておられる、このように理解してよろしいいですか。
  90. 杉江清

    説明員杉江清君) 基本的にはそのような判断を持っておりますが、この調停性格上、あくまでも両者が事件を早急に解決しなければならないという意識を持ち、また世論を醸成し、周囲がそのような方向で雰囲気を盛り上げていく、そういう情勢がだんだんにでき上がってこなければできないと思います。その辺に私はそういうような全体の情勢ができつつある。こういうふうに判断しておるわけでございます。そういう意味において、今後ともそういった全体、周囲のもの、また世論が、そうして関係者が切実にこの問題を早急に解決したいという雰囲気を醸成するようにして事件解決するように導きたいと考え、また、おそらくそういうふうになっていくものだろう、こういうふうに期待しておるわけでございます。
  91. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 少なくとも学校当事者というか、当局ではなくて当事者というか、日比野さんを代表とするいわゆる学校側には早期解決の意思が今後できるでしょうということではなくて、教授陣あるいは生徒陣といってもいいでしょうが、どちらももう数年前から早期解決を熱望しておる、早期解決を熱望していないのは、理非曲直のいかんは別にして大橋光雄さんではないか、このように考えているのですが、文部省はそう考えていないのですか、どちらも事態解決に対して熱意が足らない、こういうふうに考えているのですか。
  92. 杉江清

    説明員杉江清君) 立ち入ったことを申したくない気持があるのでありますけれども、たとえば、かりに金員を渡せという判決に対してどう対処するかという問題をどう考えたらいいかという問題なんです。それは一応判決として出ているわけなんです。その判決には疑問があるという立場もありましょうし、それは争い得る性質のものであります。しかし、それに一応出ている判決には従えという大橋氏の主張は、主張としては成り立つのであります。それは、大局立場からその主張をどう判断するかという問題は別にあります。しかし、そういうふうな問題があるわけなんで、それを学校側にいたしましても、そういう問題について、それは大橋氏が間違っております、判決が間違っておるというような態度ではこの解決はむずかしいのであります。そういうような点については、それはできないところはできない。しかし、学校法人としても、そういうふうな現在やっていることは少なくとも適法とは申されないのであります。そういう形を片方はついている。これは戦略一作戦としてもついているわけであります。それに対してどう対処していき、どう納得させていくかという問題はそう簡単なもんじゃないわけなんです。そういうふうな点について、非常にこの解決を進める上の問題点なり苦慮がある。そうして、それらの解決については、お互いにやはり反省をして解決努力すべき問題は私はあると考えております。
  93. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 率直にお答えいただいてありがとうございますが、学校側には、あなた方が指摘されたように、印鑑を譲り渡すと、大橋さんの手で、憂慮されておる財産処分、あるいは学校そのものが消失してしまうような財産の処分まで行なわれてしまうという不安があるから、そういうことが行なわれているんじゃないですか。だから、法律上は合法、非合法というきめ方があると思うのです。これはあくまで法律の問題であって、私どもがこの調停法律を作ったのは、法律で争っていけば、相互の訴訟ということになっていくと簡単に片づく問題ではない。したがって、教育上の問題としてこれを処理するためにこの法律が作られたということは御承知のとおりですね。で、法律上は合法であっても、実際に学校が、財産だけじゃなくして、名義上も学校そのものがなくなってしまう。生徒募集も停止され、名城大学というそのものが廃校にってしまう。こういった措置に対する保障というものがどこかでない限りには、学校側がそれに応じるということは現事態の中では困難ではないかと思うのです。そのことがやはり調停に相互を応じさせねばならぬとおっしゃるそこのきめ手ではないかと思うのですよ。その保障に対しては、調停委員会としては大橋光雄さんに対して責任を持てますかということはちょっと不適当な質問かと思いますね。何らかの保障の見通しがありますか。
  94. 杉江清

    説明員杉江清君) 御質問が非常にデリケートな問題に触れておりますので、その点はいかがでございましょうか、これは調停委員に十分お考えいただくということにしていただいたほうが私は適当かと思います。
  95. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体当初の打ち合せの時間も参りましたので。——法律第六条御存じですね、条文を詳しく御存じですかという意味じゃなくて、調停成立前の措置ということがちゃんと明記してありますね、調停が成り立たないときにはこうしなさい、御存じですか、別に知っているかという、そのあなたのメンタルテストしているわけじゃないですから。「調停の成立を困難にするおそれがある行為につき、必要な勧告をすることができる。」。
  96. 杉江清

    説明員杉江清君) 承知いたしております。
  97. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現事態はまさに第六条の適用の必要な段階ではないかと思うのです。調停そのものが調停の成立を困難にしている状態である。そうすると、どれが悪いかいいかということは今答弁できないにしても、一応たとえば私が申し上げたように、今、次々と行なわれている財産処分の問題に対してはこうあるべきだ、学校側は、この保障があればこういうふうにして事態の解決に協力すべきである、内容詳細に触れることは、いろいろ議事録に残ってお困りのようですから、表現をぼやかして言いますけれども、そういうそれぞれに対する勧告を行ない、それに対して調停委員会がある程度の公表をしなくても、当事者に対してそれぞれに責任が持てる、こういう調停委員会の、調停としての権威が確立され、責任が当事者に保障されると、私は調停成立の可能性は一そう増すという気がしているのですが、単に相互に個々に接触して誠意を披瀝されるという段階は、すでに過ぎ去ったというか、それでは解決はなかなか遅延するのではないか、したがって、法律に基づく、第六条の適用が行なわれ、それに対する明確な責任体制樹立のもとに、勧告への、調停への踏み出しが行なわれることが必要じゃないかと、そういう気がするのですが、検討しておられましたらお答え願いたい。
  98. 杉江清

    説明員杉江清君) そのような点も十分検討しております。
  99. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのことによって、先ほどお答えになった将来の見通しとしては、年度内、現実の展望としては早急に明かるい見通しへ進展していく、このように理解してよろしいですか。
  100. 杉江清

    説明員杉江清君) 少なくともそういうことで鋭意努力いたすつもりでおります。
  101. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 にがいこと言うようですけれども米田君が冒頭に言いましたように、私どもとしては一つの大学の紛争のために、一つには文部省の私学に対する権限というか、一つには特定の学校に対する立法措置を行なって教育問題を解決していくということに対しては、基本的に反対をいたしましたけれども、現地の皆さんが、地方自治体の代表も含めて、それから与野党の国会議員の皆さんも、さらに私は強調したいのは、文部省当局も、こういうものは作りたくないけれども、結局、こうした内容法律ができれば解決に対して見通しを持ちます、こういうことが、この法律を与野党一体となって作り上げてきた経緯です。そうしてなお調停が進展しないからいろいろただしたいと思っているのですけれもど、あなたとしては所轄庁としても、調停委員会事務当局を担当する責任者としても、詳しく答えないほうが調停成立の見通しがある、こうおっしゃる以上は質問しませんが、少なくとも、今回はああ答えておりましたけれども、もののわからぬ人がおって調停は不成立でした。そういうあとごとがないように、文部省が責任を持って、あなたが御答弁になったように解決していただきたいと思います。大臣がおりませんので あなたのその点に対する明確な責任感を披瀝しておいていただきたい。私どもとしては、あなたの答弁を信用して審査を打ち切る以上は、文部省のこれに対する責任を明らかにしておきたいと思うのです。
  102. 杉江清

    説明員杉江清君) この事件は、まことにかって類例のない、学校教育、ことに私学教育のあり方から言いまして、まこに残念しごくの事件であります。現地におきましても非常にこのことを憂い、早急な解決を期待しております。私はそういった現地の要望と同時に、この私学教育の健全な発展のためにぜひともこれは円満に解決したい。これまでも努力してきたつもりでありますし、ただいまもそういう決意を新たにしている次第でございます。
  103. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう一つあと切れの悪いことですが、今後、大橋光雄さんの手によって名城大学土地が地主の要求に応じて接収が約束されていますね、土地を明け渡しますと。こういった新たな財産処分、単にこれだけでなくて、名城大学の新たな財産処分、大きく言えば大学の存立そのものに影響を与えるような措置は行なわれないというふうにあなたのただいまの決意表明を理解しておいてよろしいのですね。
  104. 杉江清

    説明員杉江清君) 直接のことと、私先ほど申し上げたこととは関係ないと思います。そういうことは今後いろいろな訴訟問題として起こってくるかもしれませんし、いろんな問題があるかもしれません。しかし、そのことと私が先ほど申し上げました決意とは別だと思います。
  105. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 決意とは別ですが、あなたの前般の見通しその他からいって、新たにそういう措置調停委員会あるいは文部当局としてはなすべきでない、なさせてはならない、あり得ない、大体こういうふうに理解しておる、考えておる、こう理解してよろしいですね。
  106. 杉江清

    説明員杉江清君) なすべきでないと考えております。そしておそらくあり得ないだろうと思いますけれども最後の見通しについては、これはなかなか予断できない性質のものでございます。
  107. 千葉千代世

    千葉千代世君 ちょっと関連して質問したいんですが。
  108. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 時間も何ですから簡潔に……。
  109. 千葉千代世

    千葉千代世君 時間もないようですから、一つ二つ伺わせていただきたいんですが、さっき当局の答弁の中で、二十数件の訴訟というものは直接に調停に大きな影響はないということをおっしゃったわけですけれども訴訟を出したほうの側は、この調停を延ばすための苦肉の手段のように私ども見えるわけなんです。ある意味においてはこの調停を妨害して引き延ばしていくと、こういうふうな意図が含まれているように思うんですけれども、その点については当局はどのように考えておりますか。
  110. 杉江清

    説明員杉江清君) そういう点もあるかもしれないという疑念は持っております。
  111. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは、あるかもしれないではなくて、私はこの陳情書を拝見して考えたことは、新年度の学生の募集を中止するような訴訟を出しているわけですね。そうすると、これは当事者、たとえば学校経営者同士のそうした紛争のるつぼの中にあって、学生自身が安心して勉強して、次も募集され、そして営々と発展していくというのがだれしも母校に対して考えることなんです。その一番致命的な来年度の募集を中止すると、こういう訴訟を起こしてくるについて当局はどういう見解を持っていますか。
  112. 杉江清

    説明員杉江清君) 私どもはそういう訴訟を起こす意味が十分理解できません。正直なところ、学校の存続発展、まあさしあたっては学校再建を願う以上、募集停止を訴えとして起こすということは、その意味を十分理解することができないのであります。
  113. 千葉千代世

    千葉千代世君 結局、やはりこれは事をかまえて少しでも自分たちの有利にしようと、教育本来の使命よりも自分たちの、やはり何といいますか、私利私欲と言っては恐縮ですが、そういうふうな面の勝ち負けにだけ頭をとらわれてしまって、やはり教育の本質そのものについては深い思いをいたしていない。そうすれば、この名城大学事件というものは私どもがずっと伺ってから、かなり長いわけです。大学を視察したときにも、学生さんたちが、おとなたちは紛争しているけれども、早い解決ができるようにとそういう期待を持って勉強をしておったわけです。ところがこれを見ていきますというと、学生寮ですか、下宿そのものも土地や何か建物も売り払われてしまって、そしてほかの人が入っている。勉強をしているにも非常に不安な状態だ。そうすると、勉強する条件というものをくずしているというのはだれかといえば、明白なんです。やはり私はこういう紛争をお互いに処理していくためには、やはり子供たちや学生が安心して勉強できるという環境を作り上げていく、これが調停趣旨だろうと思うのです。そういったことを考えた場合に、率直に言って、事をなさんがための訴訟であって、これは決して事件解決するための誠意というものは一片もないということはわかる。特にこの法律ができますときに、豊瀬委員その他から指摘されたように、立法の趣旨については十分な検討があって、一ぺんは提出しかけてやめて次の国会に出た、こういうような形、そういうように考えていった場合に、私どもから考えれば、この紛争事件の帰着するところといいますか、どちらがよくてどちらが悪いということは明白だと私は思っております、調べてきた関係上。それをやはり文部省のほうとしては、そういうふうに解決したい意向が十分にあられるように私どもは腹の中で推察しておって、この法律については賛成したわけなんです。そうして考えていった場合に、この法律ができて調停が始まって、二十数件の訴訟が出て、そうしてこれが引き延ばしの一つのもとをなしている。そうすると、これは三月までに、つまり本年度の終わりまでですが、三月までに解決のめどがついていくというにはよほどの努力と、ある程度の決断がなくてはできていかないと思う。そういう意味で、重ねて当局の態度を伺いたいが、学生寮の売却などについてやはり当局としては学生の環境整備のために、これはよくないと思ったら、その当局の考えというものは調停に出しているでしょうね。そういう点はこの両方同士けんかさして高見の見物では調停はできないということは百も御承知だろうと思いますが。
  114. 杉江清

    説明員杉江清君) それはやはり学生寮を売るというようなことは、学校再建には支障になりますし、それは非常に残念なことであり、もちろんそれは望ましくないことなんですけれども、ただ、その辺も個々の事件をとって言いますと、やはり向こうの主張もある程度あるわけなんです。たとえば、訴訟費用もどうしてくれるか、理事長でありながら法人から金をもらっていないなど、いろいろ言い分がある。だから、私どもはそのことだけを見て、そのことだけの解決をはかろうとしてもはかられないような性質がある、ほとんどすべての問題にあると思います。そういうことから、そういうふうなことはまことに残念なことであるけれども、そういうことを含めてひとつ全体として解決することが適当である、こういうふうな判断調停のお手伝いをしているわけでございます。なお、関連して申し上げれば、先ほどの募集停止についても、向こうの言い分は、結局今のような三者審議会という違法管理が処なわれている限りは、こんな学校は存続すべきでないという主張なんです。これは理屈としては一応出てくる理屈であるわけなんです。とにかく現在のあの三者審議会の形というものはどう考えたって適当でない。それに対する反論が出てくるわけなんです。これはそれをどう考えるということは、事件全体をどう見るかということと関連して見なければならない。今の三者審議会の形がある限り、これはつかれる余地があるし、これは訴訟上必ずしも有利でない。そういう問題を背後に控えておるということの事情も一応考えて、全体的に見て問題を解決していくというこういう立場が必要なんで、私どもは、そういうことを申し上げるのも何か時に片方絶対に正しく、片方間違っているのだ、なぜこの事実をとらまえて、措置しないのか、こういう御意見に対しては、私は事は、事態はそんなに簡単でないということを申し上げて、この解決への困難性とそれから各方面の関係者の御協力をお願いしたいのであります。
  115. 千葉千代世

    千葉千代世君 最後に。それはよくわかります。だから調停委員を選ぶについても、ほんとうに公平な立場で全国的な視野あるいは地方の人がよくわかるように、知事さん初め大浜さんその他を御選任になったわけです。だから、内容についても、あなたがおっしゃられるまでもなく、私どもも十分承知しておったのです。簡単でないから、ごちゃごちゃしておるから延びるのだということではなくして、何が一番問題になっているのだという中心をきちんとつかんで物事を進めていくような方向で調停が行なわれなければ、やはり言いのがれとして、慎重だという理由のもとにこれが延び延びになってしまって、そして勧告しても何にもならなかったという結果が出てきて、たいへん済みませんでしたというので終わったのでは、名城大学の当局の皆さん方が二年間というものをほとんどそれに当たって教育を守ろうとしているわけですから、そういう点は十分にやはり当局としての意見がきちっと反映されて、そしていい解決ができるように御努力願いたいと思います。関連質問でございますので、あまり長い質問は御無礼ですから、これで終わります。
  116. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 本件に関し、ほかに御発言はございませんか。——ほかに御質疑もございませんようですから、本日はこれで散会いたします。   午後零時十二分散会