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千葉千代世君 関連
質問。
文部大臣は、今学校で
道徳教育を全然戦争の
あとしていないというような御判定なんですけれども、進駐軍が来て
云々したということを言われましたけれども、やっぱり昔の修身科的な
道徳教育ではいけない。こういうことを言われたわけです。御
承知のように、戦前には
教育勅語によって
教育の方針がきめられておった。その中に一貫しておったものは、いわゆる身を鴻毛の軽きにして、そして、すべてが天皇のために集中していくという、こういうふうないわゆる武士道的な上下の、上から下へと服従的なことが主としてあった修身
教育であるから、そうではなくて、みんな個人々々が尊重されて、そうして
お互いが手を結んで、そうして他人の自由を尊重することは、自分の自由が守られる、自分の自由を守るからには
お互いの自由を守っていく。こういう相関関係の中で
お互いの発展を期していく。こういう方向でなければならないと、こういう中で
道徳教育を進めていく。修身科という教科書がなくなっただけなんでして、
道徳教育は行なわれているわけです。どんな国だって、人間が生きて、
お互いが切磋琢磨してその国が発展していくためには、道徳が、これは必要なことは論を待たないわけです。ですから、荒木
大臣から、さっき学校で
道徳教育を行なっていないという
言葉が再三出たのですが私非常に不思議で、現場のことを一向御存じないのじゃないか。ですから
道徳教育というものが、再三申し上げますように、いわゆる何すべからず、この土手に登るべからず、何々すべからず式だけの修身
教育であったから、修身
教育はなくなったけれども、
お互いが個人を尊重していくための倫理というものは学校のあらゆる教科の中、特に社会科の問題あるいはホーム・ルームの
問題等々を通して実によくやっているわけです。ですからそういう事例を御存じないで、何だか学校で
道徳教育を何もやっていないのだ。日教組が先に立って何もやらしていないような、誤解をするようなことを、何か、
選挙中私も方々へ行きましたけれども、行く先々で、
文部大臣何のために歩っているのですか、どうしようとするのですか。群馬県へ行ったら、電信柱にほかの候補者のがあったら、あれはばかだって、こういうことを車の中で
教育委員会なんかにおっしゃった。これは
道徳教育なんでしょうか、これ。どういうことなんでしょうね。一国の文政の
責任に立つ方が、自動車の中で、ポスターを見て、あれは日教組系だ、あれは何だ、これはおかしいとかといっているのですけれども、そういうことについて、やっぱりそういうことではなくて、
選挙というものは自由な
立場でやるのですから……。これは脱線いたしましたけれども、尊重し合うという中で
政策の論議をしていくということ、これが新しい修身、
道徳教育じゃないだろうか。それから、修身教科書がなくなったんで、
大臣は、この土手に登るべからずであったから、やっぱりそれがなくなったから子供が土手に登るのじゃないか。だからやっぱり、もとよりもっと大きな看板を、この土手に登るべからずともっと大きく書いたものをばっと立てたい。これが修身、
道徳教育だというならば、もう何をか論を待たずなんですけれども、私はやはり、
教育委員会の制定当時、
教育二法の問題を通し、あるいは義務
教育費国庫
負担法を通し、あらゆる中でいわれたことは、男の人も女の人も年寄りも子供も、みんな人間として生きる権利を最大限に守っていこうじゃないか。女も、昔は、戦争前には民法では一人前じゃなかったわけです。半人前に扱われておった。それじゃいけないのだから、人間として人権に変わりはないのだから尊重し合う、そういう
憲法の精神を受けた
教育基本法ですから、
教育基本法に基づいて、学校で、現場の先生方は一生懸命
教育をしている。
教育基本法の中には、道徳の一番の根源である、やっぱり平和を愛し真理を追求してそうして個人を尊重していこうという、これは人権尊重と
教育の機会均等と平和と、この三つの主義に貫かれておると、こういうふうに
考えていった場合に、私は、どこを押して
文部大臣が、現場で
道徳教育をしていないということを断言なさるか非常に不満なんです。ですから、
道徳教育をしておるけれども、教科書として
文部大臣が出したいと。それにはこれこれこういう資料、今、
小林委員が言われたように、これこれこういう科学的な資料がある。学校
教育についてはこうだ、家庭
教育についてはどうだ、経済的についてはどうだ、社会環境についてはどうだ、こういうふうないろいろなこの背景を分析し合った中で、それでは、学校
教育の中で今
道徳教育はこれこれこういうふうにやっておるけれども、やっぱりこの
道徳教育の本を出したいと、率直に本人が、
文部省がいわれて、それに対してみんなが
意見を出し合うということなら、これは話がわかる。私どもも
意見があるわけですけれども。全然学校で
道徳教育をしていない、いないと口を開けば言うけれども、し切っているわけなんです。し切っているけれども、もっとその効果をよくしたい、もっとよくしたい。それにはどうするかという観点で
お話しいただかなければ、現場の先生方を侮辱していることになる。
文部省自体が、あなた、
教育基本法に沿ってやる、
憲法に沿ってやるといったって、やることとはまるっきり反対のことをおっしゃっている。ですから、そこのところをおっしゃって下さいませんか。昔の修身教科書のようなことを今の先生方、現場がしていないからそれがいけないというなら、それをおっしゃっていただきたい。