○岡田
宗司君 ただいま文部
大臣がこの大学
教育また大学の制度、運営というものも人作りと無関係のものでないということを言われた。ところが、この人作りの問題ということになりますというと、一体どういう形の人が理想的なのかという問題が一つ出てくる。人作りということは、ただばく然と人作りというもんではない、あるいはこうしてはいけない、ああしてはいけないというだけのストイック的なものではない。アイデアリスティックが示されなければ、池田総理なり、あるいは池田内閣なりがここに一つの人作りという問題でアイデアリスティックを示してくる、そしてそれで今度はそういうような人を形成しようというためのいろいろ諸般の方策が
実施される、あるいは
教育が行なわれる。そうしてきますと、
教育というものがある種の型にはまったものになるおそれがある。たとえば戦争前に私は日本の軍部、これが一定の型の人を求めて、そしてその鋳型に国民をはめていこうとした。それを大学にまで及ぼしたわけです。そして
自分たちの好まない者は排除していく、それに合うような制度を作り上げていった、運用もやっていく、こういうようなことをやっていく、それが結局大学における研究の自由、学問の自由を奪い、さらにまたこれによって大学の自治というものはもうけし飛ばされてしまったということになる。したがって、この人作りということも、これを根本的に
考えていきますというと、もちろん大学
教育と関係がある。しかしながら、そのどういう型を求めるか、そしてまたそれをどういうふうにその人作りをやっていく上に国家が力を用いるかということになって参りますというと、あるいは
政府が
指導するということになって参りますというと、そこに学問の自由、研究の自由とあるいは摩擦し、衝突するということも起こってくる。私はこの人作りという問題を総理が出され、しかも、それに今日行なわれようとしておる大学の
管理運営というような問題を結びつけていくということになるならば、非常な危険な問題が起こってくる。今日著名な大学関係者がいろいろな
意見を発表しておりますのも、私はそこにあろうかと思うんです。そういう点で人作りという問題それがどういう形で行なわれるか、そうして国家がどういうような方針でそれを進めていくかという問題とたいへんな関連のある問題なので、そこいらの点からこの大学
管理運営制度というものを検討していかなければならぬのじゃないかと思いますが、これはまた憲法の問題とも関連する問題になりましょう。私はそういうような点で大学の今後の
管理運営制度というものは単なる技術的な問題ではない、行政的な問題ではないと思っております。したがって、それだけにまた今後むずかしい問題もありましょう。中教審がはたしてそこまでこれを
考えてやったかどうかということもなお私
どもには幾多の疑問もあるわけでありまして、したがって、これらの問題について人作りとこの大学
管理運営制度その他の諸般の改善とを関連させる場合に非常な危険があるということを文部
大臣は認識されるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。