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1962-12-07 第41回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月七日(金曜日)    午前十時二十二分開会   —————————————   委員の異動  十一月二十日   辞任      補欠辞任    椿  繁夫君  成瀬 幡治君  十一月二十九日   辞任      補欠選任    成瀬 幡治君  戸叶  武君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     櫻井 志郎君    理事            青田源太郎君            山崎  斉君            安田 敏雄君            北條 雋八君            森 八三一君    委員            井川 伊平君            岡村文四郎君            梶原 茂嘉君            木島 義夫君            重政 庸徳君            中野 文門君            仲原 善一君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            大森 創造君            北村  暢君            戸叶  武君            矢山 有作君            渡辺 勘吉君            牛田  寛君            天田 勝正君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    農林省畜産局長 村田 豊三君    食糧庁長官   大澤  融君    食料庁業務第二    部長      中西 一郎君    日本国有鉄道営    業局総務課長  中牟田研市君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米の集荷手数料に関する件)  (大豆基準価格に関する件)  (澱粉の買入基準価格に関する件)  (農林畜水産関係物資国鉄貨物運  賃に関する件)  (乳価等に関する件)   —————————————
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。  まず、米の集荷手数料に関する件を議題といたします。質疑のある方は御発言を願います。
  3. 森八三一

    ○森八三一君 米の集荷に関する手数料保管料の問題につきましては、すでにこの委員会で数回質疑を申し上げまして、その趣旨をよく御了解いただきまして、本年の八月に通達をされておりまするそれぞれの額について改定がなされるということに進んでおると思います。今までの経過から考えますると、当然今日までには適正な改定が実施の日を迎えていなきやならぬはずであったにかかわりませず、今もってその手続が具体化されておらぬということは、私は非常に遺憾に存ずるわけであります。  そこで最初にお伺いいたしまするのは、そういうような経過にかんがみまして、農林省当局におきましてそれぞれ具体的な作業をされまして、幾ばくにするかが適当であるかということについての案が決定をされておるはずであると私は信ずるわけであります。すでに衆議院の委員会等におきましても、そういうような質疑が行なわれまして、ある程度の意向も漏らされておるようにも拝承いたしておるのでありますが、この委員会といたしましては、まだ具体的に政府のその後における措置について承知をいたしておりませんので、この機会に、その後の進行模様につきまして、そしてまた、具体的に農林省案というもの決定されておると思いますので、その具体的な数字等につきましてもお伺いをいたしたいと存ずるのであります。
  4. 大澤融

    説明員大澤融君) 先般来から、この米の集荷手数料については、いろいろ問題点を御指摘を願っておりますし、農業団体のほらからも、いろいろ考え方あるいは額等について意見が、私どものほうにもたらされて、そういうことをいれまして、今までの集荷手数料算定いたします考え方を、いろいろ各方面から御指摘のある点をいれて、大幅に算定考え方を変えるということで私どももいろいろ作業をしておるわけであります。その作業の結果を、財政当局相談をしているところであります。大幅な考え方の変更ということになりますと、年度途中で変えるというようなことはなかなかむずかしいことだと思いますので、来年度予算の問題として扱って参りたいということで、おそらく来年度予算編成が十二月の末に、ということになりますので、そのときに勝負したいということで作業を進めておるわけであります。
  5. 森八三一

    ○森八三一君 大幅とか、小幅とかということが問題ではないので、適正にするということが私は問題であろうと思うのです。現行の額がそれぞれの算定ファクターに基づいて勘案をいたしました結果が問題ないということであれば、あえてこれを変える必要はないので、大幅とか、小幅とかということが問題でないので、私が指摘いたしました諸点について、その当時食糧庁長官としては大体御了解を願ったと思っております。その了解に基づいて財務当局折衝段階に入っておるということでございますならば、具体的に食糧庁の案というもの決定せられて、それで折衝しなければ折衝にならんと思うのです。そこで、私のお伺いしておるのは、具体的に私の今まで申し上げておりましたことを勘案せられまして、最後におきめになりました現時点における食糧庁の案は、幾ばくでありますか、ということをお伺いしているのであります。
  6. 大澤融

    説明員大澤融君) 私ども考え方はもちろんあるわけでございますが、それが何ほどの額かというようなことを言えというお話なんですが、まだこれは財務当局との折衝過程にありますので、折衝過程にある数字を申し上げても、どらもかえって誤解を招いてもいかんというような気もいたしますが、もう少し折衝を重ねて、おそらく月末には結論が出し得ると思いますので、それまでまあしばらくお待ちいただけないかと、こう思いますけれども……。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 ここでこれは発表できないという筋合いものでも、私、なかろう思うのです。それが、必ずしも、実施されるということには、財務当局という相手方のあることでありまするし、明年度国家財政関係もございましょうし、いろいろの問題が関連をしてくるわけでありますので、必ずしもそれが最終決定ものと、私は理解をいたしません。がしかし、少なくとも、食糧庁事務当局といたしましては、指摘いたしましたような問題を忠実に御考慮をいただきますれば、改定をしなければならぬという腹がまえはできたはずなんです。そういう腹がまえができたとすれば、計算の結果幾ばくが妥当であるという食糧庁の案というものがなければ、折衝するといっても折衝のしょうがないですね。  そこで、私がなぜこういうことをお伺いするかといえば、今まで指摘いたしまして御研究を願っておることについて、それが間違いなく算定されておるかどうかということを明確にいたしたいということにあるわけでありますので、その数字をお示し願えませんと、今、役所のほうで誠意をもっておやりになっておることに、また間違いが行なわれておってはいけないことですから、明確にいたしたいと考えますがゆえに、あえてお伺いをしておる。このことは責任を追及するとかという筋合いものではないのです。お互いに適正なものを導き出したいということを考えてのことでございますので、すでに私は外部からは一応聞いております。がしかし、責任のある言葉ではございませんので、それをここに持ち出してとやかく申し上げませんけれども、一応どうしてもこれはお話し願いませんと、あとの質問が続いていかぬ、こういうことになる。役所のほうでも別に機密になさる必要はないんで、お互いに適正な額を導き出そうということで苦労をしておるのですから、お話を願うことが適当だと思うのです。
  8. 大澤融

    説明員大澤融君) 先般来からも、森先生を初め、十分、手数料の問題についての問題点あるいは御注意等を承っておりますので、そういうことを考えに入れて判定をいたしまして、財務当局とも相談をするということをやっておるわけでございます。まだ、その私どもの、これはほんとうに内部的な、こういう中間的な数字を、非公式なと申しますか、私的ならともかくも、公けの席で申し上げることはいかがかという気もいたします。十分、ひとつまあ別の何かの席でそういう話が出た数字森先生も御承知のようでございますので、そういうふうにひとつ扱っていただき、私どもがこれから折衝をする過程で御注意いただけることは、今でもいただいておりますけれども、さらにこういう点は特に注意をしようという点ございましたら御指摘をいただいて、私どももそういう気持で今後の取り進めをいたしたい、こう思いますので、そういうふうにひとつお願いいたしたいと思います。
  9. 森八三一

    ○森八三一君 どうもこだわっておられますが、もう世間公知の事実なんで、今ここで四角ばって秘密にされる必要は私はないと思いまするが、どうしてもおっしゃらぬということであるならば、それを言わせるということは、それもいかぬわけでございますので、それではひとつ具体的にお伺いいたしますが、米の集荷という非常に重大な仕事を担当されておる集荷業者に対して与えまする手数料の一番中心的な存在でありまする人件費については、私が指摘いたしましたことを勘案して、どういうように算定をされたか。具体的な一つ項目をとらえて、おまとめ願った結論だけをひとつお聞かせを願いたい。
  10. 大澤融

    説明員大澤融君) 御指摘いただきましたその人件費の問題ですが、具体的な数字ということでございますが、私ども算定した考え方を申し上げ、そういうことについて御注意があれば、また聞かしていただくということにいたしたいと思いますが、人件費につきましては、今まで国家公務員ベース考えているわけですが、ベースアップが予定されておりますので、そういうこと。さらに超勤でありますとか、あるいはまた期末手当でありますとかというような問題についても御指摘がございましたので、そういう点も計算の場合には配慮しようということでやっております。さらに農業団体側では、地方公務員ベースというようなことをおっしゃっておりますが、やはりこれは国家公務員ベースではないかいうふうな扱いで進んだらどうかというふうに思っております。さらに、人件費的なものとして人夫賃の問題なんかも、これも実情に合わせる、あるいはまた現物支給というような問題の御指摘もございましたが、そういうものについても配慮をして参るというような考え方でやっております。さらに御注意いただけることがありましたら、ひとつ御注意いただいて、そういうことをよく考えながら、今後の計算をやって参りたいと、こう思います。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 公務員ベース計算をしているということは、今までの手数料算定にも採用されておった態度でありますが、それに対しまして今御説明のございましたように、今までの具体的な基礎は、単なる俸給だけが基礎になっておった、それでは実態に合わぬので、超過勤務手当なり家族手当なり、あるいは盆暮れその他の期末における賞与なりというものは、今日の賃金体系から考えますると、給与的な性格を当然持っているはずのものでありますので、そういうものを加えて計算をしなければいけないということを指摘した、それを全部そのまま採用している、そうしてまたその後における人事院勧告に基づきまして、公務員給与の引き上げが行なわれているわけでありますので、そういうものも加えて、基幹人件費については計算をしているということでありといたしますれば、その限りにおいてその問題は、一応私の申し上げましたことが取り入れられているというように了解をいたすわけでありますが、その基礎になりまする人の数につきましては、私どものいろいろ調べたところでは昭和二十七、八年度当時の所要頭数、そうしてまた昭和三十七年産米通達をされた五十円という手数料額基礎をなしている頭数とは変わっていないというように承知をいたしております。ところがその間に義務供出から予約供出制度に、制度自体が非常な大きな変革をしている。その変革に伴いまして、前と後においては、事務分量相当増加をしてきている、その増加をしてきているという実態を、やはり処理をいたしまする人の頭数に反映させなければいかんのではないかということを私は申し上げたのであります。具体的にも義務供出当時における集荷業者の担当すべき事務の内容と、その後における事務実態等を詳細には申し上げなかったかもしれませんけれども相当項目をあげて私は申し述べておったはずであります。そういうことをどういうようにお考えになったのか。その当時申し上げました言葉は、すでに統制が行なわれましてから相当長年月を経ておりますので、集荷の業に携わっておりまする基本的な職員の皆さん方事務に習熟をしてきておるので、事務分量はふえても同じ人間頭数処理ができるというようにお考えになっておるのかどうかという点もお尋ねをいたしましたが、これについては御回答がなかったのであります。私は、昭和二十七、八年当時の事務分量というものと、今日の事務分量というものとの間には相当大幅な変化が起きておる。その起きておる実態に即して、つつがなくこの仕事をやらしめますためには、相当人手を増さなければ処理ができないのだというように見ております。ただ担当しておりまする市町村における農業協同組合は米の集荷ということだけを専念しておるわけではございませんので、あるいは貯金のこともやっておりますれば、農機具や農薬の配給等購買事業も兼ね行なっておるという実態でありますので、集荷最盛期等には、そういうような他の業務に従事しておる諸君実態的には補佐をしておるということで問題がつつがなく行なわれておるように見ております。そういうことをも勘案をしなければいかんのではないかというふうに思います。そこで昭和二十七、八年当時、月数にいたしまして十五カ月分の人件費を計上しておったということでありまするが、今度改定をして今財務当局折衝をされておる基幹的な人の問題についてはどういうようにお考えをいただいておるのか、その点もお漏らしをいただきたい。
  12. 大澤融

    説明員大澤融君) その点もこの前から先生の御意見よく伺っておるわけですが、私ども業務量の問題については検討いたしまして、やはり人をふやしてといいますか、そういうような方向考えるのがいいんじゃないかというふうなことで検討いたしております。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 そのふやすという結論に達した、その結論は一体どういうようにお考えになったか。人件費については今具体的に、国家公務員給与ベ−スというもの基礎にいたしまして、同時にその中にはかっては計算を除外しておりました賞与なり、あるいは家族手当なりというものを含めて間違いなく今度は計算の根拠を求めたということですか。具体的に御説明があれば、そのもう一つもとをなす人については、そういうような指摘もあったのでふやすように考えておりますということですが、そのふやすように考えた結果がどういう数字になっておるのか。
  14. 大澤融

    説明員大澤融君) 数字はまだ私動く可能性もあると思います、途中のものでございますので。考え方はそういうふうな考え方でやっております。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 おかしいじゃないですか。人件費については具体的に国家公務員ベースにかくかくのものを今までは漏らしておったので、それを入れてやりますという具体的な回答がここにあり、人についてはそういう方向でというだけで、御勘案の結果が、なるほど事務分量というものは違うので、今までは、延べにして十五カ月分の基礎というもの考えてきたけれども、これはどうしても無理だということで、一割ふやすとか二割ふやすという率をおっしゃってもよろしいし、具体的に十八カ月分にしたとか、二十カ月分にしたということをおっしゃってもいいし、一方では具体的な回答をなさりながら、この段階になるというと、またそういう方向だけということでは、これは作業をしておるということにならぬのじゃないですか。作業をしておるなら、具体的に出てこなければならぬはずですよ。それでなければ、折衝できないでしょう。だから、何割くらいふやすでもけっこうです。
  16. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろん計算をしているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、公務員ベースをとるとかとらぬとか、あるいは期末手当を入れるとか入れないとかいうことは、これはルールの問題なんですけれども、今申し上げた業務量、あるいはその業務を果たすのに必要な人間というようなことは、実態の問題なんです。それをどこまで見るかということは、私ども一応の計算を持っておりますけれども、まだこれ動く数字だと思います。そういうことを途中で申し上げるのはどうか。しかし考え方としては、先生が御指摘のような方向検討をしておりますということで御了承いただきたい、こう思います。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 どうも逃げられますけれども、そうお逃げにならぬでも、私ども別にいじめるとかどうとかでなしに、同時にまた私申し上げておるように、大幅でも小幅でもない、大事な仕事を国から委託してやらせまするのに間違いない数字というものを導き出したい、こういうことでやっておるのですから、大体勘案した結果、この程度所要人数というものを増さなければならぬように思うという程度お話を聞かしていただきませんと、ただそういう方向でやっておるというだけで、この方向がはたして私の申し上げておる実態を把握していらっしゃるのかいらっしゃらないのか具体的にお伺いしなければ、あなた方のお考えになっておることに間違いがあるかないかということをきわめるわけにいかぬのじゃないですか。そんなことはまかしてくれ、自紙委任状でいいとおっしゃるなら、もうとやかく申しませんけれども白紙委任状的なことをやっておったから、今まで人件費についてはただ単に俸給だけを入れて実質給与というものをちっとも考えなかったというあやまちが犯されておったわけですね、そのあやまちというものを直していただきたいということを私ども考えておる。その考えを申し上げるのに、申し上げる基礎というもの一つも出てこないのじゃないですか、それじゃ白紙委任状をよこせというだけじゃないですか。まあ白紙委任状と違うかもしれませんけれども、具体的におっしゃらなければ、そのおっしゃっていることなり考えていらっしゃることが正しいのか正しくないかということをわれわれが建設的な意見を申し上げる資料というものがないのじゃないですか。一方的に人件費延べ十五人を二十五人なら二十五人にするほうがいいというふうにお前たち言え、そうすればそれを参考にしておれのほうで十八人にするか二十人にするか決定するのだ、だから言いたいことは言ってくれ、聞きっ放しであとの裁量はおれがやるのだという態度はおかしいじゃないですか。具体的にどの程度上げるという基礎があるはずですから、それをおっしゃらなければ、それは長官、いけませんよ。また、こういう点に抜かりがあるのじゃありませんかということを御注意申し上げるなり、そういう構想なら適当であるというふうに了解するというふうに、この委員会はなごやかに建設的な結論を導き出し得ると思うのですよ、その資料というものをお与え願わなければ、これはちっとも進行しないと思うのです。農林省といい大蔵省といい、決して他人ではない、政府部内のことですし、そして大蔵省といえども農林省といえども、無理を押しつけて、この重大な仕事をやらせようというけちな考え方を持っておらぬと思うのです。まじめにお考えになっておるのです、われわれも引き上げればいいというのではなくして、しばしば申し上げるように、適正な額というものを導き出して、そしてみなが気持よく仕事をやっていけるようにしょうじゃありませんか、こういうことで努力をしておるのですから、具体的に話をしていただきませんと、そのことが正しいか正しくないかということをわれわれが判断するわけに参らぬと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 大澤融

    説明員大澤融君) 私は、先ほど申し上げましたように、先生お話しよくわかるのですけれども実態の問題であり、また私ども作業中間段階でそういうものをこうした公式の席で申し上げるのはいかがかと思いまして、考え方を十分お聞かせいただいて、さらに御注意いただくことがあればお聞かせ願いたいというふうに考えます。
  19. 森八三一

    ○森八三一君 これはあとでも出てきますが、大豆の場合にいたしましても、澱粉の場合にいたしましても、われわれの考えというものは、非公式な機会にあるいは公式な機会にしばしば申し上げておる。けれども結論として政府が実行せられる数額というものは、ほとんどの場合にわれわれが申し上げたことを採用になっていないのですよ。だから、われわれがここでものを申し上げましても、それは不問に付せられてしまうということでは、何をやっておるかわからぬということなんです。もうこの段階にくれば、もう少しまじめに建設的にお互い意見を具体的に交換をしまして、結論を作り上げるという態度をとらなければ、ほんとうにこれは困った問題が起きると思うのですよ。別に何も秘密になさることはちっともないので、私はすでに実質的には公開されておるという問題なんですから、そのことにあやまちがあるかどうかということについての内部検討をいたしまして、正しい結論というものを作り上げようじゃないかということですから、そう秘密にされる必要はないし、どうしてもおっしゃらぬといったところで、今までの経過考えますと、私どもお聞かせ願わぬと非常に心配なんですよ。今までしばしば意見を申し上げたことはあります。ありますが、それがほとんど採用されておらぬという事実を私どもは見ておるし、そういう苦い経験を持っておるのです。ただ言いっぱなしで済むということであれば、もう何も言う必要はございませんけれども、私はほんとう農林行政をあやまちなく持っていきたいという少なくとも熱意からものを申し上げておるつもりなんです。いいかげんに、団体なりその他の人々にこびへつらって上げればいいというようなけちな考えをもって議論をしておるのではございません。そういう趣旨に立って今までもものを申し上げておると私は自分でも自負しておりますが、それが多くの場合ちっとも参考にされておらぬという事実を私は最近経験をしておるのです。そこでくどいようですけれどもお話を願えませんと、そしてまた私一人とあなたと別な機会お話をいたしましても、あるいは私の考えが間違っておることがあるかもしれません。そういう点について有識な同僚諸君がたくさんいらっしゃるのですから、そういう方にまた変わった角度から意見を述べてもらうということで建設的な結論というものが出てくると思うのですよ。別の機会に別の機会にとおっしゃるが、それは一対一でお話をしなければならぬことで、他の諸先輩諸君意見というものもお聞きを願うわけにいかぬし、私の申し上げることが間違っておるということを、これはおそらく同僚諸君指摘をしてくれると思うのです。だからそういう態度をどうしてとっていただけぬのですか。これじゃ農林政策を進めていくために私は非常に遺憾なことと思うし、極端な表現をすれば、きわめて非民主的な行動であるというような批判をしなければならぬと思うのですね。それじゃ非常に残念なことではございませんか。対立的にものを申し上げておるのじゃなしに、建設的にもの考えていこう、こういう態度ですから、そうして私の申し上げることにあやまちがあれば、私はそのあやまちを改めるのにちっともやぶさかでございませんよ。具体的におっしゃっていただかないと、あとずっとお尋ねしようと思っておることが出てこなくなってしまうのですよ。これは何をやったって具体的な問題なんですから、もう世間では農林省案として八十五円というものが新聞にも出ておるし、ほうぼうへ伝わっておるでしょう。農林省案として出ておるのです。それも言えぬと、それは非公開の席で言ったことで、公の席で言ったことではないと、非公開の席でおっしゃったことをここで取り上げるというのも変だと思いますけれども、どうしてもおっしゃらなければ、非公開の席での数字をここへ出してきて議論をしなければならぬ、それでは話が変になってしまうので、もう少しなごやかに聞けないものですか。大澤さんおっしゃいよ。何も遠慮する必要はありませんよ。ここはもう内輪同士で、建設的にもの考えておる人ばかりです。農林省をいじめようとか、大蔵省をいじめようとか、そんなけちな考えで議論をしておるのではございませんよ。やはり国政全般の一つの問題としてまじめにひとつ考えていこう、こういうわけですから。今までの議論では、お前たちは意見を言え、それを参考にしておれのほうで最後にぴしゃりきめるんだとおっしゃいますけれども、今までそういうことでものごとが順調に運んでおったとすれば、これは私はそれでもいいと思う。最近の各種の二、三の事例によっても、それでは安心ができないということをしみじみ感じておる。そのために農業基本法どっちを向いておるという議論まで現に起きておるのですよ。それではせっかくわれわれが多年苦労して農業の憲法といわれるこの基本法を作ったことの意味がなくなるし、こんなことを放りっぱなしにしておいたら、まさに農民から信頼を失う。信頼を失うだけでなしに、日本の国政全般が実はゆがめられていくんだと、こういうことを私は思い詰めているのです。その辺の気持を御理解いただければ、具体的にお話を願うことはよろしいじゃないかと思うのですがね、どうしても言えませんかね。
  20. 北村暢

    ○北村暢君 森さん恐縮ですがね、私は今の論議を聞いておると、どうも森さんの憤慨されるのも無理ないと思うのですが、食糧庁長官のとっている態度ですが、そういう価格決定だの何だのというのは、行政措置なんだから国会でとやかく言われる必要はない、意見意見としてお伺いいたしますと、こういう態度にしか聞こえない。これはやはり私ども集荷手数料にしても価格にしても、これはすべて食管特別会計の予算に関連する問題でありますし、当然これは十分国会で審議してしかるべき問題である。このように思うのですけれども、何か国会の場で論議することが適当でないようなふうに私どもは論議を聞いていて受け取れるのであります。そうでない限りは、もうすでに案が案として出ているならば、これは公開の席上であろうと何であろうと、とにかく率直に出してもらって、どういう基礎なんだと、それは最終決定でないということで論議をされてしかるべきでないかと、このように思うのです。したがって、食糧庁長官がそういう態度をとっている限り、この論議をしても意味がございませんので、ひとつ理事間で取り扱い方について協議をしてもらったらいいじゃないか。まああっさり食糧庁長官がこれを態度を改めて、謙虚に審議してもらうというなら、それならそれでもいいですけれども、どうも今の状況を聞いておりますというと、非常に頑迷固陋にがんばっておるようですから、これでは論議は進まないと思う。したがって、理事間で取り扱いについて協議をしてもらう、今後の運用上の問題もありますから、ひとつ厳重に協議をしてやっていただきたい、このように思うのです。
  21. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  22. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記つけて。  ただいま問題になっております米の集荷手数料の件は、ここでしばらく中断いたします。   —————————————
  23. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 次の大豆基準価格に関する件を議題といたします。
  24. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まず三十七年産の大豆基準価格決定するまでの経過伺いたいのです。もう少し伺いますと、この法律の第二条の第四項に「農林大臣は、基準価格、標準販売価格及び第二項の農林大臣の定める数量を定めようとするときは、政令で定める生産者団体等の意見を聞かなければならない。」、その点を中心に告示するまでの経過伺いたい。
  25. 大澤融

    説明員大澤融君) 三十七年産大豆基準価格は十月の末までにきめることになっておりますので、十月の末にきめたわけでございますが、今渡辺先生言われたように、生産者団体等の意見を聞いてきめるということになっております。私どもとしましては、意見の聞き方として、別に要式行為があるわけではありませんが、あらたまった形じゃなくて、いろいろな形で、価格を決定いたしますまでには御意見を拝聴しておりますけれども、最終的には、三十一日に私どものほうの最終原案をお示しして御意見を聞いております。しかしそれだけでなくて、その前にいろいろの機会に、もちろん意見を聞いております。
  26. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 最終的には三十一日に聞いた。聞いたその聞き方は公文書等によらずに、呼んで聞いた。その手続は私はとやかく言わんですが、最終三十一日に聞くまでにもいろいろ聞いたという、今の長官の答弁でありますけれども、私が実際にその経過の点をしさいに実際の団体に当たって調べましたところは、事前には何らの相談がありません。あなたは今事前にも相談あったと言いますが、それはいつ、どういう場所で、どういう対象と相談されましたか。
  27. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) われわれ平素、この交付金制度ができまして日も浅いことでございますし、基準価格考え方、運用の仕方等については、まあ常時接触があるわけでございます。こういう過程で、計画の段階、あるいは交付金交付の段階、それぞれの段階意見を聴取するということは、平素やって参っておるわけでございます。そこで長官お話しにもございましたように、政府の最終的な結論が出た場合には、やはりこの場合は法律上の要件として明確にしておく必要があるというので、特段に何といいますか、大ぜいの方に来ていただいてやるわけでございますが、そいうう手続とは若干違いますけれども、いろいろな段階相談はして参っておるわけでございます。
  28. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その数量とか、計画とかいうことじゃなくて、私直接聞いておるのは、三十七年産の基準価格について、最終的には三十一日に正式に聞いたが、その前にも聞いておると、長官が明確に答弁をしたので、その基準価格を、一体三十一日の事前には、いつ、いかなる場所で、だれを対象としてやったかということを、答弁の内容を伺っておる、基準価格決定に当たっての。
  29. 大澤融

    説明員大澤融君) 私一つ一つ詳細には覚えておりませんけれども大豆の価格の決定にあたっては、その前にパリティ、あるいはパリティだけで生産性の伸びというようなものを織り込むべきではないというような御意見を伺ったことも記憶しておりますし、そのほかにもいろいろ御意見を拝聴したというふうに記憶しております。三十七年産の大豆について三十一日に御意見を伺ったというだけではないというふうな記憶を、先ほどのような言い方で申し上げたわけでございます。
  30. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 パリティだけでいいとか、あるいは生産性の向上として反収を要素に入れることがいかがとか、そういう具体的な点に触れていつ会ったのですか。実際団体は会わないと言っているのですよ、係のはてまで。
  31. 大澤融

    説明員大澤融君) 私の記憶では、あるいはその内容は正確でないかもしれませんが、大体そういうようなことが書類をお持ちになってそのお話を伺わしていただいたということがあります。要望書と申しますか、陳情書を申しますか、そういう形できた記憶がございます。拝見した記憶がございます。
  32. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それはあなたの非常な錯覚であって、それらの問題を提起しているのは、大豆の主産県の経済連会長が意見農林省に申し上げているのであって、これは政令で定めた団体意見を聞いているという機会はない。これはこれ以上取り上げることもどうかと思いますので、やはり最終的にはただ一回しか聞いていない、十月三十一日に。これに対して十月末までに告示をしなければならないという冒頭の長官の答弁ですが、告示はいつされたのですか。
  33. 大澤融

    説明員大澤融君) これは私ども当時消費者米価ですとかいろいろなものをかかえておりまして、私自身の能力の不足ということで、実は十月三十一日の官報で告示をするということはできなかったわけであります。実質的には十一月に入りましてから十月末付の官報号外として告示をせざるを得ないような段階だったと思います。三十一日に御意見を拝聴して三十一日付の号外で告示をしたというような経過になっております。
  34. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 実際の告示をした扱いは、十一月に入ってから二日ごろに、遡及して告示をして格好だけはつけた。現にその諮問を受けた団体は一日付で意見政府に申し出ている。したがって建前として十月末までにきめなければならぬものを、ぎりぎりの十月末に相談をして、そうしてその意見を完全に無視して十一月の二日に遡及して十月にこれを告示をしているという、そういう扱いの経過からいっても明らかに大豆なたね交付金暫定措置法の第二条に対しては、きわめてこの法文を軽視し空文化しているということを認めざるを得ないわけです。したがってこれから質問するいろいろな内容についても、ただいまの米の手数料の審議にも現われましたように、もう決定してしまったから仕方がないという姿勢で、ただすべき内容もたださないということであれば、これは意見を言うてもむだでありますが、もしも指摘する点がこれを訂正するにやぶさかでないような内容ならば、それについて十分告示価格を訂正する意図がありますか。まずこれを聞かぬと、大事なこれは計数にわたっての質問でありますから、そういう点で、あらゆる点からいっても、もうこの告示価格を算出した経過は完璧なものである、したがってこれから私が言う意見も非常に理解が不十分であったということであれば、これは当然納得するものでありますが、もしこれから指摘する点についてほんとう問題点があるという場合に、それを十分内容として訂正をする意思があるかないか。そういうことをまず伺ってからでないと、質問しても非常に意味がないような結果になってもいかがかと思いますので、その点をまず長官から伺います。
  35. 大澤融

    説明員大澤融君) 私ども仕事をやります場合に絶えずその段階で最も妥当な方法で物事を処理するという気持でやっております。やったあとからも、いろいろ御批判も受けて、今後の問題としては、もっとより妥当な方法でやらなければならないという反省は、常に私しておるつもりでございますが、今の御指摘大豆基準価格の問題は、私は現段階では最も妥当な方法できめたというふうに考えております。しかしながら、従来から菜種、大豆について、基準価格決定の問題については、ああした新しい制度でございますので、いろいろ問題を御指摘いただいて、私どもは現段階では今やっているような考え方を持っておりますけれども、問題はあることはある。そこで、私どもとしましても、お役所だけでなくて、農業団体の方、あるいは大豆、菜種を取り扱っている方々に集まっていただきまして、今後の行政の運営の適切ということも考えまして、ある場合には法律自体がどこかよりもっといいものにするというような問題もあるのじゃないかということで、広範な問題について実は研究会を持っております。そういうような形で、今後の問題については処理をして参りたいと思いますけれども、先般きめました基準価格は、現段階考え方としては一番妥当な方法でやったという確信は持っております。
  36. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは伺いますが、この前の委員会に御配付をいただいた昭和三十七年産大豆基準価格について、この資料でおきめ願ったようでありますから、この資料に基づいていろいろ問題点伺いたいと思うのですが、先ほどの集荷団体にいろいろ諮問をしたというのですが、十月三十一日にその諮問をしたときには、この国会に出された資料の二ぺ−ジにありますところの反収の上昇を参酌したという方式は、諮問案には出ていない。そうして国会には出しておる。これで十分なやはり諮問ができたとお思いですか。
  37. 大澤融

    説明員大澤融君) 反収の上昇というようなことを考慮した額、生産性の向上を織り込んだ額というような項目で扱っておりますが、この資料と先般ここへお出ししたのと多少の資料の相違はあるようですけれども、生産性の向上を織り込んで考えるという考え方は、その当時も出ておると思います。
  38. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうもくどいようですけれども、出てないのですよ。第二条の第四項に該当するその手続を諮問としてやる場合に、出ていない。その後出ておる……、具体的に伺っているのですから、具体的に御答弁を願いたい。
  39. 大澤融

    説明員大澤融君) 「反収の上昇を参酌した額」ということでここへお出ししました資料の二ぺ−ジのアには、三十七年度予想反収でパリティ上昇で算出したもののチェックをした額が出ておりますが、このままのものは、生産者団体にお聞きするときには出しておりませんけれども、価格算定考え方について生産性の向上を織り込んだ額はどうなるかということで、反収増加を三十七年の予想反収そのものをとっておりませんけれども、三十七年産の推定をした反収の考えあるいは北海道についてのものその他を、御審議のあるいは御意見を拝聴するベースとしては十分なものを、そのときもお見せをしておるということで、この資料とこの前のものと多少の相違はございますが、これで御意見を聞けば、生産者団体の方々のお話がよく伺えるという材料になっていると思います。
  40. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 この資料に基づきますと、基準価格三千二百円をきめるために、この交付金暫定措置法の第二条に、その価格の第一の要素であるところの農業パリティ指数に基づいて算出しなければならぬようにうたっていますから、それ自体で算出をすれば、三千六百五十五円になる。こういうことは、計数の上から整理された金額だということでこれは了承するわけですが、次に、なぜ一体、反収の上昇を参酌したという要素を取り上げるかということについてであります。これは、目的にうたっておる、これを生産事情その他の経済事情をしんしゃくするという要素として反収の上昇というものを取り上げておると思うのですけれども、これは明らかに三千六百五十五円を引き下げる要素になるわけですね。で、こういう数字を離れて考えましても、非常にこの生産資材の上昇なりあるいは現場における農村の日雇い労賃の上昇なりというものは、きわめて顕著な傾向を示しておる。そういう要素は、これらの事情を勘案する、しんしゃくする要素には入れないで、単に反収の上昇だけを価格決定の要素に取り上げるということは、これは基本的に問題がある。これは結果的には、三千六百五十五円という基準価格を引き下げるために取り上げた要素であると思うのですが、そういう生産性の上昇というものが、農業の場合には、農業の経済的な特殊な性格から、その不利益を補正しなければならぬということは、農業基本法の前文にも第一条にも第四条にもうたっておるわけです。そういう経済的な不利益を補正するという農業基本法でうたっているその点は、生産性の向上は他の産業とは違って農業の場合はその利得する者は生産者ではなしに、むしろ販売価格の引き下げを通じて消費者大衆にこれが利益されておるということにあるわけですから、そういう生産性の上昇を反収の増加という要素だけを価格基準の中にこれを取り上げて、パリティではじき出した三千六百五十五円を引き下げるということについては非常に取り上げ方が一方に偏していると思うのですが、その点はどうですか。
  41. 大澤融

    説明員大澤融君) 交付金法の趣旨ですが、これは大豆の自由化に伴いまして、国内の大豆生産農家あるいは菜種の生産農家が急激に大きな影響を受けてはならない。そういう趣旨で基準年次の菜種作農家あるいは大豆作農家の手取り水準はひとつ大きく変わらないようにしていこうじゃないか。しかしながら、その間に生産性は上げて外国のものとの競争ができ得るようにいろいろ手当はしていかなければならない。したがいまして、現状のままの大豆作あるいは菜種作というような状態でいいということではなくて、生産性を上げて将来は競争もなし得るところまでいくんだという形でこの法律ができていると思うのであります。したがいまして、パリティだけをとって、パリティが上がったから価格も上がらなければいけないということであってはならない。むしろその間において生産性を上げて価格は徐々に引き下がっても手取り水準としてはそう大きく変わらないというふうにもっていこうというのがこの法律の趣旨だと思いますので、生産性が上がるということは、基準価格決定の中で非常に大きな要素として取り上げていかなければならない。そういう意味で生産性の向上ということについてはいろんな要素で取り上げるということが考えられると思うのであります。ここでは反収の増加という形で生産性の向上を織り込んでおる。そういう意味でこういうことをやっているんで、パリティだけできめてよろしいということには、この法律の趣旨には合わないんじゃないかと思います。また御指摘の農業基本法の精神からいっても、生産性を上げるということを通じての所得の向上、他産業従事者との生活の均衡ということを考えておりますし、その間において農業が置かれた経済的、社会的一自然的な悪条件、そういうものの制約を受けているので、そういうものは国の施策で排除してやっていこうというような思想をとっておるわけですが、そういうものとこの法律とは趣旨において全く同じものだというふうに考えております。
  42. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 非常にどうも納得いきませんが、特にあなたの言うのは、政府原案として出されたものが再生産を確保するということを挿入する以前の思想である。少なくともこれが国会で第一条の中に、再生産を確保することを旨とするということが国会で挿入されておる。そういうことで、その再生産を確保するという点を十分法律の趣旨に沿うて基準価格算定するという場合は反収の増だけを上げるのじゃなしに、生産性の向上という中には、いろいろやはり外的な内的な基準価格を引き上げざるを得ない要素が幾多含まれておる。そういう点は全然無視して反収の増だけを生産性の向上の要素として単独に取り上げたことに私は強い不満を持つわけです。そうして、今のあなたの答弁では、場合によっては生産性の向上によって価格を引き下げるべきだ。また法律の解釈を経済合理主義に理解して答弁をしておられる。現実に去年と同じ三千二百円にことしの大豆も据え置かれて、あなたのいう生活水準がはたして今答弁された他産業の従事者と同じような方向にいく具体的な施策と本気で考えておりますか、その点を伺いたい。
  43. 大澤融

    説明員大澤融君) その問題は、私食糧庁長官が申し上げる範囲をこえていることと思いますけれども、私個人の考え方を述べさせていただくならば、もちろん農業基本法の精神にのっとって諸般の施策が進められているということで、渡辺先生指摘のような点が長期的には解決の方向に向かっているというふうに考えていいのじゃないか、こういうふうに思います。
  44. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その点はまあ時間も制約をされておるわけですから、これ以上触れませんが、ここで一応その要素を認めるとしても、現に三十六年産の大豆基準価格決定の際にも、この反収の増を要素として計算の内容にしておりますから、三十六年でそういう要素を取り上げたものを三十七年でこれを撤回してもらうということも、これはもっと詰めていかなければ結論としては出てこないと思いますので、この際はその要素を認めるといたしまして、その国会で出された資料によって計算されたものを見ましても、三千三百九十六円という金額が出ておる。これまでは明らかに三十六年産大豆基準価格決定する際の農林省が取り上げた要素です、それだけでいいはずだ。そうすれば、このパリティの上昇によって出た三千六百五十五円を百歩譲って三千三百九十六円ということで告示をされたならば、生産者もそれなりに去年の経過もあるから納得をしたと思うのですが、そういう計算をさらにブレーキをかける新たなる要素を次々と出しておる。そういう一貫性のない価格決定の要素の取り上げ方に国民は幾多の不信を抱いておるわけです。なぜ三千三百九十六円という去年と同じ基準価格決定する要素を採用しないで、さらにそれを引き下げる幾多の次々と上げられる、全く納得のできないような要素を取り上げたか、その基本的な態度伺いたいのです。
  45. 大澤融

    説明員大澤融君) 交付金法での価格のきめ方というようなものには、新しい制度だけにいろいろ私は問題があると思うのです。三十五年産大豆につきましては、要項で処置をしたわけでございますけれども、これは基準年次の価格そのままをとった。しかしながら、この価格は基準年次のものをそのままとるということは、内地の大豆あるいは北海道の大豆、それの出回ったものの平均価格、これが示されておったものですが、御承知のように北海道の大豆のほうが内地の大豆よりは安いということがあるわけです。実際はその要綱で処置をしました大豆は、全部が北海道のものということで、ある意味では、北海道の大豆ならば基準価格がもっと低くてよかったのじゃないか、交付金をそのときは少し手厚くしたというようなことにも考えられる。そういう内地なり北海道なりの出回りというようなこともこの基準価格考える場合には配慮してしかるべきじゃないか。特に団体の、あるいは集荷団体のほうの出回りによる集荷計画と申しますか、調整販売計画というようなものも、回を重ねてだんだんはっきりしたものになるというようなことで、そういうものも配慮して、商品化はどういうふうに地方的になっておるかというようなことも配慮してやはり基準価格をきめるほうがより妥当だ、こういうふうな判断のもとに、一昨年の方法を改めましてそういうふうにしたわけでございます。
  46. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その説明の一々についてお伺いをしたいですが、ただいま申しましたように、この反収の増加を三十六年産大豆にも見込んで要素として取り上げた、そこまでは一応価格算定の一貫性の上から是認をいたしまして、出たものが三千三百九十六円、で、そのあとにあなたの今説明された、たとえばこの資料の二ぺ−ジの、反収の上昇をしんしゃくした額のイ、です。最近三カ年平均反収により反収の上昇をしんしゃくした額という新たなる要素を基準の要素に入れておる。で、三十一−三十三年の基準年の反収百十八キロ、これを分子として、三十七年の予想収穫百二十七キロでは高い金額が出るから、そこであなたは知恵をしぼって、安く決定する要素としてここに新規な構想を抱いて三十五年から三十七年産の反収というものを出して、百三十二キロというものを分母に使っておる。それで三千二百六十七円という数字をはじいておる、この三十五年から三十七年という、これは一体従来の三十七年の要素をなぜ拡大したかという根拠は一体どこにあるのですか。
  47. 大澤融

    説明員大澤融君) 先ほど申し上げましたように、この法律の趣旨は、所得の安定、自由化前の農家の手取り水準を、手取り水準で所得の安定をするという趣旨からいいますと。反収を生産性の指標とする場合には豊凶の差によって動くということがあるわけです。そういうことから考えますと、むしろ豊凶の差というようなことで所得が動く、手取り水準が動くというようなことでなくて、むしろ安定した形の反収、生産性というものを見るということのほうがよりベターじゃないだろうかというような考え方一つあるわけです。そういう意味で、豊作、凶作というようなことをならして、所得水準を考えるという意味でこういう考え方をひとつとってみたわけでございます。
  48. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、三十一−三十三基準年に対して、豊作、凶作の反収も考慮に入れた分母としての要素を取り上げたということであれば、三十四年からなぜとらないか。三十四年の反収は百二十五キロです。で、かりに三十四年から三十七年の四カ年をとったほうがベターじゃないか、あなたの主張からいけば。なぜ三十四年をとらないのか。
  49. 大澤融

    説明員大澤融君) 普通傾向を見る場合に、三カ年を考えるということで三カ年をとったわけでございます。
  50. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まあ、これは普通三年というのは常識でしょうが、しかし従来は、三十七年だけをとったというものを、なぜ延ばしたかといえば、三千三百九十六円にはどうしてもしかねるから、結論がそこに基本的にあるから、それを低めるための要素として取り上げたとしか思われない。三年を四年に延ばしたって、これは五十歩百歩で、私は、あなたの豊凶あるいは作況のいろいろな変動をできるだけ平均でとるということをかりに認めるとすれば、これは三十四年からとるほうがベターじゃないかと私は思うんです。それをとれば平均した反収は百三十二キロから落ちて一三〇・二五キロになる。これで割ればその上昇をしんしゃくした額は三千二百六十七万円が変わって、三千三百十七円になる。そういうふうな三千二百円に告示をするためには、できるだけ低くしんしゃくする要素として三年をとったというふうにしか受け取れない。こういう新しい要素をまず取り上げておる。来年もこういうふうな要素を取り上げるとなれば、非常にその点については、その基準価格を告示するその計算基礎に、受け取るほうでは非常に不安を抱くわけです。  それから先ほどの説明で、商品化の率を考えたといいますが、これにしても、前の委員会でもらった資料を見ますと、一体作付面積に商品化率をかけて、そうして商品化分の相当面積というものを出しておりますが、こういう性格の異る要素をかけ合わせて商品化相当面積などというものを出している。こういう矛盾をあえてして、無理に低い算式を作っておる。一体この農家の同じ経営の中で商品化反収と自給化反収の区別というものはあり得ないわけです。あるならば、これを作るに要した資料をひとつバック・データをお示しを願いたい。おそらくないでしょう。しかも北海道と内地を区別する、区別するならば北海道と各府県を全部やはり整理をして出すべきだ。内地を十ぱ一からげにするということにも問題がある。こういうふうな、まさに破天荒な算式を新たにひねり出して、そうして商品化反収などというものを出して、そうして低い金額をはじき出して、資料としては(2)の(ア)ですか。三千二百九十二円というのを出しておる。これは筋が通るとお思いになってこういう算式を作られたのですか。
  51. 大澤融

    説明員大澤融君) いろいろ御批判はあると思いますけれども、先ほど私申し上げたように、北海道、それから内地、内地の個々の県で差があるじゃないかというお話もございますけれども、大きな差は、北海道と内地ということで扱いますので、そういうようなことを考えますと、やはりそういう商品化の率というようなことを配慮して価格をきめるというほうが、昨年やりました方法、あるいは三十五年のときにやった方法を考えてみてベターじゃないかというふうに思っております。御批判をいただくようないろいろな問題は私はあると思いますけれども、そういうような問題も含めて、先ほど申し上げた研究会で検討してもらいますし、さらにこういう価格をきめます場合には、むしろ審議会というようなものを持って、そういうところの意見を、基本的な事項について御意見を拝聴してきめるというようなやり方があるいはいいんじゃないだろうかと、そういうことも場合によったらとろうという気持検討を進めております。いろいろ御批判はありましょうけれども、現段階では最も妥当な方法をとったというふうに私ども心得ております。
  52. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 結論的には何らかの審議会というものを設置して、そこでもっと掘り下げて、より客観的な方向づけを諮問し答申を受けて、実際に移そうという御意思と伺いましたので、その点はぜひともそういう措置をとって、何べんもこんなまずい質問をさせないで済むように、ひとつ善処を、特にその審議会の設置については要請をいたしておきます。  それから、今の長官説明のだんだんの中に出ておりますが、これは菜種でも再三にわたって御意見を申し上げたのでありますが、この基準価格は何を基準にしているのか明示されていない。三十五年産の大豆におきましても、保証された代表的な銘柄、等級として北海道十勝小粒、その一の三の実績を、やはり銘柄として基準価格にこれを明示してもらうということでないと、検査を受けても一体政府によって保証される金額がどうなるかということは、完全なる精算が終わらないうちは生産者にはわからないということでありますので、なぜそういう代表的な銘柄である北海道十勝小粒その一の三というものをこの基準に明示しなかったのか、この点を菜種の際にもいわゆる談合価格と称するような、わけのわからないようないわゆる基準価格というもので、その銘柄、等級を明示されない、混迷を受けておるという意見を出したのです。大豆についても。三十五年産大豆で代表されるように、そういう代表等級、銘柄というもの基準価格というふうにこれを明らかにしてほしいと思うのですが、その点についてはどうですか。
  53. 大澤融

    説明員大澤融君) これもしばしば御議論をいただいている点なんですが、私どもとしては、この法律の趣旨からいって、どういう銘柄、等級のものをそれぞれ価格支持をするということではなくて、全体として先ほども申し上げたような自由化前の手取り水準、所得水準に大きな変化がないようにしようという法律の趣旨からいって、基準価格、あるいは標準販売価格というものは、その所得水準なり手取水準というものに大きな差ができないように、大きな動きのないように、その交付金の額をきめるためのものというふうな理解で、銘柄、等級別にきめるということじゃなくて、今のようなきめ方がいいものだというふうに考えております。これはしばしば申し上げたことなんですが、しかし農民の心理として、それぞれ等級別のものがどれくらいになるのだというようなことが、もっとはっきりしたらいいじゃないかという問題はあろうと思いますので、そういうことも含めて実際そういうことをやったら、一体どういう格好で仕事が動くのだろうか、一体処理するために、どういうふうにしたらいいだろうかというようなことで、先ほどの研究会ではただいまそういう問題も検討しております。法律自体を直す問題、あるいは処理するための人員だとか、機構だとかというようなことに問題がどういうふうに発展するのだろうかというようなことで、具体的に検討いたしておりますが、現在のきめ方としては法律の趣旨からいって、私申し上げたようなことでいいのじゃないかというように思っておりますが、研究会ではその点も比較検討するということでやってはおります。
  54. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 何か研究会に逃げられたようなことですが、研究会に問題を持ち込んでいるというのは、明らかにそういう基準の銘柄、等級を明示しないことから起きて、一つの研究会に持ち込む課題になっておると思うので、それを明らかに商取引の建前からいっても、取引の基準というものが銘柄、等級別に基準が示されて、初めて完全な基準価格という内容を構成するものだというふうに考えて一般におるわけですから、研究会で研究されることもけっこうですが、こういう点については、すみやかにそういう基準の銘柄、等級、こういうものを明示して、生産者、農民が明らかに政府の保証的な措置に信頼できるような告示の不備を補充していただきたいと思います。  いろいろこの資料を見ますと、私から見れば非常に矛盾だらけな資料で、もうこれは数え上げたらきりがないですが、あと一つか二つひとつ指摘したいと思う。  たとえば、この資料で三ページにあります北海道と都道府県のそれぞれで調整販売される大豆について算出しておりますが、これの三千八十三円、三十一年の十月から三十四年の九月までの生産者価格が三千八十三円、北海道の場合こういう数字を出しておりますが、この出した計算の根拠をお伺いいたしたい。
  55. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 北海道で調査しております物価賃金調査、統計調査部の物価賃金調査の集計であります。
  56. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 非常に説明が不十分であります。この計算基礎はこうじゃないかと思うのですが、月別の北海道の物賃価格に、月別の北海道の検査数量の比率をかけたものでしょう。どうですか。
  57. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 出回わり数量をかけるのが正しいのでございますけれども、そういう調査に置きかえる意味で、月々の検査数量を採用している、お話しのとおりであります。
  58. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、北海道の月別の物賃に現われた価格と、月別の検査数量とをかけて、そうして北海道の月別の統計として生産者価格を出すということは、これは現実ともう非常に遊離しているということですよ。検査を受けても、北海道の場合は、これを大体三月ころまでに検査を了しても、これを、出回るまでには、概算金を払って倉庫に入れて、そうしてこれを四月以降十月まで平均販売をしておる。そういう実態に基づいて北海道の大豆の生産者の価格が出てくるのに、前もって検査をしたものを月別に物賃等をかけ合わすなんということはナンセンスである。そういうものを、さももっともらしくこれらの資料に出して、これも私から見れば、三千二百円に据え置くだめの要素として、資料として国会に出しておる。そういう計算の根拠は矛盾していると思いませんか。
  59. 大澤融

    説明員大澤融君) 価格を出す方法としては、技術的にそういう方法以外にはないのじゃないかというふうに思います。
  60. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それ以外にないというようなそういうその責任の持てない数字をなぜ出すのですか。そういう数字責任持てますか。実際北海道の生産者の三十一年の十月から三十四年九月までの生産者価格が三千八十三円だとこういうことを責任持っておっしゃるならば、その具体的なデータを御提出を願いたい。
  61. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 先ほどもちょっと申し上げたのでございますけれども、実際の農家の段階で出回った数量、商品化されていった数量というものの把握に置きかえる意味で検査数量を用いた。まあ一つの価格算定上の便宜の問題でありますけれども実態と若干の乖離はあると思いますけれども、そう大きな乖離があるというふうには考えにくいと思います。いずれにしましても、何といいますか内地と北海道で相当差があるということも、これは動かしがたい事実であります。それを把握するための手段ということで考えておるわけでございます。
  62. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 内地と北海道に差があることはこれは明らかであります。十勝小粒の基準価格から見れば、内地の白目大豆は三百円これは格差があることも明らかであります。そういうことを聞いているのじゃなくて、あなた方が国会に出された資料の、この北海道における三十一年十月から三十四年九月における生産者価格が、月別の物賃統計に月別の検査数量をかけて出したというところに、この資料の不確かさがあるということですよ。そういうものを出してここで総体で内地とともに合わせて三千百八十三円という数字を出しても、これは基準価格参考資料としては受け取りがたいということをお聞きしているのです。
  63. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 繰り返し同じようなことを申し上げることになりますけれども、完璧だとは私も思っておりません。しかし現段階での計算方法としては許容されるべきものだと、妥当であるというふうに考えております。
  64. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 不確かな要素をもって妥当ということは、これは強弁ですよ。これはもう全く正確だということですか、もう一回伺いますが。
  65. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 申し上げましたように、あらゆる点から見て完璧であるというふうには思いません。しかし、現段階での価格算定方式としては許され得るし妥当であるというふうに考えます。
  66. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まだこう次々と四ページまで出された資料についてお伺いしたいのですが、私はもうこれ以上の質問はいたしません。ただ今まで申し上げた点を総括的に感じますと、明らかにこの去年まで取り上げた反収増というところまでは認めるとしても、それ以外の要素は非常にこの基準価格算定する要素としては、いずれもきわめて要素としては取り上げかねる内容であるということは、今までの答弁によっても明らかであります。したがって、再生産を確保するという要素を、さらにこの基準価格をきめる際に考えてみますと、明らかに三十六年産大豆基準価格と同様に三千三百九十六円、北海道十勝小粒の一の三等としてこの端数を切り上げて三千四百円ということならばこれは生産者も納得をする基準価格でありますけれども、それをさらに去年と同じ三千二百円に押えて告示をしておる。しかも告示をする間にあたって法律でうたっておる、政令で定める団体意見を形式的には聞いておるのですが、時間的にほとんどそれを内容として取り上げるいとまもないし、内容的にそれも取り上げていない。こういうことで、私は最後にお伺いをいたしますのは、一体貿易自由化の嵐の前に立たされたこういう大豆の生産者農家の再生産を確保し、政府の四十六年までの長期見通しについては、大豆の需要は飛躍的に増大し、生産は停滞する見通しを立ててありますが、一体基本的に政府はこの油脂資源としての大豆の国内自給度というものを十分ふまえて、これらの措置を慎重に、やはり十分納得できるようにとってもらいませんと、ますます大豆作付農家は作付を放棄し、アメリカ大豆の輸入に依存し、国内自給度は逐次減退して、独立した農業の地位というものが失われることを私はおそれるのであります。したがって、少なくとも農業の再生産を確保する意味から、去年と同じ三千二百円というようなことではなしに、このことは逆から言えば、去年と同じ三千二百円に、ことしも同じ金額に告示をしたということは、去年よりも大豆生産者農家の手取りが低くなっておるということでは、これは非常に大きな問題であると言わざるを得ないわけであります。大体政府は畑作の恒久的な総合的な振興の施策というものは何ら見るべきものがない。こういう貧弱な農政で、はたして日本の農業の方向というものはどういうふうになりますか。私は単に大豆の三千二百円に問題があるのではなくて、この価格を告示した政府の施政に問題があると思う。もっと私たちの意見で聞くべきものは十分聞いてもらって、これらの告示価格の底冷えのするような措置については猛反省を促すことを要請して、私の質問を終わります。
  67. 森八三一

    ○森八三一君 今渡辺君の質疑で大体私の言いたい点も尽きておりますが、ここで一点だけひとつ最後に、今後のことがありますので伺っておきたいのです。それは、生産性の問題を非常に強く取り上げていらっしゃいますが、その年の諸般の情勢によって反収が減少したという場合になりますと、それは特別な事情として、またそういう年は省いて計算するということが行なわれる、そういうことはありませんということを、ここで確約いただけますかどうか。こういうことを申し上げまするのは、基準年次である三十一年から三年ですか、その年は不作の年なんですよ。不作だから反収は低いんです。それがやっと農民の努力によって平年作に戻ってきた。当然これは反収は増加します。今度逆に基準年次のごとく、不作の年がめぐってきた場合には逆になります。そのときには忠実にそれを履行するという態度であるかという、このことと一貫しておる。一貫しておるが、ただそのときどき、三千二百円ということを導き出すための手段として、過去三年がどうだこうだということでは、農民は納得をしない。だから最後に一つだけ、今後も反収という問題をこの価格算定基礎に使う。もし不幸にして減収という事態が発生した場合には、それはそのままずばり採用するという態度をはっきりしていただけるならば納得します。もしそうでないということになれば、基準年次の一石一斗八升という反収は、これは適正な反収を物語っておらぬ、それを採用したのは誤りである、こう思いますが、どうでしょう。
  68. 大澤融

    説明員大澤融君) 基準年次の反収は、そのときの価格と相関連しておると思います。そういう意味で、基準年次の価格と基準年次の反収とを現在と比べて処理をするということには私、合理性はあると思います。そういう意味で、反収を生産性のものさしの尺度にするということである限りは、凶作の場合には手取り水準に大きな変化がないようにということを考えるならば、そのものを使わなきゃいかぬということになると思います。ただ先ほどから申し上げましたように、渡辺委員からもいろいろ御指摘があり、問題があるわけです、この制度には。新しい制度ですから。そういう意味で、私ども考え方としては、こういう価格なり、あるいは需給というようなことについては、むしろ審議会というような形でいろいろ基本的な事項については御討論願うというようなことがいいんじゃないかというふうにも考えておりますので、今言ったような問題も、そういうところで一つ議論していただくというようなことで検討さしていただきたい、こう思っております。   —————————————
  69. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 次に、澱粉の買入基準価格に関する件を議題といたします。質疑のある方は、御発言願います。
  70. 森八三一

    ○森八三一君 時間がだいぶ経過しておりますので、端的に一つ伺いいたします。本年度の重要農産物価格安定法に基づきまする政府の買入澱粉価格の決定、その基礎をなしまするイモの基準価格決定につきましては、結論的に私は非常に遺憾の意を表します。そこでお伺いいたしますが、ちょうだいいたしました資料の二ぺ−ジ、二と三の関係は一体何を意味しておるのか。澱粉の歩どまり率が〇・五%上下するごとに五円の割合で価格を修正する。それは基準価格から澱粉価格を導き出した場合の計算に端を発しておると思うのです。そうして三のところには頭打ちをしておる。これは一体何を意味しておるのか。また、大豆の場合にも政令で指定する生産団体意見を十月三十一日に聞いたということであります。イモの場合にも同様の措置が行なわれると私は承知をいたしております。またやらなければこれは違反ということですから、当然十分な姿ではないにいたしましても行なわれたと思うのです。そのときに、この問題についても意見を生産者団体は具申をしていると思う。それをあえて採用されなかった理由は、どこに存在しているか。
  71. 大澤融

    説明員大澤融君) 第一段のお話は、イモの澱粉の歩どまりによってスライドする、つまり澱粉歩どまりの高いイモは基準のものよりはそれだけ高くするということを、基準のものの上一%について去年から始めたわけです。そういうやり方を今年も踏襲をしたという意味で、今御指摘になったようなことになっておるわけであります。それからもう一つ農業団体の御意見ですけれども、いろいろ御意見があったわけですけれども、私ども基本的な考え方といたしましては、澱粉基準価格、イモの基準価格、そういうものは、これはそれ以下になるというようなことは望ましくないという価格だと思うのであります。そういう意味では毎年これが大幅に上がったり下がったりするというようなことではなくて、例年大体安定したところで推移をするのがいいという思想を持っておりますので、このようなきめ方をしたわけでございます。
  72. 森八三一

    ○森八三一君 その趣旨と、この二と三の関係はないじゃないですか、ちっともあなたの御説明趣旨がここには生きていませんよ。そうでしょう。澱粉の含有率の多いものは当然生産者にその経済的なはね返りが及ぶべきであるということが第二でしょう。第三は頭打ちにしてしまって一体どうなるのですか。今おっしゃることはちっとも関係ないですよ。澱粉の価格にちっとも影響ないことになるんです。なぜこんなことをおやりになるのか、趣旨がちっともわからぬですよ。どういうわけでこういうことをおやりになるのですか。生産者団体に諮問したときに、団体はこういうことを答申したのですか。こういう意見を述べたのですか。筋が通らぬことを筋が通るように答申をしているのに、それを採用なさらぬという態度は、諮問ということが意味ないですよ。私が集荷手数料の問題についても、あとでまたお尋ねをするわけですけれども、しつこく聞きますゆえんのものは、そういうあやまちを犯してはならないということに起因をしているのですよ。これはどういうわけですか。どうしてもこれ私にはわからぬ。団体がこういうふうにしてくれというなら、団体意見を聞いたということで一応筋は通らぬでもわかる。団体はそうでないと言っているそうですよ。それをどうしてこんなことをやるのですか。問答無用という格好じゃないですか。
  73. 大澤融

    説明員大澤融君) 全般の御意見としては、完全にずっとスライドをするというようなきめ方にしたらどうかという御意見でございました。しかしこれは去年からやっとスライド制というようなことで踏み切ってきたわけでございますし、実際の取引ということではなくて基準価格でございますので、漸進的に進めるという意味で今年も去年のようなやり方を踏襲したということでございます。
  74. 森八三一

    ○森八三一君 漸進的といいますけれどもね、正しいことを足踏みしている必要はないじゃないですか。しばしば政府は正しいことについては勇敢に踏み切って行かれる、私はその態度はよろしいと思うのです。間違ったことを足踏みしている必要はないので、正しいことをどんどんやっていくということは、これは積極的に進歩のことですから、私はいいと思う。この趣旨はどうしても私にわからぬ。どう説明なさいますか。二三%のところまでは上げ下げするのだ、それ以上は据え置くんだということは、生産者に不利益を与えるということを政府が官報で堂々と宣言をしておるのですよ、これは。生産者はこれでは浮かばれませんよ。どういうことですか、一体。
  75. 大澤融

    説明員大澤融君) 昨年は、基準価格考えます場合に、二二%のもの考えた。二二%ですから二三%までスライドするということをそのときにやった。ことしはそれを二二・五ということでございますので、二三・五というところまではスライドさせようということで昨年度初めてやったものを一歩進めてやった。漸進的にやっておるということでございます。
  76. 森八三一

    ○森八三一君 どうもその漸進的という考え方が私には理解できかねるのですよ。なぜ漸進でなきやならぬのですか。いいことは何も漸進だとか考える必要はないじゃないですか。私の申し上げていることが正しくないのですか。二三%のところまでは上げ下げするのだ、基準価格から。それ以上は据え置くということは、それ以上いいイモを、含有率の高いイモを作るということは生産者に不利益になる。その不利益を堂々と政府が宣言をしておるという姿は、私にはわからない。そのために澱粉生産者に不利益を与えるというなら別です。あるいはそのために澱粉の価格が上がるというなら、これはまた考えなければならない面があると思う。澱粉価格にはちっとも関係ない。澱粉加工業者にもちっとも利害はない。にもかかわらず頭打ちにするということは、生産者だけに不利益を強要するということに通じますよ。そのこととが漸進でなきやならぬという理由は、どこに存在するか。どうしても私にはこれはわかりません。漸進ということといいことをやるということと、しかも生産者に不利益を強要するということを農政の面を通じて堂々とやるということは、どうしても私には納得できませんが、それも諮問された場合にみんながそうしていただきたいということを言っておるというなら、これまたひとつの、政府のとった態度に不満足であっても了解せざるを得ないと思うのです。けれども、その諮問を受けた団体もそうではいけませんということを言っておるのですよ。どうしておやりにならないのですか。どこからこういう注文があったのですか。
  77. 北村暢

    ○北村暢君 関連。ただいまの森委員の質問に関連をして、私お伺いしますけれども今農家はバレイショにしてもカンショにしても、澱粉の含有率の高い品種に切りかえるということでもって、非常な熱意を持って品種改良をやっておるわけです。国もまたそのその政策をとって試験場等においては非常な力を入れておるわけです。そうすると、今森委員の質問しておる点からいくというと、政府澱粉含有量の高いイモを作らせるというその施策に価格政策が合ってこないというと、その政府考え方というものは一致しないのじゃないか。含有量の高いものを作っても頭打ちで押えられるということになれば、あえて含有量の高いものを作るという必要がなくなってくる。作れば、手をかけてそれをやれば損をする。こういう結果になるのでは、政府の政策が一貫しないじゃないか。しかもこれは急速に進んでいるんですよ。澱粉の含有量の高い品種に切りかえるということは、ここ四、五年で相当程度の進歩をするという見通しが、非常にはっきり出てきている。そういうような時期に漸進的とは、これは政府の施策が一貫しないじゃないかと思うのです。そういう点について、一体どういうふうにお考えになったのかどうかということをつけ加えて御答弁願いたい。
  78. 天田勝正

    ○天田勝正君 関連。他の方が質問しているわけですから、遠慮いたすのですけれども、どうもこの点はまこと理解ができないのは、物事には、上限を作ったら下限も作らなければならないのです。これは常識なんです。どんないいイモを作っても二三・五%で頭打ちだ。二五%の含有量があっても、値段のほうは二三・五%で頭打ちで、それ以上は金やりませんよ、こういうことなんです。そこで基準は二二・五%で、今度下限のほうが、二一%以下しか含有量がなくても二一%あるものなりとしてその金はやりますよというならば、これは上も下も一応押えますから、理屈が合うわけです。いい悪いは別として理屈が合う。上のほうはいいものでも高くは買わない、二三・五%で押えて、それだけしか金やりません。下のほうは含有量がなければどんどんどんこまでも下げていく、こういうことなんです。このきめ方は、まことにこれはだれが考えても、常識的に答えができない、われわれ地方へ行っても。これもあわせてひとつ御答弁願いたい。思想がおかしいよ。
  79. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) いろいろお話ございまして、それぞれ問題点であると、かねて考えている点でございます。で、すでに御承知のように三十五年産以前について申しますと、基準歩どまりから下の歩どまりのものについては、農業団体で言っておられる完全スライドしているわけでございますが、上のほうは全然スライドしてなかったのでございます。昨年産以来、上のほうにもスライドしたらどうかということで、一歩を踏み出す。ことしが二年目に当たるということを長官から申し上げたわけでございます。  ここで問題が二つあると思うのですけれども一つはイモの澱粉含有量が非常に高いもの、これは現実には高く取り引きされております。農安法の体系の中で基準価格を作る意味合いから申しますと、必要な場合に澱粉を買い入れることによってイモの価格を支持する。澱粉の価格を建てるための一つの途中の計算がイモでございます。そういう意味で澱粉買い入れ価格を算定する建前だけから言いますと、上下全然スライドする必要はない。スライドということを考えなくて、基準のものだけ考えておけば足りる、農安法としてはそれで十分じゃないかという考え方もあるわけでございます。他方、イモの基準価格というものはとにかく農安法で告示されますので、何か農安法の目的てあるかないか、むずかしいところなんですけれども、それがイモの取引きに影響を及ぼすという意味合いで、スライド制というものがやはり何らかの意味を持っているのじゃないかという議論も成り立つわけでございます。そういうことで考えまして、重要な問題でございますから、先ほど長官から大豆、菜種の審議会というお話がございましたが、イモ澱粉についてもそういうふうな問題を将来にわたって禍根なからしめるように、審議会での議論をしていただくというふうな用意をいたしたいと思っております。現実のことしの価格としましては、御不満もいろいろ出されているわけでございますけれども、去年もやって第二年目だということで、いろいろな考え方がある中でこの辺でということできまったわけでございます。将来の問題としては十分検討いたしたいと思います。
  80. 森八三一

    ○森八三一君 いろいろ御説明ありますが、農安法に基づいて指定されている団体に諮問をして、その諮問の意見というものを十分勘案をして措置をしなければならぬ。その場合に完全スライド制をとるべしという主張があった。それを採用しなかったんです、これは。それを、今の御説明で漸進的という言葉で全部尽くされているが、しかし理論的にどうお考えですか。完全スライド制をとれという主張をしたことは妥当でない、やはり漸進的のほうがよろしいんだ、こういう感覚に整理をされたのですか。そういう感覚なら、それで役所態度は正しい、漸進的ということが正しいというんですか。今天田氏からお話しございましたように、理屈はどうあろうとも、下限と上限が押えられているということならば、それは私はそれでもいかぬと思うけれども一つの筋だと思う。下限のほうは上げっぱなし、上限のほうだけを押えておく、そうして含有量の高いイモを作りなさい、反収は減っても作りなさい、こういう指導を強力に進めている。われわれもそうでなければならぬと思いますが、そういうときの筋として漸進的という態度が正しいとお考えかどうか。将来のことは将来の問題として、ことしそういうふうに整理されたということは良心的によろしいとお考えですか。
  81. 大澤融

    説明員大澤融君) 森先生おっしゃるような考え方もこれは私あると思いますけれども、先ほど中西部長から言いましたように、澱粉を買うその値段をきめてくれというような意味でのイモの価格というようなことを考えますと、そういうことは一体必要なのかどうかというような質問もわいてくるわけです。そういう意味で、この制度は昨年から初めてこういうことを考えたわけで、やるにいたしましても、漸進的にやっていったらどうかということで、ことしはそういうことにしたわけです。そういう考え方であります。むろんこの問題は将来の問題として、今中西部長言いましたが、菜種と同じような、いろいろな考え方についての基本的な問題を御論議いただく公の場を作って、これのみでありません、もっと広くひとついろいろ議論をしていただいて、態度をはっきりきめて参りたいというふうに思っているわけです。
  82. 森八三一

    ○森八三一君 もう何べんこれは聞きましても、満足するような理論的な御答弁は承るわけにいかぬと思うのです。これは確かに私は誤りだと思う。その誤りが犯されているということは、これはおそらく長官の意思ではないと私はそんたくいたします。そういうようなことが想像されるが、これは誤っているかもしれません。そういうことでことしの澱粉価格なり、イモの基準価格がきめられているところにそもそもの問題があるんですよ。澱粉政府買い入れ価格にしても、そういうような考え方がずっとにじみ出てきているというふうに思わざるを得ない。そこに私は非常に遺憾なものがあると思うのですが、そのことはこれ以上申しません。確かにこの措置は誤りであるということを私は確認されてよろしいと思うんです。しかし、ことし直しなさいとまで私はここで申しません。申しませんけれども、かりにその研究会を作って研究するにしても、おおむねの研究とか審議会というものは、政府のほうで原案をお作りになると、その原案を大体、何だかんだと言っておっても最後には了承するというようなことに追い込まれるものが多いのですよ、これはいろいろな法律に基づいて作られている審議会にしても、政府のほうで参考資料をお出しになる、原案をお出しになるというと、結局そこへ理屈をくっつけて追い込まれていくということが、おおむねの場合に多いのです。ですからそういう考え方で審議会をお作りになり、研究会をお作りになってもだめなんですよ。そうしてその意見を聞きっぱなしで、実行するときには自分のほうの立場で決定をしてしまうということでは、調査会を作り、研究会を作っても意味なしませんね。そういう無意味な研究会はやらぬほうがいい。そういうことであってはならぬから、役所が独善に走ってはならぬから諮問をするという制度が農安法にあるわけです。昨年はおやりになった。これはいいです。昨年は試験的におやりになった、その結果を見て非常によろしいということで、そこで生産者の諸君は完全スライド制を強く主張した。それに耳をかさないという態度がいかぬということなんです。これ以上ここで誤りであると長官に頭下げさせようなんという考えは持ちませんがね。持ちませんけれども、これは誤りですよ。これじゃ生産者は浮かばれません。いいものを作ったって頭打ちだ、悪いものを作ればどんどん価格下げられるということでは、これは農林行政としては僕はほんとうに遺憾なことだと思う。これはすみやかにひとつ考え方を改めてもらいたいと思う。これはまあおわかり願ったと思いますので、とれ以上追及しません。  その次に、加工費がどうしても納得できないのです。これは公の席で聞いたわけではございませんので、公の席で言ったのではないから、そういうことは別の問題ですとおっしゃるというと、集荷手数料の問題にしても懇談会というわけにいかなくなってしまう。やはり土俵の中でものを申さんといかなくなつちゃう。非公開の席で、役所のほうの御調査では加工費は三・七%上昇しているということを公開しておられます。非公開の席で公開されておる。ところが、さて決定になりますと、ちっともそれが計算上は出てきておらぬ。それのみならず、バレイショになりますと、前年のものより下げているでしょう。上がっているという実態を調査しながら、前年より下げているということはどういうことですか。前年が誤っておったというなら前年のどこに誤りがあったかを具体的にお示しをいただきたい。
  83. 大澤融

    説明員大澤融君) 私ども最終的な結論を得ますまでにはいろいろの作業をして、いろいろの数字が出ます。その中間の過程先生おっしゃったようなことがありましたが、最終的にはここへ出しましたような数字が正しいという判断をしたわけでございます。中間の数字をとっていろいろお話が出るかと思いますけれども、御承知のようにカンショの澱粉の加工費は三十二年から据え置かれまして、三七・五キロ当たり三百三十七円何がし、こういうことであったものを、昨年三百五十七円に改定したのでありますが、最近三カ年の澱粉工場の経営概況調査というような結果を見ましても、調査結果は織り込んでおりますものに比較しまして約二円ぐらい低いわけです。そこで三十六年の調査の結果とその後の労賃の上昇率で修正いたしますと、今御指摘になったような三・七%というような数字が出てくるわけであります。三十三年以降、澱粉の生産量と澱粉工場の数は、生産量はふえて、工場は大幅に減っている、約八割ぐらいに減っているわけですか、生産量のほうは約十三・四%増。ですから、一工場当たりの操業率というものは非常にふえております。また、合理化というふうなことで生産性も伸びているわけです。そういうようなことを考えますと、この際多少の賃金アップというようなことがあっても、むしろ据え置いて、合理化を期待する。さらにはもっと引き下げてもいいんじゃないかというようなこともあるわけです。最終的な結論としては、カンショのほうは据え置いたというようなことでございます。さらにバ澱のほうを考えますと、こちらのほうはカンショとはもっと格段に合理化が進み、操業率は伸び、工場の数も減るというようなことでございますので、そういうことを勘案して、むしろ下げてしかるべきじゃないかということで、最終的には下げるという結論を得たわけでございます。
  84. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまお話を聞いておりますと、何か感じの上で物を処理されておるというようにしか思えない。実際の澱粉工場に働く労働者といいますか、従業員の賃金というものは、通年職員ではないんですよ。季節職員です。今季節労務者を求めるということが、いかに農村で難儀かということは、十分御承知のはずでしょう。その労働賃金の上昇というものは、常識でははかり得ない非常な高騰があるんですよ。そういうことを考えますると、工場が集中的に整備されることが一部にはあります。われわれもそれを承知しておる。政府もそうであろうと思う。それによって生産性が上がっておる部面は当然あります。ありまするけれども、北海道のごとき合理化せられておる工場というものは微々たるもので、大部分のものは以前の工場が多いんです、数から言ったって。しかもそういう工場は季節労務者を得るために四苦八苦しておるんです。そういうことはあなたは十分御承知のはずなんです。ただ合理化されておるという一面だけを見て、そうして前年よりも下げるという数字が出てくるということは、どうしてもこれは了解しかねる。これは結局大豆の場合でも何の場合でも一貫して流れておる思想であると思う。とにかく前年に据え置くという結論を導き出すためには、どこでどういうようなそろばんをやったらいいかという逆算の思想でしょう。そうでなければこんな数字が出てくるはずがないんですよ。もしこういう数字が出てきて、正しいとおっしゃるなら、その根拠をひとつお示し下さい、その根拠を。どういう根拠によって、前のときには、前年のカンショで申しますると三百五十七円八十八銭ですか、それから労働賃金の上昇等を勘案して、三・七%で三百七十一円という数字が出ました。その後もう一ぺん調査をすると、そういう上昇はしなくてもよろしいという数字が出ました。バレイショの場合には、前年のものを下げてもよろしいという数字が出ましたというなら、澱粉百貫目なら百貫目を作るためにどういう労務者を必要として、その労務者の単位時間当たりの労働報酬は幾らであるかという根拠があって、下げてもよろしいという結論が出たというような数字がございますれば、もちろんなければこんな乱暴なことはでけぬと思う、大胆なことは。数字があるはずですから、その数字をお示し下さい。下げた根拠の数字、感じじゃいけませんよ。
  85. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 長官お話の中にもございましたんですけれども食糧庁でカン澱、バ澱ともに経営概況調査というものを毎年やっております。で、バ澱のほうから申し上げますと、昨年の実態の集計によりますと、差引加工賃が二百五十六円六十五銭、内訳はいろいろあるんでございますけれども、二百五十六円六十五銭となっております。で、先ほど先生がおっしゃいました物価変動等、カン澱の加工賃が一〇三コンマ幾らになるという根拠の物価変動でございますが、その中には労賃の変動が当然入っております。その計数をそれぞれ見込みます。人件費については二割方は上がるんではないか、そういうようなことを織り込みまして、さらに北海道につきましてはある程度不作が見込まれるということで、その不作分によって昨年に比べると工場の操業度が落ちるんではないか、こういう辺も勘案いたしまして、そうして三百三円というふうになったわけであります。で、前年は三百二十七円八十四銭でありましたけれども食糧庁の経営概況調査によると、毎年のことでございますけれども、織り込みよりも若干低めに推移してきております。その経営概況調査に基づいて計算をしたというわけでございます。  なお、カン澱についても原則は同じでございます。昨年の織り込みをもとにして物価あるいは労賃の上昇を織り込みますと、若干の三、四%の上昇を見込むという計算になるのでございますけれども、経営概況調査そのものでは、ここ数年間どうも経営概況調査は下向いているという傾向もございます。そういう意味で計算上は去年をもとにして計算すれば少し上げるということになりますけれども、数年間を見てみれば、上げなくてもいいんではないかということで据え置きになったわけでございます。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 どうもそういう説明をされますけれども、実際はこうじゃないんですか。これもそうであるというお答えをいただけぬと思うのですけれども、バレイショのまず基準価格をきめて、そうして歩どまりを一五・五にする、そういう計算をして最終価格をきめる、そうするというと、その中が加工費になるんですからその加工費を押しつけた、その押しつけたことが今おっしゃるようにいろいろ理屈はおっしゃいますけれども、結局つかみで、最後は加工費についてのしわ寄せをしたというふうに私は理解する。そうでなければこんな数字が出てくるはずはないですよ。そういうことをおやりになるところに、われわれは価格政策として農業基本法にいう生産者の所得というものをいろいろ考えまする場合に、政府のほうには白紙委任状でおまかせができないという疑問が出るんですよ。あらゆる物価について適当に最終を想定してその最終に押しつけるためにどうするかという逆算がしょっちゅう行なわれているというところに問題がある。この澱粉の価格の決定についてはまさにそうであると加工費については言えると思う。こういう態度はどうしても改めてもらわなければいかぬと思うのです。これは幾ら言いましてもそういうことはお答えいただけぬで、物価指数がどうだとかこうだとかおっしゃっている。私はむしろほんとう実態の生産費調査をおやりになってこうだというなら納得もいたしますけれども、そうではなくて、一般的な物価水準がどうだとか、農村の日雇い賃金がどうだという数字から言っていらっしゃる。農村と都市の物価差がどうだとか、こんなことは僕に言わせばナンセンスです。統計上そういうことがあるということは認めます。認めますけれども、実際農村と都会との物価の差があるということは、今日の実際をお考えになればおわかりになるはずです。実際にはございませんよ、そんなものは。それから農村の日雇い労働賃金がどうだこうだと言ったって、こういう季節労働者の賃金というものは、農村の日雇い賃金を当てはめる性格のものじゃない。実態が違うんです。そういう実態の違うものの統計数字を当てはめてどうだこうだという計算をおやりになるところに、実態と遊離しておる結果が出てくる。こういうことを反省してもらわなければならぬと思う。  その次に計算の根拠として手持ちの政府数量を払い下げをすると、これを供給量に見ておる。これは一体どういうことになるのか、私にはどうしてもまだ理解ができません。これは政府では増産の年には買い上げる、だから供給を見る年は減産の年であるということか、あるいはその年の需要趨勢というもの勘案してその年の生産想定数量を見るというと、需要にはこたえられないから、その数字を手持ちで穴埋めをするという計算をお立てになっているか、いずれかと思うんですが、いずれをおとりになっておりますか。生産が減ずる場合には政府の手持ちを加えて常態の生産数量ができるようにするということを考えるという思想にお立ちになっておるのか、あるいはまた澱粉の需要の趨勢を考えてそれを充足するためには、政府の手持ちを払い下げるなりあるいは外国澱粉を輸入するなり、それをその年のイモの生産数量に見て計算をするという態度をおとりになっておるのか、いずれをおとりになるのですか。今まではこういうことはなかったはずなんです。
  87. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) すでに澱粉の需給事情についてはもう御承知のとおりでございますが、国内の生産だけでは需要がまかないきれないようになっておるわけでございます。数年前にカンショ澱粉の滞貨が非常にあったというのが、その後の作柄が豊作である場合でも供給が不足であるというふうに需要が非常に強くなってきております。で、したがいましてその年々の生産が平年に対して豊作であったから政府が買う、不作であったから政府が売るというふうに典型的な形では目下のところ動いておりません。全体としての澱粉需給というものが安定的に推移するというのにはいかなることによってそれが可能であるか、その上で形成される澱粉の正常な価格水準、したがってイモの正常な価格水準は幾らにあるべきかということで、需給全体として考えていかざるを得ない、そういう澱粉の需給事情にあると考えております。
  88. 森八三一

    ○森八三一君 その思想をずっと推し進めていきますと、澱粉価格は確かに安定します。安定というか前年据え置きという状態を導き出すと思うんです。けれどもイモの生産者はそれによってどういう結果が起きるかということはお考えになっておりますか。イモの生産者のほうは別ものだと、こんなのは生きようが死のうが勝手だと、ただ最初の澱粉さえ前年の水準を維持すればそれでよろしいということに私はなっちまうと思うんです。それでいいのですか、農政として。澱粉の需要が非常に多いということが予想される、そこで外国澱粉を輸入するなりあるいは政府の手持ち澱粉を放出するなり、それは実際の流通過程における行動として僕は起きることはよろしいと思う。価格策定のときにその放出する、あるいは輸入する数量を原料に換算して、それがその年の生産数量であったと仕立ててそうしてはじき出すというと、これは生産者のイモ価格が下がりますわね、下がる。そういう作業というものは正しいということが私にはわからない。それで一体農政としてはいいのですか。
  89. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 現在の澱粉の需給事情は、もうすでに御承知のとおりでございまするが、農安法がああいうふうにできてきた発足の由来からいいますと、供給が過剰で需要が追いつかない。そこで最低生産者価格の支持というものをいかにやるかということであったわけでございます。そこで現在でも基準価格考えます場合は、需給が過剰な場合での最低の線はどこかという意味での価格決定をするわけでございます。そういう意味で何といいますか、政府が持っておるものを売るというのは当然供給力がふえる。生産がふえるのでは決してございませんが、供給力がふえる。そういう需給情勢での価格水準を出すということでいくのが正しいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 森八三一

    ○森八三一君 それでイモ生産者というものは正しい立場に置かれますか。外国澱粉なり政府の手持ち澱粉というものを輸入する、あるいは放出するという数字を生産数量に仕立てて、それで原料の基準価格というものを算出するということでその時点における生産者は満足し得ると、こうお考えですか。この重要農産物価格安定法を作ったときは、われわれの考えは、イモの価格の安定ということを考えたいということであったのです。ところが、そのイモは戦時中には統制をいたしまして政府が関与したのですけれども、とてもお役人商売ではこういう腐敗の程度の早いものは操作はできないということで失敗をしたのですから、もう一ぺんその失敗を繰り返してはならぬということから、逆に長期貯蔵に耐える澱粉を通じてイモ生産者の安定というもの考えようということが出発点であったはずなんです。それを考えますると、今お話しのような計算をすることによって、生産者は非常に気の毒な立場に追い込まれるということにしかならないと、こう思うのですが、そうではないというならば、そうではないという御説明をしていただきたいのです。澱粉価格はそれで安定するか、前年の水準を保つかという結果に追い込まれるでしょう。けれどもイモ生産者はどうなるかということなんです。それでよろしいのですか、農政として。
  91. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 申し上げましたように、供給過剰の場合には、最低の生産者価格の支持という意味では、われわれ先ほど来申し上げておることで決して間違いではないと考えております。現実にどうかといいますと、すでに御承知のように現在は需要が非常に旺盛であるという形で、価格はまた別の水準で市価は動いておるということで、ことしあたりは農安法が当初目的にしておった、何といいますか、制度制定の趣旨実態がうまく合っていない年であるというふうに考えております。
  92. 森八三一

    ○森八三一君 実態の動きはこれは経済構造ですから、それは政府が言うとおりには出ていきません。それは基準価格きめたってそれ以下に下がっちまう。そこであわてて買う、買ってもまだ市価は維持されないということも起きますし、ことしのようにきめたって、はるかに上のところで実際の流通が行なわれておるという行為はあるでしょう。そのことと今私がここに言っていることとは違うのですがね。理論的に私どもはさめようとしておるものが違うのです。その理論的にきめようとしておるものが、今お話しのように生産が多い年には、需要より供給が多かろうというような見込みの年には供給の多かろうという原料の生産を基礎にして価格を算出をしたのです、今までは。今度は供給のほうが少なかろうというときには逆に政府の手持ちを出すとか、その数字を生産数量に仕立てて計算をなさっておるのです。私は市価の高騰を防ぐために供給の少ない年に手持ちを出して市価を安定させるという行為があることは認めます。供給が多くて需要が少ない年に、市価が基準価格には達しないというときに、市場の流通の玉を引き上げて、たな上げをして市価を維持するようにするという操作のあってよろしいということは私もわかります。わかりまするけれども、原料基準価格を算出するときに、その年から見ればいわば架空な数字を持ってきて、それが生産数量であるとみてはじき出すということでは、生産者は救われないということになると思うんです。そうはなりませんか、そうなるでしょう。
  93. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) 繰り返し申し上げるようなことになるんですけれども、供給過剰のような場合の何といいますか、最低線での支持の水準は何かというのがわれわれの作業の眼目であるわけです。そこでその年々の生産だけでは今の需給事情は完結しない。いわばもっと広い需給の世界になっておる。そこで今お話しましたように、政府在庫が減ってきたような、低下になるわけでございますけれども、そういう場合に政府売却を建てるというのは需給を安定させるための措置であります。お話にございましたように、政府が持っておるものを売ることを生産に置きかえてという、こういうお話でございますけれども、あくまでその年の生産だけでなしに需給ということで考えておる。その辺が少し食い違っておるのではないか、先生の説と私の答弁とが食い違っておるというような感じがいたしますけれども、農安法の建前からそれでいいのではないかというふうに思っております。
  94. 森八三一

    ○森八三一君 くどいようですが、その年の原料イモ価格に無関係ではないでしょう、関係してくるでしょう。無関係だ、ただ澱粉の流通数量だけに影響があるのであって、その年の基準価格とは無関係ということではないはずなんです、そうでしょう。そうすると結局一貫して流れておる思想というものは、澱粉の価格を安定させるというか、前年に据え置くということを煮詰めて、加工費でもその期待の線を導き出すために引き下げてみたり、その数字を作り上げるために、その年のイモの生産量をふやしてみて、そうしてイモの基準価格を下げるという行為をやる、それでなお追っつかぬと歩どまり率を上げてみる、そうして最終の期待価格を理論づけるということになってしまう。そういうことでずっと一貫してこのイモの価格というもの澱粉の価格というもの計算をされておる。そうでないというなら、私の申し上げておることが理解されなければならぬはずなんですよ。今ここで言いましても、告示してしまったものですから、これが誤っておったなんということをおっしゃるわけはありませんし、私もそこまで聞こうとも思っておりません。思っておりませんけれども、やり方に非常なあやまちがあったということを反省してもらえばいいんです。どこまでもこれで正しいんだ、もう研究の余地なし、これは絶対のものだ、こう主張されますか。
  95. 大澤融

    説明員大澤融君) この問題私どもの理解は、先ほど来中西部長が言っておるとおりでございますけれども、御指摘の問題大いに森先生意見をお持ちで、そういうふうなことも、あるいは審議会というようなものができれば基本的な問題として御審議をいただいていいことだと思います。今の考え方としては、先ほど来中西部長が言ったとおりでございます。
  96. 森八三一

    ○森八三一君 並行線ですからこれで質問はやめますが、多少の反省はあったようですから、けっこうとは思いますけれども、審議会を作って、そこに隠れみので逃避されておりますけれども、これはほんとうに真剣に考えて下さいよ。こういうことでは、それは多数の生産者諸君は、農業基本法の精神というものについては非常な期待を持っておる。といって、われわれはいたずらに価格を上昇せしめるということだけを考えておるのではないと確信をしております。どこまでも生産性の向上をはかりまして、最終の価格というものは引き下げるという努力をする責任を負わされたけれども、それがために生活を破壊するということは、これは許されぬ。どこまでも正常な他産業従事者並みの日当というか、所得といいますか、それを確保しての上のことであるという一線は譲れません。生産性の向上が全部価格に吸収せられて、一向所得が増加しないというような価格政策は納得ができません。その一線が最近における法律に基づいて行なわれる物価政策について、特に農林関係はゆがめられておる、あまりにも外部にこびへつらっておる、極端な表現かもしれませんけれども、そう感ぜざるを得ない。そのためにいろいろな理屈をくっつけて、据え置くという結論を導き出すことにきゅうきゅうとしていらっしゃるとしか思われません。この点は非常に遺憾です。ですから、もう時間もだいぶおくれましたのでこの問題はやめますが、私の申し上げた完全スライド制の問題については、これはいかに強弁されても筋は曲がっておる、こんな理屈に合わぬことはない。これはどこか一部の力が働きましたのか、完全に加工業者のために働いておる、生産者は無視されておる、これはどう説明されても説明言葉がなかろうと思います。それから加工費を前年よりも引き下げる、物価指数がどうだこうだおっしゃるけれども、これは結論的には逆算のしわ寄せをここへ持ってきたということにしか理解できない、実体把握をされておらぬ、こう感じます。  それから最後に、計算基礎として輸入なり、あるいは政府の手持ちの供給なりというものを、その年の生産数量に見て基準価格を算出するごときはもってのほかである、こんなことをやっておったらいつまでたっても生産者は浮かばれない。いたずらに最終の澱粉価格の安定ということにのみとらわれて、こんなばかげた価格政策は僕はないと思う。ただ外国との貿易自由化等の関連があるので、そんなに上げたくないということでございますならば、それは別個の措置をとるべきであって、そのしわ寄せを生産農民に与えるというような農政はやめてもらいたいということを注文いたしまして、並行線ですから一応きょうの質疑はこれで終わります。
  97. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ここでしばらく休憩して午後二時再開いたします。    午後一時九分休憩    ————・————    午後二時十九分開会
  98. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃に関する件を議題といたします。質疑のある方は、御発言を願います。  なお、本件については、国鉄から、担当理事の磯崎君が、本日やむを得ざる予定がございますし、局長が出張中でございますので、きょうはかわりまして総務課長が出席をいたしております。農林省からは、農林経済局長が出席いたしております。
  99. 森八三一

    ○森八三一君 このことは、もうすでに数カ年継続してこの委員会で論議したことでありますので、運輸省におきましても農林省におきましても、事の内容については、十分もう御承知のことでございますので、ここでそのいきさつなり内容なりは一切省略いたします。ただ、本年の十二月三十一日まであの措置が継続しておるわけでありますが、その継続ということを決定されまする前の時期におきましては、この制度は暫定的な措置にすべきではなくて、本格的な制度化に踏み切るべきであるという論議が行なわれまして、これはこの委員会の総意としてそういう意思が表明せられ、企画庁を中心として、その調整をはかりながら善処をするというようなことでもあり、農林省のほうの事務当局といたしましては、大体話も進行しておるので、不日制度化した姿にこれを措置いたしましょうというような趣旨の御説明もあったわけであります。で、私は、この十二月三十一日の暫定措置期間の満了するときには、当然これは制度的な恒久的なものとして措置されるということを期待をいたしておるのであります。この期待は、今までのおそらく十数回にわたるこの委員会における論議の経過並びにそのときどきにおける御説明等からいたしますれば、あまりにも当然なことであろうと思うわけでありますが、その後における措置について、この際、まず御説明をいただきたい。
  100. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) ただいま森委員からお話のありましたように、農林省といたしましても、三カ月ごと、あるいは六カ月ごとに割引を延長して参るということは、どうもはなはだまずいということもありまして、特に従来の経緯にかんがみまして、この政策的な重要性もありますので、でき得れば——若干中には現在におきましては当初のような重要性を失っているものがあるかとも思いまするが、できるだけ長期の、あるいは恒久的な制度にしたいという趣旨のことを、この前の国会におきましても、前局長から申し上げておるのでございます。その趣旨に沿いまして、国鉄のほうにもひとつ話し合おうじゃないか、それからできれば国鉄から案を示していただきたいというようなことで申し入れをやって参ったのでございまするが、国鉄にもいろいろと御事情がありまして、いまだ結論を得るに至っておりません。はなはだ遺憾でございまするが、この十二月末までに十分な話し合いが進むという段階には至っておりませんので、でき得れば、さしあたり現在の制度をそのまま延長するようにいたしたいということで、最近さらにお話し合いをいたしておるような次第でございます。
  101. 森八三一

    ○森八三一君 農林省お話は、ただいま局長から御説明のあったとおりでありますが、運輸省としては、これは課長さんに聞いても、ちょっと御答弁ができないと思いますけれども、しかし、ここへこの問題を承知しながらお出ましをいただいたということについては、上司とも打ち合わせの上でおいで願っておると思う。今農林当局から御説明のあったことは、その当時の運輸当局においても大体御了解を願っておった線であると私は確信をしておる。農林省が一方的に、ただいいかげんな希望的な観測を述べたものではなくて、その当時の情勢としては、別に文書が交換されたものではないと思います。しかし、お互いの腹づもりでは、大体そういうように踏み切ろう、それには今局長お話しのように、物資の——百何十がありましたかね、そのうち、もう現実の情勢から考えて、このうちから省いてよろしいというものもないわけではない。そういうものについては整理はするが、しかし、制度としてはひとつやろうということであったはずなんだ。そのことは運輸当局も大体御了解願っておったと私は思うのです。で、その後運輸省として、なぜ一体ぐずぐずしていらっしゃるのか、早く踏み切ったらいいと思うのですが、もしそれが運賃の収入額に影響がくるのだからというのなら、この前運賃を改定したときに、そういう問題は当然織り込まれていなければならないはずだったと思うのです。また、私は、織り込まれておったと思うのです、そんなことは。だから、国鉄の営業の面から考えても、問題はないはずなんだ。この重要な物資の特別措置については、政策的な出発点を持っておるわけでもありますので、もうこの段階でそんな一寸刻み、二寸刻みをやっておる必要はないので、踏み切っちまうという措置が講ぜられてしかるべきものだと思います。だから十二月三十一日をまた三月三十一日に、年度中とかというようなけちなことをやっていないで、この際、本格的な制度にするということにすべきだと思いますが、これはどうなんですか。
  102. 中牟田研市

    説明員中牟田研市君) 森委員からただいまお話のありましたことは、第四十国会で私ども局長の遠藤が申し上げましたとおり、この制度の恒久化の問題につきましては、関係各省と御相談も申し上げ、かつ、その御指示を仰ぎたいということでお答えしておりまして、その後も国鉄といたしましては、関係各省といろいろ御相談も申し上げました。また、御指示もいただいておるわけでございますけれども、何分にも品目その他の調整、あるいは業界が非常に広いというような関係もございまして、いまだに確たる結論も得られておりませんことは、はなはだ申しわけなく存じております。私どもといたしましても一案をもちまして、至急に関係各省と御相談を申し上げたい、こう考えております。が、何分問題が非常に今申しましたとおり複雑でございますので、どうかいましばらくの御猶予を、この問題についてはひとつ御検討いただきたい、こういうことであります。
  103. 森八三一

    ○森八三一君 大体これで方向ははっきりしましたから、これ以上この問題は繰り返して私は申し上げませんが、ずっと今まで、数年間この問題に私も直接関係して参りました。その質疑を通して、運輸当局も農林当局も、それから企画庁のほうも、この制度を改変する場合には、その内容についてこの委員会に報告をして、その了承を得た上で実施をいたしますという確約が一つ残っております。これは何国会でやったのかは今記憶いたしておりませんが、これはおそらく木暮運輸大臣のときであったかと思います。そういうことで速記録にもはっきり残っておるはずなんですから、これはひとつ確約をしていただきたい。  それから第二は、ただいまお話のように、制度化するということについては、両当局から見解の表明もあったことであります。だからこの方針は変えないということの確約をしていただきたく、それには内容がある、条件がある、それは今の百何十品目というたくさんのものをそのままずばり持っていってしまうということは実態に即さないから・その品目をどういうふうに整理するかということについて、関係各省間で十分ひとつ話し合っていただく、これは必要と私も思います。だから、その話がついたときが制度化するときであるということの確約。  第三に、そういうことの取り運びが完了するまでは現行のこのままを時間的に延長していく。そこで、十二月三十一日までのものを三月三十一日までにという、年度中ということが一応考えられますけれども、なかなか私は内容がむずかしいことでございますので、早くを期待はいたしますけれども、それに間に合わぬというと、また三月三十一日のときになって論議をしなければならぬという煩がございますから、思い切って一カ年間延長しておく、そうしてその間に一刻も早く本格のお話がつけば、そのときにその一カ年間延長が消えていけばよろしいので、措置としては一カ年間暫定措置を延期しようということでやっておいて、そうして一刻も早く各省間の話をまとめて、そのときにその延長が自然に消滅してしまうという措置をしてもらいたい。この三つの点をここではっきり御答弁いただきます。それで満足ができますれば質問は終わりますけれども、その三つの点が確約されぬというと、まだ相当時間をかけて質疑をしなければなりませんので、はっきりしていただきたい。
  104. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) まず、第三の点から申し上げますが、農林省事務当局といたしましては、今御指摘のありましたように、小刻みにやるということはたいへん望ましくないということから、少なくとも六カ月以上、でき得れば一年でも延長するように国鉄と十分お話し合いをしたいと思っております。従来の経緯でございますが、これは当時いろいろこの委員会お話があったかと思うのでありますが、従来の経緯は十分尊重いたしましてやって参りたいと思いますが、同時に、制度化といいますか、恒久化、あるいは長期化という問題につきましては、今お話のありましたような線に沿って、また、前国会におきまして前の局長が申しましたような趣旨を尊重して、十分関係省とお話し合いをいたしたい、かように考えております。
  105. 森八三一

    ○森八三一君 第一の点は。
  106. 中牟田研市

    説明員中牟田研市君) ただいまの森委員からのお話でございますが、恒久化の問題につきましては、これはまことに私どものほうから説明を申し上げるのは釈迦に説法になるかと思いますが、何分にも運賃法との関係もございまするので、法制上の問題があることはよく森委員承知のことと存じますが、直ちにこの制度そのままをということは非常にむずかしい問題だと思います。この点につきましてはよく御了承を得まして、私ども先ほど申し上げましたとおり、国鉄のただ暫定措置として遷延するということは望ましい状態でないことは、実は運賃法制上から言うと、この制度そのものはきわめて例外的な措置でございますので、ただいままで暫定々々ということで参っております。したがいまして、この問題を安定化するということは、一つの方策をもって関係各省と、先ほど申しましたとおり、連絡の上、努力検討して、早急に結論の出るように努力いたしたいと思います。  それから、運賃の問題につきましては、そういうかなりむずかしい問題でございますので、十二月中にその結論が出てしまうというようなことも、一応の見込みが立ちませんので、その後の措置につきましては、ごく良識ある範囲で客観情勢から見まして、まことにこういう物価問題のうるさい時期でもございますし、その他の点から見まして、良識ある範囲で早急に措置いたしたいと思います。御了承を得たいと思います。  なお、この件に関しましては、私どもの監督官庁である運輸省とも一応相談して結論を得なければならない立場にございます。一応この場では、国鉄としての立場としては、一応の腹がまえはございますけれども、一応良識ある措置をいたしますということをお約束して御了解していただきたいと存ずるわけであります。
  107. 森八三一

    ○森八三一君 大体わかったようですが、私が端的に三つの条件をあげたんですから、それにずばり答えて下さい、はっきり。説明は要りませんから。約束されておる本制度を何らかの姿に変えよう、その内容は、本格化することも一つだし、それから、品目を整理することの内容ですね、そういうこの趣旨に何らかの変更を加えようとすることを行なわんとする場合には、この委員会に報告をして、了承を得てやりますということまで確約されておる一点なんです。これは今後にもその趣旨は継続されますね、継続いたしますと、こう言ってくれればいい。それが一つ。  それから第二は、恒久制度にするということは答弁されておるんですから、この精神をくんだ  形はとういう形でもいいんですよ、この精神を生かしたことを制度化するといろか、恒久化するか、それはやりますということをはっきり言ってもらいたい。それから、そのことの結論を導き出すまでの間、従来のように、十二月末が三月末、三月末が六月末、六月末が九月末、九月末が十二月末、一年に四回も、一・四半期ごとに論議を繰り返してやっておるのは煩にたえませんから、ここでもっと大幅に延ばしてもらう。それは常識の範囲でとおっしゃいますが、その常識の範囲が小刻みではなかなか結論が出ないと思います、むずかしい問題ですから。そこで、大幅にやっておいて、結論を出すときには、大幅にやっておけば、暫定措置が消えるだけですから、何も苦にならぬのですから、大幅にやって下さい。そうして大幅にやっておいたことで安心して、まだ時間がある時間があるといって恒久化を見送られては困るから、そういう点からいっては短いほうがいいように思いますが、事がむずかしいのですから、そう端的にいかないので、それは一年くらいやっておいたらどうだ、それは常識的でないと言うなら六ヵ月でもいいんです、六月末くらい。しかし、六月末はどうも危険なときなんです、ほんとうを言うと。国会が休みになる公算が強いんです。まさか第一の条件が確約されておれば食い逃げされることはないと思うけれども、どうも役人の言うことは近ごろあぶなくてしょうがないから、そこで一カ年くらいと、こういうことを私は言っておるんです。ですから、その辺のところは、三つの条件三つともよろしゅうございますと、これだけ一口に言ってもらえばいい、十秒か五秒でいい、その答弁を期待します。
  108. 中牟田研市

    説明員中牟田研市君) ただいま国会で過去にそういうことのお約束があったということは、ごく常識的に私もあったろうと存じます。それで、そういうお約束があれば、私そのとおりに実施するように確約いたします。  それから二番目の問題については、非常に深い御理解で、難問題だということを十分御承知のことでございますので、方法論は別といたしまして、早急に努力いたします。  それから第三番目の問題は、これは何カ月とか一年とかいうことにつきましては、これは運輸省の指示に基づいて、当分の間ということでございますが、運輸省の指示をいただきませんと、国鉄としては、この場でこうだということを決定的に申し上げかねますので、先ほどお答えいたしましたように、客観情勢から、ごく常識的に私申し上げれば、今、先生のおっしゃったような範囲であろうかと私は存じますが、運輸省もその辺のところで指示される、こう考えております。ごく常識的にということでお許しを願いたい。
  109. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの総務課長のお答えで、私の聞きたいことは全部尽きておると思います。私の申し上げた三つの点について、私の希望を十分にかなえていただいた御答弁であり、このことは今までの経緯にかんがみて、当然のお答えではあろうと思いますけれども、きょうはこれでこの問題は質疑を打ち切ります。その精神どおりに、ひとつお答えどおりにやっていただくということを、私ども協力しますよ、しますから、ひとつ誠意をもってやっていただきたい。希望を付しまして質問を打ち切ります。   —————————————
  110. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 次に、乳価等に関する件を議題といたします。質疑のある方は、御発言を願います。
  111. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 乳価にしぼって御質問申し上げます。生産者の立場からは、それぞれ現在取り引きされておる乳価が不当に低いという立場で値上げ要求をいたしております。ところが、一方ではメーカー側からは、生産者のそういう意向とは全く対照的に値下げの通告をしておるわけでありますが、こうしたような業界のこの乳価値下げの通告に対して、政府当局は、その通告が妥当であるか、あるいは不当であるかということについての見解をまずお伺いいたしたい。
  112. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま御指摘のございましたように、現在乳業メーカーが、その取り引きの相手方でございます生産者団体と乳価の値下げ交渉をやっておるのであります。実は、ただいま渡辺先生から端的な御質問でございますけれども、この秋口ころからこの冬場にかけましてこういう問題が熾烈になりましたのには、やはりそれ相応の背景があると私は理解をするものでございます。渡辺先生からも資料の御要求がございましたのでございますが、簡単にその背景を申し上げますならば、本年の生乳の生産量は、きわめて順調な増産テンポをたどっておりまして、本年の一月から十月までの平均を前年と対比をいたしますと、一一五%になっておるわけであります。ところが、一方、そういうふうな増産をたどりました生乳の消費の状況はどうかと申しますると、飲用牛乳向けの消費のテンポが非常に落ちております。昨年に比べまして、一−十月の対比でございますが、一〇六・九%、したがって、前年に比べて七%前後しかふえておらない。特にことしの異常な減少と思われましたのは、最も飲用牛乳の消費の伸びるだろうという七月の時期が、わずかに二・四%しかふえなかったのであります。これはことしの七月が冷温多雨であったという気象現象からくる。酪農が、いわゆるお天気酪農だということを端的に現わしているのだと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういう前年に比べてみて、きわめて異例な飲用牛乳の消費の伸び率でございました。そういうわけで一−十月を平均いたしまして、わずかに六・九%しかふえていない。したがって、しぼった牛乳、生乳というものがどこに振り向けられたかと申しますと、申し上げるまでもなく、これは乳製品など、いわゆる加工のほうに回わってきたわけでございます。加工の伸びを一口に申し上げますると、飲用のほうがただいま申しましたように一〇六・九%に対しまして一二四・七、二五%近いアップになっておるわけでございます。こういう現象が出て参りまして、この現象は直ちにどういう反応を呈して参るかと申しますと、これまた申し上げるまでもないのでございますけれども、乳製品メーカーの乳製品在庫が異常にふえて参っております。これも私のほう、農林省統計調査部の統計の結果から見て参りますと、詳細は省略させていただきますけれども、大体前年の同期に比べまして、ものによって大同小異はございますけれども、大体一七、八〇%ないし二五、六〇%というふうな在庫の増に相なっております。この在庫の増が、御承知のような景気調整のあふり等もございまして、乳製品価格の一方において下落という現象を呈して参っておるような状況でございます。そこで、そういう背景をもとにいたしまして、乳製品メーカーといたしましては、御承知のような乳価は基本乳価に季節的な奨励金をつけて取り引きをいたしておりますけれども、そういう何と申しましょうか、奨励金という意味が、夏場は非常に原料乳が不足をするので、夏場の不足したものに対して、冬場にはしばらくの間は奨励金までつけて牛乳の増産をさらにお願いをするということにはとてもしのびがたくなりましたということで、このことしの秋風が吹き始めますころから、乳価値下げ乳価値下げということを絶えず申して参りました。これに対しまして、農林省といたしましては、御承知のように、乳価そのものが下がるということは、ただいま渡辺先生は不当かどうかというふうな御指摘がございますけれども、不当であるかどうか、あるいはやむを得ないものであるかどうかということはさておき、少なくとも好ましいものでないということは私どもはっきりいたしておる。したがって、何とかできることであれば乳価の引き下げということが行なわれないように当事者間の円満な協定というものが望ましい、かように考えて、機会あるごとに乳製品メーカーに対しましては、乳価問題は慎重に扱うように内面指導はいたして参ったのでございます。また、そういう内面的な指導と相まちまして、たとえばこの十一月からは、すでに余剰乳を学校給食に取りあえず回わしていくということも取りあえずの措置としてやったようなこともあるわけでございます。また、これも今後ぜひとも続けて参る、かように考えておりますけれども、いずれにいたしましても、そういう背景のもとに今回の引き下げ交渉が行なわれておる、かように感じております。
  113. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ただいまの御答弁に関連して、さらにお伺いをいたしますが、消費の部面では、飲用乳のテンポがおくれておるということで、資料を見ましても、確かにそういう資料があるわけでありますが、一体この飲用乳の消費の伸びが低いために、加工用に回された割合が高くなってきておる、その結果メーカーの在庫が非常に増加して、前年と比較して一八〇%程度に達しておる、こういう御指摘がありましたが、このメーカーの在庫というものは、政府としては確実にその実態を把握しておっしゃっておるのか、その点をまず関連してお伺いをいたしたいわけであります。
  114. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま私から、乳製品の在庫を前年の同期に比べまして一七〇一八〇%、あるいは物によりましては二百数十パーセント、もっと極端に申しますと、四〇〇%アップというものもあるわけでありますが、これは異例でありますので申し上げなかったのでありますが、いずれにいたしましても相当の在庫がある、かように申し上げましたが、その私が申し上げました在庫は、農林省統計調査部が法律上の所定の手続に基づきまして調査をいたし、その所定の手続によって公表をいたしておるものでございます。
  115. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これは三十三年の事態を振り返って見ましても、当時は生乳換算百八十万石に相当する製品の過剰在庫があるということで、メーカーの突き上げによって、当時政府は五億八千万の予算を計上して買い上げの措置をとったのでありますが、現実にはそういう買い上げの対象となった部分はきわめて少なかった。そうしてそのあとで、非常にこの買い上げ価格の生産者価格の引き下げが、当時十円程度まで一升当たり引き下げが行なわれたということを考えましても、ただいま統計調査部が所定の手続を経て公式に調査をした在庫ということでございますけれども、この統計調査部で出しておる統計速報の三十七年十月のを見ましても、生産量の実数に対する在庫の実数は、大体十割程度という実数を示しておる。で、少なくとも正常在庫は一・五カ月をもって正常在庫とみなしてこれは間違いのない見方だと思うのです。そういう点から申しましても、決して過剰在庫という実態ではない、こういう統計の上からも見られるし、また、前年に比較して、物によっては確かに二三四%というものもございますけれども、大体この比較する前年は供給過剰の年であります。そういうものと比較して二倍以上の在庫であるからということは、これまた一がいに過剰在庫という判断にはなり得ない、今選択的拡大と称して、酪農に従事している農民が今の買い上げ価格に非常に大きな不満を持って値上げ要求をしているのに、これを引き下げる理由として、ただいま御答弁がありましたように、この業界の値下げは好ましくない、慎重に内面指導をされているということで、きわめて適切な御見解と思いますけれども、それならば、この在庫について、もっと法律に基づいて、現実に酪振法の第二十五条には、そういう実態について立入検査をすることを規定しておる。そこまで行政庁が責任を持って実態を把握しての御見解であるかということを聞きたかったのでありますが、おそらくやっていないでしょう。これだけ世論を騒がして、一方的に値下げ通告をしている理由の一つに、その過剰在庫がメーカー側の言い分であるとするならば、それをもっと客観的に確認をする酪振法の発動等を、これは積極的に政府ではやって、納得の得る実態把握の上に、適切なさらに措置を講じていくべきだと思うのですが、こういう酪振法にうたっておる措置についてはどういう御見解をお持ちでありますか。
  116. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 先ほど申し上げましたように、現在農林省が乳製品につきまして、統計調査部を通じまして、相当広範にわたる生産量の調査でございますとか、あるいは在庫の調査でございますとかという調査は、統計法に基づいたこれは調査でございまして、虚偽の報告があれば、もちろんこれは罰則の適用のある制度的には確立した調査でございます。したがって、一応私どもといたしましては、従来もそれを根拠に、各種の酪農関係の統計資料の整理もいたしておりますので、それを根拠に、在庫状況がどのように推移をしているかという判断のもとにしても差しつかえないのではないか、かような考え方をとっている次第であります。
  117. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 じゃもっと具体的に伺いますが、たとえば十一月三十日の朝日新聞に、明治乳業のストックの実態と見解が出ております。それによりますと、「現在の乳製品在庫は二十五、六億円程度だが、これは夏場に備えた計画在庫で、市乳のストックも十日分で問題ないと同社では説明している」。こういうことを明治乳業では言うておる。したがって、過剰在庫であるから値下げをしなければならないという理由は、少なくとも明治乳業によって表明されたこの見解でも、過剰在庫というものは認められない。こういうことを中心として、法律で統計調査部がやっているから、それで酪振法は発動しなくてもいいということでなしに、もっとやっぱりそういう大手筋なり、あるいは中小メーカーなりを引き抜いて、そうしてその在庫という実態をつかまないと、三十三年の苦い経験もあるわけであります。そういう愚を繰り返さないためにも、もっとそれらの実態を、酪農振興法という法律があるのですから、それに基づいて、積極的にそれらの事態に基づいた乳価のより積極的な措置を講じてもらいたいということであります。そういうことから酪振法二十五条の立ち入り検査をやる御意思がありませんかということを伺っておるわけです。
  118. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま在庫の一例を御指摘になりまして、在庫が大した圧迫になってないという、ある会社の一例を御指摘になったのでございますが、物によりましては確かに、たとえばアイスクリームのごときは、すでに製品在庫をどっさり倉庫に入れる時期でもございますし、これは私が申し上げるのはおかしいくらい渡辺先生よく御存じのことですが、ただ私が申し上げたいのは、在庫も、この統計調査部の統計結果によりますれば、昨年は今御指摘のございましたとおり、在庫量は比較的少のうございます、〇・八カ月ぐらいになっております。適正在庫は大体私ども一カ月半ぐらい、かような理解の仕方をしておりますけれども、大体現在この統計調査部の報告から私ども算定いたしますれば、二カ月ぐらいの在庫になっておるかと思うのであります。この点は、したがって見方によりましては、たかが二カ月ぐらい何だと、こう言う方もあるいはあるかもしれません。ただ、問題は、その在庫の量だけの問題ではなくて、御承知のように、最近の景気調整等の影響もあるのではないかと存じますけれども、そういう経済一般の影響と、乳製品それ自身がさように在庫をかかえておる、両々相待って起こった現象かと思いますけれども、乳製品価格が最近になりまして相当のやはり値下りをみている、これは事実のようでございまして、そういう在庫の圧迫と製品値下りが、たまたま景気調整の影響というふうなこと、いろんな悪条件が乳製品メーカーには累積しておるということは、ある程度言えるのではないか、かように理解しております。
  119. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大体、最近農林省は、特に酪農をしぼってみましても、従来に比べて、非常に実態の解釈といいますか、指導的なたとえば予察というものが最近ほとんど発表されていない。まあサボタージュしているのではないかというふうに疑いたくなるのですが、そのうちに、最近出された生産予察は、三月開催の畜産物価格安定審議会で委員に配った資料で、三十七年度における牛乳の需給予察を出しておる。これによりますと、消費見込みは一千三百九十五万四千石、これに対する国内での供給見込みが一千三百七十五万六千石、差し引き十九万八千石、これだけが不足であるということを予察で発表して、その後半年もたたないうちに、すでに在庫が多く滞積されて困るというような、いわばネコの目の変わるようなこういう需給の大幅な変動というものを示されたのでは、何としても納得ができない。しかも、この十九万八千石が不足であるということの予察の数字をもとにして、そうして脱粉三千トンとバター四百トンの輸入をあえてしておる。これが直接間接国内の乳価に与える影響は非常に大きなものがあるわけです。そういう点から申しましても、もっとこれらの予察についての責任も感じてもらわなければならないし、それによって引き起こされておる今の値上げを要求するという立場をむしろ無視した値下がりの通告等を見ておるということは、単にこれはメーカーだけの問題ではなしに、政府当局の責任も重大なものがあるわけであります。この予察は間違いであったんですか。
  120. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいまの御指摘でございますが、牛乳生産量の予察調査というものを統計調査部で実施をいたしております。渡辺先生非常に御承知なんでございますが、これは牛の月別の頭数なり、あるいは分べん頭数なり、そういういろいろな客観的な基礎資料を集めまして、それによって先行きの搾乳量が大体どのくらいになるだろうかという予察をするわけでございまして、私どもといたしましては、その予察が唯一の牛乳の将来にわたる生産量の見通しのたよりになるわけでございます。しかし、これはあくまで予察でございまして、予察であり、予測でございますので、間違いの起こることも、ある程度のことはお許しを願わなければならぬことがあるのであります。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、本年の生産は、むしろ予察で考えておりますように、非常に生乳の生産量そのものが順調にいきまして、したがって、飲用牛乳の消費というものが順調に参りますれば、おそらくかような結果は相当程度防げたのではなかろうか、私率直にそのように思うのであります。なにせ夏場の五月、六月、七月と、このじぶん非常に牛乳の消費がぐんぐん伸びなければならない時期に、牛乳の消費の伸び率が停滞している、むしろ著しく停滞しているということに非常にやはり大きな原因があったような感じがいたすのでありまして、ただいま予察を前提にしての見通しを誤ったのではないかという御指摘は、私どもも、ある程度は甘受いたさなければならない点でございますけれども、そういう特に今年の天候状況、あるいは先ほど御指摘になって申し上げたような、景気調整その他の影響等もあったのではなかろうかと思いますけれども、そういういろいろな悪条件が重なってかような状況を現出した、かように私ども考えておるのでございます。
  121. 矢山有作

    ○矢山有作君 今、局長お話を聞いていますと、消費の伸びが悪かった、それは特に飲用牛乳の消費の伸びが悪かったということを、景気の問題や、あるいはまた天候だけの問題にされておるようですが、はたしてそれだけでしょうか。私は、やはり飲用牛乳に対する会社側の販売政策というものに非常に大きな原因があるのではないかと思うんです。その点を考えずに、ただ天候のせい、あるいはまた景気のせいだけにされて、それでむしろ今までの御発言をずっと聞いていますと、会社の値下げのほうを好ましくないと言いながら、その値下げをやろうという会社のほうに加担するという言葉は悪いんですが、会社の立場を弁護するような発言が盛んにあるわけなんですが、その点一つだけ明らかにして下さい。
  122. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 本年の飲用牛乳の消費が伸びなかったということの私一、二の例を指摘して申し上げたのでございますけれども、今、矢山先生からは、会社の販売政策の問題もあるのではないかという具体的な御指摘がございました。これはもっと具体的にあるいはいたさなければどういう事例が原因になっているかわかりませんけれども、ただ、私ども承知いたしております限りでは、将来の日本の生乳の伸びと申しますか、あるいは生乳消費の伸びは、やはり飲用乳、なまで飲むという、このほうの消費拡大をはかっていく必要がある。また、そうすべきであるというふうに私ども考えておりまして、私どもが接しておりまする乳業メーカーでも真剣にそういうことをいいまして、そのほうへの努力をすべきだということを、折に触れては申しておるようでございまして、それが乳業会社の販売政策上、どういう形で出ておりますか、いろいろの個々のケースによってあるいは違うことかとも存じますけれども、私どもさような考え方をとっております。  それから矢山先生の、畜産局長は乳製品メーカーをかばっているのじゃないかという御指摘でございますが、これは私あるいは言葉が足りなくてさようなふうにおとりになったのかもしれませんが、実は先ほども申しましたように、乳価の引き下げというものについては、メーカーのほうはかなり前から、もうとてもこれではやっていけないので、これ以上乳が増産されたのでは、われわれのほうは持ちこたえられない、したがって、何とか値下げを認めてもらいたい、認めてもらいたいということは、法律的にはそんなことではないのでありますが、農林省はやかましいことを言うな、俗な言葉でいえばそういう言い方で私どもには事実上の接触があったのでございます。これに対しましても一、私どもといたしましては、極力これは好ましいことではないのだし、耐えられるだけ耐えろという趣旨の内面指導をかなりいたして参っておるような経緯もございますので、御了承いただきたいと存じます。
  123. 矢山有作

    ○矢山有作君 今、飲用牛乳の消費の伸びの問題で話が出たのですが、これは具体的に言わなくても、もう局長御存じだろうと思うのです。というのは、私の今言っているのは、畜産局のほうから出た文書を見て言っておるので、たとえば市乳の販売価格が値上げされるとか、あるいは市乳それ自体の消費よりも、むしろ何というのですか、コーヒー牛乳的なああいうものの販売が非常に重点に置かれておったのじゃないか、こういう点については、あなたのところの職員がちゃんと指摘して書いてあるじゃないか。そうすると、飲用牛乳の伸びなかった原因を、ただ単なる天候や景気のせいだけにしていくというのは、それはあまりにもどうかしておるのじゃないか。やはり会社側の販売政策というものにも目を向けてみぬと、この乳価の問題を処理していくことはできぬと思うのです。と同時に、もう一つ申し上げたいのは、盛んに在庫がふえたということをおっしゃっておるのですが、まあ統計調査部のほうの統計で出てきた結果こうなんだから信用しなければならぬ、こうおつしゃる。これが統計調査部から出てきた資料と、先ほど渡辺委員のほうから指摘になった朝日新聞の記事等を対比してみると、これは過剰在庫ということは言えぬのじゃないかという疑いが強くなってきておるわけです。そうすれば、やはり農林省として、はたして生産の状況、あるいは過剰在庫の状況というものがどうなのか、酪農民に大きな影響を及ぼす乳価引き下げの問題なんですから、法的な権限を発動して、そこまで的確な資料をつかむという前向きな姿勢が出てこなければうそだと思うのですがね。
  124. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 先ほど申し上げたのでございますが、現在の在庫量調査、あるいは生産量調査は、統計調査部が所定の手続に従って調査をしておるわけでございます。私どもとしては、過去においても、この調査から出ましたもの一つの寄りどころにして各種の施策をしておりまするし、この調査をどこまで疑うか、この問題はございましょうけれども、私どもとしては、せっかく統計調査部がきちんとした経験に基づいてやっておられる調査でありますので、信頼して差しつかえないのではないか、かように考えております。
  125. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうも納得できかねるのですが、統計調査部という、一般的な統計じゃなしに、それぞれのメーカーが在庫が余って困るとか何とかといってきておる場合に、あるいはなかなか採算が合わないから値下げをしたいといってきておるときに、その経営の実態なり在庫の実態を法律に基づいて実際調べてみた上で、その主張が適正であるかどうかを判断してもおそくないのに、それを一般的な統計調査部の全体的な資料の中でそれを信頼するもしないもないと思うのですが、そういう点をもっと納得いくような、やはり行政のフルな機能の発揮を——せっかくの酪振法でうたっておるようなものを場合によっては発動して、三十三年の苦い経験もあるから言うておる。三十三年を何回も言うつもりはありませんが、八十万石も在庫が過剰だというて、メーカーの突き上げによって六億近い予算を出して、さて買い上げしようといったら何もなかった。それが過剰在庫という政府の理解の仕方であったから、私は、今度も生産者が今の不当に低い値段で仕切られておる要求が、逆に値下げによって脅かされておるという理由の一つに過剰在庫を業界があげるならば、それをもっと適正にやっぱり実態を把握して判断をしてもおそくはないではないか。そういう措置を農林省は正しい姿勢で農民の立場に十分立ってやってもらいたいということでその発動を質問したわけです。それから、今、矢山委員が言いましたように、この消費の伸び悩みは、私はその一方の責任農林省にもないとはいえない。たとえば二月二十三日にメーカーに対して局長通達を出して、当時メーカーは二円以上の値上げに対して、一円幅で押えた。その結果メーカーは色物を盛んに作った。色物のうち、これは規格も何もありませんから、大体牛乳の含有は二割程度、その程度の牛乳で色物を出して、ちょうどコカコーラの対抗にこれが参って、売れ行き不振になった。そういうやはり局長通達にもかなりのこれは責任があると考える。そういう場合において、それではもっと積極的に消費拡大の施策を講じたかといえば、やっと学校給食その他がこれから考えられるという事態、しかも、そういう生産予察に基づいて十九万八千石もことしは不足するということで、無理やりに脱粉の三千トンの輸入、バターの四百トンの輸入をして、国内のそういう状態を一そう重苦しく圧力をかけるような輸入をやっておるというような、一連の今までとった措置を見ますと、どうひいき目に見ても、これが選択的拡大と称する酪農の発展にさおさした行政の施策とは考えられない。もしもそれが言い過ぎであったら、むしろ積極的な施策を伺いたいわけであります。その前に、ただいま局長の御答弁では、飲用乳の消費拡大が非常に大事であるということでございまして、私も同感であります。そこでお伺いをいたしますが、全体の需給計画を考えるにあたって、長期見通しを農林省では立てておられる。で、需要の見通しは、三十四年を基点とした十二年後の四十六年では七百五万トンないし九百六十万トンと見ておる。一方、生産の見通しは五百九十一万トンと見ておるのですが、このうちで私の伺いたいのは、七百五万トンないし九百六十万トンの長期見通しの中に、飲用乳と乳製品との内訳はどういう内容でこれが出ておるか、また、それによってどういう施策を逐次講じられておるかという前提条件をまずお伺いをいたしたいわけです。
  126. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま長期見通しの御指摘がございましたが、農業基本法に基づきまして先般政府が発表いたしました長期見通しでございますが、渡辺先生から御指摘のとおり、今後の飲用乳なり、あるいは酪農製品の消費は。長期にわたって伸びると、また、そのために、したがって乳用牛のある程度の増産が必要であるという資料が出ておるのでございますが、その際、ただいま御質疑のございました飲用と乳製品の区分けでございますけれども、この見通しではその区分けはいたしておらないのであります。
  127. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 長期展望でそういう大きな区分けがないということ自体に、私は、長期展望における科学性もないし、当面の施策もはっきりしたものが出てこない根本原因がそこにあると思う。言葉ではいろいろけっこうなことをおっしゃいますが、それを裏づける何らのバック・データーがない。ムードでそういうことをおっしゃっても、実際には納得ができかねるということをまず申し上げておきます。  それで、時間もありませんから次に進みますが、三十三年にはそういうことで非常に乳価も値下がりになり、三十四年を通じて七円以上の値下がりがあって、原料が明らかに不足をして、三十五年には脱脂粉乳を二千五百五十トン輸入をした、バターを九百トン輸入した。翌三十六年にも脱脂粉乳を二千五百トンも輸入をしておる、バターを二百五十トンも輸入をしておる。で、この輸入をした輸入差益については、これは酪農振興なり、あるいは消費拡大にこの財源を使うということで、メーカーを指定してこれを扱わせておるはずであります。その輸入差益が、まあこれは私から、具体的にどういうふうな計数に整理されて約束された輸入差益が政府に積み上げられておるか、その積み上げられた金が適正にこれが消費拡大に使われておるか、そういう点をまずお伺いをしたい。
  128. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 輸入乳製品の差益を国内の牛乳その他の消費に振り向ける、有効に使っていくという点でございますが、御指摘のとおり、過去において乳製品を輸入いたしまして、それによって相当の差益が出ております。その差益は、それぞれ農林省で的確にその数字も把握をいたしておりまして、必要により、これを国内の牛乳その他の酪農振興等に使って参るという措置でいろいろな検討もいたしているわけであります。ただいま渡辺先生から、牛乳あるいは酪農振興のためにこれらの差益を積極的に活用すべきではないかという趣旨の御指摘がございますが、私も、単に学校給食に一定の補助金を事業団から出して、それだけで牛乳の消費拡大が事足りているというふうにはもちろん満足しておらないのでありまして、御承知のように、ちょうどただいま十二月は普通年末の売り上げ時期に出食わしておりまして、特別の必要はないかとも思いますけれども、一月以降になりますと、乳製品は例年不需要期に入ります。そういう関係もございまして、適当な時期を見てこれらの差益を有効に活用して参りたいと、いろいろな計画を立てているような状況でございます。
  129. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その使途についてはあらためて伺いますが、その輸入差益は一体どういう金額になって、どれだけの金額が政府にこれが掌握されておりますか。三十五年、三十六年に分けて、ひとつ数字の上で御説明を願いたい。
  130. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 三十五年度の差益は約九千万円でございまして、そのうち五千万円は畜産振興事業団に出資という形ですでに活用されているわけでございます。残りの四千万円のうち、二千万円は事業団が当面今預かっております。それから、さらに残りの二千万円につきましては、三団体がこれを保管をいたしております。それから三十六年度分につきましては約一億円になりますけれども、これも三団体でただいま保管中でございます。
  131. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 三十五年の九千万というのは、この扱った二千五百五十トンの脱粉と九百トンのバターのあげた粗利益は九千万円じゃないですね。その当時の末端実需者価格から、輸入価格に諸経費を加算したものを控除したものが、これが輸入差益金であったはずです。その金額は幾らだったのですか。
  132. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 当初輸入で入りました差額そのものは約二億でございます。御指摘のとおりですが、そのうち税金に控除いたしましたものが一億一千万、差引九千万でございます。
  133. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 三十六年はどうですか。約一億というその前の。
  134. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 差額は二億三千五百万でございまして、控除額が一億二千九百万、差引一億六百万、こうう数字でございます
  135. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 この今明らかにされた三十五年の実益から利益課税対象額を控除したもので九千万、この九千万のうち畜産振興事業団に取り扱い団体である全酪連が出資をしたものが五千万、その差額が四千万、その四千万も、三十五年の取り扱ったものがいまだ二千万程度、もっと端的に言えば二千百二十五万五百十四円じゃないですか、この金額が辛うじてまあとにかく扱い団体から離れて政府の管掌の中に入った。その残もまだ業者の手に残っておる。一体この吸い上げた二千百二十五万五百十四円はどこでどう管理されておりますか。
  136. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の約二千万の金でございますが これは現在、事業団理事長が責任をもって預かるということにいたしております。
  137. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 事業団理事長というのは、事業団と団体が管理しているのですか、理事長個人が管理しているのですか。
  138. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 畜産振興事業団の理事長たる蓮池それがしが責任をもって預かる、こういう形になっております。
  139. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうすると、蓮沼個人ですね、そういうことですね。
  140. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 非常に御質問がむずかしいのでございますけれども、畜産振興事業団理事長たる蓮池それがしと、かように御理解いただきたいと思います。
  141. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 会計検査院の指摘もあるようでありますから、それはいずれ決算委員会でもっと明確に、明らかにしてもらいますが、きょうはそういう点にはこれ以上触れませんが、私はここで問題にしたいのは、こういう三十五年に扱った当然いろいろな話し合いの結果、一億を税金対象額として控除し、五千万は畜産振興事業団の出資としてこれを控除し、やっと余った四千万の半分も、やっと畜産振興事業団理事長名義で保管されておる。あとの残額の二千万もいまだそういう扱い団体から離れていない。しかも一方、消費拡大に対してはもっと積極的なやはり政府の施策が必要であり、その財源としてひもつき的に考えられておったこれらがいまだ何らその効果を発揮するに至らないということは、私はこれまたやはり農林省の大きな責任だと思うのです。三十六年はましてこれが全然、その一億六百五十五万八千円に上る話し合いの額も全然吸い上げになっていない。何とかかんとか扱い団体で持っていれば持っているだけ得をするような、そういう形でこれを放置しておったのでは、この輸入脱粉、バターの国内の酪農に与えた影響も非常に大きかったのに、さらにその差益として消費拡大なり畜産振興に充てるべきものが、何ら資金的に、これが政府の思うような使い方にまで取り運んでいないということは、これはどう見ましても政府のそれに対する措置というものが非常に緩慢すぎるのではないか。もっとこれを扱って出る利益は明らかなんでありますから、三十五年の扱いがまだ全然二千万程度も吸い上げられないということでは、三十六年もこれは吸収も非常におぼつかないように考えるわけであります。消費拡大が非常に大事であり、それには何としても学校給食等にもっと積極的に取っ組まなければならないというときに、こういう財源もこれはばかにならない大きな財源であると思いますにつけても、これらの差益の吸収というものがきわめて緩慢であるということは、これはたいへん遺憾に思います。すみやかに政府はこれらの当然還付さすべき差益は早急にこれを納入せしめて、そして畜産振興の方向に役立てるようにこれを活用願いたいと思います。で、消費拡大の話に触れましたから伺いたいのでありますが、厚生省では母子栄養保障計画というものを出している。そしてこの計画に基づいて二万円以下の月収の低所得者家庭対象に無料でこの牛乳を給食しようという計画を立てております。この内容を見ますと、妊産婦に対しては五十七万三千人に対して三千百七十五トン、零細の乳児に対しては、これは五十万五千人でありますが、三千七百九十四トン、一歳から六歳までの幼児に対しては二万千二十八トン、合計して二万八千八百二十二トンの無料給食を厚生省では母子栄養計画案として省議で決定をしている。問題なのはこの過剰在庫とか、そういうことが宣伝されている中に、これらの給食の対象は全部輸入脱粉によってまかなうという厚生省の考え方が骨子でありますが、一体これは農林省相談してこれらの案が打ち出されたのか。相談があったとすれば、それに対する農林省の見解がどこまで盛り込まれたのかをお伺いいたしたい。
  142. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま御指摘のございました母子栄養保障計画というものでございますが、この計画につきまして厚生省からわれわれのほうにも事務的な打ち合わせはございました。しかし、ただいま御指摘がありますように、国内に相当の在庫を抱え、しかもその在庫、その製品が値下がり状況を呈しております。酪農上の問題もある時期でございますので、厚生省に対しましては、その趣旨そのものをわれわれとやかく言う筋合いではございませんけれども、おやりになる以上は国内の脱脂粉乳を優先的に使うことを配慮していただきたい。もっと欲を言いますならば、国内の脱脂粉乳だけでこの措置をやってもらって、もし国内のもので足りない、残りをさらに輸入によって追加してやるというふうなことすら私どもとしては望ましくないということで、厚生省にはかなりきつい態度でわれわれのほうの希望の申し入れをいたしておるような状況でございます。
  143. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 厚生省はそれに対して承知したのですか。予算編成上も、国内牛乳、乳製品を原料として給食の対象にするということで予算を組むところまで了解したのですか、その点はどうですか。
  144. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 端的に申しまして、ただいま御指摘のありましたような案ではわれわれとしてはあくまで承服はいたしかねる。したがって、厚生省としてもわれわれの意のあるところは尊重していただかなければならないのでございまして、そういう点についての最終の両省間の結論は、今日ただいままでのところではまだ出ていないような状況であります。
  145. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今後の折衝と、その農林省の御主張を、ぜひこれは農林省とか厚生省とかという小さいセクションを離れて、大局的に農林省が主張する方向で実現するように切望いたしますが、その点は、たとえば酪振法の二十四条にも明らかにうたっておる。「国は、国内産の牛乳及び乳製品の消費の増進を図ることにより酪農の健全な発達に資するため、国内産の牛乳及び乳製品について、これを学校給食の用に供することを促進するほか、」云々とあります。でありますから、厚生省の役人だって何だって、ここにこういう法律が厳然としてある限り、しかも何といいますか、乳が余ったとか何とかということで、もしもそれが本気で言われておるとすればなおさらのこと、この酪振法の二十四条にうたっておることは、なおさらこの必要性が痛感されるわけでありますから、これをぜひとも国内産の牛乳、乳製品をもって学校給食に充てるように、これはぜひ実現するようにお願いをいたしたいと思います。  委員長から一時間以内でひとつという御注意もありますから、あまりきょうだけくどくどと申し上げる時間ももうなくなりましたので、あと一つ二つだけきょうは御質問をいたしたいのでありますが、冒頭に局長が申されましたように、一体この乳価は基本乳価と奨励乳価とでできている。そして夏場の消費拡大に備えるために奨励金があるので、秋乳価はこの奨励金をはずすというようなことも考えておるように説明では伺ったのでありますが、これは非常に私は問題だと思います。われわれは何も基本乳価と奨励金とを加算して乳価要求をしておるものではないはずであります。乳価は、あくまでもやはり生産者の酪農に投じた生産費を償い、酪農に従事した労働時間を他の産業に従事する人たちの所得に投下された労働時間に評価がえをして価格の中に算定をするということが基本的な生産者乳価のあり方であると思う。そういう点から申しますと、現在各地、各メーカーによって契約されております乳価は、奨励金を加算してもその生産者の要求する乳価からはほど遠いきわめて低廉なところに押えつけられておる。それを夏が過ぎて秋風が出れば恒例のように秋乳価と称してこの奨励金を取りはずそうとする。最近は中小メーカーが先駆的に、また一月から再引き下げをするアドバルンをあげておるような状態で、こういう不安な状態の中で、はたして選択的拡大ということに農家が取っ組めるかどうかということは、これは村田局長といえども賢明に御推察が願える非常に混迷な段階に今全国の酪農家が置かれておるわけであります。そこで、この今の原料乳価の価格について生産費の調査なり、あるいはこの生産者の手元を離れてからメーカーに入った輸送費なり、あるいはメーカーにおける加工の原価なり、そういうものについてこれはもっと客観性のあるやはり実態調査をやっていただかなければならないと思います。過般の三月の畜産物価格審議会でも建議としてそれを強く第二項目に押し出しておりますが、この三月の建議を受けて、農林省はどういうふうなかまえ方でこれらの加工費の実態調査なり、あるいは生産費のより権威ある調査なり、あるいは輸送の実態調査なり、そういう生産から流通に至る実態調査に入っておられるか。また、今後さらにそれをどう徹底されるかという具体的な考え方をひとつお伺いいたしたいわけです。
  146. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) ただいま御指摘のございました生乳の生産費調査あるいはそれに関連した各種の実態把握の問題でございますが、まことにごもっともな御指摘だと存じます。本年の春の価格審議会におきましても、その趣旨の建議のございましたことは、私ども十分承っておりまして、これらのそういう実態把握につきましては、いろいろな角度から実態が明確になるような調査なり、検討なりをして参らなければならない。また御指摘のありましたような牛乳の取引関係、生乳の取引関係を明確にすることもあわせてやって参る必要がある、私どもも全く同感でございまして、さような考え方のもとに、ただいま生産者団体が結成いたしておりまする酪農会議等にもそれらの扱いについての検討を依頼し、折に触れまして私ども一緒に検討もいたしておるような状況でございます。また、生産費調査の建議に対する取り扱いでございまするけれども、従来の生産費調査をさらに拡大強化をして参る必要があると心得まして、来年度予算では、これらの調査規模の拡大につきまして、予算要求を別途いたしておるような次第でございます。
  147. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 農林省の生産費調査の実態がまだ十分権威あるものでもないという事態でございますが、それにしても、たとえば三十六年度の畜産局の試算を見ますと、生産者乳価は一・八七五キログラム当たり七十一円三十一銭という試算が出ております。今のところでは統計調査部の資料もまだ十分なものがない。となれば、私としてはこの畜産局の三十六年度の試算を中心としてその額を腹がまえにおくよりほかはないと思いますが、これが七十一円三十一銭、統計調査部の三十六年度ものはまだあと一ヵ月たたなければできないというのですから、勢いこの三十六年度の畜産局経済課試算を参考にして御意見を伺うよりほかはない。七十一円三十一銭、これも非常にその評価が、労働費は特に低過ぎる。実際は八十七円八十九銭ということで、全製造工業の三十人規模以上でいきますと、これが百十四円八十四銭という一時間当たりになる点から見ましても、これはかなり低いのであります。これも一応さておいて、そのまま現業担当課の試算を見ますと、七十一円三十一銭になっておる。これが現実に約束されておる乳価はこれよりも十円以上も安いところにおかれておる。さらにそれを今度通告で、石川県の場合は四円、低いところは、青森、岩手では五十銭という工合に、非常に大幅な引き下げ通告をメーカーから受けておる。全国の酪農民は憤激その極に達している、そういうときにこの値下げ通告は好ましくないという、口頭禅ではなしに、これは値下げをすべきではないという立場でメーカーを説得するという姿勢で、ひとつ畜産局長に新しく御期待申し上げる。ホープなんですから局長は。局長の初仕事としては、この値上げ要求と値下げ通告との間に立ってどういうふうにこれを処置されるか、行政庁としての確固たるひとつ御見解を最後に、冒頭に伺いましたが、最後にお伺いしまして、きょうの私の最後の質問といたします。
  148. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 冒頭にも申し上げたのでございますが、いろいろな悪条件が重なりました本年の生乳の需給状況でございますけれども、それによりまして、われわれといたしましても、いろいろな内面指導はいたして今日まで参ってきておりますし、さらにまた今後引き続きまして、乳価並びに乳製品全体が価格の立て直りができ、あるいは消費の拡大がはかっていけますように、われわれといたしましては、さらに引き続き今後も必要な処置を講じ、努力をして参る心づもりであります。そのためにはいろいろな問題が、まだ解決しなければならない問題がございますけれども、われわれの心がまえといたしましては、さような心がまえで今後さらに善処して参りたい、かように考えます。
  149. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 学校給食のことを一口お尋ねしたいと思っております。これは第三学期分はどういうふうな計画が進んでいるのか、大蔵省との交渉の模様を御説明願いたいと思います。
  150. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 本年の学校給食の進め方でございまするが、とりあえず、ただいま実施いたしておりますのは、十一月、十二月、この二カ月分につきまして六万石が実施中でございます。しからば第三学期、一月・二月、三月のこの三学期分についてはどういう扱いにするかという点が、この二学期の六万石をきめますときも、実は大蔵省と非常に問題になりまして、一応私ども大蔵省との約束では、二学期の十一月、十二月の学校給食の実施状況を見た上で、見た上でと申しますのは、その際のいろいろ牛乳の需給状況なり、あるいな価格の状況なり、あるいは乳製品の消費状況なり、価格状況なり、そういう各般の事情を見た上で、二学期分について、あらためて検討しよう、こういう約束になっておりまして、ただいますでにまた三学期も間近に迫っておりまするので、われわれといたしましては、大蔵省に対しましては、引き続き三学期についても実施を希望するということで折衝いたしているような状況でございます。
  151. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 乳価の現在の状況からすれば、今、局長の話のとおりに三学期においても実施するように一そうのひとつ局長の御努力をお願いして、私の質問を終わります。
  152. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 関連して。去年、畜産物の価格安定法が審議されましたときに、農林省で提出していただいた資料の中に学校給食の件がある。たしか、そのときの全国的にはおぼえておりませんが、三十五年度の実績として出たものが、たしか福岡県が八千万石以上です。長崎県が六千石以上、東京都が三千四百石かな、北海道が二千三百石、山梨が千八百石くらい、一番少なのが奈良県の四十七石というのがあった。こういうように各県によって非常に不ぞろいなんですね。こういうのをやはりこの水準を上げて平均化して行くということでないと、学校給食というものがその所期の目的を達せられないわけだ。特にその牛乳の栄養価というものが青少年の発育に非常に資する。こういうことが言われておる中においての学校給食というものは非常に重要素を帯びてきておる。ですから、そういうようなものに対する、全国きわめてアンバランスが激しいんですね。そういうのはやはりロールをかけて、できるだけ生徒数に応じたような方向に向上させていくということが必要だと思うのです。そのこと自体が、これは文部行政でございますけれども、やはり全体としては今日の乳価の問題、今後における成長産業としての酪農という問題を考えて生産者の立場を考えたときに、学校給食の取り扱いの問題は非常に重要な課題となってくる。こういうようなことについて農林省は、もちろん文部省との関係もありますけれども、そういうような問題について今後文部省と協議して自主的にこれを向上させていくという、そういう農林行政における対策というものはあるわけですか。
  153. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 安田先生指摘のように、ただいま全国的に学校給食をやっておりますけれども、その給食されますものは脱脂粉乳が大部分でございます。そこで、なまの乳を学校給食にもっと大々的に計画的に使えるようにしてもらいたいという気持は、われわれといたしましても当然にあるわけでございますから、受け入れの学校側といたしましては、いろいろ取り扱い上の問題あるいは、コストの問題、いろいろな問題がございまして、なかなかこれが全国的にしかも統一的、計画的に実効を見るという点にいろいろな問題が実はあるわけでございまして、それから一方私どもも強い要望を持ちながらも、御承知のように、現在の学校給食はもちろん牛乳の消費拡大という要素もございますけれども、季節的な余剰乳をそれによって処理して需給調節をはかるという趣旨もございまして、先ほど来申し上げますような生産の状況、あるいは消費の状況によりましては、年によっていろいろと供給にアンバランスが出て参る。さような点で私とも強い希望は持ちながらも、さて具体的な実行面になりますと、いろいろな実は問題がございまして、ただいままさに御指摘のとおりこれらの問題を引っくるめまして、さらに学校給食を拡大していくにはどうしたらいいか。私どもも十分文部省あるいは関係者とも、それらについては今後も検討を重ねて参りたい。かように考えております。
  154. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 委員長から簡単に伺いますが、先ほどの渡辺委員との質疑応答を聞いておりますと、一番の問題は市乳消費の頭打ちだという当局の御説明で、市乳消費の伸び悩みの大きな原因の一つは、たとえば景気調整だ。こういうような御説明があったのですが、景気調整で多少景気は停滞しておることは事実でありますけれども、消費生活というものは、企画庁等の説明によるとそれほど影響は受けないで、相当のカーブでやはり伸びておる。だから、今の説明は多少私は当たらないのじゃないか。むしろ市乳消費の中で、私は何というのか知らぬが、色物というのですか、そのほうが野放しになっておることが一つの大きな原因ではなかろうか。私はかつてこの委員会で、ジュースという名のついた着色飲料水が、消費者の立場から見ると大部分はくだものの汁であろうという誤解で消費されておるために、日本のくだもの消費というものがそのために停滞しておる面がずいぶんあるのじゃないか。ジュースに対して農林当局が、たとえば八〇%とか、九〇%とかいうパーセンテージ以上の果汁を実際に含有しておるものでなければジュースという名を呼称させてはいけないと、それはぜひ農林当局がやるべきだということを何度も話をして、農林省ではようやく何十%含有ということを規格づけたのですが、それをびんなりカンに表示することをきめたとかいうことですが、どうも牛乳を使った飲料に対しても同じようなことがいえるのじゃないか。たとえば、多数の国民が旅行しても、駅で牛乳を飲みたいといっても、牛乳はないけれどもコーヒー牛乳ならある、こういうようなことが国民大衆の前に出てきた一つの現状だというふうに見えるのです。で、今かりに例をあげましたコーヒー牛乳というものは、どういう取り締まりを受けておるのか。また、その中にほんとうの牛乳が何十%入っておるのか、その点をひとつ説明して下さい。それから、できますれば、加工した何々入り牛乳という名称を使っておるものの消費量というものがおおむねどの程度あるものか、その点をひとつ。
  155. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘のございましたいわゆる色物と称します加工乳でございますが、これに対しまする法的な規制といたしましては食品衛生法の規定による衛生法規上の規制はございます。いわゆる一般食品としての流通なり価格なりというものの規制はいたしておりませんけれども、しいて申し上げれば、そういう点があろうかと思います。それから、そういう色物にどの程度の牛乳が含まれているか。これにつきましては、いろいろな見方があるようでございまして、的確なことはわれわれのほうでもまだ十分につかんではおりませんが、物によりましては三割と称し、あるいは物によりましては半分と、いろいろなそういう情報程度のことで、それ以上のことは承知しておりません。
  156. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) もう一点ですが、たとえば牛乳が入っているものでなければ牛乳コーヒーとか、牛乳何とかいう名称を呼称させないというぐらいの規定は当然できることかと思うのですがその点はどうですか。
  157. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 率直に申し上げまして、まだ十分その辺の検討をいたしておりませんが、今後十分検討させていただきたいと思います。
  158. 矢山有作

    ○矢山有作君 先ほどの渡辺委員の質問を聞いておりまして一つ感じたのですが、その点で御意見をひとつお伺いしておきたいのです。  この三月の畜産物価格の審議会が開かれたときに、牛乳の需給見通しというのですか、先ほど話に出ておりましたが、それが発表されましたときには、さっきの話にありましたように十九万八千石が不足だと、こういう資料が出まして、それに基づいて、その資料をおそらく農民の方は信用したと思うのですが、しかも農林省は農業基本法を作り、選択的拡大だというので畜産農家を酪農中心に奨励したのですから。しかも需給見通しではこれだけ大量の乳が足らないのだと、こういうことになったんですから、農民としては農林省のおっしゃることを信頼してその生産に努めた、ところが今日の段階になってその見通しが大きく狂った。それは先ほどおっしゃたように予察だから狂うことがあるのだと、それはお役人のほうはそれでいいかもしれないけれども、一生懸命その予察を信じて乳の生産に励んだ農民はどうなるのかということになると、これは大きな見込み違いがあったわけです。ですから私どもは法にも定められております、畜安法の第四条にもきめられておりますが、これは大きな変動があったわけですから、畜産物価格の審議会を早急に開いていただきたいと思うのですが、この点について御意見をお聞かせ願いたいと思う。
  159. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 畜産物価格安定審議会をいつ開くかの問題でございますが、これはいろいろ御意見のあることもわかるのでございますが、私どもといたしましては、いずれ適当な時期には開かなければならない。その適当な時期に、どうせ年度の変わるときは当然やらなければならぬ問題でもございますので、そういうことも考慮に入れた適当な時期を考えております。
  160. 矢山有作

    ○矢山有作君 しかし、本来ならこの夏ごろから盛んに滞貨がふえたとか、あるいは供給の伸び悩みだとかということがいわれて、乳価引き下げの空気というものは強く出ておったんですから、われわれのほうからこんなことを言わなくても、当然、法に照らしてもうすでに審議会を開いておらなければならぬはずなんです。それを開いておらないで、いつか適当なときに開くというのでは、これは無責任言葉だと思うのですがね。どうなんですか、そういうような無責任なことで問題を処理されたのでは、生産者のほうは大きな迷惑をするのです。しかももう一つ申し上げますと、この間、大蔵省なり農林省と全酪連の人や、あるいは全国の酪農協会の人たちが話し合いをしたときに、大蔵省は現在の基準格価が五十二円だ、だから五十二円までは乳は下がってもかまわないのだと、こういうことをおっしゃったとかいうので、そして値下がりを防ぐための対策について積極的な姿勢をとらなかったということが、日刊農業新聞の十月九日号に出ておるわけです。そうなってくると、先ほど渡辺委員も言っておられましたが、現在では実際に生産費を割り、非常に低いところに乳価がきめられておって、しかもそういう低い乳価でさらに値下げが行なわれようとしている、そういう時期にこんな安い基準価格があるということが一つは乳価を引き下げていくための一つのよりどころになったんじゃないかと思うのです。そういう点でもやはり審議会というのを早急に開いて、適正な基準価格というものを出すべきだと思うのですが、もう一度お伺いします。
  161. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 審議会をいつ開くかでございますけれども、畜産物の価格安定等に関する法律の規定に従いまして、その必要が認められるときには、これはもちろん当然に開くべきことでございますが、畜産物の価格安定等に関する法律第四条にその規定をいたしておるわけでございますから、それらの点は今後の事態の推移に応じながら判断をしてきめていくべきものかと考えております。
  162. 矢山有作

    ○矢山有作君 私どもの判断は、すでに現在の段階で審議会は開かれるべき事態が発生しておると思いますので、私としては強く早急にこの審議会を開かれることを希望いたしまして、打ち切ります。
  163. 戸叶武

    戸叶武君 せっかくの委員長への答えにも、農林省のほうでは答弁になっていなかったと思うのですが、やはりこの牛乳の問題は、価格の問題と需給の問題というものが密接な関係にあるので、それを政府が今まで野放しではいかぬからコントロールしようというのが、ここの二、三年来の農林省の動きだったと思うのです。それが全然今までのやり方と同じように、結局夏場は相当需要が多くなるから値が上がっても、秋になると落ちるから、そのときにしぼっちゃえという形の、そういう惰性から一歩も出ていないところに、この本年度の、今までと違った形において積み上げられてきたところの乳価問題に対する国民の期待が裏切られたと思う。国民のほうは進んでいるけれども農林省の頭はいつまでたっても進んでいないで、いつでも業界の利益を代表して、そしてそのあとをくっついていくというやり方なのですが、私たちは、やはりこの問題で一番問題になるのは、この学校給食の問題でも、あなたが正直に答弁しているように、問題は余剰乳の処理というか、そういう形ですべて片づけていた。これは正直な答弁だと思う。しかし、それはいつまでもそういう形ではなくて、学校給食というものを軌道に乗せるために、それからまた、そこが一つの需要拡大の私は路線だと思うのです。もっとまともに学校給食というものに取っ組むべきであって、余ったときの処分の方式として考えて、それが足りなかったら外国から粉乳を入れようというようなやり方というところに、非常に困難の事態を招いていると思うのだが、結論からいうと、こういうふうに牛乳がとにかく値を下げようというようなときに、問題は牛乳の処理をもっと簡単にすれば、何でもなく大衆に対する需要も広まっていくのですが、その問題は農林委員会でもって十年も前からいろいろ議論して、官僚と独占資本と結託して、そうして低温殺菌という形で、小資本ではなかなかやれないようなやり方でもって、結局中小企業の牛乳屋をつぶしちゃったのだが、しかし今日学校給食なり工場給食なんという方式ならば、煮沸だって一向さしつかえないのです。そういうふうな形で、もっと簡単な方式でもって集団消費を奨励していくならば、私はまだまだ牛乳なんというものはそう余るものじゃなくて、どんどん消費できるし、足りないくらいだ。  それに補助金——今米麦より酪農、果樹へと転換するときに一番重点を置いて育てなければならぬのは酪農なので、酪農に対する補助金というものは日本では足りない。きょうの新聞も、農林省と厚生省のやつを、補助金を整理するということですが、これは河野君あたりの昔からの悪い頭で、いろいろな小さな補助金というものは何にも役に立たない、これは整理しちゃえという考え方も、これも一つ考え方だが、世界じゅうどこを見ても、農業は工業部門から立ちおくれている。私はデンマークへ行って調べましたが、デンマークですらも、一九五五年から一九六一年の間に工業部門に農業は追い抜かれたのです。あれだけの先進国家でも、その所得において、あるいは労働賃金において、三〇%のアンバランスが起きた。そこで去年から徹底的にやっているのは、デンマークにおいてすら、国の予算の六%の補助金によって酪農製品の保護をやっているのです。イギリスの五%を追い越しているような保護政策をやっている。ああいうような非常に先進国といわれている国においてすらも、自分の国におけるところの基本産業と見られて、しかも工業部門に追い抜かれつつある農業保護のためには、補助金政策だけでも国の予算の六%もそれに注いでいる。  そういうときに、学校給食に関する方式にしろ、あるいは酪農の人たちが今、自分の生産費も割るというような危機に立っているときに、政府は、これに対する予算措置なり財政措置をやって保護するというのが農業政策の基本です。どこの国にこんなばかな農業政策をやっている国があるか。農民の利益を擁護しないで、そこいらの独占資本や業界の意向だけを聞いて、そうして甘い汁を吸おうというようなこの官僚の今までの行政というものが、今日のような堕落をもたらしているのだが、この機会に、私はほんとうにもっとまじめにこの学校給食の問題、あるいは需要の拡大の問題、それから価格の問題、この今苦難に立っているところの酪農の問題に対する国の補助金の問題、こういうことに対して十分準備して、私はこれは畜産局長でも何でも、回答しなくてはいかぬと思う。今委員長がせっかくあれだけの質問をしたって、回答になっていない。委員長という位置にあるから遠慮して言わないけれども、あんな質問をして、あんな回答をしていたら、委員長はばかにされていることですよ。今度予算委員会なり何なり、集中攻撃で酪農問題に入るのだから、そのときにあなたのような答弁をしていたら、ふっ飛びますよ。これは国民が背後にいるのです。あんなばかなことを、いつまでも同じようなことを農林省が安閑とやっていることは許されなくなっている。この窮迫した状態において、あなたは噴火山上における畜産局長というふっ飛ぶ地位にあるのだから、もう少しふっ飛ばないような答弁を私はやってもらいたい。具体的にもう少し答弁してもらいたい。
  164. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 学校給食における具体的な例をあげながら御激励をいただいたのでございますが、学校給食に限らず、牛乳の消費の拡大をはかっていくという必要があることは、われわれも十分そういう心がまえでおるのでございます。具体的に先ほど御指摘のございました学校給食等に対する、ああいう集団給食施設で牛乳を扱いまする場合の取り扱いの簡易化でございますけれども、それらの点につきましても、従来農林省といたしましては、関係省に機会あるごとにそういう申し入れをいたしておりまして、すでに相当程度にそういう特別な簡易な扱いのできるような措置がとられて参っているものがあるわけでございます。たとえば高温菌の問題にいたしましても、特定の場合には、必ずしも低温殺菌によらなくても認めていくとか、特別の場合には冷蔵庫の施設を必ずしも必要としないとか、いろいろな点で厚生省でも便宜をはかってもらっているのでありまして、さらにそれらの点を今後も、牛乳の消費拡大という見地から、もちろん食品衛生上の見地も尊重いたさなければなりませんけれども、それらと調和をとりつつ、今後さらにそういう問題についても努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  165. 森八三一

    ○森八三一君 渡辺君の質問で相当聞きました。残された問題で六点ほど質問したいと思っておりましたことを、委員長の質問と戸叶委員の質問で二、三は尽きましたので、その点は省略をいたします。  私は、結論的に、学校給食の問題で、やはり残乳処理という感覚を改めなければいかぬと思うのです。これは純真な子供に余りものをくれておるのだという感覚が非常にそぐわないということですから、学校の先生方でも、余りものを当てがわれているという感じでは、まじめな、子供に給食制度を開くというわけにいきかねるということが一つ、それから時によると乳はいただけるが、時によるともらえないということでは、設備が二重になるというような問題ですね。ですから、これはどうしても通年供給をするということを制度化していく。残乳処理という感覚を根本的に改めなければ、このことは解決しないと思うのです。その点はひとつ、予算に関連いたしまするが、強く考えていただきたい。  それから、委員長お話しの加工乳の問題は、これは実は野放しにしておくのはどこに理由があるのか私にはわかりません。これは自由だっていうが、どういうことで自由なのか。公共の福祉に反することは、これは制限してもいいはずなんですから。確かに私は公共の福祉に反している行動だと思う。利益追求だけのものだと思うのですから、これは立法措置によってああいうものは販売を禁止するというところまで強く行ってもいいと思う。もしそれがどうしてもいかぬということでございますれば、生乳の入っておりませんものは入っておらぬということをはっきり表示させるということにいたしますれば、これは消費者もばかではございませんから、そういうものは飲まない、こういうことになる。ですから、もう少し加工乳の取り締まりについて徹底したことをやっていただきたいと思います。  それから、高温殺菌の問題は、これはこの委員会で草葉隆圓氏が厚生大臣のころにもかなり論議をいたしまして、しぶしぶこれは認めるということになったのです。が、一向進んでおりません。局長は二、三の例があるようにおっしゃいましたけれども、それはあるでしょう。けれども、ほとんど申請いたしますると県の衛生部のところでもうつかえてしまって、これは実行に移されないというのが現状なんです。私のところへも具体的に、よろしいということを聞いたから申請をしたけれども、なかなか保健所のほうで認めてくれません、そこで県の本部のほうへ行けばだめだということで進行しておらぬが、これが実情なんです。ですから、もう少し簡単にこれが認められるということをやりませんと、ただ抽象的にそういうことは阻止いたしませんという程度では、実効はあがっておらぬということをもう少し強く考えていただきたいと思います。  それから、乳の夏季の奨励金の制度ですが、こういう制度が一体いいのかどうか。奨励金のあるときは、工業生産品なら現金出して作れますけれども、お乳のほうは奨励金がつくからといってぽっと牛をふやすわけにいきませんし、ふやしてしまった牛は今度は処分するわけにいかぬ。こういう長年月にわたって管理飼育しなければならぬ動物に対して、その価格が時期別に上がったり下がったりということでは、これは畜産ということを本気にやる気にはならぬのじゃないかと思うんですがね。ですから、この奨励金制度というものについて根本的にひとつお考えいただかなければいかぬのじゃないかという感じを持っていますが、これに対する御意見はどうでしょう。  それから、今渡辺委員からも御指摘になりましたように、乳価の引き下げが非常に強く打ち出されている。これに対して好ましいとは思わぬとおっしゃいましたけれども、好ましいと思わなければ、これに政府は行政的にいかに介入するかということなんです。これはかつて小麦の価格が上がったというときに、直ちに小麦粉を上げようとしたときに、政府は、民生に及ぼす影響大として、その小麦粉価格の引き上げはやっちゃいかぬということを、非常に強く介入して、これをとめた例がありますね。ですから、今回の乳価の引き下げにつきましても、引き下げてはいかぬというようなところまで強く介入すべき時点にきているのではないかと思う。ただ好ましいとか好ましくないとかいうような感じを述べているだけではいかぬので、乳価引き下げと、そういう実際の動きに対して行政的に強度に介入をするということが必要であると思いますが、それに対していかにお考えになっておりますか。  それから、最後にお伺いいたしたいことは、かつて飼料の特価売却をいたしたことがあります。飼料は日増しに高騰を続けているのが現状で、御承知のとおりであります。そこで、政府手持ちの麦を、かつて行ないましたように、特価売却をいたしまして、この飼料の異常な高騰を正常に戻すという措置を緊急に講ずべきであると思いますが、この措置に対していかにお考えになるか。  以上希望を述べた三点と、あとにお尋ねいたしました奨励金乳価制度というものをどう考えるかということと、それから飼料の問題、それから乳価引き下げにいかなる態度で介入するかという三つの問題はお答えをいただきたい。学校給食の通年化の問題と、それから加工乳の販売制限の問題、高温殺菌を簡単にできるようにするという三つの問題は、これはひとつその趣旨に沿って具体的に行動を起こしていただきたいという希望を三つ述べておきます。
  166. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 第一点の夏季の奨励金という、現在乳業メーカーと生産者団体との間でそういう取引契約、そういう形態が行なわれているわけでございますけれども、これが生乳取引の正しい姿であるかどうか。これは私どもも非常に大きな問題を含んでいると存じております。何分にも、御承知のように、生乳の取引は千数百にわたります生産者団体と大手四社あるいは中小の数十社、それらのそれぞれの個別の取引契約で取引が行なわれているわけでございまして、そういう個別のいわゆる取引経済の自然の姿が今後の酪農振興なりあるいは構造改善の推進なり、そういう問題と関連して、特に酪農農家にもしかなりの影響がこのために起こるとするならば、この契約のあり方自身についても検討して参る必要があるのじゃないか。実は率直に申し上げまして、そういうこともわれわれ疑問をかねてから、持っておりますので、先般全国各地にできました酪農会議、さらにそれを全国一円といたしまする中央酪農会議等にも、これらの扱い方について、今後生乳取引の契約のあり方についても検討を依頼し、われわれも検討いたしているような状況でございます。今後もこういう問題についての検討は続けて参りたいと、かように考えております。  第二点の、現在の生産者団体と乳業メーカーとの値下げ交渉に対する私ども態度についての御質問でございますけれども、われわれといたしましては、できるだけ早い機会に乳価が正常に復するような措置をとる必要が役所としてもあると存じまして、先ほど来御指摘のございます学校給食をさらに強化して参ることだとか、あるいは消費宣伝の問題でありますとか、あるいは場合によりましては、畜産振興事業団によりまする機能発揮の問題、そういう問題につきまして、ただいまいろいろな検討をいたしている状況でございます。  第三点の余剰麦についての御指摘でございますが、こういう事態に緊急対策の一環といたしまして、現在政府が持っておりまする余剰大裸麦を緊急に値下げ用として放出するということにつきましては、畜産局といたしましては、強いそういう希望を持っておりまして、食糧庁とも折衝中でございます。
  167. 森八三一

    ○森八三一君 他に質問者もありますから、ここで打ち切りますが、乳価の引き下げが今現実の問題として起きておる。それに対処する対策として学校給食のほうに回すとか何とかいうことを考えていこうということでありますが、もちろん、これはかつては乳が足りないからというので輸入をした、そのとたんに今度は余った、こういうことでもございまするわけでありますので、この際の措置としてそれをさばくようにいたしますることは、基本的なものとしてやってもらわなければなりませんけれども、もう十二月から、一月から現実に乳価が引き下げられるということになりまするとたいへんな問題ですから、そこで私はある程度非常に強い姿勢で介入をすべきじゃないか。ほうっておいてはいかぬ。酪農会議とかその他にまかしてしかるべくということではいかぬので、かつて河野さんの大臣のときに、小麦粉の価格を引き上げることを決定いたしましたね、それをいけないというので、また決議を変えさせましてもとへ戻したという事例があるくらいですから、この際、生産費から考えまして、乳価は引き下げるべきものでないという感覚をお持ちだとすれば、ということは、好ましくない、こういう感覚で出ておるとすれば、これをもう少し強く行動として起こしていくということにまで踏み切ってもらわなければ、燎原の火のようにずっときておる引き下げ運動は、引き下げ要求はとても、腐敗性を持っておる乳を持っておる農家から見れば、これは耐えられない問題になってくると思うのです。ですから、行政的に介入をするということをやるべきであると思いますが、どうでしょうか。
  168. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 先ほど申し上げましたように、現在乳製品メーカーとそれぞれ全国の生産者団体との間で乳価交渉が行なわれておりますけれども、これも御承知のように、地方々々によっていろんな条件なり内容の相違もございます。引き下げないところもあるし、きわめて少額の引き下げを通告しておるところもある、あるいは相当な額にわたって引き下げを通告しておるところもある。全国的に見ましても、それぞれ地方々々によって条件なり内容も異なっておるのであります。しかし、さればといって、全体のムードといたしましては、この際引き下げがしたいというメーカー側の態度には変わりはないのでございますから、これらの点については、率直に申しまして、国が強権をもってどうこうということにはなりかねると存じますけれども、先ほど申し上げましたように、この事態が一日も早く回復をいたしまして、乳価あるいは乳製品全体が安定をしていくという措置をわれわれといたしましてはとっていく必要がある、かように考えております。
  169. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ちょっと資料要求をしたいのですが、一つとして、最近の粉乳の輸入数量、できれば価格、それから学校給食の三十五年、六年くらい、わかったならば二カ年間くらいの学校給食の状況。それから、もう一つは、牛乳と今の乳製品の……。
  170. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 牛乳の学校給食だけですか。
  171. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 粉乳はいいです。脱脂粉乳も。  それから、牛乳、乳製品の需給状況、全体的な需給状況。わかっておりますか……。それから、もう一つは、学校給食、各県別のやつがありますね。
  172. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 府県別のものはございませんから、別に作ります。
  173. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それから、大口メーカーの国内における集乳の状況。わかりますか。たとえば森永とかああいう大きな会社の業績といいますか……。
  174. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) できるだけ御趣旨に沿うように作ります。
  175. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それから最後に、ひとつお伺いいたしますが、実は構造改善事業で数県歩いたんですが、国民食糧として国の農業政策の柱になっておるのは米だけなんですね。ところが、米の管理制度というものが非常に後退してきて、弾力的に維持改善していくということでいきますと、何か最近の消費者米価にとどまらないで、特選米になってきますと、食管制度の根本的な改革の問題に触れてきておるわけです。将来そういうようなことで自由化というような問題を想定したときに、やはり何かもう一つ国民食糧として柱を設ける必要があるんじゃないか。それには現在の酪農を通じた牛乳の問題が非常に重要な政策として出てくるだろう。これもやはり柱としなければ私はならぬと思う。この柱をなくなした中で米の統制撤廃ということは考えられない。特に農民に与える影響が非常に大きい。ですから、そういう問題からいきまして、私はやはりここら辺で酪農というものを、牛乳というものを、単に製品ということ、一つの農業だというとらえ方をしないで、やはりもっと国民食糧という見地に立ってひとつ太い柱を作るような政策を打ち出す必要が、農林省としては、政府としてはあるんじゃないかというふうに感じてきておるわけですがね。そういう点についてどういう構想をお持ちですか。もうぼつぼつ需給見通しだけでなく、そういう方向へ足を踏み入れてもいい段階にきておる。それをしない限りにおいては、生産者に対しましても消費者に対しましても、これはますます混乱を生ずるだけだ。ですから、そういうことを考えてしかるべきだと、国民食糧の一環として、重要政策として取り上げるべきだと、こういうふうに考えておるわけですが、ひとつ畜産局長考え方を、そういう方向に進みつつあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  176. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 非常に重要な問題についての御指摘でございますが、これは構造改善の中心になっておるのも酪農でございますし、今後米麦等の穀萩農業に次ぎまして、われわれとしましてこの酪農振興に真剣に取っ組んでいかなければならないと、かように私ども考えております。特に畜産物の価格安定という点につきましては、これは現在は畜産物の価格安定等に関する法律がございまして、ある程度のそれらの点について措置も裏打ちができるようになっておりますけれども、そういう点についても特段のさらに配慮が必要になっておると思います。非常に重要な点についての御指摘で、問題は非常に大きな問題だと存じますけれども、われわれ心がまえといたしましてはさような心がまえで今後さらに勉強して参りたいと考えております。
  177. 戸叶武

    戸叶武君 資料要求をもう一つ。それは先ほど森さんも主張したように、高温殺菌でもよろしいというのはこの委員会で取りつけたが、ほとんど不発に終わっておるから、全体に徹底させられなかったと思いますが、厚生省なり何なりの統計をもって、全国の集団で利用した場合に、高温殺菌でやっておるところが、許可を与えたものが幾つあるか。その統計は一、二というだけではわからないから、各県でやはりこれは何らかの形で徹底させなければ、この委員会におけるわれわれの取りつけば何にもならない。そういうことを、行政機関と立法府における委員会との間というのは十分円滑にいっていないので、そういうところを、あげて行政的な方面における怠慢というのは行政府が負うべきですから、その具体的な事例を持ちたいから、厚生省なり、農林省なり、文部省の学校給食なり、そういうところからの統計をひとつ吸い上げて、それを資料にして出してもらいたい。
  178. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私が申したのは、単に畜産物価格安定法というような単なる保護政策ではなくて、農林省の畜産局長考え方でなくて、これは農林省、さらに言うならば、そればかりでなく、与党側も政府もこの問題は私は真剣に取り上げていかないというと、とんでもないことになるということを心配しているわけですよ。ですから、一応は問題を投げかけただけで、その点はひとつ政府全体の考え方として、畜産局長はそれにてこ入れをするような方向において、何といいますか、酪農行政については真剣に国民食糧だという見地に立って今後進んでいくべきことが必要ではないかと、こういう意意で申し上げたわけであります。
  179. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 最後に御要望のありました高温殺菌の具体的事例の資料でございますが、これは厚生省のほうとの連絡も必要でございまするし、農林省ではおそらく資料がないはずでございますから、さっそく厚生省にも連絡をとってみます。できるだけ私のほうでは努力をしてみますが、もし厚生省の関係で手間取りますことは、ひとつお許しを願います。
  180. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後四時四十二分散会