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1962-11-16 第41回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十一月十六日(金曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————   委員の異動  十一月十六日   辞任      補欠選任    戸叶  武君  椿  繁夫君     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     櫻井 志郎君    理事            青田源太郎君            山崎  斉君            安田 敏雄君            北條 雋八君            森 八三一君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            梶原 茂嘉君            木島 義夫君            重政 庸徳君            中野 文門君            仲原 善一君            藤野 繁雄君            大森 創造君            北村  暢君            椿  繁夫君            野上  元君            矢山 有作君            渡辺 勘吉君   国務大臣    農 林 大 臣 重政 誠之君   事務局側    常任委員会調査    員       安保 隆夫君   説明員    経済企画庁総合    開発局参事官  吉田  剛君    農林省振興局長 斎藤  誠君    食糧庁長官   大澤  融君    水産庁次長   橘  武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○派遣委員報告農林水産政策に関する調査  (農業構造改善事業に関する件)  (松島湾における養殖カキに関する  件)  (米の集荷手数料に関する件)  (消費者米価に関する件)     —————————————
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。  まずお諮りいたします。堀本宜実君から、都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございましたが、これを許可し、その補欠として、委員長理事山崎斉君を指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。     —————————————
  4. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) これより派遣委員報告を議題とし、順次報告を願うことにいたします。  まず第二班の木島義夫君、お願いいたします。
  5. 木島義夫

    木島義夫君 第二班の調査報告を申し上げます。  第二班の派遣地は、山口島根両県で、派遣委員山崎委員矢山委員と私の三名でございました。十月一日から八日までの八日間、主として農業構造改善事業沿岸漁業構造改善対策事業及び森林法実施状況問題点について、それぞれ関係当局から説明を聞くとともに、現地を視察して参りました。  山口県では、まず県庁で本年公表された「山口県、県勢振興長期展望」及び県の農林漁業白書ともいうべき「山口農林業の基本問題と基本対策」並びに「山口漁業の基本問題と基本対策」と構造改善事業対策について説明を聞き、現地調査に出たのであります。  農業では、三十七年度実施一般地区指定されました秋穂町の構造改善事業計画につき調査いたしました。漁業については、沿岸漁業構造改善対策事業として県が重点を置いている秋穂湾の種苗センター設置構想建設予定地で開き、次いで「取る漁業」から「育てる漁業へ」を実践している仙崎漁業協同組合ハマチ養殖事業を視察いたしました。  また、林業については、美東町の県営採種園を視察しました。これは県が森林法施策として重視している森林資源造成事業一環として優良種苗を確保するために行なっている種子採取事業であります。  次に島根県では、県当局から三十六年度から実施している島根総合振興計画農林水産計画県全般構造改善対策について説明を聞き、現地調査に出向きました。  農業では、町ぐるみ十万羽養鶏酪農新規導入で、町独自の農業振興計画を進めて、全国的にもその動向を注目されている大東町の農業構造改善事業計画について調査いたしました。  漁業では、県の水産業振興施策基幹をなす漁港の整備問題で、隠岐島近海における漁場開発前進基地として重要な浦郷漁港港湾施設を視察いたしました。  最後に林業においては、隠岐島造林業発祥地であり、村有林中心に村の財政経済が運営されている布施林業調査いたしました。  次に、今回の調査中心課題である農業構造改善事業問題点について、特に関心を強くした事項を申し上げます。  まず基本的な問題としては、両県ともにおのおの県勢振興長期計画を持ち、総合的な基本構想の中で、農林水産業役割と今後の発展未来図を持ち、その基本的施策を順次具体化していく方針に照らしながら構造改善対策を進めていこうとする一貫した行政指導に、この事業に対する積極的な前向きの姿勢がうかがわれ、心強く感じたのであります。  次に、各地で要望され、陳情を受けた諸点を申し上げます。  山口県では、(一)、実施基準の具体的な運営で、農林省と県と市町村意思統一がいまだに不十分なこと。この点おのおのの責任と役割を明確にして事業推進していきたいとのことでした。(二)、成長農産物価格で、最低ないし基準価格補償制度を講じてもらいたいこと。(三)、構造改善の理想にほど遠い後進地域対策を早急に確立してほしいとのことでありました。  また、現地秋穂町では、(一)、実施基準がきびしく、あまりにも高度なので、漸新的に基準に達することを条件とする運用をはかってほしいこと。(二)、事業に伴う合理的な土地利用には、特別の措置を講じてほしいこと。(三)、主産地形成には、生産のみならず流通価格まで一貫した構想の上で事業実施することがなければならないこと。すなわち、市町村農協の一体化が事業成功のかぎであることであります。  次に島根県では、全体として、(一)、事業費ワク拡大国庫補助ワク増大後進地域に対する特別措置等で、もっと強力な国の手段が講ぜられなければならないこと。(二)、青果物価格安定対策として、全国的な青果物共済制度を確立してほしいこと。(三)、酪農振興では、草地造成事業補助率を五〇%に引き上げ学校給食用牛乳を恒久的に供給できるようにしてほしいことでありました。  現地大東町では、町独自の第三次農業振興計画実施中でありまして、この計画では、生産量的拡大だけでなく、それによって先進的な自立経営を作っていき、町内農業構造を改善して、本格的な畜産主産地形成目標としております。  そのための資金需要額は、三カ年間に新たに八億円必要だとされています。したがって構造改善事業指定も、外部資金導入一環として受け入れているのであります。そこで、町当局の不満は、事業費が中途半端で、事業量が少なく、反面、市町村負担が商いということに集中しており、さらに、このような事業費をもって国は構造改善事業によって自立経営の実現を本気で考えているのか、あるいは単なる政治的目標なのかと反問されたほどでありました。  以上をもって、調査報告の要約といたします。
  6. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 第一班、植垣君の御報告を願います。
  7. 植垣弥一郎

    植垣弥一郎君 第一班の報告を申し上げます。  第一班の派遣委員安田委員北條委員と私との三名でありまして、十月一日から六日までの六日間にわたり、秋田県及び宮城県の農業構造改善事業等中心調査をして参りました。  秋田県におきましては、琴丘町の農業構造改善事業を視察いたしましたが、本町は一般地域指定を受けておりまして、町内に二地区を設け、それぞれの地区について構造改善を行なおうとするもので、米作を中心とする地区では耕起より米の調整まで一環作業とすることにより労働時間の短縮をはかり、余剰労力をもって畑作物等増大をはかり、また畜産中心とする地区においては和牛の多頭飼育を行ない、これに関連して、米の生産性を高めるとともに果樹栽培を行なおうとするのがその構想でありました。  このほかに八郎潟干拓事業等実施状況、十和田湖におけるヒメマスの孵化放流事業実情等について調査いたしました。  次は宮城県についてでありますが、田尻町と角田市の農業構造改善事業を視察いたしましたが、田尻町はパイロット地区指定を受けており、水田省力栽培による余剰労働力温室園芸に振り向け、農家収入増大をはかろうとするものであり、また角田市は一般地域指定を受けており、市内を六地区に分かち、それぞれの地区について構造改善を行ない、水田省力栽培による余剰労働力をもって養鶏、養蚕、畜産等振興をはかろうとするのがその構想であります。また、宮城県の沿岸漁業構造改善事業は、県内を五地区に分かち、それぞれの事情に見合った漁場改良造成等生産基盤整備開発経営近代化あるいはノリ、カキ等の主産地形成の確立をはかろうとするものであります。このほか石巻市におけるサンマ漁業魚価維持対策、女川町の漁港修築事業及び津波対策事業実情松島湾におけるカキ死滅状況等について調査いたして参りました。ことに現地におきまして、農業構造改善事業は農民にとって画期的な事業として相当に期待を寄せられておりまして、県を始め市町村においては積極的にこれが推進努力が払われておりました。しかしながら、事業実施に伴っていろいろむずかしい問題が生じてきておるようでありまして、私どもに対しまして関係者からの共通した強い要望がなされたのであります。  そのおもなるものについて申し上げますと、  一、本事業はおおむね十カ年にわたり実施されることになっておりますが、他産業成長発展に対応して農業発展を期するためには実施期間の繰り上げ、補助率引き上げ等措置を講じてほしい。また事業費関係等対象地区が制限されているが、市町村行政上からも、また産業政策の上からも事業規模拡大、あるいは第二次計画の引き続き実施について特に考慮されたい。  二、本事業推進により、農業生産選択的拡大や主産地形成が行なわれることになり、農産物は相当な増産が期待されるので、これに見合った価格対策流通対策を確立してほしい。また、農産物需給見通しの短期間のものも策定し、本事業推進に不安なからしめられたい。  三、本事業実施基準全国一律になっており、地域的に無理があるので、市町村の特性を十分取り入れられるよう弾力性のあるものにしてほしい。  四、本事業実施にあたっては、市町村財政的負担がかなりあるので、市町村財政の強化について十分考慮されたい。  五、パイロット地区のような先駆性実施地域については補助率を七割以上とし、県費負担をも義務づけられたい。  六、経営近代化資金等の融資については、利率の引き下げと償還期限の延長をはかられたい。等の要望がなされたのであります。また沿岸漁業構造改善事業についても同じような要望がありました。  そのほか、サンマ漁業魚価維持対策につきましては、漁業調整規則策定方法等に問題があるようでありまして、行政庁指導に一段の努力が必要かと思われます。  また、松島湾におけるカキ異常死滅の問題につきましては、政府においてもこれが原因の究明と被害漁業者の救済に遺憾のない措置を早急にとるべきであると思います。  以上をもちまして報告を終わることにいたしますが、視察して参りました現地実情等の詳細については、別途、報告書を提出しておきましたので、それをごらんいただきたいと存じます。  なお、今回の調査に際しまして、終始御協力をいただきました秋田宮城両県に対しまして、感謝の意を表したいと思います。  終わります。
  8. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 第三班、青田源太郎君。
  9. 青田源太郎

    青田源太郎君 第三班は、櫻井委員長北村委員とそれに私青田の三名で、十月九日から十四日までの六日間、三重県及び奈良県の農業構造改善事業沿岸漁業構造改善事業及び改正森林法施行後の実情について調査をして参りました。  三重県の農業構造改善事業は、一般地域は四地域パイロット地区は二地区でありますが、この班は特に鈴鹿パイロット地区実情調査いたしました。鈴鹿パイロット地区基幹作目は米、蔬菜畜産で、総事業費は二億五千五百五十万二千円が予定されております。この事業費で全地区区画整理を行なうとともに、農業機械化実施して、労働生産性を高め、温室園芸酪農あるいは養鶏業等飛躍的発展をはかり、所得水準の向上が企画されております。本事業につきましては、鈴鹿当局並びに事業関係者から説明を受けましたが、その際、本事業に関する問題点も指摘され、種々要望もございました。  三重県の沿岸漁業構造改善事業は、本年十月に計画を決定の上、昭和三十八年度から実施が予定されております。事業内容は、漁場改良造成事業経営近代化促進事業でございます。本県特産真珠生産高は、昭和三十六年度は九十六億に達している状況でございます。なお、第三班は、国立真珠研究所御木本真珠養殖場を、また、鍋田干拓事業木曾岬工区を視察いたしました。  次は、奈良県でありますが、本年度奈良県の農業構造改善事業は、一般地域は五条市を山添村、月ケ瀬村の二地域で、パイロット地区は、天理市の井戸堂地区と奈良市の田原地区の二地区でございます。  今回は、特に井戸堂地区の実情を視察いたしました。本地区は湿田が多い関係上、まず、地区内を縦横に走る主幹農道を設けるとともに、灌漑排水事業を行おうとするものであります。この事業費は五千五十万円が予定されております。経営近代化施設としては、予算五千九百七万円をもって、ビニール・ハウス等を設置し、また、農業機械化実施して、蔬菜拡大生産が企画されております。主幹道路位置等につきましては、現地において事業関係者から親しく説明を聞き、地元の要望も聞いて参りました。  次に、林業でありますが、本県には国有林公有林が少ないので、本県においては林業構造改善事業は困難のように見受けられました。吉野林業の実態につきましては、川上村に入り、その実情を見て参りました。その際、森林組合関係者から、労務対策は現在のところ自力で解決していっているとの力強い発言がございました。  終わりに、本調査の結果、明らかにされた農業構造改善事業に関する問題点のおもなものを簡単に申し上げれば次のとおりであります。  第一は、国の助成が画一的であるという点であります。また、実施基準が一律的であるという点であります。事業実施基準全国一律に定められておりますので、都市近郊農業県では、地域的にかなり無理が生ずる場合があります。実施期間事業予算には弾力性を持たせ、その地区に適した運用が行なわれることが特に必要であると思われます。  第二は、補助率引き上げについてであります。現在の補助率を七〇%まで上げてほしいとの要望が、現地関係者から提出されておりまするが、本事業の性格にかんがみ、この点は十分に考慮すべき点であると存じます。  第三は、農協と本事業との結びつきがうまくいっていないという点であります。すなわち、本事業事業の主体が市町村であります関係上、地区によりましては、農協に所属している組合員の一部分の地区指定を受けているという実情もありまして、このような場合、農協としても非常に苦悩しているように見受けられ、農協の積極的な協力が得られないのではなかろうかという点であります。  第四は、共同施設用地買収費補助対象になっていない点であります。言うまでもなく、共同施設は、その経済体中心に施設されることが好ましいのでありますが、用地買収費補助対象でないので、予算関係上、やむを得ず部落有とか、あるいは有志の提供する場所に設置されがちで、本事業推進する上からきわめて不適切であると思われます。  第五は、今までに成果を上げている地区が、パイロット地区指定される傾向がある点であります。すなわち、本事業予算上制約されておりますので、地域選定にあたり、すでに成果を上げている条件のよい地区がさらにパイロット地区として指定を受け、その地区がますます条件がよくなるという状況にあることは注目しなければならない点であろうかと存じます。  以上をもちまして簡単でありますが報告を終わらしていただきます。
  10. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  なお、文書による報告書会議録に記載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。     —————————————
  12. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 次に、農業構造改善事業について農林当局から現況等についての説明を求めます。
  13. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 構造改善事業のその後の経過につきまして御説明申し上げたいと存じます。  この事業実施にあたりまして、お手元農業構造改善事業促進対策例規集というのがお配りいたしてございますが、この事業性質にかんがみまして、今後十カ年にわたって三千百の市町村対象にこの事業を進めて参る必要があるということでございますので、予算といたしましては、単年度事業予算で計上されておりますけれども、将来についての政策を明らかにするという意味におきまして、六月の八日に農業構造改善事業促進対策についてという閣議了解を決定いたした次第でございます。  お手元にお配りいたしてございまする農業構造改善事業促進対策例規集の一ページでございます。この了解によりまして、おおむね三千百の市町村について、三十六年度からおおむね十カ年を目途として実施するということが第一点。第二点は、市町村ごとにおおむね三カ年を目途として実施する総合助成事業に対して、一市町村平均四千五百万円の補助を行なうように努める。これが第二点。第三点は、関係各省、都道府県は、本対策実施地域において、これに関連する諸施策を総合的に推進するように努める。以上の三点を内容とする閣議了解事項を決定いたした次第でございます。  これに相前後いたしまして、農業構造改善事業促進対策実施要領を各府県に通達いたしまして、一応これに基づきまして各府県に対しまする指示事項を了しまして、七月の上旬に各府県に対して、ブロック会議を開き趣旨徹底をはかるということにいたした次第でございます。このように本年度事業実施にあたりましては、非常に趣旨徹底がおくれて参りました点は、はなはだわれわれとして遺憾に存じておる次第でございますが、事業性質上部内におきまして検討している際にもいろいろ問題が生じました結果、このような事態に相なった次第でございます。  そこで、各府県は、このブロック会議後におきまして、管内の各市町村に対しまして計画樹立実施指導に当たるということに相なっておるわけでございます。  そこで、すでに当委員会におきましても、御説明いたした次第でございますが、三十六年度におきまして五百の計画地域指定いたしました。また三十七年度におきましては、八月に三百の計画地域指定いたしたわけでございます。そこで三十六年度指定いたしました五百の計画地域の中から、事業実施すべき地域といたしまして、予算上は三十七年度に二百の地域を予定いたしておるわけでございますが、この二百の予定地域につきまして、八月以来から事業計画につきましての予備協議を進めて参りまして、大体予備協議を現在の段階では了しまして、本協議をいたしておるという段階に相なっておるわけでございます。現在までにおきまして、この計画地域予備協議の済んだ地域数が百八十九町村でございまして、そのうち、現在までに、一般地域としては十二の地域につきまして事業計画承認を与えて参ったわけでございます。その後引き続き事業審査に当たっておりますので、本年から来年の一月にかけまして、あとの地区数についての協議を了することになろうかと考えております。  また、パイロット地域につきましては、これはすでに九十一地域を三十六年度において指定いたしたわけでございますので、その事業計画についての審査を進めて参ったわけでございます。これも八月以降予備協議を経まして、現在すでに協議を了したものが九十ございます。そのうち現在までにすでに承認いたした地区が三地区ございますが、引き続き残り地区数につきましては、一般地区と同様に目下鋭意協議審査を進めておるという段階でございまして、これも残り地区数について近く相当大量に承認を進めていくことに相なろうかと考えておる次第でございます。なおこの間におきまして、パイロット地区につきましては、その後の市町村における計画樹立の過程におきまして、この地区を展示的な拠点ということで、割合計画についても高度化を要請いたしました関係も若干あると思いますけれども、パイロット地区の中で実施態勢が必ずしも十分に整っていない。あるいは、むしろこの地区としてはパイロット地区よりも一般地区としてやってもらいたいというふうな希望もあるやに見受けられましたので、実は十一月の二十日までにパイロット地区解除してもらいたいという、地域指定解除申請を認めるという道を開くことにいたしまして、それらの申請を受けた地域が、さらに一般地域に振りかえて計画地域指定を受けたい、あるいはまた、事業実施をしたいというような場合におきましては、これを優先的に認めるという措置をとることにいたしまして、これも十月に各府県に通達いたした次第でございます。その結果、まだ十一月二十日が参りませんので、最終どれだけ指定解除申請があるかは不明でございますけれども、若干そのような地区が出て参ろうというように考えております。われわれといたしましては、十分パイロット地区についても計画樹立され、実施されることを期待しておりますけれども、しかし、同時に一般地域としての計画を進める道も開かれておりますので、やはり十分なる展示的拠点としての事業計画を立てるについて、村の実施条件が整っていない。あるいは不適当であるというような場合において、今申し上げたような措置をとることにいたした点を御了承願いたいと考える次第でございます。  以上が大体の経過でございますが、一点だけ、つけ加えて申し上げておきたいと存じます。一市町村につきましては、先ほども申し上げ、またこれまでも予算説明について申し上げた次第でありますが、平均補助事業としては九千万円、それに対して五割の四千五百万円を国が総合助成するという建前をとっておるわけでございますが、この四千五百万円の市町村配分につきましては、必ずしも一律ではなくて、これは平均であるということを申し上げておったわけでございます。その間、町村におきましては、当然新市町村、あるいは市町村合併等に伴って地域面積大小があり、あるいは農家戸数大小がある。したがって、それらの事情を勘案して配分してもらいたいという要望があり、また計画を立てるにいたしましても、どのような額を目安において事業計画を立てるべきか、すみやかに大体の目安を示してもらわなければ、計画も立てにくい、こういうような要望が各市町村からございました。そこで、この四千五百万円について、われわれは次のような一応の配分を立てて各市町村に配るということにいたした次第でございます。  その第一点は、地域面積戸数と人、農業労働人口に応じて配分するという原則をとりまして、耕地面積については水田樹園地桑園、お手元にある例規集の十七ページにございます。十七ページの第一から、十八ページの第三に助成についてという項目がございますが、そこに書いてあるわけでございます。すなわち面積につきましては、水田普通畑果樹園桑園をそれぞれ点数化いたしまして、これを一つの基準にする。それから農業人口につきましては農家戸数をとるということにいたしまして、それも専業と兼業をそれぞれ専業に換算するという方法をとりまして、これらを総点数で現わしたものが平均が四千五百万円になるようにということで配分するということをいたした次第でございます。大体これらによりますると、事業費にしまして四千万円から一億八、九千万円までの広がりを持った分布になるわけでございます。補助金としては二千万円から九千万円ぐらいの開きになるわけでございます。これを一応の目安として各府県配分基準に示すということにいたしまして、これは三十五年度の農林センサスに基づいて一律に各町村でも資料がそろっておりますので、町村でも計算すればできるという仕組にいたしております。しかしこの予算配分につきましては、当然その町村の今後立てるべき計画内容に応じて配分すべきではないかという意見が当然あるわけでございます。そういうことももちろん必要でありますが、現実問題としては各町村ごとにそのようなことによって審査を進めてくるということはなかなか容易ではございません。また他面、計画内容を見てということになれば、当然裕福な負担力のある町村については膨大な予算にならざるを得ないし、今後負担力がなくても開発の必要性の多いような地域についてむしろ重点的に配慮すべきではないかという点もあるわけでございます。そこで、町村の配るべき補助金の一割を県に保留するということにいたしまして、計画内容、今後の開発の必要度等を勘案いたしまして、県がこれをこの次元で計画内容を見つつ調整措置をとる、また国においても五%の調整保留額をもちまして今申し上げたような趣旨でこれの調整に当たる、こういう措置をとることにいたした次第でございます。  以上がこれまでの大体の経過でございます。
  14. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) これより農業構造改善事業に関しての質疑を行ないます。なお、政府側からの出席者は農林政務次官、斎藤振興局長、任田農地局長、村田畜産局長、経済企画庁の総合開発局吉田参事官、以上でございます。
  15. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 おととしの十一月に策定された国民所得倍増計画を柱としていわゆる高度経済成長の新しい段階を迎えたわけですが、これによって日本の地域的な経済構造に新たな変化が生じてきておるわけであります。それは投資の地域的な集中に伴って所得、雇用といったような投資効果の及ぼす範囲がいわゆる太平洋ベルト工業地帯の中に地域独占といわれるような形が形成されておる、しかも投資と消費のかなりの部分が、その範囲内で自己循環を来たしておる。そう推定されるわけであります。このことはまた地域所得の格差をさらに拡大してきておる。しかも、所得倍増計画の達成をこのこと自体が非常に困難な事態を惹起しておるわけであります。農業におきましても、工業地帯としからざる地帯とでは、経営規模なり、あるいは農業生産条件なり、就業構造なり、あるいは資本の装備の点なり、あるいは農業発展に対する見通しとか、さらには農業所得あるいは農家所得等々に対して、農業それ自体の地域格差の拡大の傾向を生じてきております。したがって、ここに新たに全国総合開発計画が取り上げられて、過般の閣議でも決定されたものと理解します。この総合計画構想の中で、工業の適正配置と、工業を主軸として農業を含めた各種産業のつり合いのとれた形で組み合わせた地域開発こそが解決のかぎである、こういう点に重点を置いて、いわゆる整備地域なり地方開発地域というようなものを設けて、これを拠点として中小規模の工業地帯を育成し、これと結び合わせた経済圏を発表しておられます。そうして農林漁業は新たに拠点地帯の形成によって生ずる需要構造の適正な移動を契機として農林漁業近代化を促進し、地域格差縮小に大きな役割を果たすだろうという意味のことを述べております。  それで経済企画庁にお伺いをいたしますが、そういう大局的な観点によってこれから実施されようとする総合開発計画、きょうの問題は農業構造の問題でありますから、特にその観点にしぼってお伺いをいたしますが、そういう前提としてお伺いをいたしますのは、この総合開発計画目標が所得倍増計画の四十五年度をやはり目標として立てられておると理解しますが、特にその内容のうちの基盤整備について、特にさらにこの総合的な国土開発と農業との関連についてどういう具体的な目標を設定されておるか、その点をまずお伺いいたします。
  16. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 一応最初に、全国総合開発計画は基本となります一つの技術的な数字というものが必要でございますので、今御質問がございましたように、一応は全国を通じました、ほぼ十年を目的といたします国民所得倍増計画というものに取り上げました数字そのものを一応は取り上げたということでございます。  それで現在、農業の問題でございますが、この全国総合開発計画で考えておりますのは、一番最近の主体となります問題は、過密都市の防止という問題と、それから倍増計画に伴います格差是正を行なっていくという問題に、二つ大きな論点がございます。それで、そのもとで一応展開いたしておりますのが、いわゆる拠点主義構想というものでございますが、これによりまして農業がどうなるかというふうなことにつきましては、実は農業については二つの方向がある。その一つの方向は、今お話もございましたように拠点構想そのものを軸といたしまして、何といいましても相当大きな経済拡大の機動力になるような工業というものをできるだけ地方に分散させ、それに関連いたしましてその拠点からの波及効果によって、自然農業というものにも所得効果の上がることを期待するという一つの点から出しているのでございますが、それ以外に実はそういうふうなことを申し上げましても、今御質問の中にもございましたように、自然拠点ができましても、その拠点を利用し得る範囲、あるいはまたその地域に相当の都市もしくは消費地ができるという点から、それが自然農業生産物の構造にも変化を与え、あるいはまた農業所得にも影響を及ぼすというふうな点におきましては、やはり拠点構想をとって参りましても、厚薄がこれは生ずるわけでございます。したがって、いわば拠点構想地域開発をいたしまして、その波及効果を一次産業にも及ぼしていくという、いわば農業外的な要因以外に、もう一つははっきり農業それ自体としての、やはり一次産業としての所得効果を上げ得べき方策というものが、同時に行なうべきであるというふうな考え方をこの中にはとっているわけでございます。したがいましてこの全国計画の中でも、地域の特色というものから、御承知のように過密地域とか、あるいは整備地域、あるいは開発地域というような、その地域の種類を分けまして、それぞれ工業配置につきましても、それぞれその地域によって、特色に応じて施策を進めようという考え方をとっておりますが、それと相並びまして農業につきましても、やはりそういう手段をとりましても、その拠点からの波及効果の少ない、いわば一次産業を主体にしなければならぬというような地域については、一次産業それ自体の構造の改善ということをはかりまして、それに特に重点を置くべきであるという考え方を披瀝いたしているわけでございます。したがいまして、この方針といたしましては、各地域ごとに、地域の特色と結びつけまして、おおむねそういうふうな地域農業というものは、どういう形に変わっていくであろう、また変わり方が多分に問題のある点を政策的に変えていこうということの方針をうたっておりますが、それ以外に一応その影響の薄い一次産業というものによらざるを得ないという点は、一次産業それ自体の合理化の問題、あるいは近代化の問題というものを通じまして、一次産業による所得の向上というものに、同時にこれは考えていくべきであるという方針を打ち出しているわけでございます。そうしてその施策といたしましても、どちらかといえば、その農業とか、あるいは林業それ自体の自然的制約というようなものから、それ自体の中で改造しなければならぬということには、そういう意味で強い施策を進めるべきであるという方針を明らかにいたしているわけでございます。
  17. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 この過密調整地帯なり、あるいは中部整備地域なり、あるいは地方開発地域にいろいろ工場を新たに設置するということの前提として、たとえば道路とか、港湾とか、あるいは電力というような、こういう総合開発の先行条件となるような、そういう先行資本に対して年次別の財政投融資の計画ができているのですか。
  18. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 現在のところは、まだ年次別の具体的なというものは、これに基づいてできておりません。
  19. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 十カ年長期見通しの財政投融資の、そういうそれぞれの道路なり、あるいは港湾なり、その他の先行資本の計画はあるのですか。
  20. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 十カ年計画では、一応公共投資の計画は、ございます。これはむしろございますと申しますよりも、所得倍増の中で総額が示されているということでございますが、ただ地方計画別にこれを配分するというようなものは、現在のところは確定的なものはございません。ただ一応いろいろな産業のあり方、あるいはその地域の人口のあり方、あるいはまた、今後工業化の変更の大体あり方とか、あるいはおよそ予想されます交通量の変化というようなものを参考にいたしまして、一応大体公共投資というものがどのくらいに地方別に割り振りができるであろうかという一応の試算はございます。ただし、これは一応の試算でございまして、実際は割り振りといたしましては、もっと現実的にこれを積み上げなければならぬという問題もございますので、ただ私どものほうは参考表としまして、一応パーセンテージというようなものでこの全国計画のあとにはつけておるわけでございます。なお、今後の問題でございますが、全国計画はいわば一つの基本的な骨子だけを示しましたようなものでございまして、きわめてその点抽象的でございます。したがいまして、今後それが非常に具体化されなければならぬという段階がございまして、経済企画庁といたしましても現在の段階では、この全国総合開発計画を地方計画へいわゆるブレーク・ダウンしていくというふうな作業段階に入っておるわけでありまして、この作業の段階におきまして、今おっしゃいましたような具体的な拠点のあり方とか、あるいはその拠点拠点を結ぶ道路の問題とかあるいは工業の発展に伴う国鉄その他による輸送力の具体的な問題とか、港湾の整備というようなもの等につきまして、今よりもかなり具体的なものが作成されるというふうな段階ではないかとこう思っておりますが、まだ現在の段階ではそこまでブレーク・ダウンしたものは持っておらない次第であります。
  21. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、それはいずれ具体的な計画の進行によって明かになると思いますが、一体、企業採算を乗り越えてもどこへでも工場が進出するということが考えられるのですか、どうですか。
  22. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 現在の工業は御承知のように、企業の自由性ということでございますので、政府が誘導する手段というものが、どの程度具体的な力があるかという問題にかかろうかと思いますけれども、したがって一応この計画の工業立地その他につきましても、一応私どものほうでかくあってほしいという姿と、それから現実にいってこのくらいまでいくのじゃないかという姿と、両方のものは持っております。しかし具体的な現実ということになりますと、経済性を離れて企業がある地域に進んでいくということが、なかなかできにくいものも、現実だろうと思います。で、その点では、その中で先行投資その他によりまして、その企業が進みやすいような基地と申しますか、産業関連の整備と申しますか、そういうものを行なうということによって誘導すると同時に、逆に申し上げますと、あまりにも過密になり過ぎましてそういうところの工場が放って置いてもどんどん来る、来ること自体がきわめて過密のおそれを持ってくるというものに対しましては、むしろ出ていくことを誘導するという形を同時にとらざるを得ないというふうに考えております。
  23. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 都市工場が地方に分散するということに伴って、農村の側から見れば準農村地域の設定ということは当然関連して大きい課題なわけですが、そういう点は全体の開発計画の中にどういうふうに位置づけられておりますか。
  24. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 今の御質問の点は、そう明かにはいたしておりませんけれども、大体考えられますラインといたしましては、拠点に近い地域というものと、それからその波及効果の比較的少ない地域というものを、一応方向としては考えております。で、近い地域というのは、農業自体の産業の商品のあり方というものが変わりますと同時に、農業だけではなく、兼業の機会、就職の機会というようなものが多くなるという点で、その拠点に近い地域というところにおいては、大体兼業農家がふえてくる傾向ということを  一応方向としては考えておるわけでございます。
  25. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そういう方向づけは、農林省あたりとどういう程度の協議が進められておりますか。
  26. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) これは、全国計画は、政府の計画でございますが、関係の各省とはそれぞれ、特に農業につきましては、農業の専門部門の農林省とは十分いろいろな打ち合わせをいたしておるわけでございますし、それから本計画の中にもうたっておりますように、農業のほうには、農業の基本的な問題といたしまして、農業基本法というものがございます。これがきわめて具体的に、今度農業の形を現わしては参るわけでございますので、その点は、この全国計画におきましても、今後基本計画実施される面において、双方の調整をとっていこうということをうたっておるわけであります。したがいまして、農林省とは十分にそれぞれの考え方を披瀝し合い、あるいは意見を調整いたしておるわけでございます。
  27. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは農林省振興局長に伺いますが、今まで伺った範囲でも明かでありますが、この総合開発計画実施は、最大の受け入れ側に立つ農村、農業、この立場から見ると、その農業構造の改善とこれは正しくミートしないと、混乱を惹起するおそれが多分に考えられるわけです。むしろ地域格差、農業間においてさらにそういうものの拡大を初めとする非常に大きな影響、混乱が起こり得る場合が想定されるので、農林省がただいまから実施される農業構造改善というものを、こういう長期の展望にわたって、国土総合開発の産業基盤整備とどういう関連で構造改善というものを取り上げるか、その基本的な態度を承りたいわけです。
  28. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) ただいま企画庁のほうからお話がありました総合開発計画というものが、一応構想としてできておるわけでございますが、これが今度各府県段階にいきまして、おそらく特定地域の開発計画というものが進められて参ることになろうかと考えられるわけでございます。したがいまして、それらの地域計画というものができ上がる際におきましては、一面この事業を進めていきます場合における一つの参考の指針になると同庁に、事業実施する事業内容そのものが、また地域の開発計画の中に入り込んで具体化されて参る必要があろう。特に開発計画の中にも包含される地域性の問題については、一市町村事業計画でありましょうとも、たとえば経済圏的な広がりをもって考えていくということも必要でありますが、同時にまた、抽象的な計画段階から具体的なその村の農業のあり方がどのような形において積み上がっていくかということとも関連して考えて参る必要があろうと思うわけでございます。基本法のこれとの関連におきましては、具体的に他の施策との関係を考えるということを言っておりますけれども、むしろわれわれのこの進め方については、農業全体が一つの他の産業との地域格差を持っておる、これに対していかように農業生産性を上げていくかという課題が一つと、さらにまた、農産物の今後の全体の見通しというものについて、基本法では長期の生産及び事業の見通しを立てるということになっておるわけでございます。したがってそういう面からの調整を、この事業実施する過程において考えていく必要があろう、農業自身としては、やはり産業的な観点からものを考えるとしますると、当然そういう配慮も考えていく必要があろう。そこでまあ地域開発計画等の計画構想におきましても、今申し上げた農産物生産の面からの調整をはかっていくということは当然必要になって参ろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  29. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まあ抽象的にはそういうことも了解しますが、現実に今起きておる問題を具体的に取り上げて伺いたいのですが、今後こういう総合的な開発計画が逐次実施段階になって参って、いわゆる新産業都市の法律なり、低発地域の工業開発促進法なりというものが逐次具体化してくるという場合に、都市建設と農業構造改善事業との調整が事前に十分やはり総合的な計画の中でスタートをされませんと、たとえば農業構造改善事業における土地改良事業というようなものを例にとりましても、土地改良に対する投資効果というものは、農業生産力の向上に役立つことは、これはもとよりでありますけれども、現在工業用水との利水調整の問題、あるいは宅地地区の上下水道というような地域の公共的用排水対策が、現実にやはり問題化しておる事態が各所に発生しておるのでありますが、こういう点が長期の展望において、やはり事前に十分なる水系の総合的な用排水計画がそれなりにやはり確立されませんと、また農業構造改善におけるその用水問題がそこで大きな混乱を来たすということが、将来やはり大きな問題になるおそれが多分にある、現実にもそういう事例が幾多あるわけであります。そういう点を問題としながら質問しておるのですが、今のような問題について、それでは振興局長はどういうふうにその施策を総合的に確立しておられるか。
  30. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 今お話になりました点まことにごもっともな点であり、また重要な問題でございまして、振興局の所管事項だけで考えていくということもでき得ない広い問題でございます。ただこの事業を進めていきます場合の配慮といたしまして、われわれとしては二つの点を御指摘いたしておるわけでございます。つまりこの事業を進めていきます場合に、今お話になりましたような水の問題あるいはその地方における開発問題というものは、多分に県営の事業なり、あるいは国営の事業なり、あるいは建設省の河川の改修の問題なりというふうな事業につながると思われるわけでございます。したがって、国営なり県営なりの事業をどのように進めていくかという場合におきましては、当然そういうことの配慮のもとに事業の採択なり計画がされるわけでございます。そこでの事業を進めていきます場合におきましては、国営なりあるいは県営なりの事業、あるいは他の省のその種の事業計画があります場合におきましては、それとの関係を十分考慮して地域指定もきめ、あるいは事業の進め方も調整するようにということをうたっておるわけでございます。もっと具体的に言いますと、その地域において国営なり県営なりの事業が予定されているような地域またはそれらの事業との不可分の、切り離しては事業の遂行ができないというふうなところにおいては、そういう地域はあと回しにするか、あるいはその計画との関係がきわめて明確にならない限りは、事業の採択をしないようにする。こういう措置をとっておるのが第一点でございます。  第二点は、この地域指定は、およそ三千百といたしておりますのは、現在市町村の数が三千四百六十七あるわけでございますが、そのうちおおむね一割は将来、都市化あるいは工業化されるような町村もあるだろう、あるいはまた事実問題として事業負担能力あるいはその他の理由によって、事業ができないであろうという町村を見込んで三千百というふうにいたしたわけでございますが、具体的には御承知のように建築基準法というのがございまして、大体将来、あれは十カ年ですか、にわたりまして、一応宅地化あるいは工場敷地として予定されている予定地域というものが明らかになっておるわけでございます。所得倍増計画における将来のこの種の転用可能の面積としては約十七、八万町歩かと記憶しておりますが、正確ではございませんが、そういう建築基準法に基づいて予定化されているという地域が、具体的に各町村ごとに確定されておるわけです。そういう地域を含む市町村はあと回しにするか、あるいはその予定地域については少なくともはずして事業計画を立てるということを明らかにいたしまして地域指定指導するということにいたしておるわけでございます。
  31. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、先ほども局長からお答えがありましたように、今取り上げつつある農業改善事業、これは地域格差の解消をはかるとともに、農業の所得格差の解消もはかるということであれば、やはり総合的な国土開発計画一環として考えていいと思います。そうであればなおさらのこと、現在スタートしておる考え方の小規模でしかも分散的な事業に対する投資というものは、基本的にやはりそういう考え方に対しては大きな投資効果の問題からいいましても、総合的な地域開発の点からいいましても、これは非常に矛盾をした現実の施策だと言わざるを得ないのですが、その点はどうですか。
  32. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 今申し上げましたような二つの配慮のもとにおいて事業をやって参りますのでございますので、それらに関係していない町村というのは無数にあるわけでございます。  なおまた他面におきましては御承知のとおりこの事業の一つの推進の契機となっているものは、何としても現在における農村の労働事情が大きく変転しつつあるという実態でございまして、すでに農村の労力がどんどん出るので、従来の経営の形態においては、現在においてすでに経営に支障を来たす、あるいはまた他に雇用労働に依存しておった経営体においては、雇用労働の供給確保も困難である、あるいはその反映といたしまして日雇い賃金が千円なりあるいは千二百円になっておるというようなことでは、農業経営そのもの自身に、従来どおりやっていくことができない。そこで、このような経営のあり方から今の事態に対応してどのような経営構造の改善をやっていくか。そういう諸条件の整備をはかっていこうというのがこの事業でございますので、そういうことからいいますと、全国の開発計画あるいは地域の開発計画、これももちろん最終的には調整をはかるべきものでは、もちろんあるわけでございますが、事業そのものとしては特定の地域についてこのような条件整備をはかっていこうということでございますので、われわれとしてはいっときも早くこの事業を進めて参る必要があろうと思う。  ただ一言だけつけ加えて申し上げておきますと、構造改善対策というのは、御承知のように基本法の二条か何かで構造改善の定義が下され、第四章か何かで構造改善に関する施策が掲げてあるわけでございます。たとえば自立経営の育成であるとか、あるいは協業の助長であるとか、あるいは農地細分化防止であるとか、あるいは農業教育の助長であるとかいったようなことが書いてありまして、その一つとして二十一条にこれらの事業地域的に総合実施する必要がある。それに対して国が助成なり指導措置を講ずるということが書いてあるわけでございます。したがって、この事業構造改善対策一環として特定の地域について事業を進めて参ろうという性質のものでございますので、全体としてはもちろん構造改善対策の中には国土開発計画も入りましょうし、その他の施策ももちろん包含して進めて参る必要があろうと、こう思うわけでございます。
  33. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうすれば、もう一つ具体的にお伺いいたしますが、その考え方の中で取り上げられておるパイロット地域一般地域というのですか、一般事業というのですか、そういうものの性格上の相違はどこにありますか。
  34. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) この事業を進めて参ります場合に、なかなかこれから解決し、また村においてもいろいろ十分なる調査なり討議なりをして進めていくむずかしい問題もあるわけでございます。そこで、この事業を進めるにあたりまして、やはり展示的な拠点としての性格を持つような地域を作りまして、その効果をさらに一般の地域に波及させるというような配慮がこの種の事業にについては必要ではなかろうか。現にまた欧州等において行なっているやり方につきましても、パイロット方式というものを取り上げておるようなところもあるわけでございます。そこで今回は全国に一県おおむね二つということでパイロット地域を九十二設けるということにいたしたわけでございます。そのほか一般地域については、先ほども申し上げましたように三千百の町村対象に逐次事業を進めて参ろうということにいたしておるわけでございます。パイロット地域につきましては、大体の規模といたしまして百ヘクタールから二百ヘクタールの地域戸数にして百戸から二百戸ぐらいというものを対象にした地域につきまして、そこではできるだけ構造改善事業に即した総合計画ができるようにということで、一般地域とは異なる事業費の額を定め、またこれに対する指導については特別の濃密指導を払って参ると、こういうことにいたしておるわけでございます。
  35. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 具体的に私はパイロット地域も、一般地域もかなりの現地を見たのでありますが、そういう意味から申しましても、パイロット地区事業規模というものはきわめて少な過ぎる。たとえばパイロット地区で模範と称されておる福島県の保原、そこでは四十八本の農道のうち八本に対して農道改良の生産基盤の整備が現実に計画の中に出ておる。しかしながら、このことは非常に他の農道なり、あるいは農道の整備を伴う大型機械の導入なり、あるいはそれらの機械を完全に効率的に駆使するだけの再区画整理というものが、何ら基盤整備の中には出ていない。しかも福島県当局の良心的な説明によれば、いろいろこのこと自体についても問題が十四点も指摘されておる。私はいずれ、きょうは時間がありませんから、あらためてもっとそういう現実な問題を中心として質問をいたしますが、そういうふうなお考えであればあるほど、このパイロット地域というものは、財政が許さなければその対象数をしぼっても、もっと完全なモデルができ上がるような充密なやはり投資なり指導なり援助というものを行なうことが、あなたが今説明されたパイロット地区に対するあり方であると思うのですが、ほとんどこれは一般地区と大した違いがないのが現状であります。説明と現実とはさっぱり一致していない。パイロット地区がだめなら一般地区にこれを編入するというような、そういう事務的なすりかえすら堂々と方針として打ち出しておる。もっとだんだんに明らかになりましたような意義を持つものであるならば、パイロット地域にまず問題を重点的にしぼってモデル的なやはりりっぱな構造改善ができるような投資というものを、そのモデル地区全体にやはり行き渡るような施策を行なってこそ、今の局長の考え方にマッチする具体的なモデル地区事業内容であると思うのですが、そういう点はどうですか。
  36. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) モデル地区をまず完成して、そして一般地域に及ぼす、こういう御意見、それも一つの私はこの事業を進めていく場合における一つの考え方であろうと思うわけでございます。当初におきましては、そのような考え方をとったらどうだろうかという考え方で進めようとした時期もあったわけでございますが、しかしいかんせん、このような変転する事態におきまして、わずか九十二の地区だけでその事業の完成を待っておったということでは、他の一般地域については十分要望にこたえきれない。またそれ以外の地域についても、即刻、早く進めてもらうべきであるという要望が非常に強く出て参りましたし、また現実にそういう地帯が特に労働力の移動の激しい地帯におきましては、特にそういう強い要望があったわけでございます。したがって、われわれといたしましては、一面パイロット地区については、そういうモデル的な性格を持たせつつ、他方、他の地域につきましても、これを並行的に推し進めるというような措置をとることにいたしたわけでございます。もちろんパイロット地区につきましては、その当該町村には引き続き一般地域としての事業をやるということもあわせ考えておるわけでございます。パイロット地域自身についての事業費が十分あるかどうかという点でございますが、これはその町村における農民の負担力、あるいは当該地域におけるこの種の事業についての従来の実施状況、あるいは国のそれに対する財政の援助のあり方等を勘案いたしまして、一応現在のようなことできめておるわけでございますが、われわれといたしましても、今お話しになりましたように、できるだけその地域計画に即して事業量が確保できるようにという配慮をいたしておるわけでございます。
  37. 安田敏雄

    安田敏雄君 関連、振興局長に。このパイロット地区と一般指定地域とは事業量に多少の差があるだけで、現実には区別がないわけでしょう。そういうふうに受け取れるのですけれどもね。
  38. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 外に現われた形としては事業費が非常に違う。したがって、補助金の額も地域と違うということでございますが、まあ今われわれの考え方といたしましては、パイロット地域については、一応総合的な一つの計画に即して事業を進めるということにいたしておりますが、一般地域につきましては、それが一町村一円で事業が行なわれる場合もあります。たとえば一町村でありますると、平均千五百町歩ぐらいになるかと思いますが、そういう町村の中で旧町村ぐらいの単位でやっておるところもあります。またさらに大字ぐらいの単位に分けて数地区でやっているというところもございます。大体今まで現われておりまする町村計画でありますると、一町村平均が三地区から四地区ぐらいになっておりますから、大体旧町村ぐらいの単位で事業計画されておるように見受けられるわけでございます。そうなりますと、事業費関係で、パイロット地区のほうは百町歩、二百町歩で大体六千万円、それから一般地域につきましては、千五百町歩ぐらいのところに対して九千万円の事業費である。したがって、おのずから重点的にやる事業というものに相違が出てくる、これはやむを得ないのじゃないか、こう思っておるわけです。
  39. 安田敏雄

    安田敏雄君 むしろ現実的にはそのパイロット地区をABに分けて、一級、二級というか、そういうふうに分けてやることのほうが正しい、こう思うわけです。と思うのは、一応たとえばパイロット地区を九十ばかり指定する。これを完了する。一般指定町村は三千百やる。これを十カ年間にやるわけですから、それをやっても全部やり切るというわけにはいかない。全体とすれば、おそらくその何十分の幾つ、あるいは何百分の幾つということになるかもしれませんが、完全な構造改善事業を十年やったって、これを全部の地域に及ぼすわけではない。現在やっておる地域も現実にそういうことになっておる。そういうことをやっていきますと、結局は十年たっても特定地域しかやれないということになってしまうと、これはやはりパイロット地区をやったのだという結論しか出てこない。十一年目からどうするのだ。パイロット地区指定したところで十カ年間しか指定しない。十一年目にはどうするか。あるいはパイロット地区を一応一町村だけやって、百町歩なり、二百町歩やりますよ。やって、すぐに三年の計画事業をやったならば、その地域内の市町村パイロット地区をやった地区を四年目にまた指定していく。こういうような方法をとればいいんですが、一ぺんやっただけで一巡してしまって、特定の地域だけやってしまう、そのあとはどうなるかという問題が出てくる。こういうようなことは一体どういうふうにお考えになりますか。
  40. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) その点は、全農村が十カ年の構造改善計画によりまして、農業の構造がすっかり変わったというふうな大それた気持は、われわれは全然持っておらないわけであります。ただ、先生の御承知のとおり、村にいきました場合におきまして、土地改良が町村一円ベタに一せいに行なわれたというような町村の事例はおそらくないかと私は思うのであります。したがって、この事業を進める場合におきましては、当然それぞれの地域におきまする農民がこういう計画でやりたいという希望をもとにいたしまして、そうして実施条件のそろったところから逐次やって参ろう、こういう考え方をとっておるわけであります。したがって、町村内におきましても、各種の計画が立てられた場合におきまして、私の村はとてもやる意思はない、あるいはとてもそういう負担ではできない、逆にまた、われこそはということで手を上げておられる町村あるいは部落があるわけでございます。そういうところから私は逐次進めて参ろう、こういう考え方で現在指導いたしておるわけでございます。したがって、逐次これを進めていきます場合に、希望の満たし得ないようなところに対しましては、これは次々に補充していくという措置が必要であろうと考えますけれども、しかし、頭から全部農民の意思を無視して事業計画を進めるという考え方をとっておらない点を御了承願いたいと存じます。
  41. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 パイロット地域自体も問題があるということは、今私がその一部の事例を申し上げたのですが、地域の農家が自主的にその事業に意欲を燃やすということが前提であるということでありますが、現実は上からの押しつけでこれが形式的に取り上げられておる、そういう事例が非常に多いわけです。そうして現実に福島の保原のパイロット地域のごときも、指定を県の段階でパスをした日に、憤激した農民が反対の総決起の部落集会をやっておる。それはいろいろな今の施策に対する希望にあまり反する現実を知ったからであります。私が部落の集会に行ったときにはじめて出された町当局のそのパイロット地域における事業計画書も、出席しておった三名の町会議員も、町議会でもその説明すらない。一方的に町当局によってそれが上の方に手続上促進をされておる。農民の意思はどうせついてくるのだ、そういう非常に権力的な現実があるわけです。それをやはり納得させるには、あらゆるやはりパイロットならパイロットに対しても素朴な期待にこたえるような十分な施策がなければ、これは非常に問題がさらに将来に深刻になるばかりであるという観点から、これはどうしてもやらなければならないという立場でいろいろ積極的な意見を申し上げておるつもりであります。特に、時間もありませんから、一般の地区の問題につきましても、経済単位は地域的に拡大の傾向をたどっております。農業は他産業部門と関連する面が急速に展開しております。また農産物も消費市場の拡大に伴って均質のものを計画的に量産して、輸送経済単位に出荷する機能を持つような単位が望まれるわけです。したがって、一般地域農業構造改善事業をやる場合にも、農業の狭い範疇でだけ考えずに、やはり地域経済の仕組みを改善するような一つの地域の設定に基づく投資をすべきであると考えられるわけです。したがってそういうことからいけば、場合によっては、やはり数カ町村単位あるいは一郡一市単位、少なくともそういう地域の、広範な地域経済活動の有機的な組み合わせを考えた上で選択的な重点投資ということこそが、現実的にやはり経済効果をもたらすこれが基本的なやはり一般地域指定のあり方ではないかというふうに思うのですが、現実にばらばらに申請したものを、逐次事務的に片づけていくということでは、やはり将来に展望をもって考えた場合には、またぞろそれが再計画を余儀なくされる事態が出てくる。そういうあやまちを犯さないためにも、今じっくりとやはりパイロット地域でモデル的なものを一つ実施して、その上で、やはり総合的な角度から、経済地域を単位とした投資というものを考える農業構造改善が、一般地区としてあるべき姿ではないかと思うのですが、そういう点はどうですか。
  42. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) お話しの点二点あると思いますが、パイロット地域についてできるだけ早期に完成をして、それを他の地域に普及させるという配慮をすべきであるという点は、全くそのようにわれわれも考えておるわけでございます。ただ、私もよく福島のその村の事情を承知しておりませんが、大体においてなかなか農民の納得でき得ないという点は、やはり土地改良、特に農地の集団化というような面につきましてなかなか了解が得にくい。たしか保原の計画は、桑園の集団化を行ないたいというのが計画内容になっておるように聞いておりますけれども、土地の集団化、作物の集団化といったような面につきましては、技術的にそれがよろしいということがわかっておっても、なかなか農民の従来の土地に対する観念からいって十分納得が得にくいというようなことがいろいろな地区で問題になっておるわけでございます。これらについても、われわれとしては十分農民の最終的な了解のいくような手段、手だてをとっていくことが必要だと考えております。  第二の、地域の広がりについて計画を立てていくべきではなかろうかと、これも当然そうあるべきである。特に主産地形成というような方向に計画をもっていこうという場合におきましては、当然そういうことが考えられるわけでございまして、現に本年度におきましては、九州の指定希望の町村というものは大体数カ村が単位になって果樹主産地の形成をはかる、そのために必要な樹園地造成から始まって、農道なりあるいはマンモス選果施設を設けるというような考え方で計画を立てようとしている動きが顕著でございます。したがって、われわれといたしましては、将来の方向としまして、そういうような地域的な広がりをもって計画すべきものにつきましては、二カ村なり三カ村なり、同じような地域に該当する町村については、同時指定を行なって、そして共同して事業を行なうようにする配慮もして参りたいという考えを持っておりまして、市町村計画指導にあたりましては、そういう際におきましては、地域的な協議会を設けて、そうしてその地区内の市町村計画調整に当たるように府県が積極的な指導をとるように、こういう指示をいたしておるわけでございます。また来年度におきましては、そういう経済圏的な考え方で県、各市町村計画が合理的になされるように予算も計上いたしまして調査に当たって参りたい、こう思っておるわけでございます。
  43. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 農業構造改善生産基盤については、前提条件として既存の生産基盤の整備及び農用適地の農地の造成、こういうものを基本的には国の費用と責任で、前提として実施するということが基本的な課題であると思います。しかし、きょうは大臣がおりませんから、そういうことは後ほど大臣が見えたら御質問申し上げることにして、部分的なそのうちの山村地帯の農業構造改善にしぼってお伺いをいたしますが、特に山村地帯の農業改善事業実施する前提といたしましては、特に利用可能な土地の供給を増加するということが基本にあると思います。何といっても零細農の克服が課題であるから、どうしても後進地域の土地造成、あるいはその地域の道路開発のために、これは公共投資を行なうということが前提にならなければ、山間僻地の農業構造改善は基本的には解決されない。しかも、これは投資効果が経済ベースに直ちに乗り得るものではありませんから、民間資本でこれを投資に待つことはできないわけであります。したがって、これこそがやはり山村地帯の農業構造改善事業実施の前提であると思うのでありますが、こういうことによってまた地代の圧力をはね返す措置にもつながるし、零細経営を克服する道にも通ずるわけでありますが、特にそういう地帯の農業構造改善に対して、その考え方を重点に取り上げるという方向は、具体的にはどういう内容になっておりますか、その点をお伺いして、私の最後の質問を終わります。
  44. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 山村の構造改善事業を進めるにあたりましては、平坦地の場合と比べてよほど困難な事情が多いと思われるわけでございます。具体的には、山村地方における同じような事業を進めるといたしまして、負担率はとても十分たえられないのではないかという点が御指摘の要点ではなかろうかと考えておりますが、他方また、今の実施基準につきまして、はたして山村地域におきましては十分これで適応できるかどうかという問題もあろうかと考えております。後者のほうから申し上げますると、なかなか山村地域につきましてどのような構造改善を進めて参るか、一般的な山村振興ということについては、これは従来とも農林省はいろいろの施策を講じておるわけでございますが、構造改善事業というような性格を持ったものとして、どのように考えていくかということにつきましては、いろいろむずかしい問題がございます。したがいまして、十分地域に適応するような実施基準の弾力的な運用をはかっていくということについては、われわれもそのように考えておりまして、なおまた、この実施基準が山村地域については十分適応し得ないという分につきましては、改善をはかるように努力して参りたいと、こう思っているわけでございます。  負担力の問題につきましては、確かにそのような点もあろうかと考えるわけでございますが、他の一般の施策なり、あるいはまたこの中におきましても、おおむね傾斜地やなんかが多いと思いますので、特別の補助率引き上げも認めておりますけれども、なおこういう地域についての全般的な問題をどのように考えていくかということと合わせて、今後検討して参りたいと、こう思っております。
  45. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今渡辺委員から種々御質問がございましたが、非常に残念なことは、実は北海道事業の根本に間違いがあると思う。そこで十分に議を練って、そうして出せばよかったが、そうでないものですから、そこで今局長が非常に御苦労しておられるが、ますます苦労が多くなって、これではだめだと思うのです。そこで御承知と思いますが、各県から来ている陳情書はみなだめなのです。みんな八割助成、それから三分五厘と、こう言ってきておりますが、私の一番心配なのは、内地には農道がないようです。でありますから、まず農道を先に取り上げて、全額補助と、こういうことでございませんと、今までは五割ぐらいは助成があったようでありますが、それではやれません。ですから根本の農道から始めて、そうして大きなことをやらないで、こまかいことから広げていく、こういう考えでなければいかぬと思う。そこで大事なことは、ほかの階級とは、企画庁は格差が多いからこれを縮めたいというお話でありますが、そこで見て参りますと、そうではない。どこの県でも、非常に統一ができはせぬかといういいことばかりやっておる。そうしたら僻地のところに行ったらどうなるか、また文句のもとなのです。ですから私に言わせると、りっぱなところはあと回しにして、悪いところからやっていくということでないと、日本のこの山間僻地の多いところではだめでございます。水田のところはいい。それは現在も米を作るのと畑作るのは違うからでございます。だんだん格差は広がる一方でございますから、そういうことはやめて、そうでなしに、山間僻地の非常に困難なところからやっていくということにしていかなければならぬと思う。安田君の言われたことは非常に賛成なんです。ああいうふうに持っていくのでなければ、いかに改造を行ないましても、労働力が余ればああいうふうにやっていくのだということは非常にいいことなんで、あれはいいことだと思いますが、それにつきましても基礎がないとだめでございますから、ひとつ振興局に非常に心配願っておって感謝するが、その心配が各府県から目標になって攻撃されている。そういうふうでは困るから、そうでないふうにまず案を練り直して考えていただかなければ、問題にならぬと思いますよ。  それからその次に申し上げますが、土地担保権を認めるというお話でございましたが、経済局長に一月前でございますが、一般信用のために土地担保を認めるのか、耕土改良のために認めるのか、耕土改良のためならだめだと言ったら、そうじゃございません、一般農家の信用を高めるために認めますと、こうおっしゃったから、それならばよろしいと、こう言った。ところがそうじゃない。どうにかやっておる百姓はそういうことをやったがために土地を取られてどうなるか、そういう疑問がございます。でございますから、一般担保としてそういうことを認めるならけっこうだが、耕土改良のためにその担保権を認める、それも非常に安いと聞きます。そうするとそれを取られた日には、どうにかやっておれば取られないでよかったが、入ったばっかりに取られた、そういう現象が起きてきます。そういうことも十分お考え願って、安田君のおっしゃることは当然のことでございますから、もう少し、最初のことだけでもけっこうでございますから——最初の事だけでも、野党の攻撃を受けることを作ってやるわけなんです。そういうことをやめて、そうじゃなしに、与党も野党も文句のないように、留保もできますから、何もあわてることはない。聞いていると、ほんとうは北海道でパイロット・ファームをやっていますから知っていますよ。ところがうまくいかない。共産思想があればうまくいきます。共産思想がない限り非常に困難ですから、野党の攻撃ばかり受けます。次官一つ聞いておって下さい。来年選挙があるのに攻撃ばかり受けて、自民党がこうやっている、こうやっているということではだめなんですよ。よろしくお願いいたします。
  46. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 負担力の軽減、言いかえれば補助率引き上げについての御要望が出ておることは十分承知いたしております。この実施事業につきましての、個別の事業については、大体農林省の従来の補助率は二割から四割ぐらいの補助率であったのを、事業が重なって行なわれるという意味にかんがみまして五割というふうになったわけでございますので、農林省としては相当従来の補助率よりはうんと改善されたというふうに思っておるわけでございます。ただ事業を進めていく地域におきまして、補助率よりもむしろ絶対額が非常に大きいということから、農民の負担が非常に重いような感じを与えておることは事実でございます。各県におきましても、そのような実情に対応いたしまして全県ではございませんけれども、十数県のところにおきまして、それぞれ県費で補助率のかさ上げをやっておるところもあるわけでございます。私たちといたしましては、このように県によって当該市町村補助率に差があるということは必ずしも適当ではないというふうにも考えられますし、また先ほど申し上げたような特に土地基盤の整備につきましては、確かに農民の負担感というものについてこれを軽減していくということがこの事業を進める上において必要であろう、こういう考え方に立ちまして、来年度におきましては府県がこの地域に対する補助率をかさ上げできますように、交付税算定の場合の基準財政需要額の算定にそれを織り込むようにして、各町村全国を通じて一律にかさ上げが行なわれるような措置をとりたい、こういう考えで目下自治省と鋭意相談をいたしているわけでございますので、何とかそういう方向でこの問題の改善をはかって参りたい、かように考えているわけでございます。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 一点だけお伺いいたしますが、この資料に地域の県別の数が示されておりますが、私十分調査をしたわけではありませんけれども、いろいろお目にかかった方から、希望はしておったが辞退をするというような話をしばしば聞かされるのですが、そういうような事例がどの程度に及んでいるのか。そういうような結果に逢着している理由はどういう理由なのか、お調べになっていると思いますが、その辺はどうなんでしょう。
  48. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 実は辞退という言葉は現段階においてはまだ不明確だと思うのです。と申し上げるのは、まだ事業を全然やっていないわけですから、事業をやっている過程においてやめたといえばこれは辞退だということになるわけであります。今おそらく言われておりますのは、五百の地域指定を行なっておりますが、その中で本年度から事業実施するという予定を予算上には二百地域として考えているわけです。その事業実施地域になることにつきまして、自分の村ではもう少し計画を十分に練りたい。したがって本年度事業実施をやることは見送って来年度に回わしたいというようなところが、おそらく辞退という言葉で表現されているのだろうと思うわけでございます。そういう見地からいいますと、一応二百という予定地域を考えておりましたが、予備協議段階では百八十九の町村が上がってきているわけでございます。したがって、われわれとしましては、計画に十分の時間をおいてやるということについては一向差しつかえない。むしろ実施態勢がそろって農民の熱意が盛り上がった地域から事業を進めていくようにしたほうがかえっていいんじゃないか、こう考えているわけでございます。
  49. 森八三一

    ○森八三一君 形式的には農林省のほうにそういうように映っていると思いますが、実態は、構造改善事業についてあまりにも押しつけがましい、しかも何か一つの基準計画に合わなければいけない。ほんとうに農民の盛り上がる意欲というものを採択していくのではなくて、型にはまったことをやらなければ、この対象としては取り上げないというような強制的なものがあると思うのですよ。それがせっかく指定を受けて、やろうと立ち上がってみても腰砕けになってしまうという実態と私は思うのです。とすれば、この事業の進め方に非常な欠陥があるのだ、そういう点を反省しなければ、もう一ぺんきめたらそれを押しつけるという態度では、結局構造改善事業が終局にいって、農民に負担だけを残して何をやったかわからぬという、国費の乱用だけではなくて、農家に非常に迷惑を及ぼすという結果が私は生まれると思うのですよ。そういう点をもう少し反省をして、それではなぜ指定をした町村がもう少しゆっくり考えてあと回しでよろしいなんと言っているかということについてのその本質を突くということをお考えにならぬと、たいへんな問題になると思うのですがね、そういう点をお調べになっておりますか。
  50. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 先ほども申し上げましたように、この種の事業指導に当たりました全体のわれわれのおぜん立てといいますか、指示事項というものが、ようやく七月になりまして各府県に通達された。そういうことから十分なる趣旨徹底を欠いた、あるいは準備の不足があったのではないかというふうな点については、私もそのように率直に認めるわけでございますが、ただ当初四千五百万円の金がくるんだ、われわれはそれで何でも作ればいいんじゃないかというようなつまり考え方であった町村もあったと思うのです。それはそれなりに、たとえば共同施設をあの部落にも、この部落にも作りたいというような希望を持っておられた町村長が、現実にはそうはなかなかいかないというような趣旨がわかってくるに応じまして、当初の見当とは違ったというふうな感じを持たれる町村もあろうかと思います。これは指導について、決してわれわれは強制的にどうこうするという考え方は持っておりませんし、そうではなくって村の自主的計画を建前にしているということをあくまでも堅持いたしておりますけれども、今申しましたように、とにかくこの際金がくるんだから施設を作ろう、何も作ろうというようなつまり考え方に対しましては、われわれはそういう考え方では困るということを指導いたしておるわけでございます。つまり構造改善構造改善たるゆえんを考えて、たとえば工場でありますならば、敷地もきめ、建物も作り、機械も入れ、あるいはそれに必要な付属の建物を建て、あるいはさらにレクリエーションの施設も作るというように、一連の考え方で事業というものが行なわれるわけでございますけれども、とかく従来の例を見ますると、機械は入ったけれども建物がない、あるいは建物があったけれども機械は入っていないというようなことで、ばらばらに行なわれたのでは十分の効果を上げ得ないじゃないか、そういう見地からひとつ総合的な計画を立ててやっていただきたいということを言って指導いたしておるわけでございますが、それが十分の趣旨徹底を欠いたりいたしました関係で、多少トラブルが各地に起こっているということは十分承知いたしております。しかしこれはやがてだんだんに趣旨徹底いたしまするならば、われわれといたしましては、だんだんに地方農林局ができますれば地方農林局に権限を移し、さらに府県指導を移していくということによって、地方の実態にだんだん合うように軌道に乗せて参りたい、こう現在においては考えておる次第でございます。
  51. 北條雋八

    北條雋八君 私は今までお話がありましたが、この間も視察に行きまして、どこに行きましても基盤整備には非常に金がかかる。しかもその金の半分は負担しなければならないということで、何とかこの長期低利の金融をもっと拡大してもらいたいということは今お話しのあったとおりでございます。まあそれはそれといたしまして、この農業構造の改善の目的というものは、農業基本法によりまして、農家の所得を増大するというのが根本であります。それにつきましてはこの農産物の長期の見通しというものは、一応は全国的に作られておるようでございますが、これを地方的に、短期でもいい、三年間なりあるいは五年間なりの見通しと農産物の需給の見通し、これを根本にしていかなければならないと思うのです。そういう見通しというものは企画庁のほうで作っておられるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  52. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 御承知のように、農業基本法によりまして重要農産物の長期の生産と需要の見通しを作成して公表することになっておりますが、それは先国会におきましてすでに御説明したところであろうと考えます。今後におきましては、その計画に基づきましてさらに地域的な計画におろすというようなことが必要であろうと思っておりまして、そのような検討を進めておりますが、ただ進め方といたしましては、なかなか作物別に地域におろして計画を立てるということは困難でございますので、むしろ物資別に各県がそれぞれの進行計画を立てておいでになりますので、そういう計画全国の数字とを調整しながら進めていくということが一番実際的ではなかろうかというふうに現在は考えております。
  53. 北條雋八

    北條雋八君 その県別の需給の計画、見通しは、これはどこでそういう数字を出されておりますか。私まだ見たことがないのですが、その資料をいただきたいと思います。
  54. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) これは農林省の官房に企画室がございまして、そこで作成してすでに公表いたしまして、当委員会にも配付いたしたわけでございますが、御入用であればお届けいたしたいと思います。また果樹については、振興局で九種類の果樹につきましての植栽、それから生産の見通しを作りまして公表いたしたものがございます。
  55. 北條雋八

    北條雋八君 そういう見通しといいますか、需給の関係と見合って、北海道地区なり、あるいはその一般地区構造改善のモデルを作っておられるのですか。そういうものと何か関係がないようなふうに考えるのですけれども。
  56. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 今申し上げましたのは、全国についての全体の見通しを作って公表いたしたものがあるわけでございます。パイロット地区なり、その他の地区におきましても、そういう今後伸びるであろうという成長農産物のいわゆる生産選択的拡大の方向に即した営農計画を立てるようにという指導をいたしております。
  57. 北條雋八

    北條雋八君 私はその点が非常に大事だろうと思うのです。またそれに対して、それの成長農産物価格の安定、これもやはり前提になってくることだろうと思うのですが、いわゆる豊作貧乏にならないというために、それらの各地方々々の主要な農産物についての価格安定策というものをお考えになっておるのかどうか、それを伺いたいと思います。
  58. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) お話しのとおりでございまして、現在農産物の七割については、支持価格制度ないしは価格安定措置が講じられているわけでございますが、この面についての価格安定措置を強化する、あるいは農業団体の出荷調整、あるいは流通の合理化というような面については各般の施策が並行して実施されるようにいたしたいと考えております。
  59. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、現在におきまして、野菜、果樹というふうなものはまだ価格の安定をはかっておられないようでございますが、将来そういうものに対して、価格安定あるいは支持価格制度とかいうようなものは現在お考えになっておられるかどうか伺いたいと思います。
  60. 斎藤誠

    説明員斎藤誠君) 野菜につきましての直接的な価格支持制度というものは、先生御承知のように、なかなか技術的にむずかしいものでございますが、昨年度からタマネギについて実験的な試みといたしまして、基金を設けて価格変動に対して、その基金から、変動著しい場合においてその差額を補てんするというような措置をとったわけでございますが、野菜全般につきましてはなかなか多極多様であり、また生鮮食料品の性格でもございますので、どうしてもこの面においては生産計画から出荷調整、出荷計画の強化というような線で進めて参る必要があろうと考えておりまして、特に都市を中心とした野菜の供給県に対しましては、そのような施策を強化して参りたいと考えておるわけでございます。  また、果実につきましては、現在、御案内のように、非常に国内価格が有利でありまして、今のところ需要が生産を上回るというふうな事態に現在はなっておろうかと思います。しかし、短期的にはいろいろの変動もございますので、今後主産地の形成というようなことによってだんだんに出荷計画も合理化され、あるいは加工部面についての拡充をはかるというような方法によりまして、価格の総体的な安定をはかっていくというようなことなり、さらにまた、貯蔵施設等の整備によりまして、今申し上げたような価格変動の調整をはかっていくとかというようなことにつきましては、今後とも積極的に進めて参りたい、かように考えております。
  61. 北條雋八

    北條雋八君 産物の需給関係によって価格が非常に変動いたしますので、私は構造改善の前提となることだと思いますから、どうぞその点を十分考えられて指導していかなければならぬというふうに思います。その点だけをつけ加えまして質問を終わります。
  62. 安田敏雄

    安田敏雄君 議事進行。この構造改善事業に対しては、農業基本法との関連性のある問題、それで、さらに各市町村をめぐり歩いても、そのパイロット地区についても七、八割の補助をしてくれとか、あるいは一般指定町村についてもその融資期間の問題、あるいはその金利の問題、こういうのがあるわけなんです。たとえば私どもが行った宮城県の田尻町というのは、これは町長さんが非常に若くて東大出の人なんです。そうして欧米の農業を視察してきておる、きわめてりっぱな構造改善事業計画を作っております。しかし問題は、今のこの金利ではやっていけない、短期融資ではやっていけない、こういうことで、もしそれが三十年で三分五厘なり三分にならなければ結局返上しなければならない、こういうような状況があるわけです。全国各地からきますところの陳情書を見ましても、みんなそういう問題が中心になっておるわけです。したがって、この問題につきましては、局長ではおそらく私答弁がきわめて困難性があると思う。ですから、そういう意味において、まだ中心となる課題がたくさんありますから、大臣がまた出席をしてきょう時間があったらやるということで、あるいはまた適当な時期に早急に委員会を開いて、そのときは大臣の出席を求めて、それからこれらの問題について質疑していきたい、こういうように思うわけですから、どうぞひとつよろしく御配慮を願います。
  63. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) これから理事会でひとつ協議をいたしましょう。  午前中の委員会はこれにて休憩にいたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後二時十五分開会
  64. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  松島湾における養殖カキに関する件を議題といたします。
  65. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になっておる松島湾カキやノリの斃死等に関する被害の問題でありますが、このことは、すでに数年前から継続反復してそういう現象が起きておるわけでありますので、水産庁御当局では、当然この問題については非常に関心を寄せて調査もされておるでありましょうし、その調査に基づく対策につきましても、それぞれ取り運びをされておると思う。そういうように私は理解をいたしますので、その理解の上に立って、以下質問を申し上げて参りたいと思う。  第一は、こういうような養殖物は、海上における水温が非常に高くなった場合とか、あるいはその海水が汚染をして、魚介類や植物が生息困難であるというような事態が発生した場合にさような現象が起きるものと考える。ところが、松島湾におきましては、水温が過去においてもしばしば上昇したことはありましたけれども、そういう場合にはたいした被害というような現象は現われてはいなかった。最近、特に昭和三十五年以降、そういう問題が毎年のように繰り返されておる、こういうことであります。その事実は水産庁でもお認めになると思う。昭和三十五年以前におきましても、松島湾の海域における水温の上昇等によって被害が発生したことはなかった。三十五年以降にそういう問題が発生しておる。そういたしますと、ただ単に水温の上昇ということだけで被害が発生したものとは思われない。だといたしますれば、何らか他の原因がそれに新しく付加されておるというように考えなければならんと思う。そこで、その海水が、その後いろいろな工場等の発達によりまして汚染をしてきたということだと思いますると、被害の地域というものは、むしろ塩釜等の非常に海水が汚染しておる地域に発生をしておらないで、むしろ海水そのものはきれいな地点に発生しておるということなんですね。そういうように考えて参りますると、何らか別の理由というものがなければならぬ。常識的には水温の上昇によっての被害か、海水そのものの汚染によっての被害かと思われます。ところが、水温の上昇によっては、過去においてそういう事例は発生しておらない。それから、海水が汚染したという関係かと思いますれば、被害の発生しておる地域は、そうではなくして、むしろ海水は汚染度の低いところに被害が発生しておるという事実を考えますると、どういう原因かわかりませんけれども、他に何らかの原因があるものと思われる。水産庁でもこれはお調べになっておると思うんですが、どういう原因でそういう事態が発生したのか、その辺の御調査の結果をまず承りたいと思います。
  66. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいま御質問になりました松島湾におけるカキの斃死の問題でございますが、昨年かなり多数のカキの斃死をみました。そのときにもいろいろその原因等について調査をいたしましたわけでございます。今年度さらに引き続きまして、県、それから農林省農林省の東北海区の水産研究所、それから東北大学にも委託いたしまして、そのカキの生理的な方面、それから海水のいろいろな環境の面からそれぞれ調査を進めております。ただいま御質問になりましたように、必ずしも非常に海水の汚染しておるところが斃死が多いという結果には現われておりません。むしろかなり流れの早いところに斃死がかなり出ているというような状態が現われて参っておるわけであります。ことしの斃死状況は、昨年に比べますと、かなり率は減ってきておりますが、やはり相当な斃死を出しているわけであります。その原因につきましては、一方、大学にも委託し、農林省の研究所も全力をあげていろいろ検討を進めておりますけれども、まだ必ずしも確たる結論が出ておりません。現在のところ、かなりカキの二年生になりましたような大きなものが、産卵、生殖等で、かなり体力を消耗しておりまして、そういうような生理的な条件の弱っているところに、他の海上の水の状況が、先ほどお話が出ましたように、昨年はかなり高温でございましたけれども、ことしは特に温度が高いということも出ておりませんが、やはり斃死が現われております。そういうことで、どうも温度が原因だというふうには必ずしも考えられませんし、海水の汚染自身が——工場排水の汚染でありますとか、そういうものが決定的に影響するということも、どうも必ずしも判明いたさないわけでありますが、かなり複雑な幾つかの組み合わさった要素によりまして、その海水が非常にそういう体力の弱ったカキの生存がしにくい条件が現われましたときに斃死が起こる、その斃死が起こりましたその病毒その他が、さらに連鎖反応的に、残っておりますもっと若いカキにも影響いたしまして、さらに斃死が他のものに対しても及ぶというような状態であろうということが想定されますけれども、その決定的な、あるいは第一次的な原因がどこにあるかということは、必ずしもまだつかんでいない状態でございますが、昨年、さらに今年と続きました調査の結果、今月の二十八日を予定しておりますが、東北海区の水産研究所、あるいは東北大学において現在までの研究調査によって得られた成果を、そういう研究所、大学、水産庁の本庁全部集まりまして、その調査の結果を持ち寄って検討して、さらに結論に近づきたいというふうに現在は考えておる段階でございます。それによってさらに原因の究明が進みまするに伴いまして、できるだけ的確な対策を講じて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  67. 森八三一

    ○森八三一君 私も申し上げましたように、今、次長からもお話がありましたように、水温の上昇という事象は、過去にもしばしば繰り返された年がある。それから、昨年と今年を比較いたしましても、今年は必ずしも水温は上昇しておらない。それでも発生をしておるというような問題がある。だから水温の上昇ということが斃死に直接つながっておるものではないということは、今までを歴史的に観察すれば、常識論ではありますけれども、結論をせられると思う。それから、海水が非常に汚染されたということでもないと思うというお話がありましたように、そうでない地点に多くの斃死状態が発生しておるということですから、海水の汚染というものも直接つながっておるものではない。しかも、この斃死という状態がいつから発生しておるかというと、昭和三十五年以降の問題なんですね。たまたま昭和三十五年には発電所があの地域に建設されまして、その事業を開始した、それが影響してきておるのではないかということが常識論としては一応言えると思うのです。そういうことが言えるということからでありましょうか、昭和三十五年には数百万円の補償金を地元に出していらっしゃいます。いわれのない補償金が出るはずがないと思うのです。出ておるという事実は、当局も、発電の結果、何らかの被害を与えたものという確認にお立ちになっておると思うのです。といたしますると、常識論ではありますけれども、この事業の開始がいろいろな影響を与えておるということに私は結論がされてもよろしいのではないかと思うのですが、その辺の調査はいかがになっておりましょうか。
  68. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 発電会社ができましたことによる影響というものがどの程度にあるかというようなことにつきましても、いろいろ調査を私どもいたしております。一方ではそういう発電所からのかなり水温の高い水が排出されることによるこういろ温度の影響、そういうことも考えられますし、それから、石炭を燃やしたその燃えがらの灰が排出されますことによる海水の汚染というような影響も考えられますし、そういうような点につきましていろいろ調査を進めておりますけれども、その水温の影響というものは、必ずしも先ほど申しましたようにはっきり確認されませんし、それから、石炭の燃えかすによる灰の影響というようなものも、先ほどもお話がございましたように、その発電所の灰が排出されておる所が特に被害が多いかと申しますと、必ずしもそうでもないというふうなことがございまして、その影響がどの程度であるかということは確認できていないというのが、正直に申しまして現在の段階でございます。その影響があるにいたしましても、必ずしもそれが決定的な影響ではないのではないかというふうに私ども今の段階では考えております。ただ、先ほど申しましたように、いろいろな複合した原因が考えられるとすれば、その原因と、それがどのくらいの影響力を持つかということは、今後さらに検討し、調査を進めるべき問題であるというふうに考えております。三十五年ぐらいから被害が起こってきておるということは、ただいま御質問のとおりでございますが、たとえば他の海域におきましても、何年かを置いて二年、三年と被害が続いて、またその被害が少なくなっていくというふうな状況を示しておる海域もございまして、他の海域との比較、あるいは他の外国のいろいろな研究なども、できるだけわれわれとしては参考にいたしまして検討を進めておりますけれども、現在の段階では、まだその影響によるものであるというふうには申し上げられないのが実際の現段階のわれわれの検討の結果でございます。
  69. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、私、科学者ではありませんから、こういうことについて決定的な意見を申し上げるということはできません。できませんが、今までのいろいろな経緯から考えまして、三十五年以前にはそういうような状態というものがなかった。たまたま三十五年に発電の施設が設けられ、それからいろいろな排出物が出てくるということが始まってからこの問題があの地域に発生しているといたしますれば、それが原因ではなかろうかということを非常に考えるけれども、調査の結果をまだ的確にそれが原因であるというわけには究明できかねる。非常に遺憾なことでありますが、そういうようなことの起きておる最中に、漁民側の諸君としては、漁民側もいろいろ調査をした結果を持っておるので、そういうものも含めて、役所側なり、あるいは試験場なり、あるいは漁民なり、一体の共同の調査をやるということで漁民側が納得する結論というものを導き出したいということで、しばしば当局にはお話を進めておるのに、それが採用されないということについて非常に不満を持っておるように思いますが、そういうことをお考えになることは、私は妥当と思いますが、関係者も含めて、双方が資料を出し合って、一刻も早く結論を導き出すための誠意のある調査を展開するということは、この時点において非常に私は好ましい姿だと思うのです。そういうような方途をお講じになりますことがよろしいかと思うのですが、いかがでございましょう。
  70. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 御質問のございましたとおりに、それは役所が役所だけで独自に勝手に調査し、勝手に結論を出すということでなしに、それぞれ関係の方々が共同いたしまして、できるだけ真の実態をつかむということで調査をして参りたいというふうに考えておりまして、すでに本年におきましても、八月十八日、それから二十五日と、再度にわたりまして漁業協同組合その他の方々と県の試験場なり、われわれの水産庁の水産研究所で合同の調査実施いたしております。そういう調査の結果をもできるだけ生かしまして、先ほどお答え申しましたように、この二十八日にはそういうものの結果をすべて持ち寄ってお互いに検討し合うということで、さらに真の原因の究明に努力したいというふうに考えている次第でございます。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 ことしの八月にそういうような共同調査をやったということを私どもは承っておりませんでしたが、そういうような方途が講ぜられておるとすれば、これは非常に好ましいと思う。そのことを、ただそのときだけの臨時の意見を聞くという程度ではなくて、もう一歩前進せしめて、試験場も、県庁も、関係の水産団体も、一体の共同調査をやるようなふうにお考えを発展せしめていくというお考えをお持ちになりますかどうか。ただ役所は役所の立場で研究調査をいたしまして、それで来てもらって、お前たちの調べた結果はどうだというふうな意見を聞くというような程度ではなくて、もう一歩発展せしめて、同一の立場に立って共同調査をするというような形に持っていくことが、この問題を解明するためにはふさわしいと私は思います。そこまでお考えいただくというわけには参りませんかどうか。今のお話によりますれば、現にやっておるのだ、やっておるから、それを拡充していけばよいのだというふうでもあるし、あるいは私の申し上げますことにまで発展せしめるというような意味にも受け取れますが、その辺はとうですか。
  72. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいま申し上げましたように、私の聞いておりますところでは、八月十八日に県の水産試験場と、農林省の東北海域水産研究所、それから現地漁業協同組合との合同で調査をいたしたというふうに聞いております。さらに八月二十五日にも、松島湾漁業振興協議会というような組織、それから県の水産課、あるいは水産試験場、それから農林省の水産研究所というものが合同いたしまして調査実施したというふうに報告を受けております。そういうふうな調査の形をさらに進めまして、独断的なものでないような、それぞれの意見をできるだけ生かした形での調査成果を上げて参りたい、今後ともそういう態勢は進めて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  73. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、関係の機関が相寄って共同の調査をするということについては、今後とも推進をしていく、そういう方途を講ずるということに運んでいただけますことの確認をしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
  74. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) おっしゃるとおりに進めたいと思っております。
  75. 森八三一

    ○森八三一君 それから、昭和三十五年に発電所のほうが一部地元の被害に対して補償をしたということを聞くのですが、それはどういう理由によって補償をしたのであったか。ただわけなしに、そういう施設ができたから、まあ今後とも事業協力を願いたいということで出したのではなくて、やはり被害があって、その被害が持ち込まれて、それてその被害に対する対策一環として補償がなされた、とう見るべきであろうと思うが、その辺のいきさつはどうなっておりますか。
  76. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 昭和三十五年に会社から漁業関係の方々に対しまして補償を払っておるというお話、私ども額は確認はしておりませんけれども、ある程度の額を会社から漁業者側に支払ったということが事実あるように聞いております。その趣旨は、その会社の灰を含んだ海水によりましてどの程度の影響があるかということは必ずしも確認されないままに、そういうことがあり得るということをも考えました上で、会社としては見舞金と申しますか、そういう趣旨で何がしかの金円を関係の地元の組合に対して支払ったというふうに聞いておりますが、これは必ずしもそういう会社が損害を与えたということを確認した上での損害賠償という性格のはっきりしたものであるというふうには私どもは確認しておりません。会社がどういう趣旨で払ったかということは、むろん私どもははっきりわかりませんけれども、私どもの聞いておりますのでは、そういうことも想定し得る、あり得るということをも含めました上での見舞金として会社が支払ったという事実があるというふうに聞いておるわけでございます。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 どうもその辺あいまいですが、その被害が全然加えられておらぬのに責任を感ずるというととはないはずなんですがね。被害を与えたという責任を感ずるから、それに対する賠償をするということになるのですが、何もないのに、何とはなしに金をやるなんということは、これは今の世の中では通用しないと思います。その辺を考えますと、やはり灰なり、あるいは機関部を洗う薬液が海水の中に放流されるというようなことで被害を与えておるという事実が確認されておるのじゃないかと思うのですがね。確認なしに金を出すということは、やはり常識論としても、一つの事業体としても、これはないことなんですよ。そんなありがたいことはないと思うのです。だとすると、原因の究明はまだ十分についておらぬといたしましても、すでに一部ではそういうような責任が具体的に形に現われておるということだとすると、その辺のことは、やはり過去のいきさつから考えまして、当然これは考慮すべき問題だと思うがね。今後究明せられましてはっきりするという、その上で責任の所在を明確にすべきではありますけれども、現に斃死して非常に困っておるという零細漁民に対する当座の対策としては、何らかの報いる道があってしかるべきではないかというふうに感じますが、そういうようなあっせんなり努力をされるお気持はございませんか。もう一ぺん申し上げますが、今まで確認はされておらぬと、こう言いながら、補償を出しておったことは確認をしておると思うのですよ。確認なしには出せるもんじゃないと思うのです。その事実を考えますれば、本式的な究明の結論が出る間においても、何らかの零細漁民に対する対策というものはあってしかるべきではないか。また、役所としても、そういうことについて誠意をもって御尽力を願う必要があるのではないかと、こう感ずるのですが、どうでしょう。
  78. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 今の御質問のように、会社の排水がいろいろ原因があります中でも、一番重要な原因だということが、かりにそういうことになりますと、われわれ常識的に考えられますのは、おそらく排水口に一番近い所、そういう所が一番たとえば被害の程度が多くて、それから遠くなるに従って逐次被害が少なくなるというふうな事態が当然予想されるわけでございますが、私ども今まで調査をいたしました結果では、必ずしもそういうふうな斃死の状況にはなっておらないわけでございます。その排水口の間の距離ということとあまり関係なしに斃死が発生している。それだけから全然これは影響がないということも、また逆に、おっしゃるように確認できないわけでございますが、私ども確認したところだけから申しますと、それがどうも決定的な影響である、最も重要な影響であるということを推定できるような資料というものは、今までのところではつかめておらないわけでございます。そういう状況のもとにおきまして、直ちにそういうものの賠償と申しますか、それを政府として取り進めるというようなことは、今の段階ではなかなかいたしにくいことではないか。さらに調査をずっと進めまして、何らかのそういう因果関係と申しますか、相関関係をもっとはっきりつかめました段階におきましては、当然そういうことは私どもの責任として考えなくちゃいけない問題だと思いますけれども、今の私どもの調査いたしました限りにおきましては、また私どもとしてそういうことをいたすところまでも、その両方の関連が推定できていないというのが私どもの現在の判断でございます。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 私もわかりますよ。科学的に究明をして、その原因が明確にならなければ、責任のある役所がとやかく言うべきではない、これはわかりますよ。まあしかし、過去においてすでに事業主が一部補償をしたという事例があるんですね。その事例というのは、これは責任を感ぜずには発動し得るものではないと私は思うのです。だから、その調査が完了して明確になる間といえども、斃死という事実は存在しておるのですから、しかも、それは事業が始まる以前にはなくて、その以後に発生しておるということなんですから、その辺を考えますると、十分な計算に基づくものではなくても、この際、当面の対策として何らかの手当をしてあげるということが好ましい。今後会社が円満に事業をやっていくためにも、そういうような誠意のある態度をお示しになることも私は非常に重要だと思うのです。そういうことについて好意的なあっせんをなさるということが必要だと思うのです。なお、今水域の問題をおっしゃいましたが、これはもうただ近いか遠いかという問題では割り切れぬ。これは海流の流れていく方向というものを考えなければならぬのでありまして、そういうことを考えますると、私のちょうだいしておる資料によりますれば、おおむね放流されるであろうそういう汚染した毒物を含んだ水が、上げ潮といいますか、満ちていくときにはそっちの方向にいくように思われるところにおもに発生しておる、こういうことなんですから、それをあわせ考えますると、明確になる間の当面の措置として、何らかのことを考えるようにあっせんをするとかいう態度はあってしかるべきではないか。あるいは農林省が直接活動しなくても、あるいは県を督励してそういうようなことをお考えになる必要が、私は将来、事業と水産との関係を円満に、双方とも同時に融和しながら進めていくというためには必要な措置だと私は思いますが、どうでしょう。
  80. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいまお話のように、現地においてできるだけ問題は円満に融和しながら進められ、解決の方向に向かっていくということは非常に必要なことだろうと思います。そういう面で、県あるいは国としていろいろ指導したり、あるいは話し合いの場を持つというふうなことにつきましてのあっせんをいたすことにつきましては、やぶさかではないわけでございます。ただ、それが直ちに賠償金を払うとか、あるいは見舞金を払うというような格好で解決をすることが、今当然そういうふうにいくべきであるというふうな考え方は、私ども繰り返して申し上げますように、今まで私どもがつかんでいる資料からは、そういう結論は出しにくいということでございます。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 これで最後にいたしますが、被害の原因を究明いたしまするために、関係の当事者も含めて、今後は共同調査対策樹立する、これを厳格にやっていくということをひとつ御確認いただきましたので、ぜひともその確認どおり進行願いたい。それから、必ずしも私は原因が究明されておりませんから、開き直って責任がどうだこうだと申すものではございませんが、しかし、過去にすでにそういうことが感ぜられた結果として一部の補償が行なわれておりまする事実を見まするときに、本格的な解明のできまする間、難儀をしている漁民のために何らかの手当をなさるということの必要を感じますが、そのあっせんをするのにやぶさかでない、結論が出るか出ないか別問題、あっせんをするということはやぶさかでないということでございますので、そういうような常識的な立場に立ってのあっせんをされることを希望いたしまして、この問題の質疑を終わります。
  82. 安田敏雄

    安田敏雄君 実は、私ども東北を視察しましたときに、十月の五日の夕刻に現地へ行って陳情を受けました。そしてその漁民に、実際に死滅しているカキを見せていただきました。その晩帰って来て、宮城県の知事とも、その対策についてどうしているかという話し合いをしたわけなんです。漁民の方においては、確かにその松島湾の入口にできました火力発電所の影響が多いだろうという、こういう推定の話を受けました。宮城県の知事の方からは、あながちそうとは思えないということでございましたが、しかし、現在東北に何か試験所がありますか、水産庁の。その試験所と、東北大学に依頼して原因を究明しているけれども、原因がまだ明らかになっておらぬ、こういうことで、ただいま森委員の質問にありましたところの、合同調査の話は全然十月五日の日には承っておらなかったわけです。ところが、今の次長の答弁では、合同調査をしたという趣の答弁があったわけなんですが、そういう点に食い違いがあるということなんです。その際、私のほうとしては、まあ私しろうとなんですからわかりませんけれども、あのカキを見ましたときに、一つ一つつなげてあるなわにコールタールが塗ってある。その塗料のコールタールが一つの原因にもしろうと考えには考えられる。あるいはまたコールタールにそういう汚染した海水が入って、一定期間たつというと化学作用を起こすような場合もあり得る。そういうようなことが一つの原因にもしろうと考えではできるのでありますが、そういう点も研究したらどうか、こういうような話をいたしました。その際、宮城県知事は、いろいろ原因があるだろうと思いますけれども、県自身でもその対策に万全を期しているが、もう少し水産庁のほうでも力を貸してもらうように、ひとつ調査団のほうから話をしてくれないか、こういう要請を強く受けたのです。そうしますというと、どうもただいまの答弁のように、万全を期してやっておるというようにも受け取れないわけなんですね。しかも、この事態がことしはかなり順調にいっておったわけですけれども、八月の中旬ごろからこういう現象が起きてきたということなんです。そうしますと、水産庁の措置がどうも手ぬるいように私は感じられるわけです。もし原因がわからなくても、もう少し行政に真剣味があるとするならば、当然その漁民に対する再生産の資金であるとか、生活資金というような問題のあっせんも、原因のほかに、もっと講ぜられなければならないと思うのです。現在あそこの一画にある——あれは松島町ですか、あそこでは、とにかくご婦人の方々が一日一たるくらいカキをむいて、約七百人の人が就労しているわけですが、それが全部ことしは遊びになってしまう。そうすると生活に困ってしまうというような現象が出てくる。そういうようなことを考えますと、もう少し真剣に原因の究明のほかに、その漁民の家族を含めた者が生活できるような対策を同時にしてやるということがやはり私は適切ではないかと、こう思うわけであります。これらの問題について、どうも森委員との間における合同調査の問題、その後の対策について、少し食い違いがあるように思われますが、ただ、答弁の段階で、水産庁はこうしております、ああしておりますということだけでは、現地の知事や漁民に会ったときの状況とは、少しかけ離れている点があると思いますが、どうですか。
  83. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、合同調査は間違いなく実施しておるというふうに聞いておりますし、それは間違いないことだと思います。ただ、それがはたして地元の御期待に沿い得るような十分な調査であったかどうかということ、これは再々申し上げますように、まだ調査を進めながらも、はっきりした結論が出ていないということでございますので、そういう点で、なお今後ともできるだけ現地、あるいはその他の皆さん方の御期待に沿うように、私どもとしてもさらに督励を重ねて参りたいというふうに思っております。  なお、現地の原因が究明されるまでの間、究明がされないからといって、その漁民の生活をほうっておくわけには参らないということはおっしゃるとおりでございますが、その点につきましては、昨年も県といたしまして再生産資金の融資をいたしたわけでございます。ことしも、私ども聞いておりますところでは、県の段階で昨年度と同様な融資措置を講ずるべき、今準備をしているというふうに聞いております。国といたしましても、できるだけそういう原因の究明と相並行いたしまして、そういう今後の再生産対策というようなことを、たとえばこの地区におきます沿岸漁業構造改善計画実施面というようなことで生かして参りたいというふうには思っております。  なお、この原因がはっきりいたしますれば、それに応じた国としての対策を検討して参りたいというふうに思っておりますけれども、今の段階で直ちにどうこうというふうなことには、行政的にはちょっとなかなか参り切れない面もございまして、現在では県のそういう対策によりまして、最小限度の措置は講じられているのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  84. 安田敏雄

    安田敏雄君 原因がはっきりしなければ具体的な対策のしようがないといっておりますけれども、それは確かにそのとおりなんですよ。しかし、これはことしだけじゃなくて、また来年も養殖を始めなければならぬのですよ、シーズンがくれば。そうすれば、また来年も明らかに死滅という問題を考慮しなければならぬということになるわけですね。ですから、そういうような手ぬるいことでなくて、このカキのこういう斃死の問題は、おそらく私どもしろうとが推察して、松島湾ばかりじゃないと思うのですよ。あるいは九州方面でも広島の方面でも、きっとあったろうと思うのですよ。そういうときのデータというものがはっきり出ているだろうと思うのですよ。したがって、決して地方的なああいう東北方面の権威者の調査を無視するというわけじゃございませんが、やはり中央のほうにはもっと権威者が別にあるとするならば、そういう人を派遣して、現地の研究所の人たちと一緒になって、そして漁民をも含めたところの何かやはり対策を早急に講じないと、一体将来養殖していいかどうか、漁民が非常に迷っているわけなんですよ。そこら辺のことをやはりしていかなければ、原因がわかってから対策なんということをやっていたのでは、なかなか手ぬるくて困るだろうと思うのですが、そういうところはどうですか。
  85. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 御質問のように、原因が必ずしもつかめない段階でも、今の段階で考えられることだけで、たとえばいろいろと技術的な面でございますとか、あるいは今後の養殖の仕方なり、あるいは場所の問題ですとか、そういうことにつきまして、おっしゃいますように、この松島湾調査成果だけに限定しないで、もっと国内の広く他の水域、瀬戸内でございますとか、伊勢湾でございますとか、九州地方でございますとか、そういうところの他のカキにつきましても、実はこういうふうな斃死の事態というものがほかにもあるわけでございます。そういう調査もございますし、そういうものにつきましても、いろいろそれぞれの学者なり、あるいは研究所なりでの検討はございますが、そういうものを含めましての現在の成果として、先ほど結論を出しにくいと申しましたのはそういう趣旨でございまして、今後とも東北の水研にまかせきりということでございませんで、水産庁としては、やはり総力を生かしながら、そういうほかの調査もできるだけ取り入れまして、また、外国の文献などをもいろいろ検討いたしておりますが、そういうものによりましても、なかなかこういうものの原因というものは究明しにくい。先ほど申し上げましたような政治的な原因と、そういう環況の水のほうの原因とが、ある程度複合して、かなり複雑な段階を経てこういう斃死の事態が起こるのではないかということが想定されますけれども、それがどの原因がどのくらいの力を占めているのかということは、なかなか具体的につかまえにくいという現状でございますので、できるだけ御質問の御趣旨に沿いまして、われわれとしても今までの調査なり研究に満足することなく、できるだけ農林省としての全部の機構を生かしまして実態の究明に努め、また、その中途の段階におきましても、水研でできましただけの資料によりまして考えられる対策は、今後の技術の指導その他におきまして、できるだけ遺憾のないように検討し、指導して参りたいというふうに思っております。     —————————————
  86. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 次に、米の集荷手数料に関する件を議題にいたします。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 米の集荷に関する手数料につきまして、さらに保管に関する保管料の問題につきましては、前々回の当委員会におきまして、相当詳細なる点にわたりまして質疑をいたしました。私の申し上げました点については、長官のほうでも大体御了解をいただき、その了解の線に沿いまして、過般通達されました本年度の手数料五十円、保管料も前年据え置きということで具体的な作業を進めて、すみやかに改定する必要がある場合にはその措置を講ずるということの確認がなされておったと思います。そこで、その後どういうような作業が行なわれまして、どういうような結論に到達せられておるのか、そうして、また、それをいつ実施に移されようとしておるのか、その辺をまず最初にお伺いいたします。
  88. 大澤融

    説明員(大澤融君) 御承知のように、集荷の手数料は、在来の考え方ではじいたのが現在の一俵の米について五十円というようなことでございますけれども、この前からちょっとお話がございましたように、それを集荷手数料を考えます考え方について大幅に訂正をして、農業団体の側から一俵百十六円にすべきだというようなお話があった。私どもといたしましては、この御要請を受けて、事こまかに御意見を拝聴して作業をいたしまして、ただいま財政当局のほうに話をつないで、いろいろ検討をしている段階でございます。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 私のお伺いしておるのは、前々回の委員会、さらに前回の委員会でも渡辺委員から御質問がありました。そのときに、現在の通達されておる五十円という額について、人件費なり事務費なりというものを一々取り上げまして、それは妥当ではないのじゃないかということを申し上げたと思います。その点について、長官も、必ずしも現在積算の根拠になっておるのが妥当であるということには考えないというような趣旨の御説明であったと思うのです。そこで、そういうような双方の理解の上に立って作業をし直して、すみやかに改定を要する必要があるという結論が得られますならば、その結論を実施に移したいというお話であったと思います。そこで、私のお伺いしておるのは、その後すでに一カ月余もたっておるのですから、それぞれ計算が進められて、農林省としては一応の結論を得ておられると思うのです。その結論はどうなっておりますかということをお伺いしているのです。もっと具体的に申しますれば、人件費なら人件費で、常雇いのものにつきましては二万四千七百一円という公務員ベースを基礎にして、それに都市、農村物価差として米の計算に採用せられておりまする九一%というものをかけて、地方の給与にこれを引き直して、そうして年間一・五人ですかの一定数量の取り扱いには人を要するということを条件として、常雇い人の必要経費というものが算出されておるということでございました。しかし、これには賞与とかそういうものは入っていませんよ。だから、集荷の業務に従事する職員には、賞与等の給与はすべきでないということになれば、これで話は通じまするけれども、実態はそうではないのだから、基礎金額にもそういうものを入れなければおかしいのじゃありませんかということを申し上げたのです。その点も含めて考慮をいたします、これは一つの例を私は申し上げたにすぎません。そういうことで誠意をもって御計算になりました結果が、必ずしも団体の要求のものを私とやかく申し上げておるのではなくて、理論的に正しい数字というものは、これは給与しなければ、重大な米の集荷という、国の行なうべき仕事を委託しておるのですから、しかも、食糧というものは、もし問題が起きたらたいへんなんです。ですから、正しい立場に立って現在のその五十円というものが適当でないという計算をすれば、おのずから結論は出るはずです。出た結論は一体どうなっておりますかということを聞いておるのです。
  90. 大澤融

    説明員(大澤融君) この前、たとえば人件費の問題につきましても、事務費の問題につきましても、具体的に細部にわたっていろいろお教え願ったわけですが、私ども今までの集荷手数料の算出の基礎といいますか、考え方と大幅に変更をするということでありませんと、おっしゃるような御意見に基づいて集荷手数料を改定するということにはならないと思いますが、おっしゃったような点についていろいろ研究いたしまして、たとえば人件費につきましては、国家公務員ベースで、さらに超勤ですとか、あるいはボーナスというようなことも考えるというようなことで事務的な案をまとめつつありまして、それを土台にして財務当局といろいろ打ち合わせをしているという段階でございます。したがいまして、こう大幅に考え方を変えて集荷手数料の額を改定するというようなことは、年度途中からやるというわけにはなかなかいかぬのじゃないか。私ども大蔵省とつめまして、率直に申し上げまして、来年度予算がおそらく十二月の末にきまると思いますけれども、そのどんづまりまでいろいろ議論をして最終的にきまるのじゃないかというふうに思っております。
  91. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記を始めて。     —————————————
  93. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 消費者米価に関する件を議題といたします。質疑のある方は御発言を願います。
  94. 安田敏雄

    安田敏雄君 実は、参議院選挙の際においても、あるいはその他の場合におきましても、いつもこういう消費者米価であるとか、あるいはまた公共料金を値上げしないというようなことを国民に与党、政府は公約してきているわけなんです。ところが、その選挙が終わるというと、そういう問題が爼上にのぼって参りまして、しかも、国会の開かれないときに閣議決定をしてしまう、こういうことがしばしばである。昨年の国鉄の運賃の値上げもそのとおり、また、私鉄の運賃もそのとおり、今度の消費者米価もそのとおり、こういう結果が往々にしてあるわけです。まことに遺憾です。国会のないときには、政府の公共料金その他の値上げに対する国民の反対の声というものは、やはりなかなか閉会中は通じておらぬ、出てこないわけなんです。国会のあるときには、野党側のわれわれが国民の声を代表して、よく政府に要求して、上げべきでないという意見を言うことができますけれども、そういうようなことがあるわけなんです、しかも、今年の生産者米価の決定する前のいきさつとしては、河野さんが農林大臣のときに、日本農民組合の代表の諸君と会われたときに、もう生産者米価を決定するときにおいては——私が案内したわけなんですけれども、そのときにおいては、やはり国会のいろいろの論議を聞いて政府として慎重にきめる、こういう言葉で言っていたわけなんです。たまたま参議院選挙があったものですから、そういう日本農民組合の諸君との公約が実現しなかったわけなんですけれども、しかし、そういう中で、選挙が済むというと、すぐに生産者米価を決定されちゃった、こういういきさつがあるわけなんです。ですから、当然閣議に決定権があったにいたしましても、このような問題は、当然やはり閉会中といえども、私は行政上の措置といたしまして、一応国会の意見をやはり片一方の意見として、これを参考として、慎重なかまえでもってきめることが政治の本道のように思うわけなんです。そういう点が今年は非常に無視されたままで、米価が最終的には与党の政調会との間において、ひそかに国民の知らないところで決定されてしまった。そうして、それを土台にして閣議で決定したというようないききつがあるわけなんです。そういうようなことについて大臣はどういうように——好ましいか好ましくないか、そういう行為についてどういう見解を持っておられるか、ひとつお聞きしたいわけなんです。
  95. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私は、国会が休会中にこれをきめようというようなけちな考えは実は持っておらなかったのであります。御承知のとおりに、消費者米価を決定いたしますためには、米価審議会を開いて、そして手続的には、米価審議会には野党の委員もおられ、与党の委員もおられ、その他学識経験者も皆さんおられるわけであります。生産者の代表もおられ、消費者の代表もおられる。そこで三日間にわたって十分な審議を尽くして、その御答申を得てきめたわけであります。決して私は聞くべきことを聞かないでやったつもりはないのであります。しかも、この問題は重大でありますから、私はもう就以任来、この問題については、各方面の世論を聞くためにいろいろ私も努力いたして参ったつもりであります。決して聞くべき方面の御意見を聞かずに、政府が勝手にやったというつもりは持っておりません。
  96. 安田敏雄

    安田敏雄君 確かに米価審議会には各層を代表する委員が入っております。しかし、それに諮ってきめたということは、これは確かに法律上からいけば、また、政府の行政上の行為からいけば、決してそれが不法であるとか、妥当性を欠いておるということじゃないわけです。しかし、かりに開会中だとするならば、こういう大きな問題だけに、これは国民の抵抗というものは非常に大きくなってくるわけです。しかし、休会中にそういうようなことをした、それは決して悪いということじゃないのですけれども、しかし、国会というものが片一方にあるわけです。ですから、少なくとも委員会くらいの中で、消費者米価を上げるについては、こうして始終顔を合わしているのですから、皆さんの御意見もあるだろうから、ひとつ御意見を聞かしてもらいたい。そういうものを踏まえながら、片一方には、やはりそれはどうきめようとかまいませんけれども、きめるということは、大臣のとるべきやはり農政上における——特にこれは国民生活に重大な影響を及ぼす問題ですから、そのくらいの親切があってしかるべきだ、こういうことを聞いておるのです。この点いかがですか。
  97. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私としては、御意見を承る方面の意見は十分に実は承ったつもりでおるわけであります。ちょうど値上げの時期が新米穀年度の初めにやるべきものであると私は考えておりまして、ちょうど国会も開かれないような時期でありましたために、皆さんの御意見を国会の意見として承るととができなかったわけでありますが、他意は別にあったわけではありません。
  98. 安田敏雄

    安田敏雄君 私は、大臣が就任した当時、私の農政は河野農政を踏襲していくのだというようなお話も新聞等で承ったのであります。したがって、河野さんは、今後米価審議会があっても、片一方に国会というものがあるのだから、やはり国会の論議も十分参照していくということを言明したのです。これは衆議院においても委員会においてしているわけです。ですから、そういうようなことがあったから、当然実はこちらのほうにもそういうような、米価をどうしようかというくらいのなごやかな相談があるだろう、こう期待しておった。そこまで行政を慎重にかまえていくだろうという期待を持っておったところが、今日まで委員会が開かれずに、十二月一日から一二%値上げが決定した。こういう段階、これはやむを得ないことでございますけれども、一応私どもとしては、それは国民の一部の声か知りませんけれども、消費者米価に対しては、わが党としては値上げ反対という態度を堅持しておるわけです。そこで、こんなことをいつまで繰り返してもしょうがないから、値上げした経過についての質問を以下したいと思いますけれども、そこで、これからの——これは大臣の所管ではないと思いますが、今後おそらくこの十二月から値上げされる消費者米価につり合って一般の物価もおそらく上がるだろう、こういうことが推定できるわけですよ。そういたしますと、勢いそれが公共料金へはね返りがきて公共料金の値上げが出る、そういうような問題のときにも、できるだけ閉会中にひそかに閣議決定というひとつの権力の筋によって決定することなきよう、主要大臣として十分ひとつ留意してほしいと思うわけであります。  そこで、農林大臣にお伺いしたいのは、消費者米価を上げるには、それだけの値上げしなければならないという理由があるわけですが、その基本的な考え方をひとつ簡単でいいですから、御説明を願いたいと思います。
  99. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私の考え方は、食管制度を運用する上におきましては、政府が当然に負担すべき部分がある。これは従来赤字といっておられるけれども、これは赤字と称すべきものではない、当然政府が負担すべきものである。その部分を除いた自余の部分については消費者に負担をしてもらうべき筋合のものである、こう考えているのです。ただし、食管法におきましては、第四条第二項で、消費者米価の決定は、家計の安定を旨としてやらなければならぬということになっている。でありますから、消費者で負担をしてもらうべき数字が家計の安定を害するような場合には、その害する部分は、これは政府が食管法の運用上、政府負担とすべきである、こういうふうに私は考えたのです。それで私どものその考えでいきますと、一六%の値上げということになるわけであります。そこで、この一六%の値上げの案を提案をいたしたのでありますが、これはいろいろの議論がありまして、結局一二%ということに落ちつきまして、その差額の四%というのはさらに政府が負担をする、こういうことに相なったわけであります。もっとも、これと同時に、私どもの考え方では、いろいろ私どもの調査によりますというと、国民の所得も相当ふえている、そうして家計費も著しく膨張している。それでこの五年間の消費者米価の据え置きということになっておりますので、そこである程度は消費者の方々に負担をしていただいても、それほど大なる影響はないのじゃないか、こういう考え方でやったのでありますが、もちろんいわゆる低所得者階級と申しますか、そういう方々の家計における米代の比重というものは相当大きいのでありますから、そういう方々に対しては、一二%の値上げということも、その影響が強く当たる部面もあるだろう。でありますから、そういう方面に対しては、別途社会保障的な政策を実行していくと、こういう考え方で一二%を決定をいたしたわけであります。
  100. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、従来の食糧管理制度というようなものと相当考え方が変わってきているように思うんですね。食糧管理制度に対する考え方は、従来の食糧管理制度というものは、生産者に再生産を確保させて、そしてその生産を保障していくという、こういう立場が一つと、それからもう一つは、消費者に対して家計の安定をはかっていくんだということ、特にまあ広くいえば社会政策面から消費者を擁護していく、生活を守っていくという立場があったわけです。ですから、そういう立場を考えますというと、従来の食管制度に対する考え方は、明らかに二重価格制をとっていくんだと、当然赤字は覚悟だと、こういうのがあったわけですよね。そういうようなものとかなり食い違いが出てきておるような感じがするわけなんですけれどもこの点はどういうふうにお考えですか
  101. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私はそうは考えないのであります。つまり生産者米価と消費者米価は、政府が中に入って、両方は切り離したものだと、まあ簡単にいえばこういう御議論のようでありますが、これはその考え方、見方の問題だろうと思うのでありまして、私が先ほど申しました関係におきましても、これは見方によればそういう見方もできるわけでありまして、ただ生産者米価は、食管法の規定に従って、幾らこれが高くなっても消費者米価を据え置いていくんだということには私はならぬと思うんですがね。
  102. 安田敏雄

    安田敏雄君 いや、ただ従来の建前は、私が申し上げたように、生産者の再生産ができるという立場と、消費者の家計、生活、社会政策の面との二つに分かれておった。たまたまそれが累年のいわば生産価格引き上げによって食糧管理会計の中に赤字が累増してきたと、そういうようなことから、従来の考え方から一歩はずれて、新しくあなたのところで前段御説明があったような考え方に変わってきたわけじゃないですか。
  103. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) いや、そういうわけじゃない。私の考えは、もう三十二年の値上げをする当時から私の考え方というものは変わらないんです、実は。
  104. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで、先ほどの御説明の中に、理論的にはいろいろの要素から算定して一六%が妥当だと、まあこういうお考え方。しかし、当時この問題が論議せられましたときに、伝えられるところによりますというと、きわめて常識的な面からいけば一〇%が適当だと、まあこういうことになったわけなんです。そうすると、一六%のほうから考えると、確かに四%分政府がまだ譲歩したんだというけれども、常識的なほうの考え方からいきますというと、消費者側が二%損をしたんだと、こういう考え方が成り立つんですが、この点はどういうようにお考えですか。
  105. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 常識的な面からいえば一割がいいんだと言われるのも、これもどうもはっきりはしないんじゃないかと私は思うんですが、一二%ということは、まあ皆さんがお考えになって、少しでも家計に響きを少なくしょうという意図もあって、その辺のところが妥当なところであろうということでそういうことになったと私は思っておるのであります。
  106. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、今後販売業者のマージンですね、こういうようなものを石当たり八百八十六円ですか、それぐらい見込んでおるようですが、そういうようなものを加えていくと、大体食管関係の赤字が、当初は値上げ前、現行のままでいくというと千二百億円になるというが、その販売業者のマージンを加えまして一二%値上げだとして、食管関係の赤字はどの程度に減少するのか、この点をひとつ数字的に……。
  107. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これはまだマージンの問題、手数料の問題等については、今、食糧庁長官が申しましたとおりに検討いたしておりまして、どの程度の値上げが適当であるかということは、まだ政府としてきまっておりません。したがって、ちょっとそれを今計算に入れて申し上げることは適当でないのじゃないかと思うのであります。そこで、現行の手数料及び現行のマージンで計算してどうなるかということを申し上げますと、これは正式に私が計算したわけじゃないのですが、私の腹づもりでいきますというと、政府の負担部分が五百五十億円前後になるのじゃないかと思っておるのです。でありますから、かりに千二百億ですか、かういたしますというと、六百五十億ぐらいですかになりますかね。
  108. 安田敏雄

    安田敏雄君 問題を変えて、そこで今年生産者米価が大幅に上がった。また来年いろいろ再生産を確保ということで、また千円以上の大幅値上げを生産者米価についてする。そうすると、そのあとまたおっつけ消費者米価が上がるのだ、こういうような悪循環の問題が当然出てくるだろうと思うのですよ。これに対する対策はどういうようにお考えになりますか。
  109. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これは悪循環とおっしゃいますけれども、消費者米価というものが急にきまるわけのものじゃ私はあるまいと思うの、です。これは生産者米価が値上りすれば、その影響は消費者米価に当然あるべき筋合いのものだと私は考えるのです。ただし、その場合に、生産者米価が上がったから、直ちに消費者米価を上げるかどうかということは、これは政府として諸般の事情を考えてやらなければならぬことであろうと私は思うのであります。でありますから、生産者米価は生産費所得補償方式によって決定する。今の傾向で参りますと、賃金が上がり、物価が上がる以上は、それに見合ったものはある程度値上げをせられるという方向にいくのじゃないかと思うのでありますが、はたしてどの程度いくかはわかりません。であるから、直ちに消費者米価も上がると、こういうわけには参らないと私は思うのでありまして、政府がこれをきめる場合におきましては、諸般の事情を考慮して、特に消費者の家計というものを考慮して、そうして家計の安定を害さないようにしなければならぬ。でありますから、そういう見地において、あらためて検討をせられるべき筋合いのものである、こういうふうに私は考えております。
  110. 安田敏雄

    安田敏雄君 来年ことしの公共料金や消費者物価のはねっ返りが一般諸物価のはね上がりを招来するということは、これは私は推定でも明らかな事実だろうと思うわけですよ。特に昨晩のテレビ放送か何か知らぬけれども、最近、経済企画庁の発表でも、この二カ月間に卸売物価が二%上がったということは、最近において珍しいことだと発表しておるわけです。こういうのはやっぱり何と抗弁いたしましても、消費者物価値上げのかけ声がかなり刺激をしておるということは、これは想像にかたくないと思うのですよ。そういうような見地からいきますというと、当然生産費が向上してくるということになりますと、勢いまた生産者米価というものが出てくる。現在、政府が生産者の立場をもって最大限の譲歩をして上げますというと、当然これも食管会計の赤字はまた累増するということになる、ことし一時縮小したけれども、また累増するという現象が出てくる。しかも、ことしの米審への審議事項——きょう配られたものですけれども、これについても三つの要素があるのですよ。「家計の向上、物価の動向、食糧管理特別会計の実情等にかんがみ、」としてある。この三つの柱によって上げておることは事実です。そのうち物価の値上がりがあって、食管会計の赤字が累増しておるから上げたのです。そうすると、家計もあるでしょうが、この三つの柱のうち二つが急激に出てくる。しかも賃金上昇等によって家計の上昇ということが出てくる。そうすると、やっぱりそこで来年消費者米価もまた上げなければならぬ。こういうような情勢を、一体、食糧管理制度を堅持していくという中でどう解決していくかという、こういう問題が出てくるのです。必然的に。これについてのお考え方を聞きたいと思うのです。
  111. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これは先ほども申しましたとおりに、今年はもう五年間も据え置いて、平均家計費も三割ないし三割五分膨張しておる、そして家計費に対する米代の比率というものは年々低下しておるというような情勢からも十分に勘案をいたしまして、消費者米価の値上げということがきめられたわけでありますが、生産者米価が上がるから、幾ら上がってもそれだけのものはすぐ消費者米価を上げるというわけには私は参らないのじゃないか、こう私は考えておる。どの程度の値上げになって、それが家計費がどの程度膨張するのか、物価水準がどの程度上がるのかというようなことを十分に考えられて、しかる後に決定すべきものであろうと私は思うのでありまして、生産者米価が上がるから即消費者米価を上げなければならぬとは私は考えておりません。
  112. 安田敏雄

    安田敏雄君 しかし何といっても、ことし消費者米価を上げるという一番大きな原因というものは、食糧管理特別会計の中に赤字が非常に累増してきたというところに大きな問題点があると思うのですよ。そうしますと、来年等もことしの趨勢を見ていくというと、何かそこに食管制度というものが、何かそういう関係によって、因果関係によって掘りくずされていくのではないかというような心配があった、こういう点はどうですか。
  113. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 今回の消費者米価値上げの措置が食管制度を取りくずすのではないかというような御意見に拝聴したわけでありますが、私はそれはむしろ逆じゃないかと思うのですがね。赤字の累増というその面から見ますというと、赤字の累増をほうっておけば食管制度の存続というものにひびが入るのじゃないかと私は思うのですがね。
  114. 安田敏雄

    安田敏雄君 その農林大臣の食管制度に対する考え方のわれわれとの食い違いだろうと思いますけれども、私は来年の生産者米価にはね返るという問題、食糧管理会計の赤字が増大するという問題、それがまた消費者米価にかかってくる、こういうようなことからいたしまして、従来、社会政策の面と生産者の所得を補償するという面、こういう面がくずされてくる、従来の食糧管理制度に対する考え方がくずれてくる、こういうように判断をするわけなんですけれどもね。
  115. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) それでは率直に申しまして、ただいまの安田委員のお考えと私の考えの違っておる点がございます。それをひとつはっきり申し上げたいと思います。私は食糧管理特別会計において社会保障をやるという考えは毛頭ないのです。私には。私はそういうことをこの食管会計でやるべき筋のものでない、社会保障は社会保障でやるべきものだ、そうして社会保障をやって、そうしてその米をある一定の方々には社会保障的に安くやるのが適当であるという場合には、食管会計に社会保障の政策を実行するその経費を繰り入れてもらって、その一定の階級に安く売るべきものだ、米価の面において社会保障を実行するということは、私はいろいろの弊害があると思うのです、これは。それは私はやるべきものでない、こういうふうに私は考えております。
  116. 安田敏雄

    安田敏雄君 現在、一般的に全国一律の最低賃金制といいますか、そういうようなものも確立していない。現在の最低賃金制というのは地域的に業者間協定によってなされているものです。あるいはまた全然生活保護を受けている生活保護世帯ですね、これだって五人家族でもって、結局、政府から支給されるものは月間一万四千円ぐらいのものです。こういうようなもので、現在のところは低額所得層といいますか、非常にそういう層が多いわけなんです。そういうところで、しかもそういう層に限っては今までの米食依存度は上級な家庭よりも多いわけなんですよ。支出に対して比較的米食といいますか、米の需要というものはパーセンテージが高い。そういうようなことを考えましたとき、たとえ少しの値上がりでも非常に大きな脅威を与えるわけなんです。ですから社会保障という面をとらえるならば、そういう最低賃金制を確立するとか、あるいは生活保護世帯についてもっと大幅な援護を与えるとか、そういうような中から社会保障制度は考えられるべきものであって、ただその一部の口に与えるものだけ、食糧だけを社会保障制度的に考えるのは、これはやはり多少誤まりがあるのではないかと思う。ただ、今日の日本の上級なり低額所得者層を見る、上層家庭を見たときに、農林大臣のように、そういうような段階制を求めていくということは、これは考えられるけれども、安い米を、質の悪い安い米を同じ日本人でありながら低いほうに食わせるということ、これも一つの苛斂誅求的な政策だろうと思うのですよ。そういうような考え方で社会保障的に考えるということは、ちょっと今日の段階では私は納得できないわけなんだね。
  117. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) いや、誤解がありますと因りますが、私は安田さんの仰せになったことはよくわかっているつもりなんです。それで何も社会保障を行なう階級に対して質の悪い米を安く売ろうというつもりはないのです。そういうつもりはございません。私は特別会計、食管会計で社会保障を行なうということは、これは筋が違う。社会保障は社会保障でやるべきものだ、ただいまお話しのような低額所得者は米をよけい食うし、米の値上げも強く響く、これはもうお話しのとおりだろうと思う。したがって、今例に引かれました生活補助費等は、この際に米の値上げをいたしました以上は助成費をよけいに助成する。あるいはまた、たとえば母子福祉年金というようなものも、これは充実強化をするというふうに、社会保障は社会保障として私は予算を計上してやるべきものだ。こういうふうに私は考えておるわけであります。そのことは政府もそういう方針でやるということになっておるわけであります。
  118. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで話を転じますが、この問題は水掛論になりますから何ですけれども、そこで今度の値上げによって、平均一升当たり一・五キロが百二十一円が百三十六円になるのですね。そうしますと、やみ米は大体どのくらいになるというお考えでしょうか。やみのことだからわかりませんけれども。
  119. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) ちょっとそれはわからないですが、やみも都市と消費地と生産地では違うのじゃないかと思うのですが。
  120. 安田敏雄

    安田敏雄君 よく消費者米価を上げても一般の諸物価の値上がりにはそうならぬというようなことを何かの新聞で、経済企画庁長官、宮沢さんも言っておられたようですけれども、しかし実際のことを言うと、やみ米が上がることは事実なんです、やみ米が上がりますよ。従来今までならやみ米が大体安いところも百三十円、百四十円くらいで買えておった。これが今度おそらく百五十円以下にはならぬ、百五十円以上、みんなはね上がってくる。そうしますと、このやみ米を取り扱っている農村地帯の人たちは非常にいまだに多いわけです。そうすると、それが勢い循環して参りますというと、当然これが食堂に入り、そういうふうなことでいろいろ循環して参りますというと、今度一般の物価にもはね返ってきて、非常に何ですが、物価政策というようなものが、これは所得倍増の問題よりも先にいってしまう。高騰していく、こういう現象が出てくるではないか。こういう点を考えましたときには、私らは、やはり消費者米価を一二%上げるというようなことにつきましては、もう少しみたほうがいいじゃないか。特に日本の経済につきましては、自由化の影響もあって非常にたいへんなときにきているわけです。ですから、あえて来年の米穀年度に間に合わせるように十二月一日から上げるのだというようなことにつきましては、直ちに賛成ができないわけなんですけれども、こういう点についてひとつ何とかお考えを、消費者米価値上げの考えを猶予していくという考え方があるかどうか、ひとつお聞きしたいと思うわけです。
  121. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 現在のところ、御承知のとおり、やみはだんだんに減ってきておるんです。政府のルートにみんな乗ってきておるというのが現状でございます。今度の消費者米価を値上げをいたしましたために、私は現在以上に非常にやみがふえるとも考えられないのですが、私はむしろやみはやっぱり今までの傾向のとおりに、政府のルートに、正常ルートに乗ってきて、やみはやっぱり少なくなるんじゃないかというような気がいたしておりますが、これは何ともわかりません、先のことでありますから、やってみなければわからぬと思うのであります。ただ値上げの実施時期を十二月一日ときめましたのを延期する意向があるかどうかというお話でありますが、これは延期する意向はございません。十二月一日から実行をいたす段取りでおります。
  122. 安田敏雄

    安田敏雄君 政府のルートに乗ってきたというお話があったのですけれども、そうしますと、従来の一般の家庭の配給量というものは、今度それに順一応してふえていくということになるわけですか。
  123. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これは御承知のとおりに、現在は十キロ配給ということになっておりますから、自然にふえるわけです。
  124. 安田敏雄

    安田敏雄君 どのくらいふえるのですか。
  125. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これはどうもどのくらいふえるかわかりませんが、今までの傾向からいたしますと、大体十キロ配給と申しましても、六キロあまりぐらいの配給で皆さん御満足のようでございますね。実績はそういうふうになっております。六キロ幾ら……。
  126. 大澤融

    説明員(大澤融君) 政府から出ますものは六・七キロぐらいになっておったと思います。
  127. 安田敏雄

    安田敏雄君 まあそうしますと、実際必要の家庭はやみ米を買わなければならぬのですよ。これは子供さんの多いのは割合低額所得層に多いわけなんで、そこで十キロ配給で、六・七キロといいましても、やっぱりそれは平均ですから、要らない家庭、パン食の家庭は何といいますか、裕福の家庭なんです。とても月収三万や五万でパン食なんかできるものではないのです。これは御承知のとおりに、そういうところが辞退いたしましても、そういうのがあるからこそ六・幾らになるだろうと思いますけれども、やはりそういうような問題の中において、やはり十キロというものを、公称十キロというものはかりに実績は少なくても、これは十五キロにするのだというようなことの公示がないというと、行政措置がないというと、これは軌道に乗らぬわけなんですね。その点の留意はどう考えておりますか。
  128. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) ただいまお話のとおりに、パン食をやられるところとか、あるいはやみ買いをしてうまい米を食っておられるというところは配給を辞退しておられるわけなんです。ところが平均すれば今の六・七キロになるのでありますから、米をうんと食べられる御家庭には六・七キロ以上実際配給を受けておられるのです。それで量的には今問題はないのです。これは米が要ると言われれば要るだけの米を差し上げて今日に至っているのですから、もう量的には問題がないのです、現状は。
  129. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで、次に特選米の問題についてお尋ねしますけれども、現在の特選米は、生産地及び消費地とを地域指定いたしまして六段階に分けておるわけなんです。ところが、これは千葉県のどこだか知りませんが、話ですが、今まで八百二十円の地域が今度は八百五十円の地域指定せられて、それからまた特選米というような方式になっていくというと、三重の値上がりになっていくのだ、こういうようなことを聞いているわけなんですが、この六段階制の地域指定のそのお考え方があるだろうと思うわけですが、大体の事務局の、食糧庁のほうではそのことの方針といいますか、変更する方針、そういうようなものは明らかになっておるわけですか。
  130. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これはまだ最終的にきめておりません。これは両論ございまして、検討をして変更すべきであるという強い御要求もあれば、また変更すべきものでない、今までもやってきたのであるから、この六段階地域制というのは現行のやり方を堅持していくべきものである、こういう強い御要求もあるわけなんです。これはまだ最終的にきめておりません、その点は。
  131. 安田敏雄

    安田敏雄君 それはまだ発表の段階ではないというわけですね。
  132. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 大体まだ結論は得ておりませんが、私の考えでは値上げをいたした際でもありますし、しますので、相なるべくは現状の方式を維持していったほうが適当ではあるまいか、こういうふうに考えておるわけであります。
  133. 安田敏雄

    安田敏雄君 次に、特選米の問題について、ちょっとよく私には、新聞だけでは特選米の取り扱いの問題についてはわからぬのですが、御説明願いたいと思いますが、大体でいいです。
  134. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) この制度を設けましたことは、御承知のとおりに、今日ではもはや量の問題ではなく、量から質へ、質から食味へと、こう国民の御要求があるわけであります。そこで現行配給制度と申しますか、管理制度の範囲内において、そういうような国民の皆さんの御要求にこたえるにはどうしたらよかろうかということで検討をいたしました結果、特選米という制度をひとつ設けることにきめたわけであります。したがって、この特選米というのは、良質の米をもって特選米とする、こういう大体考え方になっておるわけであります。
  135. 安田敏雄

    安田敏雄君 それは等級をつけるわけなんですね。
  136. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 等級はつけません。大体特選米は、生産検査で一等、二等になっておるような良質米を中心といたしまして、そうして精白度も高め、それからまた十分に成熟しておらない米が中にまじっておるのは精選をして、いい米だけにするとか、あるいは小米等も中へまじっておるのは、できるだけそういうものは除去するとかいうふうに精選をいたしました米を特選米、こういうことにいたしたいと、こう考えております。
  137. 安田敏雄

    安田敏雄君 その取り扱いは、販売業者に全部まかせるのですか。
  138. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 取り扱いは、これはもう米屋さんにやってもらわなければならないということは当然でありますが、ただ私どものほうとして、農林省からこれらの良質の米を配給業者に売る場合にはこれは高く売る、一般のものより高く売る、そうしてただいま申しましたような方法で、ひとつ特選米というものを米屋さんで売ってもらう、こういうつもりでおるのです。
  139. 北條雋八

    北條雋八君 ただいま安田委員からお話がありましたのですが、米審の答申案にもありますが、その三番目に、「食糧管理特別会計の実情を理由とする諮問の仕方は適当でない。」というふうにありますが、これは政府としてどういうふうにお考えになりますか。
  140. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 米審の答申は三通りの見解がここに並列して述べてございますが、これはいずれもウェートが平等ではないわけでありまして、その次に書いてありますように、「三様の見解があったが、消費者米価の改訂に際しては、次の事項について留意すべきであるとの意見が多かった。」、こういうふうに書いてある。大多数の審議会委員の方々は、そこの(一)の「家計の向上、食糧管理の実情等にかんがみ、消費者米価の改訂はやむをえない。」というのが大多数の意見であったわけであります。私は三日間絶えず出席をいたしまして、各委員の一人々々についての御意見を聞いております。でありますから、この(三)は少数意見なのです。そういうふうに御了承願えばけっこうかと思います。
  141. 北條雋八

    北條雋八君 これにつきまして、赤字がふえたから消費者米価を上げるというようなことは毛頭考えておらないわけだと思いますが、ただいまの安田委員との話を伺っておりますと、やはり農林大臣は食管特別会計、これはやはり収支のバランスはどこまでもとっていくというふうにお答えでございますから、そうだとすると、赤字を少しでも少なくするという意味から、消費者米価を上げるというような考えがあったのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、その点はいかがですか。
  142. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) それは私が冒頭に安田委員の御質問に対してお答え申し上げましたように、赤字がふえたから赤字を減すために、それを唯一の理由として値上げを考えたわけではないわけであります。しかし、いかなる理由があろうとも、赤字は幾らふえても絶対に消費者米価を上げないのだという考え方ではないわけです。当初述べましたとおりに食糧行政を実行していく、管理制度を運用していく上において政府が負担すべき筋合いのものは、これは赤字じゃないのであって、当然に政府が負担すべきものである、自余のものは消費者において負担をしていただくべき筋合いのものであると、こう考えておる。ただし、これは食管法第四条第二項によって家計の安定をそれがために害するようになってはいけない、であるから家計の安定を害せない部分だけは値上げができる、同時にそれは赤字が減る、こういうことになるわけであります。
  143. 北條雋八

    北條雋八君 私は赤字は幾らふえても、これはやはり価格の支持政策からきているもので、生産者の米価をきめるときには……。ですから消費者米価に何ら関係するものでないというふうにかたく考えております。ですから、先ほど安田委員からお話がありましたけれども、むしろ食管会計から切り離しちゃって、価格の支持政策でありますから、別途に一般会計にそういう項目を作って、そうして生産者の米価をきめていかれるのがいいんじゃないか、こういうふうに思います。そういう点につきまして、食管会計を改正するわけでありますが、大臣としてそういうお考えはあるかないか伺いたいと思います。
  144. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私は理由なくして赤字を政府が負担するということはいけない、だから赤字を負担するのも当然負担すべき筋の理由があるものは、それが幾らになろうと負担すべきものである。しかし理由なしに、その赤字が幾らふえても政府が負担すべきものであるというような所論に対しては、私は同意はいたしがたいのであります。
  145. 北條雋八

    北條雋八君 やはり食糧政策としては価格が一番大事だと思うのです。農業構造の改善あるいは農業基本法の実施に当たりましても、やっぱりそれが先決になると思うのです。ですからこういう米価など、日常国民に非常に大事な米価の維持を安定をさせるには、やはり米ばかりに限らず、農産物全体の価格安定策としまして、そういう項目を別に一般会計に置いて各農産物の主要農産物はそれから支出をしていくというふうにしたほうがいいんじゃないかと常に私は思っておるわけです。そういう点につきまして何か御構想があれば伺いたいと思います。
  146. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私も消費者米価が安くあることは希望するわけでありまして、何も好んで値上げをするわけでもございませんが、やはり食管法の命ずるところによって消費者米価は忠実に決定をすべきものである、そうして、これはそれ相当の代価はやはり消費者も払うべきものである。その代価を払うことが家計に非常に重圧がかかるというようなことであれば、これは社会保障という別途の方面においてその救済を考えていくべきものである、こういうふうに私は考えてやっておるわけであります。
  147. 北條雋八

    北條雋八君 私が今申し上げたのは生産者の米価のことでございます。生産者のほうの米価についてのお答えを願いたい、米価といいますか、その……。
  148. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 生産者米価につきましては、これは消費者米価についても同様でございますが、消費者米価につきましては、さきの米審の御答申をごらんをいただいておると思うのでありますが、消費者米価算定方式について検討をしろ、こういう答申があったわけでありますが、生産者米価の算定方式につきましては、その生産者所得補償方式のその内容について検討をすべきであるという御意見が相当にございます。相当にございますが、私といたしましては、この生産者所得補償方式——内容のこまかい点は別といたしまして、この生産者所得補償方式というものは堅持を一応現在においてはして参りたい、こういうふうに考えております。
  149. 北條雋八

    北條雋八君 いや、私のお尋ねしたいのは、そういうふうに生産費と、それから補償の方式でやるというのは、結局、生産者の保護政策価格を支持する対策なんですから、そういうようなものは食管会計でなしに別途に総合的に農産物価格安定費といいますか、そういう項目を設けて、そうして将来農民に安心して生産させるようにできないかということです。
  150. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私は現在のところそういう考えは持っておりません。米につきましては、現行制度でおそらく私は生産者というものは安心して米作をやってもらっておると、こういうふうに考えております。
  151. 北條雋八

    北條雋八君 その点はまた別途質問をいたします。  消費者の米価の値上げにつきましては、おもに政府としては、現在五年間も消費者の米価は上げないのだ、ところが、その間に他の諸物価は三三・五%毛上がっておる、だからこの際、少しぐらい上げてもいいんじゃないか。特にエンゲル係数もだんだん下がってくるし、その衣食住の食のうちのお米の占める係数もごくわずかなんだ、これはまただんだん下がってきて、現在では八・七%ぐらいだ、だからここで少しぐらい上がってもそう生活に響かない、そういう意味から上げたんだというふうに御説明がありましたけれども、先ほどもお話があったようでありますけれども、それはもう全国平均のパーセンテージは八・七%ぐらいかもしれませんけれども、低所得者、多くの低所得者のその生活の中におきまして、お米の代というものは非常に多いのですね。せんだってもいろいろ聞いてみましたけれども、七人家族がありまして、学生だの、何か食べ盛りの子供を持っておるような家庭だと、七人でもってお米代が現在の値段で約八千円かかるというのですね。八千円といいますと、一人食費が、これはまあはっきりわかりませんけれども、大体一月に四千円としても二万八千円かかる。これは全体の食費ですが、そうしてみますと、その二万八千円をかりに三万円と見まして、そしてその米代が八千円、これが一二%上がれば約九千円になるわけですね。そうすると、全体の食費の中に占める米の代金というものは約三〇%になるわけですね。ですから有業の人口の約四割と言われる低所得者にとりましては非常に影響が大きいわけです。でありますから、政府の言われるように、わずかばかりの米代なのだというふうにして、この際消費者米価を上げられるということには私は前から反対しているわけなのです。その点につきまして、一応、大臣からお答え願いたいと思います。
  152. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 低額所得者階級と言われるものが一体四割なのか二割なのか、これはいろいろ見方によって違うようでありますが、ある程度そういう方々の階層があるということは私も承知をいたしておる。そうして、またそれらの方々に対しては米の値上げということが他の御家庭よりも強く響くということも考えられるわけであります。そこで、先ほども申しましたとおり、別途、社会保障の制度を拡充してその救済に当たろう、こういうのがわれわれの考え方であります。たとえて申しますれば、生活補助費の引き上げをやる、あるいは日雇い労賃の引き上げをやる、あるいは母子福祉年金の拡充をやる、その他いろいろあるでありましょうが、おおむね低額所得者階級と目される方々に適用がある社会保障制度の拡充をしていこう。そして米代の値上がりが強く響かないようにしていくべきである、こういうふうな考えをもって政府としては臨んでおるわけであります。
  153. 北條雋八

    北條雋八君 別途そういう人に対しては社会保障の施策で埋め合わせていくということも非常にけっこうだと思いますけれども、しかし、これはある一部のものにはそれでいいかもしれない。しかし、米は国民全般が食うものでありますから、全部に均霑するわけです。学校の給食とかいうようなことは子供を持っていないものには影響がないのだししますから、私はそういう面から見ても、この際そういうことをしないでも、消費者米価を上げないほうがいいというふうに考えるものです。  なお、時間がありませんので次に伺いたいのは、先ほどもお話がありました特選米でありますが、まだ値段がはっきりわからないというふうに言われますけれども、この特選米をどういうふうに区別するのかということは、結局、一、二等米及び三等米の良質米をそっちのほうに回すというふうに伺ったのです。そうなると、それがまたさらに引き上げになります。幾らか上がるわけですね。そうしますと、特選米になる米の量というものは、大体どのくらいなんでございましょうか、それをまずお伺いいたします。
  154. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これは現在のところはっきりとしたことは申し上げられませんが、まだはっきり調査それから今買いつつあるわけでありますから、はっきりした数字は申されませんが、おおよそ八百万石前後のものではないかと思っておるのです、見当は。
  155. 北條雋八

    北條雋八君 数量はその程度といたしましても、そうなりますと、特選米を食べる者は一割二分以上上がった米を食べるということになるわけです。これはどの程度になるかわかりませんが、新聞を見ますと、七十円ですか、高くなるというふうに聞いております。そうすると、現在の十キロ八百五十円というのが一二%上がりますと九百九十五円、それにさらにまた七十円上がるということになると、千二十五円になるわけです。そうしますと、ほとんど現在の値段に比べると二〇%上がることになってしまう。ますます値上がりというものは大きく響いてくるというふうに考えております。そうなら、この際、そういう特選米と、今度逆に、四等とか五等米は、むしろ据え置きにするのか、あるいは値段を下げるのか、そういう点には触れていないのですが、四等、五等に対してはどういうお扱いをなされるのか、お伺いいたします。
  156. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) こういうふうに御了解を願いたいと思うのでありますが、今の一升百二十一円の配給米を約十五円上げまして百三十六円に値上げをいたします。そうして、別途、特選米という制度を作ります。これは国民の、量から質あるいは味というような御要望にこたえて特選米という制度を作ります。それはどの程度の、一二%以上、十五円以上を、どの程度に特選米の値段としたらいいかといったら、今研究いたしておりますが、これは国民の御要望にこたえてやる制度でありますから、その特選米の値段が高過ぎて要らないということであれば、それでけっこうであります。それから特選米はやみで買うよりもこれのほうがいい。現に、やみは東京だって百六十円も出して買っておられるのでありますから、そういう方々は、むしろ、この特選米をお買いになったほうがお徳用でもあり、便利でもあるということに私はなると思う。でありますから、この特選米の値段をいかようにきめましょうとも、それがために消費者米価が一般には何らの影響はないのでありますから、これは一般の消費者米価値上げ問題として論じられるのは、少し私は当たらぬのではないか、こういうふうに考えております。
  157. 北條雋八

    北條雋八君 一般の米価に関係がないとおっしゃいますけれども、一等、二等が全部そういう特選米に行ってしまえば、今度普通の配給を受ける者は非常に今までより悪い米を食わなければならぬということになるわけです。値段は一割二分上げられた、普通の米を食っている者はなおさら今度はまずい米を食うというようなことになり、今までは全部まぜておりましたから、配給米でも非常においしい米もあったわけでありますが、そういうような欠陥が出てくるのではないかというふうに心配するわけであります。その点はどういうふうに考えておられますか。
  158. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 理屈から申しますれば、ただいま仰せのとおりであろうと思うのでありますが、悪い米というわけではあるまいと思うのです。三等、四等というのが大部分でありますから、普通の、これは合格米でありますから、一等、二等というのはごく少量で、これは特別の米であり、従来は、政府はこれを生産者から買うのは格差をつけて、一等米は高く、二等米も三等米より高く買っておりますけれども、配給する場合には、これは同値でこれをやっておったのでありますから、それを今度は一等、二等米はそれだけの格差をつけるといいますか、特選米という制度でこれは高くひとつ買ってもらおう、普通の米は普通の三等、四等でやろう、こういうふうに考えておるわけであります。でありますから、従来は一等米、二等米はその中にまぜておったのではないかとおっしゃいますれば、そのとおりでありますが、しかし、これは皆さんがやみ米を米屋からお買いになるときに、いい米が入ったからと言われておるのは、その一等米、二等米がそっちにまざっているかもわからぬ、それはそうだと言うわけじゃありませんが、ですから、この制度をやったがために悪い米を食わすのだというような考え方を持たせることは、これも当たらぬと思うのであります。
  159. 北條雋八

    北條雋八君 それはしかし実際は、今までは一等米、二等米を適当にまぜて一般に配給しておったわけなんです。これはまあこの程度にしておきます。  次に、良質米ですね、つまりおいしい米をそれじゃ今後どんどん作っていくかということを一応考えてみたときに、これはどうしてもやはり品質を変えていかないと、いい米は、うまい米はできないわけでありますから、そうなると、やはりいい米は生産量が減ってきますから、農家としてもそう飛びついてこれを作らないのではないか、そういうふうに思う。先だって、茨城のほうの農村で聞いたのですけれども、やはりあそこら辺では軟質米でうまい米ではないのです。もし品質のいいコシジワセとか何とかいうものを作ると、一反歩について一俵ぐらい減収になってしまう。だからそういうものはやはりよほど値段を高くしてくれなければ作らないということも聞きましたししますので、もしそうなった場合に、どのくらい値段が上がるかわかりませんけれども、将来、政府としては、そういう良質米を増産させることについて、はたして増産できるかどうかということを、どういうふうに考えていらっしゃるか、一応お伺いいたしたいと思います。
  160. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これは御承知のとおりに、米は自由時代におきましては、銘柄、品質によってみんな相場が違っておったのでございます。これを統制をいたしました関係上、質より量へということになって、米の品質がだんだん下がってきたのであります。でありますから、これはやはり国民生活も向上して、品質のいい、うまい米を国民が要望せられることは私は当然だと思っているのであります。したがって、われわれの立場から参りましても、この国民の御要望にこたえることのできるように、産米の改良というものは将来はやっていかなければならぬ、それがためには、品質、銘柄についての格差というものも当然に将来は問題になって参るであろう、こういうふうに考えております。
  161. 北條雋八

    北條雋八君 もう一点伺いたいと思いますのですが、現在豊作が続きまして、お米が非常に余っているように考えますけれども、政府の持越米といいますか、そういうものは余り過ぎて困るということはないのか、あるいはストックが現在どのくらいあるのか、一応聞かしていただきたいと思います。
  162. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 御承知のとおり、現在は往年と違いまして、いわゆる端境期というものがだんだんなくなって参っておるのであります。米の供給というものが平均して参っておるということを第一に御承知を願いたいと思うのであります。そしてまた、米が非常に余っておるというようなことを強く考えられておる方々もございますけれども、現在は需給のバランスがとれておるというふうに私は思っておるのでありまして、非常に米が余っておると私は考えておりません。需給のバランスが合っておる、こういうふうに私は考えておるわけであります。
  163. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、時期別格差というものが生産者米価にあります。これをまあだんだんなくなすというふうに政府で発表されておりますけれども、端境期になると、現在でも、ことしあたりは何か不足のおそれがあって、ある地方では政府のほうから非常に早く供出するようにということで、供出をしいられたというような話を聞きましたですが、そういうことを考えると、非常に豊作といいながら心細くなってくるわけですが、そういう事例がおありになったのですか。
  164. 大澤融

    説明員(大澤融君) 大臣言われたように、需給はバランスがとれておると思います。端境期と申しましても、昔と違って、なだらかにお米ができます。ことに昔は十月末が端境期と言われておったのですが、植えつけも早くなり、収穫も早くなってきておるということで、政府に集まります米は、十月終わりごろまでには、年間に集荷されるものの六割以上のもの、かりに四千万石といたしますと、二千万石以上のものが集まる、そういう意味で端境期の心配ということはないわけです。ただ、いろいろ輸送の問題がございます。そういう意味で、どこのものをどういうふうに輸送するかというような輸送の操作でいろいろ話が伝わって今のような印象を抱かれたかと思いますけれども、従来のような端境期に困るということはないと思います。
  165. 北條雋八

    北條雋八君 端境期に困ることがなければ安心いたしました。ですけれども、先だって、やはり茨城のほうで聞いたのですけれども、茨城から新潟に八月の末から非常にせっつかれて、それで九月の中頃二百トン出したということを聞いたものですから、どうも新潟に茨城から出すようじゃ心細いなと思って伺ったわけです。  まあ時間もだいぶたちましたから、私の質問はこれで終わりますが、どうぞ米価の決定に際しましては、農民のためにも、また消費者のためにも安心のできる価格の御決定を願いたいと思います。特に特選米の値段もまだきまらないわけでありますけれども、対象はやはり数の多い低所得者を基準にして御決定願いたいと思います。低所得者というのは、どういう範囲だかわからないというふうにおっしゃいますけれども、これはボーダーラインというと一千万ぐらいの者はボーダーラインの線の内外におる者でございますから、そういう者のために安心のできる価格の決定をお願いしたいと思います。これで終わります。
  166. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと一、二お伺いしたいと思います。  先ほどいろいろとお話が出たのですが、その中で大臣は消費者米価の値上げは現在の家計費の動向からして、家計の安定を害することはない、こういう考え方に立って値上げに踏み切ったのだ。これが一つの値上げの理由になっておったのだと思いますが、ところが、私のほうで消費者米価に関する資料というのを米審に出されたのを持っておるのですが、これを調べてみると、現在の家計の状況というのは、月収が二万五千円の世帯では大体家計は赤字になっておるように出ております。しかも、この月収二万五千円という世帯というのは全世帯数の中でどのくらいあるか。この調査もここに出ておりますが、これも七二%、こういう数字が示されておるわけです。そうしますというと、こういう状態から考えて、決して家計の安定をそこなうことはないという判断はわれわれとしてはできないわけです。ところが、大臣はどういうところからそういう判断をなされたのか。また、ここに出されておるこの統計の数字が間違いなのか。その点をひとつお伺いしたい。
  167. 大澤融

    説明員(大澤融君) 統計は、これは一般に公表されております家計調査の数字でございますから、そのとおりでございます。しかしながら、大臣が言われたのは、ことに食糧管理制度で配給をするということは、一般的な消費者を対象としての配給制度であり、また価格対策でございますので、そういう意味で全国平均の米支出係数、あるいはエンゲル係数、あるいは主食係数というものから見ますれば、先ほど言われましたようなことで一二%、あるいは当初一六%ということを言った時代もありますが、そういう程度の値上げがあっても差しつかえないのではないか。ことに、これでごらんいただきますように、昭和三十二年以来、米の値段は据え置きでございますけれども、家計の支出の伸びというのは一番下の第一階層というような所をとってみましても、三〇%以上も伸びておるというようなことを見れば、先ほど大臣が申されましたように、特に家計に大きな影響があるというふうには見られないと思います。
  168. 矢山有作

    矢山有作君 そういう御判断で上げられたとおっしゃるのですが、私どもはあなたが出されておるこの資料から見て、二万五千円以下の世帯が七二%もあり、それが現在の実際の家計において赤字を出しておるということになりますというと、その上に消費者米価の値上げという負担がかかってくるわけですから、これで家計の安定を害さないという考え方は成り立たないと思うのです。それともう一つは、この消費者米価の値上げがなされたわけですが、それ以外にも先般私鉄の運賃が値上げされております。さらに東北電力の料金も値上げされる。さらに公営の大都市のバスの料金の値上げの問題が出ているわけです。こういう問題を総合して考えますときに、消費者米価の値上げというものが今後の物価の値上がりの状態に対してどういう影響を持ってくるか、これが一つの大きな問題になると思うのです。そういうところから最近の消費者物価の動向を見てみますというと、同じくこうした資料で調べてみますと、昨年の年末からこの七月までの間に大体三%上がっておると、こういうふうに示されております。また経済企画庁が先般本年度経済見通しの概況を発表しておりますが、それによると、年間の消費者物価の上昇率は二・八%、改定によって五%になるのだと、こういう発表をしているわけです。ところがこの改定による五%の数字というのは、その当時六、七月ごろの物価の動向からしてはじき出されておると思います。そうなってくると、現在ではその後こうした消費者米価や私鉄の運賃や電力やいろいろな公共料金の引き上げが行なわれるわけですから、必ずこれが一般の物価に対して相当の影響を持ってくるだろうと思います。特に今度の、昨年以来の状況を考えてみますというと、昨年以来の物価の値上がりのはげしい傾向というのは、これはもう公共料金の値上げがいつも先に立って、この公共料金の値上げによって消費者物価が上がってきた、こういう形を示しているわけです。そういう点からいって、それに加えてさらに最近の消費者物価の傾向が依然として騰勢の傾向を見せている。こういうところからいって、ますます消費者米価の値上げというものがこれにはげしい影響を及ぼしてくるのじゃないかと、こういうふうに考えられるわけですが、その辺の見込みをどう持っておられますか。
  169. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) その計算は、実は詳細は私は存じませんが、経済企画庁長官の話によりますというと、あらかじめ消費者米価の値上がりそれから公共料金の値上がりというものはそういうものを予定をして五%程度の上昇である、こういうふうに自分は見込んだのである、こういうことを言っておりました。でありますから、私は大体そういう五%程度の上昇率というのでカバーできるのではないかと思っているのです。
  170. 矢山有作

    矢山有作君 そういう見方に対して、一般の国民は信頼を置いていないと思うのです。昨年来の消費者物価の値上がりの傾向を見ましても、いつも政府はたいした影響はない、上がらない、こういつも言ってきているわけです。ところが、実際にはこうした公共料金を引き上げたときにどんどん騰勢を示しているわけですから、そういう点でもう少し詳細な検討をされて、米価の値上げという問題を慎重に検討される必要があるのではないか。そういう点からいって、われわれは今後この消費者米価の値上げが相当家計に対して圧迫を及ぼす、そういう点ではどうしてもこれに賛成をすることができない、こういう立場をとらざるを得ない。それにもう一つは、先ほど来、話を聞いておりますと、消費者米価の値上げによって低所得階層に対しては社会保障によってこれを救うのだ、食管の中で社会保障制度的なものを考えるべきじゃない、こういうことを盛んにおっしゃっておるわけです。そうすれば私は政治家としてはそういう一般の生活に大きな影響を及ぼすような米価の値上げをやるのなら、それよりも前にそうした社会保障に対する十分な手を打って置いてからやるのが筋じゃないか、こういうふうに考えますが、どうですか。
  171. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これはいずれにいたしましても、その前後がありましても大した時期のズレはないはずだろうと私は思うのであります。でありますから、おそらく十二月一日から消費者米価が値上げになりますというと、社会保障の強化をさしあたりすべきものはすぐに強化をするのじゃないかと思いますが、あらかじめ先にやっておいて、あとからやるとかいうような厳格なあれは国会との関係もありますから、そういうわけにはいかぬかとも思いますが、いずれにしても大なる開きはなしに大体において遠からずこれはそれぞれ手が打たれるのではないかと考えております。
  172. 矢山有作

    矢山有作君 ここは農林水産委員会ですから、社会保障の問題を中心に論議することはできぬと思いますが、しかしそれにしても、この前から新聞紙上で発表されております低所得者対策というものを見ておりますと、たとえば生活保護基準の問題だけ見ても、消費者米価の値上がりによってはね返る分だけしか考えていないわけです。さらにまたそうした対策を施すのに、生活保護基準よりはこの補正予算でやろう、こういう姿勢を持っておるわけです。ところがその他の社会保障的なものは全部来年度予算だ、こういうことになっておる。そうすると、大したズレはないどころでない、これは四、五ヵ月のズレが出てくるわけです。これはひとつ、やはり低所得層というものに対して、低所得層だけでなしにボーダー・ライン層、ボーダー・ライン層だけでなしに二万五千円以下の所得のいわゆる赤字家計であるこういうたくさんの人々に対して、これは大へんな影響があると思うのですがね。そういう点まで考えられてやはり消費者米価というものは慎重に検討してもらわなければならぬ。それがただ単に農林大臣だからわしは米価だけ上げておいたら、あとのことは放っておけばいいんだ、こういう姿勢じゃ困ると思うのです。やはり大臣としては全般の国民の生活というものを考えながら、特に国民生活に影響の多い消費者米価という問題は慎重に検討しなければならぬ、こう私は考えますがね。
  173. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これはもう御指摘のとおりでありまして、でありますから、この値上げを閣議で決定をいたします際には、今の社会保障制度については、特に同時に決定をいたしております。時期もあまりずれないように、できるだけ強化の具体案を決定をする、こういうことにやって参りたい、こう考えております。
  174. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  175. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記を起こして。
  176. 矢山有作

    矢山有作君 しかしこれは農林大臣としては私は真剣に考えていただきたいと思うのです。ただ社会保障政策について十分考慮されるだろうというようなことで米価値上げをやった大臣の責任は私は済まぬと思う。やはり内閣の一員として、これほど国民生活に大きな影響を及ぼす米価の値上げをやる以上は、責任をもって国民生活に対するその値上げのしわ寄せが来ないだけの手を打つ私は責任があると思いますので、その点を特に強く要望したいと思います。  それから次に、もう一点だけお伺いしたいのは、先ほど話に出ておりました特選米の問題です。特選米の問題についてお話を聞いておりますと、これは消費者米価をさらに高めることにはならぬ、こういうふうな意味のことをおっしゃったのです。ところが私はこれは運用の仕方で、実質的には消費者米価を非常に高めていく作用をすると思います。なぜかといいますと、特選米、いわゆる味のいい米というものをどういう基準によってきめるかということが問題なんです。今品質のよしあしということを、一等米だとか二等米だとかいうことが盛んに出ておりますが、この一等米、二等米という話は、これは検査の基準で出ておるのであって、必ずしも一等米、二等米は米の味がいいということにはなっていないと思うのです。そうしたら味のよしあしというものを一体どこでおきめになるのか、この基準があいまいであったならば、これは運用の仕方によっては、実際には特選米と称せられて売られる米が非常に多くなって、実質的に消費者米価をさらに値上げをすることになると、私はこう思いますが、どうですか。
  177. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私はそういうことにはならぬと思っておるのです。一等米、二等米は、品質が優良であると同時に、精選をするということを私は申し上げておる、搗精度も高めようというのでありますから、味がよくなるのはきまっておるのです。それからまた災害米といえば言い過ぎでありますが、登熟が未熟であるようなものはできるだけ除く、こういうように精選をするのでありますから、これはうまいにきまっておる。それ以上ただいま言われましたのは、おそらく銘柄問題を言っておられるのだろうと思うのでありますが、銘柄問題は、この規格の中に現状のところでは入れるわけには参らぬ。しかしこれは運用の面におきましては、やはり特選米に味のいいと称せられておるところの優良の米を同時に、これはかみ合わして米屋さんに配給をしょう、運用の面においてそういうことをしようと、こう考えておるわけでありまして、でありますから、これはある程度やってみなければ、どの程度味がよくなるということもわかりません。わかりませんが、その特選米は値が高くていやだと言われればそれでいいわけでありますから、決して強制をするつもりはございませんから……。
  178. 矢山有作

    矢山有作君 ところがそれはあまり考え方が何というのか安易過ぎやせんかと思う。じゃ、特選米で味がいいのだ、味がいい悪いということは、これは主観的なものですから、一体これは味がいい米なのだということをだれがきめるのですか、それがまず第一。それから米屋さんで実際話を聞いてみると、全国でほんとうに味のいい米といったら二割ほどだというのです。しかも米の配給を受けるときに政府のほうで一方的に配給をするわけでしょう。そうして今度はこれは特選米だと言ってまぜ合わして売るのは米屋さんが売るのでしょう。そうなると一体これはどうなるのですか。私はそうに非常な、実質的にはこれは特選米だと言って高く売る、そういう傾向が強くなるのじゃないか、こう考えるのですがね。
  179. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) それは今申し上げますように、特選米が特選米の価格に値しないようなものなら、これはもうお断わりに消費者のほうでなられるわけでありますから、特選米というものは消費者と米屋さんのほうで十分に、一応は監督をせられることであろうと思うのです。政府ももちろんこれは監督をいたしますが、そこで、それがむやみに乱れると困りますから、今申し上げるように、一等米、二等米を中心としていく、こういう考え方をいたしておるのであります。私はしかし今まで米屋さんがいろいろ運用せられておるところ等も考えてみますと、やはり特選米はこれで相当はやるのじゃないかと思うのですが、これは安易だと言われればどうもしょうがないのですが。
  180. 矢山有作

    矢山有作君 しかしそういうふうに何というのか、簡単にあまりたいした根拠もなしに、こうした国民の生活に大きな影響を及ぼすものをきめるということ、その態度がどうも私は問題があると思いますね。むしろこういう特選米というようなはっきりしない、妙な、むしろ消費者米価を高めるような制度というものはやめてしまうのが筋じゃないかと思うのです。しかももう一つ考えられるのは、この特選米ということをやることによって、品質のいい米というものを、検査基準で一、二等で、これで品質がいいということになってきめてしまうのですか、そうはいかぬと思うのですが、味がいいか悪いかという問題は……。
  181. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) でありますから、味の問題は銘柄問題に純粋に言えばなるということを言っておるわけです。それはできませんと、けれども一、二等米でも精選をすれば味がいいにきまっておると、こう言うのですよ。それを持っていって運用上銘柄を加えていきますと、こういうことを言うておる。
  182. 矢山有作

    矢山有作君 ところがね、そうおっしゃるけれどもね、精選をするというけれども、現在米屋に聞いてみると、なるほど精選をすれば味がよくなるのはわかっておる。ところが今の米屋の経営の状態じゃ、精選をしようたってかえってそろばんが持てぬといっていますね。そうなってくると、今度はまた一つ問題が出てくるのですね。
  183. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) それはそろばんが持てるようにしますよ。そろばんが持てませんからそれができないということを言われておっても困りますよ。
  184. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると今度は米屋さんのマージンの問題になってきますが、これをどういうふうに考えておりますか。
  185. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) だからそれは今検討をいたしておりますと、こう言っておる。
  186. 矢山有作

    矢山有作君 どの程度にされるつもりですか。どの程度に考えておりますか。
  187. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) だから、その程度は今私は検討いたしておりませんから申し上げられぬと、こう言うておるのですよ。実際に私はまだやっていない。
  188. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃその問題はその程度にします。しかし私が今申し上げたことは、特選米という制度は非常に問題があると、こういうことだけはやはり真剣にお考えを願いたいと思うのです。このことはなんぼ大臣が強弁されてもやはりこの制度の実施には大きな問題が出てくるということだけは、私は強く指摘しておきたいと思います。  さらにまた特選米をやるということにからんで、登録制度の問題が何か自由化されるのだという話が出ておりますが、これはそういうふうな前提に立って考えておられますか。
  189. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これは現行の登録制度を緩和して、消費者にできるだけ自由を与えようと、こう考えております。
  190. 矢山有作

    矢山有作君 そうしますと、これで、もう一つだけで終わりますが、そうしますと、もう一つ大きな問題がそこに私は生れてくると思うのです。それは、今の統制の中で流通の面、いわゆる登録制度というものが自由化されることになると、その面で、いわゆる統制の一角がくずれてくるというのです。そこで、自由化という問題が出てくるわけです。確かに一角くずれると思うのです。そうなってくると、これは先ほど大臣がおっしゃった食管会計に対する基本的な考え方が、従来の考え方から変わってきたということとも関連して、私は食管制度に対して今後大臣がこれをいじくろう、廃止の方向に持っていこうと、こういう考え方もあるのじゃないか。こういうことを心配するのですが、その点どうですか。
  191. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 御想像は勝手でありますけれども、私は今そういうことは考えておらぬ。それから登録制度を自由化して野っ放しにしようということもこれはできることじゃない。でありますが、今のように一年間据え置きで自由がきかないというようなことをこのまま続けていくわけにも参らない。これは消費者にやはりもう少し自由を与えて、登録をする期間をあるいは半年あるいはさらにできれば三カ月というふうに消費者に選択の自由を与えるために、登録制度の期間というものを縮めていこう、この必要があると考えておる。決してそれを自由にしようという考えじゃないのです。
  192. 矢山有作

    矢山有作君 この問題に対しては食管制度のあり方ともからんで非常に問題がむずかしい問題があると思います。したがって、この問題はあとの問題として残しまして、食管制度を今後どういうふうにするかということについて、またあらためてお伺いしたいと思いますが、私の質問はそのことをあとに残しておきましてこれで終わらしていただきたいと思います。     —————————————
  193. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 農業構造改善事業に関する件を再び議題といたします。
  194. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 何時ごろまで。
  195. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ごく簡潔にという約束です。
  196. 安田敏雄

    安田敏雄君 その前に、議事進行でなにですが、先ほど理事会で、委員会の冒頭に、来月四日に構造改善事業の問題について大臣の出席を得てこれだけについてしぼってやりたいと、こういう大かたの意見が一致したのですけれども、来月四日の委員会と確認して……。
  197. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 大臣の出席を得てということは理事会では確認はいたしておりません。
  198. 安田敏雄

    安田敏雄君 でも大臣が出席しておりませんと、重要なポイントにいくとなかなか話が進まぬ。大臣が出席できなかったら、その都合も聞いて、臨時国会の前に。
  199. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 大臣は渡米するそうです。
  200. 安田敏雄

    安田敏雄君 いつですか。
  201. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 三十日から。
  202. 安田敏雄

    安田敏雄君 これは大臣がいるときにまとめてしまいましょう。今から大臣に構造改善の問題、質問できるというわけじゃなし。大臣もきょう全国議長会へ行って、おそらくその要望を聞いてきたろうと思うのですが、問題が重要なんだから、大臣は演説に行ったわけなんだから、ですから、これは全国の議長会でもこの問題にしぼって大会をやって大臣の出席を求めているのだから、国会としたってこの問題を全然このままにしておくというわけにいかぬですよ。
  203. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 私は今議長会へ行って参りましたけれども、何も御要望も何も出ませんでしたよ。私はただあいさつをして、こちらのほうが急ぐものですからすぐこっちへ来たのですが、これは御要望の点は大体承知しております。
  204. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記とめておいて下さい。   〔速記中止〕
  205. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記をつけて。
  206. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは構造改善の問題はその機会にいろいろ申し上げることにして、構造改善事業だけではほんとうのねらいである農家の生産性の向上なり、あるいは所得の均衡、他産業との格差の均衡というものは、それだけでははかれないと思います。そこでいろいろなその他の政策がこれと相関連して並行的に取り上げられなければ、完全な目的は達せられないと思いますので、その問題の一、二についてお伺いをしたいのですが、たとえば農産物のうちで特に重要な農産物、今大なり小なり政府の管掌しておる割合はかなりの率に上っているわけですが、この主要農産物の政府管掌による価格がきわめてばらばらで、非常にその統一がないために、たとえば選択的拡大と称するものに取り組む意欲も出てこないということが現実にあるわけですが、こういう点について、一体農林大臣はどういうお考えを持っておるか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  207. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 価格安定政策を拡充してやらなければならぬということは、当然のことと考えております。ことに成長部門と称せられておる畜産物の部門、さらには果樹の部門、こういうものに対して価格の安定の政策というものをさらに拡充して実行をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  208. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 その考え方の、もっと納得のできるような具体的な考え方を伺いたいと思うのです。
  209. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これは御承知のとおりに畜産物につきましては、畜産振興事業団が設立せられまして、本年の四月には例の豚肉の買い上げをやりました。これが有効に作用いたしまして、現在では二百四十円がらみで買ったものが三百円をこえるということになりましたので、先般も一部分は市場にこれを出して価格の安定をはかっておるというような実情であります。あるいは酪農製品についての問題でありますとか、あるいは鶏卵、鶏肉等についての問題であるとか、これらはもう問題が起こりますというと、発動をする態勢を整えておるわけであります。それから、これはそれだけでは実はいけないのでありまして、市場の流通機構の改善も同時に実行いたさなければ、その効果をおさめることはできませんので、市場の改善の方策を実行いたしつつあるわけであります。三十八年度におきましては、これはやはり予算を計上しまして、市場の改善をいたしたい。同時にまた出荷の調整もいたさなければならぬ。それから生産につきましては、需給協議会を中央にも、各地方にも設けて、大体需給に見合った生産をやらなければ、ちょうど経済が急激に成長をしていろいろな問題を起こすと同様でありますから、順序よく需給に見合った生産の増加を来たすような方向に持っていかなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  210. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今実例を取り上げた畜産についても、流通の問題は一応切り離して、私は価格についてお尋ねしているのですから、流通はまた流通の問題でかなり問題があるわけですから——。その畜産物の今の法律のきめ方と、あるいは同じ食管法の中でも米と麦のきめ方も違います。農安法もきめ方をうたってある。それから大豆、ナタネの暫定交付金法もそれぞれのきめ方をしておる。そういうきめ方の中に一貫性がないということにまず問題があるわけで、そういうおもに今後消費の増大に伴って農産物生産発展しなければならないと思う。位置づけられておる重要な農産物にもっと総合的な価格体系というものがなければならないと思うのですが、そういう点についてのお考えをまず伺いたいわけであります。
  211. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) これはお心持ちも私もわからぬわけではないのですが、米のような価格の決定の方向へみんな持っていけというようなあるいは御意向があるのではないかと私は思うのでありますが、これは私はできないとはっきり申し上げたい。同じ農産物、農林畜産物と申しましても、これはただいまもお話しのありましたとおり、消費を増大いたさなければならないのであります。この農産物も同時に商品である、商品の性質を持っておるということを強くひとつ御認識をいただかなければ、ただ急に値段を高くきめて、それで消費ができないようなものを幾ら作ったって、これは意味をなさぬと思うのであります。でありますから、これは政府が全部関与をして、しりぬぐいは全部政府がするのだ。それで、政府が買ったものは売れないというような行き方にすべての農産物をやるというわけには私はいかない。やはり需給ということも考えて、生産がそれに伴っていかなければならぬ。しかし、価格は安定をしていかなければならぬ。再生産に支障を来たさないように価格は安定をせしめていかなければならぬ。大体私はそういう考えでおるわけであります。そこで、物資によりまして、物によりまして、値段のきめ方がある程度違うというのは、これは強く言えばそれでいいんだ、強く言えばそういうことにもなりますが、しかしそれでいいわけでは決してないのであります。これは十分検討すべきものは検討いたしまして、直すべきものは直さなければならぬと思うのでありますが、大体の考え方は、ただいま私が述べたような考え方で私はおるわけであります。
  212. 森八三一

    ○森八三一君 関連。今の大臣のお言葉を返すようですが、農業基本法には、農業従事者の所得と、他産業従事者の所得を均衡せしめる、このことを達成するのは「国民の責務に属するものである」、非常に私ども気に入った宣言をしておるのです。それをもととして、各種の農産物に対しての価格安定対策というものが導き出されてきておると思う。そのそれぞれの行き方には、今渡辺委員のおっしゃいましたように、形はいろいろあります。ありますけれども、いずれも再生産を確保することを旨としてきめなければならぬということは一貫しておるのです。それはちっとも間違っておらぬ。その精神を受けて、農業基本法の大命題というものを受けて、それから再生産を確保しなければならぬということを政府に命じておる。そういうものを受けて出てくる現在の具体的な価格対策に対して、大臣は一体どうお考えになるか、どういう所信でこれに臨んでおるか、この点を私ははっきりしていただきたいと思う。それが流通関係だとか、消費の関係だとか、経済上考えられますことも必要であると思います。思いますけれども、抑えとしては、再生産の確保を旨としてきめなければならぬ。このことを乱るということはこれは許されぬと思う。そのことをどう受け取っておられるかということが問題の出発点になる。そのほんとうの基本的な観念だけをおっしゃっていただけば、あとの問題はまた事務的にお伺いいたしますが、そのことを基本的にはっきりしていただきたい。もう第一条はどうでもいい、基本法のそれは別だ、それから、再生産を確保するということも、最終の消費の安定をはかるということであれば、それは別問題だ、こういうことで臨むならば、それはそれでよろしいのです。それなら、私はまた別の議論を展開いたしますが、再生産を確保するということが押えになっておる限り、このことをはっきりしてもらいたい。こういうことなんです。それが実際行なわれておらぬ現実の姿というものを、それをどういうふうに受け取っておられるか、こういうことです。
  213. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 再生産を確保する必要があることは、お話しのとおりであります。しかし、それには、合理的な農業経営をしないで、そうして生産費が非常に高くかかっても、そのままで再生産を確保するということは、私は農業基本法の趣旨じゃないと思う。やはり生産費のコスト・ダウンをやるということは当然その前提条件である合理的な生産をやるということが前提でなければならぬと、私はそう考えておる。そういう意味におきましては、ただいまの森委員のお話しのとおり、再生産を確保するようにやらなければならぬ、こう考えております。
  214. 森八三一

    ○森八三一君 私も同感です。同感ですが、その生産性が向上して、次の年の再生産ができるような状態が導き出されて初めて考えられることであって、その理想の境地に立っておらぬときに、そのことを見て今ちゃんときめてしまうということは、その次年度における生産に邁進ができないという問題になるですよ。それは理想は私ども同感ですよ。同感です。そのとおりですけれども、その理想の境地が実現するように努力する過程において、理想ができたところの時点に立って物を考えるということ、これは僕は間違いだと思う。大臣のおっしゃるとおりです。私も同感ですよ。同感ですが、その理想の再生産を確保していける、そしてその時点々々における諸般の経済情勢からやれるというような、生産性向上の実が上がるのと並行的にいくなら話はわかる。けれども、理想のことだけ考えておいて、現実のことを考えずにものを処理するということでは、再生産はできなくなりますよ。
  215. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 運用の面におきまして、ただいまもお話のありましたとおり、並行的にいくということは当然のことであります。これは要するに運用の面において今の御趣旨をいかに生かしていくかということが重要な問題だろうと思うのであります。で、私はまあ微力ではありますけれども、ただいまの御趣旨に沿うて運用をいたしておるつもりであります。
  216. 森八三一

    ○森八三一君 そういう趣旨でおやりになっておるということでありますれば、私は抽象的に大臣のその態度には賛成でありまするし、別に異論はございません。しかし、そういう精神で具体的に今出てきておるさまざまの問題を見ますると、それがそのとおりには進んでおらぬ、そういうことを私どもは発見する。でありますから、その精神どおりにやっていただくということで、もしここに食い違っておるものがあるとすれば、これはひとつ改めていただくということをここで申し上げておきます。その食い違っておるか食い違っておらぬかは、もう一ぺんこれは事務的に整理いたします。はっきりとその点だけは確認していただきませんと、出しておる資料を見ましても、生産費を農林省調査して、四千円もかかっておるものを、支持価格では三千円に押えてみたり、三千円の生産費でやろうとする努力はいいですよ。やらなければならぬ。けれども、現在四千円かかっておるものを三千円で支持してやるということは当を得ておらぬ、こう思う。これは事務的なことですから、当を得ておるかおらぬかの内容の問題ではなくて、精神は、今大臣がおっしゃった精神が貫かれるということを確認いたします。
  217. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 非常に精神論になったのですが、私はやはり経済的にひとつ御回答願いたいのですが、再生産を確保するということは、ばらばらなそれぞれの価格関係法にはまあうたわれておりますけれども、その精神が現実に生かされていないところに問題がある。それはまあ別の機会に具体的な事例を上げてお尋ねしたいと思いますが、やはり基本法が通ったその中にうたっておる前文にも、第一条にも、いろいろ農業の特殊性を書いております。そうして社会的な、あるいは自然的な制約のほかに、経済的不利を補正するとうたっております。それで、やはり生産性農業も向上しなければならぬ、当然であります。しかしながら、工業の場合と違って、農業生産性が向上することは、そのことが価格の低下を来たして、消費者に利益するような経済的な特性をになわされておる。工業の場合は、明らかに生産性の向上は、資本と労働におおむね利益が還元されておる。そういう経済的な特質というものを、再生産を確保するという精神を現実に経済立法では具体的に規定する必要があるのではないか。フランスの農業基本法、まあ名前は方向づけに関する法律のようですが、これにも、第三十四条には明らかに、投下された農業生産に要した費用と労働の報酬、収益を確保することを第三十四条にうたっておる。そういう再生産を確保するということをやはりもっと具体的な要素によって明確にしてもらいませんと、大臣のように精神論だけでは食っていけない。現実には非常にそれと矛盾した価格が次々と打ち出されておるという事態から、私はお尋ねをしたわけです。ですから、その精神をもっと現実に納得ができるような要素として、それぞれ投下された費用なり労働なり、あるいは収益というものを十分農業経済的不利を補正すると前文にうたってあるものに忠実にこれを再生産を確保するという価格政策の中に現実的にも精神的にも一貫した政策をとっていただきたいということが、質問の中心なわけです。ですからもっとこれは掘り下げた具体的なその課題の中で、またいろいろお伺いもいたしたいと思いますが、少なくとも今のような形では、農民は農業生産に対する意欲を滅失しております。そういう現実を踏まえて、政治的にはあたたかい、愛情のある政策をとってもらわないと、農業の将来は非常に不安であります。そういう点をやはり価格の場合でも、再生産を確保するという精神を、現実に貫いていくことこそが、大臣の至大なる使命だと思います。その点をぜひお願いいたしたいと思います。
  218. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 大体御意見はよく了承いたしております。が、問題は、極端に言えば価格だけによって所得をふやしていこうというような考え方だと、なかなかこれは実際に合わないのであります。やはり生産のコスト・ダウンをやるという方向へあらゆる政策を集中し、また農家自身も生産を合理化するという点に力を入れてもらなければならぬ。現実の問題としますれば、同じ農産物生産費にしましても、相当差があるということです。非常に高いのと安いのがある。米についても同様でありますが、そういう場合に、一番高い生産費をもとにして、これで利潤もまかなえ、何もまかなえということでいったのでは、実際流通をしないものの価格になってしまう。だからそれはそうではないのであって、やはりそのものの標準的なものといいますか、それをどういうふうにとるかということは問題でありましょうが、標準的なもので一応標準価格をきめていく、こういう行き方が、私は現在とられるべき行き方ではないかと思っているんですがね。
  219. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 問題を価格だけにしぼったから、価格だけの話を申し上げるようですけれども、その価格形成の中の、投下される費用というものを、もっと合理的な形に持っていくためには、いろいろな方法があるでしょう。それはやはり政府自体が果たすべき部門もあるでしょうし、農家自体がやるべき部門もあるでしょう。その点を全然たな上げした上で申し上げている意味でもないし、しかし現実における投下された費用は、これは政府も支持する価格の要素としてはっきり認め、また投下された労働も、労働報酬を正当にやはり計算するという計算の仕方も必要だと思います。また収益というようなものも、これはフランスの場合には、価格要素として、はっきり基本法にうたっておるわけです。そういうようなもの、そうして生産性の向上によって、そのままでは農業はむしろこれがコスト・ダウン、価格低下をもたらして消費者を利益するというそういう方向を、やはり価格で大きくこれを支持するような政策を、重要な農産物についてはやはり統一した方針でそれぞれ現実にも実施をしてもらわなければならぬ。現実にいろいろ矛盾があるわけです。その矛盾の一、二をきょう実はナタネの価格について、この前大臣に、ナタネの基準価格がきまったことについて、いろいろ法律とは違った計算の方法でおやりになって、矛盾があるのではないかということを御指摘申し上げたら、初めて聞いたから検討するという御答弁でした。その点について、きょうどういうふうに検討されたかをお伺いいたしたいし、なお十月三十一日に出された大豆の価格についても、これは非常に計算の内容には納得しがたい要素が多々あります。これは限られた時間ではどうかと思いますけれども、大臣がまだ聞いてくれるなら、この点をもう少し詳しく申し上げたいと思うのですが……。
  220. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 約束の時間ですから……。
  221. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは食糧庁長官もいることですから、大臣にはこの程度にしておきます。
  222. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 農業構造改善事業につきましては、地方の実態調査並びに本日の委員会の質疑で問題点が指摘されましたので、この際、便宜委員長から決議案を提出いたしたいと存じます。案文の朗読をさせます。   〔調査員朗読〕
  223. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  224. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  225. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  この際、農林大臣から発言を求められております。
  226. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) ただいま御決議になりました農業構造改善事業促進対策に関する決議は、おおむね私どもも賛成をいたす点が多々あるわけであります。今後におきましてできるだけこの御趣旨にそうようにひとつやって参りたい、こう考えております。委員各位におかれましても、どうぞひとつ今後とも御協力をお願いいたします。
  227. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 本日の委員会は、これをもって散会いたします。    午後五時四十一分散会      —————・—————