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1962-09-02 第41回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月二日(日曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   委員異動  九月二日   辞任      補欠選任    松村 秀逸君  谷口 慶吉君    松本治一郎君  吉田 法晴君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村山 道雄君    理事      石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            大谷藤之助君            栗原 祐幸君            源田  実君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            谷口 慶吉君            野知 浩之君            林田 正治君            北村  暢君            横川 正市君            吉田 法晴君            鬼木 勝利君            田畑 金光君            小林 篤一君   国務大臣    農 林 大 臣 重政 誠之君   政府委員    行政管理庁行政    管理局長    山口 一夫君    農林政務次官  津島 文治君    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林大臣官房長 林田悠紀夫君    農林省農地局長 庄野五一郎君    農林省振興局長 齋藤  誠君    林野庁長官   吉村 清英君    水産庁長官   伊東 正義君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治省行政局行    政課長     岸   昌君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(第四十回国会内閣提出衆議院  送付) ○継続審査要求に関する件   —————————————   〔理事石原幹市郎委員長席に着く〕
  2. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  村山委員長衆議院内閣委員会出席のため、委託によりまして、私が委員長の職務を行ないます。まず、委員異動について報告いたします。本日松村秀逸君が辞任され、その補欠として谷口慶吉君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないまするが、政府側出席者は、重政農林大臣大谷農林政務次官林田官房長庄野農地局長吉村林野庁長官岡田文書課長久我統計調査部長出席しております。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 田畑金光

    田畑金光君 私しろうとで、したがって、質問が肯綮に当たらぬかもしれませんけれども、ひとついろいろ教えていただきたいと思いますので、質問をいたしますが、まず最初に、今回のこの設置法改正法案については、農業基本法との関係提案するに至った、こういうことを聞いておりまするが、そうでありましょうか。
  5. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) そのとおりでございます。
  6. 田畑金光

    田畑金光君 農業基本法設置法と、どの部分がどのような関連を持っておるのか、具体的に御説明を願いたいと考えます。
  7. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、農業基本法は、新農政への方向づけであります。その中にはいろいろなことが規定をせられておるのでありますが、最も今回の農林省設置法と大きな関係を持っております点を申し上げますと、農業基本法では、生産選択的拡大ということが一つの重要な点になっておるわけでありますが、今回の設置法によりまして、将来成長部門と考えられます園芸につきまして、園芸局本省に新たに設置することになっておるわけであります。さらにまた農業構造改善ということが農基法では非常に大きな一つの柱になっておるわけでありますが、これを実行いたしますために、本省におきましては農政局でこれを取り扱わすことにいたす。御承知のように、農林省の部局は多くは縦割りになっておるわけであります。新たに設置いたします園芸局、それから畜産局蚕糸局農地局というふうなものは、皆縦割りになっておりますものを、総合的に農業経営という観点から取り扱っていく、こういう意味も持つ構造改善事業農政局で扱う、こういう建前で、本省農政局を設ける。さらに、地方地方農林局を七カ所に設けることにいたしておるのでありますが、これはただいま申し述べました構造改善事業実行いたして参りますためには、どうしてもこの各地域々々の実態を十分に把握をいたしまして、これに即応した構造改善をいたさなければならぬという建前から地方農林局を設けておるのであります。これが私は今回の設置法で一番大きな農業基本法との関係をいたしている問題である、こう考えております。
  8. 田畑金光

    田畑金光君 大臣も御承知のように、臨時行政調査会というものも内閣に置かれて、国の行政機構、行、財政制度全般についての検討が進められておるわけでございますが、そういう大きな機構全般の中でもって農林省機構等について考えるということも、一つの行き方としては常識的な行き方であろうと、こう考えておりますけれども、これを切り離して急がなければならなかったという理由、これを急がなければ農業政策の運営の面において大きな支障があるのかどうか、こういう点について、いささか疑念を持つわけでございますが、臨時行政調査会とこの設置法との関係は、これは何も関連することがないのかどうか、その点についてお尋ねしたいと思うわけでございます。
  9. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 行政管理庁とは十分な打ち合わせをいたしまして、行政管理庁もこれに賛成をせられて提案をいたしたようなわけであります。行政調査会は御承知のとおりに、来年の暮れ、もしくは再来年の初めにその結論を得るということになっているようであります。ところが、昨年農業基本法を制定されましたが、御承知のように、この農業基本法というのは新農政への方向づけであります。それ自体としては具体的な多くの規定を持っておらないわけであります。この農業基本法に準拠をいたしまして、これに即応いたしまして、あるいは法律制度、あるいは財政上の裏づけをするということによって、初めて新農政が具体的に実現をいたして参るというわけであります。しかも、これは一日も早く実行いたさなければならないことは申すまでもないことであります。そこで全般的のこの行政機構というものの結論を得るに先立って、一日も早くこれをやらなければならぬ、こういうことになりまして、行政管理庁も同意して提案をいたしたのであります。先日衆議院内閣委員会におきましても、その点に触れて行政管理庁から答弁があったのであります。大体行政管理庁の現在の考え方では、地方出先機関については、通産省もあり、あるいは運輸省もあるというふうに、各省ともそれぞれ持っておるわけであります。農林省のこの地方農林局設置せられましても、行政管理庁としてはこれを同様の扱いにいたして参る、こういう考え方であるから支障はないという見込みである、こういう御答弁があったわけなのであります。
  10. 田畑金光

    田畑金光君 お話しのように、農業基本法案は三十八国会成立をしているわけです。基本法そのものは、今後の農業政策のあり方の基本原則を確立したものだとわれわれは見ております。この裏づけ法律案も、農協法改正農地法の一部改正先国会成立を見て、一応法律的な制度としては形はこれで整ったものと見るわけでございます、不十分でありましても。さらに今大臣の御答弁を承りますと、今度の機構改革によって、さらに推進する体制がこれで確立される、それはそれなりに理解できましたが、すでに三十七年度の予算の中にも、農村構造改憲予算というものが出されておるわけですね。また政府といたしましては十年計画かを作られて、全国の三千の町村について構造改善事業を進められる、一つの町、村について一億一千万前後の資本を投下されて農村近代化を進められる、こういうようなこと等をわれわれは承っておりますが、すでに三十七年度の予算も、先ほど申し上げたように、計上されておるわけですね。法律もまた関連法も不十分であっても成立を見ているわけです。今この機構改革を見なければ、そういう構造改善計画、あるいはその計画に基づく事業実施ということが非常な支障があるのかどうか、この点について承っておきたいと思うんです。
  11. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、日本は北海道から鹿児島まで実に細長い帯のような島であります。その地域地方々々によりましてみんな経済条件も違うし、また立地条件その他あらゆる点において異なっておるのであります。で、これを画一的に農政実行するということは、これは実情に合わない。どうしても地域農政実行をしなければならぬということは、多年の皆さん方の御意見でもあるわけであります。そこで、今回構造改善という実に困難な大事業を始めるにあたりまして、東京の一個所で、もちろん地方実情十分調査をいたして、そうしてやるものでありますが、ややもすればこれは地方実情にそぐわないものができ上がるおそれが非常にあるわけであります。  そこで、どうしてもこれは各地域々々の実情を十分に調査もし、またそれを認識する、その上にそれを前提としてこの構造改善事業というような事業を行なっていくということがどうしても必要である、こう考えてこの地方農林局設置というものを考えられた次第であります。
  12. 田畑金光

    田畑金光君 地域に応じて農業政策を進めていく、あるいはまた適地適産によって農業生産力の上昇と農業経営近代化を進めていく、抽象的には理解できまするが、構造改善というのは一体具体的に何をなそうとするのかわれわれはのみ込めないわけです。かつて鳩山内閣の時代に、河野農相が新農村作りを唱えられてやってこられた性格というものが、農村有線放送ができたというのが唯一のおみやげであったということを振り返ってみるならば、構造改善というものは一体何をねらい、どんなことをしていこうとするのか。なるほど地方農林局を作られて地域実情に応じた施策を進めていく、その限りは理解できますが、構造改善というのは何をねらい、どんなことをやっていこうという目的なのか、それがわからぬので、まあそういうことが疑問であることが一つと、もう一つは、この機構改革をしなければそんな仕事が手がつかぬのかどうか。いや、機構改革はやらなくても、設置法改正をやらなくても、仕事そのものは今日までもう進んでおると私は考えるわけです。三十七年度予算にも現に構造改善予算というのが出ているわけですから、特にこの機構改革をしなければ仕事にこういう支障があるとかという問題があるのか、それも合わせて先ほどお尋ねしたわけです。
  13. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 構造改善事業というのは、一口に申しますれば、農業の基盤の整備、確立であるわけであります。たとえて申しますれば、ある一つの村の実態から考えると、そこは成長部門に属する果樹園を拡張してそこで生産するのに適するとか、あるいはこの地帯畜産がいいとか、この地帯米作がいいとかいうようなことを、その所々の実情に応じましてこれを考えていく。さらにこの農業経営経営規模拡大の問題、あるいは工業との関連の問題というようなものが、みなその地方々々によって異なっておると私は思うのであります。そういうものを十分に調整をいたすと申しますか、計画的にそういうものを計画を作って立案をいたしまして、これを実行に移す目的は、申すまでもなく、この生産力の拡充と、農家所得の増大、これが目標であるわけであります。なお、こういうものを今でもやっておるではないか、こういうものを作らなければそれでできぬのかどうかという第二の御質問でありますが、これは現在は現在なりにやっておるわけでありますが、こういうような地方農林局というようなものを設置をいたし、あるいは園芸局というようなものを設置をいたさなければ、現在以上に飛躍的して農業基本法に沿った新農政実行はむずかしいのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 今お話しの中で、第一の適地適主義を強力に推進されていくということも理解できるわけです。まあ、今後の食生活向上改善とか、あるいは生活内容の変化とか、あるいは国民食生活向上等を考えてみますならば、お話しのように、今後果実とか蔬菜、あるいはまた酪農製品、こういう面に食生活重点がだんだん移っていくということも理論としては理解できますが、そのように適地適主義を強力に推進していく裏づけ政府農業政策、こういうものについて、われわれとしてはいろいろ疑問を持つわけです。特に、今農家収入の五割以上が米麦収入である。こういうことで、たとえば毎年主席者米価というものは生産費所得補償方式による限り、あるいはまた毎年々々農業生産資材が値上がりしていく姿を見るならば、これは上げなければならぬと思うんです。また、農業所得の問題が、国民その他の所得との均衡で考慮するならば、当然農家所得の引き上げという点からも、生産者米価というものは毎年上げざるを得ないと、こう思うんですね。そこに今日の食管制度の矛盾があろうと、出てきておると、こう思うわけでありますが、そういう点を見たとき、今農村どこへ行ってもわれわれが聞く話でございまするが、一番農家の手取りがいいのは米麦だ。したがって、米麦生産というものがどうしても重点にならざるをえぬ。そういう場合に、今お話しのように、果樹園芸とか、そういう面に生産重点を移す、選択的拡大だと、こう言っても、なかなかその方向に向かっていけないというのが今日の農村実情じゃないかと思うんです。こういう問題等について、どうすれば具体的にあなた方のお話しのような選択的拡大という方向に進められるのか。この問題について、これは機構改革の問題じゃないと思うんです。私はもっとそれ以前の本質的な問題にあると、こう考えておるわけですが、こういう点についてどういう今後方針をとっていかれようとするのか。それをお尋ねしたいと思うわけです。
  15. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 米が一番そろばんがいいから、なかなか果樹とか畜産のほうへは選択的拡大と言ってもそうは参らぬと、こういう御質問であると思いますが、なるほど米は、今御指摘のとおりに、農家収入の大宗であります。でありますが、米につきましては、従来から歴代政府が一番大切なものとして重点施策実行して今日に至っておりますから、御承知のように、これも一がいには申されないのでありますが、比較的米のほうが収入がいいと、こういうところもあろうと思うのでありますが、なかなか果樹等につきましては、米の追いつかぬようなところがたくさんあるわけなんです。しかも、御承知のとおりに、ミカンなど、たんぼの米を作るところにミカンを植えておるところはない。果樹は多くは畑の、畑作転換が主力だろうと私は考えておるのであります。なかなか米を作る田を他に転換するということは、これは実際問題としては相当の困難性と申しますか、そういうものがあろうと私は思うのでありますが、私は選択的拡大で一番ねらっておるものは、畑作転換であると考えておるのであります。収入からいきましても、なかなか米作などとうてい及ばない、柑橘の栽培には及ばないものがたくさんにあるわけでありますから、一がいに御心配はないと思うのでございます。ただ、それならミカンを作れと言ってミカンをたくさんに作らして、ミカンが下がったらどうかという御懸念もあろうかと思いますが、それらの点は、価格安定の施策というものを同町に私は実行をいたしていきたい、こう考えておる次第であります。
  16. 田畑金光

    田畑金光君 私の心配することは、今大臣あとであげられたように、くだものが非常に引き合うというのでそこに生産が集中してしまったと、ともすればこっちがもうかるというとすぐそこに生産が集中するわけです。あるいはまたこの品物の輸出が非常に金もうけになるというと、輸出過当競争が出てくるのが今日のわが国の経済実情です。そういう実情を考えたときに、養蚕が引き合うというと非常にそこに集まる。くだものが非常に現金収入がいいということになりますと生産がだぶついてくる。こういうことが今までしばしば農林省指導のもとで行なわれているわけです。そこに流通の問題とか価格の問題をどうするとかという問題から常に離れて、生産そのものだけが一方的な農林省指導によって行なわれたところに、農林省指導によってやってみたが、結果においては損をしたという事態がしばしば今まで繰り返されておるわけです。こういう問題等について、今後適地適産とか選択的拡大と言われても、なかなかついていかない大きな理由がありはせぬかと、こう私は見ておるわけです。  それからもう一つ。私はこの米麦の問題を取り上げてみますと、結局、今の食管制度食管法建前から言うならば、生産費所得補償方式ということで、米麦価格というものが一番農家にとっては現金収入の源として魅力のある生産物である、こうなってきますと、畑作振興と言われても、なかなかお話しのようにその畑作のほうに選択的拡大のほうに向かうということが困難じゃないかと、こう見ておりますが、私はやっぱりこの米麦の問題と畑作の問題は相互的にこれは考えていかなければ、あなた方のお話しのように、農業基本法の趣旨というものはなかなか貫くわけに参らないという感じを持つわけでございますが、この点についてもう一度大臣に見方、考え方等をお聞きしたいと思うのです。
  17. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 早い話がですね、畑に稲を作った、陸稲を作っておる者は、これはその地方の状態によりましては、あるいは果樹への転換は私はできると思う。これは畑地灌漑等をやれば米を作るより、ほかのものを作ったほうがよかろうと思うものであります。いろいろ御心配になるようなことは私はないんじゃないかと思うのであります。価格安定の施策をやるとか、あるいは土地の改良事業をやりますとか、あるいは金融の道をつけるとかいうようなことによりまして、選択的拡大がどうも政策として進まないということは私は考えておりません。これは現実の問題としては、麦を作るのを他の作物転換をしていっているのは御承知のとおりであります。そういう点に私は心配いたさないのでありますが、要するに問題は、転換しやすいような制度を作っていく。すなわち価格安定の制度である。あるいは果樹、野菜について申しますれば、出荷の調整をどういうふうにしてやるとか、あるいは市場の取引の改善もやる、こういうことを実行して参りまするというと、私は御心配のような点はなく、相当に作物転換は行われる可能性がある、こういうふうに考えております。
  18. 田畑金光

    田畑金光君 農業基本法案の審議の際に、政府、与党のほうでは、三町歩平均の百万世帯農家を作る、こういうようなことをよく言われたわけです。その裏づけである農協法改正とか農地法改正も、現に先国会成立を見ておるわけです。したがって、農業法人化の問題も、構造改善事業の一環として全国的に相当これは推進されておると、こう見ておるわけでございますが、この実績でございますか、こういうようなものは現在どうなっておるのか。こういう面における構造改善事業というものが、要するに農家適正規模、こういう問題等についてはどの程度全国的に政府指導する方向に来ておるのか、ひとつそういうような点を教えてもらいたいと思うんです。
  19. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、農業基本法を作ったら、すぐにみんな経営規模が三町歩になったり、あるいは農業法人ができるというわけには参らないわけであります。現在平均の反別は一町歩前後、これを三町歩にするがよろしいと言ってみたところで、それは机の上での一つ理想といいますか、目標を言っておるのであって、これはなかなかの大事業だ。平均町歩のものを一人三町歩経営面積にするためには、あとの二人は一体どうするのだという問題になるわけです。でありますから、経営面積拡大しようと思えば、おのずから摩擦なく経営面積拡大するような方法を講じなければならぬと思うのであります。それがすなわち構造改善事業計画であるわけであります。でありますから、私は農業基本法を昨年作ったから、すぐ三町歩になったのがどれだけあるとか、あるいはそれがために農業法人がどれだけふえるという統計はおそらくないんじゃないかと思うんです。これからのそれは問題である、こう考えております。
  20. 田畑金光

    田畑金光君 しかし、あの法律基本法提案された節の皆さん政府説明、あるいは今後の農業政策の向かう方向として適正規模農家造成ということを言われ、具体的な内容は何かと言うと、三町歩農地を取得して、そうして百万世帯農家をだんだん作っていくんだというようなことを言われたわけです。現にそういうことで法律成立し、裏づけ法律もできているわけで、法律提案されたそもそもの当初からそういう目標を描かれて皆さん方農業基本法というものを作られたわけですから、あの法律成立しておるのだし、すでに農業法人化というものは、法律ができたから始まったのではなくて、すでにそのような動きがあったからあの法律もできておるわけです。だから、私のお尋ねしていることは、直ちにできるということはもちろん不可能なことでしょう。農林省としてはあの法律に基づいてそういう適正規模農家の育成についてどのような指導と、そして末端に対する行政を進めておられるのか、これをお尋ねしておるわけなんです。
  21. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それが構造改善事業なんです。そういうふうに、あれは一つ理想と申しますか、目標なんです。その目標に到達するための実行方法としては構造改善事業実施し、これを推進していきたい。そのためにはこの行政機構改革をどうしてもやらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
  22. 田畑金光

    田畑金光君 それは答弁にならぬと思うんですがね。あの法律が単なる理想を描いておるなら、理想のための法律であるとするならば、無意味な立法措置であったと言わざるを得ぬと思うのです。やはり現実にそのような社会的の地盤——農村社会化法人化方向に来ているので、そういう社会的な事実に即してやはり農業基本法というものができ、その農業基本法の中に構造改善事業というものが取り上げられたと思うのですね。だから、たとえば農政局というものができなくても、当然今までの振興局でございましたかの中などにおいて、そのような仕事——あるいはこれは農林経済局で今までは取り扱ったのか、これは私は知りませんが、当然そのようなものが指導されて、進められてきたはずだと思うのです。何もなかったわけですか。あの法律ができてから、そのような農業基本法に基づく農業法人化の傾向というものはどうなっておるのか、私はそれをお尋ねしておるので、大臣でなくても、関係局長からひとつ御説明願いたいと思うのです。
  23. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) その後、政府側より齋藤振興局長伊東水産庁長官出席しております。
  24. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいま構造改善事業のその後の進捗状況がどのようになっておるかという御質問でございますので、大臣にかわりまして私から答弁いたしたいと思います。  お話しのとおり、事業計画といたしまして、現在各町村によりまして、基礎調査なりあるいは今後の基本計画について計画樹立を進め中であるわけでございます。しかし、事業実施ということにつきましては、すでに先生御承知のとおり、本年度から事業予算を組むということに相なっておりますけれども、現在までのところは、まだ事業実施町村と、今年度予定しております二百町村につきまして、目下、事業計画について審査をいたしておる段階でございます。したがって、この審査をわれわれは大体十月ごろまでには了しまして、そうしていよいよ本格的な事業実施の態勢に移っていくように指導して参りたい。そこでこれを事業といたしましては三カ年間にわたって実施することになりますので、この実施段階におきましては、とうてい中央だけによっては十分な指導ができないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。事業実施につきましては、現在までの段階では、まだ調査計画の段階にあるわけでございます。
  25. 田畑金光

    田畑金光君 ずいぶんおそい仕事ぶりだと思うのですが、二百の町村についてまだ計画調査の段階だというのですが、せっかく法律もでき、予算も取ってあるのですから、仕事する上においても、もっとひとつ農林大臣の先輩である河野さんと同じように、もっとスピードをかけて仕事を進められることを希望するわけです。  それからもう一つ、私がこの際に農林大臣に特にお尋ねしておくわけですが、消費者米価値上げの問題ですね。これはお話によると、値上げしなければならぬ条件だけがあって、据え置く条件はないと、こういうお話をなさっておるようですが、これは間違いのないお気持だと思うのですが、そのように理解してよろしいですか。
  26. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 消費者米価の問題は影響するところが相当ございますので、これは農林大臣だけできめられる問題ではないのであります。内閣として十分また党のほうとも相談をいたしまして決定をする段取りになっております。私の心持はただいま申されましたように、農林大臣の消費者米価を決定する態度というものは、これは食管法第四条第二項に示されておるとおり、消費者の家計の安定を旨として消費者米価をきめるということになっておるわけであります。家計の安定を、現在の消費者米価を据え置いておかなければ、害するかどうかということも問題であります。現在の米価は昭和三十二年にきめまして、それが五年間据え置きになっておる。そのかわりに家計費は三割三分五厘も膨張しておる。したがって、米代が家計に占める地位というものは年々低下しておる。三十二年当時は一割二分以上にもなっておったものが、今日は一割程度になっておるという実情である。物価も五年間に一一%以上も上がっておるというような諸般のいろいろな事情を考えまして、家計の安定を害しないようにするためには、どうしても消費者米価を据え置かなければならぬかどうかということが問題であると思うのであります。しかし、私自身としてもまだ最後の腹はきめておらない、目下検討をいたしておるような次第であります。
  27. 田畑金光

    田畑金光君 たいへん最後の結論になってくると言いにくそうなお話でしたが、きょう国会も終わりますし、おそらく消費者米価も新米穀年度からは皆さん上げる腹組みだし、農林大臣の腹もそういう腹組みのようにはっきりこれは見受けられるわけです。正直に言われたほうがかえって話を進める上、質問を進める上に都合がいいのでございますが、私はおそらく上げられると、こら見ておるので、その前提でお尋ねしますけれども、農林大臣の意向では、まあ今お話しのような理屈から消費者米価は据え置く理由はない、上げるべきだ、家計にたいした影響はないのだ、それはそれなりに承っておいてもいいと思うのです。さらにあなたのお話を聞いておりますと、低所得層については社会保障ずばりで考えるべきじゃないかという御議論、それもまあそれなりに承ることもできると思うのです。ただ、私はこういう疑問がまだ消費者の立場から起こりはしないかと思うのです。それは、ことしもまた農林省の発表によると、戦後第二の豊作だと言われておるわけですね。昭和四十五年度の一体国民所得と、また国民食生活内容というか、特に米麦に対する需給関係、こういうことを想定した所得倍増計画を見ますと、もうすでに米麦生産というのは、昭和四十五年に想定された大体生産量というものに相前後しておるのじゃないかと、こう思うのですね。それで一方においては食生活は、先ほどお話しのように、変わっていくということになっていきますと、米麦の需給関係というものは、非常にこれは緩和されていくと思うのですね。むしろだぶついていくと思うのです。これはやはり消費者の立場から見ますと、生産がぐんぐん伸びてきて需給関係が緩和されて、むしろだぶついてきたということになれば、消費者の立場から見るならば、経済の原則に基づいて消費者米価が上がるというのは、これは納得できぬと思うのです。そういう経済のルールから見た場合に、私は米がだぶつきかげんにある傾向にあるときに消費者米価を値上げするということは、経済建前から見て、私は消費者の立場から言うと納得できぬという気持が強いと思うのです。この点はどのように解釈されるわけですか。
  28. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 米は決してだぶついておらぬのです。昨年の持越量より本年は減っております。これにはいろいろの理由があると思うのでありますが、少なくとも一つの大きな理由は、私は米の値段が安過ぎるんじゃないかと思うのです。そういう関係で、今御指摘になりましたように、需給の関係が手放しで安心だと言っても語弊がありますが、米がだぶついておるような状態だと、こうお考えになることは、私はちょっと、ひとつもうちょっと研究をいただかないと、そんな状態にはなっておらぬ。需給のバランスは合っております。これは往年のような米の足らないときよりはずいぶん改善をせられておるわけでありますから、これは確かに需給は緩和をせられておりますが、おっしゃるとおりにだぶついていないのです。  それから、どうも米の足らないときは統制をやって、そして今の御議論のように、自由にほうっておけばどこまで暴騰するやらわからぬものを、安定した価格で消費者に供給をしたわけです。そして少し需給がよくなれば、今度はうんと下げてくれなければ消費者は承知せぬという考え方はちょっとこれはいただけないのであります。やはり生産者も賃金が上がり、あるいは物価が上がれば、米を作るほうだってやはり生産費は上がるのでありますから、生産者米価が上がるということはこれはしようがない、やむを得ないことであります。生産者米価が上がる。すなわち政府の買い入れ値段は高くなって、そして政府はいつまでもこれを消費者米価を据え置いて消費者に配給をしなければならぬという理由がもしあるとすれば、家計の安定を害するということよりほかは、私はないと思う。
  29. 田畑金光

    田畑金光君 農林大臣、まああなた私の話を誤解してお聞きになったようだが、私は消費者米価を上げてはならぬという立場で物を申したので、先ほどのような議論を進めたわけです。これは私も今の農村所得構造を見たときに、お米については生産所得補償方式をとるべきだ、しかし生産者米価についてはそういう基本的な立場をとっておいて、消費者米価については、これはやはり社会保障の一環としてあくまでも据え置くべきだという前提で考えておるわけです。しかも、米は私は今はだぶついておるということではないかもしれぬが、しかし、今後のさらに米作技術の進歩等から考えた場合に、あるいはまた今後の食生活の構造の変化を考えたときに、私は将来需給関係はもっと緩和されていくと見るわけです。そういうことを前提とするならば、当然経済の法則から言って、消費者の立場というものは米価が上がるということは納得できぬと、こう思うのです。そういうことをかれこれ考えてみた場合に、あなたのこの間から言われておる消費者米価を据え置く理屈はないというその議論について、私は不満だと、こういうことを申し上げているわけですから、ひとつそれはそれとしてお聞き取りおき願いたいと思うのですが、それから農政局仕事の中で、「農業労働に関すること。」と、こういう項目をうたっておりますが、この「農業労働に関すること。」というのはどういうふうなことなのか。と申しますのは、御承知のように、農家人口は減っておるが農家世帯は変わりがない、こういうことを言っておるわけですね。最近の農村の労働力の需給関係、あるいは農村人口の推移、あるいは農家世帯の推移、こういう点についてどのような傾向をたどっておるのか、それをひとつお聞かせ願いたいと思うわけです。
  30. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 農家世帯につきましては、先生のおっしゃいますように、減っていないわけでございます。農業の就業人口につきましては、毎年三%ぐらい減っておりまして、現在は千三百五十万人ぐらいになっております。今後におきましても、この就業人口は、今までの傾向で行きましたならば、毎年減っていくであろうというようなことが見通されておるわけでございます。それで、今回農政局農業労働の問題を特に取り扱いたいということは、そういうふうに一方におきまして経済が発展して参りまするにつれまして、農業労働に及ぼす非常に大きな影響が出てくるわけでございます。それで、農業の経営を今後近代化していくという場合におきまして、農業労働が非常に大きな問題としてクローズ・アップされてくるわけでございまして、特に他の産業との関係、それから今後近代的な農業経営をやっていく場合の労働の需要の問題、あるいはまた労働の質の問題、非常に多々あるわけでございますが、そういう問題を取り上げまして、ここで処理していきたいという考え方から、農業労働をやるということにしたわけでございます。
  31. 田畑金光

    田畑金光君 これは大臣に私承りたいわけですが、所得倍増計画一つの隘路というか、矛盾点というのは、労働力の問題に端的に出てきていると思うのです。これは御承知のように、農村以外においても、工業の面を見ますと、たとえば若年労働者が非常に不足しておるとか、技術労働者が非常に不足を見ておる。これに引きかえて中、高年令層の就職が非常にむずかしい。失業になれば、こういう層の人たちはなかなか仕事がない、こういう問題が出ておるわけです。わが国が今後工業化すればするほど、ますますこの矛盾は強く出てきようと思うのです。技術革新が進めば進むほどこういう問題が出てきようと思うのです。やはりその工業化の一つの矛盾、あるいは池田内閣所得倍増計画一つの矛盾が、農村における今日のいわゆる労働力の質の問題の面に出てきていると思うのです。就業人口は、今お話しのように、毎年三%減っておる。ところが、農村の実際の労働はどうかというと、御承知のように、老人や婦人に労働力というものの重圧がかかってきておる、こういう問題ですね。そういう問題について、今後農政局ができて、これを取り上げてやろうというわけですけれども、どういう考え方で、どういう角度からこの問題に取り組んでいかれようとするのかということです。私は、一つの国が工業化すれば、それに応じて農村の人口が減っていくのは、これはヨーロッパ先進諸国を見ても、これは歴史の教訓ですから、日本の農村の人口が相対的に減っていくのは、工業化の一つの所産としてやむを得ない現象だと思いますけれども、肝心の農村の労働力の質の問題を見たときに、若い人方が農村からどんどん離れて都会に集中しておる。都会に行って、しからばその人方はほんとうに、完全な雇用についておるかというと、多くは不完全就労だと私たちは見ておるわけです。こういう問題を見たとき、農政局が今度農村労働をほんとうに取り組んで解決していこうとするその努力については大いに多といたしますが、どんなことからこの問題に取り組んでいこうとするのか、私はこの辺に対するひとつ農林大臣の見識を承っておきたいと、こう思うのです。
  32. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私は農村の人口が年々、従前は四十万減っておった。今日は六十万ないしはそれ以上減っておる。農村の人口が減れば農村がまるでさびれてしまうように御心配なさる方が相当に私はあると思う。これは私は実は心配しておらないのです。  先ほども御指摘のありましたように、経営面積平均町歩から三町歩にふやすといえば、あとの二町歩相当の人口というものは余るのだから、だから、これは私は心配しない。人口が減ったからそれがために総生産が減るかといえば、これは減らないのです。これは現に先般、一昨年でありましたか、アメリカの例を見ましても、アイゼンハワーからケネディ大統領まで満八年ある、その間に人口は二割減り、農場はたしか一割七、八分減りましたが、ところが、逆に農業生産の総生産は二割ふえておるというアメリカの発表を見た。ほんとうに私は日本でもそう思う。これは経営技術の進歩、あるいは農業技術の進歩によって私はそういうことになると思うのです。だから、人口が減るということについては、私はさほど心配はいたしません。しかし御指摘のありました、その質が低下する、ことに青少年が農村にとどまる者が非常に少なくなるという点については、大いに考えなければならぬと私は思っておるのでありますが、これが喜んで農業経営をするようにしむけるためには、これは何としても農業の収益をふやすことを考えなければいけないと私は思う。  それから第二には、やはり農業技術と申しますか、高度な技術の伝習をして、そうして青年の農業に対する意欲を高揚をしなければならぬ、こう私は考えております。
  33. 田畑金光

    田畑金光君 私のお尋ねしているのは、あなたが最後にお答えになった、若い人方が農村に魅力が持てて農村に踏みとどまるような、そういう農村を作らなければならない。その一つ農業所得をどう引き上げるかという問題、もう一つ農業技術の向上と、高度の技術によって若い人方が農村にとどまれるように、それは賛成でございますが、具体的にどうすれば農業所得を現在より引き上げていくのか、あるいはまた農業技術をどういう方針でもっともっと引き上げていくのか、そういう点に私はもっと大臣の識見というものを承りたいと思うのです。  これはこの間新聞で読んだわけでございまするが、全国農業会議所に河野一郎前農相から、農山村の労働力流出対策について諮問された。その答申が近く出されるように聞いている。まあその答申の内容はこうこうこういうものだということが載っておりますが、これ大臣御存じですね。
  34. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私はまだその答申を受け取っておりませんから、私はまだ詳細承知しておりません。まだ答申出て参りませんから。
  35. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) この前新聞に出ておりましたことは、先生おっしゃるとおりであります。まだ農林省といたしましては、その答申を受け取っておりません。
  36. 田畑金光

    田畑金光君 いや、答申がまだ出ていないから皆さん答えられぬというのは、どうもふまじめであり、怠慢だと思うのでありますが、八月三十一日、私は産経新聞でこれを読んだわけです。農繁期の労働力の不足対策をいろいろな点から検討して、九月の十四日の臨時総会で議決し、正式に農政農相に答申する、こういうことが出ているわけです。これはあなた方が専門の分野を担当しながら読んでいないはずはないでしょうが。私の申したいことは、この内容を見れば、「農繁期には公共事業の日雇い労働者、学生、工場労働者、自衛隊員、農家出身主婦を組織的に使う。」、これによって農業労働力の今の不足を補うということをこれはおそらく答申するのでしょう。現に、私なんかの福島県でも、ことしの田植えの時期においては、農村の人手不足でもって、知事が自衛隊に協力を求めたという話も聞いておるわけです。求めたかどうか、これの事実はともかくとして、われわれは新聞で見ているわけです。また、工場労働者が組合の自発的な農村に対する協力の意思表示をして、農村に行って田植えを手伝っているのも実際の姿です。だから、私はこの農業会議所の答申というものが、おそらくこのような内容農林省に提出されると、こう考えておるのですが、事ほどさように農村の労働力は今日は深刻だと私は思うのです。さきの農林大臣のような楽観的な姿じゃないのです。私もあなたと同じように、国が工業化すれば農村人口が減るということは、これはいなめない現実だと思うのです。問題は、しかし農村農業というのは、いかに国が工業化されても、なおかつ国の産業の中において非常に重要な地位をあくまでも維持すべきだという前提だ。その維持さるべき農村に要する農村労働力が婦人と老人にかわっておるという姿は、いかにそういう人的構造のもとで高度の技術運営と言っても、農業生産力というものはおのずから停滞し、あるいは低下し、農村は繁栄しないと思うのです。やっぱり農村の将来にわたる繁栄は、まじめな青年諸君が農村にほんとうに愛郷心を持って踏みとどまれるような環境を作ることが大事だと思うので、そういうことをもっとまじめに農林大臣は考えていただきたい、こういうことを私は申し上げたわけです。農業会議所が自衛隊まで協力を要請するなんていう答申を出そうという、事ほどさように深刻な問題をかかえておるのだから、私はこういう問題についてもっと農林大臣としてはまじめに、というよりも真剣にもっと取り組む必要があろうと考えておりますが、あらためて御見解を承っておきたいと思います。
  37. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 農業労働力は、御承知のとおりに、これは季節的にピークがあるわけであります。そのピークに支障なしに人口がいつでも農村におられたんでは、私は農家経済農村経済というものはやっていけないだろうと思うのです。でありますから、ピークのとき足りないという現象はこれは昔からある。それが最近になって、今御指摘のように、ややその度が増してきたということであります。これに対処する方法は当然考えなければならぬ。今日までは、そういうことが方々に起こっても、これを何とかしてやってきておりますから、御承知のとおりに、農村から人口が減るけれども、農産物の総生産というものはちっとも減っておりません。変わらない。このことを私は言ったのでありまして、そういう年々時々の労働力配分調整というような問題につきましては、これは当然善処いたさなければならぬことになる問題であるわけであります。私は農村労働力についての根本の私の考え方を先ほど申し上げたにすぎないのでありまして、そのときどきの労働力調整等につきましては、これは十分対処いたさなければならぬ、こう考えております。
  38. 田畑金光

    田畑金光君 その点は、もっと私は具体的な農林省に方針、政策なんていうものができているのであろうかと思ったんですが、案外何も持っていないものだなと、つくづく感じたわけですが、こういう問題についてもっとわれわれにも納得できるようなものがほしいと思うのですね。私が農林省にこういう問題で質問したというのは国会で初めてですが、どうもその程度の答弁しかないのかと思うと、いささかさびしい感じがするわけです。  それから第九条を見ますと、これも相前後しますが、農政局仕事の中で、「農業者の海外移住に関し、その募集、選考及び教育並びに移住地の調査を行なうこと。」、農業移民の問題だと思うのですね。これもやはり農業構造改善の一環としてこういう問題を取り上げられるのかと思いまするし、あるいは国の大きな移民政策一つとして、平和的な日本の一つの海外に対する発展だとも、こう考えますが、なるほど、ある時期——農村の人口が非常に過剰であり、日本の人口が過剰であり、労働力そのものが非常に豊富であり、あるいは余っていた時代においては、私はこの二十号のような仕事一つの社会的な評価を持っていたと思うのですけれども、今日の情勢は相当私は変わってきていやせぬかと、しろうとなりに、こういう見方を持っておるわけです。私は、最近の世界の動きを見ますと、植民地が、それぞれ後進地域が独立し独立国家になっていく。そういう植民地国家が独立して広大な資源と広大な土地をかかえておる。資本が足りない。技術が足りない。そういうことを考えたとき、私は、やっぱり日本の優秀な技術と日本の資本をそういうような地域に投下して後進地域の開発を進めるということは、これは大いにやらねばならぬことだと思いますが、そういう意味からする、たとえばこの二十号のような農業移民のような問題なら理解できますけれども、農村の労働力のはけ口とか、あるいは構造改善の一環として、従来のような観念で農業者の海外移住を考えることは、いささか社会的な情勢も変わってきていやせぬかと、こう私は見るわけです。そういう点から、今度農政局ができますと、農業者の海外移住の仕事も扱われるように書いてありますが、この点はどんな仕事を扱うのか、何をやるというのか、こういう点をひとつ御説明願いたいと思います。
  39. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ここに書いてあります事項は、現在振興局でやっております事項をそのまま農政局に引き継ぐという意味で書いたわけでございます。  今後の移住政策のあり方につきましては、ただいま先生からいろいろお話しがありましたように、いろいろの問題を含んでおりまして、非常に農村労力の過剰時代の場合における移住と、今日のような非常に労力不足の場合における移住とでは、おのずからやり方等において違う点があろうということは十分了解されるところでございます。ただ、われわれといたしましては、農民の中で、やはりいつまでたっても自分は工業等には行かないで農業者として生活を続けていきたい、しかも内地においては十分な移住者としての生活ができ得ない、よりよい他の地域において農業をやっていきたいというような希望を持っている人というものが、やはり依然としてあるわけでございます。したがって、そういうような、つまり農業者が海外に開拓地を求めて移住していきたいという人に対しましては、これはやはり農林省といたしましては、現在農民の方でありますから、そういう者についての送出等につきましては、十分援助とお世話をして参りたい、こういうふうな考え方で、現在移住に対処いたしておるわけでございます。
  40. 田畑金光

    田畑金光君 これは農林大臣にお尋ねしたい問題ですが、ちょっと内容変わりますけれども、昨年の景気調整以降、一方は金融引き締め政策をとって経済の行き過ぎを押えてこられたわけですね。農林省のほうは農林省の立場で、いわゆる地力の工場誘致とか工業川地の造成等に対して、農地の転廃用に対して、非常にきびしい規制をとってこられたわけですね。それはそれなりの景気調整の過程における土地政策としては理解できるわけです。幸い国際収支もこの二、三カ月来黒字の傾向を示してきて、まあ年内には国際収支が均衡する、こういうようなことも言われ、これに伴って金融引き締め等についても手かげんを加えたらどうかという話もあるし、公定歩合を引き下げたらどうかという話もあるし、いろいろな意見があるわけです。私はいつごろそれをやるかどうかということは、もっと経済情勢を見なければ、政府もなかなか結論は出し得ないと思いますが、こういう問題と関連があることはわれわれも了承できますが、多くの地域において、たとえば低開発地域法律に基づき、低開発地域工業開発促進法とか、あるいは新産業都市建設促進法とか、いろいろな法律ができて、地方の開発、工場の誘致等が行なわれておるわけですね。そのとき一つの大きな隘路となっているのは、この農地の転廃用が、農林大臣はきちんとこれを押えて、なかなか土地の転廃用を認めてくれぬ、こういう問題が現に出ておるわけです。これについて農林大臣のお考えをひとつ承っておきたいと、こう思うのです。  同時に、これは農地局長の所管であろうと思いまするが、現在どの程度全国からこういう土地の転廃用の申請があって、そしてこれについてはどのような取り扱いになっておるのか、具体的な件数等についても、この際ひとつ御説明願っておきたいと思うわけです。
  41. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、この問題は、昨年でありましたか、閣議で農地転用の許可についての方針がきめられたわけであります。その方針に基づいて今日までやって参っております。今まで絶対に許さないというのではないのでありまして、主として輸出促進に関係するようなものにつきましては、時々これを許して参っておるようなわけであります。これは経済が正常に復する、金融の引き締め等の諸般の政策も漸次緩和をするようになってくるということになりますれば、当然に、これはそういった意味での規制はやめて、本来の転用の許可ということに戻すべきものであろう、こう考えております。
  42. 庄野五一郎

    政府委員庄野五一郎君) 農地の転用につきましての方針につきましては、今農林大臣から御答弁があったような次第でございます。で、実際上の取り扱いといたしましては、御承知のように、農地法によりまして、五千坪未満は都道府県知事において、五千坪以上は農林大臣においてこれを許可する、こういう取り扱いになっておりまして、農地の転用、特に工場の設備投資につきましては、景気調整の段階において、金融引き締め等によって、農地の転用を許可いたしましても、金融等の点から工場がなかなか建ちにくいような場合も出てくる、こういうような情勢にございまして、一方農地の転用につきましても、無計画的に農村に工場が乱立するようになりますと、ただいま計画いたしておりまする農業計画等に非常な支障を及ぼす、こういうような面が多々あるわけでございまして、農業計画の面から十分審査するとともに、先ほど大臣からお答えになりました閣議の方針に沿って、確実に輸出促進、あるいは輸入の防遏に資する、あるいは公共的な住宅建設に資する、そういった公共的なもの、こういったもので確実に工場が建つ、こういう見きわめが立ちまして、そうして農業計画支障がない、こういうものを許可いたしておる次第であります。この取り扱いは、なお十分に慎重に進めていきたいと、こういうように思います。それで、実際上の取り扱いは、五千坪未満は知事においてやっておりまして、その面におきましては、ことしの分につきましては、やはり中央におきます方針にのっとって、県においても慎重にこの取り扱いをするように、こういう通達を出しております。五千坪以上につきましては、農地事務局にこれを大体許可せしめておりますが、一万坪をこす分については、中央におきますそういった諸般の事情を勘案する必要がございまするので、農林大臣に伺ってそして許可するように、こういう取り扱いをやっております。ただいま中央に上がっております分については、約七十件ほど持っております。それから農地事務局で審査中のものが百件をこす程度、こういうふうに記憶いたしております。
  43. 田畑金光

    田畑金光君 次に、今度は内容を変えまして、簡単に一、二お尋ねしておきたいと思うのですが、林野庁に伺いますが、今度職員部を新設されたと、こう書いてありますが、今までは林政部で取り扱っておられたようですね。今度職員部を設けられるようですが、新たに設けなければならぬ内部的な事情は、仕事の取り扱いの面で、これを設けなければこういう支障があったのだという、ひとつその実情を御説明願いたいと思うのです。
  44. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 国有林に常時勤務しております職員の数は約五万二千名でございますので、事業の最盛期には臨時の作業員を含めますと約十五万八千名に及んでおります。これらの職員の労働条件は、団体交渉によって決定をされることになっておるのでございます。職員の勤務形態、勤務場所、ともに一般公務員に比較いたしますと、きわめて特異なものでございまして、したがいまして、その処遇も一般公務員と異なる面が多いのでございます。その労務管理は、御承知のように、きわめて複雑で困難な血が非常に多いのでございます。したがいまして、従来林野庁におきましては、林政部に属しております福利厚生、職員、労務この主謀を林政部から分離いたしまして、この主謀からなる職員部を設置いたしますことによりまして、労働問題に関する責任と権限を明確にいたしまして、国有林労働問題の円滑な処理を期待いたしておる次第でございます。
  45. 田畑金光

    田畑金光君 趣旨はよくわかりました。が、どうも今回の職員部を設置されたねらいが、この説明書にあるように、真に正しい労務管理のあり方を確立する、組合交渉や特に職員の福利厚生増進という立場から職員部を設けられたとするなら理解できますけれども、だんだん聞いてみますると、営林局においても、営林署等においても、むしろ非組合員、いわゆる管理職の人方をだんだんとふやしていって、管理職の量的な拡大をはかって、その対策が福利厚生の増進というよりも、むしろ組合対策を考えておる。言うならば、組合の弱体化をねらいにしておる、こういう傾向も多分にあるとわれわれは見ておりますが、この点については具体的な、たとえばどの係長を局において、あるいは営林署において管理職の中に今後入れていくかということ等についても、私たちは一応聞いておりますが、そういうこまかいことはここでは申しません。組合対策が中心にこの職員部というものが設置されたと、こういうような感じを持っておるわけですが、この点、長官ひとつ釈明願いたいと思うわけです。
  46. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 御質問の御要旨は、大体この職員部を設置することによって組合活動の弱体化をねらっておるのではないかというような御趣旨かと思うのでございます。私ども、先ほども申し上げましたように、決してさようなことは考えておらないのでございます。この管理者と申しますか、組合員以外の職員がある程度十分な数を持ちませんと、十分な労務管理というものもできかねるかと思います。また組織、責任体制もはっきりいたしませんと、適正な労務管理が十分に行なわれないのではないかという考え方に立っておるのでございます。先生の御指摘のような考え方は、全く持っておらないところでございます。
  47. 田畑金光

    田畑金光君 ことしの公労委の裁定案を見ましても、昨年の公労委の裁定案を見ましても、林野関係の職員については、その他の三公社四現業の職員に比べて、平均にいたしまして二%ずつ高い給与を裁定しておるわけですね、ベースを。これは要するに、林野関係の職員がその他の公社、現業職員に比べて給与が低いということを物語っておるわけですが、どういうわけで林野庁関係の職員だけは他に比べて低いのか。なお、今日どの程度その他の公社、現業職員に比べて給与ベースにおいて低いのか、これをひとつ御説明願いたいと、こう思うわけです。
  48. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 昨年及び本年の公労委の裁定によりまして、他の現業、公社のベース・アップに比較いたしますと、二%ずつ高い裁定が出ておるのでございます。この裁定は、御指摘のように、他の現業、公社のベースに比較いたしまして二%程度、より多く引き上げることが妥当であるという裁定だと存じておりますが、ただ現在の問題になりますと、林野庁といたしましては、ほかの公社、現業の給与状態を詳細に知ることが非常に困難でございます。したがいまして、現状におきましてどの程度低いか、商いかということについては、私どもとしてはここでお答えをすることが困難でございます。
  49. 田畑金光

    田畑金光君 私は、最後の長官の御答弁の中で、どの程度他の公社、現業に比べて低いかということは答弁困難と言われましたが、現実に公労委が、昨年もことしも、仲裁裁定に際して、林野関係の職員に二%、より高く勧告しておるということは、現実に低い水準にあることをそれ自体よく表わしておると思うのです。そういう問題についてこそ、私は長官がこういう委員会の席上、国会の中で明確に、こういう賞金、手当の面において林野関係の職員はまだ低い条件にあるのだ、やはりこれを正すことが職員部を設けて労働条件を改善し、福利厚生をよりよくすることがねらいだ、このくらいははっきり準備をし答弁なさることが、私はこの職員部を設けられる一番の目的でなければならぬと思うのですね。そういう点において、今のような不十分な、困難だというようなことで答弁ができぬということは、おそらく私は御承知の上で答弁されていないと思うのですが、願わくは、職員部を設けられて、この職員部の今後の仕事というものが、管理体制の量的な拡大という、組合対策をねらいとするのじゃなくして、もっと、国有林関係仕事に携わっておる林野庁の方々が、安心して喜んで働けるような、そういう体制を作るような職員部であるように、十分ひとつ御考慮願っておきたい。このことを強く希望として申し上げておきます。  私の質問は、これでやめておきます。
  50. 北村暢

    ○北村暢君 私は内閣委員会は初めてやって参りましたので、勝手がわかりませんのでございますが、しかも機構答の問題につきましてもしろうとでございまするので、ぶしつけな質問になるかもしれませんが、あらかじめ御了、永いただきたいと思いますが、まず、今度の機構改革案は、前回の改革——試験研究機関を中心とする機構改革案に続きましての農林省としては相当思い切った大幅の機構改革だと思うのであります。そこで、この大幅な機構改革案が提案されるにあたって、まず行政管理庁にお伺いいたしたいのでありますが、参っておりますか。
  51. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 行政管理庁はまだ参っておりませんので、行政管理庁質疑あと回しにお願いできないでしょうか。政府委員室から間もなく参りますけれども……。
  52. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ行政管理庁への質問あと回しにいたしまして、まず大幅機構改正理由でありますが、先ほど田畑委員からも質問が出ておりますように、農業基本法の第二十三条の関係からして新しい農政の体制に対処して機構改革をやろう、こういうことのようでございますが、農業基本法第二十三条の趣旨でございますが、私は、この農業基本法改正の際にも相当徹底した質問が行なわれたのでありますけれども、このような大幅の機構改革が行なわれなければならなかった理由は、私にはこの二十三条の解釈からいたしますというと出てこないのではないか。特にこの地方農林局の問題については、農業基本法の審議の際においても、ほとんどこの点については触れられておらないのであります。したがって、まあ非常に意外な気持を抱いておるのでありますが、この間の説明をひとつしていただきたいと思うわけです。
  53. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、行政組織というのは行政を執行いたします上において政府が便宜と考え、そのほうがより多くの成果を上げることができると考えました場合は、これは行政機構改革をいたしておるのが例であります。この二十三条の解釈につきましては、また政府委員のほうから御答弁申し上げますが、私はこの二十三条に規定があるとないとにかかわらず、画一農政はいけない、地域農政実行すべきであるということは、多年これは国会議員の諸先生方から要望をせられ、私どもは鞭撻を受けておった点であります。しかも、新しい農政方向農業基本法方向づけられ、そのためにやるべきことはいろいろございますが、先ほども申しましたような重大な農業基本法の柱になっておりますような点を、各地域実態に即して実行いたしますためには、どうしてもこういう地方農林局が必要である、これをやることによってさらにその効果を上げるものである、こういうふうに考えまして、こういう案を作成をいたしたような次第であります。御了承を賜わりたいと思います。   —————————————
  54. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) 質疑の途中でありますが、委員異動がありましたので、報告いたします。  ただいま松本治一郎君が辞任され、補欠として吉田法晴君が選任されました。   —————————————
  55. 北村暢

    ○北村暢君 その地域農政をやるということについては、私も決して反対ではないんです。ところが、この基本法の二十三条の補足説明の中にもありますように、「国及び地方公共団体の農業行政につきまして、その行政組織を新しい農政方向に沿いうるように整備するとともに、行政の運営につきましても改善に努めることとし、その趣旨を第二十三条において規定した」と、まあこういうふうに言っておりまして、「国及び地方公共団体は和協力する」と規定しているのであります。そしてそれは「国と地方公共団体がそれぞれの任務に応じて必要な施策を講じ、両者一体となって目標を達成していくようにするという趣旨」である、こういうことなんです。したがって、地域農政をやっていくということも、私は反対もしなければ何もしませんけれども、その手段、方法として、今回新たにこの地方農林局というものを設ける、このことが、地方自治と相協力して一体の態勢でいくといった場合に、必ずしもこの地方農林局というものが必要なんであろうかどうか、こういう問題が一つ。そこでおっしゃるとおり行政が一番よくいく方法であれば機構改革はやっていいんだ、まあそれは理屈はそのとおりです。しかしながら、私は今臨時行政調査会が検討を進めておる方向というものは、今大臣がおっしゃったように、行政のやりやすいように、機構がふくれようが何しようが、やっていっていいのだ、こういうむちゃなことはだれも考えていないと思うのです。したがって、まあ行政管理庁に最初にお尋ねしたかったのですが、見えましたですか。
  56. 石原幹市郎

    理事石原幹市郎君) ただいま行政管理庁より山口行政管理局長出席しております。
  57. 北村暢

    ○北村暢君 まあそういうことですから、まず行管も見えたようですから、ちょっとお伺いしたいと思いますが、今度の臨時行政調査会が設けられまして、行政調査すると、こういうことの中に、かつての行政審議会からの答申に基づいて臨時行政調査会は検討を進めておるようでございますが、その際に、「中央行政機関のあり方及び構造に関する問題」、こういう中で「行政組織全体の規模の縮小につとめ、必要あれば府省を統合すること。」、「外局はつとめて内局にすること。」、「行政機関の内部組織を縮小すること。」、「出先機関を整理統合すること。附属機関も所掌事務に従って分類・整理・統合すること。」、まあこういうことで、中央行政機関のあり方について一応の答申がなされ、それを目標——目標といいますか、それを議題として審議がなされておる。それからまた「国の出先機関の合理化に関する問題」が取り上げられておりまして、これも「地方出先機関は、」「所管ごとに統合し、」、「二重行政の弊の除去、関連する行政の総合的効果を高めるため所管の異なる出先機関を統合し、」、「存置する出先機関は権限を明確にして可決権を尊重すること。」、こういう答申案に基づいて臨時行政調査会は今検討を進めておるだろうと思うのです。したがって、むやみやたらにこれを縮小するということは私は賛成はいたしませんけれども、方向としては、中央機関においても統合できるものはする、なるべく合理化をしていく、地方出先機関についてもそういうことが要求せられておる、この方向だけは私は明らかでないかと思うのです。したがって、この方向については、どのように行管ではこの臨時行政調査会のあり方というか、方針といいますか、審議の方針ですね、そういうものをどのように考えておられるか、まずお答えをいただきたいと思うのですが。
  58. 山口一夫

    政府委員(山口一夫君) 臨時行政調査会におきましては、ただいま昭和三十九年三月の存続期間の終わりまでを目標にいたしまして、三つの部会に分けまして、専門委員の方がそれぞれ答申の骨子について検討をしておられ、その骨子につきまして臨時行政調査会委員の、破局のトップにおられます七人の委員の方がいろいろ指示を与えておられる段階でございます。臨時行政調査会とされましては、国民のための行政、これに必要な制度改革並びに運営の改善方針を打ち出したいという目標のもとに、もっと自由な立場において検討を続けられておるのでありまして、私ども行政管理庁といたしましては、その答申の出るのを待っておりまして、特に政府から諮問をいたしました以外につきましていろいろ御注文を出しておりません。なお、現在における審議の途上でございますが、非常に慎重な態度で方針をきめられつつある段階でございまして、特にお話しのございました中央行政機構あるいは地方機構等につきましては、まだ基本方針がようやく論議をされておる、され始めた段階でございまして、この基本方針につきましても、仮設というような非常に慎重な用語を用いられまして、大体こういう方針で基本的に考えていきたいという線を今出そうとしておるのであります。したがって、現在まとまった内容でどういう方向が出ているかということにつきまして、まだ調査会自体といたされましても、それを発表される段階になっていないと思うのです。ただしかし、全体の行き方といたし議しては、これまで数回の行政改革に関する審議会におきまして、またただいま御指摘のありましたような個々の問題の線につきまして、大体そういうことが論議された結果として今回の臨時行政調査会が発足したわけでございますが、当然調査会におきましても、ただいまのような線を十分に考慮に入れられまして、今度の調査会としての基本原則を近く打ち出されることになっている、かように考えております。そういう状況でございますので、今直ちにどういう結論が出つつあるかということを、まだ申し上げることのできない状況でございます。今後調査会の調査の進展に伴いまして、答申を受けました後におきましては、当然政府の責任において今後の改革に乗り出すわけでございます。調査会の行き方を十分関心を持って私ども見守っておる段階でございます。
  59. 北村暢

    ○北村暢君 もちろんまだ調査会は審議途中ですから、結論が出るわけもないし、何もないのですが、しかし臨時行政調査会の設けられた趣旨は、これはもう国民一般が知っているところなんでありまして、何もむやみやたらに機構をふくらませていくという方向で進むということは、これは常識的に考えられない。このことははっきりしているだろうと思うのです。そこで、農林省はそういう方向にあるのだから、この際この方針がきまったのでは、年来の地方農林局地域農政というものの考え方を実現するわけにとてもいかぬということで、農業基本法も制定せられたことであるから、この際ひとつふくらませるだけふくらませておいて、そして切られるときは、わずかに現状維持ぐらいでとまり得る、こういう深慮遠謀かどうか知りませんが、今度の機構改革は、局は一つふえる。地方農林局というものは出先を統合したものじゃなしに、機構自体としては相当にふくらむ、こういう形にあることだけは明らかだろうと思うのです。したがって、この点が今大臣のおっしゃっているように、行政の運営上最もいいものについては改革していくんだ、そういう非常に勇ましい御意見のようでございますが、私はほんとうの意味において、大臣のおっしゃっているように、地域行政がこれが生きていくなら、実はそういうこともいいかと思うのです。しかしながら、この案を見ましても、決して地方農林局が、大臣の考えられているような、地域行政に直ちに役立つような形にはなっていないのじゃないか、こういう疑問を非常に持っております。これは後ほどこまかく質問いたしたいと思いますけれども、そういう意味から言って、私はこれに非常に割り切れないものを持っておるのであります。まあ一応大臣がそういう答弁でございますから、聞いておきますが、後ほどそれについては大臣に詳しく質問をいたすことにいたします。  そこでお伺いしたいのは、行政のあり方としての地域農政をやっていきたい、このことは大いにわかるのです。しかしながら、従来の農林行政のあり方というものは、終戦後のあの食糧事情の悪いときに食糧増産政策というものが行政の中心であった。それで国家の要請によって、いわば権力的な行政すらやった。これは一般に言われておるところでございます。農地解放等の施策もこれは行なわれたことも事実でありますけれども、反面、そういう権力行政的なことも行なわれたということは批判をされているところなんであります。したがって、この権力的な、国家目的的な意味からする農民を押しつけるところの、農民押しつけ的な権力行政というものは、私は改めてもらわなければならぬ。これは当然のことで、地域農政という考え方は、私はあくまで農民本位、農家経営というものを本位に考えた、農林省が農民にサービスをするという精神のもとにいくところの行政のあり方、これでなければならないと思うのでありますが、大臣も同感だと思いますが、お尋ねしておきたい。
  60. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それはもう多くを申し上げるまでもなく、全く同感であります。農業基本法は、すなわちただいま述べられました観念を基本理念としてできているわけであります。私どももこの農業基本法の定めるところに従って、今申されたような農政実行していく、こういう考えでおるわけであります。
  61. 北村暢

    ○北村暢君 そこで私は農業基本法の問題に返ってお伺いいたしたいと思うのですが、この地域農政として地方農林局を設ける、これは構造改善事業というものが非常に大きなウエートを持っている、そういう説明が先ほど来なされているわけなんでありますが、この構造改善事業そのものについて、私は今政府が推し進めようとしている構造改善事業、これについて私は非常な疑義を持っているのであります。したがって、今大臣から基本法の理念、行政のあり方というものについてはっきりせられましたので、権力行政はやめて、農民のためにやっていくのだ、これはもう理の当然であります。そこでこの構造改善事業の状況でございますが、私どもの理解は、この構造改善事業というものは、まずこの基本法の精神から言えば、技術経営の育成並びに協業の助長ということのために構造改善事業というものが行なわれるべきだ、このように理解をしておる。ところが、今政府実施しようとしておる構造改善事業が、一体どういう形になっておるかというと、これは先ほど来言われたように、主産地形成ということが主体になっておる、こういうことでございます。したがって、このことは私は非常にこの構造改善事業そのものが、基本法で言っておる構造改善事業と全然違うとは言いませんけれども、趣旨においては私は変わった構造改善事業というものが行なわれようとしているのじゃないか、このように思うのであります。したがって、この点についてひとつお伺いしたいと思うのですが、主産地形成というのが主体じゃないか、こう思いますが、いかがでございますか。
  62. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 主産地形成も、ところによりますと、それが非常に重点になるところもありましょう。あるいはまた協業の問題でありますとか、あるいは経営の規模の拡大の問題、さらにそれに加うるに主産地形成の問題、撰択的拡大をやるという意味から主産地形成の問題というようなものが、みなその地方々々の実情によりまして、これはからみ合って私はできるものと考えておるのでありまして、何も農業改善事業は主産地を形成するためにやるものでないことは、先ほども申し上げたとおりであります。   〔理事石原幹市郎君退席、理事下村定君着席〕
  63. 北村暢

    ○北村暢君 主産地形成をするために農業構造改善事業をやるのじゃない、こういうことでございますが、実際に今この構造改善事業が指定地域の選定に今かかっておるわけでございますけれども、一般の批判として、構造改善事業が、主産地形成が前面に出ていて、しかも、その実施基準というものが非常に苛酷であるために、せっかく構造改善指定地域になろうとしてもなかなかできない、条件に合わない、そういうことでもって、あまりやかましいので辞退をするというような形が出てきている、これは事実だろうと思うのです。しかも、基本法そのものの中にはなかったようでありますけれども、この構造改善事業が一般の地区とそれからパイロット地区に分かれておって、その一般地区というのが三千百の市町村について十年間でやっていく、まあこういうことで計画されておるわけであります。   〔理事下村定君退席、委員長着席〕 したがって、このパイロット地区というものと一般地区というものとですね、構造改善事業として取り上げられておるわけであります。どれだけの区別があるのかですね、私ははっきりしないのでありますが、とにもかくにもそういう形でまあ三千市町村構造改善事業をやる。しかも一町村に一カ所一億一千万でやる。こういう全国一律の型にはまった構造改善事業をやろうとするから、農林大臣がおっしゃっておる地域実情に合った構造改善事業というものが行なわれない。農民の意思に沿った、自主的な意思に沿った構造改善事業が行なわれない。ここに私は問題があるのじゃないか。したがって、ことしの今指定しようとしている、計画している中で、この計画がこなせるかどうかということについて見通しのほどをお伺いしたい。今申したような形の構造改善事業は、私は主産地形成ではないと言われるけれども、これは明らかにやはり一つの型にはまった主産地形成、こういう方向に持っていこうというふうに考えておるのではないか、これを私はそういうふうに思うのであります。したがって、大臣はどのように考えておられるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  64. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) ただいま御指摘の、農業改善事業が三千の町村に一億一千万でやる、したがって、どうも画一的になるおそれがある、あるいはまた、それで地方実情に沿わないものが出てくるおそれがある、こういう御指摘であります。私も実はそれを非常におそれておる。そこで三千町村一億一千万というのは、予算であります。そこで私は実行の問題といたしましては、これは一応予算でそういうふうになっておるのでありますが、実行上の問題といたしましては、まず第一に、私はその地方の熱意があるということが第一。それから第二は、その計画が適切であるということが第二。そうして適切なそれを指導をする地元の人がいるということが必要である。これらの観点から考えて、そうしてその計画が一億一千万以上かかるものなら、それはふやしてよろしい。一億一千万以上、二億かからなければできぬ、適切な計画にならなければ、二億でもよろしい。そうしてまた予算実施町村二百、こうあるけれども、それは二百でなくともよろしい。熱意があって、適切な計画がある、中心人物がおるというようなところが少ないならば、少なくてよろしい。まずそういうもののあるところから始めていくという私は方針をとっておる。でありますから、ますますこの地方農林局というものが地方にあって、その地域実情を十分に調査し、またその実情に精通するところでこの計画審査とかなんとかというようなことはみなやってもらわなければ、東京で現在の振興局でこれを担当していくといっても、とうていこれはむずかしい、こう私は考えておるものであります。全く、ただいま北村さんの御指摘の点は、私の心配している点であるわけであります。現在の方針は、私がただいま述べましたような方針でいきたい、こう考えておるのでありますが、それにはどうしてもこの実施面におきましては、東京であればどうしても画一的になりがちであります。それでは実際の地域の、地方実情に即した構造改善事業というものは実を結ばない、こういうふうに私は考えて、いろいろ御意見もありますけれども、私はどうしてもこの地方農林局というものの設置が必要であるということを信念として持っておるわけであります。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 なかなか、大臣はすぐ地方農林局にくっつけて答弁せられる。私はこの地方農林局の問題の以前の問題をやっているので、実際にここの国会の国立図書館からベルト地帯農業近代化のいろいろな実態調査をやったものが出ておるのでありますが、ここで非常に例が出ておるのです。それは構造改善対策として行なわれておる愛知県の例なんでありますが、しかも、この愛知県の愛知用水がすでにもう通りまして、そしてやっている地区に構造改善事業が指定をされておる。それを今その町村が受けるか受けないかということで計画を立てている。これは今申したように、愛知用水といえば多目的ではやりましたけれども、受益地域が二県十市二十三町三村というのですから、膨大な事業である。しかも、これは全額愛知用水が事業をいたしまして、それから受益者が今後金を払っていく。こういう受益者が払っていく。こういうところなんです。しかも、さらに指定をされたのが二カ所あるようでございますけれども、実際にはこの愛知用水の、あれだけ大がかりでやったものが、愛知用水そのものがその後における農業計画というものの計画性というものがなかった。あるいは地域の受益者の住民に対して愛知用水の効果というものについて知らされていない。農民は非常に無知である。したがって、せっかく愛知用水をやった、実施した水利事業、開拓、こういうものの効果が、非常に今やろうとしている構造改善事業と密着しておらない、こういう実例があるのです。ここに出ておるのは三好という地区の例が出ておるわけでありますが、相当な開拓地もあるわけなんです。しかしながら、それが経営規模拡大するというような生きた形の自立経営ということと結びついておらない。こういう例がある。これはいかに農林省が、そういうこれだけの機構を持っておって、そしてずさんな計画実施されたかといういい例だと思うのです。したがって、今愛知県知事はこれに対して愛知県としての実は計画を、地方計画協議会をもって計画を立てて、これからやろうということのようであります。それが三十三年から四十年までで七百十二億円の事業量をもって資金を投下してやろう、こういう段階にあるわけです。愛知用水、豊川用水、こういう国営事業を根幹として、これからこの地域の開発計画をやろう、こういうのに七百十二億かけてやろうというのですね。ところが、これに対して構造改善事業というのは、今大臣から言わせれば、相当ゆとりがある。一億一千万でも、二億でも、三億でもいいような話でございますが、しかし、それも一億一千万という、一般地区にして九千万のうち四千五百万が国の補助、あとはこれは自まかないで金融その他でもってやらなければならない問題が出てくる。したがって、今直ちにこういう負担を負わなければならない、こういう問題ですね。しかし、そういう負担を金融その他で借金をして計画をやるわけですから、構造改善事業といえどもただではできない。かなり金かけてやる。そのやり方が、一つにはこの農林省構造改善実施基準というものが非常にきびしいために、水田地区ならば、水田対象の電熱育苗施設、十七馬力以上のトラクター、自走式コンバインダー一カ所百五十ヘクタールを対象として、大規模の穀物乾燥施設、近代化施設の設置、機械化の導入、省力農業こういうようなものが、一つ水田の例をとるというと、こういう基準で、これに該当しないところはなかなかふるいにかかって許可は、基準に適しないわけです、何ぼ出しても。それで、まさしく出させ方は自主的な形になっている。いろいろ基準を示してありますけれども、市町村なりあるいは農民の農業協同組合その他の意見を聞いて自主的に計画をして出せ、これは村長なり市長はない頭をしぼってずっと計画を出す。出すんだが、この基準に当てはまらないためにだめだ、こういうことになる。こういうことなんです。しかも、こういう果樹地帯、あるいは酪農地帯、畜産地帯、みな違う。それが養豚とか養鶏とかいうものは一つの基準を、どういう基準を示しているかはっきりは知りません。知りませんが、一例をあげれば、今言ったような基準でもって計画は出さしておいて、それをふるいにかけて、これではなかなかだめだと突っ返す。そういうやり方でやっているのです。したがって、生産農民は実際には畜産もやりたい、何もやりたいと思っても、この一定の規模におけるそういうものが成り立たない限りは、たとえば畜産地帯であるということなら、その中に養蚕をやっている者とかなんとかおった場合に、成り立たない。そういうものをひっくるめて養蚕を転換しなければならないというような、そういうやり方をやっている。したがって、この基準に該当しないものですから、これは返上するという形が随所に出てきている。構造改善事業のいわゆる首唱者でありました河野さんの、全国で有名な神奈川県の津久井農協すらこれは返上をしておるのです。そういう実態にある構造改善事業というものは、私は、今大臣心配されているのだと言われたことが、これは役人的な気持から、かつての新農村というものが、いわゆる放送施設をしただけでおざなりの新農村だ、こういうことの批判を受けることをきらっているかどうか知りませんけれども、   〔委員長退席、理事下村定君着席〕 今度の場合、こういう非常な過酷な基準でもってやっておる。それがもう実態だ。どこもここも落第をする。こういう状況です。したがって、これでは基本法で私どもが説明を聞きましたものと全く違う。ここで第一条の、先ほど言った国と地方公共団体の相協力するという問題なんですが、そういう中で、地方公共団体の施策は、農業団体の自主的な活動と相待って講ぜられるべく、第一条の目的達成のためには、農業団体の活動に期待すべきものがあるのであります、こう言っている。したがって、この構造改善事業なんかも、農業団体、農民の自主的な活動というものを相当取り上げなければならないはずなんだ。ところが、今のやり方は、上から県に市町村に、市町村計画が出てきたものについてふるいにかける。こういうことなんで、農民の意思、農業協同組合の意思というものが受け入れられないような形になっておる。これでは構造改善事業を民主的にやろうと言ってもできない。ここに私は戦後の農林省の悪いくせである権力行政、上から下へ押しつけるところの行政というものがこの構造改善事業の中に現われている、このように思うのです。これはもうまことに農業基本法の精神から言えば反することなんだ。それが今日平然として行なわれておるという問題なんです。したがって、これは私は地方農林局を設けるとか設けないとかという問題以前の問題なんだ。農林省の官僚的な上から押えつけるところの権力行政というものが、いまだになくならない。それが今日のこの構造改善事業の中にはっきり現われているのだと、私はそう思っている。したがって、これは農林省行政のあり方、考え方というものは、大臣のおっしゃったような形にはなっておらぬ。ここに私は問題があると思うのです。これはもう事実の例としていろいろな例がございますが、今言ったこの愛知県の例なんかも、非常に条件のいいところですらそういうことなんです。したがって、土地条件のいいところですらそういうふうな状況であるから、この構造改善事業が、ここの文章でも言っているように、どういうふうな形で行くのであるか。また農道をつけるとか、あるいは若干の土地改良をやるとか、こういうようなことでおざなり的にこの構造改善事業は終わってしまうのではないかということを実際に行って見てきた人が心配をしているのであります。これが全国各地に相当出てきているということを大臣は知らなければならぬ。そこで大臣は先ほど、これは少なくてもいいのだ。少なくても納得の中でやってもらえばいいのだ。これでは私は計画というものは成り立たないと思うのです。そうじゃなしに、なぜ少なくなるかというこの根本の問題を、私は農林省は重大な反省をすべきだと、こう思うのです。
  66. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私が先ほど、少なくてもいいと申しましたのは、無理をして多くをやって失敗するよりか、しっかりしたものから順次手をつけて、できるだけよけいな多くの町村にやるがいい、こういう私の考えを申し上げたわけであります。ただいまいろいろ愛知県の例等についてお話しがありましたが、先般愛知県知事も私のところへ参りまして、今豊川用水でありましたか、さらに第二段の大規模の用水の計画を話して行かれました。こういう問題は、当然にこれは構造改善事業でそういうものが行われるわけのものではないのであります。多額の財政資金も必要とするのでありますから、こういうものは国営の事業といたして考えていくということは当然なことであると思うのであります。そういう問題と農業改善事業とは大いに関係はあるわけでありますけれども、そういう国営事業のような大規模なものまで構造改善事業だけでやっていくということは、とうてい至難なことであることは、これは御了解をいただけることであると思うのであります。それからなお、いろいろ標準について御指摘があったわけでありますが、これはもう実際地方実態に即さないような標準がありますれば、これは改めるにやぶさかではありません。しかしながら、この助成とかあるいは財政資金の融通とかいうような問題を、これまた手放しでしかるべくというんであっては、この弊害もまた多くなるのでありますから、そこら辺がやはり調整をいたさなければならぬ問題であると思うのであります。   〔理事下村定君退席、委員長着席〕 これはやはりその地域々々によってその実態に合うようなことで進めていかなければならぬと思うのであります。なお、その標準につきましては、ひとつ政府委員のほうから説明をいたさせます。
  67. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) ただいま構造改善の指定を受けた場合におきまする計画の基準、あるいは助成の基準についてお尋ねがあったわけでございますが、当然この事業をやります基本の考え方といたしましては、繰り返し申し上げますように、その地方々々の実情に沿った計画ということで考えておりますけれども、しかし、およそ助成をいたします以上、従来融資でやったもの、あるいは個人の私用に属するようなものといったようなものまでについて助成するというわけには参らないことは御了承願えるところだろうと考えるわけでございまして、したがって、その事業に対しまする相互助成をいたしますといたしましても、一応われわれといたしましては、助成の対象となるべきものにつきましては、一応の基準を設けておるわけでございます。ただ、先ほどお話しがありましたように、トラクターは何馬力なくちゃいけないというようなところまでぎしぎしはやっておりませんので、例をトラクターにとってみまするならば、これは一応乗用トラクターである。もうすでに効力耕耘機等——につきまして近代化資金その他の個人融資によってどんどん普及され、百万台も入っておるという状況でありますので、今後の農法あるいは技術体系等も考えまして、やはり相当の効率のいいものを考えていく必要があろう。愛知県では、御承知のように、集団的な稲作の営農方法がだんだん進展しまして、大型のホイール・トラクターを導入しようというようなからみ合いで、事業がどんどん行なわれているようなところもあるわけでございます。そこで今後のあり方といたしましては、トラクターに例をとりますならば、それは乗用のトラクターだけを助成の対象にする、こういう基準を示しておるわけでございます。あるいは農道あるいは施設につきましては、すでに土地改良法等におきましても、それぞれ、たとえば農道でありますると二メートル以上であるとかいうような一応の助成の基準がございます。これをそのまま、構造改善事業におきましても、助成の基準というものについては、そのまま採択の基準といたしておるわけでございます。したがいまして、今助成基準が非常に厳しいからというようなことで、地元のほうから返上機運があるというふうなお話もあります。私も聞いておりますけれども、返上ということは、現実事業をまだ全然やっていないわけですから、事業実施町村もまだきまっていないわけですから、返上ということは現実問題としてまだあり得ないわけでございますが、当初非常に甘く、新農村と同じようにいろいろ共同施設が自由自在にできるのだというふうに甘く考えていた村は、実際のこの趣旨の意味を理解するにおいて、そういうふうなことが出たかと存じまするけれども、当初よりこの趣旨について十分理解しておる町村におきましては、非常にまた熱心に、こういう方向で進めたい、こういう村もたくさん出ておることを申し上げておきます。
  68. 北村暢

    ○北村暢君 私は愛知県の例をとって、この地方計画構造改善事業でやるとかなんとか言っているのじゃない。愛知川水とか豊川の用水とか、こういう当初において事業をやってしまって、そしてこれから払っていくというところですね。こういうところは全国にそんなにないわけですよ。非常に条件のいいところですら、構造改善事業をやるとすれば、なかなか実施基準に触れてむずかしい、そういうことを言っておる。したがって、愛知県でこういうような状態なんだから、ほかではまだ困難なところが多いんじゃないか。したがって、この構造改善事業というのは、今局長も言ったように、安易なものではないのです。これはやはり一億一千万という、一般地区では一億一千万でやるけれども、その補助は四千五百万しかないのですから、それ以外の資金というものは、やはり公庫なり、近代化資金なりで払わなければならない。しかも、これは大体四割以上くらいが土地改良になる。こういうことも大体はっきりしているわけです。そういうふうなことで、やはり思い切った投資をしなければならない。投資をするのには、どんな企業だって同じなんで、先の見通し、もうかるかもうからないかわからぬで、構造改善事業だからといって、むやみやたらに投資するわけにはいかないのです。そうやってこの構造改善事業の豚なら豚をやれ、鶏なら鶏をやれと言われても、先の価格なり何なりというものの保証がない限り、農民は不安で投資はできない。こういうところにやはりこの構造改善事業の行き悩んでおるところがある。こういうことはやはり十分知ってもらわなければならないことじゃないか、こう思うのです。したがって、この構造改善事業だからといって、農民がふるい立って飛びつくような簡単なものではない。したがって、しかも、そういう画一的なものが出てくるので、私はこれはなかなか問題だと思うのですが、先ほどもちょっと触れたんでありますけれども、上から押しつけ的に官僚的だと、こういうことを私は特に申し上げたのですが、それは今農業協同組合が別な形として営農団地というものを計画して、自主的にその農業の改造、構造改善をしていこう、こういう努力をやっておるわけです。そして農業協同組合のやろうとする営農団地というものが、今政府がやろうとしておる構造改善事業とどういうふうにマッチしていくのか、ここら辺に問題がある。それでやはり大臣もおっしゃるように、この構造改善事業なり何なりというものは、将来の見通しを持って、しかも農民の自主的な熱意がなければできないんだ。何ぼ上からやれやれと言ってみたところで、できない問題です。したがって、農民がふるい立ってやれるような仕組みにならなければならぬ。そのためには、どうしてもやはり農民の自主性というもの、考え方というものをやはり取り入れなければいかないと思うんです。ところが、この構造改善事業考え方の中が非常に官僚的だということは、その農業協同組合のやろうとしているものを、下から盛り上がって指導してやっていこうというこの運動と構造改善事業がぴったりいかない。で、官僚的な構造改善事業というもので、こういう企画だということで押しつけるものだから、農民の意思というものが反映された構造改善事業というものは行なわれない。これはやはり大臣の今後の構造改善事業指導方針として、これはやはり積極的に農協が参加し、農政の中央会等もあって指導しているんですから、だから、農業協同組合の協力なくしては、構造改善事業も何も私は成り立たないと思う。町村がどんなにりっぱな計画を立ててやっても、農業協同組合がそっぽを向いてしまえば、これはできないんです。農民がふるい立つようなものでなければできないんです。ここに私は問題があるだろうと思う。したがって、この官僚的な構造改善事業というものが、一つの企画で押えつけるというところに無理がある。ここで私は今後の考え方を改めてそれよりも国がそういう一つの営農熱型というものを想定して、そうしてそれに当てはまらぬといかぬということではなしに、それは地域によって、相当の経験の中からやっていることは間違いないと思うんですから、そうむちゃなことはもちろんないでしょう。しかしながら、その幾つかの全国の営農類型の中でやるのではなくて、この構造改善事業というのは、やはり根本は技術経営農家というものができて、それから協業というものが促進されていく。これは基本法の精神であります。私から言えば、これはもう農業協同組合というものを奨励してやっていけばいい、こういう考え方を持っておりますけれども、基本法建前から言っても、それが問題なんです。構造改善事業の画一的なものができることだけが、それから主産地だけができれば目的を達するものではないと思う。やはりあくまでも農家の経営自体が問題である。農家の協業という問題が問題である。これが育成されていくような形でなければ、上からの構造改善事業というものは、私は成り立たない。したがって、大臣答弁は、いや、そういうものは総合的にやっていくんだ、こう言うのですけれども、今実際に検討されて、各町村なり何なり計画立ててやっている場合、農林省は背伸びして、はね上がっておって、これはもうお話にならぬ、こういうことの批判を受けておるわけです。それを私は権力行政だと言うんです。そういうものを押しつけていくということが、いやがるものを、補助金をやるんだから、恩恵的にやるんだからやれ、こういうことでは、これは私はやはり考え方を改めるべきじゃないか、この点はひとつ指導方針としてやってもらいたい、こう思うわけです。
  69. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 北村さんの御意見、おおむね私も同感のところが多いようでありますが、ただいまお述ベになりましたように、補助金をやるんだから一定の型を押しつけるというようなことは、やっておらないと思いますけれども、もしもそういうことがございましたら、十分にこれは戒心をいたします。また農業協同組合がこの構造改善事業実施するにあたりまして、その参加が非常に必要であるということは、私も同様に考えております。建前といたしましては、農業協同組合が参加をして、この計画の立案に当たるようになっておるのでありますが、それらの点が十分調整がまだできておらぬようなところがありましたら、十分に注意をいたします。
  70. 北村暢

    ○北村暢君 それから次に、まあ権力行政のことについて、しつこいようですけれども、どうもまだそのにおいのするものがある。これは御存じの米の集荷手数料、それから保管料の問題。御存じのように、米麦の集荷手数料は三十年に米が四十八円、それが三十六年、去年初めて二十円上がりまして五十円。そして本年度もすでに据え置くということでもって通牒が出ているようでございます。で、この間において、配給のマージンというのは、三十年でもって、これは卸売、小売含めてですが、二百八十七円。三十年に二百八十七円というものが、三十七年度で三十六年度より若干上がりまして、十四円上がりまして、三百九十六円になっておるわけです。米穀の配給マージンが二百八十七円から三百九十六円、このように上がっておる。にもかかわらず、米穀の集荷手数料はわずかに十二円しか上がっておらぬ。これで加え置きということでございます。これは今自民党の内部でも問題になっているようでございますが、一応この指示が出たようでございますが、これを改める意思がおありになるかどうか。
  71. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) その点は、先般も私陳情を受けまして、十分検討するように命じております。
  72. 北村暢

    ○北村暢君 検討するということは、変更することがあり得るということかどうかということと、それから、これのきめるときのいきさつが、農林省のやり方が私は権力的だと思う。というのは、八月十七日、全販が会議を持って、集荷手数料を上げてもらいたいということをきめて、そして農林省に陳情しよう、こういうことが会合が持たれて、間もなく、これが抜き打ち的に集荷手数料は据え置くということを通達する、こういうことが行なわれている。これは大臣御存じのとおり。そのやり方がどうも官僚的である。しかも、従来、この集荷手数料というものは、やはり問題になるのです。もう米の出回り期になって、なおかつきまらなくて、もたもたすることがしばしばあった。したがって、ことしはこれがなぜ早くきまったのかと言ったところが、いや、もう時期が時期だからきめたほうがいいというので通知したのだ、こういう非常に、あのときの農林水産委員会における食料庁長官の答弁、これは大臣御存じのとおり。話が出ているのですから。ああいう態度というものは、私はまことに官僚的な、しかも何といいますか、権力的な、きめさえすればいいのだ、しかも、今ごたごたしているというと、陳情が来てきめられなくなってしまう、もうきめて通知してしまえ、こういう考え方がないとは私は否定できないと思う。そういう権力的なやり方というものが官僚の中にある。こういうものを改めない限り、構造改善事業も、集荷手数料も同じでありますけれども、地域行政をやるということで、地方農林局を作ったから、それで地域農政でもってきめのこまかい農林行政ができるのだと、こういう誤った——それでできるのだということには、私はならないと思うのです、それは地方農林局を作ろうと。ないよりあったほうがいいのはきまっている。私どももそう思う。しかしながら、全体の関係から言って、私はこれがいいか悪いかという問題は確かあるだろうと思う。行政の観点から言って都合がいいだろう、農林省としては都合がいいだろうということ、このくらいはわかる。しかしながら、地方農林局を作ったから、それで農民の意思というものをすい上げてくるので、非常に地域農政とつながっていいのだ、この考え方は確かに説明のとおり。ところが、一歩誤れば、この地方農林局というものは、農林省の中央集権的な官僚的な権力政治というものを下へおろすところの機関になる。これを私は心配するのです。したがって、地方農林局を設けたから、農民の意思をよく聞くとか反映するとかいうことにはならない形が出てくる。今申したような、中央における官僚的な、中央集権的なこの考え方がなくならない限り、地方農林局なんか作ったって、くその役にも立ちませんよ。そういう実態が今日ある。この官僚主義というものを、官僚独善的な、権力的な、補助金による恩恵的なこの考え方を改めない限りいけない、こういうふうに思っておるのです。したがって、これは地方農林局を設けるとか設けないとかの問題じゃない。それ以前の問題として、態度を改めるべきだ、このように思うのです。
  73. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) いろいろ農林省の公務員について、おしかりを受けたわけでありますが、もうおっしゃるとおりであります。官僚独善的な態度はこのごろあってはならないことであります。せいぜい十分に注意をいたします。これはもう地域農政実行するために地方農林局設置する以前の、確かにこれは心がまえの問題であります。十分そういう点は注意をいたします。
  74. 北村暢

    ○北村暢君 それで米穀の手数料は考慮するというのだが、上げるほうに考慮するのか、据え置くほうに考慮するのか、どうなんですか。
  75. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは今検討しておりますから、上げるとも、据え置くとも、まだきめておりません。たとえば、先般も陳情に見えて、私はこういうことを言った。現在は当初と異なって、予約をいたして収買をする、当初は一人で五十俵やっておったかもしれないが、今日はそれがすでにルートに乗って、そして一人で百五十俵やれるかもしれない、それは全くそうだ、こういう話であった。そこで、御陳情の趣旨は、賃金が上がる、つまり給料を上げる、現在の平均の給料として考えれば、どれだけ上げなければならぬという陳情であった。そこで私は、今申し上げるようなことを言ったところが、そのとおりだ、だから、それはよく御検討願いますということで今別れておるのです。それで今食糧庁のほうで検討さしておりますから、その結果によりまして、上げるべきであるならば当然考えなければならない、こう考えております。
  76. 北村暢

    ○北村暢君 今、ちょっとわかったようなわからないようなことですが、いずれにせよ、再検討しなければならないようなことを、すでに通達か指示か出してしまうということ、これは私は、役人として、通達や通牒を出してしまうというと、役人というものは、権威にかけて引っ込めにくいのですよ。これは大臣も、次官をやられておわかりだと思うのです。だから検討するとかなんとかいっても、これは非常にむずかしい問題です。権威にかかわって参りますからね、くだらないことですが。したがって、通達を一たん出して、あれはあとから計算してみたところが上げるべきだったという結論が出ることはあまりないですよ。それを勇断をふるってやるかやらないかという問題なんです。われわれは計算してもらえばもう明らかに私は上げるべきだと思います。この内容のこまかい論議は十日の委員会でまたやるのですからいいですけれども、とにかく役人というのは発令したとか、通知をしたとかいうと改めませんからね。経験しておわかりでしょう、大臣。だからそこら辺のところを改めろというのだから、なかなか簡単にいかないんですよ。私もわかって質問しているのですけれども、わかっているけれども、がまんできないんですよ。だからその点をしつこく聞いているんだが、どうもわかったようなわからないような答弁なので、ごまかされはしませんけれども、ひとつ十分考慮していただきたいと思います。  それから次にお尋ねいたしたいのは、園芸局を設けるということでございますが、大体新設する園芸局というものの予算的な規模というのは一体どのようになっておるのですか。
  77. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 園芸局予算は、三十七年度におきましては九億七千万円程度を考えております。
  78. 北村暢

    ○北村暢君 大体予算を見ますと、園芸局というのは九億七千万の予算のうち、いただいた資料によれば、園芸振興というところまでは約十二、三億ですか、特用作物、テンサイ、ここら辺は特用作物に入っている。これに大豆、菜種、バレイショ原々種農場、こういうものまでひっくるめて実は九億七千万程度の局としての予算ですけれども、したがって、園芸局としての予算内容は、今申したようなことで予算的にもまことに微弱である。しかも、この園芸局の中に入ってくるものが特産課というのがあって、その中で豆、イモ類までこの特産課に入っておるわけですね。それで、園芸局という、特産というのは私はあまり聞かないのですが、日本の作物の中でイモとか豆なんというのは一体特産なんですか。私はあまり特産というふうには聞かないのですがね、普通の作物ですよ、何も特産じゃない。そういうものまでひっくるめて園芸局というものを無理やり作らなければならない——しかも、従来は一課であったわけですね。それを何かにひっつけて、ここでいえば総務課に経済課に園芸課に特定課というもの、で園芸局という、園芸局という名前はいいけれども、中のほうはたいしたことはない。こういう園芸局を今度新設するわけです。したがって、これはどう見ても、選択的拡大のチャンピオンであるかもしれないけれども、しかし、局にするということについては、よほど行政管理庁も緩慢に取り扱ったのかもしれないけれども、よく納得したものだと思うのですが、部にもならないうちに、行政組織上課から一足飛びに局になった。しかも園芸局というのについては、名前が悪いのかもしれないけれども、園芸特産局といえばいいのかもしれませんけれども、とにかくそういう局を設けた、非常に無理をして局を設けたというふうにしか受け取れないのですが、私はどうも園芸局だの蚕糸局だの、ここに蚕糸局長おられるかどうか知らないけれども、今どきひまで国会にも呼ばれないし、全く局長の見習いみたいな形で局長を作るというならいざ知らず、ひまな局長をあまり作らないほうがいいのじゃないかと私はそう思うのです。局長の見習いのようなことで局を作るというのはいけないのじゃないかと思います。なぜこんな園芸局なんというのを無理して作らなければ行政をやっていけないのか。
  79. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、今や畜産部門と園芸部門というものは、これは成長部門であります。課から一足飛びに局を作るというのは不思議なような御口吻でありましたが、たいていはみんなそうなんです。昔から蚕糸課があって蚕糸局ができた。畜産課があって畜産局ができた。みんなその時代々々の農政方向に従ってできた。園芸裸から園芸局ができて、私は今ここで断言をしてはばかりませんが、日本の園芸の将来というものは非常に発展をするであろう、また、発展させなければならぬと考えている。それがために局をここに作ったことはちっとも不思議はない。これは当然のことである。また、皆さん方の御要望も園芸局を作らなければならぬという御要望があることは御承知のことと思うのであります。
  80. 北村暢

    ○北村暢君 格好からいえば、四つ課を並べて、蚕糸局と同じになっている。将来蚕糸局は斜陽産業だということになってくると、なくなっていく可能性が出てくる、今の大臣の論旨からいくとだんだん要らない局はなくなっていくということにも理解できるのですが、とにかく特産課というものは、豆とかイモとかいうのは、これは特産でしょうか。何かこじつけではないですか。
  81. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは北村さんも御承知のことと思うのでありますが、特産課を創設いたしましたのは、たしか戦前であります。これは米麦に対して除虫菊でありますとか、ハッカでありますとか、あるいはイグサであるとか、大豆であるとか、そういうものでこれは特産課というものを作ったのであります。これは生産の技術におきましても、米麦と違ったところがありますので、特産課というものを設けた。そうして多くはこれは畑作であります。米麦といえば大体水田を主にするのでありますが、この特産課というのは畑作である。園芸も、先ほど申しましたとおりに、この選択的拡大というのも、何といたしましても、現在におきましては畑作転換が、作物転換がその中心をなしておると思うのです。そういう点におきまして、これは別な言葉で言えば、これが一つ畑作の局になるということにもなるわけであります。そういう意味で、この特産課をここに統合をいたしたものと考えます。
  82. 北村暢

    ○北村暢君 今の大臣の理屈はへ理屈で、畑作が特産課で今後園芸局でやっていくのですか。今後の畑作というものはそんなものでないと思うのですよ、私は。構造改善なり何なりやろうという中で、畜産なり何なりというものの関連の中でこの畑作というものは考えるべきなんで、どちらかといえば私はこれは従来の振興局、これで畑作振興というものを、この局で農業構造の一環としてやはりそちらのほうでやっていくのが適当じゃないか。特産課というのはおっしゃるようにお茶であるとかイグサであるとか、そういうのは普通作物からいえば特産的なもので、そうあるべきなんで、畑作まで特産課でやっていかなければならないという、そんな理屈は全然成り立たない。へ理屈もはなはだしいと思うのです、これは。  そこで、お伺いしたいと思うのですが、貿易の自由化と園芸関係でございますが、近く貿易が自由化されて、果樹についても自由化されるのじゃないか、こういう状況にあるわけでございますが、この点については、園芸局経済課なりどこかでやるのじゃないかと思うのですが、この貿易関係のことは、経済局のほうの海外関係の担当の部課とも関係してくるのじゃないかと思うのですが、とにかく貿易自由化にあたっての日本の果樹農業というものの影響についてどのように考えておられるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  83. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 貿易の自由化は御承知のとおり、これは世界の大勢であり、日本の貿易を伸展する意味におきましてもこれはやらなければならないことであります。昨年、本年の十月から貿易の自由化を行ないたい、十月から自由化するという目標を定めて、一応の品目が閣議で決定になっております。私は、大体この原則といたしましては、この閣議決定の線でやりたい、こう考えておるのでありますが、しかしながら、申すまでもなく、農家に非常な影響を与える、あるいは農産物の加工業者に大なる影響を与えるというようなものにつきましては、国際競争に耐え得る関税その他の措置を講じた上でないとこれは実行をいたさない、こういう考えを持っておるのであります。適切なる国際競争力をつける手段がいまだ見つからないものにつきましては、しばらく延期をしなければならぬかとも考えておるようなわけであります。  そこで、農産物につきましては、当時きめられたもの、よく言われるものはレモンであるとかあるいは柑橘であるとかいうような問題であろうと思うのでありますが、これらは昨年の日米経済閣僚懇談会の際に話がありました。日本の柑橘をアメリカ側で輸入を禁止しておる間はこれは自由化しない、こういう方向で現在は参っておるようなわけであります。
  84. 北村暢

    ○北村暢君 この自由化の影響ですが、今おっしゃったように、関税の措置その他をして、国内の果樹振興に支障のない形で、原則として自由化するんだということのようでございますが、自由化したならば、私はこの自由化した場合に一番問題になってくるのはバナナだと思うのです。レモン等は、これはもう国内生産が非常に少ないですからたいしたことはないんで——レモンをそうむやみやたらに食べる人はいないんですから、たいしたことはないと思うのですが、バナナは、これは柑橘、リンゴ、主要な日本の果樹生産に影響がくる、このように思うんです。関税の措置をいたしましても、自由化すればこれは相当安くなる。今、関税はこれはむやみやたらに取れませんで、現在関税が二〇%、それからほかに輸入の原価の八〇%ぐらいになるんでしょうか、差益金というものを取っておる。これは御存じのとおり、バナナを輸入したために年間二十五、六億の差益金が政府に入っておる。この差益金というものは、自由化した場合には私はなくなるんじゃないかと思う。取るわけにいかなくなってくる。自由化していて差益金を取るわけにはいかないと思うのですが、そうなれば、このバナナの価格というものは大体現在のやや半分近い値段に——半分までいきませんかもしれませんが、半分近く安くなる。そして輸入量においては約十倍からのバナナが入ってくるんじゃないかという懸念があるわけでございます。そうしますと、バナナとリンゴとミカン、これは季節にも若干影響がありますが、バナナは、まあ台湾、中南米その他を含めれば、年間通してバナナというものが入ってくる。そうするというと、これから非常に大きな、やはり日本の果樹振興の政策の上に支障がくるんじゃないか、このように思うんです。したがって、今大臣がおっしゃられる、状況を見て果樹の自由化というものは考えるということを言われておりますけれども、これは御存じのように、コレラの発生による台湾バナナの輸入が禁止せられるということについて自由化を一時思いとどまろう、こういうことなんであって、原則的には今大臣がおっしゃったように、入れる、こういうことだと思う。したがって、これは時の問題なんで、一年か半年かおくれることで自由化されるということは事実のようです。そうしますと、この影響というものを私は非常に深刻にこの日本の果樹産業というものは受けるのじゃないか、このように思います。だれが見てもリンゴとミカンとバナナがあれば、これはやはり栄養のカロリーから言ったって、うまさから言ったってバナナに手が出るのが普通なんです。したがって、リンゴより、 ミカンよりも安くなったということになるとこれはたいへんなことになるのじゃないか、このように思いますが、どのように考えておりますか。
  85. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) バナナの問題は関税二〇%と言われましたが、前国会で三〇%に改正になったんです。そうして暫定関税定率五〇%ときめられたんです。それから差額を取る法律がございました。これは前国会で廃止になったんです。そうして現に今年の六月から施行になっておるのです。これは、だから、バナナの輸入ということは、すでにバナナを自由化するということは軌道に乗ってその途中まで来ているのが現状であります。でありますから、私は、これはやはり前の方針に従ってバナナは自由化するよりはほかはないと、こう私は原則的には考えておる。しかし、先ほど御指摘のありました台湾のコレラによるバナナ輸入の禁止の問題です。御承知のとおり、バナナはほとんど台湾バナナが日本に来ておる。そうすると台湾から言わせれば、米かバナナかと、こういうことになる。南方諸国のものを日本が幾らうまいことを言って、協力するだ、何だ言ったって、向こうのものを買ってやらなければ日本の商品が出ません。これは協力体制はできるものじゃない。そこでそういう台湾にとっては重要なバナナが、コレラのために一年あるいは一年半、日本に入ることができない。その留守にあまりゆかりのない、まあどうでもいいと言っちゃはなはだいけないが、エクアドルとかあるいは南方の小さな島々からどっと日本にバナナが入ってくる。そうすると一体台湾がどう考えるだろうかということが私は問題だと思うのです。そしてこの問題はまだ政府としてはきめておりません、きめておりませんが、事情は今私が申しましたような事情になっておることを御了承願いたい。  それからバナナが入ってくれば、非常にそのバナナが今の十倍も入ってきて値段が暴落するようなことをおっしゃいますが、私はそう考えていない。現在台湾バナナが入ってきておりますのが、従前は一割程度入ってきておったんです。それが現在では三%ぐらいではないかと思うのです。金額にいたしまして四十億くらいのものじゃないかと思うのですが、これがまあ百億を少々越えるかあるいは百億より少ないかというぐらいの輸入に私はなるのであろうと思うのであります。それが関税五〇%かけますというと、そう安くならないと思うのです。そうしてこれを今ちょうど計数を持っておりませんが、リンゴの値段で、バナナが相当安くなったのを想定してリンゴの値段と比べてみますと、やはりそれはバナナのほうが安くてうんと入ってくるということには、おそらくならないと私は思っておるわけであります。ミカンに至りましては、これはもう問題にならない、こう考えて私はおるんです。したがって、バナナが入ってきたために日本の果樹が非常に大きな影響を受けるというふうには考えておりません、現在のところ。しかし、先ほど申しましたような事情でございますので、これは政府としては、そういう国際貿易の点も考え、これを慎重に対処をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  86. 北村暢

    ○北村暢君 これは大臣の認識は非常に違うのですね。そういう甘い認識であったならばそれは貿易自由化していいでしょう、大臣のおっしゃるようなことならば。そういうことにはおそらくならないのじゃないか、見解が非常に違います。それはですね、台湾バナナは確かに味の点からいっても質の点からいっても、現在においてはこれは台湾バナナに品質的からいって、味の点よりいってかなうものはないのです。しかしながら、現在はそうだということでありまして、今日日本人の口に合うような、嗜好に合うようなバナナが台湾だけでないのです、東南アジアの諸国にも今日本の技術者が行って日本人に向くバナナの栽培方法を今訓練しているのです。御存じのように、ユナイテッド・フルーツというのはこれは世界一のくだもの会社で、しかもこれが台湾バナナをはるかにしのぐ中南米に今、日本を対象にしたところのバナナ園を作っておる、これは御存じだろうと思うのですがね。こういうものが台湾だけじゃないですよ、日本が今バナナを自由化するということがもうすでにわかってきているので、そういう意味で今ユナイテッド・フルーツにしても東南アジアにしましても、今しのぎを削って自由化をねらって日本人の口に合うバナナを作ろうとしておる。したがって、どんどん入ってきますよ、これは。したがって、価格の上においてもこの五〇%の関税にしたということのようですけれども、関税というのは大臣そんなにべらぼうにかけていいものですか。これは関税法でどういうふうになっているか知りませんけれども、そんなにむやみやたらに関税なんてかけられないですよ。これは調べていただきたいと思う。それから差益金は何月になくなったと言ったですか、五月だか六月になくなっちまったと、こう言っておるようですけれども、冗談じゃないですよ。八月にあのコレラで処分をしたバナナは全部差益金を、その三億ぐらいの損害のうち差益金は約一億五千万くらいの、約半分に近い差益金を払っているのですよ。そのことはこの前の委員会で大臣、いえこれは取り過ぎているから、工合が悪いから払い戻したらよかろうといって大臣答弁したじゃないですか。あなた、八月のバナナはそうなっているのですよ。今の大臣答弁は間違いでないかと思いますが、間違いでなければ差益金は取っていないはずだ。ですから、これはどこからそういうふうなことになっているのか知りませんけれども、差益金は今厳然として引かれていますよ。したがって、これは差益金というのは、今言ったように、相当高いものなんです、これは。差益金というのは五〇%近いですよ。これをなくしても関税を上げて、関税がそれじゃ差益金を除いたくらいの関税に上げられるかといったら、それはもう原価の倍くらい、倍以上の関税にしなければならなくなる。したがって、現実に差益金をなくすれば、五〇%の関税にしたってバナナの値段は下がりますよ。明らかに下がりますよ。そういうことで、これは役人がどういうふうに計算したか知らないけれども、実際に今バナナを輸入しようという死活の問題で、もうかるかもうけないかという人の計算が、ちゃんとバナナはこのくらいの値段になるだろうと言っているのですよ。役人なんか自分が損するのじゃないから適当に計算をやって国会答弁に間に合うような計算をするかもわからないけれども、実際にバナナを輸入して今もうけようという者は、今大臣の言ったようななまぬるいことでは計算しておらぬですよ。よくそれは調べてみて下さい。そんなことにはなっておらぬですよ。ですから、このバナナ問題が大臣のおっしゃるような貿易自由化をして、今後の日本の果樹振興に影響ないということはあり得ないと思う。しかも今、果樹振興法が通ったのは去年かおととしでしょう。果樹振興法で、果樹植えて来年すぐなるというものじゃないですよ、これは。今日あなたミカンの木植えたって、とれるのは五年か十年後になってくるのですね。そういうものが今まだ、この育成でどんどんミカン畑をふやしていくという段階で、そうして保護してやっていかなければならないという段階で、そういう手放し的な形で私は楽観は許されないと思う。そこら辺は大臣の認識はおかしいので、そういう考えだから農民は不安がって、果樹振興だなんていって植えていいのだか植えて悪いのだかわからないですよ、そんなのんびりした答弁をしていると。これはもっと真剣にひとつ考えてもらう必要がある。これは台湾のコレラが出たから一時的に一年どうこうという問題以前の問題として果樹をやっている人の陳情が今日農林省にちゃんと来ているじゃないですか。そういうことを無視して果樹振興だからと、選択的拡大であろうと、先が不安でそんなことできないですよ。そこらのことは慎重にやはり大臣は考えてもらわなければいけないと思うのです。幸いにして台湾のコレラが発生して一年間ぐらいは延ばさなければならないような状況であるようですから、一年間十分よく考えて検討して、それからもう少し延ばすか延ばさないかきめたらいいでしょう。私は特にその点は今の大臣答弁では納得いたしませんよ。もう少し慎重にやるべきだと思います。そうでなければ日本の今果樹振興やっている生産農民はうだつが上がらぬです、そういう考えじゃ。
  87. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 関税はそうむやみに上げられるものじゃないという御意見、これはごもっともなことです。ことにガットに関係をした関税はなかなかめんどうなんです。ところが、バナナは台湾にしてもどこにしてもみんなガット加入国じゃないのです。そこで昨年五〇%に暫定定率をいたしますときに、私はもちろんまだ農林大臣に就任をいたしておらなかったのでありますが、もっと上げたらどうかということを私は主張した一人なんです。ところが、まあそれは上げれば上げられぬことはないけれども、まあ一応これでひとつやってみたいという当局の意見であったから、私は五〇%でがまんしたのです。やってみていけなければ私は上げたらいいと思う、これは。六月の施行云々の問題は、これは法律があるからひとつよくお調べを願います。この間のコレラで輸入禁止をして焼き捨てたりなんぞしたのは、政府に納金をしております、これはもうおっしゃるとおり。ところが、あの納金をするのは、前に為替の割当をもらう、それには契約がなければならぬ、契約をしたら為替の割当をもらうというなら、あの金政府に納入しなければ割当を出さぬのだから、七月にそれは焼き捨てられてもずっと前に五月なり四月なりに契約があるものだから、金払っておるのですから、だからそれは少し誤解であろうと思うのです、北村さんの。それからミカンの問題が出ましたが、これもよくお考えを願わなければならぬのは、日本のミカンは外国に輸出する、ことにミカンのカン詰というものは、御承知のように、相当量これは輸出をしておるわけです。都合のいいものだけは向こうで、アメリカに対してみんなおれの方へ入れろということを言うておる。そうして今のように僕は心配していないのだが、北村さんは心配しておられるが、そういう心配があるのではみんなだめだというのです。これはあまりどうも得手勝手過ぎやしないかというふうにも考えられます、実際問題として。だからこちらのものが輸出商品になっている分は、これはよほどよく考えていかなくてはならない。非常な影響を及ぼすようなら、むろんこれは影響しないような方法は講じなければいかぬ、こう私は方針としては考えておるわけであります。そこらの辺もひとつ十分御研究をいただき、そうして御考慮を願いたいと思うのです。
  88. 北村暢

    ○北村暢君 ただその果樹がこれから国内生産をどんどんやっていこうというのでしょう、しかもそれを振興して今ミカン、ブドウ、桃というこれから望みのあるものを伸ばしていこう、しかも相当保護してやっていこう、補助金を出してやっていこう、こういうことでしょう。だからそういう時期なんで、りっぱに競争ができるようになれば私は何も輸入するのを貿易の関係からいって無理やり押えようとかなんとかといっておるのじゃない。ただ、振興、助成している段階だから、特にやはり一方では補助金出しているのですから……。そしてミカン園芸の畑を造成することに対しても補助をしているのだから、そういう時期なんだから、これは慎重を要するのじゃないか、ただ、国際的な関係だけで処理できないものじゃないか、それだから慎重にやってくれといっているのですよ。したがって、何でもかんでも貿易自由化いかぬ、こういって強引に言っているのじゃないのです。そこら辺のところを十分参酌してもらいたい、こういうことです。
  89. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと関連をして。実は私はまあ自由化と、それから国内の産業、それから農業に対する影響というものは、これはまあ非常な重大な問題だと思って商工委員会で質問をして参ったのであります。そうすると、十月から九〇%の自由化を実施するという方針はきまっているが、一つ一つの産業についてどういう影響があるかということはあまり調べてないわけですね。十月といいますと、もう一カ月ない。それなのに、これはまあ農業はおありなのか知らぬけれども、一般産業についてはどういう影響があるという点では、十分調査ができないで資料が出てこない。で、日本の産業の中でおくれているものもありますから、まあ全体的におくれていますけれども、この間問題になったのは石油だとか、あるいは化学、あるいは自動車、まあいろいろな問題になる産業について聞いたのですけれども、そうすると、そこで特に自動車産業のごときは、これは何も対策も立っておらぬし、十月からの自由化を延期しなければならないと、こういう答弁があったのです。農業の点についてもこれは国際的に見ると、やっぱりおくれている部面、特にあります。無制限に自由化、無計画的に自由化するならば、潰滅的な影響を受けるだろうと考えられる一つのやっぱりこれは産業です。そしてバナナについて先ほど十億ぐらい入っても云々ということですが、あるいはくだもののカン詰め、あるいはコーン・フレーク、それらのものについても予想がちゃんと立って、それから価格その他の点についても調査が済んでそれでおやりになろうというのか、その辺はひとつ伺いたいと思います。で、今北村委員からの御質問があっておりましたが、バナナについても、これは私はまあ農業のことは十分知らぬのですけれども、たとえばユナイテッド・フルーツ等、日本への輸入を目標にしてフイリッピンにも大きな農場が作られつつあるという。こういうことまである。そこで、自由化されたらどのくらい入ってくるのか、あるいは価格がどうなるのか。とにかく腰だめの議論じゃなしに、詳細な調査と、それから価格、日本の農業に対する影響等が詳細に調査されて、それで自由化してよろしいと、こういうことなのか、そうでないのか。ひとつこの辺について私ども検討をしなければならぬと思う。これは政府全体について私はそういうことが言えるんじゃないかと思う。これは党を越して——今から、十月一日を控えた九月になってから、これから調査をしようという調子のようです。たとえば、それはコーン・フレークにしても、従来の日本の消費はそうたいしたことはない、こういうことかもしれませんけれども、しかし、食品構造といいますか、これが変化しつつあることも事実であります。外国資本によって、その他の品目についてもそうですが、相当大きなやっぱり広告、キャンペーンが行なわれつつある。あるいは拡大されつつある。そうすると、嗜好だとか、あるいは食品構造等についても変化を考えなきゃならないだろうし、それらも十分調査をしなければ、正確な対策というものもとられないだろうと思うんですが、どうも今までの印象を受けると、さっきからの大臣答弁ではございませんけれども、腰だめのとにかく議論、あるいは腰だめの考え方ではないかというまあ印象がする。それからその中に、たとえば、バヤリースじゃありませんが、自由化になって、ジュースあるいはくだもの、その他の資本がどういう工合に入ってくるか。これは今予想される事態よりもずいぶん違ったものが考えられるはずであります。それらの点を十分調査をし、そして対策を立てなきゃならぬ。不用意に自由化をしていくと、国際的におくれておる農業のごときは、潰滅的な打撃を受ける産業の一つだと思うんですが、どうも十分な調査とそれに続く対策が立てられていないように思うんですが、一つ一つについて具体的に御答弁をいただきたい。
  90. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 決して腰だめでこういう重要な問題を取り扱っておりません。できるだけの調査をいたしまして、数回にわたって私も相談をいたしておるような次第でありまして、問題は判断の問題であります。農林大臣としては大体の判断を持っておるのでありますが、これはやはり政府としてやらなきゃならぬことでありますので、近く経済閣僚の間で十分相隣をいたし、各方面から検討をいたして、最後の決断を下すつもりでおる次第であります。先ほどのバナナにつきましても、そういう印象をお与えしたということは、私の表現が悪かったのでありますが、これはバナナだけについて申し上げても、これはちゃんと調査資料によって先ほど申したようなことを申したわけであります。本日はその資料を持っておりませんから、私の記憶いたしております程度のことを申し上げた次第であります。
  91. 吉田法晴

    吉田法晴君 バナナについても腰だめ的な答弁しかなかったわけでありますから、数量あるいは価格、それから外資の入ってくる動向等を含めて具体的に御答弁がなければ、腰だめだと言った非難はこれは撤回するわけに参りません。事務当局の説…を含めて、もう少し数字をあげて具体的に御答弁いただきたい。
  92. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これはまだ終局的にはいずれとも決定をいたしておらない問題でありますので、いずれ、これは適当の機会にその内容も十分御説明をする機会はあろうかと思いますが、ただいまのところは、今私が申します程度のことで御了承を願いたいと思います。
  93. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃバナナの点は、台湾からのコレラ云々という点もあって、自由化を延期した云々ということのようですが、当分というのか。あるいは、言われておるのは一年ぐらい云々というような話もありますけれども、それからその他のコーン・フレークだとか、あるいはくだもののカン詰とかいったものについても、十月一日から自由化、自由にするのだ、こういうことじゃないわけですか。具体的な品目についてもまだきまっていないのですか。
  94. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 先ほど申しましたとおりに、バナナも一年延期するとか、一年半延期するとかいうことをきめておりません。が、今までの政府国会との間では、すでに関税も五〇%に引き上げ、それから差益の徴収をするという特別会計法も廃止をして、六月から廃止になっておる。こういうところから見れば、私のこれは判断でありますが、バナナについては国会並びに政府の間でも自由化するという方針を確立して、もう動き出しておるというのが現状なんです。その途中にまあ今あるということだろうと私は思うのです。ところが、コレラで今の台湾バナナの輸入が禁止せられたというこの新たなる事実をどう見るかということが問題であろうと思うのです。かりに一年なりあるいは一年半なり、これを差額徴収を延期すれば、そうすれば、その間の差額を徴収することを一体どうするのだ、こういう問題が新たに起こってくるわけであることは当然のことなんです、これは。だから、すでに国会政府の間では、これはいつから自由化するかどうか知りませんが、とにかく前国会においてそういうすべての段取りができておるのです、現在。そこへもってきて、台湾のコレラ事件が起こった。台湾バナナがここでしばらく入らない。これが一体日本と台湾との間でどういうふうにこれは影響を及ぼすかということが、今後の私は問題だろうと思うのです。
  95. 吉田法晴

    吉田法晴君 台湾バナナをコレラの関係でどう処理するかということが問題になっている。しかし、さっきの説明によると、バナナの問題は十月一日から自由化するという方針はきまっておる、大綱がきまっておる、こういうお話ですが、その他の品目についても、まあコーン・フレーク、あるいはくだもののカン詰等については、これはきまったものだと、これは従来の説明から言うと了解をするのですが、しかし、それらの問題についても、どのくらい入ってくるのか、あるいは価格がどうなるのか、影響がどうなるのか、そういう点についての十分な調査がなくて、自由化するのかせぬのか、これははっきり言って下さい.あなたの説明によりますと、バナナについては自由化の方針はきまっているが、しかし、台湾のコレラの問題から台湾バナナは入ってこない。しかし、それじゃみなコレラがなくなったらすぐに輸入をするのか、それはコレラからの原因です。そうじゃなくて、バナナの自由化を実現をしたらどういう影響があるかという点を検討をして、各品目別に対策を立てなければ、自由化に踏み切るべきじゃないのじゃないかという議論があり、その議論をどうするか、これを私は言っているわけです。
  96. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) バナナにつきましては、先ほど来申しますとおりに、すでに政府国会との間に自由化するという方向で進行をして、法律も廃止し、関税も上げておるというのです。しかし、私は新たに農林大臣に就任をいたしましたので、内容を再検討をしたのであります。そうして、先ほど申しましたとおりの結論であります、こういうことを申し上げたのです。まだきまっちゃおりませんよ。いよいよ最後のあれは、先ほど来申しますとおり、経済閣僚会議でこれはきめますから、今政府で、ここで私が政府としてはこれはきめたということは申し上げかねる、そういう段階に今あるわけです。それからカン詰についてのお話でありますが、カン詰はこれはもう自由化になっておるのです。ただ、問題は、桃のカン詰がどうかということだけだと、私は記憶しておりますが、よくお考え願わなければならぬのは、先ほどもミカンについて申したのでありますが、こちらからは膨大なミカンのカン詰が出ておる。ミカンをアメリカで買えと、これを輸入しなければ、レモンやサンキストは、日本は自由化しないと、こう言って、こっちから出るものだけは、同じ果樹のカン詰で、出るものだけは出ておって、それは禁止しては困ると、こう言って、今度、こっちへ入るものは、どんな零細な、どんなたいした影響のないものでも、それはだめだと、こう言ったのでは、これは、ちっと虫がよ過ぎるじゃないかと、私自身は考えておるのです。しからば、桃のカン詰を自由化したら、どういう影響があるか、これを調べたかと、こういう御質問でありますが、もちろん調べております。調べた結果、たいしたことはない。こっちのものだけは向こうに出る。向こうから入るものは、みんな断わるようなことをするほど、たいしたものでない、こう私は考えております。しかしこれは、最後の決断は、政府としてはしておらぬ、こういうことを言っておるのです。
  97. 横川正市

    ○横川正市君 関連して。私は、大臣の買ってやろう、売ってやろうの関係は、これは、今の日米の貿易帳じりを見ると、これは入超ですね、実際上。だから、売ってやろう、買ってやろうで、この問題を論議して結論をつけようなんというのは、少し虫がよ過ぎると思うのです。少なくとも、今、私の言っておるのは、国内での生産が、農林省の方針に従って育成されて、それが農家経営にプラスになる、そのことを主題にして論議をしておるわけです。ところが、それは、輸入の問題と関連して、自由化の問題と関連して、脅威がくるのじゃないかと、この点を論議しておるのであって、あなたの答弁の中で、アメリカと日本との関係は、いかにも、何か、出超であって、アメリカは、日本の品物をどんどん買ってくれて、日本がアメリカから買うものは少ないような言い方をするわけだけれども、去年の帳じりは半分じゃないですか、実際の日本からアメリカが買った実情は。これは、予算委員会で明らかにしたように、もう少し買ってもらうようにしたらどうかということを言っているわけだから、そういう、何か、事実と反するようなことで、答弁を逃げようということは、私はいかぬと思うのです。もっと現実の問題として、一体、国内生産がどう将来育成されて、農家経営にどういうプラスになるのかという建前で、あなたのほうの実際の検討をしたか、あるいは統計資料、そういうことで御答弁いただきたいと思う。そうでないと、たとえばバナナの問題は、これは一つの問題ですよ。これは全体じゃない。だから、バナナを見て、一体、日本の果樹図芸、そういった企業に、農家に、どういう影響力があるかを、相当長期にわたって見通しを立てた上で、計画は立てられなければならぬのじゃないかと質問しているのですから、あなたのほうの資料を提示されて、将来、三年後にはこうなる、五年後にはこうなる、農林大臣として検討した結果はこうであったと、こういうふうに答弁していただきたいと思います。
  98. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) だから、それは別の機会に、私のほうも調査して、その上に立って考えておりますから、適当な機会に、それはまた、御説明する機会もあろうと思います。現段階におきましては、政府としてきめておらないことでありますから、もう少し先で、ひとつ御相談も、御説明もいたしたいと思いますが、たまたま自由化の具体的な品物について、果樹のカン詰はどうかというようなお話でしたから私は言ったのでありまして、何もアメリカだけ相手にしているのじゃない。現に、ミカンのカン詰は、ロンドンがおもなんですから、ロンドンヘうんと出ているのだから、これはイギリスを相手にしている。全体の国際収支が日本が入超になっているということは、私もよく承知をいたしております。そういうわけでありますから、ひとつ、御了承をいただきたいと思う次第であります。
  99. 吉田法晴

    吉田法晴君 最後に……、関連ですからいいかげんでやめますが、農産物の中で、バナナだとか、くだものとか、あるいはコーン・フレークにしても、一部分ですけれども、問題はやはり農産物全体について、自由化の方向にいくのではないか。そのことは日本の農業にとって、あるいは農家にとって、壊滅的な打撃を与えるのではないか。これはとにかく食糧の管理制度の問題と関連がございます。大きな不安があるだけに腰だめじゃなく、あなたの言うミカンの点も、日本のミカンを売らなければならぬから、向こうのミカンを自由に入れることを阻止できないじゃないかと、こういうことを言われますが、問題はそこだけじゃない、及ぶところが大きいし、そこで、それについては、詳細に影響を調査して、そうして対策に万全を期さなければ、自由化というものはできない。自由化というものは、これは国内からきた問題じゃないだけに、いわば外から要請をされてする政策が、国内に、国民に壊滅的な影響を与えるのじゃないか、こういう点が問題なんですから、その点は十分ひとつ、遺漏のないように願いたいと思うのですが、特に、その影響その他については、数量あるいは価格あるいは農家の影響という点についてのあれが十分でないだけに、質問を申し上げるわけです。きまってないから云々ということですけれども、側々の品目については、時間もありませんが、コーン・フレークは数量は確かに少ないかもしれないけれども、将来のことを考えると、相当やはり大きな問題です。ですから、御質問したわけですが、答弁はございませんでしたが、農産物全体の中で、それらのものの占める地位、それから影響というものを、数字をもってひとつ説明を願い、それから対策も具体的にお示しを願いたいと思います。そうでないと、とにかく不安は、これは除けません。他の産業についても、意外に、あなたが言われるような微々たる影響じゃなくて、影響が壊滅的なものが非常に多いという点が、自由化をめぐってこれは論議が巻き起こっているゆえんであります。ぜひひとつ御答弁願いたいと思います。
  100. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 壊滅的な影響を及ぼすようなものでは絶対にございません、農産物につきましての自由化は。だからそれはもう御安心いただいてけっこうだと思うのです。これは、ですから、政府でまた品目を確定的にきめておりませんから、今、この段階で、詳細にそのデータを持ち出して、御検討いただく段階になっておらぬということを申し上げているわけであります。いずれ、これは適当な機会に御説明をいたしまして、御了解を求める機会があろうかと思います。
  101. 北村暢

    ○北村暢君 私はバナナ問題は、園芸局関連して質問しておったのですが、農産物全体については、やはり吉田委員心配されるのはもっともなんで、これは農産物全体についての心配の問題です。  それで、次に移っていきたいと思いますが、次にお伺いしたいのは、農林経済局農政局の問題ですが、農政局は、振興局を廃止して総合調整をやるために、農政局に持っていくのだということを言われているようでございますけれども、これは農政局というのはもともとあった。それが農林経済局ということになって農林経済局農政局のやっていた総合的な仕事をやっていたわけですね。したがって、振興局の一部を園芸局に持っていって振興局が小さくなったからそこへ総合のものを持っていって農政局にする、こういうようなことのようですが、大体農林経済局というのは総合的な仕事をやっておったのですからそれでさしつかえないのじゃないかと思うのです。で、あらためて農政局というものを設けた、どうも農政局、いろいろ漁政部あるいは林政部、農政部、こういうようなことで使いならされた言葉だからそういうふうにしたのだかどうか知りませんが、とにかく実質的には農林経済局が今農政局でやろうというような総合調整はやっておった、これには変わりないのじゃないかと思うのです。したがって、これはどういうことで、ことさらにこの農政局へ総合的な調整をするために機関を持っていかなければならなかったか、しかもそれは説明にもありますように、畜産局蚕糸局園芸局というようなことでこの部門別の縦割の機構ができたから今後の農政発展のために総合するためにやるのだということになりますと、この農政局というのは相当やはり権限としても、権限というか何というか、任務から言っても非常に重要なことになってくるのじゃないか、しかも官房というものもあってある程度の総合的な機能というものは大臣官房においてやるというようなことで、どうも機構いじりのための機構改正といったような感じがするのですが、この点は一体どうなんでしょう。
  102. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 先生も御承知のように、前に農政局がございまして、その時分には別に総務局があったわけでございます。それで農林経済局ができましてからはむしろ農林経済局は農林経済に関する仕事を行なっておりまして、農政全般についての仕事というのはやや薄れた感があったわけでございます。それで今回振興局農政局に改めまするのは、分化されました行政農政として一まとめに農業経営の見地から考えていきたいということで農政局ということにいたした次第でございまして、従来の農林経済局は、その名のごとく農林経済を他の産業との接触の観点とかあるいは国際経済との接触の観点、そういう方面から取り上げていく、したがいまして、農業の経営としての農政はこの農政局で行なっていく、そういう考え方でございます。  それから大臣官房と農政局との関係でございまするが、大臣官房は、御承知のように、農林水産業全体についての調整を行なうわけでございまして、農政局農業調整を、専門分化されました農業の、たとえば曲芸とか、蚕糸とか、畜産とか、そういうものをまとめましてその調整を行なっていくというのが農政局という考え方でございます。
  103. 北村暢

    ○北村暢君 どうもちょっとまだはっきりしませんが、基本法との関係で、グリーン・プランの問題、グリーン・レポートの問題、それから大臣が盛んに主張する構造改善事業、こういうものとの関連においてこの構造改善ということになれば、選択的拡大ということで園芸畜産農地関係、これは生産基盤確立のためのということで構造改善にも非常にウエートを持っておるわけでございます。そういうものを総合的に計画をするということであるから、これは農政局自体がそういうことであれば、大臣官房的な性格が非常に、どこにも応じない局ということで大臣官房にそれをやらしたほうがかえっていいのじゃないか。農政局と言いながら、普及部、構造改善その他のいわゆる拓植課、海外へ移民を送るその下準備をする、こういうようなものまでこの農政局に入っておる。そういうことで、何かやはりこれは局のバランスをとるために経済局からある程度のものを持ってきてくっつけたような感じしかしないのじゃないか、もっとやはり今後の農政を高い目で見るならば、官房に持っていくか、農政局そのものがもっとそういう色彩を強く持つべきでないか、このように思うんです。したがって、まあ、そういう総合調整するようなところが普及部というような形で、全部そういうように形に持っていくというのかどうか知りませんが、そうじゃなしに、基本法にいういわゆるグリーン・レポート、グリーン・プランの問題を最終的に結論づける総合的なもの、これがやはり農政局であっていいのじゃないか、このように思うのです。したがって、農林経済局は、国際問題を官房から持ってきたとかなんとかいうふうなことを言っておりますが、統計調査部というようなものも経済局に入っておる。逆にこの統計調査部なんかはグリーン・レポート、グリーン・プランの問題に非常に大きな関係をもっておるのだから、かえって農政局の中にあったほうがいいのじゃないかというようにも感じられるのですね。したがって、普及部があるのに、統計調査部を持ってくればまた部が大きくなるというようなことでこれが考えられておるのか、そういう感じがするのです。いずれにしても蚕糸局であるとか園芸局というような小さな局もあるんですから、そういうことにとらわれることなく、やはり総合するところは総合するように、大きくしたっていいのじゃないか。それとも今までの農林経済局がとても広範で、局長一人で持ち切れない、それでもう何としてもこれは二つに分けなきゃならない、そういう必然性からきたのかどうか、そんなような感じに受け取れるのですがね。その行政を総合するというようなことからいえば、私はそのほうがいいのじゃないか、このような感じがするんです。ですから、そこら辺の趣旨がどうも一貫しないように思われますので、この際やはり、こういう改革をするなら思い切ってやはり相当の権限を持ったところが総合調整しないというと、これはうまくいかないのじゃないか。しかも構造改善事業その他は外局である林野庁、それから水産庁、これが関係してくるんです。構造改善事業については当然関係して参りまするので、外局の行政までこれを織り込んで総合していくという立場に立つ局ですから、したがって、農政局なんというのはもっとやはり権限を持たないというと、総合心々というけれども、総合行政というものが従来どおり外局の水産庁なり林野庁はどうも言うことを聞かないというような形が出てくるんじゃないか。したがって、もっと権限の持てるような機構というものを大臣官房なり何なりで確立しておいたほうがいいんじゃないか。まあこれは権力を強めるという意味でなくて、あくまでも総合するという、総合した行政をやっていくというものでありますから、そのほうがいいんじゃないか、このように思うのです。したがって、この農政局が外局の林野庁、水産庁を含めての総合調整というのはどういうふうに考えられておるのか。この点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  104. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 仰せのように、外局、たとえば林野庁とかあるいは水産庁、こういうふうな外局をも含めまして農林水産関係全体の総合調整をいたしますのは官房でいたすというふうに考えております。それでは農政局でどういうことをやるかということになりまするが、これはやはり農業構造の改善ということを中心に考えまして、たとえば拓植課で海外移住業務をやるという場合におきましても、これはやはり農業構造の今後の改善農業経営をどう持っていくかという場合におきまして非常に重大な関連があるわけでございます。したがいまして、そういうものは農政局に残す。それからまた、農林経済局から団体関係の事務を農政局に移すわけでございまするが、これはやはり農業構造の改善を行なっていきまする場合に農業団体というものが非常に重要な関係を持つわけでございまして、したがいまして、農政局で一括して団体の事務も取り扱っていきたいというような考え方でございまして、たとえば基本法に基づきまして国会にいろいろ報告を出していくというような場合におきましてはこれは官房で取り扱っていく。したがいまして、農業構造改善を進めていく上におきまして、その計画なりあるいは推進を行なっていくということを中心にいたしましてこの農政局というものを作りたい、こういう考え方でございます。
  105. 北村暢

    ○北村暢君 今の答弁で、外局との関係は官房で処理する、こういうことが従来から行政の総合調整の成果というものが現われない一つの大きな原因になっている。これはいわゆる牧野関係あるいは山林の農業的利用、あるいは漁村における背後地との関係、こういうようなものが、実は農業構造改善というのは選択的拡大園芸畜産、それにまあテンサイ糖も園芸でしょうから、そういうものが選択的拡大という形の中で、これが主体にこの構造改善事業というものが考えられておる。こういう弊害が出ておる。これは後ほど地方農林局機構の問題に発展してもこれが明瞭に出ているのです。したがって、これらの総合行政というものが今までなかったために、一番むずかしい土地問題というものが解決しない、あるいは漁村の沿岸漁業の構造的な改善というものがなされない。こういうことで沿岸漁村地帯と、それから山村というものが農政の中から置き忘れられてきておる、これはもう実態だと思うのです。今度の構造改善事業だって、先ほどこの基準がなかなかやかましいといったが、実際にその構造改善の最も必要な漁村とか、山村の疲弊したところにはこの構造改善事業というものは行なわれない。一番農業近代化し、やりやすいところに構造改善事業というものは行なわれておる。土地問題を解決しないで、日本の農業の最大の欠点である零細農業、こういうものを解決するためには、何としても今後の畜産なり何なりを考えた場合に山林と切り離してそういうものはあり得ないと思うのです。これが農林省行政の中で今日進まない非常に大きな問題として残されておる。それを解決する機構というものはこの中から見当たらないのです。いいかげんに官房で、官房の中でどういうふうなことをやるか知らないけれども、これが総合化されていかない。そのまま欠点が欠点としてこの中に、この機構改革ではこれはなされていないのです。だから私はこの点については、これは毎回の農林水産委員会でも問題になるのですが、この農地局関係畜産関係、林野関係あるいは水産関係の連絡というものが、意見がまちまちで、どうしてもこの総合調整というものはできない。現実にやっておらぬですよ。これはもう今後の構造改善事業を進める上においてたいへんな問題なんです。これが何らこの中に考慮されておるようには私は受け取れないが、どうでしょうか。これは大臣からひとつ答えてもらいたい。これは懸案の事項なんです。
  106. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 農業改善事業実施をいたします際、計画を立てます際に、国有林の借用であるとか——借りるのですね。あるいは国有林の払い下げというような必要が起こって参りますれば、できるだけ私はそういうふうにやりたい、こう考えております。ただ国有林も、これは森林をして経営をするというのがその主眼でありますが、森林を経営するには適さない土地がたくさんの国有林の中にはあります。でありますから、そういうものにつきましては、十分に地域計画その他を考えて、これは構造改善事業が進むように考えたい、こういうように私は思っているわけであります。
  107. 北村暢

    ○北村暢君 それは大臣、私の質問に対して大臣は答えられておらないんですがね。国有林の少々の借りるとか、借りないとかという問題じゃないんですよ。民有林も含めて林業と農業、水産業と農業畜産業、その他の果樹園芸を含めてやはり構造改善事業というものが総合的に考えられなければならない。ところが、今の構造改善事業は林野について幾らというのは構造改善事業の対象になっておらないでしょう。それから都市的要素を持つところの農村は、構造改善には対象にならない。したがって、これは林野は林野なりに山村振興とか、あるいは水産関係は水産関係で沿岸漁業振興とか、こういうことを別々にやっているのですよ。そのことが国土の高度利用という点からいくと、行政的に穴がある。これを総合化するということが、農林省というその農林、水産、林業含めての総合的な行政調整ということをやることが必要だ、ところが、それを官房がやるというのですけれども、官房の企画室というところでやるのでしょうけれども、この企画室というのはやることがはっきりきまっているのです。そういう林野とか漁村地帯とか沿岸とかそういうものを含めた総合的行政をやるという企図のもとにできておるのではない。そうではないと思うのですよ。これは農業基本法に基づくグリーン・プランかグリーン・レポートか知りませんが、どちらかを担当することになっておる。それ以外の何ものでもない。したがって、今官房長が言われているように、官房において外局の問題は調整するのだと、こう言うけれども、そういう微温的なものでは総合行政の実というものは発揮できない、こういうことを言っておるのですよ。それが一体どういう形でこの農政局の総合化されるところでやるかということをお伺いしているのです。
  108. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) いろいろ御意見でございますが、山も海もそれからたんぼもみんな総合的にやらなければならぬという御意見ごもっともであります。どうも中央で画一的に考えるとなかなか実態に合わない面が出て参りますから、地域的にこれを具体的にこの構造改善計画は立ててもらい、そして地域的にこれは十分に指導もし、この計画審査もしていきたい、こう考えて農地局設置するわけであります。中央におきましてはいろいろ御意見でありますが、私も今の分課でこれが百パーセントやれるとも考えておりません。それはなかなか人間のこしらえることでありますから、具体的の問題でそれにはまらないような問題も起こってこようと思うのであります。そこで私がひそかに考えておりますことは、この構造改善事業というものは農業基盤を整備する問題でありまして、非常に大切な問題でありますから、私は農林省内にこの構造改善事業を推進するために特別な機関を設けたい、これは何もこういう法律によらなくていいのでありますから、関係部局のものを集めて、特に私はそういうものを組織してこれを推進して参りたい、こういうふうに考えております。
  109. 北村暢

    ○北村暢君 大臣がかわるというとそういうものは熱心な大臣はそれはやるもしれない。だからやはり役人というものは一つ機構を持っていないというと仕事やらぬのです、これは。したがって、先ほど言っているように、構造改善事業をやるというのだけれども、構造改善事業の中で先ほど言った自立経営なりあるいは協業化という問題のこれを作っていかなきゃならない、主産地だけではだめだ、ほんとうに農家の経営が構造改善にならないということの問題が、これはもうだれが何と言ったって日本の零細農業が直ちに国際農業に太刀打ちできるような所得の高い農業にいくだなんていうことは考えられないですよ。したがって、これはもう何としても私は土地問題に発展していかないというと解決できない問題じゃないかと思うのです。したがって、私は、むやみやたらにこの山林を開放せよとかなんとか言っておらない、そうではなしにまだまだ、その山林において林業経営という形でほんとうに林業の経営が合理的になされているところはいいですよ。しかしながら、そうではなしに、しかもその里山で——とんでもない山のてっぺんではお話にならないが、やはり経済的に価値の高い里山であって、しかも国民経済的に見て利用されていないところがたくさんあるのです。それは公有林にしても、私有林にしてもあるのです。したがって、そういう経済効果を高くして高度々々に利用してそうして農業構造を改善していくために、経営規模拡大していくためには、やはり何か義務づけるような機構があって、そうして必要なときには集まって相談すればいいじゃないか、こう言うのですけれども、これまでもそうしてやってきた、それは官房企画室の中でもって調整を、畜産、林野、農地、そういうようなところが集まって協議してやってきたけれども、その実はさっぱり上がらない、これが実態じゃないですか。私はそうだと思って見ている。それはやはり行政機構の中における欠陥がある、責任を持ってそれを調整する人とか所がないというところに問題があるんじゃないか。林野庁は外局だから、水産庁は外局だからとお客さん扱いして論議がなされておるということが現実の問題としてあるわけです。それでは行政効果というものは上がらぬじゃないかということを言っておるのです。
  110. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 北村さんの御意見を聞いていると、農林大臣はなっておらないというようなお話に聞えるのでありますが、農林大臣がおる以上は、外局だろうと内局だろうと、これを統合してやることは責任を持ってやります。さらに私は、先ほど申しましたとおり、往年も食糧増産本部を設けたりあるいは自力更生本部を設けてこれを推進した前例もあることであります。そういうようなこともひそかに私は考慮いたしておりますが、そういうことによってただいまお話のような官房なりあるいは農政局における欠陥は補うことができると私は確信を持っております。これは御心配は要らないのです。
  111. 北村暢

    ○北村暢君 それではこれはこれくらいにして、次にお伺いしますが、地方農林局の問題に入りたいと思います。地方農林局の組織を見ますと、これは旧農地事務局の所在地に統計調査部、その他新たに振興部とか、それから経済部というのが、それが主体だと思うのですが、できる。そういう組織図を見ますというと、そういう感じを受けるのであります。そこで、この地方農林局というものの考え方は、先ほど原則的な論議はしたのでありますが、私は、この地方農林局の作り方がいかにも場当たり的な感じがするのであります。ということは、地方農林局として設けるとするならば、七局設けられるようでございますが、どうしても農地事務局という事業官庁、事業を主体にして、そして適当な所に、中央といいますか、それを管轄するのに都合のいい所に農地事務局というものができておる、たとえば営林局にしても、営林局という国有林というものを、事業を主体にして都合のいいような所にやる、たとえば、高知の営林局というのは、四国において高知に営林局を置くというのは、行政的な点から言えば、高知というのはどうも工合が悪い。しかしながら、国有林の事業からいうと、高知県には営林署が圧倒的に多い、そういうことでそういうふうになっておると思うのです。したがって、まあ農地事務局もそういう意味で私は大体置かれておるのじゃないか、まあそう思うのです。したがって、地方農林局を置くとするならば、もっとやはりこの際抜本的に地方行政のブロック的な中心地、こういう所に当然思い切って置くべきではないか。非常に中途半端ではないか。たとえて言えば、中国四国に地方農林局というものができる、これは中国の行政の中心はだれが何と言っても広島だと思うのです。また、中国と四国というものをひっくるめて、その地方農林局というのは、どうも将来は四国にできるであろうというのはだれしも感ずるところなんですね。地方農林局行政単位でありますから、そういうことになれば私は農地事務局の所在地にその地方農林局を自動的に置くという行政考え方というものはない。事業運営と行政とは違うのだから、やはり地方農林局というならそのような方向で置くべきではないか、こう思うのですが、しかもあの岡山の庁舎というのは農地事務局の庁舎は今新築するところなんです。ボロでどうにもしようがない、今地方農林局をきめればそこに鉄筋の庁舎が建つ、鉄筋のやつを建ててから広島に移すといってもこれは移せない、実際問題として。そういうことで場当たり主義地方農林局を作るなんというのはまことにけしからぬと思うのですが、やはり大局的な見地から私は、地方農林局を置くなら置くようにしなければならぬと思うのですが、どうでしょうか。
  112. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、地方農林局の所在地の問題につきましては、いろいろ御議論もあろうかと思うのでありますが、しかし、現在地方農地局が所在をいたしておりますので、さしあたりの問題といたしましては、これを中心に考えるほうが実効的である。こういうふうな考えから現在も農地事務局の存在するところに地方農林局を置くことにいたしたのであります。根本の問題につきましては十分追って考慮をいたすつもりであります。ただいま御指摘になりました四国に置くほうがいいのではないかというお話でありますが、私自身もそういうような感じがしないでもないのであります。それらはできるだけ早い機会にその実現をはかりたいと思うのであります。  それから、今岡山の庁舎の話が出ましたが、これをおっしゃるとおりに今の庁舎は、ずいぶん年限が来ておりますから、早晩建てかえしなければならぬ問題であろうと思っております。しかし、そういうことを、その改築というようなことを今の岡山に置くがいいか、広島に置くがいいか、きまって後でないとできないと考えるのもどうかと思うのであります。かりに鉄筋で岡山に作るとすれば、それがかりに広島に移るようなことがもしありといたしましても、その建てた岡山庁舎というものは大いに他の方面に利用価値があるだろうと思うのでありますから、でありますから、一がいにおっしゃるとおりにもいかないのではないか。そういうことが基本となってこの設置法案をお考えをいただかなくてもいいのじゃないかと考えます。
  113. 北村暢

    ○北村暢君 その便宜主義的な考え方ならばそうなるかもしれないけれども、今度地方農林局という、そういう膨大なものができて、それが岡山に移るなんていったらばたいへんなんです。ですから、あいたところで、それは確かに、黙っておるわけない、利用するにきまっているでしょうけれども、そう便宜主義ではいかないのじゃないか。これはあれですから、これはたいしたことないのです。まず置かないということを私は前提に考えているのですから、置くだの置かないだのどっちでもいいのですけれども。  それでお伺いしたいのは、先ほど来言われておりますこの地域性を持って地域行政をやるために、地方農林局を持つのだ。こういうふうになっておりますが、一体この農林行政の大部分というのは、ここにも出ておりますように、補助金行政だと言われるぐらい補助金が非常に多いわけであります、農林関係には、それで一体この地力農林局ができた場合に補助金の流れる形というものは一体どうなるのか、末端のほうまで行くのに補助金がどういうふうな形で流れていくか。そうしてまた、予算の編成というものは、大臣のほうからいえば、何か農民なり末端の意見が非常に反映したような形で予算でも組まれるような話のようですが、一体これはどういうふうな形になるのか、これをひとつ御説明願いたい。
  114. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 地方農林局には、農林大臣法律上並びに予算上の権限を大幅に移管をするつもりでおります。予算について申しますれば、ほとんど七割以上の予算の執行を地方農林局長に委譲をすることになると思うのであります。ただ、予算の編成は、これはあくまでも本省においていたすつもりでおります。その予算を編成いたします際に、地方農林局長の意見は十分に聴取をして予算の編成は本省においていたす、こういう考えでおります。
  115. 北村暢

    ○北村暢君 予算の執行について七割以上地方農林局に委譲するということのようですが、そうしますと、農林本省並びに水産、林野、食糧——まあ食糧関係はあまり末端に補助金はないようですが、とにかくそういうものは地方農林局を通じて、そうして地方庁、市町村、こういう形で流れていきますか。
  116. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 予算地方農林局へ委譲する場合におきましては、まず予算を配分するという問題と、その予算を執行するという問題と、事業指導監督するという、この三つがございます。  それで予算を配分するにあたりましては、国が直轄してやる事業につきましては、これはもちろん国でやりまして、地方農林局で配分をするということはないわけであります。そこで、たとえば土地改良事業につきまして、国営のほかに県営あるいは団体営があるわけでございまするが、県営の場合におきましては、中央が配分をいたすというのは、相当大きな事業でございまするし、また、県単位くらいの事業でございまするから、これは国が配分をする。しかしながら、団体営以下の事業になりますと、これは農林省が直接配分をするのではなくて、個々の地方農林局が配分するというように考えております。また、同じような公共事業費で、たとえば漁港がございまするが、漁港には御承知のように、一種から四種までございまして、二種以下の漁港につきましては、地方農林局が配分をいたしますが、大きな三種とか、あるいは離島とか、そういう漁港につきましては、農林省が直接配分をするというようにいたしておりまして、個個の小さな補助金につきましては、今大臣から答弁がありましたように、七〇%以上の予算の配分を地方農林局が行なうということにいたしております。
  117. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、農地局関係の土地改良事業、団体営その他について例をあげて言われておりますが、いただいた資料の補助金の名前が各局十ないし二十、三十近く、四十二ぐらいあるところもあるし、いろいろあるんですね。これのうち、今のお話だというと、県単位の県行事業、こういうものは農林本省もしくは林野庁、水産庁から行く。それ以下のところは地方農林局に移管してしまう、こういうことのようですが、これは林野庁関係はみな同じですか。
  118. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 同じでございます。
  119. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、地方農林局の組織を見ますと、農地事務局が主体にできているのですからやむを得ないとして、これは建設部は直営事業をやっている。ところが、構造改善部というのは、技術課、資源課、入植営農課、管理課、農地課、こういうようにあって、これは農地行政をお互いにやっているわけです。団体営その他の県営も含めて、事業でなしに行政面としてやっている。これに構造改善課というのが構造改善部に一つくっついているわけですが、この構造改善部というのは、どうも構造改善等の構造改善課だけは話がわかるようだけれども、あとの五つの課というものは、従来の農地の管理部のやっていた仕事である。したがって、これは管理部のようなものだ、ところが、その隣の振興部は漁港課、水産課、林務課、畜産課、農務課となっている、ここで林野関係、水産関係、すべての補助金がここを通っていくと、こういうことになるのだろうと思うのですね.そうすると、これは当然林野庁という外局であるそういう機構を持っている。造林、治山、林道、それ以下のほかの補助金がずいぶんたくさん林野関係にもある。水産関係も同様にある。そういうものがたった一課を通じて出ていく、こういうことになると思うのですね。そうすると、この地方農林局機構の中において、農地局関係機構と、林野、水産、畜産という、これは蚕糸がないから、蚕糸はおそらく農務課でやるのでしょう。そうするというと、この外局である林野とかなんとかいうものは、これは当然振興部だなんという形でなしに、林務部というものを将来要求してくる可能性というものは多分にある。水産においてしかりです。そういうことになるのじゃないかと思うのです。と同時に、現在の一体地方農林局の人員はどのくらいになるのですか。これは林務課に一体何人くらいの配置になるか、水産課には何人くらい、畜産課には何人くらいのここで配置になるのですか。
  120. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 今回地方農林局の各課の人員として考えておりまするのは、大体十二、三人程度でございます。
  121. 北村暢

    ○北村暢君 十二、三人程度というのだけれども、これはこの人員がどういうふうに移動するかを後ほど資料を出していただきたいと思うのですけれども、林務課へ魚屋さんが行っても話にならないですね、それから畜産課には畜産関係者が行かなければならない、これはあたりまえなことなんです。ところが、十二、三人行くというのだけれども、十二、三人じゃ、林野本庁あたりからこの地方農林局一局について十二、三人ずつ行くかというと、行く人員なんかいやしない。これは七局そろえば七十名から八十名になる、そういう膨大な者が今の林野庁の中から行くとは考えられない。これはおそらく県かどこからか来るか知らないけれども、そういうことになる、ならざるを得ない、人員の移動ということは、そういうことはできない。畜産においてもしかりだと思うのです。そうすると、この林務課というものなり畜産課というものの中において、大体畜産なり林務なりわかっている者は一人か、二人しかいないのです。おそらく課長か課長補佐くらいしかわからない。あとは小間使いのような人しか集まらない。それでなければ農地事務局のほうの人が回ってくるとかいうようなことにこの形からいけばならざるを得ない。そうすると、予算の執行七割を実施しようというのにとっては、これは全くたよりないいいかげんなものになってしまう、おそらくこれは地方庁と本省との間の連絡役すらできないのじゃないか、こういうふうにしか考えられません。したがって、これは大臣の言われておるような、末端の意見をよく聞いてそうして中央の行政が末端に反映するような地域行政をやるような形になっておらない。なっているのは農地関係だけだ。そういう形ですよ、これは。そういういいかげんなものを地方農林局として発足させて、これは一体二重行政にならないですか。私は明らかに二軍行政だと思いますよ。能力ないですよ、こんなもの。指導監督をするなんて、指導監督するどころでない、地方庁から押しつぶされてしまう、こんなもの。今、自治省の方おられたらお伺いしたいんですけれども、自治省の方見えていると思うんだけれども、農林関係地方庁の職員というのは一体各府県にどのくらいおるんですか。これは大体のモデルでいいですが、一つとって、大きな農業県とそうでないような県とあげて、どれだけの地方庁で機構を持っているのか、こういうことをひとつおわかりになったら出していただきたい。
  122. 岸昌

    説明員(岸昌君) ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、通常の農業県におきましては、農林部あるいは農地部というふうに農林関係の部局が二部あるのが多うございます。一部の場合におきましては、農林部の関係の課は六ないし七課ぐらいに分かれておるわけでございまして、まあ一課平均三十人といたしましても、二百人前後の職員がおるわけでございます。さらに、出先がございますから、地方事務所なり耕地事務所なり、そういうところの職員を加えますと、もっと大きいあれになると思います。
  123. 北村暢

    ○北村暢君 これは水産、林業も一緒のところもある。農林部と言うところもあるでしょうし、水産は別になっているところもあるでしょう。いろいろだと思うんです。今、自治省から育ったように、地方自治体は農林部という膨大な機構を持って、これまた指導行政、末端行政をやっておるわけですね。それなのに、予算の執行面で七割を持っているものが一課十二名平均というのだけれども、おそらく使える人間というのはあとから人事を発令するわけですから、大臣が。この林務課なら林務課にだれが行くかということを発令するのは。そのときに専門家が水産課、畜産課にどれだけ行くかということ、そういうような問題で、私は、発足しても、今言った地方自治体の農林部というところにまだまだこれは膨大な機構を持って、しかも優秀な組織を持ってやっているところがあるんですから、こういうお粗末な地方農林局が出て、予算執行をいたします、事業の監督指導をいたしますなんて、これはもう全然できませんよ、私から言わせれば。これはもう地方庁から押しつぶされてしまうというのが関の山だ。そうでなければ、先ほど言った権力行政で、農林本省というものをかさに着て素通り的な、そしてトンネル行政的なことしかやる能力がまずない、こう見ていいと思う。したがって、私は、地方農林局を置いてほんとうに地域農政としてやるという腹があるならば、今の人員のままでやるとかなんとかということはこれはナンセンスですよ。それでなければ、農林本省から半分以上もこの地方農林局に出かけて行くということならまだわからないわけでもない。しかしながら、そういうことは現実の問題としてできませんよ、これは。ですから、私は、この地方農林局というものは有名無実である、こういうふうに思います。しかし、これはまあ最初だからやむを得ないんだ、だんだん強化していくんだということに言われるかもしれませんけれどもね。そうすれば、この地方農林局というものは当然ふくれ上がっていくし、また、地方庁を指導監督するということになれば、これは膨大な機構になる。それ覚悟してなおかつ地域農政をやるという腹が農林大臣におありになるならば、私はあえて反対いたしません。賛成いたします。しかし、これを置いたために名目的であってトンネル行政で二重行政で、置かないより害が多いということだったら、これはこの際置くべきじゃないと思う。どうでございますか、大臣
  124. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) いろいろ御意見でございますが、これで北村さん、一カ所合計しますと千二、三百人の職員になるんです、一つ地方農林局が。そうして、人数が多いばかりが能でもないんです。それから、本省からは地方へ派遣せずにこのままでやろうとも考えておらない。必要な人員は、本省には有能な人材がうんとおる。こういう者を大いに活用して地域農政の実を上げようと私は考えておるんです。あなたのおっしゃるようにこれはほんのじゃま者になって押しつぶされたり、そういう貧弱なものでは断じてないです、これは。
  125. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ、明らかにこの人員にどういう課からどういう人が行くかということを出して下さい。そうでなかったら論議にならぬですよ。大臣がそういう大それたことを言うのだったら、出して下さい。千何百名は、それは農地事務局があるんですから、人員はおるでしょう。農地関係の人はおるし、統計の人間はおる。おるけれども、漁港なり畜産なり農務なりこれだけの人間がどこにどれだけの人間がどれだけ有能な人間が配置されるか、出して下さい。論議にならない、それじゃ。
  126. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) どうもまだこれがどうなるやらわからないものを、人事をどれをどこへ動かすということをここで私に言えと言われても、それは相当無理な御注文じゃございませんかね。
  127. 北村暢

    ○北村暢君 無理じゃないですよ。何が無理ですか。あなたのところにちゃんとあるんですよ。何局から何名地方農林局へ派遣する、三名・五名、三名・五名とちゃんとある。それを出して下さい。それで検討しましょう。
  128. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 私から御説明申し上げます。七農林局で合計で八千三百三十八人になるわけでございますが、農地事務局から吸収しまする者が六千二百三十三人、統計調査事務所から吸収する者が千七百八十九人、漁業調整事務局及び事務所が三十五人、本省から振りかえる者が百三十二人、増員が百四十九人、合計いたしまして八千三百三十八人でございます。
  129. 北村暢

    ○北村暢君 八千三百三十八人のうち、八千名近い者は、農地事務局と統計事務所に今おる人なんですよ。そういう人が行ったって、そのままの仕事をやっておるのだから、新たにできる漁港課、水産課、林務課、畜産課、農務課、協同組合課、経済課、調整課、この実際に末端行政をやろうという人が、今言った人員の中から今までおる現業で直営でやっている農地事務局の人間、統計の人間、こういう者を引いちゃったら何人残るんですか。それで農地行政統計以外の畜産、水産、林務関係をやっていこうというのでしょう。それでやっていく自信があるのですか。一体、大臣が大みえ切って、そういうような貧弱なものじゃないと、そういう大いばりすることが、これでできるのですか。できませんよ、これは。
  130. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 大丈夫です。必ず……。ただ人数が多いばかりが能ではないんで、優秀なる人材をあてます。
  131. 北村暢

    ○北村暢君 これは地方農林局で、まあこれでいけば何県か管轄するんでしょう、これは。多い所では十県以上も管轄するのですよ。一県に一人の担当者を置いたって、これはたいへんなんです。この地方農林局の林務なら林務の中に、まあ二県なり三県なり一人で持つとしても、そういう専門家がずらりそろえておけるような形には、どんなに力んだって、ないですよ。それじゃ、私はここにあなたたちの出した試案の試案みたいなものがあるのですけれどもね。あるでしょう、ここに。その中から、だれがどういうところからどういうふうに行くということがわかっているのかね。こういうものがなければ定員なんというものは出てこないですよ。こういうものを積み重ねて八千何百何名というものが出ているじゃないですか。ただうのみに八千何百何名というものが出てくるものじゃないですよ。八千何百何名というものは、本省の各局からどういう人が行く、どういう課から、どの課から二名と三名、七名、幾らというふうに、ちゃんとこれは出ているのですよ。各局のね。それを合わせても、本省から行く者で各局に七名以上なければ一名ずつにならないのですからね。十二名配置になるというけれども、大体一課について十二名配置になるというけれども、これは本省からいく者は、おそらくこのうちで一名か、二名しかないのですよ。これは一名も行かないところの地方農林局も出てくる。今の案でいけばそういうふうな形になってきますよ。だから、そういうものをはっきり——あなたたちないとは言わせない。そういうものがなければ、この八千三百三十八名というものは出てこないのですから、はっきりしておりますよ。ここに私は資料を持っている。その資料に基づいて、あなた方の八千三百三十八名をやってもらうについて、私は質問をしているのです。この数字を見て言っている。これは、一々言うわけにはいかないから言わないだけなんです。それじゃ、林野本庁から地方農林局にいく者は何名ですか、具体的に。
  132. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 私、先ほど一課当たり平均しまして十二、三人というように申し上げたのでありますが、これは農地事務局から六千二百三十三人というようになっておりまするが、その中で直接事業を担当して農地事業所におるような者が大体四千四百人くらいおるわけでございます。それから統計事務所におるというような者が千百九十一人ぐらいあるわけであります。そういうふうに現業に携わっている者を除きまして、それを各局別に、平均的に各課に割り振りますと、十二、三人ということになるわけでございます。もちろん各農林局によりまして、大きいところもあり、小さいところもある、まだ、林務課になりますと、国有林野関係は、すべて営林局が取り扱うということになっておりますので、そういうことで各課の実際の定員をどうするかということにつきましては、その局に応じまして、考えていきたいというようなことでございます。
  133. 北村暢

    ○北村暢君 たとえば聞いているのですよ、林野本庁から今度地方農林局へ行く予定の人は何人おりますか、と聞いている。
  134. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 林野本庁から定員の振りかえとしては実はないわけでございます。
  135. 北村暢

    ○北村暢君 ないでしょう、林務課に、今言ったとおり、林野本庁から一人も行かないですよ、これは。定員の関係では、一人も行かないんですよ。大臣おっしゃられるけれども、一人も行かないのに、これは人事配置がえしたりなんだりしてやるかどうか知りませんけれども、今のところ、地方農林局に、林町本庁から直接行くのはないんですよ、定員の関係からいくと。それで林野の予算を一体どうするかということですね。自信持ってやりますからなんて、とんでもない。おやじか雷か、そういう地震か何か知らないけれども、とても普通の人間の自信じゃないのかね、とてもそれは、神様でない限りできやせんですよ、これは。そういう実態ですよ。林野本庁から一人も行かないのに、林務課にどうやって配置するんですか、しろうとがここに来ても、それはしようがない。そんなことで直ちに予算執行なり人事管理なんかできるんですか。大臣はいいかげんなことを言うから腹立つのですよ。
  136. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 今事務当局から申しましたのは、一応の予定だろうと思うのです。この執行は、私は責任を持っていたします。林野本庁から出るほうが適当であれば、いたします。それはもう御心配なくひとつ、いただきたいと思います。
  137. 北村暢

    ○北村暢君 全くこの大臣は自信過剰で、何言ってもこれはもう話にならぬのだけれどもね、全くあきれかえったものですよこれは。  そこで次にお伺いしますがね、まあそういうことですから、私は最初に申し上げましたように、これはもうすでに九州の農林局の建設部には、鉱害復旧課というものを置く。それから中国四国と九州の農林局には水産部を設けるということをはっきり言っているんですよ、ここに資料に何か書いてある。したがって、これはもう九州には水産部ができるわけです。したがって、これは近い将来、各局に林務部を置けなんというようなことは、必ず出てくるのですよ。また、それだけのことをやらないというと、この地方農林局というものは運営ができないのです、これは。私はそう思う。そういうふうに——現在はこれで発足するけれども、今後これを強化して、ほんとうに指導行政をやる地方農林局にしていくのか、どうなのか。おそらくそういうふうにならざるを得ないのじゃないかと思う。そういうことが考えられるとするならば、今の段階で、これは私はこの人員で発足するでしょう。しかしながら、将来は、たとえば畜産、林務については、部というものを置くということは考えておらない、こういうことなんですか、どうですか、実情に応じて林務だの畜産だのは置くというのですか、どうですか。
  138. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 現在は考えておりません。現在は考えておりませんが、これをやってみまして、御意見のように林務課を強化しなければならぬということがあれば、本省から私は人を出したらよかろう。大体率直に申しまして、役人の数は多過ぎる、私の経験によれば。でありますから、そういうものを活用する意味においても、有能な人材に大いに働いてもらう意味においても、これは地方に配置がえをするということは、私はほんとうに国民も要望し、また、国も要望しておるところであろうと実は私は思うんです。でありますから、決して数が多ければ、それで能率が上がるとも思いませんが、有能な人材が出るということが必要である。で、これはたくさんに本省には有能な人材おりますから、これはもう皆さん方の御鞭撻によりまして、十分に考えて、所期の成果が上がるように努力いたしたいと考えます。
  139. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  140. 村山道雄

    委員長村山道雄君) では速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後六時四十九分休憩    ————————    午後七時三十五分開会
  141. 村山道雄

    委員長村山道雄君) これより内閣委員会を再開いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  お諮りいたします。本法案を閉会中に継続して審査することとし、本院規則第五十三条により、議長に対し継続審査要求書を提出することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 御異議ないと認めます。  なお、要求書の作成等は、先例により委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十六分散会