○
政府委員(
津田実君) ただいまのお尋ねでございますが、法務省の現在
制度といたしましては、
法務省設置法の十七条におきまして一定数の
職員は検事をもって充てることができる、こういう規定になっております。この規定の沿革は、昭和二十三年の法務庁設置以来のものでございまして、そこの定員の数には若干の
変更がありますけれ
ども、初めて設けられた
制度は昭和二十三年であります。そのとき設けられました趣旨といたしましては、法務省におきまするところの
職員のポストのうちでは、検事と申しますか、まあ
法律家でございます。弁護士、判事、検事を含めましての
法律家をもって充てなければならぬようなポストがある。そのポストについては検事という職名で充てる。事務官でもって充てずに、検事でもって充てなければならない、こういう考え方から出発しているわけであります。それは要しまするに、御承知のように、法務省は地方の法務官庁の
監督機関でございます。その大きなものは検察庁でございますが、そこで起きますところの問題点の最終解決並びにその
監督は本省でいたさなければならぬ。そこで起きまする問題といいますのは、主として
法律問題でございますので、そういう問題を解決するためには、本省におきましても検事、つまり
法律家をもって充てなければならぬポストができる、こういうことでございます。ところが、昭和二十三年当時になぜ検事というもので充てるべきだということになったかということでございますが、それは当時
一般行政官と検事の間には
給与の差ができております。そういたしますると、通常の検事あるいは判事から本省の部
局長あるいは
課長等になって参りますると俸給が下がるという問題がありまして、それではとうてい
監督機関にふさわしいところのものを充員することが困難であるという結果が生じて参ったのであります。そこでその
給与の格差をなくするために検事をもって本省
職員に充てることができる、こういうことにいたして今日に至っておるわけでございます。そこで、本省のどういう部局の
職員に検事を充てるかという問題でありますが、これはそのときときによっていろいろ運用と申しまするか、そのときの
仕事の必要性からいろいろ変わって参っておりましたが、たとえば非常に
法律的な問題の多い民事局、刑事局、訟務局というところの本省の中堅幹部以上の
職員は大体検事をもってこれは充てざるを得ないことになっております。もちろん例外はございます。これに対しまして人権擁護局でありますとか、入国管理局、あるいは矯正局というところの本省
職員はほとんど事務官をもって充てるわけでございます。そういうふうにそのポストの
法律的事務の素養の必要の有無によってその充て方を変えておるわけでありまして、そういうような考え方で現在は運用されておる。したがいまして、本省の幹部ポストでございましても、もちろん事務官によって充て得るポストがたくさんあるわけでございます。現に事務官をもって充てているポストが相当数ある。そこでさらに現在——現在と申しますか、過去におきましては、法務省のそういう
法律的なポストにおきましては、検事、つまり司法試験に合格した資格者をもって充てているわけでございますが、御承知のように、
一般行政職でも
法律職というのがあるわけでございます。この新しい
制度によりまして上級の
法律職の
職員を法務省で採用いたしておりますが、これらの人は巣立ってからまだそう年数がたってない、それ以前はつまり行政官試験を合格した者はほとんど法務省には参っていないのが
実情でございます。したがって、現在の上級幹部に当たるような年令層の
職員で行政職試験を通ってきた人はごく限られた少数の……ほとんどいないといっていいかと思います。しかし、将来の問題として、今の上級試験に通って採用された者につきましては逐次そういうポストもそういう人が占めていくということになろうかと思いますので、将来の問題としては、かなりその構成が変わってくるのじゃないかというふうに考えておりますが、現在のところは高度の
法律的素養を要するポストは検事をもって充てているというようなのが
実情になっているわけでございます。