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政府委員(野木新一君) 実は私、税関
関係のほうにはあまり詳しくありませんので、ぴったりそれに適合した、お答えは今すぐにはできかねると思いますが、一応この不服審正法の観点から見て、抽象的に
考えてみますると、税関はいろいろの職務を——通関に関する許可とかいろいろな職務をすると思います。それは
行政処分になると思いますが、外国の商社が、たとえば日本に支店があって、許可を求めたが却下されたというような場合ですね。それにつきましては、外国の商社もこの
法律では「国民の権利利益の救済を図る」と書いておりますが、これは外国の商社はその場合に国民と同じような立場に立つわけでありますから、外国人も決してこの
法律から除外しておるという
趣旨じゃありませんから、外国人なり外国商社もやはり
行政処分によって権利を害された、という場合には、この
法律に乗っかっていくものと思います。それから御指摘の具体的の場合はたしてそういう場合になるかどうかということは、また具体的事実との
関係で、また税関の
法律との
関係ではっきり申し上げかねますが、抽象的の理論としてはそうなると思います。それから税関のほうで、何か商社のほうに職権の委任の規定があるかどうか。これは具体的の条項を存じませんから何とも言えませんが、
法律によってはまあ権限の一部を委任することができるというような条文もあるのはありまするから、税関
関係の
法律にそういうものがあれば、その委任を受けたものもその限りで
行政庁ということになって処分をする。公権力の行使に当たるような権限を委任されれば、その限りで
行政庁であって
行政処分をするということになると思います。したがって、それに対して不服申し立てができるということになります。ただ、委任した場合にはどこに不服申し立てが行くかと申しますると、その税関の
法律にそれぞれ響いておるわけでありまして、黙って何ともたければその上級
行政庁に審査請求できるということになります。ただ、税関のように、非常に事件が多いというような場合において異議申し立ての制度を認めておればその処分をやったところあるいはこれと同視されるところに異議申し立てができる。そしてさらに異議申し立てに対して今度審査請求という場合もあり得ると存じます。抽象的にはそういうことになるかと存じます。
それからいま
一つの都市計画法の施行令でございますが、これも具体的に私条文がありませんから、ちょっとにわかに言いかねますが、建設
大臣が都道府県知事に何か委任している。その委任に基づいて都道府県知事が規則で何か一定の抽象的の定めをするということになると思います。規則で抽象的な慰めをしたのは、ここでいういわゆる
行政庁の処分ではなくて、むしろ法規になると存じますので、それに対しては直ちに不服申し立てをするということにはならないのではないかと存じます。ただ、その規則において
一般に
地域を指定して
一般にある行為はできない、しかし、こういう場合には許可があればできるといったような場合には、その許可を申請して、それに対して不許可になったというような場合には、これはそれで
行政処分ではっきり不服申し立てをするということに乗ってくるわけであります。御指摘の場合が何か工場を作ってその近所の人が何か事実上の迷惑をこうむるというような場合に、ここに言うただ権利、利益を害された、権利を害されたということはあるいはちょっと言えない場合が多いのじゃないかと思いますし、利益という場合にはそういうような、何と言いましょうか、ばく然たる近所の利益、近所に住んでいる
人たちが迷惑をするといったような抽象的な事案上の利益は、それはここにいう審査手続で保護していこうとしている利益に該当するかどうか。これは少し問題があるのではないかと存ずる次第でございます。