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1962-10-31 第41回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月三十一日(水曜日)    午前十時三十六分開会    ――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     村山 道雄君    理事            石原幹市郎君            山本伊三郎君    委員            大谷藤之助君            栗原 祐幸君            源田  実君            野知 浩之君            阿具根 登君            横川 正市君            鬼木 勝利君            小林 篤一君   委員以外の議員    議     員 伊藤 顕道君   国務大臣    国 務 大 臣 志賀健次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    人事院総裁   佐藤 達夫君    人事院事務総局    管理局長    岡田 勝二君    人事院事務総局    公平局長    小林  巌君    総理府恩給局長 八巻淳輔君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    大蔵省主計局給    与課長     平井 廸郎君    ――――――――――   本日の会議に付した案件国家行政組織及び国家公務員制度等  に関する調査  (旧満鉄職員期間恩給共済通算問  題に関する件)  (国家公務員に関する不利益処分の  審査問題に関する件) ○国の防衛に関する調査  (防衛問題に関する件)    ――――――――――
  2. 村山道雄

    委員長村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。  初めに、理事会において協議いたしました本日及び明日の委員会議事について報告いたします。  本日は、申し出によりまして人事院公平審査の問題、旧満鉄職員恩給共済通算問題及び防衛問題について調査を行ない、明日は、先般行ないました派遣委員の報告を聴取することといたします。    ――――――――――
  3. 村山道雄

    委員長村山道雄君) それでは、これより本日の議事に入るのでありますが、その前に人事院総裁から発言を求められておりますので、これを許すことといたします。佐藤人事院総裁
  4. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 一言ごあいさつ申し上げます。  先般、国会の両院の御承認を得まして人事院総裁を拝命いたしたのでございますが、何分身に余る大役でございまして、たいへん身の引き締まる思いをいたしておるわけでございます。  ともあれ、こうなりました以上は、全力を尽くしまして職務の達成に邁進いたしたいと覚悟いたしております。これにつきましても皆様方の今後の御指導と御鞭撻が必要でありますと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げましてごあいさつを終わりたいと存じます。
  5. 村山道雄

    委員長村山道雄君) それでは、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、旧満鉄職員恩給共済通算問題に関し調査を行ないます。  政府側から八巻恩給局長平井大蔵省給与課長出席しております。なお、本件について委員外議員伊藤顕道君から質疑のお申し出がございますが、発言を許すことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 御異議ないと認めます。よって発言を許可することに決しました。  それでは質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは恩給に関連をいたしまして、旧南満州鉄道職員通算問題について、恩給局長並びに大蔵当局にひとつその現在の政府部内におけるこれに対する作業状態についてお伺いしたいと思います。すでに御存じのように、さきの国会で本委員会においても附帯決議がすでにつけられております。一々これは申しませんが、御存じのとおりでございますが、なおかつ、またこの問題は非常にわれわれとしても重要な問題であるので、この前の通常国会の四月十七日の日に参議院地方行政委員会で特に池田総理出席を求めた際にも、この点について総理の御所見を伺っておるのですが、その際に、誠意をもって十分検討したい、きわめて希望的な意見が述べられたようであります。そこでもうすでにこの三十八年度予算編成大蔵当局でもかかっておられると思う。また、恩給局としてもこれに対していろいろと作業を準備されておると聞きますけれども国会が開会されたときにはすでにもう時期がおそいと思いますので、特に本日お尋ねしたいと思うのです。旧満州鉄道職員についてのいろいろの経過、そういう点を十分御承知の上、次の臨時国会あるいは通常国会でこの通算措置に対する法律上の措置改正案、そういうものを準備されておるのかどうか。大蔵当局としてもどう考えておられるか。恩給局長並びに大蔵当局にその点をお聞きしたい。
  8. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 旧南満州鉄道株式会社等に勤務しておった職員側聞恩給あるいは共済年金の上で通算措置を講ずると、こういう問題につきましては、この春の国会またその前の国会等におきまして附帯決議がついておりますが、私どもといたしましても、この附帯決議趣旨を尊重して目下検討中でございます。問題は恩給法ばかりでございませんので、むしろ量的には国家公務員共済組合員である方あるいは公共企業体共済組合員である方についての問題であることも多いのでございますので、それらの関係部局とも連絡をいたしまして、この趣旨が実現するような方向で努力していきたい、まあこういう意味でやっております。なお、私どものほうの予算といたしましては、来年度要求でこれに必要な経費というものを一応見込みまして大蔵省に出してございます。そういたしませんというと、問題が大蔵省に最終的に煮詰まったときにきまる形になりませんものですから、少なくとも私どものほうといたしましては予算を一応概算要求をしておる、こういうことに相なっております。
  9. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) ただいまの問題につきましては、私ども共済組合を担当いたしております部局といたしまして、恩給局とも連絡をとりまして鋭意検討をいたしております。ただ性質が何分にも旧恩給公務員以前の問題でございますので、その点につきまして恩給公務員としての取り扱い方を御決定いただくならば、御承知のとおり、共済組合といたしましては更新組合員としての資格においてすべてそれを踏襲する建前をとっておりますので、そういう前提検討をいたしておるわけでございます。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 恩給局長答弁は了といたします。また、大蔵当局の言われることも給与課長としての答弁だと思うのですが、やはりこの予算の場合にそれが非常に問題になると思うのです。特にこの機会に大蔵大臣出席は求めておりませんが、前の水田大蔵大臣もきわめて好意的な発言を、私あったように記憶しておるのです。残された問題としてぜひひとつこの次の国会――臨時国会でも通常国会でもいいんですが、三十八年度からこれが実施を見るような措置を、大蔵当局にこの点予算措置について特にひとつ大臣その点をお伝えしていただきたいと思うのです。  なお、先ほど言われました運輸省関係の問題については、国鉄関係については、当時の運輸大臣斎藤大臣からも、この点については誠意ある答弁をされておりますので、この点は運輸省も異論はないと私は思っておる。特にひとつ、現在予算編成中でありますので、この点を実現するよう特に恩給局長並びに大蔵当局に私としてはお願いいたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  11. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) ただいまの山本委員のお説の点については、大臣に帰りましてお伝えいたしたいと思います。
  12. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 山本委員質問に関連して恩給局長並びに大蔵当局に対して二、三お伺いしたいのですが、御承知のように、第三十八国会と第四十通常国会において満鉄職員期間恩給並びに共済年金年限計算通算する問題が衆参の各委員会で論議されて、数多くの委員会山本委員の指摘されたように、附帯決議がなされておるわけです。満鉄の職員期間通算すべし、こういう附帯決議が御承知のように昨年六月六日の参議院内閣委員会、本年の四月、二月の参議院内閣委員会、さらには衆議院大蔵委員会参議院地方行政委員会、御承知のように、いまだかつてこういう例は少ないと思うのです。一つ案件について各委員会でこういう数多くの附帯決議がなされた点、あまり類例がないと思うのです。事ほどさようにこういう問題が煮詰まってきたわけです。  そこでお伺いしたいわけですが、一体恩給局長としても、また大蔵当局としても、このような数多くの附帯決議がなされたことに対して、この附帯決議を一体ただ形式だけではなく、実質的にあくまでも尊重して実現しようとする腹があるのかないのかということをまずもってお伺いしたいと思うのです。
  13. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) ただいま申し上げましたとおり、いろいろな御要望がございまして、それがだんだん点詰まって参りまして、今回この春の国会におきましては、職員期間通算ということにしぼられて参ったわけです。そうしてまた、その通算問題につきましては恩給という形のものばかりではなく、すべての共済年金地方公務員にいたしましても、国家公務員にいたしましても、三公社共済にいたしましても、全面的なそうした各公務員に関する年金制度の上における通算というふうな問題として各委員会議論されたわけでございまして、問題がたいへんに煮詰まって参りましたから、このあたりで来年度予算といたしましては、私のほうとして、少なくとも私のほうに関する限りにつきましては、予算概算要求をして問題をさらに煮詰めていくということが必要であろう、こういうふうに考えた次第であります。
  14. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) 私どもといたしましても、先ほど答弁申し上げましたように、恩給公務員期間としてそういった期間が認められますならば、その前提のもとに当然更新組合員として認めて参りたいというふうに考えております。
  15. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 附帯決議も今申し上げたように、数多くなされておる。そのほか先ほど山本委員からも御指摘があったように、本年の四月十七日の参議院地方行政委員会池田総理はこう答えておるわけです。この問題は十分検討する、こういろ意味のお答えがあったわけです。なお、同日の衆議院内閣委員会でも、参議院地方行政委員会でも小平前総務長官から、この問題は十分検討すると、各省連絡をとって十分に検討したい、同意義の御回答があったわけです。それからすでに半年以上経過しておるわけです。十分検討する、また、検討したとするならば、もうこの辺で最終的な結論が出てしかるべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  16. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) まあ実はこの問題は予算にからむものですから、予算が煮詰まります時期までにだんだん逐次進行していくというわけです。そうしてまた、各部面との連絡と申しましても、三公社関係共済法関係をやっておられる関係世話役と申しますか、それが今度大蔵省でございますし、それから国家公務員共済につきましてはやはり大蔵省でございますし、また同時に、予算査定をするのも大蔵省でございます。そういうような関係上、やはり予算の煮詰まるまでにあらかじめきまるということはなかなかむずかしいと思うのです。そういう意味予算が最終的にきまるまでには何とかめどをつけたい、こういうように考えております。
  17. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 政府が第三十八国会において恩給法の一部を改正する法律案と、国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法、この一部改正によって、外国政府職員期間通算することを認めたわけですが、その理由を見ますると、人事管理の必要上退職後の処置に必要な最小限度において通算を認める、こういう意味理由が明らかになっておるわけです。しかし、これのみを唯一理由とすれば、そういうことになると、いかなる機関前歴ある者に対しても通算しなければならない、こういう不合理が出る、もしそれだけの理由であるとすればですね。この点はいかが理解したらよろしいか、この点をお伺いします。
  18. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 外国政府職員期間通算にいたしましても、あのときの理由といたしまして、その一つとして人事管理上の問題ということを申し上げたわけですが、しかしながら、人事管理上の問題であれば便宜的に幾らでもいいかと、こういうことは許されないのでありまして、やはりその人事管理という一方的な便宜じゃなくて、その背景には人事交流的な基礎があったとか、あるいは組織が解体して、組織及び職員ともに接収されたとか、そういうふうないろいろな条件というものを考えに入れてしぼっていかなければならない、こう思っております。
  19. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 今申し上げたように、人事管理上の必要上、これだけが唯一理由ではなくして、私はこう考えるのですが、一つには政府の意図しておるところが、満州国政府が当時の政治情勢から見て実質的には日本政府延長であり、代行機関である。したがって、満州国官吏日本政府に対する関係そして性格、こういうものにおいて日本政府官吏実質的には別に差異がない、区別はない、こういうふうに解釈する点が一つですね。いま一つは、日本官吏満州国へ行って、また日本官吏に戻る、こういう場合、そういう場合の均衡をとる必要から、さらに先ほど申し上げた、表面上は人事管理の必要がある、こういうような幾つかの根拠から通算を認めた、こういうふうに私は理解しておるのですが、この理解に誤りがあれば御指摘いただきたい。
  20. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) もちろんすべての退職年金法というのは結局人事行政の一環でございまして、それの立法政策として人事管理上の観点というものが強く打ち出されるわけですが、もちろん人事管理上の便宜主義であってはならないので、やはりその背景には人事交流的な基礎と、あるいは先ほど申しましたようなその組織の解体及び接収というようなこと、あるいは今伊藤先生がおっしゃったような実質的に同じようなものである、そういうふうなものを比較考量しながら範囲をきめていくという考え方であります。
  21. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 昨年この改正は、日本政府と全く雇用関係のない、従来法の対象とならなかった者に対して、新たにこれを対象として処遇の公平を期しておる。このことは法の解釈とか運用、こういう点において新分野を開いたことだと思うのです。本年の四月二十日に衆議院大蔵委員会において、わが党の広瀬委員質問に対して、大蔵省谷村主計局次長はこう答えておるわけです。昨年満州国を入れたとき、大きくかきを破ったという点もあったかと思うと、こういうふうに答弁されて、今指摘した点については認められておると思うのです。この点についてはいかがお考えになっておるか、お答え願いたいと思います。
  22. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 今の大蔵省主計局次長がどう考えているか私はよくわかりませんが、私の考え方、今までの考え方というのは、最近における公的年金制度通算とか、社会保障水準のいろいろな上昇、あるいはそれに社会保障的な公的年金制度における充実というような点から考えまして、公務員が長年勤務して、そうして相当な年令に達して退職した、そういうようなときに、終戦後引き揚げてきた方々であるために、その前歴が全く公務員と同じような前歴であるにかかわらず、その引き揚げてきて、その前の期間が見られないために退職年金がもらえない、こういうような人々があるわけでございまして、こういうような人たちについても、公的年金制度通算問題というふうな一連の思想というか、考え方で対処すべきじゃなかろうかという考え方を持つわけです。したがいまして、満州国政府職員となり、そしてまた、引き揚げてこられて、その方々の身の振り方というものを各省考えたわけでございまして、そういう方々が相当な退職年令に達して、しかも年限が十七年なりあるいは共済年金で申しますと二十年に達しない、こういうような事情にあることを何とか救済しなければならぬというふうなことから出ているわけでございます。そのことがさらにどの範囲までのことに及ぼすかということになるわけでございますが、これは無制限というわけには参りませんが、実質的に満州国政府職員と同じような、実質的にそういうふうなものであるという点においては、だんだんと検討していく余地があるんじゃないか、こういう意味におきまして、国会における決議等も尊重して参りたい、こう思っております。
  23. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 法の解釈とかあるいは時の推移あるいはまた、事態の変遷、こういう点に即した新分野を開いた、こういうことについても、これは結局形式にとらわれず、満州国外国である、そういう形式にはとらわれないで、その実態と実情を認識された、事態に即した措置を講じたことに対しては、実は私どもは心から賛意を表しておるわけです。そうだとすると、実質においては日本政府出先機関であった満鉄等をいまだにこれを満州国と切り離して認めていないということはどうも不合理で合点がいかぬので、この点はいかがでしょうか。
  24. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 現在今までの法律では満州国政府職員である、外国政府職員であるというふうに限定して参ったわけでありまして、それ以来のいろいろな御議論の集積といたしまして、そういう方向にいくべきじゃなかろうかという御意見が出ているわけでございます。その点は十分尊重して対処いたしたい、こういうように考えております。
  25. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 御承知のように、満鉄は設立の経緯から見て、満蒙における日本政府代行機関であったわけです。創立から昭和二十年の終戦まで、まる四十有余年の間、常に国家機関として活動を続けてきた。そして日本政府もまた日本政府の官庁に準ずるものとして取り扱ってきた、こういう事実に徴して、満鉄は実質的には日本政府延長であり、その職員実質的には日本政府官吏同一性格であった、こういうふうに考えざるを得ないわけです。こういう考え方については、今までの御答弁で大体了解できるわけですが、さらにこの際確認しておきたいと思います。
  26. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 満鉄等のそうした特殊機関職員という方々職員期間を三公社あるいは国家公務員共済組合、それは三十四年前、あるいは三十一年前はそれぞれ恩給法上の公務員であったわけですが、そういう恩給法上の公務員なり、あるいはそうした共済法上の長期給付対象になる共済組合期間通算するかどうかという点につきましては、実質的なそうした人事交流上の基礎、あるいは実費的に同じであったということを考えて、そして今後通算するほうがいいのじゃないかという結論に、私どもとしてはそういう方向に持っていきたい、こういうことで考えておるわけです。
  27. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) それと、さらに満州国創立の際の経緯ですね、そしてその後の運営の実情、こういうものから見て、満州国と満鉄とは、ともに満州における日本政府延長であり、代行機関であった、こういうことも言えると思うのです。そして、満州国業務と満鉄の業務とを合わして、初めて完全な日本政府代行機関である職務を遂行してきた、こういうふうに理解するわけです。そういうことになりますと、両者の間に区別をつけることはまことに片手落ちではないか。昨年すでに満州国を認めて、その後、先ほど指摘申し上げたように、附帯決議が各委員会で多くあげられておる。政府責任者も、十分検討する、こういう意味回答があった。これは新年度予算を待たぬで、本年度補正予算でも組んで、早急に実現すべき性格のものであると考えられるわけです。この点いかがですか。
  28. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) この法律というものの性格から申しまして、当然過去において退職した方々についても、年金受給資格を発生させるという意味法律なんでございますから、そこで一、二カ月を争うという問題でもございません。そういう方向で御趣旨を体して努力しております。その点を御了承いただきたいと思います。
  29. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 本年二月十三日の当内閣委員会で、私の質問に対して八巻恩給局長は、こういう意味の御答弁をなさっておるわけです。先生の御発言では、満州国と満鉄とは実費的な内容は全く同じであるということを強調された、この点は私も同感でございます。こういう意味の御答弁をされておるわけです。で、満州国と満鉄が、実質的に同一内容同一性格のものであることを認めながら、恩給法とか共済組合の取り扱いにおいて二つを区別するということはまことに心外だ。恩給局御自身も、満州国と満鉄が全く同一性格のものである、こういうことをもうすでに二月十三日の当内閣委員会でお認めになっておるわけです。そうだとすると、これは片手落ちになろうと思うのですよ。そういう意味からも、緊急にこれは措置してしかるべきだ、そういうふうに考えられるのですが、この点はいかがですか。
  30. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 実を申しますというと、恩給法上の改正問題という点に力点を置きますと、この前、昨年の国会で申し上げましたように、恩給法における土俵の中では、昭和十八年に日本国政府から満州国に参りまして、また、日本国政府に戻った。こういう場合に、日・満・日の通算という法律が出ておるわけです。そこで、これの一連関係といたしまして、満・日あるいは日・満というケースについても、終戦後のこの特殊事情というものを考えて救済していこうというところまで恩給法としてはきたわけです。それ以上旧来の恩給法上の公務員でない者を取り扱った例といたしましては、外国政府職員だけが唯一の例でございまして、それ以外はほとんどない、こういうふうなことから申し上げまして満鉄職員等の一般の株式会社である職員期間というものを恩給法上の公務員通算することは無理である、こういうふうな頭から申し上げておったわけです。実質的には確かにそのとおりでございまして、新しいこれから先行きの人事管理をどうするかというふうな問題の観点からいたしますれば、そういう問題も開けて参ると思いますけれども恩給法というものを、すでに昭和三十四年に一応その使命を全うしておる、人事行政上の使命を全うしておる、その制度の上で考えていくことには限界がある、こういう意味で申し上げておったわけです。しかしながら、問題は、共済年金なりあるいは恩給なり、全一般的な問題としてこれを検討しようじゃないか、こういうお話でございますから、これは、そういう新しい角度から取り上げたことであれば、これは同じ公務員年金制度の上でどういうふうに処理するかということをお互いに相談し合おうじゃないかということになっておるわけです。昨年あたり恩給という土俵の中での議論に集約されて参りますと、ああいうふうに申し上げざるを得なかったわけです。したがって、そういう意味では、各方面にことしは連絡いたしまして御希望に沿うような方向に持っていきたい、こういうふうに思っております。
  31. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 繰り返し申し上げるように、満州国は、形式的には日本政府と何らあれのない外国政府であったけれども実質上の性格を認めて恩給共済における通算を認めた、こういうことは単なる人事管理上の問題だけではないということは、先ほど来の発言ですでに明確になっておるわけです。にもかかわらず、繰り返し申し上げるように、満鉄が除外された、こういう角度からも、これは早急に措置してしかるべきじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけです。その点いかがですか。
  32. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 先ほど来申し上げますように、来年度予算には何とかそのように結論が出るようにせっかく努力したいと思います。
  33. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 本年の二月十三日の当内閣委員会で、恩給局長は私の質問に対して、こういう意味の御答弁もなさっておるわけです。満鉄を入れる際、満鉄以外の国策会社にも影響し、満鉄はよろしい、他の国策会社はいけないという線は引きがたい。こういう意味のお答えがあるわけですけれども満州国同一性格、同一内容のものであるならば、これは当然同一扱いにするのが公平の原則という角度からも当然ではなかろうかと思います。この点は、その当時はとにかく他の国策会社と満鉄との関係、これは一線を引きがたい、こういう意味の御答弁だったのですが、そのお考えは今もお変わりはないかどうか、この点を確認しておきたいと思います。
  34. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 先生の御議論は、おそらくその他の満州電電というようなものとの線は引いたらいいじゃないか、満鉄だけは別にしたらいいじゃないか、こういうお考えだとも承れるのですが、そうじゃなくて、満鉄なら満鉄について考えるならば、満州電電だとかそういうふうな一連のものとの関連も考えられるじゃないか、こういうことだろうと思うんですが、そういうふうな考え方を及ぼしていって線が引けるか引けないかと、こういう問題だろうと思うんです。私は、あのときはまだその問題は具体的な問題として詰まっておりませんから、一応そういうふうにお答えしておりますけれども、これは現実の作業になって参りますれば、どういうふうな線を引くかというふうなことは、これは大蔵省のほうと相談をして具体的に作業しなきゃならぬ。これは引けないからといってもうこれを全面的にだめにする、考え直す、これはもうできないんだということにはならぬ、引かざるを得ないと思うんです。だから、引くにはどうするかという、こういう方法で大蔵省と十分今具体的に相談していこう、そう思っております。
  35. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) いや、私の言い方がまずかったのか、誤解の節があるんですが、私も恩給局長がその当時発言されたように考えておって、附帯決議にも満鉄とはしていないんです。満鉄等としてあるわけですね。そこに意味があるわけです。そこで、たとえば華北交通とか、そういう特殊会社を意味して幾つかあるわけですね、数は少ないんですが。そこで、満鉄とそういう他の華北交通等の特殊会社、こういうものは、満州国同一性格、同一性質のものであれば当然同一に扱うべきではないかと、そういう考えなんです。で、満鉄だけは特に一つ取り離してということは申し上げていないわけなんです。したがって、私のお聞きしたい点は、この二月の当内閣委員会での局長の御答弁は、満鉄と他の会社との区別はどうも引きがたい、同じ性格のものだからと、そういう意味合いだと思う。これは私も全然同感であるわけなんです。この点を確認しておきたかったわけです。
  36. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) その御趣旨に沿って、その線を引くという問題はなかなかむずかしいでしょうけれども、何とか引く方向で具体的な問題としては努力していく、こういうことでございます。
  37. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) また恩給局長は、元満鉄関係の陳情の方々に対して、これはこういう意味のお答えをしておるんです。三十四年の十月から恩給共済に切りかわる。現職者は共済年金をもらうことになるので、問題は共済の問題で、恩給関係は三十四年九月以前に退職した者に対して取り扱いをするだけである。これはもう私ども当然そう解釈している。ただあとの問題ですがね。共済組合法の改正が先決であると、ここに問題があろうと思う。これは今なおこういうお考えであるとすると、お考え直していただかないと困ると思うんですが、現行の恩給法ですね、それから国家公務員共済組合法、あるいは公共企業体職員共済組合法、地方公務員共済組合法、このいずれを見ても、またそういうことが、恩給が根拠になっているということがうなずけるし、またさらには、それぞれ法律改正政府提案理由の説明を見ても、このことは明確であるわけです。したがって、恩給法が根拠になって、そして共済組合法も同時に改正する。これは理の当然であろうと思う。時間の関係でただ一つだけ例を申し上げますと、公共企業体職員共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由にはこうあるわけです。外国政府職員期間は、「恩給法の一部改正により、恩給公務員期間に算入されましたので、本法におきましても」、すなわち当共済組合法においても、「これらの期間通算することといたしました。」というふうに、恩給法が根拠基準になっておるということはきわめて明確なんです。そうだといたしますと、元満鉄関係方々の陳情に対して、どうも共済が先決だと言われたのは、有名な恩給局長発言とも受け取りがたいのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  38. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) まあ御承知のとおり、この今お申し出の、問題になっている政策によって利益を受ける方々の大部分というものは、現在三公社にお勤めになっておる方、あるいは現在国家公務員である、すなわち共済組合法上の法の適用を受けている方々、そういう意味では、まあ俗な言葉で言えば、大株主はそちらのほうが大株主で、恩給法で利益を受けるという方々は非常に小株主の部類に属する。こういう意味でその全体の力のウェートから申し上げて、そういうふうな表現をいたしたわけです。しかし、この問題は法制上の、どう実現していくかという力関係と申しますか、そういうことになりますれば、まあ恩給というものは、今まで各公的年金の中でモデル・ケースとしてやって参りました関係もございまするから、私どもがどちらかというと中に立ってそして推進していく、こういうふうな気持でやっております。現実の問題としてもそうせざるを得ないのじゃなかろうかと、こう思っております。
  39. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) またどこで線を引くかということは、これは政府の考究すべき問題だと思うのですが、この通算を認めるかどうかという、こういう基準、その機関の設立目的とか、あるいはまたは設立の手続、職務内容、こういう点とか、日本政府の監督命令等の関係、まあこういう実質的な、歴史的な、あるいはまた、実質的に考慮すべき問題であって、形式的な、単なる基準によるべきではない、また、そういうことはきわめて至難である、こういうふうに私どもは解せざるを得ないのですが、この点についてはいかがお考えですか。
  40. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) まだ十分技術的にそこまで突き進んでいっておりませんが、十分先生の御意見を参考とさせていただきたいと思っております。
  41. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) さらに、国家公務員退職手当法の施行令ですね。附則第三項第三号、これを見ますると、外国政府、それから大蔵大臣指定の満鉄等特殊法人とを全く同一に扱っておるわけです。そして、それぞれの在外機関の三分の二の通算を認めておるわけです。で、私とこで言いたい点は、詳しい点は省略いたしますが、この退職手当法の施行令では、満州国と満鉄とを全く同一に扱っておるわけです。何ら区別をしていないわけです。これはもうすでに既設の法律で明確になっておる。ただ退職手当の恩給共済とは、一時金と年金の差はあるわけですね。一方は一時金、一方は年金、そういう区別があるだけであって、これは支給方法の差があるだけだ。退職後の保障の性格という点から考えると、何ら区別すべき筋合いはない。全く同じものなんです。ただ、形式上そういう差があるだけだ。こういう退職金の関係法令では、満州国と満鉄を完全に同一に扱っておる。こういう角度からも、当然に満鉄等を除外するということはきわめて理解しがたい問題だと、そういうふうに解釈せざるを得ないわけなんです。この点はいかがですか。
  42. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) まあ退職手当という一時金で決済する問題と、年金というものとはやはり考え方は相当違ってくると思うのです。まあ一時金で決済するものは相当緩やかに考えるけれども年金で終身ということになりますると、やはり相当また厳格な規定が要ることになるわけなんで、必ずしも一致して同時にというわけには参りませんと思います。ただしかし、まあ最近のように、退職後の老齢者に対する保障といいますか、そういうものが充実してきた今日におきましてはだんだんと考えも変わってくるわけでありまして、その三十二年ですか、三十一年でしたか、その当時やりました退職手当法における特別措置ですね、そういうようなものも大いに参考になってくる、そう思っております。
  43. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) なお、公共企業体職員共済組合法ですね、これについてみますと、第四十国会衆議院大蔵委員会参議院の当内閣委員会において満鉄等職員期間通算をすみやかにされたい、こういう旨の附帯決議がなされているわけです。なお、本年三月十六日の衆議院大蔵委員会においてもわが党の広瀬委員質問に対して斎藤前運輸大臣は、先ほど山本委員からも御指摘があったように、公企体職員の満鉄等職員であった期間通算措置につき熱意をもって国家公務員共済組合にも呼びかけ、一日も早く実現するように指導権をとっていきたい、こういう意味答弁があるわけです。その後もうすでに半年以上もたっておる、こういう点からも当然早急に実現されてしかるべきだと思うのですが、この点いかがですか。
  44. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 大蔵委員会あるいは運輸委員会でございますか、等におけるいろいろ論議の内容承知しております。また、斎藤運輸大臣からその三公社共済組合法の改正につきまして国家公務員共済組合なりあるいは恩給なり、そのほうに働きかけて、自分のほうもまっ先に立って努力するというようなお話も記憶しております。そういうふうなことを考えまして、また、前国会における小平総務長官の御発言によりまして、私どもといたしましても先ほど来申し上げておりますように、この問題について取っ組んで来年度予算あるいは来年の通常国会に法案といたしましては何とか結末をつけたい、こう思っております。
  45. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 時間の関係もございますので、最後に強く御要望申し上げたいと思います。  恩給局長並びに大蔵当局に対して以上申し上げておきましたことを要約すると、大体五つの項目に要約できると思うのです。その一つは、外国である満州国職員期間をすでに恩給並びに共済通算しておる、この問題は昨年すでに解決しておる、こういう点が一つ、にもかかわらず、実質的においては、日本政府出先機関になって何ら満州国性格において変わりのない満鉄がいまだ問題を解決されないままに放置されておるという点。それから第三には、国家公務員退職手当法施行令、先ほど申し上げたように、においては、外国政府と満鉄と何ら区別していない、それと四つの問題としては、満鉄等職員期間通算すべし、こういう附帯決議が、繰り返し申し上げるように各委員会附帯決議がなされておる、五つには、池田総理とかあるいは斎藤前運輸大臣、小平前総務長官、こういうふうに現在政府責任者はそれぞれ責任ある回答をしておられる、全力をあげて検討する、それからすでに半年以上経過しておる、こういう状況にありながら、なおかつ満鉄職員通算問題が解決していない、これはこのままでは現政府は無能なのか、怠慢なのか、こういうそしりは免かれないと思う、このままでは。そこで緊急に満鉄等職員期間通算に踏み切って、できるならば本年度中に補正予算を組んで早急に解決してもらいたい。また、最悪の場合でも新年度予算には必ず予算措置を講じてこの問題を早急に解決してしかるべきだ、こういうふうに確信するわけです。そのような観点に立ってひとつ誠意あるお答えをいただいて、私の最後の質問といたします。
  46. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 先ほど申し上げましたように、この問題につきましては十分機が熟して参りまして、委員会の決議もあることであったのでございますので、その趣旨を尊重して今年の予算編成におきましては私どもの主張と申しますか、各企業体につきましても、また、国家公務員共済にいたしましても一緒に一つ方向に向かって予算を獲得する方向に努力していきたい、こう思っております。
  47. 伊藤顕道

    委員以外の議員伊藤顕道君) 給与課長も、あなたは所懐を述べることはできないでしょうけれども、たとえば大臣に誠意をもってお伝えするとかなんとかあってしかるべきだと思います。
  48. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) 先ほど山本委員からもお話しございましたように、十分誠意をもって大臣にお伝えいたします。
  49. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑もなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。    ――――――――――
  50. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 次に、公平審査に関する問題について調査を行ないます。ただいま出席されておりますのは佐藤人事院総裁、岡田管理局長小林公平局長でございます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  51. 横川正市

    ○横川正市君 人事院の作られたときに二つの柱があったと思う。一つは、これは給与の関係と、一つは、職員公務員の身分の保障の問題といいますか、あるいは身分を他の権力によってそこなわれないようにそれを守るといいますか、そういう意味では公平局の任務というのは柱の一本だと思いますが、まず一つ人事院の機構の中で公平局の機能といいますか、これを配置する場合にどういうような考え方で配置をされておるか、非常に抽象的な質問でありますけれども、大体総裁が新しいわけでありますが、あなたの考え方一つこの中には私的でもいいから入れていただきたいと思います。
  52. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 横川委員すでに御承知とは存じますけれども、公平事案すなわち主として不利益処分に対する審査請求の例を考えて申し上げますると、公平局に審理官が相当員数おりまして、これは事件ごとにその審理官の中から公平委員及び委員長を指名するという建前でございます。ただ、審査請求者のほうからたとえば地方で開いてもらいたいというような希望がございますが、その際には請求者の希望に応じてその指定する地方で審理の実行をするということでございまして、その際には御承知のように、地方事務所が現在全国に八カ所ございます。その所管の地方事務所の職員を、これは一人加える、三人で構成しておりますから二人が本院から参りまして一人がその当該地方事務所の職員、これを加えてそこで審理をする。もちろん、その他大きな例外としては、公務員法上なにも公平局の職員あるいは人事院職員ばかりで構成するという限定はないわけでありまして、場合においては学識経験者その他外部の人を委員に委嘱することもできる。まあ大きな建前を申し上げますとそういうことであります。
  53. 横川正市

    ○横川正市君 まず私は、この審理官あるいは委員等の職にある人たちの公平事案に参画をさせるには、資格といってはおかしいのでありますけれども、まあ形としては、資格というものがあって、そしてそれらの職務に奉ずるわけでありますが、そういった資格というのは一体どういう、経験とか学歴とかあるいは部内における在職年数とかそういったものがあろうと思う。それは分限、任用、人事院の機構の中での任用についてどう取り扱われておるか、お聞きしたい。
  54. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) こまかいことは、ただいまのお言葉にありましたように、私はその万全のお答えはできないと思いますけれども、私の了解しておりますところでは、何分これは裁判に準ずるような非常に厳正公平を要する仕事であります。一方法律技術的な知識がなければ勤まらない仕事であります。もちろん人事院職員全体がそれにふさわしい資格を持っておる――まあたんかを切ればそういうことを申し得るかもしれませんけれども、その中でもさらにその仕事にふさわしい者、そういうことで公平局を構成しているのでございまして、地方事務所の中でもその公平を扱う課は第一課というのが公平を扱うことになっており、その課の人員はそれにふさわしい人を当てる。ごく大まかに根本的なことを申し上げますとそういうことである、こう思います。
  55. 横川正市

    ○横川正市君 まあ大体担当されている人の経験からいきますと、おもにどういうようなコースを通った人たちが担当者になりますか。
  56. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 補足は局長からさせますが、今申しましたようなことから当然でございましょうが、法律経済、そのほうの素養あるいは学歴を持っておる、そういうことでございます。
  57. 小林巌

    説明員小林巌君) 御承知のように、公平審理に当たります委員資格でございますが、これにつきましては、裁判所におきましては特に司法科試験に合格をいたしました、そういったような高度の法律的知識を持った人をもって当てることになっておるのであります。しかし、われわれの公平審理は、裁判に近いものではございますが、本質は行政上の調査と申しますか、行政上の審判制度でございまして、そういう点で司法とは違って、そういったような厳格な資格を必要とするという建前ではないのでございます。しかし、性格上特に法律的な知識というものが必要になって参りますので、公平局の審理を専門といたします職員につきましては法律学科を卒業いたしました者、これだけでは十分ではございませんので、なお、経済学科等の卒業者、そういったものを大体卒業単科といたしまして、中心的に見まして、重点的に見まして、なお、そのほか特にこういう審理に適任であると思われるような人を物色いたしまして、公平局の審理官に当てるという建前をとって参っておるのでございます。
  58. 横川正市

    ○横川正市君 大体平均年令はどのくらいの人が当たっていますか、現在。
  59. 小林巌

    説明員小林巌君) 経過年令でございますが、その公平審理制度ができましてすでに十三、四年になると思うのでございます。当初こういったような審理につきましては特に多年の経験を必要とするという考え方からいたしまして、公平局職員につきましてはなるべく他部局との異動をさせないという方針をとって、参ったのでございます。しかしながら、人事院職員という立場から申しますと、公平審理だけに専念いたしまして、それだけしか経験がないということはそれらの職員の将来のためにも思わしくない点もございますので、途中からわれわれといたしましては、他の部局の経験も踏ませるというような方針に切りかえたのでございます。そういうようなわけで現在公平局におります最も経験の長い者は十数年の経験を持つ公平局ができまして以来の者も一、二名おりますが、今申しましたような方針のもとにきわめて長い年限の者につきましては逐次業務に支障のない限り他部局に配置いたしまして、同時にまた、他部局の中から、先ほど申し上げましたような適任者を公平局に持ってくるということで人事の交流をやっておるのでございます。そういうような意味におきまして職員の将来も考え、同時にまた、公平局の仕事の円滑な遂行という面も考え、両点の調和をはかりながら、当初の方針を変えまして、逐次人事異動をやってゆくということに変えておるのでございます。
  60. 横川正市

    ○横川正市君 私の聞きたいのは、経験年数、同時に学歴その他からくる年令構成ですね、まあそう未経験な人を入れるわけにもいかないだろうし、それかといって、相当一年が何年にも変わって一般社会の進歩があるわけですから、そういったような社会の動きに相当鋭敏な人でもなければならないし、そうなれば年とった人でも困るということになるので、そういった点から大体経験年数も大切ですが、どのくらいの年令の人が担当者として任命を受けているのか、年令をちょっとお聞きしたかったんです。
  61. 小林巌

    説明員小林巌君) ただいまここでその職員の経歴についての資料を持ち合わせておりませんので、私の頭の中にありますことを申し上げるにしかすぎませんが、御承知のように、審理官につきましては、首席審理官、これは三等級でございます、課長待遇でございますが、これが三名おるのでございます。その下に主任審理官と申しまして四等級の職員を審理官に配属いたしております。この主任審理官は公平委員会ができます場合の委員長に当たるものでありまして、四等級職員でございますが、これは大体平均年令で申しまして三十七、八、古い職員につきましては四十をこえると思います。そういうような職員が公平委員会委員長に当たるわけであります。そのほかに普通の審理官もございます、その審理官は四等級と五等級でございます。五等級の職員は数は非常に少のうございまして、大部分が四等級の職員ということになっております。したがって、四等級、五等級の職員の平均年令で申しまして三十四、五ぐらいに当たるんじゃないかというふうに判断をいたすのでございます。
  62. 横川正市

    ○横川正市君 まず一つ大切なことは、不利益処分を受けた個人は、大体相手取っておるのは国家か、あるいはそれに準ずる機構を相手にしてやるかですね、取り扱いを受けた相手ですね、そういう場合はこれは往々にしてその個人というのは非常に無とまではいかなくとも、立場が非常に不利であります。相手は国であったり、あるいはそれに準ずる機構ということは相当今の機構の中では発言力を持ったもので、同時にそのことが相手側に対して圧力をかけられる立場である。そうすると、審理をやる場合の審理官あるいは委員その他につかれる人はそういったものに屈しないで、正しい公平の審理をしなければならぬという、そういう建前に立つわけです。その点のたとえば日常の教養だとか、それから訓練だとか、それからその身分の保障の問題だとか、そういったことは裁判官に準じて行なわれていくのかどうかですね。たとえば他の部局との交流が行なわれる場合には、これは少し私は問題があると思うのです。それから中央と地方との交流、中央、地方間の交流、いろいろ人事があるのですが、そういった場合にどうその人の身分というものが守られているのか、この点は人事の担当されている方、それから公平局に実際に今までやってきたことですから、お答えをいただきたい。
  63. 岡田勝二

    説明員(岡田勝二君) 人事院職員も一般職の職員としての通常の身分保障のあることは御承知のとおりでございますが、この公平局の職員につきまして裁判官に準ずるような特別の身分保障があるかということになりますと、これは制度上そういうものはございません。ただ人事を行ないます場合におきましては、先ほど公平局長からも申し上げたように、この制度が始まりまして現在ようやく十三年でございます。で、当初は相当期間同じ職務に従事せしめて、これに熟達せしめるということをやってきたわけでございますが、その後若干異動ということも考えるようになって現在に至っているわけでございます。で、この異動を行ないます場合におきましては、他の院内の一般の職員につきましてもむろんでございますが、特にその担当する事案の多寡、それから本人の事情――家庭事情、その他の事情、それから本人の希望等これを考慮いたしまして人事異動は行なっておるのが、これが現在の方針でございます。
  64. 横川正市

    ○横川正市君 これは今までのそういう取り扱いを妥当だとお考えになるのですか、総裁は。
  65. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 実は私先ほどごあいさつにも申し上げたんでありますが、とにかく新米である。ところが、新米の取り柄は今までのやり方を批判というか、第三者的な立場でこれを見るということは新米の取り柄だというつもりで、マンネリズムはないかとか、そういう角度で実は今日まで勉強を続けて参ったわけでございます。大体公平審査のやり方あるいはその担任者の素質などを見て参りますと、大体これは満足できる、安心してまかすことができるという確信を持っております。ただいま管理局長からこの公平委員となる審理官自体には裁判官のような身分保障はないということを申しましたけれども、そのそれらの身分権を持っております私どもが実は裁判官同様の身分保障を受けておるわけでございまして、そういう点には御信頼いただいていいのじゃないかというふうに考えております。
  66. 横川正市

    ○横川正市君 具体的な事例をあげればいいのでありますけれども、実はその具体的な事例をあげる結果から私も実は取り扱いについて自信がないものですから、もう少し具体的にこれを調べてみてからと思っているわけなんです。そこで非常に抽象的な質問でおそれ入りますが、たとえば国際労働条約の中でILO八十七号の条約が日本政府はまだ批准はいたしておりません。ところが、事実上労使間においては批准したとほとんど変わらない慣行というのが作られてきている。これを法律上見ますと非常に便法的な政治的な配意ということになりますし、法律的に見ますと、これは現在の公務員法その他によって見ても相当問題のある点だと思います。これを取り扱うのに、たとえば一面だけを見た者は一面で無罪とし、一面だけを見た者は一面で有罪とする。こういう関係が出てくるわけですね。公平関係を担当されている方はいわゆるその両者を常に見ながら、これは第三者が納得をする結果を出す。これは私は取り扱い者の信条だと思う。そこで事案としては、いつでもこういう事案が起こるのは、国ないしはそれに準ずるものを相手とする個人ということになっておる場合ですね。一体第三者というのはだれかと言えば、これは国ではなくて少なくとも衆目の見る人たちの妥当性、こういうことになる。往々にしてこの国とそれから個人の場合は、たとえば感情問題も入ったりなんかして、普通仲間同士で殴打事件が起こっても、まあ示談ということで済んでしまう。ところが、殴打事件が起こればそのことが身分の問題で、公務員とすれば首の問題につながる。すなわち死刑を受けたことと同じ結果になる。そういう審理が上がってきた場合、つまり一面を見れば殴打事件は、暴力行為は公務員としてあるまじきことだから首にしたのは政府の言うとおりだということになる。しかし、日常社会の動く中でのそういう案件が出た場合は、私はこれはある程度両者に理由のあることを十分聞きただして、いわゆる第三者に首が過酷であったかどうかという点についての審理をするのが私はこれは公平の審理をする審理官ないし委員の持っている持ち味だと思うのですよ。その持ち味が十分に発揮できるかどうかということになれば、まず機構の問題を私は一つ取り上げたい。それからもう一つは、人事、任命の問題も、これも検討しなきゃいけない。同時に、中央の公平委員会という中から、公平局の職員から地方の事務所に派遣をされるという機構がいいのかどうかという問題ですね。おそらく多くの事案があると思う。まあ不服審査法もあるわけですから、不服を申し立てる方法は幾つかあろうかと思いますけれども、しかし、人事院の機構としては、八つの地方事務所があれば、地方事務所で問題の処理に当たれる機構ということが必要じゃないか。事実上上がってくる案件が少なくて、そして取り扱いが少ないのに人員を配置することはどうかというような経済問題ということがあるでしょうが、私は機構としては八つあるのでありますから、その八つの機構については大切な公平審理のできる機能を持たせるべきではないか。こう思っておるのですが、一連とした私の質問にお答えいただきたい。
  67. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 先生のおっしゃいました根本的な考え方は全く同感でございます。そこで、最後に具体的なお言葉がございましたが、それもまた横川先生に先回りされたような感じで、お答えすべきことは、実は御指摘のとおりということになるのですが、何分地方の部局に、相当のこれはエキスパートでなければならぬということになりますと、費用の問題、その他もございますけれども、一体人材がそれだけ十分に各地方事務所に配置できるかどうか。そういう点に相当のネックがあるように存じます。したがいまして、ただいまやっておりますようなことでせいぜい一人を加えるということがまあ当面としてはやむを得ない措置ではないかというふうに考えます。これは理想を申しますれば御指摘のとおりのことで、人材と費用とそれを両方満足にかなえられますれば、今お話のようなこともまあ望ましいことかもしれません。
  68. 横川正市

    ○横川正市君 私は非常に重要に思うのは、そういう機構ももちろんこれは充足しなければいけないと思うのでありますけれども、今人事関係答弁がありましたように、総裁は人事官が身分保障があるから職員全体の任命、管理運営、そういった面で及ぶところで十分ではないかという考え方は、少し物事を、何といいますか、現実を具体的に見ていないのではないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  69. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まだ一カ月ばかりでございますけれども、先ほど申しましたような心がまえで、できるだけ具体的に現実を見て参っておるつもりでございます。その上でのお答えでございます。
  70. 横川正市

    ○横川正市君 これは二面あると思うのです。たとえば三等、四等、五等等の給与格づけの中で、永年勤務という格好のものが一つありますね。それから、そこでなるべく人事交流をしないということから、専念ということにもなるわけです。もちろんこれは職員の中から選ばれた人が専念するのであって、最初から公平審理を担当する者として身分保障されて、採用されて永年勤続する場合と違うわけですね。私は人事院それ自体が、最近は国家機構の中からだいぶこれはまま子いじめをされるような格好になってきている、給与関係でですね。そういうものに対して人事院の本来の任務を全うするといいますか、そういうようなことはなかなかむずかしくなってきていると思う。そうすると、人事の面での不平、不満とかというものは、これは解消するところがないわけですね、これは大体具体的に言ってみて。そこに私は、まず一点としては、公平審理をする精神的なといいますか、精神力的なですか、そういった意味での欠陥が生じないか。非常にいわば人間をそういうおりの中で育てておくと、かたわになってしまう。物事が正確に判断できなくなってしまう。そういうことは一般に言われることであって、それを実はこういうふうにいって解決いたしておりますということは全然今まで聞いておらないわけですけれども、私どもの危惧としては、そういういわば人格的に、表面を見て無難であっても、ものの判断をさせるときに非常にかたわ、と言ってはひどいですけれども、まあ正当な判断、いわゆる第三者が拍手を送るような判断ができなくなるのではないか。一面においては、私はたとえば議員であっても、衆議院参議院の違うところは何かといえば、衆議院はあした解放があるかもしれない。参議院は六年安泰である。その気分的な違いというものは、やはり法律審議にずいぶん現われてきているわけです。これと同じように、人事院の機構の中での公平局、あるいは公平事案に対して参加をする、公平を最も期さなければならない人たちの立場というものについて、私はもっと何といいますか、真剣な取り組み方をして、いやこれは大丈夫なんですという答弁をいただきたいと思うのです。あなたが見られて、短い期間だから大丈夫だったと思いますという程度でなくて、今の機構上から、取り扱いから、給与から、すなわち人間がどれだけそういったものに支配されるかを十分に考えた上で、その業務に専念するという環境が育ててくれるりっぱさというものを作っていかなければならぬと思うのです。今聞いた範囲ではどうも信頼できない。主観の相違だけでないと私は思うのですよ、おそらく。お答えいただきたいと思う。
  71. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 全く今のお言葉にありますように、この仕事が仕事でございますから、やはりエキスパートでなければならぬ。エキスパートであるためには、やはり長年その仕事に専念してもらわなければその辺は伸びてこない。ところが一方には、それじゃ非常に狭い視野のかたわになってしまうという矛盾した要請があることは御指摘のとおりでございます。その意味で、先ほどの局長のお答えにもちょっと出ておったと思いますが、前はエキスパートのほうに重きをおいて長くやらせておったらしい。どうもそれでは生きたものが出てこないということでごく最近に、機構なりあるいは人員の配置の方針を改めまして、人事院部内ではありますけれども、他のほうを回らして、また違った経験を積まして、視野を広めてくるというような方針をとっておるらしいのでございます。そういう方針の転換そのものに、いわばその苦悶が象徴されていると私は思うので、どちらがいいか、その辺の調和をどう持っていくか、あるいはまた、公平局の職員である間は特別の給与かなにかやって、大いに優遇してやるというような面も伴いますけれども、これはこれで、今申しましたような将来の配置転換の場合を考えますと、またそれが支障になるのではないか、そういう問題のあることは、私自身も不敏ながら心得えておるわけです。これをどう持っていった場合に一番適切なことになるのか、これはこの内閣委員先生方にも今後たびたびお教えを受ける機会があると思います。これらも御指導を受けながら、さらに真剣に検討していきたい、こういう心積もりでおります。
  72. 横川正市

    ○横川正市君 私も長い経験なものですから、十何年、人事院発足以来、発足前からつき合っているわけですから、内部においてのいろいろなことがおぼろげながらわかるのです。わかるから、今言ったような問題で、なお心配するわけです。ことに給与関係でも、いろいろなことを言われて今日きておるのであって、ことに公平関係については、私は、私どもが見ているようなことが人事院の中にいささかもあってはならぬと思う。少なくともフーバー公務員課長、これができてから、あれはある程度の権威のあることを期待しておったけれども、だんだんだんだんやはり時の政府権力というものが近づいてくる。また、公平局の担当される公務員それ自身が、各省の権力機構と、出先機関と何らかの格好で接触を持つ、これは実際あり得ることです。ところが、全然接触のないものが実は苦情を持ってくる。そうすると、機構の中からいえば、私はこれは人事院が公平審理をするということは、実際にはやめて、もう別個の機関を作って、全く裁判官と同じような身分保障までして、というふうに考える向きが出てこないとも限らぬと思うのです。そうなれば、人事院の公平局は自殺行為ですから、そうならないようにするための努力というものは、私どもは見ていて、今までのそういう人を養っていく機構がないから、一般にやられておって、苦情を持ったものに有利に判決をするよりは、権力を持ったものに有利に判決したほうがよい、そういう考え方で公平審理をされるというようなことになると、これは問題だと思います。そうなって、それをやったことが今度次の人事の発令のときには栄転をするといえば、下の者だって見習ってくるというようなことで、実際上の公平局の機能というものはそれで終わってしまうことになる。そうさせないためにはどうするかといえば、やはり人間のすることですから、その身分保障といいますかについてははっきりとしたものを持っておくということが私は必要だと思うし、給与面でも、誘惑に負けないだけのものはやはり持っておかなければいけないのではないか。単なる人事交流だけで、その人間の行なったことが結果的にはひんしゅくを買うということにならないように私は配意すべきだと思う。これは私たまたま一人の審理官が権力に屈しなかった、一人の審理官は権力に属して、同じ一つの事案を取り扱うのに、人間が変わったら、全然別の取り扱いが始まったなどということを私はちょっと耳にして、非常に心配をして、実はこれについて質問をしたいと思っておったわけですが、まだ具体的なその事案について調べがついておらぬものですから、きょうは非常に抽象的ですが、公平委員会の、公平局の運用そのものについてぜひひとつ総裁にこれは注意してもらいたい。私の言うようなことがなければ、これはそれでたいへんけっこうなことですが、あれば、これは配慮してもらいたいし、さらにまた、現在ある機構の中で保障できるかどうかという問題についてひとつ検討していただきたい。お答えをまずいただいて、さらに次の問題で質問をしたいと思う。
  73. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 具体的な事実はまたあとでということでございますから、それにはタッチいたしませんけれども、権力に屈してというようなことは、私は万々ないと信じております。しかし、公平委員のあり方そのものについての根本的なお考え、もう先ほど来のお言葉、根本的には全く同感でございまして、また、私どもも先ほど述べましたような決意でこれに臨んでおるというふうにさらに重ねて申し上げておきたいと思います。
  74. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、公平関係の担当者に特別の何か訓練機関というものがあればいいわけなんですが、そういったものは持っておらないのですか、おるのですか。
  75. 小林巌

    説明員小林巌君) 特別の研修機関と申しますか、そういう機構的なものは全然ございません。で、こういう仕事につきましては、実際の経験を積むことがきわめて技術的な問題もございまして必要であるのでございます。われわれの方針といたしましては、審理職員について、特に実際上、法律上の問題あるいは実際の調書の作り方とかいったような実務上の面については、それぞれ首席審理官がある程度の数の者を集めまして、講習と申しますか、研修をやっております。で、あらかじめそういうようなことで、この方面についての予備的な知識を与え、同時に、これらの職員をまず陪席の委員に当てていく、実際の事件にあたって訓練を積むということを積み重ねるわけでございます。大体、委員として一人前、すなわち委員長になり得るためには、最少限度一年間、これで担当いたします事件が五、六件になりましょうか、そういうように具体的な事件に陪席委員として当てまして、そういうような点で経験を積ました上で、委員長という職務に当てるということにいたしているのでございます。具体的な事件につきましても、なるべく最初は軽易な事件からという方針でございます。軽易な事件からだんだんむずかしい事件のほうに陪席委員としても当てていくということで、いろいろな事件についての経験を積ました上で、特に委員長というような重要な職責につかせるという方針で進んでおるのでございます。
  76. 横川正市

    ○横川正市君 私の聞いているのは、第一は、そういう仕事を担当する者については、身分の保障が必要だという点を強調したつもりです。  それから第二の問題は、これはやはり教養とか訓練とかというものは必要だと思うのです。たとえば人事院総裁、いわゆる人事官会議の中で、ILO八十七号についての取り扱いは、Aの裁判官の出した判決をこれを支持する、あるいはBの裁判官の出した判決を支持する、これは公平審理についての態度は重要ですから、審理官が自分の判断で自分の教養で自分の経験で結論を出すのではなくて、人事官会議なら人事官会議の中で、大体現在の判決とか、それに類似したものが出た場合に、それを取り扱いとしては一つ方向をきめておいて、その方向で審理に当たらせるというような場合と、いろいろあると思うのです、こまかな問題が。しかし、大まかには私はやはり事実審理に入ったときには、その事実審理というものは、その担当の者が直接的に肌に感じて審理するわけですから、きめられた方針とはまた違ったいろいろな要素というものがあると思うのです。その場合、この事案を担当する人、その人が何の訓練もされておらない、単に自分が日常生活の中で趣味で持っておるもの、あるいは仕事と思っておるもの、あるいは日常新聞等で教養とするものということでやられるのでなくて、やはり多くの人たち意見を聞いて自分のものにしておくということが必要なわけですね。それを任意にまかしておくか、随時機構みたいなものを作って、その中でやるか、私はやはり当然裁判官と違った機構で動いているのですから、その意味では非常に多くの人たちの、オーバーに言えば共通性といいますか、そういったものを持たせるような教養が必要じゃないか、こう思うのですけれども、その点ではどうでしょうか。もちろん私が期待をするのは、一つのものは偏向であっては困りますけれども、私は何回でも言う、第三者が見て拍手の起こるような結論が出るということについての共通性というものは持っておいていいんじゃないかと思うのですが、そういったことについてはどうお考えですか、聞きたいと思う。
  77. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 全くごもっともなことでございます。できればそれらのための特別の施設を作るとか、あるいは司法研修所などの講義を聞かせるとか、いろいろの方法が実はあるかと思います、あるかと思いますが、今の人手不足、また、逆のほうの条件が加わるものでありますから、これも思うとおり参りませんと思いますが、ただ少なくとも私に関しまする限りは、たいへん短い期間でありますけれども、三十年間法律ばかりやって飯を食って参りましたというようなことで、法律的な面の判断についての訓練は、これはいろいろな事件ごとに私の部屋にも出入りいたしております。別に事件そのものについて予断を与えるとか、事実認定について差し出がましいことは一切いたしておりませんし、また、そういうことはするつもりはございませんけれども、少なくとも法律的な素養という面でも、いろいろな判例というようなものを研究してみるとか、そういうこともやりかけておりますので、まず手始めにそういう方向で私の力が及びます限りにおいてやっていく、そのほかの方法についてもまた考案を尽くしていきたいと、こういう気持でおります。
  78. 横川正市

    ○横川正市君 最後に、私のほうから希望を申し上げておきますが、地方事務所のあり方はやはりもう少し検討してみる必要があると思います。もちろん現在八カ所で事実上これがその地域の問題を全部処理しておるというふうにはどうしても考えられませんから、これをふやすということは必要だと思うのでありますが、とりあえず八カ所の人員の構成、その他機構等について相当内容を充実していく必要があるのじゃないか、あまり小さいと、せっかく置いてもこれは無にひとしい、大きくできないということになれば何とかその点をひとつ考慮していただきたい。同時に、地方事務所長の何といいますか、身分ですね、これは地方へ行くのがいやだから希望する者がいないからということであまり軽視されるような結果にならないようにしていただきたいと思うのです。いろいろなことを工夫しながら苦労して地方事務所の人たちは仕事をしているようです。実際見てみると。それだけに実績が上がっておらないということで件数その他についても非常なかっさいを送るようなものが出ておらないということである。その点から考えてみて、それでは問題がないかというと、問題というのはうんとあるわけなんですね、おそらくこれは議員なんというのはその点を一番多く経験するわけです。私どもが行けば、一つの地方で何件でも少なくともそういった問題にぶつかって陳情を受けるわけです。本来ならば行政の窓口を通じてはからるべきものなんで、議員という職務の何かをたよって来るという者は、そういうものはこれはほんとうはいかぬと思うのです。やはり行政の窓口を通じてどんどんそういうものは吸い上げてこなければいかぬのに、それが行なわれていない、この点を考え合わせてひとつ地方事務所については、もう少し人的なものの配置等で内容の充実をまずはかっていく、それから機構その他についても十分検討してもらいたい、こう思うわけです。
  79. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 実はせんだって仙台で全国人事委員会の連合会がございまして、大会がございまして、私出ろということで行って参りました。そのとき仙台の地方事務所を訪れまして、実情をよく見て参ったのでございますが、よほどまだ考えるべきことがあると感じて参りました。
  80. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、本件の調査はこの程度にとどめます。    ――――――――――
  81. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 次は、国の防衛に関する調査を議題とし、防衛問題について調査を行ないます。  政府側から、志賀防衛庁長官は今すぐ参りますが、海原防衛局長・小幡教育局長、小野人事局長、麻生参事官が出席しております。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  82. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は、防衛局長にお尋ねをしたいのですが、今回のキューバ問題をめぐって米ソ両国間に御同様まことに憂慮すべき紛争が起こっておりまするが、われわれは、これら平和的解決の一日も早からんことをこいねがっておる。また、皆様もさようだと思いまするが、新聞の報道するところによりますと、防衛庁の松田航空幕僚長は、二十三日の午後一時に、全国の航空自衛隊二十四カ所のレーダー基地並びに千歳、松鳥、小松、小牧、新田原の五空団に対して緊急発進態勢をとるように指令をした、厳重警戒をするように指令したと、かようにわれわれは承知いたしておりまするが、平時から警備はしておるのだと、こういうことをわれわれはお聞きしたのでありまするが、ことさらに今回そういう措置をとられたという点について防衛局長の御見解を承りたいと思う。
  83. 海原治

    説明員(海原治君) ただいま先生のお述べになりました事実につきまして、まず私から当時の状況を御説明申し上げます。  御存じのように、航空自衛隊の全国二十四カ所のレーダー・サイト、それから領空侵犯に対処いたすための待機部隊というものが平生から、今申し上げましたように、二十四時間常時待機の姿勢に入っておるわけです。今般のキューバの問題に関連いたしまして、特別に新たに警戒態勢に入ったということではございません。常に二十四時間勤務の態勢におるものでございますけれども、何分にも非常に重要な影響を持った問題であると私ども考えましたので、当日諸情勢の分析検討をいたした次第でございますが、その結果特にあらためて平生と変わった措置というようなものをとる必要はない。しかし、時節柄二十四カ所のレーダー・サイト、領空侵犯に対処する部隊等は十分注意をして勤務するようにと、こういう念のための注意ということを幕僚長から連絡をしてもらうということが適当であろう、このように判断をしたわけでございます。したがいまして、空幕長から、時節柄念のための注意をする、十分気をつけて勤務をするようにという意味の指示を口頭で行なっております。これが指示という言葉を私も今使いましたが、通常私どもが使います指示と申しますのは、長官の命令、あるいはこれに基づく指示ということで非常にやかましいものでございますが、今回の場合は、これは念のための連絡である、そういう注意の連絡をした、そういうことを実は私から当日、クラブの方々に御説明申し上げた次第でございます。それが、このような措置がかつてとられたことがあるかということの御質問もございましたので、私の知る限りにおきましては、これが最初だということもお答えいたしました。そこで異例のというような形容詞が使われたのではないかと私は考えておりますが、冒頭申しましたように、今回の事件に関連いたしまして特別に変わった措置がとられたということではないというふうに私は了解いたしております。
  84. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなたの御説明を聞くというと、特別な指示ではない。指示は長官の命を得てやる場合に指示というのだ、さようにおっしゃっておるけれども、あなた自体が指示はいたした覚えはない、あるいはその他の場合に指示という言葉をお使いになっておる。そういうことになります場合に、国民はこれを何ととるか、そういうことをお考えになったかどうか。松田航空幕僚長の自己の意思でやったのか、あるいは長官がお見えになったらお尋ねしたいと思うが、志賀長官ともお打ち合わせなさったのか、あるいは幕僚会議なんかをされて、あなた方が事前協議をなさってお出しになったのか、そういう点についても、少し掘り下げて私はお聞きしたいと思うのです。当時の情勢を今あなたはお話しになりましたけれども、すこぶる抽象的で核心に触れていないように思う。その点もう少し詳しく詳細にお話し願いたい。まだほかにあるはずだ。新聞記者とも会見をされており、全部おっしゃらない。当時の情勢をと私は申し上げましたが、情勢を話していない。もう少しはっきりその点をひとつお話ししていただきたい。
  85. 海原治

    説明員(海原治君) ただいま私が申し述べました幕僚長から念のための連絡をするということの決定は、長官の前で関係者が集まりまして協議をした結果、長官の御判断によりましてかような処置をしたわけでございます。
  86. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうことであったら、私の先ほどのお話のように、念のためどうだ、こうだと、いとも簡単におっしゃいますが、相当協議の結果これはなされたことじゃないですか。あなた方の防衛の基本方針には、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行なわれるときにはこれを排除し云々と――直接及び間接の侵略をされるような状態ではないじゃないですか。これが国民に与えたところの不安、動揺、そういう点をお考えになりましたか、防衛局長はその点について。
  87. 海原治

    説明員(海原治君) 私が先ほど申し上げましたように、防衛記者会の方に対して当時御説明申し上げますときには、国民の皆さん方が不安、動揺を覚えるような報道というものがなされることは考えておりませんでした。ただ一部に特別に新たに異例の措置として警戒態勢に入ったというような感じを持たれてそういうことになったのかという意味の御照会がございました。したがいまして、私の申し述べたものはそういうことではないということを、当日、毎日放送、文化放送の放送、それから東京放送、これはテレビでございますが、TBSのニュースコープにおきまして防衛庁の現在の態勢ということにつきましては私が今ここで御説明しましたようなことを申し述べております。それによりまして別に国民の皆さん方が特にそのために不安を感ぜられたとか、あるいは動揺したとかいうふうには私どもは感じておりませんということを御了承願いたいと思います。
  88. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 国民の不安、動揺はなかったとあなたは解釈するのですか。そんなことはないでしょう。新聞にも載っておるし、国民ははたしてどうなるであろう、ああいうことが新聞に出て、発表になると同時に私どもも非常にこれに対しては関心を持ったのでありますが、しかも海上封鎖の布告にケネディが署名したのは、日本時間の二十四日だと思うのですが、その以前の二十三日の午後一時にあなた方は計画的に、三十分ほど前には新聞記者と会見し、その後に、あなたの言葉でいえば連絡ということになるのだが、指示を出しておられる。新聞記者諸君にお話しになったことと、全空軍に松田航空幕僚長が指示したこととは食い違ってはおりませんか、内容が。その点どうです。
  89. 海原治

    説明員(海原治君) 内容が私の申し上げたことと食い違っておることは、これは皆さんの御判断ということになるわけでありますが、私は、先ほどから申し上げておりますとおりのことを、記者クラブの方々には申し上げた次第であります。  さらには時間についての御疑問がございますが、当日、二十三口の朝八時からケネディ大統領の放送が日本でもFEN放送でそのまま中継されました。私はそういう放送のあることを連絡を受けましたので、私自身そのFEN放送を全部聞いたわけでございます。それから登庁いたしまして――いろいろと重大な決意を米国政府はしたわけでございますが、これに伴ってどういうことになるだろうということにつきましては、私、防衛局長としての職責上いろいろと情報を集めました。その結果、長官が閣議から帰られましてから一応御報告申し上げました。それに従いまして先ほど申し上げましたような措置をとることをおきめいただいた次第でございます。
  90. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうことになりますと、あなたはそれは判断だとおっしゃるが、そういう、受け取る者が判断を二様にも三様にもとるようなまぎらわしい談話が、指示か、連絡か知りませんが、そういうことをされた。不用意であったというふうにはお考えになりませんか。その点あなたの見解を承りたい。
  91. 海原治

    説明員(海原治君) 結果的に見ますと、確かに不用意であったということになっている次第でございます。
  92. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 不用意であったと思うとそうおっしゃれば、私もそれ以上追及いたしませんが、いま一つ、もう一度私はお尋ねしたいが、ケネディの放送の通知があったということを今あなたはおっしゃっているが、海上封鎖の布告に署名したのは日本時間の二十四日の夜だと思いますが、さようですか。
  93. 海原治

    説明員(海原治君) 大統領署名の時間につきまして、私記憶いたしておりませんが、署名が発効するのが当日の十一時であるということは承知いたしております。
  94. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうことはあまり承知していませんと、防衛局長がそんなうっかりしたことでは因りますよ。だったら、発効が二十四日の夜であり、何も周章ろうばい二十三日の前日にそういう報道を指示したり、連絡したりする必要はないですよ。日ごろ警戒体制にあるとか、常時警戒を厳重にしておけとあなた方はおっしゃっておる。それにまた特別そういうことを連絡されるということは、日ごろの警戒と、むしろ私はその日ごろの警戒に対してどういうふうにわれわれは解釈すべきであるか、その点をあなたにお尋ねしたい。日ごろの警戒と今回出した警戒がどう違うか。そこに何か問題がありはしないか
  95. 海原治

    説明員(海原治君) 先ほどからお答え申し上げておるとおりでございますが、私どもといたしましては、当然のことながら一つの重大な条件というものがあった場合には、念のために同じ注意を繰り返すということは、決して間違ったことではないというふうに考えております。まことに卑近な例を申し上げて恐縮でございますが、たとえば部隊におきましては常時火の用心をしろということは徹底しておることでございますが、しかし、部隊長がさらに部隊を視察いたしますときには、またあらためて火の用心をしろ、火事には注意をしろということを常に司令官として、指揮官の立場からこれを念のために繰り返すわけでございますが、今回は特に情勢が情勢でございますので、長官を補佐する幕僚長からこういう時節柄であるから十分注意して勤務するようにということを念のために連絡をさしたわけでございまして、この措置は、私どもとしましては、当時の状況におきまして適当なことと判断してこのように長官に意見具申をいたした次第でございます。
  96. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 防衛庁長官がお見えになりましたから防衛庁長官にちょっとお尋ねしたいのであります。  防衛局長は、今回の松田航空幕僚長のとられた指示に対して、国民に不安、動揺を与えたとは思わない、こういうような御見解でありますが、防衛庁長官もそういうお考えですか。国民にいささかも不安、動揺を与えていない、当然のことだ、そういう、今、御答弁がありましたが、防衛庁長官はいかがな御見解であるかお尋ねをいたしたい。
  97. 志賀健次郎

    ○国務大臣志賀健次郎君) 私としましては、ただいま御指摘のように、国民にいろいろな揣摩憶測、また、動揺などを与えないように配慮したわけでございます。防衛局長からいろいろお答えしたことと思いますが、あるいは重複する点もあろうかと思いますが、私の理解するところでは、キューバ問題というあの事態は、戦後最大の国際情勢の変化であったと私は思うのであります。今日のように近代兵器が異常な発達を遂げております際に、このような事態が世界のどこに、またいつ影響するか予測ができないのでございまして、こういう点をも考えまして、ただいま防衛局長からお答えしたとおり、火の用心、念のために注意をしろということを伝えただけでございまして、したがって、文書をもったり、あるいはいろいろな方法を用いますると、これまたいろいろな憶測が出まするので、航空幕僚長から電話で、軽い意味といっちゃ語弊もあろうかと思いますが、そういう配慮のもとに注意を喚起したわけでございます。したがって、国民がいろいろな揣摩憶測、動揺することをおそれてそういう措置を講じたのであります。しかも、そういう措置を講じまして一時間後に、私は九州の鹿屋に出張いたしておるのであります。むしろ私の友人などから出先の鹿児島に対して、一体こういう事態に日本の防衛責任者がのんべんだらりんと九州くんだりを旅行するのはおかしいじゃないかというような電報を受けたくらいでございまして、私は、当時三日間、あの事態が発生した直後に東京を離れて九州に殉職者の慰霊祭その他に臨んでおるのでございまして、私も非常に冷静にこの事態に処したつもりでございます。
  98. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 防衛庁長官の今のお答えは、なかなか慎重型で、冷静型で、私は防衛長官としてはさもあるべきだと思う。国民に不安、動揺を与えないように自分は考えた結果そうしたのだ、軽い意味において注意するようにと。そこらは防衛局長の考えと多少食い違っていないか。非常態勢に入れ発進態勢に入れ、というような指示を出しておいて、そして軽い気持という長官の気持とそこに食い違いを生じておるのじゃないか防衛局長はいささか不用意であったということは認めるということですから、それは一応それとして、今回そういう措置をとられたことが国民に不安、動揺を与えたことは、それは当然与えております。新聞も報道している。国民もさように思っている。ところが、そうした措置が国際情勢に影響を与えた――国民に対する影響は今申しましたが、国際間にどういう印象を与えたか、防衛局長はそういう点をお考えであるかどうか。局長はどんなふうにお考えですか。全然全世界は無関心であったか、日本の処置に対して。そこまでお考えになったかどうか。
  99. 海原治

    説明員(海原治君) 先ほどからお答えいたしておりますとおり、私といたしましては、ただいま長官からも申されましたように、きわめて軽い意味措置であるというふうに考え、そのように判断しておりましたので、先生のおっしゃいましたように、世界の他の国がどういうことを感ずるかということは考えておりませんでした。
  100. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 ある新聞報道を見ますと、ソ連と米国の紛争にいたずらにわが国が対戦準備行動あるいは敵対行動をとるがごとき情勢にあるように私は見られておると思うのだが、防衛局長はその点はいささかもあなたはお考えないのでしょうか。極東米軍に即応して自衛隊が緊急発進態勢をとったということ、私はまことに遺憾きわまりないことだと思うのです。防衛局長はどういうお考えですか。
  101. 志賀健次郎

    ○国務大臣志賀健次郎君) 私から。御承知であろうとも思いまするし、あるいは防衛局長からもお答えの中に述べておるかもしれませんけれども、航空自衛隊におきましては、戦闘機を配備いたしておる部隊ではここ数年来、部隊が編成終わってから後ですから数年あるいはその前のものもございましょうが、領空侵犯に対処するために何機かの戦闘機がいつでも緊急進発できるような警戒態勢をしいておるのであります。これは夜昼、四六時中毎日でございまして、戦闘機配置の航空部隊は警戒態勢下にあるのでございます。したがって、今回これにまた輪をかけるような指令を出す必要はないのであります。常に警戒態勢に入っておるわけでございます。いつでも領空侵犯に対処して飛び立つことのできるような態勢にあります。緊急態勢でございますが、それに対しまして、私どもは一そう注意をしろ、何せ四六時中何年間も続けておるのでございますから、一種のマンネリズムに陥る場合もなきにしもあらずでございますから、その注意を喚起しただけでございます。したがって、米軍に即応してというお話でございましたが、米軍の言いなりほうだいに、あるいは無条件で自動的に米軍に同調してわれわれが措置をとるのではございません。自衛隊の判断、自衛隊の最高責任者でありまする内閣総理大臣の判断によってきめるのでございます。今回はきわめて軽い措置でございまして、私の判断でいたしたのでございまして、これは在日米軍に即応したものではございません。自主的な立場から私の判断は注意を喚起する必要があると認めて注意を喚起したのでございまして、これを進発させるとか、そういう態勢ではないのでございまして、その点は本委員会を通じて明確に私はいたしておきたいと思うのでございます。
  102. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 当然そうなければならぬと思います。これは長官のおっしゃるとおりだと思う。いささかも国際間に悪影響を与えるような、日本がことさらにこの両国の紛争に巻き込まれるような、好んでこれに巻き込まれていくような私は態度はあってはならぬと思う。戦いが起こらぬように努力することが防衛の真意である。その点は長官の御答弁に私はやや納得したものでありますが、そういたしますと、この防衛局長は国民に与えた不安、動揺、それに対してこの際、自衛隊の態度を明確に国民に発表されるお考えはありませんか。
  103. 海原治

    説明員(海原治君) 私の言葉が不十分でございまして、誤解を与えたということのお話でございますので、まことに恐縮に存じておりますが、ただいま長官から明瞭に防衛庁の考え方、態度ということを申し述べられましたので、それ以上に私から、長官のこれは部下でございます私がどうこうするということは不必要であろうと、このように考えております。
  104. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 防衛長官は、国民にいささかも不安、動揺を与えないように、慎重に処置をとったつもりだ、いささかも平時においてゆるぎのないように警戒態勢をしいておるんだから、この際軽い気持において念を押したにすぎないんだ。防衛局長も全面的に長官のおっしゃったとおりと了解しますが、そのとおりですね、どうです。
  105. 海原治

    説明員(海原治君) そのとおりでございます。
  106. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうしますというと、私は防衛長官もお見えになっておりますから、幸いな機会ですから、これを通じて申し上げたいのでありますが、新聞記者と会見をされて、その後に全空軍に連絡をとられておる。そして多少のそこに行き違いがあった。国民に不安、動揺を与えた。そういう国民に不安、動揺を与えるような事態に立ち至って、あなた方はほんとうに国民の民生の安定をはかるというお気持があるかないか。ただいたずらに防備だ、防備だ。国防の基本となるのは、民生を安定するにあるのが私は防衛の基本だと思うが、局長並びに防衛長官の御答弁を承りたい。
  107. 海原治

    説明員(海原治君) ただいま先生のおっしゃったとおり、私どもも、防衛力の整備にあたりましては常に国民生活の安定ということとの均衡ということを念頭から離さないということを、歴代長官から指示を受けております。昨年決定されました第二次防衛力整備計画も、そのような趣旨のもとに決定されたものと、このように了解いたしております。
  108. 志賀健次郎

    ○国務大臣志賀健次郎君) 防衛局長からお答えしたところで尽きるのでございますが、やはりこの防衛力の整備は、何といっても民生の安定が中心でございますことは、先生の御指摘のとおりでございます。民生の安定なくしてなんぞ防衛あるかと言いたいのでございます。したがって、今後の防衛政策――今日もそのとおりでございますが、防衛政策の根幹は、民生の安定であることを重ねて私からもお答え申し上げる次第であります。
  109. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  110. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記をつけて。
  111. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 志賀防衛庁長官の御答弁で私は納得しますが、時間をお急ぎのようですから、あとの問題に関連しますので、一言お尋ねをいたしておきます。防衛庁長官は、長官に御就任の際に、隊員を愛さなければいけない。自分は隊員を大いに優遇する考えだ。国防の任に当たっておる自衛隊員は大いにかわいがっていかなきゃならぬ。何らかの方法をもってこれを優遇したい考えだということの所信の発表があったと私は記憶いたしておりますが、防衛庁長官のお考えは今日も変わっていないかどうか。心境の変化でもあればまた別ですから、その点を一つお尋ねを申し上げて、あとの問題がございますので、そうすれば、もうお忙しければよろしゅうございます。
  112. 志賀健次郎

    ○国務大臣志賀健次郎君) 先生の仰せになったとおり、部隊の運営の中心はやはり愛情でございます。先般陸海空自衛隊の幹部会同を招集したゆえんもそこにあるのでございまして、隊員の人事管理の中心は、愛情をもって上の者と下の者とがお互いに結ばれて――結ばれるということは団結でございます。同時にまた、上の者が、隊員の身の上から、あるいは隊員が借金で苦しんでおる話までよくこれを聞き、また、みずから隊員の生活環境もよく承知すれば、おのずから隊員がまた上の者に身の上も相談し、借金の苦しい話も相談をすると、そこで初めて隊の中に愛情がみなぎって、そして隊員同士の血がかよって、魂が触れ合うと申しましょうか、それが私は士気の高揚だと心得ておるのでありまして、ただ部隊長なり上の者が、士気の高揚、士気の高揚と号令ラッパを吹いたところで、決して私は隊員の士気の高揚に相ならぬと思うのでありまして、ただいま仰せのとおり、隊員同士が、また、隊員の上の者との間にあたたかい愛情で結ばれることが、部隊運営の中心でありますから、部隊の掌握に相なるのでございまして、かような心がまえをもちまして、陸海空自衛隊の運営に私が最高の責任を持って当たっておる次第でございまして、御了承を賜わりたいと思うのであります。
  113. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 はい、わかりました。
  114. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  115. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記つけて。
  116. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 防衛庁長官の防衛に対する基本的考え、お気持もよくわかりました。防衛局長に私は希望いたしますが、なおまたお尋ねしたいと思うが、どうも自衛隊は国民に親しまれる自衛隊、寸時も国民より隔離させてはならないということをあなた方は常に思っておると思う。今回の事件なんかは国民から隔離しておる。で将来はますます防衛の責めに任じられるとともに、国民に不安、動揺を来たさないように、国民の民生安定を第一に、常に国民とともにある、親しまれるところの、名実ともに国民の自衛隊になるようにあなた方は努力すべきであると思いますが、防衛局長の的確なる御見解を承りたい。たとえば先般の自衛隊員が国外に逃亡して、未遂に終わった。二カ月も三カ月もして、裁判になって初めて発表した。ひた隠しに隠している。で、そして国民とは遊離していない、親しまれる自衛隊だ――こういう事実があって因っておるということをなぜわれわれにでも相談しないのです。新聞に出て初めて知った。そして、国民と遊離していない。国民から隔離しておきながら、そういう皆さん方の行き方、その点に対して、これは防衛局長のみならず、関係局長、見えておったら見解を承りたい。
  117. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいまの具体的な事例につきましてのお尋ねにお答えいたします。  まあ先般の松島の航空機脱出未遂事故について、これを隠しておったというお話でございますが、この事故につきましては、まあ当初からどうもはっきりしないいろいろな要素がございましたために、慎重な捜査を必要とする。しかも、これは自衛隊の内部だけで、自衛隊の警務官の手によって捜査をするということは不徹底になるおそれもあるし、また、あるいは世間の誤解を受けることもあるかもしれない、こういう考慮から、むしろはっきりさせたいという意図から、これを直ちに地元の一般警察、宮城県警察本部のほうへその事件の捜査をお願いをしたわけでありまして、そういうような複雑な内容があるのではないかという疑いがございましたために、その捜査は非常に慎重を要するわけでございます。しかも、その事件の捜査は、その本人の身柄とともに、地先の警察へお預けしておるのでありまして、その捜査の妨害になるようなことがあってはならない、こういう考慮から、私どもとしてはその捜査の進展を見守っておったわけでございます。これはまことに――まあ申しにくいことでございますけれども、かりに自衛隊がほんとうに隠しおおそうと思うならば、自衛隊の警務官によりまして、これを全面的に処理することも可能な事件でございまして、それをあえて直ちに外部の警察におまかせしたというところに、私どもの、今先生が御心配になりましたような、自衛隊が勝手なことをするとか、あるいはいやなことは隠すとか、こういうような御懸念があるやに存じましたが、そういうようなことは全く違いまして、とことんまでやっていただきたい、しかもお願いした以上は、その捜査が円滑に徹底的に行なわれるまでこちらとしては何も申し上げないほうがいい、こういう気持であえて発表というような形をとらずに過ごして参った、こういうことでございまして、隠すというつもりではないのでございまして、もっぱら捜査上のことを考えて私どもとしては沈黙をしておった、こういうふうに私どものほんとうの意のあるところを御了承いただければありがたいと思います。
  118. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 この自衛隊員の国外逃亡未遂事件は、それは一例として私は申し上げたのです。なおまたあとで別問題で私お尋ねする場合にもこれは当然出てくることなんだが、なかなかあなたはとうとうと答弁されたが、結果において隠してしまっている。何かあなた方が実際にいいことがあったとかという場合にはすぐに発表されたり、われわれに喜んでくれと言われる。悪いことがあれば隠している。そのためにわれわれ内閣委員会があるのです。内容は慎重にそれは審議中であり、事件の進捗中であるということになればそれはそれでもいいので、こういう事実があったということは知らすべきじゃないか。裁判になって新聞に出て初めてわれわれに話をする。国民に初めてわかった。国民に親しまれる自衛隊、国民からかわいがられる自衛隊であるならば国民と苦楽をともにする。楽しきも悲しきもともに分け合っていくというのが真の自衛隊だ、そういうお考えはあなたはありませんか。真に国民に愛される自衛隊というお考えはありませんか。
  119. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいまのお話はそのとおりでございまして、私どもとしては努めて自衛隊の実情、実態というものは広く国民の方々に知っていただき、また、おしかりは遠慮なく言っていただき、また、ほめていただくことはほめていただきたい。できるだけありのままの姿で国民と一緒に進んで参りたい、歩んで参りたい、この念願は先生のおっしゃるとおりでございます。
  120. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 今後は私はさようにあっていただきたいと思う。  そこで防衛局長に申し上げますが、将来は民衆を忘れた自衛隊でなくて、民衆とともにあると、こうした基本的な考えをもって防衛の任務に当たっていただきたいと思う。どうぞ局長にお考えを承りたい。
  121. 海原治

    説明員(海原治君) 先生のおっしゃった御趣旨を十分体して今後仕事をしたい、このように考えております。
  122. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に、問題が変わって参りまするが、防衛関係のことですから、人事局長あるいは教育局長さんかお見えいただいておりますね。別府市で百十一教育大隊三百二十教育中隊で殴打事件が起こっておりますが、これに対して事情をお聞きしたいと思いますが、これは教育局長ですか。
  123. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 人事局長からお答えいたします。
  124. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それじゃそのほうから事情を承りたい。
  125. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいま御指摘の別府の第三教育団におきまして私的制裁事件がございました。去る十月の十三日夜のことでございますが、同教育団に所属いたします教育大隊のある部隊におきまして、夜間就寝前の点呼のときでございますが、新しく入りまして、まだ一月か二月という隊員のある部隊、百五十名おりますが、その部隊におきまして、その隊員の態度が非常に悪かったということに激高いたしました当日の当直幹部の二等陸尉の者が、その全隊員に対しまして暴力をふるったと見られる制裁を加えた事件でございます。その内容を少しこまかく申し上げますと、その隊員の態度あるいは行動等がまことにふまじめであるということで注意をしたのでございますが、そのときにその隊員がみなまじめに話を聞かない、いろいろと私語をしておったり、横を向いておったり、あるいは半ば笑っておるといったような者もあるということから、その幹部は――若い幹部でございますが、憤慨をいたしまして、まず、たくさんの列があったようでございますが、二列ずつ隊員を正面を向かい合わせまして、相互に一つずつなぐれというような指示をしたわけでございます。ところが、本気でそういうふうに言われたわけでもないと感じまして、お互いにはなぐるまねをしたり、あるいは笑っておったり、実際にお互いにいわゆる対抗びんたということでございますが、まあそこまで徹底したことはやっておらぬわけでございます。そのときにその幹部の者は、お前らだらしがない、じゃおれがやってやると言ってさらにその向きを、列を変えまして、全部同じように向けさせまして、その間を自分が入っていきまして、その二列の間に入ってこうやってずっと一回り回ったと、これは狭い列の間でございまして、しかも手の甲を使いましてただ機械的に回していった、こういうことでございまして、ある意味におきましてはふざけ半分ということも言えるわけでございます。しかしながら、そうしたことはけしからぬことであることは申すまでもございません。そうしておるうちに、一名だけほおをたたくのを耳をたたきまして、ちょうどこれは蓄膿症を持った隊員でございますが、これが鼓膜に傷を負わせたということが起こりました。事件としてはそういう事件でございました。
  126. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いとも簡単にあなたは御答弁なさったが、これはさように簡単な事件ではありませんよ。熊本の西部方面隊にもこういう殴打事件が三、四件か二、三件あったと私は承っておる。御存じですか。答弁して下さい、ないならないと。
  127. 小野裕

    説明員(小野裕君) 最初にお答え申し上げますが、いとも簡単に申したとおっしゃいましたけれども、どういう状況かというお尋ねに対しましてそのように申し上げたのでありまして、この事態がまことに遺憾な事態であり、真剣に考えなければならない問題であるということはもう十分考えております。なおほかに、西部方面隊であったのではないかというお尋ねでございますが、こまかい資料はちょっと持っておらないのでございますが、最近、この数年間に、年々全国の部隊を通じまして十件前後私的制裁として処罰を受けた事例はございます。これが西部方面隊の中でどれだけあったかということについてはちょっと資料を持っておりません。今申し上げました十件前後という案件はいずれもいわゆる一対一の関係で上官があるいは同僚が部下なり同僚なりをたたいたというケースでございます。いずれも厳罰に処しておる事件ではございます。また、西部方面隊で何件あったということについてはっきりしたことは手元に資料がございません。
  128. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 自衛隊の教育に対しては、あるいは訓練に対しては学校で行なわれるあるいは部隊そのほかある機関を通じて委託をして教育をするとかあるいは外国に留学させるとかいろいろあると思いますが、これは部隊のことだと思いますが、同僚同士をなぐらせるというようなことはよく私どもは旧軍隊では使われた手だということを聞いておりますが、最もこれは拙劣なやり方で、教育としては断じてこういう教育をとってはならない、打たれても親のつえということを昔よく言ったことはありますが、いささかもそういう点はない、全くの暴力である、自衛隊内にはいまだにそういう暴力をあえて行使するような弊風があるのじゃないですか、その点をはっきりひとつおっしゃっていただきたい。
  129. 小野裕

    説明員(小野裕君) 私的な制裁特に暴力による制裁、こうしたものは絶対にあってはならない。このことは自衛隊始まりまして以来の鉄則にいたしております。いろいろな教育の機会を通じ、また、いろいろな事故等の場合を通じましてそういうことのないように常に指導をして参っておるのであります。まことに残念なことでございましたが、今まで申し上げましたように、ここ数年、年に十件前後そうしたことが跡を絶たない、この点につきましては、常に注意は換起しておるのでありますが、そのことがたまたま今回はそういうような集団を相手にいたしまして、しかも隊員同士にやらせるというような事態を起こしましてまことに申しわけなく遺憾に思っておるのであります。自衛隊といたしましては、もうそういうことは絶対にあってはならない、そのことは徹底して今までも考えており、また、その徹底しなかった点については今後さらに徹底させていきたい、こういうふうに考えております。
  130. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなた方のお作りになった陸上自衛隊、これはあなた方がお作りになったと思うが、この中にもわれらの信条とかいろいろこれには書いてある。楽しい食事のひととき、暴力で百五十人もなぐらせて何が楽しい食事だ、そんな楽しい食事があるわけがない、誤った教育をしないで、りっぱな社会人となり、日本人となるよう努めよう、暴力が誤った教育でなくて何が誤っているか、暴力や闘争はなくしようと書いてある。そういうあなた方が教育を常に叫んでおりながら、あえてこういうことが行なわれる、いたずらに美辞麗句を並べてそうして教育をしても真に慈悲ある、真心をもって、親心をもって隊員を教育しないならば実績を上げることはできない。先ほど防衛庁長官は、隊員はほんとうに親心の、真心をもって私は愛していかなければならないと思っておると言われた。こうした防衛庁長官はお考えを持っておられる。こういう点を私は考えて参りますと、教育をする幹部自体に誤った考え、暴力で教育でもしていこうというような誤った考えを持っておる幹部がいるのじゃないか、本足り、末生ず、本がはっきりしておれば、末もはっきりしてくる、どういうふうに局長お考えですか。
  131. 小幡久男

    説明員(小幡久男君) 私的制裁につきましては、先ほど来いろいろ御質疑が交されておりますとおり、きわめて重要視しております。特にこれは自衛隊法第五十二条の服務の本旨におきましても、各人の人格を尊重するということは原則になっております。なお、施行規則におきましても部下を虐待してはならないということが明記してあります。したがいまして、これにつきましてはある場合には許されるという性質のものではありません。明白な規律違反として自衛隊では考えております。したがいまして、特に教育、今問題になっております別府の例で申しますと、これは新隊員の教育でありまして、今まで社会におりました、まだ自衛隊になじまない若い隊員が入ってくる教育隊であります。特にここではそういうことは十分注意してやるべきであることは論を待ちません。したがいまして、教育に当たりましては教官及び助手につきましては、十分隊員の人格、人権を尊重して忍耐をもって懇切な指導をするように特に指導して注意しております。また、教官の任命につきましても、その正式の配置につく前に約一カ月そういったいろいろな問題を十分団長から注意してやっておるのでありますが、今回の事件はそういったことに対するまことに悲しむべき例外でありまして非常に心を痛めております。われわれとしましては、このようなことは暴力をもって上官が下僚に対するということは面従腹背の気風を醸成する以外のなにものでもないという見地を合わせ持ちまして、理解ある服従、真の規律ということを努めて強調していきたい、今後とも気をつけていきたい、かように考えております。
  132. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は先ほどからそういう隊員に屈辱感を与えるような、互いになぐらせるなんという、これはまま暴力事件なんというのが世間あるいは学校あたりにも起こっておったこともありますが、その場合に興奮のあまりやったというようなことはよく原因に見出される場合がある。むろん、よくないことでありますけれども、この暴力ざたは興奮のあまりじゃない。百五十人を並ばせて冷静にゆっくり考えて、どうしてこれらに屈辱感を与えようか、なぐらせたらよかろう、興奮のあまりぱっとやったというようには考えられない。先ほど申しましたように、私どもが間違いかもしれないが、旧軍隊なんかでよくそういう手を使ったということを聞いております。そういう手の込み入ったこれは暴力ざたなんだ、そういうものを幹部に置いておくということは私はもってのほかだ。しかも八月九月に新たに入隊してきたばかりの者、なるほどそれはまだ隊紀もまだわからないし、ふざけておったかもしれぬし、隊紀を乱しておったかもしれないけれども、入隊したばかりの者をもう少しやさしく、私はいたずらに甘やかせというのじゃない、徳をもってなぜ導かないか、徳孤ならず、必ず隣あり、これが古今東西を通じ、いつの時代においてもこれは正しい道徳の道である。徳孤ならず、なぜ徳をもって隊員が慕ってくるように、その幹部に対して隊長々々と慕ってくるように幹部みずからがなぜ自分が研さんをやらないのか、桃李物を言わざれども下おのずから蹊を成す、きゅう然としてその徳を慕ってくるように、幹部自体がこれは反省が足らぬ、幹部自体よくない、そういうことを任命した者もよくない、どういうふうにお考えですか。
  133. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいまの関係でございますが、この事件を起こしました二尉は実は非常にりっぱな幹部として見られておった幹部でございます。まだ若いのでございますが、非常に部下にも親しまれ、なつかしがられ、しかもこの隊に参りまして、教官として約半年でございますが、その間に百数十名の部下をそれぞれの最初の教育を終えさせ、各区隊に送り出しておるのでありますが、その間には何ら事故も起こすことなく、本人も一生懸命やっておりまして、たとえて申しますならば、若い連中と一緒におるんだから、まず自分も――若いと申しましても二十八才でございますが、若い者と一緒にやるんだから、おれも体力を鍛えなければいけないということで、朝早く起きて、何マイルかのランニングをやるというくらいの努力をしておった男でございます。たまたまそのときは、ほんとうに魔がさしたと申しますか、かっといたしたものでございましょう。何しろそういうことをいたしまして、済んでからさらに本人は、実は隊員に、そのとき冷静に戻りまして、隊員に対して、おれた悪かった、済まなかったと、そこですぐわびております。これはお前らもおれの言うことはわかったろう、しかし、おれも悪かった、かんべんしてくれと言って、こう言って、その場でわびております。その結果であるかどうか存じませんが、あるいは平素から別にどうこうということもなかった関係でございましょうか、実はこの事件は土曜日の夜のことでございますが、土曜、日曜、月曜、その問題になりました区隊、一つのグループでございますが、そのほかには全然漏れなかった、このことはそこで全部解決したと、たいした問題ではないというふうに、そのとき一緒におりました、その今の、はっきり申せば、なぐられた隊員も全部納得をしたというような状況になっておりまして、たまたま日曜日が入ったわけでございますが、そういううわさはすぐ広がるものでございますけれども、月曜日にけがをした一人が医務室のほうに手当を受けにきたので初めてわかった、こういう状況でございまして、本人はまことにけしからぬ、この点については弁護はいたしませんけれども、しかしながら、本来その行為はけしからぬと考えますけれども、それほど平素からこういうものを、こういう仕事をやらせるということが間違いであったということはちょっと考えられなかったケースになるかと思うのでございます。もちろん今後十分そういう点は気をつけて、しかも本人に対する措置措置として考えて参らなければなりませんけれども、その点については、事情をそういうふうに申し上げて、御了解をいただきたいと考えます。
  134. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 日ごろから非常にりっぱな名隊長であった、そういうことをおっしゃっているけれども、冗談じゃないですよ。それはあなた方の見そこないです。りっぱで申し分のない男がそんな失敗を起こすわけがない。しかし、大体あなたのお話でわかりましたけれども、私は自衛隊内において、そういう暴力的行為をあえてなすような幹部は一掃してもらいたいと思う。不都合千万です。しかも日ごろりっぱであったけれども、どうしたことであったか、われわれは実に不思議に思っているというような、そういううかつなことでは言語道断だ、われわれはそういうことは断じて許されません。私は許さない。それについて、もし皆さん方の上層幹部の中に、暴力をそれはやむを得なかったであろうというような、そういう弁護するような擁護するような、そういう誤った考えを持っている人がおるとするならば、私は断じて承服できぬ。上層幹部にそういう人が、古い考えを持っておる人がおるのではないでしょうか。そういうことになれば、越王勇を好みて、民多く死を軽んずという言葉があると思うが、上の好むところは下必ずこれを好む。これになびく、かように言われております。そういう考えを持っておる者が上層幹部に一人でもおるとするならば、これはもってのほかだ。まさかおるということは言われぬだろうが、事実こういう結果になった。御返答願いたい。
  135. 小野裕

    説明員(小野裕君) 先ほど教育局長からも御説明申し上げましたように、現在自衛隊におきましては暴力は絶対に禁止しております。これを認めるというようなことはあらゆる場合にございません。そういうような上層部に同情的な考えを持つ者がおるのではないかというお話でございますが、そういう者はおらないと考えます。ただまことに残念でございますが、大ぜいの中に時に不心得者が出てくるということにつきましては、これはないように十分注意、指導はいたしますけれども、そういうことが起こりましたことはまことに申しわけなく存じます。
  136. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間もだいぶ過ぎましたが、私一人でやっても何だからたいていで結びたいと思いますが、それでは財津という二尉の方だったと思うが、この方の処分について承りたい。
  137. 小野裕

    説明員(小野裕君) この事件が先ほど申し上げましたように、十月十三日の夜の事件でございますが、十五日月曜にけがした者が衛生室――医務室に行きまして、そういうことがわかった。それから直ちに上司に報告されまして、本人は即日、ただいままではそういう教育隊の区隊長、要するに小隊長でございます、そういう立場にあったのでございますが、これを免じまして、団本部付、教育団の本部付ということを命じまして、謹慎を命じました。それからさらにいろいろと事情調査並びに捜査をいたしまして、捜査と申しましたのは、これは暴行傷害の関係でございます。これは警務官の手によりまして直ちにそうした司法事件としての捜査も進め、とのほうは一両日前、たしか二十八日か九日かでございますが、一両日前にこれは一件書類を地元の検察庁に送致いたされまして、なお行政処分、徴戒処分といたしましては審理中でございまして、近々に決定になるかと思います。なお、監督者につきましても相応の処分は免れないというめどのもとに、ただいま現地におきまして、いろいろ詳細な調査と申しますか、審理を重ねておる段階でございます。
  138. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 二尉の方と思うが、小隊長を免じて本部付にした、この点は私はどうしても了解がいかぬのです。本部付にするというようなことになれば、これは栄転じゃないですか、現場の小隊長が本部付になるというのは栄転じゃないですか。
  139. 小野裕

    説明員(小野裕君) これは私ども組織の中の例でございまして、外部のお方にはあるいは御了解がいきにくいかと思うのでございますが、付きという一つの勤務と申しますか、付きでございますが、いろいろの場合がございます。一般的には、付きは必ずしも栄職といいますか、栄転ではございません。一つの例をとりますならば、ただいまの謹慎をする、処分を待つというような場合も付きになります。あるいは来月は定年で退職しなければならない。しかし、今度大異動がある。あと一月どうするかというときに、あと待命待ち、退職待ちということで付きということになる方もございます。あるいは病気で、休職までいかないけれども職務をとらせることができないという場合も、付きということにいたします。まあ、いろいろな場合がございますので、ただいまの場合には、謹慎をさせるために責任ある職務からはずして、そこで待機をさせる、こういう異動でございまして、御心配のような点はございません。
  140. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体、付きということは知っております、私も。これは地方行政あたりでも、地方官庁あたりでも、付きという、まあ割合に閑職にある、あなたのおっしゃるとおり。定年前だとか、あるいは一時そこへ置くとか――だけれども、本部付きにしておくということは、本部から号令の指令を出されたら、またとんでもないことになる。これはどうさせておりますか。その後、本部において謹慎させておるとしても……。
  141. 小野裕

    説明員(小野裕君) 付きに発令されました者は、特に、特定の仕事を命ぜられました場合は、その仕事をいたしますが、そうでない場合は、まず仕事はないわけでございます。したがいまして、指揮系統上、ここから命令を出すということはございません。まあ、仕事をさせるとしても、いろいろ研究をさせるとか、勉強をさせるとかいうようなことはございますけれども、部隊の指揮、運用については、付きの人には何らの指揮権もございません。そういう意味では、その点の御心配はございません。
  142. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その点はそれじゃ了解しますが、しかし、そういう暴力事件を起こして、そういう大きな失敗をしておる小隊長をそのままで、あなた方はよく――降任させるのじゃないですか。涙をふるって馬謖を切るという言葉があるが、これはむしろ、私はこういうのは降任にでもさして、大きな厳罰に処すべきである、そのように信じておりますがね。信賞必罰ということは、これは大事なことなんだ。日ごろ非常にまじめであった、今回こういう失敗をした、だから何とかしてまあこれはこのままにしておけというような、そういうなまぬるいことをやっているからいけない。綱紀が弛緩してしまう。あなたの御見解を承りたい。
  143. 小野裕

    説明員(小野裕君) 財津二尉に対する処分は、現在審議中でございますので、まだ決定いたしませんが、ただいまお話の降任というようなこともまあ懲戒処分としてはあるわけでございます。しかしながら、このケースについていかなる処分をするか等については、今ここで申し上げるわけには参りませんですが、それ相当の重い処罰は受けなければなりませんが、降任という場合も、それはあるかもしれませんけれども、まあ降任ということに限られたわけではございません。その点は御了解いただけると思います。
  144. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 ここで即答しろとは申しません。しかし、ただいまこれは審議中だ、その身分に対しては、処置に対しては審議中だというようなお話であるが、あまり審議中がそれじゃ長過ぎる。はっきりしているんだ。是は是、非は非、善悪は常にはっきりしている。そんな微温的にいつまでもこういうことをほったらかしておくということはいけません。なるべく早く――私は慎重な態度においてとおっしゃるととはよくわかります。慎重に審議して処分をしていただきたいと思う。  次に、お尋ねしたいが、この暴力の問題に対して通牒を出したと言われるが、その通牒を自衛隊全軍に対して出した――だれが、いつ、事件後何月何日、だれの名において、どういう内容で出されたか、その点を承りたい。
  145. 小野裕

    説明員(小野裕君) 各自衛隊に対する指揮監督と申しますか、常時の監督系統はもちろん長官が最高の指揮官でございますが、各幕僚長を通じていろいろと指揮監督をしているわけでございます。この点につきまして、隊員のこうした事故あるいは執務等につきまして、こまかい点についての指示というものは、常に幕僚長から出るわけでございます。大きい問題についての方針等は、長官から幕僚長に伝えられるわけでございます。この場合におきましては、もうこうした事件はとんでもない事件である、事故であるということについては、もう全部一致した見解でございました。何も言うまでもなく、これは陸上幕僚長としてその責任を感じ、自分の指揮下にある陸上自衛隊の全部隊に対しまして、今まで厳重に、こういうことはいかぬ、禁止していることであるにもかかわらず、たまたまこういうことが起こった、まことに遺憾である、今後そういうことの絶無を期するようにという趣旨で、最初は事件が起こりまして数日後のたしか十八、九日ごろだったと思うのでありますが、まず電話で各方面総監を通じて注意を喚起し、さらに数日たちまして、番面をもちまして、あらためて厳重なる注意喚起をした、こういうふうに承知しております。
  146. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私の尋ねたこととはずれている。いつ通牒を出されたか、通牒の内容をはっきりここで朗読してもらいたい。そういう公文書がわからぬはずはない、その点をお願いしたい。
  147. 小野裕

    説明員(小野裕君) あまりこまかくなりますので御遠慮を申し上げたのでありますが、こまかく申し上げますならば、まず最初に、事件の大体概略がわかりました直後、つまり十九日であります。十月十九日に全国の部隊長に対して、私的制裁は絶対排撃すべき旨指導電報を発し、さらに二十七日、事件の調査の結果に基づき、全国の部隊長等に対して事件の内容を知らせるとともに、私的制裁の排除及び隊員の指導にあたって留意すべき事項を電報で示した。これが陸上幕僚長からの通達の趣旨でありますが、こまかいことになりますると、まあこうした刷り物がございますが、お読みいたしましょうか、いかがいたしましょうか。
  148. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 読んで下さい。
  149. 小野裕

    説明員(小野裕君) 第一段、これは陸幕1これは陸幕第一部の電報であります。第373号という電報が二十七日全国に行っておりますが、第一段のところは、今回こういう事件があったという事件の内容でございます。  第2、私的制裁は、部隊の規律、団結を破壊するものであり、理由いかんを問わず絶対排撃しなければならないが、従来も経度のものが散見され、更に今回のような事故が発生したことは大いに反省を要するところである。  第3、隊員の指導は、あくまで個人の人格を尊重することを基礎とし、相手の天性に即した方法を、誠意と時間をかけて適用することにより、はじめて実効を収めうるものでもり、これには相当の努力と忍耐を要するものであることを感銘し、いやしくも、一時の情にかられ、あるいは効を急ぐあまり暴力を用い、又は、これに類する行為が今後絶対に行なわれないよう指導の徹底を期されたい。  こういう電文でございます。
  150. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 十三日に事件があってそして十九日あるいは二十一日、二十七日と、だいぶこの間時間が多過ぎるように、私は、経過し過ぎるように思うが、こういう大事な、その今の通牒の内容をお聞きしますと、相当厳重に通牒を発してあると思う。その内容に対して私は了解いたします。こういう全軍に関係した、しかも最も民主的でなければならないところの自衛隊が、暴力をあえてするというようなそういう蛮的行為をいまだになすというようなことは、私は、国民から信頼を、大いに高めるのじゃなくして、ますます低めていくものだと思う。  で最後に私がお尋ねしたいのは、あなた方は隊員の募集に非常に苦労をするということをよくおっしゃる。こういうことが隊員の募集に対して大いに影響しておるのじゃないか。自衛隊に行ったら昔のようになぐられるぞ。隊員募集に対して何ら影響がないと思われるか。その点ひとつ聞かしていただきたい。
  151. 小野裕

    説明員(小野裕君) まあこのようなことがまれにでありましても起こりまして、広く報道せられ、あるいは人の耳に入りました場合には、必ずしもいい影響はないと、あるいは非常に困った影響があると考えます。しかしながら、一般的に、今日の自衛隊にはそういうことはないのだと、ほんとうに残念ながらまあ例外的にこうしたことが絶無とは申されないのでございますけれども、もう全般的にはないわけでございまして、そういうような事情は、今までに入りました隊員、そうして任期を終えて去っていきました隊員、あるいはその他実際に今日の自衛隊を知っておられる方々の間で、おそらく今日はそういうことはもうないということについて御認識をいただいておるのじゃないか。そういう意味におきまして、募集上も、自衛隊へ入るとそういうひどい目にあうというようなことで逡巡されるというような方はないだろうと思います。といいまして、こういうことがたまにでもあってみれば、その限りにおいて好ましくない影響があろうかということは考えます。
  152. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなたのおっしゃるとおり、全般的には自衛隊にはそういうことはないのだと、ないのがあたりまえで当然あるべきはずはない。あるべきはずでないところにあるから私はこう言っている。ないのが当然。要するにです、今後こういうことの暴力事件などということが絶対にないように、幹部みずからが自粛自戒して、真に民主主義の、国民に親しまれる、ほんとうに国民から愛せられる自衛隊になってもらいたい。それには幹部が十分私は自重して、源遠ければ流れ長し。本足りて末生ず。幹部は真に防衛の真意を理解して、自衛の任を全うする。民生の安定をはかり、志賀防衛庁長官が申されたように、真に自衛隊を愛していくのだ、こうしたうるわしい、だれからも好かれる、だれからも愛せられる自衛隊になるためには、幹部が私は十分その任務の遂行に当たって研さん努力しなければならぬ。まず幹部自体が徳を積まなければならない。覇道を捨てて王道に入る。常に徳を積む。自己みずからを研さんしていくことに幹部が怠ってはならない。私はさように思います。そうして常に国民から愛せられる自衛隊になっていただきたい。かように私は信ずるものであります。局長の見解をお聞きしたい。
  153. 小野裕

    説明員(小野裕君) ただいまのお話は全くそのとおり、私ども同感でございます。私ども微力でございますが、まあ全防衛庁、自衛隊の幹部は戒めまして、その点に十分留意いたしますとともに、また、職務の上からは人事あるいは教育という面を通じまして、全隊員にその実を上げさせるように努力をいたしたいと考えます。
  154. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間も経過しましたので、私の質問はきょうはこれで打ち切りたいと思いますが、いろいろお尋ねもするし、御無礼なことも申し上げたかと思いますけれども、私も内閣委員といたしまして皆さん方には微力といえども十分協力いたしますので、一体となってよきも悪しきも、よきことも悪いことも互いに相提携して国家防衛の重大責務を果たしていきたい、かように存じておるものであります。  私の質問をこれで終わります。
  155. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑はありませんか。――他に御発言がなければ本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十九分散会