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1962-10-02 第41回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月二日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員異動 九月七日   委員松村秀逸君は逝去された。 九月十日   選任       宮澤 喜一君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村山 道雄君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君    委員            源田  実君            小柳 牧衞君            野知 浩之君            阿具根 登君            松本治一郎君            横川 正市君            田畑 金光君   国務大臣    国 務 大 臣 大橋 武夫君    国 務 大 臣 志賀健次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    大蔵政務次官  竹内 俊吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (航空自衛隊における事故問題等に  関する件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等  に関する調査  (公務員の給与問題に関する件)   —————————————
  2. 村山道雄

    委員長村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。  議事に入るに先だちまして、本委員会委員として、長くその職責を果たされました松村秀逸君が、去る九月七日逝去されましたことに対し、委員諸君とともにつつしんで哀悼の意を表したいと存じます。   —————————————
  3. 村山道雄

    委員長村山道雄君) それでは、まず委員異動について報告いたします。  去る九月十日宮澤喜一君が委員に選任されました。   —————————————
  4. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 次に、国の防衛に関する調査を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。なお、政府側から、志賀防衛庁長官は間もなく参ります。加藤官房長小幡教育局長小野人事局長が出席いたしております。下村君。
  5. 下村定

    下村定君 防衛庁長官がお見えになりませんので、順序が少し逆になります。事柄新聞にも出ておりましたが、本年の六月二十四日の昼間に、航空自衛隊高橋という下士官、昔で申しますと下士官、今は空曹、それがハルピンに逃げ出すという意図をもってジェット練習機を使い、それを引き出して離陸までやったのであります。それは未遂に終わりました。同時に、本人は、追跡を免れるために、待機しておりましたF86F、現在の最も精鋭なジェット機であります、その二機の一部分をこわしまして、その飛行機が動かないようにしたわけであります。新聞等に伝わっておるところを見ますというと、これは本人のきわめてあさはかな考えから出た軽卒な行動のようにもとれるのでありますが、事柄といたしましては、戦前戦後を通じて、こういう重大な不祥事のあったことはございません。そういう意味におきまして、私は防衛庁当局に対して、前後の状況についてお尋ねをしたいと思います。  防衛庁長官にまずお伺いをしますのは、この事態の重要性をどういうふうにお考えになっているかということでありますが、これは後に譲ります。  したがって、これからお尋ねしますことはこまかいことでございます。ひとつそれぞれ主任の方から御答弁を願いたいと思うのであります。目下この事件裁判中でございますので、事件の真相は、その審理の経過並びに判決によって判明すると思いますが、本日私がお尋ねいたしたいことは、その裁判にかける前に、防衛庁としてお調べになった範囲、前後の状況についてお尋ねをいたします。  第一は、本人性格、それから日ごろの勤務状態、それからこの事件を起こすにつきましての背後関係、そのほか参考となるべき事項をひとつ簡単にお述べを願います。
  6. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいま御指摘事故がございましたことは、まことに申しわけないと思っております。また、ただいまお話のように、裁判にかかっております。詳細の点につきましては、警察並びに検察庁側捜査にゆだねまして、私どもとして、まだ最終的に正確なところはつかんでいない点もあるかと思うのであります。  ただいまのお尋ねの第一点でございます。航空自衛隊としましては、事故の起こりました六月二十四日に本人は実はけがをしておったのであります。これは自分でのどを突いた、腹を突いたというようなことをしておりまして、これは事故を起こしました直後にやったと思うのでありますが、そういうような状態でございましたので、直ちに医務室のほうに収容いたしまして手当を加え、同時に、その経過を見ながら事情を聞いた。そうして一週間もたちまして七月の二日の日に、航空警務官から裁判官の逮捕令状を請求いたしまして、直ちに地元の宮城県警察本部のほうへ事件身柄を引き渡したわけであります。その一週間ほどの間でございますが、もっぱら治療、手当をいたしたわけでありますが、その間にいろいろ事情を聞いたり、また、できる範囲調べもしたわけでございますが、大体御指摘のように、本人はもちろん無許可、無免許でございます。そうした経験もないわけでございますが、それにもかかわらず、ただいまお話のようなことを敢行したわけでございますが、本人ハルピンへ行きたかったというようなことを申しておったわけであります。あるいはまた、本人所持品等のうちに暗号書めいた文書等も実は持っておったのであります。そういうような関係で、しかもまた手当中であり、また、強制捜査身柄を同行する段階でございませんので、これは捜査というよりも調査というような段階でいろいろと調べたわけでありますが、その結果どうもはっきりしない、何か背後関係があるのではないかというような疑いが出て参ったのであります。そういうような関係から防衛庁といたしましても、この事件自衛隊の中で調べるよりももっと広く深く一般警察、あるいはもちろん検察庁はいつでもそうでありますが、特に警察の御協力を得まして、警察にこの事件の処理をおまかせするという方針をきめまして、ただいまのように、七月の二Hに逮捕すると同時に、身柄を引き渡したわけであります。これが最初の発足であります。  それからまたあと一カ月、二カ月警察並びに検察庁におきまして捜査をいたしまして、まず七月の二十四日の日に第一次の起訴がございました。これはただいまお話のように、F86Fの脚部損傷を与えたということから、自衛隊法百二十一条による自衛隊の用に供する航空機損壊という罪名をもって起訴されました。これは事件の起こりましたちょうど一カ月であります。しかし、なおただいまの背後関係という問題もございましたので、検察、警察側におきましてはさらに慎重な捜査を続けられ、九月八日の日に追起訴いたしまして、窃盗、また無資格飛行による航空法違反、また、外国へ手続なしに出ようとした出入国管理令違反、この容疑、罪名をもちまして第二回目の追起訴をいたしました。九月十日に第一回の公判が開かれた、こういう状態であります。  本人性格あるいは勤務でございますが、本人昭和三十一年に仙台にあります高等学校を出まして、航空自衛隊に入隊したわけであります。その後勤務成績はおおむね良好でありまして、いわゆる進級、昇進等も順調に進んで参りまして、本年の初めに二曹になっておるのであります。日常勤務等につきましては別に問題になるような点も、気になるような点も全然ございません。むしろ中堅的な隊員として働いておったわけであります。ただ、今にして考えますならば、多少本人にけ空想癖というようなものがあったあるいは自信が過剰であったというようなことが今関係者の間で思い起こされておる状況でありまして、日常行動とがあるいは勤務という点については、特別な欠陥というものは目につかずに参った次第でございます。
  7. 下村定

    下村定君 背後関係につきましてはなお調査が続けられると思いますが、数日前の新聞に出ております政務次官会議で、防衛庁政務次官から隊内に共産党員が相当おるという話があったように聞いております。その確度はいかがでございますか。
  8. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいま御承知のように、共産党員であるかないかというようなことははっきりしなくなっておるわけでございます。ただかっての活動経歴その他のことから、あるいはかってそういうような籍を持っておった人がおるかもしれない、あるいは共産党に対する友誼的な同調的な立場に立っておるであろうと考えられる人もおらないではない、こういうふうに考えておるわけでございます。ただいま党員がおるかおらないか、何名おるかというようなことは、そのはっきりした、正確な、確信のある数字というものは、これはもちろんそういうことは調べようもございません、また、正確にはつかんでいない。ただ、そういうような前歴と申しますか、かってそうしたような経歴のある人もおるであろう、あるいはそういうようなことがあったのではなかろうかという人がおるということは事実でございます。
  9. 下村定

    下村定君 次にお伺いいたしますのは、犯行の行なわれました当時の現場状態でござまいす。私の特に承りたいのは、逃亡に使うために乗りましたT33、それから追跡を免れるためにこわしましたF86F、これがどういう状態に格納され、また監視されておったかということでございます。
  10. 小野裕

    説明員小野裕君) まず本人が使いましたT33練習機でございますが、これは第四航空団——松島に部隊がございます第四航空団の第七飛行隊に所属する練習機でございます。これは一応の整備はできておりまして、飛行隊の直接の管理下にあったわけでございます。当日も飛行隊格納庫にあった飛行機でございます。ただこれに対して若干の修理の必要がある、整備の必要があるということで、その整備小隊において、しかもジェット練習機整備担当しておった本人が、それを部下に命じて格納庫から引き出させ、それから先は自分地上操縦をして滑走路から持ち出したというような状況であったわけでございます。本人としては、その飛行機の常時における整備担当責任者の一人であり、自分支配下にあるということは言えるわけでございます。ただ、当日そのT33練習機整備するかしないかという問題につきましては、当日の整備計画日程表にはなかったのでありまして、たまたま本人がそれを引き出しておるのを当日一緒におりました整備の小隊長——上官がそれを認めまして、これはどうしたんだ、いやここのところちょっと直さなければ工合が悪い、じゃあよかろうということで、その整備ということで所属の小隊長から許可を受けた、承認を受けたというような形でその手当をしておったわけでございます。そのうちに許可なくまた計画なく、ただ勝手に滑走路まで乗り出して、しかも飛行することを企図して失敗したわけであります。T33はそういう状況であります。  それからF86Fのほうは、これは緊急待機飛行機でありまして、整備は完全にできております。近くにありますパイロットあるいは整備員のたまりと申しますか、そこにおきましてその搭乗担当パイロット並びにその飛行機づきの整備貝がその近所におったわけであります。たまたまその間隙をねらわれましてそうしたいたずらをされた、破壊をされたということになるわけでございます。その点につきましては、一応緊急待機飛行機にはその搭乗員とその飛行機づきの整備員近所にはおったでありますが、そうした者が出入りしておったことに気がつかず、気にしなかった、こういうことになるかと思うのであります。
  11. 下村定

    下村定君 整備小隊長はその場所におったのでありますか。
  12. 小野裕

    説明員小野裕君) 正確に実はその点お答えできないので恐縮でございますが、その整備小隊はF86Fの整備関係の三個班とT33整備の一個班と四個班を持っておりますので、その第七飛行隊整備小隊のどこかにおったわけでありますが、この点恐縮でありますが、たまたまその本人のおりましたそこにおったかどうか確認しておりません。
  13. 下村定

    下村定君 それからスクランブルのために待機をしているF86F、これはどういう方法監視をされているのでありますか。どうも私ども常識的に考えますと、いつでも飛び出せる姿勢にあるものが、やすやすとほかの者がそれに近寄れるというのは不思議に思う。現場ではどういうふうになっておりますか。
  14. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいまの点につきましては、常時の警備体制が不十分であったことを反省いたしております。一般的には、全般にまず監視塔飛行機動きというものを見ておりますが、同時に人の動きも見ているわけであります、また、いろいろな警備関係で、飛行場の内外に対する保安警備というような担当の者が、あるいは立番あるいは巡回をして見ているということもあるわけであります。直接には、その待機飛行機搭乗員並びにそのつきの整備員がすぐそのそばの待機所におりまして、目の前にあるという格好でございます。ただそれが飛行機繋留場所待機場所との間の角度、視角の関係におきましてあるいは盲点になるところ、あるいはときにはブラインドを下げて休養している、待機しております関係上、そうしたようなところにまた見えないところもある。こういうところもあるわけであります。特に専属の監視員というものはつけてなかったわけであります。その点については反省をいたしております。
  15. 下村定

    下村定君 いま一つ伺いたいのは、整備員整備作業の必要上、飛行機移動しなければならぬことがあるが、それはどういう範囲か。つまり航空管制塔から指示を受けて初めて動けることか、それから整備員として作業上許されていることか、その限界を伺いたい。
  16. 小野裕

    説明員小野裕君) 飛行場内におきましてはあらゆる飛行機移動をする——これは滑走路を滑走するのはもちろんでありますが、これを横断をする。あるいは飛翔いたしませんでも、地上滑走だけでも、中の移動はすべて管制塔許可が必要でございます。そういうようなことで、地上整備に当たります整備員も、地上運転についての許可は受けているわけであります。ただそれが、たとえば格納魔から滑走路に出る、あるいは滑走路を横切って向こう側に行くといったような場合の地上運転についても、そのつど管制塔許可を受けております。飛行関係につきましては、これはもちろん飛行計画によりまして管制塔にあらかじめ通報し、それに合う者のみが発着の指示を受ける、これは申すまでもございませ  そこでただいまの整備でございますが、整備は、大体飛行場の中——飛行場というと言い過ぎますけれども、そうした整備場の中でやる。あるいはその前の空地でやる。これは難前でございますが、あと試運転をする、あるいはいろいろの銃器等射撃装置等点検をやるというような場合には、その射撃点検場あるいはエンジンの試運転場というようなものは別な場所に、飛行場の中で特別な場所にきめられております。そこ以外ではそれはできないことになっております。そこへ行きますためにはどうしても地上滑走が必要でございまして、場合によっては滑走路を通り、場合によっては滑走路横断していくわけであります。ただいまの松島の基地におきましては、その試運転場がちょうど格納庫反対側にありまして、滑走路横断していくという場所にあったわけであります。そういう意味において、これは横断その他の移動をするためには許可は必要がありますけれども、動くということはあり縛る。こういうような状況でございます。
  17. 下村定

    下村定君 次は航空機に限りませんが、武器弾薬飛行機を含みますそれらの保管ということにつきまして、自衛隊法におきまして、それから自衛隊法施行規則、これは総理府令、それを見ますというと、厳密に注意が払われているように思います。また、それを犯した者に対する罰則が、これは法律であるところの自衛隊法できまっているわけであります。私ども考えからしますと、いやしくも二等空株というのは、下級とはいいながら、幹部の者である。こういうふうな過失を犯すということについてはふだんそういうものの徹底欠陥があったのじゃないかという疑いを持たざるを得ない。したがって、そういう兵器の保特等に関する規則、これがいかなる方法隊員徹底されておりますか。もし具体的な方法がありましたらば、例としてお話を願いたい。
  18. 小野裕

    説明員小野裕君) まことに申しわけございませんが、私、直接の所管でございませんので、あるいは多少間違ったことを申し上げることになると恐縮でございますが、一般的には航空機並びに各種のそれに関連します装備品につきましては、これは申すまでもなく、国有財産でございますので、国有財産関係の法規によって、厳格にこれは管理されております。また、航空自衛隊といたしましても、航空機管理規則あるいは燃料、弾薬等のいろいろな取り扱いに関する規則というものができまして、これを常時隊員には教育徹底をはかっているという状況でございます。こまかく申しますと、たとえば航空機管理につきましては、航空機管理責任者航空機配属単位の長、つまり航空団でいえば、団の司令であります。さらにその下に航空機取り扱い主任という形で部下整備主任補助者として、その責任を分担しているのであります。あるいはまた、この整備につきましても、いろいろなケースがあるわけでございますが、いわゆる列線整備、あるいは支援整備というようになりますが、支援整備というのは、整備補給群のほうで一括的にやるわけであります。列線整備のほうは飛行隊の中で小規模な整備をする。そういう場合のそれぞれの責任者、しかも、そうしたような飛行隊整備する場合でも、整備補給群司令がその間の調整に当たるというような細部のこともきめられておるわけであります。そうした規定はこまかくできておりますし、また、その教育にも十分力を使っているわけでありますが、たまたまこれを無視される事件が起こったということはまことに申しわけないことでございます。
  19. 下村定

    下村定君 隊員教育とか、監督とかいうことは直接にやるのは自衛隊そのものでありますから、あまりこまかいことを人事局長にお伺いするのは差し控えたいと思います。私、これはちょっと余談になりますけれども警察あたり状態を見ますと、服務規則の中の大事な部分は抜粋して各人が持っている。中には六法全書まで持たしているというようなことを見受ける。瀞の軍隊ではそういうこともやっておりました。こういった方面には相当周密な注意を払っておった。こういうことも多分おやりになっていると思いますけれども、どうもこういう事犯が、しかも、幹部の手によって行なわれるということになりますと、どうも何かそこに欠陥があるのではないか。  それからまた、現場状態も、本人の悪いことはむろんでございますけれども本人がそういうことのできるすきがなかったとは私は言えないと思います。ただいま伺いましたところでも、ちょっとそれが感ぜられる。それはそれといたしまして、次には事後どういう処置をとられましたか。それについてまず本人、それから、それにつながる直系上官、これに対していかなる懲戒処分が行なわれましたか、お示しを願います。
  20. 小野裕

    説明員小野裕君) 本人につきましては、申すまでもなく、懲戒免職をいたしております。それから監督者につきましては、面接の上級者である整備小隊長並びにその上におる第七飛行隊長、さらに航空団司令、この三名に対しまして、減給処分をまず行ないました。整備小隊長飛行隊長はさらに転勤、また航空団司令引責退職という手続をとりました。以上であります。
  21. 下村定

    下村定君 自衛隊法によりまする懲戒処分種類、これを念のためにお伺いいたします。
  22. 小野裕

    説明員小野裕君) 懲戒処分の一番重いものは懲戒免職でございます。その次に降任——階級を下げるわけであります。停職、減給、戒告、この五種類が正規の懲戒処分でございます。
  23. 下村定

    下村定君 そうしますと、航空団長退職それから本人免職あと直系責任者減給ということですね。これらの点につきましてはそれぞれ職権をもって慎重に研究された結果おやりになったと思いますから、私のような局外者がかれこれそれに容喙することは差し控えますが、また本人裁判にかけられたということは当然でございますが、私は刑法に触れる触れぬということ以外に、自衛隊というものの特別の使命から考えまして現在の自衛隊法規定する罰則がはたして正当であり適切であるか、ということについて若干これからお伺いしたいと思います。  高橋本人新聞で見ますというと、武器類損傷窃盗、秘密の出国、それから無免許飛行機を操縦した、こういうかどで起訴されるというふうに見えますが、そうでありますか。
  24. 小野裕

    説明員小野裕君) そういう趣旨で起訴されております。
  25. 下村定

    下村定君 これは現在の法令ではそれ以外に出ないと思いますが、先ほど申しました自衛隊としては、その任務並びに自衛隊使命の特性から、それ以外に半ば精神的ではありますが、もう一つ大事なことがあるんじゃないかと考えるのであります。その点に関して局長はいかにお考えですか。
  26. 小野裕

    説明員小野裕君) 刑罰の関係につきましては、自衛隊法規定といたしまして有事、非常時というような際の処罰あるいは特殊なこれは自衛隊員任務ということに関連いたしまして一般公務興よりもきつい処罰というものの規定がございます。ただいまの程度の規定でよろしいのかどうか、この点につきましてはいろいろ御意見もあることと存じます。私どもも検討しておる点もございますが、ただいまのところ、今すぐにどういうふうにお願いをするかというようなことについての結論は持っておりません。
  27. 下村定

    下村定君 私が特にお願いしたいのは、一般公務員等の場合と違いまして、自衛隊員は正当の理由なくして職務を離れるということが非常に厳にこれを戒しむべきことではないかと思う。列国の例を見ましても、これに対する処罰はたとえそれが国外に出ようとまた駐屯地の付近にとどまるとを問わず、非常に厳重でありまして、極端に言えば、敵前にあっては死刑に処すというような規定のある国もある。その点でつまり正当の理由なくして職務場所を離れるということについて、現在の自衛隊法またほかに関係法令がありますれば、それをお伺いしたいと思います。
  28. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいまお示し職場を離れるというようなポイントでありますが、これは有事行動時等におきましては、相当厳重な罰則をもって処置されることになっております。常時におきましては、刑事罰としては特に定めはございません。これは、むしろ懲戒処分の問題、行政処分の問題として扱っておるわけであります。
  29. 下村定

    下村定君 防衛出動の場合に、ほしいままに職務場所を離れた者に対する判のあることは承知しております。が、それも三日以内に帰ってくれば、どうなるのかわからない。三日以上やった場合に、初めてその自衛隊法規定する罰が適用されます。防衛出動の場合は、もうこれは一番重要なんであります。ふだんでも私は、そういうことが起こらないとは言えないと思います。たとえば、全くの平時に、火薬庫の、弾薬庫の歩哨が、何かの自分の勝手な理由職場を離れる、これはまああり得ることだ。そういう場合には、何によって処分されるのでありますか。
  30. 小野裕

    説明員小野裕君) たとえば火薬庫弾薬庫お話がございましたが、その種のものについての損壊、障害というようなものにつきましては、今回高橋二曹が適用されました自衛隊法第百二十一条というのは、一般器物損壊一般刑法でいいます器物損壊よりも重い処罰をもってこれを罰することに規定されております。
  31. 下村定

    下村定君 大体事務当局からお伺いしたいと思うことは、これで終わりますが、ただいままで承っておりますところによりますと、先ほど現場状態すきがあったということ。それから平素の教育、これは詳しいことはお伺いすることはできませんでしたが、一そう細密な注意を払わなければならぬ。それから、罰則につきましても、これはまあすぐというわけじゃありませんけれども自衛隊の特質にかんがみて考慮される余地があるのじゃないかと思います。これは後ほど防衛庁長官にもお伺いしたいと思います。  で、長官がお見えになりませんので、少し問題が違いますけれども、つなぎにお伺いしたいことが一つあります。それは、最近、自衛隊飛行機に関する事故が相当に頻発しております。で、これは私どもすでに党の国防部会におきまして、相当の詳しい御説明を承ったのでありますが、本委員会としても、次のようなことはひとつ承知いたしたいと思うのであります。  その第一点は、統計上に現われました飛行機のいろいろな事故の原因。  それから第二には、あまり遠くの国と比較してもこれは仕方ないのですが、まず環境が似通っておりますところの在日米軍の飛行隊、これと比較して、現在、ことに最近に起こりました自衛隊内の航空に関する事故というものは多いのか、少ないのか。  第三点は、その飛行機事故によって殉職した者に対して、現在、法規上どういう程度の補償がなされておるか。この三点をひとつお聞きしたいと思います。
  32. 小幡久男

    説明員小幡久男君) 第一点と第二点は、私からお答えいたしまして、第三点は人事局長からお答えいたします。  まず、最近の飛行機事故の原因の統計上の説明でございますが、現在まで判明いたしました事故を分析いたしましたところ、墜落の原因別にパーセントで申し上げますと、パイロットの過誤は五三%であります。それから機材の欠陥が一七%であります。それから、監督上の過誤、これが五%であります。それから整備上の過誤、これが五%であります。それから気象の急変、これが四%、残余の一六%は原因が不明であります。このうちパイロットの過誤は非常に多うございますが、これが第一原因でございまして、とかあるいは監督上の過誤とかいうものは、副次的に付随してパイロットの過誤を惹起しておるものも相当ございますので、さらに立ち入った分析をいたしますと、この原因は非常に複合的な原因になっておると思います。  それから在日米軍との事故率の比較でございますが、御承知のように、航空事故率の国際的比較は、十万時間に何件という比率で比較しております。在日米軍は直ちに日本の、たとえば航空自衛隊と同じ機種であるからという種の比較はできないと思うのです。向こうの機種は、若干ジェット機が多うございますので、その点をお含みを願いまして比較いたしますと、昭和三十四年度に在日米軍の十万時間当たりの件数は十八件であります。わが航空自衛隊は、これに対しまして九・二件、半分であります。三十五年度は、在日米軍は九・二件でありまして、自衛隊は八・一件、若干少のうございます。三十六年度は、在日米軍は十二・八件、航空自衛隊は七・四件、これも若干少のうございます。三十七年度、これはまだ数カ月しかたっておりませんが、この間の比較は、在日米軍は九・九件であります。自衛隊は七・四件、若干少なくなっておると思います。以上が比較でございます。
  33. 小野裕

    説明員小野裕君) 失礼いたしました。自衛隊隊員職務執行中におきまして殉職いたしました者の処遇でございますが、いろいろ今検討をいたしておるのでございますが、実は十分に進んでおりませんので、まことに残念に思っております。で、今日も、制度といたしましては、一般の国家公務員の災害によります補償という名の法律が、そのまま準用された形でございまして、有事の際におけるいろいろな措置は、これを別に定めるというようなことになっておりますので、日常におきましては、一般公務員と同じでございます。そういう意味で、たとえば基本的なものは、遺族補償といたしまして一日当たりの給与の千日分というようなものが基本になるわけでございます。そのほか若干の見舞等がつくという程度でございます。ただ、ただいまのところ、自衛隊として特に御配慮をいただいておりますのは、ジェット搭乗員ジェットパイロットにつきましては、別途にお見舞を百万円以内でいただくということになっております。あるいはさらに、これは警察官も同様でございますが、特に危険な業務とか、それを予想される、そういう状態において任務に当たって殉職をしたという場合には、特別な救恤金、これも金額にいたしまして百万円以内においてお送りするというようなことはございますが、一般的には一般職の公務員と同じ災害補償の内容が適用されております。そういうことでございます。
  34. 下村定

    下村定君 今の松島事件、それから航空事故の点につきまして、事務当局にお伺いしたいことは、一応これで終わりますが、長官がお見えになりませんので、私の質問は中止させていただきます。
  35. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと関連して、官房長にお聞きをいたしたいのでありますけれども、実はこの種の事故というのは、これは制服の隊内におけるいろいろな取り扱いとしては、背後関係が明らかにされた場合には、さして重要な事項としてではなしに、隊内でのとっぴな事件として取り扱いをしたい、こういうような気持があったのではないですか。事件取り扱いの、当初の隊内での取り扱いに対するものの考え方をちょっとお聞きしたい。
  36. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) 先ほど人事局長がお答えを申し上げましたとおり、私どもこの事件の報告を受けました際に、どうもおかしい、まずおかしい点の第一は、高橋君というのは整備員でありまして、飛行機の機械、装備の詳しいことは知っておるわけであります。プロペラの飛行機にも操縦して乗ったこともない。それがいきなりジェット機を操縦しょうとしたということが第一。  第二には、これも先ほど人事局長の答弁がございましたが、暗号表らしいものを持っておった。  こういうことからいたしましてどうも単独でそういうことを考えたかどうかということについて、非常に疑問を持ったわけでございます。やはり外部に相当誘導する者がおったのではないかという点が、まず最初に不審に思えました。結局それはそういうふうな点からの捜査になりますと、自衛隊の警務官ではその能力にかんがみまして、その規模から見まして、捜査が困難であるということで、警察のほうに捜査をおまかせをした、こういうことでございます。
  37. 横川正市

    ○横川正市君 その取り扱い経過は先ほど聞いたから大体了承したわけなんですが、私の聞きたいのは、結果から見れば、人事関係は制服でない人事局がやるわけです。それから常にそういう対象としては、制服が人事の対象になっておる。そういう関係からいってみて、制服の中ではこの問題を、最初事件の発覚がされたときに、その取り扱いとして、こういう大きな問題として取り扱われるようなものではなくて、いわばどこにでも気違いみたいなのがいるわけだから、そういうとっぴな人間の行なった事故だということでその取り扱いをしたいという考え方があったのではないか、この点お調べになったかどうかお聞きしたいわけです。
  38. 加藤陽三

    説明員加藤陽三君) その点でございますが、ただいまお答えをしましたとおり、私どものほうにすぐ報告があったわけでございます。その報告に基づきまして、制服の幹部もまじえてどういうふうに今後その捜査ないしは処置をきめていくかということを相談したわけでございます。それで御了承を願いたいと思います。
  39. 横川正市

    ○横川正市君 私はこの問題を局地的にとらえて、そうしてそれを全体的に、自衛隊全体の問題として云々するのには、いささか起こした事故隊員の責め方としては少し過酷になる面があるのじゃないかという考え方をするわけなんです。そういう点からお聞きをいたしているわけでありますけれども、たとえば九月十一日に高岡迪空将補の免職について志賀長官が閣議で発言をした。ところが、人事局その他はまだ本人から辞表をとっておらない、いわば上からの全く一方的な押しつけで責任をとらされている。事件の起こった日からみますと、さほど日時を経過したということではないのでありますけれども、もう少しこの辺の取り扱いについては慎重であっていいのではないかという気がするわけであります。同時に、このことは将来相当制服との間に問題をかもすようなことにならないかという点が私どもとしてはちょっと懸念されるわけです。そういったことを全然当局としては考えておらないで処置をとられたのかどうか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
  40. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいまのお尋ねでございますが、実は事故が発生いたしました直後に、第四航空団司令高岡空将補は進退伺いを提出しておったのでございます。これはいわゆる正式の退職願いというものではございません。また、こちらといたしましては、事故の直後のいろいろな収拾というようなこともございますので、そのまましっかりやれということで、一カ月余り経過いたしましたが、八月一日に転勤をいたしまして、師団司令を免じまして、航空幕僚幹部付という形で東京へ引き取りまして、あとの後任者をやったわけでございます。本人としては、非常に責任を重惑いたしておりまして、これは実は、これも申し上げにくいことでございますが、いずれわかることでございますから申し上げますが、六月から七月にかけまして、その前後に同航空団におきましては、二カ月ほどの間に四件の事故が発生したのでございます。これは訓練が非常に猛訓練を重ねたということもございまして、空中接触が二回ございますが、合わせまして四件の事故がございまして、第四司令としてはやはり責任を感じられておったわけでございますから、その措置につきましては、この事件がどういう内容を持っているか、どこまで発展するのか、あるいは問題点がどこにあるのかというようなことをもう少し突き詰めた上で措置をすべきであるということで、時期を見ておったわけでございます。たまたま九月八日に検察官のほうから追起訴がございまして、事件の大体の概要、全貌の大よその姿は私どもも承知したわけでございまして、問題点もはっきりいたしましたし、また、責任範囲というものも一応検討できるという段階になりましたので、実は十日の口、ただいま横川先生おっしゃいました大臣のお話という点でございますが、これは御方針としてそのようにおきめになって進退伺いを受理する、受理するということは辞表を出してもらうということに御決定になったわけでございます。その点については、大臣のお考えと私ども、あるいは空幕の最高幹部考え方が違っておったわけではないのでございまして、手続上の関係退職発令が一日ずれているという状況でございますので、御了承願いたいと思います。
  41. 横川正市

    ○横川正市君 これは私はこういう種の委員会での公の場所ですから、そこで何かつじつまさえ合っておればいいという問題ではないと思います。率直にいって、隊員の中にこういう思想があるということが報道されております。第一線部隊の実情をもっと知ってもらいたい。背後の関係があったならともかく、その点も白とわかったのだから、今さら首を切るというのはあまりだ、事故のたびに司令官が首になっていたら、二年もたてば高級幹部は一人もいなくなってしまうだろう、しかも、一人の幹部を養成するのには三千万もかかる、高岡さんのような人は十億だって買えるものではないというような意見が、よきにつけ、あしきにつけあるということは、あなたのほうでお認めになりますか。
  42. 小野裕

    説明員小野裕君) そのような考え方もあるかもしれないということは私どももわかるのでございます。また、半面におきまして、いろいろ事故が続発するとか、あるいは全般的に事故の起こるような素因というものを残しておるというようなことになりますれば、これはもちろん航空自衛隊だけの責任でなく、防衛庁当局全般の問題でございますが、大いに反省もしなければならない。やはり時には、必要な場合には責任を明らかにするということも必要なことではないかという考え方もございます。特に御心配になりました制服自衛官がこうした文官の人事あるいは措置というものについて不満が出てきて将来むずかしくなるのじゃないかというようなお話でございますが、この点につきましては、私ども十分に気のつかない点、目の届かない点はあるかとは存じますが、そういう点につきましては、とことんまで各制服の幹部の方々、特に人事担当の人あるいは最高の責任者との間でよく一つ一つのケースにつきまして、たとえば異動の問題にしましても、進級の問題にいたしましても、あるいは賞罰という問題につきましても、十分その実情を聞きまして、話し合いをしまして納得のいく処置をしておるのであります。このことは人事のこまかい手続になりますが、たとえば将校以上の人事につきましては、内局のほうで発案をいたしますけれども、幕僚長の意見を徴して長官の決裁をいただく。私どもとしては案は立てますけれども、幕僚長がこれは困ると言われた場合には、私どもはもっともだと思えばそこで調整をいたします。また、いや私ども考えがこれは正しいのだ、それじゃいかぬということでございますれば、幕僚長は反対でございますがということで大臣の御決裁をいただく、そんなふうになっております。そこのところは、できるだけ関係者の間の連結調整、話し合い、私どもわからない点が多々ございますが、そういう点をよく聞きただしました上で処置をしておるつもりでございまして、そう行き過ぎということはあり得ないのじゃないか、私どもはそのように考えておる次第でございます。
  43. 横川正市

    ○横川正市君 これは、この場ではそういうことで答弁せられても、事実上表に出て、人事のあり方については、とかくいろいろな意見というものを持つのがこれは通例ですよ、いずれの場合でも。ところが、自衛官あるいはそれに常に接触をしている高級自衛官、こういった関係とそれから文官との関係というのは特殊な関係ですね、防衛庁の場合には、その場合に、私は、手続上の問題だけで一日おくれたということならあり得ることだから、そういったことは別に取り上げる必要はないのかもわからないけれども、非常に特殊な関係のあるその関係を考慮に入れると、これはいささかやはり取り扱いとしてはまずい取り扱いではなかったかと考えるわけですが、それがその根にならないで、今局長の言われるように、これから努力をして払拭をするということだけで済まされないのじゃないか、こう私どもは心配をするわけですが、その点は事務当局としては全然心配はないと考えておりますか。私はきょうあなたから答弁をもらって、心配がないと言って、また幾日かたったときに同じような問題が出てきて、それがやはり何かしら文官と制服との間の問題だったというようなことが出てこないとも限らぬという気もするわけですが、そういった点はどうお考えですか。
  44. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいま御指摘の点につきましては、私ども謙虚に反省をいたします。時には私どもの力が及ばず、あるいは目が足りませんので、一部の方の御不満になるような人事というものがないという保証はできないと思うのでございます。しかしながら、私どもとしては、最善を尽くして、ほんとうに自衛官の身になり、また立場になり、しかもそうしたような方面を担当しておられる各制服の幹部の方々と、よく平素からお話をし合いながら、また、その具体的なことも御相談をしながら処置をしていくならば、これでまず満点とはいかないまでも一通りのことは当然これでできるんじゃないか、また、それで納得がいただけるんではないか。大勢のうちにはいろいろな不満と申しますか、不平と申しますか、こういうような気持を持たれる人は当然あるわけでございます。一つの例を申しますならば、現在の階級制度、進級制度でございますが、たとえば一佐の方の中で将補になる方というのは、十人に一人おるか十五人に一人おるかどうかというような状況でございます。結局、みな力のある人で、りっぱな人でありましても、現在の編成なり定員なりの上からそれぞれ志を得ない人も相当あるわけでございます。こういう方々が、何と申しますか、くさらないように、引き続き一生懸命やっていただけるように、いろいろと私どもも努力しなければならぬのでありますが、そのうちには、時にはそうしたような批判的な考え方を漏らされるという人もあり得るかということは考えますけれども、全体としては各幕僚幹部の最高幹部の方々とよくお話をし合いながら仕事を進めておりますので、それ以上のことはできないのではないか、このように考えております。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 私、一つ二つ、関連して質問をいたしますが、私どもしろうとが考えても、飛行機を運転したことのない人がジェット機を運転して、それが成功できるというようなことは、私らしろうとでは当然考えられない。当委員会の中で専門家の方もおられますが、その点についてどういうようにお考えになっておるか。先ほども聞かれたということはお聞きしましたが、実際一回も、プロペラも運転したことのないそういう人が、ジェット機を運転するということは、これは自殺行為だと私は思うんです。そうすると、その二曹ですか、その人は自殺行為を考えておったのか、あるいは整備をそれだけやれば、自殺行為とまでいかなくてもたとえば、ハルピンということになっておるが、ハルピンまで行ける、そういう自信を持つようになるのか、その点が一点と、それからもう一つ、この三脚そのものが言っておるのも、ハルピンに行きたいと言っておったのと、もう一つは、こういうことをやれば自衛隊の今のだらしなさが緊張してくるだろう、こういうことも言っておる。で、防衛長官もこられましたが、私は関連ですから深く質問いたしませんが、防衛長官も言っておられるのは、佐官級とか、それ以上もほとんど入れかえて、自衛隊の士気が弛緩しておるのを引き締めなければならぬ、こういうことを言っておられる。符合が合うわけです。そこまで自衛隊はもう堕落してしまっているのか。この二点をひとつ御説明願います。
  46. 小野裕

    説明員小野裕君) 最初の点でございますが、唐橋二曹が全く経験もないのにハルピンまで行けるというつもりでやったのか、可能性があるのかということでございますが、全く不可解でございます。約一千五百キロあるかと思うのでございますが、いかに機械のことは詳しくても、飛び上がったことが一度もない者がどうして行けるのか。この捜査の過程におきまして、その追及に対しては、ある程度高くまで上がればあとは滑走でそのまま行けるんだ、こんなふうに思ったというようなことを述べておることがあるようでございます。全くおかしいことでございますが、そういう意味であるいは精神異常というような問題があるんではないかということで、まあ精神鑑定のほうに回すという問題が、これは関係者の間であるようでございます。ただいまのところでは、正式の鑑定はしていないようでありますが、一応医者にも見てもらっておるということはあったようであります。いずれにいたしましても全く不可解な実情でございます。それからあと、まあだらしがないのをここで目をさまさせるのだというようなことでございますが、そのような点につきましては、いろいろ御指摘、御批判を受けなければならない点もあることはあるのでございますけれども、ただいまおっしゃいましたような、それほどひどい何と申しますか、低調ぶりである、あるいは堕落ぶりである、そのようなことは絶対にない。常にまあいろいろ問題もございまして、常に考えなければならないことは、改めなければならないことは常にございます。ございますけれども、ただいまおっしゃいましたような、そういうひどい状況であるということは、これは絶対にないことでございままして、また、高橋二曹がそのようなことを考えるとすれば、これはひとつの、先ほど申し上げました、ひとつの空想癖があるとかあるいは自信過剰であるとかというような、個人の性格といいますか、そうしたようなところから自分だけで考えたのではないか。決してそのようなことはあり得ないことでございます。かえって、そのようなことをして目をさまさせるよりも、かえって悪くするということを考えなければならぬわけであります。そういう点でも全くその行動については納得がいかない点ばかりであるというふうに感ずる次第であります。
  47. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで私は非常に心外に思うのは、あなたの答弁を最初から聞いておれば、非常に空想的である、自信過剰である、そういう点が見受けられた、しかも、しろうとが考えてもできないことならば、整備をやって長年飛行機を手なづけてきておる人ならば一番よく知っておるはずです。ところが、一方追跡してくるであろうジェット機まで破損さして出ておる。もしもこれがそういうような空想狂であるとか、あるいは自信過剰であるとかというような人が責任がある整備の任にあった、しかも相当重要な任にあったとするならば、これはたいへんなことだ。国の資本を使って、税金を使って、何億という飛行機をそういう人に整備させたとするならば、飛行機損壊もさることながら、大切な人命がそれによって失われる可能性が非常に多くなると私は思う。そういうことがわからなかった、しかもあと考えれば自信過剰であった、あるいは誇大妄想狂であった、こういうようなことであるならばこれはたいへんなことだ。飛行機もさることながら、大切な人命をそういうために失っていく。先ほどの話では整備の不都合ではわずか五%とか、どのくらいとかの事故になっておるような御説明をお聞きいたしましたが、私は夢の重大性はそういうところにあるんではないか、そういう点についてどういうお考えになっておられるか。あるいは整備士とかあるいは飛行士というのは特殊な仕事をしておるから相当疲労もあるであろうし、あるいは精神的な疲れもあるであろう、そういうのに対してどういう処置をとっておられるか、お聞きいたします。
  48. 小野裕

    説明員小野裕君) 私が本人性格の特性としてただいまのようなことを申し上げましたけれども、これはまた平素はそういうことは特に気がついてなかった。まあ今考えればそういうようなところもあったということが関係者の間でまあ今考えられておる問題でございます。日常の生活あるいはいろいろな勤務等につきましては別段に異状がございません。むしろ成績もまあ良好と申しますが、中の上でございます。普通にりっぱに勤めておった。ただ、そういった、こういうことをやったのを、今思いあわせてみれば、そうすれば少しそんなような傾向があったかなと、こういうようなことでございまして、それまで見破れたらもっとけっこうであったのでございますが、日常状態として特にただいまも申し上げたように、精神鑑定という正式の法廷での鑑定はしておりませんけれども、一応関係捜査官のほうで医者に見せましたところでは、別に何も変わりないということになっておるのでありまして、結局私どもとしては、どうしてこういうことを思いついたのか、どういう見込みがあったのか、どう考えたのか全く不可解である、このように感ずるわけでございます。ただ、この点につきまして今後のこともございますが、従来から特に航空自衛隊におきましては、心理適性の検査という問題を重要視しております。これは隊員が入りますときからさらに伸びていきます各段階におきまして、あるいは各教育の過程におきまして、その人に向く仕事というものを選び出すために心理適性の検査というものを、これはほかの自衛隊以上に航空自衛隊におきましては、特にパイロットという問題がございますので、全面的に慎重にその検査をいたしまして、その適格性を判断をする。あるいはただいまお話のような、あぶない者があればはずす。これはもちろんそういうような考慮で常時の人事管理はしておるのでございます。この点につきまして、そういう者が排除できなかったということについては、結果的には申しわけないと思いますが、一応の努力としては、これ以上のこれを判別する道はなかったのではないか、このように考えます。
  49. 下村定

    下村定君 防衛庁長官に申し上げますが、実は順序が逆になりましてはなはだ相済みません。これは冒頭に長官にお伺いしたがったことは、この六月にありました逃亡未遂事件、あるいは見方によりましては本人の非常にあさはかな考え方、軽卒な行動をしたというようなふうに軽く見られぬこともないのであります。事件そのものはこれはもう戦前戦後を通じまして、こういう例は少なくも日本にはないのであります。そういう点で、これは防衛庁自体におかれましても、教育の面、それから航空機その他重要物件の管理保管に関する点、それからまたそれに対する処分の点というような点について、将来再びこういう事故が起こらないようにしていただきたいものと私は考えるのであります。こういう質問を申し上げましてはなはだ失礼でございますけれども、その京に関して長官の御見解を伺いたい。
  50. 志賀健次郎

    ○国務大臣(志賀健次郎君) この事件は単なる事故ではございませんで、ただいま下村先生の御指摘のとおり、おそらくかってない事件であると思います。私は遊んで不祥事件と申しておるのでございますが、この問題が起きましたことによりまして、自衛隊の威信を傷つけたことはもとよりでございますが、国民に対して何とも私は申しわけない次第でございます。  就任いたしまして、この事件のありましたことを引き継いで、さっそく法務大臣にお目にかかりまして背後関係がもしもあるとすれば、これはまたたいへんな問題でございまするから、徹底的に究明してもらいたいということをお願いを申し上げたのでありますが、私のお願いを申し上げたころと符を合わせて公安部のほうにこの事件を移して、ずっと捜査調べをいたしておったようであります。したがって、その後の状況が全然私には判明しなかったのでございますが、ちょうど公判の開かれまする前日は日曜日であって、土曜日の午後に法務大臣から私のところに、初めて追起訴をすることに相なったという連絡がございました。そういうことで事件後約二カ月間も経過したのでありますが、これは弁解じゃないのでございますが、私のほうでこれを秘匿するというような考え方はなかったのであります。せっかく刑事部と公安部のほうへ連絡をとりながら捜査調べをしておる最中に、防衛庁のほうがこれを公開いたしまするというと、かえって捜査の上に支障を来たすのじゃないかということなども考えて、法務当局の取調べの終了を待っておったのであります。  それは別として、冒頭に申し上げたように、何とも申しわけはございません。あらためて国会を通じて最高の責任を持っておる私から国民に対しておわびを申し上げると同時に、今後このような不祥事が絶対に起こらないように対策に腐心をいたしておるのであります。  私はまずとりあえず就任と同時に、事件の直接の責任者でありました整備隊長、それから飛行隊長懲戒処分をいたしたのであります。次いで、進退伺いを出しておりました航空団司令の高岡空将補、これについての処分は、追起訴が行なわれるのであろうことを予想いたしておりましたから、事件が判明するまで実は待っておったのでありますが、私の方針としましては、何と申しても、航空団をあずかる者が一番の責任があるわけでございますから、高岡空将補に対しまして進退を明確にしてもらったわけでございます。もとより、本人は非常にその責任を感じまして、すでに進退伺いも出し、私の処分を待っておったのでありますが、今後、私の方針といたしましては、最高の幹部の、航空団であれば、航空団の最高の責任者でありまする責任を明確にしてもらう。それが今後事故を防止し、また、こういう事故の起こらないようにする一つの措置と私は考えておるのであります。事故を絶滅するための措置は、いろいろ総合的な対策が考えられるわけでございまするが、何といたしましても、最高の責任者がその明確な責任を感じ、そうしなければ隊員の精神訓練、精神教育は不可能でございます。さらにまた、飛行場管理なり、あるいは格納庫の警備、整備兵の人事管理の問題、すべて私は航空団の場合は航空団司令責任が優先すべきものであると考えまして、高岡空将補に対して進退を決せしめ、さらに飛行隊長整備隊長懲戒処分に付したのでございます。高岡空将補は、パイロットとして非常に大事な幹部でございましたけれども、なるほど形式は退職ということになっておりまするが、私としては、懲戒処分以上のものと心得て、高岡空将補に進退をきめてもらったような次第でございます。その後、事件の絶滅を期しまして、航空幕僚長を呼んで直ちにその具体的な対策を私は命令いたしました。航空幕僚長がさっそく隷下の航空隊の司令を全部東京に集めまして、具体的に協議をいたしまして、それぞれ司令自分責任の個所に婦って、これまた真剣に対策を樹立いたしておるのであります。実は、私、昨日仙台の部隊を視察に参りました一つの日程として、特に松島航空基地に一日私は過ごしまして、つぶさに事件現場並びに状況ども私なりに調査をいたしまして、松島航空基地の司令の現にやりつつありまする対策を聞き、また、これを究明し、また、私の平素感じておりますることを現場において松島航空基地司令に対して指令をいたして、その万全を期しておるような次第でございます。何と申しましても、責任の体制を明確にすることと、それから隊員の精神教育、訓練、また、隊員に対する信賞必罰、飛行場徹底的な管理格納庫の警備等、いろいろこうした総合的なことが完全に行なわれて、このような不祥事故が再び起こらぬような対策になるものと思うのでございますが、私は深く顧みまして、自衛隊をあずかる最高の責任者として、まことに恐縮に存じながら、あらん限りの努力を傾倒いたしまして、このような不祥事、また、飛行機の航空事故の起こらないように固く決意をして国民におわびを申し上げたいと思っている次第ごございます。
  51. 下村定

    下村定君 ただいま長官の御所見を伺いまして、私は深く敬意を表し、また、非常に心強く感じた次第でございます。したがって、何らこれにつけ加えることはございませんけれども、先ほど来事務当局からいろいろな点で伺いますと、今回の事件そのものについて見ますれば、これは本人の悪かったことはもちろんでありますが、本人がああいうことをやるすきがあったということは、これは言えるのじゃないかと思います。これは整備員勤務状態につきましても、また、飛行機の警戒、保管の状態、平素の心がけというような点、これは今後ともひとつ長官の格段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  それからつけ加えまして、この松島事件に限らず、航空事故は不幸にして最近かなり多く出ております。そういうことのために自衛隊そのものの士気が沈滞しませんように、また一方から言えば、こういうことの事故におびえて自衛隊員として当然なすべき訓練をちゅうちょするというようなことにつきましても御配慮をいただきたいと思っております。  続いて長官がお見えになりましたので、これを全く関係ないことでございますが、先ほど阿具根委員からの自衛隊の綱紀粛正、士気の問題について御質問がございましたので、それに関連いたしまして若干お伺いしたいと思います。規律の維持とか、それから周到な訓練、この必要は申すまでもありませんが、それと並行して現在置かれております自衛隊員の士気を刷新するということは、これはぜひとも前に申しましたことと並行して行なわなければならぬと考える次第でございます。長官は御着任以来、この点につきましてもきわめて親切にまた周到な御配慮になり、それに着々措置をせられていることもよく承知しておりまして、これに対しては深く敬意を表します。また、隊員そのものもいろいろその待遇、それから環境の不自由、不便を克服しながら鋭意職務に邁進しておるということを私は方々で実見いたしまして、まことに心強く感じております。ことに最近災害救援、それから公共事業に対する自衛隊の出動の際に、単に自衛隊が実力があるということを一般の方に認識していただいたばかりでなしに、隊員自体のきわめて旺盟な責任感、敢闘精神、ことに厳正な規律のもとにおけるチーム・ワーク、こういう点について非常にいい感じを与え、これによって自衛隊に対する信頼も私はますます高まってくるものと、これまた非常に喜びにたえないところであります。しかしながら、隊員には今のように、一方におきましては貴重な使命に対する自覚と誇りを持ちながら、他の二曲におきましては、まだ心なき一部の人たちから日陰者と見られることもありますので、いまだに肩身の狭い思いをしておる点も、これも私は現在の段階においてはまだまだ見のがしがたい事実であろうと思います。理屈を言うようでありますが、いやしくも国の法律で作られた国の組織の中にあるものが、そういういわば卑屈なような気持でおるということであってはこれは相ならぬので、そういう原因は一日も早く払いのけなければならぬと考える次第であります。もうその手段につきましては、私どもが申すまでもなく、長官が十分御配慮になっております。私は、その中のほんの小さな一つございますけれども、本年の予算委員会におきまして、総理大臣、それから前防衛庁長官に対して次の質問をしたのであります。その第一は、天皇陛下は目下至る所、国の津々浦々、小さな施設にまで臨御になっておるが、自衛隊にはまだ一度もおいでになっておりません。それはどういう理由であるか。第二点は、自衛隊が天皇に対して栄誉礼をやっておらない。その理由。たとえば、外国の大統領あたりを羽田に陛下がお迎えに出ますときに、外国の元首には栄誉礼をやるが、陛下にはやらないという点がどうもわからないのでございまして、そういう質問をしたわけでございますが、場所柄もありまして、総理大臣も前長官も私が十分満足できるような御答弁がございませんでした。私もまた場所柄を考えまして、それ以上追及することを差し控えたわけでございます。  その二つの中で第一の点、すなわち天皇が自衛隊においでにならないということは、これは防衛庁限りの問題ではなくて、私どもの知らない、考えの及ばないいろんな理由からきているのだろうと思います。が、この第二の点、敬礼をしないということは、事は小さいようでありますけれども、これはもう私だけじゃないと思います。だれしも不思議に思うところではないかと思う。天皇に部隊の敬礼をする機会は、今後も私はたびたび生ずると思う。先ほど申しました外国の元首を羽田にお迎えになる場合、また、二年後には名誉総裁としてオリンピック大会に臨御せられるのであります。そういう際に、もし今のような状態でありましたら、これは外国人が見て非常に不思議に思うんじゃないかという感じすらいたすのであります。申すまでもありませんが、私どもは、天皇と自衛隊との関係一般国民以上の深いものにしようとか、あるいは憲法に規定してありますところの天皇の地位をどうこうしようとかいうような考えは、毛頭持っておりません。また、この議題を本委員会の席上で持ち出すことはおだやかでないと思われる向きもありまするが、私は十分考えました結果、すでに本年三月にこの問題について予算委員会の席上で引き金を引いております。その私のねらいが正しかったか、あるいはどうかということを確かめたいと思う。ことにその中の第二の点、栄誉礼の点、これは現在の法令の上から見ましても、これは長官独自の御所見を伺って差しつかえないかと思いますので、まことに恐縮でございますが、何分の御答弁をお願いをいたします。また、ぶしつけの点は幾重にもおわび申し上げます。
  52. 志賀健次郎

    ○国務大臣(志賀健次郎君) おそらく下村先生のただいまの御発言は、国民ひとしく関心を持っておるところと思うのであります。天皇陛下の御旅行なり、御動静は、私もよく——これは政府の閣僚の一員になったのでございまするけれども、まあ不勉強でございますが、宮内庁が主として陛下の御動静なり、あるいは御旅行その他をやられるのであって、政府が一々御注文を申し上げたり、いろいろなまた意見を差しはさむというようなことはあまりないのじゃないかと私は考えておるのであります。その考えに誤りがあれば、またの機会に訂正申し上げますが、そこで陛下が毎年地方の民情御視察のために地方にお出かけになります。国民から非常な御歓迎を受けておる模様でございます。まあ私も二、三承知いたしておるのでありますが、陛下の御旅行にならるるところには大体陸海空の自衛隊の何かがある場合があるのでありまして、地元の人々は、自衛隊も陛下にひとつお出まし願ってごらん願いたいという希望もあるやに承っておるのでありますが、なかなか宮内庁が非常に慎重を期せられておるためでございましょうか、なかなか地方の人々の希望がいれられないような今日になっておるのじゃないかと思いまして、まことに残念に存じておるのであります。まあ今日では、たとえ陛下が自衛隊を御視察になりましても、天皇陛下の軍隊と思うような人も、今日ではないと私は思っておるのでありますが、やはりそういうことを宮内庁が非常に心配、配慮される結果も影響しておると思いますが、一日もすみやかに、陛下が自衛隊を御視察願う機会が到来することを私は期待を申しておるものであります。  お尋ねの第二点でございますが、陛下に対する栄誉礼の儀式の問題であります。自衛隊といたしましては、また、防衛庁といたしましては、陛下は、国家の象徴でございまするから、栄誉礼の儀式はいつでも行ない得る規定があるのでありますが、これまた陛下の御動静に関しては、われわれのほうからとやかく申すべき筋合いのものじゃないのでございまして、一切宮内庁の責任においてきまるものでございまして、私のほうといたしましては、規定は作っておりまするが、いまだにその規定が実行されておらないものでございまして、この点を申し上げて答弁にかえる次第でございます。
  53. 下村定

    下村定君 よくわかりましたが、追及するようではなはだ恐縮でございますけれども、天皇に対して栄誉礼をするということは、これはほかに関係なしに長官の御意向でできるのではございませんか。
  54. 小野裕

    説明員小野裕君) 規定等の関係もございますので、私から申し上げたいと思いすまが、天皇に対する敬礼ということにつきましては、長官の権限で、部隊に対して訓令を出してございます。それは天皇ばかりでございません。国家の——まあ皇族並びに総理大臣あるいは両院議長あるいは国務大臣という方々に対しまして、それぞれ栄誉礼の施行の訓令が出ております。ただ、実際にそういう栄誉礼をもってお迎えをするという機会がないということを長官は申されたのでございます。なお、敬礼につきましては、栄誉礼のみならず、一般の部隊あるいは各隊員が、天皇にお会いしたときあるいは送迎するようなとき、どういう敬礼をするか、これも規定はできております。で、現実に各地に地方行幸等の際に、もよりの部隊が沿道に出まして、従前のような重武装による堵列ということはございませんけれども、沿道に整列いたしまして、部隊としての敬礼もいたしておる次第でございます。御了承願います。
  55. 下村定

    下村定君 今、局長の述べられました法規でございますが、それを見ますると、天皇に対して敬礼をするのは、視察にお出ましになった場合、自衛隊を公式訪問をされた場合、その他防衛庁長官の定める場合となっておると私は記憶しております。したがって、はなはだ突っ込んだお話でございますが、長官がお認めになって、やれとおっしゃれば、たとえば羽田のような場合にはこれはもう当然できるのじゃないかと思う。その点について局長からお答えいただきたい。
  56. 小野裕

    説明員小野裕君) 趣旨はお話のとおりでございますが、たとえば羽田の場合を考えました場合に、やはり国賓その他の人のおいでになりました場合に、その栄誉礼を受ける場所というものが一応定まるわけでありまして、その場合には天皇がそこにお越し下さればこれは問題はないわけでありますが、かたわらにおいでの場合に、あらためてそちらのほうで栄誉礼を奏するということは非常に困難な実情にある。そのほか長官の定める場合といたしまして、まだ定めてございませんけれども、国家的なあるいは正式な式典等の際には、自衛隊が参加いたしておりますようなそういう機会に天皇がまたおいでになれば、その機会に栄誉礼を行なうということが考えられておりまして、これはそのつど指定することになっております。
  57. 下村定

    下村定君 まだそこが私ははっきり納得できません。というのは、羽田の場合は、陛下がそこにおいでにならぬからというのですけれども、陛下がそこにおいでになるかならぬかということは陛下御自身でおきめになるのじゃなしに、ちゃんと設備をするものがお迎えをするのが私はほんとうだと思う。これまではそういうことがなかったからやむを得ずやるべき敬礼もしなかった、これはもうやろうと思えばなんでもない、できることでありまして、またこういう点は目立ちますから、これは私の一存ではございません、心ある国民は実に変に思っておる。また、先ほど申しましたとおり、外国人から見ましても、こういう例は私はおそらくないと思います。羽田においでになりますときに、陛下にまず敬礼して、そうして国賓が来られたときに続いて敬礼して自衛隊の閲兵をしてもらうというのが私はほんとうじゃないかと思う。まあこれはこの席でどうこうということではございませんが、ひとつ十分御考慮願いたいと思います。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この松島事件につきまして、それからそれに関連しましてお伺いをいたしたいのですが、六月の二十四日にこの事件が起こりまして、七月の二日の日に警察の手に渡した。で、同月七月十八日起訴された。で、九月八日の日に追起訴された、九月十一日に閣議で報告されたということになっているわけですが、この二カ月半ほどこれを極秘にしておった、国民の目から隠しておったということですね、これは国民ひとしく不満に思うところだと思うのですね。  私はまず伺いたいのですが、六月二十四日に起きた事件を一体どういう機関でこれは公表しないというふうに取りきめられたのですか。これはおそらく防衛庁長官が就任される前のことだろうと思うのですが、どういう機関でこれは公表しないというふうにきめられたのか。  それから防衛庁長官の先ほどのお話を承っておりますと、長官は御存じなかったのじゃないかという気がするのです。あとになってから、長官に就任されてしばらくたってから御承知になったのじゃないかという、先ほどの発言を聞いておりますというとそういう印象を受ける。新聞の報道の中にも、長官は知らなかった。外部から、外部というのはおそらく法務省だろうと思うのですが、どうですかわかりませんけれども、外部から聞いて調査を命じたというような報道も行なわれておる。ですから、まず一点は、どういう機関で二カ月半の間これを公表しないということをきめられたのか。防衛庁長官は御承知になっておったのかどうか、その二点について伺いたい。
  59. 小野裕

    説明員小野裕君) 事件の起こりましたときは、長官は前長官御在職中でございまして、現長官は御存じなかったわけでございます。  六月二十四日に事故が起こりまして、即日通報がございまして、即時防衛庁首脳部並びに航空自衛隊航空幕僚監部——空幕首脳部で対策を協議したわけでございます。その席には現地からも副司令が参りましていろいろ打ち合わせをいたしまして、そのときにこの事件をどう処理するかということにつきまして根本方針を定めたわけでございます。大体方針がきまりましたのは二十五日、六日ごろかと思います。その間は、本人は負傷しておりますので、もっぱら治療をして、さわらずにおったわけでございます。月曜日から処置を講じたわけでございます。その際に、とにかく傷の手当が先である、あと本人にまた間違いのないようにというようなことをいろいろ相談をいたしました。それから事件捜査その他の処理につきましては、この事件は、本人がベッドにおりながら、どうしてやったのかという質問に対して、ハルピンへ行きたかったんだというようなことを言っておったのでありますが、どうもこれはおかしいということになり、さらにまあ、手元にありました手帳にも変なことが書いてある、あるいは書き置きみたいなものもあったというようなことから、これはどうも深いなにがあるのではないか、これは航空自衛隊の警務隊だけでは徹底的な捜査はできないのではないか、とにかく警察のほうへ全面的にこれをまかせようではないかという方針が立ったわけであります。はっきりいたしましたのは二十六日の午前中でございますが、そういう方針を出しまして、それから関係方面と折衝をいたしまして、その段取りを進めたわけであります。その負傷の経過を見まして、七月二日に逮捕の上直ちにこれを警察のほうへ事件身柄を一緒に引き渡したわけであります。  私どもといたしましては、この事件が今日のような背後関係があるのではないかという疑いが非常に多かったという点が一つございます。この点の捜査になりますと、やはり捜査の一つの手法といたしまして、公にしないほうが捜査の便宜があるということは当然でございます。それ以上に、七月二日には警察側身柄事件もみな引き継いだわけでございまして、私どものほうとしては、その後の捜査等は全然触れておりません。むしろ警察検察庁捜査にじゃまになっては悪いという形で、私どものほうでは、その事件の推移を見ておった、こういう状況でございます。  第二の点につきましては、そのように御承知いただきます。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 防衛庁長官は。
  61. 志賀健次郎

    ○国務大臣(志賀健次郎君) ただいま人事局長から申し上げたとおりでございまして、私は就任と同時に、この不祥事件のありましたことを引き継いだわけであります。そうして直ちに、さいぜんも申し上げたとおり、法務大臣に会いまして、徹底的に背後関係を究明してもらいたいということを私は希望いたしたのでありますが、やはり人事局長の申したとおり、一切の事件を県警察部にこれは引き渡したのでございますから、その直後において警務隊の調べた若干の調べしかできなかったのでございますから、そういうものを発表するということは、これはやはり常識から考えましても自後の捜査を困難ならしむるという配慮から、あえて私どものほうから積極的にこれを発表しなかったものと私も考えるし、また、そのように事務も引き継いだわけでございます。また、私が事務を引き継いだ後もさように私は考えるものでございまするから、あえて私のほうからも進んで発表もしなかった。ただ、私は、公判が九月の十日に決定いたしておるのでありますから、もう公判になりますればすぐに起訴事実もまたその全貌も明確になるし、その審理に入りますれば、事件の核心に触れて参るおけでありまするから、公判と同時に私のほうで知り得た、まあ警務隊で調べ範囲内、あるいは本人経歴、そういうものは用意いたしまして公判の日に発表いたしているわけでございます。したがって、私が就任後しばらくたってからこの事件を承知したというようなことは、これはあるいは私の舌足らずがそのように伝えられたのかもしれませんが、何ら私のほうでは他意がないのでありまして、やはりこの事件の糾明なり全貌が明らかになるということが、今後この種の事件というものを絶滅する意味においても大事なことでありまして、慎重を期して私のほうではみずから物事を話さなかったということでありまして、公判の日には堂々と私のほうで進んでこれを公表いたしておるような次第であります。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今防衛庁長官お話を承っていますと、長官は七月十八日にたしか就任されたと思うのですが、この七月十八日の日に起訴されておりますね。今長官の話を承っていますと、引き継いだという話ですが、これは引き継いだのはあたりまえのことだと思うのです。ですが、少々、これは引き継ぎの報告の中に入っていなかったんじゃないか。引き継いだというのは当然の話で、聞いてなかったんじゃないか。私は、長官が今お話のようなことであれば、もしこの七月十八日に就任と同時に御承知になるということであれば、この七月の十八日に起訴されているわけです。だから、今の長官のお話だと、このときに発表がされても何ら差しつかえない、起訴されているのですから。いずれにしても、私の感じとしては、長官引き継がれたけれども、それは一般論として引き継がれたわけであって、内容はやはりあとになって聞かれたと私としては解釈する。先ほども長官の説明の中に、九月の八日ですかに法務大臣のほうから追起訴になるという連絡があったと、それまで何かやっておったような話なんです。ですから、どうも私今の長官の話をいろいろ承っていますと、どうも知らなかった。そういうようなおかしな状態防衛庁というのはあるのか。第一・閣議に九月の十一日報告するなんというのも言語道断です。おかしな話だと思うのです。国民の目から二カ月半もの間隠したということ、さらに、どうも防衛庁長官も知らなかった、おかしな話ですね。自衛隊というのはどこでこういう重要な問題を取り扱うのか。どうも先ほどの説明だとはっきりしないのですがね。現地から人が来ているという……。
  63. 志賀健次郎

    ○国務大臣(志賀健次郎君) 第一に、私は就任と同時に——もちろん着任式をやった日を私はさすわけではございません。おそらく、十八日に着任をしましてその後一両日の間にいろいろな重要な問題の説明なり引き継ぎがあったわけでありますから、この事件の発端から今日に至る——すでに起訴をされておる事実を私は知ったわけであります。ですから着任と同時に、私は承知いたしておるのであります。ですから、おくれて私は外部から聞いたというようなことはないのであります。私が就任しました際において刑事事件起訴をされたと、ところが、本人が航空基地の警務隊の取り調べに対して、いかにも背後関係があるような供述をしておるということを私が聞いたものでありますから、そこで法務大臣に会いまして、本人がこういうことをしゃべっておるということであるが、事実とすればこれはたいへんなことであるから、法務省としても手抜かりなくやって下すっておると思うけれども、ひとつ徹底的に追及してもらいたいという希望を、私は法務大臣に閣僚の一員として希望したわけございます。もちろん法務省としましても、その後捜査を続行いたしておるのでありますが、あとから聞いてみますると、私が法務大臣に会いました前後に公安部にこれを切りかえて、そうして背後関係を追及しておるということ私は聞いておる。それが八日の土曜日にいよいよ取り調べが完了して追起訴にすることに相なったという報告を法務大臣から受けた。そこで十日の月曜日の公判——あくる日の十一日の火曜日の定例閣議の席上、私は、こういう要件があって、起訴をされて、さらにまた迫起訴になって、さらに第一回の公判が開かれたということを報告しておるのであります。
  64. 小野裕

    説明員小野裕君) ただいまお尋ねの中で、ちょっと事実の相違がございますのは、第一回の起訴は七月の二十四日でございます。実は新長官御着任が七月十八日でございましたが、それから内部各局さらに各付属機関、各幕僚幹部と、順序にそれぞれ所管事項についての御説明を申し上げたのであります。これが前後約二週間くらいかかっております、そういうような期間の最中でございまして、しかも実はこれは事務的な話になりますが、八月一日は、私ども関係では、陸上自衛隊並びに航空自衛隊の一部で定期異動がございまして、その関係で長官の御決裁をいただく事項が相当あったわけでございます。先ほどから申し上げましたように、高岡第四航空団司令司令を免じて本庁へ引き揚げましたのは八月一日でございますが、これはそのほか一連の関係で閣議の了解事項になっておる分がございますので、その閣議事項につきましては、実は七月の二十四日に閣議をお願いしております。その前に長官には御決裁をいただいておるわけであります。御着任数日のうちに八月異動の点についていろいろ御説明を申し上げて御決裁をいただいておるわけであります。おぜん立ては前長官のときにもちろん全部おきめいただいたわけでございますが、その点についてあらためて御説明を申し上げ、あらためて御決裁をいただき、閣議に回した、その一連の人事のうちにただいまの高岡将補も入っておるのであります。その点につきまして、高岡将補を今引き揚げるという点につきまして、あちらでこういう事件があって工合悪いので、この次の異動で入れかえたいということでお願いしたわけであります。簡単な概況としてはそのときに申し上げ、さらに二十四日に起訴があったということは、実はその前後はがたがたしておりましたので、起訴があったということをそのとき承知いたしましたのでありますが、そのときはまだ捜査はちっとも進んでいないということで、先ほどから申し上げましたように、86Fの足をいためた、傷つけたということで起訴になったわけであります。あとの内容はまだはっきりしていないわけであります。そういうような時期でありましたから、私は長官に最初報告申し上げたのは、人事異動に関連させてこれをかえなければならない理由として簡単に申し上げた。その後におきまして航空自衛隊が、これはまあ二十四日以降でございます、航空自衛隊がその航空自衛隊の所管事項について幕僚長から御説明を申し上げておるわけであります。そのときには御説明があったと存じます。ただ、それにしましても、航空自衛隊も私どもと同様に、警察側の連絡としてはどうもさっぱりはっきりしない、ただとりあえずこれは拘留期間の関係もあるから、起訴しなければならないから、86Fの関係起訴しよう、自衛隊法百二十一条違反だけでそうしたわけでございます。その後におきまして逐次捜査状況を連絡を受けたわけでありますが、長官御就任の直後におきましては、まだその段階であり、その程度に申し上げておった、こういうことでございます。御了承を願いたいと思います。
  65. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも二カ月半ですね、こういう事件を発表しなかったということ、これは国民の目から見ましてもはなはだ不満だと思う。自衛隊の威信に関する、したがって、極秘にするというお考えだろうと思います。そのほかいろいろな原因もありましょうけれども、こういうような事態というのは、これはどうしても国民の目から見た場合ははなはだ不明朗であり、不愉快だと思うのですね。二カ月半もこういう事件を発表しないで、しかもこれに関連しまして、この間もここで問題になったのですが、たとえば、この間山形の陸上自衛隊の赤痢問題ですね。この場合なんかもどうもそういう形跡が強いのですね。自衛隊の中でできるならもみ潤そうと、この場合は県の衛生部が自衛隊に申し入れていますね。連絡がない、どんどん赤痢患者が出てくる、そうしていよいよ自衛隊としては外出を禁止するという時期になって県の衛生部に連絡をする、その後はまた連絡をしない、非常に不満を表明していますね、新聞記事で。  それからこの間も、これも神戸沖で自衛隊の軍艦が衝突しましたね。この場合もやはりそうなんですね。自衛隊の護衛艦が当て逃げというような形を新聞に報道されて、そして乗客十一名が重軽傷を受けた、その場合も三時間も姿を消しておったという、どうも上から下まで何か自衛隊の威信に関するというのでしょうか、そういうようなことでやみからやみに葬むろうというような考え方があるのではないかという疑念がするわけです。ですから二カ月半にわたりましてこういう事件を公表しなかったということについての理由を聞きたいのです。
  66. 志賀健次郎

    ○国務大臣(志賀健次郎君) さいぜんから何度も申し上げておりますとおり、すでに起訴されておる、刑事事件として引き続いてこれは公安部の関係で追及して追起訴になった、これは当然追起訴になるわけであります。飛行機を盗んで脱走しようとはかったのでございますから窃盗罪、それから出入国管理令違反というのが当然出てくるものと考えておったわけでありますが、何と申しましても捜査に妨害になるようなことがあってはならぬということが私どもの一番の心配で、やはりこのような事件というものを今後再度起こさせないようにするためには、すでに起きた事件のつまり原因、一体何がためにあの隊員がああいうことをしたかということを徹底的に調べ土けること自体が、この種の不祥事件というものを今後起こさせないようにする有力な材料になるわけでありますから、それがこちらのほうから発表して結果的に法務当局の捜査に支障でも来たすようなことがありますれば、いよいよたいへんだということだけに、こちらが黙っておった、そして事件は、人間も直ちに懲戒免職にしたのでありますから、隊員の籍から離れておるし、また、被疑者でもありますし、また、被告にもなっておる、そういう者を渡した以上は一切あげて地検当局の取り調べの進展を待つ以外にないという態度をとっておったのでありまして、故意に私のほうがこれを隠蔽しようとか——どうせ公判が開かれることはきまっておるのでありますから、それを何かくさいものにふたをしょうなんていう、そういう気持はいささかもなかったのであります。やはり事件を再度起こさせないようにするためには、すでに非常に遺憾なことでありますが、起きた事件の真相を把握することがわれわれとしては大事なことであって、いやしくもわれわれのほうから騒ぎを立てて捜査の上に支障になって真相が少しでもゆがめられるようなことがあったり、不十分な真相が出てくるようなことがあったらたいへんだという心づかいから、こちらから積極的に発表しないだけでございまして、それ以外何もないのであります。どうかその点はひとつ御了承願いたいと思います。
  67. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、自衛隊というのは国の機関ですから国の機関で起きた事件を三カ月半も放置したということはいけないと思う。かりに今おっしゃったような捜査の問題はどうだこうだとおっしゃるけれども、すでに自衛隊でもこれを見ますというと、一週間以上調べている、しかも起訴は七月の二十四日に行なわれておる、裁判があるからと、その裁判があるということは公開の、原則ですから、その前に発表するということは——これは隠蔽したとしか考えられない、これははなはだしく私は、従来から、昔から言われておったのですが、軍の威信に関するあるいは自衛隊の威信に関するというようなことで何かこういうものをふたをし、抑える、何か条件のいいときに隠しきれなくなったときに発表する、隠しきれなくなったというのは裁判が開かれたり、公判が行なわれるという晴朗に発表される、こういうような行き方は払拭すべきだと思う。  それからこの問題について先ほどから、人事局長は不可解な事件だと、こうおっしゃる。私は自衛隊幹部がこういう事件について不可解であるという見解はおかしいと思う。自衛隊自衛隊として幹部ははっきりした見解があるべきだと思う。不可解というようなことはどういう意味ですか、不可解という意味は。
  68. 小野裕

    説明員小野裕君) 本人自衛隊の内部で調べました期間というのは約一週間でございますが、これは調べたというよりも自衛隊医務室のほうに収容いたしまして手当をしてあった、横になったままの話でございます。この傷のほうは、本人が、きりでのどを突きまして登山ナイフで腹を突いておるのであります、実は早く警察に渡したかったのでありますが、逮捕するわけにもいかず、渡すにしましても警察は困るわけでございます。そういう形で手当のために一週間を過したわけでございます。この間断片的に調べることはいたしましたけれども、これは大体話を聞く程度でございまして、疑点がますます出て参りましてもそれ以上の捜査というものはできないという段階であったわけでございます。そういう点については十分御理解いただけると思うのでございます。  不可解と申しました事柄についてやはりお尋ねがございますが、そういうような状況で、七月二日以降は身柄警察に渡してあります。捜査は私のほうは全然さわっておりません。その事件の真相、大体形はそういうふうに出て参ったのでありますが、その動機、目的あるいは問題になりました背後関係、こうしたものについては、私どもは何も承知しないわけでございます。ただ、いろいろ今までの勤務状況を見たり、あるいは警察側からその後にいろいろ連絡を受けましたり、あるいは起訴されるにあたりましての検事の見解、こうしたものを総合してみましたときに、どうしてこういうことをすることになったのだろうかということは、私どもとしては聞きとめ得ないということで、いろいろ不可解と申し上げたのでありまして、これが捜査の当局あるいは公判廷の審理によりましてこの事情は明らかになるかと思うのであります。ただいまの段階では不可解としか申し上げられない、こういうわけでございます。
  69. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 不可解というようなことで今後どういうふうな対策を立てるのかわからないのですね、これは私には。ですから発表になったときに同時に、仙台地検の次席検事ですね、柏木という次席検事ですが、新聞に出しております。これはこういう事件について、しかも起訴された後ですけれども、なかなか検事というようなものはこういうようなことは言わないものですが、はっきり思想的な背後関係はないというのですね。これは毎日ですが、読売を見ましてもやはり柏木次席検事は背後関係はない、背後関係はないとすれば、これは簡単な、簡単といいますか、しかもこれは次席検事が言っているのは自衛隊勤務に不満がある、やめるなら世間をあっと言わせるような大きなことをしたい、こういうような単純な気持でやったのだ、こういう言い方をしておる。私はそういう単純な気持でやったと、こういう場合にプロペラの飛行機の操縦もできないだれが考えてみても飛び出すことはかりにできたとしても、どこかですぐ落ちることはわかっておる、あるいはF86Fであれば追跡はできないとしても、これはわれわれしろうとが考えてもレーダーを持っておるし、どこの基地からも飛び立てる、そんなばかな話はないじゃないか、どうもでっかいことをしたい、こういう気がするのですね。そういうでっかいことをしたいという気持は一体どこからきたのかという点が私は問題じゃないかという気がするのですが、そういう背後関係はないということを言っておるのですけれども、何か先ほどの話では、背後関係があるかどうか調べているということを言われたということですが、私は、七月二十四日に起訴されて、そうして九月十一日に、公判の二日くらい前に追起訴されておる、この追起訴というのはどうも防衛庁長官が法務大臣に対してどうも背景があるというような関べ方をしておる、背景も調べてくれ、こういう話があって追起訴されたような気もするのです。この起訴されてから、七月二十四日から九月十日まで相当日にちがあるわけですね、何か私はこういう事件は、こう言うと変ですけれども、やみからやみに持っていくような気持すらするのですね、不安な気がするのです、背後関係があるのじゃないか、あるのじゃないかというようなことで公判の二日前に追起訴されておる、そういう関係はどうです。
  70. 小野裕

    説明員小野裕君) 最後の点でございますが、背後関係があるかないかということはわからないわけであります。ただ、あるのではないかということで警察並びに検察庁は慎重に捜査を進められた、その期間が二カ月余りになった、こういうことであります。結論的には背後関係はどうしてもつかめなかった、あるいはなかった、これはどちらであるか私は正確には存じませんが、少なくとも背後関係はないという結論になりまして追起訴の内容が確定したわけでございます。これを隠すのではないかというお話でありますが、最初の起訴では先ほどから申し上げておりますように、86Fの足のところを切ったわけであります。これは飛行機が飛べなくなるわけではありませんが、おそくなり、足が上がらなくなる、その程度の損害でございまして、これを直す費用としてはおそらく一万円前後であろうかと思うのであります。そういう程度の傷をさせております。これだけのことで最初の起訴をしております。こういうことは、この事件の本体は、免許のない者が、しかも許可なくして、技術のない者が勝手にT33練習機を引っぱり出して飛行せんとした、しかも落としてこわした、こういうことがこの事件の形の上の中心があるわけであります。この飛行機をこわした、あるいは無断で操縦した、あるいは管制塔の指令を聞かなかったという意味の違反なり犯罪なりが中心でありまして、このほうは当然起訴さるべきものであります。ただ、この場合は飛びたつということについては、ハルピンへ行くのだということをくり返し言っておるわけであります。最終的には今お話のように、あっと言わしたいと言ったかどうか存じませんけれども、この途中におきましてハルピンハルピンということを言っておるのであります。なお、それを疑わせるような多少の材料がありましたために、そういうようなことと関連しまして、それをもう少し追及して背後関係があるかないか、あるいはその辺のところで追起訴範囲をきめるということで相当期間かかったわけでございます。実際に最後の追起訴はT33航空機窃盗あるいは航空法によりますところの無資格の操縦あるいは自衛隊の中で資格を与えられておってもいいのでありますけれども自衛隊の中でも資格を与えられないで航空法の違反になるわけであります。この航空法の違反、これはもうはっきりしております。さらに飛び出すということ、本人は最後までそういうことを翻しておりませんので、自分ハルピンに行くつもりだったということを言っておりますので、密出国、無許可操縦容疑ということになったのであります。今の捜査段階はそういう問題ではなく、初めに一つの疑問をはっきりさせるために時間がかかったのである。そのためにこのことはできるだけ内輪で捜査を進めてもらったのだということであると思います。こちらとしては積極的に発表いたさなかったということがあると思います。その点については事情は御了察いただけると存ずるのでございます。
  71. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なにかこれを見ますと、週刊読売といいますか、これがこの問題についていろいろ書いております。それから発表と同時に、新聞記事も出ておりますように、なにかやめるならどうせあっと言わせるようなことをしたい、まあ、ハルピンというのもそうでしょうし、あるいは国外逃亡をはかるというのもそうでしょうし、そういうことでこういう事件が起こるとしますと、これはまあはなはだ危険だと思うのですね。こういうジェット練習機を使って、なにかあっと言わせるようなことをやるというので飛びたったのじゃたまったものじゃない。これは国の兵器を、たいへんな兵器を預っておるわけです。この中にも出ておりますように、かりに飛びたったとしても、おそらく釜石か仙台あたりで墜落する、民家やなんか、あるいは国民に対して非常に迷惑をかけたのじゃないか、それがなかったのが不幸中の幸だという言い方も行なわれておる。そういうことこそ私は大きな問題じゃないか。しかも、どういうわけであっと言わせるようなことを、次席検事が言うように、あっと言わせるようなことをしたかったのか、そういう点についての追及がずっと行なわれて、どうしても自衛隊の中に非常な不安感というものがつきまとっておる、根強いものがあるというような言い方までしてある。そういうことであれば、こういうものが今後やはり起こるというふうに見なければならぬと思うのです。単に高岡空将をやめさす、そういう問題で解決しないのだというふうに思いますが、そういう点についてどういうふうにお考えになっておりますが、伺いたい。
  72. 志賀健次郎

    ○国務大臣(志賀健次郎君) 今後の万全を期する対策につきましては、その心がまえなり、また、現に実行しつつある点につきまして、先ほど私から申し上げたとおりでございますが、なお、明日でございますか、第二回目の公判が開かれまして、回を重ねて真相が明日になって参ります。どういう不満を持っておったか、あるいはまた、どういう不安感があったか、それらの点にも審理のメスが加えられると思うのでございまして、それらの審理の最終結果を待ちまして、今後の対策に資して、再び国民に対して御迷惑をかけることのないように細心の努力をささげたいと思います。  なお、先刻来御指摘の、二十日間以上もこの問題を黙って隠しておったというお話でありますが、決して隠したのではございませんけれども、再三御了解を願ったものでございますが、いずれにしても、この点についてもいろいろ誤解もありましょうし、世間でも、一体なぜ二十日間も発表しなかったのかという鶴園先生お話のとおりのお気持を持っておる人間も相当あると思いますので、今後はこれらの事件に処しまして、十分に御指摘の点を体して、誤解のないように積極的にこれに対してお話し申し上げることはお話し申し上げて、また、御了解をお願い申し上げることは御了解を願って、何にいたしましても、このような不祥事件が起きてはたいへんでございますから、その絶滅に向かって防衛庁あげて今後努力するつもりでございますから、何とぞひとつ御御了承を願います。
  73. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 さっき人事局長お話のように、中の上くらいの成績であった。特にひどいことはなかったが、自信が強過ぎる。それは自信が強いだけにそれだけ不満が多かったのでありましょう。あるいは空想というものはいいことでありまして、ただ過度の空想はいけないが、空想力のあるということはいいことだし、ただ、そういうのは自衛隊に適しないというのなら別ですが、普通であれば適格の隊員であった。そして五年勤めておったというのですから、これはもうりっぱなほんとうの中堅の、昔で言えば下士官である。そういう者が、あっと言わせるようなことをやろうというので、こういう事件を起こさせられるのじゃ、国民としてははなはだ危険を感ずる。私はそういう意味で、何か不可解だということでおっしゃられることについては、はなはだ不満です。今後その意味においては、根が自衛隊の内部にあるのじゃないかという感じを強く持ちますし、防衛庁長官ひとつ善処を強く要望いたしておきます。  それからもう一つ、長官、これは二、三日前の新聞ですが、九月二十九日、これは自衛隊員がモデルになって理髪大会に出る。十月の初めに理髪コンクールが開かれる。それに二百名の自衛隊がモデルに出る。そして一方のほうには、国鉄がこの間事件を起こしましたね、酔っぱらい運転ということで。その国鉄の大分の野球部が自粛のために野球に出ないで謹慎している。防衛庁長官、だいぶ悪口を言われておる。しかもその中に書いてあるのは、高岡という空将をやめさせた。自粛だ自粛だということで言われておるのに、不満の種をまいておるという書き方で書かれておる。自衛隊隊員が二百名出るのですか、それをひとつ伺いたい。
  74. 志賀健次郎

    ○国務大臣(志賀健次郎君) お答えいたします。これはおそらく私が就任前のことだと思うのでございますが、全国の理容師の技術をみがく、何でございますかな、技能大会が年々東京で開かれておる。これは各県で、県の連合会が主催で、各県で選手を選抜しまして、これがブロックの大会に盛り上がって、そして全国の大会になっておるように聞いておるのであります。各県の大会、ブロックの大会でも、所在の自衛隊の協力を得て、これはきわめて少ない人数でございましょうが、そうして大会がずっと今日まで盛り上がって参ったようであります。そこで私が就任する前のことでございましょうが、部隊のほうにモデルというのですかなんですか、競技の試験台になるように願っておったところが、よかろうじゃないかということで、全国の理容師の大会の準備を進めて、今月の八日ですか、開く段取りになった。ところが、内部でいろいろ議論があったのかどうか知りませんが、だめだという返事が来たというので、全国理容師連盟、大会の連中が私のところへ参りまして、そういうことで準備を進めておったのだが、今になって断わられたらたいへんだ、そうして各県の連合会主催、また、ブロックの大会でも年々御協力願っておるのに、全国の大会だけ御協力願えぬというのは非常に残念な次第だ。聞いてみますると、百五十名ということであります。百五十名で、ちょうど八日は月曜日でございまして、日曜日は部隊が休まずに訓練をする、練習をする。これは前からの計画だそうでございますが、訓練をやる。そうして八日の月曜日の口は代休ですか、日曜日は休まずに訓練するものですから、月曜日は休ませる。したがって、日曜日同様に隊員が自由になって、自由に外出できる。それならば、希望する者があれば、初めて協力するのじゃなしに、県やブロックの大会でせっかく協力しておるのだからやったらどうかという私は口添えをいたしたわけであります。しかしながら、演習に支障があったりあるいはまた強制命令でそういうことへ出すことはいかぬけれども、それは自由に休養をとれる日なんだから、そういうことを希望する人があればいいのじゃないか。これは命令なり、あるいはまた、訓練の日にそういう者を特別に出すというわけにはいかぬ、そういうことに私は心得えておるのであります。百五十名で、しかも大会の当日は、前日の日曜日を休まずに訓練をして休みの口である、それならば初めてのことじゃないから、それは命令でなくて本人が希望しているなら出すこともできるわけであるから、また、東京の理容師の連合会は習志野の部隊に一日兵隊で入るという計画もあったりしまして、お互いのことだから、ひとつ協力しようじゃないかというような話し合いに私は聞いておるのであります。ですから普通の訓練をやる日にそういうことを命令したり、あるいは強制命令なんということはこれはあり得ないことでございまして、あくまでも隊員の自由な休みの日において自由な意思でやることじゃないかと、かように私が申し添えておったのであります。したがって、いまだに何ら私に連絡ありませんから、私が申したとおりになっておるのであろうと私は考えておるわけでありますが、それ以外に何ものもございません。どうも新聞で見まするというと、いかにもなにか訓練を犠牲にしてそうしてやるように書いてあったのだが、もしまた訓練を犠牲にして百五十名の部隊が理髪競技大会の試験台になるということじゃ、これは常識のある者ならそれは許すはずはないと私は思っておるのであります。もしも訓練のある日に、新聞どおりであるならば、本日直ちに中止命令を出します。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは新聞にはそう書いてないですよ、日曜日に部隊訓練をやってそうして月曜日に出ると、こういう言い方ですよ。ですから新聞はそう書いてないですが、ただ陸幕は断わったように書いてある、これは陸幕の理由のほうが筋が通っていると思いますね。だから何か自由にというようなお話ですけれども、実際上は自由じゃないのですね、出ていいということで出すわけでしょう。こんな妙な話は、これは陸幕の言うように断わった方がいいんじゃないでしょうかね。まあしかし、非常に感じよくないですね。こういう事件が起こっただけに、こんなことまで自衛隊員がしなければならないのか、これはむしろアルバイト学生でも雇った方がずっといいですよ。しかも新聞には、その筋を通せば頼むことはできるのだというような書き方までしてあるのですね。どうも感心しない。  最後にもう一つ。たくさんあるのだけれども、時間がありませんので一つ伺っておきますが、これは大島で自衛隊機が落ちたですね。十二名死亡ですね、民間が十二名——十数名ですか、負傷者を出した、こういう事件を見ますと、どうも自衛隊というものはあいまいなものだというような気がしますけれどもね。なぜ輸血というちっちゃなものを持っていくのに、こんなでっかい飛行機を持っていかなければならぬのでしょうかね。しかも新聞を見ますと、はっきりしているように、飛行機が鹿屋の飛行場を飛び立ったのは、輸血が終わって手術が完全に終わってから飛び立っておる、終わっているんですよ。そういう自衛隊ともあろうものが、連絡が十分立っているのでしょうし、輸血が終わって手術が完了したあと四十分もたっている、四十五分——五十分もたってから鹿屋の飛行場を飛び立っている、しかも輸血を運ぶのに、こんな大きな飛行機を使って落ちているのですね。十二名という隊員が全部死亡するというような、非常に民間に迷惑をかけるような、こんなものは簡単に電話であるいは連絡がとれそうなものですがね、伺います。
  76. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  77. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記を始めて下さい。
  78. 小幡久男

    説明員小幡久男君) まず最初に、P2Vという大型の飛行機を使う必要がどこにあったかという点につきましてお答えいたします。当時鹿屋にはP2V、R4D、SNJ、S55A、四種願の飛行機があったのでございますが、それでR4Dは非常に全天候に弱いものですから、低空で物を落とすという能力に欠けているという点がございます。それからSNJは物を投下するハッチがない、航続能力も低いという点でございます。それから、S55A、これはもちろんヘリコプターでございまして、航続距離が短いという点から、三機はいずれも不工合でございます。ことに当時は台風十七号が台湾の南方にございまして、逐次シナ方面に向かって進んでいるというような余波を受けまして、そういうふうな面には警戒を要する気象状況でありました。したがいまして、以上申し上げました飛行機の性能から申しましても、P2Vは全天候であるから一番妥当であるという判断を現地は下したのであります。  それからその次に手術が終わって、そのあとで到着したのではないかという点でありますが、この点につきましては、いろいろ調べたところによりますと、県庁から二時間以内に輸血してもらわないと患者が死ぬという緊急な要請がありまして、P2Vは即時待機しまして、プロペラを回しておったわけでありますが、実際に輸血が現地に、鹿屋で飛行機に到達いたしましたのは、それから一時間後の、あと一時間しかないという時点であります。そのときもし現地で、そういう手術が終わっているとかりにいたしますならば、そういう情報をいち早く要請者側からいただきたいという感じがしたのでありますが、その連絡が十分つかずに飛び立ちまして、残る一時間をもってどうしても求める血清を投下しなければならぬというような、追い詰められた気持で現地に参りまして、しかも現地の投下地点は、非常に狭い海津の一地点を指定されましたものですから、非常に低空で無理をいたしまして、急速旋回の途中で、丘陵にひっかかりまして墜落したものと考えまして、その点非常に残念に思っております。
  79. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の言いましたのは、鹿屋の飛行場を飛び立ったのは、三時五十五分なんですね。それで高等学校の生徒の輸血で、この手術が完全に終わったのが、午後三時なんです。ですからもう手術は完全に終わっている。それから四十五分たってから、鹿屋の飛行場を飛び立っている。そういうことがはっきりしておれば、飛び立たなくてもいいのじゃないか。無理をして十二名の航空隊員が死ななくてもいいじゃないかというふうに思うのです。あるいは飛び立ってからでも、無線というものがあるのですから、向こうへ飛ぶまでの間に、また一時間半かかっていますから、そういうような連絡関係ということが、はなはだ不十分じゃないかというのですね。そのためにこんな貴重な人員が、十二名も全員死亡するというような事態が起こるということは、はなはだ私はおかしいような気がするのですがね。近代装備をしている自衛隊航空機が、こんな状態では、はなはだおかしいですね。
  80. 小幡久男

    説明員小幡久男君) その点ごもっともな点であります。私も現地へ参りまして、すぐにいろいろ調べたのであります。その所在の病院長から県庁へ言ってきたのでありますが、やはりその病院長から県庁へ輸血は一応終わった、しかし、あとあとまだ相当足らぬからという含みのある連絡が、そのときほしかったということを私は考えまして、現在非常に残念に思っている次第であります。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 終わります。
  82. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑はありませんか、——他に御発言もなければ、本件の調査はこの程度にとどめます。   —————————————
  83. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 次に、国家行政組織国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。  なお、政府側から、大橋国務大臣、増子公務員制度調査室長、竹内大蔵政務次官、平井給与課長が出席しております。鶴園君。
  84. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 政府としましては、今度の人事院勧告について、相当の期間がありまして、詳細に御検討になったと思うのです。それらの点について、伺いたい点もございますけれども、時間の関係もございますので、その点はひとつ省略いたしたいと思います。ただ、一つだけ伺いたいのですが、政府として、この人事院の勧告を検討されて、どういう点に不備があり、どういう点に問題がある、そういう結論的な問題だけ聞きたいと思うのですがね。政府の検討の結果について聞きたいと思っております。
  85. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、人事院の勧告につきまして、今なお検討を続けている次第でございますが、ただいままで検討いたしましたところでは、人事院の勧告はこれを尊重し、できるだけそのとおり実行したい、こういう考えでいるわけでございます。ただし、政府の今年度の財源等の関係から、九月以前にさかのぼってこれを実施するということは困難であると考えております。したがいまして、十月以降人事院の勧告どおり実施するようにいたしたい、こういう方向で、ただいま準備を進めております。  なお、これに伴いまして、昨年の十二月に人事院で勧告をされました暫定手当の問題につきましても、人事院勧告どおり、これも十月以降実施をいたしたい、こういう考えでただいま進んでおります。
  86. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の大臣のおっしゃった人事院の勧告について、内容についてはまだおっしゃっていないのですけれども、ただ、内容について尊重をして、そのまま十月一日から実施するように、そういう方向で検討しておる、それはいつおきめになるのですか。
  87. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) できれば今週中にも閣議で、大綱を方針として決定したいと思っております。
  88. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その点は大蔵当局、大蔵政務次官、いつも大蔵省が問題なんですけれども、その点について十月一日ということで、大蔵町としても検討しておられるのですか。
  89. 竹内俊吉

    説明員(竹内俊吉君) ただいま大橋大臣から御答弁したとおりに了承いたしております。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣は、五月一日から実施するようにやりたい、そういうお考えをこの前の臨時国会のこの委員会でお述べになったのですけれども、それはどうも、そうならなかったということなんでしょうか。それとも、そういう努力をなさったけれども、そういうことになったということなんでしょうか。
  91. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 今年度剰余財源との見合いから申しまして、まことに残念でございまするが、十月以降実施するということに政府としては決定せざるを得ない状態でございます。
  92. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも公務員の給与の問題につきまして、いつも問題にするのですけれども、去年の場合もそうですし、おととしの場合もそうですが十月一日、場合によりますと、財源のお話をなさることもありますし、そうでない場合もありますが、何かもう初めから、どうも勧告は五月一日というふうに出ても、それから五カ月くらいサバを読んで、十月から実施するんだと、こういう考え方に立っておられるのじゃないかと思うのですけれども、これは国家公務員にとりまして非常に不幸なことだと思うのですが、どっちからいいましても、政府のほうからいっても、公務員の側に立っても、非常に不幸なことだと思うのです。こういう措置を受けておるのは国家公務員だけなんですね。そういう点についてどういうお考えを持っておられるのか。公務員制度担当大臣としての見解を、承りたいのですけれどもね。
  93. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 現在の公務員制度並びに公務員法における人事院の性質から考えまして、私といたしましては、人事院の勧告を尊重いたします以上は、すべての点において、実施時期をも含めて、人事院勧告どおりやることが当然だと、こう思っております。しかしながら、政府の財政の都合その他等もございまして、今回そのとおりにできなかったことは、まことに残念だと思っております。
  94. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ担当大臣のお話はよくわかるのですが、そういうことで去年——去年は財源の問題は出なかったのですが、去年も十月から、おととしは台風だとかなんとか災害があったということで十月。ですから、せっかく大臣がそういうお話をなさっても、公務員としてはそれをほんとうに受け取れないわけなんですね。その前は御承知のように、あくる年の一月一日から実行した。ですから、公務員として、その点について非常な長年にわたるといいますか、正確にいえば、昭和二十八年以来、実施時期について非常な不満を持っている。どうも私どもとしても、その点について納得いかない。ですから、十月一日から実施なさるとおっしゃるけれども、非常にこの点については長年の不満を持っている、納得できないという点をひとつ申し上げておきたいと思います。  それから暫定手当についても、これは本来ならば四月一日から実施さるべきものであったのです。それを、大蔵省当局ですが、いろいろな理屈をつけまして、ここまで延ばしているわけです。十月に延ばしてしまった。重ね重ねのおかしな事態になっているわけですね。それで、国家公務員に対しては、どうも政府としては非常にまずい感じをお持ちじゃないかと思うのですけれども公務員も政府に対しては、腹の中では、はなはだ不満ですよ。勧告が、一方は四月一日から実施をして、一方は五月一日から実施しなければならぬ、二つとも十月からという話では、これはもう非常な不満がある、納得できないという点を申し上げておきたいと思います。  それから検討された結果、どういう点に問題があるという点の、そういう結論みたいなものはないのですか。国務大臣(大橋武夫君) 実施についての考え方をきめるために検討いたしました。この人事院勧告の内容の是非ということにつきましては、いろいろ現われておりまする数字等につきましては、当たっております。これに対して批判は今のところいたしておりません。
  95. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いずれ臨時国会も開かれるでしょうから、その際に、内容の問題については論議いたしたいと思いますが、重ねまして、どうも十月一日実施については、はなはだ納得できないという点だけをひとつ申し上げておきたいと思います。
  96. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十九分散会