○衆議院議員(太田一夫君) 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました
昭和三十七年度分の
都道府県民税等の減額に関する
臨時特例法案の提案理由の
説明をいたします。
政府は
昭和三十七年度税制改正において、
地方財政の自主性と健全性とを強化するとともに
負担分任の建前を明らかにするとの名のもとに所得税の一部を道
府県民税に移譲することとし、あわせて累進税率を廃して比例税率としたのでありますがその結果は予想外の重税となり特に低所得者層にその影響が著しく本年度の道
府県民税は大むね二倍から五倍と急増するに至ったのであります。そのために所得税減税の効果を帳消しにするばかりでなくあまりにも急激かつ苛重な大衆課税は物価高にあえぐ住民の生活を二重に圧迫しております。特に今回初めて採用された比例税率は所得の少ない者ほど不利となるものであり、逆に高額所得者にとっては有利となる逆進性をもつものでありますことはこの際見逃すことのできないところであります。われわれはこの高すぎる住民税に対する国民の悲痛な訴えに耳をおおうわけにはいかないと思うのであります。
国民所得に対する租税
負担率適正化の問題や
地方財政強化と税源配分の基本問題、大衆
負担の
軽減と所得不均衡是正、特に住民税融税
方式の再検討等の諸問題はさらにあらためて検討することといたしますが、とりあえずここに当面する事態解決のために
昭和三十七年度分の
都道府県民税等の減額に関する
臨時特例法案を制定し本年度の道
府県民税の急激かつ大幅増額に対する住民不満を緩和解消し、
地方自治の健全かつ高度なる発展に資したいと
考える次第であります。
本法のおもなる内容は次の通りであります。
第一には、
昭和三十七年度分の個人の道
府県民税の所得割の額を次の区分によって減額することといたします。すなわち、課税合計所得金額三十万円以下の場合三〇%、課税三十万をこえ五十万円以下の場合二〇%、課税五十万円をこえ七十万円以下の場合一五%、課税七十万円をこえ百万円以下の場合一〇%、なお、この減額
措置による各人の減額後の所得金額の
調整のため、所要の
措置を講じております。
第二には、税額控除等があるため、その者の減額すべき金額が賦課税額以上となる場合には、その賦課税額迄とし、また減額すべき金額が今後徴収する税額より多額となるときは、その差額を還付することといたしております。
第三には、本法は部局税及び特別区民税について準用することとしてありますが、特別区民税については、都道
府県民税相当額についてその所得金額に応じて所要の減額をすることといたしてあります。
第四は本法による減税によって生ずる都道
府県の歳入減(約一〇五億円)に対してはタバコ消費税の税率を四・七%引き
上げることによって補てんすることといたします。
以上が本
法案を提出する理由であります。何とぞ慎重審議の上すみやかに御可決下さいますようお願い申し
上げます。
なお、付け加えますが、本法による減税額は、不要家族なき者、いわゆる独身者で一年の収入三十万円
程度のものは、七百八十円の減税、妻と子供二人の家庭におきまして五十万円の年収のある場合は九百円、妻並びに子供三人あり八十万円の年収の場合は、約一千五百円
程度と相なっております。