○
政府委員(
江守堅太郎君) ただいまの提案理由
説明に対しまして若干の補足
説明をさせていただきます。
これはプリントはお配りしてございません。ただこういった「激甚災特例における超過累進
方式」という横書きのプリントがお配りしてございます。これを後ほど参照していただきたいと思います。
この
激甚災害に対処するための特別の
財政援助等に関する
法律案、これはただいまの提案理由にございましたように、災害対策基本法の規定の
趣旨にのっとりまして、
激甚災害に対処するための合理的かつ恒久的な
制度を作ることを目的といたしております。すなわち
国民経済に著しい影響を及ぼす災害が発生いたした場合に、これを
激甚災害と指定いたします。同時にそ
激甚災害に対しまして
適用すべき措置を指定いたします。そうしてその災害による
地方財政の負担を緩和し、あるいは被災者に対する特別の援助を行なうということにしているものでございます。
この
法案によりますところの特別措置といたしましては、まず第一にこの
法案の第二章の
関係でございますが、公共土木施設災害復旧事業等に関する
地方公共団体に対する特別の
財政援助、それから次に、やはり第三章の
関係でございますが、被害を受けました農林水産業者等に対する特別の助成の措置、それから第三には、第四章の
関係でございますが、被害を受けました中小企業者等に対する特別の助成の措置、最後にその他諸般の災害
関係の特別措置、これは第五章に規定してございます。このような四つの体系に区分をいたしまして特別措置を規定いたしておる次第でございます。これらの各車に定めました措置のうち、従来の災害の特別立法による
方式と特に異なる
内容となっておりますのは、公共土木施設災害復旧事業費等に関する
財政援助と、農地農業川施設災害復旧事業費等に関する助成につきまして、これらにつきましては先ほど申し上げました、このお手元にお配りいたしました資料によりまして御
説明を申し上げたいと思います。
まず第一に、公共土木施設災害復旧事業費等に関する特別の
財政援助の措置でございますが、これは従来公共土木の災害復旧等につきまして、個々の災害の額に対しましてそれぞれ補助を定めておったという
方式を改めまして特定のあるグループの事業対象につきましてこれを全部合算をする。それを合算いたしまして、これを
地方の標準税収入との
関係を見ながら、それぞれの区分に従って特別超過累進の率を
適用いたしまして、補助率を計算する、こういうような仕組みになっておるわけでございますが、まず第一にこういった
方式によりまして
財政上の特別の措置をいたします事業対象といたしましては、そこに書いてございいます「対象事業」というところに書いてございますように、十三でございまして、公共土木施設災害復旧事業、公共土木施設災害関連事業、公立学校施設災害復旧事業、公営
住宅等災害復旧事業、生活保護施設災害復旧事業、児童
福祉施設災害復旧事業、身体障害者史生援護施設災害復旧事業、精神薄弱者援護施設災害復旧事業、婦人保護施設災害復旧事業、伝染病院隔離病舎等災害復旧事業、伝染病予防事業、推積土砂排除事業、湛水排除事業、このような十三の事業対象につきまして、これを合算をするという
方法をとろうとするものでございます。さらに
法案の第三条の一項によりまして激甚団体として指定をすることになっております。これは
政令に譲ってあるわけでございますが、その
考え方といたしましては、今申し上げましたような対象事業につきましての
地方負担額の合計額がそれぞれの団体の標準税収入に対しまして、県におきましては二〇%以上、
市町村にありましては一〇%をこえる、そういう団体を激甚県あるいは激甚
市町村というふうに
政令で指定をいたします。それから次に、そのように計算いたしました
地方負担額の合計額を標準税収入で割りました比率によりまして、下の表に書いてございますように区分をいたしまして、そして、それぞれに超過累進率を
適用するということになっております。県で申しますと、そこに書いてありますように、一〇%から五〇%というものに対しましては補助率五〇%、五〇%から一〇〇%に対しましては五五%、以下順次そのような仕組みで計算をいたしまして、六〇〇%以上のものについては九〇%というふうな計算を県に対して行なうということでございます。さらに、
市町村につきましては、今の県と同様の刻み方によりまして五%から一〇%というものに対しましては六〇%、以下順次四〇〇%以上のものに対しては九〇%というふうに、超過累進率の
適用をして計算するということにいたしておるわけであります。このような計算をいたしました結果が実際の
財政負担、あるいは各
市町村に対する補助という問題等を見るときに、どういうふうになるかということでございますが、それは次の次の、二枚めくっていただきまして「公共災害嵩上額試算表」というものがございます。これは昭和三十四年災害について試算をしたものでございますが、県について申しますと、ここに六県とりまして試算をいたしたわけでございますが、総額の結論を申し上げますと、三十四年災のときのかさ上げ額は二十四億七千六百万円、それを今申しました
方法によって試算をいたしますと二十七億八千四百万ということになっております。それぞれの県について申しますと、三十四年災のときに受けました災害の態様がそれぞれ異なっておりますような
関係もございまして、あるいはふえ、あるいは減るというような
関係になっておりますけれ
ども、これはこの二つの数字を直接比べることが多少無理な点もございます。大体のめどといたしましては、国がこういう補助をする際の国からの補助金、
地方財政を緩和する程度のこういうものは三十四年災の当時よりもややいいというふうに、私
どもは
考えております。
それから
市町村のところでございますが、これは約二百八十三
市町村について計算をしたものでございますが、これも三十四年災のときのかさ上げ額は十五億一千三百万、今回の計算によりますと十五億九千九百万という計算になっております。
それから
法案の第三章の農林水産業に関する特別の助成の
関係でございますが、農地及び農業用の施設の災害につきましては、激甚地の指定をこれまた
政令でいたすことになっておりますが
市町村の地域につきまして農地、農業用施設災害復旧事業費及び農業用施設災害関連事業の地元負担額の合計額を被害農家戸数で除した金額、つまり一戸当たりの地元負担額でございますが、一戸当たりの地元負担額が二万円をこえます地域を激甚地として指定するということでございます。それから、それらに対しまする超過累進のきざみ方といたしましては、今申しました一戸当たりの地元負担額一万円から二万円というものに対しては七〇%の補助、それから二万円から六万円までは八〇%の補助、六万円をこえるものにつきましては九〇%の補助をする。このような超過累進率を
適用する。こういうことでございます。
それから林道の災害でございますが、これも
政令で激甚地の指定をいたしますが、その
考え方は、林道の一メートル当たりの地元負担額
——これは林道災害復旧事業及び林道災害関連事業の地元負担額の合計額を、その被害の総延長メートルで割ったものでございますが、その一メートル当たりの地元負担額が百八十円をこえる地域を激甚地として指定する。そして超過累進率につきましては、そこに書いてございますように、そのようなきざみ方で、それぞれ七〇、八〇、九〇%こういう超過累進率を
適用するということでございます。
このような超過累進率の
適用をいたしました結果、
地方団体はどのような負担になるかということが、次の「地元負担額の比較」というところに書いてございます。一番左が一戸当たりの事業費でございますが、簡単に地元の負担額の増減という点だけをごらんいただきますと、その三つ目の欄が、従来の災害特例法によりました場合の地元負担額でございます。その次の次の欄か、今回の、今申し上げました計算をいたしましたときの地元の負担額でございます。これを比較いたしますと、つまり△になっておりますところが、それだけ地元の負担が軽くなるということでございます。ごらんいただきますように、一戸当たりの事業費が二十万円というところにつきましては、今回の措置によりまして一万一千四百二十一円、地元の負担は軽くなるということでございます。
同様に、林道について見ましても、今回の措置によりまして、地元の負担は相当従来の措置よりも軽減されるものが多いということがおわかりいただけると思う次第でございます。
このほかに、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費に対する補助、それから開拓者施設及び水産動植物養殖施設の災害復旧悪業費に対する補助、天災による被害農林漁業者等に対する
資金融通の特例、共同利用小型漁船建造費の補助、こういったものは従来の個別立法に準じた措置を定めております。
次に、
法案の第四章の、中小企業に関する特別の助成措置につきましては、大体その
内容は従来の災害特例立法とほぼ同様のものと
考えております。中小企業信用保険の付保限度額について災害融資にかかる保険金額を通常の保険価額とは別ワクで処理できる。また、事業協同
組合等の共同利用施設災害復旧事業に対する特別の補助、中小企業振興
資金等助成法による貸付金の償還期間の特例などの措置、こういう措置を講ずることにいたしておるわけでございます。
最後に、第五章が、「その他の特別の
財政援助及び助成」として規定しておりますものは、公立社会教育施設災害復旧事業費の補助、私立学校施設災害復旧事業費の補助、母子
福祉資金に関する国の貸付の特例、水防資材費の補助、罹災者に貸し付ける公営
住宅建設費の補助等の特別措置のほかに、公共土木施設、公立学校施設、農地及び農業用施設等小災害復旧事業費に充てるための
地方債に関する元利補給の措置等を、この章で定めております。これらの措置は、災害を受けました個人または法人に対する助成ということを目的として行なわれますものと、
地方公共団体に対する補助ではありますが、補助の目的あるいはその性質上、この
法案の第二章で規定しております
地方財政援助のためのプール合算
方式による補助、そういったものでは、なじみにくいといったものを、特別にはずして規定をいたしておるものでございます。
以上が大体この
法律案の提案理由につきまして、補足
説明を申し上げるべき諸点でございます。