○国務
大臣(宮澤喜一君) 御質問にお答えいたします形で、今この問題をめぐっていろいろな要素がございますので、一緒に答弁することをお許し願いたいと思います。
新産業都市の指定をやがてしなければならないわけでございますが、知のように、
法律制定の際の経緯もありまして、非常に
関係の役所が多いわけでございます。で、最終的には
関係各省の間で意見の統一をいたしましてお答えをいたすべきでありますが、まだそこまで事が運んでおりませんので、私の考えておりますことを申し上げてお聞き取りをいただきたいと思います。
私はこの新産業都市を指定いたしますときに、やはり将来五年とかあるいは七年とかその程度の将来の時期に、現在すでに過度に密集しております工業地帯及びその周辺から、企業が、
地方のより立地条件のいい所を求めて
地方へ進出をしていくであろう。その際に国としても
地方公共団体としてもある程度の先行投資をしていきまして、そうして企業が入りやすい準備を整えておく。そのことが
地方の地域較差の是正にも役立ちますし、また国民経済全体としても適切なことである、こういうふうに考えておるわけであります。したがって、新産業都市の指定を、私としてはできるだけたくさんの数にならないようにしぼりたいという気持を持っておるわけでございます。それは現在事態を放置しておきますと、おそらく各県から四十あるいは四十をこえるところの申請が出てくるであろうと思われるのであります。そうなりますと、国として五年なり七年なりの間に幾らかごめんどうを見たという程度のめんどうはとても見切れないことになりますので、そういう
行政のやり方は私はよろしくないというふうに考えるわけでございます。そこで、十ぐらいを最大限として指定をしてみたいという気持を持っておるわけであります。かりにそういう私の考えが、政府としても
各省協議の結果、適当なことであるということになるといたしますと、現在申請をしてくるであろう三十とか四十とかいう申請者に対しては、大
部分要らざる希望と失望とを与えることになると考えるのであります。この申請が各県で県議会の議決を経るというような非常に重い手続になっておりますために、もしそういう要らざる希望と失望を与えるということになりますと、それは各
地方でほかの問題とからみまして相当めんどうな政治問題をあちらこちらで惹起することになるのであろう、そういうことは政府としても何とかして避けなければならないことだというふうに考えるわけでございます。
地方自治に不必要な摩擦なり混乱を起こさせるということはよろしくないというふうに考えるのであります。他方で、それだけあるであろう申請に対してそれを十程度に押さえるということは、私どもとしてもいろいろな圧力に対して相当思い切って対抗をしないとやり得ないことであると考えるのでありますが、大体今申しましたようなことがございますので、それにかんがみまして、現在
地方から申請をされるのをしばらく待っていただきたい、こういう態度をとっております。それは
関係の
各省の間で指定の基準となるような考え方をまとめまして、そうしてそれを
地方にお示しをしたいと考えておるわけでございます。いい
意味での
行政指導をやりたいという気持が、正直に申して、あるわけでございまして、それにもかかわらず、それを無視して申請をしてこられれば、これは受け付けないというわけには参りませんけれども、そこにはおのずから申請をされる側も大体見通しを持って、申請だけはしておこうというような、つまり不必要な希望と失望を与えない形でやっていけるであろうと、こんなふうに考えておるものでございますから、そういう基準をはっきり
地方にお示しをしようじゃないかと考えまして、その作業を今
各省の間で進めております。そこでそれがきまりまして
地方にお示しをして、その後に、私どもとしてはできればその基準に合致した所、合致すると思われる所について、
各省で、政府の側においても
調査を進めていきたいと考えております。そうしてその
調査の結果と
地方からの申請と町方相待ちましたところで、先ほど申しました程度の数にしぼって指定をいたしたい、こういうふうに大まかに考えております。したがいまして、現実に指定が最終的になされる時期を年度内になるたけいたしたいというふうに考えておるのでございますが、御承知のように、来年の四月には各
地方の
地方選挙がございます。そうしてこの問題がまた
地方選挙に要らざる不必要な紛争の種を提供するということも、これもまた避けなければならないということがございますので、ただいま、年度内に必ずいたしますと確言を申し上げるだけの準備がございません。
関係各省とも相談をいたしていないことでございますが、しかし、大体のスケジュールとしてはそういうようなことを考えております。