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1962-10-10 第41回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月十日(水曜日)    午前十時二十分開会   ―――――――――――――   委員の異動  八月三十一日   辞任      補欠選任    山本伊三郎君  松澤 兼人君   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     石谷 憲男君    理事            小林 武治君            西田 信一君            秋山 長造君            市川 房枝君    委員            上林 忠次君            西郷吉之助君            湯澤三千男君            占部 秀男君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            松本 賢一君   国務大臣    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    警察庁長官   柏村 信雄君    警察庁保安局長 野田  章君    経済企画庁総合    開発局長    大来佐武郎君    経済企画庁総合    開発局参事官  吉田  剛君    厚生省薬務局麻    薬課長     久万 楽也君    自治省行政局長 佐久 間彊君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (麻薬取締対策に関する件)  (新産業都市建設促進法施行に関  する件)   ―――――――――――――
  2. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  本日は、地方行政改革に関する調査といたしまして、麻薬取締対策に関する件、新産業都市建設促進法施行に関する件、地方公務員共済組合法施行に関する件につきまして、それぞれ調査の御要求がありますので、これらにつきまして順次調査を行ないたいと存じます。  初めに、麻薬取締対策に関する件を議題といたします。  警察庁から柏村長官野田保安局長厚生省から牛丸業務局長が出席いたしております。御質疑の方は御発言を願います。
  3. 市川房枝

    市川房枝君 麻薬取り締まりに関するといいますか、あるいは麻薬関係のある官庁というのは厚生省警察庁だと思いますが、きょうその両方からおいでいただいておりますので、それぞれの官庁麻薬に関してやっていて下さいます仕事内容を一ぺんちょっと伺いたいと思います。どちらからでもけっこうです。
  4. 久万楽也

    説明員久万楽也君) 初めに、法律の体系をお話しいたします。現在、麻薬法律は、麻薬取締法大麻取締法、あへん法、その三つでできておりまして、それは国際条約が九つございまして、その国際条約に基づいて今お話しした三法ができております。それで、その三法に基づきまして、麻薬製造から医療あるいは研究に使われる末端の消費者すなわちお医者さんあるいは研究者、そこまでいく流通の過程を、厚生省のあるいは都道府県衛生部麻薬取締官、あるいは麻薬取締員が、その麻薬というものが最初の目的どおりに、すなわち医療あるいは研究目的どおりに使われるかどうかということを――使われるようにということを指導し、また監督し、また、それが横流れしないように取り締まりを行なっております。そして、そのためには不正の麻薬がその正規のルートに逆に乗らないようにということも考えて、それの取り締りを行なっております。それですから、厚生省としては、麻薬そのもの麻薬というものに対しての流れというものに常に注目して取り締まりを行なっておる、そういうのが現状でございます。
  5. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 警察におきまして麻薬について行なっております基本は、警察法第二条に規定いたしておりまする「個人の生命、身体及び財産の保護」「犯罪予防鎮圧及び捜査」「公共の安全と秩序の維持」という本来の警察目的に従いまして、あらゆる犯罪について警察活動をいたしておるわけでございますが、特に麻薬につきましては、厚生省協力いたしまして、警察独自にもまた大いに力を入れて、この国民に多大の毒を与えまする犯罪予防鎮圧に努めておる次第でございます。
  6. 市川房枝

    市川房枝君 警察庁は八月の十八日に厚生省に対して、医療関係者による麻薬不正使用やルーズな管理麻薬禍を横行させる原因の一つであるというので、医療関係者に対する監督処分強化してもらいたいという要請をお出しになったということを新聞で拝見しましたが、その警告内容といいますか、あるいはその警告をなさるに至った経過、これを伺いたいと思います。
  7. 野田章

    説明員野田章君) 医療関係者によります麻薬事犯の実態とその検挙状況につきまして調査資料を作りました機会に、厚生省に対しまして、医療関係者とその麻薬取扱者指導監督強化してほしいこういう要望をしたわけでございます。  その内容のおもなところをごく簡単に申し上げますと、昭和三十六年一ぱいと七年、本年の上半期を通じて警察検挙いたしました医療関係者は百七十二件、百四十五名に上っているわけでございます。この検挙されました百四十五名の中の大部分、つまり七二・五%は、麻薬施用者である医者であります。また、そのほかに、麻薬施用免許を受けていない医者あるいはにせ医者あるいは医者の家族、看護婦というようなものも相当数検挙をみておるわけであります。その違反態様といたしましては、ヘロイン以外の医療用麻薬に関するものが大部分でありますが、ヘロインを対象としたものも三件、三名あるという実情でございます。その中の違反の大部分は、ただいま申しましたとおり、麻薬中毒者に対する医師不正施用が大半を占めているのでありますが、これにあわせて麻薬管理義務すなわち帳簿の記載義務違反、あるいは保管義務違反、あるいは麻薬中毒者を発見した場合の届出義務違反というものも相当数あるわけでございます。したがいまして、麻薬犯罪は、二面では、大都市におきまして完全に狂暴なヘロインによる密輸入あるいは密売等違反というものが、これは大きいわけでありますけれども、その反面、非常に全体としては小さい部分でありましても、医療用麻薬というものによる違反というものが医者あるいはその他の関係者によって行なわれている、こういう事実にかんがみまして、麻薬免許というものは知事がやるわけでございます。また、医師免許大臣がやるわけでありますが、それらの免許をする行政官庁におきまして、違反のある医者あるいは中毒患者である医者等に対しましては免許取り消しとかあるいはその他の行政処分も必要ではなかろうかというような部面もありますので、これらの取り締まりの現況を御連絡いたしまして、必要な行政上の監督強化するようにお願いした。また、直接のそういう犯罪といいますのみならず、麻薬盗難というものがございます。これは、この期間中に発生しました盗難は百一件ございます。その百一件の麻薬盗難によりまして取られた麻薬の数量は、約一キログラムに及んでいるのであります。こういうことが麻薬中毒者によってあるいは密売者によってそれらの窃盗というものが行なわれるということは、それからまた次の犯罪を生んでいるおそろしい麻薬の災いを蔓延させるというもとになるものでありますから、この麻薬盗難に関連しまして、麻薬保管をさらに一そう厳重にするよう行政上の指導をお願いしたいというような意味も含めまして御連絡なり要請をしたわけでございます。
  8. 市川房枝

    市川房枝君 その要望書に対しまして、厚生省から何か返事がありましたか。
  9. 野田章

    説明員野田章君) 格別書面その他による御返事はございませんが、局長なりここにおられる麻薬課長にもしょっちゅうお会いしておりますので、一応その対策等については伺っております。
  10. 市川房枝

    市川房枝君 その要望書といいますか、その内容を実は資料でもいただいておりますが、それを拝見して実は少し意外に思っているわけでありますが、厚生省当局はこの事実をお認めになっておりますか。それからそれに対してどういう対策をお立てになりますか。あるいは、ちょっとどこかの新聞に出ておりましたが、この警察庁要望書に対して厚生省は、何かこれはいわゆる二つ官庁の権限の多少争い、でもないかもしれないが、競争といいますか、というような意味を含めて警察庁がそういう要求をしたのだというようなことを厚生省当局がおっしゃったというようなこともちょっと耳にするんですが、それはたいへん遺憾だと思うのです。それをひとつ厚生省から伺いたいと思います。
  11. 久万楽也

    説明員久万楽也君) 要望書というか、書類になりましたものは、確かにいただきました。それから私たちのほうでも、少なくとも三年間、私たち関係衛生部長会議あるいは薬務課長会議取締員係長会議があるときには、取扱者に対する厳重な監督をするようにということは指示しておりました。  それで、その内容をもう少し詳しくお話しいたしますと、麻薬取扱者として十三種類ぐらいございます。そのうち、輸出業者輸入業者製造業者製剤業者、それから元卸売業者家庭麻薬製造業者、そういうものは厚生大臣免許になっております。そしてそれが全国で二百五十六件ございます。それからそれ以外に、麻薬卸売業者麻薬小売業者、これは麻薬小売業者というのは薬局で麻薬の調剤の免許を持っておる者でございます。それから麻薬施用者、これはお医者麻薬施用していいという免許を持っておられる方、それから麻薬管理者、これはお医者麻薬施用者が二名以上おるところには一人管理者を置かなければいけない、責任の体制のためにこういうふうにしてございます。それから麻薬研究者、そういうものがございまして、麻薬卸売業者が六百二十四、麻薬小売業者が一万八百四十、麻薬施用者が九万六千百四十一、麻薬管理者が九千五百三十、麻薬研究者が五百四十一、そういうふうになっておりまして、計にいたしますと、十一万七千六百くらいございます。そして、その十一万七千六百というのは、都道府県知事免許になっております。そういうことで、初めの二百五十六件というのは私たちがじかに監督いたしておりますけれども、都道府県知事免許になっております二万二千近くのものは都道府県にあります麻薬取締まり員にやらしております。そして、実際私たち指導する方法として、最近ではこの九月十一日から二十日までの間に麻薬取り締まり月間運動というものを催しまして、そしてそのときに約十二万枚の「麻薬に関する十二章」という、取扱者にこういう事故があったらこういうふうにしていただきたいという簡単なパンフレットを作りまして、それを全部都道府県に配りまして、それによって伝達講習会なりそういうものをやり、医師会あるいは薬剤師協会連絡のもとに法の普及徹底をやっていただきたいということを具体的にいたしております。  それから麻薬盗難が、警察庁お話のように最近非常にふえております。それは、一つは、不正麻薬取り締まりがきびしくなりますと、麻薬がほしいために、麻薬中流者がお医者往診カバンをねらうとか、あるいは診療に行って麻薬がどこにあるかという所在を確認しておいて、それからそのあと麻薬を盗みに行く、あるいは先ほどお話のように中毒者が偽って医者に注射をしてもらう、麻薬施用をしてもらう、そういう事犯が、麻薬取り締まりがきびしくなっていわゆる麻薬の不正な市場に麻薬がなくなりますと、その近所医者が必ずやられるという現状でございます。それからこういうことに対して、この前横浜の日ノ出町で事件がありましたあと麻薬濃厚地区を持っております都道府県知事にすぐ通牒を出しまして、濃厚地区近所正規麻薬を取り扱う方々には注意をしていただくという指導をしております。  最近の統計を見ていただきますと、昭和三十五年は、医療関係者は百四十七名、件数にして百十二件、それから人員で百二十九名、それでこの百四十七名との差の十八名というのは、医療関係者ですけれども、正規取扱者になっていない医療関係者、あるいは看護婦であるとか免許を持たない医師、こういう者が十八名おります。それから三十六年には、医療関係者が百六十一名で、九十一件、人員で百二十名、非取扱者が四十一名。それから三十七年の上半期では、六十九名、二十四件、三十名、それから非取扱者が三十九名となっております。  それで、それに対して行政処分は、三十五年は人員で九十二名を行政処分にいたしまして、業務停止が五十五、免許取り消しが三十七、三十六年は人員で七十五名で、業務停止が三十四、免許取り消しが四十一、三十七年の上半期人員が七、業務停止が五、それから免許取り消しが二、そういうふうになっております。そうして、三十七年の上半期が少ないのは、まだ私たちのほうに実際にやっても報告が来ないもの、そういうものがあるので上半期は少なくなっているんじゃないかと思います。  それから、そのほかに医師免許状、これは今のは麻薬に関する免許状でございますけれども、そのほかに、麻薬関係して不正がありますと、医師免許状にも関係いたして参ります。そうして昭和三十五年には医師免許状に対する行政処分が十四件ございまして、そのうち麻薬関係のものが十二件、それから三十六年は医師免許状に関する行政処分が十三件で、麻薬関係するものが七件、そういうふうになって、行政処分あるいは送検というのも非常に私たちとしては厳重にやっているつもりでございます。
  12. 市川房枝

    市川房枝君 今の厚生省からの御報告は、三十五年――三十六年になりますか、今までの措置についての御報告だったと思います。警察庁は、この八月に最近の状況としての勧告だと思うのですが、今後もっときびしく医師に対する監督といいますか、あるいは麻薬の保存の問題とか、いろいろそういうことのこれからの問題についてはどうなんですか。
  13. 久万楽也

    説明員久万楽也君) それは、先ほど統計の数字の先にお話ししたように、そういう会議があるたびに必ず注意をしておりますし、相当きついことも言って私たちとしては指導しております。それですから、今までがこうだったというんじゃなくて、これからもその方針でやっていきます。それですから、私たちの少ない予算から無理して先月パンフレットを十二万枚も作って医師お配りしてあります。それから日本に医師会のほうと私たちのほうと話し合いいたしまして、各都道府県医師会の中にも麻薬に関する委員会を置いていただくように指導しております。それで京都の医師会は非常に協力をしていただきまして、麻薬対策小委員会というのを作って、そこでいろいろ医師会内部指導もやっていただいておる状態でございます。それから最近では愛知県の医師会の中にもそういうものができるという話を聞いております。
  14. 市川房枝

    市川房枝君 警察のほうは違反者検挙ですか、取り締まり生命財産を保証するという立場から警察法によってなさっておられるということを先ほど伺ったんですが、厚生省は今さっきお話し麻薬取締法その他の法制によってやっておいでになるでしょうが、その中で、違反者厚生省自身が逮捕といいますかをなすっておいでになると思いますが、そこで、厚生省警察庁とその点で重なるのですね。その点はうまく協調ができておりますか、どうですか。
  15. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 先ほど申し上げました――警察警察法第二条の基本的な責務を遂行するためにやっておると申し上げたのでございますが、それに基づきまして、結局各法律におきまする法律違反というものについての取り締まりをする、予防をするということになるわけでございまして、麻薬取締法の罰則の規定があれば、それに基づいて違反者を取り締まっていく、こういう態度でございます。  そこで、今お尋ねの、厚生省麻薬取締員麻薬に関する犯罪取り締まりをやる、警察一般犯罪と同様にこれを取り締まっていくということで、競合しないかというお話でございますが、数年前に厚生省と申し合わせをいたしまして、麻薬取扱者に関する犯罪につながるようなものについては厚生省連絡をし、また、麻薬以外の一般犯罪につながるようなものについては、厚生省のほうで、もしそれに手をつけられるということであれば、警察庁のほうに連絡するということにし、お互い協力して麻薬犯罪の撲滅を期していきたいということにいたしております。御承知のように、麻薬犯罪というものは非常に広く、また深刻になりつつあるわけでございまして、遺憾ながら警察においての取り締まり、また厚生省においての取り締まりを合わせましても、実に世間で行なわれております想像される犯罪よりは非常に微々たるものであるわけでございます、現状は。したがいまして、根本的に両君の協調関係協力関係ということは、従前どおり持続していかなければなりませんが、目下のところでは、お互い取り締まりが競合するために支障が起こるというよりは、両方とも力を合わせて、とにかく力を数十倍にもして取締体制強化していくということが目下の急務ではなかろうかというふうに思うわけでございまして、先ほど申し上げました協力関係ということは依然持続しておりまするし、そうお互いの間に競合して困るという問題もございません。むしろそれぞれの立場を堅持しつつ十分に能力を発揮して、麻薬犯罪取り締まり強化をはかっていくということに努力して参りたいと、こう考えております。
  16. 市川房枝

    市川房枝君 今度、厚生省警察だけでなく、政府として麻薬取り締まり強化なさることにだんだんなっておるようですが、これは参議院並びに衆議院における麻薬対策に対する決議の結果と思いますが、警察のほうは麻薬取り締まりのために警官を増加なさるようなことが出ておりますし、厚生省のほうも収縛官の増員を御計画なさっておるようですが、その新しい計画を両方から伺いたいと思います。
  17. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 警察といたしましては、とりあえず現在の陣容の中をやりくりいたしまして、主要な府県に――警視庁、それから神奈川県、大阪府、兵庫県、この四県に麻薬課を、専門麻薬裸を作りまして、そうしてとりあえずは現在の全陣容の中からやりくりをいたしまして麻薬取り締まりの要員の強化をはかる、そして専門的にこれに当たっていきたいというふうに考えておるわけでございますが、来年度予算におきましては、これは主として自治省関係財源配分のことになると思いますけれども、麻薬専従員を千名増加していただきたいというふうに考えております。そのほか、いろいろ取り締まり活動経費が不十分でございますので、そういう活動経費の増額、それから活動に必要ないろいろの器材がございます。そういう器材整備をはかっていただきたいということ、そのほかまた、海外――これはヘロインなどは全部と申してよいと思いまするが、国内では禁制品になっておりますので、すべて密輸によるわけでございます。そういうことで、原産地等との連絡と申しますか、情報の収集というような意味において、できれば海外駐在官を常置いたしまして、外国の麻薬取締当局、主として警察がやっておるのでございますが、そういうものとの連絡をとりつつ、いわゆる密輸についての防遏をしていく。それからいわゆる暴力団などが介在するいわゆる麻薬密売団、これについての特別捜査班を構成して、この密売組織を剔決していくというふうに考えておるわけでございます。また、厚生省のほうには、特に麻薬中毒患者がおりまするために、どうしても麻薬施用ということが行なわれなければならぬようになってくる実情でございますので、そういう中毒患者については、これは警察仕事でございませんが、厚生省のほうにお願いいたしまして、強制収容施設等を急速に整備をしていただきたいということを言っておるわけでございます。これは厚生省のほうでも十分お考えになって、予算要求されておるようでございますが、そういうことで、密輸取り締まり密売取り締まり、それから中毒患者等についての強制収容施設整備という三段がまえと申しますか、そういうような考え方で今後予防鎮圧に努めて参りたいと考えております。
  18. 久万楽也

    説明員久万楽也君) 厚生省のほうといたしましては――厚生省のほうというよりも、私たちは毎月各省連絡会をやっております。その結論といたしまして、麻薬対策で大事なことは三つある。その一つは、今長官お話しになりましたように、取り締まり強化、それから二つ中毒者収容の問題、それから三審目にいわゆる麻薬をなくすための一般のPRの運動、あるいはそういう麻薬濃厚地区に対する、そこから麻薬をなくすような方向にもっていく指導員、いわゆる地区を浄化する指導員、そういう問題を掲げまして、私たち麻薬禍対策推進費と言っておりますけれども、そういう三本の柱を立てて、それによってやらなければいけない、そういうふうに考えております。  したがって、予算要求もそういうことに関連しましていろいろ考えまして、私たちのほうの麻薬課で今私がやっておる仕事、それが非常に範囲が広くなりまして、正規麻薬のほかに不正の麻薬、あるいは中毒者収容の問題、そういうものを考えなければならないので、麻薬課二つに分けて、正規の問題をやる課と、それからもう一つ不正の麻薬あるいは中毒者の問題、そういうものをやる課と、別に分けていただきたい。そしてその上に麻薬部を――その二つの課をかかえた、麻薬部を作っていただきたい。そして、現在二十四名ですけれども、せめて十名増員していただいて、三十四名にして、この二つの課を運営していきたい。そういうふうに考えております。  それから取り締まりのほうは、現在百五十三名で取締官というものはやっております。これは厚生省の直轄として八ブロックに、配置しておりますけれども、それだけではどうしても手薄なので、病人も続々出る、そういうことから、それを百三十名増員していただいて二百八十三名にしたい。それから先ほどお話ししました約十二万近くの取扱者に対する府県指導ということから、麻薬取締員を現在百名のものを二十二名増員していただいて百二十二名にしていただきたい、そういうことをお願いしております。  それから取り締まり費用の問題は、捜査用器具費とか取締員の旅費、活動費、あるいは、これは警察庁とダブりますけれども、海外駐在をやります。これは局長段階で今話し合いを警察庁のほうあるいは外務省のほうとしている段階でございますので、私たちとしてはどこで入ってもいいから、ぜひ海外情報をとれるような方法をとっていただきたい、そういうことを考えております。そういう費用、それから私たちの事務所の整備費として若干要求してございます。  それから中毒者対策としては、国立収容所を、近畿地方関東地方に百ベッドずつの国立収容所を作ってもらいたい。それから濃厚地区である大阪と福岡、静岡、そこに県立の収容所を作ってもらいたい、それに対して二分の一の補助金をいただきたい。それから麻薬患者を入れましても、現在は費入院で入るもので、非常に期間が短くて、大体一月たってしまうとほとんどの人が出てしまう。あるいは二週間くらいたってしまうと出てしまう。そういうことでは困るので、それを国でみるようにしていただきたい、そうして少なくとも三カ月は収容しておきたいということを考えております。この強制収容の問題は、現在としては精神衛生法措置入院でやっておりますので、こういう長い期間入れるのでしたら、法律を変えなければいけないので、法律改正の案を検討中でございます。そうして今関係各省連絡をいたしてやっております。それで、三月でなおるかという御質問があると思いますが、三カ月間たったらもう一回医師に診断していただいて期間を延ばす、そういうことも考えてやっております。  それから最後の麻薬禍対策推進費としては、中央本部を置いて、それから各地方には――各地方といいましても、これは濃厚地区を持っている都府県でございます東京都と神奈川県それから静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡、山口ですが、そこだけに地方本部を置きたい。そうして、そこの下に相談員――推進委員の先生方のほかに相談員というのを置いて地区の浄化をやりたい。それで、相談員も今九十六名の方を都道府県知事が任命しておりますけれども、それを倍近くにして百九十二名にしたいというふうに考えております。そのほかに、啓発宣伝費ということで、ことしまでの予算は一億六千万でしたのを、約十億要求いたしております。終わります。
  19. 市川房枝

    市川房枝君 取り締まり関係では、今警察庁から来年度の予算として千人増加を要求しておる、厚生省は百三十人要求しておるというお話がありまして、両方とも人数はふえると言いますが、その取り締まり両方で競合はしない、協力してやっているのだ、こういうお話です。そういけばいいかもしれませんけれども、しかし、私これはしろうとだからかもしれませんが、違反者取り締まりといいますか、検挙といいますか、それは本来むしろ警察庁のほうの任務であって、両方に分かれているというのはどうも少し納得ができないような気がするのですが、むしろこれは警察庁なら警察庁のほうにまかして、そうして厚生省のほうは先ほどの製造とかあるいは医療研究のほうの麻薬が適当に処置されているかどうかということの監督というか、あるいはその中旬者の治療の問題、これこそが本来の厚生省の任務だと思うのですが、そういう方面に専心力を入れていただけるといいのじゃないか、実は来年度中毒患者のための治療所をお作り下さるような今お話で、その予算要求もして下さる、それから、今までは自費であったけれども、今度は公費にするというお話もあるのですが、一体今まで私はこの麻薬中毒患者の治療について厚生省はあまりにも、何といいますか、無関心といいますか、何らのほとんど対策がとられていなかった。国立療養所も一つもなければ、全部自費でするということでほっておかれたのじゃないか。この前の横浜の日ノ出町でしたか、あの事件のときにも、神奈川県のほうで中毒患者で治療したい者の相談を受けるということで、その近くで相談を受けたそうでして、そのときに、何名でしたか、ちょっと数を正確なことは忘れましたけれども、大ぜい――四、五十名ですか、ぜひ治療をしたいということを言ってきたのがあって、それを病院のほうに紹介をしたのだけれども、じきに逃げ出しちゃって、ほとんど残っているのはいない、こういうお話を聞きまして、私どもはちょうどその横浜へ視察に参りましたが、この中毒患者自身が非常にかわいそうだということはもちろんですが、その家族も非常に苦しんでいるわけでして、それを自分でなおしたいと、こう考えるのに、国が何らの手を差し伸べていない、放置しているから、結局は麻薬を買いあさって罪を犯し、そうして敗残の身になっていくというその実情、全く政治というものが一体あるのかどうかということを痛感したわけなんです。そういう方面に私は厚生省がもっと力を入れていただきたい、こう考えるのでございますが、今の取り締まり一つにするということは、これは法制の問題でありましょうし、すぐできないかもしれませんが、そういう考え方はどうなんでございましょうか、厚生省はどう考えておられますか、そういうほうをむしろ専門にやって下さい。
  20. 久万楽也

    説明員久万楽也君) 横浜の問題のとき、七十名ばかり相談に参りまして、四十一名入院をしたわけでございます。そしてお話しのように、三分の一ぐらいが八日間で出てしまいました。それから一番長くいたのが一カ月おりました。それで全部平均しますと、たしか二週間在院したと思います。そして、それは精神衛生法措置入院で、措置入院の規定を幅広く解釈していただいてたしか入れていただいたと思うのでございますけれども、その出てしまった状況が、法律の不備もございますけれども、精神病院に中毒者を入れたということで、薬が切れる禁断症状というのが取れるのが、大体二週間から一カ月ぐらいで取れてしまうわけです。そうしますと、その中毒者が正気の状態に戻ってしまうので、精神病院にいるということを非常にまわりを見ていやがる。あるいはその家族の人も精神病院に入れてあるということをいやがる。それで、早く出してくれ。それからもう少しひどいのになりますと、それの親分とか、いろいろの方が来られて院長をおどかすとか、そういうことがあって出てしまうのが多いというのが現状でございます。それからもう一つは、精神病院と同じところでやっておりますと、精神病患者よりも、麻薬中毒者というのは、非常にある悪味ではわれわれ以上に麻薬を手に入れるということに関して知能が発達しております。そういう関係で、麻薬中毒者一般の精神病の患者と一緒に入れておきますと、それらの人を扇動して、病院に対していやがらせをやったり、あるいはまかない征伐をやる。あるいは集団脱走をやる。そういう病院の管理上も困るような事件を起こしております。それですから、どうしても麻薬中毒者を入れるところは、その同じ敷地の中でも別に隔離をして、別の管理下に置かなければならない。そういう施設は、先生のお話しのように、今までは兵庫県の垂水に百ベッドの、昨年から動いておりますけれでも、垂水病院というのがございます。それ以外には麻薬中毒の専門の施設というのはございません。  それから警察との増員の問題でございまして、警察はたしか今、これは私たちのほうの推計と違うかもわかりませんけれども、千三百名か千五百名の方で取り締まりをやっておられるのではないかと思います。そして実際に私たちは、厚生省に百五十名、都道府県に百名、合計二百五十名でやっております。そして実際に検挙する件数としても、年間に約二千三百件、二千六百名、取り締まり機関全体で、警察厚生省、海上保安庁、税関、そういうところ全体を含めましてもそれだけの者しか検挙しておりません。しかも厚生省は、その中で一〇%ないし二〇%しか検挙していないと思います。しかし押収するもの、ことにヘロインに関しては、先ほど一番最初に私がお話ししたように、物の動きという情報、あるいは物の動きというものを必ず監視しているんだ、そういう立場から、物については全部の検挙、押収する数量の四〇%ないし五〇%のものをこの少ない陣容でやっておるわけでございます。それですから、警察のほうと私たちのほうの立場が迷う、捜査の重点が違う、あるいは捜査のやり方が違うというのは、そういう点で違っておるのでございます。そういう意味から、麻薬取締法の中でも、はっきり、いわゆる世の中で俗に言われているおとり捜査という権限、五十八条の権限が麻薬取り締まりの職員にだけ付与せられているのが現状でございます。それはあくまでも物については厚生省でいわゆる監視しているんだ、そういう観点からだと思います。
  21. 市川房枝

    市川房枝君 ついでに厚生省に伺いたいのですが、中毒患者になる経路ですね、医者にかかって、その場合に痛みどめなんかで麻薬を使う。それが一つの習慣になって中毒患者になっている人がある。そういう点では、相当上の階層の人たちなんかでも中毒患者がおもてに現われていないというのも相当にあるのではないか、こう言われておるのですけれども、私の友だちの一人でも実はそういうものがございました。そういうのが、これは医者の良心といいますか、医者の問題に入りますけれども、医者麻薬を使うことが中毒患者をふやす契機になっているということは、これは何とかできないものでございましょうか。
  22. 久万楽也

    説明員久万楽也君) 私たちの今やっております取り扱い者の方々に対する捜査のほうではございませんで、指導のほうの、立ち入り検査の方針といたしましては、初めは、本数とか年間の使用量、それをお医者さんにおろす問屋さんのほうから調べていきまして、多いところからチェックしてやるようにいたしましたけれども、最近では、それをもう少し詳しくいたしまして、そのお医者さんの科刑ごとに、たとえば婦人科のお医者さんでしたらこのくらい使うのじゃないか、あるいは外科ではこのくらい使うと、そういうことからいろいろ分けまして、本数をきめております。そうしてそれによって立り入り検査をやるように指導いたしております。  それからもう一つ、一人の患者さんに長く麻薬を使わなければならないときは、連用届けというものを出していただいて、それをほんとうにその患者さんに使わなければいけない、ほかの患者さんには使っていないかどうかということを見ております。そうして大体長期に使われる方は、ガンの末期とかあるいは肺病ですとか結核の末期とか、そういうことでどうしても使わなければいけないという方が多いのでございます。しかしお話しのように、まだ私たちが目の届かないところで、あるいは他人の名儀にして使っていられるかもしれませんけれども、そういう悪い意味のお医者さんも少なくなくいるのではないかという気がして、その面も、まあ、それは全体の麻薬の使用量としてどのくらいかということも、また調べております。
  23. 市川房枝

    市川房枝君 なお聞きたいことはありますけれども、また別の機会に聞きます。きょうはありがとうございました。
  24. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと関連して二、三お伺いしますが、これは推定数になると思うのですけれども、麻薬のいわゆる中海者、それから中毒までは行っていないがその一歩手前くらい――常用者というのですか、そういう者、それから最近問題になっている麻薬衆力団、こういうものの推定数はどのくらいあるのですか。
  25. 久万楽也

    説明員久万楽也君) 中毒者の問題だけをお答えいたします。山嶺者は現在毎年発見されるのが大体二千名でございます。それからその二千名を累計いたしまして、その住所、職業、氏名、そういうものは全部私たちのほうでわかりますので、それを重なりのないように、あるいは死亡した者を落としていく、そういうような作業をやっておりまして、中毒者の実態調査というのは年末にやることになっております。そうして、それで私たちのほうの名簿に登載されておるのが七千名でございます。それから物の動き、いろいろ一つ犯罪をつかまえましたときに、その人が不正にこれだけの物を動かしていたと、そういうようなこと、あるいは中毒者の仲間から聞いたり、そういうことから推定しますと、大体麻薬中毒者というのは日本に四万人いるのではないかと思います。それから覚醒剤の患者あるいは睡眠薬の患者、それがちょっと麻薬をやってみた。あるいは麻薬がなければ、ほかの睡眠剤とか覚醒剤を松川する。あるいはそれもなければ、がまんする。そういうような人たちは大体二十万人いるのではないかという推定をいたしております。
  26. 野田章

    説明員野田章君) 麻薬密売の暴力団につきましては、三十六年中に検挙をいたしましたものは百十四団体、六百八十二人に上っております。その後三十七年度、本年度になりまして新しい密売団を発見し検挙したものを合わせますと、現在百二十八団体でございます。今後取り締まり強化していきますと、おそらくこれらの関係する暴力団及びその構成員の数は当然ふえてくるものと考えます。
  27. 秋山長造

    ○秋山長造君 この検挙した暴力団ですが、これは警察が手入れをした後はどうなっているのですか。大体そのままもう解散してつぶれてしまっていますか、どうですか。
  28. 野田章

    説明員野田章君) まあ検挙しましても、暴力団の何々組というものの必ずしもその全員が検挙できない場合もあります、その犯罪の証拠のある者を検挙するわけでありますから。検挙されたためにその暴力団そのものが壊滅してしまうという例ももちろんございます。しかし、完全になくなってしまうというのはこの中でも一部でありまして、暴力団としては依然として細々ながら続いている。そうしてまた監獄から出てくれば大きくなり、あるいは別の構成員をかかえ込んでまた伸びていく、こういう例もございます。
  29. 秋山長造

    ○秋山長造君 その手入れした後の、事後の監視等は以前どおりやっているのですか。
  30. 野田章

    説明員野田章君) もちろん、継続的にそれらの犯罪捜査を続けておりますから、それらの構成員なりその他によって反復して行なわれるということであれば、立ち入り検挙していく、こういうことになるわけでございます。
  31. 秋山長造

    ○秋山長造君 麻薬天国なんかという木まで出ているくらいですからね、国際的にやはりノー・ズロースでもないでしょうけれども、今後も出入自在という面がどこかにあるのじゃないかという気がするのですが、この麻薬取り締まり検挙された外国人の例というようなものはありますか。
  32. 野田章

    説明員野田章君) 麻薬犯罪で従来検挙しております者の約九割は日本人でございます。約一割が外国人、その外国人のうち大部分は韓国人、一部が中国人でございます。しかし、従来の大きい案件から見ますと、その全体の検挙人員の中で一割を占めているにすぎない中国人あるいは韓国人の罪質が非常に悪い。たとえば密輸の元凶でありますとか、あるいは密売の卸元であるとか、そういう比較的大物がこれらの者にいるという実例はございます。先般、ごく二週間ほど前に兵庫県で検挙いたしました金泰植及び金必順という者がございますが、それは一度に約  一キロ二百グラムの麻薬を持っているところを押えた。これは従来一回の検挙で一キロ二百グラムの麻薬を押収したという例は非常に珍しい最高の数量でございまして、こういう大がかりの密売の元凶あるいは密輸の元凶、そういう者が外国人にあるわけであります。ことに神戸とかあるいは横浜におきまして、長年日本に住んでいる外国人で、大体密輸して参ります者が外航船に乗り組んでいる中国人の船員というものが使われる関係もありまして、これらと非常に同国人の関係もあり、その他の連絡もあって、それが国内における主要な役割を果たしているという者も多いわけでございます。これらの点につきましては、十分に現在視察しているところでございます。
  33. 秋山長造

    ○秋山長造君 その外国人の枚挙は検挙ですが、検挙した後の結論はどういうことになっているのですか、適当なことになって、また出入りしているという例が多いんじゃないですか。
  34. 野田章

    説明員野田章君) 検挙しまして、最近の例を見ますと、大体麻薬犯罪については約八二%が起訴されております。そうしてその結果ある程度密売の元凶的な者については、七年ないし八年ぐらいの懲役になっている例が非常に多くなっております。ですから、麻薬犯罪はほかの犯罪に比べまして起訴率は最も高い起訴率で、ことに最近の裁判の一審の判決だけ見ましても、非常に重くなっておりますから、まあ一度やはり検挙されますと、普通ならやはり四、五年は入るという格好になりますので、まあ簡単に検挙をしてもすぐ出てくるというものではないと思います。
  35. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう一つだけでやめますが、さっきの警察庁厚生省お話では、大体今後の対策として専門の係官を増員する、それからPRをやる、それからいろいろな諸経費の予算をふやすというようなことのようですがね、それを裏返したようなことが、大体今の麻薬取り締まりの隘路になっているのですか。これだけ人をふやし、予算をある程度ふやせば、大体麻薬取り締まりというものは徹底してやれるという自信があるのですか。
  36. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 私ども予算要求は、今後活動の重点として考える問題を提起いたしておるわけでございますし、お話しのように、そういうものを充実していただけば、相当強力な取り締まりが可能であると、こう考えております。先ほども申し上げましたが、結局密輸密売組織というもの、これを剔決していく。それから中毒者についての収容をしていく。それから悪質な者についての罰則を強化する。あと国民的運動としてPRを十分にやっていく。こういうようなことで、私はちょうど現在一般の機運も非常にそういうふうに濃化されてきておりますときでありますので、ぜひともこのときにおいて警察厚生省一緒になって特別の対策強化して参りたいと、こう考えております。
  37. 久万楽也

    説明員久万楽也君) 厚生省としても同様に考えております。そして、そのためには予算とか人員だけではなくして、現在の法律の体系を少し変えなければいけないと存じております。その変えなければいけないということは、中毒者収容の問題と罰則の強化の問題、それは麻薬取締法麻薬関係の三法の中に入っておりますので、それをどうしても改正しなければいけないと思います。それで、そのための準備をいたしておるわけであります。
  38. 秋山長造

    ○秋山長造君 出入国関係の法制に何か欠陥があるということは別にないのですか。
  39. 柏村信雄

    説明員柏村信雄君) 麻薬関係に直接して、今の出入国管理令に特別の不備があるというふうには私ども考えておりません。なお検討してみたいと思います。
  40. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 麻薬取り締まり関係について、他に御質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) それでは、次に新産業都市地役促進法の施行に関する件を議題といたします。  経済企画庁から官深甚官、大来総合開発局長、吉田同局参肝官が出席いたしております。御質疑のある方は御発言を願います。
  42. 秋山長造

    ○秋山長造君 自治省が見えてないですから、とりあえず長官のほうへお尋ねいたします。新産業都市建設促進法が制定されまして、実施段階に入っておるわけです。今後の問題を具体化していく上でのいわば政府部内でのスケジュールですね、そういうことについて若干お伺いしてみたいと思うのですが、まず第一に、府県知事から新産業都市の区域指定の申請が来るわけですね。その申請の受付の状況がどういうようになっておるのか、その点をまず御説明願いたい。
  43. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問にお答えいたします形で、今この問題をめぐっていろいろな要素がございますので、一緒に答弁することをお許し願いたいと思います。  新産業都市の指定をやがてしなければならないわけでございますが、知のように、法律制定の際の経緯もありまして、非常に関係の役所が多いわけでございます。で、最終的には関係各省の間で意見の統一をいたしましてお答えをいたすべきでありますが、まだそこまで事が運んでおりませんので、私の考えておりますことを申し上げてお聞き取りをいただきたいと思います。  私はこの新産業都市を指定いたしますときに、やはり将来五年とかあるいは七年とかその程度の将来の時期に、現在すでに過度に密集しております工業地帯及びその周辺から、企業が、地方のより立地条件のいい所を求めて地方へ進出をしていくであろう。その際に国としても地方公共団体としてもある程度の先行投資をしていきまして、そうして企業が入りやすい準備を整えておく。そのことが地方の地域較差の是正にも役立ちますし、また国民経済全体としても適切なことである、こういうふうに考えておるわけであります。したがって、新産業都市の指定を、私としてはできるだけたくさんの数にならないようにしぼりたいという気持を持っておるわけでございます。それは現在事態を放置しておきますと、おそらく各県から四十あるいは四十をこえるところの申請が出てくるであろうと思われるのであります。そうなりますと、国として五年なり七年なりの間に幾らかごめんどうを見たという程度のめんどうはとても見切れないことになりますので、そういう行政のやり方は私はよろしくないというふうに考えるわけでございます。そこで、十ぐらいを最大限として指定をしてみたいという気持を持っておるわけであります。かりにそういう私の考えが、政府としても各省協議の結果、適当なことであるということになるといたしますと、現在申請をしてくるであろう三十とか四十とかいう申請者に対しては、大部分要らざる希望と失望とを与えることになると考えるのであります。この申請が各県で県議会の議決を経るというような非常に重い手続になっておりますために、もしそういう要らざる希望と失望を与えるということになりますと、それは各地方でほかの問題とからみまして相当めんどうな政治問題をあちらこちらで惹起することになるのであろう、そういうことは政府としても何とかして避けなければならないことだというふうに考えるわけでございます。地方自治に不必要な摩擦なり混乱を起こさせるということはよろしくないというふうに考えるのであります。他方で、それだけあるであろう申請に対してそれを十程度に押さえるということは、私どもとしてもいろいろな圧力に対して相当思い切って対抗をしないとやり得ないことであると考えるのでありますが、大体今申しましたようなことがございますので、それにかんがみまして、現在地方から申請をされるのをしばらく待っていただきたい、こういう態度をとっております。それは関係各省の間で指定の基準となるような考え方をまとめまして、そうしてそれを地方にお示しをしたいと考えておるわけでございます。いい意味での行政指導をやりたいという気持が、正直に申して、あるわけでございまして、それにもかかわらず、それを無視して申請をしてこられれば、これは受け付けないというわけには参りませんけれども、そこにはおのずから申請をされる側も大体見通しを持って、申請だけはしておこうというような、つまり不必要な希望と失望を与えない形でやっていけるであろうと、こんなふうに考えておるものでございますから、そういう基準をはっきり地方にお示しをしようじゃないかと考えまして、その作業を今各省の間で進めております。そこでそれがきまりまして地方にお示しをして、その後に、私どもとしてはできればその基準に合致した所、合致すると思われる所について、各省で、政府の側においても調査を進めていきたいと考えております。そうしてその調査の結果と地方からの申請と町方相待ちましたところで、先ほど申しました程度の数にしぼって指定をいたしたい、こういうふうに大まかに考えております。したがいまして、現実に指定が最終的になされる時期を年度内になるたけいたしたいというふうに考えておるのでございますが、御承知のように、来年の四月には各地方地方選挙がございます。そうしてこの問題がまた地方選挙に要らざる不必要な紛争の種を提供するということも、これもまた避けなければならないということがございますので、ただいま、年度内に必ずいたしますと確言を申し上げるだけの準備がございません。関係各省とも相談をいたしていないことでございますが、しかし、大体のスケジュールとしてはそういうようなことを考えております。
  44. 秋山長造

    ○秋山長造君 少しこまかい事務的なことで恐縮ですが、今の御答弁の中で、申請のひな形といいますか、基準といいますか、そういうものを各省の間で打ち合わせ中だということですが、それができて、それを地方に示して、地方はそれに沿って申請を出して、それをあなたのほうで受け付けて、そうしてそれからまあ事が始まっていくわけですね。その時期はいつになりますか。申請を受け付ける時期、各行の合意ができ上がる時期。
  45. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 現在のところ私どもは、今、長官のほうから申し上げました基準の原案というものを今月内に一応まとめたいと、こう思っております。それで、この基準ができました上では、御承知のように地方産業開発審議会に諮らなければなりませんので、できるだけ十一月の早い機会にその審議会にかけまして、その基準というものを明らかにいたしたいと考えておるわけでございます。  それでなお申請様式でございますけれども、これは基準決定とともにある程度変わるべきところもございますので、これと歩を一にいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  46. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうしますと、できるだけ十一月初めにということですが、審議会にかけて、それを最終決定をして地方へ示して、その後に出てきた申請が正式に受け付けられる、こういうことになるのですか。さっきの長官お話では、何かそれにもかかわらず、こっちの言うことを聞かないで出してきたものもけ飛ばすわけにはいかない、受け取らないわけにはいかぬから云々というようなお話があったのですが、それはどうなんですか。
  47. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。
  48. 秋山長造

    ○秋山長造君 それは、今の吉田さんのおっしゃった正式な受け付けということで受け取るのですか。
  49. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それはそうならざるを得ないと思います。
  50. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、すでに今の長官のお言葉のように、幾つかの、正式かどうかは別として、とにかく文書が出ていると思う。そういうものはどういう扱いになるのですか。それはそれとして預っておいて、この基準が決定したら、正式にまたあらためてその申請を出させる。
  51. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 現在正直申して一カ所出て参っております。それで、先ほど長官も申し上げましたように、実はその基準がはっきりいたしませんと、出してもアウトになるかもしれないという点がございまして、私どもはできるだけその基準がはっきりしたときに、それに引き合わせて、一応大丈夫だという所に出していただきたいという希望があるわけでございます。しかし、中には非常に絶対の自信を持っておられましてお出しになるという所があるわけでございます。それで、これは一応法律上からいいますと、私どもは提出された申請書といういうものを一応受け取らないわけには参りません。ただ出ましたいろいろの点では、一応申請様式その他につきましては、あるいは今出されたものと、今度われわれの考えております様式とに、そう大きな食い違いはございませんけれども、部分的には食い違いがあるかもしれない。これはその時期に補正していただくという手続はやるかと思っております。
  52. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうしますと、やはり正式の受け付けということは、この基準が審議会にかけられた上で決定された後に正式受け付けというように受け取ったらいいのですか。
  53. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) この正式と申しますのは、どういうようになるかわからんのでございますけれども、法律上からいいますと、現在出て参りましたものを一応、指向してございますので、正式に受け付けざるを得ないということでございます。ただ私のほうで申し上げておりますのは、基準というものはございますので、それが基準をよく見てから非常にあぶないと思われるような所はやめていただきたいという考えでございますので、その様式が絶対的なものでございまして、その様式に欠如があったものは、これは正式の申請書と認めないというふうには解釈できないと思うわけでございます。したがいまして、現在受け付けるということになりますと、法律上の建前から申しますと、これは受け付けるべからざるものを受け付けたのだということにはならないかと思うのでございます。やはり現在出たものも正式の受け付けだ、こういうふうに思うわけでございます。少なくとも政令の中で規定されております項目というものがすべて書いてあるということになりますと、様式が絶対的なものであるというわけではございませんので、やはりこれは受け付けられないというものではないと思います。
  54. 秋山長造

    ○秋山長造君 長官、そのとおりですか。
  55. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 非常にこまかく御答弁をいたしますと、こういうことはおかしなことになりますので、できますれば、申請というものは基準が出てからやっていただきたいということを私としては考えておるわけでございます。
  56. 小林武治

    ○小林武治君 関連して。この新産業都市建設促進法というものは前の国会で非常に無理をして、政府のほうもお急ぎになるからして、われわれのほうも相当無理をして通したわけです。当時においては、当時の長官は相当早く指定をするような答弁もあったのです。今までおくれておるということは、われわれを急がせて無理に通させた政府の手前からいっても、私は非常に不本意な態度であると、こういうふうに思っております。  もう一つの問題は、あの当時十ぐらいにしぼるというふうなお考えであったとは思わない。われわれも相当数のものが指定される、あるいは欲をいえば、一県に一つぐらいは考えてもらえるのだと、このくらいの考えをわれわれ持っておったのでありますがだから第一次に十なら十指定すると、こういうことであれば、また考え方もあるのですが、それだけだと、あと続いてある程度年次計画でも持ってやると、こういうことでなくて、あなたのおっしゃる十というのは、それが第一次の問題であるのか、また第二次、第三次も考えられておるかと、こういうことをひとつお聞きしておきたい。特に私どもは、十ぐらいのものであの法律が初めから考えられておったとは思わない。そういうふうなある程度の数が慰められていることを、あるいはわれわれの一人合点かもしれませんが、そういうことで考えておったので、その十というものが一次的なものであって、まだ順次追加される性質のものであるかどうか、そのことをひとつはっきり伺っておきたい。
  57. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 指定がおくれておりますことは、いろいろ事情もございますけれども、私も遺憾に思っております。  それから、十ぐらいのものを考えてそれで最終であるかというお尋ねでございますが、法律の建前から申しまして、それが最終であるというふうには考えておりません。
  58. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、たとえば年次的とか、第一次とか第二次とか、あとで継続してそういう指定があり得るというふうにはっきり了解しておいてよろしゅうございますか。
  59. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も関連してお尋ねしたかったことの一つは、今小林委員からのお尋ねのことで、長官が先ほど十ぐらいにしぼりたいという、そういうことについてお話がありましたが、今の御答弁でその点は一応了解しますが、たばこの問題で、先ほど冒頭に長官が述べられました中に、各地方に希望と失望を与える結果になると、こういうお言葉が二、三度出て参ったのでありますが、今までも法律ができるまでの経過からいたしますと、これはどこでも希望を持てるような、そういう経過だった、率直に言って。これは各省で二、三の省の間にそれぞれの立場で広域都市とかなんとか、いろいろな形でやって、それが一カ所とか五カ所とかいうことでなしに、地方のちょっとした所であれば、いずれも該当するような個所を何十カ所、三十数カ所調査個所にしたり、四十数カ所を調査個所に指定したり、何かそういうことまで実はやってきた経緯もあるわけなんですね。そうしますと、いずれの都市、と言っちゃ語弊があるかもしれませんが、相当な所にいわば希望を持たしてきておるんですよ。それがどうも今度十くらいにしぼるということになると、これは確かに失望するのが今度たくさん出て参りますから、これは困った問題になると私は思うのであります。その際、基準を作るというお話でございますね。指定する局舎の基準をお作りになる、これは当然何かのものさしがなければ地域を指定する場合にこれはそれができないことになりますから。しかし、これは法の建前なりあるいは今までやってきた経過なりからいたしまして、基準を作って、これに合うものだけを出すんだ、そういう判断をした所だけが出すんだ、こういう形も実は私もおかしいことだと思うのですね。あの法に基づいて、それは単なる希望に終わるかもしらぬけれども、とにかくいろいろな条件を今後ととのえる、こういう一つのかまえはあるにしても、申請をするということは基準が出る出ないのその前の問題でして、ただしどこを指定するかということになった場合に、政府としてはこういう基準によってやるんだということで私はいくべきじゃないかと思うので、そうでないと、あの法の建前からいたしまして、さっき参事官からお答えがあったように、出てくればこれは受け付けざるを得ないのですね。私はそう思うのです。あの法にある条件を備えて申請された場合には、これは正式でないとかあるとか、あるいは申請すべからざるものであるとかなんとかでなしに、これは全部受け付けなければならない。ですから、その基準を早く示して、それによって私は申請を出せるというやり方は、ちょっとこれは何と申しますか、おかしなことになってきたのだと思うのですが、そこら辺率直に、私従来のいろいろな経過からいたしまして、あの法の建前等からいたしまして、そう思うのですが、その点大臣いかがでございましょう。
  61. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 問題の雰囲気はまさに御指摘のとおりだと私は思うのでございます。この法律が制定されます経緯が非常に複雑でございましたために、この法律の運用というものは実は非常に私ども苦労をするところが多いわけでございます。そこでただいま御指摘のように、かりに全国に相当数の指定をするというつもりでございますと、何もここで特にむずかしい基準を設けるという問題はないわけでございますが、幸いにして、この点については国会の両院とも御決議がございまして、総花的にならないようにしろというまあ両院の御意思であるわけでございます。そこでこれから五年なり七年なりのいわゆる公共投資に必要な資金の量を考えますと、三十も四十もございましたのでは、とうてい、なるほど相当のことをしたという実績は私は上げられないだろう、そういう見通しを持っておるわけでございます。そこで看板だけは上げたが、一体政府は何をしてくれたのだというような形になることが私は行政府としては最も不親切だという気持を持っておりまして、指定しました以上は、なるほど相当なことを国としてもやったというだけのことをいたしたいという心組みを持っておるわけでございます。したがって、これは従来この法律案をいろいろに御審議いただきました際に、各委員あるいは各議員、いろいろなお考えをお持ちであったと思いますので、必ずしもその全部の方のお考えと必ず合っておるかどうかということは疑いがございますけれども、少なくとも、いたします以上は、数を相当にしぼって、そのかわり行なうべき公共投資は相当先行的に重点的にやっていきたい、こういう、これは法律の運用の方針としては、私は少なくともそう考えておるわけでございます。そういたしますと、冒頭に申し上げましたように、非常に重い手続を経て申請はした、さて、しかしその大部分を申請を認められないという結果になることは、いかにも地方に対して気の毒でもありますし、また要らざるいろいろな問題を起こすだろう。これは老婆心かもしれませんが、ただいま見ておりますと、必ずそうなるだろうという気がいたしますので、何とかこの法律の与えておりますワクの中を、もう一つワクを設けて法律を運用していきたい、こういうのがざっくばらんに言って私の考えなんでございますが、それにもかかわらずしかし申請を出したものはこれはどうするか、その申請は無効であるかといえば、決してそんなことはございませんので、それは有効な申請として認めざるを得ない。ただその場合に、私どもがどれもこれも同じ顔をして受け取っておきまして、そして四十出た中で十だけにいたしましたと言ったのでは、いかにも不親切なやり方である、そういう感じを持っておるわけでございます。
  62. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、関連でございますが、先ほどの小林委員のお尋ねにお答えになったので、十というのはむしろいわば最終的なものでなしに、まず第一次的なものとして十ぐらい、こういうふうに考えていいかと言ったら、長官は、そのとおりだ、こういうふうな御答弁であったと思いますが、しかし、基準を作って今十なら十、まあ十一、二ということもあり得るかもしれませんが、いずれ十カ所前後のものが出てしまうと、これは相当あれですね、将来先にいかないと、それ以外の地域では基準をぐんとゆるめるか何かしない限り、事実上これはここ三年、四年の間にはそんな事態が望めないというようなことも、実際問題としてはそのとおりになると思いますが、いかがでしょう、その点は。
  63. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは基準を書く書き方にもよりますけれども、やはり基準というものはある程度抽象的なものにならざるを得ませんので、そこでものさしを当ててみたらどうしても十しか出てこないということにはならないと思うのでございますが、やはりいろいろボーダー・ラインのものがあったりなど必ずいたしますので、したがって、その基準から見まして、もう十で打ち切りだということにはいたすつもりもございませんし、またそうならないだろうと思います。
  64. 秋山長造

    ○秋山長造君 将来のことはおくとして、第一次として十ぐらいということを考えておられるようですが、長官はいつか広島で記者会見をやられたときに、二月ということを言われたことがあったと思うのです。今の御答弁では、年度内ということで、ぎりぎりの線をいえば一カ月さらに延びたのじゃないかという印象を持つ。実際なんですか。これから政府部内の意見を統一して、そして法律できめられた手続をずっと追っていきますと、どんなに急がれてみてもやはり年度内ぎりぎりというぐらいな御答弁しかできぬわけですか。
  65. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにそういう目標を持っているわけでございますが、日とともにこの問題についての地方の何と申しますか、関心というのでございますか、それがいろいろな形で、私どものほうに重荷になってかかって参りまして、ともすれば総花的な指定になる危険があるわけでございまして、何とかしてそういう電荷に対して抵抗していこうというのが私の気心でございます。そこで、事務的には、どんどん運んで参りますと、そんなに何カ月もかかるということは、本来ならばないわけでございますが、しかし、思い切ってそういう圧力を断ち切りまして、しかもその結果が、四月に地方でございます地方選挙に不必要な論争を与えたくない、こういうことも考えるものでございますから、そこで、時期としては先ほどのような申し上げ方をしているわけでございます。
  66. 秋山長造

    ○秋山長造君 この指定基準の原案を作りつつあるというさっきのお話でしたが、これは各省の間での協議というものはすでに進行中なんですか、どうなんですか、この点は。
  67. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) これは関係者名たくさんございますので、順次会合いたしまして、原案を、それぞれ各省の意見を入れてまとめていくわけでございます。
  68. 秋山長造

    ○秋山長造君 佐久間行政局長もその協議に参加しておられるのですね。
  69. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 私どもも参加いたしております。
  70. 秋山長造

    ○秋山長造君 第一次の指定が、できるだけ年度内ということは一応了承するとして、ただやはり、かりに十にしぼるとおっしゃったところで、十の中にも、申請の区域によって段階があると思うのですね。たとえば具体的なことを言って恐縮ですけれどもね、水島とか鶴崎とか、ああいう所は、この前の国会で審議をしたときにも、質問側からもしばしば出た名前だし、それから政府側からも再三出た名前なんですね。そういうふうな所は、十なら十の中でも、相当この開発がすでに進行している。いわゆる実績が相当あるというそういう所と、必ずしもそこまでいってない所と、いろいろあると思う。だから、幾つかのやはりランクに分けられるのじゃないかと思ってね。そういうふうなものについて、指定時期について特別に配慮するということは考えておられるのですか、おられないのですか。
  71. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のようなことがあると思います。冒頭に申し上げましたように、五年なり七年先の、一方においては地方の較差をなくしていきたいという気持がございますので、したがって、たとえば東北であるとか、九州であるとかいう現在非常に立ちおくれの著しい所については、ある程度今御指摘のありました水島、鶴崎などに比べますと、少し甘いものさしの当てはめ方をしていくべきだというふうに、むしろ意識的にそう考えております。その場合に、したがって、おそらく三段階ぐらいのランキングが考えられるわけでございまして、たとえば水島、鶴崎のごときは、いわゆる熟度というものがかなり高いわけでございます。それから、それに比べますと東北なり、鶴崎以外の、かりに九州を考えますと、これは熟度がそれよりもかなり落ちるということが言えると思います。そうしてその上に、東北にいたしましても、その他の地域にいたしましても、裏日本側はさらにそれよりももう一つ落ちる場合があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。そこで、おそらく御質問の意味は、明らかに、中にはだれが考えても指定を受ける資格のあるものがすでに幾つかあるではないかという、こういう御質問だと思いますが、私はそれはそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、先刻申し上げましたように、何とかして総花的にならないように、これで終わりというわけではむろんございませんが、さみだれ的にぼつぼつになることを防ぎたいという気持から、できれば一括して指定をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  72. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、段階的に小刻みに指定をしていくというやり方をとらないで、年度内に一括指定をすると、こういう方針と承っていいですね。
  73. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 時期としては年度内を目標にいたしております。方法は、私は小刻みにいたすつもりはございません。
  74. 秋山長造

    ○秋山長造君 それから次に、指定をした区域に対する財政投資ですね、国の。これはどの程度のものを考えられておるのですか。と言っても、御質問がばく然とした御質問になるのですけれども。だから、お答えも大体の総ワクでいいのですが。
  75. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) これは前国会の審議の際の、当時の企画庁長官からの答弁では、所得倍増計画の中に産業立地整備のための大ワクとして、十年間五千億という金が上がっておりますので、一応それを全体のめどとして考えるという答弁をしておられるわけでございます。事務的にもそれを一つのめどと考えておるわけであります。
  76. 秋山長造

    ○秋山長造君 われわれも、この前の国会でもそういう御答弁をいただいているし、その後も非公式に皆さんのほうからこういう数字をしばしば聞いているのですけれども、ただ、今までは、これは一つの構想として受け取っていたからそれでいいんですが、いよいよこれで指定をしますと、たちまち問題は具体的に動き出すので、したがって、ただ十年間五千億というような目標ということでは、なかなか地方も納得しないし、また実際の建設事業というものがどうにもならぬと思うのですよ。たちまち、では三十八年度に幾ら予算が組まれるのかということになってくるんですが、この丑千億という数字は、財政当局なんかの確認を得た数字なのかどうか。それから三十八年度の予算の中に、この新産業都市の建設の関係で、一体どの程度の予算が盛り込まれる見通しなのか。それから第三は、いわゆるこの新産業都市の建設費として別ワクで一括計上されるような形になるのか。それともやっぱり今までどおり、港湾、道路は建設省、あるいはその他の費目はどの省だとかいうような形で、分割されて計上されていくのか、そこら辺を御説明願います。
  77. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 年度内を目標にいたしまして、その数と個所を決定いたしたいという気持を持っておるわけであります。そこで、それが決定いたしますと、その際にこれから五年なり七年なり、あるいは十年近くの間の年次計画というものを、ある程度地区別に立てていかなければならないと思います。十年間五千億と申しますのは、これは数字としては閣議が決定をしておる非常に大ざっぱな数字でございますが、大ざっぱに申せば、そういう性格のものでございましょう。しかし、新産業都市の数がきまっておらないうちに、これはむしろ国民所得十カ年計画から割り出した数字でございますから、積み上げた数字というわけには参りません。したがって、数と個所がきまりましたときに、積み上げで年次計画を立てていくべきだと考えております。  それからその方法でございますが、私としては、これを別ワクに置くということは、予算の立て方、運用としては適当でないと考えております。したがって、道路にいたしましても、港海にいたしましても、何カ年計画というものをおのおの持っておりますので、そこで、この個所、数がきまりましたときに、それを傾斜的に今後五年なり十年なり、どういうふうに傾斜をその個所につけていくか、こういうやり方をいたしていきたいと考えておりますので、さしずめ三十八年度の予算には、そのような事情から、予算編成そのものには個所、数が間に合いませんが、運用の面でできるだけ初年度の傾斜を幾らかでもつけていきたい、こう考えております。  なお、本件関係予算としては、特にそういう事情でございますから、三十八年度にはないわけでございますが、私どもの役所では、調整費をある程度持っておりますので、要すれば、これが多少働くことができると思います。それから新産業都市関係調査か何かの関係で、たしか自治省から三十八年度に若干の予算要求をされておるかと思いますが……私のほうの所管になっておるそうであります。五千万円要求しておるそうであります。
  78. 秋山長造

    ○秋山長造君 それは、五千万円というのは調整費ですか、調査費ですか。
  79. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 調査費でございます。
  80. 秋山長造

    ○秋山長造君 調整費というのはどのくらい。
  81. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) ことしは調整費が十二億五千万ですか、来年度は、調査の調整費と申しておりますけれども、事業調整費と調査調整費というふうに分けておりますが、要求としては十七億五千万円出しております。
  82. 秋山長造

    ○秋山長造君 その調整費というのは、どういうことに使うのですか、具体的には。
  83. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) これはもう過去数年間、予算の額はだんだん増加いたしておりますが、各種の公共事業につきまして、各省の縦割りの機能別の事業計画が中心になって参りますと、地域的に見た場合に、たとえば農林省の水の計画と建設省の川の計画とでつながらないところがある。そのつながらないところにその調整費を割り当てることによって、全体の計画を生かしていく、そういうようなことを主要な目的として従来割り当てておるわけでございます。
  84. 秋山長造

    ○秋山長造君 それは補助金と考えたらいいのですか。
  85. 大来佐武郎

    説明員(大来佐武郎君) 公共専業費でございます。
  86. 秋山長造

    ○秋山長造君 それから地方債の関係ですね。地方債の関係で、別ワクで新帝業都市建設の地方債を認めるべきかどうかということが議論になっておると思うのですが、これは政府の意思統一はできたのですか。
  87. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 地方債の関係につきまして、お話しのような趣旨の答申も地方制度調査会からいただいておりますので、その方向で検討いたしております。
  88. 秋山長造

    ○秋山長造君 長官にお尋ねしますが、財政関係では、さらに必要資金の確保について国なり県なりが努力をするというようなこともあるのですが、一番根幹は、やはり国家予算ですけれども、国家予算についても、時期的に三十八年度には大筋としては問に合わぬというように受け取らざるを得ないのですが、そうすると、これは指定をして、そしてそれぞれが建設基本計画を確定をして、そして実際に金が注ぎ込まれて動き出すというのはさらに三十九年度以降ということになりますか。
  89. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたように、一年間を空費するということはいかにも惜しいと思いますので、個所づけをいたしましたら三十八年度の予算の執行の面で各計画に傾斜をつけて参りたい。並びに、要すれば調整費を一部使いたい、こう考えておるわけでございます。
  90. 秋山長造

    ○秋山長造君 しかし、それにしても各省で組まれた予算を傾斜的に使うといいましても、実際にはそれほど目に見えて傾斜的に使うということはなかなかできにくいのじゃないか、従来の経験からして。だから全然三十八年度を空費するということは、これはないでしょうし、許されぬでしょうけれども、しかし、実際には準備態勢を整えていく程度に終わって、具体的にいろいろな建設専業が動き出すというのはさらに次の年度で、国のほうがあらためて本格的なこの関係予算を編成された後になるのじゃなかろうか。いずれにしてもこれは十年計画ぐらいな長期の計画でやらなければならぬことですから、そこらの見通しがもう少しはっきりできませんか。
  91. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それはこういうことだと思います。  新産業都市という構想そのものはこの法律施行からスタートしたわけでございますけれども、従来各省の間で公共投資をいたしますときに、やはりおのずから一般的にはかなり似たような計画を何々整備五カ年計画というようなもので持っております。ことに鉱工業地帯の整備計画はすでに実行いたしておるわけで、どういうところが指定されますかはまだ具体的に申し上げかねますけれども、今考えておりますような地方はかなり現実にそれらの既往の諸計画、なかんずく鉱工業地帯整備計画には入っておる、こういうことがございますので、そういう意味での傾斜はある意味で現在でも若干はついておる。それをそのままもう少し傾けていけばよろしいのじゃないか、こう思うわけでございます。
  92. 秋山長造

    ○秋山長造君 それから、これに関連してちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、低開発地域の工業開発促進法に基づく指定がこの夏行なわれましたね、全国で五十何カ所か。これについては、三十八年度にどのくらいの予算が計上される見込みなんですか。
  93. 吉田剛

    説明員(吉田剛君) 低開発は七十一カ所指定いたしましたが、実は低開発のほうでは公共投資に関しましての環境整備ということはこの中にはないわけでございまして、むしろ企業優遇と申しますか、いろいろな免税措置、交付金の配慮によって優遇するという建前になっておるわけでございます。それからそういう点で、実は公共投資そのものをいろいろ考えてはおらないわけでございます。したがって一低開発地域についての環境整備のために特に公共投資云々という問題は私どもは予算としては計上いたしておりません。ただ予算的に申し上げますと、この低開発地域に対しまして企業が進出する場合の金融の措置というものがございまして、これは御承知のように北海道東北開発公庫及び開銀の中に地方ワクがございます。大体これを主としましてこの低開発地域に参ります企業に対します優先融資という形でワクを要求いたしております。現在のところ一応、北海道東北は今年度は二百三十億でございましたが、これを来年度は三百四十億要求いたしておりますし、さらに開銀の地方ワクは本年度は二百億でございましたが、これを四百三十億要求いたしております。これには私どもとしましては、大体各指定されました地域に近く行きそうだというような工場等も全部調べまして、その資金量というものを全部一応調べ上げておるわけでございまして、そういうものについて手当が十分できるようにという形で、これはいわゆる公共投資なんというものではございませんけれども、融資のワクというものを現在要求いたしております。
  94. 秋山長造

    ○秋山長造君 手続的なことはその程度にしておきますが、第二段として、この新産業都市の区域指定とそれから市町村合併の関係について若干疑義をただしておきたいと思うのです。と申しますのは、この点についても四十国会のときにある程度の議論はあったわけですが、何分にも会期末の忽々の間で、やはり今から考えて明確にし切れない点が若干残っておりまして、そのために地方に相当やはり法律の解釈をめぐっての不要な混乱等があることは事実だと思います。そこで、きわめて素朴な質問になりますけれども、再確認する意味でお尋ねしますから、一つ端的に明確に答えていただきたい。  新産業都市建設促進法という法律ですが、この新産業都市というのは自治法上の都市ですね、どういいますか、行政区画都市といいますかね、自治法上の都市と、新産業都市というものは一体どういう関係になるのですか。
  95. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 新産業都市という名称でございますが、地方自治法上申します市、地方公共団体としての市を言うておるものではございません。新産業都市の区域に指定されましたところには地方自治法上の市町村というものは数個あるいは十数個あり得るわけでございます。
  96. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、この法律にいう新産業都市というものは、自治法上の単数の市町村を意味するのではなくて、あくまで一つのエリア――市町村の区域とは関係のない一つのエリアという考え方ですね。
  97. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) そのとおりでございます。
  98. 秋山長造

    ○秋山長造君 企画庁も……。
  99. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。
  100. 秋山長造

    ○秋山長造君 そこで問題は、二十三条の「関係市町村の規模の適正化等」という条文ですが、この条文というものは、これは一体義務規定なのかどうか。つまり新産業都市の区域指定を受けた区域内の市町村というものは必ず合併しなければならぬものかどうかということですがね、その点について政府のはっきりした統一見解を示してもらいたい。
  101. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私から申し上げるのが適当だと思います。この二十三条という規定は、確かにおっしゃるように不思議な規定でございますが、私はこれは一種の何と申しますか訓示、言葉は適当ではないかもしれませんが、そういう趣旨のものであろうと考えます。市町村合併というようなものは現実に地方では非常にむずかしい問題でありまして、中央で役人がこれとこれをくっつけたらいいというようなものでございません。したがって、この二十三条を発動してどうとかするというようなことは現実の行政として私はめったにあってはならないことだというふうに考えております。
  102. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) ただいま経済企画庁長官がお答えになったとおりと私どもも存じております。この規定は「配慮しなければならない。」ということでございますから、新産業都市の一体的な建設を促進いたしますために、合併というものを大いに検討をしてみろという趣旨はうかがえるわけでございますが、合併をいたさなければ新産業都市の区域の指定はできないのだと、そういう義務的な、強制的な趣旨は含んでいないものと解しております。
  103. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点が、あなたがたそうおっしゃるから政府の見解もそうだと私受け取るわけですが、非常にやはり誤解を与える規定なんですね。というのは、「配慮しなければならない」と、なるほど「酷悪」ということは誓いであるけれども、ではいったい、実際に合併しなければならぬというのと、合併について配慮しなければならぬというのと、具体的にどれだけ違うのかということになってくると、どうもそれほど違うようでもないじゃないか。しかも「しなければならない。」と書いてあるのだから、これはもう絶対合併が必要条件だというような解釈が成り立ち得るのじゃないか。この新産業都市促進法ができる前に、企画庁の原案というもの、それからまた自治省には自治省の原案というものがあったわけですね。それから建設省にもあった。そういうものをつきまぜて妥協の産物としてこの法律ができたわけでしょう。その基になっている企画庁の原案なりあるいは自治省の原案なりの該当項目を読み返してみますと、こういう書き方はしていないのですね。「定指区域内の関係市町村が合併しようとするときは、あらかじめ自治大臣に協議しなければならない」というような書き方がしてあって、たいへんニュアンスが違うのですね、この法律の二十三条とそれから企画庁や自治省の前のをみますと。そういうこともあってよけい二十三条は義務規定だと一あるいは形式的にはどうかしらぬが、実質的には義務規定ではないかというやはり解釈が生まれてくるし、またやはりそういう印象を非常に強く与えているのじゃないかと思うのです。この点は先ほどおっしゃったように、書き方は違うけれども、その精神はあくまでこれは地方の現地々々の具体的な事情次第で地方がおきめになったらいいことだという――いわばきつい規定でなしに、ゆるい規定だというように解釈していいのですか。
  104. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろな誤解を生じておるようでございますから、最終的にはっきり申し上げておくべきだと思いますが、地方のいろいろな合併の問題が各地にございまして、中には私ども考えまして、確かに合併をされることが望ましいと考えておるようなケースも多々ございますが、しかしそのことと、この規定とは観念的には全く関係のないことでありまして、この規定を発動してそういう合併を義務づけるというようなことはいたすつもりもございませんし、またこの規定はそういうふうに解釈せられるべきではない、こう思っております。
  105. 秋山長造

    ○秋山長造君 では、したがって、もちろん政府のほうから指定区域の関係市町村に対して合併の勧告をするというようなことは、これは万々あり得ぬわけですね。
  106. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この目的のためにそういうことをいたすつもりはありません。
  107. 秋山長造

    ○秋山長造君 そのつもりはない。同時に一そのつもりがないと同時に、これは法律解釈からいってもそういうことをやれる権限もないのですね。こういうように受け取っていいですか。
  108. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 意見を聞かれましたときに、その合併は非常に望ましいと思いますと、あるいは、できればそうして下さいませんかというようなことは申し上げることがあるかもしれません。しかしこの規定は、そういうことを政府として法律に与えられた権限の行使として、これをそういうふうに使うことはできないというふうに考えております。
  109. 秋山長造

    ○秋山長造君 それからその第二項ですが、関係市町村が合併しようとするときは知事が「あらかじめ自治大臣に協議しなければならない。」こういう規定になっているのですが、「あらかじめ協議」するということは、具体的な手続としてはどういうことが考えられているのですか。
  110. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) これは合併をいたします場合に、関係市町村がそれぞれ合併の議決をいたすわけでございます。それから都道府県知事都道府県議会の議決を経て処分をいたすわけでございますが、「あらかじめ」と申しますのは、その関係市町村の議決が終わりまして、都道府県議会の議決の間に自治大臣に協議をさせる、こういう扱いに考えております。
  111. 秋山長造

    ○秋山長造君 市町村議会が議決をして、それで県議会の議決の前に協議をする。その協議はどういう形で行なわれるのですか。自治省へ行って口頭で話すのが協議ですか。それとも何か文書をもって、文書を交換するような形でやられるのが協議なんですか。  それと、もう一つは、知事の意見と自治大臣の意見が一致しない場合にはどういうことになるのですか。その点はどうですか。
  112. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 文書でもちろん協議をしてもらうことにいたしております。  それから知事の意見と自治大臣と合わない場合はどうかということでございますが、「協議をしなければならない。」という文言でございますので、自治大臣と意見が合いません場合には合併が有効に行なわれないということに解釈をいたしております。そこで実際の扱いといたしましては、正式の協議が参ります前に、これはまあ口頭でよろしいわけでございますが、関係市町村の議決をする前に大体市町村の考え方も固まり、また県の意向も固まりました段階で、自治大臣にあらかじめこういう協議がこれから参りますから、――まあ内協議と申しておりますが、そういうことを指導してやらせるようにいたしたいと思っております。そしてそこで内諾を与えておいて、あと関係市町村の議会があって、知事が正式の文書で協議が参りましたならば、これはできるだけ早く協議に応ずると、こういう運び方にいたしたいと考えております。
  113. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ文書で協議の申し入れをするわけですね。それに対して文書で答える。その知事と自治大臣の合意ができない場合は合併できない、こういうことになる。そうすると、協議というのは非常に強い内容を持った協議なんですね。その点もこれはもう政府の統一した方針なんですね。
  114. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) さようでございます。
  115. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうしますとね、これは将来のことだから、そういうことが起こるかどうか知りませんけれどもね、いろいろ想像してみると非常にむずかしい問題が起こってくるのじゃないかという気がするのですね。まあ知事がこれだけの範囲を合併したい、こういって協議に入って、自治大臣が、それは広過ぎるとか狭過ぎるとかいうことで協議がまとまらない。にもかかわらず、じゃ府県会がその原案どおり議決してしまったというようなことがかりに起こった場合、そういう議決は無効だというようなことになるのですか。
  116. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) まあそういう議決はあり得ないと考えておりますが、かりになされましても効力を生じないというふうに解釈しております。
  117. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、華前協議ということは非常に実質的の重みを持った規定だと思うのですがね。そうしますと、やっぱり行政の運営としては、正式に文書で協議してくる事前の段階で、よほどやはり自治省としても、知事に対して行政指導といいますか、指導助言といいますか、そういう面で積極的なやはり意思表示をしておく必要があるんじゃないかと思うのです。そうしないと、文書になって出てきたときに初めて自治省としての意見がわかるというようなことになると、今の最悪の場合が起こり得ることが予想されるわけですがね。現にこの新産業都市の予定区域になっているような所が幾つかあるのですが、そういう所から公式、非公式に、自治省は、合併の問題についていろいろな相談を受けたり意見を聞かれていると思うのですが、そういうことに対して自治省としては、やはり地方が自主的におやりになることだから、事前にいいとか悪いとかいう意見は言いにくいというようなことで、ただ聞きおく程度にされているように私らは伺っているのですけれども、その辺の事情はどうなんですか。
  118. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) まあ私どものほうでいろいろ助言をいたします時期なり方法なりというものは、相当問題によりましては慎重を期さなければならないと思っております。で、合併でございますから、申し上げるまでもなく、関係市町村住民の意向、意思というものが一番基本になるわけでございますので、その関係市町村の意向が固まらない段階で積極的な助言、指導をするということは、よほど慎重を期さなければいかぬのじゃないか、かような心組みでおるわけでございます。
  119. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは、長官のほうへお尋ねするのですが、さっきの新産業都市というものが行政区画都市とは必ずしも同じではないのだということから、指定区域というものが数カ市町村にまたがるということはもちろんあるだろうし、それから一つの市町村の中の一部になるということもあり得ると思うのですが、その点はどうですか。たとえば区域指定がされることを予想して、あらかじめ思い思いな合併をやっておく。ところが区域指定を受けてみたら、その合併した市の一部しか指定されなかったというようなことも、理論的には私は十分あり狩ると思うのですが。
  120. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどからいろいろ申し上げておりますことで、私どもの気持はおわかり願っておると思うのですが、新産業都市だけが何もただ一つの政治ではないわけでありまして、ことに合併というような問題は、地方の住民の自由な意思というものが一番大切であって、しかもそれができるできないということは、地方にとって非常にむずかしい、きわめて重大な問題でございますから、したがって、そういう合併というようなものが困難を切り抜けながらでき上がったというようなときに、私どもが、新産業都市の目的からいえば、こことここの地区はどうもこれは適当でないというようなことを申すことによって、せっかくでき上がった合併というものを、結果としてこわしてしまうというようなことは、かりに一つの観点からは目的を達しましても、他の大事な目的をそこなうということになりますので、私どもとしては、もしそういうケースがございましたら、できるだけそれは地方実情に即するように、そっちのほうを重く見て、若干の指定の側での妥協と申しますか、配慮と申しますか、そういうことをいたすべきだと考えております。
  121. 秋山長造

    ○秋山長造君 それで、大体長官の考えておられることは了解ができるのですが、自治省へお尋ねしますが、この法律なり政令で書いてある、建設基本計画できめておく事項というものをずっと検討してみると、これは自治法できめておる市町村の事務あるいは事業、そういうものと必ずしも一致しないわけですね。自治省できめておる市町村事務の中のごく一部が、この建設事業の内容になるのではないかというように思うのです。そうなりますと、ただ新産業都市を建設するためだというにしきのみ旗のもとに、むやみな大合併をやるというようなことは、必ずしもこれは軽々に賛成できぬことではないかという気がするわけですよ。その辺については自治省の各担当宮がいろいろな雑誌なんかに書いておられるのを見たり、あるいは企画庁の関係者が現地の視察なんかに行かれてしゃべられたり、あるいは雑誌なんかにものを書いておられる。そういうものを見ておると、相当やはりまちまちな、思い思いなことをしゃべったり、書いたりしているように思える。それはもちろん多少は個人の責任でやられることだから、別にとがめるつもりはないけれども、しかしこの新産業都市の指定というようなことは、さっき長官が繰り返しおっしゃったように、非常に地方の利害関係にも結びついてくる問題だし、また地方の大きな政治問題にもからんでくる、きわめて複雑にして微妙な内容を持った問題なので、やはり指定と合併との関係とか、あるいは新産業都市というものと、それから自治法上の地方制度としての市町村のあり方というようなもの、それからさらに建設事業を進めていく場合の方式、あるいは合併の方式もあるだろうし、それから地方制度調査会が答申をした都市連合というような方式もいずれ自治省でも検討されるのだろうが、そういうこと、あるいは地方開発事業団というような構想、こういうようなものについて、何か政府としての統一した方針を確立していただいて、そうして、個々にてんでんばらばらなことをしゃべったり、書いたりされぬようにしてもらわぬと、やはり個人の責任でしゃべったり、書いたりされたことであっても、やっぱり一般国民の受け取り方というのは、政府の見解として受け取る場合が非常に多いと思うんです。それだけこの新産業都市と従来の地方自治のあり方の問題についてはなかなかぴしゃっと一本にまとまった方針というものを育てにくいという事情はわかります。これはよく理解はしますけれども、何かそういう点もう少し政府部内の意思統一というものをきちんと私はしてもらいたいと思うんですがね。どちらからでもいいです。その点についての御見解を承りたい。
  122. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもは、原則論として合併というものは望ましいものであるというふうに常に考えておるわけでございます。したがって、できれば、いろんなことで合併が促進されるような御便宜もはかりますし、応援もいたすという心がまえは一般論としてございます。しかし、そのこととこの新産業の法律の二十三条とは何も関係のないことでありまして、たとえば合併をしなければ指定はいたしませんというようなことは言えるわけのものでない。また、指定をしようと思うものについては合併をしなさいという権限も与えられておらない。この点は、先ほどるる御答弁申し上げたとおり、私は、解釈はそれで統一をされておると思います。ただ、従来地方で進行しております合併を推進したいという熱意のあまり、若干この二つのものの関係について、結果として人が誤解をするような書き物あるいは発言といったようなものがあったかもしれません。それは、多くは受け取る側の誤解に基づくようでありますけれども、しかし、そういうことは本来戒慎すべきものであると考えます。
  123. 秋山長造

    ○秋山長造君 佐久間局長のこれは、自治省とか企画庁とかということで別々に答弁をもらってもしようがないんですけれども、ただ、意思統一をする前の段階として私はお尋ねするんですが、自治省としては、新産業都市に関連した合併ということについては、まあ合併と一口に言いましても、長官は合併が望ましいとおっしゃったところで、おのずから限度というものがあるんで、合併でさえあれば幾らでもやれという意味じゃないと思う。おのずから適正規模といいますか、いろんな条件を総合的に考えた上での、限度というものは認識された上での御発言だと思うんですけれども、それにしても合併問題というのは、自治省としては、これはもう町村合併促進法以来非常に苦労されてきておる問題だと思うんですが、この新産業都市の建設ということとからんでの合併という問題についてはどういう考え方をしておられるのか伺いたい。
  124. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 合併についての考え方についてのお尋ねでございますが、従来合併が望ましいとして合併を私どもも積極的に推進して参りました。合併と申しますのは、社会的、経済的に見てもすでに地域的な一体性が相当強い地域について、行政上だけ単位が幾つかに分かれておるということは、地方公共団体の運営上適当でないというようなケースにつきまして積極的に合併を推進して参ったわけでございまして、町村合併促進法の対象といたしておりました合併はまさにそうでございまするし、市の合併の特例に関する法律によりまして近々行なわれようといたしております北九州五市の合併などもその典型的な例かと思うのでございます。それらと比べまして、新産業都市建設促進法で予想いたしております合併は、これから新しい町作りをかなり長期の計画を立てまして行なっていく、その一体的な建設を促進するために合併が合理的である場合に、合併をするように配慮をせいという、こういう御趣旨だと思うのでありまして、従来の合併と若干趣きが違うのじゃないか。新産業都市の場合におきましては、これから社会的、経済的、文化的にも地域の一体的なものを建設をしていこうということでございます。その建設を促進するためと法文に書いてございますので、若干いわば先を見越しての合併というような性格があろうかと思うのでございます。しかしながら、合併というのは、そう先を見越してやるという合併は、よほど慎重にいたさなければいけないと思っておるわけでございまして、自治省といたしましては、先ほど来長官もお答えなさいましたように、新産業都市の指定をするからというて、その前提として合併をしなければいかぬというようなことは毛頭考えておりませんし、そのような指導をいたしたこともございません。ただ、この法律にこういう規定が入りました趣旨からいたしますというと、個々の具体的な事情を検討いたしました上で、新産業都市の一体的な建設を促進するために合併を考えたほうがいいという地域におきましては、合併を考えられることももちろん望ましいことではなかろうか。しかし、それにいたしましても、従来の合併と違いますので、自治省といたしましては積極的に合併を勧告し推進をするというような態度でいくべきではない、個々の事情を見て慎重に指導をしていくべきだと、かように考えておるわけでございます。
  125. 秋山長造

    ○秋山長造君 おっしゃるとおり、新産業都市法による合併というのは、今までのわれわれの持っておる合併理論といいますか、合併の型からはなかなか今の合併論にはまりにくい点があると思うのです。若干の食い違いが出てきているというそれが一つの悩みだろうと思うのです。それにしても、町村合併というものは、新産業都市の建設、いろいろな建設に伴う事業をやっていくということと必ずしもぴったり一致しきれないいろいろ困難な要素があると思う。ですから、新産業都市法ができた、できぬにかかわらず、この市町村合併に対する政府の態度というものは、きわめて周到かつ慎重でなければならぬと私は思う。その点について、今の問題にしても宮澤長官の御答弁も、もちろん地方のいろいろな条件を十分考えた上での御発言として原則的には望ましいという御答弁が出たと思います。ですから、精神においては、佐久間局長も宮澤長官も別に食い違いはないとも思うのですけれども、しかし、そうであっても、なおかつ受け取るほうの感じとしてはやっぱり企画庁のほうはどっちかといえば町村の境界がどう引かれていようとそんなことはかまったことじゃないんで、要するに会社の合併かなんかのようなつもりでもないでしょうけれども、割合、町村合併というようなこととからんだいろいろな問題を簡単に考えられている節があるんじゃないかという気がするんです、今の長官の御発言という意味じゃなくて大体企画庁方面からのいろいろな御発言を聞いておりますと。自治省のほうはその点については今の局長の御発言でも端的にわかるように相当慎重なかまえのように受け取っているわけですね。そこらの意思統一というものを十分やってもらいたいと思うんです。そうしておかぬと、これは何も私は岡山だから岡山のことを言うのじゃないので、岡山だ、鶴崎だということにかかわらず、今後十カ所、第二次として何個所指定されるか知らぬが、次から次へと似たような問題が起こって、そうしてそれがまた地方の政治、行政の上に非常に混乱を起こして、本来の新産業都市の建設事業を進めていくという本筋から少しそれたようなところで議論がこんがらかってくるというおそれが、私は多分にあると思うのですよ。これはせっかく各省の間で今指定基準をめぐっていろいろ協議が行なわれておるということですからだから事務当局の段階でも事務当局相互間で、この町村合併問題がどうあるべきかということについて十分議論を戦わして、事務当局としての意思統一をしてほしい。それから同時に、最高責任者としての大臣相互間でもひとつ十分意思統一をして、政府として上のほうの発言も、下のほうの発言も大体そう食い違いの起こらぬように、きちっとした統一見解といいますか、一本の方針というものをぜひ打ち出しておいてもらいたいということを痛切に感ずるわけですが、御答弁いただきたいと思います。
  126. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 議員をいたしておりますと、合併というものがどれだけむずかしいものであるかということを現実に感じたり、見たりすることが多いわけでございますが、役所ではやはり自治省はかなり苦労をしておられますから、知っておられるでありましょうが、その他の役所では比較的地図の上で二つ合わせればいいというような見方をしやすい、御指摘のような点はあると思います。したがって、そういうことがございませんように、今後十分留意いたして参るつもりでおります。
  127. 秋山長造

    ○秋山長造君 最後にちょっと自治省にお尋ねしますが、今度の地方制度調査会の答申で広域行政の共同処理という方式について市町村連合だとか、地方開発事業団あるいは地方行政連絡会議、こういうような構想が打ち出されておるのですが、政府としてはこれは今検討されておると思うが、特に今の新産業都市の建設という目的のためにも、たとえば市町村連合だとか、あるいは地方開発事業団とかいうような構想は、これは早急に政府として、そのまま取り入れるかどうかは別として、自治法改正なり何なりをやらざるを得ぬのじゃないか。大体今の法律でも――自治法でも一部事務組合なんていう規定がありますけれども、ただ今の一部事務組合では新産業都市の建設というような仕事はちょっと手に余るのじゃないか、弱過ぎるのじゃないかと思われるのです。ですから、市町村連合なんかという構想は、この前の国会でも衆参の附帯決議なんかにもあるわけなんですね。これは早急にやっぱり自治省として成案を得て法律改正をやられるべきじゃないか。そういうものがありますと、何も無理をして一気呵成に大きな範囲を抱え込んで合併に持っていかなくても、相当そこに新産業都市の建設事業をやるための主体、それから自治法できめておる一般の事務をやる自治体というものとのあり方におのずから筋目が立ってくるのじゃないかそれがないから、とにかく強力にやろうと思えば、少々無理でも合併をしなければやれぬのだ、こういうような結論にすぐいってしまうので、その点はどういうおつもりなんですか。
  128. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 私どもも、御答中にも述べられておりますように、もちろん適正な規模における合併が円滑に進みますような所はそれもけっこうでございますが、なかなかその合併ができにくい場合におきましても、新産業都市の建設につきましては、関係地方公共団体が共同で処理し得るという方法を考えなくちゃいかぬ。それにつきましては、御指摘のように、現在地方自治法で規定をいたしております一部下務組合あるいは協議会では十分効果の上がる共同処理ができにくいというところから、ただいま御指摘になりましたような新しい方式を検討するようにという答申をいだたいたわけでございまして、これはまあ私どもといたしましてもできるだけ早く成案を得まして、できますならば通常国会で御審議をいただくように運びたいということで現在せっかく検討中でございます。
  129. 秋山長造

    ○秋山長造君 最後にもう一つお尋ねしますけれども、この新産業都市の問題が起こったのが一つのきっかけになって、いわゆる百万都市構想というようなことが全国各地で問題になっていることは御承知のとおりなんですが、その場合にいつも言われることは、広域行政をやらにゃいかぬ、あるいは広域都市を作らにゃいかぬ、広域広域ということがずいぶんはやり言葉になっているのですが、私考えるのに、大体従来の治法の建前からいいまして、市町村を越えるような、いわゆる広域行政というものはそもそも府県の国有の任務じゃないだろうか。法律にもそういうように書いてありますが、市町村を越える広域の行政をやるのが府県仕事、ところが、この百万都市だとかあるいは広域都市だとか、広域行政だとかいう議論のときに、大体申し合わせたように、府県の役割だとか、府県の責任、府県立場府県の事務、こういうものは全然たな上げになっているわけなんですがね。一面では道州制というようなことが根強く覆われてもおるわけなんですけれども、一体政府としては、府県の役割、府県仕事というものをどの程度に評価しておられるのか。問題がちょっと大き過ぎるかもしれませんけれども、短時間に議論するには大き過ぎるかもしれませんが、もっともっと――特にこの新産業都市の建設なんかということは、これは新産業都市というから、何か一つの市町村だけに関係したようなことのような感じを受けるけれども、実際建設事業を考えてみますと、市町村自身がやる仕事というものはあまりないのじゃないか。むしろ県あたりが直接手を下してやらなければならぬ仕事が多いのじゃないか。あるいは国――国なり県なりが責任をもってやらなければならぬ仕事のほうが、むしろ量的にも質的にも多いのじゃないかという感じを持つのですが、府県の本来の任務である広域行政というものを一体どう考えておられるのか。
  130. 佐久間彊

    説明員(佐久間彊君) 新産業都市の建設のために行なわれます事業を見ますというと、御指摘のように、従来の事務配分の原則から申しますと、都道府県が担当すべきものと市町村が担当すべきものと両方あると思います。ただ、地方自治法で規定をいたしておりますのも、一応の原則的な考え方を述べておるわけでございまして、具体的にはその事業の規模の大きい小さい、あるいは市町村の大きい小さいにもよりまして、同じ道路でも大規模な幹線道路は都道府県がやるが、それ以外のものは市町村がやるとか、住宅でも普通は市町村段階の義務というふうにされておりますけれども、特に大規模な団地の造成というようなところは、市町村に能力がない場合には都道府県がやるとかいうふうに、これは必ずしも一律には参らないかと思うのでございます。ただその地域におきましては建設評価におきまして都道府県が実施主体となるべきものと市町村が実施主体となる、べきものとは、これは合理的な分担を定めて参らなければいけない。しかも私どもの考え方では、その地域におきます事業全体の総合的な連絡調整――事業の中にはもちろんただいま申しましたもの以外に国の直轄事業もありますし、国の公団が担当します卒業もあるわけでございますが、それらの実施主体が別々でございましても、一本の建設計画に基づいて事業を総合的に有機的に進めなくちゃならぬわけでございますから、その間の連絡調整の役割、これは都道府県が担当するのが適当ではなかろうか法律におきましても、そうした協議会において都道府県知事が長になってやるような規定をいたしておりますが、そういう考え方で都道府県の役割というものを考えていくべきではなかろうか、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  131. 秋山長造

    ○秋山長造君 これでやめますが、地方制度上における府県の位置づけというものを一ぺん十分時間をとって議論をしてみたい、それでまた政府の見解をもう少し聞いてみたいと思っておるのですが、それは今後の問題として、政務次官が見えたので、政務次官、あとから聞いては下さると思うが、せっかく見えたのだから私もう一ぺん念のため結論だけ申し上げておきますが、本来からいえば新産業都市の建設ということと市町村合併ということとは、これは必ずしも必然的な関係のある不可分の問題じゃないのです。これは別の問題なんです。にもかかわらず、これがあたかも一体不可分のごとき解釈をされ、またそういう印象を地方民に与え、そして、実際の扱いとしてからんでいっているわけですね、問題が。やはり新産業都市の建設であろうと、あるいは低開発地域の工業開発であろうと何であろうと、これは経済の要求としてそういうものは積極的にやらなければならぬということは私ら全く同感なんだがだからといって、やはり本来地方のほうの住民の手でやられるべき地方自治体というものを軽々に扱ってもらっては困ると思うのです。この点については長官も十分理解をされておられるようですが、自治省はもちろんその担当の役所ですからさらに理解が深いと思うのです。ひとつ事を進めていく場合に、周到かつ慎重な態度で問題の処理に当たっていただきたい。そのためのまた政府部内の意思統一というものをきちっと、議論があるなら議論を十分尽して、きちっとした一貫した方針をもって取り組んでいただきたい。私は、あながち、合併はいかなる合併でも反対だというわけじゃないのです。合併もケース・バイ・ケースということになるけれども、なおかつ、その底の流れとして、一つのやはり市町村合併問題に対する政府としての基本的な考え方というものは一本貫いておいてもらわなければ困る。ひとつ政府部内の意見統一、意思統一、方針の統一というものをぜひきちっとやっていただきたいということをお願いしておきます。
  132. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 本件について他に御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、本日の調査はこの程度で終わりたいと存じます。  なお、次会は特段のことがなければ十一月三十日(金曜日)に開会いたします。  それではこれにて散会いたします。    午後一時七分散会