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国務大臣(
田中角榮君) 資金が
資本蓄積上安くかつ良質であり、資金コストが安く低廉であり、長期の資金を得るという——いや安く質がよく長期な、こういうふうに訂正をさせていただきますが、そういう資金を得たいということは、これはもう事実そのとおりであります。そういう
意味で長興銀の合併論も一部に散見をいたしておるようでありますが、私は長興銀を合併することが必ずしもいいと思っておりません。思っておりませんが、反対に、勧業銀行や日本興業銀行のような特殊なものが、戦後の
措置によって、全部一般コマーシャル・バンクに直ってしまった。銀行自身も今そういう問題に対して
考えておるのだろうと思うのです。
中小企業の
金融一つ見てもわかるように、また住宅
金融のように、住宅
金融公庫や住宅公団だけではなく、不動産担保でもって
金融をしてもらいたいという零細な一般人が大半あるわけでありますから、そういう
金融機関は一体必要としないのかというような問題、また、税収その他の窓口として日本銀行だけでいいのか、また外債だけでいいのかという問題が
相当あると思う。そういう
意味で、銀行自体に対しては、私
たちが言うよりも、これらの方々も十分
考えておるようでありますし、また
金融制度
調査会でも専門家をたくさん入れておりまして、皆何々博士ということで著書を持っておる人ばかりでありますから、こういう人の中からも、こんな
質疑が
国会で行なわれておれば、近いうちにそういう
結論も出てくるだろうと私も
相当期待をいたしておるわけであります。この問題に対しては第二産投を作るかという問題も一部にあったようでありますが、まあ産投会計としても議論がある、この
委員会でも議論がなされると思いますが、そういう
意味で産投会計というものに対しても別な角度から
検討をしたり、これが資金の補完方法等も十分
検討したいということを
考えておるわけでございます。それから
外資制限の問題でありますが、これは私は就任をして直ちに行なった一つの問題であって、
外資を無制限に入れるために質の悪い
外資が入ってくる、しかも株価が混乱をすると同時に
金融界そのものも混乱させたりするのではないかというような懸念ももちろんあるわけでありますが、これは現在の日本において、二年を六カ月にしても
資本蓄積という面から
考えて妥当な処置であって、懸念せられるような面は十分排除し得る、こういう認定のもとに制限緩和に踏み切ったわけであります。これの一つの例は、今の日本で発行せられておる株式の総数が四百四十億株だと存じますが、外人の持っておる二億九千万ドル余の投資は株数でその一%であります。戦前、またその後の戦後の状況を
考えましても、まだ外人が持っておったものの半分近い数でありまして、これが今までの平
年度化した率くらいまで上がっても、これで日本の
金融や株式界を混乱せしめられたり、早急に引き揚げられるというようなことは
考えておりません。八月一日に行なって今日までの間、一体どうかというと、引き揚げが幾らかでも大きくなったというようなことではなく、いつでも引き揚げられるのだから、今まで二年前に出しておかなければ引き揚げられないから二年前に出しておこうといわれておったようなものが、六カ月ではいつでもというので、今まで申し込もうとしておったものさえもやめようという気分らしくて、全然そういう問題について引き揚げの顕著な例はございません。そうして同時に八月一日から緩和になったのだから、投資がうんとふえているかというと、そのような著増の傾向もありませんが、しかしアメリカやその他の国の海外に駐在をしている諸君や窓口に対しては非常に好感を与えておりますし、質のいいものに対してはどんどんとひとつ申し込もうという機運にあることだけは報告をせられております。それから
国内でもって安い長期の資金が豊富に得られないために、外債というので、勝手にアメリカだ、スイスだ、どこだというふうな外貨あさりをしているものに対してはどうかということでありますが、これは御
承知のとおり、
調整過程において、
大蔵省に窓口を作りまして、
大蔵省と話し合いをした者以外は私のほうではOKしませんから、質のいいものを選んでもらいたいという窓口チェック制を採用いたしておりまして、現在、
大蔵省と民間との間に混乱はありません。それから物価の問題に対しては、これはいろいろの御議論がありますが、なぜ物価が上がるか、これは一様の議論にはいかぬと思いますが、賃金水準の上昇、これによるコストの増加、
消費と需要の堅調による需給のアンバランスとか、流通機構の立ちおくれとか、また東京のように年間四十万人も五十万人も短い期間に一ぺんに入ってくれば、どうしても流通機構がこれに見合わないという、いろいろな問題があります。また
消費の質の問題もあります。また今まで七坪だったうちが十二坪になり、十五坪になり、二十五坪になり、木造より鉄筋のうちに入りたいというようないろいろな質の問題もありますが、しかし、これからの生活を
考え、また
経済成長の安定を
考えていくためには、
消費者物価に対しては重大な関心を持つとともに、適切な
措置を講ずべきは論を待たないわけであります。しかし、そういう問題に合わせて、健全
経済成長というような場合には当然減税をしろ、こういうお話でありますが、これもなかなかむずかしい問題ではありますが、私自身も二兎も三兎も追うというような立場に立たされるとは思いますが、しかし、まじめにこれらの問題には対処すべきが
財政の
責任者でありますから、その問題に対しても姿勢を正しております。減税は、来年できるかできないかは、今、
税制調査会に諮問したばかりでありまして、私から申し上げる
段階ではありませんが、一般論から言いますと、減税及び低
所得者に対する負担の軽減は絶えず基本となるべきであるという態度はくずしておりません。