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1962-10-31 第41回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月三十一日(水曜日)    午前十時二十七分開会    ——————————   委員異動 九月三日   辞任      補欠選任    後藤 義隆君  津島 壽一君    川上 為治君  平井 太郎君    前田佳都男君  林屋亀次郎君    小西 英雄君  田中 茂穂君    温水 三郎君  高橋  衞君    戸叶  武君  野溝  勝君    原島 宏治君  北條 雋八君 九月十日   辞任      補欠選任    北條 雋八君  原島 宏治君    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     佐野  廣君    理事            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            永末 英一君    委員            太田 正孝君            川野 三暁君            高橋  衞君            津島 壽一君            日高 廣為君            堀  末治君            森部 隆輔君            大矢  正君            佐野 芳雄君            柴谷  要君            野々山一三君            野溝  勝君            鈴木 市藏君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    大蔵政務次官  竹内 俊吉君    大蔵省主税局税    制第二課長   川村博太郎君    通商産業省重工    業局自動車課長 佐々木 学君    運輸省自動車局    整備部長    宮田 康久君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○租税及び金融等に関する調査  (租税行政に関する件)    ——————————
  2. 佐野廣

    委員長佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九月十日、北條雋八君辞任、その補欠として原動宏治君が選任せられました。    ——————————
  3. 佐野廣

    委員長佐野廣君) この際、委員派遣報告につきましてお諮りいたします。  去る九月二日の本委員会の決定に基づきまして、租税及び金融等に関する調査のため、第一班として成瀬幡治君及び川野三暁君を宮城県、秋田県、青森県及び岩手県に、第二班として佐野廣君、日高廣為君及び大矢正君を愛知県、大阪府、京都府及び奈良県に、第三班として渋谷邦彦君及び永末英一君を福岡県及び長崎県に、それぞれ六日間の委員派遣を行ないましたが、これらの派遣委員報告は慣例により会議録に掲載しごらん願うことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう取り計らいます。    ——————————
  5. 佐野廣

    委員長佐野廣君) これより租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  租税行政等に関し質疑の要求がございます。御発言願います。  なお、本日の出席説明員は、竹内大蔵政務次官川村大蔵省主税局税制第二課長佐々木通産省重工業局自動車課長宮田運輸省自動車局整備部長、隅田同車両課長、以上でございます。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 例のスズライトに端を発しておるわけですけれども亀田委員がただいま欧米出張中でございますから、その問題については保留という形になっておりますが、私は税制から少しお尋ねしておきたいと思いますが、一体乗用車貨車区分というのは、これは大蔵省税法上独自でおやりになるのか、あるいは運輸省と相談しておやりになるのか、あるいは運輸省乗用車貨物車との区分は別にやっているのか、その辺のところから伺っておきたいと思います。あるいは歴史的にあるものなら、ひとつ歴史的にも御説明が願えればけっこうだと思います。
  7. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 現在、物品税法におきまして、乗用自動車課税になっておりますが、貨物自動車はしたがって課税になっておりません。そこで、今成瀬委員の御質問乗用車貨車区分はどうしておるかということでございますが、物品税法上は乗用車とあるのみでございますので、その解釈につきましては国税庁長官通達をもって規定しております。この通達につきましては、たまたま運輸省貨車乗用車区分に関します通達が出ておりますので、これにのっとっております。こまかい点まで……。
  8. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もうちょっと説明して下さいませんか。
  9. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 現在の通達貨車乗用車との区分を申し上げますと、車の床面積のうち、乗車部分貨物積載部分とを比較いたしまして、貨物積載部分が多い場合、まあ五〇%をこえる場合にこれを貨車とする、これが原則でございます。しかしながら、貨車という以上は、やはり貨物積載部分がある程度を占めないことには貨車とも考えられませんので、その貨物積載部分床面積が一平方メートル未満のもの、それから軽自動車につきましては〇・六平方メートル未満のものにつきましては、これを貨車とは見ない、乗用車とする、こういう考え方でございます。
  10. 宮田康久

    説明員宮田康久君) 運輸省といたしましては、道路運送車両法に基づきまして、主として保安上の観点から乗用貨物につきまして区分をきめておりまして、それぞれ乗車定員でありますとか、最大積載量でありますとかを決定しておりますが、この取り扱いが、今お話のありましたように、大蔵省乗用車に対します取り扱いと食い違っておりますと、いろいろの面で差しさわりがございますので、昭和二十九年以来両者よく話し合いをいたしまして、一致した基準で取り扱って参りました。  この歴史的なことを申し上げさせていただきますが、その後、実は私どものほうの軽自動車につきましては検査登録をいたしておりませんで、ただ届け出をいたしておりまして、ほとんどその当時は二輪車だけでございまして、したがって乗車定員でございますとか最大積載量というようなものはきめておりません。その後、試作的に、非常に貧弱な形ではございましたが、軽三輪、四輪が出て参りました。ただ、それを乗用とか貨物とかいう車両法上の分類をいたしまして、それによって保安上の取り扱いをいろいろ区分いたしますには、あまりにも乗用貨物という性質がはっきりしておりませんでしたので、保安上の取り扱いとしては、それだけの区別をする必要もございませんでしたので、実は乗用貨物区分軽自動車についてはいたしておりませんでした。その後、試作的な段階からだんだんと形ができて参りましたので、それにつきまして最大積載量をどうしても貨物につきましては与える必要性が出て参りました。その点で、実は乗用車としての物品税の立場でのお取り扱い大蔵省におまかせをいたしまして、私どものほうとしては乗用貨物区分ではなくて、どれくらい荷物を載せても大丈夫かという保安上の観点から、最大積載量をきめたわけであります。それで、実は昭和三十四年ごろは軽自動車は非常に車も小さかったのでありまして、一般自動車は実は床面積が一・〇平方メートル以上というものについて貨物自動車の扱いをしておりましたが、軽自動車につきましてはそれでは非常に性質上無理でございます。非常に形の小さなものでございますので、〇・六平方メートル以上のものに最大積載量を与えるという処置をして参りました。したがって、その岡大蔵省での乗用車に対する物品税のお取り扱いと差が出て参りまして、その後自動車製造業者関係からいろいろ問題を提起されまして、その後大蔵省とよく御相談をいたしまして、たいへんおくれましたが、三十五年の九月に再び怪自動車についての両者取り扱いを一致させまして、乗用貨物区分を明確にいたしました。その後は一致した取り扱いをしております。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今大蔵省あるいは運輸省のほうからお話がありましたのですが、問題は、三十五年九月三十日以降は貨車乗用車区分半々になっている。それから、貨車床面横は〇・六平方メートル以上ということで、これだけは一致している。それ以前は、先ほどちょっと川村さんからお話がありましたが、床面積一平方メートル以上というのは、昭和二十九年の九月一日以降からで、大蔵省のほうは、三十五年の九月三十日の改正までは一平方メートル以上になっておった。それから、運輸省のほうは、三十四年六月五日に〇・六平方メートル以上という改正をおやりになった。スズライトが出て来たのは三十五年三月二十八日、そのとき新しい形のものが出ているわけです。そこで問題は、三十五年の三月二十八日から三十五年九月三十日のその間は、床面積は一平方メートル以上なければならないということになると思う。片方では、半々ということは半々になっているだろうと思う。これは一致している。床面積のほうは〇・六平方メートル以上でなくて一平方メートル以上。そこで、大蔵省のほうとしては、その場合にどちらに主点を置いて税法乗用車といわれるのか、あるいは貨車といわれるのか。床面積は一平方メートルなければだめだと、こういう形で通達は生きているわけですから、そういう解釈をして運用しているのですか、その辺のところはどうなっているのですか。
  12. 宮田康久

    説明員宮田康久君) 大蔵省のほうからお話のある前に、一言申し上げます。スズライトの先般問題になりましたストッパーの件は、ストッパーをはずさない状態で二平方メートル以上ございます。
  13. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 成瀬委員のおっしゃるとおり、三十五年の九月の通達改正する以前は、軽自動車については〇・六平方メートル以上というあれはなくて、一般的に一平方メートル未満のものは乗用車として扱うということになっておりました。しかしながら、問題のスズライトは一平方メートル以上でございましたので、その問題はございません。
  14. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は意見を言えば、大蔵省運輸省どちらが主体になるのか、税を取るなら勝手に取ってもいいという解釈もあるかもしれないが、運輸省大蔵省話し合いをして、どちらが中心になるかということは両者協議の上でおやりになることが必要じゃないかと思います。私も、物品税法上の解釈からいって、あれが正道だというちょっと解釈は出てこないと思う。ああいうことを行なってもいいのだということにならぬと思うのですが、税法上どういうふうに——今後ああいうものが出てきたときはこれで防げるのだということを考えなければならないと思いますが、どういふうに今後やっていかれようとするのか、対策が承りたいと思います。
  15. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 物品税課税対象物品課税非課税の判定でございますが、非常にむずかしい問題と思います。現実にどういうものが今後新製品として出てくるか、それも今後を待ちませんと、判明いたさない。したがって、成瀬先生のおっしゃるような御質問が当然出てくるわけでございますが、問題は現在の物品税法製造というものをどう考えておるかというところにあると思います。  製造につきましては法律上定義を設けておりませんので、現在国税庁長官解釈通達によっております。で、種々設例を設けてはおりますが、何と申しましても、やはり製造につきましては一般社会通念上の製造概念によるという原則でおります。したがいまして、ある一定の原料、素材に物理的ないし化学的な操作を加えまして一つ物品を作り出すといったような概念で割り切っておるわけでございますが、そういう観点から見ますと、今度の事件の場合のようなストッパーを取りはずすといったような非常に簡単な消極的な行為製造と見ることはできないだろうと思います。だた、今の乗用車定義から申しますと、ストッパーがない状態でありますと課税品になる、ストッパーがあるそのままの形でいくと非課税品になる。そこで、そうした非課税品から課税品に至る行為が非常に簡単に行なえるものについては、何か製造として見ないことにはバランスがとれないのではないかという考え方も、一方には成り立つと思います。しかしながら、その間の加工行為と申しますか、行為の難易あるいは程度、それをどの程度まで一体取り込むべきかということにつきましては、現実の問題としては非常にニュアンスのむずかしい問題がございまして、取り込むにしても相当今後検討しないと、かえって実際の税務行政上もんちゃくを起こすとか、あるいは取り締まりの強さ弱さによりましてかえってアンバランスを生ずるというような問題が起こると思います。  もう一つ考え方といたしましては、そういった簡単な行為によりまして非課税品から課税品に変えることができるというような場合であれば、いきなりこれを課税品として、要するにそういった機構を内蔵している場合には課税品として取り扱う。あるいは乗用車、今度の場合でございますと、ストッパーがあるからたまたまリクライニングできない。しかしながらストッパーを簡単に取りはずすことができて、取りはずせば、今の最大限の乗用前面横が五〇%をこえると、こういうような場合は、これを乗用車としていきなり見てはどうかという考え方もあると思います。しかしながら、これにつきましても、現在税務署が実際の検査取り締まりをいたします関係から見ますと、たまたまそれが発見された場合と発見されずに終わった場合という両方の場合のバランスを失するようなおそれもないとは言えませんし、非常にその点むずかしい点がございますので、現在移出時の客観的な形によって判定するという取り扱いにしておりますが、これもやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、これはどうなるんですか、取りはずすときは。ストッパーがついていますね。走っておりますときにはストッパーがはずれております。これは道交法からは乗用車ですから、その場合に取り締まりが、ナンバーかなんかで取り締まりができると思うが、税法上からは何ともしようがないものですか。
  17. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、ストッパーを取りはずす行為製造として現在見ておりませんので、たとえばこれがディーラーのところではずされて消費者に販売されるというような場合でも、そのときに物品税課税するということはしておりません。それから、たとえそれを製造と考えた場合でありましても、もし消費者がこれを取りはずしました場合には、これは物品税課税対象にはなりません。
  18. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、それで税法改正することも非常に困難だということは私もわかるのですが、しかし、片一方じゃ今言うディーラーがはずしても、あるいは消費者がそれをはずしても、乗用車に、完全に乗用車の規定に入るわけですね、はずせば。解釈上からいえば、そこのところがチェックできないということになるとどうもおかしいことなんで、ですから、税法がもし改正がないとするなら、ほかに私はこういうような問題が何かあるかよくわかりませんけれども、少なくとも自動車ならフィフティフィフティの問題を何かもうちょっと勘案していくとか、あるいは全然別なアイデアですけれども、私は片一方はゼロと、本来なら二〇%ないし一五%ですけれども現行ならそこに税率の差がひど過ぎるわけですね。そうすると、そういう乗用車貨物との兼用の車ですね、そういうようなものを非常に新しい何か税対象にするとかなんとかという方途というものが、私は、おのずから税法からいかなければ。実際の運営からこういうようなことを考えてもいいのじゃないか。あるいはもう一つ段階を設けてもいいのじゃないか。いろんなアイデアが出てくるかもしれないと思います。やむを得ませんで捨てておかれては、ちょっとおさまりがっかぬじゃないか。これからもこういうことは幾らでもできるのだということになっても、ちょっとまずいと思うのですがね。
  19. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) ただいまのお尋ねは、事務当局からさきにお答えしたのですが、課税物品非課税物品との区分基準の問題に一番関係があると思うのですが、今のは御承知のとおり五〇%の線を背中に当てて、垂線のところできめると、こうなっておりますが、その垂線のところがストッパーを取りはずせば動くのだというところに、何というか、一つの盲点が出てきた、こういう事案がすでに出ておりますから、結局、課税物品非課税物品区分基準というか、それはそういう動く性質のものでなくて、もっと固定した基準基準としないととには、お説のとおり、今後、今の自動車状態から考えると、その形状なり能力なりが、何というか、日進月歩の状態の今日ですから、自動車に対する税の体系を、そういう実情から考えた合理性公平性のある点から、もう一ぺん考え直すことが必要だろうということは、大蔵省内でも今検討しておりまして、基準の安定したものをどこで定めるかということはむずかしいことには相違ありませんが、お説のとおり区分基準を固定した条件で判断できるように、必要であれば今の政令を改正することも考えなければならぬ事態にきているという認識のもとに、今検討をいたしております。
  20. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その検討の場合に、先ほどちょっと私が出しましたように、私は、自動車税全体が、自由化の前にある程度物品税を下げるかどうかという大きな問題があるのです。たとえば今まで二〇%になっていたのを現行は一五%にしている。それをいつ二〇%に戻すかという問題が出てくるのですが、それじゃいつ二〇%に、戻すのか。逆にいえば、一五%に据え置いてもっと下げようとしているのか、その辺のことも見当がついているなら、ついでにお答えを願うとともに、私が出しましたように、乗用車貨物車とでは、貨物車はゼロ、片一方は一五%ということになるのですから、兼用でいえば。そうすれば、そこにあまりにも差があり過ぎるから、もう一段階税対象になるようなものを作っても私はいいと思う。逆にいえば、貨物車乗用車との兼用車に税をかけるぞ、しかしその税は非常に安いぞと。そういうようないろんなことが出てくるだろうと思う。私が言いたいのは、全体として物品税を下げるときに、片一方で新しく設けてくるというような考え方なのです。どうですか、その辺は。
  21. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) 自由化対策その他から、自動車に対する税の体系を再吟味するというか再検討しなければならないのは、そのとおりだと思います。しかし、兼用車というのは、御承知のとおり、商業用のものが多いのですね。中小企業者が利用しておるのが非常に多いのですね。これに課税するとなると、中小企業の実態を圧迫するような事態も起こってくることを考えて、慎重にしなければならぬので、一つアイデアだとは思いますが……。もう一つは、兼用車の中にも相当の収入者でなければ利用できないようなものももちろんあるわけでありまして、物品税全体の均衡の上からも考慮しなければならないので、私は非常にむずかしいのじゃないかと、こう考えますが、いろんな事例があって、兼用車にもいろいろなものがございますから、詳しいことは事務当局からお答えいたさせます。
  22. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 成瀬委員の御質問は、今度の事件に関連して、何か税率上差等をいま少し設ければこういう問題がより解決されるのではないかという御質問でございますが、先ほど政務次官からお答えになりましたように、定義の問題についてある程度合理化すればこの問題は未然に防げるということもございます。それから、いまひとつの考え方として、貨客兼用車につきまして何らか税率を合体的に軽減する場合に設けたらどうかというお話でございますが、現在貨客兼用車、こういう形のものが四種類ございます。一つはダブル・キャブという形、ピック・アップ、それからバン、それからワゴン、このうちワゴンにつきましては、先ほどの定義乗用車に当てはまりますので、これは課税しておりますが、そのほかのものは一切課税いたしておりません。そこで、全体の軽減の際に、そういうことでありましても、現在課税されておりません三種類につきましてはやはり新規に課税する、そういたしますと、先ほど政務次官からもお話がありましたように、現在、こういった貨客兼用車を含めまして、小型四輪トラックのうち、業種別保有状況を見ますと、六九%が商業用でございます。したがいまして、主として中小企業保有割合が高いということでありますので、やはり税負担の問題でいかがかという感じがいたすわけであります。  それから、小型車につきまして現在お話しのように今基準税率を暫定一五になっております。この一五を設けましたのは、海外競争力を育成する、あるいは輸出振興という観点から、現在昭和四十年まで附則で延期しております。四十年になりました場合に、自動車産業状況を見まして、これを原則に引き戻すかどうか、それはそのときの状況によってきめることでございます。  それから、基準税率を二〇、これは排気量を主としてめどといたしまして、現在の自動車税率は二千cc以下につきましては二〇、それから三千cc以下につきましては三〇、それから三千ccをこえるものについては四〇、こういう段階税率をきめております。問題は二千cc以下、国産車は全部現在二千cc以下でございます。そこで、二千cc以下は二〇という基準税率一本は少しおおまか過ぎるのじゃないかというお話だと思いますが、ことしの物品税法全面改正の際の考え方は、これは御承知のことと思いますが、物品税法税率の刻み方につきましては、基準税率を一応設けまして、その上に、特に奢侈的度合い等を考慮いたしまして、三〇、四〇の加重税率を設ける。その下には、担税力あるいは企業の面への配慮、そういうものを考えまして、一〇と五と、こういう軽減税率を設ける、こういう考え方であります。  そこで、自動車全体をながめますと、現在の物品税体系上、たとえばテレビとか電気冷蔵庫とかカメラ、こういうものが全部基準税率の二〇のワクにはまっておりますので、自動車基準税率をそこに持っていくということにつきましては、二〇という考え方現行法上妥当ではないかと思うわけでございます。自動車だけについて見ますと、先ほどお話しのような一〇とか五とかという軽減率を設けるということも成り立つわけでございますが、今言ったような物品税法全体の角度から考えますと、基準税率二〇というのは大体妥当な線ではなかろうか。それから小型車につきましては——小型車といいますか、軽自動車につきましては、物品税移出価格課税標準にしておりますので、同じ一五の税率でございましても、実際の税額負担かなり差がついておるということで、大体バランスがとれるのじゃないかと思います。諸外国課税から見ましても、小売価格に対する税負担割合で見ますと、アメリカと西独が大体七、八%、それからイギリスがかなり高くて二七%、フランスが約一八%程度日本の場合に、ダットサンを例にとりますと約一〇・一%。したがいまして、諸外国税負担から見ましても、日本税負担は大体妥当ではないかという考え方でございます。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自由化昭和四十年までにやろうじゃないかというようなことを通産省のほうでも言っているようですから、私は四十年ごろを大体想定しての議論なんですが、新しい産業であって、しかも大資本でなければなかなか自由化されれば競争に耐え得ないということになれば、各方面から検討をし、対策を立てて、それがために通産省のほうでは何か産業構造調査会の中に小委員会等があって調査されているようですけれども、私は大型車とか中型車のことは問題にせずに、小型車ですね、国民車というようなものをやはり育成をしていくという考え方大蔵省にはあってしかるべきだと思うのです。日本道路事情等からいきましても、小型車税制上優遇して国民車を育てる。そういう中で片一方では、そうは言うけれども中小企業方たちが、今おっしゃった商業車というのは大体半々のを使っている。もう少し乗用車面積を多くしてもいいから、貨物が積めるようなもののほうがいい。あまりきびしいことを言って、半々だといってきびしいことをやるから、ストッパーみたいな問題が出てくると思うから、もう少し乗用車面積を広げて、そうしてそれが全部が免税というとたいへんじゃないかと思うから、そこで税を五%なら五%やるとか、四%にするとかというようなことを考えて、片一方では国民車という乗用車を育成する。もう一つ奨励すべきものは、乗用であってもなお貨物も積めるというような、何か自由化に即応した、日本の実態に合ったようなものを育成していくという観点から、税の面で私は検討がしてもらいたいと思うわけです。その点はどうなんですか。
  24. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) お説のとおりだと私は思うのですが、これは大蔵省が先走って税制のほうから、自動車行政と申しますか、そういうことを打ち出していくことはしない建前でもありますし、通産省その他その方面の行政から考えて、また今後の日本産業、経済、あるいは国民生活、交通、その他の条件から考えて、お説のようなことが具体的問題として出てくることは予想されますけれども、今そうかといって税制の上からそれを大蔵省で出すという段階ではないので、関係各省ともよく今後検討を続けて、お説のとおり、そのときの事態に即した、自由化対策を含めて、そういう方向に持っていくために自動車に対する税全体の体系を再検討していく、こういう考え方で進めたいと考えております。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 通産行政になってしまって、あまり大蔵は入りにくくて、入ってもいけないと思うのですが、通産省のほうで今考えられておることはどんな点か、通産省関係の方にちょっとお答え願えませんか、自由化対策を中心として。
  26. 佐々木学

    説明員佐々木学君) 自由化の時期が四十年三月というのは、必ずしもそう決定しているわけではないのでございます。しかし、いつまでもウエーバーをとって引き延ばすということも考えられませんので、われわれといたしましては、できるだけ早い期間に自由化を迎える体制を整えなければいけないということを考えまして、産業構造調査会の中に乗用車政策特別小委員会という別途の委員会を設けまして、各金融機関、第三者、学者、それから各乗用車のメーカーの社長さん方に集まっていただいて検討を進めていただいておるのでございますが、自由化対策一つの大きなネックと申しますか、問題は、やはり日本自動車の環境がなかなか自動車を育てるような環境で現在はないというところに非常に大きな問題があろうと思っております。  たとえば道路などの問題でございますけれども、性能的に見まして日本自動車が非常に垂たい、重たいというのは、これは道路がかなり悪いという面もありますので、あっちこっち継ぎはぎをして丈夫にしておる、重とうございますので、どうしてもよけいな馬力を必要といたします。そこで、小さなエンジンでもって回転数を上げまして馬力を上げる。馬力を上げますから、今度は震動がいたします。それから音がいたします。そういたしますと、今度また震動を防ぐために防露装置を施してまた重くなっていく。したがって、値段もまた高くなっていく。こういう性能上の問題もある。  それから、税法上につきましても、われわれ欲をいうならば、やはり自動車は量産工業でございますので、相当たくさんの量を国内で売らないことには輸出ということはなかなかできない。結局、輸出車だけ別途に作るということはできないわけでございます。要するに、国内でたくさん売れるものが一番輸出ができる。たとえば日本で現在一番よく売れておりますのは、ニッサン・ブルーバードでございますけれども、輸出面から見ましてもブルーバードが圧倒的に多い。たくさん作ればそれだけ性能が安定する。どうしても国内でたくさん作ってもらわなければいかぬ。そのためには、やはり政策的に税制面も考慮していただけば非常に幸いではないか。  それからまた、量産体制とか、今度は自動車工業内部の価格引き下げに関するいろいろむずかしい問題がございます。これは早く生産体制上も、外国車と匹敵できるようなコスト・ダウンをはかり得る生産体制を作り上げていかなければいかぬ。そのためには、関連する部品工業についてもいろいろ問題がございます。  そういう非常にむずかしい問題がありますが、いかなる政策を早急にとるべきであるかということについては、先ほど申し上げましたように、政策特別小委員会において現在審議中でございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 通産行政になって、外資の問題だとか、貿易の問題は通産行政でおやりになるので、私はここでは触れることを避けたいと思うのですが、ただ一点、政務次官にお尋ねするのですが、何か自動車産業界のほうから、今度の自由化対策に備えて六十億かなんか政府資金を要請をされておる。けさの新聞を見ると、造船の問題が出ておりますが、結局会社がたくさんあり過ぎるということは、片方では素朴な考え方としてあると思うのです。そこで、そういう政府資金を出すか出さぬかというのが一つと、出すべきだという意見だと思うのですが、出す場合に、計画造船という造船関係にしても、選別融資をやるような気配に聞き取れるわけですが、あるいは新聞だけだからわかりませんが、そのときに、たとえば自動車でいうと、Aの会社とBの会社には政府の六分五厘なら六分五厘の低利長期資金を出す、しかしCの会社には出さぬ、そのかわりCはAかBのどっちかに入っていきなさいというような、そういう資金面から何か圧力をかけて産業構造を少しでも変えていこうという、企業の合同を促進さしていこうというような考え方があるのか、ないのか、それをやろうとするのか、そういうことは、通産省産業構造調査会の結論が出て、その中からやっていこうとするのか、その点はどういうふうに考えておられますか。
  28. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) 自動車工業は、日本の工業のうちでも非常に重要なものであるから、政府資金を利用してこれを伸ばしていくということは、産業方針として私は当然であって、いいことだと思います。ただ、その場合、財政資金等を流す場合には、おそらく開銀を通すだろうと思いますが、今おっしゃったように、政府資金の操作によって個々の会社の業績をどうこうするというようなことは、政府の方針としてやることではなくて、開銀が融資をする場合の条件としてそういう結果になることがあり得るとしても、それはあくまでも融資の条件の中で考えられる合理化促進の方法であって、政府の方針として、建前としてそういうことを条件にしてやるということではないと、こう考えます。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あまり私たちは突っ込んで意見を聞きたいと思いませんけれども、何か政府は責任を転嫁して、開銀の窓口行政だ、開銀の窓口行政でこういうことをやってくれと、こういう気持なのと、いやいやそうじゃないよと、普通の政府のお金、いわゆる税金なんだから、不公平でなくて、むしろ公平に扱われたほうがいいんだというのと、気持の上で私はえらい違いになってくると思うのです。そういう大きな問題を、ただ単に開銀の窓口行政だけにまかせていいものかどうかということになるならば、私はそうではなくて、これはやはり政府が大きな方針を立てていくのがほんとうであろうと思う。無責任なことで、開銀に入れちゃったから開銀で適当にやってくれということだけでは、竹内さん、それではちょっとおかしいじゃないですか。税金を使うのにそう簡単に、お前のほうで適切にやってくれということは、それはあなたの言いたいことはわかるのですが、どうですか。
  30. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) それは開銀の窓口に責任を転嫁するという意味ではなくて、資金の効率をより以上的確に考えてやるという開銀それ自体の一つの任務もあるわけですから、そういう点から判断してやるべきである。個々の会社のその状態にまで政府が判断を下して、それにひもをつけるというようなことはいたしません。自動車工業全体が健全に伸びていくために、財政資金を効率を考えて開銀が適当にしていくということになるのが建前であって、そこに政府がいろいろ個々の会社にまで口出しをするということは、自由主義経済の建前からしても私は適当でない。おのずから開銀が持っている任務がございますから、開銀は必ずしも普通銀行のような任務ではなくて、今先生のおっしゃったような、多小弱いけれども、これは伸ばしていかなければならないというようなものに対する一つの任務を持っているわけでありますから、開銀の窓口で判断をすることは、それほど不公平なものではないと、こういう判断に立ってお答えをしておるわけです。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、開発銀行がやはり国策的な金融の役割を果たすものだと思うのです。そのために設けられているのですから、しかし、そういうことを言うとおかしいことになるから、あるいはこれは独禁法の改正をするかしないかということのほうの答えが簡単に出てくるでしょうが、そうなれば窓口行政がうまくいくかどうかという、おのずから判断が出てきますが、そういうことはあまりやるとおかしいので、通産行政にもなることだと思いますから、私はそのことはここではやめるとして、それでは、業界から要請されている政府資金というものは大蔵省としては大体出していい腹だと。通産省のほうは当然要求されると思うのですが、大体出していい腹だととってよろしいのですか。
  32. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) 今まで申し上げましたのは、一般論として申し上げたのであって、三十八年度の財政投融資の全計画の中で通産省からの要求その他具体的に検討して、それからきめるべき問題ですが、まだやるやらないの決定にはもちろん至っていないわけであります。これから、通産省と交渉の中で決定されていくべき問題だと思います。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 通産省はどうですか。もう固まったのですか。
  34. 佐々木学

    説明員佐々木学君) 結局、特別小委員会の結論ということが大きく影響してくると思うのでございますけれども、結局まあ早急に態勢を強化するというような点から、あらゆる面で政府も流動的な施策をここ一、二年の間に突っ込んでいかなければもういけないと私は考えておるのであります。おそらく政策小委員会でもそういうふうな結論が出されるのではないかと期待されますけれども、その場合に、一つのインセンティブを与える手段として財政資金を投入するということは相当大きな効果があるのではないかと、こう思いまして、要求しているわけでございます。具体的にどこをどうするのだということは、特別小委員会関係もございまして、まだ明確にはきまっておらないわけでございます。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 特別小委員会というのは、自動車産業の各社長さんが何人かと、それから学識経験者からできているわけですか。
  36. 佐々木学

    説明員佐々木学君) 現在の政策特別小委員会のメンバーは、前の法制大学総長の有澤広巳先生、それから興業銀行の中山頭取、それから長期信用銀行の浜口頭取、それから開発銀行副総裁の平田敬一郎さん、それから朝日新聞の論説委員をやっておられる土屋清先生、それから日本経済の論説委員をやっております円城寺次郎先生、それからあと各乗用車八社の社長、それから関連産業といたしまして八幡製鉄社長の稲山社長、それから冨士製鉄の徳永常務取締役、それから部品代表といたしまして自動車部品工業会の理事長でありかつ日本電装という会社の社長をやっております林さん、これだけで構成しております。そして委員長は、日本精工社長の今里さんが委員長をやっておられます。これは商業構造調査会の中の重工業部会の一つ委員会、そういうことになっております。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは結論はどのくらいまでに出すかということは大体メドがございましょうか。
  38. 佐々木学

    説明員佐々木学君) 大体十二月一ぱいには出ると思います。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私がここで想像するのですが、各社の企業合同をやったらどうかという結論はなかなか出にくいのじゃないかと思うのですが、そうすると、やはり政府が独禁法の改正をやる、そしてそれで財政資金を出していく、そこで開銀の窓口行政で選別的な融資をやってある程度のそういう気運を促進していくというような方向に大体結論として出てくるのではないか、そういうふうに想定するのですが、何かそういうような結論が出るのですか。出そうなことになるのですか。
  40. 佐々木学

    説明員佐々木学君) ぜひ出していただきたいと思っておるのですが、ただし、その結論の方向はまあそういうことになるか、あるいは早いところ自由化してしまえというような議論も出るかと思うのですが、いろいろちょっと想定しかねますけれども、おそらく委員さん方のお考えも早いところ自由化態勢を作り上げろ、こういうことになると思います。そのための手段としてはこういうことをやるべきであるとか、今先生のおっしゃいましたように、合併統合ということは強制はしなくても、かりに合併統合したいと思うときにはしやすいような環境を作っておいてやる、何かそういうこともあるいは議論の中に当然出てくるだろうと思います。今までのところは、まだそこまでの具体的な議論は出ておりません。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 こういうことを聞いてちょっとあれですが、フォードが実際まだ日本に財産を持っていますか。
  42. 佐々木学

    説明員佐々木学君) 持っております。これは日本フォードといって、昔から日本でフォードがノック・ダウンで自動車を作っておりました時代の敷地を持っております。これは横浜にあると思います。約十万坪ぐらいの土地を持っています。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは通産行政になりますから、私はここではあまり議論できませんけれども、貿易方面あるいは外資の進出状況、それに関連しての独禁法の改正というようなことが一面として考えられてくるだろう思うのです。それに対しての意見はございますけれども、そういうことは別として、問題は、やはり端を発しましたのは今スズライトが問題に出てきたわけです。それはやはり税法上の問題が一点ある。それは承れば十分検討をしていこうということでございますから、それ以上ここで議論も私はでき得ないと思う。しかも、その議論は、自由化対策等を勘案して、いろいろな問題から私は結論をお出しになるものだと思います。そういう点で結論をお出しになったときに、またあらためて議論することにいたします。本問題は若干、まだ徴税の問題については問題がございますから、後の委員会でひとつやっていただくことにして、私の質問は以上で終わります。
  44. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 他に御質問はございませんか。  では、本日はこの程度として、散会いたします。    午前十一時二十一分散会