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向井長年君 ただいま上程になりました
小売商業調整特別措置法の一部を
改正する
法律案外二案につきまして、民主社会党を代表いたしまして、提案の説明をいたしたいと存じます。
まず第一に、
小売商業調整特別措置法の一部を
改正する
法律案の
提案理由の説明をいたします。
現行法は小売商と購買会並びに小売市場との
関係を調整することをもって、小売商の事業活動の機会を適正に確保し、かつ小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去するという目的を遂行するものとしております。しかしながら、本法の小売市場に対する規制は、現状に対してきわめて不十分であります、また、小売商業者と製造業者との調整は、本法第十四条だけでは全く不十分であります。さらに本法には、都道府県知事があっせん調停または勧告し得ることになっておりますが、都道府県知事の行為は単独の判断によってなされるのではなく、国及び都道府県において民主的な
審議会を設置して調整すべき事項について、調整
審議し、
答申建議せしめる必要があります。
改正の第一点は、小売市場に関する条項についでであります。最近小売市場の営業内容が多種多様になり、一般小売商業者との調整を要する件数が増加しているので新たに小売市場の定義を改めて、十以上の小売店舗を含む建物を小売市場とすることにし、小売市場の開設を許可制にして、小売市場貸付、譲渡等によって営業内容が任意に変化することを防止する必要があります。無許可の開設に対しては厳重に規制するものといたします。
第二の
改正点は、製造業者または卸売業者と小売業者との間の
関係は、本法第十四条で単に製造業者等の小売商業兼業を届出すればよいと規定しているのを、各業間の業務分野を、商品と地域によって調整し得るように
改正する必要があります。これは製造業者、卸売業者の小売商業兼業はすべて届出制とし、新たな新増設を禁止し、かつ兼業している小売商経営が既存の専業の小売商業者を著しく圧迫する場合はこれに適正な
措置をとり得るようにする必要があります。
第三の
改正点は、商業調整
審議会を国、都道府県に設置する件でありますが、この
審議会は本法施行に関する事項をすべて
調査審議し得るものとして、
審議委員は小売業者、製造業者、卸売業者、消費者、労働者、学識経験者によって構成する必要があります。
このような
改正によって、本法の名称は、当然に商業調整法と改称すべきであります。
何とぞ、以上の説明を御了承の上、本案を御
審議いただき、御賛成下さるようお願いいたします。
次に、
百貨店法の一部を
改正する
法律案の
提案理由を説明いたします。
昭和三十一年五月に、
百貨店法が制定された趣旨は、本法第一条に明らかなとおり、百貨店業の事業活動を調整することにより、中小企業の事業活動の機会を確保し、商業の正常な発達をはかり、もって国民経済の健全な進展に資することにあります。
ところが、現行法がざる法といわれているとおり、法実施の当初より、あるいは公然と、あるいはやみで、本法はじゅうりんされております。本法の目的とする趣旨を確保せんがためには、絶対に本法の
改正が必要なのであります。
改正せんとする点は、第一に、百貨店業の定義そのものを拡大しなければならないという点であります。すなわち物品販売業もしくは物品加工修理業のほか、飲食店及び喫茶店営業も含め、かつ規定の営業面積をこえる面積を他の物品販売業等に貸し付ける業をも百貨店という概念規定に入れない限り、中小商業活動を確保できなくなっているのが現状なのであります。
第二に、百貨店業が私鉄等の構内や駅建物を利用して経営を行なう現象が著しくなっておりますので、今後はこれを許可しない方針が必要であります。
第三に、最近は、百貨店業資本につながるスーパー・マーケットの進出が著しく、地域的に見て中小商業との間に紛争を起こしている例が少なくありません。そこで、百貨店業者もしくはこれと資本的、人的につながりのあるいわゆる同一系統資本がスーパー・マーケットその他の形で進出しているものを調整もしくは抑制することが必要なのであります。このような認定については
公正取引委員会が独禁法に基づいて指定すべきであります。
第四に、現行法は第九条において、
通商産業大臣が、百貨店業の営業行為について勧告できることになっておりますが、これは特定の営業方法を明記して、その内容について一々許可制とし、百貨店業と仕入先との
関係についても、事項を明記して、その内容を許可制とし、百貨店業の行き過ぎを抑制する必要があります。
第五に、国、地方公共団体、日本専売公社、日本国有鉄道等の国及び公共団体が、百貨店業に対して、特定の便宜を付与するような、土地や施設の提供は、これも百貨店業の行き過ぎを招くおそれが強いので抑制する必要があります。
第六に、以上のように百貨店業に対する必要な規制を
改正するので、これ・に応じて、現行法第十七条に規定している
通商産業大臣の百貨店業に対する
報告の徴収を、
報告の徴収及び検査にまで拡充する必要があります。
第七に、以上のように規制事項を増加したので、これに応じて罰則を
改正する必要があります。
以上のように、
改正案の趣旨は、いずれも最少限度必要なる
措置のみを含むものなので、何とぞ、慎重
審議の上、御賛成あらんことを希望いたします。
次に、
商店街振興組合法の一部を
改正する
法律案について
提案理由を説明いたします。
商店振興組合法は、前
国会、すなわち第四十回
国会に議員立法として提出され、これが衆議院
段階で各党共同修正の上で可決され、参議院におきましてもそれが可決され成立したものであります。
本法はその第一条目的に明らかにされている通り「商店街が形成されている地域において小売商業又はサービス業に属する事業その他の事業を営む者等が協同して経済事業を行なうとともに当該地域の環境の整備改善を図るための事業を行なうのに必要な組織等について定めることにより、これらの事業者の事業の健全な発展に寄与し、あわせて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」法律であります。このように本法は、商店街を組織する業者の人々が協同経済事業と環境整備改善事業の二つを行なう組織でありまして、特に商店街組織について、このような特定な組織法が制定されたところに、中小企業
政策の大いなる前進がはかられたものなのであります。
国民の家計と毎日々々密接につながっている全国各地の商店街は、国民の消費生活のなかに完全に食いこんでおり、国民の消費購買力の上昇とともに、商店街活動も盛んになっております、私どもは個々の小売業サービス業を営む人々が、商店街を形成するという共通した目的意識をもって国民に奉仕する
方向を全面的に支持し、この
意味において本法の制定には当初よりもろ手をあげて賛成してきたのであります。
しかしながら、本法をいざ成立のため
国会が
審議するという
段階になりまして、商工会議所や商工会と、商店街振興組合とのそれぞれの役割の分担が問題になりました。すなわち立法にあたって、商工会議所や商工会という中小企業の組織体との間の摩擦をできるだけ生じないようにしようという意図をもって、地区その他に調整を加えました。これは摩擦を避けて、本法をとにかく成立させるという大局的見地に立っての
措置であったのであります。
それが、第一に、本法第十一条2項における連合会の設立について商工会議所の地区との重複設立を制限する規定であります。また第二に、附則第二条における市の区域に商工会がすでに設立されている場合には、そこに組合を設立することはできないという商工会との調整規定であります。
ここで立法府として慎重に考慮しなければならない点は、商工会議所と商工会は、みずからは企業経営を営んだり、協同経済事業を行なう組織ではなく、企業経営を指導し、またそのための諸般の世話役活動を事業とする組織であります。これに対して、商店街振興組合は、商店街活動という協同経済事業を行ない、かつ商店街を形成する地域の環境整備改善を事業とするものであります。すなわち、商工会議所もしくは商工会と、商店街振興組合とは、全く機能を別にする組織であり、しかも商店街活動を振興するという目的に向かっては、ともに協力しなければならない
立場にある組織なのであります。
したがいまして、商店街活動の振興という本法第一条の目的に対して、このような重複設立を制限する規定を持つことは、法として明らかに自己矛盾しております。このような設立制限の規定は法として定めるべきではなく、法の運用による双方の調整の問題として処理すべきなのであります。
また附則第二条に規定されている市の区域に商工会がすでに設立されている場合の設立制限は、概して新興都市において適用されることになりますが、これらの市の区域は市民の消費購買力が盛んになるにつれて、いずれも商店街活動が活溌になってきております。このようなところにこそ、本法の適用が必要でありますのに、組合設立が制限されるのでは、商店街活動の発展を、法みずからが抑制するものといわざるをえません。
このように、法理論、実態論の双方からみまして、本法の
改正は、ぜひとも必要なのであります。
何とぞ、本案について慎重
審議の上、御賛伺あらんことを希望いたします。