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杉山善太郎君 あるものは最大限に活用して、
政府の家庭事情は、
労働省、大蔵省、いろいろありましょうけれ
ども、最大限に大所高所から、社会不安や労働不安がそういうところに根源があるんだということをついて、最大限御配慮をいただくことを強く要望を申し上げておきます。
次は、第二点のお伺いをいたすわけでありますが、私の見るところでは、日本資本主義は、明治、大正、
昭和の今日に至るまで、低米価、低
賃金の政策をとってきたことは、私たちだけではなくて、世界周知の事実であろうかと思います。私は、昨今非常に遺憾と思いますのは、たとえば
昭和三十四年以来、最低
賃金法が施行実施されておる。今日的に見ても、なおかつ、言うところの低
賃金構造の質的な変革といいますか、改変がなされていない。
政府はそれをしようとして、勇気を持って前向きで歩いておられないじゃないか。特に
労働大臣には悪いですけれ
ども、あなたは
賃金担当大臣でいらっしゃる。そういうところから、この辺でひとつ勇気を持って前向きで、たとえばきれいごとでありますけれ
ども、ILO第二十六
号条約の
賃金条項に深く根をおろした、いわゆる本格的な最低
賃金の底を上げるべく、ひとつ勇気を持ってこの辺でやっていただくことが必要じゃないかと思います。私が何でこんな紋切り型的なお伺いをしますかというと、たとえば
社会保障制度審議会から答申をされたあの条項に見ましても、結局根底を流れるところの思想というものは本格的な最低
賃金が一日も早くこれが日本において施行実施されることを強く要求をし、また、そのことを慎重に注視をしておるということが、いろいろ項目はありまするけれ
ども、そういうことが一つの根底になっておると思う。で、特にまあ
労働大臣が諮問されたのだと思いまするけれ
ども、たとえば失業問題
調査研究会ですか、あの答申の中で、先ほど申し上げましたように、今なおこの低
賃金構造が維持されようとしておる具体的な例を私なりに申し上げますが、たとえば失対
労働者の低率制
賃金の
原則をまあ廃止する。それは廃止しようとする中で、最近中小都市においては、やはり失対
労働者の
賃金が
一般の
民間企業の
賃金に上回わってきた。だから、そういう中で、具体的には、たとえば
労働者の、これは失対
労働者の場合でありまするが、労働の質と申しますか、体力や技能というものに応じて、
地域別、産業別の
賃金を設定しようということになっておるのだ。このことは、とりもなおさず最近の中小企業都市に進められておるところの、いわゆる業者間協定の水準にくぎづけておるというような、やはり悪い
意味には私はとりたくないと思いますけれ
ども、言うところの低
賃金構造というものを、やはり前向きの姿勢で解消をして、いわゆるILOの
賃金条項に根をおろした方向に
——前向きではない、うしろ向きの処置ではないか、こういうふうに伺っておるわけであります。一々質疑応答式にやりたかったりでありますけれ
ども、それはできません。たとえばきょういただいておる日本の
賃金事情、これは
労働省と外務省の合作のように受け取っておりますけれ
ども、池田さんはいい気なもので、それで西ドイツでエアハルト副首相と、
賃金とコストという問題についていろいろお話になっておるようであります。私
どもは私
どもなりに、いろいろな情報は得ておりますけれ
ども、そういうような中で、結局私の言わんとするところを、きょうは時間がありませんので、すべて言い尽くしませんけれ
ども、この問題は今後に残しますけれ
ども、特に申し上げておきたいことは、私は、前段申し上げましたように、たとえば今なおこの日本の
賃金事情という中で、この二項の中に日本の
賃金水準という一つの項が設けてありまするけれ
ども、やはりこれといえ
ども、前向きで最低
賃金というものを、やはり本格的な最低
賃金を実施する姿勢ではなくて、特にこの中でうたってあるということについて私が納得のできない点は、日本には、やはり農産物であるとか、あるいはいろいろなサービス料金ですか、サービス料金や
一般消費資財が、まあ米国は別として、欧州諸国と比べてみてたいへん安い。かてて加えて、たとえば退職金であるとか、あるいは賞与であるとか、その他もろもろの福施利設を持っておるのだから、これらの付加給付をプラスすれば、実質的に、名目
賃金はどらあっても、仮設数値と対比して、日本の
労働者の購買力はそう低くないのだ。しかも、日本のとにかくこの付加給付であるところのやはり農産物であるとか、あるいはサービス料金であるとか、
一般消費財が安いのだ、福利厚生
施設があるのだといったようなことが日本の一つの特定な重視すべき慣行のようにお
考えになっておると
考えますけれ
ども、そういうことが書いてあると思う。これはよく調べてみますが、私が非常に遺憾と思いまするのは、それは過去にはそういう実情はあったと思いますが、昨今、今日的には、たとえば公共料金は非常に上がってきておるのだ。その他もろもろの、ことに生鮮食料品であるとか、あるいは加工食品であるとか、あるいはサービス料金というものは、たとえば労働組合が当然な
経済行為の中で
賃金要求をやって、一二・六%というような、あるいは一〇%以上
賃金が上がっても、最近の物価の値上がり高には、とてもその
賃金というものは追いついてないのだ。そういうような事実からいって、それから、また、
社会保障審議会が答申しておるあの勧告の
内容から見ましても、少なくとも二十八年度を一つの底辺として、十年過ぎなければ外国の
——外国といっても欧米諸国の
社会保障に日本は追いつかないのだ。だから、そういうような点を対比較して
考えてみるときに、たとえば賞与であるとか、あるいは退職金であるとか、あるいは社宅があるとか住宅があるとかいっても、そういうようなものを比較対照しても、やはり諸外国の労働
賃金の水準と、それに対する高い
社会保障というものを対比較してみても、いかに日本の
労働者が低
賃金水準のもとに痛めつけられておるか、そういうふうに私は私なりに、さらにこのパンフレットの中でもそういうふうに私はうかがわざるを得ないのでありますが、こういう点について若干のひとつ
——いや、君はそう言うけれ
ども、そんなことはないのだというふうにお受け取りになっておるが、ただ私がお伺いしたい点は、すぐかりにできないにしても、ことに業者間協定の点につきましては、
基準局長もお見えになるかどうか知りませんけれ
ども、私の知る範囲においては、大体この業者間協定のやはり
対象人員は、百七十万から百八十万の範囲だと思いまするが、その範囲の中で、いわゆる業者間協定のあれは大体三百円以下が大体八、九〇%だと、こう思うのですよ。私は新潟県選出でありまするから率直に申し上げますが、新潟の燕市における洋食器企業というものについては、アメリカへ旅行しても、それから西欧へ旅行しても、大体それがノー・マークであっても、日本で生産されておる洋食器はまず燕で生産される。その業者間協定が二百円ですよ、実際問題は。新潟の、たとえば三者構成に基づく
賃金審議会さえ、三百円以下のやはりこの業者間協定がこの
審議会に出てきた場合については、その
労働者出身の
審議委員は
審議を拒否するのだ、人を小ばかにしておるのだ、こういうふうに言っておるわけでありまして、私は意気込んでおりまするけれ
ども、言わんとするところは、今日的に言ってみても、やはりこの貿易の自由化が、たとえば八八%から九〇%、一〇〇%になって、今こういう「
賃金事情」というパンフレットまで英文にして諸外国におまきになっても、日本の低
賃金構造の底辺である低米価、低
賃金というものに対して姿勢を正しながら、やはり率直に申し上げまして、新産業秩序の確立はもちろんのことでありまするけれ
ども、その底辺であるところの産業や、いわゆる
賃金の二重構造というものをもうこの辺で手直しして、そうして本格的な最低
賃金をやはり前向きで、つまり本格的なということは、全国一律の、まあ総評がいっていることをすぐそのままやれなどということを言うのじゃないのです。いわゆる理念的に見て、やはり業者間協定というような、低
賃金をくぎづけにしてしまうようなものは漸次姿勢を正しながらいこう、こういうことなんであります。でありまするから、時間がありませんので、超スピード的に一括
質問をいたしましたけれ
ども、それなりに、ひとつこの第二の点は、もうこの辺でILOの
賃金条項に根ざした本格的な最低
賃金にひとつ大臣も勇気をもって取り組んでいただく時期がきているのじゃないか。そうしてもらわなければ、おそらくソシアル・ダンピングの温床というものに対する根っこというものが絶やされなければ、どんなに貿易の自由化率が高まっても、国際市場における日本の国際信用や日本の商品の信用というものは、貿易の自由化率は上げたが
——池田さんは西欧諸国へ行って、いろいろ数字に強い人ですから、行ってきても、そう簡単にいくものじゃないのだ、そういうふうに私は
考えまして、この辺でILO、現在のやはりこの業者間協定というものに手直しを加えながら、それをステップとして本格的に最低
賃金にひとつ勇気を持って食い込む姿勢をひとつとるべき時期であり、段階ではないか、そういうふうに私
考えまして、一応
労働大臣にこの辺のところをお伺いしたいと思うのです。