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1962-09-21 第41回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年九月二十一日(金曜日) 午前十時二十九分開会
—————————————
委員
の異動 九月二十一日 辞任
補欠選任
山本 杉君 川上 為治君
杉山善太郎
君
亀田
得治
君
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
加瀬 完君
理事
鹿島 俊雄君
小柳
勇君
藤田藤太郎
君
委員
紅露
みつ君 丸茂 重貞君 山下 春江君
亀田
得治
君 藤原 道子君
柳岡
秋夫君 国務大臣 労 働 大 臣 大橋 武夫君
事務局側
常任委員会専門
員 増本
甲吉
君
説明員
警察庁警備局長
三輪 良雄君
警察庁警備局警
備第二課長
土田 国保君
通商産業省
軽工
業局長
倉八 正君
通商産業省石炭
局長
中野 正一君
海上保安庁警備
救難部長
樋野
忠樹
君
労働政務次官
田村
元君
労働大臣官房会
計
課長
住
栄作
君
労働省労政局労
働法規課長
青木勇
之助君
労働省労働基準
局長
大島 靖君
労働省婦人少年
局長
谷野 せつ君
労働省職業安定
局長
三治 重信君
労働省職業訓練
局長
村上 茂利君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
労働情勢
に関する
調査
(
労働省関係昭和
三十八
年度
予算
に 関する件) (新
日本窒素株式会社
における
労働
争議
に関する件) (
大正鉱業株式会社
における
労働問
題に関する件) (ILO問題に関する件) (
繊維産業
における
労働条件
に関す る件)
—————————————
〔
理事藤田藤太郎
君
委員長席
に着 く〕
藤田藤太郎
1
○
理事
(
藤田藤太郎
君) ただいまから
社会労働委員会
を開会いたします。
労働情勢
に関する
調査
の一環として、
労働省関係昭和
三十八
年度
予算
に関する件を
議題
にいたします。 まず、
労働省当局
から
説明
を求めます。
住栄作
2
○
説明員
(
住栄作
君) お手元に
昭和
三十八
年度
労働省関係主要施策概要
というつづりの
資料
が配付してございますが、それに基づき御
説明
を申し上げたいと思います。 申し上げるまでもないことでございますが、
労働政策
の
目標
は
完全雇用
の達成と
労働条件
の
向上
にあるわけでございますが、特に今日におきましては、
労働行政
は
経済
諸
施策
と
密接不可分
の
関係
にありますので、
明年度
は、国の
経済安定成長政策
に即応いたしまして、
雇用労働関係
の
近代化
をはかるということといたしまして、まず
雇用
の
確保
と
近代化
、次に
労働条件
の
近代化
、三番目に
労使関係
の安定と
近代化
、こういう点に
重点
を置きますとともに、特に
中小企業労働関係
につきましては、
中小企業
の現状と
重要性
にかんがみまして、その
労働関係
の
近代化
を
推進
するということにいたしまして、
労働政策
の
目標
に対して地道に
努力
を続けていく、こういう
考え方
で
明年度
の
予算
を
要求
いたしております。 以下、
主要施策項目
につきまして、逐次御
説明
を申し上げたいと思います。 第一が、
労働力
の
確保
と
中高年離職者
の
雇用対策
の
推進
でございますが、これは御
承知
のように、現在
産業別
、
地域別
、あるいは
年令別
に
労働力需給
のアンバランスがあるわけでございまして、これが
是正
のために本
年度
より
労働力
の
流動化対策
を強力に
推進
いたしておるのでございますが、
明年度
におきましては、さらにこれを
拡充強化
して参る
考え方
で
予算
を
要求
いたしております。
内容
といたしまして、(1)が
地域別
、
産業別雇用計画
の
樹立
でございますが、これは
地域経済開発
に即応いたしまして、
雇用
の安定と
労働力需給
の均衡をはかるため必要な
調査
を行ないまして、やや長期にわたる
地域別
、
産業別雇用計画
の
樹立
を行ないたい、こういう
考え方
によるものでございます。 (2)が
広域職業紹介体制
の
強化
でございますが、これもすでに従来からこれが
推進
をはかっておるのでございますが、
明年度
はさらにテレックスの増置とか、あるいは
安定所
の
連絡通信機能
の
強化
、
機動力
の
充実
、あるいは
職業紹介業務
が最近非常にふえておりますので、これが
機械化等
をはかることによりまして
労働力需給
の迅速・
的確化
をはかろうとするものでございます。 (3)が
中小企業労務充足対策
の
強化
でございますが、これはもちろん
職業紹介体制
の
強化
の中に含まれるものでございますが、特に
中小企業労務充足対策
の方策といたしまして、
中小企業
に対する
労働者
の募集、選考、採用、
定着化
というような
諸点
にわたりまして
指導援助
をいたして参るための
経費
でございます。 (4)が
中高年令者雇用就業対策
の
強化
でございますが、これはもちろん
職業訓練
とか、そういうことの
強化
によりまして、
中高年令層
の
就職
の
促進
をはかるということは申すまでもないことでございますし、またそのように考えておりますが、特にここでは
職業講習
とか、あるいは
中高年者
の適職、
職業能力等
の
研究
による
職業指導体制
の
強化
というようなことを考えて、
予算
をお願いいたしております。 (5)が
広域職業紹介
に伴う
労働者援護対策
の
推進
でございまして、これは
雇用促進事業団
の
業務
になっております。まず、
広域職業紹介
を
実施
することにあたりましては、
就職先
の
住宅
の
確保
が非常に重要でございますので、
明年度
は宿舎の
建設
を
重点
に考えて参りたい。戸数といたしましては、今
年度
は千百十六戸でございますが、明年は五千戸
程度
の
建設
を考えている次第でございます。その他、
就職資金
の
貸付
、
移転資金
の支給、
身元保証制度
の
充実
、これは現在
雇用促進事業団
でやっております
業務
でございますが、これにつきましても
広域職業紹介
を
推進
していくという
観点
から、引き続いて
拡充実施
して参りたいというように考えております。 (6)が
港湾労働
の
近代化対策
の
推進
でございますが、御
承知
のように、
港湾
におきましていかにして
必要労働力
を
確保
するかということが非常に重要な問題になっておりますし、現に本
年度
は
中央
に
港湾
についての
審議会
が
設置
されたのでございますが、六大港におきましても、同様の
趣旨
から
地方港湾労働審議会
を
設置
いたしまして、それぞれの港の
特殊事情
に即応した
港湾労働対策
を進めて参りたいという
観点
から
審議会
を
設置
いたしまして、これに対する
補助
を考えておるわけでございます。そのほか、
港湾労働力
の
確保
のための
職業紹介
の
強化
はもちろんでございますが、さらに
労働者
の
宿泊施設
を
設置
いたしたいということで、
明年度
も四棟八百人分の
簡易宿泊所
の
設置
を
要求
いたしております。それから、(ロ)に書いてございますのは、
港湾労働福祉センター
の
設置
でございますが、これは
宿泊施設
その他の
厚生福祉施設
を持った
センター
を、
明年度
一カ所
設置
いたしたいということで、
予算要求
をいたしておるわけでございます。この
簡易宿泊所
の
設置
と、
港湾労働福祉センター
の
設置
は、
雇用促進事業団
で行なこととなっております。 (7)が
雇用促進融資
の
拡充
でございますが、御
承知
のように、本
年度
二十億の
金額
をもちまして、
労働者住宅
その他
福祉施設
の
設置
、
整備
に要する
資金
の
貸付
を行なっておりますが、これに対する
希望
は現在百億を突破しておるような
状況
で、非常に要望されておりますので、
明年度
は
労働力
の
流動化
をはかるという
観点
からこれを百億
程度
にふやしたいという
考え方
でございます。
項目
の第二番目は、
炭鉱離職者等対策
の
拡充強化
でございますけれども、これは御
承知
のように、現在
石炭鉱業調査団
で各般にわたっていろいろの検討が行なわれておりますが、その
答申
が九月下旬ないし十月上旬に出る予定になっておりますので、その
答申
を得ました上で、詳細な
内容
の
離職者対策
を考える、こういうことにいたしておる次第でございます。 第三番目は
失業対策
の
刷新
でございますが、その(1)は
失業対策制度
の
改善
でございます。これにつきましても、この問題は非常に複雑困難でございますし、また
雇用対策
、
社会保障
という
関係
する
分野
も非常に多いのでございまして、現在
失業対策問題調査研究会
においていろいろ
研究
を願っておりますが、その
結論
を得た上で
失業対策
の
改善
をはかっていく、こういうことにいたしておりますので、今のところ
内容
を作っておりませんが、御了承をいただきたいと思います。
失業対策
の
刷新
の(2)は
失業保険制度
の
改正
でございますけれども、これは最近における
雇用失業情勢
の推移、さらには本年八月
社会保障制度審議会
の
答申
がございましたが、その
答申
の
趣旨等
を考慮しまして、
諸般
の
改善
を考えておるわけでございます。まず第一点が、
一般失業保険
の
最低
及び
最高額
の引き上げでございますけれども、これは現在
最低額
が百二十円、
最高額
が七百円、こういうことになっておりますが、これを百六十円、千円に引き上げたい、こういうことでございます。それから、
転職訓練期間
中の
給付
の
充実
につきましては、現在
石炭離職者
が
訓練
を受ける場合に、
技能修得手当
とか
別居手当
を支給しておりますけれども、
失業保険
の
受給者
が
訓練
を受ける場合に、
技能修得手当
、
別居手当
を
給付
として
明年度
から支給していきたい、こういう
考え方
でございます。現在
技能修得手当
の
金額
は七十円でございますが、これを百円、それから
別居手当
は月三千六百円ということになっておりますが、そのような
要求
をいたしたいと考えております。第三点は、
扶養加算制度
の
新設
でございますが、これは
社会保障制度審議会
の
答申
にもあるのでございますが、大体妻及び第一子につきましては一日二十円、その他の
扶養家族
については一日十円というものを
保険給付
に加えて支給いたしたい、こういうように考えております。そういうような
諸点
にわたりまして
失業保険制度
の
改正
をお願いいたしておるのでございます。 第四が
職業訓練
の
拡大強化
でございますが、これも、御
承知
のように、最近
技能労働力
が非常に不足いたしております。本年二月の
労働省調査
によりますと、百二十六万
程度
の
技能労働力
が足りないということがわかっておりますが、そういった
事態
に対処するために、まず
職業訓練
を
拡大強化
するということが第一点でございます。第二点は、その
内容
といたしまして、
離職者訓練
に
重点
を置いていきたいということでございます。それから、第三点といたしましては、
技能検定制度
の
拡大実施
ということでございます。 まず、(1)の
公共職業訓練
の
整備拡充
につきましては、都道府県で
設置
いたしております
一般職業訓練所
の
整備拡充
につきましては、
明年度
は二十五カ所の
新設
を考える。現在二百六十五カ所でございますので、二百九十カ所にする。それから、
職種
といたしまして三十
職種拡充
をするという
計画
で、
訓練人員
が本
年度
三万四千六百八十五人に対しまして、
明年度
は三万七千八百八十五人にしたい、こういうように考えております。次が
総合職業訓練所
及び
中央職業訓練所
でございますが、これは
雇用促進事業団
で
設置
運営されております
訓練所
でございますが、まず
総合訓練所
につきましては、四十四カ所を四十九カ所にして
訓練
を
拡大実施
していく、こういう
要求
に相なっております。 次は、中身の問題といたしまして、
先ほど転職訓練
を
拡大強化
すると申し上げましたが、まず
中高年令者等
に対しましては新たに
職業訓練
を
実施
いたしましてその
就職
を容易にするという
観点
から、本
年度
は七千五百五人でございますが、
明年度
は倍以上の一万六千五百六十五人の
訓練
を
計画
いたしております。
駐留軍等離職者訓練
につきましては、おおむね本
年度
同様でございます。それから、
訓練受講者
に対する
手当
でございますが、現在
石炭離職者
あるいは
駐留軍離職者
が
訓練
を受ける場合に三百円の
訓練手当
を支給しておりますけれども、これを五百五十円
程度
に引き上げたい、こういうように考えまして、必要な
金額
の
要求
をいたしております。 なお、
転職訓練
につきましては、
石炭離職者対策
としまして、あるいは
失業対策
の
改善
に関連いたしまして、それぞれ
石炭離職者
ないしは
失業対策事業就労者
の
訓練
を大幅に考えることになろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、いずれ
答申
ないし
結論
を待ってこの点については
予算
を組みたい、こういうように考えておりますので、ここでは一応その分は別になっております。 それから、(3)が
事業内職業訓練
に対する
助成援助
の
強化
でございますが、二つございまして、一つは
共同職業訓練
に対する
助成援助
でございます。これは
共同職業訓練
に対しまして現在三万五千八百六人につきまして
補助
をいたしておりますが、
明年度
はこれを四万一千九百七十人に
拡大
いたしたいということが第一点でございます。それから、
訓練施設費
の
補助
でございますが、これは本
年度
初めて、たとえば
中小企業等
が
共同職業訓練
をするにあたって、なかなか
実習場
とか教室が得られない、こういう
事情
に対処いたしまして、国が
補助
しましてそういった
施設
を作らせる、こういうことで今
年度
は五カ所について
補助
が認められておりますが、
明年度
はこれを三十カ所に
拡大
いたしたいというように考えております。 それから(ロ)は、新しい
制度
でございますが、単独で
事業内職業訓練
をやる場合に、
融資
を考えていきたい。
金額
といたしましては二十億を予定いたして
要求
をしております。 それから、(4)は、
技能検定
の
拡大等技能水準向上対策
の
推進
でございますが、現在十五
職種
について
技能検定
を
実施
いたしておりますが、来
年度
は九
職種
さらにふやして
技能検定
を
実施
したい。それから、
技能コンクール
でございますが、
技能水準向上
のために
地方
・
中央
において
技能コンクール
を開催し、必要な
補助
をするための
経費
を
要求
いたしております。余談になりますけれども、スペインで
技能オリンピック
が開かれまして、わが国から八人の選手が参加して五人が金メダルを得たというような
事情
もございますので、来
年度
は
地方
・
中央
の
コンクール
を開いてその
代表者
を
技能オリンピック
に参加させたい、まあこういうように考えておるわけでございます。 (5)が
職業訓練
における
国際技術協力
の
推進
でございまして、現在、
海外
から
訓練
の
指導員
の派遣の要望がございますので、それに対する
訓練
を
実施
して、そして
指導員
を
海外
に派遣する、あるいは
海外
から
日本
の
訓練所
で
訓練
を受けたい、こういう
希望
も多うございますので、研修生の受け入れを考えるということが第一点。それから、先ほど申し上げました
国際技能オリンピック
ヘの参加に対する
必要経費
の
要求
をいたしております。 第五が
賃金行政
の
推進
でございますけれども、これは
最低賃金制度
の
拡充
、それから
賃金
に関する適正、公正な
各種資料
の提供、
賃金体系
の
改善
、
指導
ということを
内容
にいたしております。 (1)が
最低賃金制度
の
普及促進
でございますが、これは三十六
年度
から三カ年
計画
で
適用労働者数
を二百五十万にずる
計画
で現在
普及推進
をはかっておりますが、
明年度
は
最終年度
で約六十五万人に対する
適用
を
推進
していこう、それで
年度
末には二百五十万人になる、こういう
目標
で必要な
経費
の
要求
をいたしております。 (2)が、先ほど申し上げました
賃金
問題の
調査研究
及び
賃金体系
の
改善援助等
に要する
経費
でございます。 第六が
産業災害防止対策
の
推進
でございますが、これは去る七月、内閣にあります
産業災害防止対策協議会
から
総理大臣あて
の
答申
が出まして、その
答申
には新たに
計画
を作って
産業災害
の
防止対策
を
推進
しろ、こういう
趣旨
が盛られておりますが、その
趣旨
に基づきまして、新たに
産業災害防止
五カ年
計画
を
樹立
しまして画期的な
災害対策
を
推進
して参りたい、こういうように考えております。全般的に
産業災害防止
に関する
行政活動
を続けることはもちろんでございますが、特に、
明年度
は
災害
の
多発事業所
を、たとえば
ビル建設工事
とか、
電源開発
とか、
港湾荷役関係
、
陸上運送関係
、
林業関係等
には
災害
が他の業種に比べて多いのでございますが、そういったところを
重点
的に
指導援助
していく、それに要する
経費
が第一点でございます。 それから、第二点といたしましては、まあ国の
行政
として、全般的に
安全行政
を
推進
していくことは当然でございますが、さらにそれを積極化するために新たに
災害防止
のための
事業主団体
を結成させまして、自主的な
安全衛生管理
を
促進
することといたしまして、その
団体
に対する
助成措置
を考えて
予算
を
要求
いたしております。 第七が
労使関係
の安定と
近代化
のための
施策
の
推進
でございますが、
内容
といたしましては、一番目が
労働問題懇話会
の
設置
でございますが、現在
中央
に
労働問題懇話会
がございますが、いろいろ
労使関係
の
諸般
の問題について話し合いを行なっておりますが、同様なことを
地方
各県においても
実施
していきたい、こういうことで、
県ごと
に
地方労働問題懇話会
を
設置
していただいて、これに対する
補助
を考えていく、こういうような
考え方
に基づくものでございます。 それから、
労使関係
の
安定対策
の
充実
につきましては、これは従来もやっております既定の路線を、さらに引き続き
実施
して参りたい。 それから、(3)は
日本労働協会
の
強化
でございますが、現在御
承知
のように、
労働協会
は十五億の
基金
を持って、その利子で
事業
を営んでおりますが、最近の
人件費
の問題とかあるいはその他から、
事業分野
が縮小せざるを得ないような
状況
にもありますので、さらに十五億の
基金
を追加いたしまして、
業務
の
拡充実施
をはかっていくというように考えております。 第八番は
中小企業
の
労働対策
の
推進
でございますが、その(1)は、
中小企業
の
労務管理
の
近代化
と
労働条件格差
の
是正
でございます。これはすでに本
年度
から
実施
いたしておりますことでございますが、来
年度
はさらにこれが
拡充実施
をはかっていきたいということでございます。進め方といたしましては、
中小企業
を
集団
としてとらえ、そうして個々の
労働条件
につきまして、ばらばらでなくて、たとえば
賃金
だとか
労働
時間とか、
安全衛生
とか、そういうものを総合いたしまして、そうして
当該集団
の自主的な
努力
を
促進
するように
諸般
の
行政指導
をやっていく。そうしてそういった当該集国の
協力活動
を通じて、全体としてのその
集団
の
労務管理
の
改善
をはかっていこう、こういうことでございまして、本
年度
に引き続きましてそういう
施策
を
実施
して参りたいということでございます。(ロ)
週休制
、一
せい閉店制
の
促進指導
でございますが、これは従来やっております
政策
の引き続きの
実施
でございます。(ハ)は
最低賃金制
の
普及促進等
でございますが、これは先ほど申し上げましたとおりでございます。(ニ)につきましても同様でございます。 それから、次の(2)の
中小企業労働力
の
充足対策
の
強化
、(3)の
共同職業訓練
に対する
助成措置
の
強化
、これは先ほど申し上げましたものと重複いたしておりますので、
説明
は省略いたします。 (4)が
中小企業労働者
の
福祉対策
の
充実
でございますが、大
企業
はなかなか
福祉施設等
も
整備
されておりまして、相当その点は進んでおるのでございますが、
中小企業
はどうしてもおくれがちであるという
観点
から、
中小企業
の
福祉活動
を積極的に
推進
して参りたいということで、まず考えておりますのは、
福祉協議会
を
設置
させまして、これに対する
助成
をすることによって自主的な
福祉活動
の
推進
の助けにいたしたい。それから、さらには全般的な
労働福祉
の
推進体制
、これは県の
労政
なり
労政事務所
におけるそういった
推進体制
の
樹立
、
強化
を考える。それから、
婦人
及び
年少労働者
の
福祉施設
につきましては、働く
婦人
の家、
青少年ホーム
、それぞれ本
年度
の倍の個所を
要求
いたしております。 それから、(ロ)の
中小企業退職金共済制度
の
普及促進
でございますが、これは現在六十九万人
程度
の非
共済者
がおりますが、
明年度
末八十八万五千人になるという前提で、必要な
事務費
を計上しております。 それから、(ハ)は五人
未満
の
事業所
に対する
失業保険
の
適用促進
でございますが、これは御
承知
のように、
失業保険
については五人
未満
の
事業所
は
任意加入
になっておりますので、なかなか
加入
が行なわれないというととで、
事務組合等
を作らせまして、
失業保険
の
加入
を
促進
していくということで、従来もやっておりますが、
明年度
も引き続いてその
推進
をはかっていきたい。 (5)は
中小企業
における
労使関係
の
安定促進
のための
経費
でございますが、これは
労働問
題について従来
講習会
を
実施
しておりますが、そういった
講習会
の
拡充
とかあるいは
巡回特別指導
の
充実
とか、
地区別
の
労働情報
を作りまして
労使
に配布するとか、そういった
経費
でございます。 それから、第九番目が
婦人年少労働者
及び
身体障害者
の
福祉
の増進のための
経費
でございますが、まず(1)が
婦人
の
職業対策
の
推進
といたしまして、
内職相談施設
を増置したい。前
年度
五カ所でございますが、来
年度
は倍の十カ所の
要求
でございます。それから、まあ
職業訓練
に至らない簡易な
職業講習
を
実施
することによって
転職
が容易になり
就職
が容易になる、こういうことのために
職業講座等
の
実施
を考慮いたしております。 (2)が
婦人
及び
年少労働者並び
に
勤労者家庭
の
福祉対策
の
推進
でございますが、これは(イ)(ロ)につきましては先ほど御
説明
申し上げましたが、(ハ)につきましては、すでに
ホームヘルプ制度
につきましては本
年度
もやっておりますが、来
年度
もさらに
人員
をふやして
制度
の
推進
をはかって参りたい。 それから、
婦人少年室
の
協助員
につきましては、現在二千五百人の
協助員
の方々がおられますが、それをさらに千人ふやしたい、こういうことでございます。 それから、最後の
身体障害者
の
職業対策
の
推進
でございますが、これは
身体障害者
の
雇用促進
のために現在
適応訓練
をやっておりますが、それの
拡大
、
実施
、それから
身体障害者
の
職業紹介体制
を
充実
強化
するということが
内容
の第一点でございまして、第二点は、
身体障害者職業訓練所
、現在八カ所でございますけれども、これは
施設
その他の
拡充
をはかっていく、こういうことで
予算
を
要求
いたしております。 以上たいへん簡単でございましたが、
概要
について御
説明
申し上げた次第であります。
藤田藤太郎
3
○
理事
(
藤田藤太郎
君) 本
議題
に対する
質疑
は午後に譲りたいと思いますが、よろしゅうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田藤太郎
4
○
理事
(
藤田藤太郎
君) さよう決定いたします。
—————————————
藤田藤太郎
5
○
理事
(
藤田藤太郎
君) 次の
議題
は、
水俣
労働問
題について
議題
といたしたいと思います。よろしゅうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田藤太郎
6
○
理事
(
藤田藤太郎
君)
質疑
のある方は順次お願いいたします。
小柳勇
7
○
小柳勇
君 私は、熊本県
水俣
市の新
日本窒素労働組合
と
会社側
との
紛争解決
を中心に、
労働省
、通産省、
警察庁
及び
海上保安庁
に質問いたします。 御存じのように、
水俣スト
は第二の
三池闘争
とまで言われ、二月一日に新
賃金
の
要求
以来、今日なお
労使対立
のまま
紛争
を続けておりますが、
労働省
は現在の
紛争状態
をどのように把握しておられるか。
次官
が見えておりますが、
次官
はこの
争議
の
重要性
なりあるいはその本質なり、どのように把握せられているか、まず
次官
からひとつ御見解を聞いておきたい。
田村元
8
○
説明員
(
田村元
君) 私、このたび
労働省
の
政務次官
を拝命いたしました。
労働行政
にはまことに未熟な者ではございますが、今後とも何かと御
指導
御鞭撻をお願い申し上げます。 ただいまの
小柳
さんの御質問でございますが、新
日本窒素
の
水俣工場
の
争議
はまさにおっしゃるとおりでありまして、
労働省
としましてもまことに頭の痛い問題でございますが、何分にもロックアウトに至るまでの
スト
の問題、またその後においても中労委の交渉のあっせんの不調という
事態
が起こりまして、しかも、
争議
のさ中に第二
組合
の
就業
ということも起こったのでありますが、われわれといたしましては、何とか早期にこれが解決を見なければならない、これはもう当然でありますし、またその点において関心を深く持っておるものであります。ただ、問題といたしましては、現在地労委でいろいろとあっせん中でもありますし、今しばらく
事態
を十分見きわめながら善処いたしてゆきたい、かように考えておる次第でございます。
小柳勇
9
○
小柳勇
君 ただいま
次官
から話がありましたように、中労委なりあるいは地労委が再三誠意をもってあっせんに努めておるようであります。きょうは中労委の方をここにお招きすることができませんでした。藤林先生の葬儀のために残念でございますが、中労委のあっせんも、
組合
側よりむしろ
会社側
のほうがこれを拒否し続けておる。地労委のあっせんに至りましては、あっせんに入ろうとすると、あらかじめ
会社側
のほうが、あっせんなど受けてもしようがない、こういうような態度でいわゆる安定
賃金
なるものを押しつけようとしておる。四カ年間
スト
ライキをやらないということを中心に賃上げの問題が交渉されつつある。このことは
労働
法の精神にも反するし、中労委なりあるいは地労委というあっせん機関をも無視した態度ではないかと思うんですが、そういう点についても
労働省
としては十分把握しておられるかどうか、お聞きいたします。
大島靖
10
○
説明員
(大島靖君) 新
日本窒素
水俣工場
における
紛争
の発端は安定
賃金
に関する問題でございます。長期安定
賃金
の問題につきましては各方面においていろいろ議論のあるところでありますが、ただいまその問題をめぐって非常に世間の注目を浴びておる
争議
中でございますし、また、ただいま
政務次官
が申し上げましたように、地労委でせっかくあっせん中でもありますので、この安定
賃金
闘争その他
内容
について今
労働省
として論評いたしますことは、ちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。
小柳勇
11
○
小柳勇
君 地労委がただいまあっせんいたしておりますが、公益
委員
が中心のようでございますが、私どもが
調査
に参りました今月初めの実情では、使用者側
委員
が全部辞表を出しまして、地労委の機能が麻痺しておるような状態を聞いております。その直接の原因は、あの工場から出ておる工場長の使用者側
委員
が初めに辞表を出された、それが波及いたしまして、使用者側
委員
全部が辞意を漏らされた。そのために全体的な地労委の活動というものは麻痺状態にあるということで聞いております。今公益
委員
を中心にあっせんが続けられておるようでございますが、そのような中労委なり地労委の能力が麻痺するようなことに対しては、これは闘争本質の問題よりも、むしろ私は
労働
法の問題として、
労働省
が僕は積極的にこれを
指導
するなり、あるいは善後策を講ずることが必要だと思うが、この
水俣スト
を一応はずれて、中労委の機能なり地労委の機能を守るためには、一体
労働省
としては、
労働
法を守る立場からどのような働きをしようとされるか、この点をお聞きいたします。
大島靖
12
○
説明員
(大島靖君)
労使
が自主的に
争議
を解決することが困難な場合、
労働
委員
会があっせんなり調停に出て参るわけでございますが、その際も、あくまでこの自主的な交渉を援助し、これを解決に向けていく、これが主眼でございますので、その場合も、このあっせん案の諾否でありますとかそういったことについては、
労使
の自主性を尊重する建前になっております。したがって、これを、
労働
委員
会の調停なりあっせんを受けなくちゃいかぬということを強制する建前ではないわけであります。ただ、
争議
のあっせんなり調停過程におきまして、
労使
がこの
労働
委員
会の活動に協力して、できるだけ早く円満に解決するという建前で
労使
がこれに協力してあれすべきは当然だろうと思います。そういった意味で、今回の
争議
につきましても、
労働
委員
会といたしましては、相当苦労いたしまして
努力
をいたしておる。なお、県当局、
労働省
といたしましても、若干その間トラブルもございましたが、県当局を通じまして、そういう
事態
の起こらないように
関係
当事者に注意を促しておるような次第でございます。
小柳勇
13
○
小柳勇
君
次官
がお急ぎのようでありますから、
次官
にお尋ねいたしますが、県当局なり市当局なり、あるいはあの周辺にある、
労働
法をまあわかっておるような方の御意見を聞くと、あまりにも
会社側
が強引ではないかという意見が多い。それは、安定
賃金
というのは四年間
スト
ライキ権を取り上げることではないか。で、
賃金
についてはよそ並みに上げましょう、ただし
スト
ライキはなりませんぞと、こういうように、
賃金
を上げることを口実に、
労働
法によって与えられておる、憲法で保障された
スト
ライキ権を、会社の力をもって強引に、
労働
組合
、
労働者
から取り上げるようなやり方については、これは新しい現在のこの資本家というもの、あるいは使用者というものは、よほど心しなければならぬと思うのですが、
労働
法を預かっておられる
次官
として、そのようなやり方に対して一体どのような御見解をお持ちでしょう。
田村元
14
○
説明員
(
田村元
君)
労働
争議
権といいますか、これはもちろん
労働
基本権の一つでございますから、しかも重要な基本でありますから、十分尊重しなければならないことは当然でありますけれども、しかしながら、
労使
が合意で
労働
協約を締結した場合、その有効期間中
スト
ライキをやるとかやらないとかという
内容
については、これは法律的にどうこうという筋合いのものではございませんので、あくまでも合意でおやりになった以上は、これはわれわれとしてもながめていくといいますか、そういう態度に出る以外にないと思います。 ただ、問題は、長期にわたってそういう
労働
協約を結んだことが、はたして
労働省
としてどう考えるかという御質問の御
趣旨
でありますけれども、今非常に、それでなくても一触即発のたいへんな微妙な段階でございますので、この点についての論評はひとつお許しを願いたいと、かように考える次第でございます。
小柳勇
15
○
小柳勇
君
次官
は自民党の党員でありますから、まあ
次官
という立場より……。最後に、私は
次官
の見解を聞いておきたいのですが、社会党の議員もあそこに
調査
に参りますし自民党の議員も
調査
に参りますが、その自民党の議員が帰りますときに、まあこの闘争はもっと第二
組合
を育成してやらなければ解決しないのだというようなことが、堂々と新聞に記者会見で発表されておる。
労働
争議
を
労働
法を中心に、しかもわかっておる方が、そういうことであふるようなことでありまして、なお闘争に油を注ぐような現象を見て参りました。したがって、まあ党内にお帰りになりましてお話でもある機会には、そういうばかなことはやらぬようにしようではないか、そのくらいのことはひとつ
次官
という立場を離れて皆さんのほうの
労働関係
の方にお話しおき願いたいと思います。これはまあ
次官
の見解を聞く意思はございませんから、私はお願いをしておきます。 次に、もう一つ
労働省
担当者のほうにお伺いいたしますが、これからも、まあ今
地方
労働
委員
会が活動しておりますからあれですが、
地方
労働
委員
会でこれが不調になって中労委にまた入ることもございましょう。そういうようなことで、私は
労働省
としてもう少し積極的に
労働
争議
というものを、ただ客観的に見ておるということよりも、むしろこれを解決する方向に積極的に中労委なり地労委に対して
指導
されるのが妥当ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
大島靖
16
○
説明員
(大島靖君) もちろん、ただいま先生から御指摘のように、地労委が現在
努力
中でございますが、なお解決がむずかしいわけでありますが、私どもといたしましては、さらに県当局を通じまして、地労委にさらに一そうの御
努力
を願うようお願いして参りたいと思っております。
小柳勇
17
○
小柳勇
君 次に通産省に質問いたしますが、先般通産省の出先機関から現地を
調査
されたようでありますが、私どもが
調査
したところによりますと、ガス爆発の危険すらある。ふなれな
労働者
が中に入りまして、ある個所を当たりました場合には、ガスの爆発をやりまして、近くにありまする鉄道線路など一週間くらい復旧不能な大事故が発生するのではないかという心配すらございました。技術的に非常にすぐれた方は、今第一
組合
に残って
スト
ライキ中である、ふなれな
労働者
が中に入って機械を扱っておる、こういうようなことで、操作上、生産上非常に危険ではないかと思いますが、
調査
された結果について御報告をお願いいたします。
倉八正
18
○
説明員
(倉八正君) お答えいたします。この私のほうで取り扱っております高圧ガス取締法に基づきましては、今御指摘のような懸念もあるかと思いまして、二回にわたって専門家を
調査
に出させまして、つぶさに工場の内部に立ち入って検査させたわけであります。その結果、われわれとしまして専門家の通産局の高圧ガス専門家の報告を受けておりますところでは、いわゆる法規にかなった配置というのは全部終わっておりますし、たとえば甲種化学主任者とかあるいは乙種化学主任者、その他国家試験を受けたいわゆる取り締まり責任者というその面からは、法規にかなった配置を終わっておりますし、それから今の
水俣
の稼働が肥料部門では大体四分の一稼働、有機合成部門では三分の一稼働でありまして、それの稼働にふさわしい
人員
の配置というのもその面については遺憾ない、こういう報告を受けております。
小柳勇
19
○
小柳勇
君 今の
説明
では、検定の合格した証明を持っておられる方が配置されておるようでありますが、
争議
になりましてから、あわてて通産省に許可を願ったような事実はございませんか。
倉八正
20
○
説明員
(倉八正君) そういうことはございません。この試験は年に二回やる国家試験でありまして、これが起こってからまだ試験をやっておりません。
小柳勇
21
○
小柳勇
君 ただいまの答弁によりますと、今入っている
労働者
が扱っておっても、ガス爆発の危険はないと認めてよろしゅうございますか。
倉八正
22
○
説明員
(倉八正君) このガス爆発の危険というものは非常に不慮なことが多うございまして、たとえば人間をよけいに配置したから絶対にないとか、あるいは少ないから非常に多いというようなことは一がいに言えないと思いますが、われわれの認定において、現在の操業度においては危険はないと、こういうふうに判定しております。
小柳勇
23
○
小柳勇
君 次に警察に質問いたします。私どもが参りまして現地を
調査
いたしますと、会社内に警官が入っている。会社の中の
施設
を借りて、これを住居あるいは休憩所に使っている。それから、十名前後の警ら隊が常に工場内を警らしている。こういうようなことはおわかりでございますか。
三輪良雄
24
○
説明員
(三輪良雄君) ただいまお話しのように、会社と申しますか、下請工場の、下請業者の事務所のようでございますけれども、そこの一部を借りておるということは
承知
をいたしております。それから、中に警察官が警らをするというようなこともあり得ることと
承知
をいたしております。
小柳勇
25
○
小柳勇
君
争議
中、
労使対立
しておるさなかに、十名ぐらいの者が一隊をなして常に工場内を俳回して、あたかも
会社側
から雇われたかのような印象を与えて巡回しておる、警戒しておるということは、
労働
争議
という本質から考えていかがでしょうか。
三輪良雄
26
○
説明員
(三輪良雄君) この
労働
争議
そのものに警察が介入すべきでないし、また介入する意図もありませんことは、毎々お答えいたしますとおりでございます。ただ、非常に残念なことでございますけれども、
争議
に伴いまして、
労使
の間に、あるいは今回のように第二
組合
というものができますと、第一、第二
組合
、あるいは相互の後援者の間に
紛争
が起こりますことは、これまた事実上あることでございます。そこで、警察といたしましては、
争議
そのものに介入いたしませんけれども、
争議
に伴ってそうして起こります
紛争
につきましては、これは国民の生命、身体、財産の保護、犯罪の予防というような見地から、必要な個所に警察官を配置をしてこれに当たらせるということは間々あることでございます。ただいまお尋ねの、
施設
を宿舎に使うというようなことは、これは一般的に申して望ましくないことは、もう私も同感でございます。 そこで、なぜこういうふうになったかということを私ども特に気をつけて聞いたのでございますけれども、八月三十一日から九月の八日までの間、梅戸港の港内にございます隧道、トンネルがございますが、そこの、土のうを
組合
側がそこに積んで、貨車並びにトラックの通行を阻害をする。これをまあ
会社側
が下請業者を使いまして排除する、どけるという作業をいたすということでございます。この際に、これはこの地域全体がロックアウトの地域、また立ち入り禁止区域でございますけれども、その付近にありましたピケ小屋から、この作業を妨げる意図で、鉄線を、鉄条網を切りまして中へ入って来るというようなことがあり、これを警備をしようとする下請業者の人夫との間にトラブルが起こるというようなことで、警察が急遽これの間に入ってこれを防いだのでございます。そとで、その土のうを排除いたしまして、そこから港に入りました原材料がそのトンネルを通って入るということになりますし、その付近には相変わらずピケ小屋があるわけでございます。そこで、その後もそこにおいて
紛争
が起こることは十分警察として予想しなければならない。 ところで、この付近にしからば建物を借りるという可能性でございますけれども、現地をごらんいただきましておわかりのように、山と港に挾まれた所でございまして、他に付近に借りるという建物はございません。やむを得ずこの構内にございます扇興運輸の事務所並びに食堂を借りまして、これは正規に賃借をするという格好で、九月八日まで、ほぼ百名ほどの者が使っておったのでございます。これは実は私のほうも、できるだけ他の建物を使うべきであるというアドバイスをいたしたわけでございます。さらに、九日以降も、実は警察官を減らしまして、そこは出たものと
承知
をいたしておったのでございますけれども、いろいろ探しました結果、どうしても他に適当な建物がないということで、今回はこの構内の外に、ロックアウトの外にございます扇興運輸の事務所の一部を借りて、三十名余りの者が泊まっておるのでございます。昨日それを
承知
いたしましたので、東京から急遽パイプ式の組み立ての建物を送りまして、これを組み立てて、そこにおります者が、さらにいることが必要であるといたします場合は、これを利用する。ただいまのような御批判を受けないようにすべきが警察の建前であると思うのでございます。 なお、中のパトロールの問題でございますけれども、これはどの地点をどういうようにパトロールしているか、詳細、私、存じませんけれども、その
趣旨
は、先ほど申しましたように、各門にピケがございますし、そういう意味で、そこにおける接触の危険のあります個所には、パトロールいたすということであろうと思います。お言葉のように、争いの一方の当事者の味方をするというような誤解を受けるようなこと、これはできるだけ避けなければならないと思います。なお、現地のそういう
事情
につきましては注意を喚起いたしたいと思います。
小柳勇
27
○
小柳勇
君 私ども
調査
したときに、県の警備部長にも会い、署長にも会って、いろいろ行き過ぎの点についても意見を述べ、その後は非常によくなっているようでありますが、もう少し、今後もありますから、現地の実情から質問いたします。一番多いときには何名ぐらいおりましたか。熊本県警の半数以上が現地に集結したという話も聞いておりますが、一番多いときはどのくらいで、現在はどのくらいか。
三輪良雄
28
○
説明員
(三輪良雄君) 報告によりますと、一番多かったのが八月十日ないし十三日でございまして、これは一千百八十人と聞いております。御
承知
のように、あそこは千八百名の定員でございますので、半数以上があそこに出たということでございます。なお、十日から十五日の間でございますが、鹿児島、宮崎から合計約二百の応援を受けているのでございます。それからあと、
事態
に応じましてできるだけ減らします。その後また多少
事態
によって若干ふやしたこともございますけれども、十七日以降は三百十五人と聞いております。
小柳勇
29
○
小柳勇
君 われわれが行ったときも相当数がいましたので、県内全体の治安の問題も心配いたしまして、その点は注意しておきましたが、最近は少し減ったようでありますが、もう一つ、八月五日事件というのがありまして、これが、第二
組合
が門を破って入った日であります。そのときに、武装警官がこの就労する第二
組合
の諸君を守って入った。そのときに相当の混乱がありまして、十五名の逮捕者を出している。こういうことについては、実態を把握しておられますか。
三輪良雄
30
○
説明員
(三輪良雄君) ただいま御指摘の事件は
承知
をいたしております。ただ、武装警官ということでございますけれども、熊本県警がこの警備に当たります際には、いわゆる制服制帽で、特にそういう混乱の際に、かえって危険を避けるという意味で、拳銃をつけずに出ておるように聞いておるのであります。鉄帽につきましては、時にかぶったこともあるようでありますけれども、これは常時制服制帽で出ておるというふうに
承知
いたしております。
小柳勇
31
○
小柳勇
君 ここに写真がたくさんありますから、私も見ておるのですけれども、拳銃はさげていないようですが、鉄かぶとをかぶって武装している。それから、その後は制服制帽になっておるようです。それから、第二
組合
の入るときに武装警官が保護するということ自体については、警備
局長
はどのような見解を持っておりますか。
三輪良雄
32
○
説明員
(三輪良雄君)
争議
の際に第二
組合
ができまして、これが就労しようということになりますと、第一
組合
がいわゆるピケを張りましてこれを説得することになるわけでございます。御
承知
のように、従来もピケをめぐりましていろいろ
紛争
がございますけれども、裁判の判決は一致いたしまして、平和的説得にととまるべきものであるというふうにされておるのでございます。そこで、平和的説得を越えまして、どうしてもとめる、しかし片方はどうしても就労するというようなことでございまするならば、勢いそこで、これは実力と実力がぶつかるということに相なるわけでございます。警察といたしましては、その際に両者に負傷等がございませんように処置をするということが当然のことかと思うのでございます。なお、その場合に、単に間に入るということでなくて、結果として第二
組合
が中に入ってしまったではないかというような意味で、保護するというふうにお考えかと思いますけれども、今申しましたように、ピケというのは平和的説得の範囲に限られるのでございます。今回の
争議
につきましても、両者の間にいろいろそういう点で争いがございまして、裁判所の仮処分の申請があり、その
結論
も平和的説得以上に出てはならないということで、第二
組合
、いわゆる新労並びに下請会社の労務者が立ち入る、あるいは出るということを妨げてはならないというふうに判示をされておるのでございます。
小柳勇
33
○
小柳勇
君 仮処分が出たあとは、
組合
側は門をあけて、説得だけで、全部入りました。私はその当初を1三千三百六十三名おる
組合
の中で、わずかに百五十名であったその第二
組合
が、就労する意思があったからもちろん門に入る。ところが、まだ仮処分は出ておりませんし、
組合
としては一番大事な時期ですから、説得活動を強固にやることは、これは当然だと思う。そのときに、もしもその武装警官の、いわゆる官憲の介入がないならば、その第二
組合
の就労はできなかったものと思う。百五十名の第二
組合
の就労によって、
スト
ライキをやって
労働者
の生活を守ろうという大きな目的が大半破られたわけです。そういうようなことを、私は、
労働
法の建前からいうならば、警察は控えるべきだと思うが、いかがでしょうか。
三輪良雄
34
○
説明員
(三輪良雄君) 先ほどもお答えいたしましたように、ピケがその第二
組合
の方々に就労しないようにという説得をすることは、これはもろちん自由でございますし、
組合
としてそうあるべきものだと思います。しかしながら、その限度はあくまで平和的説得ということにとどまるべきものであるわけでございます。したがって、平和的説得によって第二
組合
が就労しようという意図を放棄をするということであるならば、これはもう警察が介入といいますか、入るべき限りではないのでございますけれども、そういう説得を受けてもどうしても入る、しかしながら片方は、物理的力をもってしてもどうしても入れないということになると、おのずとそこにはいわゆるなぐり合いと申しますか、もみ合いと申しますか、そういうことが起こるのが実情でございます。そういう際に、繰り返して申しますように、平和的説得を越えてそういうものを実力でと申しますか、体の力でとめるということは、これは許されないということで、警告もし、制止もするということに相なるわけでございます。その結果が、御指摘のように、一方に利益するということに相なるではないかということでございますけれども、これはおのずと
労働
法にもいろいろやるべきこと、それに制限もございますわけでございますから、そのワク内で両者が主張をされるということが望ましいと警察は考えるのでございます。
小柳勇
35
○
小柳勇
君 そうすると、たとえば今入ろうとする第二
組合
は一応停止のままに置いておきまして、警察権力はピケを張っている者を排除する権限がございますか。
三輪良雄
36
○
説明員
(三輪良雄君) これは、今のように両方が、何といいますか、対立する意思を持っておるわけでございますから、説得を越えまして、どうしても聞かない、どうしてもとめる、という状態になれば、これはもうおのずとぶつかる状態になるわけでございます。警職法によりますと、そういう場合にどうしても入れないということになって、平和的説得を越えると、ピケというものが合法性のワクを越えるというおそれがあるわけでございます。場合によれば威力
業務
妨害ということになる可能性も出てくるわけでございます。そこで、そういうことによって衝突をし、人の生命、身体に危害が及ぶというふうに考えられまするような切迫した状態においては、警察がこれを制止するということができるわけでございます。その
事態
に応じていろいろでございましょうけれども、十分説得を受けた、しかしながら入ろう、どうしても入れないというような状態でございまするならば、警察としては平和的に事がおさまりますように十分何べんも警告をいたしますけれども、なお両者が争うということになれば、実力をもって制止をするということはやむを得ないことだと思います。
小柳勇
37
○
小柳勇
君 制止はわかります。それは、
紛争
を解決する目的で制止されることはわかりますが、ピケを排除する権限があると理解しておられますか。
三輪良雄
38
○
説明員
(三輪良雄君) もう何回も同じことを言って恐縮でございますけれども、ピケというものが限界を越えまして、就労をしようとするものを力によってとめるということは許されないことでございますから、それを制止をするということにつきましては、いろいろな判例はございますけれども、その状態を警察力によって排除と申しますか、その限りにおいて排除するということは制止のうちに含まれるということになっておるのでございます。
小柳勇
39
○
小柳勇
君 今回の
スト
ライキだけではございません。これは三池の場合でも問題ですけれども、今回の場合は、あとでは法の定めたとおりに
組合
は動いております。当初、まだそういうふうな仮処分が出ていないときに、百五十名のものが就労の意思があるからといって、平和的説得に応じないから、そのピケに匹敵する千名の警官の威力をもってピケを排除するということは、一体
労働
争議
に対する警備
局長
の態度としてあたりまえとお考えですか。
三輪良雄
40
○
説明員
(三輪良雄君) これは非常に微妙な問題ですから、何べん毛同じことをお答えするわけですけれども、説得が平和的説得にとどまる限りは、これはもう警察がとやかく言う筋合いではございません。しかしながら、説得を受けてもどうしても意思を翻さないということで就労しようとする、片方はどうしても入れないということになりますれば、そこでもうぶつかることは必至でございます。ただ、お言葉のように、結果が出るわけでございますから、警察といたしましては、仮想によってそういう状態に入るということは、これは控えなければいけない。そこで、今回の場合でも、現実に排除するというような段になりまする前には、十分警告をし、理解を受ける
努力
をいたしました結果やるわけでございます。一般論といたしましては、ピケはすぐ排除するということが正当であるかというようなお尋ねでございますと、そうお答えをいたすわけに参りませんけれども、
事態
というものは、はなはだ私どもとしても残念でございますけれども、あるいは青竹を横たえ、絶対に入れないという構えを示される、片方はもうこれ以上説得を受けないというような状態になりますと、あとはもうぶつかり合いになるほかないのでございます。そういう段階になりますと、十分な警告をした後に制止をするということになることは、けだしやむを得ないことと思います。
小柳勇
41
○
小柳勇
君 一般論は少しあずけまして、具体論に入りますと、
水俣
の町はあの会社によってできたような町です。しかも、あそこに働いておる方はほとんど市内、近傍の方です。その近傍の方の生活を守るというのに、町一体となって今やっておる実情です。そういうときに、わずか百五十名のものを警官が守って、ピケを排除して中に入れたということは、そこに生活しておる
労働者
の生活を、会社から頼まれて警察が会社に加勢をして、そうしておれたちの生活を圧迫するのだ、そうしか取っていない。これは、法もいろいろ微妙な点がありまして、あとは常識論でしょうが、そういうような行き過ぎを私は警官はやるべきではない。そういうことが腹にあるもんですから、今一般論で論争していますけれども、私はあの場を見まして、町中で闘争——
組合
を支持しておるような情勢の中で警官が入っていくことは、会社から頼まれて会社のために警官は働いておるとしか言えない。一番冒頭に言いました警らの問題もそうです。民家の宿舎を借りて泊っていることもそうです。それから百五十名を守りながらピケを排除して中に入れたこともそうです。そういうことは、私は民主国家の警官がその国民の前でやることではなかろうと思う。ある面では会社から怒られることもありましょうが、ピケは私は少し見解が違います。
労働
法の建前でいうならば、
スト
ライキというのは、これは与えられた権利ですから、憲法に保障された権利ですから、それも、ピケを張って説得をやる、これも私は与えられた権利、それをそこまで、かち合ったからこれを両方制止する、これは警官の任務でしょう。それからさらに、こちらを排除してこちらを中に入れるということは、私は警察権の行き過ぎだと思う。そういうことで論争するのはまた別の機会にしましょうが、現状としてはそうですから、今後もしそういう
事態
が起こりました場合に、警備
局長
として十分ひとつ慎重に処置してもらいたいと思います。もう意見は聞きましたから、意見は聞きません。この後の処置について少し聞いておきたいと思います。
三輪良雄
42
○
説明員
(三輪良雄君) 具体的の問題、この問題に限ってお尋ねになりましたので、この問題に限ってお答えいたしますが、
小柳
委員
のお言葉では、百五十人の者をピケを排除して警察が入れたというお言葉でございますけれども、八月十一日に第二
組合
が入ったときのことをおさしだと思います。これは私は一応聞いておりますところでは、その前数日にわたりまして新労が就労しようとし、ピケでこれは説得を受けて目的を達しない状態が続いておったわけでございます。そこで、八月十一日には三手に分かれて、一手は船に乗って港から入ろうとしたといい、これは船でとめられておったそうでございます。一手はまた正面の門に向かって、これがまたピケで説得を受けて、これは入れなかった。そのときに、もう一手のものがバスを連ねまして、何か海水浴に連中は行っておったようですが、そういう形で裏の門の、国鉄の引込線がございます、そこににわかに降りまして、そして水路があるようですが、その水路の上を渡っておりますまくら木を渡ってその門に殺到し、まあ最初の者は門を乗り越えたようですが、あとは門を明けて入った、数分にして入ったということを聞いておるのでございます。当時そこには十名内外のピケ員もおられたようですけれども、まあ思いがけないことであったせいもございましょうか、あるいは人数の違いということもございましょうか、説得というような形でなく、まあどっと入ってしまった。中には水路に落ちてずぶぬれになったような人も何人かあったようですけれども、入った。そこへ、そのことがわかりまして、正門のほうのピケが、まあ非常にこれは憤然としてかけてくるというような状態があった。警察は、当時連日にわたって入門しようとする動きがございましたし、そしてどの門に向かうかということもわかりませんし、相当分散して配置をいたしておったわけですけれども、血相変えてそこに行くという者が、行けばちょうどそのみぞの上に、何と申しますか、足場の悪いところで事が起こるというようなことになりますので、そのかけつける者を警察がそこでとめたという事実はあるようでございます。しかしながら、ピケを張っておりますところを警察が排除をして、百五十人の者を中に入れたというのは、いささか事実が違うのでなかろうかというふうに考えます。 それから、今後の問題といたしましても、今の説得ということが、これは
組合
にとってきわめて大事だということは、御指摘のとおり私も理解をいたします。そこで、警察がそういうときに処するには十分慎重でなければならぬという御注意も、よく了解をいたします。各地におきます具体的の
事情
はいろいろ違いますけれども、そういう
趣旨
で私どもは
指導
して参りたいと思います。
藤田藤太郎
43
○
理事
(
藤田藤太郎
君) この際、
委員
の異動についてお知らせいたします。 本日、
杉山善太郎
君が
委員
を辞任せられまして、その補欠に
亀田
得治
君が選任されました。
小柳勇
44
○
小柳勇
君 これは
組合
側の報告ですから、一方的の点もありましょうが、参考のために一部だけ読んでおきたいと思います。 八月五日の点は、「
スト
破り、就労強行の見通しが濃厚になったので、生産再開の場合の危険性について
関係
先へ働きかける。御用
集団
が警官にヨーゴされ八幡アパート宿泊のため十八時頃から行動開始、アパート附近には若干のピケットラインを敷いていたが、このピケットラインに警官が「突っこめー」の号令一下突入、公務執行妨害ということで
組合
員四名を不当検束(一名はすぐ釈放)十二名の負傷者を出す。これは、アパートの宿泊について御用
集団
の幹部と
組合
代表と話し合い中に警官が現地に先行、実力行使したものである。」、こう書いてあります。 それから、八月十二日の点、今警備
局長
が言われたのは、「午前八時より、
組合
員及び家族の総決起大会開催、参加
人員
は
組合
員二、五八二名、家族一、五八九名合計四、一七一名、なお、この外若干の拠点勤務者、病弱者、発電所
組合
員はこの大会には参加していない。大会終了後、御用
集団
事務所、警察署等ヘデモ行進。午後一時頃御用
集団
約二〇〇名が警察に護衛され東門前にあらわれ就労の意志表示を行なう。多少もみ合いとなったがピケ隊に阻止され引上げる。」 五日と十二日の点はこういうことを書いてありまして、警官が第二
組合
、新労と一緒にやってきてこの日は引き上げておるのであります。前の点は、宿泊所に行くやつを警官が護衛してきて……。
警察庁
に対する質問については以上で終わりますが、現地の警察当局には、
亀田
委員
、それからもう一人、私、三名参りまして、いろいろ話しまして注意はしておきましたけれども、今後また起こる可能性もあるし、あとで質問いたします大正炭鉱の問題にも
関係
をいたしますから、そういう問題を質問したわけです。 それから、
海上保安庁
に質問いたします。八月の末日でありますが、工場から残っておりました製品を船で出しました。そのときに、
海上保安庁
の巡視艇七隻でこれを護衛して運んだということが報告されておりますが、事実でしょうか。
樋野忠樹
45
○
説明員
(樋野
忠樹
君) 辰巳丸のオクタノール積み出しのことと思いますが、私どものほうは、従来とも
労働
争議
に関しましてはあくまでも厳正中立であるし、海上における不法行為だけを取り締まるという方針でございまして、当日も、ずっと前々からいろいろ新労組も旧労組も漁船等をチャーターいたしまして、海上でいろいろデモ行為などをやったりすることもございましたので、当日また
紛争
が起こるということよりも、むしろ海上における、非常に多くの人が乗って海の上に出ます
関係
上、海難、人命の救助等も考えまして、確かに船は七隻出しましたが、それを積み荷を護衛して出すために出したのではございません。そういうふうな海上におけるいろいろ危険防止のためと、海上においていろいろ起こりますところの何といいますか、違法行為等に対しましての見張りといいますか、見守りといいますか、そういう意味合いで出したのでございます。
小柳勇
46
○
小柳勇
君 あの周辺には巡視艇は何隻くらいいるのですか。
樋野忠樹
47
○
説明員
(樋野
忠樹
君) 三角の海上保安部が五隻でございまして、そのうち一隻は小さい高速機動艇でございますが、これは船に積んでおりますので、六隻でございます。当日は牛深から一隻出ましたのでございます。
小柳勇
48
○
小柳勇
君 周辺の巡視艇全部集めて、その会社の製品を積み出す一そうの船を巡視艇七隻で、これを搬出する援護をする、護衛をするということは、常識上どうでしょうか。
樋野忠樹
49
○
説明員
(樋野
忠樹
君) 三角の船が六ぱいでございまして、
水俣
は三角の管轄区域でございます。それから、一番近い牛深のほうが
水俣
に近いので、計七隻でございます。全船艇を使ったということはむろんございません。
小柳勇
50
○
小柳勇
君 全船艇もですけれども、ほかのほうにもしも海難事故等があった場合も手薄になることは事実ですが、製品を積み出す一そうの会社の船を七隻の巡視艇で守って出す、それが非常識ではないかと、こういうことを言っている。いかがですか。
樋野忠樹
51
○
説明員
(樋野
忠樹
君) 全部の船が港の中に入ったのではございませんで、港の外と、それから中とでございまして、何分海上は非常に広うございますし、船もまた小そうございます。ぱらぱら、ばらばらでございますので、なかなか陸上におけるいわゆる警官の制止その他、そんな多人数が集まりますような混み合い方ではないわけでございます。
小柳勇
52
○
小柳勇
君 何からの襲撃を七隻の巡視艇で守ったんですか。
樋野忠樹
53
○
説明員
(樋野
忠樹
君) 襲撃等を守る意味はございませんで、いわゆる海上における
紛争
を予想されるような場合に備えましてのことでございます。
小柳勇
54
○
小柳勇
君 どういうことで海上の
紛争
が起こるのでしょうか。
樋野忠樹
55
○
説明員
(樋野
忠樹
君) 前々からいろいろ新しい
組合
も旧労組のほうも、海上における、いわゆる何といいますか、陸上の就労をはかるためかどうか知りませんが、いろいろ行動を起こしておりまして、それから一般の船も港の中にもむろん入るわけでございますので、さような意味合いで、前々花火だとか、それから煙幕等を打ち上げたようなこともございましたので、もしものことがあると、非常に人がけがをしたり、落ち込んだり、重装備をたいていしておるものでございますので、落ち込みますと、すぐ船が行かないと死人が出るような
事態
が起こりますので、船を出したような次第でございまして、そういうような特別排除するというふうな
考え方
は毛頭ございません。
小柳勇
56
○
小柳勇
君 その巡視艇七隻出す場合の指揮は、出るときの指揮、命令はどっから出たのでしょう。
樋野忠樹
57
○
説明員
(樋野
忠樹
君) すべて現地の保安部長の指揮でございますが、
中央
といたしましては、
警察庁
等と同じでございまして、一応の大綱を管区のほうへ示すわけでございます。
小柳勇
58
○
小柳勇
君 私どもの常識では、一そうの船を、会社の船が出るのに、七隻の巡視艇でこれを守って出すというようなことについては、まことにどうも非常識だと考えますけれども、今最高責任である、当時の責任であるあなたがこれを是認しておられることについては、私まだ十分納得できません。したがって、その末端機構のほうも少し調べなきゃなりませんが、幸いあと
調査
団が出ますから、これはあと
調査
を依頼しておきたいと思うのですが、私どもこの前の
三池闘争
のときも、海上保安部の動きが若干行き過ぎであるという非難がございました。今回は市民の皆さんも、
海上保安庁
の船が七隻も、それで守っていることについての相当の非難があるようです。今後いろいろ問題が起こりましょうが、十分ひとつ常識で判断できるような措置をしていただきたい。もう一応見解を聞いておきたいと思います。
樋野忠樹
59
○
説明員
(樋野
忠樹
君) 先ほどからも申し上げましたように、あくまでも
労使
双方の十分な権利の主張のし合いでございますので、介入する意思は全然ございませんで、あくまでも海上における危険の防止のためでございます。さように御了承いただきたいと思います。
亀田得治
60
○
亀田
得治
君 本件につきまして
小柳
委員
から主要点の御質問がございましだから、私は補足的に一、二点確かめておきたいと思います。 私も現場をせんだって見てきた一人でありますが、最初に
労働省
のほうに伺いたいわけですが、まあこの
争議
は今までに例を見ないような非常に特殊な
内容
を持った
争議
だというふうに私たち見てきたわけです。そこで、先ほど
政務次官
並びに大島
局長
からは、現在地労委等であっせんが進行中だから見解の表明を避けたいという
趣旨
のお話もあった。なるほど
事態
をスムーズに進めるのにはそういうことも一つの
考え方
であろうと思います。しかし、私は四年間の安定
賃金
、
スト
ライキの放棄ということを含んだこの特異な
争議
というものについては、むしろ
労働省
側がどういう考えを持つかということをはっきり見解を示すことのほうが、現在進みそうで進まないあっせんというものを進めるのではないか、むしろ逆にそういうふうに考える。たとえば
労使
双方の
賃金
の額が食い違ってなかなか歩み寄りがないといったような場合には、これはもう双方にまかせて私はいいと思う。ところが、これはもう基本的な問題にぶっつかってきているわけなんです。だから、こういうことについては、当然これは国の
行政
の責任者が見解を明らかにする。ともかく
労働
組合
のほうは、この
スト
ライキにおいては総合化学メーカーのほかのメーカーと同じだけのものを会社が出してくれたらいいのだ、これ一本やりなんですね、中身としては。何もそう私は無理を言っているとは思わない。ほかの総合化学メーカーと同じような
程度
でいいのだ、初めからこう言っている。ところが、向こうが四カ年の安定
賃金
と
スト
ライキの放棄、こう出てきているわけです。そこで、
労働
組合
法の十五条ですね、御
承知
のように、ここでは
労働
協約は三年、こう書かれておるわけですね。ともかく
労使関係
の状態というものは非常に目まぐるしく変わるわけでしてね。ことに最近のような
経済
情勢のもとにおいては、非常に変わり方が早い。そういうものの中で長期の
労働
協約というものは
労働者
に対して酷だ、こういう立場でこれは立法されているのだと思う。だから、この現実にある
労働
組合
法の第十五条、私はこの精神にまさしくこれは反する提案だと思う。慎重にかまえるということもいいと思いますが、明らかに
労働省
自体が守っていかなければならないその肝心の法規にまっ正面から挑戦するような提案がされている。これに対して見解を明らかにしないということが、少しかえって問題をこじらすというふうに考えるわけです。そういう立場から、むしろこういう点についてははっきりと見解を言ってほしいというのが私たちの気持なんです。
大島靖
61
○
説明員
(大島靖君) ただいま
亀田
先生から御指摘のありました点、
亀田
先生としても本件のなるべく早く円満に解決がされることを御
希望
になっての御指摘でございますが、私どももまた同じように考えているのでありますが、ただ、その目的のためには、私どもとしましては、今その
内容
について論評いたしますことはかえってこじらせるのではないかと思いまして、差し控えたいと思っておるわけなんであります。ただ、法律上の問題についてのお答えでございますので、本件の
内容
についてというよりも、むしろ一般的な法律の解釈といった点から、私どものほうの法規
課長
から御
説明
申し上げたいと思います。
青木勇之助
62
○
説明員
(
青木勇
之助君) ただいま先生御指摘の労組法十五条でございますが、有効期間を
労働
協約におきまして明確に定めます場合、そういう場合は最長三年というふうにきめられております。したがいまして、かりに四年なり五年なりという確定期限付の協約を締結いたしましても、それは三年の有効期間をもって締結されたものとなります。なお、そういう確定期間を付せずに、無期限の
労働
協約というものも締結し得る建前を労組法はとっておりまして、そういう場合は、
経済
情勢の変動あるいは会社の経営
状況
の変動等によりまして、かえって
労働
協約を固定化いたしますと
紛争
が起こり得るというような
観点
から、そういう無期限の
労働
協約につきましては、九十日前の書面による予告によってこれを解約することができるということでもって
労使
間の安定をはかっておるわけでございます。したがいまして、ただいま
会社側
が提案いたしております四年間の安定
賃金
協定というものが無期限の
労働
協約として締結される、あるいは確定有効期間を持って締結される、それによってその効果は変わって参ります。かりに四年間というふうに結びましても、法の建前上三年間の有効期間を持ったものとなる。一方、無期限のものということに相なりますれば、先ほど申し上げましたように、一応有効でございますが、
経済
情勢の変動等に応じて九十日前の予告でもって一方的にこれを解約ができる、こういうふうに法律的には相なっております。
亀田得治
63
○
亀田
得治
君 そういたしますと、会社が言うような四年間というものがかりに
労使
双方間で妥結したとしても、法律の認めないそれは四年間、したがって三年にそれは短縮される。したがって、三年以上の長期のものをやってはいけないということは、これはもう強行法規なんです。労組法上これは明確なことです。そういう強行法規、絶対に守らなければならぬ法規に反するような提案が
労働
組合
の意向を無視して
会社側
から出されておるわけです。
労働
組合
も、いや、もう四年でも五年でもよろしいという場合であれば、多少、若干
事情
も違うでしょう。まあそうなっても、結果としてはそれは無効ですが、ところが、そういうものを
組合
の意向を無視して向こう側から出しておるわけです。こういうものを出されて、一体
労働省
が黙っておるというのが私はおかしいと思うのです。だから、少なくとも、そういう提案自身に矛盾があるのだ。これは
水俣
争議
とは別個だ、一般論としても、そういう提案は労組法に矛盾するのだということを、これは私は明確にする義務がある。あなたのほうでは、いや、それは四年、五年というものはやったって、結局三年に短縮されるのだから、同じことだと言われるかもしれぬが、実際はそうじゃない。そんな法を無視したようなことを一方的に押しつけようとしておるところに大きな問題が出ておる。ただいまの法規
課長
の答弁によりまして、
水俣
争議
に関しておっしゃった意味ではないようですが、しかし、当然これは
水俣
争議
にも
適用
さるべきそれは理屈なんです。だから、そういうことはともかく大臣くらいがちゃんと声明をして、ぴしゃっとやらぬから、
会社側
が調子に乗って、今度は地労委の機能自体を破壊するような辞職戦術をとるとか、全く行き過ぎたことをやっているわけです。だから、この点は少なくともひとつ最高首脳部の中で私は検討してほしいと思う。
労働
三法の中の重要な規定が公然と無視されるような提案、それが中心になってめんどうな
スト
ライキが起きている。そんなことは放置すべきじゃ絶対にない。そう思いませんか。
大島靖
64
○
説明員
(大島靖君) ただいま法規
課長
が申し上げましたのは、労組法の規定は、確定期限付のものについては三年と解する、期限のつかないものについては相当の予告期間を置きまして一方的に解除できる、こういう法律の建前になっておる、したがって、そういう意味では必ずしも法律違反とかそういうふうな形のものではないと解されるのである、そういうふうに法規
課長
が御
説明
申し上げたと、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
亀田得治
65
○
亀田
得治
君 それはでき上がる文書によって法規に違反するかしないかということがきまるものじゃないのですよ。でき上がった文書には確定期限がついておるわけじゃないからいいのだという
趣旨
のものでは私はなかろうと思う。ともかく四年間重要な
労働
組合
の権利が剥脱されるような協定を結ぶこと自体、確定期限があろうがなかろうが、四年間はだめなんだぞということがはっきり前提になってついておるということになれば、協約の形式いかんにかかわらず、これは十五条に反するものだ、そこを言っておるわけです、実質的に。現実に考えましても、そんな四年先のことまでわかろうはずがないじゃないですか、
水俣
の場合以外の場合を考えても。
大島靖
66
○
説明員
(大島靖君) この
労働
協約というものは、
労使
双方が互いにその期間の間は相互にこの協約の
内容
を守らなくちゃいかぬ、こういう義務があるわけでありますから、その点につきまして、相当長期にわたってはいろいろな
事情
の変化というものがある。したがって、これが確定期限付のものであるならば、あまり長期にわたることは
事情
の変化に伴って、いい場合もあるだろうし、また悪い場合もあるだろう。したがって、これは三年とする。ただ、期限をつけないものにつきましては、これは一定の予告期間を置けば一方的に解約できる。こういう形でありますから、この点については必ずしもそれを排除するというものではない、こういうふうな法律の建前と解釈いたしております。
亀田得治
67
○
亀田
得治
君 どうも意味がはっきりしないと思うのですがね。四年間
スト
ライキ権を行使しない、放棄するということは、すでに期限がついておるじゃないですか。それがどうして
労働
組合
法十五条に相反しないのですか。
青木勇之助
68
○
説明員
(
青木勇
之助君) 私、先ほども申し上げましたように、
内容
は三年なりあるいは五年という一応の期限を付しまして、かりに無期限で協約を締結する、有効期間を一応無期限で協約を締結するということも、法律的には不可能ではないわけでございます。もしそういう結び方をいたしますれば、二年目に
経済
情勢が非常に変動したという場合には、先ほど申し上げましたように、九十日前の予告をもって解約できる。一般の
事情
変更の原則というような一般法規に従わず、労組法十五条三項、四項の規定によって一方的解約ができるというふうになっております。現に今
水俣
で提案されておりますその四年間の安定
賃金
協定というものが、確定期限付で四年間というふうに締結されるのか、あるいは無期限の
労働
協約として締結されるのか、そこらあたりの
事情
はまだはっきりいたしておりませんので、その点についての見解の表明は差し控えさしていただきたいと思います。
亀田得治
69
○
亀田
得治
君 どうもおかしいのですがね。なるほど文書の形式は確定期限がついていなくても、中身において四年間安定
賃金
、こういうことが明確であれば、少なくとも
会社側
はその部分については確定期限なんだ、こういう主張は必ずやってくるですよ。これはまた当然です。ただ形式的にこの
労働
協約は何年間だということが書いてあるなしの問題じゃなしに、四年間のことをきめているのでしょう。そうでしょう。だが、まあしかし、時間がないですから、そういう理論的なことは抜きにいたしまして、ともかく
労働
協約を結ぶという以上はそれを守っていこうということになるでしょう。初めから、途中で破棄することを念頭に置いて、四年とか三年とか、そんなことを言うこと自体がおかしいですよ。期限をきめておいて、途中で破棄されてもいいんだ、そんなことはおかしい。だから、そういう文書の形式は別といたしまして、四年間の安定
賃金
というような打ち出し方は、少なくともこの十五条の問題と非常に重大な
関係
が出てくるじゃないかという点を申し上げているわけです。だから、あなたのように、その場合でも二種類あると考えられるというならば、二種類を分けて
労働省
の見解を発表してもらってもいいわけなんです。だから、何かこういうことについて黙っているという法は私はないと思う。
大島靖
70
○
説明員
(大島靖君) 労組法の解釈につきましては、ただいま申し上げたとおりなんでありますが、ただ、この際、この問題について見解を発表するということは、どうもその点
事態
をかえってこじらせ、紛糾させるような感じもいたします。
亀田
先生の御指摘なさいます御意図は、要するに本件をなるべく早期に円満に片づけたい、こういう御意図であろうと思いますし、私どももまたその点については変わりはないので、今後ともひとつできるだけ
関係
方面協力いたしまして、円満早期解決に
努力
を続けて参りたいと存じます。
亀田得治
71
○
亀田
得治
君 じゃ、
労働省
はまあこの一点だけにとどめておきまして、あと警察にちょっとお伺いします。 警備
局長
が何か御用件でお帰りになったようですが、先ほど
小柳
委員
からの御質問の点ですね、非常に重大な点に触れておるわけです。第一
組合
がピケを張っている、第二
組合
がそこへ来て就労しようとする、そういう場合の警察のあの答弁では、結局第二
組合
を工場の中に入れることをお手伝いする、こういう結果になるわけです。で、警察がほんとうに、衝突
事態
を防ぐのだ、それ以外には何らの意図がないというのであれば、第一
組合
がピケを張っておる、そこへ第二
組合
が突っ込んでくる、これをとめなければだめなんです。そうでしょう。第一
組合
も、特に今回のような
スト
ライキの場合には憲法上の問題、
労働
組合
法上の重要な問題、こういうのがこの
争議
では提起されておるわけなんです。第一
組合
が、あくまでもこの会社の意図というものを実現さしてはいかぬという立場で強いピケを張っているわけなんです。ピケの限界といいましても、それはなかなか問題々々によってやはり判断しなければならない。本件のごときは
労働
組合
にとっても基本的な問題で起きておる。そういうピケなんですよ。だから、こういうピケを排除するのは、どうしてもそれを排除して入りたいというなら、裁判所へ第二
組合
かあるいは会社が申請をして、それによってやるべきですよ。権利と権利がぶつかっているわけなんです。借家人が家賃を払わぬからというて、払わんければ実体法の面では当然これは明け渡して出なければならない。だからといって、家主がのこのこ入っていって追い出すことはできないでしょう。そんなことをすれば、当然警察も、むしろ実力で中へ入ってくるのに対して、そいつをほうり出すでしょう。逆に、その理屈と一緒なんです。第二
組合
が実力行使をやるから、こうぶつかるわけなんです。ぶつかること自体を防ぐというなら、なぜそれをとめない。そうでしょう。 それはピケの限界は平和的説得だ、こう警察は言いますが、平和的説得がどういう状態のものか、正当なものかどうかということは、これはなかなか警察だけでは判断ができないことでしょう。両者おのおのの主張があって、そこでこう意見のやりとりをしているわけですから……。いずれにしろ、ぶつかってきたのが悪い、警察としてはそういう立場に立つべきなんです。だから、ぶつかることを防ごうというのなら、警職法によって、第二
組合
が来れば、これはぶつかることはわかっているから、それを排除すればよい。ぶつかるという場面が起こらぬ。それじゃ会社が困るというなら、仮処分申請をしてピケを排除したらいい。今度の場合でも、この仮処分が出た以降におきましては、仮処分の線に沿って第一
組合
も行動して構内に入れておるわけですね。そういう仮処分が出るまでは、裁判所も
争議
の性格なりいろいろな点をよく検討して、この
程度
の入構を認めるべきだ、こういうことであの仮処分を出した。出した以上は、第一
組合
もこれに従ったわけなんです。そこに至るまでは、そんな警察だけで判断して、結果において第二
組合
だけは入って、しかも第二
組合
の諸君が多少乱暴してもそれは見のがしている。第一
組合
だけを逮捕している。こんなことは間違っていますよ。警備
局長
がいないから、ちょっとこれは工合が悪いわけですが、あなたがかわってひとつ答弁をして下さい。
土田国保
72
○
説明員
(土田国保君) ただいまの御質問でございますが、われわれといたしましては、先生といささか見解を異にしているのでございます。まず第一に、この問題はいわゆる借家人その他の問題とやや性質を異にしておるように思うのでございまして、民事事件というわけには参らないのではないかと思うのでございます。第二
組合
が突っ込むからトラブルが生ずるということでございますが、これは個々のケースでございまして、具体的な事件についていろいろ検討を要する問題と思いますので、一般論としてお答え申し上げたいと思うのでございますが、一応第二
組合
が突っ込む場合、いろいろな形がございましょう。ただその場合、一般的な場合としましては、いわゆる第一
組合
と申しますか、あるいはピケ隊と申しますか、そのピケ隊のほうがやはり団結の威力ないし平和的説得の限界を越えて実力でどうしても入れないという、いわば威力
業務
妨害のやや疑いのあるような
事態
ということが通常多いようでございます。そういう場合でございますれば、警職法第五条ということになりますと、その行為により、人の生命、人体ないしは財産上重大な被害の生ずるおそれがあって、急を要する場合、ということに該当しようかと思うのでございまして、その際、やはり制止すべきは第一
組合
ないしはピケ隊のほうの行為ということになろうかと思うのでございます。
藤田藤太郎
73
○
理事
(
藤田藤太郎
君) 速記をとめ て。 〔速記中止〕
藤田藤太郎
74
○
理事
(
藤田藤太郎
君) では、速記を始めて。
亀田得治
75
○
亀田
得治
君 そういう形式的なことばかり言っているから、
事態
に沿わぬことが起こるのです。たとえば、本件のような場合におきましても、会社の ロックアウト自体が非常な行き過ぎだ、こういう
考え方
を裁判官によっては持ちますよ、本件の実態をよく調べれば。裁判所自体も相当この仮処分を出すには頭を悩ましたわけだ、まあ終局的にはいろんな条件をつけて仮処分は出ておりますが。では、かりに
会社側
のやり方が権利の乱用だというような立場から、仮処分が出なかったら、一体どうなるか。出なかったら、結局警察がやっておったことは全部間違いということになる。だから、そういうものだから、両者の権利がぶつかっておる場合の判断は、裁判所に求めてやるべきなんだ。そこを言っているわけなんだ。借家の場合と違うと言いますが、少しも違いません。理屈は一緒なんです。あなたの言うような議論だったら、どんどん家主が借家人を実力で追い出す、そういうことにも発展しかねません。それはいかぬのだ、そうおっしゃるに違いない。それならば、その未確定の状態のそういうピケット・ラインの扱い方、これはよほど
研究
してみる必要がある。形だけじゃだめです。一体
争議
はどういう本質があるのだろうということも検討してやらなければ私はいかぬと思う。しかし、まああなたに幾ら言うても、的確な答弁は得られないでしょうから……。 もう一つ聞いておきますが、九月三日に仮処分によりまして、第二
組合
が百何十名正門から入ったわけですね。これは仮処分によって第一
組合
もむしろ正門から入れたわけですね。そのとき現場で私たちは立ち会っていたわけですが、第二
組合
が入っていくときに、警察官の中に拍手を送っておる者がある。これは現場の警備部長にも注意しておきましたが、私たちは、すぐ、あれ写真とれというふうに命じておいたのだが、写真がうまく写っていないのですが、こういうところに、皆さんが答弁するときは、警察は公平な立場に立っておると言いますが、実際の現場に行きますと、もう明らかに会社あるいは第二
組合
、そういうものに加担しておるような現象があるわけなんですね。第二
組合
が説得を受けて、そして説得を聞かぬ。そこで第一
組合
が入れる。ずうっと通路を開けたら、拍手をしておる。そんなばかげたことはないです。これは私は問題は指摘しておいたわけですが、あなたのほうでもお調べになっておると思いますが、それはどうなっておるのです、その問題は。
土田国保
76
○
説明員
(土田国保君) 先生から御指摘いただきましたとおり、私どももそれをひとつ
調査
いたしたのでございますが、まだその事実についてそうだという報告は受けておらないのでございます。しかしながら、これが事実ということでございますれば、非常に残念なことでございまして、十分注意をしなければならない、かように思っております。
藤田藤太郎
77
○
理事
(
藤田藤太郎
君) 皆さんにお諮りいたします。本件の本日の審議はこの
程度
にして終了したいと思いますが、よろしゅうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田藤太郎
78
○
理事
(
藤田藤太郎
君) 決定いたします。
—————————————
藤田藤太郎
79
○
理事
(
藤田藤太郎
君) それでは、大正鉱業の問題を
議題
といたしたいと思います。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
小柳勇
80
○
小柳勇
君 大正炭鉱の問題は、さきにもこの
委員
会で問題にいたしましたが、その後
事態
が緊迫いたしまして、昨日地労委から出ましたあっせんを会社が拒否したために、きのうの夕方から退職者同盟が実力行使に入っておるようであります。先般も実力行使がありまして、炭鉱
労働
組合
と退職者同盟との間に対立があった。また、
会社側
も非常に苦境に立っておりますが、現在の時点で、
労働省
としては、中労委のあっせんが出ておるが、現在どのように把握しておられるか、
労働省
からお聞きいたします。
大島靖
81
○
説明員
(大島靖君) ただいま
小柳
先生から御
説明
がございましたように、九月の十七日に地労委のあっせん案が提示されまして、同盟側はこれを受諾し、
会社側
はなお拒否している
状況
と
承知
いたしております。
小柳勇
82
○
小柳勇
君 退職金に関する地労委のあっせん案は三つありまして、第一は、会社は退職金の頭金として三千万円を二十日までに無条件に支払うこと、第二は、退職金の全額の支払いは、
融資
を申し込み中の石炭鉱業合理化
事業
団の
整備
資金
を考慮し、何分の決定あるまで支払い請求を差し控えること、第三は、頭金の支払い、配分に関する事項その他未解決の問題は、両者の協議により平和的解決に努めること、この三つのあっせんが出ました。同盟側はこれを受諾したが、
会社側
が拒否したために、また問題が発生いたしましたが、残っている
労働
組合
側としては、自分の生活権の問題でありますから、退職金だけに金が使われることについては問題がありましょう。したがって、緊急を要する問題と思いますが、
会社側
に対して先般通産省からいろいろ
指導
助言があったようでありますが、その後どのような情勢になっているか、お聞きいたします。
中野正一
83
○
説明員
(中野正一君) 大正鉱業の問題につきましては、今先生から御指摘になったような非常に緊迫した状態になっておりまして、私どもも非常に心配をしているわけであります。何とか平和的にこれが解決しないものかということで、現地の情勢も聞きまして、実は大正鉱業の社長が今病気で、東京で入院しておられるというような
状況
のために、現地と東京の社長側との連絡等もなかなかうまくいかないというような点もあったのじゃないか。そういうようなことで、私どもとしても現地の地労委あるいは中間市あるいは通産局等の
関係
者の動き等も見まして、何とかこの地労委のあっせん案というものに沿って処置できないかということも申し上げてあるわけでございますが、
会社側
としては、この三千万円は、金は用意したことは社長の言であるし、私、銀行筋にも確かめたのでありますが、実は田中氏個人の財産を担保にして個人が借りた、こういう形になっているようでございます。しかし、この三千万円については、そのうちの五百万円ばかりはすでに払っておりますが、残りの二千五百万円については、金は用意した、即刻にも払っていい、しかし地労委のあっせん案の線を受諾しても、会社再建の見込みがないというところが、非常に問題の焦点でございまして、
会社側
の主張を聞いてみますというと、これは現地でもそういうことを言っておりますが、今回のあっせんは退職者同盟の申請
内容
そのままがあっせん案になっているじゃないか、会社の立場なり言い分というようなものは全然考慮されていないというところを、非常に不満に思っているようでございますが、最後につめましたところ、三千万円は条件つきで支払う。結局支払った直後に社宅の入れかえを——社宅を最初は出てくれ、退去してもらうということが条件であったようでありますが、これは炭労との
関係
ではそうなっておりますが、この解釈をめぐりまして、いろいろと問題もございましたので、社宅を入れかえるということによって、初めて現在収容いたしておりまする
組合
の方々と退職者同盟の方々とのいわゆるトラブルというものがなくなっていく。これは現に私も仕事をしておられます
組合
の方々からも詳しく
事情
を聞いたのでありますが、現にそういうことが非常に起こっている。このままではわれわれは安心して働けないということを非常に切々と訴えられておるわけであります。そういう意味におきましては、
会社側
の言い分というものも一応もっともじゃないかというふうに私は考えておりますが、しかし、これは現地の地労委のあっせんも出たことでございますので、この案を中心にいたしまして平和的に両者が、今までのような、お互いに相手を信頼しない、不信感に満ちているというような
状況
を一日もなくいたしまして、平和的に解決するように、われわれとしては
会社側
にも働きかけているわけであります。まだ今日の段階におきましては、その点が未解決のままに残されている。 ただ、現地の情勢は非常に緊迫しているとは申しましても、今すぐトラブルが、急に非常
事態
が起こるというような情勢ではないのではないかというふうに考えておりますが、ただ
会社側
のほうは、妨害排除の仮処分の申請も裁判所にしたようでありますので、その手続の進行工合も見まして、何とか現地でもって平和的に解決されまして、そうして、それにいたしましても、まだなかなか大正鉱業の再建の問題は非常に問題が多いのでありまして、政府側としても退職金の金融問題等につきましてはいろいろ
研究
をいたしておりますが、しかし、現在のような
状況
が続くということになりまするというと、もうすでに昨日から生産も落ちてきておりまして、
会社側
としてもこのままの状態が続けば、三千万円どころの損害ではなくて、相当膨大な損害に私はなるのではないかという
観点
も含めまして、
会社側
にはいろいろな意見を申し上げておるわけでございまして、何とかこれが平和的に解決をいたしまして再建の目安がつきませんというと、あとの再建の
資金
あるいは退職金に要する金融の金というようなものも、全然今のままでは出るめどがつかないのではないかという
状況
にあるのでございます。
小柳勇
84
○
小柳勇
君
失業保険
の問題や
職業訓練
、
就職
の問題などは、また午後質問いたしますので、当面するこの大正鉱業の問題、特にけさ電報が参りまして、きのう六時から退職者同盟は実力行動に入ることをきめた。そうしますと、炭鉱
労働
組合
のほうとしても、そのままでこれを支援するというわけにはなかなか参らぬでしょう。会社としてはまた
スト
ライキに入る態勢をとらなければならぬというようなことで、緊迫しておると思いましたので、きょう再び取り上げました。早期解決のためには、この社労から
調査
団も派遣されるようでありますから、通産省も
労働省
も、早期解決のためになお一そうひとつ御
努力
を願いたい。 以上で質問を終わります。
藤田藤太郎
85
○
理事
(
藤田藤太郎
君) それでは、午前中の
質疑
はこの
程度
にいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田藤太郎
86
○
理事
(
藤田藤太郎
君) それに決定いたします。午後は二時から再開いたしたいと思います。暫時休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ————・———— 午時二時六分開会
加瀬完
87
○
委員長
(加瀬完君) ただいまより
委員
会を再開いたします。 休憩前に引き続き、
質疑
を続行いたします。
藤田藤太郎
88
○
藤田藤太郎
君 私は
労働
大臣に二、三の点をお伺いしたいと思うのであります。 第一の問題は、今度の
予算
書の大方針と申しましょうか、三つの点に分けて
予算
をとる——
雇用
の
確保
と
近代化
、
労働条件
の
近代化
、
労使関係
の安定と
近代化
というのに基づいて
予算
を仕組まれたようでございます。 それで、問題は、今度のこのような形からくる問題点を拾ってみますと、まだその解決せないという面がだいぶ見受けられるわけでございます。きょうの新聞を見ますと、「人づくり」「能力主義の徹底を」「教育に投資の観念導入」というような見出しで、人づくりの問題がここに出て参っております。それで最後の欄に、文部、厚生、農林というような
関係
省で云々ということで結ばれているようでありますけれども、しかし、一面において出されている問題は、との百二十六万の技能
労働者
の不足、こういうことで
予算
の
説明
のときにもおっしゃったのでございます。そうなって参りますと、文教の正規の教育、そういうものが必要でありましょうけれども、しかし、何といっても、今の機械生産の発達、機械化の発達によって、技能
労働者
の不足という問題が、大きい問題として一つあげられると思うわけでございます。それからもう一つの問題は、先日も少し議論をいたしましたけれども、一週四十時間制の
労働
時間制を国際
労働
会議ILOで各国に勧告という形式で決議をいたしましたけれども、それで、このことは、条約でないからということでなしに、世界各国が寄ってこういう決議をしたのでありますから、今直ちに、不足しておる技能
労働者
、それから四十時間
労働
制からくる
労働者
の不足に対する工業生産に、たとえば過剰の農業
労働者
を転換するとか、その他の点で生産につかせる
労働者
を養成していくということでは、少し
予算
を見ましても足りないような気がするわけであります。そして、その少し足りないどころではない、大きく足りないと私は思うのでありますが、どうも総理の人づくりという
経済
審議会
の中間
答申
というようなものが出ているのですけれども、そういう点、
労働省
において技能
労働者
を作って、時間短縮その他によって
完全雇用
を、身分を保障してやっていくという思想と少し違うような気がするわけであります。そういう点についての
労働
大臣の、今後
労働
時間の短縮その他
完全雇用
の道をどう開いていくか、そのための
職業訓練
を大体どれくらいの
計画
でやっていけば、まず四十時間
労働
制というものがいつの時期に、どういう工合に実現するかというような構想を、大臣としてお持ちでありましたらお伺いをしたい。
大橋武夫
89
○国務大臣(大橋武夫君)
労働
時間一週四十時間という勧告につきましては、これは世界の大勢から考えまして、私どももできるだけそうした理想に近づくように不断の
努力
をいたすことが肝要であると考えておるのでございます。ただ、現在の
日本
の産業
労働
界の現状といたしましては、一週四十八時間の基準法の規定にもかかわりませず、なお、
労働
時間の統計を
調査
いたしまするというと、四十八時間以上の超過
労働
が絶えず数字として現われてくるような現状でございますので、まず、さしあたりの段階におきましては、いかにしてこの超過
労働
を法定時間に縮めていくかということに向かって
努力
をいたすべきである、かように考えておる次第なのでございます。したがいまして、来
年度
におきましては、特に
労務管理
の
指導
面に
重点
を置きまして、これによって所期の成果に近づけるようにいたしたい。特に長時間
労働
の主として大きく行なわれておりますものは
中小企業
であることは御
承知
のとおりでございます。この
中小企業
の
労務管理
が、また、特に
近代化
の点においておくれておるということは疑いのないところでございまして、さしあたり
労務管理
の
指導
の
強化
、
拡充
という場合におきましても、来
年度
は特に
中小企業
の面に
重点
を置く、こういう点から、
労働
時間につきましても漸次理想に近づくように進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。しかしながら、
中小企業
におきましては、ただいま先生のお述べになりましたるごとく、
労働
需要に比較いたしまして
労働
の獲得が非常に困難でございまして、特に技能
労働者
の点においてその傾向は顕著であるし、また、これがひいては長時間
労働
の原因になっているということも言い得ることと思うのでございます。したがいまして、技能
労働者
の
訓練
ということは、この点におきましても大切なことでございまするので、
労働省
といたしましては、来
年度
におきましても特に
職業訓練
には力を入れて参りたい、こういう考えで
予算
を編成をいたし、また、これを大蔵省に
要求
をいたしている次第なのでございます。もちろんこの技能
労働者
の教育
訓練
というものは、本来から申しますと、
企業
家それ自身の
努力
に待つところが多いのでございまして、大
企業
におきましては、原則的には個々の
企業
がその必要とする技能
労働者
の
訓練
を自己の創意と責任において現実にやっているのでございますが、
中小企業
にはそれだけの余力がございませんので、この各方面における技能工の需要に対しまして、
労働省
の
職業訓練
の
施設
を
拡充
し、主として
中小企業
の需要に応ずるように心がけて参りたいと思っているのでございます。この
要求
中の
予算
の数字の実情につきましては、いろいろ御批判もあろうかと存じますが、数字の点につきましては、なお
訓練
局長
から申し上げて
補助
さしていただきたいと存じます。
村上茂利
90
○
説明員
(村上茂利君) ただいま御指摘の人づくりに関連いたします職業
関係
の人づくりの問題でございますが、いずれ遠からず
答申
が出ると思うのでございますが、私どもといたしましては、将来、現在の学校教育
制度
と
職業訓練
との関連などの問題がございまして、
職業訓練
の
分野
のみでは単独に処理し得ない問題もあろうかと存じますが、現在の
職業訓練
制度
を
改善
充実
しながら、できるだけ現在の産業界の要請に応じ、また、青少年ないしは中高年令の
転職
者の
希望
に適合し得るような方法で問題を考えたいと存じまして、来
年度
を初
年度
といたします五カ年
計画
を策定いたしまして、
計画
的に
推進
いたしたい、かように考えているわけでございます。大体の
目標
といたしましては、
公共職業訓練
におきまして本
年度
は六万四千
程度
の
訓練
生の規模でございますが、それを四十二年には十三万二千、約倍
程度
の規模に
拡大
いたしたい。それからただいま大臣から御指摘ございましたように、
職業訓練
の基本的なあり方として、産業なり
企業
なりが自己に必要な技能
訓練
を行なうということが、これは諸外国の例を見ましても最も基本的な
職業訓練
のあり方でございますので、
事業
内
訓練
につきましても、大幅な
拡大
発展を期待いたしたい。そのために、三十七
年度
における
事業
内
訓練
の規模は
訓練
生八万九千人でございますが、それを
昭和
四十二年におきましては二十四万一千人
程度
にいたしたい。三倍ほどは参りませんけれども、その
程度
の規模に
拡大
いたしたい。かように考えているわけであります。この
事業
内
訓練
と申しますのは、三年を原則として、例外的に二年の
訓練
期間の間に行ないます技能者
訓練
のコースでございまして、それ以外にも、
企業
の必要性に応じましたところの新技術導入に伴う追加
訓練
とか再
訓練
があるわけでございますが、ただいま申しました
事業
内
訓練
は三年間を
訓練
期間といたしますいわゆる認定
職業訓練
についての数字を申し上げたわけでありますが、この民間で行ないますところの
事業内職業訓練
を
拡大
発展させますためには、何としても国の
助成措置
が必要であると存じまするので、従来
実施
いたしております共同
事業
内
訓練
の運営費
補助
のほか、本
年度
から創設されました
施設
補助
を今後大幅に
拡大
いたしたい。なお、零細
企業
などが共同で行ないます
職業訓練
のほかに、
企業
が単独で行なっておりますところの
事業
内
訓練
が相当あるわけでございます。現在はそれに対する
助成措置
はほとんどなされておりませんので、来
年度
以降におきまして、できますならば、
雇用促進
という目的も兼ねまして
訓練
施設
充実
制度
を創設いたしたい、かように考えておる次第でございます。 そのようないろいろな面からの
訓練
の
拡大
ということと並びまして、能力主義を貫徹——貫徹と申しますか、能力主義に従いますところの
職業訓練
なり教育の
推進
という点から申しまして、
技能検定制度
ということが一つの大きな意味を持つというふうに私ども存じておりますので、現在行なっておりますところの一級及び二級の技能士の検定
制度
をさらに
拡大
発展するという方向で問題をできるだけ前向きの形で処理いたしたい。なおかつ人的能力に関する
答申
が出ました暁におきましては、現行
技能検定制度
にさらに検討を要する事項がございましたならば、来
年度
におきまして基本的な検討を加えてさらに
制度
の
改善
充実
を行ないたい、かように考えておる次第でございます。
藤田藤太郎
91
○
藤田藤太郎
君 単独で
事業
内で、
補助
対象になっていない
訓練
は来
年度
は幾ら見積もっておるわけですか、何人。
村上茂利
92
○
説明員
(村上茂利君) 現在単独で
訓練
を行なっておりますいわゆる単独
事業
内
訓練
の
訓練
生の規模は約三万二千名でございます。これを先ほど申しました共同
事業
内
訓練
補助
という面から
拡大
すると同時に、
融資
制度
によりまして
推進
して参りたい。ただいま先生の御指摘の単独
事業
内
訓練
に対する私どもの構想といたしましては、
融資
制度
を考えておるわけでございますが、
予算要求
としましては、五百カ所の
施設
融資
を
予算要求
として提出しておるような次第でございまして、
金額
は二十億円でございます。具体的に何名
程度
を
拡大
するかという点につきましては、非常に幅がございまして、かりにその
施設
を一カ所十人
程度
であるというふうに押えますると、その人数は五千人で、三十人
程度
といたしますと、それが一万五千、こういうことで、実はこの具体的な
融資
申請と相待って検討しなければなりませんけれども、少なくとも一万を下らざる相当大幅な
訓練
規模の
拡大
ができるのじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
藤田藤太郎
93
○
藤田藤太郎
君 今のお話を聞いておりますと、単独で
事業
内
訓練
をやっているところの人が三万二千人とすると、今ここで掲げられている、あらゆる民間の四万一千人という
補助
対象も入れて十六万人——来
年度
の
訓練
の対象
人員
が十六万人なんです。そうして、その生産機構の必要度からいって、さしあたって百二十六万人ということでありますから、それなら六年も七年もかかるということになる。一面、正規の学校
制度
もあることでしょうけれども、それはそう大したものではない。そうすると、この
事業
内
訓練
との
関係
からいっても、今
日本
が高度なその技術者を必要とする面からいえば、もっと思い切ってやらなければならぬのではないかということを私は考えているわけです。
完全雇用
、
労働
時間短縮という面から見てもそれは重大なことであろう、こう考える。 もう一つの面から見ますと、先日も国民所得が発表され、昨
年度
の国民所得の平均が十四万八千百六十円と発表されておる。また先日の新聞を見ますと、来
年度
の成長率は九%ということがこれまたいわれているわけであります。そういたしますと、
労働者
はみずから、基準法の第一条に掲げられているように、
労使
の対等の立場で
賃金
をきめるということで、よりよい生活に引き上げるというのが中心に、
最低
賃金
の問題はまたあとで質問しますけれども、それが原則になっているわけであります。そういう状態でありますれば、今日の農民、過剰農業
労働者
の受け入れ態勢をどこで持つかといえば、もう工業
労働者
、産業
労働者
の中に受け入れ態勢を持つ以外に手がないということになってくるわけで、政府もそういう方針を進めているわけでありますから、ものの二、三年もしたら一部は失対労務者に流れていく、一部はもっと正規な
雇用
関係
の工業
労働者
に職を求め、生活を求めてくるというととが予想される。私たちとしては九%どころか、もっと急速度に、工業が不自然な形で、機械化で発展するならば、国民の生活を引き上げていかなければならぬのに、農業ではどうにもならぬわけでありますから、これをどうしても
職業訓練
で、ただの無能者は工場へ配置してもどうにもならぬのでありますから、
訓練
をして配置をするということをやらなければならぬということになってくると、
労働省
の、今人づくりとか何とかいいますけれども、役割というのは、非常に重大な私は役割を持っているんではないかと思うんです。ですから、むろん身分が保障されてそうなっていくわけでありますけれども、そういうことであれば、少なくとも私は公的な
訓練
が三十万人ぐらい、民間を入れて五十万人ぐらいの
訓練
機構を、ここ二、三年急速度にやらないと、
日本
の生産の発展とバランスがとれないのではないかと私は思うわけでございます。そういう大きな構想について大臣の所信をもう一度お伺いしたい。
大橋武夫
94
○国務大臣(大橋武夫君) ただいまお述べになりました御
趣旨
につきましては、私どもも全く同感に存じておるのでございまして、
職業訓練
の画期的な
拡充
ということは刻下の急務である。こういうふうに存じております。来
年度
の
予算要求
といたしましては、さきに申し上げましたほかに、なお、
失業対策
事業
の
改善
、それから
石炭離職者
の対策、こういう
項目
がございまするが、この二つの
項目
につきましては、御
承知
のとおり目下
調査
中でございまして、まだ具体的な数字を
要求
として示す段階になっておりません。しかし、この面におきましても、さしあたり失対適格者の
職業訓練
並びに炭鉱離職者の
職業訓練
には相当力を入れたいと思っておるのでございまして、これらの
予算要求
は、なお、今後において決定して御
説明
いたす機会もあろうかと思います。しかしながら、とにかくそれらを含めましても
要求
はきわめて内輪であるということはいえると思いますが、しかし、
職業訓練
施設
を
拡充
いたすことは
行政
的にはなかなかいろいろな困難な問題がございまするので、急に非常な大規模に
拡大
をするということも、
指導
者の面でありますとか、あるいはまた
訓練
を受ける、
希望
者を集めるというような面におきまして現実には相当困難がありますので、それらともにらみ合わせまして、できるだけ急テンポで
拡充
をしていきたい、こういうふうにまあ考えまして、そこらの考慮から先ほど申し上げましたような数字が出て参った次第でございます。しかし、まあ、これは
予算
査定におきましても、ぜひとも最大限度に
要求
に近い数字を獲得するよう今後とも
努力
をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと存じます。
藤田藤太郎
95
○
藤田藤太郎
君 具体的なことは事務当局に聞きますが、先日のILOの時間短縮の勧告、これは政府が残念ながら棄権をされたのでありますけれども、あの条項の中に四十八時間以上やっているところは直ちにやめようじゃないかということが決議に入っている。で、まあ、ことしの五月あたりの統計を見ると、四十九時間以上働いている人が、農業
労働者
も含んでおりますけれども、二千五百万人
労働省
の出されている統計
資料
を見ても出ているわけでございます。ですから、との処置を
労働
大臣はどういうふうにされるか、これはひとつ端的にお伺いしたい。
大橋武夫
96
○国務大臣(大橋武夫君) これは一日も早く基準法の制限内の
労働
時間に縮めていき、さらに将来は外国の実情等に近づけていくということが必要であると思っております。したがいまして、来
年度
におきましては、
労務管理
の
指導
を
強化
いたしまして、できるだけ早くこの理想に近づけるよう最善の
努力
をいたしたいと思います。
藤田藤太郎
97
○
藤田藤太郎
君 私は今の
訓練
との
関係
において非常に
労働
時間の短縮、
完全雇用
と非常に関連がありますから、特別に加えていただくことにして、これはあとに譲ります。 そこで、もう一つ伺いたいのは、
最低
賃金
の問題でございます。
最低
賃金
、今の
最低
賃金
法はどう見ても業者間協定が中心であることは、これは一般だれが見てもわかる問題でございます。
労働
大臣はこのような
最低
賃金
を何とか今までの流れの中からは変えるような、変えていくような口吻があったわけでございますけれども、
労働
大臣は今の業者間中心の
最低
賃金
を世界、ILO並みに
労使
が対等できめていくのを基礎にした
最低
賃金
にしていくというお考えはあるかどうか、ひとつ御所見を承りたいと思います。
大橋武夫
98
○国務大臣(大橋武夫君) 私は
最低賃金制度
の本来の姿から申しまして、ILOの示しておるような方式に早晩
日本
も当然移行すべきものであると、かように考えております。しかし、御
承知
のとおり、わが国におきまする
最低
賃金
法の制定につきましては、いろいろな方面からの意見がございまして、それらを調整いたしまして、最小限度の形で一応現行の法律ができておるわけでございます。これを法律として動かすということに相なりますると、いろいろな意見に対して調整していくということが当然まずもってなされなければならぬと思っております。これにつきましては、
最低賃金制度
の
趣旨
をよく一般に普及徹底させ、そうして
最低
賃金
の正しいあり方、本来のあり方をすみやかに実現しなければならぬというような空気を国内に盛り上げていくことが大切だと思いまして、こういった面から急速にそういう
努力
をいたしたいと考えておるわけでございます。しかしながら、そういうことをやった上で
最低
賃金
法の
改正
の機運が盛り上がる。そこで
最低
賃金
の法律を
改正
するということになりますと、なお将来の問題になりますが、それができますまでは、現行
制度
の運用といたしましてできる限り本来の
最低
賃金
法の
趣旨
に近いような運用をしていくようにしたい、こういう考えで目下運用方針につきましていろいろ事務当局と一緒に
研究
をいたしておる次第でございまして、法律
改正
までは今のままで満足して過ぎておるということでは決してございません。
藤田藤太郎
99
○
藤田藤太郎
君 具体的なことはあとで聞きまするが、今大臣のおっしゃったことを、私の誤解かもわかりませんけれども
最低
賃金
の問題をよく国民に
指導
していくとおっしゃった、その
最低
賃金
も、本来のあり方の
最低
賃金
とは違って、業者間協定を主体にした
最低
賃金
法なんですから、
日本
にあるのは。だから、私はやはり基準法の第一条の大原則に沿った
労働
賃金
、給与、
労働条件
は対等の立場できめるという、ILOが条約できめているような精神に立ち返っての
最低
賃金
の方向へ教育していくということになるのか、今のような
最低
賃金
のものを教育していくということになるのか、ちょっとどうも私はよく理解ができなかったので、その点少し明確にしていただきたい。
大橋武夫
100
○国務大臣(大橋武夫君) どうも表現が不十分でございまして申しわけございませんが、私の申し上げました
趣旨
は、
労使
対等の立場を基礎とした
最低
賃金
のあり方、そういうふうな
最低
賃金
法を
日本
の産業
労働
界においてもすみやかに持つべきだ、こういう
趣旨
を普及徹底させ、そういう機運を進めるように
努力
をいたしたい。それまでの間は、現行法の運用におきましても、できるだけ本来の
趣旨
にかなうようなつもりで運用をしていきたい。その運用の方針につきまして今事務当局と協議中である。こういうことを申したつもりであります。
藤原道子
101
○藤原道子君 私、大臣にこの際ちょっと伺っておきたいんですが、今の、
最低
賃金
法が今のは業者間協定だ、これを漸次、そうでない、ILOの精神に沿ったものに改めていきたい、これはよくわかりました。ぜひ早くしてほしいんですが、ところが、そういう動きがあるのを察知いたしまして、最近は、
労働
法の
適用
をのがれるために、今までは工場でやっていた仕事をこれを内職にどんどん出すケースがふえてきているわけです。そうすると、ここは何にも保護されない状態に放置される。さらに低
賃金
が押しつけられて、内職する人が不当搾取をされているということは目に余るものがあると思う。そこで、この際私どもは、家内
労働
法が制定されなければ
最低
賃金
法を作っても所期の目的は達せられない。しかも、それによってしわ寄せを受けるのが、中年以上の人で
就職
のできない人であり、さらに低
賃金
の家庭で悩んでおる奥さんたち、家庭
婦人
が犠牲になる。こういうふうに逃げ道があるわけですね。だから、家内
労働
法を二の際お作りになろうというお考えはないかどうか。それと、今、内職の搾取等に対して政府はどのように見ておられるかという点、伺っておきたい。
大橋武夫
102
○国務大臣(大橋武夫君) ただいま藤原先生の御指摘のごとく、
最低
賃金
法の
適用
をのがれるために、従来
賃金
労働
として行なわれておった作業が請負形式による内職化の傾向があるということは、あるいはそういう点も事実あるかと存じております。で、その点は、
最低
賃金
法を制定いたしました
趣旨
から見まして、いわば脱法的なことでございますから、当然その内職の場合におきまする内職賃というものをやはり監督いたしまして、のがれることのないようにするのは当然必要なことであろうと思いまして、そういう意味において、家内
労働
法を制定することにつきましては、私もそれが望ましいと考えております。ただ、
労働省
といたしましては、現在家内
労働
調査
会というものを設けまして、その問題を今
調査
審議いたしてもらっておりますので、不日、その
答申
を待ちまして、それに基づきまして態度を決定いたして参りたいと、かように考えております。
藤原道子
103
○藤原道子君 不日という御答弁でございますが、その
結論
はいつごろ出る御予定でございますか。
大島靖
104
○
説明員
(大島靖君) ただいまの問題は、
調査
会において現在家内
労働問
題の御審議を願っておりまして、その御
答申
がいつ出るかは、ちょっと私、まだ確言いたしかねるのでありますが、おそくともやはり来年の初めごろまでには御
答申
をいただけるのではなかろうかと期待しております。なお、先ほど大臣から申し上げましたように、最賃から逃げていく、家内
労働
化する問題、これについては、現在の
最低
賃金
法の中で家内
労働
の工賃規制、工賃についての
最低
限度の定めをする規定もすでにございます。家内
労働
法そのものの制定につきましては、これは先生もよく御
承知
のとおり、非常に必要ではあろうけれども、なかなかむずかしい問題でありまして、そういった点を現在
調査
会で御審議を願っておる次第でございます。
藤原道子
105
○藤原道子君 私は、最賃法の中に規定はあるが、ただ規定があるだけじゃ困るので、規定が守られているかどうかというところに問題がある。内職の状態がいかに悲惨なものであるか。三畳一間に三人も五人も住んで、そこでもう汗水たらして一日十時間、十三時間働いて、一月の所得は幾らになっているか。私は定めがあるからそれでいいというような今の答弁では満足できません。
大島靖
106
○
説明員
(大島靖君) 私が申しましたのは、法律上の規定があるということだけを申しましたので、その対策につきましては、やはり家内
労働
における加工賃が、先生御
承知
のとおりに、もう業種により、地域により、はなはだしい−非常に高いところもあります、片一方非常に低いところもあります。これをどう持っていくかということを、昨年来家内
労働
調査
会において御審議を願っておりましたが、昨年の秋に
調査
会から中間報告を
労働
大臣がいただきまして、それによりまして、今直ちにその家内
労働
法を制定いたしまして規制を加えようといたしましてはもうおそらく空転するであろう、法律が空回りをするであろう、したがって、それに至るまで、やはり地ならしと申しますか、法律になじむような実態そのものをもう少し交通整理をする必要がある。したがって、事前の
行政
措置によって家内
労働
の各方面についての地ならしをする必要があろう、こういう中間報告をいただきまして、昨年来家内
労働
の実態をもう少し何とか格好のつくような形に
行政
措置で進めていく。その措置の中に、今先生が非常に御配慮になり、また御指摘になりました加工賃の協定の問題というような問題がやはり
調査
会において指摘されております。それに基づきまして、昨年来私どもの手元のほうでも、各県におきましても
行政指導
によって加工賃の協定をする動きを始めております。今回の
予算
においても、また来
年度
も引き続きそういった仕事をするように
予算要求
をいたしております。 なお、
婦人
少年局の
関係
におきましては、これは先生よく御
承知
の内職補導所においてそういったような同じような措置をやはりとりつつある、こういう現状でございます。
藤田藤太郎
107
○
藤田藤太郎
君 大臣の時間がないようですから、問題点をもう二つほど伺って、あとは事務当局のほろに伺います。 その一つは、公務員給与の勧告でございます。これはこの
内容
そのものについては、われわれは不満であり、意見があるのであります。しかし、政府はあの勧告を受けてどうしようとしているか。で、五月から
実施
ということでありますけれども、今日でもう九月です。この状態で、政府は勧告は尊重するというような発言はされておりますけれども、これは具体的にどう
実施
していくかという問題、公務員の給与をどう上げていくかという問題については、今まで公式に触れられておらない。これは
労働者
全体を担当される
労働
大臣として、どういう工合に公務員の給料——生活とつながっているわけでありますから、特に申し上げたいのは、最近の物価値上がりその他によって生計費の負担というものは非常に急角度にふえているわけです。そういう点から、一日も早くこの公務員給与の問題は解決しなければならぬと思うのでありますけれども、大臣の御所見を承りたい。
大橋武夫
108
○国務大臣(大橋武夫君) 公務員給与の勧告につきましては、前国会中にも申し上げましたるごとく、私といたしましては、政府の方針が、従来から、人事院の勧告を尊重して参るということでございましたので、昨年十二月の勧告と、今年八月の勧告とをあわせまして、できるだけ早い時期にさかのぼって、これを
実施
するような方針を立てたいと思って
努力
をいたして参っておるわけでございます。ただしかし、これに対しまして、今
年度
は、特に、財政の収支の
状況
が、昨年に比較いたしまして、だいぶ余裕がなくなってきておりまするので、政府といたしましては、九月期決算を基礎とした今年の税収の見通しというものについて見当をつけた上で、いつから
実施
するということにするかをきめようという考えで進んで参ったわけでございます。しかしまだ、詳細なその見通しがつきかねておるというような
状況
でございますが、しかし、私といたしましては、おそくも、十月の第一週ぐらいの間には、この問題について、一応政府の方針を決定いたしたいと、こういうつもりで、ただいま最後の
努力
を続けておるような次第でございます。
藤田藤太郎
109
○
藤田藤太郎
君 それじゃ、それ以上この問題には触れません。 次の問題は、失対打ち切りという問題であります。私たちも、大臣の意見を聞いていると、
内容
の情勢分析といいますか、
失業対策
事業
の
内容
の
研究
をしてもらっておるのだ、打ち切りと言ったことはないと、こういう工合におっしゃっておるわけですけれども、だんだん私たちが、全般的なはだで感じておる点では、あの失対労務者がはだで感じておる点では、どうも打ち切られそうだと、これじゃ、私たちは食べていけないという感じを、今の失対労務者の方々は、みんなお持ちのように私は感じる。それを、だんだん突っ込でいくと、どうも政府も、そういうところへこれを持っていきそうな、何か陰謀があるのかどうかという工合に、世間でいわれておる。で、私は、この諮問はしておられるけれども、
労働省
としては、かくかくのところで、失対の打ち切りはしないのだ、むしろこういう工合に
向上
していく、
内容
を高めていくんだというような、きぜんたる態度が
労働省
として出ておれば、失対打ち切りというような格好に、世間の世論がならないのだと私は思う。その点がどうも
労働省
としては、口では打ち切りはやらないのだといいながら、将来の失対労務者の問題について、また緊急失対
事業
について、たとえばもうひとつ深くいえば、
地方
自治体との財源的な
関係
についても、明確に、
労働省
としてきぜんたるかまえがない。そういうところに私は問題があるのではないか。だから、その点、
労働
大臣として、明らかにされなければいかぬのじゃないか。だから、失対は打ち切らない、かくかくの方針で失対労務者の保護をしていくのだ、
地方
自治体に対しては、こういう工合に持っていくのだというところを、私はやはり大臣としては、きぜんとしてここでおっしゃらなければいかぬ時期にきているのじゃないか、私はそう思う。大臣の御所見を承りたい。
大橋武夫
110
○国務大臣(大橋武夫君)
失業対策
事業
につきましては、しばしば申し上げましたるごとく、打ち切りという
考え方
は、
労働省
としては全然持っておりません。ただ、現在の
失業対策
事業
を
改善
して、
関係
者の生活の安定をはかるベく、また
地方
自治体の物心両面の負担を、いかにして軽減するかというような
改善
策を、検討してもらっているわけでございます。で、ただいま藤田先生から、もうこの辺の時期で、はっきりした対策の片りんを明らかにしてはどうかとおっしゃいました。私どもも長い問題でございますので、ことに
予算
編成期を控えておりますから、早く明らかにするのが望ましいと思っておりますが、たまたま今月中には、大体
調査
をお願いしております方々の
調査
も終わりまして、月末ぐらいには
答申
が得られるのではないかという見通しを持っておりますので、もう間もないことでございますから、その
答申
を現実に拝見いたしました上で、
労働省
として責任ある
考え方
を、来月に入りましてからはっきりさせて、御批判をいただきたい、かように存じますので、もうしばらく御猶予いただきたいと思います。
藤田藤太郎
111
○
藤田藤太郎
君 それは失対
賃金
のアップの問題も含めてということですね。
大橋武夫
112
○国務大臣(大橋武夫君) 物価の上昇あるいは一般の
賃金
のベースの上昇に伴いまして、失対
賃金
の価格についても、当然考えなければならぬと思っております。
柳岡秋夫
113
○
柳岡
秋夫君 私は、大臣が時間がございませんで退席されるようでございますので、ILO条約の八十七号の取り扱いと申しますか、この問題についての大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。と申しますのは、私はこの条約がいまだに批准をされないということについては、非常に残念に存じているわけでございますが、最近自民党の中で、
関係
国内法五法の
改正
案をそれぞれ別個に提出をして、それら
関係
法が成立した後に批准案を提出をする、こういう基本的な構想をきめたということをいわれております。で、これは私はおかしいと思うわけでございます。批准案を批准して、初めて国内法の
改正
というのが、順序ではないかというふうに思うわけでございますけれども、こういう点について、大臣としては、どういうふうにお考えになり、またこの批准の問題について、どういうふうにしようとされるのか、そういう点について、御所見をお伺いしたいと思います。
大橋武夫
114
○国務大臣(大橋武夫君) ILO八十七号条約並びに
関係
の五法案の取り扱いにつきましては、すでに政府といたしましては、ここ二年ばかり、方針がきまっておりまして、その方針に基づいて行動いたしております。それはすなわち、これを一括して国会に御提案申し上げ、一括御審議をいただきたい、こういう
趣旨
でやってきているわけでございます。しかし、この行き方が、過去三回の国会を通じまして、一向審議がはかどらない、というよりは審議が始まらないということで、まあ、苦慮いたしているのでございますが、しかし、幸いにこの審議の進行につきましては、自民党並びに社会党の双方とも一括審議を前提として案の処理につきまして政治的な折衝をなすっておられるわけであります。したがいまして、私どもは両党間において行なわれておりますこの折衝がすみやかに妥結することを期待いたして、そうして少なくとも次の通常国会においては成立できるものという考えで待っているという
状況
でございます。 ただいまお尋ねになりました、ILOの八十七号条約と国内法とを別々に出すという方針あるいはそういう意向が自民党においてきまったというようなことがありはしないかというお尋ねでございましたが、私はまだILOの世話人会におきましてそういう方針を決定したということは
承知
いたしておりません。したがって、自民党に関する限り、ILOの世話人会としては、先ほど来申し上げました政府の方針を前提として、一括して折衝を続ける、こういう方針で進んでいるものと考えております。
小柳勇
115
○
小柳勇
君 私も大臣に二問質問いたします。 第一の問題は、このきょう
説明
された主要
施策
概要
の中で第一にあげられている、
中高年令層
の
離職者対策
です。これが当面一番大きな問題ではないかと思いますが、中を見ましても具体的な対策があまり
説明
されてないわけです。今後も再三にわたって当
委員
会で質問いたしますが、たとえば先般やられた二万円あるいは二万五千円以上の炭鉱離職者を雇う場合、政府から四分の一給料を見ようなどというような、こうやくを張るような対策ではほんとうの
中高年令層
の
離職者対策
にはならぬと思うのですが、大臣は一体これから発生する農村からの離職者あるいは鉱山からの離職者あるいは
中小企業
からの離職者に対する
中高年令層
以上の離職対策についてどのような御決意をお持ちでございましょうか。
大橋武夫
116
○国務大臣(大橋武夫君) 現在の
雇用
状態といたしましては、全般的にはむしろ
労働者
はだんだん需要に対しまして供給が不足しつつあるというような
状況
であるにもかかわりませず、特に
中高年令層
の求職者につきましては、依然として
就職
難が続いているというような次第でございまして、私どもは、一方において
労働者
がなくて困っているにもかかわらず、
中高年令層
の
労働者
はむしろ余っている、こういう
状況
でございまするから、この間を調整いたしまして、そうして
中高年令層
の
就職
をはかるということが
労働者
個人のためばかりでなく、産業
労働
界としても大事なことであると、こういう根本的な考えに立ちまして
中高年令層
の対策を考えている次第でございます。で、この
中高年令層
の
就職
難ということにつきましてはいろいろな理由があると思います。それは、一つは
中高年令層
の方々が新しい職場においては全くの未経験者として取り扱わなければならないということが一つであり、それからもう一つは、
日本
の一般的な
賃金
形態でありまする年功序列型の
賃金
形態というものから考えまして、
中高年令層
の方々は、それに対する待遇と能力、能率という点からいってうまくつり合いがとれない、こういうような点にあるのじゃないかと思うのでございます。したがいまして、
中高年令層
に対する対策といたしましては、二つの面を考えなければならぬのでございまして、一つは、
労働者
としての能力を年令にふさわしいような十分な能力をつけていくということだと思います。しかし、まあ、これはなかなかその新しい職業における何年かの長い経験、熟練というものを身につけるということは、これはほとんど不可能でございますが、しかし、それにいたしましても相当な
職業訓練
を行なうことによりまして、全然未経験
労働者
というような形で新しい職場へ送り込むのでなく、ある
程度
の技術経験を身につけた上で送り込むということが大事だ、こういう点で、
職業訓練
において
中高年令層
については、今後大いに
努力
をしなければならぬ点があると思っておるのであります。 第二の
賃金
の面につきましては、従来から半年なり一年なり、特に政府のほうで
賃金
の一部を補給することによって
就職
を容易にしようという
考え方
、これはまあ、年功序列型の
賃金
、そういうものを前提にして、未経験者である
中高年令層
の方を新しい職場へ送り込むための一時的な便法としてある
程度
意味があったことだと思うのでございます。したがって、こういう方法もやはりある
程度
並行して行なわなければならぬと思います。しかし、何といっても根本的な問題は、先ほど申し上げました能率の問題であり、したがって、
職業訓練
に力を入れるということが大事だと思うのでありますが、同時に、その能率というものは新しい職場の仕事の種類にもよると思うのでございまして、今後
労働省
では、いろいろな職場における仕事を
調査
いたしまして、むしろ
中高年令層
に適当な仕事はないか、こういうものについてできるだけ
中高年令層
を紹介して、
雇用
していただくというふうにいたして参りたい。と同時に、やはり
中小企業等
、若い
労働者
を現在吸収することの困難を痛感しておられる面に対しましては、
中高年令層
の方々を採用していただくような
努力
もすべきであると思います。しかしまあ、いずれにいたしましても、
中高年令層
の方々の教育と同時に、
中高年令層
の方々を産業界としても
雇用
していただくことが現在の
日本
の
雇用
事情
から見て必要だ、したがって、まあ、
雇用
なさる側において、経営者の側においてもそういった面に相当な
努力
をしていただくような機運を作っていくということのためにも私どもは骨を折らなければならないのじゃないか。まあ、こうしたいろいろな面から
中高年令層
の
就職
対策に力を入れて参りたいというのが私どもの
考え方
でございます。
小柳勇
117
○
小柳勇
君 第二点は、これにも出ております
中小企業労働者
の保護、これにはサービス業も含むのですが、私は、今当面している私どもの仕事は、
中小企業労働者
をどういうふうに組織して、これを法的に保護するかということにあろうかと思います。具体的にはいろいろ問題がありますが、当面、五人以下の
事業所
でも
失業保険
の
加入
など社会保険の恩典に浴して、大きな
企業
の
労働者
も
中小企業
の
労働者
も、社会保険の面ではあまり差がないという方向に踏み切るべきであろう。それから同時に、サービス業におきましては、特に旅館における女中さんなどの
労働条件
があまりにも近代ばなれしているのです。法からも除外例をもって常に見られている。こういう人たちはこの
中小企業労働者
の保護と同時に緊急を要する問題ではないか。この問題について大臣の見解を聞いておきたいと思います。
大橋武夫
118
○国務大臣(大橋武夫君) 全く同感でございまして、社会保険あるいは
失業保険
等を五人以下の
企業
にも
適用
するようにするということによって、
中小企業
の労務者の待遇を
改善
することはできるわけでございますが、この点につきましては、ただいま
任意加入
になっておりますが、現在の
行政
能力といたしましては、直ちに強制
加入
にするというにはなお困難な面もございますが、しかし、
行政指導
によりましてできるだけ原則的に
加入
していただくような
努力
を続けつつある段階でございまして、今後ともこれを進めて参りたいと思っております。 それから、基準法のほとんど
適用
外にある一部の業態の
労働者
につきまして、
労働力
の保護という点でこれを
指導
して参ることも全く必要であると考えまして、この点も今後一そう
努力
いたしたいと存じます。
小柳勇
119
○
小柳勇
君 最後の点は、
身体障害者
雇用
の問題でございますが、さきに
身体障害者
雇用促進
法ができましたが、
身体障害者
の大会などへ参りまして意見を聞いて参りますと、ちっとも恩典を感じていない。
身体障害者
の
雇用
については、法律ができたために守られたと、
促進
されたというような意見を聞かない。これは中の条文にもよりますが、罰則がないとか、あるいは
指導
が不十分とかいうような面がありましょう。せっかく法律ができまして、
身体障害者
の皆さんが、
雇用促進
法はできたけれども、ちっともよくならぬ、かえって悪いというようなことでございますが、私は、たとえば、これは具体的な例でありますから非常に差しさわりがありましょうが、道路公団などで通りますと若い青年職員が料金をとっている。またエレベーターにも青年が運転している場面がありますが、業種を指定して
身体障害者
を使うとか、あるいは公共の職場にはもう少し率を高めて
身体障害者
を使うとか、あるいは
身体障害者
の
職業訓練
を
強化
するとか、いろいろの面で、できました法律が国民から期待され、喜ばれるような方向に前進せしめるべきであろうと思いますが、大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
大橋武夫
120
○国務大臣(大橋武夫君) ことに最近一般
労働力
の不足が痛感される際におきまして、
身体障害者
の
雇用
の問題は従前にもまして一そう大事なことであると存じます。
労働省
といたしましては、
身体障害者
雇用促進
法の
趣旨
に沿いまして仕事を進めている次第でございますが、
行政指導
が至らないために目的を十分に達成していない、こういう面がありますると、これは私どもとして申しわけないことだと思います。今後一そう
努力
をいたしたいと思います。 それからエレベーターとか、あるいはいろいろな道路公団の道路の通行料の徴収事務とか、こういう特殊な作業に
身体障害者
を優先的に
雇用
させるという点につきましては、ただいま
労働省
といたしまして、どういう作業を指定すべきか
調査
いたしております。法律の規定によりまして、三十九年までに
調査
して実際指定を出すようにいたしたいと思っております。
藤原道子
121
○藤原道子君 大臣がお忙しいようでございますから、大臣に二、三お伺いしたいと思います。この
予算
面から見ましても、今度
日本労働協会
への
補助
金といいますか、それがまた計上されているようですが、この
日本労働協会
が果たしている役割、そしてこれが持っている使命、これを私はもう一ぺん大臣の口からお伺いしたいのです。
大橋武夫
122
○国務大臣(大橋武夫君)
労働協会
ができました当時の精神といたしましては、
労働協会
の仕事を通じまして、
労使
間の対等の立場に立ちまして、
労働者
、使用者並びに国民一般にこの
労働問
題についての理解を求め、そして
労働問
題についての良識を
労使
並びに国民に普及、涵養させていくということが目的であったわけでございます。まあ、この法律の目的に従って
労働協会
が運用されるべきはずでございますが、しかし、今日までの
労働協会
は、協会の組織、機構をむしろまだ
整備
するという段階でございまして、実際上の活動面におきましては十分なる活動をしておるとは言いがたい面もあるのではないかと、こういうふうに考えておるのであります。したがいまして、
労働省
といたしましては、一そうそういう
趣旨
の活動を
強化
してもらいまするために、来
年度
の
予算
におきましては、これが財政面の補強をはかりたい、こういうふうに思っております。
藤原道子
123
○藤原道子君
労働協会
ができた
趣旨
は私もよく
承知
しているのですけれども、大臣の口からもう一度聞いておきたかったのです。そこで、ここの
労働協会
は、いろいろ
調査
部もあって
研究
した
資料
等が発表されているわけです。これが出ました場合に、これを尊重して
労働省
としては監督を
強化
するとか、あるいは
労働者
を保護するとか、そういう面にこの
調査
が活用されているかどうか、そしてまたこれは活用する御意思があるかどうか。この点をお伺いしたい。
大橋武夫
124
○国務大臣(大橋武夫君)
労使
並びに国民の理解と良識を目的といたしておるわけでございますが、政府というものはやはり
労使
並びに国民の理解と良識を基礎にして
労働行政
をやっていかなければならぬと思います。したがいまして、
労働協会
がその目的に基づきまして
調査研究
して公表されました
資料
というものは、
労働省
としても十分
行政
の参考にし、指針にいたして参りたいと思います。
藤原道子
125
○藤原道子君 そこでお伺いしたいのでございますが、最近大きな
労働問
題が山積しているために、
婦人
労働
が陰に隠れている、こういう傾向があるのでございます。私も最近方々の工場を視察いたしまして、これは何とかしなければならないというふうに考えておりましたところ、たまたま
日本労働協会
調査研究
部で発行いたしました「繊維
婦人
労働者
の立場から見た現行
労働
基準法の問題点」というのが出ておるわけです。これを見まして、私が今まで感じていたことがここにそのまま出ている。ところが、一向に
改正
されてない。だから、私は
日本労働協会
というものの権限というもの、使命というものに大きな疑問を持っておったからお伺いをしたわけです。大臣もお忙しいので時間がございませんので、問題点だけをお伺いいたしますが、繊維
労働
の、それこそ大手の繊維
労働
の問題におきましても、
労働
基準法とははるかにほど遠いものがある。ましてや
中小企業
におきましては問題外だということがここにちゃんと指摘されているわけなんです。ところが、
労働
基準法では、この法律は
労働条件
の
最低
のものである。だから、
労働関係
当事者は基準を理由として
労働条件
を低下さしてはならないことはもとより、その
向上
をはかるように
努力
しなければならない、
労働
基準法でもはっきりそう総則において書いているわけです。ところが現実は違う。それはもう
労働省
ではわかり切っていると思うのです。若い娘が朝四時半起きをして五時から仕事を始めておる。そして一物も食べず飲まずに働いて、そして七時に朝御飯なんです。それからまた働き出して昼食は午後の二時になる、二交代制でございますから。そういうことが許されていいのかしら。さらに休憩時間も六時間に対しては四十五分間、八時間で一時間とかいうことになっておるはずでございますが、それが守られていない。ずっと続けて働いたあとで休憩を若干くれる。こういうことが行なわれておるのです。しかもいろいろやかましい規定があるにもかかわらず、室内の温度に至りましては、この
労働協会
の発表によりましても、はなはだしきは四十二度ぐらいの温度の中で働いている。それで朝五時から仕事にかかるには四時半ではおそいくらいだそうです。四時か四時半に起きて七時まで飲まず食わずに働いているのです。母体保護の精神はどこにある、
年少労働者
保護の精神はどこにあるのか、こういうことを考えますときに、あまりにひどい
労働省
の監督じゃなかろうか、私はそう思われてならないのです。これらに対して大臣はどういうふうにお考えになっているか。 さらに一点、世間では
労働
基準法の無法地帯、こういうことが大っぴらにいわれている。基準監督官は手が回らないのか、やらないのか知りませんけれども、基準監督官の少ないことも大きく基因していると思いますが、無法地帯といわれるところは随所にある。私もこの間そこへ行って見て実に驚いて参りましたが、これらに対して大臣は今後——これはちゃんと
労働協会
の
資料
でございますから、どういうふうに対処しておいでになるか、大臣のまず御所見をお伺いいたします。
大橋武夫
126
○国務大臣(大橋武夫君) 実は私申しわけない次第でございますが、繊維
関係
の
婦人
労働者
の立場から見た問題点についての
調査
は、今まで読む機会がございませんでした。ただいまお話を伺い、今ここに現物がございましたので、ばらばらっと目を通したのでありますが、確かに御指摘のような報告が出ております。私も非常に驚いた次第でございます。さっそくこの点につきましては、
労働
基準局を通じまして実情をよく調べまして徹底的に
改正
をはかるようにいたしたいと思います。
藤原道子
127
○藤原道子君 私はあとで十分この点をお伺いしようと思いますが、大臣が率直に十分自分は調べていなかったということでございますので、お手元にはむろんあるはずでございますから、これを十分お読みいただきましてぜひ善処してほしいと思います。もう疲労度が非常にひどくてこれでは母体の将来に対しても憂うべきものがある、ということはもう御想像以上だと私は思っておりますので、この点についてはまた日を改めて大臣の御所見をお伺いすることにいたします。今言われたことを必ず実行してほしいということを強く要望いたしまして、大臣に対する質問を終わります。
加瀬完
128
○
委員長
(加瀬完君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
加瀬完
129
○
委員長
(加瀬完君) 速記を起こして。
藤原道子
130
○藤原道子君 基準
局長
にお伺いしたいのですが、今基準監督官というのはどういうふうに配置されて、どういうふうに監督しておいでになるのか。
大島靖
131
○
説明員
(大島靖君) 基準監督官はどういうふうに配置されておるか、全国都道府県の
労働
基準監督局並びに三百余の基準監督署、これに監督官を配置いたしておるわけでございます。総員二千数百名でございます。
事業所
の多い少ないあるいは交通の
関係
それらを勘案して配置いたしております。監督
実施
の
状況
につきましては、大体現在年間三十万
事業所
を監督いたしております。
藤原道子
132
○藤原道子君 基準
局長
は、こういう
労働条件
で働いていてそれで差しつかえないというお考えなんですか。朝四時半から起き出して、それで三時間も働いたあとでなければ飲みも食いもできない、お昼の御飯はさらに午後の二時になる、そういう状態で、若い十五、六才からの娘が働いている、そういう状態を御
承知
であったのか、御
承知
でそれでいいというふうに考えておられるのかどうか。
大島靖
133
○
説明員
(大島靖君) 御指摘の
繊維産業
の
労働条件
につきましては、ことに深夜業の問題、これは超過勤務の問題、あるいは休日
労働
の問題、こういった問題が非常に大切な問題でありますし、ことにこの産業においては、女子年少者が非常に多い
関係
でありまして、
昭和
三十五年から私どもの基準
行政
といたしましては、この
繊維産業
の
関係
を、ことに
繊維産業
の中でも紡績業と、綿スフ織物業、絹人絹織物業、この三業種を私ども基準
行政
の最
重点
業種として取り上げて監督を
実施
して参りました。全般的に非常に中小零細
企業
が多い産業でございますので、非常に困難ではありましたが、ここ数年来
努力
いたしまして、かなり
改善
はされて参ったと思います。ただ、現状をちょっと御指摘になりましたように、全国的に見まして大阪、ことに泉南
地方
、それから愛知、兵庫、この辺がなお悪質な経営者が相当多いと思われます。私どもとしましては、全般的に各県繊維業を
重点
業種として監督もし、
指導
もいたしておりますが、ことにこの三
地方
につきましては、徹底的にやりたいと思いまして、先般も監督
人員
を特に増強いたしまして、
機動力
も増強いたしましたし、現在
努力
をいたしております。
努力
をいたしておりますが、先生もよく御
承知
のとおり、非常に私は率直に申しましてむずかしい問題だと思っております。と申しますのは、中には監督をいたしまして司法処分をいたしましても、それはそれなりのことという結果になるおそれもあるわけであります。で、私は単に基準監督のみをもってしては、なかなか一部のものについては目的を達し得ないのじゃないかと思いまして、私が現在考えておりますのは、こういったすこぶる悪質の経営者につきましては、まあ一番痛い方面といいますか、たとえば金融方面とか、あるいは取引先の方面とか、こういった実質的な影響のある方面の協力も得て、これによって監督なり、
指導
の効果を上げて参りたいと思っております。で、この問題は、率直に申しまして確かに御指摘のようないろいろまだ十分でない点があることを認めざるを得ないと思います。認めますが、しかし、私どもとしては、これは全力を尽くしてやりたいと思っております。で、全国的に私はここ数年来の
努力
によりましてかなり
改善
されて参った、大多数の業者ないし業者の
組合
も、この際、積極的に
労務管理
を
改善
し、
労働条件
を上げていこうという態勢に私は全般的にはあると思います。あると思いますが、今申しましたような特殊の一部の悪質者によって全般が公正競争の
関係
で非常に影響されることが多い。したがって、私は、やはり全力をあげてこの悪質な一部に対して強力に監督を
実施
していきたいと思っております。まだ十分ではないと思いますが、私としましてはただいま御指摘のように懸命な
努力
を続けていきたいと思います。 なお、先ほど来御指摘の
日本労働協会
の発行の冊子につきましては、直接に私も読みまして非常に貴重な
研究
であると思いましたので、私も直接にその著者塩澤さんにおいでをいただきまして直接いろいろ伺いました。伺いまして私どももなお十分
研究
をしてみたい、また著者の方も一定の科学的な方法を用いて疲労度の測定、
研究
をなすったわけでございますが、これらの点についてまだ必ずしも、ここに発表しておるのは
結論
的なものを得たわけではないのであって、その問題点として提出して、これからさらに
研究
を進めたい、こういうことでありますので、私どものほうといたしましては、これをさらに貴重な
資料
でありますので、
研究
いたしまして、さらに著者とも再度お会いし、また共同
研究
しようということで先般お別れしたような次第でありまして、なお、十分私どもも
研究
の参考といたしまして、今後とも繊維
労働
の
労働条件
の
向上
には努めて参りたいと思っております。
藤原道子
134
○藤原道子君 五時からの早朝の勤務すら私たちはいかがかと——これの
調査
によりますと、時間以前に出るのですね。五時から始まる場合には、十分前とか十五分前に入って、それで働いて、それから仕事が済んだあとで、時間どおりで帰れる者はほとんど少ないのですね。時間だけで帰るというのは数にならないぐらい少ない。それで、どういう理由で時間外まで働くかというと、やはり役づきの人にぶつぶつ言われるから、役づきの人がこわいからと言って、時間前に出て、準備をして、時間と同時に操業する。掃除などは、時間内で掃除をして、そうして、時間になったらやめるというのが、こりや当然だろうと思います。ところが、時間一ぱいフルに機械を働かして、そうして、時間が終わってから跡片づけをし、準備をする、そういうことが公然と行なわれている。これはまさに
局長
も知らないはずはない。これらに対しては
指導
監督をされてきたのかどうか。これはもう今までの習性になっているから、習慣だからというので見のがしておいでになるのじゃないかという気持がする。今あなたがおっしゃった泉南地区とか、その他もこの間行ってびっくりしたのですが、さらにおととい私は岡山へ参りまして、岡山でもっとひどいことは、何と申しましょうか、有給休暇なんかをやらないのみでなしに、買い上げているのですね。日曜日の休暇も買い上げている。それで、どんどんどんどん重
労働
を
強化
している。こういうことがあっていいのだろうか、非常に私は寒心にたえないのですが、
局長
もそういうことに対して御
承知
でおいでになったのか、どう監督しておいでになったのかということをお聞きしたい。
大島靖
135
○
説明員
(大島靖君) 先ほど来御指摘にもなり、ただいまも御指摘になったのでありますが、私も先ほどお答え申し上げましたように、率直に申しまして、まだ基準法違反は
繊維産業
については相当あると認めざるを得ないと思います。ただ、私どもは重ねて申し上げるわけでありますが、これは何とかして一日も早く
労務管理
を
近代化
し、
労働条件
を
改善
していくことで懸命の
努力
をいたしておるわけでございます。そういった点、私が先ほど御指摘申し上げた三地域のみならず、他の
地方
にもあると思います。しかし、ことに私は全般的に見まして、やはりこの三地域には最も
重点
を注いでいかなくちゃいかん、同時に、全国的にも先ほど来申し上げたように
指導
と監督を
重点
的にこの
繊維産業
に集中するということをやっていきたい。 なお、この御指摘の本の中にあるケースにつきましては、私もまだ読みまして、この事実にあたったわけではないのでありますが、ここに指摘されておりますのは、私が先ほど来申し上げておりますような問題とはちょっと面が違いまして、
労務管理
上の問題、ことに二交代制に関連する時間のズレとか、あるいは休憩時間の問題とか、今お話しになりました食事の問題とか、いろいろ問題が出てくるわけであります。したがって、
労務管理
の、あるいは時間の配置の問題、そういった問題と非常に関連する。こう大きな問題、こういった点についても非常に女子年少者が多いことでありますから、女子
労働者
保護の、ことに健康の問題、こういった
観点
から、こういった種類の
研究
が今後なお進むべきだと思いますし、私どももまたそういった点で十分な関心を持って
努力
していかなければならない、かように考えております。
藤原道子
136
○藤原道子君 これはひとり
繊維産業
だけでこなしに、このごろ、女子の深夜業が禁止されているのに、一部のところでは許されている。特殊
業務
ではそれを機として非常に無理な深夜業が行なわれている。これらに対しては、看護婦さんにおいてしかり、あるいは社会
福祉施設
に働いている人においてしかり、このごろめちゃくちゃだと思う。さらにそういう点が非常に憂うべきだと思うのでございますが、
婦人
少年
局長
、母体保護の立場から、こういう
婦人年少労働者
の保護規定があると思いますが、現実にはこれが破られているのですね。このごろは十時半までというところはたいてい十一時ごろまで強制
労働
になっておる。こういうことに対して
婦人
少年
局長
はどうお考えになり、どう対処されるべきだとお考えになっておりますか、これをお伺いをしたいと思います。これはひとり
繊維産業
だけではないのです。各業種で、
婦人
の母体保護というようなことが無視されているのですが。
谷野せつ
137
○
説明員
(谷野せつ君)
婦人
労働者
の母性の保護の問題は、
婦人
労働問
題といたしまして基本的な大事な問題であると思っております。ことに最近のように比較的家庭を持っております
婦人
もふえて参りましたし、また最近では
婦人
労働者
が非常に職場に数多く進出いたしておりますので、一般の
労働条件
の中でも
婦人
が特に人間としてほんとうに人であるためには、やはり母性保護が
労働条件
の中で十分に守られていくということが、私は基本的に大事なことだと存じております。そこで、
婦人
少年局といたしましては、とりわけ母性保護の問題を中心にいたしまして、またその母性保護を、一般の
労働条件
との関連で働いている
婦人
の実際の
婦人
労働
の実情をいろいろな業種にわたって過去において
調査
をいたして参りました。この
調査
の結果によりまして問題がございます場合には、
労働
基準局に対して基準法の施行を特に厳重にしていただくようにお願いをして参っているのでございますが、それでは十分でございませんので、社会の皆さんが母性保護が非常に
婦人
にとって大事であるということを、職場の内外でよく理解をしていただくことをとりわけ進めますために、
婦人
労働者
の
福祉
運動というものを、少なくとも毎年一回、特別の期間を設けまして、母性保護を取り上げ、あるいは
婦人
であるがゆえに
婦人
労働者
としての特質な問題を取り上げまして、特別な啓蒙活動を
実施
いたして参りました。この場合に、皆様に問題をよくおわかりいただくための特別な
資料
なども皆様に差し上げて、この
資料
を中心にしてよく論議をしながら、また使用者のほうも
労務管理
の中に特にそのことを生かしていただくように、一部の
婦人少年室
を通しまして、あるいは基準監督署のほうと御一緒に
労務管理
の中にそれを生かすような話し合いを進め、また
婦人少年室
長が時を得ますと
事業所
に参りまして使用者と懇談、あるいはまた
組合
のほうと、懇談の過程におきまして母性保護が守られているかどうかという点について、皆様の御意見を伺いながら、その啓蒙活動などの場合に生かすように努めて参っておるのでございます。
藤原道子
138
○藤原道子君 私は、もっと
局長
に、
婦人
少年局の権限からいけば無理なことかもわかりませんけれども、もっと強くそれぞれの局へ働きかけて、実効が上がるようにさらに一段の
努力
をしてほしい、強く要望したいのです。 それから
局長
は、
婦人
が、ことにこうした
労働
密度の高い
繊維産業
に働いている、立ちどうしで、働きどおしなんです。ほっと息をつくひまが時間中はないのですから、こういうふうに働いて、なおかつ、十時以後の
労働
が許されているとお考えでしょうか。
谷野せつ
139
○
説明員
(谷野せつ君) 深夜業の禁止の問題につきましては、
婦人
労働
の母性保護の上から申しまして、もう基本的に最も大事な条件であろうと思います。ことに午後十時からの
労働
につきましては、
日本
の
婦人
労働者
の保護の歴史からいたしましても、ずいぶん長いこと、これを廃止するために皆様のお力で今日まで参っているように私は
承知
いたしておりますし、特に女の人たちが夜間において働くということから起こるいろいろな弊害も考えられるのでございます。したがいまして、私ども
婦人
少年局といたしましては、何とかしてとりわけ条件の悪い
事業
場におきます深夜業が行なわれているというようなことに対しまして、基準局の方々にお願いいたしまして、これを厳重に取り締まっていただくように
努力
をいたしたいと存じますし、お願いをして参りたいと思っております。
藤原道子
140
○藤原道子君 ところで、ILOの八十九号の批准、この精神を生かしていくべきだというふうにわれわれは考えるのですが、
局長
はどうお考えでございますか。
大島靖
141
○
説明員
(大島靖君) この女子の深夜業の条約につきましては、私どももちろん基準法の規定がございますし、そもそも近代社会においてやはり
婦人
とか、
年少労働者
が夜働くということは、もうそもそもあり得ないのだということが、これが近代社会のやはり風潮であるべきものだ。ただ、基準法では深夜業についての規定をいたしております。ただ、残念なことには、先ほど来申し上げているように、まだ
繊維産業
等につきましては深夜業の絶滅には至らないことは、私もはなはだ遺憾に思っております。しかし、これは、先ほど来るる申し上げているように、私ども全基準
行政
として最
重点
に置いてこの女子の深夜業を一日も早くなくしたいということで
努力
いたしております。 条約の問題については、もちろんその
趣旨
において私どもは当然賛成でありますし、また、わが国の基準法も深夜業の禁止をいたしておるわけであります。
藤原道子
142
○藤原道子君 今日こういう点で各所に問題がたくさんございますが、基準監督が十分に行き渡ってないということと、まさか幾ら
労働
基準局ががんばっても、今の
労使
の
関係
という立場から、
日本
では問題が起きると
労働
組合
が悪いように言いますけれども、業者のほうがはるかに法を犯しているんです。もし
労働
組合
が間違いを、少し強く言うと、すぐいろんな手が下りますけれども、業者はこうしてずいぶん法律を犯してやっているんですよ。それが許されているというところに、
日本
の
労働問
題のむずかしさがあると思うんです。したがって、深夜業の問題、若い子の早朝勤務の問題、それから休憩時間なんか守られておりません。機械をどんどん流れ作業にしてやって機械をフルに動かして、その間にお昼御飯をかっ込むようにして交代して食べるというようなことさえ、ほとんど
中小企業
では行なわれている。そういうことに対して一段と強い監督と、それから資本家に対する反省をしてもらうように、
労働者
を守るのは
労働省
なんですから、ひとつ
労働省
がしっかりしていただかなければ
労働者
は浮かばれないわけです。したがって、この点を強く要望いたしまして、時間もございませんので、私はこの
程度
にきょうは終わっておきます。
柳岡秋夫
143
○
柳岡
秋夫君 私は、
訓練
局長
に
職業訓練
の
拡大強化
ということにつきまして、一つだけお伺いしておきたいと思います。 三十八
年度
の
予算
の中にも若干増額されているわけでございますが、まだまだ不十分であるということにつきましては、先ほどの藤田
委員
の意見に私も同感でございますが、しかし、
内容
をうかがい見るときに、今
労働省
が考え、また、
実施
をしようとしているこの
職業訓練
の
内容
は、どちらかと申しますと、基幹産業の要請に基づく
訓練
ということに
重点
が置かれておる。いわば、私どもから言わせれば、大
企業
に奉仕をするような
訓練
の
強化
拡大
ということになっておるんではないかというふうに思うわけです。したがって、一般産業のための
訓練
、こういうことにもっと力を入れてもらわなきゃならぬ、こういうふうに思っておるわけでございますが、そとで具体的な問題として一つだけお伺いしたいんですが、東京の江東
総合訓練所
の廃止の問題が前から出ておりまして、前の国会におきまして私ども社会党の
委員
の質問に答えて、
労働省
は、三十七
年度
は公衆
訓練所
ですか、そういうことで暫定的にやって、三十八
年度
からは従来どおりやりたい、まあこういうような答弁をしているわけでございますが、との三十八
年度
の
予算
の中に江東
総合訓練所
の問題はどのようになっておるか、この点を一つだけお伺いしたいと思うわけです。
村上茂利
144
○
説明員
(村上茂利君) 前の通常国会におきまして、浅沼先生から江東総訓の問題につきまして質問がございました。江東
総合訓練所
は東京
総合職業訓練所
の分所という形で江東地区にあるわけでございますが、運営は
雇用促進事業団
で行なっているわけでございます。
雇用促進事業団
で
設置
、運営しております
総合職業訓練所
は、いわばかなり大規模な近代的なものが多うございまして、工業的な
職種
のものが大部分でございます。一般
訓練所
、すなわち都道府県営の
一般職業訓練所
におきましては、かなりなりわい的なものがございますけれども、
総合職業訓練所
の
訓練
種目につきましては、できるだけ近代的な、技能
程度
としても相当高度なものについて
訓練
を行なうという方針で運営させておるわけでございますが、江東総訓におきますところの
訓練
種目としては、機械工、機械製図工、洋服工、洋裁工の四つの種類がございまして、洋服工、洋裁工につきましては、端的に申しますと、
総合訓練所
で行なわなけねば一般的な需要に応じられないかどうかという問題がございますが、御
承知
のように、洋服、洋裁について技能者の養成ないしはそういった人々の養成という点から見ますと、洋服工、洋裁学校その他非常にたくさんありますことは、御
承知
のとおりでございますので、国全体の
職業訓練
の分担を考えますときに、特に
総合職業訓練所
において洋服工、洋裁工をやらなくちゃいけないかどうかという問題になりますと、むしろ消極的に解される意見が多かったのでございます。そこで、
雇用促進事業団
では、昨年の秋でございますが、これは
事業
団のみならず、
労使
の代表の方々も入っておられます会合におきましてこういった運営の基本方針をお諮りして、そして江東
総合職業訓練所
におきましてはこういった種目について整理をいたすと、こういう方針を確定して三十七
年度
の
予算
を編成したわけであります。その
予算
が編成したあとで浅沼先生からお話があったわけでありますが、江東地区においては
一般職業訓練所
もございませんし、こういった面で相当需要が多いと、こういうお話しでございますので、それでは暫定的にそういった面の
希望
がある方々について
訓練
を継続してみようと、こういう立場から
雇用促進事業団
に連絡をいたしまして継続して行なってもらっておるわけでございます。ただし、
予算
的になかなか困難な面もございまするので、
予算
の点におきましては弾力的な運営を行ないまして今日まで至っておるわけであります。 来
年度
におきましてどうするかと、こういう問題でございますが、これは江東総合
職業訓練
だけの問題じゃございませんので、東京都全体の問題といたしましてどういった
訓練
機関の配置が適当であるかという検討を十分する必要があろうかと思います。それから
職種
によりましては、一応募集はしたんですけれども、集まりが悪い、予定どおり集まらなかったというような実績もございまするので、種々検討いたしました結果、これは三十七
年度
と同じ
予算
の編成の形でいこうということで
予算要求
はいたしております。そこで、今申し上げましたように、
職種
選定の問題もございます。それから
訓練
機関の配置といたしましては、
雇用促進事業団
で
設置
、運営いたします
総合職業訓練所
として行なうのが適当であるか、あるいは都道府県営の
一般職業訓練所
として行なうのが適当であるか、そういったいろいろのからみ合いがありますので、しかもそれは
労働省
独断で決しかねますので、その
結論
はいろいろ検討はしておりますが、とりあえずの
予算要求
としましては三十七
年度
と同じ形で
要求
をいたしております。結局、これは私どもは無関心ではございませんので、非常に関心を持っておるわけでありますが、
雇用促進事業団
と東京都、
労働省
といったそれぞれ関連がある問題でありますので、慎重に検討しておる次第でございます。
小柳勇
145
○
小柳勇
君 今のに関連しまして、三十七
年度
の
予算
と三十八
年度
の
予算
とどのくらい違うのですか。今の江東総訓の三十七
年度
の
予算
の規模でやるというが、三十七
年度
と八
年度
とどのくらい違うのですか。
村上茂利
146
○
説明員
(村上茂利君) ちょっと、江東
職業訓練
所の
予算
関係
は、今手元に
資料
ございませんので、ちょっと即答はできないのでございますが……。
小柳勇
147
○
小柳勇
君 三十七
年度
には問題があったけれども、地元の要請が強いので講習所として残してきた。それが三十八
年度
は、その前の国会では、これは新たに
訓練所
としてまた
予算
を組もうという約束を
労働
大臣もやっておるようです。であれば、幾ら
予算
が違うかわからぬが、国会のたんびに方針が変わってもらっては私は困ると思う。したがって、ひとつ次のまた来月の十一日にも問題になりましょうが、
予算
を一応聞いて、
雇用促進事業団
や私たちとよく連絡をされて、前の大臣が答弁したように、ひとつこれにも見るように、
職業訓練
が足らないのですから、
総合訓練所
が四十九カ所、五カ所だけふえましたけれども、おそらくこれでは何にもならぬのではないかと思うのです。私は、さっき大臣に質問した
中高年令層
の
転職
者
訓練
にしましても、本
年度
が七千五百人、来
年度
が一万六千人。一体、一万六千人で
中高年令層
の
離職者対策
なんといったら、これは笑われますよ。一つの山がつぶれただけでも二千名、三千名の者が失業者になってしまう。しかも、それはほとんどが中高年令者でしょう。そういうときに一万六千人の
中高年令層
の
転職
者
訓練
ということで、この本
年度
予算
の
施策
の第一に
中高年令層
の
職業訓練
、
雇用対策
の
推進
などと言っておられる。まあ大臣忙しかったからたった一問で終わりましたけれども、それに関連して
総合職業訓練所
が洋服工でも洋裁工でもいいではないですか。ほかの学校に行けば金が要るんだから、もっと職業
総合訓練所
をよくして、安い費用で
訓練
してどんどん地元の要請にこたえる、こういう方向で御検討してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
村上茂利
148
○
説明員
(村上茂利君) 江東
職業訓練
所につきましては、三十六年の規模と同じような形で運営上やってみたいと思ったのですが、人が集まらないというのが実績でございまして、その実績に立ちまして私どもは運営な検討しておるのでありまして、それからまた
転職訓練
につきましても、たとえば
石炭離職者対策
につきまして、大阪の
訓練所
とか、筑豊
訓練所
におきましてずいぶん歩きがございます。何とかして炭鉱離職者を入所させたいというのがわれわれの心からの念願であり、
訓練所
長が大いに奔走しておるところでございまして、そういった実績がございまするので、いろいろ
予算
折衝の面におきましては、われわれ飛躍的な
拡大
発展を期待しつつも、やはり
予算
等におきましては実績をふまえて問題を考えざるを得ない。こういうことで悩みがあるようなわけでございます。この全体数字から見ますと、一万数千ぐらいで足るかというような御意見、これはまことにもっともでございまして、私どもも大いに
拡大
発展を期待しているわけでございますが、具体的な入所者の募集、それから入所という段階になりますと、御
承知
のように
中高年令層
もそうでございますが、中卒等につきましても、
職種
によりましてはかなり問題がございまして、そこで私どもは
職種
選定、規模の
拡大
にあたりましては、最近の実績を見まして、喜んで入っていただけるような
職種
につきまして、その
拡大
をはかっている、こういう次第でございまして、まあ忌憚のないところを、実情を申し上げまして、あるいは答弁にならないかとも存じますけれども、いろいろの
事情
を勘案しまして、できるだけ規模を
拡大
していきたい、かように考えている次第であります。
小柳勇
149
○
小柳勇
君 このあとの江東総訓については、また
予算
の問題などありますから、この次にまた問題にいたしますが、前段のたとえば
石炭離職者
、あるいは
駐留軍離職者
などの
職業訓練
について、今発言がありましたから、私も意見を述べておきたいと思うのですが、今たとえば
施設
はあるけれども、募集しても入り手がないではないかというお考えを述べられた。あるいはそうでしょう、たとえば三万円の給料もらって生活しておった者が失業して、
職業訓練
所に入ります。
訓練手当
なりあるいは
別居手当
なりありますけれども、生活ができない。しかも通勤して一生懸命に勉強しようとする意欲はあるけれども、通勤の費用もない。家族は一体どうするか、半年、一年
職業訓練
を受ける間に、家族の生活が心配になって、受けたいけれども受けられない者がいるだろう。極端に言いますと、あるところでは三倍ぐらいの
希望
者があったけれども、その中で厳選いたしまして試験で三分の二は落ちてしまったというところもありましょう。もしそれを言われるなら、そういう余ったところの人は、何とか宿舎でも作って家族
手当
をふやして、そうしてそのあいたところで
職業訓練
をしてやろう、そこまでやるのがほんとうの
訓練
じゃないですか。
施設
はしたけれども、ここへ行きなさいと言ったけれども来ないから——われわれ見ないんだけれども、あなた方、これはこのくらいでいいでしょう、そういう考えは、私はほんとうの今言われる
職業訓練
をして、そうして
転職
いたします
中高年令層
は何とか心配ないように
転職
させますと言われるのと違うのじゃないかと思うのです。いかがですか。
村上茂利
150
○
説明員
(村上茂利君) これは議論にわたりましてまことに恐縮でございますが、炭鉱離職者の現状につきましては、地区によりまして、山によりましてかなり
事情
が違うと思うのでございますが、私どもといたしましては、今申しましたような生活援護の問題が非常に大きな問題になっているということも
承知
いたしておりますので、特に来
年度
の
予算
編成におきましては、一体離職者の方々がどういう
希望
をお持ちになり、入所についての隘路はどういう点にあるだろうかという点につきましても、できるだけ
調査
をいたしまして、実態を把握して、その上に立っての問題を科学的に処理して参りたいという
観点
から、いろいろ御意見を伺っているのでございますが、まあいろいろ離職者の方々にも
事情
があるようでございまして、まあなぜ入所をしないかというアンケートにつきましても、いろいろ回答がございます。今
小柳
先生御指摘のように生活不安であるというような方々、あるいは終了いたしましてから、はたしてうまく
就職
できるかどうかというようなさまざまな要因が重なり合っているようでございます。そういう点につきましても、私ども十分分析、
調査
いたしまして、そういった隘路の打開に努めたい、かように考えているわけでございます。でありますから、私、単に
施策
を講じないで、そうして入れと言ったって無理じゃないかという先生の御指摘につきまして、これはごもっともだろうと思うわけでございまして、まあわれわれが
予算要求
として考えます場合、その全面的じゃなくて部分的な実態
調査
の上に立って、議論が展開されるだろうと思いますので、まあ財政当局等の
関係
におきましていろいろ苦慮しておるようなわけでございます。御意見を十分伺いましてできるだけ
努力
いたしたい、かように考えておる次第でございます。
小柳勇
151
○
小柳勇
君 それじゃ私の意見を述べて質問を終わりますが、その江東総訓の、もしそのような心配があれば、衆議院の社労で大臣がわざわざ三十八
年度
は
総合訓練所
として再出発いたしますということを言明する前に検討すべきであったろうと思う。もし言明されて今日に来てみて、それは募集したけれども若干募集
人員
が少なかったと、それにもいろいろ理由がございましょうから、地元の
要求
も若干一方的なものもありましょうけれども、地元の
要求
もありますから、
訓練所
にする方向で一ぺん、この次に聞きますから検討していただきたいと思います。質問を終わります。
藤田藤太郎
152
○
藤田藤太郎
君 時間がないのであまりやれないので、特に聞いておかなければならないことだけ聞くのですからお答え願いたいと思う。一つの問題は、
失業保険
の問題です。今の
失業保険
積立金が幾ら。それから今年の保険積立金からのこの
施策
に対する支出金は幾ら。この支出については
中央
職業安定
審議会
の議を経たかどうか。この三つの問題。
三治重信
153
○
説明員
(三治重信君) 三十六
年度
末で千百億でございます。それから積立金の運用、利子の運用につきましては一部
業務
費に使っておりまして、あとは
職業訓練
費と離
転職
者用
住宅
に使っております。それから第三番目の、運用について
審議会
の議を経ているかということにつきましては、
予算
関係
につきましては、毎年
予算
の概算
要求
の報告をやりまして、その間に御
希望
、御意見を伺って、そして
予算
を提出しておりまして、別に
審議会
として議決とか諮問とかいうような形ではやっておりません。運用収入は総額六十五億でございます。
藤田藤太郎
154
○
藤田藤太郎
君 もうちょっと明らかにしてもらいたいと思うのだが、新聞では積立金が千百二十六億と書いてあるのだが、千百億と言っている。それから
失業保険
会計からこの
施策
に出す合計の金が幾らか。私がちょっと計算しても百十何億になると思うのだが、ここに出ているだけで。それに六十五億とは何を指しているのか。
三治重信
155
○
説明員
(三治重信君) ただいま申し上げましたのは三十七
年度
の
関係
でございました。三十八
年度
につきましては、今藤田先生がおっしゃった数字でございます。
藤田藤太郎
156
○
藤田藤太郎
君 そんなら職業安定
審議会
の議を経なければ、法律手続としてはいかんことじゃないのか。
三治重信
157
○
説明員
(三治重信君) 概算
要求
の
関係
につきましては安定
審議会
の議を経なくて、毎年概算
要求
の報告をして御意見を伺って御了承願っておる、こういうことでございます。
藤田藤太郎
158
○
藤田藤太郎
君 この失対法の三十九条ではこれはどういう工合に解釈するのですか。
三治重信
159
○
説明員
(三治重信君)
中央
職業安定
審議会
はこの保険の運営に関して重要な事項について意見を聞いてこれを決定する、こういうふうになっております。したがって、その
事業
の運営につきましていろいろ重要な事項について、変わる、変える場合というような場合につきましては諮問しておりますが、毎年の
予算
の
要求
事項そのものの
内容
について、一々この重要事項としては諮問はしておりません。
藤田藤太郎
160
○
藤田藤太郎
君 おかしいじゃないか。保険の会計の中から、これは三者が出している金ですよ。そうでしょう、積み立てている金。それを職業安定
審議会
が、その百十億、一割からの
資金
もここに充当しようというのに、これは重要事項じゃないのですか。そうすると
予算
の
要求
というのは、これは何ぼになってもいいという
要求
ではなかろう。これだけのものはやはり大蔵省できめなければならぬという
要求
で、
労働省
の心づもりだと、そうしたら百十億からの金をこの会計から出すのは
予算
の
関係
だから、そんなものは知っちゃいない、知っちゃいないという表現じゃなかったけれども、かけて諮らないんだということは、それはたいへんなことじゃないの。これは私は
失業保険
の金をこんなところに充当するのでなしに、国の一般会計から出すべき金なんだよ、この
施策
は。それを
失業保険
の会計から緊急を要して充当している。緊急な要素、
重点
の要素、段階が私はあると思う。しかしある
程度
認めるとしても、
中央
職業安定
審議会
の議も経ないで、これを百十億からの金を出すというのは、これはどうなのか、私はけしからぬ話だと思うんだが、
労働省
はどう考えているんですか。
三治重信
161
○
説明員
(三治重信君) それは
失業保険
法の規定の
福祉施設
の
拡充
対策として考えております。したがって、われわれのほうとしてやはり
福祉施設
それから
保険給付
、そういうものを全体的にやはり失業の救済、予防、それからさらにそういう被保険者の利益というふうな総合的な
観点
で、全体の歳入歳出を考えてゆくべきだというふうに考えておりまして、ことに来
年度
におきましては、やはりわれわれのほうとして
広域職業紹介
というものを強力に進めてゆくためには、そういう方たちの離
転職
者への
住宅
、またそういうふうに
就職
される方にやはり技能を身につけてもらうために、
職業訓練
施設
また
職業訓練
の運営費というものについて相当重大な考慮を払ってもいいんじゃないかというふうに考えております。もちろん、これだけで全部が
労働省
の
施策
としても終わるとは考えておりません。一般会計で
要求
すべきはもっと十分
要求
するつもりで、また
要求
しているつもりでございます。
藤田藤太郎
162
○
藤田藤太郎
君 私の言っているのは、
内容
にも問題はありますけれども、
内容
の問題については今触れていない。私の今言っているのは、本来積立金の中から、一千百億というような積立金が
失業保険
の中に出るというのも問題が一つあると思うんですけれども、しかし失業者の保護のためにもつと力を入れなければならぬという根本の問題があるわけです。その問題は
改正
しないでおいて、金がたまった、その一割をこれを出すわけです。出した
内容
については私は議論を次の段階でしょうと思っているんだが、まず手続上
中央
職業安定
審議会
の議を経て意見を聞いて、そうしてきめるということが法律できめられている。それを
審議会
の議を経ず、意見も聞かないで、私はこれだけの大きな金をやるというのは、法律の建前からいったらどうなるんだということを、まず今聞いている段階なんです。
福祉
の
関係
といおうと何といおうと、
失業保険
というものは、失業したときに
労働者
が困るためにできたのが主目的です。あなたのおっしゃるのは、その援護、
福祉
行政
に今使っておられるわけです。これは
審議会
がそういうところへ使ってよろしいということになって、それで国会で議論があって、そんならしてよろしいというなら、それもまたそういうことにきまるかもわかりません。しかし、前段の法律上の手続を経ないでこんな膨大な金を国会に出してくるとは、どんな解釈になるのかということを聞いている。
三治重信
163
○
説明員
(三治重信君)
予算
の
要求
の
金額
の多い少ないにつきましては、大体法律の各いろいろの部面について、その法律の運用に、法律の
関係
の重要事項について諮問するとか意見を聞くとかいうふうな規定が各法律にありますが、そういう場合でも、おそらく各省とも、またそういう問題について、新しく、そういう
福祉施設
で何をやるかとか、どういうふうなことでそういうことをやるというそういう場合には、重要事項として諮問して、しかしそれが一つの例になって、それを
拡充
する、またはその運営について縮小するという問題については、やはりそう毎年の
予算
の
関係
については、それを重要事項として諮問するところはおそらくないのじゃないか。たとえば道路においても、また治水にしてもいろいろの
審議会
があるわけでしょうが、そういう場合においても、たとえば五カ年
計画
なら五カ年
計画
と、そういうふうな重要な
計画
を立てるという場合に、いろいろ審議を願って全体
計画
なり何なりをきめる。しかし、その各
年度
の概算
要求
につきましては、一々それもまた重要事項として審議されるというようなことはないわけなんでして、その点は藤田先生、各毎年の
予算
の額、全然新しいことを審議してこの中に入れているというようなことは重要事項であるか。そういうものを何も諮問しないでいるのはおかしいじゃないかという御議論かと思いますが、その
福祉施設
としてわれわれが
要求
しております
訓練
施設
とか、児童宿舎とか、それから
福祉
の
施設
というようなものにつきましては、根本的にはこれを条文を入れることは、その
内容
については十分御審議願って、そういう費目については
施設
として
要求
してよろしい、またそういうもので
施設
を活用するということについては、当初了解を得ておるわけなんですから、その毎年の
金額
のその多い少ないについてそれを重要事項ということは、各省ともおそらくどの
審議会
でもやっていないのじゃないかというふうに思います。そういうふうにわれわれのほうは理解をしております。
藤田藤太郎
164
○
藤田藤太郎
君 違う、特別会計だぞこれは。
加瀬完
165
○
委員長
(加瀬完君)
委員長
から御回答の方に御注意申し上げますが、法律できまっておることを踏まないのはどうだという御質問なんですね。今の御回答は、道路
審議会
とかいろいろ例にあげましたけれども、それはいろいろの諮問
委員
会が、
行政
諮問
委員
会がございますが、必ずしも法律できまっているものではありません。しかも法律で制定している
内容
のものでない場合もありますね。その点も明確にお答えいただかないと、今の藤田
委員
の御質問の御回答とはちょっとはずれると思いますので。
三治重信
166
○
説明員
(三治重信君) 職業安定局だけにつきましても、そういう今までの例に比して今度だけかけなかったということではございませんが、そのどういうまあその
金額
の多寡によって重要事項、重要事項でないということについては、われわれのほうはそういうふうには理解しておらない。そういう運営について新しいことを始めるとかやめるとかいう場合を重要事項として考えておりまして、その毎年やる運営の量の大小については重要事項とは解釈をしておりません。
藤田藤太郎
167
○
藤田藤太郎
君
失業保険
というのは三者が出した特別会計なんだ。三者の申告によって積み立てられている金なんだ。その第一の目的は、失業者が出たときの生活保護というものを第一の目的にしているわけですね。ここまでは私はそのとおりだと思う。だから私は昨年の
予算
でも言ったんだが、
予算
のときにもやかましゅうやった問題なんですけれども、本来言えば一般会計から、国の一般会計から出すべきものを、緊急な要素としてこれを出すということになるわけです、なるようにきまったわけです。しかし、私は今ちょっと聞いてみたのは、その
審議会
の議をいつも聞いてということがあるのに、そういうことがされてないということは、これはどうしてもやっぱりしてもらわないかぬ、それが法律の建前だと私は思うのです。それからもう一つは、これだけの大きい額をお出しになるのです。これはやっぱりこれを貫こうとされている。あなた方は大蔵省の
関係
においても貫こうとされている。もしも
経済
的なパニックや何かが起きて失業者が、本来
失業保険
を出さなきゃならぬ失業者が出たときにどうしようとするかという問題も関連をして見通しやその他をつけて、
審議会
で学識経験者その他三者構成だと思いますが、そこで十分に審議をして必要な額それじゃ出そうじゃないかということが出てきて、
審議会
で議論をして下さいというなら、私はそれはそれなりにこの問題の結着がつくと、私はそう思う。ところが、慣例だからどうのというようなことではだんだんと毎年ふえていくのです。
内容
に入ると時間がかかりますから、私は言いませんけれども。特に
住宅
の
建設
なんかについては、
失業保険
の会計から出すべき性質のものとは違うと思うのです。
建設
省の所管のものを
労働省
がおやりになるというようなことが、われわれはなかなか納得がいかないのだけれども、昨年もそういう結果になったわけです。だから、ことしは膨大な額だから、私はそういう手続はやっぱり踏んでもらわないかぬ。意見を聞いて、
予算
の決定までに
審議会
を開いてやっぱり意見を聞いてもらうということでなければ、私は立法府の国会としては、新しい三十八
年度
予算
の審議には問題があるのではないか、こう思います。どうですか。
三治重信
168
○
説明員
(三治重信君) 先ほどから御
説明
しておりますように、諮問事項としてそれを一々こまかく御審議は願わないけれども、毎年、ことしも先日の
審議会
で御審議を、御報告して、
予算
はこういう
予算
ということで御
説明
はして、一応そうかということで御了承は得ている。それが藤田先生からいくと、こまかく諮問事項として審議願ってその
金額
をきめてもらえということかもわかりませんが、まあ今までの慣例からいくと、こういう
予算
を
要求
します、何かほかに御注意はございませんでしょうかということで、報告事項になって、
審議会
にはお見せはしてございます。こういうことでございます。
藤田藤太郎
169
○
藤田藤太郎
君 まあさっきの言い方はやね、全然何もしてないような言いぶりだったので、僕は言ったのだけれども、一応報告をして承認を得たというのだけれども、まあそんならきょうのところの議論はこの
程度
にするけれども、今後はやっぱりそういう問題は明確にやっぱり審議をしてきちっとしてもらわないと、問題が起きたときにあんた責任とれぬですよ。この膨大な金を
行政
当局として私は責任は持てぬのじゃないかと思う。これはひとつ注意をしておきます。 それから二番目の問題は、会計
課長
にお聞きしておきたいのです。これ国際
労働関係
の費用が一つも取ってない。それで、私は恥ずかしくてしょうがない。アメリカから今度
労働
代表百人招待するというようなことが出ている。それで、
日本
が肝心な会議に行く、ILOの会議あたりには一人とか二人とかちびちびやるけれども、それで
労働省
はやっている。私は
日本
の
労働
組合
の代表や各界の代表をどんどん
海外
に出して、そうして国際的に
労働関係
の費用をどんどん取って、
関係
者はどんどん外国に出して勉強もし、
研究
もする、こういう私は態度でなけりゃいかぬのじゃないかと思う。外国の招待を待っているというような格好じゃ私はいかぬと、こう思うのです。これ出てないがどういうととか。
住栄作
170
○
説明員
(
住栄作
君) 国際
労働行政
の
推進
につきましては、最初のなお書きにも書いてございますように、
明年度
の
予算要求
としましては、重視いたして
要求
しておるのでございますが、ILO等の会議に出席につきましてはこれには掲げてございません。そこで会議等の出席旅費につきましては約二千五百万円、これは総会、
理事
会それから
産業別
委員
会等に要する
経費
でございます。それからなお
労働協会
のことにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、協会の
事業
といたしましても外国の
労働関係
者をよぶという
経費
等も計上してあります。それからこれは職員が
海外
における
労働関係
を勉強をしてくるというような
経費
等をも
要求
いたしております。
藤田藤太郎
171
○
藤田藤太郎
君 これはひとつ私は
労働
大臣に話したかったのだけれども、おいでになりませんが、ちょっと耳には入れておきますけれども、
日本
の今の現状というのは、外国の政府が
日本
の
労働者
代表を無料で非常にたくさん招待をする、そういう格好のものが目についているわけです。
日本
が外国の
労働
代表を招待したということは私はあまり聞かないけれども、それも将来考えなければいかんと思うのだけれども、それよりもまず、
日本
の
労働者
や
日本
の
労働関係
の人が外国を見て近代的な
労働
感覚を見さして、勉強さしてくるというようなことは重要な仕事だと私は思う。これは大いにひとつ勉強を、今度の
予算
に何とか捻出して出してもらうように何とか
努力
してもらいたいと思うのです。 それから次は、
中小企業退職金共済制度
の
普及促進
の中に、事務
組合
を作るとおっしゃったのですが、この事務
組合
を作って、そうして
失業保険
に入りなさいという、私は、
指導
というものが少し足らぬと思うのだ。だから、これは七千五百万の金がこれだけに、この
指導
のために、これは
適用促進
ということで七千五百万になるのか、よくわかりませんけれども、いずれにしてももっと、五人以下のところにたくさんの
労働者
がおるわけですよ、
賃金
の面でもありますけれども、その人たちに
失業保険
の
適用
をさせるとか、こういうことは私は
労働省
はもっと金を入れておやりになったほうがいいと思うのです。その点で熱意がどうも足らないように思うのです。これはどうにもならぬのか、どういうお考えを持っているのか、ちょっと聞いておきます。
三治重信
172
○
説明員
(三治重信君) 五人
未満
の
適用
の
強化
のために、
促進
のためにこの保険事務
組合
の
制度
を設けたわけでございますが、この七千五百万円は、その
組合
を作って納付した場合、納付の保険料の一〇%の
事務費
を出す。それからそれの、
指導
するための
経費
が若干と、そのほかそういう
組合
を作るような
促進
のPRの
経費
でございます。なかなか思うように発展しませんので、まあ実績を勘案して伸びをかけたわけでございますが、相当倍率としては、われわれとしてはここに入れているつもりなんですが、何しろまだ現状が割合に伸びないものですから、とのような
金額
でございますが、将来とも伸ばしていきたいと思います。
藤田藤太郎
173
○
藤田藤太郎
君 大
企業
と
中小企業
との
賃金
格差は、外国は大体一〇〇対八〇だ、
日本
は少し上がったと思いますけれども、去年あたり一〇〇対三〇か三二なんですよ。そういうところの方々が
失業保険
もないで困っている。まず健康保険の問題で一つ困っていますよ、その次は
失業保険
がなくて困っている。だからその点は、私はもっと真剣に考えて、何とかここを考えていただかなければ困ると思います。きょうはもうおそくなりましたからやめますけれども、次の機会までに何かひとつ具体的な
考え方
を
労働省
の中で御検討願って、われわれにお聞かせを願いたい。それをお願いしておきます。
加瀬完
174
○
委員長
(加瀬完君) 他に御発言もないようでありますので、本件に関する
調査
は、この
程度
にとどめておきます。 次回の
委員
会は、来月十日、十一日の両日開会することとし、これで散会いたします。 午後四時三十六分散会