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1962-09-20 第41回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月二十日(木曜日)    午前十時三十分開会   —————————————   委員の異動  九月三日   辞任      補欠選任    小平 芳平君  二宮 文造君    奥 むめお君  林   塩君  九月四日   辞任      補欠選任    二宮 文造君  柏原 ヤス君  九月六日   辞任      補欠選任    柏原 ヤス君  小平 芳平君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加瀬  完君    理事            鹿島 俊雄君            小柳  勇君            藤田藤太郎君    委員            紅露 みつ君            竹中 恒夫君            丸茂 重貞君            山下 春江君            杉山善太郎君            藤原 道子君            柳岡 秋夫君            村尾 重雄君            林   塩君   国務大臣    厚 生 大 臣 西村 英一君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    法務省刑事局青    少年課長   荻野かく一郎君    法務省矯正局参    事官      福井  徹君    厚生大臣官房長 熊崎 正夫君    厚生大臣官房会    計課長     今村  譲君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君    厚生省薬務局長 牛丸 義留君    厚生省社会局長 大山  正君    厚生省児童局企    画課長     武藤き一郎君    厚生省年金局長 山本 正淑君    国立予防衛生研    究所腸内ウイル    ス部長     多ケ谷 勇君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (厚生省関係昭和三十八年度予算に  関する件)  (生ワクチン対策に関する件)  (身体障害者国民年金問題に関す  る件)  (教護院施設並びに職員待遇の問  題に関する件)   —————————————
  2. 加瀬完

    委員長加瀬完君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査の一環として、厚生省関係昭和三十八年度予算に関する件を議題といたします。  まず、厚生省当局から説明を求めます。
  3. 今村譲

    説明員今村譲君) それでは、来年度の厚生省の重要な柱は、お手元に四枚刷りの資料を差し上げてございますので、それにつきまして申し上げたいと思います。  総額は、三十七年度予算につきましては二千七百二十三億ということでございまして、三十八年度要求額は四千八十四億九千三百万円、これはもうぎりぎり一ぱい持ち込むということで、人件費の計算や何かは、多少ある程度の端数は動きますけれども、千三百六十一億というのが、持ち込み増といいますか、来年度の増加持ち込みでございます。柱は全部で二十一本書いてございます。これは非常に政策的に大きいものもありますし、あるいは金額はそれほど大きいものではありませんが、新規の政策というふうなものも書いてございます。順を追って御説明申し上げたいと思います。  一番の生活保護につきましては、六百七億が七百三十七億というので、約百三十億の増でございますが、この中で一番大きなものは生活扶助基準の改訂、これが昨年度二二%上げていただきましたけれども、まだまだ一般の均衡上困るということで二一・三五%アップ、これが六十二億三千万ということに相なっております。したがいまして、これが通りますと、東京のような一級地、いわゆる標準四人世帯、これが一万二千二百十三円が一万四千八百二十円で、二一・三五%のアップになるということでございます。それから、勤労控除はそれに伴って上がりますが、未成年者勤労控除育児加算というものが新規に二本ございます。これは未成年のほうは、被保護世帯に同居している二十才未満の勤労青年の収入を、収支認定をして皆差し引いてしまうのは気の毒であるというので、月二千円だけは勉強の費用なり、しかるべき費用で控除してやろうということ、それから、育児加算につきましては、現在母子加算というものがございますが、未亡人が子供を育てるというふうなものもございますので、それをふくらまして、両親がそろっておっても、十五才未満の児童を扶養する被保護家庭につきましては、ある程度の加算をつけてあげたいという、これが母子加算額の二分の一ということでございます。  それから、児童保護措置費は二百九億で、七十三億ほどの増でございます。飲食物費その他の増。  次に、三番目に、施設職員処遇改善というものがございまして、これは全体で三十九億余、約四十億近くになりますが、去年も一五%いろいろ御要望申し上げて、七・五%の裁定ということになったわけでございますが、まだ公務員との比較関係相当の開きがございます。したがって、来年も一五%の増額をいたしたいというので、これが社会局児童局、両方の保育所も含めまして、全部で十六億九千六百万、約十七億というものが国庫負担分として増加に相なります。それから(ロ)の職員構成改訂というものがございますが、これは児童審議会社会福祉審議会あたりで、施設職員が非常に少ない、もっとふやせという要望の建議、答申が出てきております。ただ、一気にこれをまるまる三十八年度というわけに参りませんので、これは二カ年計画で答申の線に追っつくということで計算してございますが、これが約十五億ほどでございます。  それから四番の老人福祉対策につきましては、現在生活保護法養老施設その他でやっておるのでありますが、老人福祉法というものを立法するという前提のもとに、生活保護法から相当部分を離してしまうということでありまして、現在まで入っておりますのは三十四億で、これがちょうど倍の六十九億八千万ということになります。これは施設整備費十八億というものは、老人ホームをたくさん作る、あるいは軽費老人ホームをどんどん作るというふうな施設整備、それから保護費につきましては、生活保護法からその部分を切ってきて、さらにある程度の処遇改善をしなければならないというふうな予算が四十七億でございます。  五番の、低所得階層対策につきましては、前年度の九億が十三億五千万でありますが、これは世帯更生貸付金が九億と書いてございますが、これが三十七年度予算は六億でございました。したがって五割増し。それから、母子福祉貸付金のほうは四億五千万でございますが、三十七年度予算が三億でございますので、これも五割増しということで、内容につきましては、入学資金とか、あるいは転宅資金とか、それから高等学校就学資金の月千円を千五百円に上げるというような内容が盛られております。  六番の、地方改善対策につきましては十億四千三百万の増でございますが、同和対策が九億五千万、これは一般同和地区と、モデル同和地区と二つに分かれておりますが、一般が大体六億二千万、モデル地区が三億二千万、ちょっと端数がつきますが、そういうふうな金額の割合でできております。それから、不良環境地区対策、それからドヤ街等対策ですが、不良環境のほうは、生活館の新設、その運営費、それから北海道関係特別対策というふうなもの、これは前年度出しましたものの額をふくらましている。ドヤ街は、大都市の、いわゆる釜ケ崎事件というものに象徴されますように、いろいろな問題がございます。したがいまして、更生相談所を作り、それから更生ホームといいまして、子供を持っているそういう宿所の定まらない人を一定期間収容する。そのうちに仕事を見つけてあげるというふうなもので、これは七カ所くらい要求してございます。これが二億四千六百万でございます。  七番に、社会福祉施設緊急整備公団というのがございます。これは非常に前々から問題になっておりまして、明治時代、あるいは大正時代のように、社会事業施設の非常にあぶないというものが多いのでございます。それで、普通の従来の補助金ではとてもそこまで手が回らないというので、公立は従来の系列のままでやっていく、国が二分の一補助ということでやる。それから、民間につきましては、とても手が回りませんので、緊急整備公団というものを作りまして調査いたしましたところが、五百三十八施設で、建てかえが総額八十五億、これを五カ年計画で片をつけたいということでございます。したがいまして、一カ年十七億くらいになりますが、そのうちで、国が半分、それから県が四分の一、それから民間の法人が四分の一、こういうふうに現行なっておりますが、これを国の半分分、それから民間の持ち分四分の一というものを国から出資してもらう、それから残り四分の一の都道府県負担分は、これは整備公団のほうに金をもらいまして一挙に建物を建てる、そうして老人なんかを安全な収容施設に入れる。その後民間の法人が四分の一自己負担分を持って参られましたときに、その建物の所有権当該法人に渡す、こういうふうな考え方でございます。  それから、次のページに参りまして、八番の精薄者援護、これは子供とおとなの両方書いてございますが、内容的には新規のものではございません。ただ、非常に精薄関係というのは、始まったばかりの行政のようで、施設も少なく、処遇も非常にまだ低いというので、思い切って相当の府県に施設をどんどん作ってもらいたいというものでございます。  九番の、母子保健対策、これは二億が八億三千万で、約六億ほどの増になっておりますが、妊娠中毒症対策というのがございまして、一億円ほどでありますが、これは従来どおり助産婦さんが妊婦を回って歩いていろいろな御指導を申し上げる。ただ、妊娠中毒で、放って置いては非常にあぶない、入院しなくちゃいかぬというふうな人も、経済的要因で入れないという人があるわけであります。そういう人に対しましては、低所得者に限りますけれども、費用公費負担でもって国と府県がそれぞれ折半する、こういう考え方新規医療費の増というものをお願いしているわけでございます。母子登録管理母子栄養強化、これは去年予算で出しましたように、保健所を中心といたしまして管理強化をしていきたい、目が届くようにしたい。それから、産前産後の妊産婦さんに牛乳を差し上げたいというふうな予算でございます。それから、母子健康センターにつきましては、三十七年度予算は、一般四十カ所というものを七十カ所にふやす。それから、これは新規でありますが、僻地につきましては、やはり非常にその要望が強うございまして、これは新規でありますが、来年度三十カ所個々に健康センターを作りたいということでございます。  十番の、僻地対策につきましては、これは大体、体系といたしましては、前年どおり僻地医療対策が五億二千三百万、これは僻地診療所の増設、その運営費。それから不便な所には車を買ってあげる。それから巡回診療の船とかいうふうなものを、都道府県、あるいは市町村補助をする。それからお医者さんの処遇改善するというふうなものでございます。それから僻地保育対策につきましては、これは非常に喜ばれているのでありますが、全国で三十七年度六百八十五カ所ございます。それを一気に千百カ所というふうにふやしていきたい。それから(ハ)の保健福祉館の新設につきましては、これは僻地部落あたりでいわゆる小公民館的なものがない。したがって、集会にしても保育にしても、あるいはいろいろな衛生教育にしても、場所がない、何かそういうセンターを作りたいというので、とりあえず来年度は百カ所新設をするというふうな格好要求をしております。これが二億円でございます。  それから、次に、衛生系統に入りまして、十一番の、環境衛生施設整備、これは三十七億が百八十七億二千九百万というので、非常に大きな、五、六倍にあたる増額でございます。これは中身は、屎尿消化槽、ごみの焼却場、下水の終末処理施設簡易水道の四本立てになって、その他こまかいのがありますけれども、従来十カ年計画ということで、厚生省が案を立てまして、そのつど大蔵省と折衝をしておりましたのですが、十カ年では気が長過ぎる、五カ年間で一気にやってしまいたいというふうに元気を出しまして、五カ年間のうちでも、三十八年、三十九年度というふうに事業量のアクセントをつけて強化するという要求でございます。で、屎尿消化槽につきましては、五年計画で、三十八年度が六十二億、ごみ焼却が二十六億、下水終末処理が六十六億、簡易水道だけは十カ年計画、これは動かしておりませんですが、これが二十六億。そのほかに飲料水供給施設という小さな部落の関係が二億円とか、あるいは屎尿運搬バキューム・カーというふうなものが一億とか、いろいろございますけれども、大きいものはこの四本でございます。  それから、十二番、十三番は、結核精神衛生対策でありますが、十二番は、結核命令入所費。これは患者が六万二千人から九万三千人に、これは非常に効果があがっておりますので、一気に五割増しの措置入院ということをいたしたいという関係でございまして、これが六十五億三千九百万円の増加ということでございます。それから精神衛生につきましては、前と同じように、措置入院患者が、三十七年度は、年間を通じまして四万六千三百十五人でありましたが、来年度は五万八千人という数字を要求しております。本来これはもっと強くしたいのでありますけれども、何しろベッドが足らないという関係がございまして、ベッドから逆に制約されるという事情がございます。それで、その措置入院関係が百十七億。で、精神病院ベッド増床につきましては、やはり公的医療機関あるいは都道府県直轄というようなものにつきまして、合計で四千二百ベッドの増床をいたしたいということでございます。昨年度は千九百ベッドしか認められておりません。それから(ハ)の精神衛生相談所整備につきましては、今後いわゆる精神病のほかに、大都市あたり、大工場あたり都市生活複雑化に伴いまして、ノイローゼとかいろいろな問題、トラブルが出て参ります。これに対する根本的な対策が望ましい。その拠点となる精神衛生相談所というものを全国二百カ所作りたい、それを五カ年計画でやる。もちろん先生方を得られるかどうかというふうな問題がありまして、一気にはとても参りませんが、五カ年計画で、来年度は三十二カ所ということで、二億六千二百万円の増額要求を出しております。  それから、十四番目の、看護婦確保対策につきましては、去年は二千二百万ということで、非常に小さな規模でありましたが、これはほうっておけないというので、相当思い切った対策を一考える必要があるというので、養成所整備につきましては、去年二カ所でありましたが、来年は十二カ所、六倍にするというので、それが一億四千五百万。それから養成所運営費は、従来は出しておりませんで、中でまかなってくれるというしかけでありましたが、これは二百六十六カ所でありますが、二分の一、三億三千百万、これがほんとうの新規要求でございます。  それから(ハ)の修学貸与金につきましては、三十七年度に初めて一千三百三十人分というのが入ったのでありますけれども、これでは不十分であるというので、来年度は八千七百八十二名ということで一億二千百万ということでございます。「その他」というところに、現在看護婦さんの資格を得ておられる方で、家庭に入っておられる、子供も大きくなったというふうな人をパート・タイマーで働いてもらうというふうな、いろいろなPRやなんかが要るのじゃないかというので、その関係費用が若干入ってございます。  それから、十五番の、麻薬対策でございますが、去年一億六千万、来年十億七千万という、これも約七倍近くの増強でございますが、これは最近の世論あるいは国会方面の御指摘、いろいろございまして、相当思い切った拡充をいたしたいということでございます。で、内容につきましては、次のページに参りまして、国立のいわゆる中毒者収容施設、これは関東方面関西方面というふうに二カ所作りたい。それから、県立が今三カ所ほどございますが、さらに県立も整備して参りたい。それから、入所の措置費は、現在そういう制度がございません。飯代ですが、精神衛生法に基きまして、精神患者というしかけにしておいて金を払っておるわけでありますが、本質はやはり違うというので、これはいろいろ立法措置をお願いすることになると思いますけれども、国と都道府県、まあ生活保護法と同じようなしかけで、いわゆる医療費飯代を出すという格好要求がございます。  それから、取締官事務所事務費、これは四億七千万でありますが、これは前年度約一億ちょっとだと思いますし、相当大幅な増員、百三十人の増員を要求しておりますが、それと、それに伴う施設近代化ということでございます。それから「その他」の項目は、いわゆる香港、シンガポールというふうに、海外駐在が四カ所、合計六名という費用も組んでございます。それから、都道府県なり市町村なりのPR関係というのが三千万円程度、いわゆる麻薬禍撲滅対策というのが組んでございます。  それから、十六番の、ワクチン需給安定基金十億と書いてございますが、これは日本脳炎、インフルエンザ、コレラというふうに、十九品目ございます。これは完全な新規要求でございますが、こういう急性伝染病のようなものを、ワクチン民間の企業の片手間かなんかでやってもらうということでは、業者としてもなかなか作りにくい。しかも、ほうっておけないという問題がございまして、これは生産数量、それから価額、これをあらかじめ測定してきめまして、生産数量一定割合まで売れなかったという場合には、その差額というものをこの基金が補償する、ただし、きめた一定割合よりオーバーして売れたという場合には、その部分をこの基金のほうに納めてもらう。要するに、プール資金のような格好で、業界が安定したワクチン生産というものに向かい得るという格好にしたいというのがねらいでございます。  それから、十七番目の、福祉年金につきましては、社会保障制度審議会の答申、あるいは建議という線もございまして、第一点は、年金額引き上げをしたらどうか。それから第二点は、いわゆる受給者のいろいろな制度がございますが、それの緩和をやるべきであるという方針がございまして、一の年金額引き上げにつきましては、障害年金千五百円を二千円、母子、準母子年金は千円を千五百円、五割上げる。それから、老齢福祉年金につきましては、全部に上げる必要はないのじゃないか。たとえば所得税を払ってない人というふうな点にしぼって、それのある程度の引き上げが必要じゃないか、こういう線がございまして、大体「七〇%対象」と書いてございますのは、所得税を払ってない人という意味でございます。それにつきましては千円を千二百五十円というふうに上げるということでございます。それから、所得制限緩和は毎年といっていいほど国会にお願いしておるのでございますが、本人の十五万を十八万、扶養義務者五十万を七十万、夫婦受給制限の、これも御夫婦がもらっておれば二五%おのおのから差っ引くという仕組みになっておりますが、全廃にまでは至りませんが、両方から一〇%ぐらいずつ差っ引くという格好にして、相当緩和をしたいというのでございます。実施時間は、年金額引き上げは七月から、それから、所得制限緩和夫婦受給制限緩和、いずれも支給時期の関係がございますので、五月からという要求をいたしております。  十八番の児童扶養手当も、これは上の福祉年金との関連、特に母子年金との関連がございまして、手当額を第一子八百円を千二百円、第二子、六百円を七百円、こういうふうに上げますと、第二子で千九百円という格好になりますので、非常に調子が合ってくるというふうな技術的な改正でございます。所得制限も上に申し上げましたと同じ内容でございます。一つ変わっておりますのは、これは福祉年金にもございますが、身体障害児が十六才になりますと打ち切られるのでありますが、これは二十才まで延長したい。金額は微々たるものでありますが、二十才まで延長しますと障害年金のほうに移行できるということで改正をやりたいということでございます。  それから、十九番の、国民健康保険の問題につきましては前年五百四十二億が六百七十五億というので、百三十二億九千万、約百三十三億の増額ということでありますが、おもだった点だけ申し上げますと、第一点の給付改善でございます。これは総合調整関係がありまして、基本的な結論はまだ出ておらないのでありますが、とりあえず世帯主疾病、これは入院、外来全部でありますけれども、世帯主疾病については七割給付を行ないたい、すでに結核、精神は七割給付が実現いたしておりますので、それ以外の一般疾病というものについて七割を行ないたいという、そうやりました場合の保険者保険料負担というものを緩和する意味におきまして、根っこの二割五分のほかに、さらに今度上げます部分については、さらに一〇%の国庫負担をつけていただきたい。したがって、世帯主一般疾病部分の七割給付については、相当たる三割五分の国庫負担になる、根っこの二割五分でありますけれどもという要求でございます。それから、事務費につきましては、現在被保険者一人当たり百二十円ということになっておりますが、百六十五円まで上げていただきたいという要求を出しております。この四十五円の増額に伴いましてふえます国庫補助予算というのは十八億七千万という予算額に相なります。関連でありますけれども、国民年金の、これに書き忘れたのでありますけれども、国民年金拠出部分市町村交付金、これは現在百十円でありますが、これは百三十七円というふうに直すような要求をいたしてございます。  それから、最後のページの二十番、遺族援護に参りまして、総額二十七億ほどふえるのでありますけれども、大体これはまあ併給に伴う平年度化というふうなのが大多数でありますが、一つだけ法律改正を要するものといたしまして、制度改善で四億一千八百万というのが出ております。これは柱が六、七本こまかいのも入れますとございますが、大きいのだけ書き上げたのでありますが、第一番は、学徒動員とか準軍属の処遇改善、いわゆる遺族給付金年金に引き直すとか、いろいろございますが、その関係が二億。それから、特殊勤務の満鉄職員等処遇改善というので、装甲列車に乗ったり、特殊な非常に作戦に密着したような仕事をしておる満鉄職員がおったわけでありますが、こういうふうな人についての処遇改善する、これが大体九千三百万ぐらい。それから、(C)の、非戦地勤務有給軍属処遇改善、これは内地、台湾、朝鮮あたりの、戦地でないところの工廠勤務の人、これは本来ならば旧令共済でまかなうのでありますけれども、どうもその辺の整理がバランスがとれない。その辺の平仄を合わせないというので、ある程度の処遇改善になりますが、これが予算にして約一億一千万ほどの金額になります。(D)の特例年金支給要件緩和、これは内地の軍人の職務の関連で、一年−三年以内に死亡した人に十分の六の年金が出るのでありますが、いかにも一年−三年では短かいので、これを二年六年、六年は結核のほうでありますけれども、そういうふうな改善をいたしたい、こういうのがおもだった柱でありますけれども、制度改善は、もちろん法律改正を御審議願わなければならないと思いますけれども、四億二千万ばかりの増額になっております。  それから、国立公園につきましては、前年度三億三千万を十億五千万ということでありますが、国立公園等施設整備直轄部分補助部分合わせまして要求が九億五千万。それから、国民休暇村協会の補助が一億円、総計十億五千万、こういうふうなことに相なっております。  以上、非常に大きな柱、あるいは小さくてもめほしいといいますか、そういうものだけをとりあえずまとめて御説明申し上げた次第であります。以上であります。
  4. 加瀬完

    委員長加瀬完君) これより質疑に入ります。
  5. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、委員長にまずお尋ねしたいのですけれども、大臣は見えますか。
  6. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 大臣は、委員部のほうからは再三要求をいたしておったわけでございますが、今、官房長が参りまして、要求がないので、他に予定があるということでありますので、委員部に確認しましたら、前もってたびたび要求をいたしましたら、昨夕、あしたは出られないという御連絡があったそうですが、これは再々要求をしておったのだから、あした出てもらわなければ困るという委員部からさらに要求をしてあったそうです。今、前に申し上げたような理由を申し述べて官房長が参りましたから、一カ月に一回の委員会に大臣が出ないというのは、委員会が非常に支障を来たすし、悪例にもなるし、必ず出るように申しておりますが、非常に重要な支障があるということでありますので、それならば三十分でも一時間でも、時間を短かく切ることで済むということで、それならば大臣にその向きをさらに通じて、明確に出る時間をお答えするように連絡をいたしますといって、今連絡中でありますので、当然出るものと思います。ただし、時間は若干おくれるかと思います。
  7. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それでは、大臣に質問する部分を残しまして、今事務的に出て参りました問題をお尋ねしたいと思うのです。  第一にお尋ねしたいのは、順番にいきますから、またその項について御質問があると思いますから、そういうつもりでお答えを願いたいと思います。  生活保護費の二一・三五%引き上げということになっておるわけでございますけれども、私は、今の国民生活の——先日も厚生省が新聞で発表されておりますように、国民栄養度が非常に低下したという工合に厚生省は見ていられるという工合に新聞で発表されておるわけでありますが、そういう説明が、物価の値上がりやその他について、この二一・三五%でどの程度の生活ができるということの説明が一つもないわけであります。ですから、私は、一年を切ってみても、消費者物価は一〇%も上がっている、低所得者が二割五分から三割の影響があると、こういわれているわけでございます。そういう状態の中で、私は、今御説明だけでは国民はなかなか納得しないのじゃないか。われわれも納得しにくいのでありますが、この点は事務的にこれだけ上げるということを言われただけでは、少し親切が足らないのではないか、こう思いますが、これは担当の局長から承ればけっこうだと思うのでございます。  それから(一)の項は質問がほかの方からもあると思いますが、日の項——三つの分を一ぺんにやりますから。日の項の施設職員の給与の問題については、大臣は、公務員給与並みにするのだという大方針をこの前の本会議でも声明をされておるわけであります。具体的に公務員給与並みにするために鋭意努力中だということをおっしゃって今日まできたのでありますけれども、一五%引き上げでは公務員給与と一つものさしではかってみたらどうなるか、あまりにも少ないのではないか。また、この予算の中に、これは期末手当はこの前三二ですか、になっておりますが、今度勧告の月数にエスカレーター式に上がっていくのかどうか、これも聞きたいと思うのですが、根本的に一五%ではどうにもならないのではないかというように私は考えておるのです。ですから、(一)から(二)までの項の問題点を第一に提起したい。御説明を願いたい。
  8. 大山正

    説明員(大山正君) 生活保護引き上げにつきましては、ただいま御指摘がございましたが、国民栄養調査によりますいろいろな資料をもとにいたしまして、食料費等の内容改善し、また、他面におきまして、最近の消費者物価の値上がり等を含めまして積算するという一面と、さらに、他面におきまして、国民生活、国民所得がだんだん上がって参りますのにつれまして、生活保護基準も引き上げて参りたい、かような両面の考え方からいたしまして積算いたしました結果、来年度におきましては二一・三五%というようなことに計算をいたしまして、資料にもありますように、標準の四人世帯で東京都の一級地におきましては、現在一万二千二百十三円でございますが、来年度は一万四千八百二十円に引き上げる。その他勤労控除引き上げ、それから、さらに未成年者の勤労控除新設、あるいは子供がある家庭につきましては育児加算新設、そのほか、教育扶助でありますとか、生業扶助、葬祭扶助等につきましても、それぞれ引き上げを行ないまして、来年度生活保護費の内容改善をはかって参りたい、かように考えておるような次第でございます。もちろん先般の社会保障制度審議会答申で、昭和三十六年度に対して、四十五年度は三倍にするというような御答申もありますし、また、昨年厚生省で発表いたしました長期構想によりますとも基準年次に対しまして、昭和四十五年度に三倍にするというような構想もございますので、それらの点をにらみ合わせまして、大体この程度の引き上げを来年度に行なって参りますればその目標にも近づき得る、かように考えておるような次第でございます。  それから、職員の給与改訂につきまして、私どもも公務員並みの給与をするようにということを目標に考えておるわけでございます。先般、人事院勧告によりまして、近く一般公務員が約七%程度引き上げに相なるものと、かように考えておるのでございますが、もちろんその際には、当然それに伴って、社会福祉施設職員につきましても約七%上がる。そのほかに、さらに公務員との差を縮めるために一五%引き上げてほしい、かような私どもの要求でございます。一五%で全部公務員並みになるということは、遺憾ながら申し上げかねるわけでございまして、さらに来年度もう一年この程度の引き上げをする必要がある。結局二カ年計画によりまして私どもは公務員並みの給与まで持っていきたい、かように考えておるような次第でございまして、来年度はとりあえず一五%を要求する。なお、このほかに、御指摘にありました期末手当等は、もちろん公務員並みに要求いたしておりますし、そのほか超過勤務手当、あるいは通勤手当といったようなことにつきましても、さらに給与の手当の内容につきまして、やはり増額するようにこれも要求しておるような次第でございます。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生省が三十六年度の国民栄養調査を出されたのは新聞に出ているのですが、これを見ますと、その栄養の欠陥の有症率は農村で二五・四%、都市で一九・一%、こうなって、食料の生活費負担の分を見ますと、都市は三五・七%増です。それから市内が二〇・八%、それから魚菜類の入手減については昨年より四・四%減、魚介類は二七・七%支出増で、入手量は〇・四しか、というような調査が出ていますね。これから見ると、少し今のおっしゃったようなこととは、ちょっと合いにくいのではないか。カロリーの面からいっても、千七百カロリー以下に下がったところがあるということまでここで出しておられるわけですが、そういう点を含んで、二一・三五%で人たるに値する生活の二千五百カロリーということを目標にして参考にしてこられたのでありますけれども、カロリーや蛋白ですか、そういう点の計算はどうなるか。ここらあたり、栄養調査との関係説明をもうちょっとしてもらいたい。
  10. 大山正

    説明員(大山正君) 栄養審議会の答申に従いましてカロリー等は計算しておるわけでございまして、所要カロリーにつきましては、昨年と本年とで変わりがございませんので、カロリーは同じでございますが、主食と副食との配分等におきまして、国民栄養の実態が多少変わって参っておりますので、それに応じた私どもといたしましてはやはり計算をすべきであると、かように考えておるのでございます。さらに、また、エンゲル係数等につきましても、従来相当高いところにあるわけでございまして、逐次これを引き下げていくというように考える必要があるというように考えまして、それらの点をあわせ考えまして計算をいたしました結果、二一・三五%ということに相なっておる、かような次第でございまして、栄養につきましては、私どもも、もちろん十分とは申しませんが、最低限度はこれでまかなえるものというように考えまして計算しているような次第でございます。
  11. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、カロリーがこれでどうなるとか、エンゲル係数がどうなるとかいうようなことの明確な資料があるはずだと私は思う。それはここで出せます。
  12. 大山正

    説明員(大山正君) エンゲル係数につきましては、現在の生活保護基準のエンゲル係数は五六・二八ということに相なっておりますが、来年度の私どもの改訂要求では五一・六六というようなエンゲル係数に相なります。
  13. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 カロリーは。
  14. 大山正

    説明員(大山正君) それから、カロリーにつきましては、現行と変わりないわけでございまして、カロリーにつきましては、ちょっと数字をただいま持ち合わせておりませんが、現行と同じということでございますので、後ほど数字を調べましてお答えいたします。
  15. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ、その施設職員の給与は、人事院の勧告云々というお話がありましたが、千六百九十六円を上げて総額幾らになりますか。そしてあの人事院の公務員給与との関係においてその給与が出てくるのかどうか、そこらも説明して下さい。
  16. 今村譲

    説明員今村譲君) これは十六億九千六百万——単位は億円でございますが、これは来年度七・一%から七・九%まで——計算が非常に入りくんでおりますけれども、とにかくベース・アップ関係のやつを、おそらく今年度まだ方針はきまりませんが、何月になりますか、それがきまれば、それが本年度の補正なり予備費なりという格好で出てくると思います。その関係は三十八年度に当然引き継がれる、その要素をネグってございます。それ以外に十六億九千六百万というのが現在あります。予算単価が、要するに公務員一般から見て、大ざっぱでありますけれども、大体三〇%前後違う。それをみなよこせ、こういう議論というのは、一つには審議会の答申がありまして、職員の手数が非常にたいへんなんです。職員もふやせという要求もございます。その二番目に書いてございますが、それが十五億五千六百万という数字でございますので、やはり一気に一年で全部よこせというわけにはいかないというわけで、半分二年方式というものをとったわけでございます。したがいまして、公務員給与のほうがきまれば、むしろ来年度予算でなしに、今年度の予算で勝負がつくのではないか、それが既得権みたいなもので来年度に響く、こういうふうに了解しております。
  17. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、公務員給与の七・九%という人事院勧告どおり自然に上がりますか。それにプラス三〇%の差があるから、ことし一五%、来年度一五%で、来年度においては公務員級にする、こういうことですか。
  18. 今村譲

    説明員今村譲君) 来年度公務員給与並みには、申しわけございませんが、ならないわけです。というのは、差が三割くらいあるやつを半分追っかけるという格好、ただし、公務員が上がれば、慣例としまして、これは補正なり予備費たりで当該年度歩調を合わせてこれはつけてくれることになります。それは基礎ベースで三十七年度にも及んでいくわけでございます。こういう格好になりますが、やはり差はございます、三十八年度におきましても。
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どうも失礼しました。三十八年度はその半額をとにかく上げる、あとの半額を三十九年度には全部解消する、並みにするということですね。私は一年度間違えましたが。
  20. 今村譲

    説明員今村譲君) そういう重大な決意を持っております。
  21. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それから、その次の問題になりますが、またいずれ具体的にやりますけれども、この老人福祉対策というのは、老人福祉法を出して、特別に保護立法を立てると、こういう工合におっしゃったですね。ここに掲げている予算を生かすために法律を作る、立法をするということですか。
  22. 大山正

    説明員(大山正君) ほかに計上いたしました予算内容をもって法律案を作成し、法律案と予算案の両方の御決定を願いたい、かようなつもりでおるわけでございます。
  23. 小柳勇

    ○小柳勇君 生活保護費のところの関連なんですが、増加世帯世帯数ですね、それが昨年並みの増加となっておるかどうか、増加率について御説明願いたい。
  24. 大山正

    説明員(大山正君) 生活保護の受給世帯の見込みにつきましては、従来の一般の伸びによりますほかに、生活保護基準の引き上げに伴いまして、若干の落層があるものと、かように考えまして、それらを見込んで計算をいたしております。
  25. 小柳勇

    ○小柳勇君 産炭地の計画で今一番問題なのは、まだ調査団の報告も出ませんが、これから三年ぐらいの間に九万名ぐらいの炭鉱の労務者の首切りが起こるように予想されておる。たとえば今九州の山で起こっておる、退職したけれども職業訓練もできない、就職もできないので、全部が生活保護の方向に移りつつある、山全部が生活保護になっている所もある。そういう所では、私どもとしては、生活保護世帯というのが急激にふえるというふうに考えておるわけですが、どのくらい見込んであるか、御答弁願いたい。
  26. 大山正

    説明員(大山正君) 炭鉱地帯等におきまして、石炭産業の関係でいろいろ問題があるわけでございますが、私どものほうから申しますと、もちろんどうしてもやむを得ない場合には生活保護ということに相なるわけでございますが、相なるべくは、いろいろな政策が円滑に行なわれまして、生活保護に持ち込まないことが最も望ましい姿である、かように考えておるのであります。しかし、万やむを得ず最低生活を満たし得ないという場合には、当然生活保護に参るわけでございまして、その場合には、たとい人数がふえましても、これは当然生活保護法を適用するわけでございまして、これは予算のワクによってどうこうするという性質のものではないのでございますので、かりにさような事態によって、予算に一応考えました人数よりふえました場合には、当然補正なり何なりによりまして、その人数のふえた分をまかなう、かようなことに相なる、かように考えております。
  27. 小柳勇

    ○小柳勇君 概数でも、見込みは立てておりませんか。
  28. 大山正

    説明員(大山正君) 生活扶助の一般の人数といたしましては、百四十八万三千六百九十一人というのを基礎の数字にいたしまして、このほかに落層と申しますか、保護基準が上がるために落ちてくる分というのを別に計算いたしております。
  29. 小柳勇

    ○小柳勇君 私が質問しているのは、炭鉱と申しますか、が、去年ことしと、急激に斜陽化して廃山になって、その世帯が職業訓練も十分に行き届かないし、就職もできないから生活保護を受けている。市町村として、非常に地方財政も窮迫して、交付税などでまかなっておるけれども、何ともできないので、これを特別にめんどうみてくれというのが産炭地域の市町村の、これは市並びに議会の要請です。そこで、昨年もことしも相当生活保護世帯がふえておると思うのですが、そのふえ方以上に来年度もふえる、再来年もふえると私どもは見込んでおるわけです。そういうのは見込んでないのですか。その数字を聞いているわけです。
  30. 大山正

    説明員(大山正君) 特に産炭地関係として何人分という見込み方はいたしておらないのでございまして、従来の伸びと、さらに保護基準の引き上げによる落層というように考えまして計算しておるわけでございますが、お話しのような点によりまして、さらにふえた場合には、もちろんそれに応じた手を打っていかなくてはならぬ、かように考えておるのであります。
  31. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 私からも質問いたしますが、さらにふえた場合はというのでなくて、ふえることが予想されるわけですから、その伸びのワクの中には、今、小柳委員の指摘した地域の対象というのは当然織り込まれておらなければならないわけなんでしょう。ふえてからの問題ではなく、ふえることが予想されるわけですから、予算の構成上は、当然計算の中に入らなければならないでしょう。それが入っているのかいないのかと小柳委員は聞いているわけです。その点を明確にお答えをいただきます。
  32. 大山正

    説明員(大山正君) ただいまの産炭地関係につきまして、具体的にどれだけふえるということを実は私どものほうで具体的に的確につかみ得ませんでしたので、現在までの一般の伸びの趨勢をつかまえまして一応計算してある、かような程度でございます。
  33. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃこれ三十五年、六年、七年、今の実数ですね、それから八年度の予想数字をちょっと発表願います。
  34. 大山正

    説明員(大山正君) 過去の実績につきましての数字が手元にございませんので、後ほど調べましてお答えいたします。
  35. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ今の数字は私も少し検討しなければなりませんから、正確に把握してもらって、それから、これからの見込み、石炭対策特別委員会でも相当問題にしているが、どうせ生活保護をやるのは厚生省ですから、何も石炭対策省なんてないのですから、もう少し真剣に把握しておいてもらわぬと困りますから、来年度の見込みについても正確に把握して、あなた方のこれからの対策を報告して下さい。
  36. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も、大臣が見えたらお尋ねしようと思ったのですけれども、今資料の要求がありましたから、私も、農民の生活保護、これはもう重大問題だと思うのです。それで、昨年度の国民所得が十四万八千百六十円です。今年度はどれくらいふえるか知らないけれども、いずれにいたしましても、関東から西は五反百姓といわれている。ですから、この状態からいえば、私は、生活保護法の基準をどこにおくかということと非常に関係して、農民の生活保護への脱落といいましょうか、これは失対事業との関係もあると思いますけれども、二、三年のうちに重大なところへ私は追い込まれるのではないか、こう思うのです。その点もどういう工合に予想されているか、少し聞いておきたいと思います。これは午後でけっこうです。  そこで、次の問題をお聞きしたいのは、同和対策の問題です。同和対策一般地区、モデル地区と、こう書いておりますけれども、今までモデル地区としておやりになった環境衛生の面からいいますと、農村においては、農業や建設その他が一緒になって、集中しておやりになる、住宅の問題も合わしておやりになるということになるのですが、今度のモデル地区というのはそういうものを含んでいるのかどうか、そういう目標を立てておられるのかどうか。モデル地区内容とあわせて、一般内容について何をやろうとしておられるのか。たとえば共同浴場や共同作業場や隣保館という工合に、特に同和対策としては非常に本腰を入れなければならぬのが今日の事態ではないかと私は思うのですが、その内容説明がなかった。その次に、別に不良環境地区対策というのは、これも報告から見て同和対策と別のようでありますが、これとの関係はどうなるのか。これはドヤ街対策というのは明確にわかりますけれども、そこらあたりの関係はどういう工合に総合的に考えてやろうとしているのか。私は、これはどれくらいの事業を起こせるかどうか、大まかに私が検討しても、とても少額で足らない問題ではないか。生活保護との関係は、これは、これまた議論せなければならぬことになるのですけれども、非常に重大な問題ではなかろうかと思うのですけれども、これは一連の説明を願いたい。それから、この(7)の問題でお尋ねしたいのですけれども、ここに緊急整備公団を作るということでありますけれども、先ほどのお話を聞いておると、国が七五%で、都道府県が二五%でやる、二五%民間人が出せば法人にそれを委譲する、こういうお話しがありました。ところが、国が全部出さない、県が支出した金で、これを公団にやらすというような格好のものがあるのですかどうですかということをお聞きしたいわけです。公団というような組織で、国も出す、県も出す、場合によっては、民間人が二五%出したら民間法人にこの運営一切を——財産といいますか、そういうものは譲るというような仕組みのものを公団というような格好のものに委譲するような例があるのかどうか、そういうところを聞きたい。同和問題と、この二つをまず聞きます。
  37. 大山正

    説明員(大山正君) 同和対策につきましては、御指摘のように、一般地区とモデル地区とに分けているわけでございますが、一般地区につきましては、隣保館、あるいはいろいろな施設整備をやります。それから、モデル地区につきましては、お話がありましたように、各省が一致しましてと申しますか、各省のいろいろな政策をそこに集中して行なうというような地区を特に指定しましてやるわけでございまして、来年度は、モデル地区につきましては、地方の要望をとりまして、厚生省関係の政策を行ないますモデル地区は、新規といたしまして二十九地区、継続で三十地区、合わせまして五十九地区というふうに相なっているわけでございます。一般地区とモデル地区予算の配分につきましては、一般地区のほうが六億三千百七十七万円、モデル地区のほうは三億二千二百八十三万三千円、これはもちろん厚生省関係だけの施設費でございますが、かような予算の内訳になっております。  それから、不良環境地区と申しますのは、同和地区以外で環境のよくない地区、たとえばスラム街といったような地区の改善の経費でございまして、これにつきましては、やはり生活館でありますとか、その他の施設を行ないまして、環境をよくしようという予算でございます。このうちには、北海道のアイヌ部落につきましての環境改善費用も含まれているのでございます。  それから、社会福祉施設緊急整備公団につきましては、老朽、危険度の非常に高い社会福祉施設につきまして、民間では、補助金をもらいましても、自己の四分の一の負担分がなかなか払えないというようなことで、現実の問題として復旧が非常に困難で、老人あるいは子供を収容しているにも非常に危険な建物が多いわけでありますが、これについて公団を設立して建てかえを行ないたい、こういう考え方のものでございます。したがいまして、従来のように、県にはやはり四分の一を負担していただきたい、かように考えているわけでございます。これは法制的に若干問題があるところかと思いますが、私どもといたしましては、公団に県が四分の一を負担金を出した場合に、その施設について改築を行なうというようなやり方の法制にいたしたい、かように考えまして、現在検討しているような次第でございます。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、同和対策の隣保館、共同作業場、浴場というような、まだまだあると思うんですけれども、そういうものを作ろうというわけですね。これはもっとこまかく——大ざっぱなこういうのじゃ、われわれに言うてもらったってわからぬ。何カ所どういう工合に作るんだということをなぜおっしゃらないのか、それでなければ対象にならぬじゃないですか。よくわからないんじゃないですか。
  39. 加瀬完

    委員長加瀬完君) お答えになりますか。
  40. 今村譲

    説明員今村譲君) これは、たとえば共同浴場、共同炊事、共同便所とか、あるいは小さな道路の改修とか、項目が非常に二十項目ぐらいに分かれるものですから、書ききれぬで、実ははなはだ失礼申し上げたのでございますが、大きく申し上げますと、隣保館の運営というのを、現在九十三あるのを百三十というふうな格好、それから、改善施設整備というのが、これが一番大きいのでありますけれども、これはまだ具体的に、ところどころによって共同便所が何カ所、共同浴場が何カ所というのが実はまだきまっておらないわけなんでございます。というのは、これは毎年でありますけれども、総体としてこれは三億とか四億とかいうふうな格好で、具体的にきめるのは、これはある程度時間が少しズレてくるという問題がございまして、まあ前年度の実績は資料がございますけれども、三十八年度として共同便所を何カ所ふやすというようなこまかい計算は実はしておらないわけでございます。総体として施設関係が何億というふうな格好にして、逐次各府県要望や何かでその辺の割り振りをいろいろ考えていくというふうな事情がございましたので、はなはだ恐縮でございますけれども、詳細ここへ書き上げ得なかったわけでございます。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これはあなた予算要求をされるわけでしょう。今一番重大な環境不良地区をどう引き上げていくかということは、あなた屎尿の問題、あとから出て参りますけれども、何としても、今日の国家体制からいって、これはもっと具体的に、こういうところはこう上げていくんだという大方針があって予算要求やるのなら、それなら厚生省の言い分もわかるんだけれども、まだ大ざっぱで、つかみどりで持ってきて、内容がまだきまってないなんて、そんな無責任なことで厚生行政をおやりになっているんですかね。これはまあひとつ大臣に所感を聞きます。まあその程度でよろしいけれども、これは少し納得がしにくいですね。  それじゃ次に参りまするが、今のお話からいくと、精神薄弱児の援護とか、(イ)(ロ)と、こう分けてありますけれども、これは内容がよくわからぬということになりますか。これは明確にどこへ何ぼこしらえてということになりますか。
  42. 今村譲

    説明員今村譲君) これは全部積み上げでございます。既存の施設分経費と、それから新規に何カ所で作りまして、どのくらいの規模のもので、経費が何ぼかかるというふうに、いろいろ内容がございます。
  43. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、肝心なところがそんな格好で抜けて、この精神衛生という、虚弱者援護という問題は、まあ今出ておるとおっしゃったのですが、どういうところへ何カ所かということはおっしゃらなかったから、よくわからないのですけれども、あとのほうの(13)の精神衛生対策ですね、これと精神薄弱児の問題とは非常に密接な関係があると思うんです。たとえば最近の京都の例をとってみましても、あの壬生寺が焼けたのも精神薄弱児、それから、もう一つこの間重文の国宝級のものが焼かれた、これも精神薄弱児ですよ。そういうことをやっておいて、あんな状態が起きているのに、京都あたりで精神衛生ベッドの病院を建てようとしたら、ここで四千二百不足だというけれども、人口によって額がきまっているから、京都では精神衛生の病床はこれ以上作らせませんと、こういうわけです。地方でほかの府県にあるかというと、地方には精神衛生の病院は建ててない。周囲の府県から皆集中してそこへ入っているわけなんです。それでも各地域の府県でできないけれども、結局京都ではもう数がこれですから、これ以上は病院は建てさせませんと、こう言っている化けです。そういう精神衛生の病床を作る、病院を建てようとしたって、これはあかんと、こう言う。それで壬生寺や重文の何ですか、あそこのお寺が、国宝が二つもこの間から精神薄弱児によって焼かれたということになって、これを厚生省はどう見ておられるか、妙心寺の鐘楼と、一つは壬生寺の本堂ですよ。最近二つも精神薄弱児によって焼かれておる。社会悪も何も考えないで燃やして、よう燃えたというような格好で国宝が焼かれているというようなことから考えてくると、この(8)の援護措置も、精神衛生対策の病院の整備の問題も、私はもっともっと力を入れなければいかぬのじゃないか。特に精神衛生の病院の様子、昔からよく気違いさんといわれた内容は、これは私は行政担当者の方もおいでなんでわかりますけれども、昔ならば、あの人は気が違うたといったのだけれども、最近はそうでない。ノイローゼとか、近代社会における特殊な格好で、おとなのほうに病気が出る。子供のほうの精神薄弱児はほったらかしだ。こういう対策というのは重要な問題だと思うのですよ。だから、この点も、私が今申し上げたような格好をどう解決するかという考え方でこの処置をお考えになっているのか。(8)と(13)の関係をお考えになっているのか、一つお聞きしたいのです。
  44. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまの、世の中におります精神障害者、これの対策でございますが、もちろん(8)の精薄者も精神障害者の中に入っております。三種類の大まかな中に入っております。ただ、現在のところ、精薄者のほうは、精神薄弱者福祉法という特別の法律が三年前にできまして、これによりまして大体収容する。それから、精薄の子供の場合には、これは教育的な、あるいは補導的な面が非常に多い面がございますので児童福祉法のほうの収容施設で大部分やられる、こういうことになっております。いわゆる精神病院に入れまして、精神病医がもっぱら行なうような重度のものは、これは精神病院に一部入っている、さような大体の分け方でやっております。したがいまして、(13)にございます四千二百床の補助をいたす。三十八年度中のベッド増加としての要求でございまして、このほかに、医療金融公庫、その他の公的な融資、あるいは、もちろん私的な費用によりましてやられるものがこのほかにほぼ毎年八千ベッド増加しております。これはそのほかでございまして、もちろんその要求が通りましたといたしましても、年々のものどおり、ないしは医療金融公庫の融資ワクも相当増加要求が出ておりますので、これのほうのおそらく増床もあるかと思いますが、それにいたしましても、毎年の最近の一万ベッドの——一万五千とか一万七千のはそういう形になると思いますが、しかし、精神障害者の実態から見まして、まだまだ足らぬわけであります。さような意味では、こういう要求をフルに通したい。それでもなおかつ足らないものでございますから、実際に可能の条件から五年計画というような形で一定の到達目標を立てて、その中の年度割で最大限やっているわけでございます。その場合に、先ほど御指摘がありましたような県別のベッド増加というものを故意に押えているのではないかというお話でございます。これは補助のこういうふうな毎年何千というワクがございまして、これは配分する場合に、非常に人口割りに現在ベッドの少ないほうを早く水準まで達するという意味で、優先をさせるというようなことはいたしております。さような意味で、県の間の公平といいますか、非常に足らぬところはいつまでもおいてきぼりで、ふえているところにばかりどんどんいきますと、ますます県民間の福祉の差ができますので、その点は補助をやる場合に、たとえば人口十万対十三ベッドというようなことを今年度は一応の目標にいたしまして、それから一番離れて少ないところには先にこういう補助を与える、こういうことをいたしております。  それから、医療金融公庫の融資のワクの場合にも同様な形で、これも公的な融資で有利なものでございますから、やはりこういうものを与える場合にはそういうことがありますが、私的な財産その他でこういうふうな公的なものの割当の分配以外の点でかようなことを押えるということはないのでございます。これはもう医療法に基づきまして、病院としての設備が整えられれば開設を許されるということになっておりまして、こういうことはございません。今のような公的資金の配分の場合の優先をする場合の標準としておる、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  45. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこなんですがね、私のお尋ねしたいことは。だから、公的の補助金を出す場合に、各地方、県、自治体にそういう施設をやりなさいという、公平という面からのお考え、私はこれに反発はいたしません。そういう工合に、できるだけそういう方向にいくことが好ましい状態なんです。しかし、これはむしろ社会奉仕の事業でしょう、民間がやるとしたって。金もうけの事業じゃないと私は思うんです。そういう金もうけでない社会奉仕的な事業が、地域の立地的条件や環境やその他で、ある県に集中とはいいませんけれども、比較多数で集中をしてくるという場合に、そのほかのところは何ぼ言うたって建たない。それで、どこへ精神障害者ですか、そういう人が集まってくるか、被害はどこにあるかというと、やっぱりそれはトタン屋根のどんなところでも、住み家が焼かれてはかなわんけれども、少なくとも国宝が焼かれるという状態のところに、そこヘベッドをふやして収容したいという意欲のあるところまで、十万対十三ベッド数だということで機械的に押えていいかということが私の考え方なんですよ。だから、私は、やはりその公平というものを否定したりなんかいだしませんけれども、運営の面で、公平なんだからといって、いつまでも、何年いても建たぬところはほっておいて、建つ意欲のあるところへ、交通の便がよくて、近距離で処理されるということなら許可していくことでもいいでしょうし、補助金関係で調整をすることでもいいでしょうが、とにかく建てたいという意欲がたくさんあるところを押えている。建てたいという意欲がないところへも、公平にお前のところも建てよと何ぼ言うても建たぬ。それで、全体の動きというのは、全体のブロックの中で国民の生活は動いているということを考えてみると、あまりに機械的で、被害はもう例を私はあげましたけれども、そういうことになるわけですから、私は、やはりそういう意味で国家的にもっと力を入れて、これは建物の障害ばかりじゃなしに、人命に関する問題も出てくるかもわかりません。だから、そういう点はもっと力をお入れになられて、総合的に考えられないと、これは機械的にやるべきものじゃないと私は思う。そういう根本的な解決ということにもっと力を入れてもらいたいというのが私の希望ですが、どうでしょうかね、そういう点は。
  46. 山下春江

    ○山下春江君 関連。ただいまの藤田委員の御質問は、基準というのは、たぶん精神病の十万分の十三という精神病床に対する基準だろうと思います。それから、今、京都のおあげになった実例等は、精薄児もしくは精薄者だと思います。これは基準がないと思います。これは圧倒的に数が足らないんですから、奮発して予算をよけい取っていただければ藤田委員の御心配の点が解消できると思います。私自身も、本年の予算の取り方の足りないところに大いに不満を持っておる一人でありますから、藤田委員はちょっと精神病と精薄の混同があったようですけれども、しかし、精薄のほうに対しては、ずいぶん伸びたほうでありますけれども、まだこれでは絶対数が圧倒的に足りない。このことに対しては、厚生省にひとつ奮発をしていただきたい。これは要望にしておきましょう。お考えは、もう予算書が出てしまったから、述べていただいても、ことしは間に合わぬと思いますので、来年は圧倒的にこれをふやしていただきたい。お願いしておきます。
  47. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今、山下先生が、予算書になってしまったから、もうことしは間に合わぬというお話がありましたが、それならここで議論する必要も何もないと思います。ここでやはり議論があって、そうして足らないところは補ってやる。最終的に予算がきまるのは十二月か一月なんでしょう。そういう格好の審議ならあれですが、厚生省どうですか。これはもうことしは予算書は出したから、あとは知らぬということですか。山下先生に誓うわけじゃ、ないけれども。
  48. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) いろいろと国会の衆参両院の御議論をいただきました中身につきまして、厚生省としては予算内容を固めまして、省議を経た上で大蔵省に提出をいたしておるのでございまして、現段階におきましては、大蔵省の予算の受付は締め切られておりますから、いろいろと先生方の御意見もございましょうけれども、不十分ながらも、やはりこの程度で、この金額でもってあくまでも要求をするという態度をとって参りたいと思います。
  49. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、ここに掲げられている予算書というのは、あくまで貫かれるわけですか。そうでないでしょう。国全体の予算の中から、いろいろと社会的に起きてくる示現事象によって、国会に提出されるまでは、予算内容というものも、より重点的に、より国民に密着した予算案というものが出てきて国会で審議されるわけでしょう。それにもかかわらず、今じぶんそれじゃいつ国会に諮問されたか、社会労働委員会にそれじゃいつ来年度の予算についてどう考えるかという諮問をされたことがありますか。それをちゃんとして、そうして選択権は行政府にある。それはわれわれが予算書を作るわけじゃありませんから、そこまでは私は言いませんけれども、ことしの予算について、厚生省は、社会労働委員会委員の皆さん、来年はどういう方向がよろしいでしょうかとお問いになりましたか。何の諮問もせぬでおいて、そうして自分らがきめて、どこでお聞きになったんですか。国会議員の意見を、立法府としての議員の意見をどこで聞かれたんですか、そういう機会も作ってないじゃないですか。それでいて、これはきめたんだから、ことしはもういたし方ありませんとは何事ですか。大臣呼んできて下さい、大臣を。たとえば天災地変とか何とか起きて、地域的な何とかかんとかいろいろ事象が起きた場合はどうするんです。予算がきまっておりましてできませんと言えるんですか。ここに出てきたのと、あなた方がお書きになったことを比較対照して、あなた方がお書きになったのがより重点だという行政府の結論を出して国会に提出されるなら、これは私たちはそこまでは言いませんよ、何といっても内閣が行政を担当しているんですから。しかし、一回も委員会に諮問も何もせぬでおいて、そうして厚生省がこれをきめたら、もうことしはこんなものはどうにもなりません、そんな言い方があるか、そんな言い方が。
  50. 加瀬完

    委員長加瀬完君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 速記を起こして。
  52. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 藤田先生は、ちょっと私の申し上げたことを誤解されておるんじゃないかと思うので、なお御説明申し上げたいと思います。私が申し上げましたのは、予算要求につきまして委員会のほうに一応諮るとかいうふうなことを申し上げたつもりはないのでございまして、省の予算要求する場合には、過去におきまして委員会でそれぞれ個々の問題についていろいろと御論議をいただいた内容、あるいは省として積極的にこういうことをやりたいというふうな問題を種々論議いたしまして、大体前年度の予算、あるいは過去の予算、その他国家財政全体の規模とにらみ合わした上で、この程度が適当であろうというふうな判断のもとに大蔵省に予算の概算要求としてこれを出す、こういうことを申し上げたわけであります。
  53. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大臣が来ましてから重要な問題についてはお聞きしたいと思いますけれども、小児麻痺の生ワクチンの問題で、最近の外電によりますと、カナダでは小児麻痺のワクチンーセービン・ワクチンといわれておりますけれども、これを服用した四百万人のうち、四人が麻痺症状を起こした。そこで、特別諮問委員会としては、同国の保健省に服用の使用停止の勧告を行なったということがいわれております。また、アメリカにおきましても、3型を服用した成人が十六人発病いたしまして、そのうちの十一人が生ワクに含まれている小児麻痺ウィルスで麻痺症状を起こしたということで、アメリカの公衆衛生局長も、3型の服用は、非常の場合を除いては服用しない、いわゆる限定服用ということで勧告をしたといわれておりますけれども、こういうような問題につきまして、厚生省としてはどういうお考えをお持ちでございますか、お聞きしたいと思います。
  54. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) カナダのワクチンにつきまして、APの外電、それからアメリカ関係のUPIの外電、私どもも新聞その他で承知したわけでございます。また、その報道の内容は、ただいま御質問の中で述べられたことと同様のことでございますが、新聞報道によるだけでございますので、私どもとしましては、さっそくその実情をカナダ政府並びにアメリカ政府に直接聞きたいと思いまして、外務省を通じまして、ただいまその実際の状況の詳細な報告をお願いしているわけでございます。それはどういうことかと申しますと、結局四百万人の投与をやって、四人の麻痺症状を起こしたということが書いてあります。それの投与の条件となっているものが小児麻痺の流行の地域だったのか、そういう投与された対象がどういうものかということがよくわかりませんので、そういう点の詳細を調べて、それから、カナダ政府並びにアメリカ政府の今後のそれに対する措置がどういうふうに考えられるか、そういうふうなことを詳細承った後、私どもとしても、これからのワクチンの取り扱いについて措置をしていきたい、かように考えておるわけであります。
  55. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 詳細を調査をする、こういうことでございますが、その調査の方法はどういう方法をもって調査するということでございますか。
  56. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 日本の大使館を通じてそういう情報を得たいとい5ふうに考えておるわけでございます。
  57. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この問題は、非常に人命に関する重要な問題であろうと思います。そこで、私としては、やはりそういう文書でもって状況を把握をして検討する、こういうことでは若干誠意がないのではないか、こういうふうに思います。厚生省としては、そういう文書の報告のみで全貌が詳細にわかるというふうにお考えでございましょうか。
  58. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) これはただいまのところ、カナダでもまだ結論が出ておるわけじゃございませんので、一つは、報道された実態がどういうものであるかということをまずわれわれとしては知りたい。それから、カナダなりアメリカで、これはもちろん学問的な問題でございますので、特別諮問委員会の勧告は、とりあえずの措置としての使用中止、そして麻痺を起こした原因を究明されて、そしてその結果がどうなったかということは、これは学問上の結論でございますから、そういう点は、私は、文書によっても、その内容が学問的である以上は、信用していいのじゃないかというふうに考えます。
  59. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それでは、大臣が参りましたので、時間の関係もございますので、大臣に重要な問題だけについてお聞きをしたいと思います。  先ごろカナダあるいはアメリカで問題が起きました小児麻痺のワクチンの麻痺症状の病人が発生をした、こういう問題でございますが、ただいままでの厚生省の御答弁では、これらの問題を検討するために、それぞれ現地から報告を受けて検討していきたい、こういう答弁であります。しかし、私どもとしては、人命に関する重要な問題ですから、厚生省として、当然現地に視察員を一人でも二人でも派遣をして、十分な調査をするということが必要ではないかというふうに思うのですが、厚生大臣としてどういうふうにお考えでございますか。
  60. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 生ワクチンの問題につきましては、私も従来の方針を継続してずっとやってきたわけで、私として、新しくそれに対して、生ワクチンに対する知識があって、今までのやり方ではいかんよというような注意は別にいたしませんで、従来の方針でやってきたわけでございまするが、今日聞くところによりますると、今お話のありましたようなことがありましたので、その報告も受けましたし、事は重大だと思っておるわけでございます。まあ一応向こうから正確な報告を取りたい、取ったあとで、その報告があいまいであるとか、あるいはもっと検討しなければならぬというようなことになりますれば、それからまた判断をいたして次の処置を考えたいと、こう思っておるわけでございます。今直ちにこれだから派遣員を向こうにやるということは、今は考えておらないわけでございます。
  61. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 前の厚生大臣も、この前の一斉投与の場合には、生ワクチンは大丈夫だと、こういうふうに胸をたたいたということをちょっと聞いておるわけでございますが、そういう一斉服用をしていく場合に、このような問題が起きた場合には、厚生省としてはどういうふうな処置をとりますか。
  62. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 生ワクチンを使用するというときの状況では、多少学者の間では、そのウィルスの種類によっては、多少学問的には不安もあるというようなことであったけれども、当時のあれとして踏み切ったというふうに私は聞いておるのでありますが、それにつきまして、私は今言いましたように、新しい自分としての修正をするというような考えはなかったから、まあ従来の方針を継承してやってきたのですが、もしその投与によって、調べた結果、非常にその危険があるというようなことになれば、それはまた新しい観点に立って考え直さなければならぬということにもなろうかと思うのですが、一にかかって向こうの報告、それから報告に基づいたこちらの検討、さらにその報告だけではいけなかったら、御説のように、現地に人を派遣して、もう少し知識を求めて、また、国内において専門家の意見を求める。要は、そういう不安は絶無にしたい、また、絶無ということを志して、最小限度にとどめるということを確認しないと、やはりなかなかちょっと踏み切れないのじゃないか、こういう気持でございます。
  63. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう問題が起きたからどうこうするという措置は、私はおそいと思うのですよ。したがって、先ほど現地の調査の問題についても、派遣をする考えはない、現在のところは、そういう御答弁でございますけれども、すでに十一月にこの投与、服用させるといような計画も一応あったわけですね。これを、こういう問題が起きたので冬季に延ばすという方針を立てたそうでございますけれども、しかし、こういう問題は、一日も早く国民の不安をなくすためにも、解消しなければならぬ問題だと思うのです。したがって、私は、この問題につきましても、一日も早く現地に視察員を派遣するということが必要であろうと思います。また、専門学者の話によりましても、そのほうが非常に効果的に調査ができる、こういうことでございますので、そういう点について再度厚生省としてのそういうお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  64. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちょっと関連。私は、この際、明らかに伺っておきたいことがあります。私たち、北海道に小児麻痺が流行したときに、生ワクが非常に効果があるから、これを思い切ってやることを要求したわけです。ところが、そのときに製薬会社に六億融資しておるとか、あるいはまたこれは完全なものでないとかいうことでちゅうちょされて、去年の大流行になって、結局ソ連製のワクチンを入れたわけです。この際聞きたいのは、ソ連製の去年のワクチンを使ったときに、日本内地ではどういう状況であったか、そういう事故があったかどうか、これを一つ聞きたいことと、それから、その後いろいろなデマが飛んでおる。カナダのワクチンは試験中にサルが死んだ、こういうこともいわれておる。それで、ソ連製に比べては、カナダのワクチンはまだ不完全だというような説も流れておる。ところが、去年はカナダから三百万でしたか、ソ連は一千万を輸入されたわけですね。ことし輸入されるについては、どういう事情があったか知りませんが、ソ連製は一切入れないで、全部カナダに切りかえたわけです。ことし日本にお入れになるのはカナダ製だけです。こういういきさつ。それから、さっき申しましたソ連製のワクチンを使って日本内地において事故があったかどうか。また、カナダのと全部入れかえたということについて、政府の明快な御答弁を求めたいと思います。
  65. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 向こうに調査団を出したらどうだということは、せっかくの御意見ですし、今後の処置、状況によっては、ひとつ考えてみたいと思うのです。  それから、今、藤原先生のいろいろのお話ですが、この前ソ連製のワクチン投与によりましては、これは私は、そのために異常があったようには承っておりませんが、なお、詳しいあれがありますれば、政府委員から答弁させます。  それから、今度ソ連のをやめてカナダ製にしたじゃないかという御意見でございまするが、これはやはり国際入札をいたしたのでありまして、そのうちで、その国際入札をいたす当時といたしましては、ソ連製、カナダ製、その他どこでしたか、イギリスでしたか、十分確かめまして、そういうような不安のないということで、国際入札のもとにきまったのでございまして、あえてある国を意識的にオミットしたというようなことはないわけでございます。その他何か補足的なあれは政府委員から説明させたいと思っております。国際入札できまったので、意識的にどうこうというようなことはなかった。たまたまカナダに入札が落ちまして、その後に、今度カナダのものにつきまして麻痺の状態が起こるというような不安の状態が報ぜられておるのでありますが、それを確認はいたしておらないのであります。確認できて、それがさらに不安だということになりますれば、私たちとしても、次の手を尽くさなければならぬ。厚生大臣が責任を持つといっても、そういう病人ができたら、責任を厚生大臣が持つといっても、それはどうしようもない。命にはかえられませんから、それはまず不安がないことが第一で、厚生大臣の責任とか責任じゃないとかいうことの前に、不安がない、国民に安心して投与ができるというようなことが考えられなければならぬ主要な点じゃないかと私は思っておる次第でございます。
  66. 藤原道子

    ○藤原道子君 国民に疑惑を持たせるような宣伝をされておる。また、今度のカナダ製の問題で、疑惑がさらに高まっているのですが、カナダのワクチンをサルに実験したところが、途中でサルが二匹とか死んだ、その後厚生省は、これはワクチンのせいではないということを答弁されてきておるようでございますけれども、今度の問題が起きると、これもまたさらに大きく宣伝されておるわけなんです。ですから、事、人命に関する問題でございますから、どういういきさつであったのか、それをもう一ぺん明確にしてもらいたい。  それから、もう一つは、国際入札にした、この入札のときにはどういう条件でカナダに落ちたのか、その差、おそらくお金の面だろうと思うのですが、どのくらいの差があったのか、そういうことになると、どれだけ輸入したらどれだけの、カナダ製に落ちたその国との比較がどのくらいの金額になったのか。不安があるということをしきりにいわれておる場合には、私は、やはり少々のことにはかえられないじゃないかという気がするのですが、その点だけを、この際、明確にしていただきたい。
  67. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 政府委員をして答弁さぜます。サルの問題と価格の問題でございます。政府委員をして答弁させます。
  68. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 日本で一斉投与をやった場合の事故の問題でございますが、昨年の夏、ちょうど二千三百名ほど前半年期に患者が発生した時期に、千三百万人の一斉投与を、原則として六才未満の者にやりました。そのうち、一千万人は、お話のとおり、ソ連製のボンボン、それから三百万人に対しては、主として乳児に飲ませやすい形ということで、液状のカナダ製のワクチンを使用いたしました、それから、今年の春一千七百万人、これに対しまして、昨年の夏は三つの混合投与でございましたが、この春先は1型をやり、それから2と3の混合という、二回に分けて投与いたしました。延べにいたしますと、ちょうどこれによりまして約四千万人ということになります。これによりまして、現在生ワクそのものから、何でもないところにポリオの臨床症状が発見されて病気にいわゆるかけたという例は、今のところの調査では一切ございません。したがいまして、われわれのほうといたしましても、従来日本人で四千万人の多数の人体をやりまして、そういう引き起こされた例が証明されておらず、しかも、昨年半年で二千三百人出ておりましたのが、昨年の投与後の後半には、わずかに三百名、それから、今年の一月から現在九月五日の週報に至るまで、九カ月間で全体で百九十二名、しかも、そのうち、これはあくまでも臨床届出でございまして、疑似患者を含んでおります。これをある数サンプルでばい菌検査をいたしましてウィルス検査いたしますと、かなりの例——過半数がこれはポリオではないということが今年の発生症例にはわかっています。東京などはことに激しうございまして、現在まで駒込病院で六例入れましたが、これは全部菌検査と血清反応検査をやりまして、正確でございまして、一例のみがポリオ例以外の腸内エンテロウィルスによる他の種類の麻痺状態、あとの症状はウィルス疾患と関係のない麻痺、おそらくこれは今後の検査によりまして、乳児脚気その他のことが証明されると思いますが、かような状況でございますので、非常に有効である。同時に、逆にこれによる積極的なかけたという例は全然ないという状況でございます。ただ、ああいうカナダやアメリカの状況、ことにこれはセービンの3型の種が問題にされているようであります。その意味では、これは正確に確めませんと、1型、2型、3型というのは全然別な型の株でございまして、それぞれ別々に病気にかかる。結果は小児マヒでございますが、それぞれ病気の起因につきましては共通性がないわけであります。そういうような意味で、最初からセービンの生ワクが、ソ連、アメリカ、ベルギーその他全部使っておりますのがセービンのもとの三つの型を使っているわけでありますが、これは昨年の視察団の報告でも、それからWHOの報告でも、3型の種のものは遺伝的にウィルスが遺伝しているわけでありまして、これは不安定であるということが最初からいわれております。しかし、世界中で、3型においてはこれが現在のところ最高である、これより以上の安定したものはない。他の二型と比べて不安定であるが、人間に対しては現在のところ安全である。これは人間に対する実験、動物実験からもそういわれております。しかし、そういうことは最初からあったわけです。  そこで、日本といたしましては、昨年の夏の投与にあたりましても、ソ連製、カナダ製ともに、厳重な安全試験はいたしたわけであります。それから、本年春には、これは三カ月かかる一切の世界の共通な最高の検定方式で全部実施いたしました。先ほどお話ありました、冬二頭サルが死にましたのは、この2型のものでございます。2型の接種中に、年末の冬季のため、いろいろな管理上の不適当から、凍死というか餓死というか、そういうようないろいろな条件——あとから説明をさせますが、そういうような形で、いわゆる最初から問題になっておりました3型ではなかった。そこで、ことしの春いたしましたときの3型のワクチン原液、これは全部サルの毒力試験は、1、2、3型ともに、非常にこれはよい成績でございまして、人間に病変を起こすようなサルの病変は、一切検査中発見されない。しかも、今回一月に予定しておりますものの3型は、春使いました原液と同一物の原液として、これは長期間保存できます。これを使用の予定でございます。したがいまして、もうすでに春、サルの検査も終わり、一千七百万人に投与されたものが、今後来年春行なわれますものの3型の同一物でございます。したがいまして、その点では、決して今回十一月の予定を一月に延ばしたということではなくて、当初は、秋十一月は少し早いのでございますが、一番いいのが一、二月の厳冬期、これが一番いいのでありますが、一応予定しておりましたが、インフルエンザが本年春あれだけ多発しまして、来年の春にかけてのインフルエンザ防止のために、この秋十一月、十二月に、インフルエンザの大々的な予防接種をやろうという計画を急速に立てまして、インフルエンザ対策というもので、先に十一月、十二月にやらなければいかぬということで、本年七月にこの方針を決定するとともに、ポリオは、当初計画しておりました一番有効な一、二月にやろうということできめておったのであります。決して今回のことで延期したということではありません。ただ、これはそういうふうないきさつは発表しておりませんので、先ほど委員のほうからおっしゃられたのはごもっともだと思いますが、内容はさようなことです。  なお、サルの死亡いたしました実際の問題といたしましては、予研の多ケ谷部長がそのほうの最高の責任者で、部長が私の隣りにおりますので、もしお差しつかえなければ、私より専門でございますので、いきさつを申し上げます。
  69. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大臣のほうの質問がまだほかにございますので、私は、もう一つだけ大臣にお伺いして、あとのこまかい点と申しますか、問題は、その他の政府委員の方にあとで質問したいと思います。  厚生省は、昭和三十八年度以降、ソーク・ワクチンの注射をやめて、生ワクチン一本に切りかえる、そして定期接種化するように現行の伝染病予防法を改めたい、そして、1、2、3型の混合ワクチンですか、これを生後三カ月から十五カ月の乳幼児に飲ませる方針だということを明らかにしているわけです。しかし、こういう問題が起きたわけでございますけれども、厚生省として、この方針どおりやるのかどうか、どうするつもりなのか、ひとつその点明確にしておいていただきたいと思うわけです。その生ワクチンの定期接種化について自信をお持ちなのかどうかということを明確にお答え願いたいと思うわけです。
  70. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) ソーク・ワクチンよりは生ワクチンのほうがいいというのは、これは当時の一般の世論であったのですが、実はソーク・ワクチンを使うということに当時方針がきまったようなわけでございます。それに対して、私が就任して、いや、それはいかぬよと言うだけの知識を持ち合わせばいたしませんでしたから、従来の方針を継承して間違いはないだろうというわけで、国際入札もやったのであります。事件はその後起こったものであります。したがいまして、さいぜんも申しましたように、ここでその事件が起こったことをやはり確認しないと、それじゃ今までの方針が悪かったのだからもとに返るのだ、あるいは一ぺんきめた方針だから、それは変えないでやるぞというようなことを、今ここではまだ言う段階でも実はないのでございます。したがいまして、十分調査を尽くしまして、また、柳岡さんもおっしゃられますように、調査員も派遣することが必要ならばやって、確認をした上で、従来の方針どおりやるか、あるいはそれに対して改訂を加えるか、それは今ここで、もうしばらく回答をひとつ保留しておきたいわけであります。いずれどちらにいたしましても、きめれば皆様方に御相談の上できめることであろうかと思われる次第であります。
  71. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 もう一つだけそれじゃお聞きしたいと思いますが、ソ連製のワクチンを使っておる各国において、今度起きたような問題が起きたというような事例があるかどうか、そういう調査の資料を厚生省としてお持ちなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  72. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 私、あまりつまびらかにしませんので、政府委員から答えさせますが、ソ連のワクチンは、巷間伝えられるところによれば、非常にいいワクチンだということは聞いておりますが、詳しいことは政府委員から答弁させます。
  73. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) この生ワクの大量投与をいたしました国は、従来相当数ございます。日本もその一つでございますが、ただ、これはあとの病気の発生とか、あるいは効果度の程度ということになりますと、組織的にその国が大きな検討機構を持ちまして、継続してやっていきませんと、これは科学的に判断できぬわけでございまして、ただ、どこでも表面的にできますのは、その後のいわゆる正確なポリオ患者がどれだけ発生したか、それがどれだけ減ったかということは、相当に国が行政報告で、あるいは法律によりまして、あるいは習慣によりましてやっておりますが、それ以上のことになりますと、そういうことがあって初めてわかるのでありますが、現在までのところ、積極的にどこの国のポリオワクチンにいたしましても、これを集団投与して、それが積極的に引き起こしたというようなものはセービンのワクチンについては、今まで私ども、あるいは私だけでなくて、日本の生ワク協議会、これは大体日本中の学者を網羅しておりますが、ここで発表されたり、あるいはキャッチしたことはございません。しかしながら、セービン以外のワクチンによりましては、一昨年ですか、西ドイツでその種によるワクチンから、ある程度の患者が発生したというような例を初めといたしまして、二件か三件か、これは積極的に出たということがありまして、セ一ビン種でないその種からの生ワク製造並びにこれによる予防接種ということは、その後行なわれない。国によりましては積極的に禁止した、こういう実例はございます。以上のとおりでございます。
  74. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 多ケ谷先生にちょっとお尋ねしたいと思いますが、ソークまたは予防ワクチン研究会議ですか、ここではことし六月十八日に免疫効果、安全性、あるいは普及性というものを高く評価した、こういわれておるわけでありますけれども、アメリカで問題になりました3型は株が不安定だということで、専門学者の間では大体意見が一致しているというようにお聞きしているわけでございますが、そういう点はどういうふうになっておりましょうか。
  75. 多ケ谷勇

    説明員(多ケ谷勇君) ただいまの御質問にお答えしたいと思いますが、私どもが昨年から厚生省の特別委託研究費をもちまして、生ワク協議会でいろいろ生ワクチンの投与、それから、投与された後に出てくるウィルス、そういったものについて研究しておりまして、その結果が本年の三月末の協議会で報告され、かつ、それを土台にいたしまして、六月の生ワクチン研究協議会の幹事会でも種々論議された次第でございますが、そのとき、確かに日本の学者のデータでも、3型のウィルスは遺伝学的に不安定である、そういう結果ははっきり報告されております。しかしながら、昨年度の大量投与、あるいはその前に行なわれました精密な検査を伴いました少数実験におきまして、七一ビン・ワクチンの投与によると、はっきり確認される患者は全然投与後出ておりませんし、かつ、免疫効果も非常にいい、そういうことで、協議会全体の意見として、生ワクチンは非常に有効な手段である、そういう結論が出されたわけでありまして、3型が遺伝学的に不安定であり、これが将来もっと理想的な株にかえられるべきであるという意見が協議会の委員の一致した意見でございまして、これは世界中のほかの学者の意見も全く同じことであります。  以上であります。
  76. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 現在、このワクチンの研究の予算措置ですか、そういう面はどういうふうになっておりますか。
  77. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 本年度といたしましては、先ほど申し上げましたように、春の一千七百万人、それからこの一月に予定しております一千七百万人、これの投与費を一切組んでおります。したがいまして、これは相当な巨額になるわけでございます。それから、そのほかにポリオの研究費といたしまして、これは生ワク協議会の本来のものを五百万円、それから、そのほかに流行予測という形の中に、やはりちょうどだだいまの時点における生ワクのその後の追求が、イコール来年の流行予測に役立つわけでございます。この経費の大部分をこの協議会にお使い願うという形で、これはほかの病気も入れまして、総額千万円でございますが、このうちの大部分が生ワクの研究費、こういう形になっております。
  78. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 生ワクチンの問題は重要な問題でありますので、質疑を午後に譲りまして、大臣の時間の関係もございますので、他の質疑に移ります。
  79. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、大臣が時間がないようですから、一、二大臣にお聞きしたいと思います。  今もちょっと話が出たんですけれども、言葉の行き違いが少しあったようですから、私は、あまり追及はいたしませんけれども、しかし、厚生省が行政を担当されているわけでございます。ですから、私は、国会といいましても、全般的な厚生行政について、立法府でございますから、社会労働委員会委員というのは、専門的にこれと取り組んでいる。社会保障の問題、また、厚生行政の問題について専門的に取り組んでいるのが社会労働委員会なんでございます。ですから、その延長として、たとえば、また実質的に立法するのもこの社会労働委員会が中心になるわけであります。ですから、この社会労働委員会の意見といいますか、社会労働委員会自身の厚生行政一般に関する意見というものは、私は十分に聞いて厚生行政の今後の方針を立てられる、国民からお聞きになることも、また、厚生省自身が独自で判断しておやりになることも、それは行政府ですから、そこまで私どもは干渉いたしませんけれども、社会労働委員会の意見というものは重要な案件としてお聞きになって、次の新しい厚生行政の前進、それから、また、いろいろの問題の進め方なんかをきめていかれるというところに厚生行政の中心が私はあるのではないかと、こう思う。ところが、残念ながら、国会が開かれましても、全般の厚生行政についての議論をする場というものはなかなか少ないわけでございます。ですから、予算の固まる前に、社会労働委員会がおのおのの持っている意見を厚生省に述べて、その中から厚生省が十分よい、たとえば大蔵省に要求されるにしても、そういうものを作っていただくというところにまず基礎がある。それから国会で適当かどうかという、立法府でその予算案自身を検討をするという段階に私はなると思うのです。ところが、そういう機会が少ないものでありますし、こういう機会でいろいろの問題を議論をし、そしてそれが、予算要求があろうとなかろうと、よいものはできるだけ生かしていくというところに厚生行政の妙味が私はあるのではないかと、こう思うわけでありますが、先ほどの行き違いで、私のほうは大蔵省のほうに出しましたから、もう知りませんというような、私の耳に入ったのはそういう感情の答弁がありましたから、私はけしからぬという話をここでしたわけです。まああとで言い直しがありましたけれども、私は、やはり厚生大臣として、社会労働委員会の皆さんの意見というものをどういう工合に取り入れて厚生行政の次への発展のためにされるかという心がまえをひとつ聞いておきたいと思います。
  80. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 仰せのとおりでありまして、何かそういうことに今まで欠けるところがありましたら反省をしますが、それはもう国会が国権の最高でございまして、それによって法律ができ、また、それを私たちが忠実に行なうだけであります。尊重するどころでなく、それを順奉してやっていっておるつもりでございます。先般来、麻薬の問題等も、国会の議決がありましたからこそ、われわれ行政としては非常にやりにくい面も多々あります。ありますけれども、そういうことを乗り越えて、これが国会の総意であるというようなことでやっておるのでございまして、今まで何かそういうことについて足らざるところがありますれば十分改めまするが、私は十分そういう気持を持ってやっておるつもりでございます。
  81. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、私はよくわかりましたから、一、二の点を、時間がありませんから、大臣に聞いておきたいと思います。  一つの問題は、社会保障制度審議会が、厚生省に今後十年間の社会保障の計画をこういう工合にやるべきだという答申が出ました。私は、この内容についてはいろいろ意見があると思いますけれども、大ざっぱに言って、当時の十年後の日本の社会保障の一つの方向というものを出された。私はその面からいって、たとえば額の問題を一つ取り上げてみても、十年後の日本の社会保障が、当時の国家予算を推定して、その二七%、三兆幾らというものを出して、それでようやく今の欧州の各国がやっておる水準なんだというのがあの言い分なんであります。内容の問題は私は議論いたしませんけれども、ですから、とにかくといたしまして、そういう事態が日本の今日の事態だと私は思う。経済の面からいきますと、日本は五大産業国とか、六大産業国とかいわれるような水準に今日なってきておる。よりこの経済を発展をさせ、生産を発展させて、そして経済の繁栄、国民生活の向上をはからなければならぬと私は思うのです。ですから、そういう意味において、あの社会保障制度審議会の、大きな面だけですよ。内容の問題もそれに付随してきましょうが、大きな面からいって、日本は社会保障を急速度に引き上げなければならぬという事態にきている、私はそう思う。この点について、大臣はいろいろな角度からこれをごらんになっていると思いますけれども、今度の予算を立てるときに、この社会保障制度審議会が、十年後に今の国家支出の大体十倍ですね、十倍以上の額になるわけですが、これをどういう工合にお考えになって、どういう工合にこの予算の中に盛ろうとしておられるか、これを大筋として聞きたい。
  82. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 私、大臣になりましてから、答申も三つほど受けたのですが、大体その答申に対して、今まではどうやったか知りませんが、やはり答申はどの答申も、その答申を尊重するようにやっていかないと、これがただ言いのがれのための道具に使ったのじゃいかぬという大体考えを持っておりますので、ことに今、藤田さんから御指摘がありましたように、社会保障制度審議会答申は三カ年余にわたって専門家が研究いたしてやっておるのでございまして、社会保障についての画期的な問題をうたってあるわけであります。しかし、非常にまあいずれの事項も重要でございまして、その一つの事柄を行なうにも、相当にこれはむずかしい点があるのでありますけれども、それはもうわれわれが最大限にこの趣旨に沿ってやらなければならぬ。しかし、新しい制度を打ち出すには、やはり研究をしていかなければならぬ問題もたくさんあるわけであります。昭和三十八年度の予算概算に臨みましても、私は、やはりその答申があるということも大かたわかっておりましたし、大体どういうことが答申されるということもわかっておりましたので、努めてその線に沿うて予算概算を出したつもりでございまして、今一つの項目について、それじゃどうなっておるかということになると、非常にたくさん数字を並べなければなりませんが、最大限度に答申を尊重する。しかし、中には答申は非常に理想的なこともありますので、相当研究していかなければならぬ。たとえば生活保護の被保護者は問題外として、低所得者の問題をどうかせよということを言われておりまするが、それではどうするかという実際上の予算要求なり、あるいは具体的問題になると、これは一体低所得者というものはどういうものかと、そういうことからやっていかなければ、その政策が出ないのであります。したがいまして、それを調べる。低所得者にも、おそらくピンからキリまであると思うのでありますけれども、そういう調査の必要なものは調査するといたしまして、直ちにやれるものにつきましては、あの審議会の答申を尊重いたしましてやっていっておるつもりでございます。
  83. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大臣は時間がないようですから、私もだいぶ聞きたいことがたくさんあるのだけれども、それじゃもう一つだけ聞いておきたいと思うのです。  そこで、社会保障の柱となるのは、所得保障の年金と医療制度だと思うのです。年金制度の問題については、後ほど担当局長に聞くといたしまして、ただ、ここで医療制度の問題について一言聞いておきたいのは、今度の予算を見ますと、国保の世帯主七割給付という問題が出てきております。これは一つの前進であります。しかし、医療制度全般について、私は、やっぱり大臣はしっかりと取り組んでもらわなければならぬと思うのです。たとえば健保と国保との関係をどうしていくか、まちまちになっておるのをどう統合していくかという問題、国民皆保険といいながら、保険料は取るけれども、医療施設のないようなところを、それじゃその被保険者をどう見ていくかというような重大な問題が私はあると思うのです。だから、そういうのを含めて、いずれこの次にまた御質問いたしますけれども、きょうは大筋だけを一つ聞かしていただきたいと思うのでありますけれども、日本の医療制度を、そういういろいろの欠陥だらけ——無医地区についてどうするかという問題がこれに関係してくるわけですけれども、医療制度の問題を大臣はどういう工合な心がまえで取り組んでいこうとされておるのか、ひとつこれの御意見を聞かしていただきたい。
  84. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 非常にむずかしい問題でありまして、あの答申の中には、やはり貧弱な組合、それから金のある組合、いろいろあって、それをプール制にせよ、そうしたら給付もよくなるし、助かるのじゃないかというようなプール制のことをうたわれてありますが、そういう点が今後の研究問題であろうと思うのであります。医療制度の問題につきましては、非常ないろいろなこんがらがった問題があるので、ここで一ぺん調子を合わせるようにすべきではないかと思われまするが、これをどうしたら全般が調子が合うようになるか、そういうことについて、今ここでこうすべきだというような案を今持ち合わしておらないのです。それで七割給付の問題は、実は、昨年も厚生省としては要求をしたのですが、それすらも大蔵省の認めるところとならなかったという工合でありまして、今回はひとつぜひこれを実現させたい、かように思って、今年度は非常に部分的になりますが、医療制度全般についてどうすべきか。それから、たとえば今僻地の問題等もありましたが、これすらも、今こうすべきだというような案がないのであります。診療制度に対する地域差等の撤廃というようなことも、これも前進させなければならぬ。これも僻地と申しまするか、いなかのほうに対する対策の一つじゃなかろうか。しからば、この診療機関を一体どうするかというようないろいろな問題があるわけでございます。あるわけでございますが、今、藤田さんがおっしゃいましたように、年金でもそうですが、保険関係も非常なでこほこがあるのを、これを調整していかなければならぬという段階と、僻地の問題についての問題が非常に大きい問題でございます。そういう問題につきまして、せっかく今いろいろ考えておるところでございます。それ以上今どうしようということは、三十八年度の予算に出ている程度にしか考える案を持っておらないのであります。はなはだ何か返事がわからぬようなことでございますが、来年度といたしましても、この七割給付の問題だけを片づけるのも、それすらもたいへんであろう。どうかその点につきましては委員各位の——これは去年も要求しまして、はねつけられました。ことしも非常に大きい財政上の問題になるので、ぜひやりたいという覚悟をいたしております。  それから、先ほども申し上げましたように、地域差の撤廃、これも僻地対策の大きい一つじゃないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  85. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 午前中の質疑はこれにとどめ、午後は一時四十分より開会いたします。  休憩いたします。    午後零時四十三分休憩    ————・————    午後一時四十六分開会
  86. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 午前に引き続き、質疑を続行いたします。
  87. 林塩

    ○林塩君 少し飛びますが、十四番のところの看護婦養成の問題、看護婦対策につきまして伺いたいと思います。  看護婦の不足が非常に社会問題になっている折柄でございますので、厚生省におきましては、これについてどのような御対策がありますかということを伺いたいわけでございますが、きょうの御説明によりまして、ここにあがっておりますところの養成所整備、それから養成所運営費並びに修学貸与金、それから「その他」とございますことにつきまして御説明がございましたが、前年度と比べて大幅に予算がとられているようでございますが、厚生省の御当局としましては、これを今年度ほんとうに、いつかお約束をいただきましたように、厚生大臣にも要望を出してございますように、前向きの姿勢で強力にこれを押し進めていただけるような御対策がありますかどうかということを伺いたいのでございます。養成所整備費、それから、その次にあがってございますところのそういうことについて、いま少し詳しく御説明をいただきたいと思います。  なお、それと関連いたしまして、ここには保健婦問題、保健婦の数も非常に不足をいたしましておりますが、それについて何らかの御対策があるかどうか、そういう保健婦をもう少し数をふやすなり、保健婦の質を上げますについて、どこかの項目にそういうものが入っておりますかどうか、それとあわせて伺いたいと思います。
  88. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 看護婦関係の需給が今だいぶ逼迫してきて、看護婦の入手に困っておる病院、診療所が多い、それに対して厚生省はどういうふうな考え方を持つか、また、前向きの姿勢でどれだけやっていくか、こういうようなお話でございます。この看護婦対策につきましては、今のこの事態を早く改善しなければならない、そういう立場で本腰を入れましていろいろ勉強もしておりますし、私、今年七月に医務局長になりましてから、看護関係の係も動員いたしまして、また、ほかのところの者も動員いたしまして、いろいろ勉強をいたしておる次第でございます。必ずしもまだ十分な皆様から御満足いただける対策ができていないだろうと思いますので、その点をおわびいたします。さらに一そう私ども勉強していきたいと思っております。  なお、前向きの姿勢の現われといたしまして、ここに予算を特に大幅に増額されたものを出しておるわけでございまして、三十七年度に比べましては二十七倍くらいの予算をもちまして、さらにこれを出しただけではしようがないので、獲得しなければならない、こういうふうに思って努力を続けるつもりでございます。
  89. 林塩

    ○林塩君 こまかい内容につきましては、医務局長さんが御努力をして下さいますということでございますので、こまかい内容につきましては、また後刻伺うことにいたしましてけっこうかと存じますが、ただ、従来この看護問題というのが、どうしても等閑に付されておりましたために、厚生当局におきまして看護対策が十分でなかったと思いますがために、今非常に不足しておりますので、医療行政の中で困ったことが起こってきております。今でなくて、もう少し早くにこういうことをもっと前向きの姿勢でしてもらっていたならば、今のような問題は起こらなかったのではないかということを痛感いたしますので、予算はたくさんとってありましても、これを推進する力が厚生省にありませんために、他の部門が強いのかどうかよくわかりませんが、いつでも押され気味でございまして、今年は大幅な予算がとってございますので、これをぜひとも推進していただくようにお願いいたしたいと思います。  それから、「その他」のところで先ほど御説明がございましたパート・タイマーの活用についてということでございます。今、看護婦を至急に求めましても、なかなかでき上がりますのには時間が長くかかりますので、潜在的に社会にございますところのパート・タイマーを利用することは、非常に目下の急務として大事なことじゃないかと思いますが、このパート・タイマーについて、割合に少ない予算がとってございます。これはどういうふうなことなのか、一応会計のほうから御説明をいただきたいと思います。
  90. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 医務局長からお答えいたします。  今の御質問の前に、保健婦問題の関係はどういうことなのかということでございますが、保健婦関係養成所のことも、この「養成所整備」という中に含まれております。その点御了承願いたいと思います。  それから、戦争後におきまして、看護関係は駐留軍の御指導もあったわけでございますが、かなり情勢としては活発に伸ばしておったのではないかと思いますが、それ以後、大体計算上は昭和三十五年ごろに需給は大体安定するであろうという見通しを立てております。その見通しが、実際に病院、診療所に就職しておる者の数でやらないで、登録しておる者の数でやったというところに穴がありまして、資格を持って登録をしておりましても、働く意思がないとか、そういう者がおるので、こういうような現在の狂いがきたのではないか。また、ほかの産業の、日本の社会構造の変化と申しますか、産業構造の変化と申しますか、それによりましてほかの産業に婦人労働がどんどん吸いとられていくというようなこと、また、もちろん供給が十分でなかった問題もありましょうが、特に終戦直後におきまして二万名くらいの看護婦の免許を与えた、それがプールになって、多少緩和剤として働いておった者が大体加わってきたというふうな問題、また、基準看護等の問題で、看護婦に対する需要が多くなった、こういうふうな点があわせて出てきて、ここに今の問題を露呈してきたのではないか。これには看護関係全体のものの考え方、たとえば看護婦さんの待遇とか、仕事とか、いろいろな問題がございましょうが、この点、新たに医務局の大きな仕事として、さらに各県の衛生部の大きな仕事として看護問題には対処して参りたい、こういうふうに思っております。  なお、パート・タイムとして、看護婦の需給の問題としまして養成所をふやす、また、養成所の能力を一般にフルに使ってもらう。そうして学生に対して修学資金を与えて進学の率をよくする。また、地域差、施設の偏在というものを是正しようというふうな根本策のほかに、今お話がございました緊急の策としまして、家庭におりまして、病院とか診療所にまだ働いておらないが、働いてもらえるような方をこの際非常事態といたしましてお願いする、そういうふうな面でパート・タイムの看護婦さんというふうな制度を考えまして、緊急確保の緊急対策費を考えておりますわけですが、五百二十九万円で、はなはだ少ないではないか、こういうようなお話でございますが、この関係はいろいろない知恵をしぼったのでございますが、いろいろPR費用等ありまして、まずこれくらいで来年はスタートをしてみる、効果を上げていってみたい、こういうように考えておりますので、この関係は、もう少し人をほうぼうへ配置するというようなことも考えましたが、なかなか全国をおおうための、それだけのパート・タイムの方々を募集していくための機構を作り上げていくのもなかなかたいへんだと思いまして、一応皆様方にその趣旨を書いたパンフレット等をお送りして応募を願う、また、そうしてお互いの病院側との間の——病院側でも自発的にパート・タイムの方を雇ってもらうような推進をしていく、こういうような費用も組んだわけでありまして、これで何とかやっていきたい、こういうように思っております。おしかりの点は十分考えたいと思います。
  91. 林塩

    ○林塩君 このパート・タイマーの点でございますが、これは何も看護婦関係ばかりではなくて、いろいろ労働力が不足しておる問題も各方面起こっておる問題であります。看護のことにつきましては、これは私経験しましたことでございますし、調べたところによりますと、家庭に入っているかつての看護婦が、病院その他でパート・タイマーとして働きます場合に、その給与が非常に低いために、とても子供を置いて家政婦を雇って出たのでは、かえって家政婦の賃金のほうが高いというような変な状態がございます。これはパート・タイマーを非常に活用して使うということになってくるとすれば、労働省との関係、話し合いというのが非常に必要なのではないかと思います。せっかくよい意見をお出しになっていただきましても、実際問題としては、潜在的にございますところの看護力が使われないということが実際でございます。もしそういうことが緊急にぜひ看護婦不足対策として当局が真剣にお考えになるとするならば、そういう問題もあわせて真剣にお取り組みいただきませんことには、ただその名前だけで、決して実際には役に立たないということを申し上げておきたいと思います。  それから保健婦のことでございますが、保健婦の問題は、各所にばらまいて、どこにも出てくる問題でございます。母子保健対策にいたしましても、あらゆるところにこの保健指導者としての保健婦の問題が出て参りますが、その待遇が非常に悪いということで、国民健康保険のほうから出てきます補助金の問題というのがたびたび出て参っておりますが、御当局はこれに対してどういう御見解を持っていらっしゃいますか、それもあわせてお伺いいたしたいと思います。
  92. 今村譲

    説明員今村譲君) この国保の直診の予算単価というのは、非常に昔から出発が低かったものですから、どんどん押えられておりまして、現在のところ、予算単価としましては十七万九千円、これはいわゆる本俸諸給関係でございますけれども、これではどうにもならない。実際には三十四、五万ぐらいの確保、月二万何千円とならなければならないということでございますが、農林省の関係とかいろいろございまして、これは来年度は二十七万七千五百九十八円、大体二十七万八千円くらいの要求をいたしまして、本年の予算単価よりちょうど十万円アップという格好要求をいたしております。
  93. 林塩

    ○林塩君 それに対しまして、この予算内容を承りましたが、厚生省御当局としましては、これは強力に推進されていくという御意思がございますかどうか、伺っておきたいと思います。
  94. 今村譲

    説明員今村譲君) これは官房長のほうがいいのかと思いますけれども、これは確かに十七万円くらいの予算単価では、非常に市町村の持ち出しになるというので、問題が大きくなってきておりますので、これは少くとも、ほんとうに来ていただけるという格好になるように努力いたしたいというふうに考えております。  それから、ちょっと言い忘れましたが、今本俸関係諸費を申し上げました二十七万幾ら、それにいろいろな超勤みたいなものが入りまして、三十万三千円という単価でやっております。
  95. 林塩

    ○林塩君 この僻地対策にいたしましても、僻地対策といたしますと、すぐ医師の問題だけが出てくるようでございますが、実際問題といたしまして、第一線で働く市町村の保健婦の仕事というものは非常に大事なものでございます。見ましたところ、医師のいないところで国民の第一線の健康を守っている保健婦の活動というのは、とてもとても高く評価されますはずでございますが、その補助率が少ないために、非常に給与が低くなっておりますがために、そこに回っていく人が少ない。ことに離島の問題なんかにいたしますと、保健所でも保健所長さんが音をあげていらっしゃるような状態でございますので、この辺をよくお考え下さいまして、僻地対策、無医村対策ということとあわせて、保健婦の拡充、獲得をぜひともお願い申し上げたいと思います。それで、これは全部医療の問題になってきますが、医療の中におきますところの、先ほどから出ておりますところの国民の医療問題、医療対策がどうなっているかということで、いろいろ厚生当局でも苦心していらっしゃることであろうかと思いますが、忘れておられることがあるのでないかと思う点がございますことは、医療の中で非常にたくさんのものを占めて、直接国民のいろいろなお世話をしておりますところの保健婦、看護婦、助産婦というものがいかに重要な役を果たしているか、そして、また、それが恵まれない状態にあるために、非常にいろいろな問題が解決されていないと思います。国民の医療はだれのためにあるかということをもう一度考えてみましたときに、国民大衆とともいつもありますところのこの大きな看護グループのことを、ぜひとも頭の中に入れていただきまして、看護対策の推進をぜひともお願い申し上げたいわけでございます。  以上であります。
  96. 藤原道子

    ○藤原道子君 今保健婦さんのお話が出たんですけれども、看護力については、耳が痛いほど今まで御質問申し上げているけれども、的確な御答弁もないし、あるいは御答弁があったことが実現されていないのです。このごろ地方に行って見ますと、保健所あたり、お手あげだというのがたくさんある。今保健所の医者、看護婦、どのくらいの充足率になっているかということをちょっと。
  97. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) この保健所の定員でございますが、定員は全体で今三万名でございます。これは型別によりまして、ちょうど四型に一応原則として分けております。これによりましてそれぞれ違いますが、それを横切りにいたしまして、医師の場合、定員に対する充足率は約六割でございます。型別にいたしたときの定員に対して六割。それから、保健婦もほぼ同様六割でございます。こういう状況でございまして、全体の職員の中では、一番充足困難なのがこの二種類が一番であります。
  98. 藤原道子

    ○藤原道子君 困難な充足率だ、それは困難だということで済ましちゃ困るのです。これに対して、どうしたら、いつごろこれが充足できる見通しでおいでになるか。
  99. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) これはいろいろな原因がございまして、これを全部解決しませんと、確かに充足率が急速に百パーセントにならぬ、それが一番今保健所運営で困っておるわけで、一つには、もちろん待遇の問題もございます。医師の場合、これが他の民間とのバランスが非常に悪い。これは保健所の医師だけでなくて、公務員の医師である国立療養所等も同様なので、一般的に公務員の中における医療職、ことに医療一号の問題ですが、これが非常にむずかしいので、今のところ基本的な給与改善も、わずかずつ人事院にはかってもらっておりますが、なかなか一挙に大幅な民間とのバランスを是正するということは期待できませんので、今保健所の場合には、研究補助費という形を設けておりまして、これのほうをふやすというので、明年度も相当なまた増額をはかっていく、こういうような形で待遇のほうは是正をしていく、これが一つございます。  それか白、いま一つの問題は、これは給与だけでなくして、保健所へ参りますと、将来つぶしがきかなくなるという形で、万一保健所に一定年数いて、今度医師として開業する場合、その間全然空白になるということを非常に心配いたしまして、なかなか保健所のああいう業務というものは将来のためにならぬというおそれから、来ない方がある。さようなためには、私どものほうでそういうような研修も、ある程度繰り返しできるような、いわゆる内地留学といいますか、公衆衛生院初め、そういういろいろな臨床機関へ修学にいけるような、そういう方法も今講じております。  それから、いま一つは、給与の中に当然関係する問題でございますが、地方に行きましても家が非常に得にくいというために、公舎がないために、新たに移って行きますと、相当高い住居料がかかるというので、公舎の増設ということが、やはりこれは若い医師を採るのに非常に重要でございますので、これのまた補助費を拡充する、こういうような形をいたしております。そのほかに、さらに保健所に将来来てもらう方に、今法律によりまして修学資金の貸与をいたしておる。これは医科大学在学中からやっておりますが、これが現在単価が安いので、もう少し上げて、安心して将来保健所へ行くための修業に要する費用が出るという形で、これの値上げをするという形も、やはり来年の予算の大きなものの一つになっております。以上のようなことを講じ、保健所の医師の充足をしやすくする、こういうことを講じておるわけでございます。  それから、保健婦につきましては、このほうは今の待遇の問題、これは一般の公務員としての問題でございます。しかし、保健婦というのは、今言いましたように、ほとんど大部分のうちの半々が国保の保健婦と保健所の保健婦になっております。待遇を比べますと、今むしろ国保のほうが非常に低いという形で、この待遇のアンバランスのために保健所のほうへ来ないということはないわけでございますが、来ないとすれば、三年間高等学校卒業後専門教育、さらに一年やるという形でございますから、大学卒業生である。そうすると、大学卒業生となりますと、一般の職業のほうでありますと、もう相当なものでございますが、それと比べまして、こういうような勤務状況では、なかなか来にくいという一般問題がございます。この点は、なかなか保健所だけの待遇をどうすればとか、あるいはそれだけでは片づかないものでございますが、結局基盤になります正看護婦がたくさん出て、その基盤において一年の教育を受けて保健婦になるものでございますから、やはり先ほどからの看護婦さんの養成の拡大と、それから、これの需給の調整ということがやはり基本になるわけでございます。さような形が基本でございますが、なお、保健所におきましては、宿舎の問題とか、現実に女子としていろいろ勤務しにくい問題がございますが、これは同様に片づけていく、医師の場合と同様でございます。まあさような形で今進めておるわけでございます。
  100. 藤原道子

    ○藤原道子君 これ毎年繰り返し原因はお述べになる、私わかっておるんです。何年たっても同じようなことを言っておる。抜本的な考え方をしなければ解決がつかない。とにかくあなたが言うとおり、大学卒業なんですよ。国保のほうが安いといっても、大学卒業生ですよ、十七万九千円なんてべらぼうなことがあり得るはずがないですよ、常識から考えて。それがきょうまで放置されておれば、なり手がなくなるのはあたりまえだ。どうかといえば、仕事は非常に感謝され、非常にまたきびしい勤務体制である。ところが、それがきょうまで何ら対策ができていない。私はけさからの御答弁を聞いていまして、どうもこのままでいけば保健婦もなくなるでしょう。看護婦だって充足できません、保母さんになり手がなくなっていく、そういう施設に働く職員のなり手がだんだんなくなっていくというような傾向は、私の調査の上ではそういうふうに現われてきているのです。いくら社会保障を推進していくのだ、こういう問題を確立していくんだとおっしゃっても、そこで働く人がなくなったらどうにもならぬと思う。これは厚生省でよほど考えて対策を練っていただかないと、えらいことになると私は考えている。そこでお伺いしたいのは、お医者さんに若干保健所へ行くために奨学金のようなものを出していますね、その歩どまり——歩どまりという言葉はおかしいけれども、出した人がどのくらい保健所に行っているんですか、これをちょっと伺いたい。
  101. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 卒業したその年は歩どまりは七割程度で、非常にいいようで、ただ、過去ちょうどこれで五年間卒業生を出したわけですが、本年度卒業生を入れまして五年間の卒業人員で、現在保健所関係に残っておりますのは五割五分でございます。あとの四割五分は規定にある金を返してしまう、借りた金を全部返して他の企業等に行く、こういうようなことで、ただ、今のところ、こういうような、国で奨学金を出しているのが、いろいろ中央官庁に、自衛隊を初め、幾つかあるわけです。その中では歩どまりはいいようですが、それにしても、今五割五分ということで、ただこれは金を返されれば拘束力はないわけです、非常に残念なことに。卒業後保健所に行きますと、三カ月間公衆衛生院に行きまして、十分いろいろな知識も与えると同時に、公衆衛生に残りたい意欲を起こさせる講習をしております。こういうようなわけで、やり始めてから少し好転を見ております。しかし、実績はさようなところであります。
  102. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこで、環境衛生の面で一番弱いんじゃないかと思うのです。保健所もそうです。保健所の管轄下にある食品衛生の問題、ことしくらい中毒が多く出ている年はないように思う。これだっても、やはり医師と看護婦は別としても、保健所行政が非常に問題があるんじゃないか。今食品監視員ですか、これはどのくらいいるんですか。東京都内を限定して考えた場合、この間新聞にも出ていましたけれども、監督しなければならない業種がたくさんあって、それで食品衛生監視員というんですか、それがあまりにも少ない。一年に一回の調査にも歩けないという状態に放置しておいて保健行政がうまくいっているとは言い切れないと思う。今どのくらいで、どういう方法でやらせておいでになるか。これはすぐ人の命にかかわる仕事をやっていらっしゃるんですから、皆さんは予算がありませんだけでは済まない。
  103. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 食品衛生に関しまして、食監の数とか活動状況についてのお尋ねでございますが、確かに保健所等に配置しております食品衛生監視員の数は必ずしも十分と言えないものがあります。概数でございますが、兼務を合わせまして約四千人でございます。この職員がそれぞれ保健所等から重点的に食品衛生監視に回っておるわけであります。もちろん手不足をいかにして解決するかということにつきましては、私どもも、また、先輩もいろいろ努力して参ったことでございます。なかなか人の数をふやすということは、先生からの御質問の中にもございましたように、非常に困難な問題でございますので、私どもとしましては、単に人をふやすということでなしに、それだけにたよることなしに、その質を上げる、講習その他で質を向上するという面、また、機動力をふやすという面で、来年度の予算では、食品衛生の検査のための自動車がほしいというような予算、それから食品衛生というのは、非常に頻度の多い問題でございますので、単に役所側だけでもってこの問題の解決に当たることはなかなかむずかしい問題でございます。業者の中にも、業者の自粛的な活動を育成していくという面で食品衛生指導員という制度を設けまして、業界の中から指導的な活動をしてもらうという方を養成していくというような予算を実施いたし、また、来年度も増額要求しております。その他、食品衛生に関してはいろいろな問題がございますが、そういった考え方で、食品衛生の実施につきまして、さらに力を尽くしていきたいという考え方でございます。
  104. 藤原道子

    ○藤原道子君 それじゃ弱いんですよ。それで人命が失われていくんですね。静岡県なんかも八百六十人ぐらい必要なのに、たしか四十二人しか充当していないという実情なんですね。それで監督行政なんかも、中央がだらしがないから地方もそうなんでしょうが、人命があまりにも軽視されている。厚生行政の場合、あれもやりたいこれもやりたい、あまりにもやることが多くございましてとこの間大臣も言ったけれども、今までやらなさ過ぎたからこのようになっている。道路なんかもずいぶん行き詰っていても、河野さんの命令ならば、ある程度突貫工事もできるようですが、厚生省は人の命を預かっているのだから、もっと対策を根本的に立ててもらわなければ、不安で日常生活ができないというのが一般の国民の考え方です。要は、人の命を大事に守るのが厚生省仕事だ。あまりにもおそ過ぎる。それから、厚生省の御答弁なんか聞いておっても後手後手、できてからできてからということだ。また話は飛ぶようですが、サリドマイドというんですか、睡眠薬、あれだって、あのくらい外国で騒いでも、日本ではまだ出ていないとか、必ずしもそれが原因とはわかりませんなどと言っているうちに、日本だってけっこう出ているじゃないですか。全くもう少し命を守っているのだということを考えて、もっと敏速にやるべき措置をやってもらわなければ困る。一体あれはどのくらい日本でも出ていると思いますか。また、出てからやったっておそいんです。危険があると疑わしい場合には、やはり禁止するという態度を取られても決して行き過ぎじゃないと思うんですがね。責任転嫁だけじゃ困るんですよ。
  105. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) サリドマイド系の睡眠薬につきましては、ドイツでああいう問題が起きまして、ことしの五月に日本の製造業者は全部製造停止をいたしております。市場に出荷するのを停止したわけでございます。市場に出回わっているものに対しましては、妊婦が一番問題でございますので、妊婦の服用について注意して販売するように私どものほうで指示をいたしまして、そうして今日に及んだわけでございますが、その後、北大の教授の臨床例であったということが新聞でも報道されまして、私どもも直接先生からそのデータももらったわけでございますが、まだ学問的には断定はされていないわけでございます。しかし、今、藤原先生の御指摘のとおり、社会的な不安は、学問的に断定されるされないにかかわらず、あるわけでございますので、去る九月十四日、関係五社のものが全部協議をいたしまして、現在薬局、薬店その他に出回わっているものを全部回収するようにしたわけでございます。今、回収中でございまして、サリドマイドは一応今日の形では市場から全部姿を消したという形になっております。
  106. 藤原道子

    ○藤原道子君 それは業者が自発的に製造を停止したんでしょう。それから、今度の引き上げをするというようなことも自発的にやられたように聞いているんです。それはあなた方が指示したかどうか知りませんけれども、疑わしきは直ちにやめさせる。これこれの薬を飲んでは危険なんだというようなことも、もっと親切に警告する措置がとられなければ、一般しろうとはわからないんですよ。睡眠薬下さいと行くんですから。そういう手配が私は十分でないというのです。だから、一番人命を担当しているのだというお考えをもっと強く持っていただいて、安心して生きられるようにしてもらいたいのです。すでにもう外国でこういうことが問題になったのはとっくのことじゃありませんか。私はそういう点で厚生省が弱いといつも憎まれ口をきくのはそこにあるのです。私たちが厚生省へ注文をしたり文句を言うのは、厚生行政をもっと進めてほしいから言っているのですからね。ことしの予算を見たって、そういう面はまことに弱いと思うのです。藤田理事の質問の間を私がとってしまったから、あとで関連してあらゆる面でもう少し御質問しますけれども、もう少しえりを正して厚生行政をやってほしいというのが私の申したいことなんです。
  107. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の看護婦対策ですけれども、これは公務員のほうはこれだけの対策を立てて、一応養成所整備修学貸与金という工合にお作りになって努力をされておることは非常な努力だと思うのですけれども、民間の病院を含めて、国保病院を含めて、看護婦さんが足らぬということは、結局看護婦さんの免状を持っておられる方でも働かないというのは給与の問題じゃないか。だんだん給与の問題が進んでいくと、結局医療単価の問題で、病院経営の採算の問題が議論になってくるのではないかと思うのですが、こういう点について、将来病院が経営できる医療費というものは、また、大体今病院に入院しようとしても、ふりで健保やその他で入れるベッドなんていうのはほんのわずかで、みなプラス・アルファを払わなければ入院もできぬというようなところへ今せっかく保険があるのに追い込んでいるわけです。しかし、いずれにいたしましても、看護婦さんの給与が足らない、従業員の給与が低いというところは、厳格な監査というのが、それがやられているのかやられていないのか知らないけれども、結局そういうところのしわ寄せ全体は、医療労務者に全部賃金給与の面でしわ寄せがされているというのが今の現状で、この問題を解決するどのような方法がいいかということは、厚生省が行政的に一番いい方法をお考えになったらいいと思いますけれども、一般の賃金は上がる、ところが医療労働者の給与が上がらないために、働きたくても、そこで働いたら生活ができないということが、他の職業についてみても生活の道を立てられる。これは看護婦さんが緊急に要請されるわけですけれども、そこに問題の起因があるように——全部とは申し上げませんけれども、大きな問題の起因があると思うのでだから養成の問題、あわせて給与の問題という両面相待って解決しなければ、この問題の解決はなかなかむずかしいのではないか。そして、看護婦さんの不足というものによって一般国民が困っているという答えが出ているわけですが、厚生省はその点はどういう工合に考えておられるか、お聞きしたいと思うのです。看護婦さんばかりじゃなしに、医療従業員の生活、待遇の問題との関係医療費関係その他について。
  108. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 看護婦の需給の逼迫に対しまして、有資格者が相当あるのに、それが十分出てこないのは給与が低いんじゃないか、結局それは根本は保険単価が低いんじゃないか、こういうふうなお話のようでございますが、看護婦さんを養成し、また、資格を持っておられます方が全部職業につき、病院、診療所において働いていられないということは前からのことでございまして、特に女性の方でありますので、結婚せられまして家庭に入られると、出産とかいうふうな問題で、なかなか今の日本の社会情勢におきましては、働きに出にくいというふうなことで、相当部分が、資格はありましても、病院、診療所に勤めていられないのは、これは前からでございますが、その数字にずっと当たって見ておりますと、正看護婦と准看護婦さんと分けて考えますと、正看護婦さんの関係は、終戦後三十年近くまでは、実は養成して新しく卒業していきます看護婦さんの数よりも、病院、診療所へ勤めておられる看護婦さんの増加のほうが多かったのであります。ちょっとおかしな現象でございますが、これは普通ならば養成して出てきまして就職せられる看護婦さんから、なくなります方——老齢、結婚等て退職せられます方を引いたものがふえた数ですが、それが養成して出てきます数より多かったという現象があるのでございます。このことが看護婦さんの要求に対して、当時、先ほどちょっと申しました終戦直後の二万名という看護婦さんに一挙に資格を、戦争中にどんどん養成しました方々に、乱造しましたと申しますか、資格を与えた者がございまして、それがリザーバーになってずっといっていたのではないかと思います。三十年から後におきましては、大体保ち合いの状態になってきておりまして、まあ養成の数があるいは少ないのじゃないか、こういうふうな考え方をしているわけでございます。それから、准看護婦のほうは、あの制度で卒業生を出しまして、毎年着実にふえておりまして、大体養成した数から少し減ったものがふえております。そういうような関係から、この一、二年看護婦さんの数が足らないという現象は、この一、二年の正確な数字がまだ統計上出ておらぬのでありますが、お話のように、ほかの産業の待遇のほうがよいので、そちらのほうに逃げていくというのもあると思います。また、今の基準看護というような制度で、一類看護の資格をとるために、看護婦さんをある特定の病院がどんどん集めるというふうなところもあるのじゃないか、こういうふうに思います。リザーバー、終戦直後にありました二万名の方々が種切れになったということもあるかと思いますが、いろいろ原因は研究いたしたのであります。いずれにいたしましても、やはり必要な数を養成していかなければ、養成力をふやさなければいかぬというので、来年度予算には養成施設をふやす、同時に、養成施設にありまして、定員の一ぱいに入れていないところがたくさんありますが、特に保健婦養成所にそういうところが多いのでありまして、そういう定員をできるだけ一ぱいにするように運営費補助をして、そしてそれで施設をフルに活用して養成力を増していく、こういう考え方でやっているわけでございます。なお、応募者がなくちゃならぬわけでございまして、応募者の方々をできるだけ多くするようにPRするとか、また、学資を貸与する、こういうふうなことにいたしまして、進学しやすいようにし、また、同時に、それによりまして、都会へ都会へと来るのを、少しでも足らぬ地域に引きとめるようにという方策をとってやっている、こういう立場をとっております。しかし、やはり根本におきましては、言われるとおり、給与とか待遇という面が多いと思いますが、これは漸次国家公務員と民間との差は、少しは近ごろ近寄ってきつつある、看護婦さんによっては近寄っているのではないかというような感じをいたしておりますので、そのような点については、もう少し研究させていただきたいと思います。
  109. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連して。今の看護婦の問題でございますが、ある国保病院におきまして、基準看護を一方的に打ち切って普通看護にする、こういうような問題が起きて混乱をしたところがございます。こういう国保病院に対して、厚生省としてどういう運営についての行政指導をしているかということをお聞きをしたいと同時に、その病院では、看護婦患者八十三名に対して、七名の看護婦しかいない、こういうことであります。そのためにいろいろな雑用なりを軽症の患者がやらなければならぬということで、病気がますます悪くなる、非常に悪循環をしておるというのが出ておるわけでございますけれども、こういう非常に過酷な労働をしておる病院がたくさんあろうと思いますけれども、今度のこの予算の中で出されておる養成所整備なり、あるいは看護婦増員対策というものの方針で全国にわたるこういう不足分を十分満たすだけの予算であるというふうに考えておられるのかどうか、その辺もお聞きしたいと思います。
  110. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 今のお話の、国保病院で基準看護を打わ切って混乱が起こったというお話は、ちょっと私わからないと思いますが、おそらくそれは八十三名中、七名では基準看護を受ける——これは保険関係で、私のほうではございませんが、該当しないというので、基準看護として認めたのを不承認という形になったのではないかと思いますが、基準看護では、御承知のとおり、看護力は、一類看護でありますれば、患者さん四名につき一名、四対一、二類では五対一、三類では六対一と、そのうちの大体八割ぐらいを看護婦さんか準看護婦さんでなければいけないということになっておりますので、この数は当たらぬと思いますが、われわれ医務局の立場といたしましては、できるだけそういうようなところにも看護婦さんを多く置いてもらうように指導をして、一般的にはしておるわけでございまして、その看護婦さんを・たとえば全国の病院が十分手に入るように看護婦の養成をしていくのがこういうような形になると思いますが、すぐには参りません。それは看護婦さんの養成には、御承知のとおり、施設を作りましても、それを入れて三年間たって、それからでございまして、効果が出るのは、やはり四年ぐらいしなければ、養成所を作っても、なかなか効果が上がりませんので、長期計画を立てなければいかぬという立場で、この計画昭和四十五年を実は目標にいたしまして、そのときには大体必要な看護力を計算いたしまして、それまでに看護婦養成所なんかを拡げて追いついていこう、これはちょっと今の看護婦は長期に教育を要する仕事で、やむを得ないかと思いますが、先ほど早くやらなければいかぬとおしかりを受けましたのでございますが、四十五年を目標にして計画を今スタートしてやろうということでございます。それに対しての臨時措置として、緊急対策といたしまして、今家庭におられる方で、少しでも手すきの方をパート・タイマーとして動員をしていこう、こういうような考え方をやっておるわけであります。それに対しましては、パート・タイマーとしてどんどん出ていただきますように十分な待遇をしなければいけない、こういうことを考え、そういうふうな指導をやっていきたいと思っておりますが、何分医療経営の問題に関連する問題ではあるわけであります。
  111. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この問題は、いろいろ皆さん専門家の方がたくさんおいでになっているので、意見のあるところだと思いますけれども、たとえば、さっき環境衛生局長のお話のありましたように、高校を出て、大学は四年なんですよ、看護婦は三年でしょう、それで出てきて、低い給与で上に上がらぬというような格好で、それはあんた、どうにもならぬという問題をやはり解決しようという格好でお考えにならないと、私はなかなかこの問題は解決しないのではないかと思うので、そこらあたりは十分にひとつお考えをいただきたいと思うのです。  それで、ほかにお聞きしたいことがだいぶありますので、この程度にしまして、環境衛生局長に、屎尿とか、ごみ焼却とか、下水処理、簡易水道という補助比率は今年と変わらないのかどうか、これが一つです。そして、変わっておるならその説明をしていただきたい。十年のものを五年計画で上の三つはやるというのでありますけれども、国の補助比率はどうなっているかということをお聞きしたい。
  112. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 環境衛生施設に関する国庫補助の率についてでございますが、屎尿浄化槽につきましては、従来どおり三分の一の補助要求しております。それから、ごみ焼却場につきましては、昨年初めて補助金がついたわけでありますが、これが四分の一の補助率となっておりますので、これを三分の一に改めてほしいという要求をしております。下水終末処理施設につきましては、前年同様、三分の一の補助率で要求いたしております。また、簡易水道につきましても、事業量等の関係を見まして、前年同様の四分の一の補助予算要求をいたしております。
  113. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 福祉年金改善のところに方法が出ておりますけれども、これについては、福祉年金だけじゃなしに、厚生年金国民年金の問題をもう明らかにしなければならぬときにきているのではないかと思うのです。この前の小山年金局長との間の社労委員会の質疑では、厚生年金はフラット二千円を六千円にする。国民年金は、これは少し改正時期は延びますが、早急に何とかしなければならぬというのは、七千円から七千五百円というところまで持っていかなければならぬということが厚生省の考えであって、そして、これは大臣や総理との間に明らかにしたいというところまで質疑を行なったんだが、大臣や総理との間に明確なところまでいかなかった、そのままの状態で国会が終わって今日にきている。それから半年もたっているわけですから、私は、厚生年金は再来年の四月から実施だと思うのです。今度の通常国会できめなければ実施できないのでしょう。何月が実施時期ですか、改訂の。
  114. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) 九年です。
  115. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういうことですから、この問題について年金局長はどうお考えになっているか。たとえば年金については、一番進んだのは共済年金だと思うのです。国家公務員とか、公共事業に働いておられる方々、それから厚生金年がフラットが二千円、同じように雇用者でありながらひどい差がある。それから国民年金だと思うのです。私はいつも矛盾に感じることは、この前もお話ししたと思いますけれども、所得倍増論で、四十五年にいったら国民所得は倍になるのに、今の方針で、四十五年に月三千五百円上げますということで積立金をとっているということは、これは言いわけも何にもできない状態ではなかろうか。だから、こういう総合的なプランをひとつお聞きして、そして福祉年金改善について策を出しておられますけれども、われわれはそれだけでは足らぬと思うのですけれども、この程度にきめられた思想、お考えのもとになっているところをお聞かせ願いたいと思うのです。
  116. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) ただいま藤田先生のお話のありました諸点でございますが、福祉年金改善につきまして、ここに出ておりますような内容で、来年度予算要求をいたしておるわけでございます。ただいまも御指摘がございましたように、福祉年金自体につきましても非常に改善要望が強いわけでございますし、また、福祉年金一の改善について、衆参両院を通じての附帯決議等もたびたびいただいておるわけでございまして、その線に沿って改善策を講じておるわけでございます。ただ、ただいまの藤田先生のお話にも触れておられましたように、福祉年金改善だけ進むという工合にいかない面が実はございまして、その面は御指摘のとおり現在の拠出制の年金——特に厚生年金改善、それに引き続きまして拠出制の国民年金をどうしていくかということに関連する面があるわけでございまして、今回の福祉年金改善内容というものは数点ございますが、拠出年金とのバランスにおきましては、私どもといたしましては、この拠出年金との関連においてはぎりぎりのところというようなことに相なっておるわけでございます。そこで、ただいまお話もございましたように、拠出年金をどうするかという問題は、実は昭和二十九年に今日の厚生年金の体系、すなわち定額制が二千円、それから報酬比例分は一年間につき千分の六と、かような体系ができ上がりまして、それから昭和三十四年でございますが、五年ごとに再計算をするということになっておりまして、再計算の時期は昭和三十九年に参るわけでございます。しかしながら、昭和三十九年に間に合わなければならない再計算の問題としては、単なる再計算だけではいかぬ時期に来ている。厚生年金給付そのものを相当大幅に改善して格好のとれたものにしなければならない。今日、大体厚生年金のもとで出ております老齢年金は三千五百円見当でございまして、これではいかにも低い。御指摘のございましたように、公務員共済と比べますと非常に大きな差があるし、かつまた、諸外国と比べましても非常に差があるわけでございまして、今申しましたように、昭和三十九年の再計算、これに間に合うように給付内容の大きな改善をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。そこで、給付内容改善につきましては、これは非常にむずかしい問題が多々あるわけでございまして、一応の私どもめどといたしましては、一方のほうに公務員共済の給付の額というものを頭におきまして、また他方ILOの最低基準の額というようなものもございますので、そういうような国際水準というものを頭に入れまして、そうして大幅に改善をいたしたい、かように考えております。今日その金額を幾らにするかというところまでは至っておりませんが、今御指摘もありましたように、定額分の二千円というものも大幅に引き上げなければならないと考えております。たまたま先般の社会保障制度審議会におきましても、その答申、勧告の中に、年金問題が各方面に触れておりまして、これでは、この勧告におきましては、厚生年金については昭和四十五年におきまして定額分を六千円、国民年金については現在の三千五百円を七千五百円といったような数字が載って出されおるのでございますが、一応その勧告自体もひとつのめどになるわけでございますが、それ以上に改善できるものについては、別に勧告にこだわらないで改善しなければならないと、かように考えております。ただ、これについては、先生も御承知のような保険料負担という問題もございますし、かつまた、公務員共済と比べますと、たくさんの点におきまして制度の建て方自体が違っておるわけでございまして、これをどう調整していくかというような問題があるわけでございます。したがいまして、この拠出制の年金制度を根本的に改めますにつきましては、そういった他の共済制度と歩調を合わせなければいけない面もあるのでございますが、さしあたり、ここ一両年の間に改正案として国会の御審議を願うという心づもりをいたしております改正案につきましては、場合によれば、そういった他の制度との関連において調整のつかないものはまたあとに追い送るといたしましても、内容改善ということに重点を置いて案を作りたいと、かように考えておる段階でございます。
  117. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は社会保障制度審議会答申にあえて触れなかったわけですけれども、十年後にフラット六千円、国民年金七千五百円というのは、これは社会保障制度審議会答申に文句を言うわけではないけれども、十年後にそれくらいのものをしておいて、日本の経済が動くかということについてどう議論されたかということを私は聞きたいと思っているぐらいなんですよ。私は優秀な皆さん方が、日本の経済、生産の動きとの関係について、そのめどにするという言葉がちょっと出たけれども、答申があったのですから、私はそういう言葉の使い方はしょうがないかもわかりませんけれども、しかし外国の年金制度ですね、所得保障を見てごらんなさいよ。それは問題にならないわけですよ。それからまた今のように物がたくさんできても消化できないで三〇%近くも生産が止まっているということで、アンバランスで国民をいじめている基礎は何かということも厚生省で少し議論していただいて、そして所得保障の年金の問題なんかをきめていただかなければ、社会保障制度審議会答申が出ましたからなんということは、それはそれとして言われるのはけっこうだけれども、もっと実際的な立場から、厚生行政としてはこうあるべきだということを私はやはり出してもらわなければ非常に問題があると思っているのです。福祉年金とこの関係は、あなたがおっしゃったとおり多分にあると思います。ですから、やはり大方針をひとつ厚生年金からまず手をつけていただいて大胆に出していただかなければいけないのではないか、こう思ってあえて意見を聞いたわけですけれども、残念ながら今のような答えでは、議論をすることは次に譲りますけれども、これは至急にもっと広い範囲で、なまで国会で大いに議論をしてやりたいと私たちは思います。これは衆参両院でやらなければいけない問題だろうと思います。その心がまえが出てこないと、年金のめどがつかないのではないかと思っています。これ以上の議論は予算委員会も社労もありますから、あとでやりますけれども、厚生省としては純粋に事務をやってこられたと、小山さんはことしの初めに言っていますが、私はとにかく政治的な分野で修正されようと、やはり厚生省としては純粋にお考えいただかなければ困るのではないかということを申し上げておきたいと思うのです。そこで福祉年金は、まあその範囲内でこれをやったということをおっしゃるわけですけれども、この福祉年金にしましても、これはこれ自身をどれだけ、われわれからすればとにかく拠出制の年金が今のような状態だから福祉年金で国が負担をしてあげていくということになるのはしようがないのではないかというような考え方をひとつ持っているのです。といいますのは、今も言葉の端に出ましたけれども、年金の保険料や保険税がかかってくる、そういうことをあなたおっしゃいますけれども、外国のやっているこういう問題の国家の負担比率がどう動いているかということに例をとってみてもわかるのだが、まるで相互扶助みたいな、お前さん、国民の皆さん金を出しなさい、そうしたら額も上がりますよなんというような態度じゃなしに、やっぱり計画的に経済全体の前進のために国が負担をしていくというところにやっぱり力を入れなければ問題が解決しないのじゃないですか。イギリスの例なんか十年ごとにあげていって、今のある程度の完成期にまで——完成とは言いませんけれども、相当な額までに来た今日の努力というものはやっぱり国の力です。国が、全体の社会が保障するという立場からあのようなものができておるのです。フランスもそうです。スエーデンもそうなんですね。だから、そういうところにひとつぜひお考えをしていただきたいと思うのです。それで、それと同じようなことがここに言えるのは、(18)の児童扶養手当なんですが、この前これができたときに、むしろ負担が大きくなる、子供が多い、社会が子供を育成するという工合に、子供が多いほど生活が困るというので、そのために児童手当というものを三十八カ国も今世界でやっておって、それで児童を社会が育成するのだという思想から始まって、そうして子供の多い人に、多くなると比率を高くして、そうして児童扶養手当を出している。やっぱり同じ式で今度出てきておるのも八百円が千二百円にふえましたけれども、次のも百円ふえたけれども、一番最後の第三子は、これだと第三子以後はどうなる、子供の多い方々の生活はそれじゃ何で——国民衛生の立場から見ていこうとするのか、そこらあたりの思想がどうも世界の流れとは少し違っておるような感じを私はここで受けるわけです。だから、その点もあわせてお答えを願いたいと思うのです。
  118. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) 激励を賜わりましたが、実は厚生年金改正につきましては、先ほど申しましたように、次に考えております改正は、単なる再計算に基づく若干の手直しということじゃなしに、相当大幅なものを案としてとにかく構想いたしたいと、かようなつもり4、おります。したがいまして、最終的にどうなるかは別といたしまして、私どもが今日検討いたし、いずれの機会にか構想といたしまして公になります案は、相当思い切ったものにいたしたいと、かような決意を持ってやっております。この児童扶養手当の問題、これは児童局の所管でございますが、これも今御指摘のように今後の、あるいは賃金の問題、あるいは所得保障の年金の問題と当然関連してくる問題でございまして、厚生省といたしましても、今の形ではなしに、いずれは児童手当といったような形で考えるということで、今日児童手当の問題は児童福祉審議会の部会で検討中でございますので、今、藤田先生から言われました諸点につきましては、十分そういった方向で考えていきたいと、かように考えております。
  119. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 児童局長はお出ですか。
  120. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) ちょっと外国に行っていますけれども。
  121. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうですが。——だから、今の日本の戦後できた家族手当、労務対策としての家族手当をそのままイコールここへ持ってきて見習うような厚生省の態度であっていいものかどうかということを言っている、国民生活、国民栄養の立場からですよ。そんなことでいいのか、むしろ外国のを見なさい、あなた方自身がここへきて外国のことを説明されるわけだ。児童手当というものは社会が児童を育成するという方向にだんだんこうなっておりますといって、皆さん方外国のことをここで説明されておって、労務対策の家族手当イコールというような児童手当は、まあそれはふえることはけっこうですけれども、それはやはりそういう思想というものがなければ、それじゃ家族の多い人はどうして生活するんですかということを言わざるを得ないことになる。厚生省というのはそういう省じゃないんですか。国民の全体の生活をどう育成していくか、どう高めていくかという省じゃないんですか。そこのところを私は聞いたわけなんで、まあ児童局長おられないから、あなたにあんまりこれは言えませんが……。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連質問ですが、きょうのあとの私の質問でしたいと思ったのですが、ここで関連して質問いたしますが、七十才以上の老人障害年金を持っておって、それが七十才以上になると老齢年金に切りかえられる、福祉老齢年金。したがって、七十才以上の障害者は障害年金支給すべきである、こう考えるのですが、今の取り扱いはどうなんですか。
  123. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) 現在これは拠出制の年金のほうもさようになっておりますが、老齢年金福祉年金のほうでございますが、開始年令以前に障害年金に該当する事故があって障害年金をもらっているものはそのまま続くわけでございまして、そうして今、先生の御質問のところは、たとえば福祉年金について言いますと、七十才で福祉年金をもらう。だからそれ以前に障害福祉年金をもらっているものはそのまま続くんだが、七十才に老齢福祉年金をもらった、七十二才で障害になったというものは障害年金支給するかどうか、これは支給いたしておりません。これは拠出年金並びに無拠出年金通じまして老齢年金支給しておって、その後において障害年金に該当する事故があった場合に障害年金に切りかわっていないというのが現状でございます。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 その点が不合理ではないかというわけです。七十才以上であろうと、六十才以上であろうと、障害者は障害年金をやるのが妥当じゃないか、そういう方向に法改正する意思はございませんか。
  125. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) 実はこれはものの考え方はいろいろあると思いますが、今申しましたように、障害年金を老齢年金の適令年金以前にもらっているものはそのまま続くんだが、老齢年金をもらうと、もうその老齢年金一本でいく、これは事態についてはいろいろあるわけでございますが、たとえば八十才になった、老衰したといったような、動けない、もう障害年金に該当するかどうかといったようないろいろの問題が実は出てくるわけでございまして、まあこれは何でございますが、そういったようなことで、老齢年金受給後において相当な年令の方について障害年金を、別に障害年金が高い場合には障害年金に切りかえる方法というものは、今日の法律の建前では実は考えていないわけでございますが、これは十分検討して見る必要はあると存ぜられます。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 検討して見る必要があるというのは、障害年金支給するのが妥当であるという立場から法改正する、こういう方向で検討するのですか。
  127. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) 現在、私の申しましたのは、無拠出年金について、この問題をどうこうするというわけにいかぬ問題じゃないかと、拠出年金についても、年金制度全体についてそういった建前をとるかどうかという意味において検討を要する問題じゃないかと、かようなふうに申し上げたつもりでございますが、実は拠出制厚生年金の例をとって言いますと、障害年金——一級の障害年金は老齢年金に介護料が加算されているわけでございます。二級は老齢年金と同額、三級は老齢年金より低い額、かような建前になっているわけでございまして、そういった拠出制の年金制度の中において、障害、老齢年金受給後における障害者をどう扱うかということを考えてみないと、福祉年金だけについて考えることはちょっと無理じゃないかと、かように考えますので、制度全体として検討してみたいと、かような意味で申し上げたのでございます。
  128. 小柳勇

    ○小柳勇君 制度全体についてはいろいろ問題がありますから、年金全体の私は今福祉年金を問題にしているわけです。福祉年金を問題にしますと、具体的に七十才以上であろうと障害年金のほうが高額ですから、障害年金をもらうべきであるという意見が当然出てくるわけです。したがって、私は、矛盾があるなら、それは法改正をするのが当然ではないかと思うわけです。したがって、ひとつこの福祉年金について、全体的な年金の検討については当然やらなければなりませんが、特別に検討してもらいたい。これが第一点です。第二点は、年少者の傷害者ですね。この傷害年金支給についてどういうふうなお考えですか。
  129. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) ただいまの御質問に合うかどうかと思いますが、実は現在母子年金並びに準母子福祉年金につきまして、子供加算というものがあるわけでございますが、これがいわゆる義務教育年令までということになっておりまして、この子供たちが、いわゆる先天的と言いますか、子供のときからの傷害者で二十才になりますと傷害年金がもらえるわけでして、現在の建前から言いますと、十六才から二十才までギャップがございまして、あるいはそのことであるかと思いますが、その面につきましては、確かに御指摘のように問題がございまして、今回の予算要求の中におきまして、現在の十六才未満となっております傷害の廃疾の子供の場合につきましては二十才まで加算をする。あるいはまた、母子年金支給する親と傷害者の子供と二人の場合には、そういうふうな改善をいたしたいということで予算要求をいたしております。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、二十才から十六才までの傷害児童については、傷害年金と同額程度の年金支給できると理解していいですか。
  131. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) この子供の傷害はいろいろあるわけでありますが、今日の福祉年金におきまして、いわゆる廃疾の者について年金が出ておるわけでございまして、したがいまして、廃疾の子供を持っておる場合の母子年金並びに準母子福祉年金には、十六才から二十才までの間についても加算をする。こういう改善でございます。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 この母子福祉年金は千円でしょう。そうして傷害年金は千五百円でしょう。そうしますと、十八才の少年については千円——千円も支給できないですね、満十六才ですから。そうしますと、その十八才の傷害の少年については親が養っておる、自分では生活ができないのですが、どういうふうな恩典がありますか。
  133. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) 今の例に出されました十八才の子供でそういった傷害を持ってる者がある場合には、現在、母子年金についても、その子供については何も出ないわけでございます。それを現在十六才未満子供がある場合の加算額一人四百円、これを二十才まで加算を認めよう。二十才になると、本人の傷害年金ということになるといったような内容のものでございます。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 この予算がそれですね。したがって、私が言っているのは、二十一才以上になると傷害年金支給ができるでしょう。そうしたら十六才から二十才までの子供でも、傷害がありて、それがもう固定しておるとするならば、傷害年金支給するのが当然ではないか。こういうことですが、いかがですか。
  135. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) この問題は、母子とか、準母子とかいった場合に、子供というものをどこまで考えるかという問題とも関連するわけでございますが、その他の傷害年金一切の扱いにおいて、大人のものについては、本人を一人前としてのいろいろの施策が、年金だけではございませんけれども、支給する本人を単位としてものが考えられておるわけですが、今までの場合では、やはり二十才以前につきましては、母子なら母子といった親との一体において考えて、子供については加算をするかどうかというような考え方できておるものですから、今御指摘のようなことになりますと、制度の建て方をおとな——おとなというのは言葉が足らぬかもしれませんけれども、一体何才以上の者を、本人自体を一人前の者として本人に対する各種の給付をするかどうかといった問題になるわけですが、現在のところ、さような方針はとっておらないわけでございます。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 どうでしょうか。だから二十一才以上であれば、障害が固定しておれば、障害年金支給しますね。そうしますと、十八才であれば親が子を養うものだということで、母子年金でこれを考えていくという考えですね。だから障害というものを独立して考えたならば、年が十八才以上であろうと、七十二才であろうと、固定した障害については、障害年金支給するのが当然ではないか。これはどうでしょうか。
  137. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) これは福祉年金が拠出制年金とからんで考えられました関係上、拠出制が二十才から適用される、被保険者になる、かような建前をとって、その拠出制年金に対してあるいは補完的な意味を特たし、あるいはその他の意味を持たして、拠出制年金福祉年金とからませたそういう一つの制度を立ててきた関係上、二十才からいわゆる一人前に扱う、かようなことになっておりますので、御承知のように厚生年金等につきましては、義務教育を終えて職場に働くということになると、これは当然被保険者になるわけでございますから、そういった建て方の問題に関連してくるわけでございまして、拠出制年金の現在二十才以上をどうするかという問題とも関連するかと思われます。で、今私は理論的に詰めて、どうだこうだというふうに申し上げかねますが、そういった問題があると存じておる次第でございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで問題はわかりますが、どうでしょうか。厚生年金で、少年が工場に働いて障害になった場合は、その障害が固定しておると障害年金がもらえる、そうしますと、障害を中心に考えていくならば、福祉年金としても障害年金支給することが妥当ではないか、私はそう考えるわけです。そういう支給ができるかどうかということで、拠出制年金だけ切り離して検討してみる用意がございますか。
  139. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) 厚生年金の場合におきましては、申し上げるまでもなく、ある職場に働くという一つの事実関係といいますか、実体関係があるわけでございますが、したがって、先天的な身体障害者というような人の働くということは考えられないわけでございますから、国民年金を考えます場合には、生まれたときから、そういった不幸な事態にあるという人たちが多いわけでございまして、そういうことを考えますと、はたしてこの問題は、こういった国民年金といった保険の組織の中で考えるべきものであるか、あるいはまた一般の社会福祉として、そういった先天的に障害のある国民に対して、子供のときからどうするということを考えるべきであるか、これはちょっと議論が分れるところではないかと思いますので、もう少し検討してみないと、ここでこうしたいともちょっと言いかねる問題でございます。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは質問しますが、福祉年金というものは、社会保障を中心に考えるのですか。社会保障、いわゆる社会福祉を中心に考えるものですか。
  141. 山本正淑

    説明員(山本正淑君) この福祉年金は、特に拠出制の国民年金を構想します際に、この拠出制の年金の中で取り上げられている事故——あるいは老齢とか、夫に、父に死別しているとかいった事故が現に起こっているものをどうするかといったようなことから、福祉年金と拠出制年金とからみ合わせて一組として考えられてきたわけでございますが、これは理論的に申し上げますれば、別の体系において考えることの可能な制度でございます。その意味におきましては、やはり広い社会保障的な意味で、たまたま拠出制の年金制度を考える場合に、年金制度の中で組み合わせて考えたほうがいいという結論に達して、この制度ができたと思うのでございますが、それは必ずしもこういった福祉年金的なものは年金制度の中で考えることしか、一つの方法しかないという問題ではないのじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。制度の立て方をどうするかということであって、御指摘の点は、確かに保険ということではなしに、社会保障といったような見地から出ていると思います。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 少し討論してみなきゃならぬと思うのですが、年金は相互扶助ですね。それから福祉老齢年金などは社会保障、社会福祉としてこれは当然考えなきゃならぬのではないか、もう少しこれは議論があるところだと思うのですが、そういう立場からするなら、私は今の二十才以下の少年の障害も、七十才以上の老齢の障害もそれは障害年金として考える、そういう方向でひとつ検討してもらいたいと思うのです。もうあとは意見の食い違いも若干あるようですから、要望いたしておきたいと思います。  それから身体障害者の話が出ましたから、関連いたしまして医務局長にお聞きしておきたいと思うのですが、せんだって身体障害者の大会をやりまして、一日私行きまして、いろいろ実情を聞いて帰ったのですが、大きな問題はもうここで論議しませんが具体的な問題で、盲人があんまをやる場合に、この前できました身体障害者雇用促進法で厚生省と労働省が話し合って医者が治療して、その患部など十分わからないようなときは、盲人を採用しなくてもよろしいというような達しを出しておる。そのために今までは病院などで盲人のあんまを雇っておったところが、逆に身障雇用促進法ができたために、盲人の職場が狭められる危険性がある、この不安があるわけです。これはこの前一回ここで質問をしたのですが、その省令があるならば、その省令を改めていただかなければならぬ、これはあした労働の問題がありますから、労働のほうでも質問しますが、厚生省の考えを聞いておきたいと思います。
  143. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 身体障害者の自立を助長し、就職を促進する、そういうような立場で身体障害者雇用促進法というのができ、そのうちで重度視力障害者と申しますか、視力のはなはだおかされておる、めくらまでになっておる人とか、それに近い方、こういう方について、あんま業をやっておられる方を国とか地方公共団体で雇う場合には、七割以上、そういうような方を雇うようにというふうな趣旨があるわけでございますが、この身体障害者の方々をできるだけ保護せなきゃいかぬという立場、それから趣旨で、病院等におきましても、あんま・マッサージ師などをやっておられます方に対するこの規定がやはり国、地方公共団体のほうには適用になるわけでございます。ほかにもできれば同じような趣旨でいかなければいかぬ、こう思うわけでありますが、一方、医療というものの立場から申しますと、患者さんの身になりまして、できるだけ正しい治療がここで行なわれなきゃならぬ、そうした場合に、これは医者のほうの立場でも、整形外科学会等から意見が出てきたわけでございますが、そのほうでは医者のほうのいろいろ指示によって、マッサージとか、その他の仕事を手伝ってもらう場合、やはりその指示がある程度読める、またその患者さんの状態が、そこがはれておるとかいうことがわからないと困る、またそこでいろいろマッサージ、あんまをした場合に局所の反応がどういうふうになっているか、そういうようなことがわからないと困るので、できるならばそういうような方向からいくと、できるだけ程度の高い晴眼者と申しますか、目の見える方がほしい、それだけでやってほしいという意見が実は一方のほうからあったわけです。両方のほうをかみ合わせなきゃいかぬ、さらに言いますと、最近におきまして、リハビリテーションの問題等も起こりまして、機能障害を受けている方、患者さんに対しましていろいろ機能訓練をする、また職業訓練をするというふうな立場でのPT・OTといいますか、機能訓練士、職能訓練士というふうな制度すら今の日本ではだいぶおくれておるのでありますが、発展させなければならぬと思いますが、そういう人間を作らなければいかぬというようなことが問題になっております。それには十分資格のある人間を採用するということが今問題になっております。そういう方面の一連の要求といたしまして、医療関係のマッサージの方々についても、そういうようなところである程度医療上の立場から整形外科学会の要求がある。一方のほうでは何とか身体の障害を持っておられる方々を保護するという立場、それも生かさなければならぬ医療機関としての立場、両方生かさなければならぬので、今のような省令の運用ができたわけであります。これは労働省のほうがやっておられることで、私のほうの所管ではないのでありますが、今のお話のように、政令で、特定職種として身体障害者の、こういうようなあんま師を国とか、地方公共団体が雇うときには、両眼の視力の和が〇・〇八以下の人を七〇%以上雇わなければならぬというような政令が出ているわけでありますが、その中に「主として厚生大臣が指定する業務に従事する者を除く。」となっておりまして、その除くものに、これは労働省の告示で、病院または診療所におきまして、医師の指示のもとに、局部または全身の状態を識別し、及びこれに対する施術反応を観察判断をしながら行なうことを必要とする業務、こういうのが入ったわけでございます。しかし、これは除いてもよろしいというのですが、中で、その他の業務、こういうようなこと以外については、その部分については七〇%以上雇わなければならぬ、こういうようなことになっております。今のお話のように、これを利用して、あんまさんを今までやっておったのを駆逐する、目の見えない方をのけていくという傾向は、これはこの法の意図としているところではないと思いますので、そういうような点は、われわれのほうも労働省と一緒になりまして、注意して指導していきたいと思っております。
  144. 小柳勇

    ○小柳勇君 そのあとの政令のほうが非常に問題になりまして、盲人の皆さんが不安でおりますから、行政指導の面を特別に配慮をしてもらいたいと思います。労働省のほうにも、明日、特にこの点をお願いしたいと思っております。  それからもう一問だけ伺っておきますが、九月一日付でもって、盲人会連合会から陳情書が出ておりまして、盲人のあんま師優先の法律を作ってくれないか、今のあんま師法を改正して、そういう方向の御改正を願いたいという陳情が出ております。これも再三この委員会で論議されるのですが、なかなかあんま師法の改正はできない。しかし、今売春禁止法が一応通りましたが、ざる法になりまして、昔の売春地域では、いわゆるパンマの形式で売春行為が行なわれている、それも免許はもちろんない。それを取締ることは必要であるけれども、そういうような取締りも十分ではない。同時に、無免許あんまがばっこしているというようなことで、あんま盲人があんま業から駆逐されつつある。したがって、あんま優先の法律を作ってくれないか、盲人を優先するという法律を作ってくれというのが陳情の趣旨でございます。この点についての現段階におけるあなた方の見解をお聞きしておきたいと思います。
  145. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) あんま師等の法律におきまして、盲人の方々に対して優先的な権限を与えて取り扱いをして、身体の不自由な方に対して少しでも擁護しようというようなお話でございますが、この件は昨秋ですか、この国会の附帯決議にもございましたことでございますし、また、あんまさんのうちでも目の見えない方々から強く要望せられておることでございますし、われわれとしても十分に考えねばならない問題だと思います。ただ、すでに晴眼者が相当こういうような業界に今のお話のとおり入ってきております。その人たちとの関連性もなかなかデリケートな問題が事実上出てきておるというような問題、それから営業の自由と申しますか、そういうような問題といろいろ絡み合って、この点はわれわれも苦慮し、いろいろ研究しておるところでございますので、中央審議会というものをあんま関係の問題につきましても作りまして、毎月いろいろ関係者が集まって研究していただいております。その結論なども近日出ると思いますから、それをいただきまして、いろいろわれわれのほうも研究いたしまして、台湾のほうにも立法例があるそうでございますから、その辺も参照しながら、できるだけ身体の不自由な方々をいたわる立場で考え、なお同時に医療上の立場も考えながら適当な解決を見出すように努力したいと考えております。
  146. 藤原道子

    ○藤原道子君 関連。盲人問題が日本で比較的今まで問題にならなかったのは、あんまとか、はり、きゅうという職業があったからだろうと思います。このごろ職業の自由というようなことで、晴眼者が非常に進出してきただけれども、身障者を守るということから身障者雇用促進法なども出てくるのだと思います。ところが、このごろこれが特にあんまの場合悪用されまして、今、小柳さんからお話がございましたが、今、吉原の赤線地帯ですか、あの辺も転業したのですよ。ほとんど宿屋にこのごろはあんまという看板を掲げて、元の赤線業者が、とれが七、八軒ある。ところが多いところで十五名ぐらい、少いところでも七、八名ぐらいの女をかかえて、みんな晴眼者、全部免状を持っておりません。そこで転業した旅館と契約して、そこへ女を派遣しているわけです。この間領収書の中にあんま代三百五十円、売春幾らというのがあがったのです、警察に。ほとんど元と同じような状態、ただパンマでやるか、売春婦であるかというだけの相違しかないというような実情になっている。ところが、これに対して厚生省側からは摘発されたのは一つもない。警察からである。警察があげてみても単純売春が罰せられないことになっておりますから、あんま業違反でやるよりない。あんまで無免許でやっているということは、あんま業でやりましても五千円以下の罰金ですよ。五千円以下の罰金なんというのはものの数じゃない。ところが不思議なことに十四名、十五名かかえておるあんま屋さんですね、親分、四分六です。六分業者がとって四分が女に与えられる、元の売春と同じことです。ところが、これが警察であがって問題になっていても、厚生省は一向に手を入れない。取り消すというような方法もあるわけです。あんま業の免許を持たない、しかも晴眼者を雇ってあんまという名目で売春をさしている、こういうことは警察であがっていて厚生省で知らないはずがないと思うのです。それでも何らこれに手を打ってないというのは不思議ですから、この問題についての無免許のあんまのことについては、たびたびこの委員会で問題にして、私あるときには業者の名前まで指摘して、そして取締りを要望したけれども、それは依然として大々的に営業している。だから、一体あなた方があんま、はり、きゅう、整復師法ですか、あれを守っておいでになるか、法律を順法しておいでになるか。一応法律があるからいいわということでうっちゃっておいでになるのではないか。ことに厚生省は売春問題に対しても責任官庁であろうと思います。ところが、そういうことが東京のまん中で行なわれていても全く手を打たない。これは売春対策審議会でもこの間問題になっておる。こういうことに対して今まで——これは今までは温泉場にそういうことがたくさんある。ところがそれが今日は吉原に堂々と行なわれておることは、全国的に行なわれておるのだが、厚生省はこれに対してどういう心がまえで進んでいらっしゃるか。職業の選択の自由なんということで盲人が非常な不利に追い込まれていることに対して、どうしてこれに対処しておいでになるか、これをちょっとお伺いしたい。
  147. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) まず第一点の身体の障害せられておる、特に目の見えない方の職業といたしまして、徳川時代から独占的に許されておったこの業界が、今の晴眼者でだいぶ荒らされ、さらにそれが悪用せられておる、こういうような問題につきまして、先ほど私が申しましたように、この国会の御決議の点もあり、また、今の身体障害者雇用促進法というふうな法律の趣旨から申しましても、できるだけそういうふうな方を守っていくようにわれわれとしては考えていかなければならない。そこで、それをどういうふうに混乱なく運用して、今の既成事実になっている晴眼者が、この人たちも一つの発言権を持ってきている事実、これにどういうふうに対処していくか。それから医療関係との問題をどう対処していくか、こういうふうな問題で今苦慮しておるわけです。今の目の見えない方の立場を守っていくということは、これは厚生省として当然なことでありますので、そういうふうなことを中心としながら、そういうふうな点をうまく調和させていきたい、こういうふうに思っております。第二点の売春等の問題につきまして、なかなかデリケートな問題でむずかしい問題だと思っておりますが、私どもこちらに参るようになりましてから、この点にも努力をするように、また保健所は弱体でなかなかできぬじゃないか、こういうふうなおしかりを受けておりますが、なかなかむずかしいことながら努力させてもらいたいと思っておりますので、今までのことはおしかりをこうむりましたけれども、ひとつその辺で御了承を願いたいと思います。
  148. 藤原道子

    ○藤原道子君 むずかしくないと思うのですよ。あんまは免許かなければできないのですよ。そのために二年だか学校へ行かなければあんまはできない。ところが無免許の者をかかえて、それで料金は三百五十円とって、しかも四分六分で業者が六分とって、それで女には四割しかやっていない、こういうことが歴然と行なわれていれば、営業禁止なり何なりできると思うのですが、これは私、しろうと考えですか、あんまの免許を持っていない者を使ってあんまをさせて搾取している。それでやれるということなら、これは法律はいりません。と私は思うのですが、どうなんですか。
  149. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 今のデリケートな問題、むずかしい問題と申し上げましたのは、その売春等との問題、関連性をはっきりさせるというふうな問題のことでございまして、免許のない者がやること自体は、それは取り消すも禁止するも、これは免許のない者があんまをやることは禁止せられておることでございまして、それが行なわれて、それをどう摘発して処罰するかという問題だろうと思います。ですから、それは禁止する行為、免許のない者はやってならないので、そういう点を発見して摘発すべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。なお、それと一緒に名義貸しの問題、それから無届けの者を雇用している雇用主の問題、こういうような問題、いろいろあるわけでございます。これにつきましては、もちろん厚生省としてもやらなければならぬと思いますが、警察のほうとも十分連絡いたしまして、協議いたしまして、取締まりを厳にするような方針で今までも数次打ち合わせをやっていることは私は承知しておるのですが、効果が上がらぬじゃないか、こういうふうなおしかりをこうむって困っておるわけですが、努力をして参りたいと思います。
  150. 藤原道子

    ○藤原道子君 そんなことを聞きたくないのです。もう現にやっているのに——この委員会でそういうことは前にも言った、吉原の問題はきょうだけですが。売春と関係なしに現にやっている、二十人も女をかかえて、きれいな娘を、目がぱっちりあいている娘を。そうして、業者まで名前をあげて指摘したけれども、二年くらいたつけれども、堂々と営業しているじゃありませんか。だからおかしい。私はあんまり同じこと言いたくないから。ところが今度は東京で、今まで温泉場の問題が多かった。ところが、この前名前をあげたのは、東京都内の、何も売春と関係なくてやっている、そこでは七、三くらい、免許を持たない者七人、持っている者三人くらいでやっている。ところが、今度吉原にそれを利用してやっているのです。この間も警察から、これを取り上げてみましても売春では処罰できないし、あんま法違反でやる以外にないので、あんま業法からいけば五千円以下の罰金ですからどうにも手がつきませんと、警視庁がこの間売春対策審議会で言っているのです。ところが、厚生省の代表も売春対策審議会に出ているのですが、黙っているじゃありませんか。一体どうするのだ。口でばかり身体障害者雇用促進法がございましてといったって、現実にそれが生かされない。やれることすらやっていないから、私はこういうことを言いたくなる。明らかに無免許でやっている場合にはどうしますか。売春と切り離して御答弁を願います。
  151. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 厚生省、実情はわかっているのかね。藤原委員の指摘している点わかっているのかね。
  152. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 担当課のほうでは十分わかっていると思うのですが、私七月に参りまして、その点、概念的には承知いたしましても、今までのいきさつ等必ずしも十分つまびらかにいたしておりませんので、今から勉強いたしまして、しっかりやって参りたいと思います。なお、無免許の者がやっていることについての処罰、これは摘発等やっておりますが、これは警察ができないというのはちょっと私はおかしいと思うのですが、罰則を強化しろ、こういうようなお話かとも思いますが。それから無免許の者を雇っていることにつきましては、不正の行為かあったものとして、雇っている人間か免許を持っておれば、免許を取り消すことができるだろう、こう思います。
  153. 藤原道子

    ○藤原道子君 私がそれをやってほしい、警察がやれないというのは、警察と今言ったのは、言葉の聞きそこないか言いそこないですが、五千円以下の罰金だから警察とすれば売春の取締りにならないというのです、五千円では。ですから、あんま業法の改正をして、もっと罰則を高めてもらうか、あるいは無免許の者に関してはそのほうでばさっとやってもらわなければ困る。これは売春対策審議会のほうでの話ですから、こっちは売春の関係で警察はやりようがない。単純売春まで処罰するように強化してほしいというのが意見ですが、ここでは一応切り離しても、無免許の者がどれだけ働いているかわかりません。これをがっちり調査して法を守ってやって下さい。
  154. 山下春江

    ○山下春江君 二つほどあんまの問題で、局長が新しかったら実際を御承知の方でけっこうですが、局長に一つ聞きたいのは、私、医者でないものですから、医療上目あきでなければ困るという、そのことはどういうことを意味するのか。さっき全身がどうとかおっしゃいましたね。全身がよく見通しがつかなければいけないということを言われたのですが、あんまというものの性能というものはそういうものかどうか。私、自分であんまをとらした経験から言うと、どうもぴんとこないのですが、それはどういうことかを御説明願いたい。それから、今、社会党の先生方から御指摘になったようなことは、私は東北地域なものですから、今、東北にはほとんどめくらのあんまが集中している。言葉が東北の言葉でないから、どうしてお前たちは目が見えないのにこんなにはるばる東北まで来たのだと言ったら、西のほうの観光はなやかな土地からみな追われてきている。めくらではじゃまになる。女中さんが座敷に連れて行ったりいろいろするのがとてもめんどうで、そういう手のかかるあんまは困る。それから観光地にくるお客さまは他の要求もありましょうから、いずれにしてもそれはめくらでは満たされないということで、めくらがだんだんと東北に追い詰められる。そこで、私が今聞こうとすることは、この実態は、今、藤原委員が御指摘になったようなことは非常にたくさんあると思うのですが、厚生省が目のあいている人にあんまを教育する学校を許可しておられるところのゆえんは、今あなたがおっしゃった、医療上必要だからそういう学校を許可しておられるのかどうか。これがなければ目あきのあんまというのは世の中に生まれてこないけれども、それは今の医療上必要とお認めになったのかどうかということ。それから次の問題は、これはもう係の方は知っていても手がつかないから、どうとかこうとかおっしゃっているのですが、実際大きな社会問題なんです。そこで、私はことしの予算要求のときに、それを、ぜひひとつ予算をとってもらいたいということを言おうと思っておって忘れてしまったのですが、実態調査をして下さい。めあきが幾らいて、めくらが幾らいて、無免許が幾ら一体就業しているかどうか。こういうことは調べればすぐわかるのですから、予算をわれわれ一生懸命今からとりますから、この実態調査だけは三十七年度、今でもよろしいのですが、今予算がなければ来年でもよろしいのですが、ぜひこの実態調査をして、そして身体障害者の雇用促進法とか何とかということでなく、あんま、めくらというものは他に転業を許されざる人間で、ほかの身体障害者ならば、あるいはいろいろな職業を身につけておる者がありますが、あんまに関する限り他には職業がないのです。したがって、あれらは盲学校に入りましたときに、優秀なあんまになろうということ以外に何も人生に希望を持っていない。その者が社会に出てみたら非常に狭き門で、そしてだんだんとあんまり発達していないほうに追い詰められているなどということは、これは社会福祉の面から言っても、厚生省の法律に基づく行政指導、監督の面から言ってもなっちゃいないことでありますから、これだけはぜひひとつ腹を据えてこの辺で切りかえていただきたいと思います。要約いたしますれば、実態調査をぜひやっていただきたい。やるかどうか。それから学校を厚生省が開眼者に許可を与えておるそのゆえんは、先ほど御説明の、医療上必要だから晴眼者もあんまにしておくのだということなのか、どうなのか、そういう点についてのひとつ御回答、これは局長に、それから実態のことはよく知っている方にお願いします。
  155. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 医療上の云々と私申し上げましたのは、あれは一番初めの問題は、病院におきまして、今の身体障害者雇用促進法の関係のもので、告示の中にこういうふうに入っておる。これは医者側の、おもに整形外科学会からの意見が強いものがあって、こういうことを申し上げたわけでありまして、病院におきまして健康者でなく病人を治療する。そのときに症状などの変化、そういうようなことがかなりわからなければ困る場合がある。もっとも医者が見て指示しておるわけでありますが、必ずしも医者の目の届かぬところでマッサージとかやられておる場合がある。そういうようなところにやはり晴眼者が必要だ、こういうふうなことを整形外科学会から言っている、こういうふうなことを申し上げたわけであります。それから第二点の、目あきに対して養成所云々ということでございますが、これは最近におきましては、今の問題もございますので晴眼者に対しての養成は許可しておりません。養成されておりません、最近は。ずっと昔、これが始まりましたときの状態はちょっと私つまびらかにいたしませんが、最近は新しい養成所を開設していないと思います。  それから第三点、実態調査の点でありますが、実態調査といいますよりも、各府県からの報告をとりました数といたしまして、三十六年末におきましては、晴眼者のあんまさんが二万二百二、それから目の見えない方が三万一千百四十、こういうふうな数が報告されております。
  156. 藤原道子

    ○藤原道子君 もう一ぺん言って下さい。
  157. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 目の見えます方、晴眼者二万二百二、目の見えない方が三万一千百四十、これは各府県から報告をとった数でございます。実態調査を各人に対して一々やったというよりも、各県からの報告だと思います。
  158. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、今の藤原先生や山下先生、小柳さんから始まったあんまさんの質疑を聞いていて、私はまあ不思議なことだと思うてこれを聞いていたわけです。というのは、ちょうど四年前に療術師の延長をするかしないかということで国会で大もめにもめた。そのときに、なくなられた野沢君が、免許を持たないあんまはやらせません、そんなことは一切やらさないという、そういうことの誓約があり、厚生省は一切そういうことは今後はやらせません、保証いたしますということであの法律が通ったことを記憶しているんです。それから、今の局長のお話を聞いておりますと、同じことをお答えになっている。むずかしいので研究しているというお話なんですが、私は、二万一千なんという数字ですね、今新しい学校は許可していませんとおっしゃるけれども、卒業証を見てみたり、晴眼者のほうが毎年多くあんまさんになっているという、この現実をあなたどう見ているかということを一つも解明せずに、今、小柳先生の言われるように、医学上晴眼者がいいんだという結論を厚生省がお出しになるなら、盲人の方々は、身体障害者の方々は、他の方法で生活の道を厚生省は作りますということをここで言わなければ、唯一の職業として盲人の方々があんまで生計を立てて、そして生活を維持していきたいとあれだけ熱心に言われておるのに、その状態をあいまいにして、むしろ営業の面では、免許を持っている人より持っていない人のほうが二倍も三倍も営業をやっていた、藤原先生が指摘されたような状態で、野放しなんですよ。野放しなんです。だから、医学的にこうならこうとはっきりして、そしてこうしますならこうしますとはっきりおやりにならなければ、取り締まりはやらないわ、そっちのほうはどんどん晴眼者のほうのあんまの免許は毎年ふえていくわと、こういう格好になっておるというんじゃ、私はここでだんだんとお聞きしても、この社会労働委員会としては納得いかぬと思うんです。だから、もう少し明らかにされたらどうですかということを私は言いたい。もう答弁は要りませんけれども、これはそれをもう少し明らかにしなければ、同じ答えをもう四年間も続けてきているわけですわ。
  159. 藤原道子

    ○藤原道子君 もっと前です。
  160. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 しかし、大問題になったのは、四年前のあの法律のとき大問題になりました。あの法律が通るか通らぬかというときに、そういう保証ができて通そうということになったことを私は思い出した。そこから起点にして四年もたつのだけれども、何にも手当をされていない。そこで売春の問題がプラス・アルファでそこへ加わってくるということは、これは私は残念なことだと思うんです。それは厚生省はひとつしっかり取り組んでもらいたいと、皆さんの質疑を聞きながら私はそう考えたわけなんです。ぜひよろしくお願いしたいと思うんです。
  161. 藤原道子

    ○藤原道子君 しっかり頼む。
  162. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 しっかりどっちの方向へ行くか明らかにして、今の免許を持っている方々を、盲人の方々の適職としておやりになるなら、やっぱり盲人の方でやりたい人がたくさんおるんですから、そんな方も養成してあげまして、今免許を持っている人をやめさせるということは、他に職業を持っているわけではないですから、なかなかいかぬでしょうけれども、そういうことをおやりにならなければ、この問題はいつまでたっても解決しませんよ。ぜひひとつ医務局長、最近おいでになったからよくわからぬとおっしゃるのですから、これ以上申し上げませんけれども、よくお考えを願いたいと思うのです。これは何べんでも問題になりますよ。それで小柳さんの御発言のように、どうですか、医学上晴眼者が必要であるという結論を出すならお出しいただいたらいいと思う。そのかわり、盲人の方はひとつ社会保障でしっかり対策を講じますという保証を何かせられなければ、これはあんた問題だと思うのです。
  163. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 今の点、何とか答えて下さい。
  164. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 長く四年前からいろいろ問題になっておって、解決ができない問題である、しっかりやれ、こういうふうなお話でございますが、中央審議会のほうの結論も出ましょうし、われわれのほうでも前向きの姿勢でひとつ腹をきめて、この点の解決に努力していきたいと思います。
  165. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、予算上の問題として、医療問題について私はお聞きをしたいと思う。  第一点は、先ほど大臣にお聞きをしたんですが、医療制度がまちまちな状態で国民皆保険といったところで、これはなかなか私は問題があると思うのです。この統合を将来どういう工合にしていくかということと、差しあたり統合への一つの段階として、たとえば被用者の保険を一本に、あとは国民健康保険を一本にする、そういうふうな方法も一つの方法としてここで考えられる問題です。たとえば、なぜそういうことを申し上げるかというと、共済保険は、共済保険の扶養家族は大体八割から九割まで給付を受けておられる。組合管掌の健康保険になると、これは大体まあいいところは一〇〇%のところがあるけれども、七五%から八〇%家族は給付を受けている。今度は政府管掌の健康保険になってきたら五〇%、こういうことになっておる。それから、また、もう一段いって、国民健康保険、これは今度は世帯主七割にするとおっしゃいますけれども、診療制限の問題があるわけです。そういう格好で、日雇健康保険もありますし、いろいろと、同じように国民でありながら、こういうまちまちな医療制度をそのままにいつまで置いておこうとされるか、これがひとつ聞きたいところなんです。  その次の問題は、先ほど話があった第二番目の問題は無医地区なんです。無医地区の問題を、具体的に大臣のお話がありましたけれども、あれはどうされていくか、どう解消していくかということは、私は重大な問題だと思う。先ほども僻地の診療機構を云々ということがありました。これはいい考え方だと私は思うのですけれども、補助金を出してくれる。しかし、まだお医者さんや看護婦さん、それから保険料を出している人がこの恩恵を受けるような条件を作るためにはどうしたらいいかということが、私はこれだけで実際問題としてできるのかどうか、ある程度のことまでできましても、僻地というような所では、とてもなかなかむずかしいではないか。給与の問題が関係してくると私は思います。むしろ、国家公務員の給与を見ても、僻地へ行くほど地域差が低い。そうでなく、むしろ僻地へ行くほど僻地手当を上げて、そうして国民皆保険の実を上げてもらうというところにいかなければ、これは意義が出てこないのではないか、こう思うわけです。まだたくさんあるから、二つだけ先にお尋ねします。
  166. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 前段の問題につきましては、各局関連の事項でございますので、私から便宜答弁いたしたいと思いますが、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、医療保険制度といいますよりも、現在の保険制度自体に、非常に給付内容その他においてもアンバランスがあることは私どもも事実上認めておるわけでございます。これをそれじゃどういう方向で解決していくかという問題につきましては、それぞれの局におきまして十分検討をいたしておるのでございますが、しかし、一挙にこれはなかなか解決する問題でないことは、先生はよく御承知のところだろうと思います。したがいまして、なるべく現在給付内容がよくないところを逐次上げていくということが、まずさしあたっての問題というふうに考えまして、来年度におきましては、国民健康保険給付内容改善することをまず初年度として考えていく、しかし、この考え方の基礎も、ただ単に世帯主だけについて給付内容を七割にするということだけの単発的な考え方を持っておるのではございませんで、これは初年度におきましてはまず世帯主、それから逐次給付内容七割は世帯員まで及ぼすというふうな、ある程度の長期的な見通しのもとに計画を原局のほうでは立案をいたしておるのでございます。しからば、でき上がったあとをどういうふうな統合をやるのかということにつきましては、それぞれの管掌の保険制度につきましては歴史的な発達の理由もございますし、この辺はたまたま社会保障制度審議会のほうの答申にも出ておる現在でございますので、あの答申内容も十分検討した上で、今後の問題として慎重に考えて参りたい。ちょうど今年の七月から多年の懸案でございましたいわゆる保険の現業と企画を分けるということで、社会保険庁と保険局というふうにはっきり機構も分けたのでございまして、分けたばっかしですぐ保険局のほうは予算編成に着手するということになりまして、これから先のそういう今申し上げましたような大きな問題は、来年度以降におきまして企画中心の保険局がはっきり結論を出しながら検討していくという形になって参ろうと存じますので、もう少し時日をかしていただきたい、こういうことでございます。
  167. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 前段の各省保険の統合の問題に関しましては、今、官房長から御答弁したようなことでございますが、医療機関の側からいたしましても、これはやはり全体の保険が一つになって強くなって参る、これはありがたいことでございますし、手弱な、足弱な国保というようなものが強くなって参ることは、これは望ましいことであり、また、事務的にもいろ各省保険が一つになって参ることは、これははなはだ望ましいことだと思います。この辺実施になかなかむずかしい問題があるようでありまして、われわれのほうもこれはお願いしておる点でございます。  それから、第二の、僻地無医地区の解消の問題でございますが、これはすでに昭和十年ごろに一回いろいろ保険で診療所を作り、そこに医者を派遣するような形とか、そういう努力し失敗した例は、各国ともこれは苦労しておる問題だそうでございます。四、五年前からこれまでのやり方にかんがみまして、これは医者を僻地へ出しておってもなかなか落ちつかないので、親元病院というような制度を考え、それから僻地に医者を親元病院から派遣する、こういうふうな方策をとり始めて、第一次計画で三百、これまでに二百三十九ですかを一応終わったわけでございます。そして大体三十年ごろの調査によります僻地無医地区というものの一次計画を終わりましたが、さらに念のために調べてみますと、そういうふうな地区がまだまだ残っておるというようなことが調査の結果わかって参りました。そのうちで、今人口が中心点から半径四キロの範囲内で医者のいない所というようなところで考えてみたわけでございますが、そういうような所で、人口が三百以下というふうな所に医者を一人置くというのは、これはなかなかむずかしい、こういうふうな所には、やはり出張診療というようなことを、もよりの診療機関から考えるというふうな方法をとってやる。五百から二千くらいの人口がその範囲内にあるような所に対しまして診療所を作っていこう、こういうふうな今計画で第二次計画がスタートしているところであります。しかし、お話しのように、僻地へ医者をつれていって落ちつかすということはなかなかむずかしい問題でございまして、今までの第一次計画でも相当苦慮いたしまして、大体約二百三十九、約二百カ所くらいが医者が何とか落ちついてくれるとか、一週間に何回かいるというような形で運営をやっておりますが、相当実施に困難があるので、第二次計画をスタートいたします場合に、いろいろ検討いたしたわけであります。やはり乱暴な話といたしまして、今のお話しのように、逆地域差と申しますか、そういうような調査も考えてみたのでございますが、これはすぐに行なわれるものではない。また、医者のインターンとか何かの時代に、そういう直後にそこにしばらくいてもらうというような制度を考えるとか、さらに事業団方式というようなものも考えてみたり、いろいろ苦慮したのでございますが、これを実施して、これなら実施できるという自信が持てる案ができませんものでしたから、従来の方式を第二次計画といたしましては今引き継いで、医者に対しての待遇をよくする、親元病院に対しての負担を軽減するようにするとか、そういうふうな現在の僻地診療に対して親元病院から派遣するという方式をより強化する方法でこれを運営していきたい、こういうふうに考えております。なお、今年になりましてから、郡市医師会で親元病院のかわりをやってもいいというようなお気持のところもあるというようなことがわかって参りましたので、そういうふうな点も運用でいくか、また、三十八年度予算では間に合いませんけれども、三十九年度予算でやるなり、できますならば、三十八年度におきましても、運用の方法ででもそういうふうなことを考えていくということにいたしたいと思います。繰り返して申しますと、今までの僻地の診療所を第二次計画としてスタートして、それをさらに強化していく、補助金増して医者の待遇をよくし、その施設の経営の補助金を多くする、率もよくする、巡回診療等の仕事も始めて補助をやっていく、こういうようなことを考えているわけでございます。
  168. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 一つの点は、先ほどから官房長がおっしゃったことですけれども、私は、所得保障の年金制度も、これは共済年金だけがぐっと進んで、被用者厚生年金がものすごく下へ落ちているんですけれども、両方と毛、医療制度の問題でも言えることだけれども、一応負担をする業者というようなものがあるわけで、被用者年金国民年金とを一応まとめて高めていきながら、将来統合の方向へ持っていく。医療制度も私はそうだと思うんですが、被用者保険の統合をやり、それから国民保険の統合をやって、将来一本にしていくという段階があっていいんではないかという感じを持っているわけです。そこで、あなたおっしゃったけれども、去年もその世帯主七割の問題を要求されたけれども消えてしまうた。また、この医療制度給付の問題については、厚生省はこの問題に関しては、ひとつ何年間の間にはこうやるという大きな計画をだんだんと打ち出して、国民の理解を得る。国民には、医療制度というものはこういう工合にして前進していくのだということをやはり知らしめてやらないと、厚生省予算要求しておられるけれども、大蔵省で切られたらそれでおしまいだ。ことしの暮れも、そういう残念なことはないと思いますけれども、大蔵省でぽんとけられたらそれでおしまいだということでは、医療制度の前進というものは、やみからやみに葬られていくと思う。そういう問題はどこでそれじゃ専門家の審議会を作って厚生省にアピールするということになるのか。今の社会保障制度審議会ですね、全体の問題ですから。しかし、なかなかこまかいところはむずかしい要素があると思うので、専門的なものをひとつ作っておやりになったほうがよくはないかと私は思う。そうじゃないと、せっかくの努力が、ここでやかましく言うて、予算要求になってきたが、やみからやみに葬られてしまったということでは、私はこれは意味がないのじゃないかと思う。これはひとつよくお考えをいただいておきたいと思う。これは発言を求めません。  それから、具体的な問題で、僻地のお医者さんもおられない、診療所もない。たとえばお医者さんの行かれないような僻地の方々でも国保の保険料を取っておりますか。
  169. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 現在国民皆保険ということで、各市町村全部保険制度ができ上がっておりますので、保険料は取っております。
  170. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、皆保険で取っておるのに、診療ができないから無医地区の解消という問題が出てくる、そういうことだと思いますが、どういうことをやっておりますか。保険料を取った見返りというわけじゃないけれども、お医者さんの手の届かないところの給付は何でやっておりますか。
  171. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 現実には保険料は徴収いたしまして、疾病にかかった場合にどういう方法をやっておるかという御質問だろうと思いますが、これは近くの——近くといいましても、僻地ということになれば、相当出かけるのに時間はかかると思いますが、なるべく近い所に診療機関がある場合にはそこまで出て行く。それから、急病なんかの場合には、電話その他で来ていただくというふうな措置でもって、これは理想は診療所みたいなものを作るのが理想でありましょうけれども、現在のところ、それが逐次整備をされつつある段階でございますので、そういうふうな応急的な措置をとる以外にない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  172. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういう場合に、個人の責任でなされておりますか。地方自治体とか、そういうところの責任か、保険者の責任でされておるか。その移送やその他の問題……。
  173. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 病気の実態によってやはり違うと思いますので、非常に重病だとか何とかいう場合には、これは当然保険者の責任、つまり市町村の責任においてそういう手配その他もやっておると思います。
  174. 藤原道子

    ○藤原道子君 それでも負担は個人負担になっておる。
  175. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 国保の給付内容は、五割分は本人負担であり、あとの五割分は保険者負担、こういう形になっております。
  176. 藤原道子

    ○藤原道子君 長い場合には自動車賃なんというものはものすごくかかるのですよ。だから、恵まれない貧しい人が多額の医療費を出さなければならぬというところに問題があるのです。ちょっとかかれば早くなおるのに、よくよくがまんして医者にかかるから、さらにそこに生命の危険も加重されてくる。だから、僻地医療対策は、国の責任をもっと痛感していただかなければならぬと思います。最近の新聞に、僻地の医療対策として、結局十八万円ですか、診療所に補助金を出す、手当というようなことで。というようなことが載っておりましたが、事実そういうお考えがあるのですか。あるいはまた親病院から派遣するということになっておりますね、出張して。その場合、親病院もあまり人員はないのですよ。だから、たださえ足りないところから派遣していくので親病院も迷惑している。そういうことで地方へ派遣する要員は別個に確保して、そして半年なら半年ずつ交代していくとか、創意工夫をすれば何とか解決するのじゃないかと思うのです。ずっと二年とか三年とか行くということじゃなしに、僻地では子供の教育のこともあり、医者としての研究もできないので、ほんとうに現地のことを考えると、とりあえず半年交代で派遣して、年間十八万円が妥当か二十万円が妥当か知りませんが、それだけの新しい手当を出すということについて真剣に考えたらどうかと思います。この間ちょっと厚生省の案が出ましたので、その真偽をひとつ伺いたいと思います。
  177. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 今の藤原委員の質問につけ加えて、さっき官房長は、地方自治体の責任で何か方法がとられているような話がございましたが、今のような問題で、地方自治体の責任で何か具体的な方法がとられておりますか、それもあわせて答えて下さい。
  178. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 地方自治体の責任といいますのは、費用分担というようなことと別に、たとえば電話の連絡なり何なりでそういう公共機関がタッチする場合があるということを申し上げたのでありまして、たとえば移送費などについて、先ほど藤原委員の言われましたように、それじゃ自治体が移送費を負担するのかというと、これは保険の原則によりまして本人が半分負担し、あとはいわゆる往診費の分で、それぞれの社会保険診療報酬によって分担される、こういうことでございます。
  179. 今村譲

    説明員今村譲君) 今の藤原先生のおっしゃいました診療所の赤字分十七万円というのは何かの誤解じゃないかと思います。私どもといたしましては、年間大体五十七万円の二分の一国庫負担ということで、二十八万円ぐらい、これは平均でございますが、こういうふうな予算が組んであります。
  180. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 今、藤原先生のおっしゃられました中身は、これはもうすでに厚生省としては、三十二年からそういう中身でもって現在の僻馳医療対策を推進しているわけでありまして、やはり親元病院から人を出して、そうして長期的な滞在でなしに、短期間で大体三カ月ないし半年で交代するという、こういう形の方策を現在まで進めてきている。しかし、それが私が当時そういう仕事をやっておりましたころに比べると、私のおりましたころの無医地区の概念というのは、大体昨年までで消化を終わっているわけであります。ところが、厚生省がそういう僻地対策をやり始めたということを聞きまして、やはり無医地区の概念というのは、これは相対的なものでありますから、たとえば交通が発達して道路がついたということになれば、その所は無医地区でないということになる。また、そういう新しい施策をやっているということになれば、自分の所もぜひ医者がほしい、無医地区に入れてもらいたいということで、やはり今年から新たにそういうふえた地区につきまして、同じような対策をやって、逐次解決していく、こういう対策をやっているのであります。だから、先生のおっしゃられました中身は、すでに厚生省としては相当前から取り上げて実現するようにやっておりますが、しかし、何としても、先ほど医務局長の言われましたように、親元病院から人を出すといいましても、なかなか人を求めることができない。それから、医者といたしましては、やはり自分が三カ月でもあるいは半年でもそういう僻地に行っておれば、いろいろと勉強ができないのじゃないかという心配を持っておりますので、その辺は十分手当をする必要があるだろうということで、いろいろと奨励手当なり、あるいは赴任手当なり帰任手当というふうな、いろいろな手当を支給することによって三カ月、六カ月出かける人が、十分安んじて行けるような体制をさらに強化しようというのが、ここに出ております僻地対策の来年大々的にやろうという中身になっているわけであります。
  181. 藤原道子

    ○藤原道子君 だから、今まですでに、やっておりますとおっしゃるけれども、なかなか行く人がいないので、病院は非常に困っているんですよ、トラブルが起きたりなんかして。だから、そういう要員は別途にもう少し十分にしていくような対策を立てなければいけない。それから、私が聞いたのは、この間新聞には、平均五万幾らぐらいになるのですか。それに研究費とか何とかという名目で、さらに十八万円国から支給してやったらどうだという対策厚生省は持っているというようなことが新聞に出ていたんです。だから、それがこれに入っているのか、それは実現の可能性を持っておられるのかということを聞いている。
  182. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 今のお話の、僻地の診療所の予算につきましては、まず診療所を新しく来年から作っていくというふうな予算、これは四十五坪規格のものと、二十五坪規格のものがありますが、一方は百七十万ぐらい、一方は百万ぐらいですか、というものの補助金、それから、それの運営費補助、これが従来が診療所をやってもらっております親元病院で経営してもらっております場合には、収入もありますが、赤字が出ます。医者の月給をどれだけ出すかにもよりますが、これはこちらできめておるわけではないのですが、その赤字の半分なり何なりみよう、こういうふうな格好をとっておるわけでございます。ところが、それが予算面では平均が十八万八千円だったのを、今度は五十八万七千円に……。
  183. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 医務局長、藤原さんの質問だけに答えて下さい。
  184. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) そういう、ふうな格好運営費補助をすると、行っております医者の月給を、少しでも親元病院の負担を軽くしてやろうというので、研究費として別に出してその補助を出そうということで、十八万何ぼのものを考えて予算要求しておるということでございます。
  185. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、もうあと四つほど聞いておきたいと思うんです。一つは、特に国保の問題ですけれども、どう考えてみても、国の負担で診療内容給付内容を高めていくという姿勢をやはりくずすということになりますと、保険料の問題、地域で非常に問題が今後起きてくるんではないかということでだから、今後は外国と同じように、保険料を——要するに保険給付引き上げるためには、国庫負担を中心にものを考えてもらいたいということを申し上げたいんですが、これはひとつあとから御意見があったら承りたいと思うんです。  それから、医療単価をきめている甲乙表というのがあるのですが、これの統合はどういう工合にお考えになっているのかということを聞きたいんです。  それから、その次の問題は、これもまた甲乙といいましょうか、都市と郡部との神域差の問題が今問題になって、解消している神域もあるんですけれども、まだ全体としては残っている。まあ大臣の発言を聞いておりますと、何とかこの地域差の解消というものをしなければならぬのじゃないかというような発言がありましたから、熱意を持っておられると思うんだけれども、これについてどうお考えになっているかということを聞きたい。  それから、四番目は、病気の治癒の認定ですね、これが被保険者側にしてみれば、非常に私は問題があると思うんです。たとえばここに一つの例があるんですけれども、慢性中耳炎、咽頭炎というんですか、これにかかられた方々が、たとえばここでこの表を見ますと、これに対して三十七年五月三十日付臨床的治癒と認定を医者かしたが、社会的治癒は最低三カ月以上かかるので、無診療期間が必要ですということで、八月診療請求して、十月にならないと整理できませんので、そのころ組合員証を提出下されば、無診療期間を確認の上、給付期間満了通知を抹消いたしますという通知を本人に出しているわけですが、医者がこの病気は五月三十日でなおりましたということを認定した。ところが、公立学校共済組合ですが、この保険者側が、八月、三カ月間はこのような病気だから、最低三カ月以上せなければ治癒という認定ができないということで、突っ返してきたというようなことになるわけです。そうすると、ほかの診療の関係ができますね。その問題になってくるとだから医師が認定をした場合には、その保険者も認定をするということにはこれではなっていないわけですが、医者の人格というものをどう見るのかどうかということ、これからくる本人、被保険者の他の病気その他の関係で——病気そのものの関係で、今後の治癒という、要するに治療という問題により影響してくると思うのですが、こういう問題について厚生省はどう考えられているかということ、この四つの問題をお答え願いたい。
  186. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 一番最後の問題、ちょっと中身がよく聞きとれませんでしたので、医務局長のほうから答弁をいただきたいと思いますが、第一の国保の給付改善をやる場合に、国庫負担でやったらどうかということでございますが、これは先ほど藤田先生が、昨年のときに七割予算要求をして、それをすぐおりたじゃないかということでございますが、昨年は、実は給付内容をあと五分引き上げるという予算要求をやっておりまして、結局国庫負担分の二割を二割五分にするという予算が成立をいたしまして、七割給付までは及ばなかったのでございますが、このたびはぜひ七割給付を実現をいたしたい。先ほど大臣が申し上げましたように、これは厚生省としては最後まで主張をいたすつもりでございますが、その場合に、先生が言われるように、それならば七割給付になった場合の二割分を全部国庫負担でまかなうべきかどうかという問題につきましては、やはり保険の原則からいいまして、給付内容をよくした分を当然国でまかなうということは、ちょっと原則的に通らない議論ではなかろうかというふうに私ども考えざるを得ないのでございまして、御意見はあると思いますが、考えざるを得ないのでございまして、来年度は、要求としましては、その一割分を国庫負担をするという形で要求を出してございます。しかし、一割分国庫負担をする場合の国庫負担のやり方につきましては、従来のように、たとえば昨年五分引き上げをやりましたときに、一律に全部五分引き上げ分を各保険者に交付するというようなやり方はこの際考え直しまして、いわゆる定率負担じゃなしに、定額負担でいくという方法でもって、たとえば給付内容のいいところにはその負担が低くなり、給付内容の悪いところには負担が多くなるような方法で一割の国庫負担を持ち出すというふうに考えておるわけでございます。  それから、二番目の、甲乙二表の一本化についてどうかという御質問でございますが、実は、これは衆議院におきましても、社会労働委員会で一本化をしろというふうな決議をいただいておりますし、厚生省としては、やはり甲乙一本化を目ざして何とか努力する方向でいかなければならないのは当然のことだろうと考えております。しかし、この甲乙一本化をやるにつきましては、やはり現在の医療報酬の中身を把握しなければ、どのように一本化していくかということにつきましては、非常に結論を得ることは困難な問題でございますので、来年度におきましては、ぜひとも医療の実態調査をやりたいということで、約八千万の経費を要求いたしまして、すみやかに医療報酬の実態調査をやった上で、甲乙一本化をどのようにやっていくかという結論を得たいと考えております。  それから、三番目の地域差の問題につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、現在の地域差について、ぜひともこの際是正する必要があるというふうな御要望が非常に強いことは私どもも十分承知いたしておりますし、この点につきましては、灘尾前大臣のときに、医療懇談会におきまして、地域差については国民健康保険等の財政に及ぼす影響を考慮しつつ逐次撤廃をしていくというふうな了解事項ができ上がっておりますので、その線に従って私ども現在検討いたしておる段階でございます。ただ、地域差問題につきましては、一番影響が多いのは、いわゆる乙種をかかえておりますのが農村地帯でございますので、地域差を撤廃すれば直ちに国民健康保険の財政のほうに大きな影響を及ぼす。この財政的な影響をどのようにカバーしていくか。これは、先ほど藤田先生がおっしゃられましたように、そういう保険料をまた引き上げなくちゃならぬというものにつきましては、やはり国庫負担でその分は解決をしていくというふうな姿勢をとらざるを得ない。したがって、そういった問題をにらみ合わせながら、ぜひとも来年度どのような方法で解決していくかということを含めましてすみやかに結論を得たい、こういうふうに考えて現在検討いたしておるところでございます。もっとも地域差を撤廃するということになりますると、これは御承知のように、純粋の経済問題でございますので、中央医療協議会の議を経なければならないという問題は依然として残るわけでございます。  それから、最後のいわゆる医師の認定の問題と保険者の認定の問題が食い違いはしないかという点につきましては、ちょっと御質問の中身がわからないので、おそれ入りますが、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
  187. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 こういう通知が来ておりますことを読みますから、それによって判断をしていただきたいと思うんです。「慢性中耳炎、咽頭炎に対して、37年5月30日付臨床的治ゆと認定いたしましたが、社会的治ゆとなるには最低三か月間以上の無診療期間が必要です。臨床的治ゆ日から三か月後、即ち37年8月分診療報酬請求明細書は37年10月にならないと整理できませんので、その頃に組合員証を提出くだされば無診療期間を確認の上、給付期間満了通知を抹消いたします。」と、こういう通知が来ているわけです。おわかりですか、この書類。あとでいいんです。
  188. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 書類をいただきまして、よく中身を検討さしていただきたいと思います。
  189. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、これは書類をあとから見ていただきまするが、一番最初の今の官房長のお話ですけれども、私の申し上げたのはこういうことなんです。国庫負担でやるべきだということを申し上げたのは、よく先ほどから議論になってくる、内容をよくすると保険料が高くなるんだという議論があるわけです。ところがこの国保というのは、大体市民税の最低額から始まって、上は五万円で大体切っておりますけれども、その累進的な保険料というものがそれだけの開きがあるわけです。三百円くらいから五万円くらいの開きがあるわけです。ですから、上げるとすれば上のほうを上げない限り一番下のところは金が取れないわけですよ、実際問題として。そういうことになってきたら、これは目的税でありましても一般の国庫の税金から出していったほうがむしろ話が早いんではないか。そこのところあたりに、この上のほうのところあたりにみんな負担がかかっていくということになれば、私は保険料の納付のときから問題が起きてきやせぬかということが一つです。それから内容改善していくには、国が、何といっても社会保障なんですから、社会保障の医療制度としてやるんでありますから、国が負担をしていくという方向によって医療制度を高めていくというものの考え方を貫いていかないと、よいものができないのじゃないかという意味のことを申し上げたわけです。ですから、そういう工合にとっていただきたいと思います。そういうことでないと、こっちが上がったからこっちも上げるんだという考え方では、それは下のほうはふやし得ない限界にきている。それが非常に多数だ、被保険者の多数だということを考えますときに、何らかの形でその比例方式で国家の一般税というものが納められているわけですから、むしろ国が負担をして、そうして内容を高めていくということのほうが、目的税は一応の限界がありますから、それのほうがむしろいいんではないかと、こういう考え一方です。ですからそれがまあ一つですが、先ほどおっしゃいました定額制でやっていきたいと、こういうことなんです。たとえば国保の、特別国保で昨年はだいぶお上げになりましたけれども、定額制でいくということになってくると、よりよい治療を——おのずから限界があると思いますが、よりよい治療をやっていこうというところに、何かセーブをしていくことになりはせぬかという私は心配をしておるわけです。無制限に何をやってもいいとはいいませんけれども、ちょうど特別国保の状態で、私は頭で想像しておるわけですけれども、そういうことになりますと、診療内容を向上していこう、制限診療を少しでも削減していこうということとは違って、これだけの額に対してのこれだけの補助だ、負担だということでワクを頭からきめてしまうということがいいかどうかということを私は今心配しているところなんで、今のような話をされると。だから、せっかく七割給付だと思っておるのに、病気が少しその地域で込み入ってくれると、七割じゃなしに六割にとまったり、六割五分にとどまったり、国では七割給付だということをお考えになっておっても、個人にしてみるとそういう現象が起きてくる。これは国民の感情としてなかなか許されない状態にいくんではないか。これが私の心配するところでございます。それから先ほどあなたがおっしゃった、去年は五分上がってとおっしゃいましたけれども、厚生省としては五カ年計画で七割給付をやるんだと要求をされておったということで、しっかりやりなさいといって五カ年計画で五分の一ずつ前進をしてやっていくんだということを厚生省は最初言っておられた。それが、それを削られて五分でそういう工合になったと、こういう去年の要求から見れば、そういうものがやみに葬られていくというようなことになったわけです、去年は。ことしは全部これを最後までがんばって貫こうというんだから、私は前進で努力してもらいたいと思うんだけれども、そういうものをせっかく五分の一、七割給付要求されたのがやみに葬られてしまったというような格好、今度これをがんばってもらって貫いてもらえばいいけれども、もしも何かの形で問題がここに入ってくるとするなら、私はやみからやみへ葬られるような危険があるから、大筋としてこの問題は、医療制度をどう高めていくかということをお出しになったほうがいいんじゃないかということを申し上げたわけです。
  190. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 関連質問。ずっと私聞いておりましたわけですが、官房長は保険制度の原則という言葉をよく使っておられますが、大体、保険原則の既成概念は、今日的な内外情勢からいって基本的に修正する必要があると思うのです。かつて厚生大臣の所信表明を聞いたのです。あの中で実のあるものは社会保障制度審議会から出た答申を重視し、それを実践する方向というところに比重があったというふうに善意に解釈しているわけです。厚生大臣みずからは、これは官僚の書いたものだ、役人の書いたものだ、こう言っておられましたが、したがって、しいて善意に求めるならば、社会保障審議会のあの時点では、一つの草案的なものは御了知であったでしょう。また、この三十八年度の予算要求概案が出るにいたしましても、自民党さんの政調会とは暗黙の了解があると思うのです。しかし、これを概算要求から見ますると、大体前年の総額で五割増し要求ということでありますけれども、僕は愛知県から出てきているので、田中大蔵大臣の勘のよさやつぼのとらえ方、心臓の強さなどもよく知っておりますが、ただ憲法二十五条の社会保障に対する国の責任というものに対する、そういったいわゆる保険制度の原則というものは、既存の日本の社会情勢の中では、基本的に内外の社会体制からいくならば、たとえば資本主義社会体制であるとか、社会主義社会体制の中で、特に原則の既成概念のいいところを取り入れた配慮の中で十分筋を通していかないと、これたけの予算は少なくとも五割増し要求だといっているのですから、手直しをする必要があると思うのです。それをてこ入れするためには、社会保障審議会の精神も憲法二十五条に基づくものを貫き通して押していかないととれぬじゃないかという心配がありますので、私お聞きしたいのは、あなたの今考えておられる私の受け取る受けとめ方では、いわゆる保険制度の既成概念、そういった問題に対して、既成概念だと思いますけれども、それは哲学ではなくて、ほんとうにこれをあらゆる時点をとらまえててこ入れしていく必要があるのではないか、そういう観念でひとつ今、藤田委員の質問に関連して、あなたの今考えておられる既成概念だと私は判断するのですけれども、それはそのままの形ではこれだけの要求が通らぬじゃないか。そういう心配があるので、その点に対するひとつあなたのお考え方を聞いておきたいと思う。
  191. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 最初に藤田先生の御意見でございますが、先生のおっしゃることは私よくかわります。ただ、先ほど私がいわゆる定額制の措置をとる方法を考えたいというふうに申し上げましたのは、これは全部今まで負担しておりました二割五分の分と、それから調整交付金五分がございます。それから今度七割給付にした場合の一割分の補助金、この三つに色分けした場合に、今度の一割分のものについてだけ定額制をひとつとってみたらどうかということで予算要求をしますと同時に、そういう方法を検討いたしているのでございますが、これは定額制をなぜとる必要があるかということにつきましては、各保険者についていろいろと財政能力の弱いところと強いところがございます。定額制をとるということは、被保険者一人当たり幾らということで金額を出すわけでございますから、結局結論から申し上げますと、財政能力の弱いところにむしろ一割以上あるいはまるまるいくかもしれません。それから財政力の強いところはあるいは一割はいかないかもしれません。そこでもって保険者の財政の強弱によってバランスがとれるのじゃないか。しかも、なおかつとれない場合には、旧来ありました五分の調整交付金でさらに調整をとっていくというふうな二段がまえの方法のほうが適当ではなかろうかということで、そういう案を考えたわけでございますので、その辺、明らかな数字的な根拠につきましては、また担当課長のほうからいずれ折を見て説明さしたいと思います。  それから、いわゆる保険の原則というふうに私が申し上げましたのは、これはあるいは先生方のお取り上げ方がいかにもぱあぱあであるというふうにお考えになったかもしれませんが、私はそういうつもりで申し上げたのではございませんで、やはり給付内容がよくなる。給付内容がよくなるということは、保険料も多少やはり上げなければ給付内容はストレートにはよくならないのじゃないか。やはり給付内容がよくなることによって保険料負担は若干上がっていくのはやむを得ないのじゃないかというのが、いわゆる保険の概念ということでお考えをいただきたいのでございまして、とにかく古い保険の概念から言えば、何も国庫負担をやる必要はない。たとえば現在の組合管掌あたりでは、国庫負担につきましては給付内容については全然ございません。やはり保険料を上げるか下げるかによって財政のバランスをとっていくという建前をとっておるのでございますが、すでに国民健康保険におきましては、給付内容がよくなるから保険料を上げるというふうな原則はすでにくずれております。例を申し上げますと、昨年二回にわたりまして医療費の改定をやりました。最初に一二・五%、緊急是正で二・三%、二回にわたる医療費内容改善をいたしましたが、それのはね返り分——結局、医療費が上がれば当然保険料は上げなければならないという原則になるわけでございますけれども、これはいわゆる財政力の弱い国民健康保険につきましては、その分は上げて、やはり国庫負担でもってまかなうべきではなかろうかというふうな話し合いを財政当局とやりまして、十分とは申せません。しかし、ある程度のところまでは財政負担でもってこれをカバーするというふうな形で一応の解決を見まして、今までずっと医療費国民健康保険におきましてはふえておりましたから、結局一人当たりの保険料につきましても、逐年、ここ三、四年の間には非常なふえ方をいたしましたのではございますけれども、そういう措置をとったために三十六年から三十七年にかけましての保険料の値上がりというものはほとんど固定され、片一方で医療費は上がっておっても、保険料の値上がりというものはほとんどなかったというふうな現状になっておるわけでございます。したがいまして、先ほど私が御説明申し上げましたように、地域差の問題が将来考えられた場合におきましても、これは当然医療費がふくれ上がる原因にはなるわけでございまするが、その分はなるべく保険料のほうを上げることによって解決するような形にしないようにしようというふうな原則でもって財政当局と話をしていきたい、こういうことを私は申し上げておるわけでございます。
  192. 小柳勇

    ○小柳勇君 たくさん問題がありますが、時間もありませんから、青少年の犯罪並びにこれが矯正施設について、簡単に質問したいと思います。  青少年の犯罪防止に対して、積極的にやらなければならぬことは政府も声明しておられますが、虞犯少年の矯正施設を先般見まして、これでよろしいかという心配を抱いておるのです。したがって、まず法務省のほうに青少年の犯罪の現在の趨勢と、それから矯正に対してどういう心がまえでおられるか、この点の見解をお聞きいたします。
  193. 荻野かく一郎

    説明員荻野かく一郎君) 青少年非行の現況と趨勢に関して簡単にお答え申し上げたいと思います。  逐年統計的に数がふえておりますことは御案内のとおりでございますが、まず最近検察庁の方へ受けております少年がどのくらいあるか、これを申し上げたいと思います。三十五、三十六年は、大体五十七万件でございました。正確には三十五年は五十七万八千三百九十三、三十六年は五十六万八千七百八十六人、参考に成人のほうを申し上げますと、三十五年は二百八十二万九千二百五十四、三十六年が三百十六万二千四百十という数になっておりまして、大体少年は全体の事件の一五%から一七%を占めておるわけでございます。これは検察庁が受けておる分でございまして、御案内のとおり十四才以上二十才未満の禁固以上の刑に当たる犯罪を犯した者が送られてきておるわけでございます。罰金刑の者につきましては、これは警察のほうから直接に家庭裁判所のほうに送致することになっております。この数が今正確に申し上げかねますが、昭和三十六年は二十二万人でございました。このほかに十四才以下でもって犯罪に当たる行為をした者、いわゆる触法少年でございますが、これは昭和三十五年は五万一千六百六十二人、昭和三十六年が五万七千五百七十二人でございます。そのほかに、これはもう御案内の虞犯少年というのがございます。この数は昭和三十五年は八十四万三千百六十八人でございました。昭和三十六年は七十九万八千百十八人となっております。これらの数を全部合計いたしますと、昭和三十六年におきまして、一応警察に検挙された者、検察庁を通る通らぬは別にいたしまして、警察に検挙されました少年の数が百七十万人に及ぶわけでございます。少年の人口、十才から二十才までの者の人口は約二千万人といわれておりますので、これと対比いたしましたときに、千人当たり八十数名の検挙率ということに相なっておりまして、まことに遺憾な現象が出ておるわけでございます。一応まず数の点だけ御説明申し上げました。
  194. 小柳勇

    ○小柳勇君 矯正施設については、厚生省にお尋ねしますが、まず少年犯罪及び虞犯少年の矯正ということで、たとえばある一定の地域にこれを収容して学校教育を施すということがやられておるが、こういうことで虞犯少年の矯正ということが一体いいものであるか、そういう疑いを私は持ったのですが、法務省からの見解をお聞きしたいと思います。
  195. 荻野かく一郎

    説明員荻野かく一郎君) 私どものほうで扱っております少年の収容施設は少年院でございまして、このほかに厚生省のほうの所管の教護院あるいは養護施設というものがございます。他省のことに関係がございまして、私から教護院、養護施設について意見を申し上げかねるわけでございます。ただ少年院のことにつきましては、担当の矯正局の参事官が参っておりますので、お答えいたします。
  196. 福井徹

    説明員(福井徹君) ただいまの御質問の趣旨は、今、荻野課長からも指摘がございましたように、教護院の問題でございますのか、少年院の問題でありますのか、よくわかりませんが、私たちの法務省の所管といたしております少年院につきましては、少年法並びに少年院法の基本法のもとに運営されており、全国に分院を入れまして六十一カ所の少年院を持っているわけでございます。ここに収容しております数は、昭和三十六年度におきまして九千三百六十九人おるわけでございます。大体最近の年を通じましての平均人員はやはり同様の数字で推移いたしておるわけであります。これらの少年に対しましては、法規の要求するところに従いまして、その訓練の方法としまして、少年院に収容をして教科教育、それから職業の補導、それから生活訓練、そういうようなものの教育手段を用いまして、本人たちの非行の性格を矯正し、あわせて本人の退院後の社会復帰に役立つ訓練をいたすという形で運営しておるわけでございます。  これでよいかという御質問の趣旨もわかりかねるのでございますが、もちろん私たちといたしまして万全の、また理想的な姿で運営が充実しているとは思っておりません。と申しますのは、たとえば施設の面におきましても、また諸設備の点につきましても、また職員の充足の度合いにいたしましても、必ずしも私たちが理想として考えている、あるいは望ましいと考えている点まで充足されていない実情はないわけではございません。したがって、諸外国に比し、あるいは日本としても理想的な少年行政が現在なされているかというお尋ねでございましたならば、もちろんわれわれは十分やっておりますし、努力はいたしておりますけれども、完全な姿であるとは申し上げかねるわけでございます。と申しますのは、細部にわたっていろいろ問題点をたくさん持っておるということでございます。しかしながら、私たち関係職員は日夜を分かたない努力をいたして、不足な予算、不足の不十分な施設のもとで懸命な努力をいたしているということで御了承いただきたいと思います。  なお、詳細について、この点はどうかという御質問が具体的にございましたら、その点について重ねて御説明申し上げたいと思います。
  197. 小柳勇

    ○小柳勇君 それは詳しくお聞きしたかったのですけれども、時間もございませんので、本論の厚生省教護院のほうについてまず見解を聞きたいと思いますが、全国教護院は何カ所あって、今どのくらい収容して教化教育しておるか、お答え願います。
  198. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 厚生省で所管しております教護院全国都道府県立の教護院が五十四カ所、そのほかに私立の教護院が二カ所、定員は計六千人で、収容人員は五千六百二十人でございます。そのほかに国立教護院といたしまして武蔵野学院、それから女子の国立教護院としまして鬼怒川学院がございます。
  199. 小柳勇

    ○小柳勇君 この教護院について、今、少年院のほうからの見解がございましたが、教護院のやり方について非常に私どもまだ心配をしておるのでありますが、見解をお聞きしたいと思います。
  200. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 教護院は、戦前は感化院法によりまして運営されておりまして、それが戦後、児童福祉法によりまして教護院となったわけでございます。そうしまして児童を収容しまして、同時に学科教育も教護院のほうで行なっておるわけでございます。大体仕組といたしましては、夫婦を中心といたします家族舎システムと申しまして、教護の二人で、大体一寮舎十六人の子供の生活指導、それから学科指導その他の知能教育を行なっておるわけでございます。ところが、戦前では教護院に入っておりました児童には精薄児が大半を占めておったわけでございますが、最近では病的性格者の者が過半数を占めるようになっております。それで、最近私どものほうといたしましては、従来からの家庭舎システムだけではなくて、やはり専門的なものを、医学的なあるいは心理学的な技術を導入いたしまして、将来この教護院をやはり分類収容するような方向に持っていかなければならない、かように考えておるわけでございます。昨年から情緒障害児短期治療施設というものを設けまして、現在、静岡と大阪、それから岡山で発足しておりますが、十二才未満の主として軽度の非行児を収容しまして、心理学的な治療を行なうような施設を新たに設けたわけでございます。今後は、この国立教護院につきましても、法務省と同じように医療教護院、あるいは保安教護院、そういった方向で分類収容の方向に持っていかなければいけないのではないかと内部では検討しているわけです。  それから最近、中学生の非行児が非常にふえているわけでございますが、これに対しまして、現在では都道府県のいわゆる今申し上げました家庭舎システムの教護院だけでございます。来年度は、この第一種教護院といたしまして、主として集団治療ができますような教護院の新しい類型を作りたいと思いまして、三カ所だけ新しく予算要求をいたしております。
  201. 小柳勇

    ○小柳勇君 新しい第一種教護院の創設などの予算は、これではどれに入っておりますか。
  202. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 先ほどの青少年課長説明いたしました資料項目には入っていないようでございます。
  203. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。そこで具体的に、福岡学院という教護院を社労委でも調査されるようになっているようですが、ここに調査に行きましたところが、九州全部の非行少年が入って参りまして、独房が十四しかない。それにいっぱいだったわけです。そのほかにないかと言ったら、まだまだあるから足らないということですが、そういうようなことで、非行少年対策というものを一体厚生省はどうしているかという感じがいたしました。その点についてはどういうような新しい要求をしておられるか。
  204. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) ただいまの御指摘の点は、現在、武蔵野学院が百五十人でございます。ここに非行児の程度の重い者を収容しているわけでございますが、収容人員が定員数が少なうございますので、たとえば九州におきましては福岡の教護院を指定いたしまして、そこで強制的な措置ができるような仕組になっております。各ブロックにおいて一カ所ずつそういうのがございますけれども、非常に人数が定員が足りずに、各地万からは、もっと国立教護院をブロックごとに、少なくとも関西に一カ所ふやしてくれというような注文がございまして、この点につきましては部内では十分検討しておりますけれども、来年度の予算としては、定員の増につきましては要求はいたしておりません。
  205. 小柳勇

    ○小柳勇君 現場に行きますと、切実にそういう訴えがあるし、われわれが見ましても十四独房があって十四満員である、しかもなお非行少年がある。今、法務省が言っておられるように、犯罪の件数は増加しつつある。そういうときに来年度の予算要求もないということで、一体どういうお考えか。それから今言われたこういう夫婦で一つの寮舎を持って教育をしておりますそのシステムが、世界でもこれそうでしょうが。私はあれを見ましても、その御夫婦の方もこれはたいへんな努力であるが、効果があるであろうかという疑問を持ちました。それは世界的にそういうシステムでやっているのか、新しい教護の方法というものはないものであるのか、その点いかがでしょう。
  206. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) その点につきましては、世界の全部を熟知しておりませんけれども、大半は家庭舎システムでやっているところもありますし、それからいわゆる併立制、いわゆる集団訓練をやっているところもあるように聞いております。日本におきましても、いろいろ議論がございますし、一部には併立制を取り入れている。いわゆる集団訓練、家庭舎システムでないところのシステムをとっているところもございますけれども、この点いろいろ専門家の間でも議論があるようでございまして、こういう点はもう少し検討して、やはり児童の質が変わってきておりますので、単に家庭舎システムだけでは用が足りないのではないかと、かように考えているわけであります。
  207. 小柳勇

    ○小柳勇君 もうちょっと深い問題ですけれども、児童相談所、少年相談所では、判定教師があるけれども、教護院では判定教師がないというふうな、こういうふうな現場の不満が訴えられているようですが、そういう点ではいかがですか。
  208. 武藤き一郎

    説明員(武藤き一郎君) 全国児童相談所にいわゆる心理判定員というものがおりまして、相談を受け付けました児童につきまして、いろいろ心理判定をいたしまして、教護院あるいは養護施設その他の施設に入れているわけでございますが、この児童相談所の専門職員につきましては、昨今非常に専門家の不足があるわけでございます。また一方、教護院側におきましても、全部の教護院でなくても、あるいはやはり特別の教護院につきましては、そういう専門家の必要性があるわけでございまして、こういう点につきましては、将来私どもとしては考えていきたいと、かように思っております。
  209. 小柳勇

    ○小柳勇君 視察もあることですから、詳細は後日に譲りまして、最後に官房長に質問いたします。  この予算全体の問題は、今おっしゃったようなことで、現場を見ましても施設はお粗末であるし、職員の待遇も普通の公務員より悪いようです。しかも日夜を分かたず教育に携っておられる。朝から晩まで油断はできない仕事です。夫婦かかっておられます。そういうのに収容するには若干数字の上では余裕があるようでありますが、あるブロックではもう満員であるというようなところもある。一体これの教護院施設改善、その職員の待遇改善について今後どのようにしていかれるか、見解を聞いておきたいと思うのです。詳細についてはまた後日質問いたします。
  210. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 御指摘のように、教護院職員につきましては、私どもとしては、せめて毎日の労苦に報いるために待遇改善はぜひともやりたいということで、逐年努力をいたしておるのでございまするけれども、なかなか現在の国家公務員の給与体系からいきますと、調整号俸その他でもって解決する以外にないわけでございまして、待遇改善につきましては今後とも一そうの努力を御要望の線に沿ってやって参りたいと思っております。
  211. 藤原道子

    ○藤原道子君 時間もおそくて、与党さん一人もいないのだし、私もうんと聞きたいのですが、常識を発揮いたしまして、残念ながら割愛いたします。けれども、要求したいと思います。生活保護の基準がだんだん引き上げられていますね。このごろの、現在の明細を知りたい、何の費用に幾ら、何に幾らときめてあるか。たとえていえば、食費が幾ら、日用品費が幾ら、ふろが幾らというような明細のものを、最近、基準が引き上げられている、それを詳しくちょうだいいたしたい。  それから児童の問題で聞きたかったのですが、仕方がない。とにかく児童施設等も詳しく聞かしていただきたい。それから重度の身体障害児、これが放置されているのですが、若干、今度対策を立てられたが、大体全国に三万人くらいいるというが、重度の身体障害児を見ると胸が痛くなっちゃって、政治の貧困をこれくらい見せつけられたことはないのです。あれに対する厚生省対策が非常におくれていると思う。というよりも、精神薄弱児なら精神薄弱児施設に入る。身体障害児はその施設に、足らないながらも入れる。重度のほう、二重、三重のふしあわせな子供が放置されている。このごろ児童福祉施設へ行っても、手のかかる者はなるべく入れな、精薄だってそうです。それから肢体不自由児だってそうです。これで一体厚生行政はいいのかしらと思うのです。私はたまらない気持なんです。そういうことに対していろいろ聞きたかったのですけれども、きょうは聞きませんから、ひとついろんなデータを出してもらいたい。資料の要求委員長にいたします。
  212. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 今の藤原委員の資料の点については、厚生省側は……。
  213. 藤原道子

    ○藤原道子君 なるたけ早く出してもらいたい。
  214. 加瀬完

    委員長加瀬完君) なるべく早く御提出いただきたいそうでございますが、よろしゅうございますね。
  215. 藤原道子

    ○藤原道子君 今、新聞が報ずるところによれば、重度の身体障害児は三万人とあるのです。どのくらいほんとうにいるのだか、それも聞きたいのです。それで委員長に、厚生省が、重度の身体障害児は普通の収容施設子供の倍費用がかかるからほっておくというのはけしからぬと思うのですが、きょうは時間が五時だというものですから……。
  216. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 官房長、今の点についていいですね。後半の点も資料をお出しいただけますね。
  217. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) できる可能な限りの範囲内で、なるべくすみやかに資料を出したいと思います。
  218. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 本件に対する質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 御異議ないと認めます。  明日は午前十時から委員会を開会し、労働情勢に関する調査を御審議願うことにし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会