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1962-08-27 第41回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十七日(月曜日)    午後一時十六分開会   —————————————   委員の異動  八月二十三日   辞任      補欠選任    村松 久義君  井川 伊平君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     辻  武寿君    理事            藤野 繁雄君            田中  一君            村尾 重雄君    委員            天埜 良吉君            井川 伊平君            久保 勘一君            温水 三郎君            林田 正治君            杉山善太郎君            林  虎雄君            吉田忠三郎君            小林 篤一君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長     江守堅太郎君    総理府総務副長    官       古屋  亨君    北海道開発政務    次官      小西 英雄君    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林大臣官房長 林田悠紀夫君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局長 庄野五一郎君    林野庁長官   吉村 清英君    建設省河川局長 山内 一郎君    自治省財政局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    警察庁警備第二    課長      土田 国保君    大蔵大臣官房財    務調査官    宮崎  仁君    大蔵省主計局主    計官      高柳 忠夫君    自治大臣官房参    事官      松島 五郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (激甚災害に対処するための特別の  財政援助等に関する法律案に関する  件)  (台風十四号の被害に関する件)  (過年度災害復旧進捗状況並びに本  年度災害被害状況とその対策に関  する件) ○連合審査会開会に関する件   —————————————
  2. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ただいまから災害対策特別委員会を開きます。  委員の変更について御報告いたします。  去る二十三日村松久義君が辞任され、井川伊平君が選任されました。
  3. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、前回に引き続いて過年度災害復旧進捗状況並びに本年度災害被害状況とその対策に関する件について質疑を行ないたいと存じますが、その前に、これは本件にも関連がございますので、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案につきまして、その大体の説明を聞きました後、質疑に入りたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。   〔午後一時十七分速記中止〕   〔午後一時三十八分速記開始
  4. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 速記を起こして。  この際、一言御注意いたします。  災害対策特別委員会において出席を要求しているにかかわらず、定刻出席なく、委員会における審査に支障を与えたことはまことに遺憾であります。今後本委員会において、審査のため政府委員出席を要求した場合には、定刻に必ず出席されるよう要望いたします。総理府古屋総務長官
  5. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 次官会議におりまして、たいへんおくれまして申しわけありません。今後十分注意いたしたいと思います。  法律概要につきまして、御説明申し上げさせていただきます。  この法律は、災害対策基本法規定の趣旨にのっとりまして、激甚災害に対処するための合理的な恒久的な制度を作ることを目的としております。すなわち国民経済に著しい影響を及ぼす災害発生した場合には、これを激甚災害と指定いたしまして、同時に、この激甚災害に対して適用すべき措置を指定することによりまして、この災害による地方財政負担を緩和し、または被災者に対する助成を行なうこととしておるのであります。  この法律によりまする特別措置といたしましては、第一に、公共土木施設災害復旧事業等に関する地方公共団体に対する特別の財政援助でございます。すなわち本法案第二章の措置でございます。第二に、被害を受けた農林水産業者等に対する特別の助成でございまして、すなわち本法案第三章の措置でございます。第三に、被害を受けた中小企業者等に対する特別の助成でございます。すなわち本法案第四章の措置でございます。第四に、その他の諸種の災害関係特別措置、すなわち本法案第五章に定める措置と、こういった四つの体系に区分をして規定をしております。  以下その内容を申し上げますと、まず、最初の公共土木施設災害復旧事業等に関する地方公共団体に対する特別の財政援助措置について申し上げます。これは、公共土木施設災害復旧事業を初めといたしまして、公立学校施設公営住宅生活保護施設その他の社会福祉施設等災害復旧事業公共土木施設災害関連事業伝染病予防事業堆積土砂湛水排除事業など、地方公共団体財政負担を伴う法第三条に列記いたしました災害関係事業につきまして、これらの事業にかかりまする地方公共団体負担を合算いたしまして、この負担合算額に対して地方公共団体財政力に応じました一定超過累進率によりまして算出いたしました金額、この法律特別財政援助額といっておりますものでございまして、通常国庫補助金あるいは負担金に加算して交付しようとするものでございます。この特例対象となりまする地方公共団体基準は、政令でこれを定めることになっておりますが、具体的には激甚災害発生に伴いまして、施行になりまする前述の災害関係事業費にかかる地方負担額、すなわち各事業費から通常国庫補助額あるいは負担額を差し引いた金額でございます。この地方負担額合算額標準税収入の二〇%をこえる都道府県あるいは一〇%をこえる市町村を予定しておる次第でございます。この特定の地方公共団体に交付いたしまする特別財政援助額計算方法といたしましては、本特例補助対象となります事業費にかかる地方負担額合算額を、都道府県にありましては、法第四条第一項に定めまする標準税収入一定倍率ごと区分いたしまして、同項に定めております各倍率ごと超過累進率を乗じまして、算定した金額合算額をもって、その都道府県にかかる特別財政援助額といたす次第でございます。市町村にありましては、その超過累進率は、別に政令で定めることになっておりますが、その計算方法につきましては、都道府県の場合と同様でございます。  次に、この地方公共団体一本で算出されました特別財政援助額を、それぞれの災害関係事業ごとに配分して交付する必要があるわけでございます。配分方法の細目は政令で定めることになっておりますが、特別財政援助額を各事業ことの地方負担額に応じまして比例配分いたしまして、その配分された金額だけ国の補助率あるいは負担率をかさ上げすることにしておる次第でございます。  第二の農林水産業に関する特別の助成措置について御説明申し上げます。  このうち代表的なものでありまする農地農業用施設及び林道災害復旧事業並びに農業用施設林道災害関連事業につきましては、政令で定めるところによりまして、事業費の額を区分し、各区分ごとに十分の九の範囲内で政令の定める率を乗じて算出した金額補助することにいたしております。具体的な内容といたしましては、農地及び農業用施設にありましては、事業費に対する被害農家二月当たり地元負担額、すなわち通常補助が行なわれたあとの補助残が二万をこえる市町村区域林道にありましては、事業費に対する被害林道延長一メートル当たり地元負担額、すなわち補助残が百八十円をこえる市町村区域対象とすることに予定しております。  このほか農林水産業共同利用施設災害復旧事業費に対する補助開拓者施設等災害復旧事業に対する補助天災による被害農林漁業者等に対する資金融通特例共同利用小型漁船建造費補助など、従来の特例立法に準じた措置を定めております。  第三番目に、中小企業に関する特別の助成措置につきましては、中小企業信用保険付保限度額につきまして、災害融資にかかる保険価額通常保険価額とは別ワクで処理できることとし、また事業協同組合等共同利用施設災害復旧事業に対する特別の補助中小企業振興資金助成法による貸付償還期間特例などの措置を講ずることといたしております。その内容は、従来の災害特例立法とほぼ同様のものとなっております。  最後に、その他の特別の財政援助及び助成措置として規定しておりますものとしては、公立社会教育施設災害復旧事業補助私立学校施設災害復旧事業費補助母子福祉資金に関する国の貸付特例水防資材費補助罹災者に貸し付ける公営住宅建設費補助等特例措置のほか、公共土木施設公立学校施設農地及び農業用施設等災害復旧事業費に充てるための地方債に対する元利補給措置を定めております。これらの措置災害を受けた個人または法人に対する助成目的をもって行なわれますものと、地方公共団体に対する補助ではあるが、補助目的または性質上、法第二章の規定による地方財政援助のためのブール補助になじみがたいものを特例規定いたした次第であります。  以上概略でございましたが、特例法概要について御説明申し上げた次第でございます。
  6. 田中一

    田中一君 これは政令案は大体できておりますか。
  7. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 大体のところまでは準備しておりまして、ごく細部の点につきまして若干調整を要する点がございますが、できるだけ早くこれも決定いたしたいと思っております。
  8. 田中一

    田中一君 ほど理事会で話し合ったように、二十九日の日に連合審査を行なうことになっておりますが、その前にできてあるだけの政令をひとつ配付していただきたいと思うのです。委員長要求して下さい。
  9. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 政令の案の大綱につきましては、連合審査のときに、次の会に御提出いたしたいと考えます。
  10. 田中一

    田中一君 その前にもらえませんか。できれば二十九日の午前中にでもボックスに配付してくれるか、あるいは当委員会に持ってきてくれれば調べられるから……。午後一時からになっておりますから……。
  11. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 二十九日の午前中までに大綱につきまして御配付するようにいたします。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 参考資料についても簡単に説明してもらいたい。
  13. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案参考資料」、これは関係各省から御説明いたしますが、一般原則と三十四年の特例、三十六年の災害特例、今度の法案による特別措置に分かれておりまして、それぞれの関係省から御説明いたします。
  14. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) お手元にございます「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案参考資料」、三十七年八月と横書きのものでございますが、これに関しまして簡単に御説明申し上げます。  御承知のとおり災害関係の今回の特別の財政援助に関する法律と申しますのは、従来の災害特例法各種のものがございまするが、そういったものを合理化し、かつ、恒久化するということで行なわれたわけでございまするので、従来の特例法のうちで、特に包括的に行なわれました三十四年の伊勢湾台風災害並びに三十六年の第二室戸台風のときの措置等、いずれも二十数件の災害特例法が成立いたしておりまするが、これと今回の法律との関係がどうなっておるかということをここに示したわけでございます。  まず、一ページにあります第二章関係につきまして申し上げますると、事項というところに、公共二本施設災害復旧事業災害関連事業、以下ずっとございまして、十四の項目が第二ページ、三ぺ−ジのまん中ごろまで並んでございます。ここにありまする十四の事業は、ただいまの総括説明にもございました地方公共団体負担にかかわる災害復旧事業並びに災害関連事業あるいは災害対策事業でございまして、こういったものにつきましては、一般原則というのがございまして、三十四年の災害特例というのがございますが、まあ一般原則のほうは原則として省略さしていただきまするが、三十四年の特例のところで若干御説明申し上げますると、たとえば公共土木についていえば、ここにありますように、一定程度以上の公共団体について補助率引き上げが行なわれた、あるいは災害関連事業についても、同様の補助率引き上げが行なわれたというようなことで、十四の事業それぞれにつきまして、補助範囲の拡大あるいは補助負担率引き上げというようなことが行なわれて参ったわけであります。それぞれこれが個々法律で行なわれておった、こういう形になっております。もちろん、こういった事業につきましては、その左の一般原則にありますような通常災害の場合の負担もあるわけでございます。今回は、こういった公共団体負担にかかわる事業につきましては、これを総合いたしまして、地方負担全体の合算額について、先ほど御説明いたしましたような超過累進方式による負担率引き上げを行なうことといたしたわけでございます。したがいまして、この関係で見て参りますと、負担率がどのくらいになるかというところが明確ではございませんけれども、これは後ほどまた資料などで御説明をいたす機会があると思いますが、大体三十四年の災害特例の実績につきまして今回の方式を適用したならばどうなるかというような計算をいたしまして、三十四年の伊勢湾台風時の特例に比べて若干手厚くなる程度にきめてある。これは政令内容になる分がございますが、法律の第四条に規定してあるような負担率などはそういう点からきめられておるわけでございます。総合的にそういったことで大体伊勢湾台風時の特例というものを根拠にいたしまして今回のものを考えられた。ただ、方式としましてはそういった総合的負担方式をとりましたので、ここは最も従来の特例法と大きく相違いたします点でございます。また、ここがいわば合理化を行なった点でございます。そういうことでございまするので、個々説明は省略さしていただきます。  第三ページに参りまして、第三章関係というのがございます。まず、事項のほうで見ていただきますと、農林水産業施設災害復旧事業、四ページに参りまして、下のほうに農業用施設または林道災害関連事業、この二つにつきまして、今回の措置が第三章の初めのほうに規定してございますが、大体従来の三十四年特例法考え方とそう大きな違いはございませんけれども、今回の方式では、災害復旧事業災害関連事業との両者の地元負担額を合算いたしまして、その合算額金額によって、それが二万円をこえれば今回の法律基準に適用する、こういう形にしておりまして、それについてはやはり超過累進方式による補助率引き上げをする、こうなっております。ここに備考に書いてございますが、十分の九以内で政令で定める率と書いてございますが、実際は、後ほどまた資料で御説明する機会があるかと思います。十分の七、十分の八、十分の九、三段階による超過累進方式をとっております。そういうことで、ここのところも、従来でありますと激甚地に指定されますと、一律九割ほどの補助を行なったわけでございまするが、今回は災害復旧事業災害関連事業を合算することが一つ、それから超過累進負担率をとったことが変わっております。そういう形でここも若干の合理化を行なったことになるかと思います。  次に五ページに参りまして第三章農林関係の今度はここに措置をとる施策が掲げてございます。開拓地における災害復旧事業天災融資法関係森林組合の行なう堆積土砂排除事業——これは公共団体の行なう部分は、第二章の関係で前のほうに合算いたすことにしておりますが、森林組合の行なう堆積土砂排除事業がここに入っております。それから土地改良区の行なう堪水の排除事業共同利用小型漁船建造に関する特例法というようなものがございます。こういうものにつきましては、三十四年の伊勢湾台風時の方式というものを大体のまま今回の特例法内容として盛り込んでございます。もちろん、こういったものが、総括的に御説明がありましたように、激甚災害であるから全部すぐ一様に発動されるというわけじゃございませんので、これは災害の態様によりまして、たとえば天災融資法だけが発動になったり、あるいは全面的に発動になったりいたすわけでございます。これは災害指定を行ないます際に、政令でその発動をきめるようになっております。内容につきましては、従来の特例法とほぼ同様であるとお考えになっていただきたいと思います。  六ペ−ジに参りまして第四章の関係でございます。これは中小企業対策でありまして、内容は、まず第一が中小企業信用保険公庫及び保険特例措置、それから次が中小企業振興資金返済特例中小企業事業協同組合等施設災害復旧被災中小企業者等に対する再建資金融通、いわゆる商工中金を通じます災害復旧資金でございます。関係施策がここに四つ並んでございますが、これにつきましても、大体考え方としましては、三十四年の災害の際の特例をほぼそのまま踏襲をするということでございまして、若干の異同はございますけれども、内容においてほとんど一致いたしております。  次に、七ページに参りまして第五章関係でございます。これはその他の施策を取りまとめてございますが、これにつきましても、それぞれ従来の特例法と同様でございます。内容を見ていただきますと、社会教育施設災害復旧事業——これは公民館、図書館等でございます。それから私立学校施設に関する災害復旧資金融通措置、これは私学振興資金規定でございます。伝染病予防関係、それから母子福祉資金貸付特例——これは八ページでございます。水防資材特例災害公営住宅建設特例産業労働者住宅建設資金融通に関する特例、それから土木及び公立学校並びに農地等の小災害——補助のつかない災害でございますが、それに関する災害復旧特例、これらにつきましては、やはり内容的には三十四年の災害特例とほぼ同様の規定を今回もとっておるわけであります。  その発動方式等につきましては、先ほど農林関係のところで申し上げましたと同様でございます。  なお、御質問がございますれば、内容の詳細についても申し上げてよろしゅうございます。
  15. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  16. 辻武寿

  17. 辻武寿

    委員長辻武寿君) この際、第十四号の台風被害状況について、警察庁から報告を求めます。
  18. 土田国保

    説明員土田国保君) 台風第十四号による被害発生状況について御説明申し上げます。  台風第十四号は、八月二十六日午前四時ごろ三重県の尾鷲市の北東約二十キロの地点に上陸いたしまして、その後、三重県津市、滋賀県彦根市附近を縦断いたしまして、午前九時三十分ごろには福井から日本海に抜けまして、その後日本海を北上いたしまして熱帯性気圧となったのでございます。  台風の通過に伴いまして台風影響を受けました三重、愛知、滋賀県などの十五府県におきまして、二十七日、−本日正午現在、次のごとき被害発生いたしております。死者四名、行方不明七名、負傷者四十五名、家屋全半壊約四百三十棟床上浸水約二百七十棟でございます。  上陸時の台風の規模、勢力は、中心気圧九百五十ミリバール、中心附近最大風速五十メートル、半径百キロ以内は二十五メートル以上の暴風雨降雨量百五十ミリから二百ミリであります。  この台風に対処しまして警察といたしましては、中部管区警察局及び関係府県警察本部におきまして、災害警備本部または連絡本部を設置いたしまして、危険地域警戒、避難、誘導等人命保護中心とした事前措置に重点を置きまして、約八千四百名の警察官を出動させて警戒警備に当たった次第でございます。  以上でございます。
  19. 辻武寿

    委員長辻武寿君) それでは質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  20. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 きょうの特例法の扱いについては、委員長から伺っておるとおり、連合審査であらためて御質問をしたい、こう考えますけれども、私はこの際、さきの委員会関係各省よりそれぞれ災害全般にわたって概要説明されたので、そこで、その中で特にこの際私は九号台風と十号台風に限定をいたしまして、二、三の問題点をそれぞれの関係の省に伺ってみたいというふうに思うわけです。  御承知のとおり、報告にもございましたように、去る八月の四日に北海道を襲いました九号台風及び八月九日に来襲の十号台風は、北海道内一円に甚大な被害をもたらしたのでございます。その被害地域は、北海道庁調査に基づきますと、二十七市、百九十二町村の広範囲に及んでおります。しかも、その被害総額も実に四百二十億円に達する惨状を呈したわけでございまして、今次台風は、北海道の場合におきましては、静かな台風、いわゆる雨台風で、暴風雨を伴っていなかったのでありますけれども、なおかつ、かような惨状を呈し、とりわけ人的な被害は、不幸にして死者、行方不明合わせて三十七人、さらに家屋被害等におきましても、従来かつてないほどの被害を見ております。その数は八万七百六十九戸に達しております。田畑の被害につきましても、二十四万三千五十ヘクタール、土木被害、これが四千六百九カ所という、これまた例を見ないほどの被害を及ぼしております。このほかに林業、水産、衛生、文教の各施設におきましても甚大な被害を与えておるわけでございまして、重ねて申し上げますけれども、北海道の有史以来の最大災害であったといわれておるわけであります。それだけに、被災者に及ぼす影響はまことに憂慮するものがございます。私も災害発生と同時に、直ちに北海道に参りまして、一週間程度現地調査いたし、お見舞を申し上げておったところでありますけれども、ほんとうに私どもの能力では表現のでき得ないほどの惨状を呈しておるのであります。幸い北海道庁におきましては、この災害を何とか早く復旧したい、こういう願いから、直ちに被害激甚の九市二十四町村災害救助法を適用するとともに、関係市町村及び政府機関等と協力をいたしまして応急並びに復旧対策全力をあげておるわけであります。このことについては、私は心から敬意を表したいと思いますけれども、さらに今後本委員会として、あるいは政府として考えてもらわなければならない問題が、こうした中では二、三私はあると思うのであります。その一つは、ただいま申し上げましたように、被害額があまりにも巨大である関係上、しかも、去年やはり災害を受けておりまするから連年災害になっておるわけであります。それだけに、道並びに市町村の、さなきだに逼迫をいたしました地方財政事情下におきましては、とうてい今度のような膨大な災害復旧をすみやかに復旧いたす、その万全を期するということは、私はきわめて困難な事情ではないか、かように現状を見て参ったのであります。したがって、私はこれらの問題点を端的に本委員会で申し上げて、さいぜん申し上げたように、それぞれの関係機関の私は善処を要望いたすと同時に、その見解をこの機会に明らかにいたしていただきたい、かように思うわけであります。  その第一に、北海道における河川は今日二千三百有余ございまするけれども、御承知のように、そのほとんどはいまだ原始河川でございます。今次災害は、おおむねいずれも中小河川の再決壊に起因をいたしておるのであります。そこで私は、これらの中小河川対策を今後、ただいま申し上げたように、各関係の省におきましては再検討を加えて、道民ないしは被災者が望む方向の復旧全力を尽くして参らなければならないのではないか、そういう意味からも、たとえば現行法の治水十カ年計画というのがございまするけれども、こういう計画等におきましても、繰り上げて施行をはかったり、あるいは計画のワクについても飛躍的に拡大強化、さらには工事の一元化等を必要として参るのではないかというように思うのであります。幸いきのうの新聞で、建設省はこの問題について重大関心を持っておるようでございまして、十カ年計画改定等についての構想を重点的に明らかにいたして参りました。ですけれども、今申し上げたように、その内容大綱的なものだけでございまするので、私はこの際もう少しより具体的に、細部内容をこの機会に明らかにいたしていただきたい、かように考えまして質問をいたしておるわけであります。関係各省の御所見をこの機会にお伺いをいたしておきたいと思います。  第二の問題は、再災害を受け、あるいはまた再災害のおそれのある河川、堤防、農地及び農業用施設災害復旧は、現行法では原形復旧原則といたしております。こういう建前でありますから、昨年の災害を受けた場合における現地をながめてみましても、ほとんどこの原形復旧が今度また再決壊、再災害を受けておるというような事情であります。したがいまして、膨大な経費をいかにこれらに投入いたしてみましても、ただいまの報告にもありましたように、すでに第十四号の台風もまた北海道に来襲しておる、こういう事情であるとするならば、まさに私はさいの河原の何とかいうたぐいではないかというように思うわけであります。したがって、これらについても、私は今次災害の実態、実情からながめてみまして、抜本的に私はこの方向を変える必要があるのではないかと考えるのであります。その意味は、原形復旧じゃなくして改良復旧工事を原則とすることが最も今日の時限では適切ではないのか、こういうふうに思うわけであります。そしてまた小災害についてもその補助金を引き上げ、あるいは復旧年限を短縮をするなど、具体的な措置をとらなければならないのではないか、こう実は私は思っておるわけであります。そういう立場から申し上げまして、この際早期復旧を強く国民要望として各方面から、先ほども長野県から陳情がございましたように、求められているわけです。こういう事情にかんがみまして、今日の現行法、たとえば公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の第二条の定義などについては、この際、改正をいたすべきではないか、このことが今申し上げた国民全体の負託にこたえるすなおな道ではないか、こう考えておりますので、この点についても、関係の所管の人々から御所見を伺ってみたいと思うわけです。まだそのあとあと具体的の二、三の問題を質問をいたしてみたいと思いますけれども、今申し上げたこの二つの点について御見解をいただきたいと思います。
  21. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 北海道は今年度も昨年度に引き続きまして大災害を受けたわけでございますが、これらの措置につきまして、われわれは今後万全の措置を考えたい、こういうふうに考えております。  最初に、治水対策の基本的な考え方の問題でございます。災害復旧ばかりを早くやりましても、基本的にはやはり治水事業によりまして、防災施設の完備をはからなければいけない、これはもちろんでございまして、御承知のように昭和三十五年から治水十カ年計画というのを実施をいたしております。今年はそれの三年目でございますが、三年間の進捗の度合いは、治水十カ年の計画どおりよりも促進をいたしております。しかし、これくらいの促進ではまだまだ不十分である、こういうことでございますので、現在、この計画をどういうふうにさらに改めまして治水対策の促進をはかるかということを検討中でございます。その内容はまだ作業中でございますが、治水十カ年計画の残りの七カ年計画というものを、大体五年間で繰り上げてやりたい、なお、昨今の災害の様相から見まして、新しい計画というものも織り込んで参りたい、その中に中小河川の促進、ただいま御指摘のございましたそういう点も考慮したい、こういうことで現在極力作業をいたしている段階でございます。大体の内容はそういうふうでございまして、それでどのくらい促進するかということを現在検討いたしております。  次は、災害復旧をやる場合、現在われわれの取り扱っております公共土木施設につきましては、国庫負担法がございまして、原形復旧原則であるが、ただ原形復旧が困難であるとか、不適当の場合には、十分その措置がとれるような運営になっております。したがって、そういう点を今後大いに活用するとともに、さらに災害関連事業というものも合わせてやることによりまして、再度災害の防止に専念して参っております。さらに、こういう点を今回の北海道災害に実際に当てはめてみまして、個所ごとにどういうふうにするか、これを十分調査いたしまして、御期待に沿うように措置して参りたい、こういうふうに考えております。  なお、小災害につきましては、現在提案されております激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の中にもございますように起債の元利償還の特例、こういうような措置で進んでいるわけでございます。法律が成立いたしましたときには、こういう面で救っていくべきではなかろうか、こういうふうに考えております。
  22. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 河川局長から二つの問題について御答弁があったわけですけれども、この間衆議院の災害特別委員会で河野建設大臣は、例の二条改正の問題についても、現実に今までの災害の例を見ても、ほとんどがつまり原則の原形復旧から改良復旧をいたしておるという実態である。だから、その実態に沿うように検討するという答弁をいたしておったのだけれども、これについては、一体どう考えておるかということ。それからもう一つには、中小河川の問題ですけれども、現地へ行って見ますると、直轄河川北海道の場合は道の河川と、それから市町村の管理河川がございます。そこで、去年もそうであるし、ことしもそうなんだけれども、すべてその一つ河川が同時に災害を受けているわけです。この場合にながめてみますると、それぞれ経費が違っておりまして、もとより経費の増大の問題もあるだろうけれども、区分された復旧工事になっている。たとえば改良工事にしても同じであります。こういう場合に、私はどこか技術的にも統一をするような指導をすべきではないか、特に直轄河川の場合においても、農林省の関係土地改良関係の改良復旧もやってみたり、自治省の関係でやっておる面もある。建設省はもとよりであります。だけれども、それぞれのつまり雨量の許容量でね、そういうことを何ら私どもの目からながめてみますと、勘案せずに、ばらばらの改良工事をいたしておるというような実情がうかがわれる。これがために再災害を受けることは当然であるけれども、より災害を大きくいたしておるという実態。たとえば余市川にいたしてもそうだ、後志川にいたしてもそういうことが実態として出ておるわけであります。だから、まさに私は今度の災害等は、災害そのものは天災ですからある程度やむを得ぬとしても、被害を最小限度に食いとめなければならないという立場からながめると、人災がほとんど大きなウエートを占めているのではないかと考えるので、今後これらについてどういう考え方を持っておるか、その概要をお伺いしておきたいと思う。
  23. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 最初の改良復旧の点でございますが、これは現在国庫負担法によってやっておるわけでございますが、原形復旧で困難または不適当な場合には、改良復旧ができるような措置ができるようなふうになっております。したがって、これを十分活用いたしますことと、さらに災害関連事業というのがございますが、改良、原形の復旧の前後が非常に弱いような場合、これを合わせまして改良費を加えてやるという災害関連事業でございますが、それも十分活用してやって参りたいと思っております。  それから中小河川、直轄河川の計画の面でございますが、一つの水系の計画を作ります場合には、直轄河川とそれの大体支川の中小河川がございますが、それを合わせまして両方とも一本の計画で作っておるわけでございます。したがって、その計画の線に沿って実施をいたすわけでございますが、直轄河川のほうがどうしても非常に緊急にやる個所が多い、こういうことでございますので、中小河川よりも比較的進んでいるという現状でございます。ただし、それではいけませんので、今回作ります治水事業の改定計画の線に沿いまして、その点は十分今後考慮してやって参りたい、こういうふうに考えております。したがって、今後中小河川も大いに促進をいたして、御指摘のようなことがないように十分注意してやって参りたいと思っております。
  24. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 さらにこの道路の関係になってくるわけですが、建設省の所管のつまり開発道路ですね、そういうものと、道の経費で行なう面と、それから国鉄側が若干負担をして行なわなければならぬという個所が北海道のような広範な地域には相当数あると思う。そこで、こういうところの面について今度の災害を見ますと、これらの三者の連絡がきわめて不十分だといいますか、そういうことが原因をして、いまだに応急措置をとられていないという個所が相当数ある。これがためにこの災害を受けたところに交通がとだえておりますから、必然的に住民は不安な気持を抱いている、さらには交通に対して非常に不便を感じて焦慮している、こういうことなんだけれども、この辺のところも早急にそういう関係の向きと連繋をとられて、すみやか民生の安定の立場からも応急措置というものがとらるべきじゃないか、こういうふうに考えるのですがね、こういう点はいかがなものですか。  それからもう一つは、そういう個所が北海道は今日何個所ぐらいあるかということをきっと皆さんのほうは調査して資料をお持ちであろうから、この場合、何個所ということが直ちに出ないとするならあとでもけっこうですから、連合審査会までに資料を私は提出していただきたい、こう思うのです。  それから次の問題に移る前に、こまかい問題ですけれども、これはどちらの関係になりますかわかりかねるわけでございますけれども、田畑が完全に、しかも、やや集団的に流失している個所がございます。そういうところの諸君は、去年もかような面でやられた、今年もたび重なる災害でやられた、もはやその土地に執着がない、だから共同で代替地を求めて、そこで営農していく以外にはないというような悲惨な叫びが数多いわけです。こういう面についても、具体的に関係当局のほうはどういう措置をこれからとっていこうとしているかということについても聞かしていただければたいへんけっこうだと思う。  それからもう一つは、今度のこの特別立法の中に、いろいろ従来から見ますと相当補助率も高い率に改定されておりまして、この点もたいへんけっこうだというふうに思いますけれども、それでも個人災害の場合ですね、大体公共災害などについては、比較的すみやかに行なわれる、それから農業災害についても、ある程度の補償というものは従来の現行法の中にもありますからいいとしても、今度の場合は相当連年災害になっておりまして、個人災害を受けた者の立ち上がりなどというものは、全く夢物語のような状態なんですね、こういうものに対して、どう現在の立法の中で救済をしていくかということについても、この機会に伺っておきたいと思います。
  25. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 最初の道路関係でございますが、あるいは道路局との関係もございますが、道路の復旧が鉄道等との関係でおくれておるというような御指摘でございますが、その点はひとつ具体的にどういう個所か、後ほどお聞きいたしまして早急に措置したいと、こういうふうに考えております。
  26. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たとえば、具体的に申し上げますと、余市川というのが直轄河川ですね。その上流のほうに参りますと、市町村の道路がございましたり、あるいは道道があるわけです。こういうふうな面のところ、それとクロスして鉄道が通っておる、こういう面の経費負担の問題でまだ決着がつかぬ、こういうことから応急復旧がおくれておる面がございますよ。端的に言ってみれば、こういうことです、私が今言っている点は。
  27. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 具体的の個所はわかりましたので、早急に検討して急速に措置したい、こういうふうに思っております。
  28. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 道内にこういう個所が何カ所あるか、これも調査していただきたい。
  29. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) その他の個所についても調査をいたします。
  30. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 農業関係農地、農業施設災害につきましてお答え申し上げます。  農地あるいは農業施設災害復旧につきましては、御承知のように農林水産業施設災害復旧事業費国庫負担の暫定措置に関する法律、これで現在補助をいたしておるわけでございます。それでただいま冒頭に御説明がありましたように、激甚災になりました場合に、この暫定法によりまする補助残が戸当たり二万円をこしました場合に、かさ上げ方式でされに補助率を高めていく、こういうことに相なるわけでございます。それでただいま暫定法がまだ御審議中でございますが、農業の災害につきましては、現行の暫定法でいく、こういうことに相なります。それで先ほど建設省のほうにも御質問がありましたように、改良復旧あるいは関連復旧はどうなっているか、こういうことでございますが、農地及び農業施設災害復旧につきましては、特に北海道のような地域におきましては、建設省の河川工事というものと並行して農地災害関係復旧もやらなくちゃならぬかと存ずるわけでございますが、農業面からだけ見ましても、この原形復旧以上に改良復旧あるいはそれに関連しまする改良復旧ということは、ただいま申し上げました農業施設災害の暫定置法で、原則としては原形復旧になっておりますが、先ほど建設省から御答弁がありましたように、原形に復旧することが不可能な場合はもちろん、技術的に著しく困難または不適当な場合には、従来の効用を復旧するために必要な範囲において改良復旧なりあるいは関連復旧ができる、こういうことに相なっております。そういう条文を弾力的に運用いたしまして、再災害防止のために必要な範囲におきまする改良なり関連復旧を進めて参りたい、こういうふうに考えております。  それから田畑が集団的に流失して、これは連年そういう流失なりあるいは埋没の災害にさらされている、こういった地帯につきまして、先ほど申しましたように、この現場において復旧することが非常に困難であり、あるいは不能率であるという場合には、個別的には違った場所において災害復旧することができることは現行法でも認められております。集団的にこういう土地を放棄してほかのほうに移りたいと、こういうような御指摘でございますが、この点については、建設省の河川改修というものとも見合って考えなくちゃならぬと思います。河川改修が進めば安全になるという場合も非常にこれからあるわけでございますが、どうしてもそこが地形上再災害があり、人命並びに財産に非常に将来危険だ、こういったような場合におきましてどういうふうにするか、こういうことだろうと思いますが、それにつきましては、まだ十分現地の事情をわれわれ報告を受けていないわけでございますが、そういった地帯がもしありとすれば、集団的にどうするか、こういった点については、当委員会の冒頭においても、伊那谷で集団的に、非常に河川の形状からいっても、そこに住まうことが、人命財産上危険なことが明白だ、こういった特異な場合におきまして、昨年集団的な移住措置を例外的にやったわけでございますが、そういう措置が妥当かどうかということも十分現地の実情を調査した上において判断して参りたい、こういうふうに考えます。
  31. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 暫定法の関係ですね、この関係については、二十九日の日にさらに質疑を行なったり、あるいは若干の要望なり意見というものを申し上げることにして、きょうはこれは省きますけれども、この際、災害復旧事業の査定の問題とからめて考えるわけですけれども、今度の場合なども、政府のほうとしても、自治大臣なり、あるいは建設次官なり、大蔵次官もたしか道内視察をしたと思うのです。現地でそれぞれ談話を出しておられるわけですけれども、場合によっては、査定官などというものは現地に常置せしめて、で、現場の査定を行なってすみやかに災害復旧に努力をする、こういう意味が先ほど申し上げた談話などに出ているわけですね。そこで、特にこの関係の皆さんに聞いておくわけですけれども、御承知のように、北海道というのは積雪寒冷地でございまして、特にコンクリート工事などというものは、十月半ばになりますと不可能だとさえいわれているわけです。そうすると、もう八月の末ですから、九月−十月のなかとしても、二カ月くらいより工事をする期間がない、こういうことに時間的にもなるわけですけれども、こういう特殊な事情等勘案して、これから現場査定をしなければ工事に取りかかれないのかどうか、こういう点がまず一つ。  それからもう一つ、かりにそういう正規のルートで査定に努力しても、問題はやはり補助金の早急交付がなければ道内市町村の、先ほど申し上げたように、財政事情の中ではとうてい困難でありますから、こういう点もすみやかにやはり補助金というものを交付してやらなければならぬのじゃないか、こう考えるわけです。これについてどうか現場……、去年の災害についても審議いたしていく私は立場から地名をあげて申し上げるわけですけれども、蘭越のごときは、いまだに工事完了をいたしておるけれども二二%程度より補助金を交付されていない。こういう実情が町村長から訴えられておる。小樽市の場合を見ましても、五〇%程度よりまだ交付を受けていない、こういう実情なんですね。こうなってくると、さらにことしの災害ということになりますと、前にも申し上げたように、非常に地方財政を圧迫をしていく、こういうことになります。こういう点についてはどうお考えになっているかどうか、まず見解を聞いておきたいと思います。
  32. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 農林関係につきまして御答弁申し上げます。農地及び農業施設災害災害復旧の急速な実施ということでございますが、これにつきましては、御承知のとおり、道または市町村におきまして災害復旧計画概要書というものを便りまして、それに基づいて現地査定をやって、現地査定が済んだところから着工していく、こういう段取りに相なります。それで現在におきましては、この災害復旧の計画概要書を作るということが先決だろうと思います。それにつきましてわれわれといたしましては、道のほうに東北から技術者を応援せしめまして、そういった災害復旧計画概要書を早急に作る態勢に今進めておるわけでございまして、その計画概要書ができますれば、直ちに本省から査定官を出して査定をやっていき、逐次着工していく、こういう態勢で進めていきたいと思います。
  33. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 今のところ、答弁を聞いておりますと、これから査定官を現地の事情によって派遣するんだと、こういうことのようなんですが、そこで私は関係のそれぞれの省に申し上げておきたいと思うのですけれども、すでに九号、十号台風が経過してから、もう約一ヵ月近い日数を経ているわけですね。先ほども言ったように、こういう特殊な、北海道というのは積雪寒冷地であるということは、これはもう今始まったことじゃなくて、生まれながらにしてそういうことを承知しておったと思うのですよ。それなのに今言ったように、あと余すところ一カ月半程度しか工事期間というものがないのですから、そういう緊急を要するようなときに、一ヵ月もたってから、これから現地の事情によって査定官を派遣して査定などということになりますと、私は応急処置さえ今年度内にとり得ないのじゃないかという気がする。こうなってくると、御承知のように来年の三月になって、また融雪期になって参りますから、これは雨が降らないにかかわらず、各河川の水量というものは増水してくるわけです。そうすると現実に去年、ことし、しかも、もう累積災害なんです、ことしの場合は九号、十号というものが連続したわけですから。そういう状態の中で、今お宅さんが言ったようなスローモーションの施策を考えておるなどということになりますと、大よそ私は、重ねて今度は災害でなくて人災になるような気がしてならないのですが、こういう点はあなた方はどう考えているか。
  34. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 建設省の関係復旧でございますが、正規の査定は今月末から始めます。ただ災害の直後、政務次官が防災課長、査定官を連れていきまして、緊急に復旧を要する個所につきましては、逐次そこで現地査定をやっております。したがって、その個所については、すでに着工して着々復旧に進んでいるわけでございます。それ以外の、それに基づく個所につきましては、現在道庁が査定の準備をいたしておりますが、その技術陣営も少のうございますので、ほかの県から応援を出しております。それによりまして今月末から査定に着手する、それらの個所については査定後、先ほど申し上げました超緊急復旧個所に続いて復旧を進めていく、こういう段取りで進めているわけであります。
  35. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 鉄道関係復旧についても若干の質問があるのですけれども、鉄道関係の方はおいでになっておりますか、これは並行してやらなければならぬのですが。
  36. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  37. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 速記をつけて。
  38. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その関係説明員が参りましたら再質問いたしたいと思います。あと若干ありまするけれども、こういう大事な問題ですから、私一人で質問時間をとるということもどうかと思いますから、この辺で終わりにして、関係説明員が来たら再質問いたしますので、御了承をいただきたいと思います。
  39. 井川伊平

    井川伊平君 私からもお伺い申し上げますが、去る九号台風の際に、北海道におきましては石狩川、その他石狩川の支流に古い堤防がありまして、長年川のはんらんを食いとめておりました尊い古い堤防がたくさんある。それを新しい堤防工事をするために、古い堤防の土をこわしまして、新しい堤防建設の材料に使った事実がある。これは美唄市地区内の石狩川の堤防工事、それから栗沢地区の幌向川、ここに三カ所そういう個所がありまして、非常に大きな損害を来たしておる。美唄の石狩川の堤防のごときは、大正の初年のころできたものでありまして、ずっと防水の効を全うしてきており、ことに昨年のあの石狩川の大増水にも耐え得た堤防でありますのに、本年外側の民地を買い上げまして、そこに新しい堤防をこしらえることに着所しておる。機関車二台にトロを引かせまして、古い堤防を相当長距離にわたって全然なくしてしまった事実がある。こういうためにこうむった被害というものは、非常に大きな被害になっておりますが、さような点につきまして御調査になっている事実があるかないか、まず最初にお伺い申します。
  40. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 一般的に、築堤工事をやる場合には、新しい堤防ができ上がりましてから古い堤防をとる、こういう方法でやっておりますが、ただいま御指摘の美唄地区では、新しい堤防の工事中に古い堤防の土を使ったと、こういうお話でございますが、詳細は存じませんので、詳細調査の上お答えしたいと思います。
  41. 井川伊平

    井川伊平君 私は去る十六日に水害地の見舞に行きまして発見した事実でありますが、石狩川については、ほかにまだありそうであります。それからもう一つは、幌向川の、栗沢町の地区に三カ所ある。これも昨年のあの水害をも防ぎ得た尊い堤防を完全にこわして、そして新しい堤防はできていない、そういうことになっておる事実があるから、それらの事実、及び北海道においてそのような事例がどのくらいあるかお調べ願いたい。そしてそういうような事実を認めるとすれば、その責任はどこにあるのかという問題も、これはあなたにお聞きするのが無理ならば、適当な人からお答え願っていいですが、責任の問題ははっきりしていただきたいのであります。石狩川の先ほど申しました美唄地区の問題につきましては、新しい堤防は民地買い上げの上にやっておる。民地を売ります百姓さんのほうで、新しい堤防ができないうちに古い堤防をこわすというのであれば、土地は売らないということをはっきり言っている。そういうことはせぬからという条件付で、民地を買い上げておる事実があるが、そういうことがあるとすれば、それに反する行為によりまして、人為的にこのような大きな損害が生じた場合の責任者はだれであるか、明白にしていただきたいと存じます。  それから先ほど申した幌向川の三つの地区につきましては、百姓の連中が怒って、私のあとを追ってきましたから、今ごろ君は何を言うか、私はこう言った、なぜこわしておるとき怒らぬかと申しました。こわしておるとき見つけて怒って役所へ行ったんでありますが、損害はない、損害を生じた場合は、役所で引き受けてやるから文句を言うな、新しい堤防ができるまで黙っておれとおしかりを受けたと言っておるのですが、さような事実の有無、あった場合の責任の有無という問題について、お調べになってはっきりお答えを願うことにいたします。  それから、こういうような災害被害ですね、人的被害でありますが、こういうような問題、あるいは普通の天災による損害と同じような対象の中に入れて対策を講ずるものであるか、特別ケースのうちに織り込んでこういうような問題を早急に解決する道があるか、なし得るものであるかどうか、これらにつきましての御意見も伺うわけであります。  それから、人的な、今言ったような堤防の破壊によりまして、内地の府県でありますと、来年の作付のときにはたいした心配はあるまいが、北海道におきましては、融雪期に、川の水が、山の雪がとけるために、毎年はんらんしたがるのであります。それを今までは古い堤防で完全に持ちこたえておったのであるが、それがなくなったから、来年の作付のときには、必ず入り水によってこれがやられるに違いない。そういう見通しのもとに立ちますと、来年の耕作は不可能である、こういうことも考えられる次第でありますが、これらに対します対策はどうするのであるか、このことについてもお伺いいたします。今聞きましたもののうちで、現在答え得るものはきょう御返事をちょうだいしたい。あるいはできないものはやむを得ませんから次回を待つ、こういうことにいたしましょう。
  42. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) ただいまいろいろ御指摘の問題は、相当具体的に調査検討しないといけない問題でございますので、十分調査いたしまして、次の機会にお答えをいたしたいと存じます。
  43. 小林篤一

    ○小林篤一君 関連して。ただいま、災害復旧につきまして、いろいろ御質問があったわけでありますが、先ほど開会の前に長野県の伊那地方の陳情を受けたわけでございますが、その陳情の要旨は、御承知のように、昨年の六月の集中豪雨におきまして非常に大きな被害を受けて相当復旧が困難であるというような場所における住民が集団移住を余儀なくされたことは、御承知のとおりであります。そこで、すでに一年になりますが、集団移住者に対します援助措置というようなものがまだ具体的になっておらないということで、非常に困却をいたしておるわけでありますが、先ほど農地局長の御答弁中にもありましたが、建設省と打ち合わせをして、真にやむを得ないものについてはこれを認めていきたいという方針であるという意味の御答弁に承ったわけでありますけれども、建設省との協議の今日までの経過はどのようなふうに進んであるかという点をお聞きいたしたい。  さらに、もうすでに復旧いたしましてもとうていそこに住んでおることができないという、客観的に見まして、そういう場所におきます人たちは、県も、あるいは町村も認めて、集団移住をしてしまったわけでありますが、それが真にやむを得ないと認めていただけるのかどうかという点でありますが、この二点につきましてお答えを願いたい。
  44. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 先ほど御答弁申しました中で、私の説明不十分で、誤解があるかと思いますので、重ねて申し上げますが、長野県の伊那谷につきましては、そういった集団移住をするかどうかということでありますが、第一段階で、真に人命なり財産に再災害のおそれがあるかどうかという点につきまして、関係省とも打ち合わせをいたしまして、長野県伊那谷につきましては、集団移住をするということで今方針を立てて、県からのその移住計画というものを突き合わして、今進めている段階でございまして、その地区の中で対象にするとかしないとか、そういう問題ではなしに、長野県の伊那谷をとる場合に、そういう措置を講じましたので、今後北海道等につきましても、そういった措置が必要ではないか、こう申し上げた次第であります。なお、長野県の集団移住計画につきましては、ただいま県から上がりました計画を突き合わせまして、早急にそれの実施をはかるという段階に参っておると承知いたしております。
  45. 小林篤一

    ○小林篤一君 十分に調査をしまして、やむを得ないというものについては認めたいという、このお考えはよくわかりますが、すでに具体的に現実的に集団移住しておる事実ですね、こういうものを認めていただかなければたいへんだと思うのですが、これを真にやむを得ないと認めるのか認めないのかという、そのけじめといいますか、その限界というものにつきましてお答えできましたら願いたい。
  46. 高柳忠夫

    説明員(高柳忠夫君) お答えいたします。長野県の集団移住の件は、従来の制度からいいますと、非常に初めてのケースになりますので、これの措置につきましては、非常に慎重に検討したところでございます。当初話の発端といたしましては、先ほど陳情にもありましたように、特別法を設けまして、それが必要な措置を講じようという考え方で参りましたが、いろいろと検討の結果、特別立法まで参りませずに、三十七年度予算の予算総則におきまして、この集団移住をする場合に必要な額が当該地の農地等災害復旧費と見合いまして、むしろ集団移住したほうが、将来の災害の再発生を考えた場合に、土地の利用または住民の安全等をはかる意味でも、集団移住の経費で十分災害復旧の経費よりも効率的であるというふうな場合に、集団移住を促進したほうがいいのではないか、こういう結論に達しまして、三十七年度予算の予算総則におきまして、そういう場合の額が決定した場合には、現在計上されておりますところの農業関係災害復旧費を利用して使用することができる、こういうふうになっております。したがいまして、その後、長野県を中心といたしまして、農林省、自治省並びに大蔵省の間でその所要の経費の算定を急いで参りました。おもな経費といたしましては、離農いたしますところの農民から農地を買い上げる費用、それから農民がそこを立ちのく場合にあたっての一種の移住資金を支給する、その他若干の植林事務費等の経費がございますが、これらの額の算定につきまして少し日にちがかかりましたが、現地並びに各省聞におきまして、おおむねその内容が固まって参りましたので、大蔵省といたしましては、その額の決定次第、予算総則の定めに従いまして、自治省に移用いたしまして、長野県に国蔵補助金乏して交付いたす予定でおります。
  47. 小林篤一

    ○小林篤一君 よくわかりましたが、御承知のように、集団移住する場合に、当該市町村だけでなくて、他の町村に移住する場合が多いようであります。したがいまして、受け入れする町村における受け入れのための公共施設というものが費用が要ると思いますが、それに対しまして、町村財政に対してあわせて何らかの援助措置を講じてもらいたいという希望が強いわけですが、また無理もないと思いますが、これに対するお考えを承りたいと思います。
  48. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) お答えをいたします。長野県の集団移住の問題は、今高柳主計官から御説明申しましたような経緯になっております。災害復旧費の範囲内においてこの事業をやるという予算総則の考え方が基礎になっております関係上、具体的に現地においてはその範囲内においてできない仕事もあるという問題がありますことは、私どもも聞いております。実は、直接私この仕事をやっておりませんで、関係の所管の者から聞いたものでございますので、あるいは不十分な点があるかと思いますが、現在のところでは、県としても、また関係町村としても、相当の継ぎ足しが必要であるというふうにいわれております。これに対する財政措置を講ずべきであるという御要望がございます。この点は、実際問題として、こういう初めての試みでもございますので、ますではかったようなふうにすべてがいかない面があろうかと考えております。この点は、昨年の長野県が非常に大きな災害を受けしした事情を考慮いたしまして、数億に上ったと記憶いたしておりますが、特別交付税を交付いたしておるわけでございます。私どもといたしましては、こういった事情もあるので、長野県あるいは長野県下の市町村に対して相当多額の特別交付税を交付いたしたつもりでございますけれども、なお県並びに市町村ではそれでも不十分だというお話のようでございますので、実情を十分調査をいたしまして、できるだけの配慮をいたしたい、かように考えております。
  49. 小林篤一

    ○小林篤一君 ぜひ、今申し上げたように、具体的に、現実的に、この集団移住したという人たちにはっきりと援助措置をしておりませんので、宙に迷っておる形で、非常に困難しておるというわけでありますから、現実的な援助措置、当面を何とかそれで安心させるような措置をとっていただくようにお願いをいたしておきます。質問を終わります。
  50. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸省並びに国鉄、さらには気象庁の関係の方々が、きょうこの委員会に間に合わないという連絡をいただきましたから、この面については二十九日の委員会質問したいと思いますので、説明員出席の配慮をしていただきたいと思います。  そこで、さらに質問を続けるわけですけれども、農林省の関係だと思いますけれども、砂防法、砂防事業関係ですね一砂防事業は、御承知のように、砂防法に従って行なっておるわけですけれども、ほとんどこれは補助事業になっておるわけなんです。そこで、先ほど来申しておりますように、都道府県、とりわけて市町村においてもそうなんてすか、財政が非常に逼迫しておりますから、そういう逼迫した財政の中における砂防事業などというものは、おおよそ限られているわけです。ですから、私は、今度の災害にかんがみまして、こういう砂防法に基づく中の重要な部面については、砂防事業というものは、他の道路開発事業であるとか、あるいは直轄河川の改修事業であるとか、こういうようなものと同じように、直轄事業にして、それを全額国庫負担をしていく、こういう措置をとることが正しいのじゃないか、こう思うのですけれども、これに対する見解ですね。  同じことが言えるわけですけれども、これと同じように、海岸の関係の、主として高潮の堤防といいますか、波よけといいますか、この面でも同じことが言えるわけですけれども、これも海岸法という法律があって、その事業が、やはり先ほどの砂防事業と同じような扱いで、地方に補助事業としてやらしている。これも、今申し上げたように、砂防の関係と同じように、地方の今日の海岸堤防を築いていくような事業というものは、これまたおおよそ限られてくる。ですから、こういう問題についても、この間建設大臣も、台東区の海岸堤防についても、やる気があればやれるじゃないか、一カ月半か二カ月でやれという指示を出したという、私は新聞で承りまして、まさにそうだと思うのです。この際思い切って、こういう問題について、重要海岸保全事業として、直轄事業で、これの経費の点については、全額国庫負担でやる、こういう方途を関係の各省と具体的にそれぞれやはり検討してみる段階ではないか、こう実は考えているのです。これが第二。  それから、若干長くなりますけれども、一括この際お尋ねしておきますけれども、その次に水防関係ですけれども、今度の災害を見ますると、道はもとより市町村負担しておりますので、水防費というものが相当多額を占めているわけなんです。あわせて水防活動の費用も、これまた相当なものだと思う。これについては、従来は国庫補助があるわけですけれども、この率をやはり相当高率に高めて補助しなければ、市町村財政などというものは、ただ単に平衡交付金であるとか、あるいは今言った方面の関係の、従来の現行法に基づく補助率では、これはたえ得ないと思うのです。こういう点について、ひとつどう考えているか。  それから、河川局長にひとつ具体的に聞いておくわけですけれども、私は今度の選挙で出て来たわけですが、したがって、前の災害関係については精通をしていないのですけれども、速記録を見ますると、中小河川、特に市町村の管理河川、そういう管理河川の底下げについて、ブルドーザーの配置ということについて、当時の委員の人々の質問したことに対して、河川局長は検討するような意味の速記録になっていることを私は理解しているわけです。今度現実に私は災害を見て、非常に中小河川のはんらんが多い。中小河川から流出されてくる土砂が、結果、直轄河川にまで流れ込んできて、それがさらに大きな災害を倍加している、こういう実態があるわけなんです。ですから、こういう面について、市町村の管理河川の川底を下げるという事業は、現状の市町村財政の中で、ブルドーザーなどというものを備え付けられる状態ではないと思うので、建設省の機械を貸すとか、あるいは借り上げる助成をするとか、あるいはまた市町村で買い上げるものについては具体的に補助金でやるとか何かという措置をとるべきではないか。このことについて、先般の衆議院の対策委員会では、建設大臣は、このことについて具体的に関係の向きと検討を加えて、個人の考えであるけれども、建設省の今日所有している機械などというものは、市町村に払い下げるか、あるいは他の公団に払い下げて、そこから活用することについても考えるという答弁があるということを、私は傍聴しておって知り得たわけです。ですから、こういう点についても、大臣から具体的に、皆さんがそういう検討の相談を受けておるかどうかということも、つけ加えてこの機会にお聞かせを願っておきたいと思うわけです。
  51. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 最初に砂防の関係でございますが、北海道の砂防事業は最近始まったばかりでございますが、現在、お話のございましたように、補助事業で実施をいたしております。最近非常に直轄砂防の御要望がございますので、その点現在検討している最中でございます。  なお、海岸事業につきましても、補助事業でやっておるわけでございますが、これの直轄事業につきましても、どういう個所が適当であるかどうか、こういう点も調査検討しているところでございます。  次の、市町村建設省で持っているブルドーザーを貸与したらどうか。この点は、先般大臣が災害対策委員会でお答えをしたとおりでございますが、現在その線に沿いまして検討している段階でございます。大臣から御指示がございまして、それをやっている最中でございます。
  52. 小林篤一

    ○小林篤一君 私は、北海道災害のことについて若干お尋ねをいたしたいわけでありますが、北海道は、この前の委員会のときに、北海道の沢田副知事が参りまして陳情をいたしました佃そのときは三百十億でございましたが、その後調査が進むに従って、災害の規模が大きくなり、また十号台風のための災害が起こって、今日では四百二十億になったわけでございます。これは北海道始まって以来の災害でございますが、ところが、今回の災害を受けた場所は、去年の災害と同じところが非常に多いのであります。そこで、現在のところ、そういうところに住んでおる者は、本年まだ台風シーズンがこれからと言ってもいいわけでありますが、また来年のことも考えまして、戦々きょうきょうとしておるわけであります。そういうことで、ひとつお伺いをいたしたいことは、昨年の災害のときの復旧工事というものはどういうことになっておったのか、あるいは復旧工事というものが行なわれたけれども、その復旧工事というものが破壊されたのであるか、復旧工事が十分できておらなかったがためにこういう災害が起こったのであるか、そういうことをまずお伺いをいたしてみたいと思うのであります。
  53. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 災害復旧は、緊要事業は三・五・二の三カ年、全体につきましては四カ年で復旧を現在やっているわけでございますが、したがって、北海道の場合の昨年の災害につきましても、本年まだ実施中の個所がたくさんあるわけであります。なお、まだ復旧の未着工の個所もあるわけでございます。したがって、本年度の災害を受けました個所は、そういう個所もございますが、なお、治水事業がおくれていたために、そこから洪水が堤防を乗り越えて被害を受けた、こういう個所もあるわけであります。大体、今年の災害の原因を調べてみますと、以上のとおりになっております。
  54. 小林篤一

    ○小林篤一君 そうすると、災害復旧事業というものは、三カ年でもってこれを復旧するということになりますというと、昨年の復旧工事が破壊されて、また本年から三年は復旧工事が終わらないことになりますが、その間は毎年災害が起こってもやむを得ないと考えなければなりませんが、どうでしょう。
  55. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 具体的に、公共土木施設被害と一般災害とに同じ被害という言葉を使われておりますが、公共土木施設につきましては、昨年度災害後着工いたしまして復旧しているところは、詳細には調査しないとわかりませんが、大体その個所は残っておるわけでございます。したがって、それ以外の今後復旧すべきところ、これはまだ未着工、あるいは工事中でございますので、本年の災害でどうかしたかと思われます。したがって、ただいまお話がございましたように、この災害復旧が完成するまでは、初めから始めるのかという点については、多少違って参りまして、公共土木施設被害だけをつかまえてみますと、毎年着々復旧の実績は上がっておる、こういうことが言われておるのであります。
  56. 小林篤一

    ○小林篤一君 着々実績が上がっておるかどうかは私よくわからぬが、これから三年間というものは、やはり戦々きょうきょうとして、雨が降れば災害を受けなければならぬというようなことは、われわれとして納得できないのですが、これはもっと早くやる工夫はないのですか。
  57. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 現在、災害復旧は、先ほど申し上げましたように、緊要事業を三カ年でやっておりますが、この復旧速度は、財政の面というよりも、やはり施行能力が相当支配すると思われます。したがって、これ以上に詰める努力も現在いたしておりますが、大幅にその復旧ということを詰めるということは、なかなか困難かと思われます。ただ、被害を受けました個所全部が四年あるいは三年かかるというのじゃなくて、緊要な個所から逐次完成をしていく、こういう方針をとっておりますので、昨年完成したところは、本年はこの個所は被害を受けない、こういうことになっておるわけでございます。
  58. 小林篤一

    ○小林篤一君 北海道には、御承知のように、開発計画というものがあって、第二期の開発計画が本年度で終わることになる。よく聞かされることは、北海道の開発計画はおおむね遂行できたということをよく聞かされるのであります。ところが、治水関係などを見るというと、おおむねどころではなくて、実にまだ進行速度が非常におそいのであります。先ほどのお話のように、施行についても、いろいろ、ここばかりではないという意味もあったろうと思いますが、そういかないということでありますが、一方においては観光道路というようなものはどんどん促進されております。あれは遊んで歩く人のために作るのです。しかもその道路の沿線には、人家を建てるところもない。人の住むことのできないようなところへどんどん、そういうところであるから、非常に大きな金をかけてやっておる。一方こういう災害が起こって非常に道民が苦しむようなところをさっぱりやらないで、そういうほうばかりやっておるように見受けられてしょうがないのですが、今後も、観光道路のようなそういうものは第二次的にして、こういうところをひとつ応急的にやるというお考えはございませんか。
  59. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 治水の基本対策については、先ほども申し上げたとおりでございますが、現在の治水事業の十カ年計画では非常に進み工合がおそいというので、来年度はいろいろ検討いたしまして、さらに促進をいたしまして、今後の治水対策の万全を期したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  60. 小林篤一

    ○小林篤一君 それでは、現在の治水というものは、こういう災害が起こらないように集中的にひとつやる、こういうお考えだと承知してよろしゅうございますか。
  61. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 今後、治水対策といたしましては、緊要な個所から集中的にやって参りたい、かように考えております。
  62. 小林篤一

    ○小林篤一君 次は、現在行なわれておる治水——堤防などが、本年などはどんどんとその堤防を越して被害が甚大になっておるわけであります。そうしますると、従来の考えておられた水量よりも、去年からことしにかけての水量というものは予想以上に多かったがためにそういうことになったのであるかどうであるかという点について、一応お伺いいたします。
  63. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 本年の災害は、非常に北海道として従来にない豪雨があったわけでございますが、今回の災害の堤防を越したこういう個所は、現在まだ全体計画の一部を工事中である個所でございます。したがって、現在の計画が完成いたした場合には越さない、こういうような計画でやっておるわけでございます。
  64. 小林篤一

    ○小林篤一君 こういうことを聞かされておるのですが、従来の雨量は百二十ミリを標準にして作ったものである、ところが今回の雨量は二百ミリもそれ以上にもなった、それがために堤防が計画しただけでは足らなかった、そのために水がオーバーしたというようなことを聞かされておりますが、そういうものですかどうですか。
  65. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 雨量は、従来の実績よりも本年の雨量は、今お話のございましたように、多くなっております。しかし、たとえば石狩川全体をつかまえて考えますと、従来の全体的な降雨というよりも、今回は局所的には多うございましたが、全流域についてこういう雨が降ったわけではございませんで、一部的に降っておる。そういたしますと、石狩川のような計画洪水流量をきめる際には、やはり全般的に大きかった雨量を対象にするわけでございます。今回特に空知川の出水が多かったわけでございますが、空知川についてはそういう点について検討する必要があると思いますが、石狩川本川の全般的の計画については、現在の計画を遂行していけばいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  66. 小林篤一

    ○小林篤一君 私は、今のお話によるというと、未完成のところがオーバーしたということでありますが、私の見たところでは、完成したところもオーバーしている、そうして災害が大きくなっておると、こう見ておるのですが、もしそうだとすれば、計画の立て直しをしなければならぬ、いいかえれば、かさ上げをしなければならぬということになると思うのですが、それはどうお考えでしょうか。
  67. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) そういう点は、十分調査をいたしたいと思っておりますが、ただ局所的に考えた場合にどうかという点だと、たとえばあの金山。ダムのような洪水調節をやるダムが完成いたしたとすれば、やはり洪水流量が減るわけでございます。したがって、今回堤防を越した個所も、そういう全体的な計画が完成すれば安全になる場合もございます。したがって、ただいまの御指摘のような点は、今後十分調査をして参りたいと思います。
  68. 小林篤一

    ○小林篤一君 今ダムのお話が出ましたから、ついでにちょっと御意見を伺っておきたいと思うのですが、ダムは水量の調節をするということをそのダムの直接の目的にしておられるようですが、どうもこのごろの模様を見ますというと、この地面に降った水が飽和状態になって、そうしてそういうときに限ってダムの水が非常にふえる。そうダムがあぶないというので、それを放流するがために、災害が非常に大きくなるということがあると思いますが、これは水量の調節よりも、もっとその被害が大きくなりますが、これについては、ダムを作れば調節ができると、こうお考えでしょうか、いかがでしょうか。
  69. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 大体ダムに二種類あると思われますが、洪水調節を目的としている、ダムと、利水を専用としているダムと、二つあると思います。最初の洪水調節を主としているダムにつきましては、洪水期間中ずっと洪水が入ってもいいようにあけておきます。したがって、そういうダムでは十分洪水の調節ができるわけでありますが、利水専用のダムにつきましては、どうしてもやはり利水という点に重点を置かれまして、洪水調節の効果を上げることは困難であると思います。ただ、そういう、ダムにつきましては、やはり操作規程というものをきめておりまして、上流から流れてくる流量以上にダムの下流のほうへは放流しない、こういう規則でかたく縛って操作をやっているわけであります。ときどき大災害の場合に、放流が原因で被害が大きくなったという問題がございますが、その際には、十分調査をいたしましたところでは、原則はおおむね守られておる、上流からくる以上の放流がしていない、こういうことでございまして、洪水調節の能力を十分に上げるとすれば、やはり洪水調節を主とした多目的ダム、こういう建設が必要だろうと、こう思います。
  70. 小林篤一

    ○小林篤一君 金山ダムができれば、水量の調節ができるから、石狩川の水害というものはなくなるであろう、今かりにオーバーするところがあっても、それが調節されるであろうというお話ですが、金山ダムはまだ着工しておらないのです。まだ敷地の買収さえも済んでおらないのです。今後着手いたしてから何年かかるかはわからぬが、およそ十年ぐらいはかかるであろうということですが、その間そうすると調節するものがないがために、石狩川の災害というものは防ぐことはできぬと、こういう解釈でよろしいですか。
  71. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 石狩川全体の計画をまず作りまして、現在着工している途中の段階でございますが、その途中の段階におきまして、一応効果の上がるところがたくさんできるように、いわゆる重点的に施行しているわけであります。したがって、重点的に施行したところは、逐次洪水の被災がだんだんなくなってくる。最終年度には全部被害がどの個所もなくなるというわけではございませんで、重点的にやったところからなくなっていくわけでございますので、いわわゆる治水の効果というものは、着々実効が上がってくる、こういうふうに考えております。
  72. 小林篤一

    ○小林篤一君 この問題は、まあ大体この程度にいたしますが、とにかく、現在のような堤防では、住民は非常に危険を感じております。でありまするから、この問題は真剣にひとつ取っ組んで調査をして解決をしていただきたいということを御希望申し上げておきますが、さらに、石狩川などの支流でありますが、先ほどお話がありましたが、幹川の治水をやる場合には支川の治水もあわせてやることにしているというお話を承りましたが、その支流が直轄河川ならば同時にやれましょうが、これが道の管理になるもの、あるいは市町村の管理になるものというようなものがあって、一方は非常に進むけれども、一方は一向手をつけていない。財政の関係もあるからして、そういうことになるのかもしれませんが。そこでいまひとつやっていただきたいことは、河川の大きさ等にもよると思いまするけれども、そういう河川については、その河川の治水ができないがために、せっかく幹線の治水ができても非常に災害をこうむらなければならぬというようなところは直轄河川に変更するというようなお考え。ございますまいか。
  73. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 先ほども申し上げましたのは、国費河川と道費河川と計画はあわせて作る、その実施の問題でございますが、やはり重点的にやる関係上、国費河川のほうが道費河川よりも進んでいるのが現状でございます。そこで道費河川を国費河川に入れたらどうかというお話でございますが、国費河川の改修をやるために影響のある支線の道費河川は、やはり国費河川とあわせて一緒に工事を進めているわけでございます。まだ不十分な点があるかと思いますが。したがって、せっかく国費河川の個所ができましても、道費河川のほうから洪水が入ってくる、こういうことがないように、今後さらに十分注意をして仕事を進めて参りたいと、こういうふうに考えております。
  74. 小林篤一

    ○小林篤一君 今のお話のうちに、国費河川にしても差し支えないと認めるようなところがあれば、国費河川に変更することは差し支えないと思いますが、これはどうですか。
  75. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 先ほど申し上げました趣旨によって、道費河川も一緒にやったほうがいいという区域につきましては、国費河川に含めてやったほうがいいかと思います。
  76. 小林篤一

    ○小林篤一君 それから河川によっては、国費河川と、道費河川と、市町村費の河川と、こう同じ河川であって区切られておる、それが一方だけできましても、一方ができなければ、どんどん災害が起こっていくというような事例もありますが、これに対して何かそれを同時に行なうような方法をお考えになる道はございませんか。
  77. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 市町村河川については、現在のところ補助の道もないわけでありますが、ただ非常に重要なところでございまして、せっかく道費河川とか、国費河川の改修をやりましても、その市町村河川の未改修のところから災害を受ける、そういうような重要なところは、市町村河川を道費河川に格上げをいたしましてやるのが至当かと考えます。
  78. 小林篤一

    ○小林篤一君 次は、これはどなたからお答えを願えばいいのか、ちょっとわかりませんが、道路や橋が非常にこわれまして、そうして今農産物の搬出にせっぱつまっておるのであります。たとえばバレイショのごときは凍結するまでの間に順次出していかなければならぬ。種イモであろうが、食用イモであろうが、北海道の鉄道の事情からいうと、一度に輸送できませんので、凍結するまで順次出していかなければならぬ。それが今運べないところがどんどんできておる。それから澱粉になるイモでも、澱粉製造の工場の能力というものに限度がありまして、これも凍結するまでに、それを平均に運び出さなければならない。ところが、今それが運び出せない。もう少ししますと、ビートの運搬をしなければならない。そういうようなわけで、非常に農家は、この点について心配をいたしておるのでありますが、これらについては、何か対策をお考えでございましょうか、いかがでございましょうか。
  79. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 非常にそういうような重要な橋梁である場合には、本復旧をやる前に、応急復旧で、ただいま御指摘の点を措置して参ったらどうかと考えております。
  80. 小林篤一

    ○小林篤一君 もちろん応急でやっていただかなければならぬわけですが、ただ単に、調査にひまどって、これが還延されるということになると、農家は非常に困るのであります。であるからして、応急ということですね、急にこれをやっていただかないと間に合いませんから、これをひとつ御研究いただきたいと思いますが、なお、町村でもって負担しなければならぬものがあるわけであります。ところが、これは災害復旧として補助金をもらうのには、何かよく私はわからぬが、七十万円をこすものでなければならぬとかというようなことを聞いておりますが、これが一つぐらいならば、それでよろしいのです。ことしの北海道災害は、沢が奥から口まで全部流されてしまって、橋も何もないというところまでできておるのであります。そういうところの橋梁の数というものは大へん多うございまして、町村でもって、とうてい負担に耐えられないところもあるわけであります。そういうようなところを単に七十万円をこさなければ災害復旧対象にならぬというようなことでは、たいへん先ほどのようにいろいろ農産物を運搬するのに支障がある。町村財政でも、それには負担に耐えられないというようなことになりますが、これに対して、何かいい方法はございませんか。
  81. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 現在公共土木施設の国庫負担法では、市町村工事は一件十万円以上ということにいたしております。十万円以上であっても、非常に数が多くなれば市町村負担は多くなるわけでありますが、その場合には、今回の激甚災害による特別財政援助、こういう法律に該当するかと思われます。そういたしますと、非常に高率な国庫負担になるわけでございますので、市町村財政負担は軽減される、こういうように考えております。
  82. 小林篤一

    ○小林篤一君 これも早くやっていただきませんと、先ほど申し上げたように、農産物を運搬する時期が迫っておりますから、これを手っとり早くやるようなことを、ひとつお考えを願いたいと思うのであります。  次にお伺いしたいことは、これもどちらからお答えを願うのかわかりませんが、救農土木事業というものをこれまでやっております。これは北海道なら、農家に冬のうちの生活をさせるために賃金をとらせる。そうして翌年になれば、天災資金とかというようなものでもってまかなっていくわけでありますが、その冬の賃金をとらせるために、私は客土の必要なところは全面的に客土でもって、これをやってもらいたい。そうしますると、資金はとれますし、土壌の改良もできまして一挙両得になるわけであります。去年の災害でも客土のほうはおやりになったのでありまするけれども、たいへんこれはうまくいかないのであります。で、ことしはこれをひとつ中心にして救農土木としてお考えを願いたいと思うのでありますが、この点について、どうお考えになりますか、お伺いいたします。
  83. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 一昨日の北海道の知事が見えまして、救農の土木についての御要望があったわけでございます。御承知のように、三十六年災害とダブったような地区が多いので、そういった地域におきまする農民の越年資金、こういったような考え方で何とか措置できないか、こういうようなお話があって、私のほうでも具体的でございませんので、十分な方針はまだ立っていないわけでございますが、救農土木という性格につきましては、御承知のように、従来の例から申しますと、冠水等いたしまして、農地あるいは農業施設についての災害復旧事業が大体なくて、農作物被害が重点であって、そして農作物被害のために当該年度における農業収入が非常にない、こういった事態の場合に、たとえば伊勢湾台風におきます三十三年災におきまする湛水地帯、こういったところに実施したわけでございますが、農作物被害につきましては、御承知のように、畑作物は別でございますが、水稲地帯では、農業共済がある、あるいは激甚災の場合には、天災融資法の融資限度が引き上げられる、それぞれの措置が考えられるわけでございます。また、そういうことをやっても、なお越年資金等において不足するかどうかというような事態も見きわめなければならないかと存じます。  そこで救農土木を実施いたしまするとしましても、やはり災害復旧があれば、その災害復旧事業にその労賃分として吸収していくとか、あるいは既定の土地改良あるいは建設関係公共負担土木事業があれば、そういったところへ優先して賃金収入を得せしめる、こういうような措置を講じまして、なおどうしても吸収されない場合にどうするか、こういうようなことに相なろうかと存じます。そういう点につきまして、もし必要があれば十分具体的に検討して参りたい、こういうように考えておりますが、そういう場合におきましては、客土事業等が労賃分として非常に大きいということは承知しております。さらに具体的に検討させて方針を立てたい、こう思っております。
  84. 小林篤一

    ○小林篤一君 私はまだお尋ねしたいことがたくさんありますが、その都度役所のほうに行きまして、折衝を申し上げたり、あるいは次のこの機会のときに申し上げる場合もあるかもしれませんが、きょうはこれでもって質問を打ち切ります。
  85. 井川伊平

    井川伊平君 ごく短かい一問だけ、小林委員質疑に対しまして関連する事項をお伺いしたいのでありますが、問題が少し大きいから、建設大臣等に伺うのがほんとうかもしれませんけれども、幸いに小西北海道開発政務次官もお見えになっておりますのでお伺いをいたします。もしまたお答えが十分でなければ、御研究賜わりまして、ゆっくり研究の結果でもよろしいのでありますが、良心的な御返事を願いたいと思います。  実は、北海道の江別というところは、今から十四、五年前までは、毎年水害のないときがないという地区でありましたが、昨年までは、それがとんと災害がなかったという事実であります。どうして例年水害が北海道開発以来続いておったものがなくなったかというと、これは夕張川の切りかえ工事によったものである。御承知のように、夕張川のうしろの山に降った雨が、今日では川を切りかえてありますから、石狩川の上流の狩勝峠であるとか、大雪山に降りました水が流れてくるまでには、先にその水が流れてしまって、からに川がなったときにあとのほうから水が流れてくる。したがって、二度に水が流れるような関係になりますから、夕張川の切りかえ工事ができて以来というものは、北海道江別地区の水害は根絶しておったのが事実であります。  ところが昨年来、それがそうでなくなってきておる。それは、やはり夕張りの奥にあります。ダムの関係だということを地方民は申しております。大体、江別まで水が流れてくるのは、ダムの関係で十二時間時間がおくれる。そのために空知川であるとかその奥のいろいろの支川からの水が流れてくる時期とちょうど一緒になりまして、夕張川の切りかえ工事以前の状態に水が同時に集まるという状態になってきておるということでございます。しろうとの私は、そのことはよく知りませんが、もしそういう事実があるとすれば、ほかにもあるかもしれない。こういう場合にはダムの放水についての特別の措置が必要ではないか。先ほどのお話にもありましたように、ダムの目的は、いろいろの目的がありますから、水を放水してしまったら、あと水が、雨が降らなくて水がたまらなかったら、そこに大きな損害がありましょうが、そういうものに対するところの損害は、別の方法でこれを処置してやるということにいたしまして、放水は適時に放水させるということにすることによって、今申したような不便がなくなるのではないかと考えるのでありますが、こうした点につきましての御研究の結果があれば、お聞かせ願いたい。もしそうでないといたしますれば、これは日本全国の問題として、御研究を賜わるように、大臣と御相談を願いたい、かように思いますが、いかがでございましょう。
  86. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) ただいままで長時間にわたりまして、皆さん方から北海道災害について熱心なる討議がありまして、私ども長い間議員生活中、かように北海道の水害の問題を今日ほど真剣に討議された記録はおそらくないと思うのであります。私が就任早々、九号、十号の被害がありまして、大臣にかわりまして現地をお見舞申し上げると同時に視察して参った率直な考え方では、北海道のこの治山治水の問題は、本州とは相当おくれておる、一口に言えば、そうなっておるわけであります。それにはいろいろ歴史的に北海道開発がおくれておった、あるいは雨量が、今までかような大量の雨を降らした歴史が統計上残っていない、いろいろな点がございましょうが、私が率直に考えることは北海道開発計画を立てて十年、さらに八カ年第二次計画をここに遂行せんと、非常に庁員一同張り切っておるわけでありますが、いろいろ北海道を見て参りましていろいろな法案上から、われわれが災害に対して、全く法律上無関係であると同時に、こういうふうな答弁にいたしましても、ほとんど各省の実施機関の答弁でありますので、われわれ申し上げる機会がないのでありますが、結局八カ年計画のいろいろ是正をせねばならないという点については、先ほど小林委員から指摘があったように、道路は、ある程度非常に計画どおり進んでおるが、治山治水の問題、特に河川の改修のこときは、本州における明治の末期程度以前のものである。これは気象庁のいろいろの専門的意見から徴さねばわかりませんが、もし北海道に、昨年以来のような雨量がずっとこの異変によって降るとするならば、全くこの八カ年計画をもってしても、これはまことに笑止千万な計画でありまして、北海道には一キロ半以上の河川が二千三百本あるそうでありますが、その中でも直轄河川は、わずか国費のあれは二十七、八年程度、さらに準用河川が三百四、五十本、これらの数をわれわれ検討いたしますと、一県に該当する程度の直轄河川あるいは準用河川であるということからして、根本的に、ここに建設省の直接担当の局長が参っておりますので、いろいろ意見を伺ったわけでありますが、ほんとうに北海道のこの治山治水をやるというならば、今年度から、予算の面において具体的に相当な額が計上されるであろう、こういうことをわれわれ確信いたしておりますが、いろいろな面から非常に人畜の被害、農産物の被害も膨大でありますので、石狩水系を中心とする三川を中心にやっておるが、さらに道南地区、その他、年々の被害にかんがみまして、これら全体の町村河川を準用河川に、あるいは準用河川を直轄河川に直すという部分も相当出てくるとわれわれ考えておりますが、先ほどお尋ねの、井川委員からの御指摘の点について、さらに先ほど金山ダムがあれば相当な調節ができるんじゃないか、それを国の仕事だから、どうせ常識的に十年、十五年かかるんじゃないかというふうな小林委員からのお尋ねもございました。これは開発庁が実施いたしております関係上、大体われわれが着実に、計画どおり終わらせたいと思っておりますが、四十一年に完成の予定でございます。昨年から調査を実施して、ほとんど用地の買収も完了いたしておりますので、これについてはさよう考えております。さらにその上流地域においても、砂防の問題あるいはダム——今日までのダムは、そういうふうな調節ダムにはなっていないために、いろいろな水の面で、これはいろいろ電力会社、あるいは利用水のためにためておる水に対する、さらに水かさが増した場合に、往々、きのうの新聞にもありましたように、これ以上ためておくことが、いろいろ発電上無理だ、あるいは用水上必要ないと感じた場合には、勝手に各所に水を放出するために非常な災害が起こっておる、これらも各所に問題点がありますので、先ほど言われました井川委員の指摘の問題についても、もう少し具体的に資料をもって各省から取り寄せまして、後日、この次の委員会までに何とかそれを御報告申し上げ、納得していただきたいと思うのであります。  御承知のように、北海道が住みつける五百数万の人が不毛の地を開拓されて、そうして酷寒、非常な日本の本州と違う立場において熱心に開拓された農地を浸され、あるいは人家を浸されている点につきましては、北海道開発庁は今後の計画も相当、治山治水の問題については、相当繰り上げて、同じ金を使うなら、一日も早くやるように、われわれ内部を指導して、政府部内をまとめてやりたい考えを持っております。いろいろかように熱心に討議された北海道関係ある皆さん、あるいは同志が、こういうふうな際に心を新たにして、再度災害が起こらないようにあらゆる努力を政府としてもいたす考えを持っております。
  87. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 開発次官がおいでですから、今のダムのこととは別に、しかも、今聞いてみますると、北海道全域にわたって調査をしてきた、こういうわけですから、それでお尋ねしてみて、さらには要望しておきたい点があるのですが、質問の第一は、予算の関係ですよ。御承知のように、開発関係だけで、今回は大体二十八億ぐらい被害を受けておるわけですね。それで予算的な問題ですけれども、現状の予算の中で、こういう膨大な、二十八億にわたる被害のほうを予備費流用という措置で応急工事が間に合っていくのかどうかということが一つなんです。  それから二つ目は、北海道の道南の一つの地域でございますけれども、檜山沿岸でございますが、あそこには五十キロくらいにわたると思われますが、長い海岸線に沿った国道がございます。この国道は、今日なお八カ所程度、私が調査した中で八カ所程度橋梁が流失して、非常に交通確保に支障をきたしている。こういう実情です。ですから、こういう点については、当然応急工事をやらなければならぬと思いますけれども、この点をどう考えているかということを尋ねたい。  それからもう一つは、次官の所管事項であるかどうか別として、熊石というところに道道がございます。あの道道などは、井川先生もおっしゃったように北海道開聞以来ああいう道路が幹線道路になっているが故に、道路などということよりも、まるっきり原始的の地球の表面を歩いているような道路があるわけです。ですから、今度の災害などにかんがみて、ああいう道路を、せめて二級国道くらいに昇格させていただいて、常に道路の補修などをしておったならば、ああいった八カ所も今橋梁が流失して、道路交通確保に困難をきわめるというような事態は生れないのではないか、もう一つの幹線が、函館本線に抜けて通れるわけですから。こういう点を考えて、あの地域における唯一の産業開発のために寄与しているわけですから、ああいう道道などは、せめて二級国道くらいに昇格さしていく措置をとらなければならないと思う。もとより法律改正が必要であるが、今直ちにというわけには参らぬじゃないかと思いますけれども、この点について検討してみるかどうか伺っておきたいと思います。
  88. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) いずれのお尋ねも、私の所管外でございますが、われわれ計画からみまして、さような道民の熱望が当然と認められる場合には、それを一級国道あるいは二級国道に昇格させることも差しつかえないと考えております。さらに費用の問題ですけれども、私は実は、答弁する義務があるかどうかわかりませんが、これは建設省でございます。こういう点については、ここに大蔵省もおりますが、予備費も、現在の国全体の被害の状況からみれば、たとえば三・五・二の割合ならば、十分あるわけです。今は実行はだの河野建設大臣もおりますから、やっていただけると、私ども期待をし、またさように連絡をいたすつもりでございます。
  89. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は二、三の資料を要求いたします。水防の犠牲者ですが、公務のために水防の犠牲になった者が、過去五年の間に、どのくらいの人間があって、その身分ごとに、犠牲者に対する金の支給があったならば、その支給額は、どういうふうになっているか、公務というのは、たとえば消防であるとか、あるいは市町村役場の者であるとか、あるいは市町村役場から、こういうことでひとつ加勢してくれといわれて加勢したというような者ごとに、どういうふうに犠牲者に対する措置が講ぜられているか、こういうような資料をひとつお願いしたいと思います。  それからもう一つは、気象の問題であります。今までもいろいろお話があったように、最近の台風及び集中豪雨の状況を見まするというと、年々これが襲ってくるような状態にあるのであります。私、長崎県であるから、長崎県の例をとってみまするというと、長崎県では、三十二災、三十六災、三十七災という、五カ年間に三回も災害にあっている。しかも、災害があるところは、雲仙岳の北海岸と多良岳の関係のところに限っている、ほとんど大部分が。これはどういうふうな気象状況であるか。過去においてこういうふうなことはなかったのですであるから、どういうふうな気象状況であるかということを、気象学上からひとつ検討してもらって、その原因を探求して、さらに対策を講じなくちゃいかない、こう考えるのでありますから、その集中豪雨というようなものが、年々繰り返されるところは、いかなる最近の気象の変化によって生ずるのであるか、こういうふうな資料をお願いしたいと思うのであります。  また、台風問題では、台風常襲地帯の特別な法律があるのでありますが、最近の台風の進路から考えて、その台風常襲地帯の法律を改める必要があるのかどうか、最近における台風常襲地帯の台風の状況を調査してもらいたいと思うのであります。その台風常襲地帯の法律ができた場合においては、当時過去三十年間の実例によって定められたのでありますが、その後、だいぶたっているのでありますから、この台風常襲地帯の地域も改めなくちゃいけないのじゃないかと考えられるのでありますから、そういうふうな資料をお願いしたいと思うのであります。  それから次に、激甚災害については、中央防災会議の事務局員は、新聞紙上によれば発表されたようであります。委員の人は、すでに発表されて、決定されているのであるか、あるいは、いつごろ決定するのであるか。まだ決定してないということであったならば、どういうふうな人を委員にされる予定であるか。わかっておったらば、それを資料として御提出を願いたいと思うのであります。
  90. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ただいま藤野議員の言った資料提出できますか。
  91. 高柳忠夫

    説明員(高柳忠夫君) 前段の水防団員が水防活動で殉職したような場合に、国の措置がどうなっておるかという御質問かと思いますが、資料の前に、概要だけちょっと御説明申し上げまして、御参考に供したいと思いますが、水防団員と消防団員とは大体身分が一応異なっておる形になっておりますが、現実の活動体系になりますと、消防団員が水防団員を兼ねている場合、または消防団員が水防活動に従事する場合と、こういうふうになっております。そこで、従来からも、災害のたびに、水防活動で殉職する方々がございますので、災害のための公務補償の災害基金を設けておりまして、その基金から、最近では、伊勢湾台風の場合には数千万円を支出しておる状況でございます。しかし、これはあくまでも共済制度でございますので、国がそういう殉職者に対しての何らかの見舞金を出すべきではないかという御意見がございまして、三十七年度予算から、そういった水防活動で功労があって殉職された方に、その度合いに応じまして、最高百万円の限度で弔慰金を支給するような予算措置を講じております。三十七年度予算は一応一千万円を計上いたしております。
  92. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) 藤野委員の先ほどありました台風常襲地帯に対する法律案が、われわれの知っておる範囲で、できたと思うのでありますが、その過去の、あるいは実績によったものか、あるいは、どういう指定をしたものかということは、極力、われわれのほうで調査いたしまして、どういうような場合に、こういう法律ができたかといういきさつを帰って調べて、この次に出してみます。よろしいですか。
  93. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それは当時の過去三十カ年間の実績によって決定したのです。当時、僕は災害対策委員で、これを審議する際に立ち会ったので詳しく存じておりますが、その後、どういうふうに台風が変わっておるかということで、台風常襲地帯の法律を改める必要があるかどうかということを検討して下さい。それを検討するについての資料をお願いしたい、こういうのであります。
  94. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) 多少私の今の答弁がはずれておりましたが、過去三十年ということになれば、北海道の常襲地帯には関係がないと思いますが、特別にそのあれを調べるといえば、どこか所管の関係者から、何か書類を相談して出すようにいたしたらと思います。
  95. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 他に御発言もございませんようですから、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  96. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  本院規則第三十六条に基づき、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案について、地方行政委員会連合審査会を開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。  ただいまの決議に基づき、委員長は地方行政委員会に申し入れることといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時七分散会