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藤野繁雄君 私は、福江市の大火についてお尋ねしたいと思うのであります。
福江市は、御
承知のとおり、明治四十三年から今日まで五回の大火にあっているのであります。そして、四十三年の六月五日の大火と今回の大火は、ほとんど同様であるのでありますから、その当時の
状況をまず申し上げておきたいと思うのであります。
それは、当時の大火の模様が、
長崎県立図書館に保管してある「東洋日の出新聞」に、「福江の大火、商人町ほとんど灰と化す」、こういうふうな見出しで書いてあるのでありますが、明治四十三年の「出火は、四日の午前三時四十分、火元は今度の火事で焼失した新栄町の菓子屋で、火は強風にあおられてたちまち広がり、商人町と呼ばれる
中心街の新栄町、江川町、酒屋町、万町、上町など七カ町を全焼、新町と東浜町等の三カ町を半焼、全焼
家屋は二百三十戸に上った。避難の途中、少女が踏み殺されたのを初め、かなりの
負傷者を出し、
被災者は百五十人余り」、こういうふうに書いてあるのであります。
今回の福江市の大火は、戸数でいって四百八十六戸、焼失世帯は、全焼が七百九十七、半焼が十四、合わせて八百十一、人員は全焼が三千九百十人、半焼が二十六人、合わせて三千九百三十六人、こういうふうになっているのであります。それからその間の
昭和二十九年の十月には二十六戸、三十一年一月には十三一尺同年の三月には十四戸というように、福江市という所は次から次に大火にあっているのであります。そして、今回の福江の大火は、
長崎県では戦後第一の大火であります。全国でも今年最大の火災であるのであります。そして、福江市の人口は、現在三万八千八百六十人、しかし、これは福江町ほか五カ
町村の合併があって、大火があった旧福江町の
市街地を含めた旧福江町の人口は一万五千七百一人、こういうふうな
状況であるのであります。
全国の戦後の大火の
状況は、政府から資料を出していただいているのにも明らかであるのでありますが、それによって見ますと、
昭和三十二年に新潟の大火がある。これは三百七十八戸、三百四世帯、
被害人員千三百十五人。三十二年には鹿児島の大火、千六百二十八戸、千三百五十七世帯、五千三百十一人の
被災者。三十六年の青森の八戸の大火は七百二十戸、六百六十四世帯、三千六百二十七人。同年岩手は千六十二戸、千七十八世帯、四千三百十人。
北海道の同年の大火は五百五十四戸、五百六世帯、二千二百三十八人。福江市の場合はさっき申し上げたとおりであるのであります。
こういうふうに考えてみますと、今回の福江市の大火は、
昭和三十二年からの大火を比較してみますと、全国で五番目、世帯数からいえば全国で三番目、被災人員からいっても全国で三番目であるのであります。
次に、火災保険関係を調べてみますと、火災保険の支払い額の大きさから考えてみれば、新潟の大火が十三億六百八十七万円、鳥取の大火が五億四千八百十八万円、大館の大火が五億七百三十八万円、魚津の大火が三億九千八十四万円、熱海の大火が三億五千二百六十六万円、今回福江の大火に支払いを予定されているのが三億五千五十七万円であります。こういうふうなことであるのであります。福江の場合を調べてみますと、契約件数が五百六十件、戸数が四百八十六戸、世帯が八百十一世帯であるのでありますから、契約件数と戸数と比較してみるというと、二戸が一件以上契約をしている、こういうふうなことから考えてみますれば、福江市民が過去に火災が数回あったためにいかに火災ということに心配しているかということが明らかになってくるのであります。
以上の事実からいたしまして、私は次に質問をいたしたいと思うのであります。
まず、消防関係であります。福江の大火の
特異性としてあげてみたいと思うのでありますが、それは発火の地点が常に海岸地帯からであります。それから大火の場合においては、常に強い風が吹いている。それから町が旧城下町であるのでありますから、戦争のときに守るのには都合がいいのでありますが、消火活動には全く不便な
状況にあるのであります。また、政府及び福江市は消防には十分注意しているのでありますが、しかし、消防
施設は十分といわれないのであります。これが現状であります。また、福江の大火の
特異性であるのであります。
そこで私がお伺いしたいと思うのは、今回の福江の大火にかんがみまして、消防庁はいかなる
対策を考えておられるのであるか。すなわち、消防の組織と設備の改善についてどう考えているかということをお伺いしたいのであります。
次には、消火の効力は、出火の直後に消しとめるということになれば大火にならずして済むのであります。福江の現在の消防の組織と設備では、出火の直後に直ちに消しとめることはできないというような
状況であるのであります。これでいいのか、もしも悪いとしたならば、どういうふうな
対策を消防庁側は考えておられるのであるか、これらの点についてお伺いしたいのであります。