○秋山長造君
自治省のほうでは、今の
政府側の御答弁としては、
選挙を管理運営する立場、あるいは取り締まる立場だけからの御答弁なんですが、もう一つ重要なことは、
選挙をやる当事者の経験なり意見なりというものも、何らかの機会か機関を通じて十分やっぱり吸い上げる必要があるのではないかと思うのですがね。で、もちろん
選挙の当事者の意見には相当我田引水的な意見もあるでしょうけれ
ども、しかし、案外国会あたりで論議されるのは、連座
規定の問題だとか、
高級公務員の
立候補制限の問題だとか、あるいは政治資金の問題だとかいうような大きな問題ばかりで、実際に
選挙をやってみて気のつくような技術的な問題がたくさんあるのですね。そういう問題は、
選挙管理
委員長を集めたり、あるいは
取り締まりの府県の
警察本部長を集めたりして経験交流をした程度では、なかなか上へ吸い上がってこぬのではないかという気がするのですがね。たとえば、今もおっしゃった公営掲示場、それから公営街頭
演説会場、こういう問題は、さすがに
選挙管理委員会でも、若干角度は違うけれ
ども、気がついておられるようです。実際、
選挙をやってみまして、これは私だけの経験でなしに、多くの、ほとんどすべての
選挙の当事者の意見がそうだと思うのですが、街頭公営
演説会場なんというものは、これはおよそ無
意味なんですね。これは利用しないのがあたりまえなんで、市町村の
選挙管理委員会にしても、
選挙をやる立場でないからして非常におざなりな、とにかく場所さえあいておればそこへ公営
演説会場の札を立てている。ところが、
選挙をやる場合にはやっぱり相手があることですから、その場所の効果ということを考えなければいかぬでしょう。効果も何も考えないで、ただ空間があるからそこを指定するということに終わっている場合が多い。それから公営掲示場なんか利用されておらないというのは、おそらく今おっしゃったような
理由だろうと思うので、実際には非常に効果的だと思うのですね。ただ、もしそれにもかかわらず利用されていないものがあったとすると、公営掲示場というもの、掲示板というものが、どこの町村のどこどこにあるのかということがはっきり
選挙をやる当事者にわからないわけですね。いなかならすぐ目につくけれ
ども、大都会なんかだったら、いろいろな広告の看板がたくさんあるわけですから、目につかない場合がある。ですから、そういう点を
選挙の当事者に、どこの町のどことどこにこれがあるのだということを早急にはっきり
徹底さす方法を今後は考えるべきじゃないか。それから同時に、むしろ公営の街頭
演説会場なんていうものはもうやめて、それは自由にやらして、そうして公営掲示板をもっとうんとふやすということにしたほうが
選挙をやる当事者にも非常に便利だし、それからまた
選挙民にも非常に親切だろうと私は思うのですが、そういう点のごく技術的な法文
改正になると思うのですが、将来の衆議院
選挙なりあるいは
地方選挙なりに備えて、そういう程度の
改正ということは十分考えらるべきじゃないかという気がするのです。
それからついでに申し上げますが、もう一つは連呼の問題ですね。連呼は
新聞等ではずいぶん評判が悪くて、結局それが世論だということで、連呼は禁止されたわけですけれ
ども、実際問題として、
運動期間は以前は三十日だったのが、
参議院の場合には二十三日と、一週間縮まっている。歩く範囲は非常に広いし、しかも農繁期で、みな家にいない。たんぼに出ている。そういう状態の中で短
期間に
選挙運動をやるというには、連呼以外にないですよ。これはよしあしでなく、実際問題として連呼以外にない。おそらくここへ列席されている
委員の方だって、
大臣自身だって、私は絶対に連呼は自分の
選挙に関する限りしたことがないと断言できる方はおいでにならぬと思うのです。(「最初反対しておったじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、そんなことはない。僕らは連呼を大いに最初強く言うておった。それは石原さんの聞き間違えで、訂正してもらわないと……。これも連呼を野放図に許すということは確かに
弊害があるかもしれませんが、せめて国会の
選挙ぐらいは、場所あるいは時間等の制限をつけるかどうかは研究するとして、連呼ということはむしろはっきり認めたほうがいいんじゃないか、そのほうが
選挙民に対しても親切なんじゃないかと思う。これは
松村さんやなんかはピンとこない点だと思うのですが、
大臣はピンとくると思う。
それからついでにもう一つ申し上げますが、自動車の制限ですね。私はきょうはあまり大きな問題を申し上げません。ごく技術的なことだけ申し上げますが、自動車の制限は、国会
段階くらいの自動車の制限は、これはやむを得ないかもしれません。われわれはやむを得ぬとは思っていないのだけれ
ども、一応は別として、
地方選挙、市会
議員なんかの
選挙に至るまで乗用車一本にするということには、非常に無理があるのじゃないかという気がする。特に来年なんかのように、
全国各府県、市町村一斉にやる
選挙で、それぞれの候補者が全部乗用垣を調達しなければならぬと言ったら、費用の面もたいへんですが、大体実際問題として物理的に絶対量が間に合わぬのじゃないかと思うのです。いなかの、山あり、川あり、イノシシが出たり、サルが出たりするというような市もたくさんあるのですから、そういう市で三十人なり四十人の候補者が一挙にそれぞれ乗用車を調達してやるということは、物理的に不可能をしいることじゃないかという気がするのです。どうも
地方選挙に至るまで乗用車一本に制限してしまうということには非常に無理があるのじゃないかという気がするのですが、それらの点についてひとつ
大臣まず御答弁を願いたい。