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説明員(松島五郎君) お答え申し上げます。先ほど
大臣からお答えをいたしましたように、高校生急増対策につきましては、かねてから政府の立てました
計画と知事会の立てました
計画との間に食い違いがありまして、その
調整が問題になってきていたことは御承知のとおりでございます。食い違いのおもな点は、すでに御承知のことと存じますが、第一点は、いわゆる進学率——生徒の増加数をどれだけ見込むかという問題でございます。それから第二点は建築単価の相違の問題であります。第三点は、建築されます建物の構造比率の問題であります。その他多少のこのほかに問題もございますが、大きな相違点はこの三つであろうと考えております。
第一点の進学率をどうみるかという問題は、事柄の出発点は、急増対策とは何かという問題に実はあったわけでございます。御承知のとおり、終戦後から今日までの間に、高等学校の進学率——中学卒業生に対します高等学校へ入ります者の割合が、毎年約一%上昇してきておるのでございます。したがいまして、今後の進学率の上昇ということは、ある一定段階まではあり得るものということは、当然予想されるところでございます。ただこの問題は、しからばいわゆる急増の問題かどうかということになりますと、多少そこに
見解の相違が実はあったのでございます。すなわち、終戦後から今日まで一%ぐらいずつ進学率が上昇してきたことは事実であり、その上昇は、
財源的には何によって行なわれてきたかといえば、やはり府県の一般単独
事業の
財源の増強という方向において、すなわち
地方自治団体の一般の水準の
向上の問題として、
財源の充実の問題として処置をしてきたわけでございます。この分についての特別の対策という名をつけられたものは、格別なものはなかったのでございます。したがいまして、今後も進学率の上昇があるとしても、その分は少なくとも急増の問題とは一応別個の問題ではなかろうかということが、当初私たちが考えた考え方でございます。したがいまして、
昭和三十五年の進学率が六〇%でございましたので、その状態を、少なくとも急増する生徒の分については維持しようという考え方でもって、当初
計画が立てられたわけでございます。御承知のとおり、
昭和三十六
年度の中学卒業生は約百八十万人でございますが、それが三十八
年度、すなわち来
年度は二百五十万人になるのでございまして、差し引き約七十万人卒業生がふえる。このふえる分について対策を立てることがいわゆる急増対策ではなかろうか、こういう考え方であったわけでございます。しかし、知事会の考え方は、この急増分と進学率の上昇分というものを分けて対策を立てるということはできないという基本的な考え方をとられまして、一切進学率は急増対策であるという考え方をされたわけであります。
そこで、私どものほうといたしましては、なるほど入る生徒数は六二%になりあるいは六三%になるかもわからないけれども、急増分として特別の
財源措置を必要とする分は、七十万人を対象とすべきではないか。ここに従来
見解の食い違いがあったわけでございます。しかしながら、最近文部省といろいろ相談をいたしました結果、観念的に両方区別をさせるといっても、実際問題としては、まあ同時に学校を作るわけでございますから、それはかえって実情に合わないのではないかということから、進学率をそれでは改める方向で再検討をさせようという情勢になってきたわけでございます。その場合に、進学率をそれではどういうふうに見るかという問題でございます。これは、文部省が立てられたものを、私どものほうはそのままお受け取りしたわけでございますが、文部省の考えられました案は、府県の
計画が従来平均の進学率以下であったところは県の
計画をそのまま採用しよう、それから平均以上になっていたところは、一年間一%という過去の進学率の上昇を見込んでいこう、たとえば平均六〇%が従来の例でありますというと、六三%というものならば一年一%——三十五年を基準としておりますから、三十六年、七年、八年と一%ずつ上がって六三%まではこれは上げるべきではないか、さらに、実は府県の
計画の中には、入学者の数が、進学希望者を別途
調査されたよりも上回わっているというような
計画もございます。そういうものは実情に全く合わないものでございますから、それはそれなりに
調整をしよう、こういう
調整の結果六一・八%という案を得たわけでございます。それを基礎にいたしまして
事業費を計算していこうということで、ただいま両省で
計画の再改定をしようというので進めておるわけでございます。
もう一つ、単価と構造比率の問題につきましては、現在大体平均をいたしますと五万たしか四千円くらい、木造、鉄筋、鉄骨というようなものを合わせまして平均しまして五万四千円くらいになるかと記憶いたしておりますが、これを府県では大体八万円かかると、こう言っておる。それはまあ府県の場合は、あとで申し上げます構造比率の問題と関連するわけでございますが、構造比率が、政府の
計画では、新設校につきましては六割が鉄筋、一割が鉄骨、三割が木造という
計画でございますが、実態はほとんど鉄筋九七%という割合になっておるようでございます。そこで、鉄筋の比率は府県の
計画をそのまま採用していこうではないか、そうして鉄筋が従来六万五千円くらいの単価でございましたものを、実態に合わせまして七万九千円に改めよう、そういたしますと、全体の
事業費が両方かけ合わして上がっていくわけでございます。生徒の増加と今の単価、構造比率の改定と、両方を合わせて参りますと、
昭和三十七
年度で大体七十億円くらいのさらに増額が必要であろうという、ただいま推計をいたしておるところでございます。
で、この七十億円のうちには、御承知のとおり、工業高等学校の一般校舎等につきましては、あるいは産業教育
施設につきましては国の
補助金があるわけでございます。その
補助金の積算の基礎を今のように改めて参りますと、同じ三分の一なり、あるいは二分の一でも、おのずから額が変わって参ります。その分は補正
予算——本
年度の補正
予算がありますならば、その機会にぜひ補正
予算として増額をしようということで、文部省は補正
予算の要求を出されておる。それが約十億円くらいになると思います。あと残りました分が六十億円くらいになると思いますが、その分につきましては、
地方債のワクの増大という問題をあわせて考えて参りたい、かようなことで、ただいま
事務当局間において
調整を進める段階にきている状態でございます。