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1962-08-24 第41回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十四日(金曜日)   午前十時十六分開会   —————————————   委員異動  八月二十三日   辞任      補欠選任    鳥畠徳次郎君  谷口 慶吉君  八月二十四日   辞任      補欠選任    武内 五郎君  小柳  勇君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木  壽君    理事            岡村文四郎君            佐藤 芳男君            仲原 善一君            相澤 重明君            大森 創造君    委員            久保 勘一君            鈴木 恭一君            谷村 貞治君            山本  杉君            小柳  勇君            大和 与一君            横川 正市君            和泉  覚君            高山 恒雄君            奥 むめお君            林   塩君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君   政府委員    外務政務次官  飯塚 定輔君    外務省欧亜局長 法眼 晋作君    農林省振興局長 斎藤  誠君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    外務大臣官房会    計課長     佐藤 正二君    外務省経済局東    西通商課長   西宮 信安君    外務省国際連合    局外務参事官  根本  驥君    外務省移住局長 高木 広一君    会計検査院事務    総局第一局長  秋山 昌平君    会計検査院事務    総局第五局長  白木 康進君   参考人    日本海外移住振    興株式会社代表    取締役社長   二宮  謙君    日本海外移住振    興株式会社経理    課長      川野  博君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書(第四十回国会内閣提  出) ○昭和三十五年度政府関係機関決算書  (第四十回国会内閣提出)   —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまより決算委員会を開会いたします。  なお、ただいま委員異動がありましたので、御報告いたします。  武内五郎君が委員辞任され、その補欠として小柳勇君が委員に選任されました。以上であります。   —————————————
  3. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) それでは、昭和三十五年度決算を議題とし、審査を進めます。  本日は外務省の部でございます。  なお、本日は日本海外移住振興株式会社決算についても審査を行なうことになっておりますので、参考人といたしまして、二宮社長土屋常務取締役等が参っておりますので、念のため申し上げます。  それでは、外務大臣より昭和三十五年度外務省関係決算について御説明願います。
  4. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 昭和三十五年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳出予算現額は百三十七億九千四百五十八万三千三百三十九円でありまして、支出済歳出額は百二十五億五千三百五十一万七百七十四円、翌年度繰越額は九億七千六万四千二百六十六円、不用額ば二億七千百万八千二百九十九円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額百二十九億四千百九十七万一千円、前年度繰超額六億三千九百六十五万七千三百三十九円、ローマ日本文化会館建設費二千三百万円であります。  予備費使用額は、退官退職手当の不足を補うために必要な経費二千二百三万六千円、国連警察軍コンゴ派遣費負担金に必要な経費一億九千九十一万九千円であります。  支出済歳出額のおもなものは、予備費使用額二億一千二百九十五万五千円でありまして、前年度から繰り越したものは、技術協力実施委託費一億四千二百九十五万二千二百五十一円、海外技術センター等事業実施委託費一億六千百二十五万一千円、国連児童基金拠出費六十六万七千九十四円、移住者渡航費貸付金二億四千三百九十九万九千九百十四円、在外公館施設費五千八百十二万八千円、在外公館職員宿舎施設費九百六十五万九千八十円、国際連合その他各種国際機関に対する分担金等に十二億四千五百七十五万四千円、国際情勢に関する国内啓発海外に対する本邦事情啓発宣伝、及び文化交流事業を通ずる国際間の相互理解促進に要した経費二億六千四百十万円、貿易振興の一環として輸入制限対策の強化及び経済技術協力関係経費として、コロンボ計画実施中南米中近東等に対する経済技術協力等のため九億九千五百六十二万一千円、中南米諸国への移住者及び派米農業労務者送出するために要した経費十二億九千九百八十五万二千円であります。  そのおもな実績について申し上げますと、貿易振興のための諸施策につきましては、米国においては、議会、公聴会等への出席陳述貿易団体との連繋、対米輸出促進のためのP・R活動等の方法により、またカナダ、豪州及び欧州においては、業界の動向に関する情報の収集、日加日豪及び対欧州貿易促進必要性のP・R等を行ない、輸入制限運動の阻止に努めたのであります。  技術協力実施につきましては、次のとおりであります。  技術研修生受入れでは、コロンボ計画によるもの十二カ国、二百四十三名、中近東アフリカ地域十一カ国、六十九名、中南米地域十二カ国、三十五名、原子力関係七カ国、二十三名、その他のアジア地域一カ国、四名、計四十三カ国、三百七十四名。  専門家技術者派遣コロンボ計画によるもの十三カ国百九十名、中近東アフリカ地域七カ国、三十三名、中南米地域七カ国、十名その他のアジア地域一カ国、四名計二十八カ国、二百三十七名。  さらに、移住振興につきましては、中南米等への移住者送出実績は八千三百八十六名で、他に派米短期農業労務者六百二十名が送出されております。  次に、翌年度繰越額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越額は八億五千二百五十三万一千九百六十七円で、その内訳は、技術協力実施委託費一億七千四百七万九千五百七十六円、海外技術センター等事業実施委託費二億一千九百四万五千三十八円、メコン河開発事業調査委託費二千三百二十九万七千円、移住者渡航費貸付金一億七千七百五十万七千五百六十五円、移住者支度費補助金一千三百二十一万七千三百円、在アメリカ大使館事務所増築工事費六千七百万五千円、在オーストラリヤ大使館公邸営工事費二千三百五十万二千五百四十六円、ローマ日本文化会館建設費一億五千四百八十七万七千九百四十二円、また、財政法第四十二条ただし書きの規定による事故繰越額は一億一千七百五十三万二千二百九十九円で、その内訳は、海外技術センター等事業実施委託費五千七百九十一万一千円、横浜移住あっ旋所新営費四千七百六十二万一千二百九十九円、アマゾニア日伯会館建設費補助金一千二百万円であります。  不用額のおもなものを申し上げますと、国際分担金その他諸費では、国連総会で決定されたわが国の国際連合分担金が当初予定した額より少なかったこと等、在外公館では職員手当が当初予定した額より少なかったこと等のためであります。  以上、外務省所管一般会計歳出決算について、その概要説明申し上げました。
  5. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、日本海外移住振興株式会社決算について御説明を願います。
  6. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 日本海外移住振興株式会社二宮でございます。  御高承の通り当社事業は、渡航前融資を除き、ほとんどすべてのものが、中南米諸国移住した移住者相手としたものであり、特にブラジル国におきましては、相手国内における法制上、支店設置がはなはだしく困難な事情もあり、特に二つの別法人を設立して、投融資事業移住地事業とを分担せしめている関係、並びに設立以来引き続き伯貨国際価格が急激に下落をたどっているため、その他の諸国をも含め、決算円額表示には、絶えず苦心を重ねて参ったのでありますが、検討の末、当社事業性格上、投入資金回収決済が数年以上の長期に及ぶものが大部分である関係上、決算表示におきましては、会社創立以来の各国に対する投入円総額と、これに見合う現地受入れ現地通貨総額との総平均レートを用い、決算円額を算出することに方針を決定いたしておりますため、決算表示円額予算円額との間には、数字の性格に差異がございますことをあらかじめお含みおき願いたいと存じます。  当社は、形式的には、伯国関係を除いた本社すなわち日本パラグアイ、アルゼンチン、ボリビアと伯二法人の三本立となっておりますが、本質的にはこれらを総合して御説明申し上げることが適当と存じますので、以下創立以来の全般的な決算概要を御報告申し上げます。  一、投融資事業 投融資実績につきましては、別途資料を提出いたしてございますが、昭和三十一年以来、三十一年度には一億七千九百万円三十二年度には三億九千九百万円、三十三年度には二億五千七百万円、三十四年度には二億八千万円、三十五年度には四億二千百万円、三十六年度には六億二千八百万円と逐年累増傾向を示し、三十六年度投融資実績累計は二十一億六千五百万円に達しております。  これらの投融資元本に対する利息回収も特殊なものを除き、おおむね順調に進んでおり、その総額は約二億二千七百万円になっております。  二、移住地事業 移住者受入れのための移住地事業につきましては、従来の農耕適地購入につき鋭意調査を進めて参りましたが、三十六年度末現在におきましては、十移住地総面績二十四万三千七百五十ヘクタール、約五千八百ロッテ分土地購入し、これらの造成に着手しております。  これらの移住地分譲による移住者送出数は八百四十八家族四千九百八十四名に及び、移住地購入造成その他造成用機械購入費等を含む移住地関係投資額は、累計十四億八千七百万に達し、これらの分譲代金収入は、三十六年度末で、一億三千五百万円となっています。  三、直営事業当社は、昭和三十五年二月に、ブラジル拓植協同組合から、引き継ぎましたチエテ牧場経営するほか、パラグアイ国及びボリビア国におきまして、移住者の農産物を格納する倉庫を直営し、これらは予期どおりの成果をおさめており、特に申し上げるほどのことはございません。  四、資金収支および損益 当社創立以来、資金源政府出資と米三銀行よりの借款に仰いで参りましたが、昭和三十六年度末における政府出資総額は二十七億二千五百万円、ほかに、民間出資七千五百万円、米銀借款残は二十一億二千四百万円弱となっております。  各年度資金計画の立案に際しましては、移住者送出計画に見合い、かつ企業投資にも蹉秩のないように計画を立てて参ったのでありますが、移住者送出計画どおりには進まず、また企業進出予期どおりには進捗せず、計画に対する実績対比はきわめて低調に終わり、各期末次期繰越額も相当多額に達する結果を示しております。損益につきましては、上述いたしました貸付金利息余裕資金運用益累計約三億円強)のほか、雑収入を含めて 昭和三十六年度収益累計かわずかに六億五千万円であるのに対し、損失面におきましては、実現しました為替差損累計(八億四千五百万円弱)と一般管理費その他の損失総額累計は(支払利息累計三億二千六百万円を含め)約十四億四千八百万円に達し、差引、三法人の三十六年度末未処理欠損額は、すなわち純損失額は、七億九千八百万円に達しました。  この欠損額の発生しました最も大きな理由は、中南米各地に散在する事業対象による管理費の割高に対し、投融資実績が三十六年度投融資残わずかに十一億八千二百万円にすぎないという事実に基づくものと認められます。  かつ、移住地関係につきましては、造成工事完了決算することと定めておりますが、入植進度遅延等事情もあり、この面における一般管理費負担も望みうすい実情でございます。  以上概略を御報告申し上げます。
  7. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、会計検査院より検査報告を聴取いたします。
  8. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 昭和三十五年度外務省関係歳入歳出決算について、検査の結果を報告申し上げます。  外務本省につきましては、書面並びに実地検査をいたしましたが、計理上小さい問題につきまして注意をしたものがございますが、特に不当として申し上げる事項はございません。  次に、在外公館でございますが、これにつきましては、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ三国所在の十二の公館につきまして、実地検査も施行いたしました。その結果、経理職員が不なれである、その他外地で特殊の事情のために、相当注意すべき事項がございましたが、特に不当として申し上げる事項はございません。  以上でございます。
  9. 白木康進

    説明員白木康進君) 日本海外移住振興株式会社昭和三十五事業年度決算に関する検査の結果を簡単に御説明申し上げます。  同会社の三十五年度決算につきましては、主として同会社投融資事業及び移住地事業を中心に検査実施いたしたのでありますが、検査の結果、経理上不当と認めて検査報告に掲示した事項はございません。  なお、先ほど社長からも御説明ございましたように、投融資事業並びに移住地事業ともに同会社計画に対して事業の進捗が相当遅延しておりますが、この点の概況につきましては、検査報告の百四十六ページに簡単にその概要を掲記してございます。  簡単でございますが以上でございます。
  10. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。  なお、ちょっと申し上げたいのですが、外務大臣は衆議院の外務委員会等関係でどうしてもこちらのほうに長くおられることができません。こういう事情がございまして、ひとつ大臣に対する質疑のおありの方は、最初にきわめて簡潔におやりいただきまして、後日なおある場合にはあらためて委員会において取り上げる、このようにいたしたいと思いますから、御了承願いたいと思います。  質疑のおありの方は御発言願います。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 去る三月三十日の日に、この決算総括質問のときに、ドミニカ移民向こう農業経営ができなくて帰った、その帰還者の問題を取り上げて外務省並び農林省見解を聞いたのでございますが、その結論が出ないまま保留して、今日まで検討をしてもらいました。したがって、私は、大臣に、これからも問題は起こるのでありますから、決意を聞いておきたいと思います。  このドミニカ問題は、もう大臣も御承知のとおりに、昭和三十二年度ドミニカ国開拓移住者募集によって、この募集に応じて行った移住者が、向こうに行ってみたところが、募集要綱とほとんど違っておった。行って働けば自分土地になると思って、非常に希望を持って行ったところが、行ってみれば、それは向こう国有地であって、国有地の開墾であった。しかもそれは、現地住民農業ができないものですから、日本の優秀な農民向こうのほうが受け入れて、日本農民に指導さして開拓していこうというようなプランもあったようであります。そういうことは公告に出さないまま、表面上きれいな公告を出して、これで日本農民をつってドミニカに入れたというような形跡もあります。しかもそれを、ドミニカには大使もおる、海外移住協会支部長も行っておる、農林省技官調査に行っている、そのように手数をかげながら、二年間も四苦八苦して働いたけれども、ついに農業経営ができないという見切りをつけて帰って来た。それが一つの家族だけではない、相当の家族が行って帰った、こういうような実情です。  その帰った人たち報告をここにつぶさに私は読んでいるが、私はきょうほど議員になってここで発言することのその責任の重大さと喜びを感じたことばない。それは、このような哀れな人たちが、日本国民の中に数多く泣き寝入りのまま、言いたいことも言えないまま、たくさんの人がしょうがないと言ってあきらめているのではないか。たまたま私がこの文書を手に入れ、その人たち意見をいろいろ聞いたからこそ、私はここで政府に対して国民にかわって苦情を言い、意見を求めることができる。私どもの知らない問題が数多く国民の中にある、かようなことも考えながら、私は今ここで発言をしておりますから、大臣も性根を据えてひとつ返答してもらいたい。  このドミニカ国の問題は、たとえば炭鉱離職者が、どうしても日本ではしょうがないから、職がないから、じゃ行ってくれないかというようなことで行った問題ではない。りっぱなドミニカ国公告が出て、その公募要綱に従って、自分土地を、あるいは家を売って勇躍して行った日本のりっぱな農民である。しかも、身体検査条件も非常にきびしい。いろいろ失格条項がありまして、おそらくこれだけの条件をパスした人たちは優秀な農民であろうと思う。その優秀な農民が、勇躍してドミニカに行って、二年間も、石をのけ、あるいは木の根っこを掘りながら、辛酸をなめてがんばったけれども、ついにだめ。灌漑用の水もついに国の力で引くことができなかった。そういうことは、初めからわかっているのじゃないか。ほんとうに農林省技官が行って、自分がそこに行って働き、自分が開墾するという気持で調査したならば、わかることじゃないか。しかも、そこにはドミニカ大使もある。あるいは、海外移住協会支部長責任を持って移住についてお世話をしておる。そういう人を二カ年間も働かせておいて、ついに見切りをつけて日本に帰ってきた。したがって、このようなことがあるいは将来も起こりはせぬかと思うが、国が募集したり、本人の希望によって海外移住する、そういう移民政策に対して、一体外務大臣はどのような決心をもって今後対処していくか、まず外務大臣決意を聞いておきたい。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ドミニカ関係移住事業につきまして、数々の不手際があり、親切が行き届かなかったということにつきましては、かねがね私たち事情はよく聞いておりまするし、政府としても非常に責任を感じておる次第でございます。  今御指摘された帰国後の援護の問題につきましては、おそまきながら全力を尽くしまして、ほぼ解決の段階に至っておるという報告を受けておりますが、今小柳委員が御指摘された今後の移住政策の実行につきましては、事前の準備、調査、またそれを遂行する場合の親身になってのお世話ということにつきましては、十分心をいたしまして、このようなことがないように万全を期していかなければならないと存ずる次第でございます。私も着任早々でございまして、詳しいことを申し上げる今素養を持っておらないわけでございますが、今後鋭意勉強いたしまして、今御注意いただきましたような点につきまして、十分意を用いまして、今後こういうごとのないようにひとつ努力させていただきたいと思っております。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 私はまだ帰還者援護の問題につきましては言及しておりません。それはあとで言及しますが、私が今聞いておりますのは、外務省移民に対する見解、いわゆる決意です。これからもおそらく起こるでしょう。産炭地振興計画によりましても、相当な失業者が出て参る。中小企業も、皆さんの政策失敗金詰まりによって、これから外国に行こうという者も相当出てくるかもわからぬ。あるいは、海外貿易振興をいたしますと、それに従って海外移民がまたふえて参るであろう。そういう場合に、外国から来る移民募集公告と、実際現地に行って生活してみた場合、全然懸隔の相違がある。そういうようなごまかし外国公告に対して、一体外務省はどういうふうな処置をとるか、これが第一点です。  それから第二は、出先機関大使、あるいは政府役人、そういう諸君がおざなりに、外国の口車に乗って、何人かひとつ日本から移住させようというようなことでごまかしではないかもしれぬ、善意かもしれませんけれども、結果から見ればごまかしだ。そういうような措置をやった出先機関役人に対して、どういう処置をとるか。この文書の中には、親と思えといって行きましたドミニカ大使はまことに不親切であったと書いてある。また、調べに来た農林技官は、ジープで一巡してそのまま帰っていったと書いてある。そのようななまけた出先機関役人がおれば、これから出て行きます移住者というものは安心して生活できない。そのような出先機関役人に対して、あなたはどういう処置をとるか、この二点について決意を聞いておきたい。
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 移民の前提になります事前調査につきましては、御指摘のように、徹底した調査を進めるように心がけたいと思います。  それから、ドミニカ問題にも現われておりますように、カリビア海をめぐる国際情勢というものが急変した。そのために、ドミニカ国自体の政治、経済情勢が非常に悪化してきたというようなことにつきまして、事前に究明が足りなかったということ、そして事後にそれに即応した対策に欠くるところがあったということを私ども十分認めますので、先ほど申し上げましたように、そういったことのないように十分の措置をいたさねばならぬと思います。  それから、大公使その他現地官憲職員に対する措置でございますが、これは関係者から私自身も十分当時の経緯を聴取いたしまして、考慮させていただきたいと思います。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣は、今かわられた直後でございますから、この実態について具体的にまだ調査が進んでおらぬと思いますから、私は、今外務大臣が言われたように、調べて、もしこのような大使がおりましたならば、直ちにかえてもらわなければならぬ。出先では、大使をたよっているたくさんの人がいる。日本国民大使をたよっている。二年間も苦労してどうしてもよくないから、大使館に行って大使に相談した。そういうときに、冷めたい、相談ができないような大使は、置くべきじゃない、やめてもらわなければならぬ。あるいは、あなたのほうでいろいろ世話をするとき、それは大使だけでなく、調査に行かれた方もあろう。私はこの前の委員会調査官の復命書を出してもらいたいと言ったが、出ておらない。その写しも出ておりません。これだけの人を外国公募によって募集している限りにおいては、外務省から調べて、その復命書をちゃんと判定してこれでいいか悪いか判定して、募集するのが、私は至当だと思う。その復命書が出ておらぬから、どのような復命書が出ているかわからないけれども、行く人は外務省あるいは農林省で調べてあるということを信頼して行くのであるから、もしもその調査をしたなら、それはやめさせなければならぬ。そうでなければ、これから安心して海外移住ができない。したがって、もしこれがルーズな−善意失敗もありますから、よくその点を調べて、もしルーズに、外国に行っておる者がいいかげんに調査をして復命した事実がわかれば、即刻やめさせてもらいたい。そうして、涙をのんで、せっかく青雲の志を抱いて出て行ったのに、帰って来てみじめな生活をしている人たちに対して、はっきりけじめをつけまして、これからどうするかという前向きの政策をとっていただかなければ、国民外務省を信頼しません。その点は、大臣ひとつ腹を据えて早急に措置してもらいたい。私は、これを、大臣は就任直後でありますから、お願いしておきたいと思います。  それから、具体的に、今なお、その当時のドミニカ大使及び、これは海外移住協会でありますから、政府役人ではございませんが、当時の支部長及びそのときに調査された農林技官、そういう諸君は現職にあるのかどうかお聞きしておきたい。
  16. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 移住局長から説明します。
  17. 高木広一

    説明員高木広一君) 現地大使は、帰朝命令で、今月末お帰りになります。海外協会連合会の会長は、本年の五月にやめました。それから現地海外移住協会支部長は、やめることになって、辞表を出しました。十二月にやめることになります。そういう状態でございます。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 そういうことで、責任の所在は一応明らかにしてあるようでありますが、それは処罰とか何とかでおやりになってかどうかわかりませんが、その人たちはそうやって自分責任を感じてかわりますれば済みますが、あとに残りました問題は解決いたしません。四月現在でここに帰りました人たちの生活実態が報告されておりますが、四月十二日でございますから、約半年ばかり過ぎておりますが、その後のこの帰った人たちの生活の実態について調査してあるかどうかお聞きいたします。
  19. 高木広一

    説明員高木広一君) こちらに八月  一日現在の報告がございますが、これによりますと、生活保護法を適用されているものが五十四家族、それから保護法を適用されていないものが六十、それから申請中のものが十三となっておりますが、これはもうきまっているのじゃないかと思います。それで、適用されないものの中には、十分の力があり、またはその両親のところにいるもの、両親たち自分のほうで引き受けて請求しないもの、こういうものもございます。それから住宅につきましては、自分の家、借家または会社寮、公営住宅も含めまして、入っているものが百家族、親戚と同居主として親でありますが、二十七、これだけであります。それから就職状況は、これは就職済みが九十六、農業その他自営が十三、それから就職していないものが四十三、就職していないものの中には、親のもとについて適当なチャンスに働くんだというような相当余裕のある人も含めます。大体それが現在のわかりました実情であります。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣、今お聞きのように、帰った人たちは、生活保護、それから就職状況も半分しか完全就職していない。住宅状況についても、親戚の同居が半分以上です。この人たちは、出るときは住宅を持っておった。土地もあった。それを売って行った。帰ったところが、住むに家なく、耕すに土地なく、働くに仕事がない。だから、国が損害賠償してくれという嘆願をしているのであります。聞くところによりますと、若干の小づかい銭程度は国が補償するような話を聞きましたが、私はそれではあまりにも政府責任が足らなさ過ぎはせぬか。自分たち責任じゃないのだと、ドミニカ公告を見て本人たちが行ったのだから、そして本人が行って、向こうで仕事して、できなくて帰ったのだから、しょうがないというふうにあなた方は考えていはせぬか。この帰った人たちの血のにじむような嘆願に対して、外務大臣一体どのように措置されますか、お聞きしておきたいと思います。
  21. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいまのところ、帰国後の援護につきましては、政府責任を感じまして、万全を期しておりますが、ただいまのところ補償をするというところまで私どもは踏み切っていないのでございます。
  22. 小柳勇

    小柳勇君 大臣は今のところよくわからぬわけですが、具体的に嘆願は金額まで書いて国家の損害賠償要求をしております。国が責任を持って、外国からの公告が出て、これを外務省が取り扱って募集したのであるから、それを信じて行ったのである。ところが、行ってみたところが、外務省が言っているような公告の実態と、現地の実態が違ったのであるが、これは国の責任であるから、国が損害を賠償すべきであるという嘆願が出ております。この嘆願に対して、今の外務大臣の答弁はあまりにもそっけないです。あなたの決意をお聞きいたします。
  23. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 援護に万全を期したいということで、鋭意努力をいたしておりますことは、今移住局長から申し上げたとおりでございますが、政府補償ということになりますと、この問題の処理につきましては、政府も、国会の御意向も、いろいろございます。ただいまのところ、私の申しましたように、補償するというところまで踏み切ってはいないという実態でございますが、なおよく検討してみます。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 私は、援護とかいうようななまぬるいことではないと思うのです。この前は、国の援護法適用云々が論議されました。私は、そのとき、詳しい現地の実態なり、本人たちが行ったいきさつを十分わきまえてなかったから、援護法の適用については云々ということを発言いたしました。しかし、私は、その後調査いたしましたところによりますと、これは援護というようなことではなくて、国が損害賠償をすべきである、そういうような見解になっておるわけです。今外務省は、援護というような立場をもって、これを何か恵みで助けてやろうというような気持のようでありますが、それはあなた方は責任がなさ過ぎますよ。どうです、外務大臣。私は、これは、国がちゃんと生活はめんどう見ます、それくらいはっきりした決意にならなければならぬと思うのですが、どうですか。
  25. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほども申しましたように、小柳委員のお気持はよくわかるのでございますが、政府補償ということは、損害賠償をするということは、移住政策全体との関連もございますし、法律論もございますので、ただいままでの検討の結果は、私が申しましたように、損害賠償に応ずるというところまでは踏み切るわけには参らないという事情になっておりますが、なおよく私研究をいたしてみます。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 一月−もっと早い人もありますが、一月ごろ多数が帰ったのですが、それからもう八カ月です。八カ月の間、生活保護とか、職もない、しかも親類に同居しておるというようなこの実態を、しかも一家族ではございません、数十家族、七十九家族ですから。そういう実態を見ながら、あまりにもなまぬるい気がいたします。したがって大臣お急ぎのようでありますが、またこの問題を取り上げることもございましょうが、早急にこの人たちが再起できるような万全の措置をとつていただきたいと思います。具体的には、係官にもう少し私は質問したいと思います。大臣についてもう一回、この今後の生活、七十九家族の生活について、外務省は、あるいは農林省も一半の責任はございましょう、責任を持って措置していただきたいと思うが、もう一度御答弁願って私の大臣に対する質問は終わります。
  27. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今までの検討の結果、私が今申し上げたところのように承知いたしておりますが、せっかくの申し出でございますので、なおよく検討さしていただきます。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 外務省のほうに具体的に聞いて参りますが、このドミニカ募集公告が出ました、これについては、現地人たちが言っていることは事実でございますか。
  29. 高木広一

    説明員高木広一君) 国内の募集農林省がやっておるので、農林省のほうからお答えすべきであるかと思いますが、当時の募集要領というものがございます。これは事実でございます。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 この募集公告が出まして日本移民募集して、それから移民向こうに出発するまでの手続を御説明願いたいと思います。
  31. 高木広一

    説明員高木広一君) 現地における移住地の視察その他によって、移住者を入れる所が決定いたしますと、それに基づいて国内の募集を開始するのであります。これにつきましては、募集要領というものを農林省は作りまして、そしてこれを海外協会連合会に流し、同時に地方自治団体にもこの募集を連絡して、そして各地方々々の海外協会が募集の実際に当たる、こういうような実情でございます。そして募集された方々が今度は海外移住の手続をする、これも海外協会連合会がお手伝いをいたしております。そして海外協会連合会が渡航費の貸付をする、それから本人が船に乗っていくというのが実情でございます。
  32. 小柳勇

    小柳勇君 外国から公募が参りますと、その現地調査については、募集する前に農林省なり外務省調査されると思いますが、そうでございますか。
  33. 高木広一

    説明員高木広一君) 特に新しいところはそういうこともございますし、また、すでに入っておるところの移住地もずいぶんございます。調査しなくてもいいところもございまして、まちまちでございます。
  34. 小柳勇

    小柳勇君 ドミニカの場合については、農林省の中田技官、それから海外移住協会の横田支部長などが調査されたようでございますが、その調査報告などはなかったのでございますか。
  35. 高木広一

    説明員高木広一君) 最初これは中田技官報告がたしかございまして、衆議院のほうにはそれをお渡しいたしました。ですから、あるわけであります。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 働けば自分の私有地になると思って行ったと書いてあるが、国営農場と、その働けば自分土地になる私有地の開墾というものは、ちゃんとドミニカの法律でもはっきり二つに分けてありますが、それが中田技官のような専門屋が調査してわからぬものでしょうか。
  37. 高木広一

    説明員高木広一君) 中田技官農業の方面の調査をしたわけです。そして地形につきましては、これははっきりわかっていて、そして移住者に言われているわけであります。それで国有地につきましては、私もちょっと正確に覚えませんが、十年ですか、十年働けば自分の私有地になるのだ。ですから十年働かなければ、ならない。これはドミニカに限らずブラジルの場合でもそうでございます。移住者の場合、大体そういうふうにして手に入れるわけであります。ボリビアなんかの場合には、二年ということになっておるようでございますが、大体まじめに働く人が手に入れるというのが実情でございます。
  38. 小柳勇

    小柳勇君 農林省の振興局長が見えておるようでありますが、農林省のほうで、今これからも起こる問題ですが、海外移住の場合の調査の方法については、どういうことをやっておられるでしょうか。
  39. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) ただいまの先生の御質問は、今後の移住についての農林省調査をどのように進めていくつもりであるか、こういう御質問かと思います。現在移住のやり方につきましては、大体の概念といたしまして、なぎさの内は農林省でやり、なぎさの外は外務省でやっていただく、こういうことになっているわけでございますけれども現地におきます、先ほど来からの議論になっております調査につきましては、農林省におきます農業関係の技術者、または道路関係の技術者が外務省現地における調査に御協力いたしまして、技術者として派遣をいたしておるわけであります。こういうのが実情でございます。ある場合には、在外公館農林省から参ってある場合もあり、また現地移住会社職員として入っておる場合もあるわけでございます。これがまあ一般的な調査のやり方でございます。したがって、農林省としては、技術者個人を調査に協力する意味において出す、こういう建前をとっておるわけでございます。しかし、内地におきまする募集あるいは送出等にあたりましては、どうしても現地実情も把握して募集に当たるという必要もございますので、毎年現地の既入植地等につきましては、農林省からも人が出て調査に参っておる、こういう実情に相なっておるわけでございます。大体今後におきましても、建前としてはそのようなことになろうかと考えております。
  40. 大和与一

    ○大和与一君 関連して。私は外務委員会で前の外務大臣にお尋ねしたのですが、一番大きな問題は外務省農林省、今は建設省も関係ありますが、この連絡が大体なっていないのですね、率直に言って。これは前の移住局長からよく聞いているが、全然だめだ、その点を小坂外務大臣自分が在任中に必ずやります、こういう言明をしたのだけれども、それは一体農林省なり建設省なりあなた方にきちんと趣旨が徹底して伝わっておるのかどうか。それによって外務省農林省も今までよりもっと連絡を密にしてできるように仕組みができたか、これが第一のお尋ねですね。それをひとつ。
  41. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) ただいま申し上げたような考え方も、大体今御質問になったような趣旨で動いておるわけでございまして、現在のところ、この間におきまする外務省との協力あるいは連絡調整につきましては、十分意を払ってやっておるわけでございます。ただ、この問題につきましては、従来の行き方自身につきまして、移住全体の今後のあり方とも関連する問題でございますので、われわれといたしましては、さらには目下移住審議会で移住政策の根本対策検討されておられますので、いずれそれから何らかの結論が出るだろう、その結論を待ちまして、その線に沿って改善すべきものを改善する、こういう考えに現在立っておるわけでございます。
  42. 大和与一

    ○大和与一君 もう一つは、特に熱帯農業の技術指導ですね、これに重点が置かれるのだけれども、それでは一体今の日本の、あなた方が推薦できる熱帯農業指導者、体験者、理論的に裏づけのある人、こういうのは一体何千人ぐらいいますか。それもなくて、ただ口ばかりで行け行けと言っても、適切な指導はできにくいわけですね。これは悪口でなくて実態なんだから、一体何千人か何百人か知らないけれども、そういう人がおって、これから勉強していく人に十分に適切な指導をする、これが現在まで、私は行なわれていないと思っているのだけれども、そうすると、そういう人を早急に養成しなければならぬと思うのですが、その苦心はわかりますけれども、そういう具体的な計画はやっておるか、できておるか、それをひとつ。
  43. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 今の御質問の点は、国内にそういう人がおるかという御質問なのか、あるいは向こうに行った場合に、そういう指導者が現地におるかというものか、ちょっと明確でなかったように思いますが……。
  44. 大和与一

    ○大和与一君 両方を……。
  45. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) まあ現在国内におきまする南方あるいは熱帯農業についての専門技術者が何人おるかということにつきましては、今数字を用意しておりませんけれども、民間のたとえば東南アあるいは台湾等からかつて製糖企業なりに参加したものであるとかというような技術者等も相当国内の民間の企業の中にはあるのではないかと思うわけでございまして、随時そういうような人のいろいろ御協力も得ておるわけでございます。しかし、入植移住の問題はむしろそうではなくて、現地に入りました場合における適切な営農指導をどうやっていくかということが一番の問題でございますから、その農業の立地条件あるいは営農条件に応じて、どのような営農指導をやっていくかということになりますれば、当然それは現地における農業の試験研究機関なり、あるいは現地におけるそういう指導者の力を活用するとかいうようなことも多分に期待いたさなければならないのではないかと思うわけでございます。もちろんそれに必要な国内からの営農指導員を送り出すということも必要でありまして、現地における営農指導自身につきましては、直接農林省としては担当しておりませんで、そういう技術者の要請がありました場合に、適格者を出すように御協力を申し上げる、こういう立場にあるわけでございます。
  46. 小柳勇

    小柳勇君 農林省のほうの中田技官、これは個人の名前を言って済みませんけれども、中田技官という人はどういうことを専門としておる技術者でございますか。
  47. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 農業土木についての技術者であります。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 過去のことを言っても始まりませんが、将来の移住政策については、大きくは二つあると思うのです。一つは、出るまでに完全な態勢を整えて出ていくということと、それから行った先で日本国民としてどのように指導していくか、あるいは守っていくかという対策でございますが、この点について、外務省のほうと農林省のほうに、今後の基本的な態度についてお聞きしておきたい。
  49. 高木広一

    説明員高木広一君) 戦後の海外移住が、特に終戦時におきまして海外から数百万の日本人が帰ってこられ、国内は疲弊して行くところがない、食糧も不足であるという時から始まりましたのでありまして、そういう意味におきまして、海外移住というものが、ややもすると過剰人口をこれで解決するのだというような気が強く、そのために移住というのは、海外で労働が不足しているところに労働者を募集して出すのだというような、非常に安易な、同時に、国の丸がかえ式な考え方が中心になっていたのであります。しかし、現在の情勢は、日本のような国におきましても、人口過剰と言い切れないような状態で、労働力が不足し、都市のみならず農村も人口不足というような時代であります。他方、海外移住というものを、過剰人口を出すというような考え方は、どうしても国内に残る者を中心に考えて、余った者を外へ出すということになって、優秀な人間が外へ出ていかなければいかぬという移住本来の立場からは、どうしても好ましくない。そういう意味におきましては、むしろ国民の中に、海外発展の気風をもっと燃え上がらす、そういう気持は相当あるのであって、これの啓発をもっとやる必要がある。ヨーロッパ諸国に比べて日本がいかに世界の舞台に立ちおくれておるかという点から考えましても、その他国民の気風からいいましても、もっと海外事情というものを啓発する、そのもとにおきまして行きたいという人にできるだけ、まあこれは小柳先生がおっしゃいましたように、訓練を与える、これは語学あるいは農業訓練、あるいは将来は技術移住者海外における需要が多うございますし、日本としても行きたい人が多うございますから、こういう人たちにもできるだけ訓練を与える、また十分な試験をして出す、こういうことをしていきたい。すなわち、出す前の訓練にできる限り力を注ぎたい。それから行きましてからの指導援助でございますが、これは戦後の移住者の指導援助は、日本の何と言うのですか、自分ひとりでやるという傾向がかなり強いのでございます。ところが、世界の海外移住に対する現在の考え方は、発展途上にある国に対する労力だけじゃなくて、技術を持った移住者の開発協力というのが一般の通念になっております。そういう意味におきましては、われわれの移住計画自身も相手の国と十分話し合って、相手の国からの協力と意思、あわせてやっていくというラインで進めていきたい。しかし、そう申しましても、ブラジルにいたしましても、たとえばアマゾン地域になりますと、アマゾンのみでなくほかの地域もそうでございますが、なかなか予算上十分の金が行き渡らない。計画はあってもその金が伴わないということがございますので、その点はわれわれが補っていく。しかしながら、進め方は相手の国を中心にして、それにわれわれが補うという立場で進めたい。特に移住者日本の国を離れて相手の国へ入りましたならば、相手の主権下に立つわけでございまして、日本政府としては、日本の在外邦人の保護という立場から相手政府のやることを見、足らないところを援助する、こういうラインで進めていきたいと思っております。具体的のやり方といたしましては、新しい移住地については、移住地調査をもっと厳重にしたいとか、それからへんぴなところにおきましては、教育、衛生にも、もっと充実を期したい。それから一番根本的な問題は、移住お世話をする人間が足らない、優秀な人間が足らないということが、金が足らない以上に欠点なことでございまするが、こういう人間の養成、プール化ということが非常に大事だと思います。その点で海外協会連合会、これが政府の補助金でお世話をしているのですが、これの強化と拡充に重点を置きたいと、こういうふうに思っております。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 農林省の弁答を……。
  51. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) ただいま移住局長からお話のありましたような方向に即しまして、農林省としても農民向こうに行くわけでございますので、的確なる農業条件がどのようなものであるかということについての調査並びに入りました土地における今後の農業として営農の成果がどのようなことになるかというようなことにつきまして、やはり的確なる情報を応募者に与えていくというようなことについては、一そう拡充すべきではないかというように考えている次第であります。
  52. 小柳勇

    小柳勇君 今、帰還された方たちの生活のめんどうを見て、たとえば補償するといたしまして、請願が出ておりますのは、莫大な金額でありますが、約三百五十万くらいの請願が出ておりますが、たとえばその請願をかなえたとすれば、外国で今働いている方が、よし、おれたちもひとつ帰ろうというようなことで、帰るような——逆を言うならば、向こうに行ったけれども、どうも生活が思わしくないと、現在そういう移住家族がございますか。
  53. 高木広一

    説明員高木広一君) ざっくばらんに申しますと、先般ドミニカ帰国者が数百万円の国家補償を要求したということは、南米全土に広がっておりまして、移住者、非常に成功しておられる方も、今非常に苦労な試練期を経ておられる方も、行ったばかりの人も、非常な関心を持って見ておりまして、もしあの補助が行なわれるならば、これは日本移住政策としてはたいへんなことだ、これはもう日本海外移住なんということはあり得ないのであって、むしろちょっと弱ったらみな帰ってくるのじゃないかということで、非常に心配せられているのが実情であります。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 そのような家族移住された方たちに対しては、外務省なり農林省として、現在どのような指導及び保護がなされておりましょうか。
  55. 高木広一

    説明員高木広一君) 海外移住は非常に複雑でございます。たとえば新しい移住地における、ほんとうにその地に適した営農ができるというためには、もちろん初めにいろいろ調査研究もいたしますが、移住者自身も苦労をなめるのであります。そうして初めある農作物が一番適していると思ってやったが、どうしてもやはりこれはいけないということで、ほかのに変えて、それで大成功したというようなこともございます。二度ならず三度以上の苦労を経て移住地というものは安定し、栄えていくのであります。戦後の移住におきましても、ボリビア移住パラグアイ移住におきましても、一時は餓死に頻する人があるのじゃないか、パラグアイでもそういうことがありました。ボリビアでは道路が悪いということも言われましたが、これなんかも、政府としてはできる限りの援助をしておるのでありますが、予算の関係もあってなかなか徹底しません。しかし、その後の補助の強化等によりまして、ボリビアでは道路が、完備とは言えないのですが、まあまあよくなりましたし、その後の営農が非常によくいって、現在では模範移住地の一つになろうとしております。パラグァイにおきましては、入りまして早々、三つの植民地がありまして、一つは、各地方々々から寄り集まりの移住地、二つは、一つのところから集団して行かれた一もっと具体的に申しますと、高知県から行かれた方と、岡山県から行かれた方と二つの植民地に行かれまして、この一カ所からまとまって行かれた植民地の一つは、一番成績がよく、ばらばらで行かれたところがまん中で、それからもう一つ、これは岡山でありますが、これは非常に悪かった。まあ指導者が悪かったということになるのでしょうが、そういうことで一番悪かったところが、餓死に瀕するというような誇大な宣伝−実際はそうではなかったようでありますが、それが内地に伝わって非常に心配したわけであります。その後生活はよくなり移住も安定しております。ただ、パラグァイでは、いまだに人口が少ないところで集荷した生産品をどこに出すのだということでマーケット制という問題も研究されております。これについては、政府としてはパラグァイ政府に船舶借款を与えて、パラグァイ自身の船を持たせることによって、パラグァイから外に出す船賃の軽減ということをはかる、その他日本政府としても、営農指導の強化その他移住会社の金融による強化とか、あらゆる手を加えましてパラグァイの移住地も安定し、有望性のある移住地となっております。  また、ブラジルのアマゾンにグァマという植民地があります。これはブラジル政府の植民地でありまして、初め国の予算で相当りっぱなキャナルを作り、アマゾンの水を入れたりとめたりすることによって米作をやるのだという考えで、相当の希望を持ってやり出したのですが、いよいよというときになって、金がアマゾンまで及ばなかったということで、ブラジルのほうではストップしてくれと言われたが、日本のほうでは募集してしまっているのでやむを得ないからというので出してしまって、問題になったところもございます。しかし、これもその後、半分ぐらい間引きまして、残った人には移住会社による融資、特に耕作機械を購入する融資をいたしまして、今日ではこの心配せられたグァマも、安定した移住地になっているというのが実情でございまして、移住地の安定するまでには相当苦労があり、移住者自身も苦労をいたしますが、その苦労の断面をとらえて、これが失敗だとは言い切れないというのが実情でございます。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 ドミニカ問題をしめくくるために、あと二つだけ質問します。  一つは、この嘆願書の報告によりますと、初め政府から調査してもらって、安心して行ったところが、二年間ただ働きしてみたけれども、ついにいけないので、外務省文書で連絡して、鶴我参事官以下五名で現地調査に行かれて、ついにドミニカ移住すべき土地ではなかったという結論が出た、こういうことが書いてある。そういたしますならば、これは本人のいわば運だとか損だとか、そういうことでなくて、政府がその責任の大半を背負うべきだと思う。それならば、私は、海外におられる今の移住者の士気を阻喪するかもしれないけれども、この際思い切って国家が損害を賠償し、あるいは援護すべきであると思う。現在までとられた援護の金の金額、それをお話しいただくと同時に、今後どのように指置しようとしておられるか、お聞きいたします。
  57. 高木広一

    説明員高木広一君) ドミニカ移住者は、約三百家族ございまして、そのうち帰りましたのは百二十家族余りでございます。そうして残っているのは百四十家族ばかり、二十何家族が南米に転入いたしました。日本へ帰国いたしますために国援法、つまり困った人を国の援助で帰すという法律でございますが、これによりまして帰すために約七千七百万円国が使いました。そうしてこれらの人が帰られましてから郷里へ落ちつくまで、及び郷里へ落ちつきましてからも、就職の世話、住宅の世話ということのために、県及び地方海外移住協会への御応援を願うための事務費、こういうものを合わせますと、約九百万円弱の金を使っております。で、帰国者一人につきましては、おとな一人に見舞金一万円、そのほか宿泊費、帰郷の汽車賃、車中の小づかい、それから救済品、これらのものを支給しております。  ドミニカ移住につきまして、政府としても不十分な点が多々あった点は、われわれ十分責任を感じておりますが、同時に、しからば、ドミニカ移住失敗であったかということは、簡単には言い切れません。現在あそこに残って、ドミニカはこれからむしろ有望になってくるのだと言って張り切っておられる方も非常にあるわけでございます。特に現在、ドミニカの一ペソはアメリカの一ドルということで、最近におきましてはアメリカの援助、それからドミニカの砂糖を買うというようなことで、ドミニカの経済状況は、一時に比べますと非常によくなっております。そういう点で残ることに希望を持っている人もあります。ただこの当時は、トルヒーヨという独裁者がおりまして、これが非常に親日で、日本人にはドミニカ人以上の待遇をしたわけでありますが、これの政権が危うくなった。危うくなった理由は、これもだれも予想できなかったのですが、隣の島のキューバでカストロが出て、トルヒーヨのような独裁者を残すことはいけないというので、ドミニカのまんまん中、日本移住地に近いようなところヘキューバからの侵入軍が入ってきた。飛行機で入ってきて、これはつかまったのであります。こういうことが日本移住者に動揺を与えた。特に日本移住者の中には、満州から引き揚げられた方がおられまして、あの戦争のときの悲惨な経験を想起せられて、早くこれは帰ったほうがいいのだという運動を起こされたのです。  それから他方、ドミニカ自身は、キューバ及びその南のほうでは、ベネズエラのベタンクール政権というのが、やはりカストロと同じように非常に進歩的な政権をとっておりまして、独裁者反対ということで、これと呼応して、まず最初にキューバとベネズエラがドミニカに寄った船はキューバ、ベネズエラには寄せないという政策をとったために、ドミニカヘの船は寄らなくなった。これに業を煮やしたトルヒーヨが、これは事実かどうかわかりませんが、ベネズエラのベタンクール暗殺事件がございまして、それに関係があるということをいわれて、そのために米州諸国ドミニカと国交断絶をし、経済封鎖をしたのであります。ドミニカ日本よりもずっと小さい島でありますが、カリビア海の遊覧地のようなところでありまして、アメリカ、ヨーロッパから金持ちが来て、そうして豪奢なホテルで金をばらまいているところであったのでありますが、観光客が来なくて国内がさびれるだけじゃなくて、バナナとか砂糖とか国内で作ったものの輸出がとめられて、日本人が作ったバナナも、つい隣のアメリカ領の島がございますが、プエルトリコですか、目と鼻の先の島でございます、ここへ出すこともストップされたということで、ドミニカの繁栄が、暗黒のどん底に落ちた。これが移住者の生活を脅かし、精神的にも悩ました。  それからもう一つこれが南米のような広いところでございますと、移住者もまだまだやり繰りができたのでありますが、ドミニカ移住者はせいぜい多くて六町というようなことであります。しかしながら、その土地は、ドミニカ政府が整地してそうして耕せるようにして与えた。それから家を与え、家には、ところによっては電気、ガスまでついているというようなことで、そうして生活が安定するまで生活補給金か与える。これも当時は非常な魅力であったと思うのですが、一家族六十ドルから百ドル余りの補給金を与えられた。この話が始まったのは昭和二十九年でありましたが、実際移住者が行ったのは昭和三十一年であります。その当時の状況から見ると、日本の官民——移住者ももちろんのこと、そういう状態に非常な興味を持って行ったのはもちろんでありますが、そういうために、ドニミカの状況がだんだん悪くなって、従来生活補給金をずっと続けて与えられていたのです。先方との約束では、第一期の収獲があるまでということになっていたのですが、数年間続けられていたのです。一つの理由は、整地をすることがおくれていたためでもあります。この生活補給金が減額せられたり、ストップせられたということが一つ、それからその与えられた土地が非常に少ない、そうしてまた非常に条件の悪いところもあったというようなことで、われわれといたしましても、もしドミニカの政治経済情勢がこのまま続くなれば三百家族は無理であろう、その一部が帰るのはやむを得ない、われわれはできれば南米のほうに転住を中心に考えたいと思ったのでありますが、一部には日本に帰したほうがいいような人もありました。まず返す、そうして一部は南米へ移す、そうして残る人にはできるだけドミニカ政府に強く交渉して、土地の増配をさすとともに、われわれの移住会社の融資も強化するといとラインで進んできたわけであります。移住者にまことに気の毒な人もございますのですが、移住政策全般から考えて、やはり政府が損失補償するということは、これは少し無理であろう、こういうふうに思っております。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 就職の問題はさっき答弁がございましたけれども、たとえば労働省あるいは厚生省との連携など、そういう点について抜かりはないと思いますけれども、職業訓練なり再就職なりについて、万全の措置をとっていただくと同時に、嘆願書の最後に書いてございますが、再びまた海外移住するような機会もあるいはあるかもしれない、このときも、もうこれは失敗ではないか、こういうような人はだめではないかという烙印を押してもらいたくない、そういうことが嘆願書の最後に書いてある。この点について見解を聞いておきたいと思います。
  59. 高木広一

    説明員高木広一君) 就職の問題につきましては、労働省と緊密に連絡をとっております。労働省も非常に積極的に協力をしていただいております。幸い現在は労働力不足でございますので、帰った移住者が思うような就職でない場合も間々ございまして、ある場合には、それはいやだといって断わる場合もございますが、大体落ちついておられるように思っております。この点につきましては、労働省にお願いして、労働省は地方の職安及び県の労働関係を通じて始終本件の世話を促進しております。私のほうも地方知事に対しまして、本件の十分の世話を常にお願いしておりまして、連絡をとっております。移住者全般のためということで一部東京におられてまだ就職せなかったり、いろいろわれわれのほうへ出入りされる方がございますが、地方にお帰りになった方は大体安定しているというふうに私たちは伺っております。しかし、それが希望どおりの十分な就職であるかどうかという点については、御不満の点もございますので、その点は今後とも十分希望に沿うように努力する義務があると考えております。  それから帰国せられた方の再渡航でありますが、これは、それがために外国のもうこれから再渡航をとめるということは、確かにおっしゃるとおりいけないことだと思います。同時に、帰られた方はできるだけまた再渡航さすのだというような形でこの問題を解決することもいけない、移住はやはり相当忍耐を要し苦労も要します。そういう意味においてドミニカで苦労をせられたために、かえって移住者としての能力が増したと思われるような人には、われわれももちろんこれから適当な移住地お世話するようにしたいと思います。家族構成あるいは身体の状況等で行けない方もあります。こういう人を無理に出すことはやめたい、こういうふうに考れております。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 帰還者家族に対する今後の格別の御配慮、援護あるいは指導をお願いし、なお家族も各自再起の方向に進ませていただくことをお願いしてドミニカ帰還者の質問を終わります。  最後に、この前質問を残しました海外協会に対しては、その後やはりこのような組織で運営していこうと思っているのか、あるいは外務省でもう少し、いわゆる役所的な力を加えて海外移住に力を尽くそうとされるか、たまたま海外移住振興株式会社決算も一緒にやっておりますが、このような民間を中心にして海外移住の振興をはかるがいいのか、あるいは外務省にも少し予算をとって役所的に積極的に海外移住政策をやろうとするのか、大臣に聞きたかったのでありますけれども大臣がおられませんので、移住局長から御意見を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  61. 高木広一

    説明員高木広一君) 海外移住の実務機関及び金融機関として海外協会連合会と日本海外移住振興株式会社と二つある一わけでありますが、株式会社のほうは金融及び移住地造成をやっております。海外協会連合会は、これは民間団体として発足したものでございまして、これは全額政府の補助金をもって移住の推進、移住者援護をやっている組織であります。このそれぞれをどういうふうにしていくかという問題はまことに重大な問題でございまして、実は海外移住審議会におきましても、移住の基本的なあり方について諮問いたしまして、目下海外協会連合会及び移住金融のあり方について真剣に検討中でございます。審議会におきましても検討中でございます。われわれといたしましても、この意見も十分尊重しながら今後善処していきたいと、こう思っております。いま一応外務省で考えておりますのは、海外協会連合会は法律に基づく団体でございません。したがって、これの職員の待遇も非常に不徹底でございます。十分な人材を得られないという点は確かに欠点でございます。さっき申しましたように、移住お世話する人の養成ということが一そう重要でございますが、海外協会連合会を強化する道を講じ、これは昭和二十九年の閣議決定では、海外協会連合会を法制化するということでございますが、法律に基づく事業団体のようなものができればけっこうだと思っております。移住審議会の答申をも参考にしながら今後善処したいと、こう思っておるわけであります。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、外務関係で五、六点質問をしたいと思うのですが、日本貿易経済委員会の開催の問題と、国連協会の問題とスタッキーニ製造会社に対する点と、日本海外移住振興株式会社の点と、それから今次の日ソ貿易について、少し伺いたいのですが、なるべき簡略に、なるべく早く終わりたいと思いますので、要預よくひとつお答えいただきたいと思います。  まず第一に、三十五年度決算の中で、実は一昨日防衛庁の決算をしたときに、私が二年前にイタリア・スタッキーニ会社のロケット弾の契約の問題について質問したことが、今日まだ契約履行ができないで裁判を行なっておりますが、その問題について、外務省側の見解をただしておきたいと思うのであります。この外務省側が——日本の防衛庁、日本政府外国商社との契約を行なう場合に、当然在外公館あてに、国内政府としてはそれぞれの機関が調査を依頼をするわけでありますが、昭和三十三年に、藤山外務大臣から在イタリア太田特命全権大使にあてて出した書類によりますというと、当時のスタッキーニ開発会社というものがどんなものであったか、こういう点について、外務省調査をしたことがあると思うのです。その調査の結果をひとつ報告をしてもらいたい。
  63. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) これは、当時昭和三十三年の六月二十三日であったと思いまするが、初めて防衛庁のほうから調査を依頼されまして、直ちに訓令を出しまして調査をした結果が七月二十八日に報告が参っておりますが、当時はすでに工場が現地に閉鎖されておる、ストライキによって。そういうことがわかったわけであります。さっそくそれを防衛庁のほうに報告しておいたわけであります。
  64. 相澤重明

    ○相澤重明君 会計検査院にお尋ねいたしますが、今のような外務省報告が防衛庁に報告をされておる、こういうようなことはスタッキーニ会社に発注をしたロケットの問題について指摘をされておるわけでありますが、そのようなことが発見されましたか。
  65. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) ただいまの問題は、私の役所では第二局で所管いたしておりまして、私は承知いたしておりません。
  66. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは担当者がおらぬようですから、この点外務省にいま一つお尋ねをしておきたいと思うのですが、当時の事情を今御説明をいただいたわけでありますが、そういう太田特命全権大使報告に基づいて防衛庁に外務省報告をしたのに、防衛庁はそれを十分審査をしないで発注をしたうらみがあると思うのですが、そういうふうにあなたのほうはこの事情については十分説明をしなかったのですか。その点いかがですか。
  67. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) 私の存じておるところでは、そういう報告をしたあとは、すでに発注して事件の起こったあとでありまして、私はその後において新しいことは起こっておらなかったというふうに了解しております。
  68. 相澤重明

    ○相澤重明君 三十三年の報告により、さらに三十四年に調査をされたものを見ますというと、しかし、これは防衛庁の調達実施本部が契約をするといっても、防衛庁長官が直接するわけじゃなくて、やはり担当者が在外公館に十分そういう点は連絡があると思うのですが、そういう点、三十四年の当時の報告書を見ると、どうも外務省との連絡が不十分であったのか、それとも外務省は電話で聞いておって十分連絡をされなかったのか、その点はどちらなのです。もう三十三年に報告をしたあとだから、三十四年に具体的にそういういろんな問題があったけれども外務省としては連絡をしなかった、こういうものなのですか。その点をひとつお話しいただきたい。
  69. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) ただいま申し上げましたとおり、外務省といたしましては、初めてこの問題を知ったのが昭和三十三年の六月二十三日でございました。調査の結果は、ただいま申し上げましたように、七月二十八日付をもって報告をいたしております。しかるに、その後同じ年の九月の八日にはすでに第一回の債権者大会が開かれておる。でありますから、事柄の性質から考えて、三十四年にはもはやこれはすでに破産措置に入っておるというふうにわれわれは解するわけでございまして、したがいまして、われわれの承知する限りでは、その後はこれは普通の法律の手続に従ってこの会社の清算手続が済んでおった、こういうふうに解釈しておるわけであります。
  70. 相澤重明

    ○相澤重明君 いま一つ尋ねておきたいのは、三十三年の十二月に、今度は太田大使から藤山外務大臣に対して、当時の、今のあなたのお話のようにローマ地方裁判所が破産宣告を行なった。したがって、防衛庁はスタッキーニ会社に対して優先債権者としての取り扱いは受けられないけれども、ダンテ氏を通じて、そして保険金支払いをオルト・レポー社を相手取ってやった。太田大使から、その訴訟を提起するには手続上どのくらいの経費が必要である、こういうことを言ってきましたか。
  71. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) 最初の報告によりまするというと、手続の費用は大体として保険金の二%という報告がありました。ところが、続いて九日たちまして訂正が参りまして、手数料としては、契約金額の二%並びにイタリーの法律できまっている一定の手続〇・一八%というものが必要であるという報告が参りまして、この報告に従いまして、当時邦貨にいたしまして九十八万円を納めた、こういう次第であります。
  72. 相澤重明

    ○相澤重明君 当時の太田大使から来た保険金の契約額の二%、約八十万リラというものに対して今のお話の〇・一八%、総額に対する〇・一八%ですね。
  73. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) これは保険契約ではなくて、最初の会社との契約金額の二%というふうに訂正が参っているわけでございます。九日たちまして、最初保険金の二%というのが、そうでなくて会社との契約金額の二%プラス所定の手数料〇・一八%、こういう報告が参っておりまして、訂正された報告に従って手続をしておったわけでございます。
  74. 相澤重明

    ○相澤重明君 その訂正した手続によって支払った額が九十八万円ですか。
  75. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) そういうことでございます。
  76. 相澤重明

    ○相澤重明君 その点、そうすると、それは三十三年のいわゆる二百八号に対する、さらに訂正をしてきて問題であると思うのでありますが、そうすると、三十五年にさらに防衛庁ヘダンテ弁護士から、この売買契約書の保証上の登記、こういうものについて登記料を請求をしてきたのは幾らになっておりますか。
  77. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) これは、今のちょっと御質問の趣旨が私は不明確であるのでございますが、お話の保険証の登記手数料と申しますのは、今の〇・一八%の中に入っているのじゃないかと思っております。したがいまして、ただいまの契約金額の二%並びに法律所定の〇・一八%という中に、私はいろいろ印紙税であるとか、あるいは契約謄本代金であるとか、その他のものが入っておる、かように私は解釈いたしております。
  78. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、いま一度念を押しておきましょう。最初の保険契約書に対する二%は約八十万リラということですね。それを九日ばかりたった後に契約改定をして言われてきたのが契約額総額に対する〇・一八%、それが邦貨九十八万円、そういうことですか。
  79. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) 最初保険金額の二%というのが、その後九日たって訂正報告がございまして、最初のス会社との全体の契約金の二%、並びにプラス、イタリアの法律所定の手続による手数料〇・一八%というものになってきた。それが総計九十八万円、こういうことになっております。
  80. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、最初八十万リラ、これを当時の邦貨に換算すると幾らですか。
  81. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) 一リラは——大体一ドル六百二十リラぐらいだと了解いたしますから、それで計算いたしますと、九十八万円の約半分ぐらい、だから、まあ五十万円ぐらいになるのじゃないか、目の子勘定でございますが……。今ここに数字が出ておりますが、正確に申せば四十八万円。
  82. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、当時の金で八十万リラ、四十八万円だとすると、九十八万円はリラに直すとどのくらいになりますか。
  83. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) これはリラでありますと、正確に申し上げられないのですけれども、大体百五十万リラじゃないでしょうか。これは目の子勘定ですから、あとで正確な計算をして参ります。
  84. 相澤重明

    ○相澤重明君 私も実は計算をいろいろやっているのですが、どうも数字がぴんとこないんですよ。そこで、当時、実は三十五年には鈴木大使から藤山外務大臣に対してまた報告が来ておるわけです。それによりますと、今度は百七十一万五百四十リラということになっておる。私もいろいろ計算をしてみると——当時の金額、それをリラに換算する、そのリラを今度は邦貨に換算をする、こういうふうにやってみると、どうも数字が合わないのです、私自身。あなたのほうは概算ということでありますから、これもはっきりしないのですが、どうなんでしょうか。外貨の変動によってそういうふうにふえたものでしょうか、どうなんでしょうかね。この点がはっきりしないのですが、外務省は専門家ですからひとつお答えいただきたい。
  85. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) 近年イタリアのリラは大体安定しておりますけれども、これは為替相場のことでありますから、ときにしばしば変動がございます。でありますから、ただいま御指摘の金額の相違は、はたして純粋に為替相場の差によるものかどうかということは、後刻に正確に計算をいたしましてまた御提出することができると思います。
  86. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、当時の第一回の太田大使報告をしてきた保険契約書に対する二%、これをリラと邦貨に換算をしたものを出して下さい。それから、今度それを訂正をしてきたと言われましたね、それを出してもらって、さらに最終的に三十五年にこの支払いをした、送金をした、その時点におけるひとつ金額を出していただきたい、こう思うのですが、よろしゅうございますか。
  87. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) 確かに承りました。これをお聞きした上で、正確にできるだけ資料を集めまして計算をして出したいと思います。
  88. 相澤重明

    ○相澤重明君 それではスタッキーニ会社の問題はこれで終わりたいと思うのですが、裁判の進行状況については、在外公館のほうから何か言ってきませんでしたか。
  89. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) これは、たしか本年の四月の十八日公判がありました。ところが、一方それとは別に破算手続による和議の手続が進んでありまして——和議ですね、これは破算申請されますと、いろいろ手続がございます。和議の手続がございまして、それによって債権の二五%を払うということが決定いたしました。そこで、公判中の裁判所がそういった和議の手続による二五%支払いが済んだあとで、さらに公判を開く。公判と申しますのは、これは日本側とイタリアの会社側との関係でございます。そこで、日本側としましては、和議の手続による二五%の支払いを受けたあとで、残ったその七五%については、さらに訴訟をする、こういうことになっております。
  90. 佐藤芳男

    佐藤芳男君 私も法律の専門家じゃございませんが、私の知り得る知識から申しまするというと、裁判が進行中のさなかにおいて和議が提訴されますれば、もちろんその裁判は停止されまして、しかも、和議が成立をいたしますれば、その和議条件に一切の権利者は、債権者は従わねばならぬ。したがって、和議の決定条件によって二五%支払いを受けて、その後において残額について訴訟を起こすということは、一体可能ですか。私は不可能だと考えますが、この点の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  91. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) そもそもこの会社に対する前払金ですね、保険会社がこれを保険しておりまして、前払金の二千何百万円というものは保険会社が保険しております。そこで、その保険金額をもらうということになってくるわけであります。したがって、これは今のス会社の一般債権手続と別の手続でございまして、したがって、この和議の手続は確定債権の優先債権を除いたあとの一般債権の二五%、それは目下進行中で、その進行を待っている、他方、この保険会社の保険をしている金は、前払金の保険でございまして、これは別途要求しておる、それが七五%になると、こういう計算だろうというふうに了解いたします。
  92. 佐藤芳男

    佐藤芳男君 そういたしますと、前払金の保険の問題は、和議の範囲を越えておる、和議条件の範囲ではない、かように解釈されておるのでございましょうか。
  93. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) この点は、在伊大使からの報告には詳しく出ておりません。出ておりませんが、われわれの一般の法律知識から考えて、現段階においては、現時点においては、さように解釈しておるわけでございます。
  94. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、まあ外国とけんかをするのが能じゃないけれども、しかし、事は国家財政の問題ですから、特に二年前に私がこの問題を指摘をして、当委員会として何回も実はお互いに審議をした問題です。そこで、少しでも国損をなくす、こういうのが建前でありますから、今のあなたの御説明を聞くとス会社に対する損害賠償と、保険会社に対する、保険金支払いに対するところの訴訟、こういうものとを区分けをして、そうして全体の額の二五%を和議条項でとる、あとは保険会社に対する支払い請求は別にとる、こういうことを言われておるのでありますが、これは実に私は微妙だと思うのですね。イタリアの法律でどういうふうになるのか、これは日本の従来の法律でいくと、なかなかむずかしい点じゃないかと思うのですよ。今、佐藤委員の言うとおりだと私は思うのです。そういうことで少し外国の点も調査をしてみないとわからないが、ダンテ弁護士がはたして、私は率直にいって、日本人じゃないですから、ダンテさんは。ダンテさんはそういうことで、外務省の皆さんも同じようにお考えになっておるとすると、どうも私どもはっきりしないのですがね。その点は間違いないですか、外務省調査の結果はどうでしょうか。
  95. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) ダンテ弁護士は、長年在伊大使館の顧問弁護士でございまして、現実に同弁護士は法王庁に登録されており、年鑑にも載っておりますけれども、りっぱな弁護士でございます。したがいまして、私はダンテ弁護士はまあ御懸念のような点はないと私一応考えております。しかし、大事なことでございますから、この上とも十分調査いたしまして、できるだけ御指摘の国損、国家の損害を少なくする、なくするということに努力したいと思います。
  96. 相澤重明

    ○相澤重明君 それじゃひとつお願いしておきます。イタリアの民法上のこうした取り扱いの先例があると思いますから、そういうものをひとつ参考資料として当委員会に来て調査をした結果を報告してもらいたいと思う。これはやはり日本の法律の問題としても非常に参考になると思うのです。そういう面でひとつ御提出をいただきたいと思う。よろしゅうございますか。
  97. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) これは、その資料の入手には極力努めまして、極力努力して得た資料を差し出したいと思います。
  98. 相澤重明

    ○相澤重明君 スタッキー会社の件はそれで終わります。  その次に、これは政務次官、あなたにも少しお話をいただきたいと思うのです。日米貿易経済委員会が昨年私の地元の箱根で開かれたのでありますが、第一回の経済会議でありますから、日本側もアメリカ閣僚優待に非常に努力をされたのでありますが、今年は第二回が開かれるというので、今年はアメリカ側に行く番ですね。すでにそういうことはきまったのですか。どういう閣僚が行くということにきまりましたか。
  99. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) 第一回の会議に関しては御質問のとおりでございます。第二回は、まだ確定して公表する域には至っていないと思います。
  100. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、わかったならば実は聞きたかったのですが、公表の域に達していないというから、これはやむを得ません。そこで、第一回の昨年のこの日米貿易経済会議においてどのくらいの予算が使われたのですか。たいへんだったと思うのですがね。ずいぶん御努力されたと思うのですがね。
  101. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) その当時はもちろん外務の政務を担当しておりませんし、あまり注意もして見ておりませんでしたので、私の知る範囲ではございませんから、担当者からお答えいたさせます。会計課長でございます。
  102. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) お答えいたします。昨年の日米貿易経済委員会に関しましては、前年度の予算成立の当時にはまだ予見されておりませんでした。やむを得ず報償費から千万円をちょっとこすくらいの予算を支出いたしましてこれをまかないました。
  103. 相澤重明

    ○相澤重明君 あれですか、款項目の中でどういう項から出すかということについてはっきりしなかったので、報償費の中から約一千万円をちょっとこえる額を支出した、こういうことですか。
  104. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) さようでございます。
  105. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは報償費というのはどういう性格なんですかね。外務省の報償費というのは、日米経済閣僚会議に使う金が報償費、そういう性格のものですか。これは何か御相談はもっとほかにないのですか、ちょっといま少し説明して下さい。
  106. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) たとえば非常にこまかい話になりますが、自動車の借り上げ料とか、あそこにわれわれの外務省職員もずいぶん出張いたしましてお世話いたしました。そういうのはもちろん旅費から出ております。それから自動車の借り上げ料は庁費から出ております。それから、あそこで一軒あそこの観光ホテルを借り上げました費用、それから、あそこでいろいろアメリカの閣僚を御接待した費用、こういうものは全部報償費から出ております。
  107. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、あれですか、会議費というのは別にほかに組み立ててあるのですか。今のあなたの言う自動車代とか、ホテル費とか接待費、そういうものは今の報償費で出した。純然たる会議に必要なる経費、こういうものは別に出しておる、こういうことですか。
  108. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 会議費と申しますか、会議自体は観光ホテルでやったわけでございます、御承知のとおり。したがって、観光ホテル自体の部屋の借り上げ料でございますね、そういうものは報償費から出しております。ただ、会議費と申しますか、たとえば紙代だとか鉛筆代とかいうのは、みんなもちろん庁費から出ておるようなわけでございます。会議費というのもいろいろ内容ございまして、お茶を飲んだり、会議場自体を借り上げるような費用もございますわけでございます。それで、前からわかっております会議でございますと、たとえば産経会館を借り上げるというような話になりますと、いわゆる会議場借料というものを予算を組みましてそれでやっていく場合が通常でございます。ですが、この前の場合には、たまたま、全然予算に出ておりませんので、大蔵省と相談いたしまして報償費から出しました。
  109. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはよくわからない。どうもますます私も混乱してきてしまったのですが、今度第二回はアメリカに行くのですね。アメリカに行く場合に、派遣費になると思うのだけれども、やっぱり向こうに行ったら、ホテルを使う場合には報償費から出すのですか。そういう考えでいいのですか。
  110. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 今度の場合には、初めから予見しておりまして、したがって、閣僚の旅費も各省に分けて組んでおりますし、向こうでのいわゆる何と申しますか、自動車の借料とか——向うの会場自体はアメリカのほうでまかないますのでございますからこれは組んでおりませんが、自動車借料、タイピストの雇い料とかというようなものは全部予算に組んでおりますから、今度の場合には、報償費は全然関係ございません。向こうでたとえば閣僚と一緒に飯を食ったり何かするような費用は、これは一部報償費から出ると思います。報償費及び交際費から出ると思います。
  111. 相澤重明

    ○相澤重明君 私も今あなたの後段に言ったことだと思うのですね。向こうのケネディ大統領が招待をする、あるいは向こうの国務長官が招待をする。それに対する返礼としてこちら側で今度は招待をする。これは通例ですね。私ども外国に行っておっても、向こうで招待を受けたときには、今度はそのお返しとして日本人が招待するわけです。一席持つわけですから、その場合の経費が報償費というのはちょっと考えられないことなんで、当然やはりあなたの後段に言ったようなことで私はいいのじゃないかと思うのですがね。そういう点やっぱり明確にしないというと、会計検査院自身もこれは困ってしまうと思うのですよ。ですから、大蔵省とのお話の中で、最初のことだったからそういう点もとりあえず仕方がないから報償費というお話だったようでありますが、私はやっぱりこれは一回でなくて今後に続くわけですから、款項目を明らかにしておく、こういうのが疑惑を起こさないでいいと思うのですよ。そういう点特にお願いしておきたいと思うのですが。そこで、私どもいろいろ地元で話を聞くと、ずいぶんかかったろうな、二千万以上かかったのじゃないかという話を聞いたり、いや、とにかく千五百万は完全にかかっているよという話も聞くし、いろいろ聞いているのですよ。そこで、そういうことではいけないから、これは簡単でけっこうですから内訳を、概算でけっこうです、そういうものを作って委員会に出して下さい。ぜひ将来の問題として款項目をひとつ明らかにしておくようにこれは希望しておきます。それから、今後のそういう外国派遣の問題の旅費あるいは派遣費、そういうようなものについては、これは今のような心配がないようにぜひしていただきたいと思っております。その希望を付しておきます。それだけでこの問題は終わります。それはよろしいですか。
  112. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) ことしの分は、先ほど御説明したとおりでございますが、明年の分は、今ちょうど予算折衝がそろそろ始まるところでございますが、はっきりこちらで会議を開く費用というものを款項目を明らかにして要求しております。  それから先ほどちょっとことしの分について誤りましたが、報償費じゃございませんで、交際費で出しております。それから今の資料の御提出は私のほうで用意いたします。
  113. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、外務省ではいろいろな外郭団体があって、先ほど小柳委員からの質問のもその一つでありますが、外郭団体の中に国連協会があるわけです。これについてまず最初に、会計検査院にお尋ねしたいのですが、私も実は国連協会の神奈川本部の理事だったんですが、ここに佐藤さんの額が飾ってあるわけですが、会計検査院は国連協会の経理の問題について、あなたのほうで検査をしてもらいたいという要請を受けたことはありますか。
  114. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) ございます。投書がございまして、これにつきましては調査いたしました。
  115. 相澤重明

    ○相澤重明君 その結果はどんなものでしたか、報告して下さい。
  116. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 投書の事項について調査いたしましたが、事務的処理で補助対象事業として事業計画を変更せずに、他の仕事をしておるのがございました。そのほか投書の内容にありましたような事項につきましては、不当と思われるものはございませんでした。
  117. 相澤重明

    ○相澤重明君 外務省にお尋ねしますが、三十五年度の協会に対する補助金あるいは三十五年度決算、これを報告して下さい。
  118. 根本驥

    説明員(根本驥君) 三十五年度の収支決算は、国庫補助金が一千二十四万二千円でございます。これは当初予算のとおりでございます。それから協会の収入——これは自己収入でございますが、これが決算におきまして九百二十四万二千二百四十四円でございます。これが当初の予算におきましては、七百二十九万八千円となっております。この協会の自己収入の中には、各地方支部からの会費、それから、各補助団体と申しますか、協賛団体からの寄付金、その他印刷物の収入、あるいは国連外語学院からの収入等が入っております。
  119. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、三十五年度は千二十四万二千円を助成をして、その三十五年度決算としては、当初が七百二十八万で、九百二十四万円の決算が出た、こういうことですね。
  120. 根本驥

    説明員(根本驥君) この九百二十四万といいますのは、国連協会自体の収入でございます。それから国庫から補助をいたしました分が、一千二十四万二千円、こういうようになっております。
  121. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、三十六年度には幾ら出したのですか。
  122. 根本驥

    説明員(根本驥君) 三十六年度の国庫の補助は一千百二十四万二千円でございます。
  123. 相澤重明

    ○相澤重明君 会計検査院、これはどういうことだろうか、補助金を受けるには、自己資金を持っていて、その自己資金に対してほぼ同等な額ということになるのか、これはどういうふうになっているのか、法律上の助成を受ける場合。
  124. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 国の災害補助負担のように明確な比率というものはございませんで、これこれの事業をいたしたい、これこれの自己資金はある、それから足りないところはこれこれということで申請になりますから、割合というものは必ずしも法定されているものではございません。
  125. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、助成金の適正化という問題で当委員会農林省の問題を初めとしてずいぶん審議された中でも言われていることです。そういうことについて、自己資金がこれこれなければいけないという規定がない、こういうような法律的根拠があったかな。
  126. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 公共事業の補助につきましては、法律で五割補助、九割補助、そういった率が法定されておりますが、それ以外の分は、それぞれの公共団体の負担になるわけでございます。だから、そういった補助につきましては、これこれの事業をするについて金がないから全額補助してくれという場合もございますし、それから半額は自分負担し、半額は国の補助を得たい、こういうものがございます。この協会に対する補助金は、ちょっと内容を私今詳しく存じませんが、そういった法定の割合ということではなくして、これこれの金額を補助してもらって、これこれの事業をいたしたい。その額を私どもとしましては、その目的に使われているのかどうかということを確かめることをいたしております。
  127. 相澤重明

    ○相澤重明君 私今手元に資料不足ですからはっきりいたしませんが、外務省はどういうことで補助金を出しておりますか。法規によらないで、予算措置だけで補助する、こういう考えですか。これはちょっと問題だと思うが。
  128. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 御質問の趣旨がちょっとキャッチできないのですが、国連協会自体は財団法人でございまして、これに対して外務省所管の補助団体でございます。  それで、したがってこれの予算が、たとえば三十五年度について申し上げますと、千二十四万くらいの予算がつきますと、これの交付要綱を作りまして大蔵省と協議するわけでございます。もともと予算のときに、予算を作りますときにこういう事業に、こういう金で補助するんだということで折衝いたしますものでございますから、それに従いまして、交付要綱を作りまして、大蔵省と協議するわけでございます。大蔵省のOKを、いいということになりまして、それに従って国連協会に付して金を流していくわけでございます。御趣旨と少し食い違っているかもしれませんが、どういう……。
  129. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはどうでしょう、法制局に一度この見解をただそうじゃありませんか、法制局長意見委員長のほうで聞いておいてもらいたい。どうもこの点法規によらないで、そういう予算措置をして、補助金を出すという場合、もちろん私は絶対ないとは言わない、それはあります。しかし会計検査院の今の局長の答弁だけじゃ納得できない。外務省の答弁を聞いても、必ずしもどうもわれわれはっきりしない。そういう面で、これは委員長で法制局長意見を求めて、ひとつ何か資料を出していただきたい。それから外務省には……。
  130. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  131. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をおこして。
  132. 相澤重明

    ○相澤重明君 なお、それでは今の補助金交付に対する法的根拠について会計検査院なり外務省からの御説明だけでは、ちょっと私も不十分だ、そこでひとつ外務省のほうでも、こういう根拠によるというところを出していただきたい。それから会計検査院もこの各省庁に対する補助金交付に、それぞれの法律政令があるわけですから、そういうものに基づいて国連協会に対する補助金交付は何に根拠をしておるのだ、こういうことを調べて報告して下さい。  そこで外務省に、三十五年度の補助金交付並びに決算については、今のお話を聞きましたから、それらを含んで、三十五年度事業の内容をひとつ報告して下さい。簡単ですから、そういう点をお願いをしておきたいと思うのですが、よろしいですか。
  133. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 書面で御報告いたしましてよろしゅうございましょうか……さっそく御報告いたします。それから先ほどのちょっと御質問の趣旨がわからないで失礼いたしましたですけれども、こちらから補助金を出す法律の根拠ということでございますと、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがございます。あれに基づいて、私のほうはやっていると了解しております。
  134. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の点も先ほど申し上げたように、ちょっと見解を異にしているところもあるので、あなたのほうから法的根拠を書類で出してもらえば、それでけっこうだと思います。  そこで、次に進みます。その次に国連協会の問題に入ります。日本海外移住振興株式会社の点についてお尋ねしたいと思います。  まず、移住振興費がたいへん出ているわけでありますが、三十年から進められた事業の中で、現在は総額幾らに補助金がなっているのか。それから資金構成もあわせて政府出資並びに民間の協力、これについて、ひとつお答えを先にいただきたいと思うのです。
  135. 高木広一

    説明員高木広一君) ただいまの御質問は、政府予算と会社投融資の両方でございます。
  136. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうです。
  137. 高木広一

    説明員高木広一君) 移住振興のための予算は、外務省だけでなくて農林省にもございます。外務省の予算は最初から全部ちょっと申し上げますと、二十七年度には千八百万円、それから二十八年には一億六千四百万円、二十九年は三億七千万円というふうにふえてきております。三十五年は十二億九千九百万円というふうになっております。この一番大きな部分は、移住者に対する渡航費の貸付でございます。そうしてそれ以外は、海外協会連合会に対しまする補助金、これは移住推進のための費用でございまして、宣伝啓発から移住地における定着援護の補助、これは医療、教育及び移住地におけるブルドーザー、その他機械施設をやる、あるいは海協連の職員の援助、地方海協に対する援助というものがございます。渡航費の貸付、三十五年はちょっと正確に覚えておりませんが、毎年大体七億から八億くらいの渡航費貸付をやっているわけでございます。政府渡航費を貸し付けて出します移住者の数は、昭和二十七年の五十四名から始まりまして、その後千四百、三千、六千とふえて参りまして、三十五年度が最高になって八千三百八十六名ということになっております。三十六年度は、実は特に昨年の十月から非常に減りまして、二千名減りまして六千三百名余りになりました。これが実情でございます。移住の態勢は決して十分でございませんが、徐々に強化されまして、その結果が、移住者の数の増加にも反映しておると思うのでありますが、昨年度非常に減りましたのは、国内労働情勢の変化も一つの大きな原因じゃないかと思います。  会社投融資につきましては、詳細は二宮社長もおいでになりますから御説明を願うといたしまして、会社の仕事は投融資事業移住地事業と直営事業でございます。投融資事業といたしましては、今日までに十四億八千万円余りの事業投資をやっております。それからそのほかに直営事業、それから移住者に対する直接の短期、中期、長期の融資でございまして、これは詳細は、もしできれば二宮社長から詳しくお答え申し上げます。
  138. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは三十六年度末の資本構成を会社側のほうからひとつ説明して下さい。
  139. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 三十六年度末におきまして、投融資事業にわれわれの投資いたしました総額は二十一億六千五百万円、先ほど私の読み上げました報告書の中に書いてあるとおりでございまして、そのうち約二億二千七百万円を回収いたしております。そのほかに移住地事業といたしまして出資いたしました金が十四億八千七百万円でございます。入植者が予定のとおり参っておりません関係上、分譲地による収入等が非常に少なくて、わずかに一億三千五百万円になっておりますので、その差額すなわち十三億円というものが投資されておることになっております。その勘定の詳細につきましては、かねてお手元に差し出してございまするが、貸借対照表に現われております。ただ概算を申し上げますと、今申し上げましたとおり二十一億の投融資と十四億の移住地事業、こういうことに投資をいたしておる関係になっております。
  140. 相澤重明

    ○相澤重明君 三十六年度末の政府出資民間出資をひとつ区分けして説明して下さい。
  141. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 政府出資は、この報告の中にもちょっと書いておきましたが、二十七億二千五百万円ございます。三ページ目の下のほうに資金収支及び損益というところに書いてございます。政府出資総額は二十七億二千五百万円、そのほかに民間出資が七千五百万円でございます。合計いたしまして二十八億でございます。
  142. 相澤重明

    ○相澤重明君 その次に、米銀借款の残が二十一億二千四百万円弱となっておる。それらを合わせて事業資金としておる。この米銀借款の米国の三銀行というのはどこですか。
  143. 二宮謙

    参考人二宮謙君) アメリカの市中銀行と称しておられまする三銀行が東京に支店を持っております。御存じだと思いますが、ニューヨーク・ナショナル・シティ・バンクと申しますのと、チェース・マンハッタン・バンクと申しますのと、バンク・オブ・アメリカと申しますこの三つの銀行から均等に借りております。たとえば百万ドル一つの銀行から借ります場合には、他の銀行からも百万ドル借りる。現在のバランスは、私の記憶によりますと、決算のときは五百九十万ドルだそうでございます。
  144. 相澤重明

    ○相澤重明君 数字は明らかになっておるから、それはそれでいいです。そこで、この三十五年度事業計画とその実績はどうですか。
  145. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 三十五年度におきまして、投融資に予定をいたしておりました予算総額は六億八千四百万円でございます。ところが実際に私のほうで金を融資いたしました金額は三億八千九百万円でございまして、その百分比は五六・八%となっております。移住地購入その他におきましては十二億一千三百万円を予定いたしておりましたが、わずかに三億五千四百万円を使いましたにすぎず、百分比は二九・一%となっております。それを合計いたしますと、三十五年度に予算として計上いたしておりました十八億九千七百万円を、わずかに七億四千三百万円使いまして、その総合いたしました比率は三九%となっております。
  146. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうしますというと、三十五年度事業計画に対して実績は非常に悪いということですね。先ほどの説明を聞くというと、三十五年度海外移住の人は八千三百八十六人、これは最高のクラスだったと思うのですね。出て行く人は非常に多いのだが、移住振興会社事業そのものは、あまり芳しくない。一体どこにこの業務のそういう芳しくないということがあるのか、その理由をひとつ、少し説明をしてくれませんか、いま少し……。
  147. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 三十五年度におきまして、今申し上げました十八億九千七百万円からの予算を計上しておきながら、わずかに七億四千三百万円しか使わなくて、そのパーセンテージが四〇%にすぎない消化しかしなかったわけは、どういうわけかという御質問かと存じますが、まず投融資のほうから申し上げますと、資金の需要が、一口に申しますと、借入金の申し込みが少なかった、私どもが予定いたしておりましたよりか少なかったということが一つと、その借り入れ申し込みの中には、われわれの投融資の基準になっておりまする条件を満たしていなかったものが割合多かった、私どものほうといたしましては、移住者を助けることが目的でございますから、なるべく自由に広くわたって、少額ずっといえども融資をいたしたい考えでございますけれども、やはり長期にわたる貸付金が回収のできなくなるということの懸念のために、一応担保であるとか、あるいはいろいろの基準がございまして、その基準に乗らないところの貸付金は遺憾ながらお断わりをしなければならぬ、こういうことがございまして、投融資のほうでは予算をいたしておりました金額の半分ぐらいしか御融資ができなかったということでございます。  それから、その次に事業のほうでございますが、これは三十四年度の末期におきまして、私どもがいろいろと、こういう土地も買いたい、ああいう土地も買いたいという案を持っておりまして、それが必ず三十五年度中には購入ができることになると予定をいたしておりましたものが、ついにその年数の間には買うことができなかったということが一番大きな原因でございます。具体的に申し上げますと、今イグアスの移住地と申しておりますが、パラグアイのブリオネスクエというところがございます。イグアスという大きな満のあるそばでございますが、そこに大きな土地を買う予定をいたしております。これはその後に買いましたけれども、三十五年に買う予定をいたしておりまして、その金額を計上いたしておりました。もう一つは、御存じの北ブラジルのベレム地方にございますトメアス第二移住地を形成いたす覚悟で、いろいろ計画を進めておりましたものが、予定のごとく進捗いたしませんで、土地購入することができなかったのと、それに関連いたしましたいろいろな機械の購入とか何とかというものができなかった、それでわずかに、先ほどちょっと御説明いたしましたように、二九%だけしか予算を使うことができなかった、こういうことでございます。
  148. 相澤重明

    ○相澤重明君 外務省はどうなんですか、今の会社二宮社長の話を聞くと、長期資金の申し込みはあったけれども、どうも回収の点等を考慮すると、あまり貸し出しができなかったというふうに私は聞いたのですが、私いろいろな資料をもらっておるのですが、企業投資というのは三十四年、三十五年はゼロですね、これは。そうして移住地購入造成分譲状況を見ると、やはりこれもあまり芳しくないですね。今の社長のお話のように、サンパウロのジャカレイのところも、八十七戸の入植予定が、実際には三戸しか入っていない、リオデジャネイロのフンシャールのところは、七十七戸の予定のところが、九戸しか入っていない、こういうようなところからいくと、全く悪いですね、これは外務省の方針が悪いのではないかな、これはどうなんかな、せっかく国費を出しておりながら、この会社を育成をして、そして投融資事業を行なうのに、どうも基準というものをあまりきつくし過ぎて、そして会社自体が貸すことができないようになる、あるいは入植をさしたくも、入植ができないような事態になる、こういうようなことがこの中に、今のようなことが現われているのではないかというように私は思うのだが、外務省の考えはどうなんですか。
  149. 高木広一

    説明員高木広一君) 移住者に対する直接の短期、中期、長期の融資に関しましては、最初の条件は相当きびしゅうございまして、これがだんだんやわらかくなりつつあります。本件につきましては、大蔵省とも折衝の上、できる限り、あまりむずかしいことを言わないで、むしろ対人信用ですか、移住者の人を判断して融資するという方向に徐々に持ってきておるのでありますが、条件は最初より徐々に緩和されております。移住会社の融資としては、これに重点を置くべきであると考えております。  それから移住地購入し、これを造成する、いわゆる移住地事業でございますが、これは今日までに買いました移住地は五千八百八十八ロッテで、そのうちそれの計画造成済みのものが二千三百五十二ロッテ、そのうち分譲したものが九百七十五ロッテ、非常に少ないのでございます。このうち大きいのは、パラグアイ移住地でございまして、これは国内からの移住者が非常に思ったように進捗しないということが大きな原因であります。それから従来会社側として、ブラジルのサンパウロにおいて土地を買って移住者を入れたいという計画も非常にあったのであります。そしてその最小限度を認めてきたのでありますが、これにつきましては、ブラジル側でも、あまりサンパウロのようなところに移住地を買って、そこに集団移住をするということは、いろいろ政治的な問題もございます。ことに一千町歩以上の移住地になれば、その移住地に入れる外国人、すなわち日本人の割合は三割以上を占めてはいけないという制限がございます。こういう点を考えますことと、もう一つは、会社の全般の営業成績を見ておりますと、移住地造成事業というものが一番金のかかるものであります。造成地を作りましても、なかなか入りませんし、これがために管理費がかかり、人がかかり、それが全部移住者にも貸すような融資でやっていくと、なかなかうまくいかない、そういう点で、移住会社移住地事業については、相当検討を要するのではないか、むしろこういう造成事業は、国の補助金によって、ある程度まかなわなければいけないのではないか、そうなれば海外協会連合会、これが事業団になれば、こういうところがやったほうがいいのではないかということで内々考えておるのであります。そして会社としては、そういう金を融資するという面でやったらどうかと考えておりますが、そういうような問題もございますので、会社が、特にサンパウロのように、ブラジルのすでに開けたところに移住地造成しようとするものに対しては、実は政府、われわれといたしましては、これを抑制してきたというのが実情でございます。してがって、計画よりも少なかったということです。実際上は私どもパラグアイ等におきましては、買った移住地になかなか人が入らないというために、五千八百ロッテを作りながら、まだ九百七十五ロッテしか人が入ってないという実情で、あまり先走ると困るのではないかと、こういうような実情でございます。
  150. 相澤重明

    ○相澤重明君 今外務省の考え方を局長説明になったのですが、会社側はどうなんですか、その点については。
  151. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 私ども移住地経営いたしますやり方をちょっと御説明申し上げませんと話が非常にむずかしいと思いますので、私どものほうで土地を買いまして、それを分譲いたしますというときにやりますことは、もちろん事前調査を、先ほどからいろいろ問題になっております事前調査ということをやりまして、これならばもう必ず大丈夫だということを確かめました上で土地購入をいたします。むろん土地購入をいたしますにつきましては、いろいろな手続が要りまして、その購入の時期を失するというようなこともなきにしもあらずであります。たとえば会社土地を買うということになりますれば、売手のほうでは土地の値段を上げるというようなこともございますし、そのために土地購入が必ずしも非常に有利に迅速果敢にやれるというようにはなっておりませんけれども、できるだけの調査をするということで、土地購入いたします。それを私どものほうで道路を作り、あるいは橋梁をかけ、あるいはそれをいわゆるロッテと申しております区分でございますが、区分分けに……ブラジルでロッチャメントと言っておるようでありますが、ロッチャメントにこれを分けて、そしてそれらのものに会社が、それに要する管理費というものをある程度部分けをいたして、これを売り出す、こういうことになっているわけであります。したがいまして、この移住者を保護するという意味から、この土地分譲価格というものはすべて原価主義ということになっております。わずかに会社がそれに要する費用のうちのある部分を管理費という名目で部分けをしていると、こういう状況でございます。したがいまして、その土地購入いたしましてから、それを分譲、全部売り渡すことが非常に早くできる場合には、これは問題は少ないわけでございますけれども、先ほど局長の御説明のように、すでに六千近いロッテが私たちのほうで用意されながら、実際に入っておるものは千家族にも過ぎないというような状況のもとにおきましては、そこに経費面から申しましても、採算面から申しましても、会社といたしまして、大きな犠牲を払わなければならないということになっておるわけでございます。これは、むろん国内からの移住が不振であるということによるわけでございまして、私どものほうは海協連とそれぞれ打ち合わせをいたしまして、このくらいならば入れるだろうじゃないかというようなことでやっておりますけれども、過去においては必ずしもその連絡が密でなくて、私どものほうの土地造成募集というものがばらばらになっておる関係で、工事はできるが入植者はないというような不幸な結果になっているのではないかというふうに考えるのでございます。そこで今局長が申されましたとおり、土地購入費、つまり素地代と私どもは申しておりますが、土地購入費だけで入植ができるようなやり方、あるいは頭金を非常に減らして、長い間にこれを完済するようなやり方をするほかに、今申しました橋梁であるとか、あるいは道路の造成であるとかというようなことを国庫の補助でやるということになりますれば、移住者負担は非常に少なくなることでございまして、移住者の入植が、あるいはふえるのではないかということも一応考えられるわけでございます。  したがいまして、私どものほうといたしましては、今のような状況を続けますにおきましては、海協連、すなわち募集、選考に従事いたします海協連と私どもの、むろんこれは官庁の御監督、御指示を得なければならないことはございますけれども、なるべくならば、そういう団体の自主的判断によりまして、これだけのものならば必ずこれだけの費用でやれば入れるのではないかというようなことの判断をいたす自主的な面をふやしていただいて、そうして会社並びに、これは会社と海協連との関係上はどうなりますか、今後の機構問題にもよりますから、いずれにいたしましても、移住事業に自主性を持たして、その責任においてやる。そして移住者を保護するという意味から、なるべく安く入れてやるためには、今申し上げましたような各般の補助を国庫から出していただくということにすれば、私は移住は振興するのではないか、こう会社といたしましては考えております。  それから、先ほどちょっと貸付けの問題につきまして、貸付がふるわなかったことの御説明をいたしましたが、少し説明が足りませんところがございましたので説明をさせていただきたいと思いますが、自営農の現地貸付につきましては、ブラジルとボリビアでは、たいへん三十五年度も成績がよろしうございまして、ブラジルでは予算の八一%、ボリビアにおきましては一二七%、すなわちわれわれの予定いたしておりましたよりもよけいに出しております。ただパラグァイとアルゼンチンのこの二つの国が、送り出す家族が非常に少なかったために、パラグァイにおいては二八%、アルゼンチンにおいては五二%となっております。全体の比率が七〇%となっておりますほかに、農耕企業の貸付を二億円予定いたしておりましたのが、これはたとえばエクアドルで麻をやるとか、アマゾンでジュートをやるというような話がいろいろございまして計画いたしておりましたのが実現しなかったためでありますが、二億円の貸付を予定しておりましたが、わずかに三千九百万円しか金を使いませんでしたという点、それから移住者の送り出しが割合おくれておりますために、渡航前の貸付が、つまり船に乗ります前に、私どもで貸付をいたしておりますが、その貸付が割合少なかったということと、もう一つは派米労務者を送り出すために予定いたしておりました一億四千四百万円という、実績が、一千名を予定いたしておりましたのが六百二十一名しか参りませんでしたので、約八千万円しか使わなかったということが移住事業を、移住者に対する貸付を五一%に減らさせた大きな原因でございましたので、ちょっとつけ加えて御報告いたします。
  152. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから外務省にお尋ねしますが、三十四年度に予算で十億円の出資を産投会計に計上したのでありますが、実際は今説明を受けたようなことで、業事が予定どおり進捗しなかったために五億しか出さなかった。さらに三十五年度にも予算を五億円産投会計に出したのだけれども、それもやはり三十四年度の繰り越しを使うと十億になるのですが、それができなくて五億しかできなかった。こういうことは予算編成上、実除に私は効率的運用という点から言って不手際だったと思うのですよ。そういう点まことに遺憾だと思うのでありますが、今後の問題としては現地の今の移住振興会社の、こういう事情を考えて予算を計上する、こういうことにたったのか、それともやはり、従来どおりの一つのありきたりの線で予算を計上するのか、この点、いま一度お尋ねしておきたいと思います。
  153. 高木広一

    説明員高木広一君) この問題につきましては、実は非常に重要な問題でございまして、移住審議会におきましても、移住会社のあり方について検討をすることになっておると思います。この次の会合では、それをやることになっております。すでに委員のほうでは、いろいろ御心配になっております。われわれのほうの計画といたしましては、これから、実は移住会社、現在金が非常に少のうございます。米銀から借り入れる予定でいたのが借りられないことにもなりましたし、来年度はもちろん借りられない。そして出資金を多く求めるということも、なかなかむずかしいという状況もございますし、さっき申しましたように、移住地事業は、パラグァイにおきましてもその他におきましても、その他におきましても、作りましたものにまだ十分入らないという実情でございますから、われわれとしては最小限度現在計画しておりますアマゾンの第二トメアス、これだけは実現するが、あとの移住地購入はやめるという考えでおります。そのかわりに移住者に対する直接薬資は、できる限り、もっともっとふやしていくということでやっております。  それから将来の大きい政策としては、移住地事業というものをどうするかということについて、移住審議会の慎重な検討をもにらみ合わせてやっていきたい。いずれにいたしましても、移住地事業のために会社が相当の赤字を食うことは必然でありまして、株式会社、たとえば国がほとんど全部出資いたしましても、株式会社の形態の特殊会社が、そういう欠損をして、そうして金融補助金というものの区別がはっきりしないような結果になっては非常に申しわけないと思いまして、この点を一日も早く処理いたしたいと思っております。
  154. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから三十六年度末までの赤字は累計幾らですか。
  155. 二宮謙

    参考人二宮謙君) お配りいたしました資料の一番下のところの最後に書いてございまするが、三法人すべてを合併いたしました純損金は七億九千八百万円でございます。
  156. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはたいへんな赤字だと思う。しかも国の出資であるのが大部分でありますから、こういう点、今の局長の答弁のように十分ひとつ考えてもらわぬといかぬと思う。その中で先ほどの二宮社長の言ったことの中に、非常に参考になることがあると思うのですが、たとえば道路を作ったり、あるいは橋をかけたりするようなものは、何も現地の農地購入の中に入れないで、政府事業としてやれば、こういう点はまた変わってくると思うのです。経費のあり方としても、こういう点は、ひとつなお検討してもらいたいと思う。  それからその次、これはどうなんですか、利子ですね、貸付利子、これを見ると、だいぶん高いのですね。渡航費の貸付年六分、しかも貸付期間は一年、渡航前の貸付が、自営開拓農業移住者等の問題は、これは五%に現地の税金がつくのですね。そうするとアルゼンチンなんかは八・一%というのですね。それから現地で、さらに共同利用施設取得資金の貸付、これが六年やそこいらで、一二%とは何ですか、この利子が一割二分なんというのは、これでは海外移住者が、先ほど小柳委員がお話したように、幾ら努力しようと思っても、これは私は非常に困難だと思うのですね。せっかく日本の親善をかねて現地で十分働こうという人たちに対する利子が、私は高過ぎると思うのです。こういう点はもっと国で、こういう面のものについては特別に見るということはできないのですか。何でもすべて会社側にやらせてしまって、会社責任に押しつけてしまう、こういうようなことになると、会社も独立採算ですから、ましてや国家経費が出ておりますから、損をするわけにいかぬ。こういうところに、利子が高くなるということが言えるのですが、これは会社側のほうはけっこうですから、本省のほうの意見をひとつ聞かして下さい。なぜこう高いのですか。
  157. 高木広一

    説明員高木広一君) 一割二分というのは、ブラジルにおきましては非常に為替変動がございますので、現在スワップをいたしましてドルを向こうに送達して、それにかわる現地クルゼイロとかえてそれを貸す。その場合に、スワップをする場合のクルゼイロの換算レートが非常に低いのです。一ドルで百八十クルゼイロしております場合にも、九十クルゼイロくらいのレートでドルをかえてくれるわけです。そういたしまして、それからスワップ料ということもございまして、それを計算いたしますと、約一割二分近いレートになるのです、それでやっているわけです。それから、つまり現地通貨でなくてドル融資もしております。アルゼンチンなんかの移住者には、ドル融資もしておりますが、これは六分で融資をしているわけです。  もっと安くできないかという御意見については、これは政府出資は、これは無利息でございますが、従来アメリカの三銀行から借りておりますのは商業ローンでございます。商業銀行から借り、三年の期間で、そうして年五分ないし六分の間の利息でございます。こういうものが高くついているわけであります。それでこれからの移住会社のあり方につきましては、われわれも真剣に考えているわけでありまして、幸いと言っちゃあれでございますが、アメリカの商業銀行が金を貸さないということも一つの契機といたしまして、むしろ日本の南米に対する移住金融というのは、南米の開発協力の一端でございます。そういう意味においては、日本だけでやるのじゃなくて、アメリカなり現地政府も、もっと協力するという態度で多角的にやっていくことが必要じゃなかろうか。現にオランダはブラジルにおいて移住地経営しているのですが、オランブラという入植地をやっているのですが、これの資金はアメリカの開発銀行でしたかから借りまして、これは百二十何万ドルの借款でございますが、ブラジル政府が借りる。そうしてオランダも関係者になり、それから貸すのはアメリカでやって、これは二十年年賦で金利は三分五厘で、支払いはクルゼイロで返してよろしいというような金を借りているのでありまして、こういう点で、もっとわれわれとしては研究をして、結局ブラジルも日本も、みんなが利益になるんだという立場から移住金融を進めていきたい。日本ひとりで全部やろうとするところに無理があるのだというふうに考えております。
  158. 相澤重明

    ○相澤重明君 なるべく簡単にお答えいただきたいと思うのですが、私ももう少しで終わります。  そこで今、米国三銀行の借入の利子が五分ないし六分、こういうことでありますが、先ほどの二十一億二千四百万からの借入をしているわけですが、これに対して今、米国の三銀行には預金はないのですか、これはひとつ、会社のほうから説明して下さい。
  159. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 多少いたしております。と申しますのは、今までアメリカの三銀行は、私どものほうに金を貸して下さるばかりで、三年を期日といたしまして、五分ないし六分と局長は申されましたけれども、今、一番高いのは五分二厘五毛だと私は記憶いたしております。五分三厘五毛で借りておりますが、最初は四分であったわけでございます。それが三十一年からだんだんと上がって参りまして、最近のは五分二厘五毛、三年ごとに回転いたしております。ただアメリカの銀行といたしましては、ただ金を貸すだけでは、しかもこういう安い金利で移住金融は困る、なるべくお前の方の金が余っているようだったら、日本の銀行へ預金している分を、ひとつこちらへよこせということで、この三月でございましたか、新しく三百万ドルを、古い三百万ドルと引きかえになりましたときから一むろんその前も少しずつ預金いたしておりましたけれども、このごろは割合余裕金がございますれば、お金を貸して下さるアメリカの銀行にも預金をいたす、こういう格好になっております。具体的な数字は……。
  160. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に民間の出資が…。
  161. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 七千五百万。
  162. 相澤重明

    ○相澤重明君 七千五百万——、民間の出資している銀行は、幾つくらいですか、会社……。
  163. 二宮謙

    参考人二宮謙君) 株主名簿を今ここに持っておりませんですが、市中銀行十六行が、わずかずつでも株主になっております。株主名簿、何でしたら提出いたします。
  164. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは、株主名簿出していただきたいと思うのですが、三十七年の二月二十日の衆議院予算委員会第二分科会における中では、だいぶいろいろこまかいことが説明されておるのですが、それによると、今の十六行だけではないように私は思うのだけれども、まあせっかくの何ですから、株主名籍を出していただければけっこうです。
  165. 二宮謙

    参考人二宮謙君) あのときに、多分二十行と御説明しておると思うのでありますが、それは支店を含めての話でございます。
  166. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、株主銀行に預金はどのくらいしておりますか。
  167. 川野博

    参考人(川野博君) 会社経理課長でございますが、現在千五百万平均ぐらいになっております。ただし東京銀行は別でございまして、いろいろ取引の関係もございます。先ほど局長からお話のございましたスワップ関係の百万ドルに相当する三億五千万円を別に定期に預金してございます。あとの銀行は、おおむね平均して、先ほど申し上げました千五百万程度でございます。
  168. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは三十六年度総額幾らですか。
  169. 川野博

    参考人(川野博君) 十二億七千二百十一万七千三十五円でございます。
  170. 相澤重明

    ○相澤重明君 ちょっと数字が合わないようだね。私どものほうで調べた三十六年度末の預金額が、十三億四千七百五十四万からあるというふうに出ているが、これは違うかね。
  171. 川野博

    参考人(川野博君) このほかに、預金のほかに現金もございますし、手持現金も少しはございます。
  172. 相澤重明

    ○相澤重明君 手持現金は幾らですか。
  173. 川野博

    参考人(川野博君) 十三億四千七百五十四万五千二百九十五円から、先ほど申し上げました十二億七千二百十一万七千三十五円を差し引いた額が、現金になるわけでございます——七千五百四十二万八千二百六十円。
  174. 相澤重明

    ○相澤重明君 わかりました。そこで先ほどの七百五十万の出資金に対して、十二億七千万からの預金をしておるということは、少し多きに失しないか。なぜ運転資金としてこれだけの金をあれしなければならんのか。先ほどの事業の経過等から考えると、少し民間銀行におせじを使い過ぎていると、こういうことにならんかな。これはどうなんですか。
  175. 川野博

    参考人(川野博君) 実はこの預金の中には、先ほど申し上げましたスワップ見合いの三億五千万の定期もございます。そのほか昨年度米銀三行と借款の交渉をいたしました過程におきまして、従来会社が米銀三行に対して預金をあまりしなかった。こういうことでは借款に応ずることもできないので、将来はぜひとも、余裕金がある場合には、外銀三行にも日本の国内銀行と同じように預金をしてもらわないと困るじゃないかというようなお話もございまして、いろいろ交渉を重ねたのでございますが、最後の段階に至りまして、年度末も非常に押し迫って予算執行の面も非常に切迫したわけでございますが、これは年度末ぎりぎりに約定しました。それからアメリカ銀行は、契約ができたらすぐに借り入れを実行しなければ困るというような条件も持ち出されまして、それで各銀行に七十万ドルの借款を直ちに実行した経過もございまして、そういうかげんで約三億五千万と五億四百万でございますから、約八億くらいの金が寝たわけでございます。それでちょっと例年に比べましても、預金がふえた結果になっております。
  176. 相澤重明

    ○相澤重明君 説明を聞いてわかったようだけれども、どうもあまり内容がわからんな、三十五年度は、今お話の中で聞けば、五億七千万の預金でありますから、それにことしの事業で約八億プラスするから十三億、こういう数字が、今あなたの言ったように、出てくるけれども、そういうようなことが、はたして効率的な運用になるかどうか、これは私はやはり疑問だと思うのです。きょうは時間の関係で私もう終わりますけれども、少し会計検査院でも、この点は調べてもらいたいと思う。私は、この資金に対する運用面で十分とはいえないと思うのだ。  それから監督官庁としての外務省も、先ほど局長が言うように、今後、海外移住振興株式会社に対する審議会のいろんな意見も出るでしょうが、そういう中で、やはり国家財政の投融資ですから、こういう問題が出てきたときは、十分気をつけて、そうしてその資金の効率的運用というものをはかってもらいたい。以上を希望して、時間の関係でこの点質問を終わります。  それから会計検査院にひとつお尋ねをしておきたいのは、先ほど御説明をいただいた中に、在外公館が非常にふえておるので、昨年は三カ所ほど在外公館の監査をした、こういうことを言われておるのですが、今後もそういうふうに継続的に行なうつもりですか。
  177. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 在外公館は全部で九十ぐらいあったと思うのですが、そのうち現在まで、戦後検査いたしておるものが二十に足りませんので、まだ一度も検査いたしたことのない公館もございます。したがいまして私どもとしましては、すみやかに全部終わるように、引き続き在外公館につきましても検査をいたしたいと希望いたしております。
  178. 相澤重明

    ○相澤重明君 在外公館が九十なんて……。先ほどの三十五年度末で百くらいになっておるのじゃないかな、三十五年度のときは百三館、こういうように開いておったが、外務省のほうはどうなんです、在外公館の数について。
  179. 秋山昌平

    説明員秋山昌平君) 古い記憶で失礼をいたしました。百一になっておるそうでございます。そのうち二十ヵ所程度検査を了しておるのでございまして、まだ参っていないところが相当ございます。したがいまして引き続き検査をいたして参りたい、かように考えております。
  180. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで外務省にお尋ねしたいのですが、会計検査院検査に行くのもけっこうだと思うのですが、今後は私は、これは私の持論なんですが、ここに数年来いつも言っているのは、決算委員会がやはりこれはたまには行く必要があるのじゃないか、外務省には、そういう予算を計上する考えはありませんか。
  181. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) 決算委員会の先生方がいらっしゃるのは大いに歓迎いたしますが、国会の委員会の御出張の費用は国会のほうで組んでおられますようでございますから、そういうふうにお願いいたしたいと思っております。
  182. 相澤重明

    ○相澤重明君 とにかく非常に在外公館がふえたので、私は会計検査院に、この点は十分検査をしていただきたいし、私どもも、何回も外国を回る中に、やはりPRの点について不十分の点も非常に多い、こういう点、むしろ外務省を激励をするのが当委員会でもずいぶんあったわけですが、そういう点については、ひとつ何といっても出先が一番大事ですから、こういう点は外務省の皆さんにも、一そうのひとつ御努力をいただきたいと思う。  そこで、もう終るのですが、先日日ソ交渉が民間団体ということで河合団長等が行ったわけですが、経済問題、だいぶ大きく取引が契約されたようですが、政府は民間団体ということだけで、一切助成はしないのですか、この点はひとつ外務次官のほうから聞きましょう。
  183. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) たいへん申しわけありませんが、それらの点についてお答えするだけの私は材料を持っておりませんので担当官のほうから……。
  184. 西宮信安

    説明員(西宮信安君) 河合団長の使節団は、そもそも経緯からしまして高碕達之助氏その他が漁業交渉でモスクワに行ったときあたりを契機としまして、先方のソ連の商工会議所ですかと話をして、その招待という格好で行かれた使節団でございまして、初めから民間の発意と、それから民間のほうの方の企画になる使節団でございまして、政府は、その間いろいろ御相談は受けておりますけれども、正式には関係はない純然たる民間ということで行っております。
  185. 相澤重明

    ○相澤重明君 もちろん民間団体であるから、民間団体といえば各種団体があるから、なかなかこういう点は政府経費ということは確かにむずかしい点もあろうと思うのですが、私は事、こういう団体が向こうに渡りまして、日本国際収支の問題に非常に寄与する、あるいは北村さんの談話等を聞くということ、将来の航空事業についても、かなりの話を進めているというようなことをみますと、これはもう国家的な私は重要問題だと思うのです。しかもまた日ソの貿易、見本市等の問題についても話が触れられ、非常に広範な内容を持っているわけですね。貿易協定についてもたいへんな額をきめておる、長期的にもなっている、こういうことからいくと、外務省が当然通産省と一緒にやるべき仕事を国会議員の人なりあるいは民間のそうした首脳部の人が努力してくれるわけですから、これらについては、単に民間団体というだけで割り切っていいかどうか。それから今度は相手の国に与える影響を考え、日本の実業界の代表、それも確かに大使や公使を派遣すると同じように、アグレマンを求めるわけにはいかぬだろうけれども、ある程度は向こうの招待だからといって、あなたまかせにすることは私はどうかと思うのです。やはり基準を作るのはなかなかむずかしいかもしれぬけれども、ある程度そういう点は、日本の立場からも十分尊重されるように将来作るのが私は至当ではないか、こう考えるのですが、そういう点については、何か相談をすることはないかな、どうでしょう。
  186. 西宮信安

    説明員(西宮信安君) 先ほど申し上げましたように、いろいろ各国に使節団が行かれるのですが、政府のほうの肝いりでできたのもありますし、河合使節団のように純然たる民間のほうで行かれているのや、いろいろのケースがございまして、今回はその後者のほうの部類に属し、当初から、そういう考えで民間の方がやられている、内容的には、もちろんわれわれと関係ございまして、帰って来られましてから、いろいろお話も聞くし、日ソ貿易の伸長という観点から相談をいたしたいと思っておりますが、形式的には、官と関係なく行かれる場合もありますし、官と関係ある半官半民の場合もありますし、いろいろ形式はあると思います。
  187. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 本件に対する残余の質疑は後日に譲ることにし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会