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参考人(
二宮謙君) 私
どもの
移住地を
経営いたしますやり方をちょっと御
説明申し上げませんと話が非常にむずかしいと思いますので、私
どものほうで
土地を買いまして、それを
分譲いたしますというときにやりますことは、もちろん
事前調査を、先ほどからいろいろ問題になっております
事前調査ということをやりまして、これならばもう必ず大丈夫だということを確かめました上で
土地の
購入をいたします。むろん
土地の
購入をいたしますにつきましては、いろいろな手続が要りまして、その
購入の時期を失するというようなこともなきにしもあらずであります。たとえば
会社が
土地を買うということになりますれば、売手のほうでは
土地の値段を上げるというようなこともございますし、そのために
土地購入が必ずしも非常に有利に迅速果敢にやれるというようにはなっておりませんけれ
ども、できるだけの
調査をするということで、
土地を
購入いたします。それを私
どものほうで道路を作り、あるいは橋梁をかけ、あるいはそれをいわゆるロッテと申しております区分でございますが、区分分けに……ブラジルでロッチャメントと言っておるようでありますが、ロッチャメントにこれを分けて、そしてそれらのものに
会社が、それに要する
管理費というものをある程度部分けをいたして、これを売り出す、こういうことになっているわけであります。したがいまして、この
移住者を保護するという意味から、この
土地の
分譲価格というものはすべて原価主義ということになっております。わずかに
会社がそれに要する費用のうちのある部分を
管理費という名目で部分けをしていると、こういう状況でございます。したがいまして、その
土地を
購入いたしましてから、それを
分譲、全部売り渡すことが非常に早くできる場合には、これは問題は少ないわけでございますけれ
ども、先ほど
局長の御
説明のように、すでに六千近いロッテが私
たちのほうで用意されながら、実際に入っておるものは千
家族にも過ぎないというような状況のもとにおきましては、そこに
経費面から申しましても、採算面から申しましても、
会社といたしまして、大きな犠牲を払わなければならないということになっておるわけでございます。これは、むろん国内からの
移住が不振であるということによるわけでございまして、私
どものほうは海協連とそれぞれ打ち合わせをいたしまして、このくらいならば入れるだろうじゃないかというようなことでやっておりますけれ
ども、過去においては必ずしもその連絡が密でなくて、私
どものほうの
土地の
造成と
募集というものがばらばらになっておる
関係で、工事はできるが入植者はないというような不幸な結果になっているのではないかというふうに考えるのでございます。そこで今
局長が申されましたとおり、
土地の
購入費、つまり素地代と私
どもは申しておりますが、
土地の
購入費だけで入植ができるようなやり方、あるいは頭金を非常に減らして、長い間にこれを完済するようなやり方をするほかに、今申しました橋梁であるとか、あるいは道路の
造成であるとかというようなことを国庫の補助でやるということになりますれば、
移住者の
負担は非常に少なくなることでございまして、
移住者の入植が、あるいはふえるのではないかということも一応考えられるわけでございます。
したがいまして、私
どものほうといたしましては、今のような状況を続けますにおきましては、海協連、すなわち
募集、選考に従事いたします海協連と私
どもの、むろんこれは官庁の御監督、御指示を得なければならないことはございますけれ
ども、なるべくならば、そういう団体の自主的判断によりまして、これだけのものならば必ずこれだけの費用でやれば入れるのではないかというようなことの判断をいたす自主的な面をふやしていただいて、そうして
会社並びに、これは
会社と海協連との
関係上はどうなりますか、今後の機構問題にもよりますから、いずれにいたしましても、
移住事業に自主性を持たして、その
責任においてやる。そして
移住者を保護するという意味から、なるべく安く入れてやるためには、今申し上げましたような各般の補助を国庫から出していただくということにすれば、私は
移住は振興するのではないか、こう
会社といたしましては考えております。
それから、先ほどちょっと貸付けの問題につきまして、貸付がふるわなかったことの御
説明をいたしましたが、少し
説明が足りませんところがございましたので
説明をさせていただきたいと思いますが、自営農の
現地貸付につきましては、ブラジルと
ボリビアでは、たいへん三十五
年度も成績がよろしうございまして、ブラジルでは予算の八一%、
ボリビアにおきましては一二七%、すなわちわれわれの予定いたしておりましたよりもよけいに出しております。ただパラグァイとアルゼンチンのこの二つの国が、送り出す
家族が非常に少なかったために、パラグァイにおいては二八%、アルゼンチンにおいては五二%となっております。全体の比率が七〇%となっておりますほかに、農耕企業の貸付を二億円予定いたしておりましたのが、これはたとえばエクアドルで麻をやるとか、アマゾンでジュートをやるというような話がいろいろございまして
計画いたしておりましたのが実現しなかったためでありますが、二億円の貸付を予定しておりましたが、わずかに三千九百万円しか金を使いませんでしたという点、それから
移住者の送り出しが割合おくれておりますために、
渡航前の貸付が、つまり船に乗ります前に、私
どもで貸付をいたしておりますが、その貸付が割合少なかったということと、もう一つは派米労務者を送り出すために予定いたしておりました一億四千四百万円という、
実績が、一千名を予定いたしておりましたのが六百二十一名しか参りませんでしたので、約八千万円しか使わなかったということが
移住事業を、
移住者に対する貸付を五一%に減らさせた大きな原因でございましたので、ちょっとつけ加えて御
報告いたします。