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1962-09-03 第41回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年九月三日(月曜日) 午前十時四十五分開会
—————————————
委員
の異動 九月三日 辞任
補欠選任
小柳 勇君 大和 与一君
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
鈴木
壽君 理事
岡村文四郎
君 佐藤 芳男君 仲原 善一君 横山 フク君 相澤 重明君 大森 創造君
委員
川野 三暁君 上林 忠次君 久保 勘一君
鈴木
恭一君
園木
登君
野知
浩之君 二木 謙吾君
谷村
貞治君 北村 暢君 佐野 芳雄君 武内 五郎君 横川 正市君 中尾 辰義君 高山 恒雄君 奥 むめお君 林 塩君 国務大臣 大 蔵 大 臣 田中
角榮
君
事務局側
常任委員会専門
員 池田 修蔵君
説明員
大蔵政務次官
竹内
俊吉
君
大蔵省主計局次
長
谷村
裕君
大蔵省管財局長
白石 正雄君
大蔵省銀行局長
大月 高君
会計検査院事務
総局
第一
局長
秋山 昌平君
会計検査院事務
総局
第五
局長
白木
康進
君
参考人
国民金融公庫
総 裁
石田
正君
国民金融公庫
総
務部長
内田 勇夫君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
昭和
三十五
年度
一般会計歳入歳出決
算(第四十回
国会内閣提出
) ○
昭和
三十五
年度
特別会計歳入歳出決
算(第四十回
国会内閣提出
) ○
昭和
三十五
年度
国税収納金整理資金
受払計算書
(第四十回
国会内閣提
出) ○
昭和
三十五
年度
政府関係機関決算書
(第四十回
国会内閣提出
) ○
昭和
三十五
年度
物品増減
及び現在額 総
計算書
(第四十回
国会内閣提出
) ○
昭和
三十五
年度
国有財産増減
及び現 在額総
計算書
(第四十回
国会内閣提
出) ○
昭和
三十五
年度
国有財産無償貸付状
況総計算書
(第四十回
国会内閣提出
)
—————————————
鈴木壽
1
○
委員長
(
鈴木壽
君) ただいまから
決算委員会
を開会いたします。
昭和
三十五
年度決算
外三件を議題とし、審査を進めます。 本日は、
大蔵省
の部でございます。 なお、本日は、
国民金融公庫
の
決算
をあわせて審査いたすことになっておりますので、
公庫側
より
石田総裁
、
荒川経理部長ら関係者
が
参考人
として出席いたしておりますので、その点お含みおき願います。 それでは、まず
大蔵省関係
の
決算
につきまして
説明
を求めます。
竹内俊吉
2
○
説明員
(
竹内俊吉
君)
昭和
三十五
年度
大蔵省主管一般会計歳入決算並び
に
大蔵省所管
の
一般会計歳出決算
、各
特別会計歳入歳出決算
及び
政府関係機関収入支出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
いたします。 まず、
一般会計
の
歳入決算
について申し述べます。 三十五
年度
の
歳入決算額
は一兆八千七百五十億一千八百万円余でありまして、
歳入予算額
に比較いたしますと千八百九十一億一千三百万円余の
増加
となっております。 以下、各部について簡単に申し上げますと、 第一に、
租税
及び
印紙収入
の
決算額
は一兆五千七百五十五億八千六百万円余で、
予算額
に比し九百十四億一千七百万円余の
増加
となっております。
収入増加
のおもな
理由
は、
賃金水準
の上昇により
給与所得
が
予定
より
増加
し、
経済界
の好況を反映し
法人税
及び
申告所得税
において
企業所得
が
増加
したほか、
申告所得税
における配当、
不動産等
の
資産所得
が
予定
より
増加
したこと、酒税、
砂糖消費税
、
揮発油税
及び
物品税
においては堅調な
消費需要
を反映し
課税数量
及び価額が
予定
より
増加
したこと、並びに関税において
機械類
、
金属等
の
有税品目
の輸入が
予定
より
増加
したこと等によるものであります。 第二に、
専売納付金
について申し上げますと、
日本専売公社納付金
の
決算額
は千四百六十四億九千四百万円余で、
予算額
に比し六十六億二千八百万円余の
増加
となっております。これは、
たばこ販売促進
の結果、
販売数量
が
増加
したほか、
上級品
への
消費移行
があったため、
たばこ事業
の純
利益
が
増加
したことによるものであります。 第三に、
官業益金
及び
官業収入
でありますが、
印刷局特別会計受入金
の
決算額
は八億八千八百万円余で、
予算額
に比し一億六千五百万円余の
増加
となっております。これは、
損益計算
上の
利益
が
予定
より多かったためであります。 第四に、
政府資産整理収入
の
決算額
は二百九億八千万円余で、
予算額
に比し三十四億六千三百万円余の
増加
となっております。 これは、土地、建物、
工作物等
の
国有財産売払収入
が
予定
より
増加
したほか、
道路整備特別会計
に引き継いだ
地方債証券
が
一般会計
に移管されたことによりその
償還収入
が
予定
より
増加
したこと等によるものであります。 第五に、
雑収入
でありますが、その
決算額
は二百八十八億九千五百万円余で、
予算額
に比し二十億八千五百万円余の
増加
となっております。
雑収入
の
増加
のおもなものは、
国有財産貸付収入
、
利子収入
、
共有船舶利用収入等
の
増加
であります。 第六に、前
年度
剰余金受け入れ
の
決算額
は千二十一億七千三百万円余で、
予算額
に比し八百五十三億五千二百万円余の
増加
となっております。この
理由
は、前
年度
剰余金受け入れ
の
予算計上
の際は、例年の方式として、前々
年度
の
決算
によって生じた純
剰余金
のうち、前
年度
歳入予算
に未
計上
の
金額相当額
を一応
計上
するにとどめているのに対して、
決算
上においては、前
年度
に生じた
剰余金
が
全額
含まれてくることとなるためであります。 次に、
一般会計歳出決算
について御
説明
いたします。 本
年度
の
歳出予算
現額は千五百十三億二千七百万円余でありまして、
支出済歳出額
は千四百七十九億千四百万円余、翌
年度
へ
繰り越し
た額は二十二億千六百万円余でありまして、
差引不用額
は十一億九千六百万円余となっております。 以下、
大蔵省所管
の
経費
のうち、おもなものにつきまして、
支出
の
概要
を申し述べます。 まず第一に、
国債費
につきましては、
国債整理基金特別会計
へ
繰り入れ
るため二百六十四億六千万円余を
支出
いたしましたが、これは
一般会計負担
に属する
国債
の
償還
及び
利払い財源
並びにそれらの
事務取扱費
に充てるためのものであります。このうち、
国債償還財源
につきましては、
昭和
二十八
年度
から
昭和
三十五
年度
まで各
年度
における
国債整理基金
に充てるべき
資金
の繰入の特例に関する法律に基づきまして、
国債整理基金特別会計法
第二条第二項の
規定
を適用せず、
財政法
第六条の
規定
により前々
年度決算
上の
剰余金
の二分の一
相当額
を
繰り入れ
たものでありまして、その
金額
は七十八億五千四百万円余となっており、また
国債利子
の
支払い財源
として
繰り入れ
た
金額
は百八十四億七千七百万円余となっております。 次に、以上の
国債費
に関連して、
一般会計負担
に属する
国債
の
状況
について申し上げます。 本
年度首
の未
償還
現在額は、
内国債
約四千五百四十五億円、
外貨債
は
邦貨換算額
にして約七百九億円でありましたが、
内国債
につきましては、本
年度
において
国際開発協会
に対する
通貨代用国庫債券
による
出資
により約二十二億円、
遺族
及び
引揚者
に対する
国庫債権
の
交付
並びに
満期到来国債
の借りかえ
発行等
により約六百八十七億円、計七百九億円が
増加
した一方、
遺族
及び
引揚者国庫債券
の
年賦償還
並びに
満期到来国債
の
償還等
により、約八百二十四億円が減少いたしましたので、
年度
末現在額は約四千四百三十億円となっております。
外貨債
につきましては、本
年度
に約七十六億円を
償還
いたしましたので、
年度
末現在額は約六百三十三億円となっております。 なお、
国債利子
につきましては、
内国債利子
、約百十七億円、
外貨債利子
約六十六億円、計約百八十五億円となっております。 以上の結果、この
経費
において、
国債利子
の
支払い
が
予定
に達しなかったこと及び
大蔵省証券
の
発行
がなかったので
割引差額
を要しなかったこと等により九億四千六百万円余が不用となりました。この
不用額
が、当初申し述べました
大蔵省所管一般会計歳出不用額
のおもなものとなっております。 第二に、
防衛支出金
につきましては、
大蔵省所管
の
経費
といたしまして、
日米相互防衛援助協定
第七条に基づく
合衆国軍事援助顧問団経費
として三億六千六百万円余を
支出
いたしました。この
経費
は、
軍事援助顧問団交付金
並びに
日本住宅公団
に
交付
する
顧問団員
の
住宅管理費
でありまして、
軍事援助顧問団交付金
の使途につきましては、
日米
間に合意された
経理手続
に従いまして、
軍事援助顧問団
から報告されており、
事務費
、
労務費
、
住宅費
及び
移動訓練隊費等
に支払われております。 以上の
支出済額
のほか、
防衛支出金
につきましては、
駐留米軍
の
施設予定区域
の変更により、補償、
買収等
の折衝に不測の日数を要したこと等により十五億九千百万円余が
年度
内に
支出未済
となっておりますが、この
金額
は、
財政法
第十四条の三第一項の
規定
により、あらかじめ
国会
の議決を経、これに基づいて翌
年度
へ
繰り越し
ました。この
繰越金額
が、当初申し述べました
大蔵省所管一般会計歳出繰越額
の大部分を占めております。 第三に、
賠償等特殊債務処理費
につきましては、
賠償等特殊債務処理特別会計法
に基づく旧
連合国
に対する
賠償
の
支払い
及び
特殊債務
の
処理
に充てるための
財源
をこの
会計
へ
繰り入れ
るため、三百八億二千三百万円余を
支出
いたしております。同
会計
においては、この繰入
財源
をもって、ビルマ、フィリピン、インドネシア及びヴェトナムの四カ国に対する
賠償費
二百二十九億七千万円余のほか、ラオス及びカンボジアの両国に対する
経済協力費
三千三百万円余及びその他の
特殊債務処理費
八十二億六千七百万円余の
支払い
が行なわれました。 第四に、
政府出資金
につきましては二十二億二千万円を
支出
いたしましたが、その
内訳
は、理化学研究所に対しまして、
研究設備
の
近代化
をはかるとともに、四
研究室
の
増設
その他に充てるために五億二千万円、
農林漁業金融公庫
に対しまして、
造林事業
に対する
長期低利
の
融資
を行なう
資金
に充てるため七億円、また、本
年度
に新たに設立されました
医療金融公庫
に対しまして、
私的医療機関
の適正な
整備
及び機能の
強化
をはかるための
長期低利
の
融資
を行なう
資金
に充てるため十億円を、それぞれ
支出
いたしました。 第五に、
国際開発協会出資金
につきましては、
国際復興開発銀行
の
開発目的
を促進し、その
活動
を補完し、低
開発地域
の
経済開発
を促進するために、新たに
国際開発協会
が設立されましたので、
わが国
もこれに加盟するための
出資
として必要な
経費
であります。本
年度
においては、
わが国
の
出資引受総額
の二三%に相当する二十七億八千百万円余を
出資
したのでありますが、そのうち、現金による
出資金額
は六億四百万円余であり、
残額
の二十一億七千六百万円余は
通貨代用国庫債券
をもって
出資
いたしました。 第六に、
産業投資特別会計
への
繰り入れ
として百二十億円を
支出
しましたが、この
金額
は、本
年度
の同
特別会計
の
産業投資支出
の
追加
の
財源
に充てるためのものであります。 第七に、
産業投資特別会計資金
への
繰り入れ
として三百五十億円を
支出
いたしました。この
金額
は、同
会計
の
原資
を補完し、将来にわたる
出資需要
の増大に対処するとともに、今後の
産業投資
を
経済情勢等
に応じて円滑、かつ、弾力的に行ない得るようにしたものであります。 第八に、
公務員宿舎施設費
につきましては、
国家公務員
のための
国設宿舎
を設置するため十四億二千万円余を
支出
いたしました。
公務員宿舎
につきましては、その不足の
状況
にかんがみ、逐年その
増設
をはかっているのでありますが、以上の
支出
によりまして、本
年度
三千八十五戸を新たに設置いたしました。この結果、本
年度
末における
公務員宿舎施設費
による
設置戸数累計
は三万千七百四十七戸となりましたが、これによりましても、なお、
公務員
の必要とする
戸数
に対しまして、その
充足率
は約五四・四%にとどまっている
状況
であります。なお、
公務員宿舎施設費
につきましては、敷地の選定、その他工事の
関係
から
支出
が翌
年度
に繰り越されるものがありましたので、以上の
支出
のほか、五百九戸分三億四千万円余が
支出未済
で
繰り越し
となっております。 以上申し述べましたおもな
経費
のほか、旧
令共済組合等
の
年金交付
その他
経費
として、
国家公務員共済組合連合会等補助及交付金
の項から二十二億五百万円余、
日本国有鉄道
、
日本電信電話公社
及び
資金運用部特別会計
の
国庫預託金
に対する
利子
として、
国庫受入預託金利子
の項から十四億二千八百万円余、
内国税
の
過誤納金
の払い戻し及び
青色申告制度
に基づく
還付金
に対する
加算金
として、
租税還付加算金
の項から十億九千七百万円余を
支出
いたしました。 なお、
大蔵省所管
の
一般行政
を
処理
する等のための
経費
といたしましては、
大蔵本省
において十九億七千四百万円余、財務局において三十億三千九百万円余、税関において二十七億四千百万円余、
国税庁
において、いわゆる
徴税費
として二百六十五億千六百万円余、計三百四十二億七千万円余を
支出
いたしましたが、この
経費
のおもなものは、
人件費
及び
事務費
でありまして、
人件費
の占める割合は約七五%であります。 なお、
徴税費
について、その
支出額
を、
国税庁
において取り扱った
租税
及び
印紙収入
の
収納済額
と比較いたしますと、
徴税費コスト
は一・八一%となっております。 次に、各
特別会計
の
決算
につきまして、それぞれの
会計
の
事業実績等
を主として、簡単に御
説明
いたします。 まず第一に、
造幣局特別会計
につきましては、この
会計
の主たる
事業
である
補助貨幣
の
製造
について申し述べますと、百円
銀貨幣外
四種の
補助貨幣
を六億二千百五十万枚、
額面金額
にして七十七億八千三百五十万円を
製造
し、その
全額
を
補助貨幣
として
発行
いたしました。この結果、本
年度
末における
補助貨幣
の
発行高
は六百六十一億四千六百万円余となっております。 第二に、
印刷局特別会計
につきましては、この
会計
の主たる
事業
である
日本銀行券
の
製造
について申し述べますと、一万円
券外
四種の
日本銀行券
を七億六千八百万枚、
額面金額
にして一兆六百七十八億円を
製造
いたしまして、その全量を
日本銀行
に引き渡しております。 なお、
経済
の成長及び
経済活動
の拡大に伴いまして、
通貨
の
流通高
が逐年著しく
増加
しておりますので、
日本銀行券
と
補助貨幣
の
製造
につきましては、
相互
に調整をはかりながら、これに対処いたして参りました。 第三に、
資金運用部特別会計
につきましては、その
資金運用
及び
資金調達
の
実績
について申し述べます。
新規運用額
は三千四百七十四億円でありまして、当初の
計画
に対しまして五十八億円の
増加
となっております。その
内訳
は、
特別会計
、
政府関係機関
、
地方公共団体等
への
貸付
または
債券
の
引き受け等
となっており、この
原資
は、
郵便貯金
、
厚生保険等預託金
の
増加額
二千九百三十一億円及び
既運用資金
の
回収等
五百四十三億円であります。 なお、
運用
が当初の
計画
より
増加
いたしましたが、この
追加運用
の内容につきましては、特に
中小企業
への年末
金融対策
及び
災害復旧対策等
につきまして意を用いた次第であります。 第四に、
国債整理基金特別会計
につきましては、
収納済歳入額
は五千百九十二億六千万円余、
支出済歳出額
は四千八百三十六億六千二百万円余であります。
収納済歳入額
のおもなものは、
一般会計
及び
特別会計
からの
国債
、
借入金
及び
短期証券
の
償還
並びに
利子等
の
支払基金
の
受け入れ
として四千三十三億二千六百万円余、
満期到来内国債
のうち一部を借りかえ
償還
するための
公債発行収入
として六百十六億四千四百万円余、前
年度
以前における
国債
の
既償還未払い
及び
利払い期到来分
の
利子未払い等
による前
年度
剰余金
の
受け入れ
として五百二十一億六千二百万円余となっております。
支出済歳出額
のおもなものは、
国債
、
借入金
及び
短期証券
の
償還
として四千二百四十五億六千九百万円余、
国債
、
借入金利子
及び
短期証券割引差額
として五百八十九億九百万円余となっております。 なお、以上の
支出済歳出額
を
収納済歳入額
から差し引いた
残額
は、
国債
の
既償還未払い
及び
利払い期到来分
の
利子未払い等
によるものでありまして、それぞれ翌
年度
へ
繰り越し
ております。 第五に、
貴金属特別会計
につきましては、
金管理法
に基づきまして、新産金の百分の五を
政府
が買い上げることになっておりますので、
金地金
を四百六十三キログラム余、
金額
にして一億八千七百万円余この
会計
において買い上げており、これに要する
資金
は、前
年度
剰余金受け入れ
及びこの
会計保有
の
銀地金
を売却して調達いたしております。 なお、この
会計
が保有している
金地金
は、本
年度
末現在二十四トン三百十七キログラム余となっております。 第六に、
外国為替資金特別会計
につきましては、
収納済歳入額
百五十八億六百万円余、
支出済歳出額
百五十四億三千八百万円余であります。
収納済歳入額
のおもなものは、
保有外貨資産
の
運用収入
として百五十二億三千百万円余であります。
支出済歳出額
のおもなものは、
国債整理基金特別会計
への
繰り入れ
百五十三億四千七百万円余となっております。 なお、この
年度
の
国際収支
の
状況
は好調に推移し、六億七百万ドルの
受取超過
となっております。 第七に、
産業投資特別会計
につきましては、
石油資源開発株式会社外国社
、
日本輸出入銀行外
四
政府関係機関
及び
日本住宅公団等
の三
機関
に対し四百三億円を
出資
いたしましたが、これは
計画
に対して七億円の減少となっております。減少いたしました七億円は、
日本海外移住振興株式会社外
一社に対するものであります。 以上の結果、この
会計
における本
年度
末現在の
出資額
は四千七百十六億円余、
優先株式
の
引受額
は七億円余、
貸付額
は六百八十七億円余となっております。 第八に、
経済援助資金特別会計
につきましては、
わが国
の
工業力強化
のための
資金
として
日本航空機製造株式会社
へ七億五千万円を
出資
いたしました。 その結果、本
年度
末現在におけるこの
会計
からの
投資残高
は、日本開発銀行への
貸付額
約二十億四千二百万円、
日本航空機製造株式会社
への
出資金
十億五千万円となっております。 なお、これら
投融資
のためのこの
会計
の
原資
は、
農産物
の購入に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
及び
経済的措置
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
に基づき
日本国
に贈与された
資金
をこの
会計
が
受け入れ
たもので、その
贈与受入額
は約三十三億九千万円であります。 第九に、
余剰農産物資金融通特別会計
につきましては、農地の
開発等
のため、
愛知用水公団
へ四十五億円、
地方公共団体
へ五千百万円余の
貸付
を行ないました。 その結果、本
年度
末現在におけるこの
会計
の
貸付残高
は約四百十六億円となっております。 なお、この
会計
の
原資
として、
農産物
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
に基づいて借り入れた
資金
は約三百七十八億円であります。 第十に、
賠償等特殊債務処理特別会計
につきましては、
一般会計歳出
の部において
概要
を申し述べましたので、
説明
を省略させていただきます。 第十一に、
国有財産特殊整理資金特別会計
につきましては、
近畿電波監理局神戸出張所外
八官署の
庁舎等
の売り払い及び前
年度
剰余金等
により九千四百万円余の
収入
がありましたが、本
年度
においては
資金
を効率的に使用するため、
全額
翌
年度
に
繰り越し
をいたしました。 以上が、各
特別会計事業実績等
の
概要
でございます。各
会計
の
決算
上の計数につきましては、さきに提出いたしました三十五
年度
の
決算書
及び
決算
の
説明
によって御承知いただきたいと存じます。 最後に、
大蔵省関係
の各
政府関係機関
の
決算
につきまして、それぞれの
機関
の
事業実績等
を主として、簡単に御
説明
いたします。 まず第一に、
国民金融公庫
につきましては、
資金運用部特別会計
からの
借入金
二百四十五億円及び
簡易生命保険及郵便年金特別会計
からの
借入金
百億円並びに
貸付回収金等
により、
件数
にして約五十四万件、
金額
にして約千百五億円の
貸付
を行ないました。 この
貸付金額
を当初の
予定
に比較いたしますと、約六十五億円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもな
理由
は、
中小企業者
に対する年末
金融融資
のため
年度
中に
政府資金
の
追加
があったこと並びに
貸付回収金等
が
予定
より
増加
したことによるものであります。 この結果、との
公庫
における本
年度
末の
貸付残高
は、
件数
にして約百二十七万四千件、
金額
にして約千百八十五億円となっております。 第二に、
住宅
金融
公庫
につきましては、
産業投資特別会計
からの
出資金
五十億円、
資金運用部特別会計
からの
借入金
百八十七億円及び
簡易生命保険及郵便年金特別会計
からの
借入金
百二十三億円並びに
貸付回収金等
の
自己資金
をもって、
住宅建設
及び
宅地造成
のための
貸付
を行ないましたが、本
年度
中の
貸付契約
の
実績
は、
住宅
の
建設
約十万四千尺、
金額
にして約四百三十一億円及び
宅地
の
造成
約九十五万坪、
金額
にして約二十六億円となっております。 この結果、この
公庫
における本
年度
末の
貸付残高
は、口数にして約五十五万四千口、
金額
にして約二千九十八億円でありまして、この
公庫創設
以来の
住宅貸付
の総
契約戸数
は、約八十二万戸となっております。 第三に、
農林漁業金融公庫
につきましては、
一般会計
からの
出資金
七億円及び
産業投資特別会計
からの
出資金
七十億円、
資金運用部特別会計
からの
借入金
九十九億円及び
簡易生命保険及郵便年金特別会計
からの
借入金
百三十億円並びに
貸付回収金等
の
自己資金
をもって
農林漁業者
に対する
貸付
を行ないましたが、本
年度
の
貸付決定実績
は、
件数
にして約十二万三千件、
金額
にして約五百二十一億円となっております。この
貸付決定額
を、当初の
予定
に比較いたしますと、約四億円の
増加
となっております。これは、
伊勢湾台風災害対策
としての
融資決定額
の
繰り越し
があったことによるものであります。 この結果、この
公庫
における本
年度
末の
貸付残高
は、
件数
こして約四十八万二千件、
金額
にして約二千五十五億円となっております。 第四に、
中小企業金融公庫
につきましては、
資金運用部特別会計
からの
借入金
二百六十億円及び
簡易生命保険及郵便年金特別会計
からの
借入金
百億円並びに
貸付回収金等
の
自己資金
をもって
中小企業者
に対する
貸付
を行ないましたが、本
年度
中の
貸付実績
は、
件数
にして約二万六千件、
金額
にして約七百六十五億円となっております。この
貸付額
は、当初の
予定
に比較しまして、約五十億円の
増加
となっております。この
増加
いたしましたおもな
理由
は、
中小企業者
に対する年末
金融融資
のため、
年度
中に
政府資金
の
追加
が行なわれたためであります。 この結果、この
公庫
における本
年度
末の
貸付残高
は、
件数
にして約八万七千件、
金額
にして約千四百九十三億円となっております。 第五に、
北海道東北開発公庫
につきましては、
資金運用部特別会計
からの
借入金
五十億円及び
北海道東北開発単券
の
発行
による
収入金
五十九億円のほか、
貸付回収金等
の
自己資金
をもって、
北海道
及び
東北地方
の
産業
の
振興開発
を促進する
事業
に対し、百五十九億円の
投融資
を行ないました。 この結果、この
公庫
における本
年度
末の
貸付残高
は、
件数
にして五百七十四件、
金額
にして約五百二十八億円、
出資残高
は、
件数
にして十件、
金額
にして四億円となっております。 第六に、
公営企業金融公庫
につきましては、
産業投資特別会計
からの
出資金
三億円及び
公営企業債券
の
発行
による
収入金
約百三十三億円のほか、
貸付回収金等
の
自己資金
をもって、
地方公共団体
の
公営企業
に対し、
件数
にして六百六十七件、
金額
にして約百四十三億円の
貸付
を行ないました。 この結果、この
公庫
における本
年度
末の
貸付残高
は、
件数
にして二千一件、
金額
にして約三百九十四億円となっおてります。 なお、このほか、
公営企業金融公庫
は、
農林漁業金融公庫
の委託を受けて、
地方公共団体
の行なう
造林事業
に対し、本
年度
に百三十五件、約二億円の
融資
を行なっております。 第七に、
中小企業
信用保険
公庫
につきましては、
産業投資特別会計
から十八億円の
出資
を受けましたが、本
年度
における業務
実績
は、保険業務におきましては、
件数
にして約三十七万七千件、
金額
にして約千四百二十一億円の保険の引き受けを行ない、また、
貸付
業務におきましては、信用保証協会に対し、約四十三億円の
貸付
を行ないました。 この結果、この
公庫
の本
年度
末の付保残高は、
件数
にして約四十三万六千件、
金額
にして約千七百十六億円となっており、また
貸付残高
は、
件数
にして三百四十三件、
金額
にして約六十八億円となっております。 第八に、この
年度
新たに設立された
医療金融公庫
につきましては、
一般会計
からの
出資金
十億円及び
資金運用部特別会計
からの
借入金
二十億円の
資金
をもって、
私的医療機関
に対する
貸付
を行ないましたが、本
年度
中の
貸付実績
は、
件数
にして千二百三十件、
金額
にして約二十九億円となっております。 第九に、日本開発銀行につきましては、
資金運用部特別会計
からの
借入金
四百三十億円及び
貸付回収金等
の
自己資金
により、約六百五十二億円の
貸付
を行ないました。その
内訳
は、電力約二百十一億円、海運約百三十一億円、その他一般
産業
約三百十億円となっております。 このほか、この銀行がいわゆる世銀借款の窓口として
受け入れ
た外貨を貸し付けたものは、約二百十八億円となっております。 これらの結果、この銀行の本
年度
末の
貸付残高
は、
件数
にして二千三百六十二件、
金額
にして約五千四百四十億円となっており、その
内訳
は、電力約二千七百七十五億円、海運約千六百九十七億円、その他約九百六十八億円となっております。このほか、外貨
貸付
金は、
件数
にして二十一件、
金額
にして約九百七十六億円となっております。 なお、この銀行がその
利益
を国庫に納付した
金額
は約百三十一億円に上り、
産業投資特別会計
の主要な
財源
となっております。 第十に、日本輸出入銀行につきましては、
産業投資特別会計
からの
出資金
百三十五億円、
資金運用部特別会計
からの
借入金
三百八十六億円及び
貸付回収金等
の
自己資金
により、約八百四十五億円の
貸付
を行ないました。その
内訳
は、輸出金融約七百五十三億円、輸入金融約五億円、投
資金
融約八十七億円となっております。 この
貸付額
を、当初の
予定
に比較いたしますと、約百二十五億円の
増加
となっております。そのおもな
理由
は、船舶輸出の
貸付
が大幅に
増加
したこと等に上るもりであります。 この結果、この銀行の本
年度
末の
貸付残高
は、
件数
にして五百六十九件、
金額
にして約千四百三億円となっております。その
内訳
は、輸出金融約千百三十四億円、輸入金融約十九億円、投
資金
融約二百五十億円となっております。 以上が、各
政府関係機関
の
事業実績等
の
概要
でございます。各
機関
の
決算
上の計数につきましては、さきに提出いたしました
昭和
三十五
年度
の
決算書
及び
決算
の
説明
によって御承知いただきたいと存じます。 これをもちまして、
昭和
三十五
年度
における
大蔵省所管
の
決算
の
概要
説明
を終わります。 なお、
会計
検査院から、不当事項二件、是正事項百十五件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これらにつきましては、それぞれ、適切なる是正措置を講じますとともに、今後一そう事務の合理化をはかり、改善に努力を傾注いたしたい所存でございます。 何とぞ、御審議のほどお願いいたします。
鈴木壽
3
○
委員長
(
鈴木壽
君) 次に、
会計
検査院当局より検査報告を聴取いたします。
秋山昌平
4
○
説明員
(秋山昌平君)
大蔵本省
、財務局並びに税務官署の
会計
検査いたしました結果を申し上げます。 検査の結果不当と認めました事項は、
決算
検査報告の二十八ページに掲記してありますとおり、国有財産の管理に関するもの二件でございます。 その一は、関東財務局の職員が、土地を、国有地を売ってやるといって六百数十万円を詐取したというものでございます。 その二は、関東財務局立川出張所で立木を売り払いました相手方の会社が、売り払いました以外の立木六百六十八立米を不法に伐採したというものでございます。 次に、是正事項につきましては、二十九ページに書いてありますとおり、
租税
の徴収に関するものでございます。是正事項の
件数
、
金額
ともに前
年度
より減少はいたしておりますけれども、なお徴収不足額が二億七千万円に上っており、さらに税務当局で改善の努力が望ましい、こう考えております。 以上でございます。
—————————————
鈴木壽
5
○
委員長
(
鈴木壽
君) ただいま
委員
の異動がございましたので、御報告いたします。小柳勇君が
委員
を辞任され、その補欠として大和与一君が
委員
に選任されました。 以上でございます。
—————————————
鈴木壽
6
○
委員長
(
鈴木壽
君) 次に、
国民金融公庫
の
決算
について御報告願います。
石田正
7
○
参考人
(
石田
正君)
国民金融公庫
の
昭和
三十五
年度
の
決算
の
概要
について御
説明
申し上げます。 大体のことは
会計
検査院の検査報告の百二十六ページに書いてございますが、多少詳しく申し上げたいと思います。
昭和
三十五
年度
においては、
収入
利益
総額は約百億円、
支出
損費総額は八十四億六千万円、差引十五億四千万円二相なるわけでございますが、これにつきましては、固定資産の減価償却引当金の三千万円、滞り貸し
償還
引当金に十五億一千万円の
繰り入れ
を行ないました結果、三十五
年度
の
利益
金はゼロとなりまして、国庫への納付は生じなかったのでございます。 なお、
収入
総額百億円のうち、
貸付
金利息が九十六億四千万円でございまして、その大部分を占めております。
支出
は八十四億六千万円でありまして、そのおもなる
内訳
は、
借入金
の利息が五十六億三千万円、
支出
総額に対しまして六六・五%に当たります。それから代理手数料が八億七千万円、同じく総額に対しまして一〇・三%、事務
経費
は十九億円でございまして、
支出
総額に対しましては二二・五%に当たっておるわけでございます。 次に、
貸付
業務について申し上げますと、三十五
年度
中の
貸付額
は千百五億円でありまして、前年に比しまして六十六億円、百分比にいたしまして六・四%の
増加
となっております。このうち、おもな
貸付
について見ますると、普通
貸付
は九百九十億円、前年に比しまして七十一億円、七・七%、それから恩給担保
貸付
は百五億円でありまして、前年に比し七億円、七・一%と、いずれも
増加
いたしております。この結果、期末
貸付
金の残高は千百八十四億円となりまして、前年に比しまして百十六億円、一〇・九%の
増加
でございます。おもなる
内訳
は、普通
貸付
が千三億円、前年に比しまして百八億円、二一・一%、恩給担保
貸付
が百十二億円、前年に比し十四億円、一四三%の
増加
となっております。 これらの
貸付
に要しました
財源
につきましては、まず
政府
からの
借入金
が当初二百九十億円、年末
資金
が五十五億円、この年末
資金
の五十五億円のうちには短期
資金
二十億円を含んでおりますが、合計いたしまして三百四十五億円ございましたが、これは前年に比べまして十三億円の
増加
でございますが、反面、
政府
への返済金が二百四十億円、前年に比べまして六十四億円
増加
いたしております。差引いたしまして、ネットの
増加
といたしましては百五億円でございます。ネットの
増加
分は、前年に比べまして五十一億円の減少となっておる次第でございます。また、期中の回収金は九百八十八億円ございまして、これは前年に比しまして百十三億円の
増加
でございます。以上が
貸付
財源
となった次第でございます。 次に、
会計
検査院の報告には、延滞額について触れておられますので、一応御
説明
申し上げます。三十五
年度
の延滞の数字は、お手元にある資料のとおりでございまして、これは最終期限が経過いたしましてから後六カ月をさらに経過したものの数字でございます。それによりますると、延滞額は十四万五千件、
金額
で二十七億一千二百万円でありまして、
件数
で申しますると一一・三%、
金額
では二・二%ということに相なるわけでございます。これは、前年に比べまして、
件数
では二・五%、
金額
では〇・五%の減少となっております。このうち、更生
資金
貸付
の延滞額は十一万九千件でございまして、
金額
では十六億二千八百万円でございます。更生
資金
の残高のうちでもって、
件数
では六九・八%、
金額
では七〇・四%という比率を占めておるわけでございます。これを前年に比較いたしますると、
件数
では二・九%の減少、
金額
では〇・六%の
増加
となっておるのでございます。 次に、
公庫
のおもなる
貸付
でありますところの普通
貸付
におきましては、
件数
では一万五千件、
金額
では九億二千四百万円でありまして、普通
貸付残高
のうち、
件数
では二・二%、
金額
では〇・九%というふうに当たっておるわけでございます。これを前年に比しますと、
件数
では〇・二%、
金額
では同じく〇・二%減少いたしております。 以上、概略でございますが、
公庫
の
昭和
三十五
年度
の
決算
の
説明
を終わります。
鈴木壽
8
○
委員長
(
鈴木壽
君) 次に、
会計
検査院より検査報告を聴取いたします。
白木康進
9
○
説明員
(白木
康進
君)
昭和
三十五
年度
の
国民金融公庫
の業務につきましては、従来どおり、本
公庫
の設立の趣旨に従った
資金運用
が行なわれておるかどうか、また
貸付
債権の管理が適切に行なわれておるかどうか、こういうことを中心にいたしまして、書面検査及び本所、支所を含めて約十カ所の実地検査を実施いたしましたが、検査の結果不当と認めた事項はございません。なお、先ほど総裁からもちょっと言及されましたように、主として延滞
状況
を中心にその
概要
を検査報告の百二十六ページに記載しております。 簡単でございますが、御
説明
を終わります。
鈴木壽
10
○
委員長
(
鈴木壽
君) それでは、これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
相澤重明
11
○相澤重明君 大蔵次官にお尋ねしたいと思うのですが、三十五年の財政
投融資
計画
などを御
説明
いただいたわけですが、
年度
の途中でたびたび改定されておるわけですね。当初の五千九百四十一億円が非常に
増加
をされておるわけでありますが、
年度
間に何回改定をしたのか、それはどういう
理由
なのか、いま一度御
説明
いただきたいと思います。
竹内俊吉
12
○
説明員
(
竹内俊吉
君) ただいまのお尋ねに対しましては、調査いたしまして、あとでお答えいたしたいと思います。
相澤重明
13
○相澤重明君 それでは、あとでまた大蔵大臣も見えると思いますが、
大蔵省
では、この財政
投融資
計画
について、予算
委員
会では、財政政策について
政府
の考えを述べると同時に、これについての
計画
を発表されておるわけでありますが、この
年度
の途中で改定をするというようなことになると、
資金
需要についても相当の問題を残すわけですね。そこで、
財政法
上から考えて、今後これらの
資金
計画
、いわゆる財政
投融資
計画
については、
国会
の意思を尊重をするかまえをとっておるのかどうか、これは次官、大蔵大臣とそういうことを相談をされておるのかどうか、あなたのひとつ御見解を伺いたいと思う。
竹内俊吉
14
○
説明員
(
竹内俊吉
君) 今の
財政法
による法的解釈の問題は、これはまたあとでお答え申し上げたいと思いますが、政治的な意味においては、そういう気がまえでやるべきことであろうと思います。
相澤重明
15
○相澤重明君 せっかく次官の御答弁をいただいたので、あとでその点は、大蔵大臣が出席してから、なおひとつ確認をしておきたいと思うのであります。 そこでまあ、ゆうべ私ども参議院においても産投法を可決をしたわけです。そうすると、この三十五
年度
の私は財政
投融資
計画
を見て、そうして非常に需要が大きくなっておることを考えると、当初
計画
を変更しなければならぬというのは、確かに需要の伸び等も考えられるわけですが、この形のままで一体来
年度
も予算を——三十八
年度
の予算編成期に今あるわけですが、どのくらい今の当初予算で各省庁のいわゆる要求があったのか、これは御発表できませんか。重要な
関係
があると思うのです。
竹内俊吉
16
○
説明員
(
竹内俊吉
君) 各省の概算要求がまだ出そろったわけでもございませんので、予算全体を見合ってそれらのものをこれから検討していこうという段階でございますので、ただいまの御質問に対して直接にお答えする段階ではないと思います。
相澤重明
17
○相澤重明君 そうすると、大蔵次官の御
説明
では、まあ現在のところは、財政
投融資
計画
についての面から私は少し知りたかったんでお尋ねしたんですが、まだ実際に、三十八
年度
の予算の編成をする各省庁の所要
資金
については、出そろっておらない、こういうことですね。では、いつごろ——コンクリート化するといったら、なかなかむずかしい問題ですが、いつごろ
政府
はそれを取りまとめをして第一次の査定をする考えですか。
竹内俊吉
18
○
説明員
(
竹内俊吉
君) 各省の概算要求は、今月半ばまでには出そろうはずでありますから、それと勘案しまして財政
投融資
等の検討をいたすわけでありますが、いつごろまでにそれが固まってどうなるかということは、今の段階ではちょっと予測できないのではないかと、そう思います。
相澤重明
19
○相澤重明君 それでは、まあそれ以上はお話を聞くというのも無理でしょうから、そこでいま一度三十五
年度
に戻りまして、三十五
年度
の財政
投融資
計画
の変更があったのですが、少なくとも、この改定
計画
に対して、まあ私どもが調べたところによると、百五十三億も
実績
は下回わっておる。どういう
理由
で、それが、改定
計画
をしたにもかかわらず、下回わったのか、そういうおもな
理由
を述べることできませんか、三十五
年度
のですよ。これは
決算委員会
にあなたのほうでは準備しておると思うのですがね、いかがでしょう。
竹内俊吉
20
○
説明員
(
竹内俊吉
君) 先ほどの、財政
投融資
計画
の、何度変更して、どれだけの増減があったかという御質問とあわせて、ただいまの御質問あとでお答え申し上げます。
相澤重明
21
○相澤重明君 これではもう、これを実際問題として質問の回答ができないということになると、これはまあ実際の話が進まぬわけですよ、この財政
投融資
計画
の問題については。ですから、いま一度これはひとつ勉強してもらって、それでお答えをいただかないと、質問が進まないですね、最初からこれは話にならぬわけですから。そこで、それは時間をこれはおきましょう。ひとつあとで調べて、そうして答弁書を出して下さい。 その次に、管財局来ていますな。それじゃ管財局に入りましょう。 御承知のように、国有財産については、
昭和
三十二年から三カ年
計画
で実態調査をやったわけです。ところが、それが当時池田さんが大蔵大臣だった。私はそのときにずいぶんと意見を申し上げたのですが、それから一年実際には延びて、三十六年からさらに三カ年
計画
を、また第二次実態調査の
計画
を樹立したはずなんですが、第一次の調査の
実績
ですね、結果というものを、どういうふうにあなたのほうでは参考にして取り入れて、この第二次実態調査の
計画
を策定をされたのか、それをひとつ御
説明
をいただきたいと思うのです。
白石正雄
22
○
説明員
(白石正雄君) 御指摘のように、国有財産につきまして実態不明の財産があるということは、まことに申しわけない次第でございまするが、御承知のように、終戦後の混乱時に膨大な財産を引き継ぎました
関係
上、実情の把握が不十分であったのが多々あったわけであります。したがいまして、三十二
年度
から、これらの財産につきまして実態を明らかにするための
計画
を立てまして、調査を進めてきたわけでありますが、その
実績
といたしましては、お手元に参考資料といたしましてお配りいたしておると思いますが、三十二
年度
におきまして、
件数
にいたしまして一万五千二百九十一件、三十三
年度
で一万五千八百五十五件、三十四
年度
で一万六千四十五件、三十五
年度
で一万五千五百四十六件、合計この四カ年間で六万二千七百三十七件の実態を把握いたした次第でございます。その結果、財産は、帳簿上いろいろの増減もいたしまして、それもお手元に配付いたしておりまするので、御承知おきを願いたいと思いまするが、それろの結果こおきましては、実在いたしております——帳簿上ありました財産が、実在いたしておりましたものが、
件数
におきまして五万四千八百件、不存在となっておりましたものが一万二千八百十九件、かような
実績
を示しております。かような
状況
にかんがみまして、なお五カ年間調査を進めてきたわけでございまするけれども、なお今まで実態を調査していないという財産がまだ相当残存しておりまするので、これらのものにつきまして、さらに今後
計画
を立てまして、取り調べを進めたいということで、行なっておるわけでございまするが、人員の
関係
、時間の問題その他もございまして、やはり過去の今まで行ないました程度のものを大体
予定
いたしておるわけでございまするが、調査は、重点的に行なうという意味におきまして、こまかいものよりも、まず大きな実益のあるというような方向に手をつけたいということに努力をしております。個々具体的には、各財務局の調査担当者の実情把握等の意見によりまして、そういった重要性を選定しながら行なっていくというようにいたしておる次第でございます。
相澤重明
23
○相澤重明君 この実態調査を、今までの
実績
の上に、不存在のものをさらに確認をしていく、こういうことで進む方針というのは今わかりましたが、現在までに調査をされた六万二千有余件ですか、この財産について評価をした場合には、総額はどのくらいになっております。
白石正雄
24
○
説明員
(白石正雄君) 調査完了いたしました六万二千七百三十七件におきましては、二百三十三億六千二百万円というように相なっております。
相澤重明
25
○相澤重明君 ちょっと少ないような気がするけれども、これはひとついま一度私のほうで調べますが……。それから、
大蔵省
の所管の
一般会計
の中で、米軍に
貸付
をしておる、あるいは使用承認をしておる、こういうようなものは、全体でどのくらいの
件数
で、どのくらいの坪数になっておりますか。
白石正雄
26
○
説明員
(白石正雄君) お答え申し上げます。三十六年の三月三十一日現在におきまして、提供中の国有財産は、土地が五千七百七十八万六千坪、それから建物が百四十五万四千坪、その他立竹木とか、そういうものもございますが、大体こういうふうになっております。
相澤重明
27
○相澤重明君 そうしますというと、この五千七百七十八万六千坪ですね、これは固定資産の対象として見ておるわけですね、そういう意味ですね。
白石正雄
28
○
説明員
(白石正雄君) 国有財産の価格の中の一部を構成いたしている次第でございます。
相澤重明
29
○相澤重明君 これは、
大蔵省
の評価はどのぐらいですか。
白石正雄
30
○
説明員
(白石正雄君) 土地が二百七十億二千五百万円と相なっております。
相澤重明
31
○相澤重明君 建物は。
白石正雄
32
○
説明員
(白石正雄君) 建物は、三百四十七億八千九百万円と相なっております。
相澤重明
33
○相澤重明君 大蔵次官、大臣と相談をしてもらわないといけないことがここに出てきておるわけだね。これは、
大蔵省
の林産といえども、米軍に提供しておるものは、これは日本人が使用しておれば、当然それだけの
収入
があるとみなせるものですね、本来ならば。したがって、それだけ国庫歳入になるわけなんです。とここが、米軍に提供しておるから、それだけいわゆる一般財産としてまあ評価をして、今の価格になると私は思う。そこで、
大蔵省
が所管をしておる、今の米軍に提供しておるところの普通財産がこれだけあるが、このほか、
大蔵省
が把握しておる、都道府県、あるいは市町村、いわゆる地方自治団体、この自治団体が米軍に提供しておる土地というものはどのぐらいあるか、こういうことを把握しておりますか。
竹内俊吉
34
○
説明員
(
竹内俊吉
君) 国の財産の分につきましては、今お答えしたとおりでありますが、
地方公共団体等
の今のお尋ねの点につきましては、
大蔵省
としては、これは今集計いたしておりませんので、わかりかねる次第でございます。
相澤重明
35
○相澤重明君 まあこれは、直接
大蔵省
の所管でないからということでお答えになってしまえば、それまでの話なんだけれども、まあ直接の
関係
としては自治省でしよう、そういうことにたしかなると思います。なると思いますが、私が実はその次に質問を出したかったのは、これはいわゆる基地
交付
税等の問題が出てくるわけなんですよ。でありますから、直接国の財産を提供しているものは、今御
説明
をいただいたとおりでありますが、それにあわせて、地方自治体が提供しておるとすれば、これに対する評価もしなければならぬ。それだけいわゆる地方自治体としての
収入
は減ってくるわけですから、ここに私が何回も実は基地
交付
税の問題について
政府
のお考えをただしておる大きな
理由
があるわけです。 それでは、ざっくばらんに私はお伺いしたいと思うのですが、これは国有財産の
関係
でなくて、今度は
交付
関係
ですから、だれですか、出席しているのは。——それでは大蔵次官、これは先日も防衛庁長官や林調達庁長官に私のほうからも希望を述べておきましたが、従来この基地
交付
税は、五億を初めとして、毎年若干ずつふやしている。そうして、
昭和
三十五
年度
は十億のものを、三十七
年度
は十二億にふやした、三十五、三十六の十億を。ところが、これはあくまでも査定の基準というものが実はないのですよ。どんぶり勘定なんですよ、普通の言葉で言うと。そこで、これについては、やはり評価をして、もし京都なり、あるいは広島なり、長崎なり、神奈川なりという旧軍港だけの例をとっても、これをもし正当な評価をしていくと、私はたいへんな額になると思う。ところが、国の金が少ないということで、実はどんぶり勘定で、まあことしはこのぐらいということでこれはやっているわけですよ。そうして、三十五年、三十六
年度
の十億というものを、三十七
年度
の予算では二億ふやした。当時は、少なくとも地方自治団体では四億をふやして十四億にしてくれ、こういう考えであったのです。最終的に、もう仕方がないというので十二億に削ってしまった。それがために、港湾
関係
の予算というものは削られてしまった。こういう地方団体にきわめて大きな圧迫を加えているわけです。いずれこれは
関係
の自治体から
政府
にそういう要請もあると思う。私は、ただ要請があるから、ないからじゃなくて、国有財産の実態調査の上からいって、適正な評価をすると同時に、この地方自治団体のそういう財政
計画
というものも、やはり
大蔵省
自体として見てやらなくちゃいけない、こういう建前からくると、今の地方自治団体の実態というものは、やはり自治省とよく相談をしてもらって、そうしてこの基地
交付
金等も算定をしないと、実はあくまでもこの慣習に従う、どんぶり勘定で終わってしまう、これでは私はいけないと思う。この点で、私は少なくとも五十億ぐらいの
交付
金というものを出さなければいけないのじゃないか、諸要求を考えれば——ということを言ったのでありますが、なかなかそこまで行っておりません。今申し上げたとおりです。そこで、まあ今
年度
あたりは、少なくとも基地を持った自治団体としては、非常な苦労をされておるわけですから、そういう点を再検討をしてもらいたいのが一つであります。 それから、いま一つは、
政府
が調査をした実態の中では、これは国有のものでありまして、国有の土地、国有の建物、これを評価したわけですね。米軍が日本から借りた土地の中に建った建物は評価の対象になっていますか、これは管財
局長
どうなんです。
白石正雄
36
○
説明員
(白石正雄君) 米軍の基地内に建物を作ります場合は、調達庁がこれを
建設
いたしました分につきましては、これは国有財産の提供ということになっておりまするので、その建物も中に含まれておるわけでございます。
相澤重明
37
○相澤重明君
局長
、私の質問を聞き出遅えちゃ困る。米軍に日本が土地を提供しておる、いわゆる基地。その基地の中に米軍が自分の費用で建てた建物ですよ。それが固定資産の対象になるかと、こう聞いているんです。
白石正雄
38
○
説明員
(白石正雄君) 御質問の点の、実情の点で、あるいは私実情不明の点があるかとも存じまするが、調達庁を通じてこちらが
建設
した分につきましては含まれておるわけでございまするが、全然
関係
なしに、こちらと連絡なしに作った建物がありといたしますれば、それはこちらのほうには含まれていないわけでございます。
相澤重明
39
○相澤重明君 もっと、いま少しあなたの頭へ入れてもらいたいのは、いいですか、日本
政府
が米軍に土地を提供しておる、これを称して基地という。その基地の中に米軍の金で建てた建物、これがいわゆる固定資産の対象になるかならぬかと、こう言っている。あなたの言うのは、調達庁が向こうの
計画
を聞いて建てたものは、それは固定資産の対象になる、そうでないものは入っていないと、こう言っているわけだ。そういうことがわかるかな。
白石正雄
40
○
説明員
(白石正雄君) 行政
協定
に基づきまして、施設は日本側が提供することになっておりまするので、建物等も調達庁が
建設
いたしまして提供すると、こういう手続で行なっておるわけでありますが、今御質問の点は、私まだちょっと実情を実は詳細把握していない点があるわけでございまするが、こちらの提供と全然
関係
なしに米軍が作ったものがありといたしますれば、これは米軍の財産ということになりまして、こちらの国有財産には
関係
のたいということに理論的にはなろうかと思いまするが、そのあたりの詳細は、今ちょっと私不明でございまするので、的確にお答えいたしかねます。
相澤重明
41
○相澤重明君 これも、当
委員
会で、私が何回かこの点は
政府
にお話をしているところなんです。実は、米軍は日本
政府
から提供された土地の中に自分で建物を建てているものがあるわけです。これは、地方自治団体の立場でいきますと、日本
政府
が基地を提供をしておるのであるから、建物であろうと、立木であろうと、これは本来、米軍に貸しておらなければ、
日本国
民の財産なんでありますから、当然その対象になるわけですね、すべてが。すべてが対象になる。ところが、借りたからといって、自分の土地へ自分の金で建てたからといっても、これは私は、今言ったとおり、もしこれが土地を提供しておらなければ、当然
日本国
民のだれかがそれを所有し、あるいはまたそれを利用しているわけなんだから、これは対象になる。こういう不満が、実は都道府県知事、市町村長にあるわけなんです。この実態を私は
政府
がやっぱりつかむべきだと思う。だから、米軍に貸しておる、日本
政府
の提供しておる、土地は幾ら、建物は幾ら、しかしその中に米軍が作っておるものはどのくらいある、これをつかんだら、
日米
合同
委員
会の中に持ち出して、あなたのほうで作ったものといえども、日本
政府
としては当然これは要求をしてよろしい。こういうことをやらなければ、何が対等の
政府
交渉ができるか。これは私のものですと、こう言われたって、それはもう除外をいたしましょうと言っていったら、ほんとうのいわゆる財産の格好にはならぬ、あるいは査定にはならぬ、こういうことを私どもは実は常に陳情を受けているわけです。何回となく。でありますから、当
委員
会でもそのことをひとつ実態を把握して、そして査定をしなさい、同時に、基地の
交付
金を
交付
する場合には、そういうものに基づいて査定の基準を作って
交付
をしなさい、こういうことが適正な査定ではないか、私どもはこう主張しておるわけです。しかし、この点については、管財
局長
もかわったばかりでありますから、この点全部を実態を把握するというのは、これは無理だけれども、これは私、早急に各市町村あてに照会して、そして実態調査をやってもらいたい。そして、もしそれがはっきりしたならば、私は
日米
合同
委員
会の中に持ち出してもらいたい。そして、これは少なくとも、日本側の財産として、この固定資産税の対象になる。財産を作ったのは向こうかもしれないけれども、固定資産税の対象にはなる。いわゆる道路であろうと、橋であろうと、鉄道を作った、そういうものでさえ、全部固定資産の対象になるのですね。それを、向こうの地域の中にあるからということで対象にならないというのは、片手落だ、こういうように私どもは思う。そういう点をひとつ検討してもらいたいと思うのだけれども、次官どうですか、あなたのお考えは。
竹内俊吉
42
○
説明員
(
竹内俊吉
君) 基地の施設提供は、今お答え申し上げたように、
日米
行政
協定
に基づいて、調達庁を通してやることになっておるのでありますから、それに関する限りは、もちろんお答えしたとおりでありますが、それ以外のものがどのぐらいあって、それがどういう性質のものであるかということは、まず実態を調査するということは、なるほど必要なことだと思いますので、
関係
各省とも連絡をとって、その点を明らかにすることができれば、明らかにする努力を払いたいと思います。
相澤重明
43
○相澤重明君 次に、この四カ年間の実態調査の中で、先ほどもお答えいただきました、六万二千七百三十七件というのが報告されたわけでありますが、この中で、
政府
は全部登記は終了しておる、こういうことですね。仮登記というものはありませんね。
白石正雄
44
○
説明員
(白石正雄君) 調査をいたしました結果、何と申しますか、帳簿上登記があって、実際には実物がなかったというようなものにつきましては、登記は抹消するようにいたしまするし、登記簿上はなくして、実際にはあったと、いわば脱落地と称しておりますが、そういったものにつきましては、登記をするようにいたしております。また、実測等いたしました結果、実際の土地面積と台帳面積との相違がある、増あるいは減があるというようなものもありますので、それぞれ所要の帳簿上の整理をいたしております。
相澤重明
45
○相澤重明君 それだけでは私の質問のお答えにならぬので、帳簿上の整理、それはわかった。わかったけれども、それは全部登記済みのものであるか、いわゆる本登記でなくて、仮登記のものも含んでおるのか、こういうことを聞いているわけなんです。
白石正雄
46
○
説明員
(白石正雄君) 国有財産につきましては、財務局あるいは出張所に備えつけておりまする台帳で整理いたしておるわけであります。したがいまして、その台帳面におきまして所要の
整備
をはかっておる、かようにお答えしている次第でございます。
相澤重明
47
○相澤重明君 すると、管財
局長
は知らないのだな。その仮登記というものは、本登記でなければ真に国有財産にはならぬのですよ。仮登記のものがあることを知りませんか。そういう報告を聞いていないですか。仮登記はどのくらい
件数
があるということを知らない……。
白石正雄
48
○
説明員
(白石正雄君) 御質問の仮登記ということを、私、どういうことの御質問の趣旨か、ちょっと承知しておりませんですが……。
相澤重明
49
○相澤重明君 それじゃ僕からよくそれは教えておこうと思うが、これは戦時中の、軍が強制接収したものがある。このときには、当時は戦争中でありますから、ほとんど本登記はしていない。仮登記だ。金を払って仮登記しておる。これがあの戦後の国有財産の実態調査の中で一番大きな問題なんですよ。だから、私が当
委員
会で、一番最初三十二年に、池田さんが大蔵大臣のときに、この問題を出したのです。実態調査を早くしなさいと、こう言った。そのときの一つの例として、横浜市の戸塚区大船における国有財産の仮登記の問題で、一体、
政府
は、旧地主に返すのか返さぬのか、それから、この点は次官に聞いてもらいたいと思うのだが、仮登記の場合には、固定資産税はその地主が払っておるのですよ。
政府
は持っているのじゃない。
政府
は仮登記をして、そのときには確かに幾らかの金は払ったかもしれないけれども、戦後十何年間というものは、旧地主が固定資産税を払っておるのですよ。だから、それはいけないから、国有財産は国有財産として
処理
をしなさい、そしてもしこれが不必要であるというものならば、これは払い下げをしなさい、それからよけいにとり過ぎておる固定資産税があれば、これを返しなさい、こういうことを私は三十二年から言っておるわけです。そういうことがありますが、わからないですか。
白石正雄
50
○
説明員
(白石正雄君) 旧軍が取得いたしました国有財産で、登記簿上はっきり整理していなかったという財産の問題のお尋ねのようでございますが、これらにつきまして、実情調査いたしました上、それぞれその権利の所在がどちらであるかということをはっきりさせまして、そして整理をいたしておるわけでございます。問題のような土地につきましては、民間の所有であるのか、あるいは国有の財産であるのかというようなことが争いの対象となっておりまするので、最後には、場合によっては、訴訟において解決しなければならぬというような問題もあるわけでございまして、これらにつきましては、それぞれ所要の手続を進めて整理をいたしておる次第でございます。
相澤重明
51
○相澤重明君 訴訟までいっておれば、これは裁判で決着がつくのです。訴訟までいってない。先ほど申し上げたように、存在するか存在しないかも、なかなか実態調査をしなければわからぬというのが、三十二年以降の問題だったわけです。そこで、
政府
としても努力をされて、実態調査の結果、先ほどの御報告のような点になった。しかし、そういう報告を私が聞いておりながらも、なおかつ、そういう本登記ができて、いわゆる国有財産に編入をされておるかどうかと、こういう点について、まだ疑問がたくさんある。現実に、たとえば、一つの例を私お尋ねしたいのですが、旧内務省の管轄になっておった神社仏閣、こういうところの登記を、終戦後したところはいいが、そこの登記をしなかった神社仏閣の寺社領について、そういうものは国有財産になっているでしょう。どうですか。
白石正雄
52
○
説明員
(白石正雄君) いわば、旧社寺等の使用しておりました財産で、戦後の法律で無償で譲与いたしましたものはございます。無償の譲与にならなかったものにつきましては、国有になっておるわけでございます。これらにつきましては、今お尋ねのように、なお十分
処理
がなされていないというような財産もございます。これらにつきまして、実態調査を進めまして、整理をはかっておる実情でございます。お尋ねの、旧軍の未登記の財産につきましても、実態調査の結果、事実
関係
を明らかにいたしまして、そして権利
関係
を帳簿上も明らかにするというように、手続を進めておる次第でございます。何分事実
関係
が古く、不明のものもございまして、なお権利
関係
がはっきりしない、両者において争いがある、こういう財産が残っている次第でございまして、これにつきまして、私どもは鋭意整理をはかっている次第でございます。
相澤重明
53
○相澤重明君 努力は多といたしますが、しかし今国有財産ですから、国有財産の
処理
というものはやはり適正でなければならぬ、こういう点で、私はひとつ希望を申し上げると同時に、ひとつ
政府
でもお考えをいただきたいのは、たとえば神社仏閣等の旧寺社領ですね。それが終戦直後無償でいわゆる返還ができたものはいい。しかし、できなかったものについては、その旧所有者が申請をした場合、これを
政府
として返還をする考えがあるかないか、これが一つ。 二つ目には、一般の民間の所有でありますが、これは
昭和
十八年、十九年に強制接収をされたのがたいへん残っている。これは本登記をしてないのがある。すでに日本軍はないわけですから、この場合に、旧所有者が、仮登記のものは、いわゆる固定資産税をいまだに払っている。こういうものについては、当然旧地主に返還をすべきであると思うが、この点についてはどう考えるか。 以上二点についてお答えいただきたい。
白石正雄
54
○
説明員
(白石正雄君) ただいまお尋ねの二点とも、非常に個別的にいろいろ複雑な、また
状況
の異なった問題をはらんでいるわけでございまするので、私ども、その事実
関係
を明らかにするというために、努力を重ねている次第でございます。事実
関係
を明らかにいたしまして、それぞれ個別的に適正な
処理
をいたしたいというように考えている次第でございます。
相澤重明
55
○相澤重明君 そういう抽象的な議論では、話にならぬのだ。私の聞いているのは、当時いわゆる旧日本軍が必要として強制接収をしたのだけれども、今やそういう必要はもうないわけなんだ。そこで、今
政府
としても、それほど必要としない場所があるわけですね、旧地主が持っていたものは。そういう仮登記のものについては、当然、この固定資産税は旧所有者が払っているのだから、その人たちが申請をする場合には、旧所有者に払い下げてもいいのではないか、こういう点を聞いているわけだ。実態を、個々の問題を調べなければわからぬと言うけれども、方針としては、私はそれがあたりまえだと思う。それが
政府
のいわゆる公共建物が建っているということになれば、これはもう返せないというのがあたりまえなんだ。しかし、もしそうでない、単に土地だけが登記上いわゆる
政府
の名目になっているけれども、実際には実態はそうではない、こういうことになれば、それは、私は、旧所有者に当然申請があれば返してやっても差しつかえないのだ、こういうことを聞いているわけです。 それから二つ目に、固定資産税は、
政府
が仮登記をしているために、本登記をしなかったために、旧所有者が払っているのであるから、これは当然返還すべきものですね。前の三十二年当時、今の総理大臣の池田さんが大蔵大臣のときに、これは返します、こういうことを言われたのでありますから、この点は今でも変わっておりませんね。いかがですか。
白石正雄
56
○
説明員
(白石正雄君) 第一の御質問につきましては、まことに抽象的なお答えで、御満足いただけないかと思いますけれども、その個々につきましては、やはりいろいろ具体的に検討しなければならぬ問題ではなかろうかと考えておりまするので、まあ抽象的なお答えでひとつごかんべんを願いたいと思うのです。 第二の問題につきましては、これもなかなかむずかしい問題でございまして、すみやかに権利
関係
がはっきりし、これが帳簿上におきましても事実
関係
と合致するような整理がなされておれば、かような問題は発生しなかったわけでございまするけれども、事実
関係
が別にありながら、帳簿上の権利
関係
が別個の様相を呈しておったというために、かような食い違いが生じたかと考えられるわけです。一方、固定資産税といたしましては、帳簿を基礎といたしまして、そうして市町村が課税をするというような建前になっておりますために、こういった事実
関係
と税
関係
の複合というような問題が起こって参っております。私ども、この点につきましては、自治省のほうで適正な
処理
がなされるよう、期待いたしている次第でございます。
相澤重明
57
○相澤重明君 期待をするだけじゃなくて、私は、こういう実態調査をして、そのことが明らかになったならば、あるいはそういう申請があったならば、
政府
も積極的に
処理
をすべきだ。これは、今
局長
が御答弁をされましたように、地方自治体は、登記上、帳簿上に基づいて課税をしているわけであります。でありますから固定資産税を旧所有者が払っておれば、これは当然、その権利のないものが払わされるということはないわけであります。払ったものはこれは返すべきであるということで、私はやはりその実態の上に立って
処理
をしてもらいたい、これをひとつ希望をしておきます。 そこで、私は具体的な問題でひとつお尋ねをしたいのですが、管財
局長
にお答えいただきたいのですが、今の総理大臣の池田さんが通産大臣のときに、横浜市金沢区の東洋化工という火薬を作っている会社が爆発をした、そのときに私が本院の本会議で緊急質問をしたことがあるわけです。その東洋化工という火薬を作っている会社は、
政府
のいわゆる
規定
をしているまあ法律、政令に基づくすべての
整備
がしてなかった、また、時の通産大臣の池田さんのお答えでは、通産省の監督官も手不足であった、こういうことで改善命令を出されると同時に、取り扱いについても非常に
政府
としても努力をされたことであります。そこで、東洋化工の会社については、今後は火薬は作らせない、こういうことで
政府
としては監督上の問題としてきびしくされて、ついにこの会社も、火薬を作らないということになった。今まで持っておったものは廃棄処分をする、こういうことなんです。したがって、会社としてはもう火薬を作らないということが明らかになったわけでありますが、私どもが聞いた範囲では、当時この東洋化工の爆発のために東急車輌というのが、すぐそばに会社がある、それから同じすぐそばに横浜市立の大学もあるわけです。こういう学校とか工場とか、あるいは
住宅
が非常な影響を受けた、そうしてその損害というものは莫大なものがあって、市はその付近の人たちに災害救助法を適用するなり、あるいは多くの国民から見舞金、カンパを集めてそうしてそれらの人たちの復興に、あるいはお見舞に援助をした、こういうことを言われているわけです。ところが、その当時、横浜市の金沢区役所にこの災害特別対策
委員
会というのが持たれて、そうして会社側に対するところの損害補償要求を市民なりその工場なりが行なった。ところが、会社はそういう爆発事故を起こして、しかも、もう火薬は作らないということを監督官庁から言われたために、財産を処分をしてもそれだけの補償はできない、こういうことでいまだに横浜市にも損害の補償もろくに払っていない、付近の人にも払っていない、こういうことを言われているのであります。ところが、そこに国有財産を払い下げたと、こういう。そこに、私のお尋ねをしたいのは、なぜやめるような会社に国有財産を払い下げなければならない緊急性があったのか、必要性があったのか、この点、これは管財
局長
、わかりますか。
白石正雄
58
○
説明員
(白石正雄君) お尋ねの点につきましてお答え申し上げます。お尋ねの場所の国有財産の
貸付
状況
は、過去からの相当長い経緯があったようであります。お尋ねの場所は、旧第一海軍技術廠支廠施設であったわけでございますが、これは終戦直後の二十二年三月ころから各種の会社に一時使用を許可しておったわけであります。それらの会社は、原沢製薬とか、汎極東物産とか、大日本ディーゼルとか、東京光音というような会社であったわけでありますが、これらの会社に終戦直後国有財産を使用させまして、いわば
経済
の復興をはかるというような見地で一時使用をさせておったわけでありますが、その間に、東洋化工の前身でありまする泰道繊維というのが、大日本ディーゼルと共同使用の形になりまして、そうしてなおかつ、それが他の会社の一時使用の権利
関係
をいわば引き継ぎまして、そうしてここに、二十七年ごろになりまして、特需の需要にこたえるというような意味で火薬の
製造
を始めたような
状況
でございます。その間にお尋ねの点のような爆発事故が起こったわけでありますが、その後におきまして、この会社は、火薬の
製造
はこれを中止するという届出を出しまして、そうして合成樹脂の
製造
加工
事業
に転換いたしたわけであります。そこで財務局といたしましては、この合成樹脂の
製造
工業は、これはまあ適格なる国有財産払い下げの業種になるということを勘案いたしまして、
昭和
三十六年の三月に、その合成樹脂の
製造
に必要な範囲の国有財産を払い下げるという措置をとったわけでございます。
相澤重明
59
○相澤重明君 政務次官、今の
局長
の答弁おわかりでしょう。つまり三十六年の三月に合成樹脂を
製造
する工場のために国有財産を払い下げた。三十四年の十一月ですね、東洋化工の爆発があって、これに対する
政府
は、今の総理大臣で当時通産大臣の池田さんは、これを、
政府
の監督上も足りなかった、しかし、会社の設備もよくない。したがって、これは早急に調査をすると同時に、これはいけないから、この火薬
製造
はやめなさい、こういうことになった。そこで一年有余もんでおって、しかし、
賠償
金というものは全部出せない、幾らかは出したのでしょう、その処分をして。しかし、地元民の工場なり
住宅
地なり、あるいは横浜市なり、そういう
関係
者の損害を与えられたものに対して全部払っていない。話に聞けば、二千四百万以上あるそうです、要求しておるのは、残っておるのは。ところが、その火薬は
製造
しないというこの会社の名義で実は払い下げているですね。そうすると市民感情としては、国有財産を安くもらったのなら、そのかわりになぜ銀行から金を借りてその補償をしてくれない、自分たちは国有財産をどういうふうに
政府
と話し合いをしたか、政治家が話をしたか知らぬけれども、とにかくたくさんの土地の払い下げをとって、火薬は作らない、こういうことでほかの会社にするということでやったけれども、実際にはその付近のものに対しては何ら
支払い
をしない。しかし、話に聞けば、まだ火薬が貯蔵されておるやに聞く、これは
政府
をごまかしている、こういう感情が地元民にあるのですよ。だから私はそれを、あなたのほうの図面をとって実態を調べたわけです。これは明らかに、手続上はなるほど申請があれば、他に競争者もないし、あるいは、そういう火薬でも扱ったような所ではなかなかほかの買い手はないだろうということで管財局が払い下げに踏み切ったということは、手続上は誤りはないかもしれませんね。けれども事故を起こして、少なくとも本院の本会議で私が緊急質問をして、
政府
が、監督上の問題やこの会社の問題として自治体の横浜市なり付近の住民なり、そういうものに対して大きな問題になったのに、それから一年有余たって、いつの間にかその土地はその会社に払い下げられて、その会社はどうなっていますか、東洋化工という会社が実際やっておるのじゃないんです。第三者ですよ。それが結局そういうふうに管財局の人たちに話をして払い下げをさせたんですよ。この実態はどうなんですか。しかもそのあと、今払い下げただけでなくて、そのほかのほうもまだ払い下げを申請しているのです。こういう、全く国の財産を預っておる、
大蔵省
の監督しておる管財局の私は取り扱いとしてはきわめて粗漏だと思う。これは一企業に対しては、なるほど手続上はいいかもしれぬけれども、これだけの大きな問題になった所をなぜもっと慎重に審査をしないのか。横浜市に言わせれば、それだけの財産を国が一企業にやるなら横浜市に払い下げてくれと言う。すぐそばに大学がある。あるいはそれだけの損害をまだ全部の人に補償していないのだから、それならば当然そういうものを、市が国有財産を公共的に使うようにしてもらえばそれだけの補償ができるでしょう。横浜市の不信は絶えませんよ、管財に対する。地域の住民、東急車輌の人たち、この東急車輌がすぐそばにある、爆発した所の。私は爆発したときにすぐ現地に飛んで行った。東急車輌だって大きな工場が一ぺんにやられたんです。当時損害というものは莫大なものだった。そういうことをやっておるにかかわらず、
政府
に報告したのは、もう火薬はありません。しかし、実際をいろいろ聞いてみると、まだ少し貯蔵されておる。あぶないからこっちにもらいたい。それから、払い下げを受けてしまえば今度ほかの合成樹脂だとか、あるいは医薬品とかなんとか、そういうものをやるんだと、こういうような第三者が入った。なるほど払い下げ申請をしたのは東洋化工の泰道何とかという人かもしれぬけれども、実際は違うでしょう。そういうことをなぜ
政府
がやらなければいけないのか。そういう問題の起きている所をなぜ
政府
が急いでやらなければならぬのか。こういうことの不信は私としては絶えないと思う。二万余坪の払い下げをして、さらに二万余坪の今払い下げの申請をしておる。しかし、
政府
としても——これは管財局の話ですね、それだけあとの払い下げについては、必要がないようだから今保留をしておる、こういうふうな形なんです。しかしこれは、これほど地元民に苦労をさして、地元民をばかにした
政府
の処置はありませんね。私は、こういう点について、少なくとも管財局のとった処置というものはこれは認められない。地元民として、特に私どものそういう被害をこうむった地元の人たちの不信感というものは絶えないのですから、こういう問題については、私としては、徹底的に追及しなければならぬだろう。何か裏にあるんでしょうか、こういうふうに地元民はみな思っている、横浜市民は。だから、横浜市会の人たちから私にこのことが来たんです。先生、
決算
委員
ですから徹底的にやって下さいと、こんな人をばかにした話はありませんと、これが横浜市会議員の人たちの意見ですよ。私は管財局に、なぜ三十六年になってこれを払い下げなければならぬという
理由
がありましたか、それを聞きたい。だれがそれでそういうことを折衝に当たったか、どういう
理由
でやったか、そのことを報告してもらいたい。
白石正雄
60
○
説明員
(白石正雄君) 先ほどもちょっと御答弁いたしましたように、
昭和
二十七年ごろから、いわば特需
関係
で火薬の需要が相当ございましたので、この土地が旧軍の火薬
関係
の仕事をやっておりました土地であるという
関係
もございまして、火薬の
製造
には適地であるということを目をつけて、この本社が乗り出してきたようでございまして、したがいまして、その会社に
貸付契約
をしておったわけでございます。ところが、御承知のように三十四年に爆発事故が起こりまして、地元のほうからもいろいろと反対の運動もあったようでございまするので、その会社といたしましては、直ちに火薬の
製造
を中止し、廃棄をするということにいたした次第でありまして、財務局といたしましては、これらの土地、今御
説明
になりましたなお余っておる土地もあわせまして、一括的に
貸付契約
をいたしておった次第でございまするが、その後、火薬の
製造
をやめまして、合成樹脂の
製造
に転換をいたしましたので、その合成樹脂の
製造
に必要な部分だけを売り払いをいたした次第でございます。残余の部分につきましては、したがいまして、従来どおり
貸付契約
中でございまするので、その点をいかに
処理
するかは、なお今後十分検討しなければならない問題であろうかと思います。財務局といたしましては、さような次第で、爆発のために地元民の抱きました不安その他につきましては、できるだけ考慮を払いまして、売り払いも必要最小限度にとどめて
処理
いたした次第でございます。
相澤重明
61
○相澤重明君 今の
局長
の御答弁はなってないですよ。必要最小限度どころじゃないのだよ。この図面でも見るとおり、火薬工場の中は全部ですよ。そんなものは必要最小限度も何もない。それで今の山のほうを、山林がある、そういう所を今さらに払い下げてほしいという
追加
申請なんです。だから私は、少なくとも三十四年に事故が起きて、三十五年に
政府
が調査をし、そしてこれはもうこの火薬を
製造
することはこの地域では危険である、こういう判断を下したから、通産省としての監督行政が行なわれたわけですよ。その結果に基づいて、三十五年には一月に廃業届けを出したけれども、まだこのときにはたくさん火薬を持っておった。それをとにかく処分をしなければならぬというので、これは売っておるのですよ。廃棄したのもある。しかし売っておるのもある。しかし、まだ全部が処分はし尽されておらないから、まだ少しは残っておるから、これは危険であるからこの土地はここで買いたいというのがそもそもの趣旨でしょう。しかし火薬はもう作りませんと廃業届けを神奈川県に出したわけです。出したのだから、今度はそれにかわるべきものとして、今、管財
局長
の答弁をしたような会社をやらせるということにしたのでしょう。しかし、申請人は変わらないのですよ。会社はいろいろな会社を作っておるけれども、申請人は変わってないのですよ。そうすると、その申請人がやっておった
事業
に対する被害が起きたのだから、地元民としてはその人に文句を言う、なぜそんなことをするのだ、こういうことになるのは当然でしょう。不信感は、これはぬぐい切れないです。そういう点が私どもとしては——私はまあ
政府
にその裏の取引がどうだったとか、あるいはだれがどうしたとかいうことはわかりません。わかりませんから、公式上いわゆるこういう
国会
で
決算
上の審査としてお尋ねするのは、なぜそういう不信感のあるものについて、そういうふうに急いで
処理
をしなければならなかったか。この点がどうしても私にはわからない。今の管財
局長
の答弁だけでは私ども納得することはできません。 そこで、私は次官にこれをひとつ要求をしたい。当時のいわゆる火薬をこの東洋化工が廃棄をした、通産省の監督のもとにこれらの
処理
をした年月日、これはもう通産省にいえばすぐわかりますから……。それから神奈川県に届け出たもの、
処理
の内容ですね、そういうものと同時に、なぜこういうふうな払い下げ申請をしたのに、
大蔵省
が——普通のところではこんなに早く手続が済まない、なかなか申請を出したってそう早くいかない、こう早くきまるものじゃない。この申請の
理由
と、それからそれらの担当者はだれであったか。これを報告してもらいたい。文書で報告してもらいたい。そしてそのことについては、いま少し次官もお帰りになったら管財
局長
の話をよく聞いて、大臣と相談をしてもらいたい。これだけの国有財産をこの会社に払い下げるならば、当然損害の該当の人たちは請求しますよ、今度は。だから、それがほんとうに払い下げてあるのかないのかということを私に聞いてもらいたいというので私はお尋ねをしたら、これは払い下げておるということがわかった。こういうような国有財産の管理というものについての不信感ということであれば、私はやはり問題が将来に残ると思う。この点について、次官のひとつ御意見を聞かしてもらいたい。
竹内俊吉
62
○
説明員
(
竹内俊吉
君) ただいま事務当局からお答えしたように、その取り扱いに関して行政的な措置に過誤がなかったと私は思います。思いますが、お尋ねを承ってみますると、相当込み入った経緯があるようでございますから、通産省その他と資料その他について打ち合わせをいたしますことが御質問の御趣旨に沿うことだと思います。了承いたしました。 先ほど相澤さんからの冒頭のお尋ねに対して答弁を保留さしていただいておりましたが、ここでお答えしてよろしゅうございますか。
相澤重明
63
○相澤重明君 ええ。
竹内俊吉
64
○
説明員
(
竹内俊吉
君) それでは申し上げます。三十五
年度
の財政
投融資
計画
の改定についてでありますが、輸出入銀行、
国民金融公庫
、
中小企業金融公庫
、商工中金に対する
出資
並びに
融資
額を変更、改定をいたしております。これらの内容につきまして簡単に申し上げますと、輸出入銀行に対しては、当初
計画
が三百六十億のところを、改定後は四百八十五億となっております。このうち、百二十五億が
出資
であります。
国民金融公庫
については、当初
計画
二百九十億のところが、改定後三百二十五億になっております。これは全部
融資
であります。
中小企業金融公庫
につきましては、当初
計画
三百十五億のところ、改定後は三百五十五億になっておりまして、これも
政府資金
の
貸付
でございます。商工中金に対しましては、当初
計画
三十億円のところ、改定後七十七億円になっておりまして、そのうち二十億円だけが
出資
でございます。それから、もう一つは地方債でありますが、これが当初
計画
では千四百六十億のところが、改定後は千五百七十億円に相なっております。変更した日付等もわかっておりますが、
中小企業
と
国民金融公庫
、両方は十二月の二日でございます。地方債は十二月の五日、商工中金は一月二十一日で、輸出入銀行は十二月でございます。 この
理由
は、一々申し上げますとみなあるわけですが、大体論で申し上げますと、
経済
の情勢に応じて弾力性をとった財政
計画
の改定である、まあ一つは、地方債等が災害に対する措置としてとられた、こういうことでございます。
相澤重明
65
○相澤重明君 せっかくお答えいただいたのですから、そこで、そういう
計画
と改定をした
実績
が今述べられた、ところが、それが改定をしたけれども、実は改定
計画
に比して下回っておる、それはなぜか、こういうことで先ほどその次のお答えをいただきたいと、こういうことを言ったわけです。 政務次官、時間の
関係
で今ここですぐといってもたいへんだろうから、そこで、なぜ百五十三億も改定をしたものが下回ったのかという
理由
を
公庫
、公団別に調べてひとつあとで答弁して下さい。 それでもう時間がだいぶおそいので、また午後大蔵大臣が出席してずっと質問がありますから、やはり要領よくやるにはそのほうがかえっていいでしょう。
佐野芳雄
66
○佐野芳雄君 資料をちょっと今のに関連してお願いをいたしたいと思うのですが、そこで資料をいただきますために政務次官にちょっとお聞きしておきたいのであります。
国民金融公庫
の場合、あるいは
中小企業金融公庫
の場合、
中小企業者
への貸し出しがふえたということが言われておるのですが、そこで、
大蔵省
が現在言っておる
中小企業
の概念ですね、一体その基準はどこに置かれておるのか、現状での概念をひとつ聞かしてもらいたい。
大月高
67
○
説明員
(大月高君) ただいまの段階におきまして、
中小企業
の概念は、いろいろの場合について若干の相違がございます。具体的に申し上げますと、
中小企業金融公庫
におきましては、資本金一千万または従業員三百人以下ということでございまして、それはいずれか高いほうによるわけでございます。ただ業種によりましては、たとえばサービス業というようなものにつきましては、従業員の人数を三十人以下というように、これはいずれも
融資
の対象が法律できまっておるわけでございます。それから
国民金融公庫
につきましては、具体的に法律上の制限はございません。これは国民大衆という言葉で一括してございますが、
中小企業金融公庫
に比較いたしまして、
国民金融公庫
はそれよりもつまり下の段階、いわば零細企業をやるという建前においておのずから限度がきまっておるわけでございます。それから商工中金につきましては、商工組合中央金庫の構成員がございまして、これは主として
中小企業者
を中心とする商工組合その他、いわば
中小企業
——一般に
中小企業
といわれているものの集まりがございますので、その貸し出し対象は構成員に限るということになっておりますから、そこの構成員ということにおいて限度があるわけでございます。それから一般の市中の
関係
におきましては、
相互
銀行、信用金庫につきましては……。
佐野芳雄
68
○佐野芳雄君 それはよろしい。そこで、年末に
中小企業
に金融をされているのですが、その年末金融の実態を、三十四年末、三十五年末、三十六年末の中金並びに
中小企業金融公庫
、
国民金融公庫
に分けて年末
貸付
の実情を、ひとつ資料をお願いしたいと思います。
大月高
69
○
説明員
(大月高君) 資料として提出いたします。
佐野芳雄
70
○佐野芳雄君
委員長
にお願いしたいのですが、あわせて
住宅
金融
公庫
が行なっている
産業
労務者
住宅
の分、これの三十四
年度
、五
年度
、六
年度
の分がわかれば、それを今の基準に基づいて比較を出してもらいたいと思います。たとえば三百人以上の会社にも現在労務者
住宅
の
融資
をこれだけやっているという基準ですね、
中小企業
の基準概念にはまるものには
公庫
のほうに幾ら貸している、こういうやつを、これはあとでもいいがお願いいたします。
鈴木壽
71
○
委員長
(
鈴木壽
君) これはすぐきょうぢゅうでございますか。
佐野芳雄
72
○佐野芳雄君
住宅
公庫
のほうはきょうでなくていい。
鈴木壽
73
○
委員長
(
鈴木壽
君) これは
住宅
公庫
を扱う際にでもいいですか。
佐野芳雄
74
○佐野芳雄君 少し早目に、きょうでなくてもいいが。
鈴木壽
75
○
委員長
(
鈴木壽
君) できるだけ急いで……。
佐野芳雄
76
○佐野芳雄君
国民金融公庫
と中金と
中小企業
公庫
のほうはなるべくきょう出してもらいたい。
大月高
77
○
説明員
(大月高君) 二、三日中にできると思います。
佐野芳雄
78
○佐野芳雄君 きょう出ませんか、これはきょう出るでしょう。
大月高
79
○
説明員
(大月高君) 年末対策の
関係
はきょうじゅうに、
住宅
公庫
の
関係
は二、三日中に出ると思います。
高山恒雄
80
○高山恒雄君 この資料ですが、当日もらわないで前日か前々日くらいにひとつ配付してもらうということをやってもらいたいのですが、きょうここに来て、もらって、いろんなものを読むということでは質問もできないと思うのです。
鈴木壽
81
○
委員長
(
鈴木壽
君) 御要望に沿うように善処いたします。 それでは午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時三十分より
委員
会を再開し審査を続行いたします。 暫時休憩いたします。 午後零時四十分休憩 ————・———— 午後一時五十七分開会
鈴木壽
82
○
委員長
(
鈴木壽
君) ただいまより
決算委員会
を再開いたします。 午前に引き続き、
昭和
三十五
年度
大蔵省関係
の
決算
の審査を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
相澤重明
83
○相澤重明君 管財
局長
にお尋ねをしたいと思うのでありますが、国有財産のうち、道路、河川、港湾などの公共用財産は、国有財産法第三十八条により、国有財産台帳に載せないことになっている。こういうことになっておるのでありますが、一つの例をお尋ねしたいと思うのですが、昔から共用という農民の池がありますね、水をとる、田に水を引く池がある。そういうものは戦後国有財産に編入されておるわけなんですが、これは、その土地の発展のために必要なものは、毛ともとはその土地のものでありますから、これは、その土地に返還をされることになろうと思うのですが、いかがでしょうか。
白石正雄
84
○
説明員
(白石正雄君) あるいは私の答弁が的はずれであるかもわかりませんですが、その節はまた重ねて答弁申し上げますから。国有財産のうち、火葬場とか墓地とかじんあい焼却場またはと畜場というような、いわゆる公共的な目的に使用せられるものにつきましては、これは公共団体に無償で譲与すると、こういう
規定
がございまして、こういうような措置は行なっておるわけでございまするが、ただいまお尋ねのような点につきまして、直ちに返還をするというようにはいたしかねるかと存じております。
相澤重明
85
○相澤重明君 これは田畑に共用という昔からの池あるいは草刈り場等があるわけです。これはしかし、その村の財産あるいは町の財産ということであったわけですが、戦後にはこれは国有財産に登記がされておるわけです。したがって、村なり町なり市なり、そういう地方自治団体が管理をしておるわけでありますが、この管理しておるのは公共用のためには当然今あなたの言うように無償で申請があった場合には払い下げらるべきものと、こう私ども理解をしておったのでありますが、その点を今お尋ねをしているわけです。
白石正雄
86
○
説明員
(白石正雄君) ただいまの答弁で一部間違っておったところがございますので、訂正させていただきます。 先ほど申し上げましたように、火葬場とか墓地とかじんあい焼却場またはと畜場として公共の用に供する普通財産は、公共団体に無償で譲与いたすのでございまするが、そのほかに、公共団体において緑地とか、公園、ため池、そういったものに供する場合におきましては、無償で
貸付
をするという
規定
に相なっておりまするので、これはまた公共団体に無償で
貸付
をするというような措置を講じておる次第でございます。
相澤重明
87
○相澤重明君 これは、
貸付
だけだったですか。公共のためには無償で譲渡されることになっていたのではないですか。今の点は、どうですか、
貸付
だけですか。つまり、たとえば横浜市に昔のそういう農民の使用しておったため池がある、そのため池を今度は市がその公共用地に使う、そういう場合にはこれは無償譲渡ということになっておったのではないですか。いま一度御答弁いただきます。
白石正雄
88
○
説明員
(白石正雄君) 国有財産法の二十八条に譲与の
規定
がございましてて、こちらのほうは無償で譲与することになるわけでございますが、その
規定
の中には「火葬場、墓地、じんあい焼却場又はと畜場として公共の用に供する」と、そういうふうに
規定
がされております。他方、
貸付
のほうの
規定
は、国有財産法の二十二条に設けられておりまして、こちらのほうにはため池がございまして、これは
貸付
をいたすというように
規定
ぜられております。
相澤重明
89
○相澤重明君 今の
貸付
だけだということになると、地方自治団体の帳簿には載らないことになり、取得ができないことになるわけですね。載らないことになって、あくまでも国有財産ということになるわけですよ。ところが地方自治団体が、今度はそこに埋め立てなら埋め立てをして、学校を作る、あるいは市役所を作る、こういうことになると、それがいつまでも国有財産ということになると、それは
処理
の方法として非常に私はまずいと思うのですね。したがって、それはもとをただせば、そこの市の共有地であり、あるいは町村の共有地である。ところが、近代都市になったために、まわりが
住宅
なり工場地になったために、そこのため池だけが残る。その場合に埋め立てなければならぬ、それを市町村が公共用地に使う、そういう場合には私は無償譲渡という形をとると考えておった。そうじゃなかったのですかね。その際にも、今あなたの言うこの無償譲与の
規定
に「等」という字はなかったですか、それは。はっきりとと畜場であり、あるいは河川であるというような、そういう
規定
でもってぴしゃっと押えておりましたか。
白石正雄
90
○
説明員
(白石正雄君) 今、私、この二十八条と二十二条を読んでおるわけでございますが、ここには「等」という
規定
はなくして、それらの今申し上げましたようなもの、そのものを
規定
いたしております。したがいまして、これらの用途を限定いたしまして、そういう用途に供すれば、それぞれ一方のほうは無償の譲与をいたしますし、他方のほうは無償の
貸付
をする、こういう
規定
になっておるわけでありまして、それらの用途という見地からながめますれば、これはこれらの
規定
で事は十分果たせるのではなかろうかと考えるわけでございます。今お尋ねのようにため池を埋め立てまして、別に学校を建てるというようなことに相なりますれば、今度は学校を建てるという目的から見て、どういうようにこの国有財産を措置するか、こういう問題に相なろうかと思うわけでありまして、そういたしますと、一般的には、学校用地といたしましては、別に国有財産を売り払うというようなことにまあ相なるわけでございまするので、そのように、その用途あるいはそのときの目的に応じましてそれぞれ国有財産の処分が決定せられるものと考える次第でございます。
相澤重明
91
○相澤重明君 まあ大体これで終わりたいと思うのですが、そうすると、こういうことになりますね。明治時代に村の共有ということで、草刈り場なり、ため池を作っておったのが、これは法律改正によって一応供出になって、国の帰属になっているわけですよ。ところが今度それを、今のあなたの
説明
でいくというと、それを今度は、自分たちのものを、一応登記上国になったけれども、これを今度は金を出して買うということですね、そういうことになるのですか。
白石正雄
92
○
説明員
(白石正雄君) 従来の経緯はいろいろあると思いますが、一応それは国有財産に編入せられた暁におきましては、今度は国有財産としての新しい見地から処分が決定せらるべきものと思うわけでございます。したがいまして、従来ため池等が地方の公共団体においていろいろ使用せられておったという経緯を考えまして、国有財産法では、それを無償で貸し付けまして、事実上従来の使用
関係
を継続していくということでまあ
処理
されているわけでございますが、これがまた別個に埋め立てて、学校を建てるというような用途に変換が行なわれるということに相なりますれば、今度は国有財産をどのようにこの際処分をするか、またその処分がどうしたら適正であるかという見地から
処理
せらるべきものであろうと考えられますので、そういった場合におきましては、
貸付
を返還していただいて、新しく売り払うというような措置に相なろうかと考える次第でございます。
相澤重明
93
○相澤重明君 その次に
国民金融公庫
、銀行
局長
にお聞きいたしますが、
国民金融公庫
の三十五
年度
の御報告をいただいたわけでありますが、この中で私ども考えられることは、非常に借り入れ申し込みが多いということですね。で、
政府
としては、先ほど次官から御
説明
をいただいた各金庫に対するところの
出資
も
増加
をしているのでありますが、この三十五
年度
の中で、借り入れ申し込みに対して
貸付
の実行が実際には非常に少ない、こういうふうに私どもは受け取っているわけでありますが、その中で、
貸付
が実際にできないという対象の
件数
はどのくらいあったのか。これはどうも不適格である、こういうものがどのくらいあったのかしかも、
貸付
の対象としては適格であるけれども、
資金
の上からいって、順序からいってこれだけのパーセンテージになった、
資金
の需要量からこれだけできなかった、こういう点も
国民金融公庫
のほうから銀行
局長
のほうには報告があると思う。そこで、銀行
局長
のほうではどうしてこれを満たすように努力をしたかということが、私は一番、零細借り入れの対象者である国民の立場からいけば、
国民金融公庫
にたよることが多いのでありますから、その
資金
不足のために
貸付
に至らなかったのはどの程度であるか、こういう点を報告をひとつしていただきたいと、こう思うのです。
大月高
94
○
説明員
(大月高君) ただいまのお話の中で、申し込みに対して貸し出しをした比率は低い、その原因の中で、実際は貸し出しの対象になり得ない不適格なものと、適格ではあるけれども金がないということで断わったのと二つあるはずだと、その分類と、こういうお話だと思いますが、われわれの審査いたしておりますところでは、その二つの区別が統計的にははっきりいたしません。われわれの審査の段階といたしましては、まず適格であるかどうかという判断をいたしまして、適格なものについては極力これを充足するというように努力いたしておるわけでございます。手続の
関係
あるいは
資金
、審査の時間、こういうようなことから、相当申し込みに対して時間的におくれるというようなこともあろうかと思います。しかし、三十五
年度
自体の数字について調べてみますと、原因はいろいろございますけれども、
充足率
は五七%ということになっております。三十四
年度
におきましては、伊勢湾台風がございまして、その
関係
で非常に申し込みがふえたわけでございます。三十四
年度
の三十三
年度
に対する対比におきましては、一八・二%、そういうような
増加
を示したわけでございます。で、三十五
年度
におきましては、その裏が出ておるわけでございまして、三十四
年度
に対しまして四・七%増というようなところにとまっておるわけでございます。そういたしますと、結局申し込みに対する貸し出しの率から申しますと、三十四
年度
に比べまして三十五
年度
は若干
融資
率は上がりまして五七%、こういうような数字になっておるわけでございます。
相澤重明
95
○相澤重明君
政府
に対して、今の
貸付
条件に不適格であったものと、それから
資金
需要において、対象にはなるけれどもこれが満たされなかった、こういう点についての今のお話を聞いたわけでありますが、
国民金融公庫
のほうでは、これはどういうふうに区分けができておりましょうか。三十五
年度
に、この申し込み
件数
の中で不適格だと、こういうふうにして却下をしたものは何件ぐらいある、それから適格の中で、いわゆる
貸付
ができなかったもの、こういうふうに区分けをしてひとつ報告して下さい。
内田勇夫
96
○
参考人
(内田勇夫君) ただいま資料を持ち合わせございませんので、後ほど答弁さしていただきます。
相澤重明
97
○相澤重明君 それくらいの資料はそろえて持って来べきである。
決算委員会
に。あとでその資料を出していただきますが、その次にお尋ねしておきますが、
国民金融公庫
が貸し付けておる中で、二十万、十万というのがあるわけですね。それから中には百万というのもあるでしょう。そこで、この十万ぐらいの対象のものは何件ぐらい、二十万ぐらいの対象のものは何件、百万はどのくらい、百万以上というのはどのくらいであるかというような資料はおわかりになりますね。それではそういうのを資料として作成をして、三十五年、六年、その二カ年資料を当
委員
会に出して下さい。 そこで、これは大蔵大臣にひとつお伺いをしたいのでありますが、大臣も時間で忙しい中出席されて御苦労さんです。そこで、
国民金融公庫
というのは一番
金額
が少ないわけですね。借りる人は多くて、借りる金は少ないわけですね。額の少ないのが大ぜい申し込む。そこで現在の十万なり二十万なりというこの単位の金というものは実はやむを得ず、もう仕方がない、
国民金融公庫
がなかなかそれ以上は貸してくれぬ、もっとほしいのだけれども、二十万でがまんしておく、こういうのが多いと思うのです。そこで、限度をもっと上げる考えは大蔵大臣は持っているのかどうか、この点をひとつお答えをいただきたい。
田中角榮
98
○国務大臣(田中
角榮
君)
国民金融公庫
の内容そのものに対してはこまかく勉強いたしておりませんが、限度は五十万ぐらいを平均にしての目標のようでございますが、現在の
状況
では、平均すると十七万ぐらいにしかなっていないと思いますが、この分でいくと十七万から十万に下がってくるのではないかという問題に対しては憂慮いたしております。この問題に対しては、私も大臣就任後、一体これを二十万に上げ、三十万に平均を上げていくのにはどうすればいいかということを、
財源
的な問題とあわせて十分検討するようにというとことで今鋭意事務当局をして検討せしめておる段階でございます。
国民金融公庫
の持つ社会的な影響、今申されたとおり借りたいのだけれども、
財源
がないということで、非常に貸し出されておる平均を割る、十七万円から十八万円というような低位の水準にありまして、これではこの
公庫
の持つ使命を遺憾なく発揮するというわけには参りませんので、三十八
年度
から将来に対する
国民金融公庫
や
中小企業金融公庫
また商工組合中央金庫等のいわゆる
中小企業
対象の三
機関
の問題に対しては十分検討して、その機能を発揮するようにして参りたいという考えでございます。
佐野芳雄
99
○佐野芳雄君 この際
公庫
のほうにお伺いしておきたいと思うのです。この三十五
年度
の
決算
の報告によりますと、
中小企業
の貸し出し、特に年末期の貸し出しが非常にふえたんだといっておりすまが、この年末
金融融資
の内容と申しますか、一体どういうのに貸すのか、あるいは貸さないのかということをひとつお伺いしたいと思います。最近は日銀の査定がきびしくなって参りましたものですから、市中の金融
機関
に金融筋が金を借りに行きましても、運転
資金
、生産
資金
には貸す、しかし、賃金
資金
には困るんだと、非常にきびしく押えられておる。しかし、賃金は生産の根本になるのですから、運転
資金
を優先するなら、賃金
資金
も優先しなければならぬと思うのですが、原則として賃金
資金
に
融資
しないというのが市中金融
機関
の実情なんです。そこで
国民金融公庫
なり——
中小企業金融公庫
は別ですが、
国民金融公庫
が年末期に非常に貸し出しが多かった、約五十億円の貸し出し増があると思うのですが、その場合に、あくまでも業者のほうから運転
資金
、そういうことで来た場合には貸しておるけれども、年末に賃金が足らぬ場合には、それは貸さない、そういう
処理
をされておるかどうか、
国民金融公庫
のほうにお伺いしたいと思います。
石田正
100
○
参考人
(
石田
正君) 運転
資金
ということの中には、これは
事業
をやっていきます場合にいろいろなものに使われるわけでございまして、今のお話にございました賃金の
支払い
の問題でございましても、一時的にその時期におきまして賃金を支払う必要がある、すぐにまたその
事業
が動くのであるということでありますならば、広い意味の運転
資金
という中に含めましてわれわれのほうは
融資
をするということにいたしております。
佐野芳雄
101
○佐野芳雄君 そういたしますと、この年末金融の
融資
ということの場合には、いわゆる、たとえば賃金でなしに一時金ですね、年末手当、これはどういうふうに解釈されておりますか。
石田正
102
○
参考人
(
石田
正君) これは、われわれのほうといたしましては、同じ賃金の中でございましても、定期的に支払われるものであるとか、あるいは手当のように一時的に出るものとか、そういう区分によりまして
融資
をするということはいたしてございません。先ほど申し上げましたような工合に、全体の
資金
が不足いたしておる、そういう原因はどういうところからきておるか。税金の問題もございましょう。それからまた賃金の問題もございましょう。一時金の問題もございましょう。また原料手当の問題もございましょう。あるいは工賃の先払いの問題もございましょう。それらを含めて、よく内容を見まして、その上で、これは運転
資金
としてどのくらいの額を出すのが適当であるかということによりまして額をきめてお貸しをするということをいたしております。
佐野芳雄
103
○佐野芳雄君 そういたしますと、
公庫
のほうでは、労働者の賃金なりあるいはそれに見合うところの一時金等は、当然生産の上に必要であるから特に分けていない、こういうふうにおっしゃっているわけですね。銀行
局長
は、やっぱりそういうふうな方針で指導されておりまするか、その点伺いたい。
大月高
104
○
説明員
(大月高君) 総裁のお話のとおりです。
佐野芳雄
105
○佐野芳雄君 実際は、各企業者は市中銀行のほうに
融資
の要請をしても、はっきり分けて、日銀のほうの審査がきびしいから、特にその場合賃金その他は
貸付
の対象にしてはいけないという態度であるから貸せないということが実際にあるのですが、その点どういうふうにごらんになりますか。
大月高
106
○
説明員
(大月高君) 一般の市中金融の原則におきましては、設備
資金
あるいは運転
資金
、それぞれ実情に応じて貸すことになっておりまして、賃金
支払い
のために必要とする
原資
につきましても、これがコマーシャル・ベースに乗るということでございましたならば、応じておるわけでございます。で問題は、多分賃金の問題というのは、たとえば相当企業の
状況
が悪くなって退職者がふえると、その退職金の
支払い
に充てるために貸してほしいというふうな場合に、はたして退職者がそれだけ出まして、残った人員でうまく企業が維持できていくのかどうか、収益を上げていけるかどうかという全体の判断において、適当かどうかということを見て、貸すか貸さないかをきめておるのだと思います。そういう意味で、賃金の
支払い
につきましても、その賃金
支払い
のための
融資
をやりまして企業がうまく回っていくかどうかという全体の判断のもとに
融資
をいたしておるわけでございまして、賃金の
支払い
資金
は貸さないというような、実情に合わないことはやっておりません。
佐野芳雄
107
○佐野芳雄君 退職の場合とか、そういうふうな新しいひとつの事態が起こった場合というふうにおっしゃっていますが、実際はそうではなしに、鉄鋼、造船等の大会社がいろいろの
資金
繰りの事情から、会社の経営としては順調にいっておるのだ、しかしながら、金融引き締めのために
資金
繰りがむずかしいのだ、そういうことのために、下請けの企業に対して支払うべき手形の決済なり、あるいは今まで現金で払っておったものを手形にする、あるいは手形三月以内のものが四月になった、半年になった、こういうことのために、会社自体の経営は順調に進んでおるけれども、実際には金が回らない、そのために賃金が払えない、あるいはことしの夏、御存じのとおり、一時金がほとんど三分の一ないし三分の二は社内預金になった、こういうような実情にあるわけですけれども、それらの企業が全部下向きの企業ではなしに、生産の実態としては上がってきておるわけです。経営としては黒字でおるわけなんです。ところが
資金
繰りが悪い。そこで、銀行のほうに申し入れましても、運転
資金
は貸そう、しかし賃金のほうは貸せないのだということで、賃金遅配の原因を起こした。だから、賃金遅配は、経営が悪いから賃金遅配が起こっておる場合もありますけれども、経営自体はいい、生産自体は上向きの状態にある、しかも賃金が払えない、こういうことが起こってきている。日銀の査定があるからという銀行の態度であるのが実は私たちの承知しておる実態なんです、例を申し上げてもいいけれども。こういうようなことについて、今の
局長
の御答弁とはだいぶ違いますので、もうちょっと御指導の方針だけを承っておきたいと思います。
大月高
108
○
説明員
(大月高君) やはり賃金の
支払い
資金
も運転
資金
も中に入っておりますから、賃金の
支払い
資金
は貸さないがほかの運転
資金
なら貸す、こういう区別はございません。やはり企業全体の
資金
繰りを見まして、その企業がうまく回っていくようにということを考えて
融資
いたしておるわけでございます。
佐野芳雄
109
○佐野芳雄君 それでは
大蔵省
としては、金融
機関
に対して、賃金が運転
資金
の中にあるものであるというふうにはっきり理解しておるというふうに私たち解釈したいと思うのですが、よろしゅうございますね。
大月高
110
○
説明員
(大月高君) そのとおりでございます。
佐野芳雄
111
○佐野芳雄君 そこで、まあ関連質問一応終わりたいと思いますが、これは大蔵大臣にお願いいたしておきたいと思うのですが、実際は、今申し上げますように、会社の経営は上向きになっておる。ところが、大会社、親会社のほうの
支払い
が延びてくるので、だんだん
資金
繰りに困難をして、それが労働者の生活に直接影響のある賃金であるとか、あるいは一時金等に関連をしてきておる。年末はまたたいへんでございますので、賃金その他一時金等も運転
資金
の中にあることになりますると、
中小企業
の育成のために十分ひとついろいろ御配慮願いたいと思いますから一応申し上げておきます。
相澤重明
112
○相澤重明君 大蔵大臣にお伺いしたいのでありますが、三十五
年度
のこの財政
投融資
計画
及びその
実績
をまあ先ほど次官から御報告いただいたわけです。そこで、私はひとつ基本的な問題としてお尋ねをしたいのでありますが、
政府
がこの予算
委員
会で財政政策の審議の際に、財政
投融資
計画
が当然まあ発表されるのでありますが、現在の
財政法
上からいけば、これはこの財政
計画
そのものは議会の承認を得る必要はない、あなたの権限である、こういうことになっておるわけですね。しかし、このたびこの財政
投融資
計画
というものが改定をしなければならぬと、これはこの
経済
の伸びや、その時の情勢を判断すればそういうことが生まれてくるわけです。ところが、まあ三十五
年度
の先ほど御
説明
を聞きましたが、特に今
年度
、おとといですね、私ども参議院で産投
会計
を可決したわけだね。そういう問題から見て
資金
需要というものを考えていった場合に、財政
投融資
計画
というものが政策面とどういうふうに実は関連をしてくるかということは、関連の
産業
としてきわめて大きい問題だと思う。そこで、まああなたもずいぶん研究されておるし、その中でもまあエキスパートだともいわれているのだけれども、財政
投融資
計画
について議会の承認を得るということが将来は一番大事なことじゃないだろうか、こう思うのだが、あなたどうでしょう。
田中角榮
113
○国務大臣(田中
角榮
君) 御承知のとおり、憲法は三権の建前をとっておりまして、行
政府
は当該
年度
の予算を編成をして
国会
の議決を経てこれを使用するということになっております。で、
国会
の議決案件として出されるものは、
一般会計
、
特別会計
の予算に関するものでありまして、財政
投融資
はこれに含まれないということは御承知のとおりでございます。しかし、なかなか世の中が複雑になって参りますと、財政と金融との調整をいかにうまくするかということが政治
経済
の一番重要な面を占めるわけでございます。で、今までは財政でまかなうものと一般金融でまかなうものの二つに大別せられておったわけでございますが、時代がこう非常に複雑微妙になって参りますと、コマーシャル・ベースに乗らないものもたくさん出て参りますし、それから
一般会計
でまかなうには法律上疑義もあるという問題がたくさん出てくるわけでございます。しかも、まあそういう意味で、一般コマーシャル・ベースとそれから財政との中間に位するものを救済する意味で作られているものが今の財政
投融資
でございます。しかし、財政
投融資
というのは、いずれにしてもコマーシャル・ベースに近いものというよりも
一般会計
に近いものの分野をこれで補完的な使命を果たすために作られたものでございます。しかし、この対象というものも非常に時代の変遷によって変わってくるわけであります。特に、こう
経済
のテンポが早いと、今までは、これは一つの例でありますが、財政
投融資
の対象とするものに対しては相当限定をせられておったものが、時代の変遷によって、全く私企業であってコマーシャル・ベースでなければならないものでさえも、その財政
投融資
のワクの中に飛び込んでくるものがあります。現在、私鉄とか電力とか、それからもう一つは石炭とか、こういうものはもう完全に私企業ベースで金融の対象になっておったものが、時の変わりによって一部財政
投融資
をもってまかなわなければならない、その対象にしなければならないというような議論も生まれるわけであります。そういう意味で予算は単
年度
制をとっておりますので、こういうテンポの早い時期には、財政という、いわゆる
国会
の議決を経てやっていくということだけではなかなかまかなっていけない。そういう意味で憲法上も法律上も
国会
の議決を必要としないわけでありますが、あなたの言われるように、一面には非常に重要であるし、日本の
産業
経済
政策の生殺与奪の権さえ持つような財政
投融資
は
一般会計
と同じように、理論的には議決案件としたほうがいいのじゃないかという議論と、もう一つは、銀行と同じくらいに非常に融通自在で適時適切な投資を行なうためには、議決案件としないで、今までよりもより弾力的な
運用
ができるようにしなければならぬと、まさに相背反する議論が二つあるわけでありますので、これらの問題をどう調整していくかは、これからの大きな課題であるというふうに考えておりますが、私としては、この間大蔵
委員
会でも申し上げましたが、戦後作られた金融
関係
その他非常に手きびしいワクがはめられておりますために、現在の金融
経済
に対応しない組織もたくさんありますので、そういうものを弾力的に
運用
しなければならないという議論の出ておる現在、財政
投融資
を
国会
の議決案件とするということは逆行的なことではないかというふうに個人的には考えておるわけであります。
相澤重明
114
○相澤重明君 その田中さんの御研究されておることも、一面私もやっぱりあると思うのですよ。しかし、考えてみると、先ほど申し上げたように、産投
会計
を改正をして出してくることや、それから終戦後の今度は簡易保険の
支払い
というようなことも考えて、
資金
需要というものはきわめて私は窮屈になるような気がする。そうすると、政策としては、
政府
の政策というものは国民の期待する方向に持っていくのだけれども、それに伴う
資金
需要というものを一体どうするかということは、やっぱり相一致しない面もあるというふうに思うわけです。ですから、ある程度の窮屈な面があっても、私はやはり
財政法
上に
規定
をされておらないからというだけで財政
投融資
計画
というものを、今あなたが大蔵大臣だからいい悪いというのじゃないのですよ、どなたがやろうとも、やはりこれは大蔵大臣のそのときの考えだけではなくて、一般にやはり十分理解をしてもらう、こういうことが私は必要ではないかという気がするのです。これは確かに財政
経済
通でもそれは両論ありますね。両論あるけれども、これからの今あなたのお話のような困難な
経済
事情の中でいけば、ますますそういう気が私は強くなるわけなんです。そういうことで、一度これはぜひ
政府
も真剣にひとつ御検討いただいて、できれば
国会
の議決を求める、こういうようにしていくほうが私は将来のためになるのではないかという気がするのです。これは、気がするのです。あなたの言う意見もあるし、私が申し上げたような意見も、両論あるのだけれども、ひとつできればそういうふうにするほうが、かえって
計画
経済
になるのではないかという期待を持つわけです。そういう点で御検討をいただきたいと思うのですが、大臣どうですか。
田中角榮
115
○国務大臣(田中
角榮
君) もちろん検討しないわけじゃありませんし、検討はいたしますが、しかしもうこの問題は、私の言う議論をひとつ納得いただきたいと思うのでございます。これは
一般会計
でも、単
年度
制度というものに対しては相当議論をせられておるわけです。昔のように非常に平穏な
経済
状態でありまして、日本が世界
経済
というような問題とそうかみ合わないでいい状態ですと、単
年度
もよかったわけですが、非常にテンポが早くなってきますと、
一般会計
そのものでも一ぺんきめてしまってどうにもならないということよりも、継続費制度を作ったり、五カ年間の相当の見通しを立てながら弾力的
運用
という面を相当考えなければいかぬということで、昨
年度
問題になりましたのは、大蔵当局としては、
財政法
を改正して、一ぺん議決を得たものであっても、その緩急によって弾力的
運用
をせしめてもらいたいと、こういうことが
政府
部内に強かったわけですが、私は民間人でありましたので、昨年はあなたの考えに近い考えで、そういうところまでやることは
国会
の審議権を侵すおそれもあるので、まあ少し検討したほうがいいでしょうということで、去年は
財政法
の弾力的
運用
というのは待ってもらったわけであります。それよりももっと時宜に適して適時適切に
原資
を求めましたり、また必要なものに対しては投資を行なわなければならない、これは私のみではなく、やはり一つの、コマーシャル・ベースではありませんが、
融資
でありますから——
融資
、
出資
、投資でありますので、そういうものについては、現在の
経済
情勢を考えますと、これは
国会
の議決案件にしたら、今よりもう少し拘束を受けますので、
経済
が安定するまではどうしてもやっぱり私の考えのように、議決案件でなくても、十分こうして御議論をちょうだいして、
国会
の意思は十分反映をせしめておるのでございますし、その上なお
資金運用
審議会の議等を経て、
政府
は独断にこれを行なうようなことは全然できないようになっておりますので、私はそういう意味で議決案件にはいたしたくないということだけはっきり申し上げておきます。
相澤重明
116
○相澤重明君 議論をするつもりはありませんが、藤山さんの景気調整の話から池田内閣の
国際収支
がいいとか、政策がよかったとか、いろいろ池田内閣としてはあるけれども、私はまたあなたの野にあるときの考えが大臣になったら急にどうして変わったのだろうという面も実は少し持っておった、これは少し持っておったのだけれども、そこでひとつ、あなたの今の理論でいくと、こういうことは大臣考えますか、まあ非常に
財源
が窮屈になってくることは、これは事実ですね。そこで、
一般会計
からの
繰り入れ
ということもなかなかこれはたいへんだ、一面返済をしなければならぬ先ほどの簡易保険等の問題も出てくる、産投
会計
の
支出
もある、こういうふうになりますと、これだけの需要
関係
を考えるというと、やはりその補完として
国債
を
発行
すると、こういうようなことをやはり検討されておりますか、いかがでしょうか。
田中角榮
117
○国務大臣(田中
角榮
君) なかなか重要な御発言をいただくわけでありますが、私はいつも申しておるのですけれども、今の
財政法
その他金融
関係
法そのものが戦後の日本の状態を基盤にいたしまして、非常に狭義に、非常に拘束的な条文であることは御承知のとおりでありますが、昨年、
昭和
二十八年、九年、三十二年、今
年度
というふうに、ここ二年、三年たつと引き締め調整、そういうことをやらなければならないようなことを何回も繰り返すべきではないと思っておるわけであります。そういう意味で来年三月まで待たなければいかぬと考えておった
国際収支
の均衡も、まあようやくはかられつつありますし、国内均衡もはかられつつあるようでありますが、しかしこれからはひとつ相当長期の見通しを立てて安定
経済
の道を開かなければいかぬ、こういう原則的な考え方からいたしますと、まあせっかくある法律、制度、機構でありますので、まあこれが非常に障害になる場合は別でありますが、そうでなくても、日本人は、ゆるめるのではないか、また濶達自由自在にやれるのだというふうにもなりますし、社会党の皆さんからなどは、あまり自由
経済
の本領を発揮するから
経済
が伸び過ぎるんだというような御注意等もありますので、十分そのような御議論を慎重に検討いたしますと、もうしばらくは現在の制度また機構等を守っていくことが健全財政の道だというふうに考えておりますので、まあ特に対米債務の
支払い
もございますが、産投
会計
の
財源
補てんのために産投
国債
は
発行
する意思はございません。また、現在
国債
発行
の意思もございません、こういうので、明らかにお答えをいたしておるわけでございます。こういう問題は、一
政府
の考えの問題ではなくて、広い意味で各界の有識者の意見を見定めながら慎重に検討して参るべき問題だと考えております。これらの問題に対しましても、いろいろな、金融制度調査会その他でもって検討している問題でありますので、何かかたくなな気持を持って、戦前のように、この法律のある限りどんな現象が出ても、これで押し通すのだというような考えが通るはずはないのでありまして、絶えず日本の
経済
、金融、財政の全般に目を配りながら勉強をして参るという現段階でございます。
相澤重明
118
○相澤重明君 大蔵大臣が慎重な答弁をしておるから、なかなかこれは、どっちをとるかという——今度はあなたの答弁の解釈をどっちにとるかということに苦労するわけですよ。実際には苦労するわけですが、まあ大臣もそういうふうにお話しになっておるから、産投
国債
も、また外債も考えておらぬと。まあそれはそれといたしまして、ずいぶん三十八
年度
は、先ほど午前中にお尋ねすると、まあ総ワクはお話しになっておりませんでしたけれども、かなりの各省庁の要求額があるということになると、予算編成としてはずいぶん田中大蔵大臣も御苦労されるだろうと思う。そういうふうになると、一体この三十八
年度
の
一般会計
のはたして
財源
的余裕がどの程度あるのかと、こういう点、ちょっとわれわれも心配になるわけです。そういう点は、大臣はどういうふうにお考えになっているのでしょう。
田中角榮
119
○国務大臣(田中
角榮
君)
一般会計
及び財政
投融資
の
原資
等がいずれにしても窮屈であるということは、御指摘のとおりでございます。しかし、まあ三十四年、五年、六年、七年というものは、これはもう異常に
経済
が伸び過ぎておりますために、多額の余剰
財源
が求められたわけでございますが、しかし、まあこういう特に三十六、七年の大幅増収というようなものは平常のものだとやっぱり考えておると、
一般会計
でもって二割——二割四分もワクが広がるということに比較をしますと、
財源
は非常に少ないだろうということでありますが、健全な日本の
経済
発展というものを考え、財政
投融資
や
一般会計
が持つそのウエートというものを十分検討すれば、三十八
年度
の予算が組めないというような考え方ではないわけでございます。まあ二兆四千二百億余の非常に大きなものではありますが、これでもっていいところは全部消費をされて、
支出
をされて、足らないのかと、こういうと、一面においては、
追加
補正等をもってまかなわなければ——
財源
も必要ではありますが、その反面、
一般会計
から繰り越すものも相当あるわけでございます。まあ公共
事業
一つをとってみても、年間四百億、五百億、多ければ六、七百億も繰り越されるものもあるのでありますし、現在の二兆四千億というものは全然動かないものであって、国民が必要とするものは全部それに上のせをするんだと、こういう考え方でいくと、非常にむずかしいという議論も起こり得るのでありますが、たえず過去の問題に対してメスを入れ、この
決算委員会
でおやりになっているような立場で、みずからの姿勢を正しながら、今までの一体予算の中に、より合理的な、効率的な投資ができないのかというような問題を検討していけば、私は国民が納得する健全な、しかも均衡のとれた予算
財源
は求め得るだろう、また求めなければならないと、こういうことを考えております。私自身が、原則的に財政
投融資
であっても何でも全部できないという見通しであれば、幾ら何でも、産投
国債
を
発行
いたしません、
国債
は
発行
いたしませんなどということを言うわけはないのでありまして、こういう問題に対しては、ほんとうに姿勢を正し、国民の理解を求めていくならば、合理的な予算を組み得るし、また組まなければいかぬという見解に立っているわけでございます。
相澤重明
120
○相澤重明君 それから一つ大臣にお伺いしておきたいのは、三十七
年度
の税自然増収は、どのくらい見込まれておりますか。
田中角榮
121
○国務大臣(田中
角榮
君) 三十六
年度
は御承知のとおり三千五、六百億もあったわけでありますが、三十七
年度
は、とてもこのような情勢にはございません。まあ何回か臨時
国会
で議論になったわけでありますが、現在までの状態では、四−六月において、月平均百二、三十億、多い月は百五十億ぐらいの増収になっておりますが、このままでいけば、計算すると千七、八百億もあるのか、こういう議論になりますが、これは減税前の旧税法によって徴収されているものもございますし、それから酒税等も、半分は値下げ前であるというような問題もございますし、それから九月
決算
は引き締め調整基調で、非常にまあ幾らか
決算
上はまだ
利益
は
計上
できるとは思いますが、三十六
年度
に
決算
をしたような、含みを持っての、余裕ある
決算
等が可能だとは考えておりませんので、年間を通じてみると、自然増収は昨年のまあ半分も見込むわけにはいかないということで、相当
財源
的には窮屈だという表現をいたしておるわけでございます。
佐野芳雄
122
○佐野芳雄君 関連して。今、一般の税収についての一応の見通しが質問されたのですが、そこで財政
投融資
の
原資
計画
についての見通しをちょっとお伺いしたいと思う。三十五
年度
の財政
投融資
は五千九百四十一億、それが三十六
年度
には七千二百九十二億、三十七
年度
には八、千四百億と膨張してきているわけですけれども、このうちで
資金運用
部の
資金
が、三十五
年度
は三千四百十六億円、三十六
年度
は四千二百九十七億円、三十七
年度
は五千三十一億円と、ふえているわけです。そこで税収の問題と関連するわけですが、この間の大蔵
委員
会でちょっとお伺いしたかったのですがやめたのですが、
郵便貯金
が三十五
年度
に千三百億円であったものが、三十六
年度
では千四百五十億円、三十七
年度
では千五百億円と、伸びがだんだん鈍化しているわけです。ところが厚生年金は、三十五
年度
には七百七十億円であったのが、三十六
年度
は千四十億円になり、三十七
年度
には千三百二十億円になっております。そうして国民年金が三十六
年度
から始まって、三十七
年度
は四百億円、こういうふうになってきているので、三十八
年度
は厚生年金と国民年金は順調に伸びるのですけれども、任意貯蓄であるところの
郵便貯金
は、やはり税
収入
の鈍化と同じように、あるいは低下と同じように、鈍化するのではないかと、こう考えられますが、三十八
年度
の
資金運用
部の
郵便貯金
がどの程度伸びるか、あるいは厚年と国民年金がどういうふうになるかということについての一応の見通しがあれば、お伺いいたしておきたい。
田中角榮
123
○国務大臣(田中
角榮
君) まだ、今申し上げたとおり
一般会計
の税収の見通しもつかないということを申し上げている段階においては、これらの問題に対して見通しをつけるということは非常にむずかしいと思います。がしかし、厚生年金とか国民年金の問題は、これは今仰せられたように、いろいろまあ
運用
上の問題がございますけれども、
収入
原資
としては伸びていく傾向にあるということは御指摘のとおりでございます。しかし、伸びていくものと来年還付の
資金
の集中的な返済期というものが一体どうバランスするかという問題はございますけれども、一応二つのものは伸びていくだろうと考えます。三十二年千五百五十億の見通しを立てて三十二年には千五百五十億を幾らか割った
郵便貯金
が、今
年度
もうすでに満五年余を経て、同じく予算ベースは千五百五十億でございますが、じゃそれはどうして伸びないのか。確かにこの問題に対してはいろいろ両院においても専門的な御意見で指摘をせられておるわけでございますが、現在の見通しでは、私は
郵便貯金
は千五百五十億の予算ベースよりも確かに幾らかふえるだろうという考えであります。現在もうすでに千六百五十億か千七百億ぐらいの見通しがつくようでありますが、このような状態でいいのかどうか。まあ、零細な国民のもちろん魂の入った金でありますから、これが千八百五十億、二千億というようなものを見込むためにはどういう措置をしなければならないかというような問題に対しては、まじめに現在検討をいたしておりますが、最終的な結論はまだ得ておりません。
佐野芳雄
124
○佐野芳雄君 相澤
委員
の御質問が減りますから、もう一度申し上げて私の関連質問を終わりたいと思いますが、今おっしゃいますように厚生年金なり国民年金なり、いわゆる強制の貯蓄制のものが勤労者のふところから吸い上げられて財政
投融資
の大きな
原資
になると、こういう中で財政
投融資
は
国会
の議決を経るような方法はとりたくないというようなことなんですが、したがって、財政
投融資
の今後の
運用
につきましては特に今おっしゃったように厳正に、しかもこういう財政
投融資
の
原資
を出しておるところの人々のためにこれが活用されるということを、やはり
運用
の面において十分お考え願わないと困るのではないか。したがって、先ほど申し上げました
中小企業
等が一生懸命商売——仕事しておって、困るというようなことがあるということはあくまでも避けなきゃならぬので、その点ひとつ優先的にお考え願うことを御希望申し上げて、一応関連質問を終わります。
相澤重明
125
○相澤重明君 それから、これは簡単にひとつお答え願ってけっこうですが、三十五
年度
の
専売納付金
の
決算
報告を受けたわけですが、たいへんいいわけですな。——そこで、たばこの売れ行きはますますいい、しかも上級が多く出る、こういうことでありますので、ますます
大蔵省
はほくほくだろうと思うんですが、どうですか、たばこを少し下げる気持はありませんか、値段を。そして、どうせこれだけたくさん売れるんですから、少しは消費者のために値段を下げると、こうしても収益は変わらぬと私は思うんですが、大臣はどうお考えですか。
田中角榮
126
○国務大臣(田中
角榮
君) たばこの値下げを行なう意思はないかということは、たびたび御質問もいただいておるわけでありますが、これは現在検討をいたしておる段階にございまして、下げるというようなところまで決定をいたしておりません。それは、専売公社の
収入
というものに対して、まあ昨年は一〇何%でございますか、二〇%近くきっと伸びておると思いますが、ことしはたばこの売れ行きはあまりよくないんです。これは税と同じことで、オリンピックのたばこなども三億を
予定
いたしておったところが三百万円も上がらないというので、これから三億円というのが売れるかどうかわからないという工合に、非常に慎重な
状況
でございます。しかも、このたばこの問題に対しては、去年、税制調査会の答申が三年目でありまして、すなわち三十七
年度
の今
年度
でありますが、間接税中心の減税を大幅に行なっておりますので、このたばこの問題もそれにあわせてもう少し減税をしたらどうかというような御意見も一部にはございますが、現在たばこの売れ行きが悪いということと、それから地方税の補てん
財源
等でまたたばこのほうも使わなければいかぬというような議論も相当ございますし、現在の状態ではたばこの値下げをするという方向には私としてはなっておらぬわけであります。事務当局もなかなか専門家が多いのでありまして、しろうと大蔵大臣の言うことをきくよりもということで、私に何かいろいろ申し込むようなこともありますし、水田大蔵大臣が前の衆参両院の大蔵
委員
会でこういうことを申し上げておりますというようなお話もございますし、また質問もございますけれども、これは
財源
に関連する問題でありますし、たばこを安くして国民に煙突のようにたばこを吸わせることがはたしていいのかという、ほんとうにまじめなものの考え方もありますので、そういうことを勘案もしながら、これに対して結論を出して参りたいと考えておるわけであります。
相澤重明
127
○相澤重明君 次に、私はこれだけで質問を次の人と交代しますが、予算総則九条に基づく原子力損害の
賠償
に関する法律の問題であります。これはもちろん原子力
委員
会、科学技術庁長官のそれぞれの監督下にもある問題ですが、予算の問題があるから大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、その第七条に基づけば、「原子力損害
賠償
責任保険契約及び原子力損害
賠償
補償契約の締結若しくは供託であって、その措置により、一工場若しくは一
事業
所当たり五十億円を原子力損害の
賠償
に充てることができるものとして科学技術庁長官の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であって科学技術庁長官の承認を受けたものとする。」、こういうことで第七条が
規定
され、そして第八条の「原子力損害
賠償
責任保険契約」、これに基づいて
政府
としてこの二十六億の予算化ができておると思うのです。そういうことですね。そこで私は、この扱いというものが、これは毎年事故がなければ
支出
がないわけでありますから、そこで事故があった場合に、当面予算化した二十六億の中から
支出
をされ、そして、なければそれは翌年はまた同じように予算化をしていく、こういうことであって、最大の事故の起きた場合に五十億までは公社としては払えるけれども、それ以上足りない場合には
政府
がまた予算化をしなければならぬ、こういう解釈でいっておると思うのです。そこでますます近代国家になった場合に、一旦事故が起きた場合には一
事業
所という
規定
をしておるけれども、確かに東海村等の問題だけで焦点はあるようですが、私は先日も文部省の
決算
をやったときに、各大学を初めとして民間の会社でも原子力研究というのは盛んに行なわれつつあるわけですね。単にこれはまあアメリカの法律をとって作ったものですね。そういうものからみて、これだけでいいだろうかという実は心配があるわけですよ。私は実は今、各大学の法学部長等の意見を聞きながら、当参議院の法制局の意見も徴しながら、実は国家
賠償
法の問題を今研究しておるところなんです。そこで、そのうちの重要な部面における原子力損害
賠償
、これについてむしろ使わなかったからこれが不用であるとか、これは積み立てをしておかなくてもいいということでなくて、もっと
資金
的に
政府
自体として今後考えていくべきではないか、むしろ私は積み立てをしていく必要があるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この原子力損害
賠償
の
政府
としての扱い方について、ひとついま一度御趣旨を
説明
願っておきたい、こう思うのです。
田中角榮
128
○国務大臣(田中
角榮
君) 技術的な問題に対しては事務当局をして答弁せしめますが、御承知のとおり、旧憲法時代の国家
賠償
法は、主として
公務員
の過失及び
公務員
の責任に帰すべき不当な処置等において行なわれたものに対して、国家
賠償
法の適用が行なわれると、こういう非常に狭義のものであったわけであります。今度の予算総則によるものは新しい今までの国家
賠償
法でもって
規定
できなかったような新しい事態に対して、あらかじめ予見し得る事態もございますので、これに対する対応策として予算総則の
規定
を置いたわけであります。これに対して、普通は大災害が起きた場合は、災害と同じものであるから臨時
国会
を開いて補正予算を出せばいいじゃないかと、こういう議論もすなおな議論としては一つありますし、もう一つはそういうような憂いのある、おそれのあるものに対しては、税法上で認められておる危険負担のために対しては積み立ての制度を認めておるような、そういうものを法制上作るべきであるということも、議論としては当然起こり得る議論でございます。こういうものは、まだ原子力の問題については日本も日が浅いわけでありますし、各国の例も見ながら、これら新しい基礎
産業
といいますか、研究その他に対して、ことに学校でもってやっておる、表に出ておらないものでもいろいろな弊害を起こしておるものもありますし、このごろ化学工業の発達によって公害という問題が、これとはケースが違いますが、議論になっておる問題でありますので、これらの問題の調整をどうするかは、これからの重要な課題として検討をし、措置していきたいと考えております。
相澤重明
129
○相澤重明君 事務当局から条文上の解釈について何かありませんか。
谷村裕
130
○
説明員
(
谷村
裕君) 突然のお尋ねでありましたので、私あまり十分詳しく存じておりませんが、主計局で予算総則のほうを担当しております立場から申し上げますと、本件の考え方はこの原子力損害
賠償
補償契約に関する法律の第八条の
規定
による、そういう場合の
政府
のいわば再保険的な損害
賠償
の損失補償、業者に対する損失補償の限度をきめておるものでありまして、いわゆる限度をきめているだけのものでありまして、これ自身
繰り越し
とか、あるいは翌年に積み立てていくとか、そういう実
支出
をこれ自身が伴う
規定
ではございません。損失補償の限度が、たとえば海運などについてかつて損失補償というようなことがございましたが、それの限度額をきめている、同じ趣旨の
規定
でございますから、ちょっと御質問の点と食い違うかと思います。
相澤重明
131
○相澤重明君 趣旨は食い違ってはいないのです。そのとおり、今私が文章を読んだとおりなんです。そのとおりであるけれども、これからの近代国家としていく場合にこれでは足りないんではないか、こういう点を私は実は言っておるわけなんです。そこでまあ、今大蔵大臣が言うように、いろいろ私も実は拾っておるわけなんです。その中にたとえば今大臣の言われたような話も出ているわけなんです。海上の問題も、もちろん英国の法律等の研究もあわせてやっておるのですが、火薬の問題、あるいは石油の問題、交通の問題、こういうようなそれぞれの今特殊性を持ったもの、この場合どうなんだろうか、こういうような点をそれぞれ拾っておるところでありますが、私はそれはいずれ法律として出た場合には、そういうこともお互いに議論をすることであるが、今日の場合、一応予算総則に基づいて原子力損害
賠償
法に
規定
をしてあるけれども、これだけではどうも少しさびしい気持がする、もっと国民に安心してもらう、こういう場合からいくと、私はこの法律をいま少しそういう方向に持っていく検討が必要ではないか、それが広い意味での、私は今までの旧民法による現在の国家
賠償
法だけでなくて、広い意味の
賠償
法というものをそろそろ考えていかなければ、やはり間に合わないのではないか、こういう点でせっかく新しい法律で作ってもらったけれども、どうだろうというので実はお尋ねをしておるわけであります。そういう中ではこの法律でいけば、何も再保険の形の問題でありますから、別にどうこうということではないのですけれども、将来のことを考えると、これはむしろ積み立てておいて、使わなければけっこうでありますから、積み立てておいて、そういう最も困難な時期に私どもはいつでも対処していける、こういう考え方をとるべきではないかという、実は考えを持ったものですからお尋ねをしたわけです。こういう点について事務当局なり、また大蔵大臣としても先ほど御答弁をいただいたのでありますが、今後お考え並びに検討されることがあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
田中角榮
132
○国務大臣(田中
角榮
君) 今までのように国家
賠償
法で片がつくものではないのです。非常にむずかしい技術、科学の発展がもたらすことは当然の要求だと思いまして、国家
賠償
法として国が法律で責任を負うものの限度も、これは明らかにして一おかなければ、どこまで、すべてのもの——自動車にひかれた人たちや、船で難破をした人たちとか、いろいろなケースがございますので、これは災害等に対して特例法を作るときにいつも問題になる問題でありますが、やはり国家が責任を持つ、法律的な義務を負うという問題に対する限界も現行法でいいのか、もう少し拡大しなければならないかという問題も、もう少し検討しなければならぬと思いますし、保険制度に対しても、今のような考え方と、災害保険のように積み立てていくという方法もあるでありましょうし、その場合、民間と、俗に企業者と
政府
との持ち率をどうするかという新しいケースの問題が当然考えられるわけであります。これらに対して税法上どういうふうな特例を設けるかというような問題もありますし、広い意味で新しい立法として、また学問上の問題としても、現実上の問題としても、当然検討しておく必要があるというふうに考えます。
大森創造
133
○大森創造君 この予算の移しかえの問題について大臣でもけっこうですし、どなたでもけっこうですが、二、三お伺いいたします。 まず、
昭和
三十五
年度
において、予算の移しかえを行なった
金額
はどのくらいありますか。
谷村裕
134
○
説明員
(
谷村
裕君) ただいまちょっと手元に資料がございませんから、すぐ調べた上で申し上げます。ちょっとお待ち下さいませ。 ちょっと今総計数字を書いてございませんので、総計の数字を出した上で御返事を申し上げようかと思ったのですが、個々に申し上げれば、
国会
提出の三十五
年度
一般会計歳入歳出決
算の七ページのところに、職務権限の変更による
経費
の移しかえ二千九百二十二億四千四百一万五千円、これが職務権限の変更による
経費
の移しかえであります。これはなぜかと申しますと、非常に巨額でありますが、自治庁が自治省になりまして総理府から移った、こういう組織の変更によるものでございます。それからたとえば通例行なわれております例として、
北海道
開発
事業
費の移しかえ百二十八億一千七百四十一万四千円、これは
北海道
開発費として組んでおきまして、それぞれの実施官庁に移すという例、たとえばその次に、奄美群島復興
事業
費の移しかえ九千万、あるいはその他御承知のような特別研究促進調整費、あるいは南極地域観測
事業
費等々七ページからあとに、八ページに出ている数字がそうでございますが、ちょっと総計が書いてございませんので、失礼いたしました。
大森創造
135
○大森創造君 まああとでひとつ総計をお出し願いたいと思います。 次にお尋ねしますのは、相当巨額に達する移しかえをやっておりますが、その法的根拠はいかなるところにありますか。そういう移しかえの根拠ですね、法的な根拠はどこにございますか。
谷村裕
136
○
説明員
(
谷村
裕君)
財政法
は本来かような移しかえについては特に
規定
を設けておりません。予算の執行に関しまして、すべて
財政法
の考え方あるいは憲法の考え方は、
国会
の議決によって予算を執行するのである、あるいは財政を執行するのであるということが憲法のたしか第八十三条に「国の財政を
処理
する権限は、
国会
の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と書いてございますが、この
国会
の議決という形によりまして、予算の形式といたしましては、予算の中における予算総則というものによって御議決をいただくという形において予算の執行方法としてこれをとっているわけでございます。
大森創造
137
○大森創造君 予算総則にかかげられている移しかえの条項はどこにございますか。
谷村裕
138
○
説明員
(
谷村
裕君) 手元にあります三十七
年度
一般会計
予算総則をもって申し上げますと、第三十三条以下でございます。三十三条は、たとえば行政組織の変更に伴って移しかえるような例、それから先ほど申し上げました
北海道
開発庁に一括組んでおる、あるいは文部省予算に南極観測
事業
費を一括組んでおる。実行にあたって各省所管に配分していくという例は第三十四条に
規定
してございます。またたとえば第三十五条に、調達庁に
計上
いたしました施設提供等諸費にかかる予算の使用について各省に移しかえるというような例がございますかようにして、三十三条以下三十四条、三十五条、三十六条、三十七条あるいは三十八条、三十九条、四十条、四十一条、たとえば特別失業対策
事業
費等々の
規定
でございます。
大森創造
139
○大森創造君 この予算総則の
規定
によって移しかえを行なうという御
説明
は納得いたしますが、
財政法
上の
規定
はございませんでしょう。
谷村裕
140
○
説明員
(
谷村
裕君)
財政法
上には
規定
ございません。ただ予算総則でそういうことがまあ可能なようにしてございます。
大森創造
141
○大森創造君 それが可能だと思いますか、あなたは。
谷村裕
142
○
説明員
(
谷村
裕君)
財政法
の考え方は非常に基本的な原則を示しておると思いますが、
財政法
の考えております諸般の原則に対して、本件が実質的に悪い例であるか、精神を踏みにじるものであるかどうかということによってきまると思いますが、私どもはこれは可能であり、また
財政法
の精神に従って
国会
の御議決をいただいて実行上さようにしていくことが適切であるというふうに考えております。
大森創造
143
○大森創造君 そういう議論もあるかもしれませんが、厳密な意味でいえば、法制上の解釈としてはそういう考え方は間違っておると私は思う。その精神を生かすとかいっても、やっぱり当
決算委員会
の目から言うと、これはひっかかる問題です。さっき大蔵大臣のこれの逆な、流動する
経済
情勢に応ずるための方法としていろいろある、継続費の問題がどうのこうのという御議論もございますが、それはそれとして私はわかります。しかしどうも私はそういう考え方は適当でない。はっきり結論的に言うと、
財政法
違反ではないかと思う。そこでなぜそうかと言えば、旧憲法時代の
会計
法と根本的に今の
財政法
が違うゆえんのものはどこにあると思いますか。あなたのお考えではどういうところが違うと思いますか。今の私が申し上げたいわゆる予算の移しかえという点から眺めてみた場合、旧憲法時代の
会計
法と現在の
財政法
と大きく違いがあるのはどこだと思いますか。
谷村裕
144
○
説明員
(
谷村
裕君) 私の考えるところによれば、やはり憲法八十三条の
規定
を十分尊重いたしまして、かような移しかえを、単に
政府
の事実上の権限の行使としてやるのではなくて、あらかじめ
国会
の議決をいただいておいて、それでやるというところが、やはり新しいやり方ではないかと思います。
大森創造
145
○大森創造君 この旧憲法下での議会の予算に対する協賛は科目と
金額
だけでございました。科目と
金額
だけ。所管の区分は議決の対象でなかった。今度の
財政法
はそうではございません、これは。はっきり予算も、昔の場合は予算もどの
機関
に配分し、執行せしめるかということは
政府
の勝手でございました。今そうでない。責任区分を明らかにしている、
財政法
によれば。だから昔は天皇の大権に基づく官制の移動があれば、たとえば自治省ができるということになれば、それに伴って予算の移しかえは当然のことでありました。今の
財政法
の趣旨から言うというと、そういうことは不可能だと思うけれども、それは頭のいい大蔵大臣はどうお考えになるか。決して私は予算の移しかえそのものを問題にしているわけではございませんが、どうお考えですか。
田中角榮
146
○国務大臣(田中
角榮
君) こまかい技術的な問題は事務当局をして答弁せしめますが、これは原則論といたしまして、
国会
が議決をしたものに対して、行
政府
が旧憲法時代のように
国会
の議決精神さえも踏みにじって適宜適切にというようなことで、
政府
の自由裁量に基づいて何でも移しかえられるというような弊害を除去するために、新しい現行
財政法
が非常にきびしく
国会
の議決を前提とするようにしたことは、これは当然のことだと思いますが、しかし
国会
の決議をせられたときの意思が忠実に実行せられるということであり、しかも行
政府
が移しかえをした場合に、
国会
の議決を経たときと同じ目的で使用せらるるということであるならば、移しかえがせらるるという今の予算総則の表わし方はやむを得ない措置ではないか。こう思います。それはなぜかと申しますと、予算を十二月に決定して一月に出すわけでありますが、提出をするわけでありますが、ときあたかも行政組織の改編等含めて出すわけであります。ところが昔のようにして予算と
関係
法律案が同時に通るということでなく、
国会
が非常に慎重審議をするために予算だけ先に通ってしまうけれども、産投法のように通らないというような問題がままありますので、通った場合にはそのまま移しかえをすることが
国会
の議決を踏みにじるものではない。要は
国会
の議決、いわゆる国民の代表である最高の意思決定
機関
の意思が踏みにじられて、他に流用せられるということこそ拘束を受けるべきであって、常識的に考えても、法は
国会
の意思どおりに
運用
せられる場合には、長期に拘束をすべきではない。こういうふうに考えているわけであります。
大森創造
147
○大森創造君 まあ大臣がそういうお考えであれば、ちょっとこれは問題だと思うのだけれども、私の考えでは、予算総則の諸
規定
というものは、もちろん
国会
の議決を要しまするけれども、すべて
財政法
の
規定
に基づいて、ただその範囲内で具体的な方法、
金額
、限度などを明らかにするにすぎない性質のものである。そうあるべきである。
財政法
によらないで、
政府
が勝手に予算執行上都合のよいことを
規定
して、予算総則を作って、
国会
の議決を経ればそれでよいという考えは、私はどうも法の精神にもとるものだと思う。先ほど申し上げましたように、私は予算の移しかえそのものを頭から否定しようとは思っていない。しかし、
政府
がそういう措置を非常にいわゆる変動する
経済
情勢に対応するために必要だということになれば、おのずから方法があろう。法律を作るなり、それから
財政法
を改正するなり、何なりして、いずれにしても、
財政法
に準拠してやるべきであろう。
財政法
ではないが、予算総則に
規定
して
国会
の議決を経たから差しつかえない。これは、そういう考え方は、
財政法
無視の態度であると思うが、大蔵大臣いかがお考えになりますか。
田中角榮
148
○国務大臣(田中
角榮
君) 憲法に背反する法律は無効であるということと同じように、そこまで手きびしく言わなくても、
財政法
に違反するような予算総則であってはならないということはお説のとおりであります。がしかし、これは現実問題として、やはり
国会
の議決さえあれば
財政法
に違反してもいいというのが現在の予算総則じゃございません。これは
財政法
の
規定
に基づいて現在の予算総則を作っておるということだけはひとつお考えいただきたいと思います。それは事例を申し上げると御了解いただけると思いますが、いわゆる農林省予算で
計上
したものを、また社会保障で
計上
したものが国防費に使われるとか、全然別なものに使われる場合は、これは別だと思いますけれども、一括して文部省に
計上
しておったものを一部は
北海道
に、また一部はどこにというふうに分けなければならない。いわゆる現実的に執行するまでには、法律の
整備
等が整わないために、予備費ではありませんが、とにかく
財政法
の精神にのっとった
計上
の仕方というものがあるわけであります。しかもそれに対しては、特に
国会
の議決を必要とする。しかもその問題に対しては、準拠法として予算総則で明らかにしておるということは当然踏まなければならない。予算総則で明らかになっておればいいという準拠はどこにあるかということは、
財政法
二十二条の予算総則に関する
規定
がございますが、その中の最終の第六項「前各号に掲げるものの外、予算の執行に関し必要な事項」というものの中には、今言った移しかえその他当然必要とせらるべき事項の準拠法規があるわけでありまして、この第六項に準拠して予算総則を作っておるというのが事実でございます。
大森創造
149
○大森創造君 私はその予算総則を九カ条かなんか作って、現実に移しかえをやっている、巨額の移しかえをやっているということ、それは議決を経ればよろしい、
財政法
の精神にもとらないでいいという考えは、私は少しどこかちょっと間違っているような気がする。この移しかえそのものについての
規定
はない。流用などについてはあるが、
財政法
についてはこれはやはり法律そのものを改正して、その改正したもとにおける予算総則の
規定
ということになるのならわけがわかるけれども、現行法をもってしては幾ら予算総則上並べていても、これは許されないことだと思う。これはあなたのほうが正しくて私のほうが間違っておるというなら仕方ないけれども、これはひとつ
大蔵省
なり法制局のほうで御研究をいただきたいと思うのです。これは少し議論の対象になるだろうと思うのです。これは失業対策の問題などについては、
昭和
二十二年当時GHQのほうで一括して安定本部のほうに渡して、それが便利なものだからずっと踏襲して漸次こういう形で行なわれてきたのだろうと思う。現在確かに今の制度上のやり方としては、そういうことが必要であるけれども、現在厳としてある
財政法
の建前から言うと、そごをすることがあると思うので、この点はもう少し深めた研究をしてもらって、いつかの機会に——先ほども何回も繰り返して述べておるように、移しかえそのものを否定しようとは思いませんけれども、
決算委員会
の立場からすると、このまま放置していい問題じゃないと思う。もう少し御研究いただきたいと思うのですが、どうですか。あなたの御見解が絶対正しくて、まあひとつおれの言うことに従ってくれというなら、こっちも考えなければいかぬが、どうですか、研究してみていただけませんか。
田中角榮
150
○国務大臣(田中
角榮
君) 先ほども申し上げましたとおり、全然別なものに流用するわけではございませんので、
財政法
第二十二条の六項を基準として現行の予算総則は適法だと思いますが、妥当性という問題は、またよりこの種の問題は厳密を必要とするものでありますから、議論の絶えずあるものだそうです。議論のある第六項に対しては、準拠法規の中に流用する場合にはかくかくの表示をすべしというように、明らかにこの条文が改正せられれば、今のような問題は起きてこないわけであります。でありますから、
財政法
を現在検討いたしておりますので、御説を十分参照しながら考えて参りたいと考えます。ただこの問題昨年
財政法
の改正が問題になりましたときには、こんな技術的な、非常に厳密なものの考え方というよりも、
経済
の情勢に対処して弾力的
運用
をやろう、こういうような考え方で
財政法
の改正が取り上げられたので、私たちはより慎重にしなければならぬという意味で、あなたに近い意見で出しておるわけでありまして、議論のある問題に対しては明らかに明文を置くというのが法の建前でありますから、そういう方針で検討して参りたいと思います。
鈴木壽
151
○
委員長
(
鈴木壽
君) 他に質疑のおありの方はございませんか。——他に質疑もなければ、
大蔵省関係
の審査は本日をもって終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鈴木壽
152
○
委員長
(
鈴木壽
君) 御異議ないと認めます。よって
大蔵省
に関する審査はこれをもって終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十八分散会