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1962-11-01 第41回国会 参議院 外務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十一月一日(木曜日)    午前十時三十五分開会    ——————————  出席者は左の通り。    理事            鹿島守之助君            大和 与一君    委員            青柳 秀夫君           大野木秀次郎君            木内 四郎君            杉原 荒太君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            森 元治郎君            石田 次男君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君    通商産業大臣  福田  一君   説明員    法務省入国管理    局次長     富田 正典君    外務省アジア局    外務参事官   卜部 敏男君    外務省経済局東    西通商課長   西宮 信安君    外務省移住局長 高木 広一君    大蔵省為替局投    資第一課長   荒川 健夫君    通商産業省通商    局市場第三課長 伊藤 政雄君    通商産業省輸出    振興部長    土屋 正雄君    運輸省海運局次    長       亀山 信郎君    運輸省航空局長 今井 栄文君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査国際情勢  に関する件)    ——————————   〔理事鹿島守之助委員長席に   つく〕
  2. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) ただいまから外務委員会を開催いたします。  本日は、国際情勢等に関する調査議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  3. 大和与一

    大和与一君 けさ新聞に、外務省中川条約局長ほか七名ぐらいですか、韓国に行くように書いてありましたが、あれは事実ですか。
  4. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 予備交渉に出ておりまする代表の方々が、懸案をやっていく上において、一応現地を見てきてくれということでございましたので、そのようなことにいたした次第であります。
  5. 大和与一

    大和与一君 いつおきまりになったのですか。
  6. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今週に入ってからでございます。
  7. 大和与一

    大和与一君 きのう私たち日韓会談でいろいろお尋ねしたのですが、そういうことは一言もあなたのほうは言わぬで、けさ新聞を見てから、ははあこんなことがあるのか、こういうことがわかったのですが、外務大臣はきのう大まじめにやっているとおっしゃいますけれども答弁がどうも、一部にはおとぼけ答弁で好評だけれども、一部には悪評さくさくたるものがある。そんなことは、きのうわれわれがまじめに日韓会談の問題を議題としてやっているのに、そういうことのお話があってしかるべきだと思うのですが、どうして言わぬのか。何も言わぬで、新聞に出た、そんなことはまるきりうそじゃないけれども、少こし当たっているということで、われわれあとからわかるというのは、はなはだ当を得ていないと思いますけれども、その辺どうですか。
  8. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これは本委員会で御報告申し上げるほど大筋に関連した問題とは私は考えませんでして、予備折衝段階における一つの過程でございまして、特に本筋の進展上、本委員会で御報告申し上げるほどのものではないと私は判断したわけでございまして、ことさら隠したわけでは決してございません
  9. 大和与一

    大和与一君 大筋のほうはあまり言わないで、小筋も言わなければ、何もわれわれはわからぬです。結局、新聞にお書きになったのは、新聞社自分でキャッチされたので、発表されたわけではない、その点はいかがですか。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 発表したわけではございません。新聞社のほうでキャッチされたものであると思います。
  11. 大和与一

    大和与一君 もう一つは、日中の貿易問題は今高碕さんが行かれてやや進んでおりますが、これは日韓会談とは全く関係ない、こういうふうに現状において、あるいは見通しにおいて考えてよろしいですか。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) さようでございます。
  13. 大和与一

    大和与一君 もしも将来そういうことが日韓会談の中で問題になった場合に、一体政府日中貿易の拡大、漸進的な前進ということは公約してあるわけですから、そのことと日韓会談といずれかを重くというか、取り扱い上どっちかにしなければならぬ、こういう場合があった場合、一体どういうふうに考えますか。
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今申し上げましたとおり、これは全然別個の問題でございまして、関連をして考えられなければならぬわけでございます。
  15. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 近くアジアアフリカ会議バンドン会議が開かれると思うのですが、これに対して日本側はどういう態度で臨まれるのですか、その点をお伺いいたします。
  16. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 十二月中にバンドンにおきまして第二回アジアアフリカ会議準備会議を開きたいということで、インドネシア大使館あたりから私のほうに対しまして参加方要請がございました。そこで私どもとしては、一体この第二回のAA会議というのはどういう目的で開かれるのかお伺いをしたところ、アジアアフリカ圏にいろいろな問題があるが、これらを平和的に解決されるような雰囲気を作りたいということが主たる目的のように伺ったわけであります。そこでせっかく開きます以上は、紛争解決への何か積極的な貢献があるようなものであってほしいと思うわけでございますが、御案内のように、中印国境紛争がございまするし、今の時期が私どもとしては適当な時期であるとは必ずしも判断いたしておりません。しかしながら、せっかくの御要請でもございますから、第一回のバンドン会議のときに、御案内のように、第二回の会議は第一回の会議主催国、すなわちコロンボ諸国でございますが、インド、パキスタン、ビルマ、セイロンインドネシア、この五カ国が相談して第二回の会議を招集することについて相談しようという決定がございましたので、したがって、私どもはこのコロンボ五カ国の意見が完全に一致するということ、そして六十カ国もあるアジアアフリカでございますので、ごく少数の国々が集まるというようなことでは目的が達せられないので、大多数の国が参加するということでございますれば、わが国としても出席する用意がある、こういう趣旨インドネシア大使館のほうに御返事をいたしておいたのが今の段階でございます。
  17. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 アジアアフリカ会議が開かれるならばこれに参加をするという態度であるように思いますので、この点は非常に多とするものですが、ただその場合に、今もお触れになったように、時期が悪いということをしきりと述べておられるように思うのです。時期が悪いことの理由として、今御説明のありましたように、中印国境紛争があるから、どうも時期が悪いのじゃないかというふうにお話をしておられます。しかし、私たちから見れば、むしろこういう紛争があるからこそ、なおよけいにアジアアフリカ諸国が集まってこれらの問題もあわせて論議をし、平和的な共存を打ち立てることが必要であり、またそれは可能だと私たちは思う。と申し上げますのは、第一回の会議の場合に、御承知のとおり、中国は大陳島作戦をやって台湾武力解放をするという態勢をかまえていた非常に危機的な時期であったんですが、たまたまアジアアフリカ会議各国が集まりまして、周恩来に対してアジア各国圧力をかけて、問題を平和的に解決すべしということを各国が個別にこれに働きかけた。そういう圧力を感じて周恩来総理が有名な大陳鳥宣言をやって、そしてあのときには問題が平和的な解決方向にいったという実績もあることでありますから、私が中印問題の平和的解決へ積極的な寄与をする可能性があると言うゆえんもむしろここにあるので、そうういうふうにお考えになるのが妥当じゃないか、こういうふうに思うのです。  それから一つ希望を申し述べておきたいのですが、第一回の会議のときには、私たち左派社会党が提唱しまして、アジアアフリカ会議は、むしろこれこそ超党派的に問題を進める恰好の題目であるから、われわれ野党もこれに積極的に参加をしたということを申し入れました結果、当時は与野党の代表が、たとえば自由党灘尾氏、それから、そのときには分裂していた、分け自由党と言いましたが、そこから植原悦二郎氏、それから左派社会党から私、右派社会党から曾祢益君、それから緑風会、あるいは財界代表として当時の日本商工会議所会頭であった藤山愛一郎氏、こういう諸君使節団の顧問として出かけて参りまして、そういう過去の実績も、慣例もございますので、今度の第二回会議においても、ぜひそういう意味で超党派的に推進をされることに努力をされたい。この点はわが社会党としてもそういう態度、そういうかまえをとっておりますし、すでに和田国際局長から外務大臣にも申し入れがあったはずだと思いますから、その点も十分にお考えおきを願いたいと思います。それらの点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  18. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) アジアアフリカ圏紛争が起こらないように、友好裏に問題が片づくような雰囲気をこの会議を通じて醸成したいという気持はよくわかるのでございます。したがって、私が先ほど申し上げましたとおり、これは第一回のバンドン会議植民地解放ということで非常な実績を上げた会議でございましたし、その会議あとで、先ほど申しましたように、コロンボ諸国が協議して第二回を考えるという声明がございますので、筋を立てまして、この五カ国が完全に意見が一致すると、そして大多数のAA諸国参加するということを私ども申し入れているわけでございまして、佐多先生の言われたような成果を上げるためにはそういう条件を具備することが絶対必要だと私ども考えておるわけでございます。  それから、これが開かれる段階になりまして、そういう場合になりました場合に、代表団をどのようにするかということにつきまして、今御要請がございましたことはとくと承りまして、私どものほうで検討をさしていただきたいと思います。
  19. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 なお、大平大臣返事をされた場合に、韓国並び台湾もこれに参加をさせるようにという、要求といいますか、要請をされたと伝えられておりますが、これはどういうふうなお考えであるのか、もし台湾参加させるというようなことを必須の条件として出されたとすれば、これはできないことを提案をされたことになるのであって、これをもし固執されるならば、それは会議をぶちこわすということにしかならないと思うのであります。これはアジアアフリカ会議第一回会議のときからの経緯から考えても、その後の現状から考えても、これは明白であると思う。そこでこれらの問題をどういうふうにお考えになっているか、お答え願いたい。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私どもは、できるだけ多数の国が参加する意味で、韓国並びに国府の参加を希望いたしておきました。しかし、それは条件という意味ではございません。
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 次に日中の問題に移ります。昨今高碕さんが北京に行って周恩来会談その他で会談をしておられるのですが、この会談は去る九月に行かれました松村訪中団松村さんが話し合いをしてこられたのを受けて、さらに貿易問題を具体的に推進しようということに運ばれると伝えられておりますが、この前提になるいわゆる松村周会談の具体的な内容といいますか、どういうことが話され、どういうことが了解をされたのか。そしてそれに対して政府はどのようにお考えになっているか。したがって、それを前提にして今後どういうふうに日中の問題を推進をしようとしておられるのか。いわゆる前向きの姿勢で進むということで非常に具体的に態度をきめ、施策をしなければならない段階に来ていると思うのでありますが、政府はどういうふうにお考えになっておりますか、承りたい。
  22. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 松村先生構想は、私どもの拝承している限りにおきましては、日中間に、政経分離の立場にお立ちになられて、少なくとも経済交流は正常なものでありたい、現在の日中間経済交流というものは必ずしも満足すべきものではないので、これを正常化いたしたいという念願を持たれて、北京政府との間に立ちまして十分自分の微力を傾けたいという非常な至純なお気持から出たものと、われわれは承知しております。で、先方との話し合いにおきまして、私どもが承っておるところでは、政経は完全に分離するということにつきまして、先方はすっきりそのまま松村先生構想に賛同を示されたということではないようでございますけれども、しかし、可能な限り経済交流正常化いたしまして拡大させていこうという意向は、先方にもあるように拝承するわけでございます。しかし、この問題はあとから引き続きます高碕ミッションでやっていこうということになったように聞いております。で、私ども政府態度でございますが、経済交流正常化するということは私ども賛成でございまして、今国交がない状態におきましては、これは民間の手で行なわれるということになるわけでございますが、今の貿易体制のもとにおきましては、政府信用供与というようなことになって参りますと、御承知のように、政府輸出入銀行等政府機関を通じて共産圏自由圏のみならず、共産圏につきましてもやっております関係上、どうしても政府の権限に触れて参ることになりますので、せっかく高碕ミッション先方話し合いできめられたことが、内地に持ち帰ってそれが動かないというようなことになりますことは不都合なことでございますので、民間側からの要請に応じまして、どこまで政府は責任を持てるかということをあらかじめきめておいてあげないと不親切だろうと思いまして、私どもは御相談に応じたわけでございます。その結果、私どもの大体の考え方といたしましては、日中の貿易正常化につきましては、世界的視野に立ちまして、欧州各国等中国大陸との貿易におきましてどのような条件、仕組みで貿易をしておりますかということをふまえて、そうしてそれより不当に援助する必要は日本としてないと思うのでございます。しかしまた、それよりももっと飛び出して日本だけが先ばしりするということも考える必要はないので、いわゆる西洋並み条件においてこの問題を処理していくのが穏当ではないかというように考えたわけでございます。しかし、一口に西洋並みと申しましても、日本中国大陸との間に行なわれる貿易と、西洋中共との間に行なわれる貿易とでは、品目におきましてもいろいろ多様でございまして、必ずしも統一した基準というのはないと思うのでございます。大体の見当は、品物の種類におきまして、こういうものを同じカテゴリーに属すると見て差しつかえないじゃないかというようなところで見当をつけて、大体このぐらいの見当でどうでしょうかという御相談はしてあるわけでございまして、しかし、向こうお話しをいたしまして、おそらく高碕ミッションといたしましても会談成果をお持ち帰りになると思うのでございまして、大体のところの考え方は前もってお打ち合わせをしておいたわけでございますけれども、帰られて、個々の商品につきましてどのようにして参るかということは、ケース・バイ・ケースで処理して差し上げなければならぬのではないかと思っておるわけでございます。やり方は、そういうことで民間を中心にやりまして、政府にかかわってくる部分につきましては、そういう考え方で処理しようということになっております。で、ただ世上いろいろ中共との貿易がその実体より以上に大きくいろいろ報道され論議されておるわけでございますが、政府といたしましては、先ほど申しましたように、政経分離原則の上に立ちまして経済正常化して参る、経済交流正常化するということは賛成でございまするし、またそれが手固く輸出輸入におきまして的確な実態をおつかみになってじみちな努力を重ねられることを希望いたしておるのでございまして、日本が必要とする輸入品というものは一体どういう実態であるのか、どの程度期待してできるのか、そういった点を精密に見ていただきまして、そういう事実の上に立ちましてそれをどのように処理して参るかということを着実に考えて参りたいと思っておるわけでございます。
  23. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 松村周会談内容の理解が少し私たちと違うのですが、これは文字どおりに言うと、周・松村会談最終会談のときに、周総理メモにして読み上げた。しかもこれは松村さんとの相互了解の上になったものだという前置きをして読み上げたメモによりますと、中共側は重ねて政治原則貿易原則を堅持すること及び政治経済とは不可分であること、並びにそれらが継続的に有効であることを中国側が述べた。これが第一点。それから第二点は、双方貿易の発展をさらに促進しようという願望を表示した。そして政治関係経済関係を含めて漸進的並びに積み上げ方式を採用して、両国関係正常化をはかることに一致した。この二点だった。これは相互了解に達したものだ、こういうふうに言っています。もちろん今大臣が御説明のとおりに、第一に中国側が述べたことに対しては、松村さんは必ずしも全面的に承服をしておられない。ただし中国側政経不可分を述べた場合に、それをそのままは受け取られなかったけれども、しかし、政治関係経済関係を含めて漸進的に積み上げ方式をやるという形の相互了解は取っておられる、こういうふうにあの会談の結果はなっておると思うのです。そこで、これに対する政府考え方を聞きたいのですが、ただ抽象的に問題を出したのでは、そういうものは了承ができないという返事になるにすぎませんから、もっと問題を具体的にやりたいと思いますが、政治的な関係をも積み上げ方式正常化方向推進をするということ、これは正常化の方針は、単に貿易関係正常化するということでなくて、日中関係正常化する、政治関係をも含めてやるということになるわけです。そこで、第一にお尋ねをしたいのは、まずその日中の間で政治的な問題に至らないいろいろな問題、もっと行政的なあるいは業務的な問題としての関係の仕方があると思うのですが、そういう一つとして、周・松村会談でも出された日本中国との間に航空機相互乗り入れる、東京北京間を航空機相互乗り入れるという問題が出たようでありますが、この問題についてはどういうふうにお考えになりますか。もし向うが了承をするならば、こっちからは乗り入れることをちっとも妨げない、そうして、しかも業務協定として何らかの協定がなされることも妨げないというふうにお考えになるかどうか、そうであってほしいと私は思いますが、どうですか。
  24. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういう問題は、私ども検討タイムテーブルにはまだございません。
  25. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 検討タイムテーブルにはないと言われますけれども、現に松村さんは向こう話し合いをしておられる。そしてまた日本としてもこれは積極的に取り上げて考えてみていい問題だと思うのですが、どうですか。
  26. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政府レベルにおきましては、まだ検討段階に来ておりません。
  27. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ、政府レベル段階でないとして、民間の間でそういう協定ができるのかどうか。それから民間がそういう協定をした場合に政治的な障害はないのかどうか。たとえばアメリカその他から航空機を買い入れておるから、そういう間の話し合い北京には乗り入れることができないというようなことになるのかどうか。これは運輸大臣が見えていなければ、運輸省にひとつお願いをしたいと思います。
  28. 今井栄文

    説明員今井栄文君) 航空局長でございますが、ただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。航空の純技術的な観点からします場合には、民間のみの航空機相互乗り入れということは、航空機についてはいろいろの各国制約がございまして、簡単には参らないということでございます。まず第一点は、相互に領空に関する主権というものが存在するわけでございますから、他国の飛行機が入って参ります場合には、当然に政府の許可を必要といたします。したがいまして、双方の間にかりに民間ベース航空機相互乗り入れをやるにいたしましても、その乗り入れを認めるという相互政府の間の了解が必要でございます。それからなお、今先生の御質問は、民間ベース経済行為として航空機相互乗り入れを行なうということであるとするならば、その他国における営業活動のある程度の保障であるとか、あるいは送金問題であるとか、あるいはまた通信系統相互調整であるとか、あるいはまた部品関係あるいは燃料等の関税の免除というふうな問題であるとか、そういうふうな面について、やはり政府のお互いの取りきめが必要になってくるわけでございます。特に中共につきましては、御承知のようにICAOの加盟国ではございませんので、あるいは航行援助施設であるとか、あるいは管制の方式であるとかというようなものが全然異なった形で行なわれておるのではないかということになりますと、相互航空機安全運航という観点からしまして、相当複雑な、かつまた困難な問題の調整ということも必要ではないかというふうに考えられるわけでございます。
  29. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 非常に複雑困難な問題があることはわかりますが、したがって、この点は政治的な問題にも関係をするでしょうが、今の局長の御答弁だと、民間的には、商業的には絶対的な制約はなさそうに思う。そこで、あと政府態度いかんによると思うのですが、私たちは、この際むしろこっちから積極的に働きかけて、東京北京間の航空機乗り入れを促進をすることが必要だと思うのですが、政府はどういうふうにお考えですか。
  30. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 御趣旨はこの委員会を通じて承わりますが、どのような工合に考えたらいいか、今私はそういう問題をまだ検討いたしておりませんので、今の段階で何ともお答えようがないと御了承願いたいと思います。
  31. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 航空機相互乗り入れの問題が出ましたときに、松村周会談では、さらに周総理がぜひひとつ航空機で直接に日本総理または大臣北京にいらっしゃることを非常に歓迎をいたします、そうすれば周恩来が、また私自身が航空機東京に参りましょう、そういうことで日中の関係を打開しようじゃないですかという話をしておりますが、私はそういうふうに進めるべきだと思いますが、大臣どのようにお考えですか。
  32. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) よく承っておきます。
  33. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その会談の席上で、もう一つ日中間定期航路設定の問題が出ております。しかも、これは長崎と上海間、それから横浜、あるいは東京新港、大沽、天津、あるいは新港、それの間の定期航路設定をしたらどうかという問題が出ておりますが、これに対して政府はどうお考えですか。
  34. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) 日中間定期航路につきましては、現在のところ業界におきまして具体的にこれを実施をするというような話は私どもは承っておりません。
  35. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうも承っておりませんって、私たちはついせんだって外務委員会から長崎現地視察に参ったのでありますが、長崎現地諸君はこれを熱望をして、すでに政府にも陳情を出しております。それから各海運界その他でも、現在これは日本海汽船でありましたか、定期ではないけれども随時貨物船横浜新港の間に運航をして、それからなおもう一つどこかの汽船会社もやっていたと思います。これらが松村周会談を契機として、あるいは今度の高碕使節団も同じようにこの問題を積極的に提案をしていろいろ話し合いをしてくるというふうになっておる実情だと思うのですよ。これは政府のほうでも十分御承知だと思いますので、これらに対処して定期航路設定ということに対しては政府はどういうような態度をおとりになりますか。
  36. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) 現在のところ、わが国の法制では、定期航路の開設につきましては、日本側海上運送業者が行ないます場合には、運輸省に対し届出が必要でございます。現在のところ届出がまだ出ておりません。具体的な問題といたしまして、現在日本中共との間の海上輸送は逐年増加をいたしております。しかも、若干の人の往来もふえて参っております。今お話がございましたが、日本海汽船の船はおおむね月に一回程度新港に参りまして、その際お客を、現在貨物船でございまするから、十二人以下の定員でございますが、ある程度のお客は毎航ほとんど乗せておるという状態でございます。しかしながら、物のほうは、やや技術的にわたりますけれども日本から出ますものが主として鋼材、肥料等でございます。こういう物資は定期的な定期船の貨物と言うよりも、むしろ不定期船の貨物でございまして、現在も回船しておるのはほとんど不定期船が大部分でございます。今後日中間貿易伸張に従いまして荷物の動き、人の動きという面から、商業ベースで定期航路が開設されるようになるというような予想はできるのでありまするが、それがいつ行なわれるか、また中国側におけるこういう定期航路に対する取り扱い方がどういうふうな具体的な考えでおられるのか、そういうことを十分承知した上でこれに対処していきたいと考えております。
  37. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それらの具体的な問題については、今度の高碕使節団でもいろいろお話し合いがあると思いますので、政府の方としても、そういう進捗状況をにらみ合わせながら、むしろこの問題を積極的に解決するような態度を示されることを、政府として、特に外務省としても積極的な態度を示されるように希望をしたいと思います。  それから、外務大臣ももう御退席になるそうで、それじゃ、もう一、二問ちょっと簡単にお尋ねしておきますが、先ほど私は日本総理あるいは大臣周総理との交流の問題を提案いたしましたが、そんなことてんで問題にならぬというような御返事ですが、中国とアメリカとのあの犬猿ただならざる間柄でさえ大使級会談をしばしば持っておる現在でありますから、特に日中の間はもっと近接した、そうして非常に緊密な関係の間柄であると思うので、こういう問題は問題外だというような顔をしないで、そういう能度をしないで、もっとこの問題を積極的にお考えになる必要はないか。お考えになる必要があると思うのだが、これをどういうふうにお考えになるか。なお貿易問題をさらにこれから詳しくお聞きしたいと思いますが、これは、大臣が御退席になるので、ただ大臣にはこの間、周・松村会談で総連絡方式ということを、新しい提案になった。というのは、向こう側は廖承志を総連絡の最高責任者としてきめるので、日本側においても、松村さんひとつ総連絡のあれになって、今後の日中間の問題を推進をしてほしいという提案をしたようでありますが、これに対して松村さんは、自分はその適任でないから、あるいは岡崎嘉平太氏をそれに当てたらどうかというようなことも言っておられるようですが、これらの点を大臣としてはどういうふうにお考えになるか。  それと関連をして、もう一つ貿易専門連絡機関をさらにその総連絡のもとに、そういう特別な貿易の連絡機関を置いたらどうかという話も出ておるようでございますが、これは政府のほうで、例の日中輸出入組合の強化拡大というようなこともお考えになっているので、これとの関連においてこれらの問題をどういうふうにお考えになるか御説明を願いたい。
  38. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一点について、私どもは今相互の立場を尊重し、内政不干渉ということを申し上げておるわけでございまして、今日本政府の立場といたしまして、政府首脳が北京政府との間で交渉を持つということは、今私どもの置かれた立場といたしましては不可能でございますが、そのことは先方もよくおわかりいただけると思うのでございます。  後段の貿易推進をする機構の問題でございますが、先ほど申しましたように、これはあくまでも民間側のお話し合いでございまして、民間側でどういうように先方と話をされますのか、その段階の問題だろうと思うのでございます。政府といたしましては、松村先生なり高碕先生を御信頼申し上げておりますと言う以上に出ないのでございます。
  39. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 内政不干渉、相互相互の立場を尊重をするということは、お話しのとおりに相互了解をしておるところだと思います。それからさらに陳毅外相が新聞記者団との会談をやったときに、現在の台湾日本との関係了承はできないけれども了解はできるというような言葉を、非常に弾力性のある言葉を使っておるようでありますから、そういう意味では、大臣の言われたように向こう考えておると思います。しかし、そのことは何も日本中国との間で大使級の会談なり、あるいはもっと閣僚級の会談が行なわれることを妨げるものじゃないし、またむしろそれを拒否するものでなしに、積極的にそういう方向に進めるということをもうお考えになっていい段階じゃないか、こういうふうに思うのです。先ほどから言うように、アメリカと中国との間ですら大使級会談その他がしばしば行なわれておるのですから、まして日本がもっと一歩進めて閣僚級の会談なり何なりを積極的にやられるということは少しも妨げないし、そこらまで踏み切ってこそ、日中の関係正常化へ前向きの姿勢をとっているのだということが言えると思うのですが、そういうふうにお考えになりませんか。
  40. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 目下私ども考えでは、経済交流というわずかに開かれた道がございますので、これを差異に可能な限度において拡大していくということをじみちにやって参るということが私どもの間の方針でございまして、それから出まして、さらに一段の政治的な協商場面を持つというところまではただいまのところ考えておりません。
  41. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そこまでお考えにならないにしても、日中の問題に対して前向きの姿勢で問題を進めたいということは前から繰り返し言っておられることだから、これにはもちろん意見の変更も何もないだろうと思う。ところが、そういう前向きの姿勢をとるということをあなたが態度を示されると、必ず国府のほうから、もしそういう態度をとるならば国府としては厳重な警告をせざるを得ないということを言っておるようでありますが、これまでに国府から日本政府に対して、この問題についてそういう何か申し入れなり何なりがあったのか、それから、そういう申し入れがあったときにも、なお現在の姿勢をくずさないで、さらに積極的に推進をするだけの度胸と勇気がおありになるのかどうか、その点をお答えを願いたい。
  42. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) この中共との接触の問題につきまして、国府側が関心を持たれておることは事実であろうと思います。しかし、国府側からこれに対して抗議といったようなことは一切ございません。国府のことはあくまでも私どもが自主的にやるべきものだと思っておるわけでございます。それから、すべての問題は前向きでやるべきものだと私は思うのでございまして、中国代表権問題を初めといたしまして、いろいろめんどうな問題がございますけれども、これはめんどうだからといってうっちゃっておいたらいけないので、可能な限り事態の真相、条件を究明していくということは政府の責任であると思いますので、そういう意味で私どもが対処いたしておるわけでございまして、そういう態度に変わりはございません。
  43. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現在中国が一九五九年以来、二年、三年の大不作、大災害続きで非常に困っている。そこでこういう困っている時期であるから、これに対して貿易その他を再開をして、これを助けるようなことは好ましくないという意見がアメリカで大っぴらに述べられているし、わが国においてもそういう意見がなきにしもあらずだと思う。私たちはそういう態度であってはならないと思うのですが、大平外務大臣はこの意見、こういう態度に対してどういう考えを持っておられるか。特に私がこれを聞くのは、ハリマン国務次官補が、かつて日米協会か何かの昼食会の演説でもその旨を述べられていたようでありますが、外務大臣はちょうどそのころ、それから少しあとですか、アメリカに行って会談もしておられるわけですが、そのときのアメリカの空気その他をどういうふうにお考えになったか。それに対して、日本はかりにアメリカにそういう意見があろうとも、日本は独事の立場から、特に中国との特殊な関係を考慮しながら積極的に問題を推進すべきだと思いますが、それらの点をどうお考えになるかお答え願います。
  44. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 中国大陸が連続不作で食糧が十分でないということは、私どもも伝え聞いております。そこで政府といたしましても、人道上の見地から、赤十字社を通じまして何がしかの食糧をお送りしたいという希望を表明いたしたのでございまするが、先方のほうでお受け入れにならなかった経緯がございます。それから、そういうお困りになった状態に対しまして、これと貿易を進めて参りまして助けるべきじゃないという意見のあることも承知いたしております。しかし、アメリカ政府から私どもにそういう意見が表明されたことは一回もございません。問題は、やはり今問題になっておりますような貿易関係、着実に彼此の間に有無を通じていくという道が正常に行なわれるということが大事なことだと思うのでございまして、そういう方向に私どもは可能な限り拡大して参るという方向考えておるわけでございます。
  45. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうもアメリカ側からそういう意向を聞いていないというお話ですが、新聞は、たびたび報ずるところによれば、日米両国代表の接触を通じて、しばしばそういう意向が伝えられておるということを言っておりますが、そういうことは全然ないのですか。
  46. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 少なくとも私は米国首脳との会談におきましてそういう話は一切出たことはございませんし、私どもはあくまでこういうことは自主的に判断すべきものと考えております。
  47. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと。この日中関係の打開は、政府の立場からすると、国際情勢待ちと思います。まあすべての国際的条件が整って本格的な打開に踏み切る、こういうことだろうと思います。私ども社会党考えておるような形で直ちにこの問題の打開が可能とは考えておりませんので、そういう意味での質問でありますが、政府としてはそのすべての国際的条件が整わなくても、ある一定の時期が来れば、日本独自でもこの問題の打開に踏み切ることがあるのか。あるいは国連その他のすべての条件、国際的環境が皆整って、世界じゅうが皆そうなったから日本もそうするのだ、こういうことなのか。あるいは、それは望ましいことだが、それ以前にも日本独自の立場でこの問題の独自的打開に踏み切ることもあり得る、そう了解していいのかどうか。その辺はどうでありましょうか。
  48. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) きのう羽生先生の御質問に対してもお答え申し上げましたとおり、私どもは世界平和に非常な関心を持っておりまするし、特に極東の平和ということが最大の関心事でございます。したがいまして、すべての問題はこの視点から考えなければなりませんわけでありまして、手続上こうなったから、どの国が賛成したから、国連においてどのような決議が行なわれたかということもあるいは大切な要素であるかもしれませんけれども、問題は、われわれが住んでおります極東の地域に新しい事態が起きて、そうして、それが極東の安全を脅威するものかどうかというようなことに慎重に考えをめぐらさなければならないものだと思っておるわけでございます。私ども気持は、重点をそこに置いておるわけでございます。
  49. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) 大臣、どうもありがとうございました。
  50. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃちょっと通産大臣が来る前に、新聞記者交換のことについて外務省のほうにお尋ねをいたしますが、新聞記者交換の問題が、松・周会談のときにも出たようであります。これは向こうさえ受け入れるということになれば、こちらからは出すことに少しも支障はないかどうか、その辺をどういうふうに御検討になっておるか御説明願いたい。
  51. 卜部敏男

    説明員(卜部敏男君) お答え申し上げます。新聞記者が個々に、あるいは団といたしまして相互に行きかいするということは決して差しつかえのないことだと考えております。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 特派員として相互に常駐させるということに対してはどうですか。
  53. 卜部敏男

    説明員(卜部敏男君) 差しつかえないと存じます。
  54. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 三、四年前にこの問題を私たちが取り上げて、いろいろ具体的に進めて参りましたときに、最後に一点引っかかった問題は、日中の間で平等互恵だというので、特派員も、日本から出す数と中国から出す数と同数原則を保持したいというのが向こう考え方だった。それで、それは平等互恵だからいいじゃないかというつもりでいたのですが、そのときに日本側は、それでは困るから、向こうは少人数にしてほしい、こちらはしかし国内事情があってたくさん行くが、それは認めてもらいたいということで、問題がそこでストップしてしまって動かなくなった経験があるのですが、その問題はそれじゃ差しつかえない、原則として同数で差しつかえないということかどうか。
  55. 卜部敏男

    説明員(卜部敏男君) これは政府といたしまして許可するというふうなことではなしに、民間新聞社同士での話し合いの結果になろうかと存じます。したがいまして、向こう側は少なく、こちら側は多くというようなことをあまり固執するということは考えられないと存じますが、私今ここではっきりお答えを申し上げる立場にございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  56. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) 通産省から輸出振興部長と市場第三課長、二人見えておりますから。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 大臣が来る前に数字的なことをお尋ねしておきますが、日中の貿易の三十五年、三十六年の実績、と、三十七年の見通しをどういうふうに考えておられるか。
  58. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) 日中の貿易額、輸出入につきまして申し上げますと、三十五年度——一九六〇年でございますが、輸出が二百七十二万六千ドル、輸入が二千七十二万九千ドル。三十六年度でございますが——一九六一年度、輸出が千六百六十七万三千ドル、輸入が三千八十八万五千ドル。なお本年上期一月−六月の通関統計でございますが……。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その最近のもの、三十七年の一−八月か一−九月までのやつ、ごく最近までの新しいのを……。
  60. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) 一−八月と申しますと、輸出が二千八百六十二万四千ドル、輸入が三千五十八万四千ドル、以上でございます。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 三十七年の実績推計はどのくらいと考えておるか。
  62. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) ただいまのところ、いかような推移をたどるか、私のほうではわかりかねておりますが、いずれにせよ、また、ただいま行っております高碕使節団の契約状況その他によりまして変わってくるかと思いますが、確たる見通しも申し上げかねるかと思います。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 通産大臣にお尋ねしますが、高碕使節団が行って、昨今北京でいろいろ交渉しておられるようでありますが、高碕さんが行かれる前に、通産省との間にもいろいろお話し合い、お打ち合わせがあったやに聞いておりますが、大体通雄省の意向としては対中国貿易をどういうふうに推進しようとしておられるか。それから高碕さんにどういう案を授けて行かれたか。その辺の経緯事情を御説明願いたいと思います。
  64. 福田一

    国務大臣(福田一君) わが国としましては、ただいまの通産省の観点から見ても、また国の要請という面から見ましても、貿易を振興するということは、これは一番大きな課題の一つであると考えておるわけでございます。その貿易ということになりますならば、それはたとい自由主義国家群との間におきましても、あるいは共産圏との間におきましても、その通常のベースにおいて貿易をしていくということは、これはできるだけやったほうがいいんだという建前をとっておるわけでございます。そこで今度高碕さんと松村さんのお二人に対して、廖承志等との打ち合わせがあったやに聞いておりますが、まず松村さんが行かれて、その後高崎さんが行かれるについていろいろ商談をしてくるに当たって、たとえばどういうようなことまでは政府としてあるいは通産省として認め得るかというようなお話がございましたので、それについては、それぞれ一応のわれわれとしての意見を述べました。案を私たちが授けて出したという事実はないわけでございます。いずれにいたしましても、両国の貿易関係がだんだんと増加をしております。将来も貿易関係がだんだん伸びていくということは決して悪いことではない、こう考えておりますが、政府としてどうしろこうしろというような考え方は今のところ持っておらないわけであります。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ一つづつ聞いていきますが、高碕・周第一回会談貿易促進の問題として第一に総合長期バーター方式話し合いをされて、これが相互了解をされたというようなことが言われておりますが、この点について政府はどういうふうにお考えですか。
  66. 福田一

    国務大臣(福田一君) 詳しい報告というか、報告をまだ実は私たち全然承っておりませんので、どういう内容か、その内容を見た上でございませんと正確にお答えを申し上げることはできないかと思っておるわけでありますが、しかし、私どもが一定の三年とか五年とかという期限を切って、その間で品物を、あるいは現金をも含めてでございますが、貿易の額がうまく調整がとれて、いわゆるクレジットというような形がなくて貿易が進められるということであれば、あまり長期なものではどうかと思いますので、まあ内容を見た上でなければ申し上げることは困難かと思いますが、必ずしも反対という気持ではございません。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 すでに周・松村会談のときにこの問題は出ておるし、それからそれを持ち帰られて報告をされ、今度行かれる前にこの問題については十分いろいろ御相談なり論議があったはずだと思うのです。そこで、もう少しその内容を、品目をどういうふうに考えておるのか、あるいは期限をどういうふうに考えておられるのか、金額をどう考えておられるのか、その辺を詳しく御説明を願いたいと思います。これは事務当局でもけっこうです。
  68. 福田一

    国務大臣(福田一君) 実は私たちも、松村さんがお帰りになりましてから、どういうお話があったかということを聞かしていただいたのでありますが、それほど具体的では、それほどと言うか、具体的なことはあまりなかったのでございまして、品目等のことは、こういうものを買ってもらいたい、それからこういうものが買いたいというようなことはありましたが、それをどういうふうにして買うのかということ、また、だれがその場合相手方になってやるのか、そういうようなことをいろいろお伺いしてみましたけれども、もっと高度の政治的な意味で、とにかくお互いが民間ベースでもって貿易をできるだけ進めたいという考えを述べられ、またひとつ相談してみよう、こういうことになったというようなことであったと私は記憶をいたしております。それから、そういうようなことではまだ具体化して参らないので、今度高碕さんが行かれるについてどういうふうに政府のほうが考えておるか、こういう問題はどうだというようないろいろ質問がございましたので、それについてはお答えをいたしたわけでございまして、そのお答えをいたしました内容は、まず期限等でありますれば、どんなに長くても五年以上ということでは困るでしょうということを申しておきました。それから肥料等につきましては、いろいろございますが、肥料にも、御承知のように、硫安とか尿素とか塩安とかいうものがあります。こういうことにつきましては、民間のいわゆる肥料業界が、硫安については極度にそういうことを希望しておらないというような事情があるのに、われわれとしてどうしても売ってあげなさいとか、こうしろということを言うつもりはございませんでありましたが、尿素とかあるいはまた塩安につきましては、これは話が出た場合に、よそより以上の条件では困るけれども、よそと同じような条件であればいいじゃないかというような話が出ておりました。そういうお答えもいたしておきました。それから塩安につきましては、これは延べ払いの問題が具体的に今起きておったわけでありますが、まあわれわれとしましては、大体一年程度にしていただきたいということを申し上げておきました。それから機械類その他の面につきましては、これは大体一年半くらいの延べ払いでやっていただきましょうということを実は申し上げておったわけでございます。なお金額の点になりますというと、いずれにいたしましても、中共からわれわれが買える品物と、それから今度買える品物を、いわゆる総合バーターでありますから、買える品物、中共日本にほしいと言っておられるものはたくさんあるわけでございますが、われわれの建前としては、やはりそれは一応決済がつくという建前をとりますから、まず中共からどれだけの品物が買えるだろうかということを考えてみなければなりません。そういう意味でいろいろ調査をしてみましたけれども、今年度あたりで買えるということになりますと、六、七千万ドルというものが大体最高限の数字のように見ております。しかし、まあだんだん将来になりますというと、これは広げられる余地があると思うのでございますが、そういうことを言えば、最高限それだということになりますと、どうしてもその範囲内ということになってくるから、そこで出るもの入るものというものの限度がきまってくるわけにもなります。しかし、そういう場合に、じゃ、ことしの分はぴったり、向こうから入るものは五千万ドルでこっちが送るものが五千万ドル、こういうふうになるかというと、そこに延べ払いの問題等もありますから、最初向こうから入るものはいささか少なくて、こっちから送り出すものが相当多い、こういうことはもちろん起こり得るわけでございますから、そこをうまくどういうふうに積み重ねて、うまく総合バーターといいますか、組み合わせをされておるのか、そういうことをいろいろ今向こうは研究されておるんじゃないか。今具体的に何か電報を見ても、そういうことをひとついろいろ詰めておるというような電報が——新聞電報でありますが、私は何も公式には受け取っておりませんが、新聞電報を見ると、そういうことが書いてあるようでありますが、そういうことを今具体的に詰めておられる段階じゃないか、こういうふうに考えております。
  69. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 問題は、延べ払いの問題にしぼられてくるんだと思うのですが、そこで、まずその問題自身をお尋ねする前に、よく西欧並み、西欧並みということを言われるのですが、西欧諸国の対中国向け輸出の延べ払いの実情は、各国別あるいは各品目別にどういうふうになっているのか、まずそれからお答えを願いたいと思います。事務当局でけっこうです。
  70. 西宮信安

    説明員(西宮信安君) 今のお話、西欧並みがどうかというお話でございます。これはわれわれも注意しまして検討その他やっておるわけでございますけれども、今われわれが手にしておるところでは、遺憾ながらはっきりこういうものであるということを申し上げる確たる材料はございません。これは日本は、先ほど外務大臣からもお話しのように、輸銀という制度がございまして、相当はっきりした格好で延べ払いをやっている。ところが、西欧は主として民間の金融機関その他がやっております。それで商業上の秘密といいますか、いろんな商売上の観点から、一切外部に言わないということで、これは日本の業界の方、一番関心を持っている業界のほうの方も具体的な情報入手に努力されておるようですけれども、はっきりこれこれだということは判明しておらないように私は聞いております。
  71. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはおかしいんで、問題はここにしぼられてきていて、しかも中心的な問題で、しかも外務省はこれまで出先その他にこういうことを具体的に調査するようにいろいろ努力もされたんじゃないですか。また、これが問題の焦点でもあり、政府として西欧並みだ、西欧並みだとしばしば繰り返しておられる以上、その並みの西欧がわからないはずがないんじゃないですか。これは外務省、通産省あるいは大蔵省あたりで的確に、詳細に調べておられるはずなんです。それを、わかりませんじゃ問題が進まない。
  72. 福田一

    国務大臣(福田一君) それは西欧並みと言っておりますことは、今外務省のほうからもありましたとおり、全部がわかっているというわけではございません。しかし、わかっているものについては、もちろん西欧並みで、わからないものについては、やはり日本のベースにおいてやっていく、これよりいたし方ないと考えております。
  73. 西宮信安

    説明員(西宮信安君) 先ほど申し上げましたように、具体的にこれこれの品目がこれこれだということは、全貌としてわかっておらないという意味でございまして、今通産大臣お話しのように、わかっているといいますと、私どもが知っている範囲でこれだけは間違いないと思うのは肥料でございます。これが一年というのはわかっております。ただ民間その他の話では、一年半だとか二年だという話はございます。われわれもそれを追及したいと思っております。まだそうであるともそうでないとも、証拠はつかんでおりません。
  74. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 イギリス、オーストラリア、カナダ、西独などは大体一年だ。それからイギリスでは一年半のもある。それから中国では、向こうから言っているのは、いや、ある国は二年にしてもらっているのだという話も出たということが伝えられているのですが、それらの事情をどういうふうにお調べになっておりますか。
  75. 西宮信安

    説明員(西宮信安君) その西欧並みという問題でわれわれはいろいろ苦慮しておりまして、今お話しのように、民間のほうの情報、それから中共のほうからいろいろお話がございまして、どの点までがほんとうに西欧並みということでやっているかどうかということを目下引き続き検討しておりますが、二年という話も聞いております。日本の塩安の場合は、向こうが二年ということを言っているという話もございますが、こちらでわかっているのは、先ほど申しましたように、肥料につきましては、はっきりわかっているのは一年、そのほか一年半もある、二年もあるという話は聞いておりますが、今はそういう段階でございます。
  76. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それは具体的にお調べになった結果なのかどうなのか。今お話しのように、一年半とか二年という話はある。それから、よく西欧並みと言われるけれども日本中国との特殊な関係考える場合には、延べ払いその他の問題は必ずしも西欧並みを固執される必要はないと思う。もっと日本側から積極的に進んでおやりになっても、ちっとも差しつかえないのではないかというふうに思うのですが、そこをどういうふうにお考えになるか。特にこれは大蔵省のほうの資金関係との関係があると思いますが、それらの資金関係から考えてどういうふうになるのか。輸出入銀行の延べ払いに対して出しておる資金がどういうふうになっているのか。それからそれは各国別にどういうふうになっているか、さらには各商品別に延べ払いがどういうふうになっているのか、そういうような点を詳しく御説明を願いたい。
  77. 荒川健夫

    説明員(荒川健夫君) お答え申し上げます。ただいま御質問のうち、実は輸銀の資金がいかような国にどの程度支払われておるか、あるいは具体的にどの程度の余裕があるかという御質問であります。この御質問について、銀行局のほうで資料を持っておりますので、はなはだ恐縮でございますが、私ちょっとお答えしかねます。一般に対中共貿易につきまして、先ほど来外務大臣、通産大臣あるいは外務省の事務当局からお話がございましたけれども、大蔵省といたしましても、延べ払いにつきまして一般に西欧諸国がやっておる条件に、要するに、品目、内容的にも、あるいは期間につきましても、そういうような条件で商談が進んでこられれば、ケース・バイ・ケースとして検討いたしまして処理していこう、こういう考えでございます。輸銀の資金について、共産圏あるいは自由圏といったように国別に賃金をイヤマークするようなことはいたしておらず、今のところ考えておりません。
  78. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうだと思ったから、私は銀行局に来てほしいと言ったのですけれども、いやこの問題は為替勘ですからというのであなたから聞いたのですが、私の質問内容がちゃんとわかっているのだから、的確に把握してわかっていただいて、所要の人は出ていただきたい。  そういう問題はあとのほうに回しまして、通産大臣は退席されるそうだから、通産大臣のほうに一部ちょっとお尋ねしておきますが、延べ払いの問題は今申し上げたように非常にポイントになると思います。したがって、これは西欧並みということもはっきりわからないのに、西欧並みを振り回して、しかも非常に渋い消極的な態度をとられるのでなしに、態度としては積極的に、それから日本中国との貿易関係は特殊な関係にあるんだから、何も西欧並みを固執しないで、さらに積極的に進むという態度もお示し願いたいと思います。  特にもう一つお聞きをしたいのですが、ココムの輸出禁止のために非常な制約を受けているというのが実情だと思うのです。そこで、これは大臣が退席された後でいいのですが、ココムの禁輸のために日本輸出中国に対してどれくらい支障を来たしているか、これが撤廃をされれば、さらにどれくらい伸びるというふうなことを検討しておられるか、これの詳しい御説明を願いたいのですが、実情の説明は後として、通産大臣には、説明に詳しくあるように、非常な阻害をなしている、特に日本輸出が、機械器具、特に高級なものに集中をされ始めて参りますと、特にこの障害が非常にはなはだしいので、日本としてはこのココムの廃止を積極的に主張をすべきだし、同時に、廃止に至るまでの間にも、この運営の問題に対しては弾力性を持たせて運用をするように努力をすべきだと思うのですが、通産大臣はどうお考えになっているか。現に西欧諸国では、このココムの禁輸があるにかかわらず、運用は非常にルーズに行なわれて、あってなきがごとき場合も多々あるとわれわれは承知をいたしております。特にイギリスから航空機中国に売り込むというようなことにまで問題は進展をいたしておるのでありますから、それを、西欧並みを見習うととが非常にお好きなようですから、そういう点こそ見習って、もっと積極的な態度をとらるべきだと思いますが、どういうふうにお考えですか。
  79. 福田一

    国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。これはすべて商売のことでございますから、私たちは商売はなるべくよけいしたほうがいいという考えは、これはわれわれ異存はないのでありますが、しかし商売をするのは相手がたくさんございまして、そうしてよけい商売をするという考え方からいいますと、一つのところへ一つ条件を許しますと、またよそへも——あそこへだけ許すならおれのところへも許してくれればいい、こういう話が出てくると思うのであります。そこで、佐多さんが輸出入銀行の資金の関係はどうなっているかというお話でございましたが、日本の財政ということから見れば、そこに限度があるわけでございまして、いわゆる掛売り、延べ払いというようなことはなるべくしたくない。しないで商売をするのが正しいあり方だと思っておるわけでございます。そうすると、もちろん隣国のことでございますから特に考慮してもいいじゃないかという考え方もありますが、そういうことをしたために、今まで現金売りができたものを掛売りしなければならぬということになって、はたして日本の商売全体に得がいくかどうかということもやはり考えてみなければならぬかと思っておるわけでございます。そういうようなことでございますので、私たちといたしましては、延べ払いの問題につきましては、こういう点も十分考えた上でやはり対処していかなければならない。共産圏貿易をもとより私たちは排撃するわけでもなければ、いやだと言っているわけでもない。伸びるほうがいいのであります。と同時に、また中国あるいはソビエトにいたしましても、そこからどれだけ買えるものがあるということを現実的に無視するわけにはいきません。もし買えるものがなく、また向こうから現金で払ってくれないというのに、私たちがたくさんの品物を売ったということになりますと、何かクレジットを作ったような形になるかと思います。そうすると、よその国でも——低開発地域の国々が、中共にそういうことをしたならわれわれのところへもしてくれたらいいじゃないかということになって、とても今の日本の財政では、そういうことはまかない切れない問題も起きてくるかと思うのでありまして、そこら辺に、貿易はよけいやりたい、しかしやっぱり支払いの条件とか、あるいはバーターする品物とかいうことによって大きく制約を受けざるを得ないということもひとつおわかりを願いたいと思うわけでございます。  それからココムの問題でございますが、そういうようなわけでありまして、ココムについては、これは別途のことでございますが、今たといそういうようなものが解除をされるといいますか、問題が解決しても、今言ったような共産圏との関係におきましては、いろいろのそういう制約があるわけでございます。しかし、私たちとしては、ココムの関係におきましても、よその国と同じ程度以上のことをこの際中共に対してするというようなことは、これは無理がいくわけでございまして、これはできないと思います。しかし、将来世界が平和になりまして、そうしてこういうような問題も順次解決されることを、一般的な希望といたしましては、私たちはもちろん思っておるわけでございまして、そういう意味ではこれは努力せにやならぬかと考えておりますが、特に今度の対中共貿易に関連してこの問題をとり上げていくというところまでは、今のところ踏み切っておらないわけでございます。
  80. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 なお、大臣にもう一、二点質問しますが、ジェトロですが、ジェトロの調査員が共産圏には今多分チェコだけにしか行っていないと思うのですが、ソ連のモスクワあるいは中国北京等にも出して、積極的にこれを推進していくという必要があるんじゃないかと思いますが、これらの点については政府はどういうふうにお考えになっているか。
  81. 福田一

    国務大臣(福田一君) いわゆる国交を回復いたしました国に実はジェトロを出しておるわけでありますが、まだ国交を回復しておりませんので、中共にはジェトロを出しておりません。しかし、これにかわるといってはおかしい話ですが、やはり両方の関係をお互いに認識し合うというようなものを、何と言いますか、一種の団体組織において出しておるようなわけでありますが、しかし、まあお説のそういう意味中共にいたしましても、ソビエトにいたしましても、ココムの事情を知り合うということは非常にいいことなのであるし、また貿易関係で便宜を計らい合うということもいいことでありますので、そういう面についてはひとつ今後も研究をさしていただきたいと思っております。
  82. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 国交を回復しておるところには出しておると言われるけれども、ソ連にはまだ出してなかったと思うのです。したがって、モスクワあるいはシベリアあたりには積極的に出されることが必要だろうと思う。それから北京のほうも、これは国交は回復していないけれども民間のそういうものが出ることはちっとも妨げないと思う。それこそ純粋にこれは経済的な問題として、貿易上の問題として考えられればいいので、ジェトロはこれをむしろ希望をしておると私は了承しておりますので、政府のほうも妙な数をあげたりなんかしないで、むしろ積極的に行けということを言われるべきだと思うのですが、いかがですか。
  83. 福田一

    国務大臣(福田一君) お説のとおり、ソビエトとの国交は一応回復しておりますから、そういう意味ではそういう希望も持つかと思いますので、お説のような考え方で研究さしていただきたいと思います。
  84. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう一つ輸入の事前承認制というやつを中国との間ではやっておられるのですか、やっておられないのですか。もしやっているとすれば、これは差別待遇もはなはだしいので、こういうことはすみやかに廃止をされればいいと思いますが、どうなっておりますか。
  85. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) 日中貿易につきましては、お説のとおり、輸入管理令に基づきまして、輸入承認品目といたしまして規制いたしておるわけでありますが、先ほど来大臣お話もありますとおり、双方のバランスその他を考慮いたす必要もございますので、要承認品目といたしておるような次第でございます。
  86. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いろいろもう少し具体的に個々の商品についてもお尋ねをして参りたいと思いますが、要するに、いろんな問題を問題にしますと、突き当たるところは政治的な問題であり、そしてこれはどうしても政府間の貿易協定ができることなしには打開をされない問題だという壁に突き当たると思う。そこで、私は大臣に、これはお願いでありますが、やはり政府間で貿易協定を締結をするということを真剣に考え、取り上げられる段階になっているということを十分に配慮をしていただきたいと思うのです。このことは、必ずしもすぐ国交を回復するとか、あるいは承認し合うとかいうことを伴うことなしにできる問題だし、そういう政治的な配慮と努力をされることが特に必要だと思いますので、これは強い要望として申し上げておきたいと思いますが、どうですか。
  87. 福田一

    国務大臣(福田一君) ただいまのお説は、お考えといたしまして承らしていただいておきます。
  88. 森元治郎

    ○森元治郎君 大臣の話を聞いていると、現金主義を振り回して、掛売りは困る、非常に渋いことを言っているのですが、社会生活においても、国際生活においても、延べ払い、掛売りというような傾向が強いことは御承知のとおり。そこで、新大臣の延べ払いという問題に対する考え方、根本をひとつ参考のために承っておきたい。時間がないから、承るだけでけっこうです。
  89. 福田一

    国務大臣(福田一君) できるだけ延べ払いはしたくないのでございますが、しかし、そういっても、諸外国が延べ払いをして、いわゆる掛売りをどんどんして、そうして商域を広めようとしておるのに、日本がそれにおくれていったのでは、いわゆる商売でおくれをとることになりますから、そこでやはりそこら辺に西欧並みということが出てくるわけでございまして、態度はどうだとおっしゃれば、なるべく掛売りはしたくない、現金売りでないと、あとで集金ができるかどうかよくわからないので——これは決して中共だけを申し上げておるのではございません——どこに対しても同じであります。そうして今の日本の国でそう掛売りばかりしたのでは、これは、大蔵大臣がいませんけれども、大蔵省のほうでちょっとやはり決済その他の面でとてもやっていけない。また保険その他の面でもとてもそれに応じられない、こういうことがありますので、実は掛売りはできるだけしたくない。しかし、商売を広めるためにはやむを得ない面はこれは認めざるを得ない、こういう感覚でございます。
  90. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 では、さっきのココムの問題、お答え願いたい。
  91. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) ココムを制限を撤去したらどのくらい輸出が伸びるかという御質問でございしたが、私手元に資料を持ち合わせておりませんので、どの程度ということを申し上げかねますので、御了承願いたいと思います。
  92. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 事務当局が手元に資料を持っておりませんと言うことは、僕はいつも言うように、許されないことだと思う。そんなことは聞くことは当然なことなんです。しかも、今一番ココムの禁輸のために業者が困っていて、機械輸出、精密機械の輸出に転換をしようとするときに一番困っている。ネックになっている。そういう重大な問題に対して、貿易振興を専管している者が、知りません、手元に今資料を持ってきていませんじゃ国会が通らないのだ。大臣ならそれでもいいけれども、事務当局がそんな答弁では許されないと僕はしばしば言っていることなんです。
  93. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) ただいま申し上げたとおり、ココムのそれぞれの相手によりまして、日本がそういう品物をどの程度作れるか、あるいはまた相手側の中国あるいはソ連等の共産圏の国々がそういうふうなものをどの程度引き合いをしておるか、そういうふうな相互の計算によりまして作成いたさねばならんわけでございますが、私ただいままでのところ、さような計算をいたしたことはないわけでございまして、まことに事務当局としてさような計算をするのが当然であるというようなお話でございますが、さよう御了承願いたいと思うのでございます。
  94. 森元治郎

    ○森元治郎君 さっきから聞いていると、佐多さんの質問ですがね、今度のあなたが委員長になってから、質問者が通告をして詳しく日中関係なら日中関係貿易なら貿易ということを申し上げておるのですから、出てきた人はどういう質問があるかということが当然常識的にわかることなんです。東西通商課長は西欧並みと言われて、詳しくわからぬ。今通産省の方もわからぬ。何もミリメートルの話まで聞いているのじゃないんです。大体どのくらいかというようなことは、資料がなくても答えられる立場の人でなければ、肩書は東西通商課長なんだから、西課長じゃない、東西課長なんだから、しかもそれを聞きたいということを具体的に申し入れているんですから、委員長もう少しハッパをかけて下さいよ。きょうは少したるんでいますよ。今までにないと思うんですよ、こういうふらちな答弁は。外務省は、条約局とかなんかは、われわれの質問に対して十分答えてくれているけれども、ほかは、きょうはだめですね。委員長よく注意して下さい。
  95. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) よく注意しましょう。
  96. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ココムの禁輸で、僕が断片的に承知していることでは、ソ連、中共合わせて数千万ドルに上ると、こう言われている。それは商品別で言うと、電子計測器、精密機械、工作機械、特に中刳盤、鉄鋼、プラント、耐食材料、テレビ、送信機の一部、連絡通信装置、それらのオートメーション装置、これら全般にわたってココムの禁輸が適用され、それがために非常な制約をこうむっている、こういうふうに言われている。そこでこれらを一つ一つ調べてみれば、ソ連に対して、あるいは中国に対して、どういう品目でどの程度制約をされているか、したがって、これを撤廃した場合においては、どれだけ貿易が拡大し得るかということはおのずからわかってくると思う。ぜひこれは近い機会に具体的な調査をして、その調査の結果を報告するなり文書で返事をしていただきたい。
  97. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) おっしゃるとおり、ココムの制限を撤廃した場合の輸出量につきましては、双方の具体的な積み上げ計算によりまして計算をしなければならないわけでございますが、何分にも相手方のあることでもありますし、どのくらいのものがどの程度出るかというようなことについては、なかなか確たる見通しもむずかしいかと思いますが、一応試算をさせていただきたいと思っております。
  98. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 念のために申し上げておきますが、これらの問題については、御承知のとおり、国際貿促あるいは日中貿促あたりでもしきりと検討研究をしている。これは去年からの問題なんだから、通産省でわからないはずはないし、もしそれをわからない、やってもいないと言うならば、非常な怠慢であるから至急にひとつやってほしい。  それから延べ払いの問題ですが、われわれが聞き及んでいるところによると、EEC諸国の延べ払いの期限は、肥料がさっき言ったように一・五年から二年、それから小型のプラント輸出の場合には三年から五年ものがある。あるいは大型のブラントになると七年から八年というものもあるんだと、こういうことも伝えられているんですが、これらの事情はあなた方のお調べになったところではどうなっているんですか。
  99. 西宮信安

    説明員(西宮信安君) 今のお話は、そのものかどうかわかりませんけれども、われわれも業者あるいはその他を通じまして、たとえば肥料については二年くらい、それからプラントについてももう少し長いものという話は間接的に聞いております。われわれもぜひ、真相といいますか、確めたいということでやっておりますけれども、遺憾ながら現在のところ確かにそうやっているという確証はまだ得られておりません。この前からお話しのように、わかっているところは、一年から一年半くらいというのが現段階で判明しておるところでございます。
  100. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 日中貿易の、先ほどもお尋ねしたんですが、総合バーターの場合に、中国側は順位をつけて、これこれのものを買いたい、あるいは売りたいということはちゃんと順位をつけて松村さんには提案をしているということを聞いておりますし、その提案に基づいて、こちら側は、高碕さんも非常に具体的に検討されたようだし、それについて通産省のほうからもいろいろ意見が述べられていると思いますので、それらの点を事務的に具体的に御説明願いたい。
  101. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) 総合バーターの品目順位についての御質問でございますが、私直接この問題について聞いておりませんが、伝えられるところによりますと、輸出品については鉄鋼、肥料、農薬、農機具、そういうふうなもの、また輸入品につきましては、大豆、トウモロコシ、粘結炭、あるいは鉄鉱石というふうなものが予定されておるやに伺っておりますが、これに対して順位をつけておるかどうかというふうなことは、まだ私のほうでは特に伺ったことはございませんし、そのようなことはないのではないかというふうに聞いております。
  102. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうも振興部長が、日中貿易のことを聞かれてそういう御答弁をされるということは心外ですよ。松村さんみたような経済のことは何もわからぬと言っておる人が、帰って来られたときに、ちゃんとこういう順位をつけて向こうで出してきたんだ、自分ではわからぬけれども、これは検討してくれということを言っておられる。それに、振興部長が、そういうことは存じません。それはまあ中国日中貿易は非常に小さい問題だからあなたは関心がないのかもしれませんけれども、今とにかく中心の問題だな。僕はきょうはその問題で御質問をするということを通じてあるのです。もしほんとうに僕の質問を受けようという考えがあるならば、事前にでも連絡をして、何々を聞くんだというようなことを詳細に調べて、そして準備をしてここに持ってくればいいんだよ。そういうことも何もしないで手ぶらでやってきて、そしてこの委員会が済むと思っているのか。僕はやめるよ。
  103. 伊藤政雄

    説明員(伊藤政雄君) 松村先生がお帰りになりまして御報告を承りました際に、すでにその口ぶりから、肥料、農薬、それから鋼材、化学繊維、プラントと、そういう順序で先方もウエートを置いて話しているという御報告がございましたので、通産省も、今度高碕先生がおいでになる際に、そういう順序で先方はウエートを置いているようだから、われわれもそういう点をそういう順序で検討すべきだということでございます。ただ高碕先生がおいでになった場合に、その点をはっきり一、二、三という工合にお示しになったかどうかということは承っておりません。
  104. 大和与一

    大和与一君 今佐多さんが非常に怒っておられるようです。いつもだったら、あなたのほうで質問内容を聞いて、それでちゃんと準備するのですが、今度は全然してないのですか。そして、しかもそれを聞いたけれども、資料を作るのに時間的に間に合わなくて相済まぬ、こう言うのか。それから、そのことは全然手をつけてないからわからぬと言うのか。きょうまでのことはそれでいいとして、それじゃ一体どうするか。直ちに徹夜をしてでも資料を作って責任を持ち、ちゃんと報告をします、こういうことなのか。将来のことは一つも言いませんで、今ありませんと言っているのですが、そういう点はどうする気なのですか。
  105. 森元治郎

    ○森元治郎君 さっきのココムの問題と外務省関係の東西通商課長答弁できなかったやつは、本庁に帰ってから調べて答弁してもらいたい。
  106. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) 御要望の資料は、なるべく早い機会に提出いたすように努力いたしたいと思います。
  107. 大和与一

    大和与一君 不幸にして大臣がおったら、もっとあなた方の醜態がわかるところだけれども、いないから、これでいい気になったらだめですよ。大臣から陳謝させなければならないところだ。国会の審議を中途でストップさせたのですからね。今佐多委員が言われたものだけでなく、私は関連したいろいろな質問をたくさんしたいわけです。ですから、今言われたことだけでなく、やはりあなたのほうでも十分あらゆる検討をされ、資料を出して、そしてまた良心的に言えば、正確度の問題があるのだから、それはわかるが、わかるにしても、まず目安はこうだとか、あるいはこの資料ではこれだけの内容しかないということはいつでも言えるわけで、それを、ただそんなものは持っていないと言うと、目のこでやっていることになるでしょう。それでは役人としても首ですよ。そういうことになっては困るから、まじめなんでしょうから、とりあえず至急に今言われたことはやる。そして次の機会にまだ質問が続行されるわけですから、それに関連したあらゆる範囲から検討されて、もう準備万端おさおさ怠りないという、こういう確信を持って委員会に出てもらいたい。その良心的な、まあ誓いでもないけれども、きちんとした返事を聞いてから、やめてもらいましょう、もう一ぺん何とか言って下さい。どうですか。
  108. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) いろいろ私の答弁その他で不備な点も多々あったと思いますし、また国会の審議に御協力申し上げる意味において、いろいろの資料は早急に調査いたしまして、作成できるものは至急に提出いたしたいと、かように考えております。さよう御了承願いたいと思います。
  109. 石田次男

    ○石田次男君 先に法務省のほうから、きのう質問をしたことの答えをいただきたいと思ったのですが、まだ隣りでやっているらしいので、来ていないから、移住局長から先に質問いたします。  最近進歩のための同盟基金というのを経済同友会の理事の渡辺さんという方が行って、何か相談を進めて取りつけてきたという話を聞いているのですが、その内容をひとつおっしゃっていただきたいと思うのですが。
  110. 高木広一

    説明員(高木広一君) 経済同友会の渡辺さんに南米を回っていただきましたのは、実は移住局及び移住会社関係からお頼みして行っていただいた次第であります。今先生がおっしゃった、何か取りつけてきたというようなはっきりしたものはお持ち帰りになっておらないと思います。ただ、御承知のとおり、アメリカは昨年八月南米におきまして、進歩のための同盟計画を発表いたしまして、向こう十年間に二百億ドル、年間二十億ドルというものを使って南米の進歩のために努力するのだということを声明した次第であります。年間二十億ドルのうち、十一億ドルをアメリカ政府が出す。そのほかに三億ドル世界銀行あるいは開発銀行等から出し、あと三億ドルはアメリカの民間投資その他、残りの三億ドルをヨーロッパとかその他の諸国から出してもらって、年間二十億ドルをひとつ南米の進歩のためにやりたいというのがアメリカの趣旨でございまして、その計画を頭に入れながら、渡辺先生は、日本の南米に対する移住政策におきましてもこれを活用する道がないかということでサウンドしてこられたようで、その結果はかなりに各地で共鳴があったということは聞いておりますが、具体的にはまだ成果があったということは私存じておりません。
  111. 石田次男

    ○石田次男君 これは外務省で委嘱をして行ってもらったのと違いますか。
  112. 高木広一

    説明員(高木広一君) お願いをして行っていただいたのであります。
  113. 石田次男

    ○石田次男君 今のお話ですと、進歩のための同盟、ラテン・アメリカにつぎ込む援助資金ですが、具体的に日本としてそれに参加をして、日本人の移住者を含めて現地にそれを投資する、そういうようなプラン、構想を持って行ったと聞いていたんですが、そのこちら側の構想というものを向こうに通じた反響はどういうものだったでしょうか。
  114. 高木広一

    説明員(高木広一君) われわれのほうでいろいろ考えていることもございますが、まだ具体的な計画として先方に出すようなところまでは行っておりません。それから、そういうような計画は、今後南米諸国とも十分話し合って、そして世界銀行とかあるいは南米開発銀行と話し合っていけば、具体的な計画があればぜひ取り上げようという意向は表明せられておるのであります。これに対しては金を出そうというような話し合いはできておらぬわけであります。
  115. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、こちらのほうから具体的な計画を持ち込めば、向こうのほうでもそれに応じようという態勢までには行ったわけですか。
  116. 高木広一

    説明員(高木広一君) 南米諸国がこれに協力してやる、南米諸国がこれを喜んでやるということが前提になりますが、そういう場合には、今先生のおっしゃったように、応じようという空気が非常に強いわけであります。
  117. 石田次男

    ○石田次男君 そこまで話が進んだだけでも外務省としては相当の成功だったろうと思うのですが、それでは今後国内で移住基本法もできようというときですし、具体的な計画というものがありさえすれば向こうのほうで資金が出るとなれば、当然こちらとしても話を持ちかけた積極的な立場でもありますし、何か具体的なものを練りつつあるのじゃないかという気がするのですが、どうでしょう。
  118. 高木広一

    説明員(高木広一君) ちょっと御説明申したいのは、渡辺先生が南米に旅行せられたのはわれわれが内々お願いしたので、正式に外務省代表として日本政府代表してお話しになったわけではございません。御承知のとおり、渡辺先生は世界銀行の理事でもございまして、お顔も広いので、そういう関係でサウンドしていただいたわけでございます。しかし、アメリカの進歩のための同盟の計画におきましても、単に南米に金を出すだけでは十分でない。やはり人とか技術というものに結び合わさなければいけないというような考えも強うございますし、またアメリカ一国だけでなくて、南米の進歩のためには世界各国が協力することによって一番堅実な効果が得られるのだということが関係者みなに認識されておりまして、そういう立場から日本の移住政策にも新しい目がそこから向けられるという点で、われわれとしては非常によかったと思っておる次第であります。そうしてその見地からいろいろ今後の移住政策の企画をしたいということもございますので、今後もそういう立場からさらに研究を進めたいと思っております。
  119. 石田次男

    ○石田次男君 アメリカへ行ってこの構想に対する反対もあったように聞いておりますが、その点いかがですか。
  120. 高木広一

    説明員(高木広一君) それは渡辺先生も非常にこまかい御報告で、私ここで論じていいかどうかと思いますが、それはまあ責任のある立場でない人のお話であったというふうに聞いております。
  121. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、その反対は強力なものではないと理解していいわけですね。
  122. 高木広一

    説明員(高木広一君) われわれはそう思っております。
  123. 石田次男

    ○石田次男君 で、この問題は相当進めてきたわけでありますから、ぜひ移住の抜本的な体賢改善の一環として強力に進めていただきたいと思います。また、にわかにまだ発表できる段階まで行ってない点もあるとは思うのですが、問題が進むにつれて、発表できる段階だけは積極的に報告書やらあるいは委員会への資料としてどんどん出していただきたいと思います。これは要望です。  次に移住基本法の要綱についてお伺いしたいのですが、九月に第一回目の要綱案をもらって、最近また第二回目の案をもらったわけです。これについて、だいぶん内容的にも変わってきた点がありますが、この案は移住局側としてはあと法制局のほうへ回す最終的なものと了解してよろしいですか。
  124. 高木広一

    説明員(高木広一君) まだそこまで行っておりません。これは外務省限りの案でございまして、御承知のとおり、移住審議会におきましても、移住の基本的な法律制定のための外務省の素案を書くということでございましたので、とりあえず出した次第でございます。なお、これに関しましては、関係各省ともまだ協議を進めております。また審議会の結論によりましてこの内容をまた変えて、その上で正式に法律案として法制局等へも持ち出すつもりでおります。伺いますところでは、移住審議会でも十一月中には答申を出すということで急いでおられまするので、われわれといたしましては、できる限り早い機会に国会に提出したいと、こう思っております。
  125. 石田次男

    ○石田次男君 実は審議会の答申案は十一月中に出されるというふうに聞いているのです。で、そちらのほうの見通しとしては今月中に出そうですか。
  126. 高木広一

    説明員(高木広一君) 私簡単に予測を申し上げるわけに参りませんが、東畑会長その他皆さんの御意見も今月中には出すということで、非常にがんばっていただいておりますので、そうなると確信しております。
  127. 石田次男

    ○石田次男君 この十一月中に答申案が出るということは前からわかっていることです。それにせんだって外務省の案が要綱として出されたということは、これは審議会に資料を提供したようなことになるのかと思うのですが、審議会のほうに何らか資料を提供するのか、そういう意図も含んでいるものかどうか。
  128. 高木広一

    説明員(高木広一君) そのとおりでございます。外務省のみでなく、各省もいろいろ意見を出しているわけであります。
  129. 石田次男

    ○石田次男君 この要綱を作るについては、外務省関係者だけでやったのですか、それとも、移住関係は御承知のとおり各省にたいへん入り組んでいますが、それらのメンバーも入って、この案を作るについて入ってやったものでしょうか。
  130. 高木広一

    説明員(高木広一君) 移住の基本的な法律に関しましては、かなり前からたびたび関係省寄って相談しているのであります。一番最初は昭和三十一年ごろに移住の新しい法律を作るということでやり、その後もたびたびやっているのであります。最近におきましては、昨年ごろから各省の事務当局と移住基本法につきまして相談をしておったわけであります。しかし、今度外務省が出しましたのは、そういう過去の各省の考え方等も頭に入れながら外務省限りで急いで出したものであります。これは移住審議会のほうの御都合もございまして、各省の意見が完全にまとまってから出す余裕がございませんでしたので、各省ばらばらでよろしいからということで、一応外務省として準備したわけであります。
  131. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、この案は外務省独自の立場で作ったものと了解していいわけですね。
  132. 高木広一

    説明員(高木広一君) 外務省独自できめましたが、移住基本法はかくあるべしとわれわれが信じてやったわけであります。
  133. 石田次男

    ○石田次男君 当然これについては農林省あたりからも何か意見が出そうなものだと常識的には考えるのですが、この審議会の答申を作るについて、また具体的に法制化していく上について、農林省あたりでもいつごろまでかに何か出すという見込みでございますか。
  134. 高木広一

    説明員(高木広一君) 審議会で実はこの外務省の案も検討になり、各省も積極的にこれの審議会に出席いたしまして、いろいろ意見を言っております。したがって、大体外務省の案が中心になりながらきまっていくものだと、こういうふうにわれわれ思っております。
  135. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、農林省等の意向というものは審議会を通じて出てくると考えていいものですか。
  136. 高木広一

    説明員(高木広一君) 同時に、現在われわれまた各省寄ってやっておりますものですから、並行してやっているわけであります。
  137. 石田次男

    ○石田次男君 それから、私の聞いたのは、農林省あたりの意見が審議会を通じて相当に反映してくると思っていいですか、その点を聞いたわけです。
  138. 高木広一

    説明員(高木広一君) ちょっとどういうふうに御返事申し上げていいか判断に困るのですが、農林省も根本的な問題に関しましては、あまりたいした違った意見が出ておらないように了解しております。
  139. 石田次男

    ○石田次男君 これは高木さんに聞いてもちょっと御返事いただけないかもしれませんが、移住審議会の委員名簿、幹事の名簿、これらを繰ってみると、非常に利益代表という感が強いですね。せっかくの基本法を作るというわけで、審議会の意見を中心にしたものを強力に盛り込むということになれば、基本法は相当理想的なものからずれていきはせぬかという危惧も持っているわけなんです。この際、せめてその欠陥を防ぐ意味で、民間の協議会とか公聴会まで発展させて、もう少し積極的に移住基本法についての議論というものを盛り上げる必要はないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。これは大臣に聞きたいところですが。
  140. 高木広一

    説明員(高木広一君) これも私がお答えすべきかどうかは存じませんが、私個人の見方といたしましては、今後の移住審議会は、従来と比べましてそういう利益代表の影響がきわめて少ない。それから会長の東畑博士は農政のほうにも詳しく、また非常に海外の事情も明るうございますし、その他割合に大所高所から移住を見る立場にある方々が委員になっておられるというふうに思いまして、決して今先生が言われたような心配はないのじゃないかというふうに思います。
  141. 石田次男

    ○石田次男君 具体的に現実の問題から基本法の問題に入ってきたと思いますが、最近移民全体が日本としては非常に低調になってきているわけですね。その理由としては、国内産業の発達に伴って雇用関係で国内需要がふえたので、その関係から移住者が減ってきたとも言われておりますが、とにかく移住はここ二十年くらいが勝負で、チャンスを逃がすとあとはないと言ってもいいんじゃないかと私は考えているわけです。そういう際に、こういうふうに移住者が減ってくるということは、非常に移住政策の面から障害なんですね。この先細りの不振の原因というものは、大体どういう点にあると外務省では考えていらっしゃるか。
  142. 高木広一

    説明員(高木広一君) この移住者が非常に減ったのは、日本だけじゃなくて、ヨーロッパ諸国も同様でございます。
  143. 石田次男

    ○石田次男君 しかし、ふえている国もあるでしょう。
  144. 高木広一

    説明員(高木広一君) ヨーロッパ全体が非常に減っております。それで結局日本の場合は国内の労働力不足ということが非常に大きな原因でございますが、今先生のおっしゃいましたように、その他の事情もいろいろございます。先般来のドミニカ帰国者の問題とか、あるいは、今こういうふうに急に国内の情勢が変わったときにおいて、海外移住というものがどうあるべきかというような点がはっきりせないということとか、あるいは、これもかねてから言われている移住の行政のはっきりせない点というような点、そういうようなものもあると思います。それから、今先生のおっしゃったように、中南米に対する移住というものがいつまでも門戸が開かれているのでなくて、やはり二十年なり、それくらいの期間に相当むずかしくなるだろうということも事実であって、この際によほどしっかりした考えと態勢で移住を推進せなければいけないというふうに思っております。ただ、従来海外移住は人口過剰と失業問題の解決として人減らし的に考えてきたわけでありますが、最近の日本の情勢はそれから非常に変わりつつあることも御承知のとおりでございまして、日本の人口の増加自身も非常に減りつつございます。特に昭和四十二、三年ごろになると、相当労働力不足のほうが顕著になるというふうにわれわれ見ております。また他方中南米のほうは、これも御承知のとおり、世界でかなり高い率をもって人口が増加しつつあります。年平均二・九とか、三%に近い増加でございまして、中南米自身が労働力過剰な、特に経済状況から見て過剰の状況になりつつあります。さらに、日本の生活程度は高くなり、向こう経済の生活程度の水準とギャップが出てくるというようなときに、どういうふうに海外移住というものを考えなきゃいかぬかということが大きな課題になっておりまして、移住審議会でもこの点真剣に検討せられておりまして、大体の考えといたしましては、海外移住というものは単に、今申しましたような、国内的な人口問題とかその他の対策としてやるんじゃなくて、優秀な国民というものが、単に自国にとどまらないで世界に大いに発展したいという傾向を持っておる民族が海外に発展するということは自然の力であって、一時的に見れば国の不利益になるような場合でも、こういう民族の自然な海外発展はとめるべきでない。特にその民族の海外発展というものがよく指導されたときには、相手の国の利益にもなり、新しい世界の建設にもなり、結局回り回って日本の国の利益になるのだから、海外移住を大いに推進しなければいけないということで、われわれといたしましては、国民の海外発展心を振起する適切な海外移住政策を推進するというところに重点を置いてやりたいと思っておる次第であります。
  145. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  146. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) 速記始めて。
  147. 石田次男

    ○石田次男君 きのうお伺いした点なんですが、大村収容所でちょっと風変わりなことが起きまして、私調査中なんですよ。それでお聞きしたいのですが、最近韓国へ帰還船が出たのはいつでした、一番新しいのは。
  148. 富田正典

    説明員(富田正典君) お答えいたします。十月十二日でございましたでしょうか。
  149. 石田次男

    ○石田次男君 そのときに何人ぐらい帰りましたか。
  150. 富田正典

    説明員(富田正典君) 約百九十人だったと思います。
  151. 石田次男

    ○石田次男君 そのときに何か帰還についてトラブルが起きましたか。特に朝鮮のときですよ。
  152. 富田正典

    説明員(富田正典君) 一番最初に乗ったグループですから、船室がこれでは狭いではないかという苦情が出て、その後大村収容所の警備部長、それから韓国代表の領事、海上保安庁の方々が従来の送還の実情等を説明いたしまして、納得してそのまま出発したと聞いております。
  153. 石田次男

    ○石田次男君 そのときのトラブルというのは、それだけですか。その船室が狭いというのはよく乗船拒否に使う手で、今後始まったことじゃないのですね。毎回予想されていることで、私が聞いているのはそれ以外のことなんですよ。もう少し具体的に申し上げると、このときに見送り人が多数来たというわけなんですね。その見送り人の数というものが、毎回の例に比較して多かったのかどうか、その点。
  154. 富田正典

    説明員(富田正典君) その点は多かったか少なかったか存じませんが、約二十人と聞いております。なお、昨日のお問い合わせの点ですが、別に見送り人の数等現在では制限しておらないと聞いております。ただ、かつてあそこに、いわゆる北と南に分かれて収容されておりましたときに、いろんなトラブルがございまして、これを送還するというときに、いろいろなトラブルがあったということを聞いておりますが、現段階においては、出発の日時も送還される者は十分承知しており、家族にも連絡し、家族からその段階になってまた陳情が本省のほうに殺到するというような実情でもございまして、別に何らの制限は設けておらないそうでございます。
  155. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、出発の日時については秘密、非公開主義ということはないのですね。
  156. 富田正典

    説明員(富田正典君) ございません。昨日公表しないと申し上げましたが、外務省のほうで大体一週間か十日前に新聞に発表しておるようでございます。
  157. 石田次男

    ○石田次男君 実は私も調査中なんで、こうだという断定的なことは申し上げかねるのですが、この送還のときに、出発の日時を所員が外へ伝えたということで見送り人が多かったというようなことで、ある所員が職場を左遷されたという報告が来ているのです。もちろん月給が下がったとか、特別懲罰的な何かを加えたということではなくて、婉曲な懲罰的な意味で、内勤だった者を外側の警備のほうへ飛ばしてしまったのですが、もちろんそれについては次長さんまだ聞いていないかもしれませんけれども、私のほうの報告が大げさなのかもしれませんけれども、最終的な調査返事が来なければわかりませんが、その件少し調べてあとで書面でけっこうですから、返事をいただきたいと思うのですが、この委員会の席上でなくてけっこうです。私のほうとしては、だれであるかということもすぐわかります、相当正確な話でしたから。これひとつ私個人のほうでけっこうですから、書面を作ってぜひ返事をいただきいと思います。
  158. 富田正典

    説明員(富田正典君) お名前がわかれば。お名前はまずいですか、ただ抽象的に……。
  159. 石田次男

    ○石田次男君 ちょっときょうはここで発表できませんが、わかりますよ、一人なんですから。ぜひお願いします。  それから移住振興会社法で振興会社ができて、現在までに相当赤字があるのですね。大体赤字が十億ですか、というように私のほうで調べているのですが、その赤字正確に幾らでしょう。
  160. 高木広一

    説明員(高木広一君) 現在約八億弱だと思います。ただ、この現地、ブラジルにおきましては、現地法人ジャミクというのを持っておりまして、これの為替差損というようなものは必ずしも正確には反映しておらないと思いますが、大体八億だと聞いております。
  161. 石田次男

    ○石田次男君 この赤字の原因というのは一体どこにあるのか。大体定款に盛られている業務というのは、融資ということになっているのですが、海協連と競争して土地の造成なんかに力を入れ過ぎたのじゃないかとも思うわけです。またこれを見ると、事業団を作って新しく移住をてこ入れするというふうな考え方のようですが、立案中の事業団ができた場合に、この八億の赤字の会社は一体どういうふうになっていくのか。
  162. 高木広一

    説明員(高木広一君) 移住会社が大きな赤字が出ました一番大きい原因は、やはり移住会社がやっております移住地事業関係でございます。これは移住会社ができましたときには、実は移住地事業というのは予想しなかったわけで、投融資が主たる業務と考えられていたわけであります。たまたまパラグァイで先住移住者もおらない所に移住者を送るという必要から、移住地を購入して、これを造成して分譲するという仕事が必要になったために、移住会社がこれを始めたということが原因でございます。海外協会連合会と競争してやっているというようなことではございません。ただボリビアのように、相手の政府が無償で土地をくれるところでは、移住会社が土地を買う必要もございませんので、入った移住者に対する援護措置は海外協会連合会が国の補助金でやっているという関係で、重複する面も、同じような種類の仕事をやっているような面もございます。こういう点を考えまして、本来移住地事業は国の補助も相当大きく要するところでございまして、移住会社が移住者への融資ベーシスで全額移住者に負担せしめるのだという体制では少し無理であるという点を考えまして、移住地事業は海外協会連合会、今度作る事業団のほうに一本的にやってもらうのが一番妥当であろうと、そうして、移住会社は本来の移住のための投融資に専念するという構想考えております。ただ、これの具体的な移住地事業の移譲措置につきましては、現在大蔵省とも連絡しながら作業をしておる次第であります。
  163. 石田次男

    ○石田次男君 それで、基本法ができたり、事業団ができたりした場合、やはりこうした赤字等はひとつ区切りをつけなきゃならぬのじゃないかと考えるのですが、そう考えていらっしゃるかどうか。また区切りをつけなきゃならぬとなれば、どういうやり方で区切りをつけるか。赤字補填ですね、それどういうふうに考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  164. 高木広一

    説明員(高木広一君) これはまだ大蔵省と十分検討をした上でないと、今申し上げられないのですが、たとえば移住会社の減資の方法で赤字を減らしてしまうということもありましょうし、あるいは事業団のほうがその赤字の分担すべきものを分担するというようなことも考えられるかと思いますが、まだこれは大蔵省と作業中でございますので、何とも今ここで申し上げられません。
  165. 石田次男

    ○石田次男君 それから移住振興会社関係で働いている人員は今どれくらいですか。
  166. 高木広一

    説明員(高木広一君) 約百五、六十名でございます、現地東京合わせまして。
  167. 石田次男

    ○石田次男君 これは五十人ぐらいでできるんじゃないですか。多過ぎやしませんか。
  168. 高木広一

    説明員(高木広一君) この移住地事業にほとんど大部分の人を送っておるわけでございます。したがって、移住地事業を事業団のほうに移しますと、ぐっと減ることになりますし、そういう意味におきましては、海外協会連合会と人員がダブっている面もございますので、今度の事業団の構想では、人をふやすよりも、むしろ全般としては人を減らすぐらいにしたいというふうに思っております。
  169. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  170. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) 速記を始めて。
  171. 石田次男

    ○石田次男君 実は今申し上げた問題で、昭和三十年に、土地をどんどん買っていけば失敗するじゃないかという議論が出ているのですよ。当時は重光さんが大臣で、差しつかえがないというような返事をしているわけですけれども、やはりこうした赤字が出たり、あるいは使いものにならぬような購入地ができたり、いろいろ問題は出てきたわけでして、基本法を作っても、そういうところをはっきり締めていかないと空文になってしまうようなおそれがありますが、その点は重点的に何か法制化するとかなんとかして事故を防いでいく方針はおとりにならないかどうか。
  172. 高木広一

    説明員(高木広一君) これは移住の考え方及び向こうの問題とも関係してくると思います。それからあとは人の問題にもなってくると思うのでありまして、今先生がおっしゃったように、確かに土地を買い過ぎて、それは入り切れないぐらいになっていくということも非常に非能率の原因になっております。あまり大きい土地を買って、一部が接収される、あるいは将来農地法的な考え方が進んでいきますと、いろいろめんどうな問題も起きるということも、これも自明の理でございます。そういう点で、われわれとしては今後そういうことのないように、機構におきましても、基本法の考えにおきましても、はっきりしていきたいと思っている次第でございます。
  173. 石田次男

    ○石田次男君 で、今まで私が聞いている範囲では、購入した土地で使いものにならないのがブラジルのバルゼヤアレグレー、サンアントニア。それにもんちゃくの起こったのがガタパラですね。これらを全部この会社が関係したのだろうと思いますが、はたしてそうかどうか。またこれらの使いものにならぬ土地、あるいは事件の起こっている土地をやはり早急に何らかの形で始末するとか計画を変更するとかして、捨てるわけにはいかないのですから、何らかのきまりをつけなければならぬと思うのですが、それについて具体的な研究を進められておるかどうか。
  174. 高木広一

    説明員(高木広一君) 研究しております。バルゼヤアレグレーにつきましては、相当大きな土地を買いましたのですが、一級地が非常に少ない、二級地、三級地が多いということで遊んでおったわけで、実はこれはできれば悪い土地の所は再び売ってしまうということも考えまして当たったのですが、そうすると非常に損をするということで、あるいはこれを牧場のようにして使うというようなことをいろいろ考えておりますが、実際上は今土地を貸しておりまして、ほうりっぱなしにはしておりません。ガタパラにつきましてはいろいろ問題がございましたが、これは内地関係県も関係しておりまして、昨年の十月から先発隊を出していろいろやっております。今後どういうふうになっていくかといいますか、われわれとしてはこれが成功するようにベストを尽くしたいと考えておるわけであります。
  175. 石田次男

    ○石田次男君 そのガタパラの問題ですが、この前もお伺いしたことと同じことなんですが、ブラジル移住については、このガタパラを何とかしたいということで、移住の希望者に対して各県でガタパラをどうも押しつけるという傾向があるのですね。こういうことはよけい入植の阻害になりはせんかというので、むしろボリビアでもなんでも見込みのある所にどんどん優先的にやって、あまりガタパラに執着せぬほうがいいように思っておるのですが、どうでしょうか。高木さんのほうではそうでないかもしれませんが、現地のほうではそうなんですね、各県の。
  176. 高木広一

    説明員(高木広一君) これは実は内地の募集は農林省がやっておりまして、農林省のほうにお聞き願いたいと思います。
  177. 石田次男

    ○石田次男君 そうなんですね。それがやはり農林省関係からの意向だろうと思うのです。高木さんのほうの関係ではないだろうと思うのです。それにしても、ガタパラ中心で、ガタパラの移住の宣伝ばかりをしているというのは困ると思うのですが、これは農林省との協議の席なんかで何とか申し入ればできないのですか。
  178. 高木広一

    説明員(高木広一君) 今度の審議会でもそういう問題を取り上げ、基本法でもできましたならば解決するということでいきたいと思います。
  179. 石田次男

    ○石田次男君 その問題は打ち切っておきます。  また基本法のほうに戻りまして、これには、移住者について短期、長期のことに触れていませんが、これは明記しておかないといかぬように思いますが、どうでしょうか。
  180. 高木広一

    説明員(高木広一君) 外務省の最初の案では、短期、長期を区別せなかったのでありますが、その後審議会の大部分の御意見も、関係各省も、むしろ永住の目的をもっていく者を移住者というふうに限定したほうがいいんじゃないかという意見のほうが強かったのであります。ただ、短期も入れたいという希望は労働省のほうにございました。これは従来海外移住者というのは勤労のために海外に渡航する、つまり契約移民となって出ていく人が海外移住者と考えられていたわけであります。国際的にはその定義のほうが広かったために、労働省のほうはそれを非常に強く言っておられたわけでありますが、現在の海外移住という立場から考えて、むしろ永住の目的をもってしたほうがいいんじゃないかということになっていくんじゃないかと思います。いずれにいたしましても、移住の仕方につきましては、永住とすれば、たとえば短期の場合にも援護を準用するというようなことをしなければいけないし、われわれの元の案で、短期、長期を区別しないものでは、商社の店員となって、海外における独立した会社の店員となっていくような人を除くとかというような例外措置を講じなければいけませんので、どっちの定義をとりましても、実際面ではかげんをしなければいかぬと思っていたわけであります。
  181. 石田次男

    ○石田次男君 これは私事でおそれ入りますが、実は私、東洋学術研究所というものをやっておりまして、それで東洋の各地の国情等を調べているのですが、こちらのほうにも将来相当日本人が出ていく可能性があるんです。その場合に、長期の純然たる移住というよりは、むしろ短期が多くなりそうな傾向なんですね。この基本法を見ておりますと、やはり南米中心にしてものを考えたにおいが非常に濃厚でございまして、東洋の各国のほうはあまり念頭になかったのじゃないかと思うのです。そういう観点から、短期のほうの問題はこの条文に出てこなかったのじゃないかというふうに推測をしたのですが、その関係をひとつ。東洋のほうまでよく考えてみたのかどうか。
  182. 高木広一

    説明員(高木広一君) われわれの考えは、南米に限定したわけではございません。それから、最初の案では短期も含める考えであったわけであります。しかし、ある程度の例外を設けていかなければならぬのじゃないかというふうに考えたわけでありまして、いずれにいたしましても、そういうような短期の場合も、海外移住者という定義を持たないならば、これに準用した扱いをするとか、そういうことによって解決していきたと思っておるわけでございます。
  183. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、基本法には盛らなくとも、別な法制でもってその辺ははっきりしていくというのですか、そういうふうに受け取ってよろしいのですか。
  184. 高木広一

    説明員(高木広一君) そういうことでございます。
  185. 石田次男

    ○石田次男君 じゃ、最後に一つだけ。こうして基本法を作っていろいろ機関の整理その他をやるという意向のようですが、海協連はどういうふうに扱っておりますか、構想としてお伺いするわけですが。
  186. 高木広一

    説明員(高木広一君) 海協連を実は事業団と昇格せしめ、そうして移住会社の移住地事業を吸収する。それから実際には短期のカリフォルニアの派米青年の関係の仕事、これは派米協議会でございます。この仕事も包含する。その他同じような種類で包含できるようなものは今後とも入れていくという考えであります。
  187. 石田次男

    ○石田次男君 それからもう一つ。今まで移住者に対しては前橋の訓練所等で訓練していましたね。あれは私ら考えてみると、形式的で役に立たぬと思うのですが、内地での訓練は語学だけでいいんじゃないですか。
  188. 高木広一

    説明員(高木広一君) 従来農業訓練を一部にはしたのですが、必ずしも全部やっておりません。それから今先生がおっしゃったように、語学の訓練というのですか講習は、今後もっと力を入れてやらなければいかぬ。現在は横浜及び神戸のあっせん所におります間にごく簡単に講習し、それから船中で講習しておるのでありますが、この語学のほうはもっと力を入れたい、こういうふうに思っております。
  189. 石田次男

    ○石田次男君 この今後の移住について、実は私産炭地なんかもずいぶん関係がありまして、移住希望者なんかもちらほらあるのです。てこ入れしていけば相当集られめる自信もあるのですが、何しろ向こうへ行ってからのしばらくの間の立ち上るまでの保障というものが今までのあれでははっきりしないので、こちらからも積極的な呼びかけは若干ちゅうちょせざるを得ないという実情なのですね。この際、その点について強力な法律的処置あるいは金融上の処置、そういうものを考えていらっしゃるかどうか。また基本法ができたについて、来年度の外務省予算の中に移住関係としてどういう程度の予算要求をしていらっしゃるか、その点を最後に。
  190. 高木広一

    説明員(高木広一君) 来年度は、実は移住者の医療及び教育の面にかなり重点を置きたいと思っております。それから一般的な移住地に対する援護措置、これはたとえば農業なんかでございますと、トラクター、グレーダーとか、こういうふうなもの、これは道路を整備するための機械、あるいはその他アマゾン地方ではボートとか、こういうようなものまで補助しておるのですが、この補助をさらに徹底強化したいというふうに考えております。それから、今先生のおっしゃった保障という意味がはっきりわからないのですが、われわれといたしましては、移住地、新しい移住地の場合には、移住地の調査をさらに厳密にやるということによって、そこに入った移住者がまじめに働く限りは十分立ち上がれる、十分やっていけるという見当のついた所しか送らないということでおりますし、さらに移住会社の移住者のための投融資において活発な活動をすることによって、金融的にもこれの移住者の定着を促進するということができると思うのですが、こういう点で、これは口だけ言っても仕方がないので、実際制度を確立した上で十分これを行なえるような人的配置も考えたい、こういうふうに考えております。
  191. 石田次男

    ○石田次男君 今伺ったのは、予算要求の点と、何らか条例ないし法文でもってもう少し進歩したものを作る予定かどうか。この二点。
  192. 高木広一

    説明員(高木広一君) 予算はまだ折衝段階、要求の段階でございますから、これはどういうふうになるかわかりませんが、一応は事業団の予算といたしましては二十億余計上しておりますし、これは現在は、ちょっと今の数字はっきりわかりませんが、現在は海外協会連合会の補助金は五億でございます。これが相当……たしか十億、全体で二十億だと思います。現在は全体で十三億でございます。  それから法制化という点は、ちょっとわからないのですが、基本法及び援護法というものを考えております。これで今先生が御心配になったような点を法律の上において国の援助を義務づけていこう、こういうふうに考えておるわけです。
  193. 石田次男

    ○石田次男君 この機会ですから、ひとつ高木さん、大いに御検討をお願いいたします。
  194. 鹿島守之助

    理事鹿島守之助君) では、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十一分散会