○曾祢益君 どうもコーヒーが入っちゃって、少しなごやかになりましたが、
外務大臣とは日韓問題についてだいぶ国会討論会なんかでもいろいろやり合ったり何かした仲ですから、あらかじめ私の
考えを申し上げなくても、おわかりだと思いますが、残念ながら社会党の諸君とは意見が違うのであります。私は、
日本と韓国との懸案
解決に
努力する、そしてそのことは
努力の結果国交調整に至りますのは、それはむしろ当然ではないか。ある
意味ではサンフランシスコ平和条約の義務からいっても、
日本から分離し、独立した韓国との間の懸案を
解決していって、請求権の問題であれ、
日本における韓国人、朝鮮人の地位の問題であれ、あるいは竹島の問題であれ、季ラインの問題であれ、こういう問題を
解決して、平和にお互いに仲よくやっていくように
努力するのはこれは当然である。そういう
意味で一がいに、平和統一が望ましいことはわかっておるけれ
ども、韓国の平和統一ができるまでは待て、あるいは軍政時代であるから絶対にいかん、そういう議論にはわれわれは遺憾ながら賛成できない。しかしながら、
大平外務大臣は、官房長官時代から非常にこういう問題については慎重にやられるという側であったと思うのです。自民党の中には俗にコリアン・ロビーと言われる諸君もあって、なるべく代理政権でやったほうがうるさくないとかというような、そういう
意味の変な積極論者もあった。そうでなくて、これは今言うような、両国間が当無に仲よくする。当然に懸案を
解決する。そして仲直りする。その
意味で慎重にかまえて、しかしやるのだという方向を従来はまあとってこられた。ところが、残念ながら、まあ私をして言わしむれば、残念ながら、あなたが請求権問題について大いに、さっきの言葉によれば、まあ池田・朴会談における法律的根拠のあるものについてのみ
考えるという
基本線がさらに
一つ飛躍されて、いわゆる工夫をこらした
一つの提案、もう少しレベルの高い政治的考慮、私はこれが非常に危険であると思う。そういうどんぶり勘定的なことをかりにやった場合に、だれも承知のように、
政府も認めているように、北鮮に請求権の残ることは、これは
政府も認めておられるわけです。韓国の中に北鮮に政権がある。これは大和君の質問にもあったが、北鮮に請求権が残る。そうすると請求権の問題を、法律的に十分に根拠のあるもの以外に、何か突っ込みで無償供与も何も一緒にしてどんぶり勘定で韓国にかりに払ったとする。そうすると、今度は北鮮からも同じように無償供与か何か知らぬけれ
ども、請求権以外のお金を北鮮にも与えなければいけない。もっとさらに言うならば、
政府は、まあ
日本と
中国との
関係は、
日本と台湾との条約で
解決していく、こういう法律的解釈はしないのだ。そんなことを言ったって、
中国の場合に、大陸
中国との間に将来仲直りの場合に、請求権の問題あるいは賠償の問題にひびが入らないものとも限らない。したがって、この請求権の問題
解決だけは、この政治的考慮もけっこうかもしれませんけれ
ども、そういうどんぶり勘定の突っ込みみたいなもので
解決するのは、非常に大きな憂いを将来残すのではないか。むしろ韓国側のほうが請求権は請求権で幾らとはっきり言っておるので、
大平方式にはまだイエスもノーも言ってないように伝えられておるのでありますけれ
ども、私は無償供与は無償供与で、政治的な、軍事的な援助でない限り、これは国民の許す場合もあろう、金額があまり多くてはしようがございませんけれ
ども。しかし請求権はこれだけだ、そのほかに無償供与は幾ら、あるいは有償供与は幾ら、こういう筋道の通った話であれば、これは別です。ところが、しかし請求権は幾らかわからないが、請求権プラス無償供与分合わせて三億ドルなりあるいは四億ドル、そういう
解決方法をもしお
考えだとするならば、今から言ってもまだおそくないように思いますので、ぜひそういうことはおやめ願いたい。請求権は請求権でいろいろありましょうけれ
ども、むろん韓国側がおそらく
考えているであろう三十六年間の
日本の占領時代の償いという
意味、これは私は筋が立たないと思う。そういう賠償的な
意味ではいけませんけれ
ども、請求権で筋道の立つものは、九千万ドルか知りませんが、
日本の分を相殺してもそれは幾らかある。それは払う。そのほかに両国の好意的な
立場に立った援助というものがあってもいい。それはすかっとそういうふうに
解決していただかないと、私は国民が承知しないと思う。日韓会談絶対阻止といったような極端な議論でなく、ほんとうに心ある国民としても、そういうどんぶり勘定の
解決には賛成しない。そういう
意味でひとつそこらの、最後には条約文のテクニックにも
関係するかもしれませんから、あまりこまかいことまでお聞きしようとは思いませんけれ
ども、重要な点ですから、あなたの政治的
解決がどんぶり勘定的でないのだ、請求権は請求権、援助は援助だという方向になるかどうかということを、この点だけは今の段階できめておかないと、私は重大だと思いますので、もう金さんとの会談等で、そういうもしテクニックの話は当然しなかったと思いますし、その後の模様を見ますと、請求権の問題と平行していろいろな季ラインの問題とか、そういう問題、あるいは竹島の問題の
解決方法とか、法律的懸案を
解決していくという線で話が進んでいるようでありまして、この限りにおいては私は必ずしも悪いとは
考えているわけじゃありません。何といってもこの問題の中心は請求権であることは疑いのないところですから、その
意味で今が重大な時期です。ぜひ
外務大臣の
考え方を伺っておきたい。